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1967-12-20 第57回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十二月二十日(水曜日)    午前十時二十五分開議  出席委員    委員長代理理事 砂田 重民君    理事 大久保武雄君 理事 木部 佳昭君    理事 福井  勇君 理事 古川 丈吉君    理事 久保 三郎君 理事 野間千代三君    理事 河村  勝君       阿部 喜元君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    大竹 太郎君       徳安 實藏君    中川 一郎君       堀川 恭平君    水野  清君       山村新治郎君    板川 正吾君       小川 三男君    神門至馬夫君       下平 正一君    内藤 良平君       渡辺 芳男君    山下 榮二君       沖本 泰幸君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         運輸政務次官  金子 岩三君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君         運輸省航空局長 澤  雄次君  委員外出席者         厚生省医務局総         務課長     上村  一君         厚生省社会局更         生課長     松田  正君         通商産業省重工         業局次長    本田 早苗君         運輸省自動車局         整備部車両課長 隅田  豊君         労働省労働基準         局補償課長   長岡  貢君         日本国有鉄道常         務理事     今村 義夫君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 十二月二十日  委員米田東吾辞任につき、その補欠として山  花秀雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山花秀雄辞任につき、その補欠として米  田東吾君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月十四日  対馬航路改善に関する請願石橋政嗣君紹介)  (第三三一号)  同(中村重光紹介)(第四四七号)  同(馬場元治紹介)(第四四八号)  自動車の無免許運転防止に関する請願(佐々木  秀世君紹介)(第三三二号) 同月十八日  北陸新幹線鉄道建設に関する請願井出一太郎  君紹介)(第六五一号)  同(小川平二紹介)(第六五二号)  同(小沢貞孝紹介)(第六五三号)  同(吉川久衛紹介)(第六五四号)  同(中澤茂一紹介)(第六五五号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第六五六号)  同(原茂紹介)(第六五七号)  同(平等文成紹介)(第六五八号)  同(増田甲子七君紹介)(第六五九号)  新総武線馬喰町地下駅の通路延長等に関する請  願(四宮久吉紹介)(第七五七号)  大口市、出水市間国鉄バス運行に関する請願  (池田清志紹介)(第七七七号) 同月十九日  東海道線立花水堂踏切立体交差に関する請  願(永田亮一紹介)(第九四一号)  北陸新幹線鉄道建設に関する請願下平正一君  紹介)(第一一九二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十九日  川之江、阿波池田線鉄道敷設促進に関する陳  情書(第一二六号)  海上交通法制定反対に関する陳情書  (第一九六号)  奥羽本線及び羽越本線複線化電化工事予算確保  に関する陳情書  (第一九  七号)  自家保障車制度廃止に関する陳情書  (第二三四号)  四国循環鉄道早期完成に関する陳情書  (第二三五号)  東京、大阪間の北回り新幹線建設促進に関する  陳情書  (第二四八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(自動車行政等に関する問題)  航空に関する件(新東京国際空港に関する問題)  日本国有鉄道経営に関する件(身体障害者旅  客運賃割引に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 砂田重民

    砂田委員長代理 これより会議を開きます。  内藤委員長本日所用のため出席できませんので、その指名によりまして、私が委員長の職を行ないます。  陸運に関する件、航空に関する件及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福井勇君。
  3. 福井勇

    福井委員 私の質問は、自動車事故自動車自体構造上における防止について、当局に二、三お尋ねするつもりで運輸省通産省両方に出てもらうつもりでおりましたところ、通産省のほうは、所管の重工業局長が病気だというのできょう間に合わなかった。そうすると、両方に関連のあることでありますので、質問片ちんばになってしまいます。そこで、私の質問は、一時間もかかりまするから、片ちんばではぐあいが悪いので、きょうは、この次に両省にまたがることについてお尋ねする前ぶれをしておきたいと思います。この次には、私のほうから通産省も必ず出てもらうというふうにしたいと思っております。しかし、その梗概はこういうことです。  自動車事故頻発の現況にかんがみまして、各方面において、自動車安全性について急速に関心が高まっていることは世間周知のことでありますが、自動車工業会においても、この問題について前向きに取り組もうとする動きが特に認められております。これは当然のことでありますが、この際は当局において——これは運輸、通産の両方をさして当局と私は言っておるわけですが——これらに対して急速な手配と解決に向かって明確な態度を示されることが必要であると考えるので私は質問したいと思っておるのであります。  とにかく、自動車か急速に国民の間に普及し尽くそうとしておるやさきでもあり、国民一般の足ともなっておりますので、交通取り締まりの強化や交通安全運動など、つまり、自動車の外側の事柄については相当いま国民一般とともに注意が強化されてきておりまするが、その事故防止対策についても、これはもう官民一緒になってやらなければならぬことは当然であります。そういう大きい問題のうちの一つ一つを尋ねたいと思うのでありますが、特に私は、自動車自体に関連する安全施設整備、できるだけ事故を起こさないような、また、かりに事故を起こしたとしてもできるだけ被害が軽くなるような車の構造にすること、たとえば安全ベルトはどういうふうに取りつけるべきかとか、自動車構造上の安全化こそ科学的、技術的な交通事故防止対策であると考えておるわけであります。運輸省自動車局においては、相当これが研究を重ねておりまするが、何にしても、五年、十年先の解決ではこれは何にもならぬので、急いで、通産省とも協力して、この問題について真剣に取り組んでいただきたい、これが私の質問の要旨でありますが、詳細は、前段に申し上げたとおりのことで、次回の適当な早い機会に譲りたいと思いますが、幸い運輸省のほうの自動車局長が見えておりますから、所感の一端だけでも述べていただきたいと思います。
  4. 原山亮三

    原山政府委員 お話自動車構造上の問題でございますが、従来からもわれわれとしましては、道路運送法車両法並びにそれに基づきます保安基準にのっとって自動車構造の面の保安確保について努力してまいったわけでございますけれども、今後とも道路環境変化等を加味しまして、その変更について努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  5. 砂田重民

  6. 中川一郎

    中川(一)委員 私はいままた問題になりそうになっております福島交通の問題について、二、三運輸省見解をお伺いしたいと思います。  先般日本全国を驚かせるような会社解散、あるいは全員解雇というような問題が起こったのでありますが、その後当委員会から現地調査をいたしまして実態調査するとともに、善後策を講じなければならないと言っておったときに、会社は再度やるんだということでほっといたしたのでありますが、その後また数多くの首切りをやるというところから端を発しまして、この二十二日からストライキ会社側はこれを受けて二十三日からはロックアウトをするというようなことも承っておるのでありまするが、まず運輸省当局から、その後の福島交通の、福島県民に対する足の確保という点からいってどういう状況になっておるか承りたいと存じます。
  7. 原山亮三

    原山政府委員 福島交通労使紛争はずっとことし夏ごろからございましたですが、最近十一月二十八日に百四十六名の解雇予告通知会社側で出しました。それから十二月二日にも百五十名の解雇予告を出している。それに対しまして組合側のほうとしては、スト予告を二回にわたっていたしておりまして、十一月四日以降やるということと、それからこの大量解雇に対しまして、十二月二十三日以降やるというふうな二つのスト予告をやっております。会社側のほうでは、やはりそれに対しましてロックアウトでもって対抗するという通告をいたしておりますが、現在わかっておりますところでは、十二月二十二日に二十四時間の全面ストをやるというふうなことをいわれておりまして、それに対しまして会社側のほうで二十三日以降ロックアウトをやるというふうなことでございますが、それでわれわれのほうとしましては、この問題につきましては労使間の紛争の問題でございまするし、直ちにこの問題について手を打つということについては、いろいろの労働法上の問題もあろうと思いますので、原則的には、第一義的には労使間の自主的な調整が行なわれるべきだというふうに考えておるわけでございますが、先ほどお話しのように、今度の紛争相当長期間にわたるというようなおそれもございますので、そういう場合におきましてはわれわれとしても、その足の確保問題等につきまして真剣に考えなければならないのではないか、かように考えております。
  8. 中川一郎

    中川(一)委員 いま局長お話では、労使問題である、労使問題に不当な介入をするのはどこかちゅうちょするところはあるけれども、足の、輸送の確保については努力してまいりたい、こういうお話であります。実は福島交通は札つきでありまして、昭和三十九年にも問題を起こしまして、当時江藤委員ほか現地に参りまして、参議院の運輸委員会において、すなわち四十年十月二十八日の運輸委員会において質問をいたしております。こういう会社に対しては特別の措置を講じなければならぬのではないか。それに対して運輸大臣は、当時の中村寅太大臣答弁、短いからちょっと読み上げます。「福島交通の問題は、福島交通を通じまして福島県民にかなり不便を与えるとか、あるいは不安を与えるというような点があるようでございますし、いま会社経営実態は、いま局長が報告いたしましたようなことでもございますし、皆さん方調査の結果等によりましても、いろいろ問題を含んでおるようでございますから、すみやかに検討いたしまして福島県民利便をはかっていくことのできますような方向善処してまいりたいと存じます。」こういうふうに言っておるわけです。これに基づく、福島交通に対して善処してまいるというが、どういう善処をしてきたのか、運輸省当局福島交通に対してやってきた善処の過去の実績について、約二年以上たつわけですから、その点を承っておきたいと存じます。
  9. 原山亮三

    原山政府委員 福島交通は従来から労使間の紛争が絶え間ないというふうなことでございますが、われわれのほうといたしましては、福島交通サービスなり保安確保上非常に問題があるというふうな場合におきましては監査をいたしまして、それに対しまして改善措置を講じさすというふうな態度でまいったわけでございますが、従来も過去二回にわたりまして監査をいたしておりまして、その監査に基づいて保安上なりあるいはサービス改善の勧告をいたしまして、旅客の利便確保という面で努力をしておるわけでございます。
  10. 中川一郎

    中川(一)委員 監査をした結果、どうなったんですか。
  11. 原山亮三

    原山政府委員 過去二回の陸運局監査報告によりますと、非常に成績は悪うございまして、各項目ごとにその改善措置陸運局長名で勧告いたしまして、その改善措置を講じさしております。
  12. 中川一郎

    中川(一)委員 まあいろいろあろうと思います。私どもの問題にいたしたいと思いますのは、そうやって監査をした、よろしくない点がある、いろいろ命令を発するけれども言うことを聞かない、こういう会社に対しては免許取り消しの規定があるわけです。これを発動すべきだと思うが、発動すれば会社解散をして、あるいは運行停止をして福島県民に足の確保という面で迷惑をかける、だから取り消しもできない、痛しかゆしのかっこうになっておるのじゃなかろうかと思うわけです。なぜそうなったかということでありますが、私の考えるところでは、あまりにも大きな地域と大きな路線をあの会社に与えておる、そのために何の手も出せない結果になっておるのじゃなかろうか。日本全国であれくらい大きな、一地域の六〇%も七〇%も一会社独占をさしておるような地域はあるんですか。
  13. 原山亮三

    原山政府委員 全県で独占的にやっておるような会社は他にも二、三ございます。たとえば奈良県の奈良交通とか、あるいは宮崎県の宮崎交通とか、そういうふうなものがございますけれども、まあ宮崎交通なんかは県民から非常に支持を受けておりまして、利益を地域の開発に返すというふうな措置を十分講じておりますので、独占だから必ず悪いというわけにもまいらぬと思いますけれども、しかし独占の弊というものが非常に大きいというようなものについては、公正競争をやらすというふうな方向に持っていく必要があろうかと思います。
  14. 中川一郎

    中川(一)委員 公正な競争に持っていきたい、これは大事だと思うのです。一体できるのですか、どうやってやるのですか。
  15. 原山亮三

    原山政府委員 具体的に福島の問題につきましては、新規免許申請福島地域に二社、郡山地域に一社ございます。この問題は法律に定められました所定の手続によって事案審議を進めてまいりまして、運輸審議会公聴会もすでに終わり、運輸審議会のほうにおかれまして現在鋭意慎重審議、早く結論を出すように御努力中でございます。
  16. 中川一郎

    中川(一)委員 その公正な競争に入るもう一つ前に、自動車運送に対する免許ということについては、えらい審査をして、さっき言った公正な競争をやるために出てきたのが三年も四年もかかる。それぐらい慎重審議許可をする。ところが、会社が株を買って買収をして合併をするというような場合には、非常に平易に行なわれる。たとえば福島交通は昔何とか電気鉄道とかいっておったのだそうですが、県南交通買収した。あまり適格でないものが大事な運輸事業買収することについては自由であるということであっては、この許可免許ということは非常に穴が抜けておるのじゃないか、ザルになっているのじゃないかという気がいたしますが、そうは考えませんか。
  17. 原山亮三

    原山政府委員 現在の法律上は、株式の取引についての事業法規上の規制というものはございませんので、先生指摘のとおり、現在のところは、買収株式の授受によって行なわれている実情でございますが、この問題につきましては一般的にそういう事業法規の立て方としてどういうふうにあるべきかということは、慎重に考えるべきことじゃなかろうかと思います。
  18. 中川一郎

    中川(一)委員 先ほど、ああいう独占的な大きな会社でもいいものもあれば悪いものもある、今度の場合は悪い例になるのじゃないかと思いますが、ああいったことができるならば、あれでもし福島交通が成功したとするならば、あれに類似をしたものが今後も出ないとは私は言えないと思うのです。でありますから、今後ひとつこの面についての何らかの規制措置——商法に基づいて株式売買をされる。売買をされた経営者は何をやってもかまわない。大きな足をつかんでしまって、そしてストライキに対して強く出る。運輸大臣くそ食らえ、ばかやろうと言って運輸行政の言うことは聞かぬ。これじゃもう法治国家じゃない。これをそのまま放置しておくということは絶対許されないことだと思うのです。ですから、そういうものが出てきた場合にもこれは措置できるように法改正を急がなければならぬと私は思いますが、この際運輸省当局見解を承っておきたいと存じます。
  19. 原山亮三

    原山政府委員 御指摘のような点につきましては、慎重に検討させていただきたいと思います。
  20. 中川一郎

    中川(一)委員 慎重、すみやかに、けっこうでありますが、いままでそういうことをまだ検討していないのですか。これだけの大事件があって、われわれでさえもしなければいかぬなという気持ちになっているのですが、まだいままでは検討はしていないのですか。
  21. 原山亮三

    原山政府委員 今度の十一月十二日に起こりました事件につきましての措置につきましては、現在検討中でございまして、それに対していろいろな手を考えていこうというようなことになっております。  それから新規免許の問題につきましても、これは運輸審議会のほうで現在御検討でございますけれども、われわれのほうからも最近の実情等お話しいたしまして、極力早く結論を出していただくように努力中でございます。
  22. 中川一郎

    中川(一)委員 そういう法改正による全体的な問題は、これから慎重に検討してやる、ぜひやっていただきたい。  第二番目は、とりあえず二十二日から長期にわたるストライキが予定されておる。福島県下はいまおののいておるわけです。二十七万人の足を独占しておるその会社が、長期にわたってストライキをやる。会社のほうは一カ月でも二カ月でもやると織田大蔵さんは豪語しているようであります。また組合のほうは、総評、私鉄総連あるいは福島県下の労働組合の協力をいただいて、五億円の資金をカンパしてこれに対抗しようという非常に険悪な事態であります。これに対して運輸省当局は、どういった具体的な足の確保——労使の問題でありますから、労使関係には運輸省当局は入られないことはわかりますけれども運輸行政としてまさか傍観しておるわけではなかろうと思いますが、どういった手を講じて、この事態を乗り切る対策を講じようとしておるか、承りたいと思います。
  23. 原山亮三

    原山政府委員 今回のストの問題につきましては、先ほども申し上げましたように、労使間の問題でございますし、まず第一義的には労使間の自主調整ということが行なわるべきであろうと思います。したがいまして、そういうふうな自主調整がいろいろと行なわれて、なおかつ問題が解決できないというようなときに至りまして、初めてわれわれのほうといたしましては、労働関係の省ともよく相談の上、労使介入にならないということを前提として地域住民の足の確保について検討を加えてまいる、かようなことになろうと思います。
  24. 中川一郎

    中川(一)委員 労使の争いは、過去の経験からいって相当なものだろうということは予想されるわけです。あの織田大蔵さんという人の人柄から、いろいろなことをやってきた過去の実績からいっても相当強いものである。労働組合もこの際はということで立ち上がっておるわけです。ですから、成り行きを見てひとつ措置をしたいというのでは私はなまぬるいのではないか、思い切った措置を考えて対処をしていかなければならぬというふうに思いますが、この点についてひとつ運輸省の固い決意と過去の実績に照らしての経験からの考え方を聞かせていただけるものか、あるいは聞かしたことによってマイナスがあるというならばこれはふたをしておいてもいいですが、決意があるならば聞かしていただきたいと思います。
  25. 原山亮三

    原山政府委員 地域住民の足の確保ということについては、われわれとして重大な関心がございますので、その点につきましては地元の知事さんなりの御意見等も十分聞きまして、その足の確保について措置してまいりたいと考えております。
  26. 中川一郎

