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1967-11-21 第56回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月二十一日(火曜日)    午前十一時一分開会     ―――――――――――――    委員異動  十月二十四日     辞任         補欠選任      柳岡 秋夫君     山崎  昇君      鈴木  力君     稲葉 誠一君  十一月十日     補欠選任        菅野 儀作君  十一月十三日     辞任         補欠選任      田中 茂穂君     佐藤  隆君  十一月十六日     辞任         補欠選任      松平 勇雄君     船田  譲君  十一月二十一日     辞任         補欠選任      中村 英男君     鶴園 哲夫君      船田  譲君     任田 新治君      中沢伊登子君     片山 武夫君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     理 事                 八田 一朗君     委 員                 源田  実君                 菅野 儀作君                 任田 新治君                 三木與吉郎君                 伊藤 顕道君                 鶴園 哲夫君                 山崎  昇君                 多田 省吾君                 片山 武夫君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        内閣官房副長官  亀岡 高夫君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        総理府総務副長        官        上村千一郎君        大蔵省主計局次        長        海堀 洋平君        大蔵省主計局給        与課長      津吉 伊定君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (公務員給与に関する件)     ―――――――――――――   〔理事八田一朗委員長席に着く〕
  2. 八田一朗

    理事八田一朗君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月二十四日、柳岡秋夫君及び鈴木力君が辞任され、その補欠として山崎昇君及び稲葉誠一君がそれぞれ選任されました。  十一月十日、欠員中の補欠として菅野儀作君が、また十三日、田中茂穂君が辞任され、その補欠として佐藤隆君がそれぞれ選任されました。  十六日、松平勇雄君が辞任され、その補欠として船田譲君が選任され、また、本日、中村英男君及び船田譲君が辞任され、鶴園哲夫君、任田新治君がそれぞれ選任されました。     ―――――――――――――
  3. 八田一朗

    理事八田一朗君) 去る八月十八日の委員会決定に基づき、北海道委員を派遣いたしました。この際、派遣委員から報告を聴取いたします。伊藤委員
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 当委員会の御決定によりまして、去る十月二日から九日までの八日間の日程で北海道に出張いたしましたので、調査概要を便宜私から簡単に御報告申し上げます。  この調査の目的は、当委員会所管業務である国家行政組織職員の配置、給与及び自衛隊実情等調査することでありまして、視察先は、北海道庁をはじめ、北海道所在航空自衛隊及び陸上自衛隊人事院北海道事務局北海道管区行政監察局北海道開発局及び釧路網走開発建設部北海道釧路支庁海上保安庁釧路海上保安部網走刑務所北見営林局農林省北見統計調査事務所等でありました。このほか釧路港及びウトロ港修築状況、新営なった農林省北海道農業試験場等視察いたしました。  調査事項は、国の地方出先機関につきましては、主として機構、定員給与等現状業務運営上問題点等のほか、北海道における総合開発計画概要とその進捗状況及び北海道行政特異性等であり、また、自衛隊関係につきましては、北方周辺警戒体制実態航空事故対策、装備、施設の現状及び隊員の教育訓練実施状況等でありました。  今回の北海道視察を通じ、各出先機関から共通的に要望されました事項は、給与改善措置でありますが、特に現行寒冷地手当の額は、昭和三十九年に定められたものであり、その後、諸物価が高騰し、ことに、石炭価格及び運搬賃の値上がりにより現行支給額では北海道における積雪、寒冷に伴う諸経費をまかない得ない実情にあるので、寒冷地手当の定率を百分の百に引き上げるとともに、寒冷地手当加算額石炭手当分)についても、現行加算額熱料七千二百カロリーの中塊炭、一トン当たり九千四百四十九円(運搬費八百九円を含む)の炭価をもって換算した額まで増額してほしいとのことでありました。  そのほか、定員増及び凍結欠員解除方等についての要望がございましたが、詳細な報告につきましては、委員長のお手元に提出いたしました報告書を、委員長において会議録に掲載されるようお取り計らい願い、それに譲ることにいたしたいと存じます。  以上で派遣報告を終わります。
  5. 八田一朗

    理事八田一朗君) 以上で報告は終わりました。  なお、委員長手元に提出されております報告書は、本日の会議録に掲載いたしますから、便宜ごらん願いたいと存じます。     ―――――――――――――
  6. 八田一朗

    理事八田一朗君) 次に、公務員給与に関する件を議題といたします。  本件につきまして、ただいま御出席関係当局の方は、尾崎人事院給与局長栗山総理府人事局長海堀大蔵省主計局次長津吉大蔵省給与課長松永労働省労政局長、以上の方々でございます。  それでは、御質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 一般職公務員賃金についてお伺いするのですが、その前に、給与関係で、政府関係特殊法人賃金について、大蔵省主体に二、三お伺いしたいと思います。  賃上げをめぐって政労協関係労使紛争は毎年長期化しておるわけです。その原因を要約すると、政府予算制度上の認可権を持って使用者当事者能力を奪ったため、これはもうきわめて明確なことであります。つまり、使用者は、大蔵省から財源内示を受けた後でなければ組合賃金回答することが許されていない。このことから紛争が生じておる。このことはきわめて明確であります。  そこでお伺いするわけですが、政労協は本年度の賃金要求をもう六月に行なっておるわけです。これは年内に解決しようということで、繰り返し使用者回答を求めておるのが実情であります。けれども使用者は、何ぶん大蔵省から財源内示がないことを理由にして回答を拒んでおるのが現状です。で、政労協としてはやむを得ず、使用者に反省を求める意味統一ストライキを目下決行しておるわけです。そこで、大蔵省としては、この際、政労協関係労使紛争をすみやかに解決するために、直ちに財源内示を行なうべきであると考えられますが、大蔵省にその意図があるやなしや。労使紛争を解決しようとする誠意があるとすれば、これは財源内示を至急する以外にないと思うのですが、この点についていかようにお考えですか。
  8. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先生指摘のように、一応政府関係機関――これは政府関係機関という定義自体がいろいろあろうかと思うのでありますが、政府関係機関職員については、その給与についても、他の労働条件についてと同じく、要するに一応労働三法適用があるわけであります。しかしながら一方、これらの政府関係機関業務公共性から見まして、それが設立の当初において大体政府出資という形で行なわれ、また業務運営に必要な金については主として財政投融資資金、あるいは国の交付金とか補助金なんかが出されております。したがいまして、その政府関係機関財務というものは国の財政と非常に密接な関係にある。その点は事実として認めていただけるかと思います。したがいまして、その業務運営とか――まあ給与も結局は金が要るわけでございまして、財務にはね返るわけであります。したがいまして、その業務運営について主務大臣の一応承認を要する、その際に大蔵大臣に協議するということにされているわけであります。したがって、そういう制約のもとで労働三法適用があるということになっているのが現状でございます。  で、一般的にその従来の取り扱いとしましては、これら政府関係機関たる法人給与は、こういう公共性、国の財政とのつながりという点から、大体公務員給与改定時期に、これに準じて改定を行なうというたてまえになっておりますので、今回もまず従来の例のとおりに、公務員給与改定の時期に合わせて、公務員給与改定に準拠して改定が行なわれるであろうというふうに予測されるわけでございます。したがいまして、そういうたてまえに基づいて労使が交渉を進められて一応差しつかえないということにはなるわけでございます。しかしながら、いま先生の御指摘のように、何と言いましても、それが最後には経費増額、少なくとも給与費増額ということになるものでございますから、どの程度の額を基準にして考えたらいいのかという点が一番基本になろうかと思います。で、いま大蔵省財源的な指示がないからというお話は、まさにそのとおりかと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、公務員給与改定に準拠してということをたてまえとしておるものですから、まず公務員給与改定をどうするかという点がはっきりときまるのを待って、直ちにいま御指示の、まあ何と言いますか、経費基準、算定の基準というふうなものを内示いたしたいというふうに考えているわけでございます。  公務員給与改定につきましては、御存じのように、人事院勧告を尊重いたしまして実施するという原則は決定したんでございますが、何ぶんにも、あの閣議決定にもございますように、都市手当取り扱い等につきまして、まだ政府部内で検討を続けているというふうな段階でございまして、近くその取り扱い決定すると信じております。したがいまして、公務員給与改定についての取り扱いが確定的にきまりますれば、直ちに私どもといたしまして、それに準拠いたしまして、政府関係機関給与改定についての財準的な基準というものをお示しできるだろうと思っております。また、そういうつもりで作業を進めております。したがいまして、きょう今日の段階におきましては、公務員給与改定に準拠するという基本的なたてまえの範囲内で、労使が可能な限りお互いの争点を詰めていただくということをしておいていただきまして、公務員給与改定がきまったら、私のほうとしては、できるだけ早くその財源的な基準と言いますか、をお示しするということにいたしたいと思っております。で、現在そういうことでおくれているにつきましては、まことに申しわけないわけでございますが、公務員自体につきましても、まだ確定的にこうするのだということがきまっておりませんので、その点御容赦いただきたいと存じます。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政労協関係賃上げについては、言うまでもなく公務員の場合と違って、財源はもうほとんど政府関係機関の場合は当初予算に計上されていると思う。補正予算を組んで財源をつくる、そういう必要がないわけです。そこで、公務員給与に準じてと、いま次長からおっしゃっているわけですけれども、これにとらわれることなく、直ちにいわゆる財源内示をしてしかるべきだと思う。  繰り返し説明のあったように、いわゆる公務員に準じてと言われておりますけれども、たとえば輸出入銀行とか、あるいは開発銀行あるいは農林中金、あるいは商工中金、日本放送協会、まあたくさん事例はございますが、こういう機関は、いわゆる春闘におけるところの民間給与に準じて、しかも四月から実施している。こういうことが現実に行なわれていると思うのです。これはもう大蔵省でも確認しているところだと思いますが、そこで、なぜ政労協傘下のいわゆる政府関係機関のみが公務員賃金に準じて、しかも財源内示を認めるための、いわゆる公務員給与法を一応閣議決定した後でないと財源内示を行なえない。これは従来からそうだ、こう言っているわけですけれども、ここに非常に根本の問題があろうかと思うのです。従来からやっているからことしもやるのだということでは、一歩の前進もないわけです。  いま指摘したような政府関係機関でも、春闘における民間給与に準じて、しかも四月から実施しているという、こういう事態が一方にはあるわけですね。したがって、政労協関係職員についても、当然民間給与実態に準じて四月から実施できると思うのです。ましてや、いま政労協関係方々は、そう無茶なことを言っているわけじゃない、年内に解決したい、きわめてつつましやかな要求だと思うのです。しかも、その財源については当初予算に計上されているわけです。何ら補正予算を組んで云々という問題はないわけです。大蔵省がひとつ何とかして政労協関係職員に、勤労意欲を盛り上げるためにも、きわめてつつましやかなこの要求にこたえよう、そういう一片の良心があるならばできる問題なんです。なぜ公務員賃金関係のいわゆる給与法決定をまたなければできないのか。こういうことは、従来あったからことしもやるのだということではなくて、いま申し上げたような事例もあるのですから、何とかひとつ一歩前進させて、これはもう誠意の問題だと思うのです。そういう誠意に基づいて財源内示を緊急にやりさえすればこの問題は解決する。何らほかに問題はないわけです。なにも過大な要求をしているわけじゃない。ということで大蔵省としてはこの際善処してしかるべきだと思うのです。この点どうですか。
  10. 山崎昇

    山崎昇君 伊藤委員質問に関連して大蔵省に聞きたいのですが、政府関係機関は、確かに政府出資なり、あるいは政府財源でまかなっていることは私もわかります。しかし、年間の事業方針は当初に立てられて、あなた方の許可を受けているのだと思うのです。その中には当然給与費その他を一切含んでいると思うのです。ところがいまあなたの説明を聞いていると、労使で可能な限り話し合いをしてくださいと、こう言うのだが、可能な限りも何も、話し合いができないような状況になっておるのじゃないか。それは当事者当事者能力がない、回答する能力がない。私ども話を聞いてみますと、大蔵省給料表を一人一人全部チェックしなければ認可しないようなことをやっている。そういうことをあなた方はやっておって、どうやって政府関係機関理事者側責任を持ってあなた労働組合回答できますか。あなた方自身が、大蔵省自身政府関係機関に対して無能力者扱いをしておって、そうして労使間で話をしなさい、紛争を何とかやめなさい、私は最大の矛盾じゃないかと思うのです。これは国の場合も公営企業の場合にも問題がありまして、かつて国鉄全逓、郵政の場合にも当事者能力が問題になって、ずいぶん議論された問題であります。そうして歴史的に言えば、かつての池田さんと総評の太田さんが話をして、当事者能力をつけますと、こういうことになって幾ぶんこの全逓国鉄の場合には紛争がそう長引かずに終わってきておる。だから政府関係機関の場合にも、あなた方がほんとうに解決させようというなら、なぜ事業計画なり何なりが当初予算できまっておるのに、一々一人一人の給料表までチェックしなければ大蔵省はこれは実施できないのか、させないのか。こういうことをやっておって、どうやって使用者側に対してあなた方能力というものがあると判定をしておるのか、この点がまず第一に私はわからぬわけです。  それからいま二つ目に、伊藤委員からいろいろお話しがあった。私も去年の実情を聞いてみるというと、十一月の三十日にあなた方は何か内示したようです。しかしほとんど年内には支給されていない、翌年になってから措置されたのが大半である。事務的にそれだけの期間がかかっているわけですね。ところが一方国家公務員の場合には、かりに十二月の二十四、五日に法律が上がっても二十八日には間に合うように事務的にやらしておる、実際は準備さしておる。だから国家公務員の場合には、極端に言えば、二十四、五日に法律が上がっても、二十八日の御用納めまでには差額その他がもらえるような仕組みにあなた方がやっておる。政府関係機関の場合だけは、十一月の末に予算内示しても、十二月一ぱいにはもらえないような仕組みになっているんじゃないですか。ですから私は第二として、大蔵省責任を持って、ことしはそんなことがありません、完全に十二月の末の休みになるまでには政府関係職員についても給与改定ができて、差額その他が支給できますと、そういうことをここで言明してもらいたいし、しなければこの紛争がなかなか解決できない、まずその点について関連してお伺いしておきたい。
  11. 鶴園哲夫

