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1967-12-01 第56回国会 参議院 産業公害及び交通対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十二月一日(金曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松澤 兼人君     理 事                 石井  桂君                 宮崎 正雄君                 大倉 精一君                 原田  立君     委 員                 植木 光教君                 木村 睦男君                 楠  正俊君                 紅露 みつ君                 柳田桃太郎君                 横山 フク君                 戸田 菊雄君                 山高しげり君    国務大臣        運 輸 大 臣  中曽根康弘君        国 務 大 臣  田中 龍夫君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        総理府内閣総理        大臣官房陸上交        通安全調査室長  宮崎 清文君        警察庁交通局交        通企画課長    関  忠雄君        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        大蔵省主計局主        計官       丸山 英人君        運輸省自動車局        長        原山 亮三君        運輸大臣官房参        事官       内村 信行君        労働省労働基準        局監督課長    藤繩 正勝君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君        自治省財政局財        政課長      首藤  堯君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業公害及び交通対策樹立に関する調査  (昭和四十三年度交通対策関係予算に関する  件)     —————————————
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。  産業公害及び交通対策樹立に関する調査を議題とし、昭和四十三年度交通対策関係予算について、総理府から総括的な説明を聴取いたします。宮崎陸上交通安全調査室長
  3. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) それでは、総理府から、昭和四十三年度におきます陸上交通安全関係予算概算要求の概括につきまして御説明申し上げます。  お手元に「昭和四十三年度陸上交通安全対策関係予算要求額調書」という二枚刷りのものがお配りしてございますが、これによりまして御説明申し上げます。  交通安全関係予算は、御承知のように関係各省に分かれておりまして、関係各省庁でそれぞれ概算要求をいたしておるわけでございまして、これを的確に全部拾い上げるということはなかなか困難でございます。そこで、一応この表におきましては、直接交通安全に関係ありと認められます予算関係各省庁の分をまとめたものでございまして、これ以外にも間接的に交通安全に関係ある予算というものはそれぞれの関係省庁予算の中に含まれておりますことを、あらかじめお含みおき願いたいと思います。  それから、なお、予算につきましては、便宜上、ただいま政府で考えております交通安全対策項目別に分類しておりますので、この表もその項目別で御説明申し上げます。一番左側が昭和四十二年度、つまり本年度予算額でございます。それからまん中が、来年度の、現在大蔵省に対して概算要求をいたしております額でございます。それから右側は、その差し引きの増減でございます。  第一は、道路交通環境整備に関する予算でございまして、来年度総額六百九十九億八千九百万円の概算要求をいたしております。なお、カッコ書きがしてございますが、このカッコ書き事業費総額でございます。つまりカッコを書いてない額が一応予算として要求している額でございまして、カッコ書きはそれぞれの予算、たとえば地方公共団体が一緒になりまして事業をいたします場合の事業費総額でございます。  道路交通環境整備の第一といたしましては、交通安全施設等整備でございまして、これは、御承知のように、交通安全施設等整備事業三カ年計画に基づき、あるいは去る五十五特別国会において成立いたしました通学路交通安全施設緊急整備法等に基づきます計画の分でございまして、本年度は百七十九億四千一百万円でございますが、これに対しまして、一応概算要求額といたしましては二百二十五億八千三百万円要求いたしております。  次に、「踏切除却等」となっておりますが、これは、踏切除却及び、同じく先ほど申し上げました第五十五特別国会におきまして成立いたしました緊急措置法に基づきます踏切道構造改良に要する経費でございます。この場合の構造改良は、御承知と思いますが、踏切道の拡幅と舗装に限定されております。それからなお、この踏切除却と申しますのは、主としてこれは道路立体交差に要する費用でございまして、これに対します補助金でございます。本年度踏切道除却につきましては三十九億でございましたが、来年度踏切除却及び構造改良あわせまして七十七億要求いたしておりまして、これが事業費といたしましては約百二十億になるわけでございます。なお、この百二十億の事業費内訳といたしましては、大体半分が踏切除却でございまして、半分が構造改良に充当される予定でございます。  それから第三の踏切保安設備整備、これは、鉄道事業者踏切道におきまして警報機であるとか遮断機整備する場合の補助でございます。従前は、私鉄のうちの特に赤字の私鉄だけに補助をいたしておりましたが、来年度におきましては、先ほどの緊急措置法に基づきまして踏切道保安設備整備計画を立てることになっておりますが、その関係から申しまして、この補助対象を若干広げる予定にいたしております。したがいまして、踏切保安設備整備に関します補助は、本年度は三千二百万でございますが、来年度は一応二億二千二百万要求いたしておるわけでございます。  それから第四は、鉄道立体交差化でございまして、これは主として鉄道事業者のほうで行ないます立体交差事業でございます。本年度は百三十五億でございますが、大体来年度も同額の百三十六億でございまして、一応内訳を申しますと、そのうち百億が国鉄分でございます。それから三十六億が私鉄の分でございまして、国鉄につきましては国鉄経費として計上されますが、私鉄につきましては、これは一応財政投融資、具体的には開銀融資ということを考えておるわけでございます。  それから第五番目は、鉄道運転事故防止対策に要する経費でございまして、これは、昨年度が二百七十二億に対しまして、本年度は二百三十九億八千九百万でございます。これは、主としまして鉄道におきますATS装置に関する経費でございまして、だんだんこの整備が進んでおりますので、昨年に比べて予算額がちょっと減っております。なお、この約二百四十億のうち、国鉄といたしましては二百五億、それから私鉄が三十四億でございまして、私鉄はこの立体交差化で同じく財政投融資によって所要措置を講ずることになっております。  それから六番目が、児童公園等整備でございます。これは、御承知のように、子供遊び場がないために子供道路で遊んでけがをする、それを防止するためには、何よりもまず子供遊び場確保をはかることが必要であるわけでございまして、従来から年次計画をもってこの児童公園整備をはかっておるわけでございますが、昨年度六億九千万に対しまして、来年度は十七億を一応要求いたしております。内訳といたしましては、これによりまして、全国児童公園七百五十カ所、運動公園八十五カ所、それから河川敷の緑地十九カ所をはかる計画にいたしております。大体おおむねこれらに対しまして三分の一補助ということになっております。したがいまして、国費要求分は十七億でございますが、全体の事業費としては五十三億ということでございます。  以上、道路交通環境整備につきましては、繰り返しますように、来年度は六百九十九億要求いたしておりまして、これによって行なえる事業総額は約九百五十五億、約一千億になる予定でございます。  第二は、交通安全思想普及徹底でございますが、これは予算上あまり大した額のものはございません。順に申しますと、  第一の交通安全の推進でございますが、これは地方公共団体がいろいろ交通安全に関します県民会議を行ないましたり、その他の行事を行なう、あるいは市町村に対していろいろの指導を行なう場合の補助金でございます。総理府が窓口になりまして一億七千五百万要求いたしております。  それから第二は、交通安全事業委託でございまして、これは警察庁全日本交通安全協会委託をいたしまして、交通安全に関するもろもろのPRであるとか、その他の事業を行なうのでございまして、本年度は千五百万でございますが、来年度は二千六百万要求いたしております。  それから三番目は、交通安全教育センター設置。これは新規要求でございまして、文部省所管でございますが、学校における交通安全教育、いろいろとやっておりますが、やはり何と申しましても、児童生徒に対しましては即物的な教育が一番効果があるのではないかというところから、年次計画をもちまして、大体人口五万人に一校当たりで学校の校庭に小規模な学校交通公園的な施設整備いたします。たとえばミニチュアの信号機であるとか、ゴーカートであるとか、そういうものを整備いたしまして、実物に即しまして、児童交通安全教育をする、こういうことを考えたものでございまして、来年度はさしあたりまして全国六十四校にこのような教育センター整備をはかりたいということでございます。要求額といたしましては五千九百万でございまして、これは大体二分の一補助でございますので、総額としては一億一千七百万ということでございます。  それから最後の、交通安全指導研究推進、これは同じ文部省予算でございまして、文部省におきましていろいろ学校関係の者を集めまして研修教養を行なうための経費でございまして、本年も来年も同じく二百万でございます。  以上、交通安全思想普及徹底につきまして要求いたしました額は二億六千二百万でございます。  第三は、安全運転確保でございまして、これは非常にこまかい項目がいろいろございます。順次御説明申し上げますと、  第一は、運転者管理センター設置。これは、すでに昭和四十一年度を初年度といたしまして、警察庁電子計算組織によります運転者管理センター設置を現在進捗中でございます。簡単に申しますと、警察庁に大きな電子計算機を備えつけまして、全国運転免許台帳をすべてそれに記憶させまして、運転者のいろいろな管理の万全を期すると、こういうものでございます。来年度最終年度になるわけでございますが、本年度の二億二千五百万に対しまして二億七千二百万を要求いたしております。  それから次が、交通取締用車両等整備でございます。これも同じく警察庁予算でございまして、内容は主として交通パトカー増強、白バイの減耗補充交通事故処理車信号機修理車等増強でございます。本年度は一億八千万でございますが、来年度は二億六千三百万要求いたしております。なお、これによりまして交通パトカーはさらに百四十台を増強する予定にいたしております。  それから三番目は交通取締等強化でございまして、これも主として警察の予算でございます。交通取り締まりを限られた警察官でいたしますためには、どうしてもその合理化機械化をはかる必要がございます。したがいまして、交通取り締まり用の諸器材をさらに強化いたすということと、交通警察官待機宿舎等を新設いたしたいということでございまして、本年度の五億五千九百万に対しまして十四億を要求いたしておるわけでございます。  それから四番目と五番目は、これは交通事件裁判処理体制強化交通事件処理体制整備強化でございまして、裁判所及び検察庁におきます交通関係部門増強でございます。(4)の裁判所につきましては、これは簡易裁判所判事等定員百六名の増員要求いたしておりまして、これに要します費用といたしまして一億二千万を計上いたしております。それから(5)の検察庁の分につきましては、副検事五十四人の定員増要求でございまして、これに要します経費として四億を要求いたしております。  それから(6)は、ダンプカー対策その他の事故防止対策強化ということでございまして、これも、同じく五十五特別国会において成立いたしましたいわゆるダンプ規制法実施に伴い直接必要とされる、運輸省、特に陸運局関係定員増がこの大部分の内容でございます。これは運輸省関係予算でございまして、人員といたしましては、ダンプ関係約百七十名、その他の関係約十九名、合計百九十名の人員増要求でございます。  それから七番目の自動車検査登録特会計でございますが、これも同じく運輸省関係予算でございまして、自動車検査に要します施設整備であるとか、あるいは検査要員増員等に関します要求でございます。本年度は二十五億でありますが、来年度は三十三億要求いたしておりまして、内容は、いま申し上げましたように、検査施設整備拡充検査要員増員でございます。  それから第八番目は、自動車乗務員手帳制度普及でございまして、これに、すでに労働省におきまして自動車乗務員手帳制度というものを設けておりますが、これをさらに拡充いたしまして、より多くの自動車乗務員手帳を渡しまして、それによって安全運転確保をはかりたいということでございます。本年度は七百万でございまして、来年度は二千万要求いたしております。  以上によりまして、この安全運転確保に関します経費総額といたしましては、本年度の三十八億に対しまして、来年度は五十九億九千九百万の要求となっておるわけでございます。  それから第四の柱といたしまして、被害者救済対策がございます。  第一は、救急医療施設等整備でございまして、これは、御承知のように、目下年次計画全国に百十カ所設置することを目的といたしまして、救急医療センター整備を行なっております。また、それ以外にも、一般の開業医の方々を対象といたしました救急医療機器サプライセンター整備というものもはかっておるわけでございまして、これらの点につきましては、本年度は二億九千二百万でございまして、救急医療センター国立病院七カ所、公立病院十二カ所、サプライセンターは二カ所ということでございましたが、来年度はこれを大きく伸ばしまして、救急医療センターにつきましては、国立病院二十二カ所、公立病院同じく二十二カ所、サプライセンターにつきましても二十二カ所、その他メディカル・リハビリテーション施設増強をも含めまして十三億二千百万円を要求いたしております。  それから第二番目は、救急業務施設整備でございまして、これは主として消防の関係になります、内容を大きく分けますと二つございまして、一つは、救急指令センターというようなものを人口五十万以上の都市に設ける。これは、かつてこの委員会においても御指摘がございましたが、救急車あるいは運ぶべき救急病院等を、指令センターですべてキャッチいたしまして、それによって適切に指示を行なっていくというものでございますが、この整備をいたしたい。それから救急自動車につきましては、毎年年次計画をもってその増強をはかっておりますが、来年度も百三十八台の整備をはかりたいとこういうことでございまして、これらを内容といたしまして来年度は一億六百万円の要求をいたしておるわけでございます。  第三番目が、交通事故相談活動強化でございまして、これは主として総理府でやっております都道府県交通事故相談所に対します補助金でございます。ことし七月から五千万補助金をもちまして全国一斉に都道府県交通事故相談所が発足されたわけでございますが、たいへん好評を博しておりまして、毎日相談する人が詰めかけております。とても現在の相談員ではさばき切れないというような実情もございますので、来年度全国一律に相談員の数をふやす、あるいはでき得れば補助職員の分もめんどうをみようということで、本年度の五千万に対しまして一億二千八百万を要求いたしております。これは総理府の分でございます。  それから四番目は、法律扶助事業補助、これは、御承知のように、法律扶助協会に対します補助でございます。本年度は六千万でございますが、来年度は八千三百万を補助いたしたいということでございます。  五番目が、自動車損害賠償責任保険特別会計でございまして、これは自賠責の再保険に要します経費でございます。なお、このうちの一部といたしまして、自動車保険のうちの補償関係上の利子収入の範囲で、これは運輸省所管でございますが、やはり交通事故相談に関します補助をすでに本年度も行なっております。これは、日弁連であるとか、法律扶助協会に対するところの補助でございます。来年も約二億八千万をこのうちから支出いたしまして、このような補助を行ないたい、このようなことでございます。  それから五番目の柱は、交通事故防止に関する科学的研究推進でございまして、これは各関係省庁のそれぞれの研究所におきます研究体制増強でございます。  一番目は、交通関係科学研究推進となっておりますが、これと、それから二番目の大都市広域交通制御調査研究、これは現在警察庁の科学警察研究所におきましてやっております分でございます。  それから三番目が、自動車安全公害研究センター拡充強化。これは、通産省におきます自動車安全公害研究センター強化拡充でございまして、本年度は一億三千八百万でございますが、来年度は二億六千五百万要求いたしております。  四番目は、これは運輸省の分でございまして、これは船舶研究所の中に設置いたしまして、特に交通安全公害の問題を積極的に研究いたしたいということでございまして、本年度は三千六百万でございますが、来年度は八千九百万を要求いたしております。  五番目は、脳神経外科の充実でございます。これは、現在御承知のように、まだ脳神経外科の絶対数が不足しておりますので、これも数年前から関係大学におきまして、脳神経外科の講座の増設であるとか、その他所要整備を行なっておりますが、来年も、たとえば大阪、熊本の二大学脳神経外科を新設するとか、あるいは東大分院、群馬、長崎の二大学救急部を新設するとか、そういうふうに、要するに脳神経外科大学における教養研究体制整備をはかったのでございまして、本年度と同じく、来年度も四千七百万の要求でございます。  以上、交通事故防止に関する科学的研究推進といたしましては、総額、本年度二億二千六百万に対しまして、来年度は四億五千三百万でございます。  最後は、交通安全対策本部設置等となっておりますが、総理府におきましては、これはまだ政府として方針を決定いたしたわけでございませんが、一応交通安全強化というようなものの検討をいたしております。その一環といたしまして、現在私の所属しております陸上交通安全調査室の機構を拡充いたしまして、新たに総理府に八条機関といたしまして交通安全対策本部というものを設ける。これによりまして、交通安全行政に関する総合調整をさらに強力に推進してまいるということでございます。主としてそれに伴います人件費その他の庁費でございますが、本年度九百万に対しまして、来年度七千四百万の要求になっております。  以上、すべて一切がっさい合計いたしますと、合計額といたしまして、本年度の千九百二十一億八千万に対しまして、来年度は二千五百六十億四千二百万要求ということでございまして、差し引き増は六百三十八億でございます。なお、これは一切がっさいを含めた額でございますが、この中から自賠責の再保険の額とそれから鉄道事業者分を除きますと、約四百億になります。この四百億という数字は、本年度予算が、第五十五特別国会におきましても、政府といたしましては交通安全に直接関係する予算は約二百七十億であるということをしばしば答弁いたしておりますが、この二百七十億に見合う額が四百億ということになるわけでございまして、要求額の増といたしましては約五〇%の増でございます。  以上、たいへん簡単でございますが、昭和四十三年度におきます陸上交通安全対策関係予算概算要求状況を一括御説明申し上げた次第でございます。
  4. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 来年度交通対策関係予算につきまして、総理府から総括的な説明がありました。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 大倉精一

