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1967-10-24 第56回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十月二十四日(火曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員の異動  十月二十四日     辞任         補欠選任      佐野 芳雄君     戸田 菊雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀田 得治君     理 事                 黒木 利克君                 中村喜四郎君                 温水 三郎君                 岡  三郎君                 竹田 現照君                 黒柳  明君     委 員                 佐田 一郎君                 山崎  斉君                 山本茂一郎君                 小野  明君                 大橋 和孝君                 柴谷  要君                 達田 龍彦君                 戸田 菊雄君                 二宮 文造君                 片山 武夫君    国務大臣        文 部 大 臣  剱木 亨弘君         —————        会計検査院長   山崎  高君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        公正取引委員会        事務局長     柿沼幸一郎君        科学技術庁原子        力局次長     武安 義光君        外務政務次官   田中 榮一君        外務大臣官房会        計課長      山崎 敏夫君        外務省経済協力        局長       広田しげる君        大蔵省主計局主        計官       小幡 琢也君        文部大臣官房会        計課長      井内慶次郎君        文部省初等中等        教育局長     天城  勲君        文部省大学学術        局長       宮地  茂君        文化財保護委員        会事務局長    福原 匡彦君        厚生省医務局長  若松 栄一君        自治省財政局財        政課長      首藤  堯君        会計検査院事務        次長       佐藤 三郎君        会計検査院事務        総長官房会計課        長        田代 忠博君        会計検査院事務        総局第一局長   斉藤  実君        会計検査院事務        総局第二局長   石川 達郎君        会計検査院事務        総局第五局長   小熊 孝次君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十年度一般会計歳入歳出決算昭和四十  年度特別会計歳入歳出決算昭和四十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和四十年度政府  関係機関決算書(第五十四回国会内閣提出)  (継続案件) ○昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  これより、昭和四十年度決算外二件を議題といたします。  まず、昨日、審査を予定しておりました会計検査院決算について審査を行なうことといたします。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は、会計検査院制度あり方の問題について、若干質問をしておきたいと思うのであります。  現在の会計検査院制度については、幾つかの問題点指摘できるところでありますけれども、たとえば、今日の会計検査における検査制度と各政府機関内における部内監査との関係、あるいは国会に対する報告が出てまいっておりますけれども、   〔委員長退席理事岡三郎君着席〕 この会計検査国会に対する報告あり方の問題、あるいは書類検査現地調査との関係の問題、あるいは必要的な検査対象の問題と選択的検査対象問題等、いろいろ私は今日検討すれば相当問題点をかかえておる制度ではないかと実は考えておるのであります。とりわけ国政府機関ないしはその他の団体における自営監査の問題さらには、たとえば郵政省のごときは、監察制度という独自の部内における機関を持って機関会計あるいは業務自営監査を行なっておる状態もあるわけでありますけれども、そういう制度としては、自営監査あるいは業務監査あるいは会計検査院制度というものを持ちながらも、現実にはいろいろ不当事項不法事項あるいは犯罪というものが起こっておるのであります。最近の例によりますと、例の阪神高速道路における五千万円の職員犯罪も出てまいっております。ああいう事例を見てまいりますと、国民の目から見ると、一体国会計監査制度というのはどういうことをしておるのか、会計検査院は一体何を見ておるのかという気持ち国民が抱かざるを得ないのではないかと私は思うのであります。もちろん、これは全体を会計検査院が負わなければならない責任ではないということは明白でありますけれども、国の機関あるいは検査院制度全体としても、やはりこういう問題の起こってくる原因あるいはこれに対する対策あるいは職員綱紀粛正問題等、いろいろ検討していかなければならない問題があろうかと思うのであります。そこで、私はここで特に取り上げておきたいことは、政府機関以外の事業団に対する会計検査院会計経理あり方の問題について、若干私は質問をしておきたいと思うのであります。  今日、会計検査院機構体制の中で、政府機関以外の事業団に対する会計検査院としての検査はどういう体制で、どういう仕組みで行なわれておるのか、まず、それを御質問しておきたいと思うのであります。
  4. 山崎高

    会計検査院長山崎高君) ただいまの御質問は、政府機関部内の事業団に対する検査体制という点でございますが、三十六年当時は二つの課で公庫公団検査を担当いたし、その人員課長及び調査官等で五十三名にすぎなかったのでありますが、最近の公庫公団増加に対応する検査体制強化の必要を痛感いたしまして、特に出資団体検査担当の参事官を配置し、その下に課長相当上席調査官及び調査官等を配置することに制度を改めまして、検査充実をはかっておりまして、その員数も本年四月現在においては、上席調査官九名、調査官等八十五名となっている次第でございます。
  5. 達田龍彦

    達田龍彦君 で、そういう機構の問題はわかるのでありますけれども、現実には事業団に対するいわゆる会計検査院としての検査調査というのは、どういうふうに行なわれておるのか、お尋ねをしたい。
  6. 山崎高

    会計検査院長山崎高君) 先ほどお話がございましたけれども、書面検査実地検査の両面でございますが、各事業団に対しましては、毎年必ず実地検査をいたしておるのでございます。
  7. 達田龍彦

    達田龍彦君 これは、たとえば、いま政府機関以外の事業団に対する検査というのは、報告書によりますと、四千六百か四千七百の団体に及んでおると承知をいたしておりますけれども、過去十年間の会計検査院定員の変遷を見てまいりますと、昭和三十三年から四十二年までの間に、定員としてはわずか五十名程度定員増加を見ている状態にあると思うのです。御承知のとおり、国の予算は、皆さん方いま会計検査院として扱われている予算あるいは事業団会計総額からいたしましても、十兆円にのぼろうという膨大な金額であり、また膨大な帳簿、経理状況にあろうかと思うのです。また事業団の今日の数にいたしましても、三十三年当時から見てまいりますと、相当多くなっている実情にあると思うのです。にもかかわらず、会計検査院の定数というのは、三十三年から比較してまいりますと、約五十名程度増員に終わっておる、こういう定員上のあり方の中にあって、あるいは機構体制の中にあって、一体いま院長が言うように、完全な事業団に対する監査体制的にできておるのかどうか、非常に私は疑わしいのです。その点どういうふうにお考えになっておるか。
  8. 山崎高

    会計検査院長山崎高君) 会計検査院といたしましても、ただいま御指摘人員増加の必要は深く感じておりまして、機会あるごとに努力を重ねておるところであり、徐々に増加をされておりますが、これで十分であるとは考えておりません。さらに努力を続ける所存でございまして、四十三年度予算概算要求におきましても、検査要員増員を六十二名要求しておる次第でございます。
  9. 達田龍彦

    達田龍彦君 その六十二名の要員を要求しておるというのは、どういう必要性によって要求されておるのか、具体的に御説明願いたい。
  10. 山崎高

    会計検査院長山崎高君) 新規予算要求におきます新規増員の分でございますが、技術専門官五人、防衛の検査のための人員七名、それから建設検査のための人員二十名、農林検査のための人員十二名、鉄道検査のための人員十三名、また出資関係団体検査のための人員五名、こういう内訳でいま大蔵省に出しているわけでございます。
  11. 達田龍彦

    達田龍彦君 そこで、これは会計検査院として、今回の阪神高速道路のたとえば職員の五千万円の犯罪について、これはもちろん来年度の会計検査院検査対象になると思うのでありますけれども、このことは、私はこれだけではなくて事業団会計経理のずさんさを端的にひとつ物語っておるものだと考えるのであります。政府機関会計経理状態というのは、内部監査を行ない、あるいは業務監査を行ない、ある意味では指導体制というものが確立されておると思うのでありますけれども、いまこの事業拡大発展に伴って出てまいりますところの事業団経理内容というものは、あるいは会計内容というのは、仕事をすることのみに追われて会計経理がおろそかになっているというふうな、私どもはそういう感じを受けるのでありますけれども、そういう面のあらわれとして今回の事業団のああいう職員の不正が出たのではないかと思うのであります。そういう意味では、根本的に事業団に対する会計経理あり方に対して会計検査院が抜本的な対策指導を今日しなければならぬし、そういう対策をお持ちでなければならぬのではないかという気がしてなりません。そういう意味で今回出てきた事件に対して、どういうところに原因があり、これに対してどう対処していったらいいと会計検査院としてお思いになっておるのか、お伺いをしておきたいと思うのであります。
  12. 山崎高

    会計検査院長山崎高君) 事業団経理の適正を期するということにつきましては、検査院といたしましても深い関心を持って検査を行なっているわけでございます。ただいまお話がございましたような内部監査機構、また牽制組織等につきまして十分な注意を払っている次第でありまして、会計に関する制度あるいは規定監査機構という牽制組織については、もちろん検査要員の数、所要経費予算額実施日数及び個所数監査結果の指摘事項及びその処理等、その活動運用状況についても調査を行なっておりますが、牽制組織について規定どおり運用しないものがいた場合に、これを把握することはなかなかむずかしいのが実情でございます。お話の御趣旨は私たちも十分認識しておりまして、今後さらに努力を続けてまいりたい所存でございます。
  13. 達田龍彦

    達田龍彦君 実はもう少し、どういう対策で対処すべきだ、原因がどうだ、こういうことを実は聞きたいのです。そういう抽象的な御回答ではなしに、どういうところに制度上本質的な欠陥があるのか、そうしてそれはどういうふうに持っていくべきであるか、部内監査とそれからあなたたち会計検査院という独自の立場から見た立場でどう体制づけていくべきであるか、これは私はわが国のいわゆる会計監査制度とそれから会計検査院がやるところの検査制度との関連性というものが、やはり本質的にここで考えられる問題点があると私は思うわけであります。そういう意味でやはり全体の会計検査院制度と、それから自営監査あり方とどう関連づけていくのか、どこにそういう隘路が出てくるのか、そういう問題も含めた会計検査院制度としての、国の会計全体に対する検査あり方としての立場から、もう少し具体的な御説明がいただきたいのであります。
  14. 小熊孝次

    説明員小熊孝次君) お答えいたします。  本件の、ただいま問題になりました阪神道路公団事件につきまして、その発生原因につきまして、これはまだ正式な報告がまいっておりませんが、逐次口頭で報告いただいたものにつきまして原因を探求してみますと、規定上は適正にできておるわけでございますが、その実際の運用を見ますと、今回のケースといたしましては、建設部長資金渡官吏に当たりまして、その下に庶務課長出納印の保管をしておるわけでございます。それから庶務課長の下の主査庶務課主査本件の問題になった者でございますが、それが小切手を保管しておりまして、本来小切手を製作したものにつきましては、庶務課長が保管している判こを、建設部長資金渡官吏がみずから捺印しなければならない、規定上はそうなっておるわけでございますが、実際の運用は、その庶務課長のもとにおりますところの主査、これは事件の本人でございますが、その者が小切手——それから小切手自分でつくり出納印自分で押すと、こういうような運用が実際として行なわれまして、それでほしいままに小切手が振り出された、こういうような実情でございます。したがいまして、こういう事態に対処いたします際には、われわれといたしましても、実地検査の際におきまして、十分検査をいたさなければならぬ、こういうふうに考えるわけでございますが、しかしながら、公団当局におきましては、内部監査というものをそういう観点から十分やっていく、あるいはその監査結果というものにつきまして、先ほど院長からお話がございましたように、一々報告を受けまして、そうして監査をやっている場合、厳正に監査をやっている場合と、監査をやっていない場合、あるいは監査をやってから相当たっておるというような、そういう点を密接に連絡いたしまして、会計検査院としての検査を実施していく、こういう配慮が必要ではないか、実質的に規定上は非常に牽制組織がうまくいくようになっておるわけでございますが、しかしながら、実際問題としては運用がそういうふうになっておらぬ、こういう状態から今回のような事件が発生したのではないか、このように考える次第でございます。
  15. 達田龍彦

    達田龍彦君 そこで、特に私はこういう事業団関係会計検査院としての検査あり方について、政府機関の場合と比較をして、事業団の場合について機構体制の中でも見てまいりますと、第五局でもって、ほとんどの事業団関係検査をやられるという機構体制にあるのであります。私はそういう意味においても、会計検査院機構体制全体としても、事業団に対する取り組み方、会計検査院としての体制の取り組み方として非常に不十分ではないかという気がいたすのであります。特にいま申し上げたように、政府部内の自営監査業務監査、こういうものについては、長い歴史もあるし、また人員を擁してやっておられるわけでありますから、ある意味では体制として確立しているのではないか。むしろ事業団というのは企業的な性格を持っているわけでありますから、その意味においては、そういうある意味では不経済な自営監査制度を置くよりも、事業団の利益を追求するという意味で、そういう面での体制が弱いのではないかと私は思うのであります。にもかかわらず、それを検査をしていかなければならない会計検査院の中においても、体制としてはそういう弱さを私は持っておるのじゃないかという気がいたします。そうなってまいりますと、そういう面での体制の弱さが一面ではこういうすきを与え、結果として職員犯罪を誘発していく原因をつくったんではないかということは一面指摘できるのではないかという気がいたすのであります。そういう意味において、こういう事業団に対する会計検査院制度というものについて、私はもう少し充実をしていかなければならないと同時に、事業団内部における自営会計検査体制というものについて、この際抜本的に検討をして、会計検査院指摘をするなり、勧告をするなりしていく問題が今日あるのではないか、こう思うのでありますけれども、こういう点について、会計検査院としてはどうお考えになっておるのか、お尋ねをしておきたい。
  16. 山崎高

    会計検査院長山崎高君) 御指摘のように、第五局というものがございまして、そこで一まとめに、鉄道公社公団まとめてやっているわけであります。私もまだ日が浅いのでございますけれども、参りまして感じますことは、非常に優秀な若い人を第五局に集めて勉強してもらう、精鋭主義といいますか、とらざるを得なくてやっておるのでございますが、非常に忙しいのでございますね。ことに局長になってくると、非常にたくさんの事業団内容を全部知らなければならぬというようなことがありまして、ひそかに、いろいろ所管事項説明をするようなときは、局長に対しては同情の念を持って聞いているわけでありますが、御指摘のように、この部分強化というものもわれわれは努力してはからなければならないのじゃないかと考えております。非常に事業団公社公団、数が多うございます。それぞれ活動をしている部分が非常に多うございますので、なかなか実地検査等報告を聞くだけじゃないか。そうしますと、やはりそれに対する検査に追われてしまって、根本的に考えていくことがまた必要じゃないかと思いますので、今後はやはりそういう面の充実のほうも意を注いでまいりたいというふうに考えております。
  17. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで私は、ただ会計経理状況会計検査院検査をする、こういう観点ももちろん重要でございますけれども、もう一つは、そういう事業団部内対立監査制度というものについて、この際会計検査院はメスを入れて検討してもらいたいと私は思うのであります。そうして、それが会計検査院制度とどういう有機的に関連を持っていくのか。こういう関係についても、私は十分検討をして、一つの確立した制度をつくってもらいたい。そうしない限り、いま申し上げたように、事業団会計経理状況、あるいは監査をする状況をまかせっぱなしにしておっては、やっぱりどうしても企業経営状況から、いわゆるそういうむだなものには金を使わない、人員を使わないという傾向が出てまいりますから、結果としてはこういう問題が出てくる体制をつくってしまうのではないか。したがって、これは国全体の事業団の今日の会計経理体制、あるいは会計監査状況というのは、事業団にまかせっぱなしじゃなくて、一つ規定体制として——体制としてこうすべきものだというものを一本つくって、それにのっとった事業団会計経理部内監査体制というものをひとつ会計検査院が中心になってお練りをいただいて、勧告なり、あるいは制度の確立をはかるような方向をひとつ導き出してもらえないだろうかと私は思うのであります。  それから会計検査院制度充実について、こういう事業団に対するいわゆる機構充実の問題は、私は将来の予算審議等の中で、もう少し会計検査院のほうでも大胆に、勇敢に定員の必要なものは十分お出しいただいて、国会論議の中でそれを認めていくという体制をつくらないと、何かしら、事務屋全体が非常に大きくなっているにもかかわらず、たいして定員はふえない。定員がふえることのみが事業全体をスムーズにやり得るのではないという一面もありますけれども、いずれにしても絶対的な事務量に対して絶対的な人員というものが必要でございますから、そういう意味では控え目な御論議ではなくて、実はこれだけ要るのだ、だけれどもこれだけしか認めてくれないのだという率直なものが国会に対して出てまいりませんと、国会側としても認識が非常に薄いがために、定員増加ができないという問題があろうかと思うのです。私は、そういう意味会計検査院制度というものは拡充強化をしていかないといけないのではないかという気がいたすわけでありますけれども、そういう意味で、そういう問題に対する検討をひとつ早急にしていただいて、国会に率直にそういう問題に対してもお出しいただく、こういう体制気持ちが必要ではないかと思うのでありますが、そういう点について、院長のほうから会計検査院考え方をお聞かせをいただきたい。
  18. 山崎高

    会計検査院長山崎高君) 公庫公団の数も非常にふえてまいっている現状でございますので、実際の検査の盲点にならないように、今後やはりわれわれとしても十分努力しなければならないと考えております。ただいま会計経理制度に対しまして改善要求意見を出す制度が御承知のようにございますのですが、ただいままでにおきましても、やはり農林漁業金融公庫とか、雇用促進事業団につきましては、その意見を出しまして、国会のほうにも御報告をしているわけでございますが、今後、このような制度をどしどし活用いたしまして、改善すべきものがあったらひとつ直してもらうというように、さらに努力をいたしたいと、かように考えております。
  19. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで、一応いま申し上げたように、事業団の問題に対しては、私がいま指摘いたしましたように、全体の会計経理部内あり方の問題について、会計検査院としても十分御検討をいただいて、そうして、できれば事業団部内監査会計経理あり方について、一つの方策を出していただきたいと、私は強く要望いたしたいのであります。  それから、現地調査官調査をされる実情を見聞するところによりますと、この調査官資格というのが一体どうなっているのか、疑問を持つ点があるのであります。何か現地調査によりますと、調査官というものの身分資格というものが明確でないからかどうか、私もよくわからないのでありますけれども、現地で係長あるいは主任というような、いわば下級役職人々相談をして調査をするという機会が非常に多い。それはむしろそういうことを知っている人が下級の人が多いからだという点もあるかと思いますけれども、調査官というものの身分あるいは位置づけというものが低いがゆえに、そういう低い人々相談をして検査をしていくという一面を持っているのじゃないかという気もいたすのであります。私は、むしろ検査院というこの独自の立場を持ち、独自の権限を持っているのでございますから、言うなれば最高責任者とものを取りかわす、あるいは勧告をするというき然とした体制位置づけがなければ、ほんとうの意味での調査官調査というものはできないのではないかという気がいたすのでありますけれども、そういう意味で、調査官というのはどういう役職の中における位置づけ権限を持っているのか、その点をひとつ明確にしてもらいたいと思います。
  20. 山崎高

    会計検査院長山崎高君) 現地に参ります調査官は、会計検査院実地検査をする責任権限を持ってまいっているわけでございます。私が聞いている範囲におきましては、やはり現地にいる課長等調査官は、総裁なりあるいは最高責任者に会って注意をし、警告をして、その結果を聞いております。それからまた、一人だけ行くんじゃございませんので、若い人も大ぜいこちらから連れていきますが、いろいろ資料を集める場合の必要によっては、向こうの下の人と話をするという場合ももちろんございますので、現地に行く人はやはりまあ年の関係かしれませんけれども、私は何等級だというあれじゃなくて、検査院実地検査官として参っているというように、また、実際そうすべきであると考えておりまして、実際の指導もそういうふうにしているんじゃないかと思っております。
  21. 達田龍彦

    達田龍彦君 それからもう一つ、私はこれは会計検査院の方々に対しては不名誉な話でありますけれども、よく現地下級職員だとか、あるいはその他の関係の人から聞くのでありますけれども、調査官調査をして、国会報告書を出す、この報告書に出てくるのはあまり問題ではないんだ、むしろ報告書に出てこない問題が実は問題なんだ、こういう話をよく聞くのであります。言うなれば、非常に重要な問題は報告に出ないで、調査官との話し合いによって報告までもたないで問題を没にして、そうしてそう重要でないものはやはり会計検査院立場もあるのでこれはあげておくんだと、こういうのが逆に現場で聞く話であるのであります。これは私は会計検査院の皆さんにとっては非常に不名誉な話であり、実際にそうあるということを信じたくないのでありますけれども、よく聞くのであります。私は、ここに今日の会計検査院制度というよりも、調査官あり方として、お気づきにならない点があるとするならば、私は十分そういう点も検査院制度あり方の問題として何らかの方法を考えなきゃならないじゃないかという気がいたすのであります。これはよく業者の方々からも聞くのであります。そして、そういう調査官の姿勢と体制がやはり全体の綱紀粛正をゆがめているという点、あるいは会計経理のずさんさを誘発する原因をつくるのでありますから、非常に私はそういう意味では重大だと思うのであります。でありますから、かりにそういうことがあるとするならば、これはたいへんゆゆしい問題でございますので、また、そういううわさが出るということは、なくってうわさが出るということは私はないような気がいたすのでありまして、そういう点についてはひとつ十分御注意をいただいておかなければならないのではないかということを申し上げておきたいのであります。  まだ私は、現地実情の中からいろいろ出てまいっておる御意見を中心にして、会計検査院についてお話を進めてみたいと思っておりましたけれども、時間がございませんので、最後に一点だけお伺いをしておきたいのは、会計検査院のこの検査報告書の提出の期日と、それから決算書の提出の期日でございますけれども、もう少し早めるわけにはまいらぬかという気持ちを持っておるのであります。過去の状態を見てまいりましても、非常に、まあ翌年度の十一月三十日までに会計検査院に送付しなければならないということが、財政法の三十九条に決算の提出の時期としてきめられておるわけでありますけれども、過去の状況を見てまいりますと、それよりも若干おくれておる現状にあるのであります。これひとつ何とか御努力をいただいて早める方法はないのか、体制的にできないのかどうか、そういう原因は何か、そういう問題についてひとつ御回答を賜わりたいと思っております。   〔理事岡三郎君退席、委員長着席〕
  22. 山崎高

    会計検査院長山崎高君) 会計検査院検査を早く済ませまして、なるべく早く国会に送りたい、これは実は私も衷心からそう思っている者の一人でございます。しかし何ぶんにも長い伝統で、大ぜいの職員が働いてその結果の集成でありますので、みんながその気持にならなければとてもこういうようなことはできないのでございます。そこで、寄り寄り話しまして、少しでも早くしようじゃないか、だんだん、だんだん——一挙に早くというわけにはまいりません。できるだけ少しずつ早くしようじゃないか。そうしますと、さかのぼっていきますと、少しでも早くするためにはやはり実地検査も早く行かなければならない。実地検査も早く行くと年度内の検査ということになる。しかし、さっきのお話関連するのでありますが、年度内に検査した結果、是正される数が多くなる、けっこうなことじゃないか。また、あるいは改善要求——こういうふうに直したならどうかといって別に文書で要求しないうちに、政府、官庁のほうでお気づきになって直る、そういう場合もけっこうではないか。そういうふうな検査院のメリットというものは国会国民報告したらどうか、ありのままに。こういうふうに注意したので、これだけ国損が減ったということも報告できるのではないかというような、まあ早く出すということに関連いたしまして、そういうこともひとつどうだろうかということで、いま大体、急にこれはやるわけにはまいりませんけれども、そういうふうなことでひとつことしから努力しようじゃないかということになっておりまして、御趣旨の点もございますので、ひとつできるだけ努力いたしまして、徐々ではございましょうけれども、ひとつなるべく御期待に沿うように努力してまいりたい、かように思っておりますので、ひとつ何ぶんの御指導、御協力をお願いしたい次第でございます。
  23. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連で一言。  いま達田さんのほうで質問としては出されなくて、ただ意見として出された調査官の綱紀の粛正の問題について。これは私もいまここでくどくどものを言いたくはないけれども、やはり地方へ参ると、たまたま耳にするのは、会計検査院のところから来る調査官の待遇が悪いといじめられると、こういう話があるのです。これは最近においては茨城県で一つ聞きました、事例は申し上げませんけれども。そのほかについても、どうも調査官に対しての取り扱いが普通だという手きびしくやられるし、非常に待遇がいいというと比較的にまあなめらかにやってもらえる、こういうことが、これも耳にするのです。ただ耳にするということではなくして、具体的に一つ二つというふうに聞くわけです。これはわれわれ自体としても、どの程度の問題かについて、いまここで詳しく述べるということができないのを遺憾と思いまするが、最近においては、公正取引委員会、公取がかなり職務権限という問題から、物価の問題等について積極的にこれを行使してやっておる。私はやはり会計検査院としても、国民の負託にこたえて、積極的に独立機関として、やはり鋭く現在の全般のこの綱紀粛正について張り切ってやってもらわなくては困るのではないか。まあ張り切ってやっておられるかもわかりませんが、ややそういう点についてはもの足りぬというふうな感じを持つわけです。この点については、もう山崎院長も四年間のまあ会計検査官としてやられているわけですが、ここで、部内のことですから、あなた方首脳部から、そういうことはまことことか、あるいはありませんとかということではなくて、一ぺん総括的にやはり内容について何というか引き締めるというか、そういうことがなければいいのですが、そういう点について、私のほうも一、二気になるので申し上げておきたいと思います。これは検査院長というより、ほんとうは事務総長がこういう問題については統括されておるのかもわかりませんが、その点についてひとつ所信を承りたいと思います。
  24. 山崎高

