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1967-12-21 第57回国会 衆議院 商工委員会産業金融に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十二月二十一日(木曜日)    午前十時四十九分開議  出席小委員    小委員長 鴨田 宗一君       宇野 宗佑君    橋口  隆君       岡田 利春君    田中 武夫君       塚本 三郎君    近江巳記夫君  出席政府委員         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君  小委員外出席者         大蔵省国際金融         局次長     奥村 輝之君     ————————————— 十二月二十一日  小委員天野公義君及び中村重光君同日小委員辞  任につき、その補欠として橋口隆君及び岡田利  春君が委員長指名で小委員に選任された。 同日  小委員橋口隆君及び岡田利春君同日小委員辞任  につき、その補欠として天野公義君及び中村重  光君が委員長指名で小委員に選任された。 ————————————————————— 本日の会議に付した案件  産金等対策に関する件  金鉱業緊急対策の確立に関する件      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  産金等対策について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)小委員 大蔵省国際金融局に若干の御質問を申し上げますが、現在日本外貨準備金が何か十七億に減ったとかいわれておりますが、実際はどのくらいですか。それに対して金準備が幾らで、その割合はどういうことになっているのか、お伺いいたします。
  4. 奥村輝之

    奥村説明員 十一月末現在のわが国外貨準備は十九億六千三百万ドルでございます。その中で金が占めます額は約三億三千万ドルでございます。
  5. 田中武夫

    田中(武)小委員 その外貨準備高がどんどん減りつつある。本年末には十七億ドル程度になるのじゃなかろうか、こういうような記事を新聞で見たような気がするのですが、傾向としてはどのようですか。
  6. 奥村輝之

    奥村説明員 本年度末の外貨準備の水準につきましては、総合収支がどうなるかということによってきまるわけです。総合収支は先般経済企画庁のほうで改定の見通しを出しましたが、本年度は五億九千万ドル赤字というふうに見込んでいるわけでございます。もう一つ、五億九千万ドルという赤字が実現するということになりましても、短期資金がどういうふうに移動するかによって外貨準備がどうなるかということがきまるわけであります。十七億ドルというお話がございましたが、これは本年度末に短期資金の額がどれぐらいになるのか、どのくらいの総合収支になるのか、現実の問題でございますのでなかなかむずかしい見通しでございますが、いずれにしてもいまの状態で推移いたしますと、来年の三月末は別といたしまして来年の四月——七月という時期はかなり総合収支は悪くなり、短期資金の動きからして外貨準備が低下する。その額は私どもとしていま申し上げるわけにいきませんけれども、二十億ドルをかなり下回る額になるのではないかというふうに考えております。
  7. 田中武夫

    田中(武)小委員 十一月末で十九億六千三百万ドルですか、これを下回るであろうということは、赤字が五億九千万ドル、これは短期資金等で変わってまいりますが、これを見ただけでも、少なくなるだろう、減るだろうという一応の見通しはつくわけです。さらにそれに対する金準備が三億三千万ドルといいますと、どうも外貨準備金に対する保有金比率が諸外国と比べてたいへん悪い、こういうように思いますが、大体国際金融局といいますか政府としては、外貨準備を三十億ぐらいのところへ持っていきたい、そうしてそれに対して少なくとも三〇%ぐらいの金保有を持たねばならぬじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点いかがですか。実はこの前に私、本年四月だったと思いますが、予算委員会でこのような点に若干触れて、経済企画庁長官等にも質問をいたしたわけですが、当時はたしか一八%程度だったと思います。それより前に大蔵大臣は三〇%ぐらいが望ましいという答弁大蔵委員会でしておられます。それに対して経済企画庁長官は必ずしも比率というだけでものごとは決するわけではない、ドルによっても十分だ、このようなことを答弁があったわけです。ところが御承知のようにポンド切り下げ、 これに従ってドルの不安、言うならばポンドはいままでドル防波堤のような役割りを果たしておったと思います。その防波堤がくずれることによって、ドルがもろにその荒波を受けるということ、さらに御承知のようにヨーロッパ等では金戦争と言われるような——一時ちょっと落ちついたようなことも言われているようですが、どんどんと金の買いあさりが出ている、こういうような状態から見た場合に、私は少なくともこの外貨準備金のうちの金保有は三〇%以上に置くべきじゃないか、こういうように思っておりますが、その辺のところは、これは政府ではないとして、直接事務を担当しておられるあなたとしてはどのようにお考えになられますか。
  8. 奥村輝之

    奥村説明員 わが国外貨準備がもう少しふえてほしいという気持ちは私どもは持っております。ただ、いままでの状況にかんがみますと、やはり日本経済成長が激しかったためにいわゆる輸出入その他外貨収支のしりが悪かったために、現在のような外貨準備になっているわけでございますが、これをどれぐらいに持っていくべきか、これはいろいろ議論のあるところでございます。一がいに私どもが申し上げるわけにいかぬのでございますが、昭和三十七年に輸入規模が約五十億程度、現在では通関ベースで百二十億ドルということになっております。昭和三十七年に日本外貨準備が二十億であったわけです。したがって、現在二十億であるということは、輸入規模の増大に比べていかにも少ない数字ではないかというふうな感じがいたしまして、さしあたり私ども気持ちでは、できるだけ早く三十億ドル程度外貨準備に持っていきたいという気持ちを持っております。ただ現実の問題といたしましては、御指摘のように、来年にかけまして国際環境が非常にきびしくなる、したがって外貨準備をふやすためには輸出その他の余剰をふやさなければいかぬ。そのためには、今後国会においていろいろ御審議をいただくわけでございますが、一体国内の成長をどうするのか、予算金融政策をどうするのかというような問題が非常に本問題に関係を持ってくるわけであります。したがって、さしあたりの問題としては、いかにして国際収支を均衡に持っていくか、その次の問題としては外貨準備をいかにしてふやしていくかということに相なろうかと思います。
  9. 田中武夫

