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1967-12-01 第56回国会 参議院 石炭対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十二月一日(金曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員異動  十月二十日     辞任         補欠選任      片山 武夫君     向井 長年君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      吉田忠三郎君     大河原一次君      村田 秀三君     大矢  正君  十一月三十日     辞任         補欠選任      向井 長年君     片山 武夫君  十二月一日     辞任         補欠選任      北條 雋八君     宮崎 正義君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木  壽君     理 事                 西田 信一君                 二木 謙吾君                 小野  明君     委 員                 井川 伊平君                 石原幹市郎君                 徳永 正利君                 柳田桃太郎君                 吉武 恵市君                 阿部 竹松君                 大河原一次君                 大矢  正君                 宮崎 正義君                 片山 武夫君    国務大臣        通商産業大臣   椎名悦三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        厚生省年金局長  伊部 英男君        通商産業政務次        官        熊谷太三郎君        通商産業省石炭        局長       中川理一郎君        通商産業省鉱山        保安局長     西家 正起君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告 ○当面の石炭対策樹立に関する調査  (石炭関係施策及び予算に関する件)  (石炭鉱業年金基金法及び石炭鉱業再建整備臨  時措置法実施状況に関する件)     —————————————
  2. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十一月二十七日、吉田忠三郎君及び村田秀三君が委員辞任され、その補欠として大河原一次君及び大矢正君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 照谷通商産業政務次官から発言を求められております。これを許します。熊谷通商産業政務次官
  4. 熊谷太三郎

    説明員熊谷太三郎君) このたび、通産政務次官を仰せつかりました熊谷でございます。まことに浅学非才でございますので、どうか今後とも皆さまの御指導と御支援をいただきますようお願いをいたしまして、簡単でございますが、ごあいさつといたします。(拍手)     —————————————
  5. 阿部竹松

    阿部竹松君 議事進行委員長理事打ち合わせ会で、大臣出席はどうなっておるんですか。
  6. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記とめてください。   〔速記中止
  7. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記をつけて。  当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。  先般、当委員会が行ないました石炭に関する諸問題の実情調査のための委員派遣について、派遣委員から御報告を承ることにいたします。  吉武委員から御報告をお願いいたします。
  8. 吉武恵市

