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1967-07-29 第56回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十二年七月二十七日)(木 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の 通りである。    委員長 本名  武君    理事 仮谷 忠男君 理事 倉成  正君    理事 高見 三郎君 理事 長谷川四郎君    理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君    理事 東海林 稔君 理事 中村 時雄君       安倍晋太郎君    小沢佐重喜君       小澤 太郎君    大野 市郎君       鹿野 彦吉君    金子 岩三君       熊谷 義雄君    小坂善太郎君       小山 長規君    坂田 英一君       坂村 吉正君    田中 正巳君       丹羽 兵助君    野呂 恭一君       藤田 義光君    湊  徹郎君       粟山  秀君    赤路 友藏君       伊賀 定盛君    栗林 三郎君       兒玉 末男君    佐々栄三郎君       實川 清之君    柴田 健治君       島口重次郎君    美濃 政市君       森  義視君    神田 大作君       玉置 一徳君    斎藤  実君       中野  明君 ————————————————————— 昭和四十二年七月二十九日(土曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 倉成  正君    理事 仮谷 忠男君 理事 石田 宥全君    理事 東海林 稔君 理事 中村 時雄君       小澤 太郎君    大野 市郎君       鹿野 彦吉君    熊谷 義雄君       坂田 英一君    坂村 吉正君       田中 正巳君    丹羽 兵助君       粟山  秀君    赤路 友藏君       伊賀 定盛君    佐々栄三郎君       島口重次郎君    平林  剛君       森  義視君    中野  明君  出席政府委員         農林政務次官  草野一郎平君         農林省農政局長 森本  修君         農林省農地局長 和田 正明君  委員外出席者         国税庁直税部長 奥村 輝之君         農林省農地局管         理部農地課長  小山 義夫君         通商産業省企業         局立地公害部立         地指導課長   中村 敏郎君         通商産業省化学         工業局化学第二         課長      代永 久寿君         運輸省港湾局計         画課長     岡部  保君         自治省財政局公         営企業第二課長 亀谷 礼次君         日本国有鉄道常         務理事     仁杉  巌君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 七月二十九日  委員兒玉末男辞任につき、その補欠として平  林剛君が議長指名委員に選任された。 同日  委員平林剛辞任につき、その補欠として兒玉  末男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月二十七日  森林法の一部を改正する法律案内閣提出、第  五十五回国会閣法第一三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  農林水産業振興に関する件(農地転用問題)  農林漁業団体等の行なう有線放送電話に関する  件      ————◇—————
  2. 倉成正

    倉成委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、指名により、私が委員長の職務を行ないます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、  一、農林水産業振興に関する事項  二、農林水産物に関する事項  三、農林水産業団体に関する事項  四、農林水産金融に関する事項  五、農林漁業災害補償制度に関する事項 以上の各事項について、衆議院規則第九十四条により、議長に対し国政調査承認を求めることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉成正

    倉成委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、その手続についても、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 倉成正

    倉成委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。      ————◇—————
  5. 倉成正

    倉成委員長代理 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  特に農地転用問題について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田宥全君
  6. 石田宥全

    石田(宥)委員 最近農地行政についてはなはだ遺憾の点が多いようでありますが、まず最初に、現行農地法について、農基法体制を進める上についての農地の移動が困難である、また、小作料が非常に安いというようなことが理由となって、農地法改正準備が進められているように伝えられておるのでありますが、その準備状況を簡単にひとつ農地局長からお伺いをしたいと思います。
  7. 和田正明

    和田政府委員 現在の農地法が、昭和二十六年でございますか、農地改革のほぼ終了いたしました時期に、その成果を維持するという趣旨で制定をされまして、すでに十数年経過をいたしておりますので、最近の非常に変化をいたしております情勢に対応して農地法の手直しをすべきでないかという意見が各方面にありますことは御承知のとおりでございます。  そこで、昨年暮れ以来、倉石農林大臣の御指示もございまして、省内で関係者の間で会合を持ちまして、現在鋭意検討を進めておるわけでございますが、でき得ますれば、次の通常国会機会には具体的な案をまとめて御審議をいただきたいというふうに考えておりますが、まだ、最終的に、こういうふうに考えておるというふうにこの席で申し上げるところまで具体化はいたしておりません。
  8. 石田宥全

    石田(宥)委員 次の国会くらいまでにはやや具体的なものが出せるのではないかという御答弁でございますから、われわれもこれから大いに勉強したいと思うのでありますが、少なくとも現行法が存在する限り、現行法は守られなければならないと思うのです。ところが、現在の転用状況を見ますと、二ヘクタール以上は大臣権限農政局長に委任をされておるようでありますが、さらに小規模なものについては知事権限でありますが、いずれも第五条というものは有名無実であるのみならず、いろいろな弊害が起こっておるように思われるのでありますが、具体的な問題に入る前に、私の手元に、最近の農地転用許可実施面積だけここに書いたのがあるのですが、三十六年以降急激に増加してまいりまして、三十九年には二万九千六百八十六ヘクタールという面積になっておるわけですが、件数では大体どの程度になっておりますか。
  9. 小山義夫

    小山説明員 農地転用許可実施件数についてのお尋ねでございますが、昭和三十九年で、総数で四十一万七千九百五十五件というふうになっております。
  10. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、この転用許可の中で、地方の二ヘクタール以下のいわゆる小面積のものについては、県の農業委員会等相当審議をいたしまして許可を与えておるのでありますが、転用許可目的のために使用しないままに放置しておるようなものが、どこの町村へ参りましても非常に多いわけです。また、中には、手続申請を出しただけで、許可にならないままにどんどん工事を進めておるという事件もきわめて多いわけでありますが、そういう実情農地局では把握しておられるかどうか、実情がおわかりですか、どうですか、ちょっと承りたいと思うのです。
  11. 和田正明

    和田政府委員 最初に、実情を申し上げます前に、どこの町村へ行っても非常に違反行為があるのではないかという御指摘でございますが、御承知のように、昭和三十四年に現在の許可基準を制定いたしまして、第一種農地はつぶしてはいけないということで、やむを得ずつぶす場合にも生産力の悪い第三種農地に集中するようにという指導はしてまいりまして、少なくとも各農政局手元で、いろいろな申請は、できるだけ悪い農地をつぶすようにということで極力指導はいたしておるわけでございます。  ところで、許可をいたしまして以後、当該許可を受けました事業目的に使用しないでおるものということにつきましては、若干の経済変動、つまり、景気不景気等事情もございまして、会社によってはずれておるものもあるようでございます。特に最近一、二そういう問題がございましたので、とりあえず関東農政局の管内におきまして、三十八年、三十九年、四十年と三年間、農政局長専決事項として処理したもので、現在工事に未着手ないしまだ工事をしておらない転用許可状況を全体として把握をいたしてまいりたいと考えます。全国的にはまだその集計がまとまっておりませんで、それを申し上げて、現状という御質問に対するお答えにかえさしていただきたいと考えます。  概して申しますならば、県によって若干の出入りはございますが、各年度を通しまして許可を受けました件数及び面積、いずれも大体一〇%強程度が、許可を受けながらその後なお当該目的利用されずに放置されているという実情にございます。
  12. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、もう一つ伺いたいのですが、私も新潟県の農業会議委員をしておりますが、ほとんど出席したことがないのですけれども、どうも私の知る範囲では、各市町村農業委員会というものの一部の役員は、土地ブローカーのような行為を行なっておる者が目に余るものがある。ちょっと規模の大きなものになると、県農業会議事務局長や職員などが、やはり土地ブローカーにまぎらわしいような行為をやっている者がきわめて多いのでありますが、そういう実情はおわかりになっておりますか。
  13. 和田正明

    和田政府委員 農業委員会なり県農業会議事務局長等土地ブローカーをやっておる実情だと、こうおっしゃられましたが、私どものほうではちょっとそういうことは実態として把握はいたしておりません。
  14. 石田宥全

    石田(宥)委員 まあはっきりわかっておるとは言いがたいと思いますから……。  そこで、関東農政局関係で、転用許可を受けながら、一〇%程度のものが許可目的にこれを利用しておらないという数字まで出されたわけでありますが、いやしくも農地局というものは、農地行政をあずかるものとして、三年も五年も、中には十年も使用目的のために使用しておらないものがあるわけでありますが、そういうようなものに対しては、やはり農地行政として適切な措置をとるべきではないか、こう考えるのですが、これに対してはいつまでも野放しにそのままにして、五年も十年も農地転用したまま草ぼうぼうにしておく、これは国家目的にも反するわけでありますし、やはり農地法上問題があろうかと思うのでありますが、そういう点について、何か適切な措置をおとりになるお考えはございませんでしょうか。
  15. 和田正明

    和田政府委員 最近、一方で、土地改良その他によって国家で多額の投資をいたしまして、水田及び草地あるいは畑等の造成をいたしております。他方では、特に金を投じませんでも一応の生産があげられます農地がつぶれていきますということは、できるだけ避けなければならないというのが当然私どものたてまえでございます。したがいまして、農地法でも、現在農林大臣許可あるいは知事許可を受けなければ農地農業外転用をすることができないという制度を設け、また、先ほどもちょっと申し上げましたように、指導上の基準も定めまして指導をいたしておるわけでございますが、全く許可をいたさないということは、発展をいたします社会全体の中から不可能でございますから、万やむを得ないものを一定の基準の中で許可をしていくということはやらざるを得ないだろうと思います。  その場合に、私どもとしては、やはり計画内容実態なり、資金繰りの問題なり、生産物の販路なり、私どもの能力ででき得るだけの実態把握につとめておるわけでございますけれども、警察的な意味での調査権等もございませんから、できるだけやるといたしましても、何がしかの限界はございまして、先ほども申し上げましたような、許可を受けた目的に使われていない土地が一割程度存在をしておるということは、まことに好ましくないことだというふうに考えております。特に、私ども許可をいたします場合に一番留意をいたしておりますことは、先行投資的な宅地ないしは工場用地造成ということが一番よろしくないということであります。不動産会社その他に対しましては特に厳重に取り締まりまして、先行投資にならないようにということを留意いたしておるのでございますが、何ぶんにも多数の中にいま申しましたようなものが一部あるわけでございます。  ところが、現実の問題として、普通事業計画が一年以内に完了しないときは許可を取り消すことがあるというような条件を付したり、あるいは何年何月までに当該事業を完了すべしという条件を付したりして、また六カ月ごとに現況の、工事進行状況報告を求めたりして、いろいろチェック等努力はいたしておるのでございますけれども経済上の変化その他で事業計画変更される会社等も多いわけでございまして、必ずしも思うにまかせないという実情一つございます。  それからまた、もう一つは、許可の取り消しをいたしましても、それが原状に回復することになりませんと、農地に再び利用ができないわけでございます。現行法制度では、原状回復を命じまする法律根拠がございません。  第三に、たとえば原状回復がもし実行できましても、もとの農家、旧所有者が必ずそこで農業をやってくれるかどうかということについても、現実には問題がございます。そういうことで、最終的にきめ手になる点について、いろいろと検討し、また悩んでもおるわけでございます。  かといって、御指摘のようなことを放置することは決して適当な措置でないと私どもも考えておりまして、今後、将来の方向に向かっては、前国会建設省から提案になりました都市計画法案では、市街化区域調整区域区分をいたしまして、市街化を抑制すべき区域においては、原則として農地転用許可をいたさないというようなことを計画法案の中へも盛り込みまして、また市街化区域を決定いたします場合にも、農林省関係省との間で十分協議をするというようなことで、無差別に農耕地転用申請が出てこないように、限られた市街化区域における農地が宅地化されあるいは工場化されるような秩序ある利用計画を考えるというようなことも考え、またあわせて、そういう調整区域におきます転用については私どもも従来以上に厳重に措置するというようなことで、今後同種の問題が発生しないような法制的な措置を詰めていきたいと思いますが、いずれにいたしましても、農地法だけでは私ども努力にも限界がございますので、ただいま都市計画法案一つの例として申し上げたわけでございますが、関係各省を含め全体として、現在のように利用許可を受けながらその後も利用しないような、そういう不効率な土地利用実情が発生をいたしませんようなチェック制度は、関係各省にもお願いをして、協力をしていただいて、制度的にできるだけ詰めたものにしていきたいということで、現在検討を進めておる次第でございます。
  16. 石田宥全

    石田(宥)委員 いま局長もちょっと触れられたように、農地造成するということには巨額の投資を必要とするわけです。しかるに、上級田畑を他に使用するということで転用許可をとりながら、そのままに放置しておるというような事例が、どこの町村に参りましても相当数見受けられるわけです。私は、たまたまこの間私の選挙区に帰ったわけですが、中条町というところに、これは昭和三十二年に転用しておるのですから、約十年になるが、相当りっぱな畑地だったのです。ここに写真も持ってまいりましたが、それが草ぼうぼうで雑草、雑木がはえるままになっておる。そういう上級田畑が放置されておる。これは、そのままにしておいては国益に反することはもちろんであるし、農地法上からも問題があろうかと思うのであります。しかも、これを買い上げた当時の価格は坪当たり千三百円ぐらいであったのですが、いまでは一万円以上になっておる。そうすると、転用使用する意思がないにもかかわらず、安いからたくさんあちこち買い占めをしておる。買い占めをしておいて、しばらく放任しておけばそれが十倍にも十倍以上にもなる。そうすると、農地行政という面から見ると、土地ブローカー協力をし、土地ブローカーを思うままにばっこさせるのみならず、農地価格をつり上げる役割りを果たす。農地価格が高くなればなるほど、農業経営は苦しくなることは常識です。高い農地を買って農業経営が立っていくはずがない。農地行政よろしきを得ないと、そういうふうに一面において土地ブローカーをばっこさせ、一面においては農地価格をつり上げるという農地法に非常に反する方向に動いておるのではないか。中条の問題などは、調べてみると、とんでもない富山県あたりの東亜工業株式会社というのが買っておる。十年近くもほうっておく、そうすると、今度は十何倍かに売れる。こういうようなことはちょっと私どもいままで実はあまり気づかなかったのでありますが、行ってみると、そういう事態が地方ではどこの町村でもないところはないのじゃないか。私がいま申し上げておるのは、念のために私はこの登記書類もみんな持ってきております。こういうような状況農地行政としては許さるべきでないと思うのですが、いまの局長答弁では、何らかそういう悪弊を防止するような対策を講じたいということであったようですが、すみやかに各県の農業会議あるいは市町村農業委員会等に対して、そのように農地法趣旨に反する方向に動くようなことのないようにという、きつい通達くらいは出さなければならないのではないか。また会議等を招集して、やはりそういうことのなくなるような配慮が必要でないかと思うが、どうですか。
  17. 和田正明

