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1967-12-07 第57回国会 衆議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十二年十二月四日)(月曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 鍛冶 良作君    理事 吉川 久衛君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 省二君 理事 白浜 仁吉君    理事 佐藤觀次郎君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       石田 博英君    菅野和太郎君       四宮 久吉君    篠田 弘作君       菅波  茂君    丹羽 久章君       葉梨 信行君    長谷川 峻君       早川  崇君    水野  清君       村上信二郎君    江田 三郎君       岡田 春夫君    河野  密君       中村 重光君    安井 吉典君       浅井 美幸君 ————————————————————— 昭和四十二年十二月七日(木曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 吉川 久衛君 理事 小山 省二君    理事 佐藤觀次郎君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       菅波  茂君    丹羽 久章君       葉梨 信行君    長谷川 峻君       村上信二郎君    中村 重光君       安井 吉典君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省貿易         振興局長    原田  明君         通商産業省繊維         雑貨局長    金井多喜男君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君  委員外出席者         防衛庁装備局調         達補給課長   生田 豊朗君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         通商産業省重工         業局次長    本田 早苗君         通商産業省重工         業局航空機武器         課長      加藤 博男君         労働省職業安定         局雇用政策課長 細野  正君         参  考  人         (商工組合中央         金庫副理事長) 賀屋 正雄君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 十二月六日  委員浅井美幸辞任につき、その補欠として鈴  切康雄君が議長の指名で委員に選任された。 同月七日  理事高橋清一郎君十一月二十八日委員辞任につ  き、その補欠として四宮久吉君が理事に当選し  た。     ————————————— 十二月四日  昭和四十年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十年度政府関係機関決算書  昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十年度政府関係機関決算書  昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  (通商産業省所管)  国が資本金の二分の一以上を出資している法人  の会計に関する件  (商工組合中央金庫)      ————◇—————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  この際おはかりいたします。  理事高橋清一郎君が委員辞任されました。理事が欠員になりましたので、これより理事補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認めます。よって、四宮久吉君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、決算の適正を期するため、今会期中において  一、歳入歳出現況に関する事項  二、国有財産増減及び現況に関する事項  三、政府関係機関の経理に関する事項  四、公団等国資本金の二分の一以上を出資している法人会計に関する事項  五、国または公社が直接または間接に補助金奨励金助成金等を交付しまたは貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する事項  以上の各項につきまして、関係各方面よりの説明を聴取、小委員会の設置及び資料要求等方法によりまして、国政調査を実施することとし、規則の定めるところにより、議長承認を求めることといたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。      ————◇—————
  6. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 昭和四十年度決算外二件を一括して議題といたします。  通商産業省所管について審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観次郎君。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 新たに椎名さんがまた通産大臣になられたのですが、椎名さんは外務大臣も長くやっておられたし、いまいろいろ問題があるのでございますが、多少大蔵省との関係もあるのですけれども、私は、きょうは通産省関係ですから、通産大臣から率直な御意見を承りたいと思います。  まず、かねてポンド危機が非常に騒がれておりましたが、先日、御承知のようにイギリス政府はついに平価切り下げをやる、アメリカ公定歩合引き上げをやる等の問題がありまして、非常に問題が複雑になってきたのでございますが、これによって日本はどのような影響があり、またどういう方法で今後これに処していかれるのか、通産大臣の御意見を承りたいと思います。
  8. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 イギリスをはじめ通貨引き下げをやりました国との関係においては、どうしても輸出が困難になることは、これはもう当然考えられるわけであります。それから間接的に、第三国においての売り込み競争ということになると、やはりわが国としては切り下げ国との競争力がそれだけ弱まっていって、困難な場面が出てまいります。それから金利の引き上げ国につきましては、何といってもその国の経済緊縮政策のために景気が低下する、こういうことでわが国に対する従来のような購買力というものがだんだん減退するというようなことでございまして、要するに切り下げ及び公定歩合引き上げ、こういったようなことによってわが国輸出環境というものは非常にきびしい場面に遭遇することになるわけであります。これに対する対策はいろいろ考えられておりますけれども、しばらく事態を静観して、そうしてほんとうに必要最小限度の有効な手を打っていく、こういうかまえを今しておる状況でございます。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そこで、実は御承知のように、ドゴール大統領がいまになってから金本位制を問題にしまして、これはドルポンドに対する一つの反撃だと言われておりますが、こういう点については、椎名さんはベテランでありますから、いろいろ御意見を持っておられると思いますが、その点はどのように考えていったらいいのか、この点もひとつ御意見を承っておきたいと思います。
  10. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ドゴール大統領金本位制復帰考えておることは明らかだと思いますが、いわゆる金本位制度がただいまの経済社会にそのまま適合しないことは、戦前の金本位制に対する反省に立って戦後IMF制度が生み出されたいきさつに徴しても、明らかだと思うのであります。私はかようないきさつにかんがみて、ドゴール大統領復帰論というものに直ちに同調するわけにまいらぬ、こう考えております。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それから最近ポンドの安定とかそういう問題についていろいろ問題になっておりますが、一説ではドル切り下げをやるのではないかという説と、それからもう一つポンドももう少しレートを下げなければいかぬのじゃないか、こういうような意見もあるのでありますが、大臣はその点どのように理解されておられるのですか。
  12. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ポンドの再切り下げということもちらほらうわさされておりましたが、さようなことは日がたつにしたがってだんだん薄れてきておるように思われます。おそらく再度の切り下げはないものと考えてよろしいかと思います。  それからドルの問題でございますが、これまた一つ連鎖反応としてそういう論議が起こっておりましたが、私はただいまのところはアメリカ政府当局もさようなことは考えておらないと思いますし、現にアメリカ貿易収支は大幅な黒字を示しております。こういう点で、イギリスの構造的に脆弱な経済力とは同日に論ぜられないような状況でございますので、その必要はないものと考えております。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それからもう一つは、ドル公定歩合をもっと上げるべきだというような話もありますし、一番問題になるのはドルに非常に依存をしておる日本の円というものは非常に不安な状態が続いておるのですが、日本では、円の切り下げをやるというようなことは、政府としてはいま考えておられるのか、いまのところどういう考えで処しておられるのか、その点を伺いたい。
  14. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 今回の英国ポンド切り下げ及びこれに追随した国々平価切り下げによりまして、わが国輸出入は多少の影響を受けることは事実でございますが、わが国国際競争力の観点及び現在の国際通貨体制を維持するための国際協調の立場から、他の主要先進国と同様に、この際わが国平価切り下げるということは考えられないわけであります。わが国としては、今後とも産業国際競争力を強化し、及び輸出振興に一そうの努力をすることによってこれに対処するという方針でございます。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そういう国際通貨問題と関連して、椎名さん御承知のように、日本中小企業は、最近歴史にないほど倒産に次ぐ倒産をしております。おそらくこの師走十二月には、さらに倒産の率がふえるのじゃないかといわれておりますが、この点について、どのような方法でこういう大勢を食いとめていかれるのか。これは、最近大臣になられたばかりでございますけれども、いままでの関係もありまして、どういうような状態になっているのか、また、どういうところで食いとめられるかということをひとつ御説明願いたいと思います。
  16. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 最近の倒産状況は、まことに心を痛めておる次第でございます。  根本的な対策としては、一口に言えば、やっぱり中小企業体質改善ということにあるわけでありまして、それじゃこれをどうしてやるのだということになりますと、共同化、それから協業化といったようなことを中心にして、できるだけ構造改善の道を進んでまいる、一方、経営指導技術指導もいたしまして、設備合理化近代化を一日も早く進める、こういうことになるのでございますが、さしあたり当面の対策としては、金融上の措置を中心に対処してまいりたい、こう考えております。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 御承知のように、物価がどんどん上がってくる反面、通貨が膨張していくという現象が出てくると同時に、年末の金融というものが非常に重要な問題になってくると思うのですが、政府は、この年末に対してどのような手を打たれるのか。年末金融に対して従来のような中小企業公庫とかあるいは国民公庫のような、そういう政府機関だけの力でこの難局が切り抜けられるかどうかということは、非常に疑問視されております。こういう点について、現実にもうすでに十二月に入ったのですが、どのような方法でこの難局を切り抜けていかれるのか、これをついでに伺っておきたいと思います。
  18. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 いままで打ちました手につきまして、事実を御説明させていただきます。  まず、政府機関に対しまして、貸し出し規模で千六十億の追加をいたしました。これは前年度対比二四%の増ということでございます。これに必要な財政投融資を準備を完了いたしております。これが第一でございます。  それから第二に市中金融機関でございますが、これの中小企業向け貸し出し目標額をきめまして、これは一兆九百億ということで、昨年の一五%増でございます。  以上のような目標をきめたわけでございますが、金融当局として十分に市中金融機関指導をしてもらう必要があるということで、大蔵省及び日銀に強く要請をいたしました。大蔵省日銀といたしましては、中小企業向けの年末金融及び年越し後の金融につきまして十二分の配慮をいたすという体制をとっております。
  19. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 中小企業庁はいろいろ考えておられるけれども、どうも私たち考えでは、なかなかそろばんどおりにはいかない。特にこの態勢は御承知のように非常に悪くなっておる態勢でありますから、私はあなたのその融資の額でこの状態がうまくいくかどうかということについては疑問を持っております。しかし数字的な問題でございますから、私たちがどうこう言ってもそれはわかりませんけれども、なかなか深刻なものがあるということだけはおそらく御承知だろうと思うのです。どういう方法でこの十二月、あと二十日ばかりでございますが、そういう点を抜けていかれる可能性があるか、もう一ぺん伺っておきたい。
  20. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 政府機関に対しまして貸し出し規模を増大いたしますということによりまして、まず三機関といたしましては相当程度貸し出しに応ぜられることと思いますけれども、これは全体の中小企業向けシェアから申しますと、一割足らずでございますので、むしろ重点市中金融機関、これが十二分に中小企業の世話をしてくれるような体制をとることが非常に大事であると思うわけでございます。したがいまして、昨日も特に大蔵、日銀に私参りまして協力要請し、全面的な協力の話があったわけでございますが、その中身は市中金融機関が現在のところ四五・六%の中小企業向け貸し出し残高シェアがございますが、このシェアをぜひ維持してほしいということ、それからコールレートが上がりました場合に、とかく金融機関中小企業向け金融を引き揚げましてコール市場に流したという例があるのでございますが、こういうことには絶対にならないようにひとつ指導してほしいということ、それから特にかつてあったような、経営内容はよくて、しかし金融面で締められたために黒字倒産をするというふうな例があったわけでございますが、万々そういうことにはならないように金融機関指導をしてほしいという要請をいたしたわけでございます。十二分にその覚悟でやりますということでございます。
  21. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 御承知のように都市銀行も国債をもてあましているような状態があるわけですが、なかなか思うようにいかぬということだけは十分に当局も認識してほしいと思うのです。  それから何と申しましても、やはりポンドなんかの切り下げ日本貿易というものがなかなか思うようにいかなくなるのじゃないか。通産省貿易の問題についてはいままでかなり努力をされておられるのですが、最近、きのうでしたか、川又日産自動車の社長と通産大臣が会って、自動車の物品税引き下げの問題などがあるのですが、こういう点について、どういう方法日本貿易振興をなしていかれるのか、貿易自由化になる関係上いろいろな困難な道があると思うのですが、そういう点については通産大臣はどのように考えておられるか、これも現下の問題として伺っておきたいと思います。
  22. 原田明