    大倉精一君 一応予算説明が終わりましたが、それに関連をいたしまして、先般の第五十五国会におきまして、この委員会におきましては、交通安全に関する諸問題について各委員から熱心な質疑が行なわれまして、その結果といたしまして、私から十五項目にわたるところの決議案を出しまして、幸いこれが可決となりまして、政府に要望したことは御承知のとおりでありますが、従来、このような委員会決議というものが、決議のしっぱなし答弁のしっぱなしで終わるという傾向が非常にありまするので、この際、この十五項目にわたるところの決議につきまして、各関係省庁におきまして、予算編成のこの期にあたって、どういうような配慮をし、措置をしておられるか、あるいは過去においてどういうような対策をいま講じられておるか、そういう点について概括的に御説明を願いたいと思います。
  6. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) それでは、便宜上私から、第五十五特別国会におきまして当委員会決議されました交通安全対策に関する決議に関しまして、その後の政府実施状況をごく簡単に概要を御説明申し上げます。なお、関係各省庁すべて参っておりますので、足りない点は後ほど補足説明をお願いいたしたいと存じます。  第一が、「交通安全に関する施策を総合的かつ強力に実施するため、交通安全行政一元化について検討すること。」でございます。  御指摘の点はまことにごもっともでございまして、おそらく、この御指摘の点の中身といたしましては、たとえて言えば、交通安全行政一元化のために交通省というようなものをつくるべきではないかという御意見も含まれているものと私たち理解をいたしたわけでございますが、この点は非常にむずかしい問題でございまして、ちょっと、にわかに、早急には結論が出ない状況でございます。したがいまして、政府といたしましては、それまでの間といたしましては、当面各省庁がお互いに十分連係を保ちつつ交通安全行政推進いたすとともに、先ほどちょっと予算概算要求説明でも申し上げましたように、総理府総合調整機能というものを強化いたしまして、この交通安全行政一元化について努力をしてまいりたい、こういうことを考えているわけでございます。  それから次に、第二は、「交通安全思想普及徹底を図るため、学校、職域、地域を通じて交通安全教育計画的かつ組織的に実施すること。」でございます。  この点につきまして、まず、学校におきます交通安全教育から申し上げますと、これはすでに第五十五特別国会委員会におきましても、関係省庁から御答弁がございましたように、根本的には教育課程の改定に伴う学習指導要領の改正を待たなければならないわけでございますが、これが実現されますのは大体昭和四十六年ごろになる予定でございますので、その間のつなぎといたしまして、文部省におきましては、本年三月、これも御承知と思いますが、交通安全指導の手引きという、いわば学校の先生のテキストをつくりまして、これをすでに全国に配付済みでございます。自来、これによります教職員の指導力の向上のための講習会の実施でございますとか、その他この手引きの実践につきましていろいろと推進をしているわけでございまして、そろそろこの効果が出てくる時期ではないかと思っております。なお、地域社会におきます交通安全教育につきましては、方法その他につきましていろいろむずかしい点もございますが、一応政府といたしましては、たとえば春秋二回実施をしておりまする全国交通安全運動の機会であるとか、あるいはそれ以外に、交通安全協会、地域婦人団体、PTA等の組織によりまして、構成員に対する交通安全教育等を常時実施するということでこの推進をはかってまいりたい、かように考えております。  それから三番目は、「通園通学路踏切道、バス停留所等をすみやかに総点検し、危険箇所については、事故防止のため、さしあたっての応急措置を講ずること。」。  この点につきましては、特に通園通学路踏切道は、今年の春以来、都道府県市町村におきまして、いわば総点検を実施いたしたわけであります。その結果は、御承知のように、通学路におきます交通安全施設の緊急整備計画、それから踏切道の緊急整備計画となりまして、すでに市町村、都道府県から国に提出されました。この提出された計画に基づきまして、国は、何と申しますか、国が補助をする、補助対象となる補助事業と地方単独事業とに振り分けまして、すでに補助対象となります事業計画につきましては、去る二十八日に、中央の協議会、これは通学路踏切道交通安全対策協議会でございますが、関係閣僚よりなります協議会でございますが、この答申を得まして、本日閣議決定に持ち込んでおるはずでございます。このような関係におきまして、大体通学通園路と踏切道の総点検並びに危険箇所につきましての事故防止のための措置は、大体問題点もはっきりいたしましたし、あとは今後それをいかにすみやかに実施するかということになろうかと存じます。なお、バス停留所等につきましても、運輸省におきましていろいろ検討中でございまして、近く全国的にバス停留所の適正化につきましては、運輸省のほうで指示をいたす予定になっております。  四番目は、「道路整備については、交通容量の増大のみならず、交通安全の確保の見地に立って、これを推進するものとし、またトンネルの保安施設整備について、充分配慮すること。」。  道路の新設改築にあたりまして交通安全施設整備することは言うまでもないことでございまして、これに、最近におきましては、新設はもちろん、既存の道路につきましても、交通安全施設等整備事業三カ年計画に基づきまして、鋭意交通安全施設整備実施中でございます。それからトンネルの保安施設整備につきましては、本年四月十七日に、実は鈴鹿トンネルの事故に基づきまして、トンネル内の火災防止を主といたしました交通事故防止の決定をいたしております。これに基づきまして、現在におきましては、すでにトンネルにおきます非常用施設、たとえば警報装置であるとか消火栓等の設置基準を定めまして、以来、道路管理者はこれに基づきまして非常用設備の整備につとめて、トンネル内におきます火災事故防止をはかっておるところでございます。  第五番目は、「交通安全施設整備を強力に推進するものとし、とりわけ学童幼児の安全を確保するため、通学通園路の安全施設を緊急に整備するとともに、児童遊園等安全な遊び場確保すること。」。  この点につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、通学路にかかる交通安全施設の緊急整備計画ができましたので、あとはこの内容計画をなるべくすみやかに強力に実施するということでございます。児童遊園地等安全な遊び場確保につきましては、先ほど概算要求の中でもちょっと触れておきましたように、現在、政府といたしましては、児童公園児童遊園等の整備に全力をあげているわけでございまして、年次計画をもちまして毎年この整備をはかっております。  第六の、「信号機道路標識等の設置及び交通の規制については、道路環境、交通量、交通の形態等を科学的に調査し、実情に適応するよう、これを実施すること。」ということでございますが、  現在、すでに信号機道路標識等の設置、それから交通規制の実施その他につきましては、道路交通の実情に適応させるためにそれぞれ基準を設けまして実施をいたさせております。しかしながら、細部におきましてはまだ問題がないわけでもございませんので、警察庁におきましては、たとえて申しますと、本年の七月及び八月にそれぞれ通達をいたしまして、次のようなことを指示いたしております。一つは、交通規制につきましてはできる限り民間の意見を反映させて、実情に適応するよう、たとえば審議機関を設けて、それによって設置をはかれ、あるいは速度規制につきましては、速度、スピード規制等の交通規制の合理化をなるべくすみやかにはかれ、信号機道路標識等を総点検して、見えにくいものがあったらこれをはっきりさせる、というようなことの指示をいたしておりますので、現在、各都道府県公安委員会におきましてこれを着々実施中のことと思っております。  それから七番目は、「踏切道の改良を強力に促進することとし、特に、立体交差化、高架化の場合における地方公共団体及び鉄道事業者費用負担の適正化を図ること。」でございます。  踏切道の改良につきましては、すでに踏切道改良促進法という法律がございまして、これに基づきまして推進をいたしておりますが、さらに、再三申し上げておりますように、第五十五特別国会におきまして成立いたしました通学路踏切道の改良に関します緊急措置法に基づきまして、踏切道緊急整備計画を策定いたしました。先ほど申し上げましたように、本日閣議にかかっているはずでございます。今後は、この計画に基づきまして、国、地方公共団体鉄道事業者が一体となりまして強力に推進する予定でございます。また、立体交差化鉄道の高架化工事に要します費用負担につきましては、現在、建設省と国鉄との協定によりまして負担割合の明確化をはかっておるところでございます。また、私鉄関係におきましては、道路管理者と私鉄との協議によりましてそれぞれ分担額を定めているわけでございますが、立体交差化、それから鉄道の高架化は非常に費用が高くなりますので、この点につきましてさらに一段と費用負担の適正化をはかることは御指摘のとおりでございます。これらにつきましては、まだ最終的な結論を得ておりませんが、関係機関におきまして目下検討中でございます。  第八番目は、「運転者の労働時間、休憩時間、給与等の労働条件については、その適正化を図るため、関係者に対する指導監督を強化すること。」でございます。  この点につきましては、当委員会におきましてもしばしば関係省庁から御答弁申し上げたところでございまして、主として労働省所管になるわけでございますが、労働省におきましては、自動車運転者の労働条件の改善をはかるために、本年二月に、運転者の時間外労働、休日労働の規制、極端に走行を刺激するような歩合給制度の廃止、適正な割り増し賃金の支払い等の事項を内容といたします「自動車運転者の労働時間等の改善基準」を定めまして、これによりまして事業所に対する指導監督の強化をはかっております。この点は当委員会においてもすでに御説明申し上げたとおりであります。また、労務管理の改善につきましては、関係者の深い理解のもとに自主的な対策を遂行するということが何よりも必要なことでございます。このため、昨年来、これもしばしば御説明申し上げておりますが、民間有識者を自動車労務改善推進員といたしまして委嘱いたしまして、事業所におきます労務管理体制の近代化を推進いたしております。今後も、これらの点につきましては引き続き適正な監督指導推進いたしまして、運転者の労働条件、労務管理の一そうの改善をはかるつもりでおります。  第九番目は、「ダンプカー等大型貨物自動車による事故を防止するため、すみやかに特段の方策を検討の上これを実施すること。」、こういうことでございます。  この点につきましては、これは十分御承知のように、去る五十五特別国会におきまして、使用者に対する規制であるとか、関係事業者の協業化の促進等を内容といたします「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法」が成立したわけでございます。これは、目下のところ来年の二月一日から施行する予定になっておりまして、目下同法の実施のためのいろいろな手続、たとえば政令の検討でございますとか、その他の準備をやっておる状況でございます。なお、ダンプカーを含めまして大型貨物自動車全般の事故防止につきましては、昨年の十二月に交通対策本部決定におきまして、こうした大型貨物自動車による事故防止等に関する特別措置が定められております。これによりまして、幅員の狭い道路におきます大型車の通行禁止制限であるとか、大型貨物自動車に対する取り締まりの強化安全運転管理、労務管理の改善、車両の安全性の向上、運転資格の制限の強化というようなものがきめられたわけでございまして、そのうち、立法措置を必要といたしますたとえば運転資格の制限の強化につきましては、去る五十五特別国会におきまして道路交通法の一部改正によりその措置を講じております。これは十一月一日からすでに実施中でございます。  第十の、「大規模な土建工事の施行又は砂利等の採取の許可にあたっては、周辺地域の道路事情、交通状況、生活環境等を勘案の上慎重にこれを行なうこと。また、工事の施行等により、交通事故発生の危険が増大した場合には、建設業者等に対し、事故防止のため、必要な措置をとるよう指導すること。」でございます。  この点につきましては、建設工事に伴う交通事故の防止の措置といたしまして、建設省におきまして、これはもうだいぶ前で、昭和三十九年の十月でございますが、次官通達を出しまして、「市街地土木工事公衆、災害防止対策要綱」というものを策定いたしております。これに基づきまして、発注者、施工者等に対して、大工事に伴います交通事故の防止の徹底につきましていろいろと指導監督をいたしております。また、工事に関連いたしますダンプカー等の運行による交通事故の防止につきましては、建設業者団体等に対しまして、同じく、建設省は、本年の七月でございますが、「ダンプトラック等を使用する建設業者における交通事故防止に関し留意すべき事項」という、これは計画局長の通達でございますが、これを関係業者に示しまして、建設業者におきますダンプカー等の安全運転管理の適正化をはかりますとともに、悪質かつ重大な交通事故を起こしました土木業者に対しましては、公共工事の受注対象としない、つまり公共事業から締め出すという措置をとることもすでに決定いたしております。これらの点を通じまして、今後大規模な土建工事その他の施行に伴います交通事故防止についてはさらにその強化をはかってまいりたい、かように考えております。  次は第十一で、「運転免許の申請に際しての診断書添附制度については、更にこれを実効性ある適切なものとするよう慎重に検討すること。」でございます。  この点につきましては、この制度につきまして検討いたしますために、日本精神神経学会と警察庁が一緒になりまして協議会を現在設けております。すでに数回協議会を開きましていろいろ検討いたしておりますが、まだ最終的な結論は得ておりません。議題となっておりますのは、たとえば精神病者等を事前に排除するためにはこれ以外にどういう有効な方策があるか、あるいは専門医でない一般のお医者さんが精神病者を発見するための有効な問診事項はどういうものがいいか、精神病者等を簡易に識別するためにさらに研究開発する余地がないかどうかということにつきまして、協議会でいまいろいろ検討中でございます。なるべく早い時期に結論を得て、この問題についての最終的な方針をきめたいと思います。  第十二は、「交通警察及び陸運行政の強化を図り、交通安全の指導取締り体制を拡充整備すること。」であります。  交通警察の強化につきましては、警察におきましても従来からいろいろ力を入れておりまして、たとえば、これはちょっと前の話になりますが、昭和三十九年、昭和四十年の二カ年におきましては、交通警察官一万の増員を行なっております。また、昭和四十一年度以降三カ年におきまして外勤警察官一万八千の増員を現在進めておりますが、これらの外勤警察官も、一部におきましては実質的に交通警察にも非常に寄与いたしますので、これらの増員が行なわれることにより交通警察の機能はさらに強化されるものと考えております。それとあわせまして、先ほど申し上げましたように、交通警察の装備をさらに科学化することが何より必要でございますので、その点については所要予算要求いたしまして、交通警察関係の装備、機器材の整備につとめておるところでございます。  それから次に、交通安全の指導取り締まりの面につきましては、警察庁におきましては、本年八月各都道府県に対しまして、各警察本部に交通指導官を置くこと、それから白バイ、パトカー等の機動力を集中的に管理すること等によりまして、これは先ほどの繰り返しになりますが、交通指導取り締まりを強力かつ効果的に実施することを指示いたしております。来年度におきましても、先ほど申し上げましたように、交通取り締まり用の車両の整備等の強化を一段とはかる所存でございます。  それから交通安全に関します陸運行政の強化につきましては、これは運輸省実施しているところでございますが、先ほどの予算概算要求説明でも申し上げましたように、いわゆるダンプ規制の実施に伴います所要人員確保、それから自動車検査登録業務につきましても所要検査施設拡充検査要員確保につきまして検討し改善要求をいたしておりますことは先ほど申し上げましたとおりでございます。  第十三は、「救急体制については、特に整備の遅れている地方都市に重点をおいて、これを整備拡充することとし、このため所要の助成措置を講ずること。また、救急隊員の救護技能の向上を図るため、その指導、講習を充実すること。」でありますが、  まず、救急業務実施体制の整備につきましては、これは御承知のように、従来は、消防法上義務が課されておりますのは人口十万以上で市街地人口が五万以上の市町村でございましたが、これを、本年九月一日から、人口五万以上の市はすべて救急業務を実施すべき義務を有することに消防法の施行が改正されております。したがいまして、現在は、人口五万以上の市であればすべてこの救急業務を実施する義務があるわけでございます。これによりまして、市町村の救急業務実施体制は一段と整備されることになろうかと思います。なおまた、救急業務がまだ実施されておりません市町村については救急体制が問題になるわけでございますが、この点は、同じぐ消防法の一部改正を行ないまして、都道府県知事が、救急業務を行なっていない市町村の区域で交通事故がひんぱんに発生するものの救急業務の実施を、現に救急業務を行なっている他の市町村に対して要請することができる——都道府県知事が、救急業務を行なっていない市町村の道路におきまして非常に交通事故が多いという場合には、他の市町村に救急業務をかわりに行なうことを要請することができる、という措置を消防法の改正によりましてとることにいたしまして、これによりまして、特に整備がおくれております地方におきます救急業務の推進をはかっているわけでございます。  また、これらの措置とあわせまして、これも先ほど予算概算要求で御説明申し上げましたが、市町村におきます救急自動車整備、これは年次計画をもちましてその推進をはかっておりますし、また、救急隊員の救護技能の向上につきましても、これは救急業務実施基準というものがございまして、これによって鋭意促進をはかっておるところでございます。  それから、第十四が、「救急医療施設及び厚生医療施設整備拡充推進するとともに、必要な地域に救急医療センターを設けることとし、これらの施設整備、運営については、所要の助成措置を講ずること。なお、脳外科専門医については、極力養成人員の増加に努めること。」でございます。  これにつきましても、すでに予算説明におきまして申し上げましたように、いわゆる救急医療センターにつきましては、人口百万につき一カ所という目途で目下整備中でございます。本年は、国立病院七カ所、公立病院十二、三カ所に整備を現在進行中でございますが、来年度概算要求といたしましては、先ほど申し上げましたように、国公立それぞれ二十二カ所にこの整備をはかろうということでございます。また、それ以外にも、交通事故の多い中小都市におきます救急医療施設の機能強化をはかりますために、これも先ほど申し上げましたような必要な医療機器の共同利用体制、先ほどはサプライセンターと申しましたが、この整備をはかることといたしておりまして、本年度は二カ所、来年度は二十二カ所の概算要求をいたしております。また、脳神経外科の専門医の養成につきましては、これも先ほどちょっと予算説明で触れておきましたが、大学脳神経外科講座の増設、救急医療に従事します医師の研修の実施等によりまして、救急医療担当医師の養成、確保につとめております。脳神経外科の講座につきましては、昭和四十年度におきまして四つの国立大学、四十一年度におきましては七つの国立大学にすでに増設されております。四十二年度におきましては、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。  最後は、「交通事故による被害者に対して迅速かつ適正な損害賠償が行なわれるようにするため、自動車損害賠償責任保険等による損害賠償保障制度を充実するとともに、交通事故相談所拡充等により、被害者に対する援助を強化すること。」でございます。  この点につきまして、まず、損害賠償保障制度の充実につきましては、御承知のように、本年の八月一日から自賠責保険の支払い限度額を増額いたしまして、死亡及び後遺症につきましては、従来の百五十万円を三百万円に大幅に引き上げております。今後も、この保険額の引き上げにつきましては、加入者の保険料の負担能力というようなものも一応考慮しなければなりませんので、これらの点も検討しながら、今後も引き上げについては検討いたしたいと思っておりますが、当面は、それとともに任意保険普及によりまして被害者の損害賠償の確保につとめたいと一思っております。また、交通事故相談所の充実につきましては、先ほど予算説明で申し上げましたとおりに、現在、都道府県交通事故相談所を開設いたさせまして、国が補助いたしておるわけでございますが、たいへん好評を博しておりますので、来年度補助額を増額いたしまして、その内容の充実強化をはかりたい、かように考えております。  以上、たいへん概要でございますが、第五十五特別国会におきまして当委員会で御議決になりました交通安全対策に関する決議に関しまして、その後の政府実施状況の概要を取りまとめて御報告申し上げた次第でございます。
  7. 大倉精一