    和田政府委員 私も、先ほど申し上げました数字のようなものが、実態を調べてみましたら出てまいりましたので、石田委員指摘のように、非常に憂慮すべきことであると考えまして、転用後放置されておる土地を今後どう処理するかということ及び今後の許可のあり方全体につきましては、倉石大臣からも非常に強く御指摘がございまして、それぞれ適当な会議機会等には指示をいたしておりますが、あわせて御指摘のような趣旨を含めて通達を出したいということで、現在鋭意文章を練っておる段階でございます。なるべく早く指示をいたしたいと思っております。
  18. 石田宥全

    石田(宥)委員 時間の関係がございますから、本論に入りたいと思いますが、実は先般、私ども地元の要請がございまして、神奈川県の大磯の農地転用の問題を調査に参ったのでございます。これの内容についてはすでに新聞等にも報ぜられておりますように、最近五月十九日に国鉄が八万二千五百平方メートルというものを買い取って登記をいたしました。その中に、鐘紡が前から所有しておった土地が六万五千三百平方メートルある。鐘紡は三十八年に農地転用許可をとっているといわれておるのでありますが、これについて、これは私どもの調べたところでありますけれども、それに関連する事項について農地局である程度お調べになっておるようでありますから、その前後の事情をお聞かせ願いたいと思います。
  19. 和田正明

    和田政府委員 ただいまお尋ねの件は、昭和三十七年の六月十二日付で、関東農政局長権限で、鐘紡化粧品工場建設するという目的申請のありました工場用地としての転用に対しまして、六万四千八百三十六平方メートルの面積生産力の低い第三種農地——先ども述べました、三十四年に出しました農林次官通達土地分類区分では、第三種農地になるということで、三十七年の六月十二日に鐘紡工場用地としての転用許可をいたしております。その許可の際に、許可申請書に記載された事業計画に基づく事業の用に供さないときは本件許可を取り消すことがあるという条件と、工事の完了までその進捗状況許可の日から三カ月後及び自後半年ごと報告するという条件を付しまして許可いたしました。その後、この二つ目に申しました条件には若干のでこぼこはございますが、報告が参っておりまして、埋め立てをいたす必要がございまして、その埋め立て工事を翌年三十八年の三月から開始をいたしまして、昭和四十年の四月に埋め立てを完了し、同年九月に排水工事を完了いたしまして、以後具体的な工場建設ができませんので、その後再三にわたって鐘紡に対して関東農政局から関係者を呼びまして、その後の情報を収集しておったのでございますが、本年三月に鐘紡がこの用地国鉄に売る交渉をしておるという話を聞きまして、鐘紡を呼びましたところ、鐘紡のほうとしては、そういううわさもあるけれども工場建設をしたいということを言っておりましたので、当初計画どおり建設を進めるようにという指導をいたしておったのでありますが、本年五月十一日に国鉄のほうに転売をいたしたようでございます。したがいまして、私どもとしては、あとでその事実を関東農政局長としては承知をいたしましたので、鐘紡を呼びまして、従来も、一たん許可をいたしました場合にも、その事業計画変更になります場合には当然変更許可を要しますので、その手続なしに転売をしたことについて十分注意を喚起する等の措置をとっておるわけでございますが、まだ事業計画変更に伴う許可変更申請書が正式にまいっておらない、そういう実情でございます。
  20. 石田宥全

    石田(宥)委員 鐘紡化粧品工場をつくるという理由転用許可手続をし、これに許可を与えたということでありますが、鐘紡が約五十名の地主から九十筆に及ぶ土地を買い取った値段は、三・三平方メートル当たりでどのくらいに買っておるか、国鉄にそれを幾らぐらいに売っておるか、ちょっとお伺いしたい。
  21. 和田正明

    和田政府委員 当事者間の売買関係のほうは、私のほうは把握しておりません。
  22. 石田宥全

    石田(宥)委員 私の調べたところでは、三・三平方メートル当たり地主からは六千円で買って、それから四年間放置しておいて、今度国鉄には三万四千六百円で売り渡しをしておる、国鉄登記をしておるということでありますが、国鉄さんにひとつ伺いたいのでありますが、一体国鉄は、六千円で売買があったということを承知の上で三万四千六百円でお買いになったのかどうか。
  23. 仁杉巌

    仁杉説明員 国鉄は、当時六千円で買ったというようなことを確認はいたしておりません。しかし、大体その程度ではないかということは聞いております。しかし、当時、ちょうどことしの春でございますが、これを買おうという決心をいたしまして、三井信託銀行、東京建物株式会社淵上不動産鑑定所の三カ所に依頼いたしました結果、平方当たり一万百円、一万一千円、一万一千三百円という評価が出てまいりました。そこで、一応平米当たりの適当な、妥当な、付近の評価と同じということで、平米当たり一万六百円という値段にきめまして、これを相当と認めまして、五月十二日に登記をすると同時に支払ったというような状況でございます。
  24. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、こういうふうな状況になりますと、結局さっき私が指摘したように、はたして鐘紡が実際にその化粧品工場をつくる計画があったのかどうか、疑いを持たざるを得ないのです。事実は、そういう計画がなかったにもかかわらず、あるがごとく文書を出す。そうすると、農政局はこれを許可する。結果においてはブローカーに加担をする。いやしくも鐘紡ともあろうものが、土地ブローカーをやるというようなことは考えられないのではないかというふうにも考えられる。ところが、先般私ども調査に行きました後に、一週間くらいで、そこの工場長ですか、支店長ですかが首になっておる。どうもそれらを総合すると、ほんとうに会社として計画があったのではなくて、県の農業会議事務局長などがだいぶ奔走しておるようでありますから、何か非常に不明朗なものがそこに伏在しておったのではないか、こう思うのです。  そこで、通産省の方に、おわかりでしたら、実際そういう計画があったのかなかったのか、伺ってみたい。
  25. 代永久寿

    ○代永説明員 お答えいたします。  ただいま各関係官庁からお話しのあったとおりでございまして、私どものほうといたしましては、国鉄のほうの東海道線整備計画の一環としての建設をするということの非常な重要性等を見て、鐘紡側は、これはやむを得ないという腹をきめたのだろうと思いますが、鐘紡としましては、現在のところ代替地をさがしつつありまして、事業計画は近い将来必ず実行するということを言っておりますし、当該土地売買は、その差益の利益をねらったという意図は全然ないということをはっきり言っておりますから、さよう御了承を願います。
  26. 石田宥全

    石田(宥)委員 会社としてはどうにも言いのがれはつくだろうと思います。  そこで農地局長、そういう状況でありまして、私どもは現場を見たわけでありますが、上田ではないというお話でありますが、私は相当りっぱなたんぼだと見てきたのであります。いまではもちろん草ぼうぼうでありますが、そういうふうなことになると、私が最初指摘をいたしましたように、実体があったのかなかったのか。実は会社は何と言っているかわからない。通産省はいまのような御答弁ですけれども、そういうことの結果が、土地価格の値上がりを生じ、土地ブローカーをばっこさせるということになると思うのです。農地法上この問題については、どうも納得がいかない点があると思うのですが、農地局としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  27. 和田正明

    和田政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、三十七年六月十二日現在で、当時の関東農政局長転用相当と認めて認可をいたしました段階では、関東農政局としてなし得る限りの自主的審査を十分いたしまして、やむを得ないと認めたものと思います。また、本年の四月二十二日にも、関東農政局に対して鐘紡は、工場建設をやりたいといって設計書を提出してきたりいたしている経過を見ましても、国鉄に売ります前には、やはりほんとうにつくる気であったのではないかというふうに推測をしているわけでございます。ただ、少なくとも鐘紡が自分の工場建設に使いませんで、許可を受けました事業計画と違う事業利用することになりましたについては、やはりもう一度事業計画変更許可手続をとるべきであったと思います。その点についての鐘紡許可手続に対する不手ぎわは間違いない事実でございまして、そこの点は、鐘紡に対しまして、たびたび関東農政局のほうからも、今後も含めて厳重に現在注意をいたしているわけでございます。  それで、冒頭石田委員の御質問にもございましたように、この問題を契機として私としては実態把握をしてみましたところ、先ほど申しましたような数字が出てまいりましたので、石田委員の御指摘をまつまでもなく、でき得れば法制的にもきめ手になるような制度を研究して直したいということと、あわせて、とりあえずは、今後の許可にあたっての審査を厳重にするように早急に指導通達を出して、今後の行政をしっかりやっていくように末端を指導してまいりたいというふうに思っております。
  28. 石田宥全

    石田(宥)委員 鐘紡計画どおり工場の設置をしないということが明らかになった時点で、これを前の地主に一応返す、そしてまた地主があらためて国鉄に売るということであるならば、これまた話は別になってくる。それから同時に、鐘紡国鉄に売るということならば、前に自分の買い入れた価格でこれを国鉄に売らなければならないのではないか。私は、そういう点については、やはり農地局の責任が強く責められなければならないと考えるのです。この点についての所見をお伺いしたい。
  29. 和田正明

    和田政府委員 当事者間の売買価格については、私どもが触れる行政権限の範囲外だと思うのでございますが、ただ、この件につきましては、鐘紡が成規の手続をとってまいりませんでしたということは事実でございまして、その点鐘紡はどこまでも責任を責められてしかるべきかと思いますが、あわせて、本年六月二十八日に旧所有者からは、鐘紡国鉄に売ることについて異議がないという同意書が提出をされておるわけでございます。したがって、手続的には追加になりましたが、この件についてはそういう事実はございません。  なお、私どもが申し上げておりますことは、こういう現実鐘紡の大磯の工場について生じましたことは遺憾でございますし、それからまた、それを契機として私も実態把握をしてみましたところ、先ほど申しましたような数字がございますが、いま直ちにこれをどうするかというきめ手が、法制度上も、また現実問題としても、きちっときれいにいきますきめ手がございませんので、その点について十分今後制度的な裏づけも検討いたしますこととあわせて、転用を受けながら、よほど宥恕すべき事由もないにもかかわらず放置されているようなものを転用許可をいたさないような、今後の許可の審査についても、そういう厳重なる態度で臨みたいというふうに考えておる次第でございます。
  30. 石田宥全

    石田(宥)委員 国鉄さんもずいぶん用地買収その他で苦労をされておることはよくわかっておるのでありますが、農地転用されて、そして鐘紡さんが持っておられたというものをお買いになるには、やはり農地法上の問題があるであろうということは十分おわかりのはずであったと思うのでありますが、農地法との関連については、どのような御理解の上に立ってこれを買い取られたのか、承りたいと思います。
  31. 仁杉巌

    仁杉説明員 御指摘の件でございますが、農地法の五条で、転用の認可を受けるということがあるわけでございますが、あそこの条項では国鉄は国とみなされるということになります。したがいまして、農地法的には、私ども農地を買います場合——大磯ばかりではございませんで、線路敷で農地を買う場合には、認可は要らないというたてまえになっております。  そこで、今度の場合でございますが、鐘紡さんが工場を建てるということで農地転用を受けた。現状は農地という地目になっております。そういうことでございますが、それらに関しましてはすべて鐘紡が処理をしてくれるというふうに理解をいたしまして、私ども鐘紡が処理をしてくれるというたてまえに立ちまして、この問題を処理をしたということが事実でございます。
  32. 石田宥全

    石田(宥)委員 国家の立場と同じ立場で用地取得をするという御理解だとすると、その点、私はちょっと問題があると思うのですけれども、まあそれはそれといたしまして、そこで、国鉄が買収をされた直後に、元の地主約五十名に対して六千万円が、これはどういう名目か存じません、追加払いということであるか、あるいは何かの名目であるかはわかりませんけれども、支払われた、大磯町に対して三千五百万円の金が支払われておるといわれておるのですが、その金は国鉄のほうでは関係がなくて、鐘紡さんのほうで一切処理をした、こういうことなんでしょうか。
  33. 仁杉巌

    仁杉説明員 ただいまの件は、先ほど申しました平米当たり一万六百円という金をお支払いしただけでございまして、あとどういうふうに鐘紡が処理をしたかということにつきましては、国鉄は関知してないということでございます。
  34. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、国鉄さんのほうにちょっと伺いますが、私どもは現地を見まして、あの場所に貨物駅がつくられ、そしてちょっと手前のほうに砂利港というものが計画されている、こういわれておるのです。ところが、現地を見ますと、ああいう町のどまん中でありまして、何か計画によると、年間五十数万トンのバラスをあそこに陸揚げして貨物駅に送り、一分間に大型トラックで何台かが走る計算になるということで、地元ではかなり熱心にこれの反対運動をいたしておるようであります。したがって、いまのままの状態で港ができ、そして貨物駅ができて、これが運搬されるということになると、付近の住民にとっては非常な脅威だということが考えられるわけです。地元の相当広範かつ強力な反対がありましても、あの場所でそれをやらなければならないのかどうか、あるいはまた砂利港にしても、そうした住民に被害を与えるようなことのないような位置に砂利港というものを設置することができるのではないかということも考えてまいったわけでありますが、その点は、国鉄さんと、それから運輸省の方がお見えであるはずなんでありますが、国鉄さんと運輸省のほうからお伺いをしたいと思います。
  35. 仁杉巌