    原田政府委員 貿易振興につきましては、基本的にはわが国産業、特に輸出産業国際競争力が弱まらないように、英国の轍を踏まないようにという考えに立ちまして、設備近代化技術の向上、あるいはまた産業体制の強化というようなことで、競争力をつける政策重点を置き、特に内需、国際環境という状況にかかわらず、景気、不景気にかかわらず輸出が伸びるような体制に持っていくことを基本と考えております。  ただ、これだけではまだまだ輸出が十分に伸びるかどうかという点もございますので、これを補完し、波打ちぎわにおいてさらに輸出を増進いたしますために輸出金融輸出保険輸出振興に関する税制並びに海外の市場調査、見本市等々の諸施策をあわせていままでにも増して強く進めてまいりたい、かように考えております。
  23. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大臣にもう一つ伺いたいのですが、いまのこういう危機においては普通の手段ではなかなか解決がしにくい問題があるのじゃないか。通産大臣就任早々、非常に重要な地位に立たれたわけですが、何といってもあなたは通産省の出身でありますから、何とか自分ではうまくやっていけるだろうという自信はあると思うのですが、そういう技術的な問題でなくて、私たち国民の側から考えると、非常に不安な状態が次々と起きてくるのじゃないかというような考えを持っておるのです。ところが設備投資もなかなかやまらないし、国民の中には、どういう夢を見ておるのかわかりませんけれども、先の見通しが悪くなってきておることは事実なんでございますが、そういう点についての打開の策があるのか、こういう点についてもう一点伺っておきたい。
  24. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御承知のとおり輸出会議というものが総理大臣直接統裁のもとに置かれております。この当面する輸出環境の悪化に対処してさらにどういう強力な手が打てるかということで、総括部会をごく数日前に開いたような状況でございます。これは一発で必ずやれるというそういう妙案というものはないのであって、従来輸出会議において論議されたいろいろな施策の範囲を出ないが、ただ、そのうちでいまの時局に処してどの項目を最も重点的に考えなければならぬかというようなこと、繰り返し繰り返しそういうことをやっていままで日本輸出が非常な上昇率で伸びてまいりました。今回も、業界の人々の知恵をしぼって、そして政府といたしましてもその線に沿うて大いに努力してこの難局を突破してまいりたい、こういう決意でございます。
  25. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 関連。先ほど通産大臣中小企業倒産で胸を痛めておるという話がありまして、また一方中小企業庁のほうからそれぞれ年末の対策についての苦心の報告がありましたが、ドル防衛アメリカは忙しい、さらにまたポンド切り下げイギリスの不況、こういう国々の最近の中小企業倒産というものがどういうふうな数字になっておるか。一ぺんお互い日本との比較において検討したいと思いますから、そういう統計がもし入手されておるなら御発表願いたい。さらにまたいまお手元になければ、最近の機会に資料として御提出を願いたい、こういうことですが、御答弁いただけるならお願いしたいと思います。
  26. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 ただいま資料を持っておりませんので、即刻できる限り——ただ十二分のものはわかっておりません。ただアメリカにおきましては相当倒産が多い。ただし、新たにできている企業数字程度はございます。そろえましてお手元に提出したいと思います。
  27. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 佐藤君、時間がありませんから……。
  28. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 あまり時間がありませんから、委員長の言うとおりにやります。  そこで、もう一点椎名さんにお伺いしたいのですが、私、宮澤長官の説に全部賛成するわけじゃありませんけれども宮澤経企長官の構想というものは、ああいう物価上昇の終止符を幾つか打たないと、私ども党でも問題があるわけですから、あまり全面的に賛成するわけにはいきませんけれども、非常に適切な考え方を持っておられる、勇気ある考え方だと私思っております。イギリスのウィルソンといえども、こんなポンド切り下げになるような、せっぱ詰まるような状態にすることは考えていなかったと思うのです。やはり、いろいろな関係でそういう形が出てくる。日本経済も、御承知のように、このままでいきますと、いま円の切り下げをやらぬと言いながらも、どっかでやらなければならぬような状態が出てくるのじゃないかという不安を持っているわけです。そういう点について、率直なあんたの御意見として、どういうようなことでこの処理をしていかれるか、この点を、簡単でけっこうですから、お伺いしたいと思います。
  29. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 日本経済が当面する困難な問題は次々と出てきておりますが、従来の歩みを顧みてみると、やはり従来も困難な道を進んできたわけであります。そうして、非常な上昇率で今日の繁栄を獲得した。これは、従来そうであったから将来も楽観していいんだということを申し上げているわけじゃございませんが、日本経済の底力というものと、毎日毎日当面する現象的な困難な問題と、これは二つに分けて考えてみる必要があるのじゃないか。日本が従来たどってきた上昇のカーブ、これを今世紀の終わりまで、あと三十年余りあるわけなんだから世界の第三番目の、動乱でも起こらない限りにおいて、この騰勢で進んでいくということになれば、日本の将来というものはたいへんなものだというようなことを、外国の識者が強調しておるのでございます。私は、近代科学技術というものに対して、相当な熱意を持ってこれを切り開いていく、日本経済の伸展の原動力になっておる国民のエネルギーというものをどこまでも誘導し、これを育て上げるということによって、結局、日本経済というものはまだ相当に伸びていくであろうという考え方を持っていいのではないか、こう考えております。  ただしかし、当面するいろいろ困難な問題は一体どうするか。これはどうしても努力して打開してまいらなければならぬ。ことに宮澤経企長官の指摘した財政硬直化というような問題については、これは全くそのとおりでありまして、これに手をつけずに従来のままで進んでいくならば、数年にして硬直化の壁にぶつかってしまう。こういうことは私もそのとおりだと考えるのでございまして、これは、方法は必ずしも一つではない。あらゆるくふう、努力をしてこの硬直化を避け、そして再び弾力のある財政というものに建て直さなきゃならぬということを考えております。
  30. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大臣の時間がありませんし、私、最後に公害問題を一つだけ。あと事務当局に聞きますから、ちょっと大臣に大まかな意見だけお伺いしたいと思います。  御承知のように、私どもの県に木曾川という大きな川がありますが、そこが工場のために非常に水が悪化しまして、農業をはじめ水産業に多大な損害を与えて、愛知県ではだいぶ問題になっておるのですが、こういう点について、あんたは通産省におられて御承知だと思いますが、産業が発展したその陰には、非常にこのために大きな被害を受ける農民等、あるいは水産業者があるわけです。これは大臣帰られたあと事務当局に聞くつもりでありますが、その点について、一点だけどういうふうにお考えになっておるかということをお伺いして同僚に席を譲ります。
  31. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 この問題はかねて注目しておった問題でございまして、十分な解決がなされていないことは、まことに遺憾でございますが、通産省といたしましては、地元の名古屋通産局等を通じまして、各種の対策を講じるように、強力に行政指導を行ないつつあるところでございまして、今後とも一そうこれを強力に行ないまして、早急に解決をはかるように努力してまいりたい。かように考えております。
  32. 鍛冶良作

  33. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣がお忙しければ局長さんにお尋ねすることにいたしますが、御都合どうですか。
  34. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まだいいです。
  35. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 じゃ、中小企業設備近代化資金貸し付け制度について、少しお尋ねしたいと思います。  大臣は、通産関係にはすでに御経験済みでありますし、特に経験豊かな大臣でございますので、この点をひとつお尋ねいたしたいと思います。  この制度は、中小企業近代化資金等助成法等に基づいて、中小企業者の設備近代化合理化をはかるための機械設備を導入しようとする際に、国が都道府県と協力して、無利子で所要資金の二分の一を貸し付けるものであり、この助成は昭和二十九年度から予算補助として始められまして、三十一年度から法制化されたものであります。都道府県は特別会計を設けまして、資金を一般会計から繰り入れ、国はそれと同額の補助金を交付する、こういうことで、これに回収金を合わせて基金として、毎年事業計画を定めまして、貸し付け事業を行なっておるのが現在の姿であります。  そこでお尋ねいたしますが、この制度は、無利子で五年返済という、中小企業にとっては非常に魅力的なものであります。貸し付け金額も、昭和四十年度には百五十億円と、三十六年度に比べると約二・五倍にも増加しておるにもかかわらず、今度昭和四十二年度の国の補助金は、四十七億円と、前年に比べて約八億円も減少しておりますが、こんなに伸び率があって喜んで借りておるにもかかわらず、こんなに減っておるという理由はどういうものか、ひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  36. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 計数でありますので、私からお答えさせていただきます。  先生御指摘のとおり、国庫から繰り入れます金は、八億円減少いたしておりますけれども、回収金が御承知のとおり、逐年の貸し付けが返ってまいっておりますので累増いたしております。したがいまして、四十二年度の貸し付け規模におきましては、前年度百七十七億円を三十四億円上回る二百十一億円ということになっております。これは多々ますます弁ずでございますので、償還金が今後増加いたしますものの、さらにこの国からの補助投入額はなるべく多くふやすことに努力いたしたいと考えておりますけれども、予算の関係上右のような減少をせざるを得なかったということでございます。
  37. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いまの乙竹中小企業庁長官のお話によりますと、八億円減ってはおるけれども、回収金をまぜて、これを運転して貸し出しをしているから、予算のほうでは減っているけれども、事実上はふえておる、こういう説明ですか。
  38. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 さようでございます。
  39. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それでは了承いたしました。  その次にお尋ねいたしたいと思いますが、中小企業者がこの制度を利用するために申請書を提出してから貸し付けの決定までに、現在大体三ヵ月から六ヵ月ぐらいを要しておるということを聞いておるが、これではほんとうのこの制度のよさというものの効率が上がっていないと思われます。書類の審査だとか企業診断などもっと敏速にできないのか。また、この制度の受付については年三回くらいに集中して行なっている都道府県が多いと聞いているが、この制度を生かすためには年間を通じいつでも申し込みを受け付ける、あるいはもっと敏速に処理するのが理想と思われますが、何が障害になって申し込みをしてから三カ月も六カ月もかかるのか、その点をひとつ御説明いただきたいと思います。
  40. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 御指摘のように、現在各都道府県間に遅速があるようでございますが、三カ月ないし五カ月受付申請をいたしましてから貸し出しになりますまでに時間がかかっております。これは、この制度が設備近代化をいたしますとともに、当然経営の近代化をねらっておりますわけで、入れます設備がほんとうに経営の近代化に役立つのかどうか。この制度の真のねらいを十分発揮いたしますために、この近代化促進の診断を実施をいたしております。この診断は非常に受益者からも喜ばれておるわけでございまするが、この診断のために若干の日時を要する、こういうことでございます。  ただ、御指摘のように、極力この申し込みから貸し出し実行までの期間は短くいたすように、今後努力をいたしてまいりたい、そういうふうな指導をいたしてまいりたいと存じます。  それから、次に申請の受付回数でございまするが、それはだいぶ各県ともこの資金の貸し付け要望額、件数が年々増加をいたしております。各都道府県の事務量も増加をいたしておりますので、常時受け付けることは理想でございますが、事実上非常にむずかしいということで、二回ないし四同程度に分けて、各県によって違いまするが、受け付けをいたしておりまするけれども、極力受け付け回数は御趣旨のように増加するように、今後指導してまいりたいと存じます。
  41. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 企業庁長官でもすべてはわかったわけでありますけれども、さらに私は大臣にお願いをいたして、この際ひとつお答えをいただきたいと思いますが、いま長官からのお話を聞きますると、回数も多くしようということでありますが、書類を出してからその診断をしてもらったりあるいは何かで三カ月から六カ月かかる。非常にこれはいいことではあるが、あまりにもかかり過ぎるということで、出してから、みんな、一体ほんとに借りられるのだろうかどうだろうかと言っているうちに半年もおくれるということでありますので、ひとつこういうような中小企業近代化に対する金の貸し出しに対しては、ほんとうにもっと早くやっていただけるような、長官と同じ考えでやってやるというひとつおことばをいただきたいと思います。
  42. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 やはり事務の性質が一つ一つみな具体的に違いがあって、右へならえというようなわけにいきませんから、これどうしても丁寧にやればやるほど時間がかかるということになりまして、その点で御迷惑をかけておることはまことに恐縮でございますが、事柄がさような性質のものであるということを御了承願いまして、しかしできるだけ御希望に沿うように督励してまいりたいと思います。
  43. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 どうも大臣ありがとうございました。実際を申し上げると、そういうことで三カ月から六カ月かかる。一つ一つを調べていくということについては相当手間がかかることはよくわかりますけれども、これだけ物の値上がりが激しくなったり、そして購入する上においてもいろいろな関係考えてまいりますると、つとめて早くやっていただくようにさらにお願いをいたしておきます。  検査報告の不当事項を見ますと、すでに自力で前年度に購入していたにもかかわらず、業者同士が結托してにせ領収書を作成していたものが一件、当初の購入予定価格よりも実際は安く購入していながらもそのままにして申告をしたものが二件ありますが、いずれも事前の指導、事後の監査によって避けられなかったのかどうか。指導監査体制について御説明を願いたいと思います。
  44. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 いま委員御指摘のような事項がございまして、会計検査院から不当事項として指摘されたわけでございます。事実でございましてまことに遺憾なことでございます。この原因でございまするが、これは都道府県におきます事前の調査及び事後の監査、さらに中小企業者に対しまするこの制度の趣旨徹底か必ずしも——府県によりましていろいろ差はございますけれども、若干欠けるところの府県があったのが原因であるというふうに考えられます。中央といたしましては今後こういうことが絶対に起きませんよう、都道府県に対しまして厳重注意をいたしますとともに、中小企業者等に対しましては十分指導いたしまして、この制度の趣旨徹底をはかりまして、また都道府県の事務当事者に対します研修をやっておりまするが、この研修制度を今後一そう強化してまいりたいというように考えます。
  45. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 長官のお話で、今後は十分注意していまの指導、監査をやっていこうということでありますから、了承いたします。ひとつ大いにそのような方向へ持っていっていただきたいと思います。  では、この利用者は自力で資金の調達が困難な零細業者が多いと思われるが、申請者に対する採択不採択の決定は、いかなる基準に基づいて行なわれるのか。その採択率はどのくらいですか。  またこの補助金については、三十七年度は三千百七十四万円、三十八年度は六十二万円、三十九年度は五千七百万円、四十年度は八億四千七百七十九万円の不用額を出しているが、こういうような大きな変動的なものはどういう理由か、ひとつ説明をお願いしたいと思います。
  46. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 採択率の基準でございまするが、基準はおのおの業種、機種によって違っておるわけでございます。機械振興法の対象業種につきましては、その振興法によりましてできました基準、また繊維の構造改革に関係ございますものにつきましては、繊維の構造改善計画に沿いました基準によって採択、不採択をきめておるわけでございますが、採択率につきましては現在のところ七三%程度が採択ということになっております。  次に、御指摘のとおり四十年度におきまして八億四千余万円の不用額が生じております。この制度は、中小企業者の設備近代化のための大黒柱となっておる制度でございまして、中小業者からも非常に喜ばれておる制度ではございますものの、何せ御指摘のように受益者と申しますか、業者側の自己負担がございますし、また、世の中の好況、不況の波をこうむるわけでございます。ちょうど四十年度は非常な経済不況でございまして業界側の設備投資意欲が減退をいたしまして、年度の中途におきまして業者のほうで設備投資を中止または縮小したのがおもな原因であるというふうに考えます。今後は貸し付け事業を行ないます都道府県との間に十分緊密な連絡をとりまして、このような、せっかく予算に計上したけれども使い残すというふうなもったいないことにはならないように、十分実態把握につとめまして努力をいたしたいというふうに存ずる次第でございます。
  47. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 その採択の率は大体どのくらいになっておりますか。それから、基準は、先ほどお尋ねいたしましたが、各種いろいろの職業柄非常にむずかしいところがあるのだということでありますので、それはいいといたしまして、申し出をした者の採択率はどんな程度になっておりますか。
  48. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 四十一年度の実績によりますと、申請企業の数が一万七千六百件、採択いたしましたもの一万二千八百件でございますので、採択率は七三%ということになっております。
  49. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 七三%。こんな大切な金八億四千七百七十九万円という不用額が指摘されておりますから、これが都道府県と合わせると十七億円からの金になるわけです。だから、私のお願いいたしたいと思いますことは、もう少し基準だとか採択だとかいう率を上げていただくというようなことと、もう少しよく調査をしてやって、早くやっていただくと潤うのです。その点をひとつ長官はよくお考えいただきたいと思います。  私はこれから質問をいたしたいことがありますし、大臣にも聞きたいことがありますが、大臣の時間がないそうでありますから、私はちょっとあと回しにしまして、お譲りしますから、先にやってください。
  50. 鍛冶良作