    吉武恵市君 派遣報告を行ないます。  派遣委員は、鈴木委員長と私とでありましたが、大河原委員阿部委員現地参加をされまして、十一月の十三日から十六日まで、常磐地方を中心に視察をいたしてまいりました。  第一日に、向洋炭鉱会社側から生産現状、また労使双方から要望事項を聴取いたしまして、その後、産炭地域振興事業団造成中の工場団地視察して、最後に、重内炭鉱会社側生産現状組合側要望を聞きました。  第二日は、まず常磐共同火力視察した後に、小名浜港の石炭荷役施設視察し、次いで平石炭支局で管内の石炭事情及び保安状況報告を受け、常磐磐城鉱業所で、同所の再建整備計画を聴取し、あわせて労働組合からの要望事項を聞きました。また、ここで福島県、茨城県、磐城市、高萩市等の自治体からの要望事項説明を受けて、最後に、同鉱の立て坑から入坑して切羽における採炭状況視察いたしました。  第三日は、好間炭鉱会社側及び労働組合要望を聴取した後、仙台におもむき、東北電力仙台火力発電所視察して、翌第四日に帰京したのであります。  まず、常磐の近況を申し上げますと、炭鉱数は、合理化法が施行されました昭和三十年当時は九十八炭鉱でありましたが、現在ではわずか十四炭鉱となっております。特に最近では、高萩炭鉱閉山、つい先日は大手の大日本炭鉱閉山することになりまして、当地方における大手炭鉱常磐炭鉱だけとなったのであります。  出炭高は大体年産三百九十万トンで、昭和三十三年当時より若干増加している程度でありますが、一方労働者数は三十三年の二万五千人から現在では一万五百人程度となり、したがって一人当たり出炭能率は二倍半近い三十・八トンとなっております。しかし、全国平均の四十・ミトンにはまだ及んでおりません。しかし、四十五年度には労務者七千三百七十三人、出炭三百九十万トン、能率四十三・四トン、五十年度には労務者六千五百八十二人、出炭四百万トン、能率五十一・八トン程度まで上昇するものと推計されております。  次に、私ども視察いたしました炭鉱の概略を申し上げます。向洋炭鉱は、昭和三十三年までは宇部興産に属しておりましたが、三十四年以降中小炭鉱として再出発し、現在の生産状況は、労務者約五百人、生産十八万トン、能率二十九・六トン程度炭鉱であります。重内炭鉱は、労務者約三百九十人、年産二十万トン、能率四十三トンで、常磐地方炭鉱としてはよいほうでございます。また、好間炭鉱は、昭和三十九年に古河鉱業の第二会社として再発足し、労務者三百人、年産十二万トン、能率三十三トン程度炭鉱であります。  これらの炭鉱は、いずれも長期生産計画を立て、向洋炭鉱では、昭和四十五年度には年産三十六万トン、能率四十六トンへ、重内炭鉱では年産二十四万トン、能率六十九トンを目ざしておるとのことでございます。常磐磐城鉱業所労務者四千七百人、年産百七十万トン、能率三十トン程度生産状況でありますが、本年から再建整備にとりかかり、切羽集約合理化をはかって、熱気遮断強制抜水切羽充てん化採炭方式機械化等によって再出発したばかりのところでありまして、五十年ごろには労務者三千二百人、年産二百万トン、能率五十一トンを目ざしておるようであります。  さて、今回の視察を通じまして、各所で経営者及び労働組合、または地方公共団体から各種の要望を受けたのでありますが、そのおもなるものを御紹介申し上げます。  その第一は、労働力確保対策についてであります。この点につきましては、昨年末、炭鉱離職者臨時措置法改正によって、移住資金支給対象が拡大されましたが、むしろ炭鉱への再就職も奨励すべきで、炭鉱は他産業に比して不利な条件にあるので、他産業への就職よりも、有利な条件を与えて炭鉱への再就職を促進し、労務者確保をはかるべきであるとの意見がございました。特に労働組合側からは、地下労働者として魅力ある賃金の支払いが可能になるように国も強力に炭鉱を助成し、労働者炭鉱から流出せしめないようにする必要があるとの意見が述べられておりました。  第二は、需要確保についてでございます。この点については、幸い常磐共同火力ができていて非常なささえとなっております。  共同火力勿来発電所は、常磐地方石炭会社と東京、東北の両電力会社共同出資で、常磐炭田の低品位炭を活用するため、昭和三十年に設立されたものであります。昭和三十二年運転開始以来、昨年十一月の六号機十七万五千キロワットの完成で、出力は四十七万キロワットに達し、本年度石炭消費量も百九十万トンに達する見込みとのことであります。このことは、常磐炭の約半分近くに当たるものでありまして、その存在意義は大きいのであります。なお、六号機は、低品位炭のみでなく五千二百カロリーの石炭をたいています。しかし、現地では一般炭需要の衰退、将来の見通しなどから、安定需要確保のために、四十五年度を目途に、五千二百カロリーの石炭をたく二十五万キロワットの増設を強く要望しておりました。なお、これが増設に要する費用は約百六億円、完成後は、年間七十万トンの消費増が期待できるとのことでありました。また、筑波研究学園都市常磐炭を使用するセントラルヒーテング方式の採用も要望しておりました。  第三は、隣接炭鉱閉山したために、稼行中の炭鉱湧水が増加し、この排水のために要する経費増を国で負担してほしいということであります。  第四は、常磐地区炭層が太平洋に向かって、七、八度の傾斜で賦存しておりますが、まだ海底鉱区につきまして炭層探査がほとんど行なわれておりませんし、これが探査にはばく大な費用を要するので、来年度から国の経費で実施すること等の要望がございましたほか、坑道掘進補助金対象の拡大、COマスク全額国庫補助常磐地区への保安センター設置等要望がございました。  最後に、地方市町村側から大日本炭鉱閉山に伴う要望事項として、離職者の救済をはかるため事業団による早期買い上げ整理交付金の引き上げ、及び関連中小企業の援助をあげておりました。  以上簡単でございますが、派遣報告を終わります。
  9. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまの御報告に対し、御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、派遣委員報告は、これをもって終了いたします。     —————————————
  10. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、昭和四十三年度石炭関係施策及び予算に関する件について説明を聴取いたします。
  11. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) お手元に本年度石炭特別会計予算補正要求の一枚紙の資料と、三枚とじました来年度要求概要資料をお配りいたしておりますが、この事柄の順番から、最初補正について御説明いたしたいと思います。  本年度初めての特別会計のスタートでございまして、その後いろいろな問題が出てまいっておりますけれども、当面緊急を要する事項といたしまして、年度初めに国会でおきめいただきました予算でもっては処理し得ない事項が多少出てまいりましたので、大蔵省との間に話を進めまして、四十二年度特別会計予算補正要求案をほぼ固めたわけでございます。  第一点は、閉山交付金の問題でございます。石炭鉱業をめぐる環境のきびしさを反映いたしましたこともございましょうが、予想外終閉山が進展いたしまして、このため当初考えておりました三百三万トン、六十二億八千三百万円という予算規模でもちましては処理し得ない状況に相なりまして、ここで見直しをいたしますと、四百三十五万トン、百五億八千六百万円の規模に相なるということでございまして、この差額でございます四十三億三百万円の増加補正を行なう必要が生じたわけでございます。この表の歳出増加要求額四十六億一千二百万円の次にございます炭鉱整理促進費補助金四十三億三百万円というのがそれでございます。  第二は、合理化事業団を通じて出します再建資金でございます。この資金は御承知のとおり、一般石炭鉱業企業と比べまして経営状態が著しく悪いという企業であるけれども地域需給問題地域経済の問題あるいは全国的な出炭規模の問題等々、石炭政策上の観点から放置することの許されないものにつきまして再建計画をつくりまして、これに基づいて合理化事業団を通じて融資するという無利子立ち直り資金制度でございます。本年度は、二社に対しまして五億円の融資を行なうということでまいりましたが、最近におきまして坑内事故等もございまして、さらに三億の追加融資を行なう必要があるということで、予算増額補正をいたすことといたしているわけでございます。  第三は、保安専用機器整備費補助金増額でございます。保安確保につきましては、あるいは保安局長からも御説明があるかと思いますが、特別会計のことでございますので、とりあえず、かわりまして御説明いたしたいと思います。本年九月の三井三池における坑内火災等を契機といたしまして、一酸化炭素中毒症対策が大きな社会問題にまで発展いたしましたことは御承知のとおりでございます。このため来年度を待たず、緊急にCOマスク個人携行を義務づけるということを考えているようでございまして、これに伴いまして、COマスクを独力では整備しがたい中小炭鉱に対しまして補助を行なう必要があるということで、その経費七百万円の補正を考えているわけでございます。  以上通産省関係歳出増加要求額は四十六億一千万円でございますが、これに労働省関係増加要求額二百万円を加えまして、歳出の総増加要求額は四十六億一千二百百円ということに相なります。これの財源といたしましては、下にございますように、原重油関税増収見込額が四十一億五百万円でございます。それから若干歳出不用見込額がございます。これが五億七百万円ということでもって処理をいたすことに相なっております。このほかに各省全体に通じまして、本年度予算節約作業が進みまして、九千二百万円の予算節約額石炭特別会計としても出す。これは普通の率よりは非常に小さい率を、特に石炭でございますので考えてもらっております。こういうことで、当初の五百二十一億八千万円から五百六十一億九千万円ということにいたしたわけでございます。右のほうに、同じく四十二年度石炭会計財政投融資計画補正額を示しております。御承知のように、これはまた後ほど御質問も出ようかと思っておりますが、本年度に入りまして上期の出炭が思わしくないというような状況がございまして、石炭産業全体、資金繰りに非常に苦しんでおるわけでございます。反面、また出炭の不振を取り戻すためにも坑道掘進等も大いに意欲的に進める必要があるということでございますが、設備投資について考えました場合に、日本開発銀行で考えておりました当初の百十億円という設備融資は、これをもっては処理し得ないという状況に相なっておりますので、四十億の追加融資財源を開銀に振り向ける。それから整備資金、これは閉山合理化等に伴う資金需要に対してこたえるものでございますが、当初計画で十五億考えておりましたものに対しまして四億追加する、こういうことでございまして、総計四十四億追加して、百八十三億を二百二十七億円ということで要求しておるわけでございます。財務当局との話し合いはつきまして、次の臨時国会先生方の御審議を受けるわけでございますが、何とぞよろしくお願いいたしたいと思います。  次は、これはこれからの問題でございまして、先ほどの今年度補正と違いまして、これから私ども大蔵省等折衝をする事項でございますが、四十三年度石炭対策特別会計予算要求概要を、まあ膨大なものでございますけれども、簡単に三枚の表に要約してございます。いろいろございますけれども抜本策の補充、拡充という意味合いで、ことしの春ごろから進めてまいりました予算要求額でございます。  項目を追って御説明いたしますと、炭鉱整理促進費補助金四十三億円、この備考のところにございます五十一億六千万円、備考のところにございますのは内訳でございまして、そのうちカッコにくくってございますのは、本年度予算との対比でございます。交付金四十九億七千万円と書いてございますのが、来年度予算として要求しておる数字でございます。カッコ内の五十九億五千万円プラス補正四十一億五千万円とございますのが本年度補正の額でございます。これは閉山規模といたしましては、二百三十八万トンを考えておるわけでございます。この中にはほかに保安不良炭鉱の二万五千トンを計上いたしております。  坑道掘進費補助金でございますが、六十二億八千万円ということで、思い切ってこの点は増額を考えておるわけでございます。  石炭増加引取交付金は、御承知のように四十二年度、本年度予算関税還付制度からの切りかえの第一年度でございますので、四十二年度のところにございます四十一億円という数字半期分数字でございます。あとの半分は還付制度でやっておりますので予算には出てまいらないわけでございます。それで単純に申しまして同じ数量でございますので、ほぼ来年度要求額としては倍になる、こういう筋合いのものでございます。備考のところにございますように九電力常磐、それから電発、鉄鋼、それぞれの内訳に相なっております。  電源開発株式会社出資金は、引き続きまして石炭専焼火力建設に伴うコスト低減のために二十億の出資を行なうということで、今年どおりのことを考えております。  石炭鉱業元利補給金は、一千億の肩がわりに伴うものでございまして、これはほぼ計算式どおり出てくる筋合いのものでございます。額としては百二十三億、特別会計の中で非常に大きな額を占めております。  石炭鉱業安定補給金は、本年度二十五億円、本年度出資につきましては、大体所要交付要領を定めまして、年内に出すということでもっていま鋭意作業を進めております。交付基準等につきましても、大蔵省との話もついております。ただし本年度の二十五億は、先生方承知のように中小炭鉱再建会社対象として、トン当たり百二十円、一割の雑炭をそれに上乗せするということで考えております。来年度要求額といたしましては、この本年度対象になっております中小炭鉱並びに再建会社に対しましては、百五十円という単価で増額要求いたしております。さらに大手会社につきましても、百円の安定補給金要求する、こういうことで組んでおりますので、二十五億円に対して五十六億三千万円という数字に相なっておるわけであります。  さらに石炭鉱業合理化事業団に対する出資でございますが、この中で特に重点を置いておりますのは、それぞれ重点を置いておりますけれども原料炭の将来を考えまして、新鉱開発にかなりなものを考えております。機械貸付をできるだけ伸ばしたい、こういうふうに考えております。なお流通合理化資金といたしまして、石炭専用船、これを四隻分の予算を計上いたしております。あと近代化貸し付け、保安設備貸し付け等々でございますが、昨今の労働力不足という状況機械化合理化によってカバーするという意味合いにおきまして、石炭鉱業合理化事業団出資金の中の、その意味でのアクセントの置き方を考えておるわけでございます。  その次は石炭技術振興費その他でございますが、この中で特に考えておりますのは、先ほどの常磐地区の御調査報告にもございました増加坑内揚排水費というものの補助というのを新しい項目として出しておるわけでございます。なおその上にございます炭鉱機械化促進指導費、これは機械貸与のために合理化事業団所要指導施設をつくりたいということで、これも新しい要求でございます。  石炭鉱業保安確保対策費といたしましては、保安センター設置運営費、これは新たに常磐地区センターをつくるという建設費と、本年度予算できまっております北海道、九州のセンター運営段階に入りますので、運営費補助をいたしたいということでございます。ボタ山災害防止工事費も、大体現状どおり進めていくということに相なっております。保安専用機器整備費につきましては、先ほど申しましたような事柄にも、今度の補正にも関連いたしまして、特に四十三年度には大きな数字を計上いたしておるわけでございます。  以上、石炭鉱業合理化安定対策費といたしましては、四十二年度の当初予算額三百七十六億円に対しまして、四百七十四億円という数字を計上いたしております。  次に、鉱害対策費でございますが、大体事業規模で百億を少し切るところを考えておりまして、本年度の六十三億に対しまして八十億五千万とこういう数字に相なっております。復旧事業資金復旧事業指導監督費事業団事務費等内訳でございます。なお、鉱害基金に対しましては、二億円の出資を考えることにいたしております。  産炭地域振興対策費といたしましては、本年度の三十億六千万円に対しまして、三十七億二千万円ということで考えております。備考に書いておりますように、事業規模といたしまして、設備資金四十億、運転資金八億、土地造成では十九億、ボタ山処理で十二億、工業用水で一千万円、工場貸与制度で一億五千万円等の内訳と相なっております。なお、地方公共団体に対する事業債調整分利子補給金を改定いたしたい、かように考えております。  それからごくわずかでございますが、予備費を計上いたしまして、通産省所管分として、総合計五百九十三億一千万円、労働省分で六十億九千万円、合わせまして六百五十四億という数字に相なっております。  これのもとになります収入財源といたしましては、大部分を原重油関税収入をもって充当することを私どもは考えております。一般会計からの繰り入れば八億円をこの中に考えております。原重油関税収入見込みにつきましては、多少私のほうの見方よりも大蔵当局はかた目に見る気配がございます。それの全体の財源が問題になりますとともに、石炭鉱業の現況を反映して、かなりきびしい意見も出てまいっております。これからの折衝にはなかなか楽観を許さない問題があると思います。私どもも精一ぱいやってみるつもりでございます。委員会におきましても、特別の御理解をいただきたいことをお願いするわけであります。  以上でございます。
  12. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいま石炭局長のほうから保安につきましての予算説明がございましたが、私どものほうから鉱山保安局関係につきましての予算につきまして説明をさしていただきます。  最初補正予算でございますが、三池の事故にかんがみまして、新しい型のマスク全員携行を義務づけるという立場に立ちまして進めておるわけでございますが、何ぶん新しい型のマスク製造能力にも関係がございまして、極力これは最大限の増産をさせるつもりでございまして、全部各個人に携帯を終わりますのが四十三年の十二月の予定でございまして、今年度中にマスクを必要といたします個数が大手中小合わせまして約二万六千、そのうち中小が七千個ということでございまして、その分につきまして、中小炭鉱に対して二分の一の補助金を出す、こういうことで、七百万円の補助金を計上したような次第でございます。  四十二年度予算につきましては、第一に、一ページの石炭鉱業合理化事業団出資金、まん中からちょっと下のほうにございます保安設備資金でございますが、これは昭和四十二年度十二億九千万円、昭和四十三年度七億八千万、非常に下がっておるようでございまして、これにつきましては、昭和四十二年度におきましては、二十八機種につきまして融資制度をとっておったわけでございます。したがいまして十二億九千万計上しておったわけでございますが、四十三年度につきましては、二十八機種に一機種をふやしまして二十九機種、そのうち十九機種につきまして、大手につきましても二分の一の補助金を、中小につきましては三分の二の補助金を出しまして、保安機器整備をはかりたい、こういうことで融資のほうの出資金のほうの額は落ちたわけでございます。  これとうらはらの関係で、二ページのほうの石炭鉱業保安確保対策費の三番目にございます保安専用機器整備費補助一千万、これを五億五千万円にふやしたような次第でございます。それから保安センター設置運営費でございますが、これは先ほども説明がございましたように、三カ所二カ年計画でつくることにいたしておりまして、残りの建設費と、さらに新しく運営費の補助につきまして高率補助をいたしたいということで要求をいたしておる次第でございまして、運営費が四千万、残りの設置費が二億三千万ということでございます。  ボタ山災害防止工事につきましては、これは長崎、佐賀県の工事を大体来年度に終わりたいということで、計画に従いまして一億五千万要求をさせていただいたような次第でございます。  以上でございます。
  13. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまの説明に対して御質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 鉱山保安のことで局長にお聞きしますが、ガスマスクの携帯制を義務づけておられるが、このガスマスクの有効期限がわりあいに短いことと完全でないということで炭鉱側で非常に苦慮いたしておりますが、政府として、これを何か特別に助成をする、補助をするというか、あるいは政府自体で研究をしておられるかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  15. 西家正起