    園田哲夫君 ちょっと関連して。  私も前から政労協賃金について疑問な点があるので、この機会に、いま当面している問題とは別にして若干伺いたいのですが、先ほど次長ね、国家公務員給与に準拠してということばを使われましたね。それはどこにあるのですか、準拠ということばは。よく地方公務員国家公務員に準じてというようなことばを使うのですけれどもね。それは法令上どこにもないのですね、法律には。学校の先生については教育特例法であります、準じてというやつが。それから地方の警察官についても国家警察に準じてということばがありますね。どこにあるんですか、準拠してというのが。  それともう一つは、いま山崎さんの質問もありましたが、私は、労働関係法律からいいますと、政労協というものを国家公務員というものに準じてという考え方はどう見てもおかしい。政府自身が立てている労働関係法律からいってもおかしいんじゃないか。三公社現業政労協というのは民間組合に準じているわけですよね。しいて政府考え方からいえば、民間組合と三公社現業の間にあるわけでしょうね。それがどういうわけで国家公務員に準じなければならぬのか。むしろ、まあ準ずるということばを使うとすれば、三公社現業に準ずるというならまだわかるんですな。どういうわけなのか、一ぺん聞きたいと思っているんですよ。ちょくちょく給与課長に会ったり話したりすることがあるんですけれども、せっかく次長が見えましたから、そういうことについてちょっと聞いておきたい。
  12. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) いろんなことがございましたのですが、順次お答えさしていただきたいと思います。  初めに、輸銀開銀、商中、NHKと言われたと思うのですが、すでに四月から春闘の大体そのときの相場に準じて給与改定が行なわれているのに、ほかのところばどうしてそれが行なわれないのか、こういうお話ではなかったかと思うのであります。その中で、実は先ほどから政府関係機関といいましたのですが、ニュアンスがいろいろございまして、御存じのように、政府関係機関とは何かと言われた場合に、実は政府関係機関という法律的な定義はございませんで、私のほうで一応扱っておりますことばといたしましては、経費につきまして国会承認を受けるという面につきまして、政府関係機関予算というものを国会に提出して承認を受けております。ただそれだけが政府関係機関として取り扱っているかと申しますと、そうではなくて、そういう予算の形で国会承認を受けないものにつきましても政府関係機関として取り扱う、いわゆる法律的に主務大臣承認、さらにある財務面では大蔵大臣承認というふうなものを法律上規定しているものもございます。したがって、何が政府関係機関かという定義については非常にむずかしいのでございますが、要するに国の財政とのつながり方がいろいろある。しかもその業務運営のやり方についても、どの程度自主性をそれぞれの機関に認め、どの程度政府の監督をするかということにつきましても、業務の内容、それぞれに応じましてニュアンスがあるということでございます。  それで、いま実は伊藤先生だったと思うのですが、輸銀開銀、商中、NHK民間春闘ベースで四月から実施されたと、こうおっしゃられましたのですが、その中で実は輸銀開銀につきましてそういう事実がありとすれば、私はその詳細は存じませんが、まことに遺憾なことだと存じますし、理事者に対してその点をはっきりさしたいと思っております。何となれば、これは経費につきまして国会予算を提出し、ちゃんとその経費国会承認を得ているはずでございます。したがって、予備費使用につきましては、その予備費経費に使うということについて、やはりそれぞれの手続があるはずでございます。その手続をとらないで処理をしたといたしますと、これは要するに法律的に国会審議権の問題、さらには法律に基づくそれぞれの手続の問題に違反しているということになるわけでございまして、その点もしそういう事実がありとすれば、まことに遺憾なことであり、私のほうも調べまして、適宜の措置を講ずる以外にないんじゃなかろうかと思います。  しかし、NHKになりますと、これは国会予算を一応出すわけでございますが、これはいわゆる法律にいう予算ではございませんで、予算審議予算委員会ではなくて他の委員会、私の記憶では逓信委員会ではなかろうかと思うのでございますが、予算国会で一応承認を受けることにはなっておりますが、それはいわゆる法律的な予算という意味ではないんじゃなかろうか。したがって、法律的にも非常にそこに自主的な理事者処理というものが許されているように存じます。また、国もNHKにつきましては、特に財政投融資で債券を多少引き受けているというふうなことがございます以外は、特別に財政的なつながりが深いということはないのでございます。  それから商中につきましては、これは組合金融中央機関ということになっておりまして、国は他の政府関係機関、いわゆる国民金融公庫、中小企業金融公庫等との均衡で、貸し出し金利なんかにつきまして、ある程度出資の形で貸し出し金利を下げるための助成をいたしておりますが、本来は組合金融機関でございまして、これにも法令上非常な自主性が与えられているということになっております。  したがいまして、それぞれの要するに国の財政とのつながりによりまして、予算的、法律的な規制の態様が相当異なっておりますので、一がいにこれこれがこうであったから、これこれはこうでなければならぬというふうにはまあ申しがたい面があるのではなかろうかと思います。で、一般的にやはり、たとえば輸銀をとってみますと、輸銀資本金、いわゆる出資金全額政府出資でございます。それからそれの業務運営に要する金は、その政府出資と、それから資金運用部資金業務運営しているわけでございます。経費につきましては、政府関係機関予算におきまして国会承認を受けているわけでございます。業務につきまして所管大臣承認を受けるという形になっておりますので、やはり国とのつながりという面につきましては非常に強いのではなかろうか。そういう機関につきまして、輸銀出資に要する金も、公務員給与に必要な金も、やはり一般国民の税金を主体とする一般会計歳入に最終的には依存しているわけでございまして、そういう非常につながりの密接な機関につきましては、公務員給与そのままではございませんが、やはりこれに準拠して給与改定を取り扱っていくということは、実際問題として適当な措置ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。  それから二番目に、話し合いができない、要するに当事者能力がないではないかというお話、これは先ほど私が申し上げましたように、確かに一方労働関係の三法が適用されるということがありながら、他方におきましてそういう形で――あるいは予算の形、あるいは主務大臣業務承認という形で、政府の規制を受けているという点におきまして、その労働三法適用が実際問題として制約を受けている事実は、事実としてはいなめないのではないかと存じます。したがいまして、大蔵省といたしましては、すみやかにこの程度基準で、この程度財源でということを、監督をしている各省を通じまして申し上げたいのでございますけれども、実はそのよるべきもとの公務員給与のほうが確定的に、まだ特別職を含めましてきまらない面がございますので、それがきまり次第措置をとりたいと思って、鋭意それがきまり次第とれるように常にその動きをフォローしながら現在作業中でございますので、公務員のほうの取り扱いが確定いたしますれば、できるだけすみやかにその基準をお示しいたしたい。したがいまして、現状におきましては、法律的には別として、事実上理事者がある制約下にある、したがって交渉しにくいということは、事実問題として認めざるを得ないと存じます。まことに申しわけないんでございますが、その政府関係機関のやはり財政とのつながりといいますか、そういう性格から見まして、やむを得ない制約であるというふうに言わざるを得ないんじゃないかと思います。  それから、最後に、準拠してと申し上げたが、そんなことは法律的に何もないではないかというお話でございます。確かに法律的には、給与決定について公務員に準拠しろという明確な規定があるわけではございません。ただ、先ほどから申し上げましたように、まあ一つの例をとりましたので、輸銀に限定して例をとりますと、輸銀業務というのはすべて政府出資――出資は現在産投にはもうそう余裕がございませんので、一般会計からの繰り入れで産投出資ということになって、最終的には一般会計の負担、それから財政投融資における運用部資金というものでまかなわれておる。他方、その経費につきましては、政府関係機関予算という形で国会承認を受けている。そしてその業務運営につきましては、主務大臣承認を必要とするというふうな点から見まして、やはり公務員と同じようにしろというんではないけれども、そのもとが国民の負担にある限りにおきまして、あるいは法律的に主務大臣がそれの業務運営全体を監督するという立場にある限り、やはり公務員取り扱いに準じて取り扱っていくというのは、事実上妥当なやり方ではなかろうかというふうに考えます。  次に、法律的に矛盾があるではないかというお話でございます。その点は、法律的にはそれぞれ労働三法というものがありますし、それから、それぞれの政府関係機関がどういうふうな形で運営されるかという法律的な規制があるということで、それぞれの法律体系としては別に矛盾はないんだろうと思います。ただし、それが実際問題として、給与という一点にしぼって問題が出てきた場合に、事実上取り扱いに困難な面が出てくるということは否定できないと思います。これは三公社につきましてもそういう面が多少あろうかと思います。しかしながら、これら政府関係機関の公共的な性格から見て、その制約というものもやはりやむを得ないんじゃなかろうかというふうに考えております。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま次長から御指摘がございましたが、たとえばNHK予算予算委員会では審議されないで、逓信委員会で――私も逓信委員会に一年おりましたから、その事情はよく存じております。しかしながら、予算委員会でなくても、他の委員会でも承認を得なければ、これは使えないわけですからね。また当委員会で、皇室の予算については予算委員会ではなく、当内閣委員会で皇室予算については審議するわけです。で、内閣委員会承認しなければ、皇室の予算は使えない。実質的には何ら差異はないわけです。予算決定するのは、ただ単に予算委員会だけではないということをこの際確認する必要があると思います。  そこで、なおお伺いしますが、これは山崎委員からも御指摘あったように、政労協が願っておることは、あくまでも年内解決という、そういう目標なんです。過大な要求を出しておるわけじゃないのです。そして早期に財源内示大蔵省が出してもらいたい、そういうことで、先ほども指摘したように、六月ごろから団体交渉をして、いわゆる使用者側に迫っておる。ところが、たとえ大蔵省財源内示をしても、内示をしてから直ちに使用者側回答できない実情にあるわけです。たとえばことしの場合も道路公団については、団体交渉の席上で、使用者側は、いわゆる財源内示があってから大体三週間くらいかかる、こういうことも明確に指摘しておる事情もあるわけですね。したがってよほど急がないと年内解決は期待できないわけです。それでは困るから、何とか年内解決をしてもらいたいということで、まことに無理からぬ、きわめてつつましやかな要求であるわけですね。それをなぜかなえないのかというところは、先ほど申し上げたように、大蔵省財源内示がおくれておるという点、加える事情としては、財源の配分についても労使の自主的な交渉にゆだねないで、給与表を一つ一つ審査した上でないと認可していない、こういう事情もあるわけですね。そういうことで三週間も、それ以上もかかる。で、このことも先ほど山崎委員から指摘のあったように、ほとんど大部分は翌年の二月ごろでないとなかなか解決しない、そういう事例がたくさんあるわけです。それでは困る。  加うるにいま政労協関係職員は言うまでもなく、定員については長い聞くぎづけにされておる。半面その業務については、年年激増の一途をたどっておるわけです。ということを要約すれば、結局非常な労働過重にたえて営々とつとめておる。そこへ加えて年内にこの給与も解決しないと、こういうことは、ひいてはいわゆるこの関係職員勤労意欲の上にも非常にマイナスになるのではないか、こういうことが憂慮されるわけです。  そこで、私ども要求しておることは、何とかこのつつましやかな要求をかなえて年内に解決すべきだ、そういう一片の誠意があるならば必ずできる、こういうことをいま要求しておるわけです。しかも明らかになったように、何らこれを拘束するところの法的根拠はない。何ら根拠ないわけです。ただ言うなれば、従来からそうでなかったからことしもという、そういうことであろうかと思うのです。それでは一歩の進歩もないわけです。従来たまたまそうであっても、これは長い間の労使紛争の根本原因になっておる、こういうことは大蔵省としても認めておると思う。なぜこの紛争を長期化しておるのか、全く意味ないことだと思う。一歩政策を前進させて、公務員給与決定を待つまでもなく、しかも政労協の場合は当初予算にも計上されておるし、補正予算を組むという、そういう問題もないわけです。たんたんとしてこのことは、いわゆる財源の内示を急いでやることによって、しかもその配分については、先ほど言ったように、労使自主性にまかせる、こういうことによってこの問題はみごと解決できるわけです。何ら問題ないわけです。誠意があればできる問題であるという観点から重ねてお伺いしたいと思います。この際あくまでも政策を改むべきだ、考え方を根本的に改むべきだ、こういうことを強く要請したいわけです。
  14. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 一つ一つ出していただいたほうが……。
  15. 山崎昇

    山崎昇君 関連しているからちょっと。さっき私の質問に対して、あなたは、事実上労使関係はゆがめられております、事実上労使関係は正常な運営でないようになっているということは、認めざるを得ない、こういうのですね。そうしておいて、労使間は何とかまとめるように、可能な限りまとめるように――一体あなた方は何を考えてやっているのかと言わざるを得ない。特に労使間は、労働者の権利としてはっきり法律で与えられておる。それが行政指導上の問題点でいろいろゆがめられている。こういうことを放置しておいて、労使間の問題というものを正常にせいといっても、私はできないと思う。そこで私は先ほども触れたんだが、あなた方自身が相手方に能力がないようなことを認めておいて労働者と話しなさいといっても、労働者はできない。だから大蔵省は、さっきもちょっと触れましたように、営業方針なり事業方針なりというのは当初にちゃんと組んで、あなた方の認可を受けているんだから、その範囲内のことについては、当然予算執行も含めて当事者能力を与えるべきではないですか、その点をあなた方言明できるかどうか。そうでなければ、これもさっき触れたように、一々そのつど給与表まで一人一人チェックをする。そうでなければ当事者が何もできない。そんなばかなことをやらしておいて、当事者能力云々というのはおこがましいと思う。だからこの際ほんとうに労使間の紛争を解決するというならば、当初のそういう許可を与えた範囲内において当事者能力が発揮できるようにしてもらいたい。もちろん、その間においていろいろな特殊な事情が起きたり、あるいは重大な事業の運営方針が変更するとか、そういうことについては当然主務大臣の認可を受けるなり何なり、それは法の規定に従ってやらざるを得ないと思うんだが、そうでないものまで一々大蔵省がくちばしをいれるということはどうも私は納得できない。だからその点はことしから改めるなら改める。そして先ほど伊藤委員からも言われましたが、国家公務員年内に支給されるならば、政府関係職員についても年内に支給されるようにしてもらいたい、こう思うんです。  それからもう一つ、いま事務局から話があって、官房副長官がたいへん急いでおられるというので、ついでにひとつ官房副長官に聞きたいんですが、私どもが聞いてみると、政府関係特殊法人というのは百十二あるそうですね。それぞれの労使間で話し合いをするんですが、もちろんそれぞれの特殊性もある。そこで組合側のほうはいろいろ連絡会議を持って、大体共通する問題については共通的な解決をしたいということでいろいろやっているわけです。ところが政府側の窓口にはっきりしたものがない。いまのところは労働省の労政局長さんがたいへんお骨折りをいただいておる、こう思うんですが、一体今後政府関係機関のこういう問題について、政府の統一的な意思はどこであらわすのか、どこで扱っておられるのか。いわゆる政府関係機関労使間の問題について、ある程度政府の見解を述べる窓口というものを一本化してもらいたい。それは官房でやるのか総理府でやるのか、あるいは労働省でやるのか、それは政府部内にいろいろ考え方があろうと思いますが、いずれにしても、扱いの窓口をどこでやられるのか。ここで返答できなければ、検討願いまして、次の機会にでもこの御回答願いたい、こう思うんです。
  16. 亀岡高夫

    説明員(亀岡高夫君) 前の木村官房副長官から事務引き継ぎの際、この政労協関係の問題については主として労働、大蔵、さらに間接的には人事局との関係もございます。ところが政府関係機関、公団、公庫等、それぞれの主管大臣の監督という面もございますので、非常に多岐にわたっておるわけでございます。したがって、どこかで調整をとらなければならないということで、官房副長官のところでまとめるお世話役をしなければならぬという引き継ぎも実はあったわけでございます。自来いろいろ関係各省の意見等も聴取いたしましたし、また政労協関係方々とも何回かお話をお伺いしまして、先ほど来御議論のありましたとおり、非常に問題の多い点も確かにあるわけでございます。しかし、基本的な問題に取り組む前に、現行法の範囲内で最善を尽くすという立場から、先ほど来御質問の趣旨にありますとおり、年内支給をやればできると、現に昨年度もやっている企業体もあるわけででございますので、ことしもできるだけ各省協力をして年内支給という線を実現したいということで、実は各省にも集まっていただきまして、二回ほど会議を開いておるわけでございます。  現在の段階といたしましては、年内妥結を見た前例にもかんがみまして、やはり公団、公庫等の労働部門担当の理事者諸君がもっと真剣になって、やはり一緒に働く職員の諸君の気持ちを体して、大蔵と積極的な接触をしてもらうということが非常に欠けているような感じを私は受けておるわけでございます。そういう面で、大蔵省に対してもそういう趣旨を要請しておりますし、また労働省に対しても強く年内支給の実現できるように努力をすることを要請をいたしてきておるわけでございます。  ところが、御承知のように人事院勧告によりまして、都市手当というような名目で新しい問題が起きてきておりますので、こういう問題等についてやはり考慮をしていかなければならない部面もあるというふうに事務当局から聞いているわけでございます。しかし、そういう新しい問題があっても、内示が去年よりおくれてはいけない、できれば去年より早くしろという趣旨を実は申してきておるわけでございます。この点もひとつ御了承いただきたいのでございます。
  17. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 私に対する御質問は、ともかくも政府機関関係労働組合の協議会は年内支給ということを要求をしておるのだから、それができるようにしろ、それに当初予算で出ているのだからそれでいいじゃないかというお話じゃなかったかと思うのであります。  第一番目の年内支給の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、実は私どもといたしましても、公務員に一応準拠してやるということは、先ほど、いままでそうやっていたのであって、そういう考え方は打破しなければいけないというお話でございましたが、やはり政府関係機関の性格といいますか、たとえば輸銀に例をとりましたので何度も輸銀の例で申し上げて恐縮でございますが、すべて出資金は国に依存し、すべての資金はその出資金と、それから運用部資金に依存しておる。しかも経費予算国会審議をいただいておる、そういう性格から見まして、やはりその給与につきましても公務員に準拠して、公務員そのままというわけではございませんが、やはり公務員に準拠して取り扱うということが適当ではないかというふうに考えるわけでございます。で、ただ年内に支給できるようにいたしたいのは、公務員年内にいただくわけでございまして、補正予算承認を得れば年内にいただけるはずでございまして、そういう面から見まして、私たちもぜひそういうふうにありたいというふうに考えておるわけでございます。それでどの程度基準労使が交渉していいのかという問題につきましては、公務員についての取り扱いがきまり次第、それに準拠して御内示を申し上げたいというふうに考えるわけでございます。で、いまお話しになりました給与表の個々にまで干渉しているというお話でございますが、私はその点、実はまだ主計局へ参りまして日も浅うございますので、その点につきましてはあとで給与課長から、どの程度給与表その他につきまして具体的な交渉をしているのかということを説明させまして、もしそれが妥当でなければ、私も妥当でない面は改めるようにいたしたいと存じます。  それから当初予算で出ているではないかということでございますが、決して給与改定費を当初予算に組んでいるんではなくて、あれは予備費を組んでいるわけでございます。しかし予備費給与に充てるときまったものではございません。これはたとえば、また輸出入銀行の例をとって恐縮でございますが、輸出入銀行の現在の状況を見ますと、政府出資も、あるいは補正予算出資金増額しなければならないという――財源さえあれは補正予算をもって、あるいはもう一度御審議をお願いしなければ業務がやっていけないような状況に現在なっておると考えます。したがいまして、まずその場合に、予備費は当然そういうほうに充てられてしかるべきというか、給与も一つの要因でありますれば、やはり業務量がふえていくのに対応して予備費も組まれているというふうにも考えられますので、そういう点を考えますと、当初予算に入っているという意味は、ある程度予備費があって、その範囲内で大体まかなえていくということでございまして、必ずしも当初予算に、給与改定があってもだいじょうぶなようにしているんだと、事実上はなっていると存じますが、初めから給与改定を予定しまして、予備費のうちでこれだけは給与改定分だと、そういう意味予備費を組んでいるのではございませんので、その点予備費というものの性格は、その年内に予測し得ないいろいろな事態に対処するために組んでいるわけでございまして、その点の御了解を得たいと存じます。  次に、給与表個々への関与という問題は、私もよく事実を知りませんので、あとで給与課長から御説明させていただきたいと思います。  次に、先ほど労働三法適用がありながら、事実上の制約でゆがめられているではないか、当事者能力労働三法の命ずるとおりにすればいいんではないかという御質問でございます。それは労働三法自体は労働関係を律している。他方それぞれの政府関係機関の性格上、あるいは国の出資あるいは財政投融資資金というふうに、国の財政と非常に密接な関係を持っている。したがって、たとえば輸銀給与を上げればそれだけ出資金がふえてくる、これは国民の税負担にそのままはね返るというふうなことがございまして、それぞれの政府関係機関を設立しております根拠法律におきまして、そのいろんな監督がございますが、主務大臣として業務上の監督、財務上の監督というようなものがございます。その財務上の監督の規定につきまして、財政を主管する国庫大臣としての大蔵大臣への協議があるということでございます。したがいまして、法律的には一応そういう形で両方の法律がなっておりまして、で、労働的な紛争が起こりました場合に、その運用をできるだけ両者がマッチするように、大蔵省もそれに協力していくという態度は常に念頭に置かなければならぬと思います。で、ただ、しかしながら、やはり最終的には国民の税金に依存しているということは事実なのでございまして、その点、公務員取り扱い等に準拠しまして、こちらの態度をすみやかに相手の省に申し上げたいという熱意は変わらないのでございますが、公務員取り扱い自体につきまして、たまたままだ二、三問題もございまして、まだ閣議決定まで持ってくるに至っていないのでございますが、できるだけすみやかに閣議決定に持ってきていただきますとともに、その際にはできるだけ早く、もう時間的な何を、できるだけロスを少なくして関係の各省に大蔵省考え方をお示ししたい。それによって両者の間の矛盾をできるだけ避けていきたいというふうに考えております。  公務員につきましては、補正予算という形で、あるいは公務員給与法という形で国会の御審議をわずらわさなければならぬわけでございます。ところが政府関係機関につきましては、あとは労使間の協議という形になろうかと存じます。そこにどの程度大蔵省がその個々の給与表その他に関与しているのかは、私実はまだ一度目なものですからあまりよくわかりませんので、その点につきましては、いま給与課長も参っておりますので、説明さしていただきます。もしその点について不都合がございますれば、できるだけ改めていきたいと存じます。
  18. 山崎昇

    山崎昇君 課長説明あとで聞きます。ただ私どうしてもわからない点がまた二つくらい出てきた。第一は、いまあなたの言うように、予備費はなるほど予備費であって、何も給与改定費をどうこうするものではないというのは、私もわかります。しかし予備費でもその他の項目でも、それをどうするかは、予算執行上の技術面なんですね、これはあくまでも。だからいま私が問題にしているのは、政府関係機関職員給与改定をしないとか上げないのだというなら、大蔵省のチェックも何も私はいいと思う。しかし政策がきまったら、その範囲内における予算執行の技術面は当事者に与えるべきじゃないのかというのです。それを一々あなた方がああでもない、こうでもないと言って、認可だとか、いや、国民の税金だからどうだとか言って、大蔵省がこまかな点まで入っていくことは、当事者能力を制肘しているんじゃないかということを言っている。ですから、予算執行の技術面であなた方もっと改善をして、相手に対して能力を与えて、この能力の範囲内で労使間の問題を、紛争を解決させるというのがたてまえじゃないのかというのです。それと予算執行技術面とをごっちゃにして、あなた方が何でも大蔵省がチェックするという考え方に、私どもが納得できないのが第一番。  それから第二は、労働三法と他の法律との関係も、法律ですから、優劣はないのです。ただ私は運用について強弱があると思うのです、確かに。しかし、いまのあなたの答弁を聞いていると、まるっきり労働三法は事実上ゆがめられている、事実上ないにひとしいというようなことをあんた自身言っている。こういう法の運用はあり得ない。だからもしそういう法律がゆがめられているなら、他の法律との関連もゆがめられないように調整しなければならぬと思う。そうでなければ、この労働三法はあってないようなものです。だから大蔵省は何と言おうとも、労働三法をほんとうにあなたがことばどおり尊重するというならば、労使間で問題が解決できるようにするようにしてもらいたい。  さらにあなたばごちゃごちゃごちゃごちゃ、年内支給がどうのこうのと言うけれども、なぜ年内支給できますと、あんた言わないのですか。なぜ国家公務員だけが年内支給やれて、それはこれから国会法律審議があり、補正予算審議がありますから、ここですぐ年内支給がどうこうと言うことは早いかもしれない。しかし一応政府のスケジュールによると、来月の四日に臨時国会が召集されて、おそくも来月の中ごろまでには、いろいろなことがあったとしても、あるいは私ども野党が反対したとしても、大体その方向にいくのではないかと一応推定される。そうすれば、一昨年やその前の年の実情からいけば、二十四、五日ごろに法律が上がり、予算が上がったとしても、二十八日には国家公務員は支給されておる。地方自治体といえども大半は年内に支給されておる。なぜ政府関係職員だけが翌年にならなければならぬのか。だから、あなた方が責任があるなら、ここで国家公務員がそういう状態になるならば、政府関係職員についても年内支給いたします、それだけの事務措置はいたしますということを、重ねて私はあなた方に答弁してもらいたいと思う。
  19. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 私の申し上げましたのは、要するに政府関係機関の性格から見まして、公務員に準拠した取り扱いをやはり行なうのが妥当であろうと存じますということと、したがいまして、公務員給与改定が明確にきまれば、直ちに大蔵省としては、時間的にロスなく、こういう基準でやっていただきたいという主務大臣の協議、前協議といいますか、を先に内示をいたしたい。ただその後の問題は、年内支給ができるかどうかということにつきましては、先ほどちょっと給与課長から、その点が実はどの程度の関与をしているのか、私わからぬのですが、あとは労使間の協議かとの程度――あとは労使間の協議にかかるというふうに考えられますので、私のほうが支給をしろとか、してはいかぬという問題ではなくて、あとは労使間の協議にかかっていく問題じゃなかろうかと……。
  20. 山崎昇