    田中(武)小委員 ポンド為替レート切り下げに伴って、英国は公定歩合を八%にした、続いてアメリカ公定歩合を上げた、こういうことで、水と逆に——水は高いところから低いところに流れますが、国際資金は金利の高いほうに流れますので、日本現状でいうと、そういう資金も出ていくのじゃないか。そうすると、ますます保有ドルは減っていく、こういうことになろうと思います。しかし、望ましい状態とすれば、少なくとも三十億の外貨準備が必要であろう。そして、その何%は金を持たなければいかぬかということについては、議論はあると思いますが、少なくとも三分の一、三〇%ぐらいの金保有は必要じゃないか。こういうようになりますと、三十億ドルに対して三〇%というと、九億ドルか十億ドルぐらいの金保有が必要じゃなかろうか、こう思います。それに対して、三億三千万ドルというと、三分の一じゃないか。したがって、日本政府金準備といいますか、保有金をふやさなくちゃならない、こういうように考えておるわけでございます。ところが、 いまのようないわゆるゴールドラッシュゴールド戦争といわれるような状態であるならば、輸入をするといっても簡単に輸入もできないのじゃないか、このように思うのですが、鉱山局長、それから大蔵省国際金融局奥村次長さんに簡単に——本年度はたしか金地金十トン輸入という計画が立っておりますが、これは十トン入っていない、八トンぐらいじゃないかと思いますが、簡単に今後は買えないのじゃないかというように思うのですが、大蔵省立場見解と、それから鉱山局長としての見解をひとつ伺いたいと思います。
  10. 奥村輝之

    奥村説明員 外貨準備の話に続いて、その中の金をどれぐらい持つかという御質問であろうかと思いますが、まず外貨準備をふやしませんと金をふやすということはむずかしいわけでございます。いままで金の保有が少なかった一つの理由は、私どもは金以外に持っておりますドルの預金、これで日本としては必要な資金を借り入れるというような役目を果たしてきたわけであります。日本経済の健全な発展のために、金を持つよりも相当部分を外貨そのもので持つことによって経済の順調な発展をはかろうという考え方でございます。したがって、金をいますぐふやして持つということは、現実の問題としてはかなりむずかしい問題じゃなかろうかと思います。  次に、ゴールドラッシュがあったので今後金の輸入がむずかしくなるのじゃないかというお話でございますが、私ども感じといたしましては、金の輸入は、非常に長い先は存じませんけれども、当面はさしてむずかしい問題はないと考えております。世界のいまのロンドン、パリ、チューリッヒの金市場取引は千二百トン程度でございます。日本輸入しているのは今度予算で組んでいただいておりますのが十トンでございます。これを若干ふやすといたしましても、その量はさしたることではございませんし、しかもいま私どもが入れております金は四百七円、四百八円程度で買っているわけでございます。金のラッシュがございまして相場が上がりましても、三十五ドル二十セント、三十五ドル二十一セント、パリで、ナポレオン金貨取引などを入れてみましても、三十五ドル三十セント程度取引が成り立っているわけでございます。問題はスペキュレーションでございます。産業用金輸入については、私どもは、それほどむずかしい状態にあるとは考えておりません。
  11. 両角良彦

    両角政府委員 外貨準備の中で金の準備はどの程度が妥当であるかという点につきましては、国際金融政策ともからみました問題でございまして、大蔵省の判断にまちたいと思っております。また、昨今の情勢下で金が買えるかどうかという点につきましては、ただいま国際金融局次長の御説明のとおりかど存じますが、当省といたしましては、特に産業用民間放出金の確保ということにつきましては、従来とも大蔵省と連絡をとりまして、本年度八トンの放出が予定されており、かつ、これは確実に実施され得るものと期待をいたしておる次第でございます。
  12. 田中武夫

    田中(武)小委員 奥村次長は、金地金輸入についてはそう悲観的でないような御発言でありましたが、私は、あの状態から見、また、絶対的に金が不足しておるということから、金の産出というのは世界的に見てやはり限度がある、しかし、信用膨張というのはますますより大きく広がっていくと思います。そういたしますと、金の占める割合はやはり絶対的に不足していくんじゃないか。こういう点から見て、簡単に輸入といってもやりにくいような状態がある。たとえば、フィリピンのごときは、いままでは鉱石を輸出してそれから銅だとかいろいろなものを取った場合、それに付随して出る金はそのままであったのが、鉱石に付随して出てきた金は返してくれというようなことを言っている状態から見ても、やはり金が世界的に絶対的に不足するんじゃないか、ことに日本においては絶対的に不足しており、絶対必要とする量と、産金量及び回収金その他を見ましても、数トンあるいは十トンの不足があるということを考えねばならない、私はこのように考えるわけです。  そこで、金一オンス三十五ドルと現在いわれておりますが、三十五ドル二十セントあるいは三十セント程度だと思います。しかし、これがだんだんいきますと、私が先ほど言ったように、いままではドルに対してポンド防波堤のような役割りを果たしてきた点もあると思いますが、その防波堤がくずれたことによってドルが不安を起こした、そういう点から、ドルと金との交換歩合がだんだんあがっていく、したがって、それがいつかわかりませんが、ドル為替レートというか金に対する換算率が変わってこなければならないし、変わってくるであろう、私はこういうような観測を持っているわけですが、その点についてはどういうものでございましょうか。
  13. 奥村輝之