    説明員西家正起君) お答えいたします。  今度個人に携行を義務づけようといたしておりますマスクにつきましては、現在の段階におきましては、大体世界各国に匹敵する能力のものでございまして、このマスクにつきましては、実はだいぶ前から通産省の炭鉱保安専用整備費補助金によりまして研究をさしたものでございますが、その後でき上がりましたものにつきまして、科学技術庁のやはり補助を受けまして、各炭鉱におきまして一年間使用をいたしまして、いろんな種類の労働者につけさしまして、一年間影響なかった、十分機能が保持できたということで踏み切ったような次第でございますが、先生御指摘のように、確かにこれで万能、万全のものであるということになりますと、これはただいま申しましたように使用期限にも制限がございます。絶対に安全だというようなところまではまだいってないんでございまして、これにつきましては、さらにもっといいマスクをつくるために、来年度につきましても新しい補助金をつけまして、新しいいいものをさらに開発するというようなことで努力をいたしていきたい次第でございます。     —————————————
  16. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) この際、椎名通商産業大臣から発言を求められております。これを許します。椎名通商産業大臣
  17. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 過般の内閣改造にあたりまして、不肖私はからずも通産大臣をやれということでございまして、これをお受けいたした次第でございます。もとよりきわめて浅学非才でございますが、皆さんの御鞭撻、御協力によりまして、職務を遂行したいと考えております。ちょうどこの委員会の開催の機会を得まして、特にこの旨を申し上げたいと参上した次第でございます。どうぞよろしく。     —————————————
  18. 大矢正

    大矢正君 この機会に通産大臣に、緊急を要する問題が一、二ありますので、所信を承っておきたいと思うのでありますが、大臣もまだ就任されて日が浅うございますから、具体的にどこまで検討されておるかという点もわれわれ考えないわけではないのでありますが、ただ一通りの省内の懸案問題につきましては、おそらく話し合いが済んでおられることと思うので承りますが、その第一は、佐藤総理大臣が先般来、各省おしなべて一局を減らせという非常に強い指示を出しておるようでありまして、その指示に基づいて通産省としては、もちろんこれは新聞の報ずるところでありまするから、真偽のほどはわからないし、わからないから承ることになるわけでありますが、鉱山保安局をこの際廃止をして、部に格下げをする、あるいは石炭局に統合をするというような話が出ております。これはまことに重大な問題でありまして、歴史的な経過からいいましても、石炭局、特に鉱山局もでありまするが、こういう石炭、鉱山両局の地下産業に働く者に対する保安確保というものは、非常に他の産業と異って重要性のあるものでありまするし、一たび事故が起こりますと、そのことはまことに重大な災害になるというたてまえから、特別の局を設置してやっておるわけですね。ところが、いま申し上げたように、どうも通産省としては保安局をなくするという傾向のようでありまするが、なるほど保安局というのは通産省の中では非常に力が弱いといいましょうか、財界その他にバックのない、省内においても比較的軽んぜられる傾向にある状態を私は常々いままで見ておるわけでありまして、だからと言って、今日重大な保安確保に当たるべき立場にある保安局をこの際なくするということは、とうてい私ども理解ができないわけでありまして、おそらく通産大臣はそのような考えがないのではないかと思うので、念のために承っておきたいと考えます。
  19. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 先般、私就任する前の閣議で鉱山保安局の整理統合を行なう旨の報告をしておる由でございます。そういう状態で私が新しく任命されたわけでございますが、この問題は、きわめて御指摘のとおり重要な問題であり、私といたしましても十分検討して結論を出したいと、かように考えております。こういう鉱山保安局を統合するという前提を離れて、新しい問題として十分に検討したいと、かように考えております。
  20. 大矢正