    中川(一)委員 それではまた先ほどの問題に返りますが、公正なる競争をするということは道路運送法の第一条に書いてあるところです。ああいうふうに地域が三つぐらいに分かれて、大部分を一つ会社独占させるということは、公正な競争と言えるのですか。大きなものは必ずしも悪いとは言えないという答弁でありましたが、ああいうのを公正な競争と言えるかどうか。
  27. 原山亮三

    原山政府委員 現在は一社でもってあの地域をやっておりますけれども、今度出てまいりました申請につきまして、それが法律適格性を有するものであれば認められましょうし、ただ、現在やっておるものが需要を十分満たし、サービスも十分提供しているという場合におきましては、一社でもってやらすことについても法律に違反ということにはなりませんのですが、今回出てまいりました事案につきましては、そういう面を十分考えて措置したいと考えております。
  28. 中川一郎

    中川(一)委員 うまくやっていれば公平な措置ができておったと言える。それでは、今度新免が出ておるという話をいま局長から聞いたのですが、いつ出て、その審査経過はどうなっておりますか。
  29. 原山亮三

    原山政府委員 ちょっとここに資料を持ち合わせませんが、審査はことしの春公聴会が済みまして、運輸審議会のほうで現在は審査を毎回この問題について行なっておられますので、相当結論に近づいておりますので、そう結論を出すのに長くかかるとは考えておりまもん。
  30. 中川一郎

    中川(一)委員 私の調べでは、間違っておるかどうか知りませんが、申請が出たのは昭和四十年の五月十日となっております。とすると、もう二年半以上経過しておるわけです。あれほど問題の多い福島交通先ほども、監査したらよくない点がたくさんあった、あるいはストライキをやる、親子で争う、福島県では非常に問題の会社であります。それがしかも独占をしておるというのであるならば、もっと早目に審査を促進して、いいものはいい、悪いものは悪いという結論を出すべきではなかったか。どうしてそんなにおくれたのか。四十年五月に出ておるわけです。これが今日まで投げられてきておったところに、私は運輸省の間違いがあるのじゃないかと思う。もっと、いいものならいい、悪いものなら悪いという審査を早く出すべきではなかったかというふうに思うのですが……。
  31. 原山亮三

    原山政府委員 先生御承知のとおり、こういう新免許事案につきましては運輸審議会諮問いたしまして、その答申を待ちまして、その答申を尊重して免許を行なう、こういうふうな法律手続になっておるのですが、運輸審議会諮問はすでにずっと前から行なわれておりまして、運輸審議会におかれましてそれぞれ重要事案につきましては公聴会を開き、そして慎重に御討議になって結論を出されて答申を出すというふうなことでございますが、現在はその運輸審議会で御審議中でございまして、その答申を待って運輸大臣措置をするということになっております。
  32. 中川一郎

    中川(一)委員 私が質問をしたのは、諮問をする前の、なぜ諮問がおそくなったかということを聞いているわけです。四十年五月に申請が出て、四十二年の二月に公聴会が開かれておる。一年以上も公聴会が開かれるまでは投げてあった。もう少し急いで、こんな問題が起きないときに、こういうものは早く諮問をするなり、公聴会をやるなり手続を進めるべきではなかったか、少しおくれておったのじゃないかという気が私どもはするのです。これは行政ですから私たちの介入するところではないと思いますが、何か少しびくびくしておったのじゃなかろうかという気がするのですけれども、そんなことはなかったのですか。
  33. 原山亮三

    原山政府委員 申請から諮問までの間どういうふうな事情であったかについては、私ども詳しくは存じませんけれども通常申請が出てまいりまして、それを現地陸運局のほうでこまかく申請内容調査をいたすわけでございますが、その間に相当期間を要した、こういうふうに考えております。
  34. 中川一郎

    中川(一)委員 どうやっておくれてきたかよくわからぬけれどもという答えには、ちょっと不満足であります。というのは、大体バス許可というものはこれくらい日にちがかかるものなんですか。
  35. 原山亮三

    原山政府委員 事案の性格によりまして早くやるのも時間のかかるのもございますが、今回の場合は申請が三つございまして、しかも相当広範囲のものでございますので、調査には相当日時がかかったのじゃなかろうか、かように考えております。
  36. 中川一郎

    中川(一)委員 それでは端的にお伺いしますが、この申請許可にあたって、織田大蔵氏の会社福島交通による報復手段というものをおそれたことはないのかどうか。もしおそれてこれが延びたということであるならば、これは運輸行政としてはたいへんな間違いでありまして、さっき言った大きな路線を与えてしまった原因ではないか。これからバス許可をするのに、どこでもここでも、おれの会社解散するぞ、ストライキするぞと言えば新免は許可されないというような運輸行政であってはならないと思うわけですが、そういった点なかったのかあったのか、やっぱりどうも織田大蔵さんに騒がれるとこわいから少し延びておりましたという点があったのかないのか。
  37. 原山亮三

    原山政府委員 そういう点は毛頭ないと確信いたしております。
  38. 中川一郎

    中川(一)委員 毛頭ないとするならば、ひとつ、これは要望でありますが、なるべく早くやるのが当然の措置ではないか。今度出ておる会社の内容を私どもはそれほど詳しくやったわけではございませんけれども、郡山市を中心として商工会議所、市議会その他有識者が真剣に郡山の市民の足を確保するまじめな会社のようであります。もしこれがだめだというならばいたし方ありませんが、いままで公聴会もやり、審議会にもかけておる運輸省でありますから、適格な会社であると認めておるとするならば、おそれずにひとつやってもらいたいと思います。今後の運輸省当局の考え方も、聞かせていただけるものならばひとつ聞かせていただきたいと思います。
  39. 原山亮三

    原山政府委員 現在の私どもの立場上、結論についてはちょっと申し上げかねますが、運輸審議会のほうにもこの事案の促進については極力連絡いたしまして、早く結論の出るようにいたしたいと思っております。
  40. 中川一郎

    中川(一)委員 四十年の五月に出て、聞くところによると関係大臣は五代目にわたっておるそうです。五人の大臣がかわる間、書類が投げられておるということであります。こんなことは許されることではありませんし、また一方、もし許可をして足がとまるということになったことも、断じて考えないと言ったが、考えなければいけない点もあるのではないだろうか。これは逆の質問になりますけれども、それにはあの郡山交通ですか、今度出ておる以外の地域のことも行政指導として足の確保——この間織田さんが前大臣に会ったときに、全地域をやってくれるならばけっこうですということを言っておる。今度出ております郡山交通ですかのほかの地域については、どういう行政指導をされるつもりか。これは福島交通にまかせておくつもりですか。
  41. 原山亮三

    原山政府委員 現在申請が出ております郡山地域及び福島地域申請者の路線のキロ数でございますけれども、カバー率は現在福島交通がやっておる全路線キロの大体二〇%程度でございまして、したがいまして、新免のものが全部やったとしても、それ以外の現在福島交通がやっておる路線というものは八〇%が、残るわけでありますので、その辺の、もしも新免が認められた場合において福島交通がそういうふうな路線をどういうふうにするかというふうな影響等も、運輸審議会のほうでいろいろと御論議になっておるように伺っております。
  42. 中川一郎

    中川(一)委員 論議といってもちょっとわからないのですが、福島交通がやっておる分を郡山交通が今度かりにするとすれば、二割しかカバーできない。あとの八割はまたあのサービスの悪い、争議の連続する福島交通にまかせておかなければならぬという大きな悩みを持っておるわけであります。これらに対してもやはり行政指導として、たとえば福島県にはそのほかの二社があるわけです。この会社はうまくやっておるのですか。もしうまくやっておるとするならば、この辺の会社の協力も得て、福島県の全体の足の確保ということについて検討すべきではないか。福島交通以外の既存の二社があるはずですが、これはうまくやっておるのですか。
  43. 原山亮三

    原山政府委員 先生お話は、福島地域以外の、福島県といいますか……
  44. 中川一郎

    中川(一)委員 いま福島県には福島交通と、そのほか二つの会社がございますね。常盤交通ともう一つ会津乗合自動車株式会社ですか。この会社はうまい経常をやって、足の確保サービスにつとめておるいい会社であるかどうかということです。
  45. 原山亮三

    原山政府委員 御指摘のとおり、福島県の常盤交通なり会津乗合という会社でございますが、ここの二社につきましては、福島交通のように労使間の紛争が絶えないとか、そういうふうなことはございません。
  46. 中川一郎

    中川(一)委員 ないとするならば、福島交通がいままで八割やっておるうちの二割はかりに福島交通がやるとする、残った八割についてはこういう会社の強化等もあわせて考えていくべきではないですか。そうでないと二割だけは、郡山関係だけはよくなったけれども、あとの八割はまたストライキをやる、騒ぎをするというふうなことであってはならぬのではないか。この辺の、八割残った分をどうするのか。運輸審議会検討しておりますという話ですが、運輸当局としてはどんなつもりでおるのか。これはきめ手になると思うのです。やはり非常に心配だと思う。二割の郡山管轄、今度出たところだけは何とかかっこうがつくけれども、あとの八割はぶん投げられる、残酷無比といったらおこられるかもしれませんけれども、ああいったストライキの連続する、しかも年末になって足の確保ということはたいへんなことなんです。そのときに一カ月でも二カ月でも、正月にかけてやるというような会社にまかしておくということになれば、たいへんなことじゃないですか。心配をするわけです。
  47. 原山亮三

    原山政府委員 福島県の交通の問題につきましては、御指摘のとおり総合的に考えてまいる必要があろうかと思いますけれども、ただ現段階におきましては新免の処理との関係もございますので、具体的にどうこうするということを、はっきりここで申し上げることはできかねますけれども、総合的にそういうふうな処置等を検討してまいりたいと思います。
  48. 中川一郎

    中川(一)委員 それでは、もう少し突っ込んだ質問もいたしたいのでありますが、行政面でありますので、行政官庁の力強い措置を期待いたしますが、ただ、今回の問題は、あまりにも大きなところに独占企業的な経営をやらせておることが、こういった問題を起こす原因になったのじゃないか。したがって、今後許可免許にあたっては、あるいはまた株を買収するという問題については、特に法改正なり何なりの措置を講じていくべきだということを痛感いたします。運輸省検討いたしますということでございますので、これに期待をいたします。また、罰則規定というものが少しゆるいのじゃないか、この点もひとつ検討すべきじゃないか。言うことを聞かなくても、ばかやろうと言われても、運輸行政の言うことを聞かれるかと言われても、いまのところは一指も加えられない、平然とやらしておく、ここにも問題があるような気がいたします。  最後に、この取り締まり規則について、今後法改正について検討するというか、何か措置をしなければならないというふうに思うのですが、この点についてはどう考えておられるかを聞きまして、私の質問を終わりたいと存じます。
  49. 原山亮三

    原山政府委員 罰則の問題につきましては、各種事業法規とのバランスの問題もございまして、法務省とも相談の上やることでございますので、この福島交通のこういうふうな問題だけ取り上げて道路運送法だけが、事業法規の違反について罰則を、特に他の事業法規に比べて重くすることができるのかできないのか、その辺等は関係当局とよく協議しなければなりませんので、よく今後検討してまいりたいと思います。
  50. 砂田重民

    砂田委員長代理 渡辺芳男君。
  51. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 最近社会問題として大きく取り上げられておりますが、むち打ち症対策について伺います。  先日警察庁が発表したところによりますと、全国の交通事故統計によると、本年の一月から十一月まで五十九万千六百八十人の自動車事故による死傷者が出ている。そのうちの死者が一万二千三百三十三人であるということですが、この内容を検討しますと、この事故のうち五〇%程度が追突なり、あるいは衝突、側面衝突といいますか、のようであります。このむち打ち症は特に追突事故によって発生することが多いのですが、今日まで特に医療機関あるいは補償関係について明確な対応策といいますか、ことができていないような状況にありますので、特に本年の四月ごろから社会問題として取り上げられたと思うのです。被害者も非常に多いのですが、問題の中心はこのむち打ち症はその後遺症にあるわけですから、これが一そう悲劇といいますか、そういうふうな状況になっているわけです。現在これほど言われておりまするが、むち打ち症にかかっている被害者といいますか、患者が六万五千人とか、あるいは五万数千人とか新聞でも報道されていますが、一説によると十万人もいるのではないか、こういう人たちが非常に悩んでおるということを言われていますが、この治療について、特に労災の保険の適用を受けている者が現在脊柱損傷と同等の取り扱いを受けているようでありますが、これでは非常に十分ではない。しかも一年、長くて一年半くらいて症状固定、治癒したという診断書で、端的にいえば医療関係が打ち切られていく。また打ち切り補償などの関係についても、労災の関係では十二級から十四級程度が非常に多いといわれています。そういうことになりますと、金額が非常に少ないのでありますから、常に被害者が生活不安といいますか、のような状況にあるわけですが、この点についてこの医療対策、治療対策、そうして適用基準ということについて、最近問題になっておりますから、厚生省関係については、あるいは労働省関係についても検討しておると思いますが、この点についてお伺いをいたします。
  52. 上村一

    ○上村説明員 むち打ち症につきましては、簡単に申し上げますと、医学的な定義なり診断というものが非常に困難であるわけでございます。一番極端な重いものは頸椎骨打であるとか、一番軽いと申したら語弊がございますけれども、レントゲン診断なり脳波等でわからなくて、本人の主訴だけで手がしびれるとか、頭が痛いというふうなものがあるわけでございます。そういったように非常に判別、診断が困難でありますために、厚生省といたしましては、いわゆるむち打ち症だけをとらまえて医療対策を立てるということではなしに、たとえば頭部の骨折といった交通の外傷すべてを含めまして医療対策というものを取り上げてまいっておるわけでございます。  概要を申し上げますと、一つは消防法の救急医療機関として告示されております病院、診療所約三千六百ございますが、そういうものを整備しておいて、本年度からはそういった病院、診療所が共同で医療器械が利用できるような体制をつくりつつあるわけでございます。  その二と申しますのは、特に専門的な診断を要し、治療を要する者を扱うものとして、国立病院その他の公的病院を中心に救急医療センターというのを整備しつつあるところでございます。四十二年度末で三十七カ所くらいになる予定でございます。そこでは高度の器械、それから専門家というものを擁して診断、治療に当たるということにしております。  それから第三点でございますけれども、こういったむち打ち症をはじめとする交通事故による外傷につきましては、なお、診断なり治療について研究する余地がございますので、従来からも種々の研究費を使いまして研究を進めておるところでございます。  以上が厚生省がやっております施策でございますが、救急医療の一環としてこういった患者を扱っておるということに相なるわけでございます。
  53. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 あちこちになりますが、自賠の関係についてもこれは関連がありますから、自賠の関係についてどういうふうに考えられておるか。特に重症患者が私は社会的にも、また政治的にも非常に問題になると思うのです。八月から保険金額が倍額にアップされましたけれども、この点は労災のほうの関係とも関係するというか多少連係を保ってやられている法案でありますから、この点についてひとつお伺いをします。
  54. 原山亮三

    原山政府委員 自賠法の関係でございますけれども、御承知のとおり、ことしの八月に自賠法の支払い限度額の引き上げがありました。その節に後遺症の関係も、従来の百五十万円から七万円というものを三百万円から十一万円というふうに引き上げております。  それから、お話しの後遺障害別の等級表の改定でございますが、これにつきましても、労基法なり労災法の障害等級表の関係で医学の専門の方々がいろいろと御検討中でございますので、その辺の結論を待ちまして自賠の関係措置したい、かように考えております。
  55. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 この点については、率直に申し上げまして、各党もむち打ち対策委員会などをつくっておりまして積極的にいま取り組んでいるわけでありますが、中心的なものは、医療の対策整備充実といいますか、治療対策整備充実をはかることと、補償金の問題について基準を設けるといいますか、引き上げるといいますか、そういうことが中心に検討されておりますが、この点については要望いたしておきますけれども、どうかひとつ早急に検討していただきたいと思うのです。私はあまり専門家ではございませんからなんですが、先日もそうですけれども、茨城県の遺族会が都内で、バス旅行をしている途中でタンクローリー車に追突されて、二十九人がいわゆるむち打ち症にかかって被害を受けたそうですが、Aという医者のところへ行く、あるいはBという医者のところへ行く、診断書の内容が全然違う、患者がかえってノイローゼになる、これが一つ。実はむち打ち症というものは、先ほど医務局総務課長答弁されましたけれども、交通事故の被害の一環として考えておるというけれども、この点の関係の医療総合センター的なものですか、そういう権威ある医者ですね、これにその診断を願うということがまず第一番に親切なやり方だろうと思うのです。これがいま私が痛切に感じておるところです。端的にいえば、整形外科と脳神経科ですか、この関係の専門医の診断というものが特に必要なんですね。特に交通ラッシュの非常に激しい大都市周辺にこの事故は発生しておるのでありますから、大都市周辺に特に医療センターというものを急速に整備をしてもらいたい。これが私の要望なんですが、この点はいかがでしょう。
  56. 上村一

