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1967-10-11 第56回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十月十一日(水曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 久保田円次君 理事 和爾俊二郎君    理事 細谷 治嘉君 理事 山口 鶴男君    理事 門司  亮君       木野 晴夫君    佐々木秀世君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       永山 忠則君    古屋  亨君       山田 久就君    井上  泉君       太田 一夫君    河上 民雄君       島上善五郎君    中谷 鉄也君       華山 親義君    依田 圭五君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  委員外出席者         警察庁次長   後藤田正晴君         警察庁警備局警         備課長     三井  脩君         法務省刑事局公         安課長     豊島英次郎君         公安調査庁長官 吉河 光貞君         文部省大学学術         局長      宮地  茂君         文部省大学学術         局審議官    清水 成之君         文部省大学学術         局学生課長   石川 智亮君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 十月十一日  委員島上善五郎辞任につき、その補欠として  中谷鉄也君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として島  上善五郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  警察に関する件(一〇・八羽田事件に関する問  題等)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  先般、地方自治地方財政警察及び消防に関する実情調査のため、第一班を愛知県、三重県及び大阪府、第二班を秋田県、群馬県及び長野県に派遣いたしました。  この際、それぞれ派遣委員より報告を求めます。第一班奥野誠亮君。
  3. 奥野誠亮

    奥野委員 先般行なわれました委員派遣国政調査の第一班は、愛知三重大阪の三府県について調査をいたしたのでありますが、その結果につきまして、便宜私から御報告申し上げます。  この調査目的は、当面する地方行財政上の諸問題、及び警察並びに消防行政等実情調査することであります。  派遣委員は、山口鶴男理事古屋亨山田久就井上泉、小濱新次の各委員に私の六人でありますが、愛知県では、太田一夫委員が、また三重県では、久保田藤麿委員が、さらに大阪府では、和爾俊二郎理事のほか渡海元三郎塩川正十郎の二委員がそれぞれオブザーバーとして現地参加され、調査室からは崎川主任調査員及び直江調査員が同行いたしました。  調査は、九月十二日から同十五日までの四日間にわたって行なわれ、それぞれ関係当局から説明を聴取した後、現地調査を行なったのであります。  第一日は、愛知県庁におきまして、地方行財政問題交通問題、過密対策ニュータウン建設等について愛知県、名古屋市、愛知県警察本部の各当局者より説明を聴取し、午後は二時から、名古屋地下鉄工事現場高蔵寺ニュータウン県立芸術大学名古屋インター名古屋環状二号線予定地等をそれぞれ視察いたしました。  第二日は、午前中に、三重県庁において県及び県警察本部より地方行財政問題、交通問題、公害問題等について説明を聴取し、午後は、四日市市当局より地方行財政問題、公害問題、コンビナート消防等について説明を聴取した後、中部電力株式会社四日市火力発電所及び日本合成ゴム株式会社四日市工場を視察いたしました。  第三日は、午前中、大阪府、大阪市、大阪府警察本部より、地方行財政問題、交通問題、過密対策ニュータウン建設日本万国博覧会について説明を聴取し、午後は、阪神高速道路環状線大阪タワー塔上よりの市内過密状況、新御堂筋線、千里ニュータウン、万国博覧会会場予定地中央環状線地下鉄二、四号線谷町地区地下鉄六号線建設工事状況等を視察し、第四日朝、大阪より帰京したのであります。  なお、詳細な報告につきましては、時間の都合もございますので、委員長手元に提出いたしました報告書委員長において会議録に掲載されるようお取り計らい願い、御一覧願うこととし、省略さしていただきたいと存じます。
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 それでは第二班、大石八治君。
  5. 大石八治

    大石(八)委員 委員派遣国政調査の第二班は、秋田群馬及び長野の三県について調査をいたしましたが、その結果につきまして私から御報告を申し上げます。  今回の調査目的のおもなものは、第一に当面の地方行財政上の問題、第二に新産業都市過疎問題等中心とする地域開発の問題、第三に消防及び交通に関する問題、その他秋田大潟村の村づくりの現況と将来の見通し等についてであります。  派遣委員は、細谷治嘉理事木野晴夫塩川正十郎河上民雄の各委員に私の五名でありますが、秋田県では久保田円次理事が、また、群馬県では久保田円次及び山口鶴男の各理事が、それぞれ現地参加され、調査に協力されたのであります。また、調査室からは千葉調査員が同行いたしました。  調査は、九月十八日から同二十二日までの五日間にわたって行なわれ、それぞれ関係当局から説明を聴取した後、現地調査を行なったのであります。  第一日は、秋田県庁において、地方行財政問題、新産業都市、過疎問題、消防交通問題等について県、警察本部市長会及び町村会の各当局者から説明を聴取し、午後は秋田湾中心とした新産業都市地区大潟村等を視察いたしました。  第二日は、群馬県庁において地方行財政問題、地域開発問題、消防交通問題等について、県、警察本部市長会及び町村会の各当局者から説明を聴取いたしました。  第三日は、正午まで草津町役場において、過疎問題を中心とした地域開発問題について、吾妻町村会、東村、吾妻町、草津町及び六合村の各当局者から説明を聴取し、午後は長野県庁において、地方行財政問題、新産業都市、過疎問題、消防交通問題等について、県、警察本部当局者から説明を聴取いたしました後、松代地区における地震被害状況及び地震センターを視察いたしました。  第四日は、午前中松本市において、市当局から地方行財政問題、新産業都市問題等について説明を聴取し、午後は長野精密工業試験場中心とした新産業都市地区を視察いたしました。  これら調査内容の詳細につきましては、時間の関係もありますので、委員長手元に提出いたしました報告書委員長において会議録に掲載されるようお取り計らいを願い、それによって御一覧いただくこととして、この際省略させていただきたいと存じます。  以上、御報告申し上げます。     —————————————
  6. 亀山孝一

    亀山委員長 報告者申し出によりまして、第一班、第二班の調査報告書を本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  8. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、去る十月八日発生いたしました羽田事件につきまして、政府当局から発言を求められております。これを許します。警察庁後藤田次長
  9. 後藤田正晴

    後藤田説明員 佐藤首相の訪越に伴う抗議行動とこれに対する警備措置を御報告申し上げます。  佐藤総理南ベトナム訪問に反対する十月八日佐藤訪越阻止羽田闘争は、全学連代々木系各派をはじめ左翼勢力合計およそ三千九百人が、出発当日の十月八日早朝から午後にかけて、羽田空港周辺で激しい抗議活動を繰り広げました。羽田空港周辺で激しい抗議行動を繰り返しましたが、特に全学連代々木系各派は、全国から約二千五百人程度動員をし、早朝から高速道路デモを行ない、投石、角材で警察部隊に激しく抵抗したのをはじめ、羽田空港突入を目ざして、空港入り口の穴守、稲荷、弁天の各橋上で警備阻止線強行突破をばかり、警備車七台を放火炎上させました。また、弁天橋では阻止線にあった警備車一台を奪い、これを暴走させて、学生一人をひいて死亡させております。このほか、空港内では国貿促など約三百人が空港ビル前にすわり込んで気勢を上げて、警察の規制を受けております。  この日、警察庁では現場警察官二千三百人を動員をして、総理の安全かつ円滑な出発を期して警備当たりました。この間、警察官に対する投石などの公務執行妨害罪凶器準備集合罪などで、反代々木糸学生ら五十八名を現行犯逮捕いたしております。また、警察官六百四十六人、うち入院四十九名、一般人一名が学生デモ隊投石などによって負傷をいたしましたほか、一般民家八軒と自動車一台に被害を受けております。  なお、警視庁では学生轢死事件について過失致死の疑いで捜査に取り組んでおり、その他の不法事件についてもきびしく追及することといたしております。
  10. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野誠亮君。
  11. 奥野誠亮

    奥野委員 国家公安委員長がおくれて見えるようでありますので、最初に警察当局に、まず事実関係を明確にする意味でのお尋ねをしておきたいと思います。  一昨々日の羽田事件はまことに不幸な事件でございまして、国民の多くにも非常な不安を与えたことだと思いますし、国際的にもわが国の信用を大きく失墜した、かように心配をいたしておるのでございますが、私は、この事件は単に偶発的に起こった事件ではない、かように考えておるのでございます。数年来引き続いて繰り返されてきた事件一つにすぎないのだ。いまにして深く反省し、必要な対策を講ずるのでなければ、ますますこのようなことが過激化し、一そう多くの人たちに不幸な事態を引き起こしていく、かように心配をいたしておるのでございます。  問題を起こしました中心は、反代々木派の三派全学連あるいは革マル全学連等であったと承知しているわけでございますけれども、したがってまた、この事態によってわが国学生全体が非常な不信を国民多数からこうむってしまうということにも問題がある、また気の毒なことでもある、かように考えるわけであります。  そこで、一体学生全体の中で全学連に加入している者、同時にまた、全学連分派関係がどうなっているか。その中で特に羽田事件で活躍したのはどういう人たちであったか。その辺のことを少し詳しく、まず警察当局から明らかにしてもらう必要がある、かように考えるものでございます。
  12. 後藤田正晴

    後藤田説明員 現在の大学生のおよその数は八百二十一大学、百三十二万人程度でございます。これを全学連その他の派閥別学生数でお答えをいたしますと、いわゆる全学連傘下自治会の数は四百二十六、人員にいたしまして六十九万人程度でございます。そのうち代々木系自治会が百三十六大学、二百九十三自治会、三十七万二千名程度でございます。反代々木系全学連の組織は七十二大学、百二十七自治会、二十九万九千人程度と私どもは見ておるのでございます。したがいまして、自治会数におきましては、約七割程度のものが代々木系傘下にあり、三〇%程度が反代々木系でございますけれども学生数におきましては両者ほぼ匹敵をしておる勢力比率になっておる、こういうことでございます。そうして、先日の事件を起こしました全学連中心は、いわゆる反代々木系、つまり三派系の全学連革マル系全学連、これが主として中心となって騒動を起こしたものでございます。
  13. 奥野誠亮

    奥野委員 三派系の全学連革マル全学連諸君は、むしろ革命先兵たらんことを自任しているようにいろいろなところから承知しているわけでございます。しかし、この派の中でも、全部が全部はね上がった学生活動家でもないように思うわけでございます。一体革命先兵たること々自任して、したがってまた、体当たりでこういう暴力的な活動を行なっていく、そういうはね上がった学生活動家がどの程度を占めているのか、そのことを明らかにしていただきたいと思います。
  14. 後藤田正晴

    後藤田説明員 いわゆる全学連は、御質問にもございましたように、学生運動階級闘争の一環として位置づけをする、そうして革命行動先兵としてあらゆる活動を展開をする、こういう基本方針のもとに現在過激な行動を行なっておるものでございます。そのうち特に先鋭な分子といいますと、私どものほうは、全国で大体数千名というように把握をいたしておるのであります。
  15. 奥野誠亮

    奥野委員 羽田にはせ参じた三派全学連なり革マル全学連諸君が、いまおっしゃった数千名の大部分なのか。羽田に来た諸君も必ずしもそのような先鋭な分子ばかりではなかったのか。その辺の事情を少し明らかにしていただきたい。二千五百人内外の学生のうちで、千五百人までは地方から出てきておる、かように伺っているわけですけれども地方から出てくるについては、単なる示威運動じゃなしに、それ相応な覚悟を持って出てきているのではなかろうか。そうなると、そういう人たちは、いま御指摘になったはね上がった学生活動家先鋭分子ではなかろうか、かように思うわけでございますけれども、その事情をお教えいただきたいと思います。
  16. 後藤田正晴

    後藤田説明員 当日羽田に集まりました二千五百名程度学生は、ほとんど大部分全国の各大学のいわゆる先鋭分子の集まりでございます。それ以外に当日騒動に加わりました者も若干はおります。また、羽田等に来てはおりましたけれども騒動には加わっていない、こういった者もおりますが、二千五百人程度学生は、これはもう全国から集まった先鋭分子でございます。
  17. 奥野誠亮

    奥野委員 いまお教えを受けて一そう私は驚きを深くいたしておるものでございます。地方から出てきた学生諸君は、都内大学等において宿泊をし、翌日未明にそれぞれの個所出発した、かように承知しておるのでございますけれども、どのような個所に、どの程度ずつ宿泊したのか。同時にまた、参加した学校別の員数を、おわかりになっている限り詳しくお教えをいただきたいと思います。そのことがまた、私は、大学当局考えてもらう一つ機会を与えることになるのではなかろうか、かように考えるからでございます。
  18. 後藤田正晴

    後藤田説明員 当日の二千五百名の学生のうち、都内学生は大体千五百名程度地方からの上京者は約千名程度と見ております。都内では早稲田中央法政、明大、東大教養学部東京工大などの各大学地方では立命館京都大学専修大学、横浜国立大学埼玉大学大阪市立大学同志社大学広島大学岡山大学等学生が目立っておりますけれども、参加した出身学校は、北は北海道大学から南は九州大学にまで及んでおります。  さようにいたしまして、大学別の数でございますが、私どもが現認をいたしておりますのは、比較的多いのを申し上げてみますと、専修大学が六十四名、神奈川大学が十七名、埼玉大学が六十名、群馬大学が二十二名、静岡大学が二十三名、山梨大学が三十二名、大阪経大が二十五名、大阪市立大学が五十七名、大阪大学が四十名、京都大学が七十八名、同志社大学が五十五名、立命館大学が百十一名、広島大学が五十五名、岡山大学が四十一名。なお、都内大学は、それぞれ早稲田大学明治大学中央大学法政大学、これら各大学相当数出ておるわけでございます。  なお、これらの学生は、前日の七日総決起集会を開きましてからそれぞれ宿泊をいたしておりますが、法政大学マル学中核派中心とした学生六百名、中央大学明治大学社学同社青解放派中心といたしまして千六百名程度早稲田大学革マル系全学連中心とした三百名前後、社会文化会館構革派学生中心とした三百名程度宿泊をいたしております。
  19. 奥野誠亮

    奥野委員 いま、ちょっと異なことを伺ったのですが、社会文化会館に三百名泊まっている——社会文化会館といいますと、社会党本部じゃないのでしょうか。
  20. 後藤田正晴

    後藤田説明員 私その関係はよく知りません。内部の管理その他がどうなっているか知りませんが、建物は同じであろうと思います。
  21. 奥野誠亮

    奥野委員 社会党本部に、羽田における阻止運動に参加した学生が三百人も泊まっておったということについては、政治家として特に深い関心を持たざるを得ない感じがいたすのでございます。しかし、いまここでこの問題をこれ以上追及する時間がございませんので、将来またお教えをいただきたいと思います。  地方からたくさんな学生が出てくる——私費で出かけてくることも困難じゃないかと思うのです。こういうような経費関係、どこからどう捻出されているのか、この辺の事情を、おわかりになっている範囲においてお教えをいただきたいと思います。
  22. 後藤田正晴

    後藤田説明員 現在の全学連各派の財政問題でございますが、いずれも例外なく自治会費を主たる財源とし、さらに生協資金あるいは入会金、あるいは学内外でのカンパ資金、これらが自治会活動財源になっておるようでございます。このうち自治会費の一人当たりでございますが、大体、大学によって違いますけれども、多いところで年千円、少ないところでは百円程度、こういう金額のようでございます。なおまた、その徴収等は、学校事務局徴収をして保管をしており、自治会執行部の請求があれば、そのつど交付するというやり方、あるいは、徴収事務学校事務局が行ないますけれども徴収後は一括して自治会に交付をしてしまっておるやり方、あるいはまた、自治会が直接徴収をして、学校当局は全く関与しない、こういうようないろいろの形態がございますが、どちらかといいますと、現在は自治会自体徴収してまかなっておるというのが多いようでございます。
  23. 奥野誠亮

    奥野委員 文部当局にお尋ねしたいのですが、自治会経費なり消費生活協同組合なりの金、こういうようなものが、このようなはね上がった学生活動家相当のものが使われている、そういうことを学生全体が是認しているのかどうか、非常に疑問を感ずるのでございます。一般学生が承知しているのかどうか。さらにまた、学校当局がこういう問題について関心を持っているのかどうか。また、どういう態度をとっているのか。学校管理の面からも非常に大きな問題があるように思うのでございます。  繰り返し申し上げますが、参加した者ほとんどが無政府主義、御承知のように現在の社会体制を是認しない、彼らはこう言っているのでございます。だから、法律に違反するのはあたりまえだ、体当たりでいくのだ、こういうことを関係者が言っていることが新聞等に伝えられているわけでございますが、それだけに、一体学生一般がどういう考えでこれを見ているのか。知っているのか知らないのか。その辺のことについてお教えをいただきたいと思います。
  24. 石川智亮

    石川説明員 自治会経費につきましては、私どもで知り得ておりますのは、加入している自治会全学連三派のほうに一人二十円ずつ上納されているというふうに聞いております。さっき警察庁からお話がありましたように、一人年額四百円か六百円平均で、自治会学生から学内自治会に納入しております。納入の関係につきましては、いま警察庁からお話がありましたとおりでございますが、国立大学では自治会を正式に認めていない大学がございます。それから、従来慣行的に、入学するときに入学金と一緒に事務を取り扱っている学校もございますし、学生みずからが会費を取り立てているところもございますが、あとは、いわゆる全学連三派に加入しているか加入していないかでその自治会費が動いているように思われます。  三派関係で申しますと、大体活動家経費が四〇%しか、おそらく自治会費でまかなわれていないといっておりますので、その他の関係資金、いわゆる資金カンパあるいは機関紙の売り上げ、その他いろいろな関係から資金がまかなわれているのじゃなかろうかと存じております。
  25. 奥野誠亮

    奥野委員 重ねて文部当局にお伺いをいたしますが、都内の各大学に、地方から出てきた、はね上がった人たちを泊めている。私は、学生という名の職業的革命家と、こう表現していいんじゃなかろうか、かように考えるものでございます。そういう人たち活動の根拠地、基地に学校を提供している。おそるべきことだと思うのですが、一体学校当局はそれを知っているのか知らないのか。また、知ってどのような措置をとったか。その辺の事柄についてお教えをいただきたいと思います。
  26. 石川智亮

    石川説明員 私どもの知り得ておりますのは、さっき警察庁からお話がありましたように、法政明治早稲田、それから中央に泊まっている数字も大体その前後じゃないかと思います。たとえば、中央大学におきましては、昨年十二月に会館問題で全学連派閥運動が起こりまして、その後三派が完全に自主管理という、彼らなりの表現でございますが、やっておりまして、現在大学管理が全然行き届いておらないというふうに聞いております。それから、明治大学も、従来から慣行的に会館学生に全部まかせるという主義でございまして、法政中央明治会館におきましては、大学管理が全然行き届いていないというふうに判断せざるを得ないと思います。  それから、早稲田大学法政大学では、自治会部屋に泊まり込んだということになっておりますが、自治会部屋が実際には大学の正式な管理下に置かれていないという状況でございますので、相当数人間が泊まったことにつきましては、泊まった人間の数、あるいは泊めていいかどうかの判断につきましても、大学当局は知っていなかったのじゃなかろうかと推定されます。
  27. 奥野誠亮

    奥野委員 いまのお話を聞いておりますと、学校当局教育という責任をすっかり忘れてしまっているのではなかろうか、こういう感じを私は受けておるわけでございます。今度のような場合、一種のやくざのなぐり込みに部屋を貸したと同然じゃなかろうか、かように考えられるわけでございます。  また、いまお話の中で、学生自主管理にゆだねているというお話がございました。学生自主管理にゆだねようが、自治にゆだねようが、学校施設の一部であることには違いはないじゃないか。学校施設がどのように使用されているかということについては、許可の権限はあるいは学生に与えることがありましても、運営の実態というものは、学校当局は常につまびらかにして、必要な助言、指導を学生に行なっていかなければならないはずじゃないか。自治ということと放任ということと混同しているのじゃないかという感じを深く受けたわけでございます。これらについて文部当局の所見と、今後に処するお考えを明らかにしておいていただきたいと思います。
  28. 石川智亮

    石川説明員 大学のいわゆる施設管理の問題でございますが、たとえば国立大学の場合でございますと、施設国有財産法関係になりますので、昭和三十八年ぐらいから国立大学の学寮、会館につきましては、国有財産法の適用の範囲に入れる目的施設管理を強めてございます。ただし、大学自治という問題で、ともすると学生活動のほうから、学生自治大学自治が混同されたかのようなかっこうでいろいろな運営面が出ておりますので、なるべく早い機会に、各国立、公立、私立別文部大臣から各大学の要請を強く促すような形で協議を持ちたいというふうに考えております。
  29. 奥野誠亮

    奥野委員 私はあえてこういうことを申し上げますのは、いまのような姿がそのまま続けられていくといたしますならば、学園が一番治安上重視しなければならない区域になってしまうんじゃないか。そのことは、やはり長い将来の教育のことを考えた場合、好ましいこととは思えない。だから、いまにしてみずから姿勢を正していただきたい、このことを文部当局にも、教育当局関係者に広くお願いを申し上げたいのでございます。  私は、学生諸君が、どちらかというと甘やかされ過ぎてきている、そのことが、思い上がった行動学生にとらせるようになってきたんじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。大学の先生たちの中には、教授は学生に対していかにあるべきかということについての自分の考えを持っていない方が相当おられる。学生の顔色をうかがい、学生の気持ちをうかがい、迎合する、そうして人気を得ようとする、こういう先生があればたいへんなことだ、かように心配をするわけでございます。  なぜこのようなことを申し上げるかといいますと、先ごろ来、京都大学事件にいたしましても、法政大学事件にしましても、その他一連の事件が相次いで起こっておるのであります。そうして多数の学生が総長や教授を取り囲んで、払暁に至るまで監禁をして罵声を浴びせかけている。これ自体、先生に対する、師に対する学生の態度では全然ない。暴徒じゃないか。話し合いじゃなくて、監禁、脅迫じゃないか、かように思うわけであります。それにもかかわらず、一たびは警察官の援助を求めてきながら、その後は、教授が学生多数と話し合い、それが監禁になり、罵声を浴びせられ、明け方に及ぶ、かような監禁状態になっておりながら、あれは長時間にわたる話し合いだったのだ、こんなことを言っている先生がいると新聞に出ておったわけでございます。これじゃ、いつまでたっても、学生の反省というものは生まれてこないのじゃないか、こういうように思うわけでございます。教師の威信というものは全く見られないじゃないか。どこに師弟の関係というものがあるだろうか。また、師と弟子、その分別というものをどうしているのだろうか。このことがまた治安にもゆゆしい事態を及ぼしていくことでございますので、このことについての御見解をひとつただしておきたい。また、どのような措置をとってきておられるかということを承知しておきたい、かように思うわけでございます。
  30. 宮地茂

    ○宮地説明員 大学自治という問題は、何となく観念的にはわかるのでございますが、今回のような事件が現象としてあらわれました場合に、ただ観念論として自治を論じておる場合と、具体的に、こういう現象に対して自治の限界はどうであるかといったような問題とは、はっきりもしなければいけませんし、おのずから違うわけでございます。  御指摘のように、従来から学生に対する大学当局の立場といたしましては、親が子に対する以上の忍耐強さと申しますか、しんぼう強さで教師は学生に接しておったようでございます。これは、教師がいわゆる親以上の愛情を持って学生に対するという面もありましょうが、また、ずるずると学生に引きずられていっておったといういろいろな面がございます。今回のような事件は、明らかに学生運動の範疇を逸脱した、暴徒と何ら変わりのない行為であろうと思います。また、これに対しまして、大学自治云々と申しましても、今回の事件が直接大学自治とは関係がないというふうな認識は、大学当局はあろうかと思います。したがいまして、大学当局が、自治の名において、ほんとうに自分が管理能力を持ち、管理権の及ぶ範囲内のことであれば、これは大学自治の名においても責任を持ってもらう。しかし、管理権が及ばない、管理能力がないというようなことは、大学自治の限界の外であるといったふうに、今回のような事件、現象を契機として、そういうことを大学当局も十分納得してもらいたい、このように考えております。  したがいまして、今回の事件を契機に、多少なまぬるいようでございますが、こういった問題に対して直接処するのは大学でございます。大学の学長や教員がなまぬるいとかなっておらぬとかと申しましても、直接学生に接しておるのは大学当局でございますので、大学当局がそういった適切な判断のもとに、適切な行動に出てもらうためには、やはり大学当局に納得してもらう必要があるということで、さっそく文部大臣関係国立大学、公立大学、私立大学の学長さん方とも懇談もしていきたい、このように考えております。  また、先ほど奥野先生があげられました学生に長時間監禁されておきながら、その監禁された学校当局者は、治安当局に対しては、いや、監禁されたんではない、長いこと話し合いをしておったのだ、といったような学生をかばう面があるということ、これは法政大学の例をおとりになっての御発言と思いますが、多少そのような傾向も見られますが、ただ法政大学には違った事情もあるようでございます。  以上、ちょっといま御質問の途中に参りましたので、御質問に対して十分のお答えができましたかどうか疑わしゅうございますが、一応お答えいたします。
  31. 奥野誠亮

    奥野委員 私は、学生のしていることだから、成長しつつある学生のしていることだからということで見のがしてきている、甘やかしてきている、その結果が、だんだん学生自身が深みにはまり込んできているのだ、こう思うのであります。刑事事件に該当する者は刑事事件として処断したらいいじゃないか。学内の秩序違反に関することは懲戒処分として処分したらいいじゃないか。しないところに、ますます深みにはまり込んできているのではないか、こう考えるものでございます。学校教育法には、「学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者」に退学を命ずることができると示されておるわけでございます。文部省はこういうものをつくっておられるわけであります。停学、訓告などの処分も定められておるわけでございます。もちろん処分をした学校もありましょう。それがまた騒ぎの原因になったところもございましょう。しかし、断固行なうべきだ。行なわないから、結果的には善良な多数の学生が非常な迷惑を受けているということを察知していただかなければならないんじゃないか、かように考えるわけでございます。学生が先生を監禁したり、脅迫したりして罪にならないこと自体がおかしいのであります。学校の秩序を乱して退学させられないこと自体が、私は納得できないのであります。また、警察に援助を求めておきながら、罪をかばうのじゃなくて、やはり正は正とし、邪は邪とする、これが教師に求められる一番大切なことであります。邪を正としてかばうようなことは、学生を不良化させるもとであります。私はこういう教えば知りません。あくまでも正は正とし、邪は邪とする教育者の態度、これが肝心なことだと考えるのであります。したがいまして、これらについてどのような方針を示していただけるか。私は、いまのお話だけでは、正直言って納得できないのであります。すべき処分はすべきであります。また、私自身、常に環境が人間を育てていくんだと、こういう信念を持っているものであります。学校の中で、学生同士の乱闘が行なわれておる。それが何の処分も行なわれないで見のがされていっている。どこによい人間が生まれてくるでしょうか。学生はわれわれの次代を背負う人たちであります。それだけに私は、非常な不安を今日の学校の実態について持っているものでございますので、もう一度この点についての御方針を伺っておきたいと思います。
  32. 宮地茂

