○
石田(宥)
委員 胎児性水俣病の問題にしても、新たに患者として新潟大学でこれを認定したというような問題は、すみやかにやはり
報告をとって、そうして、こういう議論の際にもっとはっきりとした
答弁をされるようにしてもらわないと、何か歯切れの悪い
答弁で困ると思うのです。ですから、やはり新潟の大学との
関係というものは密接なんだから、この問題がまだ
政府の結論にならない時点では、もっと連絡を密接にしていただかなければならないと思うのです。
それから、かなり、短期汚染と長期汚染の議論がございましたが、実は私
ども、本
委員会のメンバーでありますところの板川正吾君とそれから角屋堅次郎君とで、鹿瀬の
現地に
調査に参りました。ところが、そこで明らかになりましたことは、六人の従業員に集まってもらって話を聞いたのでありますが、こう言っておるのです。三十九年十二月と四十年一月の二回、水銀の含まれた粗製アセトアルデヒドを、操業停止で不要になるため水で洗い流した。また、停電の際には数回にわたってたれ流しの
状態であったと、かわるがわる証言をいたしておるのであります。そういう点は一体
調査になったのかならないのか、これは非常に重要だと思うのです。長期汚染でも、疫学班の人たちに聞いてみますると、長い間わずかのものでずっと汚染されてきたが、ある時点で相当大量のものが流れたのではないか。こういうことを、
昭和電工のほうでは、これは地震だと、こう言っておるのですが、われわれが従業員の話を聞いたところでは、そうではなしに、ずっとこれはたれ流しにしておったことが、この
報告書にちゃんと明らかです。これは何の
措置もしていないと言っております。
昭和電工の技術部長の寺本さんも、私
どもが行ったときに案内をしながら、何の
措置もいたしませんよ、こう言っておる。何の
措置もいたしません。けれ
ども、しかし掃除の際に粗製アセトアルデヒドが大量に流れるということになれば、メチル水銀が大量に流れたものと受け取らなければならないわけです。また、停電がずっと続く、そうすれば、やはり粗製アセトアルデヒドでメチル水銀を相当含有したものが下流に流れるということは言うまでもないわけです。だから、私は、そういう点について、もう少し厚生省なり科学技術庁なりがこれを
調査をすべきだったのではないか。同時に、きょう午前中にもちょっと触れたのでありますけれ
ども、現在無機水銀中毒患者が一名確認されておる。ところがあと二名、手はふるえ、歯はがくがくになる、もうひどい症状だ。ところがいま従業員なんです。そこで自分から何とも言い出すわけにいかないが、何とかひとつあなたのほうでこれを問題にしてもらえぬか、こういう申し出を受けているわけです。
昭和電工の労働組合というのは、完全に会社の手先ですから、したがって、無機水銀患者がそういう
状態を訴えておるのを、戸別訪問をしながら、新潟大学へ行くというと、それは無機水銀中毒だあるいは有機水銀中毒だと言われると困るから行かないでくれと言って、労働者が回って歩いているのです。そういう組合ですから、ここにこの問題がこんがらがる大きな
原因があるのです。だから私は、これは法務
委員会で刑事
局長に、そういう人権侵害のような問題を
法務省がほっておくのはけしからぬじゃないかということを言っておるわけです。
法務省としては、やはり行
政府の結論が出ないとやりにくい、こう言っておる。しかしいま申し上げたような明らかな
被害を受けた人たちがおるわけですから、これについてはやはり
政府としては、どこの省がこれを担当するかわかりませんけれ
ども、国民の生命身体に関する問題については、もっと忠実に、親切でなければならないと思うのです。
なお、いま
日本ガス化学の
お話がございました。なるほど、それは答申が出てから明らかになったことであるかもしれません。しかしこれも
日本ガス化学というのは、小澤
委員はクイックサンドの問題をこの前だいぶ議論をされましたが、クイックサンドのことについては、私のほうが専門家で、新潟地震のあとで、ずっと問題にしてまいりました。三十九年の十月に金沢で開かれた地震学会では、ちゃんとそのことを明らかにしておるのです。新潟というところをひとつ小澤さんに見てもらうとよくわかるのですが、新潟市で地震の
被害を受けたのはどういう
状態か。同じ新潟市で、川一本、あるいは一軒か二軒離れて、全然
被害を受けていないところがたくさんある。県庁もしかり。信濃川の沿岸だけれ
ども、県庁は何の
被害も受けていない。あるいは小林デパートも、大和デパートも何の
被害も受けておらない。地震学会はこれは
政府機関です。建設省の土木研究所の人でありますが、やはり地震学会でそのことをちゃんと
指摘しておる。
昭和十年ごろから以降に造成された土地、そういうところが
被害を受けておるのであって、その以前からの
丘陵地帯というものにはクイックサンドの現象は起こっておらないし、地震の
被害はほとんどない。こう言っておる。それは私も実はずっとよく見ておりますから、岩船郡神林村塩谷という部落へ行って驚いたのでありますが、部落のどまん中がずっと一定の幅だけ非常な
被害を受けて、家屋が全壊しておる。いろいろ調べてみたら、
昭和十何年かに、川があったところを埋め立ててできた。だから、そこにはやはり地震の
被害も起こり、クイックサンドのような
状態も起こっておる。それから、
日本ガス化学であるとか北興化学であるとかという
——これは学会では、古い砂丘地帯には起こっていないと表現しておりますが、ここには起こっておらないのです。そうして、
日本ガス化学の水ゴケの中に発見されたという話もございましたけれ
ども、これは水俣における新
日本窒素の工場で、私いろいろ資料を持っておるのでありますが、最初はアセトアルデヒドの製造過程から出る水銀によるものではないということを強硬に主張しておりましたが、三十四年八月五日にその反論は取り下げて、天下に謝罪するとまで言ったわけです。そうして三十五年一月二十日に排水浄化装置が稼働するようになってから、患者も死亡者も出なくなりました。こういう事実に基づいて、これは先般の食品衛生
調査会の小林芳人
委員長も言っておりますように、結局は量の問題だ。ごく微量のものという議論がだいぶありましたけれ
ども、ごく微量の問題といっても、これはなかなかむずかしい問題です。だから、そういうものになれば、これは、私は学者の論争の問題だと思うのです。そういうごく微量という量の問題で、
日本ガス化学のように、ちょうど水俣の浄化装置のような装置をやっておったから、それは阿賀野川の水銀中毒には影響しない、こう疫学班は断定をしておるわけです。だから、全体を総合して、臨床班、試験班、疫学班、これが二カ年半もかかって出した結論というものは、あらゆる角度からそれは
検討を加えたでしょう。いま
指摘された問題のごときも、やはりある程度
検討されたと聞いておる、文書には載っておらないけれ
ども。したがって、私が一人でしゃべっておってもこれはしようのない問題で、科学技術特別
委員会と産業
公害特別
委員会の
理事会などで、ひとつ
お話し合いをいただいて、これらの問題はやはり相当権威ある学者の議論にゆだねるべきだ。でなければ、厚生省の結論というものが出ておるのですから、やはりそれを認める、こういう態度をとるべきだと思うのです。現在の時点で、松尾
局長は、厚生省案を変えなければならないような要素があるとお
考えになるか、どうですか。