    山崎昇君 事務上できなければ、支給できないですよ。
  21. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) しかし、それは実際問題としては、今月中には国家公務員給与改定並びにそれに伴う補正予算その他の準備も完了するでございましょうから、それと間髪を入れないように、できるだけロスを少なくして、内示的な指示を、内示と申しますか、下相談をいたすとすれば、あとは労使間がどの程度のスピードでそれを具体的な給与に割り振るかという問題じゃなかろうか。したがいまして、私のほうが、実は財源的な内示以外にどの程度具体的に関与しているのか、私わからぬものですから、もし私のほうの関与が非常によけいあって、そのためにおくれるというふうなことでございましたら、それは妥当でない面は改めざるを得ないと思います。  それで、実は私まことに申しわけございませんですが、初めて給与を担当したものでございますので、給与課長からその点を御答弁申し上げたほうがいいのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  22. 八田一朗

    理事八田一朗君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  23. 八田一朗

    理事八田一朗君) 速記をつけて。
  24. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 先ほど来御議論になっております政府関係機関職員方々給与改定でございます。御承知のように労働三法がそのまま適用になっておる点、これは当然でございます。それからまた半面、法制上主務大臣の認可及び大蔵大臣への協議、もちろん給与及び退職手当の基準につきましての話でございますが、そういう法制がございます。それからまた、そういう法律の規定がない場合におきまして、予算を編成するという面におきまして予算的な意味でわれわれが関連を持ちます団体がございます。したがいまして、いずれが優劣ということはございませんで、その間の調整をはかりつつ、われわれは、先生方おっしゃいますところのできるだけ早く国家公務員と同様の、あるいはそれ以上に早く給与改定がされるという点につきまして努力を続けておるということでございます。  これは一般的な態度でございますが、具体的に申し上げますと、先ほど来、大蔵省財源の内示ということをやる、その財源の内示をしなければ、いわゆる当局者、団体の理事者におきまして全然回答をすることはできない。これは当事者能力を全く大蔵当局において排除しておるのではないかというようなことでございますが、これはわれわれの考え方といたしましては、先ほど来方針として、そういう法律の根拠があるかと言われましたけれども国家公務員に準拠して給与改定を行なうという方針におきまして検討を重ねて、政府における国家公務員給与改定についての具体的な基準が固まり次第、直ちにその具体的な内容につきまして主務大臣と御相談を申し上げるというふうな方途をとっておるわけでございます。おおむね国家公務員給与改定における改定率というものをワクにいたしまして、一々俸給表の内容につきましてチェックをしておるのではないかという点につきましては、そういうことは毛頭ございません。ただし、先生方すでに御承知のように、各関係機関におきまして、初任給がある公団と他の公団、ある事業団と他の公庫ということでばらばらである、あまりにも違うというようなことでありますると、もちろんその事業体の業種、やっておること、あるいは職種というものによって違うはずでございますけれども、あまりにも違うという点はまた困るわけでございますので、そういう点は一応拝見をいたします。それから最高の号俸、職員としての最高給という点につきましては、御承知のように先般の国会以来いろいろ問題になっております役員給と関連がございまして、職員における最高給のチェックということもいたしております。それから、これは来年度以降の改定にもちろんかかわっていく問題でございますので、昇給原資をどうするかというような点も考えていかざるを得ないということでございます。一々われわれのほうで俸給表の構成自体を、これはどうであるというので具体的に一つ一つチェックをしまして、われわれがオーケーしなければ御回答願えないというふうな状態になっておるわけではございません。先ほど申し上げましたように、法制的に、主務大臣が認可をされ、そのときに大蔵大臣が協議を受けるということにつきまして、労働三法適用を受けております結果、団体交渉によりまして交渉が実質的に進んでまいります。そこで固まってしまった上でこれは困るということに具体的になりましても困るわけでございますので、閣議決定を経次第その当日において、昨年もそうでございますが、十一月二十九日、これは数のあることでございますので若干翌日にもわたりましたけれども、直ちにいわゆるおっしゃるところの財源内示ということを行なったわけでございます。それからあと手続的にどうであるかという点につきましては、基本的に国家公務員給与改定に準拠してという方針は、これは確固としてといいますか、少なくとも従来どおり変更する方針を特に示しておりませんし、そういう方途を持って当局者においても極力交渉を進められておるというふうにわれわれは考えております。それでその交渉過程におきまして、いま申し上げるようなわれわれの賃金改定基準のおっしゃるところの内示ということをさしてもらって、同時に正式にといいますか、形式的にも協議が直ちにととのうというふうな態勢にしていくためにわれわれは努力しております。  それで、いわゆる内示といわれる時期でございますが、これは一昨年以前におきましては、実は非常にまあ頭のかたい考え方でありまして、給与法国会を通過しなければだめである、補正予算国会を通らぬとだめであるということできておりましたものを、少なくとも政府として給与改定の方針、態度を決定した以上は、それに準拠して改定される政府関係機関職員方々の方針をお示しすることは可能ではないかということで、法案及び補正予算案の閣議決定の日、同日にいわば取り上げまして、おっしゃるところの内示をいたしたわけでございます。そういう方針は従来と変わりませんし、先ほど事情を申し上げましたように、それ以上に極力早く閣議決定を見れば、手続的にはさらに促進をはかっておるという現況でございます。ただ手続的という前に、年内妥結ということができるように、われわれは、労働三法適用されておられる関係機関当事者間の交渉を年内妥結可能ならしむるように、できるだけ早くそういう御相談を申し上げるという努力はいたします。年内妥結云々は、これは団体交渉の関係でございますし、われわれは、年内に妥結すべしということは申し上げる立場にはございません。ただし手続的に不可能なことであるかないかという点でございますが、これは国家公務員に準拠して給与改定が行なわれる政府関係機関職員方々につきましては、給与改定が行なわれるという見地から、それに所要の手続的な書類というものは例年ほとんど変わりがないわけでございまして、いま申し上げました財源のワクを内示する――内示するというようなことを言いましても、それを言わぬまでも、政府基準内にかかわる改定率というものが一応のワクとして考えられるものはほとんどプール化しておるわけでございますので、そのワクにおける配分の問題にまで一々われわれは、その過程においてあらゆる問題、おっしゃるところの財源内示において、こういうふうな配分をすべきであるというふうに、配分にまでかかわって御相談にあずかっておるということでないわけでございます。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、この問題についてはあと一点で次の問題に移りたいと思いますが、先ほど海堀次長から、給与改定費については当初予算には組んでないので、予備費にあるのだ、そういう意味の答弁があったわけです。この給与の改善費については、これはほとんど毎年行なわれておる、いわゆる既定経費としての性格を持っておることはもう明確なんです。そこで、たとえばこれは当初予算ということでなく、名前は予備費という形であっても、実質はいわゆる経常予算化しておるので、既定経費化しておるので、これは当然予備費という名前で、そういう形で組まれておる、そういうことで、これは実質的には何ら相異がないということを指摘しておきたいと思う。  なお、先ほどの次長説明の中で、財源内示がおくれておる一つの理由として、都市手当の扱いがいわゆる政労協関係の場合も問題になっておるという意味の御指摘であったわけですけれども政労協関係賃金体系は、一部を除いて暫定手当制度がないわけですから、そこで問題としては、公務員に合わ世て機械的に実施するというわけにいかない。そうであるならば、財源都市手当を含めて内示をして、その取り扱いについては労使の自主解釈にまかせることによっておくれを取り戻すことができる。もし都市手当の事務が云々ということであるならば、この問題はそういう労使の自主解釈にまかせるということで解決すると思うのです。その点はどうなんです。
  26. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 予備費は、確かに、例年給与改定がございますので、もちろんそういうことをも一つの予備費の要因ではあろうという意味では、予備費は予測し得ない経費の不足という意味で、給与改定が必ずあるのであれば、そこに予算に組んであるはずなんでございますが、やはり予備費予備費としての性格で、給与改定もまた一つの要因であるという意味においては、先生のおっしゃるとおりだろうと思っております。  それから、もう一つの点でございますが、都市手当が云々ということを例としてあげたのでございますが、私も多少聞きましたところでは、たとえば現在の暫定手当のようなものは政府関係機関においては大体俸給に入れているということを伺っております。ただ今度、たまたま都市手当という形での勧告を受けまして.政府としてどういうふうに取り扱うかということがまあ現在のところ大体の方向づけをされつつあるようでございますが、最終的にきまりませんと、実は政府関係機関でその都市手当取り扱い方いかんによりまして非常にどうするかという点でむずかしい問題があるわけでございます。たとえば例をあげますと、ある理事長がこれは多分この方が理事長をしていらっしゃるなには、都市だけにほとんど職員がいるというところの理事長さんは、いやそれはもう都市手当を入れたところで、私のところは職員の配置されているところがほとんど都市なんだ、だから私のところは都市手当を、つまり公務員の平均的には七・九だけれども、そうじゃなくて、私のところの配置から見ると都市手当をもらうところにほとんど配置なんだから、私のところは高くしろというような要請をしている理事長もございますので、そのあたりを政府全体として、やはり政府関係機関全体の均衡があるもんでございますので、どういうふうに取り扱うことがほんとうに政府関係機関全体のバランスというか、公正を期く得るかという点につきましてもなかなか問題がございまして、それで最終的に政府公務員取り扱い方――その公務員といいましても、人事院勧告によって給与決定をいたしますのは一般職公務員だけでございまして、特別職は、つまり防衛庁の職員なんかにつきましてどういうふうに、要するにそれに準じてという、その準ずるのがどういう形で防衛庁の職員なんかに準ずるのか、そういうことをはっきりきめまして、それに基づいて今度は政府関係機関にどういうふうに準拠したらいいのかということを考えたいということで、現在まず一般職につきましてきめ、さらに特別職――特別職は大部分が防衛庁でございますが、防衛庁について考え方を立て、さらにそれに均衡をとって政府関係機関給与について考える。それでそれの決定を、まあいろいろ議論はありますが、徐々に結論に近づきつつありますので、それが決定し次第、それと並行しまして政府関係機関についてももちろん考え方を常にそれに合わせて作業をしていきまして、片方がきまれば、もうできるだけ時間のロスを避けて、政府関係機関財源的にどれだけの金でやっていただきたいということを申し上げたいというつもりでおります。  それで、先ほどの給与課長説明が非常にわかりにくかった点があったかと思いますが、個々に関与している点は、要するにあまり不均衡が出ないように、要するに初任給が非常に違ったりするとまずいとか、政府関係機関理事者給与というものがいろいろな点で問題になっておりますので、理事者が一応国会その他で大体この辺が妥当だと認められているとすれば、理事者よりも多少、そこの最高限が、理事者の大体下とくっついているか、そのあたりが妥当じゃなかろうかというふうなことを申し上げ、あとは大体公務員がこうやりましたからこれを一応参考にしてくださいという程度の関与のしかたでございまして、特に労使間の具体的な給与表の決定について一々くちばしをいれていくということではないようでございますので、その点もしそういう事実がありましたら、妥当でない点は改めまして、年内労使間の協議がスムーズに進むように私どものできることはいたしたいというふうに考えております。     ―――――――――――――
  27. 八田一朗

    理事八田一朗君) この際、委員異動について御報告いたします。  中沢伊登子君が委員辞任され、片山武夫君が選任されました。     ―――――――――――――
  28. 山崎昇

    山崎昇君 それでは、この問題はまた別な機会にもう少し詳細にやりますが、きょう時間がないようですから、あと一、二点でやめたいと思います。  一つは、官房副長官にこれは確認しておきたいのですが、さっきのお答えで、窓口は官房副長官で一応扱うのだという趣旨だったと思うのですが、そう確認をしておきたい。  それから二つ目に、さっきのお答えの中に、各機関の労働部門担当の理事がもう少し積極的に動くべきではないか、そしてできるならば大蔵省ともっと密接に折衝すべきだ、こういう指摘がありましたれ。そこで、私がずっと聞いていると、関係理事者のほうは、何か大蔵省との折衝がうまくいかないのだということを口実にして、どうも団体交渉はうまくいかない、こういうことがあれば、これはもうたいへんなことだと思うのです。そういう意味で、官房副長官からひとつ、窓口になられるわけですから、関係機関に対して厳重にそういうことのないように注意してもらいたいということを二つ目として確認をしておきたい。  それから、いま大蔵省給与課長からいろいろ説明がありましたが、私はどうも納得いかない、わからないのです。なぜわからないかというと、あなたの言われるように、初任給ばらばらになっちゃいけないから特殊性はあるが一般職と調整をとっているのだ、その次は最高号俸だ、三つは昇給原資だと、こう言うのですね。これだけしかタッチしておりません、あとの配分については全くまかしておりますと、こう言うのですね。そうであれば、事務的に言えば、この三つしかないのになぜ時間がかかるのか、逆にわれわれふしぎになる。そんなことはふだんからできるはずじゃないですか。何もいまあらたまって書類の提出を求めてどうのこうのという問題じゃないじゃないですか。だから、私がさっき言ったような予算の執行の技術上の問題と政策の決定の問題と混乱さしているのじゃないか、そういうふうに疑いたくなるわけです。ですから、今度あなた方は、話を聞くと、給与表の個々についてはタッチしていないが、配分についてもおおまかまかせてあるということですから、これは公の席上の答弁ですから信用しておきたいと思う。しかし、いずれにしても、先ほど来私どもが主張しているように、年内にやはり国家公務員と同様に本人の手元に渡るようにあなた方も努力してもらいたい。もしも各機関理事者がどうも折衝が少ないなら、あなた方から呼びかけて折衝させるなりしてやってもらいたい。それから最高号俸が云々ということだけれども、初任給がどうだということ、あるいは昇給原資なんということは、大体国家公務員の方向がきまれば、こんなことはおのずからきまる問題だと思うのですね。そんなにややこしい問題ではない。だからそういう点についてもっと事務的にスムーズにしてもらいたい。なお、事務的に言えば、百十二も政府関係機関があって、大蔵省で何人折衝に当たっているか知らぬけれども、百十二の関係機関をこれを調べてどうこうすると言ったら、かなり事務的なものになると思うのですね、逆に言えば。それだけの能力があなたにあるのかどうか知らないが、もしも大蔵省関係の事務的な能力がなくておくれたとなると、たいへんなことになると思う、また逆に。だからそういうことのないようにふだんからひとつ事務を進めるように願いたい。  それから最後にもう一つ念を押しておきたいのは、どうしても労使間の問題が、何か内協議だとか、あるいは予算内示だとかいう、主として予算執行技術面のことによって制約されたんでは、私ども納得できない。だから、主務大臣認可権、あるいは大蔵大臣との協議権、そういうものと労働三法との問題についてもう少し大蔵省も検討して、労働三法等が制約されないような方向について、いますぐ回答できなければ、上司と相談されまして、次の機会に、なるべく労使間の紛争が起こらないように、そして労働者の権利というのが不当に制約されないように、あなた方もひとつ検討してもらうようにきょうは要望して、私の質問を終わっておきたい。
  29. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまの山崎委員の要望に関連しまして、官房副長官と大蔵省の主計局次長に私も要望したいわけなんです。これは、私も五、六年前から、政府機関組合なり理事者側とも、また大蔵省給与課長等とも、いろいろ話し合いをしたことがあるんですよ、いままで。そういう中で、私はいつも不満に思っている――いまこういう内閣委員会で論議する機会がありましたから、私も強く要望したいんですけれども、この政府関係機関職員というのは公務員じゃないわけなんですよね。関係職員の中で、三公社現業国家公務員ですけれどもね。これは完全に国家公務員じゃないわけですよ、三公社現業と違って。これは労働三法適用なんですね。ストライキ権があって、団体交渉権があって、協約権がある。完全に労働三法適用なんですよね。それが、先ほど主計局次長のような話で、何かこの国家公務員に準拠してということに力を置いて、理事者側当事者能力がないわけなんですよ、私会ってみましてね。また、私の同僚が理事や何かやっています、労務担当をやっていますね、そういう連中と会ってみると、ないんですよ。これは三公社現業よりもまだないですよ。三公社現業当事者能力というのは、この三、四年非常に進みました。特に本年はほぼもう十分持ち過ぎるようになったです。ところが、国家公務員でもない、労働三法適用されている政府関係機関理事者側というのは、ほんとうに当事者能力ないですね。ですから、公務員に準ずる、準拠するというやり方が、私は行政指導でやっていると思うんです。法律上何もないんですから、法令上もないんですから。ただ少しオーバーなんだ。オーバーだと思うんですね。そういう点について政府として、労働三法適用されている政府関係機関労働組合の労働権について、あるいはその最も重要な賃金についてどういう取り扱いをしたらいいのかという、これは私は政府がはっきり位置づけをせにゃいかぬと思うんです。おかしな話ですよ。国家公務員がきまってから、あと国家公務員に準拠してやるんだというようなことを言っている。来年に賃金をやるなんていう、そんなばかな話があったもんじゃない。ですから、これはいままでのことはいままでのことでいいですよ。これからの問題として、政府並びに大蔵省の主計局のほうで十分検討してもらいたいと思うんですね。これは本格的にストライキが始まったらどうにもならないですよ、これ。どうにもならないと思うんです、これは。ひとつ、今度の問題は今度の問題、これからの問題として、この点は十分検討してもらいたい。きょうは労働省来ていないですからね、もともと労働省所管の問題ですけれども、まあ官房副長官が窓口だという話もありますから、ひとつ検討を強く要望しておきたいと思います。
  30. 亀岡高夫

