○岡田
宗司君 まあ、先ほどからのやりとりを聞いておりますというと、やはりどうも
総理の
記者会見と同じようなところまで後退されたような
意見です。しかし、それはそれとして、私どもは
沖繩の
核基地つき
返還ということは重大な問題だと思います。おそらく
沖繩返還についての最も重大な問題だと思うのです。各党の
態度を見ておりますというと、社会党は御
承知のように、
平和条約第三条無効という
立場から、いまの
アメリカが
沖繩に
施政権を持っていることは、これは法的に無効である、こういうことで、
アメリカの全面撤退、もちろんそれの
返還ということを
要求しておる。したがって、
核基地は当然廃止されるという
考えであります。それから民社党は、
沖繩返還にあたって、現在の
日本で適用されておる安保条約の範囲内で
沖繩が返るように言っておるわけです。公明党も
核基地の問題についてはきわめてシビアーな
態度をとっている。共産党ももちろんそうであります。また、
けさほどの
新聞の伝えるところによりますと、
自民党の中曽根議員が
総理に向かいまして、やはり基地の問題を取り上げて、四十五年までに
解決するようにということを言われたように伝えられております。そういたしますと、この
核基地をそのままにしての
返還というのはまだきまっておらない。
自民党の中の大部分あるいは
沖繩の一部を除いては大部分の
意見じゃないか。
沖繩におきましても、下田
発言の
あとでもって琉球新報が世論
調査を行ないましたときに、その際に世論
調査にあらわれましたところでは、
核基地つきでもいいから帰りたいというのが一一・三%にすぎない。下田
発言の前でありましたならば、あるいはそういうこともあり得たけれども、あれだけはっきりと下田
発言があり、そうしてその
あとで
沖繩の民主党内あるいは琉球
政府の一部においてもその
意見が放送されてから後に
沖繩における世論でも一一・三%しかないということは、やはり
沖繩でも
核基地は撤廃しろという
意見が強いということを示しておるわけです。そこで私どもは、やはりこれは
国民の総意として、
沖繩から
核基地を除くということを強く
政府は
アメリカ側に
要求してもらいたい。どうもいま私が
考えておりますというと、今日
アメリカが
沖繩に
核基地を持っておるということは、何かこう動かしがたいことである、これはもういまの
極東の
情勢からいって宿命的なんだというような
考え方があるんじゃないかと思うのです。これは私はいろんな観点から見て変化しつつあるのじゃないか、したがって、
日本としてももっと堂々と
沖繩の
核基地撤廃を
要求していい
段階に来ているのじゃないかと思うのです。私はこの点について、一九六三年に
アメリカとトルコの
交渉によりましてトルコからジュピターの基地が撤廃された。それからイタリーからやはりジュピターの基地が撤廃されたことは、これはやはり
日本としても
研究してみる価値があろうかと思うのです。御
承知のように、
アメリカはNATOの加盟国である。そしてNATOの加盟国であるトルコとそれからイタリーにジュピターの基地を置いたわけです。特にトルコに置いたジュピターの基地は、
ソ連のどてっ腹をねらうことになり、
ソ連のICBMの基地をねらうかっこうの位地に置かれたわけです。ところが、
ソ連のほうでIRBMがたくさんできるようになり、それがやはり国内の国境沿いに配置されるようになるというと、トルコ
自身も非常に危険を感じたので、また、
アメリカもあそこに固定基地としてのジュピター基地を置いておくということが非常に危険になってきたと、こういうことも感じたのか、その間に基地撤廃の話が進められた。そして六二年にポラリス潜水艦が地中海に配備されるようになってから急速に話が進んで、一九六三年にこの
核基地が撤廃されておる。こういうような事態というものは、私どもは
日本が
沖繩の
核基地を撤廃させる