    ○上村説明員 いま先生から、むち打ち症の患者について医師の診断がまちまちだというふうなお話がございました。これは学会で、むち打ち症というふうなことばは、あくまでもそういう障害が起きた外的な作用をさすだけであるから使うまいというふうなことをいっているわけでございます。そこで重い者につきましては頸骨の骨折、それから先ほども申し上げましたけれども、客観的にはわからなくて、本人の主訴だけでしびれであるとか頭の重みを訴える者につきましては、病名のつけようがないので、むち打ち症というふうなことに書いておるわけでございます。そこでいま御指摘の脳神経外科の専門医であるとか、あるいは整形外科の専門医であるとか、あるいは場合によりますと精神科の専門医も必要だろうと思いますけれども、そういった医師によって総合的に判断をすることが必要になってまいるわけであります。そこで先ほど私申し上げましたように、大体人口百万に一カ所くらいの割合で大都市の公立、国立病院なり公的な病院の中に救急医療センターというものを設けて、そこへりっぱな器械も備え、専門医もそろえて診断、治療するようにしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。同時に、三千六百ばかりの病院、診療所が救急医療機関として告示を受けておるわけでございますので、そういった全国にばらまかれてある病院、診療所の医師についても、これは三十九年からでございますが、こういった問題について県に委託をいたしまして講習会をやっておる最中でございます。
  57. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 最近クローズアップされた問題でありますから、この取り組みがおくれておると私は思っておるのですよ。専門的なお医者さんからすればむち打ち症という病気がどうとかこうとかいうことじゃないのです。問題は非常に被害者が多くなってきている、社会問題化している。そしてまた極端なことをいえば、つい最近まで、どうも五体そろっておるけれどもぐうたらでやっておるのでなまけ病じゃないか、こういうふうにいわれておるのですよ。そこが問題になっているわけです。だから医学的、専門的な立場からすればああのこうのということはわかりますが、これが社会問題として、どうにもときどき後遺症の関係で目まいがする、吐きけがする、頭がぽおっとする、気候の変わり目などはそういうものが出てきて、どうも労働意欲もなくなる、運転手の場合はそれで衝突をする、事故を起こす、こういうふうなことが非常に取り上げられて問題になっているのですね。ですから、こ問題は私は、交通災害の一環として取り扱うということについてはわかりますが、重点的にものを取り上げていかないと、重傷者は労働能力がなくなるのですから補償もたいへん多額にしなければなりません。だがどうやら働けるという人たちについて問題なんです。しかも、それがノイローゼになっていく。これが一番問題になっておるのでありますから、多少いまの答弁で私もわからないわけではないけれども、社会問題化しておる時期でありますから、厚生省としてこの医療センターを全国何カ所どういうふうにつくっていくか。そしてまた、そこが中心になっていわゆるむち打ち症関係の患者についてのめんどうを見ていくといいますか、病気というのはよく気の病だといわれておりますが、権威ある医療機関からそれぞれの診断と、そしてそれによって治療を受けていくということになれば、これも相当効果的だと思うのですよ。具体的な案はありませんか。
  58. 上村一

    ○上村説明員 いま申し上げました救急医療のセンターと申しますのは、人口百万人に一カ所くらいの割合でつくる勘定になりますが、百十カ所でございます。すでに今年の末で三十七カ所になる予定で、その名前等はわかっております。
  59. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 それはそれとしてまた適当な機会にひとつ公表していただいて、行政機関としてのPRと指導を願いたいと思います。  現在私が聞くところによると東京、大阪がむち打ち関係について被害者が多い、こういうことが片面ではいわれておりますが、一方ではいやそこは大騒ぎをするところだから多いのじゃないかというふうな皮肉な言われ方もいたしておりますけれども、一番大事なのは早期治療であると、これは何の病気でもそうでありますが、言われておりますが、何か大阪のある病院では、そういうことについて徹底的に早期治療を勧誘して非常に効果をあげているということを聞いておるのですが、こういう点についての指導も特にお願いいたしたいと思うのです。  それから、これは自家用車の場合も災害が非常に多いのでございますが、雇用関係にある、常時自動車の運転をする営業車の運転手が最近多くなってまいりました。仕事中に発生するいわば突発的な事故でありますが、非常に多くなってまいりましたので、この点について関係者のほうから労働省に、職業病の指定はできませんかというお伺いをしてあるわけです。これはそういうわけにはまいらぬというふうな回答がありますが、職業病の指定というものはある意味では救済措置というものが相当優遇されておりますが、この点の見解はどうでしょう。
  60. 長岡貢

    ○長岡説明員 先ほど質問の問題もあわせてお答えいたしたいと思います。  いわゆるむち打ち症につきましては、業務に基因することが明らかであり、かつ治療の必要なものにつきましては、労災保険法に基づきまして、療養補償給付と休業補償給付を行なうということに相なっておるところでございます。この疾病の問題でございますが、追突事故等によって、つまり災害によって起こりまする疾病でございますので、われわれといたしましては災害性の疾病ということで、しかも業務に基因したことが明らかであるというものに対して、いま申し上げましたような補償を行なうことにいたしておるところでございます。  最近の発生状況でございますが、いま全国的にこのいわゆるむち打ち症患者の追跡調査を行なっておりますが、現在のところ、東京労働基準局管内におきまして、昭和四十一年の四月から四十二年の九月までに起こりました発生の数でございますが、七百八十七名ございます。この期間中に治癒したものが六百六十名、それから障害補償給付をいたしましたものが八十四名、さらに京都の労働基準局管内におきましては、昭和三十七年の九月一日から昭和四十一年の十一月三十日までに新規に発生いたしました件数が三百三十四名、右の期間中に治癒したものが二百三十名、右のうち障害補償給付を受けたものが二十四名というようなことに相なっております。さらに現在、先ほど申し上げましたように調査中でございますが、宮崎あるいは三重等におきましては、こういう問題が現在のところ起こっておらない、特に都市に集中しているというような点が察知せられるのでございます。
  61. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 問題は、雇用関係にある者は特に、ハンドルを握ることが、端的に言えば商売ですね。道路上を走ることが商売なんですね。ですから、拡大解釈をするというふうな考え方になれば、これは率直に申し上げますが、一種の職業病的なものではないか。こういうふうなことも考えられるわけですが、労働省の見解ですと、いや、それは一般的にいうところの職業病の扱いというものについては少し困難だ、こういっているわけですね。私は特にむち打ち症についてお伺いしておりますけれども、これに類似のものはそうあるものじゃないのです。この点は、考え方としてどうでしょうかね。
  62. 長岡貢

    ○長岡説明員 われわれが職業病というような概念を考えます場合に、災害性の疾病と、それからたとえば一酸化炭素であるとかあるいは二硫化炭素であるとかいったように、常時一定量のガスを吸うことによって、その職業に従事する特有の慢性的な形でいつの間にか、いつかかったのか、あるいはいつ発生したのかわからないような状態のものを一般的に職業病といっておるわけでございますが、広い概念から申しますると、災害性のそういった疾病というものも自動車特有かと申しますと、むち打ち症というような疾病につきましては、転落であるとか、あるいは工場、事業場等においての、通路上においての追突であるとかいうようなところからもこういった症状が出てまいるというようなところから、自動車の運転手さんだけに出てくる特有な疾病ではないわけでございます。そのような意味から、追突事故という災害に基づいて起こった疾病だということで災害性の疾病、こういうふうに現実に区別をいたしておるわけでございます。
  63. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 専門的な問題がずっと出てまいりますから、私もしろうとであるし、不勉強でありますが、補償、医療対策についてはわかりましたから、ひとつこの際、それぞれ陳情も相当出てくると思いますが、真剣に取り上げていただきたいと思うのです。  それから自賠の関係も労災の関係もそうでありますが、この点もほんとうに廃人になるような人たちについて、重点的に再検討を保険のほうの関係はひとつやっていただきたい、補償関係のほうもやっていただきたい、こういうふうにお願いしておきます。  それから、被害者の救済ということを中心的に私も質問してまいりましたが、問題の中心はむしろ、こういうむち打ち障害が起きないような対策ということがまず第一に必要だと思うのです。そこで、二、三の点についてお伺いをいたしますが、特に自動車局長、最近自動車によっては装置されておりますが、安全まくらの点ですが、いまの市販の安全まくらが必ずしも安全であるとは私も考えられませんが、たとえば時速十五キロくらいでどんと当たっても、不意のショックでありますから、それがむち打ち症にかかる、あるいはもう五十キロなんというと、相当これは場合によっては強度なものになるわけですね。しかしまあないよりはいい。安全まくらにも各種ありますね。専門的になりますから省きますけれども、この点について私は、いまの自動車構造からいけば、どうしてもこういうものも必要になってくるような気がするのです。特に、自家用車の場合はこれは好みもありますが、営業車の場合は私は装置することが必要ではないだろうか、こんなふうに考えますがどうでしょう。
  64. 原山亮三

    原山政府委員 追突事故の安全のためにまくらを装置するということについては、現在統一的な法律上の基準というものが設けられておりませんのですが、すでにそういう関係委員会が設けられておりまして、専門的な学者でもって、どういう形のどういう種類のものがいいのかということについて御検討願っております。その結論は本年度中には出るように伺っておりますので、そういうものが出ました場合におきましては、営業用といわず自家用といわず、JIS基準にのっとったものを装着するように、道路運送車両法の保安基準を改正いたしまして、そのようなものを入れるということも考えてまいりたいと思っております。
  65. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 もう一つ次にお伺いしますが、いま非常に自動車がスマートになって、背も低くなっておるのですね。したがって座席も低くなっておるわけですが、座席の背当ての部分のシートですね、これが大体肩の程度です。これをもうあと二十センチか三十センチ高くするようなやり方も、聞くところによるとアメリカあたりでは検討しておる。これはいわゆるむち打ち症が多発の傾向にあって、これを検討しなければいかぬだろうということも聞いておるわけです。これはまあ自動車全般の構造の改善といいますかになりますから、おいそれというわけにはいきませんけれども、しかしこれが社会問題化して、ますますこれから自動車——一千万台をこの十月には突破をした。いま税金の問題で大蔵省では検討しているけれども、来年は三百万台ぐらい自動車購入税をかけようかなんということも言っておりますが、いずれにしても自動車が非常に増加をして、それに伴って、たいへん残念なことであるけれども、交通災害が増加をしていますね。でありますから、まず第一に私は、運輸省として全般的な対策は、運輸大臣が就任のときも言っておりますが、安全第一主義でやるということが一番大事だと思うのです。そういう根本的な取り組みというものが必要だと思うのです。この点をこれから検討してもらいたいと思うのですが、それぞれの機関が必要だし、業者との関係もあるでありましょうが、お考えをひとつ伺いたいと思うのです。
  66. 原山亮三

    原山政府委員 御所見、御指摘のとおり、われわれ安全第一ということでございますので、従来からも自動車構造上の保安ということについて、詳細に広範囲にわたって規定してまいったところでございますけれども、いろいろと道路の事情なり車の増加の状況というふうなものを加味いたしまして、そういう保安基準の改正ということについては各般にわたって検討してまいって、その必要に応じて先のものから改正してまいる、こういうふうにやってまいったわけであります。それで、最近でも、大型貨物自動車関係保安基準というものでもって二重ブレーキの問題とか、あるいは突追防止のためのバンパーの設置基準とか、巻き込み防止のためのサイドの巻き込み防止装置、そういうものをやってまいったわけでございますが、今後ともそういうふうに必要なものからどんどんと改正していきたい、かように考えております。
  67. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 その点はひとつ、事故防止関係から真剣に取り組んでいただきたいと思うのです。  それから、自動車構造のことについてばかり私は申し上げているのですが、いま自動車局長の言われましたバンパーのことなんですが、昔はあれはスプリングがついておったと私も記憶しておるのです。いまは、簡単にいえば、ていさいとして、あれは固定をしてあるわけですね。そんな関係で、緩衝器的な役割りは全然ないわけです。衝突すれば、あるいは追突すれば、そのものずばり衝撃を受ける。こういう状況になっておりますから、簡単にいえば自転車程度のものの速度で、しかも二輪車、オートバイあたりが追突しても、自動車全体が軽量化しているから、少しがくんときた、どうもおかしくなった、これはむち打ち症じゃないかという話になって、事故多発の傾向にあるわけです。バンパーなぞも、あれやこれや申し上げますけれども、スプリング的な役割りを果たすようなことも考えていかなければいけないのじゃないか。これは、しろうとですが、私も最近そう思っておるのです。いまの自動車構造なりあるいは自動車ラッシュの状況からすれば、どうしても人間の注意力が中心になって事故防止が行なわれておるわけです。道路だってそううまくいっておりませんからね。道路整備五ヵ年計画といっても、これは、人間の交通量あるいは貨物の輸送量、増加する自動車交通に匹敵をした道路がどんどんできて整備をされているという状況じゃないわけです。必然的に、自己防衛といいまするか、自動車構造自体もそういうように変えていくことがいいのではないか。スプリングの関係検討されたことありますか。
  68. 原山亮三

    原山政府委員 衝突の際の衝撃の吸収という問題は、バンパーだけでなくて、車両構造全般の問題でございまして、こういうふうな問題につきましては、運輸省にございます研究所でもそういう研究をやっていただいておりまして、今後、そういうふうな衝突の際の衝撃吸収についての衝突実験とか、そういうものを含めて研究して、そういう衝突の際の被害を極力少なくするというふうにやってまいりたいと思いますが、技術的な、専門的なことが多うございますので、担当の車両課長からお答え申し上げます。
  69. 隅田豊

    ○隅田説明員 ただいま局長からお答えいたしましたが、バンパーにスプリングを入れるかどうかという具体的な問題の御質問でございますけれども自動車の衝撃吸収の問題は、バンパーを含めましてボデー構造全体でもってどういうふうに吸収していくのが一番いいかということが、技術的には問題だと思います。バンパーの中にスプリングを入れることももちろん一案でございますが、それだけでなくて、たとえば最近アメリカあたりで行なわれている実験もそうでございますが、自動車全体がこわれることはこわれても、人間に被害が与えられなければ一番いいわけであります。それに、いまのところは、必ずしもバンパーだけでは吸収できないだろうというふうな論文も散見いたしております。われわれの考えておりますのも、当面のむち打ちというような、たとえば都市交通内の非常に低速な追突というものもございますが、同時に、これからの車両構造の問題で考えますと、ハイスピードの衝突もございます。都市交通でも四十キロ、五十キロでの衝突もございます。そういうすべてに対して適応して、それでしかも今度はほかの場合に害にならないような構造も考えなければならぬわけでありまして、具体的にスプリングという問題での検討じゃなくて、全体の衝突の問題としてものを考えていきたいということで、運輸省の研究所のほうでも最近研究施設を設置いたしまして、目下、非常におくれて申しわけないのですが、これから技術的な問題の研究に取りかかっていきたい、こういう段階でございます。
  70. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 自動車構造全体のことについて検討されることはけっこうですが、交通災害の多発の傾向からどうかこの点は真剣に取り組んでもらって、早急に安全第一主義の思想の上に立脚をしてすべて指導をしていただきたいと思うのです。これは要望いたしておきます。  それから、これは参議院の運輸委員会でも質問されましたが、二月九日の基発の一三九号で「自動車運転者の労働時間等の改善基準について」という通達がありまして、このA、B、Cの勤務時間がきまっておりますね。自動車局長、御存じですね。それで私が聞くところによりますと、むち打ち障害にかかっている患者、軽度のものは通常人と変わりはありませんから、多少ときどき目まいがしたり、吐きけがしたりというふうなことらしいのですが、通常の勤務をしている。しかしそういうときにぶつかると、これが事故を誘発をしているということが間々あるように聞いておるのです。一番問題は、一昼夜交代の勤務ですから、勤務時間が非常に長い。私は一三九号の通達というものについては不満なんです。しかしそれ以下の労働条件にあるめちゃくちゃなところもありますから、基準法無視のようなところもあるから、これは一応認めるにしても、もっと改善基準らしい通達を出してもらいたいところなんです。これは別の機会にしても、端的に言えば、むち打ちの権威ある専門医からの診断書を受けておる人については、経営者もこの点は相当慎重に扱わなければいけないじゃないかと思うのです。そんなことも考えられますので、事故防止の観点から、こういう関係についてはでき得る限り機会があったらば指導をしてもらったらどうか。むち打ち症の被害者というものが一体どのくらいあるかということについては、私は調べるとわかると思いますが、ひとつ要望いたしておくところですが、どうかこの関係については念頭に置いて、業者との、通達でも会合でもけっこうでありますが、指導を願いたいと思います。
  71. 原山亮三

    原山政府委員 むち打ち症によって非常に健康状態の悪い者についての勤務の緩和の問題だと思いますが、その点につきましては、先ほどお話のように、業界のほうにもそういう人たちの勤務のあり方というものについてよく考慮するように指導してまいりたいと思います。
  72. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 政務次官、大臣おられませんからひとつ要望いたしておきますけれども、改造内閣前に、西村建設大臣が閣議で、道路整備五ヵ年計画ではとても今日の道路交通の増加には追いつけないから、自動車の生産量というものを少し抑制したらどうかというふうなことが言われて、それが新聞にも報道されましたけれども、うやむやのうちに過ぎたというのです。私は安全第一主義というものは、注意力だけで指導をしていくというだけでは済まなくなってきておる状況にあると思うのです。ですから、先ほど私が自動車構造全体についても少し再検討したらどうだとかいうようなことを申し上げましたが、日本の道路事情からすると、自動車の生産の抑制などについて、何かトヨタ自動車などは小型トラックは需給の関係で生産量を少し減らそうじゃないかということが、一週間ばかり前に経済新聞に報道されております。しかし四十一年度に二百二十九万台、ことしはおそらく三百万台になるでしょう。しかも寡占体制は強化されて、四十四年度には四百三十万台ぐらいの増産にしていく、こういうことが公表されているのですから、私はたいへんな状態になるのではないかと思うのです。こういうふうな関係についても、率直に西村前建設大臣が言われたようなことも運輸省としては考えておかなければいかぬじゃないか。いろいろな関係に影響するだろうけれども、そう私は考えますが、ひとつ検討願いたいと思います。  以上で終わります。
  73. 砂田重民

