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中村喜四郎君
自動車が非常にふえていくことは、これからも累増的だと思うのです。終戦のとき日本全国で
自動車台数が十六万台、今日において千七百万台、
免許所有者が、終戦当時は十二、三万であったのが、現在では二千万になっている。こういう状況で、しかも
タクシー業の許
認可が非常に多い。交通が繁雑になっている。これは私は単にこの
委員会での
大臣の決意表明だけでなくて、みずから飛び込んでいって、ひとつこの問題解決のために
大臣の誠意を披瀝してもらって事態解決をはかってもらいたいと思うのです。
次に、
先ほど柴谷委員の触れられた問題で、空港の問題でございますが、羽田が狭くなってどうしても四十六年には新国際空港を発足させなければならない。しかし、現実問題としては国際空港の問題は非常に困難な問題が横たわっておると思うのです。用地買収等の問題が現に大きく横たわっていて、
大臣をはじめ公団の総裁等が非常な苦慮をしているわけですが、私はこの空港の問題につきまして
大臣の所信をお伺いしたいわけでございますが、この空港の用地買収等の問題についてはもう少し
考え方を改めていく必要があるんではなかろうか。成田の用地買収の問題ですが、金による買収というものは決して住民を幸福にさせないわけです。
先ほど航空
局長は全国民の犠牲においてこの問題を解決したいと言うが、その犠牲においてというのは、用地買収の費用を多くするということにいまの公団の
考え方はいっているのではないか。公団では十アール
当たり百万円、百二十万円と言い、地元側は三百万円、二百万円と要求している。しかし、私はこの金による買収では決して地元はなかなか納得できないと思っておるのです。同時に、この金による買収ということは、百万円あるいは百五十万円とつり上げていくことによって他の公共事業に大きな影響があるはずです。私はもっとこの点について
考える必要があるんではなかろうか。同時に、もう少し地元の協力
態勢を整える必要があるんではなかろうか。全国家的な要請で国際空港が生れるのだということについてはだれもがこれを理解できるが、しかし、
自分たちの土地を提供するということ、これが問題で反対があるわけです。現在は条件付賛成派と絶対反対派があって、これがはち巻きをして、子供までかり出して反対の先頭に立ってやらせておるわけです。しかも、この反対の人たちの何が反対か、どうすれば解決するのだというパイプがないのです。知事さんにしましても、町村長さんにしましても、何としてもやらなければいかぬといって、条件的に進めようというだけであって、反対派の意向を十二分に納得させるだけのパイプがいま切れているのではなかろうか。私はこういうことを
考える。私どもこういうふうなことを申し上げたのは、非常に抽象的でございますけれども、私はそこらに問題があろうと
考えるからであります。私は現に
自分の例を申し上げてはたいへん恐縮でございますが、筑波研究学園都市の際でも関係六カ町村あげてまっこうから反対して、毎日毎日バスの反対陳情がございました。住宅公団、県が
説明に行っても、常に竹やりで追い回され、まきだっぽで追い回され、事態収拾ができなかった。しかし、金でない解決、しかも国際空港と全く条件が同じ事態であって十アール
当たり三十四、五万円で全部解決した。県道沿いであろうが、奥深いところであろうが、全部一様に解決した。六百五十万坪がすっかり解決して軌道に乗った。鹿島開発の——後刻鹿島鉄道のことについてお聞きしたいのですが、鹿島臨海工業地帯のことについては国をあげての問題です。用地買収面積千百万坪、すでに八百九十万坪が用地買収を完了した。その用地買収の
値段は
幾らかと言いますと、一番いい畑で反当十七万円、安い畑で十四万円、たんぼが最高のもので二十三万円、こういうところです。山林は反当十万という、なぜそうできたか、千百万坪という土地には、住家もあり、住宅地もあり、畑も熟田地もあるはずです。そこを一括買収して、そこに新たに工場をつくり港をつくるという大きな問題があって、当然反対があったはずです。それが知事や、あるいは市町村長、県議会等々、