    大矢正君 念を押しておきますが、通産省も、いずれかの局を一局減らすという考え方においてはこれは変わりはないんですか。どうですか。その点は。
  21. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) まあ総理大臣の命令でございますから、その趣旨に沿うて結論を出したいと、こう考えております。
  22. 大矢正

    大矢正君 趣旨に沿うてやりたいということは、そうすると、通産省でもどこか一局減らすという考え方は持っておられると。ただあなたのいまの発言からいくと、保安局はただいまのところなくするという考え方はないと、こういうことになるわけですね。
  23. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 統合するという前提のもとに考えるという考え方はないと、新しい問題としてこの問題を出発点から考えてみたい、こういうわけです。
  24. 大矢正

    大矢正君 くどいようだけれども、その出発点というのはどういうことなんですか。出発点ということは、いま私は世上うわさになっているような、保安局というものをなくするということは、今日まことに人命尊重の立場、あるいは保安確保の立場から重大なものであるから、したがってそれは当面は考えていないのだ、一応白紙に返して、もし削減できるとすれば、どこの局を削減するかという考え方をこの際検討するのだと、こういう意味ですか。
  25. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 大体まあ御指摘のような趣旨でございます。ただ、鉱山保安局の整理統合ということはやらないということをこの際分離して、世間に明らかにするということは避けたいと思います。鉱山保安局のこの性格というものについては十分の考慮をもちろん払います。そして、どの局を何というか、特別扱いをするということじゃなしに、一局を整理するという立場で白紙に返って研究して結論を出したい、こういう趣旨でございます。
  26. 大矢正

    大矢正君 通産大臣は外務大臣のころから、同じことを三回聞かないとほんとうのことを言わないといううわさがあるからね。私は続けて、これは重ねて同じことを聞くようで悪いけれども、通産省に局はずいぶんだくさんあるが、その局の中でスポンサーのない局といったら保安局なんだ。ほかの局はみんなそれぞれスポンサーがけつについているから、だまっていてもそのスポンサーのほうが一生懸命に動いて、削減するとか、なくするとか、どうするとかという場合には考慮してくれるが、保安局の場合はだれもスポンサーになるものがいないのだ、それだけ力がないのだ、現実的には。力がないと言っちゃ語弊があるけれども、がんばっておられる方々はみな力を持っておられるけれども、そういうバックの力がないだけ弱味があるわけだから、あなた自身がそういうことにことよせて、財界から圧力もないし、この際保安なんてものは縮小してしまえば、かえって財界が喜ぶとか、石炭業者が喜ぶとか、鉱山の業者が喜ぶとかというような判断で、先入御念を持ってやられたのでは、これはたいへんなことになるので、あなた方がほんとうに保安局を減らすというのだったら、この際抜本的にひるがえって、われわれ長年主張している保安監督行政を労働省に移行するという考え方を明確に出したらどうですか。むしろあなたが労働大臣と会われて、われわれとしては保安監督行政は局の段階にとどめておくわけにはいかないし、佐藤総理のお声がかりもあるから、この際ひとつ部なり何なりにしなきゃならぬ、これじゃとてもこの保安は守れないから、ひとつ本来の労働行政の中に保安行政を入れてもらいたいということまで、あなた自身が言わない限りは、この問題の解決にはならないと思うので、くどいようですけれども、私はこの際ここで確認してもらいたいのですよ。私は保安局をなくしないという確認をしてもらいたい。もしそれをしてもらわないということになれば、やはり新聞の言っていることが正しいのだし、そしていまの判断としては、保安局をやはりなくするのだという解釈をわれわれとしてはとらざるを得ない。
  27. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 保安局を整理するという考え方を明確にすることはもちろん控えますが、これを存続させるということもいま明白にお答えするわけにまいりません。全体をながめて、そして適当な結論を、白紙に一応還元してあらためて考えてみたい、かように考えております。
  28. 大矢正

    大矢正君 そうすると通産大臣、もう一回具体的に念を押すが、通産省は保安局をこの際削って石炭局に統合する等によって一局削減するという考え方が通産省から官房長官のほうに表明されて、いるということは、これはないということだね、それは。ぼくは官房長官に会うから。
  29. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) その事実はございます。ございますが、私は諸般の情勢から考えて、これを白紙に返して、そして新しく出発点から出直す、研究する、こういうことです。
  30. 大矢正

    大矢正君 だから、それじゃあなたおかしいじゃないか。官房長官の手元に、保安局をなくしますと言っているやつを、まずもう一回もとへ戻してもらわなきゃいかぬ。これは戻してもらいなさいよ。はっきりと戻してもらった上で、白紙の上で検討すると言うんなら話はわかるけれども、官房長官のほうに対しては通産省は保安局をなくするんですよと言っておいて、それでどうして白紙で検討できる。
  31. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) これはきょうやはり行管の長官から発言を求められましたが、局というものを看板はなくすが、実体は部ということで存続するということは、これはどうもほんとうの意味の一局を廃止するゆえんではない、だから全部考え直してもらいたい、こういう注文がございました。結局同じことになりますけれども、それを一応取り下げて、そして再検討する、こういうことになるわけです。
  32. 大矢正

    大矢正君 だから大目、時間もあることだから、私はこういう解釈をいたします。なるほどいままでの仮定の話では、前の大臣保安局をなくしてもしかたがないのではないかというような意思表示はあったようだけれども、今度椎名通産大臣は大ものだから、あなたが行って態度を表明すれば、当然のことながらそれは白紙になる、したがって白紙の前提でこれから検討するんだ、こういう解釈でいいですね。
  33. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) はい。
  34. 阿部竹松

    阿部竹松君 大矢委員の質問で、大臣が白紙の立場で検討し直すという御答弁ですから、それでいいと思うのですが、私一言だけ要請と申しましょうか、申し上げておきたいわけですが、これは閣議で決定しても実施されぬわけですね。問題は国会できめるわけですよ。通産省設置法に基づいてきめるわけですから、これはいかに閣議で決定し、佐藤さんが命令しても、これはまだその時点においては効力を発生せぬわけだ。ただ私は、大臣におなりになる前、通産省出身ですからよく御承知のはずなんですが、この保安法が改正されて、労働省ができた当時、労働省にこの局を置くか、通産当局に置くかということで、これは与党、野党ということでなしに、相当論議された局なんですよね。したがって、その後相当次から次へ災害が起きるものですから、保安局のあり方、あるいは行政面から内容等について相当毎国会で論議されているわけだ。しかし大矢委員発言もございましたが、やはり生産保安というものは車の両輪のように、一体のものであるということなんです。そうしますと、いままでずっと二十年間終戦後の歴史を見ても、保安行政は、犠牲者になられる従業員とか炭鉱で働く人の数は減っているけれども、従業員の数も減っているわけですから、戦争中とほとんど変わらぬぐらい犠牲者はまだ今日減少しておらぬわけです。そこへもってきて佐藤さんは常に人命尊重ということをおっしゃるけれども保安局を減らすなどということは、これは佐藤さんの常におっしゃっていることと全く相反しているわけです。加えて、私ども保安局を存続しなさいとか、あるいはなくしなさいというよりも、一番心配なことは、ただ機械的に各省において一つずつ減らすのだ、こういうことなのです。ということは、二つも三つも減らしてもいい省もあるかもしれませんよ。あるいは行政面から見て、かえってふやさなければならぬ省もあるのではないかとも私はしろうとなりに考えております。特にこの保安局に至っては、いままでしし営々と努力して、なお今日花が咲いて実を結ばぬ段階において、保安局の存置そのものよりも、保安局はなくしてもいいのだ、こういう通産大臣をはじめとする通産省の皆さんの気持ちがぼくは了解できない。そういうことがあってはならないと私は思う。したがって、閣議で決定し総理が決裁しても、これは衆議院から参議院に回ってくる段階において、おそらく国会の審議過程において、あなたが何ぼ努力しても私はこの設置法は通らぬと思っているから、時間のないあなたにあまり時間をかけてかみつこうとは思わぬけれども、しかし出してもパーになるようなつもりで出しておられるならばいざ知らず、しかし、そういう点は十分考えて、これは大矢委員も触れているから言いませんけれども、白紙に返って検討するという最終的御答弁ですから、その白紙の立場に立って検討されるべくもう一回——ほかの局を切ってそれを残せというようなことは言いませんけれども、もう一度真剣に炭鉱保安行政というものはいかにあるべきかということは、あなたは通省産業大臣はこれで三回目、しかも通産省のはえ抜きですから、これ以上ことばは使いませんけれども、各段の努力をお願いいたします。
  35. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ほかに御発言もなければ、本件については本日はこの程度にいたしたいと思います。  速記とめて。   〔速記中止
  36. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記を起こして。     —————————————
  37. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、石炭鉱業年金基金法並びに石炭鉱業再建整備臨時措置法につきまして発言を求められております。順次これを許します。伊部年金局長
  38. 伊部英男

