○八木
一郎君 地元におきましても、ことしの干ばつを受けまして現実に農業用水の水不足に対処してこんぱいの極に達し、
混乱の一歩手前というような水問題が起きておるのであります。それから上工水、
——上水道、工業用水、この供給確保のための早急な
措置についても何とかしなきゃならぬということで困っておるという問題に当面しておるので、こういう地元の熱望をいれて、ただいまの御答弁にもありましたように、
政府、
農林省としては、このような地元の意向を尊重して、木曽川の総合水利事業などを愛知用水方式で着工するという、こういうお考えを土台にして事を運んでおる、この計画が進んでおるが、さて今月になって基本的なことが
新聞をにぎわしてきたので、現地としてはこの水の問題に関して非常な不安といいますか、心配の度を深めておるのでありまして、もうすでにこの必要を認めて、
農林省としてはおそらく大蔵省に対して四十三年度の要求予算にも織り込み、査定待ちの
事態にいまは置かれておる、こういうことだろうと思うのであります。
で、これが決定の及ぼす地元の深刻な影響の一端は、この間、
倉石農林大臣が現地において、第一濃尾用水の竣工式に出向かれて国会の
関係地域代議士先生の非常な要請をお聞きとりになっておると思いますけれ
ども、愛知用水の取り入れ口の水を引こうというときに、いま
お話の答弁がありましたように、兼山取り入れ口で引かれたら、その下に取り入れ口を持っておる二つの受益地域、八万の受益者は一体どうなるのだということでむしろ旗騒動になりかけたのですが、そういう騒ぎがあったときに、岐阜の地域と愛知の地域と三重県の地域と、第
一段で知多半島を目ざす愛知用水をまず持ってくるが、続いてその始末は心配かけない、こういって、先ほど私が言ったように、水利権をぶった切って、こういう上工水に回しておるわけですね。
あとから片づけるからということで、それを信頼してやれということになった。ワンマン吉田茂さんが現地までわざわざ行かれて、私はなくなった吉田さんの写真を、朝日
新聞で、現地で大きく出ておるのを見たけれ
ども、そのくらいの問題になって、ようやくおさまっておるわけです。
こういう経緯というものは、これは民主政治の世の中ですから、だれが消すわけにもいかないのです。みんながそういう事実を確認して、それならばということで始まって第一が済んだから、第二、第三の総合的な利用計画は、もうスタートを待っておるわけです。もう待ち番がきておるわけです。こういう
事態になっておって、そう簡単なものでないといういきさつ、これは短時間には説明できませんけれ
ども、非常に深刻ないきさつがあるということを、この機会に
関係の行政管理庁、また水資源担当の経済企画庁の担当官にも、よくひとつお聞き届けを願いたい、こういうふうに思うのであります。
また、愛知用水公団事業で、本年度完成を見ることになっております豊川用水は、これは
昭和二十四年に
農林省によって着工され、もう二十年もたっておるわけですが、それを中途の
昭和三十六年に愛知用水公団に引き継がれてから、わずか六年という短期間で工事は完了し、来年から全面通水が可能となる、こういうことになっておりますが、来年一ぱいぐらいは、二十年にわたる
長期の事業の仕上げですから、その残務整理にかかるということは当然でありまするし、問題の建設負担金の賦課というたいせつな業務も残っておりますし、農民と負担の
関係では、昨日もこの受益農民の意思を代表して調印をするというような、非常に迫った
段階で、一体本元はどうなるのだという心配をしておる。受益農民も、そういう
立場から
施設管理が、スムーズにせっかくでき上がったものがスタートできるようにということを熱望しておる現状でありますので、ここで統合を急いで、結果として竹に木をつぐようなことになってしまって、二十年も生みの親、育ての親としてやってきたこの手を離れて、人がかわり、組織が変動をしてこられるというふうに一挙になってしまうというと、これはいたずらに
混乱を引き起こすことはどうも避けられないのではないかという不安がございます。こういうことは得策じゃないと思いますので、
農林省では実情をよく
承知しておられるはずであろうと思いますので、この愛知用水の終わりのほうの、西のほうの愛知用水は、いま御答弁になったように、農民負担金の問題が調整する
