運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-10-06 第56回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十月六日(金曜日)    午前十一時十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 伊能繁次郎君    理事 藤尾 正行君 理事 細田 吉藏君    理事 大出  俊君 理事 山内  広君       内海 英男君    桂木 鉄夫君       佐藤 文生君    塩谷 一夫君       橋口  隆君    稻村 隆一君       木原  実君    武部  文君       楢崎弥之助君    浜田 光人君       山本弥之助君   米内山義一郎君       吉田 之久君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         労 働 大 臣 早川  崇君         国 務 大 臣 木村 俊夫君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 二階堂 進君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君         国 務 大 臣 増田甲子七君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛施設庁長官 小幡 久男君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君         外務省北米局長 東郷 文彦君         外務省条約局長 藤崎 萬里君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 九月九日  委員藤波孝生辞任につき、その補欠として橋  口隆君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員木原実辞任につき、その補欠として米田  東吾君が議長指名委員に選任された。 同日  委員米田東吾辞任につき、その補欠として木  原実君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員西村直巳辞任につき、その補欠として藤  波孝生君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件(人事院勧告に関する  問題)  国の防衛に関する件      ――――◇―――――
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長所用のため、委員長指名により私が委員長の職務を行ないます。  公務員給与に関する件及び国の防衛に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 エンタープライズ号入港に関しまして、政府は七日の新聞官房長官発表しているわけでありますが、オズボーン代理大使が直接申し入れをした相手外務省東郷北米局長のわけです。九月八日の私の質問に、官房長官お答えになって、口頭でつけ加えておるという分があるわけです。したがって私は、どういう話をオズボーン氏が東郷さんにして、しかも核兵器は積んでございませんということを、口頭でつけ加えたというのですが、一体どういうことをつけ加えたのか、御本人から承りたいのです。まだ外務省はお見えになりませんか。それが明らかになりませんと、実は増田長官見えになっておりますので、そちらのほうを承りたいのですが、ちょっとぐあいが悪い。時間がだいぶかかるようならば、また質問のしかたを変えます。
  4. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 大出君に申し上げますが、いま連絡中ですから、たいしてかからずすぐ参ると思います。
  5. 大出俊

    大出委員 たいへん時間がむだなようですし、小幡さんお見えになっておりますから、駐留軍関係皆さん退職手当の問題で、最初に承っておきたいのですけれども、委員長よろしゅうございますね。  まず、これはずいぶん長い経過がございます。ときには賃金体系とからみましてのいろいろな経過があるわけですね。時間の関係で、そういった経過に私はあまり触れません。触れませんが、ポイントだけ承りたいのは、この経過小幡さんどうとらえて――私は切実な要求だと思います。したがって、米軍との交渉のいろいろな経過があるわけだけれども、その上に立って、どういうふうにいまの時点でお考えになっているかという点を、まず承りたい。
  6. 小幡久男

    小幡説明員 私も、駐留軍退職手当の改善につきましての要求につきまして、過去いろいろな経過がありましたことは承知しておりますが、つぶさに検討してみますと、この問題は相当基本的な問題でございます。年々のベースアップ次元を異にする相当基本的な問題でありますので、米側も相当費用の負担になるという問題でございます関係上、本国政府まで持ち込んでいろいろ審議をしているというきわめてシリアスな問題として扱っております。したがいまして、よほど理屈がないと通りにくい。いままではいろいろ部分的な改定案が出ましたが、不幸にしまして米側判断が、現在の退職手当制度はそう不備はないという判断を持っておりますので、結果においては否決されて今日に至っておりますが、私といたしましては、最近いろいろ国際情勢も進んでまいりましたし、駐留軍の労務者の一番心配しておりますのは、何といいましても整理で、大きな整理が年々あるとは申しませんけれども、それにしましても、局部的にはある基地が突然閉鎖になるというふうな事態もありまして、整理のあるということ、しかも、これが一般の会社のように好不況に関係なくあり得る、予期せぬときにあり得る。このことは、勤労する者にとりましては非常に不安の種であろうかと考えておりますので、そういった点から、別の意味の同情を持っております。したがいまして、この問題につきましては、われわれも真剣に、過去の経緯経緯といたしまして、取り組んでいきたい、かように考えております。
  7. 大出俊

    大出委員 先般の日米合同会議等機会に、これは労働大臣早川さんにも全駐労諸君等からとくとお願いがしてありまして、たしかこのときにはアメリカ労働長官に会っておられるように仄聞をしておるのですけれども、そのときに、外務省から東郷北米局長がついていったやに聞いておるのですけれども、つまりアメリカ労働長官との間におけるその辺のやりとりですね。そこらを、小幡さんのほうでどうお受け取りになっているのか。また外務省関係の方でそこに居合わした方がおいでになれば、あわせてひとつ御答弁を賜っておきたいのです。
  8. 増田甲子七

    増田国務大臣 便宜私からお答えいたします。  早川労働大臣閣僚会議出席するにあたりまして、ぜひアメリカ労働長官に会いまして、この問題を韓国並みに解決してほしいということを強く申し入れすることに願いまして、早川労働大臣快諾されまして、閣僚会議に臨んだわけでございます。その結果を帰国と同時に承りましたが、アメリカ労働大臣快諾をされまして、日本のそれぞれの筋から申し入れがあったならば自分は労働長官として極力応援いたします、これが回答の内容でございます。
  9. 大出俊

    大出委員 多少難航したように聞いたのでありますけれでも、いまの増田長官の御答弁で、快諾をされ、それなりの努力をされるということだったそうでございますので、私も実は多少明るい気がするわけであります。  ところで現在の時点における対軍交渉ですね、特に韓国沖繩には制度がないからというようなことで三十四年以来の段階で表に出ておりまして、これは一年一割増の退職金増額要求段階だったと思うのですけれども、韓国などはでき上がったわけであります。多少の凹凸なども中身に見られますけれども、悪くはない、こう私は判断いたします。こまかいことは申し上げませんが。したがって、これらを踏まえての対軍交渉の現状と申しますか、そこらをひとつ簡単に御答弁願いたい。
  10. 小幡久男

    小幡説明員 まず退職手当に関しましてことしの六月に私が在日米軍参謀長を訪問いたしまして、まず最初の出会いでございますので全駐労の要求そのままを紹介いたしまして、こういう問題があるということ、全駐労はこれに対してはこういうかまえで相当真剣に考えておる、やがて日本政府もしかるべき案を出したいので、それまではこの全駐労の案についてお互い検討し合おうということで別れました。それからその中に、先ほどお話がございましたように、韓国退職手当の問題も全駐労の要求の中に含んでおりますので、大臣の許可を得まして江藤労務部長韓国に派遣いたしまして、七月に向こう退職手当制度を一応調べてまいりました。それから去る九月二十八日、そういったことも頭に置きまして、まだ具体案は最終的に出しておりませんが、具体案を出す前の前提となります基本問題につきまして再度参謀長検討いたしました。それから先ほど大臣がおっしゃいました政治の舞台でのバックグラウンドも参謀長に伝えまして、こういうふうに問題がいろいろ真剣に日本政府部内で取り上げられておるので、ひとつ真剣に検討してくれ、いずれそのうちに具体案を出すという話をしましたところ、向こう側も案が出れば真剣に検討したいという答えをしておりました。
  11. 大出俊

    大出委員 そうしますと、これからの対軍交渉の日程的なものですね、これはどういうふうにお考えになりますか。簡単でけっこうです。
  12. 小幡久男

    小幡説明員 これにつきましては遠からず、この月じゅう労務部長から具体案向こうへ出します。それにつきまして組合からの要求は十一月末までに明確な結論を出してほしいという御要求でありますけれども、何しろ先ほど申し上げましたように年々のベースアップと違いまして次元の別な問題で、相当両方が検討し合って、折衝ベースアップ以上に相当じみな会合を重ねる必要があるかと思っております。したがいまして、何月に結論が出るということはいま予断はできませんけれども、われわれといたしましてはそういうベースをよく踏まえながら慎重に迫力をもって処していきたいと思っております。
  13. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 大出君に申し上げますが、東郷北米局長藤崎条約局長がお見えになりましたから……。
  14. 大出俊

    大出委員 いまの結論を出します。ここでひとつ承っておきたいと思うのです。四十五年という一つめど安全保障条約改定期であります。四十三年を中心に相当この基地労働者の数が減る。つまり解雇問題等が出てくる、実はこういう見方を、いろいろな理由がありまして私はしておったのであります。そこで全般的にそこらがどういうふうに動いていくか、簡単にお知らせいただきたい。簡単でけっこうです。
  15. 小幡久男

    小幡説明員 現在のところ、われわれが接触している範囲におきましては、ここ数年の労働状況の推移とそう変った与件はお互いの中で話には出ておりませんので、ちょっと予断しにくいと思います。
  16. 大出俊

    大出委員 それでは結論でございますが、この全駐労という組織の方々は、法的にもストライキ権を持っておりますから、したがって、相当な決意で十一月末をめどに各種の会議で討議をされてきております。私も横浜の出身ですが、基地労働者の方がたくさんおられる。これは長い懸案だけに異常な決意ですね。したがって、私はこういう面であまり大きなトラブルが起こることは好みたくない。また内閣委員会に所属している私どもの立場からも、何とか早くこれはまとめたい、こう実は考えております。したがって、そういう点について、ぜひひとつそのあたりに解決のめどをお置きになって、高度の政治折衝も必要だと思いますけれども、せっかく早川さんにも御努力をいただいたりして、また長官のいま前向きの御答弁をいただいておりますので、この機会に長年の懸案を解決していただきたい、こう思うのでありますが、この辺の皆さんのお考えのほどをお伺いしたい。
  17. 小幡久男

    小幡説明員 われわれも責任の衝にある者といたしまして、ストライキをかまえるような事態は好ましくないことは当然でございます。何とかひとつ努力いたしまして、また交渉経過等につきましても組合の幹部と話し合って、要るものにつきましては腹蔵なく話し合いまして、ひとつ組合の誠意ある行為を求めながらわれわれも誠意を尽くしたいと思っております。
  18. 大出俊

    大出委員 これは純然たる待遇の問題でございますので、増田長官おいでになりますけれども、ひとつ長年の懸案大臣にもこの機会にかたをつける、こういうことで御努力いただきたいと思うのです。よろしゅうございますか。
  19. 増田甲子七

    増田国務大臣 承知いたしました。
  20. 大出俊

    大出委員 この件は終わります。  先ほど東郷さん並びに藤崎さんお見えになりませんでしたので途中で打ち切っておきましたが、オズボーン代理大使外務省おいでになって、先月七日の新聞等に出ておるようでありますが、エンタープライズ号等の――などとこうなっておりますが、などの寄港についての正式な申し入れをされたようであります。なおまた木村官房長官に私が先月八日に質問いたしましたときに、口頭核兵器は積んでおりませんとつけ加えたのです。つまり、申し添えておく、こういうふうに言ったと言っておるのでありますが、つまりどういう理由でいつどういうふうに寄港をするという話であるのか、かつまた申し添えたというのは一体どういう申し添えのあり方なのか、そこらをひとつお答えを賜わりたいと思います。
  21. 東郷文彦

    東郷説明員 いまお話しのように、九月七日にオズボーン公使から私のところへエンタープライズ等原子力水上艦艇寄港を希望する旨申し入れがございました。この件に関しましては一昨年の十一月、航空母艦エンタープライズ並びに巡洋艦ロングビーチ、それから駆逐艦ペインブリッジ、これらの原子力水上艦艇が第七艦隊に配属された機会に、将来日本寄港することを希望することがあるかもしれないという非公式の話がございましたが、その後いわば正式に日本寄港させたいということを申してまいったのはこの九月七日が初めてでございます。寄港目的原子力潜水艦の場合と同じように乗員の休養補給でございます。エンタープライズ等と申しますのは、いま申し上げました巡洋艦駆逐艦を含む意味でございます。なお核兵器の問題につきましては、わがほうは原子力潜水艦の場合にも核兵器に関する事前協議の条項は当然これは適用になるわけでございますので、わがほうは核兵器は搭載していないことを条件に原子力潜水艦の場合には入港を認めましたのでございます。それと同じと考えておるわけであります。  なお、私のところには別にさようなつけ加えての話がございませんでしたが、しかし米国側もわが政府のそのような態度は十分承知しておるわけでございます。
  22. 大出俊

    大出委員 これは木村官房長官答弁と大きな食い違いなのであります。私は昨年の五月三十一日に、ここにいま官房長になっておられます島田防衛局長さんとこの核論争をやったことがある。空対地の核ミサイル・ブルパップというものについて、これが核兵器であるのかないのか、核に使えるのか使えないのかという論議をしまして、核に使えるということになった。いろいろな議論がありましたが、そこで私はその例をあげて、かつまたロングビーチに積んであるタロスなどの例をあげまして、木村官房長官にその辺はどうなんだ、こういう質問を九月八日にこの内閣委員会の席でしたのであります。議事録に明確になっておりますが、官房長官は、オズボーン代理大使東郷北米局長に正式に申し入れたときに、特に核兵器は搭載しておりませんと申し添えておきますというふうに申し添えがあった、したがってそれを全面的に政府は信頼をして閣議でかくのごとき発表になったんだ、こういうふうにはっきりお答えになっておる。そこのところをもう一ぺんひとつ御答弁いただきたい。
  23. 東郷文彦

    東郷説明員 申し入れのありました際に、私のほうからはその申し入れを受け取って日本政府関係当局との相談の上追って返事をする、なおわがほうの態度は、先ほど申しましたようにこれが安全性について問題がなくしかも核兵器が搭載されてないということであれば寄港申し入れを受けつけるのが従来の方針である、このようにはっきり申しましたが、その点を官房長官はふえんして申されたんだと思います。
  24. 大出俊

    大出委員 そうしますと、オズボーン公使は――官房長官代理大使と言っておりましたが、オズボーン氏から申し入れのあったときに、オズボーン氏が特に申し添えて言ったんじゃないということですね。そこをはっきりしておきます。あと官房長官が御出席になりますが、この点に対しては明確にしておかぬと、事きわめて微妙な問題でございますから再答弁をお願いいたします。
  25. 東郷文彦

    東郷説明員 私からそのように申しまして、オズボーンのほうもそれは十分承知しておる、こう申しましたので、いまの点はこれは私が官房長官にお伝えするときの表現が多少まずかったのかもしれませんが、私のいま申し上げたオズボーン公使に対するやりとり官房長官のそうおっしゃった点は矛盾はないと思います。
  26. 大出俊

    大出委員 後ほど官房長官に承りますが、あらためてまた次の機会にものを申し上げたいと思います。  ところで、この寄港目的休養補給、こういうことなのでありますが、ハワイに比べて距離的にきわめて近いということが一つ新聞発表のときにございましたが、そこでベトナム海域におって日本に来る、つまり休養補給、こういうことになるのだと思いますが、エンタープライズ号はいまアメリカの西海岸にいるわけでありますけれども、日本に来る場合、ベトナム作戦参加してから来る、こういうことになると理解をしてよろしゅうございますか。
  27. 東郷文彦

    東郷説明員 わがほうはいま受け入れに対しましてどのような返事をするか関係方面でまだ検討中で、返事はしておりませんですが、従来、エンタープライズは大体数カ月ベトナム海域にあり、また、それを終わって数カ月本国に戻る、かようなかっこうになっておるようでございます。従来のそういう計画から見ますと、おそらく来るのはあるいは来年に入ってからと存じますが、その来るのがどこから来るか、そういうようなことにつきましては、まだ情報は何も持っておりません。
  28. 大出俊

    大出委員 私は、非常に奇妙に思うことが一つあるので、これも明らかにしていただきたいんですが、外務大臣がお見えになっておらぬので、その点は残念ですけれども、官房長官の八日の私に対するお答えからすると、年内に参りますという話であった。安全性の確認におおむね二カ月かかる、そのあとで公式に寄港文書が入ってくる、つまり寄港文書による申し入れ、それに対して承認の文書回答をする、その上で入港時期が予告をされる、そして入ってくる、実はこういう段取りだから、三カ月かかる、そうなると大体本年末、こういうことになる、こういうお話であったわけです。ところが、第七艇隊の司令官ハイランド中将沖繩に参りまして、ここで記者発表をしているわけであります。エンタープライズは来年一月以降に日本に入ることになるだろう、二月以降とは断言できない、こういう言い方であります。それから、これからベトナム作戦参加をする、こういう予定であるということを言っているわけであります。つまり、官房長官がこの席で三カ月かかるから年内に入ってくる、こう言っている。とたんに、しばらくたつというと、第七艦隊司令官がとんでもないところで来年だと言った。新聞記者方々官房長官そこらあたり質問をしておりますが、そうすると、ハイランド中将がそう言うのなら来年でしょう。こういう言い方であります。おまけに、本年の八月に同じハイランド中将がこの第七艦隊から離れた。したがって、年内寄港はないということを沖繩で言った。私は、先般この委員会外務省浅尾安全保障課長質問をした。そうしたところが、浅尾さんの私に対する答弁は、ハイランド中将年内寄港することはないだろうと言ったからないと思います、こういうことなんですね。そうなると、これは日本政府が何を言ってみても、アメリカの、しかもシビリアンではない軍人がどこかでいつだと言ったからそうなるのです、こういう言い方は、私は、いささかもって権威がなさ過ぎる。穏当ではないという感じがする。ここらあたりはどうお考えですか。
  29. 東郷文彦

    東郷説明員 いま申し上げましたように、まだ現在は向こう申し入れに対してどういう返事をするかという段階でございまして、アメリカの海軍の艦艇行動は一々われわれチェックしているわけではございませんし、また、安全性に関する検討その他結果が全部出ましてから政府返事相手にすることになると思います。そうなりました場合でも、米国のそのような軍艦がいつどの船が日本に入るかというようなことは、一々日米当局の間できめておるわけではございませんので、ただいまのエンタープライズの例にいたしましても、向こうが先ほど申し上げたようなあるスケジュールで動いておる、それに対してわれわれがどの船をどこへいつやれというような関係には実はないわけでございます。ただ、いろいろこちらにも都合がありますから、エンタープライズに対してこちらから回答を与えた後におきましても、向こう計画が差しつかえない限り早目にこちらに知らしてくるように、そういう形になると存じます。
  30. 大出俊

    大出委員 国民世論に非常に大きな影響を持っておる、しかも、ベトナム作戦に何回か参加をしている船、こういうわけであります。そうするとそれがどうも第七艦隊司令官が何か言った、政府がそれまで答弁してきたことはみな変わっていく、そういうきわめてものごとを慎重に考えていないということでは、私は、非常にこの点は考えものだと思うんですよ。それによって新聞がいろいろ書く。国民的にいろいろ世論があっち向いたりこっち向いたりする。こういうことにしておいたんではやはりまずい。やはり政府外交手続があるわけですから、そこらあたりはあらかじめ明確にしておくべきものはしておく必要がある、こう私は思う。大臣でございませんから、そこから先は政治的になりますから答弁を求めませんけれども、そこらあたりは、いまの状態というのは私は非常に遺憾だと思う。これはあらためて官房長官質問します。  そこで、藤崎さんにひとつ承りたいのですけれども、安保条約の六条に基くところの事前協議というのは前回の原子力潜水艦寄港のときにも問題になった。対象にならないという解釈をアメリカ側はとりながらも、その部分についてということでエードメモワールの中でものを言っているわけです。念のために伺っておきたいのですが、対象になるとお考えになりますか、ならないとお考えになりますか。
  31. 藤崎萬里

    藤崎説明員 原子力推進力として使用しておる艦艇というだけでは、事前協議の項目の一つにあがっております装備の重要な変更というのには当たらない、かように存じます。
  32. 大出俊

