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1967-09-04 第56回国会 参議院 文教委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年九月四日(月曜日)    午後一時十二分開会     —————————————    委員異動  九月一日     補欠選任        久保 勘一君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 楠  正俊君                 中野 文門君                 鈴木  力君     委員                 北畠 教真君                 近藤 鶴代君                 内藤誉三郎君                 小野  明君                 小林  武君                 千葉千代世君                 市川 房枝君    国務大臣        文 部 大 臣  剱木 亨弘君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        総理府総務副長        官        上村千一郎君        総理府人事局長  増子 正宏君        大蔵省主計局次        長        船後 正道君        文部省初等中等        教育局長     斎藤  正君        自治省行政局公        務員部長     鎌田 要人君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (教職員給与等当面の諸問題に関する件)     —————————————   〔理事楠正俊委員長席に着く〕
  2. 楠正俊

    理事楠正俊君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。現在欠員となっております委員補欠として、去る一日、久保勘一君が選任されました。     —————————————
  3. 楠正俊

    理事楠正俊君) 教育文化及び学術に関する調査中、教職員給与等当面の諸問題に関する件を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。  なお、政府側より、剱木文部大臣斎藤初等中等教育局長鎌田自治省行政局公務員部長が出席いたしております。
  4. 小林武

    小林武君 自治省鎌田部長にお尋ねいたしますが、先に事実だけでけっこうですが、事務次官が札幌へ行って、マンモス審理反対という談話を新聞記者会見に行なったことは、これは事実でございますか、事実でありませんか。
  5. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 事実でございます。
  6. 小林武

    小林武君 もう一つ、今度は自治省から、この今度の審理に対して通達等をもって、大体事務次官と同じような趣旨通達を出した、これは事実ですか。
  7. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 熊本県の人事委員会並び熊本県知事に対しまして、自治事務次官名をもって通達を出しております。
  8. 小林武

    小林武君 もう一つお尋ねいたしますが、全国人事委員会何とかというのがありますね、全人協とかという、そこで一〇・二一に関係する審査に対して指導をやったというのは、あなたでございますか。
  9. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 私、八月一日付で新設の公務員部長になったわけでございますが、それ以前の時点におきまして、全人連と申しております全国人事委員会連合会ですかで決議をされた、こういう趣旨を伺っておるわけでございます。その指導云々の点につきましては、私ちょっとつまびらかに経過を存じません。
  10. 小林武

    小林武君 いまの件でもう一つお尋ねいたしますが、あなたはおやりにならないが、その前の局長はおやりになったということはございませんか。これは速記録等もあることでございますから、やられたことは間違いないと思うのですが、これはあなたのときではないということはわかりましたけれども、その前の局長がおやりになったということはこれはどうですか、確かめておりませんか。
  11. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 事実関係でございますので、経過をつまびらかにしない、こう申し上げたわけでございますが、その大量一括併合審理ということにつきまして、自治省は終始一貫いたしまして反対の態度を堅持いたしておるわけでございます。そういう趣旨のもとに人事委員会指導をいたしておるということは、これは十分あったと思います。
  12. 小林武

    小林武君 たいへんはっきりしていらっしゃいますので、それではその通達はどういう文書でございますか、お示しをお願いいたしたい。もし一つしかないということであるならば、あなたちょっとお読みいただきたい。
  13. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 先ほど私、事務次官名と申しましたが、実は自治省行政局長名でございます。青焼きでちょっとごらんになりにくいかと思いますが、一部持ってきておりますが、いかがいたしますか。
  14. 小林武

    小林武君 見せてもらえればなおいい。一応これを説明していただけませんか。内容をあなたのほうで。
  15. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 熊本県におきまして、昨年の一〇・二一ストによりまする被処分者の中から、先生たちでありますけれども、二千百四十七名から審理請求書の提出がございまして、三月の二十七日にこれを受理いたしたわけであります。途中の経過は時間をとりましては恐縮でございますので、中間を省略いたしますが、県教組並びに高教組の代表から人事委員長に対しまして、全員一括併合審理をやってほしい、こういう要求がございまして、人事委員会におかれまして会議を開きました結果、七月の十三日でございますか、七月の十三日にこの第一回合同審理を行なった、こういう経過になっておるわけでございます。この当日の七月十三日の合同公開審理におきましては、熊本市の体育館に請求人二千十五名、それから傍聴人百二十八名、そのほか代理人といたしまして、請求人側が二十四名、処分者側が十二名、こういう形で十三日は木曜日でございますが、午前十時四十七分から午後三時四十分まで行なわれたわけでございます。かねて私どものほうといたしましては、この二千人をこえるような膨大な教職員不服申し立てにつきまして一括してこれを併合審理をする、極端なことを申しますと、口頭審理の体をなさんではないか、こういうことで人委事員会に対しまする良識ある措置というものをお願いをいたしておったわけでございますが、聞き入れられませんので、七月の十三日にただいま申し上げましたような形で審理が行なわれたわけでございます。で、七月二十九日、熊本県の人事委員会委員長に対しまして、行政局長名で、このような大量の一括併合審理というものは技術的な限界を越えるものである、職員がみずからの権利を救済されることを求めて行なわれる公平審理におきまして、二千人余の大集団のもとにおいて行なわれる、これはまさに併合審理でも何でもないじゃないか、こういう趣旨からいたしまして、公平審理制度本来の趣旨に反する不適当なものである、こういうことを御指摘申し上げたわけでございます。のみならず、こういう形によりまして斉に先生たち学校から出て見えたわけであります。木曜日の朝から晩まででありますので、結局学校授業が行なわれない、こういう形に相なりまして、当日授業振りかえを行ないましたところが十一校、前後いたしますが、関係校——請求人のおられます学校が百九十八校であります。うち小中学校が百四十六校、高等学校等県立学校五十二校であります。そのうちで振りかえ授業と決定したものが十一校、休業日指定を行なったものが九校、計二十校が当日の授業を行なっておらないのであります。このほかにも正常な学校運営支障を来たしたところが少なくないであろう、こういうことがあるわけでございまして、特にこの場合でございますというと、七月の十三日でございますから、一週間たちますと夏休みに入る。夏休みに入りますれば、生徒さんたち休みになるわけでありますので、教育支障が生じないと、こういう時点において平日を選んで審理期日をきめられたということについては、まことに不適切な措置である、こういうことで、今後このようなことの行なわれないようにということで注意を喚起いたした次第であります。
  16. 小林武

    小林武君 なかなか御親切で、文部省の分までいろいろ御配慮をいただいたようでありますが、私はそういう親切運動のことを自治省からお聞きする気持ちは毛頭ないのであって、あなたにお尋ねしたいのは、いかなる法的根拠でこれをおやりになったか、そのことです。
  17. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 自治省地方公務員法所管省でございます。人事委員会の正常な運営が行なわれるということにつきましては、当然自治大臣の責任に帰属いたしておるわけでございます そういう観点からこの指導をいたしております。
  18. 小林武

    小林武君 この審査はあれですか、どういう法律でやられておるわけですか。
  19. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 地方公務員法でございます。
  20. 小林武

    小林武君 地方公務員法だけですか。
  21. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 地方公務員法公平審理に基づきまする規定、これを根拠として行なわれておる、こういうふうに理解いたしております。
  22. 小林武

    小林武君 それ以外にございませんか。
  23. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 地方公務員法だけでございます。
  24. 小林武

    小林武君 だけでありますか、間違いないですか。
  25. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) さように理解いたしております。
  26. 小林武

    小林武君 これは行政不服審査法というのは関係ございませんか。ぼくも法律家じゃないから、あなたにお伺いしながら聞くのですが、公務員法の中にも書いてあるのじゃないですか。
  27. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 地方公務員法第四十九条の二、第三項の規定によりまして、その行政不服審査法第二章第一節から第三節までの規定を適用除外いたしておりますが、この行政不服審査法というものが公務員法第四十九条の規定に対しますいわば特例法行政不服審査法に対する特例法、こういうふうに理解をいたしております。
  28. 小林武

    小林武君 関係あるかないか。
  29. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 関係はございます。
  30. 小林武

    小林武君 さっきなぜ言わなかったか。あなたはそんないいかげんなことを言っちゃいかぬよ。ぼくはそんな法律をみんな知っているわけじゃない、調べ調べそれでお尋ねするんだが、行政不服審査法並びに人事委員会の問題について、浅井さんの書いた国家公務員制度という本が国会図書館にある。これをあなたお読みになって、一体審査する中にまで自治省がいろいろ干渉するということは、どこに書いてありますか。私も自治省がやらなければならぬ部面もあるということは認めるのですよ。しかし審査にあたって、そこで一体公平委員会であろうが、人事委員会であろうが、人事院であろうが、それに対してあなたたちが言うという法律根拠は、私はしろうとながらないと思う。どこにありますか。
  31. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 地方公務員法第五十九条の規定によりまして「自治省は、地方公共団体人事行政がこの法律によって確立される地方公務員制度原則に沿って運営されるように協力し、及び技術的助言をすることができる。」、こういう条項がございます。ただいま問題になっている人事委員会公平審理におきまして、これを併合審理によって処理することが適当か、あるいは分離することによりまして処理することが適当か、この点につきましては、審理の進め方の問題、こういう形でただいまここにございます技術的助言というものが当然できるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  32. 小林武

    小林武君 ほんとうですかあなた。あなたのほうで審査のあれについて、これは国家公務員であっても地方公務員であっても同じだと思うが、あなたは一体審理のあれについて中に入ってやるということができると思っているのですか。そうですか。あなたのほうは処分のほうも一生懸命やっているんですよ。たとえば一〇・二一をやったら、それに対してはこういうことをやりなさいと言って指導している。いわば検察庁じゃないですか。その場合はその中の公平に審理するという中身に入って、数が多いとか何だとか、どういうやり方でいいとか、技術的にどうだとかいうようなことをあなたのほうで指導するあれが、一体この地方公務員法の中に、あるいは国家公務員法の中に書いてありますか。それは違うんじゃないですか。私は事務次官がそういうことを言うのは不届きだと思っているんですよ。そうじゃありませんか。不当な処分に対して審査を受けるわけでしょう。その中に入り込んできてやるというのはおかしいんじゃないですか。これは大問題ですよ。そのことの解釈はあなたは、ほんと正しいんですか。
  33. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) この地方公務員法第五十  九条の規定に基づきまする技術的な助言、援助の一環といたしまして、たとえばその不利益処分についての審査請求不服申し立てがございます。その不服申し立てについての規則準則と申しますか、地方公務員法制定の際に、各地方団体に対しましてお示しをしておるわけであります。公平審理手続口頭審理の場合はこういう段取りを踏んでやりなさい、あるいは書面審理の場合にはこういう段取りを踏んでやりなさい、こういう規則案をお示ししておるわけでございます。その中におきまして、たとえば同一もしくは相関連する事件については併合して審理することができる、こういう規則の中に条文をお示しいたしまして、それが各人事委員会規則として、それぞれの県の人事委員会あるいは指定都市人事委員会において規則として制定をされておる。その規則の運用の問題でございます。審理中身に入ってどうこうということではございませんで、その手続問題といたしまして、一括併合することが是か、あるいは分割して審理することが是か、こういう御指導を申し上げておるわけでございまして、審理中身に入ってどうこう、こういうことを申し上げておるわけではない。そういった意味におきまして、当然この第五十九条の規定からそのような形での技術的助言というものは許される、こういうふうに考えております。
  34. 小林武

    小林武君 あなたはいま審理中身に入ってやらない、こういうお話でしたが、それがほんとうでないですか。たとえばどうですか、合同審査請求というようなこと、これは法的にきまっているんでしょう、許されているんでしょう、そうでしょう。人事院の中でそういうことができるようになっておりますよ。この中には、数人の職員に対して行なわれた処分同一もしくは相関連する事件に関し、または同一処分者により行なわれた処分にかかるときは、それらの者はそれらの処分について合同審査請求をすることができる、となっている。そうでしょう。それは当然一つのそういう法的な根処に基づいてやる。それについてあなたのほうで一体干渉できるとしたら、人事院の問題でも、国家公務員でも、あなた方自治省の役人という場合に、自治省はあれですか、人事院についてはあなたのほうでは干渉できないけれども公平委員会人事委員会については干渉できると理解しているんですか。そこらはどうですか。合同審査というものに対してこれは請求できる、そのことの判断は、人事院とか人事委員会とか公平委員会じゃないですか。あなたのほうでちゃちゃを入れるというようなあれがどこにあるんですか。それが地公法に書かれたあなたの言う五十九条ですか、五十九条に書かれていることとそのこととは違うんじゃないですか。どうなんです。あなたは中身に入らないと言っているが、中身に入っているじゃないですか。合同審査請求できる、こういうことになっている、それについて入ったことは中身の問題じゃないか。これは人事院の問題でも政府がそれについていろいろ意見を述べることができないわけじゃないが、しかし人事院そのものは他の官庁と違う、そうでしょう。内閣総理大臣といえども干渉できない部面があるでしょう。そういう性格と人事委員会あるいは公平委員会というものは同様だ。特にいまのような問題に関しては、公務員地方公務員についてはりっぱに権利を確立している、他の役所からかれこれ言われてはたまらぬわけですよ。そういうことについて、あなたはどうしてもがんばりますか。中身に入っても、やり方の問題から何でもやれるのですということを主張できますか。
  35. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 地方公務員の場合でございますと、その不服申し立て手続、あるいは審査の結果とるべき措置に関し必要な事項は、地公法の五十一条によりまして、「人事委員会規則又は公平委員会規則で定めなければならない。」、こういうことになっているのであります。この規則準則というものを私のほうでお示しをしているわけであります。これはまさにただいま申しました五十九条の自治省の協力及び技術的助言、これの一環として行なっているわけであります。その不利益処分についての不服申し立てに関する規則は、いわゆる準則と申しているわけでありますが、この中におきまして審査手続といたしまして、人事委員会は当事者の申請または職権により同一または相関連する事件に関し併合して審査することを適当と認めるときはこれを併合して審査することができるという条文をお示しいたしまして、それがそれぞれの県なり指定都市人事委員会規則として定められている、こういうことになっているわけであります。したがいまして、この審査併合を行なうかどうかということにつきましては、もちろんそれぞれの人事委員会が終局的には御判断になる問題でございます。ただ、私のほうで特に申し上げたいと思いますのは、繰り返しになって恐縮でございますが、この二千人をこえるような大量の審査併合ということは、これは公平審査というものから見て、その技術的な限界をこえるのではないか、こういうことで、そういう考え方に立ちまして、いまの五十九条の規定に基づきます助言をいたしている、これはまた当然許されるところではないか、こういうふうに考えている次第であります。
  36. 小林武

    小林武君 五十九条を引き合いに出すということは私も一初めから予定しておったのです。しかし、このことはそういうことではない。「地方公共団体人事行政がその法律によって確立される地方公務員制度原則に沿って運営されるように協力し、及び技術的助言をすることができる。」ということは、このことが審査内容に立ち入って、二千人だからだめだとか千九百人だからだめだということまで干渉する筋合いはない。あなたそこでいまおっしゃったように、そういう一つのことを持っておりましても、人事委員会が決定するのが筋合いだと言っているじゃないか。それをなぜ人事委員会がみずから決定しなければならないか、それは人事院といっても同じでしょう。人事院は何か統轄とかなんとかということばを使っておりますね。他の省庁と違うでしょう。内閣総理大臣に対して、これは人事院というものの独立性というものを非常に強調している、同じようなことが人事委員会だってあってしかるべきだ。一体不当な処分を受けたときに、これに対して審査を要求したという場合には、国家公務員といえども地方公務員といえども差別があっていいことはないのです。その審査人事委員会並び公平委員会がやることなんです。そこに立ち入って、それはけしからんとか、それが引っ張られたら一体学校休みになるとか、役所休みになるとか言うとは何です。あなた、そういうことを言わなければならぬという理由はないのじゃないですか。しかも一これは規則によってきめられているでしょう、人事院規則の中にもちゃんとあるじゃないですか、合同審査請求権利があるということは。明らかな干渉ですよ。干渉と考えませんか。干渉でないとあなたが考えるならば、あなたたちの言っている人事委員会に対する解釈が間違っておる、私はそう思う。しかも何ですか、あなたのほうで全人連とかというところへ出かけていって、あなたのほうの局長は、あなたの前任者かだれか知らぬけれども局長却下のことまで干渉している、そういう審査請求があったら却下しなさい、こう言っている。そんな指導ができるのですか。却下指導の事実があるかないか、あったら、それが正当か正当でないか、どうですか、それを返答してください。
  37. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) まず前の問題でございますが、干渉とは私どももちろん考えておらないわけでございます。これはただいまお読み上げになりました第五十九条の規定地方公務員制度原則に沿って運営されるようにという考え方に立ちまする技術的助言である、これは私ども当然そういうふうに理解をいたしておるわけであります。  それからいまの全人連云々の問題につきましては、私先ほども申しましたように、その経過をつまびらかにいたしておりません。却下をしろ、こういう指導をしたという事実については、私つまびらかにいたしておりません。
  38. 小林武

