○泉政府
委員 農業所得に対する課税の場合に経費をどのように見るのが適正かという問題、なかなかむずかしい問題でございまして、現在のところは、
安井委員御承知のとおりに、田畑の所得標準率というものを用いまして、それに基づいて所得標準内経費と、それから所得標準外経費とに分けまして、所得標準内の経費は、その標準率をもって計算する。それから標準外の経費につきましては、個々の農家ごとにそういった標準外経費を
出しまして、それに基づいて経費として認めるかどうかということをいたしておるわけであります。
そこで、いろいろの項目について
お話がございましたが、概括して申し上げますと、たとえば先ほど農業の所得標準率の通達は
昭和二十九年に出ているという
お話でございましたが、その後も毎年見直しをいたしておりまして、したがって、たとえば
昭和四十一年分の標準率で申し上げますと、北海道の標準地帯の合計では、所得率が七七%、したがって標準経費率が二三%というふうになっておるのでございます。先ほど一七%ないし一八%という
お話がございましたが、それよりは多いということになっておるのでございます。それから個々の経費ごとにいろいろたとえば農薬であるとか肥料には個人差が多いというような
お話でございました。しかし、こういったものは標準率の中に入れた標準内経費として見ませんと、標準率を使用する意味がほとんど出てまいりません。したがって、標準外経費としましては雇い人費であるとか、個々の農家によって非常に差のあるものを標準外経費にしておるのでありまして、確かに肥料、農薬につきましても若干の個人差があることとは思いますけれ
ども、農業
経営上はやはりその地において肥料あるいは農薬を投入する量はおよそ標準的なものがあるはずでございますので、それを標準内の経費として見ていくというよりほかはなかろうかと思います。
それから特別経費として土地改良費という
お話がございました。御承知のとおり土地改良費につきましては、いわゆる永久資産となるもの、これは永久資産でございますので償却の方法もございません。これを経費に見ることはできない。それから却償資産となるもの、それからその年の経費になるもの、こういうふうに三本立てに分かれるわけでありまして、そこであまりこまかい計算になりますと繁雑でございますので、先ほど
お話がございましたように、省略計算なりあるいは簡易計算の方法をとりまして、省略計算の場合でございますと二千五百円まで、簡易計算の場合でございますと四千円まではその年の経費として認めるということにいたしておるのでございます。もちろん私
ども最近の土地改良、ことに農地の造成がたくさん行なわれております北海道地域におきまして、どの
程度の土地改良費を経費として認むべきか、これはいろいろ問題があろうと思いますので、先般陳情もございましたので、その点についてはさらに検討いたしたいと思っておるのでありますが、いま申し上げましたように永久資産になるものと、減価償却資産になるものと、それからその年の経費になるものと、こう三つに分けてものごとを
考えていかねばならないと思いますので、永久資産になるものまで経費として認めてくれと言われても困りますし、また減価償却資産になるものは、やはり償却費だけがその年の経費になるのでありまして、耐用年数に応じて年々の経費を見ていくというよりほかはない。投入額そのまま全額をその年の経費として認めるわけにはまいらない、こういうことになろうかと思います。
それから自動車の点、確かに最近、農村におきましてもいわゆるカーブームでございまして、乗用車な
ども相当購入されているように見受けられますが、やはりこの自動車を農業
経営上使った場合に初めてその減価償却費なり燃料費なり維持修繕費等を必要経費とすることができるのでありまして、家事上に使った場合には、そういったものを農業
経営上の経費として見るわけにはまいりません。ただ、いま
お話がございましたように、貨物自動車なんかにつきましても、それを農業
経営上の経費として見る部分の割合が少ないような
お話がございました。これはその実態を十分
調査いたしまして、農業
経営上使用いたしました割合の分は当然必要経費として認める、こういうふうにいたしたいと思います。
それから大農機具につきましても、トラクターであるとか動力耕うん機はこれは標準外経費にいたしております。したがって、そういった個々の農家が購入した動力耕うん機、トラクター等大型のものにつきましては、その個別の事情に応じましてその減価償却費を必要経費に認めるということになるわけでございます。北海道地区におきましては、おそらくそういった大型の農機具が相当あろうと思いますので、そういったものの修繕費あるいは減価償却費を必要経費に認めるということになるわけであります。
ただ、雇い人費も標準外経費になっておりますが、雇い人費につきまして、先ほど北海道地区ではこういうふうにしているという
お話がございましたが、個々の農家がどれだけ雇い人を使ったかということについての実績の証明等につきましていろいろ手数を要することになりますので、現在におきましてはある
程度標準化して、この
程度の
耕作をしておる農家の場合、家族
労働者の数と合わせまして
考えて、この
程度の
労働力が要る、しかしそのうちの家族
労働人員はこれだけだから、雇い人費として認められるものはこの
程度である、こういったことを一応標準的に
考えておる次第でございます。しかし、それがもし実情に即しておらないという点がございましたならば、なお再検討いたしたい、このように
考えております。
そのほかこまかい項目について、たとえば作業用の被服であるとか技術研究費であるとか光熱費、交通費といったような点の
お話がございましたが、これらにつきましてもそれぞれ農業
経営上必要な経費としてその実情を十分
調査いたしまして、標準的な経費として見ていくと、こういうことにいたしておるのでございます。