運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-08-09 第56回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年八月九日(水曜日)    午前十時五十五分開会     —————————————    委員異動  八月九日     辞任         補欠選任      大橋 和孝君     戸田 菊雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀田 得治君     理 事                 黒木 利克君                 中村喜四郎君                 温水 三郎君                 岡  三郎君                 竹田 現照君                 黒柳  明君     委 員                 佐藤 芳男君                 高橋文五郎君                 横井 太郎君                 小野  明君                 大森 創造君                 柴谷  要君                 達田 龍彦君                 岩間 正男君    国務大臣        文 部 大 臣  剱木 亨弘君        建 設 大 臣  西村 英一君        自 治 大 臣  藤枝 泉介君    政府委員        内閣官房長官  亀岡 高夫君        警察庁刑事局長  内海  倫君        首都圏整備委員        会事務局長    鮎川 幸雄君        法務政務次官   井原 岸高君        大蔵省銀行局長  澄田  智君        国税庁長官    泉 美之松君        文部政務次官   谷川 和穗君        文部省初等中等        教育局長     斎藤  正君        文部省大学学術        局長       天城  勲君        運輸政務次官   金丸  信君        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        郵政大臣官房長  溝呂木 繁君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省住宅局長  三橋 信一君        自治省行政局長  長野 士郎君        自治省選挙局長  降矢 敬義君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        大蔵省国有財産        局総務課長    近藤 道夫君        食糧庁業務第一        部長       馬場 二葉君        中小企業庁次長  金井多喜男君        運輸省港湾局長  宮崎 茂一君        運輸省港湾局管        理課長      上平 輝夫君        郵政大臣官房電        気通信監理官   浦川 親直君        会計検査院事務        総局第二局長   石川 達郎君        会計検査院事務        総局第五局長   佐藤 三郎君        日本国有鉄道理        事        今村 義夫君        日本国有鉄道理        事        林  武次君    参考人        日本住宅公団総        裁        林  敬三君        日本住宅公団理        事        稗田  治君        日本住宅公団理        事        尚   明君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選の件 ○昭和四十年度一般会計歳入歳出決算昭和四十  年度特別会計歳入歳出決算昭和四十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和四十年度政府  関係機関決算書(第五十四回国会内閣提出)  (継続案件) ○昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、大橋和孝君が委員を辞任され、その補欠として戸田菊雄君が選任されました。     —————————————
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) この際、理事補欠互選についておはかりいたします。  ただいまの委員異動に伴いまして、理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事岡三郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより、昭和四十年度決算外二件を議題といたします。  前回に引き続き総括質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。  速記を中止してください。   〔速記中止
  6. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは速記をつけて。
  7. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 住宅公団建設省意見を聞いてから文部省側意見をお聞きするのが順序でございますが、大臣の時間の都合もあるということを承ったので、先に文部省側にお尋ねしたいと思うわけでございます。  筑波研究学園都市への移転用地買収がいま着々進められておって、これに対して文部省側は各機関移転計画を練っておると思うのでございますが、この研究学園都市建設に対する文部省側構想をまずお聞かせをいただきたいと思うのです。
  8. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 筑波学園都市への移転計画につきましては大体八月の末日に一応の決定案を提出するという運びにいたしておりまして、その八月末日に一応の決定案を出すべく、ただいませっかく計画を立てつつあるのでございます。現在までの計画におきましてほぼ移転が可能もしくは予定として認められますのは、東京教育大学とそれから東京医科歯科大学分室と申しますか、分室建設と、それから図書館短期大学移転、次に素粒子関係研究所設置でございますが、素粒子研究所につきましては、筑波にただいま予定地をとっておるのでございますが、その土地が、はたして素粒子巨大加速器建設に適当であるかどうか、近くボーリング等いたしまして地質調査を開始いたしまして、もし地質上適当でございますれば、素粒子研究所もそこに移転する予定でございます。その他につきましては、なお不確定ではございますが、二、三の機関につきましてただいま最後の決定をいたすべく話し合いを進めておる段階でございます。
  9. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 ただいま教育大学あるいは医科歯科大学分室素粒子研究所等々の移転計画について発表がありましたわけですけれども、その中で東京教育大学移転については、文部省側大学側とで、今日までどういう折衝を持たれておるかお伺いしたいわけでございすけれども、ことしの六月十四日に教育大学学長及び部局長大臣とでは内々いろいろとお話し合いを進められておったように聞いておりますが、その際に、教育大学側としても大学評議員会等におきましてすでに最終意思決定をして、筑波移転希望するという意思表示を出したように承っておりますが、それらの点についてお伺いしたいのです。
  10. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 御承知のように教育大学は現在の土地が狭隘でございますばかりではなしに、各学部が転在しておりますので、昭和三十七年ごろだったと思いますが、各部の話し合いで、どこか適当なところがあれば移転しようということで、土地を物色しておりました。たまたまこの筑波学園都市の問題が起こりまして、そこにどうかということを文部省は慫慂してまいっておるわけでございます。その後、学内のいろいろな事情でまとまりませんでしたが、いまお話にございました、私の記憶では七月十三日付だったと思いますが、学長以下各学部長もお見えになりまして、一定の条件を付しまして移転について原則的には賛成をしますということで申し出があったわけでございます。  その条件につきましては、いろいろお話し合いをいたしましたが、文部省としては、その条件の達成について誠意を持って、むしろ学校要望以上にわれわれ熱意を持って、りっぱな大学をつくりたい、こういうことで、お見えになりました学長及び教授、学部長の方は安心をして帰られたと私は信じております。
  11. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 その学長及び部局長条件つきの中で特に大学側要望するものは、世界的水準における大学、すなわち総合大学として教育大学を伸ばしていきたい、そのためには筑波のような広い地域、しかも各学部が共に研究し合っていけるような場所と、こういうことで条件が出されたと思うのですが、総合大学にしてこれを持っていくという考え、しかもその総合大学はどんな内容で考えているか、文部省側の意向をお伺いしたい。
  12. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 大学からの条件人文、社会、自然にわたりました均衡のとれた優秀な大学設置希望するということでございます。私どもとしましても、あそこは研究都市のいわば中心的存在になると思いますし、各研究機関の中にありまして、大学がその研究のいわば中心点の作用をいたすことになると思いますので、研究都市大学として恥しくない総合制大学にぜひしたい、こう考えておるわけでございます。
  13. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 土地提供側である地元の市町村側としては、教育大学移転を歓迎する、しかも、十分協力の体制も整えよう、それには総合大学として、しかも工学、医学部等も兼ね備えたものとしての要望が強く出されておりますが、これに対する文部省側考え方をお伺いします。
  14. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 建設の当初から、すべての学部を完全に建設するということは、これはいろいろ計画上の問題がございます。それからまた医学部につきましては、実は一応研究都市でやはり医学部の必要があると存じまして、ただいまのところ先ほど申し上げましたが医科歯科大学分室を一応あそこにつくろうと、こう考えておるわけでございますが、今後、総合大学としていかなる学部をつくっていくかということにつきましては、具体的には大学当局とも十分相談をして今後進めてまいりたいと思っております。
  15. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 大学側相談をしつつ進めていく、ごもっともだと思います。大学自主性を尊重しながら、なおかつあそこに研究学園都市を選び、教育大学移転させる計画根本趣旨はそこにあろうかと思いますが、その自主性を尊重しながらということで、大学側としては総合大学として世界的水準を求めているわけですが、これらの新しく移転されるであろう大学基準や、あるいはこれからの施設等について、十分な調査大学側も必要とするかと思いますが、それが各学部学生を十分了解させる大きな原動力となると思いますが、四十三年度あたりには調査費用等を用意する考え方があるのか、特に国際的な水準という立場から、外地の大学等も十分これは調査する必要があると思いますが、それらに対する文部省側の来年度に対する考え方をお聞きしたいのです。
  16. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 研究都市への移転計画につきましては、各省全般の問題でございますので、この三十日現在で一応各省計画を持ち寄りまして、その結果において大体の国としましての全体的計画はなされると思います。その際において移転決定いたしましたものについて、どういう計画で具体的な計画をもって実現するかということがきめられると存じますが、そういう意味におきまして、教育大学移転につきましても、その計画の線に乗せまして必要な調査費その他についても、これは全体の計画の中において当然に考えられる問題だと思います。その際におきましては、具体的な計画につきましては、いままでも文部省は各大学建設等の場合におきましては十分慎重な態度をとりまして、もちろん学校当局をも入れまして移転計画具体的調査を行ない、そして十分納得のいく線を出しまして、そして実施計画に移っていきたい、こう思っておりますので、もちろん大学自主性を十分尊重してまいるつもりでございます。
  17. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 わかりました。それで、大学側条件一つの中に、筑波移転した後のあと地対策の問題で、特に大塚だけは残して研究場所としていただきたいという強い要望があるようですが、これに対してはどんな考え方をお持ちでございましょうか。
  18. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) これはあと地利用の問題で、文部省だけが、私が断言はできませんけれども、私の考え方といたしましては、大塚土地は二万数千坪にすぎない狭隘な土地でございます。大学移転しまして、あれを他の密集した一つの何か施設でもつくるということになれば、都市過密化を防ぐという移転の目的を達しないことになりますので、私は、いま学校当局希望のように、あそこにやはり総合的な教育大学研究所を残して、そして東京におきまする研究者の足場としまして、常に連絡がとれる総合的な研究所にぜひ残したいと、これはそう考えて、また、そう実施したいと考えておるわけでございます。
  19. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 このあと地対策の問題では、当然政府考え方、特に大蔵省考え方としは、あと地を国の財源としたいという考え方は当然だと私は思うわけです。二十三区内あるいは二十三区外から移転するであろう機関あと地の総合的な数等は、約百万坪に近い土地になろうかと思いますが、これを大蔵省側としては売却処分やその他ということも当然とるべき措置と思います。ただし、いまの教育大学の場合、教育研究母体その他を考えた場合には、あのあと地大学研究機関として、ないしはそれらの付属のものとして残したいという大臣考え方、私もそうあってしかるべきと思います。この大学移転の場合には、そういうふうにぜひ取り計らっていただきたいと思います。  そこで、いまの教育大学あるいは素粒子研究所ないしは医科歯科大学分室等移転年次計画というのは、大体八月末ごろまでに第一次の移転計画は立ちますか。
  20. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) ただいま申しましたように、素粒子研究のほうは、地質調査をしなければ、あの膨大な巨大加速器建設に適するやいなやについては、これは調査に少し時間を要すると思います。その結果で決定しますが、大学移転計画につきましては、まず公共施設道路とか水道、そういったものを昭和四十五、六年度の間において建設を先にいたしまして、それから移転計画に移ると存じますが、大体の予想としましては、それからやはり七年ないし八年全部完了するのには要するんじゃないかと想像いたしております。
  21. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 国立教育大学のほかに、私立大学等筑波移転したいという要望もあったように聞いておりますが、その点はどうでございましょうか。
  22. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 前には要望も二、三あったようでございますが、現段階においては、いま確定的に私立大学移転希望申し出はございません。
  23. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 現在の段階ではないという御返答ですが、今後文部省側としては、私立大学等で非常に狭隘を感じているような大学等もあるように承っており、すでに前の事前調査においては要望個所もあったようですが、そういう私立大学等筑波移転についてアドバイスする用意があるのですか。
  24. 天城勲

    政府委員天城勲君) この学園都市構想が発表されましたときに、私学側に御希望の有無について御相談をしたことがございます。そのときには幾つか学校がございましたけれども、それは確定的というよりも、どういうものかわからぬが、できれば一応希望を申し述べるという程度でございました。しかし、私立大学もいろいろな事情がございまして、その後拡充すべきところは他に土地を求めたりして進んでおりますので、現在の段階では、当初の希望を申された学校事情も非常に違ってきております。したがいまして、現在のところ、あらためて私学移転がどれだけかということ相談しなければ、確定的に申し上げかねるわけでございますが、私学の場合には、この学園都市整備状況、それから特に土地の単価がどれくらいかというようなことが、ある程度はっきりいたしませんと、具体的な話ができないわけでございます。ただ、計画といたしましては、前からの希望がございましたので、一応私学がくるという予定土地は全体の中に考えておりますので、あらためてプランが進行いたします段階私学側話し合いをしてみたい、こう考えております。
  25. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 そうしますと、筑波研究学園都市の五百八十万坪の団地の中で、今後私学等進出希望があった場合は、それを受け入れる余裕を持ちつつ文部省は区割りを考えているということですか。
  26. 天城勲

    政府委員天城勲君) 現在の段階ではそういう構想で進んでまいりました。しかし、最終段階では、私学側お話を進めて、いくところがないということになれば別でございますけれども、少し余裕を持って考えていきたいとは現在のところ考えているわけでございます。
  27. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 その余裕団地というのは、大体どのくらい考えていますか。
  28. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) これは先ほど申しましたように、各省決定をいたしましたもの全部を持ち寄りまして、どの程度移転の確定的なものがあるか、また、将来予定のものがあるかということを、ずっと現在の土地に合わせて計画の線に乗せてみまして、なお余裕があるかどうかについては、それからでないと的確な余裕面積は明確でございませんので、まず第一段階としては、政府部内におきまして各省希望する移転計画を取りまとめた上で、その結果を見ましてどの程度余裕ということを調べてみませんと、いまからこれだけ余裕があるからということで進めてまいった場合において、土地がなくなったという場合もあり得ますから、そういう段階をとってまいりたいと、こう考えております。
  29. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 首都圏整備委員会鮎川局長にお尋ねしたいのですが、あなたのところは各省庁の、十四省庁にまたがって個所づけについてのいろいろ会議をやっているはずと思いますが、五百八十万坪を充足するために公的な国及び公立の機関以外に、民間機関及び私立大学等を受け入れるだけの余裕があるような区所割りをしているかどうか、それをちょっと。いままでの計画で。
  30. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 先ほど来お話がございますように、今日まで買収対象面積は五百八十万坪を対象として実施をしてきておるわけでございますが、千九百ヘクタールでございますが、そこで、これにつきましては、前々から関係省庁敷地割りについてどういうふうにするかということも相談を進めておるわけでございますが、結論としては、先ほど文部省からお答えになったとおりでございまして、一応私どもといたしましては、それぞれの省庁別敷地割りを考えて作業を進め、また、特に現段階におきましては、国立研究機関及び学校等を含めまして、どの程度最終的に確定するかどうかということを根本に考えて作業を進めておるわけでございますが、これが実は三、四年前に一応各省庁と御相談をして、資料等を集めて内定をいたしたわけでございますが、用地の取得の状況等が進んでまいりましたので、この際、国立学校研究機関等内容規模等を明らかにする必要が出てまいりました。そこで、現在各省庁と御相談いたしまして、まず第一次には国立試験研究機関及び大学等規模内容等をいま固めつつあるのが現況でございます。固まりましたならば、さらにそれをもとといたしまして、先ほどお尋ね私立大学の問題、あるいは民間研究機関等についても、どのように改良するかということをあらためて決定するように考えたいというふうに考えておるわけでございます。
  31. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 大臣にもう一つお伺いしたいのですが、大学側移転することについてのちゅうちょの大きな原因は、交通機関の問題、これについて後刻建設省のほうにお伺いしようと思っているのですけれども筑波のほうに移った場合、教職員子弟教育施設がどうであろうか、居住条件がどうであろうか、こういうことが筑波に移ることに踏み切れない一番大きな原因になっているかと思いますが、これらに対してはどのような考え方措置を将来にわたって考えておるのですか。
  32. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 筑波研究都市環境整備につきましては、もちろん建設省等で十分お考えいただいておると存じますが、なお文部省といたしましては、教職員並びに学生居住条件と申しますか、環境整備ということについては、極力これは移転をいたしましても十分に満足のいくような施設をぜひつくりたいと考えております。なお、研究者といたしまして一番心配になりますのは、東京中心からはずれてまいりますので、やはり研究上に支障がくるのじゃないかという心配一つの動機になっておると思いますが、この点につきましては、もちろん私は交通機関等が十分発達してまいりますし、なお、大塚総合研究所を残しまして、その不安を除くというふうに、最善を尽くしてまいる所存でございます。
  33. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 建設大臣のほうにお伺いします。いま申しましたように、筑波研究学園都市ができて、大学研究機関等が移り、それぞれの研究者、学者が移る、いわば日本頭脳センターになるわけです。これはおそらくロンドン郊外あるいはパリ郊外等に見られるような学園都市の三倍も四倍も大きい世界的な規模都市が生まれ出るわけでございますが、問題は、ここから六十キロも離れているあの地帯に移る。理工系にしても人文系にしても、あるいはその他の系統にしても、東京とのそれぞれの関連において常に研究を続けなくちゃならぬという基本条件があるわけでございます。そういう場合に、学園都市東京とをつなぐ交通の問題について、どのように解決する考え方でいるか、ちょっとお伺いいたします。
  34. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 仰せのとおりでございまして、これは移転をする方々が一番心配しているのは交通の問題でございます。したがいまして、やはり東京との間、東京環状線学園都市とを結ぶ常磐自動車道路、これをやりたいと思っております。しかし、これは急速にはできませんのでございますが、さしあたり現在の国道六号線、これは幅員を広げてやりたいと思います。また、土浦から学園都市に至る間は現在もやっております。いずれにいたしましても、交通機関の問題あるいは宿舎の問題あるいは病院の問題等が、非常にここに移る方々の関心の点でございます。これは十分その点は私のほうも用意したいと、かように思っております。
  35. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 いま動脈線として常磐自動車道路ということを御発言になられましたが、しかも、それは四十五、四十六年ごろにおいてこの問題を具体化するというような意味に私はとれたわけでございますが、御承知のように、大難関はあったけれども用地買収というふうに着々進んでおって、来年度あたりから工事施行に入るわけでございます。そうしまして、都市づくりが始まって、最終年次を十年という仮想のもとに考えましても、当然機関移転というものは考えられるわけです。したがって、常磐高速自動車道路というものも四十五、六年ごろを目途のもとに考えておくことは、少し学園都市構成に対する政府考え方では、甘い考え方ではなかろうかと思うのですが、急速にもう少し具体化して、移る大学、移る機関、それぞれの機関安心感を与えて町づくりをさせることが至当と考えるのでございますが、あらためて常磐自動車道路についてもう一つお尋ねをしたいのです。
  36. 西村英一

    国務大臣西村英一君) まだ常磐自動車道をいつまでというふうに詰めておりませんが、御案内のように、これはぜひとも必要な路線でございます。いま私は研究学園都市の推進本部の本部長になっているわけでございますが、八月までに早目に……。用地買収につきましてことし完成をいたしたい。ところが、それを進めるにつきましては、地元の方々に対して、一体いかなる機関が移り、それがいつまでに移るかというようなことが最も重要な関心事でございまして、それを示さないと、地域住民の方はなかなか納得してくれないのです。したがいまして、一応非常に前にまとめた案はございますけれども、あらためてこの八月までに、各省から、もう少し確認をした移転機関決定いたしたい。しかし、それでもなおやはり確定しないところもありまするが、そういうことをいまやっている最中でございます。したがいまして、それと同時に一般の公共施設、また、学校等の問題につきましても、早目にやってくれなければなかなか移転ができぬという問題がございます。宿舎の問題でもそうです。それとともに、道路の問題は最も重要でございますから、今後これについてもう少し具体的にやはり年次計画を立ててやるようにしなければならぬかと、かようにいま考えておる最中でございます。
  37. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 三十六年ごろから官庁都市移転のことが問題になり、研究学園都市として浮かび上がって、そして閣議了解を得つつ地元と公団等が折衝を重ねて用地買収がいま進められておる段階で、五百八十万坪の団地のうちで約六〇%の用地買収ができた、あとの四〇%程度に問題点がある、これはまさにそうだと思うのです。問題点は、いま大臣お話しのように、はたして用地買収が行なわれて、われわれは土地を提供したけれども政府は完全にここに機関を移す準備があるのかどうかという不安が、用地提供者の六カ町村にあることも私どもは承っており、さもありなんと思うわけでございます。茨城の県議会や知事のほうからも、建設省及び政府に対しては、すみやかに移転の具体的な計画年次計画あるいはどういう機関が移るか、これを示してほしい、示さなければ用地買収をさらに具体的に進めることは困難であるという要請があるはずと思うのです。そういう線に沿って政府はいま作業中ということを承ったわけでございますが、たとえば九月ごろには県議会やあるいは地方の市町村議会が、用地買収に応ずる態勢を整えるために会議が持たれると思いますが、それらに対してある程度見通しの立った案、回答を、県あるいは地元側に出されると、こういうふうに理解してもよろしゅうございましょうか。
  38. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私は、各省に対しまして、確認して、八月末日までにひとつ出してもらいたい、移転機関を。しかし、それは十年間で完成することですから、とことんまでわからなくても、まあ地域住民に対しては相当に正確なところまで示さないと、土地を買い上げて長いことほうっておくということは、これはやはり地域住民としてはたいへん困ることでございましょうから、おそらく八月末日までに提出すれば九月中にはまとめてひとつその案を示して町村の方々の理解を得たい、かようにいま考えておるところでございます。
  39. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 建設大臣としてよりも、私は研究学園都市の推進本部長としての立場でお答えをいただきたいと思うのですが、そうしますと、八月までにある程度の各省庁意見移転機関の概貌、それから年次計画等の姿を出すわけでございますけれども、それらが各省によって次年度——四十三年度の予算要求の場合には、それぞれある程度は具体的に盛られつつ作業は進められるわけですか。それをちょっとお伺いしたいと思います。
  40. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 移転予定機関はわかると思いますが、年次計画は、これはなかなかわからないと思います。かりに年次計画を立てるということになりますと、予算上の措置までずっと立てていかなければなりませんから。しかし、ただ大かたこの年度くらいにはこういう機関が移るであろうというそういう目安は立てられると思いますけれども、この年次計画の確実なものはできないと思います。それから移転機関は、ある程度まで今度確認をいたしますから、よほど大きい変化がない限り、この確定した機関はそれぞれ年次を追うて移転する、ただ、年次計画の確定したものができるかどうかというのは、ちょっとこれはまあいまのところ自信がないわけでございまするけれども、大かたのところは、やはりまあ目標は定めたいとは思っております。
  41. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 ぜひ具体的に次年度等の予算要求の中では、たとえば調査とか移転とか、それぞれの問題について具体的な問題に突っ込んでいただきたいと思うのです。単に地元側に用地買収に対する大かたを出すだけに終わらないことを私は切望するわけでございます。実は私は茨城県におりまして、この研究学園都市には県議会の当時から関係をしておった一人でございます。御承知のように用地買収——国のほうで研究学園都市筑波にするということを決定したことによって、関係の地元六カ町村ではきびしい反対があったわけでございます。しかも衆議院の選挙等におきましては、学園都市を誘致することによってこの地域を開発したいという看板を掲げた候補者が、もののみごとにたたき落とされた。絶対学園都市は受け入れないという、こういう強い反応があったわけでございます。さらには、全農林とかあるいは教育大学の一部の者とか、それぞれの人たちが地元に参りまして、あなた方は用地買収に応じてはならない、ブラジルに移されるのだ、八郎潟に移されるのだというような極端な言動までされておる。なおオルグを派遣して約一年間にわたる反対運動が行なわれたわけでございまするけれども、しかし茨城県の県議会等におきましては、社会党も自民党も一緒になって、どうしてもこれはここに受け入れることが日本のためにも地元のためにもよろしいのだといって、約四十日間にわたって関係町村の人たちと、あるいは部落民と話し合いつつまとめ上げたのです。私自身等も竹やりで何回か追い回され、火のついたまきだっぽで追い回されながら地元民に説得して了解を求めた。おそらくこの用地買収等は、五百八十万坪という土地が、しかもこの東京からわずか離れたところ、筑波山の山ろく、霞ケ浦の水と、条件もいいところで坪当たり平均して千二百円等で一括して買収できるというのは、どの地域にも、日本のどこを探ってもないと思う。これは地元の協力、地元関係町村議員さんあるいは地主の協力を得たからこそなんです。地元の協力というのは、ここに関係機関を呼んでりっぱな施設をつくってもらいたい、こういう念願が結びついてそうなったと思う。ところが、現時点においては五百八十万坪のうち三百何十万坪の用地買収ができたけれども、はたして政府は三十六年以来計画しながら今日まで、四十二年になっても何ら手を打っていないじゃないか、今後もくるのかどうかという不安が非常にあるわけです。こういう不安の状況も考えまして、私は推進本部長としては各省庁と十分連絡をとって計画を練って、そして年次計画を立ててこれを具体的にしていただきたい、理想的な学園都市建設していただきたいということを強く大臣要望するのですが、大臣いかがでしょうか。
  42. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いま中村さんがおっしゃいましたように、この茨城県の知事さん、それから議会の方々、それから地元の方々の非常な理解を得てやっておるところでございます。いま土地の単価等につきましてもまれに見る御協力を得ておるわけでございます。したがいまして、政府といたしましてもそれに報いるためには、やはり地域住民の十分満足いくような、せっかく土地を手放していい学園都市ができたというようなことをひとつやりたいと、かように思っておる次第でございます。用地買収が済みますれば、公共施設、公益施設等の完備もし、また、この機関移転等につきましてもこれは逐次ひとつ計画を立てて実行に移したい。私の個人の気持ちでは、もう来年の終わりごろからそろそろひとつ——一ぺんに全部が移るわけにはいきませんから、移れるところから順次に実動したいと、かように考えておる次第でございまして、中村さんは御郷里でもございまするから、どうかひとつ御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  43. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 政府考え方が具体的であれば私は難関は必ず解けるであろう。あとの用地買収面積が二百万坪足らずであるが、今年の十二月あるいは来年の三月ごろまでには全部完了するという一つの地元としての見方を持っておるわけでございます。かつて非常な反対のあった当時、反対の村長さんあるいは反対の同盟会長さんたちに、あなた方もっと地元を見ようじゃないかと、ヘリコプター隊にヘリコプターをお願いしまして、反対の皆さん方にも賛成の皆さん方にもずうっとあの山ろく地帯を見ていただいて、上から見てなるほどこの土地はこうやるべきだというそれぞれの納得と了解を求めて進められている過程もあるわけでございますから、用地取得についてはそれほど懸念する必要はなかろう、問題は、地元の人たちが非常に心配しているのは、用地買収後の政府の施策、態度いかんということが問題であることを、さらに私はつけ加えたいと思うのでございますけれども、そこで問題は、用地買収ができて、機関が移って、将来の研究学園都市が十四省庁にまたがるそれぞれの研究機関が協力してあそこへ移り、学校が移り、約十六万から十八万の予想人口になろうと思います。そういう場合に、たとえば学校施設等にしましても、おそらく小学校が十五、六、中学校が七つ八つ、高等学校が二つぐらい増設しなければならないと想像されるわけですが、そういう小学校、中学校、高等学校やあるいは病院施設等施設する場合に、現在の法律の中では、とても地元負担はできないので、地元負担にかわる何か方法をもって学校建設公共施設等を充足していただかなければならないと思うわけでございますが、本部長さん及び文部大臣学校施設等に対する、及び公共施設等に対する特別措置はどのように考えているかお伺いしたいのです。
  44. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 関連の公共施設それからいまの公益施設等、大体三百億ぐらいかかるのじゃないかと思っております。普通の方法でいきますると、国がその半分百五十億、あと県と地元ということになるのでございまするが、しかしながら、いまお話のありましたごとく、これは町村の負担ということは、町村も非常に大きい町村ではございません、六カ町村の税収を集めてもきわめて少ない町村でございまするが、これは何か特別な方法を講じなければならぬじゃないかと思っております。しかし、そういうような公益施設をどういうふうにしてやるかということについては、まだ詰めておりません。したがいまして、今後これは最も大きい問題になるわけでございまするが、これは相当な大きい都市になりまするから、今後これらの点につきましても、政府としては十分いろいろ研究しなければならぬことはたくさんあるわけでございます。いま、まだどうするということはきまっておりませんが、近くこれは移転機関決定とともに話に出さなければならぬのじゃないかと、私はかように思っておる次第でございます。
  45. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 現行制度のもとでやってまいりますと、この六カ町村で公共事業の地元負担というものは私たちの試算では大体二百五十億ぐらいかかります。この二百五十億という金が、六カ町村でも年間予算が八億程度のこの町村でこれらを負担するということはとうていできないわけでございます。いろいろ建設省が手を入れ、公団が手を入れて、最小限に見積りまして百億程度は地元負担をしなければならない現実が横たわっているわけでございます。この問題につきましては、すでにいま大臣お話のように、地元の負担については十分考慮するという考え方は、三十九年以来打ち出されて、地元側に対してもそういうお答えをいただいております。四十一年の九月には、推進本部では各次官局長等が集まって、地元の公共事業負担については十分な考慮を払うということも、さらに言明しているわけですけれども、いま大臣お話を聞くと、一歩も前進しない形にとるわけでございますが、これはどうしても公共事業を万全にするためには、特別の措置をしなければならないわけでございます。すなわち特別立法措置も要するのではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  46. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 少しも考えていないのではありませんので、事務当局同士ではずっと話をしておるのでございます。まだしかし、それが閣僚ベースで話をしておらないということでございますから、今後はひとつ事務的なベースで話をしましたら、われわれとしてもこの問題につきましてはひとつ特別な考慮をしなければならぬのじゃないか。かように思っております。
  47. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 どうぞぜひ万全な学園都市建設するために、地元も安い土地で協力し、さらにいかなることでも協力するという、この地元の人々の考えを受け入れつつ特別措置を至急具体的に考えていただきたいと、これをひとつ強く要望いたします。  なお、鮎川局長さんのほうにお伺いいたしますが、この研究学園都市研究教育施設等をあわせて将来のいわゆる学園都市像というものがすでにえがかれておると思いますが、簡単にひとつ御説明いただきたいと思います——ちょっとことばが抽象になったかと思いますが、もっと具体的に言うと、移転機関の名称等があげられればなお具体的になります。
  48. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) それでは、まず移転機関がどういう状況にあるかということから先にお答えを申し上げたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、三、四年前に各省庁から移転機関についての希望を首都圏の事務当局と行政管理庁と共同して、各機関に御相談をしたわけでございますが、そのときには、国立研究機関学校等を合わせまして、大体五十機関程度は回答を得ておったのでございますが、その後だいぶ時日も経過いたしておりますし、それぞれの省庁の御事情等もありまして、現在、その当時の数からだいぶ少なくなってきておるわけでございます。そこで、先ほど大臣からもお話がございましたように、この段階に立って、この現在の状況において、移転機関を確立する必要が出てまいりましたので、現在各省庁と御相談いたしまして、この八月末には、ぜひともこの移転機関の数、内容等を定めるよう、いま努力をいたしておるわけでございます。  それから、新しい都市の形と申しますか、都市づくりをどういうふうに考えているかというお話でございますが、これも事務的には前々から検討をされておったわけでございますが、これにつきましてもいろいろと問題がございますので、現在は、この点につきましても、いわゆる研究学園都市建設に関する基本的な考え方ということを、一応事務的に作業を進めておるわけでございますが、その内容としては、機関の確定の問題をはじめ、都市の人口の規模都市の市街地の面積あるいは土地利用のあり方、さらに住宅建設の中身とその方法、あるいはそれぞれの都市施設をどういうふうにするかという問題、それから、移転機関あと地の処理の問題、また、先ほどお話のございました各都市間の交通体系をどうするか、こういうことを含めまして、従来事務的に検討してまいりましたものに、いま、ある程度の現段階におけるはっきりした内容を固めるような努力をいたし、近く政府部内に設けられております推進本部等にはかって相談をいたしてきめるようにいたしたいと努力をいたしておるわけでございます。
  49. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 それでは次に問題を進めまして、用地買収等々に関連して住宅公団としては営農対策、転業対策あるいは雇用対策等々の問題が一番用地買収に関連する大きなポイントとなってくると思うわけですが、筑波学園都市の際にも地元側からも県議会側からも強くこういう対策を望まれ、なおかつ閣議の申し合わせにおきましても、用地提供者に対しては十分生活再建の道を開くという申し合わせをいたしておるわけでございますが、現在、用地提供者に対する代替地対策や営農対策というもをが望まれつつも、なお具体的になっていないところに原因があるわけでございますが、これは住宅公団というよりも大臣ないしは鮎川局長の将来のこれらの問題についての対策、抱負があればお聞きしたいのでございます。
  50. 林敬三