    大出委員 エンタープライズベトナム水域から日本に来てどうなっていくというのは明らかでない、いま聞いてみると。そうなると、エンタープライズベトナム作戦参加をしておって日本に入ってくる、これだけは明らかですね。またハイランド中将もそう言っているわけですね。そうすると、数カ月おるわけですから、おまけに、ハワイと比べてきわめて距離的に近いから助かると、こう言っている。距離が近いから日本に入ってきて、またベトナム水域に出ていくとなったらどうですか。
  33. 藤崎萬里

    藤崎説明員 装備の重要な変更という関係でなしに、戦闘作戦行動との関係事前協議対象になるかならないかというお話だろうと思いますが、それは原子力推進力に使っておるかどうかとかかわりのないこととして、一般米軍艦艇エンタープライズも全く同様に考えるべきものであろう、かように考えます。
  34. 大出俊

    大出委員 そうなりますと、安保条約の第六条にいうところのこの交換公文ですね、これは「合衆国軍隊日本国への配置における重要な変更、」これが一つですね。先ほどのお話の「同軍隊装備における重要な変更並びに日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、日本国政府との事前協議の主題とする。」こうなっておるわけですね。そうしますと、もし距離が近いからというので日本に入ってきてまたベトナム水域に行くんだとすると、私はあとから申し上げますが、明確に作戦参加しているわけでありますから、そうすると、つまり、装備の重要な変更ではなくて、「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」私は明確にこれに該当すると思う。そこのところはどうですか。
  35. 藤崎萬里

    藤崎説明員 こういうような航空母艦みたいなものが日本から出ていってベトナム水域におもむくという場合には、すべてこれは戦闘作戦行動に該当するというふうには私どもは考えておらないわけでございます。
  36. 大出俊

    大出委員 そんなばかな答弁がありますか。あなたは条約局長でしょう。それは、あなたいつか私が沖繩の潜在主権をめぐっての質問をしたときに大騒ぎになったりしたから警戒するのかもしれませんけれども、そういう子供だましの答弁はだめですよ。NHKの記者の方がベトナム作戦に行っておられて詳細なレポートを書いておられるのですよ。これはきわめて詳細。この中にどういうかっこうでエンタープライドが作戦参加しているかということがこまかく述べられておる。この中身を読んでみると、まさに明確な作戦参加です。作戦行動参加している。日本が近いから、日本に入ってきて、兵員の休養補給――どう名目をつけたって、基地としての日本の横須賀の施設を使う、あるいは佐世保の施設を使う、そうしてベトナム水域作戦に行く、これが事前協議対象にならなければ一体この交換公文は必要なんですか、あなた、もう一ぺん答えてください。
  37. 藤崎萬里

    藤崎説明員 どういう場合に日本基地から戦闘作戦行動が発進されたかということは、これは認定の問題でございますが。従来政府が申し上げていることは、たとえば日本から空挺部隊が発進していくとか、あるいは上陸作戦の部隊が出ていくとか、そういうような典型的な場合は、戦闘作戦行動が行なわれたということが言えるけれども、ある軍艦が出ていったときに、これが戦闘作戦行動に従事するために出ていったと見るべきかどうかは、それぞれの実態に即して判断すべきことであって、日本からベトナム方面に出ていくからといって、それらがすべて戦闘作戦行動に該当するということにはならないというのが、従来から説明いたしておる筋でございます。
  38. 大出俊

    大出委員 もう一ぺん聞きますが、エンタープライズは百機からの飛行機を載っけていますね。この飛行機がトンキン湾に次々に出ていく。二十五分で百機飛んでしまうのですから、たいへんな被害をこうむっている中隊もこの中にはある。そういう激しい戦闘をやっているのですよ。エンタープライズに載っかっている飛行機の第六十四、六十六、六十七攻撃機中隊というのは、半分くらい入れかわっているわけですよ。これはおおむね五十機あります。これはたいへんな爆弾投下量ですよ。そうでしょう。その作戦に横須賀から出ていった。行って現実にこの中隊は爆撃に飛び出している。こうなった場合に、あなたはそれでも航空母艦だから、作戦参加したときに作戦行動だと考えないというのですか。
  39. 藤崎萬里

    藤崎説明員 この航空母艦の実態を私はよく存じませんが、従来の説明は、その航空機が航究母艦から飛び立っていく、そこで戦闘作戦行動が発進されるのだ、そういうような考え方であると存じます。
  40. 大出俊

    大出委員 そうすると、飛行機は作戦行動参加するのだけれども、エンタープライズは、航空母艦の、軍艦のほうは参加しないというのですな。はっきりしてくださいよ。はっきりしてくれればいい。載っかっている飛行機だけは作戦行動だというのなら、それならそれでいいから、はっきりしてください。
  41. 藤崎萬里

    藤崎説明員 トンキン湾に航空母艦が遊よくしておりまして、そこから航空隊が発進していく。そのときに、航空母艦作戦行動参加していないとは言えないと思うのであります。しかし、その参加しているかどうかという問題と、その航空母艦日本の施設、区域から出ていくときのその行動自体がすでに戦闘作戦行動の一跡であって日本から戦闘作戦行動が発進されたかどうかということとは別の問題であるわけであります。
  42. 大出俊

    大出委員 官房長官は、むしろこれは歓迎すべきことだと言ったけれども、戦闘に参加した方々日本に来て、横須賀で休養し、補給し、あるいは修理するかもしれない。スキップジャックなんて破損した原子力潜水艦は、横須賀で修理しているのですけれどもね。そういうことを、施設を明確に使ってやって出ていった、それでもあなたは作戦行動じゃないというのですか。そんなことを言ったら事前協議なんてあってもなくても一緒だ。そういう詭弁を、条約局長、あなた使ってはいけませんよ。航空母艦は軍艦じゃないのですか。
  43. 藤崎萬里

    藤崎説明員 私が申し上げていることは、安保改定当時の国会から政府が申し上げておることを繰り返しておるにすぎないのでありまして、ベトナム戦争が始まったから、何か戦闘作戦行動ということばの解釈を広げたり狭めたりしているというようなことはございません。
  44. 大出俊

    大出委員 これは最近アメリカの極東戦略などという、朝日新聞社の出している「朝日市民教室」などという本がありますが、この中身を読んでみても、きわめていいことを書いてある。原子力潜水艦が来たことだって、これは事前協議対象にしようとすればできる、これは日本政府の意思いかんだということが書いてある。協議をして、できるだけ日本の安全にとって――アメリカにとって有利なことであっても、必ずしもそれが日本の安全につながらない、そういう場合も多々ある。だから、できるだけ事前協議条項というものを使って日本の安全を考えるのが筋ではないか、こう書いてあるわけです。あたりまえですよ。今度の場合トラックストンが来るかどうか知らないけれども、来たら、これは十三、四原子炉が横須賀の港に並んじゃうのですよ。一つや二つじゃない。それだけでも日本政府事前協議対象にしようと思えばできると書いてある。そういう見解をとっている。にもかかわらずベトナムに行って、載っかっている百機の飛行機で爆撃をやって、半分くらい落とされている。それが日本の港へ来てまた行くというのに、さっき東郷さんの話によると、エンタープライズは入ってから、そこから先どっちへ行くかわからない、一々監視しているわけじゃないからわからぬという。とすれば、距離が短いから日本に来るが、アメリカへ帰るのならば何も日本に来なくてもいい。日本に入って兵員の休養その他をやって、また行くかもしれない。そこまで想定されるものを、それは事前協議対象になりませんというあなたの言い分、それは明らかに詭弁ですよ。そういうことを言い出したら、あってもなくても一緒だ。  ついでに聞いておきますが、木村官房長官発表によるとへぼつぼつ事前協議の中身というものを検討しなければならぬ段階にきた、こう言っているわけですね。新聞を読み上げますが、読売新聞の九月十八日を見ますと、「しぼられた返還方式、沖繩問題で官房長官語る」ということで、この中で「日本が何を負うべきか、ということも高い見地から検討する必要があるが、核の持ち込みを認めないという基本方針を含め従来の政策全体が検討課題となろう。」こういうわけですね。これは官房長官発表です。それから三木外務大臣とラスク国務長官との間におけるやりとりが、これまたきわめて正式に出てきている。六条にいうところの事前協議沖繩に適用しないなどの新しい取りきめを結ぶことも可能云々、つまりこの一貫した流れをいま新聞で見る限りは、六条にいう事前協議というものは、できるだけ解釈は狭く、できればはずす、こういう方向に動いている。外務省案という案もある。朝日新聞に載っている。そこらのところは外務省という立場でどういうふうに考えていますか、事前協議という問題を。
  45. 藤崎萬里

    藤崎説明員 沖繩のことについての問題だと存じますが、まだ私どもが法律的な見地から問題を検討するような段階には至っておらないのが実情でございます。
  46. 大出俊

    大出委員 佐藤総理に、事務レベルでものを言っちゃいかぬと言われたので、言わぬというのでしょう。外務官僚は不満だけれどもしかたがない、こういうわけですな。大臣がおりませんから、政治的にそこから先承ることはやめますけれども、そういうあなたの考え方というのは、私はやはり日本の将来を考えたときに、アメリカにとって有利であっても日本にとっては不利な装備変更もある、あるいは作戦行動に出ていく場合もある、そこら日本政府の意思として慎重に事前協議対象に入れて安全をはかるべきだという考え方を私は持っている。それだけつけ加えておきます。  次に、もし日本へ来てベトナムに帰っていくのでないとすれば、何も日本寄港する必要はない。したがって、これまた大臣がいないので恐縮だけれども、申し入れを受けた東郷北米局長の立場では、兵員の休養補給、こういうわけですけれども、日本に入ってくるエンタープライズというのは、アメリカ本国に帰るとあなたは判断しているのですか、どうなんですか。
  47. 東郷文彦

    東郷説明員 先ほど申しましたように、エンタープライズに限らず、米国の海軍艦艇行動は、一々わがほうと相談の上きめるものでございませんで、従来の例を言いますと、ある期間ベトナム水域に出て向こうへ帰る、それからまたある期間、通常数カ月のようでございますがまた戻ってくる。したがって、この次にかりにわがほうがそれを認めましていざ入ってくるとなった場合に、日本に来てそれからどこへ行くかというのは、そのときの配船ぐあいを見るまでは、いまからちょっと何とも申し上げかねます。
  48. 大出俊

    大出委員 明確になったわけですが、とにかくベトナムに行くのかアメリカへ帰るのかわからないというわけですね。行く場合だってある。行く場合に、飛行機は戦闘に参加しているけれども、そこにおる航空母艦は戦闘に参加していない、そういうばかげた、子供だましの、三つ子だってわかりますよ。そんなこと通りませんよ。  ところで、防衛庁に承りたい。エンタープライズあるいはロングビーチ、ベインブリッジあるいはトラックストン、これだけしかないわけでありますが、ブルパップについては核あるいは通常、両用兵器であるということを前にお認めになったことがあるので、あえて聞きません。次にタロス、これは核兵器としてお認めになりますか、防衛庁。
  49. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 艦載ミサイル・タロスについては、核、非核、両用のものと承知いたしております。
  50. 大出俊

    大出委員 アスロックはどうですか。
  51. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 アスロックも核、非核両用のものと承知しております。
  52. 大出俊

    大出委員 A5という飛行機がありますね。この性能をちょっと言ってください。
  53. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 いまお尋ねのは、偵察機のRA5Cのことかと思いますけれども、もしそれでございましたら、速度が二・一マッハ、行動半径が千九百キロ、乗員数は二、主要装備としましては、偵察器材のほかに、核を含む爆弾、こういう装備でございます。
  54. 大出俊

    大出委員 ずいぶん用意しておきましたね。そういう答弁のしかたを。あなたのほうで監修しているのでしょうが、責任はないといつも言いますけれども、この間、島田さん、防衛年鑑が間違っておると言ったけれども、海原さんがあとで訂正して、間違っていないということになったのだが、この防衛年鑑の一九六七年、これによりますと、A5、これは最大速度がマッハ二・一、世界最初の超音速艦攻機、つまりこれは航空母艦に載せられる飛行機、そこで進攻用に開発された双発ジェット機であるが、メガトン級の核爆弾を搭載する特殊な爆弾倉のハッチに云々というので、特殊につくったわけですね、核爆弾用に。ちゃんと書いてある。しかもこの載っかっている飛行中隊の中身を見ると、第七重攻撃隊――重攻撃隊ですよ。偵察隊とは書いてない。重攻撃隊の中身はA5ビジランド、こうなっている。全部これに詳細に書いてある。あなたはそんなことを言って――載っかっている飛行中隊をあげてください。エンタープライズに載っているのだ。どういう中隊、どういう内容に分かれておりますか。これは偵察機じゃないのですよ。重攻撃隊です。
  55. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 ことしの二月の星条旗紙の記事によりますと、エンタープライズに搭載します航空機は七十ないし百機でございますけれども、そのおもな機種は、戦闘機のF4Bファントム、攻撃機のF4Cスカイホーク、A6Aイントルーダー、偵察機のRA5C、こういうふうな状況になっております。
  56. 大出俊

    大出委員 第一〇二戦闘機中隊というのが筆頭にあります。これはF4Bファントムを十六機、何機か十六機をオーバーして編成されることがある、こういう中隊。それから第三十三戦闘機中隊、音速の二倍近いスピードを持っておるE8Uクルーセーダ、これが十六機以上。それから第六十四、六十六、六十七攻撃機中隊、A4Eスカイレーダー、これがおおむね五十機編成。それから第六十五攻撃隊、これは低空攻撃部隊、プロペラエンジンの飛行機。それから第七重攻撃隊、この重攻撃隊の主力がA5ですよ。それから第六十二軽写真偵察隊――偵察隊は別にちゃんとあるのですよ。これはRA8Fが主力。それから艦上早期警戒中隊、ElBトレーサー。こうなっておるわけです。これで全部です。あなたは星条旗紙で見たと言うけれども、明確にこの内容は分析されて書いてある。そうすると特殊な、これは核爆弾を装着するための弾倉をつくっておるわけです。ほかに使い道はない。偵察用に使えば使えるという程度である。そうすると、こういう重攻撃中隊などというものを持っているのがエンタープライズです。それからタロスというのも射程距離百キロばかりありますね。しかも、これは巨大な核抑止力になっておるということを英国の軍事雑誌などでは発表している。だからエンタープライズは満載すれば八万四千トンこすけれども、空からの攻撃抑止力である。なぜならばロングビーチペインブリッジなどついておって、特にタロス、これが非常に大きな核抑止力になっておるから、こうなっておる。  ところで承りたいのだけれども、そういう状態の中で、核を積んでこない保証は一体あるとお考えですか、あなたのほうで、専門的な立場から考えて。
  57. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 われわれの知り得ておる常識から言いますと、米軍の核の常時の装備は、御承知のポラリス潜水艦、それからアラートについておりますB52の一部、それからICBM、こういったものは常時装着しておるのではないかというふうにいわれております。しかし、いまいろいろお話の出ました核用あるいは非核用、両用のもの等の装備は、それ以外に攻撃機にも艦船にもいろいろございますが、これが普通の戦闘にあるいは平時において核を装着しておるというふうには普通考えられない。つまり、核はアメリカにおいても非常に慎重に扱われておる。お示しのタロスとかアスロックとか、確かに核用にも使えます。しかし、おそらくベトナム付近において核を装着して戦闘態勢に入っておるというふうにはわれわれにはいま考えられない。つまり通常弾頭で使うという使い方をしておる、こういうことが一般の常識であろうというふうに考えます。同時に、先ほど外務省からお答えになりましたように、日本に入ってくるという場合には、従来の例から見ましても核は装着しない、こういうことかと考えております。
  58. 大出俊

    大出委員 これは私は一方的に言っておきますが、横須賀に何回も何回も原子力潜水艦が入ってきた。ところが、原子力潜水艦の乗り組み員は、上がって酒を飲むんですよ。乗り組み員である限りは何が積んであるかちゃんと知っておる。横須賀のバーで働いておる方々だってわれわれに非常に近い人がある。そうすると、スキャンプなんというものはサブロックを積んでおるのだということを乗っておる人が言っておる。しかし、これは私は言うておくだけにしますけれども、あなたのほうで積んでないという保証がない。立ち入り検査もできなければ、視察もできない。そうでしょう。新聞記者が乗ったときだって、サブロックを積んでいるところは幕が張ってあってわからなかったと書いてある。そうでしょう。そうなると、あなたはそんなことをおっしゃっているけれども、この防衛年鑑を見てごらんなさい。これはなるべくあなたのほうに近い資料でものを言うのだけれども、水爆搭載機の衝突事件というものが年鑑の一五四ページに載っている。これは米国務省が三月二日に声明を発表しておりますね。スペインの東南部の農村のパロマレス、この上空でB52が衝突事故を起こした。これは空中補給の失敗なんですね。それで、ここで四個の水爆のうち二個が、通常爆薬の爆発の結果散乱をした。幸い核爆発は起こらなかったが、うち一個がゆくえ不明になった。スペイン政府が三月一日、二千人が放射能を浴びたと声明をした。ために米当局もやむを得ず事件を公式に認めたということで、同声明の発表に当たったマクロスキー国務省報道担当官は、核兵器が地上に落下したときの衝撃でプルトニウムとウラニウムが散乱をした、こう発表している。これは防衛年鑑に書いてありますからね。別な資料じゃない、あなたのほうが監修している。そうでしょう。そうすると、このときだって、まさか上を飛んでいるB52に常時水爆が載っかっているなんて夢にもだれも思っていない。ところが実は水爆パトロールであって、常時載せている、こういうわけです。いまやまさに核爆弾を装着しているのが常識であって、していないほうが非常識なのです。だから重攻撃用の特殊な弾倉をつけているこの第七重攻撃隊というようなものがわざわざ編成されているわけですね。そうだとすると、さっき藤崎氏はいろいろおっしゃっているけれども、やはり事前協議なら事前協議対象にするならして、そこのところをやはり詳細に詰めて、あなた方が積んでいないとおっしゃる限りは、ただ積んでいないと推測をいたしますという口先だけの話じゃなしに、かくかくの努力を続けてみた結果として積んでいないと確信が持てるなら持てるという手続を踏まなければ、国民は納得しやしないですよ。そうでしょう。したがって、あなたがいま幾ら積んでいないと思います――これは思いますですよ。そうでしょう。こっちから持ってきちゃ困ると言っているのだから持ってこないはずですと言うだけでは世の中は過ぎていかない。そこで私は、さっき藤崎条約局長に、安保条約の六条というものはどう解釈をするのか、こう質問をしているわけです、そこのところは。長官、これは、いまから安全性の問題その他ずっとやっていく過程で、核兵器を積んでいる、いないという点について、旧来の原子力潜水艦の程度のことしか政府はお考えになっていないということですか。
  59. 増田甲子七

    増田国務大臣 今度来るかもしれない、おそらく明年の初めでございましょうが、エンタープライズの搭載している武器には核兵器はないと考えております。
  60. 大出俊

    大出委員 ないと考えておられる理由をひとつ明らかにしていただきたい。
  61. 増田甲子七

    増田国務大臣 先ほどおあげになりました各種の戦闘機、偵察機、攻撃機等がございますが、これらには核兵器を積んでいないのでございまして、ブルパップ等にも海軍用のものは積んでおりません。AとBとがございますが積んでいないのでございまして、空軍用のブルパップには核、非核両用がございますが、海軍用のブルパップにはないのでございます。したがいまして、われわれは、積んでいない、こう考えておるわけであります。
  62. 大出俊

    大出委員 いないと考えておりますというのが最後のお話で、途中は積んでおりません、おりませんと、こう言って、一番最後は積んでいないと考えております。あなたがそう考えているだけだ。積んでいないという保証はありますか。
  63. 増田甲子七