    奥村説明員 いまの御質問は、米ドルの金に対する価値の問題であると思いますが、これは先般来米国政府がこれを堅持するということを繰り返して宣言しておりますし、率直に言いまして、いまアメリカ経済力生産力というものは非常に高いのでございます。これは、単にアメリカのことだけならばまたいろいろな議論があると思いますが、いまや世界中の資本主義諸国が、この米ドルの問題に対し、これは世界基軸通貨である、ポンド以上の基軸通貨であるということで国際的な協力をしているわけであります。したがって、私どもは、いろいろな意味からして、ドル切り下げということはないというふうに考えております。  それから、いまの世界全体の金の供給は、一九六六年、去年の数字をとりますと、量にいたしまして千二百七十八トンでございます。金額にいたしますと十四億四千万ドルでございます。この中で、工業用通貨用、その他と三つあるわけでございますが、一九六六年は、いろいろな意味でむしろ公的機関から金を放出した時期でございまして、民間需要としては、工業用一に対してその他が二という割合でございます。したがいまして、いまの金の需給というものは、工業用産業用あるいは実需用、それから保蔵用という用途に向けられるというふうに考えます。したがって、ほんとうの産業用だけについて考えますと、通貨用で出ているもの、あるいはスペキュレーションに回っているものを除きますと、一体需給関係というものは逼迫しているのかどうか、これはかなり疑問のあるところだと思います。ことに、一九五三年あたりから六五年あたりまでは、毎年少ないときには四百トン、多いときには八百トンくらいを各国中央銀行政府公的準備として買い入れておったわけであります。これはアメリカが金の価格を維持する、三十五ドル以下にしないというような保証があったわけであります。こういう保証によって金の値段がささえられている面がかなりあると私は思います。また、スペキュレーションというのは、将来アメリカ政府が金の値段を上げるのではないかということからくることでございます。そういうようなことによって、金の値段が非常に浮動しておるとか、あるいは不安を含んでおるわけでございます。工業用として一体どれくらいの値段がいいのか、これは一がいには言えませんが、いろいろ議論があるわけであります。したがって、金の需給逼迫については、ドル価値に対する信認の安定というものがいま一番大事であると考えております。
  14. 田中武夫

    田中(武)小委員 ドル防衛ということに対して、日本をはじめいわゆる自由主義国家といわれる諸国がこれに協力するという体制はあるようですが、たとえば、 フランスドゴールのごときは、はっきり言っておりますね。こういう不安なときに何もドルは必要ない、金を買ってためておくことが国のためであり、国民のためだ、こういうようなことをドゴールは言っておる。そういう面から見ましても、それからまた、アメリカの金一の保有量は三十年来の底をついたというか、最低−になった。したがって、通貨に対して二五%の準備をしておかなければならぬという法律があるようですが、これも少しあやしいのではないか、金の交換を停止せざるを得ないのではないかというような情報もあるわけです。いまここで、絶対的に金が不足になればどうだということをあなたと議論しても、あなたは大蔵省立場でそう言うだろうから、らちがあかないと思います。しかし、ドルが不安であり、それによって金の買いあさりが続いておる。ことにヨーロッパ等におきましては、そういう通貨の不安のときには、個人としても金を買って、それが財産の貯蓄といいますか、日本でいえば銀行に預けるかわりに金なりダイヤモンドを買うという風潮があります。この通貨の不安が続くならば、ますますそういう個人保有というものもふえてくるのではないか。そういうようなことから産金政策は急がなければならぬという観点に立っておりますので、国際金融ということについてこれ以上議論をいたしましても平行線をたどるのではないかと思いますので、この程度でおきますけれども、あなたは大蔵省立場からだろうが、金に対して少し甘過ぎるのではないか、このような感じを持ったということだけは申し上げておきます。
  15. 奥村輝之

    奥村説明員 あまり議論いたすつもりはありませんが、いまアメリカフランスお話が出ましたので申し上げますが、アメリカは、経済の規律を打ち立てるように努力いたしております。こういうことがやはりドル価値安定のために大事であります。また、国際的には、先般来、国際通貨基金その他を中心に特別引き出し権というような新しい通貨準備の話をしておるわけでございます。そういうようないろいろなアメリカ努力国際的な努力というものと相まって安定することがやはり日本のためにもなるという考え方で申し上げておるのでございまして、そのことだけちょっと申し上げておきます。
  16. 田中武夫

    田中(武)小委員 そうおっしゃられるともう一言申し上げなければなりませんが、先日の総理所信表明その他に対するわが党の代表質問において、同僚の平林君が総理に対して、ドルに対してどうするかという質問をしたのでありますが、それはそれとして、アメリカがここ数年来ずっと国際収支の赤が続いておるということは御承知のとおりであります。したがって、ドルを安定さすためにはまずアメリカ国際収支が均衡する必要があるのじゃないか、そのためにはベトナム戦争の問題とか、あるいは各国に持っておる基地の問題とか、いろいろと問題が飛躍して議論をしなければならないことになりますのでやめますが、アメリカの現在のいわゆる国際間における立場といいますか、アメリカのメンツといいますか、そういうことから、いままでおおばんぶるまいをやっている軍事費その他について、私は、急にアメリカがそれを取りやめることはできないと思うのです。そういたしますと、やはりアメリカ国際収支の赤はなお続くのじゃないか。アメリカが基本的な外交政策といいますか、軍事政策を変えない限り続く。こういう面からいっても、必ずしもドルはそう安定したもので続くということは言いかねる、このように考えるわけです。そして、ドルが動揺すればやはり金の価値というものが上がってくる。こういうように私は考えておることだけを申し上げて終わります。
  17. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、岡田利春君の質疑に入ります。
  18. 岡田利春