  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 椎名通産大臣に二、三の重要な点について伺っておきたいと思います。  五十五国会におきまして菅野通産大臣のときに、会期末期に成立いたしました繊維工業の構造改善の特別措置法、これは膨大な予算並びに政府資金も投入されますし、日本中小企業の中核的な部類に属する繊維産業への構造改善対策でございまして、長年の懸案でもございまするし、ずいぶんと多量な研究調査をした結果の答申に基づきましてこの改善事業が発足するということになったのでございます。言うならば、通産省といたしましても最近の重要な業績の一つになりつつあるわけでございます。  そこでこの際に、やはり大臣も御就任間もないことでございまするが、すでに通産の御経歴もあり、世界各国の経済の事情にも精通になっておる大臣のことでございまするので、二、三基本的な問題につきましてぜひ伺っておきたい、こう思うのであります。  一つは、目下四十三年度の予算の作成のさ中でございます。伝えられるところによりますと、大蔵省は公共事業費につきましても年率七%の繰り延べの要請をして、下期になりますとこれは二割に該当する、こういうようなことを言われております。そこで、この構造改善事業を推進する事業団の出しまする融資等につきましても、これの削減とか何らかの影響がございますると、これは全体の構造改善に重大な亀裂を生じます。そういうようなことでもございまするので、いわゆる財政硬直化というものが繊維工業の構造改善事業に特に資金面等におきまして何らかの影響があるものかどうか、大臣の閣僚としての御責任もございまするので、この点をひとつ明らかにしておいていただきたい。いかがでございましょう。
  52. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御指摘のとおりこれは繊維工業の立て直しと申しますか、そういうきわめて業界の構造改善の要点に関連する問題でもございますので、事業団の所要資金の圧縮は極力これをいたさないように、従来の計画どおりこれを守ってまいる、さような決意をいたしております。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 やがて、今月中に大臣折衝といたしまして、最終的な予算案の大臣のけじめをつけられる時期が到来するわけでございますが、いろいろと憶測をいたして、不安な憶測が相当伝えられておるのでございますので、いまの大臣の御決意を、最終的に大蔵大臣との間にも十分に御折衝の上、その点何らかの削減等の影響のないように一そう善処せられんことを強く御要望申し上げておきます。  もう一点。ポンド切り下げに端を発しまして英米の公定歩合引き上げ等、こういうことの世界的な財政経済への影響が今後かなり大きな波紋を描くのであろう、こういうふうに考えられます。それからまた、一面国連における構成が、開発途上国の勢力が数的に相当大きくなっておりますことは御承知のとおりでございます。その貿易振興会におきましても、綿製品などの繊維工業を、いまの先進国にまかすのでなしに、開発途上国に移すべきであるという決議もあったやに聞いております。これは先年私はワシントンにおきまして伺った事実でございますが、こういったようなことが今後次第に台頭して実現化するという向きがあるのではないだろうか、こういうような見通しも立てられるべきではないか。かたがた、アメリカにおける綿混または合繊混の今後の輸出にも相当な支障になるような事態の発生さえいま予測されております。したがいまして、たとえば機屋におきましても、来年三月までの注文は大体できておるようでございまするけれども、四月以降はかなり不安の空気もあるやに聞いております。そこでポンド切り下げ並びに国連のさような傾向、アメリカの内部における諸問題、こういうものをめぐりまして、わが国構造改善事業、特に織布工業の面に——これは輸出の重要な関係かございまするので、また相当影響があるのではないだろうかということが、目下非常に重要な課題になっております。これが構造改善に積極的に踏み切るかどうかという、産地における当業者の大きな決意の一つのきっかけにもなるのではないだろうかとさえ思われるのでございます。この点に対する大臣の御所見をひとつ伺っておきたいと思います。
  54. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御指摘のとおり、繊維の大市場はアメリカであります。アメリカ状況はどうかという御質問でございますが、ケネディラウンドの交渉妥結を機会に、これによる関税引き下げが行なわれます。それが国内産業に与える影響はきわめて大きい。これはどこの国でも同じでございまして、アメリカにおいてもそういう状況でございます。したがって、ただに綿製品のみならず、あらゆる繊維品に対して反対に輸入制限の措置をとろうというような機運が高まっておることは事実でございます。この繊維業界の動きは上院のホーリンガス法案、下院のミルズ法案等に盛られておるのでございまして、いずれも全繊維品にわたって輸入を制限しようとすることを骨子とするものであります。本問題につきましては、政府といたしましても、きわめて強い関心をもって、日米貿易経済合同委員会、あるいは総理大臣の先般の訪米、あるいはまた、OECDの理事会の開催、これらのあらゆる機会をとらえて、かような輸入制限はもはや世界の自由貿易体制に逆行するものであるとして、その阻止方を強く申し入れてまいっております。このようなわが国及び欧州諸国の強い反対の申し入れもございまして、アメリカ政府は、これらの輸入制限法案はアメリカの伝統的な自由貿易主義に反するものであるとして、議会その他において、かつて見ないような強い反対の態度を表明しておるわけでございます。日本政府といたしましては、事態の重大性にかんがみまして、従来にも増して強い態度をもって、あらゆる機会をとらえてこれらの輸入制限を阻止するように今後努力してまいりたい、かように考えております。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 第三点は、構造改善を推進する上におきまして、当業者である産地の業界におきましては、自己資金を三割調達しなければならぬことになっております。この自己資金の調達につきましては、かなり困難な諸条件がまつわっておると聞いております。  そこで、通産大臣といたしまして、次のようなことについてぜひ特段の御配慮をなされないと、構造改善事業の将来に大きな暗影になるのではないかと考えます。  自己資金の調達につきまして、でき得る限り政府金融機関の協調につきまして、大臣段階におきましてしかるべき積極的な手を打つ必要がないであろうか。私は、この七月の商工委員会におきまして、菅野通産大臣に、その点について、開発銀行が地域開発の資金を持っているので、これに進んで積極的にやらすべきでないかということを伺った次第でございますが、目下の状況を聞いてみますと、静岡県とか兵庫県等におきましては、商工中金を中心として融資の対策努力をしておられますが、さらに、市中銀行との協調、その他、財投の資金が出ております開発銀行、また、中小企業金融公庫とか、雇用促進事業団融資とかの面も商工中金とあわせて、なおほかに一般の商業銀行なども参加して広く協調していくというような体制をとりまして、そして、できるだけいい条件をもって資金の調達に協力する、こういうふうにすることは、この施策を推進する上におきまして重要な課題であろうと私は考えます。これはやはり大臣段階におきまして、大蔵大臣その他とも御協議いただきまして、この重要な課題ができるだけスムーズに資金調達ができ得るようなあっせんをしていただくべきではないであろうか、こういうふうに考えますが、これはいかがでしょうか。
  56. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御指摘の点はまことにごもっともでございます。構造改善の促進は最も重要な問題でございますので、中小企業振興事業団のみならず、協調融資を担当している商工中金その他関係機関が相互に密接な連携をとっていくべきものでございますので、さような指導をしてまいりたいと思います。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もう一点だけですが、いわゆる人手不足の問題です。これは何も構造改善に限ったことではございませんで、中小企業全体を通じてのことでございますが、この問題につきましても、やはり労働省との関係あるいは文部省、厚生省との関係等におきまして、教育施設とか、福利厚生施設とか、その他雇用対策とか、政府の内部におきまして一段の総合的な施策をして、人手不足問題、雇用問題を解決すべきではないかと思いますので、この点もひとつ大臣段階におきまして特段の御配慮をせられまして、この事業がスムーズに推進するようにすべきではないかと思います。これは簡単でよろしゅうございますからお答え願います。これで終わります。
  58. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 労働力不足の状況は今日経済界の当面するきわめて重要な問題でございますので、御指摘のとおり、私が陣頭に立ってこの問題の円滑化をはかるようにいたしたいと思っております。
  59. 鍛冶良作