    説明員(伊部英男君) 石炭鉱業年金基金法につきまして、前国会におきまして七月二十日成立を見た次第でございますが、これに基づきまして、八月二十五日設立委員会、九月二十二日設立総会を開きまして、九月二十九日に定款の認可をし、十月二日設立登記を完了して、ここに基金が成立をした次第でございます。国会の御審議の趣旨もございまして、十月を目標に努力をするということで関係者の努力が実を結んだのでございます。なお国会で御論議のありました坑外につきましても、会員の二分の一以上の同意が得られましたので、同時に実施されたのでございます。またこの基金が設立に至りますまでの間、労使双方におきまして協議を重ね、また厚生省といたしましても取りまとめにつとめまして、年金問題小委員会がお示しになりました石炭年金制度の実施に関する考え方の基本線に沿った内容で年金が設計されているのでございます。ちなみに基金の会員数は十一月十五日現在百十八、坑内員数八万八千六百九十一人、坑外員数一万八千七百十九人、計十万七千四百十人となっております。また掛け金の徴収規則の整備等基金の業務は発足以来順調に運営されていると考えております。厚生省といたしましては、今後とも通商産業省とも十分連絡を密にして、基金の円滑な運営をはかってまいる所存でございます。  なお、石炭離職者の再就職につきましても、過去勤務期間を通算する優遇措置が講ぜられておりますことをPRをいたしまして、再び炭鉱において働いていただけるよう労働省からも職業安定所を通じて努力をしているところでございます。  以上簡単でございますが、その後の施行状況を御報告申し上げます。
  39. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまの説明に対しまして質疑のある方は順次発言を願います。
  40. 大矢正

    大矢正君 年金局長、いまの段階ではたいした金は集まってこないが、一年、二年、三年たっていくと、当然のことながら金がたまってきますですね。この運用は一体どういうようにすることになるのですか。
  41. 伊部英男

    説明員(伊部英男君) 運用は御審議の際にも申し上げたと思いますが、おおむね国家公務員共済組合に準じた考え方で運用するわけでございます。この点につきましては、政令におきまして、余裕金の運用の方法を、銀行その他厚生大臣の指定する金融機関への預金、または郵便貯金、信託業務を営む銀行または信託会社への金銭信託、国債、地方債、特別の法律により法人の発行する債券、貸付信託の受益証券、その他厚生大臣の指定する有価証券の取得、不動産の取得等に限られておるのでございます。ただいまのところ、御指摘のように十月分の保険料の収納がおおむね終わりつつある段階でございますが、当面の運用の方針といたしましては、ここにございます有価証券の取得及び信託業務を営む銀行または信託会社への金銭信託、この二つにしぼって考えたいと思っております。この場合、基金からの報告によりますと、主として石炭産業に対する融資、その他の貢献度合いに応じて金銭信託その他の運用の配分をいたしたい、かように当面基金では考えておるようでございます。
  42. 大矢正

    大矢正君 もうこれから余裕金が漸次ふえていくということになってくると、当然のことながら、その金をどこに運用するかということがまあ問題となってくると思うのでありますが、ただ御存じのとおり、この金は零細な炭鉱の金の中から出される金でありますから、ほかの一般の運用金と異なって、運用のしかたについても、やはり石炭産業だけに限定をされている限りにおいては、やはり石炭企業との結びにつき、運用面においての結びつきということは、私は当然のことながら考えていただかなければならないのじゃないかと思うのです。ただそうは言っても、石炭企業もはたしてこれから絶対に十年間一つの企業がかりに経営を続けていけるとか、あるいは五年続けていけるとは限ったわけではありませんから、なかなかむずかしい面もあると思う。実際貸したはいいが倒れてしまった、そういうむずかしさはあるが、それをいかにうまく配慮してやるかということについては、十分ひとつ御検討をいただいて、でき得る限り石炭企業にその運用の方法が向くようなことで最善のひとつ道を求めてもらいたい。いま直ちにどういうことがいいかということは、むつかしい点もあるが、これはいま集まった金も、これから集まる金もわずかではありますが、しかしもう二、三年たってまいりますと大きな金額になりますので、その運用については十分配慮してもらう、その前提で御検討いただきたい。要望しておきます。
  43. 伊部英男

    説明員(伊部英男君) ただいま御指摘の点は、まことに当然のことでございます。御趣旨に沿った指導をしてまいりたい、かように考えております。
  44. 宮崎正義

    宮崎正義君 いまの人数の合計のあれは十万七千とおっしゃいましたか。
  45. 伊部英男

    説明員(伊部英男君) 合計十万七千四百十人でございます。
  46. 宮崎正義

    宮崎正義君 三十五年三月が二十五万六千人で、四十年六月には大体九万五千七百五十人くらい、ほとんど十五万から減少しておりますが、そういう減少しておる時点において、いま大矢委員からもお話がありましたけれども、そういう傾向にあるところにおいての考え方というものをもう一度はっきりし直さなければならないのじゃないか、こう思うのですが、その点どうでしょう。
  47. 伊部英男

    説明員(伊部英男君) ちょっと御質問の趣旨を誤解いたしておるかもしれませんが、今後の財政についての御心配ということでございましょうか。この点は年金制度全体に通ずる問題でもございますが、やはり五年ごとに再計算をしていくという前提で考えておるのでございますが、いずれにいたしましても、石炭産業につきましては、ただいま御指摘のような点もございますので、これらを念頭に置いた財政方式を組んでございます。
  48. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に中川石炭局長
  49. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) 肩がわり措置の実施状況でございますが、今年の七月五日に石炭鉱業再建整備臨時措置法を施行いたしまして、八月十四日に再建資金計画についての答申を石炭鉱業審議会から受けまして、八月の十九日に大手十三社、中小十四社の再建整備計画を認定いたしまして、九月の上旬に元利補給契約を締結いたしまして、九月の末、三十日に元利補給金の第一回目の交付をいたしたのでございます。この額は六十一億七千四百万円、半年分でございまして、残り半年分は本年三月末に交付する、こういうことで考えております。実施後の問題といたしましては、はなはだ遺憾なことでございますけれども、この再建整備計画にございました事柄、これが必ずしも四十二年度ではうまくいってない過去の実績、そういう状況がかなり顕著に出ておりますことと、肩がわり対象そうものになっておりました大日本炭砿の倒産、あるいは三菱鉱業の再建山として考えておりました古賀山炭鉱の今後閉山予定というような、計画の中での個別の変更が出てまいっております。簡単でございますが、状況報告を終わります。
  50. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 御質疑がございましたら、順次御発言を願います。
  51. 西田信一