    会計検査院長山崎高君) この職員の実施検査の際の職員の綱紀と申しますか、検査の態度といいますか、についてもお話がございましたのですが、私たちはこれはいつも言っておるのですが、やはり検査というものは、何もいばってすれば種が出るのじゃなくて、やはり法律の知識とか数字とかいう勉強の結果が集積されるものであるから、態度は、あくまでも相手の方も公務員であるから、やはりこちらもゼントルマンとしてやってほしいということは、常々私もそう思い、また、いろいろ会合のあるたびに申しておるのでありますが、何ぶんにもほとんど大多数の職員は、私は忠実に検査の仕事をやっているというふうに確信しておりますが、御指摘のような点も、数多い中のことでございますので、私の耳に入らぬ部分があるかということをおそれているわけでございます。いまのようなお話の点につききしては、検査院の幹部は一応常に心配もし、かつ、心しておるところでございますので、ただいまのお話を参考にいたしまして、今後十分ひとつ注意したい、かように思っております。
  25. 岡三郎

    ○岡三郎君 それは結局、そういうことを問題として提起されるというと、次にいじめられるというわけですね。要するに、いじめられるのがこわいから表へ出さぬでくれ、こう言う。それほど権限がきびしいのか。そういう点について、これはいま山崎さんが言うように、大多数の方々はそうではないと思う。中にそういうふうな風評が出てくるようなことの事例がなきにしもあらずという感じがしたので、ちょっとお伺いしたのです。そういう点で受ける方は表へ出るということになると、次にきびしくやられるということがあっておそれているという面が、そういうふうなことのうわさになってきておるのじゃないか、こういうふうに思うのです。われわれに対しても言わぬでくれ、実はこういうふうなことがあった、こういうふうなことですよ。これはどこの程度までということになるとなかなかむずかしいが、ただこういうふうなことで達田君の意見関連して一言だけ……。そういうことがなければけっこう。ないようにひとつよろしくお願いをいたします。  以上で終わります。
  26. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 委員の異動について御報告いたします。     —————————————  本日、佐野芳雄君が委員を辞任され、その補欠として戸田菊雄君が選任されました。     —————————————
  27. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 次に、外務省及び文部省の決算について審査を行ないます。  この際おはかりいたします。  当委員会に提出されております外務省及び文部省の決算の概要につきましては、口頭による説明を省略し、これを本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、会計検査院検査報告についても、説明を省略し、後日文書をもって提出願うことといたし、これらの報告につきましても、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  30. 黒柳明

    ○黒柳明君 インドネシアの賠償について若干お伺いしたいと思います。大臣がお見えになりませんので、総括的なことを次官に、また、詳しいことは局長さんにお伺いするようになると思うのです。  インドネシアの賠償について、いろいろ政府側としても弁明、釈明することもおありだと思うのですが、結果として私は大失敗であったのじゃないか、こう思うわけですけれども、政府として何かこのインドネシア賠償について反省していることでもおありであったら、ひとつまずその点からお述べいただきたいと思います。
  31. 田中榮一

    説明員(田中榮一君) 私から便宜お答え申し上げたいと思います。  インドネシアの賠償につきましては、もちろん本賠償につきましては当然条約によりまして、協定によりましてインドネシアに賠償義務を負うておりますので、日本といたしましては、十二年間にこの賠償金額を支払うことに相なっておりまして、この賠償履行につきましては、大体順調に責任を果たしているわけでございますが、ただ、賠償の支払い金のインドネシア国内の問題につきましては、いろいろ批判もあるようでございますが、本件につきましては、インドネシア国内の問題でもございまするし、また、わが国といたしましても、賠償金が有効適切に使用されることを希望し、かつまた、賠償の協定にもその旨がうたわれておりますので、その賠償金がインドネシアの経済の復興、あるいは国民の福利、民族の安定等に十二分に効果が発揚できるような方向においてこれが使用されることを実は希望いたしている次第でございます。
  32. 黒柳明

    ○黒柳明君 やはり全面的にインドネシア側の責任であると、こうは言えない点もあると思うのですが、本年度は賠償支払い十年目に入るわけですけれども、政府の試算によりますと、さらに必要金額が三千八百七十一万八千ドル、賠償余裕財源が二百五十一万四千ドル、不足額が三千六百二十万四千ドル、こういうふうに非常に大きな不足額をここに抱えているわけです。しかも、八百三億ドルという国民の血税がこの賠償に払われているわけですが、これは当然順調な賠償支払い方法が行なわれていれば、こういうようなことにはならなかったわけです。ただいま順調に支払いは行なわれている、こういうようなことをおっしゃいましたけれども、ここにもひとつ、インドネシアの問題はともかく、政府が十二年間において国会の議決を経て、それで賠償協定に基づいての支払い、そのためにはまだ三年残っているわけです。しかも、その不足額がもう目に見えてここにあらわれている、こうしますと、協定あるいは国会の議決というもの、その賠償のプロセスというものに沿ったことが行なわれてない、こういうふうに私は思うのですけれども、これも失敗の一つの結果だと、こう思うのですが、いかがでしょう。
  33. 広田しげる

    説明員広田しげる君) ただいま黒柳委員指摘の不足額の点でございますけれども、これは本来の賠償とは別に、四次にわたりまして、いわゆる賠償担保借款というものを供与したわけでございますが、それが普通の民間の延べ払いでございますが、最初のころは、それが契約に従いまして外貨で支払われましたけれども、昭和四十年の九月三十日の例の事件以後、ちょうどその年の暮れからその外貨による支払いが行なわれなくなったために、賠償担保、担保になっている賠償から落ちたために、本来の賠償のほうに初めの計画どおり行なえなくなった、こういう事情であります。
  34. 黒柳明

    ○黒柳明君 結局そういう賠償を担保借款で食ってきた、こういうことが大きな失敗の原因だと思うのですが、この担保借款を賠償に回せる、協定には出ていないわけです。あくまでもこれは両国間の交換公文によって、担保借款というものが行なわれているわけですけれども、協定上にこの担保借款を賠償のほうで食っていく、いけるという協定上約束があるのかどうか。フィリピンあたりにもこの例はあったと思うけれども、それは別として、インドネシアのことでですね。
  35. 広田しげる

    説明員広田しげる君) インドネシアとの賠償協定の第二条の1項にこういうふうに書いてございます。「賠償として供与される生産物及び役務は、インドネシア共和国政府が要請し、かつ、両政府が合意するものでなければならない。これらの生産物及び役務は、この協定の附属書に掲げる計画の中から選択される計画に必要とされる項目からなるものとする。ただし、インドネシア共和国政府が附属書に掲げる計画以外の計画に充てるため要請する項目は、両政府間の合意により、賠償として供与される生産物及び役務に含めることができる。」という規定がございまして、いわゆるこの付属書にあげてないものでも民間の延べ払い借款で、この両国間の政府の合意によりましてこの計画にのせることができる、こういうことで協定に違反するものではないと存じます。
  36. 黒柳明

    ○黒柳明君 この賠償と担保借款のお金の性質、これはそのもの自体が当然違うわけです。借款のほうは国会の議決を経ていますし、担保借款のほうは、これは外交による、こういう違う性質のものがお互いに融通し合っている、ここらあたりにも何か解せないと思うのですけれども、この点いかがでしょうか。
  37. 広田しげる

    説明員広田しげる君) 民間の延べ払いによりますいわゆる賠償担保借款、これにつきましても、やはりインドネシア政府の強い要望によりまして受けたものでございまして、ただ、支払いが本来の賠償と若干違うところがございますけれども、インドネシア政府の要望によって供与したものでございます。
  38. 黒柳明

    ○黒柳明君 それから賠償の使い道、その対象、プロジェクトには、こちらから向こうの要望によって支出する目的がちゃんと書いてあるわけですが、担保借款はホテルを建てているわけですね。それからデパートも建てている。しかも、その担保借款で建てたホテル、デパート、そのために賠償金額を食っていって——賠償協定にはホテルないしデパートというものは入ってない、先ほど両国政府の合意があればいいというような協定があると、こういうふうにおっしゃいましたけれども、聞くところによると、この時点においてはスカルノ前大統領の圧力もかかって地元の都合、インドネシアの国内事情もあるということですけれども、これがあくまでも地元の事情である、スカルノの強い要請があったというだけでは済まされないのじゃないか、日本政府責任も当然あるのじゃないか、こう思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  39. 広田しげる

    説明員広田しげる君) ただいま御指摘のホテルでございますけれども、これはホテル・インドネシア、これはジャカルタにございますが、そのほかに、バリとジョクジャカルタともう一カ所プラブハンラトウ、この三カ所にございます。それぞれみんなインドネシアで有名ないわゆる観光地でございますけれども、当時インドネシア政府としては、このホテルをつくって、大いに観光客を誘致して、いわゆる観光収入というものをはかる意図に出たものと思います。現在のところ、その後の事情もありまして、ホテル・インドネシア以外の三ホテルは、いわゆる観光収入という面ではあまり役立ってないようでございますけれども、現在インドネシアもああいういろいろな激変を経ました結果と思います。当初の目的はそういうことであったというふうに承知し、日本政府としてもこれに合意して担保借款にのせた次第でございます。
  40. 黒柳明

    ○黒柳明君 本来この賠償に使われるべき御存じのようにダムですね、日本工営株式会社が契約したカランカテスですか、それからカリコント、リアムカナン、このダムがいまのところ財源不足で見通し立たない、こういうことになっているわけです。本来ならばこのダムをつくるために賠償金額が払われ、完成を見ていなければならない。それが目的が大きくはずれているわけです。そこの中には、先ほども言った担保借款で賠償協定にないホテルやデパートを建てた、その担保借款が賠償を食っていった、こういうことですけれども、ここらあたりにも政府の賠償を出す基本姿勢が問題じゃないかと思うんです。またインドネシアの経済復興のために、再建のために日本政府としても賠償を出すわけです。その目的が全然達成されていない。まして日本工営株式会社というのは、台湾でも何か疑惑に満ちた仕事もやったというようなことがあり、またインドネシアでも中途はんぱな仕事をやっておる。そこにはあくまでも、先ほどから言いますように、現地の事情、それだけじゃ済まされない。こちらの側の賠償を出す基本姿勢というものも、また大きく反省し、問題にしていかなければならない、こう思うんですけれども、この点についていかがでしょう。
  41. 広田しげる

    説明員広田しげる君) 先ほども申し上げましたとおり賠償担保借款は四次にわたってやっておりますけれども、これは契約の認証年月日でございますが、第一次が三十五年の八月、第二次が三十七年の七月、第三次が三十七年の十二月から、ものによって違いますけれども、三十八年の六月ごろまで、第四次が三十八年の八月でございます。一方、先ほどの三Kダム、三つの多目的ダムでございますけれども、カランカテスダムが三十七年の五月、リアムカナンが三十八年の九月、カリコントが三十八年の十一月とそれぞれのいわゆる契約の認証年月日でございますが、ただいま申しましたとおり、むしろこの第一次、第二次、第三次ごろまでは、いわゆるこのダムの計画は向こうのほうから出てこないという事情でございまして、この三つのダムの計画を向こうが賠償のあれにのせたいというときに、その財源の点から考えて、これは全体としてはいまのところ不可能である、こういうことを申しました。向こうは賠償担保借款はいままででもずっと契約どおり返していたし、今後も返るはずだから、そのつど外貨が返ってきたごとに、いわゆる三Kダムのほうの計画を実施計画にのせて認証するということで、段階的にいってもいいからということで、当時両方の政府で了解しましてやった次第でございます。初めのうちは先ほど申しましたとおり外貨が入ってまいりましたので、計画が順調にいったわけでございますけれども、四十年の九月三十日以後経済状態が非常に悪くなって、先ほど申しましたように十二月から賠償担保借款のほうの支払いがとまりましたので、賠償から落ちた。したがって、現状で申し上げますと三Kダムのほうは計画どおりいまのところ賠償でやるというのが、残り財源も少なくなりましたので、初めの計画どおりやることができなくなった、こういう事情でございます。
  42. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然、ですから初めの計画どおりできなくなったというその根本に、先ほどから繰り返すようですけれども、現地ばかりの責任にするわけにいかない。政府のそこの根本姿勢にやっぱり狂いがあったんじゃないか。この三Kダムの失敗は、御存じのウイスマ・ヌサソタラービル——大成、鹿島がつくったもの——とともに、非常に現地においても、あるいは国内においても、不評が高いわけです。私聞いたところによると、国内の某総理クラスの人の紹介で、スパンドリオに名刺一枚持っていったら、それが四百万円だ、こういうことで驚いていた業者もおりましたし、また、買い付けたりするたびに二割、三割のリベートがそこにやり取りされる、こういうふうなことも聞いております。しかもこれがうわさのみならず、非常に事実があるらしい、そのことがこういう賠償担保借款を食ったり、賠償の本来の目的である三Kダムがそのままになってお先まっ暗である、こういうことなんです。  私は、ここでは詳しい資料がありませんので、その実態というものは調べなければならない、こう思います。この三Kダムについての資料を要求したいと思います。要するに、契約の業者、現地到着資材の買い付け、現地との契約状況、工事代金支払いの経過あるいは買い付けに対して、こちらからの積み出し状況、それらをでき得るだけ明白に、期間あるいは金額、双方の業者の名前、そのようなことについての資料を提出していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  43. 広田しげる

    説明員広田しげる君) ただいま御要求の資料につきましては、検討した上で、できるだけ詳しい資料を出したいと思います。
  44. 黒柳明

    ○黒柳明君 資料がきてからまた詳しく調べたいと思います。  問題は変わりますけれども、夏に外務大臣とマリクさんとの間で約束した一千万ドル、これはどういうような性質の賠償なんでしょうか。無償贈与ですか、どういうふうな性格のものですか。
  45. 広田しげる

    説明員広田しげる君) 例の本年度いわゆるインドネシアのインフレを抑制し、経済を安定させるという目的で、日本をはじめアメリカその他欧州の、いわゆるインドネシアに債権を持っているような国でございますが、それが東京、パリあるいはアムステルダムで累次会議を重ねまして、インドネシアの経済を安定させるために、本年度大体二億ドルの外国援助が必要であるという事情がこれまたインドネシア政府の言っていることばかりではなく、例のIMF、国際通貨基金がインドネシアに人を派遣しましていろいろ調べた結果、ただいま申しました本年度中に約二億ドルの外国援助が要るというので、先ほど申しましたような諸会議を通じて各国がひとつこれを援助しようということで、日本もその一翼をにないまして六千万ドル——五千万ドルが借款、一千万ドルが贈与でございますが、そういう援助を約束したわけでございます。
  46. 黒柳明

    ○黒柳明君 ですからこの名前はどういう名前づけになるのか、あるいは予備費扱いとして国会の承認を得る、そういう性質のものなのか、その点いかがでしょうか。
  47. 広田しげる

    説明員広田しげる君) 五千万ドル円借款につきましては、すでに輸銀と向こうの政府とのいわゆる借款契約ができまして、これはすでに実施中でございます。それから贈与分の一千万ドルにつきましては、協定にもございますとおり、インドネシアと外交的取りきめをしてこれを出すということになっております。現在まだその取りきめの妥結の段階になっておりません、現在話をしておりますけれども、そういう状況であります。
  48. 黒柳明

    ○黒柳明君 それは予備費扱いにして国会の承認を得てやるわけですか。
  49. 広田しげる

    説明員広田しげる君) 一千万ドルの贈与分はどういうふうに出すかということは、大蔵省の主管でございますが、私が承知しております限りでは、国会が開会中でなければ予備費、開会中なら補正というふうに大蔵当局は考えているように承知しております。
  50. 黒柳明

    ○黒柳明君 先ほど総理が行ったとき、また新しく一億ドル借款供与が申し込まれた、これも将来のことで、まだ決定されたわけではないのですが、行く行くは出さざるを得ないじゃないでしょうか、いままでの実情から見て思うのですけれども、まだはっきりきまったことではないのですが、どうでしょう、そのあたりの見通しは。
  51. 広田しげる

    説明員広田しげる君) 総理がインドネシアを訪問されて、あとで共同コミュニケが出ております。その第八項につきまして、いまの点がございますので、簡単でございますので、ちょっと御披露いたしますと、「内閣幹部会議議長および総理大臣は、一九六六年九月の東京会議以来の一連の国際会議に実証される如き、インドネシア経済の安定と発展のための国際協力の緊密化を歓迎した。内閣幹部会議議長は、インドネシアの対外債務返済問題の解決および対インドネシア経済援助の供与において日本が示した協力に感謝するとともに、日本が将来も引続きインドネシア経済の安定、開発のため協力するよう希望した。これに対して佐藤総理大臣は日本としてもインドネシア経済の一層の安定と発展の必要を極めて重要視するものであり、今後多数国間の協力の下にインドネシアに対し引続き経済協力を行なう用意がある旨述べた。」、これでおわかりのとおり、日本としても国際的協力のもとに今後ともインドネシアに協力するという意図でございまして、具体的に十一月のアムステルダムで再び来年度の新規援助についての多数国間会議がございますので、そういう会議を経まして具体的にはなるのじゃないかと思います。
  52. 黒柳明

    ○黒柳明君 最後に次官にお伺いしたいと思いますが、大体いまの文書によりますと、今後ともインドネシアに協力していく、一億のお金もやがてはインドネシアに支出されるんじゃないか、こう思うんです。また、それを大体約束してきたようです。そうなりますと、結局借款も供与も、わが国に余力があればそれは幾ら出してもいいと思いますが、国内経済だってこれはたいへんです。そういう中において借款、供与が、すべて賠償と同じような性格あるいは同じような結果をもって使われる可能性が非常に大きい。また、いままではそうだったわけです。ですからこの次からは相当政府も基本姿勢を正すといいますか、何でも現地主義でやれば、向こうでどう使ってもいい、両国の間に取りきめがある、目的が変更になった場合には両国で合意があればいいんだ、ホテルを建ててもいいんだと、そういうようなことは、これは経済復興にはならない。経済の発展にはならないわけです。むしろ、現地のある人に言わせると、日本の賠償、借款は現地の生産意欲を低めている、経済復興なんかに全然役立っていない、このようなことも言われておりますし、あるいは注文した品物だって、日本のストック品、そういうものだけしか送られてこない、あるいはまた一〇〇%こない、五〇%ぐらいしか現地に来ていない、いろいろな実情がある。先ほど言いましたように、資料がきてからまたこまかいこともいろいろ調べてまたお話し合いもしたいと思うんですけれども、ともかく一億ドルという新しい供与が目の前にぶら下がっているわけです。現地の事情にばかりまかせないで、ほんとうに政府がいままでの過程というものをよく反省して、そして基本姿勢というものをしっかり固めて借款を出す、供与をする。こういうふうな姿勢であることを私は要望しておきたいと思いますが、所信だけを承ります。
  53. 田中榮一

    説明員(田中榮一君) 黒柳委員から非常に適切な御意見の開陳がございまして、私どもも十分にひとつ御趣旨の点を尊重いたしまして今後善処していきたいと考えております。御承知のようにインドネシアという国は、いわゆる大きな債務国でございまして、現在多額の各国から債務をしょい込んでおるわけでございまして、現在スハルト政権が成立いたしまして、スハルト政権におきましては、今日のインドネシアの現状を見まして何とか経済の再建、国力の確立をはかりたい、こういう見地から非常に熱意を持って現在施政に当たっておるのでございます。過去におきましていろいろな点もあったと思いますが、このような多額の債務国でございますので、日本がかりにいろいろな借款を出す場合におきましても、これは日本単独の意思でこれを出すというわけにはいかないのでありまして、やはり多数債権国の意思を尊重し、また、これらの多数の債権国とも十分に協議をいたしまして、そして償還可能の範囲におきましてローンを提供するというようなことに相なるだろうと思うのであります。したがいまして、いま佐藤総理が参りまして、経済の再建、民主の安定に今後も協力しようということは、共同コミニュケで言っておりますが、今後どの程度に協力するかということは、また近く十一月において開催されまするアムステルダムの債権国会議等におきまして、十分に各国が協議をいたしました上で、当然その内容等につきまして検討されるものと考えております。  なお、これまで支出せられました賠償またローンの今後の措置につきましては、御趣旨の点を十分に尊重いたしまして最善の注意をもって今後処理していきたい、かように考えておる次第でございます。
  54. 亀田得治

