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1967-09-04 第56回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年九月四日(月曜日)    午前十時二十二分開会     —————————————    委員異動  九月一日     辞任         補欠選任      川野 三暁君     小沢久太郎君  九月二日     辞任         補欠選任      廣瀬 久忠君     松平 勇雄君  九月四日     辞任         補欠選任      松平 勇雄君     内藤誉三郎君      中村 英男君     鶴園 哲夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹布郎君     委 員                 源田  実君                 内藤誉三郎君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 鶴園 哲夫君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        国 務 大 臣  木村 俊夫君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (一般職職員給与についての報告並びにそ  の改定についての勧告に関する件)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。去る一日、川野三暁君が辞任され、その補欠として小沢久太郎君が選任されました。二日、廣瀬久忠君が辞任され、その補欠として松平勇雄君が選任されました。また、本日、松平勇雄君及び中村英男君が辞任され、その補欠として内藤誉三郎君及び鶴園哲夫君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査のうち、一般職職員給与についての報告並びにその改定についての勧告に関する件を議題といたします。  まず、本件につきまして説明を聴取いたします。
  4. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 閉会中にもかかわりませず、私ども給与勧告の御審議について、この機会をおつくりいただきましたことに対して、深く感謝を申し上げたいと存じます。  八月十五日に勧告を国会及び内閣に提出いたしましたのでありますが、ごくそのポイントだけをかいつまんで御説明申し上げさしていただきたいと思います。  勧告をめぐります経済情勢と申しますか、それについて去年四月、ことし四月とこの対比を見ますというと、毎月、労働省でやっております毎月勤労統計にあらわれました民間給与は一一・四%上昇をいたしております。一方、また消費者物価は三・一%の上昇生計費は七・〇%の上昇ということに相なっております。これが勧告の周辺の事情でございます。  ところで、人事院といたしましては、これは例年どおり四月をとらえまして、四月に支払われた官民給与の正確な比較を行ないますために、実態調査民間側及び官側について行ないました。民間側につきましては、これも大体例年どおり六千七百の民間事業所につきまして、公務に類似する職種九十一職種でございます。この職種人々約四十五万人を一人一人とらえまして、そうして職種別民間給与実態調査を行ないましたわけであります。なお、この民間給与調査の一環といたしまして、これも数年来やっておりますことでございますが、いわゆる春闘がおくれておるということにもかんがみまして、このいわゆる春闘において四月にさかのぼって給与改定が実施されたということが明らかなものにつきましては、これをもあわせて調査を行なったのでございますが、ここ二、三年来の傾向と同様に、ことしも著しく多数の事業所がおくれて、すなわち遡及して四月にさかのぼって改定を行なっておるものがあるという異常な事実が認められたのでございます。したがいまして、これがわれわれの基本方式であります四月に現実に支払われたものという給与調査基本といたしながら、いま申しましたいわゆる春闘のおくれによる遡及改定による影響をも加味いたしまして給与比較をいたした次第でございます。その結果、民間水準公務員水準との差は七・九%、これだけ公務員のほうがおくれておるということが明らかとなりました。  そこで、この七・九%をいかように各種俸給手当等に配分するかということでございますが、言うまでもなく、重点は俸給表改善に置いております。七・〇%、これを俸給表改善に充てた次第でございます。そこで、俸給表全体を見渡して申し上げますと、特徴と認められるものは、民間給与改定の本年の様子を見ますというと、これが上下各階層を通じて大体同率またはこれに近い引き上げ傾向民間で示しておるということは、一つの顕著な事実であると思います。したがいまして、今度の改定にあたりましても、この辺に着眼しながら、一方、初任給引き上げと、あるいは中位等級昇給間差額の是正というようなものの手当ても行ないました。全俸給表、全等級に及ぶ金額の引き上げを行ないました次第であります。各種俸給表改定にあたって、特に申し上げたいことは、この医師関係がことしはまた非常に較差が開いてまいりました。従来から開いておったんでありますが、飛躍的に開いて、五〇%以上官民の違いが出てきたということでございます。その関係手当てとして格段の配慮をいたしました。俸給表の上及び後に申します手当の面において配慮をしております。それからその他研究職、あるいは教育職看護婦等人々についても特に配慮をいたしました。なお、指定職は従来あるいは据え置き、あるいはきわめて低額の引き上げにとどめてがまんしていただいておったんでございますが、ことしは指定職給与改定について相当思い切った手当てをいたしまして、現状に適合せしめております。  次に、俸給表の中で初任給をとらえてみますと、初任給についてはまず一般事務技術系統職員初任給、もちろんこれは民間支給額との均衡を考慮してのことでございますが、高校卒につきましては一千百円、大学卒につきましては一千八百円の引き上げを行なっております。  次に、医師大学助手刑務官等初任給についても格段の引き上げを行ないました。なお、勧告そのものの表には出ておりませんが、電話交換手初任給のきめ方についても、これを改善することにいたしております。  以上の結果、俸給表全体の改善率平均七%ということに相なるわけでございます。  次に、諸手当関係でございます。まず特別給でございますが、去年は民間とほぼ均衡しておりましたので、特別給引き上げは見送ったのでございますが、ことしは〇・一月分だけ公務員のほうが低いということが発見されましたので、これを三月に支給いたします勤勉手当の増額に充てた次第でございます。  次に、地域別官民給与較差というのが従来これは顕著であったわけでございまして、従来、暫定手当制度もございましたけれども、この際、これを都市手当の新設によって問題を解消してまいろうということで、都市手当を設けました。これは物価生計費及び民間給与の特に高い地域に在勤する職員に支給するつもりでございまして、特に大きな都市——甲地六%、それに次ぐような都市——乙地三%ということを手当といたすつもりでおります。なお、前項の暫定手当につきましては、この一定部分を逐次俸給に繰り入れまして、その整理を三年計画で行なおうということにいたしております。  次に、医師関係で、先ほど触れました手当一つといたしまして、特に辺地などにおきましての国立病院等の医者の方々の採用が非常に困難になっておる。また民間病院についても、地方の病院の方こそいろいろそういう給与上の考慮が厚くなされておるという実態に顧みまして、従来、医師初任給調整手当は一律五千円ということになっておりましたのですが、このほかにさらに上の二段階を設けまして、七千五百円の口と、それから一万円の口と、一種、二種、三種という形にいたしまして、辺地ほど高い初任給調整手当を支給するということにいたしました。  次に、調整額関係で、博士課程の大学院を担当しておる助手、この人方の仕事の特殊性、それから種類は違いますが、長期航海を常態といたしております船員の一部の人たちに対しまして調整額を支給することといたしました。  それから、その次は宿日直手当でございます。これも民間調査の際に調べましたのでございますが、その結果、やはり引き上げの必要があるということを確認いたしまして、勤務一回について現在四百二十円のものを五百十円、土曜日から引き続くものについては五百四十円を七百六十五円に上げる。それから、これに関連いたしまして常直手当月額を上げます。現在は月額三千円のものを三千六百円といたしております。それから、これも従来問題になっておりましたのですが、夜間通信業務に従事する職員人々の中で、特に勤務条件の過酷な方々に対しましては、深夜を含む夜間勤務一回について百円、なお特に勤務時間の長い者については百五十円の特殊勤務手当を支給いたすことにいたしましておるわけでございます。  以上が全体の大観でございまして、この俸給、諸手当を合わせますというと、民間に見合う給与改善が行なわれるということで、七・九%ということが当然出されることになるわけであります。  勧告についての実施時期は、従来どおり五月といたしております。これはたびたびこの席で申し上げましたとおりに、その基礎になっております官民較差、これが四月を基準としてとらえられております以上は、当然、本年五月一日にさかのぼっていただかないと、民間との水準に追いついたことにならないというたてまえでございます。遺憾ながら、従来これが五月にきっちりとさかのぼって実施されたことはまだございません。ことしこそは、ぜひ勧告どおりに五月一日にさかのぼっていただきたいという強い要望を持っておるわけでございます。何ぶんよろしくお願いいたす次第でございます。  以上、簡単でございますが、一応御説明を終わります。
  5. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 以上で説明は終わりました。  それでは、御質疑のある方は順次御発言願います。  なお、関係当局からの出席者を申し上げておきますが、上村総理府総務長官増子総理府人事局長佐藤人事院総裁尾崎給与局長海堀主計局次長津吉給与課長等でありまして、なお、木村官房長官は後刻御出席の予定でございます。  それでは、伊藤君。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいま人事院総裁から御説明のありました勧告について、二、三お伺いしたいと思います。  ただいまの御説明によると、本年四月、官民給与較差は五・七%、春闘の積み残しは二・二%で、計七・九%という御説明であったわけでございますが、労働省発表によりますと、調査全産業の常用労働者のきまって支給する給与は本年四月に至る一年間に一一・四%、約三千八百円の上昇となっており、また、特に人事院官民比較における対象職種に類似しているいわゆる製造業の管理とか、あるいは事務技術系のそれは一〇・六%、約四千三百円の上昇を示しているわけでございます。また、本年春闘の賃上げ、昇給の結果を見ても民間で一二・一%、これはまあ労働省発表でありますが、それと公労協では定昇込みでこれが一一・六%、これは公労委が発表しておるわけです。これらの資料によって見ると、今回の勧告の七・九%と一応推計の昇給率四%、そこで合計二・九%となって大体一致しておる、そこで、人事院はこの一致について人事院勧告作業がいかに科学的であるか、あるいは合理性を持っておるかということを誇っておるようでありますけれども、これは表面だけのことであって、しさいにこれを検討すると、これはとんでもないごまかしではないかということを指摘せざるを得ないわけです。たとえばですよ、中労委の昨年六月の調査結果と一般職国家公務員給与比較してみますと、別表のように一万から二万の開きはあるわけです。ごく少な目に見ても六千円程度開いておる。これはもう明確に出ておるわけです。これらの資料によって見ると、人事院勧告はなるほど民間賃金上昇傾向を追いかけては、追随はしておりますけれども官民給与較差についてはこれは全然放置しておるということが指摘できると思う。したがって、表面はまことに官民給与較差を縮めたかのごとき印象を与えますけれども、こういうような各点からの検討によると、これは表面かような数字であるにもかかわらず、これはごまかしではないかということが当然指摘できると思う。少しも民間との給与較差を縮めていない。ただ、あとを追っているだけだということが言えると思う。この点についてはどうですか。
  7. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ごまかしではないかということは、もうわれわれにとってはたいへんなことでございます。そんなことは絶対にございませんということをまず最初に申し上げておきます。いま御指摘の、たとえば毎勤統計との関係、これはもうたびたびこの勧告たびごとに、毎勤との違いを指摘されてそのつど弁明を申し上げておるわけでございます。これはもう伊藤委員十分御承知の上でのことと思いますけれども、毎勤の調査方式とわれわれの調査方式とは全然違います。毎勤のほうは、職種別学歴別とか、年齢別とかいうことは全然無視して大まかになっております。それから時間外労働の点も含まれております。したがって、私どもデータとは基盤が違いますから、これは違うことはあり得ることは当然だと思います。過去の例を見ますというと、毎勤の統計よりもわれわれの勧告のほうが上回ったこともございます。そういうようなことでこれは御了解いただきたいと思います。  それから中労委関係のことが御指摘ありましたけれども、これも御承知のとおりに、資本金五億円以上とか、従業員千人以上、しかも東京を中心にしての云々というようなことでこれをとらえております関係から、われわれの調べております全国的な調査とはまたおのずから結果が違う、これも当然であると存じております。私どもは先ほど冒頭に御説明申し上げましたように、六千数百の事業所事業規模百人以上の事業所を克明にとらえて、四十五万人の従業員個票を集めての作業であり、その結果のデータであり、数字であるわけでございます。その調査に関する限りは、私どもはこれは世界に誇ってよい調査であり、官民較差をとらえるには最も適切な調査であるという自信のもとにやっております。さような結果が七・九%ということに相なりましたということでございます。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 説明ではございますけれども人事院が科学的に算出したという官民較差の七・九%というこの数字は、以下申し上げる根拠によって見ると、これは民間賃金の動向に合わせていわゆるつくり上げた政治的較差ではないか、こういうことが言えると思うのであります。そこで、いろいろな根拠を申し上げると、これは問題にならぬわけですが、そこで一、二の例を申し上げますが、たとえば比較方法を見ても、公務員賃金はいわゆる等級別標準職務表に基づいて、本省管区機関とか、あるいは府県機関、出先というように機関別較差をつけて等級に格づけされておると思うのです。また、民間の場合も多くの企業は、本社とか、工場あるいは支社営業所などに分かれて、賃金水準や格づけに較差があるわけです。ところが人事院官民対応基礎は、民間事業所を五百人以上と未満のいわゆる企業規模別に分類するという、全くこれは何ら合理的根拠のない方法を用いておると思います。これは何ら根拠がないのです、こういう規模別に分類することは。そこで結論として言えることは、官民給与較差をできるだけ小さく算出しようとする意図がそこに見られるわけです。こういう点ははっきりうなずけると思うのです。この点はどうです。
