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1967-10-12 第56回国会 参議院 文教委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十月十二日(木曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大谷藤之助君     理 事                 楠  正俊君                 中野 文門君                 秋山 長造君                 鈴木  力君     委 員                 北畠 教真君                 近藤 鶴代君                 内藤誉三郎君                 二木 謙吾君                 小林  武君                 市川 房枝君    国務大臣        文 部 大 臣  剱木 亨弘君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        内閣官房長官  亀岡 高夫君        人事院総裁    佐藤 達夫君        総理府人事局長  増子 正宏君        警察庁警備局警        備課長      三井  脩君        大蔵省主計局給        与課長      津吉 伊定君        文部省初等中等        教育局長     天城  勲君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (教職員給与等に関する件)     —————————————
  2. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  教育文化及び学術に関する調査中、教職員給与等に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。  なお、政府側より剱木文部大臣佐藤人事院総裁尾崎人事院給与局長増子総理府人事局長津吉大蔵省主計局給与課長が出席いたしております。
  3. 小林武

    小林武君 総理府人事局長でわかりますか、これは給与担当のことで聞くわけですから。実施の時期について閣内でいろいろな意見があるということは新聞にもたくさん出ているわけですが、どんな意見があるわけですか。その主張理由は、一体どういう主張理由によっていろいろな意見が出ているのですか。  なお、そのことについて、人事局長から答えられないところがあったら、給与担当大臣でいらっしゃる文部大臣からもひとつ詳細に説明してもらいたい。
  4. 増子正宏

    説明員増子正宏君) ただいま御質問の件でございますが、給与関係閣僚会、いわゆる六人委員会としましては、今回から文部大臣もお加わりになっておられるわけでありますが、この会議はすでに四回ほど開かれておりますけれども、そのいままでの論議対象となっておりますのは、勧告内容全体ではございますけれども、とりわけ都市手当の問題につきましていわば論議を集中的にやっておるわけでございまして、実施の時期の問題につきましては、まだこの会議の席上ではいわゆる論議対象にはなっていないわけでございますので、この会議内容として申し上げることはございませんが、御指摘のように、いろいろ閣僚内でも意見があるようだという点でございますが、これは私どもどういう席でどういう意見が行なわれているかということは承知いたしておりませんので、それをお答えすることはお許しいただきたいと存じます。
  5. 小林武

    小林武君 お許しいただきたいなんという、そんなことじゃないのですよ。私は一番問題なのは実施の時期の問題だというふうに思います。実施の時期の問題、これにからんで少なくとも公務員共闘会議統一行動をとるといっているのですよ。政府で一番関心を持たなければならぬのはこのことです。そういうことですから、実施の時期についていろんなことを言っているというのは一体——ぼくらも大蔵大臣とこの間党として会って、大蔵大臣としての見解はいろいろとわかった。わかったというのは、見解がたいへん違う。あるいは経済企画庁長官の、新聞の記事を通してこれもなかなか重大な問題だと思うのでありますから、六人委員会では実施の時期について一番やはり力を入れなければならぬことだと思うのです。ただし、この決定については、この間統一されたのは、大体見解としてわが党でいろいろ申し入れをやった際に出たのは、佐藤総理が帰られるまではこのことについてはとにかくはっきり決定はしません、お帰りになってからひとつやりましょうという、こういうあれは、それは私は認めている。そうしてもらいたいと思っている。しかしながら、論議の中心は少なくとも実施の時期でなければならぬと私は思っているのです、いまの段階で。この点について一体、剱木給与担当大臣にお尋ねいたしますが、実施の時期について何ら触れていないというのは一体どういうことですか。
  6. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) いま、六人委員会といいますが、七人委員会でございます。  これまで委員会でいろいろ論議はいたしておりますが、委員会における論議段階におきまして、個々の大臣がどういうふうに言ったということは私から申し上げるわけにはいかないと思います。ただ、実施の時期につきましては、大蔵大臣のほうで、十五日以降でないと明確なる財政見通しができかねるから、その財政見通しがつくまでその実施の時期の論議はしばらく待ってほしい、こういう意見がございまして、ただいま増子局長から申しましたように、いままで主として費やされましたのは都市手当の問題でございまして、時期等につきましては、最終的な論議は、大蔵省におきまして大体の財政見通しをつけました上で論議をいたすということにいたしておるわけでございます。
  7. 小林武

    小林武君 大蔵大臣財政見通しといったことについては、後ほど述べましょう。しかし、実施の時期というのは、給与担当大臣として、特にまた文部大臣として、この問題でいろいろお考えがあるから、私は、志願されて七人委員会になるようにあなたが努力をされたんだと思うんです。その点、私は非常に了としているわけです。大体こんなところに出ていって、あまり得もしないのに文部大臣が出られて、そうしてやられたということは、非常に私はその点については敬意を表しているんです。しかし、やっぱりいろいろそういう御努力をなさるとしたら、一番の問題点は、先ほどから言うように、実施の時期なんですよ。だから、その実施の時期について決定するということは、大蔵大臣のあれについていろいろ佐藤総理がお帰りになってからとか、十月の十五日ごろまで、いわゆる大法人決算期が終わらぬというとはっきりしたことが言えないということをわれわれにも言っています。そのことは一応認めても、そのことの論議はしてもらわないというと、後ほどいろいろ質問の中に出てきますけれども、これはちょっと、私は肝心かなめのところを忘れているように思うんですがね。あなたは、いろいろなことを御議論なさっても、なかなかその内容について言えないというのは、これはわかりますよ。わかるというのは、ある程度あなたのおっしゃることはあれだけれども、全然触れていないとか、待てと言われたから待っているんだということは、私は了解いかないんですよ。これはあれですか、全然そのことについては大蔵大臣待ちだと、こういうことですか。
  8. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 最終的な決定は、大蔵大臣から財政見通しができましてからでないとできませんけれども、それは雑談的にはいろいろな話をもちろんしております。それから、実施時期の意見はどうかと言われれば、これは明確に申し上げることはできぬと思います。それは七人委員会に入らしていただきました関係から申しまして、私としては、いま申されますように買って出たわけでございますから、私の主張は、公務員の今度の人事院勧告につきまして全面実施の線であくまで主張してまいりたい、こういうかたい決意をいたしているわけでございます。
  9. 小林武

    小林武君 それでは、いまの点はひとつ——了解はいたしません。とにかく雑談なんという、ことばじりをとらえるわけではありませんけれども、私は、剱木文部大臣の非常な努力について、先ほど言ったとおりなんです。そういう気持ち、よくわかります。それからまた、このことについては、少なくとも毎年ですね、関係労働大臣とかなんとかのおっしゃることは、もう完全実施なんですよ。そういうふうな態度はきめられておるけれども、きわめて軽くひねられて、結果的にはとにかく一歩の前進もなかったというのが、いままでの実情でございますから、私は雑談程度ということについては、非常にこだわりを感じますけれども、それはひとつ先に延ばしましょう。  そこで、大蔵省主計局給与課長さんにお尋ねいたしますが、あなた、どの程度お答えをしていただけるのかどうかわかりませんけれども大蔵省では、財政見通しのいかんによっては、給与勧告実施の時期の問題なんというのは自由に変えられると、こういう見解に立って検討しておられるかどうか、それをひとつ答えてもらいたい。
  10. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 先生のおっしゃいますように、お答えができますかどうですかということでございますが、大蔵大臣もすでに申し上げておりますように、人事院勧告政府といたしましては尊重するたてまえで進んできております。ただし、現在の段階では、これも申し上げておりますけれども法人の九月決算の結果を見ませんと、何とも判断がつかない段階である。大蔵大臣といたしましては、主要法人の概略の調査をできるだけ早く実施すると、その上でおおよその見通しを、先ほど文部大臣がおっしゃいましたように、今月の中旬以降、できるだけ早く見通しをつけたいということで作業を進めておるわけでございます。そこにおきまして、財源のありようによりましては、いかにでもなるものだというふうには考えておりませんで、もちろん完全実施前提に立ちまして、いわゆる前向きで検討をするという点におきましては、他の給与関係なさっておる閣僚態度は変わっておるというふうにわれわれは見てはおらないのでございます。
  11. 小林武

    小林武君 財源のありようによってはどうにでもなるというものでないということを、もう一ぺん説明してください。
  12. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 従来九月実施の線でまいっておりまして、その九月実施を全く考慮いたしませんで、あるいは半面五月実施という勧告もございますので、それらの条件を総合考慮いたしまして、財源の許す限りにおいて実施をいたしたいというふうに考えておるのでございます。
  13. 小林武

    小林武君 ますますわからなくなったね。それでは、あなたのほうに具体的に聞きましょう。主要法人決算の大体結果が明らかになって、財源一体、どれだけの税収があったらどうというような計算なしに、そんなことあなたおっしゃるわけでもないから、その点はあなた答えられる。それを詳細に答えてもらいたい。
  14. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 遺憾ながら、直接私は税収その他の財源関係をやっておりませんので、的確にお答えができますかどうですかでございますが、たとえば九月実施にいたしますと、国の関係で五百九十億の財源を要します。地方関係では、伺いますところ六百六十五億ちょっとの財源を必要とするということでございますので、御承知ように、国債発行の減額、あるいは災害復旧、食管の赤字繰り入れ等のための財政需要も競合してまいっておりますし、またいま申しますよう財源見通しというものも、目下のところ個個の見通しも的確にはついておらないという段階でございますので、私は先ほどのよう答弁を申し上げたのでございます。
  15. 小林武

    小林武君 そこで、あなた先ほど言われているし、大蔵大臣も言われておりますね、主要法人、あるいは大蔵大臣のそのときのことばでは大法人という話が出たが、そうすると、財源というのは、九月だけにしぼってあなたたちのほうは考えて、五月のことは一つ考えておらないわけですか。五月だったら財源幾らになる、九月だったら幾ら、それを九月実行できるかできないかという議論を大蔵大臣は一生懸命やっているのです。そうでしょう。いまのところ、あなた、勧告が出た、例年九月でやっている、九月でやっていると、五百九十億、六百六十五億の金が要るんだ、その見通しが、主要法人決算の結果を見なければわからぬとあなたはおっしゃるのですか。
  16. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 誤解を招きました点はお許しいただきたいと思いますが、われわれは、何も九月実施のみが前提であるとして財源検討しておるわけではございません。
  17. 小林武

    小林武君 それなれば、あなたのほうは——ぼくの質問よく聞いてくださいよ。あなたのほうの大蔵大臣が、この間社会党の河野副委員長以下の者に対して説明したのは、主要法人決算期を控えているから、十月の中ごろまで、十五日ごろまでにそれが明らかになりますから、その上に立ってひとついろいろ検討したいと、こう言われて、時間が制限されておりますから、きょうみたいにこまかく聞くわけにいかないから、それで終わったわけだけれども、あなたは少なくとも事務を担当なさっている給与課長さんです。一体、あなたの立場としては、九月だけのことをやっているわけじゃないでしょう。財源がどのくらいあればいいかというのは、九月のやつはわかったが、五月にやったら幾らになるのか。
  18. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) あわせて申し上げませんで失礼いたしましたが、五月実施の場合を見ますと八百九十億、これが国の関係でございます。それから、地方関係を見ますると、およそ千億ということでございます。
  19. 小林武

    小林武君 そうすると、九月と五月。そのほかの場合は調べてないですか。調べてあたら、はっきり言いなさい。そうして大蔵大臣は九月か五月という二つのあれでやっているのか、そうでないのか。財政見通しの上に立ってということになると、その見通しがどうなったら九月に実施するのか、五月に実施するのか、その財政見通しはどういう見通しですか。幾ら一体税収があって、幾ら一体財源があったらやるというのか、それをわかっておったら言いなさい。
  20. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 大蔵大臣が御答弁申し上げなければいかぬ御質問でございまして、私には総合的に幾ら財源があれば、他の災害復旧等先ほど申し上げました財政需要をあわせ考えまして、どういう実施状態になるかという点についての判断をすべきことを迫られる点につきましては、御容赦願いたいと思います。ただ、五月と九月実施のみを固定いたしまして、それ二つだけで数字をはじいておるかとおっしゃる点につきましては、もちろんわれわれ、実施時期がどうなるかによりまして、直ちにその財源がはじき出される、所要額が算定できるという準備をいたしておりますので、別段五月と九月だけしか実施時期はあり得ないというふうに考えておるわけではございません。
  21. 鈴木力

    鈴木力君 大蔵省津吉主計局給与課長にちょっと聞きますが、これはいまの数字のことではなくて、あなたが出てきたまでの経過は、私のほうであなたのほうに出てこいというか、大蔵省に出てきてくれと頼んだ。それがあなたになった経過を聞きたい。
  22. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 私は、経過につきましては、大蔵大臣出席要求がございまして、政務次官出席要求、それから次長の要求、それぞれ予算編成の所用がございまして、給与課長出席要求ということになったと伺っております。
  23. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、いまの答弁に文句がある。それは、大蔵大臣に出てきてくれ、そうしたら出れないというから、ぼくは政務次官を頼んだ。そしたら、米田政務次官のほうは、急に言われたので、別に予定の期日があったので許してくれという。ところが、もう一人の政務次官がいるはずだ。この政務次官は新潟県の自民党の県連会長をやっておって、参議院選挙の前で忙しいから出られないということなんです。公務と私用とをどう考えるかというようなやりとりまでやったあげくに、しかし、人がかわっても大臣なり次官なりが出たと同様の責任を持つ人を出すから、それで承知をしてくれ、こういうことでぼくは承知してあるのだ。だから、あなた出てくる場合に、いろいろ大臣なり次官と打ち合わせてくるべきだ。それを打ち合わせもしてこないでおって、これは大臣の言うことで私は言えません、こういうような無責任なことではあまりにも国会をばかにしておる。だから、そういう点はあなたはここでは全責任をもってものを言ってもらわなければ困る。その点だけをはっきり要望しておきますからね、これからはそういう無責任な答えをしないようにしてほしいと思います。
  24. 小林武

