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1967-09-08 第56回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年九月八日(金曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 塚田  徹君 理事 藤尾 正行君    理事 大出  俊君 理事 山内  広君    理事 受田 新吉君       内海 英男君    橋本龍太郎君       毛利 松平君    稻村 隆一君       木原  実君    武部  文君       浜田 光人君    山本弥之助君      米内山義一郎君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         文 部 大 臣 剱木 亨弘君         国 務 大 臣 木村 俊夫君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府人事局長 増子 正宏君         防衛庁人事局長 麻生  茂君         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵大臣官房財         務調査官    宇佐美 勝君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         文部大臣官房人         事課長     諸沢 正道君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 九月八日  委員高橋清一郎君及び藤波孝生辞任につき、  その補欠として毛利松平君及び橋本龍太郎君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員橋本龍太郎君及び毛利松平辞任につき、  その補欠として藤波孝生君及び高橋清一郎君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件(人事院勧告に関する  問題)      ————◇—————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議開きます。  公務員給与に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。鈴切康雄君。
  3. 鈴切康雄

    鈴切委員 人事院総裁にお伺いしたいわけですが、今回の勧告人事院が特に留意をされた点は何でありますか、お伺いいたします。
  4. 佐藤達夫

    佐藤説明員 御承知のように、私ども勧告民間水準を重要な基礎にとらえて行なっておりまする関係上、やはり民間の趨勢というものが大きく反映してくるということに相なります。御承知のようにことしは民間上げ幅相当ございました。これすなわちわがほうの調査にもあらわれてまいりまして、七・九%という格差を得たわけでございます。その中でも、結局俸給表そのものの改正が当然重点になるわけで、私どもは七%を俸給表改善に充てました。その場合に、民間のことしの特徴として、上下階層がほとんど同率上げ幅になっておるというところが相当顕著に見受けられましたので、私どもは私どもとして、公務員との均衡の問題は別にありますが、それはそれとして加味いたしましたけれども、基本的にはただいまの上下階層ほぼ同率という形を私ども勧告にも取り上げておるということでございます。  それからなお手当関係では、新しく都市手当というものをつくりました。これが大体大まかに申し上げまして大きな特徴であろうと存じます。
  5. 鈴切康雄

    鈴切委員 公務員試験受験者が、昨年は一昨年より五・六%も減少しているわけです。また医師などは、民間流出も非常に多い。今回の勧告初任給の引き上げや医師給与改善が重視されたが、まだ不十分ではないかというふうに言われているわけですが、その点についてお伺いしたい。
  6. 佐藤達夫

    佐藤説明員 一般の初任給関係は、これは私どもやはり公務員採用責任一端を背負っております関係上、従来最も重く見てまいったところでございます。私ども計算しております民間水準よりは、実は従来少し上回りぎみでやってまいっておる。もちろん大会社にはこれは比ぶべくもございませんが、民間水準からいえば多少上になっておる。ことしもその点は民間と比べますと、決して下回ってはおらない。同率あるいは同率以上ということになっております。  それからいま御指摘の医師方々、これは私どものたいへん悩みの種でございまして、たいへんな開きが従来ございましたところ、ことしはまた五〇%を越す開きが出てまいりまして、非常に苦労したところでございます。したがいましてその苦労の一端として、医師については特にまた初任給について特別の配慮をした。特に国立病院辺地等にあります場合、非常に採用が困難ということ、またそれは一方民間の場合を見ましても、やはり地方にあります病院の場合については、初任給について相当手当てをしておられるという事実がございますので、本俸のほうでも引き上げますとともに、医師初任給手当として、いままで五千円一段階でありましたのを、一万円、七千五百円、五千円と三段階設けて、一番辺地採用される方々には一万円の手当を差し上げるというようなことで、できるだけのことは処置したつもりでございます。
  7. 鈴切康雄

    鈴切委員 いま総裁からお話がありました今度の勧告の中でも、手当としての特色の都市手当性格についてお伺いいたします。
  8. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これは私ども先ほど触れました基本的に官民格差重点にとらえて、その格差を埋めるという立場をとっておりますから、たとえば公務員の中の職種について見ましても、民間のお医者さんと国立病院のお医者さん——全体の格差は七・九%で埋まりましても、お医者さんの格差をとってみると、五〇%も六〇%も開きが起こる、これは職種別にも合わせるべく努力いたしますとともに、地域別官民格差というものはまだ相当の幅がございますので、これも埋めなければならぬということは、いわゆる官民格差中心として考えれば当然の結論になると思います。ところで、その点については昔御承知のように勤務地手当というのがありまして、それがいま暫定手当という形で一種の臨時の措置として残っておりますけれども、これは御承知のように定率でなしに定額できまっておりますために、ベースアップのたびごとに、パーセンテージからいうとだんだん暫定手当意味というものは薄れてまいります。そういうことで、一方官民地域別格差というものを見ますと、ただいまの四級地になっておりますような大都会的なところをとらえて民間給与公務員給与を比べますと二二%ぐらいの大きな開きがある。これはとうていほっておけないということが事実上の条件になるわけでございます。それから法律上の条件としては、実は暫定手当の形で地域給の問題が一応凍結されましたとき、その後給与法の第二条第六号という条文が加わりまして、やはり官民給与地域的な格差、これに対処する給与上の措置をとれと人事院はその措置国会及び内閣勧告しろという至上命令的な条文が実は昭和三十五年に入ったわけです。その場合に、従来の暫定手当整理を含んでやれということがございまして、実はわれわれの一つの大きな宿題になっておったわけでございますけれども、これが従来その機を得ずして今日まで延引してまいった。片や、いま申しました実事上官民給与から申しましても、たいへんな地域的格差がございますから、少しでもこれを埋めざるを得ないということで、今回都市手当制度勧告申し上げたということでございます。
  9. 鈴切康雄

    鈴切委員 都市手当はかつて問題になっておりました地域手当復活であるというふうに反対の意見もあったようでありますけれども、これは地域手当とはどういうふうな性格の違いがあるかについてお伺いしたい。
  10. 佐藤達夫

    佐藤説明員 昔ありました勤務地手当制度は、これはもう日本全国津々浦々に及んでこれを五段階に分けて、そして非常に精密な扱いをしておったわけです。これが幸いにして、そういう面の大きな目で見ますと経済上その他における地域的の格差ということはずっとなくなってきておるということから、御承知のような五段階ありました暫定手当を逐次繰り入れ、整理をしてまいりまして、現在四級地と三級地だけが残っておる。二級地まではもうすっかり制度的に平準化されております。ところが今度残りの、これが実は胸突き八丁でございまして、先ほど申しましたように、これらについて見ますと地域的の格差はまだ相当顕著なものが残っておる。そこでいまの措置になるわけでございます。勤務地手当復活ではないかということはしばしば私どもの耳にも入りますけれども、そういうような意味で、従来の勤務地手当に比べると相当煮詰まった、狭い範囲の、いわば従来の四級地と三級地のワク内で問題であるということが一つでございます。それから、先ほど触れましたように、給与法律上、従来、勤務地手当的なものはやめるんだということになっておれば、実は私ども非常に気が楽な話でございますけれども、先ほど御紹介申しましたように、地域的の格差に対処する給与上の措置をとれというようなこと、これはおそらく新しい措置をとれという趣旨だと思います。格差がある以上はやはり措置をとれという至上命令もありますものですから、そこで今回の都市手当と相なった、簡単に申しますと、そういう趣旨であります。
  11. 鈴切康雄

    鈴切委員 あなたがここに勧告を出されております中に、都市手当新設等所要経費が約三十五億円と示されておりますが、三十五億円という経費が見込まれているというならば、当然に都市手当支給地域に対する構想を持っての上であると思いますが、その構想をお伺いしたい。
  12. 佐藤達夫

    佐藤説明員 基本的な構想は、先ほども少し触れましたように、大体残った問題は四級地、三級地である。したがって、従来の三級地、四級地以外に問題が発展する可能性は全然ない。そのワク内での問題だということになります。そこで、私どもとしては都市手当に甲と乙と二種類設けまして、甲は六大都市に当たるような、諸条件において非常に高度の格差のあるところ、それからそれに次ぐところを乙地として指定するつもりでございますが、結局それはいままでの四級地、三級地の中から選び出す。その基準は、先ほど触れました官民給与地域的な格差の顕著なところ、これが一つの大きな条件です。それから生計費物価もそうでございます。物価生計費等、すなわち給与を決定する条件経済上の条件。大体、官民給与格差物価生計費格差、これがどなたがごらんになってもなるほどと思われるような顕著なところという基準でこれをとらえまして、これを甲乙に割り振っていくということでございますから、大体その幅は煮詰まった形になっておるわけです。したがって金額計算も、これは計算の面からいうと実に大まかでございまして、別に特定した市を考えてやったわけではございません。大体そういう考え方から、いまお述べになりましたような金額は予想されるということでございます。
  13. 鈴切康雄

    鈴切委員 いま、特定の市を考えたわけじゃないというお話でありますが、三十五億円という見込みが出たという計算基準についてお伺いしたいと思います。
  14. 佐藤達夫

    佐藤説明員 一応私から……。  大体当選確実なところというのはさまっておりまして、そこはまた公務員諸君のたくさんおられるところなんでございます。あと端境のところ、当落線上にあるというところは、数字から申しましても、私はそういたして何億とかいうことに大きく出てくるものでもあるまいと思いますので、したがいまして、いま給与局長から御説明申し上げるかどうか知りませんけれども、そうぎりぎり決着のところまでの数字ではないと私は考えております。
  15. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 都市手当分といたしまして、一人当たり平均三百十六円、〇・七%というのを一応予定しておるのでございますけれども、その中におきましては、〇・七%のうち、現行暫定手当につきましての官署指定につきまして、若干の従来から問題のありました官署につきまして指定の拡大をするという関係一つございます。それからもう一つは、異動いたしました場合に、従前の保障をする期間を一年を二年に延ばすという関係について今回勧告をいたしておりますけれども、この関係が合わせまして〇・一%程度というふうに予想をしているわけでございますが、その残りの〇・六%程度につきまして、新しい暫定手当から都市手当への移行に際する経費というふうに予想しているわけでございます。その内容につきましては、いま総裁から申し上げましたとおりでございまして、甲地につきましては、六大都市中心にいたしまして、若干の余裕をとっているわけでございます。それから乙地につきましては、六大都市に次ぎまして官民格差がございまして、かつ物価生計費の高いところという関係を予想しておるわけでございますが、つまり大体現行の三、四級地から新しい甲乙地に移行するという関係におきまして、相当部分が移行するということにおきまして計算をして入れてございます。  なお具体的には、今後内容実施までに明らかにいたしたいというふうに考えているわけでございますが、したがってその内容を、どことどこという関係をここで明らかにするのは控えたいというふうに思っております。
  16. 鈴切康雄

    鈴切委員 都市手当の百分の六が甲地、百分の三が乙地算定基準というのはどういうふうなものであるか、また、都市手当対象である甲地は、いま六大都市と言われたわけですが、乙地はどういうところまでその線が出されるかということについて、ある程度構想がまとまっているでありましょうから、お伺いしたいと思います。
  17. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いま局長から申し上げたところを違った口から御説明すれば、要するに六大都市級のものは甲地とみなす、それ以外のところはこれに次ぐものと言ったわけですけれども、これはいまの三級地、四級地の中から皆さんの御納得いただけるようなところに線を引いて拾い上げたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  18. 鈴切康雄

    鈴切委員 たとえば一つの例をとってみますと、六大都市以外に、たとえば福岡市という市があるとします。その福岡市における国家の機関につきましては個々に査定をされるのではないかと思うのですが、そうした場合に、たとえば六つの国の機関があった場合、その一つを査定して、これを甲の基準にするとか、乙の基準にするとかということをきめるとなれば、たとえば六つなら、六つの中の六つとも甲というふうな姿が出てくる場合もあるのではないかと思うわけですが、そういう場合には、六大都市といっても、たとえばそういうところにも当然完全に甲地と同じ指定をしなければならないようなところが出てくるのではないか、こう思うのですが、その点いかがですか。
  19. 佐藤達夫

    佐藤説明員 基本的にはやはり行政区画を押えて指定をしたいと思いますけれども、いまのお話にたぶん触れておると思いますけれども、その当該都市周辺にやはり国の官署相当ございます。実際上からいえば、むしろ都市に住んでおる人がそこに通っておるというようなものも相当あると思います。そういう周辺官署、これは地域でカバーできませんから、地域プラス官署指定という形で実情に即した方法をとっていきたい、こういう心がまえでおるわけであります。
  20. 鈴切康雄

    鈴切委員 また、地方公務員の場合は、教員の異動がやりにくくなると文部省ではいっているようですが、この点については人事院ではどういうふうにお考えになっていますか。
  21. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私ども地方公務員関係に直接くちばしを差しはさむべき立場にはございませんけれども、私ども考えておるところから申しますと、先ほどおわかりいただいたように、もう大都市中の大都市、よくよくのものしか考えておりませんので、地方の各府県にありますような、その中での首府的な都市というものは、私ども指定の問題ではないわけです。したがいまして、全国を通じてのよくよくのところというかまえでおりますから、それに均てんされれば問題は同じことになると思うわけです。  そこで、いまの人事異動の問題というのはお話しのとおりなんです。実は甲地なら甲地手当パーセンテージをどうするか。これは先ほど触れましたように、官民格差からいいますと二二%ぐらいになります。これをまるまる二二%手当を差し上げるかというと、これはまたたいへんなことになります。たとえば、人事異動の面から考えましてもたいへんなことになりますので、それは一つ基準には、すなわち指定基準にはいたしますけれども、さてパーセンテージとして、手当としての額になりますと、とても二二%というようなわけにはいきませんということで、大体物価が六%、その辺というようなことが一つめどにもなりますので、その辺を押えて、甲地で六%というようなところをめどにしておる。それから異動の場合の異動保障でございますね。異動保障は、従来、暫定手当の場合御承知のように一年間の保障をもらっておりました。都会地から地方にかわられても、一年間は前の暫定手当保障してやるという方法異動の便を考えておったわけです。今度はそれを二年に延ばしました。その辺のところでうまくやってもらいたいというように考えております。
  22. 鈴切康雄

    鈴切委員 先ほど少し答弁漏れされたわけですが、都市手当の百分の六並びに百分の三の算定基準についてお答え願いたい。
  23. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いまちょっと答弁漏れがあったかなと思いながら六%のことを申し上げたのでありまして、それは、本来は官民格差出発点でございますけれども、一三%というわけにもいくまい。そこで、いまちょっと触れましたように、大体物価が六%というようなところが一つめどになるのではないかということでやる。それからその次の乙地のほうは大体それの半分。いまの暫定手当が御承知のように五%と二・五%、これは定額でやっておりますけれどもパーセンテージに引き直せばそんな形になっております。あまりに急激な変化もどうであろうかということも勘案して、ただいま申し上げたようなパーセンテージにいたしたわけであります。
  24. 鈴切康雄

    鈴切委員 たとえば中央におきますところの、要するに公務員の昇格というものは案外早いと思うのですよ。やはり地方というとそういう点においては、責任のあれもありますが、非常におそいと思うのですが、そういう点は今度のには加味されているのかどうか。
  25. 佐藤達夫

    佐藤説明員 ただいまのおことばに出ましたのは完全なる人事運用の問題でございまして、これは制度的の問題としてそれをそのまま反映することは、これは事の性質上ほとんど不可能なことだと思います。したがいまして、これは運用のほうの適正を期待すると申し上げざるを得ないと思います。
  26. 鈴切康雄