  9. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) どうも伊藤委員が根本的に持っておられる考え方というのは私にはよくわかりませんが、小さく出そう、小さく出そうというようなおことばがありますけれども、どういうわけで小さく出さにゃならぬものか私どもには全然理解ができません。これは主計局なり何なりお金をお預かりしている当局者であれば、なるべく国費のほうに御迷惑をかけないようにということになりましょうけれども、私どもお金はさることながら、やはり公務員諸君利益保護という観点に徹して事を運んでおるわけであります。一方、しかしよくすればよくするに越したことはありませんけれども、納税大衆なり、国民大衆が、これはやむを得ないと納得していただける数字でなければなりません。これはございます。その関係から言いますというと、先ほど触れましたような精密な大規模調査をして、そこに出た較差というものを、これだけはもう絶対に埋めていただきたいという態度で臨むことが、一番これは適正な行き方と思うわけです。私どもはそういうパーセンテージについてのしんしゃくとか何とかを考える余地は全然ないので、これこれのデータからこういう結論が出ましたということを天下に公表して、ぜひこれだけは埋めていただきたいという一本やりで臨んでおるわけでございます。いまおことばにありましたような点は、先ほど触れましたような立場で、純粋のまあ科学的、合理的というとちょっと口幅ったいかもしれません。それによって作業をやっておるわけでございます。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それではさらに対応等級のいわゆる設定方法についてさらに申し上げたいと思うことは、いわゆる公務府県機関課長とあるいは民間支社とか、出張所、こういうところの上級係員とを対応させると、こういう例もあるわけです。それから民間における女子の差別的な低賃金人事院は相当利用しておる。あるいは民間の一度退職して、低賃金で再就職した五十五歳以上の高齢者を大量に持ち込んだりすること、また、三十歳で課長になる。まあ民間は非常に昇給が早いわけです。三十歳台で課長になる民間の早い昇進速度ということを人事院は少しも取り入れていない。まあこれは一つの例を申し上げたわけですが、こういうような問題については、これまで繰り返し私ども立場で追及してきた問題点であるわけです。こういう官民賃金較差が小さくなるためのあらゆる材料を集めて、官民対応を行なっておる。こういうことははっきりと指摘できると思うわけです。まあこういうことでは、いま総裁説明によると、なぜ少なく算出しなければならぬか、そういうばかなことはないと、そういう意味の説明があったわけですけれども、それはあくまでも表面ことばであって、実質はいま申し上げたほんの一例ですわ。こういう点をあわせ考えると、こういうことでは公務員利益を守る立場にある人事院としては、まことに遺憾のきわみだと言わざるを得ないわけです。いま申し上げたようなこれらの点については、一体どういうふうに解明できるのか、御説明いただきたいと思う。
  11. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 官民比較の具体的な方法でございますので、私から御説明いたしたいと思うのでございますが、公務における組織段階がいろいろございますが、そういう関係民間におけるそれぞれのどこと比較をしたら適当であるかという点につきましては、これはなかなかむずかしい問題でございます。私どもといたしましては、最も公正に比較をするということに主眼を置いて、いろいろ研究をしておるわけでございますが、民間各社組織あるいは職務段階等は、各社それぞれの事情に基づいていま定められておるわけでございまして、たとえば課長といいましても、いろいろ職務内容が違っておるという点がございます。そういう関係を私どもといたしましても、職名という名前にこだわらないで、職務内容に基づきまして、公務員の中におけるそれぞれの官職の職務と責任、それから民間におけるその対応という関係をできるだけ公正に比較をするように努力をいたしておるのでございます。で、ただいま御指摘になりました府県機関における課長と、民間におきまして支社出張所上級係員対応させているのではないかというお話がございますが、現在、府県機関、たとえば農林省の食糧事務所等におきましては、この評価といたしまして約九割は四等級に格づけされております。若干の者が五等級に格づけされているのでございますが、四等級と申しますのは、本省庁で申しますれば課長補佐班長に相当いたしておるわけでございます。内容におきまして、そういう同格関係があるわけでございますけれども、それを民間とどのように比較をするかという点につきまして、私どもといたしましては本省課長補佐、つまり班長につきましては民間の大きな会社の課長に直属しております大きな係の係長、つまり班長というものと対応させることが適当と考えているわけでございます。それが最も常識的な、公正な対応というふうに考えられるのでございますので、そのようにして相互の比較をしているわけでございまして、先ほど申されましたようなことではないのでございます。  また、詳しいことはここで申し上げませんが、いわば非常に年とった方を、高齢者を大量に比較をしているのではないかということでございますが、これは御承知のとおり、私どもとしましては、その比較方法職種別、それから等級別、それから学歴別年齢別地域別という形でこまかく比較をしておりますので、特に民間の場合、高齢者を大量に比較をするということではないわけでございます。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それではさらにお伺いいたしますが、格差算出のいわゆる計算式についても多くの問題があろうかと思うのです。人事院はいわゆるそれぞれ対応させた官民較差賃金較差を算出するにあたっていろいろ計算式があろうかと思うのですが、その中で較差が最小に算出されるいわゆる計算式、つまり言うところのラスパイレス式を用いておるのじゃないか、年齢別学歴別あるいは地域別等級別、いわゆる俸給別官民較差及び全体較差をこういうことから算出しておる、こうして算出されたいわゆる俸給較差の五・七%、これは以下お伺いするところの資料にも明瞭に出ておるわけで、これは明らかにごまかしではないかという意見がはっきり見られるわけです。この点についてはどうなんです。
  13. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 官民較差計算するにあたりましての計算方式につきましては、ただいま御説明申し上げましたように、職種別等級別、それから学歴別年齢別、それから地域別という形で、非常にこまかく計算をしているわけでございまして、つまりたとえばある係長、具体的な係長というものをとってまいりました場合に、その人は五等級である、そういう係長という、五等級という職務段階、それからたとえば大学卒、三十何歳、東京といったような、そういう具体的な条件があるわけでございますが、そういうそれと同じ条件の人を民間において調べてまいりまして、その平均給与が幾らであるということを調べてまいりまして、それを公務員が現在もらっております月額比較をした場合に幾ら足らないか、その関係比較をいたしまして、ある職員については幾ら足らない、ある職員については幾ら足らないという関係をすべて総合いたしまして、そこで全体として何%足らないかという計算のしかたをしているわけでございます。したがいまして、特に計算方式として非常に小さくなると、そういったような関係を考えていることではなくて、どのようにして正確に民間比較をするかということを主眼にして計算をしておるということでございます。
  14. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 関連。いまの伊藤さんの質問に関連しまして。これはいつもこの委員会で過去問題になっているのですけれども、今度のこの官民対応等級を見ますと、たとえばいま問題になりました五等級ですね。五等級公務員というのは四万八千おるわけですよね。それで人事院民間の五等級に該当するというふうに引っぱってきました職員が二万二千おるのです。その二万二千の民間平均年齢は三十五歳なんですよ。それで公務員の五等級の四万八千の人の平均年齢は四十四・五歳なんです。十歳違うわけですよ、十違う。それから六等級で言いますと、公務員の六等級というのは三九・三歳ですね。民間人事院が六等級という人たち平均年齢が二十九歳なんです。三十九歳と二十九歳、十歳の差があるわけなんですよ。だから平均年齢が十歳の差があって、それをラスパイレスで比較すると言われても非常に大きな問題があるということを従来から言っておるわけです。これは人事院としてもぜひ検討してもらいたい。いや確かにいま局長のおっしゃるように、民間平均年齢三十五歳の二万二千という人たちと、それとこっちのほうの係長の四万三千の四十四・五歳というところと比較する場合に、確かに向こうにも係長で四十四歳、四十六歳という人もおるでしょう。そういうものとこっちと比較するわけですから、すれば、民間の場合には係長というのは三十五歳なんです、平均年齢が。そういう場合に、四十歳をこえたような係長というのは例外的な人ではないのか。そういう例外的なものとこっちの正常なものと比較するというのはよくないということを従来からぼくは口をすっぱくして言っておる。それを改めない以上、人事院としては故意に公務員賃金を安くするために、年齢の非常に若いところ、しかも十歳も若いところと比較することになるのではないかということを従来から言っておるわけです。いかにラスパイレスで比較しても、十歳も、平均年齢が違ったのでは、これは相当異常の者と比較するということになりますよ、例外的な者と比較するということになる。それを言っておるのです。だから伊藤さんが言われるように、やめた人がどうだとかいうようなことも出てきましょうし、あるいはあまり熱心じゃなくて、四十四にもなって係長になったという人と比較をするということにもなる。あまりこんなに平均年齢が違ったのでは、これはいかにラスパイレスを使ったって正常な形にはならない、こういうように思うのですが、そこら辺について局長はわれわれが納得するような説明をしてもらいたい。できれば私はその個票を出してもらいたい。二十二万名の一人一人の個票を、カードができておるのだから、それを見せてもらいたい。それでなければ、いま伊藤さんの言っておるこの問題というものは解明できないですよ、幾ら言ったって。この点を人事院は改めないと、今度、給与局長もかわったことだし、第一課長もかわったのですから、新しい立場でできるだけ公平に民間賃金比較をするという、総裁の言う科学的な態度をとるべきですよ。こんなに十歳も違ったのじゃお話にならない。この点をわれわれが納得できるように、給与局長簡単に説明してください、時間がないですから。
  15. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 官民比較は、ただいま申し上げましたように、職種別段階別、学歴別年齢別地域別という形でラスパイレス方式を使ってやっているということでございますが、ただいま御指摘がございましたように、平均的に民間公務員の場合とを比較してみますと、年齢構成が若干違っておるという点がございます。しかしそれは、つまり民間におきましても、個々の企業につきましていろいろな事情があるわけでございまして、いわば非常に昇進関係の詰まっている企業もございますし、そうでない企業もあるわけでございますが、公務の場合には、御承知のとおり、非常に終戦直後大量の公務員を採用いたしまして、特に中ぶくれと申しますか、そういう人員構成が異常であることは御承知のとおりでございます。そういう関係がございますので、公務平均年齢は、昭和二十二、三年ごろには、たとえば二十二、三歳であったという関係でございましたのですが、それがだんだん平均年齢が高まりまして、現在では三十七歳程度になってきておるということでございまして、そういう関係がいろんな関係に、つまり昇進関係その他に反映をいたしておるわけでございますが、民間におきましても、そういう事情がはなはだしく、公務と同様な事情になっているところもございますし、そうでないところもございまして、その関係を、つまり職務と責任の格づけのしかた、それから昇進関係という関係につきましては、給与比較そのものとはまた別のもう一つの観点として考えていかなければならないというふうに思うわけでございますが、その点につきましては、いわゆる等級別定数の関係といたしまして、例年それぞれの適正な評価を毎年新しくいたしまして、実態に応ずる措置を講ずるということをやってきておるわけでございますし、今後そういう関係に十分配慮してまいりたいと考えておるわけでございます。
  16. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ちょっといまの点について。そういう説明では納得できないですよ。十歳違うということ、六等級民間の六等級と十歳違う、公務員のほうが高いということ、あるいは係長をとっても、四等級をとっても同じなんです。実際十も違うという、三十歳前後で十も年齢が違うものと比較をするということは、これはおかしいということを言っておるのですから。確かにそれは各企業によってアンバランスはありましょう。政府の中でも各省によってアンバランスはあるのです。政府においても非常に違う。その総体が、係長でいえば、これが四十四歳という数字になっておる。民間においても、企業によっていろいろ較差はありましょう、違いましょうが、その平均が三十三、四となっている。十歳差があるのですよ。十歳公務員のほうが年上である。そういう年上の者と十歳も若い者と比較するのはどだいおかしいということを言っているのです。どんなに学歴がどうだ、経験がどうだと言ってみても、それはおかしい。これを改めなさいということを言っておるわけです。いまの局長の説明では全然説明にならない。個票を出しなさい、個票を。そうすれば私のところで全部計算させるから。どういうものを一体係長としてとらえておるのか、具体的に二万二千の個票を出せばすぐわかるわけだ。出してください。それと比較させますから。幾らでもこれは人間おりますから、ぱっと比較しますよ。そんなおかしな比較があるものじゃない。これを一つつけ加えておきます。全然納得できない。
  17. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) ただいまの御指摘は、やはり平均年齢が非常に違うから、比較そのものが適当でないというお話のようでございますけれども、先ほど申し上げましたように、学歴別年齢別比較をしておりますので、平均年齢そのものによって比較をすることではないのでございまして、同じ年齢の者を同じ年齢の者と比較をするということをやっているわけでございます。でございますので、その比較そのものについては、それ自体として、御指摘のような問題はないのではないかというように思うのでございますが、ただ昇進関係につきましては、公務の場合が、先ほど申し上げましたように非常に極端な中ぶくれの構成になっておるのでありまして、その関係民間におきましても、おそらくそういう会社、企業が中にはあるのではないかとも思われますけれども、そういう関係につきまして、別の角度から検討し、措置していくということが必要だということを申し上げておるわけでございます。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 官房長官は遺憾ながら時間に制約があるそうですから、ひとまず人事院のほうは時間的において、直ちに官房長官に二、三お伺いしたいと思います。時間の制約もありますので、ごくかいつまんで要点だけをお伺いいたします。  今回の人事院勧告は、全体として七・九%の引き上げである、そう言われておるわけですが、これを受けとめた公務員の諸君は、怒りを込めて非常に不満の意を表しておるわけです。たとえば、今回新たに都市手当というようなものを設けましたけれども、これは非常に外見、見ばえのある手当を新設したということであり、これは住宅手当とすりかえたものであり、また暫定手当に置きかえたものである、こういう点からいろいろ問題があろうかと思うのです。  さらに、本年はストなし春闘と言われるくらいに、ことほどさように例年にない高い賃上げが行なわれておるわけなんです。しかしながら、このことは、人事院の今回の勧告では、これが勧告に少しも反映されていないという事実、それと七・九%、この勧告は、いわゆる春闘における平均賃上げ率一二・一%にはるかに及ばないわけです。あとを追っておるわけでございますけれども較差は依然として大きく開いておる、こういう点、それと上下の配分をほとんど同率にしておるわけですが、これは公務員の要求に全く背を向けたものあって、公務員は一律八千円の賃金要求を強く打ち出しておるわけです。こういう点にも少しも配慮がなされていない。しかもこのことは、今後いわゆる職階給をますます強めるであろうということが憂慮されるわけです。  こういうふうに時間の関係で、二、三の問題点を引き出してみたわけですが、これを要しますのに、今回の人事院勧告は、いま申し上げたように、公務員の諸君にとってはきわめて不満の強いものであるということが言えると思う。こういう点について、六人委員の、しかもこれを取りまとめる立場にある官房長官としては、この点どのようにお考えになるか、まずもってお伺いしたい。