    委員長亀田得治君) じゃどうぞ、外務省けっこうですから。     —————————————
  55. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 非常に時間もあれでございますので、きょうは国立大学の研究費それから大学の自治の問題、特にまた最近問題になっておりますインターン制度の問題に対して、文部省側のいろいろ御意見を伺いたいと思うわけであります。  この前のときにおきましても、この国立大学の研究体制に対していろいろ問題が投げかけられて、特にこの学術の進歩が、個別的な研究の時代から共同研究の時代へとだんだん移り変わるとともに、その研究水準が向上いたしますし、大学相互の間に共同研究の進展あるいは付属設置の研究所の整備等が行なわれているようでありますが、特にこの性質に対しましても、いろいろ非常に危険的なものもあれば、また不適当な建物もあるように聞いております。特にその中で問題に私はしたいと思うのは、この研究体制の拡充に対して、どのようにして大学側はいま対処されておるかということであります。  それからもう一点は、教官の研究について、外国の軍事関係からの寄付問題等がいままでいろいろ災いをしておるということでこれが取り上げられまして、大学のほうからは、今度は自主的な措置として研究費の予算増額要求あるいはまた経費適正化等の助成措置が要望されておるわけでありますが、この点について、いま文部省側ではどのようにこれを措置されておりますか。その点をひとつ伺っておきたい。  それから時間を早くするために問題をいろいろとまとめて質問さしていただきますので、要領よく御回答願いたいと思うわけでありますが、特にもう一つ新しく私はいまここでお聞きしたいというのは、製薬会社からかなりの研究費をもらっておる。これに対して、聞くところによれば、東京の大学でも武田だけからでも二百万ぐらいは入っておると聞いておりますし、いろいろな製薬資本会社から研究費が入っておるわけであります。特にそのようなあり方は一体どのようになっておるかという実情をひとつ聞かしていただきたいし、同時にまた、その製薬されたところの、開発されたところの薬品の検定といいますか、効力あるいはまた毒性、あるいはまた有効性についての証明についても、非常に便宜的で、いままでのいろいろな研究が迎合的に行なわれておるのじゃないかという民間のいろいろな批判があるわけでありますが、この点については、国立大学を統括しておられるところの文部省の側では、どういうふうに把握しておられるか。この四点ほどについて御回答を願いたい。
  56. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 国立大学の研究体制につきましては、御承知のとおり最近におきましていろいろ学術の進歩が非常に急激にまいりまして、個人研究のみならず研究所におきましても共同研究の研究所を設置する必要等が起こってまいっております。基本的にはこの研究所の設置等につきましては、まず学術会議からいろいろの問題につきまして、研究所の設置等につきまして文部省に勧告があるわけでありまして、この勧告の線に沿って、文部省は、具体的には文部省にございます学術審議会の意見を聞きながら、各大学とも相談いたしまして、研究体制の整備に努力をいたしておりますし、また、いま御指摘にございましたように、今回、前国会におきましてたいへん問題になりました外国からの研究費の援助等もございまして、あくまで日本の自主的な研究を増進するために、実は四十三年度の予算におきましては画期的に大学の研究費の増額につきまして予算要求をいたして、こういう問題を解決したいと思っております。いまお話のございました外国からの研究費の援助を受けましたことにつきましては、大学におきましても十分いままでの誤りを正すべく、最近におきまして特別会計の外部からの援助金の受け入れ方等につきまして、十分今後誤りのないように措置を講じておる次第でございます。  なお、製薬会社その他一般の民間会社から研究を教授に委託される場合がございますが、これは大学側におきましても委託研究といたしまして、それに要する経費を受け入れる場合がございますが、これにつきましても、特別会計の中にその受け入れの費目を設けておりまして、これを公の国の受け入れということにいたしまして、その間において過誤のないように、大学に特別会計の措置をいたしておるのでございます。  薬等につきまして、事実に異なるような証明とか、そういうことが行なわれておるのじゃないかというお尋ねでございますが、私どもとしましては、大学の学者としての良識に訴えまして、いやしくもそういったような誤った、迎合するような証明とかということを出すことはないものと確信いたしておりますけれども、まあたくさんある中でございますから、あるいはそういう例がないとも限りません。もしそれが私どものほうで明確にわかりますれば、厳にこういう問題につきましては注意を促してまいる所存でございます。
  57. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 ただいまお尋ねした中で、ことにその研究体制が、いままでずっと、いまの日本の進歩の状態ではおくれておるのではないかと私は思うわけでありますが、そういう点はおくれておるとお感じになっているのかどうか、もう少し明確にしていただきたいと思うわけであります。  それからこの間の外国からの研究費の問題につきまして、今後措置をされる、また、いま措置をしていこうという気持ちであるというわけでありますが、具体的にどういう方向でどうしたら、たとえば研究費をどれくらい増していくのだとか、どういうことに対してはどういうことをやっていくのだということを、もう少し具体的に話をしていただきたい。  それからもう一つ、いま製薬資本から入りますところの委託研究費あるいはまたそういうふうな研究費の援助というものは、どこの大学に対してはどれくらい入っておるかということを、もしできたら資料としていただきたいと思う。
  58. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 各国の研究体制の問題を調べてみますと、確かに日本のほうが研究体制ではまだずっと劣っておることは否定できないと思います。そういう意味から申しまして、また大学の研究体制そのものの中にも、たとえば昔できました研究所で、かつては非常な研究体制がありましたけれども、いまは不必要になっておるといったような研究所等もございまして、この研究所の体制を今後やはり立て直していかなければならないと存じまして、この問題については、前国会でお認めいただきました学術審議会に、基本問題としましていま研究し始めていただいておるのでございまして、それに伴いまして漸次大学の研究体制を改善してまいりたいと考えております。  それからただいまの米国からの例の寄付金の問題でございますが、これに対します具体的な会計処理上の処置及び委託研究費を受けておりますものにつきまして、いまわかればここで会誌課長から説明させます。
  59. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) ただいまの国立大学に外部から入ってまいります研究資金の扱いにつきまして、さきの国会でいろいろと御審議を賜わったところでございますが、本件に関しましては、文部省といたしましては特別会計制度の基本に関する問題でございますので、国立大学の学長と文部省とで特別会計制度協議会という実質上の協議をする場を持っておりまして、特別会計制度協議会におきまして、いろいろと研究をいたしましたその結果に基づきまして、文部省といたしましては、まず第一に、このような国立大学の研究に外部から入ってまいりまする資金の扱いが、現状必ずしも適切でない点が見受けられるということを私どもも率直に認めまして、この旨次官から各学長に基本的な通達を発しまして、教官各位のこういった問題に対する自覚も必要でございまするし、この点ひとつ一そうの注意をお願いしたいという注意を喚起いたしました。なお、これに関連いたしまして、現在特別会計制度で外部からの資金を受け入れます方法といたしましては、制度といたしまして二つございます。一つは奨学寄付金として受け入れるというやり方と、それからただいま先生もお話でございました受託研究費として受け入れる受け入れ方と二つございますが、この二つの制度を活用いたしまして、外部から入ってまいります資金につきましては、原則、公の金として経理してほしい。そのためには、現在のこの二つの制度自体の中で、やはり改善する点があるのではないか、こういう点もございまして、省令並びに訓令の一部改正を十月一日から一応施行することにいたしましたが、その内容といたしまするところは、従来、外部の金を受け入れます際に、文部大臣の承認にかかわらしめておりました。これは正直申しまして、国内からのものにつきましては大学学長の主体的な判断と申しますか、これに御一任してよろしいのではないか。外部からの資金の導入につきましては、いろいろ国際的な問題もあろうかと思いまするので、これは従来どおり文部省のほうにやはり御協議をお願いいたしたい。こういうことで、国内からのものは学長の主体的判断をしてほしい。これに要する金も従来は文部大臣が承認をしましてから金を流すということでございまして、金を使うまでに少し時間がかかっておりまして、これも十月一日からあらかじめこの金額を概算交付しておきまして、学長のところで受け入れようということになりますれば、早く使えるようにしてあげたらどうだろう。それから奨学寄付金につきまして、大学にある資金を保有することを公に認めておりますが、その出納命令を全部学長が出すことになっておりましたが、これも実態は先生御承知のとおり学部長あるいは研究所長等、学内の部局長の出納命令権で出せるようにこれも改めよう、主といたしましてその二点を中心といたしまして制度自体も現実に即し早く使えるように、できるだけ制度も変えよう、でございますので、教官各位につきましても、外部からの資金はプライベートにこれを経理することなく、特別会計に受け入れて公の金として経理するという方法で、ぜひ御努力をお願いいたしたい、こういうふうにいたしております。  なお、先ほどお尋ねございましたが、昭和四十一年が最近で一番新しい数字でございますので、昭和四十一年度で申し上げますると、奨学寄付金といたしまして三億八千万前後でございます。それから受託研究費のほうが大体二億五千万前後が四十一年の姿でございます。  補足以上でございます。
  60. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 民間のほうは学長でということで、まあそれはたいへん私はいいと思うのであります。  次にお伺いしたいのは、いわゆる医学部、薬学部関係で、いま申した医学薬品の効力、あるいはまた毒性に対する研究、あるいはまたそういうことに対する委託研究ということが相当ひんぱんに行なわれておるわけであります。私はちょっと調べてみまして、いろいろデータを集めておるのでありますが、こういう中で、たとえば、最近は、これは別な問題で、いわゆる健康保険の赤字財政ということに対していろいろ検討を加えてみましても、私はこの使われるところの医薬品が、相当研究の過程において、これは開発のひとつの大きな意味もあるかわりに、非常に普及と申しますか、非常に誇大といいますか、そうした研究結果によって、これが非常に拒むことのできないというような状態でいま医療の中に加わりつつあるのではないかといううわさも聞くわけであります。というのは、もっと詳しく話してみますならば、たとえばビタミンならビタミンを例に置きましても、非常にビタミンの開発は目ざましいものがあるわけでありますけれども、これが一製薬会社の状態調査してみましても、相当ばく大な収入をあげておる、これがまたいまでは東南アジア方面にもどんどん輸出されておる、こういう形で、これは一つの大きな開発の意味を持つと同時に、また一面、大学側で研究された、ことに権威ある研究機関でそのデータを集められて、これは等しく国民も信頼をし、あるいはまた、いま文部大臣の御答弁の中にも、これは非常に権威あるものだから、そういうふうに信頼をいたしておるのだということで、私もそれでたいへんけっこうだと思うのでありますが、実情考えまして、非常にこの中に、いろいろ多少なりともこの研究に対して、どうあるべきかというようなことが感じられるような面がないわけではないのでありまして、そういうようなことを感じることが、民間には非常にうわさも出ている。こういうようなことを考えてみますと、私はこの大学の研究機関で取り扱われることは、なお一そう慎重に行なわれるべきではないかというふうなことも感ずるわけでありますが、そういうふうな観点は、文部省の側ではこの医薬品に対する委託研究の中でどのように受けとめておられるか。そういう点をひとつお伺いしておきたいと思う。
  61. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 大学の研究者の研究成果の発表と申しますか、これは相当社会的に信頼をいただいておるわけでございますので、この研究の毒性とか効力等の発表につきましては、きわめて慎重に良心的にやらなければならぬということは御承知のとおりだと思います。もしこれに対しましてその信頼を裏切るような広告のものがあるといたしますれば、私どもといたしましては、厳重にこの問題につきましては指導をし、注意をうながしてまいる所存でございます。
  62. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いまのあれで私もたいへんうれしく思いますが、特に製薬資本の非常な大きな飛躍の中で、ある程度いろいろと学問的にこれをいろいろ検討してもらって製薬をしていただくのは、これは私は国立大学の研究機関であるという観点から、非常にそういうことを厳にしていただいて、そして今後もそうした医薬品の委託研究というものに対しては、非常に厳密なあれをしていただきたい。こういうふうに思うわけでありまして、特にそういう点を要望いたしたいと思います。  次の問題として、最近から非常にやかましく言われておりますインターン制の問題ですが、この問題を早く解決するために前国会においては医師法の改正が提案をされ、これが成立するには至らなかったのでありますけれども、その後文部省は、このインターン制度に対して、あるいはまた青年医師の教育に対して、どういうふうな方向で考えておられますか。その見解と同時に、また医師法改正に対してどのようにして今後臨まれるのか。この御見解をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  63. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 御承知のようにインターン制度につきましては、いろいろ論議をされてまいりましたし、また、私どもといたしましてもインターン制度の改革ということは、早くから要望しておったわけでございますが、そのことにつきまして、昨年の六月に大学医学部卒業後における教育研究に関する懇談会の答申に基づきまして、例のインターン制度はこれを廃止すると、そして大学四年卒業いたしましたら、医師試験を直ちに受けることにいたしまして、ただし医師試験を受けまして医師に合格いたしましても、あと二カ年、強制ではございませんが、医学の研修を行ない、これに対しまして研修を終了した者に登録制を設ける。こういう答申があったわけでございまして、私どもとしましてはインターン制度の改革としての答申でございまして、これを尊重しまして実際に実施されることを希望いたしておるわけでございますが、それにはどうしても医師法が国会を通過しなければなりません。現段階においてはまだ通過しておりませんけれども、将来におきまして厚生省のほうでこれを国会にお願いすることになると存じまして、なった場合におきまして、あとの大学における研修生の研究体制をいかにするかということが私どものいま現在の課題でございます。この研修生に対しましての処遇をいかにするか。これは厚生省と文部省とは多少行き方が違いますけれども、大体歩調を合わせてこの処遇を考えてまいりたい。なお、受け入れ側におきまする大学病院におきましては、これに対しまして指導員の増置でございますとか、あるいは学生経費の増加とか、あるいは研究費の増加とか、これらの諸費を予算的に計上いたしまして、この研修生の研修に十分処するような体制に持っていきたいと、ただいま厚生省と話し合いを進め、また予算的な処置を進めておるところでございます。
  64. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 青年医師のほうから要求されておるのは、たぶん、いわゆる二年間の研修を受ける間の経済的な保障、あるいはまた身分の保障、それからそうした大学で研究をする場合に、その大学の民主化、それからまたほんとうに勉強することのできるような教育の場というのをおそらく筋として要求しておられると思うのであります。この問題に対しまして、非常に重大な状態であり、国立大学としてそうした場を、そのような要求に対して近づけるための状態はどのように進んでおるのか、私は非常に憂うるわけです。ことに医師法を改正されて、いま大臣から御説明を受けましたような状態で、二年間研修をして、そして登録医といいますか、というものをもらうということになりますと、その二年の間の身分保障、いわゆる話に聞きますと、何だか一日四百円ですか、四時間で四百円でもって一カ月間一万円の給料を差し上げようとかいうような話を聞いたのでありますが、そのようなことで私は身分保障にはならないだろうと思うし、少なくとも身分保障をするというのならば、いま司法修習生ですか、ああいうふうな制度もありますように、やはり国の、何と申しますか、国家公務員に準じたそうしたものを与えて相当の保障をするほうがよりベターではないかと私は思うわけであります。こういう点について、身分保障の状態はどのように考えておられるのか、一応承りたいと思います。
  65. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) この問題は、大学付属病院で研修を受け入れます場合と、それから厚生省の指定病院で、いわゆる教育病院でこれを受け入れる場合と、多少取り扱いが異なると思います。まだ最後決定にはいっておりませんけれども、大学付属病院におきましては、大学院学生がおりますし、大学院がございます。もともと研究機関でございますので、これに対しましては、大学におきましてはこれを研修生として受け入れるという形をとってまいる。厚生省のほうにおきましてはこの研修生という研究課程はございませんので、あるいは職員に準じた形をとることとなるかと存じますが、およそその両者の間において待遇上の差のないように両省で話し合ってまいりたい。いわゆる研究生といたしましては、この診療謝金等合わせまして、できれば育英会のほうの金も研修生に出すように取り計られたい、そしてその総額においてはあまり厚生省と待遇の差のないようにいたしたいと思っております。ただいま先生の申されました謝金四百円と申しますのは、昭和四十二年度の予算におきまして、例の問題になっております無給医局員、これが全然いままで謝金がございませんでしたので、これに対しまして一律一応四百円ということで一億円を本年度の後半期から支給することにして一応計上いたしておりますが、実際におきましては、この実態を調査いたしまして、一応四百円ときめましたが、この金額においては、実態調査の上、なお将来に向かっては検討をしてまいりたい。なお、今度の場合の研修生につきましては、十分そういう問題も考慮いたしまして、待遇につきましても十分な——十分とまではいきませんけれども、できるだけの措置をいたしてまいりたい、こう考えております。
  66. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 無給医局員に対しての処置でありますけれども、額はいまなかなかお示し願うような状態ではないかもしれぬと思いますが、しかし考え方において、私はそういうふうななまはんかなことでなくして、ある程度のはっきりしたものをつけなければ、やはりまた同じようなことが繰り返されると思うわけであります。特に私はここで申したいのは、たとえばインターンの人たちの教育の場を、厚生省のほうでは国立病院なりなんかを充てるということになると、それはいま大臣がおっしゃいましたように、それは教育機関ではないということになるわけであります。実際問題として、そうした卒業してこられたところの若い学生を教育する場は、いま国立大学だけではおそらく引き受けられないと思うわけであります。外来にいたしましても、入院にいたしましても、あるいはまたそういうふうな機関の中で、その人たちを教育することはできない状態でありますから、やはりいままでのように指定の病院が必要なわけでありますが、これは私は非常にいま若い人たちが学問の意欲を燃やしておる場合に、そういう差があっては私は非常にいけないと。もっと少なくともそういう若い青年医師を教育するならば、教育するとした使命を持った病院にする。たとえば教育病院という形のものにしなければいけないと思うわけですね。もしそういうことならば、いまの国立病院なり指定しようとする病院は、少なくとも大学並みに私は取り扱わなければいけない。たとえばそこらの病院で、各指導に当たる先生方は、少なくとも研究機関を持ち、研究する立場をもって、大学の教授と匹敵するようなものに私はする必要があるのじゃないか。それくらいにしなければ、やはり若い青年医師が、これから国民の生命をにのうて、そしてやっていくだけの研修の場として希望がないわけであります。そういうことであれば、おそらくそういうものをつくられても、そういう病院、国立病院あたり、志願者がないだろうと思うんです。何とならば、そういうところへ行けば、いまの低医療費の中で、そして下働きをするだけであって、ほんとうの研究になるかどうかわからないという面もあり得るわけでありまして、ほんとうに研究のできるような場をつくらなければ、そういう人たちの研究意欲も燃えないだろうし、将来やはり医道というものも曲げられていくのではないかというふうなことも懸念されるわけであります。非常に希望を持ち、純真な気持ちを持つところの青年の医師たちが、将来の自分の分野に対して、ほんとうに勉強に進むことができるという希望を与えるような勉強の場を持ちたいというのが私は本心だろうと思うわけでありますから、そういうことに対して、国立大学としてはどういうふうな処置をとっていくか。少なくともいま申されたような国立の病院とか、あるいはまた公立の全科を持っておるところの、指導をすることのできる先生方のおるような病院というものは、もっと格づけをして、少なくともこれを国立大学、いわゆる文部省の直轄にしてしまうかですね。たとえば日赤なり、あるいはまた国立病院なりをそういうふうに指定するとすれば、それはもう文部省が国立大学の付属病院と同じようにしてしまう。一本化するか、あるいは逆にいまの大学も一緒に厚生省管下に一本化してしまって、それは一方は教育のほうを、一方は実習の場をということでするか、あるいはまた、いまやられておるような形で、何か一つの方法で考えていく、いわゆる病院側は厚生省に移して、教育側は文部省でやられるなり、あるいはいまのような状態で統一するなり、統一の場を持って、少なくとも教育に充てられる病院というものをもっと格づけして、研究費も与え、研究する場も与え、言うならば、むしろその教育病院の各有能な指導者は、教授並みの地位なりあるいはまた保障なりをして、そしてほんとうに研究に打ち込むことができるようなものをつくってあげることが先決の問題ではないか、ただ、いまの一時的な措置として、そうした大事な研究の場をつくらずして、これを目先の方法で糊塗していくことは、非常に私は、将来問題が大きなものを投げかけるのではないかと思うのですが、文部大臣はどう思いますか。
  67. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 教育病院につきましては、お説のとおりただいま厚生省の所管でございますけれども、しかし、これは研修生の研究を引き受けます教育病院になります場合におきましては、大学と遜色のないようなやはり研究体制というものを、これは厚生省で十分御考慮いただいておることでございますし、また、これにつきましては十分厚生省と話し合いをいたしておるのでございまして、いわゆる研修生の教育基準と申しますか、これを両省を通じまして一定の基準を設けて、この基準より以上の教育体制をやっていくというふうに持っていきたいと思います。これは  一本化にしたらどうかというお話でございますが、この問題はなかなか困難な問題でございますので、私どもとしましては、大学病院側と教育病院側互いに十分な連絡をいたしまして、今後その間に差のないようにしていくばかりではなしに、実際上の問題としては、結局教育病院におきましても、その教育に当たられる病院の医師の方々は、大体大学との関連が非常に強いのでございますから、そこで実際上の教授陣の教育病院と人事交流というものを非常に円滑にいたしまして、大学との間に常に一定の連絡をもってやる、こういうふうな形で教育研究がスムーズにまいりますように、これは厚生省と十分連絡をしてございますし、今後もやってまいりたい、こう考えております。
  68. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いま大臣からも人事交流という話がありましたですが、私は、こういう問題に対してもっと具体的にこの際教育というものを考えていただいたらどうかと思うわけです。これは私は個人的な考えでありますけれども、少なくともいま教育病院の各指導に当たられる人は——私は、いまちょっと教授がかわらぬというような表現を用いたのですが——少なくとも専門化された、たとえば内科であれば呼吸器管とかあるいは循環器系統とかあるいは消化器系統とかあるいはまた新陳代謝とか、いろんな方面で分化されて、分派されて深く研究が進められているわけですし、それに対する研究を担当しておられるわけです。いま大学の教授といえども、たとえば、消化器を専攻せられておる大学教授が内科の教授になっておられるというわけです。こういう大学教授が内科のいろんな講座を持っておられるのですが、私はこういう点から考えてみると、各専門分野の、たとえば教育病院の各専門に当たっておられるそういう指導者の方は、その一つの講座を持つというくらいの形になって、大学にもそういう専門病院の医長が講座を持って来る、講義に来るというふうに、人事交流というものがもっと民主化された方向に進んでいって、そしてその交流がされる、そういうものであって初めて私はその教育病院というものがほんとうに研究もし、あるいはまた学生指導もでき、同時に、何と申しますか、若い青年医師の実際の指導ができるというものが名実ともにでき上がると思うのです。ただ交流だけではなくして、私はそれくらいまでに進んでいただいて、このいまの各分化が専門的な研究の立場で講義もすれば指導——学生から、あるいはまた青年医師の指導まで具体的にできるというようないまの場をつくっていただかなければ、私はいつまでたっても、こんとんとしたものが残るのではないかというふうな感じを持つわけであります。そうしたことで、もっと私はその点を進めていくならば、この青年医師連合あたりの希望しておられるような大学の民主化というものを、私は相当しなければいかぬのじゃないか。それをするのには、一体どうしたらいいかということをいろいろ考えさせられるわけでありますが、そうした交流がどんどんできるということは、一つの民主化への道であろうと思います。それから、同時にまた、私は大学教授というものが、かつそういうこまかい専門分化された権威者に講座を持たして、そうしてそれが講座を担当して大学へ出入りをするということになれば、大学教授はいろいろな統制なりあるいは指導役として回られるわけであります。非常に、私はそういうところに民主化の第一歩ができるのではないか。同時にまた、私は最近新聞紙上でもやかましく言われているような名古屋医大の小児科の教授選考に対して、何か学部長が辞任されたような事件を聞いております。こういうような問題を考えてみましても、私はおそらく国立大学の文部省当局としても頭を痛めておられることだろうと思うわけでありますけれども、私はこういうことも一つの医科大学、医学部において非常に多いことであります。ほかでもないとは言われないかもしれませんが、あるわけでありまして、こういうことをはたして一体文部省としては、どういうふうにこれをしていかれるのか、もっと民主化する方法を具体的に考えておられるかどうかということをお伺いしたい。  同時にまた、私はこれはちょっと行き過ぎな考え方かもしれません。そういうことに触れるべきではないかもしれませんけれども、私はむしろ大学教授というものが、そういうふうな専門分化された教育病院なんかからもどんどん講義にも来るし、専門の進んだ過程で、その担当しておられる方が講義も受け持つというような形になっていくならば、私は大学教授というのは身分が永久に、一度教授になられたら定年まで教授であるということでなしに、一応私は五年ぐらいを区切って、あるいはまた学術会議かどこかでもって審査をし直してはどんどん大学教授も交流していく、あるいはまた各教育病院におられるそうした教授も、どんどん大学教授にいくことができる。あるいはまた各教育病院の医長という方も、あるいはまた民間からどんどん勉強する人があれば、医長になっていけるというような、下から上にまでずっと新陳代謝ができるような体制にしたならば、いまの何と申しますか、大学の民主化というものはもっと簡単にできるのではないか、なかなかそれをやるのはたいへんだろうと思いますけれども、このような状態をほんとうに根本的にいま改革するということに対しては、よほど大きな文部省における御考慮が必要ではないかというようなことを、ひそかに考えておるわけでありますが、一体大学の民主化というものをどういうふうに考えておるか、そういうことについて御所信をお聞かせ願いたいと思います。
  69. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 教育病院と大学との間におきまして人事交流を十分行ないたいと思っておりますが、具体的な方法といたしまして、特定の大学と特定の教育病院との間に提携病院とでも申しますか、このような形をずっととってまいりまして、大学の教授がやはりその病院に参りますし、また病院で優秀な方がおれば大学に来ていただく、こういったような姉妹病院といいますか、こういった提携病院というような制度を将来考えていったらどうだろう。それは事実また現実に、そういう病院が大学と提携しておる、現実にやっておる病院がございますので、そういう例にならってますますそういう関係を十分やっていくようにしたらどうかと思っております。  なお、大学内部の人事等におきます民主化の問題でございますが、これはまあ大学病院の中で、病院によりましては、一応旧来の陋習と申しますか、が残存しておりますところがある程度あることは否定できないと思います。私どもといたしましては、大学の教授の選定その他につきましては、あくまで民主的に行なわれてまいりますことを、今後とも大学当局とも十分話し合いを進めてまいりたいと思います。
  70. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 まあちょっととっ走り過ぎた考え方を申してどうも悪うございましたが、私がこうしたことを考えるのは、問題はどこに焦点があるかといいますと、いまの青年医師が、ほんとうに学問を研修する場、これを民主的に持ちたいという、そういう願いであります。これはいまの大学制度でありますと、私も医者でありますので、その大学の中でいろいろそういうことがあったのでありますけれども、やはりいまの大学教授がいまのような状態である限り、その大学教授のもとに入って、大学教授のいろいろ指導を受けることが、その民主的であるかないかということは別にして、ことが若い青年医師の将来というものを決定づけるわけでありまして、これが教育病院に出てしまえば、私はいまの人事交流があり、あるいはまたいろいろなことがあるといいましても、この点はどうしても働いていくわけであります。特に大学教授の権限と申しますか、そうしたものがいまのような状態であるならば、やはりその大学で少々無給であろうがいろいろな状態であろうが、大学に行くことが一番の先決問題になるわけでありますからして、そういう点を考えてみますと、やはり若い青年医師のほんとうの腹の中の気持ちといえば、もっと私は民主的な場において勉強したいということがあり得ると思うのであります。ことに大学であれば、大学は大学としてのいままでのような一定の方向がありまして、たとえば、入局すればしばらくたてばどこかの、いま言うているような人事交流の場に出していくとかというふうなことが、どんどんと行なわれているわけであります。そういうふうなことでほんとうに勉強になるか。それも考えようによれば勉強になるだろうと思うわけでありますけれども、非常に非民主的なものが、そこの間にいろいろなものが介在してくるという状態でありますので、私はいまの文部省においてはこういう国立大学、のあり方というものを、もう少し根本からどうすればほんとうに民主化されていくものかという点において、やはり私は大学側と十分な協議をしていただいて、そうしてあるべき姿をもっと勇敢に打ち出していかなければ、もう明治以来続いてまいりましたところのいままでのこの状態を打破することはできないだろうと思うわけであります。私はそういうことが、ある程度そのことを希望しておられる方も中にはあると思うわけであります。それからして、またそれがいままでの一つの力によって押し流されて、それがそのままになっていくという状態もあるわけでありまして、私はいまの大学、国立大学を統轄しておられるところの文部大臣として、私はもっとここのところで常に青年医師の教育問題を議題としているときには、私はもっと真剣な考え方で、そうした若い医師が一生懸命勉強して、将来はほんとうに国民の生命というものをになって、これに対して貢献をしようという、そのまじめな気持ちを、そうしたいろいろなことによってついばまれ、ことに大学においても助教授、講師と言われるまで一生懸命勉強して、かなりの業績まで積んだ人が、大学の教授になれなかった、あるいはまた何かいろいろなことでもって今度は開業にいく、あるいはまた国立病院におきましても、りっぱな医長をやって研究をしてこられた人が、おそらく大学教授と匹敵するような人が、ある一定の年限になってきたならば家庭の状況やらいろいろ考えて開業に出ていくというような現況を、非常にいまたくさん見るわけであります。こういうことは私はやはり教育の場あるいはまたそういう研究の場というものが、ほんとうに十分に生かされてないから、だんだんそういうふうな間違った方向にいくものだというように考えさせられているわけでありますが、そういう点からも考えまして、私はこのインターン制度の問題あるいはまた青年医師の教育の問題というものは、真剣にもっと私はここで文部省のほうで考えてもらって、どうするのがほんとうかということを大胆に協議をしてもらって、そうして私はいろいろな意見によってこれがへし曲げられることのないようにしたいと思うわけであります。特に私はこの二年間の登録医制の問題、その次にまいりますのは専門医制度というような問題も、いろいろいま学界では協議されているようであります。私はこの専門医制度の問題に対しても非常に問題があるのだろうと思います。また前の学位制度と同じように、何年間たてば専門医にするということになれば、これはまた一つ制度であって、身分制度であって、私はそれに対してまたいろいろそれをしなきゃいけないような形になって、屋上屋を架すような形で、これが非常な災いのもとになる。特に学位制度があるために、いまの大学の教授という身分というものは、何と申しますか、一つのからみ合いを演じていると同じように、またその病院の専門医制度というものにも一つ身分の保障的なものが出てくる、あるいはまたその大学の教授あたりと一般の医者との手術の技術差というものはないじゃないかというような考え方でもって、もし専門医制度と一般の医師との間に差が出たとすれば、これはたいへんな問題だと思うのでありますが、これはこの専門医制度に対しましても、教育病院とか、あるいは専門的な研究の場でやっている場合には、私は専門医としても非常にいいだろうと思います。ことにそういうような場所でりっぱな技術をしておる人たちに対しては、当然専門医としての待遇をすべきであろうと思いますが、そういう人が一たん野に下った場合には、大学教授といえども一人で手術をしてできるもんじゃないわけであります。だからして、やはりそういう人が専門医としてどこに行っても通用するというのは、少しおかしいではないかという観点を持つわけであります。そういう観点から言いましても、こういう制度をつくるに際しては、相当慎重な態度で臨まなければならないし、私は大学あたりでおやりになる自主的なものに対して、横からものは言えないかもしれませんけれども、しかし、私は民主的なほんとうのあり方というものを指導していただくところの文部省側としては、これは徹底的にもっと学術研究会なり、あるいはまた大学なりと折衝して、もっと民主的なそうしたものに進めていただかなければならないと思うのですが、そういう観点につきましては、大臣はいかにお考えになりますか。
  71. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 大学のいろいろ現在教育のあり方につきまして、講座制をとってまいっておりますが、この講座制に対しまする長所と申しますか、今日まで医学的に、教育的に申しまして相当の功績があったことは否定できないと思います。しかし、長い間伝統の中におりまして、いま先生の申されますように、若い研究生に対しまして非常な不満を与えるような面もございますし、非民主的といわれるような批判を受ける面も否定できない事実だと思います。こういう面におきまして、この教育の場においていかにあるべきかということにつきましては、十分われわれといたしましても今後研究をいたしてまいりますし、大学当局とも十分話し合いをいたしてまいります。なお、学術審議会におきましても、こういうもののあり方について基本的な考え方についてよく研究をしていただくというふうに考えておるわけでございまして、できるだけ若い研究生をそのところを得せしめるという形にいま持ってまいりたい、努力したいと考えております。
  72. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 最後に、この医師法改正についてでございますけれども、この改正を行なわれるのは私は非常にけっこうだと思うし、早くしていただかなければ、青年医師に対して安心を与えることはできないと思いますので、してもらわなければならないと思いますが、しかしこの改正は、私はいま厚生省の医務局長もおいでになっておりますので、一言触れてみたいと思いますが、先ほどから文部大臣は、厚生省と十分話し合いをしてというお話で、非常に私はうれしく思うわけであります。これの将来の法案をつくって出していただくまでのいろいろな考え方において、もっと、先ほど私が申したように、この青年医師に対しての身分保障、いわゆるどれだけの金額を保障してやるかということに対しては、もっと積極的な方法を考えてもらいたい。同時に、少なくともやはり前にそうした例があるわけでありますから、司法修習生のように、将来国民の健康を管理して、そうして国民の生命を守るという観点から、もっとそれらの人に身分的にも、経済的にも保障をして、そして、それらの人がほんとにある程度いわゆる司法修習生がプライドを持ってやっておられるようなプライドを持たしてやるということが、持ち続けさせるということが、医道の高揚ということにおいて非常に大きなものがある。いま私は医道の高揚の問題で、医道の退廃を憂える声は非常にあるでありましょうし、またそういうことに対して、私は根本的な制度あるいはまた教育制度あるいはまた医療制度というものの欠陥が、そういうところに追い込んでいくということは非常に大きいと思う。ことにそうした青年医師がプライドを持って安んじて研究できるという場を与えたならば、私はまた医療の混乱というものは防げるだろうし、ほんとに筋の通った方向に若い人たち指導することができるという場を考えることが、私はこの青年医師の身分を保障する上において、地位とそれからまたそうした経済的な面と、両方の保障を明確にしてあげるということが第一条件だと思います。  それから先ほど申し上げたように、研究の場所というものをもっと民主的に与えるということが、もっと必要であろうと思います。そういうことに対しての私は事前の、厚生省と文部省との話し合いがもっともっと進んで、そしてただその場、その場濁しの方法じゃなくして、少なくとも講座制をもっと確立するとか、あるいは教授のそうした民主化をもっとできるような方向に話し合いを進める、もっと思い切った話し合い措置が講ぜられなければ、また私は同じことを繰り返して混乱状態におちいることである。そういう観点から、私は今度の医師法の改正というものも、これに取り組まれる前には、そうした問題を十分に協議をしてもらって、ほんとうに明るい将来の展望をここで打ち出して、医療制度の抜本的改正の中に一つの医師の教育、あるいはまたそういうふうな面でのどうあるべきかというものを明確にしていただくというふうな形で、私は医療の抜本改正というものの一つのステップとして、非常に重大な部門として、この問題をとらえて考えていただきたい、こういうことを申しておるわけでありまして、大臣並びに厚生省側の医務局長の御意見をここで伺って、私は質問を簡単にして終わりたいと思います。
  73. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 医師法につきましては、私ども心から早く成立をいたしますことを念願しておりますし、また医師法の中におきまして、今回登録制を採用いたしましたことは、先生御承知のとおり専門医制度に移行する一つの段階とは思われますが、しかしいまの学位のあり方等につきまして、確かに医療関係について一つの私は進歩を示しているのではなかろうか。それでそういう意味合いにおきまして、この医師法が通過し、またそれに対しまして研修生のあり方につきましては、厚生省と十分打ち合わせまして最善の方途を講じたい。ただいま何ぶんにもまだ医師法が成立いたしておりませんので、最後的までここに言う詰めがまだ成立するまでは、大蔵省との関係でできかねておりますけれども、十分連絡を密にしてまいりたいと、こう考えております。
  74. 若松栄一