  60. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 先ほど椎名通産大臣にちょっと質問しておきましたが、実は公害問題で少し具体的に伺いたいと思います。  これは私の愛知県ばかりではなく、おそらく全国的にこういう問題は起きておると思うのですが、一つの例として具体的な問題を出しますので、ひとつ処理をしていただきたい。通産省も非常に心配されておりますが、いまの公害問題は——私の近くに四日市がありますが、この四日市の問題は別として、第一級の河川にこういうような被害が出てきて、下流の農民はじめ、愛知県では金魚業者があるのですが、非常にたくさんそういう被害を受けておる。こういう問題について通産省はどのような処理をしていかれるのか、まず概略ちょっと伺いたいと思います。
  61. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 ただいま佐藤委員御指摘の問題に関しましては、木曾川から取っております佐屋川用水、その関係でおよそ三つぐらい被害が考えられるかと思いますが、第一は佐屋川用水の受益地の水稲の関係でございます。それからその一番下にある弥富の金魚の関係、それからもう一つ筏川のボラの関係、この三つの問題が考えられますが、これについて、いままでとりました施策と、それから今後どういうふうにやっていこうかという点について、簡単にお答えいたしたいと思います。  もともと木曾川下流につきましてはいろいろ問題がございましたので、三十八年の水質保全法に基づきまして水域指定が行なわれ、水質基準が設定されたわけでございますが、その後、先生も御承知と思いますが、木曾川の川底の状況が変わったり、州の状況、州が移ったりいたしまして、水流が佐屋川の取水口に変流いたしました。その取水口から下にある三興製紙の工場排水が木曾川の水でもって拡大希釈されないで、もろに佐屋川に入ってくる。そのために、先ほど申し上げました稲なり金魚なり魚なりに対して問題を生じたわけでございます。  これらにつきましては、まずもってこの問題があると思われている三興製紙について、数年来いろいろ名古屋通産局あるいは県を通じて指導しまして、諸般の排水処理施設を設置さしたわけでございますが、ことしになりましてからも圧縮ろ過器を設置する、あるいは問題の時期に、田植えどきとかあるいは金魚のいろいろ問題のときに、ため池をもう少しつくるとか——いままでもありましたけれども、さらにため池を八つつくったり、あるいは非常の場合においてはこれをタンクローリーでもって川へ投棄する、かようないろいろな応急措置をやっておるわけでございます。  それから金魚が非常に問題でございますが、先般、八月から九月にかけまして愛知県庁に関係者が相寄って研究した結果、結局問題の佐屋川のきたない水が入らないように、樋門をとめればいい。ところが樋門が腐っておるので、その樋門の処理費の問題があるので、同会社に負担させてこれの流入を防止する、そしてきれいな鵜戸川の水を入れる、かような方法を講ずるというような当面の問題をいろいろやってきたわけでございますが、何と申しましても、恒久的な対策を講じなければならぬということで種々研究いたしまして、当省も指導して、米国から非常に近代的な、根本的解決になる濃縮燃焼装置、これは九億円ぐらいかかるそうでございますが、これをやはり輸入して設置するというのが一番基本的なことである。これは会社としても非常に負担になるところだと思いますが、いろいろ指導いたしましてそれを建設するということにいたしまして、来年早々に発注して、再来年の田植えどきに間に合うように完成することになっておるわけでございますが、再び問題は来年の田植えどきが問題でございまして、これはやはりいまの濃縮燃焼装置が間に合わないわけで、これについては別途井戸を掘りまして、そしていまの水を希釈して流す、そういうことによって、当面、来年をつないでいこう、かように考えておるわけでございます。  概略、以上でございます。
  62. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 公害部からもいろいろお話があるのですが、非常に重要な問題がたくさんありまして、実は金魚は六千万匹死んだといわれておりますが、佐屋用水その他の用水、宮田用水の関係はさほどではございませんけれども、木津用水とかそういう方面の状態を見ますと、米のあれに響きまして、現地に行って私は調べたのですけれども、昨年あたり十一俵くらい取れたのが六俵ないし七俵しか取れぬという現実が出てきたわけです。そういう区域が海部郡に八カ町村くらいありまして、私たちのほうへもたくさん各町村の町会議員とか関係者、農業委員その他の陳情があるのですが、愛知県で非常に問題になっているわけです。  そこで実は数日前にも三興製紙の社長が会いたいというので聞いてみたら、いろいろいま言われたような設備をやっておりますが、実は再来年なんということは待っておれぬ、来年の田植えどきには、三、四月までには何とか処理してもらわないともっと被害が起きるのではないか。その上に、工場をもっと拡張する、こういう大きな記事が東洋経済に出ておるわけでありますが、東洋経済はまじめな雑誌でありますから……。そういうようなものを簡単に許可されたのでは、いまでさえ相当の被害があるのに、これ以上被害を拡大されたらたいへんなことになるので、愛知県では非常に騒いでおるわけです。私は自分で実地に見たということ以外に、実は県の農林部、水産課などにも材料を向こうからいただきまして調べましたら、私たちの想像以上に非常にひどいということがわかったわけです。  そこで農林省の関係の農政局は非常に親切でありますけれども、通産局は立場上かえって非常に寛大過ぎるような処理をしておるのではないか、こういうことがあるので、実は愛知県では水野県会議員が県会で盛んにやって、県では相当問題になっているのですが、少なくとも一級河川、木曾川といえば日本で第五番目くらいの川でありますが、あの大きな川があれくらい汚濁するということは容易なことじゃないと思うのです。だからひとつ矢島さん一ぺん現場を見て、そして何とか処理をしてもらわないと、私は再来年ということを待っておれぬ、その間に金魚は死んでしまう。御承知のように金魚は群山、愛知県の弥富、それから東京の砂町以外にはないので、こういうようなものがこれ以上被害を受けたのではたいへんでございますから、現地のものは非常に心配をしておるわけですが、何とかもうだいじょうぶという太鼓判を押すまでは、しょっちゅういなかからどんどん陳情に来るということを言っております。このことで金魚の代表者ばかりでなくて、農業の人がたくさん来るのです。これは現実に稲にも影響しているほど非常に悪い水になってきたのですが、その点はどのように解釈され、どのように名古屋通産局はやっていただけるか、ちょっとお伺いしたい。
  63. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 御指摘のように、恒久的対策は四十四年の夏までに完成でございますから、確かに問題は来年の五月以降の田植えどきにあるということは言えると思うのでございます。それについては先ほども申しましたように、従来、ことしの二月以来やっております貯留槽へ一時ためるとか、ため切れない場合には、それをタンクローリーでもって運んで海に投棄するというような施策を依然として継続していくわけでございますが、さらにそれだけでは不十分なので、先ほど申し上げましたように、工場の近くに井戸を掘りまして、その井戸水でもってこれを大幅に希釈して、希釈した上でもって流す、かような方法を当面講じておるわけでございます。これは一時的なとりあえずの問題でありますが、先ほど先生御指摘の名古屋通産局のやり方でございますが、名古屋通産局としては、これは数年来非常に頭を痛めている問題でございまして、誠心誠意本件の処理に当たっているわけでございます。私としても着任以来直ちにこの問題が大問題であるということがわかりまして、名古屋のほうに参りまして通産局を督励いたしまして、本件の解決対策を促進いたしておるわけでございます。  以上でございますが、なお先生御指摘の増設計画につきましては、繊維雑貨局長からお答えいたします。
  64. 金井多喜男