    参考人(林敬三君) 一番当面茨城県側と一緒に仕事をしておりますのが日本住宅公団でございますので、便宜私から申し上げさせていただきたいと思います。  お話の、そこの土地所有者で、その土地を離れます者の代替地あるいは転業あるいは雇用というようなことにつきまして、県も非常に熱心でございます。それからまた、公団としても当然万やむを得ない人に対しては御援助申し上げるというのがたてまえでございますので、県と協力をいたしまして努力を続けておるのでございます。特に、中村さん御承知のように、茨城県は農工両全、農業と工業というものは二つながら立つということをモットーにしておる——農業を非常に尊重するのは当然でありますが——ところでございまして、この研究学園都市の区域に入ります人も、農業でまた再建していきたいという人に対しては、県としても公団としても極力手を差し伸べて、その全きを期してその事業の完遂をはかりたいと存じておる次第でございます。ただ、公団みずからが実施する内容のものというものは、やはりこういう仕事については限度がございます。たとえば別に団地をつくります場合に、その団地の中に商人になって入っていくとかあるいはいろいろな新しい仕事につくための講習を受ける、あるいは農地の改良研究なり、新しいところにいくための特別の研さんをするという、そういうことについてのいろいろな補助的なことをこちらがするということはできるのでございますが、本来の転業というようなことになってまいりますと、やはりいろいろと複雑な要素を含みまして、県が直接やる、県に直接お願いするというのが一番妥当なケースが多いのでございます。そこで、生活再建対策費の一部を公団で負担をいたしまして、県にお願いしてその実施をはかるということを主にしましてこの仕事の進行を進めておる次第でございます。まだしかし緒につくかつかないか、準備をしておるという段階でございまして、これから一そう県と協力いたしまして遺憾なきを期してまいりたいと存じます。
  51. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 総裁の説明はわかるんですけれども、現実にはそれは無理なんです。いま総裁みずからも公団の仕事にはおのずから限度がある、こうおっしゃいました。まさに限度があるがゆえに問題が起きているわけです。皆さん方としては、どうしてもこの土地はこういう方法で買収したい、価格はこの程度買収したい、おそらく土地を放す側としては、非常にこれは先祖伝来の土地を離れて他に移転しなくてはならないんですから問題があるはずです。それに対しては、それじゃ代がえ地をほしいもんだと、あるいは農業を縮小してもよろしいからやっていきたいんだ、こういうことを公団に申しても、公団には、先ほど言ったように、おのずから限度があって、これを解決することができないので、農林省に持っていけば、そのことは建設省の仕事であるからして、代がえ地やあるいは構造改善事業以外は農林省の仕事ではないんだ、公団の仕事だと、こういうふうに、どこへ持っていっても用地を手放した人は持っていき場がないところに現在の用地買収の困難性があるわけです。私はこの問題は筑波に限って申しているんじゃないんです。公団の用地買収等についても、近傍類地の価格を見、土地鑑定人の鑑定を受けて、そうしてこれでよかろうという土地はそれで買うことができるけれども土地を売ったあとの農地手放し者の将来というものは、いま公団の立場からはできない、制度上できない、ここにもろもろの問題が起きているわけです。たとえば鹿島地域の用地買収等においても一千万近い土地を手放した。それで喜んでしまって、いろいろのものを買った、いろいろのものを飲んで遊んでしまった。わずか一年足らずで現在民生保護を受けている二家族等も私どもは見ているわけです。土地を金で買ってやれば、それで用地は確保できたけれども、そのあと始末というものはできないわけです。したがって用地を手放す者に対して手放しいいような条件を、私は公団だけでなく、各省とも十分寄り合って相談して対策を立てることが必要ではなかろうか、こういうことを痛感するわけですが、ひとつ西村大臣、いかがでしょうか、今後の用地買収対策に対する政府の態度というものを、少しく方向転換していく必要があろうと思いますが、お伺いしたいと思います。
  52. 西村英一

    国務大臣西村英一君) この筑波学園都市の問題につきましては、いま総裁が言いましたように、県との連絡をとりまして、多少県に委託費等もあげてやっておるようでございますが、しかしながら、やはりこういうように公共用地のために手放す方々につきましては、従来は金銭をもって対抗しておりましたが、いまでは、やはりそれではいかぬという現象が最近非常に起こってまいったのでございます。したがいまして、この問題は非常にむずかしい問題でございまするが、私たちのほうといたしましても、あらゆる場合にこれは研究しなければならぬ。従来はやはり金で対抗して、しかしそのためにかえって非常に前よりは悪い生活になったというような人が多々あります。したがいまして、代替地をほしい人には代替地を、また、職業のあっせんをすべきものも積極的にやらなければならぬのじゃないかという問題が、従来に増して起こっておることは私も認めるわけでございます。しかし、その問題に対しましてどう対処していくかということにつきましては、まだわれわれのほうとしては確たる制度はありません。今後の研究にまつよりしようがないんじゃないかと思っておりまするが、要は、やはり手放した方々に対して、より以上の生活ができるようにということは、あくまでも私たちとしては考えなければならぬ問題だと、かように思う次第でございます。非常に現実の問題でございまするから、それに対して答弁がはなはだ抽象的でまことにおそれ入りますが、いま確たる制度を持っておるわけではございませんが、十分検討いたしてみたい、かように思っておる次第であります。
  53. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 建設省が将来のビジョンとして考えておる工場団地や衛星都市建設等用地買収等についても、おのずからこういう問題が起きてくるわけです。なお政府施策として考えている将来の住宅難解決のために六百七十万戸の住宅を建設する政府施策だけでも相当なものだ、住宅公団が取り上げているものでもおそらく三十五万戸から四十万戸ぐらいこれからこの四年ぐらいの間に建てていかなくちゃならぬと思う。そうしますと、それに必要な用地面積でも約一千万坪の用地面積が当然必要になってくるわけです。しかも都市近郊における一千万坪に近い用地買収をするということについては、非常な困難性があることは、これは私どもが申し上げるまでもないわけです。先輩なんかからいろいろ、大森議員やあるいは二宮議員等々の間で問題や質疑が繰り返されているわけでございますけれども、どうしても用地を確保しなくちゃならない。今年度ならば七万戸の住宅を建てなくちゃならない、来年は八万戸だと、そうして土地の確保ということが先決条件になってくるわけです。金を出せば買えるだけの施策では私はいけないと思うわけです。特に広い地域の衛星都市建設や工場団地建設等を考えたならば、もう少し幅広い角度から、建設省だけの考え方でなく、やはり私は農林省も厚生省もその他の省もタイアップして、これらの問題を解決するところの施策が必要だと思うのです。幸いに筑波研究学園都市建設に対しましては、各省の次官あるいは局長が集まって推進本部ができて、移転部会と用地部会とそれぞれできているはずです。そこで、ひとつ案を練って——かりに筑波に該当するのじゃなくてけっこうですから——研究をして、将来の用地対策はこうあるべきだという施策をひとつ打ち出していただきたいと、大臣に重ねて私は要望するわけですが、いかがでしょうか、大臣
  54. 西村英一

    国務大臣西村英一君) この筑波学園都市には幸いそういうような部門もできておりますが、この部門を通じまして十分研究いたしたい、かように思っております。
  55. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 学園都市については、最後といたしまして、それじゃ学園都市建設の主体はどこにあるわけですか。それからおおよそ十カ年間に学園研究都市建設し、その人口は十六、七万と想定されるわけですが、この学園都市に投入される総事業費はおおよそいまの見積もりではどの程度になるかお伺いしたいのです。
  56. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ずいぶん前に一応閣議決定をいたしたものがあるのでございますが、あくまでも目標でございまして、おそらくあれだけの土地を獲得してやれば、十六万くらいな都市になる、その移転費は、事業費は総額二千七億円ぐらいかかるであろう、こういうことは一応出ておりますが、これは今後もう少し詰めてみないとわかりません。したがいまして、その主体は一体どこにあるかといいますると、一番初めの閣議決定では、用地買収まで建設大臣がやるということになっております。建設大臣は、したがってその用地買収を現地の機関としては日本住宅公団をしてやらしておるのでございます。これがどんどん各機関が興って実際の問題になってくれば、だれが一体その責任者となるかということにつきましては、もう一ぺんこれは政府として考え直さなければならぬ。その問題は、私は閣議で提案をしてもう一ぺん確認をいたしたい、かように考えておるわけでございます。とにかく、用地買収、宅地の造成、これまでは建設省がいま日本住宅公団をしてやらしておるわけでございます。これが終わりますれば、あらためて学園都市の主体は一体どこに置くのだということを閣議の決定を求めたい、かように私は考えておる次第でございます。
  57. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 いまの将来にわたる総事業費の見通しですが、二千億程度というちょっとこれは数字が違うのではなかろうかと、実は後刻、もしあったら補足説明をしていただきたいと思います。私のほうには私のほうの見通しがあるわけでございますけれども……。そこで、用地買収までは建設省がこれを担当し、住宅公団をしてやらしているのだと、そこまでは私はわかります。これから先、学園都市をつくって、十四省庁にまたがっている機関あるいは大学等が移る場合に、それぞれの部門があるはずです。それらを統合してやる主体が確立していないところに私は地方市町村も県等もあるいは各省庁にも疑問があるのではなかろうかと思うのでございますが、そうしますと、大臣は閣議にはかってこれからの推進建設母体をつくっていくと申しますけれども、たとえばそういうものを一括して強力に施行するために学園都市事業団のようなものをつくる考え方でおるのかどうか。私どもはそういう一つの統合した形において進めなければこの十六万都市を、ニュータウンを、そうして政府機関を、おそらく推測では四千五百億円以上の国家資本を投入し、自動車道路等をやっていけば二千億、三千億、場合によっては一兆円近い投下資本がされるあの学園都市が、いまのままの寄り合って相談する機関ではできないと考えるわけでございますが、どうでございましょうか、ひとつ。
  58. 西村英一

    国務大臣西村英一君) これはなかなか今後実際機関が興りますと、たとえば民間の事業にいたしましても電気も引かなければならぬ、ガスもやらなければならぬ。いろいろな多方面に対する協力が要るわけでございます。したがいまして、その主体を一体どこにするかということは、あらためてこれはやはり考え直さないといかぬと私はいま思っております。しかし、そのために学園都市の公団をつくるかどうかというようなことも一つの方法でございましょうが、まだそこまで詰めておりません。まずさしあたり用地買収移転機関の問題、こういうことをいま詰めておる最中でございまして、実行機関については、将来これは政府として検討したい、かように思っておる次第でございます。
  59. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 いま行政管理庁のほうでいろいろと行政機構の改革もやっておるようですから、私どもも特別事業団をつくれという趣旨ではないのです。しかし、いまのように建設省が主体であるが、あるいは推進本部もできて、内閣の中の審議室がこれを担当し、各省の次官等が担当しているこの姿のままでは、決して学園都市は完成しないという私ども危惧を持っているわけです。したがって、いま大臣がおっしゃるように、閣議において十分この問題を……。世界的な規模でこれは行なわれるのですから、十分十全な方法で進められるように御検討をわずらわしたいと思うのでございます。さらに先ほど申しましたように、地元で行なう道路あるいは公共施設学校、病院等々におきましても、特別立法措置する以外には現制度の中では地元の裏負担を助成するという方法もないわけでございますから、特別立法等々の問題につきましても関連して地元の公共事業の負担分を軽減するような施策についてお考えを願いたいと思うのでございます。学園都市については以上で質問を終わらせていただきたいと存じます。特に私は地元であるがゆえに突っ込んだ問題もお話しいたしましたが、なおまだお聞きしたいことにつきましては、私自身が建設省に、あるいは公団等に参りまして、さらに突っ込んでお尋ねをいたしたいと思います。時間が非常に制約されておりますので、学園都市に関する質問は以上で終わらせてもらいまして、住宅公団に関する問題についてわずかの時間いただきたいと思います。  委員長に私お願いしたいのですけれども、私、住宅公団については十四項目について質問したいと思っておったのですけれども、時間に制約がありましたので、あるいは四十二年度の住宅関係の予算とか、それぞれの数字にまたがる問題については、資料として私のほうに提供をしていただきまして、問題点となる点だけをごく大ざっぱにお聞きしたいと存じますが、答弁に出された資料は、ひとつ速記録の中に載せていただきたいことをお願いします。  じゃ、ごく詰めて公団のほうにお尋ねいたします。住宅難を緩和するというこの公益の立場から、土地収用法も場合によってはやむを得ない場合があると思うが、強制収用の際の難点はどんなものであるか、ちょっとお伺いしたい。
  60. 林敬三

    参考人(林敬三君) 先ほど来お話しのように、住宅公団一年に六万一千戸、それに必要な土地というものもまた大体そのぐらいの位置で、また、ますますふえていくであろうことを予想しつつ事業を行なっているわけでございまして、だんだんとこの土地がこういう状態でございますと買収するのにむずかしい所が多くなってくるという実情でございます。しかしながら、この公団というのは、御承知のように、つくりましてからあと、そこに大ぜいの居住者ができてくるわけでございまして、すでにおる方、すなわち地主さんという方との間に非常にまずいあと味というものが残って入りますことは、双方にとって実に望ましくないことだと思いまして、また、そうでなくても当然のたてまえからいたしましても、極力任意買収ということを主体として今日までいたしておりまして、強制収用をいたした実例は、いままでのところ幸いないのでございます。しかしながら、いろいろ土地がむずかしくなってまいりました。また、いろいろと地主さんの中にもたいへんな御主張をなさる方がございまして、それを認容しておりますと、今度、普通の取引のベースでお売りになった方との間にいかにも不公平にもなってくる。また、そこを残しておっては公団建設の事業ができないというようなこともございまして、やはりどうしてもやむを得ない場合はこれを適用するほかはない、こういう感じが最近だいぶ遺憾ながら出てまいってきておるのでございます。しかし、これを適用するとなりますと、都市計画法による事業決定の所要手続を当然いたすわけでございます。それが、まあいままでの例を見ますと、たいへん時間がかかるわけでございます。また、その手続を進めます上において、用地取得上の地域的な利害関係というものがありまして、ここを入れる、ここを省くというような、いろいろそこにむずかしいトラブルが出てまいります。また、強制収用をいたします上においては、公共団体が都市計画上の内申をいたすたてまえになっておりまして、また、公共団体は公共団体、地元の立場から関連公共施設のようなものの整備についての負担について、公団側とまたこの問題をめぐりましていろいろと調整に時間がかかるというようなことで、なかなか手続が難航するわけでございまして、現在のような土地収用制度のもとにおいて適時適切にこの手続が活用されて、土地が客観的に見て妥当な価格で得られるということがなかなか困難な場合が多いのでございます。で、どうしてもいたさなければならないものかなと考えて、いま手続を起こしておりますのが三件ほどございます。しかし、手続を起こしますとまた解決のつく曙光が出てきて、解決にかかっているものもその中にあるのでございます。要するに時間がかかります。また、手続上の調整に非常に手間をとるというのが現在の状態でございます。
  61. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 その手続上の問題が非常に制約されるということはわかりましたが、その手続上の問題について十分農地法や、関連の地方公共団体との話し合いができるような施策を、前向きで今後御検討いただきたいと思うのでございます。  次に、そういう用地買収をする際に、地方公共団体の力を借りる方法をとってやるほうがよろしいのではなかろうかと私考えるわけですけれども、先ほど私は茨城の学園都市の例について申し上げましたが、と申しますのは、先ほど触れましたように、住宅公団自体で三十五万戸から四十万戸の将来にわたる住宅建設をしなければならない、一千万坪の用地を獲得しなければならないという制約が、条件があるわけでございます。しかも住宅公団の住宅建設というのは、土地の取得しがたい都市周辺にあるということ、しかもなおかつ土地の価格というものが急上昇している。私どもが類推いたしますと、昭和三十年度の土地の価格と、日銀の卸売り物価指数との関連でどういうふうに伸びているかということを考えますと、昭和三十年三月を一〇〇とした場合に、四十二年三月では一一四六となっています。実に十二倍近く土地の上昇はしているわけです。しかも三十五年から三十六年にかけてずっと急上昇をしているわけです。一〇〇%近く上昇している状況です。こういう用地取得をしていくためには、地方公共団体の力を借りる必要があると思いますが、いままで地方公共団体に話をかけて、地方公共団体から、そんなことはできません、だめですと断わられた事例もあろうかと思いますが、この問題を私がいま申しましたように、公共団体なら公共団体からして、受け入れるのにいやだ、これはとても用地買収するのは困難だからという、そういう事情もあるでしょうが、どうでしょう、ひとつ公共団体と話し合って、からみ合わせて用地取得を進めていくような方法をお考えになっては。
  62. 林敬三

    参考人(林敬三君) いま仰せになりましたことは、すべてまことに私ごもっともだと存じます。公団といたしましても用地取得については府県市町村、すなわち地方公共団体というものとの意見が合致いたしませんと、仕事はまず絶対にできないような現状でございます。また、そうあるのが一番正しい。しっかり調整をしてやっていくべき性質の事業だと存じております。そこで、私どものほうの態度といたしましては、できるだけ大きいものになればなるほど地方公共団体に間に入ってもらう、あるいはそれに事業の相当部分を委託する、こういうことでやる方針をとっておりまして、また現実の体験からいたしましても、そういうふうにして府県なりあるいはしっかりした市町村に間へ入っていただき、ある程度しょっていただいてまとめていただくというのが一番よくうまく進行をしているということを確信する次等でございます。御指摘のように、今後も公共団体の力を極力借りて、そして地元側から見ても、また国家施策として見た場合においても、公団のいたしますことがスムーズに行なわれて適正であるように努力をいたしてまいりたいと存ずるのであります。いろいろとお話のように近隣の府県市町村になりますと、ただ公団に入ってきてもらう、そしてベッドタウン化してしまうということ、公共事業費の負担その他のことから見まして好ましくないというような一般的な声を非常に受けるのでありまして、私ども大いにその点は反省して、事前から折衝に折衝を重ねて、これを双方、こちらが考えて主張する、また事業の必要とする必要性と、また地元の側から見た声、立場というものとが、よく調和されていくように努力をして、遺憾なきを期するようにしてまいりたいと存ずる次第でございます。たてまえとしては、地方公共団体に入れるだけ入っていただく、これが一番の上々でございます。しかし方針だけは認めるけれども、いろいろな関係上間に入ることはできないというものについては、地主と直接交渉をいたしますとか、あるいはそこの地主の代表というような人を介するというような場合も、ときにしばしば出てくるのでございます。
  63. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 わかりました。そこで、この地主代表等に、いままで用地買収の折衝を続けているわけだけれども、その場合に、この委員会等で問題になっておりますけれども用地買収の際に、用地のあっせんを宅地建物取引業者に依頼して用地買収をしておるのですか、どうですか。やっておりませんか。
  64. 稗田治

    参考人(稗田治君) 用地のあっせんにつきまして、宅地建物取引業者を公団のほうから頼んでおるかどうかというお尋ねでございますが、実際上申しますると、公団としましては、用地のあっせんを宅地建物取引業者に依頼したという事例はないわけでございます。公団の用地買収にそういう宅地建物取引業者等が介在しておりまするのは、地元におきまして、公団と地主側とが相談する前に、地主が宅地建物取引業者に地主の代理人としてすでに依頼しておる、そういう場合でございますとか、あるいは地主代表が、全部取りまとめるのに、その下働きとしまして宅地建物取引業者等を依頼する、すでに公団と折衝前にそういう事態が起きておるという場合でございまして、公団との関係におきましては、そういう方々が地主代理人となりましても、それはあくまで地主の代理人ということで、宅地建物取引業者としての依頼はしていないわけでございます。
  65. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 時間がもうきてしまっておりますので、では、これから私が申し上げますものは、ひとつ文書で御回答をいただきたいと思います。  公団の昭和四十二年度予算事業の概要について。第二には、公団の用地費予算について。それから公団の職員数及び用地担当職員数について。第四には、四十二年度における住宅建設に要する用地面積はどのくらいか。それから用地のいままでの取得実績について。それから次年度以降用地費で先行取得する用地面積は、年間所要面積の何年分に相当するか。もう一つ最後に、先ほど私が申し上げました地域別六大都市市街地の地価上昇指数は、日銀卸売り物価指数と比較してどうか。  この点についてひとつ文書をもって御回答をいただきたいと思います。  先般来から委員長、私がお願いしましたように、これは数次にわたって、長い時間になりますものですから、この出ました資料をどうぞひとつ議事録の中にお載せいただきますように、あとでなお十分検討したいと思いますので、お願いいたします。  以上で私の質問を終わります。
  66. 林敬三

    参考人(林敬三君) ただいま中村委員から御要求がありました資料、取りそろえまして提出したいと思います。
  67. 亀田得治

    委員長亀田得治君) なお、中村委員からの文書回答に関する取り扱いにつきましては、理事会で相談して要望に沿うようにお計らいいたします。
  68. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 長い時間どうも……。
  69. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 暫時休憩をいたしまして、一時二十五分より再開いたします。    午後零時二十五分休憩      —————・—————    午後一時四十五分開会
  70. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和四十年度決算外二件を議題といたし、総括質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  71. 大森創造

    ○大森創造君 政府の認可した社団法人、財団法人、そういうもののうちで、きょうは、具体的な一つの事例として逓信運輸協会なるものについてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、この社団法人とか財団法人とかいうものは、それぞれの主務大臣が認可するんだろうと思いますけれども、認可とそれから許可の権限、こういうものはだれにありますか。主務大臣でしょう、その念を押すまでもございまんが、お答え願います。
  72. 溝呂木繁

    政府委員(溝呂木繁君) お答えいたします。  本件の逓信運輸協会の認可は、昭和二十五年当時、電気通信大臣、運輸大臣、郵政大臣あてに申請がありまして、結局三者で協議しまして、最終的には電気通信大臣と運輸大臣の共管で許可、認可をしております。
  73. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、昭和二十五年当時設立されたのであるけれども、その監督の権限は当然現在の郵政省と運輸省にあると思いますが、その点は間違いないでしょうね。
  74. 溝呂木繁

    政府委員(溝呂木繁君) お答えいたします。電気通信関係では、現在電気通信省がなくなりましたので、郵政省にそのまま監督の義務は残っていると、こういうふうに解釈します。
  75. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、逓信運輸協会なるものは、監督の立場にある郵政省として相当実情を調査していると思いますけれども、どういう状態でございますか。
  76. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) 本協会は、先ほど官房長が申し上げましたように、二十五年に設立許可をいたしまして、その後三十年に立ち入り検査を一回いたしております。その間、郵政省令によりまして、毎年事業年度一回、事業報告あるいは財産目録の提出をいたすことになっておりますが、一回もいたしておりません。三十九年に事業報告の督促をいたしましたところ、事務所の移転理事異動について報告の提出があったのみでございます。毎事業年度、電話等によりまして所定の書類を提出するよう勧告いたしておりますが、一回もいま申し上げました三十九年の異動以外は提出をしておりませんので、ことしの二月に、こういういわゆる睡眠法人と申しますか、こういう法人に対しましては、すでに事業目的がないといたしまして解散するように督促をいたし、その後しばしば解散を督促いたしました。しかるにかかわらず、報告も出しませんので、八月一日に、設立許可の取り消しをいたした次第でございます。
  77. 大森創造

    ○大森創造君 いまの報告によりますと、昭和三十年に立ち入り検査をした。しばしば業務報告や財産目録の提出を求めたけれども、それに応じなかった。電話などで催促したけれども、それに応じなかったということでございます。これは睡眠法人ですね、隠れ法人でなくて。実質的に十七年間何かやっていたんですか、何か業務を遂行した事実がございますか。
  78. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) この間何の事業もいたしておりません。
  79. 大森創造

    ○大森創造君 認可するときに、一つの公益法人の目的があっただろうと思うのです。設立の目的があっただろうと思うのですけれども、その目的はどういうことですか。一言で言ってください。何もやらないという目的ではないでしょう。
  80. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) 本法人の目的は、逓信運輸施設の普及改善に寄与することによりまして、文化生活の向上と公共福祉の増進をはかることを目的とする、というふうに寄付行為に掲げてございますので、そういうことを目的として事業を行なうというように設立当初の目的はなっております。
  81. 大森創造

    ○大森創造君 設立の目的はりっぱであるけれども、何もやっていなければ意味はありませんね。そこで、私の質問の申し込みをしたのはいまから三週間くらい前でございます。郵政省の関係方面のほうにお尋ねしたのも大体一カ月くらい前でございますけれども、どうして十七年間も放置していたか。これは郵政省、運輸省ばかりではないと思います。法人というものに認可を与えたならば、慣行的にあとはもう放置しているというのが、各省庁の慣行ではないかと私は思うのです。そこで逓信運輸協会ばかりではありませんよ、悪いものは。きょうはたまたま郵政省と運輸省の所管の、二つの省が認可した逓信運輸協会なるものを具体的な例にあげているだけでございまして、ほかの省庁にも同じようなケースもあると思います。これは決して郵政省や運輸省ばかり責めるわけではございません。どうしてことしの八月一日になって解散を命じましたか。三年前にやったらどうですか、五年前に、十年前に。これは私の質問の申し込みをしたあとなので、調べてみたら何もしていないので、現在のおりから隠れ法人であるとか、公社公団の整理というようなことがあって、国会で私が質問するということなので、進歩ですよ、決して責めるわけではございませんが、調べてみたら何もしていないので、八月一日になってやっと解散命令を出したということでしょう、正直なところを申し上げると。
  82. 溝呂木繁

    政府委員(溝呂木繁君) 御指摘のように電気逓信省以来、郵政省で三十年に一応係官の立ち入りということでやや注目をいたしましたが、事実上十分な監督もできなかったということで、早急に何とかしなければいかぬということで、八月になっておくればせながら取り消したというのが実情でございます。
  83. 大森創造

    ○大森創造君 いまおくればせながらと申しましたが、これは私の質問があずかって力があったのじゃないかと思う。こういう休眠状態の法人は整理すべきだと思います。これは逓信運輸協会だけではありませんよ、各省庁について言えることだと思います。  そこで次にお伺いいたしますが、十七年間放置したということについては、そういうふうに存在した法人である、この事実には変わりございませんから、それを前提にしてひとつお伺いしますけれども、逓信運輸協会の現在の役員はどなたですか、その住所と氏名をお尋ねいたしたいと思います。
  84. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) 現在の登記簿に登記されております役員は、七月十二日現在で早川慎一氏、佐藤榮作氏、福原敬次氏、荒木萬壽夫氏、堀木鎌三氏、藤井丙午氏、迫水久常氏、飯島敬夫氏の以上八名でございます。  住所は、早川慎一氏は、東京都新宿区下落合一丁目四百七十三番地、佐藤榮作氏は、東京都世田谷区北沢二丁目百九十三番地、福原敬次氏は、名古屋市瑞穂区松栄町一丁目五十八番地、荒木萬壽夫氏は、東京都杉並区和泉町百六十一番地、堀木鎌三氏は、東京都目黒区柿ノ木坂百七十二番地、藤井丙午氏は、東京都杉並区上高井戸三丁目五百五十九番地、迫水久常氏は、東京都世田谷区若林町十五番地、飯島敬夫氏は、東京都中野区鷺宮三丁目三十五番地三号、以上でございます。
  85. 大森創造