  19. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 先月十五日に人事院から勧告をいただきまして、直ちにその日の午後、いわゆる六人委員会を開きまして、まず、人事院勧告内容について第一回目の審議をいたしました。もとより人事院におかれましては、非常に公正な立場からこの勧告を出されたと私ども承知しております。ただ、内容等につきましては、いま申し上げたとおり、第一回目の会議等ではそこまで入らなかったのでございますが、私どもといたしましては、できるだけこの六人委員会なるものをたびたび開きまして、できるだけ早く、例年でございますと十月の中旬以降でありますが、できますことなれば、十月の上旬にでも結論を出したい、こういう考え方です。したがいまして、いまいろいろ御指摘のありました内容等につきましては、来たる八日に第二回目の六人委員会を開くつもりでおりますが、それ以後のそういう会合におきまして、順次検討してまいりたいと思っております。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この人事院勧告内容については、いま私が指摘したように、きわめて不満の強いものであるということでありますが、このことはしばらくおいて、さて、問題の実施の時期については、官房長官としてはどのようにお考えになっておるか、この点からお伺いしておきたい。
  21. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) もとより政府といたしましては、この人事院勧告に対して、誠意を尽くして尊重するたてまえでございます。したがいまして、この人事院勧告内容、実施時期とも、政府の事情の許す限り尊重したいという考えに変わりはございません。
  22. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 関連して長官に伺いたいんですけれども、第一回の六人委員会、あるいは文部大臣が加わって七人委員会になるわけですが、委員会でお話しになったときに、何か都市手当が自治大臣等から問題になったというのが出ておりますね。それから実施時期についても、何かいろいろ意見が出たような話があるんですが、その実情、そういうような経過をちょっと伺いたいんですがね、二つについてですね。  私は、都市手当はあとほど人事院にもはっきりさせたいと思うんですけれども、あんなむちゃくちゃなものはないです。いろんな角度からこの点をはっきりさせたいと思いますが、とにかくこれはむちゃくちゃですね。どだいなってないです。まあ、しかし、六%、三%つくったんですから、これについての政府の考え方ですね、どういう意見が出たのか。まとまっていなくてもいいです、どういう意見が出たのか。それから実施時期ですね、これについてはどういうような意見が出たのか、そういう点についてまず伺いたい。
  23. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) いまお話のありました点は、確かに第一回の会合で出たことは事実でございます。第一点の都市手当の問題につきましては、特に自治大臣が発言いたしまして、これでは往時の勤務手当地域給の復活ではないか、これは非常に自治省の立場としては困るというような非常に概括的な意見が出ましたが、さて、将来この都市手当をどういうふうに持っていくべきか、あるいは政府としてどうこれに対処するかという具体的な討議までは至りませんでした。  それから第二点の実施時期の問題につきましては、その場には残念ながら大蔵大臣がおりませんでした。したがいまして、私ども残る五人の者は、できるだけひとつ実施時期については積極的に考えていきたいという意見で一致をいたしました。しかしながら、御承知のとおり、これは財政事情、経済の全般のいろんな影響がございますので、その大蔵大臣を抜いた六人委員会で、実施時期について将来こう考えようという積極的な結論は、何らございませんでした。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いままでの経緯を見ると、政府は口を開けば、人事院勧告は尊重すると言い続けてきたわけです。ところが実際には、三十五年から三十八年までは十月一日実施ということで五カ月分をカットした。三十九年以後昨年まではいわゆる九月一日で、四カ月分、それぞれ何の情け容赦もなく一方的に切り捨てておるわけですね。その結果、これを累計すると、三十二カ月分にもなるわけです。公務員一人当たりの損害は約十三万八千円、公務員全体では約三千億にものぼるわけです。これでは結局、問題はありますけれども人事院勧告したいわゆる改善率内容低下を来たすことはもう必然であって、したがって勧告内容を尊重するということにはならぬわけです。にもかかわらず、勧告は尊重する、そういうごまかしを言い続けてきておるわけです。もうこの辺ですっかりそういうごまかしの態度を改むべき段階に来ておるのではないか、そういうふうに思うのです。この点についてはどうお考えになっておるか。
  25. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 私どもは誠意を尽くしてこれを尊重するたてまえでおりますが、決していまお話のあるようなごまかしはいたしません。ただ御承知のとおり、この人事院勧告を政府が受けとめまして、これを実施に移すときには、政府自体の立場と申しますか、財政事情、経済全般の考慮等が、これは当然総合的に判断されなければなりません。その意味におきまして、まことに残念ながら、人事院勧告内容についてはそのとおり、実施は完全実施の実績をあげておりますが、実施の時期につきましては、ただいま申し上げました十月実施あるいは九月実施というような、ある意味の不完全実施をやっておりますことは、これは事実であります。したがいまして、今年度のこの人事院勧告の受けとめ方につきましては、従来とも尊重するたてまえには変わりはございませんが、なお一そうこの完全実施に向かってひとつ進もうじゃないかというような、政府部内で話し合いをしている最中でございます。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまの御説明でも、その中にはっきりとごまかしが含まれているわけです。勧告内容を尊重すると言いながら、この実施の時期を値切れば、それだけ内容は低下するわけです。これはもうはっきりしているでしょう。ところが勧告内容は尊重する、実施の時期については財政事情等の関係もあるので云々と言っているわけですね。その二つを切り離しておる。これこれの内容のものを五月に——五月にも問題があるわけです、実際は四月一日にさかのぼらなければいけないわけですけれども、この問題はしばらくおいて、五月一日に実施して、初めて七・九%が完遂されるわけです。ところが、先ほど言ったように、五カ月も四ヵ月もカットしてしまえば、それだけ内容は低下するわけです。内容を尊重したことにはならぬわけです。そうでしょう。はっきりしているわけだ。ところが依然として勧告内容は尊重します、今後も尊重しますということを言い続けているわけです。そこにごまかしがあると指摘申し上げているわけです。そのとおり完全実施しなければ内容は低下するでしょう。内容が低下しても、あえて尊重するということばが使えるのかどうか、この辺にごまかしがあると申し上げているわけです。この点、どうですか。
  27. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 私も決してごまかしを申し上げているつもりはございません。ただ改善内容、基準等につきましては、これはその実施時期以後におきましてもずっと継続してくる問題でございます。これはたいへんな問題でございます。もちろん実施時期その他につきましても、いまおっしゃいましたように、手取りの賃金等についての内容の低下ということは確かにございます。現在の時点では、まだまだ将来における自然増収の規模その他もはっきりいたしませんので、この時点におきましては、ただ実施時期につきましては、極力政府部内におきましても、前向きで検討したいということをお答え申し上げるだけでございます。
  28. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま伊藤委員が伺っておりますのは、おそらくこうだと思うのですがね。今度の人事院勧告の骨は何かといえば、それは七・九%埋めなければならない、人事院勧告では五月一日から七・九%埋めると、これが骨なんですね。その七・九%五月から埋めるというものを、九月から実施ということになりますとですね、四カ月埋めないことになるわけですよ。五、六、七、八と四カ月、一年の三分の一になりますね。そうしますと、七・九%じゃなくて、五・二%埋めたということになるわけです。これは尊重どころの騒ぎじゃなくなるわけです。そこをはっきりしてもらいたい。そのために日経連は喜んでいるという話もある。実際は七・九%だけれども、実施の時期が四ヵ月ずれるから、実際は五・二%なんだ、まあまあよかろうというような話もあるということを聞くぐらい、いまや一般化されている、こういう考え方が。これはいけないということなんですがね。いま長官が税収の見込みはどうだということをおっしゃったが、もちろん税収については、かってないほど増収だ。七千五百億円と言う人もおるし、多い人は一兆円だと言う人もおるくらいに、自然増収というのは多いということは常識中の常識です。その中で積極的に努力されるということですが、そこをはっきり考えてやってもらいたいと思うのです。九月一日実施では五・二%にしかならないという点です。
  29. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 先ほど重ねて申し上げましたとおり、政府といたしましては、実施時期も含めて、誠意をもってひとつ検討したいと思います。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 官房長官も従来の態度と全く同じで、勧告内容は尊重します、実施時期については財政等の関係もあって云々でごまかしている。これはごまかしです。それでは過去の例を申し上げたい。昭和三十七年、三十八年、特に三十八年、池田内閣のときに税の増収が相当額あったわけです。その年ですら財源がないから、財源が苦しいからという一方的の理由で結局カットしてしまっておるわけです。五月一日完全実施していないわけです。これはまことに不可解千万です。財源じゃないのです。ことしは、いま鶴園委員から御指摘があったように、未曽有の税の増収だそうで、相当財源の余裕があるわけです。だから、ことしこそ完全実施に踏み切る絶好の機会だと思います。もういいかげんで過去のごまかしはやめるべきだと思うのです。  さらに、これを同じ公務員である三公社五現業の例をとってみても、明らかに公務員公平の原則に反していることが明確に出ておるわけです。公社現業についても、財源の余裕があるから三十二年から実施しておるわけじゃないわけです。財源に相当苦しみながらも、たとえば建設事業費の繰り延べをやったり、あるいは経費の移用、流用をやって、そうして仲裁裁定どおり三十二年四月一日から、四月にさかのぼって完全実施しておるわけです。アルコール専売のごときは例外ですが、三十年四月から完全に実施しておる。同じ国家公務員でありながら、なぜそういう差別をつけるのか。やはり公平に扱うということが政治の要諦であろうと思います。政治にとってきわめて大事な要素は、公平に扱う、貧しきを憂えずひとしからざるを憂う、こういうことを心して政治を行なうべきである、これが為政者の立場だと思います。これは長い聞こうやって公社現業については仲裁裁定を完全実施して、しかも四月にさかのぼって完全実施してきておるわけです。三十二年からですから、もう十年実施してきておるわけです。この公社現業といえども、最初から完全実施ではなかったわけです。長い間の闘争で、しかも実力行使ということをもって。一般職の国家公務員はそういう武器を持たない。これはもうその点からいうと、弱い者いじめということも言えるわけです。鉄道をとめられたり、郵便を遅配されては困る、こういう打算からもあろうかと思うのです。要は公社現業については、仲裁裁定を三十二年以来完全実施しておるわけです。もうこの辺で一般職の国家公務員についても、完全実施に踏み切るべき時期に来ておると思う。毎年毎年、内容は尊重いたします、財源については相当問題があるので、実施の時期はあるいは十月だ、あるいは九月だといってごまかし続けてきたわけです。毎年毎回、この委員会でこの人事院勧告について追及すると、同じことを繰り返してきておる。政府の答弁は、勧告内容は尊重いたします、実施の時期については、財政等の理由があるからと、追及する前から答弁は、六人委員だれについても同じことを繰り返してきたわけです。それで今日まで来たわけです。もう明らかにこれはごまかしじゃないですか。しかもいま御指摘申し上げた同じ公務員である公社現業について、十年間もさかのぼって実施してきておる。この辺で公務員公平の原則に踏み切る絶好の機会だと思う。官房長官としては一体どういうふうにお考えですか。
  31. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 私といたしましては、いま伊藤先生のおっしゃいました点、内容、実施時期、ともにできるだけひとつ完全実施に近いほうへ進めよう、この努力にはもちろん変わりはございません。ただ、いまこの時点において、そういうことを私の立場として申し上げる時期ではないと思います。この点、御了承を願いたいと思います。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうにも納得できないことは、いま御指摘申し上げたように、仲裁裁定については三十二年から完全実施しておるわけです。仲裁裁定を三十二年から完全実施しておる日本の政府が、なぜ人事院勧告を完全実施できないのか、人事院人事院ですよ、毎年毎年十年間も長い間無視されてきて、これで何ら措置をとらずに今日にきておる。これはもちろん実施時期の問題については、政府の責任ではありますけれども人事院としても、ただ勧告しっぱなしということはないと思う。やはり勧告して、それを完全に、たとえば今回の勧告でも、五月一日に実施されて、初めて七・九%という、そういう率が完成されると思うのです。内容には問題ありますけれども、これはしばらくおいて、このせっかく苦労してつくった勧告が、十年間も無視されてきておる、依然としてまた本年もこのままではおそらくわからぬ。おそらくまたごまかしが繰り返されるのではなかろうかと憂慮されるわけです。こういう点で、人事院としても、相当ひとつこの完全実施のためには、今後一段と努力してもらいたいと思うし、また政府自体のこれは責任ですから、この辺で完全実施に踏み切る絶好の機会だと思う。しかも時期はいいわけですね。非常にことしは自然増収等で相当財源に余裕があるわけです。三十七年、三十八年の例を申し上げたわけですけれども、そういうことを二度繰り返さないで、ぜひ完全実施に踏み切ってもらいたいと思う。仲裁裁定を完全実施した政府ならできると思う。  問題は財源じゃない。政府は財政の関係でと言いますけれども、そうじゃない。完全実施しようという方針を打ち立てれば、あとは問題じゃない。公社現業についても、相当苦しい財源を、建設事業費の繰り延べ、経費の移用、流用等によって、苦しいながらも仲裁裁定完全実施という方針を打ち立てられたから、これを実施しておるわけです。余裕があるからやっておるわけじゃない。絶対財源じゃない。だから財政の関係で完全実施できないということはあり得ない。もしそういうことをあえて繰り返せば、それはごまかしを繰り返すということになるわけです。したがって、ことしこそ完全実施に踏み切る絶好の機会だと思うので、あえて官房長官の決意のほどを伺っておきたいと思う。どうです、その点。