    砂田委員長代理 板川正吾君。
  74. 板川正吾

    ○板川委員 むち打ち症対策問題について、若干質疑をいたしたいと思います。  まず第一に、このむち打ち症対策というのが今日大きな社会問題化しております。各政党間でもこれと取り組むための対策委員会を設けております。一体このむち打ち症というのがこれほど社会問題化した原因、背景というものを運輸省はどういうふうに理解しておられますか、これを伺いたいと思います。
  75. 原山亮三

    原山政府委員 むち打ち症は追突事故によって発生するものでございます。追突事故の発生件数というものは最近特に多くなりましたので、その原因というのはやはり車両の増加によるものであると考えております。
  76. 板川正吾

    ○板川委員 そういったような上っぺりだけの認識のしかただから社会問題化しているのだろうと私は思います。これは警察庁の資料によりましても、自動車による人身事故が非常にふえておる中で、四割三分が追突による人身事故、半年間に三万五千件もあります。それでこうした追突事故によって起きた一八%、これは別な資料ですが、二割近くがむち打ち症にかかる、こういわれております。だから非常に交通事故がふえて、その中で追突事故がふえて、そのためにむち打ち症という障害を受ける者が多くなったというのが第一番だと思う。  第二としては、これは警視庁の追跡調査によりましても、加害者との補償交渉というのが非常に難航しておる。で、結局被害者のほうは前途に不安を感じたり、あるいはノイローゼぎみになったり、そうしてしまいには自殺をするという者も出てくる。補償交渉がなぜ難航するかというと、これは医学的に十分な解明が今日されておらない。診断、治療に対する基準というのが、今日確立されておらない。だから、こっちの医者へ行けばぶつかったための神経病であろう、こっちの医者へ行けば何もそういう関係はありません、何でもないのだ、こう言っておって、診断が各医療機関で、医者によってまちまちだ。だから医学的にも解明が不十分で、診断、治療の基準というのが今日明確にされていない。  第四としては、加害者側の認識が大きな問題になっておる。それは衝突した瞬間はたいしたことはない。バンパーがへこむ程度のことである。そして本人もどこも外傷を受けていない。そうして一週間か十日は何でもない。そのあといわゆるむち打ち症といわれるようながんこな頭痛、目まい、耳鳴り、ものが二つに見える複視、肩や上肢の疼痛、知覚の障害、排尿障害、こういうようなむち打ち症特有の症状を来たす。ところが加害者のほうは、ぶつかった瞬間は何でもない、ピンピンしておる、どこも傷もない、だから、そういうような障害は、被害者がもともと持っておった病気であって、事故にぶつかったのを奇貨として法外な補償要求をするのだ、こんな補償要求には応ぜられぬ、こう言ってけんか腰で補償交渉というものを拒否する。こういうような点が第四。  それからまた、行政的にもこれを解決するところがない。それはありましょう。交通事故相談所あるいは交通事故相談センターはあります。しかしこれは五十数万、六十万近い交通事故の中でどれだけこれで解決するかといえば、ほとんどないにひとしい。警察へ行って相手の問題を追及しようと思えば、民事不介入、そういうことは皆さん自身でやってください、警察は関知したことじゃない、そうして民事不介入の原則によって突っぱねる。結局裁判以外にはない。ところが裁判によって救済されるのはどういうのかというと、五十三万件のうちに裁判によって救済されたのはわずかに六千件、簡易裁判によって救済されたのが五千件、とにかく一%強しか裁判によって救済されない。しかもその裁判で適当な判決を得ても、その三五%は金を払わない。こういう形になっておるから、今日むち打ち症というものが大きな社会問題化したのですよ。こういうふうに理解をしなければ、事故が多くなったからむち打ち症が多くなった、だから社会問題化したというふうな簡単な答弁では、これからのむち打ち症対策というものが確立されない。運輸省国民の財産、生命、これを安全に輸送するのを監督する使命を持っているのじゃないですか。こういう点で運輸省として真剣に取り組まなくてはならぬ。  そこで伺いますが、全国で追突事故、こういうものでどのくらいのむち打ち症いわゆる神経性後遺症というのですか、このむち打ち症的な治療をしているのはどのくらいおるかわかりますか。
  77. 原山亮三

    原山政府委員 むち打ち症患者が全国でどのくらいおるかということは、現在のところはどの省もはっきりつかんでおりません。それで一応推定されますのは、六万人程度じゃなかろうかというふうに考えております。
  78. 板川正吾

    ○板川委員 この間警視庁が一応の追跡調査をしています。この警視庁の追跡調査によると、ことしの三月十二日から十八日までの一週間に東京都内で起こった交通事故、この重軽症者千二百八十三名にアンケートを配って追跡調査をした。回答がその半分の六百三十七きた。そしてむち打ち症患者がその六百三十七人の中で百十五人、一八%を占めておる。しかもむち打ち症患者の八一%は追突事故でそういう結果を招いた、こういっておるのですね。そしてむち打ち症の対策、治療としては、三カ月以上かかったというのが三〇%、一ヵ月以上というのが五二%、一週間以内という軽微なものがわずか一八%、こういうふうになっておる。しかも、むち打ち症にかかった五九%は後遺症が残る。こういうようなことを警視庁でも調査をいたしております。それから東京タクシー組合、二十一の労働組合が六千人の組合の運転手諸君の中から調査をしましたら、二百五十五名、四・二五%がいわゆるむち打ち症にかかっておる。こういう点から考えますと、むち打ち症という被害者が非常に多い。こういうことをまず理解しなくちゃならぬと思うのです。  これに対する対策とすれば、第一には治療対策でありましょう。この治療対策についてはいま渡辺議員が質問をされましたから私簡単にいたしますが、診断、治療の権威ある機関を早急につくる、診断、治療のいわゆる基準というものを早急に立てる必要があるのじゃないか。そのためにはいわゆる実態調査をしなくちゃいけない、こういうふうに考える。この点は厚生省、運輸省、科学技術庁等で私は協力してやらなくちゃならぬと思うが、この診断、治療の整備というものを国はどういうふうに取り組んでいこうとするか、この点をまず伺います。
  79. 上村一

    ○上村説明員 むち打ち症の診断、治療の基準でございますが、その前提といたしまして、まずむち打ち症が何であるかということをきめなければいかぬという問題があると思います。私はさっき重いのは頸椎の骨折から軽いものは心因的なものもあるというふうに申し上げましたが、それが患者を扱う医療機関においてまちまちでございます。たとえば救急医療センターとして相当活発な活動をしております京都の第二日赤病院なんかでは、骨折を入れないで頸椎捻挫とかいろいろな名前をつけて、そういった名前をつけられないものがむち打ち症だというようなことで統計に出しておるわけでございます。また私ども国立病院なりその他の病院で扱っておるむち打ち症について、どのくらいあるかということをただしたこともあるわけでございますが、それぞれの病院ではそういった診断名をつけておらないというふうな話で、何と申しますか、頸椎症候群と考えられるものを教えてくれということで調べてみたわけであります。そういったように、何と申しますか、むち打ち症ということば自身が医者の仲間で使われておりませんので、こういうものを把握するということはなかなかむずかしいのじゃないかと思います。その患者自身がおれはむち打ち症だと言うのをつかまえるということはあるいはできるかもしれませんけれども、むち打ちという徴候を客観的に把握するためには、あくまでも医師の診断が要るわけでございますので、患者だけの訴えで何名おるかということもつかめないわけであります。そこで診断、治療というものを効果的に進めていくためには、そういった基準をつくる必要があるのじゃないか。なかなかむずかしゅうございます。そしてこの基準というのは厚生省だけではありませんで、各省の行政と深い関係があるということでございますので、そういった省と協力をしながら研究を進めていくというふうなお答えをいまの段階ではせざるを得ないような状況でございます。
  80. 板川正吾

    ○板川委員 いま言ったように、むち打ち症というのをとらまえるのがなかなかむずかしいんですよ。だからいま社会問題化しておる。だから、この問題はひとつ厚生省、運輸省、科学技術庁、こういうような各省と、そのほかもあるでしょうが、相談をして診断、治療の基準というものを早急につくってやる、これは政府として国民に対するサービスではないかと私は思う。むずかしいからといって、いつまでも放置するわけにはいかない。こういう点、ひとつ早急に対策を立るようにしてもらいたいと思う。  時間がないから先に進みますが、自賠法について伺います。  自賠法の障害補償は、限度が五十万ということになっております。この障害補償の内容を見ると、救助捜査に要した費用、治療費、休業中の補償費、慰謝料、こういったものを含めて五十万円が限度ということになっておる。自賠法は、最初のころは、死んだ人に対して三十万というときに、障害補償費というのは十万、三対一の割合。今度死んだ人に対して三百万払うというときに、五十万で据え置かれたというのはどういうことでしょう。ということは、さっき言ったようなむち打ち症という特異な病気にかかると、長期に治療を要し、長期にいわゆる休業補償もされなくてはならないだろうし、慰謝料も相当な部分を占める。そういうことになりますと、五十万円の限界というのじゃ、むち打ち症患者というのは救済されないのじゃないかという感じがするものですから、この五十万円というものを引き上げるべきだというたてまえに立っておる。少なくとも三対一、百万円程度まで引き上げるべきでなかったか。今回これを据え置いたのです。なぜ据え置いたかということを伺いたい。
  81. 原山亮三

    原山政府委員 ことしの八月に保険金額の引き上げをやりましたときに、その節に障害の関係を引き上げるべきかどうかということも十分検討したわけでございます。ところが実績を見ますと、従来の五十万円でもって九〇%程度カバーできる、大体五十万円以下でもって障害の場合はおさまっているというふうな実績がございましたので、あえて障害の関係は引き上げる必要はない。ただ後遺症の問題でございますが、後遺症の関係は、ことしの八月に百五十万円から三百万円に最高限度を引き上げております。
  82. 板川正吾

    ○板川委員 後遺症の問題は、百五十万円から三百万まで引き上がりましたね。これは労災法との関係もある。事実、精神的な障害で働くことができなくなれば、これはやむを得ないと思うのですが、私が取り上げたいのは、障害による治療、休業補償、慰謝料、こういったものが五十万円限界というのでは十分じゃないのじゃなかろうか。なるほど、そのときには九〇%程度が救済されておったから、保険という制度は、大多数が救われればもういい、それ以上はひとつ本人と加害者との関係で請求して取ればいいじゃないか、こういうことになろうと思うのです。ところが、さっき言いましたように、この補償費、治療の費用となると、なかなか加害者のほうががんとして承知しない。これは私、材料があるので、あとでひとつ調査をして報告してもらいたいと思うのですが、福県県のトラック業者——大体福島というのは、織田大蔵がいる関係もあって、とにかく変わった業者がおる。これは去る四十二年六月八日に起きた埼玉県での追突事故、本人は何ともないのですが、やはりむち打ち症にかかった。相手は郡山北部運送有限会社社長菊地高実というのですが、病後の補償や障害補償の要求をしたところが、法外な要求をしたといって拒否して、全然示談にも来ないし、全く放置しっぱなし。そして、文句があるなら裁判で来い、こういう態度をとっている。こういうふらちな業者なんというのは、ほんとうは免許取り消したっていいのですが、この点については、私はひとつあとで調査を要求いたします。とにかく、治療費や休業補償費や慰謝料というのがいままで九〇%救済されていたときには、むち打ち症というものにあんまり焦点を当てていない、こういう感じがするので、ひとつ今後これを検討して、しかるべき機会にはしかるべき措置をとってもらいたいということを要望いたします。  それからもう一つは、追突をされた場合に、むち打ち症なんか、これは健康保険じゃかかれない、こういうようなことで拒否する医者が間々あるのです。実際見ている。健康保険でかかれないということは健康保険法にはうたってないのですが、かかれることにはなっているけれども、どうも末端の医者の中には、それを労災か何かのごとく、健康保険じゃだめだ、こういうようなことで診療を拒否するという医者もある。ぜひこれは、健康保険でもかかれるということを周知徹底するような措置を講じてもらいたいと思います。いかがですか。
  83. 上村一

    ○上村説明員 健康保険法の問題、私自身が直接担当しておるのじゃございませんが、いまお話しになりましたように、健康保険ではどういう原因であろうと医療が受けられるわけでございます。ただ交通事故の場合は、多くの場合、被保険者証というものは持っておらない。こういうような場合には医師が、本人が被保険者であるということが手帳を持っていなくてもわかりましたら、保険給付として現物給付ができるわけでございます。持っておらないときには、患者が診療費を支払って、あとで保険者、組合なり政府に申し出まして、あとで療養費の支払いを受ける、そういうことになるわけでございます。しかし診療の途中で被保険者証を提示すれば、それからあとは現物給付になります。そういうことは健康保険関係の各種の規則に書いてあるとおりでございまして、厚生省としましても、保険医療機関にこういう点を常々指導しておるところでございます。
  84. 板川正吾

    ○板川委員 その事実は、うちの近所の東京電力につとめておる人で、被保険者であるということを承知の上でそういうことを言う医者もある。だから、しかるべき機会にしかるべき指示をしてもらいたい。こういうことを要望しておきます。  それから自動車構造上から予防対策というものが必要だ、これは渡辺委員も触れられましたから、私は簡単に言います。  第一は安全まくらです。いま市販されているのは、ある意味ではアクセサリーで実効はない、こう言われております。事実私の身近な者があれをやっててむち打ち症にかかった。ですからひとつ運輸省あるいは通産省両省で話し合って、やや安全性——それはどんな追突でも防げるというわけじゃないですよ。しかしある種のスピードでぶつかった程度までは追突事故によるむち打ち症というものを回避できる、こういうような考慮を払う必要がある。たとえば第一は安全まくらの整備。それからバンパー、あるいはシート、安全ベルト、テールランプ、こういうところに私はくふうをこらす必要があると思うのです。たとえば日本の自動車の輸出は、全体の生産の一割、その四割近くがアメリカ。だから全体のわずか四%ですが、そのアメリカで自動車の安全上の基準ができるといえば、日本のメーカーはまっ先にそれと取り組んでいきます。しかし九割を占める日本の国民安全性というものに対して、あまり真剣な研究もしておらないような感じがする。いまの安全まくらでもそうであります。これをつくっておるのはみんな中小企業、そしてかっこうだけよくつくっておいてぶつかっても何にもならない、ひん曲がってしまう。それでも何か万が一ということでやっておりますが、こういうものをもっと権威あるものをつくって奨励するように運輸省通産省はやってもらいたい、これをひとつ要望いたします。  それからバンパーで、これも渡辺委員が触れられましたが、衝突する場合には一番初めにバンパー。ところが国産自動車のバンパーの高さを調べてみましたら、みんな違いますね。前とうしろが違っておったり、高さが違っておったりして、食い違いがあります。トラックと小型乗用車で同じ位置にしろとは言いませんが、同じ乗用車、二千CCクラスの車なら、同じ高さに統一をするような方向を考えたらどうですか。ヨーロッパ方式あり、国連方式あり、あるいは米国方式あり、高さがそれぞれ世界各国でも乱れておるかもしれません。しかし日本ではCCで言うならば二千CCの場合には前後はこの高さ、三千CCをこえる場合にはこの高さ、そうでなければアメリカの自動車も入れない、こういうことを言ったっていいと思う、アメリカはやっているのですから。だからバンパーの高さを統一する必要がある。いまみんなそれぞれ違っております。それともう一つは衝突、追突の場合に、バンパーが一番最初の接点。だからこのバンパーを、私はしろうと考えですが、たとえばゴムのようなもの、かっこうが悪ければゴムのまわりにああいう鉄板をメッキしたものを巻いてもかまいませんけれども、ゴムのようなものである種の衝撃は吸収できる。こういうような、高さを統一する、こういうくふうがあってしかるべきじゃないか。それからたとえばシートの問題でも、うしろから追突をされた場合に寄りかかりのシートが、ある力が加わればある角度までは倒れる、普通は倒れないけれども、ある力が加わったらうしろへ何度か倒れる。うしろの人の足をけがさせるようではいけませんが。あるいは座席のいす、すわっているシート、これが前に出る。こういうような、安全に対するくふうというのがこらされていいんじゃないか。そうすれば相当部分のむち打ち症というものが回避できるのじゃないか。こんなことは実はだれでも考えていいことだと思うのです。しかし日本のメーカーがそういう問題をあまり取り上げてないというのは、需要者の九割を占める日本国民の生命の安全というものに気を配ってないのじゃないか。わずか四%のアメリカ輸出に対しては目の色を変えて取り上げる、さっそくそれを実行する。しかし九割を占める日本国民の需要、これに対する安全というのをあまり取り上げないで、ないがしろにする、こういう点は問題ですよ。  それから、安全ベルトもそうであります。どの車でもつけなければいかぬというふうに指導したらいいのではないか。さらにテールランプでも、ある程度の明るさで、前が停車したなということがぱっとわかるようなことも一考を要するのではないか、こう思うのです。これはしろうとがちょっと思いついた問題だけであります。しかしこういうものをやれば、私はむち打ち症というものは追突があった場合——追突が全然ないというわけにはいきませんから、あった場合に相当部分の生命の安全が確保されるのじゃないか、こう思うのですが、これに対して運輸省通産省はどう考えますか。
  85. 隅田豊