    ○西田信一君 先ほど御説明いただきました来年度特別会計予算歳出につきましては、また後日伺いたいと思いますが、問題は歳入見積もりの問題ですが、六百四十五億の関税収入を見ておりますね。ことしは四百七十四億プラス補正予算の四十一億、で五百幾らになりますか、そうしますと、それから百何十億伸びておるわけでありますが、先ほどのお話ではどうも大蔵省と見解の相違があるような御説明でありましたが、ここら辺が非常に来年度予算の交渉での焦点だと思うのですね。そこでお聞きするのですが、ことし四百七十四億見込んだものが補正に四十一億この財源を使っておるが、一体ことしはどんな見通しなのか。そうして来年度の六百四十五億というものは、どういう確信によってこれが盛られているのか。そこでそれが非常にもし見込み大蔵省と違って、そこら辺に問題が生じた場合に、一般会計から八億しか繰り入れを要求しておらないようだが、そこら辺についても一般会計繰り入れについてどういう決意があるかというような点、ここら辺のところをひとつざっくばらんにお伺いしたい。
  52. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) たいへん重大な御質問でございまして、実はことしの補正をやりますときも、これから先の三月末までの収入予想ということをひとつ考えて補正財源を見ておるわけでございますので、来年度幾らくらいの関税収入があるかということと同じ性質の問題を補正の段階でも一つ議論したわけでございます。私のほうは所掌上、これは鉱山局の石油計画課におきまして、いろいろと原重油の入りぐあいということについての見通しを持っておりますし、かなりいままでの過去の実勢のトレンドというようなことから通産省としてもかなり的確に予想できるという感じでおります。ただ財政当局のほうといたしましては、かりに過大に見込んでおいて足りなかった場合には石炭特別会計に繰り入れしなければならないということに相なりますので、その点どうしても向こうは、これは私もっともだと思いますが、慎重な立場をとる、こういうことに相なっております。  ことしの補正財源としての原重油関税の収入につきましては、ほぼ一致した答えが出てまいりましたが、四十三年度ということになりますと、この時点が少し先へ延びますので、どうしても予想要素が大きくなってくる。これは私ここで確定的なことを申し上げるのはいかがかと思いますが、石炭局長のフィーリング、感じだとお考え願えればよろしいと思いますが、来年度の関税収入の見方で問題点が一つございますのは、本年のスエズ問題以降に原重油の備蓄用の在庫を相当持たなければいかぬという動きが出てきたことは先生方承知のとおりでございます。そこで、いままでよりも備蓄用の油をよけい持つという観点で、四十三年には少しよけい入るのじゃないかという見方が当然の結論として出てくるわけでございます。その辺のところが、これは貯油タンクの問題もございますし、いろいろな問題がございますので、そうは言ってもなかなかそう急にたくさんは入らぬという見方もありましょう。その辺はおそらく見方の相違で、安全サイドに立つ見方と、もう少し意欲的に考える立場とで違ってくると思いますが、いまのこの事態で出てまいりました備蓄用の増強というものを除いた正常ベースでの収入を見ましても、私の感じでは六百億円前後のものはあるのではなかろうか、通産省としてはもう少しあると思っておりますが、かた目に見ても六百億前後はあるのじゃなかろうか、その上に、一体備蓄用の輸入増というものはどのくらいあるかというところが、いま要求しております関税収入の見込み額と、いま私かた目に申しました数字との間くらいのところで双方話をする以外に手はないのじゃなかろうかと、こう思っておりますが、私の感じではどんなに低目に見ましても、六百億を落ちるような収入だとは考えられないというのがいまの私どもの感じでございます。
  53. 西田信一

    ○西田信一君 わかりました。そうしますと、ことしの四十一億の補正財源大蔵省と見解が一致した。そうしますと、ことしのあれは四百七十四億プラス四十一億ということになりますと、五百十五億になりますね。それで精一ぱいというところですか、まだ余裕があるのですか。これが精一ぱいだとすれば、来年は六百何十億というと、百三十億くらいふえる感じですね、そういう感覚でございますか。
  54. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) 私は今年度の収入予想としても、いま補正できめました財源よりは上回るものがあると考えております。
  55. 小野明

    ○小野明君 時間もありませんから簡単にお尋ねをしたいと思います。  再建整備計画実施状況ということで、局長きわめて簡単に触れられたわけであります。大日本炭砿の閉山問題、あるいは古賀山の問題等触れられておるのですけれども、このこと自体きわめて重大な意味を持っておると思うのです。それでまあすでに十一日ですかの衆議院の石特におきましても菅野通産大臣が、抜本策の練り直しと、こういうことを言明されておるのであります。いろいろな事態を見ましても、その必要に私は迫られていると、こういうふうに考えておるのでありますが、その辺について、練り直さざるを得ない状態に立ち至った原因というもの、あるいは練り直しをするならばそのめどと、こういったものについて御説明をいただきたいと思います。
  56. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) 計画と実際との間にかなりのギャップが出てきたということからいろいろと論議が出てまいっておるわけでございます。先のことにつきましては、私どももいまの段階で確定的なことを申し上げることが非常に困難でございますが、本年上期の実績がどうであったかということを一通りお話をしてみたいと思います。  本年上期の実施計画は、生産出炭量で二千四百五十八万トンということでございます。これに対しまして、下期二千五百七十二万トン、加えまして合計五千三十万トンというのが四十二年度の実施計画でございます。これに対しまして、上期の出炭実績は二千三百二万トンということでございまして、百五十五万トンの減をいたしておるわけでございます。しかも石炭産業全体に非常に悲観的なムードを与えておりますのは、この出炭減によりまして、まあもともと経営の苦しい産業でございますので、百五十五万トンダウンするということは非常に収支上はきついことに相なるわけでございますが、とりわけこの中でも手取り率のいい原料炭出炭計画を大きく割っておるということからいたしまして、山元手取りが減ってきておる、そこへ持ってまいりまして、これの出炭減に伴う原価高騰というものがございますので、まあ通常の産業でございましたら、あるいは体力的に十分これくらいなものは、かりにこれが経過的なものだといたしますと、たえ得る能力があろうかと思うのでございますが、経理を苦しくしておる企業でございますので、経理状況に対しての圧迫というものが非常に強い形で出てきておることは御理解いただけるだろうと思うわけでございます。そこで問題は、この上期の実績というもの、計画と実績との対比というものを、これから先も引き続いてこうなる傾向を持っておるものと見るのか、かなり一時的なものと見るのかという見方が問題になろうかと思うわけでございます。その辺の見方が定まりませんと、今後どうするかというようなことは、必ずしもいまの時期に考えることは早いということに相なるのだろうと思います。  見方でございますが、私は二つの見方があるのじゃなかろうか、やや恒久性を持った、傾向的には非常に危険な状況だと見る見方は私は間違いだとは思いません。それは一つは原因分析で考えてみますと、先ほど大矢先生ですかおっしゃっておりましたように、労働力不足という事態が非常に顕著にあらわれてきておる、これはもう昨年と比べて非常に顕著に出てきておるということでございます。この傾向に着目する限りかなり危険な兆候だと考えざるを得ない、こういう感じでございます。ただもう一つの立場に立ちますと、やや経過的なものであるという考えもとれないことはない。それはここまで進めてまいりました石炭政策というものが、いろいろな意味合いにおきまして能率の高い炭鉱能率をいよいよ上げていくという合理化方向で対処してきておりますために、切羽の集約等、これを機械化によって推進していくという考え方で進めております。どうも状況を見ますと、機械化の適用について少し急ぎ過ぎて過剰期待を持ったという点、あるいはもう少し周到な計画や用意を持っておれば引き起こさなかったであろう機械化のエラーというようなものが出てきて、新しいものを取り込みますと、やはり当初どうしてもそれを使い切るというか、使いこなすまでにかなりのトラブルを起こすというような状況がございますので、そういうトラブルだと見れる状況というものが各所にございます。これはもう少し機械化を適用していきます場合に、切羽を集約しておりますので、大型化しておりますので、思わぬ断層が出てきますと、大きな機械を動かしておりますので、そこでストップしてしまいますので出炭減を起こす、こういうことでございますが、そういうトラブルを起こさない方法、あるいはトラブルが起きるとしても、すぐにかわり切羽等を用意しておくというような予備的なことをやっておけば相当しのげるものがあるはずだ。しかも長期的にはおそらく労働力というものがどんどんむずかしくなっていくとすれば、機械化にたよらざるを得ない。そういう政策の基調は変えないし、その政策のメリットというものは十分あるという判断の上に立ちまして、やはり本年度上期の状態などは、かなりその使い切るまでの不なれというものがあらわれてきているのではなかろうか、こういう感じもいたします。あっちも言いこっちも言いということで、何を言っているかというお気持ちかもしれませんが、少なくとも非常に微妙な段階でございますので、下期の実勢を見、もう少し状況を見ないと、軽々に計画そのものをどうするというようなことを言うのはまだ早いのではなかろうか。大臣はむしろその危険な兆候についてのお気持ちを率直に述べられて、私はあのこと自身も間違いだとは思っておりませんし、そうだと思っておりますが、だから引き続いて直ちにどうするかということには、もう少し私どもとしては情勢を見、原因、要因を分析し、いろいろなことを勉強しなきゃいかぬのではなかろうか、かように考えておるわけであります。昨今でも、たとえば上期非常に悪かったところへ、下期どうも回復するというところまでいきませんけれども、傾向値としては伸びが出てきておるという炭鉱もございますので、数はそう多くはございませんけれども、もうしばらく状況を見る必要があるのではないか、かように考える次第でございます。
  57. 小野明

