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降矢政府委員 お
手元に御配付してございます第五次
選挙制度審議会の
選挙区制その他
選挙制度の
改善に関する
答申につきまして、簡単に
概略御
説明いたします。
第五次
選挙制度審議会は、三十九年の九月に
選挙区制その他
選挙制度の
根本的改善をはかるための
方策を
具体的に示されたいという諮問に基づきまして、約三年間
審議を進めてまいりました。その結果、去る十一月二日に
答申を決定いたしたわけでございます。
審議会は、第一ページから書いてありますように、
衆議院議員の
選挙区制の
改善、それから
選挙制度一般の
改善、
参議院議員の
選挙制度の
改善という三項目に分けまして
審議を進めてまいりました。
衆議院議員の
選挙区制の
改善につきましては、「今日のような金がかかりすぎる
選挙の
実態から脱去し、
個人本位の
選挙から
政党本位、
政策本位の
選挙に転換すべきであり、そのためには、中
選挙区
単記投票制の
現行制度は改める必要があること、また、その
改善策を検討するにあたっては、
政党本位の
選挙制度の
実現を期し、あわせて
国民の
意思の公正な反映と政局の安定との調和を図るという
考え方を
基本とすべきであることについては、大方の
委員の一致したところであった。」わけでございます。そういう
観点に立ちまして、二ページに、第一
委員会におきましては、
具体的な
改善策としては六つの案が
提案されましたが、いずれも過半数の賛成を得るに至らなかったわけでございます。ただ、
審議会といたしましては、二ページの中段以降に書いてありますように、「小
選挙区制を柱としこれにより生ずるひずみを是正するため適切な
方法を採ることが適当であるとする
委員および小
選挙区制を適当とする
委員をあわせると、多数であった。」という採決の結果がここに書いてあるわけでございます。この詳細につきましては、九ページ以下に、「第一
委員会委員長報告要旨」というのが添付してございますので、それによって御
承知を願いたいと思います。
それから、第二の
選挙制度一般の
改善でありますが、これは
政党本位の
選挙に関する
改善策及び
現行選挙制度に関する
改善策につきまして、
選挙運動を
中心に
審議を進めたわけでございます。
政党本位の
選挙制度に関する
改善策につきましては、
区制の
具体的な
改善策がまとまりませんでしたので、とりあえず、
現行制度に関する
改善策について、以下述べるような
答申を決定した次第でございます。この詳細につきましては、同じように五七ページ以下に「第二
委員会委員長報告要旨」というのが添付されてございますので、それによって御
承知おき願いたいと思います。
それから、第三部門の
参議院議員の
選挙制度の
改善につきましては、
参議院制度のあり方を議論いたし、かつ、それに基づきまして
現行制度の
区制、特に全国
区制につきましていろいろの
意見が
提案されましたけれども、時間の
関係もございまして
結論に至らなかったわけでございます。その
要旨につきましては、八五ページ以下に「第三
委員会委員長報告要旨」というふうにして添付されてございますので、詳細それによって御
承知おき願いたいと思います。
四ページ以下に、「
現行選挙制度の
改善に関し下記の
措置を講ずることが適当である、との
結論に達した。」ということで
具体の案が
提案されてありますので、
概略御
説明させていただきます。
一つは、
立候補制度でありますが、
現行の
立候補届け出期間については、
実情に即して短縮するようにする。現在、御
案内のとおり四日間でございますが、大体九九%までは二日の間において
立候補を終了しております。
泡沫候補というようなものも考えまして、
具体の案としては何日ということはきまりませんでしたけれども、そういう意味で
実情に即して短縮するという
提案をしたわけであります。
それから、
供託金の額につきましても、いろいろの案が
提案されましたけれども、これは
立法段階で考えるということで、適当な額というふうに
提案されたわけでございます。
選挙運動に関しましては、全体として、
現行法のもとでももう少し
自由化というものを考えられぬかというのが、
審議会の
大かたの
考え方でございました。そういうものに基づきましていろいろ
具体の御
意見が
提案されましたが、
一つは、
文書図画の頒布につきましては、現在、御
案内のとおり
通常はがき以外は頒布を許されておりませんけれども、もう少し
文書図画について、もちろん
選挙費用その他の
関係もあります、したがいまして、必要な合理的
制限を除いて
自由化する方向で考える、こういう
提案でございます。
それから、言論につきましては、特に(2)と(3)の
個人演説会及び第三者主催の演説会について御議論がございました。
個人演説会の回数は現在六十回と