    ○隅田説明員 技術的な問題でございますので私からお答えをさせていただきます。  いま先生が申されましたことは、私たちとしても同感でございます。いま先生いろいろ案をお示しになりましたが、すべて、いろいろ含めまして現在全面的な検討をいたしている段階でございまして、たとえばお話にありましたように、シートベルトの問題、あるいはうしろのライトをいまの既製のものよりももっと見やすく、わかりやすくしたらいいのじゃないか。それからまくらについての技術的な検討も、先ほど渡辺先生の御質問のときにお答えしましたような状況でございます。バンパーの統一の問題も私どものところで目下検討いたしている段階でございます。検討ばかりしていてもしかたがございませんので、できるだけ、技術的に解決のつきましたものから逐次改正し、そういう手段を使って強制をしていきたい、こういうふうに考えております。
  86. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。  御指摘の数点につきましてはむち打ち症対策として、また自動車の安全対策として研究を要する問題点ばかりでございまして、御指摘のとおりでございます。若干お答えいたしたいと思いますが、安全まくらにつきましては、先ほど運輸省局長のほうからお答えがありましたとおり、昨年来安全まくらのJISの規定の研究をやっておりますが、おっしゃるとおり、最初は安眠まくらというような形で発足したものでございますから、強度等においていろいろ問題の多い点があったわけでございまして、衝突時の衝撃その他いろいろ検討いたしまして、ようやく大体JISの内容について検討できる段階になっておりますので、本年度中にはJISの内容の決定を見得ると思います。  それから国産車につきまして、九割を占める国産車の安全対策が不十分ではないかという点、おくれてまことに申しわけなく思いますけれども通産省のほうでは工業技術院に自動車の公害安全研究センターというものをつくりまして業界、学界と協力して各種の安全対策を講ずるということにいたしておりますし、自動車工業会におきましても安全公害委員会を発足させておりまして、技術担当の重役が鋭意安全対策について検討いたしておるわけでございます。  バンパーにつきましても材質の研究その他を含めてショックを吸収するバンパーの問題の研究を、先ほど申しました研究センターでやっております。シートの構造等につきましても、研究課題といたしまして真剣に取り上げて検討するということになっております。  それから御指摘のブレーキランプにつきましては、産業工芸試験所におきまして、位置あるいは明るさ、あるいはどの辺で最も見やすくなるかというような研究をいまいたしております。  それからまた、停車した際にサイドブレーキが自動的にかかるという装置を開発いたしておりまして、工業用研究補助金を出しておりますが、本年度中には大体開発して商品化される見込みも出ております。こうなりますと、交差点等で停車しておるときにサイドブレーキが忘れおってもかかっておりますから、当たったときの衝撃が緩和される、そういう研究もいろいろいたしておりますことをお答えいたしておきます。
  87. 板川正吾

    ○板川委員 最後に、事故の被害者の救済というのが私は問題だろうと思います。先ほどもちょっと言いましたように、昨年は五十三万件の事故があり、その被害者のうちで裁判によって救済された者が六千人、簡裁の調停を受けた者が五千人、全事故のうちの一・三%にすぎない。ところが裁判所の判決でも三分の一近くがこれは救済されない、こういう形になっております。この被害者のほうからいうと、政府に何かこういう問題を救済してくれる制度はないか、こういっても相談所、センター等では十分ではない。それから警察に行っても民事不介入、裁判はわずか一%、結局九九%の被害者はほとんど何らかの形で泣き寝入りする。適当に、まあしょうがない、こうあきらめて示談をしてしまう、こういうことで、私は五十万人に近いこの被害者の救済、事故解決、こういう問題をやはり政府がもっと真剣に、親切に取り上げていくべきではないか。最近最高裁では、全国五百七十カ所の簡易裁判所に、事故の場合はどんどん持ってきてください、非常に手続を簡素化します、場合によっては口頭だけでもいいですよ、そうすれば直ちに調停にかけて審議を進めましょう、従来は調停へ持ち込んでも二、三カ月たっておった、今度の場合には一、二週間で調停をやりましょう、早急にやりましょう、こういうような制度に最高裁の通達で最近取り組んでおります。しかし、おそらく私はこの問題ではそうは被害者の救済は進まない。いままでよりはいいでしょう。五千件が一万件、一万五千件になるかもしれません。しかしこれでこの九〇何%の人が救済されるとは思わない。なぜかというと、簡易裁判所では調停委員というのはいわゆる交通事故の専門家じゃないのですよ。だから結局両方の意見をまあまあと言って、中をとってそしてまとめよう、一種の示談屋みたいなかっこうの解決ですね。それでは私は事故の原因が究明されないと思うのです。だからできれば私は、これは私の思いつきですが、たとえば海難審判庁というものがありますように、この交通事故審判制度というものを考えて、そして専門家を置いて、ここでこの事故の原因と責任の度合いとを究明して、その上に立って関係の向きが将来の対策を立てる、こういうような必要があるんじゃないかと思っております。  それともう一つは、この簡易裁判所が利用されない原因は、加害者の地元で調停をするということなんです。さっき私が取り上げました福島のトラック会社、これは被害者は埼玉県です。私の近所なんです。ところが調停を頼みにいくためには福島へ行かなくちゃならないんです、泊まりがけで裁判所に、調停があるたびに。ところが、本裁判ならば被害者の地元でできるわけなんです。だからそういう点で、簡裁の調停でやるというのも制度的にまずい点がある。だから利用されないという点もあります。とにかく被害者のほうが旅費をかけて向こうへ行って、そうして両方の中をとられたんじゃとても合いっこはないです。だからこれは簡裁のほうはほんとうからいえば、やはり裁判と同じように被害者の現地で、被害者の居住している付近の裁判所で調停をやる、こういう形にして向こうを呼び出す、加害者を呼び出す、こういう形にしないと、とにかくいまはけがをさせてむち打ち症にかけても、何だ、あの程度のことで休んだりなんかするのはけしからぬ、これは因縁を吹っかけてやっているんだろうというようなことで、全然相手にしないという業者が多いんです。そういう問題があるために、むち打ち症というのが社会問題化してきたと思うのです。そういう意味で、私の思いつきではありますが、ことしは六十万近い交通事故者がある、それがわずか一%程度しかそういった政府の機関、国の機関では解決できない。となれば、ひとつ何らかの機関でこの問題を親切に取り扱って解決してやるような方策を考える必要があるのじゃないか。運輸省はそういう面でこの問題と取り組んでいただきたいと思います。事故が起こるからやむを得ない、車がふえるからやむを得ないというふうなことじゃなくして、国民の安全を確保する、これが運輸省の使命ですよ。その事件の内容、原因、責任の度合い、そういったものとやはり取り組んで対策を立ててもらいたい、こう思います。以上要望いたします。答弁があれば……。
  88. 原山亮三

    原山政府委員 安全対策につきましては、その中でも特に被害者の保護の問題でございますが、これにつきましてはわれわれといたしましても、従来から自賠責の関係でいろいろと方策を立ててまいりましたし、最近ではそういう被害者救済のために日弁連、弁護士会なりあるいは法律扶助協会に補助金を出しまして、そういう被害者の訴訟について無料相談ができるような形にもやってまいりました。それから資力のない人たちにつきましては法律扶助の制度がございまして、そういうふうな人の訴訟のため法律扶助協会にそういう面でも補助金を出しておりますが、被害者の救済対策ということは重要だと思いますので、関係各省ともよく協議いたしますとともに、運輸省としましても従来以上にそういう面を考えてまいりたいと思います。
  89. 板川正吾

    ○板川委員 運輸省は三千万から二千万の予算を日弁連にやって、日弁連が全国で七十一カ所の町に相談所を設けておる。あるいは総理府で同じように五千万かの予算を出して、全国に交通事故相談所を設ける。これは二また設けておるより、こういうものこそは統一をして、そしてもっと予算を組み入れて、もっと親切な事故解決に対するサービスをする必要があるのじゃないですか。両方でばらばらに持っているんじゃなくて……。これひとつよく検討してくださいよ。まあ新任の次官はまだ十分じゃないからいいけれども、ひとつ検討してください。それから運輸省も二つ同じようなものを置くなら、何かそれを統一して強力なものをつくるか、何かそういうような対策が必要じゃないか、こう思います。  以上要望いたしまして、私の質問を終わります。
  90. 砂田重民

    砂田委員長代理 久保三郎君。
  91. 久保三郎

    ○久保委員 時間もありませんから簡単にお尋ねしておきたいと思います。簡単に答弁してください、長い演説はいいですから。  一つは、厚生省に先に聞きましょう。厚生省では、いわゆる身体障害者に対して国鉄及び連帯運輸をしておるそういう鉄道では、運賃割引というかそういうものをしていることを承知しているかどうか。
  92. 松田正

    ○松田説明員 存じております。
  93. 久保三郎

    ○久保委員 戦傷病者特別援護法というのでは、やはり運賃の減免、介護人についても同様やっているが、いま御存じの制度と戦傷病者特別援護法との汽車賃の問題で違う点は何であるか。
  94. 松田正

    ○松田説明員 戦傷病者の場合と一般の身障者と違う点は、内部障害者が含まれておらないということでございます。
  95. 久保三郎

    ○久保委員 それ以外に違う点はないか。たとえばだれがこの負担をするのか、こういうことで違いはないのか。
  96. 松田正

    ○松田説明員 一般の障害者の場合には、これは国鉄のほうの割引規程によりまして割引を受けておるわけでございます。戦傷病者のほうは苦干国費でカバーをしておるという点があろうかと思います。
  97. 久保三郎

    ○久保委員 この二つの法律のそういう制度の違いは、何に基因していると思いますか。
  98. 松田正

    ○松田説明員 戦傷病者の場合は一般の身障者と違いまして、いわゆる戦傷ということで特別の規定を設けておるというふうに考えております。
  99. 久保三郎

    ○久保委員 戦傷病者は補償ですか。そういう意味のために厚生省が予算をとって国鉄に払うということなんですか。
  100. 松田正

    ○松田説明員 戦傷病者のことは私詳しく存じませんけれども、一応戦傷を受けられたというようなことで特別援助をしておるというふうに伺っております。
  101. 久保三郎

    ○久保委員 これはあなたが担当の課長さんではないのですか。
  102. 松田正

    ○松田説明員 これは援護局の担当でございます。
  103. 久保三郎

    ○久保委員 それでは委員長、担当の者を呼んでもらいたい。  それから続いてお話を申し上げますが、身体障害者福祉法は、いわゆる身体障害者の福祉を追求していく法律、その中でなぜ国鉄に運賃の割引を国鉄の制度としてやらせておいて、国としての制度にしないのか。それはどういうことなんですか。
  104. 松田正

    ○松田説明員 一般身体障害者の特別の運賃割引につきましては、これは国鉄の場合もございますし、あるいは自動車バス、それから地方の鉄道、こういうものもありまして、一律にやることにはいろいろ問題があろうということで、現在の法律の体系の中ではそういう規定をいたしておらないわけであります。
  105. 久保三郎

    ○久保委員 規定してはおらないから、それはどういうわけで規定しておらないのか、ちょっとお尋ねしたのです。質問の入り方がわきのほうから入っていってたいへん恐縮なんでありますが、本来的にはこれは身体障害者の福祉という面で、乗車券というか、そういう旅客運賃、介護人を含めてのそういう減免というか、それは身体障害者の福祉の一環であるというふうに考えてよろしいでしょうか。
  106. 松田正

    ○松田説明員 私どもさように考えております。
  107. 久保三郎

    ○久保委員 そうだとすれば、この制度の中でこれを実施するのがいいと思うのですが、あなたはどう感じますか。
  108. 松田正

    ○松田説明員 現在国鉄の運賃割引をしていただいておりますのは、非常に歴史的な経過もあるように伺っておりますが、これは制度的に確立をいたす方向で現在検討はいたしておるわけでございます。
  109. 久保三郎

    ○久保委員 どういうふうに検討されておるのですか。
  110. 松田正

    ○松田説明員 さしあたりのところは、現在の国鉄の運賃割引につきまして、これを制度化いたした場合にどういうふうなかっこうになるか、戦傷病者と同じような法律の根拠を持って法律的な制度とするかどうかということについて、将来の問題として現在検討いたしておるわけであります。
  111. 久保三郎

    ○久保委員 まだ具体的ではないのですね。
  112. 松田正

    ○松田説明員 特に具体的になっているという段階まではいっておりません。
  113. 久保三郎

    ○久保委員 ただここへ来て検討しているというふうに考えたのではないのですね。
  114. 松田正

    ○松田説明員 そういうわけではございません。
  115. 久保三郎

    ○久保委員 それじゃ国鉄に聞きますが、国鉄は本来的にこういうことをする機関でありますか。
  116. 今村義夫

    ○今村説明員 国鉄はお客なり貨物なりを安全に、迅速に、確実に輸送する使命を負うわけでございまして、こういった福祉事業的なものについては、私どもは本来的にはそういうことをやる機関ではない。むしろ国の方針としておやりになるべきものだというふうに考えております。
  117. 久保三郎

    ○久保委員 極端なことを言うと、いまの御答弁では、私のほうではやる本筋じゃないのだ、だがそのあと、国でやるのがいいのだというお話でありますが、そういう考えがあるし、片方では検討するというが、何ら具体的でないので、この制度に対して対象者である身体障害者は、いま大きな不満を持っています。それを御存じですか。
  118. 松田正

    ○松田説明員 特に内部障害者についていろいろ御要望がある点は承知はいたしております。
  119. 久保三郎

    ○久保委員 たとえば目の見えない人、これは身体障害者福祉法によって手帳は持っておる。汽車賃の割引を受けようとするのには、福祉事務所に行って、国鉄が発行したその割引証をもらってこなければならない。割引証にはそれぞれ所要の事項を記入せねばならぬ。記入したものを窓口に持っていかなければならない。これはめくらの人にできるかね。それから福祉事務所なんだが、必ずしも近いところにあるとはいえない。隣の家ではない。それを一々といっては語弊があるが、汽車賃の割引を若干受けるために、その盲人が福祉事務所に行かなければならぬことは当然だとお考えですか。いかがです。
  120. 松田正

    ○松田説明員 現在は福祉事務所以外に、市町村でも発行いたしております。したがいまして、いろいろ手続上、いま先生がおっしゃいましたようなことを私ども聞いておりますし、めくらの方の代筆をするというようなことも当然手続上必要でございますので、そういった点につきましては、できるだけ懇切丁寧に扱うように指導はいたしておるところでございます。
  121. 久保三郎

    ○久保委員 懇切丁寧は公務員の第一義的な義務であります。これはいまさら申し上げるまでもない。別に懇切丁寧ではなかったとは言っていない。懇切丁寧でないというよりは、たとえばあなたがおっしゃる、福祉事務所以外に市町村が扱う——隣に市町村役場があるとは考えられない。そういうものを、目の見えない人がつえを突いて行ってもらってくることに何らの不合理も抵抗もないのか、こう聞いているのです。一つの例ですよ。それを窓口に出さなければ、記入してなければ国鉄では割引しないというのは、これも当然だと思っておやりですか、国鉄は。
  122. 今村義夫

    ○今村説明員 割引証の問題につきましては、私どもはやはり割引証を出していただかないと、多少その他の問題で問題があるということで、割引証は残していただきたいというふうに考えるわけでございます。
  123. 松田正

    ○松田説明員 現在の割引制度は国鉄のほうの手続に従っておるわけでございますが、私どもとしてはできるだけ簡素化ができないかということは、一応は心がけておるわけであります。ただいまのところは、やはり割引証を出していただきたいということであります。
  124. 久保三郎

    ○久保委員 問題をそこまで行かせないで、前へ戻ります。  制度的な問題として、さっき国鉄は本来的な業務ではございません、業務というか仕事はそうだろうが、そういう制度を運営することは本来的な仕事ではない、こう言うのだが、厚生省としてそう思いますか。
  125. 松田正

    ○松田説明員 確かにいま国鉄のほうからお話がございましたように、制度的に確立しているということが理屈の上では望ましいことだというふうに私たちも考えております。ただ現在の割引制度は従来のいきさつもございますので、できるだけ現在のところでは割引制に従った割引を続行していただきたいというふうに、かねてから要望しておるわけでございます。
  126. 久保三郎