    ○大森創造君 いま役員の住所と氏名をお聞きいたしましたけれども佐藤榮作さんの名前と住所をお聞きいたしますというと、佐藤榮作さんという人は、現在の内閣総理大臣佐藤榮作さんでしょうか。それから早川さんというのは日通の元社長であって、藤井丙午さんは現在の八幡製鉄の副社長、その他参議院議員でしょう。そういう人でしょう。確認いたしておきます。
  86. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) ただいま申し上げましたのは、実は登記事項の変更につきまして、郵政省令によりますと、そのつど登記を変更した場合には郵政省に報告することになっておりますが、本法人は実は報告いたしておりませんので、登記所に参りまして調べた結果をただいま申し上げた次第でございます。
  87. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、役員改選などがあった場合に、監督官庁である郵政省のほうに、役員の改選の通知がないのですか、報告がないのですか。
  88. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) ただいま申し上げましたように、郵政省令で報告を出さなければならないことになっておりますが、通知がございません。
  89. 大森創造

    ○大森創造君 おかしな感じがいたしますが、これはあとからにいたします。  そこで現在の理事長はどなたですか、御存じございませんか。
  90. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) 登記上の理事長は現在ございません。
  91. 大森創造

    ○大森創造君 ところが私の調査したところでは、こういうことになっております、十七年間ずっと休眠状態であったこの財団法人の逓信運輸協会は、突如としてことしの一月十五日に眠りからさめているわけです。いままでもう睡眠状態であったものが、ぱっと起き出して、一月の十五日に理事会を開いております。そしてややしばらくおいて、二月二日の日に評議員会をやって、定款の規定どおり役員改選と、それからいままで赤坂の溜池にあった逓信運輸協会の事務所を平河町のある場所に、ある会社のビルの中に移転をしております。役員改選と事務所移転の件を議題として、そしてただいま申し上げましたように、ことしの一月十五日と二月二日の理事会と評議員会でもって、二つの議題を決定しております。このことについて、御存じございませんか。というのは、あなたのほうでいま私にお答えになったことは、運輸省のほうに御報告はないけれども、芝登記所についてお調べになったのだろうと思うので、きっとこの間の事情をおわかりだろうと思う。そこで、そのいきさつを御存じならばひとつお答えいただきたいと思います。
  92. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) ただいま先生御指摘の件につきましては、もちろん郵政省に報告ございませんで、私どもも登記所の書類を調べました結果、承知いたしました。
  93. 大森創造

    ○大森創造君 報告しないということは、やはりあれですね、お歴々が顔をそろえている権威あるべき逓信運輸協会として、一種のサボですね、これは。それはやはり運輸省などの監督がほとんどないということだろうと思うのです。ないから、かってなことができるわけです。そういうものは三年前、五年前から解散させたらいいと思うのです。何も八月一日、この間解散させる必要はなかったと思うのです。こういうことはこれ以上押し問答はいたしません。ところが理事長というものを選任しているのですよ。役員になって、理事になってとたんに理事長になった人物がいるのです。芝の登記所のほうの原本には書いてあるでしょう。どなたが役員になって、そしてその役員は理事長になりましたか、御存じございませんか。
  94. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) 登記所のほうへの届けの理事変更と事務所移転の件につきます登記に対しまする添付書類といたしまして、東京法務局の日本橋出張所に登記いたしました添付書類として、ただいま先生御指摘の評議員会議事録というものの中に、理事理事長という名前を使っております。
  95. 大森創造

    ○大森創造君 理事長は御存じないのですね、理事長という人は御存じないのですね。
  96. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) この登記所の書類によりますと、理事長は迫水久常氏となっております。
  97. 大森創造

    ○大森創造君 どうも私のほうで登記所で調べた限りでは、佐藤榮作さんや迫水さんや早川慎一さんや荒木萬壽夫さんや藤井丙午さん、こういう人は役員になっておりますよ。これは間違いないが、理事長は迫水さんでないでしょう。迫水さんは二つの議題について会議を主宰した議題ではありませんか。
  98. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) ただいまちょっと間違えて申し上げましたが、評議員会の議事録におきまして、議長、理事長迫水久常氏となっておりますし、理事会のほうでは、議長、理事迫水久常氏、こういう登記の添付書類に示してございます。
  99. 大森創造

    ○大森創造君 私のほうの調査とはあなたのほうの答弁は若干違います。そこで私の調査のほうが正しいと思うのです。これは理事長は御存じない。あるいは迫水さんとおっしゃいますけれども、迫水さんは理事長でございません。ちゃんと名刺がここにできておるのです。小島徳司、財団法人逓信運輸協会理事長という名刺があって、この小島さんという人が、十七年間運輸省あるいは郵政省のほうで認可はしたけれども、ほとんど監督が行なわれないままに現在に及んでいる。そこでことしの一月十五日に理事会をやって、二月二日の評議員会をやって、その議事の扱いは迫水さんですよ、議長は。そこで理事に選任されたのはこの小島徳司なる人物です。この人は現に名刺をつくって、そうして各方面にあらわれてこの名刺を示しております。このいきさつはあとから申し上げます。小島徳司という人物が理事長なんですよ、これは。このいきさつは御存じなければ、ひとつよく覚えておいていただきたいと思うのです、名刺があるのですから……。これは私の一枚ばかりじゃありませんよ、ずいぶんもらってきているのですから。  そこでお伺いしますけれども、その小島徳司なる人物はどういう人物でございますか。お調べになったことがございますか。あったらひとつ、その小島徳司氏の経歴についてお答えいただきたいと思います。
  100. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) 小島徳司氏の経歴については調べたことはございません。
  101. 大森創造

    ○大森創造君 御存じないのも無理はないのですが、私のほうから申し上げますというと、中央観光株式会社の代表取締役社長です。いままでの質疑の中でも非常に疑問の点が出てまいりますけれども、あとに譲ります。  そこで私、労働省の基準局長はおいでになっておりますか——基準局長にお尋ねいたしまするけれども、この小島徳司なる人物、中央観光株式会社の社長であり……。
  102. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと大森君、基準局長はいま一分ほど……。順序として基準局長先になりますか。
  103. 大森創造

    ○大森創造君 先になります。
  104. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  105. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。
  106. 大森創造

    ○大森創造君 そこで労働省にお伺いいたしますが、ただいま申し上げました小島徳司氏が社長をやっておる中央観光株式会社というものについては、私の調査した限りでは、相当労働法規の違反行為をやっておる。昨年は不当解雇が続出したと、ことしは賃金の遅欠配が相当あって、書類送検されているということを聞いておりまするけれども、労働省がいままでに調査をされた限りでの内容、その調査の経緯についてお尋ねしたいと思います。話によると就業規則もないという話ですが、いかがですか。
  107. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 中央観光におきましては、従来から労務管理についていろいろ問題があるというふうに第一線の機関でも承知しておったようでありますが、具体的には労働基準法違反の問題が、申告という形で明瞭な形をとってまいりました。そこで、第一線の監督機関といたしましては、昨年五月から本年四月まで何回かの申告がございました。監督をいたした次第でありますが、その結果、労働基準法違反として明確にされましたものは、賃金不払いが七件、解雇手当の不払いが二件、賃金控除の協定がないという、ただいま先生からの御指摘の問題に関連した協定がないという問題が一件、合わせて十件の労働基準法違反の問題が明らかになったわけであります。そこで、所轄労働基準監督署におきましては、これらの法違反を是正させますと同時に、司法処分をも行なった次第でありますが、その結果、現在の時点におきまして、賃金未払いの七件のうち五件は解決いたしましたが、遺憾ながら二件はなかなか解決しない。この二件につきましては、法の定めるところに従いまして司法処分に付する、こういう措置をとった次第でございます。また、解雇手当不払いの二件、賃金控除協定の一件の事案につきましても、それぞれ送検の措置をとった次第でございますが、なお今後におきましても、賃金不払い等がないかどうかという点については、重大な関心を持って臨んでおるのでありますが、たとえば部課長などの賃金の支払いがどうなっておるかといったような問題までも、第一線の監督機関においては関心を持って調査を進めておりますが、これらの関係の帳簿が引き上げられましてないものですから、そういった点についての調査はまだ十分完了をしていないという点がございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、法違反の問題につきましては、それぞれ所定の手続に従いまして措置いたしたというのが経過でございます。
  108. 大森創造

    ○大森創造君 大体経過はわかりました。  その最後のほうで帳簿が引き上げられていますので詳細のところはわからないというのは、中央観光株式会社の帳簿をどこが引き上げたのでございますか。検察庁ですか、国税庁ですか。
  109. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 私ども承知いたしておりますところでは、執行吏が引き上げたというふうに承知いたしております。
  110. 大森創造

    ○大森創造君 わかりました。  そこでまあ労働省に、私のほうから申し上げるまでもなく、賃金の遅欠配とか、解雇予告手当の問題などというものは基本的な問題ですから、これはひとつ今後慎重を期して、従業員の利益を守る立場からひとつしっかりやっていただきたいと思うのです。  それから私は前のマルマンのときにも申し上げたんですが、こういう場合、中小企業の特質ではありますけれども、この小島徳司なる社長の恣意によって従業者が非常な苦境に立つということについては、私は非常にお気の毒だと思うのです、従業員について。そこでそういう点についてもひとつ要望いたします。善処していただきたいと思います。お答えは要りません。  その次に。中小企業庁のほうにお伺いいたしますけれども、この中央観光というものは、いわゆる中小企業の従業員を対象にして、会員制のホテルという名目で、そういうキャッチフレーズでもっていろいろ施設をつくろうとしております。箱根の強羅に五階建ての箱根ドリームセンターなるものをつくった。これは完成いたしました。三百坪の土地もございます。そこでそういう名目で中小企業の従業員、法人から個人から、私の調査によるというと、あなたのほうの調査と数字が食い違うかもわかりませんが、口数にして二千五百口、そのうち法人が二千百、個人が四百です、合わせて二千五百口。人数にして二万六千人。で、入会金というものを取りました。保証金というものを取ったわけであります。それからこういう施設の維持管理費ということで、私の計算では四億五千万くらいです、中小企業の従業員や法人から金を集めたわけであります。そこで箱根のドリームセンターと、南房のシーサイド・ドリームセンターというもの、これはまだまだ着工されておりません。そこでそういう会員制のホテルというものをつくって、会員になってもらって、保証金を取って、入会金を取って四億数千万円、そういう目的で設立したにかかわらず、現在利用されておりません、一部しか。契約不履行であります。そこでことしの六月二十二日に、中央観光株式会社は四百三十万円の不渡り手形を出して倒産してしまいました。このいきさつについて、中小企業庁のほうでは、あなたのほうの所管でございますから、私の調査より以上に御存じかと思いますが、ひとつお答えいただきたいと思います。
  111. 金井多喜男

    説明員金井多喜男君) ただいま先生の大体の中央観光の中小企業業者との関係については、お尋ねのようなふうに私どもも聞いております。本件につきましては、私ども、六月の下旬にある新聞等に相当大きく取り上げられておりまして、それでもって通産局等を通じて調査した次第でありますが、大体先生のおっしゃるような数字でございますけれども、若干まだ違いますのは、私ども、さりとて全く自信があるというわけではございませんけれども、会員の数が、法人会員が先生の二千五百というのに対して、その半分程度の千二百というふうに聞いております。それから個人の会員は、先生のおっしゃいました、御指摘のように私ども調査では大体三百五十名程度、それからこういった会員から、まあ日曜日に使う権利とか、あるいは週日制とかいうようなことで会員の権利が多少まばらでございますけれども、まあ大体一口当たり六万円ないし十数万円程度というふうに聞いておりますが、これらの保証金の総額というものは三億六百万円程度であると、こういうふうに聞いております。それで御指摘のように六月の二十日に、この中央観光が不渡り事故を起こしまして、同月の二十三日には、銀行取引停止処分を受けまして、現在会社の内部で再建案を検討しておるというふうに聞いております。
  112. 大森創造

    ○大森創造君 私の調査のほうが正しいような気がするんですよ。あなたのほうのデータのほうがちょっと古いんじゃなかろうかと思うのです。まあこれはあとで調査すればわかります。とにかく、大体のところは中小企業庁でお調べになったことと、私のほうで調査をしたことと一致をしております。会社の性格は大体わかります。  そこでなお付加して申し上げますというと、内装工事ですね、この内装工事をやると言って持ちかけていって、それをあなたのほうに使頼をするからということで今度会員になってもらっている。実際は内装工事は発注しない、こういうケースが相当多いのです、中央観光の場合は。非常に迷惑をかけているわけです。  それから藤田建設、これは新宿区市ケ谷にございますが、二、三日前に破産申請をいたしました中央観光に対し、というのは、箱根ドリームセンターのプールの一千何百万の金を全然払っていないというので、破産の申請をしたということです。三信商事、これは金融業だろうと思いますが、三つの信ずると書きます、それは七千万か六千万くらいの貸し金をして取れないので、中央観光の本社ビルの競売の手続をとっているということも聞いております。とにかく、中小企業の人、並びに法人、個人に対して非常に迷惑をかけております。労働法規を破っていることは、さっき基準局長のおっしゃるとおり、中小企業庁のほうからお答えのとおりの内容であるので、これは倒産したので、この会員の連中が会員協議会なるものをつくりました。二万六千人全部集まったわけではありませんが、一日か二日のうちに相当な人数が集まりました。私もそこに出向きました。いろいろな発言がございました。とにかく会員は、保証金、入会金、管理維持費などを取られている。私の調査によると四億数千万円だが、あなたのほうの調査では三億六百万円ということをいま言われましたが、いずれにせよ、そういう権利に対して、会員協議会なるものが自然発生的にできて、その権利に対して自分たちの利益を守るということで、その発言権も、あるいは経営に対する参加権も確保しようという動きがございます。そこで私は、これはひとつ建設的に申し上げるわけでありますが、中小企業のほうで、こういう中小企業の従業員の利益を守る立場から行政指導されて、あとから申し上げますが、一番大口の債権者は東海銀行でありますから、東海銀行と相談をして、そうしてこの会員の利益を守るような行政指導に乗り出していただきたいと思うのです。そしてもう一つ要望は、もうこの中央観光株式会社なるものは倒産をしたのでございますから、それに対する、いま申し上げました入会金や保証金や、そういうものを還付するようなことにまで中小企業庁は立ち入って御指導いただきたいと思うのでございますが、どういうお考えでございますか。
  113. 金井多喜男

    説明員金井多喜男君) 私ども中小企業庁といたしましては、最近中小企業の地位が非常に上がってきて、大企業との競合で労務者の確保に非常に困っておるわけでございます。そういった点からは何かそういう施設というものを自分たちでもってつくりたい、また、そうしなければ中小企業の労務者確保はむずかしい、こういうことを毎日のように聞いておるわけでございまして、そういう点から中央観光あたりから誘いを受けて、これは非常にありがたいというようなことで入って、結果においてはこういうような被害を受けておるのじゃないだろうか、こんなふうに思います。そういった点からは、先生のお話のように、私どもとしてはできるだけこういった中小企業の会員の保証金がむだにならないように努力すべきであろう、こんなふうに考えておるわけであります。そこで具体的な措置といたしましては、たまたま先生のお話が出ましたように、この債権者の大どころを調査いたしましたが、仰せのように、東海銀行が二億三千五百万円という債権を持って、主力でございます。また、名前の出ました三信商事その他は大口でございますけれども、これは担保を持っておるわけでございます。破産等におきましては、こういった担保を持った債権者が非常に有利になるという見通しがあるわけであります。そういった点から、私ども、東海銀行の関係者の方には、先生の御質問の趣旨のような話をいたしまして、できるだけそういう多数の中小企業者の利益を考えてほしいと要望したのに対し、東海銀行のほうも、自分のほうもそういう考え方で進めてまいりたい、こういうような意思表示がありました。今後とも緊密に連絡をとりまして、多数の中小企業者の立場に立って、私ども行政庁としてどこまで介入できるかどうか、いろいろ問題がございますけれども、気持ちとしてはそういうことでなおできるだけ努力いたしたいと考えております。
  114. 大森創造

    ○大森創造君 そういうふうにしてもらうと非常に助かるわけですね、これは。東海銀行は一番大きい債権者でございますから、それと相談をされて、かゆいところに手が届くように、中小企業の従業員やそれから関係した法人、ついつい巻き込まれた法人、そして入会金や保証金を、損がいかないように御配慮いただきたいと思います。  次に移ります。国税庁のほうにお伺いいたしますが、麹町署で差し押えておるということを聞いておりますが、その中央観光株式会社について、いかなる物件をいかなる目的で、いかなる内容をいつ差し押えをしたか、ひとつ御報告をいただきたいと思います。
  115. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) お話の中央観光につきましては、まず最初に差し押えを行ないましたのは昨年の四月二十一日でございます。これは法人税及び源泉徴収の所得税につきまして滞納が発生いたしましたので、強羅にあります箱根ドリームセンターの建物及び土地を差し押えをいたしたのであります。ところが今年三月になりまして、当初差し押えました税額は完納されましたので、差し押えを解除いたしたのであります。引き続いて本年五月二十五日に至りまして、新たにまた滞納が発生いたしましたので、今回は他の差し押えをしておるものがございますので、その差し押えに参加差し押えをしておるのであります。
  116. 大森創造

    ○大森創造君 その点は私の調査と大体一致しております。  そこで、次に移りますが、一体国税庁長官、この中央観光株式会社なる会社は、最近数年間の経営状況を見て一体赤なのか黒なのか。赤字会社なのか、黒字会社なのか。どういうふうにごらんになりますか。あなたのほうの申告ではどういうふうに判断されますか。
  117. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) この中央観光なる法人につきましては、昭和四十年三月期におきまして所得の申告がありました以外は、その他の事業年度におきましては、すべて赤字の申告になっております。しかしながら、この法人の過去並びに現在やっておる仕事の状況から見ますと、その申告の内容につきましては、なお注意して調査しなければならぬ点があると見受けられますので、本年七月半ばごろから再調査をいたすことにいたしております。まだその調査の結果ができ上がっておりません。
  118. 大森創造

    ○大森創造君 わかりました。  そこで、私の手元に昨年とことしの決算書がございますけれども、それを専門家に見てもらうというと、どうも粉飾決算のにおいが強いわけです。それで決算書によるというと、支払い手形が十四億かになっておりますけれども、すでに中央観光では二十億以上の手形を切っているということであります。まあそれはしばらくおきますが、国税庁のほうでひとつ、問題の法人でございますから、とにかく総理大臣以下がずっと役員である逓信運輸協会、それと間接的につながっておる問題の中央観光株式会社でございますから、これはひとつ、単に数字のつじつまを合わせて、そして調査をするというのではなくて、慎重にひとつこのケースは扱っていただきたいという要望を申し上げておきます。  次に、銀行局長にお尋ねいたしますけれども、この中央観光株式会社なるものは、恒産信用金庫だとか、それから平和相互銀行だとか、その他の市中銀行と取引がございましたけれども、いま問答いたしましたように、国税庁のほうも差し押えをする、それから労働法規を破っている、そういうことでございますから、だんだん市中銀行は手を引いてまいります。手控えてまいります。ところがここに東海銀行、先ほど申し上げましたように、東海銀行は他銀行の焦げつきを肩がわりする形において、天下の東海銀行が登場してきているわけです。内容を申し上げますと、四十年の八月に一億五千万円出ておりますが、これは秋山工務店というところの支払いに充てられております。四十年の十二月に五千万円、それから四十一年の一月に五千万円の増額融資が決定されておりますが、いま私が申し上げたとおり、国税庁は以上のような状況、労働省のほうはいま申し上げたとおり、中小企業の関係はいま申し上げたとおりでございますのにかかわらず、総額二億五千万、とにかくこの中央観光株式会社というのは資本金が二千四百万ですから、その十倍以上の融資が、他銀行の市中銀行の焦げつきの肩がわりとして融資されているという状況は、私は金融常識上おかしいと思うのですが、少し異例ではないかと思うのでございますが、いかがなものでございますか。
  119. 澄田智

    政府委員(澄田智君) ただいまお示しの東海銀行からの融資の実行状況でございますが、大体いまお話しのようなことですが、四十年の八月融資を行なったときは、これは銀行借り入れは全部で二億四千七百万円、こういう予定になっておって、そのうち東海銀行は一億五千万、こういうことでございます。その後、いま言われましたように、四十年の十二月に五千万、さらに四十一年の一月に四千九百万、こういうことで、現在融融残額として二億三千七百万ばかり残っている、かように承知いたしております。  ただいまお話のありました本件の、東海銀行の融資がやや異例ではないか、金融常識から見てどんなものかというお話でございますが、まあ結果的には、御指摘のようなことになっているわけでございますが、箱根の強羅の中小企業のためのレクリエーションの施設という、会員制のそういう施設、こういう考え方は、ある意味では非常に現在の必要をねらって、うまくそういう要望に適合したという面を持っておりまして、そういう意味でもって入会金も一時はかなり集まった、こういうことでございます。したがって、その後房州に、南房のほうに手を広げるとか、いろいろなことで、拡張の過程において手を広げ過ぎて金繰りも詰まったということもございますが、当初の計画として、事業収益等において、もし堅実に運営されれば有望であるという判断から取引を開始したのではないかと、かように考えます。また、担保等についても、担保価値は十分ある、かような判断からこのような融資を行なったものと、さように考えられるわけでございます。
  120. 大森創造

    ○大森創造君 それは、銀行局長としての答弁では非常にりっぱであるけれども、私はどうもうなずけないのです。金融常識上、ちょっと手控えるのが普通ではなかろうかと思うのです。二千四百万の資本金であって、いろいろな問題を起こしている。他銀行が手を引いた場合に、東海銀行が他銀行の肩がわりとして登場してきている面がございますので、私は金融常識上、銀行局のほうで監督の立場にありますから、定時監査を行なっているのですから、私はちょっと異例だろうと思うのですが、いかがですか、一言でいいです。少し異例だと思います。普通の場合は手控えるのじゃなかろうかと思うのですが。
  121. 澄田智

    政府委員(澄田智君) 結果は、現在不渡りを出し、取引停止で破産の申し立てを受けている、こういうことでございますので、現在、結果的にいえば、本件融資は確かに融資としては妥当じゃなかった、そうして現在焦げついている、こういうことで銀行の融資状況の検査等をいたす場合には、当然これは、この資産はこれは焦げつきの不良資産、こういうふうな判定はせざるを得ないのでございますが、融資をした経緯が異例かどうかというのは、そのときの状態の金融機関の判断として、私は必ずしもそうは申せないのじゃないか、先ほど申し上げたのもさような意味で申し上げたわけでございます。
  122. 大森創造

    ○大森創造君 一般論として、国会の場所で私がいまのように質問した場合に、銀行局長としていまのような御答弁になることも私はうなずけるのだが、私の調査したことを申し上げますというと、川越丈雄という人物がおりまして、この人は皆さん御存じだと思いますが、かつては大蔵政務次官であって、平和相互銀行の会長であった人だ。この人が中央観光株式会社の——これは銀行局長御存じないと思いますけれども、裏話を申し上げます、裏話だけれども事実でありますから。そこで平和相互銀行の会長であった人で、かつて大蔵政務次官であって昨年なくなりました川越さんは、その関係で、中央観光株式会社の役員であった関係上、平和相互銀行との取引が持たれたと、そこで平和相互銀行も、その他の銀行もだんだん手控えるようになったときに東海銀行が乗り出してきたという裏にはこういうお話がございます。これは銀行局長の答弁は答弁として了承いたしますけれども、あなたの答弁の中でも、やっぱり前半のほうはちょっと行き過ぎのような言い方ではありませんけれども、少し金融常識上ちょっと異例のような融資の姿勢、そういうニュアンスは含んでの御答弁のように私は感じましたので申し上げますが、その間の事情は重要です。いま申し上げたように川越丈雄さんがいて、中央観光の役員で、そこである有力閣僚、名前はっきり申し上げます。これは中央観光の社長自身も言明していることだし、それから当時の中央観光の経理部長の滝川さんという人も御存じだし、従業員も知っているし、それから世間に知っている人が非常に多いので申し上げます。これは増田甲子七防衛庁長官が東海銀行に対するあっせんの労をとったということであります。私は、その川越さんという人がかつて上司であって、個人としての義理上政治家として東海銀行にあっせんをするということについては別に悪いこととは思っておりません。そういうことを云々したくはございません。ただ言えることは、政治家というものは一私企業に対してそこまでのあっせんの労をとるべきかどうかということは、政治姿勢としては問題ではあろうと思います。だけれども、川越さんに対する義理として東海のほうにあっせんの労を若干とったということについては、私は大目に見てもいいだろうと思うんです。大目に見ると言ったって、私はどうかわかりませんが、世間の人はどう解釈するかわかりませんが、そう思います。そこで、そういうことでなくて問題は、官房副長官ひとつお聞きいただきたいと思うんですが、こういうことなんですね、日にちもはっきりしている。昭和四十一年の三月七日の日に、滝川経理部長が東海銀行の小切手を東海銀行東京支店に行って一千万円引き出して、そうして中央観光株式会社の社長室において小島徳司社長に一千万円の金を数えて渡したと、刑事局長おられますか、よく聞いてくださいよ。小島社長に渡したと、社長室で、場所は。日にちは四十一年の三月七日。そこでそれを受け取った、小島社長は、元代議士に立候補したことのある岩永武夫さん、当時取締役でございましたが、岩永武夫さんと一緒に車に乗って増田さんのお宅に行ったことは、これはもう証人がたくさんございます。そこで、行って一千万円包んだふろしき包みを持って、岩永武夫氏を自動車の中に置いておいて、そしてそのうちの中に入って行って、約三十分ぐらい、あるいは三十分か二十分かわかりませんけれども、この辺少しぼくは時間の多少ズレがございますが、とにかくうしろのほうから帰ってきて、お待たせしましたということで岩永武夫取締役と一緒に中央観光のほうに帰った。帰って、そうして滝川経理部長、先ほど申し上げましたお金を渡した滝川経理部長に小島社長が自分で書いたメモを出して、ただいま増田甲子七氏のところにお礼として一千万円を渡しましたという小島さん自身が書いたメモを渡しているということになっています。これは私が、全部評判のことでございますから、ただ委員会で言う、言わないだけの問題でございますので、私ははっきり申し上げます。そういうことだというと、そしてそのメモをややしばらくしてから滝川経理部長からまた戻して、小島社長はその場で破って捨てたということまではっきりしています。札を数えた人、伝票を切った人、その一千万の金は、滝川経理部長並びに会社のほうからすれば、社長に対する預け金です。社長の小島さんのほうからすれば預かり金です。その預かり金に対して、会社に帰ってから自分のメモを出した。これこれの金を増田甲子七氏に渡してまいりましたというメモを渡して、ややしばらくしてそれを戻してもらって破って捨てたということは、これはもう幾多の証人で明らかであります。伝票切った日も明らかであります。三月七日でございますから、このことは。月末に交際費の名目で落としてしまいました。こういういきさつについて、ひとつ内閣官房長官、同僚でございますからお聞きでございましょうか。どういうことなんですか。何かお知りであったらお聞かせいただきたいと思うのです。
  123. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) そういう問題、うわさ程度にはごく最近聞いております。そこで増田さんにお会いしたときに、雑談的に私聞いてみましたが、この問題について長官は、確かにあっせんはした記憶はあるけれども、金銭の授受については全くない。そういううわさを立てられているのではなはだ迷惑をしておるという話を伺っておる次第であります。
  124. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると副長官、亀岡さん、あなたは増田長官に会って、非常に迷惑である、一銭も受け取っておらないということを聞かれたわけですか。
  125. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 私自身増田さんから聞いたわけじゃございませんけれども、第三者の方にそういう話を伺ったわけでございます。
  126. 大森創造

    ○大森創造君 第三者とはどなたですか。
  127. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 総理の下稲葉秘書官です。
  128. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、まずいまのお話がほんとうだとすると、これは重大なことだと私は思うのです。増田さんがそういうことを、一銭も受け取ってないということになったらば、刑事局長、一体この金はどこへ行ったんでしょうか。私がいま申し上げたことは、それぞれ証人があるわけですよ。持っていった日にち、それから人物、そうしてそれを今度は会社に帰ってきてそして滝川経理部長に一千万円は届けてきたというメモを渡したということ、伝票を切った人、お札を数えた人、全部あるんだし、その金は会社には戻ってないことは確実です。亀岡副長官の話で、そして総理府の総理大臣の秘書の下稲葉さんかなんかの言明によって、増田さんのほうにその金がいってないというこになると、刑事局長の感覚ではこの金はどこへいったというふうに推測されますか。
  129. 内海倫

    政府委員(内海倫君) いま私直ちにそれについて推測をいたしかねます。
  130. 大森創造

    ○大森創造君 いいですか。それではもう一回申し上げますが、金はぽっといって消えちゃったわけですよ。全部証人がいるわけですよ、私のほうでは。あなたのほうでお調べになったらばすぐわかるだろうと思うのです。この金はぽっとどっかへ消えた。そうすると、常識的に考えられることは、いまの亀岡副長官の言明によって、大体間接的にではあるけれども、私も増田さんは人格高潔な人物であって、そういう変なことをしている人ではないと思うので、そうしますと、私は業務上横領じゃなかろうかと思うのです、この金が消えちゃったのですから。これはお調べになってくださいますか。
  131. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 警察としましては、犯罪の容疑があります場合は、これの捜査をいたすわけでございます。しかしながら、こういうふうな問題につきましては、在来、警察としてはあらゆる資料を集めまして、その中から犯罪の容疑がある場合におきましては捜査に入る、こういうことでございます。ただいまお述べになりました件も、もしそういう面で犯罪の容疑があるというものでありますれば、当然警察は捜査に入るものと私は考えております。ただ、こういうふうないわゆる経済取引等に伴う問題でありますから、一般的に、あるいは被害にかかった人、こういうふうな人からの協力というふうなものも必要でございますので、もしそういうふうなものがあるのであれば、私どもはそういう一般に国民の方々の協力を得るということが非常に大事であろう、かように考えております。
  132. 大森創造