    鈴切委員 住宅手当は今回も勧告内容から見送られておりますが、都市手当新設はこれにかわるものであるかどうか。
  27. 佐藤達夫

    佐藤説明員 住宅手当は、たびたびこの委員会でも申し上げましたようなことで、民間の帰趨を年々見守ってまいりましたけれども、ことしの場合もやはり支給事業所は三九%ということで、なかなか圧倒的な数字にはなっておりませんので、これはわれわれとしても一応これを取り入れることはやめたわけであります。ただ、ちょうどその話につながって、都市手当というのが出ているものですから、すりかえではないかというような御批判がところどころから出てまいりました。実は私ども発想は、住宅手当発想都市手当発想は全然違うわけであります。ただいままでの御説明でおわかりいただけたと思います。ただ結果においては、都市のほうが家賃、間代が高いということをお考えに入れていただけば、都市手当もその面のお役には立ち得るだろうという意味で、実際上のつながりがありますが、問題の発想としては全然別な発想からきておるということをはっきり申し上げさせていただきたいと思います。
  28. 鈴切康雄

    鈴切委員 完全実施については、いままで実施の時期が九月になっており、人事院としてもきわめて遺憾であると私は思います。また総裁もそのお気持ちだと思いますが、ことしも再びこのようなことのないよう、また将来の悪循環を断ち切るためにどのような構想を持っておられるか、また政府のいままでの実施状況に対し、総裁はいかなる意見を持っておられるかについてお伺いしたい。
  29. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それは一番大事なところでございまして、おのずから声を大きくして申し上げなければならぬところでございますけれども、従来いかに私どもがつらい思いをしてきたかということは、もうここでたびたび多少取り乱した形を交えて申し上げたその気持ちは十分おわかりいただけるだろうと思います。われわれは、われわれとして相当、これは十分に努力をしたつもりでございますけれども、ついに実を結ばなかった。ことしは、私ども専門家ではございませんけれども、いろいろな客観的な条件というものは従来に増していいように思われるということもございます。ほんとうの意味で、ことしこそはという決意を持って、もう実は、どこかの委員会で、ここでございましたか、申し上げたかと思いますけれども、去年の暮れあたりから、ことしは猛運動を始めておりまして、その意気込みでこれからまたさらに臨もうと思っております。これもたびたび申し上げますけれども、私ども内閣にも勧告はしておりますが、実は国会に対しても直接御勧告を申し上げておるわけでありますから、したがいまして勧告対象一つ——ども対象としては国会のほうが有力な対象だと信じて疑いません。ぜひお力添えをお願いしだい。この機会にお願いしておきます。
  30. 鈴切康雄

    鈴切委員 人事院は、勧告完全実施されれば民間給与との実質的な格差はなくなると、そのように思われておるかどうか。
  31. 佐藤達夫

    佐藤説明員 勧告が五月にさかのぼって実施されれば、私どもとしては格差がなくなると申し上げるべき立場におるわけです。したがいまして、春の民間調査の結果出た格差を埋めていただくためには、当然その時期にさかのぼっていただかないことには埋まったことにはならぬ、そういうことでございますから、筋合いから申しましても、ぜひ完全実施をしていただかなければならぬ性質のものであるという信条のもとに行動しておるわけです。
  32. 鈴切康雄

    鈴切委員 現在の四月調査それから八月勧告というのは、はたして適当であるかどうかという問題、完全な実施や、民間との比較についても、いまの制度を改めたほうがよいではないかという意見もあるわけですが、そういう点について、人事院総裁としては、現在の四月調査、八月勧告というのはいい、そのように確信を持っていられるかどうか、その点についての御構想をお伺いしたい。
  33. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私どもが多年四月調査、八月勧告でやっておりましたのには大きな理由があるわけであります。御承知のように、少なくとも日本における民間賃金動きを見ますと、大体これは春に大きな動きを示しておるわけです。その時期をとらえて官民格差を発見し、そうしてそこにさかのぼってこれを埋めていただくというのが、民間給与にならえというたてまえから申しますならば、一番正しい適切な方法であろう。ただ、いろいろ集計の手数がかかるものですから、ついに勧告の時期となりますと八月に入る、これはやむを得ないと思います。少なくとも、さかのぼっていただかぬことには、いまのたてまえから筋が通らぬということで、かようになっておるわけでございます。  ただいまお話しのように、完全にいままでその実施を見ていないという一つ批判として、それに関連しての一つ批判としては、年度半ばの勧告、予算上の扱いもなかなかむずかしいというようなお話もあり、とにかく勧告時期をもう少し考えるべきではないか。これは数年前から政府側あるいは地方団体側から、そういう要望がありました。私どもも謙虚に、いま申しました現在のやり方はこれは正しいと思いますけれども、さらにそれ以上にいい方法は、完全実施をしやすい方法があれば、私どもとしてもそれに越したことはありませんから、この件に関する限りは、内閣関係閣僚委員会あたりとも私どもも一緒になって名案をいろいろ検討してまいったわけであります。遺憾ながら今日までのところない。しかし、しからば、いまのたてまえをとっておる限りは絶対完全実施不可能か、決してそんなことはございません。これはもういつも申し上げることでございますけれども、公労委の仲裁裁定、あれも年度半ばであります。予算が成立早々の五月に入って裁定が行なわれまして、それが何と四月にさかのぼって実に完全に実施されておる、補正予算も何もなしで実施されておるわけであります。まことにわれわれとしてはうらやましい限りであるわけであります。しかも公労委の裁定に服しておられる方々の中には、われわれのお預かりしておる一般職の公務員と同じ公務員である。現業職員はそうです。同じ何々省の屋根の下で、片や現業である方は四月にさかのぼって完全に実施を受ける。われわれのお預かりしておる側は、九月だとか十月だとかということになっては、そういうバランスの面から申しましてもわれわれは忍びない。いわんや筋の問題から申しまして、先ほど申しましたように、さかのぼっていただかぬことには筋が通らぬという気持ちを持っておるわけでございます。
  34. 鈴切康雄

    鈴切委員 最後に人事院総裁に、私は公務員が公務に専念できる基盤の整備と社会的地位の向上をはかるため、その処遇についてはぜひとも力強い改善が必要である、そのように思うわけであります。人事院の働きかけは、そういう意味において、勧告完全実施を行なうためにもきわめて大きな力になると思うわけでありますから、今後当然六人委員会その他でいろいろ話が出ると思いますが、それに対しての人事院総裁としての働きかけ、またその所信についてお伺いしたい。
  35. 佐藤達夫

    佐藤説明員 以上、先ほど来述べましたような決意と所信をもって、おっしゃるとおり邁進したいつもりでおります。
  36. 鈴切康雄

    鈴切委員 では人事院総裁のほうはそれで……。  それでは大蔵省の方にお伺いいたします。いつも給与問題は財源のことで問題になっておりますが、給与の引き上げ分を、あらかじめ当初予算の中に見込んでおくことはできないものであるか。要は、完全実施のための前向きの誠意の有無ではないか、私はこう思うのです。昭和二十三年度以来、給与改善の必要は例年のごとくであり、既定経費化されているという現実ならば、当然当初予算に見込むべきではないか、そのように思うのですが、その点の見解。
  37. 小沢辰男

    ○小沢説明員 そういうお考えもっともかもしれませんが、当初予算の編成時に、翌年度中における給与改定の率というものを当然予測しなければいけないわけでございます。しかも予測をして予算に、給与総額に計上しておくというようなことになりますと、給与は御承知のように法律に基づいてやらなければいけません。給与法定主義というものがはっきりしているわけでございます。予算と法律の不一致が当然そこであらわれるわけでございます。予算制度のあり方から見て、やはりこれは適当ではないんじゃないか。それから、それでは予備費に適当な額を一つ置いといて、きまったら予備費から出せるようにしたらどうだ、こういうことになりますが、予備費でやりますものも、非常に重要なこういう経費というようなもの、しかもそれが予算についても、また法律上も国会の意思が決定をしてからの問題のものを、あらかじめ予備費でそういうものを計上しておくということは、予備費の性格——御存じのように特に不慮の支出ということでございますし、少し予備費の性格から見てもおかしいわけでございまして、人事院のいろいろの調査なり勧告の時期を予算編成と合わすかどうかということで、むしろそちらのほう、大蔵省といたしましても何とか年度途中に出てくるようなかっこうでない方法はないかというので、いろいろお願いもしたり、議論も御承知の六人委員会でやっているようでありますが、なかなかそれがうまく名案が出ないといいますか、まだ確定してないようでございます。
  38. 鈴切康雄

    鈴切委員 いま給与法定主義云々というお話があったわけですが、給与改善費の約半額くらい、すなわち昇給財源と同程度の四ないし五、給与改善費中に計上しておき、残りを補正でまかなったならば、給与法定主義にさしたる支障もなく、また既定経費化されるので計上できるし、また勧告改善、アップ率にも影響しないと私は思うのですが、その点いかがでしょうか。
  39. 小沢辰男

    ○小沢説明員 いま申し上げましたように、どうしても給与の法定主義という点から見ますと、法律と予算の不一致を生ずるようなことを大体の予測で計上しておくということは、現在の予算制度から見まして、私ども少し無理があるという考えでございます。
  40. 鈴切康雄

    鈴切委員 経済動向の流動する現在、租税の自然増収あるいは既定経費の節減などに公務員給与の財源を求めておることに対して、私は非常に見識がないと思うのです。これについてはどうですか。公務員給与は租税の自然増収、既定経費の節減等に左右される性格のものではないと思うのですが。
  41. 小沢辰男

    ○小沢説明員 私ども、実は人事院勧告を尊重いたしまして、毎年いろいろ検討するわけでございますが、同時にやはり御承知の補正要因というものが当然いろいろな面で出てまいります。そういうようなことから考えますと、国の財政全般の面からいろいろ検討いたしまして、そしてそれぞれ必要な経費の支出をはかり、それについての必要な財源のくめんというものをやっていくわけでございますので、実は給与改定のために節約を命ずるということではない。全体の補正予算の編成上の、一つの収入面における操作の一つがそういうことでございまして、給与の改定を一般の既定経費の節減でまかなっているという御印象を持たれましたのは、特に昭和四十年度のあの不況のときに、給与は大蔵省はいつも金の面から切るんだ、よくこう言われるのですけれども、自然増収どころか、国の収入が二千億も赤字が出るというようなときでさえ、九月実施ということで給与の改定の財源だけは確保しているわけです。その際にできるだけ——自然増収どころか、税の減収だというときにもやらなければいかぬわけでございますから、そういう場合にはいろいろな経費のかき集めをできるだけやらなければならぬ。そういうことが一つの先生おっしゃるようなあらわれになっておるわけでございますので、この点は御了承いただきたいと思います。
  42. 鈴切康雄

    鈴切委員 各省の設置法の改正などは、法律案の成立を予測して予算を計上しておる場合がある。実際には廃案となる例もかなりあると思うのですが、これに比べて、給与改定を当然にあらかじめ予算に計上してもいいのではないかと思うのですが、その点どうでしょう。
  43. 海堀洋平

    海堀説明員 あらかじめ翌年度の施策を前提といたしまして、法律と予算を同時に提出するということは、各年行なわれておるわけでございます。したがって給与の改定をどうするかということをきめまして、それに関する法律案と予算を同時に提出することは、今回の勧告実施するにしても、そういう形をとるわけでございます。したがってその場合には、法律はまだ成立していないけれども、補正予算という形で予算を提出しておるわけでございまして、これはもう一般の国政の、国会審議にかけるやり方そのままでございます。しかし四月におきまして、給与をどうするかということがきまっていない時期に、予算のみをある予定した金額で組むということは、給与法律事項である限りできないことだと思います。
  44. 鈴切康雄

    鈴切委員 次年度、当初予算に不足分を計上するようなあと払い方式を採用して、完全実施するということはできないのですか。
  45. 海堀洋平

    海堀説明員 それは絶対的にできないという問題ではないと思います。だから、ただ、財政あるいは給与の本質から見まして、そういう措置をとることが妥当ではないと思いますが、絶対に不可能であるということではなかろうと思うのでございます。
  46. 鈴切康雄

    鈴切委員 いまいろいろ申し上げました。さらに、何%改善アップ率を予測計上することはできないなら、予備費で処置するということについてもいまお話があったのですが、その点についてどうですか。
  47. 小沢辰男

    ○小沢説明員 先ほど申し上げたとおりでございまして、予備費の性格からいいまして、それは少し無理じゃないかと思っております。
  48. 鈴切康雄

    鈴切委員 いま私がいろいろ例をとって申し上げましたが、どれもかなり難点があるわけですが、それでは大蔵省の立場として、完全実施するにはどういうふうにしたらできるかということについて、その御見解をお伺いしたい。
  49. 小沢辰男

    ○小沢説明員 人事院総裁が先ほど言われましたように、いまのような形だから完全実施ができないというものではないわけでございます。私ども勧告趣旨を尊重して、できるだけの検討を毎年いたすわけでございますが、ただ財源があるとかないとかというだけではありませんで、国の財政政策全般というものから見まして、いろいろな影響のある非常に大きな問題でございますので、慎重に検討しながら、まあ例年のような結論がいつも出ておるわけでございます。ただ、年度途中でございますから、地方関係やいろいろ考えてみますと、これはなかなか困難性が多くなる点が多いものですから、それは私どもも六人委員会等で、特に積極的に大蔵省のほうからお願いをいたしまして、何とかいま先生がおっしゃるような予算ではっきり計上して、そして通常国会に法案を出していくような方向がないものか、これをいろいろ研究していただいているというのが実情でございます。
  50. 鈴切康雄

    鈴切委員 この問題は、実に何年も懸案とされている問題であります。ゆえに私は、その方法云云というよりも、むしろ姿勢の問題だと思うのです。ほんとうにやる気であるならば、どういう方法だってできないわけはないと思うのですが、その点について、ことしなんかは、私は現実の問題として、税の自然増収が例年より非常に多く見込まれているのについては、完全実施するには一番いいチャンスじゃないかと思うのですが、その点についてひとつ御見解をお伺いしたい。
  51. 小沢辰男

    ○小沢説明員 自然増収がことしは非常にあるだろう、したがって非常にやりやすい時期じゃないか、ここで姿勢の問題だからおまえのほうで踏み切ったらいい、こういう先生の御意見でございます。各委員会で、何か犯人がいつも大蔵省のように言われるのでございますが、私どもとしては、御承知の景気対策というようなものをやらなきゃいかぬような時期でもありますし、それから一方において、各党といいますか、先生のほうや、あるいは社会党その他公債の減額を迫られ、あるいはまた災害等を控えまして、切実な災害地のいろいろな問題の要求がございます。そうなりますと、税の自然増収が例年よりは多いだろう——もちろん正確には九月期決算を見ないとわかりませんけれども、そういうような予測がたとえつきましても、国民経済全般の運営という観点から見て、必ずしも税の自然増収を直ちに公務員給与の問題だけにしぼってこれを対象にしていくというわけにはいかないわけでございます。そういう面で、なかなか苦しいわけでございますから、この辺のところも——しかし、なお繰り返し各大臣が委員会で御答弁いたしておりますように、できるだけ尊重し、前向きの検討をするということは、これはもう私のほうも当然やっておるわけでございますので、いましばらく税の自然増収を、何といっても九月期決算を見ないうちは、私ども正確に把握できませんので、ひとつ検討さしていただきたいと思います。
  52. 鈴切康雄

    鈴切委員 給与担当大臣の塚原さんがおいでになりましたので、お伺いいたします。  私は、第五十五回国会の予算委員会で、人事院勧告完全実施について質問いたしております。人事院制度昭和二十三年に発足して以来、その勧告が今日まで完全実施されたことは、いまだ一度もないわけです。一体国家公務員法で定まっている人事院勧告に対し、勧告完全実施についてどういうふうにお考えになっているか、この点について。
  53. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 人事院のあり方、人事院勧告というものにつきましては、政府は、私もたびたびいろいろな委員会で答弁いたしておりまするように、これは尊重しなければならないものであります。しかし、今日まで勧告どおりに実施されていないことについてのいろいろ御批判があることも、私はよく承知いたしております。給与を担当する大臣といたしましては、あくまでも人事院勧告を尊重して、これを勧告どおり実施するということについて努力いたす強い決意を持っております。
  54. 鈴切康雄