    小林武君 つまびらかにしているとか、していないとかという問題でなくて、私きょう持ってこなかったから、その速記録をあなたにお目にかけましょう、うそを言っているのじゃないのだから。国会の中で言っているのだから。あったらどうしますかというのです。それは干渉でしょう。干渉でありませんか。
  39. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) その速記録というものを拝見をいたしませんと、何とも言えないわけでございますけれども、それがたとえば争議行為である、争議行為であることが明らかでありますれば、これは当然却下をすべきものである、こういう解釈示したものであるとすれば、もとより正当である、こういうふうに考える次第であります。
  40. 小林武

    小林武君 何を言っているのですか。争議行為だとか何とかいうことを聞いているのじゃない。不当な扱いを受けた場合にはこうできるという原則を聞いている。規則のことを聞いている、法律を聞いている。あなたのほうでそういうことを言ったらどういうことになりますか。もし言ったら間違いでしょう、干渉でしょう。そのことだけ明らかにしなさい。原則に沿うているか沿わぬかということをあなたさっきから盛んに言うけれども人事院の精神からいったら、その原則に沿うたらいまのことはどうなんですか。
  41. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 私が理解をいたしましたのは、そのただいまの御質問はこういう理解のもとに立って御答弁申し上げたわけであります。全人連に私どものほうの職員が出向きまして、却下しろ、こういう指導をしたその事実というものは、私は詳細に承知をしておりませんのでわかりませんけれども、それがこういう場合には却下すべきものかどうか、こういう扱いあるいは解釈問題としてこの議題になった場合に、それは却下すべきもあだ、こういう指導をすることは当然法律解釈並びに取り扱いの問題として許される、こういうことを申し上げたわけでございます。
  42. 小林武

    小林武君 いいかげんなことを言っちゃいかぬ。そういうこと以外のことだってある。一体却下せいとかするなということに立ち入ることはおかしいじゃないですか。あなたどうですか。たとえばこの行政不通服査法というような法律のたてまえに立って考えた場合に、そういう自治省がそこまで一体干渉しなければならぬということは、どこに根拠があるのですか。それから人事委員会のあれをお読みになったでしょう。人事院の日本の制度、その中からいって、あなたたちが行ってこういう場合は却下したらどうだとか、却下しないほうがいいとか、あなたたち言うあれがそんなにあるのですか。あなたたちは、さきに一〇・二一がどうなるとか何とかいうときには、あなたの自治省はそれぞれ指導したのでしょう。ぼくは新聞で見てますよ、新聞にたくさん出した。こういうことをやったら処分するとか、あなたのほうの大臣も言った、文部大臣も言った。そういう人が一体審査を、処罰する立場になったときに、両方両刀使いできると思っているのですか。それが一体人事の公平という趣旨に沿うと思いますか、原則に沿うと思いますか。それを考えたらあなたおわかりになりませんかな、どうです。私の聞いたことを言いなさい。一体そういうことの却下をするなんというような指導をやることは間違いでしょう、これは。そうでないですか。あなたのほうがそんなことをやる筋合いがありますか。却下するとかしないとかいうことは、すでにこれは公平委員会人事委員会人事院、これらの人たちがみずから判断するのじゃないですか。他のだれからも干渉されないでやるというのが趣旨じゃありませんか。あなたのほうでは、最も公平な人事原則に沿うて、だれにも干渉されずに正しい判断を下しなさいというのがあなたのほうの限界じゃないですか。もしかりにあったとするならば、もうその限界をはっきりわきまえていれば、いよいよ審査が始まったら、あなたのほうでは干渉する筋合いはないですよ。それは少し罪が重いとか軽いとか、たくさん来ちゃぐあいが悪いから帰れとか、よけいなことを言う筋合いはないじゃないですか。五十九条というのはそういうことまでやれということを意味しているのですか。これはどうです。
  43. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 公平審理という公務員に与えられました権利救済の制度というものが、最も合目的的にその機能を発揮するように指導する、これはもう自治省の当然の責務であるというふうに考えるわけであります。片や、また人事委員会がこの公平審理手続を進めるにあたって、どういう形で、いま問題になっておりますのは併合審査をやるかあるいは分離して審査をやるか、こういうところの技術的な指導は、先ほど申しました自治省の責務というものと結びつけて考えますと、当然合理的な審理ができるように大量一括併合審理というものは適当でない、こういう指導をすることは当然の結論として私どもに許される、こういうふうに考えている次第でございます。
  44. 小林武

    小林武君 あなたはやはりかってなことを言うているようだが、たとえばここに十人なら十人の者が合同審査請求した、これは審査請求した側からいえば、最も正しくこれを理解してもらって、正しい結論が出るということのためにはそのほうがたいへんいいと、こういう請求をしている。あなたのほうで指導できるというあれを残しておいていろいろ干渉できるということになれば、これはあなたのほうではあれでしょう、検事のような立場になるわけでしょう。これは処分して、こう処分してもらいたいと指導しているのですから、そうでしょう。かくかくのことをやったらこうやりなさいとあなたのほうで指導しているのだから、検察庁の役目ですよ。その者が乗り込んでいったら、十人はけしからぬ、多過ぎる、一人ずつ分離してやりなさいと言うことをあなたできる余地を残しておくとすれば、一体全体自分の一生に影響を及ぼすような重大な問題を抱えているのです、その審査に臨む者は一体安心できますか。それをやらせないというのが人事院の性格じやないですか。人事院は、だから一体どういう人事院の存在にするかというようなことについては、性格については非常に議論をしておるでしょう。何度かその人事院独立性というようなものを弱めようとするような動きがあった。あったけれども、とにかく堅持しておる。なぜか。それはあれでしょう、一面公務員法とか地方公務員法というのは保護するような部面もあるかもしれないけれども、問題点もあるのだから、その区別だけははっきりつけておかなければならぬというたてまえに立っておるのじゃないですか。特にその審査の場合はそうなんですよ。だから、あなたさっきなかなか言わなかったけれども行政不服審査法という法律によってやるというこういうことがはっきり法の中にうたわれておって、これに従ってやるのでしょう。こういう行政不服審査法によるということの精神をひとつくんでみてもはっきりそれは区別しなければいかぬですよ。あなたのほうで両刀使いがやれると思ったら大間違いですよ。自治省の次官が行って、何の用事があって一体二千人がどうだとか、千人がどうだとかいうようなことをやらなければいかぬのですか。あるいは人事担当の全人連とかを集めて、そういう却下せいとか何とかいう干渉がましい、不当な干渉ですよ、これは。そういうやり方をやらなければいかぬという理由はどこにあるのですか。きょうはまああれです、あなたじゃだめだということがわかったから、今度は大臣に出てもらいましょう。あなたはどこまでもがんばるでしょうからね。ただし、この五十九条というのは、審査中身まで入ってとにかく指導できるのだということの根拠を明らかにしておきなさい。今度大臣にそう言ってください。  なお、われわれを納得させようと思ったら、もう少し人事院に対しての性格、関係の問題等について十分検討してきてもらいたい、そのことを申し上げておきます。  それから、あなたあれですね、教育がどうなったとか何とかということは、文部省から頼まれもせぬのにそんなことをなぜやるのですか。文部省から依頼したのですか。あなた文部省から依頼されてやったのなら、何か注意されてやったのなら、ますますおかしい。
  45. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) この公平審理におきまして、大量一括審理形態が公平審理制度本来の目的を果たすという上から見ても適当である、適当でないという質的な限界を越えておる、こういうことが私どもの主張の基本でございます。のみならず、こういう平日に日を選ぶ、授業日に日を選ばれたということは、さらに教育という面から見てもいかがであろうかと、私どもは現在のこの公平審理というものの基本にあります問題は、人事委員会がこれは職権をもって進行する、職権をもってものごとをきめていくという制度のたてまえであるにもかかわらず、それが完全に果たされていないというところに基本的な問題があるというふうに考えておるわけでございまして、そういう見地からこの日時の問題についても意見を申し上げておるわけでございます。もとより文部省云々ということは毛頭ございません。
  46. 小林武

    小林武君 あなたのほうで独断でそういう判断をして、よけいなことをおやりになっておるようだ。大体あなたは自治省におりながら、あなたも国家公務員の一人でしょう。国家公務員の立場というものを一つも認めておられない。そうでしょう。それは一体二千人も三千人にもなるようなことをやったこと自体にすでに問題がある。そういうことになったら、数が多くなったら、正当に自分の法や規則にうたわれた問題まで国家公務員地方公務員は主張できないというような、そんな法律はどこにもないでしょう。片っ方は不便かもしれないけれども、片っ方は自分の一生にかかわる問題なんです。そういう問題について主張できないなんというそんなばかなことが一体どこにありますか。それが人事のことについて公平にものごとをやっていける原則に沿うていないとか沿うているとかということになりますか、一体。そのことが原則じゃありませんか。不当な圧迫とか不当な処分とかいうものに対して、国会公務員地方公務員もそれに対してはもう公平なとにかく処理をしてもらいたいというようなことは権利じゃないですか。それを抑制するあれがどこにあります。あなたはそういう立場に立ってものを考えてはだめなんです。そういう誤ったことを次官から局長に至るまで全部そういう考え方に立って、しかも何ですか、一体北海道まで行って聞きもしないのによけいなことを言うなんというのは。しかもそれが近々のうちにその審査が開かれるということなんです。しかも人事委員会は、それについて合同審査をやると、こう言っている。なぜそういうよけいなことを言うのですか。これから気をつけいと言いたいが、あなたは頭からそう言わなければならぬように思ってきているようだから、この次はひとつ大臣を出してもらって、この次の委員会でひとつ御意見を承りましょう。  それでは本日は私はこれについて質問を終わりますけれども、関連があるそうですから。
  47. 千葉千代世

    千葉千代世君 関連質問。いまも小林委員の質問に対する答弁の中で、一〇・二一の問題は争議行為云々ということばがあったんです。自治省としていま審査をしようと、こういう申し立ての時期に、あなたの口から、まだ何もきまってない、これから審査をするというときに、争議行為であれば云々ということを断定してかかるということは、たいへん私は不見識だと思うのです。すべてそういうことからものの誤解ということが生じていくのです。しかも、もしこれが意図的であるとしたならば、たいへんこれは大きな問題をはらんでいるのじゃないか。特にいま人事院勧告が出されて、その完全実施を要求して必死になっているわけです。そういうときでありますから、特にこれから方々の委員会、あるいは陳情もあるでしょう。私は後の質問の関連事項の中で、地方公務員あるいは地方公営企業体の財源の確保の問題について伺いたいと思っておったので、特にその点で非常に心配したのです。その点特に申し添えておきますが、もう一つの問題は人事院の問題なんですけれども、ひとつ念を押しておきたいのですが、私いつも気にしておりますことは、人事院の勧告が完全実施をされていないということで、何回も何回もそのことが繰り返されるわけですね。昭和三十九年から九月一日になっているわけです、実施が。五月一日実施を勧告されて、実際九月一日と、こういうことになっている。そういうことになっていった場合に、どうもこれはおかしいというので、ずっと人事院の性格その他について調べていったんですが、もとを探り探っていって、官報を調べていったら、コピーにとってきたんですけれども、昭和二十三年の七月三十一日の号外の官報の中で、政令二百一号というのが、これはもう皆さん十分御承知なんですが、もう一ぺんこれを勉強し直す意味で調べてみたんですが、その中の一条の——時間がございませんので省略いたしますが、一項の中の「団体交渉権を有しない。」云々から、「但し、公務員又はその団体は、この政令の制限内において、個別的に又は団体的にその代表を通じて、苦情、意見、希望又は不満を表明し、且つ、これについて十分な話一合をなし、証拠を提出することができるという意味において、国又は地方公共団体の」——あなたの管轄下ですね。「当局と交渉する自由を否認されるものではない。」云々といって、それからずっといって「引きつづき効力を有する。」と、ずっと続いていくわけです。それを受けて国家公務員法が出ているわけなんです。これは二十三年の十一月十一日の中に、浅井さんが当時人事委員長で、人事委員会人事院に改組されるときなんです。そのときに国家公務員法の改正が提案されたんでしょう。その国家公務員法の問題の中で、あなた御承知でしょう、たいへん法律に詳しいようで、横車を押していらっしゃるようですが、これは横車を押すことはできないのでよ、速記録に書いてあるわけです。私も横車を押しません。その中にきちんと書いてあるわけなんですね。改正の二点の中に、はっきり人事委員会の組織及び権限を強化した点が述べられておって、「御承知のように国家公務員法運営機関といたしまして、本年中には総理庁に人事委員会が設置せられることになっておるのでございまするが、不偏不党、如何なる勢力の制肘をも受けることなく、厳正公平な人事行政を行いますと共に、」と、こうあるわけです。それを受けて審査請求権ができて、国家公務員法ができて後、地方公務員法ができて、それを受けて審査請求権が出てくるわけです。だから源がそれにあって、それを受けて、「国家公務員の福祉と利益との保護機関としての機能を果しまするためには、この委員会は、そのために必要とし、且つ十分なる権限が与えられますると共に、能う限りの独立性が確保せられる」云々とずっと書いていって、「人事委員会人事院と改め、従来内閣総理大臣の所轄の下にあって」これこれと、総理庁の一外局でないということをずっと規定しているわけです。これはずっと全部官報を調べていって抜いてきたんですが、それについて給与の変遷を見ていったんです。一体人事院ができてから、五月実施をしないためにどれだけ損害をこうむったか計算をやってもらったわけです。そういうふうにずっとやってみますと、まあ省略いたしますけれども、とにかくあなたはこの昭和二十三年十一月十一日の国家公務員法ができたそのことをあなたは認めますか、認めませんか。その一言を聞きたいんですけれども
  48. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 認めます。
  49. 千葉千代世

    千葉千代世君 認めますね。認めれば、いままでのことはそれは全部ふいになるわけなんです。そうでしょう。それからくる審査請求権ですからね。その審査請求権というのは非常に厳然たるものなんですよ。一官吏が、これはぼくはこう思いますと、ああでございますと、かってに解釈して通るものではないのです。非常な客観的なものなんです。国家、地方公務員の方々は一生懸命やって人事院勧告を完全実施させようと、こういうことに一生懸命やっているわけでしょう。そうしていままでストライキ権があった、それを剥奪されたわけでしょう。その剥奪された代償としてもらったものなんです。もらったというとたいへん失礼ですけれども、そういうものなんです。ところが、これを完全実施もしなければどうもしなくて、あげくの果ては、今度はいま言ったように、くれもしないでおいて、陳情、請願行動をしたから、今度はおまえらは処分だなんていって、ひどいのになると教頭にもしない、校長にもしない。デモに出たからおまえらは表彰もしないという、そういうことをどんどんやっていくというばかげた時代になってきたんですよ。そうした場合に、これを守る機関がよっぽどはっきりしていなかったら、一体何を希望を持って一生懸命働くのだということになるのです。そういう意味合いにおきまして、私はあなたがこれを認めますとおっしゃったから、そうすればこれは生きているわけなんですから、そういう意味合いにおきまして、あなたは大臣を補佐する非常に大事な役目でございますから、性根を据え直してきちんとした答弁をしてもらいたいと思うのです。  以上、要望して終わります。
  50. 小林武

    小林武君 文部大臣に。この間北海道の事情まで十分調査をやってないという話をした。その後調査をされた結果について、大臣でなくてけっこうですから御報告をいただきたい。
  51. 斎藤正

    説明員斎藤正君) この問題につきましては、その後御質問がありましてから、次のような経過でございます。  八月十九日付で文書で北海道教育委員会から簡単な報告を受けております。その報告によりますと、問題となった書類のつづりは、北海道教育委員会が昭和四十一年度当初に行なった転任処分に関し、教員から不利益処分審査請求が出されたので、これらの者の転任事情を承知をいたしますために、関係地方教育局長——三つでございますが一に照会をし、その回答として提出された文書を一括してつづったものであります。これが先般申し上げましたような事情で置き忘れたという書類でございます。八月二十一日、教育長が私のところに参りまして、この書類をもって説明をいたしました。で、道教委といたしましては、従来から思想調査を行なったことも一命じたこともないし、また単に政党の所属関係を理由として人事異動等を行なったことはないと私に申しております。  なお、この問題は先般大臣お答えいたしましたように、今後道議会においても、承りますれば九月末か十月だということでございますが、この教育委員会の主張に関して調査審議が行なわれるということを承知をいたしておりますので、文部省としては現在のところこの北海道の教育長の報告を聞いた程度でありまして、その後特に調査をいたしておりません。
  52. 小林武