    岡田(利)小委員 いま新鉱床探査補助金制度が唯一の補助成策でありますけれども、一応基準によれば、この補助金は五〇%補助をしてやる、こういわれておるわけですが、その基準は一体何なのか、示していただきたいと思うのです。
  19. 両角良彦

    両角政府委員 新鉱床探査補助金基準でございますが、実際に行なわれておりますボーリングないし坑道掘進の経費平均をとっております。
  20. 岡田利春

    岡田(利)小委員 その基準はいつ定められたのですか。
  21. 両角良彦

    両角政府委員 補助金単価としましては四年前に設定をされた単価でございます。
  22. 岡田利春

    岡田(利)小委員 今年度六千円の補助を七千円にするという予算要求が行なわれておるわけです。六千円の補助金を七千円に引き上げる、こういう予算要求が行なわれているわけです。しかし、四年間の推移を見れば、労働賃金から見てすでにその基準というものが実情に合わないのではないか。さらにまたいま千円のアップを要求しておるけれども、七千円自体でも実質三分の一程度補助金になっているというのが私は実情ではないかと思うわけです。したがって、年々掘進費単価というものは上がってまいるわけですから、そういう意味で、基準についてくふうする必要があるのではないか、私はそう考えるわけです。実質五割なら五割の補助制度を確保するためには、労働賃金が上がり、掘進単価が上がってまいりますと当然これは実情に即応しなくなるわけですね。こういう点については何か特に鉱山局としては毎年毎年のデータを調べて、これはとにかく実情に合っているのだ、こういう確信を持っておるのか、それともやはり不合理だと考えられておるのか、この点端的に聞きたいと思うのです。
  23. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のとおり補助率は五〇%でございますが、現実経費の中で占める補助金割合は最近では四割を切っておるというような実情でございます。したがいまして、当補助制度の本旨に即しまして、五割の実額補助が行なえるよう補助単価の是正その他につきまして努力をいたしたいと考えております。
  24. 岡田利春

    岡田(利)小委員 問題は、メタルの場合には非常に鉱種が多いわけです。それだけに掘進の場合にも平均値をとるということは、その探鉱の規模の問題もあるでしょう。あるいはまた鉱床賦存の一応の想定、こういうものによって私は新鉱床探査坑道自体断面積というものは相当差があると思うのです。そういたしますと、それを平均値をとって補助率を出すという考え方自体、私は現状に即応しない面があるのではないか、このように判断せざるを得ないわけです。たとえばある程度機械化されておる鉱山では断面積が大きくなっておるわけです。タヌキ掘りのような鉱山では新鉱床探査断面積は小さくなるわけです。あるいはまた鉱車その他機械、こういうものの内容から見ても、当然変わってくると思うのです。大体一律でものごとを考えること自体実情に合わないのではないか。当然そういう要素を入れて、二ないし三ランクぐらいの段階を設けて、実情に適合するようにすべきじゃないか、私はこう思うわけです。こういう点についてはいかがですか。
  25. 両角良彦

    両角政府委員 確かに補助鉱山実態に即して行なわれることが望ましいとは存じまするが、現在新鉱床探査費は年額四億一千万円を多数の中小鉱山を含めました鉱山に支給をいたしております。したがいまして、各鉱山実態に即した補助を行なうということをかりに考えますと、それぞれの山の実態調査というものを公正かつ厳正に行なうことが前提となるわけでございまして、現在の段階ではこれはきわめて困難な仕事でございますので、ただいままで坑道進費並びボーリングについては一律単価という方式をとらざるを得ない事情にあったわけです。
  26. 岡田利春

    岡田(利)小委員 そういたしますと、昭和四十二年度メートル数にして、どの程度これらの対象になって、それから作業個所別に見て何カ所ですか。
  27. 両角良彦

    両角政府委員 昭和四十二年度補助対象個所は約百七十カ所、延長は約四万メートルでございます。
  28. 岡田利春

    岡田(利)小委員 百七十カ所でどうしてそれが調査できないのか。いまそれぞれ通産局に鉱山課がありあるいは鉱山部があって、なぜ百七十カ所の実態把握が困難なんですか。
  29. 両角良彦

    両角政府委員 補助をいたします際は、個所としては百七十カ所でございますが、各山のそれぞれの坑道について実態調査を行なうということになりますと、坑道の数はその十倍くらいでございますので、実態把握が困難であるということでございます。
  30. 岡田利春

    岡田(利)小委員 しかし、鉱山坑道断面積というものはそうむやみやたらに適当に掘っておるものではないわけですよ。初めから計画を組み、またその坑道が一体将来運搬坑道に使われるかどうか、あるいはまたその掘進を進めるにあたって機械を使うかどうか、あるいは鉱車のキャパシティーがどうか、こういういろいろな面から坑道の面積がきまってくるわけです。言うならば、標準的なものというか、私はそう思う。そういう標準的なものを対象にして実態把握が困難だということはわからないわけです。たとえば三つランクにきめたと仮定いたします。そうすると、三つランクに合うか合わないかだけを審査すれば事足りるわけですね。そのことを不可能である、むずかしいということはどうも私わからないわけです。めんどうくさいから、やる気がないから困難なんではないのですか。
  31. 両角良彦

    両角政府委員 お示しのとおり、実態に即した補助が望ましいということは私どもも全く同感でございます。ただ、ただいま申し上げましたように、厳正公正な実情把握ということを前提といたしますと、四億一千万という補助金額に対して、それだけの広範な作業というものがはたして適当であるかどうかというような点も考えまして、一律性をとらしていただいておるわけでございます。
  32. 岡田利春