    大倉精一君 まことに概要の事務的な報告を承りましたが、まあ、これは非常に間口が広いので、個々にあたってはまたいろいろあると思いますが、総括しましての感じは、根本的な問題でしかも困難な問題は避けて通ろう、こういう印象を強くします。  第一番には、一番初めに行政の一元化ということについて、これは私は非常に関心を持っているのですけれども、ほんのわずかの説明で、ほとんど中身はありません。少なくとも、こういう問題についての行政のばらばらということは前から言われていることであって、したがって、少なくとも政府において関心を持っておられるなら、交通安全対策本部あたりでこの問題を検討されてしかるべきだと思う。しかるに、こういう困難な問題は避けて通る、こういう印象を受けたわけであります。こういうことでは、幾らこまかいことをきめてみても結局は交通安全対策の根本解決にはならぬ、こう私は思っております。問題を羅列するだけであったら、何も交通対策特別委員会という大げさなものを設けなくていい。根本問題を解決するというのが私はこの委員会の任務であろうと思っておりますが、残念ながら、いまの御報告では、その困難なところを避けて通るという、まことに交通関係にふさわしいような答弁であったかと思うのですけれども、そういう困難な問題に勇気を持って取り組んでもらわなければならぬのですけれども、それはまた日をあらためていろいろ論議をしてみたいと思っております。  それから、きょうは時間がありませんから、この十五項目の中で、当面さしあたって必要な項目についてだけこの際お伺いしておきたいと思う。それは、この項目の中の第九番と十二番、それからあわせて八番、この三点にしぼってきょうはお伺いしたい。  この前の国会におきましては、いわゆる通常言うところのダンプ規制法というものができまして、中身はいろいろ問題があろうかと思いますけれども、ともあれ国民諸君が非常な期待を持っております。これが二月一日から実施されるのでありますから、一月になれば準備事務に入らなければならぬ。これに要する人員が必要である。こういうような問題があり、さらに万般の準備も必要であり、万遺憾なきを期しておられると思うのですけれども、このダンプ規制法が二月一日から実施されるについて、人員予算その他についてどういうような準備態勢にあるのか、これをひとつ具体的に御説明願いたい。
  8. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) ダンプ規制関係人員の問題でございますが、御指摘のとおり、陸運事務所なり陸運局の定員というのは現在やっております仕事でも相当手いっぱいでございますので、今回のダンプ規制法実施するにつきましては、どうしても定員確保をお願いしないことにはできがたいということについては、この法律の審議の過程においても御説明申し上げたとおりでございますが、この点につきましては、すでに財政当局のほうに来年度の分とあわせて、本年度二月一日からの実施ということでございますので、本年度の分も合わせて要求いたしておるのでございますが、財政当局においてもその辺の仕事の量につきましては十分御理解をいただいておりますけれども、まだ事務的に最終の詰めにまで至っておりませんというような段階でございます。
  9. 大倉精一

    大倉精一君 一月から準備事務に入るといえば、あと一カ月よりないですね。しかも、いまだに人員がきまってないというのじゃ、だれが一体この仕事をやるのですか。きょうは大蔵省も来ていると思うのですけれども確かに要求はしている、しているのだが、補正予算にはなのですね、これに関するのは。ただでさえ、いまの陸運局、陸運事務所というのは、自動車の数、あるいは業者の数、許認可事務の案件というのは非常にふえている。全体としては人数は減っておりますね。この前私はこの資料を皆さん読んでくださいと言っておきましたから、おそらく皆さん読んでくれたと思うのですが、これを見ればわかるように、もう昭和二十五年から統計をとってみますというと、要員関係が、ことしの二千九百九十七名から二千八百五十一名に減っている。しかも、自動車台数というのは二十五倍になっている。業者の数は、旅客において八倍、貨物において十四倍、整備においては二十九年を基準として三倍。こういうことで、ただでさえ人手が足らずに困っている。いろいろな資料を出すでしょう。あるいはいろいろな勧告を出すでしょう。あるいは現場監査の強化も口では言われる。だれがその強化をするか。だれが現場の監査をするか。大阪の例で見まするというと、業者に対する現場監査は、ずっと算術計算をしていくと、三十年に一回しかできない状態ですね。そういう状態の中で、今度はダンプ規制法という非常に事務量の大きなものが出てきた。で、これでもって、いまは要員がまだきまっていないということであれば、法律はつくったけれども、その法律は一体どうやって歩きだしていくか、こういう非常に幼稚な疑問を私は持つわけなんですけれども、この点について、ひとつ自信のあるところを局長からお伺いしたいと思います。
  10. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) ダンプの規制の関係定員の問題につきましては、確かに御指摘のとおり、現在非常に陸運事務所等は人手が不足いたしております。この実施のためにはどうしても定員確保が必要であるということについては、強く大蔵省のほうにも、行管のほうにもお願いいたしておるのでございますけれども、補正予算に組まなかったではないかという問題につきましては、この問題は来年の二月と三月の二カ月分でございまして、この人員の額といたしますとおおむね千五百万円ということで、補正として項目を立てるほどの額でもない。したがいまして、大蔵省のほうとしては予備費の使用等で考えたいというお考えでございますので、そういうようなかっこうで現在お願いしておるわけでございまして、確かにお話のように、ダンプの実施が二月に迫っておって人員の点についてはまだできていないということについては問題でございますけれども、来年度四十三年度予算定員の問題に大いに関係しておるので、それとの関連において具体的な数を考えてまいりたいと、こういうふうな大蔵省のお話でございますので、十二月の来年度四十三年度定員の査定とあわせて四十二年度の査定も行なわれるべきものと期待しておるのでございます。     —————————————
  11. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) なお質疑は継続中でございますが、運輸大臣が見えられ、発言を求められておりますから、これを許可いたします。運輸大臣。
  12. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 今回運輸大臣を拝命いたしました中曽根康弘でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  運輸省関係の公害といたしましては、自動車の排気ガス、あるいは飛行機の騒音、海水の油濁というようなものがございます。これらの処理につきましても、御教導によりまして万遺憾なきを期したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。     —————————————
  13. 大倉精一

    大倉精一君 局長ね、いまのお話で、非常に消極的なんですけれども、大蔵省見えてますか。——あなたこれ読んでいただきましたかね、これ。——読んでもらえました。だとするならば、もう言うまでもなく、この交通戦争の中におけるところの自動車行政はよってくだんのごとしですね。問題は人間ですよね。人がいなきゃどうにもならぬ。現場監査といってもやる者がいない。通牒、通達を出してもやる者がいない。こういうことで、業会から協力を求めなければならぬ状態になっておる。たとえば許認可事項にいたしましても業会から机を持ってきて仕事をしています。本来国の仕事をですよ。あるいは陸運事務所が、昔から問題になっておるんですけれども、業会から事務所を借りておる。そういうことで、私は三悪の一つと言っておりますけれども、ばらばら行政、人間が足らぬということと、そういうことが原因になって、監督される者とする者、指導をされる者とする者、この関係がきわめて不明瞭です。一口に言うならば、お役所はなめられておりますよ、業者に。これはあんたが金を出さぬからだ。ですから、これはひとつ大蔵省のほうで——あなたは削るほうが名人だけれども、要求はしておる、百七人要求はしておる。今度はひとつ全部認めてやったらどうですかね。やっぱり削りますか、どうですか。
  14. 丸山英人