  33. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 先ほどから申し上げますとおり、私どもにおきましても、政府部内で極力完全実施に近づけたい考えでおります。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 たとえばことしの場合で、これを完全実施に踏み切れば、明年以後はそれではどういう方法があるかといえば、いろいろ方法はあろうと思う。年度当初に給与改善費を計上しとけばいいわけです。これも一つ方法です。それと次年度当初予算に不足分を計上する、あと払い形式ということも考えられる。あるいはまた、これは災害対策費などはそうですが、予備費で措置するとか、いろいろ方策はあるわけですね。したがって、ことしは財源に余裕があるんだから、ことし完全に実施すれば、私がいま指摘申し上げた方策のほかにも、いろいろ方策はあろうかと思うのですね。やろうという方針をまず打ち立てることが先決であって、財源はいかようにもなるわけです。これはまあ、繰り返し申し上げたように、公社現業の例を申し上げればはっきりしてると思うのです。  大体人事院ができたのは、いわゆる公務員から労働基本権を奪い取って、その代償として人事院は生まれたわけです。したがって、その人事院勧告を完全実施するということは、憲法の趣旨にも、精神にも沿うわけです。だから完全実施しなけりゃ憲法の趣旨に、精神に反するということも言えるわけですね。ところがなかなか完全実施しないから、公務員の諸君は、だれもやってくれぬ、そこで完全実施するために、やむなく休暇戦術などとると、理不尽にも一方的にこれを厳罰をもって臨んでおる。勧告完全実施の義務を果たさない政府は、この公務員のいわゆる休暇戦術などについて処罰を与えるなんという、そういう資格はないと思うのです、大体。そういう経緯もあるわけです。まず義務を果たして、しかる後に権利を実施すべきであって、政府は完全実施の義務を果たしてない。それで公務員は業を煮やして、完全実施を要求して、やむにやまれぬ休暇戦術などをとれば厳罰をもって臨む、これはきわめて遺憾の問題だと思うのです。  こういう問題もあるので、ひとつ繰り返し申し上げるように、これは財源ではない。実施しようとする方針を打ち立てることが先決であるという点、しかも毎年毎年、この当委員会で同じことを繰り返してきながらも、なかなか完全実施されない。そこで当委員会でも、毎年給与表の改定に当たっては、いわゆる完全実施すべき旨の附帯決議が与野党一致で、全会一致で繰り返し行なわれてきておるわけです。このいわゆる附帯決議については、政府は当然これを尊重しなければならぬ。これはもし委員会で付せられた附帯決議を尊重しないということになると、これは国会軽視のそしりを免れぬことになる。こういうふうに、もう今後附帯決議をつける必要のないように、これはもう附帯決議つけても、ただこれはもう一方的に踏みにじられては意味ないわけです。国会軽視ですよ、附帯決議を無視するのは。しかも与野党一致で、全会一致で付せられて、毎回同じことが付せられてきておる。これはもう政府の怠慢ということにも通ずる問題です。こういういろいろの問題があるので、ことしこそ、ぜひひとつ完全実施に向かって全精力を傾注していただきたい。しかも官房長官は、先ほども申し上げたように、六人委員会の、これの取りまとめの立場にもあろうかと思う。そういう立場から、一そうひとつ他の委員とも前向きに協力して、今年こそひとつ完全実施に向かって邁進してもらいたい、こういうことをひとつ要望申し上げて、時間の関係もございますから、きょうの長官に対する質問を終わります。
  35. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 官房長官の数回にわたります答弁を伺っておるわけですけれども、率直なのか、あるいは気が弱いのか、どうも従来の長官と、ちょっと弱いですね。何か五月実施に向かってできるだけ努力するような話ですね、平たく言えば、できるだけ努力するような話ですね。五月一日に向かって全力を尽くすというような調子の気の強いのもいたですけれども、あまり率直じゃないのかもしれぬ。少し弱いのかもしれぬ。やはり長官のほうではっきりきめて、強引にやはり強く主張していただかないと、五月一日にできるだけ努力するじゃちょいと弱いですね。もっと強力に完全実施するんだということでやってもらいたい。率直だろうと思うのですが、どうも率直でそれが正しいじゃ困るわけですよ。強力にやってもらいたい。あたりまえのことなのです。それを要望いたしておきます。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほど私が御指摘申し上げた点については、俸給表の各面に明確に出ておるという意味のことを申し上げたわけです。ここで時間の制約もございますから、各俸給表について一々申し上げる時間がありませんので、たとえば行政職(一)について申し上げると、一、二等級が四%台になっておる。三ないし五等級が二%台、四ないし六等級が六%台、七、八等級が一〇%台というふうに、いわゆる官民較差は非常にでこぼこですね。これは私が先ほど御指摘申し上げたように、人事院のきわめて無理な比較方法によってつくり出されたものである、こういうふうに指摘できるわけです。この点はどうですか。
  37. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 官民比較をした場合に、各等級間の較差数字がまあ不連続、アンバランスであるのではないかという御指摘でございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、民間関係公務員関係とを詳しく比較をいたしておりますので、したがって、それぞれの各段階における数値がいわば連続的な、必ず連続的になるという保証はそこにはないのでございまして、やはりそれぞれの各等級における、特に公務員の側における条件によってその比較数字が出てくるということになるわけでございますので、現在の、先ほど御指摘になりましたような結果は、正確に比較算定した結果そういうことになったということでございます。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いろいろ問題が残されておるので、いまの御説明でも理解できないわけですが、時間の関係もあって、次の問題に入りますが、次にお伺いしたいのは、春闘の積み残し分ですね、これについても大きな問題があろうかと思う。人事院は今年の場合、昨年と同様の方法によって二・二%算出しておりますけれども、この数字も正しく計算すれば、つまり実施事業所率、約二三%ではなくて、該当従業員率、推定では四〇%弱になっておるわけてすが、これを用い、また定昇率を四%かける四分の三という式ではなくて、四%かける二分の一かける四分の三、つまり春闘賃上げのうち定昇込みの分は全体の二分の一と、正しく見れば図表のとおり、表にはっきりしておるように、四・四%毎年はね上がることになるわけです。この点についても二・二%と四・四%では、だいぶ開きが出てくるわけですね。この春闘積み残し分のこういう問題があるので、先ほども言ったように、ことしは非常な大幅の賃上げが民間にあったにもかかわらず、それが今回の勧告に反映していない。その一つの大きな原因がここにもあるんじゃないかというふうに指摘せざるを得ないわけです。結局算出の方法に問題があろうと思う。こういう方法をとっておるから、いま繰り返し申し上げた春闘民間の大幅賃上げが、公務員給与引き上げに反映されておらない、こういう結果になろうかと思うのです。この点はどうですか。
  39. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 算出の方法については、御承知のように、去年ちょっと改善を加えまして、これで正しいという確信を持って臨んでおるわけでありますが、ただそれも申すまでもございませんけれども春闘の積み残しというもののとらえ方の問題は、それ自体から申しますというと、決して正確なものとして大いばりにはできないわけなんです。先ほど冒頭の説明で触れましたように、本質的には本来の立場としては、この四月に現実に払われたものをつかまえて、それを唯一の基準にするのがわれわれの基本的態度であったわけでありますけれども、三年ばかり前から著しい春闘のおくれが出てきている。そればかりに徹しておったのでは、大所高所から見た場合にたいへんな不合理になりはしないか、公務員諸君の受ける被害はもとより、従来の四月に決定したやり方でいきますと、翌年度の妙な較差になって積み残されて出てくる、これははなはだおかしい。そういう大所高所からの合理的措置としては、これを何とか措置せざるを得ないということで、御承知のとおり、われわれたいへんな決意を持ってやったことでございまして、したがいまして、非常にこれについてのさらに精密なとらえ方ということになりますと、たびたび申し上げておりますように、調査時期の方法をもっとずらす、現実に六月に支払われた給与というようなことで押えれば、これはあらゆる意味で本調査と同じような性格で私は出てくると思いますけれども、これはまたこれでいろいろ利害がありまして、そこまでいまのところは踏み切る決断は持っておりませんが、突き詰めていけばそういうことにでもするか、あるいはたびたび申し上げるように、春闘のほうを昔のように早くやっていただくか、どっちかじゃないかという問題が根本にあるんです。いまやっておりますわれわれのやり方は、大きな目で見れば、それは中途はんぱだ、しかしそのとらえた限りにおいては、先ほど御指摘もありましたようないろいろ御批判もありますけれども、とらえた限りにおいては、この分析についてはわれわれは自信を持っておる、こういうことです。
  40. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまの伊藤委員の発言に関連しまして二点ほど伺いたいんですが、ことしの人事院の出しました参考資料ですね。この参考資料の一九ページを見ますと、昨年の四月から本年の四月までの人事院の調べた全事業所のベースアップの状況が出ていますね。これを見ますと、実施の事業所というのは、事業所の割合は二一・八%ですね、平均アップ率は八・六%です。これをおしなべていけば、全事業所でいえば一・九%です。ところが人事院は積み残し分を調べただけだ、ことしの積み残し分は幾らあるんだという人事院勧告に出ているような全事業所の二三%、平均アップ率は一二・六%、それを直すと二・二%という数字が出ているわけでしょう。たった一ヵ月でこれだけの差が出ている。一年調べたよりも一カ月の間にこんな差が出てしまっている。これは人事院調査そのものに問題があるということに私はなるんじゃないかと思うのです。一年の間にベースアップの率が一・九%ですよ、事業所で見た場合は、今度は春闘の積み残しの一カ月分です。一カ月分だけで二・二でしょう。だいぶこれは人事院調査というものは問題がある、それが一点。  もう一つは、いま総裁がおっしゃったんですが、五月の上旬なり、五月の中旬に付帯調査をやられる、その際に、一体四月にさかのぼってどれだけ上がる事業所があるのかという調査をやられるわけです、付帯調査が。それでは春闘相場というものはつかめないということを特に本年は四月のこの委員会で主張したわけです。労働省の毎月勤労統計の、人事院のこの出しております資料ですね。毎月勤労統計の中の従業員百人以上の事業所——人事院では百人以上の事業所をとっているわけですから。その中で公務員に最も似ていると言われる管理、事務、技術労働者、これのアップ率を見ますというと、この四月で一一%ですね。昨年の四月に比べて本年の四月は一一%上がっている。五月は一三・五%上がっている。六月はうんと上がっている。一七・八%という上がり方でしょう。そうしますと、人事院が五月の上旬、中旬に、四月にさかのぼって幾ら民間が上がるか調査したのでは二・二%、いまの労働省の毎月勤労統計を見ますと二・五%上がっている。ほぼ正しい。人事院の見方はほぼ正しい。しかし、この春闘相場を見る場合には六月を見なければいけない。四月に比べまして六月には六・八%上がっているわけです。これは七月にも八月にもほぼ六・八%でいくわけです。去年の場合も、一昨年の場合もある。去年の場合なんかはっきりしている。六月、七月で変わらない。  たとえば局長、あなたにお伺いいたしますが、私鉄の賃金引き上げというのは、今度の調査で入っていますか。私鉄総連の今度の春闘調査というのはこの中に入っていますか、入っていないでしょう。五月の初旬、中旬に四月にさかのぼってどれだけ上がるかということを調査をされたのではわからないはずなんです。私鉄なんかは五月の末ですから、六月に入ってから改定するわけです。三公社五現業にしたって六月の末に内部配分がきまって、四月一日にさかのぼって実施するということになる。それを全部省かれちゃう。だから、私が言っているように、春闘相場というのは六月の六・八%というものをとらなければいけない。今度二・二%だから、三分の一本年の春闘分が入ったということになる。三分の二の春闘分は来年に残されちゃうということになるんですよ。そこらについて、総裁はさっき、六月なら春闘相場をうまくつかまえられるかもしれないと言うんですが、六月にもう一回やったらどうですか、ちょこっと。六千三百の事業所ですか、それは各県の委員会を使って、六月にちょこちょこと、どうだ、どうだといって歩けばすぐわかる。それぐらいの積極性がなくて、何で公務員を守れますか。三分の二の春闘分は来年の話ですよ。四・四%ですよ。四・四%というと、一%四百五十円でしょう、千八百円ぐらいのものを来年に持っていかれちゃう。それで科学的だとか何とかおっしゃったって通用しないですよ。簡単な話なんですから、付帯調査なんか簡単なものです。職種とかどうとかいうことじゃないんですから。おまえのところは四月にさかのぼって幾ら上がったか、聞いてみたらわかる。それぐらいの調査を六月の下旬にやられればいいんで、どうしてそれぐらいの誠意がないんですか。どだいおかしいですよ。それについて説明してもらいたい。
  41. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 最初のお話では、どうなるかと思って心配しておったんですが、大体今回の調査に関する限りはほぼ正しいという太鼓判を押していただいたわけですが、それから先のお話になりますと、ちょろちょろとおっしゃいますけれども、とてもこれは、六千何百の事業所と四十五万人の人たちに当たってちょろちょろっと調べるとおっしゃいますけれども、とてもとても、お金から申しましても、それだけのお金があれば、これは公務員のベースアップの原資にしてもらいたいくらいに思います。したがいまして、そのちょろちょろっとおやりになるということの御示唆は、先ほど触れましたように、やはり六月調査か七月調査にすべきじゃないか、そこに大きな決断を持っていかなければいかぬじゃないかということに私はなろうと思います。ただ、決断々々とおっしゃいますけれども、これも実は、私も先ほど触れましたように、この積み残しを見るということは、私はたいへんな前向きの決断だったと思います。もう三年になりますから、皆さんお忘れになっていると思いますが、三年前のそのときに私が踏み切ったときの気持ち、お察しいただけるだろうと思います。われわれは相当の決断を持ってやってきたつもりです。さらにそれ以上とおっしゃることになれば、それは六月調査か七月調査に踏み切る、それでいくほかない。それがいいかどうかということに問題が煮詰まってくる事柄だろうと私は思います。
  42. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁、それはしろうとの話ですよ。総裁だって人事院のもう総裁を長年やっておられて専門家になっておられるから、そんなしろうとみたいな論議は困りますよ。私の言ったのは、総裁、えらい金がかかるようなことをおっしゃる。それがあったら公務員賃金に回してもらいたいと。そんなにかかるんですか、二百万ぐらいのものでしょう。それ回してもらえますか、公務員賃金に二百万を。総裁、そんなしろうと論議はやめてくださいよ。しかも、この付帯調査というのは簡単なものなんですよ、総裁。四十五万人を個々に調べておるんじゃないですよ。これはそうじゃないですよ。私にもっと言わせれば、五・七%、二・二%、異質なものですよ。完全に異質なものですよ。簡単な調査なんだ、この二・二%というのは。おまえのところは四月一日にどれだけ上げるかということを事業所を調べるだけです。個々に調査、一人一人についてやるんじゃない。だから簡単にできるんですよ。それをだからぼくは、六月の中旬とか、下旬なら下旬に、ちょこちょこっとやられたらできると、そう言っておるのです。総裁は、実施の時期をどうだこうだと、妙なものにすりかえられる。そんなものでは、しろうとはそれはどうか知りませんけれども この外港委員会でそんな訂をされたって困りますよ。私の言っているのは、三年前に——三十九年度に、春闘の積み残しがだんだん出てきたと——春闘がおくれるからだ。そしてそれを一応踏み切られた。それは三公社五現業との関係でしょう。三公社五現業の四月末の賃金の推定をして、この差はありませんと結論を立てるわけです。差はありません、ただこれからの春闘分というものを仲裁裁定に持ち込む。したがって、春闘がほぼ終わったころに、仲裁裁定で春闘分をぴしりと入れる、春闘分をぽっこり入れる。それが仲裁裁定になっているはずです、三十九年から。われわれ国家公務員の場合——まあわれわれと言ってはあれだが、ぼくもかつては……。国家公務員の場合はそうなっていないんです。三分の一しか入っていない、三分の二は来年に回されている。その努力はできると、こう言っているんです。六月の中旬にちょこちょこっとやりなさい、ちょこちょこっとできる。局長、事務的に説明しなさい。総裁は誤解している。
  43. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) いや、そのくらいのことは私もわかっておるのでありますけれども、ただちょこちょこっと——せっかく調べるのにちょこちょこっとではいけないので、やはりせっかくまたあらためて手直すなら手直すだけのことは精密のデータをとりませんと、それはお金が私はむだになるだろうと思います。それは二百万とか何とかおっしゃいましたけれども、それは一厘一毛でも私はそれだけ公務員給与のほうに回せるものなら回したいと思います。これはちよこちょこっとで済むことじゃないと思います。やる以上はもうとことんまで調べて完全にやりたい。そうすると、二度調査をやるということは、もう全然これは重複になりますから、もう一回目の調査はこれはやめて、四月分はやめて、六月または七月の本調査一本ということが、私はしろうとでなくても、専門家でも当然の結論じゃないかと思います。