    ○説購買(若松栄一君) インターンに関係しております医師法を所管しておりますが、医師法の改正につきましては、さきの国会で御審議をいただきましたけれども、残念ながら時間切れということで、まことに残念なことです。この医師法の改正が行なわれますと、これを実施するためにはいろんな準備が必要でございまして、そのためにはどうしても早急に改正を行ない、法案の通過をお願いしなければならぬということになりますので、できるだけ早い機会に、再び国会の御審議をお願いいたしたいと思っております。  なお、その後の運営につきまして、希望に燃えた医師の研修に対して、経済的あるいは身分の安定を与えよという御意見でございますが、私どもも一この研修が、従来のインターンの轍を踏まずに、有効なかつ効果的な研修が行なわれるためには、どうしてもそういう身分的な保障、経済的な保障ということが必要であろうということを考えて、この方面に努力するつもりでございます。なお、司法修習生の例が出てまいりましたけれども、司法修習生ははっきりした制度で事務的な研修を行なっておるものでございまして、今度の医師法の改正が行なわれました場合の研修は、道義的な義務はございますけれども、いわゆる法律的な義務を課しておるものではございませんので、その点若干ニュアンスが違いますので、法律的にきちんとしたこの身分の保障ということが、司法修習生の場合とはやや異なるものがあるということはやむを得ないと思っております。しかし、文部省の所管である大学で研修をする場合、私どものほうで指定して行ないます教育病院の場合も、できるだけそういう大学その他と差が少ないような方法で努力をいたしたいというふうに考えております。また教育病院の選定につきましても、大学と十分な連絡をとっておりますし、また研修の場所の選定あるいは研修内容についても、文部省が大学でおやりになる場合のいろいろな基準等も参考にいたしまして、内容的に差のないように、できるだけ差の少ないような形で実施したいということで、緊密な連絡をとりながら準備を進めている段階でございます。
  75. 竹田現照

    ○竹田現照君 ちょっと文部省に資料をひとつ要求しておきますから出してください。国立大学の医学部から地方自治体の町村立あるいは国保病院等へ医師を派遣している現状ですね。その身分はどのような形で派遣をしているのか、それからその給与、これは現状はどうなっているか。この三年ほどの資料をひとつ出してください。  それから先ほど会計課長から、製薬業者からの研究費の受け入れについて答弁がありましたけれども、地方自治体からかなりの経費が、大学の医局の間に使われているのですね。こういう金の受け入れの状況は一体どうなっているのか。大学の医学部との間、あるいは各医局との間の、そういう点についてひとつ資料を出してください。
  76. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 承知いたしました。
  77. 小野明

    ○小野明君 関連をいたしまして、会計課長がお見えでありますから、昭和四十年度、四十一年、四十二年、四十二年はまだ確定をしておらないかもわかりませんが、この三年間にわたりまして、文部本省所管の九項、文教施策普及指導費というのがあります。文教施策普及指導費、これは目です。これが約二千百万ぐらいの決算になっておる、四十年度は。それからこの十六項教育研究費補助金というのがあります。約一億三千五百万円程度であります。これの使途内容、あるいは各県に配分の内容がある。特に十六項目につきましては、その配分実績、これをこの三年間の分を御提出をいただきたい。
  78. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 承知いたしました。
  79. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 先ほど私資料要求をして、そのままあと答弁をいただいてなかったわけですが、国立の医学部あるいはまた薬学部において、製薬会社から委託研究されているものがあるわけですから、そういうものは調査しにくいかもしれませんが、できたらひとつそういうものを資料としていただきたい。
  80. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) できるだけひとつ。
  81. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは、午前中の審査はこの程度にいたしまして、午後一時半再開いたします。   午後零時三十五分休憩      —————・—————   午後一時四十二分開会
  82. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和四十年度決算外二件を議題といたします。  文部省の決算について審査を行ないます。これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  83. 小野明

    ○小野明君 きょうは委員長はお見えでございませんね、事務局長だけでございますね。昨年の十一月の十一日に福岡県太宰府町の都府楼跡の史跡指定を拡大をいたしておるのであります。この拡大をいたしました理由について簡略に御説明をいただきたいと思います。
  84. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) お答え申し上げます。  ただいま小野先生から御指摘のように、昨年十一月に文化財保護委員会といたしましては、史跡の専門審議会に諮問をいたしまして、太宰府の従来の史跡指定地といたしましては、都府楼跡約十二ヘクタールに限られていたのでございますが、太宰府の歴史的な価値にかんがみまして、これを拡大することを専門審議会のほうから答申してまいりました。文化財保護委員会といたしましては、史跡を拡大するということに内定したわけでございますが、その歴史的価値と申しますのは、太宰府は申し上げるまでもなく、律令政治時代の九州における一つの拠点でございまして、これが都府楼跡に限らず、東側にございます学校院跡にいたしましても、あるいは観世音寺にいたしましても、奈良時代以降それぞれ文化あるいは教育の中心として非常に重大な意義を持ち、その観世音寺の寺院跡まで含めまして、都府楼から大野山に至ります景観につきましても、太宰府といたしましてあそこに政庁を設けるにつきましては、そうした歴史的風土と申しますか、自然的景観の中にこれが置かれていたということの重要性も無視することはできませんので、従来は都府楼跡に限られておりましたけれども、特に最近宅地造成等太宰府の周辺にも迫ってまいりました事情もございまして、昨年になりましてこれを拡大追加して指定するということになったのであります。
  85. 小野明

    ○小野明君 いま局長の御説明では決定ではなくて、内定というふうにおっしゃられたと思いますが、そのとおりですか。
  86. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 史跡として正式に指定いたしますまでには、これを所有者でございます地元の方々との間に十分なる了解を受けました上で、正式に指定を告示をするということになっております。現在専門審議会の答申を受けまして、文化財保護委員会としては内定をしておりますが、正式の告示の段階には至っておりません。
  87. 小野明

    ○小野明君 引き続きましてお尋ねをいたしますが、この内定にあたりまして、地元太宰府の町民との間に事前の協議というものが行なわれておったかどうかですね。これはあなたも御承知のように、保護法の精神からいきますと財産権、私権を十分に尊重しながらこの法律を実施していく、そうして一般国民の協力を求める、こういうことになっておるようでありますが、そういった面から考えましても、地元太宰府町民との間の協議ということがきわめて重要であると思いますが、この点についてどのような話し合いが行なわれておったかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  88. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) ただいまの事前の地元民との協議のことでございますが、私ども文化財保護法の運用につきましては、十分私権と申しますか財産権の尊重には心がけてまいっておりますが、その専門審議会に諮問いたしますまでには、地元の福岡県のほうからの申請に基づきまして、福岡県教育委員会からの申請に基づきまして事務を進めました。何ぶんにも広大な範囲にわたりますので、その範囲等につきましては、十分正式の告示までに地元の方々とのお話し合いを詰めていきたい、こういう気持ちで、内定までには地元の町の方とは十分な話し合いはしていなかったと存じております。
  89. 小野明

    ○小野明君 そうしますと、内定後決定に至る間、この地元のほうとは協議をする、こういうかまえ方でございますね。——わかりました。  それで内定をされました日にちから十日を経た時点で、地元太宰府町の議会におきましては、満場一致指定反対を議決をされておるわけでございますね。これについて今日までどういった協議なり、話し合いというものが行なわれて、どういった努力をされてまいったのか、この点を伺いたいと思います。
  90. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) ただいま御指摘の点でございますが、内定の段階におきましては、十分町の方々にこの史跡指定の意義と申しますか、御了解いただけなかったようでございまして、お話のように町の議会で反対するという事態が起こったわけでございますが、私どもは、その後県の教育委員会を通じまして、町の方々に対して、史跡に指定いたしました太宰府の史跡としての重要性といったものについて十分な御説明を申し上げ、また地元の方々の反対の理由といたしまして、これが史跡に指定されました場合には、現状変更についての非常に強い規制を受けるということについて十分御納得いただいていない面がございましたので、その点につきましても、福岡県教育委員会を通じて十分御説明を申し上げた次第でございます。具体的な方法といたしましては、地元の方々の部落の代表の方を含めました県、町、それから学者の方々によります保存整備協議会といったようなものを設けていただきまして、すでにその会合も三回開かれているように伺っておりますが、その会合におきまして、地元の代表の方々にもただいま申し上げましたような点、あるいは現状変更いたします場合に、文化財保護委員会といたしましては、どうしてもそういうことがむずかしいという事態になりました場合の土地の買い上げといったような面を含めまして、地元の方々の御了解をいただくように努力している次第でございます。
  91. 小野明

    ○小野明君 地元の反対をいたしております理由にも、いろいろあるわけでございますけれども、そのうちの一つに、現在まで指定をされております都府楼跡、これの管理が非常に悪いということが大きな理由になっておるわけですね。大正十年三月三十一日でありますか、この都府楼跡が特別史跡に指定をされまして、今日までほとんどこれが放置されておる状態である。こういうことが国に対する地元民の非常な不満となってあらわれておる、こういうことが言えると思うのであります。そういった面から考えまして、局長も最近事務局長になられたばかりでもありますし、この事情についてはよく御存じないかとも思うわけですが、都府楼跡の指定地が、現在はどういった状態であるか、これを御存じでしたら、ひとつ説明をいただきたいと思うのです。
  92. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 現地を見ておりませんので、やや形式的な御説明になろうかと思いますが、ただいま御指摘のように指定後年月を経ているわけでございますが、史跡について十分な管理をいたそうといたしますれば、これを公有化するという方法があるわけでございます。昭和三十九年から昨年まで三年間にわたりまして、都府楼跡の敷地につきまして大体六千坪すでに買い上げてまいっております。本年度もさらにそれを続ける計画を持っておりますが、国として補助をいたしまして、県並びに町の御努力によりまして、まあ町に買い上げいたしておりますが、その土地の管理につきまして、昨年から整備費を国から百万円補助いたしまして、二百万円の経費をもちまして整備に着手いたしております。これは公有化いたしました史跡につきましては、これをできるだけ史跡公園といたしまして、害虫の巣などにならないように一部から手をつけ始めておる、こういう状態でございます。ただ、何ぶんにも経費がかかりますために、一度にこれを買い上げるというわけにまいりませんし、また買い上げておりませんところについては、あるいは従前どおりの放置されている状態があるかとも思いますけれども、私どもといたしましては、今後できるだけ努力いたしまして早急にこの整備にかかってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  93. 小野明

    ○小野明君 そうすると、この管理責任者ですね、この特別史跡の管理責任者というのは、太宰府町になるわけですか。そうですか。
  94. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) そうです。
  95. 小野明

    ○小野明君 そこで、いままで六千坪を買い上げたとこうおっしゃるのですが、これは何年までに買い上げられたか、これは太宰府の都府楼跡のうちの六千坪買い上げられたのか、その点を少し説明をいただきたいと思います。
  96. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 従来から指定をされております都府楼跡は、およそ三万六千坪というふうに承知しておりますが、そのうち六千坪を買い上げたわけであります。これも三万六千坪のうちの六千坪を三年かかって買い上げたのは、相当日数がかかるのじゃないかという御指摘でありますが、これは年々予算のほうも増加いたしておりまして、本年度は一年間で四千坪くらいのものを買い上げたいと思っておりますし、今後も努力いたしまして、買い上げ費を増額いたしまして、できるだけ早い期間にこれを完成したい、こういうふうに考えておる次第であります。
  97. 小野明

    ○小野明君 国から管理費を百万円出しておる、これは昭和何年からであるか、また町のほうから管理費が幾ら出されておるのか、その辺もひとつ説明をいただきたい。
  98. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 整備費につきましては、昨年から予算化いたしまして、国が百万、県が五十万、町が五十万、合計二百万をもって整備いたしております。
  99. 小野明

    ○小野明君 昭和四十一年ですね。
  100. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) ええ、四十一年です。
  101. 小野明

    ○小野明君 それでですね、これは現状におきましてもいろいろな問題が指摘をされておる。管理がずさんであるということで、九大の鏡山教授ですか、主として研究をされておるのですが、この方も言われておりますし、あるいは地元の実際に見聞をされた方の新聞報道によりましても、この放置されておるということが指摘をされておるわけであります。それでこれは福岡市のベッドタウンといいますか、背後が住宅地でありますだけに、最近の状態といたしましては、大事な礎石が、五十一個あります大きな礎石が持ち去られようとしたり、あるいは石が割れている、あるいはダンプカー、あるいは自動車が入りますために、礎石と礎石との間隔が広がっている、特にまた県道から都府楼跡に入りますところには、草ぼうぼうと風紀上おもしろくない傾向もある、ダンプカーがこの付近の土砂を取る、こういう状態がいまだに見られておるわけですね。で、こういった状態を見て、地元民が史跡指定が拡大されると、これと同じような状態になるということで、非常に強く反対をしておるのであります。そういったことから、管理責任者が町である。そうしますと三十六条によりますと、滅失あるいは棄損、盗難、こういったおそれがあります場合には、命令なりあるいは勧告をすることができる。そうしてそれについては国が費用の全部あるいは一部を負担することができるというふうに、文化財保護のためにそういう規定がされておるのであります。御承知のように、太宰府町というのは二万余りの人口の町でありまして、非常に貧乏といいますか、財政窮迫した町でありまして、財政負担過重ということも考えられるのであります。こういった国が史跡指定をしたところが非常に管理がずさんであるということから、不満を解消するためにそういったいま申し上げたような措置というものはお考えになったことがあるかどうか、また、この現状に対しましてどういう措置をするお考えであるか、その辺多少見通しというようなことにもなりましょうが、お伺いしたいと思うのであります。
  102. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) ただいま文化財保護法の三十六条を御引用になりましたが、三十六条は、美術工芸品あるいは建造物等の場合の重要文化財でございまして、これは史跡の場合にはこの条文は適用されませんので、それは先にお断わり申し上げます。  ただいま御指摘の点につきましては、史跡に指定をいたしましてもこれが私有地でございました場合には、それぞれ所有者がもちろん管理責任者として保護するわけでございます。で、先ほどちょっと私触れました私有地といたしまして管理するにあたり、史跡指定を受けますと規制を受けますために、これは自分の財産でありながら現状変更もできないというようなことでこれを公有にしてほしいという場合に、町あるいは県がこれを買い上げるという形で、そのうちの一部分がすでに公有化されておるということでございまして、現状から申しますと一部が公有地であり、残りが私有地である、こういう形になっております。私有地は、その責任者といたしましては所有者が史跡の場合でも責任を持つわけでございます。ただ、ただいまお聞きいたしておりますと、たいへん草が生い茂って荒廃しているということでございまして、これは所有者の方も手のつけようがない、おそらく公有化を希望しておられる、こういう状態だと思います。私どもといたしましては、そういうような状態の場合には、できるだけ早くこれを公有化に移しまして、先ほど申し上げましたような史跡公園というような形で、少なくとも都府楼跡につきましては十分な整備並びに今後の活用をはかってまいりたい、こういう計画を持っておる次第でございます。
  103. 小野明

    ○小野明君 先ほど申し上げたのは、史跡、名勝の件についてはもちろん七十六条に規定があるわけですね、でありますけれども、これが滅失、毀損あるいは盗難こういった場合には重要文化財を規定しておる三十六条に適用するようになっておるわけですね、そうですね。
  104. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) はい、そうでございます。
  105. 小野明

    ○小野明君 ですから、私はあえて三十六条とこう申し上げたわけですが、これによりますと、もし町がそういった負担が出せない、国が、あるいは町に全体的に管理がまかされない、こうなった場合には、財政窮迫の理由から国がその費用を全部あるいは一部とこう書いてありますから、全部が持てるわけですね。先ほど非常に都府楼というのが重要な史跡である。私は京都、奈良あるいはこの大宰府というのが、三つの日本における重要文化財史跡ではなかろうかと思うのですが、そういった面から考えますと、むしろこの費用の全部を負担するというくらいの方向に行かれて差しつかえはないのではなかろうかとこう考えるわけです。この辺をひとつお尋ねをしたいと思うのであります。
  106. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) ただいま三十六条につきましては、私、準用規定をちょっと読みそこなっておりまして失礼申し上げました。  ただいま御指摘の点は、史跡等が毀損あるいは衰亡するおそれのあるときには、これを国のほうから所有者または管理責任者に対していろいろその改善について勧告することができる。その場合、国のほうから費用の全部または一部を負担することができると、こういう規定でございますが、いまのところ私どもその点については検討したことがございませんので、御指摘ございましたので、十分今後考えてまいりたいと存じます。
  107. 小野明