    増田国務大臣 海軍用の攻撃機、偵察機、戦闘機等は積めないしかけでございます。でございますから、考えておるということと、ないということとの関係の相違を大出さん御指摘になりましたけれども、同じでございまして、積んでいないのでございます。
  64. 大出俊

    大出委員 いいですか。あなたは海軍用、海軍用と言うから、海軍用で申しますよ。この年鑑の四四五ページ、米軍の海軍用の飛行機の説明の中に、先ほど申しましたA5、Aはほとんど海軍ですよ、A5というのは海軍用なんだ。つまり海軍用のA5の中に、これは核爆弾を装着するようにつくられた飛行機であるということが明確になっているじゃないですか。海軍にはないというのはどういうわけですか。あなた何を言っている。
  65. 増田甲子七

    増田国務大臣 アスロック的なものは核、非核両用がありますけれども、ブルパップにつきましては、海軍用の飛行機には積むしかけはないのでございまして、空軍用の航空機には核、非核両用積むしかけがございます。今度のエンタープライズは海軍用の航空機でございますから、年鑑にはどう書いてあるか存じませんが、われわれは、 エンタープライズに搭載されておる航空機には核兵器は積んでいない、積むしかけはない、こう考えております。
  66. 大出俊

    大出委員 エンタープライズに積んでおるタロスを、防衛年鑑その他を当たってみると、明確に核、非核両用に使えるように装着してあると書いてある。あなたは何を根拠にそういうことを言うのですか。だれに聞いたの。はっきりしてください。隣から聞いてしゃべっていちゃだめですよ。  もう一ぺん言いましょう。防衛年鑑、全部抜き読みしておる。全部調べておる。核、非核両用がちゃんとある。タロスはエンタープライズに積んであるのは明らかです。基準排水量七万五千七百トン、満載が八万五千三百五十トン、原子炉八基、速力から、全部この中に載っている。ちゃんと全部明確になっておる。そんなことを言ったってだめですよ。保証にも何にもならぬじゃないですか。全部調べておる。
  67. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、これはエンタープライズに限りませんけれども、エンタープライズの場合も核、非核両用の兵器はあります。ミサイルにもありますし、それから搭載している航空機に核爆弾をつけ得る航空機もございます。ただ、日本に入ってくる場合に、核をつけてないとわれわれが信じている根拠は何かというお尋ねかと思いますが、一つは、論理的にいいまして事前協議という条項から、そしてその原子力潜水艦の場合に、アメリカからの文書もございますけれども、日本の政策に反して核を持ち込むことはないという意味文書もございます。日本の政策を十分承知しておりますので、そういう武器に核を装着して日本寄港するということは外交上ないというふうにまず言えるわけでございます。  それから、先ほども申し上げましたように、核は非常に慎重に扱っておりまして、一定の、先ほどお示しのB52とかICBMとかポラリスというもの以外は常時装てんしていないと考えるのが常識である、そういう両方から考えて核はつけてない、こういうように考えております。
  68. 大出俊

    大出委員 積んでないという文書は何かというと、原子力潜水艦のエードメモワール、これにあるだけですよ。ほかに何も文書はない。この中でも、核は積んでないとは書いてない。あとからこの点はもう一ぺん質問いたします。  労働大臣の時間がなくなりますから、早川労働大臣に二つだけお答えいただきたいと存じます。  一つは、先ほど増田防衛長官から御答弁をいただいたのですけれども、例のたいへん御苦労を賜わりまして、アメリカに先般おいでになったときに、労働長官と、この駐留軍の労働者諸君の退職手当についてお話しをいただいたそうでございまして、先ほどお見えにならなかったので、かわって長官から御答弁をいただきましたが、きわめて簡単でけっこうでございますから、たいへん向うのほうでも快諾されたという御答弁を実は先ほど増田長官からいただいておりますけれども、それを一つお話しをいただきたいのと、あわせて労働大臣の立場からごらんになった――今日まで大蔵大臣の出ておられないときもあったわけでございますけれども、何回か七人委員会をお開きになってこられた、特に先回二回ばかり私が大臣に御質問申し上げたときに、相当の御決意で塚原総務長官をバックアップして人事院勧告完全実施への努力をされる。こういう御回答をいただいております。現在の時点でどういうふうに動いておって、いつごろまでに大蔵省の景気調整あるいは硬直化等に伴うものの判断、見方、またそれが判断できる時期等がございましょうが、そこらのところ、要点だけひとつお知らせをいただきたい。その二点を御質問いたします。
  69. 早川崇

    早川国務大臣 駐留軍従業員の退職手当の増額につきましては、全駐労の労働組合からも日米会談において発言してほしいという強い御依頼がございました。そこで、私の所管ではございませんので、防衛庁の当局とも御相談をいたしまして、防衛当局としてもぜひひとつ話してもらいたいということでございましたので、日米会談――十三日に本会議が開かれまして、十四日に個別会談がございました。そこでその個別会談の過程におきましてワーツ労働長官に対しまして、日本駐留軍の退職金が非常に低い。そこでこれが増額について強い要請をいたしました。そこでワーツ労働長官としてはこの要請にこたえまして、ウイーバー労働次官補を担当として、向こうの国防総省がこの主管でございますので、連絡、協力方を要請するということでございました。そこで、私としてはアメリカ大使館の沢木公使が立ち会っておりましたので、いずれ防衛庁から米軍に要請して、米軍のほうで、現地ではきまりませんので、国防総省に移されるときには沢木公使を通じてアメリカの労働省にも連絡をして、この実現に協力するように申しておいた次第でございます。そういう関係で、防衛当局としては目下米軍のほうと折衝を開始しておるやに報告を受けました。この年末のベースアップの問題もございましょうから、時期は少しおくれるかもしれませんけれども、いずれそういう段階を経まして、国防総省に参りましたときには、向こうの労働省からも労働問題として御協力方を、私からも側面的に努力をいたしたい、こういう経過でございます。  二番目の人事院勧告につきましては、実は昨日の六人委員会におきまして、都市手当の問題につきまして、いろいろ御議論がございましたが、六人委員会としては、大筋において、これを暫定的なやむを得ない措置として認めていこう、こういう、最終決定ではございませんが、大筋において意見が一致をいたした次第であります。実施の時期をどうするかという問題で相当議論が戦わされましたが、いずれにいたしましてもお金を出すほうの大蔵省の税収見込みが、この五カ月では二%程度昨年を上回る程度ということでありまして、それではこれを一年に延ばしたら二千億ではないか。そこで九月の決算期の結果が、全部は出てまいりませんが、十月中旬ごろ大企業関係のあれが大体見当がついてくるから、九月実施をさらに前進さすか、それができないかというような判断の資料が出てまいりますので、それまでは何とも言えないということであります。いずれそういう財源見通しがつくのを待ちまして、実施時期をどうしていくか、われわれはたてまえ上、人事院勧告の完全実施を労政の面から強く要望いたしておるわけでありますが、何ぶん出すほうがなければどうにもならない。中旬ごろのそういう見通しを待ちまして、できるだけ早く結論を得たい、こういうのが現在までの経過になっておる次第でございます。
  70. 大出俊

    大出委員 総理がおられない間であっても、きめようとすればきめられる、こういう意味ですか。
  71. 早川崇

    早川国務大臣 なるべくこういう問題は早くきめてほしいという強い御要望もありますので、時期につきましては総理が帰ってくるとかこぬとか、これは私は何とも申し上げられませんけれども、できるだけ早く結論を得たいということであります。
  72. 大出俊

    大出委員 けさほどの当委員会理事会におきまして、關谷委員長は御不幸で本日はお休みでございますけれども、次会を想定して委員長にもお骨折りをいただいて――かつて二回にわたりまして当委員会で、人事院勧告の完全実施の筋に従いましての決議をしているわけです。その決議の中身をちょっと申し上げますと、四十年十二月二十四日の決議によりますと、附帯決議でありますが、「公務員給与については、政府は、人事院勧告制度の趣旨にかんがみ、今後これを完全に実施し得るよう予算措置を講ずることに最善を尽すべきである。」こういう決議であります。三十九年の決議がございますけれども、これを一歩進めて、四十年にこういう決議をしたわけであります。四十一年は皆さん単独審議でおやりになりましたから決議がついていないというわけでありますが、この趣旨は当委員会では一貫して続いているわけであります。したがって、いろいろ困難な面もありましょうけれども、当委員会の意思をまとめるという意味での努力をひとつしてみようではないか、実はこういう話のやりとりになっておりまして、したがってそういう方向でわれわれも努力するから、労働大臣あるいは総務長官皆さん方にひとつ御努力を願う、こういう考え方に実は立っております。したがって、本来ならばもうしばらく時間をいただきたいところでありますけれども、そういう趣旨でございますので、先般私は六人の方々に御質問を申し上げてまいりましたが、大蔵大臣だけ御出席いただいておりませんので、大蔵大臣等を中心にして実は本日は質問を続ける、こういうことになっております。したがって、私はこれで労働大臣に対します質問を打ち切りますけれども、どうかそういう本委員会の雰囲気をおくみとりいただきまして、なお一そう格段の御努力を賜わりたい、このように申し添えまして質問を終わりたいと思います。ちょっと米内山さんにかわります。
  73. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 米内山君。
  74. 米内山義一郎

    ○米内山委員 最近むつ市に政府がきめたという原子力船の母港問題について、技術庁の長官からお伺いしておきたいと思います。  まず最初に、横浜に予定しておったこの母港が、なぜ青森県のむつ市に決定になったかという、その事情をお聞きしておきたい。
  75. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 御承知のとおり、わが国におきましても原子力商船の建造をことしから着工する運びになっておるわけであります。これについてはどうしても母港が必要であるわけでございまして、原子力船開発事業団におかれましては、その母港となるべき地点について、全国相当な個所を検討しておられましたが、横浜の磯子地区に埋め立て予定地がございます。そこがいろいろな関係から最適であろうということで、長い間横浜の議会あるいは経済界の方々、あるいは地元の方々等に対して協力方を要請してまいられたことは、御承知のとおりであります。なお、また市長に対しましても、正式な文書をもって協力方を要請されましたが、いろいろな事情で、特にこの埋め立て予定地には相当な工場とか施設の申し込みがあるし、なかなか予定地をさくというような余地もない。さらにまた横浜市長のお考えでは、経済的に大した利益をこうむらないという――これは一般の産業施設、工場等を誘致するほうが、横浜市の財政的な面から考えてよろしい、こういう御判断であろうかと思っておりますが、そのほかに、いろいろな関係方々からも、安全性についても多少の疑義があるというようなこと等がございまして、原子力船開発事業団の理事長、あるいは関係方々、なお私も政務次官を通じて、市長のほうにもいろいろ御協力方をお願い申し上げておったわけでありますが、先ほど述べましたような理由によってどうしても貴意に沿いがたいという、正式な市長からの文書もいただきましたので、一応横浜を予定地として交渉することを断念せざるを得なかったわけであります。ただ市長のお考えとしては、原子力商船が入ってくることは大歓迎だという、特につけ加えた御意見はございました。  そういう事情で、長い間市の当局、あるいは横浜の経済団体の方々、民間の方々に対しましていろいろ御協力方をお願い申し上げて、いろんな点で御協力を賜わりましたことは、私も深く感謝の意を表する次第でございますが、市長さんのほうから正式にそういう回答がありました以上、断念せざるを得なかった、こういう事情でございます。
  76. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それだけの御答弁であれば、横浜に断わられたからむつ市へ持っていくんだということにしかとれませんが、横浜市とむつ市とは非常な条件の相違があるわけです。たとえば横浜は、いろいろな有力な造船所や機械産業という関連した施設が完備しているわけですが、青森県のむつ市には、そういう近代工業的な要素はみじんもない。そうしますと、横浜市からむつ市に移った理由というものは、断わられたからしかたなしにむつ市へ持っていくんだということとしか受け取れないわけであります。したがいまして、そこの点でもう少し明らかにしていただきたいのは、どういう御調査やどういう知識に基づいてむつ市を適地とお考えになったかということをお聞きしたいと思います。
  77. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 これは先ほど申し上げましたとおり、原子力船開発事業団におかれましては、全国二十カ所近くの個所を検討せられたようでございます。ただいま横浜市が、最終的に市長のほうから貴意に沿いがたいと回答があり、それに対しましても、事業団のほうからも何とかひとつ重ねて協力方を要請されたわけでございますが、原子力船開発事業団としても、それ以上さらにお願いをされるということは、非常に困難であるし、また時間的に申しましても、船の本年度予算がついておりますから、これを実際契約を結んで建造に着工しなければならないという時間的な制約もかなりあるわけでございまして、いつまでもこれを引き延ばして、そしてあっちこっち従来検討されたところをまた詳細に当たるというようなわけにもまいりません。これは御承知のとおり、三年以来の懸案であります。また、アメリカにおきましても、御承知のとおり、もうすでに原子力商船が稼働しておりますし、フランスですか、ドイツでございましたか、近く原子力商船が進水する運びになっておりますが、そういう情勢の中にあって、少なくともわが国といたしましても造船をもって誇る歴史的にも力のある国でありますからして、私どもとしましても一日も早く原子力商船を建造をいたしたい、こういうことでございまして、そういう時間的な関係からも、あっちこっちさがしておられましたが、従来候補の一つとして考えられておったところがこのむつ市でもございます。横浜市は断わられたから、いきなりむつ市へ持っていったという、思いつきできめたということでは全然ございません。これは相当な個所を検討した中に含まれた最も有力な候補地として考えられておったところでございます。そういう関係で、今回地元の方々の協力を得てぜひむつへ持っていきたいというふうに考えをまとめたような次第でございます。
  78. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私のお尋ねしていることは、予算がついたから建造を急ぐというようなその事情を聞いているのではなくて、むつ市を選定するにあたって、どういう機関が、どういう調査をして、どういう結論の上に、これが適地だという御判定をなさったかということを詳しく聞きたいのです。
  79. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 これは直接には私のほうがいろいろ調査をしたりする立場にないのでありますが、原子力船事業団のほうでそういう個所についていろいろ調査を行なっておった、検討しておった、こういうことは事実でございます。
  80. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そうしますと、政府としましてそれを決定するにあたって、原子力船開発事業団の報告を聞いた上でやっていることでしょう。ところが、原子力船開発事業団の理事である西堀さんという人が、九月二十八日にこういうことを新聞にみずから寄稿しております。下北へ来てみて下北というところが想像以上によいところだということを初めて知ったということを書いておりますが、そうしますと、事業団そのものもむつ市のそういう状態というものを初めて知ったのではないかというような感じ方をわれわれしておるのですが、ほんとうに事業団が調査したのならば、後日その資料の提出を求めることができるでしょうか。
  81. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 西堀さんがお書きになったその記事を私承知いたしておりませんし、また談話で発表されたのかどうか存じておりませんが、しかしながら、少なくとも今日まで母港の選定については日本各地二十カ所ぐらいを検討したという報告は受けております。その中の一つとして、下北半島も考えておるという話は承っております。  なお、いま御要求のありました資料等については、事業団のほうにも連絡いたして、できるだけの資料を提出させるようにいたしたいと思っております。
  82. 米内山義一郎

    ○米内山委員 では、およそどういう利点があって下北がいいということでしょうか、結論だけひとつ……。
  83. 村田浩

    ○村田説明員 下北のむつ市でございますが、下北埠頭をただいま候補地として地元ともいろいろお話を進めているわけでありますが、御存じのとおり、現在下北埠頭といいますのは、むつ製鉄問題がありましたときに、特に埋め立てをいろいろ行ないまして、必要な岸壁までつくりまして、全体で約七万坪の土地があるわけでございます。これが現在はっきりした利用の目途が立っておりませんので、まず第一に、土地が入手可能な状態でございます。横浜の場合は、先ほど長官からも御説明申し上げましたように、ただいまから埋め立てされます場所につきまして約一万坪を希望したわけでありますが、もうすでにいろいろの計画がございまして、その入る余地がない、こういうことで、第一に土地の入手という点に問題があったわけであります。それに対しまして下北のほうは、すでに埋め立てられました岸壁として使用可能な土地がある。  それから第二に、原子力船は大体八千三百トンばかりの船を設計いたしております。これは原子炉を積みます関係もありまして、通常の同種の船に比べまして水深がやや深いわけであります。そういう点で、水深があまり浅い港でございますと、しゅんせつその他に大へん金もかかるわけでございます。したがって、水深がある程度ありますところが望ましい、そういったことが――大湊というのは昔から良港となっておりまして、水深の深いところでもございます。そういったことも一つの利点であると考えているわけでございます。  それから第三には、原子力船をいわゆる定係港、母港といわれているところにつけますについては、それを運航してそこに持っていかなくてはなりませんが、そういった航行上の利便もございます。非常にふところが狭くて船の運航等がやりにくいというようなことが、少ないほうが望ましいわけでございます。そういった点でも、下北埠頭では支障がないということで、広く利用できるようになっておるわけであります。  そういったことからいたしまして、下北埠頭というものは、非常に有力な候補地ということで従来から考えられておったわけであります。
  84. 米内山義一郎

    ○米内山委員 たったそれだけだとすれば、問題があるわけです。港がある、土地がある、遊んでいるというだけの理由だと思うのですが、そうしますと、あの地域全体ということに対して何ら考慮がない。ただその部分だけ適当だという。政府としては、その地域というものはどういう地域だということぐらいは、一応知って考えなければいかぬと思うのです。特にあの埠頭というようなものは、地域開発のために製鉄事業を興こして、その地域の生産なり所得を上げようとしてつくられた。たまたま政府の政策転換によってそれが裏切られまして、やがて何か産業に活用しようとしておった土地なんです。確かにいまは遊んでいる土地であることには間違いないわけであります。  そこで、あの下北という地域は、おおよそ青森県でも最も所得水準の低いところでして、日本の平均から見ると、半分近いところだと思います。住民の大多数は出かせぎしておりますし、収入の非常な大きい部分は出かせぎ賃金――安定所に強盗が入るような地域ですよ。強盗は信用金庫か銀行に入るものだが、ここでは安定所に殺人強盗があった。こういう特徴的なところです。そういうところが、あなた方から見ればこれを置くのに適地と見た。これを設置すると、その地域の産業が盛んになり、何かごりやくでもあるということの確信に基づいてそういうふうなことをきめたのですか。その点は無関係で、場所がいいから、あとのことはあと考えるということでしたか。
  85. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 なぜ下北半島の一部に母港を持っていったかというおもな理由は、いま原子力局長のほうからいろいろ説明があったとおりでありますが、私は、この話がありました際にも一番先に考えたことは、この下北総合開発の問題でありました。これはかつて私が予算委員会理事をしておるときに、ずいぶん問題になったことを私も十分承知をいたしております。製鉄所の誘致問題、それからそれが不可能になり、そこで畜産を中心とする農業開発の問題があったり、あるいは木材関係の何か工場を持ってくるとか、あるいはベニヤ工場を持ってくるとかいう話があったことは、かつて淡谷委員から予算委員会においてるる質問があったことは、私も承知をいたしております。ずいぶん政府の責任を追及されたことも、記憶いたしております。そういう関係もありましたので、今回この母港を一応おきめいただければ、これに十数億をかけて一つの施設をやりますが、それだけではまだ十分ではない。また、地元のほうからも総合開発を一体どうしてくれるのだという強い希望もあるやに承っておりますし、また先般行なわれましたむつ市の市議会の空気等を見てみましても、それらの問題に議論が非常に集中されたようであります。したがいまして、私ども政府といたしましても、経済企画庁を中心といたしまして、今後下北半島の総合開発を――言うならば、いままで政府が約束したことを何かやらなかったといったような御批判もありますし、私どもいろいろな事情があってそうなったとは思っておりますが、しかし、そういう地元からの要望に対して、今後具体的に下北の総合開発をひとつ責任をもってやろうじゃないかという腹がまえをもって、企画庁を中心として、私は閣議においてもこの点は発言をいたしまして、政府全体の責任においてやろう、こういう考えを強く持っておるわけでありまして、このことは地元の知事さんなり市長さんにも、口頭をもってそういう考えでおりますということをお伝えいたしておるわけであります。この施設については、全体の地域開発と全然無関係であるという御意見もあるようでありますが、しかし、いままでずいぶん問題になっておる個所でもありますし、七万坪がそのままになっておるというような状況でもありますから、ひとつ地元の方々の御協力をいただきまして、この母港がきめられますならば、これをひとつきっかけにして積極的な総合開発を進めてまいりたい、こういう考え方でございます。米内山さん、これは私いいかげんに話を申し上げておるのではありません。真剣になってこういう問題に取り組んでいくことが政治だと思っておりますから、そういう心がまえで政府も当たっていくということで御了承いただきたいと思います。
  86. 米内山義一郎