  44. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお引き続いてお伺いしますが、次に、体系、配分上の問題点について一、二お伺いします。  人事院は、今回の勧告引き上げについて、全体的には率で本俸の七・五%、三千百十一円を引き上げると、金額の幅では最低行(一)の八等級、これは八等級の一号俸ですね。これは千円ですね。最高は指定職甲、それと指定職乙の九号、これは二万円となっておるわけです。その差は何と二十倍に開いておるわけですね。この事実を見ても明らかなように、一般職給与制ができてから、高級官僚にはここ数年連続、毎年連続して優遇の措置が講じられてきておる。賃金管理によるいわゆる管理体制の強化は一段と強められてきておるわけです。この点は、公務員の諸君から見るときわめて遺憾な点であって、まことに遺憾にたえないわけです。こういう点は、どういう観点からこういうことになっておるのか。
  45. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 御承知のように、指定職のほうは、あるいは一年据え置き、あるいは非常に低率の引き上げということでいままでがまんしていただいておったんでありますが、これはやはりできるだけ俸給額の少ない人たちのほうに回わすべきだろう、いわゆる上薄下厚のたてまえをとって、やむを得ないこととして忍んでまいったのでございますけれども、さて給与体系の面から見ますというと、いつまでもそれをほっておくわけにはいかない。現に民間の会社の場合などと対比してみまして、指定職に当たる人々給与がいかにも低過ぎるということもございまして、今回はその辺の手当てをして、大体体系全体として民間に形がそろったものにしなきゃならないということで、いろいろな御批判があることは覚悟の上でございますけれども、やはり体系の形を整えるという意味で、やむを得ない措置としてさような手当てをいたしました次第でございます。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回はとおっしゃるけれども、高級官僚についてはもう連続的に毎年相当大幅に優遇措置が講じられてきておるわけです。たとえば、行(一)の表の標準的な等級号俸の引き上げ、今度は額を見ても——率でなく額を見てもはっきりしておるわけです。率のほうの比較では、全統計を通じて平均七%程度となっておるわけです。けれども、これを額にしてみれば、初級係員、これは八等級六号、これは千六百円です。一般職員が二千三百円、上級係員が三千三百円、係長が三千八百円、課長補佐が四千四百円、総括課長補佐が五千円、課長が五千八百円、局部長が七千六百円、次官級——事務次官クラスが二万円引き上げとなっておるわけですね。こういうふうに大きく開いておるわけです。これでは先ほど総裁の言われたことと矛盾すると思うのですが、この点どうですか。
  47. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 俸給表改定にあたりましては、民間の動向に注意を払っておるわけでございまして、民間におけるこの一年間の動向が各階層を通じまして上下おおむね同率ということでございますので、公務員改定にあたりましても、その関係を十分考慮をいたしまして、おおむね同率ということにいたしたわけでございます。  なお、初任給につきましては、大学卒につきましては千八百円の引き上げ、それから高校卒につきましては、民間におきましては千三百円の引き上げでございますけれども、すでに昨年以前におきまして標準生計費によってこれをささえてきた事情もございまして、今回は標準生計費上昇が四%にとどまりましたので、その関係によりまして、その引き上げを千百円、六%にとどめたのでございます。なお、それによりましても、なお民間初任給に比べまして決して遜色はない額になっておるわけでございます。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういう説明では納得できないわけですが、要は人事院としては職階職務の序列を非常に重視してきているわけですね。たとえば指定職甲の七号俸、これは二十五万を二十七万に増額しておる。これはけたはずれの上昇であろうと思います。このような特別扱いをするということは、一方では中下級公務員が無視されておるということ、それから民間企業の上級管理者のいわゆる給与状況を割り増しして比較しておる。こういうふうに上級管理者の優遇に相当考慮が払われておるという点。こういうことは順次下位職員に対するしりたたきを行なうあらわれであるということがはっきり指摘できると思うのですが、この引き上げ率について見ても、一等級から八等級まで七%台のいわゆる定率配分を行なっているわけですが、このことは過去においてはかってなかったわけですね。中下位等級をいかに冷遇しておるかということの一つのあらわれであろうかと思います。これらの点については一体どうお考えですか。
  49. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 一等級以下の上げ幅が大体率において同じような率になっておるということは、最初申しましたように、ことしの民間における趨勢がまさにそういう趨勢を示しておりますので、今後、内部における秩序の問題はもちろんございますけれども、まずその点については基本的には民間のあり方を取り入れるということでございます。
  50. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ちょっと関連して。いまの伊藤委員の質問をいたしましたこの指定職はここへおきますが、行(一)一等級から八等級までについて率を一律に上げたということ、七%。それから行(二)も一等級から五等級まで率を一律に上げたということですね。十五の俸給表等級が八十くらいあるんですが、ほとんど全部七%ですね、一律七%上げているんですよ。例外が四つかあるんですが、十五の俸給表は、行(一)なら行(一)をとって言えば、一等級から八等級まで同じ率で上げたという根拠はどこにあるのですか。いま総裁は、先ほどの説明でも、民間がそういうあり方になっているという話なんですが、それは今度の春闘の配分なんですか、それともことしの一年の傾向なんですか。しかも、そういうような引き上げ方をいままで人事院はとったことがあるのですか。人事院引き上げる場合には合併較差でやるわけでしょう。行(一)一等級から八等級までの上がり率、それから行(二)の一等級から五等級までの上がり率、研究職と医療職(一)(二)(三)の上がり率の合併格差をとって、それを上位等級、中位、下位等級それぞれまとめてどれだけ上がっているという差を出して、そしてそれに基づいていままで出しておられたわけでしょう。それを捨てるということなんですか。こんなものは要らぬでしょう、合併較差は。それが人事院のいままでの引き上げ基本になっていたはずなんです。それを全然オミットして、何かいま総裁の話だと、民間がそういう傾向にあるというんですが、どういう傾向にあるのか、今度の春闘傾向か、一年間の傾向か、それをお調べになったら資料を出してもらいたい。なお、率一律で引き上げたということは、どういう考え方を持っているのですか。これは職務が変わらないから引き上げる場合においてはアメリカと同じように率一律でいくという考え方ですか。それなら大きな問題があります。アメリカは率一律で確かに上げる。アメリカとしては上げる理由がある。日本の場合はその理由がないとわれわれ思っている。ですから、そこのところを説明してください、どういう意図があるのか、何に基づいてこういうことをやったのか。
  51. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 官民較差比較計算をいたしました場合に、先ほど申し上げましたように、七・九%の較差があったわけでございますが、これをどのように配分するかという点につきましては、いわゆる第二の原則と申しますか、官民の構成比較という観点が第一でございますが、第二の原則といたしましては、やはり公務員部内における均衡という点が必要でございます。で、その関係につきまして、御指摘のように、従前、各俸給表等級におきます官民較差、これはいろいろばらばらでございますけれども、これをある程度総合をいたしまして——合併をいたしまして、上下関係がどのようになっているか、傾向がどのようになっているかという点を、その傾向を考えるための資料をつくってまいったのでございますが、その関係はことしは中位等級が非常にへこむという形に相なっているわけでございます。かつ上位等級が非常にふくらむという形になっているわけでございまして、この関係は、やはり職種間の官民較差のあり方にいろいろ出方が、出ている点が、たとえば医者、あるいは研究、そういった関係がかなり反映しているわけでございます。他方におきまして、ここ一年間における民間の各階層別の給与の変動状況という点を調べてみますと、これは職種別にいろいろ違うのでございますけれども、各階層を通じまして非常に同率的な傾向がございます。この関係は、最近におきましては、御承知のとおり、初任給周辺の上昇が非常に激しかったという状況がここ数年あったわけでございますが、ことしはそういう関係がきわめて特徴的でございます。で、そういう関係を考慮いたしまして、先ほど申し上げました公務員の中におきます均衡という点を十分考慮をする必要がございますので、民間の特徴的な傾向を配分において十分参酌をして今回の各等級各号俸における給与改定率を定めたのでございます。
  52. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま合併較差を見てみたら、上位等級の上がりがよくて、中位等級がたるんでいる、少しへっこんでいるというような点があって、さらに公務員の内部均衡を考えて、それにこの一年間の民間の上がりぐあい、各階層の上がりぐあい等を見てみてというお話ですね。しかし、そのことは、率一律で引き上げるということにならないのです、それだけでは。それがいま局長はそうおっしゃるなら、その資料をいただきたい。民間各階層ごとに同じ率で上がっているという率、その資料をもらうことが一つ。  しかし、それにしても、これを一律で上げるという根拠はほかにあるのですか、意図はないのですか。ぼくはこれはアメリカに非常に似てきたから考えているのです。ほとんど全部そうだろう。全部そうだ、率一律で上がっている。これはかっていままで人事院はこういうことをとったことはなかったのです。いままでかってなかったのです。初めてです、こんなことは。この二十何年こんなことはしたことはない。総裁知っておりますか、知らないでしょう。少し頭がからからしている。していないですよ。こんな上げ方をしたことはないですよ。これはどうもこのやり方でいくと、職務給という考え方をはっきり出すのじゃないかとぼくは思うのですよ。やるなら、人事院、おやりなさい。職務給はっきりしてもらう。これははっきりしないでしょう。そういう意図があるのかどうか、それをお伺いいたします。
  53. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私どもの意図するところは二つに尽きると思います。一つは、先ほど申しましたように、やはり民間のあり方ということを大きく参考にしたということ。それから、ただいま給与局長が述べましたように、中だるみの是正もやらなければならぬというようなことを組み合わせた結果がこういう率になったと思います。それ以外の意図は全然ございません。職務給のほうへ向かうべきだということも、これはほんとう言いますと、給与法なり公務員法のねらいからいうとそっちに行くべきことかもしれないと思いますけれども、とてもとても、この程度のことで、そこまでのことはやろうと思ってもできませんし、そんなことはいまの段階では考えておりません。アメリカがどうこうとおっしゃいますけれども、私どもは今日の段階ではアメリカを抜いた世界で一番進んだ給与制度を持っているというような自信を持っております。いずれアメリカも追随するだろうというような気がまえでやっておりますから、十分御安心いただきたいと思います。
  54. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほども申し上げてきたわけですが、これを要約すると、一昨年は上薄下厚の改正ということで、たとえば八等級については一一・六%の改善を行なった。そのことに対して、一等級はわずかに四・二%の改善を行なっておるわけです。昨年については、この上下の改善の率の差はぐっと縮まって、上厚下薄の傾向を示してきておるわけです。本年の場合は、先ほども指摘したように、上下の差は全くなくして、ほとんど各等級一律にいま問題になっておる七%台の改善率となっておるわけですね。指定職についてはいわゆる一〇%台ということが言えると思うのです。これは一体どういうわけなのか、どうも了解に苦しむわけです。一たん縮まってきた上下の給与較差がまた開いてきておるわけですね。人事院は従前からいわゆる下位に厚くという方針を持ってきたわけですが、これはもうこの機会にまさしく変えてしまったんではないか、そして上位の給与改善に重点を置き変えてきているのではないか、そういうことが以上申し述べてきた点から要約できると思うのです。もしそうだとすると、まことに遺憾のきわみであって、従来どおりやはり下位に厚くという方針を貫く必要があろうかと思うのですね。しかし、現実にはこうやって上位給与改善に重点が置かれてきておる。これの最も顕著なものが指定職ということになろうかと思うのです。どうもこういう点は納得しがたい。その点はどうなんですか。
  55. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 鶴園委員からも同様な御質問があって、お答えするのをちょっと漏らしたかもしれませんけれども、今後の方向としてこう行こうというような方針をきめたわけでは決してございません。趣旨は、先ほど申しましたような趣旨で、本年における民間傾向ということを主として取り入れて、それを参考にしたということが主でございまして、非常に大きな方針の変更であるということにおとりになっていただくと、われわれとしてはまた非常に迷惑をするわけです。そういうことはございません。
  56. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間が切迫しておるのであまり詳しくお伺いできないわけですが、次に都市手当についてお伺いしておきたいと思うのです。今回都市手当が新設されることになっておりますが、この手当を設けた理由は一体何なのか。いかなる性格を持っておるのか。今回の都市手当については、地域的ないわゆる給与の差異を是正するものであるのか、あるいは従来の地域手当と同一な性格を有するものなのか、異なるとすればそれはどういう点なのか、こういう点についてあわせてまずお伺いしたいと思います。