    説明員(丸山英人君) ダンプ規制のために新しい仕事が加わり、そのために仕事がふえるということは、これはよく理解できるわけでございます。しかしながら、そういうことでふえる要素はございますけれども、やはり公務員につきましては能率アップというようなことも、能率をあげろというような別の要請もあるわけでございまして、したがいまして、ダンプ規制によりましてふえる仕事の面だけでいまここで人間が幾ら要るんだということを考えることはなかなかむずかしいわけでございまして、やはり来年度以降におきます運輸省全体の仕事の推移も考えまして、全体のやはり定員の中でこういった問題を考えていかなきゃいけないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、いまここで二月からの点だけを考えまして、来年度予算と切り離しましてそれだけの定員を考えるということは、なかなかむずかしいわけでございます。いずれにしましても、来年度予算をいま編成中でございますので、この中におきまして来年の二月からのダンプ規制の仕事による事務量もあわせ考えまして、四十二、四十三年度を通ずる人員査定をいたしまして、それによって対処いたしたいというふうに考えているわけでございます。
  15. 大倉精一

    大倉精一君 局長と同じようなふうになるんですけれども、どうもよくわかります、ごもっともでございますまではいいんですけれども、しかしながらというのがわからぬですね。——行政管理庁お見えですか。行管のほうでは、公務員はふやさない、減らすんだと、こういう御方針のようでありますけれども、減らしてもいいところとふやさなければならぬところとある。したがって、一律に増員をしないという方針ではなかろうと思うんです。いま大蔵省のほうの御答弁がありましたけれども、運輸省全体としてということであった。あったんだが、私いま指摘いたしましたように、昭和二十五年から今日まで比べれば、車の数が二十五倍になっておる。なっておるのに、人間は百何十人ですか、減っておる。こういう自動車行政関係定員ですね。こういうところまでやっぱりふやさないという御方針なんですか。行管の御答弁……。
  16. 大国彰

    説明員(大国彰君) 公務員の総数をできるだけ圧縮する、少なくするということにつきましては、これはやはり国民の血税で置かれておるものでございますので、できるだけ最小限度の人員で最大の業務効果をおさめるようにするというのがたてまえでございまして、私どものほうといたしましても、できる限りの人員節減ということを目標にしておるわけでございます。ただ、これには、お話のように、業務の性質によりまして、新しい行政需要に基づきましてふえます部面に対しましては、その業務の達成に必要な人員をできるだけ回す。そのかわり、不要不急になってまいりました業務のほうはこれを減らしてその分を回すというのを第一に考えたい、かように思っておるわけでございます。今回のダンプ規制法に基づきましても百七名の本年度増員が出てまいっておりますが、これは、先ほど大蔵のほうからお話がございましたように、来年度以降の定員の問題とも関係いたしますので、ただいま来年度予算の編成に基づきまする方針の確立を待ちまして、あわせて考えるということにしておるわけでございまして、二月実施には間に合うように私どものほうも査定をしたい、かように考えております。
  17. 大倉精一

    大倉精一君 大国さんにお伺いしますんですがね。来年度とあわせて考えるというお話がありましたが、一月からは仕事に入らんならぬでしょう、一月からは。何名要りますか。百七名要るんでしょう、百七名。それで、行管のほうで、具体的に、いまの陸運局、陸運事務所の人員というものは現在の仕事の上からいってもこれで足りるとお考えになっておるのか、足らぬとお考えになっておるのか。それに加えて新しくダンプ規制法ができましたので、たくさん事業量がふえます。百七名要るということを運輸省が言っておりますが、この人員も、やはりそれだけ必要とお認めになっておるのか、そういう人間はあまり要らぬのじゃないかというぐあいにお考えになっておるのか、いまの陸運局、陸運事務所の関係人員はこれでいいのか、足らぬのか、この点どうですか。ずばり言ってみてください
  18. 大国彰

    説明員(大国彰君) 現在、陸運局は八百六十名、それから陸運事務所が千九百六十一名という人員でやっていただいておるわけでございます。この前御指摘のございました書類も拝見いたしましたが、確かに自動車が非常にふえまして、その増加に応じた、対応した人員がふえていないということは事実でございますが、これは、各職員の能率アップなりあるいは事務の機械化合理化、そういったものをしていただきまして、現在のところは大体その人員でやっていただけておるものと思っております。なお、新しく加わりました業務につきまして、百七人が多いか少ないかという点につきましては、先ほども申しましたように、来年度定員のあり方とも関連いたしまして検討しておるわけでございます。したがって、必要な最小限度のものは認めるつもりでございます。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 どうも歯切れが悪いですね。やっておってもらっておるものと考える——そのとおりですね。やっておりますね。やっておるが、やりようがありますよ。この人間で足りるのか足りぬのかということなんですよ。実際仕事をやっておるのは行管じゃない。運輸省です。運輸省というのは、大体私が見ておると、一番政治力が弱いと思うのですね。金を取るのがへたですよ。これはあなたはやっておるものと考えるとおっしゃるのだけれども、現実にわれわれが一生懸命やって、審議をして、いろいろなことを政府に要望いたしましても、それを処理をする人間がいなかったら、どうにもならぬですよ。たとえば、労働省のほうで、タクシーの車庫に帰ってくる時間が二時だ、こう言ってみても、だれがそれを見にいきますか。だれがそれを監督しますか。現に、きのうあたり見ておりましたけれども、三時半、四時になっても、みな帰ってきておりませんよ。そういったように、通牒、通達は出す、これはだれでもやる。一体それじゃだれが指導するか、監督するか、その要員はそれで足りるのか、こうなってくると、自動車交通あるいは陸運行政に関する人員というのはきわめて不足である。しかも、これを読んでもらえばわかるのですけれども、出張しなければならぬが出張旅費ももらえない、土曜日も日曜日も出てこなければならぬけれども、その時間外手当ももらえない、こういう状態です。それでどうにかやっておると思いますと、そんなことがどこから出ますか。原山さん、どうですか、その実態を聞かしてください
  20. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 現場の陸運事務所の仕事につきましては、車検、登録のように、車の増加に正比例して必然的に仕事の量がふえる仕事と、それから一般会計に属します許認可のほうでございますが、これにつきましても、もちろん自動車数の増加等で仕事の量がふえますけれども、われわれが現在現場の陸運事務所の仕事で一番心配しておりますのは、車検、登録の特別会計の仕事でございます。先生御承知のとおり、すでに本年度の六月に自動車台数が一千万台を突破いたしまして、大体年間の増加二百万台というふうな傾向でございますが、そういうふうな自動車の増加に対して、車両検査なり登録というものは当然どんどんと仕事の量がふえてくる。したがいまして、従来からの定員増加の要求につきましては、その車検、登録の、特別会計の現場要員の増加ということにつきまして重点をしぼってまいりまして、本年度も百三名のその関係増員が認められたというふうなことでございます。それで、問題は一般会計のほうでございますが、このほうは、特別会計のほうに重点の人員を向けておりますので、あまり人員の増加がない。それにもかかわらず、対象事業者数がふえるというふうなことで、非常に仕事の量がふえておる。ちなみに、現在道路運送法の関係事業者数でございますが、バス、ハイヤー、タクシー、トラック、この関係で、合わせますと四万一千三百七十九事業者がおります。それで、車両数が五十一万五千八百十台、こういうふうなのが現在の人員でもって仕事をやっておる事業対象でございますが、今回のダンプカーのほうは、車両数は道路運送法関係の五十一万両に比べますと相当少ない、約十四万両でございますけれども、事業者の数にいたしますと、非常に一匹オオカミ的な仕事で、一台持ちなりあるいは二両、三両というような、事業者数に比べて持っている車の両数が非常に少ない。したがいまして、事業者数という面からいきますと非常に多うございまして、十四万台の車両に対しまして事業者が九万三千八十七というふうなことでございます。この事業者数から比較しますと、道路運送関係の四万一千に対しまして倍以上の事業者数を相手に今度の仕事をしなければならないというふうなことでございます。それで、現在の事務所の一般会計の関係人員は百三十四名ということで非常に少ない。それに加えて、このようなダンプカーの事業対象の届け出なりあるいは処分の関係の仕事をいたしますと、これはとても現在の人員ではまかない切れないことは先生御承知のとおりでございます。従来からそういうふうな実情を関係大蔵省なり行管のほうへ申し上げまして、極力この定員確保についてはお願いしたい、こういうふうにやっておるわけでございます。
  21. 大倉精一

    大倉精一君 いまお聞きのように、こういう交通安全あるいは交通の混雑緩和ですか、この非常に重大問題になっている交通関係の要員についてはこういうことですが、そこで一番大事なのは、運輸省なり関係省庁の現場監督、現場監査ですかね、現場へ行って、現地へ行って監査をする、現地へ行って指導する、これが非常に大事な業務と思うのですけれども、そういう業界の実態について、行管長官は知っておいでになりますか、大蔵省も、そういう現場監査を、いまの人員あるいは運輸省の機構、陣容でもってどういう状態になっておるか、こういう状態を御調査になったことがありますか。行管のほうはいかがですか。
  22. 大国彰

    説明員(大国彰君) 陸運行政の第一線の業務につきましては、行管のほうでも監察系統でしばしば調査をいたしておるわけでございます。現場の査察関係がある程度十分でないというふうなことは承知いたしております。そういった面につきましてさらに内部の事務の整理もしていただきまして、現場の査察をちゃんとやっていただけるように監察もしたこともあるかと思っております。     —————————————
  23. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 総理府総務長官が出席され、発言を求められております。これを許可します。
  24. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) このたび総理府の総務長官に就任いたしました田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。また、私は総理府設置されております交通対策本部の本部長をつとめさしていただいております。就任に際しまして一言ごあいさつを申し上げますが、御承知のとおり、ここ数年来のわが国の交通事故は、政府と国民が一体となりまして、その防止に努力をいたしておるにもかかわりませず、逐年増加いたしまする傾向でございます。このような趨勢に対処いたしまして、政府は人命尊重、特に歩行者の保護の見地から、交通安全対策政府の最重点施策の一つに取り上げまして、交通安全施設整備拡充、交通安全活動の推進、交通秩序の確立及び被害者救済対策強化という四本の柱を中心といたしまして、諸般の施策を積極的に推進いたしておりまするところでございますが、私も交通安全対策強化につきましては最大の努力を傾注いたしまする所存でございますので、どうぞ皆さま方よろしくお願いを申し上げる次第でございます。一言ごあいさつを申し上げます。     —————————————
  25. 大倉精一

    大倉精一君 それじゃ、あとからまた、この問題に一番詳しい木村さんからいろいろ御質問があるそうですから、私は時間がありませんから簡略にしたいと思いますけれども、いま行管のほうから現場監査が十分でないというようなお話がありましたが、十分でなければ十分にしてもらわなければいけないと思うのです、これは。それで、かつて昭和三十何年でしたか、神風タクシーの現場の監査、この委員会調査に行きましたが、その当時といまとあまり変わっておりません。この前にもいろいろ調査をして聞いてみましたら、たとえば横浜で、現地へ視察に行きまするというと、仮眠施設もない。ないんだが、こちらから行くというので、折りたたみ式の仮眠施設を仕立てて、このとおりありますと、こう言っておる。今度こっちのほうに移動すると、こいつを解体してこっちに持ってきて、このとおりありますと——あの当時もそうだった。あの当時もぱっと行くと、ふとんだけはきれいだった。これはどうしたんだと言うと、けさだいぶ運んでおりましたよというんだ。そういうことで、私は先ほど申しましたように、監督官庁というものはなめられておるのですよ。ですから、私はずっと現場を見ておりますし、それから身近にも現場がありますけれども、これを見ておりまするというと、警察もなめられておる。許認可事項をつかさどるお役所もなめられておる。労働省もなめられておる。みんななめられておる。通牒を出し、通達を出し、指示を出し、あるいは訓示を出し、勧告を出しても、一向にそれが行なわれていない。平気で堂々と大手を振って不当、不正が横行しておる。これが現実ですね。この根源を直さなければ、これは交通安全対策特別委員会なんといっていろいろな項目はずっと羅列してみても、何にもならぬ。交通安全対策なんというのは、いまここでぎゃあぎゃあ言って論議せんでも、みんな知っておるはずです。ただやらぬだけです。あるいはやれないだけなんです。これをやろうとするには、やはり人間の問題ですね。ですから、大蔵省にも、行管にも、これはあらためてこの次に大臣にお伺いしますけれども、やはり必要な経費は必要な場所につけておかなければ、幾ら財政の硬直化といいましても、こういう大きな問題に関するところには、やはり財政の裏づけをやってもらわないというと、運輸省も非常に困るだろうと思う。さらにまた運輸大臣も、これは総務長官おいでになりますけれども、冒頭にこの決議にあるように、運輸行政の一元化——どういうかっこうで一元化するということは、これは交通省というお話もありましたけれども、そこまで飛躍しなくても、一元化に関する論議はやっぱり手をつけなければならぬと思います。ですから、きょうは自動車部門についてだけいろいろ申し上げましたが、これに全部書いてありまするが、整備部門も非常に重要であります。これも人が足りないからいいかげんと言っては語弊がありますけれども、非常にずさんな、あるいは手ぬかりな検査をしている。整備をしている。車検もそうであります。あるいは営業面といたしましても、書類が出てくる。出てくるがその現地について監査する、調査することができない。できないから、そこにやっぱりいろんな問題が発生をしてくるわけであります。でありまするから、きょうは大臣もおいでになりませんから確たる答弁ができないと思うんですけれども、要は人間ですよ。運輸省全体としてやるやると言っていますけれども、全然畑の違うところへ持ってきてもすぐには役に立ちませんよ。ですからこれは、やっぱりもう一月から仕事を始めるのですから、それがなければ交通安全対策なんというのは一人歩きはできませんから、この点はひとつ特にやってもらうように要望したいのは、ここで委員長、この際提案をしますけれども、臨時国会中に適当な時期を得て、そうして自動車行政の現場部門について一応実際に視察をしてみたい。陸運局、陸運事務所あるいは車検場、そういう面について実際の状態をこの目でひとつ確かめてみたいと思う。その上に立ってまた所要の質問もし、また要望もしたいと思っておりますけれども、現地の視察について後ほどおはかりを願いたいと思います。
  26. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ただいま大倉君から御提案がありました都内の現場の視察等は、また委員長理事打合会で御相談いたしまして、適当の日を選んでそういうことをしたいと思います。  総務長官は、十二時にはまたお帰りのようですので、きょうはあいさつだけにおみえになったわけですが、私からもちょっと一言お願いやら御要望を申し上げておきたいと思いますが、総務長官がおいでになります前に、大倉君と説明員の間にいろいろと質疑応答がございまして、特に七月十九日、この委員会におきまして交通安全対策に関する決議をいたしたわけであります。政府からも昭和四十三年度予算編成につきまして御説明をいただきましたが、特に大倉君が力説いたしました必要な警察あるいは陸運関係定員確保ということが今後の交通安全対策を樹立する上において非常に必要だと思いますし、この決議に織り込まれております交通安全対策推進の実現について、さらに一そうの努力をしていただきますように私からも御要望申し上げます。どうか御就任早々で大役を申しつけましてまことに恐縮でございますが、御意見がございましたら一言おっしゃっていただきたいと思います。
  27. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいま委員長からお話がございました本委員会の御決議を体しまして、全力を尽くしたいと思います。どうぞよろしく御協力をお願いいたします。
  28. 木村睦男