    ○米内山委員 この母港と地域開発をからみ合わせること自体、おかしいのです。私が局長に聞きたいのは、ここにこういう母港をつくることによって、将来わが国の原子力の研究なりそういうものが、それを拠点にして発展できる根拠があるかどうか。たとえば研究がその辺に集中するとか、あるいはこの船にいろいろな改良を加えるとか故障を修理するという場合に、周辺に有力な造船所等や関連した産業があるか、こういうふうな考え方は、横浜を予定したときの考え方であったろうと思います。ところが、横浜がだめになったから、全くの離れ小島ではないが、何もないところにこういう近代的なものをぽつんと持っていく。これを拠点に原子力の大開発でも、あの辺を中心にやるという意図があってやるのか、しかたなしにあそこにきめたのかということを、私は詳しく聞きたいと思うのです。
  87. 村田浩

    ○村田説明員 当初横浜に候補地を考えました場合には、御存じのとおり、第一船は石川島播磨重工業の豊洲工場で建造することになっております。したがいまして、この母港に回航しまして、向こうで艤装し、あるいは燃料の積み込みを行なうという点で、地理的に見ましても非常に便利な地位にあるわけであります。そういったことが、幾多の候補地の中で当初横浜の埋め立て地をまず考え一つの大きな理由であったことは、事実でございます。しかしながら、それでは建造所の近くでなければそういう母港としての役割りは果たせないかと申しますと、必ずしもそうではないわけでございます。ただ、ただいま御指摘のとおりに、横浜にかりにその母港をつくります際に、その母港を中心に横浜地区に一大原子力施設を発展させるということを当初から考えておったかと申しますと、それは必ずしもそういうことでもなかったと思います。日本原子力船開発事業団は、法律によりまして原子力船を開発し、建造して、運航するという役割りを持った事業団でございますから、その範囲でいろいろと施設の整備あるいは機能の強化ということを考えておったわけでございます。しかしながら、先ほど長官もるる御説明ありましたとおり、横浜を断念せざるを得ないということで、次の有力な候補地でありました下北へ移すということになりますと、これはまたいろいろ事情が違ってまいるわけであります。石川島播磨重工業の造船所からも相当距離が離れております。したがいまして、そういった点では確かに横浜よりはやや不便になってまいりましたけれども、一方におきまして、このような低開発な地域にこの原子力一つの施設を持ってくるということは、これは横浜地区等におきます場合と違って、これを一つの、何と申しますか、起因といたしまして、さらに広く地域開発、その中には原子力の開発も含めまして、それに資するその一つのきっかけになるということを十分考えていかねばならぬというふうに思うわけであります。ただ、そのことは原子力船開発事業団自身の役割りの範囲を越えてくる問題になってまいりますので、したがいまして、この下北の場合につきましては、ただいま長官の話にございましたとおり、東北地域の開発についての監督官庁でございます経済企画庁、あるいは港湾施設あるいは造船施設につきましての主務官庁である運輸省と十分によく連絡いたしまして、目下私どももいろいろ協議いたしておりますが、政府の立場で――事業団だけにまかせないで、政府の立場で事業団をバックアップして、この母港が一つの地域開発のきっかけになるように種々の計画を具体化させてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  88. 米内山義一郎

    ○米内山委員 時間がないからこれで終わりますが、最後に長官から一点だけ聞いておきます。  原子力船とからみ合わせて地域開発にこれから力こぶを入れるとおっしゃるのですか、それともこれがなければ、いままでどおりむつ製鉄をペケにしたそのままの政府態度でいく、この原子力船を承諾すれば政府が地域開発にこれから熱を入れる、そういう意味でおっしゃったのかどうかをお聞きしておきたい。
  89. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 これは原子力船の母港が一つのきっかけになればなお幸いだと思っておりますが、従来から、私先ほどから申し上げておりますとおり、下北半島の一角に母港が認めていただければ、これに対してまた将来いろんな研究施設、平和利用の研究施設も考えてもいいが、それとからみ合わせて、それをやらなければほかのことはやらないというのではない。私も予算委員会で話を聞いたとおり先ほど申し上げましたが、そういう問題も取り残されておりますから、この際ひとつ地元の方々もこういうものに協力していただくという御意思があれば、それを代償としてこれをわれわれはやるというわけではありませんが、当然これは開発の問題は従来の東北地方における一つ懸案でございますから、政府としても力を合わせてバックアップして地域開発に当たりたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
  90. 米内山義一郎

    ○米内山委員 終わります。
  91. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 ちょっと二階堂長官大出君が質問があるそうですから……。
  92. 大出俊

    大出委員 ちょっといま中断をいたしましたが、次に給与関係がありますから、きわめて簡単にひとつ御質問をいたします。  先ほどの防衛局長の答弁でございますが、先般一九六〇年一月十九日付の日米共同コミュニケに述べられているとおり、日本政府の意思に反して行動する意図はない、これですね、あなたおっしゃっているのは。そうでしょう。今回はそこらあたりはどういう取りつけをされるつもりですか。
  93. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 これは外務省のほうでお取り扱いになり、交渉される問題かと思いますけれども、私の常識的な判断としまして、初めての原子力潜水艦のときと同様、初めての原子力空母でございますので、同じような交渉のしかたが行なわれるのではないか。それで、原子力潜水艦の場合を推測して先ほど申し上げたわけでございます。
  94. 大出俊

    大出委員 安全性の問題は二階堂さんのほうの分野に入りますので、実は時間の関係がございますので、先ほどの点だけひとつ締めくくっておきますけれども、いずれにせよ、軍艦であるわけですね。ところで、先ほど藤崎条約局長が妙な答弁をされましたが、航空母艦といえどもこれは軍艦なんですね。軍艦の目的というのは、当然戦争をすることにあるのですね。おまけに、平時の場合といえども、水爆パトロールのようなことが行なわれていて、衝突事故が起こっている事実がある。そうなると、信じます、そう思いますでは、やはり核持ち込みは現実に行なわれていないという保障にはならない。あなた方がそうお考えになっているということ、あるいはアメリカ側の言い分を信用したいということにすぎない、こう考えておるわけです。  そこで私は、実は事前協議をすべきであろう、こういう見解でものを言っているわけでありますから。ただ、そこから先を申し上げますと外務省との関係が出てまいりますので、あらためてこれは外務大臣等の御出席をいただいて、長官がしきりに言っておられるように、沖繩の問題だとか安保の問題は、本来は防衛庁の所管である。「フォト」なんかにたいへんごりっぱに増田長官が書いておられるけれども、ところが本日は所管であるはずなんですけれども、あまりものをおっしゃらぬ。言い過ぎないようにお気をつけになっているんじゃないかと思うのですが、あらためて外務大臣にお出かけをいただいて御質問いたします。したがって、核問題はそういう意味で先に送りたいと思います。  安全性の問題について承りたいのですが、今度は原子炉が全部で幾つになりますか。
  95. 村田浩

    ○村田説明員 御質問の趣旨が明らかではございませんが……。
  96. 大出俊

    大出委員 先ほどずっと質問してきまして、エンタープライズ号入港をめぐりまして、 エンタープライズなどというのは一体何をさすのだということについて、ロングビーチペインブリッジともに入ってくる、こういう意味であった。トラックストンはわからない、この段階。だとすると、安全審査をおやりになる立場でしょう、長官のほうは。原子力委員長ですからね。そうすると、安全性をこれから検討をされる、あるいは検討しているという立場で、原子炉というのは一体幾つ並ぶと予測することになるかということです。
  97. 村田浩

    ○村田説明員 エンタープライズに一体幾つの原子炉があるかということは、ジェーンの海軍年鑑によれば、八基となっております。またロングビーチ以下の巡洋艦――ロングビーチにつきましては二基ということになっております。そういったことは、ジェーンの海軍年鑑にはそのようにしるされてございますけれども、米国側からはっきり何基あるということの通報は受けておりません。したがって、この何基並ぶかということは正確にお答えすることはできないわけでありますが、かりにこのジェーンの海軍年鑑にありますとおりの原子炉をそれぞれの原子力軍艦が設置しておるといたしますと、エンタープライズにおきましては八基、ロングビーチにおきましては二基、ペインブリッジにおきましては二基でございます。またトラックストンも二基といわれておるようでありますので、それらの合計の基数になるわけでございます。
  98. 大出俊

    大出委員 となると、もう一ぺん確認をしたいのですけれども、エンタープライズは予想として八基、あとは二基ずつ、こういうことですな。そうすると、トラックストンが入ってこないとして、四基と八基、十二基、こういうことになりますね。そうすると、旧来の安全審査と今回の安全審査のやり方について異なる点はございませんか。
  99. 村田浩

    ○村田説明員 従来、国内におきまして原子力施設の安全審査をやります場合には、通常一基ずつ検査しますので、一基ずつについてやっております。同時に二基検査する場合が今後生じてきますれば、当然二基同時に審査するわけでございます。ただ、原子炉を搭載する船につきましては、国内にそれが外国から参ります場合には、国内における原子炉の新規の設置と異なりまして、原子炉規制法によりましても、第二十四条でやることにいたしております。このような場合に、原子炉がかりに二基ある、あるいは数基あるというときには、その原子炉の使い方を見まして安全上審査をいたすわけでございます。すなわち港湾に入ります際に、原子炉が八基あるものが八基まるまる動いておるのかどうか。つまり八基あるから全部八基動かしておるとは、必ずしもきまらないわけであります。たとえば現在外国の商船として各国を回っておりますサバンナ号、これは一基しかございませんけれども、そのサバンナ号におきましても、港湾解析いたしますときには、出力の一〇〇%、あるいは五〇%、二〇%というように出力を下げて入る場合を考えてやっております。したがいまして、数基あります原子炉がすべて動いておるとは限らないわけでございます。結論的に申しますと、いわゆる港湾における事故解析においては、最大想定事故というものを仮定いたしまして、その最大想定事故に対して安全が確保できるかどうかという点を調べていくのが、やり方でございます。したがって、何基ございましても、最大想定事故の中でそれをどう見るかということとかかわってくるわけでございます。
  100. 大出俊

    大出委員 これからどういう手順で、どういう過程をたどって安全性の確認に進みますか。
  101. 村田浩

    ○村田説明員 すでに昭和三十九年八月二十四日の米国政府の声明にございますように、軍艦でございますエンタープライズ号に関して、設計並びに運航上の技術に関する情報は提供されないことが明らかにされております。また、国際法あるいは国際慣習上も、軍艦というものは特殊な地位を持っておるわけでございますので、通常わが国の原子炉規制法によりますような安全審査というものはできないわけでございます。したがいまし七、現在原子力委員会検討しておられますのは、原子力潜水艦の場合におけると同様に、わが国の国民の安全を確保していくという観点からいたしまして安全上必要な事項についての米側政府の保障を明確にしていく。保障あるいは約束を取りつけていく、こういう形でやっていくことになろうかと思います。
  102. 大出俊

    大出委員 そこで一つ承りたいのば、海上人命安全条約なるものは、軍艦は入っておりませんね。ところが、ブラッセル条約、これは締結をされておりますが、未批准ですね。ソビエトあるいはアメリカ、つまり原子力船を持っている国が一国――英国が今度原子力潜水艦をつくりましたね。したがって、英国が批准してもいいことになると私は思いますけれども、それと持たない国が一国、こういうわけですね。しかし、私はあのブラッセル条約が、そういう意味での原子力損害の補償に関する条約の精神としては生きていると思う。そうすると、これは軍艦を含めますから、明確にサバンナ号が日本に来られなかった理由、これと関連をして、前回私が質問申し上げたとおりに、これは日本の国内法と合わないのですね。つまり集中責任制なり、あるいはアブソリュート・ライアビリティということばを使っておりましたが、アメリカの公船法が、絶対責任制という形でない。したがって、そこに問題があったわけですね。そうすると、今度もし軍艦の原子力損害が起こった場合に、どういうことになるか。これは前の原子力潜水艦のときにもありますけれども、念のためにもう一ぺん承っておきたい。
  103. 村田浩

    ○村田説明員 さきに原子力潜水艦のわが国への寄港に際しまして米側から取りつけました米国政府の声明並びに覚え書き、特に覚え書きの中にございますように、万一わが国の領海内におきまして米国原子力軍艦か艦艇が事故を起こしまして損害を生じたという場合には、まず人身に対する事故につきましては地位協定が適用されるわけでありますが、その地位協定の精神上、わが国の自衛隊によってこうむった場合と同様なやり方で補償を行なうということでございまして、政府といたしましては、この場合の基準はわが国の損害賠償法の精神で適用してまいるというふうに了解しております。したがいましていわゆる無過失集中責任の制度におきまして補償措置を行なう。それから物的損害につきましては、小事故につきましては人身事故の場合と同様でございます。その他の事故につきましては、米国の公船法等によりまして米国の法律に基づいた損害賠償を請求いたすことになっておりますが、その際わが国の損害を受けた国民の個々が行なうということはもちろんできますが、特に問題が問題でございますので、外交チャンネルを通じてこの交渉日本政府が各個人にかわって米国政府と行なうことができるように覚え書き上に明記されております。
  104. 大出俊

    大出委員 この前からいきますと、原子力事故の補償は、地位協定及び合衆国公船法、合衆国海事請求解決権限法、合衆国外国請求法の手続などにより措置する、こうなっておったわけですね。そうしますと、いま幾つかに分けてお話しになりましたが、これはやはり合衆国法を適用する限り、地位協定が全般ではありますが、適用法規は合衆国の法規です。そうすると、これは日本の国内法――平和利用に限られておりますけれども、日本の国内法を適用するという保障はないと私は思っております。そこのところはどうお考えですが。
  105. 村田浩

    ○村田説明員 その点につきましては、原子力委員会が三十九年八月二十八日に出しました政府に対する見解の中で、万一わが国の国民が米国原子力軍艦によりまして原子力損害を受けました際の補償につきましては、わが国内にあります損害賠償法の適用を受けておる原子力施設が、万一事故を起こして損害を生じました場合の賠償に劣ることのないように補償を受けるようにすべきであるということを政府に申し出ております。政府はこれを了承しております。この精神で米側折衝する、こういうことになっております。
  106. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 大出君に申し上げますが、総務長官人事院総裁見えておりますから……。
  107. 大出俊

    大出委員 これは重要なことなんだけれども、つまりサバンナ号がこられなかったというのは、アメリカの国内法は、どれをとらえてみても、原子力損害は限定責任ですね、日本の国内法は無限集中責任ですね、だから、アメリカ議会の承認が特別になければ、事故が起こったときに日本の国内法に合わない、だから入れなかった、断わった、こういう理屈になっている。そうなると、アメリカが特別な承認を求めて日本の国内法に合わせられるならば、例のサバンナ号だって入ってくる筋合いです。そうすると、今回の場合、いまあなたの言うのは、そういう国内法の精神で折衝はするというのだけれども、相手がその精神に従って認めるか認めないか。だが、サバンナ号は認められなかった。そうすると、集中責任という日本の国内法の精神からいえば、話は合わない。その点だけで、あとはやめます。
  108. 村田浩

    ○村田説明員 その点は、サバンナ号と軍艦とは違うわけでありまして、サバンナには安保条約の適用はございませんが、今回の原子力水上艦艇寄港問題、これは原子力潜水艦の場合と同様でございますが、安保条約に基づいております。したがいまして、安保条約の地位協定の第十八条第五項が適用されるわけであります。そのことから私申し上げておるわけでありまして、サバンナ号とは違うわけであります。
  109. 大出俊

    大出委員 そうすると、前回のときに明確なそこの取りつけでもできていたわけですか。折衝するとおっしゃった。
  110. 村田浩

    ○村田説明員 そのようになっております。
  111. 大出俊

    大出委員 総務長官の時間あと十何分しかありませんから、質問いたします。  総務長官たいへん御努力をいただいてきていることを直接承ったり、また新聞紙上等で承ったりいたしております。そこのところで、七人委員会の昨日の状況について、並びに今後どういう手順でお進めになるかという点について、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  112. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 給与関係閣僚会議、つまり六人委員会といわれておりますが、都市手当の問題がございましたので、その質疑等もあるというので文部大臣も臨時に参加いたしております。この六人委員会――いわゆる給与関係閣僚会議はきのうとおとといと二日にわたって開かれました。その前にもやりたかったのでありまするけれども、関係閣僚が外遊中の方もありまして、もちろん臨時の方でやってやれないことはございませんけれども、その間人事院と都市手当等についての事務的な折衝等もございましたので、開くに至りませんでしたが、昨日、一昨日とこの会合を開いたわけであります。本末転倒という批判もあるかもしれませんが、人事院から報告を聞いた。その中で都市手当というものが中心になりましたので、つまり、実施時期ということをなぜ先にやらぬかという御批判も各方面であるようでありますが、この二日間都市手当について論議がかわされたわけであります。最終的な結論としては、実施時期、それから内容等全部含めて一括決定ということになりますので、まだ最終的な決定はどれも見ておりませんけれども、率直に申して、この二日間の論議は都市手当の論議を中心とし、人事院の勧告を尊重するというたてまえから時期の問題についての議論に入りたかったのでありますけれども、財政当局がまだ資料が整わないということでありますので、その点には入ることができなかったのがこの二日間の状況であります。  今後の問題といたしましては、それではきょう開くのか、あす開くのかということになりますと、これはきめておりませんが、あと官房長官お答えになると思いますけれども、関係閣僚この大事な問題を目前に控えておりまするので、随時集まる態勢をとっております。でありますから、人事院勧告を尊重するというたてまえで、この問題のできるだけ早い機会における解決というものを望んでおり、またその方面に向かって努力いたしておるのが現段階でございます。
  113. 大出俊

    大出委員 もう一点だけ質問いたしましてやめたいと思います。と申しますのは、けさほどの本委員会理事会におきまして、四十年につけました附帯決議等の趣旨に従ってひとつ委員会としての意思をまとめたいという論議をいたしまして、四十年十二月二十四日の附帯決議は「公務員給与については、政府は、人事院勧告制度の趣旨にかんがみ、今後これを完全に実施し得るよう予算措置を講ずることに最善を尽すべきである。」、こういう実は趣旨で、これは三十九年にももう少し弱いのでありますけれども決議がございました。この趣旨に従いまして、本委員会でも何回も決議しているこの決議の中身は生きておるのでありますから、何とかそういう方向で努力しよう、本日はたまたま關谷委員長が御不幸でお休みでもございますので、次の機会にそういう方向で努力をするということで進めておりますので、質問のほうは簡単にすることにいたします。  もう一点だけで終わっておきたいと思うのでありますが、財政当局との関係、これはなかなか本委員会にもおいでにならぬので、一昨日私直接お話をいたしまして、本日は三十分ばかり大蔵大臣出席することになっておりますけれども、そこらのところの関係長官の御努力の結果どんなふうになっておりますか。
  114. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 この人事院の勧告と院との関係につきまして、院のほうからも、十分院の意向というものを尊重してやってくれという要望がこの委員会以外でも私のところにずいぶんきておりますので、その点は十分考慮いたしておりますし、またいま大出委員のお述べになりました決議の趣旨も私よく承知いたしております。委員をはじめ関係方面の御意見も十分承りましてこの問題の解決に当たっていきたい。  なお、後段の御質問でありますが、後刻水田大臣見えになると思いますが、私としても、きのう、おととい財政当局の見通しというものが十五日以降にならなければわからないというようなお話もありましたので、私、もともとこういう問題の早い解決というものを望んでおりましただけに、いろいろと役所の御都合もあるであろうけれども、できるだけ早い機会にそういった財政上の見通しをお出しいただきたいという要請をいたしております。
  115. 大出俊