    岡田(利)小委員 今度石炭の場合は坑道掘進補助金というものが七十数億組まれておるわけですよ。しかもそれは断面積によって基準が違うわけです。岩盤やあるいは沿層によってもまた違うわけです。ですから、そういう点からいけばこの点についてもう少しくふうしてはどうか。保安上から考えても、あるいはまた五割補助したといえ、単に純粋な鉱床探査だということにはならないわけです。地下坑道の場合にはその排気に使うか、人道に使うか、あるいは運搬坑道に使うか、何らかに活用される。だから五割の補助をするのだ。純粋な単なる鉱床探査なら十割補助したっていいわけでしょう。そうでないところに、五割でもって打ち切っている、こういう面があると私は思うのです。そう考えてまいりますと、もう一歩進めて実情に即応するようにやはりこういう基準については検討すべきではないか、私はこう思うのです。この点についてどうもマンネリ化して、いままでやってきたものが一番簡単でいいのだ、こういう感覚というものは今日の時点ではある程度再検討し、改めるべきではないか、私はこう思うのです。この点はいかがですか。
  33. 両角良彦

    両角政府委員 新鉱床採査費の補助実情に即して支出をするほうが望ましいという点につきましては、全く私らもさように考えておりますが、石炭の場合のように単一の鉱物ではございませんで、銅、鉛、亜鉛、以下各種の鉱物によりましてそれぞれの賦存状態も異なりますし、それに応じてこれが掘進、掘さくの形態も異なってまいりますので、この辺を勘案いたしまして今後とも補助制度の改善ということにつきましては十分前向きで検討をいたしたいと存じますが、なお金属鉱山の特殊な事情もまたあるということにつきましても、あわせてお含みを願えればと存じております。
  34. 岡田利春

    岡田(利)小委員 これからの鉱山対策は鉱種別対策をより強化しなければならぬ、わが国の地下資源を有効に開発するためには、むしろ鉱種別対策を考えていかなければならない、私はこう思うわけです。しかし新鉱床探査坑道に限ってみて、どうして鉱種別に違うのですか。新しい鉱床探査するわけですよ。純粋に坑道に限ってみて、どうして鉱種が違えば違うのですか。
  35. 両角良彦

    両角政府委員 銅山の開発の場合あるいは金山の開発の場合あるいはその他の非金属鉱山の開発の場合、それぞれ実態に即して補助制度というものを考えてまいると仮定いたしましたら、やはり実情の差というものがそこにあろうかと存じます。
  36. 岡田利春

    岡田(利)小委員 そういたしますと、坑道というものはとにかく単純なものですよ。幾らの断面積坑道かということだけなんです。問題は地質上の問題でしょう。いわゆるかたいかやわらかいか、地質構造上の問題で大きく違ってくるわけです。ですから、いまの場合には金山であろうと銅山であろうと、とにかく新鉱床探査の場合には、そういうこともおかまいなしに平均値を出しているというところに問題があるのじゃないか。単価の開きは地質構造によって倍ぐらい違いますよ。そういう点についてどうしても実情と大きくかけ離れていくのだということを私は指摘したいのです。ですから、金鉱山だけの平均値を出すならまだ話はわかるのです。それを、いろいろな地質構造があるのに、すべてとにかくメタルの場合に平均値を出して補助率をきめる、あるいは単価をきめるというところに倍ぐらいの開きが出てくる。当然実情に合わなくなってくるわけです。ですから、その点技術的に解明できるのですから、そうむずかしくないですよ。そういう点どうしても一歩進めなければ、これは鉱種別によってもそういう苦情といいますか、実情に即応しないという声は解消することはできないと思うのです。これはまあ鉱山局だって技術屋はたくさんいるわけですから、私はそう思うのですが、この点は認識はどうですか。
  37. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまお話がございましたように、山の種類あるいはその規模のいかんないしは機械化の程度あるいは地層、地質の差異等々によりまして実情が区々に分かれておるということでございます。まさにそれなるがゆえに実情に即した補助制度が望ましいということは全く御指摘のとおりかと存じますが、ただ、それだけにまた非常に広範な実態把握というものが前提とならなければなりませんので、その辺のかね合い、特に補助額の大きさというものとのかね合い等も考えまして、今後改善につとめたいと考えます。
  38. 岡田利春

    岡田(利)小委員 次に、金鉱床の場合、先般の参考人にも私は指摘をいたしたわけですが、金鉱脈は一応膨張し縮小し消滅をする鉱脈であるわけです。鉱床の条件というものは鉱脈をなしておるわけですから、それが膨張、縮小、さらに消滅をしていく。そうしてまた品位に大きなむらがあるわけですね。こういう点を考えてまいりますと、普通の鉱山でいわれておる、金山でいわれておるひ押し坑道というものはある意味では鉱床探査の性格を持っているのではないか、私は特に金山の場合にはそういう理解に立つわけです。こういう認識はどうですか。専門的に見て間違いですか。
  39. 両角良彦

    両角政府委員 御趣旨のとおり、金山につきましては鎚押し坑道というものにつきまして現在も対象として扱っております。
  40. 岡田利春

    岡田(利)小委員 ひ押し坑道を新鉱床探査坑道として扱っている、こういま言われましたけれども、それはどの範囲ですか。
  41. 両角良彦

    両角政府委員 金山につきましては、その特殊性にかんがみまして、ほかの場合よりはひ押し坑道の新鉱床探査補助対象としての適格性というものを重く見ておるという次第でございます。
  42. 岡田利春

    岡田(利)小委員 対象鉱山は金山で何鉱山ですか。
  43. 両角良彦

    両角政府委員 十八あるそうでございます。
  44. 岡田利春

    岡田(利)小委員 今度の通産省の構想でいった場合、十一地域の新しい構造の近代化、合理化の構想でいった場合、純粋に新鉱床探査坑道対象として補助される鉱山は何鉱山になりますか、残る鉱山は。
  45. 両角良彦