    ○大森創造君 これはあとで委員長理事打ち合わせ会でひとつ相談してほしいと思うのですが、私は、増田さんが全然受け取らないということになるというと、刑事局長の答弁いかんにかかわらず、私の調査では、この一千万円の金が雲散霧消といいますか、ぱっと消えたことになるのですから、当然私は業務上横領という線が浮かび出してくるわけです。ですから、一小島徳司なり、あるいはその他の人でも、業務上横領という犯罪の段階になるわけですからね、いまの官房副長官のお答えが真実であるとすれば。片方にいってないということなんですから。しかし私は、一個人がそういう重大な犯罪の段階になるということからすれば、増田長官に——まあいま亀岡副長官お話のように、相当うわさも高いし、そういうことをあなた自身もきょうの委員会に備えて間接に聞かれたことなんだから、当委員会に参考人としてお呼びいただいて、ひとつ真相を聞きたいと思うのです。これはひとつ委員長理事打ち合わせ会で御相談願いたいと思います。  次に移りますけれども、一体この小島徳司氏なる人物は逓信運輸協会の理事長という肩書きの名刺、ここにございます、これを振り回して各所で南房シーサイド・センター、そういうものについて、この逓信運輸協会というものが佐藤榮作さんや、迫水さんや、早川慎一さんや、荒木萬壽夫さんや、それから藤井丙午さんや、政財界のお歴々が連なっているからひとつ御信用くださいというようなことを言うている節がございます。そして会員募集に当たっているという例が相当あるようであります。これは相当聞いております。私はこうなると問題だと思うのですよ。そこで、なお不思議なことに、先ほど申し上げたように、ずっと十七年間眠っていた法人が、逓信運輸協会がことしの一月十五日になって理事会やって、二月二日でもって評議員会をやって、冒頭に申し上げましたように、小島徳司氏なる人物が理事に選任されていて、そして理事長の肩書きを持っている。それが二月二日ですよ。これは刑事局長、よくお聞きいただきたいと思うのです。二月二日。そこで、八日たった二月十日の日に、中央観光株式会社名義の約束手形六枚、一枚の額面金額は五十万円でございますから、合計三百万円で、その佐藤さんやその他の名士が役員になっている逓信運輸協会なるものを買おうとしたわけです。どうもそうらしい。売買の対象にされたらしいのだ。この権威あるべき逓信運輸協会、いまのお歴々、佐藤榮作氏以下政財界の名士が名前を連ねている、役員になっているところの逓信運輸協会というものを乗っ取りにかかったらしい。その理由は、その南房シーサイド・ドリームセンターや、その他の事業計画をしておりまするので、そういうものの会員募集と同時に、債権者に対しての言いわけといいますか、信用させる材料に使った節がございます。そうでなければ、こういう逓信運輸協会なんという休眠状態の法人を買いやしませんよ。約束手形六枚、不渡りになりましたけれども、この裏の話は時間がありませんから申し上げませんが、以上私が申し上げたことは事実であります。それで郵政省の官房長にお聞きしますが、一体あなたのほうで許可をして、認可をして、監督権のある逓信運輸協会なるものが中央観光株式会社の小島徳司氏なる人物に売買の対象にされるというふうなことは、一体どういうことですか。その場合にどういう処置をおとりになりますか。
  133. 溝呂木繁

    政府委員(溝呂木繁君) 実はいま先生御指摘の小島氏なる者の行動その他は全然私どもキャッチしておりません。もし先生のおっしゃるような問題であれば、やはりわれわれの認可した公益法人がそういうようなどろまみれになるということであれば、帰っていろいろ大臣相談して、一応許可の取り消しはいたしましたが、その後の処置については相談してみたいと思っております。
  134. 大森創造

    ○大森創造君 利用価値があるのですよね。佐藤さん以下お歴々が役員になっている逓信運輸協会というものは利用価値があるから、もうすでに倒産した中央観光株式会社が利用しようとしたのです。そうでなければ、約手を六枚三百万円も振り出すはずがございません。そこで逓信運輸協会の事務局長の飯島さんという人にお会いしましたけれども、それが不渡りになっておる。それでいまごたごたを起こしているそうです。これはきのうかおととい確かめました。こういう売買の対象になるようなちゃちな、不純な、いかがわしい休眠中の公益法人なるものは一体なんだという私は憤りを持つわけです。一方では、財団、公社公団の整理だとか統廃合であるとか、隠れ法人の問題がどうのこうのという議論がありますけれども、一体内閣総理大臣以下政財界の名士その他参議院議員などが名前を連ねている公益法人が、設立当時から何にもやらないでいるということは、一体これは大きな問題ではなかろうかと思うのです。十七年間ほったらかしにしておいて、私の質問があるというその前後から八月一日、いまから八日か九日前に解散をしておいて、それで済むものであろうか。役員の責任はどこへいったのです。役員は業務の遂行に当たらにゃいかぬのですよ。あなたのほうの監督が怠慢であることから、それから役員がその職責を遂行しない、その間隙を縫って中央観光の小島氏にちゃんと利用されている、理事長の肩書きでもって。監督の強化というよりは、私は休眠中のそういう法人は解散すべし、不純なものはちゃんと解散をさせにゃいかぬ、監督を強化すべきであろうと思うのです。これは郵政省ばかりじゃありませんよ。政府関係機関全体について言えることです。  そこで私は、ここに千葉登記所のほうに届けた昭和四十二年度のいまの一月十五日の理事会と、それから二月二日の評議員会で、迫水さんが議長でそうして事務所移転の件と、小島徳司氏が——小島徳司氏はちゃんと理事に入っているのですからね、さっきのお答えはあいまいでありましたが、明らかに一月十五日と二月二日の日の役員改選のときにちゃんと理事に入っているのですから。そこで、その写しを私はここに持っている。これを見てください。佐藤榮作さんの筆跡、だれが一番……。そこで、これは佐藤榮作さん以下が新たに理事に就任いたしましたという就任承諾書の写しがございます。印鑑がちゃんと押してあります。一体これは何ですか。それから解散の指示をしたと言いますけれども、役員、佐藤さんだとか早川さんや荒木さんや、そんな人に御連絡するのがほんとうでしょう。総理大臣佐藤さんやその他の人に連絡いたしましたか、今度解散すると。その筆跡について官房副長官かどなたか御存じありませんか。
  135. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) この筆跡につきましては、総理の筆跡とは全く違っております。
  136. 大森創造

    ○大森創造君 そうするとこれはおかしなことになるのですよ。郵政省のほうで出した書類においても佐藤さん以下が役員に入っている。きょうの答弁においても入っているのですよ。郵政省のほうも。それから登記謄本に登記されたものの写しにもちゃんとそういう役員が入っている。亀岡さんの御答弁によるというと、この筆跡はいまの総理大臣佐藤さん、荒木さん以下の筆跡ではないということは確信を持って言えますか。
  137. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 確信を持って申し上げることができます。と申しますのは、これは二月になっております。御承知のとおり、政府は従来、国務大臣の兼職については組閣の終わった初閣議において、その地位の重要さにかんがみまして、営利企業等については、その報酬を得るといなとにかかわらず、一切これを認めないという決定をいたしてきておるわけでございますので、総理が、もしこの逓信運輸協会の理事の就任要請があったとすれば、総理からこの初閣議における申し合わせを破るようなことは絶対になさるはずがない、こう思う次第でございますので、また総理にも私決算委員会に呼ばれましたので申し上げましたところ、全くこの問題については自分は関知をしないというお話でございましたので、この席で申し上げさせていただく次第でございます。
  138. 大森創造

    ○大森創造君 そうしますというと、刑事局長、こういうことになりますね。これはちゃんと登記所の登記書類の写しですよ。それから郵政省のほうの公式の、私のほうに対する書類にも、役員にちゃんと書いてあるのですよ。佐藤榮作、荒木萬壽夫、早川慎一、堀木鎌三、迫水久常、その他藤井丙午、小島徳司という人物が入っているのですよ、これは。どっちがほんとうかということになる。佐藤さんは知らないということの亀岡さんの言明、これは私は信憑性があると思うのです。そうすると、この書類と、郵政省のほうに残ってきた公式書類はだれかが偽造したということになると思うのです。そうでなければ、これは総理の筆跡でないのです。そうすると公正証書不実記載、それから私文書偽造行使、有印私文書偽造行使というぎょうぎょうしい犯罪をだれかがかぶることになりますね。これは私は常識的にそうなると思う。登記謄本がそうなっているのです。郵政省の私のほうに回ってきたやつもそうだし、きょうの答弁もそうですから総理が自分であずかり知らないということであれば、そのほかの人も同様でしょう。そうなると、これはだれかがつくったということになります。いま申しましたように犯罪の疑いが持たれるわけですが、その点はいかがでございますか。
  139. 内海倫

    政府委員(内海倫君) いまおっしゃっておる限りにおいては、いまおっしゃっておるような疑問が確かにあると思いますが、御存じのように、犯罪捜査というものは、東京におきましては警視庁がこれをやるということでございますし、私がいまここで御質問の事柄についてお答えを申し上げるということは立場でないと思います。十分承っておきますので、この点は警視庁のほうにも明確に伝えておきたいと思います。
  140. 岡三郎

    岡三郎君 関連。いまの亀岡副長官が本年の二月云々と言われましたね。そうするというと、少なくとも逓信運輸協会についての理事として、総理大臣になる前に、ほかの人たちとともに理事に名前を連ねておったことは、いままでの答弁で事実ですね。ただ、それが睡眠をしておったという形があった。しかし、二月以降、総理大臣理事をやめたということについて、佐藤榮作氏がやめたということについての届け出は監督官庁にありましたか。
  141. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) 先ほどの大森先生のおっしゃいました、郵政省から大森先生に差し上げました理事の名簿でございますが、最初に申し上げましたとおり、郵政省には何ら届け出はなかったものでございます。したがいまして、登記所に登記されておる写しを差しあげたものでございます。
  142. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、こういう財団法人であろうが、いわゆる認可法人ですね、法人に対して何ら届け出も何もしなくて認可するわけはないと思うのです。いいですか。財団法人逓信運輸協会というものを認可する場合においては、ちゃんと所定の手続をもって認可願いというものを出して初めてこれは財団法人として認可するということに常識的になると思うのです。いいですか。その場合に、その財団法人逓信運輸協会の役員も何もつけなくて、のっぺらぼうで名前だけ出て、あとちょっと三下り半でもないけれども、書いて出して、そんなものに判こを押して許可するわけですかということなんです。それはでたらめだと思うのです。私が言ったように、登記謄本をとってみたところがそこに出ていた。一体それはどういうふうな経過をたどって認可をしたのですか。その点ひとつ、あなたでないけれどもあなたのほうで監督をしておるのですから、もっと具体的に説明してください。よそごとではないのです。あなた監督の責任なんだから……。
  143. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) ただいま申し上げました理事のことを大森先生に差し上げましたのは、ことしの七月現在の登記所に登記されております名前でございますが……。
  144. 岡三郎

    岡三郎君 設立当初のやつだよ。
  145. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) 設立当初におきましては、十七年前でございますが、二十五年の五月に認可申請書が提出されまして、設立の許可を、同年の十一月に許可しておるわけでございます。もちろんこれは当時の電気通信省令に定めますところの添付書類を付しまして認可申請をいたしておるわけでございます。
  146. 岡三郎

    岡三郎君 その当時の書類はありますね、いま。
  147. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) だいぶ昔のものでございますので、しかも電気通信省から郵政省に移管されたわけでいざごます。全部ありますかどうかよく調査いたしたいと思いますが……。
  148. 岡三郎

    岡三郎君 私は、それは監督も不行き届きだけれども、非常に怠慢だと思うのです。私はそうでなくして、あなたは知っておると思う。現実に知っておると思うけれども、それを出すというと事態が明確になるので、それはうまくないということで、私は隠なしておるというふうに、憶測ではなくて私は判断する。いいですか。きょう、この問題が聞かれるということは、すでに決算委員会の議題にもなっておるのです。議題は逓信運輸協会の件について、大森君が質問することになっておる。そうするというと、その電気通信省がどうであろうが何であろうが、少なくとも監督官庁として現在まで生きていた逓信運輸協会についての書類というものは散逸すべきものでもなければ、死んでしまって睡眠からなくなってしまうならば形は別だけれども、現実に八月一日までこの団体として、財団法人としての命を持っておる、その書類をいま調べてみると、あるかどうかわからない、あるようだけれどもという答弁では私は聞こえません。明確に答弁してください。
  149. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) ないと申し上げたのではございませんで、実はございます。しかし全部そろっておるかどうか、ちょっと私自身記憶がございませんので申し上げたのであります。
  150. 岡三郎

    岡三郎君 全部そろっておるか、そろっていないかは、議題として委員部から連絡を受けて、本日大森君が逓信運輸協会の件について質疑をするのだ、こういうふうに連絡にいっておるときに、手元に書類があるべきはずのものが、そろっているか、そろっていないかわかりませんけれども、あります——私に言われていま初めてあなたは、ございますと言ったのです。それまではあるのかないのか、さっぱりわからないことを言っておる。書類はそこにあるんじゃないですか。私はそういう点について、これは前の共和製糖と同じように、質問に対する答弁の姿勢というものは、まことにいいかげんだと思うのです。あるならある。ないならない。これだけあるはずだと言うのに、まるで自分が所管しているのにだれかが所管しているような、そういう無責任な私は答弁のあり方というものについては、これは先般、亀田決算委員長政府に対して厳重に注意を喚起したばかりです。われわれの質問は、いま大森君が急いでいるけれども、時間の制約がある中で、不審であるからやっているわけですよ。この短い時間に対する答弁としては、まことにずさんである、無責任である、私はそういうように思います。そういうようなことから考えていくと、私は亀岡副長官に言いたいのですが、どういうように閣議が決定したかどうか別にして、この逓信運輸協会の寄付行為、これは会社の定款に当たるものです。こういうものの二十条によれば、理事の任期は三年、任期満了後といえども、後任者が就任するまでその職務を扱うとなっているわけです。そうするというと、生きているならば当然辞職願いが出て、そうしてその後任者が決定するまでは、あくまでも当初の理事理事として職務を執行するようにこの協会の寄付行為、これは定款に当たるものですが、その中の二十条に明確に書いてあるわけです。したがって、私はここで何を言いたいかといえば、この協会に対する監督が十七年間もほとんど行なわれていないという、この事実は、やはり郵政とか運輸の大ものが、先輩が理事ということで名前を連ねておるということにやはり問題があったのじゃないかと思う。大ものがおるがゆえに、その機関に対して忠告めいたことを言うと、何か差しさわりがあるんじゃないかというような、そういうことから、この十七年間放置していたものが、小島徳司なるものによってこれが悪用されつつ、現状においていま審議されているというように思うわけです。そういう意味において、やはり監督官庁というものは、そういうような小島徳司にこういう機関が、法人が悪用されるということについて、それによって中小企業者が目をくらまされて多額なる金をシーサイドホテルあるいはドリームセンターか知らぬけれども、そういうものに金を集めさせるための一つの大きな便宜供与というものについて、これが登場してきているというところに私は大きな問題があると思うのです。いいですか。そういう点において佐藤総理の、当時は総理ではなかった佐藤榮作代議士の責任というものも私は売れぬと思う。そういうようないいかげんなものならば、当然これは明確にカットして、これを消滅させるなら消滅させるということをやっていかないと、そういうことをやはりはっきりしないために、これが幽霊のようなものが生き返って登場してきている。しかも、それによって中小企業者がたいへんな金を巻き上げられて、これがすでに倒産して、現状においてその償還がなされない。しかもその中において、いま大森君が言ったように、増田防衛庁長官が、この小島徳司なる観光会社に対して融資あっせんをするということ、あるいはいま触れられておらぬが、川島正次郎氏が箱根のドリームセンターの開所式の四月一日の日に、わざわざ自分の元の秘書であった根本米太郎氏というのが中央観光の重役をしておった、そういうコネがあったのでしょうが、前に副総理の川島正次郎氏が箱根の強羅のドリームセンターの開所式に行ってほめたたえているわけです。ほめたたえている。これはまことに有意義であるし、りっぱな仕事だと、しかもそのあとにおいて、小島徳司なるものがいろいろと宣伝用のものをつくって、その中に川島正次郎氏を顧問というような名前に振りかえて、そうして中小企業者のところから多額の金を巻き上げて、すでにこれは計画倒産のような形になっておる。私はこういうような面について、その問題は単なる一つの金融の問題とか、あるいはいま言ったような問題でなくして、根本的に言って、やはり政治姿勢として、これは前に大きな問題がやはり東京で起きましたね、東京大証の問題ですか、東京大証の問題も、これも多額なる手形を振り出して、不渡りにして、そうして暴利をむさぼって、大衆庶民に迷惑をかけて、そうして、しかもそこに堂々と自民党の有力なる大臣その他が列席して、そうしてこれをほめたたえて、有能なるいわゆる人物である、近代まれなる事業家である——ここに大衆をごまかすというところの大きな穴がある。そういう財団法人とか、いま言ったような人々まで融資あっせんをするとか、いろいろな角度の中においてその事業というものを助長することによって、大衆に大きなそこに落とし穴というものをつくっている。この政治の実態というものについて、私はやっぱり大きな責任があると思う。だから私は、佐藤総理なり、その他やはりこの問題については政府自体が、昨年来黒い霧問題に関連してえりを正すと言った。ところが、政治資金規正法を扱ってみれば、まるで過去に何にもなかったようにこれを弊履のごとく捨て去って省みない。しかもいまここに再び——これはほんとうに佐藤総理としてはかすり傷ですよ。かすり傷だけれども、具体的にそれを悪用して天下に堂々と中小企業の零細なるものの金をしぼり上げていくという、この事実の中にやはり事態というものを、明確にこの政治姿勢としてその問題を正していかなければならぬ問題があると思うのです。私は、そういう点でいま亀岡さんは、総理がいかにも兼職しておらぬということを言っているけれども、定款上から見ても、この逓信運輸協会が八月一日やめたといっても、これは現在いわゆるやめたといっても、現在清算段階に入っているわけですよ。いいですか。取り消したってすぐ取り消しができるものではない。財団法人というものは清算というものがあるわけです。その清算段階において、役員というものは清算人として残るというのが社会通念です。そういうものについて、はっきり私が言ったように、いま亀岡さんの答弁では納得できない。そういう答弁ではなくして、いま言われたことは、そういう登記所に書いてある字が本物かどうかということではなくして、私はそういう人間だから何をするかわからぬと思う。そういう形の中で実態としてそういうものに利用されるような、そういう財団法人逓信運輸協会というものが、全くいまの政治の一つの大きな象徴として、これはやはり追及されるべきものだと思うのです。これはわれわれが財団法人をつくってやってごらんなさい。何にも書類も出さなければ、財産目録も出さなければ、何にも知らなければ、すぐ呼び出されて、一体おまえたちは何をしているのだ、取り消しますよと、こういうふうに出てくるのがいまの現状だと思う。ところが大ものがそろうというと、まるで十七年間睡眠法人というようなことで答弁しておって、まことにけしからぬ。何が睡眠協会なのか。財団法人睡眠法人とかいって、そういうばかげたものを持っているということ自体が、いまの政治の大きな問題です。そういうことをしてしゃあしゃあとして、書類かあるのかないのかわからぬ——私は以上で終わりますが、これは絶対にはっきりしてもらわなければ困る。
  151. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 大森君、予定の時間が三時十五分まで、ただいま岡君の関連質問で若干君の時間は延びましたが、集約的にひとつ発言をしてほしいと思います。
  152. 大森創造

    ○大森創造君 申し上げますが、私の調査した限りでは、初めから、佐藤榮作さんはじめお歴々も昭和二十五年設立当初から役員であったということ、この書類は郵政省のほうにちゃんと保管してあるということですね。そこで、この委員会で正式な手続を踏めばお出しになるという言明をされている。だから私は、委員長理事のみなさんにお願いしますが、いま同僚の岡さんが言われましたように、事柄が重大だから、いまの官房副長官の答弁だけでは済まされない問題でございますから、ひとつ原本を出してもらいたいということです。申請当時の一括書類、原本をひとつお出し願いたいということです。これは運輸省のほうではすぐ出すと言っていますよ。この程度の書類ならすぐに秘書がいっても右から左にすぐ出しますよ。共和製糖のときのようなあぶないやつは隠すことになっている。隠せばおかしいというのですよ。こんなものは右から左に出してしかるべき種類のものです。そこで偽造があるかどうか知らないけれども、これは現在まで、いまの岡さんの議論でも、佐藤榮作さん以下が、理事会とか評議員会はことし開いていないのが実態ではないか。迫水さんは議長をやってないので、だれかが議長をした。したがって、この業務を継承しているわけですから、現在でも、昭和二十五年当時から現在まで佐藤さん以下の人が役員であるという事実を私は推定する。この推定に私は間違いないと思う。そうなると私はたいへんな問題であろうと思います。そこで設立当時の申請処理の一括書類を出してもらうということが一つ。  それからもう一つ重大な問題があります。これだけひとつお聞きいただきたいと思う。こういうことはできません、普通の中小企業では。というのは、六月二十二日に不渡りで倒産いたしましたけれども、五月十日の日に、東京信用金庫江戸川支店が振り出し銀行で三十万円、そして支払い銀行が平和相互銀行の本店の営業部であるということでございますけれども、実はそういうことで三月末日にすでに取引解約しているのですよ、平和相互銀行は。ところが、またこれが復活しているということがあるのです。そしてまた今度五月十九日かに取引停止処分になりましたよ、手形交換所において。これは非常に悪質な問題であるということで、不渡りとしては非常に悪質でございますので、これは取引停止処分になったものが、またその取引停止処分が復活をして、五月十九日から六月二十二日に文字どおり倒産するまで、一貫して命が延びたことに相なりまするけれども、金額は三十万とか、この芸当ができるのはこれは平代議士じゃできませんよ。こんなことが許されるならば、日本の中小企業は倒産なかったです。それにもかかわらず六月二十二日に倒産したということ。これは時間がありせんから申し上げませんが、こういう芸当ができるのはまず日本国じゆうにあまりありませんよ。これはあとでひとつ機会を見てよくお調べいただきたいと思うんです。  それともう一つは、いま岡さんが言われましたように、清算事務ができてないはずです。清算事務ができてない。当時の設立当初の基本財産は百十三万円でありますから、そういうものの清算を佐藤榮作さん外お歴々がやらなければいかぬ。そういう残務が残っておりますよ。時間がありませんから申し上げませんけれども、まあ国民協会の村田五郎さんも顧問です。川島さんも先ほどのお話のように顧問です。その他、もう私の調査では十何人か有力な国会議員が——一年生、二年生の国会議員でない、有力議員がこれに何らかの形で関係をしております。だから、繰り返すようでありますけれども、政治資金規正法がこうなって日の目を見ないでまたしぼんでしまったということ、こういう根っこがここにあると思うんです。私は、こういう問題を決算の議題でないなどと言う人があるかもしれませんけれども、何かちゃんちゃらおかしい政策問答ですか、右いっても左いってもどうでもいいようなことを時間をかけてやって——政策問答するならば、私は政治姿勢が重大な問題だと思う。心根の問題ですよ。悪事をたくらむ者はいかほど抽象的な政策問答をしても生きてきません。予算委員会でもって予算とは一見関係のないような政治姿勢の問題がしばしば問題になりますけれども、これは当然もう決算委員会においてもそういう政治姿勢の問題についてメスを入れなければいかぬと思います。そうでなければ、私は一切の予算の行使、決算というものの意義がなくなると思いますので、あえてきょうは逓信運輸協会なるものを提起いたしました。  そこで、副長官に最後にお尋ねいたしますが、いままでのいきさつにかんがみて委員長のほうに、増田長官を本委員会に参考人として呼び出す、これをお願いしたいと思う。それからできるならば佐藤榮作さん以下の人から、間接的でなくて、発言してもらいたいと思う。これは重大問題ですから、私の推測では設立目的がりっぱなので、とにかくそういう顔ぶれがずっと初めから載っていたのですよ。そうして十七年間ずっと眠っていて、そこでこう妙な株式会社の社長に利用されていたわけですから、これはやっぱり大きな責任があろうと思う。この方々にも、間接的ではなく、ひとつ当委員会に参考人として五分間でもいいからお臨みいただきたいと思う。そうでないと、法的に私文書偽造とか、行使とかという犯罪が成立することになりますから、私はやっていただきたいと思うし、とにかく妙な人間が入り込む余地があったわけですよ。だから政府の面目において、自民党の面目において告訴を提起していただきたいと思います。政府、自民党、これはいろいろ関係ありますから、告訴を提起するということでないと私は納得しませんね。告訴を提起していただきたいと思うのですが、それについて副長官の御答弁いただきたいと思います。
  153. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 大森委員の御趣旨よく理解できますので、政府といたしましても、さらに検討を加えまして、私だけできめかねる点もございますので、善処いたしたいと思います。その点御了解いただきたいと思います。  と同時に、ここで岡委員お話もございましたので申し上げさしていただきたいと思いますことは、設立当初から理事就任の承諾を与えたことがないという当時のお話をこの際つけ加えさしていただきたいと思います。
  154. 岡三郎

    岡三郎君 それはいつから。
  155. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) これは昭和二十五年当時です。
  156. 岡三郎

    岡三郎君 いやいや、総理が理事として承認を与えたのはいつか。
  157. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) その理事就任の承諾をこの逓信運輸協会なるものに与えたことはない、こうはっきり申されておりますので……。
  158. 大森創造

    ○大森創造君 最後に一言申し上げますが、まだまだ私残っております。増田さんの問題にしてもいろいろ問題がありますよ、不審の点は。私はここで無責任な放言はしたくございませんから、あなたのほうでも虚偽の答弁をしてはいけませんよ。機会はあとでもございますから……。そうして、官房副長官のお答えはそれとしてお聞きしておきますが、ひとつ郵政省なりに原本があるはずですから、申請当時の原本を見れば一目りょう然なはずだ。これをひとつお出しいただきたい。先ほど申し上げたとおり、運輸省は出してもよいと言うし、私の感覚からすれば、右左に出してしかるべき書類です。解散命令は、国会で問題にされてからあわてて八月一日に出したのです。これはおかしいですよ。十七年間眠っていて八月一日に解散を命ずるということは、大体落弟坊主がしりひっぱたかれて、あわてて何かするということにひとしいですよ。亀岡さん、八月一日、私の質問がそれより二週間前に委員長を通じて届いているのですから、そうして調べてみたら八月一日に解散を命じたのだから、これ一つ見てもおかしい。そこで、その段階においてすぐ出したのですが、あなたのほうで原本を出せばよくわかるのですから、私の言うことがほんとうであるかうそであるか。初めから佐藤榮作さんがだれかにごまかされておったものか。そうだとは思えない。だからこれは原本を出してもらいたい。これは参考人の召喚の件を押し問答してもしようがありません。その申請当時の一括書類、その原本を出してもらいたい。その程度のものを出していただけないならば、ますますおかしいと思います。告訴もすべし。
  159. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 委員長のほうから申し上げます。  郵政省のほうから協会の設立当時の書類、これを資料として提出いただけますね。結論だけでいいです。
  160. 溝呂木繁

    政府委員(溝呂木繁君) はい、出します。
  161. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 刑事局長のほうには、先ほどのお答えでは業務上横領になるかならぬか、あるいは文書偽造というものがあるかないか、そういう点については自分としては直接ここで言うことをはばかる、しかし、この事態を警視庁のほうにお伝えをする、こういう趣旨のお答えがありましたが、この警視庁に連絡をとってもらって、警視庁における取り扱いの結果というものを、質問者なり委員会に対して報告をしてもらいたいと思います。よろしいですね。結論だけでいいですよ。
  162. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 捜査にもし着手いたしますならば、その支障のない範囲においてはお答えできると思いますが、いずれにいたしましても、私がいまここで直ちにどうこうということをお答えいたしかねますが、先ほど申されましたように、警視庁のほうには、私はきょうのすべての問答をされましたことは、一切を伝えておきます。
  163. 亀田得治

    委員長亀田得治君) そこで、伝えるのですから、警視庁においていかに取り扱ったかを、この委員会で正式に問題になったわけですから、その扱いの結果を報告をしてもらう、よろしいですね。
  164. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 私から伝えました事柄を、どう扱ったかということについては、お答え申し上げます。
  165. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それから要求がありました増田防衛庁長官なりあるいは佐藤総理大臣の出席の問題等につきましては、きわめて重要なことでもありますので、理事会で十分御相談をしたいと思います。委員長の一存ではちょっと計らいかねると思います。  以上で大森君の質疑を一応終了いたします。
  166. 柴谷要