    ○小野明君 次に、史跡指定による制限でございますね、現状変更の制限なんですが、これはいろいろ事務局としてもお考えになっておるやに伺うのであります。どういった制限の緩和といいますか、そういった面についてお考えになっておる点があればひとつ説明をいただきたいと思うのです。
  108. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 史跡指定地につきましてまあ現状変更を制約するわけでございますが、今回、昨年の十一月に内定いたしました史跡候補地は約六十五万坪でございますか、相当広範囲な地域にわたりますので、こうした場合には、その全域に強い現状変更の制限をかけるということもかえって無理であろうかと存ずるわけでありまして、その中には遺構などの確認されておりますような、ちょっと掘ってもこれは将来禍根を残すというような地域もございます。こういう地域につきましては現状変更を強く制限をいたしますけれども、先ほど申し上げましたような、その後背地のいわば歴史的景観を保護したいというような地域につきましては、これはむしろ原則としては現状変更を認めても差しつかえないのではないかと、むしろ景観を害するような変更についてだけこれを制約するといったようなことを考えまして、現在福岡県教育委員会といたしましては、指定候補地域につきましてA地区、B地区、C地区の三地域に分けまして、A地区は、先ほど申し上げました強い制限を加える地区、それからC地区につきましては現状変更はむしろ原則としては認める方向、B地区につきましてはケース・バイ・ケースで考えていく。こういう三段階に分けまして、その地区の範囲の御相談などを地元の方と進めているやに伺っております。
  109. 小野明

    ○小野明君 この地元の社会教育課長考えております保存協議会に対する説明ですね、Aの地区については都府楼跡、観世音寺など二十五ヘクタール、現状変更は原則として認めない。土地を売るときには国が買い上げる。B地区につきましては、背後の山すそ約百二十ヘクタール、現状変更はなるべく認めるが相談をしてほしい。C地区は、すでに民家が建っている、約二十ヘクタールあるが、史跡をこわしたり、景観をそこなわない限り建築を認める、こういう案だと思いますが、この案について事務局としては、これをあなたのほうの方針としておきめになるおつもりであるかどうかお尋ねしたいと思う。
  110. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 文化財保護委員会といたしましては、現在のところ、地域のこまかい点につきまして十分了解していない面もございますし、地元の方々のお気持ちもむしろ県の方のほうが十分御理解もいただけると思います。原則的なことについて私ども了解しておりますが、このそれぞれの地区が何ヘクタールといったような点につきましては、今後県の社会教育課長が地元の方とよくお話し合いの上できめられて差しつかえないことだと思っております。
  111. 小野明

    ○小野明君 そうしますと、この県の社会教育課長が地元に提案されておるという原則的な点についてのみ了解をすると、これを文化財保護委員会の事務局としては受けとめると、こういうことでございますか。
  112. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 文化財保護委員会がこれが歴史的に重要なところであるということで、この指定を内定いたしました。そのことにつきましては県からも御要望があったわけでございます。県はその内容につきまして非常によく御存じでいらっしゃいます。私どもの気持ちを体して、地元の方々とお話を進めていただく、こう考えておりますが、こまかい点につきましては県のほうにおまかせしてさしつかえないと思っております。
  113. 小野明

    ○小野明君 そうしますと、一項目ずつお尋ねしたいと思うのですが、土地を売る、転売ですね、これは認めるか、認めないか。たとえばA、B、Cと、こう分かれたと仮定しますと、どのようにこの点についてはお考えになっておるか。
  114. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 土地の所有者が変わりますことについては、この規制とは無関係だと私は考えております。
  115. 小野明

    ○小野明君 これは全地区にわたって所有者は変わってもよろしいと、こういうことですね。
  116. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) はい。
  117. 小野明

    ○小野明君 それでは建築物その他の工作物の色彩の変更というのがあります。これはたとえばかわらの色まで規制されて、だめなんだと、こういうふうに地元民は受け取っておりますが、この点はいかがですか。
  118. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) これは私聞いておりますのは、かわらの色の問題は自然的景観、先ほど申しました歴史的景観の一部として、場所によりましては非常に重要な問題があることがあるということで、これは一番ゆるいC地区においてもそういうことは起こり得るかと思います。
  119. 小野明

    ○小野明君 そうしますと、色彩の変更というのはきわめて強い規制をするお考えであると、こう見てよろしいですね。
  120. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) はい。
  121. 小野明

    ○小野明君 それから木竹の伐採、それから土石の採取、この点についてはいかがですか。
  122. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 土石の採取等につきましては、その量等によりまして、これは非常に重大な現状変更になる場合がございますので、おそらく全地区にわたってむずかしいということが起ころうかと思いますが、しかし、これが非常に簡単な移しかえのような場合には、差しつかえないということもあり得るかとも思います。この辺ちょっと私もこまかくなりますと、いまここで責任をもってお答えするわけにまいりません。
  123. 小野明

    ○小野明君 そのほかにも建築物、その他の工作物の新築あるいは改築、増築と、こういう問題があります。あるいは宅地の造成、土地の開墾、土地の形状の変更、こういう問題もあるわけであります。あるいはまた、屋外広告物の表示または掲出、こういう問題が現地民としては非常に切実な問題として考えられておるわけですね。もちろん私権の重要な制限ですから、これは当然だと思うのですが、こういった具体的な面ですね、土石の採取あるいは木竹の伐採、これらの点について、現地実情に合うように、現地の意向も聞きながら検討をなさっておられるかどうかですね、それをひとつお尋ねをしたいと思います。
  124. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) この現地の意向との調整につきまして、先ほどから申し上げておりますように、県の社会教育課長が中に立ちまして、保存整備対策協議会でございますか、そこで話し合いを進めておりまして、すでに三回開かれたようでございますが、今月の末にも四回目が開かれるようにも聞いております。絶えずその実情については私ども連絡を受けておりますので、その努力にまちたいと私ども考えておる次第でございます。
  125. 小野明

    ○小野明君 いままでの局長の御答弁をお聞きいたしますと、この現地をA、B、Cと、こういうふうに大体考えられておる。局長の御答弁では、大体A地区を標準に御答弁をされておるように伺うわけですね。で、B、Cというような、わりに規制のゆるい地域といいますか、そういった地域についてはお考えになっていない。もちろん、だれでもそうなんですがね。一番基準のきびしい地区について、いろいろな、いま申し上げたような条件を考えていく、処理していくということが当然であろうと思うのですが、この点については、現地がこういうふうにABCというふうに考えられておるので、この実情に合わせて、いま申し上げたようないろいろな具体的な事項については検討をしていく、このように受け取ってよろしゅうございますか。よろしゅうございますね。
  126. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) そのとおりにお考えいただいて差しつかえないと思います。
  127. 小野明

    ○小野明君 時間もありませんので、先に進みますが、保護委員会としては、史跡、名勝の保護、こういった行政については、私権をそこに残しながら、所有をそこに残しながら、いろいろな制限をしていくと、こういうことに非常に矛盾がある、このように私は考えるべきであると、こう思うわけですね。としたならば、文化財保護行政、特に史跡、名勝の保護行政というものは、指定をすると同時に全部を買い上げる。そのための協議なり、折衝を行なっていく。たとえそれがどんな膨大な地域になろうとも、やっぱり全部を買い上げて、国のもとでこの保護行政を進めていく。そうすれば地元民とのトラブルというものもないと私は考えておるのですが、この点はいかがですか。
  128. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) ただいま小野先生のおことばでございますけれども、これを史跡に指定する場合に、全部国有あるいは公有に買い上げるということになりますと、かえってその土地を生かさないという場合が出てこようかと思います。農地で農民が耕作しております場合に、これを国で、あるいは市町村で買い上げますと、耕作をやめなければならないというところも出てくるのでございまして、そういう場合に史跡指定地ということで、必ずしも公有化しないでさしつかえないというところもあろうかと思います。ただ現在のような宅地造成あるいは道路建設等によりまして、その近所がそういう宅地として活用されていくような場合には、農民としてその農地のままに置いておけないという事態がまいるのでございまして、そういう場合にはただ規制だけを加えて、その所有権を持っている農民が自分の土地でありながらどうすることもできないという状態のままにおきますことはたいへん迷惑をかけることでございますので、そういう場所からこれを公有化していくということを考えたいと存じている次第でございます。
  129. 小野明

    ○小野明君 それでけっこうだと思うんですが、この太宰府の史跡について、特に都府楼跡を買い上げるということについて、いままで昭和三十九年から先ほどの御説明にもありましたように予算を計上されておると思いますが、どういった額の予算が計上されておりますか。
  130. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 三十九年度以降、国といたしましては土地買い上げ経費の八割を補助することにいたしまして、総経費として三十九年度が一千万円、四十年度、四十一年度が二千万円、本年度はまだ実施しておりませんので予定でございますが、約四千万円という総経費の土地買い上げ、したがいまして、その八割が国費ということで予算を計上しております。
  131. 小野明

    ○小野明君 買い上げましたら、これは町有地になるんですか、国有地になるんですか。
  132. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) これは町が買います経費の八割を国が補助するということで、買い上げた土地は町のものになるわけでございます。
  133. 小野明

    ○小野明君 所有権は。
  134. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 町のものになるわけです。
  135. 小野明

    ○小野明君 そうしますと、先ほどの御方針ですと、背後地の景観をなしておる全部を買うわけにはいかない。特に重要な都府楼跡あるいは観世音寺、これだけは購入予定に入っておるというような御説明をいただいたと思うのですが、そのとおりですか。
  136. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) これはいま御指摘のとおり、現在はそういうふうに考えております。
  137. 小野明

    ○小野明君 そうしますと、時価で、都府楼跡、観世音寺、これを全部買い上げるといたしますと、この予算というのはどのくらいになりますか。
  138. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) これは地域によりまして、その買い上げの時点で単価が変わってまいりますもので、いまのところ、いま私の手元にその計算はございません。
  139. 小野明

    ○小野明君 昭和三十九年度一千万、四十年度二千万、四十一年度二千万、こういった非常に少額の何といいますか予算で都府楼跡あるいは観世音寺と、これだけ膨大な地域を一体何年計画でお買いになるおつもりですか。
  140. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) これはまだ指定も確実に決定されておりません段階で、いまのところ何年計画ということをきめておりません。しかも全国的に土地買い上げの問題が起こっておりまして、この全体予算とのにらみ合わせの問題もございますので、太宰府跡につきましては、あと何年でこれが完成するということにつきましてはまだ成案を得ておりません。
  141. 小野明

    ○小野明君 この文化財の保存事業費、これの中身を見てみますと、四十年度決算で見ますと、平城宮跡の購入費として三億九千万、あるいはこの平城宮跡の整備費として一千五百六十万というものが計上されているわけですね。それでこういったことから見ますと、非常に重要な史跡であると、このように見た場合にそこにやっぱりここを何年計画で買い上げると、地価の変動もあるでしょうが、そういった計画性というものが必要なんではないか。そのことがやはり地元町民に対しまして十分な管理費、十分とはいえないまでも現在の状態にならない管理費をつけていく。こういった措置と同時に、そういった計画というものがきわめて私はこの太宰府という問題には重要なんではなかろうかと思うわけです。それから見ますときに、一千万、二千万というような平城宮跡の買い上げ費用に比べますというと、史跡の重要性というのはさほど私は甲乙ないのではないかと、こう見ておるのですが、あまりにも些少な額しか計上されておらぬのではないか。このように考えるのでありますが、いかがですか。
  142. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 御指摘のとおり史跡買い上げの予算につきましては、平城宮跡はこれは直接国の買い上げ予算で別項目になっておりますが、それ以外の、これを都道府県あるいは市町村に買っていただきました場合の補助金は昨年が一億五千万、本年は約三億ということでございますが、現在の開発ブームの関係で非常に全国的には要望が高まっておりまして、私ども今後ともこの買い上げ費につきましてはさらに充実して、ただいま御指摘のように、太宰府跡の買い上げにつきましても予算としては非常に些少でございまして、このままだと非常に年月がかかるのではないかというお話でございまして、このままでございますと、ほんとうに非常な月日を要します。全体の予算の伸びの中で太宰府につきましても十分私ども配慮してまいりたいと思っております。
  143. 小野明

    ○小野明君 地元の社会教育課長説明ですと、保護委員会としては昭和四十二年度は大体六千万円を要求しておるといいますか、そういう話がされておるようでありますが、この点は事実ですか。
  144. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 四十二年度につきましては総額四千六百万円の計画でございますが、これは予算編成時点におきましては年度内の緊急事態等もございますので、個々の土地買い上げにつきましてはその後話が煮詰まって、これを実施するということになっておりますので、あくまでも一つの積算の基礎ということで、その後の情勢によりまして太宰府の場合にはまだ実施しておりませんけれども、今後予算の範囲内でこれを実施する予定でございます。
  145. 小野明

    ○小野明君 そうしますと、この地元の負担が一割になるわけですね。地元の太宰府の町は先ほど申し上げたように二万人ぐらいで、大体六千万円とすれば一人当たり五百五十円くらいの負担になるわけですね。それでおまけに福岡という大都市の背後地なものですから非常に児童の急増地帯、児童生徒のですね、ここの太宰府小学校にしても、水城小学校にしましても児童が激増しておる。しかも、この地元の学業院中学というのは老朽校舎であると、こういうことから町がこういった校舎にもお金をかけなければならぬというので、いわばまあ史跡貧乏と、こういうことばさえ生まれておるのであります。こうなりますと、この町に一割の補助をさせるということが非常な負担にかかってくると、こういうことになりますと、これは何らかの方法といいますか、国が全部出して買い上げていくと、こういう措置はとれないものかどうか、あるいはそういう方法が検討されないものかどうか、これが先ほど申し上げたように、一千万や二千万と、こういうテンポでいきますと十年戦争だと、こういうわけですね、地元では。おまけに予算がつくたびに地元では一割ちょうど取られていくから、そのためにさなきだに苦しい地方財政というものがますます圧迫されていくと、こういうことがやはり地元太宰府町の満場一致の決議にもあがっている理由なんですね。そういうことが検討されないものかどうかお尋ね申したい。
  146. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 太宰府につきましては、これが先ほど申し上げましたように、律令政府時代の地方の拠点としてある意味では平城宮跡等と匹敵する重要な歴史上の土地であるということもございまして、東北の多賀城とともに、ここにつきましては国庫補助率の特例をしきまして、現在一般的には五割なんでございますが、八割という補助をしているわけでございます。これは歴史的な重要性と、したがいまして、土地が広範にわたるというようなことでそういった措置をとっておるわけでございます。それにいたしましても、ただいま御指摘のように、太宰府の町はその規模から申しましても、財政能力としてこれだけの広範な土地を史跡として指定いたしました場合に、その購入費の一割を絶えず持つということはたいへん困難なんだと、私どもも承知しております。その意味におきまして本年度におきましても福岡県のほうと話し合いまして、一部ではこれを県が買う、町の財政能力との勘案におきまして県有地にしてこれを国が補助するという部分をつくろうではないかという相談をしておるところであります。まあこれは県のほうの御協力がなければできないことでございますが、何とかそういう方向で町の負担の軽減を考えたいと思っております。まあそれ以外に、国がこれを直接国有化するということも平城宮跡の例があるわけでございますけれども、これはほんとのいまのところは特例でございまして、なかなか国が全国的にこれを国有化していくというのはむずかしいかと思いまして、一部を県有ということでできるだけ町の負担を軽減してまいりたいと考えておるわけでございます。
  147. 小野明

    ○小野明君 大臣にお尋ねをしたいと思いますが、いま申し上げたように、非常に太宰府というのが史跡貧乏だ、国が出せばその一割を出さんならぬ、そのために町民の一般施策、教育施策というものがますます貧困にならざるを得ない。国のために貧乏させられておるようなものだと、こういう結果を呼びつつあるわけなんです。同時に、三十九年からまあ一千万円と、買い上げる方針を立てられたわけなんですけれども、当時が、大体国がきめた買いあげ方針というのが坪八千円ですね。そうしますと、現在ではもう二万円以上だというわけです。ですから、これが延びれば延びるほどいまの土地の値上がりによって国もよけい出さんならぬ、また地元がたいへんな貧乏を見なきゃならぬ。おまけに地元民は私権の制限を大いに受けていると、こういう結果になっておるわけです。ですからこの辺でやはり文化財保護——この太宰府だけではないんですね、いまやらなければならぬ文化財というのは全国にもかなりの多数にのぼっている、こういうふうに伺ってもおるんですが、特に太宰府の問題を取り上げましたから、ここで抜本的なこの文化財保護政策というものをお考えをいただきたいと思うんですが、御所見を承りたいと存じます。
  148. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 太宰府の都府楼跡、この辺が非常に重要な史跡であるということは、これは間違いのないところでございますし、文化財保護の見地から史跡としてこれを保存するという方向にまいっておるのはまあ当然のことと存じますが、しかし、私は常に地元の陳情等にもお答えしまして、地元との話し合いがつかない限りは、内定しておりましても政府としての決定はしないから、それまでに十分な話し合いをつけるようにこちらとしても努力するし、地元もひとつ努力してほしいと、こう申しております。実は太宰府町といたしましても、この重要な史跡を持っているということ自体が太宰府町としましても一つの大きな誇りでもございますので、やはり町自体、福岡県自体としましてもこの史跡を保存するということは非常に重要なことだと思います。したがいまして私どもとしては、これにできるだけ御協力願いたいと思いますが、ただいま申されましたようにこの史跡の買い上げにつきまして町が非常な大きな負担をかけられている、その町の財政的な負担につきましてはわれわれとしても十分考慮しなければならぬと思いますし、いま小野議員のおっしゃいますとおり、この買い上げの問題につきましては十分抜本的に考えてまいる必要があると思いますので、文化財保護委等とも十分相談をしてまいりたいと、こう思っております。
  149. 小野明

    ○小野明君 お話よくわかりますが、四十三年度の予算要求としては、この種費用で御要求は幾らなさっておるわけですか。
  150. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 全国的にでございますか。
  151. 小野明

    ○小野明君 そうです。概算要求で。
  152. 福原匡彦

    説明員(福原匡彦君) 四十三年度につきましては約十三億土地買い上げの補助をお願いしております。
  153. 小野明

    ○小野明君 大臣の御熱意はよくわかるわけであります。それで地元町としても、言われるようにこういう有名な史跡を持って私どもは太宰府に生まれたことを誇りに思っているのだ、しかし、現実にはこういう矛盾があるということで非常に苦しんでおられるわけですね。早急に解決をお願いしたいし、重要な地点というのはやはり国が何年計画かでこの際明らかに買い上げの方針を出して、県との協力でもけっこうですから、そういう方針をひとつ打ち立てていただきたいということと、これはまあ皮肉で申し上げるわけではございませんけれども、大体この十三億要求しておるが、大蔵省というところはこの文化財保護行政というのにきわめて不熱心でありまして、十三億要求があるが、これが五億も通ればいいところだろうと、こういう話がもっぱらなんであります。それでこういった文化財保護行政というものにも十分ひとつ御配慮を願っておきたい、まず大蔵省の見解をいただいて、最終的に恐れ入りますが大臣の再度の御答弁をもらいたいと思います。
  154. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) お答え申し上げます。こういった個々の案件につきましては、実は史跡買い上げの予算全体の範囲内で文部省のほうで計画されまして実施計画を私どものほうに協議していただくということになっておりまして、あくまでも全体の中の問題でございます。しかし、全体の予算といたしましては、大蔵省は不熱心じゃないかとおっしゃるのでございますが、実は大蔵省といたしましては文部省のほかの経費と比べまして文化財関係予算につきましては格段の努力をいたしまして、特に史跡買い上げ予算は年々大幅に増額をいたしております。現に四十二年度はちょうど四十一年度一億四千六百万の約倍の、三億に近い数字を計上をいたしておるようなわけでございますので、まあその辺大蔵省の熱意のほうもひとつ御了承願いたいと思います。
  155. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 文化財保護の問題につきまして、最近まあ住宅の問題でございますとか、新しい産業の進出でございますとか、あるいは道路、鉄道というような問題でただいま日本の経済の急激な進展に伴いまして非常に全国的にひとつの危機がきていると思います。なおこの機に、きわめて重要な文化財については、どうしてもこの際におきましてこれらから文化財を保護するということにつきましては、時期的に申しましてきわめて重大な時期に際会していると思います。そういう意味におきまして、私どもといたしましては文化財の保護につきまして十分な努力をいたしますし、政府部内におきましても十分話し合いをいたしましてこれが保護に万全を期してまいりたい、かように考えております。
  156. 小野明

    ○小野明君 それじゃ文化財の問題を終わります。  もう一件、この東大の宇宙航空研究所におきます観測ロケットの関係経費の問題で、会計検査院から指摘があっておることは御承知のとおりであります。その指摘を見てみますと、この製造にあたって契約書が作成されておらなかった、あるいは請負業者の参考見積もりがそのまま契約金額として採用されておる、こういう点が指摘をされておるのであります。これについて四十年度の決算でそういう指摘がされておりますので、どのような改善措置がとられたか、実績はどうであるかについて御説明をいただきたい。
  157. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 昭和四十年度の決算検査報告におきまして、東大宇宙研のロケットに関しまして指摘を受けましたことはまことに遺憾でございまするが、その検査院の御指摘の中におきまして、今後の問題点といたしまして、研究部門と経理部門との連携を密にいたしまして「発注にあたって可能な範囲の見積計算により契約を締結し、完成後実際製造に要した費用の実績を確認したうえ契約金額を確定することができるような方途を講ずるよう配慮の要があると認められる。」こういう御指摘をいただきました。  そこで、文部省といたしましては、東京大学とも御相談をいたしましておおむね次の三点のただいま改善の努力をいたしております。  第一点は、検査院の御指摘にもございましたように、通常契約時点におきまして契約金額が確定いたすわけでございまするが、従来製造いたしました実績のありまするロケットにつきましては、引き続き努力をいたしまして、できるだけ正確な予定価格を作成する確定契約でやってまいる、ただし新規開発のものにつきましては、検査院指摘のように、概算見込み額による限度額をもって契約をいたしまして、製造過程が進行してまいりまして、製造完了後確定するという概算契約方式の導入をいたしたい、かように考えております。  第二点といたしましては、このような契約方式の改善のためには、これを担当いたしまする経神部門の強化が必要に相なってまいります。第一に、宇宙航空研究所の経理も、本郷の東大事務鳥経理部におきまして最終の契約支出をいたしまするので、本郷のほうの東京大学事務局の経理部の体制強化するということが第一点。第二点は、東京大学宇宙航空研究所におきまするロケットの経理係と積算係とに五名の増員をいたしまして、確定契約の担当と概算契約の担当と、二つの系列に職員を分けまして、新しい方式に対処してまいりたい。  第三点は、今回御指摘をいただきましたことは、単に東京大学宇宙航空研の問題というふうに限定しないで、研究開発がどんどん進んでまいりまするので、主といたしまして旧七帝大——七大学等におきましては、性質におきましてはほぼ同様な問題があるわけでございます。したがいまして、文部省といたしましては、七大学の経理担当者に参集を求めまして、宇宙研につきまして検査院から指摘を受けました問題の所在、並びにこれに対しまする対策等を中心といたしまして、国立大学のこういった経費につきましての予定価格の作成能力、積算能力等の特別研修を指導実施いたしまして、今後引き続きこの面におきまする努力を継続してまいりたい、宇宙研に対しまする留意事項の御指摘を前向きの問題といたしましてぜひ受けとめてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  158. 小野明

    ○小野明君 いま課長が御説明になった措置というのは、昨年そういった措置をおとりになったのですね。四十年度指摘ですから、昨年度からでございますか。
  159. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) ただいま概算契約の問題、増員の問題それから研修の問題、三点御説明を申し上げましたが、これらはすべて四十二年度の問題でございます。概算契約の問題も、補足説明いたしますと、四十二年度のロケット契約におきまして初めて試みようということでただいま努力いたしておるところでございます。
  160. 小野明