    ○金井政府委員 御指摘の三興製紙の増設計画が東洋経済に出ております。先生のお目にとどまったとおりでございますし、またこういう公害問題があるのに増設をするとはという地元民の非常な不安と感情の問題があるということでございます。私どものほうもその点いろいろ調べました結果、大体その増設につきましては、ここは板紙をつくっておりますけれども、いわゆる設備を新たに増設するということではございませんでして、第一のポイントは、いままでの設備が非常に老朽化しておりますので、それをスクラップ化して新たな設備に取りかえる、これが第一の投資でございます。それから第二番目には、問題のこの公害問題につきまして、先ほど立地公害部長からお答えいたしましたように、新しい技術を取り入れましてSCP廃液の濃縮燃焼装置をつくる。これが先ほども答弁いたしましたように、大体八億円くらいかかる。極端にいいますと、二十五億円程度の投資と聞いておりますが、八億円は公害にかける、こんなふうになっております。それからもう一つは、それに関連いたしまして、自家発の設備を新たにつくる、こういうことでございまして、御指摘のように、公害問題をさらに大きくするというような気配は全然ございませんでして、むしろ会社としては投資の相当部分を公害防止の抜本的な、SCP廃液の濃縮燃焼装置にかけるという点に一つ重点がある次第でございます。
  65. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 時間がありませんから、あまりいろいろなことを申しませんけれども、実はこの間三興製紙の社長さんが来られていろいろ説明された中で、郡山——郡山というのは御承知のように奈良県にあるのですが、あそこの金魚のことを調べにいった。そうしたら農薬の被害があったということを言われたので、実は県の当局を呼んで聞いたところが、愛知県の場合は農薬は絶対にやらしていないのです。あの付近は御承知のようにボラとかあるいは金魚がおるので、百姓自身がやっておる面もありますので、そういうような農薬の被害というものは全然ないということだけは、これは私いろいろ検討して調べた結果、そういう形が出たわけです。そこで、あなた方は中央におられるから現場はわかりませんけれども、稲はすぐわかりませんけれども、金魚はすぐ死んじゃうわけですね。死ねばそれでおしまいなんです。死んだらだめなんです。人間と同じように死んだらだめですから、死なぬようには−再来年まで待っておっては来年に死んでしまうわけです。この点を、そういうような長い目でなくて、私らもあしたすぐやれとは言いませんけれども、少なくとも来年の田植え前までには何らかの処理をしてもらわないと、これはたいへんなことになるのじゃないか。そこで、米の問題もこれは大事でありますけれども、生きものはすぐ死ぬ。御承知のように金魚とボラ、特に金魚は弱いですから、よく死ぬのですが、そういう点はやはり通産省のほうにお願いするよりしょうがないということで、私のほうへもいままで何べんも、言いませんけれども、たくさんの陳情があるわけです。だから容易でないということだけはもっと真剣に考えてもらわぬと、われわれが処理に困るわけです。県のほうでは、もうわれわれの力の及ぶだけのことはやったけれどもあとはどうにもならぬから、中央で、通産省でひとつやってくれということを言われておりますので、われわれ国会議員の責任になってきたわけですが、私たちもいたずらに事を荒立てるようなことをしたくないので、この間も工場長や、それから向こうの会社の社長にも——これは御承知のように、利益を生まなければ会社はつぶれてしまうのですから、そういう点も考えておりますけれども、しかし何らかのいい方法で、下流へ流さぬような方法で鉄管を南に移して佐屋用水の下のほうに持っていくということになると、なかなか三重県が承知しないということで、私たちも、何らかの処理がそういう方法でできることならと思っておりますが、しかし、もっと真剣に処理をしてもらわぬと、阿賀川の問題とかあるいは熊本県にも問題があったのでございますが、産業が発達すれば当然そういう副作用が起きるということは事実でございますけれども、少なくとも木曾川のようなあんな大きな川の水が全くどろ色になって、隅田川ほどではありませんけれども、少なくともそういう形が出てきたということは、何といっても−東洋紡との問題でも昔、十年くらい前、七、八年かかって解決したのですが、東洋紡は今日工場をよそへ移そうとしております。いまのところは三興製紙がどう考えてみましても一つの焦点になるわけで、もう少し矢島さん、速急に何とか手を打っていただける方法はないでしょうか、もう一ぺんくどいようでございますが、お伺いしたいと思います。
  66. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 先ほど私、最近までとりました施策をずっと述べましたが、説明が金魚の点について不十分でありまして、もう一ぺんあらためて金魚の点について御説明いたしますと、要するに、この間までこの金魚の池は筏川から水を取っておるわけですが、この筏川のもとは問題の排水が相当量入っておるといわれる佐屋川筋の水が相当混流しておるので、このきたない水が入らないようにすることが先決でございまして、そのために種々研究いたしました結果、このきたない佐屋川のほうの樋門をとめまして、そのきたない水が入らないようにして、そうして水を取る必要がある場合には別に鵜戸川筋の水を取る、こういう対策を講じたわけです。そのためには、きたない佐屋川の水が入る可能性のある樋門がこの間までこわれておったので、それを完全に修復する必要がある、しかし、修復するには相当量の金がかかるということでそれについて会社側が相当額を負担するということに相なって、当面の解決を得たわけであります。  なお詳しく現地からの報告を申し上げますと、本年の八月二十九日に愛知県庁におきまして県庁の公害課長をはじめ関係者全部が集まって、いま私が申し上げましたような対策を研究した結果、要するにきたない佐屋川筋の水が入らないように樋門を修復することを第一にやるべし、こういう結論になりまして、そのためには会社側が相当額を負担しなければならなぬ、会社側もこれを了承いたしまして、九月末にその金銭の授受も終えたわけであります。それからつい数日前の報告によりますと、それに基づいて樋門の修復ができたというふうに通産局から報告を受けております。したがいまして、金魚につきましてはほぼ問題は解決したのではないかと考えておる次第でございます。  なお、これ以外の水稲の関係につきましては、根本的解決は御指摘のとおりないわけでございまして、先ほど申し上げましたもろもろの施策を総合的にやって、来年の田植えどきまでに急いでやっていかなければならぬと思っております。
  67. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 同僚丹羽委員から質問があるので私は最後にいたしますが、いま矢島さんの言っておられることは、ちょうど天井から目薬をさすようなことなんです。そんなことではちっともきき目がないのですよ。きき目があればこの問題は二、三年前に片づいておるわけなんです。そこで私は、あまり議論ばかりすると、私らのほうの地元のためにばかり言うのではないかと思われますから、県のほうからちゃんと刷ったもので資料を出させて、やりたいと思うのですが、井戸を掘れといっても一つ掘ったぐらいでは、なかなかそんなもので処理できるような、そんな量じゃないのです。相当ばく大な量で、これは三興製紙ができてからも長くなりますが、それがたまりたまってこういうところにきていると思うのですよ。だからあれで金魚の処理ができたなんといったって、死んだときは責任負ってくれますか。一匹や二匹じゃないのです、何千万というのが死んだら、これは矢島さん、金魚の手は打ってあるからだいじょうぶだと言われるけれども、金魚が死んだらあなた責任を負うのですか。人間ならあれだが、金魚だから黙って死んでいきますけれども、そういうことが現実に出てくるのですよ。私らがこんなことをくどく言うのは、少なくとも日本の第一級河川である木曾川の下流のほうまであんなにひどい水になるということは、私自身も想像しなかった。それが現実に行ってみると非常にひどい。だからこういうことで事終われりとせずに、名古屋の通産局に命じて、相当きつい質問があるし、きつい要望がある。来年は一匹も金魚が死なぬような処理をとれというような強い要求を中央から出していただきたい。先ほども椎名通産大臣は簡単ではございましたけれども、できるだけ適切な処置をとりたい、こういう明言をされたのでありますから、公害部長が金魚はだいじょうぶだ——もしあなたの言ったとおりに死ななければ金魚ぐらい持ってきてあげます。ただそういうお役所的なことじゃなくて、真剣に生きているものが死なぬように、それから米の問題も、これは簡単ではございませんけれども、今後また被害が出ると思いますが、そういう問題もくるめて具体的に処理したいと思います。どうか普通の質問ということでなくて、ほんとうに真剣に取り組んで、そうしてこれならだいじょうぶだ。百七十軒ぐらいの金魚の業者でありますけれども、真剣になってやっているわけでありますから、ひとつ何とか安心をして仕事ができるように——生きたものでございますから、私は全部が死なぬようにとは申しませんけれども、少なくともこれだけの水ならだいじょうぶだというそういう施設を県のほうへ督促して、名古屋通産局にあなたのほうから厳命して、処理をしていただきたい、こういうことをお願いするわけですが、どうかそういう意味で、ひとつどういうふうに処理していただけるか、よろしくその点をお願いしたいと思います。
  68. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 先ほど申し上げました佐屋川の水が入らないように樋門を修復するという措置につきましては、県のほうの責任者もおりますし、通産局も入っておりますし、それから町の当局の方も町長以下入っておりまして、一応これで解決したという報告を受けておるわけでございますが、なお先生御懸念の次第もございますし、金魚といえども非常に重大な問題でございますので、再度通産局に指令いたしまして、これでもって万全の措置であるかいなか、さらに検討させることにいたしたいと思っております。
  69. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 丹羽久章君。  時間が迫りましたから簡潔に願います。
  70. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 引き続いて質問をいたしたいと思います。  中小企業庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  中小企業高度化資金の貸し付け制度についてでありますが、この制度は中小企業近代化資金等助成法によって中小企業者がその構造改善を推進するための集団化、共同化、協業化をしようとするとき、先ほど言うような都道府県が窓口になって、所要資金の二分の一を無利子で貸し付けをするについて、国は都道府県の貸し付け金の二分の一を負担するものである。それで、この制度は昭和三十六年度から始まって、昭和三十八年度からは経理を明確にいたすために、中小企業高度化資金融通特別会計を設けたのでありますが、この態勢をさらに充実するために、中小企業振興事業団が発足いたしましたことはもう御承知のとおりであります。このため、今後事業団が都道府県を通じて貸し付けをすることになり、その負担割合は事業費の四〇%を事業団が、都道府県は従前どおり二五%で、合計六五%となります。さらに事業団の資金には三・五%の金利がつくため、中小企業者は総額について二・二%の金利を負担することになりました。  そこでお尋ねをいたしますが、この制度の発足にあたっては、貸し付け金は無利子で所要事業費の五〇%を貸し付けすることになっていたようですが、実際は建設の単価、規模等が実情に合わないために、貸していただけるのは平均三〇%ぐらいと聞いております。そこで、今年度は事業団が設立されて、総事業費の六五%を貸し付けることになり、また基準単価も設けないということですが、実情に合った融資がそんなことでできるのかどうか、今後の見通しをひとつお尋ねいたしたいと思います。  さらに、当初計画では総事業費の八〇%を貸し付ける予定であったということでありますが、今後助成率の引き上げについて具体策を立てられておるのかどうか、この点もお尋ねいたしたいと思います。
  71. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 委員御指摘のとおり、中小企業高度化資金の運用におきましては、若干、しかし相当致命的と申しますか、制度上の欠点がございました。その一つは、いま御指摘の助成割合が低く、中小企業者は手金を五割出さざるを得なかったという点が一点。それから第二点といたしまして、名目は五割でございますが、私たち実績を調べたところによりますと、標準単価制度というふうなものをとりましたり、工事の規模で頭打ちをつくりましたり、事実上総事業費と申しますか、所要資金の中の平均して三五%程度を交付するよりいたしかたなかった、この点は御指摘のように、従来の高度化資金の欠点であったわけであります。したがいまして、本年発足いたしました中小企業振興事業団は、このマイナスの面を除去するというところを一つの大きな眼目にいたしておりますので、今後の運用におきましては、単価とか規模とか、こういうもので頭打ちを事実上つくって、助成の割合が事実上低下するというふうなことは絶対にないようにいたします。なお助成の比率もいま委員御指摘のとおり、五割から六割五分、これはものによりますけれども、一般のものにつきまして六五%に上がりましたので、その面と相待ちまして振興事業団によります高度化資金供給は順調にいくというふうに考えております。業界のほうでもそれを見込みまして非常な要望が殺到しておるという状況でございます。  なお助成率でございますが、名目的には委員御指摘のように、古い制度は手金が五割で国及び府県からの供給五割ということでございました。この国、府県の供給のものが六五%というのはだいぶ引き上げでございますけれども、できますならば国、府県の助成比率を八割程度に引き上げたいということで、振興事業団設立のときには種々努力をいたしたのでございますけれども、何ぶん国の財政資金のほうにも限度があることでございまして、六五%でやむを得ず発足したわけでございます。さしあたり来年度もこの助成比率でまいりますけれども、今後この制度の運用を見まして、この点につきましてもし改善する必要がさらにあるということでございますならば、さらに努力をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  72. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いまの長官のお話を聞きますと、運用において相当是正するところもある、あるいは助成の割合について、私が申し上げたように、基準単価と相合わない点があるというようなことで、今度はそういうことのないように事業団が十分にやるだろう、またそういうように監督もしていこう、そうおっしゃいますが、私どもが最初その計画を聞いたときには八〇%貸し付けるということであったから、われわれは非常に好感を持って、そしてけっこうなことだ、これによって中小企業者が構造改善だとかあるいは集団化だとかあるいは共同化だとか協業化するということについて、これまで親心をもってやってくれる政府案に対しては、非常にけっこうな案だと大賛成をしておったが、実質的に持っていくと貸し付け単価の査定という点について、先ほどお話しのとおりに五〇%あるいは本人自身が七〇%も持たなければならぬというような差ができてきている。これは今度事業団が出発することになりましたから、いまとやかく申し上げるものではございませんが、この点については十分に御研究をしていただいて、ひとつ実情に沿うような指導をしていただき、事業団のほうとあなたのほうと十分な話し合いをしていただいて、そして十分満足のいくようにやっていただきたいと心からお願いいたしておきます。  そこで、この特別会計では毎年多額の不用額を計上しております。すなわち昭和三十八年度三億三千八百万円、昭和三十九年度に二十億六千三百万円、四十年度に三十八億七千五百万円、四十一年度に三十五億五千八百万円の不用額を出しております。   〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕  特に四十年度においては、支出済み額よりも不用額のほうが十億円も多い結果が出ております。  四十年度のその原因については当時の経済不況によって計画を延期したものが多かったといわれておりますが、その事態は、事前にある程度予測できたことであって、中小企業対策を講じていながら中小企業界の実情を反映でき得ない政府施策のあり方に問題があったのではないかと思われるが、そういうようなことはなかったというのか、そういう点も確かに少しはあったというのか、この点ひとつ御説明を願いたい。私はあえてこの問題に対して追及するという心がまえではありませんよ。これは中小企業者、零細企業者の立場に立ってお尋ねをするわけであります。そういうようなことがあるとすると——こういうような不用額が出てきた、支出額とは違った面が出てきた、これは一体どこに原因があったろうということは、もうすでに御研究になっておるはずだと私は思う。その点をひとつあなたの抱負経綸によって親切に御答弁を願いたいと思います。
  73. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 この高度化資金が累年多額の不用額を出しております。特にただいま御審査の四十年度におきましては、二十九億二千三百十二万一千円の不用額を生じておりまするが、これは、いま委員のお示しのように、一面には経済不況が非常に深刻でございまして、中小業者の設備投資意欲が減退をし、計画の中止または縮小が続出したこと、また経営が悪化いたしまして計画の繰り延べがあったことが——これは一般の経済不況があったことは事実でございますけれども、しかし、謙虚に反省をいたしまするところ、この制度そのものが制度面におきまして若干の、と申しますか、中小業者も高度化はしたいが、しかしこの制度を活用するのはどうも魅力が欠けるといいますか、この制度が不十分であるという面があったと思います。  それはどういう点かと申しますと、先ほどもちょっと申し上げましたが、助成の割合が五〇、五〇であり、これは形式五〇でございまして、頭打ち制度とか標準制度等がございまして、実質は三分の一程度の助成しかできなかったというところが、中小業者の期待に沿い得なかった点であることを謙虚に反省せざるを得ないわけでございます。   〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、そういう点を反省をいたしまして、この結果、中小企業振興事業団の発足に踏み切ったわけでございまして、また、振興事業団におきましては、単に資金助成をするだけではなくして、高度化事業に対します指導を強化しようということで、指導センターをこれに吸収いたしまして、指導事業、それから資金助成とを有機的にからみ合わせ、さらに大幅に助成率を高めるというふうなことで振興事業団制度に踏み切ったわけでございます。現在のところまだことし発足したばかりでございまするけれども、業界側のこの事業団に期待するところは非常に大きいものがございまして、前の高度化資金とは様相は一変しておりまするので、十分振興事業団を指導いたしまして、業界の期待にこたえてまいりたいと考える次第でございます。
  74. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 時間がないから早くやめよやめよと言われますので、簡喜にやっておきますが、この検査報告に指摘されている不当事項によりますと、悪質な二件を除いては計画変更の届け出がおくれたためとか、貸し付け対象の判断を間違ったとか、比較的単純な、毎年起こり得るような問題であると思われるが、この原因は窓口機関指導体制にあったのではないかというようなことを私は考えるのです。あるいは府県通産局の指導体制はどのように行なわれているのかという点についてほんとうは御説明を願いたいのでありますが、時間がないということでありますのでこれを打ち切りまして、さらに、都道府県に設けられる総合指導所についてお尋ねをいたしておきたいと思います。  四十一年度に十六府県一市、四十二年度に十八府県二市、四十三年度には十二府県三市の計画で設けられることになっておるが、この特別会計が三十八年に始まっているのに、指導所の設置が今日までおくれていることは資金の活用に十分な措置ができないことが原因ともなっておると私は思うが、その理由はどういうわけでこんなにおくれているか、その点だけひとつ長官から御答弁を願いたい。
  75. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 中小企業の高度化に対しましては、診断指導が非常に大事でございまするので、診断指導制度は逐次逐年拡充をいたしまして、府県で行ないますもの、あるいは府県の公設試験研究機関で行ないますもの、あるいは商工会議所、商工会等を使いますもの、あるいは民間の診断指導協会等を活用いたしますもの、逐年これを拡充してまいったわけでございますが、先年先生御指摘のとおり制度を拡充いたしますとともに、次第にこの諸制度間の有機的な連絡をとり、さらに、集中して強化する必要ができたもので総合指導所を設けたわけでございます。いまお話しのとおり、この三年ばかり毎年ふやしてまいりまして、来年度をもちまして各府県、所要各市に設置が終わるわけでございますが、設けてみますると、これは非常に有効でございまして、いろいろな診断指導制度で中小企業の諸施策、各府県で行ないますもの、通産局で行ないますもの、商工会議所、商工会で行ないますもの等、こういう各種の施策が、指導所で非常に有効に総合されております。私たちいま反省いたしますのに、御指摘のようにもっとすみやかにこれを設けることに踏み切るべきであったというふうに考えておるわけでございます。ますますこの総合指導所の拡充、活用を考えていきたいというふうに思う次第でございます。
  76. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 よくわかりましたから、その計画どおりに四十三年度の十二府県、三市、これはすみやかに実施していただいて、そして総合指導をしていただきたい。そうすると、資金の活用面が非常に円滑にいくと思っております。これは私は協力的な立場で申し上げることでありますから、どうぞひとつ誤解のないように、そしてほんとうに零細企業中小企業者のために、机上プランでなくて、実質的地についた運営のあり方、運用のあり方、指導のあり方をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  77. 鍛冶良作

  78. 華山親義

    華山委員 昨今外貨収支の問題が非常に心配されているわけでございますけれども、現在ベトナム戦争による特需、そのためのドルの流入といいますか、輸出というものは、どの程度のものであるか承っておきたい。
  79. 原田明

    原田政府委員 特需は、三十五年度四億二百万ドル、三十六年度三億七千三百万ドル、三十七年度三億六千三百万ドル、三十八年度三億三千九百万ドル、三十九年度三億一千四百万ドル、四十年度三億五千四百万ドル、四十一年度四億八千八百万ドルでございます。これはわが国の特需の総額の外貨受け取り額をあらわしております。したがいまして、これがベトナムという現在行なわれております事態に関連してどのぐらいあるかという判断は、この数字だけからは非常に困難なわけでございます。ただ、三十五年当時四億二百万ドルございましたのが四億八千八百万ドルに六六年度ふえておるわけでございますので、それで見ますと、約一億ドル足らず、八千八百万ドルぐらいふえているという勘定になります。ただ、この中身を見ました場合に、円セールと一般に呼ばれておりますが、国内で円で、たとえばカメラでございますとか、そういったものを売っておるという特需が非常に増大をいたしております。たとえば四十年度に比べまして円セールが八千五百万ドルふえております。いわゆる軍の預金というのはそれほどふえておりませんので、どちらかと申しますと、そういうように特需がふえたという形ではないかと思います。したがいまして、特需が一億ドル足らずぐらい去年度でふえたという分のうち、どのぐらいがベトナムに関してふえたかというのは非常に困難でございますが、まあそのうちのかなりの部分程度はベトナムに関連してふえたものであるという想像ぐらいはできるのではないかと思います。  それから、輸出のほうでございますが、南ベトナムに対します輸出は、六四年、六五年がそれぞれ三千四百万、三千六百万でございましたが、六六年度一億三千八百万になっておりますので、ここで約一億ドルの増加を見ております。その近隣の諸国でございますが、香港あたりも同様に約七、八千万ないし九千万程度の増加を見ておるわけでございます。タイが八千万ドルぐらいの増加を見ております。しかしマレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシアあたりはわが国の全体の輸出の伸びに比べますと、むしろ伸びが減っておりまして、したがいまして、その意味からも、特に影響があったというふうに考えられませんので、このうちどのぐらいがベトナムに関連をしてふえたかという推定をいたさなければならないことになります。これはなかなかむずかしい推定でございまして、いろいろこういうベトナムという重要な問題についての影響考えます場合に大事なことでございますので、私どものほうでも検討はいたしておりますが、まだはっきり、大体このぐらいであるという数字を出すまでには至っておりませんが、まあ輸出と特需と合わしても一億から二億ぐらい程度、ベトナムによってふえている分がないとは言えないかもしれないというぐらいの感覚を持っております。
  80. 華山親義