    小林武君 斎藤局長にお尋ねいたしますがね、その際の報告で、原議書というのは公文書であるのかないのか。これはこの間、私質問を一生懸命やったところですね。公文書だと、こう言うんですか。
  53. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 公文、私文という意味が、私も先生の御質問を聞いていて、それから原議書ということばについてあいまいな合弁をいたしましたけれども、事情をその点について聞きただしてみました。これは報告にも載っておりますが、「これらの書類は、当委員会が昭和四十一年度当初において行なった転任処分に関し、小・中学校関係二十人、高等学校関係二十一人合計四十一人の教職員から道人事委員会に対し不利益処分審査請求がだされたことに伴い、これらの者の転任の事情を承知するため、小・中学校関係人事事務を専決処理する関係教育局長」——三局でありますか——に対して照会をした。その照会の文書は、その原本等があるなら送ってくれということであったわけであります。そうしてそのきた書類を一括して原議書の中につづっておったのであります。ですからこの中には、私個々に書類を見ておりません。教育委員会も人事に関する書類を私どもに提出するという気持ちはございませんから、その中には明らかにその決裁——異動処分をするものも入っておりますし、それからこの教育局で持っておりましたいろいろなメモというようなものも入っておった、それを一括して送ってきたものですから、とじておったというものがまあ置き忘れた、こういう事情になっておるわけでございます。
  54. 小林武

    小林武君 斎藤さんは、文部省というようなたいへん大きな役所にいらっしゃるから、ちょっと私の話とは食い違うかもしれませんけれども、これは学校でも、小さい役所でも、公文書つづりというのがあるのですね。これはお認めいただけると思います。その公文書の中にあるのかどうか。われわれ学校でいえば、文書が幾つかあって、永久保存のものもあれば、一年限りのようなものもあれば、いろいろありますけれども、しかしまあ公文書というものはやはりはっきりしているのですよ。われわれがかってに家へ持って帰ったり何なりする性格のものじゃないのです。だからそういう種類のもののうちからいえば何なのか、メモ程度のものだとおっしゃるのか、そうあなたは判断されたか、あるいは聞かれたか、それとも永久保存でなくても、何であっても、これは人事関係する一つの公の文書、公文書であるのか、そのことについては聞きませんでしたか。
  55. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 実は私その文書は見ておらないのであります。ただ先般御質問の際に先生に見せていただいた文書、これが私は正確に原議書であるという断定をするのには、ちょっといろいろなものが入っておるという感じがいたしましたので、正確にお答えできなかったわけです。と申しますのは、たとえば今回の転任処分について地方局長にかくかくの資料を出せということを道委員会が命じ、その照会に基づいて、かくかくの要件のものをというのを出したもので、それに基づいて道委員会が決裁をすれば、私たちのいう意味の原議書であり、公文書であることは明らかでございますが、一括いろいろなものを、まあおそらく見聞きしたものをまとめてきた。それを担当者が一括原議書という表題を付したらしく先生のあれで思われますけれども、それでつづっておったということでございますから、私どもはそのいろいろ書かれていることが全部公文書であると断定するだけのものではない、いろいろなものか入っておったのじゃないかと思うのであります。ただ処分自体が行なわれたものは、明らかにこれは原議書といわれるものだ、こういうふうに思うわけであります。その点私も、繰り返し御議論になったことでございますから、聞いてみたら、そういう事情を言っておりまして、この照会文書も、それからそのとった措置教育長がじきじきに私に話しに来られた。でございますから、先生のおっしゃるあの書数全部が公文書であるかということは、私は公文書であると断定するだけの材料を持っておらない。これはいろいろなものが入っておった。ただ、つづってあったものが、これは教育委員会が保管しておったには間違いないというふうに思うのであります。
  56. 小林武

    小林武君 斎藤さんもあんまりややこしいものの言い方をしないで、あなた正直に言わなければいかんですよ。私も混乱しないように言うが、原議書というのは、中に何をつづってもいいですよ。中味のことは言わない。原議書というものは公文書であったのかなかったのか。
  57. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 原議書と申しますのは、これは公文書でございます。しかし原議書というのは、通常ある行政処分をするということについての上司に伺いをたてる、それについて上司が決裁をしたもの、そして行政庁の意思を確定する、これがいわゆる原議書であります。私はあの原議書つづりといってお示しになったものが、中が全部そういう種類のものじゃないと思うのであります。しかしこの点については私は現物を見ておりませんしだれも教育委員会以外は現物を見ていないわけでありますから、正確に申すわけじゃございませんけれども、先般ここで見せていただいたものの中には、いろいろなものが入っておるのじゃないかというふうに思ったのであります。つづりの、字は、確かに写真にも出ておりましたから、つづり自体の呼称はこれは原議書となっておったように思うであります。しかし一々のものか全部原議書であるかどうか、私はそうでない分があるのじゃないか、こう思うのであります。
  58. 小林武

    小林武君 原議書は公文書だ、これはよろしいね。あなたのおっしゃるのは、原議書というのは公文書だけれども、その中に関係のいろいろなものをとじてよろしいというあなたの考え方でしょう。だからその中にあるものは、公文書としての一枚の紙切れが、これは公文書でないものもあるという判断だが、帳簿は公文書だ、あんたの意見はそうでしょう。その公文書、何でも入っておるとこういうわけですね。ちょうど何というか、公文書といえども、私も文書を、帳簿をつくらせられて、雑件というのがあって、ひどいのになると、映画の広告みたいなものもあれば、やはり学校に見にきてくれというものを入れた。そういう経験を持っておる、雑件は。しかしこれは原議書だ。原液書で人事関係する公文書だ。これはよろしいね。その中にはあなたの見解では、何がつづられていてもよろしいと、投書であろうが何であろうが、あなたのものの言い方から言えば、何でもとじておいてよろしいと、そういうことでしょう、結局。
  59. 斎藤正

    説明員斎藤正君) まあ書類をどういう、ふうにとじるかというのは、それぞれの役所なり何なりの考えですけれども、通常われわれが地方官庁で処理いたしております原議書と申しますのは、これは明らかに行政処分をなしたその上司の意思決定を持ったものがいわゆる原議書でございます。まあつづっていいとか悪いとかというのは、それぞれの担当者のものの考え方でありまして、ただ私はあそこにつづられたものが全部そういう意味の要するに処分をした、しない、あるいは処分をなした直接の参考資料として全部あげてきたというようなものではなくて、いろいろなものが入っておったんではないかと、こういうふうに考えるわけであります。で、なぜそういうことが起こるかと申しますと、この道の教職員課長から地方教育局長に、とにかくこういう転任処分に関連してその審査が起こるということで、関係書類というか、そのときの事情をわかるものをということでありましたけれども、その何もかも送ってきたものの中にいろいろなものがあって、それを担当者がつづり込んでしまった。こういうことでございますから、どうも先生、原議書のつづりにあったから全部原議だというふうにもまいらないし、どの部分がどうということは、これは一々私どもにも判断できないのであります。またそこまでの書類を教育長としては私に提示して説明しておるわけでございませんし、またそのこと自体は前回大臣が申し上げましたように、教育委員会の言い分ははっきりしておりまして、そのこと自体は北海道の中で論議されることでございますから、いまの段階で私どもとしてはそれ以上に立ち入って聞いても返事は同じでございます。それ以上の調査をしていないというのが現在の状態でございます。
  60. 小林武

    小林武君 この間、冒頭に剱木文部大臣は憲法十九条に抵触するような人事やり方というものについては、してはならぬ、これは指導方針、こういうことだった。私はごもっともだとこう言ったですね。私は人事というのは非常に大事な問題だと思うのですよ。斎藤さん、ちょっとあなた、そういうことだというと、ぼくは文部省の帳簿も若干疑惑を持つわけですけれどもね、原議書というものの中に、これが影響したかどうか知りませんけれども、いろいろなものを入れておきましたというようなことは、これはそれが実際の人事の中にどんな反映をしたのかどうかわかりませんというようなものの言い方はおかしいじゃないですか。主としてだれかがつづったとか、何かよその人がつづったようなことを言っておる。これは文書のつづり方というのは、それは役所が一番正確ですわ。学校なんというものはわりあいにその文書の扱いについてはルーズなんです。これはどっちかというと、ものを知らんといっていいくらい、それでもやはり往復公文書の中に入らないものは入れないようにする、雑件はどうするとか、経理の関係についてはどうするとか、そういうやはり公文書ですしね、児童生徒に関するところの永久保存のものであるならば、これはもうとにかくへたなものは突っ込まない、きちんとやっておくというようなことで、それは学校は帳簿についてはあまりじょうずじゃないけれども、わりあいに真剣なんですよ。私は原議書というものが公文書であるならば、一体取り上げるべき筋合いのものでないようなものです。たとえばあれは思想調査なんですから、中身は。その思想調査に類するようなものを中にとじ込むという、何でもとじ込んでおこうというような考え方ははなはだ危険きわまる考え方だし、事務屋としては月給くれてやるのも惜しいくらいのとにかくセンスしかないやつだと私は思う。私はあなたが北海道の教育委員会の立場をいろいろ考慮されておっしゃっているから、ますますわけがわからぬような御答弁をなさっていると思う。しかし斎藤さんの頭はそんなことが整理できないような頭じゃないと私はかねがね思っているんですよ。だからそんなことを言わずに、あの原議書という帳簿は公文書である、そうしてその公文書の中に、この間私が写真で見せたような中身を持ったものがとじてあったということになると、その中身もまた公文書の一つになるのではないかというようなことは、これはきわめて論理の進め方、きわめて正確じゃないですか。どんな大事な帳簿であっても、その中に妙なものが入っておったら、それは一々選別しなきゃだめだ、この帳簿の中にあるこの部分はこれは公文書ではありません、これは違いますというようなことを言えますか。この点は文部大臣も——大臣にそういうこまかいことを言っても、これは言わなくても剱木文部大臣は練達の事務を御存じの方だから、そんなことを言わないでしょう。どうです、剱木さん——答弁はいいですよ。そんなばかばかしいことを言わなくても。あたりまえでしょう、そういうことは。だから大臣、立つまでもないんですよ。斎藤さん、そんな言い方をやめなさいよ。とにかく県議書に、あの中に書かれておった、そしてつづられておったということですよ。これはもうとにかくあの一冊の公文書という原議書の中にある中身はこれは公文書であって、そしてそれがどんな影響を与えたかどうか、それは知りませんよ。——そういうものはあなたはやはり認めにゃいかんですよ。これは私は重大だと思うのです。剱木文部大臣のおっしゃる十九条に一体反するような、いわば憲法違反のような人事行政をやった疑いを持たれるに十分であるところの公文書である、こういうことになるでしょう。それでもあなた斎藤さんは、教育長ともお会いになったと思うのだが、あの公文書によって行なわれたいろいろな審査請求か何かあった人たちのことだと思うのですが、これは人事とにらみ合わせて考えてみた、影響のことを言うとあなた逃げるからあれなんですが、あの中身に書かれておるような人たちはいずれも今度の場合はどこかに転任するとか、それから降格されるとかいうような事実があったんですが、あの中でたしか教頭がいたですわね、教頭がとにかく降格されて行っていますよ。一番あの中でどぎついことを書かれておった人です。これはどうなんですか。それについてあなたは向こうのほうから答弁がございましたか。
  61. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 具体的人事については、これはまあそれが不利益処分であるかどうかということを人事委員会で現在審査中でございますから、この当否についていま私が口を入れるあれではございません。ただ教育委員会は、調査を命じたこともなければ、それについての書類を求めたことも、これはいままでおよそありませんと。それから教育委員会といたしましては、思想それから政党の所属ということを理由とする人事異動等は行ないません、そういう因果関係はありませんということを教育長としては言い切っておるわけでございますから、そのことはあるいは政治的に道で御議論になるのかもしれませんけれども、私が聞いたところでは、その因果関係なしということを教育長としてははっきり言っておる。今回のみならず、およそそういうことはしないと、こういうことを言っておるわけでございますから、私としては、教育長の文言を信用するというふうになるわけでございます。ただ先ほど先生がおっしゃったように、何もかもつづったり、それからその文書の中の文言が先般御指摘があったように穏当を欠くようなことばがあったりというようなことは、これは事務の処理として慎むべきことはあるはずでございます。これは道委員会としても先般申し上げましたように、直ちに学校長に対しまして通牒を出して、およそ思想調査にわたるようなことをするなということを、そういう誤解を受けるようなことをするなということを言っておるわけでございますから、文書自体の取扱いにつきましては、これは教育委員会としては反省もし、それから直していくべき面があるだろうと思いますけれども人事異動そのものについては、教育長としては、絶対にそういうことはない、こういうことを申しておるわけでございます。
  62. 小林武

    小林武君 教育長が人事異動については絶対そういうことはないということを確言できる理由はどこにあるのですか。教育長はもう末端の教員のあれまで全部の決裁をしてやっておる事実、そういうことありますか。私も教員でしたからね、中身も多少知っているつもりですけれども、そういうことですか。一々みんな調べて、絶対もう教育長がみんな考えてやって間違いないと、そういうふうに断言されたのですか、あなたに。
  63. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 教育長はもちろん補助職員を使って統括しておるわけでございます。一々自分で事情を知っておるわけではございませすでしょう。しかし、それは教育委員会の仕事の体制として、およそ人事異動に対してそういう思想、政党、身上、そういうものを理由とする人事異動を行なわない、こういうことを断言しておるわけでございます。
  64. 小林武

    小林武君 だからそこへいくとあなたの言い分が通らなくなってしまうのですよ。そうでしょう。絶対そのことによって人事は行なわれてはおりませんと言ったところで、そんなこと言い切れるものじゃないですよ。たとえばもう公文書の中に私文書まで入れてやっているということは、文部大臣が非常に御心配になっている。私的な文書でもって人事をやるというようなきわめて不公平な、私はほんとうのことを言うと、そういう人事をやるようではもうだめだと思っているのです。勤務評定のときにあなたもいろいろ議論したのを知っているでしょう。勤務評定のむずかしさ、人事のむずかしさというもの、これはあなたたち科学的何とかとこう言った。人事は科学的にやらなければならぬ、私も賛成だ。その科学的にやるということになったら、非科学的じゃありませんか、いまのやり方は。それを見て信頼しなさいなんというのはちょっとおかしくはないですか。信頼しなさいと言うほうがおかしいでしょう。私文書入れて——手紙ですよ、あれは単なる。それが公文書の中につづられておって、そうしてその文書のつづられておる中の人物はほかへ飛ばされておって、本人の意に反するところへやられておったら、それはおかしいと思いませんか。それが科学的だということ言えますか。私はだから疑われてもしょうがない、そういうことでしょう。そのことについてあまり大きなことを言える柄じゃないと思うのですよ、教育長はまず第一に。  それともう一つ、そういうことが地方の中において行なわれたということは、北海道の場合においてはごく最近あらわれてきた事例です。戦後はいろいろ問題がございましたけれども、少なくとも公平だと思われるようなやり方にみんながやはり努力した、いろいろな意見も入れた、そういう形でやってきたのでしょう。ところが、最近になってだんだん科学的な人事をやるという文部省の意気込みが高まれば高まるほど、いまのようなところへ落ち込んでいった、そう私は思う。だから北海道の人事、道全体の人事に対する教育庁のかまえなり、あるいは教育委員会のかまえなりが、そういうものを調製するような空気をつくっているんですよ。だから末端のほうへいってそういうばかなようなことが起こったんですよ。そういうことを自己反省しないような一体教育長なり人事委員会委員長なりというものは、私はおかしいと思う。今後の人事に関して、私は新聞で見た限りにおいては、人事委員長の発言もきわめてこれはもう謙虚さがない。ああいう帳簿の扱い方、かりに全くああいう間違いによって誤解を生んだということであるならば、教育委員長はもう三拝九拝して謝罪しなきゃいかぬ。申しわけなかったと、その気持ちが一つもない。私はそういう人事が行なわれていることについて、憲法十九条の人事が行なわれてないということになると、一度はやはり教育委員長をやっておる人も、長いこと戦前から高等学校の校長をやって、小学校の教員もやった。席は並べなかったけれども、私も同僚の一人だったとたしか思う。そういう人ですから、私は、もしそういうことをおやりになっているんであるならば、しっかり確かめなきゃいかぬと思っているんです。この点は委員長にもこの前、もし今度この事件がきわめて不明朗な形でどんどんいくんであるならば、十分ここでひとつ当該委員会の委員長のお話も聞きたいと、こういうことを言っているんでありますから、そういう手続もとってもらわなきゃいかぬと実は思っている。そう思いませんか。  私は文部大臣に最後にお尋ねをいたしたいと思う。文部大臣はその他のことについて、人事等についても十分の知識を持っているし、また実践されてきた方でありますからお尋ねいたしますが、人事を扱う文書の中に私文書がとじ込まれて、そうしてそのとじ込まれた中に書かれてある人物が非常に、だれが見てもこれは明らかに、いまはこういうことばはあまり使わないかもしれませんけれども、昔は左遷とこう言った、左遷された。本人はもちろん意に反しているから、これについて人事委員会審査も要求するということになる。そういうことになった場合にこれはどうですか、一体まともな人事が行なわれていると判断されますか。特にまた、その内容が憲法十九条の思想の自由、こういうことに関連を持っているとすれば、そういう調査をやっていたとすれば、これは妥当であるかどうか。この点について文部大臣にひとつお尋ねをいたしたい。
  65. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) この前にも御答弁申し上げましたように、人事に関しましては、やはり憲法十九条の精神にのっとりまして、思想的なことによって左右されるものでないということは全く私の——これは私だけでなしに、全教育行政に携わっている者の当然に守らなければならない責務だと思います。北海道の思想調査の問題が起こりましたが、この問題につきましては、この前の国会においてもお答えいたしましたように、私どものとりました手段としては、教育委員会及び教育庁、責任者のただいま意見を聴取いたしまして、そういう事実は全くないという御答弁に基づいて、その事実の有無その他につきましては、今後この問題について調査されるでございましょう。北海道庁自体の問題として取り扱われました結論を待って、私どもの態度を表明したいと思っております。  ただ、ただいま斎藤局長との御質疑のあれにございました教育委員会の取り扱いについて、私はきわめて不適当でなかったかという事実が二つだけ私には感じられます。その一つは、その内容については詳細に私ども現物を見ておりませんけれども、やはり公文書として取り扱わるべきものでないようなものも公文書の中にはっきりととじ込まれておったのじゃないか、これは文書の処理上の非常な大きな誤りであると思いますし、もう一つの問題は、もしその文書が原議と称する正式の公文書でございましたならば、これを会議の席上に係官が持ち出していくというようなことは、われわれの常識においては許されないことであります。でございますから、この文書の取り扱いについて十分な留意が行なわれていなかったのじゃないか、この点だけははっきりと私どもは感得できるのでございます。しかし、こういったような行政上の取り扱いの不備その他につきましても、一応私どもは道庁におきます調査を待って、その上で正当な判断を、本来文部大臣として取り得る措置をいたしたい、こう考えておるわけであります。
  66. 小林武