    ○小野明君 了解をいたします。それで十分いまおっしゃられたような措置というものが実績をあげますように監督、指導をお願い申し上げまして終わりたいと思います。
  161. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 五月と七月の二回にわたりまして一応文部省の見解を聞いたのでありますが、東北大学の臨界未満実験装置の不正と思われる諸内容につきまして、具体的な諸問題等についていろいろ伺ってまいりたいと考えます。  そこでまず第一に、東北大学臨界未満実験装置設置についてのその後の、今日までの経過等につきまして学術局長もしくは会計課長から説明を願いたいと思います。
  162. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 東北大学の臨界未満実験装置の件につきまして、さきに予算分科会並びに文教委員会においてお尋ねをいただきましたが、取りまとめまして経緯を初めに御報告申し上げます。  昭和三十七年度に東北大学におきまして臨界未満実験装置の予算がつきましたが、この予算を執行するにあたりまして、工学部の教授を中心といたしまして、おも立った会社六社に対しまして本装置の仕様概要のみを示しましたまず参考見積もりの提出を求めました。で、各業者より提出されました参考見積もりと、その算出基礎とした仕様内容につきまして、担当教授におきまして検討をいたし、その上さらに、前記、ただいま申しました六つの業者に対しまして再度参考見積もりの提出を求めたのであります。この二度にわたります参考見積もりの提出は、随意契約をいたしまする前段段階といたしまして参考見積もりの提出を求めました。その結果、前年度におきまして京都大学の臨界未満実験装置を製造しておりまする住友原子力工業株式会社を、総合的な検討の結果選定することといたしました。住友原子力工業株式会社の参考見積もりと予算額との間に相当な開きがございましたので、いろいろ交渉をいたしまして、臨界未満実験装置本体関係につきまして、予算に合わせまして一億一千五百万円で、当該会社の販売会社である住友商事株式会社仙台支店と契約を締結いたしました。で、この装置は、昭和三十七年度及び三十八年度に製造されたものでございまするが、製造された部分につきまして、教授を中心といたしまして工場に出向きまして検収を了しまして、東北大学に据えつけまするまでの間、業者に寄託契約の上、管理を寄託いたしました。で、本装置を備えつけまする工学部の移転計画がございまして、青葉山地区に東北大学の工学部が移転することに当時なっておりました。で、同地区内の開拓民との離作補償問題等で移転計画全体がおくれましたので、会社のほうに寄託契約をいたしておりましたが、それを入れまする建物の建築がおくれまして、四十一年三月ようやく本装置の据えつけを完了いたしました。本装置を四十一年の三月に据えつけを完了いたしましたが、本装置の運転につきまして、同学部原子力工学科内にいろいろと紛糾と申しまするか、問題がございまして、また、この臨界未満実験装置の部分をなしまするボイド発生装置にかかわりまする燃料棒の微震動の防止等のことがございまして、学内の原子力等安全管理委員会におきましてこれを検討するということに相なってまいりました。で、東北大学におきましては、この事態に対処いたしまするために、臨界未満実験装置の技術上の調査をするため、七月二十二日、同大学内に、東北大学原子理工学委員会専門委員会原子炉分科会の下部組織といたしまして、臨界未満実験装置臨時技術委員会を設けまして、技術的問題につきましての検討をただいま進めております。その結果、ただいま申しました、臨界未満実験装置の部分をなしまするボイド発生装置という部分がございまするが、このボイド発生装置につきましては、現時点では、ボイド装置は臨界未満実験装置の一部としては学術的使用の段階にはまだ完成していない、今後の改良に向かって十分研究してほしい、という一応結論が出ました。したがって、この調査結果を基本といたしまして、原子炉分科会は、ボイド装置を除いた臨界未満実験装置に関する原子力等安全管理委員会の審査に対する資料を作成いたしまして、原子理工学委員会を経由して、去る十月十三日に、東北大学の原子力等安全管理委員会に提出をいたしました。で、この委員会におきましては、専門委員会の検討を了しまして、本日、原子力等安全管理委員会におきまして、最終の審査をいたしておるというのが経緯でございます。
  163. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうすると、具体的に質問してまいりたいと思うのですが、第一の問題は、この契約方法についてでありますけれども、会計法の二十九条の三でありますが、これによりますと、契約の方式といたしまして、一般競争契約あるいは指名競争契約、随意契約、こういうことに方法があるわけですけれども、この東北大学の臨界未満実験装置につきましては、いま会計課長説明にも若干ありましたが、六業者がそれぞれ入札をして、それぞれ単価をはじき出して、あるいは大学の仕様に基づいて契約内容というものを提示をされた。そういうもろもろの条件からいけば、当然この二十九条三の4項、この大体3項と思われますが、この該当するような内容というものはなかったのです。いわゆる随意契約ではなくて、一般競争契約、こういう方式でいくのが私は妥当じゃなかったかと思うのですが、この辺の見解につきまして、会計課長の解釈を承りたいと思うのですが、加えて、検査院の方も来ておるはずでありますが、検査院のほうからもこの法的解釈の見解について明確にひとつ御回答を願いたい。
  164. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 先ほど小野先生から御指摘のございました東大宇宙研のロケットの製造の場合も同じような問題を含みますが、国立大学の研究教育用の設備の製造契約につきまして、研究が日進月歩するに従いまして、これを製造いたしまする業者のほうにおきましても技術開発が伴う場合等が非常に多いのでございます。それで本件につきましても、一般競争入札ということじゃなくして、随意契約ということで処理をいたしております。で、ただいま戸田委員から御指摘の、六業者に対しまして参考見積もりを二度にわたって徴しておるではないかという点でございますが、大学のほうに私どももいろいろ照会をいたしまして明らかになりました点は、随意契約をいたしまする最も適当な適格者を選び出しまするための、契約を行なう事前の審査といたしまして参考見積もりを六業者から徴して随契の適格者を選んだと、このように私ども存じております。
  165. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) お答えいたします。契約に至ります経過につきましては、ただいま文部省の会計課長から御説明になったとおりでございます。そこで、これが随意契約にすることの法的根拠というような御質問でございますが、ただいま文部省側からも御説明のありましたように、開発途上にありますもの、これにつきましては、おのずから事柄の性質上、業者も限定されるのであろうというような観点に立ちまして、東大の宇宙研の例などもお聞きになって述べられておりますが、こういう場合には、契約の目的が競争を許さない場合というような条項を適用いたしまして随意契約をするということは前例もございますし、差しつかえないと存じております。
  166. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この二十九条の三の4の内容は、一つはいま検査院指摘されましたように、緊急の必要により競争に付することができない、この場合ですね。それから競争に付することが不利と認められる場合、それから目的が競争を許さない場合、こういう三つがあるわけです。問題はどういう、実際、この契約の手順というものを踏んできたかというと、六業者に、具体的には、住友原子力工業株式会社、あるいは三菱原子力工業株式会社、日本原子力工業株式会社、富士電機製造株式会社、それから株式会社日立製作所、東京通商株式会社、この六業者にそれぞれ入札をさせている。その内容を見ますと、臨界未満実験装置をやろうというこの中心は、特徴点は、ボイド装置にある。そのボイド装置に対する各業者の仕様書というものは、住友の場合は全然ボイド装置の性能については記述していない。これは文部省資料のナンバー十五の九ページから一一ページにわたって、第二案は三十七年の五月に提示された資料でありますけれども、この内容を見ましても、ボイド発生装置を縮小して炉心のごく一部、これにボイド発生をさせる方式ということですから、大体ボイドの燃料棒が三百本ある、そのわずか十九本ぐらい分した燃料の発生ができない。これは総体から言って三〇%程度しかできない。これは保証値でもなければ目標値でもない。そういうきわめて程度の低い一面の記述はありますけれども、しかし、それに加えて問題なのは、均一性というものが一番ボイド装置には必要なものです。このことについては一切記述なしなのです、住友は。それに加えて富士株式会社の場合は明確に大学の仕様どおりやります、こう言っている。それから三菱の場合もボイド発生の目標値というものは明確に記述している。一番このボイド装置製作にあたりまして中心といわれる、その記述の問題について、むしろ住友は全然記述をしておらない。いわばボイド装置を設置をして本来の学術研究に今後供しようというその中心がボイド装置である。こういうことであるならば、当然この契約の段階においてはそのことが一番中心でなければいけないと思うのです。ところがその契約書の各仕様書を見る限りにおいては、今日までの資料の内容においては全然これは逆になっている。こういう点がひとつ明確になっておるわけです。  もう一つは、単価の問題におきましても、住友の場合は最終一億四千二百二万、いろいろと段階を経てきておりますが、会計課長がさっきおっしゃられましたように、当初は非常に高額であったのをいろいろ交渉して、段階を経て安くはなってきております。最終的には一億四千二百二万、こういうことに住友はなっておる。富士は一億三千九百八十万でありますから、住友よりも単価の点において安いのです。さらに三菱は一億四千二百六十七万円でありますから住友よりは二十万程度高い、こういうことになりますが、こういう単価の部面から見ましても非常にわれわれは理解できない点がある。  もう一つは、各業者のいろいろ入札段階において、工学部長と住友の長島重役というのが東大出身の後輩先輩関係にある、そういういわば私情が非常にはさまって契約がなされたという実証もあるわけなのです。そういういわば不明朗な契約段階を経てこの臨界未満実験装置というものが踏み切られてきている。ここに私たちは見逃がし得ない非常に問題点があるのではないか。そういうものが逐一文部省提示資料の中で虚偽報告をとったり、あるいは学園内においていろいろな紛争をまき起こしておる、こういういわば二面の罪悪を犯しておることになると思う。逐一この具体的な内容については発表してまいりたいと思いますが、こういういわば契約段階において、法的な問題あるいはこの実態、こういう関係からいって、一体文部省なり会計検査院としてこれが妥当かどうか、そういう解釈についてどうですか。
  167. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) ただいま戸田委員お尋ねの中で、前二回入札ということばがございましたが、先ほどお答えいたしましたように、契約の前段階といたしましての参考見積もりを二度ほど徴したわけであります。原子核工学科におきまして二度ほど六業者から参考見積もりを徴しましたが、三業者から出ました仕様書につきまして関係教授——これは三名の教授からなっておりまするが、三名の教授によりまして、一、燃料の系統、二、水の系統、三、ただいま戸田委員から御指摘のございましたボイドの系統、四、燃料棒をささえます支持の方式、五、制御駆動系、六、中性子の発生装置の関係、七、測定器の関係、八、付属装置類等の各糸にわたりまして五点満点とする採点を三人の教授によって行ないました。その結果、六業者につきまして一定の点数が出てまいったのでございます。その結果に基づきまして上位三位までの業者につきまして技術採点を行なうことといたしましたが、その中で参考見積もり額があまりにもかけ離れておりまするものは除外をいたしまして、その他につきまして技術採点を原子核工学科のほうでもって行なっております。その六業者の中で三業着につきまして最終技術採点を行なっておるのでありますが、その中で、ある会社は燃料系の仕事と機械の部分の仕事を別々に扱っておる、すなわち直接燃料関係は扱っていない会社が一つございましたので、それは一応除外することといたしまして総合的な観点から、特に前年度京都大学の臨界未満実験装置を納入しております点等も勘案いたしまして、住友原子力工業株式会社に随契の相手方をきめたと、かように私ども存じております。  で、ただいま戸田委員からもお話がございましたが、こういった新しい研究内容を持ちまする設備につきましては、契約をいたしましてそれで製作者のほうで製造に入ってまいりまして、その製造過程におきまして教官と会社側と相互に相談をしながら、若干試行錯誤で解釈をしていかなければならないという研究開発と技術開発と相伴う部分も生じてまいるのであります。その意味で六業者から参考見積もりを徴しまして、どの会社が随契の相手方として一番よろしいかということをいろいろな角度から検討いたしましてきめましたあとにおきまして、その業者と技術開発との関連もからませながら実際の製作が行なわれておる、そのように私ども存じておる次第でございます。
  168. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) ただいまの御質問に対しましても、文部省側から詳細に御説明になったとおりでございまして、それに対しましてわれわれも同じ考えを持っているわけでございます。参考見積もりをつくりました後に随意契約に移るというようなことは、これは従来も行なわれておることでございますし、ボイド装置云々というような御指摘もございましたけれども、総合的に見ましてただいまお話のありましたような採点をいたしました結果、住友原子力工業が最も信頼の高いものであるという結論を専門家が得た結果、随意契約に付したという点につきましては、われわれも特にこれを不当と断定するまでには至っていないのであります。
  169. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いまの会計課長の答弁内容で、各項目ごとにそれぞれ教授が分担をして、点数制で最終的には決定をした、非常に民主的な、あるいは科学的なやり方のように聞こえるのですが、そこが私は一つ問題だと思う。たとえば住友と三菱と富士と三社の見積もり内容をずっと点検いたしますと、住友の場合は確かに少なくとも燃料問題については、これは優秀であることはだれも認めている、燃料関係については、現地では萩原教授が担当した。それから中性子関係につきましては眞野教授が担当しておる。この問題になりますると、これは明らかに富士や三菱よりも住友は落ちている。それから機械その他の問題一切は小林教授がやっている。この小林教授という人は結局ボイド装置発生について、いわばわれわれが理解する限りにおいては強引に押し切った教授なんですね。ことに住友の仕様内容につきましても、ボイド装置については全然記述かない。少なくとも契約段階におきましてそういった性能についてが一番心配される点ですから、これを会社側に提示をして、それをやれるのか、やれないのか、こういう点をあらかじめ契約段階において明らかにする必要がある。そのことについて、日立製作所は少なくとも学校の仕様書に基づくボイド装置は現段階においてはできませんとことわっている。そういう良心的な会社もある。そのことを全然記述もなしに、なぜ一体契約のこの段階に運んだか、ここが私は問題だと思う。その辺の見解、一体どういうふうなお考えを持っているか、その見解について回答を願います。
  170. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 臨界未満実験装置という装置は、原子核工学科の学生の研究教育用に入れております設備でございます。京都大学とか、他大学にもこの装置が入っておるのでございますけれども、戸田委員から御指摘の沸騰型原子炉の実験をいたします場合に、底辺——底の部分から空気を入れまして気泡を生ぜしめまして、それによりまする研究教育を実施しようというボイド発生装置を備えつけました臨界未満実験装置はどこの大学にも入っていないのでございます。それで東北大学の場合、このボイド発生装置をぜひ入れてみたいということで御計画になったのだと思いますが、ただいま先生御指摘のように、どの会社もまだ実績のなかった事柄でございまするので、その点先ほど申しました六業者の総合的なそういった研究開発設備に対しまする技術能力、過去の実績、そういった点を総合的に勘案されまして、東北大学とされて随契の相手方をお選びになったものと、私どもはさように存じておる次第でございます。
  171. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この選定理由書を見ますとこういうことになっております。途中から読みますが、「住友原子力工業株式会社、三菱原子力工業株式会社、日本原子力工業株式会社、富士電機製造株式会社、株式会社日立製作所及び東京通商株式会社等にその製作について調査打ち合わせを行なったが、このうち本学の仕様、性能その他を満足させる回答をしたのは住友原子力工業株式会社である」、こういうことなんです。ところが、その性能について中心であるボイドについては、この仕様書の中には全然明記されていないのが現在の実態なんです。ですから、この選定理由書、これは文部省資料でありますが、これによりますると、「別紙仕様書を作成し、国内メーカー数社、すなわち以下六業者を加えて性能その他を満足させる回答をしたのは住友工業株式会社である」、ここでもこういうことを言っている。これは文部省に昭和三十九年三月三十日にこの契約書一切を大学では提示をしているというのですから、この資料の内容を見まする限においては、現地の工学部長は文部省に対してすべて虚偽の報告をやっているのじゃないか、これはまさしく詐称、偽証であります。そういういわば虚偽報告になっている、こういうふうに考えるのですが、いま会計課長がおっしゃられたのは、こういう選定理由書に基づいて見解を述べられたのか、実際問題として現地を確かめられていまの見解を述べられたのですか、どっちですか。
  172. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 本件につきまして戸田委員から過去二回御質問をいただいておりますが、文部省といたしましては、契約を結びまする権限を持っておるのが大学の事務局長であり、実質権限を持っておりまするのが大学の経理部長でございますが、大学の事務局を通じましてできるだけの実態把握をいたしたわけでございます。それで、ただいまの随契に関しまする選定の理由につきましてのお尋ねでございますけれども、私どもが大学のほうから徴しておりまする資料によりますると、六業者から参考見積もりが出てまいりましたが、それもただ書面だけではわからない点もあったかと思われまして、関係の教授が中心となりまして、六業者とそれぞれ個別にいろいろな点につきましての質問をし、見解をただしておるようでございます。その点、文部省といたしましては、ただいままでの調査のところ、関係教授を中心といたしまして随契の相手方を選ぶにつきましては慎重を期してやってくれたものと、かように存じておる次第でございます。
  173. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 契約全般について大臣はどういう見解でありますか。
  174. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 現地におきまして契約は責任をもってやっておるわけでありますから、会計課長及び会計検査院からお話のございましたとおり、私たちといたしましてはこれを信頼するよりほかにないものと考えております。
  175. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その選定理由書にいろいろ述べられておることはいま会計課長からお話がありましたとおりですが、しかし、実際そのとおりやっておられない。ですから、これは一体虚偽報告にならないかどうかということですね、この点はどうですか、大臣。
  176. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) ただいま会計課長なり、あるいは会計検査院の御報告によりますと、その選定理由書は虚偽報告であるというふうには私認めがたいと思います。
  177. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 東北大学の臨界未満実験見積もり仕様書、昭和三十九年三月三十日、この一式の書類は全部文部省にきているわけですね。これを見ますると、ボイド発生装置につきましては、本体、一は数量、二は構造、それから三が寸法、四材質、どこにも性能はないです。全然記述されていない。それからおまけに仕様書の中におきましては、当初このボイド装置全般として予算計上がなされておったわけでありますが、その中には、当初仕様書の中にはスカートの分というのは入っておらない。これは、あとで運営維持のところで言いますが、それは十一万。しかし、それは入っておらない。しかし、この報告書の中には、明らかにスカート部分として構造——このスカート部分についても性能は書いてないのです。ですから、こういう現実報告資料があるはずなんですから、それが文部省にきているはずだと思うのですね。前日確かめたらそれはきておらないと言う。しかし、現地としては、三十九年三月三十日に明確に作成をして、十月に文部省に送付をいたしておる、こういうことを言っております。ですから、こういう性能の一番特徴点のないものを、一体文部省としては、そのまま放任をしておくというかっこうになるでしょうね。そういうことで一体いいのかどうか。大臣、どうですか。
  178. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) はなはだ残念でございますが、私は、そういう学術的なこまかい問題については知識がございませんので、あなたは、非常に御研究になっておわかりでございますが、私には専門的なことはわかりませんから、専門的なことのわかる会計課長からひとつ答弁をいたさせます。
  179. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大臣の答弁は、きわめて私は不誠意だと思う。少なくとも予算分科会におきましてですね、こういう不祥事態が起きていることは一体知っているか、こういう質問に対して、当時は知らない。したがって、逐一調査をして十分回答しましょう。その後、七月に再度また文教委員会において具体的な資料提示を求めながら、そういう事態について私は言っているわけです。そういうところからいってですね、いま、こういう状態の中において、一番中心である特徴点なり、こういった問題について、大臣が知らないということはね、かつて、この議事録にもありまするけれども、こういった公式の委員会なり、国会審議の場におけるそういう諸問題に対するこういう公約を果たしていないということになるのじゃないですか。その点はどうです。
  180. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) ただいま進歩いたしました科学上のいろいろな実験機器につきまして、それらの詳細につきまして、私が全部これを知っておらなければならぬとは考えておりません。したがいまして、文部省という機構がございますから、私、文部省の機構を通じてお答えができれば、それで私の責任は当然果たせるものと考えております。
  181. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 学術局長はどうしているのです。
  182. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) ここにおります。ただ、これは経理上の問題でございますし、また、私も一応承知いたしておりますが、先ほど来お話しのように、すでに戸田委員から別の委員会等におきましても質問もございまして、その経緯等もございますので、一応いまの段階では会計課長からお答えするのが、一応事務的にはベターではなかろうか、そのように考えまして、会計課長から答えてもらっております。
  183. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) ただいま大臣からお答えをいただいた点でございますが、この種の研究用の設備につきまして、特に、特定の教官が新しい試みを、本件の場合もいたしましたが、新しい試みをいたしましたときに、それが所期どおりの成果を——本件の場合、正直あげなかったように、私ども報告を聞いておりますが、新しい研究を開発いたしますための新しい装置につきまして、こういった試行錯誤がありますのは、文部省といたしまして、これはやむを得ないことではないかと、かように思います。ただ、会計経理上の問題といたしまして、貴重な国費を投じての設備の開発でございますので、本件に関しましては、三十七年、八年の製造ではありますけれども、本年も会計検査院におかれまして、特に検査を願っているところでございます。したがいまして、会計経理上の問題につきまして、ただいま三十九年三月末付で作成いたしました大学の報告書の中身につきましてのお尋ねがございましたが、この点につきましても、私どもとしましては、むしろ本資料も検査対象でございますので、検査院の御判断、御指摘を、最終どういう御判断をいただけるか、それを待つという態度で終始いたしている態度でございます。
  184. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 検査院お尋ねをしますが、少なくとも、現地検査官としては数回にわたってこの問題について検査をしたはずですね。ですから、私がいま証拠として提示したこの資料、内容というものは、全部検査官にきていると思いますが、どうですか。
  185. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) われわれも、なぜ随意契約にしたかという点につきましては、最終的な基準といたしましたのは、やはり専門家であります三教授の採点表、これに基づいて判断しているわけでございます。先生お示しの資料は、本年の検査の結果につきまして、あるいはわれわれの資料の収集が不十分であったかも存じませんが、われわれは——私は少なくとも承知はいたしておりません。
  186. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 具体的に資料が来ているかどうかということを私は質問しているのです。現地から、私が読みあげた資料を検査官として持ってきているはずだけれども、その資料が来ているのかどうか。
  187. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 教授の選定理由書は、これは収集しておりますが、ただいま先生お示しのものにつきましては、われわれは収集はいたしておりません。
  188. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは「工用一第八一号昭和四一年八月三一日」でありますが、「会計検査院文部検査課副長、勝幸平殿、東北大学工学部学部長棚沢泰」これによって、未臨界実験装置等に対する回答書という名目でもって、会計検査院には一切の資料が来ているはずです。来てないというのはどういうことなんですか。
  189. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 勝副長あての回答が来たということは事実でございますが、その中には、先ほど来お話しのありました選定理由書はございますが、先生お示しのものはちょっとただいま判然といたしません。
  190. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 局長は、実際内容を点検していま答弁しているのですか。この現地の実在の、会計検査官が携行してきた資料というものを点検して回答しているのですか。
  191. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 勝君あての文書を、一々私は点検した上で答弁はいたしておりません。いま担当の者の説明によって答弁しているわけであります。
  192. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そういう無責任な回答はないと思うのです。少なくとも真剣な審議の場所でありますから、もう少しやはり確証のある回答というものをやってもらわなければ困ると思うのです。ただ、形式的にその場限りでもって詭弁を弄していくというのは、これは、こういう委員会が開かれても意味がないと思う。いま資料というものに対してお調べ願えますか。
  193. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 御要求がございますので個別的に申し上げますと、四項目ほど質問をいたしております。最初の件は、設計及び製作過程においての設計変更の有無、設計変更のあるときはその概要、設計変更による増減金額及びその金額について請負業者からの請求並びに支払い状況——設計変更の有無とか支払い条件の関係でございます。その次は、工場検収の日時、これに対する質問に対する回答でございます。第三番目といたしては、搬入据えつけ後の調整完了した月日及び調整方法の具体的詳細というような項目でございます。第四番目といたしまして、本装置は本院に提出した証拠書類と実際仕様との相違の有無、入札時の仕様と契約時の仕様との相違の有無。これに対しまして回答といたしましては、これらと実際の仕様の間に相違はありません、こういう回答になっております。その後、第五項目、六項目というものもございます。これは、五項目といたしましては、四十年度以降において改造、追加製作等の有無というようなことが書いてあります。最後に第六項目といたしまして、四十年度以降、本件装置に関する機械類で、業者から購入させたものの内訳等につきまして書いてあります。以上でございます。
  194. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いま言ったことはもちろんでありますけれども、そのほかに会計検査院報告書の中で、具体的な契約書、仕様書、全体の配置代金請求書、それから検査書、調書、請負人受領書、こういうものはすべて提出をいたしております、こういうことをはっきり検査官に言っている。ですから、少なくとも現地のあらゆる証拠書類の九割はその検査員が持って帰ってきているはずなんです。ですから、そういう書類は検査院にすべてあると私は判断するんですけれども、それがさっきの答えのように、そういうものがない、あるいは確証を得た回答ができない、こういうことは検査官としての私は権威にもかかわる問題じゃないか。ですから、そういう問題について、きょうはおそらく無理でしょうから、後刻、関係書類を、どういうものを一体検査官として携行し、資料として持っているのか、これはあとでひとつ、資料として請求をしておきますから、それを出していただきたい。
  195. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 私も、ただいま手元の資料によってそういうものがあるかどうか判然としないというお答えを申し上げたわけでございまして、これは私帰庁いたしまして、資料を詳細検討した上で御返事申し上げたいと存じます。
  196. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それじゃあ時間もありませんから、前に進んでまいりたいと思いますが、次、この出精値引きというものにつきまして若干お答え、見解を承りたいのでありますが、この製造内訳書三十七年度、三十八年度それぞれ見ますると、三十七年度の契約予算は四千五百万、こういうふうになっているわけでありますが、出精値引きが一千三百七十九万三千四百三十八円、おおむね割合にいたしまして二九%そこそこだと思いますが、こういうふうになっているわけです。ところが、三十八年度はこれは総額が七千万でありますけれども、この出精値引き額は原価計算金額の合計が一億三千七百四十六万七千、そして出精値引き金額が六千七百四十九万七千、それで合計見積もり金額七千万、こういうふうになっている。大体割合といたしまして四八%程度でございます。そういうことになりますと、一つの契約で、一億一千五百万の総契約金額の中で、三十七年度の出精値引きが二九・何がしでいって、それで三十八年度には五〇%、約半数、こういう一体出精値引き金額というものが通常行なわれているのか、また、こういうものが一体妥当なのかどうか、こういう考え方についてひとつ見解を示していただきたい。これは検査院のほうからもひとつ見解を示していただきたい。
  197. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) この臨界未満実験装置の契約の経緯につきましては、先ほど申し上げましたように、六業者を呼びまして二度にわたり参考見積もりを徴し、この技術的な能力等を総合的に判断いたしまして、住友原子力工業株式会社を随契の相手方としましたが、大学におきましては、その住友原子力工業株式会社及び住友商事株式会社を大学に招致いたしまして、会社のほうから示しました参考見積もり額が、大学のほうに配賦してございました予算額と相当なズレがございまするので、大学におきましては随契の相手方といたしました住友と数回にわたり減額の交渉を持っております。そして本臨界未満実験装置の本体につきまして、一億一千五百万円ということで請け負わせるということにつきまして、数回の減額協議の結果、合意に到達いたしたようでございます。で、その際、これは三十七年と三十八年の二カ年に分けまして契約をいたすことと相なりましたが、初年度で四千五百万円、二年度で七千万円、こういうふうにいたしております。  ただいま戸田委員から御指摘のございましたように、総額で見てまいりますと、会社のほうが一億九千五百七十六万四百三十八円、これに対しまして予算額が一億一千五百万円でございまするので、八千七十六万四百三十八円の出精値引きということで合意に到達したようでございます。で、これの初年度分と二年度分の分割のしかたでございますが、昭和三十七年度分の四千五百万円につきましては、工期とかあるいは予算関係等をにらみまして、おそらく総額一億一千五百万円をどう年度割りをつけるかというのが、その設備を製造してまいりまする工期によっておそらく分けたのではないであろうかと私どもは考えております。結果として見ますと、三十七年の出精値引き率と三十八年の出精値引き率が戸田委員指摘のように非常に開いておるのでございますけれども、文部省といたしましては、おそらく総体につきまして合意に達しまして、そして年度の割り方は、これを製造してまいりまする工期等の関連で適宜分けたのではなかろうか、かように私どもとしては存じておる次第でございます。
  198. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) これも、ただいま文部省側から御答弁のあったとおりでございまして、事実は全く計数等、そのとおりでございますが、出精値引き率が幾らぐらいが適正であるかというような問題は、実はこれはものによりまして一がいには答えられない点であろうかと存じますが、したがって、この場合の出精値引き率が妥当であるかどうかというような点につきましては、ちょっとはっきりした答弁はいたしかねます。
  199. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 どうも、第二局長はあまり自主性がなさ過ぎるんだと思いますけれども、検査院の執行官ですから、やはりそういう専門的な立場でぼくはもう少しぴっちり言うものは言う、こういう態度で臨んでもらいたいと思うのですが、少なくともこの臨界未満実験装置は、東北大学にばかり設置をされているわけじゃないですから、全国でもすでに、会計課長指摘されたように、九大学ですでに経験済みなんです。そういう契約内容を一応点検をしますと、おおむね二〇%ないしは二五%が出精値引き率の標準になっている。なぜ一体東北大学だけが、いま言ったように、前のほうは二九%、あとのほうは五〇%というような出精値引き率か、これでは私は請け負った会社がつぶれて、まいってしまうのじゃないかと思う。少なくとも見積もり額と実際、当初の予算額というものがそんなに隔たりのあるはずがないと思うのですね。ことに特殊機械です、こういったボイド装置に使う機械は。そういうことからいえば、綿密な計算をしてあらかじめ予算額というものを決定をしていくはずですから、そういうものが極端に、われわれ常識で考えてもこんなことはできるのかと思うようなことが、できるはずはないと思う。ですから、そういう意味合いにおいて、出精値引き金額というものは、従来の慣行でもけっこうです、そういうものは一体標準というものはどの辺にあったのか、また、どの辺にあるのか、一体この契約段階における出精値引き率としては妥当なのか、この辺ひとつ第二局長、お答え願いたい。
  200. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 御指摘の他の九大学の実例というようなものを実はわれわれまだ検討いたしておりませんので、それらの点もあわせ含めて、この点については、検討した上でお答えをいたしたい、かように考えております。
  201. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 会計課長の答弁によりますると、一応同一契約であるけれども、前年度と後年度に分けたから、そういういわば技術的な操作だという解釈に立っておるようでございますが、やはり標準といいますか、出精値引き額の標準といいますか、過去いろいろな大学でも、こういうことをやっているわけです。あるいは臨界未満実験装置じゃなくて、特殊装置なり、あるいはそういうものが多く契約をやられている、こういうものについての慣行なり、あるいは文部省としての考え、この点についてひとつお伺いしたい。
  202. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 大学で製造契約を結びます設備の中で、特に研究開発的なものにつきましては、競争価格と申しますか、市場性に非常に乏しいものが多うございまして、現実に出精値引き等のことも行なわれているようでございますけれども、たとえば本件について、ただいま考えてみますと、東京大学に入れました臨界未満実験装置も大体一億一千五百万、東京工業大学に入れましたのが一億六百万円、京都大学に入れましたのが一億一千五百万、大阪大学に入れましたのが一億一千五百万、ほぼ同じ金額の一億一千五百万で臨界未満実験装置は大学に装置いたしているわけでございます。したがいまして、これはいまからのことに相なりますけれども、やはり予算額というものをある程度にらんだ内容検討と申しましょうか、各大学におきまして研究開発的な意欲がいろいろと出てまいるのは当然でございますけれども、その際におきましても、予算額も十分にらんでやってほしいものだということは率直に私ども思うのでございます。ただ、先ほど申しましたように、大学の研究用の設備でございまして、他に市場価格で売りに出るという性質のものでございませんので、製造契約を結びます際に、随契の適格者として選びました業者と大学との間におきまして、一緒にいろいろ知恵を出し合いながらつくってみようというふうな、そういう面が大学の設備購入の場合は他の場合と異なってあるだろう。その辺の事情はひとつ御賢察いただきたい、かように思います。
  203. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 製造請負契約は四千五百万円、七千万円、一応それぞれ別個に契約されて、一貫した総工事ではあるけれども、別々に契約されている。だけれども購入品目は、各項目は変わりはない。三十七年度と三十八年度と変わりはない。たとえば燃料要素なんかは、これは日本では品不足ですから、外国から持ってくるでしょう。そういう場合の単価の問題などは、そう変わりがあるはずはないと思うのです。そういうものにもかかわらず、三十七年度の場合には、二九%ぐらいしか出精値引きをしていない。三十八年については半分ぐらいですね。こういう計算は私はどこからいっても、会計上からいっても、契約段階における契約の出精値引き額の値引き割合からいっても納得できないのです。その辺は、一体どういうふうに解釈しておりますか。
  204. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 先ほどお答えいたしましたように、東北大学に、この設備を入れましたのが三十七年度と三十八年度でございます。京都大学、大阪大学等に入れましたのが一年前の三十六年と三十七年でございます。それで、こういった製造に二カ年あるいは三カ年等を要します研究設備につきましては、予算計上、予算の執行を単年度ごとでやっていくということに、若干の無理は生ずるであろうかと思います。それでただいま文部省といたしましても、こういった研究用の設備の予算の計上のしかた、執行のしかたにつきまして、もう少し負担行為の制度が活用できないかとか、そういった点の検討もいたしているところでございます。おそらく東北大学と業者と話しましたときに、同じ目的の臨界未満実験装置が、総額一億一千五百万円で他大学にもすでに入っておりますので、二カ年を通じまして一億一千五百万の予算がこの装置として確保できるということは、正直大体大学のほうもわかっておりましたし、私どもも、文部省でもさように考えたかと思うのでございます。それで、両年に単年度ごとの契約ではございますけれども、臨界未満実験装置という一つの装置を二カ年にわたって一億一千五百万で製造するのだということで、おそらく具体的な合意に到達し、その年度割りにつきましては、先ほどもお答え申し上げたことでございますが、三十七年度に実際にできる部分はどの部分とどの部分かというようなことで、製造の現実に即しまして年度割りをつくったのではないか、で、大学と業者との間におきましては、結局両年にわたって一億一千五百万というのが正直非常に意味を持ったのではないだろうか、かように考える次第でございます。
  205. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時間がもう迫ってきておりますから、それはまたあとで詳しくやりたいと思います。  次に、ボイド装置についてでありますけれども、さっき会計課長も話をされましたように、現地に技術委員会というものができまして、その技術委員会の結論によりますると、現段階では学術的に使用できないという明確な結論を出したわけです。少なくとも東北大学の場合は、何回も私は言うように、臨界未満実験装置の特徴というのは、このボイド装置にあった、このボイド装置が学術的に使用できないという当面の結論でありまするから、この臨界未満実験装置はまさしく失敗をしたということになると思う。失敗をしたということになりますから、当然今後は破棄処分か、もしくは配転処分ということになってくると思いますけれども、その辺の見通しについては、これは大臣、聞いておられますか。
  206. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) その点、まだ大臣に御報告、御説明してなかったので、私から説明させていただきます。  実は先ほど電話が入りまして、本日東北大学の委員会におきましてボイド発生装置を除いて、臨界未満実験装置を研究教育用に稼働してよろしいという結論が、本日出たようでございますので、途中で御報告申し上げます。  ただいまのボイド発生装置の点でございますが、学内の検討におきまして、これを除いて研究教育用に使うということに大体本日結論が出たようでございますが、このボイド発生装置それ自体につきましては、学内の委員会におきまする検討といたしましては、ボイド比測定装置(全平均ボイド比測定法及び局部ボイド測定法)の研究が一つ。それから第二といたしまして、ボイド発生法の研究、第三、燃料棒振動防止法、一応こういった三つの研究テーマを委員会でお示しになられたようでございます。したがいまして、一応取り除きましたボイド発生装置につきまして、ただいま申しました三つの観点を念頭に置きまして、関係者の間におきまして改良研究を継続実施すべし、こういう大体御意向になっておるのではないか、かように考えております。
  207. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 現地では四十一年の三月三十日にこの検査調書というものが出ておりまして、この検査調書によりますと、臨界実験装置が完成した直後でありますが、これは異常なしという結論を出しておる。そういう結論を出さないと、一億一千五百万の契約金を請負業者に支払うわけにいかない、そういうことで、一応金銭面の処理はやって、内容については全く不備であり、でたらめであることはわかっておりながら、そういうあえて検査調書というものをつくって、そうして金の支払いだけはやってしまった。こういう状態があるのですけれども、いまになってきますと、技術委員会がいっているように、ボイド装置については、もう学術的の使用はできない、こういう結論を出して、今後研究を稼働するにいたしましても、この部分を排除していかなくてはならない。少なくともボイド装置に関係する諸費用というものは一千二百万円もかかっている。そういう総体的な損失を見ながら今日まで二年間も放置をされ、その他もうすでに各機械は腐食をして、補修をしなければ稼働に適さない、もろもろの損失を見積もると、これは半分はいっちゃっている、私はまさしく国費乱費だと思うのですが、そういういわば現地の当時の契約と今日のそういう結論というものに対して、これはどこで一体責任とるんでしょうか。大臣、見解はどうですか。
  208. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) これは列国の例を申しましても、ソ連が人工衛星を打ち上げた際におきましても、やはり実験上の失敗は何回も繰り返しております。学問の新しい技術開発という面におきましてまじめに研究者が研究に取りかかりまして、それが全部成功するとは限りません。でございますから、学問研究の過程におきまして、ある程度の失敗を繰り返すことはありがちのことでございまして、これは学問研究を推進していくためには、私は研究上の失敗はある程度繰り返されていくことはやむを得ない問題だと考えております。
  209. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私も、研究の部面についてはそういうことはあり得る、そういうことについては私も当然了承いたします。しかし、その後のいろいろな処置等について、きわめて非良心的ないろいろな画策をして、これを隠蔽しようとしておるそういう諸問題が一ぱいあるわけです。そういうことが私は許されないと言っておるのでありまして、学術研究そのものについては失敗することもありましょう。このことに関する限りは、全く大臣がおっしゃるとおりであります。ただ、問題は、こういういろいろな失敗をしたことに伴っての紛争なり、あるいは会計上の不明朗の問題なり、そういう問題があるわけでありますから、そういう問題についてはやはり正すべきは正していかなければいかぬのじゃないか、そういうふうに考えるわけです。そういう面についての大臣の見解はどうでしょうか。
  210. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 研究上の失敗につきましては、私といたしましては学問上の進歩のためにはある程度の失敗はやむを得ないと思いますが、しかし、その研究の過程におきまして、会計上の誤りでございますとか、あるいは研究の失敗を糊塗するとか、そういうことがあってはいけないと存じます。本件の場合には、さような糊塗するようなことがあったか、あるいは会計上の欠陥があったか、これはただいまも十分御審議をいただいておる点でございまして、この取り扱い方におきまして、十分に私どもは不正な誤りがあれば十分会計検査院等の御検査もいただきまして、改めるべきものは将来に向かって十分改めてまいりたいと存じております。
  211. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 次に、運営維持等の問題について具体的に質問したいと思うんですが、この前七月でありますか、文部省から提示をされました臨界未満実験装置経費使用調、これと今回いただいた臨界未満実験装置に関する各年度別経費の明細書、この内容というのもが非常に違うんですよ、きわめて信憑性がないということになると思うんですが、たとえば三十九年度一〇%節約をいたしまして、当初、前の天城学術局長が言った四百三十一万、これは三百八十七万九千円に変わった、こういうことになっているわけです。ところが、実際は四十万四千八百九円、これは何か工学部学科共通費として支出している、こういうことですね。それから四十年度の場合は、全体としては三十九年度と変わりはございませんけれども、うち二百三十五万八千八百五十三円は工学部学科予算で支出して、六百二十三万七千何がし、こうなっている。それから四十一年度でございますが、四十一年度では、四百十万二千九十二円、これも総額の上では変わってきている。うち七千五百九十二円は工学部学科予算で支出、大体三回ですけれども、当初言ったときには四百三十一万円、その次にきた資料というものはこれこれである、ところが、今回提示の要求したものについてはまた変わってきておる。ですから、なぜこういうぐあいにそのつど変わってくるのか、その辺の実態についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  212. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) ただいま戸田委員から御指摘の点は、まことに恐縮でございます。実はさきの文教委員会の席におきまして、私からお答え申し上げた点なんでございますが、臨界未満実験装置に関しまする経費といたしまして、大学に配賦をし、大学で執行いたしました金額は、前回文教委員会でお答えいたしました金額でございます。ただ国立大学のこういった面の経費の経理につきましては、それぞれの学部、学科によりましていろいろ性格も異なりまするので、どういうふうな実際の執行をやるかと申しますると、先生も御存じのことと思いますが、通常教官研究費、学生費経といわれる経費がございます。これは教官当たりの積算いたしました校費、学生当たりの積算いたしました校費でございます。これは一応教官の数、学生の数を基礎といたしまして大学に配当されております。この教官当たり積算校費、学生当たり積算校費によりまして、当該学部、学科の研究教育の経常費をまかなうということを基本的たてまことされております。しかし、この臨界未満実験装置のような、経費を非常に要するような設備等につきましては、それにプラスいたしまして、一定額の経費をプラスして配当いたすのでございます。で、実際に大学の学部、学科の経理いたしますときは、根っこのほうにございます教官当たりの積算校費、学生当たりの積算校費、こういったものと特別の配当になりますものと一緒にいたしまして、執行がそれぞれの学部、学科の特色に応じまして弾力的にできるように、科目といたしましては、すべてこれを校費の科目として支出いたしておるわけでございます。したがいまして、前回は臨界未満実験装置としての経費として配当いたしましたものが、どのように経理されておるかということをお話し申し上げましたが、先生からの御指摘もございまして、大学の現場のほうの実情を再び調査いたしましたところ、この原子核工学科におきまして、この装置に関連をいたしまして、公式の帳簿ではございませんが、メモのような形で出し入れが経理されておったようでございますが、共通的に配当してございまする教官当たり積算校費、学生当たり積算校費と、特にこの装置に配当されたもの、それを同じ校費といたしまして執行いたしました姿が、今回お届けいたしました資料でござまいます。  具体的に申しますと、三十九年度の場合に、四十万四千八百九円という金は、これは工学部の運用といたしまして、各学科で共通に経理をしなければならない費目もございますので、原子工学科のほうでこの経費から工学部において共通に経理すべき金を支出しておった。それから四十年度で申しますというと、工学部全体で経理いたしまする経費の中から二百三十五万八千八百五十三円こちらのほうに回ってきておる。四十一年度で申しますと、七千五百九十二円、工学部の学科予算として支出をされておる、そういうことでございまして、およそ経常的に学部、学科を運営いたしまする経費として、教官当たり積算校費、学生当たり積算校費が配当されておって、特別な設備として一定の額がプラスされて配当されておる。執行におきまして、学部、学科の特色に応じ得るように、科目は校費ということで弾力的に執行できるようにしてあるということでございますので、前回文教委員会での私の説明が不十分でございましたが、この際補足させていただきます。
  213. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そこで校費として、そういったものも下がっていくということはわかるんですけれども、きわめて予算の執行については弾力のある形になっておりますね。だけれども、一定の私は範囲といいますか、限界というものが、何といいますか、従来の慣行からいって確立されているんじゃないか、また、そういうことでなければいかぬじゃないか。それから今回の臨界未満実験装置をつくるような場合には、特殊装置設置ですから、その部面として要求を、一億一千五百万なら五百万を要求して、そのものを一般通常使う積算予算等に回すということは、きわめて私は好ましいことではないんじゃないか、こういうふうに考えるんですけれども、そういう考え方なんですが、この辺に対する見解が一つ。それからもう一つは、三十九年度で万能工作機というものがあるんですが、現地はこれは十台近いこれ以上の有能な機械があって、実際買ってから一回も使用されていないんですよ、この万能工作機というものは。おまけに、前に私は資料要求したけれども、実証が出てきていないけれども、小林教授が、この工作機械を買うにあたっていろいろなことをやっておる。そういうことで証拠物件を二件ほど出してくださいと言ったんだが、それは出てこない。これはあとで明らかにしていきたいと思うんですが、いずれにいたしましても、こういった万能工作機百八十七万というものは、これに現地の臨界装置使用という関係からいったら、これは不必要なものなんですね。こういうものを買って二年間に近い間、一回も使わないで、その未臨界実験装置そのものに備えつけられておらないという状況ですから、こういうことは、全く私は支出状況からいったらまずいやり方である。それから四十年度の臨界未満実験装置据付調整費というのがありますが、この三百三十六万というのは、見積もり契約の段階では明確に、納入期日三十九年三月三十一日の、いわゆる仕様概要に、昭和三十七年七月ですが、この臨界未満実験装置仕様書によりますと、据えつけ工事、これについては、工事費に一切含む、こういうことになっているんですね。本日までの各機器類の据えつけ工事、ボイド工事、それからなお配線、配管工事を含むものとする、こういうことになっておる。少なくともボイド関係の設置についても、当然工事全般の予算総体の中で処理をする、こういうことに私はなっておると思う。ところが、この四十年度にまいりますると、運搬据付調整費三百三十六万というものが、ここでまた運営維持費から出されておる。ですから、きわめて、何といいますか、予算の執行にあたって弾力きわまりない。一体どういう方針で金というものを使っておるのか、特殊装置として一般総体予算を要求する。それが今度は足らなくなれば、一般経常予算から持ってくる、あるいは今度は、全く積算予算から買うべき性格のものではないかと思うんだが、この特殊装置の総体予算の中からまた流用される、こういう面ですね。だから、こういう金の使い方、やりとりというものが一体正しいのかどうか、ですからどうしても校費には弾力性がありますけれども、おのずから範囲というものは私はきまっているんじゃないか、過去の慣行からいっても、そういうことになっているんじゃないか、こういうふうに考えるんですけれども、その辺の会計処理等の問題がきわめて乱脈過ぎるんじゃないか、こういうふうに考えるんですけれども、その辺の見解はどうですか。
  214. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 校費という科目を一本にいたしておりまして、それぞれの大学の個性のある学部、学科の実情に即しました執行ができるようにいたしておりますが、もちろん研究教育という大きな目的のために、これは使用しなければならないのは当然のことでございます。具体的に御指摘のございました、まず第一点の、こういう特殊装置の維持費を学部、学科の共通経費のほうに回しておるのはおかしいんじゃないかという御指摘でございますが、これは通常で申しますると、学部、学科の共通経費をこういう特殊装置の維持費の足りないところにつぎ込むという形のほうが通常の形かと正直、思います。で、本件につきましては、正常な稼働がなされないままに今日まできたというような事情もその辺にあったかと正直思うのでございます。  それから第二点の万能工作機の件でございますが、万能工作機を取得いたしまして今日まで経緯いたしておりまするが、すでに原子核工学科は青葉山のほうに上がっております。この機械はまだ片平丁のほうにあるわけでございまして、この万能工作機を原子核工学科のほうで取得いたしました目的に即しまして活用できるように、大学としても当然考えるべきではないか、この点は私どもも大学のほうに指摘いたしておる点でございます。  それから第三点の据付調整費の問題でございまするが、最初に経過報告のときに、この前の経過の一つといたしまして御報告申し上げましたように、原子核工学科も含めまして工学部が青葉山のほうに移転するということになっておりまして、本装置も青葉山のほうに据えつけるということになっておりまして、それが、地元との関係におきまして、設備を入れます建物の建築が正直非常におくれたのでございます。それで、先ほど申し上げた点でございまするが、一億一千五百万円で契約をいよいよしようということで、合意に達しまして、初年度四千五百万円、二年度七千万円ということで契約をしようということで合意に達しました際、据付調整につきましては、本実験装置を設置する工学部移転予定地の青葉山国有地における開拓農民との問題が解決に至ったとき、あらためて別途契約をする、こういうことで別途契約にいたしたようでございまして、その間の物理的な事情も介在しております。この点ひとつ御了察願いたいと存じます。
  215. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この運営維持費の各項目を全部やるわけにまいりませんが、非常にうそのケースが載っていると思うのです。たとえば三十九年のボロン熱電対二本三十六万、これにはボイドのスカートの十一万が入っているはずなんです。それがなぜ一体明確に示されないかということなんです。それはなぜかというと、これは、東北大学の見積もり書の写しでありますけれども、これによりますと、当初ボロン熱電対の二本の四十五万円、この出精値引き額が九万円で三十六万円、こういうことで後刻大学当局に対してこの請求書がまいりました。これは十二月一日でありますが、そのことに基づいて三十九年の十二月四日、未臨界実験装置に関する件増額要求に関する打ち合わせの回答ということで、この小林清志教授の名義でもって、当該住友会社に対して回答をしておるわけでありますが、その回答書の内容を見ますると、増額要求内容、輸入税が六十四万四千円、ボロン熱電対が二十五万、ボイド装置追加十一万、さらに定電圧装置が四十二万円、日新配線工事五十一万六千円、合計百九十四万というものが出ているわけです。さらに大学側提案として、この増額要求の内容につきまして、左記要求合計額のほか、水モニター据付工事費を含めて大学負担分は百万三千六百四十円、そういうことでもって、明確にこの熱電対二本三十六万という中には、十一万のスカート部分が入っておる。だから、当然このスカート部分はボイド装置の一角として、当初総体予算の中で消化をしていかなければならない性格のものだ。これは、前にも申し上げましたように、仕様書の中において大学が報告をしたという資料の中にも、スカート部分というものは、こういうものを据えつけますということにはっきりなっているのであります。そういうことで、別途さらにこの増額要求をして、その支払いとして三十六万円、こういうことになっている。その内訳が十一万円、これは確証が全部あるのでありますから、間違いのない一つ内容であります。ですから、もしほんとうに文部省がこの資料が正しいというなら、現地をもう一回私は確かめてもらって……、ばかにされている。ですから、この三十六万円のボロン熱電対の二本の中には十一万円が別途入っている、こういう計算のものだと思うのです。ですから、きょう明確な回答は得られないと思いますが、後刻に現地を確かめ、その点はお確かめを願いたい。  それから消耗品費の問題ですが、四十年度の場合には、前の資料によりますと、六万二千円だったのですね。この消耗品ですね。今回、四十年度明細によりますると、いろいろな問題がずっとあがってまいっておりますが、少なくとも私は消耗品と思われない幾つかの項目が、この中には計上されているのじゃないか、こういうふうに考える。結局前の計算によりますと、これは全く現地報告をそのまま掲載したといっていいのですが、これは現地で創作したものなんですね、適当に。三百八十七万九千円だから、実際の内容は何に使ってるのかわからぬけれども、空気調節装置として四十五万五千円計上しろ。あとはもう少し大きいのをもってこなければならないから、据付調整費として三百三十六万円、これを、一つ大きなものを食い込ませる。そして消耗品費として六万二千円、そういったことで、残額を単に計上したものとはなっていないと思うのでありますが、こういういわば消耗品費についても、私が調べた範囲の消耗品費というものは、次のようなものが妥当なものではないか。だから、私が読み上げる以外のいろいろな問題については、どうも私は信憑性がないのじゃないか、こういうふうに考えるのですけれども、たとえば電子機器の部品、こういったものは私は消耗品費に入るのじゃないかと思うのですが、たとえば謄写機などは私は備品じゃないかと思うのです。消耗品には入らないのじゃないかと思う。そういった問題があるわけであります。それから電気材料とか中性子発生装置の維持用具ですね。あるいは放射線測定機器の補充、いわば一年でだめになるものがあるでしょう、そういう取りかえ品、こういったものとか、原子燃料、すなわち黒鉛、ベリリウムとかカドミウムとか、こういったものはやはり消耗品費に入るかと思うのですが、それ以外のものがだいぶ列挙されて、それが消耗品費に繰り入れられて、たとえば四十年度でも相当額を占めておる。こういうものは処理としては一体妥当なのかどうかということですがね。その点はどうでしょうか。
  216. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 最近お手元にお届けいたしました三十九年度、四十年度、四十一年度の備品費、消耗品費、役務費、その他に分けました支出済み額の内訳の資料でございますが、私どもの大学の事務局の経理担当者を通じまして把握いたしました資料でございます。もし整理区分その他に妥当でない点等ございましたら、私どもも十分研究をいたしてまいりたいと思います。
  217. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時間もまいりましたから……。  四十年度ですけれども、大学として臨界未満実験装置の追加要求として二千五百万、これが出されておると思いますが、これは誤りございませんか。
  218. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) ただいまの点でございますが、臨界未満実験装置に関連いたしまして、三カ年にわたって購入いたしました追加品目が、ただいま申されましたような金額があるようでございます。これにつきましては、文部省のほうに、その事項として特別予算を配分しろという要求が大学からあって配当したのではございませんで、先ほど申し上げましたように、大学のほうに教官当たり積算校費なり、あるいは学生当たり積算校費なり、大学の学部、学科を運用いたします経費を一定の積算をもって配賦いたしております。その配当を受けました範囲内におきまして、大学で当該年度に特に必要とする部分に重点的にこれをある金額使っていくという執行をいたしております。おそらくただいま先生の御指摘の金額は、臨界未満実験装置に関連いたします追加品を、大学のほうに既配当済みでございましたものの中で大学が購入いたしたもの、かように存じております。
  219. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは実際は学校当局と業者でもって折半しておるのですね。ですから一千二百万円程度は住友にさらに追加支払いをやる、これは四十年度です。ですから、その事実等については、これはやはりひとつ調べて資料を提示してもらいたいと思うのです。その辺が、四十年の三月ですか、大体完結して一応支払いは全部終了していたのですね、年度内で。にもかかわらず、その後またこういう一つの支払い計画というものが追加の形でやられる、こういうことがあるとすれば、これはやはりうまくない結果じゃないかと思うのですね。ですから、その事実証拠等については、ひとつ文部省としても当たってもらえばいいのではないか、こういうふうに考えております。  科学技術庁が参っておると思いますので、ちょっとお伺いをいたしますが、今回の契約の場合、ボイド装置については目標値、保障値というものは何ら示されていない。ボイドの性能そのものが示されていないのですから、その点は当然だと思いますけれども、しかし、こういった性能について、臨界未満実験装置の性能の中心といわれるボイド装置等について、科学技術庁としては一体どういう見解をとっておられるのか、その専門的な立場でひとつお答えを願いたいと思います。
  220. 武安義光