要求をするにあたって非常に重要な基礎になっておると思う。最近USニューズ・アンド・ワールド・レポートが、中国において核兵器が開発され、そしてミサイルも近く完成して、IRBMも完成されるだろう、そうなってくれば、
極東における
アメリカの第一線基地をマリアナ群島の線まで後退させるという
意見があるということを伝えております。これは私はUSニューズ・アンド・ワールド・レポートの
アメリカにおける地位からいたしまして、そしてかなり
政府筋からの専門家のいろいろな
意見が出ており、その
立場も、
政府反対でない、どっちかといえば
政府支持の
立場であるこの雑誌にそういう専門的な
意見が出たということは、
アメリカでもかなり軍事的に、これが軍事専門家の間で論議されておる
意見だと思うのであります。この
意見でも引き下がることになっておる。御
承知のように、いまの
沖繩にあるメースBは、これは固定基地にある、そして射程は中国の半ばぐらいまでおおうわけでありますけれども、中国側にIRBMの基地ができれば、わずか六百キロぐらいしか離れていない
沖繩の基地というものは、
核基地としての
役割りはもう果たし得ない、核抑止力としての力というものは失われるわけです。
アメリカはそれに備えて、すでにポラリス潜水艦の七隻を太平洋に配置している。こういう状態ならば、イタリー、トルコから撤廃されたと同じような状況が出てきているのではないか、こういうふうに私どもは
考えておるのであります。この問題についてはマクナマラ長官が判断を下して、そうしてマクナマラ長官がこれを撤廃する当事者であったということは、これは私はたいへん興味深いことだと思います。そうしてこのマクナマラ長官がキューバ事件の直後の一九六三年の一月三十日の下院軍事委員会でこの点についてこういうことを言っているのです。「一九五七年、ジュピター配備の決定がなされたときは、ソーとともに、ジュピターはNATOが展開しえた唯一の戦略ミサイルであった。しかし急速な技術進歩と加速度的なわがミサイル兵力の発達によって、それはもはやNATOのミサイル兵力の主要部分ではなくなった。さらに重要なこととして、原子力合同委員会が一九六一年二月にジュピター・ミサイルを移動可能の固形燃料ミサイル体系に代えることを勧告した際に、その報告書でのべているごとく、ジュピターーミサイルは液体燃料使用でまた敵につきとめられ易く、しかも、通常兵器および核兵器の攻撃に対してのみならず、妨害行為に対してもぜい弱であるという点である。それゆえ、これらの理由により、ジュピターをより近代的な兵器体系に置き代えることが望ましいと思われる。もっとも良い代替はポラリス体系である。これらの潜水艦搭載のポラリス・ミサイルは、核の奇襲攻撃に際してきわめて高い存続
可能性をもっている。ポラリス体系は、その現在の利点のほかに、ジュピターと異なって、将来長期にわたる発達の
可能性をもっている。それゆえ、われわれはポラリス潜水艦が本年前半中に地中海で作戦を開始することを提案する。すでに一九六一年四月に、われわれはトルコ
政府との間に、とくにジュピター・ミサイルが旧式化しつつあること、それを置き代える必要のあることについて討議を開始した。昨年十二月、パリにおけるNATO
外相会議の時に、私はトルコとイタリアの国防
大臣とジュピターの代替について討議した。つづいて米国
政府は公式討議を発議して、イタリア、トルコ両
政府は原則において受諾の意を示している。」云々、こう言っているのです。でありまするから、私は、この
沖繩における核ミサイルの存在ということについての固定的な観念というものをこの際
政府においても打破してもらいたい、そうして、私はこういうような観点から、やはり
日本の
国民及びいまの
沖繩の県民の方々が望んでいるこの危険な核ミサイルの撤廃ということについて、
政府はもっと積極的な見解を示して、そういう
態度で
アメリカに臨んでもらいたいと思うのです。
まず第一にお伺いしたいのは、
外務省においてはこのトルコやイタリーのジュピターを
アメリカが廃止した問題について御
研究になっておるかどうかをお伺いしたいわけです。