○
小林小
委員 その精一ぱいの移築という問題は最初から出ていることばですよ。相当努力をして、そしてどうしようもなくて最後に出てきた移築というなら、私たちもまた別の
考えを持たなければならぬですが、最初からもう移築というこれくらいがせいぜいだ、これが
文化財保護委員会の態度であったのではないかと思うのです。しかし、それにはやはり
皆さんのお
考えになるような理由は承るでしょう。しかしその理由も、いま私は
指摘しますが、文部
大臣に言わせれば、これは私の責任ではないのだ、私の関与すべき問題ではない、
文化財保護委員会の問題である。だが、私も全然
関係がないわけではないから出しゃばるのだというふうな
答弁をそこでしましたよ。それくらいに文部
大臣の責任じゃないのだ、
文化財保護委員会の責任ですよ。
そしてあなたはその次に金の問題を言いましたね。国の財力にも限度がある。それはそうでしょう。しかし、そんなことを最初から理屈に出すようだったら、
文化財はほんとうに完全に守っていけないと私は思うのですよ、金なんということを言うならば。金の問題は、守る会の人たちの話をするのをいろいろ聞いてごらんなさい。アメリカからだけでも何億という金を私たちは募金をしてまいりますと言っているでしょう。もうすでに
日本だけの問題ではない。
一つの
民族の
文化財ではないわけです。いまの
文化財というものは世界的な
考えに必ずなる傾向にある。だから外国でさえもそれくらいの募金をしても
協力をしようというのでしょう。まして
日本自体、責任のある
文化財保護委員会が、国の財力にも限界があります。何兆円という
予算を持つときに、二十億や三十億の金はそんなに
心配がないと思うのですよ。ましてあの
土地というものは国有でしょう。そういうふうな条件を
考えたら、もっと積極的に出なければいけないと思うのです。
それから、指定をすることはこれは相手があることだ、所有者が承知をしなければ云々という御
答弁がありましたが、それも単にどうですかと言えば、いやです、そうですか、これで終わるわけなんですが、
文化財の仕事というものは、先ほど申しましたように、おそらくきょうの経営者というものは、あれを改築して、新しくつくったほうが利益があると判断するに違いないと思うのです。しかし、そこに
文化財を守っていくという
一つのお互いに使命を持っているわけだし、あるいはそれがかえって利益を得る場合もあるというような面も説得して
文化財に対する
考え方を理解させる。単に経営者だけでなくて、都を指導するとか、あるいはそういう世論を巻き起こすとか、そういうことがなければ
文化財保護委員会の
意味はないと思うのです。結局、
文化財保護委員会の仕事というものは、精神的な面に食い込んでいくという仕事が一番大きい仕事じゃないかと思うのですね。それが必要でなかったら、
文化財を守るなどということは
意味ないと思います。あの古い
建物を残しておいても何にもならぬ、やはりそれは精神的な面を開拓する、そこを基礎にして将来を
予想する。であれば、精神的な活動というものは
文化財保護委員会にはもっと課せられているはずだと思う。それもやったけれ
ども結局ここまでだというなら、私は何をか言わんやです。
しかし、先ほど申しましたように、総理がアメリカで記者会見をやったときに、てんずけ一部をどこかへ移築して
保存をしますなどというような軽率なことばを出したということは、ほんとうに国民が
文化財に対して寄せておる関心を代表したことばではないと思うのです。
日本国民の中には、たとえ外国人の
建物であっても、りっぱな
建物であって将来残すべきものであるという観点から、いま大多数の人が、
現状のままに
保存をしようとする、そういう熱意が燃え上がっておるのだ。しかし
建物の
現状からも、経営者の意思からいっても、はたして
現地保存ということが可能であるかどうか、まだ私には十分確信が持てない。しかし、少なくとも一部を解体してどこかに
保存をするということは最悪の場合でもするというような説明ならとにかく、言ったことが何だといえば、てんずけ一部を解体してどこかへ移築して残します。これはほんとうに国民の
文化財に対して寄せておるところの気持ちを代表した一国の総理のことばじゃなかったのですよ。それは
大臣は
大臣、
文化財保護委員会は
保護委員会といえばそれまでですが、そういう点を指導するのが、指導が足りぬから
予算が出てこない。私はそこまで
文化財保護委
委員会の責任を追及してもいいと思うのです。いまのような
結論を振りかざして、安易に
文化財を守っていこうとするようならば、私は国民に対して非常に申しわけないと思うのです。
まして、単に帝国ホテルだけの問題じゃないということは、常に言っていることでしょう。東
京都が、この非常な変動期にあの帝国ホテルすら残すことができないということになったら、東京の姿というのはどうなるか。そういうことを繰り返していくときに、
日本の
民族文化というものはどういうふうに影がうせていくか。私はルーマニアへ行きましたが、ルーマニアの国会の副議長は二回しか
日本に来ていないのです。そしてルーマニアの一般国民というのは、
日本はベトナムよりも強いか弱いかというくらいに
日本という国の認識が足りないんです。テレビがありますかというふうなことを聞く国民ですよ。その中で、その副議長が、私は
日本の刀のつばを百一持っています。二回の間にそれだけ収集したわけでしょう。私はこのつばを通して
日本刀というものよりもかえって
日本の
文化を高く評価しております。フランスの
文化というものが相当
日本の
文化に影響されておることも私はこういう問題から知りまして、近々その
文献を出しますが、送ってあげますという約束までしてくれたほどなんですよ。そういうふうに外国の人たちも、これは全面的じゃないかもしれませんが、
日本の
文化に対するところの関心というのは非常に強いわけなんです。
そういうふうにこの
文化財に対する関心は、至るところの国が強く持っておるわけなんですが、いまのような
現状では、私は非常に
日本がほかの国からおくれていくんじゃないか、こういう
考えを持つわけですが、もうこれ以上この問題について御
質問は申しません。私
どもは
委員長、それから理事会等にお願いいたしまして、最後の
機会をつくっていきたい、こういういま
考えに立っているわけです。したがって、この問題は終わらしていただきます。
次にお聞きする問題は、これは先ほど文部
大臣に来年度
予算の御
質問がありまして、その御
答弁を聞いたものと
関係するので
大臣からお聞きしようと思ったんですが、三十九年から四十年にかけて、非常に
重要文化財が
破壊をされる傾向にあるという点で、
歴史と考古学の
学者を集めて緊急指定
調査研究
委員会を
文化財専門審議会の
史跡部会の中に小
委員会としてつくられましたが、この考古
関係で各都道府県から提出されましたたくさんの
史跡台帳の中で、いろいろ階級をつけて、そしてその中から選択をして、これだけはひとつ緊急指定として守っていこうという
計画をされたと思うのですが、それはどういうふうに進行しておるか、この際お伺いしたいと思うのです。