    説明員(武安義光君) 科学技術庁といたしましては、この種の大学の諸研究につきましては、その内容につきまして実際上審査し、責任を持って御意見を申し上げるという立場ではございませんわけでございますが、臨界未満実験装置は、この取り扱い上核燃料物質の使用ということで、主として安全性、この問題につきまして審査をいたしまして、周辺に被害を及ぼすおそれのないという点等を確かめまして使用の許可を行なっております。その点は大学の核でありますが、ほかの一般の民間等の研究施設の場合と全く同様に扱っておると思いますが、その中のボイドの発生装置でございますが、これは一般的にボイドの発生による物理的な研究というのは、軽水炉が、これから電気事業用として、主力として発電に使われるということにかんがみまして、非常に適切な研究だろうと考えているわけでございますが、そのボイドの発生装置の個々の内容等につきまして、実は必ずしも施設の許可については審査するという立場でございませんので、その是非その他につきましてお答え申し上げる能力もございません点をひとつ御了承を願いたいと思います。
  221. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時間もまいりましたから、きょうはこれで終わりたいと思うのですが、さらにこの実際の具体的な内容等については、どうしても机上プランだと、その点についてはなかなかはっきりしてこないと思います。ですから、次回の資料要求をすると同時に、証人をひとつお願いをしたい、こういうふうに考えるのですが、資料は、真相調査委員会というものが現地で持たれまして、今回のそういった臨界未満実験装置の一切についての真相というものを現地で追及をしているはずであります。この真相調査委員会の資料をひとつ提示を願いたい。  それから、次に、臨界未満実験装置の調査委員会の調査報告、これがあるはずでありますから、それをひとつ出していただく。  それから、第二局長のほうにお願いをするわけですが、工学部長から会計検査院提出の報告、四十一年八月。それは必ず来ているはずです。さっき一切の資料内容というものを提示する、こう言っておりますから。それは特段注意を払って御提示を願いたい、ひとつ配慮をしてもらいたい、こういうふうに考えます。  さらに証人は、現地の小林教授、萩原教授、真野教授、それから棚沢工学部長、それから和田、天笠両評議員、六名を要請をしておきたいと思います。  いずれにいたしましても、これは東北大学、私の地元でありますから、私は決してせんがためにものをやっているわけではない。早期にこういう不正と思われる諸問題を明確に解決して、少なくとも大学の早期再建というそういう方向で、少なくとも東北大学工学部というのは伝統的に名門校であるはずでありますから、そういう意味合いで、大臣もひとつその部面での御努力をお願いをしたい、ぜひひとつ真相の解明は、自後にさらに具体的な内容について検討してまいりたい、こういうように考えております。非常に大臣も各局長も、前任者のやったことではなはだ心外でありましょうが、ぜひひとつこの問題解決については、最後まで協力をしていただきたい、こういうように考えております。大臣の最後に見解をお聞きしたいと思います。
  222. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 東北大学の臨界未満実験所の問題につきまして、数回にわたりまして本委員会並びに他の委員会におきましていろいろ戸田委員から、詳細に、御調査による御審議をいただきました。私は、実はたくさんの国立の所管の大学を持っておりまして、その大学におきまして、あるいは研究所の問題とか、あるいは経理問題等におきまして間違いのないようにと、日夜実は非常に心を砕いているわけでありますが、戸田委員からいろいろ詳細の御審議をいただきましたことは、全大学にとりまして、私ども今後とも心がまえを持ちまして、間違いのないように今後処理するということに対しまして、非常な大きな御示唆をいただいたと存じますので、この点につきまして、心から感謝をいたしておるわけでございます。  なお、具体的なこの問題につきましては、私どももできるだけ真相を明らかにしまして、今後間違いのないように十分に努力をしてまいりたいと考えております。  ただ、ただいま調査を御要求になりましたのでございますが、真相調査委員会というのは、これは学内の正式の機関であるか、ちょっとそれは調査いたしまして、また、この調査委員会におきまする専門的な調査の過程の方法等につきましては、一応大学当局とも相談いたしまして、学内の実際上の取り扱い上の審査、学問的な審査の問題につきましては、提出を大学当局がするかどうか、なお相談をしてみたいと存じますが、私のほうとしては、できるだけ資料を提出するように努力をしてまいりたいと考えます。
  223. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと私から会計課長に聞きますが、実験装置に関する支出の領収書関係ですね、証憑、こういうものは全部そろっているのですか。
  224. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) お答えいたします。  三十七年、八年の予算執行でございまして、証拠書類その他全部そろっておりまして、ただいま検査院のほうで検査をいただいておるところでございます。
  225. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 形式的にはそろっているが、それがそのとおり実際に合っているかどうかということまでは調べたのですか、そこまでは調べていないのですか、どっちなんですか。
  226. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 所管省の文部省といたしましては、経理におきまして当を得た措置をいたしておると思っておりますが、しかし、ただいま検査院のほうで重ねて検査をされておりますので、その御判断を仰ぎたい。  ただ一つ問題といたしましては、本来でございますと、すでに稼働してしかるべき設備が長期間稼働しないできたということにつきましては、まことに申しわけないと思っております。先ほど御報告申し上げましたように……。
  227. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ほかのことはいいですよ。会計検査院では、その点は調べているのですか。証憑書類があっても、それが実際に合っているのかどうか、そこまで調べているのですか、まだせぬのですか。
  228. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 証拠書類といたしましては、三十一年度以降ただいま保管しております。検査の方法としては、御承知のとおり書面検査というのが第一義的になるわけでございまして、これは書面だけでございますので、それが事実と適合するかどうかという点につきまして、補完的に実地検査をいたして、その証拠書類の信憑性を検査する、こういうたてまえでやっておるわけでございます。
  229. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 本件では、まだしておらぬということらしいが、疑問が出ているわけですから検討してみてください。必要性があれば、やってもらわなければならないわけですから……。  それでは、証人の点は理事会で御相談いたします。
  230. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間がおそいですから、一、二問簡単に聞きたいと思います。  一つは、国立高専の土地の借用の問題、一つは、大学病院の薬の購入の点です。国立高専の土地の借用の問題です。御存じのように地方財政法十二条、あるいは地方財政再建促進特別措置法二十四条の二項ですか、によると、国は国立高専あるいはこういう学校施設をつくるときには、国は地方公共団体に負担をかけてはならない、地方団体は国に寄付をしてはならない、こういう法律があるわけですが、現在文部省、国立高専の土地は無償で借りておるわけです。無償賃貸契約を結んでおるわけですが、これはこの法律から見ると趣旨にはずれておるのではないか、適正を欠くのではないか、このように思うわけですが、まず、自治省の財政局のほうにその見解をお伺いしたいと思うのです。
  231. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) ただいま御指摘の国立高専の用地の無償貸与の問題についてでございますが、御指摘のように国立の学校につきまして、その経費を地方団体に負担をさすことのないように、自治省といたしましても、昭和三十七年ころからその旨の申し入れ等を文部省にいたして努力をしてまいったところでございます。御指摘の無償貸与という問題は、国有地との交換を前提といたしました暫定的な措置としてとられておるものと了解をいたしておるのでございますが、このような措置は、あくまで暫定的な措置であってしかるべきであり、このような措置が、事態が永年続きますことは、御指摘のように、地方財政法第十二条または地方財政再建促進特別措置法の第二十四条第二項、この規定の趣旨から考えまして、はなはだ適当を欠くものである、このように考えておる次第でございます。したがいまして、このような事態が早く解決をいたしますように、国有地との交換等を極力積極的に推進をして事柄の解決をはかってまいりたい。このように考えております。また、文部省のほうにもお願いをいたしておるのでございます。
  232. 黒柳明

