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1967-10-11 第56回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十月十一日(水曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 戸叶 里子君    理事 小笠 公韶君 理事 小峯 柳多君    理事 武部  文君 理事 和田 耕作君       青木 正久君    大野 市郎君       岡本  茂君    竹内 黎一君       中山 マサ君    粟山  秀君       井上 普方君    唐橋  東君       武藤 山治君    有島 重武君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  委員外出席者         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         公正取引委員会         事務局長    柿沼幸一郎君         経済企画庁国民         生活局長    中西 一郎君         厚生省社会局長 今村  譲君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         食糧庁総務部長 小暮 光美君         通商産業省企業         局次長     下山 佳雄君         運輸省自動車局         業務部長    蜂須賀国雄君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君     ————————————— 八月十八日  一、物価安定緊急措置法案堀昌雄君外九名提   出、第五十五回国会衆法第二三号)  二、物価問題等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の議会に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 戸叶里子

    戸叶委員長 これより会議を開きます。  この際、去る八月、公正取引委員会委員長に御就任になりました山田精一君及び同委員会事務局長就任されました柿沼幸一郎君を紹介いたします。
  3. 山田精一

    山田説明員 私、このほど公正取引委員会委員長を拝命いたしました山田精一でございます。  資本の自由化を契機といたしまして開放経済時代に入りました重要な時期におきまして、この大任を拝命いたしました。ひたすら身の引き締まる思いをいたしております。私、不敏不才ではございますが、先生方の御指導、御鞭撻によりましてこの大任を果たしてまいりたいと存じております。何ぶんよろしくお願い申し上げます。(拍手
  4. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 私、九月十六日付をもちまして公正取引委員会事務局長を拝命いたしました柿沼でございます。  先生方の御指導によりまして一生懸命やってまいりたいと思いますので、何ぶんよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  5. 戸叶里子

    戸叶委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。武部文君。
  6. 武部文

    武部委員 最初公取関係について質問したいと思います。  先日大蔵委員会で、武藤委員のほうから公取委員長に対して独禁法見解なりその他の問題についていろいろ質問がありました。私も傍聴しておりましたので、新しく就任をされた公取委員長見解をほぼつかんだわけでありますが、きょうは具体的な問題について四、五点質問をいたしたいと思います。  まず第一点は、現在審判中の件数、これは十一件だと思いますが、非常に長いのであります。今後の見通し、特に重要な松下電器の問題が出てきたわけでありますから、そういうようなことを考えると、これから一体審判はどういう進行過程をたどるのか、一体結論が出る見通しはいつごろなのか、こういう点について非常に疑問を持つわけでありますが、この点について、まず最初審判進行状況について承りたいと思います。
  7. 山田精一

    山田説明員 お答え申し上げます。  現在審判中に属します案件は、先生の御指摘のごとく十一件ございます。まことに遺憾ながらたいへん長い期間かかっておりまして、まだ審決に至っておらないケースもありますわけでございまして、私ども、できるだけあらゆるくふう、研究をいたしまして、審判期間を短縮することを検討いたしております。  なお、十一件の中で三件につきましては、もうほとんど審決段階にございます。これは近日手続が終わるものと確信いたしております。そのほかの事件につきましても、ほぼ見通しのついたものも大体二、三件ございまして、この分は遠からず結審に至るものと存じております。  さらに、御指摘のございました松下電産に関する審判事件でございますが、これは第一回の審判をまだ先日いたしましたばかりでございまして、審査官側の主張、それから被審人側代理人からこれに対する答弁の概要が出た段階でございます。今月の二十四日に準備手続をいたしますので、その後はできるだけ審理を促進いたしたい、かように存じております。いつごろまでに審決が出るかという見通しにつきましては、これは担当いたしました審判官が明鏡止水の見地で審判をやっておりますので、私の口から何月何日までに完成せよということは申しかねておりますので、できるだけ早く審決をするように申しておりますわけでございます。御了解をいただきたいと思います。
  8. 武部文

    武部委員 九月八日の大蔵委員会で、武藤委員質問の中に松下電器隠し番号についていろいろ質問があって、委員長から答弁があったようであります。当委員会神戸等視察を行ないましたが、私も参加をいたしまして、あるスーパーでこの隠し番号現実に、先月中旬でありますが、私どもはそのスーパー販売員から隠し番号の打ってあったところを見せてもらったわけであります。この隠し番号について、隠し番号そのものが違法でないという答弁委員長からされておる。これも大体了解はできます。しかし、その目的が明らかにやみ再販行為につながっておるものというふうに判断できた場合には、隠し番号は明らかにこれは違法でなければならぬ。したがって、先般第一回の書判も行なわれたわけでありますが、少なくとも公取が現在までいろいろ調査をした松下やみ再販過程において、この隠し番号が明らかにやみ再販行為のための隠し番号であるというふうに認定されておると思うわけですが、その点についてはいかがですか。
  9. 山田精一

    山田説明員 ただいま御指摘のございました隠し番号の件は、私どももかなり詳細に承知をいたしておりまして、審判官もその事実を承知いたしております。したがいまして、これは審判を進めてまいります上において審判官の心証をつくります上の大きな一つの材料になるであろうと存じております。
  10. 武部文

    武部委員 それでは次に、当委員会で牛乳問題が取り上げられた際に私が質問をいたしまして、非常に審判に時間がかかる、したがって、それが概定の事実になってしまうおそれがある、いまの独禁法においてそれを取り締まるなり、あるいは何らかの方法はないかという質問をいたしました際に、やめられた竹中事務局長は、独禁法の六十七条、緊急停止命令を考慮しておる、こういう答弁がございました。あれから二カ月経過をするわけでありますが、この独禁法の六十七条の緊急停止命令について現在公取はどのような見解を持っておるのか、それと同時に、二ヵ月間のうちにどういうことをされたのか、これを伺います。
  11. 山田精一

    山田説明員 緊急停止命令につきましては、過去におきまして発動を申請いたしましたケースが四件あるわけでございます。このごろではしばらくこれを活用いたしておらないわけでございますが、私どもといたしましては、原則論といたしましてはできるだけこれを活用してまいりたい、かように考えております。ただし、事案性質によりまして、この緊急停止命令が適切な場合としからざる場合とがあるように存ずる次第でございます。過去におきまして発動されました事案と申しますのは、大体において共通の要素がございまして、それは何かと申しますると、被審人側が事実の存否を争ってはいないで、合法か違法かを争っている場合に発動方を要請いたしております。一例を申し上げますと、大阪の某新聞社読者に非常に大きな景品が当たります福引き券を、読者を勧誘いたします手段として配布いたしました事件がありまして、これは、福引き券を配布したという事実は被審人は全然否定をしておらないわけであります。これを放置いたしまして審決の結果が出ますまで待っておりますと、ますます福引き券は配布され、また福引きが実行されるおそれがございましたので、その福引き券の配布の停止及び福引き行為停止を要請いたしたケースがございます。かようなケースは非常に適切な案件であると存ずるのでございますが、事案性質によりましては適切であるかどうかかなり疑問の事件がございますけれども、最近北海道大学の今村先生価格協定緊急停止命令との関係について論文を書いておられまして、今村教授の御意見では否定説でございます。肯定説もあるようには聞いておりますが、ともかくかなり法律的に問題が多い案件であると存じますので、引き続き検討をいたすことにいたしたい、かように存じております。
  12. 武部文

    武部委員 聞いておりますと、やっていないわけですね。あの際には、少なくとも消費者は、その可否は別として、公取緊急停止命令を出して、何らかの対策を立ててくれるのではないかという期待感を持ったと思うのです。また報道も、そのように大々的に報道されておりました。ところが、二カ月たった今日いまだに検討中ということですと、少なくともあの当時の報道なりを見た者については非常に期待が薄れてしまって、公取というものは言うことは言うが一つもせぬのじゃないか、こういうことになってしまうと思うのです。私も当時質問したときに、緊急停止命令というものがあるが、現実にやったことがあるかと言ったら、四件あると言われた。それならばこの緊急停止命令はできる、こう思ったわけです。同時に、事務局長答弁も、少なくともそのように一つの自信を持って答弁されておったのが、今日二カ月たってもいまだに検討中、こういうことでは、はっきり言えばそういう答弁はしてもらわぬほうがいいのです。そういうことですから、やはりそういう答弁については慎重にやっていただかなければならぬ、こう思います。  それから、再販法案が流れたわけでありますが、当時佐藤総理もこの席上で、提案をする段階には至らなかったけれども、現行の再販法を強化することによって取り締まりができるんだ、こういう話がありました。同時に前委員長も、再販は十年以上たっておるんだから、このことについて洗い直しをするんだ、こういう答弁があったわけであります。したがって、カメラを除いた五業種三十一品目、四千三百九十三商品、これだけのものが対象になって、公取としては洗い直しておるんだ、こういう答弁がございました。したがって、現実には指定をその後何件取り消したのか、洗い直しの状態は一体どうなのか、そのことをひとつ承りたい。
  13. 山田精一

    山田説明員 現在、従来指定いたしておりますところの業種品目につきまして、洗い直しの作業を鋭意進めておりまして、まだ承認を取り消したものは出ておりません。近く結論が出る見込みでございます。
  14. 武部文

    武部委員 それでは再販法について質問をいたしますが、前国会でこの法案がついに提出できなかった原因については、私どももいろいろ当委員会で論議をいたしたところであります。佐藤総理次期国会にはぜひ出したいという答弁があり、官房長官からもそのような答弁があり、公取としても努力をする、こういう話でありました。先般私どもが、先ほど申し上げたように現地視察に行った際に、これまたあるスーパーで、洗剤の上に砂糖袋がゆわえつけてあるわけです。それから今度は、洗剤の小さい箱にはキャラメルがゆわえてある、張りつけてある。一体これはどうしたことか、こういう質問をいたしたところが、値段を下げて売りたいけれども値段を下げて売ると品物が来なくなる。したがって砂糖袋をその上に載せて、実はそれだけまけておるんだ、キャラメル分だけまけておるんだ。これが堂々とスーパーの置き場にずらっと並んでおる現実を私どもは見たわけです。  それから薬ですが、ここに一つ持ってきていますが、薬を買った人にこういう券を渡しておる。これは一体何かというので質問をしたら、これは一割引くためのものだ、いまここで一割引いて売れば、これはまた入荷がとまってしまう。したがって、これを証拠に渡しておって、これがある程度集まってくるとそれだけのものをまた渡します。こういうやり方を現実にしておるのです。  こういうことが堂々と実はまかり通っておる。先ほどの隠し番号もそうでありますが、こういう段階を私どもは見て、なぜそういう再販法というものがこの段階でいまだにまかり通っておるのかということを非常にふしぎに思った。したがって、再販法の問題は、前国会で問題になったような規制強化の問題についても相当な原案ができておったわけですから、ひとつ早急に成案を急いで次期国会提案をしてもらいたい、そういう見解を持っておりますが、公取委員長見解を承りたい。
  15. 山田精一

    山田説明員 御趣旨を体しまして鋭意その方面に検討を進めまして、検討を急いでまいりたい〉存じております。
  16. 武部文

    武部委員 最後に公取委員長に伺いたい。  これは職業の自由を別に私はとやかく言うのではないのでありますが、近ごろの公取審判状況を見ておると、その中に被番人の代理人として、たとえば松下のように四名の弁護士が被審人代理人として出ておられますが、そのうちの二人は元公取委員であります。皆さんのところの委員であります。牛乳の審判を見てみると、また公取委員であった人がこの審判代理人として出ておられる。こういうところを見ると、ちょっと意外に思うのであります。検事が弁護士になるということもたくさんありますけれども、それとこの公取審判とは、少なくとも内容的に見て若干私は違うように思うのです。一般国民が見方場合に、いままで摘発の側におって、内容も十分熟知しておる人が、摘発をされた側の代理人として、弁護士として次の日には反対側に立っておる。こういう点について非常に国民としても疑問に思われるだろうし、私自身もいつも被審人代理人をずっと見ておりますが、ほとんど公取出身の方が代理人になっておられる。先ほど言ったように職業の選択についてとやかく言うわけではありませんが、こういう点について委員長はどうお考えになりますか。
  17. 山田精一

    山田説明員 ただいま御指摘のございましたような傾向が確かにございます。ただ、独禁法のたてまえからまいるというと、独禁法第五十二条の二項に「被審人は、弁護士又は公正取引委員会承認を得た適当な者を代理人とすることができる。」という規定がございまして、弁護士以外の者を代理人に申請いたしてまいります場合には当委員会といたしまして承認を与える権限、また義務があるわけでございますが、弁護士の場合には、遺憾ながら当委員会といたしまして、この人はいけない、この人はいいと言うわけにはまいりかねるのでございます。ただ、弁護士法の第二十五条でございますか、「弁護士は、左に掲げる事件については、その職務を行ってはならない。」云々とございまして、その第四号に、「公務員として職務上取り扱った事件。」とございます。したがって、ただいま御指摘のございました弁護士方々が、かつて公正取引委員会委員または事務局員として在職中取り扱った事件については弁護ができないことになっておりますので、私どもはその点は注意をいたしてチェックいたしておるのでございます。現在の代理人の中にはこれに該当する方はおらないのでございます。  好ましいか好ましくないかという点でございますが、これはいろいろ御意見があると思いますが、一つ考えなければならない事情は、従来独禁法に関する審判件数が比較的少のうございまして、一般弁護士方々はあまり独禁法についてよくなれていらっしゃらない方が多いようでございまして、したがって、独禁法について経験の深い方にどうも弁護の要請が集中するという傾向がございます。最近、関係者以外の方も弁護士としてだいぶ出てまいられるようになりましたので、おいおいと従来関係のございませんでした弁護士さん方がこの種独禁法関係審判になれていらっしゃいますと、そういう傾向も漸次是正されてまいるかと、かように考えておる次第でございます。
  18. 小笠公韶

    小笠委員 ちょっと私、関連して山田公取委員長に伺いたいのですが、いまの答弁の中ではっきりしないところがある。その一つは、いわゆる審判終結前に緊急停止命令をやれるかやれぬか。今村教授否定論賛成論もあるが、公取は慎重検討するという答弁です。公取はいかなる学説を持っておるか。慎重ということばではわからぬですよ。今村君の話を非常に強く述べてそういう答弁をしておるが、公取はどっちの立場に立つのか。その点を明瞭にしてほしいと思うのです。
  19. 山田精一

    山田説明員 ただいま御指摘の件につきましては、現在資料を集めまして検討いたしておりますので、近い機会に委員会を開きまして、委員会としての見解を出したい、かように考えております。
  20. 武部文

    武部委員 それでは、公取のほうはこれで一応私のほうは終わりまして、農林省豚肉の問題について質問をいたします。  豚肉が非常に面値を呼んで食肉行政不在じゃないかということばさ、え出ておるわけでありますが、われわれの承知するところでは、屠殺数も前年に比べて一五%ぐらいふえておるわけであります。しかるに高値がどんどん続く、こういう状況ですが、八月ではキロ当たり四百八十円、こういう腐植を呼んだ。そのためにハムやソーセージというような加工品まで便乗して値上げをしておる、こういう状況がありますが、現実にこの価格動向農林省はどういうふうに見ておるのか。また価格見通しについて、ひとつ農林省見解を最切に承りたい。
  21. 岡田覚夫

    岡田説明員 ただいま御質問豚肉価格動向でございますが、御承知のように、昨年の三月から豚肉の供給過剰ということで価格が低落をいたしました。そのために事業団の買い入れが始まったわけでございますが、本年七月に入りまして肉豚出荷の増勢が鈍化をいたしまして、価格が回復をいたしたわけでございます。七月の下旬には一部の市場安定上位価格を上回るというような価格が出現をしたわけであります。これは肉豚出荷が減少をいたしてきたためでございまして、八月、九月には前年の出荷水準を下回った出荷が行なわれておるわけでございまして、十月も大体同様な状態になっておるわけでございます。  そこで農林省といたしましては、七月三十一日から卸売り市場におきまして畜産振興事業団保管をしております豚肉放出を始めたわけでございます。で、七月には約二十二トン、八月には約五千六百トン、九月には約六千二百トンの放出をいたしたわけでございますが、現在もなお放出を続けておりまして、現在一日当たり約百六十トンの放出をいたしております。価格は、事業団放出にもかかわらず、必ずしも安定上位価格には達しておりません。もちろん地域によってかなり違いまして、たとえば九州だとか中国等市場におきましてはほぼ安定上位水準になっておるわけでございますけれども、特に関東地域市場におきましては比較的高価が続いたわけでございまして、東京の芝浦卸売り市場について見ますと、上の枝肉で八月には四百二十八円、九月には四百三十円というふうな形で推移したわけでございますが、十月に入りましてやや落ちつきを示してまいっておるわけでございます。  今後の価格動向でございますが、もちろん事業団保管豚肉放出は航行する予定でございまして、特に需要期当たります年末には重点的に放出を行なうというふうな考え方でおるわけでございます。したがいまして、価格が九月水準を大幅に上回るというふうな事態はないものというふうに考えておるわけでございます。
  22. 武部文

    武部委員 三百九十円に下がるように放出するのが畜産振興事業団の仕事なんですね。いま聞いてみますと、若干四百八十円という八月の高値から下がっておる。それでも四百円台ですよ、はっきり言えば。そうなってくると、一体いわゆる畜産振興事業団の本来の存在の目的である三百二十円から三百九十円に下がるという、そういう段階は、あなたの見通しとしてはいつごろくると思いますか。
  23. 岡田覚夫