    華山委員 いろいろな説があるようでございますけれども、結論的にいうならば、ベトナム戦争によりまして一億ないし二億ドルの特需がある、輸出がある、こういうふうにお考えになっているわけでございますね。結論的にはそうなりますか。
  81. 原田明

    原田政府委員 南ベトナムに対する輸出が増大いたしました原因にも、南ベトナム自体の外貨収入が好転をいたしましたとか、その他向こうの経済政策に関連をして輸入制限が緩和されたというような事情があってふえた分が相当に大きいと考えられます。また、香港あたりにつきましても、中継貿易の発展でございますとかその他の事情もかなりありますので、そういった向こうのものを全部ひっくるめまして大体その程度である。したがって、そのうちから南ベトナムの分が幾らあるかということはまだなかなか確定はしにくい段階でございます。
  82. 華山親義

    華山委員 お答えになったことと私の質問とでちょっと違ったということでございますけれども、総括いたしまして、これはベトナム向けもありましょうし、香港その他の近辺のものもありましょうし、 アメリカのベトナムものもございましょうし、そういうことを全体をくるめまして、大体どれぐらいということは推計をなすっていらっしゃると思いますけれども、推計はございませんか。いままでおっしゃったことは、結論的にはどのくらいになりますか。
  83. 原田明

    原田政府委員 非常にいろいろ検討はいたしておりますが、政府といたしまして、この程度という数字を申し上げるぐらいの信憑性といいますか、自信のある数字は持ち合わせておらないわけでございます。
  84. 華山親義

    華山委員 政府として信憑性のあることは申し上げかねるということでございますから、信憑性のないものをここでお答えになったってしかたがないことでございますが、大体あなたのお話を前から聞いておりますと、四億ドルないし五億ドルのものが入るのじゃないですか。外貨の収支面において日本がよくなっているのじゃないですか。どうでございますか。
  85. 原田明

    原田政府委員 世間でいろいろ試算をされて、新聞あたりにそういう報道が出たこともないではないというように記憶いたしますが、実際調べてみますと、先ほど申し上げましたような数字で、ベトナムということに関連をしてふえた分はそれほどは多くないのじゃないかというふうに考えております。
  86. 華山親義

    華山委員 まあこれ以上お聞きしてもなんでございますが、私は、しかし、通産省といたしまして、いまベトナム戦争で特需がある。このベトナム戦争は政府も言われるとおり、世界平和のために早期に解決されなければいけない。その解決された際に一体どういう影響があるか。そういう前提を持つならば、一体いまどのくらいのものがあるのか、こういうことが、私は推算がなければいけないと思うのです。私は、推算がない、信憑すべきものがないというふうなことは怠慢といわざるを得ないと思う。おっしゃらないならしかたございませんけれども、それだったならば、これは朝鮮事変が終了した際に、日本経済界は非常に混乱を来たした。問題があのような程度のものであるかどうか私はわかりませんけれども、私は、相当の、それは一時的にすぎないかもしれませんが、混乱をあるいは不況をもたらすんじゃないかと思うのです。これは外貨がこれだけ入っているということのためには、これの経済効果がこれの三倍ぐらいになるんじゃないか、そういうふうなことを考えますと、日本経済に大きな打撃をもたらす、混乱をもたらす、こういうことになると思いますけれども、あなた方は、先ほど大臣の言われたとおり、日本の工業力はもう基礎がしっかりしているので、そんなことでは決して動揺するものではない、こういうお見込みでしょうか。
  87. 原田明

    原田政府委員 先生御指摘のとおり、韓国動乱の直後特需が大幅に減りましたときには、わが国国際収支ないし経済に大きな影響があったという点、お説のとおりでございます。したがいまして、もし同じような影響が、特に現在輸出の先行きの環境必ずしも芳しくないというときにおきまして繰り返されるということになれば、これは非常に重大なことでございます。その意味におきまして、私どもも現在のベトナム戦争がもし終わったというときの影響その他についていろいろ検討いたしております。その結果、まず韓国動乱当時の特需の収入が日本国際収支全般についてどのくらいのウエートを持ったかということを見てまいりますと、昭和二十五年に輸出が九億二千四百万ドルしかないところに特需が二億五千九百万ドルございます。二十六年が輸出が十四億ドルに対して特需が六億七千七百万ドル、二十七年が輸出が十一億六千万ドルに対して八億一百万ドル、二十八年が輸出十二億四千万ドルに対しまして特需七億六千百万ドルでございます。したがいまして、輸出規模が現在百億ドルに達しておりますのに比べて十億ドル内外、十分の一内外という非常に低い水準でございました割りに比べまして、特需はピーク時八億という非常に高い金額に達しましたので、この特需がなくなるということは非常に大きな影響があったと考えられます。ところが現在は、御承知のとおり輸出が百億ドルをこえてまいりまして、しかも特需は、コンスタントに四億ドルないし三億ドル、三億五千万ドルぐらいあったところが、このベトナムで先ほど申し上げましたように五千万ないし一億ドルぐらい、ベトナムだけではないかと存じますが、ふえておるという程度で、特需の規模としてはまだ五億ドル程度内外ということでございます。したがいまして、国民経済ないし貿易規模に比べて特需の持つ比重というものがもう韓国動乱の当時と比べますと非常に減ってまいっております。その意味で、確かに影響はないというふうに断定はできないかと思いますが、わが国貿易ないし国際収支にこのために非常に致命的な影響が加わるというふうなことにはならないのではないか、かように考えた次第でございます。
  88. 華山親義

    華山委員 致命的にはならないかもしれません。しかし現在、特需が五億ドルとかなんとかということで非常な影響を受けるわけです。そういうふうな状態。しかもイギリス及びアメリカ経済力というものは朝鮮動乱のときよりも落ちている、あそこからのいろいろな援助というものを期待することができない、そういう事態において日本のようないますれすれの国際収支の状態において、おっしゃるように四億とか五億とかの輸出減ということがあるならば、私は大きな問題だろうと思うのです。もちろんそれにつきまして多少の輸入減もあると思いますけれども、軽視すべき問題じゃないのじゃないか。  それで私の憂えるところは、そのような事態がいつ起きるかわからない、われわれはできるだけ早くこれに対して、ベトナム戦争は終わってもらいたい、その際日本経済にどういう影響があるか、あなたはそうたいしたことはないだろうと言うのですけれども、私はたいしたことはないだろうというふうなことは、現在の日本国際収支の状態を見るならば心配すべきことじゃないかと思う。それでベトナム戦争が終わったときの日本産業に対する影響ということについて、たいしたことはないと言って手放しで楽観をしておられるのか、これについて打つ手を用意しておられるのか、どうなのか、打つ手を用意しておられるとするならば、その打つ手を教えていただきたい。
  89. 原田明

    原田政府委員 確かに、現在、特にポンド切り下げ以来外貨準備あるいは国際収支の問題をめぐりまして、数億ドル輸出減ないし外貨収入減というものが非常に重要な意味を持っております。したがいまして、私どもはこのベトナム特需の問題を決して軽視しているというわけではございません。このためにはやはりふだんから各産業ないし輸出産業がベトナム特需が終わっても続けられるような通常の輸出体制というものを確立をする、ベトナムの特需だけに売っているというだけで生活をしているということではなくて、同じ商品は輸出に売れている商品でございます。またベトナムということから市場開拓が行なわれたという面もあろうかと思います。そういう努力を通常の輸出に切りかえまして、海外でも市場開拓をし、国内でもそういう向こうとの輸出のチャンネルをつける場合でございますとか、あるいは輸出生産の体制をそういうほうに切りかえる準備でございますとか、そういう方向をふだんから整えられまして、特需が切られたのであすから直ちに注文がとまったというショックを受けないようなふうに、通常の輸出という形に切りかえて伸ばしていかれるような体制をとっていただくように、かねてから皆さまに申し上げ、いろいろ警告も差し上げる、しかしそれだけでも十分でございませんと思いますので、ものによりまして特に特需が多いというような商品につきまして、直接業界の方などともお話をするような機会を持ちまして、努力をしております。これからもそういうふうな努力をしてまいりたい、かように考えております。
  90. 華山親義

    華山委員 特需がストップした段階になりますと、いろいろな貿易商社にも大きな影響があると思います。中小企業にも影響があると思います。大企業、生産企業ばかりではないのでございまして、私の記憶によればベトナム戦争が終結をするであろうというふうな風説が流れた場合に株式は暴落をしている、その事実は生じなかったのでございますけれども、そのときに株式は暴落をした。ほんとうにそういうことが起きたら、私は株式界をはじめとしまして、日本には大きな波紋が出るんじゃないか、それを心配するから私はいまから準備をしておくべきじゃないか、こういうことを申し上げておるのでございますけれども、私は、いま大臣いらっしゃいませんが、本格的に乗り出すべき時期じゃないのか、話をしております程度じゃだめなんじゃないのか、そんなふうに私は考えるのでございますが、政務次官からひとつ政治的な立場から御答弁を願いたい。
  91. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 華山委員の御趣旨十分に理解いたさなければならぬ問題でございまして、いわゆる備えあれば憂いなしで、特に今後日本がアジアに占める役割りということを考えます場合、やはり東南アジアに対する開発輸入その他を中心にしました経済協力、こういった方向への転換、そのほか特需のなくなることを一日も早くわれわれも平和な国際社会という意味からいって切望いたしておるわけでございますので、それも含めてひとつ通産省といたしましても十二分に対策考えたい、このように思っております。
  92. 華山親義

    華山委員 次官のお話は抽象論でわからないのでございますけれども、そんなのはこれからそれでいいでしょうけれども、いつ終わるかわからないのですよ。私は何も別に新しい情報を持っているわけじゃありませんけれども、そんなゆうちょうなことを、理想論を言っている段階ではないと私は思う。たいへんなことが起きやしないか。起きなければけっこうなんですけれども、心配をしているわけで、私はおそらくどんなことがあったってそのことに対する混乱は起きると思う。しかし、それを最小限度にとめるだけの努力通産省としても大蔵省としても十分に御用意を願わなければいけないのじゃないかと思うわけであります。  その次に伺いますが、最近新聞等によりますと、弾丸プラントをフィリピンに輸出することを認めたということが出ておりますが、この弾丸プラントの支払いは一体賠償等特殊債務処理特別会計、この会計から出るのですか。
  93. 原田明

    原田政府委員 先生御指摘の件は、おそらく新聞で報道されましたフィリピン向けに弾薬工場が出た、その輸出承認が行なわれたということについての御指摘かと思います。これは昭和三十一年五月に調印されました日比賠償協定の付属品目表に弾薬工場が特掲をされておりまして、協定の一部といたしまして国会の御承認を受けた。それに基づきまして輸出承認が行なわれたわけでございます。したがいまして、御指摘のとおり賠償によって輸出されるものだというふうに理解をいたします。
  94. 華山親義

    華山委員 何かそのことを具体的に書いてあるのですか、弾丸工場というふうに。
  95. 原田明

    原田政府委員 はい。具体的にリストにはっきり弾薬工場と載ってあります。
  96. 華山親義

    華山委員 そうしますと、この特別会計から払われるわけですね。
  97. 原田明

    原田政府委員 賠償の支払いの関係は私のほうの直接の担当ではございませんが、そのようになるのではないかと思います。
  98. 華山親義

    華山委員 輸出入銀行は関係ございませんか。
  99. 原田明

    原田政府委員 関係ないと思います。
  100. 華山親義

    華山委員 新聞等によりますと、何かこの後はフィリピンの治安に関係することにだけ使うのであって、戦争目的には便わないという条件がつけてあるというふうに書いてありますが、そのとおりですか。
  101. 原田明

    原田政府委員 三十九年の八月にフィリピン国のマカパガル大統領から総理大臣あてに親書が参りまして、本件プラントの製品につきましては国家警察だけに使用して、治安維持等に用いるものであるということが確認されております。
  102. 華山親義

    華山委員 書いてあるとおりになるだろうということで承認したわけでございますね。何かそのときに政府からまたあらためてそういう条件でもつけたのですか。
  103. 原田明

    原田政府委員 大統領の親書でございますので、そのとおりであると理解をいたしました。
  104. 華山親義

    華山委員 そのプラントの能力を聞きたい。どのくらいのたまをつくる能力がありますか。
  105. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。年間生産で千五百万発程度の生産能力がございます。
  106. 華山親義

    華山委員 防衛庁からおいでを願っておりますが、防衛庁が国内及び国外から調達するところのいわゆる弾丸は一体どのくらいございますか。これは、小銃弾でしょうね、警察ですから。
  107. 生田豊朗

    ○生田説明員 契約ベースでございますが、防衛庁の調達いたしますいわゆる銃弾、これは小銃、拳銃、軽機関銃の弾丸でございますが、四十一年度で約二千六百万発でございます。
  108. 華山親義