    ○宮地説明員 奥野先生のおっしゃいますように、大学学生を甘やかしておる、また同時に、社会一般が、学生だからということから物事を大目に見ておるということは事実であろうと思います。しかしながら、それだけに、学生がそれをよいことにして、自分自身がそういう大学当局なり社会の甘やかしている身分に甘えていくという態度は、これは絶対によろしくないと思います。今回のような事件はもちろんでございますが、従来から、一般同年齢層の、これが一般社会人としての青年の行為であれば、相当強く社会から指弾されるような問題であっても、学生なるがゆえにということで社会が大目に見ておったということは、私ども感じております。したがいまして、文部省としましては、学生がこういったことに甘えることなく、社会が大目に見てくれればくれるだけ、甘えるんではなくて、それ以上、一般の青年とは違った厳たる態度をとってほしいというふうに期待いたします。  ところで、具体的なこういう事件に対して、学校当局の処分が非常になまぬるい。処分すべきものと常識的に考えられるものを処分しないということも、お説のとおり全部ではございませんが、私どももそういう事例があるように感じます。ただ、これは文部省としては、言いわけではございませんが、学校教育法、それに基づきます施行規則等で、先ほどおっしゃいましたように、学生がその本分にもとるときは懲戒を加える態度等ができるようになっておりますが、これの現実の懲戒を行なうものは学校当局でございます。文部省としましては、今回の事件に限らず、従来からそういう点については大学当局に一種の警告も発しておりますが、御指摘のような実情にあるのはまことに遺憾なことと思います。したがいまして、常に繰り返されることに対して同じような答弁をしておるようで、まことに心苦しゅうございますが、今回のような事件をさらに契機といたしまして、御趣旨のような点、私どもも同感でございますので、一そう大学のこういうことに対しての厳然とした態度を強く望みたい、こういうふうに考えております。その望む措置、方法等につきましてはおまかせいただきたいと思いますが、ぜひそのようにいたしたいと思います。  それから、今度は学生でなく、大学当局ですが、自分の管理能力ではいかんともしがたいというような事件であるにもかかわらず、従来から、まあ外見には隠忍自重しておるようによく見える場合もございますが、まことにだらしがないといったようなことを重ねておることがございます。それで、よくよくの場合に警察の応援を求めるというのが、従来からの多くの大学やり方でございます。しかしながら、応援を求めて事件が処理された。そうすると、応援を求めたという関係においても、その後の捜査、処置等について当然警察に協力してしかるべきものを、大学自治の名において、そこをあいまいにしておったということも、これは、全部ではございませんが、確かにお説のような点が見受けられるのでありますがございます。これもあわせまして、正を正とし、邪を邪とするというお説でございましたが、同感でございますので、大学当局の反省を促したいと思います。  ただ、大学というところは、御承知のように学問研究の府でございます。したがいまして、やはり基本は大学自治を重んじていくという姿勢は私どもとしてくずしたくない、こういう考え方から、一般の場合に処するようにてきぱきと、外見にもはっきり正を正とし、邪を邪とするような結論、処置がとられていないといったような御疑問も起こるかと思いますが、以上のような考えで対処したいと思いますので、その点は御了承いただきたいと思います。
  33. 渡海元三郎

    ○渡海委員 関連して。重複のきらいがありますが、この点文部当局にもう一回、いまこの事件を契機として十分な警告をするということでございます。もちろん大学自治と、それを越えるという範疇をいかに置くべきかということ、これはむずかしいと思います。この警告される態度の基本的姿勢について、私は一言文部当局に決心のほどを要望し、またお伺いしておきたいと思います。  聞きますところによりますと、このたびの事件について、さっそく関係閣僚の懇談会があり、懇談会の結論としては、今回の事件は、これは学生運動じゃない、これは集団暴力行為だ、刑事問題として取り扱いをしなければならぬ、このようにきめられて、文部大臣もおそらくその席に加わっておられたと思いますが、文部当局もそのように今回の事件考えておられるのかどうか、お伺いいたします。
  34. 宮地茂

    ○宮地説明員 大体御趣旨のように、ほぼそのように考えております。
  35. 渡海元三郎

    ○渡海委員 私もそれが正しい今回の事件の把握のしかたでないか、このように考えるのでございますが、学生自治というもの、大学自治は守らなければなりませんけれども、これは大学学生運動と異なって、暴力事件である、刑事事件である、こういうことになりましたなれば、それが学園内において予備行為としてあるいは凶器の収集をしたり準備行為をするというふうなことは、当然これは学生大学自治の美名に隠れての行為である。区別はしにくいかもわかりませんが、そういったことが行なわれた行為自身は、これは集団暴力行為の予備行為である。それが自分の管理する学校において行なわれた。自治がむずかしいからといって、あいまいに放置されるということは、当然管理者であれば自分の責任としてこれを防止せなければならぬ責任があるのじゃないか。自治がむずかしいからといって、あいまいなる姿で放任されることは、自分の行なわなければならぬ義務と責任、管理に対する社会的な責任というものを放棄しておられる、私はそう考えるのでございますが、文部当局はどう考えられますか。
  36. 宮地茂

    ○宮地説明員 今回の事件は、いわゆる学生運動の範疇を逸脱した暴徒と選ぶところのない行為であるという考え方は、大体私どももそのように考えております。ただ、遺憾と申しますか、情けないことには、やった連中が学生という身分を持っておる者が大多数であったという点。それから、その前日来、中央大学法政大学明治早稲田、こういったような大学のある施設相当学生が——学生でない者もおるようですが、宿泊して「おった、この事実。まことに情けないことですが、その学生という身分を持った者が学校施設の一部を利用しておった。こういう点で、大学としても、文部省としても、きわめて責任を感じ、まことに申しわけない、こういうふうに考えております。ただ、その大学施設、これは大学施設である以上は、やはり大学管理すべきものと存じます。ところで、実態は、大学施設でありながら、言うならば、大家がたな子に家を貸しておるかのごとき、自分は所有権はあるけれども管理はしてないんだといったようなものが大学施設の一部に、現実の問題としてそういうかっこうになっておるものがあるということは事実でございます。したがいまして、大学管理すべきものはちゃんとやはり管理させる。しかし、それでも、管理すべきであっても、管理能力がないとか、管理権を放棄するというのであれば、そこの限界ははっきりすべきであろう、こういうふうに考えます。ただ基本的には、観念的に、理屈としてはそう申せますが、現実の問題としては、だれがどう言っても、大学施設であり、学生会館などは大学施設でございます。したがって、大学が当然管理すべきものでございます。だから、その管理権を放棄したような実態、これは悪いことにきまっておるのですが、それでは管理権を放棄したような形をとらないで、十分管理権が及ぶような実態をとれということは言えるのですが、しかし、そういう姿勢で臨んで、なおかつ管理権が及ばないような実態になっておるというのが現実でございます。それから学生の中には、もう学生としての身分を大学から剥奪され、要するに退学、放校された学生、これが依然として学生だということで、自分は放校されていないんだということで、新聞等が取り上げておりますいわゆる活動家の中には、年齢も相当いっておりますし、現実にどこの大学学生という身分を持たない、かつて大学生であったという者もおります。したがいまして、大まかな筋におきましては御指摘のとおりだと思いますが、具体的な問題としましては、観念的に、あるべき姿と実態とが非常に食い違っておりますので、御趣旨のように考えますが、そこをほんとうに、現実にもそういう正常な状況に持っていくということは、大学当局とも十分話し合い、ある程度時間がかかりますが、しんぼう強く正しい姿に持っていくという方向で、文部省としては進めるべきであるというふうに考えております。
  37. 渡海元三郎

    ○渡海委員 具体的問題として困難であるという点は、いまるる述べられ、私もこれを了承するにやぶさかではないのであります。根本といたしまして、ただ、学生運動をいかに指導し、いかになすべきかという——甘やかす、あるいは放置する、それをきびしくやるという問題でなくして、いまのような考え方では、当然社会的に負わされた自己の責任と義務を果たさなかったということが、こういう事態を起こした原因の一つでもあるのだという点を、十分文部当局も、あるいは大学当局も痛感されて、その姿勢のもとに今後いかにあるべきかということを探求されますように強く要望して、私の質問を終わります。
  38. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、本件につきまして、藤枝国家公安委員長から発言を求められておりますので、これを許します。藤枝国務大臣。
  39. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 事実関係については警察当局からすでに報告申し上げたと存じますし、今回の事件は、ただいまもお話がありましたように、いわゆる学生運動の域を越えた、いわば暴徒化した行動でございまして、このようなことがありますことは非常に残念に思います。警察といたしましては、この種事件にかんがみまして、今後、こうしたものに対する警備の手段その他につきましては十分検討を加えまして、こうした事件の起こらないような方向で考えたいと思います。また、現実に起こりました学生轢死事件、あるいはその他の不法事件につきましては、十分捜査をいたしまして、その責任を追及いたしたいと存ずるものでございます。また、ただいまも御質疑がございましたが、こうしたことに関連をいたしまして、学校当局管理の問題等も十分今後検討されなければならない問題であると考えておる次第でございます。
  40. 奥野誠亮

    奥野委員 文部当局に重ねて御注文申し上げておきたいのでございますが、角材を振り回して学校の中で学生同士が渡り合ったり、執拗に教授まで多数で監禁して、何らの処分も行なわれないというようなことが続いていきますと、何か、そのことが是認されたのだというような錯覚を学生自身が持つのじゃなかろうか、そのことがだんだん学生を深みにおとしいれてきているのだ、かように心配をいたしますので、今後の処置については十分御努力をお願いしておきたいと思います。  文部当局に対する私の質問はこれで終わっておきたいと思います。  藤枝大臣がお見えになりましたので、大臣にお尋ねしておきたいと思います。  総理南ベトナム訪問について、激しく賛否の意見の対峙することを私は否定するものではございません。しかし、政治的立場が右からのものであれ、左からのものであれ、暴力をもって襲いかかろうとするものは徹底的に排除しなければならない、かように考えておるものでございます。特に、議会制民主政治を確立していくためには、暴力を憎む気持ちが国民の間から強く盛り上がってこなければならないと信ずるものでございます。一昨昨日の事件はまことに不幸な事件でございましたが、その事件に、ある政党の声明は、学生デモに対し、政府、警察は、かってない弾圧を加えた、わが党は断固政府の責任を追及し、抗議する、このような内容で終始されております。一言も学生運動の是非について論及しておりません。政治に携わる者の態度として、非常に遺憾なことだと私は感じておるものでございます。暴力は、極左の立場をとる人からも、極右の立場をとる人からも加えられるわけでございます。最近の社会風潮が、ともすれば極右の立場からする暴力には強い抵抗、反発を示していますが、極左の立場からする暴力には比較的寛大なきらいがあるのじゃなかろうか、かような心配をいたしておるものでございます。左翼的立場の暴力的行為が激しくなってくれば、右翼的立場の暴力的行動も反動的に刺激され、強まってくるということをわれわれは用心しなければならない、かように考えるものでございます。したがって、暴力的行動に対しては、警察当局は、左右いずれも問わず、常に強い態度をもって臨んでもらいたい、かように考えておるものでございます。かりに、首相の訪問が、自由陣営諸国の訪問について起こった場合であろうと、共産圏諸国の訪問について起こった場合であろうと、いずれを問わず、強い態度をもって、秩序を守ってもらわなければならない、かように考えるものでございます。この点について国家公安委員長としての藤枝大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  41. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 暴力は、たとえそれがいかなる理由に基づくにせよ、絶対に排撃されなければならないと思います。したがいまして警察といたしましても、どのような種類の暴力であれ、そうした暴力を排除するに最善の努力を払っていく所存でございます。
  42. 奥野誠亮

    奥野委員 先ほどもちょっと触れたのでございますが、今度の羽田事件は偶発的な事件ではないと見ておるわけでございます。一連の事件だ、かように考えておるわけでございます。昨年、横須賀で警備車がひつくり返され火をつけられたということもあった。学校ではたびたび乱闘事件が繰り返されてきております。みんな同じ関係者が加わっておるわけでございます。したがって、いまにして必要な対策を講じなければ、同様の、いまより以上の大きな犠牲が繰り返される、このことを心配しているものでございます。このことは単に警察当局が努力するだけでは解決しないと思います。われわれ政治家も心を新たにして社会を見直し、必要な態度をとっていかなければならないと思います。また実現しようとする社会の考え方、政策が異なりましょうとも、各政党とも暴力に対しては強い態度をもって臨む姿勢を新たにしなければならないときだと、かように考えておるものでございます。同時にまた文部当局あるいは各学校当局にも考えを新たにしてもらわなければならない。一般の社会風潮に対しても、この際もう一ぺん事態考え直してもらわなければならない。また新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、こういう方面の協力も求めていかなければならない。総がかりで、いまの風潮をためる努力をしなければならない。われわれは、戦前においては右翼の暴力で苦痛をなめました。いまや左翼の暴力で非常な苦難におとしいれられようとしているわけであります。国民全体で中道を守っていくための態勢を立て直していかなければならないときだと思いますが、こういう点についての藤枝大臣の所見なりあるいは今後に処するお考えなりを明らかにしていただきたい、かように考えるわけであります。
  43. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この暴力につきましては、先ほど申し上げたような趣旨でございますが、従来ややもすれば、たとえば学生運動というようなことで、暴力を憎みつつも、まあ何と言いますか、甘やかせると申しますか、そういうようなことも一般的にあったのではないかというふうに考えるわけでございます。ただ今回の八日の事件を契機にいたしまして、新聞論調あるいは投書その他を見ましても、こうした運動、すなわち学生運動の域を越えた一種の暴徒と化した、こうした行動につきましては、きびしい批判がなされておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、もちろん根本的には教育の問題あるいは学校管理の問題等もございまして、それらと一体となりまして、こうした暴力行為が行なわれないように持っていかなければならないと私も考えておる次第でございます。
  44. 奥野誠亮

    奥野委員 先ほどの説明を承りますと、六百四十六人という多数の警察官が負傷されている。まことにお気の毒だという感じを私は抱いておるものでございます。テレビを見ておりましても、角材を振り回し、コンクリートの破砕を投げている学生諸君に対して、わずかにマスクをかぶるだけで、持つものとすればせいぜい警棒を持っているだけです。これでは、あれだけ多数の負傷者が出るのはもっともだというような感じがしたわけでございます。深く同情の念を覚えますと同時に、やはり警備態勢のあり方も考え直してもらわなければならないなという気持ちが強くわいてまいったわけでございます。いままで集団示威運動ということで、いわゆる東京都公安条例に基づく許可を求めてきておる。しかしながら言っておることは、今度の場合でも、首相の旅行を阻止するのであります。からだを張って取りやめさせるのであります。からだを張って取りやめさせる、暴力を使うわけであります。これが何で集団示威運動でしょうか。憲法上の表現の自由、その立場から集団示威運動を認めさせるわけでございます。集団の威力を示して、相手に強くその意思を伝える運動だと考えるのでございまして、相手に暴行を加え、脅迫を加える運動はどこにも認めていないはずであります。私は、集団示威運動に名をかりた暴力活動だと考えております。いままでもそうだったのじゃないかと思うのでございます。そうだったものを、集団示威運動だと心得て警察警備態勢をとっている。そこに根本の問題があるのじゃなかろうか、かように考えるものでございます。なぜ集団示威運動に角材やこん棒や石ころが必要なんでしょうか。そんなものを憲法が保障しておるわけではございません。憲法が保障しておる表現の自由は、あくまでも集団の威力を示して、相手に強くその意思を訴える、それにとどまるのでありまして、暴行を加えることをいささかも憲法は是認していない。のみならず、これは刑法において強く処罰が加えられる性格の行動であると考えるわけでございます。この辺に警察当局学生に対して甘いというのか、あるいは警備について少し寛大であり過ぎるというのか、反省をしてもらうべき機会が与えられたのじゃなかろうか、かように考えるわけでございますが、この点についての所見を伺っておきたいと思います。
  45. 後藤田正晴

    後藤田説明員 おっしゃるように、角材であるとか丸太ん棒であるとか、そういうものを共同加害意思を持って携行しておるということは、これはもちろん集団示威運動のらち外の問題でございます。ただ問題は、そういう場合に、共同加害の意思の確認というむずかしい立証上の問題もあろうかと思います。御質問の、表現自由の名のもとにこういうものを一体集団示威運動として認めることはむずかしいではないか、こういうことでございますが、結果として見れば、まさにおっしゃるとおりであろう、こう私は思うのでございます。ただ本件の場合に、実は事前に三派糸の全学連からは、羽田空港内のバスターミナルのところで集会をやって、それから空港ビルまでのデモを行なうという申請があったのでございます。で、公安条例の運用については、最近非常にやかましい問題もございますが、私どもとしては、これは認められない、空港実情、それから過去におけるこの団体の行動、あらゆる点から考えて、公共の安寧に重大な支障ありということで、これは不許可処分にいたしておるのでございます。いま一つ革マル系全学連は、全然許可申請をいたしておりません。いま一つの反戦青年委員会は、十月八日に萩中公園で集会をして、集会終了後公園から一定の路線を通ってデモを行なうという申請がございましたが、これにつきましては、一部路線変更をした上で許可をいたしております。したがいまして、当日は革マル系は無届けである三派系の集会なり集団示威も無届けである、また反戦青年委員会も、条件変更をしましたけれども、一部許可路線外においてやっておる。したがってその部分においては、公安条例の違反の行為を行なっておるということで、大まかに申し上げまして、当日のこれらの団体の行動は、いずれも公安条例に違反の集会デモを行なった、こういうことでございます。
  46. 奥野誠亮

    奥野委員 私は、公安条例違反の集会デモと、こうおっしゃっていますが、公安条例以前の問題だ、こうお尋ねしているのであります。それを公安条例違反の事件として処しているから警備体制に問題が起こったのじゃないか、かように申し上げるわけであります。実態は、集団示威運動に名をかりた暴力活動じゃないか。なぜ集団示威運動に角材を用意しなきゃならないのか、こん棒を用意しなきゃならないのか、女子学生に石を集めさせなきゃならないのか、公安条例関係事件じゃないんじゃないか、こう私は申し上げているのであります。そのような覚悟で警察当局に処してもらいたい。刑事上の事件なら、暴力団同士の坑争があって、一方が他方になぐり込みをかける、出かける前に察知してこれを押えて、凶器を取り上げるはずだと思うのであります。今度のような場合には、やはり許可にされたりもしているようでございます。あるいは許可申請もなかったりもしているようでございます。それなら、そういう点で、宿舎たる学校を出るときに何か方法がとれなかったのだろうかという気持ちも私には出てくるわけでございまして、集団示威運動を前提にした警備、これはもうたびたび暴力事件を繰り返してきているのだから、この辺で転回されてしかるべきじゃないか、かような疑問を持ってお尋ねをしているわけであります。
  47. 後藤田正晴

    後藤田説明員 おっしゃいますように、結果として見ますならば、この種のものは表現の自由云々で論議すべきものじゃないので、やはり公安条例の適用以前の問題であるという点については、私はおっしゃるとおりだと考えます。ただ問題は、先ほど言いましたように、共同加害の意思の確認という困難なる問題があるということをお答えをいたしたわけでございます。  そこで、学校を出るときにこういうものは何とか処置をしたらどうだというただいまのお話でございますが、部隊運用の問題として当然そういうことが考えられてしかるべき問題であるというふうに思いますけれども、当日の警備は、総理が無事安全に、円滑に、羽田から出発をされるような警備をする、こういうことがわれわれの重点でもあり、また同時に、こういった状況の場合に大学を出る際に警察が規制をするということになりますと、それぞれの大学の地理的条件その他等を考えますというと、たいへんに、場合によれば修羅場が現出するというおそれもあるわけでございます。そういたしますというと、警察力が分散をせられる。そうすると、警察としては長い沿道の警戒、飛行場内の警戒、各大学ですでにそれまでに修羅場が始まるといったようなことになりますと、これは警察力の運用の問題としては、私は、当日警視庁のとった態度はやむを得ないやり方ではなかったであろうか。こういうふうに考えておるのであります。
  48. 奥野誠亮

    奥野委員 私は、こういうような事態に対しては、警察当局だけが責任を負う、そういうようなことであってはならない。社会全体が、幸いにして今度の場合にあの暴力事件については強い反発を示しているわけであります。また、先ほど文部当局にお尋ねしたわけでございますが、学校当局についても秩序の回復に努力してもらわなきゃならない、かように考えるわけでありますが、そうはいっても、表現の自由を前提にした警備体制に甘さがあったのじゃなかろうかという気持ちは抜け切れないものですから、あえてこのようなことをお尋ねしているわけでございます。同時にまた、羽田空港が比較的広いものだから、わりあいにあそこの集団示威運動や集会について寛大なきらいがあったのじゃなかろうかという心配も、私には抜け切れないのであります。朝日新聞の大きな見出しで「おびえる女性・子供」 「空港へ行けない旅行者」というのがございました。相当普通の人が飛行機に乗れなかったようでございます。東京駅の構内でこんな問題が起これば、私は当然警察は許可しないし、断固排除するだろうと思うのでございます。羽田国際空港も同じことじゃないか。空港内一般大衆に迷惑をかけない——幾らかりに本来の集団示威運動でありましても、大衆に迷惑をかけない前提でひとつ指導、取り締まりに当たってもらいたいということを強くお願いしておきたいのであります。  今度の事件を見ておりまして、善良な国民大衆が警察の秩序維持の力に置いている信頼感、これを傷つけられはしなかっただろうかという心配を多分に抱いています。努力を多としながらも、また負傷者に深い同情を払いながらも、私はこの気持ちが抜けないのであります。事実また三派糸全学連革マル全学連諸君は、勝ったのだということを言っているわけであります。そのことは、反対にいま私が懸念するようなことが国民の間に出てきはしないか、かようにおそれるわけでございます。テレビを見ておりましても、全く警察官は気の毒だと思います。もっと警備体制について科学的な装備、これを充実してもらえないだろうか、かように考えるわけでございます。せっかく警備車があるんだから、警備車を置いてうしろへさがらないで、ガス弾を撃つなら、催涙弾を放つなら、ああいう暴力化させないときに放つべきだったのではなかろうか。時期にも問題があったのではなかろうか。多数が押し寄せてくるときに、さがってからそういう態度をとることは、相手の行動を激化させる。群衆心理とはそういうものだと私は思います。でありますから、それだけに、今度の事件にかんがみて、負傷者を出さない科学的な警備体制、装備、このくふう、努力に万全を払ってもらいたいものだ、かように考えるわけであります。この点についてお考えを伺っておきたいと思います。
  49. 後藤田正晴

    後藤田説明員 今回の警備実施の結果、警察の秩序維持能力に対する危惧の念が国民相当多数の中にあるではないか、これは将来ゆゆしい問題である、こういう御質問でございますが、私もあの事件の直後から、各方面からさようなおしかりを受けておるのでございます。この点は、私どもとしては、将来の警備実施のあり方というものについては十分検討を加えて、将来の事態については遺憾のないような措置をとりたい、こう考えておるのでございます。学生の運動でございますので、とかく学生連動という側面から私どもは従来はながめておったわけでございます。ただ、こういった事件が起きました結果、大学の責任者の方も、学外の行動にはわれわれはいかんともしがたいのだ、これは学問の自由とは関係のないことなんだ、こういういわば管理権を放棄せられておるかのごとき議論がございます。私どもとしては、やはりそういった方に学生の指導管理をお願いしたいという気持ちは持っておる。同時に、やはりこれは学生運動という側面からとらえて対処するという気持ちを、私自身は持っております。しかしながら、事態がさようであるとするならば、やはりこれは学生連動ということではなくして、文字どおり放火、強盗、暴行傷害等を行なう刑事容疑者であるということで対処せざるを得なくなる、いわば純粋刑事事件として扱わざるを得なくなる、こういうことを私ども考え、またそういった事態も将来あり得るのではなかろうか、こういうふうにも考えて、息の長い学生相手の仕事の場合に、私は相当問題は含んでおると思いますけれども警察としては当面の治安を維持するという立場から、さような考え方で対処せざるを得なくなることもあり得る、そういうように考えておるのでございます。  なお、また装備の点でございますが、これはやはりそのつどそのつどの事案の状況等考えて、でき得る限り両方に死者なり負傷者を出さぬという装備の開発、充実をやってまいりたい、こういうふうに考えております。あるいはまたガスの使用等についても、警察が持っておりますガスは、いわゆる人身に障害を残すという性質のガスではございません。一時的に相手方を制圧するにとどまる性質のガスでございます。したがって、これはいわゆる武器ではございません。しかしながら、やはりガスの使用というものは、何といいましても人口稠密のところにおいては第三者に被害を与えるといったようなこともあり、また現場状況等から見ての使用上の、風向きその他の制限もあるといったようなこともある。同時にまた、ガスというものから受ける国民一般の感情もございます。そういう点で使用が非常に制約をせられておる。と同時に、私どもとしては、それだけに国民感情等も考慮に入れて、現在ガスの使用については、武器ではございませんけれども、武器に準ずる扱いということで、厳重なる統制を加え、指導をいたしておるのでございます。ただ、今回の事件におけるガスの使用のタイミングについては、私ども警備実施のあり方として反省の要がある、もう少し早く使うべきではなかったか、こういうふうに考えております。
  50. 亀山孝一