    岡田説明員 お話のように、安定上位価格というのは、それ以上豚肉価格が上がらないようにするための努力目標でございます。したがいまして、われわれといたしましては、三百九十円の範囲にとどまるようにというふうな考え方放出をいたしておるわけでございます。ただ、事業団保管をしておる豚肉の量というものにはおのずから限度がございます。また、輸入等につきましても検討いたしておりますけれども、なお検討すべき問題もあるわけでございます。そういう意味から一つ問題がありますのと同時に、放出しております保管豚肉というのは、御承知のように冷凍でございます。冷凍につきましては、現実市場取引はなまの肉の取引が中心でございまして、したがって、なまの豚の数量によって価格が変動する場合が非常に多いわけでございます。保管豚肉というのは、流通上なま肉と同じような扱いにはまだ国内の体制がなっていないわけでございます。そういう意味で、なま肉と全く同じような価格影響が必ずも十分でない点があるわけでございます。そういう点から、多少保管豚肉につきましては価格に及ぼす影響というのが問題があるわけでございますが、われわれとしてはできるだけ三百九十円に近づけるような努力をいたしておるわけでございます。
  24. 武部文

    武部委員 値段が下がらない原因一つに、放出された豚肉が一部の食肉業者加工業肴によって買い占められておるといううわさがあるわけです。そういう点についてこれが事実かどうか、また、そういうふうな点についての対策を考えておるかどうか、それを承りたい。
  25. 岡田覚夫

    岡田説明員 事業団放出いたします豚肉が一部業者に買い占められておるのではないか、こういうふうなお話でございますが、現在事業団保管しております豚肉につきましては、御承知のように法律規定に基づきまして、中央卸売市場またはそれに準じます市場においてせり売り販売をいたしておるわけであります。これは需給調整を通じまして卸売り価格を抑制しようというふうな趣旨に基づいて行なっておるものでございまして、一部業者が買い占めておるとか、そういうふうなことはわれわれはないと考えておりまして、市場買参人がひとしく購入をいたしておるというふうに考えておるわけでございます。
  26. 武部文

    武部委員 この放出は十一の中央卸売市場だけですね。それからこの間は学校の給食用に出しましたね。したがって、この十一の中央卸売市場以外に放出することが、値段を下げる一つの効果をあげるのじゃないかというような意見があるわけでありますが、これについてはどうですか。
  27. 岡田覚夫

    岡田説明員 法律のたてまえは、御承知のように、中央卸売市場またはそれに準ずる市場におきましてせり売り販売することを原則といたしております。それによることが適当でないというふうな場合には、その他の方法をもって行なうことができるという規定になっておるわけであります。現在農林省といたしましては、原則として中央卸売市場を通じまして合理的な妥当な価格が形成されることが望ましいというふうなことで行政指導をいたしておるわけでございます。したがいまして、それを通じて販売することによりまして、合理的な卸売り価格が形成されるのではないかというふうに考えております。また、現実に、中央卸売市場またはそれに準ずる市場というものは、全国のすべての各県にあるというものではございません。中央卸売市場のないところにおきましては屠場において取引されているのが実態でございますが、そのとき芝浦市場価格だとか、あるいは大阪市場価格だとかというものが、一応その屠場における取引基準価格ということになっておるわけであります。したがいまして、卸売り価格を下げるということによりまして、中央卸売市場またはそれに準ずる市場卸売り価格を抑制することによりまして、それが全般的に全国の卸売り価格を抑制することになるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。それで、現在は中央卸売市場中心ということで考えております。今後推移によりましてはいろいろ検討をいたしたいというふうには考えますけれども、現在のところは、中央卸売市場を中心にして進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  28. 武部文

    武部委員 それでは最後に、いまの在庫は二万トンを割っておると思うのですが、そうなってくると、いまの手持ちでは、今後の需要の関係あるいは価格の安定のための放出、そういうところから見て不足するような気がしてならぬ。その場合に輸入ということは考えておられるか、その点についてお伺いいたします。
  29. 岡田覚夫

    岡田説明員 先ほども申し上げましたように、事業団の在庫というものは限度がございます。お話のように、九月末現在で、事業団保管をいたしております豚肉は約二万トンでございます。したがいまして、これを放出してまいりましても、いつまでも放出ができるという性質のものではないわけでございまして、したがいまして、事業団豚肉放出が終わりますときになお供給が不足をし、価格が騰貴をするという状態であれば、輸入をせざるを得ないのではないかというふうなことで、現在輸入の可能性について検討いたしております。ただ、三十七年の末から三十八年、三十九年と豚の高値が続いたときでございます。そのときに一万トン程度の輸入をいたしましたけれども、御承知のように、豚肉というのは国際的な流通商品では必ずしもないわけでございます。したがいまして、豚肉を買うということになりますと産地の価格が値上がりするとか、あるいは冷凍されたものであるというふうな点から、必ずしも安価に入手できるというふうな見通しはないわけでございます。そういうふうな点につきましても、これは今回輸入いたします場合にも慎重に検討してまいらなければならないのではないかというふうに実は考えておりまして、現在輸入につきましていろんな点から可能性の検討をいたしているわけでございます。一〇武部委員 それでは通産省、前払いの割賦販売法の改正法案の問題が前国会でも問題になりまして、いろいろ質問をいたしましたが、佐藤総理答弁によれば、これは一般消費者に与える影響も非常に重大だ、またいろいろ困難な問題もある、したがってできるだけ早く成案を得たいという答弁が当委員会でありました。われわれは、当時この法案が流れたという理由に、前渡し金の供託の割合、営業保証金の三年経過措置、こういう問題について業者や自民党の政調会の中で調整がつかなかった、こういうふうに聞いておるわけであります。今日指定されておるところの三十八品目、これが利用されておる業者の数が二百三十社になっておる。利用されておる人の数は約一千万と推定されておるというふうなことを聞いておるわけであります。その金額も五百億、こうなってくると、これは非常に大きな利用人口を持ち、庶民の生活に欠くことのできない、たいへん大きな問題だと思うのです。したがって、この改正法案次期国会に提出する意思が通産省にあるかどうか、まず最初にそれを聞きたい。
  30. 下山佳雄

    ○下山説明員 割賦販売法の改正問題につきましては、ただいま先生の言われましたとおり、前国会においてこれを提案いたすべくいろいろ準備、検討を進めてまいりましたけれども、いろいろむずかしい問題がございますので、一応会期も迫りましたので前国会に御提案申し上げることはやめたわけでございます。しかしながら、次期国会におきましては必ずこれを提出すべく、現在準備を進めるおる次第であります。
  31. 武部文

    武部委員 そうすると、前回問題になっている三つの点について質問します。  まず最初は、前渡し金の三分の一、この保証金の供託はどうするか。二番目が、経過措置として既存の業者に何年間で供託させるか。三番目は、業者の登録制を許可制にする問題。この三つについて、通産省はこの法案の中にどういうふうに盛り込もうとしておるのか。
  32. 下山佳雄

    ○下山説明員 ただいま御指摘の三点につきまして、現在通産省におきましても検討を進めておるわけでございます。  そのうち、現在前払い式割賦販売業が登録制になっておりますのを許可制にいたします。それから営業保証金の供託義務を強化いたしまして、その前払い金残高の三分の一を営業保証金として供託させる。この問題につきましては、前国会のときに考えておりましたとおり、現在も同様な考えをもって準備を進めておる次第でございます。ただ、この経過期間の問題につきましては、いろいろ御意見がございますが、あまりこれを短くいたしますと、かえって不測の倒産等の事例を生じないとも限りません。と申しまして、またこれが長過ぎますと一体何のためにこういう法律をつくるのかということにもなりますし、その辺いろいろむずかしい問題がございまして、現在慎重に検討しておる次第でございます。
  33. 武部文

    武部委員 これは企画庁かと思いますので質問しますが、この割賦販売法のワク外にある土地、住宅、こういうものの分譲の月掛け予約が非常に多いのです。また非常に利用されておる。この土地や住宅の月掛け予約に対して非常に苦情がある。たとえば解約したときに、思いも寄らなかったような違約金をとられてしまう、こういうようなことが非常にたくさんあるということをわれわれは承知しておるわけです。これに対する規制措置、これはいまの割賦販売法のワク外にあるわけですから、法的に何か規制をするようなことを企画庁というか、政府としては考えているかどうか、この点ひとつ。
  34. 中西一郎

    ○中西説明員 昨年来そういう話が各地で起こっておるようでありまして、それに関連して宅建業法の改正ということで対処するのも一つでございますが、具体的なケースについて全部カバーできるかどうかとなると問題があろうかと思いますが、そういう点を含めて建設省を中心としてわれわれも協力して検討を進めておるところでございます。
  35. 武部文

    武部委員 わかりました。  通産省にもう一つお伺いしますが、割賦販売でいろいろごたごたが起こったり、それからいまの土地や住宅でごたごたが起きるのは、定款といいますか約款といいますか、そういうことについて、ばらばらで何かちょっとわからぬようなことになっておる。それが結局盲点になって、解約したときに思いも寄らない金をとられたり、払い込んだ金が返ってこぬというような点があると思います。そういう点について何か画一的に指導をする、こういうようなことは考えていませんか。
  36. 下山佳雄

    ○下山説明員 確かにこの前払い式割賦販売の一番の問題点の一つは、その約款の書き方の問題、また実行のしかたの問題であろうと思います。したがいまして、私どもが現在考えておりますこの改正法案につきまして、前払い式割賦販売業を許可制にいたします最も重要な理由の一つとして、許可をするにあたりまして約款が購入者のほうに適当であるかどうかというようなことを十分審査するということにいたしておりますし、さらにまた、業者がそれをその後変更いたします場合には当然これをチェックいたしまして、さらにその変更いたしました場合に不都合なことがございましたならば直ちに改善命令を出すという措置をとる、かように考えておる次第でございます。
  37. 武部文

    武部委員 わかりました。  あとは企画庁長官と運輸省ですから、和田委員のほうとちょっと交代をして、あとに回します。
  38. 戸叶里子

    戸叶委員長 和田耕作君。
  39. 和田耕作

    ○和田委員 私は、厚生省の社会局長にちょっとと御質問申し上げたい。  この間、神戸の物価問題の視察に参ったわけでございますけれども、そのときに、神戸というところは、物価問題について非常に熱心に県も指導しておられますし、市のほうも非常に熱心なところなんです。視察の一番最後に、モニターの人を中心にいたしましてたくさんの人が集りまして、そしていろいろ御意見を承った。そのときに、私非常に耳に残っておることは、数人の人から、物価の問題を一生懸命やっているけれども、やるたびに自分たちの仕事が何かこう意味がないような感じがする、つまりむなしい気持になるのだという発言があったのです。これはいまの物価の問題を考えました場合に、だれしも多かれ少なかれ、おそらく政府の方々もそういうお考え方を持っておられるだろうし、一般の人たちもそういう感じを持っているのではないかと思うのです。つまり、この物価の問題は非常に大切だから、一生懸命やろうという気持ちはみな持っているけれども、やることなすことが逆に回っていくという現実があるわけでして、消費者というものはたいへん無力感を持っているし、その無力感が今後どういうふうなものになるかということは非常に大切なことなんですね。これを行政当局とすれば、一般の問題として考えていただきたい点なんです。そこで、特に現段階において消費者の問題を考える場合に、消費者自身が力になるということが大事なことです。消費者は王さまというけれども、王さまというのは名前だけで、ほとんど無力だ。つまり、固まった力になっていないということなんですね。こういうような意味で御質問申し上げたいのですけれども、頭にのぼってくるのはいろいろな問題があると思います。  その中で生活協同組合という問題があるわけです。生活協同組合は、昭和初年から日本でもかなり各地で起こってきた運動なんですけれども、その後全般としてはきわめて低調であるということでした。しかし、兵庫県の灘生協の状態を見たのですけれども、これは非常に活発であって、あの辺のスーパーなんかには全然負けないような形であれをしている。これは非常に数少ない例だと思いますけれども、そういうふうな意味で、現在物価問題という問題をつかまえまして、厚生省としてはそういうふうな課も持っておられる省でございますけれども、どのような御指導をなさっておられるのか、このことをひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
  40. 今村譲

    今村説明員 お答えいたします。  先生いまおっしゃいましたように、消費者自身のいわゆる組織あるいはその活動というものがだんだん盛り上がってきておりますけれども、非常に無力感——これは直接に物価を左右するまでにはなかなかいかないというふうなもどかしさ、これは実は私どもも経企庁などと一緒に感じておる問題でございます。  生協の問題につきましては、ただいまあげられましたように灘生協——実は私、生協法ができましたときに社会局におりまして関係しておりますので、灘の幹部諸君としょっちゅう行ったり来たりしておりましたが、あれほどの実績のあるもの、年間に百億ほどのものを扱うというのは日本に一つしかありませんが、ああいう実績を見ますと、もっとこれを日本全体に及ぼさなければいかぬというふうに思いますが、非常にむずかしいのは、スカンジナビアのように人口が非常に少なくて、しかもスウェーデンのごとく八百万の人口で日本国土よりも広いというようなところでは、中小企業なんか成立する余地がない、生産労働力を集めるのに精一ぱいだ、したがって労働者なり消費者なりが必然的に組織をつくって、買い出しに行ったり販売をするというようなことから生協に発展してきているわけでありますけれども、日本の場合、昭和二十二年以来非常に悩んでおりますことは、問題が二つ、三つございます。  一つは、賀川先生がもともと神戸で始められたように、ああいうキリスト教的な地域社会をまとめて、消費生活なり生活合理化などをやっていこうといったような、何といいますか、精神的な基盤というものは日本の場合には非常に少ない。つらい点だけを先に申し上げますが、そういう点が一つ。  もう一つには、中小企業というもの、あるいは八百屋さんでも肉屋さんでも、これは至るところにあって、過剰人口のはけ口としてのそういう中小企業の圧力というか、中小企業の数が自然に多い。したがって実際の日常生活では、自分自身が消費生活協同組合をつくる、あるいは生活を合理化するというふうな必然的な圧力がなしにけっこうそれで間に合っている。あるいは生活協同組合のように、賀川先生もだいぶ戦われたわけでありますけれども、動き出すと中小企業にまつ正面からぶつかるというふうな、ヨーロッパ、特に北欧とは違う一つの社会情勢あるいは人口問題からくる問題だと思いますけれども、そういうことと、精神的に、生活合理化というものは、わりに宵越しの金を持たぬというような淡白な日本の風習からいいまして根がおろしにくいという点。  もう一つには、これは生協活動、いろいろ歴史は、おっしゃいますように大正あるいは明治末期からございますように、ほんとうの意味のそういう信念を持った、あるいは消費合理化をするだけのテクニックを持った指導者の養成という点が非常に少ないので、これは昭和二十四、五年ごろによくありましたが、つくって半年目にはすぐ解散してしまう。理屈はありますけれども現実に肉でも野菜でもどう仕入れ、どう売って、そのマージンをどういうふうに消費者に返していくかというような実際の——観念だけが先ばしって、現実の経済行為というものの理解を持った指導者というものは非常に数が少なかったわけです。  大体こういう三つの問題がございまして、なかなか生協が伸びにくいというような情勢でございます。しかし、私どもといたしましては、先生よく御承知のように、国民生活審議会の答申とかあるいは経済社会の発展計画、あるいは物価安定推進会議、最近の消費者王さまとおだてるわけではございませんが、とにかくその辺で日常生活の合理化を、自分自身で組織化をやらせるとかいうぶうな動きが非常に盛り上がってきております。現在、日本全国でやっておりますのは千二百五、地域が五百十、職域の分野が六百六十、大体六、七百万人ほどの人が組織化されておりますが、まだまだ取り扱い数量も年間に約一千億ということで、全国民の流通消費関係の一%弱ということで力は弱いのでありますけれども、最近の実態というのは、だんだんわかってきて、数はそうふえてきておりませんが、企業内容がしっかりしてきている、こういうような動きを、都道府県なり市町村なりの段階で、消費合理化という面も兼ねて生協の指導育成あるいは一般住民に対するPRというふうなものもやってまいりたい。  それから、御承知のように日協連、これは日本全国に団体がございまして、灘生協もそれに加盟しておりますが、その団体活動をできるだけ盛り立てるというふうなかっこうにしていきたい。  それから若干の補助金でありますが、県に出して、企業整備資金のような形で貸し付けております。それから年金福祉事業団のほうからも、年間六、七十億になりますが、これを改善資金、事業資金として出すというようないろいろな手を打っておりますが、おっしゃるように一気にはなかなか成果が出てまいりませんが、今後ともいまのような線で努力してまいりたい、こういうように考えております。
  41. 和田耕作

    ○和田委員 非常に困難な問題はよくわかりましたが、この間も、そのことが熱心だと思われる神戸に参って県の関係者、市の関係者に、あなた方は生活協同組合というものを積極的に推進するような行政指導をなさっておられるのかどうか聞くと、口ではできるだけのことをなさると言っても、実際には、いろいろな圧力なり抵抗があるわけですからむずかしい問題がありますけれども、県のあるいは政府の行政指導として積極的に生協を盛り立てていこうという御方針を持っておられるのか、あるいはやっておられるのかということをお伺いしたい。
  42. 今村譲

    今村説明員 私どもは、生協法ができまして、これが厚生省所管として飛び出しましたときには——それ以前には、厚生省というのはほとんど生活困窮者、生活保護者とかボーダラインすれすれという程度しか、救済福祉という面の行政がほとんどなかったわけであります。厚生省の行政として積極的に生協法を成立せしめるというときには、一番どん底だけではだめなんで、いわゆる中産階級といいますか、そういうふうな国民大衆の生活合理化、それがひいては貧困に転落するのを防止できるというふうな考え方から出発したものでありますが、おっしゃいますように、一気にかくかくたる生協の活動というかっこうにはまいりませんけれども、私ども指導方針としましては、県なり市町村なりにできるだけそういう、たとえばいろいろな生協の普及活動を行なわせたり、あるいは灘でもやっておりますけれども、現在の生協自身の中でも、ただ物資を売ったり買ったりというだけではなしに、婦人会とか家庭会活動というものをひんぱんに開かせまして、そういうふうなことで地域の中に飛び込んでいく、あるいは職域の中へも飛び込んでいくというふうな指導をするようにということで、私どももときどき出かけていってはいろいろな話をしたり、県のほうとしても一生懸命やっておるというようなことでございます。  ただ、おっしゃいますように、県におきましても民生部あたりでこれ専任の人が非常に少ない。県によっては一人とか二人というふうなことでありますので、力が足りないという点はございますけれども、方針としてはいまおっしゃいますような線で極力発展させたい、こういう姿勢でございます。
  43. 和田耕作