    ○柴谷要君 最初に本日予定しておりましたが、時間がありませんので、急遽変更をして質問の要旨を緊急問題に切りかえました。と申し上げますのは、実は衆議院の予算分科会で問題になりました政府と日通との食糧輸送をめぐっての問題の討議が行なわれたのでありますが、これが中途はんぱに終わっております。これがために疑惑を国民に投げ与えておりますので、決算委員会を通じて明確にしたい、かように考えて準備をいたしておりましたが、時間の関係上できませんので、この点は、次回に譲ってゆっくり時間をとり質問をいたしたい、かように考えますので、本日は食糧庁に対して資料の要求だけいたしておきたいと思います。  まず第一に資料の要求は、昭和四十二年度の輸送費の予算総計、それからその内訳。内訳は、玄米輸送、それから輸入米の輸送、外国産小麦の輸送、その他に分かれていると思いますので、この内訳を明白にしてもらいたい。次は、支払いの方法でありますが、これは四十一年度の実績を報告してもらいたい。月々支払っておるのか、四半期別に支払いをしておるのか、この支払いの方法。第三点は、国鉄に支払っておる額と、そのほかに入出庫費用、それから通運料金、地場料金、乱袋手直し料、それに資材費、小出し横持ち料、仕訳荷役費、看貫荷役費、こういうふうに大ざっぱに分けて費用が計上されているわけです。これらについてひとつ明確に金額を表示したものをぜひ資料として早急に御提出を願いたい。委員長、以上の資料を請求をいたしますので、食糧庁に確認をいたしていただきたい、かように考えます。
  167. 馬場二葉

    説明員(馬場二葉君) ただいまの御要求の資料につきましては、とりまとめまして後刻提出いたしたいと思います。
  168. 亀田得治

    委員長亀田得治君) いつごろまでに出ますか。
  169. 馬場二葉

    説明員(馬場二葉君) わりあい内容が多岐にわたっておりますので、数日間の猶予をいただきたいと思います。
  170. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは、食糧庁できるだけ早くお願いをいたします。  それでは質問の要旨は変わりまして、一昨日の未明でございますが、八日の未明に、新宿駅構内で発生をした油輸送の貨物列車の炎上事故について、国鉄並びに運輸省に少しく質問をいたしたいと思うのであります。  一体この事故は、どうして発生をしたのか、事故原因について、ひとつ説明をまずお聞かせをいただきたい。
  171. 林武次

    説明員(林武次君) 現在まだ原因調査中の状況でありますので、一部推定が入りますが、私どもがいま考えております原因について、事故の推定原因を申し上げます。  ぶつかりましたのは、二四七一という下りのタンクの貨物列車に、二四七〇という上りの石灰石の列車が横っ腹にぶつかったわけでございますが、その石灰石の上り列車が、場内信号機の停止信号を誤認したものと思われます。その状況を簡単に申し上げますと、まず場内信号機が停止信号になっておりまして、その手前の信号機が警戒信号機と私ども称しておりますが、二十五キロの制限速度の信号になっております。その前の信号は、減速信号と称しまして、速度を落としなさいという信号になっております。上りのその石灰石の貨物列車の動力車乗務員は、その減速信号並びに二十五キロの警戒信号の両方を認識をいたしまして、まず減速信号のところでブレーキの手配をいたしまして速度を落としました。それで、警戒信号と申しますのは、速度制限が二十五キロに押えられておりますので、その場所を通過するのにいまの状況では少し速度が高くなるかもしれぬ、二十七キロぐらいになるかもしれぬということで、さらにそこでブレーキを使用いたしました。その直後に場内信号機の手前三百七十メーターの個所に自動列車停止装置、ATSの地上子というのがございますが、その場内信号機が赤であるという表示がございまして、乗務員がそれを確認をいたしましてブレーキの手配をとったんでございますが、速度が落ち過ぎたために、列車の停止位置を適正にするために、そこでブレーキを一たんゆるめてしまいました。そこで次に場内信号機の停止信号を認めましてブレーキをかけたんでございますが、空気ブレーキの空気のこめ方が不足であったために、ブレーキのききが悪かったということで、場内信号機の赤をおかしましてずるずると入っていってぶつかったものであるというふうに、いまのところでは推定をいたしております。多少専門的になりますが、そういう推定をいたしております。以上でございます。
  172. 柴谷要

    ○柴谷要君 いまの説明は、ほんとうに概略な説明で、これはまあ専門家以外にわからぬ。これは時間で申し上げますと、八日の一時四十三分発の二四七〇列車、これは上りでございますね。ところが一時四十九分着二四七一列車という列車があって、この間が六分間間隔しかない。六分しか間隔がない。しかも、この六分の間に、この二四七一列車というのは到看をして、そうして六分後には発車をしなきゃならぬ。ところが下り列車は、この六分間の間に、六分以前に到着をして、六分間そこでとまって、六分後に発車と、こういうわけにはいかない。というのは、一時四十三分発の列車がクロスするわけでありますから、この列車が通過をしてしまったあとでないと入ってこられない。この列車が通ってしまったあと入ってきて停車をするには、三分三十秒かかる。そうするというと、六分間間隔があっても、実際の停車時分というのは二分三十秒しかないわけです。こういう列車のふくそうしてる状態ですから、少しブレーキを誤れば、これは当然追突するのはあたりまえなんです。なぜこのように過密ダイヤを都心の、副都心といわれておる新宿の構内に、このようなことをしておかなければならなかったかという原因、この理由ですね、これを少し聞かしてもらいたいと思います。どう考えたって、六分間の間に着発をしなきゃならぬ。しかもその間にこの列車というものは交差をする。並行線をたどってるなら、上下線が並行線をたどってるなら、一向に心配ありません。ところが、クロスをして、つまり発車をし、今度は到着をしてくる、こういう状態なんです。ですから六分間の間に、 つまり入ってきて通過をしたあと、下りが入ってきて停車をする。その停車するにはどうしても三分三十秒はかかる。ということになりますというと、停車時分は二分三十秒しかない。こういうことですから、ほんとうにわずかな時間の間に、問題というものは処理されなきゃならぬ。こういう過密ダイヤが、今日、その東京周辺を取り巻く各駅で行なわれているということについては、全く危険な状態にあると私は思う。これを国鉄当局はどうお考えになっておられるか、ひとつその点をお聞かせいただきたいと思います。
  173. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) 先生のお話しのように危険品の輸送というものは、かなりふえているわけでございますが、これを私どもとしてはできるだけ安全な方法で輸送するということには、従来から意を用いているのでございますが、ただこういう、たとえ危険物といいましても、都市生活と密接な関係のある物資の輸送をやめるということは、これはできない相談だろうと思います。東京都内だけでも相当の、こういう燃料の輸送は、タンクローリーなり、あるいは鉄道輸送でやっておるわけでございますが、これをやめるということは、私は不可能だろうと思うんでございまして、できるだけ安全な輸送によってやるということで考えておるわけでございますが、まあいまの現状でそういうことをやめるということは不可能だろうと思います。したがいまして、いま先生御承知のとおりに、こういう輸送につきましては、大体京浜地帯から発進します輸送は、南武線なり、あるいは山手線、中央線というような各ルートを通ってやっておるわけでございますが、こういうルートの輸送を、いま直ちにやめるということはできませんが、将来外環状線というようなものができますれば、都心を通る危険物の輸送というものは少なくなるわけでございまして、できるだけそういう方向に持ってまいりたい。バイパスの武蔵野線の完成を促進することによって、こういう問題はある程度解消できるのではないかと思いますけれども 現状ただいまでは、すぐやめるということにはならないと思うのでございます。
  174. 柴谷要

    ○柴谷要君 それは確かに国鉄の輸送というものは、重要な任務を帯びておりますから、危険度があるからといってやめるわけにはいかない、こういうお説は、まあごもっともと思うのですけれども、しかし、新宿で起きたような事故が、これから起きないと断言はできないと思う。そのくらい過密ダイヤだ。しかも、私は心配いたしますのは、実は石油輸送のタンク車は昭和三十年のときには二千二百十五両くらい輸送をしておった。ところが四十一年には、これが六千両にもふくれ上がっている。というと、三倍近い状態になっておる。ところが新宿の駅は、御承知と思いますが、最初は旅客貨物併用の駅であった。ところが、三十四年三月に貨物重点の駅に変更をしております。それがために貨物取り扱いについては、多少旅客のほうに重点が移っておるという事実、こういう事実の上に立って、私は先ほど申し上げましたように、三倍以上のつまり石油運搬あるいはガソリン運搬のタンク車というものが三倍にもふえてきておる、こういう状態ですから、いやが上にも危険度は増してきておると思う。その危険度を増してきておるものを、今後一体国鉄は再びこういう問題を起こさないというために、どういう対策を確立をしていこうとしておるのか。その問題についてひとつ詳しくお聞かせをいただきたい。
  175. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) お話しのとおりに、昭和三十年から考えますと、非常なふえ方をいたしておりますが、私どものいまの考え方は、輸送そのものに伴う危険をできるだけ少なくするということで、貨車には一々危険品の表示をいたしまして、これは危険品だぞということがわかるようにして、取り扱いの慎重を期しておりますし、ダイヤにつきましても、できるだけ深夜でありますとか、あるいは昼間の込まない時間、そういう点に重点を置いてダイヤを設定しておるわけでございます。この点につきましては、輸送上はできるだけ安全な方法をとりたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。なお技術的ないろいろ事故防止の問題については、林理事から説明いたします。
  176. 林武次

    説明員(林武次君) 事故防止対策の問題について申し上げますが、ここ数年来、事故防止につきまして、特に保安設備の整備につきましては、踏み切りの整備を含めまして大体年間三百億程度の工事費をかけまして、保安設備の充実につとめてまいりました。問題になっておりますATSの自動列車停止装置につきましては、昨年の四月、四十年度一ぱいで全国二万キロの全線区に約百六十億の経費を投じまして、全部これができ上がっております。今後の問題としましては、当然このATSの自動列車停止装置に対する取り扱いにつきまして、従来からも乗務員にそういう指導をいたしておりますが、さらに徹底的にATSの表示があった場合には、必ずブレーキをかけてとまるということをさらに徹底をいたしたい。それからさらに進みましては、自動信号化あるいは継電連動化その他踏み切りの整備等の保安設備の充実につきまして、今後とも従来以上に努力をいたしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  177. 柴谷要

    ○柴谷要君 林常務のいまの説明で、ATSが百六十億もかけて全線にできた、こういうことであれば、私はこのATSの効力が未然に新宿のこの事故を防いでいるはずだと思うのです。ところが、なぜこれが防ぎ得なかったかというところに、これは問題があるんじゃないかと、こう思うのです。それは新聞を見ますと、運転士なり助手がブレーキ操作に誤りがあったということで、勾引をされて、いま取り調べを受けておりますけれども、これは私に言わしめれば、ATSの取り扱いについて、本社の指令どおりにやったがために事故を誘発していると私は思うのですね。これは間違いであればけっこうですが、本社からの指令どおりにやったためにこの事故を誘発していると、私は想像せざるを得ないんですが、この点はいかがでございましょう。ひとつこの点をお聞かせいただきたいと思います。
  178. 林武次

    説明員(林武次君) 本社の指令と申しますか、私のところの運転取扱規程によりますと、ATSの表示があった場合には、まずブレーキをかけてから確認をしろという規定になっております。今回の事故を調べてみますと、そのとおり実施いたしておりません。そういう状況でございます。
  179. 柴谷要

    ○柴谷要君 このATSが動いて、そうしてそのベルが鳴る、機関士、乗務員にこれが徹底をするということになると、即時に停止をして次の処置をすると、こういうことになれば、正直のことを申し上げて、いまの山手線などは運行できますか。私は山手線の運行なんかできないと思うのです。それは二分間隔の運転もあれば、一分二十秒なり十五秒ぐらいの運転間隔になるんで、これはATSはしょっちゅう乗務員に警告を与えていると思うのです。ブザーが鳴っていると思うのですが、そのつど停車をしておったら、それこそいまのラッシュアワーがますます混乱を来たして、朝の輸送などはおそらくできないんじゃないかと私は思うのです。そのためには、特殊な便法が乗務員に指令されていると私は思うのですけれども、これは私のひが目かどうか知りませんが、この点はどうなんですか。実際に言明できるんですか。これが非常な問題だと思うのです。これによって乗務員の責任の度合いというものが相当違ってくると私は思いますので、この点をぜひ明確にしていただきたいと思います。
  180. 林武次

    説明員(林武次君) 山手線は、現在一番のラッシュアワーで二分二十秒間隔の運転をいたしておりますが、赤信号が出た場合に、その手前、場所によって違いますが、約三、四百メートル手前に地上子を置いておりますが、その地上子のところで赤信号が出れば警報が鳴り、そのまま五秒放置しておきますと、自動的にブレーキがかかるようにできておりますが、乗務員が次の信号機の赤を確認いたしまして、確認ボタンを押して、そして手動ブレーキによってとまるというようなことにいたしますと、いま先生のおっしゃるような、そのために非常にダイヤが乱れて、二分二十秒の運転ができないということは絶対にございません。
  181. 柴谷要

    ○柴谷要君 私はこのATSが活動をして乗務員に警告したと、それによって手動に切りかえて、そして減速運行をしたと、こういうことは私は先ほど申し上げましたように、六分間隔の運転であるからゆえに、停車時分が三分三十秒かかって、残されたあと二分三十秒で発車しなければならない、こういう短い時間で操作をして運行している列車の中では、当然手動に切りかえて運転をしたものと私は思うのです。それが誤ってこの追突の原因を起こしたというふうに思うのですが、その点は、常務理事はどういうふうにお考えになっておるんですか。私の推定でこれは申しわけございませんけれども、そういうことでこの事故が発生したとすれば、これは私は常務員自体が、今日山手線の運行なりあるいは非常にラッシュアワーに混雑しております沿線の運行をしております諸君が、日常行なっていることを行なった、こういうふうに私は解釈をしているわけですが、そのようなことは全くなく、この自動安全装置の操作をきちっと守っていさえすれば、事故というのは絶対起こらないんだ、また新宿の事故も防げたのだ、こういうふうにお考えになっておられるか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  182. 林武次

    説明員(林武次君) いま柴谷先生の最後におっしゃいましたとおり、ATSの扱いについて私どもが指示しておりますとおりに実施しておれば、この事故は起こらなかったというふうに私は考えております。
  183. 柴谷要

    ○柴谷要君 それからジェット燃料ですが、これは非常に危険度が高い。特に引火点はマイナス十三度という低いもので、軽い衝撃でさえも爆発すると新聞が伝えている。それほど危険なものなんですから、衝撃を与えるということによって爆発の可能性がある、こういうふうに思うわけですけれども、それに対する対策というものが、十分国鉄としては考えられているんですか、この点についてひとつお聞かせをいただきたい。
  184. 林武次

    説明員(林武次君) いま先生のおっしゃいました引火点マイナス十三度、私のほうの調べたのでは引火点〇度になっておりますが、大体ガソリンと灯油との間ぐらいの性質を持っている油のようでございます。それで私どものいま使っておりますタンク車は、両側に鏡板と称するまるいところがございます。あすこの厚さは十二ミリの鉄板を使っております。それから胴は九ミリのかなり厚い鉄板を使っておりまして、普通自動車のタンクローリーに使われております鉄板の厚さから見ますと、三倍ぐらいの厚さの鉄板を使っております。十分安全を保たれておりますし、それからもし途中で何かございまして、油の取り出し口等が故障をして、それが外へ油が漏れるということのないように二重装置をしておりまして、タンク車の一番底にあるバルブを締めまして、そこから分かれております油の管がもし折れても、そこについておりますコックがこわれても油が漏れないというようにできておりますし、現にこの間新宿で起こりました事故で四両が脱線しておりまして、四両目と五両目のタンク車は、外に油をかぶりまして燃えておりますが、中に入っている油は全然燃えておりません。ただ三両目につきましては、機関車がぶつかってその胴に穴があいたものですから、そこから油が漏れ出して、それに引火して燃えたのでありまして、ほかの四両目、五両目につきましては、外側は火をかぶって燃えておりますが、中身の油は全然異常なかったということで、かなり安全にできているというふうに考えております。
  185. 柴谷要

    ○柴谷要君 国鉄の事故というものは、一たび発生いたしますというと、たいへんな国民に迷惑をかける、あるいは人命を損傷するという大きな事故になっているわけなんです。そういう実情ですから、特にこの事故の問題については、国鉄当局並びに職員との間においても、特に労働組合との間においても、事故対策委員会というものをつくられて、そうして今日まで鋭意努力をしてきている。しかし、この委員会がはたして何回ぐらい開会され、しかもその中でどういう問題が強く討議され、今日実現をされてきたか、これらの問題について、ひとつ詳しく説明をしていただきたい。
  186. 林武次

    説明員(林武次君) 組合との間の事故防止委員会をつくりましたのが、三十七年の三河舟事故のあとでございます。それから現在まで、はっきりした回数を私覚えておりませんが、二十数回事故防止委員会を開催をいたしております。一番最初は、現在私のところは大きな労働組合が国鉄労働組合、動力車労働組合、新国鉄労働組合、大きな組合が三つございますが、その三つ合同で、実は当局といわゆる労使を超越しまして、ほんとうに国鉄の事故を防止するためにはどうしたらいいのかという、ひざを突き合わせて、たとえば従事員の指導問題をどうするかというふうなこと、あるいは従事員の休憩室あるいはその他休憩室をはじめとします職場環境をどう改善したらいいかというふうな問題であるとか、それから先ほど申し上げましたような国鉄の中におきます保安設備、これをどう持っていったらいいのかというふうな整備の方針等につきまして、その二十数回の委員会で討議をしてまいりまして、それを保安設備整備の方針、あるいは職場環境の改善というふうなところへ反映をしてやってまいったわけでございますが、不幸にして、途中から一部の組合がこの事故防止委員から脱退をいたしまして、現在では国鉄労働組合と当局との間で事故防止委員会を継続しておるような状態でございます。
  187. 柴谷要

    ○柴谷要君 現在輸送しておりますガソリン、いわゆるタンク車の下り、いわゆる立川行きの輸送の状態は、私が先ほど申し上げたような数字がおそらくまあ三倍以上にも増加しておるわけでありますが、これはもう立川基地に向かっての輸送であると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  188. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) 横浜地帯からの問題は、大体拝島その他の基地のものがかなりありますけれども、それ以外に一般民需といたしまして、たとえば中央線経由で行きますものは、長野方面への一般物資の民需用のものがかなり多うございます。まあ駐留軍のものはかなりありますけれども、大体まあ中央線なり山手線なり南武線なりを経由します中で、中央線のものは大部分は民需用のほうが多いと思います。
  189. 柴谷要

    ○柴谷要君 この事故対策委員会のほうで、特にそのまあ労働組合側の主張としては、米軍輸送の燃料タンクは南武線経由でもって輸送してもらいたい。それはまあ非常に都心の危険なところを通らせるよりも、多少まあ安全度の高い線区であるから、南武線を通せと、こういう主張もかなり続けられてきたけれども、当局はこれをがんとして聞き入れていないと、こういうようなニュースが入っておるんですが、これはいかなる理由で御当局はそういうふうな考えでおられるのか。まあ、これが南武線経由だったらば、あるいは新宿のような事故は起きなかったのじゃないかと思われるんですが、この点についてひとつ御答弁を願いたい。
  190. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) 横浜地帯から拝島地区に行きまする輸送ルートとして、中央線、山手線両方使っておるわけでございますが、現在は南武線もタンク車輸送のために全然使っていないわけではございませんで、南武線二本、それから中央線二本というかっこうでございます。で、なぜ全部を南武線を経由しないかという御説もあろうかと思いますが、現在は南武線の輸送力が、まあ有効長の関係だとか、南武線自体の有効長の関係とか、両端の輸送帯の問題・中継作業の問題、そういったことから若干南武線をいま直ちに増強してやるというわけにはまいりませんので、中央線を経由しておるわけでございますが、将来南武線が線路が強化されまして、ある程度輸送ができる、可能な状態になりましたらば、さらに南武線のほうに回すということは考え得るというふうに考えております。
  191. 柴谷要

    ○柴谷要君 まあ新宿の事故が発生をしたからというわけではないと思いますけれども、この種の危険度が非常に高まってきておるという今日の段階の中で、油輸送についてはパイプラインを設定をして、そうして基地に送り込もうと、こういう計画が駐留軍側にもあり、またそれを歓迎する、運輸省のほうにも、これに対してまあ一面考え方があると、こういうようなうわさが流れているのでありますが、これらの問題について運輸省がそういうことを考えておられるか、あるいは米軍から折衝を受けたことがあるか、あるいは積極的に今後そういう方向に持っていくように努力をしようとしておるのか。これらの点について、ひとつできる範囲のことをお聞かせいただきたい。
  192. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 運輸省といたしましては、パイプライン等につきましては、一応話はいろいろ研究しておることは聞いておりますけれども、輸送方式として運輸省でこれを取り上げるべき問題ではございませんで、これは研究問題としては考えておるわけでございます。また、鉄道によりますガソリンその他の燃料輸送につきましては、専門輸送列車を設定するという方式に、こういったものは切りかえまして、当然そういった専門列車輸送にしますると、注意力も集中できますし、扱い方も非常に能率的でもありますし、そういったことにつきましては、近い将来に実現するように、国鉄とも話を進めておるわけでございます。
  193. 柴谷要

    ○柴谷要君 まだまだ先のようなお話でございますから、当面やはり、依然としてまあこの過密ダイヤの中を危険をおかして輸送を続けていかなきゃならぬ、こういう実情にあると思うのでありますが、これはまあ新宿構内という非常にまあ広い地域で、幸いに風向きもよく、地理的にもよい場所で発生をしたがゆえに、まあ大事に至らなかったとは言いませんけれども、まあガソリンを燃やしたという程度で人命に損傷がなく、あるいは人家に飛び火することなく問題を解決しているわけでありますが、あれがですね、一たび新宿を離れた他の地域、他の駅、あるいは昼間等に発生をした場合には、これは東京都に及ぼす影響というものは、非常に大きなものがあると思うのです。こういう問題を他に置きかえて考えて、十分な対策を立てるお考えはお持ちになっておられますかどうか。この点をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  194. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 先ほど来国鉄側からも意見を、考え方を申し上げておりまするように、過密ダイヤをかかえております大都市並びにその周辺の輸送につきましては、今後これにつきまして十分なる配慮をいたしたいと思います。当然、危険物の輸送につきましては、都心経由というようなものは極力これを押えるようにいたしたい。そのためには、まあ旅客輸送と競合をいたしますのを、極力旅客線と貨物線との分離ということも考えなきゃなりませんし、また新線の建設ということになりますると、これはまた非常に時間も経費もかかることでございますけれども、せっかく東京周辺におきましては、現在鉄道建設公団におきまして建設に着手をしております武蔵野線、京葉線、あるいは小金線、こういった線を、なるべく早くこれの完成を見るようにいたしたいと思う次第でございます。
  195. 柴谷要

    ○柴谷要君 これは皮肉を申し上げるわけじゃありませんが、自民党の委員の先生はお一人しかいないわけだ。それで、単なる新宿に発生した事故は、国鉄の責任だと言えば言い切れるかもしれませんけれども、これは国鉄ばかりの責任じゃなくて、政府当局の責任でもあるわけだ。それをささえている自民党の委員各位の理解にもあると思う。ところが委員長、このようなぶざまな状態で、質問をしているにも全く私は残念だと思う。こういうときに与党議員諸君にも、十分その実態を知ってもらって、そうして今後における事故対策というものは、ほんとうに政府自身も真剣に考えないというと、たいへんなことになると思う。そういう点から、これは国鉄当局に、もちろん今回の問題は、あげて国民からは何たることだというおしかりを受けていることは明らかでありますが、これだけでは済まないと思う。あげていま新年度の予算要求等もしておりますけれども、その予算の要求というのは、一体どういうところの予算の要求だ。あるいは、こういう問題が発生しないために、国鉄当局なるものは予算の要求をしていると思う。こういうものを与党の議員諸君も十分聞いてもらって、こういうことを再び起こさないように、やはり真剣に考えなければ、何のために決算委員会を開いてこういう事故対策なんというものを質問をし、理解をさせるようにしているか、こういう点なんです。私は何も国鉄の肩をもって言うわけじゃない、国鉄にも欠陥がある。この欠陥は、指摘をして直していただきますけれども、それだけでは直し切れない現状だと思う、今日の情勢は。だから、これは全く遺憾だと思うのです。きょうはこれはやめます。こんな決算委員会なら私はやめます。しかし、あらためてまた私はやりたいと思う。でありますけれども、最後に、特に国鉄当局が出席をしておりますから聞いておきたいのですが、猛火の中であのいつ爆発するかわからぬという状態の中で、あの貨車の切り離し作業なんということは、普通の人には考えられないことなんです。超人的な、何といいますか、操車場魂と新聞に書いてありました。まさしく新聞はいいことを書いてくださったと思うのですが、その気持ちがなければ、いつ爆発するかわからぬ危険なところへ飛び込んでいって、貨車の分離をして延焼を防止するというようなことは、一体できるかどうか。そればかりか、飯場にいる労務者の諸君が、非常な協力をしてくれた。これらのことについて、一体国鉄当局は今後どういう措置をとっていこうと考えておられるか、これをひとつ聞かしてもらいたい。
  196. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) お話しのとおり、あの危険な環境の中において貨車を切り離し、事故の拡大、災害の拡大を未然に防いだということは、これは全く私は国鉄魂の発露だと思います。おっしゃるとおりだと思いまして、非常に感謝をしているわけでございますが、ぜひこれは関係の者を表彰といいますか、そういうことに取り計らいたい、こういう考えでございます。
  197. 柴谷要

    ○柴谷要君 たいへん八つ当たりのようなことを言ってきましたけれども、次回にまたこういう問題については十分ひとつやっていきたい。また、認識をしていただくためにやるということで、きょうは質問は終わりたいと思いますが、最後に、きょうはまだ聞きたいこともたくさんあるのですけれども、時間が制約されておりますので、これで中止いたしますけれども、先ほど私が申し上げたように、自動安全装置を取りつけたから、こういう事故は起きないのだという安心感をもって事に当たられては、今回のような事故はどこにも発生するのだ。こういうことを十分ひとつお考え願って、再びこういう事故の起きないような対策を確立されるように、特に現場に働く諸君の意見等は尊重していかれることを切望しておきたいと思います。別に組合の代弁者ではありませんけれども、労働組合としての事故対策については、真剣味をもって今日対処しているようでありますから、単に組合の言うことだからというようなことではなしに、一度は耳を傾けて検討するという雅量をもって事故対策には当たっていただきたいということを要望して、私は時間が来たようでありますから終わりたいと思います。
  198. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは、柴谷君の質問はこの程度にいたします。  五分間休憩します。    午後四時十五分休憩      —————・—————    午後四時二十分開会
  199. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは委員会を再開いたします。黒柳君。
  200. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間ももうおそいですし、ちょっと暑いですから、私も要点だけを質問さしていただきます。答えのほうも簡明にお願いしたいと思います。  私がこれから取り上げたい問題は、千葉県の船橋にありますいわゆる若松町団地、こういう団地のことですが、これは公有水面を埋め立てまして、現在住宅公団が持っております。大体六万坪、六万二百九十坪。朝日土地という業者がこれを払い下げ受けたのが四十一年の一月、その時点においては一万一千八百五十円でした。これが日本住宅公団が取得した四十一年八月八日には二万五千円になっている。わずか半年の間に坪単価が倍以上に上がっている。このような関係のある土地です。しかも、これにまつわって、私が調べたところによりますと、朝日土地、払い下げを受けた業者、しかも日本住宅公団に売り渡した業者、それと千葉県、さらには住宅公団が非常に疑惑に満ちた取引をやっているんじゃないか、こういう感じがしますものですから、このようなことについて質問したいと思います。  まず初めに、この土地は、いまも申しましたように公有水面でございますが、まず大蔵省の国有財産局のほうにお伺いしたいと思います。これは決算委員会においてもたびたび問題になりましたが、この公有水面、これは国有財産ですが、この管理及び埋め立ての処分、取り扱いの問題、これは当然慎重に扱われなければならないと思うのですが、そのことと、また朝日興業土地株式会社、これは本決算委員会においてもまた種々問題をかもした会社ですが、この国有財産である公有水面の取り扱いの問題、もう一つは朝日土地についての状況ですが、その二点についてお話し願いたいと思います。
  201. 近藤道夫

    説明員(近藤道夫君) お答えいたします。  いわゆる公有水面、すなわち海、川、湖その他公共の用に供せられておりますいわゆる公有水面は、国有財産法上、国有財産法第三条に規定されております公共用財産である国有財産であります。したがいまして、言うまでもなく国有財産でありますので、その管理は厳正に行なわれなければならないというふうに考えております。その管理でございますが、公有水面のうち、たとえば河川法とか海岸法とか、その公有水面について特別の管理法規があります場合は、その管理法規に定められております法律に従って、またそのような管理法規の適用のないものにつきましては、いわゆる法定外公共物としていずれも建設大臣が管理をされることになっております。われわれのほうは、そのような公有水面その他法定外公共物の管理について、従前とも適正を期しておったのでございますが、法定外公共物等、現行法体制でなお管理の内容基準が明確でないもの等につきましても、現在建設省とお打ち合わせの上、今後とも管理の十全を期してまいりたいと思っております。  それから、お尋ねの第二点、朝日土地興業でございますけれども、これは先ほど先生御指摘のとおり、当決算委員会におきましても御審議になりました、いわゆる虎の門公園のあと地の問題だと思うのでございますが、簡単に経緯を御報告いたしますと、御存じのとおり虎の門公園のあと地は、株式会社ニューエンパイヤモーター会社と国の間で昭和二十八年以来係争があったわけでございます。しかし、昭和三十八年に至りまして国との間に和解が成立いたしまして、その和解に基づきまして、国は同社に三十八年七月そのあと地を売り払いました。面積は約一千百坪でございます。その後ニューエンパイヤモーターは社名を変更いたしまして、エンパイヤ興業株式会社となり、さらにいま御指摘がありました朝日土地興業という会社に吸収合併されました結果、その土地の所有権は、いま朝日土地興業のものになっております。ただ、国がその土地をエンパイヤモーターに売り払いましたときに、所有権を移転いたしましてから五年間みずから所有し、その用に供しなければならない、いわゆる転売、転貸禁止を契約の特約事項としております。その特約事項は、その会社を吸収合併しました朝日土地興業を当然拘束いたします。したがいまして、ただいま国としましては、その特約事項が誠実に履行されるかどうかに深い関心を持っているということでございます。御指摘のとおり、朝日土地興業の内容そのものについては、私つまびらかにいたしません。国と朝日土地興業の間にいま申し上げたようないきさつがあったということは、事実でございます。
  202. 黒柳明