    両角政府委員 今回検討しております計画では、大体十ぐらいと考えております。
  46. 岡田利春

    岡田(利)小委員 そういたしますと十一地域の対象区域に残る鉱山数は何鉱山になりますか。
  47. 両角良彦

    両角政府委員 八鉱山でございます。
  48. 岡田利春

    岡田(利)小委員 私はここに問題点があるのではないかと思うのです。今度の十一地域の区域内の鉱山の場合は、一応将来の展望に立てば、緊急合理化政策に乗って品位が上がり能率が上がる、いわゆる復興開発という、こういう前提があるわけですね。しかしあとは十鉱山しか対象にならない。そういたしますと、あと二十二鉱山というのがあるわけですね。これは新鉱床探査対象にもならなければ、今度の新しい合理化の対象にもならないわけです。要するに六百六十円という価格だけで以後この鉱山はやっていかなければならないということに確定されるわけです。しかし通産省の予測を見れば、これは消滅するとはいっていない。一定数残るようにちゃんと予測を立てておられるわけです。そういう意味において全然新鉱床探査対象にもならない、新しい緊急合理化の対象にもならない半数の鉱山に対しては、通産省としてはこのままでよろしいという見解なのかどうか。鉱山局としては、これはこれで、とにかくやめるものはやめていきなさい、残れるものは残れるのだというただ単なる理解ですか。
  49. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまの点はまことに重要な点かと存じますが、私どもが現在の段階におきまして産金対策として特に緊急に取り上げなければならない重点目標は、現在の国内におきます産金量というものをできるだけ合理的なコストをもって確保していくということでございまして、もとより国内のあらゆる金山、あらゆる金鉱というものをコストにかかわらず開発し、助長をしていくということも一応考えられる意見ではあり得ますけれども、さしあたりの目標は、最初に申し上げました現産金量の確保ということに置かれておるわけでございます。しかしながら、産金対策としてはそれはすべてではございませんで、もとよりお示しの中小の山につきましてあるいは今回の対象鉱山以外の山につきましても、合理化指導、近代化指導あるいは各般の中小鉱山対策というものは当然これを適用いたしまして、それぞれの経営の合理化なりあるいは山としての存続の助長というものをはかってまいりたい所存でございます。
  50. 岡田利春

    岡田(利)小委員 私がこういう角度の変わったところからずっと質問してきた理由というのは、そこに問題点があるから、この解明について積極的に考えるべきじゃないか、でなければ片手落ちになるじゃないかという立場でものを言っておるわけです。御承知のように、金の場合はIMF協定があって、直接の補助金国際環境からいってなかなか出し得ないわけです、そういたしますと、私は金鉱脈の条件から考えて、いわゆる広範に鎚押し坑道については準探査坑道であるという性格の認識に立つ場合、同様の取り扱いはしなくてもある程度補助制度といいますか、いわゆる鉱床全体を探鉱するという部面の補助を考えるべきではないか。たとえば金鉱に対する助成策として、南アフリカ連邦のように揚水について補助金を出すとか、あるいはまた諸外国では地表上の道路その他に対して補助金を出すとか、こういう補助政策をとっておるわけです。ですから金山の実情認識に立てば、そういう面についてくふうをすべきじゃないか。鉱山局の場合にはむしろそういう立場に積極的に立たなければならないのではなかろうか、こういう点を私は指摘したいわけです。でないと、十一鉱山は緊急合理化をされて構造は近代化になっていきます。残ったやつで経営できないものはやめるものもあるでしょう。しかし依然として残る金山があるわけです。その面について、一体どう政策を伸ばしていくかという点を鉱山局で考えないと、いたずらに補助金といってもこれは言うだけであって、今日の国際環境からいえば、IMF協定の精神からいえばむずかしいのではないか。この面の一歩突っ込みが私は鉱山局としてほしいと思うのです。この点の見解はいかがですか。
  51. 両角良彦

    両角政府委員 先ほど申しましたように、今回の対策は当面の産金量を維持、確保したいというところに重点が置かれてあるわけでございまして、金の増産を全国的に一律にはかろうという趣旨のものではないわけであります。しかしながら、御承知のようにすでにわが国におきまする金山の経営というものは、国際的に見ましたらグラム六百六十円という相当高い相場での取引が許されておる。これを前提としての各金山の経営があるわけでございますから、これに対応した山の経営の合理化あるいは鉱床探査ということは当然期待をしてしかるべきかと存じますが、当面の目標は金の一律増産ということではなくして、現在の産金量を何とかして確保してまいりたいというところに重点があるということを御理解いただきたいと存じます。
  52. 岡田利春

    岡田(利)小委員 来年度予算は年内にきまるか一月早々きまるかという時期ですから、新たな角度で予算を要求するということはできないでしょう。しかし一応いま鉱山局が提示をしている緊急合理化方針、これだけでは私は不十分だということを言っているわけです。一体具体的にどう肉づけをするのかという点について、別に鉱業審議会ではこういう具体的な問題については答申もしていないわけです。一応の方向というかさわりだけはいっておりますけれども、具体的な提案はしていないわけです。そういたしますと、やはり実務をやっている立場に立って、この面の総合的な施策という点については、審議会に諮問するということは私は不可能ではないかと思うのです。そうしますと、鉱山局自体としてこの面について何らかの方向というものを示さないと政策は片手落ちになるし、一方において、いまは問題でないとしても、これが実施に移されれば必ず問題として各山から出てくると私は思うわけです。同じ金山なんですから、だれが考えてもこれはそう思うのです。こういう点について十分検討してもらいたいと思うのですが、検討する御意思がありますか。
  53. 両角良彦