    ○久保委員 これは運輸省にお尋ねするのですが、先ほど来私はぽつりぽつりとした質問のしかたをしている。時間の節約上も問題を明確にするために申し上げている。決して意地が悪いために、根性を悪くして言っているのではない。  結局明らかになったことは、この制度は身体障害者のためにはならないんだな。どっちからも、おれの責任だと言ってくれる者がない。そうでしょう。国鉄は、本来は私の仕事ではありません、身体障害者の運賃の割引をするのは本来の仕事じゃない、こう言っている。あなたのほうは、制度的に検討は進めておりますが、何も具体的にはない、従来のいきさつもあるから運賃の割引は続けていただきたいものだと言っている。どっちが本来的なんだ、これは一体、それをまず明確にすることが今日の急務じゃないかと私は思うのです。運輸省はそういう制度についてどう考えているのか。これは、政務次官いらっしゃるから政務次官にお尋ねすることがいいのかもしれませんね。もしもこまかいことでおわかりにくいというならば、そのわきにいる鉄監局長が政務次官にかわって答弁していただきたい。
  127. 増川遼三

    ○増川政府委員 社会福祉の問題は厚生行政の分野だと存じます。そちらのほうで主導権を握ってやっていただきたいと考えております。
  128. 久保三郎

    ○久保委員 それではいままでに、そういう制度改正について運輸省努力しているのか。厚生省は結局受け身の形。厚生省は、いわゆる検討を続けていると言うが、割引制度として確立しようとしているのかどうか。課長さんでは悪いけれども、まあしようがない。
  129. 松田正

    ○松田説明員 いま御答弁ございましたように、身障者の福祉施策の一環として、そういう乗りものの割引ということは当然検討しなければいけないということで検討いたしておるわけでございます。
  130. 久保三郎

    ○久保委員 いやみを言うわけじゃありませんが、身体障害者福祉法の中で、いわゆる身体障害者に何らかの経済的な利益を与えるという具体的なものは、何と何があると思いますか。時間の節約上申し上げますと、汽車賃の割引が、これはだれにもある。あとはないんですね、何も。いろいろあります。売店の許可とか専売品の販売。これはやっている人は全国に何人かはいるだろうが、まあ言うならば、九牛の一毛というのはこういうものだろうと思う。だから身体障害者福祉法の中で、そういう身体障害者に均てんする制度としては、言うならば、私がこの法律を見る限りにおいては、その法律にはないところのいわゆる国鉄及びその連帯線に対する旅客運賃の減免なんだな。それが本家本元の政府になくて、政府機関である一国鉄が規則上やっている。ところがやりたくないと言うんだ、はっきり言えば。本来的じゃないと言っているんだから。だから、この際、鉄監局長、何か関心があるような話をしているが、いまだかつて政府部内において論議をされたことはおそらくないだろうと思う。きょうは運輸大臣があとから来るから注文つけるけれども……。  厚生省の代表としては課長さん重荷かもしらぬが、あなた一人しか来てないから、伝えてほしい。近い予算折衝の会議の中で、かかる中途はんぱの制度はだめだ、厚生省が持つなら持つとはっきりやっていく、運輸省が持つなら運輸省が持つとはっきりやる、まずそれを私は注文します。政務次官、いま私が注文をつけたことは、これはわかるでしょう。これはぜひ、あなた、次官会議もあるでしょう、これは出して、一番しわ寄せをだんだん食っていくのは、この対象である身体障害者が困っちゃっているのです。だから、制度をまず第一に確立して、国鉄も利子補給その他をいうならば、本来的な業務でないものだけは、これは先に政府に要求すべきだと思う。何でこういうものを黙っているか。身体障害者のためにもならぬ。  次は手続の問題だが、何で割引証を持っていかなければ割引ができないのですか。身体障害者手帳というのがある。何枚も買っちゃいけないというなら、手帳のわきにちゃんとパンチか何か入れるようにして、あなたは今月三枚買ったとか十枚買ったとか、幾らだって方法があるじゃないか、何でめくらの人を福祉事務所へやって、そしてこういうものを何で書かせるのだ。そういう手帳を持って窓口へ行けば、回数券式にそのわきにパンチを入れなさい。厚生省も、そういう手帳にしなさい。そういうことさえできないで、何が社会福祉国家だ。これはどうです。厚生省、あなたのほうだ。まず第一に、福祉手帳というのは何のために持っているのか。
  131. 松田正

    ○松田説明員 手帳を持っておりますことの実益はいろいろあるわけでございますけれども、割引証の引きかえにというところまでは実は検討いたしておりません。ただ、現在の手帳につきましては、私どものほうも、もう少し、身障者自身がそれを身につけておれば何らかの具体的な利益があるというような方向検討いたしておるわけでございます。
  132. 久保三郎

    ○久保委員 そういう答弁じゃちっともものにならぬ。あなた自身には直接いまのところ関係ないからだ。国鉄はそういう割引証を持っていかなければ割引しません。しかし、その割引証は、印刷して、ラウンドナンバーで、これは福祉事務所に全部あげましょう。だから、厚生省は何も知らなくたっていいのだ。知らなくたっていいし、何も痛くもかゆくもない。だけれど、やはりあなたが主管するところの、いわゆる身体障害者にどうやったら福祉が増進させられるのかということは、真剣に考えてもらわなければいかぬと思う。  この割引証は、国鉄の今村さん、それは役所的な考えでいえば、何か証拠書類がなければ、どこへ行ったって、割引なんかできませんよ。これはわかっている。だけれど私は、あるところへ行ったら、そんなことをやっているから経営がうまくいかないのだということを言われた。何もそんな自分の本来的な任務でない割引証を印刷して、何で送ってやるのか。ばかにつける薬はないというけれども、こういうことじゃないか。大体、損害は最小限度に食いとめたらどうか。一枚の紙が幾らにつくか私はわかりません。そのことは別にしても、何で割引証がなければ——では割引証は、大体国鉄石田総裁が最後には見て、ああ割引証があるから何円払ってよろしいというのですか。だれかこれを見てオーケーというのか。窓口に見える出札掛と称するものは、国鉄に向かっては信用のない者ばかりがそろっているのかどうか。経営の合理化とは、いろいろあるそうだが、私は人を信用するのが第一だと思うのですが、どうでしょうか。
  133. 今村義夫

    ○今村説明員 私ども割引証をいただいておりますのは、一つの証票としていただいておるわけでございまして、いま先生がおっしゃったような何らかのこれにかわる方法があれば、それはそれでもいいわけでございますけれども、私どもといたしましては、ただいまのところは割引証はぜひいただいて証票にしたい。現場の従業員が信用ができるとかできないとかいう問題ではないと思います。
  134. 久保三郎

    ○久保委員 なかなかはっきり答えてけっこうだと思うのだが、それは証票は、別に見せてもらったらいい。身体障害者手帳というのがあるのですよ。私も見たことがないが、規則に書いてある。だが、それには必ず番号があると思うのですよ、東京都の「都」の字が書いて何番と。だから、その番号を控えて、これに対しては、きょうはどこからどこまで運賃を減免したというふうに書けばいいのじゃないかと思うのです。それでもめんどうだというのなら、さっき言ったように、福祉手帳のまわりにパンチが入るようにしたらいいのですよ、よけいに買われてはかなわぬというのなら。だからそういうことを一ぺんくふうすべきだし、厚生省は、国鉄に運賃割引をやってもらっているんだから、遠くのほうから拝んでいたらいいんだという態度ではだめなんだ。身体障害者のためには、一つの証票も何とかならぬかといってかけ合ったらいいと思うのですよ。しかし、もっと本質的なものは、さっき言ったように、あなた自身がやるのがほんとうですよ、これは。だから、今村さんにそういうことを言うわけじゃないけれども、私は証票をもらわなければ困りますというのは、それは困ると思うのですよ。規則から言ったって、めんどうなら割引いたしませんと言いたいのだろうけれども、そうはいかない。だから、それでもやはり証票のかわりになるものは幾らでも手軽にあるじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。  それからもう一つ申し上げたいのは、この乗車の距離はたしか百キロ以内か何かになっているのですか、以上か……。
  135. 今村義夫

    ○今村説明員 単独の場合には百キロ以上でございまして、介護者つきの場合には無制限でございます。
  136. 久保三郎

    ○久保委員 これは百キロときめたのは、おそらく一つの区切り、それから運賃の額ですね。実際百キロ以内ならたいしたことない、こういうふうにきめたのが、私は一つのものの始まりだと思うのですよ。だから、これを全部かえろとは私は申し上げませんが、こうたびたび運賃値上げをいたしておりますから、少なくとも、これはさらに距離を縮めて恩典を施したらどうか。どうせ恩典を施すなら、ありがたみがあるようにやったらどうか。それは何も国鉄に、普通の乗る人の犠牲や普通の荷物を送る人の犠牲でそういう者が救われたのでは、救われるところの身体障害者がいやだと思うのですよ。ある特定の人の背中に乗っかっているんだと言われたんじゃかなわぬ。社会福祉というのは、これは国の政策だから、だとするならば、やはり厚生省なり何なりできちんとすべきだと私は思うのですよ。だから、そういうものを含めて、どうですか政務次官、これは最近の話題にしてください。たいした金じゃないですよ。もっと気持ちよくできるような方法でいかがでしょう。御答弁願います。
  137. 金子岩三

    ○金子政府委員 御意見を承っておりますと、まことに適切な御意見でございます。関係が各省にまたがっておりますので、先生の御意見の方向に、ひとつ御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
  138. 久保三郎

    ○久保委員 いまの政務次官の御答弁でけっこうだと思うのですが、これをより具体的に私は約束をしたい。そのためには鉄監局長、あなたのところがまん中だ。それで、何か知らないが、民鉄部の何とか課長がいるでしょう。そういう課長さんがまずひとつ。厚生省はあなたですよね、課長さんだから。今村さんのところも何とか課長さんがいるでしょう。その三人を集めて、これは具体的にきめて、そうして政務次官に報告して、政務次官は次官会議なり大蔵と折衝して、次の予算要求にはきちんとする、こういうことを約束してもらいたい、こういうふうに思うのですが、異議のある人は手をあげてください。
  139. 今村義夫

    ○今村説明員 最初の方向が、先生のおっしゃるように、国の負担としておやりになるということであれば、私どもも全面的に賛成でございますけれども、国の財政上これはできない、いろんな身体障害者の御要望は国鉄の犠牲においてやれということでは、私どもは受けかねます。その点ははっきり申し上げておきます。
  140. 久保三郎

    ○久保委員 だから、さっきからその筋を言っているんだよ。ただ、あなたのほうは割引証の問題になるわけだ、ぼくから言わせると。だから今村さん、あまりかたいことを言わないで、課長さんを出してよくやってください。  それからもう一つ、これは今村さんにお願いしたい。ということは、鉄監局にも関係があるのだが、駅には白線というのがありますね。汽車が来ますから白線の内側に入ってくださいとか……。この間どこかで目の見えない人が階段からころげ落ちて死んだそうだ。その新聞は読まなかったのでよくわかりかねますが、あり得ることだと思うのです。それで、白線をつくる際に多少でこぼこがあれは、口の見えない人は足でわかるというんだな。だから、特別なものを、高いものをつくるというのでは、なかなか国鉄では、さっき運賃の割引さえ顔を硬直させて答弁するほどだから、とてもできないと私は思うのです。できないことを注文してもいけないから、いままではなめらかなタイルみたいなもので白線がありますね。これを、そうじゃなくて、多少ざらざらすれば、あれはすべりどめにもなって安全だと私は考えます。それは、われわれが朝急いで行くときに、ああいうところで鉄のびょうなんか——最近はびょうの打った靴はあまりないかもしれないが、すべるんですね。普通の人でも、あの白線というのはあぶない、だから、そういうものをつくるときに、多少表面がでこぼこする材質のものを選んでやってもらいたいと思う。これは検討してもらいたいのだが、いかがですか。
  141. 今村義夫

    ○今村説明員 今後、白線のかわりに高低があるものということは、これは混雑したときにかえってあぶないのじゃないかというふうに思うのです。お客さんがつまずく、そのために押し合いへし合いになるというようなことが考えられますので、その点はちょっと無理だと思いますけれども、平面で、材質を変えることによって、何かそういうことができるかできないか、そういう点の検討はぜひやりたい、かように考えます。
  142. 久保三郎

    ○久保委員 どっちもしろうとでわからないからだけれども、そんな鉄棒でつまずくほどのやつ、自動車のあそこにありますな、あんなものを私は言っているんじゃないですよ。多少ざらざらする程度のものでもいいというんですよ。それでも目の見えない人はわかるらしい。だから、すべりどめのやつでそれをやったらどうか、こういうことですよ。
  143. 今村義夫

    ○今村説明員 私はっきり知りませんでしたけれども、新しいホームについては、いま先生のおっしゃるような方向で、ざらざらするようなものでやっているそうでございますので、今後そういう方向で進めます。
  144. 久保三郎

    ○久保委員 最後にちょっと……。私はいろいろ注文をつけましたが、つけただけではだめなんで、厚生省を含めて、これは近い将来結果がいかがであるか必ずお聞きしますから、ひとつまじめに取り上げてもらいたい。
  145. 砂田重民

    砂田委員長代理 小川三男君。
  146. 小川三男

    小川(三)委員 運輸大臣が来られるまで航空局長に伺いますが、伊丹空港の川西からあなたのほうへ陳情その他要請がたくさん来ているはずですが、それについてどんな措置を講じられたか。
  147. 澤雄次

    ○澤政府委員 川西市の部落で、進入方面のま下にあります部落から、とてもやかましくてしょうがないから集団移転をしたいというお話がございました。これは検討いたしておりましたが、前国会で御審議をいただきました騒音防止法の規定によりますと、滑走路末端から千三百メートルまでの範囲は移転補償ができるわけでございます。陳情のありました部落は、千三百メートルよりさらに遠くなっておりまして、騒音防止法の規定では何とも救済できない状態でございます。それで県知事、市長もたびたびお見えになっておられまして、これはむしろ騒音防止法の問題をこえまして、公園緑地をつくるとか、あるいは空港周辺の土地利用について、建設省、厚生省、それから兵庫県当局と総合的に話をしまして、騒音防止法の予算以外の措置関係省、県が何とか対策を講じようじゃないかということで、ただいま検討を進めております。
  148. 小川三男

    小川(三)委員 私は十月の二十八日に川西へ行ったのです。これは突然行きました。その日の状態でも、発進して大阪湾で旋回する。特にその下の高芝、久代、この二つの町では全員集団移転するといってあなたのほうに来ているはずです。それはなぜ集団移転するということを言い出したかといえば、あれは腹を立てて集団移転すると言っているのです。というのは、何の対策もやってない。こまかい例を言えば電話については、電電公社では——ちょうど私がその電話に出たのです。飛行機が通ったときに電話など聞こえるものではない。土地の人はいま飛行機が通過していますからと、こう言って長い話になるとやっている。けれども電電公社に言わせればかけてきた場合もある、これは何ともしようがない。それからテレビは全然だめです。全然だめでもNHKのほうでも各放送でも、これを具体的にどうするかという問題は何も対策をやっていない。したがって、運輸省のほうに何回も陳情に来ている。前々国会で騒音障害防止法が通ったら、これは何か対策が非常に具体化するだろうというので期待しているわけです。ところがあなたがいま言われるように、具体化したものは何もないわけです、距離の点で。ですから集団移転する、ですから土地をさがしてくれ、移転費は政府が払ってくれ、こういうことを申し出てきておる。これは単に伊丹だけの問題ではなくて、自衛隊のほうでもそうなんです。自衛隊のあるところの飛行場でも、自衛隊では九十ホンまでは補償の対象にするといいながら、九十ホンというホンの測定をやろうとしていない。しかも予算がないからできない、こう答えている。この問題もそのとおりなんです。川西市でこれをやれといっても、兵庫県でこれをやれといっても、三百戸以上の集団移転などということはできません。できなかったら、これに対する対策がなければならないはずです。その点どうなんでしょう。
  149. 澤雄次

    ○澤政府委員 この御審議いただきました騒音防止法の規定に基づく補償工事につきましては、それは川西、伊丹、豊中を優先的に考えておりまして、学校の防音工事、それから集団学習室の設置につきましては、市当局のほうといま打ち合わせをいたしております。それからお話のありました久代小学校には騒音の測定器、モニターといっていますが、騒音測定器を設置するということで、騒音防止法の規定の活用につきましては優先的に考えております。これは来年度の予算を実行に移しますにつれまして漸次これは具体化してまいります。それからテレビにつきましては、当委員会でもしばしば御検討いただきまして、NHK、郵政省と話をいたしております。あるところまでは詰まっております。まだ最終的な結論にはいっておりません。これは何とか少なくとも基地並みにはしたいというふうに考えております。それから民家の移転補償につきましては、これは騒音防止法で千三百メートルまでは実施いたしますが、千三百メートルをこえるものにつきましては、現在のところ、運輸省といたしましては何とも措置のしようがない。それで公園緑地をつくる方向につきましては、県当局、建設省、厚生省といま打ち合わせをいたしております。
  150. 小川三男