    ○和田委員 方針としてはそういうお気持ちであることはよくわかりましたが、いまもおっしゃったように、実際職員の人も一人か二人、あるいはないところもあるというようなことで、空文になっておる場合が非常に多いのですね。たとえば生活協同組合のいろいろな問題点がありますけれども、その組織自体としては、協同組合の運営について住民一般の人が安心感を持たない。つまり出した金がどう使われるかもわからないという心配がある。こういう問題も非常に障害になっておるわけです。こういう問題を打開するためには、いろいろなことをやらなければならぬと思うのです。たとえば灘でこういう話をしたのですけれども、灘の生協の場合には非常に大きな信用を持っておるわけです。したがって、ああいう信用を持っておられる灘生協というものが、大阪へ出張り、あるいは京都へ出張る、つまり県を越えて出張っていくことは現在の法律ではできないことになっておる。こういうふうな場合に県を越えて、灘生協というせっかくりっぱなものがある、あるいは東京にも神奈川にも、それほどではなくても幾つかあると思いますけれども、こういうふうなものが地域を越えて生協活動ができるような法改正でもしていく、そしてやがては全国的なそういう連絡体をつくり上げていくということが大事なことだと思うのです。そういう問題、つまりそういうふうな意味の——これは簡単で法律の改正はそう抵抗がないことだと思いますけれども、こういうことをやる御意思があるかどうか、一つの例なんですけれども……。
  44. 今村譲

    今村説明員 これは、おっしゃいますように、現在は地域につきましては一都道府県を越えてはならぬという法律になっておりますので、これは灘の田中さんとか次家さんとかとは何べんもいろいろな話をしております。ただ、できました当時の国会の御議論の中で、やはりその地域その地域地域生協というものを育成するんだ、したがって、特定のものが全国にあちこちに支店を出してというかっこうのものは、本来からいえば地域活動ではないのではないかというような御議論もあってこういう規定ができたものですから、できるならば、たとえば灘生協のような行き方をよく心得た人が、大阪なり京都なりでその地域を全部まとめてつくっていくというふうなかっこうにならぬものでしょうか。これは灘のように年間に百四十億あるいは出資金が二十一億八千万という大きなものになれば、実力としてはどこへでも店が出せる。しかし、それが本筋だろうかというような話を田中俊介さんあたりといろいろしておるわけであります。地域地域によって伸びるべきものがさっぱり伸びない、灘のような運営をしておる本筋のものが平足を出したほうがいいということになるならば、当然法改正というところまでいくだろうと思いますが、ちょっとそこまで踏み切れない。何かそれにかわるような、その地域のものを育成するような方式はないかということで、いろいろ検討はいたしております。
  45. 和田耕作

    ○和田委員 私が一番最切に申し上げたように、消費者が王さまだというその消費者というものが、実際はその内容がない。内容をつけなければいろいろな問題が空文になってしまうという段階にきていると思うのです。交通の問題にしても医療の問題にしても、値上げをしなければならないということはよくわかっておるのですけれども、上げては国民が困るということで、困るという点が何ら保障されることがないということで、消費者の力になるようなものをつくらなければならない。消費者教育ということで、包装の問題とかます目の問題とかいろいろやっておられる。大事なことなんですけれども、実際そういうものが実行されるためには力がなければならないということで、再び重要な問題として浮かび上がってくるのがこの生協の問題だと思うのです。そういうふうな意味で困難を克服されて、政府として積極的にその姿勢をとってもらいたい。  ちょうど経済企画庁長官もお見えになったので、私一言長官にお願いをしたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたが、兵庫県その他に行きますと、物価の問題についてやろうとする方、モニターというような人あるいは県の職員の人も、物価をやろうとしておる人が、最近の物価の状態を見てたいへんむなしさを感じておるのです。これは政府に責任がある。政府だけじゃございませんけれども、ほんとうにむなしさを感じておる。自分らがやっておることは一体何をやっておるのだという感じを持っておられるわけで、つまり消費者自身が力になるようなものをつくらなければならぬ時期にきておるということを申し上げておるのですが、そこで協同組合の問題を御質問しておるのですけれども、協同組合の問題だけじゃないのです。団地の問題でも共同購入の問題が入っておるし、あるいは牛乳の問題でも酪農者と消費者の組合という話もどんどん出てきておるし、そういうふうな時期だから、政府が積極的に指導をして、そういう生活協同組合の問題について援助をしていくようにお取り計らいをいただきたい。いまの県を越えての法改正の問題、あるいは灘生協——これはこんなことを言っても消費者協同組合自身が信用がないとなかなか広がらないのです。これが一つの大きなガンなんですから、信用のある組織がもっと手を伸ばせるような形で、その地域地域の主体というものを生み出してくるような形のものが必要だと思うのですね。そういうふうな意味で法改正というものを検討していただきたい。このことを特にお願いして、ひとつお考えを承っておきたいと思います。
  46. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 兵庫県は、消費者行政の問題については県当局もことに熱心でありますし、また、生協などもりっぱにやっておられるのでありますが、私もそのことをよく存じておりまして、私どもとしてはそういう努力に対して非常に感謝をしておるわけでございますから、私どもとしてもできるだけお助けをしたいし、また、おりがあれば私なり関係の者なりが現地に参りまして、私どもでできるお助けはなおやって、そういう運動をさらに力づけて差し上げたい、こう思っております。また、いままでそれもやってきたつもりであります。先日も、ただいま和田委員の仰せられましたようなお話、私も伺いました。確かに一生懸命やっておられればやっておられるだけ、いかにも現実の事態というものが無力感を感じるような、そういう御発言は私は無理からぬことだと思って伺っておったわけであります。それについては、政府としても政治全体の問題、特に明年度予算編成を控えまして考えなければならない問題があるのではないだろうかと、私いま現に思っておりますし、また、他方でそのような運動が今後さらに信用を得て、全国に広がりますための必要な、もし法改正も必要であればそれも検討しなければならない、かように思っております。
  47. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 関連してちょっと伺いたいのですが、この援助の手という問題で、できるだけのことをしてやりたい。私も大阪の城東区におきまして、団地でその近くのスーパーマーケットが非常に高いので、もうそこで買うくらいなら中央ヘバスに乗ってでも行ったほうが安く物が買えるということで、そこの人たちが必死になりまして大阪府に願い出たのですけれども、どうしても五十万円の金を——私も一生懸命になって御援助したのですけれども、なかなか貸してくれないのですね。非常にがまぐちがかた過ぎて、せっかく生まれ出ようとするそういう薄給の人たちの、社会に対する手が伸びないということを、私はしみじみ体験をいたしまして、せっかく芽を出しかけているものがそこで枯らされてしまうんじゃないか。それは結局組合に信用がないというのか、あるいはたてまえで、むろん国民の税金を貸していただくのですから、慎重にしていただくのもごもっともと思いますけれども、少しはやはり思い切った手を打っていただかなければ、伸びるものも伸びないと私は思うのでございます。もう神戸あたりのように大きくなってしまえば御信用があるから、これはいろいろと御援助がございましょうけれども、ほんとうに援助の必要なところは、そういう低所得者の立ち上がろうとする人たちに、もう少しゆるやかに処置していただかなければ——これは大阪府では何か弁護士さんが相当な金を出して、その奥さんがやっている。大阪府全体に一つしかないと大阪府自身が言っておるけれども、こうして伸びようとするものに処置をしてくださらない。私は自分で出かけていってお願いをしたのですけれども、わずか五十万の金の借り出しに四苦八苦のありさまでございます。どうかひとつ地方にも、もう少し手をゆるめるように御指導が願いたいということを、私、いままことに突然でございますけれども、ここにお願いさせていただきます。
  48. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 消費者物価の問題も、ここまでまいりますと、消費者行政あるいは消費者教育といったようなことに結局重点を置かなければ解決できないということになります。何といっても消費者御自身のそういう自覚に基づく運動というものが、私どもにとっては一番味方でございます。先ほど和田委員にもお答えいたしましたように、極力そういう方向で考えたい。実は数口前にも大阪へ参りまして、大阪府知事ともそういうお話一般論として、してきたわけでございます。よく心がけていたします。
  49. 和田耕作

    ○和田委員 ではこれで終わりますが、どうぞ大臣、その問題を特にひとつ、昭和初年の消費者協同組合が起こったときにもこういう問題があったわけでありますけれども、いまの問題はもっと複雑になって、新しい時代ですけれども消費者自身が力にならなければならないという時期にきていると思いますので、ぜひともお力を入れてくだすって、がんばっていただきたい。  私の質問はこれで終わります。
  50. 武部文

    武部委員 中断しておりましたので再開をしていただくわけでありますが、七月十一日、当委員会佐藤総理の出席を求めまして、私が消費者物価の今後の見通し等についていろいろ質問をいたしました。その際に佐藤総理は、次のような答弁をされたわけであります。卸売り物価の動きはやや上向いて心配はしたが、最近鎮静をしてきた、消費者物価そのものも、全般として、私どもが予想していたよりも、それを下回るような数字といいますか、動き方としては、私どもはたいへんしあわせに思っておる、こういう答弁があったのであります。政府は、いまでもしあわせに思っておられますか。まずそのことを最初に伺っておきます。
  51. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまあまりしあわせに思っておりません。
  52. 武部文

    武部委員 佐藤総理はたいへん楽観的な見方をして、おまえの言い分は当たらぬ、おまえの数字はでたらめだというような言い方をされましたが、政府自体が佐藤総理の発言は間違っておる、こういうことを認められたと思うのです。  また、その際に、公共料金が先に上がると諸物価が必ず刺激をされるので、公共料金の値上げについても非常に慎重でなければならぬ、こういう答弁もあわせてありました。ところが現実は、一日も物価が上がらぬ日なし秋の空で、全く新聞紙上に物価問題が載らぬ日はない。新聞社に聞いてみると、投書の四分の一は物価問題だというわけであります。事ほどさように、この物価問題は、いま国民の非常な関心の的であります。経済企画庁長官もしばしばこの委員会で、本年度の消費者物価の値上がりは政府が予想しておったように四・五%にとどまる、四・五%に落ちつくだろう、こういうことをあなた自身が発言をしておられます。確かに上期では三・一%程度の値上がりにとどまった。しかし、下期の若干の上昇を考えても四・五%にとどまるだろうという、そういう自信のほどをしばしば言明されておりますが、このことについて、現在の心境はいかがでございますか。
  53. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 総理が当委員会答弁をされましたのは、ちょうど三カ月前になるわけでございますが、確かにあの段階ではそういう答弁をされて、そのことに間違いはなかったと思います。ただ、いまの段階になりますと、御指摘のようにいろいろ問題が出てきたと申すよりは、顕在化してきたと申し上げたほうがいいのではないかと思うのでございますが、そういうことがございます。  そこで、年度間の消費者物価の上昇を、政府の経済見通しのとおり四・五%でとどめることができるかどうかということについては、私自身、現在でもそれはできるというふうに考えております。ただ、それができたからといってたいして自慢にもなりませんし、また、そのでき方でございますが、私が心配しておりますのは、年度閥四五%というめどは達成できても、それがどうもしり上がりのかっこうでしか達成できないということでありますと、明年度の消費者物価動向が心配であります。ことに、ただいまの様子から推測をいたしますと、明年度には、政府に直接の関係がございます公共料金を経営上の理由から上げないと困るといっておられるようなものがかなりあるわけでございますから、そういうことがかりに行なわれますと、ただいまのこのしり上がりの情勢に拍車をかける心配がある。これを私としてはただいま一番心配しております。
  54. 武部文

    武部委員 四・五%にとどめる自信がある、なるだろうということでありますが、このパーセンテージの問題については、あとで具体的に質問をしてみたいと思います。  九月二十九日に日本商工会議所の発表による数字を見ますと、九月は前月比〇・九%上がっている。本年最高の値上がりであります。総理府統計局の発表によると、九月の東京都の区部の消費者物価の値上がりの指数、これは速報によりますと前月比二・四%上昇で、二年半ぶりの大幅上昇でございます。九月でそうであります。十月一日から消費者米価が一四・四%上がる、こういうことになっておりますが、少なくとも前年同月比で四・五%の上昇で、四%台に乗ったというのは今年度になって初めてである。そういうことが総理府からも発表されておるわけであります。そうなってくると、いまおっしゃったような四・五%という見通しについて、むしろ危険じゃないか。九月ですらこうですが、十月になると、私はこの数字はもっと高くなるような気がしますが、それでもなお四・五%という数字を政府としては自信を持って言うことができますか。
  55. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 多少技術的なことに関係がございますので申し上げますが、年度間の消費者物価の上昇は、結局その年度の平均と前年度の平均とを対比することになるわけでございます。したがって、こういう上がりを示しましたときに、その年度間の平均点はここになるわけでございます。ちょうどまん中のところになるわけでございます。また、それしか年度間の上昇率を正確に表現する方法はないと思います。そこで、四月から九月までの間の物価上昇率がほぼ三%であったというふうに考えられますが、ちょうどここで年度が半分まいりました。そこで、この年度間を四・五でとめるためには、残りの六カ月が、前年度対比で六%上昇がありましてもちょうど四・五ということになるわけでございます。そのこと自身はむろん好ましいことではございませんけれども、かりにそこまでの許容限度があると考えますと、まず年度間を通じて四・五%というめどの達成は可能であろう。非常に困難であるというふうには考えておりません。ただ、申し上げますことは、こういうような上昇のしり上がりの基調で来年度に持ち込むということを非常に心配しておるわけでございます。
  56. 武部文

    武部委員 数字の問題は、総理府の統計局から具体的な数字が出て、皆さんもそれをもとにして発表されるわけですが、報道機関等、皆さん自身がテレビや新聞を見られて統計と違う現実、あるいはまた、ごまかしの計算だとか、米の一四・四%の値上がりは〇・七%しかはね返らぬという、いわゆるお米〇・七%の魔術だとか、いろいろなことをいわれております。  私は具体的にお尋ねいたします。一四・四%の消費者米価の値上がりが、家計に与える影響は〇・七%だという政府の発表がありました。これは消費者米価を審議したときの米価審議会に対する農林省の説明であります。なるほど総理府統計局が出しておるウエートから見ると、全国のウルチ米のウエートは一万分の四百九十八であります。その計算でいくならば、確かに、おっしゃるように、一万分の四百九十八に一四・四%をかければ〇・〇〇七一七という数字が出てくる。したがって、〇・七%家計に影響するんだ、こういうことであります。  それでは、〇・七%上がるということは一体家計にどう影響するかというと、四人世帯、標準世帯で、六月の総理府統計局の全国世帯平均家計調査、これによると消費支出が五万七千円、これに〇・七%をかけると約四百円、四人家族で一人百円の支出だ、こういうことに計算上出てくるわけです。  それでは、現実に百円の値上がりで一四・四%の米の支出がまかなえておるかという計算をしてみると——三つの例をあげて政府の見解を求めたいと思いますが、大体一合の米は百四十二・五グラム、おとなが茶わんで二はい程度、普通のおとなの場合です。えらい計算はこまかいですが、朝食で二はい、夕食で三ばい、昼は外食する、こういう計算をしてみたわけです。その計算が出ておりますが、そうすると、昼は会社で大体二日に一回米食をしたとします。つとめ人として大体十二回外食をした、こういうことになってくると、米の値上がりによって一体幾ら本人が支出しておるかという計算が出てきました。一合が二円五十六銭の値上がりになりますが、家庭で朝晩食べて、外食で十二回の米食を食べて、外食は大体一食十円ずつ上がっておりますから、そうすると、家で食べる米は一人が百五十円、外食で百二十円、合計二百七十円という数字が出てくる。米の値上がりによって、一人が二百七十円支出増になっておる。先ほど言うように、政府の純計局の発表によると百円ですが、これが二百七十円です。  これ一つでは信用できぬと思いますから、あと二つ言いますが、子供二人の標準家庭で月収が五万三千円、これに〇・七%かけると三百七十一という数字が出ます。政府のいう標準家庭の家計費の中に占めるところの食費の割合、つまりエンゲル係数は三七から三八と言いますが、これはちょっと間違いじゃないか。現実離れしておると思う。エンゲル係数は現実に少なくとも五〇をこえておるとわれわれは見るが、その点はどうか。これは質問になります。  それから消費者物価指数を出す四百六十八品目ですか、この中には十年に一ぺんしか買わぬような耐久財も入っておる。そんなものの平均を出してきて、これが消費者物価指数だというようなこと自体にも、たいへん大きな矛盾がある。こういう点。  それから、これはこの間新聞に発表されておりましたが、東京の給食センターで都内の中小企業の社員向けの給食をやっておって、朝五十五円、昼と夜が七十五円、こういう平均の金になっておる。ところが、米の値上げで一食について三円程度どうしても上げなければならぬ。したがって、月にすると三百円上げなければならぬ。こういうことがいわれておるわけであります。したがって、私が先ほど言うように、百四十二・五グラムに換算した一合の米を外食で十二回食べて、うちで食べて二百七十円上がる数字と大体合うのです。政府のいっておる一人百円だというのは、現実には三百円ですよ。三分の一しか家庭にはね返らぬという数字をいっておる。お米〇・七%のはね返りの魔術というようなことをいわれるのは、ここに原因がある思う。したがって、こういうような〇・七%しか現実に家計にはね返らぬという統計でものを考えるというところに、政治の矛盾があるように思うのです。  もう一つ、事実をあげて言いますが、たとえば電話料金です。電話料金が現実に家計に幾らはね返っておるか。これは政府の発表によれば〇・三%だというのです。ところが、これを調べてみると、電話を持っておるところも持っていないところも全部世帯を一緒にして、このはね返りは〇・三%というのです。次の数字はどうですか。いま、一カ月で六万円の月収を持っておる世帯に電話があった。その電話の支出は千六百円です。内訳は基本料金が七百七十円、度数料が八百三十円です。これをパーセンテージに直すと、六万円の家計で二・七%、政府は〇・三%という。もしかりに二二%上がったらどうするか。これを平均してみると三・九%、約四%家計にはね返るのです。政府の統計は、電話を持っていないところもひっくるめて割り出して出た数字が〇・三%です。電話のある家庭のことを考えて、そこが一体幾らはね返るかという数字を出さずに、電話のないところまでそういう統計に加えて計算する必要はない。こういうところに数字のごまかしというか、魔術が非常に存在しておると私は思うのです。ですから、〇・七%しかはね返らぬという、そんなことは少なくとも家計を預かっておる人は全然信用しません。これについて政府の見解を求めたい。
  57. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは結局、社会生活の実態が統計でどの程度まで正確に把握できるかということに関係すると思います。ただいまおあげになりましたもろもろの統計は、多く総理府統計局の作成にかかるものでありますが、総理府統計局の統計そのものの信憑性は、私ども疑ったことがございません。非常に正確である。きわめて独立的な、いろいろな考慮を払わない学究的なものであるというふうに考えておるわけであります。問題は、ですから御質問がありますと、私どもそれらの統計に立ってお答えをするしか方法がないのでこういうお答えをしますけれども、たとえば消費者物価が従来引き上げられますと、それを機として、消費者物価指数はその米価の値上がりを転機にしてかなり大幅に積み上げるということが在来のずっと例でございます。でありますから、その理由はいろいろあるといたしまして、今回の消費者米価一四・四%の引き上げが現実に家計に波及する範囲は何がしであろうかということ、少なくとも平年ベースで〇・七ではとどまらないであろうということは、私もそう思っております。ただ、それがどう波及してどうなるかということを統計的に言えといわれますと、事前に予測する方法がないわけであります。  エンゲル係数そのものに間違いはないかというお尋ねもございましたが、これも総理府統計局の全都市、全世帯の調査を信用するしか方法がないわけでありますが、三十六年度の四〇から四十一年度には三七になっております。今年の一番最近のデータは、六月の三六・一でございます。御指摘になりました世帯のエンゲル係数は、これよりも所得が高うございますから、これよりもさらにエンゲル係数が低いかもしれぬ。しかし、いずれにしても平均は三六とか七とかいうところでございます。  先ほどいろいろ外食をした場合等々についても御指摘がありました。それらのことは、傾向としては私は仰せられるようなことがあると思いますけれども、これが計数的に幾ばくであるかということは、先ほども申し上げましたように統計ではとらえることができませんし、また電話についての御指摘も、電話を持っておる世帯、持っておらない世帯では、持っておらない世帯は何も影響を受けないわけでございます。平均的にはそういうことになると申し上げるしか方法がない。やはり統計で影響なり何なりを予測するということは、統計自身の持っておる限界がございますから、すべての実態を正確に反映するということは言いがたい、おそらくそういう趣旨の御質問であれば私もさように思います。
  58. 武部文