    鈴切委員 勧告を尊重するという意味なんですが、尊重するということは、これは前向きに前進をしていくという意味であるのか、それとも参考にしておくという意味なのか、その点について。
  55. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 文字どおり、尊重するということはその字のとおりでありまして、まあ前向きとか、二ついま鈴切君がおっしゃいましたが、前向きと何ですか。
  56. 鈴切康雄

    鈴切委員 前向きと参考にするということ。
  57. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 それはどういう差があるでしょうかね。文字どおり、尊重するということは、前向きだと私は考えております。
  58. 鈴切康雄

    鈴切委員 完全実施勧告されて実に何年間、まだそのことについては実に停滞して進んでいないわけであります。そういう意味からいうならば、私はむしろ前向きに進んだというふうには思えないのです。むしろ参考にしていつも切り捨て、そういう姿勢ではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  59. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 私が就任いたしましたのは、昨年の十二月でありまするけれども、そのとき給与担当ということになりました。だいぶ私のところには仕事がたくさん多いのですが、この問題が非常に重要な問題であるというので、私は最重点を置いていることは事実であります。六人委員会という、これはどなたがおつけになった名前かは知りませんが、給与関係のある閣僚が集まっていろいろ相談をいたす閣僚協議会がございますが、来年またこの問題が出てくる、従来と同じような方式であってはならない。したがって、今日までいろいろな批判があることについて、これを打破するための方策を検討しなければなるまいというので、当時は、官房長官の木村君、いまの木村君と福永君がかわっているだけでございましたが、いろいろと相談いたしました。しかし、たとえば勧告時期とか、あるいは予算にどういう時期に組んでおくとか、いろいろな案がございましたけれども、それの結論を得るに至らない間に、いわゆる四月の人事院民間給与の検討をする時期が来てしまったわけでございます。そこで四月調査、八月勧告という従来の方式に従わなければならなかったのでありますが、それにしても、繰り返すように、御批判がある。この御批判を避けなければならない、なくさなければいけません。私は、この問題も大蔵委員会で質問を受けましたが、従来のマンネリを打破したいということばは、そこに一歩でも二歩でも前進したい。もちろん完全実施ということが目標である。それが一番望ましい姿ではある。しかし、それが不可能であるならば、マンネリを打破して批判を少しでも少なくしていかなければならないという立場から、御相談をいたしてまいったことは事実であります。ことしもやはり四月調査、八月勧告ということになって、いま衆参両院でいろいろ御論議を願っておるわけでありまするが、私は給与を担当する者の一人といたしまして、あくまでも勧告の線に沿った解決をするべく努力いたします。きょうも午前から、実は閣議を終了後六人委員会を開くつもりでおりましたが、院の都合で午後に延ばしたようなわけでありますが、私はできるだけの努力を続けていく考えでございます。
  60. 鈴切康雄

    鈴切委員 長官はいつも努力するとか、前向きの姿勢で臨むとか、そのように言われたわけです。勧告を尊重することをそのように言っておられるわけですが、はたしてことしは完全実施ができるかという現実の問題についての長官の御構想を、まず伺いたいわけです。
  61. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 私は、どうしてもこれを実現したいという強い希望で臨んでおります。おくれて参りましたので、財政当局からどういう御発言があったかは存じませんが、財政当局に対しましても、この問題の解決を早くやりたいという強い気持ち身持っておりますので、九月末あるいは十月半ばころにならなければ決算の見通しがつかぬというようなお話もありますが、でき得べくんばひとつ早い時期に財政上の見通しを立てていただいて、そしてこの問題の解決をはかろうというととを強く私は申しておるのでございますが、大蔵のほうは、いま直ちにというんじゃなくて、今月の末か来月の初めくらいまでにはその見通しがつくからということでありますが、私は、去年が十月何日だったからそれに従うというような気持ちは、毛頭持っておりません。あらゆる角度から考えて、この問題は早急に解決すべきである、このように考えております。
  62. 鈴切康雄

    鈴切委員 いま長官が来られる前に大蔵省のほうにお聞きしたわけですが、財源の問題ということもそれは一理はあるけれども、むしろ姿勢の問題だというような意味の発言をされたわけでありますが、それについて、給与担当大臣である塚原さんは——きょうは六人委員会に出られるわけであります。いよいよもうあとわずかの時間を経て六人委員会に出られる以上は、担当長官としてすでに私案あるいはかなりの構想を持ってこれに出られるんじゃないかと思うわけですが、はたして完全実施に踏み切れるあなたの確信でそれを押し通すか、それともことしは六月か七月か八月か、その三カ月のうちのどこにおさまるかということについての私案について、あるいは御構想について、お伺いしたいのでございます。
  63. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 私は、問題にぶつかるときに、その問題がこうで、その次、次善の策がどうだというようなやり方はとらない男でありますから、やはり人事院勧告を尊重するたてまえを持っておりますので、どうしてもこれを実施する方向に向かって努力するということで、いまの段階ではそれ以外には考えておりません。
  64. 鈴切康雄

    鈴切委員 それでは塚原さんは、人事院勧告完全実施ということについて、きょうの六人委員会でもかなり強烈にその発言をし、しかもその結果が期待できる、そのように受け取っていいわけですか。
  65. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 なかなか仮定の問題についてはお答えできませんが、私は私なりに全力を尽くします。
  66. 鈴切康雄

    鈴切委員 三公社五現業の職員については、皆さんも知ってのとおり、一般職の公務員と同じ国家公務員であるにもかかわらず、例年四月一日をもって給与改定の完全実施が行なわれているわけです。補正予算、あるいは経費の移流用、または建設事業の繰り延べ及び資産充当等によって、公企体は完全実施されている。大蔵大臣は仲裁裁定実施のための承認を年々与えられているが、何ゆえ一般職公務員の場合は、財源等を理由として完全実施ができないのか、私はふしぎなわけですが、その点について。
  67. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 三公社五現業と公務員を比較いたしました場合に、その給与財源の調達方法並びに給与決定方式を異にしていることは、これは鈴切委員も御承知のとおりだと思います。だからといって、私は決して逃げる意味ではございませんが、率直に私の気持ちを申し上げまするならば、今回の三公社五現業の場合には、当事者能力について云々されながらも、調停の段階でこの問題の解決を見出し得るような情勢になったということがありまするだけに、三公社五現業と公務員の方との間に何か格差というものが認められているというようなことは、絶対とるべきではない。三公社五現業の場合もそうであっただけに、公務員の場合も御批判をなくすような方向にいかなければならないと、私は率直に考えているわけでございます。したがって、そういうことも十分考慮に入れて、私はいま苦労いたしておるところでありますから、ひとつ御鞭撻をお願いいたしてやまない次第であります。
  68. 鈴切康雄

    鈴切委員 それについては、スト権のない公務員給与改善にあたって勧告完全実施されないことは、あたかも個人的貸借関係で値切り倒されている、そして手の出しようのないというような姿、悪くいえば手足を縛ってげんこつでなぐると同じようなものだと私は思うわけですが、このような非道義的なことは許されることではない、そのように思うわけですが、長官もそのとおりだと思うのですが、いかがでしょう。
  69. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 どうもたとえを言われて、そのとおりだと言うと、ぼくが鈴切さんのおっしゃったことを言うということになるでしょうが、先ほどから私が申し上げておるように、鈴切さんが例示された、三公社五現業と公務員の場合における私の気持ちは、申し上げたとおりでありまして、国民の奉仕者である国家公務員が、人事院という一つの代表機関保障機関というものが存在しておる以上、私は、この制度が一番望ましいものであると考えておりますが、従来からの御批判もよく私は承知いたしておりますし、国会における論議も承知いたしておりますので、国家公務員立場考えて努力いたす考えでございます。
  70. 鈴切康雄

    鈴切委員 公務員は、善良な国の奉仕者であり、優秀な人材を集めて仕事をしなければならないと思います。しかし、待遇が悪いということで、民間に引き抜かれるというような場合も出ており、公務員試験受験者を見ても、減少しておる。しかも勧告に対しては、毎年同じことが繰り返されておる。長官は、このようなことでよいと思っておられるかどうか。
  71. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 私のところには人事局という役所がありまして、いろいろの仕事をいたしておりますが、いま申しましたように、いわゆるキャリアと申しますか、試験を通って、きまっていながら、給与の面で民間に行ってしまうという、つまりよく言われておる頭脳の流出ということでございましょうが、たいへんこれは誤解を招くことばであるから、あるいは取り消してもけっこうでありますが、いい方が役所に入るようになって、給与の面でよそへ行ってしまうということは、私は好ましいことではないと思っております。しかし、そういう事実がどれだけあってどういうふうになっておるということは、はっきり把握はいたしておりません。しかし、今度の場合にも、新しく入られた方の研修会を約一週間にわたって開いたのでありますが、非常に優秀な方がたくさんおいでになって、熱心な論議をかわしたということは、好ましいことであると私は考えております。しかし、いまおっしゃるようなことが、もしどんどんそういった傾向が強くなっていくということになれば、国民に対する奉仕者としての公務員の問題を真剣に考えなければならないときも来ると思うのであります。それでありますだけに、やはり今度の人事院勧告というものも、そういうものに焦点を合わせて十分考えなければならない点も出てくると私は考えております。
  72. 鈴切康雄

    鈴切委員 時間がもうありませんので、最後に、過日の五十五回国会の予算委員会で、私の質問に対して、長官が、六人委員会中心としてこの問題の解決への努力をはかっているし、下部機構においてもいろいろ案を提出させて検討を行なっているが、予算委員会では、先のことでもあるし、いまこの席で言うことはむずかしいと考えておるが、あまり大ぶろしきを広げないで、実をもって示していきたいということを答弁されております。もはやこの段階においては、給与担当の長官として、所感では、十分に前向きの姿勢をもって、どのように実を具体的に考えられておるか、また六人委員会に対するところのきょうの総務長官の出席に際して、どのような決意を持ってお臨みになるか、お伺いしたいと思います。
  73. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 あの段階で御答弁申し上げました六人委員会のいろいろな案を検討し、また下部機構においても云々ということは、この勧告そのものについて何らか改善の余地がないかということ、そして予算上何か方法があるはずである。これは与野党の方々からいろいろとわれわれはアドバイスをちょうだいして検討しておりましたが、それがそういった数点についての検討をいたしておったことを含めて、いわゆる下部機構云々ということを申し上げたのでありまして、今日の段階では、八月十五日に人事院勧告を出された、これを尊重し、これを実施していくということ以外には、私は考えてはならないと思っております。したがって、先ほどからも申し上げておりますように、人事院勧告を尊重いたしまして、これを勧告どおり実施する努力を最後まで続けてまいる考えでございます。
  74. 鈴切康雄

    鈴切委員 これで終わります。
  75. 關谷勝利

    關谷委員長 大出俊君。
  76. 大出俊

    ○大出委員 官房長官がお見えになるのは十一時半ということでございますが、大体そんな見当でよろしゅうございますか。
  77. 關谷勝利

    關谷委員長 いいです。
  78. 大出俊

    ○大出委員 勧告をめぐる問題につきまして、二十二日の前回の委員会でも実は大蔵大臣の御出席をお願いしたのですが、あのときは翌朝外国に出発をされる、こういうわけで、確かにそう言われれば無理からぬところと思いまして遠慮したのです。本日また大蔵委員会とからみますからというので、いまのところまだ連絡がございませんが、とにかくさいふのひもを握っている方がお見えにならぬものですから、この間も、まず人事院総裁をはじめ、総務長官、労働大臣、自治大臣に質問しましたところ、いずれもずいぶん明確な答弁をされているわけです。総裁は、いても立ってもいられないところから始まりまして、政府決定に向かって全力をあげて努力をする。それでうまくいかなくとも、議会に勧告しているのだから、それに向けてまた全力をあげる、こういうたいへん力強い御答弁であります。また総務長官は、いまも言っておられましたが、先般も、もう少し強く旧来のマンネリを打破して、ともかく完全実施に向かって全力をあげる、実はこういう御答弁でありました。それから労働大臣は、労働行政全般という立場から見て、旧来のマンネリを排して全力をあげて完全実施に向かってがんばる総務長官を大いに応援をして、これまた全力をあげます、こう言う。実はこのときに前向きでとおっしゃったから、前向きにひっかかりまして、前向きとは何だと言ったところが、とにかく完全実施ということを目途に前向きで全力をあげます、こういう再答弁で明確になったわけです。特に自治大臣は、例年財政担当の方、その他の方から地方公務員の財源がないということが完全実施ができない犯人であるがごとくいわれてきているが、これはまことに心外であって、政府がやるという方針をきめる以上、地方財政についてはそれ相当の手はいつでも打てる。したがって、地方財政云々ということが犯人だというようなことは、私としては一切お断わりする。したがって、完全実施に向かって全力をあげて努力をする、実はこういうお話しになりました。これは六人委員会——当時六人で、今度は一人ふえましたが、半分の方が全く完全実施、こういうわけでありまして、きょうここで宮澤さんが完全実施に向かってがんばる、こう言っていただくと、過半数になってしまうわけであります。  ところで、大蔵大臣がお見えになりませんので、財政問題に少し関連をして承りたいのでありますが、水田大蔵大臣は、八月十八日会期末の大蔵委員会におきまして堀昌雄さんの質問に答えまして——堀さんの質問を要約いたしますと、政府はこの際景気調整が必要だということを言っておられるけれども、そのしわが今回人事院勧告をめぐって公務員に寄せられるなどということはあり得べきではないと思うがどうか、こういう質問に対して大蔵大臣が、これは私としてもそういうふうに考えております。こういう答弁をされております。そこで長官に承りたいのでありますが、長官は二月の月例経済報告にあたりまして、日本経済は先行き、本年後半にかけまして、大型、拡大均衡という形で進んでいくのだということを報告されております。ところが、三月の月例報告の中では、だいぶ警鐘を鳴らすかに見える。先行き警戒を要するという、その中身は、鉱工業生産指数等が一四%くらいというのが一八%ないし二〇%くらいまで上がっていくのではないかというようなこと、あるいはまた国際収支、総合収支の面でどうも赤字、しかもそれが、そう小幅でない赤字になってくるのではないかというような点を見越されての、早目にお出しになった警報だろうと私は思うわけでありまして、その意味ではよくわかるわけであります。ところで、現在ここまでまいりました時点で、特に七月二十五日の閣議における報告、あるいは決定なのかもわかりませんが、ここで、どうも少し先行きがおかしくなったのではないかというふうなことをあわせまして、七百億ばかり公債の発行限度を縮小しようというお考え、政保債の五百億、これもまた減額をしようというようなお考え、そのあと、たしか十三日だったと思いますけれども、銀行協会の方々等をお集めになって、市中銀行引き受けの形になっている公債発行限度をいじりますから、その意味で放漫に流れないようにという御注意などをされておったようであります。そういう雲行きが出てきておりましたが、私はことで聞きたいのは、フィスカルポリシーなどということをしきりにいわれております。つまり財政政策でございましょうが、国民総生産に占める割合が二五%にもなっておるのでありますが、その意味では財政規模の縮小という形が当面とられる措置のはずであります。ところが、七百億、五百億といわれる公債、政保債と申しますものは、税金の自然増収で肩がわりをするということになれば、規模の縮小にはつながらぬという気がするわけです。これがまず一点。  ところで問題は、その後の公定歩合の引き上げなどという問題が出てきておるわけでありますが、これらの動きとあわせまして、財政規模というものを、あなたのほうはこれから先行きどうお考えになっておりますか。
  79. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま仰せられましたことの経緯並びに私どもがその理由として考えておることにつきましては、大体ただいま仰せられましたこと、そのまま、そのとおりでございますと申し上げてよろしいと思うのでございます。そこで、ただいまの段階考えますと、公共投資を中心に財政の執行の繰り延べを、おそらく三千億余りいたすことになるわけでございます。日本銀行の金利の改定もございました。そこで、これがすぐに国債、政保債の減額につながるかどうかということについては、幾つか問題があるわけでございます。一つは、依然として税収ないし資金運用部の資金の流入が、この引き締めにもかかわらず、今後とも順調であるかどうかということでございます。それから、財投は、七%ほど公共投資を、削減したのではなくて、御承知のように繰り延べておる状態でございますから、それに見合う財源は一応考えておかなければならないわけでございます。繰り延べということが、かりに明年度に持ち越すということであれば、それに伴う歳出権は同じように持ち越され得るものであるか、そうでないものかという点について、必ずしも解釈が統一されておりません。したがって、繰り延べ措置そのものが国債、政保債の削減にすぐにつながるとは申せませんけれども、もし税収あるいは資金運用部の資金流入が順調であれば、私はある程度それらのものをある時点で、おそらく年度末に近く削減をして、そうして税収をもってそれに振りかえる。私どもの目的は、かねて国会の御審議で指摘をいただいておりますように、なるべく国債への依存率を低めていきたいと考えておりますから、計数的にさだかではございませんが、そういうことになる公算がなお現在大であろう、こういうふうに考えております。
  80. 大出俊