    ○木村睦男君 関連。いまの大倉理事の質問に関連いたしまして、簡単に二、三お聞きしたいと思います。先ほど来、話の出ておりますダンプカーの対策と、それに関する人員、要員の問題でございますが、実はこの問題は与党である自由民主党におきましても、交通部会で非常に重要視をいたしてまいっております。特にダンプカーの事故防止の対策につきましては、前国会で法律までつくって徹底的にこの対策を講じようということで、それには何としても先立つものは人員。この人員だけは——この法律の要求するところの目的が完全に遂行できるだけの人はどうしてもそろえたい、こういうことで強く要望しているんであります。ただいまお話を聞きますというと、運輸省のほうから来年度定員といたしまして百七十一名必要だという要求をしておるそうであります。これに関連して大倉委員からの御質問に大蔵省の御答弁では、運輸省の全体の定員を考えて、そしてこの問題を処理する、という御答弁であったのですが、もっともなことだと思います。ただ、ここの席でお聞きしたいのは、運輸省全体の定員を十分に検討されるということはけっこうですけれども、もっと私の聞きたいことを簡潔に言いますと、いまの運輸省定員に百七十一名加えてくれるかどうかという質問ではないのです。要するにこのダンプカーの事故防止の対策に必要な要員の百七十一名というものを要求しておるので、これは大蔵省の考えでは、運輸省の中で差し繰りをやってみるということですけれども、要するにダンプカーの事故防止対策のために百七十一名なら百七十一名という人間が必要だという、この対策に必要な人員を——この法律の目的を達成するために十分なだけの人員を、これに導入する予算査定をやっていただけるかどうかということをお聞きしたい。それが一点でございます。
  29. 丸山英人

    説明員(丸山英人君) お答え申し上げます。ダンプカー規制のためにどのくらいの仕事がふえるか、そのためにどのくらいの人間が新たにその部門で必要になるか、それはいろいろの計算方法がありますが、その計算が出ないわけではございません。また、出なければならないはずのものでございます。しかし、それをそのまま直ちにこぶにしてつけるかどうか。その点につきましては来年度以降の定員全体に関する考え方もございますので、そういったものを考えながら、検討さしていただきたいというふうに申し上げたわけでございます。
  30. 木村睦男

    ○木村睦男君 そこでお願いしたいのは、全体の定員のワクなり考え方がこうだから、ダンプカーの規制、事故防止のためにこれだけの人間は必要だが、そういう観点からそれだけの人間を与えることができぬから、がまんせいという査定のしかたをされると非常に困ることであるし、また、この法律をつくった目的に反することでございますので、その点を十分に考えていただきたい。同時にこの仕事は、従来の例から運輸省では陸運局なりあるいは陸運事務所がやることになろうと思います。そこで行政管理庁にも一緒にお尋ねしたいのですが、現在の陸運局並びに陸運事務所の定員で、あの局と事務所がやっておる仕事の量は、まことにバランスがとれないほど仕事の量が多い。一例を申し上げるというと、いろんな許認可の申請事案が半年はおろか、一年あるいは一年半たっておる。そういうことで非常に申請者に迷惑をかけておる。また行政のあり方としても適当でない、こうわれわれ思うのです。そこで、そういう現在でも非常に少ない定員で多くの仕事をかかえて、申請者にも迷惑をかけ、行政のあり方としてもどうかというこの状況のもとにおいて、さらにこの法律によってダンプカーの事故防止に対する仕事がふえてくる。そのふえるために定員というものが必要ではあるけれども、定員全体の問題でこういう数でがまんしろという割り当て方をされるというと、ダンプカーの事故防止の仕事が十分にできないだけではなくて、在来のいろんな申請事案の処理にもさらにブレーキがかかって、処理がおくれてくるという二重の欠陥があらわれてくるということを非常に心配するわけです。そこでこの点は、大蔵省とそれから定員の査定をなさる行政管理庁と十分この法律の趣旨を理解されて、来年度予算のときには十分な配慮をしていただきたいと思います。  それからなお、もう一点、行政管理庁にお尋ねしたいのは、ちょっと、先ほど申しましたが、現在でも非常に人手が足りなくて、仕事に無理をしておるというこの問題ですが、いままでもいろいろと陸運行政について、行政管理庁も監察をなさって、いろいろな勧告をされておりますが、いままでの陸運行政——陸連事務所あるいは陸運局に対する行政事務のやり方の監察の結果、現状においていまの仕事を処理する上に、定員として十分であるという結論を今日出しておられるか。あるいは足らない、不足しておるという結論を出しておられるかということを、いまだ私はつまびらかにはしておりませんので、もしそういうことについて、在来の監察によって、そういう結論を行政管理庁が出しておられるとすれば、どういう結論を出しておられるかということをお聞きしたい。また、その問題について、いままでそういう結論をまだ出していないということであれば、今後陸運局あるいは陸運事務所のこの定員と、それから事務処理の問題について、今後十分にこういった問題について監察をされて、そうして適切な陸運行政ができるような仕組みに、定員その他を考えていかれるようなお考えがあるかどうか、その点をお聞きして、私の質問を終わります。
  31. 大国彰

    説明員(大国彰君) お答えいたします。  いままでの監察の結果、定員が妥当であったかどうかという問題につきましては、現在までの監察におきましては、定員の問題につきましての直接の監察ではございませんで、個々の業務につきましての監察をやっておったわけでございまして、全体として定員がいまのままでいいかどうかということにつきましては、結論が出ていないわけでございます。その点につきましては、来たる一月から始まります一−三月の第四四半期に、私どものほうで、各監察機関の予算を使いまして、そういった面の調査をいたしたいと考えておるわけでございます。なお、私どものほうといたしましては、もちろんこれは単に陸運事務所だけでなしに、ほかの省庁にも通ずるわけでございますが、現在やっておりまする業務の上で、より簡素、合理化できるものはないか。これを今後各省庁にわたりまして十分再検討していただきたいと思っておるわけでございます。特に、陸運事務所等につきましては、登録制度機械化並びに車検の民間委譲、民間の整備業者に移管するという問題を特にお願いしておったわけでございまして、そういった面でできる限り職員が手を抜きまして、そういう余った余力でさらに新しくふえました行政事情に対処していっていただく、こういうことを考えておるわけでございます。そういった点もあわせまして調査を進めていきたいと、かように思います。
  32. 木村睦男

    ○木村睦男君 この問題について、今後のあり方の御説明を聞いたのですが、こいねがわくばそういった事務の簡素化、あるいは機械化ということを並行して進める、これは非常に必要なことだと思います。そういうことを見ていただきながら、それなればいまの定員でよろしいかどうかということを忘れないで、並行して結びつけて、よく考えてみていただきたいと思います。それをぜひお願いしたい。  それからこれは、大蔵省、行政管理庁両方にお願いしたいのですけれども、このダンプカーの事故防止対策の問題は、特に重要視しておりますので、その取り締まりの責任を持つのは運輸省だから、定員はこのくらいでがまんせいと、あるいは予算はこのくらいでがまんして、あとは運輸省のほうでやれと、できなければおまえのほうの責任じゃないかといった、ややもすれば従来ありがちな、そういう考え方に立たないで、この法律の実施にあたっては、運輸省はもちろんですけれども、行政管理庁並びに大蔵省も共同して責任があるのだ。この法律の実施の効果が十分にあがらないときには、その責任は三者とも分担しなければいかぬのだという考え方を持って、ひとつこの予算定員の配慮をやっていただきたいと思います。これらをお願いして、私の質問を終わります。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 行管と大蔵省に、この次は大臣にひとつ来てもらう。いまのお話、重大な問題があるのですよ。車検業務を民間に移して人手を省いてというお話があったのですが、たいへんなことだ、これは。いま整備事業が民間にいったがためにいろいろな弊害があるでしょう。交通安全対策をやっておるのが、これは交通不安になる。あなた交通不安をみずからの手でもってつくり出しているようなものだ。これは、きょうは時間がありませんから、また、あとで論議しますが、これはもう少し考え方を直してもらって——われわれここで交通安全の論議を何のためにやっているのか。業界に振り回されているばかりで腹が立つ。これはあとからやりましょう。  そこで、きょうは時間がありませんから、労働省おいでになりますか。——労働省にお伺いしたいのですけれども、特にきょうはタクシー運転手の労働条件にしぼって、一点だけお伺いしておきます。二月九日に運転手の労働時間等について通達を出されましたが、あれを私一見しまして——さらにまた、業者で三本の勤務体制をつくりましたが、これを見まして直観をしたことは、労働時間を短くしても、業者が三百六十キロですか、三百六十五キロですか、これはノルマを課しておる限りにおいては、短い時間によけいに無理をして運転をするということになる。あるいはまた、一定の水揚げノルマを課している以上は、短い時間内でそれをかせがなければならんという問題が出てくる。したがって、ああいう労働時間等に関する労働省の配慮はいいとしましても、これと並行してそういう問題を解決しなければ、 いわゆる交通安全にはつながってこない。まあ皮肉なことに、業界であの三本立ての勤務体制をつくって以来、かえってタクシーの事故はふえておるという現実があります。したがって、せっかく労働省のほうにおいてタクシー運転手の労働条件について関心を持ってこられましたが、そういう点について将来どういうぐあいな指導をされようとしておるのか、ここで具体的にこれをどうやって点検をし、現場指導をし、監督しようとするのか、そういう点についてひとつお伺いしたいと思います。
  34. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) ただいまの御質問にお答えいたしますと同時に、実は先ほどからいろいろお話が出ておりますので、私どものほうの問題につきましても一言申し上げてみたいと思いますが、自動車運転者の労働条件の問題が交通事故と非常に関連があるということで、この二月に改善基準を出しました。それ以来、たとえば三十八年から四十年ころまでは、年間約三千五百くらいの事業所監督にとどまっておりましたものを、四十一年は一挙に九千事業所を監督いたしまして、それ以外にダンプの事業所を六千ばかり監督をいたしました。四十二年に入りまして、すでに春と秋の交通安全運動期間中だけに限りまして二万二千の事業所を監督いたしております。そして悪質なものにつきましてはどしどし送件をいたしておりますので、かなり取り締まりを強化いたしておるわけでございますが、先ほど大倉先生のお話にもありましたように、たとえば深夜の運転者の帰庫時間というようなものを点検いたしますためには、監督官が監督署に夜泊まりまして、明け方になりまして行って、監督をいたしております。そういう監督もいたしておりますが、何せ労働基準監督官は、基準法適用の全産業の事業所を監督することを義務づけられておりまして、この事業所の数が、基準法ができました昭和二十二年には五十万でございましたが、現在は二百四十六万の事業所になっております。労働者の数も基準法が生まれましたときには九百万でございましたが、現在では二千九百万の労働者数になっております。ところが労働基準監督官の定数は二千六百人程度でございまして、全然そのころと変わっておらないのであります。一時行政整理があって減りまして、一昨年二百人ふやしていただきまして、大体当初の水準を保っておるというような状態にございます。そこで、私どもは来年度、まあわずかではございますが、こういう時勢でありますので、三百十三人という監督官の増員要求をいたしておりますので、現場に行って直接に監督指導をするということが非常に大切だという御意見につきましては、全く同感でございますので、私ども自身も行管、大蔵省にお願いいたしますことは当然でございますが、当委員会におきましてもどうぞ私どもに御支援を賜わればたいへんありがたいと思う次第でございます。  そこで、片方におきましてそういう監督指導を加えますと同時に、一面におきまして、主として労働時間につきましては、御承知の労働基準法三十六条に基づく時間外、休日の協定の指導につきまして、この改善基準に沿うように働きかけを行なってきておりまして、タクシーについて申し上げれば、大体半数以上はすでにこの改善基準のワクにはまる協定をとにかく形の上ではつくりまして、これを監督署に届け出ており、なお一そうこの点は全部早い機会にそうなりますように、さらに指導を続けたいと思います。  そこで、いまのお話の出ました問題でございますが、労働時間につきましてそういった取り締まりを強化いたしましたところが、まだもちろん不十分ではございますが、幾らか労働時間を守るような風潮になってまいりましたのに、一面におきまして歩合給という問題が残っておるために、かえってそれが災いになっておるというような批判も一、二出ておるわけでございます。そこで、実は改善基準につきましても労働時間だけではございませんで、給与につきましても累進歩合等の極端な走行刺激的な給与につきましては、これを改善するということをうたっておりますが、労働時間は労働基準法に全部あてはまりますが、賃金につきましては、先生御承知のように労使で話し合ってきめる筋のものでございますので、強力な指導ということにとどまるわけでございます。そこで、この点につきましては指導を加えておりまして、地方ではかなり改善が進んでおりますが、御指摘の東京、大阪等の大都市ではいまだ満足すべき状態になっていないことは事実でございます。そこで十一月の九日に全乗連の幹部を招致いたしまして、重ねてこの各種歩合制、ことに極端な走行を刺激いたしますところの累進歩合制の排除につきましては、年度内にやっていただくという当初からのお話を申し上げてありますので、それを必ず実行していただきたいということを、重ねて申し入れをいたしたというような次第でございまして、業界に対してそういう勧告をいたしますと同時に、現地におきまして具体的な給与体系例等も示しまして、なお一そう指導強化してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  35. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 簡単に一点だけ質問しておきたいと思いますが、監督課長がいまお話をされました二万二千カ所の監督実施をした、こういうことを言っておられますね。それは非常にいいことだと思うのですが、同時にその監督署の人員が二千六百名、これでは私はどうも完全な作業ができないと思う。ですから、そういう面での定員増強というものはやっぱり要求してけっこうだと思うし、実現しなければならないと思う。同時に、もうそろそろ私は、いまの交通事故激増の原因の一つは、やはり過酷なる条件とそれから低賃金、こういうところにあることは間違いないのですね。ですから、そういうところから最低の労働基準というものを立法化してはどうか、そういう草案をひとつ考えてみてはどうか。  もう一つは、当然これはもういままでも何回か主張されてきておるのですが、最低賃金制、これをどうしても実現の方向へいかなくちゃならないと思う。こういうものを四十三年度に向けて、一つは立法化措置で具体的に作業条件というものの最低基準というものをひとつ法制化をする。こういうことが必要じゃないかと思うのです。アメリカあたりにおきましては、エンターシティあたりだとトラックの運転手が非常に高給者なんですね。したがって、運転手自身もきわめてジェントルマンで、非常に品格がよろしい。こういうところまで教養が高められれば社会の見方も違ってくる。あるいはソビエトあたりでは、ちょっと社会体制が違うのですけれども、一定の走行距離というものがあらかじめ国家で制定され、もうその距離しかお客様を乗せない。大体走行の実態は八〇キロぐらいしかやっておらない。そういうものをやはり厳密に日本としても規制をしていくということが、私はどうしても必要だろうと思うのですが、こういう面に対するところの基準監督局の考えをひとつ聞かせておいていただきたい。
  36. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) ただいまお話が出ました最低労働条件について統一していく考えはないか、こういう御指摘でございますが、確かにいま先生もおっしゃいましたように、外国の自動車運転者の社会的地位と申しますか、そういうものから見まして、わが国におきましては、他の産業に比べて、まだまだ自動車運転者の労働条件については改善の余地が多いというふうに私は考えております。そこで、あの改善基準を昨年出しましたのも、他産業に比べて非常に長時間労働、休日労働が多いというようなことから、これを何とかしなければならない。事故の問題もございますけれども、事故の問題を離れても、これをほうっておくことはできないというふうに考えてやったわけでございます。そこで、ただいまの御提案でございますが、労働時間、休日等は御承知のように法的な基礎もございまして、そういったものになじむわけでございますが、賃金ということになりますと、原則は労使双方が話し合いできめるということが、これはどこの国でも原則でございます。直ちに最低賃金をどうこうということは、非常に慎重な配慮を必要とすると思います。それからまた、自動車運転者の問題につきましては、各省、特に運輸省その他とも関連が非常に深いわけでございまして、先ほど大倉先生のお話の中に三百六十五キロというようなお話も出てまいりました。これなどは、実は私どものほうでは全く——私どものほうというか、私どものほうよりか運輸省のほうにおかれまして、運行管理という側面も考えてお出しになった一つの昔からの水準でございまして、そういった点で、私ども一存でできかねる面も多いかと存じます。しかし、いずれにいたしましても、私どもは外国の事例等も勉強いたしておりますので、先般当委員会大倉先生の御指摘のありました自動車運転者手帳制度というものも、ぜひ実現をしたいということで、いま予算要求しているような次第でございますので、同時に勉強いたしたいと思いますが、御承知の私どものほうには中央労働基準審議会、そういったところの先生方ともよく相談をいたしまして、できることならばそういう方向に進んでいきたいというふうに考えます。
  37. 大倉精一