    ○黒柳明君 現在交換の済んでない、要するに無償で借りている分、それはどのくらい全国であるか。それがどのくらいの期間から現在までに至っておるか、また、その件数、さらに面積、そこらあたりわかったらお伺いしたい。
  233. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) 高専は現在までのところ四十四校ございますが、すでに国有地と市有地ないし県有地等と交換を完了いたしましたものが十校ございます。それから四十二年度に交換が完了する見通しのようになっているものが十七校ございます。あと九校につきましては、そのうち六校は話し合いないしは国有地の選定が行なわれておりますが、いま直ちに交換が完了するということを断言することができないものが六校ございます。それから、ちょっと種々の理由によりまして検討中のものが三校ございます。もちろん、四十四校の中には、国有地を利用して建てましたものや、それから民間寄付等によって土地を購入しましたものが、別に八校ございます。したがいまして、結論を申し上げますと、今年度中に交換完了予定が十七校で、あと、ペンディングにあるものが九校ということでございます。
  234. 黒柳明

    ○黒柳明君 結局、四十四校のうち、交換完了したもの、あるいは国有地利用で交換必要のないものが十七校ですから、あと結局二十七校が交換を必要とするものです。この中には、完了予定のものもありますし、まだまだ話し合いを行なってないもの、それもあるわけですけれども、この中で私、四十二年度寄付可能のものである有明、それから四十四年交換完了予定にあるもの函館、長野、また話し合いないしは国有地の選定が行なわれておるものが沼津と、それぞれ電話をかけてみたのですけれども、実情を調べてみました。そうしたら、中には話し合いは行なわれていると、こう書いてあるけれども、まだまだ行き先まっくらだと。現に三十七年からこの問題が促進されて、すでに五年たってるけれども、現在まだ交換地がどこにつくられるものやら、全部そういうこともきまってないと、こういうような返事も得ました。しかもですね、このほとんどが一億ないし三億ぐらいの造成費をかけて校庭をつくったりしているわけです。あるいは教員の宿舎をつくると、こういうことに相当の地方団体が負担をしているわけです。ですから、負担をさせながら四年も五年もまだ適当な交換地が見つからない、あるいは促進はしているとは思いますけれども、現実は無償で借りている。先ほど自治省のほうから言われました地方財政法の十二条、特別措置法の二十四条の二項から見ると、これはうまくない、趣旨に反している、言うならば、法律的にも違法であると、こういう状態が四年も五年も続いてるわけです。ですから、これはこのままで決してよくないし、また、いま推進しているからといって、これが五年続いたものを、それじゃ何年間でこれが終わるのか。何年で終わるという見通しもついてないわけです。ですから、少なくとも地方団体に負担をかけてはならぬと、こういう地方財政法から見るならば、造成費あるいは教員の宿舎を建てた費用、数億かかっているわけです。そのぐらいのものは当然国としてめんどう見てやらなきゃならない、支払いをしてやらなきゃならないんじゃないかと、こういうふうにも考えるんですけれども、この間の事情、あるいはそれに対しての処置、これはどのようにしていく方針であるか。また、すべきでしょうか。
  235. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) 先ほど申し上げました中で、一応完了したもの、あるいは今年度じゅうに完了するものを除きまして、いますぐという段階でないものが九校ある、こういうことを申し上げました。その中には、御指摘の三十七年にできました沼津高専、その他和歌山、高松、北九州、いろいろ九校の中にはございます。ただ、この高専の設置につきましては、これは過去数年間にわたって逐次全国的に設置されておるものでございますが、この高専の教育内容がきわめてよい、学生の優秀なものが入ってくる、また卒業生は非常に実力がついておるといったようなことから、この高専の真価を高く評価されまして、各県ないし各市では、いわゆる誘致運動というようなことも従来非常に行なわれておりました。このようにきわめて各地方で御熱意を示されまして、そういうこともございまして、まあできることなら国に無償で提供してもよいんだといったようなお気持ちの公共団体が相当ございました。しかしながら、ただ形式的に申し上げますれば、地方財政法の規定から申しまして、これは率直に申しまして、経緯はいかようであれ、財政法との関係から申しますれば、おっしゃるように適当ではないというふうに考えております。したがいまして、現時点に限りますれば、かねてより——違法とまでは考えませんが、ともかく法律の趣旨からして適当ではない、申しわけないという考えは文部省としても持っております。ただ、これは多少言いわけめきますが、従来の経緯は別としても、文部省としては無償で提供させようという気はございませんで、国有地の交換等でぜひ公共団体に御迷惑がかからないようにということは考えております。実際問題といたしまして、交換財産の決定等につきましては、それぞれの大蔵省の財務局等でおやりいただいておるんですが、具体的の問題といたしましては、国有地がその市内にないとか、あるいは市内にあっても、こちらが希望するところは先方にはむしろそれよりももっとベターな国有地があるから、それをほしいといったようなことで、全然今後話し合いがもうあてがないんだというようなものは、まあ大体ないような状況でございます。したがいまして、できる限り、暫定的な措置で申しわけございませんが、一刻も早く交換が完了するように全力をあげて努力いたしたいと思っております。また、いたしつつある次第でございます。
  236. 黒柳明

    ○黒柳明君 確かに地元の誘致運動もあったことは私聞きますし、国立高専が建設されれば、地元の教育のためにも、また町の発展のためにも大いにプラスになるわけです。しかしながら、また文部省は三条件を出して地元に対して整地なり教員宿舎なりのめんどうを見さした、こういう事情もあるようですが、しかしながら、繰り返すようですが、法的にはうまくない、私は違法であると思いたいのですけれども、適当でない、これは明らかです。その証拠に、それ以後商船高等専門学校の校舎については、五件ちゃんと国で土地を取得しながら用地の拡張をはかっていると、もしも、前に行なわれたこういう国立高専の無償の供与というものがよければ、こういう状態を改めて国が負担をするということは考えられません。新たなやり方というものは、これは当然あるわけです。それであるならば、前に行なわれていたこういう状態というものは、これは不備である。法的にうまくない、こういうふうに思うのですが、大臣としても、また繰り返すようですが、相当これは地元の負担がかかっております。誘致運動は誘致運動として、あくまでも法的に見て適当じゃない、うまくないというからには、地方団体の負担、先ほど言いました整地費あるいは教員宿舎の造成費、これらに対して国として法的に適当じゃないとはっきりわかっておるのですから、わかったんですから、交換地を今度は促進する一方、あくまでもこういう地元に負担させた費用に対して、何かしらの処置も講じながら、国有地を見つけて交換をすると、こういう方面でもまた進まなければならないのではないか、こう思うのですけれども、その点大臣の促進、もっともっと早く促進しなければならぬ、これは大蔵省国有財産局との関係もからみます。なかなかたいへんだと思うのです。地元のほうも聞きましたら、あったけれども地元の希望に合わない、こういうことでほかの土地をさがさなければならぬ、こういうめんどうくさい面もあると思うのですけれども、そういうこともすべてやはり法的にうまくないということを始めた そこに大きな原因があるわけですから、ひとつすみやかに促進する、四年も五年もかかってまだ話し合いも行なわれてない、こういう状態をすみやかに、交換という法的にうまくなかったことを、きちっと法的に妥当であるという状態にするとともに、地元に負担をかけたその負担に対しても、何らかの国としてめんどうを見る、こういうふうにもしなければならないと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  237. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) いま高専の問題につきましては、黒柳委員のおっしゃるとおりでございまして、私といたしましては、できるだけ早くそういう妥当でない状態を解消いたしますように、最善の努力をいたしてまいる、早期に解決したいと考えております。
  238. 黒柳明

    ○黒柳明君 それからもう一点、薬の購入について二問くらい質問したいと思うのですが、私、この薬の購入問題は何回も委員会で取り上げたのですが、文部省の大学病院の薬品費の実績が、三十九年が五十九億五千八百十八万、四十年は六十七億四千六百二十三万、こうなっております。これは非常に国民の血税をここに注がれるわけです。これでたとえ一割でも安く購入できたらば、五億なり六億なりの国費が省けるのではないか、このように思うわけです。ところが、非常に大学の薬の購入状態を見ますと、何か私は解せない点が幾多あるのであります。そのうちの一点だけを取り上げて、まず公取の方に所見を述べていただきたいと思うのですが、要するに、一つのある病院に対して、一年間一つの薬に対して一業者がずうっと薬を納めている。要するに、競争というものをさせていない。競争しないからそこに薬の値段、薬価というものが下がらないのじゃないかと、こういうようなことが——これは公取のほうにはすでに資料お見せしまして検討してもらったはずですが、まず、この点について、どのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  239. 柿沼幸一郎

    説明員柿沼幸一郎君) ただいまの御質問でございますが、本年八月の当委員会におきまして、黒柳委員から、国立病院の医薬品の購買について御質問がございましたのに関連いたしまして、私ども若干の国立病院、それから大学の付属病院についての薬品購入状況について調査をいたしましたところ、その他の国立病院ないし関東逓信病院と比較いたしまして、大学の付属病院の購入のしかたについて若干の違いのある点を発見いたしました。一般の国立病院におきましては、一定の期間に相当の数の納入問屋から購入いたしておるのに対しまして、これは期間も限られておりますし、品目も限られておりますので、これだけで直ちに結論を出すことはむずかしいと思うのでございますが、若干の国立大学付属病院におきましては、一年間一つの納入問屋から納めるような仕組みになっているわけでございますので、これが直ちに独占禁止法上どうという問題はございませんが、競争を通じて消費者を保護するという趣旨から申しますと、購買方針についてなお検討を要する点があるのじゃないかという点を感じた次第でございます
  240. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまの薬の問題は、一つとるならばアイゾロンという薬があります。これはたとえば阪大では一年間ずっとある業者からアイゾロンを買っているわけです。それから京都大学で申しますと、京栄というところからそのアイゾロンを一年間通じてずっと買っているわけです。それで価格というものがずっと同じである。そのほかいろいろな疑義があります。業者が輪番で納めているのじゃないか、あるいは薬の量が変わっても値幅がない、こういうようなことがいろいろ考えられますけれども、ともかく財政の硬直化というようなことも騒がれておりますし、こういう文部省、厚生省と続いてばく大な額の薬を購入するわけです。こういう面についてもひとつ大臣はよく御検討願って、何回も何回も私この点委員会で発言するのですが、なかなかそれに対して検討を願えない。公取のほうも、前の公取の事務局長も談合の可能性もあるというようなこともおっしゃったのですけれども、調べますとおっしゃったままおやめになって、その間三月あまり、調べが進んでないらしいのですが、今日の公取の方も一生懸命やっていただいているらしいのですけれども、やはりそういう事実関係を認識した後じゃないと、独禁法違反であるという断定は下されない、こういうようなことで、そのたびにやはり決定的なものが得られないで、依然としてその薬の購入というものは、何かわれわれが考えても非常に不合理な状態が続けられている、こういうふうに思うのですけれども、ひとつ大臣も、この文部省のばく大な大学病院の薬の購入というもの、それに対してもうちょっと検討していただいて、適正な価格で買えるようにひとつ御検討をお願いしたいと思います。
  241. 剱木亨弘

    ○国務大臣(剱木亨弘君) 近時、御指摘のとおり、薬購入経費がだんだん多くなってまいりまして、この薬の購入につきまして少しでも低廉に適正に購入するということがきわめて必要なことだと思います。私、実は病院のこの薬の問題につきまして、いままで事務的にまかせておったものですから詳しく存じませんでしたが、御指摘の点はきわめてごもっともな点だと思いますので、十分実情調査しまして、できるだけの適正な購入方法について検討していきたいと思います。
  242. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは、他に御発言もなければ、本日の審査は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十六分散会      —————・—————