国会の人たちが一体となって、ここにこういう団地をつくることによって、ここに港をつくることによって未来はこうなるんだと、こうやっていきたいと、しかも土地はそうであるけれども、あなた方にはね返る将来の生活の保障が横たえられているんだと、よりよくしようじゃないかと、こういう話し合いをして、終局的には四カ町村が全部すべての地主、すべての農家が四割ずつ土地を提供して千百万坪という土地ができたんです。
値段も、
先ほど私が申し上げましたような
価格、五カ年間は
値段ストップ、それから家を移転したりなんかする補償はスライド式でやりましたわけです。千百万坪の用地買収費が平均でいきますと坪
当たり六百円です。そしてその人たちがあくまで農業をやれるような
態勢を整えてやらなくちゃならない、代替地の買収は完全にしてやりました。農業補償のために、代替地をやるために、土地改良をやるために、砂地帯に砂を掘り起こしてビニールを敷いて、そしてそれをりっぱなたんぼにしてやりました。ビニールハウスもつけてやりました。これに投下される資本が十億——国の金ではありません。会社による、民間企業による先行投資の金です。そしてりっぱに将来を築き上げる用地対策というのを立ててやったからこそ千百万坪の用地の買収が進められて、しかも出す買収
価格というものは、
先ほど申したように、いろいろの補償を含めましても坪
当たり千円程度でおさまっているんです。町村の協力
態勢というのが私は一番現実の問題だと思うんです。そこで、成田空港の場合、パイプが切れてるんだと、全学連の皆さんとか総評の皆さん方がただ行って騒ぐあの姿の中にはにじみ出てきません。この問題は解決できません。しかし、お役所的な
考え方で強制収用でやっていくということではこれは絶対にできないはずです。血の雨を降らせながらそこに空港をつくる、そうではなく、もっとお役人の皆さん方、中に飛び込んで事情を聞いてみてください。
大臣みずからも警察官に守られて何回か行っておるようですが、そういうことでない姿で飛び込んでいってください。私自身も何回か
説明に行って竹やりで突つかれたり、火のついたまきだっぽで追い回されたんです。しかし、現実にわかっていただいたときには問題が起きなかったわけです。金で解決したんじゃないんです。だから、思い切ってやるんならば、農地買収に反対する人たちに思い切って完全な代替地をつくってやりなさい。それは十億かかっても二十億かかってもいいじゃないですか。百万円とか百二十万円という金を出すよりは、完全な代替地をつくってやってりっぱな近代農業がやれるような家をつくってやりなさい、それだって金がかからないわけです。鹿島の例を言えば、とにかく千六百戸の人たちが満足してやっている姿ができたはずです。その
態勢が整わなければ、私は、成田新国際空港というものは四十六年までに目的どおりに完成することができなかろうと、かように
考えるわけでございます。一時反対の人たちの騒いでおった霞ケ浦の国際空港をつくるときには、
大臣のもとにのぼり旗を立てて反対陳情した。私は国家的見地に立って見て霞ケ浦の皆さんに、いま誘致することがあなた方のためにいいのだ、国家的要請にこうなんだ——結局しかられましたけれども、成田にきまったときに霞ケ浦周辺の皆さん方は、「中村さんなぜもう少し霞ケ浦にがんばってくれなかったのだ。向こうに行ってしまった」と言った。これは反対の親方ですよ。この現実を私はじっと
考えて、金だけで解決ではないのだ。そしてもっと説得的な、積極的な立場に立って——しかも土地を手放すときに、若い人は大体理解できますよ。しかし、おとっつあん、おっかさんにはなかなかそこまでいかないのです。いい家をつくって若い人を住まわせてやれば、お年寄りたちも一緒に行きますよ。このくらいの施策をこの際思い切って打つべきだと思うわけです。
私の空港問題についての発言は非常に抽象的な発言でございますけれども、
大臣のひとつしっかりしたお
考えをお聞かせいただいて、私たちも協力
態勢を——これは野党、与党を問わず協力
態勢を整えて解決しなければならぬ問題だと思うものですから所信をお伺いしたいと思います。