    大倉精一君 時間がありませんから、最後にいろいろ要望を申し上げたいと思うのですけれども、行管に残ってもらったということは、私は別に質問はありませんが、労働省にも要員不足があったということです。結局、問題は人間の問題ですよ。それをあんたたちは削ろう削ろうと思うものだから、ここで一生懸命やっておっても回っていかなくなる。ですから、私はこの際、行管に公務員の定員については御検討になるのもけっこうですけれども、こういう非常に重要な部門に対しましては、格段のひとつ考慮を願いたいと思います。要は、国会においても、また社会においても、交通安全ということがいま焦点になっておるんですから、各省庁の神経を交通安全に集中してもらわなければいかぬと思う。それがばらばらになっておるでしょう。いまもお話がありましたように、労働時間を制限する。しかしノルマは運輸省のほうでやっておる。ところが、さっき言ったように、行政がばらばらというわけなんですよ。これもやっぱり取り組んでもらわなければいけないことで、要は交通安全に関する各省庁の神経というものを、ここに集中してもらって、そして、みんなでもって協力し合わないというと、この問題は解決しませんよ。ですから、あえてあなたに残ってもらったということは、労働省にも人間の問題がある。警察の交通巡査の中にも要員の問題はあるでしょう。きょうは私は時間がありませんから、要員の問題にしぼってお尋ねしているわけです。それから労働省に対しましても、実際交通安全あるいは乗車拒否、その現象面を見て取り締まりをやるんじゃなくて、どうして乗車拒否が起こるか、どうして暴走タクシーが起こるかという、その根源を追及しなければ、この問題はどうにもならぬと思います。この前、交通事故をなくす会というのがありまして、タクシーに乗って相当長時間にわたって調査したということがありますが、私も調査したことがあります。これは原因の全部がわかっている、前からわかっているのですが、やらないのですね。そのやらない、やれないという原因を突きとめるということが交通安全対策の抜本対策だと思っております。この次には責任大臣に来てもらって、そういう点について相当時間をかけて論議してみたいと思うので、委員長のほうでもお取り上げ願いたいと思います。それを解決しなければ、幾らここで論議しておっても結局上っつらになってしまう。先ほど総理府からいろいろ説明がありましたけれども、たんたんとして立板に水のような御報告がありましたけれども、中身は全く事務的なものであるという感じがいたしました。どうかそういう点について、今後突っ込んだ実のある対策を考えていただきたいということを要望いたしまして、時間がありませんから、この次にいたしたいと思います。
  38. 原田立

    ○原田立君 交通安全対策本部というのが八月二十九日の閣議で決定して、発足しているのだろうと思いますが、何回会議を開かれたか、また、その内容はどんなことをやっているか、調査室長おわかりでございましたら……。   〔委員長退席、理事大倉精一君着席〕
  39. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) 御指摘の点でございますが、たいへん申しわけがありませんが、ちょっと何かの間違いではないかと思います。実は交通安全対策本部設置の閣議決定をした事実はございません。
  40. 原田立

    ○原田立君 総理府交通安全対策本部設置するという閣議決定はありませんか。
  41. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) 実は先ほど概算要求説明の際に申しましたが、総理府といたしましては、仮称交通安全基本法との関連におきまして、総理府交通安全対策本部設置いたしたいということで、ちょうどそのころ大蔵省概算要求をいたしました。おそらくその記事が新聞に——八月二十九日か三十日だったと思いますが、その記事が新聞に出ましたことは事実でございますので、あるいはその点かと思いますが、もしそうであるといたしますと、それは総理府として来年度にそういうものを設けたいという意味で、概算要求をしたという段階でございます。
  42. 原田立

    ○原田立君 そうすると、その内容はまだ検討中の段階であるということですか。
  43. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) 概算要求といたしまして定員・組織並びに定員増概算要求をいたしておりますので、一応総理府としては内容は考えております。これは簡単に申しますと、現在私どもの所属しております陸上交通安全調査室をいわば発展的に解消いたしまして、総理府に新たに国家行政組織法第八条に基づく機関として交通安全対策本部を設けるという骨子のものでございます。
  44. 原田立

    ○原田立君 現在の陸上交通安全調査室が発展的にそういうふうに成長するのだということでありますが、そうすると、もっと内容強化されてくるのだと思いますが、この点はどうですか。
  45. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) これは現在総理府だけの判断でございますが、現在総理府といたしましての総合調整につきましては一生懸命に努力いたしているわけでありますが、二つの点でやはり困難を感じております。一つの点は、具体的に申しますと、先ほどからしばしば問題になっております定員の問題でございます。現在の限られた人員では総合調整事務の万全を期することはなかなか困難であるということが第一点でございます。第二点は、総理府総合調整につきましては、これは全く事実上やっていることでございまして、各省庁のおやりになっていることにつきまして御意見を申し上げるということも、もちろん事実上はいたしておりますが、その制度上の担保が全然ないということでございます。したがいまして、これはまあ総理府だけの判断でございますが、できましたならばこの総合調整に従事いたします組織、人員強化拡充していただくことと、あるいは何らかの意味におきまして、何と申しますか、総合調整機能強化ということができますと、将来非常にその総合調整がさらに円滑に行なわれるんじゃないかと、こういうことを考えたわけでございます。
  46. 原田立

    ○原田立君 要するに私、言いたいのは、看板の塗りかえで中身はちっとも発展してないということでは、政府で言うところの人命尊重、交通安全対策に最重力をかけてやるんだということが何にもならなくなってしまう。まあ、そういうところでお聞きしているわけなんです。何かいまの調査室長のお答えですと、看板の塗りかえだけで、中身はあまり発展しないんだというように私聞きとれるんですけれども、そういう理解でよろしいですか。
  47. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) 先ほど申し上げましたことは、ちょっと舌足らずでございましたが、そういう点は二つの点で問題がございますので、その問題を解決いたしますために、一方におきましてはこの新しい組織をつくりまして、定員増をお願いいたしまして、内容強化いたしたい。それから一方におきましては、総理府総合調整機能というものを制度上もう少し強化していただきたいということを、現在お願いしておるわけでございます。
  48. 原田立

    ○原田立君 そのお願いはけっこうなんですよ。ただそれで中身が充実していくのかどうかということが一つの問題点です。それは陸上交通安全調査室でいろいろと御努力願っていることはよくわかるのでありますが、先ほど四十三年度予算の各省にまたがる要求の御説明がありましたが、これは交通安全調査室としてこの予算要求は、きちんと計画を立てたその上に立って、満足すべきょうな段階であったのかどうか。要するに、きちんと計画が立てられて、今回の昭和四十三年度交通安全対策に対する予算要求はその計画どおりいっているのかどうか、その点はどうなんでしょう。   〔理事大倉精一君退席、委員長着席〕
  49. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) 現在交通安全に関します予算は、冒頭に申し上げましたように、関係各省庁がそれぞれ各省庁予算として要求する仕組みになっております。ただ交通安全対策は、総合的に推進することが必要でございますので、来年度予算につきましても、事前にいろいろと関係各省庁と御相談いたしましてつくりましたのが、このまとめた案でございまして、この案につきましては、まあもちろん俗に欲をいえば切りがない点もございますが、現在の国の財政規模その他から見まして、来年度予算要求といたしましては、総理府といたしましてはこういうところが適当であろうと判断いたしております。
  50. 原田立

    ○原田立君 適当であるという、その計画なり基準ですね、調査室長のほうでお持ちだろうと思うんですが、後ほどでもけっこうです、資料としていただきたいと思うんですが。
  51. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) 適当であると申し上げましたのは、非常に確実な計算に基づきまして適当であると申し上げたわけではありませんで、その点はたいへん申しわけございませんが、ここ数年間の、何と申しますか、経験に基づきまして、こういうところであろうということを判断したわけでございます。  なお、将来の問題といたしましては、まさに御指摘のような基準というようなものが当然必要であると思いますので、総理府といたしましては、できれば交通安全基本法というようなものをつくりまして、その中で交通安全全般に関します総合的、長期的な計画を立てる制度をまず何よりも早くつくりたいと、このように考えております。
  52. 原田立

    ○原田立君 まあ問題の核心のところへいくと、ちょっと言い過ぎたとか何とかいうふうなお話で、話が折れちゃうんですけれども、まあただ各項目においてふえていることは事実です。これは非常にけっこうだと思うんですけれども、ただそれは普通のちょっと色直しを終えた程度なのか、きちんと現在の日本の交通情勢の上から言って、こうあるべきだという基本の構想があって、それが各省の予算にずっと波及されてこうなっているのかどうか、ここは大きな課題だろうと思うのですよ。ただ、ふえたからいいじゃないかという議論ならば何にもならないと思うのです。そういう意味できちんとしたものがあればお聞きしたい、こう申し上げているわけでして、ここで答弁上のとかなんとかいうことではなしに、率直にお聞きしたいと思います。
  53. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) 抽象的な方針といたしましては大体きまっております。ただ、それが年度別に数字化された詳細な計画があるかと申しますと、これはあるものもございますし、ないものもございます。たとえば道路におきます交通安全施設整備等につきましては、すでに三カ年計画というものがございまして、それに乗っかった予算を計上しているわけであります。また先ほど申し上げましたように、救急医療センター整備等につきましても、一応五年間で百カ所近くを整備するという方針がありまして、それを年度別にやるというわけでございますが、すべてがそのようにきちんとした計画において、つまり長期の見通しに立って年度別の予算額がきまっているわけではございません。そういう点におきましては先生の御指摘のように、まだなってない点があろうかと存じます。
  54. 原田立

    ○原田立君 そこのところがいわゆる場当たり主義になってはならない、こういつも新聞界やあるいは委員の諸氏から指摘されているところだろうと思うのですが、場当たり的ではよくないと思うのですよ。ですから、じゃないものを出せと言ったって無理な話ですけれども、そういうことを当然お考えのことであろうと思うのです。基本計画をきちっとつくられるについても、これはいつごろまとめられるのか、またどんなふうに審議をなさっていかれるのか、それがあったらお聞きしたい。
  55. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) 総理府におきましては非常にラフな案でございますが、素案のようなものをつくったことがございますが、これはまだ関係各省庁と十分な打ち合わせをいたしておりません。今後の問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、たとえば交通安全基本法というような法律をつくりまして、その法律の中にそういう長期的な方針をきめるというようなことをうたいまして、それに基づきましてやっていきたい、このように考えております。
  56. 原田立

    ○原田立君 建設関係、来ておりますか。大蔵、建設、自治………。  さきの五十五国会で成立した「通学路に係る交通安全施設等整備及び踏切道構造改良等に関する緊急措置法」の規定による本年度と来年度に上実施する交通安全施設整備等踏切改良の具体的計画が閣僚の協議会でまとまったという話を聞いておりますが、市町村の道路整備補助率の割合で建設省、自治省と大蔵省で対立難航した、こういうふうに聞いておるのですが、この点についての結論はどうなっておるでしょうか。
  57. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) これは先ごろ成立いたしました法律によりまして、市町村に関します通園通学路交通安全施設及び踏切道の改良事業につきましては、法律で二分の一以上三分の二になっておりましたが、大蔵との折衝の結果、三分の二ということで実施することにきまりました。
  58. 原田立

    ○原田立君 けっこうです。  警察庁に………。秋の交通安全運動を今回行なわれたように聞いておりますけれども、その成果はいかがでしたでしょうか。
  59. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 本年の秋の全国交通安全運動でございますけれども、十月二十二日から十日間行なわれたわけでございます。警察といたしましては、歩行者の正しい横断の指導でありますとか、通学通園路におきます安全の確保、あるいは運転者の積極的なこの運動への参加呼びかけというようなことを重点といたしまして、実施をいたしたわけでございますが、その成果といたしましては、期間中の交通事故の発生が一万四千六百五十一件、これによりますところの死者三百六十人、負傷者一万八千百九十人というものを出しまして、これを昨年の秋の運動期間に比べますと、死者数においては十一名という減でございますが、発生件数、負傷者数は、それぞれかなりの増加を見まして、必ずしも非常にいい成績だったとは言えないのでございます。しかしながら、本年のこの運動期間の前の三カ月間におきますところと、この十日分の平均というものを比べてみますと、発生におきまして千三百六十六件、死者においては四十四人、負傷者については千八百九十人で、それぞれ一〇%前後の減少を示しまして、本年度特に下半期に入りましてから非常に顕著になってまいりましたところの交通事故の著しい増加傾向というものを、幾らかでも食いとめる効果をあげたかと考えておるような次第でございます。
  60. 原田立