    ○黒柳明君 あらかじめ簡明にと、こう御要望したのですが、要するにこの公有水面の埋め立てについては適正にやらなきゃならない。管理、処分について厳正を期さなきゃならないと、またこの朝日土地興業というものは決算委員会で問題になった会社であると、このように私は認識したいと思います。  そこで運輸省港湾局長及び建設省河川局長の名前で、昭和四十年九月一日、公有水面の埋め立ての適正化、こういう通達が出ておりますが、ただいま若松町の埋め立てに関して、この通達に違反している事実があると、このように思うわけですが、この事実について認識、確認している状況を運輸省のほう——政務次官いらっしゃいますね、大臣がお出にならないのですから、お願いしたいと思います。
  203. 金丸信

    政府委員(金丸信君) 第四十九回の国会におきまして、千葉県の手賀沼の埋め立て地、これは建設省の所管でありますが、当初の埋め立て目的の遊園地と違った用途、いわゆる住宅用地に供せられるということで問題になっておったと思いますが、これを契機といたしまして手賀沼の問題のみならず、公有水面埋め立て全般について、埋め立ての適正化の徹底になお一そう配慮すべきであるとの観点から、この通達が公有水面埋め立ての免許経営者に対して出されたものであると思います。
  204. 黒柳明

    ○黒柳明君 私がいま申しましたのは、この通達に、この若松町地区の埋め立ての状況ですね、これが通達に違反している事実がある。ただいま確認している事実があると思いますが、それをお述べ願います。
  205. 金丸信

    政府委員(金丸信君) それは局長から。
  206. 宮崎茂一

    説明員(宮崎茂一君) 港湾局長宮崎でございます。  御指摘の埋め立ては、港湾区域内の公有水面の埋め立てでございまして、これは千葉県知事から申請がございました。港湾管理者の長でありますところの千葉県知事が許可したものでございますが、全体で十七万九千坪の申請がございました。公共用地と遊園地にするという目的でございましたが、その後いまの違反している事実、この通達につきましては、免許権者に対しまして用途変更する場合の適正化ということを、行政指導をいたしたわけでございますが、この埋め立てにつきまして約三千四百坪程度の部分がこの局長通達、行政指導の通達を忠実に守っていないという問題がございます。
  207. 黒柳明

    ○黒柳明君 この船橋の若松町埋め立てにつきまして、六万坪住宅公団が保有している中の三千四百四坪、これは明らかに通達違反である。通達が出されたのは四十年の九月一日、この竣工認可が四十年十月二十五日ですから、いま局長さんおっしゃいましたように、通達が出されて一カ月、二カ月近く後に竣工許可がこの三千四百四坪に対してあったわけですが、それに対して、この部分は通達違反である、こういうことは確認されるわけですけれども、自治大臣にお伺いしたいと思いますが、要点だけで、いまここで過程を抜かしておりますので、ちょっとわかりにくい場面があるかと思うんですけれども、公有水面の埋立法ですね、これは明らかに、国が地方団体の長、県知事に対して免許の権限を委託している、このように思うわけですが、このときにおいて県知事に対する大臣の監督のあり方、これはどのようなものになるでしょうか。
  208. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 御承知のように、地方自治法の百五十条におきまして、国の事務につきまして、地方公共団体の長にいわゆる機関委任をされた場合におきましては、その受けました地方公共団体の長は、主務大臣の指揮監督に従わなければならないということでございますので、私の報告を受けておりますところによりますと、この御指摘の三千四百坪余につきましては、通達の言っておるところと違反しておりますので、その面におきましては、まさに知事は主務大臣の指揮監督からはずれておったということが言えると思うのでございます。もちろん、千葉県知事のとりました理由は、いろいろあるようでございますけれども、少なくとも地方自治法第百五十条等から考えますれば、千葉県知事のとった処置というものは、主務大臣の指揮監督からはずれておったということは、事実であろうと考えております。
  209. 黒柳明

    ○黒柳明君 政務次官にお伺いしたいと思いますが、この通達は何を受けて通達したか、もう私申すまでもなく、要するに公有水面の埋め立てが適正化を欠いておる、その適正化を促進するための通達である。しかも、この適正化を促進するというものは何を受けているかというと、ここにも明記されておるように、公有水面埋立法第二十七条第一項及び第二項、この規定を受けてこの通達が出されているわけです。私も内閣の法制局及び本院の法制局にいろいろ意見を求めました。この通達違反ということは、公有水面埋立法二十七条に違反するということにもなるのじゃないか、こういう意見を求めましたら、確かに違反と見られる事実もあると、こういうような答弁が来たわけですが、そうなると、いま自治大臣がおっしゃいましたように、主務官庁は運輸省ですから、運輸大臣の監督下にあるわけです。それに対して違反したということは、当然、主務大臣の運輸大臣として、千葉県に対して警告を発すべきじゃないか、こういうように思うのですが、いかがでしょうか。
  210. 金丸信

    政府委員(金丸信君) 御案内のように、十五万坪以下につきましては、地方の知事が裁決できるわけでありますが、十七万何千坪ということですから、運輸大臣の認可を得てやるということになっておるわけでございます。そういう点で、一部行政の監督の届かなかった面もあったと思いますが、本省へ帰りまして、この問題について通達をすべきであるかどうかという問題について、ひとつよく研究をいたしたいと考えております。
  211. 黒柳明

    ○黒柳明君 その埋め立てたところは十四万三千坪ですけれども、私が問題にするのは、公団がいま持っている六万坪、その中の三千坪が通達違反、二十七条違反の疑いがある、こういうところなんです。ですから、十何万坪というところを私は云々しているのじゃございません。ですから、初め私が申しましたように、住宅公団が取得している六万二百九十坪だけを私問題にしている。また、これが三千四百四坪が埋立法二十七条違反、また、六万坪全体に問題がある。この問題はこれから言うわけです。ですから、十四万坪の中の三千坪、小さいじゃないかという感覚で聞いていただきますと、ちょっと話が食い違ってくるのじゃないかと、こう思うわけですけれども住宅公団の六万坪、なかんずく三千坪が通達違反、埋立法二十七条違反、さらに、この六万坪の問題にこれから入っていくわけですから、ひとつそういう意味でお聞き願いたいと思いますが、それについて何かありますか。
  212. 宮崎茂一

    説明員(宮崎茂一君) ただいまの港湾局長と河川局長の通達に、これは行政指導でございますので、今後とも十分に、この埋め立て免許権者でございますところの港湾管理者の長に対しまして、行政指導を強化してまいりたいというふうに考えております。
  213. 黒柳明

    ○黒柳明君 政務次官、けさの九時三十分からこの問題はお聞きになったと思いますけれども、ぼくはこれに一カ月かかっておりますから、政務次官これは詳しくないと思いますが、若干御答弁食い違っておりますけれども、この法の二十七条違反ということになると、行政処分だけじゃうまくないわけです。これはうまくないわけですから、政務次官お帰りになって、法制局あるいは内閣法制局あたりとよくひとつ相談なされて、二十七条に違反するということになれば、これは警告だけでは済まされないと、こういうことになると思いますから、その点の御答弁をいま願ったわけです。  今度は住宅公団の総裁にお願いしたいと思いますけれども、いまの若松地区六万二百九十坪ですね。それが、先ほど申しましたように四十一年の一月、朝日土地に払い下げましたときには一万一千八百五十円、それが、住宅公団が二万五千円、しかも、四日前、四十一年八月四日には千葉開発公社が二万円で払い下げて取得しているわけですね。この事実を御存じでしょうか。四日前に二万円で千葉開発公社が朝日土地から六万二百九十坪払い下げを受けた。しかも、四日たって、今度住宅公団が、五千円坪単価を上げて二万五千円でこれを取得している、こういうことですが、まず、四日前に千葉開発公社が朝日土地から二万円で売却を受けておると、こういう事実を御存じでしょうか。
  214. 林敬三

    参考人(林敬三君) いま御指摘の事実は、こちらでもその直後にいろいろとそういう話が耳に入ってまいりまして、承知をいたしております。
  215. 黒柳明

    ○黒柳明君 その直後に、入って事実を承知していますって言いますけれども、ここに若松町団地関係資料、日本住宅公団、マル秘、こういう資料を見ますと、若松町団地用地買収経緯について、その一、その二とある。その二に、公団は四十年六月以降、地元千葉県との間に意向打診及び折衝を続けた、こういうことがあるわけです。四十年六月から千葉県と、この土地について、この土地を買う、買わない、あるいは価格の問題まで話したかどうか知りませんけれども、そういう折衝を続けているわけです。その折衝を続けている公団が、四日前に千葉開発公社、これは千葉県ですね、それが買った事実を知らない。あとで知ったというのはおかしいじゃないですか。四十年六月から折衝している。ちゃんとここに書いてある。それを八月八日取得した。その八月四日に二万円で買ったことがあとになって知ったということはどうもおかしいですよ。どうですか。
  216. 稗田治

    参考人(稗田治君) 千葉県とこの土地につきましていろいろ交渉が重ねられておったと申しますのは、将来できる操車場の位置あるいは防潮堤の高さがどういうようになるか、その負担がどういうふうになるかというようなこと、それから埋め立て地でございますので、先ほどお話もございましたように、遊園地という現在の状態でそれが住宅地としてこちらが使用可能かどうか、そういうようなことの折衝を続けておったわけでございます。  なお、この公団が取得する前に朝日土地のほうから千葉県開発公社のほうに移りました事情につきましては、実はこの土地につきましては、朝日土地興業株式会社のほうから売り渡しの申し出があったところでございますけれども、地元県との了解が、いろいろその他の事情でございますので知事のほうに照会いたしましたところ、この団地の住宅建設については支障がない。なお、この土地は県の開発公社が近く買い受ける予定であるから、同公社から買い受けられたい、そういう文書の回答をいただいたわけでございます。そういうようなことで、同公社が朝日土地から買い受けたあとに公団が開発公社と契約した、こういうような事情でございます。
  217. 黒柳明

    ○黒柳明君 ですから、四十年の六月から一年くらいにわたって、たとえどの問題についても折衝してきたんでしょう。しかも千葉開発公社が譲り受けるから、それから買ってもらいたいという文書ももらったんでしょう。そうなれば、当然四日前に開発公社が二万円で買ったという事実を知らないなんということはなおさらおかしくなるじゃないですか。たとえ何を折衝したって、何を話したって、要するに折衝してきたこの土地の問題について、当然買うということも含めての折衝だと思いますよ。まして開発公社から譲り受けなさいという、受けたらどうかという文書までもらっているなら、四日前に開発公社が二万円で買ったということを、四日後二万五千円で買った後に知ったなんということはちょっとおかしいじゃないですか、どういう理屈で考えても。
  218. 林敬三

    参考人(林敬三君) 四十年の初めころからこの話はあったようでございます。ようでございますというのは、私の着任前から、それからだんだんと具体化しましたけれども、いま稗田理事から申し上げましたように、いろいろこの土地を使うについては問題があったわけでございます。問題というか、心配な点がありました。そこで県当局とこれは折衝いたしまして確かめたわけでございます。そしていずれの問題点もまたこちらでも調査いたしまして解決がつくという見通しを得たので、これを買うことにしたわけであります。ちなみに、その値段の点も、これは県とではございませんで、その朝日土地興業との間に当初からずっと値段の点の折衝もございました。そしてこちらでもいろいろ近傍類地の価格を調査いたしました。また第三者鑑定機関の手も経まして、妥当な価格として二万五千円というところを出して、向こうと話がつきましたわけでございます。そこで、その二万五千円でこれを買うということは、お話のように折衝でずっときまったわけでございます。ただ向こうは県があそこを埋め立てをやるわけですが、同時に埋め立ての事業を施行する業者、これがいわば共同事業みたいにして埋め立てをやっているようでございます。そこでそれを共同事業をやった会社に県が払い下げるというのは、いわば客観的な世間の相場で払い下げるのではなくて、一応原価計算といいますか、あるいはそういう共同事業者に対する対価の支払い的な意味も含んだ価格で県は払い下げをし、また、それを用途を変更して第三者に売る場合には一たん県なり、県と一心同体である開発公社というものに戻して、そしてそこで処置をつけて第三者に売るということになっているようでございまして、そういう関係で、いわば共同事業者みたいに県とそれから土地会社との間にどれだけでこれを払い下げた形にし、また、どれだけでそれを買い戻すことにするかということについては、公団は全然関知しておらないのでございます。したがって、それをやりまして、こちらが買いましたあとで、具体的にいま御指摘のような数字で移動があったということを知ったわけでございます。もとよりその前においても買い戻すときは、きっとそれより安く買い戻して、こちらできめた値段よりは安く買い戻して、そうしてその差額は地元の公共団体に公共施設費として出すという話はこちらの耳にも入っておりますが、具体的に幾らで払い下げて、また幾らでこれを買い戻すということは、県と土地会社の間の話ということで、こちらでは関知していない次第でございます。
  219. 黒柳明

    ○黒柳明君 いま総裁のおっしゃることは相当矛盾がありますけれども、その矛盾は若干あとで話し合いたいと思います。  要するに、わずか四日間で二万円を二万五千円にしなければならなかった、こういう裏があるわけですね。いま若干、総裁はちょこちょこおっしゃいましたけれども、要するに、昭和四十年の六月、これは千葉県の県会における県知事の発言です。その議事録です。もういまは総裁が近傍類似地の価格、あるいは鑑定というものがあって二万五千円が妥当だと、こうおっしゃられたのですけれども、すでに四十年六月から二万五千円で売らなければならない。要するに、住宅公団が買わなければならないということがきまっていた。  「昭和四十年の六月、昨年の六月でございますが、」と、これはもう友納県知事の発言です。「六月に公団ならびに朝日土地から、(この土地は若松町の土地です。)この土地を、朝日土地の営業状況が、非常に悪くなって、金融引き締め等の関係で金繰りがつかなくなって、倒産とまではいきませんが、非常にあぶない状況になった。そこで、遊園地をつくろうという計画どころか、財産処分をして資金繰りをしていかないと会社の前途が非常にあぶなくなっておるというようなことで、住宅公団側に対して、この問題になっております六万何千坪の土地を二万五千円で売却をする下話をいたしました上で、県にこれを了解してくれという話があったわけでございます。」と、もうすでに四十年六月に、朝日土地から日本住宅公団に二万五千円で買ってくれと、こういう話があったということを、住宅公団からも県に対して話があったという県知事の答弁です。さらに、どうして四日間で二万が二万五千円になったか、要するに、坪単価五千円上がって、六万坪で五千だから三億上がった。それに対して千葉県知事は何と言っているか、ここに書いてあります——これは二万五千円で住宅公団に売るとするならば、五千円分だけ朝日土地に対して利潤を認めてやる、こうなるのです。そこで、「いまの二万円で開発公社が買い戻して、そして住宅公団に二万五千円で売却をしたわけでございますので、そこに約三億円近い利差益が出るわけでございますが、それを船橋市に交付したわけでございますが、」と、こう言っている。ですからこの六万坪の土地は朝日土地が四十一年の一月に払い下げを受けて、二月十九日にはすでに三井不動産に十二億で抵当に入っている、十二億で。それでここに遊園地から住宅にしなければならない。そのためには船橋市がうるさい。ちゃんとここに書いてあります、船橋市が非常にうるさいということを。これも県知事の話です、県会の答弁です。地元船橋では、この地区は住宅地としては適さないといって非常に、住宅公団は住宅地として認定することにいやがっている。こういうように書いてある。要するに、その船橋市が住宅地には適さない、この船橋市を何とか納得させるために特別交付金を三億やらなければならない、こういう友納県知事のあからさまな話なんです。そのためには、四十一年の一月、朝日土地が取得して、二月の十九日、すでに三井不動産に対して十二億で抵当に入っている。この十二億を朝日土地は何とかして出さなければならない。そのためには、坪単価二万で六万坪で十二億、さらに県側としては船橋市に特別交付金をやらなければならない。そうでないと、住宅公団は住宅を建てるわけにいかない。その分として四日間で二万から二万五千、この五千が六万坪で三億、これを船橋市に特別交付金としてやったんですと、こういうことがあらかじめきまっていた上の売買じゃないんですか。ですから、いまおっしゃいましたように、近傍類地とか、あるいは鑑定書とかおっしゃいますけれども、この四十年六月から二万五千円にしてくれと頼みにきている。二万から二万五千円で三億浮いた——六万坪の三億、これは船橋市をなだめるための特別交付金としてやらなければならないから、計六万坪を二万五千円でなければ十五億にならない。十二億は三井不動産の抵当、三億は船橋市の特別交付金にしてくれという県知事のお話です。もうこういうことはさまっているんですよ。ですから、わずか四日の間で五千円も単価がつり上がって住宅公団が買わなければならなくなった、こういう事情がうしろがあるのですから、背景が、バックが。そうなりますと、これは住宅公団は、いつもの例ですけれども、非常に用地買収取得が高い、こういうことの結論になると思うのですが、どうでしょうか。
  220. 林敬三

    参考人(林敬三君) 私が着任いたしましたのは四十年の八月一日でございます。そのとき引き継ぎを受けて担当者から聞きました。これは東京支所で取り扱っております。そのときにここの問題がありました。それから値段についてたしか主張が三万円以上というような主張もある。それでいろいろとこちらで近傍類地その他でやって、二万五千円ぐらいだったら妥当な価格というところで妥結するだろうということで、そこで標準価格が一つ出てきた。しかしながら、ここについてはちょっとさっき稗田理事から申し上げましたように、あそこは高潮が参りましたときにこれを防ぐ高い防潮堤というものが必要である。そういう防潮堤の高いものをつくるようであっては、こちらは家賃が高くなり地代が高くなってどうにもなりませんから、これは断わる。それからそこに操車場が入ってくる。操車場が入ってきて、あの先にできて、がたんがたんとあの町との間を遮断するようなぐあいになりますと、これはまた住宅地として困るから、もしそういうことならやめよう。それからあそこの近くにサーキットがございます。これの音響、そのことがはたして住宅に適するか、それよりひどいものか、これもよく調べなければならない。かたがたここがいわゆる遊園地と、公共用地ということになっている。これはほんとうに埋め立て免許権である知事がこれを住宅にするということをするのかどうかというようなことで、千葉県と折衝を始めたわけでございます。そこで四十年の上半期にすでにきまっていたということではないのでありまして、何にもそこでこれだけの値段でこういうふうにして買うと決心していたわけでなく、私参りましてから、むしろそれらの点はよろしいという条件にならなければ買えないということであったわけでございまして、かたがた、それと前後いたしまして、不動産研究所からの鑑定を取り、不動産銀行からの鑑定を取りまして、そうしてこの話をきめていったわけでございます。そこで値段は二万五千円、あとは条件が整えばということであったところが、千葉県側からあとの条件全部整う、こういう意向が、回答がありまして、こちらの見通しもつきましたので買収をすることにしたわけでございます。そこでいわゆる当時の時価といたしましてあそこの二万五千円は高くも安くもないというこちらの認識で二万五千円としたわけでございます。ところがさっき申しましたようなぐあいで、一たんそれを県が朝日土地に払い下げて、それから今度それを一たん県の開発公社にバックする、こういうことをやって、そうしてこちらに来たわけでございます。それでそういうことも、また開発公社が買い戻すからそれから買ってくださいという公文書が参りまして、こちらはそれに応じて買うことにいたしたわけでございます。なお、そのときにいろいろ話を聞きますと、やはりいまの四日間で三億じゃないかというお話でありますが、これはやはり共同事業者みたいな土地会社がこれが遊園地とか公共用地にするならばということで一万一千円で払い下げる。そうしてそれが二万五千円で売れたのでは——時価二万五千円といいましても、ほかの用途に使っていく第三者に売る場合というときに、その会社だけはそういう利益が入るということは妥当でないということで、一たん県関係機関に戻して、そうしてその中からある程度の利益というものはその会社に見てやる、そうしてあとのところで船橋市のいろいろの関連公共施設にお金が要りますので、そちらにつけてやることにして千葉県は処理する、かように了承している次第でございます。
  221. 黒柳明

    ○黒柳明君 ですから、この県知事のおっしゃったことを認めますか、この事実は、そうであると。
  222. 林敬三

    参考人(林敬三君) いまの速記録お読み上げになりましたが、何とも私いまここで即答はできないのでございますが、いま私が御答弁申し上げたような意味において県知事の言ったことを了承すると、こういう認識でおります。
  223. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあいつもそういうような答弁されまして、なかなかこう、そうだなんとおっしゃらない総裁であることは十二分に承知ですけれども、要するに、その三億という利幅を船橋市に交付金としてやれば、住宅公団が住宅を建設することを船橋市が認めると、こういうことなんですよ。そうなると、また千葉県は千葉県ですよ。住宅公団住宅公団でしょう。要するに、住宅公団としては、いつもおっしゃいますように、なるたけ安い土地を買って、そうしてそこに住宅を建てて必要者に供給する、こういう役目がある。だから、千葉県のことなんか考える必要ないのじゃないですか、千葉県がたとえどうしようとこうしようと。ところが千葉県としてはどうしても船橋市に対して交付金をやらなければ納得しない。ということは、こういうのはお家の事情なんです。向こう側の事情なんです。住宅公団としては明らかにこの三億だけはこれは高いですよ、どう見たったって。そういうところを買わされたと、買ったと、しかもその話が私はまだ着任前だとおっしゃいますけれども、四十年の六月からもう出ている。二万五千円にしてくれと頼んできているとちゃんと書いてありますよ。言ってありますよ。答弁してありますよ。それが最終的に二万五千円という数字になった。それじゃその間偶然に二万五千円に——住宅公団と朝日土地か頼んだのか四十年六月——そうなったのかというとそうじゃない。なぜかならば二月十九日に三井の抵当に入っている。これは御存じだと思いますよ、十二億で。このことを知っているならば、当然船橋市に対して三億円やらなければならない、十五億で売却するためには二万五千円で買わなければならないと、こういうことですよ。ですから、まあこれ、やりくりしますと長くなりますから……。総裁はどっちみち、そうですとお答えになるわけないのです。そういう過程がここの県知事の答弁から出ている。もしこの県知事の答弁がおかしいといったら、県知事を参考人としてお呼びするよりほかない。それで県知事がほんとうに住宅公団、朝日土地から頼まれたのやいなや、船橋市に対して三億の交付金をやらなければならない、そういうつもりで住宅公団に対して二万五千円で売ったのかどうかというようなことを県知事からはっきり答弁してもらわなければならない。私はあくまでもそうであると断定したいし、また認めざるを得ないのです、この客観情勢として。まあそれはともかくとして、もう一つ問題をしぼっていきますと、いまの運輸省がおっしゃった三千四百四坪、これは明らかに竣工認可前ですよ。これを含んでの交渉じゃないのですか、この点はどうですか。
  224. 林敬三

    参考人(林敬三君) 買収価格の点については、千葉県と船橋市とそれから朝日土地と、この関係の中が、どういうふうにどうそれが処理されるかということは、公団としては直接タッチしない、そうして妥当な第三者としての価格というものをきめて、そうしてこれで適切であるという判定のもとに二万五千円というところで買いました次第であります。その内部の特殊事情、そういうことについて特別の考慮を払ったという事実はないのでございます。  それから埋め立ての件でございます。これは公団としては実際知らなかったことでございます。埋め立て免許権者が知事で、知事が大丈夫やりますということで、それを信用してこれを買収した次第でございます。
  225. 黒柳明

    ○黒柳明君 ですから、何かいうと近傍類地、鑑定書が適切だといいますけれども、はっきりここは通達違反、もしかすると法違反ですよ、そういう埋め立てならば、そこを含んで交渉してきたんでしょう、そういうことを知らないで済まされますか、運輸省では、違法、通達違反だといっている。それを含めて千葉県と朝日土地がぐるになったか、だまされたか、交渉してきているのです。さっき言ったことは一歩譲れないけれども、残念だが時間がありません。それに対するやりとりできないけれども、この土地を含んでこういうことをやってきているのです。これは明らかに違反の土地じゃないのですか。
  226. 林敬三

    参考人(林敬三君) この点については、さきにもいろいろと埋め立ての適正化についての行政指導の線に反する、こういうお話がありましたが、私どもこれを取引いたしますときは、知事が埋め立て権者であって、国の委任された機関として、そうして適正な措置をやり、また用途変更についても適切な措置をやるのが知事でございまして、それが差しつかえございませんと、こういう文書をよこしておるのでございますので、それを信用した次第でございます。
  227. 黒柳明

    ○黒柳明君 それを信用したといっても、ここに土地登記簿がある、公有水面であることは御存じでしょう、公有水面に対してどういうふうに処置しなければならないか、この適正化の通知を知っていますか、当然知っているでしょう、こんな子供の計算でも出てくる、違反したことが。これは全部知らぬ存ぜぬ、あとになって知ったからというわけにはいきませんよ。もしかすると、この土地は法的にも違反になるかもしれませんですよ、先ほどからそれも含めてくどいようですけれども、なかなかうんと言わないから、しつこくこっちが食い下がる。それを含めてかたがた私はこう言いたい、取引をしてきている千葉県のほうでは納得済みです。住宅公団だけです、そういうことを知らないと言うのは。千葉県と朝日土地はちゃんと納得づくの上で、そこで住宅公団はその上に乗っちゃっている。いま千葉県知事の議事録を読みますと、私は真実であると信じます。議事録として残っている、千葉県知事たる者がでたらめ言いやしません。そういう土地である、かてて加えて三千四百四坪というものは法違反、それを含めて取引をしてきた、こうなると、ますます住宅公団の罪状は重くなる。いまになっていえば知りません、県知事の通達があったからわからない、わからないではないですよ、そういうことまでもよく認識し、納得しなければならない責任があるのじゃないですか、悪徳ブローカーなんか一ぱいいるんです。いまこれから問題発展しますけれども、この県知事が、今度は朝日土地とぐるになっている、ぐるになっているといったら悪いですが、県知事が朝日土地にだまされている、そのだまされている県知事の一片の通達を住宅公団がまともに受けた。これではとてもではないけれども、いつも総裁おっしゃっているように、適正化適正化といっても、妥当な値段といっても、そういうことにならない、こういうことを言いたいのです。ともかくそういうことは大きな問題です。それで、その土地の取得の経過、それについてもいろんな関係がありますけれども建設大臣にお伺いしたいと思うのですが、このこと、要するに住宅の土地買収、十年間に二倍くらいになっておりますか、用地が、要するに、問題ですけれども、こういう過程を経て、現に若松町の団地土地を買っている、住宅公団が。県知事の議事録一回お読みになったらいい、なぜ二万五千円で買わなければならないか、事情がはっきりしている、住宅公団としてこういうような取得のしかたがいつまでもある限りは、総裁がりっぱな御答弁をされたところで、だんだん値段がつり上げられていくのはしようがないと思うのです。いまの範囲で大臣も御答弁願うのはちょっと焦点がぼけていると思いますけれども、若干の事情が明らかなっていると思いますから、いまお聞きになった範囲でけっこうですから所見をお伺いしたいと思います。
  228. 西村英一

    国務大臣西村英一君) まあ聞いておりますと、これはやはり調査不十分というようなことであろうと思います。いずれにいたしましても、値段が適正でありましても、その買った土地にいろいろの文句があると、正当に堂々と使えないというようなことはたいへんでございます。したがいまして、いま総裁は、それは存知しなかったと言いますが、存知しなかったらやはりミスでございます。調査不十分でございます。私たち非常に土地問題は、この住宅公団もいま規則について難儀をしております。難儀はしていると思いますが、やはりこれは十分調査をして進めなければならぬ、かように思っておる次第でございます。今後十分私も監督したいと思っております。
  229. 黒柳明

    ○黒柳明君 やはり大臣の御答弁ですっきりしました。ひとつ総裁もう一回、今後の問題であります。二つ三つあるのですが、時間もないので一つしか出しません。田島住宅団地、尾山台住宅団地、こういうものが根が深いのです。土地の問題どうです。さらにうまくない問題ですが、大臣がおっしゃったように、たとえ知らないと言っても、こういうものがあると大きなミスである、総裁としてその点はっきり認めますか。
  230. 林敬三

    参考人(林敬三君) いろいろと御承知のように、土地を買う場合、バックになかなかむずかしい問題があることを御了承いただけるかと存じますが、最善を尽くしまして、そしてできるだけあとでも問題が起こらないように、そして公平、妥当、適切に買収ができるようにということを今後一そうつとめてまいりたいと思います。私の気持ちとしては、これを買いますときは、これはなかなかうるさい土地であることは万々承知いたしております。朝日土地というものが前に虎ノ門で事件を起こしまして……。
  231. 黒柳明