    小林武君 給与課長答弁でわかったことは、財政見通しによって勧告というものがいかようにでも解釈できるという見解であるということが明らかになった。このことは、しかし、あなたの見解ばかりでなしに、大蔵大臣もそういう旨をこの間述べた。だから、これは大蔵省の一致した一つ見解だ、こういうふうに理解してよろしいね。  それから、この実施のあれについて、財源の問題についてはまだわからぬらしいが、これはひとつ早急にあなた帰られて、だれが責任であるのか知らぬけれども税収のあれはどうかということを明らかにしてもらいたい。いいですか。資料を出してもらいたい、どのくらいの税収があってどうなっておるか。それをやらずに、公務員の賃金をいいかげんにされたら、たまったものではない。いいですか。  それから、総理府増子人事局長、それから人事院総裁のお二人に同じ問題をお尋ねするわけでありますが、先に総理府にお尋ねするのですが、給与局長、あなたのほうは一体これについてあれですか、この勧告というものは、財政見通しだとかあるいは景気との関係であるとかいうようなことで、いかようにでもなるというよう見解に立っておるのかどうか、ひとつそのことを御答弁願いたい。
  25. 増子正宏

    説明員増子正宏君) 私どもとしましては、人事院勧告趣旨あるいはそのたてまえ等からいたしまして、これをできるだけそのとおりに実施する、いわゆる最大限度に尊重していくというたてまえをとっているわけでございます。ただし、この実施につきましては、申し上げるまでもないことでございますけれども、これに要する財源の確保ということがやはり同時に最も必要な点でございます。したがいまして、しばしば御論議がございますように、政府としましてこの人事院勧告実施する場合にはどれだけの財源——ことに国ばかりではございません。地方公務員につきましては地方自治体のいわゆる地方財政の問題も勘案して決定しなければならないということで、そういう意味で財政ウエートが非常に大きいわけでございます。ただし、すべてが財政観点からのみ事がきまるというふうには私ども必ずしも思っていないわけでございます。そういった財政事情も非常に大きなウエートを持ちますけれども、この制度の趣旨全体を考えながら結論を出していくべきだ、まあそういうふうに考えているわけでございます。
  26. 小林武

    小林武君 わかったようなわからぬようお話ですが、まあそれはひとつあとでまたあなたにお聞きしましょう。  その前にちょっと、いま内閣亀岡内閣官房長官がおいでになったようだから、いまの問題についてひとつお尋ねしたいのですが、経済企画庁長官意見というのは、この何日間か、いろいろな点で画期的な御意見もずいぶん新聞で拝見している。それから、大蔵大臣については直接聞くこともできたし、きょうは給与課長お話も聞いた。これによって結論づけられることは、いまの答弁も同様でありますが、一体人事院勧告というものは、政府財源なり財政見通しとか、景気がどうなるとか、こういう政策的なものも全部含めて、それらの条件が整わないときにはやらなくてもいいという結果になっている。そのいい例が、八回も勧告やって、八回目も勧告がそのとおりに実施できそうもないという現状になっているわけですから、これはそのものずばりの結果だと言える。そういう考えなのかどうか、はっきり言ってもらいたいのです。これは中途はんぱにしておく問題ではない。あなたも政治家ですから、そんな中途はんぱなものにしておいて、そうしてなま殺しのヘビみたいな扱いをするということは、これはやるべきことではない。いたずらに人心を悪化させるだけだ。給与の問題というのは労働者にとっては重大問題でありますから、いいかげんな話ではなしに、あっちも立てます、こっちも立てます、こういうふうなことはいま聞きたくない。一体そういう態度がいいのかどうか。申し上げるまでもないことですけれども、民間の場合ならば、団体交渉をやって、少々力がないと考えても、その場合の話し合いによってきちんとやるのです。公労協関係のものなら、赤字を出しておってもやるのです。そういうことを考えますと、八回もぶっとばしておいて、いまになってからなまくらな答弁をされたって、実際だれも納得しないと思うのですよ。私はそういう、いたずらにこの政府職員政府との間の問題を刺激してお互いに不信感を持つなどというやり方は、そろそろ解決すべきだと思っているのです。そういう観点からお尋ねするのですが、あなたのひとつすっぱりした御答弁をいただきたい。
  27. 亀岡高夫

    説明員亀岡高夫君) 仰せの御趣旨、私どももそのとおりというふうに理解いたしておるわけでございます。したがいまして、政府におきましても六人委員会がただいま慎重に検討をいたしておる次第でございまして、人事院設置趣旨にもかんがみまして、この勧告につきましては政府は尊重をしていかなければならないという立場に立って、いままでもたびたび給与担当大臣等からも申し上げておるとおりでございます。しかしながら、そうはいうものの、公務員給与の改善につきましては、国の財政ということもこれを無視してまいりますわけにはいきませんし、しかも、国民経済全般の問題とも緊密な関係も有するわけでございますので、これらの点を総合的に勘案いたしまして、人事院勧告の線を達成し得るよう政府としては最大努力を傾けて目下検討を進めておるという次第でございます。
  28. 小林武

    小林武君 お尋ねいたしますが、しかしながらとかなんとかという、あとのほうに行ってだんだんおかしくなるわけですが、おっしゃるとおりとおっしゃったから、これはよほどいいお答えをいただくかと思ったら、最後のほうが悪かった。それから、六人委員会、六人委員会とおっしゃるが、七人委員会になっている。文部大臣を忘れないように頼む、これは。そういうことだからいけないんですよ、文教を軽視する。文部大臣にかわって私は申し上げる。  そこでね、財政上の問題とか財源の問題ですね、それで景気との関係というのは、経済企画庁とか、それから佐藤総理がかつてその他諸般のいろいろな影響を考えましてというようなことが今度の場合ついているのですよ。いままでは財源財源と言ってきたのです。財源さえあれば何とかしてやるということだったのですよ。そうして七回泣き寝入りさせられた。そうしてそれについて、文句ありますよといって行動するというと、そいつをばったばったと処分してきたんだ、法というものをたてまえにして。今度は財源が少し何でもなくなるというと、別なものがつくわけだ。景気に影響するとか、物価の高騰にこれがどういう要因になるとか、いろいろ言い出した。これじゃ一生たっても、何年たっても実施できないということになるから、この点についてはどうなんですか。財源なんですか、それともいろいろなことを考慮してなんですか、どうなんです、この場合は。それから、財源ならば、一体幾らあったら、どういう財源状態になったら五月実施するつもりなのか。ここであなたの場合なら御答弁できると思うわけでございますが、それをはっきりしてください。
  29. 亀岡高夫

    説明員亀岡高夫君) 財源の問題並びに諸般事情を十二分に検討いたしまして、政府としての態度決定していきたいという点でございます。どれほどの財源があれば実施できるかという点につきましては、私は不勉強で、金額の正確な数字は覚えておりませんが、大体一カ月百三十億、国家公務員については百三十億ぐらいと心得ておりますので——地方公務員も含めて月百三十億ぐらいと記憶いたしております、したがいまして、もし五月実施ということになれば、約八百数十億というふうに相なろうかと思う次第でございます。
  30. 小林武

    小林武君 そこで、ひとつ人事院総裁にお尋ねいたしますが、ことしは特にこの実施の時期について、人事院でははっきりした態度をとられたのですが、これはあれですか、実施の時期について、今度の人事院考え方としては一体どういうお考えですか、その人事院態度を御説明願いたいと思うのです。
  31. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) たいへんしらばくれたお尋ねで、どういうふうにお答えしていいのかわかりませんが、いま御指摘になりましたように、私どもここ数年来勧告を申し上げて、内容については幸いにして完全に実現してまいっておりますけれども、過去七年間、実施期日については遺憾ながら相当大幅に繰り下げられている。これはまことに残念である、遺憾であるということは、ここでたびたび申し上げてきたところでございますが、ことしの勧告あるいはその他の付属の文書におきましては、その点を特に強調いたしまして、ことしこそはぜひ勧告の期日どおり、内容はもちろんでありますけれども実施の時期についてもというところをはっきりあらわしたつもりでございます。
  32. 小林武

    小林武君 それからお尋ねいたしますが、あなたのほうで少なくとも勧告をするということについては非常な調査を基礎にしてやられている。これはそのことについてもいろいろ議論あるでしょうけれども、まず非常な御努力をなさったことは間違いない。民間との比較、その民間との比較をやった場合に、当然民間の企業の内容にもわたることでありますから、これは経済全体を考えた場合に、民間の賃金の問題を調査すれば、当然そこには企業の実態というものはあるわけであります。日本全般のやはり経済の問題をある程度把握してやっていると私は考えます。だから、人事院勧告というものを私は少なくとも、何というんですか、払えるか払えないかわからぬけれども、とにかく勧告はしておくわというものじゃ私はないと思う。これはどう考えたってそうならなきゃならぬものです。失業者があふれておって低賃金であったら、あなた、それに応じたようなあれを出すわけでしょう。だから、調査をすれば、そういうことに行きつくものだと私は思っている。もし間違っていたら、あなたから御答弁いただきたい。  そうすれば、私は財源とか景気とかいうものは一つの口実だと思う。財源の問題、特に財源がないないと、いままでいいかげんなことを言われてきたのは、口実で私はやってきたと思う。ひねり出せば幾らでも出せる、そういう種類のものだと思う。そうでなかったら、一体民間におけるところの団体交渉による賃金の確定なんてできないわけですよ。どこの経営者、企業だって、経営ぶっつぶしてまで賃金払うというところはないわけですよ。労働者主張とそこの間に激突があって、そうして相互の団体交渉の結果納得のいく線というのは、企業だってできるところの線でやっているわけですよ。だから、私はそういう意味で、国家の場合だって同じようだと私は判断しているのですが、それは違いますか。どうですか。それから、一体賃金の場合に、経済企画庁考えているような、これがあっちに影響するとかこっちに影響するとかいうよう景気上の問題とかなんとか、経済の動きとかいう問題も一体からんで考えられていいものかどうか、そういう点ですね。ひとつ見解を伺いたいわけです。
  33. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 小林委員のおことばを聞いておりますと、相当複雑に考えていらっしゃるようにも受け取れるわけであります。私どもはその立場とは全然違う。単純明快でございます。いまおことばの中に、財政問題あるいは一般の経済情勢その他の関連を御指摘になりましたけれども、私どもの役所の使命からいって、財政がどうなる、いまどのくらい自然増収があるというようなことを的確につかみ得る立場にはないわけです。また、その他の諸事情をどうもっていくかというような高度の政治判断について、われわれが判定すべき立場にはないわけであります。  したがいまして、単純明快と申しましたのは、いまおことばにありましたように、四月現在に六千数百の事業所を克明に足で歩いて、四十七万人の一人一人の民間従業員の給与を見詰めて、そうしてその水準をとりまして、公務員給与と比べて、これだけは絶対に足りません、ぜひこれだけは埋めていただきませんと民間の一般の水準にすら公務員給与は及びませんという態度に徹してやっておるわけであります。それに財政がどうだろうか、その他の諸事情、あるいは政策はどうだろうというようなことをわれわれが勘案して、これはちょっと高過ぎるかあるいはこれもちょっと低過ぎるかというようなことを裁量を加えてやっておりましては、われわれの勧告の信頼性、権威というものは、これは全然失われてしまう。したがいまして、私どもは生一本に、これだけ格差が出ました、ぜひこれだけは五月にさかのぼって完全に実現していただきたい、それ一本やりで押していくのがわれわれとして一番正しい行き方だと思います。  もちろん、上には国権の最高機関としての国会があり、そこにおいて最終的にこれは裁断が下るわけであります。国会が御裁断を下される場合には、おそらく広い視野のもとに勧告に対しての扱い方をおきめになるでありましょう。したがいまして、国会の裁断が下ればわれわれはあきらめます。それまでは絶対にわれわれの勧告どおり実現さしていただきたい、これ一本やりで進むつもりでございます。
  34. 小林武