段階で、ようやく何とか目鼻がつこうという解決のきざしが見えておる際であるし、東のほうの愛知用水、いわゆる豊川用水では、いま申し上げたような実情にありまするし、これを軌道に乗らないような結果にしてしまってはたいへんだという心配が、私は東、西と申しましたけれ
ども、愛知県だけではなくて、木曽水系、岐阜、三重の地区には一そう深刻なものがあるということをこの際申し上げて、
政府、
農林省ではそんなことにならないような十分の配慮と用意をして、この取り扱いに当たってもらいたい、こういうふうに思っております。
時間もございませんので、御答弁を一緒にいただく意味で続いて申し上げたいと思いますが、大体いま私が申し述べてまいりましたように、愛知用水公団としては、豊川用水事業の残務整理や建設負担金の賦課、愛知用水の農民負担金の
処理、新規事業着工など、当面している問題をこのままスムーズにずっと持っていこうというのには、
政府、与党の協議、検討に待つというただし書きについて早い機会に決着をつけて、そうして既成事実の上にスムーズな運びをつけるということが私は当面緊急なことである、こういうふうに思います。与党の
立場から、私も党内の与党の一人として、そういう
立場から本日、与党の態度をきめて、こういう発言を求めにきたわけではありません。その現状といきさつ、そして憂うべき
事態にならないようにという老婆心から発言の機会をいただいてこうして申し上げておるのでありますけれ
ども、統合については性急な、統合のための統合ということにならないように留意すべきであるということを深く御認識いただきたい。むしろ旗を立てて木曽三川の大騒ぎが起きて、吉田ワンマン先生が現地まで行くというような
事態のことはだいぶ前の話ですけれ
ども、思い起こしますと、役所のなわ張り争いで水げんかになってしまって、それが現地でとんだ迷惑をかけるということがないように配慮を願いたいということを繰り返し申し上げておきたいと思います。
われわれは愛知用水公団法成立の際のいきさつをいま振り返れば、衆議院においても、参議院においても附帯決議の形で国会がこの決議に至った、そうして地元の愛知用水取り入れ口問題が済んでおる、議会側としてもそういう認識をもう一ぺん新たにして対処しなければならない、当然立法予算に関連を持つ問題でございますので、そのように思っておるわけでございます。
政府、
農林省に、また経済企画庁に、また行政管理庁の
関係当局の皆さんにこの実情をとくと御認識をいただいて善処を期待いたしたいのでありますが、なお、一、二点申し上げておきたいことがありますので続いて申し上げたいと思います。
この公団は、
最初世界的な水準で外資を導入して、世界の土木技術の水準でということで始まったことですから、振り返ってみれば、今日の公団は、技術的に見ても、多くの専門家の手がそろって、各専門家がチームワークで一体になって働いております。もう過去十年余になる実績水準というものは相当私は高く
評価していいと思うのです。この
資金の面も技術の面もワンセットになっておるという、こういう優秀な組織体をことさら分散させるというようなことはもったいない話だという一語に尽きると思いますので、何とかして一括してこれを活用する、統合のしかたは、基本方針はきまっておりますし、原則はできておりますし、統合のしかたは急がずに、無理押しをせずに、地元の問題は地元で解決していけ、こういう現在の仕組みをくずさないようにいくべきである、こういうふうに思いをいたしております。
また、愛知用水公団の職員ですが、現在ではいわゆる出向職員はすでに復帰をして本省なり、府県なり、地方に帰っていて、いま働いておられる職員は直接採用のものが大部分を占めておるようであります。これらの職員も十年余にわたってこの愛知用水事業、豊川用水事業という世紀の大事業に献身してきた人たちばかりでありますから、
政府においても統合問題の
処理の過程でこれらの前途有為の人たちの処遇について遺憾のないようにやってもらわないと、土木の優秀な技術者の団結をくずしていくようなことになってはもったいない話だということから、私は老婆心ながら、これらの有為な前途のある人たちの処遇については、
政府は御如才なく用意と親切、そうしてまた誠意をもって、その点はどっちにいっても心配させない、心配は無用だ、大丈夫だ、こういう保障を与えていただくだけの用意が少なくもなければならぬと、こう思っておるのですが、この点についても一言御答弁をちょうだいいたして、きょうの
質問はこれだけで終わることにいたします。