    武部委員 私の指摘したいのは、ただ単にこの指数に基づいて〇・七しかはね返らぬのだというようなものの考え方で政府が政治をしてもらっちゃ困る、現実はそんなものじゃないんだということを申し上げたかったわけであります。たとえば、一つ落としておりましたが、内地米の四等、これは従来並み米で十キロ千百七十五円、ところが今度はちゃんとランクを変えて上米に格上げされたわけですね。そうすると十キロ千三百九十五円ですよ。これを見ると一八・七%になりますよ。それならもうちょっと——同じ米がランクだけを変えておるんでしょう。高くなったからといって徳用米に転用するわけにもいきません。そういう点で何か非常に数字のからくりがあるんですよ。そういうことについて非常に不満が強い。だから米価の値上げについては、パーセンテージを上げたと同時に、格上げをして同じ米を今度はランクを一段上げて高い米にしておる、こういう事実があります。ですから、私が先ほど例を申し上げて言ったのは、こういういわゆる数字の魔術やからくりで国民を納得させようと思ったってだめだ。国民自身が毎日の生活を通してよく知っておるのですから、そういうことがどんどん投書になってあらわれた、こういうことを申し上げたかったわけであります。
  59. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今度平均一四・四%の値上げを平均できめましたものの考え方の中には、消費者にできるだけ高いものと高くないものとの選択をしていただこう、そういう意図が含まれております。現実に蓬莱米などは二〇%ほど下げておるわけであります。できることならば家計のいかんによって、家計に余裕のあるときはいい米を食おうと考えられる消費者もありましょうし、余裕のないときには多少悪くても安いものを買おう、こう考えられる消費者があるかもしれない。あるいは私どもの思っているようにそうならずに、米ぐらいはやはりいいのを食べなければならぬのだというふうに消費者が思われるかもしれませんが、少なくとも政治としては安いものもつくっておく、御選択くださいということのほうがよかろうと思ってそういうことをいたしたわけであります。
  60. 武部文

    武部委員 それにはちょっと私は異論があります。これは論争になりますが、貧乏人は麦を食えですよ。そういうものの考え方はちょっと困るのですよ。これはあらためてひとつ論争しましょう。  もう一つ。時間がありませんから。十月の五日に大阪で一日物価会議が行なわれまして、その内容を私どもはテレビで見ました。新聞でも見ました。非常に強い意見が政府に対して出ておったようであります。これは、長官も出席されておったわけですからよく御承知でありますが、そのあとで記者会見をされまして、大体三つのことを述べておられますね。これは私は非常に重要だと思うので、きょうはこれを質問するわけですが、その一点は、先ほどの。パーセンテージの問題です。四・五%に押えることができるだろう、ただ問題は、便乗値上げや公共料金あるいは交通料金等が連鎖的な値上げをするのではないか、その点が心配だということが一つございましたね。二番目は、いまのような物価の上昇を放置すると政治不信を招く、したがって、米価や公共料金など財政が介入するものについては、本格的に調整しなければならぬ。三つ目は、本年度の予算編成にあたって、米価とか公務員のベースアップ、公共料金や減税政策を含めて、いままでのような予算編成方針を根本的に再検討して、財政膨張を抑制したい。この三つのことが述べられたと思うのです。これは物価対策としての予算編成方針の再検討の根本だと私は思います。これは非常に重要なのでお聞きしたいわけですが、便乗値上げということを言われた長官は、九月二十九日の閣議で特にキッコーマン醤油を取り上げたわけですね。キッコーマン醤油が大幅に値上げをする、この会社は二三%、二割三分も配当している、そして市場の占有率は二五%もある、しかるにこれが値上げをするということはたいへんだということで、長官自身がこの問題を取り上げて農林大臣に善処方を要望されたわけですが、これはどうなりましたか。まず、キッコーマン醤油のことからお聞きしたい。
  61. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 便乗ということばでございますが、全く値上げをする必要がないのに上げるということは市場経済では考えられませんから、完全な便乗ということはおそらくあり得ないことであって、ただ、どうしようかなと思っているときに米も上がったということなら、これは長年考えていたことを実現するのにいい機会だというふうに生産者側は思いやすい、そういう場合を私は便乗とかりに言っているわけであります。  そこで、そのしょうゆ会社のことでございますが、私企業でございますから、私ども配当はしなくてもいい、内部留保はしなくてもいい、とにかく消費者にサービスをしなさいというふうには決して考えません。株主には配当すべきであります。また、会社の健全な経営、今後の合理化、投資等のために内部留保もいたすべきであります。しかし、それらの条件がまず満足に満たされているような場合、この会社の場合には幸いにして有価証券報告書が、非常にりっぱなものが出ております。それから検討するとどうも余裕があるのではないか、こう考えましたので、農林大臣に一度この問題を考慮していただきたいということをお願いをいたしました。農林大臣も、業者——これは実は特定の業者だけの問題ではなくて、業界全体に関係がある問題のようでございますので、その人たちと関係の事務当局とよく話し合ってみよう、こういうお答えでありました。今日、そういうお話し合いが継続をしておるものというふうに承知をしております。
  62. 武部文

    武部委員 継続しておっても上がっておるのですから、これは何にもならぬのですよ。この便乗値上げを抑制しなければならぬということを、三日でしたか、佐藤総理から非常に強く要請されて、便乗値上げについて対策を立てる、こういうようなことが報道されております。私はこの間、新聞でこういう狂歌か川柳かわかりませんが、見ました。基本物価上げて便乗和ならぬとのたもう政府の頭ぞふしぎ、私は同感ですよ。基本料金を、公共料金をどんどん上げておいて便乗はけしからぬと言ったって、これは通りませんわ、そうでしょうが。便乗には法的に押える根拠はないはずですよ。そこへ持ってきて便乗けしからぬ、便乗は大々的に取り締まらなければいかぬということを幾ら閣議や経済閣僚懇談会で決定したって、それでは、便乗値上げについてどういう具体的方法をおとりになりましたか。
  63. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、やはり企業には社会的な責任もあるのだということの一つのものの考え方をどれだけ徹底さしていけるかということと、それから、少なくとも政府の一部はこれを便乗だと考えておるということを消費者に知っていただく、その両方の方法であると思います。
  64. 武部文

    武部委員 どうもわかりませんが、時間がないですから、次に公共料金の問題です。  公共料金は、広い意味消費者家計の四分の一、大体まあ二〇%くらいのウエートを持つのじゃないかといわれるくらい非常に重要です。いま取りざたされておる国鉄の定期、たばこ、酒、電信電話料金、国立大学の授業料、ふろ代、バス運賃、こういう問題について一体今後の見通しはどうなのか、政府として、はどういう方針で臨もうとしておるのか、この点についてひとつ具体的に説明してください。
  65. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、国鉄でありません交通関係については、先般東京都あるいは大阪府のように、昭和三十八年ごろから言われておりました公営企業の再建ということが、ようやく再建案ができ上がりまして政府に認可を求めてきたというものがございます。その数年間検討の結果の再建案であれば、私ども原則としてこれは認めていくべきものだと考えておりますので、その幅等については問題がございましても、財政再建の結果の東京あるいは大阪等々の公共料金の位上げは、これは認めていかざるを得ない。むしろ政府が財政再建を勧奨したわけでございますから、法律もつくっていただいたわけでございますから、それらについてはそう考えております。  しかし、大きな御質問のもっとおもな部分は、国鉄である、電電公社である、たばこである、授業料である、そういったようなものでございますが、これらはいずれも明年度予算編成の関係で問題になっておるものであります。私が承知しております限りでは、それらのおのおのの企業、まあ学校企業と申しましては不適当でございますが、国鉄、電電、専売等々の内部事情は、確かに値上げをするかあるいは相当の財政上の支援を受けるか、そのいずれかでなければならないというような実情に差しかかっておるように思います。思いますが、先ほど申しましたように、現在の消費者物価の趨勢から申しますと、もしそれをそのまま実現いたしますならば、明年度の消費者物価情勢というのはほんとうに心配しなければならない事態だ、こう思いますので、それで先ほど武部委員からも御指摘がありましたように、これは財政、予算編成との関係で根本的に問題を考え直す必要があるのではないだろうかということを申したわけであります。
  66. 武部文

    武部委員 わかりました。  それで、先ほどの大阪の記者会見の三つの項の中の三番目ですね。これはいま答弁がございますように、予算編成の中で再検討をして財政膨張を防がなければならぬ、こういうことを言われたわけです。このことについて、具体的に政府内部ですでにこの問題についての討議といいますか、そういう話し合いは進んでおりますか。
  67. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは御想像のとおり、非常にいろいろなむずかしい各方面に関係のある問題を含んでおります。したがって、私としては自分の案を固めますために関係閣僚、それから今日も、実はお許しがあれば私どもの党の政務調査関係の人々とも会いまして、問題の所在、それからそれに対してどのような対策が考えられるかということを根本にさかのぼって少し相談をしてみたい。私一人が言い出しましてもどうなるものでございませんので、問題を指摘して、関係者にみな基本にさかのぼって考えてもらいたいということで、ちょうどだだいまの時点あたりからいたしてみたい、こう考えております。
  68. 武部文

    武部委員 それじゃ最後の一つで終わりますが、運輸省来ておられますか。——標準運賃のこと、よろしゅうございますね。バス運賃値上げの申請が相当出ておるというふうに聞いておるわけでありますが、地方のバス運賃の値上げ申請の数、それから中小私鉄の申請の数、それから問題になっておる標準運賃、この標準運賃というのは対象は一体何なのか、内容としてはいつごろ実施するつもりなのか、それからついでに、標準運賃を設定するというならば、現在値上げの申請の出ておるそういうものは、標準運賃の設定が決定するまで値上げの申請を保留する、そういう考えがあるかどうか、それだけ伺いたい。
  69. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 管轄外の鉄道につきましては私よくわかりませんので、バスについて申し上げます。  バスにつきましては、従来から、経営の悪化につきまして四十年の五月以降関係官庁と慎重に審議いたしまして運賃改定をいたしてきたわけでございますが、十月の三百三十三業者のうちで申請のあったものについて、二百九十一業者はすでに済んでおります。現在残っているのは二十三業者でございますが、これにつきましてはいずれも臨時物価対策閣僚協議会におきまして了承を得ておりまして、事務手続を終わり次第処理する考えでございます。  なお、標準運賃につきましては、先般の臨時物価対策閣僚協議会におきまして、今後の乗り合いバス運賃につきまして、標準運賃制度を基本とする原則をさらに徹底するように具体策を現在検討中でございます。標準運賃制度といいますと、一定の地域におきまして乗り合いバス事業の能率的な経営のもとにおきますところの必要な原価の標準をきめまして、バス運賃改定の要否を判定したり、あるいは運賃率そのものを算定するときの基準とすると同時に、乗り合いバス業者に対しまして原価の管理目標を与えまして、より能率的な経営をはかっていこうということでございます。これにつきましては現在検討中でございまして、年内に関係官庁とも連絡いたしましてきめたいと考えております。  なお、先ほど申し上げました残っておる二十三業者につきましては、この標準運賃を適用することは考えておりません。従来のように原価を、能率的な経営のもとにおきますところの個々のケース・バイ・ケースにおきまして査定いたしまして、そうして運賃の賃率をきめていくという考えでございます。
  70. 武部文

    武部委員 そうすると、残った二十三業者については値上げを認める方針ですか。
  71. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 これは、ただいま申し上げましたように臨時物価対策閣僚協議会で了承を得ておりまして、認めるつもりでございます。
  72. 武部文

    武部委員 それはいつごろですか。
  73. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 これは現在協議会でオーケーになりまして運輸審議会に詰問いたしておりまして、答申がまいりますと個々に処理されるのでございますが、これは関東地方が多いわけでありますけれども、北海道の場合は小さい業者も入っております。
  74. 武部文

    武部委員 その標準運賃は年内にきめるというのでしょう。いま十月でしょう。ですから、標準運賃というのは、あなた方自身として会社の経営の規模とかいろいろなことを見て標準をつくって、そうしてやるというのでしょう。それを適用したらどうですか。それまでどうして価上げを保留することはできないのですか。ちょっと大臣からひとつ……。
  75. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 標準運賃につきましては、従来も申請が出てまいりますと査定しておりまして、いわゆる能率的な経営におきますところの適正な原価あるいは適正な利潤というものを見てやっておるわけでございますので、ケース・バイ・ケースで見ておったわけでございますが、それに対しまして先般の閣僚協議会におきまして、さらに標準運賃制度というものを検討するように言われましたので、それにつきまして現在検討しておるわけでございます。なお、運輸省で案ができますれば当然企画庁とも御連絡いたしまして、そして成案を得たい、その目標をできるだけ早くやりたいということで、いまやっておるわけでございます。現存残っておりますところの二十三業者につきましては、先般の閣僚協議会でもオーケーになっておりますし、従来の、四十年以降処分してまいりました事案の一連でございますので、これにつきましてはできるだけ早く処理したいという考えでございます。
  76. 武部文

    武部委員 閣僚協議会で決定したといま御答弁ですが、これだけどんどん上がるので、何とか抑制しなければならぬということを宮澤長官から発言があったわけでしょう。ましてこれは広い意味で公共料金です。そういうときに標準運賃をつくって、何でもかんでも上げるということはしないぞという規定一つつくろうとしておるのでしょう。そのときに、なぜ閣僚協議会はそういうことを認めますか。ちょっと宮澤長官のほうからひとつ……。閣僚協議会に出席されておるでしょう。
  77. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはこういうことでございます。まず、閣僚協議会では、東京都の再建計画を認めるということとの関係で、東京都に乗り入れをいたしております数社について並行路線の値上げは原則として認めるということをいたしましたが、それと同時は、昭和四十年ころから、個々の地方の業者が多いわけでございますが、について一部の値上げを認めておる。それとの権衡上残ったものがございまして、いわば持ち越しておったような案件でございますが、それらの経営を見たりいたしますときわめて経営が困難である、そして前にすでに過去二年にわたって許されたものとの権衡上、この際認めざるを得ないであろう、そういういわば残ったものを処理をいたすことになっております。しかし、これからあと——これで一ラウンド終わったという感じでございますが、今後どうするかについては、これはやはり標準運賃というものを考えなければならないではないかということを運輸省に申し上げて、その検討が始まっておる、こういうことでございます。
  78. 武部文

    武部委員 どうもやはり納得できません。三百三十三の業者があって、二百九十一が済んで今度二十三にする、全部合わせると大体みんな上がることになる。検討したと言うたけれども、若干おくれただけであって、みんな値上げですよ。そういうときに、たまたま標準運賃という制度を検討しておるなら、それまで待ってもいいでしょう、いますぐやるのだから。それなのに前の均衡があるからどうだ、よその会社が上がっておるのにうちのほうはどうだ、そんなものの考え方で、それこそ便乗値上げしてもらっては困ります。  私はこれで終わります。
  79. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはそういうことではございませんで、二年ほど前に上げた、認可した分のそろそろ第二波がもう来そうなんでございます。実を申しますと、それで、それに対しては第一波の終わるまではいいけれども、標準運賃を考えるぞ、こういうのが実情でございます。
  80. 武部文

    武部委員 終わります。
  81. 戸叶里子

    戸叶委員長 大蔵大臣並びに経済企画庁長官の御出席の都合がありますので、午後一時に再開いたします。それまで暫時休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後一時八分開議
  82. 戸叶里子