    亀山委員長 奥野君、時間の関係もあるから適当にお考え願います。
  51. 奥野誠亮

    奥野委員 公安調査庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  破壊活動防止法を読みますと、「暴力主義的破壊活動を行なった団体に対して」は、「当該暴力主義的破壊活動が集団示威運動、集団行進又は公開の集会において行われたものである場合においては、六月をこえない期間及び地域を定めて、それぞれ、集団示威運動、集団行進又は公開の集会を行うことを禁止すること」ができると、こう書かれております。先ほど来繰り返しお尋ねしておりますように、たびたび暴力主義的破壊活動が集団示威運動等の場合において行なわれてきているわけでございます。警備車がひっくり返され、焼かれたりしているのも、今回だけじゃないわけでございます。それを行なっている団体も、同一の団体が行なってまいっているわけでございます。もちろん、重い処分としては団体の解散等の規定もあるようでございますけれども、とにかく六月をこえない期間及び地域を定めて、集団示威運動等を行なうことを禁止することができる規定が、破壊活動防止法の中に示されておるわけでございます。また、破壊活動防止法の定義として、政治上の施策に反対する目的をもって、警察の職務を行なう者に対し、凶器を携え、「多衆共同してなす刑法第九十五条(公務執行妨害)に規定する行為」が該当するのだと書いておるわけでございます。私は、性格上の凶器ばかりじゃなしに、使用上の態様によって、角材でありますとか、丸太ん棒でありますとか、あるいはコンクリートの破砕でありますとか、みんな凶器に当たると思うのでございますが、こういういわゆる凶器についての解釈をひとつお伺いしておきたい。  さらにまた、必要な処分をしないから、次々に暴力的行為が繰り返されてきているのじゃなかろうか。やはり処分を通じて構成員に反省する機会を与えなくちゃならぬのじゃなかろうか。私は、何も頭から解散を言っているわけではありません。反省の機会を与えるべきじゃないか、与えていないじゃないか、だからだんだん深みに入ってきているのじゃないだろうか、こういう感じも深くするものでございます。これらの点について、公安調査庁長官のお考えを伺っておきたいと思います。
  52. 吉河光貞

    ○吉河説明員 全学連系統のいろいろな学生集団が、まあ世間では五流十三派というようにこまかな集団に分かれまして、分立し、離合集散をしておるのでございますが、私どもといたしましては、安保闘争以後、これらの全学連糸各集団を包括いたしまして調査の対象として、その基本的な動向を監視し、基本的な動向を調査をしてきているわけでございます。特に十月八日行なわれました羽田事件につきましては、当日早朝から相当数の公安調査官が現場に出動いたしまして、親しく五官をもって状況の視察に当たっておりました。また、警察庁からも相当詳細な御報告をちょうだいいたしております。  かようなわけで、私どもといたしましては、これまで積み重ねてきた全学連系各集団の調査の内容が、当日の現場における公安調査官の現認報告、これを総括いたしまして、また警察庁の御報告等ももちろん検討いたしまして、かれこれ総合いたした結果、どうも今回の事件については全学連糸の一、二の集団が団体の活動としてこの種暴力事犯を行なったのではないかという容疑を禁じ得ないというような結論になったわけでございまして、即日この点につきまして調査の体制を組みまして、目下調査を進めている段階でございます。  新聞報道によりますと、法務大臣が新聞記者に対しまして、今回の事件については破防法の適用を検討するというような御意見を発表されておるわけでございます。ここでもわれわれは抽象的には破防法の検討を始めておると申さざるを得ないのでございますが、その具体的な内容を簡単に申し上げますと、破防法の内容につきましては、規制——規制ということについては、破防法自体に、必要最小限度やむにやまれない場合にやれよと、みだりにこれを拡大適用しては困るぞというような規制の基準というものが厳格に定められておるわけでございます。そして破防法による暴力主義的破壊活動というものは、刑法の中でもきわめて悪質、重大な犯罪だけを列挙いたしておりまして、建造物放火のごときものは当然入りますが、物件放火のごときものは含まれないというふうに、非常に内容が限定されておりますので、全学連糸各集団の暴力的事犯も従来繰り返されておりまして、これらの集団がその活動において暴力主義的な性格を持つということをあえてこれを否定することができませんが、さればと申しまして、これが一々破壊活動防止法にいう破壊活動に該当するというような判断までは下されない。しかし、今回の事件については、ただいま御指摘のとおり、角材のごとき凶器というようなものを使いまして警備警察官に対して集団暴行に出たというような事態でございますので、これら諸般の情報を総合いたしまして、ここに団体の活動として破防法に規定する破壊活動を行なったのではないかという容疑を立てまして、そのもとに調査を進めておるわけでございます。  御案内のように、破防法におきましては——私どもの役所は、公安調査官の数も非常にわずかでございます。それで、破防法のたてまえとして、この調査につきましては警察当局の捜査というものと緊密に協力して進まなければならぬということが書かれているわけでございまして、警察当局の行なう刑事犯罪捜査と密接に協力いたしまして、ただいまの捜査を進めておる次第でございます。今回の集団につきましては、この調査によって集められる資料は、客観的な証拠をもってこれを立証しなければならぬ。終局的には裁判所の法廷において立証せねばならぬというたてまえでございますので、その捜査がいかに困難なものであるかということは、十分御了解いただけることと考えておるわけでございます。  ただ、先ほど来いわゆる三派全学連というような名前が出ておるわけでございます。この団体につきましては、従来ともにその基本動向について十分なる注意を払ってきているわけでございますが、ことしの七月下旬でございますが、三派の全学連の定期大会が行なわれました。その大会の席上、佐藤の訪米、訪台を実力阻止せよというような闘争スローガンが、最大のスローガンとして採択されております。この動きが、彼らが何をねらっておるかということを示したものでございますが、自来彼らがいろいろな策動をいたしましてこの闘争のために準備を進めておるということにつきましては、調査の過程で得た情報は、関係治安機関その他にわれわれから提供いたしまして、将来の事態に備えてまいったわけでございます。彼らが非常に矯激な政治理論、先駆性理論と申しますか、とにかく非常に矯激な理論で、学生集団が革命闘争の先頭に立って思い切りやる。そして労働者、農民、小市民を引きずって革命の炎をわき上がらせなければならぬのだというような、非常に過激な、矯激な政治理論を信条とする団体でございまして、その行動におきましても、全国動員体制によって一点集中の方針で突っかかるというようなことを申しておる団体でございます。この団体につきましては、今後十分調査を進めて結論を得たいと考えておる次第でございます。
  53. 奥野誠亮

    奥野委員 破壊活動防止法の第十一条には、団体活動の制限等の処分は、「公安調査庁長官の請求があった場合にのみ行う。」こう示されておりますだけに、従来からの長官のお考え方をただしたいと思ったわけでございます。しかし、前進したお考えをお述べいただいて、私たちはその善処に期待いたしたい、かように考えるわけでございます。やはり社会的判断を法に基づいて示す責任がある、かように私は考えるのでございます。今度の活動家たちの大部分、アナーキストの学生諸君は、法そのものを否認しておるようでございますけれども、しかし、一般に法に基づく社会的判断、これを示すことによって反省を促すことができるのではなかろうか、かように考えますために、公安調査庁長官の御善処を要望したわけでございます。  最後に、藤枝大臣にお願いをしておきたいと思いますが、私は、こういうような問題というものは、一治安当局の問題にしてしまってはいつまでも問題が解決されない、かように考えるわけでございます。やはり正しい社会秩序を確立するために、総合的な視野から検討を加えていただいて対策を講じてもらわなければならない、かように考えるわけでございます。災いを転じて福となす機会としてこの羽田事件を利用されるように、心からお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  54. 亀山孝一

    亀山委員長 午後一時に再開することとして、この際暫時休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ————◇—————    午後一時十七分開議
  55. 亀山孝一

    亀山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中谷鉄也君。
  56. 中谷鉄也

    中谷委員 最初に警察庁にお尋ねをいたしたいと思います。  午前中、十月八日、羽田空港付近における死傷事件について、警察庁のほうから御報告がございました。その御報告によりますと、いわゆる現行犯逮捕の対象となった者が五十八名、警察官の負傷した人が六百四十九名、そうして、一人の青年が死亡した。さらに一般の人に一人の負傷者が出た。こういうところの詳細な御報告があったわけであります。  先ほど来、奥野委員の御質問の中に、いわゆるこれら学生諸君に対して、暴徒である、あるいはまたやくざのなぐり込みだ、また御答弁の中にもそのようなことばがしばしば出てまいりました。これらの学生諸君を暴徒であるというふうに批判することは、私は容易だと思う。しかし、最初に私が警察庁にお尋ねをいたしたいのは、警察庁の御報告の中に、警察庁の方が暴徒だと言われているこれらの学生諸君がどれだけ負傷したのか、どれだけけがをしたのか、新聞等の報道によりますると、警察官によって倒れてしまっている学生諸君をなぐっているような写真が出ている。さらにまた、橋の上から転落をしている学生諸君の姿がある。さらにまた、新聞の報道によりますると、力絶えてしまったところの女子学生をこんちくしょうと言って警察官がなぐっているというふうな、いわゆる警棒警じょう使用規則に明らかに違反すると思われるようなところの目撃の記事が出ております。私は、だからお尋ねをいたし、そうしてお答えをいただきたいのは、少なくとも取り締まりの任に当たる者は、どのような主義、どのような思想を持とうとも、最低限の国民としての基本的人権というものは守られていかなければならない。暴徒だというふうな評価をしても、けがをしたそれらの人たちが何人いたのか、相当数いたというふうな御報告ぐらいはあることが、私は警察の公正な報告でなければならないと思う。にもかかわらず、この点について特に御報告のなかったということは、一体いかなる理由に基づくものか、詳細が不明だから報告をしなかったというふうなことでは私はいけないと思う。相当数の負傷者が出ておりますというふうな報告があってこそ警察の公正というものが、報告の中からすなおに受け取れたのではないかと私は思う。その点について特に報告を落とされた、報告を省略された理由をお答えをいただきたい。  なお、この機会にお答えいただきたいが、警察官の負傷六百四十九名。端的に申しましてきわめていかんなことであると同時に、このような警察官が負傷されたということについては、私は同情いたしたいと思う。しかし問題は、時として警察庁の発表は、いわゆる取り締まりの合法性、取り締まりの正当性というようなものを立証するために、負傷者の数を過大に御報告される傾向がなしとしないというふうに、私は少なくとも私個人として考えている。六百四十九名が負傷したと言われるけれども一体全治何週間以上の人をもって、負傷した六百四十九名の中に入れておられるのか、この点についてもお答えをいただきたいと思う。
  57. 後藤田正晴

    後藤田説明員 相手方の負傷者数は、警察が現認をいたしておる数は十七名でございます。しかしながらあれだけの激しい行動でありましたので、おそらくは、たいへん多くの負傷者が出ておるということは、私は想像いたしております。しかしながら相手方の負傷者を調べるということは、ああいう際に私どもとしてはできかねる。事実問題として病院等に聞きましても、なかなかそれは、相当に口がかたいといいますか、調べにくい。また、学生等もうっかり負傷を訴え出ると、警察に逮捕されるというようなおそれもある、こういうようなことで、実際問題として私どものほうでは現場で現認するもの以外はわかりにくい。この点御承知賜わりたいと思います。(「わかっているものも言わなかったじゃないか」と呼ぶ者あり)言わなかったというのは、あるいは言ったほうがよかったかもしれませんが、ただいまここで申し上げるとおりでございます。  それから、警察官の負傷者六百四十六人でございますが、過大ではないか、こういう趣旨の御発言ですが、別段過大でもなんでもございません。けがの程度は、すべての負傷者でございます。そのうち入院をいたしておるのは四十九名でございます。また、うち一名は現在意識不明の状況でございます。以上でございます。
  58. 中谷鉄也

    中谷委員 重ねて大臣にお尋ねをいたしたいと思います。やはり何かこれらの取り締まりの対象になります。いわゆる検挙の対象になった人たちに対して、相手方というふうな、もうすでにそこに大きな対立があり、敵視があり、憎悪がある。そのようなことばをこの機会警察の幹部の方がお使いになること、このことは私いかがであろうかと思うのです。特に、その現場における機動隊の若い諸君、これらの諸君が、いわゆる現場の群衆心理的なものに巻き込まれて、かなりエキサイトし興奮するということについては、私自身ある程度は理解をすることができます。そういうことがないようにということを望みますけれども、少なくとも相手方ということばを警察庁の幹部の方がお使いになること自体、何か最初から非常にこれに対して敵視的な見方をしておるというふうに私は思う。こういう点についてそのような取り締りの態度というのが、これらいわゆる社会的経験の少ない学生あるいは青年をして、激発する行動に誘引する一つの原因になるのではないか、こんな感じもするわけでございます。  そこで大臣にお答えをいただきたいのは、その点が一つと、いま一つは、いわゆる現認をしておるところの負傷者の数はいま御報告がございました。報告したほうがいいのじゃないかと思うというふうなところの御答弁がございました。相当数の負傷者があっただろう。もちろんまさにその点について、何百何十何人あるいは何千何百何十何名というような報告を求めることは不可能だと思う。しかしこのようなできごとについて、いわゆる青年学生の中にも、千名をこえる程度の負傷者はあったというふうに推定はできるというふうな御報告があることが、このような不祥事をなくすという観点から大事なことではないかと思う。けがをして嘆くのは警察官の妻や恋人だけではないと思う。同時に暴徒といわれ、そのような評価が次から次へとこの委員会に飛び出してまいりましたけれども、そのような学生諸君の親御さんも、そのことについてはずいぶん心配をしているだろうし、今後そのようなことがないことを望んでいるだろうと思う。だから警備警察のあり方、実力行使のあり方という観点から、このような問題については御報告あってしかるべきだと思う。御報告をしたほうがよかったと思うというふうな問題ではないと私は思う。報告をされなかったことに、私はそもそも警備警察のあり方についての、いわゆる片手落ちというか、そのような姿勢というか、においというものを私は感ぜざるを得ない。この点について大臣の御答弁をいただきたいと同時に、いま一度次長さんのほうから御答弁をいただきたいけれども、意識不明の警察官の方がおられるということです。非常にお気の毒なことであるし、私は残念なことだと思います。ただ問題なのは、すべての負傷者ということですけれども、私がお尋ねした問題は、たとえば全治三日だとか全治七日だとか、そんな人が六百四十九名という中に入っている、そういう人もひっくるめてということになりますと、警備一体どのようなかっこうで行なわれ、実力行使がどのようなかっこうで行なわれ、排除行為がどのようなかっこうで行なわれたかということの真相を把握することに、やや問題が出てくるだろうと思う。全治どのくらいの程度の人から負傷者の中に入れられましたかという質問については、ひとつ率直にお答えをいただきたいと思います。
  59. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 相手方ということばが、元来初めから敵視をしているのではないかという御意員でございますが、そういう意味ではないのでございまして、あの事件を起こした人たちの中には、全学連人たちもその他の人たちもある。学生ばかりではない、そういうものをひっくるめて、後藤田君が相手方と言ったのだろうと思います。その点は御了承いただきたいと思います。  それから学生等で負傷をいたした者を発表すべきでないかということでございます。警察として現認できましたものはこれは発表するのがいいと思います。ただあと相当数あるであろうということでございます。あのような激しいせり合いをいたしましたから、私もそう思いますけれども、現認のできていないものを、ただ相当数というようなことを言いますのははたして警察の発表として妥当であるかどうか、この辺はもう少し検討をさしていただきたいと思います。
  60. 後藤田正晴

    後藤田説明員 警察官の負傷者は、ああいった刑事事案のあとでは、それぞれの指揮系統に従って全員調査をさせるわけでございます。したがって、その数は正確でございます。しこうしてその程度は擦過傷等は除きということで、治療を要するものを全部計上いたしておるわけでございます。また、先ほど十七名の問題は特別言わなかったということでございますが、この点については、私は特別の意図はございません。ただ大臣がいま言われましたように、警察の発表というものは正確でなければならぬ、こういうような意味で御報告の中に入れなかったような次第で、特別の意図を持っておるわけではございません。
  61. 中谷鉄也

    中谷委員 今後とも要望いたしておきたいと思いますが、このような不祥事をなくすというふうな観点から申しましても、ことに実力行使排除行為、警棒等使用におけるところの問題のあり方ということについては、常に警察権限の行使の、きわめて合法的な中における行使というのが、私はあってしかるべきだと思うのです。そういうことから申しますると、いわゆる青年学生の中にどれだけの負傷者があったと思うということは、むしろ警察の公正を保つ上からも、積極的に御報告あってしかるべきであったと思います。そのことが、むしろ全体としての今後の警備警察のあり方というものを正すものである、こういうふうに考えるわけです。  そこで、いろんな問題についてあと警察庁にお尋ねをいたしますが、文部省に、この機会に午前中の奥野委員の質問に関連をいたしまして、お尋ねをいたしたいと思います。  実は昨日、次のような私は新聞記事を見ました。どんな記事かと申しますと、要するに高等学校の生徒の体力というのは、高等学校の三年でもう伸びないんだ、体力はがた落ちなんだ、こういう伸びぬ体力、文部省が調査、こういうふうな記事が出ているわけでございます。そこでその見出しはどうなっているかと申しますと、受験でがた落ち、響く四当五落。要するに四当五落というのは何のことかといいますと、一晩四時間しか寝ない、それで受験勉強をする、それであれば上級学校へ進学ができる。五時間眠っておれば、大学の試験に受からない、こういうふうな状態でございますね。そこで、そのような極端な受験勉強の中で学生大学に入学をしてくる、そういう状態であることは、文部省としてもこれはいなめない事実だろうと思うのです。そこで、もう死んだ人は沈黙して何も語りませんけれども、今度死亡した山崎君という京都大学学生大学の一年生です。まさにそのような、大手前高校の激烈な受験校の中において、ストレートで大学へ入ってきた。私が非常に遺憾に思うのは、先ほど局長の御答弁、文部省というお立場にありながら、おことばの中に暴徒だ、ああいう連中というふうなおことばが御答弁の端々に出てまいりました。そういう立場でそういうことをおっしゃる。そのことの一言、二言をとらえて私批判しようとするものではないけれども、そうして一体大学へ入ってどういうことになるだろう。私、必ずしも大ぜいの大学生と接触し、あるいは学生運動に理解を持ちというふうに、私自身思っておるものではありませんけれども、若い政治家として、なるだけ大学生の心情を理解したいという立場で、これらの諸君と接触することにつとめている。大学へ入って彼らが受けたものは、一体何だろうか。マンモス教室、そういうふうな中で、非常な挫折感におちいる。そういうふうな現在の高等学校のあり方、大学のあり方。なくなった山崎君というのは、非常に親孝行な子供だったというようなことがいわれておる。それが、先ほど文部省のおことばの中にあんな連中はというふうな、そういう範疇で表現されるふうに変わっていく。これは一体地方行財政の専門家であり、先輩ではあるけれども奥野委員が指摘されたように、単に大学管理の問題などという、そのような問題で、このような学生諸君行動、このような変化をとらえていいものかどうか。大学の危機というものは、ほんとうに大学がいま危うい状態にあるというのは、むしろ長い間の文部行政が持っているそういう大学のあり方、大学自体がきわめて学生との間に対話ができない、マイクで講義をしているというふうな、そのような状態が、むしろ学生の挫折感をこのような形に追い込んでいくのではないか。おとなとして、文部行政の責任者として、またわれわれ政治家として、批判すべき点は批判すべきではあろうけれども、まさに文部行政のそのようなあり方、教育のそのようなあり方、将来、世代を背負う青年に対する愛情のあり方、とにかく教育のあり方というものを踏まえずして、これらの人たちに対して暴徒呼ばわりをするということは、私はきわめて遺憾です。文部省として抜本的な反省と検討を要する問題ではないか、私はそのように考える。午前中の答弁は、まさに目先の御答弁だ。そのような御答弁と処置に終始する限りは、健全な学生運動、あるいは真の大学というふうなものは、私は確立できないと思うけれども、この点について、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  62. 石川智亮

    石川説明員 非常にむずかしい問題で、私が答えていいのかどうかわかりませんが、このなくなりました学生につきましては、翌日に大臣談話を出しまして、いずれの理由であれ、学生一人を失ったということにつきましては、文教の地位にある大臣としてまことに申しわけないということで、大臣から申し上げたわけでございます。ただ、いま御指摘のとおりの、いわゆる暴徒とかいうことばを安易に文部省が使ったというようなことでおとがめのようでございますが、私ども申し上げておりますのは、いわゆる学生運動のワクを越えた一つの現象であるということで、午前中、局長も御説明さしていただいたわけでございます。  それから大学のいろいろな問題点、先生御指摘の問題、確かにそのとおりで、いま文部省は四苦八苦しております。現在、私どもの分析によりますと、全国大学学生、百三十万近くになっております。これは一例で申しますと、アメリカの学生が六百万でございます。アメリカの六百万は、アメリカの農民数が六百万でございます。それくらいアメリカの大学でも実はいろいろな問題を持っておりまして、大学それ自身の問題点の指摘は、日本のみならず、いま現象として、世界的な問題として、実は昨年も全世界の学長がお集まりいただきまして日本で討議をしていただいたわけでございますが、そういったことから考えあわせますと、わが国の百二十万の学生が、同年齢層の大体一八%から二〇%近くになっております。ですから、そこへ入ってくる大学学生の家庭の状況なり、それから入ってくる質の問題なり、こういったものは、従来から教育研究の府でありました大学が、いろいろな面で管理体制なり大学運営に問題が起きておるのだということで私ども研究をしておりまして、たとえば入学試験にいたしましても、本年度から入学試験の改善委員会を持っております。それから教授法の問題にしても、何校かの大学でいま実験をしております。そういったいろいろな問題が確かにございまして、この問題が片づかない限りは大学の問題は片づかないだろうということで鋭意専心しておりますので、この点御了承いただきたいと思います。
  63. 中谷鉄也

    中谷委員 むしろこの問題は、深刻な問題として文教委員会において論議さるべき問題であると思いますけれども重ねて同じことを、若干重複いたしますけれども申し上げておきますが、要するに、大学教育が非常にマスプロ化している、こういう状態にあることは、いなめない事実なんです。そういうふうな状態の中に、ほんとうに受験勉強しか知らなかった高等学校の生徒が入ってくる。そこで大学へ行って幻滅を感ずる、そこに挫折感が生まれる。要するに大学というのは、私自身大学でいわゆる職についたことはございませんけれども、その人間性が最も尊重されなければならないところだと思う。そういうふうなところで、実際は人間の商品化というものが行なわれていると、極端に申していいと私は思うのです。マスプロ教育なんというものは。そういうふうな状態の中から、そのことが大学における学生騒動、あるいは学生のいわゆる極端な行動の原因、背景になっておると私は思う。その問題の解決をせずして、ただ単に大学における管理の問題、悪いやつは退学処分にしろというふうなことで、大学生のそういう——というよりも、青年の心をとらえることはできないと私は思うのです。そういうようなことでは、こういうふうないろいろな、今後われわれから見て批判の対象になるようなところの問題が起こってくると思う。この点について、先ほど、私の指摘をまつまでもなく、文部当局としてそのような御答弁があってしかるべきだったと思う。何か非常に技術的な、非常に目先の対策によってこのような騒動、あるいはこのような不祥事を解決したい、あるいはできるかのごときような努力をするんだというふうなお話があったけれども、積極的にそのような問題に取り組む限りは、いま私が指摘したような問題について、質問をまたずして御答弁があってしかるべきだと思うけれども、いかがでしょうか。
  64. 石川智亮

    石川説明員 先ほどは、御質問の趣旨がそこまで局長からお答えする時間がありませんので、私が申し上げた次第でありますが、国立大学協会、国立大学連盟、国立大学懇話会、いろいろな各大学の連合会がございますが、そこで、いま先生の御指摘は、大学に入りましてからの一般教育の問題でございますが、一般教育のあり方、中身の問題が指摘をされております。すでに国立大学協会では検討を進められておりますが、この問題が確かに大学に入ってきたばかりの学生諸君のいろいろな心の変化を誘い出すような要因を持っているということは、私どもも否定するわけにはまいりません。国立大学の場合は、本年度から、たとえば入学しました学生がその学部の先生方と団体宿泊をしながら人間的なコミュニケーションをやることも始めております。それから一般教育の生徒の指導体制の確立のために、いわゆるコンパ費でありますが、コンパ費をつけて人間的なコミュニケーションをはかりたいということを、ことしから実施しております。来年度からも、もっと一般的なサークル活動、特に体育関係の予算をふやして、人間的なコミュニケーションをさらにはかりたいというふうに考えておりますので、その点は申しおくれましたが、御了解いただきたいと思います。
  65. 中谷鉄也

    中谷委員 午前中の公安調査庁の長官の御答弁について、次のような点をお尋ねをいたしたいと思います。この点についてはあるいは確認的な御答弁をいただくことに相なるのかもしれませんが、要するに長官の御答弁の中にもありましたけれども、破壊活動防止法という法律は、法律の目的、解釈、適用、規制の基準等について厳格な規定があることは、先ほど長官御答弁になったとおりでございますね。そこで、その第四条に暴力主義的破壊活動ということで、これまた明確な制限列挙の規定があることも、これはもう申し上げるまでもなく、あたりまえのことなんです。そこで、そういたしますと、先刻質問された委員が、第五条のいわゆる破壊的団体の団体活動の制限を考えていないかというお尋ねがあった。これに対して長官の御答弁は必ずしも明確でなかったけれども、私の理解では、そういうふうな適用については非常にむずかしい問題がある、ただ現在何か破防法の対象になるかどうか考えているというふうな、何かそういうふうな趣旨の御答弁のように承った。  そこでお尋ねいたしますけれども、暴力主義的破壊活動というのは、先ほど御答弁の中にあったように、イないしヌの行為でありますね。そのような行為について、きわめて不祥なできごとではあったけれども、破防法にいうところの暴力主義的破壊活動というものに当たる行為が——もちろん第五条についてはそのような活動を行なった団体、しかもそれが継続または反復して将来さらに団体の活動として行なうという制限の上の制限というか、条件の上の条件がついているけれども、少なくとも破防法などという法律はみだりに適用しないのだということは、これは憲法の一番大きな考え方だと思うのです。そのような観点から申しますと、いわゆる暴力主義的破壊活動を行なった事実がない、そのようなものに当たらないという、そういう団体について、第五条を適用するかどうかというふうなことで調査するというふうなことは、私は許されないと思う。何か明確にこれは御答弁いただきたいと思いますけれども、先ほど調査をしておる、何か容疑があると思うというようなことをおっしゃったというのは、第五条の適用を前提として、適用できるかどうかというふうなことを前提として調査しているというふうな趣旨ではないと私は理解するけれども、いかがでございましょうか。
  66. 吉河光貞