    大出委員 それでは委員会の趣旨等もございますので、従前たいへん御努力いただいておりますけれども、なお一そうの御尽力を私のほうからもお願い申し上げまして、総務長官に対する質問はこれで終わりたいと思います。
  116. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 細田吉藏君。
  117. 細田吉藏

    ○細田委員 先ほどの理事会の申し合わせによりまして、私、公務員給与の問題、人事院勧告の処理の問題につきまして、二点だけ官房長官にお伺いをいたしたいと思います。  なお、一部は総務長官もとより給与担当、また人事関係大臣でございますので、あわせて総務長官からも、ただいま御答弁ございました分にもございましたが、お答えをいただきたいと思います。  ただいま総務長官から御答弁もございまして、また、八月二十二日並びに九月八日の二回にわたって本委員会におきまして政府人事院勧告に対する基本的な態度等は明らかにされておるのでございますが、その後、給与関係閣僚会議を一昨日、昨日と官房長官の御主宰でお開きになっておるようでございます。この経過の概要につきまして、また今後の政府としての見通しにつきましてお答えをいただきたいと思います。  なお、質問を簡単にいたしますためにあわせてお尋ねをいたしますが、総理が八日から外遊される、こういうことにも相なっておるのでございまして、総理大臣あと二日ほどでお留守になってしまうのでありますが、そういう点でも、おそらく給与関係閣僚会議でいろいろお話し合いがあり、また意見も出ておる、かように思うのでありまして、それらの点も含めましてお答えをいただきたいと思います。
  118. 木村俊夫

    木村国務大臣 人事院から勧告を受けまして、政府におきましてはできるだけ早い機会政府としてのこれの実施に関する決定をいたしたいといろいろ努力を続けております。従来これは一つの慣行でございますが、また俗称ではございますが、給与担当閣僚で六人委員会というものを設けまして、そこでまずいろいろ率直に検討し合おうということになっております。六人委員会に今回の都市手当等の関係上文部大臣が加わりまして、七人委員会という構成であります。そういう俗称六人委員会をたびたび開催いたしまして、この人事院勧告の内容、これは実施期日を含めましていろいろ協議をいたしておるのでございますが、何せこの人事院勧告が出されます時期等に関連いたしまして、財源の検討がなかなか大蔵省において出てまいりません。これは大蔵省事務当局におきましても、九月の会社その他の決算を待ちましていろいろデータをそろえなければならぬ。その事務上の関係もございましょう。そういう財源の捻出の方法についての作業がまだ出ておりませんために、六人委員会といたしましても、いろいろ予備的な検討を加えまして、できるだけ人事院勧告を尊重いたしまして、完全実施に近い線に極力努力しようというかまえでやっております。いまだに結論に至っておりません。  第二点の、総理が第二次東南アジア訪問に出発いたします明後日、八日でございますが、それまでにはたして結論が出せるかどうかというお尋ねでございますが、これにつきましては、ただいま申し上げましたとおり、大蔵省から財源についての確たる見通しがなければ実際上困難であろうかと思います。私どもにおきましては、この財源の見通しを得ましたならば可及的すみやかに政府としての実施に関する決定をいたしたい、こう考えております。
  119. 細田吉藏

    ○細田委員 いま最後にお述べになりました点に関連いたしまして、私どもは、この人事院勧告に対する政府態度というものは一日も早くおきめいただき、しかも、かねがね各大臣が当委員会でおっしゃっておりますような答申尊重の線においてお出しいただくということが必要なんじゃなかろうかと思うわけでございます。仮定の質問かもしれませんが、総理の外遊も今度は長いわけでございますが、場合によりましては総理が行かれるまでにきまればもちろんけっこうでございます。また、お留守の際にきまるというようなことも、一日も早いということからいいますと必要ではなかろうかというようにも実は考えるわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
  120. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、この人事院勧告に対する政府の最終的態度の決定は、一つにかかって大蔵省が出してまいります財源捻出見通しの問題にかかっております。そこで、私どもといたしましては、六人委員会においてもさようでございますが、その作業をできるだけ早めていくということが先決でございます。大蔵大臣の申されることには、約一週間をもって大体見通しはつくだろう、こういうおことばでございますが、大体その時期において政府がこの問題に取り組む最終的な時期であろう、こう考えます。ただ問題は、総理が東南アジア訪問中にはたしてきめるべきかどうかという法律論の問題になってきますが、そういうことにつきましては、総理の明後日出発までまだひまもございますので、今明日中に総理とも相談をいたしたいと思っております。ただ、念のために申し上げれば、臨時首相代理もおることでございますし、また国際電話等で総理の指示を仰ぐということも可能でございますから、その点はあわせて考えたいと思います。
  121. 細田吉藏

    ○細田委員 実は、毎年の勧告のしかたとかあるいは今度非常に問題になっております都市手当、こういう問題につきましても伺いたいと存じて若干の用意をしてまいりましたが、前者につきましては前二回の委員会でも出ておりますし、後者につきましても、いろいろ問題があることはすでに議論も出ております。本日は、先ほど申し上げたように理事会の申し合わせもございますので、もう一問だけ申し上げたいと思います。  実は、今月の二十六日を期しまして公務員共闘といいますか、自治労あるいは日教組、国家公務員組合、こういう諸君がストライキをやる、こういうことが新聞紙上等で伝えられておるのです。聞くところによりますと、本日決議をして組合の決定をされるというようなことも実は伺っておるわけでございますが、これはもう私が申し上げるまでもなく、国家公務員あるいは地方公務員、教職員、ともにストライキは法律上禁止をされておるところでございまして、何らの例外もない、明確に禁止をされておるわけでございますが、またこういう事態があってはならない、かように思うわけでございます。そこで、この公務員共闘か現在決議その他がどうなっておるかという点と、政府といたしましては、この点についてはきびしい態度をもって法律を守るという見地から、人事院勧告の実施につきましてはもう先ほど来関係大臣が口をそろえておっしゃっておりますから、そのほうの御努力を願うと同時に、こうした違法行為については厳重な処置をとられてしかるべきである、かように思うわけでございます。こんなことはあらためて言うまでもないことなんで、実は申し上げること自体がいかがかと思うわけでございまするが、政府としてのお考え方を両長官のうちどちらでもけっこうでございますが、御答弁をいただきたいと思います。
  122. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 細田委員質問のようなことを私も耳にいたしまして、自己の要求がいれられない場合には実力行動に出るというようなことは、まことに遺憾であると私は考えております。組合関係方々にもときどきお会いいたしまするが、私どもの意思というものははっきり伝えておきました。よもや良識ある組合方々でありまするから逸脱した行為には出ないとは思いますけれども、公務員は争議行為、怠業的行為はもちろんのこと、このような違法な行為を企て、またはその遂行を共謀し、そそのかし、またはあおってならないことは言うまでもないのであります。したがって、政府といたしましては、そういう動きに対しては事前に警告を発しまするけれども、もしそういう違法な行為がなされました場合には、参加した職員に対しましては厳正な処分をしなければならないと考えております。
  123. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 ただいま楢崎君から、防衛に関して木村官房長官在席中に一言お尋ねをしたいという申し出がありましたから、これを許します。楢崎弥之助君。
  124. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 後ほど沖繩の問題について関連がございますので、木村長官に一言だけ確かめておきたいのですが、沖繩の返還問題が、極東の安全保障問題あるいはわが国の安全保障政策に関係があることは御承知のとおりです。したがって、あなたは、八月二十三日に、防衛関係もしくは国防会議の海原事務局長に、その辺の沖繩返還問題に関連してアジアの保障問題なりあるいは日本の安全保障政策についての事務的な検討をするように指示をされましたか。そのことだけひとつ……。
  125. 木村俊夫

    木村国務大臣 指示した事実はございません。
  126. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では防衛関係にもそういう指示なりお話は全然なさっていませんか。
  127. 木村俊夫

    木村国務大臣 そういう事実はございません。
  128. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これでいいです。
  129. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 浜田光人君。
  130. 浜田光人

    ○浜田委員 給与担当の総務長官がお帰りになったらぐあい悪いと思うのですが、官房長官にお伺いしますけれども、確かに、今日人事院勧告をめぐっての給与問題は全国的な問題です。私が閉会中に二十数カ所の集会なりいろいろなところに行ってみますると、異口同音にこの問題で質問を受ける。なぜ毎年毎年ああいう事態が発生するのだろうか。高等学校の先生の集まりに行ったら、若い先生が、私が大学を出るときに、教授から、君はこれから現場に行って真剣にその教職の場で専門的な教育者になれ、こういうように指示されて自分は現場に行った。ちょうど六年目だという先生でしたが、そういう大学を出るときの恩師のことばを忠実に守るべく自分はこつこつやってきた。しかし、一度ならず毎年毎年ああして勧告されるのがどうして実施されないのだろうか。まじめに自分は教育のために、労働者でもあるけれども、また教育の場であるというので、ずっとがまんをしてきた。しかし、そういうように恩師のことばを身に受けて一生懸命まじめに教職員としてやろうとして、本も買おう、あるいは夜おそくまでも子弟のため一生懸命やってきておるが、だまされるにも程度がある、こういうことをその若い先生は訴えておる。そういう時点で、今日二回もこの内閣委員会で六人委員の方――大蔵大臣だけこれから来られるけれども、五人の方が出られて、これまた異口同音に人事院の勧告は尊重していきます、せねばならぬと思います、こういうように言われるのですが、その尊重は、どういう具体的な尊重のしかたをされるのか。さっきも大出委員が言われたように、本日は理事会の申し合わせもできておるやに聞いておりますので、きわめて常識的な質問なので、そういう意味で、ひとつずばりお考えを聞かしてもらって問題点を煮詰めていきたいと思うわけですから、まずその点……。
  131. 木村俊夫

    木村国務大臣 たびたび申し上げているとおりでございますが、政府におきましては、人事院の勧告を尊重するというたてまえはごうも変わっておりません。毎年毎年人事院の勧告を受けまして、勧告には当然その内容とまた実施期日の問題もございます。内容につきまして、昭和二十八年以来勧告の内容を変更してこれを実施したことは一度もございません。そういう意味におきまして、内容的には完全実施という形をとっておりますが、ただ、おそらく浜田先生のおっしゃりたいのは実施期日についての問題だろうと思います。これにつきましては、もとより実施期日についても完全実施をしたいのは政府としても当然の心がまえでございますが、その年々の財政事情、国民経済全般の関係から、やむを得ず実施期日については、政府の実施案につきましてあるいは十月あるいは九月というふうにならざるを得なかったというのが実情でございます。
  132. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 浜田君に申し上げますが、きょうの理事会等の決定もあり、官房長官は一時半まで、水田大蔵大臣は一時半から二時まで、こういうようになっておりますので、他党の質問もみなできるだけポイントだけにしぼってお尋ね願ったわけですから、原則論等につきましては、御趣旨はよくわかりますが、ひとつ官房長官に御質問であれば当面のポイントだけお尋ねをいただきまして、委員会もまたあることですから、その御趣旨をひとつ御尊重いただきたいと思います。
  133. 浜田光人

    ○浜田委員 問題は確かに実施時期の問題です。本日もあるいは過去二回の委員会でも、勧告どおり時期も完全実施するという御答弁をいただければ皆さん何も質問はないかもわかりません。  そこで、さっきも細田さんのほうから質問がありましたが、まあ若干意見も入りますが、過去五月実施と勧告をして九月実施でしょう。ことしも七・九%で九月実施ということになると五カ月おくれ、ほんとうにそうなりますと、一カ年間で四%以下しかもらわぬことになりますね。こんなむちゃなことはないと思うのです。そして何カ年間もそれをやられるから、たまりかねて該当者の方たちが何とかしなければならぬといってやると、それこそ難くせをつけて弾圧される。私は、そういう弾圧や取り締まりをされるのなら、まず時期などは完全実施をやって、その上でいろいろ騒がれたりするのなら、これは取り締まらなければいかぬ、この言われるなら筋が通る。自分たちのほうはやらずして、そうして取り締まりのほうだけは厳格に取り締まる。これでは国民がやがて政府の言うことはきかなくなりますよ。当然自分たちのやることをやってから、そうしてそういうことをやってはいかぬ、たとえば人事院というものが設置されるときは、公務員給与をあなたたちはこれからがやがや言わなくてもいいのだ、ちゃんと三者機関の人事院が皆さんが言われる前にすぱっとやるから、こう言うて人事院というものができたのでしょう。その人事院の勧告も、内容的にはいろいろ不満はある。それでもその程度くらいはやる、そうしてこれは法律に言うてあるのだからと言うべきだ。それをさっきの総務長官のような答弁をしたのでは、官房長官、どう思われますか、そういう点は。あなたのほうがやるべきことをやらずして……。
  134. 木村俊夫

    木村国務大臣 政府といたしましても、実施期日についての完全実施、これをぜひ尊重いたしたいと思っております。しかしながら、この人事院勧告の出ます時期が会計年度途中の八月、それを五月からさかのぼって実施せよというのが人事院の勧告でございます。これは人事院の勧告そのものに問題があるのではなくて、勧告制度そのものに問題があると私は思う。したがいまして、そういうことのないように、われわれといたしましても引き続きその根本的な改善について案を練っておりますが、いまだ結論に至らないのは残念でなりません。しかしながら、今後の問題といたしましては、実施期日の完全実施をぜひ期する以上は、この勧告制度の根本的改善にまでさかのぼらなければならぬというのが政府部内の一致した見解でございます。従来実施期日について完全実施を期せられなかったことはきわめて遺憾なことでございますが、本年はまだその実施期日についての結論政府部内におきましては出しておりません。完全実施を期していまもなお努力中のことを御了承願いたいと思います。
  135. 浜田光人

    ○浜田委員 もう一点だけ、官房長官は時間がないそうですから。  そこで、官房長官は六人委員の窓口を預かっておられると思うのですが、あなたが来られる前に大出委員のほうからしばしばこの問題を指摘しておるのです。と申し上げますのは、内閣は国会の意思の尊重は当然のことですが、過去二回もそういう附帯決議をつけておりますし、さらにこれから――さっき委員長代行も本委員会理事会の申し合わせ等もある、こういうように言明されましたので、おそらくそういうこともあるだろうと思います。したがって、国会の意思の尊重ということも当然ですが、どういう方向で――いままでのようにすぐ財源がない、内閣だけできめて何月から実施する、こういうやり方でなくて、国会の、本会議がなければ各委員会の意思決定がなされて、それらをいろいろその中に入れて、そうして時期の決定等をなされる意思があるかどうか、その点について……。
  136. 木村俊夫

    木村国務大臣 当然人事院勧告は国会及び内閣に対して提出されております。私どもといたしましては、そういうことを度外視しましても、常に国会の御意思を尊重するというたてまえは変わりございません。したがいまして、こういう委員会にもできるだけ出席をいたしまして、私どもは国会の御意思を尊重しつつ努力したいと考えております。  なお、これは制度的な問題でございますが、人事院勧告についての国会の意思を反映される機会は、政府でこの実施案を決定いたしまして、それが補正予算として国会に提出される際御審議にかかりますから、その点も私どもは考え合わせまして、できるだけ国会の御意思を尊重したいと思っております。
  137. 浜田光人

    ○浜田委員 では次に大蔵大臣に――大出君が大蔵大臣の先番だそうですからこれで……。
  138. 大出俊

    大出委員 先月の八日並びに先々月の二十二日の内閣委員会大臣の御出席をいただこうと思ったわけですが、IMFへおいでになる、またその後も外遊をされる、こういう直前なので遠慮したのですが、どうも七人委員会にもあんまりお出にならぬということなので、一昨日、だいぶ私はやかましく大蔵省の皆さんに、大臣を出せという、いうならば談判を実はしたわけなのです。やっと御出席をいただいたというわけです。  そこで、ずばり聞きたいのですけれども、どうも財政当局がなかなか煮え切らぬということで七人委員会結論が出ないやに承っているのですが、そのポイント、理由をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  139. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 財政当局が煮え切らないという問題ではございませんと思います。補正財源の見通しがもう少したたないとわからないというのが、現在決定ができなくなっておる一番大きい原因でございます。例年で見ますと、十月の半ばごろには政府でいつも見込みをつけてこの問題の処理を決定しておりますが、今年は御承知のような事情がございまして、まず国債の発行額を財源の見通しにかかわらずいろいろな事情から切りました。切ったものは税収で埋めなければいけないという問題が一つございます。それと、補正予算を組むとしますと、どうしても食管の赤字を埋めなければならぬ。この二つで補正財源は二千億円なければならぬ。かりに二千億円の補正財源を出そうとするのでしたら、自然増が三千億円なければいかぬ。三割二分は地方交付税となって地方へ交付されますので、政府の使える金は、三千億円の自然増がなければ二千億円の補正予算は組めないというのが実情でございます。これに期の途中からこういう勧告を受けたのでございますから、この財源が幾らあるか、これとほかの補正要因、災害そのほかまだ相当ございますので、こういうものを全部まかなおうとするためには相当の自然増というものが見込まれなければならぬというふうに考えております。いまちょうど八月末の税収の実績が一兆五千九百億円、そうしますと、この予算に対する税収歩合は四一・八%というようなことで、いままでの税収の収入歩合に比べると、わずか二%くらいしか好転してない。これは実情でございます。そうしますと、五カ月で二%の税収の好転ということになりますと、十二カ月でどれくらいというこの比率から計算したのでは、ほとんど税収の見込みは問題になりません。二千億円あるかないかということになりますが、問題は、私どもは九月決算による法人税に期待をかけておる。これによって大体いろいろの補正財源が得られるのじゃないかというふうに思っておりますが、ことしの上半期の経済はわりあいによかったことから、私はある程度のものが期待されるのじゃないかと思っていますが、中途で引き締め政策というようなものをやっておりますので、前と違ったものが今後やはりある程度考えられる。もし九月決算に響かなかったとすれば、来年の三月期には明らかに響いてきますので、そこで、もう長く待っておられませんので、この九月が過ぎましたから、大きい法人企業の株主総会はまだどうせ十月、十一月でございますが、もうどうだという実情を大急ぎで調査をやろうとしております。これはいつも十月の半ばでないと見当がつかぬということから、いままで人事院の勧告にどう対処するかということは十月の半ばにきめておるのですが、今度はそれより少しおくれるというようなことで、いまそれを急いでおるときでございます。これがいまおくれておる理由の一番大きい理由でございます。
  140. 大出俊