    ○黒柳明君 私のほうがよく知っているはずだ、ミスであるかどうか、認めるかどうか。
  232. 林敬三

    参考人(林敬三君) それで、しかし、これはいま立て直しのところにあって、非常にまじめな人が責任者になって、役員全部かわって、ここで整理をするということで、真剣に変わってきたという気持ちもこちらもくみ取りまして、この問題について正面から取っ組んでこれをきめたわけでございます。結果として、しかし黒柳委員からも、こういうことでおかしく感ずるのだということを言われますこと自体、これはやはりまことに至らないことだと思うのでございます。以後一そう気をつけまして努力をしてまいりたいと思います。
  233. 黒柳明

    ○黒柳明君 何かわかったようなわからぬ答弁で、大臣みたいにすっきりおっしゃいよ、ミスであったと、たとえ知らなくても、こういう土地が含まれたことはミスであったと、はっきり大臣おっしゃっているではないですか、総裁もここらあたりでのらくら答弁やめて、悪いことは悪いと、一回くらい言ったらどうですか、ミスでしょう、これは。
  234. 林敬三

    参考人(林敬三君) こういう論議になりますこと自体まことに遺憾に存じております。これは、しかし、いまおっしゃること、これもいわゆる港湾埋め立て免許権者というものと、もう一回しっかり確かめてみて、それから監督官庁ともやってみませんと、これまたわからないことでございますし、それからそれはできるだけあらゆるいろいろ伏在したことは、私ども調べてまいりたいと存じますが、これはまあ森羅万象、神様でない限りはわからない点もあるわけでございます。それでいろいろな点で、もしこれがまことに千葉県知事のやった埋め立て免許のやり方というものが違反でありましたら、それを知らずにこちらが買いましたのもまさにミスであると存じます。
  235. 黒柳明

    ○黒柳明君 ほんとうならここでどなるところですけれども、こんな暑いところでどなったらぼくがかっとしてしまいますので、静かに言いますけれども、運輸省もちゃんと埋め立ての適正の違反の通達であるとおっしゃっているでしょう、三千四百四坪、六万二百九十坪の中にそういう土地があったのですよ、知っても知らなくてもそういう土地があることはミスじゃないか、当然ですよ。知らないからおれは知らない、これは責任者の立場でないですよ、幼稚園の生徒の言うこと、小学校の生徒の言うことじゃないですか。住宅公団の総裁ともあろう者が、こういうことについてすなおに今後十分気をつけるとともに、この点は確かに責任者として私はミスでした、はっきりおっしゃったらいいでしょう。
  236. 林敬三

    参考人(林敬三君) いま御論議になりましたことを私ども知らなかったのは、これはミスでございます。
  237. 黒柳明

    ○黒柳明君 もう少し早くおっしゃいなさいよ、六万坪の中を含めて、まだあるのだ、問題が。時間があと六分くらいですから個条書きにします。そこでこの土地に関して、千葉県と朝日土地との間の協定がかわされて、これは私協定であるから云々と運輸省の方おっしゃいましたが、この協定が非常におもしろくない。どういうことか、個条書きにしますと、先ほど総裁が若干おっしゃったことなんですけれども、要するにこの土地は埋め立て造成と譲渡とを一緒に、朝日土地が千葉県から工事を請け負って、しかも工事を請け負う、造成すること、イコール譲渡、こういう契約書をつくっている。おかしいじゃないですか。当然造成するのは千葉県です。千葉県が造成すれば、これは免許料は要らない公共団体。ところが朝日土地がこれを造成すると、免許料を払わなければならない。千葉県がトンネルになっている。千葉県をトンネルにして朝日土地が造成を実際にしておる。しかも造成したときに、甲は土地造成事業により造成した土地のうち、要するに六万坪を乙に譲渡する。千葉県は朝日土地に譲渡するという契約まで結んで造成する、これはおかしいじゃないですか。造成し終わったらそれを今度は競売するのでしょう。入札するのでしょう。そういう手続を全部省いちゃって、こういう契約書を結ぶなんていうことはあり得ないのじゃないですか。しかも造成をしながら、三十七年九月二十五日、漁業補償金までも朝日土地が払っている、千葉銀行に振り込んでいる。もうすでに造成するときから、漁業補償であろうが、工業地帯の整備費であろうが、当然造成の土地の費用であろうが、全部朝日土地が払っておる。だから造成すること、造成費イコール譲渡費なんです。ですから四十二年の三月三十一日終わった時点において、全部出た価格を坪数で割って、造成費が一万一千八百五十円かかった。この造成費がイコール朝日土地の譲渡費になっている。こんなばかなやり方を朝日土地と結んでいるのですよ。これは住宅公団のほうじゃないのです。運輸省のほう。私的な文書を結んでそしてでたらめなことをやっている。さらにこれは千葉県は監督するほうの立場、それが公私混同で、朝日土地とこういう私的な文書を結んだということは、監督しなければならない立場ですからね。さらにいま言ったように、土地造成の費用というものは非常に不明瞭だ。造成の時点から朝日土地がどんどん漁業補償も払っております。一応県をトンネルにして朝日土地は全部費用を払っておる、こういうことです。さらにいま言いましたように免許料は、千葉県が一応造成をするということになっておりますから、さらにおかしいのは、千葉県知事が千葉県に対して願いを出しておる。こういうこと一ぱい資料があったら、おかしいだらけです。要するに、こういう契約書によって土地の造成から譲渡から、あるいは免許料もただであるし、あるいは造成費を払う過程においても非常におかしいし、こういうものが協定として結ばれておる。こんな公有水面の埋め立て、しかも譲渡の方法なんかないと思うのですけれども、いまだかつて。どうでしょう。
  238. 金丸信

    政府委員(金丸信君) この問題は千葉県と朝日土地の契約の問題でございまして、運輸省といたしましては、この問題に個人的には感慨を述べられると思いますが、運輸省としては関知しない次第でございます。
  239. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは千葉県と朝日土地の問題ですけれども、あくまでもこれは運輸省は公有水面の埋め立てに対しての監督権限があるのじゃないのですか。指導、行政命令を出す権限があるのじゃないですか。それがこういう協定を千葉県と結んでおることを知らない。千葉県というのは国の代理機関ですよ。そうでしょう。だから運輸省がやることを千葉県がやっておると同じです。国がやっておると同じです。そういう文書をここで結ぶということはこれはおかしいじゃないですか。そういう立場から言っておる。
  240. 宮崎茂一

    説明員(宮崎茂一君) ただいま千葉県がやりました埋め立ての造成の方法につきまして御質疑がございましたのですが、大体、最近の埋め立ては非常に大規模になってまいりまして、したがいまして、まず県が需要者がない埋め立てを県の起債でやりましてそのあと自由に土地を販売するということになりますというと、売れるか売れないかわからない。特に工業用地についてはそうでございます。したがいまして、予約と申しますか、あらかじめ、どういう用途の目的に、たとえば工場を誘致するためにばく大な工事費を要する、そういう場合には予約して埋め立て権を県が取得してやるということが一般的に行なわれております。それでいまの埋め立て権者は、千葉県のほかに船橋港の港湾管理者の長でありますところの千葉県知事でございまして、申請者は、京葉臨海工業地帯という大きな構想のもとにこの地区を緑地帯としてやろうという計画の千葉県知事でございます。たまたま千葉県知事が同一でございますが、かような問題は、機関を代表する港湾管理者の長の千葉県知事から千葉県知事に出すといった問題は、めずらしい問題ではございません。ときどきあり得る問題でございまして、港湾管理者と千葉県知事が同一でありましたからこういう関係になるわけであります。その点を御了承願いたいと思います。
  241. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、この埋め立て、運輸大臣が認可申請したのはいつですか。それから認可の日いつですか。
  242. 宮崎茂一

    説明員(宮崎茂一君) 御承知のように、運輸大臣の公有水面埋立法におきますところの認可という事務は、港湾管理者の長でありますところの千葉県知事……。
  243. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、申請の年月日、認可した年月日。
  244. 宮崎茂一

    説明員(宮崎茂一君) ちょっとお待ちくださいませ。大臣が認可いたしましたのが三十八年の六月七日でございまして、申請は三十七年の十月十日でございます。それから大臣の認可を受けまして千葉県の知事が免許いたしましたのが三十八年の六月十一日でございます。公有水面埋立法の立場から申しますると、免許権者に委任をいたしておりますので、運輸大臣としては埋め立て申請の実態というよりもむしろその申請事項がもう少し免許権者の立場よりも一段高い立場から、国の港湾計画、あるいはまた地域開発計画の観点からどうかというようなことを審査いたしまして認可するわけでございまして、いまその朝日土地との関係、そういったものは全然その時点においてはこの申請書の中には出てまいらないわけでございまして、そういう事務は千葉県知事に委任をいたしているわけでございます。
  245. 黒柳明

    ○黒柳明君 「昭和三十八年一月三十日建設第二百十七号申請、船橋港内公有水面埋立免許については、認可する。昭和三十八年六月七日」認可しているわけでしょう、申請月日が三十八年一月三十日、これでいいわけでしょう。
  246. 宮崎茂一

    説明員(宮崎茂一君) 私のほうでは三十七年十月十日の免許申請になっておりますが、何か食い違い……。先ほど申し上げましたとおり、三十七年十月十日でございます。
  247. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、この一三四八号というのは違うのですか。まあ、いいでしょう、十月ですか。
  248. 宮崎茂一

    説明員(宮崎茂一君) はい。
  249. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、この協定が結ばれているのは三十七年九月十七日ですよ。埋め立ての認可以前においてこんな協定をつくっちゃっている。これはどうですか。要するに認可後なら、いま予約制度があると、それじゃないと売却できるかどうかわからない、こういう不安もあるからこれを認めたとしても、これは認可される前に千葉県と朝日土地でこういう私契約をつくっちゃって、かってに造成から、譲渡から、さらに金の払い込みから何から全部かってにやっている。こういうことに対してはどうですか。これ認可前ですよ、協定を結んでいるのは。
  250. 宮崎茂一

    説明員(宮崎茂一君) 港湾行政全般、つまり埋め立てを含めましてどこまで国の行政の範囲を及ぼすかということは非常に問題がありまして、非常にこまかい点までやるかどうか、公有水面埋立法の精神から申しますと、機関委任でございますので、そこまで監督はまだやっていないという状況であります。これはやはり私ども現行法に忠実なるたてまえから申し上げますと、先ほどの行政指導を強化していくというようなことしかやっていないということであります。
  251. 黒柳明

    ○黒柳明君 私が言っているのは、行政指導の強化ということは当然ですけれども、認可されるあとにおいてこういう私契約を結ぶならまだしも、それはなぜかならば、おっしゃったように、売却できないと、工業用地についてはなおさらそういう懸念があると、こういうふうにおっしゃる。ところが、そういう埋め立てを認可するもしないも、きまってないんですよ、まだ。そのうちから朝日土地と千葉県でかってにこんな契約を結んじゃってる。認可後ならまだまだ一歩譲っても、先ほどの質疑においてもそういう場面が展開されましたけれども、これは認可されるされないもわからない前から、かってに千葉県と朝日土地でこういう文書を結んじゃってる。それにはまだここには陰に何かあるのじゃないか、そのことを私は言いたいのですけれども、認可以前ですよ、この協定がなされているのは。しかもこの協定どおりに進んできているじゃないですか、すべてものごとが。これははっきりしている。おかしいじゃないですか。この協定が全然理論的なものであって、空文にすぎないものであったらこれはともかく、この協定どおりに最後まで進んで、現在住宅公団が取得しているわけです。そういうものが認可前においてどうして結べるかというのですよ、朝日土地と千葉県において。やるなら、千葉県——皆さん方の代理機関じゃないですか。執行機関じゃないですか。それじゃ、運輸省と土地業者とそういう私的な契約を結べますか。運輸省が認可前においてそういうことできますか。
  252. 金丸信

    政府委員(金丸信君) ただいまの御指摘の問題につきまして、ものの順序といたしましてはまさに御指摘のとおりであろうと私は思います。港湾局長から御答弁申し上げましたように、行政的な指導がそこまで手が届いておらなかったという面もあろうかと思うのですが、順序としては、そういうところはまことに不可解に私も感じる次第でございます。
  253. 黒柳明

    ○黒柳明君 やっぱり大臣や政務次官の御答弁のほうがりっぱだと思います。たまに出ていらっしゃってほんとうにいいことをおっしゃっていただいてまことに申しわけございません。当然ですよ、これは。そうでしょう。これはぼくはおかしいと思う。はっきりこれはおかしいじゃないですか。ものの順序としては、当然私が言ったように、認可前においてそういう協定が行なわれるのはおかしい、そう政務次官おっしゃっておる。局長はそうは思いませんか。くどいようで申しわけございませんけれども、おかしいですよ。
  254. 宮崎茂一

    説明員(宮崎茂一君) 実は私も最近来たばかりでございますが、この問題まだ研究不足ではございますけれども、やはり当事者が埋め立て権者が千葉県の知事でございますので、何かやはりそういった事前にそういうことをやって申請しなければ、申請して認可になってからどうという問題もあるのじゃなかろうかと、そういうふうに考えるわけでございますが、事前に契約を結んで認可をさした、一がいにおかしいと、こういうふうにはならないんじゃないか。これはやはりもう少し任命権者の意見を聞かなければならないんだと、かように考えております。
  255. 黒柳明

    ○黒柳明君 だって、私はこのことをやると言ってさんざん管理課長さんやなんかと往復して話し合った過程を知っていらっしゃるのですから、それならばもっと確信を持った答弁ができなければならない。私は来たばかりだからというわけにはいきませんよ。はっきり、私のこの話を聞いて……、政務次官がこれはものの順序としておかしい、先ほどの大臣の答弁と同じようにこれはミスだと、あくまでもそういう、官僚の方は何と言いますか、答弁されない。はっきりした御答弁いただけませんけれども、答弁が食い違っていますよ。それじゃ政務次官の答弁と違います。はっきり知らないなら知らないと、知らないものに対してはどうしたと、こういうふうには言いませんが、ですけれども知らないということはこれは職務怠慢ですよ。現に私の部屋に来てちゃんとお話ししたじゃないですか、この問題やるということを。ものの順序からはっきりおかしてということもおっしゃっておる。それに対して局長が、どうも何となくうにゃうにゃ言って、確信を持ってこれはおかしくないとおっしゃってごらんなさい。確信を持っておかしいとぼくは言ってやります。
  256. 上平輝夫

    説明員(上平輝夫君) 実は、本件につきましては……。
  257. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや、時間がなくて、もう一人質疑の方がいらっしゃいますから、おかしいかおかしくないか、イエスかノーかでけっこうです。
  258. 上平輝夫

    説明員(上平輝夫君) 本質的にはおかしくないと思います。しかし、一般的、常識的には政務次官がおっしゃるようなことをやるのが常識的であろうと思いますが、慣行といたしましてはいまのような例がたくさんあるというふうに考えております。
  259. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまのように埋めたてる前からそういうふうに県の首長が地元の業者とこういう私契約を結んだ例が一ぱいあるというのですが、それを出してもらいたいですね。これは問題ですよ。そういう例が通例の常識としてあたりまえだったらこれは問題ですよ。何でもできますよ、そうなったら。それに対して運輸省当局が行政指導、監督の目が届いてない。こうなったら、だからこそ住宅公団が高い土地を買わなきゃならなくなっちゃうんですよ。課長さんよ、それははっきり言えますね。こういう各県の首長が地元の業者と埋め立て前において私契約を結んでいる例が幾多あるとはっきり言えますね。
  260. 上平輝夫

    説明員(上平輝夫君) たくさんあると申し上げましたのですが、たくさんあるとは断言はできませんが、そういう例はないとは言えません。そういう例はあることは事実でございます。
  261. 黒柳明

    ○黒柳明君 あったら出していただきたい。同時に、それはあくまでも順序からいっておかしいことは認めざるを得ないでしょう、それはあなたも。いま政務次官おっしゃったように常識じゃおかしい。さらにこれは法的になりますと二十七条云々、これは前に戻っちゃいますからくどいことは言いません。要するに、順序からいってはっきりおかしいです。またいまの一、二、——三、五、六あるなら資料で出していただきたい。もう一回それは検討したい。  あと一、二問あるので申しわけございません。  こういうわけなんですけれども、そこで、どうしてこの朝日土地と千葉県と、さらに日本住宅公団が、こういう、もう申しわけない、ミスです、順序としておかしいと答弁せざるを得ないような状態でいま日本住宅公団土地を取得しているかというと、ここにさらにおかしな問題が出てくる。  あと一、二問ですが、自治大臣のほうにお伺いしたいんですが、この朝日土地、あるいは丹沢さん個人の政治団体に対しての政治資金、これについて、お調べだと思うんですが、発表をお願いしたい。
  262. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 朝日土地興業株式会社、代表者は丹沢氏でございますが、三十九年の十月に二百万円、甲辰会、四十年の一月十九日に百万円、甲辰会、四十年五月二十一日に三百万円、甲辰会、四十年五月二十一日に二百万円、川島後援会という届け出がございます。
  263. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあ、そういうようなわけです。官報に載っかっている政治資金の額、回数なんというのはこれは氷山の一角ですから、その裏に隠されているものが非常に疑問だと。自治大臣が苦労した政治資金の規正法、これは残念ながら流れちゃいましたけれども、またまたここにそういう疑惑がさらにその裏には出てくるんじゃないですか。  この朝日土地興業は、ある時点、これを売った時点においては、千葉三郎さんという人が代表取締役になっているんです。また、それに対して丹沢さんという人も、川島さんの後援会長をやっていたとかやっていないとかいううわさもありますね。さらに、いま大臣がおっしゃったような政治団体の名前、それにみんな結びつくんじゃないですか。そういう朝日土地中心になって、住宅公団と千葉県知事が振り回されて、そうして今日に至っていると私は断言せざるを得ない。まあ、ここまで断言しろと言ったって、これはだれもしようがありません。しかしながら、こういうことが多くの疑惑を持たれて、そうして、昨年あたり、いわゆる政治資金の問題になったわけですよ。  まあ、時間もなくてほんとうにはしょってきましたけれども、いままでの過程——この政治資金の問題について、いままでの過程をお聞きになった自治大臣としての所見をお伺いしたいと思うんです。
  264. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) ただいま御指摘がありましたように、特別国会におきまして、選挙制度審議会の答申を受けまして法案を提出いたしたのでございますが、残念ながら、私の力の及ばないところでございますが、審議未了になりました。しかし、いわゆる分不相応な寄付は禁止するという方向につきまして、今後も私はその方向で法案を作成し御審議をいただきたいと考えておる次第でございます。
  265. 黒柳明

    ○黒柳明君 ちょっと資料要求。郵政省、たびたび資料要求しておりましたが、あらためて正式にお願いしたいと思うんですが、はがきについて、用紙購入について、業者別納入額、単価、数量、金額。これはメーカーでなくて代理店別にお願いしたいと思います。二点は、はがきの用紙の購入の際の入札状況、指名業者、落札業者、札順、入札経過。以上の二点については三十九年から四十一年まで。三点は、神崎製紙から郵政省に対して出したユニオン産業を代理店とする推薦状。四点は、はがき購入の各商社との契約書及び注文書の写し、四十一年度分。五点は、印刷の場合の印刷所別単価、数量。以上です。
  266. 亀田得治

    委員長亀田得治君) よろしいですか、官房長。
  267. 溝呂木繁

    政府委員(溝呂木繁君) 承知いたしました。
  268. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それから、先ほど質問中に要求のあった、運輸省から管理課長が答弁の中で申された実例ですね。資料として出ますね。
  269. 上平輝夫

    説明員(上平輝夫君) さっそく調べまして、これは黒柳先生のところにお届けすればよろしゅうございますか。
  270. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 委員会に出してください。
  271. 上平輝夫

    説明員(上平輝夫君) はあ、そうですか。
  272. 岡三郎

    岡三郎君 関連して。この前の平城団地のことについてお聞きしたいんだが……。
  273. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 簡単に。
  274. 岡三郎

    岡三郎君 簡単にといったって、私は質問もらわぬのだから、少しは人並みに扱ってもらわなきゃ困る。  林住宅公団総裁に前回大森委員が平城団地のことについて伺いましたね。私は、きょうの黒柳君の質問の状況を見ていましても、やはり問題点がある。この前の話は、三千円程度で買えるものを、土地の鑑定人の評価によって、あれは四千三百円ぐらいかな、四千円をこえた価格においてこれを購入している、これは間違いじゃないと言っておりましたが、大森君も指摘されたとおりに、この当時、この平城団地土地を売った人々が、三千円で大体相場というものができているということのあれがあったわけです、現在の相場として、当時としては二千円程度だという話があった。だから私はこの点について調べてもらいたいということを要望しました。  それからもう一つは、その近畿鉄道の開発局長ですか、これはこの問題のやりとりの中において、いわゆる近鉄の輸送力増強費が含まれておるかおらぬかという問題があって、近鉄の開発局長は明らかにやはり輸送力増強費を上乗せしておるのだということの言明が、雑誌にも載っておるし、これを尋ねて言明を聞いてきた証人もいるわけです。だからこの点についてどういうふうな経過になっておるのか。  それからその当時の富国開発というものが土地を売却したと同時に、本店、本社といいますか、そういうものが蒸発しておる。たまたま枚方市ですか、柴田某というわけのわからぬ者がおるという程度であって、その点について本社は一体どうなっておるのかということについてお尋ねしたわけですが、その三点、お取り調べになったらば報告願いたいと思う。
  275. 林敬三

    参考人(林敬三君) いまの三点、いずれも至急大阪支所に話しましてそれぞれ当たっておりますので、近日中に御連絡申し上げることができると存じます。ただ、いままでいわゆる経過として私どもの聞いておりますところでは、この買収価格についてはあくまで適正である。現在もし同じようなものが三千円で買えるというところがあったらば、あそこは二百万坪のうち八十万坪買って区画整理やったところで、たくさん買えればますますけっこうである。幾らでも買いたいけれどもそういうところはないだろうかと、こういうぐらいの気持ちでございますが、ただ、これを正確に調べまして御報告いたします。
  276. 岡三郎

    岡三郎君 私はこの前、この平城団地をやられてからかなり日時がたつわけですから、実態として調査することにそれほど手間がかかると思えないのですがね。近鉄の開発局長がいるわけです。そういう相場になっているというからそれを調査してもらいたい。そういう安い土地があったら買いたいなどと言わないで、あるかもわからない。だから私はそういう点について、やはり具体的にやってもらいたい。それはなぜかというと、あなたは、総裁は土地鑑定人の評価評価と言っておりまするが、会社なんかにおいても公認会計士が粉飾決算においてずいぶん役割りを果たしておることをわれわれは知っておるわけだ。いいですか、この点は建設大臣も聞いてくださいね。いまや土地買収に伴う土地の鑑定人というものについて、私はやはりある程度査察しなければならんと思っておる、私自体は。これは公認会計士というものは、堂々と国家試験によって得られるのであっても、会社の頼みとかいろいろな事情においてですね、その間にいろいろな事情はあるでしょうけれども、粉飾決算というものにかなり踊っておる。こういう事実が過去において数多くあるわけです。したがってですよ、こういう公認会計士については、もしもそういうふうなときに、公認会計士のそういう役割りがはっきりしたならば、これは取り消しとか、いわゆる行政処分にするという問題がはっきりしてきたわけだ。いままでの例を見てみるというと、いまの黒柳君の発言のように、二万五千円が適正なる評価だとよく言っておる。それはただ土地鑑定人の評価に過ぎない、私に言わせれば。いいですか、私はだからこの問題について、いまの土地の購入についてのシステムといいますか、こういう問題について総裁とか理事は上のほうにいて知らんかもわからんけれども、実際にやっておるものはどういうふうに運営しておるか、私は非常に疑問を持っておる。これは花見川団地の問題についてもそうです。だからその間についてのいろいろないきさつはあるにしても、私は土地の鑑定人というものはですね、これはこの前の共和製糖の問題についても、兵庫の剣谷の問題についての評価の問題その他の問題についても、かなり評価の問題について本委員会はやったわけです。だから、そういう点でその評価について大体住宅公団に合わせて評価しているんじゃないかという私は疑点が出てきているんです、私自体。これは詳細に調べないというとそれに伴うところの一つの問題点は出てこないが、いままでの話をずうっとこの問題を積み重ねてみると、そういうふうな傾向というものが実態としてあるんじゃないか。総裁は知らぬからここで型どおりの御答弁をなさっておるから、それはそれでよろしいでしょうけれども、実態はそうではないんじゃないか。そういうふうな点でもう少し土地の評価というものについて、購入の問題について十分ひとつ御検討いただきたいと私は思う。そうでなければ幸いですが、私はそういう印象を非常に強く持っている。  それからもう一点は、いろいろと住宅建設のために長期計画を立てておられると思うのです。この前の平城団地についても三十九年、四十年とこうやっておりますけれども、にわかに平城団地住宅公団土地買収して住宅をつくるということをきめられておるのでは私はないと思う。やはり全国において枢要なる土地に適地を求めて、どういう場所にいいだろうかという、そのいろんな面においての土地の選定というものについては、住宅公団の本社なり、あるいは地域、地方において検討されておると思う。それが三十六年なり三十七年なりにわたって、いろいろと検討せられているけれども最終的な決定にはなっておらぬ。だから、まだ決定になっておらぬけれども、いち早くそれを情報入手をして、どのくらい時間が前後するかわからぬけれども、ここは住宅公団の住宅用地の購入、買収というものが行なわれるのだと、したがって、そこへ行ってにわかに事務所をつくって、早目にとにかくその土地というものを購入していく。結局その人間が代理人という形になって住宅公団と折衝するというふうな面から、三十五年、三十六年、三十七年ごろに、この前出たように不動産業者というものがそこへ幾つか集まって、そうしてさまざまな形の中において近鉄とか、京阪とかというところの電鉄会社と組んで——これは千葉県においてもそうです。その前の大橋富重の事件ではないけれども、京成の事件においても、やっぱりかなり踊っているということは実態として私はうかがえたと思うのです。そういう点で、長期計画土地の購入とあわせて考えたときに、どこに住宅公団の適地を求めるか、これはやはり長期計画でいえば、来年やるやつはいまどこへつくるかなんということではないと私は思うのです。やはり精細な調査の中において極秘裏に、ごく秘密のうちにいろいろと適地を求めているんじゃないかと思います。この点はあとで聞きます、後日、きょうは時間がありませんから。そういうふうな問題で、やっぱりブローカーが踊る余地があるのじゃないか。これは総裁のほうじゃなくて、そういうふうな全体的な中において、どうしても高い土地を取得せざるを得ないような条件に置かれていってしまっておるのじゃないか。これは悪意ではなくて、そういうふうな、そういう条件というものが積み重ねられてきておるのじゃないか、こういうふうに私は心配を持つわけです。これは心配でなければ幸いですが。私もこの点については今後十分注意してやってみたいと思いまするが、大体どのくらい前に、全体的に長期構想の中において、いわゆる住宅公団用地というものをどこへつくるかということについての話は——極秘裏にいたしましても、一年や、二年前じゃないでしょう、この点どうなっているんですか、総裁。
  277. 林敬三

    参考人(林敬三君) いろいろお話ございまして、初めの平城団地に関するものは至急調査をして御連絡を申し上げます。で、それについて、近鉄の開発局長ともこちらは会っておりまして、いろいろことばをとっております。しかしながら、お出しする上においては、いやしくも誤りのないものを出したい、かように、いま最後の確かめをしている次第でございます。いまのところ開発局長は、さようなことを申した覚えはございません、全然これは、もし聞かれたとすれば思い違いであるということを申しておりまして、近鉄の利益の中から、もし利益が出たならば増強に使いたいものと思う、こう申したのだということでございますが、なお確かめまして申し述べます。  それからなお、富国開発の件についても、枚方にやはりちゃんとした事務所がございまして、数名の人が事務をとっておるようでございます。しかし、これについては詳細に調べまして、そこのところを御連絡申し上げたいと存じます。  それから評価について公団にあわせて評価するということは、不動産鑑定上についてはまずないと存じますが、私はこの間も申し上げましたが、ほかの近傍類地の——先ほど御質問のありました若松町でも近傍の類地というものはとりまして、みなそれ以上の値段あるいはそれにごく近い値段になっているので、それで、それと不動産評価とをあわせましてやった次第でございますが、しかし、御指摘のように、実に土地の値上がりというものはひどいのでございます。午前にも中村議員から御質問ありましたが、それは十一年間に十二倍という上がり方で、ほかの物価と比べたら比較になりません。そこにいわゆる土地ブローカー暗躍の余地ありということは、これは確かだと存じます。そして、こちらが予定するかしないその前を先ばしりしてばら買いをしてしまうというようなものが出てまいりまして、どうしてもしかしそこは買わなければいけないというようなものがあることはいなめない事実でございまして、私どもも、こういう現実にぶつかっては実に遺憾だと思いながら、その点、悪戦苦闘をしているという状態でございます。  長期計画を立てて、いま五カ年計画を遂行するということでやっております。しかし、次年度以降の土地を買うことを許されておるのでございますが、これはまことにパーセンテージはまだ予算の関係で少ないのでありまして、実はそんな数年先のものまでもひそかに買ってしまうというものではとてもないわけであります。たとえば明年度の予定の中の七〇%に当たるくらいの土地は先買いできる。これも値段との問題がございますが、こういう状態。しかし、これは一般の官庁でやるよりは少し余裕を持ったいい制度で先買いできるようになっておりますが、とうていブローカーより先にこっちが回ってしまってさあっと知らない間に買ってしまうというまでには、まだ至っておりませんが、お話のように、これは非常に深刻な問題でありますので、検討を加えまして、改善すべきものは積極的に改善してまいりたいと存じます。
  278. 岡三郎