    ○吉河説明員 ただいま中谷委員から御質問がありましたが、お説のとおりであります。なお、誤解のないように若干補足をして申し述べます。  今回の羽田事件をめぐりまして、破防法の適用を検討するというようなことばが打ち出されております。これは非常に誤解があると困る。ここにすでに客観的な証拠資料が集積されておりまして、その証拠資料に基づいて破防法に該当する破壊的団体であるかどうかを解釈するというような簡単な問題ではない。しかしながら、今回の事件については、遺憾ながら全学連系統の一、二の団体に破防法に規定されている暴力主義的破壊活動を行なったのではないかという容疑を持つ。したがって、われわれはこの容疑のもとに事案の真相を解明しなければならない。これから事案の真相を客観的な資料を集めまして解明した上で、はたして破壊的な団体と認定し得るやいなやというものは、今後の問題として決定しなければならない。しかしながら、事前の調査といたしまして、容疑のある以上われわれは調査を進めなければならない。現在進めておる。しかし、最終の処理については、破防法に規定されているとおり——第二条でございますが、必要最小限度の問題として慎重に考えたい、かように考えておるわけでございます。
  67. 中谷鉄也

    中谷委員 破防法の適用あるいは発動ということは、単にその対象団体のみならず、破防法制定当時の会議録等によりましても、きわめて重大なことである。同時に、長官の御答弁も、そのような趣旨で御答弁があったと思います。そういたしますと、問題のその容疑というのは、第四条の第一項あるいは第二項のどの号に当たるのか。それが先ほど与党委員からのお尋ねの第五項の構成要件事実にならなければならないと私は考えますが、その容疑とは一体何かということについて、一応お尋ねをしておきたいと思います。
  68. 吉河光貞

    ○吉河説明員 破壊活動防止法第四条の第一項二でございますが、二のリに該当するのではないか。「検察若しくは警察の職務を行い、若しくはこれを補助する者、法令により拘禁された者を看守し、若しくは護送する者又はこの法律の規定により調査に従事する者に対し、凶器又は毒劇物を携え、多衆共同してなす刑法第九十五条(公務執行妨害、職務強要)に規定する行為」というふうにうたわれておりますが、警備警察官に対しまして多衆共同して角棒のごとき凶器を持ってこれに公務執行妨害を行なったという容疑が認められる、かように考えておる次第でございます。
  69. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、この機会に同じく公安関係の法案についてお尋ねをいたしたいと思いますが、これは自治大臣にお尋ねをいたします。  国会周辺のデモ規制の問題については、行政事件訴訟法二十七条の問題をめぐりましてすでに何回か大臣と質疑をかわさせていただきましたが、この点については杉本決定というものをきわめて正しいものとして支持するという立場に立っているということが、質問者の立場なんです。ところが、これに対して総理異議申し立てがある。きわめて遺憾だということは、もう何べんも申し上げました。何か最近新聞等の報道によりますと、このデモ規制に関して、国会周辺、あまつさえということばをあえて使わせていただきますけれども、裁判所の周辺等のデモを規制する単独の法案を提案するとかしないとか考えているとかいうふうなことを仄聞するわけでございます。そこで、この機会に申し上げておきたいと思いますけれども、何と申しましても集団行進の自由、表現の自由は大事な基本的な人権だと私は思います。今度のいわゆる羽田空港周辺におけるできごとなどというものを一つの材料にしてそのような法案がつくられるというふうなことの動機になるということについては、私はとうてい承知できない、納得できないということです。ただしかし、それと別個に、では一体どういうことについてお考えになっているのか。いわゆるデモ規制法というようなものについて、当然そういうふうなものはつくるべきではないだろうし、そのような法案がかりに成案されたとしても、おそらく杉本決定以上の下級裁判所等における憲法違反の判断を受けるようなものであろうと私は思うけれども、一応大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  70. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 集団示威運動の規制の問題につきましては、例の総理大臣の異議申し立ての際にいろいろお尋ねがあり、お答えをいたしておるわけでございまして、それについてはいまでも変わっておりません。ということは、現在の方向として、これでやっていけるのではないかというふうに基本的には思っております。ただ、杉本決定その他、当時むしろこういうものは一地方公共団体の条例というようなものにまかせるべきではなくて、国会の審議を経た法律によってやるべきであるというような御議論もあるわけでございます。単に杉本決定ばかりではなくて、他のそれに関連いたしました当時の各方面のいろいろな御意見等もございますので、一つの研究課題として研究はいたしておりますが、現在のところ、私どもがそうした集団示威運動に対する規制の法案を用意をいたしておるというようなことではございません。ましてや今回のような事件があったから、これを動機にというようなことは考えておりません。私ども総理大臣の異議申し立てをいたしました当時お答えしたように、集団行動というものの性格の一つとして、往々にして暴徒化する、というのはオーバーだというお話でございましたが、非常に激発されやすいものであるということは、今回の事件にかんがみましても、私はさように考えております。繰り返して申し上げますが、現在私ども、集団示威運動の規制の法案を準備しようというような考え方は、持っておりません。
  71. 中谷鉄也

    中谷委員 まさにデモ規制に関するそのような法案をお出しにならないという立場は、私は当然だと思うわけであります。そういう大臣の御答弁は、非常にけっこうだと思うのであります。  そこで、いわゆる二十七条をめぐって、一瞬にして暴徒と化すといったようなことばについて、大臣とだいぶこの前質疑応答を重ねましたけれども、今回の不祥なできごとというか、残念なできごとの警備上の問題について、若干お尋ねをしておきたいと思います。  まず、警察庁にお尋ねをいたしますけれども、先ほど公安調査庁の長官のおことばの中に、何か角棒を持っておった、それは凶器なんだ、こういうお話がございましたね。   〔委員長退席、和爾委員長代理着席〕 それから法政明治その他の大学へ泊まり込んでおった、こういうふうなお話もございました。いわゆる情報、事前にどの段階においてそのような事情が察知できたかどうか、この点についてはいかがでございますか。
  72. 後藤田正晴

    後藤田説明員 今回の阻止行動につきましては、相当前からいろいろな情報があり、そういった角材その他を持っておるということは、前日及び当日の朝それぞれ情報として私どもには入っており、また確認もいたしております。
  73. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、先ほどの御答弁にもございましたとおり、本件についての、いわゆる集団示威行進についての許可については、許可が与えられたもの、そうしていわゆる許可申請をしなかったもの、そうして許可申請をしたけれどもいわゆる不許可になったもの、この三つのケースがあるようでございます。  そこで、お尋ねいたしますけれども、不許可になった通称三派の学生諸君の許可申請についてでございますけれども、従来の取り扱いとしては、許可申請を出した場合に、話し合いをして、コース変更その他について話し合いをする、そうして許可の方向に持っていくというのが従来の取り扱いであったというふうに考えている。本件の場合、何かそのような話し合い——特に平均年齢が二十一歳か二歳の青年諸君だと私は理解している。そういうふうな話し合いがなされたかどうか、この点についてはいかがでございましょうか。
  74. 後藤田正晴

    後藤田説明員 今回のデモの許可申請につきましては、革マル系全学連は初めから出してこない。反戦青年委員会の系統のもの、これは出してきたわけでございますが、これはただいまお話しのような従来の扱いに従いまして、話し合いの結果、一部路線変更をして許可をした、こういうことでございます。したがって、団体によっては、団体及び集会の場所、デモコースの状況等から見て、話し合いをいたしておるのでございます。ただ、いわゆる三派糸全学連につきましては、これは先ほど申しましたように、空港の中で集会をやって、空港の中の道路をデモ行進をして空港ビルまで行く、こういうことでございます。したがって、これは話し合いの余地も何もございません。私どもとしては、羽田空港実情、また羽田空港における管理規則の問題、空港長の要請、及び事前の三派糸全学連の今回とるであろうという情報、これらから見て、これは初めから不許可処分ということにいたしたので、話し合いの余地はなかったわけでございます。
  75. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、警察には警察のそのような不許可の合理的な理由がある、こういうようにおっしゃる。しかし、そのような不許可、話し合いの余地は全然なかったのだというふうな取り扱いが、今回のいわゆる激突の一つの誘因をなしているのではないか、そういうふうに私は考える。  もう一つ、先ほども情報を入手しておられた、こういうふうにおっしゃるので、私はお尋ねしたいけれども、角材等を持っておった。しかもそれを凶器だというふうに断定しておられる。それは前日からそういうことはわかっておった、こうおっしゃる。そうですね。そういうふうなことについて、警察当局として、大学等にどのような連絡をおとりになったか。ただ情報としてそういうものを握っておられるだけで、その後、そういう連絡も何もしなかったのだということなのか。あるいは、そういう連絡をしたけれども、そのことについての何らの措置もなかった、こうおつしゃるのか。これは、私が先ほど問題として提起した大学の根本的なあり方ということとは別個に私はお聞きしたい点です。この点はいかがでございましょうか。
  76. 後藤田正晴

    後藤田説明員 警視庁が話し合いに応じなかったからこういう事態になったのだという御趣旨にもとり得るような御質疑でございますが、これは私は話が逆である。この三派系の連中は、なるほど空港の中で集会をやり、デモ空港ビルまでやるという書類は持ってきましたけれども、これはぽんと机の上に置いて、話し合いにも何にも応じないというのが実態でもあったわけでございます。その点も御承知おき願いたいと思います。  なおまた、事前の情報、それからまた過去のこの団体の実績及び空港内の実情等から見て、空港内における集会デモは認めないというのが、私は公共の安寧を維持する上においてはきわめて当然の処置ではなかろうか、こういうふうに考えておるのでございます。したがって、それなるがゆえに、あのような暴挙をやっていいのだとはおっしゃらないのは当然ですけれども、そういうふうに響く議論は私は成り立たないのではないか、こういうふうに考えます。  また、角材等を持っておったのを学校に連絡したかどうかということでございますが、これは私いま承知をいたしておりませんけれども、そういうものを持ってあの中に泊まっておるということは、大学管理しておる人が私は一番よく知っておることだ、こういうふうに考えます。
  77. 中谷鉄也

    中谷委員 そうでしょうか。私がお尋ねしていることは、何も凶器準備集合というような罪で検挙しろというようなことを申し上げているのではない。何か今度の事件で純然たる刑事事件として措置をする、そういうふうなところの方針といいますか、御答弁をお出しになった。しかし、学生運動だという一つの流れというものも理解しているのだ、こういうふうなお話もあった。そうすると、ぽんと机の上に置いた、あの連中は、このことばなんですね。私は一言、二言をとらえて言うのじゃないのです。もちろん、警察庁といわゆるこれらの学生諸君との間に十分な対話ができるなんということは私は言いません。言いませんけれども、ただ、しかし、大学が一番よく知っていたのじゃないか、大学がやることじゃないか、角材を持っておるのは事前に情報を持っておったけれども、それを持って高速道路に出てきたら、そこで排除をするのだというふうなお考えが私はいかがかと思うのです。そんなことを言えば、何と甘いことを言う、何とできもしないことを言うとおっしゃるかもしれないけれども、かつてこんな話を私は聞いたことがあります。警備警察の人が、占領下のことですからこんなことばを使っていいと思うのですが、いわゆる第三国人の人がずいぶん大ぜい集まって何か騒いでおった。そのときに、いわゆるベテランの刑事さんがそこへ行って、おまえたち何しているのだ、もうそういうことをやめたほうがいいじゃないかと言ったら、それでとにかくおさまったという話を私は聞いたことがあるのです。だから、何もそんな甘いものじゃないんだと言ってしまえばそれまでだけれども警察のお仕事というのは、予防であることは私は間違いがないと思うのです。いまおっしゃったお話は、私は納得できませんね。大学が知ってますよ、大学の仕事ですよ。——連絡したのかどうかとお聞きしている。大学が知っているのはあたりまえじゃないか。何を連絡する必要があるのだ。悪いのは大学なんだ。われわれは高速道路に出てきたときにやっつければいいんだと聞こえんばかりです。そんな言い方、御答弁が、あの連中ということばに私は出てくると思うのです。あの連中でもいいと思いますよ。私は、あなたの評価がそういうことで固まっているならそれでもいいと思う。しかし、おとなと、そしてとにかく二十を出たばかりの何なんだから、あの連中、あの連中という以前に、警察だって、私はそういうことは甘いと考えるかもしれぬけれども、そのようなことで予防的な話し合いをするという——どのように実現する、しない、不可能かどうかは別として、そのような措置というものがあってしかるべきではないか。おたくの態度では全然それはほうっておきですよ。角棒を持っていたから、そういう態度というのが警察としてのあり方なんですか。大学が知っていたから連絡を押えたのかどうか。もう一度お尋ねします。大学は知っていたから連絡する必要はないとお考えになったかどうか、その点をお尋ねをいたします。  それから、全くそんな連中とは——というあなたのおことばを引用しますが、話し合いの余地なんかありはせぬのだ、検挙、逮捕、拘引、それ以外にないんだ、そういうお考えで臨んでおられるかどうか、それが警察庁のみならず、現在の政府の態度なのかどうか、その点をお尋ねいたしたい。
  78. 後藤田正晴

    後藤田説明員 学校へ連絡したかどうかは、先ほど言いましたように、私自身は今日聞いておりません。ただ一般の学生、それらの学生運動、これに対する警察のあり方としては、いま中谷委員のおっしゃるとおりの態度で臨むべきである、こういう点については私は異論を持っておりません。また、さようにわれわれも考えてやっておるつもりでございます。ただ、いわゆる三派系の全学連革マル全学連等のいわゆる先鋭分子、これについては私は遺憾ながら中谷委員と見解を異にしておるということでございます。
  79. 中谷鉄也

    中谷委員 大臣にお尋ねします。  見解を異にする、その点はやむを得ないと思うのです。ただ、もう一度大臣から御答弁をいただきたいけれども、そういうふうな状態がある。要するに角棒を持っている、そういうことは当然警察としては予防しなければならない。また、予防することがそれらの諸君が不祥事を起こさないということにとって必要だということが当然予想できる、そういうような場合に、三派の連中に限ってはそれはだめなんだ、そういうふうな考え方がはたしていいのかどうか、そういうことで今後とも色分けといいますか、やってしまう。どんな苦労があっても、困難であっても、そういうようなことについて、警察的な立場という限界はあるにしても、努力をするということが不祥事を防ぐ態度ではないか、こういうように考えます。この点については、そんなことはないんだ、出てきたときにやっつけるんだ、それまではほうっておくんだということであれば、ますます今後こういうふうな問題は激発すると思うのです。残念なことです。この点について大臣の良識ある御答弁をいただきたいと思います。   〔和爾委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この諸君の指導者たちは、新聞の報道等によれば、われわれは法律を認めないのだというようなことも公言をいたしておるわけでございます。したがいまして、こうした諸君一体話し合いができるのかどうか、相当問題であろうと私は思います。  ただ基本的には、先ほど中谷さんも文部省に言われましたように、現在の大学教育のあり方、特に教授と学生との間の関係というような問題も非常に根本的にあろうと思います。むしろ警察というよりは文部行政の一端として、大学当事者と文部省とが一緒になってそういう問題の解決に当たっていただきたい、私もそういうことを非常に希望いたしておる次第でございまして、十月八日の事件が起こったあと、関係閣僚が集まりましたときにも、私からも文部大臣にその点はお願いをしておる。そういう基本的な現在の学生諸君に対する大学の把握のしかたと申しますか、それは単に教授ばかりではない、あるいはレクリエーションの問題その他を含めまして、基本的にそのあり方というものを検討し、そこから直していくことが最も大切なのではないかと考えておる次第でございます。
  81. 中谷鉄也

    中谷委員 実は、死んだ人はものを言いませんし、何ですけれども、この山崎という学生が牧田病院で死体の検案を受けたあと、この学生の顔を私見てまいりました。非常に幼いという感じ学生だったのです。ですから私は、先ほどから申しておりますように、私自身がもうこれらの学生諸君とは二十以上も年が違うわけだし、これらの学生諸君の心情を十分に理解しているというふうなことを申し上げるつもりはありませんけれども、やはり何といったって二十を出たばかりの人間をわれわれが説得できないなどというふうな、あの連中というぶうな声は、これはわれわれの責任において反省といいますか、そういう態度を一歩前進させるということが私は大事だ。大臣のいまの御答弁をさらにお進めいただいて、そういうふうなことであっていただきたいと思います。  そこで、次のようなことを最後にお尋ねをしておきたいと思いますが、おとうさん、おかあさんにとっては自慢の子供であったと思うのです。この父親のことばによりますと、なくなった死因についてはひとつはっきりしてもらいたい、これはもう私は遺族として当然の気持ちだろうと思います。また京都大学の総長さんも、死因の解明についてはひとつ公正な真相の追求ということをおっしゃっておられる。この問題については、だから私は、そういう点について先入観を持たずにひとつお尋ねをしたいと思うのです。  先ほど御報告の中で山崎という、青年というよりも、十九歳ですからむしろ少年ですね、この学生が暴走してきた車によって轢死した、こういうふうな御報告があったと伺いました。さらにこの学生のどことどこが轢過されたのか、どんな状況であったのか、どの車輪とどこが接触をしたのかというふうな点について御答弁をいただきたいと思います。  その御答弁をいただきます前に、本件の捜査については、いわゆるこの轢過事件については過失致死で御捜査になるという御報告がございました。法律家の常識としては当然だと私は思います。ただ新聞の報道によりますと、当初、いわゆるこの羽田空港における問題が発生した直後だと思いますけれども、その日の夕方ぐらいから、殺人事件として捜査するというふうな報道があったように私は理解いたします。そうすると、過失致死ということであることは、私、法律家の常識として当然だと思うけれども、何かそういうふうな殺人だというふうなことを警察が御発表になったのはいつの時期なのか。勘ぐって考えますと、もしそのような御発表があったとすると、本件について、何か、学生学生を殺したのだ、殺人なんだというふうなことでこの問題についての一つの評価をされたというふうにもうかがえるわけなんですが、そのような事実はございますか。もしそうだとすると、過失致死という法的評価に変更されたのか、それとも当初からそういうふうにお考えになっておったのか、この点はいかがでございましょう。
  82. 後藤田正晴

    後藤田説明員 殺人云々ということを、私も一部の新聞では拝見しました。ただこれはおそらく、私の推測でございますけれども学生学生をひき殺したという意味で殺人だ、こういうことではなかろうかと思います。私どもとしては、やはりこれは過失致死罪ということで当初から捜査をいたしておるのでございます。
  83. 中谷鉄也

    中谷委員 では質問を死因について……。この山崎という学生は、一体どういう状況で死に至ったのか。要するにどのような状況で——轢過された、轢死だとおっしゃるんだから、まずどういう状況で轢過という状況が生じたのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  84. 三井脩

    ○三井説明員 お答え申し上げます。  当日の、これは弁天橋という橋が中心でございますが、一番南側の橋でございます。弁天橋上に警備車両四台を置いて、これを阻止用に使っておりました。配置の状況は二段配置でございまして、橋の中央部よりやや西側でございますが、そこに八の字型に警備車両二台を配置いたし、その背後に警備車両二台を第二段にかまえておったわけでございます。これに対しまして、第一列の八の字にかまえました右側の車両が問題の給水車でございます。タンク車でございます。学生がこれを占拠いたしまして、その運転台に乗り、これを前後に運転をして、その背後にあります放水車、これに対して猛烈な勢いでぶつけたわけです。五回ぶつけました。これはたいへんな勢いでございます。それで放水車の前部が相当損傷いたしました。警察におきましては、そういう状況に立ち至りましたので、この放水車を後方に、橋の東側、橋のたもとに下げました。第二段配置にもう一台警備車両がございます。これも同様な状態であぶなくなるというように考えまして、これも今度、橋のたもと、東側の南のほうに下げました。両方ありまして、二段ありましたが、一つを下げ、これも下げたのです。そうしますと——この橋の東側には安全島、いわゆるロータリーがございます。これに対して、運転しておる学生が、これは車としてはバックギアで入ってくるわけですが、これへ猛烈な勢いで突っ込んできたわけであります。この安全島にぶつかりました。安全島も一部損傷しております。その際に一般の学生が、バックで前進してくるこの車をたてとして、大勢が橋の上をこちらに、警察部隊の方向に向かって進入してまいったわけでございます。そこで安全島のところに車がぶつかった段階におきまして、橋のたもとにおりました警察部隊が、これを排除するために前進をいたしました。警察部隊の姿を見て学生デモ隊は、橋の向こう側、つまり西側に逃げたわけであります。この際、ちょうど車が警察部隊に取り残されたという形になったわけです。したがって、この車が急遽今度は前進のギアを入れて、橋のもとの方向に逃げる。警察官も危うくひかれそうになって、橋の上から五名ばかり海老取川に飛び込んで助かったというような状況でございます。その車が去ったあとに、ちょうど橋の東側、警察部隊の側ですが、そこに一名の学生がひき殺されて死んでおった、こういう状況でございます。これを検視、解剖等の所見で見ますと、それから車についております血の状況等から見まして、右側の前輪、それからやはり右側の後輪によって二回ひかれたもの、こういうように現段階において考えております。  以上です。
  85. 中谷鉄也

    中谷委員 お尋ねをいたします。  そうすると、地検のいわゆる解剖所見によると、頭部、それと肋骨、胸、さらに内臓、これらが損傷していたということになっている。この点については実は必ずしもそうじゃないんだという人もいるけれども、そうなっていた。お尋ねいたしますけれども、そうすると、この青年はどんな順序で前輪、後輪によって轢過されたとおっしゃるのですか。一体その車の進行方向に向かって、この青年のからだの位置関係はどういうことになっていたかなどということについての目撃者はあるのですか。あるでしょうね。お答えをいただきたいと思います。
  86. 三井脩

    ○三井説明員 ただいま申しましたのは、検案、解剖の所見並びに車の状況、当時現認をしておりました警察官状況等に基づいて申し上げたわけでありまして、頭から先へひかれたのか、足から先であるかというような具体的な順序という点については、私はまだ承知しておりません。
  87. 中谷鉄也

    中谷委員 車が前へ行った、青年が倒れていた、結局そうすると、あなたのおっしゃっているのはそれだけのことですね。そしてその人を牧田病院へ連れていった。関係者が立ち会わしてくれと言ったけれども、立ち会わせなかった。その後慶応病院で司法解剖をやった。これは警察の仕事じゃないけれども、このときも私の聞くところでは、遺族から連絡を受けた、委任を受けたところの弁護士、医師などが立ち会いたいと言ったけれども、立ち会わせなかった。斉藤教授が御解剖になったというふうに聞いている。そうすると結局、傷あとが轢過によるものだと思われるという司法解剖の所見、車が何か行った、そのあたりにあとで学生が倒れていたということだけだと思う。学生の頭はどっち向いて倒れておったのですか。地図を持ってきておりますが、弁天橋の中の一体どっちを向いて学生の頭は倒れておったか、お答え願いたい。
  88. 後藤田正晴

    後藤田説明員 私がそれでは現認状況を、書類を持っているので、詳しくお答えいたします。  午前十時一分ごろに学生が、先ほど三井課長説明をしました警備車の前面窓をハンマーや角材などでこわして、窓から中に入っております。学生の人相等も現認しておる者があり、黄色いヘルメット帽をかぶっていた男であります。北側の警備車の運転台の窓越しに他の学生と話をしておることも現認をしております。そうして十一時ごろに北側の警備車学生が運転をして前進をさせ、橋の西端付近まで進ませ、停止をさせておる。すると、今度はバックをさせまして、この警備車の後方に駐車しておりました放水車めがけて激突をさせる。それがために、放水車は五メートルくらい空港側に後退をいたしております。そうして十一時二十四分ごろまでの間、同様方法で警備車を前進させては勢いをつけて後退をさせ、そうして放水車に激突をさせて、これを数回繰り返しましたので、放水車は空港内に十メートルくらい押し戻され、このために橋上には放水車がなくなり、警備車の一台が学生の手にわたって橋上の阻止線が破られた、こういう状況でございます。十一時二十五分ごろにその警備車は橋の西端付近にありましたけれども、これを学生空港内に向かってバックさせ始め、そのうしろには学生が押しかけて、投石をしながら車とともに空港内に向かって前進をしてきたわけでございます。十一時二十七分ごろ、警備車はさらに後退をして空港内にまで進入する。橋のたもとから車首までの間大体数メートルの地点くらいまで車は中に入ってきております。学生も車のあとに続いて空港内に進入をして、投石活動を始める。この学生たちの進入を排除するために、空港内に待機をしておりました第五機動隊が、橋上に向かって一斉に学生たちの排除活動に入ったわけでございます。続いて方面機動隊赤坂大隊もそれに加わっております。すると、先ほど申しました警備車が、車の前及び橋の上に機動隊、学生の集団がいるにもかかわらず、橋上に向かって急発進をして機動隊のうしろから突っ込んだ、こういう形になったわけでございます。このために大部分の機動隊員と学生は避難をしておりますが、数名の警察官学生が逃げおくれて警備車に接触をし、追突をせられる、こういうものも若干名出たわけでございます。警備車はそこで一たんとまったようでございますが、すぐにまた前進をした。そうして車と橋の北側手すりの間が大体一メートル足らずの間隔でございます。このとき倒れた警察官学生を他の機動隊員が引き起こして助けておりますが、学生一名が警備車前部右角付近で右足を引っかけられて倒れて、前輪の右側で腹部をひかれて、機動隊員も倒れたままそこで足にけがをしております。警備車はそこで再び一たん停車をいたしましたけれども、このとき警備車の下には、車の右前輪と右後輪の間に学生と機動隊員が倒れておった。そのときの状況は、学生は橋の手すり寄りに足を向け、頭部が車の後輪近くにあって、くの字型にからだを曲げて倒れておった。警備車はさらに前進をして、右後輪が学生をひいて、機動隊員の足元近くを通っておるようですが、二、三メートル前進して、そこでまた一時停止する。また前進をして橋の西端に進んだわけですが、通過したあとには学生が頭部をまつ赤に血に染めて、ぐったりして倒れておった。警備車はこのように機動隊や学生デモ隊に向かって突っ込んでいったわけですが、橋の北側手すりと車の間が、先ほど申しましたように一メートル足らずであり、これがために手すりにへばりつくようにしてようやく避難した警察官学生等もいましたが、警察官の側には、そこでまた車の前面とデモ隊にはさまれて、デモ隊に相当乱暴せられておって川の中に飛び込んだという機動隊員も若干おるようでございます。  大体以上がこの当時の現認の報告になっております。
  89. 中谷鉄也