    小林武君 なかなかいいですね。その点はいいですけれども、あなたはたいへん言うことはりっぱですけれども、実績はゼロですよ、そう言ったら悪いけれども。あなた、私に対して、そんな複雑なことは考えませんと、こう言った。しかし、私の考え方はそう間違っていないと思うのですよ。あなたのほうの調査の実態というものは日本の経済とかかわりなくあるものじゃないのです。まあしかし、その議論はやめましょう。  しかし、あなたが言おうとしているのは、公務員の賃金のあり方はこうあるべきだということを考えて、いろいろな調査に基づいてこれをやってくださいと言ってるだけで、国家のいろいろなことの都合だとかなんとかいうことは考えておりませんと、こういうことでしょう。そういうことをあなたおっしゃるなら、私はそのとおり、ほんとうに賛成なんです。単純明快なんです。単純明快にあなたが勧告をやって、単純明快に結論が出ておれば、私はあなたの人事院に対して絶対の信頼を持つのです。  あなた、勧告は単純明快に、信頼をかちとるとか生一本に考えるとおっしゃるなら、一体八回もこれが期日について満足を与えなかったということはどういうことですか。あなたのおっしゃる単純明快というのは、ただ、言ったら言いっぱなしということじゃないですか。その点、あなたが一生懸命努力されておるのに対してそういうことを言うのはちょっと気の毒な気もするということを前から申し上げておるわけですが、労働者立場になったら、私はそういうわけにはいかない。あなたは、単純明快に、そう言ってる。やるべきだということをおっしゃるなら、必ずそれを実施させなければいかぬですよ。この間鈴木委員も言ったけれども、私も鈴木委員も、わりあいに腰が弱いせいかもしれないけれども、せめて少しずつでも前進してきてどうこうなったというならあれするけれども完全実施が何べんかあって、今度は都合が悪かったからというのであれば、ともかくもというようなことを言った。私はそういうことを言うのは、労働者としての側からいえば、たよりないやつだと思うかもしれないけれども、私たちはそういう弱気さえ持っておった。そのものから見ても、これは許されないですよ。八回も実施していないのですよ。その上になお、ぼくは文句があるのは、それについて文句がありますといって行動を起こせば処分するということがあるから、なおさらぼくは憤慨にたえない。私は、それだから人事院総裁に申し上げるのですよ。あなた、それだけの意気込みがあったら、今度こういう九月実施というものを全く労働者がみな不満だということになったら、人事院一体どうしたらいいのです。あなたたちはそのあとをいいかげんに考えられておるから、考えられておらぬと私はあなたに言うわけです。  大蔵大臣は、大体なめていますよ。この間私は、大蔵大臣にこう言った。あなた、八回もとにかく実施されないのですよ、こう言った。そうしたら、それは違うよ、君と、こう言う。半年ぐらいずらしたというわけで、八回実施しない、それはうそだよと。こういうものの考え方、ここまでずれているのですよ。しかし、労働者はそう考えておらない。公務員労働者はそう考えておらないですよ。八回小便された、こう思っている。私は、だから、あなたがそれまでにおっしゃるならば、今度実施されなかったならば、国会とあれと両方にやりましたから、結論が出たらもうそれでさっぱりしますというような、そういうものの言い方は私はするべきじゃないと思うのです。  前回から申し上げたように、人事院というのは、一体存在の価値があるのかどうかということ、このことですよ。私は、あなたのようなお考えなら、ないほうがいいと思う。お互いに団体交渉をやって、話がつかぬで、そうしてどうなるかわからぬけれども、堂々と政府はやっぱり団体交渉を受けて立ってやるべきだと思う。憲法二十八条にあるところの労働者の、勤労者の権利を剥奪するなんていうことをやらなければいい。いまのままだというと、人事院というのは公務員の賃金というようなものを適当に、何というか、ごまかすところの手段みたいになっていることが問題だと私は思う。その役目を人事院が果たしているという、そういうとにかく労働者の中から出ているところの考え方を、私は肯定せざるを得ないという気持ちになっている。あなた、それについて文句があったら、ひとつ声をうんと大きくしてぼくに反論してもらっていいです、言うことがあったら。言わぬでもいいし。  そこで、私は初中局長にひとつお尋ねしたい。昨年の処分者数というのはどのくらいありましたか、公務員の、一〇・二一の。
  35. 天城勲

    説明員(天城勲君) 約六万人でございます。
  36. 小林武

    小林武君 六万人。違うんじゃないか。
  37. 天城勲

    説明員(天城勲君) 正確に申し上げます。六万五千四百六十三名でございます。
  38. 小林武

    小林武君 これはどこでわかりますかな。内閣総理府でわかりますか、増子さんのほうで。国家公務員、それから地方公務員の教員を抜かしたもので、どのくらいの処分が出たか。
  39. 増子正宏

    説明員増子正宏君) 国家公務員たる教職員で処分を受けたものという御質問でございましょうか。
  40. 小林武

    小林武君 いや、それは抜かして、地方自治体とか国家公務員とか、そういうもので処分を受けたものがどのくらい……。
  41. 増子正宏

    説明員増子正宏君) 調べたものはございますけれども、ただいま手元にはその数字を持ってきておりません。
  42. 小林武

    小林武君 約でわかりませんか。
  43. 増子正宏

    説明員増子正宏君) 一〇・二一の関係での国家公務員の被処分者はほとんどなかったはずだというふうに記憶いたしております。地方公務員数字は現在覚えておりません。
  44. 小林武

    小林武君 処分を覚えておかなきゃならぬこともないけれども給与関係する者が一体あれはどれだけ処分したかということを知らないようなことでは、私は困ると思う。大体この関係でどのぐらい処分者が出たということが頭に残らぬというようなことだから、賃金のことを甘く考えるというように私はとりたい。やったらやってやれという簡単な考え方で、やられた者がどんな扱いを受けるかということについても考えておらない。これは不届きですよ。  それでは、初中局長にお尋ねいたしますが、通達をお出しになりましたね。どんな通達ですか。今度のこれについての統一行動のあれです。
  45. 天城勲

    説明員(天城勲君) 十月九日付で出しております通達でございますが、この内容といたしましては、十月二十六日に早朝最低一時間の勤務時間内における要求貫徹集会を実施ようという企てがあって、十月六日にストライキの宣言が発せられているけれども、それに関して総理府総務長官からも警告が出ておりますが、目的が給与などの勤務条件に関する要求実現のためでありましても、公務員が争議行為を行なうことはもとより、そのための準備行為を行なうことも、地公法三十七条によって禁止されておるところでありますので、教職員がかかる違法行為に参加することによって学校教育の正常な運営を妨げることのないように十分指導してもらいたいと。なお、服務の十分に指導を行なうとともに、これをおかす者については厳正な措置をとられるようにお願いしますと、こういう趣旨の通達でございます。
  46. 小林武

    小林武君 そうすると、これは地公法三十七条に違反することだからやるな、やれば処分すると、こういうわけですね。
  47. 天城勲

    説明員(天城勲君) さようでございます。地公法三十七条を根拠にいたしております。
  48. 小林武

    小林武君 処分すると、こういうわけですね。  増子さん、総理府からは総理府長官通達というのが出ましたね。これはどういう内容ですか。
  49. 増子正宏

    説明員増子正宏君) 昭和四十年のいわゆる秋季闘争における公務員の違法行為に対する対策ということで、各省庁に通知を出したわけでございますが、中身はいま文部省の初中局長からお話がありましたのとほぼ同様でございますが、公務員につきましては、いわゆる争議行為はもちろんのこと、争議行為の企て、共謀、その他そそのかし、あおり等の行為もまた違法な行為として法律の禁止しているところであるということを明確にいたしまして、これについて各省庁が職員に対する警告、指導、事後の措置等について遺憾のないように期していただきたいという趣旨のものであります。
  50. 小林武

    小林武君 それでは、文部省の初中局長と増子人事局長にお尋ねいたしますが、このことについては、その統一行動といいますか、ストライキといいますか、それについては、あなたのほうの考え方では、実施時期を五月一日にせいと、こういう行動に対していまのような通達を出したわけですね。そうでしょう。五月一日実施……。
  51. 天城勲

    説明員(天城勲君) これは、先ほどもちょっと申し上げましたように、早朝最低一時間勤務時間内においていわゆる一〇・二六ストライキ宣言を実施するということに対するわれわれの考え方、警告を出したわけでございます。
  52. 小林武

    小林武君 だから、五月一日実施ということについてでしょう。それを実施されない場合は統一行動をやるというのでしょう、公務員共闘は。
  53. 天城勲

    説明員(天城勲君) 五月実施の問題につきましては、教職員からの意思表示の方法はいろいろあろうかと思っております。ここで申しておるのは、その要求のあらわれ方が勤務時間に食い込むという事態に対しての警告であります。
  54. 増子正宏

    説明員増子正宏君) もちろん、この通知を出した当時入手しておりました情報によりますと、いわゆる公務員の職員団体が人事院勧告完全実施ということを中心とした要求事項としておりますけれども、その要求事項を掲げまして、法律で禁止された違法行為に出るおそれが考えられましたために、それを前提として出したものでございます。
  55. 小林武

    小林武君 まあいろいろ何だか回りくどいようお話がございましたが、五月一日実施ということですよ。これは公務員共闘がそう述べておるから、間違いない。五月一日実施は、これは人事院勧告なんです。勧告どおり実施すれば、これは起きない。そうでしょう。実施しないところに起きるのでしょう。実施したら、これは起きないですよ。それなのに、あなたのほうではいつ実施するかわからぬ。九月だというようなことを言う者もあれば、いや、また何だとか、いろいろなことを言っておる。さっぱりわけのわからぬ状況の中で、労働者が不安になるということはあたりまえです。それならばこちらのほうでもというあれに立ったときに、手回しのいいのは、処分のほうだけ手回しがいい。そんなやり方というのは一体、あなた方、いいですか。  そこで、そういうことを言って大きい声を出してもしようがないですから、これは人事院総裁にちょっとお尋ねしたいのでありますが、国家公務員のことをひとつ考えた場合、憲法第二十八条に勤労者の労働基本権というものは認められておる。そしてそれと引きかえにというか、代償機関として人事院というものが置かれておる。私はその間においては少なくとも、いわゆる完全といって一つもすきのない完全というものでもないだろうけれども、少なくともそういうことについてあらまし納得いくような、そういうことに理解されるよう考え方を労働者はしていますよ。たとえば、この中身はいろいろあるけれども労働者の場合は、五月一日実施というのだから、部分的な点ですよ。この点をひとつ守ってくれという一つの部分だ。非常に控え目なものの考え方をしておるということをまず頭に置いてお答えいただきたいのです。そのことは直接あなたと関係ないわけですけれども、その憲法の第二十八条の権利というものを代償する機関としてできた、それが実施されないという、これは一体どういうことなのか。これの関係と、地公法とか国公法とかでもって処分するということ、憲法上の権利というものを奪われて、そうしてその代償機関が実施されないのに、そういうような扱いを、処分を受けるとか、通達でおどかされるとかというようなことは、これは一体、あなたは非常に法律の専門家でありますからお尋ねいたしますが、一体そういうことはいいのかどうかということです。これはもうとにかく法律上でいえば、いろいろそのようなことはあり得るかどうか知りませんけれども、少なくとも労働者、国民大衆というものはそんなものじゃないですよね。私は、国民が憲法というものをすなおに読んだ場合には、これは成り立たない議論だと思うのです。これはどうですか。ひとつその点をお尋ねしたい。
  56. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 憲法二十八条で勤労者の権利を保障しているわけでありまして、これにはいろいろ説はございますけれども、私ども、また政府も従来、この勤労者の中には公務員は入っているという前提で解釈しております。したがいまして、その基本権に対する制約をするについては、やはり憲法上の論拠がなければいけない。これは最高裁の判例にも出ておりますように、公共の福祉の関係及び第十五条第二項にあります公務員の全体の奉仕者——全体の奉仕者ということに憲法自体が公務員を特徴づけているということのかみ合いから、公務員の場合について基本権を制約をすることは必ずしも違憲ではないというのが最高裁の判例でたびたび出ているところであり、これは正しいことだと思う。しかし、立法の問題といたしましては、その制約をしつばなしで一体いいものかどうかという問題が当然そこに浮かんでくるわけであります。  詳しく申し上げる時間があればうれしいと思いますけれども、簡単に申しますというと、いまおっしゃったように、人事院勧告権、人事院の権能というものは、それを制約した代償措置と一般にいわれているわけでありますが、それがあって、その制約がまず穏当な制約と言えるだろうという関連を持っているものだと思うのです。したがって、われわれの勧告権というものは、これは相当大きな意味を持つ。したがいまして、さらに、さればこそ、たびたびここで申し上げて小林委員にしかられておりますけれども国家公務員法、給与法は特例中の特例として、ことにこの給与に対する勧告は、国権の最高機関である国会に直接これを勧告申し上げ、最高機関の御判断をいただくというところまで非常に重要な手続上の扱いをしている、そういう点を考慮しての私は法制であろうというふうに信じております。
  57. 小林武

    小林武君 文部省のあなたのほうでお考えいただきたいのは、憲法上の権利を奪っておいて、そのほうのことについて代償機関が完全に機能を果たしておらぬということになれば、それは憲法上の権利をとにかく国家公務員について取るということはできないわけです。公共の福祉とか、公の何だとか、全体にどうするとかという理由のもとに人事院というものはできたんでしょう。その人事院というものは、だから、ある意味において完全に機能を果たさなければいかぬのですよ。果たさせなければいかぬのです。それをやるのに、処分のほうだけ先がけて一生懸命やる。きびしいあれをやる。教員だけでも六万五千処分したという、一体それが妥当かどうかということですね。私は、そういう議論をこれからあまり長くやると時間もあれしますから、やめますけれども担当大臣剱木文部大臣によく私はお考え願いたい。そんないいかげんなことでお茶を濁すのであれば、少なくとも通達は撤回してもらいたい。  それから、増子さんに私は撤回してもらいたいということを言われないけれども総理府長官に対しては撤回をしてもらいたいと。その答弁をあなたできないだろうね。撤回すべきだ。法の精神からいって、そうですよ。どこの世界に一体、八回も勧告があって一回も実施しないというようなそういうあれでもって、一方的に地方公務員国家公務員のほうだけは正確に守っていけなんて、そんな片手落ちなことがありますか。立場としては弱いのですよ、こっちのほうは。そうでしょう。そういうことをひとつ私のほうであなたのほうに希望いたしますが、総理府総務長官おられませんが、文部大臣はどうですか。やらないのに処分するとか、通達を出すとかいうのは、これはどういうことでしょうか。
  58. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) この文部省の通達は、一応二六ストの決行に対しましてそれをやらないように指導するようにということをやったのでございます。処分するという——まあ厳正な措置をするということが書いてありますが、処分を必ずしろという命令をしたわけではございません。ただ、私としましては、国家公務員並びに地方公務員に対しまして、特に私の関係いたしております教育公務員に対しましては、その公務員たる立場に加えまして、なお教育者としての立場がございますので、教育的見地から申しましても、教師がストライキに突入するということは、これは断然断固として避けてもらいたい、こう考えております。したがいまして、そのいわゆるストライキに突入するよう条件をなくするために、私は責任をもっていま文教をあずかる者といたしまして最善の努力をしていくという覚悟をいたしておるのでございまして、その覚悟をいたしておる私にとりましては、教師の、いわゆる教育公務員のほうもひとつストライキは決行をしないように切望いたしておるわけであります。
  59. 小林武