    説明員(亀岡高夫君) 実はこの前の内閣委員会でも申し上げたと記憶いたしておりますが、確かに御指摘のような面が将来の問題としてあろうかと思いますが、まあ今後の問題として検討をさしていただきたいと思います。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは、政労協賃金問題については、まだまだわれわれ足りないわけですけれども、時間の関係もありますから、以下人事院勧告の完全実施という点、そうして二つには、この完全実施するためにはとうしても次年度から――ことしは間に合いかねますから、次年度から当初予算に計上すべきであるという点、問題をこの二つにしぼって、以下二、三の問題についてお伺いしたいと思うわけです。  まずお伺いしたいのは、政府は、五月実施すべき旨の人事院の勧告をまたまた踏みにじって、十月二十日の閣議で八月実施をきめたことについては、きわめて遺憾の意を表せざるを得ないので、政府が過去七回にわたって一方的に財源難を口実に実施を繰り下げてきているわけですけれども、このことについては人事院から特に指摘されてもおりますが、本年こそ完全実施を妨げる理由は何一つなかったわけです。にもかかわらず、またもや五月実施の勧告を無視したことは、政府自体が人事院制度を否定したことになるわけです。この点はどう解釈したらいいのか。政府はまた、口を開けば人事院勧告は尊重すると言い続けてきておるわけです。にもかかわらず、三十五年以来情け容赦もなく一方的に実施時期を繰り下げてきておるわけです。いままでの累計は、昨年までで三十二カ月となるわけです。公務員全体では三千億にものぼるということは容易に計算できるわけです。これでは、勧告を尊重すると言いながら、勧告の改善率の内容低下となることはもう明らかであります。勧告率そのものが全く無益となってしまうことになろうと思うわけです。これでも勧告の内容を尊重すると言い続けられるのかどうか。無責任もはなはだしいと言わざるを得ないわけです。勧告の内容は尊重するけれども、実施の時期については財源が苦しいので――こういう口実を言い続けてきたわけですが、しかしながら、過去において昭和三十七年、三十八年、特に三十八年のとき――これは池田内閣のときですが、税増収などで財源に相当余裕があったわけです。このときは、三十八年は。このときでも、表面は財源が苦しいからという――全くこれはごまかしです、ごまかしによって十月実施と決定しておるわけです。こういうことをあわせ考えて要約的に考えるならば、これは完全実施しない真の理由は財源ではないことはもう明確です。完全実施しようとする誠意がない、完全実施に踏み切ろうとする政策がない、こういう問題に帰結できると思うわけです。給与担当の総理府として、この点一体どうお考えになっておるのか。
  32. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 伊藤先生の御指摘の点でございますが、私もこの内閣委員会にもしばしば出まして、そうしてきまるまでにつきましても、給与を担当いたしておりまする総理府としましての見解を常に述べておったわけでございます。と申しますのは、給与担当をいたしておる総理府といたしましては、人事院勧告につきまして完全実施の線で極力努力をし、また給与関係閣僚会議の席におきましても強くその点を主張いたしておることは間違いのないことであります。でございますけれどもが、先生も御案内のように、この決定というものにつきましてはまあ閣議決定をいたすわけであります。で、その給与関係閣僚会議におきましてもこの点はいろいろ出てまいったわけでございますが、終局におきましては、本年度は昨年の九月実施を前進しまして八月実施ということになったわけですが、おも立ったいろいろな問題は財政的な問題であります。この財政の問題につきましては、これは財政の硬直化の傾向が特に強くなっておるとか、その他緊急の施策というような、財源というようないろいろな問題などからみ合いまして、そうしてまあ八月実施ということに閣議決定をいたしたというわけでございます。で、人事院勧告につきまして、給与担当の省としましては、これは何とかひとつ完全実施の線でというわけで従来ずっと努力をいたしておるわけでございますけれどもが、内閣としましては諸般全体を検討いたしまして八月実施ということに決定いたしたわけでございます。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 同じ公務員であるいわゆる三公社現業に対しては、これは国家公務員同様いわゆる財源が問題だといままで言われてきたわけです。しかし、この公社現業でも財源に相当に苦しんでおる。建設事業費の繰り延べをやったり、経費の移用とか流用をやって――これは大蔵省か認めておる、大蔵大臣が認めたからできるわけですが、これは後ほど大蔵省にもお伺いしますが、そういうことで、三十二年以来毎年仲裁裁定どおり、しかも五月ではなく四月一日にさかのぼって実施しておるわけです。アルコール専売のごときは、三十年の四月一日から実施しておる、こういう事実があるわけですね。これは三十二年以来いままで。三十二年以前は公社現業についても仲裁裁定は完全実施されていなかったわけです。最終的にいわゆる公社現業方々の切々たる要求をいれていわゆる政府がそういう方針をきめたわけです。三十二年以来そういう方針をきめ、いわゆる政策の転換をこれだけ行なって、それ以来仲裁裁定どおり財源に苦しみながらも完全実施が行なわれてきた。したがって、この根拠からも、財源に全く関係ないということは指摘できると思うのです。仲裁裁定を完全実施している日本の政府が、一般職国家公務員について人事院勧告をなぜ完全実施し得ないのか。得ないのではなくして、しないからであることは明確ですが、この点公務員公平の原則にも反することはきわめて明確であるわけです。政府は、こう言うと、三公社現業は独立採算制の企業であって、給与財源とかあるいは給与決定方法も一般の公務員と異なっておる――従来そういう弁明をやってきたわけです。しかしながら、国営企業の職員給与特例法において若干規定上異なっておる点はありますけれども給与の根本原則は一般公務員と全く同じであるわけです。いわゆる五現業職員給与と一般公務員給与との間に差をつけてもよいということは法律上どこにもないわけですね。そうでしょう、もしあったら教えていただきたい。こういう根拠からも、ひとつぜひ完全実施してしかるべきだと思うのです。十月二十日に閣議決定したから云々とおっしゃいますけれども、これは一応の決定であって、一般職公務員給与は、給与法が上程されて、それを最終的にきめるのは国会の場である。政府には決定権がないわけです。最終決定はわれわれ国会関係者がきめるわけですね、これはもう明確です。したがって、一たんきめたからといっても、それはまあ内定の程度であって、最終的の決定でないわけです。したがって、いくらでも再考できるわけです。こういう観点から、どうですか、ことしこそひとつ完全実施してしかるべきだと思うのです。以上申し上げた根拠からひとつお伺いしたいと思うのです。
  34. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 伊藤先生のおっしゃる点はよくわかりますが、私どものほうとしましては、その財源問題につきましては、いろいろの点で三公社現業とまるきり公務員が一致とは言えないであろうけれどもが、姿勢としまして、またものの考え方として、一方は仲裁裁定を完全実施しておるというような点から考えまして、公務員に対する人事院という制度からいっても、ぜひ完全実施の線でやるべきではないかというような主張を持っておるわけですけれどもが、しかしながら、決定とか、これをきめ得まするのは、結局段階としましては、給与関係閣僚会議で大体八月実施ということにまとまりまして、そして閣議決定にいたした、こういうわけです。もちろん、これが最終というのは、先生もおっしゃいますとおり国会の場であることは、これはもう当然でございますが、政府といたしましてはそういう結論を出した、こういうような状態になっておるわけであります。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この五現業給与額については、当初予算にその総額が計上されておると思うのです。しかしながら、年度途中において公労委の裁定があることを予想して、裁定があった場合はそのための必要経費を当初の総額をこえて支出してもよいということを規定しておるわけですね。そして裁定の完全実施のためのそうした規定が特例法の第五条に明確に載せられておるわけです。この規定は、政府公社現業職員に対する給与政策を先ほど申し上げたいわゆる二十三年から転換したからだ。それ前はできなかったから、それまでは完全実施されていなかった。政策転換したからできたのだ、財源ではない。そうだとするならば、国家公務員についても、一般職公務員についても同じことが言えるわけです。公務員についても、公平の原則でひとつぜひ完全実施しよう、そういう方針、そういう政策がきまればできるわけです、財源じゃない。したがって、政府の言う財源問題あるいは給与決定方式が異なるからということは、当たらないと思うのです。結局、政府誠意の問題であり、給与政策の問題であることは、もう明確です。  そこで、なおお伺いしますが、公務員からスト権を取って、労働基本権を取り上げ、その代償として人事院を設けたのは政府自体です。その政府自体が人事院の勧告に対してこれを完全実施しないということは――公務員に対する唯一の救済手段であるわけです、この人事院というものは。唯一の救済手段であるこの人事院の勧告を完全実施しないということは、これはもう言うまでもなく憲法の精神にも反することはきわめて明確です。ところが、毎年、特に三十五年以来――三十五年以前は、人事院は勧告の時期を明確にしないで、できるだけ早くとか、できるだけすみやかにと、こんな抽象論であった。三十五年以前は言うに適当しないわけですが、三十五年以後は人事院は明確にしたわけです。これを一方的に繰り下げてきておるわけです。どうにも了解できないわけですね。一方公務員諸君は、きわめて当然の要求であるこのつつましやかないわゆる完全実施、これを念願してやむにやまれず、ときに心ならずも休暇戦術をとって政府に反省を求める。こういうことになると、政府は厳罰をもってこれに臨む。完全実施の義務を果たしていない政府公務員を罰するなどということは、まことにおこがましいことである。まず政府自体が人事院の勧告をその性格上これを尊重して、文字どおり尊重して、これを完全実施したにもかかわらず、公務員の諸君がさらに過大な要求をしていわゆるストライキをやったということであるならば、そのとき政府は処罰することを考えたらいい。まず何をさておいても政府は完全実施すべきである。完全実施は、これは政府の当然の義務である。憲法の精神からいっても、当然の義務。人事院が何ゆえに設立されたか、その本来の趣旨を考えたならば、当然これは完全実施しなければならなぬ義務があるわけです。その義務を果たさないで権利だけを行使する、そこにも矛盾があるわけです。結局、公務員に順法精神をしいて、みずからは憲法の精神に反する。こういう点についても、根本的に政府はこの際反省せにゃいかぬと思うのです。財源財源と言いますけれども財源でないということは、もう従来から私ども言い続けてきたところで、政府はもうよくそのことは、口では言わぬが、腹の中では了解しておると思うのです。この点からも、ひとつぜひことしこそ完全実施に踏み切ってしかるべきだと。当然の要求が踏みつけられておる。これはひいては国政の効率化という問題にも響いてくると思うのです。国政の効率化、行政効率化の原則にも反すると思うので、ひとつこの際、ことしこそ再検討して五月実施に踏み切るべきであると、こういうことを重ねてお伺いしたいと思うのです。
  36. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 人事院制度というものが一つの代償機関としまして発足いたしておることは、先生おっしゃったとおりであります。そういう意味におきまして、何とか人事院勧告につきましてそれを尊重するということを文字どおり、内容もすべての点についてやりたいということは、私どもとしましては考えておって、常にこれに努力し、主張をいたしてまいったわけでございますが、しかし、この財源の問題につきましては、これはそこの制限ということは当然あることであるし、人事院もその点は財源という問題につきまして無視しておるというわけでもない。こういう意味におきまして、常に財源問題が話題にのぼるわけでありますが、この点につきまして、先ほど申し上げましたように、いろいろな重要な施策というものについての支出、これに対する財源問題、あるいは財政硬直化というような問題につきまする財源というような、いろいろな諸般の問題が総合的に検討されまして、八月実施ということに閣議では決定した、こういう実情になっております。  なお、政府としまして義務を果たしてないのに、一方これに対してストをやったために厳罰に処するというのはおかしいじゃないか、こういう御説でございます。でございまするが、政府としましては、とにかく公務員は一般の奉仕者である、国民全体の奉仕者であるという特殊の立場にありますので、争議ということにつきましては禁止されておる関係でございますから、その点はぜひ自重されるとともに、もしそれに対して違反があるということになりますれば、政府としましてはとるべき処置をとらなければならなぬ、こういう態度をとっておる、こういうわけでございます。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この人事院の勧告が完全実施されないために、当委員会においても、公務員給与法審議に際しては、完全実施すべきであるという旨の附帯決議が再三、これはもう全会一致でそのつど行なわれてきておるのは、御承知のとおり。この附帯決議に対して、政府はそのつど、口先ではもちろんこれを尊重するとは意思表示いたしますけれども、実際にはこれを軽視してきておるわけです。完全に実施しない、附帯決議どおりやらぬということは、いわゆる附帯決議の軽視――ということは国会軽視につながる問題である。この点からも、きわめて遺憾の意を表するわけです。で、この附帯決議は、三十九年十二月十六日――これは四十七国会の際です。それから四十年十二月二十七日――五十一国会で、こういう意味の附帯決議があげられておる。「公務員給与に関する人事院勧告制度の趣旨にかんがみ、今後これを完全に実施し得るよう政府予算措置を講ずることに最善を尽くすべきである。」――「予算措置を講ずることに最善を尽くすべきである。」。また、ことしの場合は、まだ法案出ておりませんが、人事院勧告に対して衆参の内閣委員会において決議が行なわれたわけです。参議院の場合は、「公務員給与については、人事院勧告を尊重し、これを完全に実施すべきである。よって政府はこの主旨に基づき、これが完全に実施せられるよう最善を尽くすべきである。」という決議、こういう意味の決議があげられ、これがそれぞれ衆参の議運で再確認されて、院の意思としてそれぞれ衆参の議長から政府へ申し入れられておるわけです、御承知のとおり。これはいまだかつて例のないことです。法案に対して附帯決議があげられたことは先ほど申し上げたとおりでありますが、勧告に対して院の意思表示をするための決議があげられたのは今回が初めてです。事ほどさように、完全実施すべきであるという、こういう意味の意思が高まってきているわけです。ことしはその最高に達したわけですね。この決議を無視して、十月二十日の閣議で一方的に八月実施なぞという方針、すなわち政策を決定したことは、重ね重ねの遺憾の意を表さざるを得ないわけです。そこでも、衆参の意思を尊重して完全実施に踏み切るべきである、こういうことが言えると思うのであります。  それでは国民の間にはどういう考え方があるのか。試みに国民世論を代表する報道機関の面をあげてみますというと、御承知のように、かつて朝日新聞のいわゆる社説でこういうことを言っておるわけです。「人事院勧告はスト権のない公務員給与を保障するという制度のたてまえからいって勧告どおり実施されるべきものである。したがって勧告を受けた政府はその完全実施に向かってあらゆる努力を傾ける義務がある」と、完全実施を強調しておるわけですね。こういうことで、どこをどうたたいても、完全実施しないでもいいという根拠はどこにもないわけですね。完全実施すべきであるという各面のこういう意向に対して、給与担当の省としては考え直す必要があるのじゃないか、こういうことをお伺いしたいと思います。
  38. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 伊藤先生のおっしゃるとおり、給与担当の総理府としましては、ひとつぜひ完全に実施したいということでずっと主張もし、また考えもし、今後も努力をするわけでございます。とにかく、先ほど申し上げましたように、今回は八月実施ということで閣議決定をいたしたという次第でございます。もちろん、衆議院、参議院におきまして先生おっしゃるような御決議があったことは、これは承知いたしております。また、その点を決して無視する、軽視するという形に――結果的にはいろいろな御批判もあると思いますけれども、決してそういう心組みという意味でなくて、いろいろその趣旨なり御決議を体しながらも、また御意見も出ておりまするから、それを体しながら論議を重ねたわけでございますので、財源その他いろいろな諸般の統合的な判断におきまして八月実施ということにきまったと、こういうわけでございます。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、以下大蔵省にお伺いしたいと思います。  政府人事院勧告を完全実施するためには明年度から給与改善費を当初予算に計上すべきである、こういう角度から二、三お伺いしたいと思うわけです。給与改定に対する人事院勧告は、昭和二十三年十一月九日のいわゆる六千三百七円ベースに関する勧告以来今日まで行なわれてきた。もちろん例外も一件だけある。それは二十九年に経済情勢の悪化等を理由として勧告を保留した年があったわけです。しかし、このことを除いては、二十三年以来毎年行なわれてきておるわけです。したがって、その所要財源は年によって多少の差はありますけれども、既定経費としての性格を持っていることについては何人とも否定できないと思います。しかも、改定を必要とする根を探究すれば、結局政府の経済政策の不手ぎわに起因しております。かような観点からも、給与改善費については当然に当初予算に計上してしかるべきである。三公社現業の実施時期についても、当初は完全実施されていなかったわけです、これは先ほど指摘したとおり。ところが、政府昭和三十二年になって公企体組合の切なる要求をいれて、仲裁裁定どおり、しかも四月にさかのぼっていわゆる完全実施に踏み切ったわけです。しかも、財源に相当余裕があったからではなくして、財源に相当苦しみながらも、先ほども申し上げましたが、建設事業の繰り延べをやったり、経費の移用をやったり、流用をやったり――これは大蔵大臣も認めておる。そういう中で完全実施に踏み切っておるわけです。そこで、一般職公務員についてもおそまきながら――ずいぶんおそいわけです。これは公社現業は三十二年からやっておる。ことし完全実施しても、十年おくれておるわけです。この辺で完全実施に踏み切ってしかるべきであると思うのですが、そのためには、繰り返し申し上げるように、給与改善費として当初予算に計上することが最も賢明である、こういうふうに考えられるわけです。その点どうですか。
  40. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先生指摘のように、年度の途中で、ほとんど年度当初にさかのぼって給与改定をしろ、こういうように勧告を受けました場合に、その処理政府として難渋をしているということは事実でございまして、今度の閣議決定の「注」のところにも、財政制度と人事院勧告のあり方との調和にはさらに検討するものとするというふうに書いてございます。で、先生質問のように、当初予算に予想される所要額を計上するということもまた一つの方法であろうし、党、政府それぞれ上層部の方のいろいろの提案をいただいております。ただいまそれを特に来年度という年度をとってみますと、財政的にいろいろな困難な問題がありますので、この公務員給与取り扱いをどうするかということもそれの一環として考えてみなければならない問題だろうと思います。現在どういうふうにするかということにつきましては、まだそこまで四十三年度予算編成に関する基本的な方針が固まっておりませんので、何とも申し上げかねる次第でございます。ただ、将来の制度的な問題といたしましては、先生の御提案、非常に傾聴に値する議論だろうと思いますので、十分に検討いたしたいというふうに考えます。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 試みに、最近における三公社現業がどのようにして給与改善についての改善実施をしておるか、こういう状況を見ますると、これはごく最近のだけ、三十九年以降、四十年、四十一年度、これを見ますると、それぞれ経費の移用、流用によって、四百十八億から五百八十億の幅で年々給与改定が完全実施されておるわけです。この経費の移用、流用とか、あるいは不足の場合、予備費使用、こういうことは大蔵大臣承認しているからできるわけですね。これは先ほども指摘申し上げたとおり。そこで、大蔵大臣にお伺いしたいわけですが、お見えにならぬので、ひとつ次長責任を持ってお答えいただきたいと思うのですが、一般職公務員の場合には、どうしても財源を理由に完全実施に大蔵省は年々反対してきたのか。繰り返し申し上げるように、これはもう公平の原則に基づいてもまことに不可解千万。そのためにも、やはり当初予算に計上することが賢明ではないかということを申し上げておるわけです。結局、完全実施しようとするいわゆる方針で、そういう政策、そういう決定を見るならば、これはもう容易に、当初予算に組まざるを得ないわけです。給与改善の必要はもう例年のことであって、これはもうすでに既定予算化しておるわけです。既定予算化しておるものを、当初予算に計上することなくして、いま経済動向の流動するこういう事態にあって、あるいは租税の自然増収、あるいは既定経費の節約、こういうことに財源を求めておること自体が、まことに見識のないきわみだと思う。大蔵省は、そういう財政担当の省であって、しかもこの給与改善費は既定予算化しておることは、いかがです、これは反駁できないと思う。それなのに、一般財源、租税の自然増収を期待したり、あるいは経費の節約をもくろんだり、そういうことに財源を求めておる。そのこと自体が、また大蔵省として不見識きわまると思うのです。こういう点からも、問題は完全実施しようとする誠意の問題だと、重ねて強調せざるを得ないわけです。  さて、当初予算に組むということになるとどの程度給与改善費を計上するか、一応問題のあろうところと思うわけですが、たとえば給与改善費の約半額、言いかえれば昇給財源とほとんど同程度を、たとえば約五%程度給与費中に計上しておいて、不足分については予備費でまかなうという方法もあるわけです。かりにこの案を実施するならば、給与法定主義にもさしたる支障はないわけです。また、既定経費化しているので、計上できるわけです。また、勧告の改善アップ率にも何ら影響はないし、人事院がそれにとらわれて改善率を云々するということもあり得ないと思うんです。こういう問題を政府質問申し上げると、従来政府としては改善アップ率を予測して計上することは好ましくないという意味の答弁もかつてあったわけです。しかしながら、それなら申し上げますが、各省庁の設置法が当委員会に提案されますが、その改正案及び公社、公団、事業団の設立法案、こういうものについても法律案の成立を予測して予算を計上しておるわけです。ところが、実際にはこれらの法案は廃案となる例も決して少なくはない。こういうことに比較すれば、給与改定のほうははるかに確率度が高いわけです。したがって、当然に当初予算にある程度――そのパーセントほまた検討の余地はありますが、こういうものを計上することはきわめて合理的であるということが指摘できると思うんです。この点については、大蔵省としては現在どうお考えですか。
  42. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先ほども申し上げましたように、制度論といたしまして、当初予算にどこにどういうふうに組むかという問題は別といたしまして、当初予算に所要のある程度財源を計上するということは十分検討すべきことだと思いますし、また検討していかなければいけないというふうに考えております。したがいまして、基本的な考え方においては、そういう方向で今後検討いたしたいというふうに、少なくとも財政を担当している者としては考えている次第でございます。これは少なくとも事務的にはそういうふうに考えておる次第でございます。ただ、来年度という時点をとってみますと、これは財政的に非常にいろんな問題が出てまいっておりまして、来年度どういうふうにこの公務員給与の問題を予算的に処理をするかということになりますと、これは単なる事務的な考え方だけではいけませんで、いろんな解決を要する重要な問題を、政府の首脳、あるいは政府を通じまして党の首脳といったところと相談をいたしまして決定されることになろうと存じますんで、来年度予算でそういった方向に一歩を踏み出し得るかどうかという点になりますと、私の事務的な立場からはちょっと御答弁申し上げかねるわけでございます。  ただ、先生の仰せられました点の計上のしかただとか、率の問題だとか、いろいろこまかい点は別といたしまして、基本的には、やはり今後人事院勧告財政制度を調和さしていくという点から見ますと、そういった方向で考えなければいけないのではなかろうかということを、私たちも少なくとも財政を担当している事務当局としては考えておるわけでございます。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 あと質問者もお待ちですし、時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いして、本日のところはこのことについての質問は打ち切りますが、大蔵省としては、従来からも、国債の発行減に伴うその穴埋めをしなければならぬとか、あるいは食管会計への繰り入れ、こういう問題も関連してくるので、一般職の場合は完全実施できないのだという意味の答弁が従来なされてきたわけです。しかしながら、今度は一方三公社現業財源について考えるならば、相当苦慮しながら、先ほど指摘申し上げたように、建設事業の繰り延べ、経費の移用、流用、こういうことを大蔵大臣の認可によって完全実施が行なわれてきておるわけです。にもかかわらず、一般職については、この財源難を口実にして実施時期を切り捨てられてきておるわけです。これはどうにもつじつまが合わぬわけです。結局、繰り返し申し述べてまいりましたように、財源問題では断じてないわけです。実施しようとする誠意の問題であり、方針であり、給与政策であるわけです。そこで、最終的に要望を兼ねてお伺いするわけですが、一般職公務員給与改善の最終決定をなすのは、先ほども申し上げたように、閣議では決してなくして、国会であるわけです。しかも、その国会はあげて、完全実施すべきである、こういう衆参両院において決議があげられ、これは議長を通して政府に申し入れられておるのは、最初申し上げたとおりであります。そこで、ことしこそは、補正財源にも恵まれておるし、完全実施を行なう条件は十分に整っておると思う。そこで、公務員給与はある程度押えるのだ、そういう政策を転換しさえすればできると思うのです。そういう誠意の問題、政策の問題に尽きるわけです。  そこで、繰り返しお伺いしてまいりましたが、ひとつ給与担当としての総理府においても、また財源を事務的に捻出する大蔵省においても、当然責任を持って、ひとつことしこそ、以上申し上げたような趣旨から、当然完全実施してしかるべきだと思う。国会を尊重するということを文字どおり実施されるならば、当然かくあってしかるべきだ。特にほかの省は――たとえば総理府とか官房長官がぜひ完全実施しようとしても、財源を握っておる大蔵省がこれを拒めば、実際には実現できないという事例があるわけです。しかも、大蔵省は――大蔵大臣がおれはいろいろさらに追及したいと思ったが、大臣がおりませんのできわめて遺憾でありますが、従来大蔵省はいつも完全実施に反対してきた。そういうかたくなな考え方をかなぐり捨てて、ことしこそ以上申し上げた趣旨に基づいて完全実施に最高の努力をしてしかるべきだと思う。こういう要望を兼ねて、それぞれ総理府、大蔵省の決意のほどをお伺いして、私の質問を終わります。
  44. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 伊藤先生のおっしゃるところよくわかるわけです。実際に私ども給与担当をいたしてまいりまして、非常に難点になりますのは、この人事院勧告が、四月末現在で民間との格差を検討する、そうして八月に勧告が行なわれる、こういういきさつ。それで、いつでも内閣委員会その他でも問題になり、何とか検討せねばいかぬということになっておる。当初予算には組んでない。そうすると、やっぱり結局財源問題になると大蔵省において言われるということになって、それは非常に強い発言になるわけです、実際問題は。組んでないのですから、ない金はないということになってしまう。それでこれは何とか改善をしなければならない。そのためには、いろいろな改善策が討議されておりますが、いま大きく問題になってまいりますのは、先ほど主計局次長も言われましたが、事務的の見解で言われておりますが、政府としましても何とか――例の宮澤発言というのも出ておりますが、給与改善関係予算を当初予算で組むというのはどうかという意見も相当大きく出ております。あるいは、この改善の勧告の時期というものをもう少し何とかならぬものだろうか、結局。これは途中でばかっと出てくるということのないような改善策はないだろうかという意味で、はなはだ申しわけなく、毎回、検討検討で申しわけございませんが、相当真剣にその点は取り組んでいる。そういう意味で、事務当局としましても、はっきりその点について発言されるということは従来にはなかったわけでございます。こういう点をひとつ御賢察賜わって、私どものほうとしましては、従来の考え方をより一そう真剣に進めていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  45. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) ことしの問題は実はもう――先ほど、国会で最終的というふうに申されました、そのとおりでございますが、諸般の観点から、政府としてまことに申しわけないけれども、八月から実施するということで決定を見ておりますので、先生の御指摘財源問題ではないんだというお話でございますが、その点は実は、補正要因を大蔵大臣もたびたび御説明申し上げたかと存じますが、他の補正要因というのはほとんど事務費的なものでございまして、そういう財源的な観点も一つの大きな理由になっておろうかと存じます。ただ、しかし、財源だけではなくて、諸般の情勢、諸般の事情――財源も一つの大きな要因でございますけれども、その他の各般の見地から検討した結果、八月から政府としては実施いたしたいということを決定いたしておりますので、本年は政府としてはこの方針で進む以外にないというふうに考えております。将来の問題といたしましては、この閣議決定にも、先ほども触れましたが、要するに、財政制度という人事院勧告のあり方との調和についてさらに検討するということを特にうたっているのでございます。で、もちろん、人事院のほうに、現在の財政制度、すなわち、四月-三月という財政制度に調和していただいて、当初予算に組み入れるように勧告をしていただきたいということをお願いできれば非常にいいわけでございまして、これはもう法律予算も同時に出せるわけですが、この点につきましては、前にもいろいろ検討したようでございますが、なかなかむずかしい点がある。そういうことになりますと、今度は財政のほうから勧告に何とか近づいていく方途を検討するという方法を考えてみるということになるんじゃなかろうかと思います。こういう点につきまして、政府の閣僚あるいは党の関係の方からいろいろな御提案をいただいております。したがいまして、事務的には、そういったものを制度として十分に検討して、現在の人事院勧告のあり方と財政制度の調和という問題を解決していきたいという考えでございます。ただ、それは事務的には、私たちはそういうふうに希望はいたしますけれども、もういろいろと各方面に申し上げておりますように、来年度の四十三年度予算というものは、単に公務員給与だけではなくて、非常に困難な、しかも、非常に国政の基本に触れるような問題を多々かかえているわけでございます。したがいまして、そういう重要な問題の一環としてこれも取り上げまして、内閣、あるいは内閣を通じまして自民党のほうの御意見を伺いまして、その結論に基づきまして予算の編成を進めていきたい。したがいまして、来年度こういった先生の御指摘のありましたような方向に前進が見得るかどうかという点は、一に上層部の大きな見地からの判断にまつということになろうかと存じます。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまの主計局次長の答弁の中で、来年のことについては今後検討にまつと、それは一応了解できますけれども、ことしの場合は、十月二十日の閣議でもう政府の方針は決定したからどうにもならぬ、その方針どおりだ、このこと泥ついては、先ほど来申し上げたことを繰り返さざるを得ないわけです。われわれとしては、そういう答弁では承服できないわけです。一応十月二十日の閣議で、八月実施ということをきめましたけれども、これは一応の政府の方針であって、その後、衆参両院における決議があげられておる。これはもう先ほど申し上げたから、内容については申し上げませんが、それで、そういう事態であるから、さらに検討してしかるべきである、こういうことの角度からお伺いしておるわけです。ところが、もう十月二十日の閣議決定したのだから、政府の方針は動かせないのだ。そういうことはあり得ないわけです。一応は決定したのだけれども、その後、衆参の決議があげられておる、こういう事態はもう問題にしないわけですか、大蔵省としては。やはりそういう点もあわせ考えて、さらに検討の余地はあるのじゃないですか。
  47. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) この国会委員会の席上でも、また、内閣の中の給与関係処理する閣僚の会議といいますか、通称六人委員会と言っている席上でも、大蔵大臣は、その人事院勧告処理についてどうするかという決定をする際に、税の自然増収の見込みはなかなか九月決算の結果を見ないとわかりにくいのだということをたびたび申し上げまして、他の補正要因はほぼ固まっているが、税の自然増収の見込みが非常につきにくいということを申し上げてまいった次第でございます。しかしながら、諸般の情勢上、やはり一歩でも前進するようにという内閣の判断で、八月実施ということを決定したわけであります。で、その際に、異例なことではございますが、官庁関係の行政経費の節約率を七%節約してほしいということをその閣議決定の中にうたって、財源の見通しがないから特に七%の節約を同時にお願い申し上げた次第でございます。その後、主税局の、九月決算の結果がほぼ明らかになってまいりまして、現在、補正予算の編成作業を行なっているわけでございます。で、これはまだ編成作業中でございますので、その内容については申し上げかねるわけでございますが、非常に財源的に苦慮いたしておりまして、非常に必要な義務費的なものを処理するにすら財源が不足しているのが現状でございまして、現在いかにして補正予算の必要な財政需要を満たすかということで、連日、大蔵大臣以下関係者が苦慮しているわけでございます。実はいままで税の欠減が出たという年は非常に少ないわけでございまして、その点、大蔵省は常にかために見積もっているからそういうふうに思うのだというふうに、まあ一般的にはとられるのではないかと思いますが、ことしに関する限りは、事実、現在主税局で出されている数字では補正予算の編成ができませんので、主税局にさらにもう一度検討をして税収の見積もりをできるだけ考えられる限りあげてもらうように現在お願いをして編成に苦慮しているような状況でございます、いずれ補正予算の御審議をお願いすれば、その実態が御理解いただけると思います。そういう点から見まして、実際問題として、八月実施という政府がきめた方針をさらに前進さすということは、現在の情勢では不可能な事態にあるということを御了解いただきたいと思います。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その御答弁は了解できませんから、またあらためて大蔵大臣にお伺いすることといたします。
  49. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 副長官のほうからも、主計局次長からも答弁があったのですけれども、人事院総裁もいないのでまずいから、これは、臨時国会が召集されますし、給与法が出ますし、その際にひとつ伺おうと思いますが、あと、級別定数の問題について伺いたいと思っているのです。私の質問には、次長も要りませんし、副長官のほうも要りませんから。――あと何かあるのですか。
  50. 八田一朗