    小川(三)委員 前々国会で騒音防止法の審議にあたってもその点は指摘してあるはずです。これは、音で押えないで距離で押えたところに問題がある。あなたのほうで、いま久代の小学校かどこかで測定器をやってあるそうですが、これは川西市が単独で調査したもので、久代小学校、加茂小学校、高芝公民館、川西小学校、川西南中学校、この五カ所を指定して調査したものです。これは日本電測の機械を装置して調査したもので、これを見ても、あなたのほうで千三百メートルで押えても、音の上で問題にしなければ解決つかないと思う。ちょうどいたときもそうなんです。小さい子供がおばあちゃんの背中で眠っていた、四発が通ると突然わあっと起きて自然に両方の耳に手をやる。こういうぐあいに子供がなってしまったんですよとおばあちゃんは指摘しています。そのような状態でも、これは法律では千三百と押えてあるから、千三百の外だからできない、こういうことになるのです。ですから、あの法律は非常に不備だと思う。私は指摘してあるはずです。あれは実施する段階になると、けんかが起こりますよ。というのは、千三百で押えた場合には、それから一メートル離れた千三百一メートルあったら、それは対象にならない。こんなことは音の場合では通らないですよ。ですから、その点について、これは少なくとも運輸省が率先してこれに対する対策を各省に呼びかけるなり、また川西市の単独でできるくらいなら——川西の市長や皆さんもあなたのほうへ何回も伺っているはずだ。何回運輸省航空局へ行っても話にならない。そこでこの地元の人たちが集団移転をしなければならないこういうことを言っているわけです。市長も率先してそう言っています。ですから、これに対する対策運輸省が中心になって、単なる距離でなく、音による状態をもう一度把握してやる以外にないのじゃないか、そう思うのですが、その点はどういうぐあいにお考えになっておりますか。
  151. 澤雄次

    ○澤政府委員 騒音防止法の大半の補償は、先生のおっしゃいますように、八十ホン以上を対象にするというふうに音で補償工事を実施いたしておりますが、この移転補償につきましては、全国の基地も同一でございますが、どこで切れ目をつけるかという、国の予算の使用上せつ然と境界をつけなければいけないものですから、従来から、自衛隊の場合は着陸帯の末端から千メートル、それから民間の今度御審議いただきました騒音防止法では、滑走路の末端から千三百メートルということで距離で切っております。先生おっしゃいますように、これを音で区分するということも検討してみなければならないかと思いますが、飛行経路がときどき変わるというような問題もございますし、また全国の基地に対するすべてにこれは及びますので、国として財政上の負担の問題もございますし、慎重に検討さしていただきたいと思います。
  152. 小川三男

    小川(三)委員 さらに精神薄弱児などを収容してある場所で、教室は防音装置の対象になる。けれども教室を離れて、ほかの収容せられておる部屋ですね、これは一般民家と同じであるから防音装置の対象にはならない、こういっておるのですが、そういう点の解釈はどうなんです。
  153. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは騒音防止法を御審議いただきましたときも御説明申し上げておりますが、学校、幼稚園等につきまして、そこで学習をする場所は騒音防止法の工事対象になっておりますが、宿泊施設——学校の場合には寄宿舎でございますが、これは防止工事の対象になっておりません。
  154. 小川三男

    小川(三)委員 ですから、そういう問題について現地についてまず実情調査されて、そうして現状に即してこれをやっていかないと、私はこの前の国会で、あの法案をそのまま通すけれども、それはやがて地元で物議の種になる、けんかの種になるということを指摘しておいたのです。そのとおりなんです。ですから、実情に即してこの解決に当たるように、特に川西の高芝、久代の人たちは、日に何回も県庁へ押しかけていったけれども、もうどうにもならない、航空局へも数十回行っています、けれども具体的に解決のついたものは何一つとしてない、だから集団移転する以外にないんだ、現状で、住んでいる状態の中で防音の装置が何もできないということなら、集団移転するしかない、こういうことを言っているわけです。その点について、現状についてもう一度調査し直して、再出発する決意でやってもらいたい。
  155. 澤雄次

    ○澤政府委員 この法律を起案いたしますにつきましては、もちろん関係官は現地にたびたび参って実情調査さしていただいておりますし、それから全国の基地につきましても、実地調査をいたしているわけでございます。今後実際の予算を支出するにつきましては、現地で騒音測定をやりまして、そして現在の基準による補償の対象になるかどうかということをはっきり確かめなければなりませんので、今後たびたび現地には参って調査をいたしたいと思っております。
  156. 小川三男

    小川(三)委員 それでは、新国際空港の問題について局長に伺いますが、現在の進行状況ですね。具体的に現在どの程度までどういう形で進んでいるか、それをちょっとお答え願いたいと思います。
  157. 澤雄次

    ○澤政府委員 新国際空港の土地の取得につきましては、公団職員が条件賛成二派のいずれにも属さない方々——条件賛成二派には御承知のようにすでに売り渡し交渉を開始しているわけでございます。条件賛成二派に属しない方にお話しをいたしまして、そのうち約十名近くの方が了解されまして、すでに代金をお払いした方もございます。それから租税特別措置法の適用が一月になりますと変わりまして、減免の範囲が非常に広くなりますので、一月になりますと、相当多数の方が売り渡しに同意されるであろうと見込んでおります。条件二派との交渉はまだ価格に相当の開きがございまして進捗を見ておりませんが、公団は精力的に条件二派と折衝いたしております。
  158. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、いま売買の成立した数字は全必要面積の何%くらいになりますか。
  159. 澤雄次

    ○澤政府委員 すでに売買契約が成立したものは五ヘクタールでございます。
  160. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、あなたのほうでこれから取得しなければならない総面積のこれは幾らになります。
  161. 澤雄次

    ○澤政府委員 民間所有地は六百七十ヘクタールでございます。
  162. 小川三男

    小川(三)委員 運輸大臣おいで早々であれですが、運輸大臣は当然新国際空港建設の本部長に就任された。この問題が始まった昭和三十八年以来、あなたで七人目です。七人のさむらいが登場して、あなたで七人目です。航空局長が澤さんで四人目、こういう状態なんです。これは政府のほうですね。地元の農民は変わっておりません。そこでいまの新国際空港の現状を、あなたは就任されてどういうぐあいに把握されたか、これからどういうぐあいに進めようとなさるのか、その点について伺いたい。
  163. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 新国際空港の問題でいろいろ御配慮をわずらわしまして、まことに感謝にたえません。ぜひとも御協力のほどをお願い申し上げたいと思っております。  新国際空港は、日本の将来の発展を考えますと、どうしてもつくる必要がございまして、私もことしの秋フランスへ行ってコンコルドを見てまいりましたが、コンコルド、SSTが世界を飛び回る、非常に大きな変化が世界に起こるというときに、アジアの玄関先である日本にそれらの飛行機を受け入れる空港がないということは、必ず台湾や韓国にアジアの玄関を奪われてしまうという危険性もあるのでありまして、日本国民の大きな失望を買い、政治の責任を問われるということにもなると私らは思います。こういう民族的責任を感じまして、佐藤内閣は成田を候補地とし、それを完遂すべく努力をしておるのであります。私もそういう大命を受けて運輸大臣に就任した以上は、断固として所期の目的を完遂するように誠心誠意努力を尽くして実行してまいりたいと思っております。現状はまだいろいろな問題がございまして、必ずしも満足すべき進行状態にはまいりませんけれども、順次地元の人々の御理解をいただきまして、われわれ政府、公団、千葉県あるいは千葉県の皆さま方一体になって努力すれば、必ずしも不可能な問題ではない、このように心得ております。
  164. 小川三男

    小川(三)委員 いま大臣からお答えがありましたが、これからの飛行機がスピード化していくのと、大型化していくことはもう間違いない。したがって国際空港にしても、いま運輸大臣、パリの飛行場をごらんになられたということですが、パリでも、ここにある数字を見ても千六百ヘクタール。これは世界各国の国際空港からすれば小さいほうです。ところがいま政府が成田へつくろうとしておるのは千六十ヘクタール。最初は二千三百ヘクタールのものを富里へつくろうと、あなたのほうでは発表された。それが地元の住民の反対にあったのか、政府部内の問題であるかは別として、それを取りやめた。最初の出発からいって、国会は、この運輸委員会でも、航空審議会の答申案を尊重するということでこの委員会は通過しているわけです。ところが航空審議会の答申案は、富里付近ということを指摘しているわけです。ところが今度成田へ移ってきた場合に、富里へは一坪の土地もかからない。すべて成田へ持ってきているわけです。しかも、規模を大きく後退させて持ってきておる。これは一体どういうわけで航空審議会の答申案をあなたのほうは拡大解釈して、富里付近だから成田も富里付近だ、こういう解釈のもとにやっているらしいが、富里に全然かからない成田に全部持ってきて、それがどうして答申案の富里付近であると言えるのか。それから、なぜこれを規模を後退させたのか。国際空港である以上、これは大きな面積を持たなければならないはずです。日本の玄関として、また将来のことを考えるなら、もっと大規模なものでなければならないはずだ。ところが、富里案の三分の一に後退して持ってきておる。これはどういうことですか。その後退しても差しつかえないという具体的な問題はどこにあるのか。
  165. 澤雄次

    ○澤政府委員 航空審議会の答申は、お説のとおり富里付近とございますが、成田もその土質、気象条件その他が富里周辺とまず全く同じでございます。それで富里付近ということで成田に移転したわけでございます。成田に移転しました理由は、これは先生よく御承知のように、あそこには御料牧場がございますし、県有地も非常にございますし、いわゆる買い上げをしなければならない土地の面積をなるべく減らして、しかも最小必要限度の飛行場をつくろうということで、成田に移転したわけでございます。政府の正式の発表といたしましては、この富里付近というのはこれは閣僚協議会できめておりますが、正式の告示その他で政府の意思を発表いたしましたのは、成田だけでございます。
  166. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、この富里案として発表した二千三百ヘクタールという案は、これはやってもやらなくてもよかった案であったのか。
  167. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは将来にわたりまして必要な国際飛行場といたしましては、先生先ほど指摘になりましたように、七百万坪から一千万坪という飛行場が望ましいのでございますが、この成田の三百二十万坪でも、御承知のように滑走路を三本つくりまして、約二十六万回の離着陸が可能でございます。二十六万回と申しますと、昭和四十六年に新空港が供用開始をいたしましてから相当長きにわたって使用できます。その間飛行機の機種の変更その他も勘案して、さらに遠い将来にどのような飛行場をつくるかということは、その間に検討を進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  168. 小川三男

    小川(三)委員 いま澤さん、あなたそうお答えになられたけれども、これからボーリングをやると言っているでしょう。三里塚についてはボーリングもやっていない。気象条件の調査もやっていない。ただ富里でだめだというので、思いついたままに三里塚へ移してきているのです。その点をはっきりと運輸大臣のほうへ説明なさったか。あれは場当たりですよ。富里のほうがだめだと言われて、佐藤さんと友納知事とが話し合いをして、それじゃ隣の三里塚へ持っていきましょう、こういうことなんです。したがって、気象条件もボーリングもやっていない。これからボーリングをやると言っているのです。その点はそうでしょう。どうなんです。
  169. 澤雄次

    ○澤政府委員 ボーリングにつきましては、具体的に敷地内のボーリングはこれから実施をいたします。しかしこれはいろいろな資料——委員会にも御提出申し上げました資料によりましても、大体関東ローム層の状況は富里、それから成田の周辺地区、予定されました敷地内も大体似た状態にあるということでございます。それから気象状態につきましても、当委員会に御提出いたしましたように、気象庁のいろいろな出張所のデーターを集めまして、この成田の気象状態も富里と大差ないという結論で、成田を選定いたした次第でございます。
  170. 小川三男

    小川(三)委員 運輸大臣航空局長はあそこが適地であるということを強力に主張しているんですよ。それは気象条件や土質は別として、そこに住む大多数の人々が反対している事実は、これを適地であると言えるのかどうか。人間が反対しているのです。住む人間が反対している。その点がある。
  171. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 四つの島に一億の人間が住んでいるのでありますから、なかなか土地はないのであります。日本ほどの濃密会社は、いま世界にないだろうと思います。山岳が多い結果平地が少ないという、非常に憂うべき国土の現状であります。そういう点から、国際飛行場を選択するとなりますと、どうしても人家にかからざるを得ぬのでありまして、そのほかいろいろな諸条件、東京との距離とかあるいは地殻の構造であるとか、いろいろな条件を考えてみますと、成田が適当であるというように決定されたものと聞いております。住民の方々に御迷惑をおかけしますことはまことに申しわけない次第なのでございますが、しかしながら県としても、また国としても最善の努力をいたしまして、住民の皆さま方の御納得がいくように誠意を尽くしてまいるつもりでおります。そういう点からもぜひ住民の皆さま方によろしくおとりなしのほどをお願い申し上げたいと思っております。
  172. 小川三男

    小川(三)委員 いま住民のとりなしと言うが、一体この問題について、水利水系の関係もあるでしょう。高速道路の問題もあるでしょう。高速電車を入れるなら鉄道の問題もある。油を持ってくる。パイプラインの問題もある。こういうような総合された仕事を一体どこのだれが、どんな機関がこれを行なうのだ。公団にはそんな権限はないはずですよ。公団は飛行場を建設して維持管理することが、主たる仕事である。公団にそういう権限はない。一体どこのだれが、どの機関を経てこういうことを、総合計画をやるというのか。しかも三里塚を中心にした総合計画などというものは、あの発表をした時点にはなかったはずですよ。その後急速に取りまとめているにすぎないでしょう。したがって具体的にどこの機関が、だれがやるのか。
  173. 澤雄次

    ○澤政府委員 この空港自身の建設及びこれに必要な関連事業、これは都心と空港との間の連絡の道路あるいはおっしゃられた鉄道の問題、それから周辺の開発に必要な市町村道その他排水の問題、農業かんがいの問題、これらは原則的には各省各省に権限があるわけでございますが、昨年の七月四日に閣議決定をいたしまして、その大綱を政府としてきめたわけでございます。その推進は、運輸大臣が新東京国際空港建設実施本部の本部長といたしまして、各省の計画をとりまとめて、これを閣僚協議会で決定する、こういう組織に相なっております。
  174. 小川三男

    小川(三)委員 工程からみると、昭和四十二年度には用地の買収は終わるという予定になっていたはずなんです。四十二年度の三月までに用地の買収が終わるなどということは、おそらく期待できないでしょう。しかも、総合計画が運輸大臣のもとで計画されているとするならば、具体的にそういう方向で進んでいるのですか。
  175. 澤雄次

    ○澤政府委員 具体的に個々の市町村道をどうするか、あるいは鉄道の敷設をどうするかということは、各省で計画が進んでおります。それから東関東自動車道を敷くというのも、この十一月に決定をいたしております。それで個々の事業については各省と千葉県の間で進んでおります。これを、近くその進みぐあいを閣僚協議会におきまして総合的に発表していただきたい、このように思っております。
  176. 小川三男

    小川(三)委員 千葉県知事はおとといの県会で石井という議員の質問に答えて、いまのような状態で三月、年度末まで進むならば私としては返上をも考えた重大な決意をしなければならないという意味の答弁をしております。まだ議事録を見てません、電話で照会しただけですが、そういうような答弁をしております。したがって、あなたの言うように具体的に事が進行しているとは考えられない、その点どうですか。
  177. 澤雄次

    ○澤政府委員 知事がそういう発言をされました理由が、その土地買収の価格の交渉がうまくいかないことにあるのか、あるいはその関連公共事業の進捗ぐあいからそう言われたのか私も存じませんが、価格の交渉の問題がただいま難航しておりますことは、先生の御承知のとおりでございます。これは公団が精力的に両者の価格差を縮めようということで、いませっかく折衝をいたしております。  それから関連公共事業につきましては、具体的に市町村道につきましても一つ一つ、この市町村道をどうするかというようなことを詰めてまいります。これはたとえば市町村道につきましては、県から相当多数の要望路線が出ております。これは空港開始までに、大部分の市町村道につきましては舗装を行なうというようなこともきまっております。これは内々きまっておる。そのようなぐあいで、大きく発表はいたしてありません。じみちに一つ一つの問題についていま詰めておりまして、そのうちの大部分のものにつきましては四十三年度からそれを予算化するということで、ただいま予算要求中でございます。
  178. 小川三男

    小川(三)委員 運輸大臣に伺いますが、いまの規模の新国際空港ですね。いま発表されている規模の国際空港で、これが日本の表玄関である、日本が世界に代表すべき国際空港であるという資格を持つものだ、規模のものだという理解の上に立たれているのかどうか。全力をあげて推進するに値する規模のものであるのか。
  179. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 百点ではありませんが、八十点以内ぐらいには入るだろうと思います。したがって満足ではありませんけれども、いまの状況ではやむを得ない、これを推進する以外にはないように私は思っております。
  180. 小川三男

    小川(三)委員 推進する場合に、あなたのほうでどうお考えになっているか知りませんが、一番大きな障害は、土質の問題でもなければ気象の問題でもない。それは地元の農民の結集した反対の運動ですよ。条件二派の人たちにしても、いまあなたのほうで提示している価格と倍の開きがある。これを縮める自信ありますか。条件二派のりちにもたとえばこの間、おとといなんか現場で衝突事故があったというので、電話で問い合わせて聞いたのですが、少なくとも四十分の時間のうちに約五百人の人が集まってくるのですよ。駒井野地先の天浪、木の根、こまかい部落ですよ。ここではみんな条件派なんだというぐあいに理解して公団は臨んでおられるけれども、実際はそういうことじゃないということです。この地元の、居住している農民の反対、これをどうして排除し、どうして処理していくだろうか。国家権力をもって排除するのか、それともあくまで話し合いでもっていこうというのか。その点、これは運輸大臣から承っておきたいと思います。
  181. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは住民の皆さま方の御納得を得るように、誠心誠意を尽くしてやることであると心得ております。
  182. 小川三男