    中谷委員 死因の問題をきょうは中心にお尋ねする予定でしたけれども、与えられた時間がなくなったようですから、残念ながら一点だけお尋ねいたします。  その現認報告書というのは、一体特定の警察官報告でございますか。それとも、いろんな人の話を寄せ集めてきたところの、端的に申しまして、状況を総合したとおっしゃる、あるいはまた総合したんだと称する御報告なんですか。ことに念のためにお聞きしておきますけれども、そうすると、どうも自動車の右側のほうでかなりのもみ合いがあったようにお伺いできる。その中で、その山崎という青年が自動車のどこと接触して、どう倒れたんだということを目撃した警察官の名前はだれですか。そして倒れたときのかっこうは——前輪は内臓だとおっしゃるんですね。そうさっきおっしゃった。ではもう一度お尋ねいたします。最初、頭からとにかく腰のところまで、全部これ轢過だと警察はおっしゃるわけですね。頭のてっぺんから腰のところまで全部轢過だとおっしゃる。胸だけ轢過した、頭だけ轢過した——全部轢過だということになってくると、前後輪ということにならざるを得ませんけれども、前後輪は二重車輪ですね。頭から腰までで二枚の車輪の長さと合いますか。要するに、頭のところに轢過があったんだとおっしゃる。二本のタイヤが走った。そしてもう一度とにかく走ったということで、からだが轢過されたと称する部分とタイヤの長さとが合いますか。少し合わないような感じが私はする。轢過以外のけががあるような気がしてならない。もちろん、しかし、この問題については人の命のことだし、なくなった人のことだし、私は軽々にどうこうということは言わないけれども、しかしいまのような御説明では、はい、さようでございますか、うちの子供はひかれて死んだんですかというわけには、ちょっと遺族としては納得せぬだろうと私は思う。  まず、その現認報告書なるものはだれかの署名入りでございますか。現認報告書とおっしゃいましたね。現認報告書というのは警察官の署名捺印があると思いますが、そういうものでございますか。その人が終始ずっと見ておったことになるのですか。そうでないとすれば証拠力はございませんが、その点については、またあらためて法務委員会等においても質問させていただく。人の命ということと、そしてどういうわけで死んだかということは、簡単に終わるべき問題じゃないと思うから、あなた方がこの学生、青年の諸君について暴徒ということばを使おうが、あの連中ということばを使おうが、死んだ人のことについては、私は徹底的に究明をする、それが私はやはり人の命を守るという立場からどうしてもしなければならぬ仕事だと思う。しかし、きょうのあなたの御答弁では、私は率直に申し上げまして、はい、轢過でございますか、わかりましたというわけにはいかぬ。少なくとも私がいま申し上げた、ひっかけられて倒れたということを目撃した警察官の名前と、その現認報告書なるものには警察官の署名、捺印があるかどうか、だれなのか、それを教えていただきたい。
  90. 後藤田正晴

    後藤田説明員 ただいま私がお答えをいたしましたのは、この事件には相当多数の警察官の目撃者がございます。それらの警察官から現認報告をとって、それを取りまとめて報告をいたしたものでございます。したがって、ただいま申し上げましたのは、いわゆる刑事訴訟法でいう現認報告書式のものではございません。
  91. 中谷鉄也

    中谷委員 最後に一点だけ。ですから、やはり問題は正確に御報告いただきたいと思うのです。刑事訴訟法にいう現認報告書がないとおっしゃったわけですね。だから、結局ある意味においては警察の作文だといわれても、これはやむをを得ない。状況についての警察の御説明の資料でございますね。ですから、問題は、ばらばらのその証拠というものを集めて、一を十足したからといって、とにかく十人の部分部分の目撃を足したからといって、それで私は十人だから値打ちがあるというものじゃないと思う。だれが、いつ、どの部分を見たかということについては、端的に申しますと、善意であるか、過失であるか、故意であるかは別として、突き飛ばされて車の下に入ったというケースだってあり得ると思うのです。ケースとして申し上げている。そういう事実があると言っているのじゃない。そういうふうなことについて、私はやはり明確にしていただきたい。司法解剖の結果について、法務省の方にも来ていただいているわけだけれども、時間がないし、この問題についてはさらに掘り下、げなければいけませんから、この程度にしておきますけれども、今後お尋ねする際には、現認報告書というものなら現認報告書としてお出しをいただきたい。また、そういうことで、どこのだれという警察官が、どの部分を目撃しているかということについての私は御説明をいただきたい。何か、上司の方が聞かれたところの作文として、状況説明をしていただくというようなことは、私は真相の究明にはならないのじゃないかと思う。この点をお願いをしておきます。  いずれにいたしましても、非常に不幸なできごとであるし、このようなできごとを二度と繰り返さないという意味からも、私はこの問題については先入観にとらわれずに真相を究明する。警察もまたそのようなことについて、次回には十分な御答弁をいただきたいということをお願いをいたしまして、私の時間が切れましたので、この程度で質問を終わりたいと思います。
  92. 後藤田正晴

    後藤田説明員 事は死者に関することでございまするので、正確なる調査をしろと、こういう御意見、これはごもっともでございます。ただ、警察が作文でやっておるのだ、こういう御意見でございますけれども、権威ある国会での答弁でございまするので、私どもがいわゆる作文ということばから受ける印象でここでお答えをいたしておるわけではございません。あくまでも現場におった警察官から詳細な現認報告をとって、それを基礎にしてお答えいたしておるということを御承知おき願いたいと思います。
  93. 亀山孝一

  94. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 すでに同僚の中谷委員から、具体的な問題に触れて質問がございましたので、私はきわめて簡単に、一、二の問題について事実を明らかにすると同時に、質問をいたしたいと思うのです。  まず第一の問題は、先ほど与党の委員からいろいろな面からの御指摘がございました。拝聴いたしておったわけでありますが、やや誤解があるやに見える点がありますので、その点を私ども社会党として明らかにしておきたいと思うのであります。  それは、新聞記事を例に引かれたのではないかと思いますが、ある党はかかる学生諸君の行き過ぎに対して、さらに一言も批判をしていないではないかというような御指摘がございました。もしかりにその発言がわが社会党をさしておるとすれば、これは誤りであります。私たちは党としての機関も招集をいたしまして、大衆の支持を得られぬようなかかる過激にわたる行動については、党としては是認はできないということを正式に確認をして、新聞にも発表いたしておるところであります。新聞記事を御参考にして発言せられたとするならば、その面の新聞もひとつ十分ごらんをいただきたいと思うわけであります。  さらに、最近は左翼の暴力のみが問題であるようなお話もございました。しかし、私どもは決してそのようには考えておりません。たとえば最近の事例をとりましても、廖承志事務所に対して右翼の人たちが襲撃をしたというような事件もあり、またこれと警察当局との関係につきまして、私ども若干の疑念も表明しておるところであります。  さらに、学生諸君宿泊の場所の問題でありますが、社会文化会館社会党本部があるというようなお話もあったわけでありますけれども、確かに社会文化会館社会党本部があることは事実であります。しかし、社会党社会文化会館とは別個な団体であります。財団法人として自治省の認可も受けております社会文化会館が、宿泊施設も一諸に仕事としてやっておる、こういう状況であります。しかもお答えによりますと、構革派の諸君宿泊をせられたやに承りました。革マル系でもなし、三派全学連諸君でもないわけであります。そういう点につきまして、わが党といたしまして、もし先ほどの与党の委員の方の御質問やあるいは御発言が誤解せられると、これは非常に困るわけでございまして、この点、私ども社会党としてその事実を明らかにすると同時に、ただいま私ども考え方というものをまず明らかにしておきたいと思うのであります。  次いで質問に移りたいと思うわけでありますが、今回の学生諸君行動は、私どもとしては、行き過ぎもあったし、是認できない面もございます。かかる過激な行動については戒めるべきだという考え方を私どもは持っております。しかし、私ども社会党考えるばかりではなしに、今回の行動に対しまして、学者、文化人といわれる方々がいろいろな角度からこの事態に対して見解を新聞に発表しておられるわけであります。たとえば作家の阿部知二さんあるいは前の東大総長の茅誠司さん、こういった日本のいわば一流の学者、文化人ともいうべき方々が見解を表明しておられます。その中に、学生行動に対して批判をしつつも、「しかし、この事件のために、首相の南ベトナム訪問の問題を、うやむやにしてはいけない。首相の南ベトナム行きには、革新派だけでなく、市民、知識人らひろく国民の間に反対の気持が強い。首相の行動が、ベトナムを中心に、あらたな緊張関係をつくり出していることに、危険を感じているからだ。」という言もございます。また茅さんの発言についても同じでありまして、「私も首相は南ベトナムにいかないほうがいいと思う。」というような趣旨を述べておられるのであります。私は、今回のこの行動については、もちろん表にあらわれました学生諸君行動をいろいろ批判することは容易でありましょう、また、そのことも必要だと思います。しかし、同時に、なぜ彼らをしてそうさせたかという観点での問題の究明というものが必要であるということは、これは国家公安委員長も否定はされないだろうと思いますし、また文部当局においても同様だろうと思うのであります。  現在、ベトナムにおきましては非常な残虐な行為が行なわれているということについては、日本の相当多数の人たちが大きな関心を持っていることは事実です。ナパーム爆弾もそうでしょう、黄燐爆弾もそうでありましょうが、こういう残虐な行動が行なわれている。したがって、こういうような学生諸君佐藤総理のベトナム行きを阻止するという行動に出るか出ないかは別としましても、このような南ベトナムの残虐な行為に対して反対の意思を表明しているという人たち国民の大多数であることは、これは間違いないと私は思うのであります。学生諸君についても同様でしょう。阻止をするという運動方針をきめたかどうかは別としましても、南ベトナム訪問については反対だという意思を持っている学生諸君というものは多数あると思うのであります。国民も同様でしょう。そういった基盤があるところに、いま問題になりましたような学生諸君がこのような思い詰めた行動に出る、その土台はやはりいま私が指摘したようなところにあるということは、われわれを含めて十分考えなければいかぬのじゃないかと思うのであります。しかも、今回佐藤総理が南ベトナムを訪問しようとする。参戦国以外の首脳で、一体だれが南ベトナムを訪問しましたか、だれもしていないではないですか。いずれも参戦国の首脳者だけが南ベトナムを訪問しているのであり、日本がこのような行動に出るところに、やはり学生諸君が焦燥の念にかられるということに原因があるということを十分理解していただきたいと思うのであります。私は、国家公安委員長は、少なくとも治安の問題を考える場合に、いま言いました背景にあります事象というものを十分検討する、しかも、表に出ました行動だけを弾圧する、あるいは取り締まるということでは、国家公安委員長の任務は果たせぬと思うのであります。やはり高い次元から日本の治安というものを考える、こういうことが必要じゃないかと思うのであります。この点に対する国家公安委員長のお考え方を私はまずお伺いをいたしたいと思うのであります。
  95. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 もちろん、治安の確保のためには、社会全体の調和のとれた発展というものを中心にして考えなければならぬことはお説のとおりだと思います。それからまた、ベトナム戦争あるいは佐藤総理の訪越の問題についていろいろ御意見のあることは、これは当然だと思います。ただ、それだからといって、自分の反対なものに対してはどんなことをやってもいいんだというようなことは、私は許されないと思うのでございまして、佐藤総理の訪越というものに反対だからといって、十月八日のようなあんな行動をとるということは、これは許されないというふうに考えております。
  96. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いま国家公安委員長から、やはり背景にあります問題、治安を維持するために高い角度からの検討も必要であるという趣旨の御答弁がございました。だからといってこのような行動を許すことはできない、こういうお答えもあったわけであります。私たちも、学生諸君行動についてすべてこれを支持する、こういう態度をとっているわけではありません。この点については、先ほど私見解を申し上げましたので、繰り返すことは省略したいと思うのです。  そこで、私は、警察官の行き過ぎた行動も、やはりこのような事案を激発する要因になっているのではないかということをお尋ねいたしたいと思うのでありますが、その前に、文部当局についても、先ほど私がお尋ねをいたしましたようなことについては、一体どのような見解を持っておられますか、その点をまずお尋ねをしておきたいと思います。
  97. 宮地茂

    ○宮地説明員 文部省といたしましては、大学教育を所管しております関係上、学生のしたことを一がいに責めるのではなしに、できるだけこれをかばってやりたいという気持ちもございます。しかしながら、今回の事件を見ますと、動機はいろいろやむにやまれずやったのかもしれません。いろいろございましょう。しかしながら、動機、理由のいかんを問わず、暴力的な今回のような事件を起こすということ自身は、動機、理由のいかんによって云々されるものではなくて、私は、やはり学生のやった行ないは正しいことではないというふうに考えております。もちろん、このやった行為に対して、これからの処分とか処罰とか、そういったものに対しましてどのように考えるかということは別でございますが、起こりました事件につきましては、まことに遺憾なことだと思っております。
  98. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 目的が正しければ手段もすべて正当化されるという考えは私ども持っておりません。しかし、いまお二人からお答えがありましたように、やはりその動機というものについて、われわれ政治に携わる者あるいは行政に携わる者みながえりを正して対処する、こういうことにこそ問題の本質的な解決の道がある、こういうことだけを指摘しておきたいと思います。  時間がありませんから、次の問題に移りたいと思います。  先ほど中谷委員からの御指摘もあったのでありますが、こういう事件が起こります一つの誘因として、学生諸君ばかりではなしに、いわゆる示威行進というものに対して今日まで警察当局が取りきたったその対処のしかた、そういうものがやはり激発しやすいというか、そういったものを起こしてきた原因ではないか、かように考えるわけであります。  たとえば今回の事件について一つの例をとりたいと思います。反戦青年委員会は、お答えがありましたように、集団示威行進の届け出を出し、進路を若干変更されたとはいうものの、許可されたわけであります。それで、許可された道筋から若干逸脱したという点はお答えがあったとおりであります。しかし、こうした反戦青年委員会の諸君がたまたま穴守橋付近にいた。確かに示威行進の許可された進路とは若干場所が違っておったかどうかは知りませんけれども、これらの諸君は、いま議論されたような三派の学生諸君革マル系学生諸君と同じような行動をとったわけではありません。しかし、この警察官人たちが、勢い余ったのかどうか知らないけれども、この反戦青年委員会の諸君に対してもおどりかかって警棒を武器のごとく振ったという事例も、私は報告を聞いておるのであります。この警棒等の取り扱い規範、あるいは警職法等の規定を見ますと、警棒を武器として使います場合については、これは非常な規制があるはずだと私は了解をいたしております。緊急避難でありますとか正当防衛とか、そういう場合です。反戦青年委員会の諸君に何らのこれらの条項を適用することはなかったのじゃないか、かように私ば報告を聞いております。そういうことがあるからこそ、これはやはり一つの問題です。  それから、学生諸君の示威行進に対してもそうでしょう。数少ない場合は、これはもう機動隊の諸君に守られてサンドイッチのような形で行進している、そして足をけられるというようないろいろな危害を加えられる場合もある。そういう中で学生諸君が激発する方向に向いていく、こういうやはり背景があったのではないかと思うのであります。ただいま私が指摘した問題についてはお答えございませんか。
  99. 後藤田正晴

    後藤田説明員 集団示威行進等に対する対処のしかたがこういった連中を激発しておるのではないか、こういう御質問でございますが、私ども警察は治安の維持に当たるわけでございます。したがって、治安を乱すような事態がなければ、私どもとしてこれに対して職権を行使するとか、そういうことは毛頭考えてない。考えてないどころでなしに、私どもは、現在の集団示威運動の実態がもう少し正常化しないだろうか、正常化する努力を加えられる余地はないだろうかということを念願いたしております。したがって、これら羽田で事故を起こした人たち示威運動がいま少し平穏なものであるならば、私どもとしても対処のしかたはあるわけでございます。しかしながら、過去の実績に見られるように、まことに乱暴ろうぜきをきわめる、非常に危険である、こういうことで、私どもとしてはやむにやまれず、いわゆるサンドイッチの規制の方法とか、あらゆる方法をとっておるのが実情でございます。  また、反戦青年委員会に対して云々とおっしゃいますが、反戦青年委員会の諸君も、これは何もしなかったのではないのです。これはやはり穴守橋では相当なる抵抗もし、投石もし、警察官は負傷者も出しておる。警察官としては自分みずからを守るために、またこういった状況を制止をする手段として、真にやむを得ず警棒を使っておるのでございます。警察官の警棒使用について、現在われわれは常に平素から指導もし、またこういつた集団示威行進等の場合には、よほどの事態でない限りは使わせない、ことに部隊でやるときには指揮官の命令でやらせる、こういったような配慮を加えておる。ところが、今回警棒を三カ所で使っておりますけれども、あの場合に角材でやられるわけです。石はほんとうに無数に飛んでくる。こういった中で、私どもはやはり現場に出ておる警察官の身も守ってやらなければならぬ、また相手も負傷者をできるだけ出さないようにしなければならぬ、こういうむずかしい事態があるわけであります。そういったことで、警棒使用なんという問題はほんとうにわれわれは最小限にしかやらないというのを方針とし、またそういうようにやっておる。先般の事件においても、警棒使用はそういう警棒使用で、ほんとうにやむを得ずやっておるというのが実態でございます。
  100. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 反戦青年委員会の諸君は、先ほど議論されたような行動中心になって行動をしたということではないわけです。それは若干次長が言われたような点があったかなかったか、私は現場に行っておりませんから知りませんが、しかし、少なくとも三派の学生諸君あるいは革マル糸の学生諸君とは違って示威行進をし、示威行進を許可された場所、若干場所が変わった程度で滞留しておりました人たちに対しても、武器として警棒を使うということについては、これは明らかに行き過ぎだ。示威行進について正常化したい、こう次長は言われました。それならば何で——私は反論したいと思うのです。国会周辺のデモについて杉本判決があったでしょう。ああいう示威行進をやっても何ら差しつかえないようなところに伝家の宝刀を抜く、総理異議をあえて行なうというところに、やはり次長さんが願っておる示威行進の正常化と相反する事柄を政府みずからがやっているではないかということを指摘しておきたいと思うのです。  時間がありませんから次に進みたいと思うのですが、私は、十日に起きました三里塚の問題について若干触れたいと思うのです。そのことを質問するわけではありません。あの三里塚の測量がございました。従来、砂川あるいは軍事基地等に対して測量を強行する、こういう事柄はしばしばございました。しかし、これらの事柄をずっと振り返ってみまして、測量隊が測量をしようとする、くい打ちをしようとする、阻止する人たちに阻止された、そういうことが繰り返されて、やむを得ず警職法の四条あるいは五条、六条に基づいて警察官の方々が出動し、そして測量隊を守ってくい打ちをするというのがいままでの例でした。そうですね。今回はどうなんですか。まず警察官が先に出たじゃないですか。これは明らかに警職法四条、五条、六条、特に警職法五条の違反だと思います。こういうことを八日の直後にやっているではないですか。こういうことが八日のような事態を引き起こしていく一つの原因になっている、かように指摘せざるを得ません。十日の事態一体どういうわけですか。
  101. 三井脩

    ○三井説明員 いままでお話のように、砂川等におきましては、警察官が出おくれたために、ああいうような事件を起こしておるわけであります。十日の事態につきましては、まず何よりも流血の惨を避けるということを警察基本方針といたしました。警察部隊が前進をいたしますと、測量班をかかえておらない、測量班と統合しておらない警察部隊に対しても、道路上においてピケを張る、あるいはすわり込みなどしてこれを妨害するという状態でございました。また、現場で標点近くにおきましても同様な事態がありましたので、これを排除して事態を未然に防いだわけであります。
  102. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この警職法につきましては、かつて警職法の改正等を問題にしたときにも非常に議論があったと思うのです。警察官の「避難等の措置」あるいは「犯罪の予防及び制止」、それから「立入」等の問題ですね。いままで三里塚のような事態はなかったということを課長さんはお認めになりました。それが警職法の解釈からいえば正しいのではないのですが。結局測量しようと思ってもできない、そういうことが繰り返されて、この犯罪の予防として、制止として、やむを得ず警察官が出る、これがあたりまえだったのではないのですか。今回は何ですか。測量隊員が全然行っていないところにも警察官の方が出て、そして反対派の人たちとぶつかっている。しかも、警察官の場合には今回は負傷者はなかったようですが、反対派の人たちの間には重傷の方が四名、十日間から二週間以上のけがが六名も出ているではないですか。私は、いまこの三里塚において従来と違った警職法の解釈をおとりになったことについてはきわめて遺憾であると思います。どうしてただいまのような御答弁が警職法の規定の上からいって許されますか。
  103. 後藤田正晴

    後藤田説明員 成田空港警備につきましては、いま申しましたように、農民の土地に関する問題でもあるし、相手方もああいった素朴な農民の諸君であるということで、私どもとしても、ともかく事故を起こさないということを基本に警備をするようにやったわけでありますが、なぜ一体事前に警察が出たのだ、警職法のどこに書いてあるか、警察は従来のやり方を変えたのか、こういうお話でありますが、従来と方針を変えたわけでは全然ございません。同じでございます。それは、成田空港の問題は相当長い期間にわたっております。その間に、すでに事前情報等では相当なる抵抗をやるということも私どものほうに入っており、また現に連日にわたってくい打ちの際の実力阻止の訓練をやっております。いかなる場合においても反対派があるのは当然ですけれども、実力による反対ということは、これは法秩序維持に任ずる私どもとして許されない。そのことは必ず起こるであろうということは、事前の訓練、情報等から見て明瞭でございます。しこうしてまた、運輸省なり空港公団なりのほうからも私どもに出動の要請もあり、現場に臨んだわけでございます。したがって、従来からのやり方と今回のやり方で、私どもとしては別段に変わった措置をやったわけではない。その根拠は、警察法二条に、私どもは社会公共の秩序維持に任ずる、こういう職責があるわけでございます。
  104. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまのが問題ですよ。警職法の第五条に「警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、」とありますが、この「行われようとするのを認めたときは、」という解釈をめぐって、国会でもずいぶん議論があったのじゃないですか。この実力阻止行動をしようとしている、またそういう訓練をしているというような状況だけでこの五条が発動できるのですか。そんなのは違法ですよ。
  105. 後藤田正晴

    後藤田説明員 警察法二条によると申しましたのは、現場に出動した根拠はそれでございます。しこうして現場において阻止活動に当たるということは、おっしゃるように、警察官職務執行法なりあらゆる法規を根拠にして私どもとしては活動しておるわけでございます。あの場合にでも、相当な抵抗があり、投石があり、また、警察官に負傷者はないとおっしゃいますけれども、実は残念ながら警察官にも、当初のわれわれの期待に反して若干の負傷者が出ておるというのが実情でございます。
  106. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、警察官が出たのは、警職法五条ではなく、警察法の二条である。結局、成田空港のようなうわさを聞いたとか、あるいはそういう行動が行なわれたとかいう情報を聞いただけでこの犯罪の「予防及び制止」ということをやったのではないということなんですね。しかし、いままで警察法二条を使って、こういう立ち入り等が行なわれます前に警察官が出たという事例はないのですね。この点は課長さんがお認めになったとすれば、いままでのやり方と違ったということだけは事実としてあるじゃないですか。
  107. 三井脩

    ○三井説明員 いままでないと私が先ほど申し上げたわけではございませんで、砂川のような悲惨な大事に至らなかったということを申し上げたかったわけでございます。
  108. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 実は時間もないようでありますから、これ以上押し問答をしてもしかたありません。またあらためて議論をいたしたいと思いますが、この国会で大いに議論をされました警察官職務執行法の適用について、いやしくも従来のやり方を変えるがごときそういう印象を与えるような行動については、これは厳に慎んでいただきたい、このことを強く要請をいたしておきます。  最後に、新聞に出ておりました記事でございますが、新井警察庁長官が九日の午後次のようなことを語っておるようです。幾つかありますが、これは省きます。一番最後に、この警備隊の人数も不足しており、もっと数をふやし、経費を全額国庫補助にしたいということを言っております。先ほど次長もそれから国家公安委員長も、ともに警備体制については検討を加えたいと言っておられます。警備体制についての検討は、具体的にどういう面の検討を考えておりますか、お答えをいただきたいと思いますが、同時に、その検討の中に新井長官が語っておりますようなことを考えておるとすれば、私は、これはきわめて問題だと思います。  現在、この警察法によりまして、地方都道府県警察警察官、機動隊の職員もそうだろうと思いますが、いずれもその人件費を交付税で見るという形になっておると思います。警察官の方々の人件費を国庫補助で見るということは現在の制度にはございません。警察法は国会でも多くの問題を起こしました。その中で、警視正以上の人たちを国家公務員にして、そうして国の指導強化をはかったことは御案内のとおりであります。この機動隊の職員に対して国庫補助の制度をつくるのですか。そうしますと、この警察法の改正をめぐって国会でも大いに議論をされた、少なくとも自治警察の形を尊重していく、そういった現在の警察機構からは非常に離れてくると思うのです。人件費について一体全額国庫負担の制度を考えておるのですか。
  109. 後藤田正晴