    理事八田一朗君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  51. 八田一朗

    理事八田一朗君) 速記を起こして。
  52. 多田省吾

    ○多田省吾君 ただいま伊藤委員から御質問があったのと非常に重複するわけでございますけれども、十月二十日の閣議で八月実施ということにきまったようでございますが、先ほどお話がありましたように、三十五年以来去年まで七回にわたって、ことしを入れれば八回にわたって、人事院勧告の完全実施が、実施時期をめぐってされていない、そういう点で、もともと財源の有無から実施時期をきめるというのではなくて、完全実施するには財源の問題をどうすべきかということを根本的に考えなければならない、こう思いますが、どうですか。
  53. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) ごもっともだと思うのです。で、給与担当の総理府としましては、いま伊藤先生にも申し上げているとおりでございますが、一貫しまして、何とか完全実施というところで努力をいたしてまいったわけでございます。また、今後もするわけでございます。が、しかし、御案内のように、八月に勧告がございまして、当初予算には盛られていないわけです。ですから、どこかから財源を出さなければ実施できない。そこに財源問題というのが非常に大きくあがってくるわけであります。それとともに、大蔵当局の御判断、御意見というものが非常なウエートを持ってきているわけです。ですから何とかこれを改善をしなければならぬじゃないかという御意見は、内閣委員会でもしばしば出ておりますし、私どものほうとしましても、非常に真剣に取っ組んでいるわけであります。ところが、基本的に問題になりますのは、この当初予算の時期にはまだ勧告は出ていないということでございます。ですから当初予算に何らかの予算を組むという方法が一つ考えられる、あるいは勧告時期というものを予算編成時に合うように、タイミングが合うように何とか考えられぬかというような線で真剣に従来も討議しておりますが、いよいよ、相当これは、宮澤構想というような構想も出てまいっている時期でございますので、何とかこれを解決するように取っ組んでいるというのが実情でございます。
  54. 多田省吾

    ○多田省吾君 財源の問題で完全実施できないということは、どこまでも納得できないわけです。で、ことしは、初めは税の自然増収が例年になく多いということを言われましたけれども、反面、財政硬直化ということが大きな理由になっていると思いますけれども、じゃ、財源の問題を云々するならば、去年よりもことしのほうが、財源的に非常に八月実施するにたやすい事情があったと、そういうことが言えるのですか。
  55. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 実は、もう多田委員もよく御存じかと思うわけでござい準ずが、この財源という場合に、政府としましては、この給与関係だけでなくて、いろいろと重要な施策もございましょうし、また、財政硬直というような状態、いろいろな傾向というようなものを総合判断をしまして、そうして、その実施時期を決定をいたしている、こういういきさつなんでございます。ですから、それならば給与の完全実施だけの財源だけはまだあるじゃないかというような、こういう意味でなくて、いろいろな政府全体の重要施策なり、その他いろいろなものの財源、それを総合判断をしていくというようなことで、この問題が給与担当の総理府だけでなくて、御案内のように、大蔵、労働、官房、自治、経済企画庁――従来は五人委員会と言われておりましたが、経済企画庁長官が入りまして六人委員会になった。今度は文部大臣もお加わりになって討議をされる、こういうようなことでございます。そうして、それが関係閣僚委員会、いわゆる六人委員会と称せられるわけです。そうして閣議できめていく、こういうような式で処理をいたしておる。でございますので、その財源と申しましても、これはもちろん、重要施策とか、そういうものの財源その他全部をにらみ合わして総合的に決定をしていく、こういうわけでございます。
  56. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、五月実施はできない。去年の九月からことしの八月と、一カ月だけのいわゆる前進ができるのだ、だけれども、五月実施はどうしても財源的にできないという理由はどこにあるのですか。
  57. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) それは結局、先ほど主計局次長説明をいたしておりましたが、大蔵当局がよくその点を知っておられるわけでございます。こういうふうに思います。
  58. 多田省吾

    ○多田省吾君 この前、ILOの対日調査団がやってきて、ドライヤー勧告があったわけですが、その中でも、この公務員の問題におきまして、統治権者としての政府使用者としての政府が全然区別をされていないというような意見を述べているわけです。ですから、先ほどもお話がありましたように、使用者として給与の面で人事院勧告を無視しているわけであります。それでいながら、それに対抗して争議をやりますと、たちまち処罰する。そういう点は、政府として自分が法を破っていながら、公務員にだけ順法を求めるはなはだ身がってな姿である、このように思います。どう思いますか。
  59. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 先ほど伊藤先生の御指摘に際しまして申し上げたことを繰り返すようなことになって、はなはだ申しわけないのですが、いま政府が法を破っておるという、そういうふうな考えではないのでございます。これは尊重をいたしていくということですけれども、しかし、給与担当の私どもとしましては、とにかく実施時期も内容もすべて完全実施にしてほしいということを従来強く主張もし、努力もいたしてきた、こういうわけでございます。それで、一方、その争議の関係につきましては、これは御案内のとおりに、公務員が国民の一般の奉仕者である、こういうような立場で法律上はっきり規制されておるわけですね、そういう行為をしてはならぬという。ですから、そういうものにつきまして政府としては措置を講じていく、それは当然なことである、こういう立場をとるわけでございます。
  60. 多田省吾

    ○多田省吾君 その点に関しては、われわれはどこまでも法を破っている、このように主張するわけでありますけれども、次に、都市手当の問題で若干質問したいのですが、三年をめどにしてやっていきたいという方針らしいのですが、都市手当については、文部省等でも人事異動の点で難点があるからということを理由にして反対の意見もあったわけですね。都市手当をそのまま実施する考えというものはどこから出てきたかという問題ですね。
  61. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 都市手当を実施するという考え方はどこから出てきたか……。
  62. 多田省吾