    小林武君 それでは斎藤さんに最後に一つだけお尋ねしておきますが、これは文部大臣もちょっとお聞きいただきたいのですけれども、教員免許法があって、教育大学を出た場合には免許状をもらうのですね。それをあれですね。免許状をもらったらもう一ぺん採用の試験やるということはちょっとおかしいじゃないですか。それをやらなければ採用しない。ただし私は、教員がほしいというところがたくさんないのに、志願者がたくさんあるから数の上で合わぬと、定数もあることだからあふれたというようなことは、これは事実上起こり得ると思いますけれども、一体その点では教育大学の——私は実は文部省。ペースでものを言ってるんですけれども、私はほんとうは各大学それぞれたくさんやったほうがいいと思っているのだけれども、あなたのほうで教育大学は教員養成のためにやるんだ、専門職として教員をつくるのだと言っているから私はあれするんだが、そういう御趣旨だとしたら、ちょっと合わないのじゃないかと私は思うんです。そのことが一つ。  もう一つは、率直な話を聞いたのですけれども、まあ教育委員会その他でこの教育大学卒業生の試験に携わる人が、これは成績でとるのじゃないという話ですね。たとえば学生運動をやった、だれだれのゼミに出ておったとかということになるというと、初めからこれはともかく教員にはなれないようにちゃんと点数をつけてくれる、こういうふうに聞いているのですが、そういう事実が絶対ないというふうに斎藤さんあたりはお考えになっているかどうか、これはあなたが所管の局長かどうかわからぬけれども、どうでしょう。なお、文部大臣が何かそのことで御意見があったら、また伺ってもけっこうです。どうでしょうか、その二つの件。
  67. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 前段の御質問でございますが、実は免許状がありましても、現在の地方公務員法あるいはその特例をなす教育公務員特例法におきまして、この任命権者が教員の採用を行なう、それは選考によって行なう。一般の行政職員ば競争試験を原則にいたしまするのに対しまして、教員の場合には選考でやるというたてまえでございますから、これはむしろ採用試験ということばがここではぴったり当たりませんけれども、要するに任命権者とし七は選考によって任用を決定するという手続をとっているものと思います。その場介に、もちろん採否もございましょうし、またそれぞれの適格性によりまして、当初どこへつけて配置したらいいかというような判断をいたす必要は任命権者としてあるわけでございますから、これは都道府県によりましてそれぞれ適確に行なわれると思います。  それから第二の御質問は、これはゼミナールがどうだこうだということで判断すべきものでない、学業、人物全般についてその選考権者は適切な措置をとるべきものだというふうに考えております。
  68. 小林武

    小林武君 あなたはそういうふうに——日本の教育大学なり、そのほかの大学でもけっこうですけれども、特に教育大学の問題で質問するわけですが、教育大学の中で新しく採用試験をやる、採用試験については、私はあとの問題とからみ合って質問したわけですけれども、何かあなたたちのほうで意図的におやりになるんじゃないかというような気持ちを持っている。というのは、そういうことがあまりにも世上に多い。だめだというあれは、そのことについては大学の教授の中にだって不信を持っているような人もある。あの学生はだめじゃないだろうかというようなことを考えるような教授もある。その理由は大体そういうことなんです。先ほど私が申し上げたような理由なんです。それは絶体あなたはない、正常な形で大体いまのところはいっていると言ってよろしいとこう思いますか。
  69. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 前回もお答えいたしましたように、採用あるいは昇任、転任等は、これは任命権者たる都道府県教育委員会がそれぞれの実情に応じまして、適切に運用されているというふうに私どもは信じておるわけでございます。
  70. 小林武

    小林武君 なかなか信じやすいほうだということで感心しているのですけれども、あなた信じているようでもないようだから、ひとつこの点については文部省も十分検討なさったほうがいいんじゃないか、反省的な意味で。先ほど自治省との間のやりとりをちょっと聞いていらっしゃったと思いますけれども、やらなくてもいいことはやるのですよ。審査請求なんというような干渉すべき筋合いのないところでは力み返ってみて、事務次官に至るまで張り切って見せる。そのくせ、大事な日本の教員になる者を、りっぱな者を教員にしてやろうというようなことの場合には、何かばかに信じたようなことをおっしゃっている。しかし、信ずるということは、その裏のあれもあるから、私はあまり信用しないのですけれども、私の希望するところは、そういう声が少なくともわれわれの耳に聞こえないようにしてもらいたいと思います。そういうことを御希望申し上げます。
  71. 楠正俊

  72. 鈴木力

    ○鈴木力君 公務員賃金についてお伺いいたしますが、最初に人事院総裁にお伺いいたします。八月十五日に、たぶん十五日だったと思いますけれども、今年度の公務員給与の改定についての勧告かあったわけであります。この勧告の概要についてまず御説明をいただきまして、それからあと若干御質問いたしたいと思います。まず最初に、勧告の概要といいますか、要点を御説明いただきたいと思います。
  73. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 人事院は毎年官民の給与調査をやっておりますが、本年も西月現在、四月中に支払われた民間給与及び公務員給与を精密に調べまして、その間の較差を求めました。結論として、公務員給与は民間の水準に対して七・八%下回っておるという結論を得ましたので、これだけぜひとも埋めていただきたい、そうして民間の水準に追いつかせていただきたいというのが勧告の眼でございます。  そこで、勧告の概要でございますが、もちろん俸給表の改善にその主力を注ぐことは当然でございまして、全俸給表にわたって改善をいたしました。ただその際の特色と申し上げていいのは、本年私どものつかみました民間給与のあり力を見ますと、これが各階層を通じて、大体上下同じような率の引き上げになっておるということが民間の特色でございます。したがいまして、私どもの勧告におきましても、その点を基調といたしましたが、一方初任給の引き上げの問題、あるいは中位等級の昇給間差額の是正というような点も加味して、全俸給表にわたる改定をいたしました次第でございます。  なお、俸給表の中で特殊の俸給表がございますが、その中で特に医師の俸給表につきましては、年々これは官民の較差が開いてまいりまして、ことしは五〇%をこすという顕著な開きを見せましたので、これについて、手当の面も合わせまして相当の改善をいたしました。  それからそのほか研究職の方々、教育職の方々、看護婦の方々などについても特に配慮をいたしましたつもりでございます。  なお、指定職は、ここ数年来据え置きあるいはごく低率の引き上げにとどめておりますが、ことしはまず民間にならう程度のところまで引き上げをいたしました。  それから特にまた俸給表の中で初任給——これは毎年のことでございますが、ことしもやはり改善を加えまして、民間にならった引き上げをいたしております。それから初任給の中でも医師の初任給、大学助手の初任給、警務官の初任給について格段の引き上げをいたしております。それから勧告そのものには出ておりませんが、電話交換手の人たちの初任給のきめ方についても、これを少し改善しようということを現在考えております。  かくして、俸給表全体の改善率が平均七・〇%ということに相なります。七・九の中で七・〇は俸給表に充てましたが、それ以外の処置といたしましては、手当の改普をいたしました。いわゆる特別給これが昨年据え置きいたしましたが、ことしは民間に比べまして、〇・一日分だけ公務員のほうが下回っておるということが明らかになりましたので、これを三月分の勤勉手当として〇・一月分増額をすることにいたしました。  それから地区別の官民の給与較差、これが相当著しいものがございます。これを少しでも解消しようというねらいから、新たに都市手当を設けまして、物価あるいは生計費、それからもちろんのこと民間給与との較差の著しい地域に在勤する職員の人たちに対してこれを支給するということにしまして、同時に従来からございました暫定手当、これは三年計画で逐次俸給に繰り入れて解消するということにいたしております。  なお、都市手当の支給率は、大都市が甲地といたしまして六%、それに次ぐ都市が乙地として三%ということにいたしております。  それから先ほど触れました医師の関係でございますが、初任給調整手当、これを今回大幅にふやしまして、それは実は辺地などにおいての国立病院の医師の採用が非常に困難でございますので、民間の病院でもやはり辺地等の場合については初任給が高くなっておるという実情もございますので、現在一律に五千円の初任給調整手当を支給しておったのでありますが、今回特に辺地の部面については一万円クラスを設け、それから中間の地域については七千五百円のクラスを設けまして、要するに医師の初任給調整手当を一種、二種、三種の三種類にいたしまして、辺地における医師の採用困難を多少でも解消しようということを考えておるわけでございます。  それからなお調整額といたしましては、博士課程を担当しております大学院の助手、それから長期航海を常態とする船員の一部の方々に対しまして、その勤務の特殊性に応じまして調整額を支給することといたしております。  それから宿日直手当であります。これもことしは民間調査をやりましたのですが、調査の結果、やはり公務員のほうがよほど民間を下回っておることがはっきりいたしましたので、これを引き上げて民間並みといたしました。  それからなお深夜勤務その他夜間の勤務として通信業務に従事する職員の方々がおられます。これらの方々の勤務の特殊性を考えまして、深夜を含む夜間勤務について、ある程度の特殊勤務手当を支給することといたしたわけでございます。  以上の手当関係、俸給関係を合わせますというと、先ほど触れました七・九%という官民較差が埋まることになるわけです。申すまでもございませんが、私どもの勧告は四月に支払われた民間の給与ということを基礎にして勧告申し上げておるわけでございます。したがって、その実施期日は五月一日にさかのぼっていただきませんと筋が通らないわけでございます。従来五月一日で勧告申し上げておりますが、遺憾ながらこの点においては勧告どおりに実施されたことはいまだないわけです。ことしこそはぜひ勧告どおり期日についても五月一日から完全に実施されますように、私どもとしては念願しておるわけでございます。政府に対しても御要望申し上げておりますし、国会におかれましても、その点について大きなお力を賜わらんことをこの機会にお願い申し上げておく次第でございます。
  74. 鈴木力

    ○鈴木力君 まづ人事院総裁に伺いますが、いま伺いましたうちで、いろいろありますけれども、特に一般的なことは一応抜きにいたしまして、大体主として教育職に該当すること等について伺いたいのでありますが、しかし、一般的なことでありますが、理屈が合わないと思うのは、実施期日を五月一日からということで勧告を受けるのでありますが、実際は四月現在で調査して五月一日から実施、これはいろいろないきさつは別として、四月現在で七・九%の較差が出る、こういうことが結論的に出るといたしますと、五月から実施すべきだということは、一カ月分だけは公務員給与はがまんしろ、こういう理屈になると思います。それを人事院が五月一日から実施すべきであるとこう言っておるのは、何か別に根拠があるのですか。その辺ちょっと説明してください。
  75. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) これは御指摘のようなことを、ことに最近強く言われておるわけでございまして、私どもとしては、これも御承知のとおりに実施期日を勧告の中にはっきり入れるようになりましたときに、最初の段階から五月一日ということでやっております。先輩の諸氏がどういう根拠で五月一日ということにされましたのか、これははっきりは究明いたしておりませんけれども、それで従来やってきたわけで、これは確かに御不満のあるところだろうと思います。ただ四月で調べた以上は四月にさかのぼってということは、きわめて単純明快に受け取れるわけであります。私どもとしては、なるほどそれも一理あるのじゃないかという謙虚な立場で、その説に対しては決して四月説間違いだというようなことは申し上げておりません。両論立つであろうというようなことの考えに最近達しているというので率直な心境であります。なお今後さらに検討を続けまして、四月説が絶対正しいのだというようなことになれば、あるいは四月説をとらなければなりませんが、いまのところは、従来どおり五月説ということで今回の勧告も申し上げておるわけでございます。
  76. 鈴木力

    ○鈴木力君 どうもよくわからんですが、私が言うのは両論ある、どちらも正しいというふうに承るのですが、四月からやるのが正しいのか、五月からやるのが正しいのかというと、どちらかが正しくて、どちらかが正しくないのじゃないかと思うのですね。四月の段階で調査してこれだけの差がありますぞというときには、四月時点において差が出ているという意味だと思うのです。そうすると、四月から埋め合わせて初めて民間並みにいくということであって、翌月から埋め合わせるということになりますと、四月の差額だけは目をつぶってくれ、こういう意味にしか解釈できないのですけれども、この辺はどうなんですか。
  77. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) これは御承知のとおりに、浅井清法学博士以来のことでありまして、そう全然筋の通らぬことをおやりになったとは思いませんから、それはそれで私は敬意を表さなければならぬと思いますけれども、しかし、いまのようなお説もあるわけでございますからして、ぜひ完全実施をお願いしたいと言うときには、四月に実施するのが筋だという説すらある、いわんや五月はぜひお願いしますという形で、いまはそれを利用さしていただいておりますが、とにかくわれわれは五月として勧告申し上げ、その結果は十月からやっと九月になったというような状態でございますので、私ども当面そっちのほうをひとつ大いに勧告どおりいきますように努力を傾けてまいりたいというのが率直な心境でございます。
  78. 鈴木力

    ○鈴木力君 まあ従来五月一日からやってきたが、それでも完全実施できない、また五月だということですと、根拠は完全実施を求めるというところが根拠だと思いますけれども、いずれこの面については、先ほど四月からという考え方が必ずしも間違い、だとは思わない、そういう御答弁もあったと思いますけれども、これは明年度といいますか、今後この問題を検討される場合に、やはり科学的にいずれが是なのか非なのか、こういう問題はやはり検討していただきたいとこう思います。  で、いろいろ伺いたいのですけれども、時間がありませんから、問題点だと私が思っていることだけを若干伺いますが、住宅手当についていま伺いましても、勧告には住宅手当が出ていない。ところが、特に教育職員だけではないと思いますが、教育職員につきましてはいろいろの問題がある、これは生計上からの面も二つはございます。もう一つはいまの給与制度の上から言いまして、前にも申し上げたと思いますけれども、通勤者には通勤手当が出ている。しかし僻地に勤務しているような教員で特に通勤不可能な教師に対しては住宅手当も全然ない。それから住宅それ自体もきわめて貧困である。あるいは数が足りないで、しかも貸家もなければ貸間もない、下宿屋もないというようなところで非常に苦労をしているわけです。したがって、教育職の立場に立てば、僻地教育の振興という角度からいいましても、あるいはいまの元来あるべき学区内で居住するのが原則であるという、そういう考え方もあるわけなんですけれども、そういう点についての住宅を借りている者、これらについては手当がないし、逆にいえば、手当の面からいえば通勤を奨励してるような形になっておるわけです。僻地に勤務しておる者に対してはそういう面からの思いやりといいますか、待遇というのは全然ない。こういう点については、おそらく人事院は長年この住宅手当設置について検討をされてきたわけです。とうとう今年もこの住宅手当は見送りにされてしまった。これはまあ公務員全体としてもきわめて遺憾だと思っておるところだと思うのですが、住宅手当が今回も勧告の面に出てこれなかった、そういう事情を具体的に御説明をいただきたいと思います。
  79. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 御指摘の問題は、たびたび御指摘も受けておりますし、私どもとしても非常に東天な関心を持って臨んでまいりました。その証拠には毎年毎年しつこいほどに、民間調査の際に住宅手当、住宅関係調査をしてまいったことによっても御推測いただけるだろうと思いますが、何ぶん新しい手当を創設するということになりますと、各般の関係から考えまして、やはり民間の圧倒的多数あるいはそれに近い多数の企業が手当を出しておるという事実をつかみせんと、私どもとしてはなかなか簡単に踏み切るわけにはまいりません。そういう含みをもって民間における帰趨を見守ってまいったのでございまして、ことしもその調査を行ないまして、出ましたパーセンテージは三九%までいきましたが、とにかく四〇%にもうちょっとですけれども、四〇%に足りません。したがいまして住宅手当の新設は見送ったということでございます。ただ、いまお話に出ましたように、公務員宿舎そのものの施設の問題が、これはうらはらになっておるわけであります。われわれの給与的な面から見ましても、公務員宿舎に入っている人は非常に安い家賃で入っておる。それ以外の人は高い家賃、間代を払っておるというようなアンバランスは一方においてあるわけであります。したがいまして、ぜひこの公務員宿舎の整備充実のほうを少なくとも一方においては推進していただかなければならぬ。独身寮もそうであります。ということでこの住宅手当の問題が起こりましてから、それも数年続けて政府、総理大臣及び大蔵大臣その他に強くこの宿舎の整備のほうをお願いしてまいりました。このほうは、幸いにして政府もたいへん御配慮いただいたといってよろしいと思いますが、毎年予算も相当増額を見まして、入居率もだいぶ上がってまいりました。そのほうはそのほうとして努力をしておるわけでございまして、住宅手当のほうは、ただいま申しましたようなことからことしは見送らざるを得なかったということでございます。
  80. 鈴木力