    戸叶委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。武藤山治君。
  83. 武藤山治

    武藤(山)委員 冒頭に中西国民生活局長から、九月、十月に値上げになった品目、必ずしも的確に把握されていないものでこれは上がったらしいというものも含めて、品目をざっとあげてみてください。
  84. 中西一郎

    ○中西説明員 まず内地米、徳用米関係消費者米価、それから原材料用のものも含めましてモチ米、それからそのほかの原材料用の米関係もございます。それから保健衛生関係で九月、十月にわたっての問題、それから交通関係で都電、都バスその他の公営企業の関係、そのほか新聞紙上では外食費がどうだとか、特に外食の中の米代がどうだとか出ていますが、これらの実態はまだ十分把握いたしておりません。それぞれ聞いておりますと、値上げしたい希望はあるけれども、競争の関係で上げられないというような業者もあり、一律にどうなっておるということは、現段階ではちょっと申し上げかねます。
  85. 武藤山治

    武藤(山)委員 みそ、しょうゆ、灯油はいかがですか。
  86. 中西一郎

    ○中西説明員 みそ業界は一部で値上げの動きがある、というよりも値上げの希望があるといいますか、というふうに聞いておりますけれども、御存じのように非常に競争の激しい業界でございます。そういうことで、かけ声ほどには心配しなくていいのではないかというふうに、私個人としては観察いたしております。  しょうゆについては、中小メーカー、特に次ぎものといいますか、このクラスが値上げを発表して実行に移っておるようです。その後大手メーカーも公表をして、新しい荷動きの分からは蔵出し価格を上げていくというふうに聞いています。それが小売りの関係にどういうふうな仕組みでどう響いていくかということは、これは途中に協定などがありますと問題になりますし、そういうことを含めて、政府機関それぞれ注目しておるところであります。  灯油については、これは年末を控えてどういうふうになるかということですが、通産省で需給関係等をよく調整して、業界の中で不当な値上げが行なわれないように措置していこうという方向で検討をしていただいております。
  87. 武藤山治

    武藤(山)委員 ふろ代、さらにハム、ソーセージ、それから外食、この三つについても、もうすでに十月に入って引き上げられているようですが、あなたの認識が少し乏しいのじゃありませんか、どうですか。
  88. 中西一郎

    ○中西説明員 ふろ代は、これは物価統制令による最高価格制度がございます。動きはあるようですけれども、まだ都道府県で認可したというふうには伺っていません。  外食の関係は、先ほど申し上げましたように、米代について、一食分についての値段を二円、三円あるいは十円上げたというふうな情報がありますけれども、一律にそうなっているというふうには理解いたしておりません。
  89. 武藤山治

    武藤(山)委員 一律に全国全部に一斉に上がるなんということは、ちょっと私企業の場合考えられませんから、国民生活局長の耳に入った情報で、地帯によっては上げているなと思われる品目を私は言ってもらいたいわけです。ハム、ソーセージの場合どうですか。それからもう一つ灯油の場合、通産省の認可がなければ上げられないのですか、それとも小売り段階で三百五十円のものをすでに四百円で売っている小売り業者があるというようなことも聞いているのですが、そういうものがあるとすれば、これは法律違反ですか、それとも灯油は個々の小売り段階である程度動かせるのですか、それを明らかにしていただきたい。
  90. 中西一郎

    ○中西説明員 灯油の値段は自由価格でございます。それで需給関係等もあって非常に突っ込んでおった時期があり、それが回復されておるというようなものも地域によっては見られます。しかし、冬場を控えて大幅な値上がりがいろいろな地域で起こってくるというような事態は何とか避ける必要がある。個別については、先生おっしゃるような事例が現段階でも若干はあるのではないかと思います。
  91. 武藤山治

    武藤(山)委員 企画庁長官、大蔵大臣、いま生活局長答弁した品目だけでも、米、しょうゆ、保険料、外食、私鉄十社、はっきりはわからぬが、それ以外にみそ、理髪、こういうように、すでに九、十月で上がった品目数だけでも十種を数えるに至りました。まさに値上げのムードと言わざるを得ない情勢にある。  生活局長、もう一つ、これから年度内にかけてあるいは十二月にかけてと区切ってもけっこうですが、値上げせられるようだと思われる品目は、どんなものがあなたの耳に入っていますか。
  92. 中西一郎

    ○中西説明員 いま大体出た以外にちょっと頭に浮かばないのですが、一つお答え漏らしたのはハム、ソーセージ、これは大手メーカーによっては値上げして実行に入っておるのがあるようです。ただハム、ソーセージの種類によりますけれども、品質が相当よくなってきておるという関係もありますので、一がいに値上げと言い切れるかどうか、その辺はもう少し事態を見る必要があると思います。
  93. 武藤山治

    武藤(山)委員 局長、いまのは九月、十月ですね。現実に値上げになったもの、事実関係だ。これから上がりそうだと思われるもの、この年内まで、十二月までに、あなたのほうで大体あれとあれがやってきそうだ、運輸省もこれは許可しそうだ、通産省もこれは賛成しそうだ、閣僚協議会もこれはうんと言いそうだ、こう思われるものが幾つかあるはずです。
  94. 中西一郎

    ○中西説明員 ちょっと触れたのですけれども、いまのところ、先ほど来出ておる以外にはちょっと頭に浮かびません。
  95. 武藤山治

    武藤(山)委員 それじゃ私が尋ねますが、医療費の手術料と入院料が来年上げる予定だったものを、十二月に繰り上げて十二月一日から上げようということを厚生大臣も認めたような新聞報道が大きく出ておりますね。これは事実に反するかどうかが一つと、第二には、私鉄七社がすでにもう運輸省の認可を受けて、これが十二月までに上がる話がある。それから、先ほどの運輸省の答弁ではバスが二十三社、これが年内に上がる、これははっきり答弁がさっき出ましたね。局長、そういうのを聞いていないのですか、故意に答えないのですか。ほんとうに私がいま指摘したような私鉄の問題、医療費の問題、バスの二十三社の問題、国民の、消費者の最も善良な政策を立案し、消費者を保護すべき立場にある局長が、そういう十二月までの値上げの傾向についてほんとうに知らないのですか。知らないとしたら、私はちょっと怠慢のような気がするのでありますが、局長としてどうなのですか。指摘されてみてどう思いますか。
  96. 中西一郎

    ○中西説明員 私鉄、バスの関係は申し上げなかったのですけれども、政府の態度としてはすでに決定済みのものであります。そういう意味で申し上げませんでした。入院料等については、まだ正式の話は伺っておりません。
  97. 武藤山治

    武藤(山)委員 正式な話は伺ってなくも、あなたの耳にはいろいろなアンテナから、こういうものも十二月、年内に増徴になるな、こういうことはわかっているわけでしょう、大体新聞を見て。あなたの管轄じゃありませんから、直接あなたの認可なり相談なりというものはないと思いますよ。しかし、やはりあなたは、日本全体の消費者にどういう悪影響を及ぼすかという、物の値上がりについては関心を持たなければならぬ責任があるはずであります。そういう面から、私はちょっと答弁に不満だったのであります。  それなら、来年度の予算をめぐって、これは来年上がりそうだな、わしの直轄の問題ではないが、これも弱ったなという感じを持つもの、明年度予算編成をめぐって上がりそうだと思われるものをちょっと言ってみてくれませんか。あなたの感じでけっこうです。
  98. 中西一郎

    ○中西説明員 私の感じで上がりそうだということを申すのは、はなはだ僭越だと思うのですけれども、これもお許しをいただければ、新聞紙上では電電、国鉄の定期の関係、授業料の関係などが散見されております。それぞれ火のないところには煙が立たぬということですが、一部では問題になっておると考えていいのではないかと思います。
  99. 武藤山治

    武藤(山)委員 大蔵大臣、私の新聞等によって察知した情報では、電話料、電報料、国鉄運賃、大学授業料、たばこ——たばこはこの間東海林総裁が大阪に行って、上げるとまだ確定した気持ちではない、こういう新聞記者会見をやっておりますから、たばこのことはちょっと濃度は薄いかと思いますが、これらの予算に関連をする料金関係というものが上がる傾向にあるか、それともこれは大蔵大臣が絶対上げないであなたが処理するということで、上がりそうだという答えになるか上がらないという答えになるか、一応あなたの感じをまず聞きたいと思います。
  100. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 来年度の予算編成につきましては、八月末に締め切った各省の概算要求をいま検討しているという段階でございまして、これから来年度の予算をどういう方針に沿って編成するかということはまだ全く未定でございまして、いまそこまでわれわれの検討が全然いってないところでございますので、たとえば電電公社の問題にしましても、たばこの問題にしましても、全く未定でございます。
  101. 武藤山治

    武藤(山)委員 認めるか認めないかは未定であるが、各省の概算要求の中には値上げの部門というものはかなりございますか。それをちょっとお教え願いたい。
  102. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 値上げの要望は相当ございます。
  103. 武藤山治

    武藤(山)委員 その相当というのは、先ほど申し上げた電話料、電報料、たばこ、国鉄運賃、大学授業料、それ以外にもございますか。
  104. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いまのところは、もっぱら電電公社が、もしいま要求されているような計画を遂行するというためには、電話の値上げが必要だという意見が出ておるだけでございまして、そのほかの値上げ問題は表面の要求にはなっておりません。
  105. 武藤山治

    武藤(山)委員 宮澤長官、ひとつ御意見をお聞かせ願いたいのでありますが、最近物価戦争ということばが使われておりますね。企画庁長官、担当大臣として物価戦争ということばを耳にしたことがございますか、あるいは書物で見たことがございますか。
  106. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 たしか新聞で見ております。
  107. 武藤山治

    武藤(山)委員 物価の問題について、戦争という概念が使われているという事態をどうお感じになりますか。
  108. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 平和が望ましいと思います。
  109. 武藤山治

    武藤(山)委員 平和が望ましいということは、物価が上がらないということが望ましいということですね。同時に、戦争という概念の中には、いろんな要素が内包されているような気がいたしますね。一つは不安、恐怖、混乱、そうですね、破壊、そういうイメージが戦争という概念の中に含まれていると思いますが、あなたどう感じますか。
  110. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 やはりいまそういうことばが使われ始めましたのは、午前中武部委員にも申し上げましたように、今年度の消費者物価の動向がどうもしり上がりに行きそうである。しかも、その直接の動因は十月の消費者物価の値上げではないか。そして、明年度に入りますと、先ほど御質問のありましたような公共料金関係の引き上げがいまいろいろ取りざたをされておるというような一連の動きに対して、消費者としてとどまるところを知らないのではないかという一種の不安、そういう気持ちがありまして、それがああいうことばになってあらわれているのじゃないかと見ております。
  111. 武藤山治

    武藤(山)委員 まさに長官がおっしゃるとおり、消費者は非常に心配をしておるわけですね。あるいは精神的には非常な混乱を来たそうとしていますね。だから、私は、物価戦争というテーマをつけたのはジャーナリズムの単なるオーバーな表現でもなく、消費者に適切な表現が、この物価戦争というふうな気がするわけであります。そこで、物価騰貴というものは人心を不安定にし、経済の健全な発展を阻害する要因です。国家国民の繁栄と幸福をじゃまする働きをいたします。そういう国家国民の繁栄と幸福を阻害するような物価騰貴を、何とも処置できない政府というものは善なる政府であろうか、悪なる政府であろうか、ちょっと政治論の道徳政治論になると思いますが、そういう政府は善良な政府ということができるでしょうか。長官と大蔵大臣、両大臣にひとつあなたの心境を、ちょっとお聞かせ願いたいのでありますが、どうですか。
  112. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 消費者物価の上昇というものを一般的に否定すべきかどうかということになりますと、私自身はある程度、ことにわが国のような成長経済にあっては、ある程度の消費者物価の上昇はやむを得ないものである。たいへんにいいとは申しませんが、きわめて軽微なものであればそれによって生産構造を変えていく、あるいは社会生活を変化さしていく、先進国化とは申しませんけれども、どちらかといえばそういう方向に変わっていく経済上の動機になると思いますので、一切の消費者物価の変動が悪であるというふうには考えません。そこで、そのめどというのは、やはりたとえば定期預金の利子であるとかいうそれを上回るような消費者物価の上昇というものは好ましいと思いませんし、また、私どもとしては、昭和四十六年には三%台までというところへ持っていこうと考えておりますので、そういう長期的な観点から言いましても、高い消費者物価の上昇というものはもとより好ましくありません。一般的に申して、定期預金の利子より物価が上がったというようなことは、政治としては私は失敗である、一般論としては前からそう考えております。
  113. 武藤山治

    武藤(山)委員 大蔵大臣どうですか。
  114. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 不当に物価の上がる社会というものは当然健全な社会とは言えません。したがって、その経済社会をリードしていくべき政府の施策が十分であったということはやはり言えないだろうと思います。
  115. 武藤山治

    武藤(山)委員 宮澤さん、先ほど定期預金の利子の五%以上に上がるのは悪だろう、しかし、その程度までならば、ある程度の経済成長をささえていく場合にはやむを得ないと認識しているようですね。ナショナルの松下幸之助さんは「PHP」という木の中で、文化が発展するにつれて物価は下がるべきものである。というのは、ロスが解消してすべての面で、要するに政治も経済も社会状態も道徳観もロスがなくされていって、そうして原則的には物価というものは下がる傾向に行くべきなんだ。したがって、物価も当然経済成長とともに上がるのだという認識は間違いだ、こういうことを書いているのでありますが、そういう論に対して反論するとしたらば、長官は、どうしても物価はやむを得ないんだ、五%以下という、四・五%という政府の見通しぐらいは悪くないのだ、そういう認識をされる根拠をひとつ明らかにしてくれませんか。
  116. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 途中を飛ばして申し上げましたのでそのようにおとりになったかと思いますけれども消費者物価が定期預金の利子ほど上がれば政治としてはこれはどこかに間違いがあると申し上げましたのは、それまではいいんだというふうに申し上げたのではなかったのであります。現に今年度私どもが四・五%という目標を持っておりますけれども、午前中に申し上げましたように、これが達成できたとしても別に自慢にならないのでございますが、申し上げましたのは、これでもむろん高いのだというふうに考えておるのでございます。それで松下さんの言われましたことでありますが、結局どういう時点から出発して消費者物価がどうなったかという、その基本の時点を定めて考えないといけないと思いますのは、申し上げるまでもなく、わが国はかなり失業がありました状態から完全雇用のほうに近づいておる。ちょうどその途中にございますので、この限りではやはり労働力逼迫に伴って賃金というものは高く評価されるようになる。それがいろいろな意味でサービスを直接消費いたしますときも、あるいはそれが賃金という形で生産コストに取り入れられますときでも、その面からの消費者物価は上がりぎみであるということは否定できないと思います。そうなりますと、政治の選択は、相当の失業があってもなお物価が安定しておるほうが好ましいか、あるいは雇用が荷まることによってその結果として消費者物価がある程度上昇する、後者の場合のほうが好ましいかということになりますと、私自身は、失業が滅っていく状態、雇用がふえていく状態のほうが好ましいというふうに考えます。おそらく松下さんの言われますことは、機械化によって生産性の向上ができるような分野において物価が上がっていくことはおかしいので、近代化すればするほどコストは下がるべきだ、こういうことを言われておるのだと思います。国民経済全体について、ことに現在のようなわが国の状態においては、簡単にそういうことは申し切れないのではないかと思います。
  117. 武藤山治

    武藤(山)委員 長官、アメリカの経済は、年率どの程度消費者物価は上がってきたと認識されておりますか。
  118. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 かなり長いこと一%程度でございましたが、ここに来まして昨年、おそらく今年もでありますが、三%に近い上昇があると思います。一九三九年ごろからただいままでの間のドルの購買力を考えてみますと、大体五〇%をちょっと切ったということになっておるのではないかと思います。
  119. 武藤山治

    武藤(山)委員 先進資本主義の国アメリカが、異常な上昇を続けるようになったといわれても三%程度ですね。日本の場合は、それを内閣はもう当初から四・五%を想定をして、おそらくそれでとどまらぬだろうという趨勢にある。あなたは何か、これから半期六%は上がらぬだろうから四・五%でとどまるだろうと言われますが、私は来年の三月までにはその数字でおさまらぬのではないか。かりにおさまったとしても、それは自動車やテレビや耐久消費財が安くなったものまで全部プールされて物価指数は出されたので、低所得者に与える被害感というものは非常に強いものがある。四・五どころでなくて、生活必需品だけで生活している大衆というものは、物価指数の四・五%というその数字で生活しておるのではないのでありまして、非常な圧迫感、犠牲感、政府の怠慢というものを感じる度合いは、大衆にとっては非常に強いものがある。したがって、アメリカの経済のように高くても三%、普通なら二・二、三%というところに物価騰貴を押えていかなければ、政府の任務を完全に遂行したということは言えないのではないだろうか、私は特にそう感ずるわけであります。特に昭和三十五年までの日本の物価というものを見た場合に、今日のように二年周期で公共料金あるいはそれに付随した物価というものがだっと上がるという、大体二年周期で三十五年以降動いておるような気がするわけであります。三十五年まではそういう傾向がなかったのに、三十五年からそういう傾向になったということは、私は政府の経済政策、金融財政政策、そういう経済成長のとり方というところに最大の原因があるのではなかろうか、そういう感じがするのでありますが、昭和三十五年以降二年周期でだっと物価が騰貴してきた最大の原因は、宮澤さん何でございましょうか。
  120. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私も大体武藤委員の言われるような見方をしております。  そこで、前段に言われましたことでございますが、確かに低所得層が消費者物価の上昇をきつく感じておるということはそのとおりと思いますし、それは政治の責任だということも、私そう思いますけれども、ただ、所得はいまの所得であって物価だけが五、六年前の物価であればいいというようなものの感じ方、考え方には、冷たく言えば少し聞違いがあるわけでありまして、私どもは、昭和三士五年以来の成長によって非常に顕著に失業が減少して、そしていわゆる低い層といわれた人々の給与、賃金が急速に格差を解消しつつ上昇してきたということは、その反面、おっしゃったような影響を伴いましたけれども、経済政策としては、それで大筋は聞違っていなかったというふうにきょうでも思っております。
  121. 武藤山治

