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今村説明員 お答えいたします。
先生いまおっしゃいましたように、
消費者自身のいわゆる組織あるいはその活動というものがだんだん盛り上がってきておりますけれ
ども、非常に無力感——これは直接に物価を左右するまでにはなかなかいかないというふうなもどかしさ、これは実は私
どもも経企庁などと一緒に感じておる問題でございます。
生協の問題につきましては、ただいまあげられましたように灘生協——実は私、生協法ができましたときに社会局におりまして
関係しておりますので、灘の幹部諸君としょっちゅう行ったり来たりしておりましたが、あれほどの実績のあるもの、年間に百億ほどのものを扱うというのは日本に
一つしかありませんが、ああいう実績を見ますと、もっとこれを日本全体に及ぼさなければいかぬというふうに思いますが、非常にむずかしいのは、スカンジナビアのように人口が非常に少なくて、しかもスウェーデンのごとく八百万の人口で日本国土よりも広いというようなところでは、中小企業なんか成立する余地がない、生産労働力を集めるのに
精一ぱいだ、したがって労働者なり
消費者なりが必然的に組織をつくって、買い出しに行ったり
販売をするというようなことから生協に発展してきているわけでありますけれ
ども、日本の場合、昭和二十二年以来非常に悩んでおりますことは、問題が二つ、三つございます。
一つは、賀川
先生がもともと神戸で始められたように、ああいうキリスト教的な
地域社会をまとめて、消費生活なり生活合理化などをやっていこうといったような、何といいますか、精神的な基盤というものは日本の場合には非常に少ない。つらい点だけを先に申し上げますが、そういう点が
一つ。
もう
一つには、中小企業というもの、あるいは八百屋さんでも肉屋さんでも、これは至るところにあって、過剰人口のはけ口としてのそういう中小企業の圧力というか、中小企業の数が自然に多い。したがって実際の日常生活では、自分自身が消費生活協同組合をつくる、あるいは生活を合理化するというふうな必然的な圧力がなしにけっこうそれで間に合っている。あるいは生活協同組合のように、賀川
先生もだいぶ戦われたわけでありますけれ
ども、動き出すと中小企業にまつ正面からぶつかるというふうな、ヨーロッパ、特に北欧とは違う
一つの社会情勢あるいは人口問題からくる問題だと思いますけれ
ども、そういうことと、精神的に、生活合理化というものは、わりに宵越しの金を持たぬというような淡白な日本の風習からいいまして根がおろしにくいという点。
もう
一つには、これは生協活動、いろいろ歴史は、おっしゃいますように大正あるいは明治末期からございますように、ほんとうの
意味のそういう信念を持った、あるいは消費合理化をするだけのテクニックを持った
指導者の養成という点が非常に少ないので、これは昭和二十四、五年ごろによくありましたが、つくって半年目にはすぐ解散してしまう。理屈はありますけれ
ども、
現実に肉でも野菜でもどう仕入れ、どう売って、そのマージンをどういうふうに
消費者に返していくかというような実際の——観念だけが先ばしって、
現実の経済行為というものの理解を持った
指導者というものは非常に数が少なかったわけです。
大体こういう三つの問題がございまして、なかなか生協が伸びにくいというような情勢でございます。しかし、私
どもといたしましては、
先生よく御
承知のように、
国民生活審議会の答申とかあるいは経済社会の発展計画、あるいは物価安定推進会議、最近の
消費者王さまとおだてるわけではございませんが、とにかくその辺で日常生活の合理化を、自分自身で組織化をやらせるとかいうぶうな動きが非常に盛り上がってきております。現在、日本全国でやっておりますのは千二百五、
地域が五百十、職域の分野が六百六十、大体六、七百万人ほどの人が組織化されておりますが、まだまだ取り扱い数量も年間に約一千億ということで、全
国民の流通消費
関係の一%弱ということで力は弱いのでありますけれ
ども、最近の実態というのは、だんだんわかってきて、数はそうふえてきておりませんが、企業内容がしっかりしてきている、こういうような動きを、都道府県なり市町村なりの
段階で、消費合理化という面も兼ねて生協の
指導育成あるいは
一般住民に対するPRというふうなものもやってまいりたい。
それから、御
承知のように日協連、これは日本全国に団体がございまして、灘生協もそれに加盟しておりますが、その団体活動をできるだけ盛り立てるというふうなかっこうにしていきたい。
それから若干の補助金でありますが、県に出して、企業整備資金のような形で貸し付けております。それから年金福祉
事業団のほうからも、年間六、七十億になりますが、これを改善資金、事業資金として出すというようないろいろな手を打っておりますが、おっしゃるように一気にはなかなか成果が出てまいりませんが、今後ともいまのような線で
努力してまいりたい、こういうように考えております。