    大出委員 水田さん、これは何かどうも、景気調整なりあるいは財政の硬直化なりということが、そのしわを公務員に寄せかねないような実はいま御答弁なんです。(水田国務大臣「そうじゃない」と呼ぶ)そうじゃないと言ったって、それが悪ければ繰り上げるということに関係しているから、きめられないのでしょう。  そこで、問題は、私ははっきり申し上げたいのだけれども、いま言われているこの財政の硬直化なり、村上主計局長さんがしきりに方々でぶっておられるけれども、この原因はおのずから明確になっているはずです。ことしは、来年に向かって予算編成にあたって一五%ぐらいしか財政規模を広げられない。そうなると、各種の予算費目の自然増というもの、これをずっと見ていくと、九十何%それに食われる。だから新規事業なんというものはほとんどできない。まさに硬直化もいいところだ。たいへんなところにきている。いまこういうやりとりをしておりますね。そうでしょう。ところが、これだって昭和三十年代の、つまり高度成長の段階では、年々財政支出の規模はふえっぱなしにふえた。年率に直して一三・八%という形で急テンポにふえてきたわけです。これは承知で政府皆さんがふやしてきた。ただ、その時代には好況だったから、したがって、自然増収というものにささえられて表面化しなかっただけです。ところが、四十年代になってもどんどん財政規模をふやした。おまけに農地報償から始まりまして、在外財産の問題からあるいは地方交付税、あるいは医療保険、公共事業、米価などという形で歳出の増をどんどん重ねてきた。だから硬直化したのであって、明確に理由はある。それが公務員給与にはね返りて、そこにしわが寄るということは許されませんよ。本年は、いま景気引き締めをおやりになっておるとおっしゃるけれども、これは昨年だって総合収支において五千八百万ドルしか黒字になっていない。そうでしょう。輸出入収支の面で二十億五千五百万ドルの黒字なんです。ところが、貿易外収支の赤字、資本収支の赤字、移転収支の赤字などを全部入れると、結果的にそれらが二十億くらいあるから、五千八百万ドルくらいの黒字にしかならない。去年は一億ドルはないのです。だから、ことしどうなるかといえば、アメリカの利子平衡税の延期、長短の金利が非常に高い。延べ払い制度はどんどん拡大をされる。これも原因があっての結果でしょう。不意に出てきたのは、中東戦争に基づくスエズ運河の閉鎖のためにタンカーレートがどんどん上がったりする、ある意味の貿易外収支が赤字になってくるというのはありますよ。突発的に。あとは財政当局だってわかっていることです。期の途中で勧告を受けたからなんていったって、これは何年になるのですか。いつも期の途中です。だから、私は、大蔵委員会の、今回の人事院勧告に対するあなたの答弁議事録で読んできた。公務員賃金にしわを寄せることはしないという意味のことをあなたは言った。だから、いまわからぬとおっしゃるけれども、それはあなた財政担当者として補正をどう組んでいくかとか、あるいは来年度の予算をどのくらいの幅広げていくかというようなことの検討は必要でしょう。しかし、公務員給与をそのことを理由に詰められないという形にしておくということは、私は筋が通らないと思うが、いかがですか、いまの点。いまに始まったことじゃないでしょう。
  141. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 景気対策として公務員にしわ寄せをするというような考えは全然持っておりません。問題は、勧告を尊重して実施するにしても補正予算で処理しなければいかぬ。補正予算を出すからには、歳入と補正に要する支出が合ったものを出さなければいけない。そういうことになりますと、歳入の見込み、大体歳出のほうはわかっておりますので、あとは見込みの問題ですが、この見込みがいまのところつきかねているということでございます。この見込みさえつけばどうにでもなることだと思います。現に昭和三十四年までは、こういう勧告が出されておりましたが、税収がなかった。したがって、実施時期は翌年の四月一日というふうにずっと長い間、三十四年まで来たのですが、ちょうどあれは私が大蔵大臣になったときでございますが、三十五年、六年と、これは相当自然増の多かったときでございます。人事院の勧告について、例年は四月でしたが、私は、あのとき、財源があったから十月から実施ということをやりました。それから今日まで、一カ月さかのぼったということにはなっておりますが、問題は、この補正予算の財源が、完全実施できるかできないかというところにあろうと思います。この見込みがつき次第、それによって政府態度をきめたいと思っております。
  142. 大出俊

    大出委員 公務員に景気調整のしわを寄せないということを明確にいまおっしゃった。そして、先行きの見通し、いずれにしても補正で組まなければならぬとおっしゃった。  そこで承りたいのですが、公務員賃金を補正で組む場合に、十二カ月を十二で割りまして、一カ月これは幾らかかるのですか。概略でけっこうです。
  143. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 概略一般会計が五十億円でございます。
  144. 大出俊

    大出委員 あとは交付税で流れていくわけでしょう。――いまの点よろしいですか。
  145. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 特別会計は別ですが、一般では大体五十億です。
  146. 大出俊

    大出委員 ここのところ三年ばかり、例年九月実施をやってきたわけですから、そうすると、その間における財源というのは見当は初めからついておる。完全実施をしようというたてまえでいま検討をいただいているわけでしょう。そうなると、あなたがいま補正の見通しをおっしゃったけれども、そのくらいの見通しがいまつかないはずはない。したがって、客観的に見ていると、どうも大蔵省が前向きでないんじゃないか、こういうことにならざるを得ない。  そこで、私は承りたいのですけれども、地方交付税なんていうものは、先般の新聞によると、大蔵省はここでがたんと下げたい。隣に自治大臣がおるけれども、二八・八%くらいに下げたい。ところが、お隣の自治大臣は、この間私に何とおっしゃっているかというと、財源の問題ではございません、政府の政策の問題でございますとお答えになっている。年々完全実施ができない犯人は地方財政でございますといわれて犯人にされてきたが、そうではございませんと言い切っている。政府が政策として実施をするとおきめになれば、財源措置としていかようにでも方法がございますと藤枝さんはお答えになっている。どうですか、水田さん、いま一般会計は月額五十億とおっしゃった。見当がつかないことはないはずです。ほかに理由はございませんか。いかがですか。
  147. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私どものほうの計算では、給与はひとり一般会計だけで済む問題でございません。これは、同時に地方公務員も準ずる問題でございますので、完全実施の所要財源は二千億円前後ないというと完全実施ができないという状況でございますので、それだけの余裕があれば、これはもう完全実施はできる。ですから、さっき官房長官が言われましたように、勧告制度の問題と関係するので、予算の編成のやり方、勧告制度の問題いかんによっては、これは完全実施の方法というものも考えられるはずだということで、私どもはいろいろくふうをこらしたい。政府部内でも何回かこの問題と取り組んでやっておるのですが、きょうまで名案がない。期の途中で勧告される、しかも補正予算でこれを解決しようとする、したがって補正予算の財源にしわがあらわれてくるというのが、きょうまでのあり方であって、ことしもこの点が改善されていないという実情でございます。
  148. 大出俊

    大出委員 それは、積極財政を主張されてきた水田さんが景気調整をやっているんだ。皮肉な話ですよ。問題はやはり前向きでものを考えるか、考えないかなんですよ。  そこで、私は承りたいのだけれども、小沢政務次官が、大臣がお忙しくてどうしても出られないというのでお出になられましたね。あのとき私は、七人委員会関係大臣が四人おられたその席で、最後に小沢さんに、あなた、大臣のかわりに出てきたように思うから、おまけに去年も政務次官をやっておられた政務次官だから、そこらの政務次官と違う、そこで承りたいのだけれども、七人委員会の行くえは、一体あなた財政担当の政務次官としてどう考えているのかと言ったら、六人の皆さんが相談をしてまとまったということであれば大蔵当局、財政当局としてはあえて反対をいたしません、こういうお答えをした。珍しいことをあなた言われるじゃないか、あなたは、大臣じゃなくて政務次官ですよと、私は念を押した。大臣が出てきてそのことを認めなかったら、次官の責任問題になるけれども、いいですか、取り消すなら取り消しなさいと言ったが、とうとう取り消さなかった。あとで会ったとき聞いてみたら、小沢さんもここで少し進めなければいかぬだろうと思っていたというのです。少なくとも前向きで考えていたことになる。政務次官の言ったことですよ。議事録に残っているのですよ、内閣委員会の席上ですから。四人の大臣が証人としておいでになるのだから、大臣、政務次官のおっしゃったことを認めますか。認めないというんなら、いま呼んでもらいますよ。
  149. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 それは、政務次官がそう言ったとしますと、他の閣僚がみんな賛成だというんなら自分も賛成だという意味は――他の閣僚が賛成という場合にはどういうことかといいますと、それだけの財源があるということを確認したなら、他の閣僚は、それならよしという賛成だと私は思うので、財源と無関係に、他の閣僚が財源を考えないでこうする、ああすると言うはずは、政府部内では私はないというふうに思っています。みんなが賛成するということは、賛成するだけの根拠ができたときということで、そのときには、むろんこれは大蔵大臣は率先賛成すべきものだというふうに思っております。
  150. 大出俊

    大出委員 さっき私が例をあげたように、お隣の藤枝さんがお話ししたように――私は七人委員会のうち六人の大臣にいままで直接質問してきたのです。大蔵省は政務次官に直接質問したのです。ところが、他の大臣――藤枝さんにもお話ししましたように、財源が理由でできないのか、それとも政策なのかという質問を私はずっとしてきた。財源は横目でにらみます、にらみますが、中心は政府がやる腹をきめるかきめないかというのが皆さんの言い分です。総務長官もそう。労働大臣もそう。藤枝さんまで、自治省をあずかっておられてたいへんな地方財政をかかえておられる藤枝さんが、地方財源がないといわれて犯人にされてきたけれども、実はそれが犯人じゃございません、政府の腹なんです、政府がやる腹をきめれば財源はできるのです、こうおっしゃっておる。いま水田さんのおっしゃっていることと全然違う。そういういまの答弁のしかたでは、これはものごとが前に進まない。相談してください。うそを言っているのじゃないですよ。私は藤枝さんに質問したのですから。だめですよ。――どうも黙っちゃって、答えなければ困るじゃないですか。水田さん、お隣の自治大臣は、政府の政策の問題だと言い切っておられるのですよ。言いかえれば、やる気になればできるということです。公務員出身の方々が一ぱいおって、その公務員人事院勧告を認めないなどと言う。完全実施しないなどと言う。しかもそれが、仏の顔も三度だと私は三年前に言った。七回目だから、ラッキーセブンだからどうだ。それを越えてまだやらない。石の上にも三年ということがありますけれども、八年というのは長過ぎますよ。前向きでお考えなんですか、大臣。そこのところはどうですか。
  151. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 昭和四十年でしたか、あれは実施したあとで、実際は予想違いで、赤字公債を最後に出したという例がございますが、政府の政策といっても、これは赤字公債を出してもやろうという政策を立てるのだとすれば、これは政策の問題と別だと思いますが、普通は見込まれる一般財源の範囲で処理するというのが常道であろうと私は思いますので、その財源をつかまないと、いまのところ、何とも方針がきめられないということでございます。
  152. 大出俊

    大出委員 これは、いま言うように、あなたの御答弁の中に矛盾があるのですよ。というのは、景気調整のしわを公務員に寄せることはしないと言い切られましたね。補正財源がないというお話ですね。そうでしょう。なぜないか。あなたはさっき答弁をされたときに、景気調整などということをやってきた、あれをやらなければ、税金でもっと自然増収はあったはずだけれども、景気調整などをやってきたから、補正財源がなくなった、こう言いましたね。そこで、公務員賃金は、いずれにせよ補正で組むのですとおっしゃいましたね。そうでしょう。そうなると、景気調整をやってきたから補正財源がない。補正財源がなければ組めない公務員賃金。景気調整の結果財源がない。ないからできないとおっしゃるなら、景気調整のしわを寄せたことになるじゃないですか。あなたは景気調整のしわを寄せないとおっしゃったのですよ。ならば政策じゃないですか。
  153. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そうじゃございませんで、そういう政策もとっているときだから、財源関係がどういう変化をしているか、それをいま見届けたいということでございます。
  154. 大出俊

    大出委員 じゃ、しわは寄せないが、とにかくどのくらいになるか、財源をここで見てみたい。しわを寄せない、前向きでお考えだということです。それならばわかりました。前向きで大いにがんばってください。ひとつお願いします。  自治大臣に承りたいのですけれども、どうも大蔵大臣なる人が最大の難関でございまして、前向きでお考えだそうですけれども、自治大臣もなお一そう前向きでお考えいただきたい。いま例に引きましたが、先般いい御答弁をいただきましてありがとうございました。  ところで、二つ自治大臣に御質問申し上げたいのですが、どうしても気になってしかたがないのは公営企業なんです。私の出身が出身だから、こういうふうにお思いになってお笑いになるかもしれないけれども、どうしても心配になってかなわないのは公営企業です。というのは、第八次賃金何とかと公務員共闘などで言っておられましたけれども、いまの皆さんの政策でいくと九賃、十賃、十一賃になりかねない。昨年公営企業法の改正をしましたね。そこで再建方式がとられております。それを前提にものを考えると、これは自治大臣が御承認になっておるわけですね。認可されているわけですが、権限は大臣におありになるわけです。  そこで、いま六大都市をながめてみますと、あるいはできるところもあるかもしれぬと私は思う。だがしかし、全般的に苦しいことは間違いがない。そこで、横浜に限定すると御答弁いただきにくいと思うので、公営企業一般として私は申し上げたいわけです。中には再建方式をとっておるところもある、こういうわけです。  そこで、この間私が御質問申し上げたときに、失うものはない。ずばり質問しますよとお断わりして、賃金を上げるつもりですか、上げないつもりですか、と言ったら、そう真正面から質問されたらしかたがない、そっけない答弁になりますが、と言って御答弁になって、企業のワク内で御努力いただくよりしかたがありませんとおっしゃいました。それで企業のワク内でずいぶん努力をし続けてきた、原因があって結果があるのですから。しかし、どうにもならぬということになってきた。さて、それじゃ上げないと言い切れますかと言ったら、大臣はそうは言わなかった。そこで、まあとにかく話し合いをしようじゃないですか。まず公営企業の理事者の諸君にも努力をしてもらう。あるいは市長その他にも努力してもらう。さらにまた、国会で論議をしているわれわれも努力をする。自治省の皆さん努力する。そういうことでお互いに英知を集めてやってみましょうという筋書きになっているわけです。ところが、中には再建計画を出しているところもあるわけでありますから、そうすると、そういうところはどっちにしても再建計画の手直しになってくる。ある程度財源のあるところでも、多少の手直しをせざるを得なくなると思うのですね。そうなると、そこらあたりを、これは将来経済的な風向きが、水田さんああ言っておりますけれども、調整する場合もあり、ワクをはずす場合もあり、金融引き締めをする場合もあり、広げる場合もある。だから、経済変動は先行きがあるわけですね。いまきめられないわけです、公営企業の場合は。だから、そのことを見通しまして、いま見通しは立たぬにしても、やはりそこらあたり、ぴしゃっと企業のワク内でということになってしまうと、話し合う余地はない。話し合いの余地があるように言うてくれなければ、話のできるところに持っていけないという、そこのところのワクを、大臣もうちょっとお考えいただきたいと思いますが、いかがですか。気をつけて質問しておるのですから……。
  155. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先刻御承知のことを繰り返すようで恐縮でございますが、まず企業体の職員の給与がいかにしてきめらるべきかというと、これは申し上げるまでもなく、生計費、そして同一または類似の国家公務員、地方公務員、民間企業の給与水準並びにその企業の経営状況、これはもう申し上げるまでもないところであります。   〔伊能委員長代理退席、細田委員長代理着席〕 そういう前提に立ちまして、国家公務員給与水準が上がった場合に対しましても、そういう基準を一方において考えながら、給与というものを考慮していかなければならぬということだと思います。  したがいまして、これもずばり申し上げて恐縮ですが、国家公務員において今回のように七・九%上がったんだから、企業体の職員も七・九%上げるんだということにはならないと思うのでございます。ただ、先ほど申し上げたような基準に照らして上げるべきか上げざるべきか、そしてまた、それについて一体その財源をどうしていくか、もちろん基本的には企業の範囲内においてということになるわけでございます。  しかし、一方において、大出さんがあげられるような、いろいろな困難な問題のあるということも、十分承知をいたします。ことに再建団体におきましては、これまた申し上げるまでもないのでございますが、とにかく再建計画の中におきましては、一応いわゆるベース改定というようなものを含んでおりません。しかし、現実の問題として、どうしても上げざるを得ないというような問題もないとは言えないと思います。この辺は、したがいまして、私前にもお答え申し上げたように、それは各方面がいろいろくふうをしていく。しかし、また一面において、再建整備をやっておるということは、いわば会社更生法による更生会社みたいな立場になっておるわけでございますから、おのずからそこに再建計画を非常に狂わせるような処置は、とうていできないことだと思うのでございます。その辺のところを十分考らながらやっていかなければならない。ことに、御承知のように、企業体としては六千もありまして、はたして企業体として残すのがいいかどうかも問題のあるようなところもございます。特に中小都市などの公営企業というようなものについては、いろいろ問題も含んでおります。そういう点は十分考慮しながら、事務的にいえばだめだと真正面から言うのが、これが御理解いただけるんだと思うのですが、そこはまたいろいろ具体の事例において考えていかなければならぬものがあるというふうに考えるわけでございます。
  156. 大出俊

    大出委員 非常にこれは法律的にも、かつまた制度的にも考えなければならぬ点がたくさんあると私は思っているんです。働いている方々に罪があるわけじゃない。客観的な周囲の条件がいろいろ変わってきてしまった。それが実は地方公営企業制度調査会をつくって、そこで御審議を願う発端でもあった。他動的な要因が一ぱいあり過ぎた。早い話が、毎年毎年ベースアップをしなければ賃金引き上げという問題は起こらないわけですから、そういう意味で働いている方々に責任があるというふうには考えない。だとすると、やはり、まずもってしなければならぬのは、企業努力だと私は思う。だから、企業努力はどんどんすべきだ。法律的にも五つばかり要因があります。それを私はこの場では否定をするわけじゃない。基本的にはいろいろありますけれども、しかし、その努力は当然企業体の責任者がやるべきだ。そしてそのやった努力の結果として、やはり自治省にものを申し上げた場合には、自治省のほうも――一生懸命努力をした結果なんだから、これはまた、それまでの間に経済情勢の変動も起こり得るかもしれない。それらの点も含めて、いまおっしゃったように、理屈ではいろいろこうなるけれどもとおっしゃったけれども、そこのところは、極力ひとつ話し合いをしていくというふうにしていただきたいと思います。よろしゅうございますか。  ところで、自治大臣は国家公安委員長でございますね、国家公安委員長に関連して伺いたいことがございます。  最初のほうは、中身は簡単でございますから先に申し上げますが、横浜、特に神奈川におきまして、ある警察署で学校に行きまして、校長さんだとか教頭だとかいう方々のところへ行って、世間話のような形で話をして、一〇・二六、こう言っておりますが、もし完全に実施をいただかぬ場合には自衛行為をするぞ、こう言っている場合に、おも立った職員の住所、氏名、それから分会の役員の名前、それから机の配置から役割りまで、それとなく聞いているわけです。それが方々の学校に起こっている。あるところでは、交番のおまわりさんが出かけていって、学警連――学校と警察の連絡会の役員だということをおっしゃって学校においでになっている。そこでいま私が申し上げたようなことを質問をされる。どこの学校に聞きにくる方も、人は違うのだけれども質問の中身はみな一緒ということ。これはただごとでないということになりまして――この学警連の警察の係というのは少年係なんですよ。少年係がおとなのことを聞いちゃおかしいんですよ、初めから。そうでしょう。それをずっとしぼっていくと、ひどいところがありますよ。職員の名簿を貸してくれ、学警連だ、と言って――少年係と学校の先生の名簿とは関係ない。これは、ある警察にしておきます、名前もわかっておりますが。  それが実は県議会で問題になった。問題になって、これは、ずっと詰めていったら、指示が出ている。一〇・二六に対して基礎準備をしろという。これはずっと詰めていったら、指示というわけではなくて事務連絡でございますと言う。こういう警察側の県会での答弁です。しかし、指示ではなくて事務連絡だ。事務連絡にしても、まだ藤枝さんが御努力いただいているので、すぱっときまるかもしれないでしょう。そうすれば、みな何もしゃしないでしょう。やるかやらぬかわかりもせぬものを、いまのうちから、どうも、机の配置まで聞いて歩かれたんじゃ、これはちょっと、先生方の立場に立ってみれば、とんでもないということになるですよ。これは私は明らかに行き過ぎだと思うのです。へ理屈は言いません。へ理屈は言いませんが、先ほど細田さんが、一〇・二六をきびしくなんて質問されましたが、いまからこんなにきびしいんですよ、細田さん。現実にずいぶんきびしいんですよ。だが、このきびしさはいささか行き過ぎですよ。いかがですか。これを関係の方に……。
  157. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 その事案につきましては、ただいま初めてお伺いしたわけでございます。どういうことか実態を至急に調査をいたしまして、もし不穏当なことがあれば、その是正の処置をとりたいと思いますが、実態を把握いたしておりませんので、本日のところは答弁をお許しをいただきたいと思います。
  158. 大出俊