  57. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 都市手当が非常に今回の勧告でクローズアップされまして、私ども当面の勧告作成者としては、いささか反響の大きいのに正直なところ驚いているわけなんでありますけれども、事の次第を申し上げますと、御承知のように、現在の法制上、ことに給与法の上では、暫定手当はだんだん整理する方向にあるということが法律的に打ち出されております。整理しっぱなしではないんで、給与法の第二条第六号、これはいろいろ問題の結果昭和三十五年に入った条文らしいのでありますけれども、ここでやはり暫定手当の整理を含みながら、地域的な物価民間賃金、それから生活費というものの諸条件に照らして、地域的な較差を解消するために給与上の措置をとれと、国会及び内閣勧告する義務が実は給与法上はっきり出ておるわけであります。私どもはそれを多年の宿題として、そのときそのときの勧告に臨んでおったわけでございますけれども、なかなかその法律の要請を満たすだけの時期が来ない。較差の非常に少ないようなときにそのようなこともやれませんし、かたがた今日まで延引してまいったのでありますけれども、現状を見ますというと、これはやはり、ことに大都市とそれ以外の地域と比べますというと、官民給与較差というものは十何%という著しいものが現実にある。物価においても大きな差異がある。ことに生計費に至っては、これはまた相当の地域差が認められるわけであります。これはやはり何とかして少しでも解消するのがわれわれの責任であるという一つの前提条件があるわけであります。したがって、そういう角度からことし踏み切りまして、特に六大都市を中心とするような地域、それに次ぐような地域ということに対して都市手当というものを設けまして、甲の地域に六%、乙の地域に三%ということで行ったわけであります。この基本の考え方は、やはり官民較差を埋めるということであります。職種別にも、たとえばお医者さん同士を比べて、やはり較差をわれわれとしては埋めなければならぬ。地域別にもやはりそれを何とか埋めなければならぬということが給与法上の至上命令であり、いま申しました第二条第六号もまさしくそのことをうたってわれわれに責任を課しているだろうということでありまして、ただ、官民給与較差ということだけでいきますと、それこそ十何%というものを手当にして出さなければならぬ。これはまたいろいろな別の弊害——昨今論じられておりますようないろいろな弊害が指摘されますので、そこまではいかない。地域的に六%、三%ということにしておきまして、都市手当ということでまかなってまいる。同時に、従来の暫定手当は三年計画で底上げの形で全部解消してしまおう、これですっきりするだろうということでございます。  私どもの別の角度から申しまするというと、人事院給与ばかりではございませんので、公務員の採用試験のほうも大きな責任を持って臨んでおるわけであります。公務員採用試験の実施の面から見ましても、なかなか、たとえば東京の役所を志願される方というのは、近ごろの志願者は非常に計算がこまかくていらっしゃるものですから、やはり給与の問題がすぐ前提になって志願者の、あるいは採用希望者の数に影響してくる。そういう非常につらい面もかたわらかかえておりますので、この際はどうしてもこれを踏み切ってやっていただかなくちゃならぬ。六%、三%では少ないんじゃなかろうかという御批判もあろうかと思いますけれども、この辺がほどほどのところ、暫定手当から乗りかえるのにはいまが絶好のチャンスであるというような認識のもとに、今回のような措置をとりました次第でございます。
  58. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 従来の地域手当については昭和三十二年に廃止されておると思うのです。その廃止された理由の第一は、地域給が人事行政上非常に弊害があるという点が大きかったと思うのです。今回の都市手当も、結論としてはまた同じような問題が繰り返されるのではないか。まあ異動保障を二年延ばしたのもその点をすでに予期しているものであろうかと思いますが、ただ異動保障を延ばしただけでは解明されない問題だと思うのです。都市手当の甲地、乙地はまたどのようにきめるのか。都市手当暫定手当に達しない場合は、暫定手当相当額を都市手当として支給することになっているようでありますけれども、これは現在の四級地、五級地が甲地、乙地に指定されない場合が生ずるためであるのかどうか。それと、都市手当を六%、三%ときめた根拠は一体那辺にあるのか。これらの具体的な問題についてお伺いしたいわけですが、結局公務員に対するそのような一応の人事院配慮があったとするならば、むしろ公務員から非常に要求の強い住宅手当によって対処すべきであって、すでに公務と類似している事務所が御承知のように五一・一%の設置率を現在示しているわけですね。こういう事態でもあるので、この際住宅手当を新設することのほうがより合理的であるし、またこのことは公務員の要望にもかなうという結論にもなると思うのです。これらの点についてひとつ納得のいくように御説明いただきたいと思います。
  59. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 前段のお尋ねでございますが、これが旧地域給の復活になりはしないかという批判も相当近ごろ私どもの耳に入るわけでございますが、これはまた暫定手当という形にもとの地域給がなりましたいきさつもよく知っております。あれはたいへんな騒動であった。地域の指定をめぐっていろいろな御苦労が各方面におありになったということも十分承知の上でおるわけでございます。ただしかし、先ほど触れました法のたてまえは、給与を決定する諸条件地域差に対応する給与上の適当と認められる措置をとれということは、やはり依然として給与法上に残っておるわけです。そして「暫定手当の整理を含む。」とカッコ書きで書いてある。その条文が全然なければ、われわれはさばさばしたもので、何もこういうことを考える必要はございませんけれども、やはり地域差に対応する給与上の措置をとれという至上命令があります以上は、考えなければならぬ。ところが、幸いにしまして昔の地域給の時代のようなああいう各地域別の非常にこまかい段階——五段階かしりませんが、そういうことは幸いにして最近ではなくなってしまって、もう煮詰まったところは大都市、よくよくの大都市だけということになっております。かたがたいま申しましたような法律上の条件もありますので、しぼった形でこれを今回都市手当の形に改めて、暫定手当をきれいに整理しよう、これが私ども基本的な考え方でございます。それから、いまあとにお話しの住宅手当の問題、これは毎回ここで申し上げておりますように、まことに私どもとして悩んできておる問題でございます。したがって、また毎年これも執拗に民間調査をやってまいっておりますのですが、幸か不幸か——幸かというのはおかしいですけれども、まあ幸か不幸かパーセンテージはどうしても私の言う圧倒的多数までにはとてもいかぬ。ことしの段階でもとてもまいりません。したがいまして、住宅手当はなお民間の帰趨を見守っていく必要があるだろうということの態度でおります。しかし、今度の都市手当によって、やはり都市における住宅あるいは家賃等も非常に高いという較差がございますが、それはもちろん都市手当でカバーされる面もあろうかと思います。しかし、問題は問題として将来まだ残っておるという認識でわれわれとしてはこれに臨んでおるわけでございます。それから、六%、三%というものは、先ほど申しましたように、官民較差というものを土台にすれば、これは十何パーセントぐらいにならなければ話が通らないのですが、現在は四級地五%ぐらいというようなことで、暫定手当は固定額なものですから、ベース・アップと同時に暫定手当のほうはどんどん率からいくと下がっていく傾向にあるわけです。まあ五%ぐらいのところで乗りかえるということでつかまえたのは、大体六大都市等における物価がたまたま六%くらいだから、この辺でよかろうや——よかろうやというと無責任な言い方で、科学的、合理的でないとおっしゃられそうでありますけれども それがちょうどいいところだろうという合理的判断でさようにいたしたわけでございます。
  60. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまの伊藤委員の発言に関連しまして、この都市手当というものは物価できめたのですか——もし物価できめるというようなお話になりますと、これは町村ごとに物価を出しますよ。たいへんですよ。この勧告を見ると、地域官民較差で出しているのですね。地域官民較差東京都と町村との官民較差を比べてみたら、ここにあるように一三%の差があるという話ですね。これはどういう考え方なんですか。私は前から言っているのです。東京都と町村との官民較差をとれば、これはわかりきっている。東京都は高い。東京都は大企業が多いのです。町村には小さい企業が多いのですから、これが民間との賃金較差をあらわしているのじゃないのです。民間の大企業と小企業との較差をあらわしているのですよ。そういう方向にこれから公務員賃金を持っていくのですか。どうもそうでもないようだ。物価できめたようですね。生計費も、私はここで前から申し上げているように、東京都と町村とにおる勤労者なら勤労者の生計費を見た場合に、町村に比べてこっちのほうがうんと高いのは、衣料費が高い、雑費が非常に高い。東京都のほうが、標準世帯として四人世帯が多いのですから、御本人はいい着物を着ざるを得ないし、奥さんも子供も着なければいられないから、東京都に比べれば町村にいる勤労者というものはやはりまずい着物を着ているわけです。しかし、地方へ行ってごらんなさい、ワイシャツなんか着ていない、アンダーシャツ一枚で仕事をしておりますよ。着物から、靴から、被服費は町村のほうが安いにきまっているじゃないですか。文化費が非常に東京は高い。これは町村へ行けば文化施設がないから、それだけ文化に対する誘惑というものもない。だから文化費というものはうんと町村のほうが安い。あたりまえの話です。それでは町村をそういう状態に置いていいのか、町村にいる公務員なりあるいは県にいる公務員をその状態に置いていいのか。今回にそういう措置でしょう。六%にしておいて、こっちはそれでいいのだ、ゼロでいいのだ。それは、お前たちは、地方にいる公務員はまずい着物を着ておっても、低い文化でもいいのだということを固定づけるのじゃないですか。あるいは住宅費が高いという。しかし、総裁に聞きますが、東京都にいる公務員の中で何%が宿舎に入っていますか、公設宿舎、官舎。私は五年前に調査したのでは、八〇何%というものは東京都にいる公務員は官舎、宿舎に入っている。六大都市とこれはありますから、そういうところは管区にあるブロックの職員公務員はほとんど全部入っている。公舎、宿舎、公設宿舎、国設宿舎に入っている。そういうものを考えた場合に、これは非常に大きな問題だと思います。それから食べものが高いですね。東京都のほうが高い。いいものを食っているのですよ。私は今度いなかを十日ぐらい回ってきた。ちょっと食えぬですよ。東京都はいいものを食っている。またいいものがありますから、そういう地域における生活上の較差というものは、東京都と市町村なりそういうところは違う。それを埋めようというのが暫定手当の本俸繰り入れであったでしょう。それを昭和三十二年からいままでやってきたのです。今度も一段と繰り入れるでしょう。地域のまずい生活状態、よくない、だからこれをだんだん繰り入れていって東京都と同じようなものにしていく、十五年ぐらいかかってやっていくのだということであったのに、それと全く逆行する、東京都に六%というものをつけるということは、これはどういう神経なんですか。もしいま総裁が言う物価が六%上がっているからその程度でよかろうということできめたということになりますと、これは町村は全部物価を調べますよ。たいへんな陳情になりますよ。三%で幾らになりますか、たいへんなものですよ。三%といったら、平均千五百円ぐらいなものですよ。しかも期末手当にはね返るのですよ、超勤にはね返るのですよ、その他の諸手当に全部はね返るのです。えらいものですよ。どだい総裁は何を考えているのですか、わからないですよ。
  61. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 物価のほうに非常に重きを置かれますと、これはわれわれとしても本意ではございませんので、繰り返しますというと、給与法の二条の六号にあります給与を決定する諸条件の中には、民間給与生計費物価とたしか三つ、三本の柱を立てておったと思います。したがいまして、この三本の柱から見て……。
  62. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 物価は入っていない。給与法をよく見てください。
  63. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) これはないですね。「諸条件地域差に対応する給与に関する適当と認める措置」をやれと書いてあるだけで、給与を決定する諸条件が何々かということは二条の六号には書いてありません。これはおわび申し上げます。申し上げますが、それは物価は実質的にはあるわけなんで、生計費の中に入っておるか、あるいは民間給与の中に入っておるか、これはたまたまそういうこともかつて申し上げたことがございますが、それは出しても大間違いとは言えないだろうと私は思うわけです。したがって、ちょっと三条件、三つそろえますと形がいいものですから、民間給与生計費物価と申し上げたわけです。ただ民間関係給与との較差というものが——われわれとしてはやはり較差主義で話を進めておるわけですから、較差を埋めなければならぬという立場でこれをやはり考えて、またこの給与法の条文も較差を埋め合わせるということに私は重点があると思いますが、その較差を埋める基準は、民間給与との較差が著しいところ、それから生計費の著しく高いところ、したがってまた物価関係も著しく高いところというようなことで地域を選択するわけでございます。そこの場合に、しからば率をどのぐらいにするかというときに、較差主義でいく、民間給与との較差主義でいくならば、十何%でいけということになりますけれども、それはまた大所高所から考えた合理的な判断のもとにおいて、またそれは少し行き過ぎだということも一つありまして、そこでわりあいに……。それから生計費のほうは、いまいみじくも御指摘があったように、ぜいたくをすれば幾らでも生計費は上がるわけです。非常にコンスタントなものとしてこれをとらえるには適しない。その中で考えていけば、物価というものはわりあいに安定した形でとらえ得るのじゃないか。それすらも、御指摘のように、いろいろ精密に言うと論議がありますが、まず物価あたりをめどにしてあるということでありますが、パーセンテージはそういうことでありますけれども地域を押える際には、もちろん物価ばかりじゃない、民間給与との較差の著しいところ、生計費の著しく違うところという面で押えて、よくよくのところを押えるということです。
  64. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それでは聞きますが、東京都の場合に——東京都じゃなくて、ある県をとった場合に、ある村には大企業が来ている、そうするとその周辺の民間給与というものは上がりますよ、民間平均賃金というものは。そういうものを調査やられたのですか。それはやっぱり上がっていきますよ。そこのところの地域民間企業が来ておるから、そこらの民間賃金は高いですよ、周辺は。町村ごとに調べたらうんと高くなる、民間賃金は。それをとらえて持ってきますよ、たいへんなことですよ、そんなことをしたら。物価でいったら、町村ごとに調べますよ。これはきわめてずさんな調査になっているんです、物価調査というのは。生計費にしても、これは各町村が、おれのところの民間賃金これだけだ、あるいは物価はこれだけだ、生計費はこれだけだというように、それぞれはじくということになりますよ。どういうふうにされるつもりですか。どだいむちゃくちゃですよ、これは。あなたはつまらぬことをしたものだ。するんならもっと大がかりに調査をしなければ、どうもおかしいな。いままでわれわれが、住宅手当を出しなさいと、宿日直手当をふやしなさい、何の手当をふやしなさいと言うと、民間のそれでは宿日直手当はどうなっておるか、民間の住宅手当はどうなっておるか調査しましょう、民間の扶養手当調査しましよう。今度調査したんですか。民間都市手当は出しているんですか。東京都なら東京都、名古屋なら名古屋のそれぞれ都市手当を出しているんですか、民間は。そういう調査をしたんですか。民間都市手当を出しているんですか。そういうものもなくしてこういうものを出すというのは、どういうわけです、一体。それは、いま生計費を出すと書いてある。給与法の第二条の六号には生計費を出すと書いてある。物価なんか書いてない。どだい給与法には物価なんか書いてないですよ。生計費を見た場合に、地方におる低い生計費というものは、これはまずいものを食ったり、まずい文化生活をしている、まずい衣服を着ているんですよ。それを固定化しようということですが、それをはっきりしてもらいたい。固定しようというのか。
  65. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) われわれの基本的な趣旨は、先ほど申し上げたとおりでありまして、調査ももちろん、いまおっしゃるような調査もできる限りのことはやっております。また、地方での、大工場が行った場合にどうこうという、ちょっと胸を打つような御指摘もありましたけれども、これもやっぱりその地方地方における労働需給関係というものがありますから、まあ声を大きくしておっしゃるほどのことはもちろんないと思います。私どもとしては、やっぱり全国的に大きく見渡して、これだけの措置はこの際とらないとぐあいが悪いと、ことしが一番絶好の機会であろう、そうすれば先ほど触れましたような法律上の要請もまあわれわれとしては満たしたことになるだろうという立場で臨んでおるわけであります。