    岡三郎君 私は一つ一つの例を見ていくというと、いま言ったように、ブローカーがほとんどかなりの利潤というか、もうけを持っておりますね。あとの始末というものは、税金を抜けるためにいろんな措置をしている。これは国税庁長官が認めておるわけですがね。そういう点で、いま五カ年計画をやっておる、どういうところに住宅を建てるか、そういう問題について業者は業者としてブローカーは必死に秘密情報を握ろうと思う、暗躍すると思うのですよ。これは新幹線の場合に新横浜駅ができたときに、情報をキャッチして短期間のうちに何倍かの利潤をあげてその本人がアメリカへ逃げちゃったと、こういう話がいまでも残っております。つまり、土地を買うには、一刻も早く情報をキャッチして、そして先買いして、やがて公団が来るだろう、待って、来たときにそれにかぶせろ、こういう形が行なわれておるというこの事実、私はもう実態の中でもそうなっていると思う。だから、そういう点では、住宅公団としては、土地に対する公団債なら公団債というものを認めてもらって、とにかく広く、財政投融資だけではなくして、国民自体の中からも、これは国民にいくわけですから、やっぱりそういうものを、相当膨大な土地の購入費というものを持って、的確に選定したならば、これを的確に求めていくという形の中で私は処理してもらわなければならぬというふうに考えるわけです。しかし、この点についてはまた質問として後刻やりますので、岩間君のあれが残っておりますから私はやめますが、ぜひともひとつ五カ年計画ならば五カ年計画が、できるだけ安く広く、そうすれば家賃も比較的安く貸せるということになると私は思う。これはやっぱり国民の非常に住宅公団に対する期待だと私は考えるわけです。そういう点で、いじめるだけではなくして、ひとつ、住宅公団が、そういう意味においては、国民に大量な住宅を供給する責任の上に立って、できるだけ安くするためにはどうするのか、こういうふうな意地を持ってひとつ御奮闘願いたい、このことをお願いするわけです。
  279. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いろいろ御注意を承りました。たいへんたくさんな要求をあずかる建設省といたしまして、十分今後検討して、皆さま方の御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  280. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは、本件はこの程度にいたします。  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  281. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは速記をつけて。
  282. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは次官が代行ということになるのだが、問題は、教員の思想調査に関して、ことに、いま北海道でそういう事態が非常に起こっておる。この問題は、たしか文教委員会で社会党の小林君が質問したと思う。そのときの大臣の答弁では、それは直接文部省とは関係ない、それは地方の教育委員会の問題だ、そこでまず問題を解決すべきだというような答弁だったように私は聞いたわけです。しかし、この問題は文部省はこのままで黙っていられる問題ではないだろうと思う、当然文部省の立場からいって。文部省設置法だって指導助言——助言といっているけれども、実際は監督だ。監督をやっている。これが現状でしょう。そういう立場からいうと、この思想調査については、いままではっきりこれは北海道における実態を調査しただろうと思う。それから、これに対してどう感じたか、それから、どのような処置をとったか、これをまず聞きたいのですが、これは次官で答えられるのですか、大臣でなく。いままでの事務的なものに答えてください。しょうがない、文部大臣がおられなければ。
  283. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) その経緯は、七月二十日の人事委員会の審理が行なわれた際に、道教委の職員が傍聴席に人事関係の書類を三冊忘れた。そこの資料の中に、組合の関係とか、あるいは政党の関係とかについての人事の書類があったということで、それを置き忘れたのを教員組合の幹部が翌日返されたというのが事実の経緯でございます。これについて北海道の教育委員会といたしましては、現在まで、四十一年度に限らず人事異動について、その政党の所属関係あるいは組合幹部であるということを理由として人事異動を行なったことはないということを申しております。  なお、この事件がございましてから、七月の二十二日に、北海道の教育委員会といたしましては、各道立の学校長あてに、教職員の人事異動資料等の提出について注意を喚起いたしました。資料の作成に際して、いやしくも個人の思想、信教等の自由の侵害や職員団体の活動に対する不当介入等の疑いが持たれることのないように配意すべき旨の通達を出しているわけでございます。先回、文教委員会で問題になりましたときに私からお答えいたしましたように、人事異動というものは、これは都道府県の教育委員会の権限でございまして、およそ文部省といたしましては、従来これは指導をしておらないのであります。文部省といたしましては、定員の関係、それから特に僻地等の関係で、全般的に僻地の振興のために配慮すべきこと、昇給等のこと、これを一般的に申すわけでございまして、人事はそれぞれの任命権者が公平的確に行なうべきものだと、こういうことでございまするから、特に都道府県の人事異動については指導をいたしませんし、将来も指導等をするつもりはございません。  なお、文教委員会で問題になりましたときに、先ほど岩間先生おっしゃいましたように、文部大臣といたしましては、これは都道府県等の段階の問題となっておるのであるから、その推移をよく見るということを申しておるのでありまして、われわれといたしましても、現在の段階で、なお事態の推移を見ながら、その経過等は十分われわれの任務として承知しなければならないと思いますけれども、現在の段階で、直ちにこの問題について指導し助言をするという考えはございません。
  284. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは文部大臣がいないとだめだな、やっぱり。そして私の聞いていることにさっぱり答えていない。ことに、これは憲法違反の問題だからな。これは基本的に文部大臣はどう考えるか、国務大臣としてはこの問題をどう考えるか。  それから指導助言云々というような発言は、これは逃げことばですよね。当然これは組織関係からいうと、地方教育委員会は独立しているのだから、それに干渉できないのだ、都合のいいときにはそういうことを言っている。しかし、あなたたちはあらゆる場合にいま指導しているじゃないか、実際は。それから助言という名前の指導をどんどんやってるでしょう。これがいまの現状です。こんなこと、だれも子供だましじゃあるまいし、知らない人はないのです。だから私は、当然これだけの問題が起こったら、それを単に北海道の段階で解決すればいいのであって、文部省はそれをとにかく見てればいいんだというような答弁をやってるところに、大きな食い違いがあるのだ。そんなことでこの問題はごまかされる問題ではないわけだ。憲法違反なんだ。問題は最も基本的なんだ。教育基本法に違反している、根本から。だから、この問題について少なくとも、この事態をもっと徹底的にこれは調べなくちゃならない。そうして、これについてはっきり見解を持たなくちゃならない、文部省は。それについての処置をしなければならない。こういうことを私はこれをはっきり考えるわけなんです。だから、これは文部大臣発言を要求しているのです。いまのは官僚的な事務答弁です。事務答弁でこんなものは片づかない。これは一刻も早く出てもらわなければ困る。私はそれで時間をとる気はないのだ。私は会ってきているのだ。岡村さんに会ってきているのだ。話を聞いてきているのだ。それで通達というものも見てきているのだ。こんなあいまいなもんじゃ問題にならぬ、全然。あいまいなもんです、こんな通達は。一体自分たちのやったことに対して、はっきりどういう認識を持っておるのか。そうして、これを根本から変える気になっておるのかどうか。それから、その思想調査内容なるものについて、あなたたちはどのように一体キャッチしたのか。そのものを見ましたか。たとえば、その原簿見ましたか。だれかこれ、文部省から派遣しましたか。これは事務的なことだから、初中局長で答えられるだろうね。だれだれ来ているんだ。だれなんだ。この問題に対する関心の程度がわかる。だれだれ来ている。ちょっと言ってください。
  285. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) このために特に派遣をいたしておりません。
  286. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうだろう。
  287. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) と申しますのは、先ほど文教委員会で大臣がお答えいたしましたように、この問題は道の段階で議論になっておることだから、その道の段階でまず処理をするということがいいというふうにお考えになって、文教委員会でもそうお答えになった。で、私どもは、人事のことにおよそ指導助言をすると言っておるわけではなくて、この定数の関係とか、あるいは給与の関係とかについて、基本的なことはいたしておりますが、この人事異動の問題につきましては、これは当然に教育委員会では自己の責任において判断をして、公正的確に行なうべきことである。それは一々申すまでもないことでありますから、そのようなことは確認いたしておりません。今後もそこまで立ち入ってする必要はないというふうに考えておるわけでございます。
  288. 岩間正男

    ○岩間正男君 観点が違っておる。そんな事務的な人事異動の問題で聞いておるのではない。人事異動の面はあるだろう。しかし、本質は何かといったら、教員の思想調査そのものをどう考えるかという基本的な人権の問題です。ことに教育基本法という、戦後に制定されたこの基本法が守れるかどうかという重大な関頭に立っておるのです。  そういう立場から、文部大臣来たからあらためて聞きます。  おいでにならないときに話して聞いたのですが、問題は、この教員の思想調査、ことに北海道にあらわれているこの例ですね。これについてあなたが、たしか社会党の小林君に対する答弁で、これはまあ地方の段階の問題で、文部省としてはこれは見守っているというふうな答弁だった。それはそれでいい。基本的にはこれはそういうふうな形になると思う。しかし、問題は、これは憲法の基本的な問題ですよ。それから、教育基本法の基本的な問題ですよ。人権の問題なんです。この教員の人権をほんとうに保障できるかどうかということは、これはもう教育をほんとうに自主独立に置けるか、そうして、ほんとうに思想の自由を守れるかどうかという関頭に立っているわけだ。そういう点からいえば、文部省は一応そういう答弁しておいたって、この事態について実際はどうなんだ、あるいは調査をする思想、たとえば調査内容というものはどういうものだ、これをつかんで、そうして、それに対する見解をはっきり持つべきだ、そうして、それに対する処置をそれなりにちゃんと持つのが、当然文部大臣のこれは任務だと思うのです。指導、監督、助言というような——監督は、これはことばの上には出てきていないけれども、実際はやっている。そうでないとしたって——何のために文部省は必要か。文部省、要らぬじゃないですか。それほどいま地方の教育委員会の自主性を認めているのですか。認めていやしないじゃないですか。どんどん人事官を派遣して、全部支配のもとに置いているじゃないですか。上からの支配がものすごくなってきているのが最近の姿じゃないですか。そういうことを知っていますから、したがって、当然こういうような自分の痛い問題、一番盲点に触れられた問題になるというと、ほおかぶりをしたのでは、文部行政というものはたまらぬ。こういう点からはっきり私は文部大臣に対して、政治的な見解を聞いている。これは一事務官の答弁じゃだめなんです。その点はっきり答えてください。
  289. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) この問題につきましては、これは純粋な、私は文教委員会の問題だと思いまして、第一の問題として、決算委員会の問題ではないのじゃないかと実は考えておったわけでございますが、しかし、お尋ねでございますからお答えいたします。  北海道で、いわゆる思想調査という問題が、新聞その他に報道されまして、文部省としては、その事実について、一応これは、文部省は警察じゃございませんから、そういう実際の、そのあるかないかの調査は、一応教育委員会に照会をするよりほかに方法はないと思います。教育委員会のほうからは、思想調査をしたことはございません、ただ、現場に忘れておりましたものは、校長等からの私信で参りましたもののつづりでございましたというもので、調査をしたのではないという一応の回答でございます。で、まあ私は、その事実は文部省としてそれ以上の調査はする方法はございません。ただ、私は、文教委員会でお答えいたしましたのは、もちろん、この問題は、北海道において起こった問題でございますので、北海道という自治体において、一応この問題は自主的に解決をいたすのが、まず先決問題ではないか、もし思想調査をしたという事実がはっきりあらわれてまいりますれば、そのときにはまた私どもとしての措置をいたすべき筋合いだと思います。その事実の判明を実はじっと見守っているというのが、実は現在の文部省の立場でございます。
  290. 岩間正男

    ○岩間正男君 第一に、これは決算委員会の問題ではないというようなことですが、これは決算委員会をそういうように狭義に解釈されるのはおかしいですよ。この点は、われわれは政策論議の場だと、予算委員会と変わりないと思っているのですから、この点をまずひとつ明らかにしておきたい。  それから第二に、これは見守っている段階で、そうして実際は静観中で、これにはタッチしないのだというような立場をとっておられる。それから、実際は私文書のつづりだとかなんとかいうようなことを言われるのですが、だから私は、実際この問題はほんとうかどうかということを少なくとも文部省が、文部省から人を派遣してこの内容を、これだけ問題になっているのですから調べる必要があるということを、これを私は要求したいのです。ところが、やっていないでしょう。初中局長もそうなんだ、だれも派遣していない。ところが、われわれは北海道へ行きまして、実際見ました。私文書ですか、これは。ここに写真があるのです。これは私文書ですか、ちゃんとこういうのが書いてあるのだ、何々市教育委員会、それから教育長何、それから空知地方教育局長広瀬弘殿、こういうふうにちゃんと職印を押していますよ。教官人事異動について云々、これで。このほかに何々学校教諭K——まあ私は本人の名前をなるたけあれでありますから、K、この者を異動する、こういうふうにはっきり出てきているのだ。この増し刷りのあれを、私はここに全部刷ったのがあるのですからね、あなたたち、こういうものを見ないで、一体それを信じたのか、ここにあるのですよ。こういうものを、だから私は、人を派遣して、これを思想調査かどうかということを見てほしい、こう申しているのですよ。これなんか見なさい。
  291. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) いや、見たからいい。
  292. 岩間正男

    ○岩間正男君 見たでしょう。そうすると、どうなんです、こういうものが思想調査でないのですか。
  293. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) これは調査するまでもなく、文教委員会におきまして、小林委員が現物のリプリントを持ってきておりまして、それをつぶさに見ました。その内容におきましては、それはプリントそのものを見ますと、やはり文書のつづりであるとは考えますけれども内容には、その中の内容の文句は相当まあ何と申しますか、穏当でない面があることは認めております。ただ、それが教育委員会のほうにおきまして、私ども、そういう一応の照会をして、教育委員会のほうでそういう文書、向こうから来ました文書のつづりだということで、こちらから調査を命じたことはないという返事でございますので、これを命じたことがあるのかないのかという問題は、これはやはりまず、その現地においてはっきりさしてもらいたい、こう思っておるわけでございます。
  294. 岩間正男

    ○岩間正男君 これなんかも文部省の指導助言に入るわけでしょう。現に、もう聞かれて、問題がこうならば、命じたことはないと言って逃げているわけです。しかし、一番関係深いのは広瀬という人事課長だけれども、彼自身がわざわざこういう地区を特に選定されて教員弾圧の手柄を立て、人事課長にこれは抜てきされているということは明らかだ。そして、聞かれもしないのに、校長は下からいろいろとこんなことを調べて出す、そういうことは常識にはずれていますよ。北海道の新聞だって書いていますよ。道新だってちゃんとあれに書いていますよ。政党の所属、それから朝鮮人の帰国協力会に入っているかどうか、それから白鳥事件の村上国治を守る会に入っているかどうか、原水禁大会に出席したかどうか、新日本婦人の会にこれは入っているかどうか、それから共産党の組織関係そういうようなものまで、これはいろいろ調べている。これは思想調査じゃないんですか。これは明らかな思想調査ですよ。こういうことはどこから出てくるんです。この法的根拠を明確にこれはする必要があるんですよ。文部省の立場としては、そうでないと指導ができないでしょう。全体の教育委員会、地方教育委員会を、あなた、どういうふうにして助言しますか、援助しますか。これどうなんです。その点についての見解を言ってください。
  295. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 私が申し上げておりますのは、やはり北海道におきまする教育委員会は、自主性を持って解決をすべきだ。また、これは北海道庁——北海道には北海道の道議会かございまして、道議会においてもこれは問題にしておるようでございます。ですから、直接的にまずその自治体においてこの問題は検討さるべき問題だと思います。その検討の状況をずっと見ておるというのが現状でございます。で、自治体がそれに取り組んでいなければいいんでございますが、自治体がまさに道議会で問題にいたしておりますので、文部省がそこに干渉をいたしまして中に介入していくということは、現段階においては差し控えるべきだと私は判断をしたのでございます。
  296. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは一応文相の見解は、それはまあたてまえはそういうことになっているんです。そうして、ちゃんと地方教育委員会の自主的な解決を望むのはいいんだ。しかし、日本の全体のこの教育行政の中で、しかも憲法違反の事実という、こういう実にこれは何といいますか、最も基本的な問題ですな。こういうものが侵犯されている問題が起こっているんですよ。これについて文部省はただ、何ですか、そうすると、いま向こうにもうまかせるんだと、これは調べもしないんだと、そこのところの実態そのものは把握もしないんだ。そうして道議会でやるから、それだけでいいんだと、全部あらゆる文部行政はそういうふうに貫かれていますか。そうじゃないでしょう。教科書の問題見たって、勤評の問題見たって、都合いいところだけは全部指導しているじゃないですか。監督しているじゃないですか。全部そうやっていますか。全部そうやっているならば、いまの文相のことばは肯定します。ところが、そうじゃない。自分の都合のいい、ことに中央集権的になってきた、国家支配が激しくなってきた、軍国主義の支配が激しくなってきた。そうして自衛隊の協力まで要請されているというような日本のいまの現状じゃないですか。こういう体制の中でどういう役割りをやっているのか、再び文部省がそういうような過去にあった指導を、そういう指導みたいな役割りを陰のほうでなさっているじゃないですか。教科書一つ見てください。教科書の統制はどういうところから来ておりますか。全部地方にまかせておりますか。ところが、都合の悪い憲法違反という、そういう事態が出てくるというと、いまのような答弁で逃げようたって、逃げ切れるものじゃないと私は言いたい。そこには明らかに文部省のとっている態度と、それから法のたてまえを唯一の根拠にして、そうして都合のいいようなかっこうで地方の自主性を云々しているけれども、実態は違いますよ。とてもいまのことでは何もできない。中身をみなあなた方は見た見たと言いますけれども、ひどいものですよ。何といったって、この中身が問題です。たとえば、ここにいろいろありますが、あとで委員長委員の皆さん見てもらいたい。たとえばMという教員、「何々小学校組織、何々教員組織をつくり上げた元凶。学力テスト並びに十月二十二日半日休暇闘争の際の職員会議においても正面から校長に反対演説、他の教員これに続く。日常勤務においても校長補佐の任を尽くさず。北鮮より勲賞授与さる(北鮮の支援、鮮人の世話)。妻は」——妻のことまで書いてある。「妻は新婦人会副会長、事務局長(〇〇教員)とともに活動推進。」、こういうことが必要なんですか。教育委員会の人事異動の資料としてこれは必要なんですか。これはたくさん例をあげることができます。しかし、いろいろな例をあげれば、Aというのが、「昨年四月赴任した教員であるが、前任地〇〇小学校時代から問題視されていた。何々氏と同学年であり、もろもろの指導をしていた傾向さえあり。」、Mという教員については、「昨年四月赴任、前任地〇〇小学校時代から党員と親交あった由。妻は新婦人会加入。」、Aという教員があります。これは「Mとはかり万般についての段取りをし、住宅会議の結果が学校に持ち込まれる。Mの第一の子分。過去においては政党の某機関紙を西洋紙に包み児童に家庭へ持ち帰らせたりしていた由であるが、現在は行動を秘す。入党勧誘工作熱心。」、それからKという人物については、「党活動に最も筋金の入った人物。国民救援会支部責任者。村上国治を守る会会長。特殊教育サークルにも影響を与えていることが考えられる。入党……」——これは字がわからないが、増加の工作はすこぶる熱心。こういうような問題をこれは一人一人やっているわけです。特にある特定の地域におけるそういうところを抜き打ち的にやっている。こういうことは、これは文部省の方針ですか。これはどうなんですか。日本教育において許されているのか、憲法で許されているのか、教育基本法に抵触しないのか、この点についてお聞きしたい。
  297. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 岩間委員どうかひとつ混同しないでください。私は文部省でございまして、その事件が起こったのは教育委員会のほうでございます。教育委員会でそういう問題が起こった場合に、文部省の方針だなんということを混同して言われるのは非常に迷惑しごくでございます。これは北海道の教育委員会において起こった問題でありまして、なおまた、私どもは、そういう事実が判明した場合には、決して放置する意思はございません。たとえば北海道におきまして、北海道議会においてこれを問題に取り上げた場合において、その解決途中において私は介入すべきでないと判断しておると申し上げておるのでありまして、決して放置するという意思はございません。
  298. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は何も介入を言っているのじゃない。ただ、文部省のこういう基本的な問題についての見解を明確にあなた文部大臣として明らかにすることがなぜ一体悪いのですか。日本教育をほんとうに守る気があるのかどうかということです。そうして、このやり方を見ますというと、これはやはり警察が協力している、警官の介入なしにはこれはできないような調査をしている。これは国家公安委員長として、こういう事実について、これはまあみなここで証拠をあげませんが、しかし、実際あるのだ、防犯協会とかいうので学校に警官が行く、それから子供の防犯だというようなことで仲よくなり、そういうところからいろいろな情報を集めて、そうして思想調査的なものをどんどんやっている。それは警察だけではございません。公安調査庁もそういうことを背後から何ぼでもやっている。そういう実態で、これは単純なものでないと私は見ている、この背景は。そういう点はどうこれをお考えになっておりますか、その点をお聞きしている。法務次官も見えたから、法務次官からも明確にしてもらいたい。
  299. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 警察としては、いわゆる思想調査というのは全然やっておりません。もちろん犯罪の捜査等について情報を収集することはございますが、個人の人権にかかわるようなそうした問題は全然やっておらないわけであります。また、具体的にあげられている北海道につきましても、教育委員会からそのような依頼を受けたこともございませんし、こちらから資料を提供したこともございません。
  300. 岩間正男

    ○岩間正男君 むろんそれは、教育委員会は公然と国家公安委員長を通じてまで、そんなことを言うなにはないだろう。
  301. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 時間が来ておりますので、ひとつ集約的にお願いします。集約的に。
  302. 岩間正男

    ○岩間正男君 それで、鳥取県警の例があるのですからね。だから、そういうことをこれは言われても、実際はこの実態を御存じないと思う。学校と警察の関係というのは、最近非常に深くなってきているのだ、こういう実態についてここで調査をされますかどうですか。それから、これに対するはっきりした見解を出されますか。それから、そういうことはやっていかぬという方針を、これは指示なり何なりで明確にされますか。この点、まずお聞きしておきます。
  303. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) われわれの方針といたしまして、ただいまお答えしたようなことでございまして、このことは、常に各都道府県の警察本部長あるいはその他のものにも徹底をいたしておるわけでございまして、特にこういうのを動機としてそういう思想調査をするなんということを、いまさら言うまでもないことでございまして、その点は徹底をいたしておると私は考えております。
  304. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 法務省、いいですか、答弁……。
  305. 井原岸高

    政府委員(井原岸高君) 法務省としては、いまの段階では、事実関係は正直にいって十分わかってない、知らないわけでございます。したがいまして、ここでかれこれこの事実の問題を引き合いにして御答弁することは差し控えたいと思います。
  306. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は岡村という教育長に会って話をしてきているのですが、認めているのだ、これははなはだけしからぬことでして、認めている。それで思想調査とこの事実もこれは認めているわけだ。そういうふうになりますと、これはこの問題については、あなた方の見解はどうなんです、一体こういうものについての見解、これを明白にしておきたいのですが、これは文相はどういうふうに思うのですか。これは人事異動のために使ったというふうには私は考えられない。これはほかに三冊のつづりを忘れた、その中で、人事異動のそういうものを書いたのがありますけれども、ある地区に至っては、特定のところを全くねらい撃ちしている。ここのところでは、全くその妻の思想傾向まで、これは友人関係までやっているわけです。それから、ひどいのは、これは党の組織問題を、こういうふうになって何々委員会があって、その下に何々委員会があって、その下に細胞があって、それから、その中にA、B、Cとかいうのがあって、そこに妻の細胞があるとか、そういうことまで書いてある。こんなことを一体校長がわかるわけありまますか。わからないですよ。警察や公安調査庁の協力なしにはこれは絶対わかり得ないことですよ。それだから私は問題にしているのであって、当然そんなことは起こりませんなんて言ったって、島根県警のことは御存じでしょう。いまから五、六年前に暴露されて大騒ぎになった。あの警察官の手帳の中に何が出てきたか、大阪でももう何回も指摘されている問題ですよ。警官の手帳をみんな調べてごらんなさい。知らぬが何とやらという、国家公安委員長だけが知らなかったというふうなことでしょう。全くこれは日本の現実に合わぬのです。そんな問題ではないのです。いま何がやられているか、そうしてまた、内務省の復活みたいなことが始まっているのだ。警察と学校関係というものはだんだんと密接になる。いつの間にか、釣れますかなどと文王そばに寄りと、防犯問題などということでそれを話にしていつか仲よくなる。そうして、その間にいろいろその範囲の思想調査をやっているといういまの現状じゃないですか。文部大臣、そういう現実をあなた御存じなんですか、知らないのですか。知らないとはこれは言わされないと思う。ことに勤評なんというものをやっている。この勤評というやつは、やはり一方では逸脱をやっていますよ。ここには勤評はない、北海道には勤評はないのだ。岡村教育長は何と言ったか。私は勤評などというものはやる考えはございませんと言って、私の前で得々として言った。しかし、勤評以上のことをやっておる。勤評以上です。そうでしょう。こういったことが起こっているのに対して、これはいま、とにかく道の委員会で問題になっている。それはいいですよ、それはいいのだ。あくまでそれは自主的に向こうで解決させたらいいのだ。しかし、文部省の見解について問われているときに、これが言えないというような一体文部大臣であっていいのかどうか、こんな一体文部省であっていいのかどうか。私は普通の人事異動などの問題のそういう問題じゃないと言っておる。問題は、憲法に抵触するかどうかという問題です。問題は、教育基本法をどうするかという問題なんです。そして、その背景には、全くいまのベトナム戦争協力の戦争体制がちゃんとひそんできているのじゃないですか。そして、一方では青年の自衛隊の適格者名簿がつくられているのじゃないですか。これだってお目にかけますか、膨大なものができておるのだ。そういう事実じゃないですか。それに先生が協力されておる。協力しない先生は、これは赤だとかなんとかいわれておるじゃないですか。だから、最後に私は文相にお聞きしますけれども、ほんとうに教育基本法を守って、そして、たとえば日教組の諸君が平和四原則を掲げたその中の中心思想は、再び戦争を繰り返さないということです。あくまで平和を守るということです。教え子を再び戦場にやらないというかけ声のもとに、これは戦争反対して戦った、軍事基地に反対して戦った、そうでしょう。そして、その他の非民主的なそういう、何といいますか、権力支配の、中央集権支配の教育に対して戦っている。これは当然の私は権利だと思うのですね。ところが、これに対して一体どういうことが最近起こっておるか。全くこれを弾圧する、分裂させる、それからもう一方では、管理体制を非常に強化する、校長、教頭、こういう面まで。北海道では五人くらいのところがあるのですよ。五人のうち、校長と教頭、これしか……。そうすると、全くこの権力の支配のもとに屈服をしておるというかっこうです。どこに教育自主性がありますか。あくまでも平和を守るという精神に徹してそれを主張する。教育委員会のたとえば職員会の中に、そういう戦争の協力に対して、たとえば要求採択論についてここで徹底的に討論して、平和の立場から議論をする。これは赤だとかなんとかということで赤攻撃をやるのがこれは正しいか。私はほんとうに教育を守るのなら、当然再びあの戦争時代のあやまちを繰り返さないのなら、当然勇気を持って、こういう事態に、はっきり確信のあるところの平和への道を、そして戦争反対のなにを貫くのは当然だと思う。これは当然の教員の私はやるべきことだと思いますけれども、文相はこれに対してどうですか、賛成ですか、反対ですか。
  307. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 私は、この地方教育行政の自主性ということは、文部省として十分守っておるつもりでございます。ただいまの思想調査等につきましても、あくまで第一次的に道が道庁においてこれを自主的に解決すべきだというのも、できるだけ中央集権的な考えを起こさない意味におきまして、私は当然であろうと思います。ただし、もし思想調査等の事実が判明しますれば、これは文部省としまして、この憲法なり教育基本法の線に沿いまして、これはしかるべき措置をとらなければならぬと考えておりますが、まだ思想調査という事実が判明する段階に至っていないというのが現状でございます。
  308. 岩間正男

    ○岩間正男君 研究が足りないですよ。これだけの明らかな資料があって、これは思想調査じゃないと言うのですか。ないとあなた言われるのですか。
  309. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 私は全部知っていますから、そういうのが来たものを通じてやって。思想調査を命じたという事実はまだわかっていないのです。
  310. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはもう証拠が……
  311. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 岩間君、質問を……
  312. 岩間正男

    ○岩間正男君 責任を負うということをはっきり委員長も言っています。しかし、もういま言ったように、思想調査を命じたというのは、これはもうほとんど間違いのないことです。常識で考えたって、校長がこんなことをやりますか。ことにひどいのはね、全くひとの党の組織のことまで書いているのです。全部書いたらいいでしょう、政党調べるなら全部。自民党からみんな公明党、社会党、民社党、共産党。ところが、どうです。これが偏向でなくて何です、一体。そういうことです。それから北海道だ。勤評のない北海道でこれが起こっているのですよ。勤評のあるところで何が起こっているかということは、実にわれわれは心痛にたえないところです。こういう点から、ほんとうにあなたが民主主義を守る、民主教育を守る気持ちだったら、当然やはり全国的にこれを調査したらどうです。少なくともこれに対して処置をすべきじゃないかと思う。この問題はそういうことをはっきり教えていると思うが、これに対して文部大臣はどういうふうに考えられますか。処置をする考えがありますか、ありませんか。
  313. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 私は岩間委員のように、ほとんど間違いないとか、常識では考えられないということでこれは処置すべき問題じゃないと思います。的確にその事実をつかむ必要があると思うのでございまして、その事実を現在道庁において取り扱っておりますから、その結果を見守っておるというので、決してそれに無関心でおるという意味ではございません。
  314. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 他に御発言もなければ、昭和四十年度決算外二件の総括質疑は、これをもって終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十五分散会