    小川(三)委員 時間がございませんから簡単にしますが、運輸大臣、この案は、せっかくあなたが運輸大臣に就任されたのですから、この案を白紙に返して、御破算にしてあらためてやるほうが早いですよ。これはいまのまま話し合いの場はできません。それじゃ国家権力をもって排除するかといえば、騒乱が起こるだけですよ。激突するだけですよ。そうして時間を経過していくだけです。もうすでにこの問題が始まってから約五年半の歳月を経ているわけです。この間に何もできてない。もう五年以上空費しているんですよ。そうして、たまたま今度あなたのところへ回ってきたけれども、この現状を簡単に打開できるといったらそれは非常に甘いものだ。農民が土地を売るということは、これは商品じゃないんですよ。農民の土地は、これは生活の手段なんです。それは財産である。単に商品であると考えて、札束を持っていったら話はまとまるだろうというような安易な考え方で臨んでも、それはできませんよ。それは朝日新聞ですか、あなた、農民との話し合いについては、上州は国定忠治の生まれたところだというようなことを言っておられたが、あすこには佐倉宗吾がいるんです。浪花節的になりますけれども、そういうことではこの問題は処理できません。ここに山村君がいるけれども、ほんとうは山村君が実情を知っている。知っていて困っている。ですからこの問題については運輸大臣、そう言っては悪いですが、航空局の諸君の言い分を聞かずに、あなた自身の案をあらゆる角度から資料を集めて検討されたほうが早いです。この問題にかかっていたら、それはもうできませんよ。
  183. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 白紙に返す意思は毛頭ございません。念力岩をも通すということばがございます。誠心誠意尽くせば、必ずやれるものであると確信いたします。
  184. 小川三男

    小川(三)委員 私はこれで終わりますが、誠心誠意岩をも通すという考え方は農民の集団にもあるということをあなたにお告げして、これで私は終わります。
  185. 砂田重民

    砂田委員長代理 沖本泰幸君。
  186. 沖本泰幸

    ○沖本委員 大臣に、時間が少ししかございませんから集中してお伺いしたいわけですが、せんだってからLPGの問題で、少し大臣は問題外であるというようにお考えになっていらっしゃるんじゃないかと思いますので、事件の発端にもどっていただいて、そうして少しの間ですけれども発端の問題に少し耳をかしていただきたい。それからお考えをいただきたい。かように考えるわけでございます。  このLPGの問題の発端は、四十二年の七月、ことしの七月の二十四日に冷房料金の認可について陸運局と業者との間に不正がある、こういうふうに大阪地検が見て捜査を開始し、八月の十二日にこの不正は贈収賄、供応の事実があったことを突きとめて強制捜査に踏み切った。そうして十二日には大タク協の多島会長、十六日には相互タクシーの多田社長あるいは本社、そういうところに強制家宅捜査をして多数の押収品を得てから、問題がLPGのほうに変わってきてしまっている。そういうことなんですけれども、この事態は、供応という点についての捜査の進展というものはこの時点でとまっているわけなんです。この供応の捜査のとまっている時点というものは、すべて陸運局に関している、運輸省関係のある問題である、こういうことになっております。しかし、この冷房料金のときは、一般に見ますと、業者と陸運局が世論に対抗して猛烈に反対した。対抗して、この冷房料金を強行しようとした。ところが、大タク協のほうに地検の手入れがあって初めて、あわてて全廃に踏み切った。陸運局のほうは、できるだけ世論にあって、いわゆる全廃するような勧告等をしたのかもわかりませんけれども、一般の国民や大阪の人たちが見ている目では、陸運局も非常にこれには抵抗している、こういうふうにみな見ているわけです。そういう点から、検察庁のほうの調べが、陸運局長のせんべつという問題、あるいはいろいろなところでごちそうになった供応、こういう問題に疑いが生じてきている。ですから、当時はすべて陸運局に疑いの目が移ったわけです。  そういうことで、現在の時点とはだいぶ問題が違うわけですけれども、もう一度この点に話を戻して、先日、十一月の一日に法務委員会で、私は原山自動車局長さんと少し話のやりとりをやったわけなんですけれども、そのときに、上原前陸運長がせんべつをもらいに行くときに、私費で行ったのか、あるいは公費で業者の招待に応じられたのか、こういう点について局長さんは、はっきりしたことはわからない、一応相談は受けた、こういう御答弁だったと思うのですけれども、その点について、その後はっきりしたんでしょうか。
  187. 原山亮三

    原山政府委員 上原現参事官が転勤いたしまして、転勤直後にいろいろと残務的な引き継ぎ問題がございますので、大阪のほうに行くことについて、私は了承を与えました。そのときには、出張ということでなくて、残務整理、引き継ぎという関係でございます。
  188. 沖本泰幸

    ○沖本委員 残務整理、引き継ぎということなんですが、そのときは協会から招待を受けている。それに出席するということはお断わりになってお越しになったわけですか。
  189. 原山亮三

    原山政府委員 実はそういうふうな会があるということについては、別に聞いておりませんけれども、通常命令が出ましたら一週間以内に必ず赴任してまいりまして、そしてその後残務のために、出張でなくて、大阪のほうに帰る、こういうことでございます。
  190. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そうすると、その残務整理の間に招待に応じられた、こういうことになるわけですね。なぜかというと、このせんべつというものは日ごろの慣習であり、こういうものは在来あったんだということでもあり、非常に言いにくいことですが、自動車局長さんも大阪陸運局長時代にせんべつをもらわれたという御答弁もなされておるわけです。そういう関係から、すでにそういうことを予想されて行っておったかどうかということになるわけです。ですから、その残務整理の出張中に招待に応じられたということは事実なんですね。
  191. 原山亮三

    原山政府委員 その歓送迎会がいつあったのかということについては、正確に存じませんけれども、私のほうが聞いておりますのは、一週間以内に赴任した直後、残務のために及び引き継ぎのために帰った、その期間のことじゃないかと考えます。
  192. 沖本泰幸

    ○沖本委員 二月四日にコクサイホテルへ行っておられるのです。土曜日です。そういうわけですから、そうすると、残務整理で出張されるということは、それ以前に出張されておって、それに御出席になった、こういうことになるわけですね。
  193. 原山亮三

    原山政府委員 出張ではございませんで、通常そういう転勤の場合におきましては、命令が出てすぐに新任地のほうに行きまして、そしていろいろと新しい任地で関係個所にあいさつなりいたしたわけでございます。それをしまして、一たんまた旧任地に行きまして、そして新しい人との引き継ぎなり、あるいは従来やっておったことをよく整理して、そして正式に新しいところでもって仕事をする、こういうことになるわけであります。
  194. 沖本泰幸

    ○沖本委員 こういう問題のやりとりは、一応司直の手が今後どんどんおやりになる問題ですから、あまりここでほじくり出してどうこう言ったところであれですけれども、そういう面も考えられる。われわれから見れば、百万円でもせんべつであるか、三十万円でもせんべつであるか、一万円もせんべつか、こういうことになるわけですけれども、この論議もまた別にいたしまして、この話はこれくらいにさしていただいておきます。いずれ後日検察庁のほうで、こういう問題は明らかにされていく問題だと思います。  そこで、大臣にお伺いしたいわけですけれども、この間の問題になるのですが、LPGの問題で一番問題になりました、關谷議員が出席して、そのときに大タク協の多島会長が自民党に一億円、社会党へ六百万円、それから民社党四百万円、非常に献金さしていただいた、こういうふうなことを話をし、それから關谷議員が、話がこのあとに出るわけです。「LPG課税は来年度まで延期されたが、次回の国会で議案が通過するようであれば、過日審議未了にした意味がなくなるので、壽原氏ともども手を打っていきたい」壽原代議士は——これは二人出席されているわけですが——特にLPG課税については結束による協力があれば阻止できる、こういうふうに強調された。なお、このあとにこの大タク協の藤本総務委員長、これは松山会の責任者になられる方ですが、この人の談話の中でも「昨今の経済界の不況は生産過剰を招き設備過剰を伴って、他産業でも生産調整するといった逼迫した情勢であるにもかかわらず、個人タクシーを許可するのは納得できない、需給の問題をまず解決すべきであると主張し、この結果、七月七日までに陸運局で実車率に対するデータを収集し、需給調整の問題を解決することの結論に達した。大阪においても同様の議論があると思うが、十分主張されたい。」福田先生も「免許制度の緩和」——これは「下部」と印刷してあったのですが「一部地方」という印刷の間違いじゃないかと思うのですけれども、「一部地方に移行」等について、じみな仕事であるが、皆さんと協力、次の国会で十分な成果をあげたい」こういうふうな話をしておられるわけです。このときには、二宮自動車部長さんがこの席上に出席されております。これは第四回定例会の四十年六月二十八日、コクサイホテルの七階において出席されておるわけです。それから、その後第五回の定例会は、同じコクサイホテルで關谷代議士が出席されたのですが、多田自動車部長も出席なさっております。それから、今度は第六回は、四十一年六月二十三日、有馬の向陽閣で關谷代議士、上原陸運局長も列席なさっております。  こういうふうにたびたびこういう業者の会合においでになっていること。よしあしということは論外ですよ。ですから、こういう席においでになっているということは、業者の動きというものはよくおわかりになっている。LPガスで非常に動いていらっしゃる。こういう中においてのせんべつと私はこう見ているわけなんですけれども、こういう点について大臣は、この問題に対してどういうふうにお考えでしょうか。
  195. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いろいろ誤解を受けましたり、あるいは社会から非難されるような行為がありましたことはまことに遺憾に存じます。せんべつの内容につきましては、それが法的にどういう性格を持つか、これは司法当局にまかしておくべき問題でありますが、少なくとも誤解を受けるような所為のあったことは遺憾であったと思います。そこで私、着任以来こういうせんべつや宴会等に関するまで厳重に示達いたしまして、いささかも疑惑を招かないように戒めております。
  196. 沖本泰幸

    ○沖本委員 またこのときの問題に触れますけれども、四十年の一月二十一日の東旅協の資料によりますと、運賃改訂問題——LPガスだけでないんですね——免許維持等の諸問題に対処する政治献金として臨時会費徴収、こういう名目でいわゆるLPGの一台につき八千円、それ以外の車に三千円、こういう特別の徴収を行なっていっている、こういうことなんですから、こういう観点からいうと、陸運局と業者とは間があまりにも密接に深入りし過ぎているんじゃないか、こういうことにもなっていくと思うわけです。そういうことで、この前にも原山自動車局長さんにお話ししたのですが、国家公務員法の九十九条には、職員は、その官職の信用を傷つけたり、また官職全体の不名誉になる行為をしてはならない、こういうふうに明らかに定義されておるわけですから、今後こういう点については厳重にやっていただかなければならないわけですけれども、しかしこの問題に関しまして、現在の安富大阪陸運局長もそのままです、多田自動車部長もそのままなんですが、このままの状態でおいておけば、司直の問題が明らかになっていろいろ処分を決する、こういう意味合いではなくて、そうではなくて、いわゆる一般の業者であるとか、あるいはいろんな手続をする人たちであるとか、陸運局にいろんな問題を持ち込む人たちを明朗にしていくためにも、こういう人たちを早い目にどこかへ転勤させて、そして人事を刷新したほうがいいんではないか、こういうふうに私は考えるわけなんですけれども、それに対して大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  197. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 御指摘のとおりであると思います。しかし人間の配置の問題は、いま事件が継続中でありますので、事件の推移を見た上で処理いたしたいと考えております。
  198. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そこで問題は、ここでも問題になっております運賃改定問題になっていくわけですけれども、ちょうど四十年の十二月二十八日の、LPGの三党共同修正案が可決した日に、大タク協は三六%の運賃値上げを大阪陸運局申請しております。こういうわけで両方の運動で値上げをはかっていった。四十一年は運賃値上げの陳情が、運輸省陸運局へ波状的に繰り返されておる。こういう点もこの献金と時を同じくして運動されてきておる。そういう問題があってこの事件にいろいろ波及していったわけなんですけれども、問題が激しくなったときに前大橋運輸大臣は、ことし一ぱいは運賃の値上げはやらない、こういう言明をされて、ことしも押し詰まったわけなんですけれども、その後のいろんな結果から見ていくと、国民全般は、業者がもうかってない、赤字が出ているんだということでなくて、もうかっているんだ、こういう内容を新聞その他の報道ですべての人が認識しているわけですけれども、LPガスも四十四年の十二月までは、この間は値上げすることも、国会できめられたがらない、こういうことにもなりますけれども、この運賃改定について来年度大臣はどういうふうなお考えを持っていらっしゃるでしょうか。
  199. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 物価を押えるというのは内閣の方針でありまして、特に公共性を持っておる運賃等につきましてはできるだけ押えて、値を上げさせないように努力してまいりたいと思っております。
  200. 沖本泰幸

    ○沖本委員 来年に対する御構想はないわけですか。
  201. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 来年についても、そういう心組みで処理してまいりたいと思っております。
  202. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それと、この間大タク協並びに業者の方々が釈放されたわけですけれども、いわゆるああいう献金は在来にもあったものである。慣習であるというような発言をして、そして全然業者のほうとしてはもうかってないものから取ってない、こういうふうなことも言っておるわけです。ですが、実際はおしなべて一台に幾らとこういう割り当てをして、また、もうかってないという発言に対しては、もうかっているという裏もちゃんとあるわけです。こういう段階にあるのですが、こういう問題、献金云々ということは運輸省関係ありませんけれども、いわゆる一つも、そういうことに対して世間を騒がして何も考えてない、こういうふうな問題があった業者に対して、大臣は何か方法をお考えなんでしょうか。今後こういう業者に対する態度運輸省はどういうふうにしていくかという点について、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  203. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 運輸当局現地機構とそれから業者の接触に関して、いままで必ずしも適当でないところがあったように思います。大体一面においては官紀が弛緩しておる、また他面においては業者関係がまだ封建的で近代性や合理性がない、そういうところからなじみまして、そういう誤解を受けるような行為もあったように思います。その底辺の部分を大掃除するのが非常に大事であると思いまして、いまその辺に一生懸命努力している最中でございます。
  204. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それじゃあと、時間も迫りましたので質問をもう一つにしぼらしていただきますが、臨時行政調査会の三十九年度に調査した数字によりますと、運輸省の許認可の数が千七百六十四種類ある。多いと思われた大蔵省、厚生省よりも約四、五百も多い。軌道施設の撤去から始まってタクシー、バス、トラック等運送事業の新免、増車、今度はスキーリフトからユースホステルの認可にまでまたがっていっている。それだけの種類が今度は細分されて、実際には一万をこえているのじゃないだろうか。ところが今度総理大臣のほうから一省一局を削減する、こういうふうな行政改革を持ってこられて、観光局のほうを削減されたわけですけれども、こういうふうな事務繁多な内容の中に、やはりお役人さんが、あるいは大ぜいの人が罪を犯さなければならないいろいろな問題をはらんでおるということになるのではないか、こう思っておるわけですけれども、こういう点についてもっと運輸省の許認可に対する、こういうものに対する機構を簡素にして、改めていって、そして窓口が明朗になり、だれにでもわかるような窓口と、またこういうふうな汚職の発端を起こさないような機構に改めていく大臣の御構想はお持ちはありませんでしょうか。
  205. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 運輸省関係していますことは人命の安全とか社会、公共の安全に関係することが多いので、それでやむを得ず許認可事項は多いようになっておると思います。しかしこの時代の進展に応じまして、民間で十分やれるようなことは民間に移譲したほうがいいだろうと思います。現に自動車の検査や何かの一部は移譲しているものもあります。したがいまして、民間でそういう受け入れ態勢が現実にできて、いいと思われるものはどしどし移行するようにしていきたいと思っております。
  206. 沖本泰幸

    ○沖本委員 また一部は、地方自治体のほうへまかせられる事務的な問題、許認可の問題は配分していって、そういう問題がもっと簡素化されて監督が行き届いていく、こういうふうな目が届くような方法にしてみたらどうか、こう思うわけですけれども、この点についても大臣はどうお考えでしょうか。
  207. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それはまた事の性質によると思うのでありまして、地方自治体にまかしたからといって必ずしも健全に運営されるとは限らない点もあります。案外地方自治体というものは地元になじんでおりまして、目に見えない腐敗が起きないとも限りませんし、全国的統一を要する問題も多々あるわけであります。したがいまして、仕事仕事の性質によって、基本方針としてはいまおっしゃったような精神を盛りまして処置してまいりたいと思っております。
  208. 沖本泰幸

    ○沖本委員 以上で質問を終わります。
  209. 砂田重民

    砂田委員長代理 次回は、明二十一日午前十時理事会、午前十時二十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時一分散会