    大出委員 私がいまここで申し上げた限りでいけば、それは国家公安委員長というお立場にあっても、どうもいまの時点ではいささか、ということになるので、そういうところで調べていただきまして、妙なところでトラブルを起こさぬようにお願いしたい、こう思うわけでございます。何にいたしましても一、人事院勧告完全実施していただくことのほうが先決でありまして、そうでございませんと正当防衛論なんというものも起こってまいりますから……。   〔細田委員長代理退席、伊能委員長代理着席〕  ところで、次の問題でございますが、事前に申し上げておきましたが、滋賀県の県会本会議で県会議員の方が質問をいたしまして、県警が指示をされて特別訓練を各警察がやっておられる。その特別訓練の中身が、どうもデモに対する特別訓練、これまた各署でやっておられる。しかもずいぶん回数が多いんですね、調べてみると。そこで県会でこれまた問題になりました。一体、県警のデモ取り締まりの特別訓練というのは、特訓というのは何だ。ところが、これがまた、最初は、いやそういう特別訓練はやっておりません、災害対策だとか雑踏だとかの整理に備えて訓練をやっているのです、こうお答えになった。だんだん実例に則して、たくさんの資料がございますが、詰めていった。そうしますと、詰めていくうちに、安保改正期を目標にしてという文章、これは一体何だと聞いたところが、ほんとうはこれは災害対策、雑踏整理のはずだったわけでございますけれども、実はそういう文章がございますということになった。文章がある限りは文章が出ていることになるじゃないかということになった。そうしたら、出ておりますということになった。ところが、偉い方を少しかばう意味かどうか知りませんが、次の方のほうが、実はその文章は私が書いたんです、こうなった。安保改定期を目標にしてデモ鎮圧の特別訓練をやれということになる。ということになると、集会、結社の自由は許されているわけですから、示威行進も許されているわけですから、――いろいろな条件はありますが、許されているでしょう。そうすると、これもいささか私はふに落ちない。  ところで、私の聞きたい焦点は、全国的にこういう通達をお出しになっている節がいろいろ見える。したがって、そういうことだとすると、これはゆゆしき問題だというふうに私は思う。そこらあたりを、事前に中身を少し申し上げてございますので、まずもって承りたいわけであります。
  159. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 申し上げるまでもなく、警察は治安を維持して国民の生命、財産を守るわけでございます。その治安問題という中には、たとえば、例をあげては悪いのでございますが、山谷における騒動というようなものも、いわゆる集団的な不法行為もあるわけでございます。したがいまして、そうした集団的な不法行為等に備えるために、やはり警察としても部隊的な訓練、個々の訓練ばかりでなく、部隊としての訓練をやるということは、これは警察の任務として当然だと思うわけでございます。そういう意味で、そういうあらゆる起こり得る事態に備えまして部隊訓練をやるということにつきましては、警察庁としても、各警察本部に指示をいたしておるわけでございます。  ただ、いまおあげになりましたような、いわゆる一般の平穏なる大衆行動あるいは労働組合の運動、そういうものに対しましては、警察はあくまで厳正中立なんでございまして、そうしたものを対象として部隊訓練をやるというようなことは、あり得ることではないのでございます。常にそういう起こり得る集団的な不法行為を未然に鎮圧し、あるいは起こった場合に、これを大衆の迷惑にならないように押えるという意味においての部隊訓練をやらしておるということでございます。
  160. 大出俊

    大出委員 終わりますけれども、特定の集団あるいは特定のものを対象にというのではなしに、一般論として、個々の訓練のみならず、部隊訓練もやれ、こういうことを指示されておる。ちょうどいまの御答弁が、県会で警察の責任者が答弁している答弁と同じ答弁なんですね。だからこれは、てっぺんから全部お話しになっていることに間違いない。  ところで、これは、うそかほんとうかわかりませんが、桑田進さんという警備部長が、安保改定の時期を目標にするという字句は自分が書いたのです、三十五年の安保改定時には社会不安があったので、四十五年の改定には当時以上の闘争が予想されるので、一応安保改定の時期を目標としてと、こう書いたんです、こう言っているわけなんです。そうすると、いまのとあわせますと、安保改定を目標にして部隊訓練をやれというような指示はしてない、一般的な部隊訓練の指示をしている。だがしかし、下のほうの受け取り方は、安保改定期を目ざして部隊訓練をやれと受け取っているということになるのです。受け取れるように言うたんですか、指示は。
  161. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 第一、安保改定期に一体どういうことが起こるか、私の個人的な見解を申しますれば、そんな問題は起こらぬと思うのでございますが、いずれにいたしましても、安保改定期に非常な国内治安が乱れるような事態を現在から予想しているようなことは全然ございません。したがいまして、あるいは三十五年時代の安保改定期における、いろいろな、東京等における問題を頭に入れておるということはあり得ると思いますけれども、四十五年に非常な、ことに三十五年を上回るような騒動が起こるなんということを、私どもはいまから予想しておるわけでございませんので、あくまで部隊訓練というものは、先ほど来申し上げたような意味において、常に有事に備えて訓練を積ましておるということでございます。
  162. 大出俊

    大出委員 そうすると、まあわざわざ、ほんとに、上からでなくて、この人が入れたのかもしれませんけれども、少なくともこういうふうに入れるような受け取り方をするような流し方は、いまの答弁の御趣旨からいけば困るのです。そう受け取られるのだとすれば、そこは訂正を願わなければいかぬ。そう受け取ってはいけませんぞ、いまから四十五年にたいへんなことが起こるぞなんということを想定してはいけませんぞということを言わなければならぬ。しかし、先般のこの委員会で増田防衛長官が――隣においでになりますけれども、バートル107型というヘリコプター部隊を陸上自衛隊につくることになっている。これもここにおいでになる武部委員質問したら、私のほうから質問があると言って、あなたは県評の議長さんをおやりになったようだけれども、四十五年にたいへんなデモをやるのですかということを御質問になりましたが、いまのところ、防衛長官質問をする程度なんですから、ますますもって下がそう受け取るような形の流し方はいかぬですね。だから、そこのところは厳にお気をつけいただきたい。時間がありませんので、そこだけお答えいただければいいです。
  163. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 気をつけるも気をつけないもない、そういうことはやってないわけであります。ただ、これだけは御理解いただきたいと思いますのは、私どもは、警察はそういうことをやっておりませんけれども、一般新聞や雑誌なんかに、一九七〇年危機だの何だのいろいろ書いております。したがいまして、そういうものを第一線の警察官も読んで何か考えておるということはあろうかと思いますが、警察庁といたしまして、あるいは国家公安委員会といたしまして、そういうことを全然口にしておらないことは御理解いただきたいと思います。
  164. 大出俊

    大出委員 それじゃ、ひとつ、こういう行き違いでまた県会で、この新聞に見ますように、何かたいへんな――地方の新聞なんですけれども、こんなに大きいですよ。「県警の基本姿勢にまっこうから論陣」、「滋賀新報、日刊」、「九月県会、久しぶりに見るべき質疑」、こういうことになってしまいますから、ひとつ気をつけていただきたいということだけを申し上げて終わります。
  165. 伊能繁次郎

  166. 木原実

    木原(実)委員 午前中からたいへん時間をとりましたが、この機会長官にぜひ所見を承っておきたい、こういうことがございますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  長官御承知のように、沖繩の返還問題というのが政治の日程にのぼっておりまして、しかも、その中では、沖繩をめぐる防衛の問題というのがこれからの焦点になっておる、こういう状態でございます。そこで、これはぜひ長官に伺いたいのですが、いまの沖繩の現状ですね。アメリカ軍の核基地があり、それからアメリカ軍によって自由に使用される基地がある、こういう沖繩の軍事上の現状というものを、日本防衛当局として一体どのように評価をしておるのか。
  167. 増田甲子七

    増田国務大臣 木原君にお答えいたします。  沖繩防衛上の価値ということは、直接にはわれわれはまだ御答弁申し上げたりいろいろする立場にないわけでございます。すなわち、沖繩は潜在主権はございますけれども、施政権は米国が持っておるわけでございます。したがいまして、米国の軍事施設その他につきましては、間接に知り得るところはこんなふうではないということ、新聞紙等で聞いた範囲のこと、それから、たまには駐日米軍のほうから聞く情報もございますから、そういう立場で申し上げているだけでございまして、むしろ沖繩返還問題というようなことの起きた場合には、さらに直接相当研究せんならぬというわけで、先般来沖繩問題特別委員会におきましては、間接ではございますが所懐を申し上げております。そこで、沖繩の持っておる米国軍隊の軍事的価値いかんということは、直接には米軍でなくてはよくわかりませんが、しかし、われわれの知っている常識的の範囲のことは申し上げられます。そういう範囲でお答えするということで木原さんも御了解願いたいと思っております。  沖繩の軍事的の価値として、これは防衛庁のみならず、日本全体がどんなふうに考えておるかといいますと、いまのところ四万五千人の陸海空軍がおります。その空軍の飛行機の数とか海軍の艦艇の数とか陸軍の数とかいうところまでは詳細にいたしませんが、日本におる駐留米軍の数は約三万六千人でございます。それよりも九千人多いのが、面積はわずかに大阪府とか香川県、東京都よりもちょっと大きいぐらいのところにおるのでございまして、この米軍の果たしている使命というものは、間接に私は申し上げますが、極東の平和、安全保障に貢献しておる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  168. 木原実

    木原(実)委員 沖繩にいる米軍の存在ということで極東の平和に貢献をしておる、こういうことですが、ただ日本防衛考える場合に、沖繩に、長官がおっしゃいましたような形で現に米軍がいるということの前提の上に立って日本防衛計画があるわけですね。そういうことになりますと、返還問題が起こっておるわけですけれども、沖繩米軍基地があって、そこにいまおっしゃったような形で軍事力がある、このことによって日本の安全も助けられている、こういう関係になりますね。
  169. 増田甲子七

    増田国務大臣 沖繩に存在いたしております米国の陸、海、空軍というものが、日本の平和と安全にも寄与しておるということは確かに言えます。ただ、どんな程度で日本自身の平和と安全に寄与しておるかというところまでは、まだ科学的には検討しておりませんけれども、木原さんの御指摘のように極東、その極東の中には日本も含みます、あるいは韓国も含みましょうし、台湾も、その他フィリピンもいろいろ含むと思いますが、そういう西太平洋方面の平和と安全に寄与しておる。その中には日本も入っておるということは言えると思います。
  170. 木原実

    木原(実)委員 そういうことですが、その前に、現にアメリカ軍が沖繩にいるわけですけれども、この軍事的な機能、これは防衛当局としてどういうふうにお考えですか。たとえばよくいわれるように、現にベトナムで戦争が行なわれておる。それから、中国の軍事的脅威に対処する、こういう形で、具体的に言いますと、沖繩アメリカが軍事的価値を認めて存在をしておる、こういうふうに考えてよろしいですか。
  171. 増田甲子七

    増田国務大臣 沖繩に存在しております米国の海軍、陸軍、空軍というものが、ベトナムの紛争の関係における米軍に相当の力になっておるということは認められます。また韓国あるいは台湾の平和、沖繩それ自身の平和ということにも寄与しておるということは言えると思います。すなわち、いま木原さんのお聞きになる焦点は、ベトナム紛争の問題において沖繩基地として働いておるかどうか。私は基地として相当働いておる、有効に働いておる、こう考えておる次第でございます。
  172. 木原実

    木原(実)委員 そこで、もう一つ伺っておきたいわけですけれども、日本の安全にも寄与しておる、こういう側面があるわけですね。これは具体的にもう少し何かおっしゃれませんか。つまり、私どもの考え方では、沖繩基地が機能しておる側面というのは、何よりもベトナム戦争に対しての基地であり、それから中国の脅威に対する基地として存在をしておる、これは確かですね。しかし、そのほかに、長官のおことばの中に、日本の安全にも寄与をしておるんだ、こういうことですが、この寄与の度合いですね、これはあと質問とも関連をするわけですけれども、沖繩米軍がいなくなった場合の措置と関連をしてくるわけですけれども、その辺はどの程度に評価をしておるか、日本の安全に寄与をする沖繩米軍基地の価値、こういうことはどうですか。
  173. 増田甲子七

    増田国務大臣 日本の自衛隊というものは、だんだん自主的防衛の線を高めてまいりたい、しかも、これは漸増でございまして、ごくわずかではございまするが、高めてまいりたいと思っておるわけでございます。しかし、それだけでは不十分でございまするから、米国駐留軍にもおってもらい、施設並びに基地を提供しておるわけでございまするが、その上に、有事の場合に、沖繩あるいはグアムあるいは小笠原島等に存在いたしております陸、海、空の三軍が、日本の平和と安全を守る助けになっておる、こう思いますが、まだこまかに評価をいたしたことは実はないわけでございまして、評価をこれからせんならぬかと、少し正直に申し上げまするが、考えておる次第でございます。
  174. 木原実

    木原(実)委員 そうしますと、これから沖繩の返還をめぐって、いわゆる核つき返還の問題であるとか、あるいは本土並みの返還の問題であるとか、いろいろ出てくるわけですけれども、しかし、現状からいいますと、日本防衛計画というのは、沖繩に現在米軍がいる、こういう前提の上に立って防衛計画が行なわれていると思うのです。そうなりますと、かりに核つき返還ではなくて、本土並みの基地にして返還をされる、こういうことになりますと、かなりの防衛上の変動があると考えられるわけですが、そういう場合に対処する考え方というのは何かおありですか。
  175. 増田甲子七

    増田国務大臣 本土並みということはよく言われることばでございまして、あなたのほうの穂積さんがおっしゃったことも、私は新聞で拝見しておりまするが、まだ本土並みの基地にしてよろしいかどうかということは検討中でございます。すなわち、本土並みということになりますと、先ほど来の大出さんの御質問安保条約第六条に基づく交換公文がございまして、施設、装備変更とか、あるいはその他重大なる基地として極東の平和のために出動する場合というようなことはすべて事前協議対象になるわけでございまして、その事前協議対象だけの横田、厚木、三沢等の基地並みにしてよろしいかどうかということは、われわれはいま検討中でございます。
  176. 木原実

    木原(実)委員 さらにお伺いしたいわけですけれども、防衛当局として沖繩返還の問題が起こった場合に、一番望ましい姿というのはどういうふうにお考えですか。現状のままで、たとえば、いろいろ問題があるにしましても、核のついたまま、それから基地の現状のまま、基地と施政権とを分離をして返還するというやり方もあるわけですけれども、どうですか。現状のままで返還をすることが一番望ましいとお考えですか、どうですか。
  177. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは沖繩問題特別委員会で答えた範囲のこと以外に、私はまだ頭の回転がそこまでいっておりませんが、木原さんの現状のまま返還ということはちょっと私わかりかねるのですが、いま沖繩の果たしておる軍事的使命というものをあまり減却されない範囲で施政権が全面的に返ってくることが望ましい、非常にむずかしいことでございまするが、そういうふうに答えておるわけでございます。
  178. 木原実

    木原(実)委員 私の質問をしたいことは、ともあれ、核つき返還はだめだ、あるいは本土並みの基地にして返還をしてもらうんだ、いろいろ議論が出ておるわけなんです。しかし、いずれにせよ、返還をするということになると、沖繩米軍基地の状況というのは何らかの形で変わらざるを得ないと思うのです。その場合に、それをカバーをするような防衛庁の計画があるかどうかということと、それからまた、そこまで考えていないということならば、この防衛問題が、たとえばアメリカとの交渉の過程で出た場合に、日本防衛当局として、それに対処する何らかの方針がおありかどうか、この辺をくどいようですけれども、お伺いしておきたいわけです。
  179. 増田甲子七

    増田国務大臣 防衛庁といたしましては、日米安保条約の範囲内において日本の自衛力のことを考えておるだけでございまして、そこで、沖繩日米安保条約の範囲外でございます。これは木原さんもよく御存じでございまするが、共通の認識を持っていただくためにくどいことを申し上げるわけでございますが、すなわち、外国と同じ扱いを受けておる。そこで、外国ではあるけれども、日本に施政権が返還されてくる場合には、一体どういうふうになったらよろしいかというようなことは、この施政権下における日本、すなわち沖繩を除いた施政権下における日本防衛ということにつきましては、日米共同で防衛をいたしております。それからなお、日本基地並びに施設を、極東の平和のために、米軍が使用する場合には、これを提供するというわけで、現在提供いたしておるのでございます。でございまするから、沖繩へ、日本に駐留しておる米国の三軍が出動するということもあるわけでございまして、全然無関心でいられるわけではございませんが、しかし、事は、米国日本に潜在主権を認めて、それから今度は、施政権の返還がもしあるとすれば、立法、司法、行政の顕在主権ということになるわけでございます。潜在が顕在になるわけでございまして、そのときに、いまあります米三軍の果たしておる日本を含む極東全体の安全と平和を保障する力というものがあまり減殺されては困るということだけは、われわれは言い得るわけでございます。しかし、立法、司法、行政の三権は行き渡ったほうがよろしい、こういうことになるわけでございまして、そこに問題だけは提供――あなたも御存じのことを私がまた重ねて明らかにするために提供いたすわけでございまするが、問題といたしましては、立法、司法、行政の三権がいけば、施設の中にも立法、司法、行政の三権がいくわけでございます。横田、厚木の基地等は、現に立法、司法、行政の三権がいっております。軍人同士が公務の上から起こした犯罪以外のものは、軍人の起こした犯罪といえども、日本の司法権が及んでおるわけでございまして、たとえば横浜で何かそういうことがあれば横浜の地方裁判所、東京高等裁判所、最高裁判所、こういう関係米国の軍人もさばかれるわけでございます。そういうふうにいっていいものかどうか、その基地が横田、厚木と同様になれば、そういうふうになります。それから、もし核基地がついてくるとすれば、基地の範囲における施政権は困る、そこまでは軍法会議で全部やりたい。というのは、非常に核は機密の関係が相当ございますから、そういう申し入れがあるかもしれませんし、要するに、きょうあたりから――きょうほんとうは外務大臣が来るのじゃないかと思ったのですが、外務事務当局と、それから米国当局との事務レベルの話をだんだん詰めていきまして、そうして十一月の総理と大統領との会談のときのおぜん立ての一部を構成しよう、こういう運びになっておるわけでございます。  それから、まだ、日本の政策として、日本の行政府の方針として、核は製造せず、保有せず、持ち込ましめずという三原則が岸内閣以来の行政府の方針としてあるわけでございます。そこで、横田、厚木みたいになってきますと、その原則が直ちに応用されますから、極東の平和と安全に寄与し、貢献しておるその効果というものは非常に減殺されてきはせぬか。でございまするから、特殊の例外等でも設けて、そして平和と安全がやはり一国の存立には一番大切でございますから、またこの沖繩基地関係でよき影響を受けておる国国は相当あるわけでございますから、単に日本だけのことを考慮してもいけませんしいたしますから、日本の行政府の方針がこうだから絶対にこうなくちゃいかぬ、核兵器は持ち込ましめず、製造せず、保有せずという三原則が直ちにそこまで及んでくるのだということも言いかねるのではないか。しかしながら、何とかいたしまして、やはり九十五万の沖繩県民は日本国民でございますから、日本の国民の国民的感情を尊重いたしまして、調和のとれた関係でうまく解決いたしたい、これは外務省防衛庁も総理と同じ考えで進んでおるわけでございます。
  180. 木原実