    ○多田省吾君 都市手当人事院勧告をそのまま認めて実施するということにきめたでしょう。
  63. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) それは、人事院勧告につきましては、これを尊重していくというわけです。結局、人事院勧告の中に都市手当というものが出てきている。ですから、その勧告を尊重して政府は動いている、けれどもが、それに対しまして尊重するというわけですから、その人事院勧告の内容について、いろいろな意見が出てきている。そうして給与関係閣僚会議でいろいろ出てくる。そして実際的には、あるいは自治省関係、あるいは文部省関係の大臣から相当な御意見も出てきておる。それ以外にも、いろいろ御意見が出てきた。けれども閣議決定におきましては、人事院勧告の点については内容を尊重してそうしてやっていこうということになっている、こういういきさつです。
  64. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、人事院勧告に盛られていないこれから何年間やっていくかという問題についても、三年間やっていきたいというようなことをきめられたんじゃないですか。そういった点は勧告には出ていないわけですよ。  それから、いま言ったような各省からいろいろ申し入れ等のことがあったそうでありますけれども、そういう難点を打破できるお考えがあるのかどうか。その二点を伺いたい。
  65. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 実は政府が考えております態度というものは、人事院勧告が出ます、それを尊重してやるということなんです。ですから、人事院勧告が出た場合に、それに対して政府としましてはこれを検討していくということは当然であると思うんです、責任政府としましてはあるわけですから。でございまして、都市手当につきまして、そういう意味でいろいろな検討が行なわれた、こういうわけです。それで、それに対しまして内容を尊重しながら、とにかく政府としましてはこれに対処していこうというわけでございまして、人事院勧告というものにつきまして尊重していく態度につきましては変わりはない、こういうわけです。
  66. 多田省吾

    ○多田省吾君 三年をめどにしてやっていきたいということはどこから出たんですか。
  67. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 人事院勧告の中に都市手当というものがある。都市手当というものにつきましては、結局いろいろな意見がある。この人事院勧告都市手当というものについては、これはそのままのめないというような意見もあったり、いろいろな意見があった。とにかく、この人事院勧告の内容を尊重しながら対処しよう、こういうわけでございます。そうして、その点につきましては意見が相当あるわけでございますから、これを暫定的に考えていこうという態度をとっておる、こういうわけです。ですから、人事院勧告としての都市手当という中で暫定的に処理をしていくということについては、決してそれを尊重しないというふうには考えていない、こういうわけなんです。
  68. 多田省吾

    ○多田省吾君 人事院の給与局長いらっしゃいますか。――暫定手当を三年間でなしくずしになくしていきたい、そうして都市手当だけにしていきたいというお考えらしいんですが、政府が三年をめどにしてやっていくという考えをきめたらしい、そのことと同じに考えていますか、別に考えていますか。それから三年間ということに対して、どういうお考えですか。
  69. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 人事院といたしましては、今回の勧告の中に都市手当を設けました。現在の暫定手当は暫定的な制度でございますから、しかも、定額的な制度でございますから、これでは、都市における官民較差が大きいのでございまして、職員がなかなか来てくれないということが、非常に大きな人事上の問題でございますので、これを解決するために、全くの解決というわけではございませんけれども、少なくともだんだん相対的に小さくなっていく現在の暫定手当制度を変えまして、定率的な都市手当制度を設けることが適当だというふうに考えたわけでございます。この関係取り扱い方につきましては、実質的に尊重をして、その具体化につきましては、現在法案化につきまして検討しておるというふうにいま承知をいたしております。詳細なことは、まだ明確なことは承っておらないわけでございますけれども、私どもとしましては、そういう実質的な内容がこの法案に十分生かされるということが最も必要だというふうに考えておりますし、他面におきまして、この都市手当と申しますか、地域的な給与制度と申しますのは、私どもとしては、都市における給与が、非常に民間給与が高うございますので、どうしてもこれを何とかするために考えたわけでございますけれども、一面におきましては、いわゆる地域的な給与制度の一つの弱点でございますけれども、人事交流のほうからいいますと、やはり問題点がございます。したがいまして、そういう人事交流という点だけから考えますれば、やはりそういう制度がないほうがよろしいということになるわけでございまして、いわゆる地域較差の是正につきましては、いろいろな施策がなされておるわけでございますけれども、そういう観点についてのマイナス面というものもございますので、こういう関係は、一方におきましては、やはりそういう実際に較差がございますれば、また人を採るのに問題があって、どうしても必要やむを得ない制度として現在考えておるということでございますので、これは絶えずやはりその状況を把握して検討していくという必要があるものと考えております。
  70. 多田省吾