  66. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは総裁地域給以上の問題になりますよ。それでは聞きますが、東京都におる公務員の宿舎の状況を調べましたか、あるいは名古屋なら名古屋の管区、大阪なら大阪の管区にあるところ、京都なら京都の管区にあるところの国家公務員の住宅状況を調べましたか、調べてあるんですか。それから各町村の官民較差は出しているんですか、出してないでしょう。えらいですよ、そんなことをしたら。町村によってみんな違うんだから。工場ができているところ、一ぱいありますよ、大きな工場が。長野へ行ったって、とんでもない、道路ができれば山の中の町村の中にどかっとすわっておる、大きな工場が。東京に本社のある工場が一ぱいできております。大阪の工場の出先機関ができておりますよ。そういうところをもうみな較差を出されてごらんなさい、民間賃金較差を出されてごらんなさい、えらいものが出てきますよ。えらいものを出しましたね、総裁。これはぼくら知らぬですよ。総裁の責任だ。
  67. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) もちろん町村ごとの個別の調査というようなことはいたしておりません。私どもは従来の暫定手当ということでカバーしております四級地、三級地ということが顕著な一つ段階をなしておると思いますから、そこをワクとして事を処理していこうということでございます。府県別の公務員宿舎の入居状況は——級地別の宿舎の入居状況はわかるそうです。
  68. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 府県はわからぬでしょう。
  69. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう時間がございませんので、最後に要望を兼ねて一つだけお伺いしておきますが、先ほども官房長官質問の際、総裁あてにもお伺いしたわけですが、結局人事院勧告について、これは以上一部分について御指摘申し上げたように、きわめて不満の多いものではありますけれども、このきわめて不満の多い内容勧告が、さらに実施時期をずらされることによってますます不満の多いものになるのは当然のわけで、そこでこの内容の不満の点についてはしばらくおいて、これを完全実施しなければ全く意味がない。先ほども繰り返し御指摘したように、仲裁裁定については、三十二年以来、しかも四月一日にさかのぼって完全実施されてきておる。こういうこととあわせて、人事院がどのような使命の上に設立されたものか、ここで言うまでもない。そういう本来の使命に立った場合に、これを完全実施されなければ全く意味がなくなってしまうわけです。そこで、お伺いし、さらに要望申し上げるわけですか、この勧告、八月十五日、内閣と国会に提出したわけですが、この完全実施について、特に政府に対してただ文書を出しただけなのか、それとも例年の問題をかみしめながら政府当局に対して総裁から特に強く要請をしたであろうかと思いますが、そういう点、それから今後については完全実施に向かって総裁としてはどのように努力される御意図であるのか、それを具体的に——もう当然時期が切迫してくるわけですから、そのことについての具体的な決意のほどはあろうかと思うのです。こういうことについてあわせてお考えと決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
  70. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 基本的な認識の点においては全く伊藤委員と私ども同じ気持ちでおるわけでございます。いまお話がございましたけれども、実は官房長官がおります間に聞いていただくと非常によかったと思うのですけれども、まず勧告を総理大臣のところへ持っていって手渡したわけですが、その際も総務長官、それから官房長官立ち会ってくだすったわけです。強く、ことしこそはということを例年にも増して私は総理に訴えたつもりであります。それから総裁談話、その他ことし出しました勧告関係の文書をごらんになってもそういう意気込みはお察しいただけるかと思います。なお、これからが山場にかかりますわけですが、従来以上の意気込みを持って、ぜひともことしこそは、ことしは御指摘のとおりにいろいろどうも条件がいいようでありますから、したがって、ことしこそはという意気込みで、これから山場に向かってさらに拍車をかけて努力をしたいという決意であります。国会に対する勧告もありますので、これもお忘れなく、国会としても国権の最高機関としての権威をフルに御発揮いただきまして、国会のお力のほうもこの勧告の完全実施について大きく響きますようにこの機会にお願いしておきたいと思います。
  71. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあ抽象的にはそういうことになろうかと思いますけれども、特に総理とか六人委員、特に問題は大蔵省に相当重点があろうかと思うのです。というのは、税増収で財政に余裕がある年でも財政上困難だというようなごまかしを言っておりますから、そこで特に大蔵大臣とか給与担当大臣、六人委員の意向を取りまとめる立場にある官房長官、こういう点に重点を置いて、さらに今後具体的に、総裁みずから今後は完全実施に最重点を置いて精力的にひとつ働きかけていただきたいということを強く要望申し上げたいと思います。
  72. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 伊藤さんの質問に関連いたしましていろいろ伺いましたので、私が質問するのはあと二つ残っております。その点を時間の関係もございますから簡単にお尋ねをいたします。四時間ぐらい時間をもらって今度の勧告について十分論議すれば、人事院に改めてもらいたい点、改められるべき点が相当あるというふうに思っておりますけれども、時間がないものですからまことに残念なわけです。ですから、残った二つの問題に限りまして簡単にお尋ねをいたしますが、行(二)ですね、いろいろの俸給を取り上げたいのですけれども、医療職の日、それから行(ニ)という問題が大きな問題なんですけれども、ここで行(二)だけの問題について伺いますが、行(二)は六万五千、ですから全公務員の中で行(二)の俸給表というのは非常に大きな地位を占めておるわけなんですが、六万五千の大体公務員が行(二)の適用を受けているわけですが、この平均年齢が四十四歳ですね。行(ニ)の平均年齢四十四歳。で、平均の基準内賃金、つまり本俸に扶養手当暫定手当を足したものですね、基準内賃金、これが三万五千円ですね。四十四歳で三万五千円なんですよ。四十四歳でありますから、これは子供がやはり二人とか三人はいると見なければいかぬですね。五人世帯、子供が三人おって夫婦ということで五人世帯、五人世帯の生計費は御承知のようにいま人事院が出していますね、標準生計費を。六万一千円なんですがね。それが三万五千円なんですから二万六千円の差があるんですね。赤字ですね、二万六千円の赤字。しかも、この人事院の標準生計費というのはエンゲル係数、これは政府がはじいている中では一番高いエンゲル係数ですね、四三・六%のエンゲル係数です。これは十五年前のエンゲル係数です。終戦直後五、六年の間のエンゲル係数です。四三・六ですよ。ものすごいエンゲル係数です。食うだけで半分はとっちゃうというのです。こういうエンゲル係数、低い標準生計費ですね。ですから、ぼくは標準をとれと言っているんですよ、前から、非常におかしいから。いずれにいたしましても非常にエンゲル係数は高い、生計費は非常に低い、それでも五人世帯で六万一千円なんですよ。それに比べると三万五千円という、二万六千円の差がある。国会では前の給与局長は、いやそれは期末手当も入れて考えるのだというお話でした。期末手当を入れてごらんなさい。大体期末手当というのは四・四月分になるのです。一万円ですね、月に。三万五千円だったら一万円足したって四万五千円ですよ。なお一万六千円の差がありますよ。期末手当はみんな使わないでとっておいて、毎月毎月平等にうまく配分してみても一万六千円という差があるわけです。それで子供が三人いないで、二人世帯にしてみた場合でも、いま言ったように同じようなことですね、額はちょっと下がりますけれども。一万円も足らないんですよ。総裁はこの委員会では、それは人道上の問題だから特にこれは努力をいたしますと、こうおっしゃっているんですが、一向に努力した形跡は見えない。まあこの三年ぐらいの間、幾らか上がる率はよかった。行(ニ)のほうは上がる率はよかった。それから問題になっておりました昇格の問題についても、この二、三年来努力してこられた。今度はどんぴしゃりとたたかれちゃったですね。一向にこれは改まらないんですが、これはいまさら言ってみても、悔やんでみてもしようがない。総裁が、勧告を出さないうちに十分配慮してもらわなければならないのです。従来は標準生計費東京都だけ出していたのですが、今度は妙なことに人事院初まって以来の全都市の、全国の生計費ですね。その全国の生計費と行(二)の俸給表比較してくれということなんでしょうな、それはいつも問題になるのだから。全国の生計費をとってみても、これは入れてみると足らないんですよ。もっと詳しく伺うといいんですけれども、そうでないと総裁の頭に入らないかもしれない。頭に入らないかもしれないが、簡単に言って、平均年齢と基準内賃金と比べて見た場合に、期末手当を入れてみても、なお、子供が二人おって足りませんよ、子供が三人おっても足りませんよ、子供が一人おっても——四十四歳といったら子供の一人や二人はおりますよ、どうしたって。どういうわけでこういうことをするのですか。もっと考えたらどうですか。総裁、また人道上の問題ですか、だめですよ、そういうことじゃ。幾ら人道上と言われても、もっとはっきりしてもらいたい。
  73. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) やっぱり人道上の問題としてこれは把握すべきことだと私は信じます。したがいまして、いまおことばにもありましたとおり、従来ずいぶん力をここに入れてまいっておるわけでございます。ことに中途採用者が多いというところから考えましても、何年か続いて初任給の幅を広げ、在職者の調整もやり、できるだけのことはやってきたはずであります。したがいまして、と言うと、ちょっと語弊がありますけれども官民と今度比べて見た場合にそう大きな幅は実は出ていない。もちろん人道上の問題として多いに越したことはありません。といってまた民間とあまりに隔たったやり方もこれは全体としてのたてまえからできませんし、したがいまして、ことしはいま御指摘のようなことになっておりますけれども、しかし、実際われわれとしては今度の勧告の際にあたりましても、標準生計費等との対応を十分検討した上で、これで満足でございますということを、口幅つたいことをここで申し上げることはいたしませんけれども、十分検討をした上で、しかも、民間をも見合いながらこれだけのことをいたしましたと御了承を願います、こういうことで、なお今後もこの考え方を持って、人道問題としての意識に徹して問題に臨んでまいりたいと思っております。
  74. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁、そういう答弁を毎回毎回聞くものですから、私もだから同じようなことを毎回言わなければならぬわけなんですけれども、もう少しこれ改善してもらいたいと思うわけですね。何ともいけませんですね。時間の関係ありますからこれで行(二)の問題終わります。ですが、もっと、総裁もいろいろお仕事はあるでしょうがもう少しそういう関係ですね、標準生計費から大幅に下回っているという、しかも、その標準生計費というのは十五年前の生計費ですよ。東京都四三%、全国の場合四六%という生計費ですよ、エンゲル係数が。総理府統計局が出しているエンゲル係数というのは四十一年度は三五%、三三%、三二%というような非常に低いエンゲル係数ですよ。非常に低い生計費なんだ。それに比べて期末手当も全部平等にぶち込んでみても一万五千円も赤字が出るというのじゃどうにもならないですね、これは。話にならぬですね。  もう一つ伺いたいのは、この三等と四等と五等と六等の問題ですね。これも私いろいろこの四月のときにも申し上げたのですが、これの十分な配慮が払われていないのですね。あの指定職俸給表というのは非常によくなったのですよ、局長。これは何せ年上の者と比較しますから。民間の大体五十七、八歳のところと比較するのですから。そうでしょう、局長。先のほうの係長のほうは民間のほうが若いのですよ。十歳若いのですけれども指定職のほうは十歳くらい上の人と比較しているのですよ。指定職俸給表というのは民間より高いのですよ。そうでしょう、専務とか何とかということになりますれば、五十七、八歳というところになるわけですから。ですから指定職俸給表のほうは民間のほうが十歳くらい上であって係長のほうが民間のほうが十歳くらい下だ。それで指定職俸給表のほうはこれは非常によくなっているわけなんです。ところが三等、四等、五等、六等というところは、これは口すっぱく言っているのですけれども、ヘビが卵をのんだようなかっこうになっているのですね。六等、五等はこれは鶏の卵じゃなくて、これはガチョウの卵になってしまうのですね。この三、四年の間に急速にガチョウの卵みたいにふくれ上がっているのです。これに対して何がゆえに配慮を払われないのですか。都市手当について配慮を払うのなら、ぼくは異常な状態についても配慮が払われてしかるべきだと思うのです。四、五年前の係長の代表——係長といったら五等の何号でしたか、五号でしたでしょう。今度の人事院勧告を見ると係長の代表というのは五等の十一号になっているでしょう。六年年とっている。一年に一号上がるのですから六年年とっていますよ。六等級の代表はどうなっていますか。四、五年前は六等の五号でしたが、それがいまや六等の十一号が代表になっているのですよ。それくらいに六等のところもうんと年とった。五等のところもうんと年とっちゃった。これはヘビがカエルをのんだような形じゃなくして卵をのんだような形になっている。あと十年、十五年たったらどうなるかわからぬようなことをおっしゃるが、いま異常な状態なんだから、それについてそれらしき配慮を払うべきだと思うのですよ。何らの配慮も払われない。今度もぼくに言わせれば五等の五号以上——袋係長は春前五等の五号だったのですから、それ以上については暫定的に手当を出しましょう、六%程度の手当を出しましょう、五年なり十年の間は出しましょうというようなくらいの配慮があってもぼくはしかるべきだと思うのですよ。この異常な状態を何がゆえに人事院は注目しないのですか。何とも納得できないのです、これは。ですから私はいろいろの方法を提案しているのですが、五等級を四等にしなさい。四等という民間職務は五百人以上の係長でしょう。本省係長は五等級。だから四等に持っていけばいい。四等に持っていったらどうです。四等はいま一万七千くらいおりますよ。五等というのは四万五千くらい。それを三年計画ぐらいで、一ぺんにはたいへんでしょうから、暫定手当と同じように三カ年計画ぐらいで四等に移したらどうですか、一段階ずつ。そうすればここのところは風通しがある程度よくなる。いまやたいへんな状況ですよ。働く意欲を失っていると言っても私は過言でないと思う。四十四歳になっているのですよ。一番大切な時期ですよ。それからこの六等級ですね、上級係員。これが三十九歳だ。ひどいものですね。三十九歳。何ぼ言ったってこれはたいへんな状態ですよ。だから五等級を四等級にしなさい。そうすれば三カ年計画ぐらいで穴があくから一等級ずつどんどん繰り上がっていくじゃないか。四等を三等に上げなさい。三等はあれは中二階ですから、三等は四千七百名くらいおりますね、いま。だから四等が一万七千くらいおるから三カ年計画で上げなさい。あなたは、局長については八そう飛びとは言わないが二段飛びでしょう。指定職の乙に移してしまったでしょう。どんどん上へ上げてしまったでしょう。どうしてそれができないのですか、係長たけについては。どういう立場からいってもここの処理ができなければ、いまの行政職の中心をなしている五等級なり四等級なり、あるいは六等級というところは何ともならないのですよ。これは何か対策を考えておられるのですか。このまま放置されるおつもりなのですか、どうするつもりですか。指定職の乙というのは、御承知のとおり三十九年の勧告でできた、指定職は。それでこの二年の間にこの指定職の乙というのは五割ふえているでしょう。係長を五割ふやしなさい。係長を五割ふやせば六等級はだいぶ救われますよ。四等級のところも五割ふやしなさい。そうすれば五等級も相当救われる。ひどいことになっておるじゃないですか。そこら辺についてどういう対策を考えられるのか。これは総裁公務員の持っている最も大きい問題点ですよ。総裁、答弁を頼みますよ。ぼくのほうは頼むという態度だ。こうなったら哀願に類するよ。ひどいものだ。どうされるのですか。