    小林武君 いま文部大臣お話の中に、ちょっと通達のことで重要なことを御発言になったと思いますが、これはあれですか、処分せいというようなことは書いてないわけですか、その中には。私の受け取ったのでは、教育委員会は処分するという、せいというような受け取り方をしておるようにとれるのですがね。あなた方のほうは処分せいだの——最もきびしい態度で臨めと書いてあるでしょう。だから、ある県のこれは総務部長は、最もきびしい態度で、あの政府の通達に従ってやらなければならぬと、こう言っているのですよ。どうですか。
  60. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) これは人事院総裁お答えになったように、まあ国家公務員でございますが、これに対しまして、この憲法上の権利を、公務員たる立場においてこれを別の法律できめておりますし、その代行措置でございますかとして人事院勧告を法制上認めておるわけでございますが、人事院総裁が御答弁になりましたように、その人事院総裁勧告を聞きます場合においては国会が最終的に判断を下すわけでございます。したがいまして、国会が判断を下した場合におきましては、これは公務員といえども法律に従わなければならぬということは、法の秩序を守る上からいって当然でございます。国会の決定があったにかかわらず、なおかつ、ストライキをやるという状況は、ストライキをやるということは、違法性を阻却するというよう考えられないと思います。したがいまして、法律上規定してありますことに、法律を順法するということは、当然に措置をしていい問題だと思っております。
  61. 小林武

    小林武君 人事院総裁、あなたに具体的にお尋ねしたいのですが、国の最高機関である国会にというのは、具体的に国会にその勧告を行なった、政府並びに国会に勧告を行なった。政府の場合はこれは財源を見つけ、そうしてそれをとにかく支払うということをやればいい。その国会というのは、これはあれですか、政府の出した提案というものを本会議なり委員会において可決、決定するというそのことが国会に対する勧告の結末ということになりますか、どういうことですか。国会にとあなたがおっしゃるのは、これは何べんも言っていますけれども、とにかくあなたのおっしゃるのは、わかり切ったことを言ってちょろまかしておるというふうに理解しておったのです。しかし、何べんも言うが、どうもどこかの人がうかつにもものを言ったというように、初めからわかったというようなことを言った人がいたけれども、私は初めからわかっておらぬ。前からわかっておらぬ。どういうふうに一体あなたは説明したらいいのか、聞かしてもらいたいのです。どういうことなんですか、国会に勧告したというのは。国会は勧告を受けてどういう態度で結論を出すということなのか、そのことをひとつ……。
  62. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ほんとうにおっしゃるとおり、何べんも何べんもお答えしたつもりでございます。いつでしたか、相当具体的にまで申し上げたはずなんで、こういうことを申し上げたことを覚えております。国会に勧告が届いた、議員さんは、よっしゃ、これはもうすぐ実現させようということで、これは予算を伴いますから賛成者の数はちょっとふえますけれども、といって、賛成者が明示されてぽんとお出しになれば、そのまま通る、そういう筋合いのことではございませんかということを、これは片りんでございますけれども、そんなことを申し上げたことを覚えています。
  63. 小林武

    小林武君 そういうことを感心するのはどうもおかしいのですが、私はそんなことはただ口で言うだけの話だと思うのです。少なくとも政府は、国会で多数決できめればどんなことでもやれるのですというようなことを、労働者の賃金の問題に憲法上の権利まで取ってやれると思ったら大間違いだ。私はそういうお考え人事院総裁におありであるならば、これは気楽な話だと思っています。国会に出したら、国会は適当にちゃんとそれぞれの手続踏んで提案して、反対、賛成でいろいろもみ合って、そうして結論が出れば、それで人事院のこれで使命は果たされたと考えるならば、こんなことは私はたいへんだと思うのですよ。それじゃたまったものじゃないと思います。  そんなら、問題があるので、むしろ政府とそれから労働者自体との交渉というのが一番妥当なんです。そうなれば、これは数だけでいきませんから。数だけでいかないのです。それぞれの所管の人たちが責任ある立場で、自分の掌握しているところの労働者に対して、この賃金をいつから実施するということが妥当であるかどうかというようなことを判断できるあれがあるわけです。そのほうが正しいのです。あなたがおっしゃるようにいえば、それはもう結論はいつでもわかっている。多数の政党なり政府を持っている政党がこうときめたら、これはもう何の役にも立たない。それはおわかりでしょう、戦後だけ考えられても。政治というものの実態をごらんになったらおわかりだと思うのですが。私は、だから、人事院総裁お話は法律的な議論としてはごもっともな話だけれども、それは労働者が具体的に賃金という問題とぶつかった場合にはさっぱり理解できないことだ。そこは人事院総裁と私のやはり育ちの問題になるわね。環境の問題になる。一片の法律と賃金というものが労働者にとってどれほど大事だという認識の問題になる。だから、気楽なことを言えるのですよ。  そうして処罰のほうだけは御丁寧におやりになる、こういうことになる。だから、私は、そういうお話であるならば、剱木文部大臣にそういうふうに考えられてはだめだということをいま言っている。あなたは少なくとも通達を出してきびしく罰するという態度をとるならば、五月一日からさっそくおやりなさい。そういうことを言ったら、一ぺんになくなる。政府がとにかく二十六日前に五月一日から実施しますということを言ったら、一ぺんになくなっちゃう。波風起きない。そうやることが八回目のとにかく給与担当大臣委員会決定でやらなければならぬことだと思うんですが、先走って通達なんか出すというのはおかしいじゃないですか。撤回を要求します。
  64. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 大体、先走ってストライキをやると決定するなんということはけしからぬと思う。これはまだ聞くか聞かぬかわからない。われわれ最善の努力をしておるのに、その結果も見ないでおいて、そうして二十六日にきめてストライキを決行するという、その決定することに対して私どもは非常なあれを持つものです。ですから、われわれも最善の努力をいたしますが、やはり公務員の側におきましても、まあ私どもは最善の努力をしておりますが、結果が聞かない場合にけしからぬとおしかりを受けるのはいいですが、いまから一生懸命聞こうと私ども努力しておりますから、その点まだ決定もしないうちにそういうストライキをやるというのを決定したのは、それは困るということをあらかじめ警告しただけでございます。
  65. 小林武

    小林武君 それは重大なことですよ。あなた、やはり労働組合ということを知らないからそういうことをおっしゃる。少なくともこの間の場合は、四日か五日の日に閣議で決定するという声が出た。それで、われわれは政府の皆さんに対して、そういうやり方はやめなさいということを申し入れをやった。私の行った大蔵大臣はその旨を聞いて、それは佐藤総理がお帰りになってからやるのが私どももいいと思いますと、こう回答された。あなたも同様であるということはわが党の行った連中が報告しておる。私は、そういう声が出たから、そういうあなた方の動きというのはいつどういう決定が出るかわからない。労働者がそれに対してどう身がまえたらいいかということになると、民主的にものを行なおうとすると、自治労はとにかく七十万も八十万もある組織だ、日教組も六十万もある組織だ。一体、今回の場合、どうしたらいいかということを意思決定するのに、三十分か一時間でできますか。十分に討議を重ねて、やるべきかやるべきでないか、政府の言い分はどうなのか、情勢はどうなんだという判断を下して、そして決定するんでしょう。私きのうちょうど行ったら、北海道はその開票をやっている。朝から晩までかかってもなかなか結末が出ないくらい、たくさんの票が集まる。そういう準備をしなければならぬ。あなたのほうが何もなければ、こちらのほうはそれで終わるわけなんです。一体、八回も勧告実施しない者が、処分のほうだけ先にやるなんということはできないはずなんです。あなたのほうにほんとうに自信があるならばですよ、あなたのほうはとにかく閣僚が集まればいいんだ。閣僚が集まってぴたっときめればいい。たったそれだけのことなんだ。そういうおどしをかける前に、あなたのほうにもう少し謙虚さがあったり労働者立場考えるとしたら、そういう態度はとれないはずだと判断するから、そう言うわけです。これからの議論はやめましょう。  副長官もいままでのいろいろな議論をお聞きになったと思いますが、あなたのほうの御決意はいかがですか。処分なんというようなことをあまり言わないでくれ、処分なんということはまともな人間がやることだ。自分もよう約束を守らぬような者が、処分するなんということはできないんですよ。親だって理屈がなければ子供をしかれぬんですからね。自分がやれないようなことを子供に言ったってだめですよ。だから、今度の場合は一体ほんとうに納得させておやりになるような御意思がございますかどうか、それをお伺いしたいのです。いかがですか。
  66. 亀岡高夫

    説明員亀岡高夫君) 文部大臣からも御答弁がございましたとおり、違法行為をしないようにという、あらかじめの警告でございまして、法律違反をすれば処分を受けることは、これはもう当然でございます。また、人事院勧告最大限に尊重した姿をわれわれ政府としても実現してまいりたいということで、先ほど来申し上げておりますとおり、懸命に検討努力をいたしておるという段階でございますので、御了承いただきたいと思う次第でございます。
  67. 鈴木力

    鈴木力君 関連して。副長官忙しいのだそうですから、私特に関連して副長官に御質問しますが、さっきから小林委員の質問で大体はわかりましたけれども、はっきりしておきたい。これは内閣官房長官は七人委員会の主宰者になるわけですよ、政府側としての。そこで、いろいろと見通しの上に立っていろんなことを言われますけれども、少なくともこの七人委員会のメンバーの一人として、最終的にどうきまるということはまだきまっていないから、どうするということは言えないにしても、官房長官として、この特に実施期日についてどういう案をもって臨むのか、この七人委員会にどういう決意をもって臨むのか、これは内閣官房としての決意をはっきりとここで承っておきたいと思うんです。
  68. 亀岡高夫

    説明員亀岡高夫君) 七人委員会で官房長官が主宰をいたしておりますことは仰せのとおりでございます。官房長官としては、長官としての御決意はお持ちになっておられるかとも思いますけれども、やはり政府全般の問題でございます。したがいまして、七人委員会としましての結論を出すべく懸命な努力をしておられるというふうに申し上げざるを得ない次第でございます。
  69. 鈴木力

    鈴木力君 これは、御多忙なんで、いい御返事をいただいてお帰り願おうかと思ったけれども、いまのような御答弁ではちょっとお帰りいただくわけにはいかないですね。大体七人委員会というものは七人の、七つのセクションが集まって議論をするんでしょう。そのときに自分の意見を持たずに七人の意見がどうなるかまとめたい、そんな会議政府にあるんですか。その会議に臨む場合に、人事院勧告を受けた内閣官房としてどういう案を持って臨むのか、このことをはっきり伺いたい、こういうことです。
  70. 亀岡高夫

    説明員亀岡高夫君) 先ほど申し上げたとおりであるわけでございます。しかし、政府といたしましても、先ほど来申し上げておりますとおり、人事院の設置されました趣旨並びに公務員の特別の立場というものを考えまして、人事院勧告をできるだけ実現をいたしたいという気持ちで官房長官は臨んでおられる次第でございます。
  71. 鈴木力

    鈴木力君 くどいようだけれども、はっきりと伺いたいんですけれどもね、できるだけということではなしに、何かさっき、いままでの小林委員の質問には、まだ正式にはこの委員会実施期日の問題は討論されていない、まあ雑談とかいろいろありましたけれどもね。そうすると、正式なこれから討論をされるだろうと思うんです。そのときには、七人から七つの意見が出るわけでしょう。その七つの意見が出るうちの一つである官房長官意見は、いまの段階で、他の条件は要らないわけですから、勧告を受けて、特にことしは、先ほど以来質問で明らかになりましたように、特にことしの勧告には実施期日の問題が人事院から、従来不履行であったということ、それを指摘をされて、ことしは実施期日を完全にやるべきであるという趣旨勧告を特につけ加えられておる。そういう状態でこれから七人委員会に出るわけなんですが、一体内閣官房としては、五月一日からやれと主張するのか、大蔵省はどうだと、それらを聞いてから意見を言うのか。私ははっきり申し上げますけれども、少なくとも他の条件が出てきてからの議論は別としても、それに臨む態度としては、政府の代表である内閣官房は五月一日からやろうというところに、そういう基本態度を置いて臨むべきだ、こう思うのです。そうお答えいただければそれでいいのですけれども、いかがですか。
  72. 亀岡高夫

    説明員亀岡高夫君) なかなかきびしい御質問でございますが、政府といたしましては、官房長官といたしましては、積極的な立場において七人委員会をリードされている、こういう、ふうにお答えいたしたいと思う次第でございます。
  73. 鈴木力

    鈴木力君 私はわからぬのです。問題は、五月一日からやれという勧告が出ているのですから、その会議に出たあと始末がどうなるかまでぼくはいま責任を持たしてものを言うわけじゃありません。しかし、いまその会議に出るときに、人事院勧告が五月からやれというものを、五月からやれと主張するのか、皆さんで適当にというのか、どっちかはっきりしてくれ、それだけのことを言っているのです。むずかしいことを聞いているのじゃない。
  74. 亀岡高夫

    説明員亀岡高夫君) まだ実施時期の問題については正式に七人委員会で討議はされておりません。十五日ごろに大体大蔵省の四十二年度の財政事情というものがはっきりするので、その後において討論をしようということに相なっていることは御承知のとおりでございます。官房長官といたしましては、先ほど来申し上げておりますとおり、人事院勧告を十分尊重するという立場で臨んでおられまして、相当前進した形でまとめたいというお気持ちを持っておられるということでございます。
  75. 鈴木力

