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大矢正君 私の手元にはアメリカの上院財政
委員会の公聴会の速記録なるものの抜粋がきておりますから、具体的にこれを読めば、なるほど
大臣の言われるとおりでございます。アメリカの行政当局としては、あくまでも日本の言う主張を貫いていこうとする、開放
体制に逆行するような保護貿易措置はとるべきでないという態度の表明がなされておりますから、その点はよくわかります。しかし、先ほ
ども申し上げましたとおり、その範囲の広さというものと、それから運動の根強さ、さらに議会及び行
政府に対する圧力のかけ方というものは、従来と非常に大きく異なっておる、また強烈なものがあるように私
ども聞き及んでおるのであります。したがって、アメリカの行政当事者との間の話し合いがいかに進展したとしても、独自の立法権限を持つアメリカの議会がこれを認めないという状態では、われわれの意向は伝わらないわけであります。そこで、
大臣とここでいろいろ議論をしていてもしようがない話でありまするが、いま
大臣も言われたのでありまするが、佐藤総理は訪米をされるそうであります。私は訪米されることはあまり賛成いたしませんが、行くことをとめるわけにはいきませんから、行かれることは確定的なものだと思います。その前提で考えるとすれば、総理が一体どこまで決意を持ってこのアメリカの保護貿易という問題を打ち破るために戦うかということが問題だと思うのです。さっきも言ったとおり、単に日本一国の
経済上の問題だけではなくて、世界の大勢があの強大な国のアメリカの政策によって大きく後退もし転換もするというこの事実を、やはりもっと踏まえて考えていかないといかぬのじゃないかと思うのであります。
そこで、私は本日の
委員会で提案したいと思っておることが二点あるわけであります。それは、当
委員会において佐藤総理に対し、この問題は非常に重大な問題である、総理がアメリカで話し合われるベトナム和平の問題やあるいは沖繩返還の問題も重要であるが、同時に、この問題も大きく考えてまことに重大であるので、当
委員会において、あとから私は
委員長とも御相談いたしたいと思うのでありますが、やはり強力な決議をして、総理に強くこのことを
委員会として申し入れると同時に、どうも最近は外務省のお役人さんは腰が弱くて、アメリカさんの言うことをそのままうのみにして日本に持ってこられるような傾向があるように思うので、私はこの際、外務省に対しても当
委員会として、こういうような今日の世界の情勢と逆行するような、かつてはケネディ・ラウンドを妥結させて新しい世界の
発展の分野を開こうとしているやさきに、それを推進したアメリカ自身がみずからこれを破るなどということは、まことに重大な問題であって、単に日本一国の問題ではないので、私は、当
委員会で強力な決議をすべきだと、こう思っております。しかし、これはまあ
大臣と直接
関係のないわれわれ
委員会において判断をすることでありまするが、私はそういう
一つの提案を持っております。
そこで、実際に総理が行かれるそうでありまするけれ
ども、どの
程度の考え方を総理に持たせて行ってもらう考えでいるのか、その点が問題なんです。
そこで、私はこう思うのであります。もう、事ここまでまいりますれば、単に外交ルートやその他の手段だけでこの問題を押えようとかかっても、そんな甘いものではないのではないかという感じがする。したがってこの際、やはりいかにして報復をするかという報復措置を明らかにする以外にないのではないか。報復措置というのはいろいろあるでありましょうけれ
ども、私は、やはり
一つには、考え方として鉄鋼がまず重大な問題として浮き上がってまいりますし、繊維があります。鉄鋼にいたしましても繊維にいたしましても、その
原料となる鉄鉱石なり石炭あるいは綿花なり、こういうものは非常に大量の部分をアメリカの
輸入に依存いたしておるわけでありますから、鉄鋼それ自身はなるほど
原料炭の買い付け、あるいは鉄鉱石、鉄くずの問題では、なかなか他にそれを求めるということは困難な部面があったといたしましても、日本の国内それ自身においては、若干の損失は覚悟の上ででも、私はアメリカと対抗してやるという報復措置を、この際、鉄鋼、繊維、それからその他の雑貨に対してもそうでありまするが、三つに分けて、具体的に報復措置を、まずその対象となる業種において考える。さらにその上に、総括的なこの報復措置をすみやかに明らかにし、それを佐藤総理に伝えて、もしあくまでもこの措置が、保護貿易という逆行措置がとられるような結果になるとすれば、そこまで行くぞということをこの際明確にする以外にないんじゃないかと私は思うのであります。
もっといろいろ申し上げたい点がございまするが、そういう具体的な考え方について
通産大臣としてどうお考えになるか、この際お答えいただきたい。