制限されておりますけれども、これは自由にして、
候補者の
意思によって開催することができるというふうにいたしました。それに伴います立て札
制度は廃止するというふうにいたしました。
それから三番目の、第三者主催の演説会、座談会につきましては、いろいろ御
意見がございまして、特に
選挙運動費用との
関係、実際上これを認める場合の告知の
方法、したがって、
文書図画との
関係その他の
関係がございまして、ここに検討するというふうにまとめられたわけでございます。
それから四番目は、新聞報道、評論の自由と同じように、ラジオ、テレビにつきましても、規定が少し変わっておりますので同じようなスタイルに整備しろという
提案であります。
五番目は戸別訪問であります。戸別訪問につきましては、三次以来非常に議論のあったところでございまして、認めるべきである、あるいは
制限すべきであるというふうに、いろいろ御
意見がございました。この
結論といたしましては、いわゆる
選挙運動期間中において、確認
団体として認められる
政党に限り一定の時間、人数等を
制限の上戸別訪問を認めてはどうかという
考え方で
提案されたわけでございます。
それから連呼行為につきましては、国の場合の
選挙と地方
団体の
選挙との間に若干の違いがございます。ただ、片方は流し連呼を認め、片方は認めないということでございますので、その辺の統一をはかるようにという
趣旨でございます。
それから第七の不在者
投票管理者につきましては、
選挙運動、特に業務上の地位を利用する
選挙運動はできないものとする、こういう
禁止規定をつくるべきであるというふうにまとめられたわけでございます。
公営
制度についてはいろいろ御議論がございました。
一つは、
現行のポスター掲示場設置の基準であります。これは
法律でも政令に譲りまして、面積とか
選挙人の数とか、こういうことで非常にこまい規定がございます。しかし、
具体の現地におきましては、面積が非常に広くても
選挙人の数が非常に少ない、あるいは沼とか川とかいろいろございまして、現地の市町村の管理
委員会によってもっと効果的に設置することを考えさせる。したがって、市町村ごとのポスターの掲示場の数は、ある程度
現行どおりにしておきまして、
具体の配置についてはもう少し市町村の管理
委員会が効果的ならしめたらどうか、こういう
趣旨のもとに
提案されたわけでございます。
それから第二は、これは非常に技術的でありまして、同じ
選挙において、ある
候補者が他の
候補者の代理として立ち会い演説会をやるという実例もございますので、そういうことは認めないという
趣旨でございます。
その次の、
選挙公報の郵送
制度でございます。これは主として大都市を
中心に御議論のあるところでございますが、これは反面、いわゆる
投票の入場券と違いまして、
選挙の管理
執行と非常に直接
関係する問題であります。したがいまして、郵送できる
制度は郵政省との
関係でもありますし、また、いろいろな
具体の場合を予想いたしますと、郵便によって結果的に配達されない、
選挙運動期間が非常に短い、その間に不測の事故によって配達されないというような事態も生ずる場合の全体の効果等、もう少し
具体的に詰めてみなければならぬ
制度だと考えておりまして、
提案の当初におきましてもそういう意味で検討するということにされております。
次は、
選挙運動費用の
合理化であります。
選挙運動費用の
合理化につきましては、
一つは、支出の
制限を励行するような
具体的な
措置を検討すべきであるということと、それから、そういう意味も含めまして、
選挙運動支出について、少なくとも
国会議員あるいは
知事あるいは五大市の
市長程度までは、こういう支出を小切手によって行なうということを、もう少し明確にするようにしてはいかがかという
提案でございます。それが一点。
それからもう
一つは、
選挙運動費用の支出
制限額がございますが、これにつきましても
実情に即するようということになっております。御議論がございましたのは、たとえば労務者の労務費あるいは宿泊その他、もう少し現実に即したものにしたらどうかという点と、全体のそういう関連において、同時に運動そのものの、先ほど申し上げました
自由化との関連におきましても、全体の支出
制限額の検討を
実情に即してやるようにというのが、(2)の
提案でございます。
最後は、いわゆる確認
団体でありまして、現実には五大
政党でございますが、その確認
団体につきましては、
一つは、演説回数の
制限がございますけれども、これは
個人演説会と同じように、もう少し自由にするという意味で
制限を撤廃する。第二には、
文書図画の頒布、
政党が
選挙運動期間中に政策普及のために頒布するものにつきましても現在
制限がございますが、これもたてまえとしては自由にさせたらよかろう、こういうことで
提案されたわけでございます。
以上が
答申の
要旨でございます。