    ○小野明君 お話を聞いておりますと、いまの現象が一時的なもの、あるいは経過的なものと、こういうふうに見たほうがいいのではないか、こういう御説明のように受け取られるのであります。いろいろな配慮というものももちろんわからぬわけではございませんけれども、やはり私は菅野通産大臣が言明をされた、その分析のほうが正しいのではないか。非常に危険である、こういった分析に立つべきではなかろうか、こう見ざるを得ないのであります。というのは、この抜本策が二年おくれたと、こう言われておるわけです。そのおくれというものが一つは致命的な欠陥になっておる、こういうことはいなめない事実であります。私はここらあたりで、もう率直に見られておる内容をお出しになって、そして早急に抜本策も練り直す、こういう方向に踏み切られたほうがよくはないか、あるいは踏み切るべきではないか、こう思うわけです。というのは、もうすでに上期で二千三百といいますと、下期をどう見ても、五千万トンを三百万トン割るほどで済めばまあいいくらいであります。それからこの大体抜本策の基調になっておりますのが、損益で見て四百五十円であります。それを五年間で解消できる、こういう見方であります。ところが現在の損益を見てみますと、ほぼ七百円ぐらいになっておる。そうしますと、これでもうスタンドというものが全然狂ってきておる。能率も軒並み大手が下がっておる。しかも大手の損益を見てみましても、ほぼ四十五億という赤字なんであります。配当のできるところなんてはもう一つしかない、こういう状況であります。いわばこの抜本策というものが立っておる基点というものは全部倒れてしまっておる。あるいはこういう時点になりますと、銀行あたりの見方というのはもっときびしい見方をしておるのではないか。さらに金融機関の指導といった観点からも、大きな観点から抜本策をこの際立て直していく、そういったところに私は信頼が回復できるのではないか。それぞれもう各社から一社案なりあるいは二、三社案なりという編成がえなるものも出ておるわけでありまして、早急に菅野通産大臣の言明の裏づけというものを率直にお立てになる、あるいはこのめどはいつだ、こういうことを御説明いただいたほうが、不安な状態を解消するのに、より役立つのではなかろうか、こう見ておるわけであります。その点の見解を承りたい。
  58. 大矢正

    大矢正君 ちょっと関連して。同じようなことなんですが、中川局長ね、私新聞だけで見るところで、まだ正確に速記録を読んでいませんから、通産大臣が衆議院の石炭委員会抜本策の練り直しをしなければならぬ時期がきていると言った、こういうふうに受け取るわけですね、とっているわけです、ぼくらはそうとっているわけです。そこで、どういう考え方で、それからどういう判断でもう一回抜本策をやり直さなければならぬと言われたのか、そうして、そのいまの石炭企業現状認識をどういうふうにしているからそういう結論になったのかということが私どもにはわからぬわけです。そこで、あなたがこまかい部面でいろいろ述べられている向きはあるのだけれども、しかし基本的な立場における見解の表明というものはないわけです。まああなたは大臣じゃないから、言えと言っても無理かもしらぬが、しかし少なくとも通産大臣の菅野さんが、かってにああいうことを言うはずはないので、あなたが知恵をつけているに違いない。知恵をつけたほうが言わないで、大臣は今度かわってしまったが、今度は椎名さん何を言うかわからぬということで、どうにもならぬわけです。だから率直に言わしてもらえば、いまの石炭政策抜本策が現に行なわれている、われわれ抜本策とは思わぬが、あなたのほうがそう言うからわれわれはそれに乗っかって言うが、六十一億円の肩がわりが始まった。それから近く年内に補給金も出る。そういうものを織り込んで、なおかつこの重大な危機にきているという認識が石炭経営者にもあるやに承る。そうでなければ、いまの経営者が、もうここまできている、国営しかないということをみずから言うはずはない、これは経営権の放棄ですから、ある意味では。そこまで経営者がみずから危機意識を持っているということになると、結局あなた方の認識との差がどうもあるのじゃないかという感じがしてしようがないわけです。で、さっきから言われているとおりに、私は端的に言うと、自然条件というものがかなり大幅に悪化してきたことも事実だ。しかしこれは年数を経れば自然条件は悪くなるのは当然である。当然そういうことは当初から織り込まなければいけないので、そのことをとやかく言うことはない。あるとすれば私は数の問題だと思う。これは鶏と卵の議論になると思うのだが、いまやはりどこの炭鉱でも、ちょっとした炭鉱なら採炭夫のいいところを十人か十五人引き抜かれたら山はつぶれてしまう。金をどんどん持ってこられて、腕のいい先山の十人も引き抜かれれば経営は成り立たない。そういうきびしい状態になってきているということです。したがって逃げていくのをどうやって防止するか。たとえば断層にぶっつかって石炭が出なくなったときに、従来のように人手がある程度余裕を持っていれば、予備でもつくっておれば、そっちのほうに移行すればいい。しかし現実には人間が足りないから、結局そういう石切りが終わるまでそこで黙って待っていなければならない。そういうことが出炭減に響いてきている。そこにもう一つうらはらの問題としてあるのは、やはり金繰りの問題です。だから、この十二月は何とか乗り切れるのではないかという話は私たちも聞いている。しかし来年の三月期になったら、いまの状態では乗り切ることは不可能です。そうすると金繰りはできないから、賃金を半分にするとか六割支払うとかいうことになると、いきおいそこでまたやめていく者が出てくる。それから出炭率が悪くなる。また出炭が落ちるということで、こういうふうにして循環していま非常に重大な危機にきておると私は思うのです。だから、そういう認識の上に立って、なるほど五百二十一億の金は注ぎ込んだ。今度は補正予算をやれば五百六十億円というさらに大きな金額になる。それから来年は六百何十億という金を注ぎ込むことになる。あたかも大金が大きく注ぎ込まれているかのごとく言われているけれども、しかし実際は石炭企業の個々が経営上、金繰り上好転しない最大の理由は、いろいろ理屈はあるけれども、やはり増加引取交付金であるとか、産炭地振興対策費であるとか、鉱害の資金であるとか、そのようにして石炭自身の問題でないところにかなりの金額が流れていることにも石炭企業の金繰りが今日困難になっている面が私はあると思うのです。したがって小野さんが質問していることと同じことだけれども、目先の自然条件が若干いい悪いという問題よりも、出炭が若干落ちたが、そのうち少し上がるだろうという問題よりも、もっと本質的に、この際抜本策をやってもなおかつこういう危機の状態を乗り切れない、危機の状態にどう抜本的に対処していくか、それを通産大臣に私は聞きたいけれども、通産大臣は就任後日も浅いし、石炭のことはあなたのほうに聞くほうがよりはっきりするはずですから、私の言うことと小野さんの質問とあわせて、この際あなたの腹を割ったひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  59. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) ちょっと速記をとめていただけますか。
  60. 宮崎正義

    宮崎正義君 私も時間の都合があるからあわせて回答してもらいたいと思います。  小野委員大矢委員のおっしゃったことは私もお伺いしょうと思っておりました。大体石炭鉱業再建整備時措置法案の理由説明のときには、完全に今後の石炭対策の基本的方向を確立した次第でありますということで、はっきりと方向づけもし、基礎的なこともできていると言っておりながら、そして今回の大手十六社の九月の決算を見ますと、千三百億も赤字が出ておる。ところが長期見通しをするということは、こういう面からいきましてもどうかと思うわけです。それからまた大日本炭砿の閉山がきまったたしか二週間ぐらい前に、ここに三億六千万ですかの投資をされておりながら、こういう事態が起きておるということ自体が、いま大矢委員が言われたように、石炭調査団の調査が悪いのか、政府の見通しが甘かったのか、こういうところに問題点がある。一つの新しい法律を立てる。その立てた法律が出ていけば、完全にその対策はできるんだというような感覚を国民や担当者の方々に与えておきながら、法律が今度はできてしまったらまた抜本策をやり直さなければならないというような行き方というものから考えていっても、いまお二人の方が言われたことに尽きると思うのですがね。そういう見地の上に立ってのひとつ明確なる御答弁を願いたいと思います。
  61. 大矢正