    華山委員 これは防衛庁では外国からもお買いになりますか。
  109. 生田豊朗

    ○生田説明員 最近は全部国産でございます。
  110. 華山親義

    華山委員 日本の自衛隊があれだけの力を持ってあれだけのことをやっておるのに二千六百万発で間に合っておる。フィリピンが警察のために千五百万発といったら計算が合わないじゃないですか。これで警察だけだとお考えになったのですか、通産省日本の自衛隊が使うのが二千六百万発ですよ。フィリピンの警察が千五百万発だ、こんなことは考えられないじゃないですか。どういうところに千五百万発使うか。
  111. 本田早苗

    ○本田説明員 フィリピンの警察では治安維持上でございますが、海賊あるいは密輸防止等非常に広範な警察活動のために使うということで、演習等もいろいろされると思いますが、そういう意味からいきますと、三百日稼働で千五百万発でございますので、必ずしも過大というふうに考えなくてもいいのではないかというふうにも判断いたしております。
  112. 華山親義

    華山委員 機械が三百日稼働ということでございますか。あたりまえじゃないですか。どこの工場だって普通だったならばそういう計算をするでしょう。とにかく私は筋が合わないと思うんですよ。自衛隊のあれだけの部隊が日本で使うのが二千六百万発、フィリピンがどんなに治安が乱れておるか私は知らぬけれども、千五百万発使わなければいかぬ、そういうことで政府がさようでございますというのはおかしいじゃないですか。ただ大統領がそう言ったから信頼しただけで、何の保証もないんですよ、何に使われたかは。どうなんですか。
  113. 本田早苗

    ○本田説明員 マカパガル大統領が親書を日本の総理あてに出された際の事情は、特に戦争用に使わないという、用途について確認するという目的に沿うて親書が出されておりますので、大統領から治安維持用にのみ使うという趣旨の親書をいただいておりますので、この線で運用するということで判断をいたしたわけでございます。
  114. 華山親義

    華山委員 千五百万発というこのプラント、この規模は一体どこがきめたのですか。日本できめたのか、あちらからの注文でそうなったのか。
  115. 本田早苗

    ○本田説明員 フィリピン側の要請の計画でございます。
  116. 華山親義

    華山委員 一体このプラントで日本ではどのくらいつくっていますか。これはわかりませんか。通産省かどちらか……。
  117. 加藤博男

    ○加藤説明員 ただいま御指摘の点は防衛庁は外国から輸入いたしておりませんので……。現在の年産の量は、さっき防衛庁からお答えがありました二千六百万、あの数字そのものでございます。ただ、若干補足さしていただきますと、能力と実際の生産と申しますか、ものの動きとのズレという点はかなりあろうかと存じますので、直接千五百万発といまの二千六百万発を御比較願わないのが実態的かとは存じます。
  118. 華山親義

    華山委員 私の言うのは、いざというときには千五百万発はつくれるということですよ。あるいはフル稼働したら二千五百万発つくれるかもしれぬ。そういうことを言っておるのです。たいへんおもしろい資料を得ましたけれども、これ以上ここでは論議いたしません。終わります。      ————◇—————
  119. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 国が資本金の二分の一以上を出資している法人会計に関する件について調査を行ないます。  この際おはかりいたします。  本件調査のため、本日参考人として商工組合中央金庫から副理事長賀屋正雄君に御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、参考人からの意見聴取は委員の質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  121. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。吉田賢一君。
  122. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 午前中の大臣への質疑に引き続きまして、繊維工業の構造改善事業の推進に関して若干質問してみたいと思います。  申すまでもなく、これはわが国中小企業対策といたしまして最近のきわめて重要な政治課題であり、また国の施策であるわけでありますので、私どもは膨大な国費を投じ、また多くの人の動員、知能の集約をはかりまして、この事業を推進するためには万過誤なきを期して進んでいかなければならぬと思いますので、ようやく出発の途上に際会いたしましたいまの段階におきまして、気づいた点の数個につき、特に大臣に質疑いたしました問題点につきましては、なおその具体的な内容等について伺ってみたいと思います。  第一点、事業資金の三割を産地組合が自己調達することになっております。調達資金につきましては、これは大臣に向かって、各政府の資金関係金融機関等ができ得る限り協調融資をして、そして軽い条件で融資の目的並びに事業の遂行を達成し得るように積極的に御指導願いたい、こういうことを強く要請したのでございます。つきましては、商工中金の副理事長が見えておりますので、伺ってみたいのであります。  あなたのほうがこの三割の自己資金の調達につきましてはかなり御尽力になっておることは、関係者一同感謝しております。ただしかし私の指摘したい点は、ずっと広い範囲で他の金融機関にまで、つまり財投その他の政府資金が使われております他の金融機関との横の連絡もとりながら、最低の最寛大な条件で貸し付けするということが望ましいと思うのであります。大蔵省におきましてもずいぶんといろいろ御体験のある副理事長でありますので、これらの点につきましてのまず基本的な御感想を伺いたい。
  123. 賀屋正雄

    賀屋参考人 お答えいたします。  本年度から始まります繊維の構造改善事業でございますが、御指摘のとおり国の政策といたしましても非常に重要な政策でございまして、商工中金といたしましては前向きの姿勢でもって御協力をいたすつもりでおるのでございます。  そこで御指摘の本体の、つまり中小企業振興事業団から融資されます七〇%を除きました残りの自己調達部分につきましては、私どものほうに対する融資の御要請相当出てまいろうかと思うのでございます。この点につきましても、実はこの計画が各産地の産地ぐるみの体質改善計画であるとかいうようなことからいたしまして、基本的には従来その土地土地におきましてその地元の金融機関相当融資をしておったことと思うのでございます。そういったことから、できますれば地元の金融機関との協調融資ということで資金のめんどうを見るというのが最も適切な形ではないかと思うのでございます。ことにこの計画は御承知のとおり将来五年間続けられるわけでございまして、資金量も相当多額にのぼることと思うのでございます。したがいまして、お話しのように金融機関協力してやっていくということが必要であろうかと思うのでございます。お話の中に他の政府系の金融機関というお話も出たのでございますが、御承知のようにこの事業は組合を中心として行なわれる事業でございまして、政府系の金融機関が幾つかございますが、その中でも組合金融、いわゆる組織金融ということを本来の任務といたしております商工中金がこの融資に応ずるということが最も適切な形であろうと思うのでございます。結局そういたしますれば、できるだけ地元の金融機関、民間の金融機関の御協力を得まして、商工中金が協調してこの融資に臨んでいく、こういう形が一番適切ではなかろうかと思っておるわけでございます。
  124. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたのほうで三〇%の自己調達資金が完全融資できないならば、これは地元の市中銀行等の前に、政府関係機関であるそういった方面の資金、たとえば開銀とかあるいは中小公庫とかあるいは雇用促進事業団の資金とか、あるいはまた条件によりましては国民金融公庫とか、そういった方面の財投に関係するようなそういう資金を積極的に活用してはどうかと思うのですが、私は、前の別の機会に、開銀の積極的な協力——地域開発の資金があるのですから、それをしきりにおすすめしまして、それからまたさきに午前中大臣に、この点は構造改善事業の成否にかかる、つまり政府側から事業団を通じまして資金を融資する、流すということは財政硬直のおりからわりにスムーズにいくと思うのです。しかし、地元の産地の業者が初めての試み、そして来年、再来年、数年後に間違いなしに構造改善の成果がお互いの明るい未来を約束してくれるのだということになるかならぬかということは、いわば本人たちはわからぬのです。わからぬ人々が打ち込んでいこうというのですから、言うならば命がけなんです。小さな企業でも、ましてや機屋は私の見る限り零細企業が半分以上です。そういう人々は経済的な広範な知識はありません、体験はありません。そこで、そういうように重大な、いわば将来をかけていこうというのでありますから、でき得る限り政府関係のほうで相当な損害融資を実現することが私は望ましいと思う。市銀になりましたら、市銀は選別しますよ、絶対にします。市銀は普通の商業ベースでいくのですから、何も国策に積極的に協力するということは、口では言いましてもそれは政府関係機関とは違います、というのと協調していくということは私はその次じゃないかと思う。これは私も金融にはしろうとですけれども、そういう感じがするのです。その辺について、あなたのお立場は全面的に三割を引くならいいですけれども、他の多くの資金需要もかかえておりましょうし、本年度で百二十億ですか、原資をお持ちなんですね。そんなものは間尺に合うまいと思う。そうなりましたら、これはいま指摘いたしました方面の積極的な協力を求めるということに努力をしてはどうか。大臣も反対しませんから、どうでしょう。
  125. 金井多喜男

    ○金井政府委員 三割の自己資金調達につきましては、ただいま商工中金の賀屋理事長がお答えになりましたように、私ども主管局のほうといたしましても、商工中金の基本的な使命と申しますか、組合金融という点から重点的に御協力をお願いしておりますし、商工中金のほうにおきましても、ただいまの御答弁のように、こういうものこそ協調金融として商中はぜひ役に立つようにやっていきたいということで非常な御支援をいただいておるわけでございます。  しかしながら、ただいま御指摘のように、商工中金だけで全部責任を持っていただくということも実際問題としてむずかしい点かある次第でございます。そういった点から、吉田先生が、先般の七月国会におきましても、開銀の地方ワクを使うというようなことも通産省として積極的に考えたらどうかということで、私どもさっそく開銀のほうに連絡いたしまして、開発銀行のほうもできるだけ協力いたしましょう、こういう返事をいただいております。また、開発銀行に限らず、ただいまお話しの中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫、こちらのほうにも、これは御承知のように、特に中小企業金融を主に扱うようになっておりますので、そういったほかの中小企業政府金融機関にも同様な御協力を期待しておる次第でございます。
  126. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 商工中金も、やはり他の業種と申しますか、全部の政府関係金融機関ともこの種の国策遂行の要請には横の連絡をもっと総合的にしてほしい、と私どもは国会の立場から思うのです。この事業を完成するためには、通産省だけではできません。やはり労力、雇用の問題は労働省、あるいは保健、衛生、福利の問題は厚生省、あるいは教育施設については文部省、内閣全体としまして総合政策を打ち出していくというくらいなかまえでないと、これはなかなかむずかしい問題でございます。われわれとしましては、この問題をせっかく取り上げておるのですから、へたに途中で挫折しないように、出発のまぎわまででき得る限りやはり気のつく点はいろいろと指摘して申し上げて、そうして総合政策を積極的に打ち出すというほうへぜひともいってもらいたいと思うのです。そういうことがとかくわが国においては欠けておるのではないだろうかとも思います。少し極言しますと、みなばらばらになっておるのではないか。  労働省の細野雇用政策課長見えておりますね。  あなたのほうでは、雇用促進事業団の事情はわかりますね。それに関連するのですが、雇用促進事業団で福利厚生施設についての事業資金を融資いたしておりますね。そうしますと、中小企業である機屋のごときは、福利施設をするにはやはり雇用促進事業団の財投の資金が使われておるような、あの資金はいわば打ってつけの原資のような感じがするのであります。いまの構造改善は即福利施設ではありませんけれども、しかし、構造改善を進める上におきまして、特に雇用問題に入ってきますると、労務者定着の条件といたしまして、福利施設を十分にするということはいまの急務でございます。こういう観点からしましても、具体的に使途が明確になって条件が合うならば協力するということになってもいいのじゃないかと思うのだが、その点はいかがですか。
  127. 細野正

    ○細野説明員 ただいま先生から御質問がございましたように、雇用促進事業団のやっております融資でございますが、先生から御指摘もありましたように、労働力確保の基本は、事業のあるいは職場の魅力づくりにあるわけでございます。そういう意味では、先ほどもしばしば御指摘がございましたように、通常の金融ベースでいくのもなかなかむずかしいようなところまでできるだけ融資をして、おっしゃいましたような職場の魅力づくりに協力してまいりたいという考え方で運用しておるわけでございます。
  128. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 としますると、使途が明確になって、福利施設に使うということが明らかになっておれば、商工組合、産地の地場の商工組合になりますか、機屋さんの組合にも融資をする、こういうことになるわけですか。
  129. 細野正