    鈴木力君 そういう御答弁ですと、少し時間がかかるのです。申しわけないが、そういうことになると、もう少し突っ込んで伺わなければいけない。いま長官が前進をした形でというおことばを使われたのですが、一体前進ということばはどういう意味でお使いになったのか、もう少しはっきり伺いたい。
  76. 亀岡高夫

    説明員亀岡高夫君) 先ほど来御指摘ございましたように、政府としても人事院勧告完全実施したいということで今日まできているわけでございます。しかし、先ほど来申し上げておりますとおり、国の財政事情その他の諸般の情勢において、内容完全実施いたしておりますけれども、時期の問題についてはそこまでいっておらない。政府としてもまことに苦しい立場ということで、さらに前進をした姿で結論を出したいということで、懸命の努力をいたしている次第でございます。
  77. 鈴木力

    鈴木力君 私の聞いていることに答えていないから、時間がかかるのです。副長官、早く帰してあげたいと思いながら、簡単に聞いているのですから。私が言っているのは、前進した答えを出したい、こう言われている。前進したというのは一体、何を基点にしてどっちに進むということを前進というのか、それが一つです。それからもう一つは、はっきりと、内容は完全に実施したけれどもと、こうおっしゃっている。人事院勧告内容というものは、内閣官房は何を内容と心得ているのか、そのことと、二つ聞きたい。
  78. 亀岡高夫

    説明員亀岡高夫君) まず第一の内容の問題でございますが、公務員給与のあり方等についての点でございます。時期の点もあるいは内容というふうに鈴木委員は申されたいというお気持ちもわかるわけでございますけれども、この実施時期の問題が年々、毎年問題になってきているわけでございます。官房長官としても、たびたび申し上げてまいっておりますように、完全実施をしたいということを答弁されておるわけでございます。それがなかなか実現を見ておらないということでございますので、先ほど来申し上げておりますような気持ちで七人委員会に臨んでおられるということであるわけであります。
  79. 鈴木力

    鈴木力君 どうもわからぬ。これはもう副長官に悪いけれども、私はわかるまでこれを聞きますが、そうむずかしいことを言っているんじゃないんです。前進というのはどこからどっちに向いて歩くのを前進というのか、前進したい、前進したいということを言われますが。もっと簡単にいえば、人事院勧告をしたそこを起点として考えるのか、いままでやってきた十月、九月を起点として考えるのか、どっちを起点として政府勧告考えておるのかということが一つ。  それから、もう一つは、この内容というのは私は実施期日を含むと思っております。特に内容実施したが期日はと、こういう言い方は私は勧告趣旨をはき違えているのではないか、こう思うので、いまの内閣官房としての統一した考え方をはっきりしてもらいたい、そういうことです。
  80. 亀岡高夫

    説明員亀岡高夫君) 先ほど来申し上げておりますように、政府としての結論を出す努力を現在やっておる次第でございます。官房長官といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、人事院設置趣旨並びに国家公務員地方公務員の人たちの立場というものを考慮いたしました際に、できるだけ人事院勧告に沿った結論を出したいという気持ちで臨んでおられるわけでございますが、いろいろ財政の面等も考慮いたしまして、昨年までの実施期日よりも前進したという意味でお答え申し上げておるわけでございます。そういう立場で臨んでおられるというふうに私は理解いたしております。
  81. 鈴木力

    鈴木力君 内容についてはどうなんです。内容実施期日を含まないのか、含むんですか、政府の解釈は。
  82. 亀岡高夫

    説明員亀岡高夫君) 先ほど私が申し上げたのは、実施期日と内容二つに分けて申し上げたわけでございますが、人事院勧告ということになりますと、実施時期も人事院勧告内容には相違ございません。私の考え違いでした。
  83. 鈴木力

    鈴木力君 ここは非常に重要なことですから、ぼくははっきりしておきたいんです。これは人事院総裁に伺いますけれども人事院勧告内容という場合に、勧告内容の中に実施期日を含んでおるのか、体系や諸手当だけを内容として勧告をなさっておるのか、人事院立場をはっきりしていただきたいと思います。
  84. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ごく正確に申し上げますというと、これこれの引き上げを五月にさかのぼって実現していただきたいというのが内容そのものであります。ただ、それははっきりしておりますけれども、いままで内容完全実施されたけれども実施期日がおくらされてきたということで、常識的に分けた言い方をしておりますから、先ほども私は内容実施期日を分けて申し上げましたが、理論的にははっきりしております。
  85. 鈴木力

    鈴木力君 もうあまり言ってもしようがないと思いますけれども、私は副長官にこれはだめを押しておきたい。今後政府は、勧告をした人事院当局の意思として、勧告というものは実施期日と体系、諸手当を含む、こういうことはここではっきりしておりますから、今後政府内容実施期日を分けて使うことは慎んでもらいたい。これはひとつはっきりしていただきたい。  それから、もう一つは、前進ということばは、ことばのあやにいろいろと言い方がありますけれども、少なくとも勧告趣旨を尊重するんだという言い方の中からは、今後は前進ということばは使ってもらいたくない。五月からやれということでありますから、六月であれば一ヵ月後退している姿、七月であるなら二カ月後退している姿なんです。したがって、もし同じことを言うにしても、後退している度合いをできるだけ縮めたい、こういうことなんです。前進なんていうことは一つもないはずです。この点は笑いごとじゃないんです。  少なくとも政府は、人事院勧告というのはどこかにやってしまっておる。そうして去年より一歩でも進めば前進じゃないかというような甘い根性でこの問題に取り組むから、毎年毎年同じことが同じことで繰り返されて、そうして公務員労働者も同じことを繰り返しておる。国会も同じことを繰り返してもんでおる。これは政府として無能だと思う。国会としてももちろんこれは善処しなければならぬ責任があるわけです。だから、お互いに責任のある立場でものを言うなら、勧告というのはもう少し深刻に考えるべきだ。権威を持たせるべきなんです。そこのところをたなに上げてしまって、自分たちがいままでやってきたことを、前に進んだ、後へさがったというような議論をしておると、いまの制度を踏みにじることになる。そういうような中で処分というようことばかり考えておるから、混乱をさせるだけなんです。少なくとも私はいま、この委員会の結論がどうなるということはこれからの問題ですから、いまどうなるということを言うわけにはまいりません。少なくとも内閣官房といたしますと、政府側として、二つ考え方だけははっきりここで統一をしてもらいたい。それだけを念を押しておきたいと思う。
  86. 亀岡高夫

    説明員亀岡高夫君) 御趣旨よく理解できますので、官房長官にも十二分にお伝えいたしまして対処してまいりたいと考えます。
  87. 小林武

    小林武君 一つだけ聞いておきたい。これは前から私は言っておる。ことしの公務員共闘の諸君のステッカーを見ますと、とにかくいまの政府のいろいろな状況を見ると容易じゃないという気持ちになっている。人事院に対するやはり不信の念がもう非常に強いんです。でありますから、労働基本権奪還というステッカーがある。もう団体交渉でものをきめてもらいたいという、そういう希望が、そのステッカーの中に私はちゃんとあらわれておると思う。でありますから、これは剱木給与担当大臣、それから官房副長官人事院総裁、それぞれひとつ……。今度五月一日を実施しない場合は、もはやとにかく人事院というものは労働三権の代償として置かれたものと労働者側としては認められないと言っているんだから。私どもも国会に勧告されて、われわれも勧告されたと思うからとにかく一生懸命いつも同じような議論をしておる。ほんとうはもうここらへきたら、中身の話でほんとうはあるべきなんです。人事院勧告のこの中身はどうだというような話をほんとうはしていい時期が来ておる。中身の話、一つもしない。いつ実施する、いつ実施する、そんなばかなことばかりやっておる。こんなことで一体国家公務員地方公務員の生活やそのあれは向上しない。その中からは、ほんとうに国民全体に奉仕するとか、そういう気持ちが一体わいてこないのではないかと思うぐらいだ。  でありますから、私はここでことしそういういいかげんな、勧告は尊重はしましたけれども労働者要求は通りませんでしたというような尊重のしかたをやるならば、この際いさぎよく人事院というものを廃止して団体交渉によってものを決するという、そういうふうにしたほうがよろしいと私も思う。労働者もそう希望しておる。だから、このことは七人委員会においてはひとつ徹底的に議論してもらいたい。また政府としてこのことについて、総理大臣にひとつ進言してもらいたい。このことをお約束できるかどうか、ひとつ御返答いただきたい。あと質問しませんよ、そのことについて返答を聞けばいい。みんなです。
  88. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 私は、小林委員のおっしゃるとおり、人事院制度というものがある限りにおきまして、これはやはりその権威を保つ意味から申しまして、勧告があれば全面実施の形で受け入れられるべき筋であると思います。そういう線に沿って、私としましては最大努力をいたす覚悟をいたしております。
  89. 小林武

    小林武君 できない場合のことを言っているんですよ。
  90. 亀岡高夫

    説明員亀岡高夫君) 鈴木委員の申された点、小林委員の申された点、よく理解できますので、官房長官並びに総理によく連絡申し上げまして、現在の人事院制度というものにひびの入ることのないように十分に配慮していかなければならないという点を強くやりたいと思います。
  91. 小林武

    小林武君 剱木文部大臣にお尋ねいたしますが、この超勤手当ね、これはこの前の委員会では、剱木文部大臣としては、給与の抜本的な、教育界に人材を集めるようなそういうあれを早急につくらなければならぬと思うが、それに至るまではとにかく超勤手当を出さなければいかぬと、こういう決意を披瀝されたのでありますが、その後変更ございませんか。
  92. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) この前申したとおりでございますが、ただ、あのときにも申しましたように、私は基本的には教育公務員に対しましては特別の給与体系があってしかるべきだということは申し上げたはずでございます。今日もなおさように思っております。つきましては、四十三年度のこの超勤の問題を解決するに際しまして、その基本的な別個の給与体系というものをこの際考えるべきではないかという意見もございまして、四十三年度の予算編成までには、そのいずれにかをただいま研究中でございまして、結論が基本的な教員に対しまする給与体系がそれまで決定し得れば、それによりまして予算を組みかえるというようなこともただいま考えまして、予算編成までの期間におきまして、研究を進めておるわけでございます。
  93. 小林武

    小林武君 ちょっとそこらは、私はあまり詳しくございませんけれども考えられますのには、この教員のそういう待遇上の給与上の問題をいま大臣がお考えようにやると、それこそ相当の財源を用意しなければならぬと私は思うのです。このことはいまさら申し上げないですけれども、初任給が若干いまのところ大学卒の初任給その他よりいいのですけれども、十三年たてばもう一般のあれに追い越されるでしょう。大体そういうことになっているはずです。そういう状況の中で、一体いいかげんなちょっとした手直しみたいなことをやったって、これはだめなんですよ。そうすると、私はあまり見通しのない話だと思う。さっきからの大蔵省の話なんか聞いておっても、それから大蔵大臣のいろいろな財政上の見解を聞いても、何だか非常に急速にできそうもないようなことをおやりになると言っているのは、あるいはその間において超過勤務手当を適当に処理してしまって、超過勤務にかわる何だかおまじないのような何か待遇の改善でごまかしていこうという考えなら、これはたいへんだと思うのですよ。  私は、あなたの説に対してある程度聞けるなと思ったのは、そういうとにかく人材を入れるという一つの根本的なものの考え方に改めなければならぬ、そういう手はずをきめなければならぬとあなたおっしゃった。そういうあれには、相当の検討をなさって、財源がはっきり出てきて、これだけの財源でこうするのだということを教員が納得するような、あらゆる教育関係者が納得するようなものを出してきてからやるべきだ。その間においてどうだというようなことを——超過勤務を出さなければならぬというあなたの考え方は正しいと思いましたけれども一体いまこの概算要求を出しておいて、概算要求大蔵省との折衝でいよいよ煮詰まるというような間に、そういうようなことができるのか。私はなかなか困難のように思うのですけれども一体どうなんですか、それは。そんな手品みたいなことできるかな。
  94. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 現在の財政状態その他から見て、困難であるというように御想像なさるのは当然だと思いますけれども、しかし、この際におきまして、教員の給与体系というものがもし完全に打ち立てられますならば、私はそのほうが適切だと思いますから、いかに困難でございましても、ただいませっかくその問題について努力をいたしておるのでございまして、まだ私どもは絶対にこれが不可能であるという結論に達しておりません。でございますから、その間におきまして、できるだけ早期にこれに対しましていま研究を進めておるわけでございます。その結果において、四十三年度の予算編成までには最終的な決定をいたすつもりでございます。
  95. 小林武

    小林武君 それでは、ちょっと大臣にお尋ねしておきますが、あまりこまかいお話をしている時間もありませんし、約束の時間もありますし、あと質問もありますから、大体総額でどのくらいを考えておるのですか。あなたがそういう新しい希望される給与体系をやった場合に、総額として初年度にどのくらい要って、一体どのくらいのあれを持っているかということ、それから給与体系でいって、大体大ざっばにどのくらいを考えておられるのか、これをちょっと話してください。そうしませんと、ちょっとばくとしておりますよ。
  96. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 大体いま、今年度におきまして全体の給与のあり方、基本的な問題がきまったといたしましても、これをまあ初年度に幾ら、次年度に幾らとか、あるいは年次計画でやるということも考えられぬことはないと思います。私は大体、どういう体系に直すかはわかりませんけれども、大体におきまして三号俸に近いくらいのアップを考えないと新しい給与体系には無理じゃないかと思っておりますが、これをいまの財政状態から申しまして、三号俸を一律に一ぺんに上げるということは非常に困難なことは私も承知いたしておりますが、年次計画をもってやりますれば、必ずしも不可能ではなかろう。そして一号俸上げますについて、半額国庫負担で計上いたしますと、約百億、二百億の半額負担で百億ということになります。二号俸で四百億、すなわち国の負担が二百億、こういう関係になりまして、その間の数字的な計算はまだはっきり詰めておりませんけれども一、大体そういうことになると思います。そういうことによって新しい給与体系が樹立されますならば、この際それをやるのがいいのではないか、そういうふうな考え方をもちまして研究を進めておるわけでございます。
  97. 小林武