    仁杉説明員 ただいまの御指摘の砂利港との関係でございますが、実は、この新大磯の貨物駅というのは、東京−小田原間の線増工事に伴いまして、平塚とそれから二宮の貨物駅がつぶされます。そのつぶされる代替といたしまして、かたがた貨物駅の近代化をはかるということで、御指摘の位置に新大磯貨物駅、これは年間取り扱いは五十万トンということでございますが、こういうものを計画しているわけでございます。それで、私ども計画は、いま申し上げたように、旧平塚と二宮と合わせた雑貨を主体とした貨物駅というふうに考えておりまして、大磯港の砂利を扱うというようなことは、私どもは現在のところ考えておらないわけでございます。
  36. 岡部保

    ○岡部説明員 港湾局の計画課長でございます。ただいま先生のお話ございました大磯港につきまして、われわれ確かに昭和四十年度以来大磯港の建設をいたしております。これは県が管理者でございまして、県に対して補助を出して建設を進めております。これの主目的は、先生の仰せられましたように、一つは砂利の揚げ港でございます。これは御承知のように、相模川の砂利が採取禁止になりましたので、どうしても神奈川県として砂利の源を静岡県にたよらざるを得ないということで、一応神奈川県といたしましては、西のほうに対しては大磯、さらに横須賀、それから横浜港、川崎港という四港に対して砂利の揚げ港というものの施設の整備をしなければいけないということで、大磯港についてそういう要望が非常に強かったわけでございます。ただ、港をつくるにあたりまして、地元の町議会の御意見、町長の御意見等々ございまして、必ずしも砂利だけではなく、観光的な面あるいは一般物資の面、さらに漁港的な施設の整備ということをすべて合わせてやってもらわなければ困るという御意見でございまして、その点につきましては、現在一応事業は進めておりますが、さらに今後とも計画を一部手直しをしなければならない点があると思います。特に先ほど指摘のございました砂利の背後地に対する輸送ということでは、現在つくっております大磯港のすぐ背後に西湘バイパスという道路が通っておりますが、大磯港から揚げます砂利の行き先地と申しますのは、大体大磯あるいは藤沢等あの近辺でございまして、でき得ればバイパスに直接結びつけるということを何とか考えて、町の中をいわゆる砂利トラが横行しないようにしたいということで、これは現在県とも打ち合わせて、何とかそういうことを考えていきたいということを考えております。
  37. 石田宥全

    石田(宥)委員 わかりましたが、あとで関連して御質問もございますが、私はどうしてもこの事件というものに非常に疑問を持たざるを得ないのです。先ほどもちょっと指摘いたしましたように、一部の諸君、町の農業委員会の役員、県農業会議事務局長などと鐘紡の現地の責任者との間に架空の計画書をつくって、そしてこの転用許可を得たのではないかという疑いを持つものです。もしそれがそうだとするならば、これは当然公文書並びに私文書偽造という問題が関連して起こる問題であろうかと私は考えるのですが、それらの点については、通産省はつじつまを合わせたような答弁をしておりますけれども、私は、そうでなければこういう事態に発展するということは考えられないと思うのです。これは農地局長、もっとそこらの事情をお調べになって、やはり農地法の精神を守る、同時に農地行政を守る立場に立って、もし架空の文書で転用許可をとったというようなことであるならば、当然刑事事件として爼上に乗せて、よく事態を明らかにしなければならぬ問題であろうと考えるのであります。私どものほうも調べてみたいと思いますけれども、何といってもやはり役所のことでありますから、役所の内部でお調べになって、そういう疑いがあるならば、これは検察庁に当然摘発をさるべき問題であろうと思うのでありますが、いかがなものでしょう。
  38. 和田正明

    和田政府委員 三十七年の許可をいたしました当時、また最近におきましても、鐘紡のほうから事業計画書等が提出されておりますので、私どもとしては、そのような架空の事実があったというふうには考えずに許可をいたしたと思います。しかし、公文書偽造とか私文書偽造とかいうことになりますと、これはどうも私どもの直接の権限ではございませんので、しかるべき調査権限のあるところでお調べが行なわれることがしかるべきと思いますが、もし、そのような調査の結果として、御指摘のような事実が明らかになってまいりますれば、当然行政行為としては瑕疵ある行政行為でございますから、取り消しをいたすのが至当であろうというふうに考えております。
  39. 石田宥全

    石田(宥)委員 政務次官、先ほどからいろいろ伺っておるわけですが、農地法の改正という問題が爼上にのぼっておるから、農地法は守られなくともいいんだというような風潮が全国一般に流れており、そして市町村農業委員会の役員やあるいは県の農業会議の役職員等が、土地ブローカーにまぎらわしいような行為をやっておるのが目に余るものがある。私はきょう二つの点だけを指摘したわけでありますけれども、そういう情勢が全国的にあるということは、私ども農林水産業関係する者はだれでも知っておる。こういう点で、法改正は改正として、現時点においては現行法を守られなければならないし、また、その趣旨に従って行政は行なわれなければならないと考えるのでありますが、これはひとつ草野政務次官のほうから御答弁を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  40. 草野一郎平

    ○草野政府委員 農地法上の問題として、農地転用許可しておりながら、それがその目的どおり使用されておらないという問題は随所にあります。したがって、農林省はいま徹底的な調査をいたしておりますが、さて転用許可を取り消したとして、はたしてそれがそのまま農地に返るかどうかということになってくると、大きな問題もあり——問題というよりも、疑問点もあります。そこで……(「何を言っているのだ、聞いている問いにはっきり答えなさい」と呼ぶ者あり)ちょっともうしばらく聞いてください。  農地法の改正ということは、その問題に主眼があるわけではありませんが、それらをも含めなければならぬことは当然でございます。しかし、ただいまのような問題が出てきたときに、さて鐘紡なら鐘紡の本社を呼びつけて、君のところけしからぬじゃないかと言ってみて、どこで押し詰めていくかというと、さしあたってこの問題自体で押し詰めていくことはなかなかむずかしいと思います。しかし、基本的な態度として、その会社がそういう前歴があるとするならば、農林省はよほど確固たる態度を持って今後もこれに対応していかなければならぬということは考えておりまするし、いま調べておるところでも、農地転用許可を受けながらその目的のために着手しておらないというようなところは相当あります。そうした問題をどうして押し詰めていくかということは、現実的に有効な方法をとらなければならぬのでありますから、これはひとつわれわれとしては真剣な努力を今後……   〔発言する者あり〕
  41. 倉成正

    倉成委員長代理 お静かに願います。
  42. 草野一郎平

    ○草野政府委員 いまお問いになっていることにはこれでいいのでしょう。それならちょっと待っていてくださいよ。こちらに答えているのですから。横手から言われると、そちらのほうにも気をとられますから。  したがって、こうした問題に対しましては、いかなる方法が有効であるかということで、びしびしこれからやるつもりでもありますし、やり得ないという問題が法制上に残っておりますとするならば、そこをどう解決していくかということは今後の検討問題としながら、最も近い農地法の改正の機会に、これを取り入れていかなければならぬ、さように考えております。したがって、いま幾多の問題を残しておるところもわかっております。それらの問題に対しても、これから厳重なる態度を持ちながら臨んでいきたい、さように考えております。
  43. 倉成正

  44. 平林剛

    平林委員 農地法の違反問題に関連をいたしまして、ただいま石田委員が取り上げたことについて、私、若干関係当局にお尋ねをしてまいりたいと思います。  そこで、私は、いまの問題について、農地転売、すなわち、農地法全般が現況に置かれておることに対してどう取り扱うかという問題が一つありますが、具体的に取り上げられた大磯の新貨物駅の問題につきましては、はたして鐘紡という会社が大磯に化粧品工場建設する計画があったかどうかという点が、疑問としてなお残ると私は思うのでございます。それからもう一つ国鉄、これは、公共企業体といえども国に準ずる一つの機関が、農地法に違反する土地であると知りながら、国鉄は別なんだ、これは国と同じなんだということを理由にして、不当に高い価格でこれを買い入れること、これが一つ問題があると思います。同時に、この問題にからみまして、鐘紡のとった解決のしかたは、大磯の町に対して三千五百万円、また、当時農地を提供した地主五十数名に対して判こ代と称して約六千万円の金額を渡して解決しております。一面、鐘紡自体は五億円に近い巨額をわずか四年の間に利得をする。こうしたようなことをそのまま許すことが、今後の農地転用の問題にからんでいかがなものであろうか。私は、この問題につきましては、都合三つ問題点があると思うのであります。そこで、この問題につきまして、少し詰めてお尋ねをしてまいりたいと思うのであります。  初めに、事実関係について通産省あるいは農政局お尋ねをいたしますが、鐘紡が大磯に化粧品工場建設するという計画は、先ほどお話を聞いておりますと、昭和三十七年ごろというお話でございましたが、いつごろそういう計画が始められて、また、通産省は、初めこうしたことについてどの程度知っておったのかどうか、これをひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。
  45. 代永久寿

    ○代永説明員 実は鐘紡内容をちょっと申し上げますと、現在鐘紡は資本金百二十三億円、年間売り上げ千三百億円、そのうちの化粧品のパートが百五十億円という現状にあるわけです。鐘紡はいま大井のところに化粧品の全般的なものをつくっておりますが、私の私見といいますか、考えられるものは、鐘紡は合成繊維の拡充を活発にやっております。そういう意味において、化粧品のほうの強化といいますか、体質改善といいますか、資本の自由化はもうやっておりますので、こういう点におきましては、これからピッチを上げなきゃならぬというときでありますが、それ以前の時点においては、たぶん合成繊維のほうに相当重点的に投資が行なわれたのであろうというぐあいに考えられます。また、化粧品はこの大磯でやるということは、別に具体的にわれわれのほうにはないわけですが、うちの企業局のほうの立地指導のほうには正式にその申請が出ておる。ただ、この鐘紡は最近男性用の化粧品を大々的にやるべく拡充計画を立てておりまして、そこらあたりを重点的にやることで土地を購入したというぐあいに考えられます。さらに具体的にもう少し鐘紡のほうを突っ込んで調べたいと思いますが、いまのところ大体そんなところであります。
  46. 平林剛

    平林委員 私の聞いているのは、大磯で昭和三十七年当時鐘紡がそこに工場建設する計画があったかないかということです。いまのことを聞いているのじゃないのです。昭和三十七年に鐘紡という会社が大磯に工場建設する計画があったかどうか、通産省はそれを承知しておったかどうかということを聞いておるのです。
  47. 代永久寿

    ○代永説明員 通産省は存じておりました。
  48. 平林剛

    平林委員 通産省が存じておったとすれば、それはいつ、どういう規模で、どういう計画があったか、それを聞かしてください。
  49. 代永久寿

    ○代永説明員 お答えいたします。  ここには具体的に書類を持ってきておりませんが、農地転用の企業局のほうに出す申請書と合い議が原局にも回ってまいりますので、それを調べて後ほど……。
  50. 中村敏郎

    中村説明員 御答弁申し上げます。ただいまの化学第二課長答弁、誤りがございましたので、お答えいたします。  私のほうへ出てまいります届け出は、工場が実際に建築に着工する前九十日以内に届け出るというたてまえになっておりまして、このケースは、まだ実際に土地を買ったばかりで、建築の着工をいたしておりませんので、届け出は受理いたしておりません。
  51. 平林剛

    平林委員 確認をしますが、そうすると、鐘紡は大磯に昭和三十七年当時これを建設するという計画はなかったのですね。
  52. 中村敏郎

    中村説明員 ただいま申し上げましたとおり、私のほうは、工場の建築に着工する時点におきまして届け出を受理するものでございますので、土地を買った段階では全然存じておりません。
  53. 平林剛

    平林委員 農林省に対して、鐘紡がこの農地を買いたいというような許可申請をしてきた日取りはいつですか。
  54. 小山義夫

    小山説明員 農地転用許可手続は、御承知のように、正式の許可申請書が出る前に、立地が適当であるかどうかというふうなことをおもに判断いたす意味で、事前審査の申し出という手続を事実上とっております。本件につきましては、昭和三十六年九月十一日に、カネボウ化粧品株式会社、これは現在は合併をして鐘紡会社になっておりますけれども、当時はまだカネボウ化粧品株式会社ということになっておりました。カネボウ化粧品株式会社から事前審査の申し出がございまして、ただいま申し上げた三十六年九月十一日に承認の内示をいたしております。その後、本申請手続がございまして、翌昭和三十七年四月九日に神奈川県知事を通じまして正式の転用許可申請書が出てまいりました。そうして、それを許可いたしましたのが、先ほど農地局長が御説明いたしました三十七年六月十二日付で正式の許可をいたしたのでございます。
  55. 平林剛

    平林委員 もう一度はっきり言ってください。昭和三十六年九月十一日に内相談があった。私の持っておる資料は、昭和三十六年十一月十日となっておる。それが正しいのじゃないですか。私はコピーで持っておるのです。昭和三十六年十一月十日に時の鐘紡の代表取締役の武藤統治、譲り渡し人の曽根田春吉外五十六人の連記でもって許可申請が出されております。いま九月十一日というお話ですけれども、十一月十日でないですか。
  56. 小山義夫