    後藤田説明員 警備体制改善をどのように考えておるかということでございますが、新井長官から人員あるいは経費負担等についても改善の余地はないかということで、われわれは検討を命じられております。したがって検討の段階にございます。その検討の項目の一つに機動隊の経費負担という問題もございます。これはもちろんいますぐやるというわけではございません。検討項目として入っております。と申しまするのは、機動隊は、何と申しましてもその出動事案が直接国の利害に関与する、関係するという場合が相当あるわけです。もちろん、機動隊は、それ以外に地元の災害であるとか、あるいは交通の取り締まりであるとか、あるいは年末等の集団警らであるとか、こういったことをやっておりまするので、何といいますか、いわば地方的な利害に結びつく活動が多いことも事実ですけれども、何と申しましても、機動隊、ことに警視庁の機動隊の場合には、現状では国の利害に直接関係する事案の場合が多い。そこで、地方団体としては、こういった経費を何で地方費で負担しなければならぬのだ、ことに人件費が全額地方負担、交付税で見ておるのは、これはいわゆる交付団体で、不交付団体等は全然もらってないわけです。したがって、そういった地方団体の声もあるわけです。こういったこと等をもあわせ考えまして、私どもとしては現在検討の項目に入れておるのが実情でございます。
  110. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 国家公安委員長にお尋ねしたいと思います。  警察では、いまお話のあったような方向で検討しておると言う。しかし、日本の警察については、今日までの歴史というものを十分踏まえる必要があると思うのです。いわゆる戦前の警察のように、内務省のボタン一つ全国警察が動くというような、そういった警察国家的な体制に対して批判が集中をし、自治警察というものが生まれたのです。その自治警察ではあまりに地方分権過ぎるというような一部の批判がありまして、そういう中から国会ではあれほどの乱闘事件等も起こす中で、警察法というものが現在のような形になっている。しかし、そうはあっても、戦前の内務省の警察機構というものに対する国民の批判があって、警察職員についてはいずれも地方公務員であり、給与についても国が責任をもって負担をする、こういう制度が現在も維持されているのではないですか。ただいま後藤田次長が言われたように、機動隊の諸君の給与については国が負担をするという形になるとしますと、いままでの警察の体制を大きく変更するということになると思います。警察の性格についてもしたがって大きく変わってくると思います。私は、藤枝国家公安委員長はそのような無理なことを考えていられないのではないか、かように推察をいたすのでありますが、公安委員長としてのお考えを念のためにお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  111. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 ただいま次長からお答えいたしましたのは、すべて何もそういう方針でやるということではなくて、検討事項である、しかし、次長もお答えしましたように、特に首都警備というものが国家の利害と密接な関係にあるものが多くて、必ずしも地方の公共の治安ということばかりではないというようなところから、地方団体側にもそういう意見もあるわけです。それらをあわせて検討をいたしておるというのでございまして、もちろん、経費負担の問題になりますれば、これはいろいろ考え方があろうかと思います。いま直ちに警察の体制を変えるとか、そういうことを考えておるわけではございません。
  112. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これで終わりますが、いま大臣の御答弁を聞いたわけですが、戦後の警察は、国家公安委員会制度があり、また都道府県におきましても都道府県の公安委員会制度ができました。予算につきましても、地方議会で、あるいは国会で十分議論をされるようになっているわけです。しかし、警備関係経費については、現在国が支弁をいたしまして、いわば地方議会のコントロールというものはきかないようになっています。私はそういうことも遺憾だと思います。やはり民衆の警察であり、国民の安全をはかっていくというたてまえからすれば、住民のコントロールといいますか、それが十分きくような形にしていくことがほんとうの警察のあり方ではないかと私は思うのです。それに対して今回さらに追い打ちをかけるように、この給与費についてまで国家支弁の道を開くということは、これは大臣からお答えがありましたけれども、現在の警察体制の一つの変革だと思います。そういうことについては軽々にすべきでない。大臣のお答えでは、検討していることであって、これをすぐ実現しようとすることではないというお話もありましたが、この点については、ひとつ従来の警察の制度の歴史というものを十分踏まえまして、慎重に対処をしていただきたい、こういうことはすべきでないということを意見として申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  113. 亀山孝一

    亀山委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。島上善五郎君。
  114. 島上善五郎

    ○島上委員 先ほど来の質問及び御答弁を聞いておりまして、少し関連して伺いたいことがあります。  まず第一は、山崎という学生の死因についてでございますが、先ほど来のお答えを私が聞いておっても、どうも釈然としないものがあります。そこで伺いますが、轢死されたというのですが、車が通ったあとに死体が残っておったという状況なのか、あるいはひかれる瞬間を警察官が現認したというのか、その点をもう少しはっきりしていただきたい。
  115. 三井脩

    ○三井説明員 車に巻き込まれるところを見ておりましたし、車が通ったあとに倒れているのも見ております。
  116. 島上善五郎

    ○島上委員 その警察官の氏名ももちろんはっきりしているでしょうね。
  117. 三井脩

    ○三井説明員 そのとおりでございます。
  118. 島上善五郎

    ○島上委員 学生側で現認して、事実がだいぶ相違すると言っておる者がありますが、正確な判断は、これを現認した者があるならば、それをすべて総合しなければ正しい結論は出ない、こう思いますが、警察官以外の現認者の意見をも今後十分参考にするというお考えはありますか。
  119. 三井脩

    ○三井説明員 当然のことでございまして、鋭意捜査をやっております。ことにこれをひき殺した犯人については、厳重に追及中でございますが、当然のことでございます。
  120. 島上善五郎

    ○島上委員 それから、私の聞き及んでおること、それから先ほどの質疑応答の中で承知いたしましたが、山崎青年の死体の検視及び解剖に遺族から立ち会わしてほしいという要求があったそうですか、これを要求をいれて立ち会わせたのか、要求を拒否して警察側だけでやったのか、この点もはっきりしてもらいたいと思います。
  121. 三井脩

    ○三井説明員 ただいまの点は、検察官が検視されましたので、法務省からお答えになるべきことかと思います。
  122. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 刑事局長にかわりまして、私から御説明申し上げます。  検視の際には、まだ遺族が上京しておられませんでしたので、遺族の立ち会いという問題はございませんでした。それから死体解剖の際には、遺族を立ち会わせております。おとうさん、それからにいさんですか、それが立ち会っておるわけであります。
  123. 島上善五郎

    ○島上委員 遺族から弁護士あるいは医師の立ち会いを要求されたのではありませんか。
  124. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 遺族から弁護士あるいは医師の立ち会い要求があったかどうかにつきましては、私まだ報告を受けておりません。しかし、結果といたしまして申し上げるならば、弁護士あるいは申し出の医師というようなものについての立ち会いはさしておらないということであります。
  125. 島上善五郎

    ○島上委員 私の聞いておるところでは、正式に医師の立ち会い並びに弁護士の立ち会いを要求されたということですが、——遺族はおそらくそういうことに関してはしろうとでありましょうし、精神的にも多少異常な状態でございますから、これを冷静に判断する力を持っていないと思います。そこで、専門の医師並びに弁護士の立ち会いを要求したところが、拒否した、こういうことを聞いております。これがもしそうだとするならばたいへんな問題だと思う。まだわからぬというような御答弁は私は納得できない。樺美智子さんの場合にはちゃんと立ち会わしておるのです。
  126. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 検視も、もちろん医師の立ち会いのもとに検察官が検視いたしておるわけでございまして、解剖は、慶応大学の法医学の医者をして鑑定処分の許可を得て解剖させておるわけでございます。本件につきまして、いま御質問にありましたお申し出の医師あるいは弁護士の立ち会いを許さなかったということが事実でありとしますならば、これは本件につきましてデリケートな問題があるかと思うのでありますが、担当の検察官としては、捜査の密行といいますか、秘密保持といいますか、そういう角度から立ち会いをさせなかったのであろうというふうに考えております。
  127. 島上善五郎

    ○島上委員 これはあなたはまだはっきり答弁ができないようですが、したがって、われわれの質問はあとに保留せざるを得ませんけれども、親孝行で非常にできのよい子供だった。親にしてみれば——私も子供を持っておりますが、あなたもおそらく持っておるでしょう。親にしてみれば、その死因をはっきりしないのでは承知できないと思う。現に学生側で現場を見ておって、違うということを言っておる者があるのですから、これは今後徹底的に、しかも総合的に死因を十分明らかにする責任があると思う。警察側の責任を回避するために故意にやっておるような印象をかりそめにも与えてはならぬと思う。そういう点に対するあなたのお考えを承っておきます。
  128. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 この学生の死亡事件につきましては、実は東京地検特捜部の検事が担当いたしまして、そして捜査を進めております。そしてただいま先生から御指摘のありましたように、もちろん、検察庁としましては厳正公平な立場からあらゆる証拠を総合して判断するという所存であります。
  129. 島上善五郎

    ○島上委員 それから、これは警察当局に伺いますが、山崎君の死ぬ前の——デモに参加してから死ぬ前あるいは直前でもよろしいのですが、行動について知っておる方がありますか。ということは、山崎君は、その死ぬ直前どういう行動をとっておったかということが死因と関連性があると私は思うのです。それを知っておる方があるかどうか。どういう状況であったかということです。
  130. 三井脩

    ○三井説明員 ただいまの点につきましては、この被害者が平素から東京におって東京の警察官と顔なじみの程度現場において活動しておったという状況では必ずしもないようでございます。したがいまして、写真にはよく写っておりますけれども、写っておる中に本人がおったというように私も見て考えますけれども、その前の段階からあれが山崎、この被害者であるというように認識しながら見ておったかどうかという点については、私はむしろ否定的にいまは考えておりますが、当時の状況は十分資料にとってございますので、その中から明瞭に出てくるであろうというように考えております。
  131. 島上善五郎

    ○島上委員 関連ですからもう一点だけにしておきますが、これは大臣、午前中の奥野君の質問には、暴徒であるとか、暴力団体であるとか、きわめて激しいことばがひんぱんに使われておりました。そして答弁される方も、さながらそれを是認するかのような答弁でございました。私は、あの場所へ行ってからの事態については、それだけを見れば何かそういうふうに見えるかもしれませんけれども、これはあの場所における最もエキサイトした場面の一こまだけを見ての近視眼的なものの見方ではないかと思う。先ほど同僚委員からの質問にありましたように、これは佐藤総理の訪べ、ベトナム戦争に片足を突っ込み、両足を突っ込むのではないかという心配すら持たれる訪べに、この根本の原因があることは言うまでもありません。  そこで、私が伺いたいのは、暴徒とか暴力団体であるとかいうことを大臣がそのまま是認されるかどうか。私は、いろいろの思想を持っている中には、暴力行為を積極的にか消極的にか是認するという思想を持っている者も相当あると思う。アメリカのベトナムにおける行為などは暴力行為の最大たるものですから、私は、あの学生諸君が暴力行為をもある場合にはやむを得ないものとして是認するという程度の思想は持っていると思う。だからこれは暴力団体だ、こういう規定はできないと思う。何となれば、あれらの諸君がときどき、もうおそらく一年に何回となく集会をし、デモをやっておると考えるが、その集会やデモで暴力行為に及んだ羽田のような事件がそのつど行なわれているということは、私は不敏にして聞いておりません。私の承知している限りでは、何事もない集会やデモのほうがはるかに多い。ですから、普通の集会やデモの場合には、いわゆる表現の自由を行使して自分たちの意思を世の中に訴えよう、この範囲を出ていない、そういう団体だと私は思います。したがって、これを暴力団体である、暴徒であると定義づけることは明らかに行き過ぎだと思う。大臣のお考えを承りたい。
  132. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 反代々木系全学連諸君、たとえば東京都庁乱入事件あるいは東京都議会の公営企業委員会の乱入事件等もありまして、ただいま島上さんが御定義になりましたようなものではないのではないかと私は思うわけでございます。八日の問題におきましても、前日あるいは前前日からいろいろ角材を用意したり、ペイブを割る道具を用意したり、先ほど来いろいろ報告を申し上げましたが、そういうことをやり、しかもあの三つの橋で起こりました事件、こういうものを考えますと、今回の行動というものは、やはり学生運動の範疇を越えた暴力的な行為であるということは言わざるを得ないと思うわけでございます。
  133. 島上善五郎

    ○島上委員 学生運動の範疇を越えた暴力的な行動、こうおっしゃいましたね。それが直ちに暴徒ないしは暴力団体、こういう定義になりましょうか。
  134. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 でございますから、八日のあの事態というものは、やはり暴徒と見なさざるを得ないというふうに考えるわけでございます。
  135. 島上善五郎

    ○島上委員 私が聞いているのは、その瞬間だけを聞いているのではないのです。いわゆる反主流三派ですか、私は名前を正確に覚えていませんが、その団体そのものが暴力団体であり、その団体が暴徒である、こういう定義をされるような答弁をさっきから聞いておりますから、それを伺っているのです。
  136. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほど申しましたように、従来とても相当学生運動の範疇を越えた暴力的行為をしばしば繰り返しておるわけです。しかも今回の場合には、前々日あたりからそういうことに備えてのいろいろな準備体制をやり、しかも前日は拠点大学に三百人、五百人と一緒になって泊まって行動をするということを考えますと、これはやはり暴徒であると言わざるを得ないと思うのであります。ただ、あれらの反代々木系全学連といわれております団体そのものが、いわゆる暴力団体であるかどうか、あるいは破壊活動防止法にひっかかるような団体であるかどうかということにつきましては、先ほど公安調査庁長官がお答えしたようなことで、目下検討をされておるということでございます。
  137. 亀山孝一

    亀山委員長 次は門司亮君。
  138. 門司亮

    ○門司委員 もうかなりたくさんの同僚からいろいろな問題が聞かれておりますので、ごく簡単に二、三の点についてお尋ねをいたしておきたいと思います。  最初に聞いておきたいと思いますことは、この事件が起こりましてから関係閣僚の間で会議がされたということが、何か新聞によりますと、佐藤総理の指示であったやのようなことが書いてありますが、そのとおりでありますか。
  139. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 総理の指示と申しますより、この事態に対処いたしまして、今後このようなことを起こさないように、あるいはこのような事態がある場合にどうするかということで、関係閣僚が集まっていろいろ相談はいたしたわけでございます。基本的には、一面警備の面におきましては、今回の事件にかんがみまして、警備方法その他について、さらにそのような犠牲の出ない方法があるかどうかということを検討しよう。それから、学校のあり方につきましては、先ほど中谷さんのお話がありましたが、学校管理あるいは学校教育の方法、基本的には教授と学生とがどういうつながりを持っているか、そういうものを、大学当局と文部省が一緒になって相談するような方向で持っていこうじゃないかということでございます。
  140. 門司亮

    ○門司委員 私がこの問題でひとつ聞いておきたいと思いますことは、公安調査庁の所管になると思いますが、新聞その他を見ますと、法務大臣も何か言われておるやに聞いておりますが、破防法の関係が言われておるようでございます。破防法は、もとより一つの行為自身をとらえておるものではございませんで、一つの団体としての行動についての取り締まりをする、あるいはこれに適用するというのが、大体私は破防法の一つの大きな精神だと思う。今回の場合は、先ほどからいろいろ議論がございますように、なるほど大学自治範囲であるとか、あるいはその学生行動範囲であるとかいうものに、私は議論はあろうと思います。しかし、破防法の適用を受ける団体として定義するということになりますと、そのときの現象だけをとらえて、これが——行為自身はあるいは破防法に似たような行為であったかもしれない。しかし、この法の適用にはいささか疑問があるのでありますが、この点について公安調査庁はどうお考えになりますか。
  141. 吉河光貞

    ○吉河説明員 ただいま門司委員から御質問がございました破防法は、御承知のとおり、暴力主義的破壊活動という概念を第四条で規定しております。これは行政上の概念でございます。しかし、その中身は、こまかく列挙しておりますように、刑法所定の犯罪を内容とする行為でございまして、これに予備、陰謀、教唆、せん動というような拡張類型を付加しております。これについて罰則の規定が四十条以下にあるわけでございまして、つまり、行政上の概念と司法上の概念と一緒に構成されております。私どもの所管は行政措置でございますが、ただいま御質問のとおり、規制ということは、国民個人の基本的人権に対しまして相当重大な制限を課するという措置でございます。したがいまして、調査の結果を総括した上で措置をとるかどうかということについては、いやが上にも慎重を期さなければいかぬということは考えております。ただいま行為の現象面だけをとらえずにその実態を見なければいかぬぞというようなお話もございました。その点も十分注意して調査は進めていきたいと考えております。
  142. 門司亮

    ○門司委員 この破防法のできる当時からいろいろ問題のあったことでありますが、往々にして現象面だけをとらえて、そしてその行為自身が刑法にひっかかるかどうかということは別にいたしまして、むろん刑法だけで取り締まればいい関連性のものがあるにもかかわらず、往々にしてこれが破防法の適用というようなことがいわれてまいりますと、その団体自身が暴力団体であるというふうに定義される、こういう危険性があるわけであります。ことに、私は何も学生の行為をいいとも申し上げませんし、きわめて遺憾なことではありますが、前途のある学生の持っておる団体自身が直ちに破防法の対象になるかのごとき印象を与えるということは、私はいかがかと考えております。刑事事件としての一つ一つを吟味し、これを糾明していくことは、これはやむを得ぬことであり、またそうなければならぬと思います。したがって、破防法についての取り扱いは、きょう時間がありませんので、破防法自身の性格あるいはこれの範囲というようなものを議論する余地はないと思いますが、その点についてはひとつ十分考慮をわずらわしておきたい。  したがって、これに関連して、次に文部当局に聞いておきたいと思いますことは、いま公安調査庁のほうからもお話のございましたように、きわめてデリケートな問題を持っておる内容について、今後の大学自治範囲あるいは学生行動範囲等について、一体文部省はどういうようにお考えになっておるのか、具体的にもう少し詳しく、この際お聞かせを願いたいと思います。
  143. 清水成之

    ○清水説明員 ただいまのお尋ねでございますが、今回の事件が一部学生行動にいたしましても、大学生の身分を持っているということで、私ども責任を痛感いたしておる次第でございます。大学自治なり学生指導の問題につきまして、まず学生指導の面から申しますれば、いろいろ根本的には教養課程の問題とか、あるいはまた変貌をいたしております大衆化した大学の問題とか、基本的な問題も一面教育省の立場としてはあろう、かように考えるわけでございます。それからまた、大学自治の問題につきまして、古典的な大学自治で今日のマンモス化した大学の内部管理にたえ得るかどうか、こういう点は私どもも問題にしておりますが、いずれにしましても、文部省対大学関係考えました場合、私どもから独自にどうこうということよりも、大学とともにいろいろ考えてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  144. 門司亮

    ○門司委員 その次に私が聞いておきたいと思いましたのは、さっきの警備体制の問題についての話でありますが、今度の事件で最も不幸なのは、一人の学生の死亡者を出したということであります。このことは非常に重要なことでございまして、一体人の命を一人失ったということについての責任の所在というものを私はもう少しはっきりすべきだと考えております。それが車でひき殺したとかいろいろなことをいわれております。これも新聞の報ずるところでありますが、車というものの操作はかぎがなければできないはずであります。キーを落としたということが新聞に書いてある。そうだとすると、かりに車でひき殺したんだとするならば、もしキーがなければ車は動かせないはずであります。こういう事件は起こらなかったはずである。したがって、死亡の原因の一つとして、警察官がキーを落としていったということ自体、警察当局として一体どうお考えになっているのか。これは警察官の教養の問題もございますし、私は今後の問題として大きな問題だと考える。人一人の命を、そうした警備体制云々もございましょうが、警備体制の中で失った、そういう警察側に大きな一つの落ち度のあったということは、これは私はこの事件について見のがすことのできない一つの問題ではないかと考えておるが、これについて一体警察はどういう責任をおとりになるつもりでおるのか、どういうふうにお考えになっているのか、一応この点だけを承っておきたいと思います。
  145. 三井脩

    ○三井説明員 当時、この給水車はいわゆる阻止用に配置をしておったわけでございますが、これにつきまして、先ほどお話のありましたバールとか鉄の棒というもので、運転台に乗っておる警察官に対して窓からこれを突っ込むというような急迫した状態でございました。警察官はいつでも車を動かせるように配置しておりましたけれども、身に危険を感じてとっさに飛び出した。飛び出しましたけれども、いま言ったデモ隊側が暴徒化して、これに乱用されては困るということで、車の中に入れないようにドアはきちった締めて出たわけであります。ところが、あわてたと申しますか、とっさに飛び出したものですから、キーを抜いてまいりましたけれども、これが車内に落ちておったということでございます。ドアは締めてまいりましたので、暴徒側ではこのドアをあけることができず。窓をこわして、それで中に入った。中に入ってから後にドアをあけた。こういう状況でありまして、あの場合。とっさの措置として現場警察官にそれ以上のものを要求するのは酷ではなかろうかと私たちは考えておる次第であります。
  146. 門司亮

    ○門司委員 この警察官の身分をかばわれることは、私は上司として当然であるということばが当たるかどうかわかりませんが、考えられることだと思います。しかし、教養の問題はやはり考えなければなりません。車の最大の運行のかぎは何といってもキーにあるのでありまして、そのキーが、どんなにあわてておるからといって、抜いてはおったが、しかし忘れてきたということ自体について、私はやむを得ない処置——処置ということばはどうかと思いますが、やむを得ない事情であったということだけで、世間はなかなか通らないのではないか。もしあの場合に完全にキーが保管されておれば、私はあの事件は起こらなかったと思う。だから、事態がどうであろうと、起こった事件の一面というものは、やはりそうした教養の不備といえば教養の不備であり、本人の油断といえば油断であるかもしれない。しかし、それが当然であるというような警察考え方はいかがかと考える。この点は、やはり世間に与える影響というものは私はかなり大きいと思う。同時にまた、山崎君の遺族にしましても、私はあきらめ切れない問題の一つになりはしないかと考える。もしキーが完全に警察側に保管されておれば、ああいう事件は起こらなかった、死ななくても済んだのではないかというようなことが実は考えられるわけであります。したがって、いまのような、ただ上司が警察官をかばわれる心情はわかりますけれども、しかし、それだけではものの解決にはならぬと私は思う。やはり負うべき責任は負い、とるべき処置はとるという態度が、厳正な警察官の取り締まり行為としては行なわるべきである。少なくとも人一人の命を失ったことがやむを得ぬ処置であったということでは済まされないのではないか。この点について、もう少し責任ある自治省のほうからの御答弁をお聞きしておきたい。
  147. 後藤田正晴

    後藤田説明員 おっしゃるように、あの場合に問題は、警察官がいかに自分の身に危険があろうともかぎを落とすというようなことなしに完全に持って出るべきであり、またそうしておれば事件が起こらなかったことも事実なのであります。したがって、私どもとしては、その点については、これはやはり当該警察官を責めるとか責めぬとかという問題以前に、これは警備の平素の訓練、事態に処しての心がまえ、こういうものについて真剣な反省を加えて、二度とこういうことのないようにやらなければならない、真剣にわれわれも反省をいたしております。
  148. 門司亮

    ○門司委員 きわめて時間がないようでありますので、私は多くを申し上げるつもりはございませんが、この点について、私は、特に警察側に要望するというか、ひとつ反省をしておいていただきたいと思うのは、元来、普通の車の運転手でありましても、いかなる場合といえども、一たん抜いたキーを落とすというようなことは私は考えられない。これは中へ入ったら幸いキーがあったから拾ったといえば拾ったということになるのかもしれませんが、この点は依然として不可解というか、理解に苦しむのでありますけれども、いかなる運転手といえども、ことに抜くのを忘れたというのならこれはまた一つの話であります。しかし、抜いた以上はそのキーは手に持っているのですから、しかもそれが車の外に落ちておるならまだ話もわかるが、車の中に落ちていたということについては、一つのこの事件に対する私どもの解し得ない問題でございまして、これは単にその当時運転していた警察官がいい、悪いは別にいたしまして、ちょっとなぞめいた考え方であり、あまりにも偶然過ぎるような気がするので、この点を一応警察側では特に注意をしておいていただきたい。  それから次に、国家公安委員長にお尋ねしておきたいと思いますのは、今度の事件ではかなりたくさんの民家の人たち被害を受けております。これらの補償は一体どうするのです。だれがこの補償をしようというのです。
  149. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 元来は、それをやりました加害者と申しますか、行為者が賠償すべき問題だと思うのでございます。ただ、ああいう大衆行動の中でございまして、その加害者を特定することができるかどうかというような問題がございまして、いつもこうした案件のときに問題になりまして、警視庁もいろいろ検討をいたしておるようでございます。一部、原因者というような意味でなくて、お見舞い金を出すというようなこともあるようでございます。このような加害者がなかなかつかみにくいというような場合におきましての処置につきましては、今後もう少し研究させていただきたいと思います。
  150. 門司亮

    ○門司委員 いまの御答弁でございますが、そうすると、これは国家賠償のような形になるのですか、それとも東京都が警察としてお見舞い金を差し上げるということになるのですか、その辺は非常にむずかしいというのでありますが、非常に大事な問題であります。もう少しはっきりさせておいていただきたいと思います。
  151. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 国家賠償法による賠償という意味ではございませんで、いわゆるお見舞い金ということでございます。ただ、それだけでいいかどうかという問題は、今後さらに検討させていただきたいと思います。
  152. 門司亮

    ○門司委員 いま私が聞いておりますのは、国家賠償法であればむろん国からですが、警察の行為としての見舞い金であれば東京都の責任になろうかと私は思う。その辺はどうなるのですか。警察としてお見舞いを出されるのですか、国としてお見舞いを出されるのですか、どっちなんです。
  153. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 従来の例は警視庁が出しておるわけですから、東京都の予算と申しますか、その中から出るということでございます。
  154. 門司亮

    ○門司委員 そうなりますと、問題はだんだん複雑になってきて、そしてだんだん大きな問題に発展をすることになろうかと私は思いますが、しかし、被害を受けた民家が泣き寝入りでよろしいということも、これは私は忍びないことで、いかにもできないことだと思います。したがって、これはきょうここで掘り下げて議論はいたしませんが、最後にもう一つだけ聞いておきたいと思いますことは、この種の事件が起こりますたびにこうした問題が必ず起こってきて、いろいろここで議論される。しかし、それに対する対策というものは一向はっきりしたものを持っておらない。たとえば安保闘争のときにも問題が起こって、こういう問題でやはりずいぶん議論をされた。しかし、その後これはどうなっておるかというと、ちっとも直っておらない。今後こういうことのないようにしていこうとするには、もう少し政府自体に十分な処置がとらるべきである。今回の問題にいたしましても、新聞を見てまいりますと、いろいろ経緯はあったようでありますが、少なくともこうした団体の主宰者——団体というものがいろんな形でわかっているわけなんですね。たとえば、許可になるとかならぬとかは別にいたしまして、デモの届け出をした責任者であるとか。したがって、これらの諸君一体話し合いの機会があるのか全然ないのかということなんです。最初からお互いに敵対視して、そして乱闘するのだというような形であれば何をかいわんやであります。しかし、少なくとも治安の維持に当たる当局者としては、話し合いの場所、余裕というようなものがちっともなかったかどうかということであります。われわれも若いころからしばしばストライキもやり、けんかもやってきましたが、しかし、その中でも、お互いの責任者というものはある程度冷静にものを考えて、話し合いの機会をできるだけつかみたいという心理はやはりあったと思う。どこからも何とも言ってこなければ、これは勢いのおもむくところそれがどういうように発展していくかということは想像にかたくないのでありまして、こういうことを相手方に要求するのは無理でありまするから、これを取り締まろうとする警察側に当然それだけの余裕というものがあってしかるべきだと考えておるが、そういう行為は一体とられなかったのですか。最初から、何でもいいから、相手は丸太や角棒あるいは石を持ってきているから、これと相対峙して、これを撃滅をするということばを使うと言い過ぎるかもしれませんが、これを撃退するのだというような対抗意識でどうもやられておるような気がするのですが、そういうことでなくて、やはりこれは指導していくという形が望ましいのでありますが、あの機会にそういうことはできなかったのですか。
  155. 三井脩