    小林武君 三号俸上げると三百億ということですか。
  98. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) さようです。
  99. 小林武

    小林武君 三百億、それを三年間でやると、こういう意味ですか。
  100. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) その何年間でやるかはまだ決定しておりませんが、そういうことについて研究を進めております。
  101. 小林武

    小林武君 しかし、三百億というのは、これはどういう根拠か。ちょっと数字の計算のあれはどういうことになっておるのかな、三百億というのは。そういう計画を、ちょっとことばじりをとるようですけれども、それは文部省としてそういう決意をなさったわけですか。そうすると、あなたのほうでもうたちまち、この間までは超過勤務の調査をやって、超過勤務のことを言って、またすぐそれに変わるというのは、何だか私はたよりないのです。一体そういうことで何年計画でどうというようなことができるのかどうか。超過勤務のことから急に変えられた理由はどうなんですか。
  102. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) これはずっといままでのいきさつから申しまして、国会との関係もございまして、実際上の調査をいたして、勤務の状況から超過勤務と認むべき結論が出たわけでございます。したがいまして、一応事務的には超過勤務の計算もいたし、そしてこれを国会に提案するつもりでございましたが、しかし、一面におきまして、これは教員の給与をきめます場合に、最初に、教員につきましては二号俸アップできめまして、そのかわりに超過勤務は出さないということを考えてきたわけでございます。現在号俸においてその差額がほとんど認められなくなりましたから、超過勤務の問題が起こってきたのでございますが、しかし、そのもとになります号俸のほうを変えまして、いわゆる超過勤務制度というものをつくってしまいますればなかなかこれの変更はしにくくなりますので、この際、基本的な問題を考え得ればそれのほうが最善であると、こう考えまして、それは文部省におきましてその二つについてただいま研究しておるというのが実情でございます。
  103. 小林武

    小林武君 これはどうもあなたから聞いたわけでもないのですけれども新聞等でわれわれが知るところによりますと、教員はこれからいわゆる憲法の二十八条にある勤労者のワクからはずすということになります。たとえばそうすることになると、労働基準法適用の外に置くのか、そういう計画のもとにいまのようなことをやられるわけですか、結果的にそういうようなことになるというわけですか、どうですか。
  104. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) もちろん、労働基準法の外におきまして教員を特別職の取り扱いをいたしますということになれば、これは立法的措置が要ることになると思います。そういう措置をとるかどうかということにつきましては、まだ決定をいたしておりません。これから研究してまいりたいと思います。
  105. 秋山長造

    ○秋山長造君 いまの文部大臣の御答弁を聞いて、私もちょっといささか音心外に思っておるのですが、では、超勤手当の問題はもう捨てたのですか。まあおことばとしては、何か給与の抜本改定と超勤手当と両々並行的に研究していくようなおことばですけれども、しかし、もう事実上超勤手当はお捨てになったという感じを受けるのですがね。いままであれだけの経緯があり、われわれとしては来年度の予算からでも超勤手当を実施されるというように受け取っておった。それから、大臣自身もおそらくその意気込みをもってつい最近までこられたのではないかと私は信じておったのです。どうもいまの小林委員に対する御答弁を聞いておりますと、もう事実上超勤手当の問題は自然消滅、もっぱら給与体系の抜本改善という一本やりで取り組んでいかれるというような印象を受ける。しかし、その見通しとしては、いまから見通しを云々することは失礼ですが、大臣がせっかく予算編成期に間に合わすように何とかというお気持ちでやっておられるのですから、先のことを先々私は申し上げることは失礼ですけれども、しかし、相当これは超勤手当よりはるかに諸般の情勢から考えて難事業であることも、これはもうお互いわかっているのですが、そうすると、先々のことを言うのは失礼ですけれども、結論的には、いろいろやってみたけれども、至難だということになるおそれが非常にあるのじゃないかと思うのですが。私は、超勤手当の問題はあくまでも超勤手当の問題として、これは目先の早急に取り上げるべき問題としてやられながら、一方、長い将来の見通しということに立って給与体系の抜本的なこの改定ということをじっくりおやりになるものとばっかり思っておったのですが、それはどうなんですか、今後の取り運びとして。
  106. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 私は、まあ抜本的に給与体系を調査会等で論議しまして、それを決定いたします場合の暫定的措置として超勤手当というものを考える、こう申してまいりました。もちろん、現在におきまして、抜本的な問題が解決しない場合、これは私は、もちろんその一年なり二年の後において抜本的な問題がきまれば超勤手当をそれに含めまして、その新たな給与体系に移行する、こういう考え方でございましたが、いま早急にこの抜本的給与体系がきまり得れば、これはもう超勤という制度をやらないで抜本的な給与体系に移行するが一番よろしいと考えます。しかし、これがあらゆる面におきましていろいろ研究の結果、この抜本対策が間に合わないという場合におきまして、私は決して超勤という問題を捨てておるわけではございません。これは抜本対策もやらず、あるいは超勤もいたさずして、そしてこの四十三年度の予算に臨むというわけには、これは文部大臣として責任が負えないと思っております。したがいまして、もちろん抜本策についてただいま研究を進めておりますけれども、これが事実上不可能になった場合におきましては、私、少なくとも超勤だけはやらなければ文部大臣としての責任は負えない、こう考えております。
  107. 鈴木力

    鈴木力君 関連ですが、簡単に伺いますが、いまの話はわかりましたですが、ただ一つだけちょっと聞いておきたいのは、抜本策ですね、いま研究中であるというから、もちろんどんな結論だということをいま伺うわけにはまいりませんが、ただ、いままで大臣が言っておられた、この前に、たぶん九月四日ですかね、委員会大臣答弁の中に、教師にふさわしい給与体系とはという考え方をたぶんお述べになられたと思います。それはいまの行政職から持っていったいまの体系にただ一律に積み上げるということではなかったはずだと私は思うのです。つまり、いまの給与法の四条の考え方を相当に尊重されて採択をされて、したがって、たとえば教職員責任の度合い、それから仕事の分量、そういう点から追及をしていくと、教師の体系は一年ごとに……。いまの体系そのままについては大臣は賛成はなさっていらっしゃらなかったと思う。ある程度の、一つの並行的な責任の度合いの同じところはある程度階段上に上がっていくような、そういうこともはっきりおっしゃらなかったかもしれないけれども、いずれにしても、教育職としての給与体系というのは、いまのカーブのことをさしていない、もっと新しい角度から取り組みたいというふうに伺っておったのですけれども、いま三号俸アップを考えておるとおっしゃった意味は、前に考え教育職独自の給与体系ということを考えておられたのか、いまの行政職を基準にした、これにただ積み上げるという考えでいらっしゃるのか、その点をちょっと聞いておきたい。
  108. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) これはまだ研究中でございますので、明確には結論を申し上げかねますけれども、しかし、私はやはり教師に対しましては特別の給与体系があるべきだ。だから、一号俸一律に上げるとか、二号俸一律に上げるとかということでなしにいきたいと思います。ただ、これがかりに二号俸から三号俸上げるといたしましても、ある程度の年次計画を立てなければならぬと思います。その際におきまして、今回きめます給与体系におきましては、将来の抜本的な教師に適する給与体系を最終的に決定いたします段階に非常な支障を来たすような形ではきめたくないと思っております。いまその問題については、せっかく研究中でございますから、結論はまだ言えませんけれども、やはり教師には教師の、一つのぴったり合うよう給与体系というものを考えながら基本的なものを考えてまいりたい、こう考えております。
  109. 鈴木力

    鈴木力君 大蔵省課長に、これは質問じゃありませんけれどもね。さっき質問の中で、小林委員から資料要求がありましたね。その資料要求に対して御返事をいただいていなかったと思うので、それをはっきりさせていただきたい。  ついでですから、私のほうからも資料をお願いいたしたい。それは小林委員が要求したことと、もう一つは、八年前からのいわゆる自然増収といいますか、税収といいますか、その経理の帳じりですね、年度を越えたあとの。八年前から年度別の資料をつくって出してもらいたいと思います。この二つ、よろしゅうございますか。
  110. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 現在の作業段階におきまして提出可能な状態での資料を、税収につきましては主税が担当でございます、担当の部局に連絡をいたしまして、すみやかに御提出申し上げたいと存じます。
  111. 鈴木力

    鈴木力君 あと大蔵省はいいです、帰って。
  112. 小林武

    小林武君 それでは、あと私のほうから一点だけ質問いたします。  これは先般、思想調査の問題について質問をいたしましたが、そのことについては一つの問題だけいま文部省にお伺いをしておきたいと思います。それは何かというと、各県教育委員会で人事行政を行なうために必要な資料、そういうものがあると思うんですが、それについて各県について御存じであるかどうか、これであります。
  113. 天城勲

    説明員(天城勲君) 人事行政に関しては各県いろいろな方法をとっておられるわけでございますけれども、私たちのほうでそれを了知はいたしておりません。
  114. 小林武

    小林武君 それでは、各県が人事についてどういう手はずをとってやっているかということは全然御存じないわけですか。
  115. 天城勲

    説明員(天城勲君) そこまで存じておりません。
  116. 小林武

    小林武君 それでは、人事についてはかってにやってよろしいという、大体そういうふうに理解してよろしいですか。
  117. 天城勲

    説明員(天城勲君) これはたいへん抽象的なことでございますけれども、各県の事情がございまして、あるいは大都市がある県などいろいろ事情が違いますので、正常な運営ができるという前提で各県のそれぞれの事情によって人事の運営はまかしておる、というとたいへんことばは変でございますが、各県独自の方法でやっているというのが現状でございまして、ことに私たちのほうからどうせい、こうせいということを申しておるわけではございません。
  118. 小林武

    小林武君 それでは、もう一つお尋ねいたしますが、人事の問題と思想調査の問題とからみ合ってのことでございますから、そういうふうに理解して文部省にお尋ねするわけでありますが、思想調査を行なって人事を行なうというようなことは、これは好ましくないということは、また絶対そうあってはならないということは、文部大臣からこの間憲法を引き合いに出してお話しになったが、これは私も全く同意見なんです。したがって、こういう問題が起きてまいりますというと、文部省としても全然関知しないというわけにはいかないのじゃないかと私は思うのですけれども、非常に自主性を尊重されておられるわけでありますが、ひとつ判断の材料にするためにお尋ねするのですが、これは審査が行なわれたのですね。そのときのことで事実について私はお尋ねするわけです。  文書でもなんでも一定の基準の形式というものはない、人事に関して。教員一人一人によってそのやり方はさまざま違う、こういうわけです。さまざま違う。そうしてその人事を行なうにあたっての参考というか、その基準に合った——一つの基準があるわけですから、基準に照らし合わせるところの資料としては文書によるもの、それから口頭によるもの、もう何でもかまわない。口頭でもよろしければ文書でもいい。それを受けてこの人事をやる、こういうことになっているのです。口頭のものもいい、こういうことになっている。だから、その口頭その他のものが全部、口頭のものも文書のものも全部聞いて、それを今度は公文書として控えて、それに従って人事を行なっていると、こういう現状があるわけです。そういう口頭の、さまざまな口で言うところの問題は、一体これは人事としては妥当なものかどうか。たとえばだれだれはどういう思想を持っているとか、こういうやり方についてはどうですか。文部省としてはいいとか悪いとかという判断はできませんか。
  119. 天城勲

    説明員(天城勲君) ちょっと御質問趣旨が私十分理解できない点がございますが、こういうふうに理解してよろしいのでございますか。要するに、人事の資料として文書による資料あるいは口頭による、何と申しますか、報告というのですか、そういうものを前提にして行なっていると、こういうことを前提に置いてのお話でございますね。  人事の資料というものは、まあ私たちの省内のことを考えましても、もちろん基本的には資料がございますし、各人の履歴書等も中心になっておるわけでございますが、同時に、職務の適当、不適当、あるいは新しいポストに対する適不適というようなことにつきましては、これはいろいろ、必ずしも責任者が文書によらない情報と申しますか、判断を加えるということは、これは一般論として私はあり得ることだと思っております。
  120. 小林武

    小林武君 口頭というのは文部省でもやられるわけですか。
  121. 天城勲

    説明員(天城勲君) 口頭という意味が、私なりの理解でございますけれども、履歴書その他文書になっているもの、あるいはそれ以外という意味で口頭ということを理解するわけでございますが、そういうことはございます。
  122. 小林武

    小林武君 その文書のものはそれでいいわけですね、文書は文書で。それから、文書であっても口頭であっても、何でもいいということになると、これは口頭の場合は口で言うんですから、責任もございませんわね、別に。あとに残るものじゃないでしょう、結局ね。そういうことは役所の中に一般に行なわれているんですか。
  123. 天城勲

    説明員(天城勲君) 御説明が的確にできかねておるかもしれませんけれども、文書に書いてある、あるいは履歴書に書いてある事項だけで判断するんじゃなくて、人事の責任者が判断を加える場合に、文書外のまあ資料と申しますか、そういうものを判断の材料に加えるということは、これは一般論としてはあり得ることだし、文部省でもそういうことは通常じゃないかと思っております。
  124. 小林武