    ○多田省吾君 人事院にはあとでまとめてお聞きいたしますが、最後に一つだけ。それは先ほどの質問と重複するのですが、自民党の西村政調会長は、新聞によりますと、どうしても公務員給与問題は当初予算に入れたいということを言っているわけです。そういう機運が非常に高まっておると思います。そういうこととも関連して、政府は明年から当初予算に組み込む考えはほんとうにおありかどうか、そうしてまた、人事院の勧告時期等についてもいろいろ考えておると言いますけれども、現在の時点において、はっきりしたお考えがあるのかどうか、この二点です。
  71. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) いま多田委員からも御指摘になりましたことは真剣に考えておるということは事実でございます。しかしながら、これがまとまったわけではございません。先ほど大蔵の主計局次長が来年はちょっとというように言われている感触もございましたりしまして、非常に高度な政治的な処理になるだろう、こういうふうに思いますが、真剣に考えておることは間違いございません。
  72. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私はきょうは人事院総裁が出ていらっしゃらないのでちょっと困る点もあるんですけれども、人事院の給与局長大蔵省給与課長がいらっしゃれば大体いいと思います。これは私は勧告の前にいろいろ人事院に対しまして要望いたしたわけなんですが、その要望の中の一つに、行(一)俸給表でいえば八等級に分かれているが、八等級の処理のしかたが非常に悪い、だからその処理のしかたを変えてくれ、これはいろいろな意味で重要な問題を含んでおります。含んでおりますが、それは一応別として、変えてくれという要望もその一つに入っておったわけです。しかし、勧告が出てみましたら、その要望については、少しも考慮されていない。しかも、いまちょうど等級別定数を改定する時期になっているわけです。大体十一月一ぱいできまるんだろうと思いますが、そういう意味で重ねて、この等級別定数をいま改定される時期に問題点を明らかにして、抜本的にはこれは勧告を変えざるを得ないと思うんですが、しかし、技術的に改正できる面も十分あるわけですから、この時期に、時間は短いですけれども、ひとつ伺っておきたいと思うんです。本来なら大上段に振りかぶっていろいろな資料を出して、そうして納得いただき理解をいただいて改定しなければならぬというふうに思いますが、時間が非常に少のうございますから、したがって、そういう資料等も十分出さないで伺っていきたいと思うんです。また私の意見も述べていきたいと思うんです。  それは、八等級がいまの公務員の俸給表の典型をなしておるわけですが、そうして公務員の半数――二十四万という人たちがこの行政職俸給表の(一)を適用されているわけですね。それで、この二十四万の人が行政職俸給表の(一)を適用されているんだが、もう六年ぐらい前から、人事院の中でも、定員を扱っておるところの行政管理庁でも、どうも六等級のところと五等級のところは、ヘビが卵をのんだような形になって、まずくなってしまっておるということが言われておったわけですね。もう七年ぐらい前でしょう。ますますこの六等のところと五等のところは異常な状態になっておるわけです。その卵がだんだん大きくなりまして、鶏の卵だったと思うんですが、ダチョウの卵みたいな異常な状態になっているんです。なぜこれを処置しないのかということを私は、この三年ぐらい前からですか、非常に口をすっぱくして言っているんですよ。そこで、まあ大上段に振りかぶってみてもしょうがありませんから、若干のお伺いをいたしますが、この一等級から八等級まで見ますと、三十五年から四十二年度の七年間の間に、このヘビが卵をのんだようになっておるところがどのように大きくなったのかという点を見てみますと、この六等のところは一年に五千ずつここへ滞留するんですね。だから二年たちますと一万滞留するわけです。いまここに約七万の人が滞留しておる。二十四万の中の三分の一足らずがこの六等級におるわけです。そうして平均年齢が実に四十歳になってきておる。三十九・三歳ですが、もっとこれは上がっているんじゃないか。四十歳という状態になって、異常な状態です、これは。それから五等級は、これは一年に大体二千五百ぐらいずつここへ滞留する。それで、二年たちますと五千滞留するわけですが、これはいまここに五万三千という人がいる。この七年間の間に、六等級は七割ふえているんですね。それから五等級は四割ふえているんです、人間が。あとは、四等級は約七年間の間ほとんど変わらない。三等級は三十九年にできたんですから、ここではあれしませんが、二等級もほとんど変わらない、七年間の間。一等級もほとんど変わらない。七等級については、むしろずっと減っている。八等級は、これはいま新規採用が五、六年前から始まっておりますから、幾らかふえておりますけれども。ですから一等級から八等級までの等級制を見た場合に、何がゆえに六等級と五等級がこの異常なる状態に放置されていなければならぬのかという点なんです。何で放置しなければならぬのか、これはどういうふうに考えておられるのですか。いままでこの七年の間、いいかげんなことをしている。しかも、ぼくは四年か三年ぐらい前からやかましく言っている。そういう状態でいいと思っておられるのかどうか、給与局長に聞きます。それから等級別定数を査定をする大蔵省給与課長に、どういうふうに考えておられるか、聞きます。
  73. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 御指摘の問題は、私ども給与の運用といたしましては、非常に大きな問題であると意識してこの問題に現在対処しておるところでございます。つまり、現在の公務員給与制度が、御承知でございましょうけれども、職務と責任に基づいて給与を支給するというたてまえに相なっているわけでございまして、たとえば行政職俸給表につきましては、八等級制度をとっておりますけれども、それぞれの等級にはどういう職務内容の人が標準的に格づけされるということが定まっているわけでございます。したがいまして、こういう一つの評価基準に基づきまして、職務と責任に基づきましてそれぞれ給与の処遇をしていくというたてまえに相なっておるわけでございますけれども、いま御指摘のございますのは、現在の公務員職員構成が非常にいわば異常でございまして、たとえば昭和二十三年ごろに入った人が非常に多うございまして、昭和二十三年の平均年齢は二十三であったのが、昭和三十年には三十歳になり、昭和四十年には四十歳になるという方向で動いてきているという事実がございます。で、そういう実際の職員構成の、新陳代謝が非常に少ない異常な職員構成がございまして、そういう職員実態から、それぞれの職員に割り振られます職務と責任と仕事という関係につきまして、だんだん問題が生じてきておるわけでございまして、各省庁といたしましても、そういう、つまり、経験を積み能力が増してきた職員に対して、仕事のあり方をいろいろ検討していくということをいろいろ研究してやってまいっております。で、私たちといたしましても、それに対応いたしまして、それぞれの職務の評価というものをいたしまして、つまり、等級別定数を毎年改定をするということで対処をいたしておるわけでございますけれども、その等級別定数は、給与法の八条にも書いてございますように、行政組織に関する法令の趣旨に従いまして設定をいたすべきものでございまして、処遇の問題から直接、等級別定数をどうするという問題にはどうしても至らないのでございます。で、私どもといたしましては、そういう処遇の問題といたしましては、一方におきまして、やはり俸給表のあり方というものを勧告のときに一方において検討いたしますとともに、他面におきましては、そのように各省庁において仕事のあり方、だんだん経験を積み能力のあります職員についての、いわば職務の付与のしかた、そういう問題につきまして、毎年職務の評価を改めてまいるということを他面にやりながら、この問題にいま対処をいたしてきておるわけでございまして、ことしも、俸給表の改正にあたりましては、今後御審議いただくわけでございますけれども、六等級や五等級の十四号俸以上のものにつきましては、その改定率を八%に高めるとか、たとえば六等級の十三号のところをとって見ますると、従前、いままでの現行俸給表は昇給が千三百円でございますけれども、これを千九百円に改めるとか、あるいは六等級の幅を一号延ばすとか、そういうことで、待遇、給与面といたしましては、俸給表の上で対処をしてきておるというのが実情でございまして、今後もそういう関係は、十分御指摘のところを考慮いたしつつ対処してまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  74. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 予算を査定する立場で給与課長の答弁を求めるということでございますので、お答えをいたします。  われわれといたしましては、先ほど人事院の給与局長がお答えをいたしましたように、すでに釈迦に説法でございますけれども、俸給というものは、公務員の職務の複雑、困難、責任の度に基づき、かつ、勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤務条件を考慮したものでなければいかぬ。それからまた、給与法八条に、先ほど引かれましたように、国家行政組織に関する法令の趣旨に従い、予算の範囲内で、職務の等級の定数を設定し云々ということもございます。そこで、お話がございましたような考え方は、本ぎまりに固まっていく過程におきまして、私ども予算面を担当する者といたしましては、人事院が直接御所管でありますこの等級別定数の考え方につきまして、緊密に打ち合わせをしながら、しかも、予算の範囲内におさまるという適正なるかっこうを求めつつ進んでおるというところでございます。等級別定数の改定というものは、すでに御承知のとおりでございますけれども国家公務員は勤続期間が長くなるに従いまして、その事務処理能力もあがってくる、事務処理能力があがるにつれ、また、対象である行政需要というものも複雑かつ困難となっていきつつある、したがって、その人間の格づけされる等級号俸といいますものは、職務と責任のあり方に反映をするものであって、いつまでも同一の格づけで残っておるはずはないというのが理屈でございます。それからまた、先ほど来御指摘のように、ヘビが卵をのんだようなかっこうということも、われわれ、人事管理上の問題としては重々実質的に承知をいたしておりまして、その点につきましても、人事院のほうのお考え方とともに、緊密に考え方を打ち合わせながら進んできておりますので、その人事院における専門的な検討の結果をへし曲げたというようなことは毛頭ございません。具体的に申し上げますと、いわゆる等級の切り上げという点につきましては、五等級に上げるというふうな、ただいま具体的な資料を持っておりませんので、数値について申し上げるわけにいかぬのが残念でございますけれども、五等級に切り上げるという点には、人事院においても重点的に取り扱われておったように存じておりまするし、また、それに応じましてわれわれのほうも処理をいたしております。また、五等級に上がっていきますためには、上のほうがすかぬと上がりようがないのでございますので、三等級、四等級というものにつきましても、特に三等級というものについては、これは等級別定数を大幅にと言うと、たたき売りかもしれませんけれども、相当な程度において考慮をされておるのに適応いたしましてわれわれのほうも考えさしてもらっておるということでございます。
  75. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまいろいろ答弁があったんですけれども、その答弁についてあれこれ申し上げる時間がないわけなんです。そこで続いて伺いますけれども、これはいま大蔵省給与課長もちょっと触れたのですが、三十九年の勧告で四等級から新しく三等級が生まれたわけですね。人事院の中では一面これを中二階と言う人もいます。あるいは隠居所とも言い、別居所とも言う。そういう中二階みたいな新三等が生まれたわけです。それから、御承知のように、三十九年に指定職俸給表というのができまして、指定職俸給表が甲、乙に分かれて、つまり、二等級以上のものについては、指定職俸給表というものが新しくできることによって、非常に風通しがよくなった。つまり、昇格問題がうまくいくようになったということになるわけですね。処遇も非常によろしくなってきた。私はそれが不当とは言わない。それでいいと思います、当然だと思います。つまり、いま私が言っておるのは、八等級になっておるが、四等以上については、新三等という新しいものをつくることによって、四等から二等への壁、そこのところを相当大きく風通しをよくした。二等級以上については、指定職俸給表というものをつくることによって、非常に風通しがよくなった。たとえば指定職俸給表の乙というところ――指定職俸給表の甲、これは次官や長官ですからなかなか容易じゃないですけれども、乙、これは二年の間に定数が五割ふえています。四十年の四月――三十九年のことですから、実際手続がきまったのは四十年の四月ですが、二年の間に五割ふえた。それに伴って一等級、二等級というところは非常に風通しがよくなる。新三等というのも、最初できたときには三千六百ぐらい、いまは五千七百ぐらいになっております。これも六割程度ふえた。四等の風通しもよくなってきたというのですが、そういうようなやり方が、なぜ五等、六等にできないのかという点なんです。これを私は言ってきたわけなんです。しかし、いまこれを言ってみたってしかたがない、勧告の問題ですから。ですから、この機会に私は重ねて、いま言うそういうような処理がなぜできないのか、局長も大蔵省給与課長も、給与というものはこういうものだという話がありました。しかし、そういう話がありましたが、一体、定員を管理しておるところの行政管理庁なり人事院というのが、どれだけの人間をもってそういうものを研究調査されておるのかということになりますと、これはどうもお恥ずかしい話でありまして、私が言うまでもなく、行政管理庁というのはわずかに三十二人しかいない。それが、三万何千という定員要求があった。それを見るだけでも手一ぱい、それも十分できないという状態です。ですから、そういう法律法令のことは一応別にして、いま私が言うようなことがなぜできないのか。さらに、先ほど申し上げましたように、この二年の間に定数が四割も五割もふえるところがある。そういう定数がふえることはできないのかという点を言ってきたわけですけれども、いまこういうことを言ってみても、どうにもならないので、これはぜひ勧告のときにひとつ局長のほうも考えてもらいたいと思うのですが、ただ私が言いたいのは、その程度考え方をいまこの等級別定数の改正のときにも努力してもらいたいということなんです。さきの局長のお話によりますと、何かいろいろ長というものをつくったり、あるいは職務を新しく評定しまして、何とか官というものをつくったり、あるいは新しくできたそういう長の職務評価がえしてをみたり、あるいは、何とか官の職務評価がえをしてみたり、いろいろのことをしておられることはわかるのです。しかし、私はそんなことでは救えないと思うのですよ、解決しないと思うのですよ。しかし、そういうことが行政の運営上非常にマイナスになっていますね。人間が考えられる限りの長なんですよ。人間の知能が働かすだけの何とか官というのができまして、いま役所の中に行きますと、カンカン鳴りわたっている。どこにも官がおる、何とか官、何とか官。うっかりすると妙な官までできて、そんな官があったのかというくらい、何とか官、何とか官という名前がついておるんです。さらに長というものが一ぱいできました。そういうものは、下の者にとっては労働強化にしかなりませんよ、長になったら労働しませんよ、まとめ役になって。たとえば食糧の出張所長というのがいます。出張所長があって、その下に支所長がおって、またその下に次長がいます。次長になったら、すわっちゃう、一人人間が足りなくなっちゃう。いやになっちゃう。そういう長とか何とか官というもので、悪知恵と言っては悪いのですが、とにかくお役所の考えるだけの官とか長というものをつくっちゃっているから、そんなものでは解決しないから、そこに問題が出ておるんじゃないですか。ですから私は、等級別定数を思い切って変えるという、そういう努力を人事院もやってもらいたいし、直接また予算の上で査定をされる大蔵省のほらでもひとつ考えてもらいたい。私も具体的に去年の査定をずっと見てみました。資料をもらいまして。普通、査定というやつは、各省出すと削るものですが、等級別定数だけについては、各省から出た要求定数に対して、大蔵省がプラスしておる。給与課長なかなかおりこうなことをやりますよ、プラスしている、ふえている。そういうくらい、定員については問題があると思う。渋い大蔵省にとっても問題がある、人事院も問題があると考えておられる。いま私が問題にしている六等級と五等級のところは、なかなか解決ついていないのですよ。この連中はあと四年たったらどうなりますか、明らかですよ。六等級というところは平均年齢三十九歳――四十歳になっている、えらいものですよ。局長に伺いますが、局長、人事院の規則の中にこういうのがありますね、等級別資格基準というのがありますね。これは、等級別の資格基準というのがあるのですが、これを見ますと、中学校を出て五等級になるには三十二年となっておりますね、最短距離を示したものですね、三十二年。高等学校を出て初級職の試験を受けて入った者は、三十一歳で五等級になるようになっておりますね、最短距離。大学出て上級職の試験を受けて五等級になるのが二十九歳、最短距離。まあ上級職の場合は二十九くらいで五等級になるのじゃないでしょうか。それじゃ、高等学校出て三十一歳で五等級になるかというと、とんでもない。いま言ったように、三十九歳になって六等級ですよ、平均年齢。平均年齢おそらく四十越さなければなかなか五等級になれない。これは生きているんですか、この資格基準表というのは。あまりべらぼうに差があるようなものはやめたらどうですか。十年も差のあるようなものはむちゃくちゃですよ。こんなものはやめたらどうですか、形式的なものですから。これは生きているんですか、ちょっと伺っておきます。
  76. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) ただいま等級別資格基準表につきましてお話があったのでございますけれども、この等級別資格基準表と申しますのは、現在の俸給表が八等級に分かれておりまして、それぞれにつきまして、どういう仕事が格づけされるかということが一つの標準職務表として定められておりまして、そのような標準職務表にのっとりまして評価されまして、それぞれの等級に格づけされるということでございます。一方におきまして職員がそういう職務に格づけされていくという場合におきまして、どのような職員を格づけするかという場合に、経験の程度が、通常考えて、そういう等級に格づけされないのではないか――いわば常識的な考え方から申しましてあまりにも早過ぎる。いまお話がございましたように、大学卒の場合には二十九歳、高卒の場合には三十一歳という関係に大体なっておるわけでございますけれども、それよりも非常に若いというような経験の人が五等級相当の仕事を担当するというのはやはり非常に問題があるというふうに私どもは考えておりまして、そういう特別な場合につきましては人事院の承認を得てもらいたい。それよりも経験の多い人については各省のほうでやってけっこうですという、一つの特別な場合について人事院のほうで承認を得るようにしてもらいたいというところの基準が等級別資格基準表でございます。したがいまして、いわば標準的な最短の話でございまして、この資格さえございますればもう必ず上の等級になるんだという性質のものではないわけでございます。
  77. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 局長、要するに、等級別資格基準表というのは、これで資格があるんだということだと思うのですね。だから、むちゃくちゃな話で、これまたもうみんな資格があるわけですよ。六等級にいる人も、五等級にいる人も、みんなあるわけですよ。高校を出て三十一歳で五等級なんですからね。ですから、全部ありますよ。これはもうみんな資格がある。それが六等、五等にぶったまってどうにもならぬという実情ですよ。これはどうするんですかね。どうして勧告のとき変えなかったのです。いまさら言ってみてもしようがないけれども、来年のこともあるから言っておきますけれども、どうして勧告のときに変えなかったのです。都市手当をつくるぐらいだったら、これを変えたらどうです。異常な状態ですよ。前から言っているのです。異常だというのがダチョウの卵になっているんだから、これは人事上、行政運営上非常に問題ですよ。ところが、ここを上げるというとちょっと金が要るという点はありますがね。民間の場合の係長というのは何歳かということは、私は何回も言っているように、民間の係長というのは、人事院が出しているように、幾らでしたかな、三十五歳でしょう。民間の、人事院が五等級と言っているところは三十五歳なんですよ。わがほうの公務員のほうの五等級というのは四十五歳なんです。むちゃくちゃですよ。そこら辺を改善しなければならぬのじゃないですか。四等以上はどんどん改正した。私は、先ほど大蔵省給与課長の話がありましたが、三等級をもっとうんとふやす。それをうんとふやすというのは、三等級と二等級とほとんど同じ数字なんですから。二等級は三千七百人、三等級は三千五百人でもって始まったわけですね。いま四千七百人くらいになっている。これをうんとふやす。そして四等から繰り上げていく。あいたところを五等から繰り上げていく。六等から繰り上げていく。そういう措置はとれないものですか。来年の勧告では、私の主張は、いまの四等というものを三等にしなさい、五等というものを四等にしなさい。四等というのは、人事院はなにでしょう、五百人以上の係長でしょう、民間の。四等というところは民間の五百人以上の係長ですよ。公務員の係長をなぜ四等級にしないのか。民間の四等級と合わせないのか。民間の係長となぜ合わせないか。合わせてもいいはずでしょう。しかも、年齢が民間よりも十も上なんですよ。どうもわからぬですな。どうして処理しないのかと思うのですね。それから、金が要るということならば、暫定手当を繰り入れたように三年計画でやってもいいじゃないですか。さしあたっては本年は三等級を思い切ってふやす。そして四等から繰り上げていく。そして五等から四等に繰り上げていく。六等から五等に繰り上げていく。こういう措置をまず考える。さらに各等級の級別定数も思い切ってふやすというふうにやられたらどうなんですか。それでしかも各省若干のアンバランスはありますね。省によってはやめるところもありますよ。どうも年金がつきますとさっさとやめていくところがある。行くところがあればどんどんやめていく。そういうところは四等級にどんどん上がっている。しかし、なかなか行くところがないようなところ――人事院とか行政管理庁あるいは農林省というようなところは、やめたってなかなかよそへ行けないから、五十六まで、七十までつとめたいというところもある。ところによっては、年金さえつけば、四十ぐらいでつくわけですから、さっさとやめてしまうというところがありますから、その差はありますけれども、これは全体として見た場合、問題がある。そういう省についていまどういうことを考えているのですか。人事院は平を考えていないのですか。よく言う平は。つまり、係員で五等級というものをいま考えていないのですか。なぜ六等級から五等級への平五を考えないのか。これも人事院よくないですよ、平五というような使い方は、とにかく係員で五等級という人はなぜできないのですか。それを説明してもらいたい。そういうことをちょっと説明してもらいたいですね、どういうふうに解決しようとしているのか。
  78. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 先ほど来、いわば四等級以上につきましては従前から指定職を設けまして、また三等級制度を新しく設けたというお話があったわけでございますが、これにつきましてはその当時御説明申し上げておりますように、指定職という関係は、従来行政職の一等級に、たとえば局長も次長も同様に格づけされておりまして、やはりそこには一つの評価の違いが当然にあるということで、そこのそういう関係をやはり適正化するという考え方がございまして指定職を設けたわけでございますし、また一方三等級につきましては、十分御承知でございますけれども、各県の食糧事務所をとりますと、部長も課長も同様に四等級に従前格づけされておったわけでございますが、上下関係をそのまま同じように等級に格づけするということは、やっぱりどうも適当でございませんので、その間に一つの区分を設けまして、部長のほうは三等級、課長のほうは四等級という形に職務の評価の区分をいたしまして、それぞれ職務の区分に応ずる給与を支給するというたてまえで設けたわけでございます。四等級以上につきましてそういうことをしたからといって、それが五、六等級につきまして直ちに波及するという性質のものではなく、それはそれ、これはこれの問題であるわけでございます。
  79. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 答弁の途中ですが、ちょっとそういう話は聞けませんから、質問します。それは局長ね、そういう答弁は承知できないですよ。そういう答弁をなさるんなら、いま一等には局長もおれば次長もおれば、部長もおれば課長もおります。そういうこともわからずにどうするんですか。あなた、一等級は次官、二等級は局長ということになっておった、三等級は課長ということになっておったものが、二等級の課長をつくったからそういうことになるんですよ。もともとそうじゃないんですよ。八等級ができたときは、一等級は次官、二等級は局長、三等級は課長となっておった。それを二等級の課長をつくったからそういうことになり、また、一等級の局長をつくったからそういうことになるんですよ。それを乱したのはあなたのほうじゃないですか。そうしておいて、同じ等級に職務の違った者もおるから、評価がえをして指定職の俸給表をつくったと、こういう言い方をされるわけですよ。それは私は了解できないですよ。逐次指定職俸給表をつくるための布石を打っていたんだから。いまだってそうですよ。一等級には局長も部長もおりますよ。課長もおりますよ。そうしたら、局長はこれはどうしたって指定職の乙に移さざるを得ないでしょう。そうしちゃってるんだから、これはそんな説明じゃだめですよ。だから、私の言うのは、そうじゃなくて、それだったら係長だって四等級の係長をつくりなさいよ、四等級の係長をもう少し。いまだって四等級の係長もおりますよ、古参係長というやつが。古参なんということばがつく班長の場合は、三等級の班長もおりますよ。それは筆頭班長ということばをつかっておる。一等級の課長、これは重要課長ということばを使っている。筆頭であるとか、重要であるとか、古参であるとか、それから平だと、そんなことは問題にならんですよ。だから、私の言うのは、いまの給与局長説明は納得できないですよ、全然。また、そうしていって指定職俸給表をつくったんだから。それは答弁にならないですよ。
  80. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 私がまあ申し上げておりますのは、四等級以上の関係と五、六等級の関係とは、やはりそれぞれの職務評価の問題でございまして、それぞれに適応した職務評価をやっていくということが必要でございますし、また適当であるという考え方で現在対処をいたしているわけでございます。で、御指摘のように、現在六等級あるいは五等級におきましては、やはり職員の構成上、年齢が非常に高まっていることは確かでございます。しかし、それは職員の構成そのものが非常に全体として、先ほど申し上げましたように、平均年齢が高まってまいっておりますので、これは全体としてもうやむを得ない性質のものでございます。そこで先ほど申しましたように、この面に対処をいたしますためには、一方におきまして俸給表の面でその俸給表が適当であるかどうか。つまり、昇給額の問題とか、あるいはその幅の問題とか、そういうことを勧告にあたりまして十分検討をいたし、青年これは対処をいたしてきておるものでございますけれども、一方ではそういうことをやるとともに、他面におきましては、各省と相談をしつつ、経験を積み、そうして力のある人がふえてきておりますので、そういう人々の能力を十分発揮させるような、そういう仕組みについて各省で十分検討してもらいまして、それが発揮されるような場合といたしまして評価をしているということをやってきているわけでございます。かつ、そういう関係は、先ほど御指摘でございますけれども民間におけるいわば昇進のあり方、それから職務段階の区分のあり方、そういったものを他面におきましていろいろ調査をいたしまして、そういう関係の比較も現に官民比較の関係でやっているわけでございまして、そういう関係を考慮しつつ現在の評価がえという関係につきまして対処をいたしてきております。  で、先ほど平五というお話がございましたけれども、つまり一般職員で五等級と申しますが、一般の係長程度のポストに格づけをするという点につきましては、仕事の性質からいいまして、それをそのまま格づけするということはやはりたてまえとして困難でございますし、また、民間との比較をいたしました場合にも、現在、民間一般職員とこちらのほうの一般職員との比較をいたしておりますのが、たとえば一般職員を五等級に出していくという場合には、民間一般職員を今度五等級の一般職員と比較をするというのでは、実際問題としていわばナンセンスな話でございますので、そこは一つの組織段階というものをやっぱり考えていかなければいけないと思いますし、現に在職する職員のそういう経験が増し能力が増しているという関係につきましては、先ほど御指摘がございましたけれども、役付等をいろいろ増していくという点につきましては、臨時行政調査会の指摘もございますし、実際問題としてなかなかそういう関係は困難になってきておるわけでございますので、やはり各省における専門職的な使い方、そういう関係の評価という関係に重点を置きまして今後対処を――現在も対処をしておりますが――今後も対処してまいりたいというように考えているのでございます。
  81. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私が言っているのは、いま局長がおっしゃった、人事院で言う平五というやつですね、何で平五というのか知らぬですけれどもね、平五、平五と言っている。だから、上級係員というのは六等級でしょう。その上級係員で――これは古参ということばを使ってもいい、あなたのほうは古参係長なんというのがいるんだから。四等級の係長がいるんだから。だから古参上級係員とでもしたらいいじゃないですか。なぜこれができないのか。なぜここの壁をそんなに厚くしなければならないんですか。ほかのほうは適当にみんなやっちゃったじゃないですか。何でここの壁だけ厚くしなければならないんですか。上級係員が六等級でしょう、お宅のほうの話じゃ。それじゃ、その上級係員の中で、筆頭でも、古参でもいい、係長待遇というものをつくったっていいでしょう。何でそこをやかましくしなければならぬのですか。あと、局長だって指定職の乙にいる人もおれば、一等級にいる人もおるんですよ。課長でも、あなた、一等級にいる人もおれば二等級にいる人もおるんですよ。いいじゃないですか、上級係員が係長待遇だって。何もおかしくないでしょう。何でそこをつくらないんですか、ここだけ。係長は四等級の古参係長もいれば、班長には三等級の筆頭班長というのがいる。何でここできないんですか。  それから、私が言っているのは、評価変えとかなんとか、そんな問題で片づかないのじゃないでしょうか。いままでそういうことをやってこられたわけですよ。人事院としてはいろいろ苦労されて、各省もまた苦労して頭ひねって、ほんとうに頭をひねって考え出せるだけの長をつくって官をつくったんです。専門職をつくったんです、官を。あらゆる名前がついていますね。一体あれはどういうことだと言うんです。これは局長だって覚えておらぬのじゃないですか、あんなたくさんの専門職をね。専門職なら専門職一本でやったらよさそうなものだが、名前がみんな違うんだ。一つ一つみんな違うんですよ、名前が。むちゃくちゃなんだな。まあ、それはそれとして、どういうふうに解決するか。そういうもので解決しないんじゃないですか。病膏肓に入ってしまっている、これは。だから、私が言うように、さっき大蔵省給与課長もちょっと言ったが、私はそういう意味じゃなかろうと思うけれども、この新三というものをもう少し再評価して、新三等というものを評価してあすこをもう少しふやす。うんとふやす。三年計画くらいでもいいですよ、うんとふやす。そうして逐次六等級のこの壁をあけないと、何ともならないですよ、ここは。人事院はいま人事院の中で何か五等か四等のところにかたまっているようですけれども、本気になってこれは考えてくれないと困るのですよ、これは。どういう解決をしようとしているのですか。さっきの局長の言うようなやり方ではもうできないのだ、解決しないのじゃないかという点を私は主張しているのですから説明を願います。
  82. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 鶴園委員は、平五が人事院の用語であるというお話でございますが、やはり私どもといたしましては、先ほどから申し上げておりますように、格づけはやはり職務と責任というたてまえがございまして、一般職員につきましては六等級が特に経験を積んだ一般職員ということで、六等級、七等級、八等級という三段階に、上級、中級という形で係員を格づけをしてまいっているわけでございます。で、いわゆる平五と申しますのは、やはり組合の発想でございまして、私どもは別にそういうことを持ち出しているわけではないわけでございます。で、先ほど御指摘のように、そういう上級職員の中でさらに古参の者を五等級に突き出したらいいのではないかというお話がございますが、やはりそこはただ年功というので上の職務に昇格というわけには、そこが一つのたてまえの問題でございまして、なかなか私どもとしてはむずかしいと考えております。で、そこはやはりたてまえの問題といたしまして、上級の五等級程度の仕事を、経験を積み能力を積みましてそういう仕事ができるし、各省がそういうことをさせるということに着目しまして評価をしていくということでこの問題はやはり対処をしていかざるを得ないわけでございますし、そういう方向でやはり解決の道を求めてまいりたいというふうに思っているのでございます。
  83. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 長くなりますからやめますけれども、先ほどから言うように、何でこの六等と五等のところだけできないのか、その説明が私は納得できないのですよ。どうしてもできない。ここだけどうしてできないのか。あとはみんなまとまっているでしょう。課長だって、あなた、二等級と一等級に、二つにまたがっている。上級係員だってまたがったっていいじゃないかと私は言っている。しかも、私の言うのは、これは異常な状態ですよ、ここはね。あなたは、局長は、ここは何か戦後のような話、戦後入ったからというようなお話のようですけれども、そうかもしれませんよ、しかし、この異常な状態というのはこれから十年くらいは続くのです。その十年くらいのものを何らかの形で解決しなさいと言うのです、暫定的でいいから。暫定的でいいから解決しなさいと言うのですよ。長とかなんとか、官とかいうものがつくよりいいでしょう。それだけあなた行政上マイナスになっている。何とか官、何とか長というのをむやみやたらとつくっちゃっている。人事院、頭がほんとうにかたくなってしまって、何とか官というのがつかなければ、長というのがつかなければ五等級に上げないというので一ぱいつくってしまうのですよ。それで一体行政というのはうまくいっておるのですかね。それより、先ほど来私が言うようなやり方をやったほうがはるかにいいと言うのです。それは五年間なら五年間、十年間なら十年間、暫定措置でもいいのです。今日のこういう異常な状態というのは十年後、二十年後には解決する問題でしょう。いまが問題なんです、五年の間、十年の間が。私は特殊な措置を講じていいと思うのですがね。都市手当に対してあの程度措置が講ぜられるなら、この問題の措置は講ぜられると思うのですよ、ぼくは。勧告の問題で講じてもらうとしても、当面私が言っているような措置がなぜとれないのか。やってもらいたい。異常な状態ですよ。そんなばかな話ありますか。八等級から一等級までの人員配置を見ておられて、それでいいと思っておられるのですか。むちゃくちゃじゃないですか。それを依然として職務給だ、職務給だなんてあなた言うけれども、一体それじゃ職務を調べているのですか。職務の重さと複雑さと、そんなものを科学的に調査しているのですか、一体。しちゃいないでしょう。何もしてない。また、できるだけの人員もいない、そんな機構でもない、こういう異常な状態を、何か依然として古い、あまり当たってもいないような職務とかなんとか、複雑さとかなんとかいうことにあくまでも壁を置いているというやり方がいまの行政上一体プラスになっているか、マイナスになっているかという点を人事院ははっきり考えるべきだ。しかも、いたずらに何とか長とか何とか官というものをむやみやたらとつくってしまっている。行政運営を阻害している。むちゃくちゃですよ。総裁がいないから、遺憾千万だけれども、ひとつよろしく処理してもらいますよ、ことしあたりから本気に腰を入れて。答弁頼みますよ。
  84. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 先ほどから御指摘がございますように、この問題はやはり職務給のたてまえと、それから終戦直後非常に多く入りまして現在相当な年配になってきております公務員における異常な職員構成とのいわば調整といいますか、調和の問題といたしまして、給与運営におきましては現在非常に大問題になっているわけでございますので、私どもといたしましては、そういう関係につきまして、民間状況も十分いろいろ調査をいたし、各省とも十分話し合いまして、できるだけ適正な形に今後も――現在来年度の定数につきまして大蔵省とも相談をいたし、各省とも今後相談をいたしていくわけでございますけれども、その関係を十分留意いたしまして対処をいたしたいというふうに考えます。
  85. 八田一朗

    理事八田一朗君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  86. 八田一朗

    理事八田一朗君) 速記を起こして。
  87. 多田省吾

    ○多田省吾君 政府人事院勧告を無視して完全実施をしないということにも大きな問題がありますが、人事院そのものの勧告について二、三お聞きしたいと思うのです。  基本的な問題ですけれども、一つは官民較差の実態調査が四月に行なわれているわけでございますが、なぜ四月実施にしないで五月実施にしておられるのか、それを明確にしてもらいたいと思います。
  88. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) この問題は、私ども総裁から何度も御答弁申し上げているかとう思っておりますけれども、五月実施につきましては、四月に調査をいたしまして、少なくとも五月からということで従前から勧告を申し上げてきているわけでございまして、最近組合からも、また、いま御指摘のように、四月から、当然調査したところから較差があるわけだから、ここから改定をするのが筋ではないかという考え方を承っているわけでございまして、私どもとしましては、総裁が答弁をいたしておりますように、この問題、そういう考え方も現在確かにあり得るということで、つまり現在両案あるということで考えているところでございまして、しかしながら問題は、一番最初に御論議がございましたように、実施時期がことしは八月に前進をいたしておるわけでございますけれども、なお五月とは隔たりがございますので、そのほうの問題がやはり先決であるというふうに考えているわけでございます。
  89. 多田省吾