    両角政府委員 今回私どもが検討しておりまする当面の緊急対策は、ある特定の分野に限られる結果になろうかと存じますが、それだけが金山対策のすべてであってはならないという点はまさにお示しのとおりでございまして、私どもといたしましても鉱業審議会の中に金分科会というものを設けておりまして、今後とも金分科会におきましてこれら総合的な金山対策をいかにすべきかということを早急に検討する用意がございます。
  54. 岡田利春

    岡田(利)小委員 いま製錬から出る金は、昨年は八・六トンですか、そういう数字だと思うのですが、このうちフィリピンのように、金については戻してもらうという国もあるわけです。このフィリピンのような場合、鉱石として輸入して、委託されて——金に限っては委託されるわけですから、製錬してきた金はフィリピンへ返すわけですね。これはどの程度になっておりますか。
  55. 両角良彦

    両角政府委員 年によりまして異なっておりますが、四十一年で約二トンぐらいの実績ということでございます。
  56. 岡田利春

    岡田(利)小委員 この場合は鉱石として輸入して、委託をされた金が地金として戻されるわけですね。この決済の方法といいますか、結局税関を通っていくわけですね。これはどういうことになっていますか。
  57. 両角良彦

    両角政府委員 その金分につきましては、委託でこちらが製錬をして地金として戻すという実態でございますので、これは委託料というものを受け取る形になっております。
  58. 岡田利春

    岡田(利)小委員 委託料は幾らですか。
  59. 両角良彦

    両角政府委員 グラム二十円ないし三十円でございます。
  60. 岡田利春

    岡田(利)小委員 こういう傾向というのは、最近の金需給状況から判断してふえていくと考えられますか、それともフィリピンならフィリピンだけに限られると考えられますか。
  61. 両角良彦

    両角政府委員 輸入鉱石の中からも金分を返還するというのは、きわめて特殊な例でございまして、ただいまのところわが国ではその他の国からの輸入鉱からは約五トン以上の随伴の金を産出をいたしておりまして、かような傾向が特に今後増大するとは考えておりません。
  62. 岡田利春

    岡田(利)小委員 時間がありませんから次に一、二点質問いたしますけれども、海外鉱山開発の問題ですが、特に海外探鉱の必要とその対策について鉱山局から資料が実は出されているわけです。そこでこの内容を見ますと、今年度すでに要求をいたしておるわけですが、大体銅とウランに限られておる、こう思うのです。海外開発の鉱山局の方針としては、鉱種的にはこの二点を重点にする考えなのか、鉱種をさらに拡大をしていく考えなのか、基本的な考えはいかがですか。
  63. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまの段階におきます最重点の鉱種は銅とウランであるという点は、御指摘のとおりでございまするが、今後、金属鉱物探鉱促進事業団あるいは民間各社の海外開発の活動状況に即しまして、随時助成の対象というものも検討してまいりたいと思っております。
  64. 岡田利春

    岡田(利)小委員 今日特に有望な地点として、すでにある一定の調査が進められている地域はどの程度ありますか。
  65. 両角良彦

    両角政府委員 豪州、カナダ、南米のペルー、チリ、ボリビアの諸国でございます。
  66. 岡田利春

    岡田(利)小委員 イギリス、フランス、西ドイツ、イタリア等ヨーロッパの先進的な諸国家の場合の鉱山の海外開発の傾向はいかがですか。
  67. 両角良彦

    両角政府委員 各国、特にカナダあるいはベルギーその他の場合におきましては、強力かつ巨大な資本を持ちました民間企業というものが先頭に立ちまして、世界各地における鉱山資源の開発に乗り出してきておりますが、わが国の場合は、いわば企業の体質が総体的に脆弱であり弱小でありまするので、特に海外開発につきましては、政府の施策的な援助を必要とし、国際競争において拮抗できる力を与える必要があろうかと考えております。
  68. 岡田利春

    岡田(利)小委員 この場合の鉱床探査に対しては、もちろん地質、図面から見た調査が進められ、さらにまた物理探鉱が行なわれ、さらに構造ボーリングが行なわれ、さらにまたある一定の精密ボーリング、こういう順序になっていくわけですね。特に海外開発の場合に、国として一応積極的に施策として進めていくという考え方の中には、その精密ボーリングで一応鉱床を確認できる、それに基づいていわゆる鉱山の設計が行なわれるわけですね。鉱山の設計の段階は、これは政府のいま持っているそれぞれの金融機関を通じて資金を出していく、こういう考え方のようでありますけれども、実際問題として、いま金山で行なおうとする場合と、海外で行なおうとする場合の内容の差はどう違いますか。
  69. 両角良彦

    両角政府委員 海外開発につきましては、特に今回私どものほうで検討いたしておりまする最大の重点は、基礎調査の充実ということでございまして、御承知のように、南米諸国なりあるいはカナダ、豪州等に進出いたしまする場合も、当該国におきまする鉱業の一般情勢、あるいは労働条件、あるいは外資導入の実情、あるいは一般的な地質構造の調査といったような基礎的な資料がきわめて欠けておるわけであります。さような基礎資料というものを充実いたしますることが、海外進出の基本的な条件でございまするので、まずその点につきまして十分な努力を払いたいという点が第一点でございます。  第二点は、国内の金属鉱物についてちょうど金属鉱物探鉱促進事業団が行なっておりまする広域調査といったものに該当する、当該国における有望な地域につきましての概査というものを行なっていくことが適当ではなかろうか。これらの基礎調査と広域調査的な作業の上に、企業段階におきまする精密調査あるいはボーリングといったものが出てまいりまして、その上で企業採算に合う海外開発が軌道に乗るという仕組みにいたしていきたいと考えております。さような意味で、海外開発について考えておりまする施策は、今回の金山合理化対策よりはより基礎的であり、一般的な性格のものであるというふうに私どもは考えております。
  70. 岡田利春