    小林武君 何かちょっとぴったりこないような話ですけれども、これは教員の人事ということをひとつ考えてみていただければ一番わかりますよね。教員の人事というのは、あれでしょう、事務的に御存じでしょう。どういうように人事が行なわれるかというと、たとえば地方教育委員会、校長、これは義務制の学校ですわね。それから校長から直ちに県の教育委員会に行くというものがある。そうしますと、そういう間におけるところのさまざまな資料、たとえば本人がどこどこへ転任したいという希望がある、それから本人は退職したいとか、あるいはどうしたいとかいうような、いろいろな希望もあるでしょう。そういう種類のものは、これはあれですか、口頭でもよいという大体文部省の見解を持っておられるわけですか。人事の主管課長会議なんかやっても、数のことがけしかやらぬというお話ですけれども、まさか数のことだけで終わっているわけはないと思うんだが、大体これは各県ともそういうやり方をやっておりますか。
  125. 天城勲

    説明員(天城勲君) 人事の、特に教員の人事の場合に、関係者は私も制度上存じております。まあ具体的にお尋ねございました個々人の希望というものも確かにございますし、人事調書に転任の希望とか、あるいは転任の場合の条件とかということを本人が書く場合もございます。しかし、それだけですべてを律しておるわけではございませんで、補足する文書外の資料というものは、これは入っているのが普通じゃないかと思っておるわけでございます。
  126. 小林武

    小林武君 わかりました。  そこで、最後にひとつ念を押しておきますが、したがって、これは口頭であろうが、私文書であろうが、手紙の形をとろうが何の形をとろうが、すべてこれは公的な性格を持ったものと理解して人事は行なうんだというふうに理解してよろしいですね。それでけっこうです。
  127. 天城勲

    説明員(天城勲君) 結局、人事を行なう人の判断の問題になってくる……
  128. 小林武

    小林武君 いや、判断の材料として。
  129. 天城勲

    説明員(天城勲君) 判断の材料はいろいろのものを使うんじゃないかと思います。
  130. 小林武

    小林武君 もう一ぺん言っておきますがね、判断の材料にする場合は、それは口頭であろうが、手紙の形をとろうが、個人的な形をとろうが、それは全部公の性格を持って資料として生きてくるというふうに理解して文部省もいらっしゃると、こういうことになりますね。それならそれでいいんです。
  131. 天城勲

    説明員(天城勲君) どうも、私の申し上げておりますのは、人事の判断の材料は文書で書いたもの以外にもあり得るということを申し上げているわけでございまして、たいへん極端な場合に、投書なんかもございます。差し出し人不明の投書なんかもございますが、そういうようなものがすぐ公文書とかいう意味で私は申し上げているんじゃございませんで、取捨選択おのずから人事の責任にある者がいたすわけでございます。資料というものは書いたものでなければならぬという御質問に対しては、必ずしもそうではないということを申し上げているわけでございます。
  132. 小林武

    小林武君 だから、それは極端な話が、電話で、だれだかわからぬような電話をかけてきたようなものを資料にするということは、これは常識からはずれておりますから。けれども、だれだれ校長であるとか、だれだれが電話で言ってきたと、これは口頭としても、電話であっても、これは公的な性格、それから手紙をもってやった場合に、それに判こを押しているとか押してないとかいうことは別として、手紙をもってこういうあれだということになれば、それで公のものにそれは参考の資料になるでしょう。私は、投書が資料になる場合もあるそうですけれども、そこまでここで言うんじゃないです。そこは常識の問題ですから。ただ、そういう種類のものはみんな公的な性格を持っている、こう理解して、文部省も理解している、私も。きのうの審査では、審査の席上人事委員会においてそういうことになったから、だから、私は文部省も全くそうだということであれば、まずそれでいいです。
  133. 天城勲

    説明員(天城勲君) いろんな資料、文書あるいは文書でない資料というものが人事の判断になると思うのでございますが、それをどういうふうに使うか、取捨選択するわけでございます。それが人事をやる人の一つの仕事だろうと思っておりますので、公文書という形で、要するに公文書という考え方は、公の機関の意思がある文書だろうと思うのでございまして、そういう意味で、私は、ちょっと公文書という表現でいいかどうか、いま先生のおっしゃった意味でだめ押しをされますと、必ずしも公文書というふうに御返事申し上げることはできないのじゃないかと思っております。
  134. 小林武

    小林武君 そんないろんなことを言わないで、公の性格を持っているということだけ言えばいいです。場合によれば、公文書と言わない。しかし、公文書と同じ性格を持っているでしょう、それを参考にしたら。私文書だと称するものも、それによってやったということになって、あるいはそれが参考だといってとじられてちゃんと存在していると、それはやはり公の性格が、きのうの審査の結果を聞いていろいろ代理人から報告を受けたのですが、代理人の報告によるとそういうことですね。口頭によるもの、その他いろいろ文書によったものは全部参考になります。しかし、その使い方というのは、口頭によったものでやることもあるし、いろんなやり方で、採用はこれは人によって異なります。だから、私は、これは私文書だからどうだとか、公文書だからどうだということのあれは、人事においてはあまり区別はしない——あまりでなくて、全然区別して考えない、こういう大体きのうの審査の結果から出た事実の内容でありますから、文部省も大体そういうことは理解されているということであれば、それ以上あとの議論は後ほどにやりますから、それでよろしいです。
  135. 天城勲

    説明員(天城勲君) くどいようでございますが、判断の材料にいろいろのものが使われるということを私は申し上げました。ただ、公文書とおっしゃられると、私たち公の意思表示が入ったものが公文書と考えておりますから、そのことばでいまの申し上げた趣旨を公文書だとだめ押しをされると、どうもそうですということを申し上げかねるわけでございます。結局、使った材料というものは、最終的に人事という公の行政処分の判断の材料である、これは言えると思います。
  136. 小林武

    小林武君 個人の問題である、これは。たとえば、史実の証明とか、史実を一つ組み立てるということになった場合、いろんな私文書のあれもあるわけで、そういうものが私ほんとうに採用されるだけの価値があると判断された場合、これは一つの大きな役割りを果たすわけです。私文書であろうと、日記であろうと、そういうようなものもあなたのほうではあれでしょう、私文書であろうが何であろうが、口頭であろうが、ささやきであろうが、とにかくこれは人事の参考になるという判断をして使った場合においては、それは明らかに公的な性格を帯びるわけです、私のものであっても。そういうことでしょう。たとえば小林なら小林という人間を、どうもこいつはどこかへ左遷しなければいかぬという一つの材料として口頭でいろいろ話があった。それから文書も来ている。しかし、それが私文書であっても、小林というものの判断をするのに、左遷の材料としてこれだけのものを採用するということになると、これは公的な性格を帯びるでしょう。それをきのうの場合は認めているのです。だから、あなたのおっしゃることも公的な性格を認めるということをおっしゃれば、あとは聞く必要はないのです。
  137. 天城勲

    説明員(天城勲君) 私もおっしゃっている趣旨はわかります。ただ、だめを押されると困ってしまいます。ひとつその辺で御了解いただきたいと思います。
  138. 小林武

    小林武君 きょうはこの辺で……。
  139. 鈴木力

    鈴木力君 だいぶ時間がたちましたので、簡単に伺います。  三井警察庁警備局警課長さんに伺いたい。それは九月の十九日か二十日ごろですけれども、神奈川県の横浜市の小学校、中学校に各警察署の警備課長、公安係長というような人たちが学校訪問いたしまして、そうして何か学校訪問の目的は、いわゆる今度の給与闘争にからんで、一〇・二六の闘争にからんで、法律を守るために協力をしてくれというような形で回っているということです。特に職員の住所氏名、それから職員室の机の配置とか、組合役員の名前を聞いたり、こういうことがあったというふうに伺っておりますが、あるいはまた、交番のおまわりさんも一緒に回って、役員はだれだといろいろ聞いた。聞き方はいろいろありますけれども、横浜市内においてそういう事実があったかどうか。また、時間がありませんから、あったとすればどういう状況であったかをお伺いいたしたいと思います。
  140. 三井脩

    説明員(三井脩君) 横浜市内の一部警察署におきまして、そのような事実があったということは聞いております。これは、いまお話しのように、一〇・二六スト等に関連いたしまして、いわゆる調査をしたと、こういうことの報告を受けております。
  141. 鈴木力

    鈴木力君 私はもう少し状況を詳しく伺いたいと思いますが、状況はわからぬですか。
  142. 三井脩

    説明員(三井脩君) 詳しい状況については報告を受けておりません。そういうことがあったということについては聞いております。
  143. 鈴木力

    鈴木力君 これもやはりあとで報告をしてもらわなければいけないが、詳しい状況がわからないとすればだが、それはあとで申し上げますが、警察署がいまかりに一部の警察署であったと、こういうお答えでしたが、県警の本部はこれを知っておってやったのか、県警の本部は知らないでやったのか、この辺はどうなっておりますか。
  144. 三井脩

    説明員(三井脩君) 県警本部は知っておったということでございます。
  145. 鈴木力

    鈴木力君 知っておったという意味は、県警本部のほうから何らかの形で指示を出したのか、あるいは警察署が独自でやって、県警本部が報告を受けておったのか、それはどっちです。
  146. 三井脩

    説明員(三井脩君) 県警本部のほうで事務連絡をしたということであります。
  147. 鈴木力

    鈴木力君 そういたしますと、県警本部が指導的に、ことば事務連絡ですが、指示ということばもあれば事務連絡ということばもいろいろありましょうけれども、県警本部が各警察署にそういう事前の調査をやらせたということは間違いないわけですね。
  148. 三井脩

    説明員(三井脩君) 県警本部におきまして、一部の警察署についてそのような連絡をしたと聞いております。
  149. 鈴木力

    鈴木力君 それでは、その一部の警察署ということになりますと、おそらく県警本部が警察署を選択をして、ある警察署にはこういう調査をやらしたと、こういうことになると思うのですね。そうすれば何らかの、県警本部自体がある一つの学校をマークしておいて、警察を動かしてやった、こう解釈してよろしゅうございますか。私は、全体にやらせたということでありますれば、一般的に県警本部がやった、それからそうでなしに一部のものということになりますと、県警本部がどこかの学校をマークしておって、それを調査させた、こういうことになると思うが、その事実はどっちですか。
  150. 三井脩

    説明員(三井脩君) 県警本部におきましては、平素から各種の調査をやっておりますから、一部の警察について連絡をしたという意味は、その調査が十分でないところについて連絡をしたものと私は考えます。
  151. 鈴木力

    鈴木力君 そういたしますと、もう少し伺いますが、県警本部が平素から各種の調査をやっているということは、これは神奈川県だけなのですか、全国的なのですか。
  152. 三井脩

    説明員(三井脩君) 一般的に、警察法に基づきます警察任務の達成のために、どの県におきましてもそれなりの調査なり視察なりということはやっているはずでございます。
  153. 鈴木力

    鈴木力君 一般的にというと少しぐあいが悪いですが、私の聞いているのは、学校を対象として、つまりある一つの学校をマークして警察署に調べさせた、こういうことになるわけですから、そうすると、調べさせる前に、その学校の、これは一〇・二八が土台になっているわけですから、そういたしますと、平素組合運動がどの学校がどうであるかというようなことは、これは警察法に基づいて全部の学校にそういう調査をやっているのですか。
  154. 三井脩

    説明員(三井脩君) 一般的に申しますと、法二条に基づきます警察の治安維持の責務のために、それぞれその県警察におきまして、また具体的には各警察署におきまして、その必要の度合いに応じて調査の必要のあるものについては調査をするという方法でやっておると考えられます。
  155. 鈴木力

    鈴木力君 いろいろきょうは伺ってだけおきますが、労働運動、特に教職員組合というのは、これは法律でいうと職員組合になりますか、労働組合ではないわけですが、これを警察は治安維持の対象として職員の団体の行動を調査しておる、こういうふうに伺ってよろしいわけですね。
  156. 三井脩

    説明員(三井脩君) 団体そのものを調査ということではなくて、当該団体なり個人なりが治安維持の観点から見て問題を起こしそうであるというときには、もちろん調査をいたします。それ以外にごく常識的に、管内事情一般について知っておかなければならないことということについては、犯罪に関係なく治安維持という一般的な任務の中でいろいろなことを知るということはございます。
  157. 鈴木力

    鈴木力君 時間がありませんから、具体的にお答えいただきたいのです。私がいま伺うのは、いままでの話を伺った順序からいいますと、横浜市の小中学校を一〇・二六の闘争の前にある警察署が事前調査をした。この事前調査をしたというのは、県警本部が特定の学校を指定をして調査をさせたと、こういうことになりましょう。そうしてそれの根拠は警察は治安維持のために各県でそれをやっている、治安維持の対象には組合活動が入っておると、こういう順序になりましょう。要するに、それを逆にいえば、警察署は治安維持の対象に、職員組合の運動を対象に入れておる。そういう角度から、ずっと一般的に調査をしておった。たまたま神奈川県の場合には、そういう調査の上に、問題のある学校を指摘をして、そうして特定の警察署が調査に行って、そうして組合の役員の名前はだれか、それから職員室の机にだれが並んでおる、どの机には何という男が並んでおるかという調査をした。それから、職員全体の住所録も取った。そうすると、それは治安維持の対象にしてそれをやらしておったと、そういうふうに伺ってよろしいわけですね。
  158. 三井脩

    説明員(三井脩君) 一般的に治安維持のために、管内事情について警察としては十分これを知悉しておく必要があるということがございます。それからまた、具体的に特定された法律違反なり何なりが行なわれるような事態になってくるというときには、それを一そう精密に実施をするということでございます。
  159. 鈴木力