    ○鈴木力君 この住宅手当、いま民間を調査して四〇%にならなかったというふうに承ったんですけれども、ここでその調査の方法といいますか、調査の対象をちょっと伺いたいんですが、民間の事業研はあれですか、今度の無作為抽出による対象としての民間給与の調査ですか、その対象と住宅手当の対象については、同等の対象で調査をなさったのかどうかですね。と申しますのは、率直に申し上げますと、この住宅手当の問題は民間でもいろんな種類のものがあるだろうと思いますけれども、特に住宅手当を要求されるのは、転勤を余儀なくされるような職種に住宅手当というのは要求をされると思うのです。そういたしますと、民間の場合には全部が転勤を要求されるというわけではないわけですから、したがって民間の転勤を要求されるようなそういう職種を選んで調査してみたらどういうふうになるか、そういう角度からの検討はなさいましたかどうか、伺いたい。
  81. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 私どもが民間の調査をいたしますときには、現在の民間の事業所の中で規模五十人、事業所の規模五十人以上でございまして、会社の規模百人以上ということを調査の対象として、そのほぼ二割程度を抽出をして調査をしているわけでございます。その場合に、個々の従業員の給与は別に調べるわけでございますけれども、住宅とかその他の制度につきましては、本社の事業所につきまして調査をいたしまして、その結果を集計をいたしておるわけでございます。そういう関係制度面からの調査につきましては、すべて同様にしてそういう関係調査をしているわけでございまして、住宅手当の関係につきましてもそういう関係として調査をしているわけでございます。で民間の事業所の中にはいろいろな支店があるかないか、あるいは転勤があるかないかといったような事情があるわけでございますけれども、そういう関係の転勤があるかないかといったような関係につきましては、具体的に調べるには実際になかなかむずかしうございまして、一応転勤のある事業所、あるいは住宅施設を持つ事業所というものについて同時に調べてございまして、そういう関係調査資料として提出してあるわけでございます。
  82. 鈴木力

    ○鈴木力君 いまのその抽出した転勤等を必要とする事業所を調査資料として出した、それは何%ぐらいになりますか。
  83. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 付属資料の第十二表にございますけれども、住宅手当支給事業所の割合としまして、住宅施設ありという中で転勤ありというのが五五・一%、転勤なしというのが二五・六%、平均を合計いたしまして四四・〇%ということになっております。住宅施設なしという場合におきましては、転勤ありが二四・二%、転勤なしというのが九・〇%でございまして、その計というのが一三・七%、で住宅あるなしにかかわらず事業所の全体といたしましては平均して三九・五%ということになったのでございます。
  84. 鈴木力

    ○鈴木力君 だから、やはりこの住宅手当の場合は、どうしても普通の本店だけというような転勤を必要としない職種の会社もそういう事業所も含んだ統計で公務員の住宅手当をそのままで比較をするというところに公務員の住宅手当というのがなかなか浮かび上がってこないという問題がそういうところにあるのじゃないかと思うのです。いま局長の御答弁にもありましたように、必要なといいますか、転勤あり住宅ありというところで五五・一%という数字が出てくる。だから、やはり人事院調査は機械的に民間を調査をするというから、無差別の一般のやつはそれはそれなりに理屈がありましょうが、特に住宅手当等の場合にはその同型の職種というか、同型の職員の構成を持ったような、事業所の構成を持ったようなそういう対象を選んで調査をしないと、何か公務員のほうがいつでもおくれをとって、毎年毎年不満を持っておる、こういうことになるんじゃないかとこう思いますが、今年は勧告してしまったあとですけれども、そういう問題については今後も相当にそういう点を配慮されて調査をし、公務員給与を引き上げるためにやはりそういう面からも努力すべきではないかとこう思いますけれども、この点についての要望をいたします。  なお、住宅手当について、小野君のほうから関連質問があるそうですから……。
  85. 小野明

    ○小野明君 この住宅手当の問題について、事業所が住宅を持っておるかどうかこういう点についてのみ調査をされたというお話でございますけれども、私はこの点で多少やはり正確な官民給与の比較と、こういった場合には問題があるのではないか、こう考えるわけです。というのは、昨年も勧告のあとに総裁にお尋ねをいたしたのでありますけれども、結局住宅手当というのは本来の基本賃金ではない、付加給付に属するものなんですね。特に公務員の場合は厚生制度に属する。そうすると、民間の場合はやはり法定外福利費と法定外福利がどうなっておるか、この点をやはり比較しなければならぬと思うのです。これは総理府にももちろん関係がありますけれども、三十九年の臨調の答申ですね、これがあるわけです、この点について。これによりますと、公務員の場合はいわゆる法定外福利といいますと、大体千円なんですね、最近千円。これの中身は健康診断に三百円、それから永年勤続に百円、体育レクリェーションに六百円、こういう積算の基礎になっておる。公務員の場合はたった千円しかない。これでは住宅も何もない、特別に持っておるところは別ですけれども、民間の場合はこれを比較いたしますと、三十四倍ないし三十五倍の厚生経費といいますか、法定外福利を持っているわけです。臨調の答申によりますと、少なくとも公務員の厚生経費というのは、この臨調の調査の結果によりますというと、現在の十倍程度に引き上げなければならぬ、こういうふうに三十九年に答申がされているわけですね。ですから、基本賃金の比較と同時に付加給付、法定内の福利は別として、法定外の福利の比較というものかどうなされておるか、これはもう日経連でもはっきり出しておるところでありますから、この点がなされない限り、正確な官民給与の比較というものにはならないのではないか、このように考えるわけなんです。だから住宅手当そのものと、こういうことよりも、住宅はもちろん一番重要なものではありますけれども、この点をどう調査をされておるか、この点の御見解をいただきたいと思います。
  86. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 問題は二段階に分かれると思います。第一の段階は給与として、現金の給与として住宅手当を民間で支給している分ということがその一つでありますが、これは御承知のように、わがほうで四月調査の結果とらえた民間給与の中には入っているわけですから、それと込みで公務員給与を引き比べて、そして七・九ということでありますから、かりに住宅手当を支給するとすれば、七・九の中からそれを引き抜いてきて配分の形で住宅手当に持っていかなければならない、それをことしはやりませんでしたので、これは一般の給与のほうに原資は回しておる。だから金の面からいうと損にはならない。どこかに回って配分されておりますから、損にはなっておらない。ただ、いまお話の福利の問題、福利施設ないし福利事業の問題は、これはこの前御指摘があったことも十分覚えております。これはわれわれとしては給与のお金の面、給与プロパーの問題ともう一つ別の並行の問題として重大な関心を持つべきじゃないかということで、あれ以来というとおかしいですけれども、あのお話の前後あたりから民間のレクリェーション施設等も含めまして、それを広く調べてまいっております。給与調査ほど厳格なところまでまだまいっておりませんけれども、ことしあたりの予算要求に入れたんじゃないかと思っておりますが、そういうような調査をしようと意気込んでおりますから、われわれとしては相当重大な関心を持っているということだけは御了承をいただいてけっこうだと思います。住宅施設そのものを大いにふやしていただきたいというものその面につながる問題じゃないかというふうに思って大いに努力しているわけでございます。
  87. 小野明

    ○小野明君 それで、住宅手当が中心でありますけれども、官民給与の比較、こういった場合には、いわゆる法定外福利という問題を要素として考えなければほんとうの官民給与の比較にならないのではないか、こういう疑点を私は持っているわけです。その点を臨調も指摘をしているのですね。ですからこの点をどうお考えになるか、お答えを総裁からいただきたい。
  88. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 私どものいまやっております勧告は、給与法そのものに基づく勧告だものでございますから、俸給表とか、手当ということに即してやっている勧告でございます。これをまた幅を広げて、御指摘のような点まで含めての問題になりますと、相当基本的にこの方向を転換しなければならぬ面があると思います。それも一つの行き方ではございますけれども、それはそれとして、当面民間においての法定外福利その他の福利関係はどうなっているかということは、ぜひ把握していきたいということは当面の私たちの心づもりでいるわけでございます。
  89. 小野明

    ○小野明君 その比較ももちろん重要でありますけれども、肝心の公務員のほうに厚生制度が重視されておらぬ。地方公務員法には四十二条にはっきり厚生制度を義務づけているわけですね。ですから、この点を地方公務員法にある厚生制度についてやはり明確にうたい込んでいく、こういう御努力がいただけないものかどうかですね。そういう方向が正しいものかどうかですね。その点をひとつ再度伺いたいと思うんです。
  90. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 狭い意味の給与以外のそういった福利の面についても、われわれ人事院といたしましては、とうていこれを無視できないという重大な関心を持って臨まなければならないという態度でおりますので、これは実は給与局の所管と申しますか、中で言いますというと、職員局系統の所管になるわけでございますけれども、いずれにせよ人事院の総力を結集して、御指摘のような面をさらに調査を重ね、またその推進につとめたいという心づもりでいるわけでございます。
  91. 鈴木力

    ○鈴木力君 あともう少し、こまかいみたいですけれども、新設をされた都市手当について若干伺いたい。どう見てもこの都市手当というのは、新聞にもいろいろ評価があるようでありますけれども、いま都市手当を新設をするということに対していろいろな問題があるように思うんですが、しかし、総裁の御説明によりますと、都市と都市でない地域の地域間の較差が大きくなってきた、そういうことのために都市手当を新設をしたという説明なんですが、しかし実際の生計費等を見ますと、特に東京なんかの生計費のアップ率は、むしろ地方よりも生計費の上がり方が少ないような統計も出ている。そういうような形の中で特に都市手当を新設をしなければならなかったその理由、特に理由といいましても、この較差が出てきた、その較差のおもなるものは何なのか、その点をちょっと伺いたい。
  92. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 都市手当がはからずも相当の脚光を浴びまして、私ども当事者としてはちょっと意外な感じを持つんでありますけれども、そのなぜ意外な感じを持つかというと、これはお尋ねにも沿うことになりますので、簡単に申し上げたいと思いますが、基本的には官民較差ということを一口に申しますけれども、これはやはり職種別に、お医者さんはお医者さんで調べたところ、先ほど触れましたように五〇%の較差がある、これはどうしても埋めなければならないという話につながることなんです。職種別と同時にこの地域別も官民の較差というものはやはり埋めなければならないということは当然及んでくることなんです。いまお話に出ましたように、現在の四級地というものについて官民の較差を見ますと、一三・七%開きがある。顕著な地域別の官民較差というものが大きな都会地においてはあるわけであります。そういう点も放てきしておくことは、官民較差を埋めるという基本的原則からいうと許されないことではないかということが一番基本の考え方であります。いままで暫定手当というものが御承知のとおりありましたが、これは現在のところ四級地と三級地だけが残って、四級地について大体いま五%くらいになりますが、あれは固定額で金額がきまっておりますから、ベースアップをやりますと、その割合はどんどん下がっていくわけです。三級地については二・五か六くらい、そういう形で暫定手当が一つの遺物として残っているということでございます。ただいま申しましたような角度からこれを見ました場合には、ほうっておくわけにはいかない、これだけの大きな較差があるものをほうっておけないということが一つ。それからもう一つは、現実面として私ども公務員の採用の試験その他の責任をしょっているわけでございますが、これはもう大都会における公務員の採用上非常に困難を来たしておる。民間との競争というと語弊かありますけれども、いい人がとてもきてくれないというような関係、そういうまた切実な要請が一つありまして、これは従来のままではほうっておけない現実面としてあるわけです。制度面として、これも御承知だと思いますけれども、一般職の職員の給与に関する法律の第二条の第六号に、給与を決定する諸条件の地域差に対応する給与に関する適当と認める措置国会及び内閣に同時に勧告しろということは、実は給与法上人事院に対して課せられた使命になっている。その中にカッコして、暫定手当の整理を含むというカッコ書きがあります。これをわれわれとしてはやはり実現させる責任を、これは昭和三十五年に入った条項らしいですが、実現させる責任をもっている。地域差がある以上は、なければいいんですが、ある以上はこれに対応した措置をとらなければ、われわれ給与法違反の責任を未来永劫にしょっていかなければならないということもありまして、従来この関係のことは常に念頭に置いてやってまいったのでありますけれども、何ぶん御承知のように去年、おととしあたりの較差は、全体の較差が少ないというようなこともあり、その他のこともありまして、実は今日まで実現が延びたわけでございます。先ほど申しましたように、ほうっておけばほうっておくほどベースアップのたびに暫定手当のパーセンテージがだんだん下がっていきますから、六号にいう地域差に対応する措置としては、やはりこの際ここで切りかえておきませんと、あとあとに禍根を残すという、きわめて地道なところから発想しておるわけです。  そこで、われわれとしては、やはり官民給与の較差ということを埋めるという基本の立場をとりつつこの問題に臨んでおるわけでありますけれども、さて十何%というものをここで都市手当かなんかでおっかぶせるということは、これはまたたいへんなことであります。今回各方面で指摘されておりますような弊害も著しく起こってくるということがありますので、われわれとしてはその較差の非常に高いところ、それから生計費の著しく高いところ、生計費はいま東京都の上がりが少ないとおっしゃいましたけれども、絶対の額においては高いことは、十何%でありますから高いことは当然であります。それからまた物価などを見合わせまして、よくよくのところというところをつかまえて甲乙にこれを分けまして、そして甲地に当たるところ、これが大体パーセンテージは低いのでありますけれども六%、それから乙地がこれに次ぐ都会地、都市ということで三%ということで考えておりまして、大体従来の四級地、三級地のワクの中での操作をこれによって行なっていこう、そういうかまえで御勧告を申し上げた次第でございます。
  93. 鈴木力

    ○鈴木力君 まず、あとのほうからちょっと伺いますが、採用試験をやると、いい職員がなかなか集まってこない、都市に集まってこない。だから都市手当を新設した大きな理由の一つになっておる。しかし、人事院は、今度はもう一つは中央の職員が地方と交流をするという場合に、地方に出ることが出にくい、いわゆる人事管理がこれによって非常にむずかしくなる。いまの人事管理の面、採用面からの理由で言いますと、この都市手当が新設をされるために、逆に人事管理が非常に困難になるというようなことについては検討してみたのかみないのか、まずそれを一つ伺いたい。  それからもう一つは地域較差を埋めるという給与法の二条によってやりたい、そのことは一応はわかるような気がいたします。そこで伺いたいのは、地域較差を埋める、給与法の二条によってやる、それに対しての都市の指定はどういう準備がされているのか、特に暫定手当の三級地、四級地のワクの中でということになりますと、いまおっしゃったような地域の較差、給与法の二条による地域の較差を埋めるということがはたして可能なのかどうか、そういう作業の状況と見通しについてあわせて伺いたいと思います。
  94. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 人事交流の障害になるということは、これはもうおっしゃるまでもなく当然常識的にこれは考えられることでございます。現行の暫定手当につきましても、そういう面の配慮から申しますと、一年間の経過期間を設けて調整をしているということがございますけれども、今回それを大体従来一年というのを二年にいたしまして、極端な変化の生じないようにという手当はしているわけであります。  それからいまの地域の指定の根拠は、先ほど触れましたとおりに、いま申しました大体三つの条件の、すなわち官民較差の大きさの問題、それから生計費の高さの問題、物価の問題、ずば抜けて顕著なものということで甲乙の順序でとらえて指定してまいる。なお、地域の指定とあわせて周辺の官署の単位で指定するという面も考えてしかるべきであるということでやっております。
  95. 鈴木力