    木原(実)委員 初めて承るようななかなか重要なこともおっしゃったようですが、そうしますとこういう場合もあり得るわけですね。核基地の部分だけはいわば治外法権にして、その他の基地は本土並みにして返還を求める、こういう可能性もあるわけですね。
  181. 増田甲子七

    増田国務大臣 いわゆる何々発言といわれる新聞に出ておるようなことをあまり実は言いたくないわけでございます。
  182. 木原実

    木原(実)委員 そこのところを聞きたいわけですけれども、たとえば下田大使の発言などを読んでみましても、新聞によりますと、あれはアメリカ側の代弁でもあるような話が出ておりましたが、たいへん大事なところだと思うのです。そこで、それではもう少し別の観点からお伺いしたいと思うのですけれども、もし沖繩アメリカの核基地がなくなった場合に、たとえばわれわれこういうことを聞くわけですが、ABM、防御用の核兵器について日本防衛当局は関心を持っておるとかあるいは検討をしておるとか、こういう話を聞くのですが、その点はどうですか。
  183. 増田甲子七

    増田国務大臣 ABMということは、まだわれわれは、ナイキXといわれておりますが、研究はいたしておりません、話を聞く程度でございます。方々の文献や情報等によって話を聞く程度でございまして、まだ沖繩にも設置されておりませんし一このことは明瞭に言えます。沖繩にABMは設置されておりませんし、グアム島にもございませんし、小笠原島にもございませんし、いわんや日本にはないわけでございまして、将来の検討課題である、こう考えております。
  184. 木原実

    木原(実)委員 そうしますと、たとえば防衛用の核兵器についてはこれから検討していく余地がある、そういうことですか。
  185. 増田甲子七

    増田国務大臣 この日本は――日本だけのことを申します。つまり、施政権のある日本内におきましては、核兵器は、防衛用のものといえども、これを置かず、これを持ち込まず、これを製造せずというのが日本政府の方針でございますから、これから前向きで検討するというわけにはいかないのじゃないか。ただ、文献等で勉強をする、つまり検討というと、少し何か設置するような前提で事を運んでいくように見えますが、設置する前提で事を運ぶ段階の検ではない、ただ文献等で勉強はしなくてはならぬ、こう考えております。
  186. 木原実

    木原(実)委員 それではさらにお伺いしますけれども、中国も御承知のように核開発が進んで、これが戦力化するのも時間の問題だというようなことがいわれておるわけでありますが、日本防衛当局としてそれに対する抑止力、これは主としてアメリカの核戦力にたよっている、こういう現状でございますね。そうしますと、その中の一部として沖繩もあるわけでございましょうから、沖繩からかりに核基地が撤去されるというような場合の日本のこれに対処する対処のしかたといいますか、それは何かお考えでございますか。
  187. 増田甲子七

    増田国務大臣 いま大浜さんの委員会において軍事評論家の方がおっしゃっておることもありますけれども、あの方と必ずしも私どもは意見は同じではないのでございまして、ポラリスが八隻ばかり遊よくしておるから、それで四千キロぐらいの射程があるからカバレージというものは十分カバーできるという説もございまするが、しかし沖繩にございます現在のメースBというものは、でございますから戦術兵器になってしまったのだ、戦略兵器ではないのだというお説もあるようでございますが、私どもは、到達距離が二千キロもいくようなものはやはり戦略兼戦術兵器ではないか、この考えておる次第でございます。
  188. 木原実

    木原(実)委員 そうしますと、いろいろお話がございましたけれども、沖繩の返還の問題をめぐって、核つき返還は困る、これは言い切れますね。どうですか。日本政治方針といいますか政府の方針として。
  189. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、木原さんを含む社会党の皆さまが日本の運命をになう政党として、沖繩が全面返還にかりになったという場合に、極東の平和と安全に寄与しておるという度合いはありますから、そのことについて現実的な御勉強を私どもと一緒に願いたい、こういうふうに考えたい。やっぱり一つの大きな課題ではないか。社会党の皆さまも国の動きに任じていらっしゃいますから、ただ返せということであと裸でいいということにはならないのじゃないか。社会党の皆さま、ことに木原さんもそういうお考えでこれからやっぱり相当勉強せねばならぬというお考えになっていらっしゃるのではないかと私は考えますが、いかがでございましょうか。
  190. 木原実

    木原(実)委員 国民的合意ということでしょうけれども、ここに核については国民的合意ができているのじゃないかと私どもは判断をしているところなんです。ただ、日本の、特にいまの政府の方針なり防衛当局の方針なりに何かこの段階でやはりかなりな変化が起こるのではないか、こういう考え方もあるものですからお伺いをしておくわけですけれども、いまの時点の中では、核つき返還ということになりますと、これはもう長官おっしゃいましたように、部分的にそこだけを治外法権にして残しておく。これは技術的な措置でしょう。しかし、これは実際問題として核がついて日本に返ってくるということだと思うのです。手続上のあるいは法規上の問題はともかくとして。しかし、いまの長官のおことばでございますけれども、社会党、自民党を含めまして、ともかく日本核兵器を持たないという方針は、これはおそらく国民的合意を得ているわけなんですね。ところが沖繩の返還をめぐって新たにやはり核を持つような状況下に置かれるのではないか、こういう心配がわれわれの中にあるわけです。そうなりますと、せっかく国民的合意が得られている中にそういう変化が起こるわけですから、これは防衛上の大きな問題だ。あるいは日本のいままでの防衛方針その他についてもやっぱりたいへんな転換が行なわれるのではないか、こういうふうに心配をするわけですから確認をしたわけですけれども、どうですか、防衛庁の方針としては、ほんとうに長官のおっしゃるような、日本を含めた極東の安全のためには沖繩に核があったほうがいい――これは純防衛技術上の問題としても考えていただきたいと思うのですけれども、あったほうがいいとお考えなのか、それが政治方針なりあるいは日本の憲法上の制約で核つきは困るとお考えになっているのか、その辺はいかがですか。
  191. 増田甲子七

    増田国務大臣 憲法から見ますと、これは、法制局長官がおりませんけれども、法制局長官のしょっちゅう答えていることを申し上げますが、交換公文によって事前協議をする場合に、非常に事が迫ってきた場合に、日本が外国の軍隊によって核武装をするということは差しつかえないということになっているようでございます。これは攻撃的の核兵器でもですよ、そういうふうになっているようでございます。これは、詳しいことは高辻君に来てもってからさらに補足することにしませんと、私の答弁が法制的に必ずしも正確でないかもしれませんから。  それから戦術的核兵器、これは憲法上も、日本が持っても差しつかえないということに、九条一項、二項からなっているようでございます。しかし、これも、政府の方針としては持たないということになっておるわけでございます。(「答弁が違う」と呼ぶ者あり)答弁が違ったらまた訂正いたしますから。考え直しますから。  それから、現在、私が沖繩委員会においてお答えいたしておるのは、アメリカのポラリス潜水艦がかりに、まあ基地はよそにあるようでございまするが、しかしどこを遊よくしているかは絶対秘密でございまして、わかりませんが、修理をいたしたい、まあ休養ぐらいではちょっと困るのでありますが、修理をいたしたいときに、沖繩寄港し得るというようなことも、現在はやっぱり一つの長所ではないか。別に特権とも何とも申しませんが、持っておる一つの長所ではないか。それから長距離爆撃機がそこにおることができるということも、日本内地では許されませんが、確かにございます。それからメースBがございます。それからナイキハーキュリーズがございまして、これは日本の皆さまから決議をいただきました予算の中にあるハーキュリーズと違いまして、核、非核、両用でございます。これはもちろん防御だけでございます。射程その他から見まして百五十キロ以上はいかないのでございますから。こういうようなものが、やはり何らかの形で使い得る、それから基地を何らかの形で使用し得るということでないと、極東全体の平和と安全に貢献しておるということは、全然この際、――ただ施政権の返還と、それから日本の行政府の方針は核を持たずということが、いやしくも四十七都道府県になる場合には、四十六都道府県と同じように全部その方針がカバーするのだというようなことに、すぐ公式論的にならないのじゃないか、そこが研究を要する問題である、それから大いに調査しなくちゃならぬ問題である、こう考えております。
  192. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 木原君に申し上げますが、理事会のお約束は大体二時ということで、もう一時間を超過しますし、はなはだ恐縮ですが、委員長三時から個人的な用事もございますので、しかるべく御質問を願いたいと思います。
  193. 木原実

    木原(実)委員 それじゃ委員長のおことばですから少しはしょります、一番大事なところに差しかかったわけですけれども。  最後に確認をいたしますけれども、長官は前の国会の中で、核を持ち込まないというのは憲法上の制約があるからだというふうにこの席でおっしゃったように私は記憶しておるわけですけれども、その点はきょうは論議はいたしません。そうしますと、確認をいたしておきますけれども、沖繩返還の場合に、核基地が何らかの形で、たとえば治外法権的な形で沖繩に残るということはあり得るわけですね。長官のお考え方ではどうですか。
  194. 増田甲子七

    増田国務大臣 いろんな形が考えられると思いまするが、われわれの欲しておるのは、施政権の返還であることは事実でございます。ただ、繰り返すようでございまするが、沖繩が現在果たしておる――沖繩米軍がと言ったほうが正確ですが、沖繩米軍が現在果たしておる極東の安全と平和の保障に寄与しておる点をすぐ没却はできなかろう。日本も、やはり日本日本自身しかもう守る能力は憲法上ないわけでございますが、しかし新安保条約では、基地を提供し施設を提供して、極東の平和のために米軍が出動することも六条で認めておるわけでございます。でございますから、その精神をふえん拡張するわけではございませんが、沖繩の果たしておる米三軍の機能なりきき目というものをすぐ没却はできないのではないかと私個人は考えております。
  195. 木原実

    木原(実)委員 それじゃ最後にいたしますけれども、日本防衛力を充実をする、こういう裏づけのもとに沖繩の返還を迫る、これは総理その他のこれからの折衝の過程で出る問題じゃないかと思います。そういう場合に、沖繩の返還をめぐって日本防衛計画、たとえばことしから発足いたしました第三次防の計画変更というようなことがあり得るとお考えですか、いかがですか。
  196. 増田甲子七

    増田国務大臣 それもまたいろいろ前提がたくさんあるのでございまして、全面返還で無防備というような場合、それから全面返還で横田、厚木等のような日本にある駐留軍基地が残るというような場合、それから核基地が残って、あとの核基地がありましても施政権が核基地まで及ぶという場合、つまり軍人同士が公務上の傷害を起こすとか、そういうような場合以外は、核基地がありましても、日本の法権は及ぶという場合、それからあなたが御指摘になりまして、私もいま考慮中の中に一つはございますが、法権の及ばないような核基地といったような場合、いろいろございますが、私はいわゆる裸で返るというようなことはちょっと考えられませんけれども、そういう場合には、自衛隊の陸上、海上、航空の力が相当及んでいかないことには、沖繩並びに極東の平和の維持には役に立たない、こう考えるわけでございまして、そういうような極端な場合を考えますと、三次防には全然入っておりません。そういうことだけは申し上げておきます。
  197. 木原実

    木原(実)委員 それでは終わります。
  198. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 古田之久君。
  199. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 時間もないようでございますから、簡単に防衛長官に御質問いたしたいと思います。  私は、この委員会でずっと長官の核戦略下におけるわが国の防衛という問題についてのお考え方を聞いてまいったわけでございますけれども、要約して申し上げれば、わが国はアメリカとの間に日米安全保障条約を結んでおる、アメリカは今日世界における核装備の最も優位にある国である、この核のかさの中に日本は当然に置かれて守られておる、一方伝えられる中国の核兵器の開発というものは今日さほどおそるるに足りない、張り子のトラということばをお使いになったかならなかったかはどうかと思いますけれども、さほどおそるるほどではない、したがって、わが国の憲法のもとにおいて国を自衛するだけの核武装しない自衛隊、そうした防衛力、こういうものが成り立ち、現にその効果を発揮しているのだ、こういう大体の発想法で、わが国の防衛の責任ある指導をしてこられておるというふうに私は解釈をしているわけでございますけれども、大体それで間違いございませんか。
  200. 増田甲子七

    増田国務大臣 吉田さんの御質問のとおりでございます。
  201. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 ところが最近になって、アメリカの本国のほうが、中国の核武装というものは意外に急テンポで進んでおる、今日これを無視することはできない、したがってアメリカの本土防衛上ABMをアメリカに早急に配置せざるを得ない、こういうふうに向こうの戦略が切り変わってきております。こういう現状の変化、アメリカの認識と、いままで長官がお考えになってきておった、先ほど申し上げましたような日本の認識とは、このままではかみ合わなくなるというふうに私は考えますが、長官はどのようにお考えでございますか。
  202. 増田甲子七

    増田国務大臣 吉田さんにお答えいたします。  防衛ということは相対関係でもございまするし、また時間の関係も非常な要素になってきておると思います。そこで、ICBMをいつある国が開発するかというふうなことは重大問題でございますが、私どもはやはり一九七〇年ごろまでは、そんなに八千キロも飛ぶような、米ソ両国が開発しているようなICBMは、核兵器の有効なる運搬手段、つまり大陸間弾道弾というようなものまで開発されるかどうかは疑問だと思っておりますが、マクナマラが五十億ドルで薄いABMを配置しようとするということは、これは本人が申したのですから事実でございましょう。それからそれは中共が開発するであろう――これは私が言っていることじゃありません。私はあまり国の名前を言ったことはありませんが、中共が開発するであろうICBMに対する薄いアンチ・バリスティック・ミサイルであるということを言っております。かねてソ連と米国とがABM競争というのは金がかかってしようがないからそれはやめて核拡散防止のほうへ専念してほしいということの一つのデモンストレーションであるというふうに書いてありますが、そのマスコミに書いてある程度しか実は存じないのでございます。
  203. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 薄い防御用兵器であるか濃い防御用兵器であるかは別として、ともかくいま長官もお認めのように現にいろいろな変化が起こりつつある。しかもその時期も長官自身がお述べになりましたように、一九七〇年といえば三年後、したがってきわめて間近に起こり得る可能性を持ってきた。こういうことを考えますと、今日までの日本の核戦略としての防衛方針をこの辺で大きく修正せざるを得ない。どのように修正するかは別として、修正せざるを得ない条件というものが非常に急に大きくなってきたのじゃないかというふうにわれわれは考えますけれども、長官はそうはお考えになりませんか。
  204. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは相手国の開発の模様を見ておるわけでございまして、そこで急速にいくという説もございましたが、あまり急速にいかぬという説もありますし、六月の水素爆弾というのはほんとうだという人もあるし、ほんとうでないという人もあるのです。どうも私どもよくわかりません。私どもがガムドペーパーとかあるいは集塵器というようなもので集めたところでは、ただ一回五百八十マイクロ・マイクロキュリーというものが検出されただけで、あとは全然出てこないのでございます。ところが、アメリカ等においては、水爆をやったのだということを世界に声明しておりますからおそらくそうではないかと思っておりますが、あまり急速に有効なる運搬手段が開発されるかどうかということに対しては、どうもまだ私個人で――これは防衛庁全体の意見じゃありませんが、一体飛んだのか飛ばないのか、飛ばしたのか飛ばさぬのか、おかしいじゃないかということをときどき言ったこともあります。ただアメリカでは、六月の幾日かに水爆の実験をしたので、それは相当の高度からやったのである。その高度というものが飛行機でやったのやら、やぐらの上ではないでしょうが、ある高度からやったにしても、どちらにしたところで、ソ連と米国とが一生懸命放射能の検出に努力しておりますが、それにはあまりかからなかったようなふうで、わが自衛隊の種子島近傍でやりましたものも、何機も何機も出たのですが、ただ一機だけ放射能塵を検出いたしましたが、それによりましてたぶん水爆であろうというだけのことでございまして、これからのはメガトン級のものは全部水爆でございまして、ポラリスミサイルにしても水爆でございますから、それほど有効なるものを開発したかどうか、あまり風声鶴涙ということは私どもきらいでございまして、しかしいずれにいたしましてもそういうときには、日本の国力をもって核開発なんということはとてもできる話ではございませんし、やはり、いやなことばではあるけれども核のかさの中におるというようなことで、わが国自身がABMを開発するとかわが国自身に配置してもらうとかいうことはまだ時間的に少し先の段階である、いま当面しておる問題ではないと私は考えております。
  205. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 非常に重要な御発言をなさっていると思うのです。われわれは現に中共がどのような水爆実験に成功したのかしなかったのか、あるいは長官自身がそれを認めておられるか認めておられないかは別として、世界がすでにそういう変化を認めて、それに対応しかけてきたということだけは認めざるを得ない。そこで、はしなくもいま長官がおっしゃいましたように、いますぐではありませんけれども、しかし日本防衛の将来を考える場合に、残される道は二つしかないのじゃないか。これは主義、主張、憲法その他は別として、純粋にわが国の核戦略下における防衛という問題に限って考えるならば、一つは徹底的にアメリカの核のかさの中により強固に入って、場合によればアメリカの要請に応じて日本にもABM等を配置する。沖繩から日本列島の全域にわたってそういうものを配置せざるを得ないという体制に将来入り込んでしまうか、もしくは、われわれ自身が核を持って他を攻撃しようとしたりとすることは能力的にも無理でございますし、憲法上、国家、政府、すべてがそれをいたさないことを決意しておりますので、したがってわれわれは核を持ってこれに対抗はしないけれども、核の攻撃を避ける保証というものがあれば、それで国家は守れるわけでございますから、中共から核の攻撃を受けないような政治、外交上のいろいろな踏み込み方をこれからしていく守り方がいま残されるただ一つの道だ。これは別に中共だけに限ったことではありません。その他の諸外国も含めてそうではありますけれども、いまのアメリカの核のかさの中に入って自国を守ろうとする防衛方針から全く異なった一つの踏み出し方をして、一切諸外国からそういう脅威を受けない純粋に中立的な立場に立つか、ないしはいままでよりもより強力にアメリカの変化に応じて日本自身も変化させていくか、このどちらかを選択せざるを得ないという時期がさして遠くないというふうにわれわれは考えるわけなんです。そういうことにつきまして、長官が何か三年先のことは非常に先の――それは長官大臣をなさっているかどうかは別として、あなたはやはり日本の長き将来にわたっての防衛の重要な現在の責任を果たさなければならないわけでございますから、そういう点、イモの煮えたのを御存じないというふうなすこぶる春風たいとうたる考え方でいまなおおられるということにつきまして、われわれは非常に危惧を感じますので、そういう点で、いますぐに答弁を求めるわけではございませんけれども、こういう変化に即応してわが国のより安全な、しかも憲法を尊重しながら平和的に核戦略下の自国の安全をはかっていく、こういう問題を絶えず考えながらいろいろとエンタープライズの問題とかあるいは沖繩基地返還の問題、諸外国を刺激しない平和な日本を、完全にその独立を回復していく、こういう面での一そうの御研究をお願いいたしたいと思います。  時間が非常にございませんので、申し上げたいこともございますけれども、きょうはこれで終わります。
  206. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時九分散会