    ○三井説明員 実務的な問題でございますからお答えいたしますが、この場合につきましても、数日前に届け書は持ってまいりました。その内容等についても、たいへん簡単でございますので、添付図面を見ましても、空港の中と空港内のバス発着所のそばのあき地が出発点、あとはターミナルまでのデモ、こういうようなことでありますので、本人にどういうつもりであるのかよく問いただしたいし、また、そういうことが今回適当でないというような話し合いをいたしたいと思いましたが、その話し合いに応じないで置いて帰った。この点につきましては、ことしに入りましても、従来から三派系の全学連といえども警察署の集会デモの係その他とも話し合いをしておったのでございますが、残念ながら、先般の寺尾判決があって以来、ことに杉本決定がありましてから後は、あとは寺尾判決、杉本決定を見てくれ、こう言って置いて帰るだけでございます。警視庁といたしましては、そういう場合でありましても、話し合いをするという態度で、その後も電話で呼び出しをかける、話し合いたいというようなことを申しておるわけでありますが、最近は特にそのような傾向になっておるわけでございます。しかし、実情はそうでございますが、あくまでもデモを無事に行なわせるというためには、話し合いがぜひとも必要でございますので、警視庁としてもそういうっもりでやっておるわけでございます。
  156. 門司亮

    ○門司委員 所定の時間になっておりますので、これ以上お聞きをいたしませんが、こうしたきわめて国家的にも国民的にも遺憾な事件は、今後私は起こってはならないと思いますが、それについて一言だけひとつ大臣からお答えを願いたいと思いますことは、先ほどからもいろいろと言われておりますように、ベトナムの問題というのがかなり国民全体に大きな刺激を与えておる。ところが、国民の好まない、ということばを使えば、少し行き過ぎかもしれません、政府としてはおいでになっているのでありますから。しかし、少なくとも世論を背景とする政治を行なおうとする現在においては、私は、国民の大多数の中には、いまベトナムに日本の総理大臣が行くことについては、事のよしあしを別にいたしまして、その時期等については考える余地があるのじゃないかという意識のかなり強いものがあったと思う。それらの問題が何ら考慮されないで、総理の行為が行なわれたというところにも一つの原因がありはしないかと私は考える。これらの点について、私はもう少し内閣として考える余地はなかったかということでありますが、その辺はどうですか、大臣。せっぱ詰まってどうしても行かなければならなかったという立証はなかなかむずかしいと思うのですが、事件の遠因といいますかは、やはりそういうところにもあるということも一部いわれておるわけであります。したがって、閣議の中においでになる——ことに、無理をすればこういう事件が起こるであろうというようなことはあらかじめ予想され、それに対処して責任を持っておいでになる大臣としては、当然私はお考えがあってしかるべきではなかったかと考えますが、この点についての御心境をひとつこの際伺っておきたいと思います。
  157. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 佐藤総理の訪越の問題について、いろいろ御批判があろうかと存じます。総理として、あるいは政府として、今回訪問するのが適当であると判断をいたしたわけでございます。私個人の意見でございますが、それならば、そのようなことをさらに十分国民に納得のいくようにする手段にやや欠けた点があったかという反省は、私はいたしております。
  158. 亀山孝一

    亀山委員長 それでは小濱君。  実は藤枝大臣は四時半からよんどころない用事があるそうですので、まことに恐縮ですけれども、林君との間に時間をお分け願いまして、四時半までに……。そのあとまた御質問を願いたいと思います。
  159. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほどもある委員の発言がございましたけれども自治大臣のきょうの御答弁は、まことに私どもとしては何か理解に苦しむような面が多かったように感じました。警備に対してももちろん十分検討しなくてはならない、これはまずいいとしても、暴力はいかなる行為に対しても警察対策を講じていきたい。こうやって、先ほども今度の事件の責任がどこにあるのかということが、何か片方にのみ片寄っているような、そういう感じを私どもは受けたのでございます。  そこで、九日の午前でありますか、木村官房長官と文部大臣国家公安委員長藤枝大臣といろいろとこのことについて閣議を開かれた。その一部が報道されておりますが、政府としては、死者を出したのはきわめて不幸なできごとだが、警察側に手落ちはない、はっきりとおっしゃっているわけであります。  私は、このことについて幾つかの例を申し上げて、そして御答弁をいただこうと思ったのでありますが、十五分しかいただけませんので、この点について——やはりとうとい有為な青年の生命が失われているのであります。そしてまた、何人かの質問がございましたように、これは大きく国民が注目している事件でありまして、この成り行きについては、やはり何らかの態度を示していかなくちゃならない、こういうふうに私どもは願っているわけでありますが、その一番大事な衝に当たっていられるところの国家公安委員長藤枝大臣の立場から、私は、もう少しほんとうにその責任の上に立った御答弁があってしかるべきだ、このように考えておったわけであります。この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  160. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 まず第一に、前途有為な青年が、原因はどうであるにせよ、そのとうとい命を失われたということは、もうほんとうに残念なことだと思います。私どもといたしましては、今回佐藤総理の海外訪問に関連をいたしまして、いろいろな動きのあることは事前に察知をいたし、ぜひあのようなことのなく、無事に済むように念願をしておったわけでございますが、結果はこのようなことになりましたわけでございます。  警察側に何らか手落ちがなかったかということでございますが、当日の状況からいたしまして、私は万全な警備体制をしいておったと考えるわけでございます。ただ、先ほど来お答えをいたしましたように、それではあれだけで十分なのか、もう少し警備やり方その他につきまして考慮をする必要があるんではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、今後の問題でございますが、そうした方法等を十分検討をいたしまして、あのようなことにならないようにつとめてまいらなければならないと思います。それと同時に、先ほど来お答えを申し上げておりまするように、やはり大学管理の問題、あるいは学生大学当局者側との十分な話し合いの時間を持つ、そうした根本的な問題にまで入ってやる必要があるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  161. 小濱新次

    ○小濱委員 山崎君の死について、こちらの給水警備車、その学生の運転する車によってああいう事件を起こしてしまったわけであります。これは、私は、その警察官を処分しろということではありません。今後のために聞いておきたいのですが、その警察官がキーを持って逃げずに落としていった、そのところに今度の死の一因があった、こう思うわけであります。このかぎを落とさなかったならば死を招くことはなかったのではないかと考えることは私は当然であると思いますが、この点についての責任はどういうふうにお考えになっておられるか、お答えいただきたいと思います。大臣お願いします。
  162. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほど門司さんからもお尋ねがございましてお答えをしたわけでございますが、あの状況下において、投石その他の非常に激しいときにおきまして、あるいは落としたということはやむを得なかったかとも存じます。しかし、いずれにいたしましても、キーを完全に保管いたしておりますれば、警護車をあのような形で動かすことはできなかったわけでございまして、その当時の運転車である警察官個人の問題というよりも、今後警備に当たる、あるいは運転をする者の一つの基本的な心がまえとして、ああいう問題を起こさないように指導をしてまいりたいと考えます。
  163. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、今回の羽田事件について、確かに学生側の行き過ぎについては、これは批判されるべき点が多かったと思います。絶対に暴力は排除しなければなりません。しかし、その前に、学生行動が暴徒化されたその原因は、やはり追及されていかなければならない。そこで、政府首脳は、国民を混乱におとしいれることが予想された今回の総理大臣の南ベトナム訪問を何ゆえにしなければならなかったか。これはやはり大臣からお答えをいただきたいと思います。
  164. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 これは、総理がしばしば言明されておりますように、現実に南越に参り、そうしてベトナム戦争の解決の道を探求するという意味において行かれたわけでございます。ただ、そういう問題が、先ほども門司さんにお答えしましたが、十分に国民の皆さん方に納得いくような手段に欠けておったんではないかという反省は、私いたしております。
  165. 小濱新次

    ○小濱委員 わが党といたしましては、今回の事件に対する無謀な学生運動を無責任に支持するようなことは、これは発言を大いに慎んでいきたい、こういうふうに考えております。また、責任ある政党として、これは当然でありますが、冷静な判断を下していきたい、こうも考えているわけです。ただし、やはり政府、学生側ともに猛省を促していかなくてはなりません。今後再びこのような醜態を起こさないようにしていかなければならない、こういうことで、国民に約束すべき発言が、当然最高責任者であるところの公安委員長からなければならないと思いますが、もう一度最後にこの点をお尋ねしたいと思います。
  166. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 もちろん、治安の維持ということは、先ほどもお答え申し上げたように、単に警察力による予防あるいは制圧ばかりでなくて、いわゆる調和のとれた社会の発展というものを、政府全体としてはかっていかなければならないわけでございます。  ただ、それでは、政府というものは、反対があるからどこにも出かけられないというような問題ではないと思うわけでございます。たとえば、総理が海外の各国を訪問するというような場合に、その訪問の目的と申しますか、そうしたものを国民の皆さん方に十分納得いただくような努力はしていかなければならぬと思います。ただ、自分の意思に反するから暴力を使ってもやるんだというようなことについては、これは小濱さんもそれを是認されないわけでございまして、私はそういうことだと存ずる次第でございます。
  167. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほど吉河長官からも、七月に学連の大会で、首相の訪米、訪台旅行については、実力行使をすることの採決をした。すでにいまから百日も前にそのことはさまっておったわけです。また、飛行場のほうを調べてみますと、やはり警察から連絡があって、三日前に、航空局のほうから想定される内容についての通達が出ております。それから、保安部のほうも、当然それについて朝四時半ごろ配置についております。そしていろいろと情報をキャッチして、そういう内容についての説明が先ほどございましたけれども、こういう長い間すでに予想されておった今度の問題に対する警備体制−事件が発生して手に負えないような結果になってしまった。この事件の発生について、警備体制には欠陥がなかったかどうか、私はその点を非常に憂えるわけであります。  時間が過ぎましたので、これはあとで詳しくお答えをいただきたいと思いますが、その点について大臣からもう一度お答えいただきたい。
  168. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 いろいろ情報につきましては、われわれも承知いたしておりまして、それなりの警備体制を整えておったわけでございます。要は、佐藤総理大臣が無事に出発できるようにということに最重点を置いて警備の体制をしいておったわけでございまして、そういう点で、佐藤総理出発されたあとでああいう非常な混乱した状況になったということにつきまして、われわれはやはり今後警備やり方その他につきましては方法を考える必要があるというふうには考えております。
  169. 小濱新次

    ○小濱委員 時間が過ぎましたので、これで終わります。
  170. 亀山孝一

    亀山委員長 林百郎君。
  171. 林百郎

    ○林委員 私は、このたびの羽田警察といわゆる衝突と称する暴行の行なわれた一部のトロツキスト学生諸君行動について、厳密に検討してみたいと思うわけです。この諸君は、いわゆる三派系全学連あるいは革マル派ともいわれている諸君であります。これらの諸君行動の特徴については、いままでの質問者のだれにも出なかったもう一つの重大な特徴がある。ということは、彼らはこのような暴行をする際に、必ず、日本共産党を、いわゆる修正主義を粉砕しろ、あるいは日共修正主義者の集会を粉砕せよと称して暴行しております。これは皆さん御存じだと思います。こういう、共産党に対してこれを粉砕する、日本共産党に対して修正主義という汚名をかぶせて、これに攻撃をかけるという点では、自民党の基本的な態度と一致する面もあるわけです。この点についてはだれも質問しておらない。  そこで、こういう中から、この諸君の今度の取り締まりについて、これは単に甘いというばかりじゃなくて、その点でのなれ合いがあるようにわれわれは考えられるわけです。ということは、この諸君羽田でやった行動について、いまさら皆さん口をきわめて大事件のようなことを言っていますけれども、これはもう、ことしの彼らの行動を見たって、彼らの本性がわからないはずがない。一例をあげますと、五月二十八日の立川基地拡張阻止の砂川大集会が行なわれたときに、整然と大衆が抗議行動をやっているときに、ジグザグデモをやったり、あるいはなぐり込みをかけている。七月の東京都議会においては、わが党の梅津都議が委員長をやっておる公営企業委員会に押しかけて、美濃部都政を粉砕しろ、共産党の梅津委員長やり方を粉砕しろといってなぐり込みをかけて、そして庁舎の一部をこわしてまでいる。それから六月には、法政大学に明大や中大のトロツキストの学生がやはりなぐり込みをかけている。九月には法政大学の学長や教授の不法監禁をしておる。これはわかり切っておる。ところが、そういうわかり切ったこの諸君に対して、八日の羽田において警察当局がどういう態度をとったか。空港の周辺では定期バスの乗り込み客まで検問して、そして、この通行を阻止して飛行機に乗れないようにまでしている。素手で整然と抗議運動をしようといって参加しておる人と、この羽田空港への抗議デモに参加しようとしておる民主勢力の代表の交通を途中でストップしている。ところが、丸太ん棒を持ったり、角材を持ったり、ヘルメット帽をかぶって、だれが考えたって、これは整然たる権威ある大衆行動をすると考えられない者が——飛行機の切符を買って飛行機に乗るというお客までがとめられているのに、どんどん入っていって警察官と接触ができる。これはなれ合いでなくて何でしょうか。あらかじめなぐり込みをかける、討ち入りをするというような態度で乗り込んできている者を、警察と自由に接触さして、数千の機動隊、正確に言えば警察のほうでは二千数百名と言っていますけれども相当の機動隊まで出動しながら、警備車を奪われている、焼かれている、あるいは警察がトロツキストに追われて逃げ歩いている。これは通常の取り締まりと考えられますか。当時この状態を見ていたある新聞記者の諸君は、このいわゆる衝突なるものの実態を目の前で見ていた取材記者は、だいぶ警察はトロツキストにかせがせておるな、こういう感想を述べているのですよ。だいぶやらしているな。こうしてこれをきっかけにして——きょうの自民党の奥野委員の質問を聞いてみれば、やれ大学管理権を強化しろ、行政的な強化をしろ、破防法の適用を研究しろ、警察の装備を厳重にしろ、学生運動の取り締まりを強化しろ。ほんの一部の名うての暴力の常習犯のトロツキスト学生にかって気ままにさせておいて、これを機会に民主的な運動の弾圧を考えようとしている。あなた方は知っているかどうか知りませんか、十月七日の晩には三派全学連——ほんとうの全学連じゃありません。この約千四百名がヘルメットと警棒などで武装したにもひとしいかっこうで夜お茶の水から法政大学までデモして通っているのですよ。こんなことをあなた方知らないはずはない。前の晩にこういうことをやっているのは、次の日に何をやるかということがわからないはずがない。しかも、この諸君行動を見ますと、佐藤総理の飛行機は十時三十五分に離陸している。それから大体十一時二十七分ごろ乱闘が行なわれて、一時十五分催涙ガスの使用が警告された。佐藤総理の訪ベトナムを阻止するこの諸君が、警察官と本格的なけんかをしておるのは、もうその必要のない、佐藤総理が飛行機で飛び立ったあとでやっているわけなんです。こんなことは何の目的を持ってやっているかということは皆さんおわかりだと思うのです。  一方、たとえば三里塚のほうの弾圧のやり方を見ますと、宣伝カーのかぎまでとって車を動かないようにしておいて、そして道路交通法違反だといってこれに襲いかかっておる。あるいは、九月十五日の大阪港の弁天埠頭で行なわれた全港湾労働組合の関光汽船会社の分会長の暴力団による殺傷事件、三十メートル前に五人の警察官がいるのに、しかもこの無期限ストライキは、会社が暴力団を雇って労働組合を弾圧しているから、会社がこの暴力団と手を切るまではストライキをやるといって、警察にそういう性質のストライキだといって、すぐそばに警察官が五人もいるのに、三人の暴力団に登山ナイフでめった刺しに刺されているじゃありませんか。一方では、こういう民主勢力に対してはこういうことをやっておいて、そうしてトロツキスト学生に対してはああいうことをやって、警察官が逃げ歩いているような醜態まで演じておいて、いまさら、この諸君行動は、日本の民主勢力のどうだこうだ、あるいは学生運動の権威がどうだこうだと言っても、私は通らぬと思う。先ほど奥野委員は、ああいうものに対しては憎しみを持つと言った。ところが、この憎しみを持つと言われている自民党が、実際はどういうことをしているか。これと同じ事例で、皆さまも御承知のとおり、安保闘争のとき国会への突入事件があった。このときの全学連中央執行委員で財政部長をやっている東原吉伸というトロツキスト学生が手記を書いている。この手記を読んでみると、こういう学生には憎しみを持つという自民党がどういう態度をとっているか、御参考にちょっと読んでみます。「この長きに亘り闘われた安保闘争は、広い国民に支えられ、その支援のもとで、学生は学園を捨てて闘ったのだが、と同時にこの闘いにおいては、我々と全く反対の自民党権力に属する方々のわれわれに対する温い同情とその努力も大いに作用したことも、われわれは忘れてはいけないと思う。」と書いてある。憎しみどころの騒ぎではない。あたたかい同情とその努力が大いにわれわれの運動に作用したことを忘れてはならないと書いている。「これは、極秘とされていたし、運動にも別にプラスになるどころか、反対派の好餌となるものだから、何も発表されなかったが、全学連の潰滅から時間も経っていることであり、明らかにしようと思う。」こう言っている。この書き方を見れば、これは相当信憑性がある。決して偽りのことではない。「安保闘争が激烈に闘われている期間、われわれのうちの代表者は、当時警視総監をしておられた小倉(謙)氏や、そのときの学連の闘争を扱っておられた野村(佐太男)検事正とときどき会い、フランクな話をし、そしてこの方々が、若い学生全学連に、なみなみならぬ温い感情と同情心をもって事に当られていると聞いたときは、全くおどろいた。」学生のほうが驚いている。「又、われわれのデモに直接当っておられたのは、当時、公安一課長をしておられた三井脩氏である。」あなたのことを言っていますよ。「ぼくがこの方にお会いしたのは、やはり安保の最中だったが、何分ああ云った建物では、あまり好きではなかったので、大分アガってはいたが、とても印象に残っている。そしてこの方も、全学連に対して、なみなみならぬ同情心をもっておられた。」こう書いてある。
  172. 亀山孝一

    亀山委員長 林さん、ちょっと大臣は……。
  173. 林百郎

    ○林委員 大事な質問だから少し落ちついていてください。  「この時の話だったと思うが、全学連を制止すると同じ位に警官を制止するのに苦労された」いいですか。「全学連を制止すると同じ位に警官を制止するのに苦労されたそうだ。四・二六の装甲車乗り越えの時も警官には、絶対両手から警棒を放すなと言ってあったそうだ。」きょうはあなたは白々しくトロツキスト学生のことについていろいろ言っておりますけれども、あなたのこのトロツキスト学生に対するあたたかい同情心はなみなみならぬものがあった。生涯忘れないと言っているのですよ。ここに、連中が共産党に反対だ、共産党を粉砕しろと言っている、この自民党の基本政策と一致している点があるから、あなた方はなれ合いをしているのではないか。  これを利用して次のもう一つの質問を自治大臣にしたいと思いますが、ほんとうのねらいはこの次の私の質問にあるのではないかと思うのですけれども、前段のこの質問に対して藤枝自治大臣はどう考えますか。えらい白々しいことを言っている、責任が全くトロツキスト学生だけにあるように言われているけれども、こういう複雑な内容をわれわれは国民の前に明らかにしなければならないと思うのですが、どうでしょう。
  174. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 林さんのいろいろな分析は分析として拝聴いたしますけれども、私どもが反代々木系全学連となれ合いだというのは、とんでもない話でございまして、従来、また将来にわたりましても、こうした反社会的な行動については厳重に取り締まりをいたす所存でございます。
  175. 林百郎

    ○林委員 時間がありませんので次に進みます。  そこで、これを機会にして政府当局や取り締まり当局がいろいろの民主運動に対する規制、取り締まりを強化しようという態度が考えられますので、その点について次にひとつ質問したいと思うわけですけれども、破防法適用という意見も政府側に出ているわけです。破防法の適用については、御承知のとおり、非民主的な、日本の民主運動に対する弾圧のための武器としての法案であるからということで、広範な日本の大衆が反対して大きな闘争が起きたわけです。一応形式的には成立さしたけれども、いままで実質的にはほとんど適用しない、こういう法律なんです。今度はこれを引っぱり出そうとしている。破防法の四十条と刑法の百六条の関係ですね、これを適用しようとしている。非常な人民の反対で実質的な適用が阻止されている、こういう法律を引っぱり出してきて、そして破防法四十条、刑法百六条で取り締まりしょうとしている。これは一九七〇年を目ざして、とりあえず今度四十条、さらに一九七〇年を目ざして全面的な適用を復活させようとしている、こういうこともいわれているわけです。これについて、このたびの事案に対してどういう立場で捜査をいましているのか。御承知のとおり、破防法の四十条があり、刑法二百八条ノ二の凶器準備集合罪もあり、あるいは刑法百六条の騒擾罪もあるのですけれども、これについても破防法の四十条、刑法百六条関係を適用しよう、こう考えておるのかどうか、まずそれを伺いたい。
  176. 亀山孝一

    亀山委員長 藤枝自治大臣は、もう三十分になりましたので……。
  177. 林百郎

    ○林委員 それではまとめてあなたに聞きます。三井さんは待ってください。その点が一つですね。  それから、これは大学管理関係で、剱木文部大臣も記者会見で発言しているのですけれども、首相の指示もあって、大学管理体制を強化する。これは行政措置だけでなくて、立法化が必要である、こういうようなことを前からいわれているし、今度また新しく問題になっている。この問題についてはどう考えるか。何かまるで大学に重大な責任があるようなことを、私先ほど聞いていると言っているが、それをきっかけにして、大学管理法を立法化しようという動きまでほの見えるような答弁もしているわけです。これについてはどう考えるか。  それから、これは私、藤枝自治大臣に質問したのですが、デモ規制ですね。これはあなたも、立法化を考えざるを得ないじゃないか。きょうの答弁の中でも、裁判所の判決の中でも、行政的な措置、あるいは一地方の規制ですべきでない、国会の審議を経た法案によって取り締まるべきだというような判決の趣旨もあるから、検討すると言っています。  この三つの問題ですね。破防法の四十条関係、これもきょう自治大臣かあるいは政府関係の人で研究はしているのだということは言われている。名うての、われわれが戦って実際にその適用を阻止しているようなこういう一連の法律や、あるいはわれわれが戦って立法化を阻止しているようなものを、この機会に復活させようという意図が露骨に見える。われわれは、これが今度の羽田事件で政府の考えている真のねらいじゃないかと考えているわけですが、これについて自治大臣の答弁を願いたい。
  178. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 最初に申し上げますが、今回の羽田事件があったから、それを契機として一連の治安立法を考えようなんという考え方は政府部内にございません。破防法の適用ということは、先ほど公安調査庁の長官からお話がありましたような点で調査をされておるということでございます。  また、デモ規制の問題集団示威運動の規制の問題について立法化をしようというようなことは、もちろん総理大臣の異議申し立てのあった当時の杉本決定、あるいはその当時の専門家の方々に、むしろ立法化すべきではないかというような御意見もありまして、研究はいたしておりますが、現在それをやろうという気持ちで準備をしているわけではございません。  また、大学管理につきましても、先般、関係閣僚が集まりました際にも、あくまで大学と文部省が一緒になって、そうして大学当局側がいろいろ御苦心になっているところのお手伝いをするという意味でございます。  ただ、先ほど林さんも御指摘になりましたように、数個の大学においては、前日に三百人、五百人というようなものが、鉄かぶとを持ったり何かして泊り込んでおった、それに対して何らの大学のほうの処置がなかったというようなことで、はたしてこれでいいのであろうかというような問題がありまして、そういうものを大学と文部省が一緒になっていろいろ研究をしていくということでございまして、いま管理法の強化をするとか、そういうことを政府として考えておるわけではございません。
  179. 亀山孝一

    亀山委員長 先ほどの申し合わせによりまして、小濱君のほうに……。
  180. 林百郎

    ○林委員 大臣に一つだけ。簡単なことです。破防法の四十条の適用について言われなかったですが、これを適用しようという立場で捜査をしているのですか、これは絶対ないと言っているのかどうか、ちょっと大臣にお聞きしたい。  それから、大学管理法の立法ということは、いまの段階では考えているのかいないのかですね、そこのところを明確にしてください。
  181. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 破防法の四十条につきましては、いまは事件の捜査をいたしております。したがって、その事件の捜査の結果、それが適用できるかどうかということなんでございまして、これを適用しようといって、そういう予断を持って捜査をいたしておるわけではございませんで、捜査は、客観的にいたしておるわけでございます。  それから、大学管理につきましては、目下のところそういういろいろな手段を講ずるわけでございまして、管理法の強化というようなことを考えておるわけではございません。
  182. 三井脩

    ○三井説明員 先ほど私の名前をあげて、全学連となれ合っておるのではないかというような質問でございますが…(林委員「ぼくの見解じゃない、書いてあるのだ」と呼ぶ)そこの意味をなれ合いとして御説明になったわけでございますが、そういうことは毛頭ございません。  あれは、私の記憶に誤りがなければ、ハガチー事件が六月十日にございまして、それの各大学に対する捜索を十三日の夜から十四日の朝にかけて徹夜でやったわけでございます。その翌日は六・一五の事件でございます。その当時、国会乱入が計画されておりまして、不穏な情勢にございましたので、私が彼に厳重な警告を発したわけでございます。  警察官を押えるのに苦労したというようなことを言っておるようでございますが、警察官の警棒使用につきましては、武器としてこれを使うほかは必ず両手でこれを持つというようなことを、彼が結びつけて言ったものと思います。
  183. 林百郎