    ○鈴木力君 こういうふうに理解してよろしゅうございますか。当然地域の指定というものは非常にむずかしいと思いますから、たとえば六大都市ということになりますと、関東でいえば東京はもちろん六大都市ですから甲地になる、横浜が六大都市で甲地になる、その中間の川崎とかそういうところは甲地になるのか乙地になるのか、いずれ乙地になりますと、いろいろ問題がありますから、これも甲地にしなければならぬという動きが出てくる。東京の北区が甲地になって、川の向いの川口市が乙地になる、この違いも少し不合理だからまた直さなければならない。だんだんにこれを全部ふやして、全公務員にさらに恩典が及ぶだろうとい遠くまで見ておって、それを最初に新設されたのかどうか。そう解釈すれば納得いくのでありますが、その点についてはどうですか。
  96. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 残念ながらそうは考えておりませんので、昔の地域給の復活ではないかというような批判が相当近ごろ出ている。昔の地域給は御承知のように五段階に分かれまして、非常に精密に全国分かれておった。こういうことは今日のデータから出てこない。煮詰まっておる。したがいまして、先ほど申しましたように具体的な表現を使わせていただきますと、官民較差の著しいところを拾いますと、大体三級地、四級地ということになりますし、そのワク内でいまおっしゃったような点、あらゆるデータを総合勘案しまして、適切な指定をしていきたい、これを全国に及ぼすようなことは毛頭考えておりません。
  97. 鈴木力

    ○鈴木力君 あらゆるデータを総合して適切な指定をする、こういうとりっぱでありますけれども、私が伺いたいのは、それでは乙地の指定はどこどこに準備をされておるのか。甲地はいい——いいというわけじゃないですが、甲地、乙地を指定いたしました場合には、指定の根拠まできちっとしたものを含めたものをあとで御報告いただけますか。
  98. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) これは目下鋭意こまかい検討を進めておりまして、結論はもちろん法律ができましたあと人事院規則ではっきり指定するつもりでおりますけれども、いまや検討のまつ最中だということだけを申し上げさせていただきたいと思います。
  99. 鈴木力

    ○鈴木力君 この点につきましては、いま議論しておってもしょうがないと思いますけれども、問題はやはり具体的に土地を指定したときに問題が起こってくると思うのです。ですから、私はいま総裁に約束をしていただきたいのは、あらゆるデータを総合して適切な案をつくるということですから、適切であればだれも文句言うわけにいきません。したがって、適切な案をつくる場合の詳細な基礎となるデータを含めて、あとで資料としてひとつ提出していただきたい、そのことをお約束をしていただきたいと思うのですが、よろしゅうごごいますか。
  100. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 ちょっと関連で都市手当の問題でお尋ねしたいのですが、従来の暫定手当を恒久化したような結果になるのじゃないかという心配を持っているのですが、それは従来の暫定手当は解消するという方向でお進めになりますが、先ほど総裁のお話を伺っていると、四級地の五%程度のものは六%になるとすれば、従来四級地に指定しておったところをさらにしぼらなければならぬ。先ほど財源のワクからおっしゃれば、ワクはその範囲とおっしゃるわけですから、さらにしぼらなければならない。それから従来の三級地が二・五、六%とおっしゃったから、それを三%に恒久化するとなれば、さらにこれもしぼらなければならぬ。そうなりますと、教員の異動の場合に、合併市町村の場合に、従来は旧市街と新市街と非常にごたごたしておりまして、非常に異動が困ったのですが、今回の場合にはさらにこれをしぼられますと、同じ市につとめておっても、一方は六%もらい、一方はゼロということがあり得ると思うのです。おそらくいま鈴木委員がおっしゃっているお話のように、横浜といっても横浜の全部をおそらく対象にされないと思うのです。旧市街地、新市街地までやられたらたいへんだろうと思うし、東京も全部というわけには私はまいらぬだろうと思うのです。そういう点から人事異動が非常に困難になるのじゃなかろうかということを心配しておるわけですが、この点が一点。  それからいま一つは、従来から勤務地に支給されると思うのですが、勤務地に支給していいのだろうかという若干私疑問を持っております。本来生計費が高いとすれば、その都市に住んでいるから高いわけです。都市周辺の農村から通った場合には通勤手当はもらい、さらに都市手当も支給されるという不合理が生じてくるのではなかろうか。ですから、都市手当を支給するなら、むしろ本人が住んでいる住所を基準にすべきではなかろうかと思いますが、この点について総裁はいかがお考えでしょうか。
  101. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 第一点の御心配については、少なくとも同一の行政区画内についてはやはり同一にしたいという気持ちで検討するつもりでおります。  それから第二の点は、これは地域給に対する根本問題でして、暫定手当についてもそういう問題がある。その他そういう地域を目ざしての手当について共通の問題が両論——また両論と申しますけれども、両論立ち得ると思いますけれども、現在では従来の行き方はやはりその官署の所在地ということを常に基礎にしてやっておりますし、また官民給与の較差というような面から言いますと、その給与の支払われる場所はその官署の所在地なわけですから、そういう面からはやはり官署の所在地によって考えていくほかはないのではないかという気持ちでおります。どうもいままではそれでやっておりますから、それがやはり正しいのではないかというような気持ちでおります。
  102. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 私ちょっとそこが不合理を感じますのは、都市手当というのはその都市に住むからこそ生計費がかかるのであって、そこに住まない人にたまたま勤務の場所があるからといって、そこに支給するとなれば、通勤手当ももらい、さらに都市手当をもらって二重のプラスになるわけですよ。これは非常に私は不合理だと思うので、むしろ本人の住所を基準にすべきじゃなかろうか、もしいま私が申し上げたようなことが実現されますれば、その勤務地に住居するように指導もできると思うのですがね。いまでは勤務地にいなくても通勤手当がもらえるのだし、さらに都市手当がもらえるとなれば郊外周辺から通って来る。このことはますます交通を混雑させる一つの原因にもなると思うのですが、この辺はもう一ぺん御検討いただきたいと思うのです。
  103. 鈴木力

    ○鈴木力君 私の質問に対するお答えもちょうだいしたい。資料として出してもらえるかどうか、この都市を指定した場合に、
  104. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 鈴木委員の資料につきましては、できるだけ調製をいたしたいと思います。
  105. 鈴木力

    ○鈴木力君 もう二つだけ総裁にお伺いしたいのですが、一つは今度の勧告には直接関係がありませんけれども教育職員に対する超過勤務手当について、これは昨年、たぶん昨年だったと思いますけれども、この委員会で私が質問したのに対して、総裁から、超過勤務の事実があった場合には超過勤務手当を払うことが現行法、現行制度上では正しい、そういう御答弁をちょうだいしたと記憶しておるのですけれども、今日の状態で人事院の総裁の御見解はいかがでございますか。
  106. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) ここでそのようなことを申し上げたと思いますけれども、それよりも私どもとしては、昭和三十九年でしたか、勧告と報告とお出ししたときに、その報告の中で、正規の超過勤務をやった以上超過勤務手当を支給するのは当然だということを一つうたって、さらに根本的な問題については調査の必要がある、これは御記憶だろうと思います。基本的にはそういう考え方でおるわけです。
  107. 鈴木力

    ○鈴木力君 最後に総裁に伺いたいのは、さきの実施期日のところでも総裁から頭にきたような御答弁がございましたけれども、問題は人事院が実施期日を含めて勧告をいたしましてからことしで八年目になるわけです。去年まで七回とも全然完全に、完全にどころの騒ぎではなくて、ほとんど半分くらいは実施されないできておる。そこで、ことしはどういうことになるのかはまだわかりませんけれども、少なくとも人事院の総裁として、去年と同じことをまた総裁がやっておるとすれば、政府はまたあるいは去年と同じことをやらないとも保証できないのですが、政府に対して、もちろん国会に対してということもおっしゃるでありましょうけれども、実情は政府が原案をつくればこれは一番いいわけでありますから、政府に対しての総裁のことし持っていらっしゃる何といいますか、秘めたる決意といいますか、どういうことをお考えになっていらっしゃるのか。それと同時に、実際には給与を受ける公務員の人たちはいま、ことしこそ完全に実施されなかった場合にはそれこそ大きな闘争でもやろう、そういう話がぼつぼつ進んでおる。七年間も値切られてまいりまして、これはまあ質問するまでもない、一人平均十一万円というようなそういう金額が、言いようによっては取り上げられてきておるわけです。そういう職員たちが、ことしこそ完全に実施してくれなければ闘争をやるぞとこう言っておる。この気持ちは人事院の総裁は理解できると思いますけれども公務員の気持ちに対する人事院総裁としての所見というよりも所感といったほうがいいと思いますけれども、御理解いただけると思いますけれども、二つの面についてひとつ伺いたいと思います。
  108. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 公務員諸君の期待ということはもう言うまでもないことでありますが、当面この勧告を責任を持ってお出しいたしました私どもとしては、この勧告は正しい勧告だという自信を持っておるわけです。責任を持って、自信を持って勧告を申し上げ、しかもその基礎は先ほども触れましたように、四月における官民の較差を埋めていただきたいということでありまして、これを少なくともと申し上げましょう、少なくとも五月にさかのぼっていただかぬことには筋が全然通らないわけでありますから、そういう認識のもとに従来も努力をしてきたつもりでありますけれども、ことしはことしとして、さらに他の条件もしろうと目で見ますというと、従来以上にどうもいいようなふうに思います。ここに幸い文部大臣もおられるわけで、いずれまた文部大臣のほうにもしつこくお願いしなければならぬと思っておりますが、ことしこそはという覚悟で臨む決意でおるわけであります。
  109. 鈴木力

    ○鈴木力君 くどいようですけれども、ことしこそはということは、だいぶ総裁のことしこそはという御答弁は聞きなれてしまったようで遺憾なんです。おそらくことしで八回目くらい、ことしこそはということを聞くとすればたいへんなことになる。私がいま総裁に伺いたいのは、毎年毎年ことしこそはと言うだけで一体いいのかどうか、これは私は非常に大きな問題だと思うのです。いまさらここでこの人事院制度がどうかというような議論は時間のないときにするつもりはありませんけれども、少なくとも今日の公務員の給与の制度の上からいって、人事院が詳細な調査をする、その調査に基づいて、多少はわれわれからすると問題ないわけじゃないにしても、少なくとも人事院が正規の機関としての勧告をしたものが、まあ一回か二回どうにか完全にできなかったというなら話がわかるのですが、七回も続けて全然無視をされてしまっておる。しかも上方の同じような給与問題の公労協の場合には仲裁裁定というのが完全に実施をされておる。公務員と公労協との職員に対する差別待遇ということも一つあると思います。私に言わせれば、むしろそれもあるけれども人事院に対する政府側の不誠意ということがはっきり出ていると思うのです。公労協の仲裁機関に対しては相当政府は敬意を払っておる。人事院に対してはどうせというような非常に軽視をされておると私どもは見なければならぬと思う。人事院の総裁としては七回も値切られて、まだ軽視されておるとおっしゃらないのかどうか、そういう点についての御見解をはっきりと承っておきたいと思うのです
  110. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 七回も切り下げられてきたということはきわめて残念であることは申すまでもないことであります。また、いまおことばにありましたように、ことしこそは、ことしこそはで七年もきたじゃないかと言われるのもまさにそのとおりであります。しかし、さればといって、それ以外に何か名案でもあるのかということでありますけれども、私といたしましては、やはり熱意と努力以外にはないと思っておりますので、一そうこの面についての熱意と努力を傾けてまいりたいという気持ちでございます。
  111. 鈴木力

    ○鈴木力君 そこで総理府の総務副長官にお伺いいたしますが、初めに、ほんとうに申しわけないんですけれども、私はこの公務員賃金のいわゆる給与担当大臣である総理府総務長官ですね、副長官に申し上げてもしょうがないことなんですけれども、いま総裁もこういうふうに申されておる時期に、きょう総務長官が出てくれなかったということについては、率直に言って私は非常に大きな不満を持っております。と申しますのは、きょう参議院では内閣委員会があり、それからわれわれのほうの文教委員会をやるということを決定したのは、きのうやきょうの話じゃないわけですね。先月のうちに決定をして、そうして出席方をお願いしておった。ところが、非常に忙しいので静養なさる時間がない、それからまたお医者さんのほうにみてもらう時間も持たないので、どうしてもきょう医者にもみてもらい、静養しなければならないから欠席するというのが総務長官の欠席の理由のように承っておる。この七回もいろいろ政治問題になってきた給与の担当の責任者である総務長官が、何か別の日にみてもらったらどうですかと私のほうから申し上げた。直接申し上げたのじゃございません。政府委員室を通じて申し上げた。別の日には何とかという仕事があるから医者にも行けないし休めない、それならもっと別の日は、その日は何とかという仕事があるから休めない。そうすると、公務員賃金の問題については、総理府はひまなときならつき合おうという態度なのか、その辺の気持ちはどうも私にはわからないんですが、これは副長官にお伺いしても無理な話でありますけれども、総理府としては一体この公務員の給与にどんなつもりで取り組んでおるのか、基本的な総理府の態度をお伺いしたい。
  112. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 総理府といたしましては、これは給与担当の官庁といたしまして、人事院の勧告を全面的に実施する、そういう方向のもとに努力をいたしておる、これが事実でございます。実は昨年の際におきましても、ちょうど私曲の森総務長官の時代に副長官をいたしておりました。森総務長官のときにも非常に全努力をあげておったわけです。ただい塚原長官も、同じくこの点につきましては非常な熱意を持って当たっておるということは間違いございません。
  113. 鈴木力

    ○鈴木力君 重ねてしつこいようですけれどもお伺いしたいのは、総理府の担当しておる業務というのは非常にたくさんございます。そのうちの軽重からいったら、公勝負給与は何番目ぐらいに入っておりますか。
  114. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 何番目と言われましても、はなはだどうも何でございますが、非常に重要な問題であるということは確かでございます。
  115. 鈴木力

    ○鈴木力君 一番重要だとおっしゃっていただくとそれでいいんですけれどもほんとうのことを言うと、私はひがんだんです。せっかく総務長官が御静養なさるというんだから、土、日がいいんじゃないか、月曜日には出てきてもらって、国家公務員の諸君にもこれほどやっているんだということを見せてもらったらどんなにかいいんじゃないですかと言ったら、土曜日は総理大臣新聞記者会見に立ち合わなければならないから静養できない、そういう御返事だったのです。そうすると、新聞記者会見公務員賃金の仕事としては、少なくとも新聞記者会見よりは下だ、こういうふうに見なければならぬ。そうなると、何か総理府か公務員賃金に一生懸命になる時間というのは、よほどのひまのときにしかやってくれないんじゃないか、そういうことから毎年毎年値切られておるんじゃないか、こういうふうにひがみを持っておったんですけれども、いま副長官からそういうお答えをいただいたので、まあ私のひがみは誤解から生じたひがみだと思います。しかし、まだ完全に私のひがみがすっきり直ったとは思いません。この私のひがみが完全に直るのは、政府決定が、九月から五月一日まできちっとさかのぼって完全実施するという政府案が決定したときに、私のひがみがすっかり直るでありましょうし、塚原総務長官に誤解したことをひざついてもおわびをする時期はそのときだと思っておりますが、長官によろしくお伝え願いたいと思います。  そこで、さらに総理副長官にお伺いをいたしたいのは、いまいろいろと新聞やなにかで報道されておるのですけれども、一体、担当大臣としてどういう構想で取り組んでいらっしゃるのか、それから将来どういう時期までにどう考えていらっしゃるのか、これらの点についてひとつ伺いたいのです。と申しますのは、たとえば地方公務員で申し上げますと、国家公務員の給与の決定がおくれたりいたしますと、決定をした、直ちに電報をもらって、臨時県議会を招集してきめても早く渡そうという努力を実はしているのです。各府県でもしておる。ところが、国家公務員の場合に、政府の場合には、八月に勧告があっても、政府案の決定というのはいつまでもだらだらと延びておる。いつきめてくれるのやらわからぬわけです。そうして、たとえば臨時国会にいたしましても、政府の都合によって、この公務員賃金の決定の国会というのはいつでも延ばされる。要するに、そういう面からいっても、公務員賃金というのはいつでも他よりは軽んぜられておるという感じは、非常にやはり公務員は受けている。ですから、ことしはさっき言ったように最も重要だという立場で取り組んでいらっしゃるのですから、そういう立場から、将来どういうふうな構想を持ってどうやろうとなさっていらっしゃるのか、お伺いいたしたい。
  116. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 鈴木先生も御存じのことかと思いますが、従来給与関係閣僚会議というのがございまして、従来は五人の方であったわけでございます。官房長官、総務長官、それから大蔵大臣自治大臣、それから労働大臣。ところが、昨年から、公務員の給与の関係については国民経済にも重要な影響があるというような立場から、経済企画庁長官がお入りになりまして、昨年はいわゆる六人委員会と称せられるものができたわけでございます。今回は人事院勧告が去る八月十五日に政府並びに国会になされたわけでございます。それで、政府としましては、直ちに給与関係閣僚会議を八月十五日に開きました。で、そのときは全員出席のようでございますが、そのときに、いわゆる内部の点を申し上げますれば、自治大臣から、先ほど鈴木先生もいろいろ議題にあげられ、内藤先生もお話しになられましたが、都市手当の問題につきまして自治大臣から一つ御意見が出たわけでございますが、別段その際におきましては、いろいろと結論めいたこととか、突っ込んだ意見の交換とかいうものはございませんでした。そうして八月の十五日は終わりました。ただ、今回の政府の決定につきましては昨年よりも早目にしようというようなことにつきましては、意見が統一されております。いまのところ、十月上旬をめどに大体決定をいたしたいという線で進めているわけでございます。それで、この九月八日に第二回の給与関係閣僚会議を開いて、鋭意ひとつ前向きに検討を進めていこうということが、ただいまの経過でございます。
  117. 鈴木力