    ○多田省吾君 八月実施の問題と四、五月の問題は別に関連はありませんから、それはおかしいと思うのですが、私たちはあくまでも、四月に調査したのですから四月実施を勧告すべきであると、このように主張するわけです。  それから、今度の引き上げで指定職の甲乙は、甲が一〇・三%、二万円、乙が一〇・九%、一万七千六百円、大幅な引き上げが行なわれている。しかるに八等級あたりは、従来は高度成長下での若年労働力の不足ということを理由にして、高卒初任給の人たちを中心に引き上げ率が非常によかったわけですが、四十年度は一一・六%、四十一年度が八・二%。ところが、四十二年度は七・二%と一番低いわけです。これは六月の十四日に各省人事担当課長会議要望事項というのが出まして、指定職俸給表や中級職俸給表改善ということは出ていますけれども、こういったいわゆる要望といいますか、圧力といいますか、これに負けて、そうして八等級等の若年層の引き上げを渋ったのではないかと、このように見られるわけでございますが、その点はいかがですか。
  90. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 各省の人事課長会議からの要望もございましたが、これは勧告にあたりまして方々の各省あるいは組合、あるいは関係団体等からいろいろ要望がございますが、その内容の一環といたしまして、私どもとしては、いずれにつきましても十分いろいろ検討をいたしているわけでございます。で、当面お話のいわば配分率の問題でございますけれども、従前はやはり労働市場の逼迫と申しますか、昭和三十五年ごろ以来初任給が非常に上がってまいってきておったわけでございますけれども、やはりその関係は、たとえばことしの初任給の上がり方は、大学卒で七・八%、高校卒で八・五%という形の上がり方でございまして、その関係は、全体、たとえば部長だとか、課長とか、あるいは係長その他各職務段階の上がり方を見ましても、大体一年間の上がり方が八%ないし九%ということでございまして、ことしの特徴は上下同率ということが特徴でございましたので、そういう関係として全体の引き上げを考えた、基本としたわけでございます。初任給につきまして御指摘がございますけれども、初任給につきましては、特に高校卒の初任給につきましては、従前から二つの関係を考慮しておるわけでございまして、一つは民間における初任給水準がどの程度であるかという点が一つございます。それからもう一つは、一人世帯と申しますか、独身世帯における東京における標準生計費というものを算定をいたしまして、その額をいわば保障するということを二つの面を考慮して従前やってきておるわけでございますが、昨年までは民間の初任給水準よりは、その標準生計費によって算定したもののほうが千円程度高い水準になっておったわけでございます。で、ことしそれを見ますると、東京における標準生計費の上昇率が非常に低うございまして、これは東京における生計費の家計調査の生計費の上がり方が非常に少なかった、ほとんどなかったという関係が、調査の問題にも問題があるかとも思いますけれども、ほとんど上昇がなかったという関係を反映いたしまして、東京における標準生計費を算定した結果が、上がり方が四%程度にとどまったのでございます。したがいまして、民間の初任給水準を調査をいたしてみましても、絶対額としましては従前から相当高い、千円ほど高い水準に去年はなっておったものでございますので、ことし標準生計費の上がり方が四%では、上げましても民間の水準よりはまだ若干高目という感じになっておるわけでございまして、そういう関係がございまして、今回は高率初任給が六%程度の引き上げということになっているわけでございます。
  91. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうおっしゃっても結局は、結果論としても八等級が一番上がり方が少ないということになれば、上厚下薄ではないか、こういうことになってしまうわけです。まあ、初任給についてはいまお話承りましたけれども、時間もありませんので……。  次に、いま御質問もあったんですけれども、等級別標準職務表とそれから民間の各職務をそれぞれ対応させているわけでございますが、その分類整理の場合、従来から公務本省課長民間の中小企業の支店長であるとか、公務出先課長民間の大企業の上級係員であるとか、非常にバランスがとれてないわけでございます。本来ならば公務員の本省課長民間の本社課長に対応すべきであるし、公務員の出先課長民間の支社の係長級に当然対応すべきである、このように思うわけでございますが、そうしますと、従来の方式よりも官民給与の較差がかなり大きくなってしまう。そういうことを考慮してか、直さないでいる。これは中立機関としての人事院として、はなはだ政府寄りの考え方じゃないか、このように思えるわけです。これに対して、簡単でいいですから、明確にお答え願いたい。
  92. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 勧告申し上げております基本は、民間公務員との給与の較差ということが勧告の基本になっているわけでございます。で、その前提条件といたしましては、両方でどういう関係を比較をするかという点が問題でございまして、私どもといたしましては、職務段階がお互いに同等な職務と、それから学歴、年齢、地域等が同等なものということで相互比較をいたしておるわけでございますが、その場合に一番問題ございますのは、御指摘民間の場合と公務の場合との同等な職務という関係が一番問題でございます。で、私どもといたしましては、これはやはり民間にもいろいろございまして、同じ課長と申しましてもいろいろございます。そういう関係を公務とどう比較をするかという点につきまして絶えず検討いたしておるわけでございます。この点は最も重要な問題でございまので、技術的でございますけれども重要な問題でございますので、絶えず調査をしつつ民間の形に合わせるという、両方の比較をするということにつとめているわけでございますが、たてまえといたしましては、本省庁における課長以下の段階とそれから民間における大会社の課長以下の段階という関係を対応させまして、民間の場合には課長の下に課長代理、その下に係長、これは大係長制度でございますが、一つの課に数人の係長がいるというのが普通でございまして、そういう係長。それからその下に主任、その下に一般係員がおるわけでございますけれども、官庁の場合には、課長の下に総括的な課長補佐、その下に係長、これが実質的には班長でございますけれども、その下に小さい係というのがございまして、そういう関係を相互に対応させておるわけでございます。で、地方関係につきましては、本省の職務段階との関係の相互評価という点を考慮いたしまして比較するということをやっておりまして、現在のところ、まずこの程度で適当ではないかというふうに考えているのでございますけれども、やはり、そこは問題がいろいろございますので、今後とも民間のほうもよく調査をし、またこちらのほうにつきましてもいろいろ調査をしつつ適正にやってまいりたいということを念願いたしているわけでございます。
  93. 多田省吾

    ○多田省吾君 では、具体的なこまかい点は後に譲りまして、次に、いわゆる春闘の積み残し分の算出というものをやりまして、このたびも二・二%の調節というものを見込んだわけでございますが、その算定基準ですが、全事業所の二三%にのぼる事業所云々とありますけれども、これは事業所の数による算出のしかたは妥当ではない。当該従業員をウエートに置いて算出すべきであると、このように思うわけです。そうすれば二三%じゃなくて、当然四・〇%近くになるのじゃないかと思う。これはちょっと算定のしかたが妥当ではないと、このように思いますが、どうですか。
  94. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 官民比較をいたします場合に、四月現在におきまして、先ほど申し上げましたように、非常に詳しい調査を実際にインタビューをいたしまして調査をし、そして相互比較をいたしておるわけでございまして、これがことしは五・七%という形に相なったわけでございます。そういう精密な調査をいたしておりますけれども、他面におきまして、やはり春闘、いわゆる春季の給与改定がやはり相当の会社におきましておくれている。四月の調査には入ってこないという関係が相当まあことしなんかはあったわけでございます。そういう関係が、いま御指摘のように、二割以上に達しておったわけでございまして、そういう関係を、ただそれを無視するというわけにもまいりませんので、それにつきまして、適当な、何といいますか、相当部分を積み込むということで七・九%の勧告を申し上げているわけでございますが、いま御指摘のところは、いわば積み残し分につきましての計算のしかたと申しますか、そういう関係についての技術的な問題でございますけれども、これは、いわば相当部分につきまして、考え方としましては非常に精密な話ではないのでございまして、四月の調査のような精密なものではないのでございまして、積み残している部分について相当部分を考慮するという大きな趣旨の中の話であるわけでございますが、ほんとうはこれはもう一度調査をいたしまして、そうして、先ほど申しましたように、職務別、学歴、年齢等こまかく調査をして判定すべき性質のもあでございます。しかしながら、そういう関係が不可能でございますので、いまおっしゃられましたようなことを、つまり、春闘としておくれておったということをはっきりつかまえました事業所の数ということと、それからその率ということを考慮して判定をいたしておるわけでございますが、やはりそれは大きい事業所と小さい事業所とではウエートが違うのではないかというお話であるわけでございます。しかしながら、一つの事業所の平均一〇%というようにとりましても、その一〇%の中身は、たとえばいわゆる職員と工員とをとりますと、工員のほうが一〇%であり、職員のほうが八%であるという関係どもありまして、ただ平均の上昇率だけを持ってくればそれでいいというわけにはやはりまいらないのでございまして、その辺は、何と申しますか、やはりもっと、詳しくやると言うからには、やはりもう一度踏み込んで比較をするという以外に方法がないというふうに思っておりますし、調査のやり方は、事業所で調査をしておりますので、これで考慮しておるというのが実情でございます。
  95. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、私言ったのは、どうせこういうことをやるのでしたならば、事業所単位じゃなくて、どれだけの人員が四月にさかのぼって適用されたかという、そのパーセントが二三%という、人員にしたら四〇%近くになりますから、四〇%と考えてやったほうがより正確であり、より趣旨にかなうのではないか、そういうことを言っているわけです。
  96. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 大きいところとそれから小さいところで、同じ事業所単位でやりますと、大きい事業所と小さいところがそのまま同じウェートで入ってくるというのはおかしいのではないかという御指摘でございますが、そういう面も否定できないと思います。しかしながら、先ほど申しましたように、ただ現在の調査は、事業所単位に調査をいたしておるわけでございまして、公務員なんかの場合も、同じような方向でやっているわけでございますが、事業所単位で調査しているのでございますから、事業所単位の上昇率というものも加味してやることが一応の筋であるという形で、調査の方式からすると筋であるというふうに考えておるわけでございまして、いまのような、御指摘のように、従業員のウエートも加味すべきであるという御意見もございますけれども、それはやはりもっと、その問題は職種別の問題ということに結局は相なるのでございますので、やはり現在の段階では、調査の方式に従ってやると、そのほうが適当ではないかということを現在は考えておるのでございます。
  97. 多田省吾

    ○多田省吾君 その点については、時間もありませんし、最初の事業所五七%調べたときは層化無作為抽出法という考え方があるわけですけれども、これは全部調べておるわけですから、やはり事業所単位よりも当該従業員のウエートにおいて考えるべきが正確である。算出計算のほうからもそうすべきである。そうしないのは、やはりなるべく低くしようという思惑があるのではないかと、こう言わざるを得ないわけです。その点はもうちょっと考慮してもらうことにしまして……。  次に、最後に、都市手当の問題でまとめてお願いします。  一つはこのたびの都市手当は、十年前にはずされたいわゆる地域給というものを復活するのではないか。それならば、最近――去年だって、おととしだって地域較差というものは非常に強かった。なぜ今回、前の趣旨を変更してこの地域較差を改めるための都市手当というものをあわててつくったのか、その点が一点。  もう一点は、どうしても実施上六%、三%の都市手当ということになりますけれども、甲地、乙地におきましても、本俸に扶養手当または特別調整手当を加算したものの六%、三%、こうなりますと、いわゆる特別調整手当は、管理職手当調整額というものがあると思いますけれども、管理職手当をもらっている高給者ほど非常に有利である、上に厚く下に薄くなりやすい、こういう点があるわけです。管理職手当が高いものほど都市手当が非常によくなる。  それからもう一つは、たとえば東京は甲地、市川あたりは乙地になるわけです。川を隔てておりますので、東京から市川にかよっている人も相当多いわけですね。たとえば市川に精神衛生研究所なんというのがあります。東京から市川にかよっている人は三%しかつかないのに、市川から東京にかよっている人は六%つくという、個々の都市の問題についてもそのほかいろいろ技術上の難点があるわけでございますけれども、どうしても公務員の場合、そういった個々の問題について大きな矛盾を感ずるわけですが、こういった点を何か調整しようというようなお考えはあるのか。  それから、先ほどお話がありましたように、政府では三年間はこの都市手当を何とか実行したいというような思惑であるように見えます。人事院としては、三年間という期限を限って実施しようという政府の意向に対してどう考えておられるのか、この四点をお願いします。
  98. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 都市手当でございますけれども、今回私ども都市手当を勧告申し上げましたのは、現在の暫定手当という制度がございますけれども、これは三十二年に地域とそれから額とが凍結をされまして、しかし一方において、いわゆるベースアップによりまして本俸がどんどん上がってきておるということで、ちょうど十年間でございますが、この十年間に一段階五%がちょうど半分になりまして現在二・五%ということに相なっているわけでございます。で、それがますます今後小さくなるという関係になっておるわけでございますが、一方におきまして、人事院といたしましては試験をやっておりまして、東北や九州におきましては、十分人が得られるわけでございますけれども、つまり、その試験をやりました人におきまして、充足率と申しますか、そういうものが一〇〇%ございますけれども、たとえば近畿あるいは南関東というようなところでは七割しか充足率がない。また、その七割の中の半分がほかの地区からの採用と、こういうような事情に相なっておりまして、非常にその関係に苦労をいたしているわけでございます。と申しますのは、いま申し上げましたとおり、地域的な暫定手――大都会における暫定手当の割合が非常に縮小をしてまいっておりまして、ところが民間の場合に、民間給与を調べますと、やはり相当な地域較差が現にあるわけでございます。したがって、たとえば大都市等につきますと一三%もの較差があるわけでございまして、地方に参りますと、ほとんどそれがないという状況に相なっておるわけでございますが、そういう人をとるという見地から、一方におきまして、そういう地域較差をつけますと、どうしても人事の交流につきましてはマイナス面が出てまいるわけでございまして、人事管理のあり方といたしましては、この両面をいわば調整をしつつやっていかなければならないわけでございますが、当面は、やはりそういうだんだん小さくなっていくという関係の暫定手当をここで改めていただきまして、これ以上小さくならないという形に横すべりをさせるように都市手当を設けるということで今回勧告を申し上げたものでございまして、その地域につきましても、昔のような五段階あるいは相当な、一万の町村の中の三分の一くらいが格づけされる、そういう大作業ではございませんで、現在残っている四級地、三級地につきましては、地域も非常に限定されてきておりますので、昔のような形にはならないというふうに考えておりまして、そういう制度として今回要望を申し上げたわけでございます。で、この都市手当制度におきまして、先ほど申し上げましたように、現在の暫定手当の高さというもののいわば横すべり的な関係を考えまして、六%、三%という二段階を勧告申し上げているわけでございますが、その第二番目といたしまして、その基礎といたしまして、先ほど御指摘がございましたような、特別調整額と申しますか、民間ではいわゆる役付手当というものに相当するものでございますけれども、そういう関係を算定の基礎にするということを今回新たに入れてございます。その点の御指摘があったわけでございますが、このいわゆる特別調整額――役付手当的なものにつきましては、昭和二十七年のころにこれがつくられたものでございまして、最初のころはほとんど東京、大阪等にいる職員にのみ支給されておったわけでございまして、ところが、この役付手当的なものは、最近この二、三年間のところで、地方機関における課長、出張所長等の職員につきましても広範な支給をいたすこととなりまして、したがいまして、やはり従前のように大都会だけにほとんどいるということではなくなったわけでございまして、各地方に非常に散在してそういう手当をもらっている人が出てまいっておりますので、そういう関係につきましても、やはり一方におきましては、そういう較差というものを、大都会においてそういう軽差をつけるなら、やはりそういう面においても較差をつけるということを基礎とするということが適当であり、また当然であろうというように考ええてまいったわけでございます。と申しますのは、一方におきまして、いわゆるそういう特別調整額――いわゆる役付手当的なものは、勤務時間外に勤務いたしますれば超過勤務手当が支給されますけれども、そういう職員につきましては、やはり超過勤務手当を支給することが適当でないということで、そのかわり――かわりと申しますか、それとはうらはらの関係で役付手当的なものは支給されておるわけでございまして、その超過勤勝手当のほうにおきましては、都市手当は当然に算定の基礎になって較差がつけられて支給されることになるわけでございますので、それとの関係から考えましても、そういう役付手当的なもの――特別調整額を基礎とすることは平仄の合った話であるというように考えているのでございます。  それから第三点といたしまして、市川のお話がございましたが、結局、そういう地域的な指定をいたすわけでございますが、その場合に、そういう手当を居住地でやったのがいいか、勤務地でやったらいいか、勤務地主義でやったらいいかという問題点でございます。つまり生活費的な角度から申しますと居住地でやるほうがいいのではないかという面が確かにございます。しかしながら、他面におきまして、やはり何と申しますか、そういう角度から申しましても、私も、失礼でございますけれども、市川からかよっているわけでございますけれども、やはり市川からかよっておりましても、東京でお互いに同僚と勤務しておりますれば、お互いのつき合いもございますし、また、そのような生活様式ということもまた持って帰ることに相なるのでございままして、やはりそこは両方に――生活費的な面から申しましても勤務地主義という面も考慮する必要があるんじゃないか、一理あるんじゃないか。また、居住地主義も一理あるんじゃないか。両面が考えられると思うのでございます。一方におきまして、支給の便宜ということも考えなくちゃいけないわけでございますけれども、支給の便宜という点を考えますと、たとえば居住地主義をとりますと、隣の席にすわっております人が、先ほど申しましたように、超過勤務手当を支給します場合に、同じ一時間勤務いたしましても違ってくる。居住地主義でやりますと、居住地によってばらばらになるというのも非常におかしな感じがするわけでございまして、やはりそこは支給の便宜という点からいいますと、原則としては勤務地主義というほうが適当だというふうに考えているわけでございます。ただ、市川のような、先ほどの御指摘のような特殊な官署で、しかも、もっぱら東京のほうから大部分が勤務している。で、その地域からはずれたところに官署がありますけれども、その中から大部分の者が来ているという特殊な官署がございますれば、そういう官署には特別な官署指定を行ないまして調整をはかっていくということを現在やっておりまして、そういう制度によって調和をはかってまいりたいというふうに考えておるのでございます。  それから第四点、最後の問題でございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、この問題は、一つの本来の考え方としまして、私どもはやはり当面は人をとると、大都会において人がなかなかとれないということが一つの問題点で苦慮してあえて御勧告申し上げておるわけでございますが、他面におきまして、やはりそういう較差をつけるということは、部内といたしましての人事交流にやっぱりマイナス面になる。できれば、やはりそういう面から考えますれば、ないほうが望ましいという面がございます。他面におきまして、そういう地域較差は大きな政策としてもなるべくなくしていこうという政策がいろいろ手が打たれているわけでございますので、そういう関係につきましての実際の状況を絶えず把握をしつつこの問題に対処していくというのが私どもの筋合いかと考えておるわけでございまして、現在まだ法案の十分な内容を承知しておりませんけれども、今後そういう気持ちで私どもとしては基本的に対処してまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  99. 八田一朗

    理事八田一朗君) それでは、本件につきましては、本日はこの程度にいたします。  散会いたします。    午後三時二十五分散会      ―――――・―――――