    ○大出委員 先般の委員会相当長時間御質問申し上げておりますので、きょうは、なるべく総括的に焦点だけ申し上げようと思っておりますから、てにをはを省略しておりますので、御理解いただきにくい点があればごかんべんをいただきたいと思います。  なぜ私この問題を持ち出したかと申しますと、大蔵委員会での質疑の中身から見ますと、水田さんがいまのところ何とも言いかねるという答弁をしている理由の中に、一つは、いま口にいたしました財政規模の縮小という形のことを将来に向かって考えたい。そういう方向に動いているという時期に、国民経済その他一般に大きな影響を与える公務員給与というものをどう考えるかという点が一つあるということを、ここに議事録を持っておりますが、答えております。  それから、もう一つの問題でございますけれども、けさも新聞に出ておりますように、税源配分ということになりますが、交付税率の問題について四十年度、つまり二九・五%ですか、三二%をそこまで下げるという、いまだかつて下げたことのないものを下げるということを、大蔵省は方針でおきめになっておる。私ども地方財政の側について、私、横浜ですが、いろいろ苦労してきている立場からいたしますと、横浜は何も直接関係ありませんけれども、そういうことをおやりになる大蔵省のものの考え方というものに全く納得しかねるものがありますが、そういう大蔵省の出方が一つ出てきているわけであります。  それから、もう一つの問題、つまり補正要因という形の中で、いまの公債の発行限度云々の問題、縮小の問題、社会党さんもおっしゃっておりますからという、そういうことをつけ加えての言い分が一つ出てきている。いま長官のお話によれば、そうなる公算が大であるという意味に受け取れるわけであります。ここらの問題とからんで、そこで聞きたいのは、つまり地方交付税率の引き下げの問題を表に出しているとなると、さて六人委員会なり七人委員会なりをやっている段階で、財政当局からは九月期決算をながめるながめないという問題はありましょうが、ともかくそれらの問題が理由として出てきそうな気がする。そこで、宮澤さんのほうで、経済企画庁を担当されている立場で、それと公務員給与という問題を対比してみて、一体旧来まで人事院勧告完全実施できなかったというのは、金の問題なのか、政策の問題なのかという点をひとつ前提にして、長官自身の考えを承っておきたいわけであります。どう思いますか。
  81. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いわゆる景気調整そのものは、先ほどから大出委員がおっしゃっていらっしゃいますように、公共投資を目的にし、あるいは日本銀行の金融措置は、民間の企業活動を頭に置いてやっておるものでありますから、公務員給与そのものに直接の関係がないということは、これはもう明らかでございます。ただ、おそらく財政当局としましては、それらの措置が国の歳入にどのような影響を長期、短期に及ぼすであろうかということは、これは当然考えるに違いございません。このたびの人事院勧告のいわゆる完全実施の問題についても、財政当局はそういう財政上の事情を当然責務として考えるわけでございましょうから、とれが税収見積もり等にどのような影響を及ぼすかということについては、財政当局が検討し、目下やっておるということであろうと思うのであります。
  82. 大出俊

    ○大出委員 いまのところちょっとわかりかねる点があるので、もう一ぺん承りたいのですが、時間がないので気をつけてしゃべっているのですけれども、もうちょっと私の言いたいのは、いま財政規模の縮小だの、あるいは公定歩合の引き上げだのという問題が出てきた直接の原因というのは、水田さんが言うまでもなく、国際収支に赤信号がついた、その中身を探ってみれば、昨年は総合収支でおおむね五千八百万ドルぐらい黒字であった。一億ドルまでいかなかった。大体輸出そのものの伸びからいきまして、二十億ドルぐらいであった。正確に言えば二十億五千五百万ドル。ととろが、貿易外収支だの、あるいはその他の要因——資本収支なんかも入りましょうし、入れてみておおむね二十億ドルぐらいのマイナス要因があった。差し引き五千八百万ドルぐらいの黒字になっておる。ところが、本年はどうも先行きをながめてみると、昨年の一月から六月までの比較をいたしまして、輸出のほうが八・八ぐらいで、輸入のほうが二三%をこえちゃっているというようなことだから、これは一つ間違うと、大きく見れば十二億ドルぐらい赤になりはせぬかなどという点が一つの問題になった。その中身としては、これは一ぱいありましょう。とにかく、スエズの長期封鎖までからむというようなことから、アメリカの利子平衡税の問題もありましょうし、高金利の問題もありましょうし、延べ払いがどんどんふえるという問題もありましょう。ありましょうが、そういうことをいまになって持ち出して、だから直接企業を引き締めていかなければならぬ、あるいは財政規模を縮小しなければならぬ、そういう雲行きになっているんだから、いまここで完全実施するかしないかと私に言われても、ごかんべんを願いたい、こういう答弁をされたのでは、景気の波動性があることは、これは企画庁長官の御存じのとおり、常日ごろから考えなければならないわけですから、だからこそ、あなたは赤信号を三月の段階からあげておられる。そうでしょう。それをいまになって、人事院勧告にそれが響くようなものの言い方をされたのでは、これはたまったものじゃない、こう私は考えるから、経済閣僚の一人として大蔵大臣はそういうことを言っておられるが、まさかあなたもそういうことをおっしゃられるのではなかろうということで、どうお考えか聞いているのです。ものごとをはっきりしておいていただいたほうがいいと思う。六人が七人になられた。そうなれば、委員会の中がいろいろ分かれてくるんだから、そこのところを、攻め手の攻め方があるから、かねや太鼓でどこを攻めるかという問題が出てくるので、ひとつ長官はっきりお答えいただきたい。
  83. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 お尋ねの意味は、実は先ほどからわかっておるわけでございまして、それでお答えが申し上げにくいのであります。たとえば、非常に極端な形でお尋ねを考えてみますと、経済がかりに大いに過熱をして、いろいろ引き締めなければならぬ。国際収支はたいへんな大幅な赤字になっている。しかし国の歳入がないわけではない。そういうときでありますから、むしろ税収は多いかもしれない。そういう環境のときに、そういう事情があるから人事院勧告実施しない、あるいはいろいろに削減をするということは、それでいいと考えているか、こういうお尋ねでございますから、それでいいと考えておりますとは御返事しにくいわけであります。つまり、国会での御意思できまりました現行法律のたてまえで私ども行政をしてまいらなければなりませんから、そのたてまえから申しますと、立法論はともかくといたしまして、それでいいかという御質問に対して、それでいいと思いますとはお答えを申し上げるわけにはいかないというのが私ども立場であります。  ただ、財政当局が、財政の事情も考えて言われる。これもどの程度にどう考えるかというお尋ねになりますと、お答えに困りますけれども、一般的に財政の事情も勘案してという程度のことならば、現実の行政としてはお許しを願えるであろうと思いますが、先ほどのように、きちんと割り切ってお尋ねがありますと、そのとおりでございますとは申し上げにくい、こう思います。
  84. 大出俊

    ○大出委員 宮澤さんがかつて経済企画庁長官をおやりになった時期にも人事院勧告が出ておりますね。あのときは五人委員会だったですか、中で御発言になっていることも、私も長いものですから知っておりまして、たいへん御協力をいただいた御発言であったわけでございます。したがって長官が、まさか水田さんが前段で言っておられるようなことと同じことをおっしゃるとは実は夢にも思っていない。だからお答えいたしにくいということは、逆に言えば、それはそれ、政策として人事院勧告実施をしなければならない、こうお考えになっているんだろうと思うのでありますが、再度そこのところをひとつ御答弁いただきたい。
  85. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま関係の閣僚は、法律のたてまえになっております完全実施ということを頭に置いて、それがいかにすれば可能であるか、しかしその結果どのようなことが生まれ得るかといったようなことを検討いたしておるわけであります。
  86. 大出俊

    ○大出委員 どうも、なかなかそこのところがはっきりしないと、最後のところがもやもやとするのですが、人事院勧告完全実施はいまに始まったことではない。私ども常日ごろから主張してきていることで、時間がないということでございますから最後の質問になりそうでありますが、とにかく企画庁長官の立場で、先ほどの御答弁のように、経済がいろいろ先行き変動をする、したがって財政当局のほうは、財政を一般的な意味で勘案をするということはあり得ることだろう、こういう程度の言い分、言い方なんですがね。ということになると、これはひっくり返してみると、何とか人事院勧告完全実施趣旨に沿って努力をしたいというふうに受け取れるのですが、そこらのところをはっきり聞いておきたいと思っているのです。
  87. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 少なくともそうしたいという願望がなければ、これほど私ども関係閣僚が長いことかかって苦労はいたしておらないはずであります。
  88. 大出俊

    ○大出委員 大蔵大臣がもう一人おられますから、宮澤さんがその程度お答えになるのがせい一ぱいだろうと思いますが、本年は、据え置きをして三年たっておりますから、私ども立場から見ておりまして実はまたとない機会と考えておりますから、そういう意味でぜひひとつ七人委員会の主要メンバーのお一人として大いに御努力をいただきたい、こう考えるわけでございます。たいへん時間がないところを恐縮でございました。
  89. 受田新吉

    ○受田委員 長官帰られるのでしたら、関連して一問だけ。私、いま大出委員の質問に答えられる長官の態度は、一応真摯であると思うのです。けれども経済の成長性の中に公務員給与というものの引き上げをどう考えるということは、これは政策としては決して単なる経済理論でなくて、現実論として十分検討しなければならぬ問題なんですが、国民の公僕である国家公務員及び地方公務員給与というものは、一方で国民の担税能力というものを考え、一方では民間給与との比較というものを考え、そこでそのバランスの上に政府の施策が要ると思うのですが、人事院勧告をすなおに施行しないとよい公務員が獲得できないという一つの問題が私はあると思うのです。人事院公務員採用の基礎になる一応の資格基準をきめられ、各級の試験制度を用意しておる。その試験を受けて合格した者が、公務員にならないで民間にどんどん出ていくというこの現状は、決して公務員給与というものが恵まれていないという答えにもなると思うのです。したがって、人材を公務員に吸収する立場からは、いまの税の問題、それから、一方では、その他の公共投資、いろいろな政府の施策の問題の中に、民間給与との比較で適正であると人事院が認めた以上は、それをすなおに受けるということが政府の態度でなければならないと私は思います。したがって、お答えをすかっと願いたいことは、経済閣僚の一人として、同時に長官も七人委員会に入っておられるのです。したがって、いま私が指摘した二つの大切な性格を持つ公務員給与の結論を出すにあたっては、罷業権も協約締結権もない一般公務員と、それから三公社五現業という立場の人は罷業権は認められていないという立場で、少なくとも民間とは非常に性格の違う重荷を背負うている。それを人事院がすかっとした立場勧告をされたものをすかっと認めるという形でないと、りっぱな公務員の吸収もできないし、公務員の勤務も安心してできなくなる危険がある。その意味では、いろいろな経済理論をこね回される大事な役を持っておられる長官とされましては、現実論として、よい公務員を国民全体の奉仕者として吸収する意味で、すなおに人事院勧告をのむという立場経済企画をなさることが私は大切ではないかと思う。これは一つの大事な、経済企画庁のお仕事の前提としてこれをおくみ取りいただいて、今度七人になった委員会でむしろあなたがそこを大いに主唱されるぐらいにしていただくならば、七人の答えは期せずして待つべきものがあると思うのですが、御所見を伺いたい。
  90. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 公務員に対する待遇が、民間に比して必ずしも十分でないために、公務員の質が低下をするようなそういうおそれがあることは、私も現実に認めております。ですから、そのような意味では、ただいま仰せられましたことで別段私は異存がございません。ただ、いずれにしても、国民に対する奉仕者でありますから、どちらかといえば、国民の租税負担によってまかなわれますもので、したがって、私どもとしては、絶えず公務員の中に冗員がいないものであろうか、もっと能率的な行政の執行ということができないものであろうか。それによって、少数精鋭とまでは申せないまでも、冗員を節約することによって、残った人々の待遇を改善していくという、その方向もやはりあわせて絶えず考えていくべきものだというふうに思っております。
  91. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、人員整理をやって残った優秀な公務員を優遇するという考えを長官はお持ちになっている、こう了解してよろしゅうございますか。
  92. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 人員整理と申しますことは、なかなか言いやすく行ないがたいことでありますが、少なくとも欠員をなるべく補充しないといったようなこと、あるいは新たに機構を設けるときには、それを現在おりますところの公務員をもってなるべく充てていくといったようなこと、公務員の数がこれ以上ふえないようになるべく努力をしていくという、多少消極的でございますけれども、少なくともそれだけの心がまえは持っていないといけないというふうに考えております。
  93. 受田新吉

    ○受田委員 それでは私はこれで終わりますが、一言お答え願いたいのは、公務員の現在の給与は決して満足すべきものでない。詳細な資料に基づいて結論を出された人事院勧告というものは、十分尊重すべきものという原則は、長官お持ちですね。それだけをお答え願って質問を終わります。
  94. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 さように考えております。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 終わりました。
  96. 大出俊