    岡田(利)小委員 そういたしますと、たとえば具体的に申し上げますと、構造ボーリングについては、長期、低利の金融と事業団、あとは補助を出すわけですか。
  71. 両角良彦

    両角政府委員 基礎調査に対しまする補助金の支出、それから、一般的な広域調査というようなものに対する財政資金の投入というようなものを考えております。
  72. 岡田利春

    岡田(利)小委員 そうすると、この場合には補助金は伴わないわけですか。
  73. 両角良彦

    両角政府委員 補助金という制度ではございませんで、金属鉱物探鉱促進事業団の海外活動というものを通じまして、企業に対するサービスを行ないたいというたてまえでございます。
  74. 岡田利春

    岡田(利)小委員 そういたしますと、事業団が海外活動して構造ボーリングを打ちますね、この経費は民間企業自体が長期に、もちろん金融は低利であるし、長期に返済するわけですか。
  75. 両角良彦

    両角政府委員 補助金と申しました意味は、民間企業に対する海外開発の補助金というたてまえではございません。事業団に対しましては、国との関係では補助金関係になります。しかし、事業団は国の経費をもちまして、ただいま申し上げましたような活動を行なって、その成果を民間企業に提供するということによって海外開発を促進したい、こういう趣旨でございます。
  76. 岡田利春

    岡田(利)小委員 そうすると、その範囲は構造ボーリングまでという理解でよろしいですか。
  77. 両角良彦

    両角政府委員 構造ボーリングまで入ると思います。
  78. 岡田利春

    岡田(利)小委員 そうすると、精密ボーリングについては、これは構造ボーリングまでしてサービスをして、あとは民間で、政府系統の金融機関の、あるいは事業団の資金を借りて自力でやる、こういうことですか。
  79. 両角良彦

    両角政府委員 企業段階に移りましてからは、これは金融問題に切りかわるわけでございまするので、事業団あるいは海外協力基金等の政府資金によりまする融資制度というものを考えたいと思っております。
  80. 岡田利春

    岡田(利)小委員 実際問題として構造ボーリング鉱床を押え、それから精密ボーリング段階というものは相当な経費がかかるわけですね。でなければ多額な投資をして鉱山の開発をするということには至らないわけですから、そういう意味ではこの精密ボーリング段階まで、ある程度積極的な施策が海外開発の場合には必要ではないか、その結果、鉱床規模に応じて鉱山開発の設計をする。これから先は政府の系統金融機関の金融を受けて民間金山を開発していく、こうでなければ、実際問題として海外開発の実効はあがらないではないか、私はこう考えるのですが、この点はいかがですか。
  81. 両角良彦

    両角政府委員 海外開発に関しましてできるだけ広範に、かつただいまのお話しのように、精密ボーリング段階まで政府がこれを援助するところの仕組みが望ましいということは、われわれも考えまするけれども、現段階におきましては、金属鉱物の海外開発というものについては全く助成施策というものがとられておらない。海外開発に対しまする国の補助金を除きましては全くとられておらないわけでございます。したがいまして、かような現状と実際の日本の企業の海外進出の実態というものとをにらみ合わせまして、とにかく基礎調査の充実並びに広範な広域調査というもののサービスをこの際開始することだけがとにかく必要である。その上本制度を軌道に乗せ得ることができましたら、逐次御指摘のような方向にまで充実をしてまいることを考えたいと思います。
  82. 岡田利春

    岡田(利)小委員 もちろんこれから本格的に発足をしようとする段階でありますから、石油開発公団のようにいろいろ意見は多いですね。これを具体的に実施に移すというためには時間もかかると私は思うわけです。この際私は特に指摘をしておきたいのは、精密ボーリングまでを対象にする、ここまでふん切らなければ、海外鉱山の開発というものはなかなかできないと私は思うのです。自分自身で精密ボーリングをしてその結果初めて賦存鉱床実態というものが把握できるわけですね。そして鉱山開発の設計をして坑口をつけ坑道を展開してまいるわけです。ただ、いまの場合にはそういう具体的開発に入っていくという鉱山が、まだ対象鉱山が少ないという面から、いま局長答弁されたような考え方が述べられたんだと思いますけれども、しかし積極的に開発をするという場合にはぜひそこまで検討しなければいかぬのではないか。もちろん鉱床状態や品位は違うでしょうけれども、これは国内鉱山開発でわれわれはすでに経験していることなんですね。そういう経験の範囲で考えた場合に、少なくともボーリンング段階まではある程度国でやるというくらいの考えがなければ、なかなか実効が上がらないと思いますので、この点を強く指摘をしておきたいと思うわけです。  以上で終わります。
  83. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これで質疑は終わりまして、ただいまから懇談に入ります。      ————◇—————   〔午前十一時五十三分懇談に入る〕   〔午後零時三十一分懇談を終わる〕      ————◇—————
  84. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これにて懇談を終わります。  この際、田中武夫君から発言を求められておりますので、これを許します。田中武夫君。
  85. 田中武夫

    田中(武)小委員 金鉱業緊急対策の確立に関する件について御提案申し上げます。  金鉱業の問題については、現在の情勢に対処し、さる十二月十二日本委員会が設置されたのであります。自来本小委員会は十四日に懇談会を行ない、さらに十六日参考人を招致して意見を聴取いたしました。本日に至り、次のような決議を小委員会の決議とすべきことが討議決定された次第であります。
  86. 鴨田宗一

    鴨田委員長 ただいまの田中武夫君の提案を本小委員会の案として、明日の商工委員会に報告するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 鴨田宗一

    鴨田委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十四分散会