    小山説明員 私のいま申し上げましたのは、事前審査の提出はもう少し以前かと思いますが、承認の内示の通達をいたしましたのが三十六年の九月十一日でございます。それを受けまして、正式の許可申請書が提出されるわけでございます。いま先生お話しになりましたのは、おそらく三十六年の九月十一日の内示の承認を受けて、今度は正式の申請手続をされた日取りではないか。これは私の推測でございますけれども……(「さっきは三十七年四月だと言った」と呼ぶ者あり)それは当時の東京農地事務局が受け取った日が三十七年の四月十日付でございます。その前に県知事のほうに先に出しまして、知事のほうで意見書をつけて、さらに東京農地事務局に上がってくる、こういうような手順がその前にございます。
  57. 平林剛

    平林委員 いずれにいたしましても、こういう事実関係の日時をこまかくお尋ねしておるのは、こうした日時において、鐘紡という会社が実際に大磯に化粧品工場建設する計画があったかどうかということを確かめてもらいたいのです。私はその疑いを持っておる。ですから、具体的に日時を私いまの質疑応答で明らかにしたわけですが、関係者は、この当時、カネボウ化粧品会社現実に大磯に化粧品工場建設する計画があったかどうか、もしなくて、こうした問題についていろいろな動きがあったということになると、これは先ほど指摘いたしましたようにゆゆしき問題です。ですから、このことについて具体的な調査を進めてもらいたい。ひとつ関係当局からしっかりした御返事をいただきたいと思います。
  58. 和田正明

    和田政府委員 ただいま担当課長から御説明をいたしました段階で、正式な許可申請書が出てまいりました場合に、資金計画にせよ、工場建設計画にせよ、その他必要な書類は十分整っておりましたし、また、担当者から役所のほうの担当者も十分説明を聞きました上で許可をいたしておりますので、少なくとも農林省側で審査をいたします権限の範囲では、当時工場建設の意思もあり、計画もあったという判断で許可をいたしておるわけでございます。
  59. 平林剛

    平林委員 私は、先ほどの質疑を聞いておっても、あなたの言われたことは、どうもそれが事実で最も確実なるものであるということについて、その信憑性を疑っておるのです。あなたのほうではほんとうの状況把握しておらぬのじゃないかという疑問を持っておるのです。  具体的に指摘いたしましょうか。先ほどのお答えの中にだっておかしい問題があります。あなたはさっき、関東農政局が、実際に鐘紡という会社が四年間もたってなお工場建設する計画があるかどうか確めた、そうしたら、昭和四十二年の四月、なお工場建設するという返事があった、こう答えておるでしょう。どうなんですか。そういうふうに答えておるでしょう。ところが、そのときに、国鉄は、すでに大磯を土地収用その他でもって新貨物駅にするんだという説明会を開いておる。説明会を開いたあとで確めたところが、鐘紡はなお工場建設計画があるなんて、おかしいじゃないですか。国鉄のほうではもうちゃんと話がついて、そしてここは国鉄の貨物駅をつくるんだから皆さんよろしく頼むという説明会を開いておる。そのあとで、あなたは担当農政局を通じて調べさせたら、工場建設計画はまだあるのだという答えをいただいて、それを信じていま石田委員の質問に答えているじゃありませんか。そんな程度状況把握で、いま私が尋ねたことにあなたがお答えになったとおりで実際に信用しますか。だから、ちゃんと調べてくださいと言っておるのです。調べるなら調べると言ったらいいでしょう。
  60. 和田正明

    和田政府委員 先ほど石田委員の質問に答えました四十二年四月二十一日の段階では、国鉄は説明会等を開いておるかもしれませんが、鐘紡としては、まだその段階では国鉄に売り渡す手続もしておりませんで、その段階では鐘紡のほうとしてはまだ工場をつくりたい——国鉄はそう言っておるけれども、つくりたいのだということを言っておった、そういうことを申し上げたわけでございます。
  61. 平林剛

    平林委員 そう申し上げたならいいですよ、何と申し上げようとも。しかし、事実関係が、いまお話しになったことが事実なのかどうかということについて、あなた自信があるのですか。私は、これは、農地転用問題についてもう少し農林省当局がしっかりしないと、こうした問題は各地に起こりますよという一つの警鐘として申し上げておるのです。そうだとすれば、これは一つの例なんだから、あなたのほうに手ぬかりがあるようなことになる。悪いやつほどよく栄えるということになりまして、こうしたことを利用して農地法を事実上ないような状態にさすという計画がどんどん進められるから、これは氷山の一つの問題点だから、どうだろうか、これはひとつ調査してみなさいと私は言っておる。何もちゅうちょする必要はない。農政局はその責任があると思う。
  62. 和田正明

    和田政府委員 おっしゃいますとおり、この事件を契機にして、私も、過去において転用許可を受けながら実際に使っておらぬ実態把握して、私なり政務次官からお答えをいたしましたように、今後の対応策を処置をしていきたいという決意をいたしたわけでございますから、私ども権限の範囲におきましては、御指摘のような調査はいたします。
  63. 平林剛

    平林委員 それでは調査結果を待ちまして、また適当な機会お尋ねしますが、次の問題は、国鉄は、こうした農地法違反ということを知りながら鐘紡から実際の土地を譲り受けた、これが一体適当かどうか。いやこれは国だからかまわぬという態度であくまで押し通されるおつもりかどうか。その点が問題でございますから、私は具体的に詰めていきますから、お答えをいただきたい。  国鉄は、新貨物駅の用地として鐘紡から転売を実際に受けたのはいつですか。
  64. 仁杉巌

    仁杉説明員 ことしの五月十二日でございます。
  65. 平林剛

    平林委員 それは登記をした日ですね。
  66. 仁杉巌

    仁杉説明員 さようでございます。
  67. 平林剛

    平林委員 折衝はいつから行なわれておりましたか。
  68. 仁杉巌

    仁杉説明員 一番最初に折衝をいたしましたのは四十一年十一月十五日でございます。
  69. 平林剛

    平林委員 その地主に対する説明会というのは、さっき私がちょっと触れましたけれども、実際にはいつ行ないましたか。
  70. 仁杉巌

    仁杉説明員 四十二年三月二十二日でございます。
  71. 平林剛

    平林委員 国鉄が大磯の貨物駅の計画を立てたのはいつからですか。
  72. 仁杉巌

    仁杉説明員 東海道本線の東京——小田原間の線増工事というのがきまりましたのが、四十一年四月でございます。その後、その計画では大磯付近あるいは平塚——大磯付近に貨物駅をつくるということで、具体的にはまだ固まっておりませんが、大体大磯のいまの位置にきめたというのは昨年の秋と考えております。
  73. 平林剛

    平林委員 いま具体的な日付をお尋ねしましたのでわかるとおり、国鉄が実際に地主に対する説明を行なわれたのは四十二年三月二十二日、そのとき、関東農政局は、鐘紡さん、あなたはこの土地を売るというお話があるんだけれども工場建設計画はあるんですかと言ったら、それはそのとおりであると答えたわけでございまして、そこに一つの疑問点があるから、先ほど申し上げたように、調べてもらいたいということを申し上げました。国鉄に対しても、いまの状況から考えますと、こうした事実あるいは鐘紡が坪六千円で買うたというような事実を知っておって、そうして鐘紡に話をされた、こういうことでございますが、その点は間違いございませんね。
  74. 仁杉巌

    仁杉説明員 交渉を始める当初六千円ということは知りませんでしたが、交渉の過程の中におきまして知ったというのが事実でございます。
  75. 平林剛

    平林委員 鐘紡が実際に購入をされて、一年たっても工場建設を進めない、二年たっても三年たっても草がぼうぼうはえてきただけで、工場は依然として建たない、こういうことは、国鉄当局といえども国の機関ですから、農地法というものがあって、この事態は農地法違反だということはわからなかったですか。これについては疑問のある土地だという点については理解できなかったですか。
  76. 仁杉巌

    仁杉説明員 農地法違反と申しますか、許可条件のついてある土地であるということは承知いたしておりました。
  77. 平林剛

    平林委員 条件がついておる土地だということを知りながら、あなた方はそれを買うということは一向差しつかえないものだというふうな理解なんですか。
  78. 仁杉巌

    仁杉説明員 この点は、条件鐘紡についております。それで、私のほうとしては、鐘紡に譲っていただきたいというわけでございますが、そのときに、農地法上の諸種の問題は、これは鐘紡をわれわれは信用したわけでございます。大会社でございますから信用したわけでございますが、鐘紡が処理をしてくれるという前提に立って処理をいたしたというわけでございます。
  79. 平林剛

    平林委員 私は、国鉄のような国に準ずる機関が、少なくとも土地所有者とも十分折衝をしないで、いきなり公共土地緊急収用説明会などを公告するやり方も適当ではないと思いますけれども事情を知りながら鐘紡という会社に責任を転嫁するやり方というのは、国鉄当局としていかがな態度なんでしょうか。あなたはこの点について何ともお考えになりませんか。いまだに当然のことをやったものだとお考えですか。あらゆる国鉄の敷地その他を方々で購入する計画がこれからも立つのでしょうけれども、いつもそんな考え方でやるつもりですか。何らかの反省があってしかるべきものだと思いますが、いかがですか。
  80. 仁杉巌

    仁杉説明員 ただいまの説明は、その当時の担当者の考え方を申し上げたわけでございますが、現時点に立ちますと、その処理をもう少し確認してから処理すべきではなかったかというふうに反省をいたしております。
  81. 平林剛

    平林委員 農林省お尋ねします。  関東農政局が、ことしの六月に、農地転用後に許可目的以外に使用する事例が多いけれども、この取り扱いについて苦慮しているので指示を仰ぎたいという文書を農林当局上司に対して提出をされておると聞きますが、いかがですか。その事実はございますか。
  82. 和田正明

    和田政府委員 鐘紡の問題が起こりましたときに、先ほど来申し上げておりますように、こういうことを放置することは農地法上ゆゆしいことであると考えまして、とりあえず私のほうから、関東農政局に、過去における許可の実例の調査を命じましたが、その結果の概要については、先ほどお答えいたしたとおりでございます。調査の結果について今後どのように措置を考えるかということについては、先ほど来お答えを申し上げておりますように、早急に検討を終えまして、指示もし、また制度的に難点がございますれば制度的な改正もいたしたいというふうに考えておるわけでございますが、ただいまの関東農政局から農地局長あてに文書で云々ということではございませんで、局長同士の間で、こういうことでは困るから何か適当な措置を今後考えようではないかということで話し合いをいたしたことはございます。
  83. 平林剛

    平林委員 そうすると、私が聞いたような指示を仰ぐということではなかったというお答えとして承知してよろしゅうございますか。
  84. 和田正明

    和田政府委員 農地法の施行に関します限り関東農政局長は私の指示を受けるわけでございますから、どうも調査をしたらこういう数字になっておるので、今後どうしたらいいでしょうかということで相談を受けましたということを申し上げておりますので、指示をしてくれと言わなかったというふうにお答えをすると若干間違いになると思いますが、要するに、出先機関として調査の結果はこうであるが、これは困ったことなので、今後どういうふうにやりましょうかというようなことの相談がありましたことは事実でございます。彼らの意見も聞きながら、現在、当初来お答えをいたしておりますような今後の方向についての検討を進めておる、こういうことでございます。
  85. 平林剛

    平林委員 私は、今後というよりは、むしろこの問題についてはっきりした農林省の見解を出さなければ——幾ら今後今後と言いましても、現にたくさんあるのですよ。私はこれだけをいまあげていますけれども、かなりまだいろいろな事例を承知しておるわけでございます。今後ということになれば、いままでやったのはそのままかということになるわけでございまして、そこに一つの問題があると私は思うのです。  そこで、農林省に重ねてお尋ねをいたしますが、今度の大磯の貨物駅の用地の問題につきまして、国鉄鐘紡に対して始末書をとったといいますけれども、その事実はあるかどうか。
  86. 和田正明

    和田政府委員 先ほど私、今後というふうに申し上げましたのは、転用許可を受けても長期間にわたって放置されるような事情を生ずるような転用許可をしないように今後に対する対策を考えることと同時に、過去におきまして許可をしたのになおかつ現在使われておりませんものの措置についても、あわせて対策を立てたいということで検討しておるという趣旨でございます。  それから、始末書が出てきたかという御質問でございますが、それについては、六月六日付で社長名で始末書というのが提出されております。
  87. 平林剛

    平林委員 私は、これは本来始末書だけで処理さるべき性質のものではないということは、後ほど調査結果を待って、さらに農林省当局も再検討する必要があることをこの際指摘をいたしておきたいと思います。  国税局にお尋ねをしますけれども、国税局いまお聞きのとおりでございまして、こうした問題が表面化いたしましたので、町当局、それから鐘紡会社でも、これは何とか処理をというのであわてたわけですな。そうして同時に、町長さん、地元の県会議員さん、それから地主の代表というような人たちが大阪と大磯の間を往復したり、あるいは農政局に電話で連絡をしたり、実際に関東農政局の人が現地を見たりいたしまして、取り扱いについていろいろ相談をした事実がある。その結果、実際問題として、鐘紡は約五年間で五億円、買い値の五倍以上の不当利得をしたわけでございますから、いろいろあったので、心中別におもんぱかったわけじゃございませんけれども、結果的に大磯の町に三千万円、その付近に公民館を建設するということで五百万円、地主の判こ代に六千万円、つまり、このお金が鐘紡会社から出たわけであります。私は、こうした問題をとらえて鐘紡会社から銭をとるというようなことがはたして妥当なりやいなやという点には、疑問を感じますし、その間明朗ならざる気持ちを抱くわけでございますが、こうした場合、鐘紡に対しては課税としてどういう措置がとられますか。
  88. 奥村輝之