    ○大出委員 いま人員の話まで出ましたが、それは余分でございましてね、それを論議するとなれば、これはちょっと帰すわけにいかなくなるので、その点はちょっとたなに上げておいていただきたい。それでは長官、たいへんお忙しいところどうも恐縮でした。  官房長官に承りたいのですが、時間の関係で少しずれましたがごかんべんいただきます。  実はこの委員会で来月の六日に、原子力空母のエンタープライズ号入港等をめぐりまして、御発表になった長官にもお出かけいただき、また防衛庁、外務省、科学技術庁等にもお出かけいただいてあらためて論議をいただくというふうに理事会でお認めいただきましたが、それに関連いたしまして最初に二、三点ごく簡単に承っておきたいのであります。  七日の九時半ごろ、外務省に東郷北米局長をたずねてオズボーン駐日米代理大使から、エンタープライズ等の——等のということだと思うのですが、エンタープライズなどの原子力軍艦の日本寄港を正式に申し入れてきたわけですね。かつて一昨年の十一月二十六日に口上書が入ったことがありますが、ところでこの中身なんですがね。二つとりあえずお答えいただきたいのは、外務省の見解として、エンタープライズ号だけでない——ロングビーチ、ペインブリッジ、トラクストン、これしかないわけでありますが、これらも一緒に入ってくるという見解をおとりのようでありますが、そう理解をしてよろしいのかということと、それから外務省の見解としては、原子力潜水艦等と同様に取り扱うのだということを言うておられて帰っていただいたようでありますが、あらためて正式に回答する、こうなっておりますね。その回答は、本日の段階でおやりになったのかどうか、この二点をとりあえず……。
  97. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 第一点でございますが、オズボーン公使が参りまして外務省に申し入れをいたしました中には、もちろんエンタープライズを含みますが、原子力水上艦艇ということで出ております。そこで、常識的な見解といたしましては、空母エンタープライズが単独で入ることはなかろう、これに伴う付属艦艇がございますが、そういうものが入ってくるであろうということはわれわれも推察しております。  それから第二の点でございますが、これは御承知のとおり当然その申し入れを受けまして、政府としてはやるべき措置がございます。まずその安全度について確認しなければなりません。この確認が、原潜に準じてやりますが、原潜のときは御承知のとおり一年半もかかっております。今回は、原潜がもうすでにそういう安全度の調査もできておりますので、そう長くはかかるまいと思いますが、国民の関心等も非常に高い節でございますから、慎重にこれはやりたい。したがいまして、原潜の当時のデータだけで足りなければ、それに追加してデータもとりたいと考えておりますので、原子力委員会でどう考えておりますか、私まだつまびらかにしておりませんが、最短やはり二カ月以上はかかるだろうというようなことを言っております。そこで、その安全性について確認をいたしまして後に、初めて今度は口上書というもののやりとりがございます。アメリカのほうから口上書が入りまして、それに対して日本のほうから返答いたします。その期間等がどれくらいかかりますか、私どもまだはっきりいたしませんけれども、そういう期間を経て初めてあちらからある一定の予告時間を経て入ってくる、こういう段階になりますので、いまのところは、その時期がいずれの時期であるかは、まだ判明しておりません。
  98. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、あの口上書、つまり外交文書ですね。したがって、安全性の確認に二カ月、これもいろいろ外交文書のやりとりをされるわけですね、原潜の例からいきますと。そこで、そのあと諸手続があり、予告期間があってということになりますと、やはり年内、この三カ月くらいのところ、こういうことになるわけだろうと思いますが、そんな見当で考えていいのかという点が一つと、それからもう一つ、このロングビーチなりペインブリッジなりあるいはトラクストンなりが入ってくるとしますと、これは護衛艦ですからね、そうしますとこの中にはタロスなどという防空用のミサイル、核ミサイルを積んでいるロングビーチのような船があります。それからエンタープライズ号それ自体について、F4ファントムだとかA5ビジランティーという飛行機を載せておりますが、これはかつて私防衛庁の島田防衛局長を相手にこの席上で論争いたしましたが、ブルパップと申します核ミサイルを積んでいる。これは防衛年鑑なんかも、通常火薬及び核と、こういうふうに表示してあるわけでありまして、あの論争で、最初は核と書いてあるのは防衛年鑑の間違いだなどという答弁が出ましたが、最終的に、間違いではない、両用に使える兵器であるということになっているわけです。これは明確に議事録に残っています。そうすると、今回のこの発表の中に、核兵器を搭載をしてないことが明らかであるから原潜同様に取り扱うのだというふうに書いてあるのでありますが、明らかであるからという限りは、何かしかしそこに明らかなものがなければならぬ。何をもって明らかであるからと政府はお考えなのか。つまり、期間と、それから核に関する兵器の搭載はないのだという点の御回答をいただきたいわけです。
  99. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 寄港の時期につきましては、まだはっきり申し上げる時期ではございません。ただ、いま申し上げましたとおり、安全性の確認に要する期間、その後における外交的やりとりの期間、これは当然ございます。そういう期間を現在の時点で考えますと、約二カ月半ないし三ヵ月はかかるであろうということを、われわれは、まだこれは推定しております。したがいまして、時期はそのとおり御推察を願いたいと思います。  それから第二の点でございますが、この問題については、オズボーン公使が申し入れをしましたときに、これは公式の文書にはございませんけれども、核武装をしてないのは当然の前提として申し入れをしておる。したがいまして、私どもにおきましても、この入港については、核武装は一切しておらないという前提のもとにこの寄港に同意をした、こう考えております。
  100. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、オズボーン駐日米代理大使——代理と新聞には書いてありますが、その申し入れにあたっての口頭でつけ加えた中に、核武装は当然していないのだというふうに言われた。したがってそれを根拠に政府は、核武装をしていないのだから、こういうことで原潜と同じように取り扱う、こういう見解を御発表になった、こう理解していいですか。
  101. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 御承知のとおり、安保条約の事前協議がありまして、核の持ち込みについてはもちろん事前協議の対象になります。したがいまして、もし万一、核武装をする空母その他の艦艇が入るようでありますれば、当然事前協議を受けなければなりませんが、その事前協議がない限り、われわれとしては、核武装を持った艦艇は入ってこないという前提のもとに立たざるを得ません。また、いずれにいたしましても、安全性の確認後における外交的やりとりの中には、この問題も含めてわれわれは確認する機会があると思いますので、その点御了承願います。
  102. 大出俊

    ○大出委員 そこのところはたいへん大切なのですが、一つは、承認といいますか、許可といいますか、入ってくるのはよろしいというについては、諸手続を全部終わってから、つまり安全性の確認に二カ月ぐらいかかるかもしれない、それをやる、その間いろんなやりとりがあるだろう、そのあとで諸手続が続く、予告、この間にいまの核の問題につきましても、口頭だけでなくて、何がしかの措置をとって確かめる、こういう意味ですな、いまの点は。
  103. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 誤解があるといけませんので重ねて申し上げます。  この空母エンタープライズ以下の原子力艦艇が入港するにつきましては、特に事前協議の対象にはなっておりません。ただ、御承知のとおり、核の持ち込みについては事前協議でチェックする機会がある。したがいまして、当然アメリカといたしましては、今回のような、オズボーン代理大使が参りましたようなああいう申し入れば、実際上は要らない。安保条約上の当然の権利として入ってくるわけですから。しかしながら、国民感情その他を考えて特にああいう申し入れをしてきた、こういうことが前提になっております。したがいまして、いま申し上げたとおり、核の持ち込みになりますと、当然これは条約上の事前協議の対象になりますけれども、空母エンタープライズの入港そのものについては、いま申し上げたとおり、条約上の権利義務のやりとりでなしに、日本の国民感情を考えた、むしろある意味のアメリカの好意のある計らい、こうわれわれは受け取っています。その点誤解のないように願います。
  104. 大出俊

    ○大出委員 私も誤解のないように申し上げておきたいのですが、原潜問題でここで長い時間やりとりいたしましたから、あのときでも、つまり国民感情というものがあるので、日本政府の言うことを十分聞いてやりたいという口上書になっておりました、向こうから来ておるのは。私は手にして質問したのですからよくわかる。まして今回エンタープライズ号というフローチングシティー、浮いている都市などといわれるたいへんなものが入ってくるわけですから、しかも一隻でないとすればなおのこと、だとすると、これはあたりまえのことで、当然国民感情をお考えいただかなければ何が起こるかわからないことになる。そこらは私のほうも百も承知で承りたいと思って質問いたしておりますから。  それから、私がいま確認を求めたのは、核を搭載しているかどうかということについてやがて確かめる時期が来るとあなたはお答えになったので、そうなると、岸・アイクの間に結ばれておる核持ち込みの事前協議の交換公文、これとの関連がそこで出てくる。そこでその点を確認をしたかったので、確認をする措置をおとりになるのですなということを念を押したわけです。ただ向こうから、とにかく当然の権利だから入れますよ、口頭で、核は搭載しておりませんよと言われただけでは困る。なぜならば、沖繩だっていまは核つき返還云々ということが大きな問題になっているでしょう。  ここでひとつあわせて承っておきたいのですが、確認の措置をおとりになるかどうか、交換公文とのからみ合いで、ということが一つ。それから、沖繩の核つき返還の問題、あるいは総理が行かれる問題、あるいは南ベトナムに行かれる問題、相当いろいろ問題が錯綜しているのですね。沖繩の施政権の返還を認める限りは、西太平洋に対する日本の自衛隊の責任の度合いなどというものが明確にならなければなどということが、外国の雑誌に載っている世の中でしょう。そういう時期に入ってくるとなれば、政治的な意味あるいは国民感情という意味で、相当な決意と配慮が政府になければならぬはずだ。それが、口頭で核は搭載してないからというようなことを言われた。当然核兵器は載ってないから認めるのがあたりまえなんですという政府の発表のしかたというものは、理解ができない。そこらのところは、閣議なりなんなりでどういう配慮、どういうお考えのもとに発表の点についておきめになったのか。長官、発表されておるわけですから、それだけ最後に承りたい。
  105. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 これまた重ねてお話をしておかなければいけませんが、核の搭載の有無を文書その他で確認する措置はとりません。これは当然事前協議の措置でございませんから、そういう義務はございません。また、われわれとしてもそういう権利はございません。しかしながら、先ほど申し上げたとおり、国民感情その他を考えて、当然これは核搭載をしておらないというアメリカ側の言明を、われわれとしては、安保条約の一方の当事国として信頼せざるを得ないという立場に立っておることを御了承願います。
  106. 大出俊

    ○大出委員 どうも原潜当時の論議を思い出すわけですが、確認措置はない、向こう側がこうおっしゃることを信用せざるを得ないということだけなんですね。そうしますと、さっきあなたが確認の機会もあるだろうとおっしゃっていたけれども、それはない。御訂正を願いたいのですが……。
  107. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 私は、文書その他でもって公式に確認措置をとることはない、こう申し上げたにすぎません。ただ、当然この事前協議の対象にならないということを通じて、これはある意味の私ども政府としての確認措置ということに了解しております。
  108. 大出俊

    ○大出委員 それでは確認措置というのは、実際に確認というんじゃなくて、向こうが核兵器は搭載してありませんと言ってくるそのことが、つまり、核は載ってないという確認措置、こうなりますね。よろしゅうございますか。
  109. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 これは当然安保条約に基づく信頼関係でございますから、そういうことでございます。
  110. 大出俊

    ○大出委員 その点は、来月の六日にあらためてひとつ専門家の方々においでいただいて、核論争いたします。長官にお聞きしても無理な点がございますから、またあらためてお聞きいたします。  ところで、長官、七人委員会——今度六人が七人になりましたが、この七人委員会というのは、一体何ですか。どこで、何を、どうきめて、だれが一体中心で、どういうことをする委員会ですか。長年やっているのだけれども、さっぱりわかりませんので、ひとつ承りたい。
  111. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 これは俗称でございますから、別にそういう六人委員会があるわけじゃございません。ただ、公務員給与担当として総理府総務長官、これは当然。私は取りまとめをする立場で入っております。その他労働大臣、これは当然、また経済企画庁長官、大蔵大臣、これは財政事情、経済全般のことで当然でございます。文部大臣が今度入りましたのは、都市手当についてです。特に教職員の辺地の問題がございます。そういう意味で入っておるわけでございます。
  112. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、実際問題として、どなたが音頭をとって、どこでまとめられるのですか。かってなことを言いっぱなしになっていたんじゃお話にならぬ。だれが、どこで、どうまとめるのですか。
  113. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 当然公務員給与の最終結論は閣議で決定いたします。そういう六人委員会の中の議論は、これは私はできるだけいたしたほうがいいと思います。当然、私ども立場の議論と、大蔵大臣、財政当局の立場の議論は違いますから、お互いに何回でも会ってこれはやるべきだと私は思います。そこで、最終的にわれわれ六人委員会、今度は七人になりますが、大体の結論がまとまった時点で、これを閣議にはかって、閣議で決定していく、こういう順序になるわけであります。
  114. 大出俊

    ○大出委員 六人委員会ないしは七人委員会の主催者はだれですか。
  115. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 全体の取りまとめという立場では私でございます。それから当然給与担当としては総務長官、この二人で相談いたします。
  116. 大出俊

    ○大出委員 それでは、官房長官がきょうは六人委員会をやろうじゃないかということでお集まりいただいて、給与担当大臣を中心にして話し合われて、それの総取りまとめを総務長官がおやりになる、こういうことになりますか。
  117. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 大体そのとおりでございます。
  118. 大出俊

    ○大出委員 そこで、承りたいのですけれども、官房長官は何年にわたってやっておられたというわけではありませんから、こういうことを聞くのは妙かもしれませんけれども、毎年毎年六人委員会方々にこまかく私ども当たりまして、今回も長官の御答弁をいただきますと、私は、ちょうどこれで六人委員会の中の五人目の、まあ先般の不信任案以来有名になられた長官に承ることになるわけでありますけれども、あと剱木大臣がお一人お入りになったということでございますから、そうしますと、これは六人目ということになる。あと大蔵大臣だけが御都合があってお見えになっていないということになるのですが、ところで、ほとんどの方々完全実施ということで全力をあげてやりますということを言われて、さあどたんばで、どういうことかいつもぱあになるわけですね。これでは六人委員会というのもたいしたことはないということになるのじゃないか。給与担当大臣といい、その総取りまとめの責任者といい、さいふのひもを握っておるほうに一つ振られると、一対五か六かわかりませんが、オール飛んでしまったということになると、事はおさまらないと私は思う。  そこで長官、責任を明らかにする意味におきまして、二、三点ひとつ承りたいのでありますが、佐藤総理の外遊の日程は、これから十一月までどういうことになりますか。
  119. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 すでに発表しておりますスケジュールに従って外国訪問をいたしますが、大体明日国府——中華民国から帰ってくる。次に参りますのは、九月の二十日に立ちまして、月末三十日に帰ってまいります。これが第一回の東南アジア訪問でございます。  それから、次の第二回の東南アジア訪問が、十月八日に立ちまして、二十二日にこちらへ帰ってまいります。  以上のようなスケジュールでございます。
  120. 大出俊

    ○大出委員 十一月十日に、これはまた出かけられるわけですな。
  121. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 十一月十二日からでございます。
  122. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、もう一ぺん確認したいのですが、九月二十日から三十日、これはビルマからマレーシア、あっちのほうを回るわけですね。それから十月八日から二十二日、朝帰ってこられるそうですか、インドネシアとかオーストラリアとかニュージーランドとか南ベトナム、こういうことですな。十一月十二日はアメリカ、との間しか総理がおられない、こういうことですな。  小沢さん、大蔵大臣は九月十日から十月二日までIMF、あとお出かけになる日程はございませんか。
  123. 小沢辰男

    ○小沢説明員 それだけでございます。
  124. 大出俊

    ○大出委員 そうなりますと、さて総理のおられぬうちに六人委員会の結論をお出しになれますか。時期的な判断をお聞かせいただきたい。
  125. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 総理はそのようにスケジュールを組んでおりますが、六人委員会はたびたび——ある場合には五人委員会になるかもしれません。四人委員会になるかもしれません。しかしながら、極力回数を重ねまして、適正な結論に進めたい、こう考えております。
  126. 大出俊

    ○大出委員 いままで六人委員会は何回ぐらいおやりになりまして、大蔵大臣は何回ぐらい出ておられますか。
  127. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 本日午後三時に第二回目をやります。大蔵大臣はきょうお出になられるかどうかまだ聞いておりません。第一回は出席いたしませんでした。
  128. 大出俊

    ○大出委員 どうも財政担当の方が出ないで皆さんが相談しているというのは心もとない次第です。きょうも出るか出ないかわからないという、たいへんたよりない話です。  ところで、昨年の例からいいますと、十月十四日におきめになっているわけですね。そうすると、ことしは何か十月の初旬にきめるということが、日程を繰っていきましてそれとなく私は耳に入るわけであります。それで、塚原さんもそういうふうなことのようであります。先ほどは、昨年は何日にきめたからそこまでなどということを考えずに、まとまるところでまとめたいと思っていますということになると、昨年は十四日なんだが、十四日に至らぬ期間までにまとめる、こうなる。官房長官の話によると、十月十日から十五日ぐらいのところできめたいというお気持ちのようですが、そこまでのうちに少なくともきめるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  129. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 大体その時期を目途として努力をいたしたいと思います。
  130. 大出俊