    ○細野説明員 融資でございますので、若干融資対象についての企業内容等の審査がございますが、その点は先ほど申し上げましたようにできるだけ政策意図が生かされるような方向で融資をしたいという考えでございます。その場合に団体で借りられる場合にも融資の道を開いているのは先生御指摘のとおりでございます。
  130. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで通産省として、これは繊維局も中小企業庁も同じ立場と思いますが、商工中金の立場もいま私が御指摘申し上げましたような趣旨を生かしていただいて、さらに開発とか中小公庫とか、その他いまの雇用促進事業団等もそれぞれ貸し付けの条件に適合するということを進んで見つけて、そしてお互いに提携して融資をする、そしてなお地場の市中銀行とも提携していくというような配慮を大きくしていくということに全国的にひとつ御努力になってはどうだろうか。これはせっかく多くの地元の業界は中小公庫に大きな期待をしておるだけに、ひとつやっかいでもあなたのほうは横の連絡も進んでとって、相当責任を持ってもらいたいと思うのです。総合政策いかんといったようなことは東京でなければできません。それでいま一番大事なときですから、来年というんじゃなしに年内にもそういう手をお打ちになってはどうだろうか。この点中小企業庁としても、乙竹長官、あなたの古巣の繊維局長とが一緒になって積極的に協力してはどうかと思うが、どうでございましょう。
  131. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 繊維構造改善対策は繊維産業構造改善でございますとともに、中小企業構造改善のモデルケース、いわば第一発として打ち出されたものでございますので、中小企業庁としても全面的にこれに肩入れと申しますか努力をしてまいりたいと思います。  先生御指摘のように、各制度の連携は非常に重要でございますので、繊維の構造改善事業につきましては産地産地に指導援助委員会ができております。この指導援助委員会関係の人々が集まって大いに知恵を出し合っていくというふうな制度にもなっております。さらに先生いろいろ御指摘のほかに、民間の金融を動員する制度といたしましては、繊維の構造改善事業の業界に五億の資本金政府から出資してございます。この五億の金を保証制度の元金として活用していただくというふうなこともできるようになっておりますので、中小企業庁といたしましても繊維雑貨局及び現地の通産局ないし現地府県と十二分に連絡をとりまして、この制度が十二分にうまくいきますように努力してまいりたいと思います。
  132. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 自己資金の調達の問題につきまして、おりからの財政硬直化から、第一年ないし第五年間のそれぞれの予定といいますか、予算的な割り当ての計数も当初出ておったようでございますが、第一年、本年度には八%ですか、以下しかるべく割合が出されておったようでございますけれども、これは現下の財政状況からいたしまして相当手きびしく批判もされていくのではないかということも懸念されます。この点は私も大臣に強く要請をしたのでありますが、具体的に四十三年度は幾らの資金需要につきましての話し合いを進めようとしておるのか、何%しておるのか、次に三年、四年、五年と大体どういう割合にするのか、この点についてひとつ局長から御答弁を願っておきたい。
  133. 金井多喜男

    ○金井政府委員 全体といたしまして、御案内のように五カ年計画で綿スフ、絹人絹両織物業界に対しての資金は、大まかに申しまして約千三百億必要でございます。本年度は御指摘のように初年度でございます。しかし事業団の発足も八月に持ち越されます予定でございましたので、全体の八%でございましたが、第二年度すなわち四十三年度におきましては、当然五カ年の五分一すなわち二〇%の資金が最小限度必要でございます。そういった全体の二割の融資につきまして、一般会計並びに財政投融資含めまして大蔵省に予算要求を出しております。御案内のように財政硬直化というような問題から——私とも前年度等の予算折衝のいきさつから申しますと、幸いにして関係省におかれてもこの繊維の構造改善計画につきましてはぜひ五カ年でやらなければいけないという精神は十分承知していただいておると思うのでございますけれども、昨今の情勢からまいりますと、この辺につきましては、私ども繊維雑貨局といたしましてもなお今後とも大蔵省関係方面に十分なる連絡をとって、所期の目的どおりの二〇%を確保したい、このように思っておる次第でございます。
  134. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 速度を早めまして、転廃業問題につきまして伺います。  転廃業をスムーズに行なわしめるということは構造改善事業完成への重要なかぎでないかとさえ私は考えております。そこで転廃資金、廃棄買い上げの資金につきましては、業者の負担の分等もあるので、簡単に上のせ廃棄などによりまして解決することも困難であると考えられます。そこで現状といたしまして、特に先染めの産地のごときにおきましては、相当な数量の転廃を希望している向きがあるらしく思います。いまだ表には出しておりませんが、表へ出しますならば休業となり閉鎖となる。そうすると解雇手当も必要である等々、負債整理も必要になるかもしれません。そういう状態になっていないで、運転をしながら転廃をする意思をきめておるという向きもかなりあるように私は現地で見ております。こういったことがありますので、転廃をスムーズに行なわしめるということはこれは非常に重要なことになるのでないか。もしこれを冷淡に扱いましたならば、それではよろしい、転廃いたしません、そのかわりに五十台の織機がありますが、解雇手当も出せぬから三台ずつ皆さん貸しましょう。そして無償で貸しますから、二十三円のギンガムの工賃は十八円で織ってください。よろしい、そのほうが労働賃金よりもよろしいというようなことにでもなりましたならば、逆転して零細化する危険がある。とんでもない時代逆行になる。こういうようなことさえ懸念するわけでございますので、微妙な問題を含んでおりますから、この際転廃業対策につきましては従来の考え方からさらに一転いたしまして、補強的、補完的な施策を打ち出すというくらいにせられて、転廃がスムーズにいくような御方針をすみやかに立てる必要があるのじゃないか、こう思います。いかがでしょう。
  135. 金井多喜男

    ○金井政府委員 織布業の構造改善につきまして幾つかの柱がございますが、その一つといたしまして御指摘の転廃業対策という点につきましては大きく取り上げている次第でございます。御案内のように、これにつきましては特別に国から半分の補助金を出しまして、その織機を買い上げることに相なっておる次第でございますが、これは御案内のように、産地の構造改善の組合が各地にまたがっておりますので、その点組合によりましては多少実際の転廃の申し出に対して不足ぎみである。また、まだはっきりわかりませんけれども、当然ある組合におきましては多少予定よりも少ないというように、いわゆる産地においてでこぼこというようなものが出てくるんじゃないか。その辺につきましては私ども今後とも工業組合連合会等を指導いたしまして、その辺でこぼこがうまく調整できるように努力を続けてまいりたい、このように思っております。  それからもう一つ、上のせの廃棄の問題につきましては、地区の構造改善の組合におきまして、理事長なり事務局等におきましてその辺円滑にいくように、十分指導してまいりたい。結論的には、御指摘のように、せっかく構造改善をやるのに、それと逆行して企業が零細化するとかというようなことのないように改善の努力をいたしたい、このように思っております。
  136. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ある一つの便法といたしまして、表向きまだ廃業はしていない、休業はしていない、けれども転廃の意思あり、そういうような工場に対しましては特別な融資の道をつけて、そして転廃の道を開いてやるということも一つ方法ではないだろうか。融資はどうすればいいか、こういうことになりましたら、県段階で適当におまとめになるのも一つ方法でないだろうか。原資につきましてはひとつ本省、そしてさきに指摘いたしましたような諸金融機関との間でお話し合いになって道を開いていくというのも手じゃないだろうか、こういうふうに思います。すでにそういうような起案もしておるような向きも相当あるようでございます。この点いかがです。
  137. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 先生いまお話しのように、単に上のせ廃棄という制度のみならず、これを補強するような制度を考えろというお話でございます。ごもっともでございまして、私たち織布の構造改革のみならず、中小企業、ちょうどいま転回点に立っておると思うのでございますが、日本中小企業の姿が大きく変わっていきます場合に、もちろんどういう仕事に変わっていくかの判断は中小業者がするわけでございますけれども政府当局といたしましては、これに対して転換がスムーズにいくような助成措置を講じたいということでございます。四十三年度から中小企業金融公庫に新しい特別貸し付けの制度を設けたいということで、いま大蔵省と折衝中でございます。これは業種転換のために特別のワクをつくりまして、金利も特に安くいたしまして、転換をしようという場合に新しい業種を開設するに必要な資金を供給していきたい、こういうふうなことを考えております。その場合に、先生御指摘のように、従来の仕事を完全に廃業したのでなければ貸し付けないというふうなことになりますとなかなかうまくまいりませんので、御指摘のように、とにかく一応前の店はしめておく、次に新しい商売を始めるという場合にも融資ができるように改良する必要があるというふうに思います。
  138. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 人手不足、雇用問題でありまするが、これは昨日大阪におきまして労働組合の全繊同盟がいろいろ研究会をやっておったようでございますが、日本紡績協会などの繊維四団体も賛成の態度を表明したというように伝わっております。私も確認したのでありますが、そのとおりだと言っております。  要するに今後の問題といたしまして、どのように労働者の定着率をよくしたらいいであろうかというような点、一般にすべての労働者、特に繊維労働者に対しまして社会認識の改善をする方法はどうか。高卒者の現場労働部門への採用の問題、あるいはまた少し計画的に四十六年までの業種別の雇用の見通しというものも立ててみてはどうか、こういう点についての問題点はどこにあるか、こういうことを総括してそれぞれの部門でひとつ研究しようじゃないか、こういうふうな真剣な取り組み方ができておるようであります。  なおまた、いま御案内のように、韓国においては一カ月五千円で労働者が雇用し得るのでございますし、開発途上国における労賃の安いことは申すまでもございません。そういった方面からの労力の逆輸入ということが起こることがあり得ないかどうか、あるいはまた構造改善につきましては相当自動織機が入ってまいりますのですが、一体いまのような技術水準でいいのかどうか、もっと技術者を積極的に養成する必要があるんではないか、あるいはまた中卒は次第に減少態勢をたどっておりますことは申すまでもございません。一方また高卒に切りかえようといたしましても、高卒者の若年労働が小さな繊維労働に定着することは、ちょっといまの条件では考えられないということになってきますると、ここで労働対策、雇用対策、労務不足対策、こういったものは根本的に研究しなければいかぬのじゃないか、こう思うのであります。ひとつずばっと労働省でこれらに対しまする案があるのかどうか、また研究しておられるのかどうか、この点はひとつ労働省の雇用政策課長、あなたのほうで御説明してください。要点だけでよろしゅうございます。
  139. 細野正

    ○細野説明員 ただいまいろいろ御指摘ございましたのですが、結局繊維関係産業のあり方自体といたしまして、たとえば過当競争で、その結果もろ倒れになるということはたいへんでございますので、そういう意味で通産省の今後の産業政策のお立場等よく御相談をしながら、いまいろいろ御指摘のございましたような問題について、私どものほうでもそれぞれ中央で処理すべきもの、現地でいろいろ御協力しなければならぬもの、いろいろございまするけれども、それぞれについて改善の方向で御協力を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  140. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この点はやはり労働省一個でお考えになるのでなくして、通産省とも十分御協議になって、ひとつ具体的な対策をすみやかにお立てになることを強く御要望申します。  それから織機問題でありまするが、これは先般スイスのバーゼルでかなり大じかけな織機の展示会ができたようでございます。現地を視察した人の話を直接私は聞いたのでございまするが、やはり将来機能の優秀な機械が入ってくるという点が一つと、ただしたとえばかりにスイスあたりからあるいはヨーロッパの諸式の織機を入れて、そして無シャトルの機械を据えつけるというふうにいたしましても、高いのは五百万円以上一千万円もするものさえあるのでございまして、三百五、六十万円以下ではなさそうでございます。というようなことになってきますると、いまのような実情ではまた日本にはなかなか向かぬのじゃないかという心配をする向きもございます。さりとて内地におけるいまの自動織機でも、相当これは経費が高くつくようでございまするが、この織機の切りかえの問題も相当真剣に取り組んでいきませんと、メーカーとのいろいろな御協議もありましょう、競争もありましょう、外国とのそういう競争も生じましょう、操縦をするという技術もありましょう、資本もありましょう、等々ありますけれども、結局自動織機に切りかえるという問題は、価額、方式、機能、技術、資本、そういうようなものがみんなからんでここにいきますので、何としても重要だ、こう思います。でありまするので、もっとこれは安くいく方法はないのであろうか、安く手に入る方法はないだろうかというふうにもしろうとながらちょっと考えるのでございます。先般この点も御指摘申したのでございますけれども、やはり日程にのぼって非常に頭を痛めておるのがこの実情らしいのであります。これについて通産省において何か新しいお考えでもございませんでしょうか。
  141. 金井多喜男

    ○金井政府委員 御指摘のように、せっかく構革をやりましても、世の中は、織機の技術は日進月歩でございます。あまり急ぐあまり、ただ目先のことだけ考えるというのでは、せっかく大規模の構革をやりましても効果が非常に少ないわけでございます。そういった点から私どものほうも、まさに先生御指摘のように、せっかく構革をやる以上は、それが長期にわたって役に立って、この構革が日本の織布業について起死回生の策となるよういろいろ指導しておるわけであります。具体的に織機の技術開発等につきましては、私ども指導によりまして、織布業界と繊維機械メーカーと絶えず会合等を持ちまして連絡を密にさせておる次第でございます。  御指摘のように、織機によっては非常に高額な織機もございまして、そういった点あるいは中小企業の負担にたえないような点もございますけれども、私どものはうは、基本的にはそういう長期的に構革をやった以上技術的にも日本の織布業が安定できるという方向に持ってまいりたいと思っております。その点、せっかくバーゼルの展示会にも日本の中小織布メーカー、織機メーカーたくさんまいっておりますので、近々そういった点についてのみんなの知恵等も合わせまして、中小企業向きでもってしかも優秀な自動織機を据えつけるようによく指導してまいりたい、このように思っております。
  142. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 時間がなくなりましたので、なおまだありますけれども、きょうはこの程度にいたします。
  143. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 参考人には、お忙しいところ調査に御協力を願いましてありがとうございました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十二分散会