  75. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) おっしゃることは、これはもう同趣旨のことをたびたび伺っておりますので身にしみておるわけで、また現実が、大体人員構成の上で御心配のようなことになっているということは事実でございますし、私どもも最もその辺苦慮をしておるということでございます。今回の勧告におきましても、これは多少は考えたなあとひそかにおそらくうなずかれるだろうと思いますけれども、御指摘のような点についての手当てはしておる、あまり大いばりでは言えませんが。かえって何ですから遠慮しておきますけれども手当てが十分というところまでいくかどうかは知りませんけれども、相当力を入れて手当てをしたつもりでおります。ただ問題は、さらにいまのお話しのように発展して、一等級ずり上げるという形のところまでいくわけらしいのですけれども、これはこれでまた、よく御承知のようにそれぞれの等級職務とのつながりというものを考え直さなければならぬことになりますから、なかなかそう簡単には私ども立場としてはそう手をおろしがたい問題を含んでおる。ある時期に全体の等級の再編成の時期というものがありますれば、その際にこれを徹底的に考え直すということも私は一つ方法だろうと思いますけれども、今日この段階においていまの等級を簡単にずり上げるということは、われわれとしてはまだ勇気がないということを率直に申し述べさしていただきたいと思います。
  76. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、私は局長を言っているのですよ。三十九年の勧告でずり上げたじゃないかと言っているのですよ、ずり上げたでしょうと。局長のところはずり上げた。外局長官のところと次官のところとずり上げたでしょう。一段階飛ばしたでしょう。指定職俸給表というのをつくって、これは二段飛びさせちゃったでしょう。何で係長にできないのか、あるいは四等級にできないのか。いま一等級というのはだれがおりますか。一等級は局長もおるでしょう、部長もおるでしょう、課長がおるでしょう。何で四等級係長がおって悪いのか、五等級係長だけです。何でこれができないのか。一等級には局長もおれば部長もおれば課長もおるでしょう。職務等級なんてうるさいことを言えた柄じゃないですよ、総裁は。言えないはずですよ、ほんとうは。だから、三十九年のときに二段階ずつ飛ばしたのだから、あるいは一段階飛ばしたのだから、相当そこで俸給表の根本的な再編成をやってるのですよ。官庁の中の頂点というのは最も重要なんです。頂点についてはそういう措置をしたのだから、当然それを下に及ぼすべきです。それから二年たってる、三年たってる。及ぼしたって何もおかしいことがない。いま勇気がないとおっしゃった。勇気とは何事ですか。やっておられるでしょう、頂点のほうは。何でそれができないのですか。やってるものを。  あるいはもう一つ、こまかくなりますが、係員はどうして五等級になれないのです。それをやってないでしょう。何であそこに鉄壁のごとき壁をつくらなければならないのか。上のほうは適当にやってるじゃないですか。さっき言った指定職の乙というのは、このわずか二年の間に五割ふえているのです。今度局長はほとんど全部移すでしょう、指定職の乙に。一段階飛ばしているですよ。外局長官、次官は二段階飛んだのですよ。そういう俸給表の根本的な再編成を最も大事な上のほうはやってる。下の公務員は上を見ているのです。上はやっておって下はやらないという理屈は何もないでしょう。何でやらない。勇気がないなんて、そんなことはないですよ。金の問題なら金の問題と承りましょう。だから私は、三年計画でやりなさい。一挙にやるわけにいかないでしょう、三年計画なり四年計画でやりなさいと、こう言ってるのです。やってるでしょう、上のほうは。根本的にくずしているでしょう。説明を聞きます。
  77. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) われわれとしては、今日の段階では俸給表上の手当てと級別定数のほうでできるだけのことをやっていこうという段階におるわけです。俸給表上の手当ては、先ほど申し上げましたように、相当の努力をしておる、これはお認めいただけるだろうという気持でおるわけであります。なお、いまの理想的な姿についていろいろ御示唆かございましたが、これは私は全等級にわたっての再編成の問題として考えていくべき宿題だというふうに考えております。
  78. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは総裁、すみやかにやってもらいたいですね。総裁、御存じでしょう。八等級から七等級が、八等級の八号になれば自動的に七等級に移るのですよ。七等級の九号になると自動的に六等級に移るのですよ。どんどん下から、八等級から七等級、七等級から六等級に移っていくのです。六等級になったが最後、あそこでがしっとなるから、あそこへどんどんたまるでしょう。いま一年に幾らずつたまるか、五千人ずつたまるのですよ。あと五年たってみなさい。全公務員の四割以上が六等級におるということになっちゃう。しかも平均年齢が三十九歳です。最もスタミナのある、最も勉強しなければならぬ時代を六等級に置いておくというのはありますか、いつまでたっても。そんなべらぼうな話はないですよ。どんどんふえる。五等級も一年に二千五百ずつふえる。あとは全然ふえない。八等級も七等級もふえない。一万七千、ずっと同じ。三等級も全く同じ、二年動いていない。二等級、一等級はほとんど変わらない。指定職の乙だけは、さっき言ったように五割ふえている。これは局長のほうは、外局長官とどこが違うとぶうぶう言うからどんどん移す、そういうことをやっておるのだから、そこら辺、総裁、宿題であるとかいう問題ではない、今日の問題です。来年解決しなさい、この問題を。何ともならないですよ、総裁。どうも納得できない、すぐにひとつ検討してもらって、来年の勧告として処理してもらいたい、どうですか。
  79. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 一言お答えさしていただきます。結論はやはり職務と責任ということを非常に大きく法律上うたっているものですから、それとのつながりをどうするかという問題にあるいは尽きることかと思うわけであります。その辺の鉄則は鉄則として守っていかなければならないと、われわれとしては思いますので、そのワクの中で当面処理するとすれば、俸給表上の改善とそれから定数問題によって、合理的に処理をしていくということがあろうと思いますけれども、それを踏まえてのさらに進んだあり方というものは、やはり将来の問題として研究を進めたい、これはそういうことに尽きると思います。どうぞよろしく御指導をいただきたいと思います。
  80. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  81. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。
  82. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほどから伊藤委員鶴園委員から、いろいろ給与の問題について熱心な御質問があったわけですけれども、私どもとして、今度のこの勧告は非常に不満足ではございますけれども、それでも都市手当暫定手当なんかを認めて、評価はさしていただいておるわけですけれども俸給引き上げは、大体八千六百円を要求されたように承っております。ところが引き上げられたのは二千八百八十円でございます。そこで民間平均は大体一二・一%引き上げられたように承りますけれども、この国家公務員引き上げについても、せめて一〇%くらいは引き上げることができなかったかどうか。  そこで、時間がありませんから、私、続いて一括して質問いたしますけれども、その問題が一つと、それから個別の俸給表については、下げるというようなことは絶対にないようにお願いしたいと思います。特に税務の俸給表について、多少問題になっているというようなことを耳にいたしておりますけれども、税務という職務の重要性にかんがみて、現在の水準差を維持するように、これが約束していただけるかどうか、この二点について一応御質問申し上げます。
  83. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 一律八千六百円の御要望があることも十分承知しておりますし、その御要望も急に出た御要望でないので、非常に緻密な計算のもとに立っての御要望であることも十分私承知しておるわけであります。ただ残念ながら、私ども給与勧告にあたっての基本的態度は、先ほど来たびたび御追及受けましたように、やはり四月現在における民間給与そのままずばりつかまえて、それと公務員給与とをつき合わせてみよう、そうして出た数字については一切裁量もしんしゃくもしない、これが出た数字でございますということを強く主張して、せめてそれだけは絶対に完全実施をお願いしたいという立場でずっとまいっておりますわけですから、ほかの方法、いろいろ私は合理的な方法あると思いますけれども、ただいまの少なくとも日本の置かれております経済環境のもとにおいては、やはり民間水準をとらえて、せめてここまでというのが、一番各方面にアピールする方法じゃないかと思いますので、当面はいま申しました従来の方式でいかなければならぬのじゃないかと思っております。したがってはなはだ御不満でございますけれども、三千五百二十円ですか、今度の平均ということになってしまいましたけれども、これはこれとして、以上のような結果から出た数字である。したがってこれだけの差がございます。だから五月にさかのぼって完全に実施していただきたいということを強く要望しておるという段階でございます。  それから個別のいろいろ各俸給表、その他いろいろございまして、水準差の問題のあることも十分私ども承知しております。今回の勧告、ごらんになりましても、考えてはおるなという御察しは私いただけると思います。やはりそれぞれの職務特殊性がございます。人員構成の問題もあって、また、定数などとの関係もございます。実情に即した処置を今後もとってまいりたいという覚悟でございます。
  84. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほども住宅手当の問題が相当ここで討議されておりましたけれども、私どもの考えとしては、住宅手当については人事院総裁も非常に悩んでおられて、それから民間のケースを見守って云々というようなことをさっきおっしゃったわけですけれども、この公務員の住宅というものは、公務員宿舎法によって、当然官舎に入るのがたてまえになっているはずです。そこで先ほどから問題になっておりました住宅手当の問題は、私ども少し考え方を別にいたしておりまして、これはいま公務員が住宅を、官舎をもらっている人ともらっていない人、そういうものの実質的な較差があるわけですね。それを埋めるべく、私どもは住宅手当を、官舎をもらっていない人に与えたらどうかと、こういうふうなことを私どもは考えているわけですが、その問題についてはいかがですか。
  85. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) まさにおっしゃることはポイントに触れておるのでございまして、私ども住宅手当を考えます場合においては、常にと申しますか、そのおもな焦点としては、公務員官舎に入っている人と入っていない人とのアンバランスということを頭に置いてこの問題を見守ってきておるわけであります。結果においては、たびたびの調査にもかかわらず、まだ私ども納得をせしめ得る民間関係データが出ませんけれども、いまのアンバランスの点から申しますと、今度は、もう一つの面において、公務員宿舎そのものをもっと増設していただきたいという問題に、私は当然うらはらになる問題であると思いますので、これも住宅手当の問題が起こりまして、非常に熾烈になりまして以来、ここ少なくとも私が総裁になりまして以来も毎年でございます。勧告たびごとに、特に総理大臣と大蔵大臣には、公務員宿舎の拡充、それから公務員宿舎はいまのところ職務上の必要というようなことが法文上にうたっておりますけれども、そういうことではなしに、福祉施設の面からこの問題を解決していただきたいということを強く要望してまいっております。しかし、幸い予算の上では三割くらいずつ毎年ふえまして、私ども公務員の入居率というものをしょっちゅう見守ってきておるわけでありますけれども、昭和三十九年には入居率二二%でございましたものが、四十二年には二七%までにいっておりますから、この意気込みで今後も大いに関係当局でやっていただきたいということで、そのほうはそのほうで、これからも強く要望してまいりたいと思います。それからもう一つ、独身寮の問題がありまして、そのほうもひとつ強く要望しておきたいと思います。
  86. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 その意気込みで大いにやっていただきたいと思いますけれども、それからさっきも論議がありましたように、この問題は、完全実施に向かってなお一そうの努力をしていただきたい、このように思います。  なお、最後にもう一つだけ質問をさせていただきたいのですけれども、それは、今度のこの勧告が八月十五日になされたわけですね。ところが八月十四日の日に、一部新聞では、どこか漏れたというような話もございますけれども、今度これが正規の文書に発表されたところによりますと、公務員共闘のほうにあらかじめ何か相談がなされたというようなことがはっきり書かれておるわけです。そういうような資料をきょう、いまここに持っておりませんが、そういう話を私どもは耳にいたしました。こういうようなことでございますと、人事院の独自性といいますか、中立性といいますか、そういうものが侵される、このように非常に私どもは腹が立つわけです。そうすると人事院の権威がなくなりますので、私、このことは、政府としても大きな問題だと思います。このことについてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  87. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 当日の新聞記事は、私どもとしてもちょっと意外な気持ちを持ったわけでございますが、この機会に私ども基本的な態度をちょっと一言お聞き取り願いたいと思いますけれども、私どもは中立機関であり、独立機関でありますので、そういった外部の意見を特にこっちからサウンドしてみたり、あるいは事前に漏らしたりするというようなことはいたしません。ただし、独立機関が独善機関であってはこれはならないわけなんで、したがって、政府側からの御要望も頻繁にあります。文書で、あるいは私自身がお目にかかることもございます。同時に組合関係からも、組合と申しましてもいろいろな組合がございます。そういう方々にも、私の時間の許す限り、私自身でお目にかかっております。それからまた、関係者とお会いして、そうして御要望を承り、どうしてもらいたい、たとえば都市手当をぜひ設けてもらいたいとか、住宅手当をぜひというような御要望が各組合からございます。そういうような御要望、それから行(二)をどうというようなこと、これらはもちろん、私どもとしてはできるだけ広く御要望を聞きませんと、独善の勧告になってしまいます。そういう意味では、政府側ももちろんでありますが、組合側も当然、それから各業界のお医者さんでありますとか、あるいは薬剤師の方でありますとか、ずいぶん幅広く要望をお持ちになってまいります。これは十分お聞き取りをしておりますけれども、いま申し上げましたように、こちらの案を示してどうかとか、サウンドして顔色を見たり、そういうようなことをやっても、たとえば八千六百円のアップを要望している方に対して、三千円でどうと言ったところで、とてもそれでけっこうですとお帰りになるはずもございませんし、それは御要望として十分承った上で、あとはわれわれの責任で処置をするという考えに徹しておるわけでございまして、今回もその態度できておるわけでございます。  ただ、新聞に事前に出ましたということにつきましては、これは御承知のように勧告の前になりますというと、ことしは住宅手当はやはりだめらしいとか、あるいは宿日直手当は当然らしいとか、大体八%に迫るだろうと、いろいろ推測は御随意でございます。それはまあ委員会でいろいろ追及を受けるわけでございます。これはまた新聞社は新聞社として、それぞれの取材活動をなさいますし、また、それはいろいろの材料をお持ちの上でやっていらっしゃるわけでございますので、私どものほうとしては、新聞社としては取材の自由をお持ちになっており、報道の自由をお持ちになっておるということで、とかくのことは申しませんけれども、われわれの立場としては、いま御心配のようなことはございませんでしたということをはっきり申し上げさしていただきたいと思います。
  88. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それでは、本日はこの程度といたしまして、散会いたします。    午後一時十五分散会