    ○大出委員 ところで、長官、財政の問題、それから政府の政策の問題ということで、人事院勧告はなぜ実施をできないのかという点の論争がずっと続いてきているのでありますが、藤枝自治大臣等に言わせますと、地方公務員に関する地方財源がないなどということが理由にされる、つまり、それが犯人だなどということを言われるのはまことに心外である、政府公務員人事院勧告は当然完全実施をすべきであるということで態度決定をする限り、財政措置はいかようにもとれるので、決して地方財源がない云々が犯人ではない、完全実施に向かって努力をする、こういうふうに御答弁をいただいております。また、塚原総務長官も、旧来のマンネリを排して努力をするという意味は、完全実施をする、こういうこと一本で考えて努力をするという意味なんだということを大蔵委員会で答えておられるわけであります。また、水田大蔵大臣は大蔵委員会で、経済的ないろいろな流れ、変動がある、景気の調整も必要になる、だがしかし、それを公務員にしわ寄せをするのかという質問に、全くそういうふうには考えていないという答弁をしております。かつまた、つけ加えて水田さんの答弁を申し上げれば、公労協が四月から実施をされている、だから、当然公務員も四月から実施をすべきであるという基本的な考えを持っている、この間の五カ月間のズレ、これをなくしたいと思ってきたが、残念ながらことしは間に合わずに昨年並みの勧告が出た、水田さんのほうはここまで答えているわけですね。だとすると、このあたりで、官房長官の立場で、人事院勧告について取りまとめをするお立場なんだから、かつまた、総理という佐藤さんの立場も片っ方に置かれてのことですから、したがって、そういう意味で、まさに石の上にも三年、仏の顔も三度だなんて言っているうちに、ラッキーセブンだなんということで切ってしまって、ことしもどうかなんということになったのじゃ困るので、そこのところの、長官の責任においてどうお考えなのかという点、ここのところをお知らせをいただきたいのです。
  131. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 特に私の責任とおっしゃいますと困りますが、当然政府としてこの人事院勧告完全実施したいという心がまえは、これは大蔵大臣は財政的立場におりましても、政府全体としては変わりません。そこで、そういう総合的な判断をいついかなる時点で下すか、これは総理の最後の御判断だと思いますが、それについて私なりの立場において全力を尽くしたいと考えております。
  132. 大出俊

    ○大出委員 私なりの立場において全力を尽くすと、さっき総務長官がそう言われて、六人委員会へ行かれたのですがね。その私なりの立場がはっきり一こういう席ですから、全国公務員諸君待望の人事院勧告なんですから、それがもうちょっとはっきりしないものかと私は常々思うわけですが、勧告そのものに書いてあるのは、五月から実施しろと書いてあるわけでしょう。そうでしょう。そうだとすると、私なりの立場とおっしゃるのは、五月実施ということで全力をあげて御努力をいただけると受け取っていいのかどうかという点をお述べをいただきたいのですが、いかがですか。
  133. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 当然私どもの努力は完全実施ということでございます。完全実施の中には、内容実施時期等も含むことは当然でございます。ただ、御承知のように、全般の総合的判断ということもございますので、あらゆる努力をいたしますことだけは申し上げておきたいと思います。
  134. 大出俊

    ○大出委員 当然のことだというお話でございますので、その当然のことが当然なことにならずにしまうということが、いままで七回も続いているのでありますから、今回はひとつそういうことでないように——そういたしませんと、昨年の一〇・二一などということはいいことでないことは私も承知です。しかし、とかく完全に代償機関としての立場が守り切れない、守られないということになれば、これはある意味の正当防衛意識が当然公務員の皆さんにも出てくるわけですよ。そのことは、ドライヤー・ミッションその他が出ている世の中に、今日公務員制度審議会も宙に浮いている。なお複雑になってしまうわけですから、そういう意味で、ことしはひとつ完全実施ということで、これだけの努力をいただけたんだというふうに受け取れるように格段の御努力をいただきたいと思うのですが、これから六人委員会へ御出席ですか。
  135. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 できるだけの努力はいたします。
  136. 大出俊

    ○大出委員 それじゃたいへんどうも……。  小沢さん、ひとつ答えてください。  先般二回質問しまして、地方行政委員会で一度細谷君から出まして、私は、この席であのときに、宿直手当、常直手当の税金の問題、これは通達で出ているのですよ。これは一体どういうことなんだということで質問をしたのですが、どうも二回目もおわかりいただけぬので、私からその通達を読み上げまして、どうしてくれるのですかということでものを言っておいたわけです。塚原さんは、総務長官という立場で、所管は違うけれども、とにかく五百十円になったらとたんに、五百円までが免税の限度だから、全額課税対象になるなんということは捨てて置けない。それからまた。常直手当なんかも、一人一官庁、一人庁というところの方々なんですが、これも千五百円まで、こうなっているわけですから、これらの点についても、勧告が出て完全実施をしたら税金を取られたというのではこれはおさまりません。そういう意味で、一体どうするのだということについて、勧告趣旨が逆になってしまうようなことを黙っているわけにはいかないから、六人委員会の中で税金問題については十分考えるから、こういう塚原さんの、所管違いではありましたが、御答弁がありました。大蔵省の側としてどういうふうにお考えになりますか。
  137. 小沢辰男

    ○小沢説明員 私、地方行政委員会でもお答えしたと思うのですが、十円上がったとたんに根っこから取られる、課税対象になる、これはおかしい。この点は必ず税の対象にならぬように、方法は基礎控除の問題でいくか、免税点でいくか、いろいろあります。免税点になると、ちょっと頭が出たというだけですぐ根っこから課税対象になるということもおかしいものですから、その方法論はいま検討中でございますが、必ず御要望にこたえるようにいたします。  それから、常直手当のほうは、すでに三千円のときに千五百円まででございましたのですが、これも当然引き上げを検討しなければいかぬと思っております。ただ、いまこれは幾らまでにするかについては、勧告内容実施時期等——実施時期は関係ありませんが、内容が七人委員会ではっきりきまりませんと何とも申し上げられませんが、必ず引き上げをはかりまして、善処いたしたいと思っております。
  138. 大出俊

    ○大出委員 これらのことは、実は税金なんというのは、取ってしまうとあとで返すわけにはいかぬものですからね。通勤手当の私の質問で、あなたはいつか御苦労された。みんな取ってしまって、あとから返すわけにいかぬのに、十一月から実施しますなんて言って、あれは一月からに訂正しましたが、そういうことがありますから、気をつけて、これは早目に措置をとっていただかないと取り返しはつきません。それで、くどいようですが、あなたにお残りいただいたわけです。水田大蔵大臣が出席されておる大蔵委員会で、人事院勧告問題について再三の質問が出ておることは御承知のとおりです。例年小沢さんこの委員会に出て聞いておられるから、耳にタコができるほどお聞きになっておられると思うのですが、ひとつこの機会に、さいふのひもを握っておる方々のほうで、なお六人委員会の他の意見というものも鎧袖一触なんという妙なことをなさらぬように、調整のしわは寄せませんということを水田さんが答えておるのだから、景気調整は必要だけれども、そのしわが公務員に寄るなどということは私は全く考えていないと言っているのですから、かつまた、公労協が四月なんだから公務員も四月、これは私の考えだ、残念ながらことしそういうふうに勧告がならなかったということで、そっちのほうに責任を転嫁しているのだが、そんなことを言っても、金はあなたのほうが持っているのですから、あなたのほうがやる気になれば一ぺんにできてしまう。そういうことですから、そこのところはしかと念を押しておきますから、御努力を願います。
  139. 小沢辰男

    ○小沢説明員 常に私どもが犯人のように言われますが、実は国が赤字で借金をしているような四十年度でも、御承知のように、九月実施に踏み切っているわけでございます。私どもとしては、ただ単に財源等のことで、これを私のほうだけが特に反対、六人の大臣はみな賛成でも、こっちは絶対に断わるというような性格のものではないわけでございまして、七人委員会で十分御検討願いまして、その結論が出るならば、私どもはできるだけの財政上のやりくりをしていかなければならぬ立場でございます。大蔵省というのは、最初から乗り出すところではございませんで、結局方針なりいろいろ各省のあれがきまってきまして、それを受けてその財政のやりくりをするところでございます。そういう意味では、先生おっしゃるように、できるだけ前向きで努力をすることは例年のとおりでございます。
  140. 大出俊

    ○大出委員 例年前向きで努力をされぬものですから、私はこういうふうに申し上げておるので、本年は珍しく昨年と違って、あなた七人委員会のうちの大蔵は一番最後に聞く聞き役なんだから、六人の皆さんのほうで話がまとまれば反対をするものではないとあなたは言ったんだから、大臣ではないからといって、あなたはそういうふうにしないというようになると、責任問題になりますからね、ほんとうに。初めてあなたはそういうことをおっしゃった。七人委員会の中で六人がまとめたら、財政当局としても反対するものではないとあなたはおっしゃった。これは重大な問題ですからね、銘記をしておきます。  文部大臣にお伺いしたいのですが、人事院勧告所管の委員会でございますので、六人委員会ということになっておりましたのが、七人委員会ということになりまして、先ほど御答弁がございましたように、都市手当関係があるから、こういうお話のようでございます。しかし、七人委員会にお出になるのだとすれば、都市手当関係だけでものをおっしゃるわけでもないのだろうと私は思うのであります。そういう意味でひとつ、本年の勧告でも、教職員関係のところについて多少の配慮が見られる点がございます。まだそれでも私はたいへん少ないというふうに実は思っておるわけでございます。しかし、中身の論争は時間がございませんから避けますが、一つなお不満足な勧告中身を持っていると私は思っております。したがって、特に教職という立場方々をかかえている大臣でございますから、なるべくりっぱな方々がお集まりいただかなければならぬところでございますし、そういう意味で、人事院勧告完全実施ということにつきまして、私はどうしても完全実施に向かって全力をあげていただきたいと思うのでございますが、大臣の御所見のほどを承りたいと思います。
  141. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 従来のいきさつは存じませんけれども、従来給与人事院勧告がありまして決定したのが、大体六人委員会ということで決定されたようでございます。私ども、やはり七十万の教職員の待遇の問題につきまして責任を持っておるわけでございますから、これで決定されまして原案を閣議へ出されますと、それにはなかなか私ども意見を述べる機会は少ないと存じまして、まず原案作成の段階におきまして私ども主張すべきものは主張したい。特にいま都市手当の問題で官房長官申されましたが、私としましては、都市手当というだけの問題ではなしに、教職員の給与の全体につきまして、私のできるだけの主張をしてまいりたい、こう考えております。
  142. 大出俊

    ○大出委員 最後でございますけれども、たまたま都市手当の問題が出ましたから申し上げるのでありますが、いまながめておりますと、教職員の皆さんの転勤にあたりまし、て、たとえば四級地、三級地等におられる方々を動かす場合に、それぞれの自治体その他で手を打ちまして、四級地であるところは四級地相当額というようなものを別途考えて、級地に入らぬところ、零、一、二級地等に行かれる場合に、考えておいでをいただかなければ行き手がないというのが実際の実情であります。三級地についても似たようなことが言えるわけであります、一般的にながめてみまして。したがって、そういう意味から申しますと、私は、特に今回のこの都市手当をめぐりまして、文部省の立場で積極的な意味の反対だということでもないのだという気がするのであります。そこらのところ、何か知らぬけれども都市手当があるからという先ほどのお話がありますと、特に都市手当に問題があるから剱木大臣を入れたということにもなりかねませんので、念のために、そこらのところ御見解のほどをどちらなのかお聞きしたいわけでございます。
  143. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 私は、その都市手当というものに当然反対だという意見はまだ申しておりません。ただ、都市手当には相当の問題があることだけは事実でございます。これが教育行政上いかなる影響を持つかということを十分考えまして、この都市手当の問題を研究しなければならぬ。ただ、現在の私の心境としては、にわかにこの都市手当を全面的に是認するという状態ではない、なお十分研究を要する、こう考えておる次第でございます。
  144. 大出俊

    ○大出委員 私は、この給与法を改正実施をするにあたりまして、人事院規則をあわせて出さねばならぬことを前に主張いたしましたが、人事院のほうでおそらくそういう作業をおやりになっておるのだと思うのでありますが、それだけに論議をする場所としては私は幾らでもある、こう思っているわけです。法律で、云々という形になるとするなら別ですけれども、規則で云々ということになるとすれば。だから、そういう意味では、ひとつじっくり論議をしていきたいと私自身も実は考えているわけであります。したがって、慎重にお取り扱いいただいて、とにかく勧告完全実施に向かって全力をおあげいただきたい。  それから人事院総裁にも、立案の段階、いま大臣いみじくも私がかつて言ったと同じことをおっしゃっておられるのですが、政府原案をつくられる段階、きわめて大切でありますから、重ねて御努力をいただくように申し述べまして、終わらしていただきます。
  145. 關谷勝利

    關谷委員長 受田新吉君。
  146. 受田新吉

    ○受田委員 文部大臣は時間の都合はよろしゅうございますか。——それでは人事院総裁はお急ぎでございますから、総裁に御答弁いただく点を先にやりましょう。きわめて短く質問を終わる予定ですから、ごしんぼう願いたいと思います。  先日の当委員会で、総裁にいささか苦言を呈した形ではなはだ失礼であったわけですけれども人事院の国家機関としての独立性を十分尊重して奮励努力せられるよう要請をしたわけですが、あなたは七人委員会にオブザーバーとしてできるだけ要請にこたえて出席しておられますか、いかがですか。
  147. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これは先ほどちょっと触れましたように、たとえば勧告時期の問題の研究をおやりになるというようなときには、私どもできるだけ参加をさしていただいて一緒に検討いたします。ですから、こちらから説明するような場面があれば、それは出ます。しかし、この実施時期をいつにするというような相談には、これはわれわれはいままでお招きを受けたということは一度もございませんし、積極的にこちらから割り込んでという気持ちも持っておりません。
  148. 受田新吉

    ○受田委員 この勧告文を拝見すると、このたびは異例ともいうべき実施時期に対する強烈な注文が書いてあります。いまだかつてない注文だと思うのですが、さよう了解してよろしゅうございますか。
  149. 佐藤達夫

    佐藤説明員 はっきりした注文が——注文ということばはちょっと取り消しましょう。はっきりした要望が盛り込まれておるつもりでございます。
  150. 受田新吉

    ○受田委員 文部大臣も、新顔ながらも政治経歴の古い方でございますから、人事院勧告をすなおに実現せしめる点においては、原則として賛成でございましょうね。
  151. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 もちろんでございます。
  152. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、大出委員の指摘のごとく、大体七人の委員の大半は完全実施を原則としてお認めになっておる。答えはおおむね要望の線に沿うごとくに出ると期待をしてよろしいとわれわれは判断をするに至ったわけなんですが、ただ、総裁、この勧告実施について、それほど強烈な注文をされながら、毎年これがおくれておるということは、他の勧告内容実施されたとしても、実施期が勧告どおり実施されないという点においては勧告の意義を半分失っておると判断されるがどうか。
  153. 佐藤達夫

    佐藤説明員 半分とか三分の一とか、そういう問題では私はないと思います。先ほど来ここでもるる申し上げましたように、私どもは四月調査の結果に基づいて格差を埋めていただきたいというのですから、五月にさかのぼっていただくのがあたりまえでありまして、半分も三分の二も、そんなことは私は念頭に置いておりません。
  154. 受田新吉