    武藤(山)委員 国民が聞きたいのは、消費者が聞きたいのは、やれ物価が何%上がった、やれこういう状況だという結果を国民は知りたいと思っておるのではないのですね。いかにして物価の上がるのを押えてくれるか、あるいは物価が上がらないようにどういう政治をやってくれるか、その具体的青写真を国民期待しているわけですね。その青写真を、いまだかつて自民党政府は一度も国民に示していない。まことに私は不満です。きょうはひとつ国民が聞きたいと思っておる青写真を、両大臣に、しかもさいふを預かる大蔵大臣と、物価担当大臣として物価騰貴から国民を守っていこうという担当大臣と、二人の立場から、日本の政治を、日本の経済を、日本の金融情勢をこういうぐあいに持っていくならば物価が安定するのだ、私は命にかけてそれをやってみたいという国民期待する青写真をここでぜひ聞かしてもらいたい。  あなたは、この間大阪における物価会議の終わったあとの新聞記者会見で、先ほど武部君がおっしゃいましたように三つの問題点を明らかにしました。しかし、これは抽象的に問題点があるということだけであって、どうするかということについては私一人ではどうにもならないから、これから検討する、これから相談をしたいということで逃げているわけです。国民はそういうことじゃなくて、私の政治生命にかけてもこういう方法でやってみたいのだ、佐藤内閣は便々と四年も五年も続けようというのが目標じゃないのだ、国民に喜んでもらえる政治をやって退陣すればいいじゃないか、こういう政治姿勢をとってこの物価問題に取り組んでもらうべきだと私は思うのであります。また、国民もそれを期待していると思うのであります。あなたはこの間の中で、放置すれば政治不信を招くことが必至である、こう述べている。この物価問題を放置すれば政治不信を招くことは必至ですが、だれが政治不信を招く一番の責任者になりますか、それをちょっと愚問でありますが、聞かせていただきたい。
  122. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先日大阪で物価安定推進会議を開きましたときに、地元の委員として加わられました家庭の御婦人の方々から政治不信云々という御発言がありまして、そう思わないかと言われますから、私はそう思うということを申し上げたのであります。そこで、これから考えるのだと言って逃げておると言われましたが、実はそうではございませんので、そういう問題を出しますときには、よほど関係者が十分に問題を理解してもらいませんと一人だけの発言になってしまいますので、そうなってはいかないと考えまして、少しいろいろな準備をしておるということでございます。  そこで、それならどういう方向でものを考えておるのかと言われますならば、やはり私は、わが国の消費者物価の相当急激な上昇というのは、経済成長に国民経済の各分野が急速に即応できていないということから起こっておると思います。これはきわめて卑近な例は、たとえば生鮮食料品の供給なんかがそうでございますけれども、もっと抽象的に申しますと、労働関係においてもあるいは中小企業においても、農業についても、大企業についても私はそうだと思います。また、われわれの消費態度もそうだと思いますし、財政もその例外ではあり得ないと考えるわけであります。従来の一つの慣行、ものの考え方、くせあるいは制度といったようなものが、即応するスピードを欠いておるということになっておると思います。それでありますから、そういうことをもう一ぺんこの際考え直してみなければならないのではないかということを考えますときに、それは何もきょうに始まったことでは実はないのでありますけれども、たまたまそれが財政の硬直という形で国民にわかりやすい姿で出てまいりましたから、それでこの機会をとらえて、もう一ぺんそういうことを考えてみるべきではないか。もしいろいろな惰性あるいは慣行というものがすぐに改められればそれが一番好ましいと思います。しかし、改めるのに一定の時間がかかるとするならば、それを前提にしてこの際何をすべきか、そういうようなことを実はまだ具体的に申し上げることができないわけでございますが、私としてはそういうことを考えつつあるわけでございます。
  123. 武藤山治

    武藤(山)委員 私も、物価問題がそう一朝に片づくしろものではないことをよく承知しております。日本の資本主義が運営されている限り、半年や一年でそう簡単に物価問題が処理できるなどとは考えておりません。したがって、やはり長期的な展望をきちっと国民に知らしめて、こういう中で完全に各分野が経済成長に即応してこういう態勢をとってくれるならば、物価はこういう形で安定するのだ、そういう国民にわかりやすく、しかも理解できる青写真を政府が示さないということは怠慢じゃないかと思うのですよ。そこで私は、結論は、やはり経済社会発展計画なるものを手直しをする必要がある。年率八%の経済成長という商い目標を掲げたために、これに即応できない部面を引っぱっていけない、したがって、やはり経済社会発展計画は改定をすべきではないか、こう考えるのでありますが、長官はいかがですか。
  124. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 経済社会発展計画で年率八%程度の成長が望ましいといたしましたのは、ほうっておけばそれだけ成長しないだろうから、それだけは成長しようではないかという発想ではございませんで、もうよく御承知のように、実は、ほうっておくともっと成長するのではないか、その場合のアンバランスがおそろしいから、そこで八%くらいのところが適当な成長率ではないかということを言っておるわけであります。政府が成長の速度を調整できる力というのは、御承知のようにそれほど大きくはございません。ことに財政そのものがいわゆる既定経費、義務的な経費を相当持っておりますと、フィスカルポリシーというものは、なかなか言うほど簡単に行ないやすくはないわけであります。それで、経済社会発展計画の八%というのは、どちらかといえばこのくらいなところにしておこうではないか、これを越えるとやはり問題が出るという方向からきめられておるので、目標を掲げて、さあこれだけ走ろうというのとはだいぶん感じが違っておるのじゃないかと思います。
  125. 武藤山治

    武藤(山)委員 しかし、大臣はそういう認識であっても、国民の側は、国がつくった計画なり努力目標というものがこれならば、わが社はそれよりも低くちゃ置いていかれる、それより先へ行かなければならぬのだということから、よけいその中で競争が起こる。それがさらに経済を引っぱるという働きをすると思うのですよ。そこで、もっと思い切って、もう日本の重工業もここまで来た、日本の生産力もここまできた、でこぼこのない安定したほんとうの成長をするのだったらこの辺が妥当ではないかということを率直に——人気取り的な数字を掲げることよりも、真剣にやはりこの辺で再検討すべきじゃなかろうか、私はこういう意見であります。しかし、これは議論になりますし、私一瞬までしか時間がありませんから、大蔵大臣の帰る時間があるそうでありますから、質問をかえたいと思います。  大蔵大臣、財政膨張が年々かなり大幅に行なわれてくる、こういう財政硬直化のもとで、しかも物価が上がるという趨勢のもとで、財政を思い切りここで圧縮をする必要があるのではないか、膨張を抑える必要があるのではないか、こういう感じがするわけでありますが、はたしていまの佐藤内閣の力で財政の膨張を押えるということができるのだろうか。圧力団体に屈服をして、押しかけられてどんどんまた予算が大きくなってしまって、あれもこれも総花的に手当てをするということで、さっぱり物価の問題についてもきき目のない予算ができるのではないか、こういう心配をしているのでありますが、来年度予算編成についてはそんなことはない、わしが大臣をやっておる限りはこういう方針でこうするのだ、そういうき然としたあなたの態度をお聞きできますか。
  126. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 国民経済の動向に即応した予算を組まなければならぬと思っていますが、それにはいまおっしゃられたように、やはり来年は総需要を圧縮ぎみに予算の編成をやらなければいけない。そのために、前々から言っておることでございますが、やはり何といっても公債の依存度というものを低めることを軸として、財政の膨張を避ける編成をやりたいというふうに考えて、いませっかく検討中でございます。
  127. 武藤山治

    武藤(山)委員 たとえば、先ほど国鉄運賃、電話料金、電報料金、こういうものが概算要求として、各省から軒並み上げてほしいという内容の要求がきておる。そういう個々のものを見た場合に、いまの経済情勢から見てこんな大きな計画、こんな大きな投資はちょっと無理だ、そう感ずるものが、私らしろうとが見てもかなりあるような気がするのです。そういう点、大臣どうですか、国鉄、電電公社の場合でかりに感ずる点を述べてもらいたい。いかがですか。こういう点を節約してもらえば、そんなにも料金を上げなくても済むのじゃないかという問題点が幾つもころがっておると思うのですけれども、大臣は、そんなことは主計局から聞かなくても大体わかると思うのです。日常の取り扱いの立場からどうですか。
  128. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま政府に、御承知のように何年計画という各種の計画がございますが、この計画を検討しますと、たとえば道路計画においても五年間にこれくらいの道路投資が行なわれないと、社会資本が民間資本の蓄積に比べておくれをとるというようなことから見ますと、いまある各種の計画が、私は計画過大ではないというふうに思っています。ですから、長期的にはこの計画の線に沿って資金の配分が行なわれることが正しいと考えておりますが、ただ、全部毎年一律に同じように取り扱う必要はございませんで、経済事情によって、たとえば不況ぎみのときにはそういう仕事を大きくその年に伸ばしていく、経済の過熱ぎみのときには少しこれを抑制ぎみにやっていくという、そこに弾力的な計画の運用をうまくやっていけば私はいいんじゃないか。いまいろいろ言われておる計画自身は、国鉄の問題にしましても電電公社の問題にしましても、やはりあの計画、自身は、私は日本の社会の進展から見てそう過大なものというふうにはいま思っておりません。
  129. 武藤山治

    武藤(山)委員 大蔵大臣がそういう認識ではなるほどこれは財政の膨張はなかなか防げぬ、こう思うのですよ。たとえば具体的な話になりますが、運輸審議会では新線をどんどんつくれという。建設公団でどんどん鉄道はふやそう。片方、今度は赤字線が一万キロもできちゃった。この赤字線は十年間で徐々に撤廃をしていくんだ、はずすんだ。もうはずされるところに該当する県民は大騒ぎですよ。私の県でも、すでに二本の線が地方紙にばんと出されて、国鉄の六千キロ撤去の第一次に、栃木県は二線が入るんだということでぱっと出されておる。これは住民の不安、むだ金をたくさんかけて政府に対する陳情運動をやる、そのロスだけでも全国では物価騰貴にまで関係するほど大騒ぎになりますよ。こういう経済情勢のとき、こういう財政状態のときには、新規にそういうものをやる場合には、古いものを撤廃するというほど強硬な意見を国鉄が持つとするならば、やはり政府当局の大臣の中からはっきりそういうものは一時ストップしてしまう、新規のものは一応やめてもらう、そうして物価高や現在の硬直性の問題を解消するまではたな上げにしてくれぬか、そういう態度を示さなかったら財政の膨張なんか防げっこないと思うのです。  それから、いま秋草副総裁がいらっしゃいますが、電電公社のこの計画にしても、経済社会発展計画よりも電電公社の計画のほうが大きい。それは大きいのはわかりますよ。自分の仕事量をふやし、公社はこんなにも国民大衆のために献身的に電話をふやしてやるのだ。これはだれだって喜びますよ。喜ぶけれども、やはりものには限度があり、社会経済の発展に即応した計画でなければいかぬと思うのです。そこで、電電公社が五カ年間に三兆五千二百億円の建設資金をもって九百三十万個の電話の増設をやる。確かに計画としてはけっこうでしょう。しかし、今日のような財政状態、経済情勢のときには、こういう膨大な計画を四十三年度からぽんと出さざるを得ないのかどうか、私はそこら辺が非常に疑問なんですよ。役所というものは、自分のところのセクトだけで全体を見通した計画というものを作成してないんじゃないか。国鉄も同じことが言えると思うのです。総裁、これだけの膨大な計画を公社はどうしても遂行しなければならないのだという積極的な理由をお聞かせ願いたいと思います。
  130. 戸叶里子

    戸叶委員長 武藤委員に申し上げますが、大蔵大臣の約束の時間がまいりましたから、水田大蔵大臣から先に御答弁願いたいと思います。
  131. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私がいま言ったことで大体尽きると思ったのですけれども、誤解があるようですから……。  来年のようなときにどうするか、計画は計画として変更しない、年次計画において相当の細工をしなければいかぬ。来年のようなときには、できるだけ総需要の圧縮とか、そういうことを来年度予算編成では考えることが必要だろうということを言っただけでございまして、計画を変更しなくてもいいのではないかと私は考えております。
  132. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答え申し上げます。  武藤先生の御質問ごもっともでございますが、現に社会経済発展計画におきましては、二兆六千六百億というのが電電のワクとして決定といいますか、答申されたわけでございます。しかしながら、御案内のように、これは四十一年度から四十六年度末の五カ年間でございます。私どもの計画は、四十二年度から四十七年度の計画になっております。前後一年ずれております。したがって、まずその間の物価ベースの計算の相違がございます。答申のベースは、御案内のように四十年度のベースではじいております。その点はもう単価のはじき方が違います。それに四十一年度と二年度の成長の伸び率についての変化もございます。したがいまして、ごく事務的な計算をしますると三兆一千億ぐらいかどうか、これは企画庁の担当官の方と煮詰めたわけではございませんが、ごく事務的にやってもその程度の数字は出てくるのではなかろうか。したがいまして、私どもの現在立てております計画との誤差は、一割とはありませんが、一割以内ぐらいの誤差は、ごく事務的なものとは違った増加の要求があるということは承知しております。これは答申が出る前にも、総裁からもいろいろ強い要望、お願いを申し上げまして、今後も多少の増加をお願いしたいということを政府に申し出ておる次第でございまして、この点はまずもって御了承願いたい。
  133. 武藤山治

    武藤(山)委員 時間まであと五分しかありませんから詳しくお聞きできないのでありますが、電電公社がこの膨大な計画を遂行するためには、電話料金を二二%上げなければならぬ、あるいは施設料を二万を三方にしなければならぬ。いろいろ考えておるわけですが、電話料のほうは、個人住宅用も会社用もみな一律に同じようなパーセントで上げようというのですか。それから電報は、おたくでつくった資料によると、電報だけで四十一年度は四百億円の赤字を一年間に出した。したがって、電報の部面と電話の部面とをきちっとコスト計算を区分けをして、どこに一群の不合理な点があるのか、どこが一番コスト高の原因をなしておるのか、そういう点の検討でどういう点が特に大きな赤字の要因になっておるわけですか。
  134. 秋草篤二

    ○秋草説明員 これは順を追って逐次御説明申し上げないとかえって中途はんぱな御答弁になると思いますが、私どもの五カ年計画につきましても、いたずらに電話を拡張したいおけではございません。現在クレージーといってもいいくらい電話の需要があるということで、現実に二百二十万程度の積滞がたまっておる。この現実も、私ども公社といたしますと、何とかしなければならない使命でございます。私も今後を展望しまして、こう電話だけがぽかぽかふえて一体いいものかどうかということで、必ずしも喜んでおるわけではございません。  それから次の質問としまして、電話の値上げの問題と同時に、それを拡張に全部使うというものではございませんので、まずもって経営の内容を少しでも改善して、同時に、多少の利益というものを建設に投資したいというのでございまして、この中身も計算しますと七、八%しか建設勘定には貢献しないのでございます。大部分は自己資金というものを豊富にいたしまして、まず経営の基盤を確立するということを前提といたしておるのであります。これは数字をもって御説明してもよろしいのでございますが、一つ考え方の基礎には、受益者負担の性格をもう少し貫いていいのではなかろうかということが電信電話事業の特質ではなかろうかというふうに考えておるのでありまして、御質問とちょっと違った線を概念的に申し上げましたが、そこで御質問の点の電報と電話でございますが、御案内のように、電報事業というものは公社発足以来、もう逓信省時代から赤字でございます。世界各国ともみな赤字でございます。アメリカのウエスタンだけが私企業でございますが、わずかに黒字を維持しておりますが、日本の電報事業では非常に赤字がひどいのでございます。四十一年度の決算におきましては、実に一対五で、支出が五で収入は一、ごく大ざっぱに申しますと、百億の収入に対して五百億の支出を計上せざるを得ない。これにつきましては、公社の発足以来いろいろな合理化をやりまして、まず受付、電送、配達とございますが、電送に関しては機械化を完了いたしましたけれども、電報の特質としまして、どうしても人件費が八割を占めておる関係から何とも合理化ができません。それから一般の電話につきましては、公社発足以来非常に順調に恵まれた経営をやってまいりまして、収支率あるいは総資本利益率あるいは収益率、こうした指標をとって計算しましても、ここ二、三年来非常にカーブが落ちて悪化してまいりました。私どもは、やはりそういう前提に立って将来を展望しますると、いまのうちに何らかの手を打たないとまた大きな手術をしなければならぬのではなかろうか。そういう意味では徐々に受益者負担の性格を貫いてまいりまして、少しでもいまのうちに欠陥を直しておきたい、こういう念願を持っておる次第でございます。
  135. 武藤山治

    武藤(山)委員 宮澤長官、いま副総裁の説明をお聞きして、先ほどから議論されておる物価の問題を中心に据えて考えた場合に、二二%の電話料金の引き上げということについて、あなたは閣僚協で、どうですか、認めてしまおうという気持ちのほうが強いですか。あるいは今度はこういう事態だから、最小限にこれを食いとめて五カ年計画なるものを圧縮してもらって、何とかいままでの債券発行を返済できて、とんとんやっていければいいという程度の設備投資に切りかえる、こういう強い意向を電電公社のほうに伝えるという気持ちになりますか、それとも企業別に検討するとそれぞれみんな理由があるのでしょうがないのだ、物価は上がらざるを得ないのだということで、国鉄も電電も認めていくというお気持ちでいらっしゃいますか。あなたの個人的な意見になると思いますが、ちょっと聞かしていただきたいと思います。
  136. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 個人的な意見でよろしいというなにでございますから、そういうことで申し上げますが、詳しくは存じませんが、私は電電公社の持っておられる考え、計画、十分理屈があると思います。そして、ある他の政府企業に見られますように、そこまで体質が悪くならないうちに企業としてちゃんとしておきたいと言われることも、きわめて合理的な態度だと思います。そこで、そうは思っておりますが、明年度の場合、電電公社にとどまらず、先ほどから武藤委員が御指摘のように、各方面にそういう問題がある。電電公社にだけこの無理をしいるということはよくないと思いますから、できることならば先刻申しましたいろいろな制度、慣行等々を一ぺん断ち切るような、そうして将来どういうふうにしていくかということを一年間考えるような、そういう機会がほしい。その間、それならば当該企業のなにはどうするのかといえば、これはやはりできるだけ財政でもって、あるいは財政投融資でお助けをしていく、こういうことにならざるを得ないだろう。しかし、それは、全部いろいろな問題についてこの際一ぺん考え直すといったような姿勢が基本でとれなければならない。それをとらずして一つ、二つのものだけどうかするということは、私はできないのじゃないか、こう思うのです。
  137. 武藤山治