    ○原田立君 ちょっと途中聞き取れなかったのですけれども、今回の秋の交通安全運動によって交通事故が少なくなったところ、あるいは死者が非常に少なくなったところ、逆に多くなったところ、いろいろ差が出ているだろうと思うんですけれども、悪かった点、よかった点、こういうふうな手配をしたらよかったとか、こういうふうな手配をしたけれども悪かったとか、そんなところの研究はまだできておりませんか。
  61. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 先ほど数字をいろいろ申し上げたのでございますが、結局昨年の秋の安全運動期間と比べますと、死者数は十一名減りましたけれども、負傷者数はかなりの増加をいたしまして、必ずしもいい成果ではなかったのでございます。しかしながらこの運動を始めます前の約三カ月間、その状態と比べますと、死者も負傷者も、件数もかなり減らすことができた。つまり、ことしに入りましてから、交通事情は非常にきびしいものがございまして、特に下半期に入りまして非常な交通事故の増加傾向がございまして、その中ではかなりの増加傾向を食いとめることに成功したというふうに考えておるようなわけでございます。
  62. 原田立

    ○原田立君 去年に比べてみれば、あまりよくはなかったけれども、ことしの当初からの増加傾向からみれば、かなりセーブすることができた、こういうふうな御説明ですけれども、それでよろしいわけですね。そうしますと、そこで具体的にお聞きしたいのですけれども、かなりセーブすることができた。これは非常な成功だろうと思う。じゃ、どういうようなこの手配をして、それでよくなったのか、その点はどうですか。
  63. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) これは、この秋の交通安全運動でございますけれども、警察庁ばかりではございませんで、関係各省庁が緊密な連絡のもとに全国的に実施をするわけでございます。その間、各省の御努力もいろいろあったと思いますけれども、警察といたしましては、先ほども申し上げましたが、歩行者に対する正しい横断の指導でありますとか、通学通園路の安全の確保ということで、かなりの数の警察官を街頭に出したわけでございます。延べでございますが、一日約三万六千人くらいの人員が街頭に出ておったというふうに考えるのでございますけれども、やはりかなりの数の警察官が街頭に出て、運転者、歩行者に対して直接具体的注意を喚起したということがやはり効果があったのであろうというふうに考えております。
  64. 原田立

    ○原田立君 交通安全運動を実施するのに、道路整備をしなければいけないとか、あるいは車の整備をしなければいけないとか、いろいろなことがありますけれども、実際、車が多くなっておる段階においては、警察のそういう交通取り締まりですか、あるいはそれに対する教育とでもいいますか、そういうような面がもっと強化されていかなければならぬのじゃないかと、こう思うのですが、その点、各県で違うのでしょうが、死者が特に減った県等においては、警察官が大量に街頭に進出し、あるいは小学校通学路に登校時に警察官が二、三人ずつ配置されたので、学童事故が非常に少なくなったのだというようなことを、私、聞いておるわけです。そうすると、そういう警官の配置で交通事故の発生をかなりセーブすることができるのじゃないかというような一つの結論です。東京の場合でも、その効果が先ほどの御説明のようにあったとすれば、指導や保護のために、安全運動期間中だけでなく、これに常時それだけを充当する手配をしたらいいのじゃないかと、こう考えるのですけれども、その点はどうですか。
  65. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 警察官の街頭配置につきましては、先ほど調査室長のほうから御説明がありましたが、交通警察の体制の充実強化ということにつとめまして、今後ともできるだけ多数の交通警察官並びに外勤警察官が街頭に出て交通の指導、取り締まり等に当たることになりますよう努力いたしたいと考えております。
  66. 原田立

    ○原田立君 努力なさるということで大体けっこうだと思うのですけれども、それはただ努力だけでなしに、何か計画は——素案等でもいいのですが、そういうものはもうすでにでき上がっていて、通知でも出されたのですか。
  67. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 現在、来年度の交通警察の運営の重点目標というものの検討を進めておるわけでございますけれども、その中におきましてやはり街頭警察官によりますところの街頭指導というものを、重点的に実施いたすように定める考えでございます。
  68. 原田立

    ○原田立君 それでは、また別な問題ですけれども、過日、新井警察庁長官は、青点滅信号、これを廃止するというように発表なさり、新聞でも報道されたのでありますが、この信号機交換に要する費用は、概算どのくらい見込んでおるのか。また最初、取りつけについてはどういう利点があったのか。利点があったのでつけたのだろうと思うのですけれども、それを途中で計画変更でまたつぶすということは、非常に費用も多額なものになるのじゃないだろうか、一種の税金のむだ使い——といってはたいへんことばが言い過ぎになるだろうと思うのですけれども、この青点滅信号をやめられるという話はそれできまったのだから、それはそれでけっこうですけれども、交換するにあたっての費用は概算どのくらい見込んでおるのか。
  69. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 青点滅信号廃止の問題でございますけれども、概要を簡単に御説明申し上げたいと思います。  この青点滅信号といいますのは、昭和二十八年ごろ大阪に始まったものでございますけれども、現在の法令のもとにおきましては、信号機の黄色い信号の意味が赤の信号とほとんど同様であるわけでございます。そのために、青信号が黄色信号に変わりました際に交差点の直前で急停止しましたり、あるいは横断歩道上、あるいはその交差点内で車がとまってしまうというような状態になりますのを防止いたすことによりまして、追突でありますとか、その他の交通事故を防止いたしまして、交通整理を円滑にするという目的のために始められたわけでありまして、その後、昭和三十一年ごろから主として関西地方を中心として普及した制度でございます。この方式は交通量がさほどのものでなかった時期におきましては、先ほど申しましたような所期の効果をあげていたわけでございますけれども、交通量が増大するに伴いまして問題が生じてまいったのでございます。といいますのは、この青の点滅方式というものは法令に正規の根拠がないやり方でございますために、これを見ました運転者が一様の反応を示さないと申しますか、つまり急に加速をいたしましてその交差点を通過してしまおうという車と、逆にそこで停止をする車とが出てまいりまして、その車の間にいわゆる交通の流れのバランスを乱す。これによりまして追突などの交差点の事故の原因ともなっておるといったような状態が生じてまいったのでございます。このために、昭和三十九年の末ごろであったかと思いますが、それ以来、東大の星埜教授を委員長といたしますところの研究委員会を設けまして、これの研究に当たったのでございますが、この委員会におきましても、先ほど申しましたように、ほとんどとまると同じような意味であるという黄色信号というものは諸外国にもちょっと例が少のうございますし、たまたま現在の国連が準備を進めておりますところの道路標識及び信号機に関する条約というものがございます。その草案の中におきましても、黄色信号というものは赤信号の予告信号、つまり青が急に赤になったりすることによって生ずる危険を防止するための予告をする信号であるというような性格づけがしてあるということもあったわけでございます。この条約に加入するかどうかは別でございますけれども、およそ信号の意味といったようなものは万国共通であるということが当然であろうというふうに考えられますので、わが国といたしましても、このような方向で信号の意味の整理を行なうべきものという結論が出ておったわけでございます。その結果、黄色信号が先ほど申し上げましたような青の点滅信号の果たしておったような役割りをいわば法令に基づいて果たすことになりますので、青点滅信号というものは要らなくなる、こういう結果になるわけでございます。一方ことしの一月に東京高裁の判決におきまして、青点滅信号というものは法規に明記されていない信号であって、そのまま存置することは適当でないという指摘を受けたということもありまして、信号の意味についての考え方を早急に固める必要に迫まられたような状況でございます。このような経過で、黄色信号の意味の改正と、これに伴って青点滅信号制度は廃止されると、こういう方向の検討を進めておるわけでございます。もっともこの黄色の信号の意味を変えることによりまして生じ得べき新しい問題点と申しましょうか、そういうものも予測されますので、これに対処いたしますために、必要な交差点につきましては車両用の信号の灯器の数をふやしますとか、あるいは歩行者用の灯器の数をふやす必要のある個所もございます。あるいは信号の現示時間の調整といったようなことをやる必要のある個所もございます。また現在運転手が自分の進んでおる道路と交差する道路の信号を見まして、向こうの信号が黄色になったので、こちらももうすぐ青になるにきまっておるといったようなことで、一瞬早く発進するという、いわゆるフライイングのような状態も見られるわけでございますけれども、このような行為を防止するための指導あるいは取り締まりといったようなものも必要となってくるわけでございます。このような点の検討をさらに深めながら、現在関係の、これは道路交通法施行令でございますが、それの改正の準備を進めておるような状況でございます。  そこで、この経費の問題でございますけれども、現在この青点滅信号方式が採用されております信号機の数が約三千七百くらいありますけれども、このうち約百基の信号機は電子式の制御機を持っておる信号機でございまして、この信号機につきましては一基につきまして約五千円から一万円程度の経費を要する見込みでございます。しかし、それ以外のモーター式の制御機につきましては、その中のプラグを一つはずせば青点滅をしなくなるようにできるわけでございまして、これはいわば経費は要さないというふうなものと考えております。
  70. 原田立

    ○原田立君 先ほどの、ちょっと前の問題になるのですけれども、調査室長の、県道や国道は非常に整備されてきている現状ですけれども、それに比べて市町村道が非常におくれていると。このことは陸上交通安全対策として非常に促進をはからなければならないということは、調査室長も同じ意見だろうと思うのです。それで蓑輪道路局長もおいでですけれども、特に市町村道のもっと促進をはかっていくために、これは強い何らかの意見というものがこの交通安全調査室あたりからも進言されなければならないのじゃないか、こんなふうに思うのですけれども、その点はどういうふうに考えられて、どういう進言をなさったか。それがまたどんなふうに具体化されてきているか、そこら辺の事情を……。
  71. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) 市町村道の整備の促進をはからなければならないという点は御指摘のとおりでございます。ただ道路そのものの整備につきましては、それは建設省の専管事項でございまして、私のほうは主として交通安全対策のほうから総合調整をやっておりますので、私のほうといたしましては既存の市町村道におきまして、交通安全施設整備には特に意を用いるべきじゃないかということの意見を申し上げたことがあります。その点につきましては、建設省も全く同意見でございまして、その一つのあらわれとしましては、先ほど御指摘がございました今回の通学路交通安全施設整備緊急措置法におきましても、道路局長から御答弁申し上げましたとおり、補助率を二分の一から三分の二に引き上げるということをいたしたというようなことが一つの例でございます。
  72. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 市町村道を整備しなければならないと、われわれも道路関係をやっておりますと、そういうことの必要が十分痛感せられる次第でございます。ただし、いま国道の道路の種別からいいますと、一番設備のいい高速自動車国道から一般国道、都道府県道、市町村道と、こういうような順序で一つの日本の道路の網ができているわけでございます。その中で市町村道につきましては、これは統計の上からいうと約八十四万キロでございます。で、この整備率が非常にいまのところ改良が十数%、舗装が五%足らずというような現状でございます。この八十数万キロの市町村道につきまして、実はこれは非常に膨大な数字でございます。また内容をいろいろ調査いたしてみますと、やはりその中にはバス路線に使われている市町村道、こういうようなどちらかといえば都道府県道に類するような市町村道もございます。また個人の家のまわりの足元道路のようなものもこの中に入っております。また八十四万キロある現状のうち、大体その半分に近い三十数万キロというものは、これは車も通れないような二メーター五十以下の市町村道になっております。そういうようないまの八十四万キロの市町村道の内訳が種々雑多になっておりまして、これについては昨年から市町村道の実態調査をいたし、今後の方針としては、やはり市町村道につきまして、八十何万キロを正確に分けて——二種類がいいか三種類がいいかは今後の問題でございますが、分けまして、それで緊急の度に応じて道路としての整備をやっていく。そのときにやはり必要なもの、非常に金のかかるようなものについては、国が補助対象としてこれの整備を進めていく。そのほかの、たとえて言えば、個人の家のまわりの道路みたいなものは、これは市町村の財源で舗装していくという、今後市町村道の整備計画を早急につくりたいというふうに考えております。何ぶん八十四万キロもございまして、その内容も種々雑多でございますので、ただいまこの実態調査を進めまして、これの整備をはかっていく所存でございます。
  73. 原田立