    ○受田委員 しかし、実施をおくらせておるということは、勧告の意義を半分以上失っておると私は思うのです。現実論として、それはささやかな勧告に対する政府の牽制というような問題ではないと思う。半分とか三分の一とか、そういう意味ではないというお気持ちは私は許されないと思う。とにかく実施期を完全にやってくれないということは勧告の大事な中身を半分以上も抹殺したと同じものだというくらいの強い意気込みでないと、軽い気持ちでということであったら、なかなか七人の優秀な閣僚たちも賛成しないと思うのです。これが最も大事なポイントだというところでやってもらわなければいかぬ。そこをひとつ十分心得てやっていただきたいということと、それから総裁人事院勧告権の中には検察官も含まれる。外務公務員給与ですと、いわゆる在勤俸も含まれる。さらに、退職者の退職年金も含まれる。こういうような人事院の当然にやらなければならない仕事を、総裁、怠っておると思うのです。これはどうお考えになりますか。
  155. 佐藤達夫

    佐藤説明員 外務公務員関係は、御承知のように、特例法の中で特例部分は、これは人事院関係外になっておりますが、特例でない部分はわがほうの勧告でカバーされておるわけで、これは問題にならない。退職金のほうもこれはたびたび御指摘を受けておりますが、私どものほうにも勧告権はございますけれども、たとえば、スライドの問題にいたしましても、これもたびたび御説明申しておりますように、関係あるいは波及する面が非常に幅広いものを持っておりまして、私どもが独創的には軽々しくやれない。軽々しくと言うと語弊がありますけれども、独創的にはやれないという面が控えておりますので、その点は慎重に考えておるというふうに御了承を願いたいと思います。
  156. 受田新吉

    ○受田委員 外務公務員給与で在勤俸を例外としている法律の案文を示していただきたい。
  157. 佐藤達夫

    佐藤説明員 案文を示せとおっしゃられれば六法全書を全部調べればすぐわかりますが、そらんじてはおりませんので、次の機会にお譲りを願いたいと思います。
  158. 受田新吉

    ○受田委員 人事院が当然なさなければならない勧告権の中に検察官の給与というものが入っているのです。これも人事院なりにいまの人員で間に合わぬということであるならば、兼務ででもこれは調査されて、勧告実施されなければならない。また外務公務員の在勤俸の問題なども同様、人事院立場でやらなければならない。退職年金も同様。そういうことで、人的資源が不足しておるということであるならば、これは人員を人事院がふやすことにやぶさかでない。人事院の権威を保つために、他の省庁は人間を減らしてでも人事院をふやすという道もあり得ることなんです。かつて、定員定額制を大蔵省が示して、昭和二十九年を起点にして固定化した定員のもとに政策を進めていたことがあるわけなんです。そういうような政策の根源になるのは、やはり人事院勧告ということが給与面に十分あらわれて、そこから恵まれた公務員が職務に精励するというかっこうでなければならない。そのためには、あの公務員制度調査会が昭和三十年の末答申した中、また臨行の答申の中、そこにもはっきり示されている。各省問にわたる人事の待遇のバランスを十分とるという意味からも特別職を含む公務員にも人事院勧告したものが十分適用されるような方向に政策を進めていかなければならないと思うのです。人事院は一般職しか担当していないから他のところはどうでもいいということになってくると、そこに弊害が生まれる。したがって、一般職のすべての公務員、少なくとも人事院が担当する公務員は一般職として、とかくおろそかにされがちな、漏れる職種までも含めて一般職公務員に対する厳正なる調査とその勧告実施していただきたいと思います。  私の懸念しておることはもう一つ、今度の勧告を拝見しますると、従来しばしば私が個人としても指摘しました諸手当制度の簡素化、これは三十年に公務員制度調査会の強い要望でもあったわけだし、また臨行もそういう点に指向するところも用意しておるようでございますが、〇・一月分を三月の勤勉手当として諸手当の中で色をつけておられるのが一つ出ておる。これなども民間の諸給与調査された結果、三月末に支給していいものか、あるいは十二月末に支給していいものか、期末手当として支給すべきものではないかというようなことについて十分検討された答えだろうと思うのですが、まずお答え願いたいです。
  159. 佐藤達夫

    佐藤説明員 そのとおり、十分検討の結果でございます。従来公務員関係では、年末と夏と三月、この三つに分けて期末、勤勉関係の支給をやっておるわけでございますけれども、今度民間——民間はその企業体自身によってそれぞれ違いがあります。期末と勤勉とに分けておるところは少ないと思いますが、これを総体としてつかみましたときには、公務員の場合は〇・一カ月分だけ不足である。そこでこれを埋めてもらいたい。埋めるのをどこに割り振るかというと、結局われわれの検討の結果、三月分というのはわりあいに少ないわけですから、三月分に回すということと、勤勉と期末との従来のバランスから考えると、今度は勤勉をふやしていただく番だという、しっかりした二つの根拠のもとにやっておるわけです。
  160. 受田新吉

    ○受田委員 支給にあたって、実質的に勤勉手当というものに差がつけられておりますかどうですか。
  161. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それは当然勤勉度ということをうたっておりますから、勤勉度に応じた支給がされておるべきはずであります。またそれがされておると私は思っております。
  162. 受田新吉

    ○受田委員 期末手当という制度、その中に勤勉度というものが含まれてしかるべきものであって、この期末手当と勤勉手当とを一本化して期末手当として支給すべきではないかという私なりの議論を私はしばしば申し上げました。実質的に勤勉手当というものは、長期休業のような者に対する措置としてしか出ていない。そういうことになるならば、期末手当支給という点に重点を置かれて、そうした長期休業のような場合における特別の規定を設けておけばいいのであって、わざわざ勤勉手当というものをここでうたって、何か職員に対して勤勉の度合いを終始監視するということになるようなことをやめて、むしろ昇給昇格に勤勉の度があらわれてくるということでこれは処理できると思うのです。これは手当制度を複雑化するという意味において、一本化を私要請したわけでありますけれども、まだこれが実現されていない。あなたなりの御意見があるので、私は一応これだけにしておきます。  もう一つ、管理職手当と超過勤務手当、とれなどももともとは一本であったものが途中から分かれてしまったのです。こういうものにつきましても、管理職手当部分それから超過勤務手当部分というものになって、低い公務員には非常に低い水準でしか超過勤務手当が出ていないが、高い基準の方には二五%も中心都市などでは出ておる。非常に差が出てくる。精励恪勤をしたとしても、超過勤務手当はせいぜい一〇%程度しかない。こういうことで、その手当そのものにおいて、高い俸給を基礎にして二五%、低い俸給を基礎にして一〇%あるいは六%という低い超過勤務手当しか出ないとかいうことは、これは下の者に非常に冷たい施策であると私思うのです。そういうものについても、管理職手当、俸給の特別調整額と超過勤務手当というものには、上下を通じて同じ基準でいくというような制度をこの際つくるべきではないのか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  163. 佐藤達夫

    佐藤説明員 管理職手当と超勤の関係にちょっと触れられましたけれども、これは一がいに管理職手当のほうが有利であるとは私どもは思っておりません。たとえば、ある特定の職種をとらえて超勤制度から管理職手当制度に切りかえようかといたしましても、かえってそのために損をする人がこれだけあるというような問題が現実に出るわけでございまして、それを一律にそういうことをおっしゃっていただくと正確ではないような気がいたします。これはやはり管理職といわれる人人は、管理監督と申しますか、そういう仕事の性格上そういう手当をつけることにして、かつその仕事は超勤制度というものになじまないという二つの性格から出ておるわけでございます。その率をどうするかという話は、これは当然それ自体考えてよろしいわけでございますけれども、超勤制度と管理職手当とはまた根本の思想が違うというふうに御了解願わぬと困ると思います。
  164. 受田新吉

    ○受田委員 いま指摘された、超勤手当をもらっている人が管理職になって管理職手当に変わるとちょっと損をするような例がまれにあります。これは本則じゃないのです。きわめてまれな例なんですね。そのまれな例をとらえて議論されることは私適当でないと思うのですけれども、その場合に甲地乙地、丙地とあって、甲地にある者は二五%、乙地にある者は一八%、丙地は一二%というふうになってくると、甲地の管理職手当を受ける方は高い俸給の四分の一を現実に出してもらうことになり、地方の出先機関の者は一二%しかもらわない。中心にある者は二五%もらうというような、こういう勤務の内容においてちっとも変わりない大事な仕事をしている人にこの大きな差をつけておるということ、地方へ行けば地方へ行くほど比率が下がっておるというこの現実を考えたときに、私はこの比率を一本にしていくべきだと思う。それは防衛庁の職員などにはすぐ——きょうは防衛庁から局長が来ておられるようだから、防衛庁にもお尋ねしようと思うが、全国の防衛庁の職員、自衛官というものはもう都市も農村もなく同じ率でいくということで自衛官の給与はきまっておる。超過勤務手当部分が一三・八%という比率で加わっておるというようなたてまえで、やはりまだ管理職手当は一〇%、八%で出ておるのでしょうね。そういうものを含めて、基本の俸給にプラスいわゆる暫定手当、それをカッコして、かける一三・八%というのが超過勤務手当部分に当たるという制度はまだ踏襲しておると私思うのです。それに全国で、東京におろうと地方におろうと、自衛官の勤務というものは全く同じようなことになるという意味で、自衛官の場合は同じような俸給になる。ところが、これを中央官庁と地方官庁で差をつけられることになると、これは勤務意欲にも相当私は影響が起こると思うのでございますが、こういう諸手当制度整理する意味からも、管理職手当、超過勤務手当というようなものは何かの名称で比率を同じにして出すというような形の制度化をはかられるべきではないか、かように思っております。  一時までにお食事もされなければいけませんから、私はあなたにもう一つ、今度文部大臣が超過勤務手当制度実施しようとしておられるようでありますが、もともと教員だけを超過勤務手当をはずすということはなかったですね。総裁。どこの規定にもないのです。大臣の御見解をただします。
  165. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 大体教育職員につきましては、その職務の内容上、ずっと長い間超過勤務を命じないというたてまえでやってまいったのでございますが、それには、当初教員の給与をきめます場合に、普通の一般公務員よりも二号俸だけ高いというきめ方をして、そういう趣旨で通ってきたのでございますが、現段階におきましては、しばしば俸給改定からその二号俸高いということが実証できなくなりまして、この超過勤務の問題がいま論議されておる段階でございます。私自身は、やはり教員の勤務の態様から申しまして、教育公務員につきましては別個の給与体系があってしかるべきだと考えるのでございますが、現段階においてはそれがない状況におきましては、超過勤務のことも考えなければならないのではないかというふうに考えております。
  166. 受田新吉

    ○受田委員 人事局長おられるから、私はいま総裁にお帰りを願ったのですが、私がいまから質問することで、人事局長で御答弁願えるならば政策的に御判断いただけばいい点がたくさんありますから、お残りをいただきたいのですが、文部大臣、超過勤務手当をどういうかっこうで実施したいというお考えでございますか。他の公務員並みということですか。
  167. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 超過勤務の問題につきましては、四十三年度の予算におきまして解決したいと存じますが、教育公務員としての基本的な給与の体系を変えて考えるか、あるいは超過勤務を出すかということについては、ただいま検討中でございまして、いずれにいたすということに決定をいたしていないのが現状であります。
  168. 受田新吉

    ○受田委員 文部大臣、教育職の俸給表を見ますと、校長級と教諭級、助教諭級——これは教育職俸給表の第三の中小学校の場合に例をとります。大学は五等級になっている。高専も五等級になっている。また、高校は中小学校と同じ、こういうように俸給表が職階制になっていないのですね。職階制になっておるといえば、校長、教諭というところがそれですけれども、その同じ教諭は教諭で一本です。一本の俸給表になっておる。これは適当であると思うかどうかです。
  169. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 私は、現在のきまっております給与の体系と別個に、教職員につきましては特別の給与体系があるべきだと考えておりまして、実はこれにつきましては基本的に研究といいますか、調査研究を開始したい、こう考えております。
  170. 受田新吉

    ○受田委員 初任給が二号俸程度一般公務員より高い基準から始まっておる。それから、教員の場合には特別昇給制度というのが事実問題として存在しているかどうか、お答え願います。
  171. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 特別昇給制度でございますが、現行制度におきまして、教員総数の一割の範囲で特別昇給を行なうことができる、こうなっております。現在特別昇給制度実施しておりますのは、二十一県においてそれが実施されております。また一般的な特昇のほかに、昭和四十年から、僻地に勤務いたします教員につきましては、おおむね三年に一回特別昇給をやるということにいたしております。これを実施いたしておりますのは、現在四十五の都道府県に及んでおります。
  172. 受田新吉

    ○受田委員 いまの僻地に勤務する教員に三年に一度というものは、それがそのまま最後まで生きてくるという形ですね。途中でその昇給分を押えるということは全然ないという形ですね。
  173. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 さようでございます。
  174. 受田新吉

    ○受田委員 それが一つ採用されている特別昇給の特例だ。これは意味がある。しかし一般の府県で、あなたが指摘されたとおり、半分以上がその特別昇給制度採用していない。それから超過勤務手当もですね。そういうところに教員の不満が一つ出ておる。それからあなたがいま指摘された特別の俸給表をつくるようにしたいということになっても、人事院勧告しなければなかなかできないわけです。大学の学長の特別の俸給制度を文部省が単独に出したことがある。ついにそれはつぶれて、人事院勧告で片づけられにことがあるわけです。それは人事院との関係をどう考えておられての構想であるか、お答え願います。
  175. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 このことにつきましては、私の考え方を先般人事院総裁ともお話し合いをいたしました。本質的には人事院総裁も私の意見に賛成をいただいておるのでございます。ただ、私どもとしては教職員にかくあるべしという給与体系を研究はいたしてまいりますが、最終段階におきましては、もちろん人事院と御相談する、人事院勧告を必要とするものと考えております。
  176. 受田新吉

    ○受田委員 いま大学の学長で、指定職の俸給の適用をどういう形で受けておるか。大臣、事務当局でもいいが御説明を願います。東京、京都の大学、それから大学院を持つその他の大学の五つ。それから残された大学の学長の俸給の適用位置というものをお示し願いたいのです。
  177. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 大体ただいま現行の大学学長の給与は五段階になっております。最低十八万から最高二十七万という五段階に分かれておる状態です。
  178. 受田新吉

    ○受田委員 今度の勧告でですね。
  179. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 さようでございます。
  180. 受田新吉

    ○受田委員 高専の校長の給与と、つまり教育職俸給表の第四とそれから教育職俸給表の第一と比べてみると高専の一等級のほうがいささか給与が高い。この根拠をお示し願いたい。
  181. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 私からお答え申し上げますが、現在大学の教授につきましては別表一の、教育職俸給表(一)の適用をいたしておりますが、この一等級は大学の教授に適用されるものでございます。これに反しまして、教育職俸給表(四)は高専の教官に適用されるものでありますが、この一等級は高専の校長に適用される俸給表でございますので、比較といたしましては、教授につきましては高専の俸給表の場合は二等級の俸給と比較するということになると思います。
  182. 受田新吉

    ○受田委員 高専の俸給表の一等級は校長俸給表、二等級が一般の教授の俸給表と理解してよろしい、つまり、一階級ずつずれておると理解してよろしいということですね。  高専の教授の中にその一等級の俸給の適用を受ける人もあるわけですか。
  183. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 高専の教授につきましてはすべて二等級の俸給表を適用されます。一等級は校長だけでございます。
  184. 受田新吉

    ○受田委員 教授で、相当の年限の勤務者を一等級に適用をする者はありませんか。
  185. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 ございます。
  186. 受田新吉