    武藤(山)委員 大臣が一日の記者会見で述べた、現段階が本格的に調整しなければならない時期だと思う、これはことばじりをつかまえれば、本格的調整とは一体何ぞや、いままで本格的調整の努力をしてなかったのか、できなかった怠慢の反省から本格的調整ということばを使ったのだということになるのか、いずれにしても本格的調整の時期に入ったということは、いまあなたがおっしゃる一年間くらい公共料金は上げない。別なことばで言えば、一年くらいストップしておいて、その間に本格的な調整の検討をし、抜本的な対策案を検討する、こういう意味が、根本的に調整の時期に入ったというあなたの発言の気持ちの底にあるわけですか。一年間、とにかく調整の期間を置かして検討さしてくれ、だから今度の予算では値上げを認めないでおく、こういう具体的な内容を含めたことが抜本的調整、根本的調整をしなければならぬ時期だと言ったあなたの魂胆ですか。そう受け取ってよろしゅうございますか。
  138. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 繰り返して申し上げますように、詳しいことを申し上げる時期でないと思います。というのは、私自身もまだ十分考えておりませんし、十分関係者にも事態を知ってもらう必要がございますから、私一人がどうこう先に飛び出して申すべきではないと思いますが、もしそういうふうに考えてまいりますと、事柄は公共料金の問題だけにとどまらないだろう、そう思います。
  139. 武藤山治

    武藤(山)委員 それでは本格的に調整をしなければならないということは、いつごろだれがやる、大体そのめどをちょっと明らかにしてくれませんか。
  140. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは問題は、本来、来年度の本予算の問題でございましょうけれども、本年度の補正を考えます場合には、当然それを踏んまえて考えなければならないと思いますから、時期はそれまでの時期である、最終的な決断はやはり総理大臣においてされるべきものだと考えます。
  141. 武藤山治

    武藤(山)委員 しかし、いまのあなたのほうの政府の状況、私らから言わせれば、腰の落ちつかない、しかも人気取り政策に狂奔をしておるいまの政界の実情、圧力団体には何とも歯の立たぬ政府、こういうような姿の中で、あなたがおっしゃるような本格的調整というものが可能であるかどうか、可能だという自信がございますか。
  142. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私としては、できるだけ関係者の納得を得て最善の努力をしてまいりたい。そのためには、また世論にも十分理解、納得をしてもらわないとできないことでございますから、それに必要な準備は十分にいたさなければならないと思います。
  143. 武藤山治

    武藤(山)委員 世論が宮澤物価担当大臣に理解を持ち、支援を送るには、あまりにも今日の物価趨勢というものは深刻ですよ。この深刻な事態に、ただことばだけもう本格的調整の時期だ、あるいは官民あげて理解をしなければ、あるいは企業が社会的責任を認識しなければとあなたが叫んでも、なかなか国民はその方向に向かない。あまりにも不信感がいまの情勢では強過ぎる。したがって、その不信感をぬぐい去るためには、やはり大胆に勇気を持って——私は、いまこそ政治家の必要な最大条件は何かといえば、勇気だということが一つ入っているわけでしょう。雄弁、英知、勇気、決断、そういう勇気と決断を今日ほど日本の総理以下担当大臣に求められている時期はないと思うのです。したがって、宮澤さんも勇気を持って、こういう方法でこうすれば国民期待にこたえられるのだ、それのじゃまをするものは国民の手によってひとつ排除しろ、そのくらいたき然とした物価に対する政治姿勢を、いまこそ私は必要とすると思うのです。これはずるずると予算編成になって、ある程度コンクリートされてから、企画庁がもうこれをチェックするチェックするといったって、いまの段階でやらなければできっこない。それを私はあなたに強く要望し、最後に勇気と決断を要求して、割り当ての時間ですから私の質問を終わりたいと思います。
  144. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 コンクリートになってしまってからでは間に合わないと言われますことは、私もよくその意味はわかります。過去に痛切にそういうことを感じたこともございますから、十分その辺の時間的な計らいはいたすつもりでございます。
  145. 戸叶里子

    戸叶委員長 有島重武君。
  146. 有島重武

    ○有島委員 私は米価につきまして、ややこまかい問題になりますけれども、米の卸売り業者と小売り業者、それから販売マージンの問題、それから登録制の問題であるとか、そういった問題を食糧庁にいろいろ伺った上で企画庁長官の御意見なんかを伺いたいと思っております。いま食糧庁がおくれておりますようなので、先に長官にいろいろ御意見を伺っておきたいと思っております。  米価の問題については、大筋にいろいろ大きな問題があると思いますけれども自由化するかどうかについてしばしば論議がかわされて、そのたびに慎重にこれは考えていることだということが前々からございましたが、それはどのような検討をされて、いまどのような方向に向かいつつあるのか、このことをまず先に伺いたいと思います。
  147. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 米の管理機構を自由化するということは、私は、ただいまのように農業就労人口が全就労人口の二割三分あるということ、農村人口といわれているものが三千万あるという現状からいえば、一挙にそこへ行くことは無理だと考えております。したがって、いまの段階でそういうことは現実の政策としては考え得ない。そこで、現実にできそうな方向といえば、これはすでに食糧庁が着手されましたように、たとえば希望配給といったようなものをつくるというようなこと、あるいは配給のときに価格のつけ方を多少くふうをするということ、そして消費者の嗜好とも関係いたしますけれども、従来外国の米を全然入れていないわけではございませんから、その中で国民の嗜好に合いそうなものをだんだんより多く入れていくということ、そういったような、一見微温的と御批評があるかもしれませんけれども、きわめてゆるい漸進的な方法をとっていくということが、いま考え得る最大限ではなかろうかと思います。
  148. 有島重武

    ○有島委員 そもそもそういった体制を整えるコンディションですね。どういつだ条件のもとになれば自由化ができるのか、幾つかの条件があると思うのでございますけれども、それについてお伺いしたい。
  149. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは非常にむずかしい問題だと思いますが、米の管理機構が完全に自由化をするための条件といえば、まず農業就労人口が令部の労働力人口の中で相当低い比率になってこなければならない。そして、おそらくその段階では、いわゆる農村人口、農家戸数というようなものも、現在に比べれば非常に減ったということでなければならないと思いますので、そういまから何年と数えられる時期のうちにはこないのではないかと思います。
  150. 有島重武

    ○有島委員 食糧庁のほうに伺います。  お米の配給段階におきまして、卸売り業者と小売り業者販売マージンがどのような積算基準によっておるのか。これはあまり詳しく言われますと非常に時間がかかるのじゃないかと思いますけれども、いまこうしたエレメントだけは抑えてこういうふうにやっておるのだ、そのことを伺いたい。
  151. 小暮光美

    ○小暮説明員 販売業者のマージンにつきましては、実は現在の販売業者が、かつて食糧統制が食糧配給公団によって末端の配給をやっておりましたあの時代から、ただいまのような政府から卸に玄米をおろすという形に移り変わりました当時の経緯がございます。それまでは配給公団の職員でございますから、職員の人件費といったようなものを考えた形のものになっておったわけでございます。それを民営に移管しましたそのときから、毎年いろいろ議論してきめてまいっておりますので、やや一般の御理解とはつながらないと思いますが、マージンの基本は人件費と事務費と事業費、その三本に分けましてかなりこまかい議論を予算期にいたしまして、予算上これを計上する。なお、実行上は、さらに若干の副産物収入その他につきましても現実の織り込みをいたさないといけませんので、玄米から出ます搗精歩どまりのほかに、あき俵は幾らで売れるか、あるいはぬかが発生しますから、そのぬかが幾らで売れるかといったような要素まで加味いたしまして、これをきめるたてまえになっております。さらに、最近公務員給与が毎年改定になりますので、たとえば寒冷地手当といったようなものが公務員の側にできますと、米屋さんのほうも、積寒地帯ではそういうものも組み入れてもらいたいといったような御議論がございます。あるいは公務員に期末、勤勉手当というものがございますと、お米屋さんにも見てほしいといったような、さまざまな問題がございますけれども、これらにつきましては取り扱いの実態等を見ながら毎年予算である程度議論をしてきめておる、こういうような形になっております。
  152. 有島重武

    ○有島委員 いまの基準は、詳しくはまた書面でもっていただきたいと思いますけれども、私聞いたところによりますと、非常に古いデータを基準にして、それに率をかけていくような機械的な操作が非常に多いのじゃないか、そういう印象をいま強くしておるわけです。年々コンディションが非常に変わってくるわけでありますので、調査をしている対象はどのくらいの数に向かって調査をしているのか、それからその調査方法は、書面の上で計算している以外に実態調査をどのくらいやっておるのか。実態調査をもっともっとしなければならないのじゃないかと私は思っているわけですが、その実態調査について伺いたい。
  153. 小暮光美

    ○小暮説明員 たいへん申しわけありませんが、実態調査のサンプル数等につきましてただいま私承知しておりませんので、いずれ調べてお知らせいたしますが、基本的な最初の説明にちょっとよけいなことまで申し上げたようにお聞き取りになったかと思うのですけれども、たとえば期末、勤勉といったようなものをどの程度積算上織り込むかというようなことになりますと、やや考え方の問題になるわけでございます。もともと米屋さんのマージンをそういう積み上げ計算できめることが最も時宜に適した方法であるかどうかという別の議論もあろうかと思うのでありますが、ただ、事柄の性質並びに沿革から、先ほど申しましたようなやや予算査定に近いようなこまかな積み上げをやっております。そこで、そこに織り込まれる一つ一つの計数については、米屋さんのほうに毛かなり御議論があって、自分のほうの調べではこういうものがこうかかっておるはずだというようなこともあります。ただ、役所といたしましては、やはり全国各地にございます卸、小売り業務が、地帯によって若干の地域的な差はあると思いますけれども、それから規模によっていろいろ積算も違ってくると思います。大規模に扱えば固定費は安くなる、小規模であれば固定費がわりあい高くなるといったような問題もございますけれども、いろいろそういった点もあって論争の絶え間がないのでございますが、そのほかにいまの寒冷地手当的な考え方を入れたり、あるいは期末手当的な考え方を入れたりといったようなことで、逐次卸、小売り業務に実際に携わっている方々が円満に動けるようにというような金額をめどにして決定いたしておるわけでありまして、御指摘の基礎資料につきましてはできるだけ正確なものをとるべきだと思いますけれども、いま申しましたように、全体にやや総額で議論する要素があることは否定できません。
  154. 有島重武

    ○有島委員 いまのお話ややあいまいなのですが、実態調査というべきものをやっておられるのでしょうか。
  155. 小暮光美

    ○小暮説明員 先ほど申しましたぬかとか俵のように、市価の変動に基づいてかなり織り込みの価格をかげんしなければならないようなものにつきましては、統計調査部の調査等に基づいて算定いたす。したがって、統計調査部の調査を基礎にするという意味で年々実態を洗っておることになります。それから人件費は、先ほど申しましたように考え方でございますから、店主あるいは店員をどの程度に公務員給与のものとリンクするかといったような角度での考え方になるわけです。それから事務費、事業費につきましては、それぞれ所要の実態を調べております。
  156. 有島重武

    ○有島委員 その問題はここで切り上げますけれども、さらに綿密な実態調査をされるように要望をいたします。  それから卸と小売りの登録制度についてでございますけれども、小売り店がほかの卸業者に移ろうとするときに非常に制限を加えられております。これはどういう理由に基づいておるのか。施行規則の十八条というのがあるわけでありますけれども、ここでもって「正当な事由が」となっていて、正当、不正当というようなことばが出てまいります。正当、不正当となりますと、これはどちらの側に立っての正当か不正当かということが実際上かなり問題になるのでありますけれども、こうした点についての見解を伺いたい。
  157. 小暮光美

    ○小暮説明員 卸と小売りの結びつきをできるだけ流動的なものにいたしたいというふうに私どもも考えております。ただ、小売りと卸との関係が、小売りと一般消費者との関係のように、一回限り代金で米を受け渡してそのつど終わっていくという形の問題でございませんで、いわば統制をいたしておりますから、卸は通常の自由な商売とちょっと違いますけれども、やはり事柄の性質は卸が小売りに物をおろしておる。したがって、小売りと卸との間に、かなり長期にわたる反復継続した貸借関係ができるようになるわけです。そういった点から考えまして、一方的に小売りのほうから、この卸とはやめたという通告でほかの卸に移るというような形は望ましくない。それから配給統制という形をとっておりますので、受配者の人口なり、そういったものを把握し、小売りを通じて、小売りから卸に申告させる、卸は県段階のしかるべきところが把握する、こういう形で把握しております。そういった面でも、やはり小売りと卸の結びつきが変わりますことは全くの自由の、あるいは届け出というようなことでなしに、一つの要式行為にいたしておるわけです。要式行為にいたしておる理由は、大きく言っていまの二つでございますが、ただ、その際に、正当な理由があるのに、たとえば卸が小売りを放さないというようなことがございますれは、これは適当でないと思います。そこで、私どもとしても、できるだけ、直接の監督の責任に当たっていただいておる都道府県に対しましては、食糧庁からの通達としては、正当な理由がなければ拒否してはいけないのだという趣旨を徹底いたしておるつもりでおります。今後もその趣旨をさらに繰り返し徹底いたしたいと思っております。ただ、これまでが制度のたてまえでございますが、現実販売業者の中に幾つかの系列がございまして、それぞれの系列ごとにできるだけ自分の系列の小売りを確保しておきたいという、いわば商業的な争いと申しますか、競争と申しますか、そういうものが実在いたしますために、なかなか卸が小売りに承諾を与えないという実態があるように私ども承知いたしております。この点は、先ほど申しましたように反復継続した卸行為でございますから、まだ代金が回収しきっていない、あるいは債権の確保に不安があるというようなことを理由にして、小売りが卸をかえることを卸が同意しないということが形に出てまいると、なかなかこれが、それでいいのか悪いのかというふうに行政官が直接的に判定することはむずかしいのでございますが、しかし、指導のたてまえとしましては、できるだけ小売りと卸との間の結びつきが、両者の納得ずくでもっと流動性を持つように指導してまいりたいというふうに思っております。
  158. 有島重武

    ○有島委員 企画庁長官お時間だそうですか、きょうは話がいろいろ飛躍してしまったような傾向にありますけれども、先ほどの自由化に戻りますが、部分的にそういった流通機構の段階での自由競争ということを助成していく方向、これは長官の考えとしても望ましいことではないか、こういうふうに思うのでございますけれども、現在の食管制度というのは、最近のいろんな技術革新の上から見ると非常に古い立場に立っておるのじゃないか。それをまたたてにとって、いろんなことが非常に窮屈になっておるのじゃないかという印象を受けるわけですが、食管制度そのものをさらに流動的に、どんどん現在に合ったように法そのものを改正していくという考えは、いまのところお持ちでしょうか。
  159. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 米の管理の問題については、最近食糧庁が非常に公平に国民全体のことを考えて、いい行政を進めていただいていると私はかねて思っておるわけであります。最近の配給方法の改善にしても、また価格のつけ方にしてもそうであります。確かに配給機構そのものにいろいろ問題がある。御指摘のように長い間の問題でございまして、しかもなおいま一般にいわれておることは、米にいろいろ格差を御承知のようにつけておりますが、これもよほどきちんと大精米所などでプレパッケージにでもいたしませんと、配給機構の中でそれが混合されてしまうのではないかということが、これはどの程度ほんとうであるか存じませんが、世の中ではわりに広くいわれております。そういう面からも改善の余地があるのではないか。また、卸と小売りの結びつき、小売りと消費者の結びつきといったようなところにも問題がありましょうし、一種の登録制であって、必ずしも自由な制度でないといったあたりにも問題があるのではないかと思うのであります。ただ、生産者との関係で、食糧管理機構というものをすぐに自由化できるかどうかということについては、私が冒頭に申し上げましたような理由からそれは簡単な問題ではない、それは漸進的に考えていくよりほかはないと思います。
  160. 有島重武

    ○有島委員 一挙に自由化ということではなしに、現在の法そのものにさらに検討を加えて修正していかなければならないときにきているのじゃないか。そういう検討はいまなさっておられましょうか。
  161. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは絶えず食糧庁にもお願いし、私どもも一緒に研究をいたしております。
  162. 有島重武

    ○有島委員 それは最近に結果が出るような見込みがございますでしょうか。二年なり三年なり先になるのか、あるいは来年あたりにはそういうようなことが行なわれるかどうか。これはなるべく早く行なわれたほうがいいのではないかと思いますが……。
  163. 小暮光美