    鈴木力君 それでは、これはもうこういう問答を繰り返しても時間かかるだけですから、もう少し調べておいてもらいたい。いま聞いたことに従って調べてもらいたい。それは神奈川県の横浜市小中で調べられた学校が、県警本部が治安維持のために必要なためにどういう点が問題になって事前に調査対象になったのか、その県警本部が判断をしたその事実を、判断の資料、理由、そうしてその特定の警察に調査を命令をしたその理由です、調べられた学校、対象になったものと、それをひとつ詳細に調べて、これは御報告をいただきたいと思います。  それから、もう一つ伺いたいのは、いまの調査のしかたで、調査のしかたのうちに学警連というのがあるそうですね。学校と警察の連絡会だと。これが横浜市にあるそうです。これはそういうふうに私は聞いておりますけれども、その学警連という名前で学校を回って、そうしてその同じようなことを聞いた、こういうことを私は聞いているのですけれども、そういうやり方をしたことが事、実なのかどうか、それは報告に入っておりますか。
  160. 三井脩

    説明員(三井脩君) ある警察署におきまして元少年係をしておりました、現在警備係の警察官が、少年係当時学警連のメンバーといいますか、事務局といいますか、これにタッチをしておりましたので、そのときに顔見知りであった学校の先生について聞いたという報告がございます。
  161. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、学警連というものの目的は何ですか。
  162. 三井脩

    説明員(三井脩君) 学警連は学校と警察との連絡組織でございまして、少年補導上の問題点等について打ち合わせするという機関でございます。
  163. 鈴木力

    鈴木力君 そういたしますと、この学警連が警察と学校の連絡機関で、少年補導上の一つの機関である、そういう機関が学校を回って組合運動の幹部はだれだとか、職員の住所を出せとか、組合幹部の名前はだれでどうとか、こういうことまで学警連がやることは、学警連というそれ自体の仕事の中に入っているのですか、どうです。
  164. 三井脩

    説明員(三井脩君) ただいまの問題は、学警連という組織があって、これが調査をしたということではございませんで、学警連という組織、会合の中で知り合っておったその先生について事情をお尋ねした、こういうことです。
  165. 鈴木力

    鈴木力君 それはちょっとおかしい。私のほうに入っておる報告は、学警連の役員だといって学校に行ったと、そうして校長に組合の役員はだれだかということを聞いている。それはもしあなたがいまおっしゃるようなことだとすれば、それもしかしおかしいことですね。何も学警連という名前を使う必要がないわけです、そういうことであれば。だが、私のほうに入っておる報告は、学警連の役員と、それから交番のおまわりさんとが行ってそれをやっておる。そういうことになってきますと、それは私はまだまだあとで詳細な資料を出してもらってからもう少し申し上げたいのですけれども一体警察というのは、学校で授業している職員を、いつの間にやら、あいつは組合の幹部で何をやっておるかということを常に事前調査をやっておる、そういうことなんですね。そうして、しかも一〇・二六というやつは、さっき議論したとおりなんですけれども、それをどうこうするために事前にそういうよう調査をしておる。これは警察庁としては、常に学校に日常そういうよう調査といいますか、いわば組合運動を治安の対象として調査をしておるということを、これは警察庁の本庁としてはそれを是認されるんですか。
  166. 三井脩

    説明員(三井脩君) 先ほども申し上げましたように、一般的に管内の状況につきましては十分知悉しておく必要があるということであります。いまの問題の場合はそうではなくて、たとえば一〇・二六ストが現実の問題として近づきつつあるという状態のもとにおける問題である。このときには、平素の一般的な知識をさらに確かめるというような警察の活動が必要であるということでございます。
  167. 鈴木力

    鈴木力君 はっきり事の結末をつけるために、言い回しを、同じことを言っておっても困るわけですから、私ははっきり言う。警察庁として公務員の組合活動を治安対策の中に入れておるのか入れていないのかということを聞きたい。
  168. 三井脩

    説明員(三井脩君) 公務員に限らないわけでありまして、一般的に……
  169. 鈴木力

    鈴木力君 いやいや、よそのこと聞かなくていいから、公務員の者が入っているかどうかということ。
  170. 三井脩

    説明員(三井脩君) 場合によります。
  171. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、いまの一〇・二六という職員組合の賃金闘争は治安対策の中に入っておる、そう伺ってよろしいですね、この事実から見て。
  172. 三井脩

    説明員(三井脩君) 一〇・二六ストにつきましては、すでに内偵捜査を開始しております。
  173. 鈴木力

    鈴木力君 それはあれですか、全国的にやっているわけですか。
  174. 三井脩

    説明員(三井脩君) それぞれの県においてやっておるところと承知しております。
  175. 鈴木力

    鈴木力君 その場合に、内偵捜査というのは、やはり神奈川県のように学校を回って組合員名簿をとったり、そういう調査をやっていると、こういうことですか。
  176. 三井脩

    説明員(三井脩君) 各県で具体的にどういう方法をとっておるかということは承知いたしておりませんけれども、神奈川県の場合のことについては、先ほどの程度承知いたしております。
  177. 鈴木力

    鈴木力君 これはどういうことですかね。内偵調査ということのやり方もありましょうがね、私はもういまはこの事実を聞くだけですけれども、学校に警察がそういう形で入っていって、そして事前にこの組合員の名簿を調査をするというようなことについては、警察庁としてはこれは妥当な行動であるというふうに思っていらっしゃるわけですね。
  178. 三井脩

    説明員(三井脩君) 具体的な手段方法については警察庁としては何ら言っておらないんですけれども、当該地方地方におきましてやっておるところであると承知いたしております。
  179. 鈴木力

    鈴木力君 おかしいね。具体的な事実でものを聞いておるわけですよ。神奈川県のようなこういうようなやり方を、警察庁は是認をしておるのか、それはちょっと行き過ぎではないかと思っておるのか。
  180. 三井脩

    説明員(三井脩君) それぞれ調査の方法につきましては、人に迷惑を与えないような最も妥当な方法でやるべきであるというよう考えますが、いまの神奈川県の、御指摘のように学警連とその役員であるというように、その名前を使って調査しているというような点は私は適当でないと思います。
  181. 鈴木力

    鈴木力君 学警連の場合はわかりました。それから、その学警連でない場合はどうですか。
  182. 三井脩

    説明員(三井脩君) 調査の方法はその他いろいろあると思いますが、たとえば学校の校長先生に会っていろいろ話を聞くというようなことは、何ら差しつかえのないことであると考えます。
  183. 鈴木力

    鈴木力君 差しつかえないと、いまの解釈ですから、是非はあとで議論をすることにいたします。そういたしますと、警察は、たとえば私なら私がある職場におって組合の幹部をやっておる、そうなると、警察は治安対策の対象として私の素行調査みたいなことをやることは警察の任務だと、こういうことに伺ってよろしいですね。
  184. 三井脩

    説明員(三井脩君) 先ほど来申し上げておりますように、具体的な法律違反といいますか、罰則違反という問題と関連をする場合ということであります。それ以外の場合はごく一般的なことでありまして、何も警察官に限らず一般人も知り得るようなことは常識として知っておかなければならない、こういう意味でございます。
  185. 鈴木力

    鈴木力君 それで、どうも私、納得できないのは、組合の役員だけならいいんだけれども、全職員の住所氏名等も聞いておる。これはどうなんですか。
  186. 三井脩

    説明員(三井脩君) 全職員の名前をどういう意図で聞いたか、その辺のところ、調査してみないと何とも言えないと思いますけれども、一般的にいえば、全職員というのは適当でないというよう考えます。
  187. 鈴木力

    鈴木力君 きょうはまあ聞くだけに私はしておきますが、もう一つ伺います。それは衆議院で今月の五日か六日に、国家公安委員長が、神奈川県警のとったことばもし事実であるとすれば適当でないと答えられておる。それから、神奈川県警の警備部長ですかは、行き過ぎがあったということを言われておる。だが、警察庁は行き過ぎではなくてこれは妥当である、こういう解釈をとっている、こういうふうに聞いていいわけですね。これだけだめを押しておきます。
  188. 三井脩

    説明員(三井脩君) 六日だと思いますが、六日の場合には、事実を全く知らない段階で幾つか例をあげて御質問があったように記憶いたしております。また、神奈川県の場合にもその問題は県会で取り上げられたということを聞いておりますが、どの部分について行き過ぎがあったかというような点につきましては、具体的な話でありませんでしたので、私どもよく理解しておりませんが、いまの一般的に調査をする、内偵をするということは私は適当で、やるべきことであると思いますが、そのやり方については個々具体的に判断をしなければならない、こういうふうに思います。
  189. 鈴木力

    鈴木力君 それで、私はこれでやめますが、きょうは見解を聞くだけにしたいと思いますからこれでやめますけれども、大体の考え方はわかりました。しかし、これは重要な問題を含んでおると思いますから、承知とか納得をしたという意味でやめるのじゃありませんよ。ただしかし、さっき言いましたように、この筋からの資料はぜひ出してほしい。さっき言いましたが、組合運動を治安維持の対象にしておる。そういう中で——これはもう一般的な話じゃありません。神奈川県警がある学校を一部の警察署に連絡をして、これは事務連絡というか何でもいいんですが、いずれにしても、県警から、一部の警察署によって、ある学校をマークして、これだけの調査をした、こういうことですから、そのマークをした学校の名前とマークをした理由、この学校はこういうわけで調査をしなければならないという理由、そして調査をした現況と、何という人が、役職が、たとえば警備課長なら警備課長、どういう人がどことどこの学校をどういう形で調査をしたか。これらについて調べていただいて、資料として私のほうに提出をしていただきたいと思います。いまの資料についてはいいですね。
  190. 三井脩

    説明員(三井脩君) 神奈川県と相談して、できるだけ準備いたします。
  191. 小林武

    小林武君 あなたは、全国的には警察庁からはそういう指令を出したということはないですか。北海道でもやってるらしいのだが、これはどうですか。警察庁からは指令はしない、かってにやってる、そういうことですか。
  192. 三井脩

    説明員(三井脩君) いま神奈川県について例をあげられましたようにやれというようなことは言っておりません。
  193. 小林武

    小林武君 言っていない。  それから、あなたは、警察法第二条によってやっていると言ったが、これは警察法第二条というのは、ぼくは読み方は知らぬのだけれども、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする。」、それからそのあとのほうに、「いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」、こういうことになっているが、この第二条の一体どこにこれは相当するのですか。組合の人たちがいろいろな組合活動をやることを、何で調べられるのですか。これはあれかね、生命とか財産を取るとか、犯罪と見られているのかね、あなたのほうで。
  194. 三井脩

    説明員(三井脩君) 犯罪の捜査でございます。
  195. 小林武

    小林武君 犯罪の捜査。そうすると、先ほど治安とかなんとか言ったけれども対象としては学校内に犯罪が起きるという、そういう考え方に立ってやったと、こういうことですな。
  196. 三井脩

    説明員(三井脩君) 場所が学校内であるという、その場所的な限定の意味だけではございません。それも含んではおりますが、それだけではございません。
  197. 小林武

    小林武君 まあいい。場所は学校。組合の中の、勤務は学校だからね。学校にも起こり得る、そういう判断のもとにやられた。これは間違いない、そうしたら。それだけ聞いておけばいい、この次のためにね。
  198. 三井脩

    説明員(三井脩君) それは犯罪行為の具体的な場所が学校であるということまで言っておるわけではございませんので、それは具体的な場合にいろいろときまることでありまして、犯罪行為が学校で行なわれるということに限定はされません。
  199. 小林武

    小林武君 しかし、そこで起こることもあり得ると、こういうわけでやったのでしょう。そういうことでしょう。あなたの解釈は、限定はしないけれども、学校はその中に入るということでしょう。
  200. 三井脩

    説明員(三井脩君) そういう場合もある……
  201. 小林武

    小林武君 そういうことでしょう。それに限定されないけれども、学校も入るというのだから。
  202. 三井脩

    説明員(三井脩君) 入る場合と入らない場合とございます。
  203. 小林武

    小林武君 入ることもあると思ってやったのだろう。
  204. 三井脩

    説明員(三井脩君) 入る入らないにかかわらず、あり得るわけでございます。
  205. 小林武

    小林武君 学校のほうも起こるということだな。間違いないな、それは。入る入らないに限らないで、あなた、犯罪の起きないのにそういう他人のうちへ入って、ここに起きるかもわからないとやるの、あなたのほうで。そういうこと、できないでしょう。警察官であろうと何であろうと、そういうこといつから許されたのか。
  206. 三井脩

    説明員(三井脩君) 具体的な犯罪行為がある場所に行なわれまして、それに関連するというような場合には、その関連の場所も捜査の対象になるということがあり得るということでございます。
  207. 小林武

    小林武君 あなたのほうにひとつ忠告をしておきますがね、学校というところは、治安維持法があってあれほどやかましい時代でも、子供が悪いことをして何かあれする場合でも、学校の中へ来て捜査するなんていうのは、学校の中へ直接警察官が来てやるなんていうのは、昔から遠慮したものです。このごろは、あなたのほうの方針は、労働組合に関係する、職員組合に関係するようなことまで、このことは犯罪と考えて、学校の中へどんどん入り込んでいってやるというようなことが自由に許されるというよう判断を、警察庁はしているということですか。警察庁長官はそういう判断をしていますか。あなたがそういう答弁をなさるなら、これはもうかんべんならぬから、そういうあなたたちは、指示、指導、訓練を受けているなら、訓練を受けていると言いなさい。
  208. 三井脩

    説明員(三井脩君) 警察法に基づきまして、それに関連するその他の法律の許す範囲内において、措置するということでございます。
  209. 小林武

    小林武君 やられているわけですな。よし、わかった。
  210. 三井脩

    説明員(三井脩君) 法律の許す範囲内でということです。
  211. 小林武

    小林武君 法律は許さぬ、これは。
  212. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十一分散会