    ○奥村説明員 鐘紡最初買い入れました土地を今度は国鉄に売ったわけでございますから、その譲渡所得、これについては法律の規定に従って課税せられるわけでございますが、いま御指摘の数千万円の金があとで地元の人たちに払われた、この分に対する課税は、通常でございますれば、鐘紡が譲渡いたしました資産の取得価額の中に含めて計算をせられるということになるわけでございます。
  89. 平林剛

    平林委員 待ってくださいよ。五年の間に買い値の五倍以上の利得を得た。それで、この金額に対しては、譲渡所得として課税の対象として税を徴収する、大磯とかあるいは地主に出されたものは、これは譲渡するための必要経費として控除する、こういうお話なんですか、もう一度はっきりしてください。
  90. 奥村輝之

    ○奥村説明員 この場合については、私ども、地元の人たちにどういう名目、どういう形式で支払われたかは、今後調べなければならない問題でございます。鐘紡の決算期は十月でございます。この期間の問題になっております譲渡については、十月以降の法人税の申告を待って調べるわけでございます。したがって、その際に、いま言ったような支出というものがどういうふうな形式、どういう実態を備えておるかということによって判断せられるものであろうと思います。
  91. 平林剛

    平林委員 鐘紡が五年間で一つの利得を得た。また大磯だとか地主に判こ代を出されたというやつは、ちょっと時限が切れているし、私は、別な問題として取り扱うかどうか、そこは検討しなければならぬ点があると思います。したがって、国税局に私は注文をしておきますけれども、この実態について調査をすべきである。同時に、実際の支出について地元ではかなり疑問が持たれているわけであります。私がいまあげました大磯の町に三千万円、公民館の建設費として五百万円、地主の判こ代に六千万円——数字は私調査した結果でございますけれども、実際に支払われた鐘紡の経費、これについては照合して、少なくとも地元の人たちに疑いを持たれるようなことのないような、全般的な配慮をしながら調査してもらいたい。わかりますね、その意味は。私は具体的に言いません。言いませんが、ここで議論になったことを頭に入れて、鐘紡の十月の申告のときには、それを照合して、具体的の支払い、どうなっておるかということを、これに関しては特に厳重に調査をしてもらいたい、これを要望しておきたいと思いますが、もう一度返事をもらいたい。
  92. 奥村輝之

    ○奥村説明員 本日、先ほどからのいろいろな御議論、それから平林委員の御指摘の点につきましては、私ども十月以降の申告を待って、調査いたしますときには、よく頭に入れまして、適正な処理をいたしたいと思います。
  93. 平林剛

    平林委員 以上、私は、都合三つの問題につきまして、少しことばはきつくいたしましたけれども、詰めまして、それぞれ今後の措置を要望いたしたわけでございますから、適当な機会にそれらの措置をどうとられたか、その結果がどうであったか、御報告をいただきたいと思います。  最後に、私は、農林省に対してお尋ねをしますが、このように転用許可後にその許可目的が実現されない場合には、農林省にしっかりした処理基準というものがないのじゃないか。先ほど政務次官からも、至急これについては何らかの措置を講じなければならぬというようなお話がございましたけれども、そうした処理基準がはっきりしておらぬというところに問題があるのでないかと私は思うのです。しかも、それに対しての情報収集などにつきまして、あるいは調査などにつきまして、私は、なおずさんというと失礼かもしれませんけれども、その批判を受けてもやむを得ないような事情が存在するのではないかという気持ちを抱くわけでございます。三年以上放置して、許可を取り消したというような事例が従来あるのですか、ないのですか。これは本来一年でしょうけれども、三年以上放置して、許可を取り消したような事例が今日までございますか。
  94. 和田正明

    和田政府委員 許可を取り消した実例は従来ないと承知をいたしております。  ただ、審査がずさんではないかという御指摘でございましたが、私どももこれから十分先ほど来申しましたような心がまえで処理はいたしますが、経済事情の非常な急激な変化の中で若干の時間的なズレが生じたりして、宥恕すべきものも、あるいはこれらのまだ許可を受けた後しておらぬものの中にあろうかと思いますが、調べを重ねていきますと、だんだんそういう事案が少しずつは減っておりますので、やはり経済的な視野からの判断も加えてやりませんと、一がいに全部許可を受けてから直ちに手がつけてないからけしからぬというふうには言い切れない面もあろうかと思いますので、その辺も頭におきながら、今後の取り扱いについては、姿勢を正して処理をしていきたいというふうに考えております。
  95. 平林剛

    平林委員 農地法の点等については、私は専門家でございませんが、大体許可処分をした後に、現地の状況だとか、四囲の事情で総合判断をし、やむを得ないという事情が認定をされた場合には、その継続だとか、許可取り消しの対象としていないようでございますけれども、このやむを得ない事情の認定基準とかいうものについてはどうするか。  それから同時に、こうした場合には、何らかの審査機関を設けまして——単なる官庁と官庁のやりとりですと、いまの国鉄農政局のようなことになりまして、ずるずるとは言わないけれども、一般に批判すれば、なれ合いのような形になってしまって、その間なかなか公正を期することができないおそれがある。そういうことを考えますと、何らか前の地主あるいはその利益を代表する者を含めた審査機関のようなものを設けてやるようなことはどうなんだろうか。これは私は専門家でございませんから、この問題を通じて感じたことなんですが、政務次官でも農林省でもいいですが、今後どんなようなことを考えるのでしょうか。ただいま私が指摘したような問題を再び起こさない、そして農地法の精神というものが生かされるためにはどうすべきかというようなお考えは何かお持ちなんでしょうか。
  96. 和田正明

    和田政府委員 先ほど石田委員の御質問の際にも若干お答えを申し上げたわけでございますが、たとえばたんぼでございまして、工場用地にするということで、相当の山土等を持ってまいりまして埋め立て等をいたしました場合に、その許可を取り消したとして、そのあとが直ちに農地たり得るかどうかという現実の問題が一つ。それから、許可を取り消しました場合に、所有権の登記がすでに転用許可権者に移っておりますと、それをもとの旧地主に戻す手続というのが非常に制度上むずかしゅうございまして、そう簡単には戻らないという事実がございます。それから、もとの地主がそこをもう一度農業用に使ってくれればいいわけでございますが、すでに最初転用の時期に補償金等をもらいまして、宅地にする等のときもございましょうし、なかなかそのあとの処理も現実問題としてはむずかしい等、いろいろ最終的な詰めをいたします場合には、技術的に多くの問題の検討をいたさなければならぬということも御承知のとおりでございますが、ただいまの御提案につきましては、そういうものも含めまして早急に検討してみたいというふうに考えます。
  97. 平林剛

    平林委員 いずれにいたしましても、いまの状況でございますと、農地転用をめぐり力のあるものがいろいろな計画を立て、それは実際の計画であった場合でも、また架空の計画であった場合でも、土地の値上がりを待って不当利益を得るということを許すことになっておると私は思うのであります。これは、私、最近の物価政策の面から見ましても、土地の値上がりが非常に激しいという点を考えましても、農林省当局は、至急に農地法の問題について何らかの措置をとっていかねばならぬ。  きょうは大蔵省の主税局を呼びましたけれども、都合があって出てこれないようでございますので、あらためてその方面はただしたいと思いますけれども、私は、税法上の問題についてもやはり何らかの規制を加えなければならぬ。特にただいまのような不明朗な場合には重税を課してもいいというような感じがするわけであります。最近大蔵省でも、土地のむだづかいについては重くする、土地に対するスライド税制を検討中でございますけれども、こうした問題については、別な意味で法の制裁を加えるというようなことも考えてよいのではないか。こうしたことはいずれ別の機会にやりますけれども農地の問題につきましてはぜひひとつ、こうした事例がございますので、激増する最近の社会開発の状況にかんがみて、農林省当局におきましても格段の知恵をしぼって、とにかく不正なものがはびこるというようなことだけは阻止するような体制をとってもらいたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  98. 倉成正

  99. 東海林稔

    東海林委員 時間がございませんが、私も、かねてから、農地転用について最近の農地法五条の適用が非常に乱れておることを遺憾に考えておるわけでございますので、この際、三、四点についてお尋ねいたします。  まず、いま新大磯の貨物駅用地の点についていろいろと質問があったわけですが、この点について私もお尋ねいたします。  農林省は三十七年の六月に正式許可する場合に、このような六町五反にも及ぶ大きい土地でございますので、きっとこれは許可条件がついておるはずだと思うのですが、どのような条件がついていますか、あるいは全然ついていませんか。
  100. 和田正明

    和田政府委員 許可条件は二つついておりまして、一つは、許可申請書に記載された事業計画に基づく事業の用に供しないときは、本件の許可を取り消すことがあるというのが一つでございます。二番目が、工事の完了までその進捗状況許可の日から三カ月後及び自後半年ごと報告するというのでございます。
  101. 東海林稔

    東海林委員 ただいまのお答えのように、許可条件には、申請の用途に供しない場合は許可を取り消すことがあるという条項がついているわけです。私は、これほど大きい問題になっている今日、その許可条件、これを実行に移すべきである、このように考えるわけです。先ほど来、局長から、十分これを調査する、なお今後の農地法の改正等についても十分検討するというお話がありましたが、少なくともこのような問題こそ、はっきりこの際処理すべきだ。と申しますのは、これは相手が鐘紡という大会社であり、さらにその転売を受けているのが国鉄であるという点からしますと、これは当然鐘紡なり国鉄が自発的に許可を受けたのを返すというのがあたりまえだと思うのですが、少なくともそういう許可条件をつけている農林省の立場からしましても、これは必ず話し合いでうまく解決できる問題だと思う。先ほど私は、ほかの委員の質問で政務次官が答えられた中でやじったりして失礼だったのですが、しかし、あれは非常に重大な悪影響を及ぼすと思って、私は特に御注意申し上げる意味で申し上げたのです。許可して、それをずるい者が転売しても何ともしようがないというふうに聞こえるような言い方をされました。そういうことであると、役所をごまかして許可を受ければ、もうずるい者が勝ちだ、こういうことになってはたいへんだと思うのです。したがって、今後を戒める意味におきましても、せっかくそういうりっぱな許可条件をつけているのですから、これは相手がいま申しますように国鉄であり、鐘紡であります。これはもう農林省と話し合って、この問題に限っては必ずその許可条件どおりこれをりっぱに処理してもらいたい、こういうふうに強く考えるわけですが、この点ひとつどうですか。
  102. 和田正明

    和田政府委員 東海林委員の御主張の点は、私もよくわかるのでございますが、先ほど平林委員の御質問にもお答えをいたしましたように、取り消しをいたしました場合のその後の現実処理問題に、この問題じゃなくて、一般論として難点もございます。他面、また新たに農地をつぶすようなことを会社が考えてきまして、全体としての農地面積が減りますよりは、むしろ最初許可を受けたところ、そこを使わないなら新たな農地をつぶすよりは、できるなら一度埋め立て等をした場所を使ってもらうほうが、現実的な処理としては私としては望ましいという気もいたさないではないので、従来はそういう場合には、事業計画変更許可という形で、新たな農地をつぶすより、一度埋め立てましたような場所を活用してもらうということで、事業計画変更許可手続ということで処理をすることにしておったわけでございます。ただ、本件については、そういう処理をいたさなかった鐘紡のやり方については、当初来申し上げておるように、私どもとしてはたいへん遺憾と考えておりますし、また先ほど来のお話のように、調査の結果、工場建設が架空の事実であったとするならば、これは現実的な処理の問題が、いろいろと難点はあるにいたしましても、行政行為としては価値ある行為でございますから、当然私どもは取り消しを考えなければならぬというふうに考えます。
  103. 東海林稔

    東海林委員 私は、この鐘紡計画が欺瞞的であったかどうかという問題も、これも一つの問題でありますが、その問題をいまここですぐどうこう言っても、なかなか結論が出ないと思うのです。それから、一般的にどうこう言っているのでなくて、この問題の適切な処理として許可条件の第一項を発動してやることが、これは非常にはっきりした解決になるんだ。いろいろな途中の不明朗なものは不明朗な問題として、これは究明してもらわなければなりませんが、しかし、一応この問題の処理としては、そういった筋を通した処理ができる可能性がある。それは手続でいろいろな煩瑣があります。しかし、鐘紡であり、国鉄です。そういうことをわからぬはずはないですから、そういう点をこの際はっきり、この委員会でせっかくこれだけの議論をしたのですから、そういう考え方を農林省としては出すべきだ。国鉄でもまたそういう趣旨に沿って当然協力すべきだと思うのですが、農林省並びに国鉄当局から重ねて御答弁を求めます。
  104. 和田正明

    和田政府委員 鐘紡としては、若干の経済事情変化の中で工場建設の時期がおくれたとしても、ほんとうに工場建設する意思があったとすれば、やはり国鉄計画に対してはやむなく協力したという形でございましょうから、もし工場建設するということの計画が事実間違いなく存在をしておるとすれば、本来手続として不備な点があり、責めらるべき点は鐘紡には多々ございますが、それだけではどうも直ちに取り消しをするというのはいささか酷に過ぎると思いますが、調査の結果、架空の計画を立てて申請をしたのだということが明らかになりますれば、これは当然取り消すべきものだと考えております。
  105. 東海林稔