    ○小暮説明員 あれもこれもというわけにまいりませんけれども、毎日毎日の配給に混乱を来たさないように、できるだけ業界の合理化をはかってまいりたいという基本的な考え方で、逐次できるものから取り上げてまいりたいというふうに考えております。これまでにすでに予算上に私どもの態度をある程度明らかにいたしましたものの一例といたしましては、やはり非常に小さな米屋さんが昔ながらの配給業務をやっておるというようなところから、必ずしもその基準の内容が一般の方に御納得いただきにくいというような要素もあるかと思います。しかし、これは中小企業でございますから、これを一気にということもできませんが、新たに事業場などを拡充いたします場合には、できるだけ大規模な施設をつくるようなことを予算で助成するという形で助長いたしております。そういったあたりから、たとえば袋詰め等によって消費者と米屋との関係が物の確認、それは量的確認と質的確認とございますが、そういったものを通じてもっと消費者と米屋との間に望ましい関係が成立するように、こういった点も物的施設の改善によってある程度可能なものでございますので、こういった点についてはできるだけの努力をいたしたいと考えております。ただ、先ほど来申し上げておりますように、きわめて多数の中小企業形態のものを相手とする仕事でございますので、一気にたとえば卸と小売りの結びつきを切ってしまうということは、むしろ混乱のほうが大きいのではないか。昨年実は経済企画庁のほうからもいろいろ示唆がございましたが、私どもも独自の立場で関係の人たちに集まっていただきまして、配給制度の改善についての考え方のアウトラインは実は一応できておるわけであります。数項目にわたりますが、その中で、いま御指摘の卸と小売りの結びつきをどうやって流動化するかというのは、実は大きな宿題としてまだ残っております。この点につきましては、なお関係方面と十分相談しながらできるだけ具体的な指導の方針を出してまいりたい、こういうふうに考えております。
  164. 有島重武

    ○有島委員 いまのことでございますけれども、それはかなり前からの問題でございますので、国民としては、そういった話があってから期待して待っているわけであります。いつごろそれは結論が出てくるであろうか、その予測をつけてもらえないかどうか。
  165. 小暮光美

    ○小暮説明員 どうも繰り返しになって恐縮ですが、物的施設を整備するように国が助成するというような形である程度推進し得るものにつきましては、すでに仕事を始めておるわけでございますが、いわば考え方の整理に類する部分につきましては、やはり私どもといたしましては、ものごとの円滑を期するために、関連する団体等の利害の調整と申しますか、意見の調整も十分はかって円滑に事が運ぶようにいたしたいということでございますので、いまここで何月ごろまでにというふうに申し上げるわけにまいりませんけれども、終始その努力を続けておりますので、できるだけ早い機会に何らかの具体的な動きに入るようにいたしたいと思います。
  166. 有島重武

    ○有島委員 何月とは言えなくても、何年ということはわかると思うんですけどね。来年じゅうには大体めどがつくだろうかどうか、そのことを……。
  167. 小暮光美

    ○小暮説明員 非常に率直に申し上げて、相談の過程で私どもがいつごろまでにと言いますと、かえって逆に団体側が硬化するというようなことも、こういう種類の行政には間々あることでございますので、その点はごかんべんいただきたいのですが、ただ一つ御参考までにお含みおきいただきたいのは、卸と小売りの登録あるいはそういった一連の配給制度につきましては、やはり国の仕事でございますので、会計年度の切れ目というのが新しいことをやります場合の一つのめどになるというふうに考えております。
  168. 有島重武

    ○有島委員 企画庁に最後に伺いますが、現在の経済機構に合ったような食管制度というもののイメージをもとにして、その法改正が近い将来に非常に必要であると思うか、それともいまの制度でもって、運営上のくふうでもってそれをスムーズにやっていく余地がまだまだあると思うのかどうか、その辺の御見解を伺っておきまして、最後にしたいと思います。
  169. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 はなはだ恐縮でございますが、食糧管理の関係法律が、どういう可能性を持って、どれだけの柔軟性を持っているかということを私よく存じません。ただ、私の気持ちといたしましては、この問題はあまり大上段に取り上げずに、具体的な行政といいますか、政策決定で一定の方向へ持っていくということのほうが円滑にいくのではないだろうか。これが非常に時間の制約がございまして、どうしてもそれまでに間に合わさなければならぬということでありますと摩擦を覚悟でもやらなければなりませんが、なるべくそうでない方法で一定の方向へ馴致をしていくということのほうがいいのではないだろうか、そんなふうに考えております。
  170. 有島重武

    ○有島委員 そうしますと、順次進んでいくというには、これはばく然と進んでいくのではなくて、一つのめどが必要であると思うのです。いつごろまでにはこういうところまでいくべきである、そういったような見通しを持っていらっしゃるかどうか、それを発表していただけるかどうか、その辺を伺いたい。
  171. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 本来全体の自由化につきましては、冒頭にも、また何度か申しましたように、見通し得る将来米が全部自由になってしまうということは、農村人口、農業労働人口から考えて無理だと思っておるのでございます。したがって、ことしのように豊作だといったような条件が続いてまいりますと、まあまああまり摩擦を起こさずに、徐々に一定の方向に向かって持っていけるということ以上に、なかなか申し上げることが困難です。ただ、私どもは、つかみ得るチャンスはのがすことなく、そのときどきでつかんでいきたいと思っております。
  172. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 関連して、ちょっと一つ伺わしていただきたいと思います。  豊作貧乏ということがよくいわれますけれども、今度は予約以上にお米が、九百万トンでございますか、それだけ出て、それだけ食管の赤字が出てきて、政府こそ私は豊作貧乏をしておると思うのでございます。私ども民間の話を聞きますと、お米の質があまり配給はよくないので、それで辞退する家族が多いということでございます。そういうことは政府のほうには聞こえてきておりますか。
  173. 小暮光美

    ○小暮説明員 最近実は配給辞退という観念があまりはっきりいたしませんで、かつてのように、消費者の方が八キロも九キロもほしいというときに、需給上の必要で私どもはやむを得ず六キロぐらいに押えておったような時期がございます。そういう時期には六キロでがまんなさっている方々が大部分で、しかし、間々六キロも要らないということで辞退をする方がおったのです。数年前から、実は十キロ配給ということにワクを非常にたっぷりといたしましてやっておりますので、いま配給辞退という観念はあまりございません。ただ、現実には、十キロということでワクを設定いたしておりますが、全国平均での実際の購入は六キロ台になっておるわけです。その差を配給辞退というふうにお考えになれば辞退かと思いますが、しかし、量的に非常にきびしい規制をしておった当時に比べますと、そういったワクの面での不満感は一切なくなって、必要な数量を自由に購入された結果が六キロ台ということになっておると思います。
  174. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 いま経済企画庁長官のお話を聞いておりますと、いわゆる農村の労働人口がもう一つ十分でないから、自由販売にするのはいささか冒険であるというような意味のおことばであったかと思いますが、それにもかかわらず本年はこれだけの豊作なんですが、その辺はどうなっているのでしょうか。労働人口が少ないにもかかわらずこれだけの豊作になってきているということは、私どもといたしますれば、これは民間の声ですけれども、これだけ豊作なのにどうして消費者米価を上げるんだという声が民間では非常なものでございますが、いまのお話でちょっと私、納得いかない点を感ずるのでございますが……。
  175. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点は中山委員の御不在のときに申し上げたのかと思います。私の申しましたのは、農業就労人口が全就労人口の二三%もあるという現状、非常に大きな労働人口が農業に携わっておるということ、農村人口は三千万でございますから三割でございます。御承知のように、イギリスの場合の四%、アメリカの場合で八%ぐらいかと思いますが、そこまで就労人口が減りましたら、国としてはそう大きな問題でなくなるものと思います。いまのように二割以上であれば大きな問題でございますから、そこで簡単に自由化ということができない、こういうふうに申し上げたわけでございます。よろしゅうございますか。
  176. 有島重武

    ○有島委員 宮澤長官はもうけっこうでございますが、食糧庁のほうに少し伺いたいと思います。  東京や大阪の大きな消費地におきまして、全販連などの生産者団体が卸売りの業務をやりたい、そういう意思があるようであります。これも、既存の業者だけに限定してこれを許可しないというのは、私は非常に不公正な印象を受けるわけでありますが、この点はどうですか。
  177. 小暮光美

    ○小暮説明員 卸の事業の範囲につきましては、配給統制という仕組みを実施するために、それぞれ行政区域と何らかの関連を持たせて実はやっておるのでございまして、そういう地域を度外視して全国一円という形での仕事をするということは、いまの配給制度のもとではなかなか考えにくいのでございます。ただ、そこまで大きな問題としてとらえないで、むしろ現実にいま私どもが当面何とか早く実現に移したいと考えておりますのは、たとえば東京のようなところで、下町に営業所を持って、下町の数区を事業の範囲にしておるような米屋さんがあったとして、そこの受配人口がだんだん滅ってくる。ひどいところは、一つの町内に二、三軒しかないというようなビル街もあります。そういうようなことで、はなはだしく実態が変わってきている。ところが、そこで米屋をやっておる者は、地域に縛られて、その辺にいたはずの人が実は郊外の団地に移ったとして、その辺に営業所をつくるのは実はいまの仕組みでは認めていないわけです。逆に郊外で大いに商売して、これは資本力なり信用力なりをもとにして旧市内に切り込んでこようという元気な人がかりにいた場合に、これも認めてないということで、それぞれ地域に縛っておるのです。そういった場合、一つの都道府県の中でもう少し相互に競争できるような形はつくれないものか、そういうことをいま検討いたしておりますが、それがたとえば具体的な地方都市のようなところでは、郡部のほうを全販連系統のお米屋さんがやっておる、市部のほうを全糧連とか全米商連のいわゆるお米屋さんがやっておる、その地域をある程度都道府県に広げるというようなことが実現可能であれば、そこで市部でも郡部でも古い形でのお米屋さんと新しい形のものがある程度競争するというようなことが実現できるのではないか。しかし、東京、大阪のようなところに全販連という形で入ってくるということになりますと、これはいま申しましたような形とちょっと性質を異にする。そこまで実は検討の対象にいたしておらないわけでございます。
  178. 有島重武

    ○有島委員 これは全国的に、総括的にいいますとそういった許可をしていく方向に努力しているのだ、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  179. 小暮光美

    ○小暮説明員 先ほど来るる申し上げておりますように、実態に即して徐々に緩和の方向に持っていきたいということでございます。
  180. 有島重武

    ○有島委員 いまのお答えでほぼ満足でございますけれども、徐々にというのは非常にこれがあいまいな表現なので、その方向にいま進んでいる、ある程度これは期間というものをやはり示してはどうか。いまこの程度まで検討は進んでおるのだ、そういうことを率直に言っていただけないでしょうか。
  181. 小暮光美

    ○小暮説明員 関係者を集めましていろいろ改善の方向を打ち出したのが昨年でございまして、いまだに実はいまの点が解決しないというのはたいへん申しわけないと思いますけれども、実はそれだけ関係の業界にとっては非常に重大な関心のあることでございますので、なおしばらく、その方向を見誤らないようにしながら、検討を続けさしていただきたいと思います。
  182. 有島重武

    ○有島委員 生活協同組合だとか、そういったようなほかの業種の人たちがお米屋をやりたいといったような問題も出ておると思います。やはり現在の業者を保護していくというような方向のほうが、あまり強過ぎるのじゃないかというような印象を非常に受ける。これは時代がいま非常に急激に変わっているわけでありますが、それに対して何年か立ちおくれて、いつも文句を言われながらやっておるというような非常にぶざまな感じを受けるわけです。さらに積極的にやってもらいたい、そう要望しておきます。  それから、次の問題ですけれども、集中精米所についてのことでございますが、これが東京都なんかではどうしてできないのか、それを伺いたい。
  183. 小暮光美

    ○小暮説明員 集中精米を助成するという方針を打ち出しましてから、東京都でも関係の業界が種々話し合っておるのでございますが、一つには、東京都が特に過密都市であるために、大きな施設をつくります場所の設定というような点が、やや地方都市よりも困難であるといったような物理的な問題ももちろんございます。しかし、そのことは実は東京の卸と小売りとの結びつきの上から見て、一つの大きな精米所をつくりましたときに、その集中精米所でできた米を配給する地域と申しますか、区域が限られてくる。それをできることならば都内で一斉に話し合って、何%かぐらいずつ始めていきたいというようなことで慎重に話し合っているという面もございます。その点は大阪のほうが実は非常にものごとの割り切りが早くて、特定の卸が非常に元気にどんどん話を進めるというような気風がございまして、東京の議論の進め方にやや歯がゆいという感じを私どもも実は率直に持っておるわけでございます。しかし、これは時代の一つの方向でございますので、なおこの仕事をさらに早めるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  184. 有島重武

    ○有島委員 これについても考え方が、業者と話し合っておるというようないまのお話ですけれども、やはり消費者側とすれば、何をまごまごしているのだという感じがするわけです。それから、冷静に考えてみれば、これは合理化でどこもみんな利益を受けるはずなんであります。また、用地の問題につきましても、もし東京で非常に高過ぎてどうにもしようがないということならば、近県にこれをつくってやってもいいわけだと思うのですよ。そこでひっかかるのは、今度は区域の問題というのがひっかかる。そういった点で、それじゃその区域にひっかかるというのは、いまの方法一つのかた苦しさであって、これはすでに古い基準の上に立った考え方である、そういったことをどんどん改めるべきじゃないか、そう思うわけです。そういった点をどんどん進めてもらいたい。これも要望であります。  それから最後に、米穀商が法的に違反行為をしているわけです。これもいまもうあたりまえみたいなふうになっておりますけれども、これについての処置について、取り締まりについてどのような見解を持っておられるのか、これをお尋ねしたい。
  185. 小暮光美

    ○小暮説明員 販売業者の業務につきましては、これは食糧管理制度の運営の一環だというふうに私どもも考えておりますので、業界自体の自治監査を奨励するほかに、食糧事務所並びに県の担当の部局が協力いたしまして、業務監査を年々実施するようにいたしております。そういった面から、できるだけ適正な業務の運営が行なわれるように指導するということを実は本旨といたしております。ただ、年々、こういった指導の対象とするには適当でない、非常に明らかな違反の事実がございます。事案の数として年間三百から四百ぐらいになるようでございます。これらのものにつきましては、やはり制度の本来の趣旨を徹底させる意味で、それぞれしかるべき措置をとっておるわけです。ただ、それはおそらく数としては氷山の一角であろうというふうに思われますが、こういう経済の直接的な統制で残っておりますのは米だけでございます。経済関係の仕組みでございますので、やはりすべてを司直の手にゆだねてその制度の運営の適切をはかるというのは、経済行政としてはやはり無理があるのじゃないか。それよりはむしろ、今回の配給品目の改定等でもそういうことを意図したわけでございますけれども、できるだけまぎれの少ない制度にして、そのまぎれの少ない制度にしたものを消費者に御理解いただいて、そういう形で配給の適正を期してまいりたい、そういう、いわば客観的な環境をつくることにも努力をしなければならないというふうに考えて、たとえば内地米を一−四等一本化ということにいたしたのも、そういうふうな趣旨を含めているわけでございます。
  186. 有島重武

    ○有島委員 取り締まり制度そのものがもう現状に合っておらない。これをやはり改正していくというお考えはありませんか。
  187. 小暮光美

    ○小暮説明員 取り締まること自身が時宜に適さないというふうには考えておらないわけでございます。やはり政府から配給を受けました原料、玄米、これはかなりの財政負担をその中に含んでおることであるし、これが恣意的に操作されるというような事実が確認されました場合には、やはりこれを排除しなければならないというふうに考えております。その意味では食糧管理法に基づく罰則規定というのを停止するわけにはまいらぬのでありますけれども、ただ、先ほど来申し上げておりますように、やはり業務が適切に行なえるような配給品目のあり方、あるいはマージンの算定、あるいは業務の指導、さらに消費者の御協力、こういった点を通じてできるだけ適正な配給が行なわれるように指導するのが、今日における最も妥当な姿勢ではないかというふうに考えております。
  188. 有島重武

    ○有島委員 ちょっとお聞き違いかと思いますが、取り締まり規則をやめてしまえというのじゃないのです。いまの取り締まり規則というのは、ほとんど意味がなくなった部分というのがあるのじゃないか。また、それを取り締まりしようとする側にも、これは首をひねりながらやっているような向きがあるわけです。これはやはり現状に見合ったような規則に緩和するなり、改正するなりということが望ましいのじゃないかと思われるのですが、そういった点についての検討はなされておりますか。
  189. 小暮光美

    ○小暮説明員 実際に御指摘の点がやや的確につかめないのですけれども、取り締まりと申します場合に、配給割り当てといったような、ああいう仕組みのことを御指摘になっておられるのでしょうか。
  190. 有島重武

    ○有島委員 それもございますし、それから、かついでくるのもございますね。そういったことを含めてですね。現状に見合ったような法はどういうことか、いまこういった点は緩和してもいいのじゃないか、この点だけは押えておかなければいけないのじゃないか、そういった点のこまかい検討をすべきじゃないかと思うのですが、この点はいかがでしょう。
  191. 小暮光美

    ○小暮説明員 米に関連した取り締まりの面は、仕組みとしては、配給の業務がかなり複雑になっておることとの関連で複雑な面がございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、消費者がこの制度と関連いたします側面については、実際上罰を考えているものではございません。むしろ登録されて販売業を営んでいる者、登録販売業者が政府の管理米について望ましくない行為をした場合、これは厳重に取り締まるたてまえにしておりますが、一般消費者が米を購入する側面については、別にこれを縛っておりません。それから、いまの俗に言うかつぎ屋、こういった面につきましては、やはり米の流通の適正という意味からこれを取り締まるたてまえになっておるわけでございます。それらの点について、運営の実態は、最近は需給が緩和いたしまして、必ずしもそういうものを必要としない需給の実態になっておりますので、そういう事案も少なくなってきておりますけれども、取り締まりはなお続行いたします。  御指摘の点につきましては、今日の事態に適した取り締まりのあり方になっているかどうか、なお十分検討いたしたいと思います。
  192. 有島重武

    ○有島委員 検討していくというお話でございますので、それでよろしいわけでございますけれども、実際には消費者のためにもいいのだ、米屋は別に困らないのだというような実態がありながらそれが法の上では何となくうしろめたいような、取り締まるほうでも、非常にきちんとそれに基づいて取り締まるのではなくして、ときどき取り締まりに非常に不公平も起こるわけであります。そういったことは早く解消しなければならないのじゃないか。これはやはり速急に検討して、改正するならば改正してもらいたい。そう要望しておきます。  以上をもって終わります。
  193. 戸叶里子

    戸叶委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十七分散会