    ○鈴木力君 副長官にもう少し伺いたいのですか、いままで七回完全に実施されなかった。完全に実施されなかったということばは、五月からやれというのを六月からやったとかいう場合に完全に実施されなかったということばが適用されるだろうと思いますが、五月からやれというものを十月からやったり九月からやったりということになれば、これはもうほとんど実施されなかったといったほうが正確な表現だと思うのですけれども、総理府としてというか、担当省として、いままで七回もこういうふうに完全に実施されなかった主たる原因は何なのか、そういう点を分析されているのかどうか、伺いたい。
  118. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) ずっと以前のことにつきましては、これはここに人事局長がおりますので、その点につきましてはお答てをさしたいと思いますが、私が関係をいたしましたのは昨年からでございます。おもに財政上の問題でございます。
  119. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) 大体におきましては財政上の問題が理由だというふうに申し上げてよろしいかと思います。ただ、財政上の問題と申しましても、いわゆる財源の絶対的な額、そういう意味での財源があるとかないとかということよりも、やはり全体としての財源の使い方といいますか、充当のしかた、そういうことが一つ問題であろうと思いますし、それからこの人事院勧告を実施しますについての予算の補正ということがもつ経済的な、あるいは財政的な意味、そういうことについての判断、そういうことが全体として総合されて、完全実施は困難であり、十月から実施ないしは九月から実施というような結論が出たというふうに考えるわけでございます。
  120. 鈴木力

    ○鈴木力君 そこで、私はもう少し伺いたいのですけれども、財政上の理由ということを言われますが、きょう時間かないから、いままでの一年ごとに幾らというような数字は申し上げません。ただ、大体の経過からしまして、毎年同じことなんです。財政上の理由によりということになっている。ところが、あとで自然増収なり何かなりを見ると、政府が当初発表しているよりも、公務員賃金どころでなく上回っていることが何べんか繰り返されているわけです。ただ、それの配分上からいって、他にもっていってしまえば、これはもう別の話であります。だから、どうしても私どもは、財政上の理由によるというよりも、やはり今日の給与制度考え方が基本的に違うのじゃないかというふうにどうしても言わざるを得ないわけです。たとえば、財政上の理由というなら、ある時期には六月までもってきた、ことしは財源がないから、財政上の理由が苦しいから、八月におくれた、またある時期には五月にいったというなら、ことしは、ことしはという財政上の理由というものはわかるのです。ところが、十月がずっと続いてきて、一定の時期までくると九月になる、そういう形にずっときているものが、しかも、財政上の帳じりから見ると年々同じような情勢ではないわけですから、これは財政上の理由ということは、いわば理由にしているけれども理由にはならない。まあしかし、それはいままでのことでありますけれども、少なくとも私は、いまの人事院制度といいますか、公務員の給与制度、給与を支払う制度、その間における人事院の勧告というものに対して、こういう考え方政府としてもまず一番先に統一すべきではないだろうか、こう思っているのです。  ところが、新聞等にいろいろと伝えられているのですけれども、これはどういう事情かよくわかりませんが、ある担当大臣は、たとえばいま問題になりました都市手当は不当だから何とかこれはなくしょうとか、そういう話がぼんぼん伝えられている。それからまた、あるところからは、八月実施なら可能だというような、そんな話がもう非常に軽率に飛び出してきておる。人事院の勧告というものがそんなに御都合によってどんなに簡単にでも動かせるというような、そういう気持ちがこの閣僚会議の中にもしありとすれば、これはもう財政上の理由によりということでまたぞろことしも流されていくというおそれがある。これらに対する総理府として、担当省としての手だてといいますか、そういう点はどういうことを考えていらっしゃるのか、どういうことをなさっていらっしゃるのか、伺いたい。
  121. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 総理府としましては、実はいま先生おっしゃったような考え方に立っておりまして、そして少なくとも人事院は、要するに公務員の団交権その他が認められていない一つの立場から、人事院制度というものができており、勧告というものが行なわれている以上は、この線をひとつ完全実施をして、そして大いに公務員の給与改善をはかるべきものだ、積極的に取り組んでいくべきものだ、こういう立場をとりながらやっておるわけなんですけれども、しかし、政府全体といたしまして、先ほど申し上げましたように、一つの財政の問題並びに国民経済全体に関連する点もある。これは御案内のように、給与関係閣僚会議のメンバーをお見になりますれば、大体その基本的構想はおわかりかと思います。その中で、いろいろと意見が出てまいりますが、給与担当の官庁といたしましての総理府としましては、いまのような考え方で主張をいたして、できるだけ誠意を持って努力いたしておるというのが実情でございます。
  122. 鈴木力

    ○鈴木力君 誠意を持って御努力をいただきたいのですが、と同時に、やはり総理府としては、主張はしたけれども結果的にはだめだったということを毎年繰り返しておるわけですから、ことしはやはり結果をもろてそういうふうな誠意を示すようにお願いを申し上げたいと思うんですが、もう一つ、いまの完全実施あるいは勧告尊重ということばがいろんな意味に使われておる。完全実施といういま副長官のおっしゃったそのことばの意味はどういうことか。というのは、完全実施というのは完全に実施することなんですけれども、実施明日を含めて完全実施をする、こういうことなんですが、いろいろいま新聞に伝えられておるように、ある手当についてはある大臣反対だ、ある手当についてはある大臣反対というような場合、そういう場合に、一体政府とすれば、人事院勧告をどう見るべきものか、この点については何かお考えがあったらお伺いいたしたい。
  123. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 実はただいま申しました完全実施というのは、実施期日を含めての意味で申し上げておるわけでございますが、とにかく人事院の勧告を尊重するたてまえということでございまして、それに対しまして、いろいろな御意見を、いわば控えろという意味ではないことは御案内のとおりでございますので、いろいろと関係閣僚の方々から御意見が出るわけでございますが、私どものほうの立場としましては、いま申し上げたような線で努力をいたしておる、こういうわけでございます。
  124. 鈴木力

    ○鈴木力君 私は、やっぱり担当省ですから、特にリードをなさるという意味で長官に申し上げているのですが、この勧告の中身については、たとえば〇・一がついた、こういう場合につきましても、体系についても、おそらく中身については政府は手をつけないというのが鉄則だったと思うんです、今日まで尊重するという立場で。ただ実施期日については、財政上の理由という、これはわれわれはそうはいただきませんけれども、そういう理由でいつでも切っておった。ところが、何かことしは中身についても、閣僚会議に集まっていろいろ、そこはおれのほうは要らないんだ、こっちはどうだというような、何か料理をされるんじゃないかというような心配をいま公務員も持っておる。こうなってきますと、人事院の勧告制度というのはいよいよめちゃめちゃになってしまう。ですから、やっぱり私は、完全実施尊重という意味はそういう意味で、勧告というもの全部を含めた上、軽々しく手をつけるべきじゃない、実施期日も含めてでありますけれども。そういう態度を政府はやはり堅持しながら給与に対する勧告に対処してもらいたい、こう思います。
  125. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 実はいわば検討のいま途中でございますので、これ以上のことをいまここで申し上げるのは適切ではないのではないかと思いますが、御趣旨は、いま申し上げましたように、いま先生おっしゃるような立場はわれわれはとっておる、こういうことでございますが、いま検討に入っておりますので、いまの段階としましては先ほど申し上げた点を申し上げたい。総理府としましては、先ほど申し上げましたように、実は人事院勧告の完全実施をひとつ推進していこう、こういう立場に立っておる、こういうことを申し上げております。
  126. 鈴木力

    ○鈴木力君 総理府としてはという意味は、この閣僚会議のうちの一閣僚という立場ではなしに、やはり最後まで給与担当大臣という一つの責任を持った、閣僚会議の中でもウエートが高いという意味で、ひとついまの御答弁を承っておきたいと思います。  なお、あと質問がありますので、急いで私のほうから伺います。文部大臣に伺いたいのですが、文部大臣は今度関係閣僚の一人に入られた。このことについては、大半の関係職員を持っており、所管としておる文部省ですから、関係閣僚に進んでなられたということを新聞記事で読んでたいへんに敬意を表しているわけでありますが、若干の点について伺いたい。それは、大臣が、一々は申し上げませんけれども新聞を拝見をいたしますと、教育職員の給与について、文部大臣の非常にすばらしい、あるいはすばらしくない点も若干あるようでありますが、構想を発表されていらっしゃる。この教育職員の給与のあり方等について、大臣の所見をまず伺いたいと思う。
  127. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 私は、元来自分の持論といたしまして、教育職員については一般公務員と違いまして別個の給与体系があるべきではないか、その勤務の態様におきましてもわれわれはまた異なるものがあっていいんじゃないかということをずっと考えておりまして、今日もなお教育職員につきましては一般公務員と異なる給与体系があるべきであるという考えには間違いございません。
  128. 鈴木力

    ○鈴木力君 新聞より私に説明してくださるほうが不親切だということじゃぐあいが悪いのですけれども新聞のほうにはもう少し具体的に、何年たてばどうなるということまで言っておるわけですが、その辺の具体的な構想を承りたい。
  129. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 現下の教育上の一番大きな問題は、小学校の教師に適当な人を得ないということは、非常に大きな問題であろうかと思います。先般和歌山の一日内閣におきましても、この点につきまする質問がございました。特に小学校におきまして、現段階におきまして、これは世界的な傾向でございますけれども、だんだんと女子教員が大多数を占めてまいりまして、男子教員については魅力のある職種と申しますかになっていない、その傾向が非常にあると思います。これは何とかして、この文教の責任者としてはこれに対処する方法を考えなければならないときが来ておると思います。  それから、もう一つは、普通の公務員と異なりまして、この教員の職になりますれば、大体小学校を例にとりますと、最初に教員になりまして一学級を担任する。一学級の担任が、小学校の一年生であれ六年生であれ、その責任においては、一年生のほうが低いとか六年生が高いという問題でないと思うのでありまし、その教育者としての責任の体制は初任の当時からすでに重要な職責を持っておる。そういう意味から申しまして、普通の公務員と同じように年限によって、これは何年たてばどういうふうに昇進していくという考え方ではなしに、何かそこに異なる給与の体系があってしかるべきじゃないか。言いかえれば、私は初任給は、今度の人事院勧告でも一般公務員よりも少し高い程度の配慮をいたしていただいておりますけれども、もっとこの初任給なり昇給のあり方について基本的な考慮が払われてしかるべきではなかろうか、これは私の持論として持っておるのでありますが、現段階におきましてその責任にある私といたしまして、自分の考え方が絶対に正しいということをまあ私だけの独断で言うわけにはまいりません。したがいまして、私としてはこういう教員に対しまする給与の体系において別個の給与体系であるべきだということについて、できるならば私はやはり一般の方々の論議なり研究をお願いして結論を出していただきたい、そういう考え方を持っております。
  130. 鈴木力

    ○鈴木力君 給与法の第四条によりますと、大臣のいまの考え方が当然出てくると思いますが、つまり職務の複雑さと量と責任の度合いということですから、そういう面では努力をしていただきたいのですが、いま大臣がおっしゃいました小学校の教師に適当な人材がだんだん少なくなってくる、こういう問題についてもっと具体的に文部大臣のほうから積極的な御発言を実は私は期待しておった。と申しますのは、かりにいまの大臣がおっしゃるような給与制度、給与体系ができなくとも、現行の給与体系でも、いまの給与は三本立てあるいは四本立てといわれておりましょう、この三本立てがあるということ自体が、いま大臣がおっしゃったような小中学校に対する教師の吸収か非常にむずかしくなっておる。たとえば一つの大学を卒業いたしますと、まず高等学校が受験者が非常に多くなる、それから中学に下がってくるわけです。小学校はもちろん免許法の単位も違いますけれども、したがって教員養成大学の受験生の率からいっても違ってくる。いま大臣のおっしゃったそういう配慮からしても、三本立ての給与制度については文部省はどういう考え方を持っていらっしゃるのか。
  131. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 現に三木立ての給与制度がございまして、私はこれが現段階で不適当であるとか、そういう問題について批判がましいことを言うのは私の責任の地位にある限りはできないのでございます。しかし、三木立てを含んだ意味におきまして、基本的に私は教員の給与制度というものは考え直さなければならないものではないかと思っております。
  132. 鈴木力

    ○鈴木力君 どういう意図なのかよくわからぬのですけれども、責任者としては、いまの制度であるからこれに対して意見を言うことができない、もしそういうことなら、さっきおっしゃったこともぐあいが悪いことなんでして、元来はこう思っておる、そういう立場で言う場合に、三本立てはどうかということを伺っておるのであります。
  133. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 現に三本立てという給与制度がございまして、私はこれはおもしろくないからやめるということになれば、やはり代案を持たなければその批判はできないと思います。ですから、教育制度の基本について、それらを含めまして、全体として教員については給与体系がいかにあるべきかということを考究したい、こう考えておるのでございます。
  134. 鈴木力

    ○鈴木力君 くどいようですけれども、さきに大臣がおっしゃいました、小学校の教師に適当な職員が集まらなくなってきておる、こういうことの原因の一つに、いまの給与体系といいますか、三本立て給与がある。このことはお認めになられると思いますが、いかがですか。
  135. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 必ずしも、それが原因になっていないと、否定はいたしません。
  136. 鈴木力

    ○鈴木力君 なお、大臣のおっしゃる、いわゆる教育職員としての職務に見合う賃金、こういう考え方からいたしますと、いろんな点が配慮されると思いますけれども、そのうちに何か気にかかることがたくさんあるのであります。それについて若干伺いたいのです。それは超過勤務手当。これは大臣、いろいろな新聞等を拝見をいたしますと、ある場合には超過勤務手当制度をつくろう、つくるという方向に話されておる。ある場合には、元来はつくるべきでないというような談話も出されておるわけであります。私は、はっきりしてもらいたいのは、この前から文部省教育職員の勤務の実態調査をなさっていらっしゃる。あの勤務の実態調査をなさるときには、超勤手当を支給するという方向で調査するというお答えをたぶんちょうだいしているはずです。それからまた、いま人事院の総裁からも御答弁がありましたように、超過勤務の事実があった場合には、これは支払うのが当然である。三十九年にも、そういう意見も出されておる。したがって、今日の段階で文部省は超過勤務についてはどう扱うべきものか、伺いたいと思います。
  137. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) しばしば、去る国会におきましても、私は教員の勤務の実態調査をいたしましたのは、その調査に基づきまして超過勤務問題を解決するというためにやったのだということを申し上げたわけです。四十三年度の予算編成にあたりましては、この問題を必ず解決するということを国会でもお約束してまいりました。ただ、私が申し上げておりますのは、超過勤務を解決するというのは、超過勤務を支給する形にするか、あるいは勤務の態様において、私は先ほど申しましたかねての希望でございますように、そういう超過勤務というものを考えないで済むような教員の給与体系というものができるかどうか、その二つのうちだと思います。そういう、もし超過勤務を考えないで済むような特殊の給与体系ができますれば、その際はこれはもちろん超過勤務というのを考えないでいくべきではなかろうか。ただし、現段階におきまして、もしそれができないならば、そのできるまでの暫定においては、超過勤務というものを現行のもとにおいては考えなければいけないのじゃないかという考え方を持っておりますが、ただいまその両者につきまして、私どもとしては、四十三年度の予算編成を終わるまでにはそれを解決をしてまいりたいと思っております。
  138. 鈴木力

    ○鈴木力君 いまの点は、これははっきりしたいと思うのですが、この超過勤務手当を支給するようになるか、超勤を考えない給与体系ができるか、いま検討中だ、どちらかで解決をしたいと、こういうことなんですけれども、それではちょっと伺いたいのですが、来年からの教育職員の給与について、人事院からは八月十五日に勧告があった。これは給与体系を含めて勧告があったわけです。そうして現行法上からいうと超過勤務の事実があれば支給しなければならない、このことが正しい。で、さきに伺いましたように、大臣はいろいろ教育職員の独自の給与体系を考えておるとおっしゃいましたけれども、いまの段階で来年度からそういう独自の給与体系ができると思っていらっしゃるのかどうか、その見通しはどうなんですか。
  139. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) もちろん、独自の給与体系をつくりますときには、これは人事院総裁もおられますが、人事院とも御相談してきめなければならぬ問題だと思っております。ただ、できないといういま断定をする段階にはないと思いますので、できないということが決定いたしますまでは両者について私は検討を進めておると、現段階においては申し上げるほかはないと思います。
  140. 鈴木力