    東海林委員 それは当然、そういう架空の計画とか虚偽の計画ということになると、これはもう重大問題で、刑事事件にまでも及ぶような問題ですけれども、そういうことと私は別問題として論じておるわけです。農地法五条の適正な運用、皆さん方がせっかく許可条件をそのためにつけておられるのです。そういう趣旨から、ほかのことは別としても、農地法の適正な処理という趣旨からして、やればできるはずじゃないですか。そういうことまでこの際はっきりしないなどという、そういうあやふやな農林省の態度だから、五条がちっとも励行されないのだ、こう思うのです。少なくともほかのことは別として、この問題だけははっきりしてもらいたい。国鉄、どうですか。これだけ問題になっておる以上、農林省鐘紡——まあ鐘紡とあなたのほうが話すればよいのです。もとの所有者も何千万かもらって、そういう皆さん方に使っていただくということについては反対でないようでございますが、ただ手続をもとに戻して農地法五条の正しい適用に協力するという意味で、国鉄でも若干の手続なり費用はかかるかもしれませんが、当然そういうことはやるべきじゃたいですか。そういうことをやらなければおかしいですよ。少なくともこれだけ議論したのですから、それだけはこの際はっきりしてもらいたいと思う。それぐらいのことができなくちゃだめですよ。
  106. 和田正明

    和田政府委員 先ほどから申し上げておりますように、(東海林委員「いや、するかしないかだけはっきり言ってください、よけいなことは要らぬ」と呼ぶ)実際問題として、調査の結果、計画が当時確立していなかったということがあれば、瑕疵ある行政行為でございますから、取り消しはいたします。
  107. 東海林稔

    東海林委員 あなた方の許可条件には瑕疵ある場合なんということは書いてないですよ。申請目的どおり使わなかった場合には取り消すことがあると書いてあるじゃないですか。瑕疵あるとかないとかいうような条件になっていないですよ。そういうことはおかしいですよ。
  108. 和田正明

    和田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、この条件をつけてありますので、許可を受けた事業主体が自分の目的以外に使います場合には、事業計画変更許可を再度受ける手続になっておるわけでございますが、その手続を受けなかったという点についての鐘紡の瑕疵はございます。ただ、そのことだけで取り消しをするということは適当でないと私は思っております。
  109. 東海林稔

    東海林委員 申請書事業計画変更というのは、その会社化粧品をつくる工場をもう少しほかの工場に使うという場合にしかできないですよ。あなた、一体農地局長として農地法をほんとうに研究しておるのか。自分で使うのじゃないじゃないですか。何言っておるのですか。事業計画変更というのは、その申請した当事者が当初の計画と違うようにこれを使いたいという場合の事業変更であって、ほかに転売して金もうけする場合のことを言っているのじゃないですよ。これは専門家の農地課長でいい。
  110. 和田正明

    和田政府委員 おことばではございますが、事業計画変更というのは、自分で使わないで、よその工場に——この場合にも事業計画変更ということで従来も手続をしておりますことは、先ほど来申し上げておるとおりでございます。  ただ、私、先ほど伺っておりまして一つ気になりますので、この際発言を許していただきたいと思うのでございますが、農業の経営を拡大をいたしますために、やはり農地価格が高くなっておるということが農業経営の面から問題であることは申すまでもないわけでございますが、地価問題というのは、やはり農地問題ばかりではなしに、全体の地価問題として別個の検討がなさるべきだと思いますが、いまここで議論になっておる問題は、地価が上がるとか上がらないとかいうこととは別に、許可を受けた者がそのとおり使われていない事例が多々あるということのほうが問題なので、地価の問題は、農地法の五条の転用の問題とは別の問題という観点で処理すべきものだというふうに私は思っております。
  111. 東海林稔

    東海林委員 これは重大問題で、局長と何ぼやっておってももう結論は出ませんから、近いうちに大臣に来てもらって、これははっきりしたいと思います。この点についての質問はそういう意味で留保しまして、次へ移ります。  そこで、もう一つ、これはやや性格は違うのでありますが、群馬県の私の近くで元生品飛行場のあとを開拓用地として開拓計画を立てたのに対しまして、四年ばかり前でありますが、東京のある鉄鋼会社がそこに鉄鋼の工場を建てたいということで、約五万坪でございますが、転用許可を受けたわけです。これは決して悪質であったというふうには私も見ておりません。ただ、その後の鉄鋼業界の不況等もあり、会社の経営のいろいろな計画等のそごもありまして、実際問題としてその会社工場建設ができないような状態にあるわけです。しかもその許可条件には、私の記憶では、一年以内に工事に着工するという条件がついておるわけなんですが、もう四年ぐらいそのままに放置されて、草ぼうぼうになっておるわけです。これは国家的にも非常に問題でございますし、農民もどうなるのだろうかといって心配しております。地元の町村でも、せっかく工場誘致のためにいろいろと努力してこういうことをやったのに、非常に困っておる、こういうことです。  そこで、私は、これはごまかしだったというわけじゃないけれども経済情勢の変化でこういうことになったのだと思いますが、しかし、このままに放置しておくことは、やはり農地法上非常に問題であるし、国益からも問題だ、こう思うのです。したがって、こういう場合についてはどういうふうに農林省としては処理するか。この五万坪の中には一部国有地も入っておったはずでございまして、国有地も譲渡されておるはずです。そういう内容でございますので、これはどういうふうに処理されることに考えておるか、お伺いしたいと思います。
  112. 和田正明

    和田政府委員 ただいま御指摘の事実については、具体的な事情を私承知いたしておりませんので、具体的に調査をいたしまして、その対策を立てたいと思います。
  113. 東海林稔

    東海林委員 特にここで調査するというのだから、私は調査してもらわなければならないと思うのですが、お願いしたいことは、一度申請して許可を受けたが、そのままにしておいたという会社がまた他に転売して金もうけするような形では、これは絶対私としては農地法の精神上困る。これは、その土地について、私がいろいろと皆さんに申し上げたのと同じ考えで、そういう場合にはやはり一応もとの所有者に返して、その上で、新たな手続転用すべきであれば新たな計画に従って転用する、はっきりとそういう手続を踏むように農林省はやはり指導すべきだ、こう思うのです。その点を特に強く申し上げまして、この問題は一応打ち切ります。  次にもう一つ、二、三日前のたしか読売新聞かと思いますが、東京都内でレジャー農園として相当大きい面積をこまかく区切って、そうして市民にこれを開放するというような計画がある。しかもその計画は、単に地主だけではなしに、当該地区の区役所とか農業委員会が大体相談にあずかってこれをやっておるというふうな記事が出ておるわけです。  そこで、お尋ねしたいのは、いまの農地法五条によってこういう場合でもその転用許可ということになるのかどうか、あるいはいまの五条ではそういうことは処理できないので、何とか新たな法的措置を講じなければならないのかどうか、その点をまずひとつお伺いしたいと思うのです。
  114. 和田正明

    和田政府委員 読売新聞紙上に出ましたレジャー農園の件は、細部までは私も承知をしておりませんが、自作農家がその土地を区画割りをいたしまして、会員制で、ある程度の使用料を取って、花をつくったり野菜をつくらしたりしておることで、最近の都会生活者にとってはたいへん魅力のあるシステムのようでございまして、したがって、今後のものの考え方としては、そういうものを否定してしまうということは適当ではないので、何か生かしていく方向で考えなければならないというふうに思います。東海林委員承知のように、農地法の三条では、みずから耕作の業を営む者でないと土地の所有権あるいは耕作をする権利の取得が得られないわけでございます。さらに小作料の統制という制度がございます。現在の農地法でまいりますと、現実に行なわれておりますものは、そういう許可申請もしてきておりませんし、また許可申請があっても許可ができないと思いますし、また現在支払われております使用料も、少なくとも現行小作料基準では違反になる形になっております。一方、やはり農業を業として営んでおる人ではないので、またそういうふうに利用されておる土地ではないからということで、いまお話しのように、農地法の五条によって農地にあらずという判定をするということになりますが、実は、この事案はそういう手続ももちろん踏まれてはおりません。それで、冒頭申しましたような趣旨から考えまして、やはり早急にこういうものが許容されるような方向に、制度としてある範囲に限って直してやる必要があるのではないか、都市の近郊に限って。そういう方向で、石田委員の御質問にお答えをしたときに申しましたように、農地法の改正をいま検討しておりますが、その中で、限定された範囲でそういうことがある程度許されてできるような方向制度的にも考えてやりたいというふうに考えております。
  115. 東海林稔

    東海林委員 私も、レジャー農園というものが好ましくないというような趣旨で申し上げておるわけではありません。と同時に、三条ではなかなかこれは処理しにくいということはよくわかります。したがって、今後農地法の改正のときにそういう点も考慮したいという点もわかるわけです。しかし、現にこういう事態が起きておって、これが農地法違反であるかないかということがまた問題になると思うのです。そういう場合に、やや拡張解釈になるけれども、五条の転用という形でこれを処理できないものだろうか。と申しますのは、名前はレジャー農園ですけれども、実際はこまかく分割しまして、道路も入っておるということになるならば、普通の農地という概念には入らぬようになるのじゃないかと思うのです。また、それを使用する人も、これは農業経営という形ではなしに、別な概念が出てくる。そうなりますと、根本的に改正する場合に考えることはもちろんですけれども、さしあたって違反なのか違反でないのか。違反であるというようなことであるならば、そのまま見のがしておるということがこれまた問題になりますから、あるいは五条で何とか拡張解釈でもしまして、一応そこらのことを適正に指導しながら違反ではないのだというような取り扱いができぬものかどうかという点、一つの私の考えでございますので、そういう点はどうだろうかということをもう一度お尋ねいたします。
  116. 和田正明

    和田政府委員 もし許可手続をいたすとしますれば、これは四条の許可であろうかと思います。先日読売新聞に載りましたような世田谷の桜丘というところでやっておりますのは、区画割り等いたしまして非常にきちんとしておるわけで、お話しのように、四条の規定の拡大解釈で正式な許可手続をすることにつきましても、十分検討はいたしてみました。ただ、直接農地法の処理権限の対象外ではございますが、先ほど来御議論のございますように、最近の都市近郊周辺の地価の値上がりも相当でございますし、また不動産屋等もいろいろと問題を起こしておりますことも事実でございますので、こういうことの名目に名をかりて脱法行為が行なわれる懸念があるのではないかということが非常に気になりますので、直ちに拡大解釈して許可をするということについては、若干消極的に現在は考えております。ただ、好ましいものについては好ましい方向で処理して、やはりお話しのように適正な措置をしてやることが望ましいと思いますが、早急に制度的に検討します。
  117. 東海林稔

    東海林委員 それでは、さっき申しましたように、第一点についての質問は後日大臣にすることにいたしまして、私の質問を終わります。
  118. 倉成正

  119. 中村時雄

    中村(時)委員 実は私も、農地の問題で、農民の方々が十分内容を知らないうちに、農業委員会であるとか、あるいは一部の業者間においてそれを利用されて、そして自分たちのわからないうちに農地の利ざやかせぎが行なわれている。こういう例が全国に多々あるわけなんです。  そこで、実は愛媛県の松山市においてもそういう問題が生じてきたわけなんですが、御承知のように、松山市の浄水場を今度つくる計画ができまして、四十一年、浄水場を建設用地買収に伴う用地の測量が始まったわけなんです。そして同年九月に市会でこれが立案計画され、その後、市の公営企業局から用地買収の取りまとめを三人の区長に依頼して、十六人の地主から五千四百万円で買った後、これを市に約八千四百万円で転売し、わずか数カ月の間に三千万円の利ざやをかせいだ、こういう問題が現実の問題として行なわれてきたわけなんです。  そこで、私がお尋ねしたいのは、この問題の結果から見て、個々の利ざやをかせいだ問題は、これは検察庁の問題でありますから、ここでは取り上げません。国としての問題が三点に分かれて生まれてくる。一つは、一体責任の所在はどこにあるのだという問題、もう一つは、農地転用の問題が出てくるわけです。その結果において、どういうふうなそれに基づく結論をつけていくか、この三つについてお尋ねをしたい、こう思うわけなんです。  そこで、新聞を見ましたところが、これは毎日新聞の愛媛版に載っておったわけですが、この問題に関して、責任者である市長のほうの答弁としては、こういう答えを旧地主代表に与えている。「「このような問題を起こしたことは遺憾に思うが、仕事そのものは法律によって公営企業局長が全部やることで、解決についても市長として法的にああせえこうせえとの命令、指揮はできない」と答え、〃法的に市長に責任なし〃との見解を表明した」こういうことを言っているのですよ。事実宇都宮市長は、その後においても、「この問題は市公営企業局管理者がやるべき問題で、市長として法的な責任はないが、早く解決するよう努力はする」こういうふうに、自分は責任はないのだ、企業局長にその責任がある、こういうことを言っていらっしゃるわけなんです。ところが、松山市の財産取得管理処分条例というのがあるのです。これを見てみますと、「管理者は見積単価一件につき五十万円以上の物件を取得する場合は市長の承認を得なければならない」こういうことが市条例において出されておる。もしそうだとするならば、市長にその責任はないという行き方は、私はおかしいじゃないかと思う。そこで、市長の裏づけを考えてみますと、一月一日から施行されるという新条例を出していらっしゃる。こういう考え方が出ているわけなんです。そこで、新条例に基づいて、市長は、私には責任がないのだ、旧条例には責任があっても、新条例には責任がないのだ、こういうものの考え方をしていらっしゃる。私はそう思う。ところが、事件の発生というのは、新条例前、昨年の八月、すなわち、旧条例の時期にこれが取り扱われた、こういうふうに考えてしかるべきだと思う。そこでお尋ねしたいのは、自治省のほうにこの市の条例というものが提出されておるかどうか。
  120. 倉成正

    倉成委員長代理 自治省はまだ来ておりません。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  121. 倉成正