    大矢正君 速記をとめて、ひとつ局長の腹に思っておることを言ってください。
  62. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記をとめて。   〔速記中止
  63. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記を起こして。
  64. 阿部竹松

    阿部竹松君 いま懇談の中で局長がおっしゃった予算がきまってからということなんですが、予算がきまってしまったら、もうわれわれの意見について、いままで池田さんが通産大臣の当時、佐藤さん、三木さん、何にもならぬわけですよ。これは膨大な予算で西田理事も心配しておるようですが、私も去年の石炭予算獲得ということで、野党の委員として行っていいかどうかわかりませんが、吉武先生とか西田先生と一緒に行って、野党であっても国政に参画しておるということで石炭の心配をしたのですが、この予算書を見せていただいたんですが、これが一〇〇%獲得できるかどうかは別として、一銭もふえておらぬ、一銭も。金額、数字を見ると確かにふえておりますよ。しかし坑道掘進にしても資材費が高くなっているから、結局何メートルどれだけでできるかということになると、単価がふえていって延長率はほとんど変わりがない。それから、買い上げ価格のワクがふえておりますが、炭鉱をつぶして買い上げたところで、石炭産業のあれだ、産炭地の振興だといっても何にもなりません。かえって逆効果です。ですから、私は、予算決定前にひとつお願いというか、申し上げておきたいのだが、鉱害等を見ても、北九州は、御承知のとおり、鉱害などは農林省か建設省でおやりになってもらったらどうなんですか。鉱害、あれはちゃんと内閣法の定めに従って、国土保全とか何とかいうことは建設省、農林省でやることになっております。もちろん戦争中から通産省のほうも関係して、石炭と関連があるわけですが、河川でも何でも見てごらんなさい。農林省も関係し、建設省も関係し、みんなでお金を出し合ってやっています。その分を一これは最終的には大臣折衝になるかわかりませんけれども、ある程度今年の末、十二月三十一日ごろまでは局長さんがおやりになるのでしょう。そういうことであるとか、あるいは労働省関係予算がこれに入っているわけです。端的に言えば、何で労働省の予算を——通産省のほうのもちろん特別会計というか、ワクがあるために入ったのでしょうが、何でこれを持っておらなければならぬのか。これがあるために膨大な予算に見えて中身が一つもないわけです。去年と同じ、ほとんど変わりがない。物価高によってプラス・アルファがついているくらいで、そういうことを考えてみれば、予算がなければ何ぼここで行政指導しますと言ってもだめだと思う。そういうことで予算獲得はなかなか困難であるけれども、ぼくは格段の努力を払っていただきたいということをこの際特に申し上げておきたい。これはさまってしまったら何ぼ言ったってだめなんだ。ですから、その予算があってこそ行政指導とあわせて、それぞれ石炭の全国統一化をはかりながら、あるいは地域別にやるものか、あるいは流通機構を一元化するものか、ちょっとやそっとの予算じゃできぬわけですから、そういうところから予算を持ってきてやらなければ、ここでのんべんだらりとやっても何にもなりません。ぼくの言い方は極端ですが、そのくらいやらなければだめだよ。いままで何年かやってみたが、われわれはいやなくらい言ってきた、もう言いたくない。ここで去年の速記録を読んでごらんなさい、おととしのを読んでごらんなさい、四年前のを読んでごらんなさい、同じでしょう。こういうことは大蔵省の政務次官になられる二木先生が来ているから言いにくいのですが、大蔵省の役人どもが目をつけて、ちょっと待ったということで——。仲よしクラブで今日までやってきた、それがよかったか悪かったかわからぬけれども大蔵省に聞こえては悪いといって、目をつぶってしまっちゃ何もなりません。たとえば今度一千億の金が出たでしょう。二千億に対する一千億ですから、払うときには半分になるでしょう。しかも大蔵省の青年将校と会って話をすると、君のところに金を持っていって、金を出したとたんに山をつぶしてしまったじゃないか、これな先ほど吉武恵市先生の報告があった大日本炭鉱、三億六千万金をもって、これは石炭産業を振興するための金なんでしょう。銀行にやる金じゃなかったのでしょう。それをあなた方おきめになった。そんなことをやって、大蔵省おこるなと言ったって、あなた方心臓強いから、すらっと御答弁できるかもしれませんけれども、われわれはできませんよ。ですから、これはあなたに集中するようでぐあいが悪いが、熊谷さんは政務次官になられて日が浅いから御答弁いただこうと思わないが、最前問題になった保安局の前に、石炭局をなくせというように新聞に出た。石炭局をなくして鉱山局と一緒にせい、石炭局の存在なんか認めておらぬ、これは別に中川石炭局長の手腕、力量の話じゃない。石炭というのは万事終われり。一千億金出した、特別会計をつくった、まだ別に問題があるか。石炭の問題をよそに行って話して、石炭たいへんなんだと言っても、いや石炭なんて何言ってるんだという調子です。特にここらあたりを委員長に時間をさいていだだいて、これは私があとで言ってもだめですから、十分にあなたに努力していただかなければならぬし、やがて大臣とお会いしてお話申し上げておきたいと思っております。  その次に、西家保安局長さん、保安センター常磐につくるわけですね。去年のいまごろは森さんという人が保安局長だった。ちょっとあたたかくなったら、ここにおられる石炭局長の中川さんが、保安局長、一年間に三人も保安局長がかわった。こういう点を見ても、いかに保安を重視しておらぬか、名前が出てくるのでぐあいが悪いが、一年に三人も保安局長がかわって、どこに鉱山があるのかわからぬうちにかわってしまうから、何ぼ東京大学を首席で卒業した人でも困難だと思う。たびたび保安局長がかわっているからそんなところ要らないということになるんです。ぼくも農林委員になっておったら、そんなところつぶしてしまえ、蚕糸局をなくせと言ったかもしれませんけれども、ぼくはそういう点について、これは余談ですが、去年は九州と北海道につくります、二個所つくります、九州はことしやります、北海道は本年、来年度にかけてやりますと、ところが、まだ北海道なんか雪が二尺も降ったからできぬ、来年度もできないでしょう、予算措置を講じてといっても、しり切れトンボじゃないですか。たくさんやられるのはけっこうだ、ぼくも大賛成ですよ。しかし、一つも完成せぬうちに予算措置でこっちもあっちも総花的にやるということはどうも賛成できない。どうして集中してせめて一個所だけでもりっぱなものをつくるということをしないのですか。計画は二カ所あるわけですから、どうしてそういうところをおやりにならぬのですか。そういうことをぼくは去年森さんから答弁承って、その次に中川さんに、どうしたんですかということを口をすっぱくして申し上げたことがあるわけです。それができてない。また予算は新しく要求しておるけれども、片方のほうは石炭経営者が金を出せといって、石炭経営者と話し合いをやっておるわけです。経営者は出しましょうということになっておっても何か渋っておるわけです。石炭経営者に金を出せというようなことを言わなくても、全額政府の金でやったらどうなんです。そんなことだから炭鉱は爆発ばかりしているわけです。ここらあたりを真剣に考えていただかなければならぬと思うので、特に予算について、私ども野党議員であるけれども、やはり国政に参画している以上は責任があると思っておりますので、まあにがいことを申し上げたんです。もうこれは終わってしまったら私は言おうとは思いません。いかに行政指導でやるといっても予算がなかったら何もできないんです。そういった点を十分考慮していただきたい。また古武先生とか西田先生のお供をして大蔵省に行くことになるかもしれぬけれども、これは与党の議員でも一こういうところで言う筋合いのものではないかもしれぬけれども、格段の手当てについて特に私は要望を申し上げます。
  65. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) 各先生からいろいろお話を承りました。石炭産業のいま置かれている状況というものは、だんだんきびしさを増してきて、決して楽観できない状況であるということは、私もさように考えております。とりわけ四十三年度予算折衝期を控えているわけでございますので、ただいまの御注意もございましたように、全力をあげまして努力いたしたいと思っております。
  66. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいま阿部先生の御指摘がございました保安センターの件につきましては、いろいろ業界の負担金等の問題で予定より若干おくれているのでございますが、大体予定どおり建設いたしたい。  なお、来年度予算につきまして、こういう点に極力努力いたしたい、かように考えている次第でございます。
  67. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時十四分散会      —————・—————