    ○鈴木力君 話が少しおかしくなってくるのですかね。少なくとも、大臣、これだけははっきりしておきたい。いまの給与制度の上からいいまして、現行の給与制度からいって、超過勤務をしているという事実かあった場合には超過勤務手当は払わなければならない、この考え方には文部大臣といえども反対はできないと思いますが、どうですか。
  141. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 現行の給与制度を基本的に改正しない限りは、鈴木委員のおっしゃるとおりだと思います。
  142. 鈴木力

    ○鈴木力君 そういたしますと、いま私が申し上げたとおりでありますから、独自の文部大臣構想による給与体系ができなければ超過勤務手当として支給をする、こういうふうに伺ってよろしいわけですね。念を押しておきます。
  143. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 現段階で私の立場としましてできるできぬということを論議する段階ではございませんけれども、現給与体系でまいります限りにおいては、私は超過勤務を考えなければならぬと思っております。
  144. 鈴木力

    ○鈴木力君 なお、その別個の給与体系ということになりますと、これはいろいろ議論があると思いますが、考え方としては、全部ではありませんけれども、給与法の四条からいってもそれは検討に値すると思いますが、しかし、さっき申し上げたように、現給与体系、現給与制度でいく限りはということで大臣のいまおっしゃったことを伺いましたが、この点についてはあとこれ以上は触れません。それから、具体的に本来どういくかということについては、あとの機会になおこまかく伺いたいと思います。  いろいろ、なお教育職員の給与についてはまだたくさんありますけれども、またうちの委員のほうからも御質問があるようですから、私ははしょりますが、最後に、やはり大臣が、新聞を見ますと、かつて閣僚会議のメンバーとして進んで出られた。これは私は非常に敬意を表します。何といっても、この給与法の給与について一番影響力のある教育職員をかかえておる文部省ですから、やっていただきたい。この勧告を受けましたことについていろいろと伝えられておりますけれども、少なくとも文部省はやはり去年も、いろいろと教育職員が完全実施を要求してやった行為に対して、この完全実施をやりもせずに、この行為に対してだけ追い打ちみたいな処分をかけて泣かしておる。ことしはこの関係閣僚の一人になった以上は、責任を持って文部大臣は完全実施に努力をしていただいて、そうしてそういう要求に基づく教育職員のいわゆる闘争という形に追い込まないような努力、これは文部大臣の任務じゃないかと、こう思いますけれども、その辺についてのひとつ決意を伺いたいと思います。
  145. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 実はまあ全公務員に対して国務大臣として責任があるわけでございますが、特に私は七十万の教育職員のまあ代弁をする機会がほしいと思います。でございますから、いままで六人の閣僚会議でやっておりましたが、特にお願いをいたしまして、閣僚会議の中に入れていただくようにいたしました。これには当然に私は、閣僚会議で何らの処置をしなかったという場合、この責任は十分覚悟の上でなっておるつもりでございます。  ただ、私は総務副長官が言われましたのと多少実は異なる点を持っております。それは人事院の勧告がなされる場合におきまして、私どもとしてはやはりこの教育行政につきましも相当の——単に給与の体系ということでなしに、教育行政というものに対してもやはりもし考慮が払われてなさるべきものであれば、私はそれについては完全実施ということを無条件に承服したいと思いますか、しかし、私は長年教育関係にやはり関係をしてまいりまして、終戦後における教育行政についての一番大きな私は支障を来たしたのは地域給の制度だと思います。これはたくさんな教職員異動を必要とし、特にまた私ども教育上一番大事なのは、都市の教育も必要でございますが、離島なり僻地においてどんなに優秀な先生を獲得しなければならぬか、むしろ私どものほうから言わせれば、この僻地なり離島なりに行っていただく先生には特別の優遇措置をいたすべきであって、教育的考慮から申しますと、おそらくこの地域給の制度とは逆の教育上の要求がございます。特に先ほど内藤委員からもお話がございましように、やは、全国にわたります教員の配置において、その間において大多数のものがこうであるからということでは解決できないものがあると思います。ある少数のものに何か不公平が生ずるという関係は、これは私は教育上は非常に困った問題が起こりますので、そういう意味におきまして、この人事院から勧告になりました都市手当というものについては私は十分考究しなければならぬ。これは人事院の勧告を完全実施という意味合いにおいて私は徹底的に主張しなければならぬということになれば、この点については相当私としましては現段階においてはちゅうちょせざるを得ぬのです。この都市手当その他につきましても閣僚会議において多少の論議をいたします余地を与えていただかなければ、給与担当の大臣から全面的にうのみにこれを、人事院勧告を完全実施すべしということになりますと、やはり教育行政の面からいいまして、この勧告を全面的に受け入れるべきかどうかについては教育の責任者としてやはり相当考えなければならぬ問題があると現在考えております。ただ、普通の意味におけるこの人事院勧告の完全実施、現在までいわれておりますものについては、私としましては全力を注いで努力をいたす決意でございますが、この点だけはこの機会に一言、それを含めた意味において全部人事院勧告をいう問題になりますと、この機会に私としては現段階におきましてはなお考慮すべきものがあるとうのみにするとい考えておる次第でございます。
  146. 鈴木力

    ○鈴木力君 最後に一言だけ申し上げます。いま大臣のおっしゃいました教育行政の面からということなんですけれども、私が基本的に申し上げたいのは、今日の給与制度、給与のあり方からして、人事院の勧告というものに対する一つの何といいますか、権威といいますか、重要性といいますか、批判として別の手だてをとらなければならぬ。しかし、それが各省ばらばらに、人事院が勧告をしたものを、おれのほうはここはだめだ、おれのほうはここは、だめだと、これを解体してしまうようなことは、いまの全体の公務員の給与制度からいっても許さるべきことじゃないのじゃないか、こういうことが基本的に心配をされることなんです。ですから、教育行政の担当者として必要なこと、たとえばいまおっしゃったような僻地給にしても、あるいは都市手当に見合う、その弊害を除去するような一つのもくろみ、そういうことについて、なお大臣にそれだけやっていただくということについて何ら申し上げるつもりではありませんが、むしろそういう点でがんばってもらうようにしていただきたい。少なくともいま置かれておる勧告という制度がある限りは、基本的な立場というものは堅持されるべきだということを、総理府の総務副長官にも申し上げたのであります。そういう態度からひとつ努力をしていただくように申し上げたいわけです。  重ねて大臣に私が申し上げたいのは、特に教育職員が、まあ手当一つ二つということもありますけれども、基本的にはやはりこの人事院の勧告を政府がそのとおりやるかどうか、特に深刻なのは実施期日だと思いますけれども、そういう面についての大臣のいまおっしゃったような努力、ほんとうにこれはやっていただきたい。これはもう御要望として申し上げておきます。  以上で私は終わります。
  147. 楠正俊

    理事楠正俊君) 大蔵省より船後主計局次長、小幡主計局主計官が出席いたしております。
  148. 小野明

    ○小野明君 大臣に出席を要求したのでありますけれども、主計官だそうですが、人事院勧告に対する佐藤総裁の御意見並びに文部大臣あるいは総理府総務副長官の御意見、それぞれお聞きになったとおりであります。従来の勧告というのはいつも、大蔵省が金がない、財源難ということで値切られてまいっておるのです。その点、まず勧告を受けての大蔵省の態度というものについて最初にお尋ねをしておきたいと思います。
  149. 船後正道

    説明員(船後正道君) 人事院の勧告につきましては、政府といたしましてこれを尊重する方向で検討いたしております。財政当局といたしましても、財政事情その他諸般の情勢を勘案いたしまして、慎重に検討してまいりたいと存じます。
  150. 小野明

    ○小野明君 尊重はするけれども、金が優先する、何のことかわからぬじゃないですか。それで、この金は一体幾ら要るのですか、まずそれからお尋ねをします。
  151. 楠正俊

    理事楠正俊君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  152. 楠正俊

    理事楠正俊君) 速記を起こして。
  153. 小野明

    ○小野明君 総理府総務副長官、ぜひ、鈴木委員も言われておりますけれども、ことしは完全実施ということでがんばるように、ひとつお願いをしたいと思うのであります。  それで、これは小さいことですけれども、先ほど総裁に私はお尋ねして、総裁からお答えをいただいたのでありますけれども、やっぱり私は、この法定外福利費、こういう面でかなり、教職員給与、公務員給与いうもが低い。付加給付なんかを見ますと、そういうことが指摘をされると思うのです。そういった面からも、この勧告については完全実施をお願いをしたい。  それで、先ほど臨調の問題にちょっと触れたのですけれども、厚生経費というものは千円なんで、御存じのとおり臨調の指摘を見ますと、私も各省ずっと厚生経費はどう使われておるかということを調べたかったのですけれども内容はつかめない。臨調の報告を見ますと、予算の不当流用、その結果ですね。それから、外郭団体からの援助という弊害を生じておる、これが低過ぎるために。こういう指摘がされておるのであります。でありますから、厚生経費の問題、ひいては厚生制度の問題、これについてぜひ私は御努力をいただきたいと思うのでありますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  154. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 実はいま小野委員からおっしゃったような点につきまして、お説のような点、ごもっともな点があると思うのです。それで、四十三年度の概算予算の総理府関係の要求の中で、この人事関係ですね、少し請求をして、そうしてその費目、いろいろな問題は別としましても、各公務員関係の福利の問題について、少し積極的なかまえを見せようというわけで、四十三年度につきましては積極的にいま取り組んでまいっておるのが実情でございます。
  155. 小野明

    ○小野明君 この福利厚生の経費の増と同時に、公務員法にも義務づけられておるのですから、四十二条に。厚生制度という問題全体に私は取り組んでいただきたいと思うのです。この点は局長からもひとつ御答弁いただきたいと思います。
  156. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) 御指摘の厚生経費なりあるいは厚生制度の問題でございますが、厚生経費の問題は、御指摘もありましたように、現在いわゆる各省の共通単価として一人千円というような基準額で予算が計上されておりますが、これの増額につきまして、まあ昨年もかなり努力をしたのでございますけれども、実現を見ませんでした。ことしは、まあ来年度の予算としては、ぜひ増額を実現にまで持っていきたいということで、鋭意現在作業を進めておるところでございます。  それから、なお、いわゆる厚生制度といいますか、福利厚生、安全、衛生、そういった面につきまして、御指摘のように、地方公務員法規定のしかたと国家公務員法規定のしかたは若干形が変わっておりますけれども、その精神といいますか、内容としておるところは同じ趣旨のものというふうに私ども理解いたしております。で、概して、この厚生関係につきましては、先般の公務員法の改正によりまして、従来人事院の所管であった分が大部総理大臣の所管に変わりました。事務的には私ども人事局の所掌ということになっております。そういう意味で、従来、必ずしも十分でなかった分野でございますので、何とかしてこの面を強化いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  157. 小野明

    ○小野明君 終わります。
  158. 小林武

    小林武君 ぼくの質問はたった一つです。  先ほど来、人事院勧告に対して、完全実施をするようにと。これは大体何をさしているかといったら、これは実施の期限のことを非常にウエートを置いて考えながら発言しておると思うのです。私は、毎年、とにかく努力をしてもらいたい、こう言うと、大体給与担当大臣はわりあいに率直に、努力をします、こう言う。しかし、結果はいつも同じ。先ほど来も、とにかく努力をします、一生懸命やりますという話をしておったが、これはとにかく八回も同じことを繰り返しておる。そこで、私は、努力をしてくださっていることはよくわかるのです。特に人事院なんかでは、真剣にこれに取り組んでいただいていることはわかる。わかるけれども、実際にやっぱりこれが実施されないということになりますと、これはやはり無意味だといってもいいですよ。何のための努力かということになると思うのです。ですから、私は、無意味だとかなんとか、不信感だとかなんとかというようなことだけでおさまればいいけれども、これは総理府の副長官も御存じのように、国家公務員地方公務員も含めて、一〇・二一の問題を中心にして、どれだけの一体懲戒者が出たかということは御存じだと思うのです。  これらの多数の人間は、たくさんの人間は、将来のいろいろな問題についても非常な支障を来たしておる。また、一生ついて回るかもわからぬですね。こういうやはり一つの犠牲が出ているわけです。これは去年の場合、もし五月実施ということが行なわれれば、これは一つもそういうことは起こらなかった。教員の場合は、一人も起こらなかったと私は思う。そうして、先ほど副長官も、人事院総裁はおいでにならなかったけれども自治省の間に審査の問題を含んで非常な議論をしたのです。私は、だから、ここで私の意見を述べて、ひとつ御検討いただきたいと思うのです。こういう不信感をいだくようなことを毎度毎度続けることは、もうこの段階でやめたらどうか。そのためには、実施できないならできないように、政府はいいかげんなことを言わないことだ。人事院の勧告によって給与をきめるなんというやり方はやめる。人事院総裁にいたしましても、実施されないようなことを、何かほのかな希望を抱かしてやるようなやり方は、人事院としてもお考え願わなければならぬ。これは、人事院総裁に対してはきわめて残酷な言い分だと私は思っていますが、あれほど努力しているというお気持ちもあると思う。しかし、これは私は公的な場合ですから、あえて言わしてもらうと、やめたほうがよろしい。そうして政府も団体交渉によるあれによるとか、新たなやはり労使関係の道をはっきりさせるべきだと私は思うのです。  イギリスにおけるこの種の委員会というものは、皆さん御存じのように、きめたら最後、必ず実施だ。財源がどうだとかなんとかということを言ったことはない。私はそう聞いている、イギリスの教員組合から。それでもなおかつ、実施に対して不満の場合はストライキをやったという事実もある。しかし、日本の労働者は非常におとなしい。教員組合も一非常に私はおとなしいと思っている。完全実施してくれればいつでもやめる、こう言っている。しかし、ことしでもう八回目ですから、不安を持って、今度実施しなかったらやっぱり戦ってもやるという気持ちを持っていることは間違いない。これは他の公務員地方公務員を含めて官公労働者といわれる人たちはみなそうだ、そう思っている。ですから、私が申し上げるのは、実施していただければこれにこしたことはない。しかし、中途半端なことをやってごまかして、尊重はいたしましたけれども実施の期限はこうですというようなことをやるならば、私がいま言ったように、人事院による勧告、その勧告を尊重するというようないまの賃金のあれはひとつ改めたほうがいいんじゃないか。私は、人事院総裁の権限というものを考えれば、やはりこれはひとり政府に対してだけ言っているのじゃない。総理大臣というか、国会にもこれはあれしている。私は国会議員の一人としてそう申し上げたいのです。  一体、八回もいいかげんな、勧告を実施しないことのために、どれほど犠牲者を出したかわからない。こう考えますと、私も、政府もそうあいまいな態度をおとりにならないほうが、マンモス何とかやら、審査とかなんとかやら大騒ぎなことをしないでいいししますから、ことしはやるのかやらないのか。やらない場合には、どういう手当でいくのか。近代国家といってよろしい日本でありますから、別な道を考えていただきたい。こういう提案を、まず総理府の総務長官、それから文部大臣人事院総裁のお三人にこういう私の意見を申し上げて、どういうお考えか、私の考えが根本的に誤りであるかどうか、一言ずつひとつ御答弁をいただいて、私は終わりにいたします。もしこれについて異議がある場合は、私はこの次の委員会でひとつやりますから。きょうは五時までの約束でありますから……。
  159. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 総理府といたしましては、鈴木委員にもお答えしたような態度で進んでいくわけでございまして、人事院制度があり、あの勧告の制度がある以上、完全実施のたてまえで何としても努力いたしたい、こういう立場でございます。政府全体といたしましては、ただいま検討中でございます。現在の段階では、いま前向きで検討中であるということをお答え申し上げる以外にないわけでございます。
  160. 小林武

    小林武君 実施できなかったら、一体これはどうなるかということについての御見解はどうですか。
  161. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) いま検討中でございますから、この段階ではこの程度お答えするより方法はないだろうと存じます。
  162. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 小林委員の指摘するように、私は、いま教育上に一番大きな問題は、全部の教職員と行政を預かっておる私どもとの間に不信感があるということがきわめて残念な問題だと思います。少なくとも私自身は、これはやはり教員自身にもそういうことを要望したいのですが、教育者と、それからその行政を預かる者との間の不信感をできるだけ払拭して、手を握って日本の教育のために尽くすという形に持っていきたい、それでひとつ私のお答えとして御了承願いたいと思います。
  163. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 私の立場は、言うまでもなく、現行公務員法をお預かりしておる立場にあるわけであります。したがいまして、公務員法をどう将来持っていくかということは、われわれの触れる範囲ではございませんけれども公務員法をお預かりして、最もその重大なる勧告制度、こういうものの当面の責任者として立っております以上は、先ほど来たびたび申し上げましたように、ぜひともこれを完全実施していただかなければ困る、また公務員制度の精神は生かされないという趣旨で、ぜひ完全実施ということに尽きると思います。
  164. 小林武

    小林武君 次にしましょう。
  165. 楠正俊

    理事楠正俊君) 他に御発言がなければ、本件に対する質疑はこの程度にいたします。本日は、これにて散会いたします。  午後四時五十一分散会