    倉成委員長代理 速記を始めて。
  122. 中村時雄

    中村(時)委員 ただいま質問いたしましたけれども、自治省が来ていないようなので、この問題は自治省が来るまで保留にしておきたいと思います。ほかの問題に移っていただきたいと思います。      ————◇—————
  123. 倉成正

    倉成委員長代理 おはかりいたします。  農林漁業団体等の行なう有線放送電話に関する件について、本委員会の決議をいたしたいと存じます。  すなわち、本件につきましては、先般来、各党間におきまして御協議をいただいていたのでありますが、先刻各派の協議が整い、その案文がまとまりました。便宜私から提案いたすことといたします。  まず、案文を朗読いたします。    農林漁業団体等の行なう有線放送電話に関する件(案)   政府は農林漁業団体等の行なう有線放送電話の健全なる発展をはかるため、すみやかに左記事項の実現に努めるべきである。      記  一、有線放送電話は農山漁村の振興開発をはかる独自の広報連絡機関であることの性格を明確にすること。  二、有線放送電話の業務区域に関する許可基準現実に即するよう改善すること。  三、公社線との接続条件については接続通話の範囲を利用上の実情に即して緩和すること。  四、試行中の農村集団自動電話との適切な調整措置をすみやかに講ずること。  五、有線放送電話の健全なる育成をはかるため必要な助成を行なうこと。  右決議する。 以上であります。  本件については別に御発言もないようでありますので、直ちに採決いたします。  ただいま朗読いたしました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  124. 倉成正

    倉成委員長代理 起立総員。よって、農林漁業団体等の行なう有線放送電話に関する件は本委員会の決議とすることに決しました。  この際、ただいまの決議について政府の所信を求めます。草野農林政務次官
  125. 草野一郎平

    ○草野政府委員 農林漁業団体等の行なう有線放送が農山漁村の振興開発に果たしておる役割りの重要性にかんがみ、ただいまの御決議の趣旨を体しまして、今後一そうの努力を傾けたいと考えております。
  126. 倉成正

    倉成委員長代理 おはかりいたします。  ただいまの御決議の参考送付等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 倉成正

    倉成委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  128. 倉成正

    倉成委員長代理 引き続き、農林水産業振興に関する件について質疑を続行いたします。中野明君
  129. 中野明

    中野(明)委員 過日の特別国会の終わりにも農地の問題で話をしたわけですが、そのときに申し上げました岡山県の福田東干拓C地区の農地転用、それからいま中村委員のほうからも話が出ておりました松山の浄水場の問題、この二点を今後の課題として提供しておいたわけですが、きょうはこの東干拓地区の農地転用についてお尋ねするわけですけれども、現在県知事が農家十六名を相手にして訴訟を起こすというような事態に立ち至っているわけでありまして、この問題について、竣工の期日並びに入植の期日について、まず最初お尋ねしたい、こう思います。
  130. 小山義夫

    小山説明員 福田東干拓地につきましては、昭和二十一年に代行干拓事業として着工いたしまして、三十年の三月末に干拓工事が竣工いたしました。それから入植者に売り流しが行なわれましたのは二回に分けておりまして、昭和三十四年の三月一日に第一次の売り渡し、それから三十六年の二月一日に第二次の売り渡しをやっております。
  131. 中野明

    中野(明)委員 農地法では、入植してから大体何年ぐらい転売を禁止しているのか、その点……。
  132. 小山義夫

    小山説明員 農地法の七十三条の許可がかかりますのは、入植者の開墾が完了してから三年、普通は未墾地の開墾に五年ぐらいを見込むのが通例でございますので、そういう意味からしますと、売り渡しをしてから八年ということになります。制度上は開墾後成功検査をしてから三年、こういうことになります。
  133. 中野明

    中野(明)委員 これが県の開発公社に転用条件として売り渡されたのはいつになっておりますか。
  134. 小山義夫

    小山説明員 農家と県の開発公社との売買の契約が許可条件つきで行なわれましたのは昭和三十六年の四月というふうに理解をしております。
  135. 中野明

    中野(明)委員 そうしますと、いまのお話ですと、入植した直後にすでに転売の契約がなされて、代金も授受されている、こういう事実があるわけです。そういう点についてどのようにお考えになるか、伺いたい。
  136. 和田正明

    和田政府委員 先ほど担当課長からお答えを申し上げましたように、農地法では、開拓地に入植をいたしたり増反をいたします人に売り渡します未墾地につきましては、開墾作業の期間を五年、その後の営農による熟地化を三年と見込みまして、八年間で、その間は売買をすることは、原則として許可を受けなければいけないというたてまえになっております。でございますから、本件につきましては、まだ農林大臣としては正式の許可をしておりませんのでございますが、実際問題としては、先ほど課長から申しましたように、県の公社との間には、許可があったときには売買するということでの下話がついておるという、そういう状況でございます。  なお、ここは開拓地ではございませんで、干拓地でございますので、開墾という手数を要しませんこともございまして、売り渡しをいたしますときに、いつまでに開墾作業を終われということを指示するのが普通の例でございますが、ここの場合には、ほとんど干拓地であるということで開墾作業を要しませんために、いつまでに開墾作業を終われという指示は特別にはいたしておらなかった。したがいまして、八年間は他に売買をできないというふうに判断をするかどうかは、法の全体の精神から考えるしかないということだろうと思います。
  137. 中野明

    中野(明)委員 現在に至るまで七十三条の申請が出されてない状況のようでございますが、その間の事情は何かあったと思いますが、そういうところから今回のこの訴訟事件が起こっているように考えられます。そこで、きょうは時間もございませんので、焦点をしぼってどうしても私が尋ねたいことを申し上げたいのです。  現在、非常に農地転用の問題で多々問題が起こっておりますが、基本的に、この岡山県の場合は干拓でございますが、干拓の工事をする目的、これはどういう目的で干拓が行なわれているか、それを最初に……。
  138. 和田正明

    和田政府委員 御承知のように、戦争を通じ、また終戦の直後ごろ非常に日本の国内は食糧難でございましたので、その食糧の困難に緊急に対処することが必要であったということが一つと、それから復員軍人あるいは海外からの引揚者、空襲等によります各種の産業の損壊に伴います失業者の続出等から、それらの人々に就業の機会を与えて社会的な安定対策をとるという、その二つの理由で、終戦直後に閣議決定で緊急開拓対策というのができまして、この福田東の干拓もそういうような観点で早急に農地造成するということから、工事に当時農林省が着手をいたしたわけでございます。ただ、その後非常に資材が不足いたしますとか、だんだんと物価高になるとかというような事情の中で、少しずつ工事がおくれてはおったわけでございますが、そういう経過の中で、日本の御承知のような経済復興が急速に進みまして、あの付近の経済事情に非常な変化が起こってきた。完成をしましたときには、まだ私どもとしてもというか、当時の農林省としては、緊急開拓対策という立場で農用地造成し、そこに増産のための農家を入れるというふうな考え方でまいっておったわけでございますが、三十五、六年ごろからの急激な社会情勢の変化の中で、県の公社を通してこれを工場用地にしたいという地域的開発の立場での考え方が出てまいりまして、いろいろ問題が出ておりまして、まだ正式に許可できないままに今日に至っておるというのが経過であり、目的であります。
  139. 中野明

    中野(明)委員 そこで、私もこの問題についていろいろ考えてみたわけですが、干拓事業で、そして食糧を増産するという目的農林省が巨大な予算をもって事業を始め、その結論として、情勢が変化したから転用する、こういうことがいまの社会的な変化のために起こっているというお話なんですが、その後においてもいまだにそういう干拓事業が行なわれているわけであります。そういう点につきまして私が申し上げたいのは、予算の審議のときに非常に激論をして、そして多大の農業予算を獲得した、このような結果で、農家としては一応はそのときは喜んだような形に見えるわけですけれども、そのあとから決算を通して振り返ってみますと、何らそれが農家の実益になっておらぬ。多大の農業予算を使いながら、結局農家は何の恩恵も受けておらぬ。結局、予算の上から見たときに、農家はだまされているんじゃないか、こういうようなことが言えるわけでありまして、こういう点の問題について非常に私矛盾を感じるわけです。いろいろ転用の問題で今回のこのような事件が起こってくるのも、もとをただせば、そういう目的のために農家を入植させる、ところが、入植してまだ何の耕作もしてない、入植と同時にもう他に転売している、そういうふうな事例、極端な場合は、干拓の途中でもうすでに完成間近にして用途変更をしている、こういうようなことが数多く行なわれているわけであります。この点については、あなたに申し上げても、法の上の不備ですからどうしようもないような気もするわけですけれども、きょうは大臣は見えておりませんが、次官がおられるので、このような点について、今後あらかじめ干拓をし、埋め立てをしても、そこでは当然農地に適しない、回りの状況から判断して。そういうような場合でも、農林省工事として行なわれているというのが実情のようであります。こういう点について、今後これは大きな問題として、法の上で、他の通産省なら通産省の関係からもそういうようなことが行なわれるような、そういう制度をつくっていかなければならないんじゃないか。初めから矛盾をはらんで、農地にするのを頭から考えないけれども、農林予算としてとって、そして農地という名目で工事にかかる、こういうような矛盾がもう至るところ出てきているわけであります。この点について、将来この矛盾を解決するために何かの形を考えていってもらわなければいけない、このように私は思うわけです。で、農地局長としてこの矛盾に対する見解と、そして次官から、今後このようなことについてどのような考え方で、農林省として他省との交渉もございましょうし、決意をもって望まれるか、これは必ずやらなければならない問題ではないか、このように私は考えますので、そのことについてお伺いしたいと思います。
  140. 和田正明

    和田政府委員 先ほど申しましたような戦後の食糧事情から、緊急開拓時代に着工いたしました干拓地が数多くあるわけでありますが、その中の一部につきまして、御指摘のように、その後の経済事情変化で、農用地として使用するよりも、その地方の地域開発の見地からは、むしろほかへ転用したほうがよろしいというような話が、三十六、七年ごろからぽつぽつ出てまいりまして、古くに着工いたしましたものについては、そういうことがある程度やむを得ないと認めます場合には、そういう社会状況も考えながら処理してまいったわけでありますが、そういうことをいたしますと、御指摘のように、農業予算がむだに投下をされたことになるという立場で、この国会での御指摘もございまして、三十六、七年ごろから新たに手をつけます干拓地につきましては、まず第一に、少なくとも相当長期の見通しで、農業適地としての環境が阻害されないような場所で干拓地を選ぶということで、干拓地を厳選いたしまして、現在も着工いたしております、あるいは工事をいたしております個所数もごく限られておりまして、毎年新たにとる場合にもせいぜい一つというようなことで、まず場所を選ぶことを第一に考えております。  第二には、そのようにいたしましても、なおかつ何らかの社会事情経済事情で、造成をいたしました土地が農耕用に使われません場合には、そこを使用いたします人から当該工事のために投下をいたしました国家資本を回収することを条件にして利用させるという制度にいたしまして、その金を、干拓のために、国営の土地改良事業のために設けております農地局にございます特別会計の歳入に繰り入れて、土地造成全体のために活用するという方法を現在はとっておるわけでございます。将来、いろいろ御意見もございまして、私どもとしても、でき得ることなら、農耕用地がそうやすやすと他に転用されないことが望ましいわけではございますが、国家全体、社会全体の発展のために、全く認めないというふうに禁止的な措置をとることも不可能でございますので、できるだけ悪い農地が他に転用されていくというようなことを善導しつつ対処いたしておるわけでございます。  第三に御指摘のございましたことは、おそらく、そういうふうに農業用にと考えて農林省が多額の農業予算を投下してつくった干拓地を工業用地とせずに、本来工業適地であるならば農林省以外のところが同種の埋め立て等を行なうことについての制度をつくるべきではないかということかと思いますが、そういうことも当然関係省において十分検討してつくらなければならないものだと私は考えております。少なくとも私どもの立場としては、今後採択する干拓事業については、将来にわたって農業用の環境がそこなわれないような場所をできるだけ厳選して選ぶ、万が一やむを得ず他に転用いたします場合には、制度上そこに投下した国家資本を回収して国費のむだ使いをしないようにする、そういう態度で臨んでまいりたいというふうに思っております。
  141. 草野一郎平

    ○草野政府委員 何か法制上の対策をとるべきでないかというお話ですけれども、私は、むしろ現在の立場をもう少し堅持しておるほうがはるかに効果的ではないかとさえ考えております。干拓というものは、新たなる営農の観点に立って、従来のいろいろな制約あるいは慣習等から離れてやれるという、広い意味での長所もたくわえておるわけでありますから、それが途中で変更されるというような事情は、非常に大きな経済的な変動要因あるいは社会的な変動要因からくる結果でもありますが、それはただいまも局長から御答弁いたしましたように、必ずしも硬直的に一歩もがえんじないというような考え方でなく、ときには考えなければならぬ点は例外として考慮しながら、むしろ農地造成の大きな目的というものを変えることなく、常に強い決意を持って、現在の立場というものを法制的に変える必要もなく進めていって可能であろう、私はさように考えております。
  142. 中野明