    ○受田委員 そうして、大学と高専と高校、中学、小学を通じて、同一学歴の同一勤務年数の者に対する差をどう見ておりますか。
  187. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 高専の教授と大学の教授あるいは高専の助教授と大学の助教授を比較いたしますと、同じ経験年数、同じ学歴の者につきましてこれを比較対照いたしますと、おおむね一号俸程度高専のほうが教授あるいは助教授について低くなっております。
  188. 受田新吉

    ○受田委員 それからほかの高校、中小学のほうはいかがですか。
  189. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 高等学校と大学との関係におきましては、初任給はそれぞれ同じでございますが、経験年数を経るに従ってそれぞれ差ができております。いま具体的にどのくらいということはちょっと申し上げられませんが、差ができております。  それから高専の講師と高等学校の教諭というのが大体同じような資格でございますが、これを比較いたしますと、同じ経験年数では高等学校の教諭のほうが百円ないし二百円低くなっております。
  190. 受田新吉

    ○受田委員 この教育職(四)の俸給表の比較をしてみたときに、学校の勤務差が相当濃厚にあらわれてきたわけです。大部大臣としては勤務学校別の差をさらに開く方針か、あるいはそれを接近させる方針であるか構想を承りたい。
  191. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 いま高専を入れまして大体四本立てということが言えると思うのでございますが、これを四本立てにいたしましたことについては、現行についてそれ相当の理由はあったかと思います。しかし、私個人として考えておる問題でございますが、教育職員につきましては、全部を通じて一つの基本的な俸給体系というものが考えられないかどうかということにつきましては十分私は研究してまいりたい、こう考えております。
  192. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、ここでお話が、あなたの所管事項の中でいま問題にされている朝鮮大学校のことにちょっと触れますが、朝鮮大学校の設立認可について文部大臣は東京都知事が審議会にはかってこれを認めようとする段階で、この朝鮮大学校を各種学校として認めることは適当でないという判断をされておるようであり、またその判断に基づきまして、法の規定に基づいていま大臣が示そうとしておられるような点は地方自治法の第百四十六条「国の機関としての長に対する職務執行命令」というのを適用されようとしておるように漏れ承っておるのでございますが、間違いございませんか。
  193. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 前段におきまして、ただいま東京都知事が朝鮮大学校の認可をされようとして、私学審議会に諮問をされるということが決定したようでございます。でございますので、文部省の見解といたしましては、知事が私立学校の認可につきましては機関委任をいたしておりますのは、大学及び高等専門学校を除いて機関委任をいたしておるのでございます。したがって、この朝鮮大学校の場合は、大学そのものではございませんけれども、しかし内容から申しますと大学に相当するものと考えますので、知事がこれを認可するのは適当でない、こう考えておりますので、これに対しましては、法の秩序を守る意味から申しまして、この認可行為に対して何らかの措置を取るべきであると考えております。しかし、いま申されました御指摘の条文によってこれに命令を出す、そういったような問題につきましては、全くまだ決定をいたしておらぬのでございまして、目下いかなる措置をとるかについては検討中でございます。
  194. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、大臣としては、地方自治法第百五十条の「長の処理する国家事務の指揮監督」というところで、何らかの扱いをしようとされるのでございますか。
  195. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 そのことも含めてまだ決定しておりませんけれども、そういうことも含めて、いま検討中でございます。
  196. 受田新吉

    ○受田委員 まあ、一般に、大学校と称している名称のところには、各種学校に類するものが幾つもあるわけです。それは政治大学校とか、あるいはいろいろな名称を用いたのがある。それが学校教育法による大学にまぎらわしいものであるから、これは地方の公共団体の長の処理する委任事項ではないという判断に立つのでございますか。
  197. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 名称の問題でございませんで、実質的に大学の範疇に相当するものだと考えております。
  198. 受田新吉

    ○受田委員 それで、これは文部大臣が認可する事項になるものであるという判断の基礎は、単に大学校という形態が大臣自身が扱う問題だということだけでは筋が通らない。これは外国人学校ですから。外国人学校で、学校教育法の大学という性格があらわれているので文部大臣がやるんだということになるならば、法律をつくらなければいけないんです。立法の事項に属する外国人学校法というようなものでもつくって、そこで規定をしておかなければ、現行法規の中には、大臣が権限を振り回すような何ら根拠はないと私は判断するが、いかがでしょうか。
  199. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 その点につきましては全く同感でございまして、現に府県知事が認可しております各種学校としております外国人学校につきましても、これは本来の意味から申しますと、外国人学校は学校教育法の対象にあるべきはずのものでございます。いま現にその法秩序が乱されてきておりますので、私としましては、去る国会から、こういう事情を是正する意味におきまして外国人学校制度というのを設け、成規の法律上の保障をすべきだという考え方を持って努力してまいったのでございますが、現段階まではそれができなかったので残念でございましたが、今後早い機会におきまして、ぜひこれは日本の学校教育制度の秩序を正す意味において外国人学校制度を創設したい、こう考えております。
  200. 受田新吉

    ○受田委員 現実の問題として、何ら根拠法がないものに対して、文部大臣としてこれを拒否することができるかどうかです。できますか。
  201. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 いままでは一応文部省としましては、各種学校として認可するのは差し控えるように通達してまいりましたが、事実問題として各府県において認可をしてまいりました。これは日本の学校教育法のたてまえからいって学校制度の混乱でございますので、これはできるだけ早くこの立法措置をとって是正するよりほかにない、こう私は考えております。
  202. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、このたびの朝鮮大学校は、大臣の気持ちとしてはこれを押えたいけれども、その法律が新しくできるまではやむを得ぬという気持ちがおありなら、それで私は何も質問しません。
  203. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 さようには考えておりません。やはりいままでの各種学校の場合でも、不適当ではございますけれども、一応知事に機関委任をいたしました範囲内の学校の種類でございます。今度の大学になりますと、これは機関委任の範囲外でございますので、またこれはできるだけ私どもは法秩序を守る意味において、事前にそういうことの起こらないようにするのが私の責任だと思っております。
  204. 受田新吉

    ○受田委員 大学を除くということがどこにありますか、大学にまぎらわしいものは除くというのは。
  205. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 私立学校につきましては、その設置認可は知事に委任しておりますが、私立学校法におきまして大学及び高等専門学校は文部大臣の所管に規定をされております。でございますから、大学の移行については知事に委任をしていないというように考えております。
  206. 受田新吉

    ○受田委員 それはちょっと私理解に苦しむのは、各種学校の規定のところにある外国人学校の規定には、そういう差別はどこにもございませんね。
  207. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 外国人学校の規定にはございません。
  208. 受田新吉

    ○受田委員 ないから、これは大学、高専を除くという規定がいま適用できないのですよ。できないものを、いま新たに法律ができる前にこれを押えようという行き方は権限を逸脱した行為であると私は思うのですが、私自身、朝鮮大学校の内容について十分まだ研究していないわけでございますが、現にりっぱな建物ができている。そうして外国人学校として大いに設備も充実して、着々とその学問は進んでおり、世間にも知られた建て物であり、学校である。それをいまやめろというようなことは、行政指導において、過去において欠くるところがあってこれができたという立場で文部省が見られるならば、文部省の責任である。そしてその教育内容等に問題があるならば、その問題に対して適当に学校側に注意、注文をして、それを正常な形に運営せしめればいいのである。すでにここまででき上がったものを、文部大臣が何ら権限がないのにそれに異論をはさむということは筋違いと思いますが、そういうことはおやめにならなければいかぬじゃないですか。
  209. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 私は権限がないとは考えておりません。でございますから、これはやめる意思はございませんが、ただ三百だけ申し添えたいと存じますのは、そういうことがございますので、できるだけ早く外国人学校の制度というものを創設したい。これは私は来たるべき国会の審議の場合にぜひひとつ出させていただきたいと思いますが、いままで過去におきまして、事実行為として学校の教育が行なわれておったことは事実でございますけれども、東京都におきましては、この申請があったにもかかわらず、やはり文部省と歩調をともにしていただきまして、今日まで認可の行為に至らなかったのでございますが、今回急に認可措置をとろうといたしておりますので、私どもとしてはこれを是正する何らかの方法を講じなければならぬ、これは私の責任だと思っております。
  210. 受田新吉

    ○受田委員 これは非常に大事な文部行政上の問題だと私は思うのです。これは軽々しく扱ってはいけない。したがって、文部省は何らの権限のない形で、ただ単に大学、高専に準ずるものだという意味で、法的根拠のないものに規制を加えるというかっこうになると私は思うのです。これは将来に文部行政上の非常な禍根を残す問題になる。過去においてこういう事例があったかなかったか。いままでこうした設立を文部大臣自身が抑止した例があるかないか、お聞きしたい。
  211. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 朝鮮人大学という問題は過去において事例があるはずはございません。初めての例でございます。  なおかつ私どもは、権限があるかないかという問題については、政府部内におきまして十分の検討をいたしまして、さようなことのない処置をとりたいと思います。
  212. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は、非常に影響するところが多うございまするから、あまり早急な結論をお出しになって、問題を複雑化しないように御注意を申し上げておきます。  最後に公務員宿舎について一言だけお尋ねして質問を終わります。国家公務員の宿舎の充足状況というものは、この間お示しいただいた、大体三〇%前後の充足と伺っておる。それからその格差について資料をお出しいただきました。それを見ると、五等級以下の公務員は二〇%の充足率。それから指定職及び一等級は四一%、二等級は四八%、三等級及び四等級が四二%という入居戸数の比率をお出しいただいておるのですが、今度の人事院勧告を見ますると、標準生計費の中に占める住居・光熱費が三千百三十円という数字が出ておる。これを基礎にして初任給もきまっておるということになってくると、これを見てもわかるのですが、大半——五分の四という下級公務員は、三千百円で住まいをしておる者はおらぬわけでございますから、宿舎を提供された者以外は異常な負担を背負うてくるということになると、下級公務員の生活実態というものは容易でないことは、私はこの数字で出てきたと思うのです。公務員宿舎の充足をどう考えておられるか、当局から御説明願いたい。
  213. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 お答え申し上げます。  この間お出ししました資料でございますが、これで見ますと、職員の公務員宿舎への入居状況といいますのは、二三%程度になっておりますが、これは実は二三%しか入っていないということは当然でございますけれども、そのほかの大部分の方は自宅を持っておられましたり、あるいは借家に入っておりますがその借家を出るつもりがない。安定しておるというぐあいに私ども呼んでおりますが、かりに公務員宿舎をつくりましても、そちらに移る気持ちを持っておらない、そういう方が大部分でございまして、したがいまして私ども宿舎の事情を見ますときには、そういう自宅とか安定しました借家とかそういうものによって満たされている方と、それから公務員宿舎によりまして安定しておる方と、全部合わせまして宿舎安定の度合はどのくらいであるかということを見てやっておる次第でございます。実は資料を差し上げておりませんのですが、そういう観点で見てみますと、全体の公務員の宿舎の安定率は九三・二%ということになっておりまして、級別に見てみますと、お話のございました下級の公務員は、確かに多少平均の率より下がっておりますが九二・六%、こういうことになっております。したがいましで、級の高下によりまして、それほど安定の度合いは変わっておりません。ただしこれで十分満足できるような状態であるかといいますと、まだ必ずしもそういえませんので、四十五年ごろにちようどみな一〇〇%安定しますように、現在五カ年計画というのを進めておる次第でございます。
  214. 受田新吉

    ○受田委員 その数字が私理解できないのですがね。九〇%以上の充足率だ。希望者はもう九割は入っておるのだということでございまするが、都市に勤務する公務員で住居希望者は非常に多いと私は思うのです。その中でくじを引くようなかっこうで公務員宿舎に入っておると思うのですが、あなたの出された資料というものは何を——本人の実態調査でやられたということでございますが、どうも私納得できない。そこでその他の者は、非常に高い貸し間などで、一万円もかけて、新婚生活もできないという残酷な状況にある。これも御存じですね。非常に軽く見ておられるが、私はその実態調査数字をひとつあとで見せていただきたい。私が聞いているところでは非常にきびしいものである。
  215. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 ただいまそういう数字をちょっと用意してございませんので、後ほどつくりましてお届けしたいと思います。
  216. 受田新吉

    ○受田委員 北海道の旭川の第二師団の将校、下士官の住宅の充足状況を見ると、将校が佐官以上で約七〇%に近い住宅の充足。それから下級将校と下士官は三〇%台、約半分の充足状況であるという数字を示してもらっております。これは自衛隊の場合です。決していま申されたような下級公務員の希望者を大半入れておるという状況ではありません。思い切って下級公務員に住宅を提供すること。これが提供できない間は、何らかの形でこれに準ずる、せめてわずかでも住宅手当制度というものを創設すべきであった。毎年勧告の中身に織り込むように人事院に要求もしたのであるし、総理府にも注文がしてあります。勧告になくても、愛情をもって処理しようとすれば、公務員住宅手当制度なるものは政府自身の力で創設してもしかるべきだと私は思います。人事局長、御答弁願いたい。
  217. 増子正宏

    ○増子説明員 住宅手当の問題でございますが、なるほどこういう新しい手当の創設ということ、必ずしも人事院勧告を待たねばならぬということは制度上はございません。しかしながら住宅手当を、いわゆる給与の一部として新しく設けるということは、その持つ意味なりあるいは影響という面で非常に大きいものがございます。そういう意味合いにおきまして、なお一方で人事院がこれについて何らの措置をしていないということであれば別でございますけれども、現状におきましては、人事院総裁がしばしば申しておられますように、民間の実態等を調査しながら、人事院として検討を進めており、まだ現在においては結論を得ないという状況でございますので、そういう事態を無視しまして、政府として、あるいは総理府として、積極的にそういったものを考えるということは適当でないというふうに判断いたしております。
  218. 受田新吉

    ○受田委員 これでおしまいにいたします。  民間の住宅事情の中には、五百人以上の住宅の充足状況は非常に高い。調査対象になっておる五十−百人という、この基準の下のものにそういうものが十分でないということがいえるわけで、公務員給与のための住宅の実態調査は五十人からスタートするというところに問題があるので、国家機関という大きな組織体から見るならばせめて五百人以上の事業所を主体として調査するようにしなければ、ほんとうのバランスがとれないと私は思うのです。非常に住宅事情の悪い五十人から百人程度のものを含めてこうだという基準でなくて、もっと一応の形を整えたものを対象にする意味からは、調査対象を百人あるいは二百人というような高い基準からスタートするのが、国家公務員としては比較するのに一番適当であると思うのですね。そういう意味でこの問題は、調査対象が低い小さな規模のところから始まっているところに問題がある。住宅などは、大企業などはほとんど充足しているという状況です。そういうことを対象にされていたずらに小さな企業の住宅事情を対象にして住宅事情はよくなっている、公務員のほうがあまり負けてはおらぬというような解釈は成り立たぬ。私はこれに対する答弁をいただいて質問を終わります。
  219. 増子正宏

    ○増子説明員 私が答弁するのが適当かどうか存じませんけれども、先ほどと関連して申し上げますと、ただいま御意見がありましたように、民間の、いわゆる住宅、社宅の提供状況といいますか、あるいは給与としての住宅手当の支給状況、そういったものの調査方法等につきましては、いまの受田先生のような御意見、これも当然あり得ることと思います。人事院がせっかく研究している問題でございますけれども、そういった技術的な問題につきましては、私ども機会あれば——あればというよりもあるごとにそういうことは人事院関係者にも申しております。すなわち、そういった適正な調査が行なわれることを私ども希望いたしております。  なお、国設の公務員宿舎の問題は、大蔵省からお答えがあろうかと存じますけれどもお話のように、私どもできるだけこれが増設されまして、職員の住宅事情の緩和されることを希望いたしております。
  220. 關谷勝利

    關谷委員長 次会は、来たる十月六日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十二分散会