    ○原田立君 これで終わりにしたいと思うのですが、先ほどから取り上げている市町村道の問題にしても、あるいは警察のほうの警官の街頭進出あるいは青点滅信号の問題にしても、これはごく一部の問題ではありますが、交通事故の不安解消にとってはもうどうしても緊急に手を打たなければならない大きな問題だろうと思うのですが、ひとつ絵にかいたもちにならないような実施の方向に、もっと充実の方向に向けられることを強く要望して、私の質問は終わります。
  74. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間も回っておりますから、簡単に質問をしてまいりたいと思いますが、室長のほうから説明をされました各省要求を含めた総体予算関係で、これを見ますと、総体二千五百六十億四千二百万円、こういうことになるのだと思います。少なくとも、この「警察のあゆみ」、これは四十二年九月に警察庁で発行されたものですが、これによりますと、四十一年の死傷件数五十三万一千六百七十九人ですね。おそらく四十二年度、いま進行中ですけれども、この推定はいろいろ調査によりますると七十万をこえるのじゃないか。結局、そういうふうに推定されるような、いまの激増状況に対しまして、ほんとうにいろいろと努力はされているようですけれども、交通災害特別措置が全く微々たる予算じゃないですか。少なくとも今年度、四十三年度予算の設定がどのくらいになりますか、五兆六、七、八千億くらいになるのじゃないかと思いますが、そういう状況下でほんとうに人命をこれほど損傷して、それで総体予算がわずか二千何がし。こういう問題について非常に熱意を持って、ほんとうに災害を撲滅していこうという、こういう抜本政策に立っているのかどうか、きわめて私は疑問を持っておるのですが、その辺どうですか。
  75. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) 先ほど原田先生からも御質問がございましたが、来年度概算要求予算額が適正でないのではないかという御質問だろうと思われますが、もちろん交通安全に関しましては現在のところ、いかに投資いたしましても過剰投資になるということは、ここ数年はないものと思われますが、しかしながら、現在の国の財政規模その他と、また実際に政府がいたします施策の実施の見通しから申しますと、この概算要求は一応私たちといたしましてはこの程度のものであろうと考えておりまして、この点は原田先生の御質問にお答えしたとおりでございます。
  76. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 あくまでも概算要求であって確定じゃないのでありますから、これから大蔵省といろいろ折衝していく段階になるだろうと思う。従来の慣行から言えば二割ないし三割削減になりますね。これをはるかに下回るのですね。もっと実際の実行予算というものは下回っていくということになる。そういうことではたして道路整備五カ年計画であるとか、あるいは踏切道緊急措置法に対する実行が確実にいく見通しがあるのかどうか、私は非常に疑問を持つのですが、その辺はどうですか。
  77. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) これは項目別で多少異なっておりますが、たとえばこの予算要求額の中で相当大きな部門を占めております交通安全施設整備等につきましては、現在すでにある程度のめどがついております。ある程度の所要額は確保できる見通しがついておりますので、要求額に比べましてそう非常に実行の額が少なくなって交通安全施策の推進が困難を来たすというようなことはないのではないかと考えております。
  78. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 さっきも大倉委員ないし原田委員からも指摘をされたのですが、この交通安全対策に対する決議の第一項の交通、こういった災害等に対しての一元化の問題ですね。非常に予算要求の中にもそういう点が、たとえばこの一つの教育部面に思想普及、こういった問題に対する予算措置がついている。文部省からも警察庁からもいろいろ各省から同じような共通目標が出ている。こういう問題は総理府調査室ですね、明確に災害撲滅の一元化の行政庁は。そういうことでこの予算大綱というものを仕組んでいったらどうか。この具体的な内容を見ますとそういうことになりますね。そういう部面での一元化というものをそういうところからやっていかないと、私はいつまでたってもいろいろ決議はしてみたけれども実際実行不可能ということになるのじゃないかと思うのです。それが第一点であります。  それからもう一つは、何といいますか、いまのこの災害にあたっての安全施設対策に対する緊急順位といいますか、重点順位といいますか、そういうものがこの予算の中で浮き彫りにされない、確かに総花的に予算をつけて取っていこうということになりますから。通学路整備に対しても二百億円、これは最重点だと、さっき総務長官も言っておられたが、そればかりじゃないと思うのですね。やはり災害撲滅のために四十三年度の少ない予算の中で何と何が一番最初に取り組まなければいけないのか、そういう重点施行という、そういう予算要求というものはこの中から見当たらないのですが、それはどういうふうに考えておりますか。
  79. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) 四十三年度予算の重点でございますが、これは各省庁予算をまとめておりますので、非常にはっきりした形ではあらわれておりませんが、私たちといたしましては、やはりたとえば交通安全施設整備であるとかあるいは被害者の救済対策強化というようなものは、当面の重点事項としてこれを強力に推進いたしたいと、このように考えております。
  80. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それで運輸省にちょっとお伺いをしますけれども、運輸省の「陸上交通安全対策関係予算資料」、これによりますると、踏切道対策国鉄予算が四十二年度が百四億、四十三年度は百億、四億減になっている。少なくともこれは現在物財費が相当上がっているという角度からいっても、なぜ一体この国鉄関係予算が削減されて要求をしなければいけないのか、この点が理解に苦しむわけです。この辺についてひとつお答え願いたいと思うのです。
  81. 内村信行

    説明員(内村信行君) いまの御質問の点でございますけれども、国鉄といたしましてはこういった踏切対策、保安対策も含めまして昭和四十年から四十六年まで七年間の第三次長期計画というものを策定してやっております。で、その際に国鉄といたしましては特に踏切対策、こういったものは早期にやってしまおうということで比較的前半の面に相当力を入れてやっておるわけでございます。たとえて申し上げますと、踏切対策費が全体として六百億程度のものを掲げておりますが、四十、四十一、四十二、三年間——前半ですでにこれは六〇%をこすというふうなことになっております。四十三年のこの予算を入れて考えますと、総体の七二%というものをすでに四十三年度には行なうのであります。四年目には行なうというふうなことになります。大体これが、平均化してまいりますと、平均的に見れば七年間でございますから、一年間に約一四、五%といたしましても、四年間には五七、八%というふうなものが平均的な進捗率になるわけでございますが、それに比べまして、先ほど御説明申し上げましたとおり、非常に前年度——前年度と申しますか、前半に集中いたしましたために、四十三年度には七二%というようなことになっております。こういったようなわけで、前半に非常に強力に集中いたしましたために、後半は若干スロー・ダウンしてきた、これが実情でございます。
  82. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ただいまの説明内容というものは、踏切道改良促進法による踏切保安要員の配置と、いまの三次計画、この計画は、着実に実行しているということでございますか。
  83. 内村信行

    説明員(内村信行君) そのとおりでございます。
  84. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そのとおりいっているということですね。
  85. 内村信行

    説明員(内村信行君) はい。
  86. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私鉄関係はどうですか。
  87. 内村信行

    説明員(内村信行君) 私鉄関係で申し上げますと、これは国鉄に比べましてそれほど進捗は来たしておりません。そこで、緊急措置法の趣旨をも十分くみまして、その結果従来よりも、先ほど室長から御説明がございましたけれども、従来よりも補助対象会社をふやし、それから補助対象会社のワクもふやし、また補助率もふやしてまいる。たとえて申し上げますと、赤字会社と申しますか、営業用固定資産利益率、これが鉄軌道業には五分以下、全事業については七分以下のものにつきましては二分の一の補助をする。それから、営業用固定資産利益率というものが、鉄軌道業には七分以下、全事業については十分以下というものについては三分の一の補助をする。従来は五分、七分の場合に三分の一ということでございましたが、こういうふうに対象の範囲を広げ、また補助率もふやすということをいたしました。これは中小私鉄でございます。そういう中小私鉄に対する補助によって、大幅にこういった踏切の整備をはかりたい。また一方、大手の私鉄に対しましては三十六億何がしかの財投によりまして、これを促進するというふうに考えております。
  88. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 国庫補助等の問題について、自治省にちょっとお伺いしたいのですけれども、通堂路整備については現行二分の一が三分の二と、これが若干引き上げられたのですね。今後非常に争ういう地方財政も窮迫してくる。ことに政府の考えですと、地方交付率というものをさらに引き下げようというお考えがある。一面、地域住民なり国民全体としては、税外負担行為というものが大体全国で一千億くらいあると思いますが、さらに地方自治体は超過負担、こういうものが膨大にたる。こういう中ですから、これ以上地方財源を踏みつけるようなことはいけない。ですから、そういう意味合いからいけば、もっと全般的に、通学路のみならず、総体的に四十三年度においては国庫補助率というものを引き上げていく必要があるのじゃないか。その辺の考え方についてはどうですか、自治省。
  89. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 全般的な地方財源対策の問題につきましては、ただいま御意見にございましたとおりと考えておるわけでございますが、今回の踏切道あるいは通学路等につきまして、計画の決定を押えました分に伴います補助事業にかかる地方負担ないしは単独事業もあるわけでございますが、こういうものについては地方交付税あるいは地方債、こういうものを通じて的確にその裏負担の財源措置をしていきたいと考えているわけでございます。それから、一般的に市町村道の整備につきまして、所要の財源もあるわけでございますが、これは道路整備のための市町村に対します所要財源賦与というようなことを通じて十分考慮し、かつまた努力をしてまいりたい、このように考えております。
  90. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 具体的に業種別的に、項目別に、どういうふうに考えられているかですね、それが一つ。  それから地方自治体の中でも、強い都道府県と弱い都道府県とあると思いますが、こういうものは、財政が不足のおりからですから、適当に科学的に検討されて、そういう補助体制をとる必要があるのじゃないかと考えておりますが、そういう考えがあるのかないのか、その二つについてお伺いしたいと思います。
  91. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 強い県、弱い県に対します財源補てんという問題でございますが、この点は地方交付税制度を通じまして、所要の基準財政需要額から、当該県が収納をいたしております税収入、それを一定額の基準財政収入として控除をする、こういうかっこうで、地方財政制度を通じて、これも財政力の強弱の調整が行なわれる、このように考えておるわけでございます。  それからなお、市町村道そのものに対します財源賦与の問題につきましては、必ずしも補助率の引き上げといいますか、そういう点ばかりによらず、市町村道の整備に要します所要の財源の賦与と、こういう方向で検討すべき面が多かろうと、こう考えております。
  92. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 地方財政の財源の検討結果で、それによってまかなえという、一つの方法でありましょうけれども、しかし、いまやはり地方財政も相当苦しいのですから、そういう補助率の引き上げ等については、総体的な調整個所は国だ、同時に府県だ、こういう形で進む考えはないのですか。どうですか。
  93. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 問題がいろいろ多岐にわたるわけでございますが、たとえば通学路あるいは踏切道、こういうふうな特殊のものにつきましては、補助率の引き上げということを考えております。現に今度の計画決定においても、三分の二といったような引き上げが行なわれたわけであります。それから一般的な市町村道そのものに対する問題につきましては、何もかも補助制度でやっていくということが必ずしも地方自治体の自主性の維持になることではないと、こう考えておるわけでありまして、ごく特殊な道路、たとえば都市計画街路でございますとか、あるいは離島そのほかの道路でございますとか、こういうものについては、特殊な補助が考えられるべきだと思いますが、一般的な市町村道の整備につきましては、その道路整備のための一般的な財源そのものを賦与していく。こういうことが地方自治体の自主性を尊重する面からもとらるべきものではないかと、私はそのように考えております。
  94. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 警察庁のほうに若干聞いておきたいと思いますが、結局、交通災害が激増状況にあるわけですね。そういう面からいえば、当然その処理のために人が動くわけですから、警察官増員とか、そういうものがあってしかるべきだと思う。ところが、その警察庁予算内容を見ますと、そういうことには一言も触れてないのですね。一体現行要員で間に合うのかどうか。それはある面では機械化もされる。ですから、そういう点で、どういうふうにお考えになっているか。  それから、もう一つは、先ほど個別機器によって、信号機であるとか、いろいろ防止策が逐一改善はされております。しかし、イタリーとかドイツあたりですと、この踏切道あたりに接近をする場合、第一予告、第二予告、第三予告と、非常にこの安全体制に慎重であるのですね。そういうものがまだ日本の場合にはない。信号灯の場合、三段階で、赤、黄色あるいは青というふうになってはおりますけれども、しかしその場に行ってと、そういうわけですね。そういう問題については、今後防止策として、特段に創意をこらされるような一つの改善施策というものを考慮されているか。そういうことがあるとすれば、全国的に私は非常に新設費用というようなものがかかってくると思いますが、そういう面の予算は一体十分なのか。この辺を、二点について、ひとつお伺いいたします。
  95. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 最初に交通警察官増強の問題でございますけれども、先ほど宮崎室長の御説明の中にもあったわけでございますけれども、現在、昨年度から外勤警察官を中心といたしますところの一万八千人増員三カ年計画というものが進行中でございます。この中から交通警察にもっぱら従事いたしますところの交通警察専務員の増強にも当然向けられるわけでございますけれども、一般的に外勤警察官というものは、第一線の警察力の主力でございますが、これがやはり派出所、駐在所勤務員として、あるいはパトロールカーの乗務員として、街頭での指導、取り締まりなり、交通事故処理等の交通警察の業務の処理にも当たっておるわけでございます。したがいまして、交通警察専務員と外勤警察官との連携によりまして、これらの活動の効率化をはかることによりまして、交通警察の運営の充実整備というものにつとめてまいる考えでございます。また、外勤警察官増員というたてまえでございますので、この警察予算の中には含まれておりませんけれども、実質的には交通警察の増強に非常に影響のある増員計画が進捗中でございます。  それから、たとえば踏切ありといったような標識のことでございますけれども、これは道路管理者の所管に属するものでございますけれども、一般に交通規制の特殊の標識がございます。これについて予告標識という制度もあるわけでございまして、今後、公安委員会所管分につきましての、このような予告標識等の整備というものについては、さらに充実に努力をしてまいりたい、かように考えております。
  96. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 建設省に一点だけお伺いをします。大体道路関係には四十二年度で一兆円程度使っていると思います。これはそういうところから、そのくらいの道路費用を使って道路をつくっているわけでございますから、当然それに伴って安全施設体制というものは数字的に出てくると思います。一体その数字はどのくらいが妥当であると判断されているか。その点を一つ伺いたい。
  97. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 実は、道路につきまして、ただいまお話のございましたように、四十二年度道路に投資される金が大体一兆円近い九千何百億になろうかと思います。その中には、もちろんこの交通安全施設等も入っているのでございますが、やはり大部分は新しく道路をつくるなり、舗装をするなり、そういうものに使われているかと思います。いまの交通安全施設整備につきましては、いままでつくりました道路が非常におくれておったということから、非常にそういうおくれを取り戻すために、とりあえずいままでの道路についての安全施設を早急にやろうということで、四十一年から三カ年計画をつくりまして、実施しておる次第でございます。今後つくりますものについては、これはいろいろ千差万別の道路をやっておるのでございますが、たとえば高速道路から先ほどお話の市町村道までありますが、おのおの道路の種類によりまして、それぞれ安全施設を完備して供用開始というたてまえでやっておる次第でございます。  いまの後段の御質問の、どのくらいあったらいいかということになりますと、これは非常に距離によりまして違うかと思いますが、国道の普通のバイパスその他で言いますと、やはりキロ当たり三億、非常に用地の高いところ、地形が困難なところによって違うと思いますが、そのうち約二千万程度がいまの交通安全のいろいろな横断歩道橋とかガードレールとか——信号は別でございますが、標識とか、そういうものに使われるのではないかというふうに考えております。これは道路自動車の専用道路の場合と、一般の歩道のある場合と、それ以外の道路の場合といろいろ違いますが、なかなか全体の統計はちょっと出ておりませんけれども、それの国道のバイパスなんかで見ますと、二千万から三千万くらいはやはり交通安全施設に使われるというような感じでございます。
  98. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 最後に、室長に要望しておきたいと思うのでありますが、それは国家予算——先ほど指摘をしたのでありますけれども、これに伴って事故件数が増大し物財費が高くなるということになりますと、四十二年度と四十三年度で大体六百四十三億何がしというものがふえていますけれども、私はとんとんだろうと思うのですね。ですから、今後急速に災害が増大されるが、改善施策というものは出てこないのじゃないかと思うのですよ。こういうことでは、かけ声はしても、いろいろ機構はつくって論議はしているけれども実体は前進しない、こういうことであります。そういう問題について再検討願って——というより、やはり十九項目の今度の決議内容に従ったような、ひとつ前進をした形の予算大綱というものをつくり上げて、大蔵省も四十三年度の実行形態というものをひとつつくってほしいということを要望しまして、私の質問は終わります。
  99. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後一時十七分散会