    中野(明)委員 私の申し上げておるのは、そういうことじゃなくて、明らかに干拓事業として農地に適さないということがわかりながら、工事にかかっておるような事例もあるわけです。なぜそういうことになるかというと、他に制度がないからそういうことになっているのですから、そういう点について、制度の上でそういうことを考える必要があるということを私は強調しておるわけでありまして、何も農林省がつくっている農地を云々言っているのじゃない。それはそのまま制度としてはあるのですから生かして——非常に矛盾があるわけです。そういうことが初めからわかっているならば、他の省でもそういうことができるように制度を変える必要があるということを申し上げておるわけです。そこのところを、あなたは次官として他省との関係もございますから、そういう機会によく意見を出していただかないと、農家としては、農林予算をこれだけとりましたと言われておりながら、実際は農家の潤いになっていない。それでは口先だけで、予算のときに少ないじゃないかと言えば、いや、これこれしかじかの予算をとっております、世界でも第何番目ですというような答弁をされるわけです。ところが、実際に使ったあとから振り返ってみると、その中の巨額な費用が工場をつくるために使われている。これでは農家はきれいにごまかされたような気がするわけです。ですから、ほんとうに獲得できた予算の範囲の中で最大限に農家の生活の向上のために使うような制度でないと、予算の審議において議論をしても、これはむだじゃないか。全部決算から見たときに抜けちゃっている、そういう矛盾を私は感じているわけです。そういう事例が間々起こっているような事態もあるものですから、そういう制度をつくっていく必要があると私は痛感しているわけです。その点について今後の努力をお願いしたい、こういうのが私の聞かんとする焦点でございます。どうぞもう一度お答えいただきたい。
  143. 草野一郎平

    ○草野政府委員 農地として干拓をやりながら、それが工業用地なんかになるために、農民がだまされたような結果になるというのは、農林省がだまされたようなことになるのです。これはとんでもない話ですから、やはり農地農地工場団地をつくるなら、それは通産省がやればいいことなんです。そんなことでこっちもだまされぬようにし、農民の方もだまされぬようにしなければならぬ。(中野(明)委員「それを通産省がやらないから……」と呼ぶ)それはやらせるようにしなければならぬ。(中野(明)委員「だから努力してもらいたい」と呼ぶ)わかりました。
  144. 中野明

    中野(明)委員 それで、結論ですが、県知事が農家を相手にして訴訟を起こすということは容易ならざることだと思うわけです。農地転用の問題がからんでこういういきさつが起こっているわけですが、この点について、農林省としては、どこまでも農民の立場から農民の福祉向上を考えておられると思うのですが、どのような判断をして今後この問題の処置をとるように指導されようとしておるか、これを最後にお尋ねしたいのです。
  145. 和田正明

    和田政府委員 さっきの、岡山の県議会で農家を相手に訴訟を起こす権限について議会の同意を得るという議案が通過をいたしましたことは、私も承知をいたしておりますが、なぜ県が訴訟について議会の同意を求める議案を提出したかということでございますと、まだ正式な許可申請が出ておりませんが、許可申請をします場合には当然農家の同意書が添付されなければならないわけでございますが、さきに農地法上の許可を受けることを条件にということで裏で県公社と農民との間で話し合いをいたしましたときに、相当額の金を受け取っております農家が同意書に判をつかないということで、その判をつかせるように訴訟で解決をしたいというふうに県は考えたようでございます。私、そのことを聞きましてすぐに、そういうことは最悪の場合の手段として考えられるかもしれないにしても、あまり適当な方法ではないと思うので、十分話し合いをして措置をすべきであるということを県の副知事に電話をいたしまして、県庁も平和裏に解決をいたしますというふうに私に申しておりますので、実際には訴訟を起こさずにものごとを解決させるように県は指導してまいると思います。
  146. 中野明

    中野(明)委員 この問題については、まだ転用許可も出していらっしゃらないようですが、円満に話し合いがついて、将来だれもが納得できるような許可を出されるように私は希望しておきます。  それで、松山の問題については、中村さんがいまお話をしておられますので、私も関連して尋ねることがあると思いますが、自治省も来ておられるようですから、私はここで一たん質問を中断して、関連して質問させていただきます。保留しておきます。
  147. 倉成正

  148. 中村時雄

    中村(時)委員 自治省が来られたので、先ほどの問題に移ります。  先ほどこういうことを尋ねておったわけなんです。実は愛媛県の松山市で——こういう事柄をここで公表するということは非常に苦しい立場でありますけれども、明確にしておきたいと思うのです。実は、昭和四十一年、浄水場の建設用地をやらなくちゃならないということが起こりまして、そこで、四十一年に、建設用地の買収に伴って用地の測量が始まりました。そして、同年九月に市議会でこれが立案計画をされ、その後、市公営企業局から用地買収の取りまとめを三人の区長に依頼をして、十六人の地主から農地として五千四百万円、これはきっちりとした金額ではございませんが、約五千四百万円で買った後、この三人が市に約八千四百万円で転売した。そうすると、三千万円の利ざやができる、こういう問題が起こってきたのです。  そこで、この問題の内容から見て、私は三つの問題が出てくると思うのです。一つは、一体責任の所在がどこにあるか。もう一つは、農地転売という問題に関連をして、農地法に基づいた問題が一つ出てくる。もう一つは、これらを総合してその結論が、どういう結果においてどういう具体的な処理をしていったらいいのかという問題に分かれてくるだろうと思うのです。  そこで、自治省のほうにお尋ねしたいのは、少なくともこの公営企業局——先ほども言ったのでありますが、公営企業局に責任があるのであって、市長には責任がないという言明をしておるわけなのです。それは、こういうことを市長は言っておるのです。これは十八日の毎日新聞の愛媛版ですが、「このような問題を起こしたことは遺憾に思うが、仕事そのものは法律によって公営企業局長が全部やることで、解決についても市長として法的にああせえこうせえとの命令、指揮はできない」こう答えておるのですね。そのことを裏から見れば、市長は、自分には法的に責任はないんだ、こういう言い方なのです。また愛媛新聞の七月十八日には、「この問題は市公営企業局管理者がやるべき問題で、市長として法的な責任はないが、早く解決するよう努力はする」こういうことを言っていらっしゃる。ところが、それはどうしてそういうことばが出たかといいますと、それは松山市の財産取得管理処分条例というのがあるわけなのです。それには「管理者は見積単価一件につき五十万円以上の物件を取得する場合は市長の承認を得なければならない」こういう一つの条例があったのです。それを本年の一月一日条例改正をやりまして、こういう新しい条例ができておるのです。これは朝日新聞の七月十七日に出ているのですが、こういうことを言っているのです。「公営企業局の管理者にいっさいの権限をまかせるという新しい条例の施行はことしの一月一日」から、そうすると、ここで一つの問題が起こってくるわけですね。一方は、この一月一日の新しい条例に基づいて、企業局の管理者に一切の責任があるんだ、だからおれは責任がないんだ、こういうものの考え方ですね。ところが、実際に事件が起こったのは昨年の八月、そうすると、昨年の八月となれば、旧条例に基づいてやっていくという考え方になってきます。旧条例に基づくと、市長に責任が明確にここに出てくるわけです。その市条例に対するものが自治省のほうに報告されておるかどうか、まず第一点、それをお聞きしたい。
  149. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 いまお尋ねになりました松山市の水道の用地の取得にかかる問題につきましては、ただいま先生から御質問がございました事案について初めてお伺いいたしますので、実は自治省としては内容をつまびらかにいたしておらないわけでございます。御質問の趣旨によれば、市長あるいは企業管理者というものの権限の問題に関連して、どちらに責任があるかという問題になるわけでございますが、蛇足でございますけれども、昨年の地方公営企業法の改正によりまして、公営企業管理者の地位を強化いたしたわけでございますが、その結果、現在、公営企業管理者の権限といたしましては、公営企業で使用いたします事業用の資産の取得、管理、処分については、全面的に企業管理者の権限になっておるわけでございます。ただ、御指摘ございましたように、これに関連をしました所要の条例等の改正によりまして権限の分野が移動をした以前における問題はどうかという問題でございますけれども、この点につきましても、御質問がございました内容をもう少しつまびらかにいたしまして、市のほうからも事情を聴取し、十分調査をして、慎重にお聞きした上でお答えをしたいと思いますので、しばらく御猶予願いたいと思います。
  150. 中村時雄

    中村(時)委員 それでは、いま言った問題がまだ十分把握されてないようなので、このことは非常に重要な——各地においてこういう問題が起こってくる。私は、松山市だけのことを言っているんじゃないんです。土地の高騰に伴って、一部の業者あるいはそれの担当者、それらが何もわからない農民を利用して、自分たちがそういうような手段によってやっていくことは、方々のケースで生まれてきておるわけなんです。そういう点で非常に重大ですから、十分責任を持って調査、研究をしていただきたい。  そこで、あなたがおっしゃった自治省でやった法令改正は何月何日ですか。
  151. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 昨年の七月でございます。
  152. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、事実、その問題が、その前にその話が発して、こう進められておるとするなれば、その時点の取り上げ方は、七月以前の問題として取り上げられたということの事実があったと仮定すれば、旧法に基づいて問題というものの所在がはっきりするのか、あるいは新法においてその金銭の授受という時点においてやっていくべきなのか、あるいは計画、立案をされていって、行動に入った時点とすべきか、そこに問題が出てくると私は思うのです。それに対してどういうお考え方を持っていらっしゃいますか。
  153. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 先ほどお答えをいたしましたように、事実の内容調査して、その上で慎重に検討いたしたいと思いますが、公営企業管理者の設置の時期が、松山市の場合にいつの時点から設置されておりましたかという問題が一つあろうかと思います。と申しますのは、公営企業管理者の設置が、昨年の法律改正で必置義務になりましたけれども、それ以前から公営企業管理者の設置が事実上自由に認められておったわけでございますので、それ以前から公営企業管理者としての設置を事実やっておったとしますれば、松山市の水道局の事業管理者として、条例で定められた範囲の権限でそれを行なったものであるか、それとも先ほど指摘のありましたような時期的なズレの中でそれが起こった問題であるかという問題について、いましばらくつまびらかにさせていただきたい、こういうふうに思っております。
  154. 中村時雄

    中村(時)委員 それじゃ、いましばらくというけれども、問題が問題だけに早急に解決の方法を考えていただきたいと思います。  そこで、時間がもうなくなってしまったので、農地転用以下の問題は、この次に質問することにいたします。
  155. 中野明

    中野(明)委員 関連して。  局長にもう一度私のほうから確かめておきますが、農地法三条と五条の関係ですけれども、三条で移転して、一カ月もたたないうちに、いまの松山の場合五条になっておるわけですね。そういう場合、明らかにそういう事例がわかった場合は、許可を取り消すように指示されるかどうか、それだけのことをお聞きしておきたいのです。
  156. 和田正明

    和田政府委員 松山市の上水道の件は、県庁が七月五日付で私あてに報告をしてきております事実によりますと、昨年の十二月六日付で十五名の所有者の所有しております土地を、いずれも農業者でございますが、三名の者が農業を営むということでその土地を購入したいということで、三条の許可申請がございまして、地元の農業委員会許可相当という意見を付して出てまいりましたこともあり、現地調査等をいたしました結果、四十一年十二月六日付で農地法第三条の規定によりまして、耕作を目的とする土地所有権の移転の許可をいたしたようでございます。ところが、その三人が、年が改まりました四十二年になりましてから、そこを上水道の敷地にするからというので、五条の転用許可申請が出てまいりまして、それが本年五月三十日付で許可をされておりますので、その間に約半年間の経過があるわけでございます。  お尋ね趣旨は、三条で一度耕作するという理由許可を受けて所有権を移転しておきながら、半年もたたないうちにさらにそれを転用したということについては、何らかの裏があるのではないかという御趣旨だと思いますが、県庁からまいりました文書だけでは事実関係が明確でございませんので、現在さらに再調査をいたしておりますので、一がいにその両方の間の期間が詰まっておるから三条の許可が不適当であったとか、五条の許可は不適当であったというふうには言えないと思いますが、この事案については、事実関係をもう少し調べました上で、これは知事許可でございますので、知事に対して適当な指導をしたいというふうに思っております。
  157. 中野明

    中野(明)委員 いまの問題ですけれども、現地の資料も私ここに持っておりますが、明らかにこれは農地法利用して行なっている事実、裏づけもちゃんとそろっております。そういうことがはっきりした場合は、農林省として許可の取り消しを指示されるかどうか、そういうことでございます。
  158. 和田正明

    和田政府委員 間に入って利ざやを得た人が区長だということで、社会正義等の見地からもあまり好ましい事件ではないと思いますが、御質問の御趣旨のように、事実関係が明確になりましたら、私としては県知事に対して、三条の許可処分は取り消すことが相当であるという指示をいたしたいというふうに思います。
  159. 中野明

    中野(明)委員 それから、自治省に後ほど調査を依頼しておきたいのですが、前回、私この委員会で倉敷の農地転用のことについて質問したのです。そのときに、市役所が大会社と農民の間に仲介の労をとりまして、そうして土地転用のあっせんをしたわけですけれども、そのときに、登記あるいは印鑑証明、そういうことを一切公用で、市長の名義で無料で行なっているわけです。登記謄本を約一千二百通無料交付をしたり、印鑑証明を三百通も無料で交付をしたりして、これは公用でやっております。そういうようなことはあまりにも行き過ぎじゃないかと私は思うのですが、そういう事実がございますので、これはきょういま申し上げたばかりですから、後ほどの機会に私質問したいと思っておりますが、自治省として、もしもこういう事実があれば、これはどうお考えになるのか、ちょっと私お尋ねしたいと思います。
  160. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 私、公営企業の主管でございまして、若干あれが違うわけでございますけれども、御指摘のような農用地転用あるいは企業側に対する用地提供のあっせん等をめぐる問題といたしまして、もし御指摘のような事実があるとしましたならば、必ずしも適正なものであるというふうには私考えておらないわけでございますけれども、事案の内容をよく調査をいたしまして、その真実の内容について別途また御答弁をさせていただきたい、かように考えております。
  161. 倉成正

    倉成委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十七分散会