    ○林委員 三井さん、こう書いてあるのですよ。「全学連に対して、なみなみならぬ同情心をもっておられた。」このことは私は印象が強く残っている。建物は冷たい建物だったが、あなたのあたたかい同情心は残っている。むしろ警察官側を押えるのに苦心していると、彼の手記に書いてあるから、これはなれ合いと言ってもしかたがないじゃないですか。(「代々木系じゃないか」と呼ぶ者あり)いや、彼の手記です。東原吉伸の手記にこう書いてあるから、あなたに聞いている。
  184. 三井脩

    ○三井説明員 手記の意味でございますが、なれ合いというようなことでなくて、ただいま申し述べましたように、厳重な警告を発したのでございます。全学連の個人個人の学生に憎しみを持っておるということではございませんので、そのことをそのように解釈したということはあり得るかと思いますけれども、そういうことを申しただけでございます。
  185. 林百郎

    ○林委員 それでは後にまた……。
  186. 亀山孝一

    亀山委員長 小濱君。
  187. 小濱新次

    ○小濱委員 警察庁の後藤田次長にお尋ねいたしますが、先ほど警備体制に欠陥はないか、こういうことで大臣からお答えをいただいたわけですが、先ほどのお話ですと、すでにもう今度の事件の予想は立てられておったようであります。そこで、現地の最高責任者はだれであったか、まずそれをお尋ねしたいと思います。
  188. 三井脩

    ○三井説明員 現地の責任者でございますが、まず最高総合警備本部というのを警視庁内に置きまして、警備部長が最高警備本部長になりまして、現地には、空港の外は第一方面本部長、これが現地の最高責任者でございます。それから、空港の中は、第二方面本部長が警備本部長として指揮をいたしたわけでございます。
  189. 小濱新次

    ○小濱委員 ひとつ参考までに伺いたいのですが、あの現地の配備状況、それから備えた用具、あるいはまた携行した武器、こういう問題についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  190. 三井脩

    ○三井説明員 現地、この場合の現地は、第一方面本部長の指揮下にある地域でございます。空港の外につきましては、先ほどから説明がありましたように、反戦青年委員会の許可されたデモが萩中公園から穴守橋付近、これを右折いたしまして右斜めに入るわけです。それからまた、萩中公園に戻るという許可されたデモがございます。その他については許可をされておりません。全学連三派の場合は不許可でございます。これに対しまして、空港内部を警備いたしております第二方面本部長、これが空港内の警備及び整理に当たる、こういう状況であります。  第一方面本部長は、地域的には、空港に入ります三つの橋がございますが、北から穴守橋、稲荷橋、それから一番南が弁天橋でございます。弁天橋と稲荷橋の中間に空地がございますので、これに警備本部を置きまして、任務は空港外の警備及び整理でございます。これに対しまして、一番北の穴守橋でございますが、これに対しましては、橋の西側、つまり空港からは外側でございますが、これに警備車四両、これを二段に配置いたしております。つまり、二台を前に置いて、あとの二台をうしろに置いたわけでございます。つまり、学生デモその他が到着するまではこれを開きまして一般人が通れるようにいたしております。学生デモが近づきまして、激しく侵入行動に移るという直前に、この四台のうちのうしろの二台を閉じてこれを遮断阻止せんとしたわけでございます。それから第二の稲荷橋につきましても、車両を配置いたしまして同様警備をいたしました。それから第三の弁天橋につきましては、先ほど申しましたように、四台の警備車、給水車、放水車等を使って配置し阻止せんとしたわけでございます。部隊は、いずれも第一方面本部長の指揮下に五つの機動隊、このうち第三機動隊だけは、半分を第二方面本部長の指揮下に入れて空港のフィンガーの警備に当初充てております。後に転用いたしたわけであります。  それから、部隊の配置、運用の方針でございますが、萩中公園からのデモ相当荒れるということで、第五機動隊並びに第一機動隊、これは空港阻止線の外側に配置をして当初警備当たりました。空港の三十八号線、これは空港内に入るランプの入口もございますから、第一機動隊二個中隊を配置して、終始これへの侵入行動は阻止いたしております。したがいまして、このような体制でおりましたために、あのような混乱は生じましたけれども空港内への侵入は完全に阻止し得たわけでございます。
  191. 小濱新次

    ○小濱委員 空港内の侵入の阻止ができたということですが、いろいろと現地で調べてみた。ところが、一七、一八のあの総理出発されるところの付近には、約四、五百人のそれらしき人たちが非常に暴言をはいて、そしていろいろと、飛行場の放送も聞き取れないようなそういう怒号が流れておった、こういうことですが、私のほうの現地の保安部、そういう方面での調査の内容といまの課長さんの御説明とはちょっと食い違いがあるようですが、その点はどうでしょう。
  192. 三井脩

    ○三井説明員 当日、空港内におきましては、ただいま申しましたように、第二方面本部長を長とする部隊を配置いたしました。それはこの中でも相当行動が予想されたからでございます。現実にもかなりの問題が発生いたしましたが、空港外入り口のような事態にはならなかったということでございます。つまり空港内におきましては、約七百名の人が、それぞれ三々五々空港内に入っておられました。これは最高時七百名ということになったわけであります。これはいわゆる民主団体と称する、たとえば国際貿易促進協会等を中心とし、あるいはベ平連の学生というようなものが三三五々集合いたしてまいりまして、フィンガーにおいて気勢を上げ、いまお話しのような行動をとりましたので、これは規制をいたしました。ここでも検挙者数名を出しておるわけでございます。
  193. 小濱新次

    ○小濱委員 それから、先ほどの備えた用具、武器、そういうものの説明はまだないようでありますので……。
  194. 三井脩

    ○三井説明員 武器、用具ということでございますが、まず車両は、先ほど申し上げたような形で配置をいたしたわけでございます。その他につきましては、いわゆる広報用のマイクをつけた指揮官車、広報車等も用意いたしました。  武器につきましては、警察官は警棒を持ちました。警棒のほかには催涙ガス、これを用意をいたしたわけでございます。現実に使用いたしましたのは警棒と放水と催涙ガスの三つでございます。なお、投石等を防ぐために、いわゆる防石網というのを持ってまいりましたが、何しろ舗道の敷石を割って投げるという大きなものでございますので、これは破れこそいたしませんでしたけれども、現実には効果をあげ得なかったという状態でございます。
  195. 小濱新次

    ○小濱委員 学生側の備えたいわゆる用具というのですか、その点の説明をお願いします。
  196. 三井脩

    ○三井説明員 学生側は、いわゆる鉄帽、それからスパナのようなもの、それから石、石はあらかじめ持ってきたものと現場で集めたものと両方ございます。それから二メートルの長さで四・五センチの角材、これはあらかじめ用意してまいりました。なお、付近の工事現場にあります丸太の棒、これを多数使用いたしました。  ただいままでわかっておるところはおおむね以上のようなものでございます。
  197. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほどもどなたかからか質問があったようでありますが、警棒の使用についてはいろいろと書いてあるようであります。したがって、そのことについては、われわれは了解できますが、この催涙ガスと放水の問題については、どういう法解釈からこういう用具が準備されるのか、あるいはまた、そのほかにも用具としてあげられるそういう品目があるのかどうか、もう一度ひとつ課長からお答えいただきたいと思います。
  198. 三井脩

    ○三井説明員 警棒につきましては、武器としての使用もございます。また、用具として、つまり警察官の手の延長としてこれを使うという使い方もございます。それから、放水につきましては、武器としての使い方がある。それから、催涙ガスにつきましては、これは武器そのものではないわけでございますけれども警察内部におきましては、これを慎重に使用するという意味で、内部の規定によりまして、武器に準ずるものとして慎重に扱っておる、こういうことになっております。
  199. 小濱新次

    ○小濱委員 そのほかに……。
  200. 三井脩

    ○三井説明員 以上のほかに武器は持っておりません。拳銃は、これは警察官の常装でございますので、特に現場ではそれ以外に武器は持っておりません。
  201. 小濱新次

    ○小濱委員 学生側でもいろいろな用具をそろえたようであります。また、警察側でも武器、用具の準備ができたようであります。そこであのような激突になっていったわけでありますが、先ほどの説明ですと、学生側は約三千四百名、それから警察側は二千三百名、そういう人員のようでありました。これで、備えたそういう武器、用具で警備体制に遺漏はなかったか、どういうふうにお考えになるか、もう一度ひとつ課長のほうからお答えいただきたいと思います。
  202. 三井脩

    ○三井説明員 全部で三千九百名でございますが、そのうち特に激しかった三派全学連は二千五百名でございます。これに対しまして警察官二千三百名で三カ所の橋を守り、さらに学生デモ隊の背後に機動隊を投入するという方法で措置をいたしました。空港内に侵入をして総理出発を実力で阻止するという行動に対処するという警備目的の第一につきましては、これを果たし得たと考えております。ただ、あの現場において、あれだけの混乱の事態、不法状態を生ぜしめたという点については、他にもっと有効な手段がなかったかという点については、将来検討すべきものと、かように思います。
  203. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、今後もこういう問題が想定されるという立場から、いろいろとお尋ねしたわけでございます。  もう一つ、私がどうしても理解ができないのは、もちろん生命の尊厳ということはわかります。命は粗末にはできませんが、いろいろと写真等を見てみますと、あの橋の上に警備車というのですか、あるいは給水警備車というのでしょうか、そういう車がすき間なく配置されておったようです。で、私思うのですが、それだけの人数が配置されて、いままで説明のあったような、これだけの想定される事件に対して、日時があったにもかかわらず、ああいう警備体制をしがなければならなかった。もう向こうでは油を抜き取って、そうして新聞に油をかけて放火をしていった。当然そういうことは考えられるわけであります。あえてそういうところまで持っていった警備体制について、私はどうしても理解ができませんので、もう一度お答えいただきたいと思います。
  204. 三井脩

    ○三井説明員 当日の警備方針の第一が、総理出発についての実力阻止行動に対処するということでございましたので、当日八時過ぎに早くも鈴ケ森の高速道路上で全学連が四百五十名、そこで警察官にぶつかる、高速道路上にかけ上がって、角材をもって警察官に打ちかかるというような事件もあったようでありまして、これを第一次的に処理をし、あとは空港の入り口から空港に侵入するということに対処したということでございます。したがいまして、第一の目標については、これを果たしたわけでございますけれども、この第二の、あの大規模な事態を防止するという観点から考えますと、放火に着手するようなきざしが見えてきた段階で警察官が早期に処置をしてはどうか、あるいはもりと前の段階で、投石が雨あられとあったわけですが、その段階で警察官阻止線の外に出てこれを排除する、あるいは検挙をするという方法がなかったかどうかという点につきましては、結果的にそういたしましたけれども、その時期の判断、着手等について、タイミングにやや問題があったのではないかという点については、さらに検討すべきものと考えております。
  205. 小濱新次

    ○小濱委員 私どもは、車を非常に貴重に考えておるわけですが、多くの車に放火されてしまったということについて、あそこの地域を検討してみましても、非常に防備をするには恵まれた地域であったと思うわけです。片方は高速道路、片方は三つの橋、あれから隧道を通って一本で空港のほうに入っていかなければならない、その警備が二千三百人おって、そうして自動車をいわゆるバリケードがわりにしなければならなかったというところに、私は何かもう少し方法がなかったものであろうか、そういうことをしたために、全学連のほうでは非常にいきり立ってあのような行動に出ていったのではなかろうか。飛行機が出たのですから、ほんとうはあれで幕になるはずであったけれども、そうでない、いよいよいきり立ってああいう暴徒と化していった。そういうことに対する理解が私どもはどうしてもできなかったものですから、いまお尋ねしたわけであります。  そこで、今度の事件を通して警備の問題点の検討、今後警備の近代化といいますか、あるいは機動隊員の増員といいますか、法適用の研究、こういうものを大いに進めていって、そうして水圧のもっと高い放水を考えるとか、あるいは催涙ガス弾の使用を活用すべきだという強い意見が聞かれる。こういうことの話を私どもは聞いておるわけでありますが、水圧の高い放水あるいは催涙ガス弾、こういうものを今後使用された場合に、住民に与える影響、迷惑ということばどういうふうになっていくであろうか。これをやはり考えないわけにはいかないであろう。こういうように考えるわけですが、警察庁としては、こういうことの話し合いを進めているということですが、この点についてはどうでしょうか、次長にお願いします。
  206. 後藤田正晴

    後藤田説明員 御質問のように、私どもとしては、そういった事態が将来起こらないという保障はないわけでございますので、まず警察官に対する教育、訓練の問題、装備の問題、あるいは人員の問題、あるいは法の解釈、適用の問題、こういったことについては、私どもとしては、今回の事件を教訓として改善の措置を講じたいと考えておりますが、改善措置の中身は、これはただいま小濱委員のおっしゃったように、都会地等においては第三者がおるわけです。また同時に、相手方も、法律違反の行為をやる人ではありますけれども、いずれにせよ、こういう場合にも、効果的でしかも負傷者、いわんや死者等は出さない、こういうような基本方針を含めて、そういった検討を加えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  207. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、不勉強で申しわけありませんが、この催涙ガス弾は、もしか相手側で使われるとするならば、どういう見解になりますか。
  208. 後藤田正晴

    後藤田説明員 相手方が使うことも、場合によればこれはあり得るかと思いますが、私どもとしては、催涙ガスを使う際には——これは風向きで両方に来るわけですから、警察自身としては防毒面等の装備を備えて対応いたしております。
  209. 小濱新次

    ○小濱委員 もちろん、使用法については、風の方向ということは考えの上に置かなくてはならぬと思います。必ずしも、いまお話があったように、その配置の上手のほうから風がくるとは、いつまでもそういう方向で風が流れているとは考えられませんが、防毒面もあるということでありますからけっこうであります。  どちらにいたしましても、今回起こった事件については、私どもは今後大いに参考にしていかなくてはならないし、国民の疑惑も晴らしていかなくてはならない、そういう立場からいろいろとお尋ねしたわけであります。非常に残念でありますが、時間がまいりましたのでこれで終わりますが、先ほども申し上げましたけれども、決してその個人の責任を追及しているのではありません。どうかその辺をよく理解していただきたいと思います。先ほどは、個人の名前は出しませんが、そういう問題に触れていきましたので、この際はっきりとお断わりしておきたいと思います。そして、なお、そのとうとい有為な青年の人命を失ったというこの事実、それから、とうとい職務に従事される警察官が六百六十人もけがとか入院等の事件を起こした、こういうことに対して、今後のこともありますので、私どもはいろいろとお尋ねしたわけでございます。なお一そうの努力をしていただいて、事件皆無になりますように要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  210. 林百郎

    ○林委員 途中で中断したような質問で、私自身もたいへんやりにくいのでありますが、時間の関係もありますので、ごくしぼってこの問題の処置についての政府の方針を聞いて私の質問を終わりたいと思うのです。  私たちの党としては、この羽田の問題は、もうだれが聞いてもわかり切っている名うての一部のトロツキスト学生——学生といっても無理に学年にとどまって、そして革命をやると称して残って、自分の学校の学業なんか放棄して、よその学生をあおってやっている者たちなんです。こういう学生のほんの一部の動きをもって、日本の健全な全学生の動きであるかのごとき印象を与えることはよろしくないし、これは学生諸君の名誉にかけてもよろしくない。また、こういう者を非常に英雄視して、そして何か革命的な事件行動をしたというようなことにすることもよろしくないし、ましてや、これをきっかけにして、日本の真の民主運動を弾圧する処置を考えることも全くよろしくない、こういうように私たちは考えているわけです。  そこで、この問題の処置ですけれども、この問題の捜査にあたって、一体これはどういう法条を適用する行為として捜査をしているのか。そうしてまた、吉河さんもおいでになるのだけれども、これについて破防法の、部分的に四十条の規定との問題が問題になるのかと思いますが、この適用を研究をしておるというのですけれども、研究するということは、適用する場合もあり得るというのかどうか、その辺を捜査当局と公安調査庁にお聞きしておきたいと思います。  われわれとしては、あれほど日本の民主勢力が反対して、事実上の適用を阻止しておる破防法を、これにまたそれをひっぱり出してきて適用するようなことは許されないと思いますが、——結論を先に言いますけれども、われわれはそう考えていますけれども、これは絶対そういうのは適用しないというのか、あるいは適用する場合もあって研究しているというのか、その点はっきりした答弁を聞かしてほしいと思います。
  211. 三井脩

    ○三井説明員 現在までに五十八名を現行犯で逮捕いたしまして、さらに捜査を続行しております。どういう法条を適用するかということでございますが、これは罪名は、まず第一に兇器準備集合罪でございます。次は、集団による公務執行妨害でございます。また、暴力行為等処罰二関スル法律違反になります。さらに、公安条例違反、道路交通法違反、放火罪、こういうような点で捜査をいたしております。  先ほどの放水給水車に乗ってひき殺した学生という点につきましては、これは過失致死罪で目下鋭意捜査中であることは、先ほども申し上げたとおりでございます。
  212. 林百郎

    ○林委員 ついでに聞いておきますが、破防法の四十条の適用ということは、いまの段階では考えていないと聞いておいていいですか。
  213. 三井脩

    ○三井説明員 破防法の四十条の問題で一番関連を持ちますのは、集団による政治的目的を持った公務執行妨害ということでございますので、公務執行妨害ですでに数十名逮捕しておりますので、これの捜査の中で、政治的目的をもってこれをやったのだということになりますと、これは全く刑法の問題でございます。その前の段階で、教唆、せん動、予備、陰謀があるということが明らかになれば、これは破防法の問題になって、破防法四十条の問題になるということで、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、これは捜査の進展の中できまってくる問題であるということでございます。
  214. 林百郎

    ○林委員 捜査当局としては、破防法の四十条を適用しないということをここで言い切るわけにはいかない。将来の捜査の発展の状況によっては、破防法四十条、刑法百六条の適用もあり得るかもしれないこういうことですか。
  215. 三井脩

    ○三井説明員 九十五条もあります。
  216. 林百郎

    ○林委員 吉河さんどうですか、そう思っておられますか。
  217. 吉河光貞

    ○吉河説明員 私ども、先ほど申しましたように、今回の事件につきましては、破防法の四条の第一項の二のリに該当する容疑がある、つまり警備警察官に対しまして多数共同して角材のごとき凶器をもって公務執行妨害をした、これでございます。その容疑のもとに調査を進めておるということを申し上げました。現在はその点を考え調査を進めているわけでございます。四十条の問題は、これは罰則でございまして、直接私ども関係いたしておりませんが、ただいま申しました第四条の第二項にこの罰則に規定されている犯罪類型と全く同一のことが四条一項二のヌに記載されております。先ほどリと申しましたのは間違いでヌでございます。この点は調査の過程でそういう事実が生まれるかどうか、これはいまから予断は許しません。  こういうようなわけでございまして、林委員もりっぱな法律実務家でございまして、やはり事実を確定するということがどうしても第一でございます。その事実が明らかになりましたらば、それに対する法条の適用という問題に入るんではなかろうかと考えておる次第でございます。
  218. 林百郎

    ○林委員 われわれが主張しておりますように、こういう名うてのトロツキストの挑発行動機会に、われわれが徹底的に反対してきた破防法の適用をよみがえらせるということは、われわれから見ると、政府の思うつぼだというふうに考えるわけです。われわれとしては、絶対に、このような意識的な挑発行為をやる者に対して日本の民主勢力が反対した破防法を適用すべきでない、こういう立場に立っておるわけです。この点を一応明確にしておきます。  その次の問題は、文部省の関係の方がおいでになりますけれども、先ほどの自民党の委員の質問、それに答えての政府の答弁の中から、大学管理を強化するということがやりとりされたわけです。この中で、新聞等で見ますと、大学管理法の立法的な措置も研究しているんだというようなことも政府側からの答弁にあったわけですけれども、いま文部当局としてはそういうことを研究しているのかどうか。そして、そういうことで政府の何らかの指示があったのかどうか。大学管理法の立法措置についての問題を文部省から聞いておきたいと思います。
  219. 清水成之

    ○清水説明員 ただいまの点でございますが、先ほど藤枝国務大臣からお答えがありましたとおりでございまして、私どもとしましては、学長とか評議員会、教授会、こういうものの権限とか職責関係がはっきりしてないという現行のあり方については、何らか検討する必要があるということで、従来、大学管理法案というものが論じられてきておったわけであります。今回のこういうことを契機に、大学管理法案を促進するというような考えは、いまのところございません。このことは、けさも文部大臣が文教委員会でそのとおり答えたところでございます。
  220. 林百郎

    ○林委員 それから、先ほどの質問の中で、これを機会警察の装備を整備し、警備の体制を強化する必要がある、あるいはそういう研究をするということが警察庁のほうから答弁があったわけです。これは具体的にはどういうことを考え、どうするというのか、なるべく具体的に説明してください。
  221. 後藤田正晴

    後藤田説明員 具体的にこれから検討をする、こういうことでございます。
  222. 林百郎

    ○林委員 その検討の内容ですね。どういうことをしようとすることを研究するのですか。
  223. 後藤田正晴

    後藤田説明員 先ほど申しましたように、教育、訓練のあり方、法の適用の問題、装備の問題、そういった一連の措置を検討をしたい、こういうことでございます。
  224. 林百郎

    ○林委員 あなたも御承知のとおり、警察関係委員会は当委員会です。警察関係の予算の審議も当委員会でやらなければならない。私はそういう意味でお聞きしておくのですが、装備を近代化する、あるいは強化する。当然予算的な措置が伴う。だから私は、あなたにもっと地方行政委員会の権威を尊重されて、どういうことをしようとするのか、予算的な措置はどうなるのかということを答えていただきたいのです。そんな抽象的なことでなくて……。
  225. 後藤田正晴

    後藤田説明員 具体的な結論が出まして、新しいこういう装備をするのだということになれば、当然予算に計上するということになります。したがって、予算審議の際には、結論がそれまでに出ますれば明らかになることでございます。
  226. 林百郎

    ○林委員 そうすると、あなたの言う装備の点を研究するというのは、どういう点を研究するのですか。装備のどういう点が不十分だったから、どういう点を強化するために研究すると言うのですか。それがわからなければ、ただ研究、研究ではわからないでしょう。今度の羽田事件の経験によって、装備のどの点がどうだったから、将来はこの点をこうするのだということでなければ答弁にならぬじゃないですか。
  227. 後藤田正晴

    後藤田説明員 私は、一昨々日の事件の経過に徴してこれから検討して結論を出す、こう申し上げておるのでございます。ただいまの段階では、それ以上のことは申し上げられません。
  228. 林百郎

    ○林委員 誠意のない答弁だと思うのです。研究すると言う以上は、具体的にどういう経験だったのか、それがどうなるのかということを——私は別に強化しろと言っているわけじゃないですよ。先ほど言いましたように、そういうところに問題があるのじゃないんだ。こういうわかり切った連中に、かって気ままに荒らびさせておるあなた方の態度に基本的な問題があるのじゃないかということを言っているので、装備の問題じゃないと私は考えておる。これをきっかけに警察が装備を強化して、しかもその強化された警察の向かうところが、真の民主運動を弾圧するところだということになればたいへんな問題になる。だから私は、そういう立場であなたに質問しているわけです。  そこで、もう一つ質問しておきたいのですが、われわれの調査によると、前の晩にいわゆる三派全学連の連中千四百名ほどが、法政大学までヘルメット、角棒など持って激しいデモをしている。警察はこれを見ているはずだ。こういうことをわれわれは握っておるわけです。これは警察は知らないのですか。知っているのですか。
  229. 三井脩

    ○三井説明員 そういう事態があったということは聞いております。
  230. 林百郎

    ○林委員 そうすると、あなた方の聞いていることをここで説明してください。それに対してどういう措置をとったのですか。ただ聞いているだけでは話にならぬでしょう。
  231. 三井脩

    ○三井説明員 当日、法政大学で三派、革マル、また三派の中でも乱闘寸前になるというような事態がございました。その際に、ただいま申されたような状態で法政大学にかけつけたというふうに聞いております。
  232. 林百郎

    ○林委員 ちょっとよくわからないのですが、そういう状態というのは、十月七日夜法政大学へ、ヘルメットや角棒を持ったトロツキスト、いわゆる三派全学連と称する諸君が千四百名くらい集まってデモをして、そこへ結集したということを聞いているのです。聞いているのなら、それに対してどうして処置をとらないのですか。わかり切っている。何のために十月八日の前の晩にそんなかっこうをして法政大学に集まっていったか。そんなことは、大学の責任じゃなくて警察の責任じゃないですか。何の処置もしないということになるのですか。
  233. 三井脩

    ○三井説明員 大学の中に集まってしまった段階としては、警察として軽々に大学の中には入れない、こういうような状態でございます。
  234. 林百郎

    ○林委員 あなた方がそういう考えをお持ちになるなら、そういうことで聞いておきましょう。  それから、先ほど後藤田次長の答弁の中に、前夜それぞれの大学にそれぞれの学生宿泊したということを報告しましたね。これをもう少し詳しくもう一度聞かしてくれませんか。
  235. 三井脩

    ○三井説明員 今回の羽田闘争に参加するために、学生は約二千五百名前後が集まったわけでありますが、このうち地方から約千名、これは北海道大学、九州大学などを含めまして三十六大学から上京をしております。なお、都内からは千三百名ばかりが集まったわけでありますが、これが法政大学中央大学明治大学、それから早稲田大学等に分散して泊まり込んだわけでございます。
  236. 林百郎

    ○林委員 それはどういう装備をして集まったかという情報は入っておらないのですか。たとえば、角棒を持参している、あるいはヘルメットを準備している、あるいは丸棒を持っているという情報は入っているのですか、いないのですか。
  237. 三井脩

    ○三井説明員 特に法政大学に集まりました中には、角棒を相当多数準備しておる、ヘルメットを用意しておるということはわかっておりました。
  238. 林百郎

    ○林委員 それはどういうところからそういう情報が警察庁に入ったのですか。
  239. 三井脩

    ○三井説明員 それはいろいろの方法でその状況を確認したわけでございます。
  240. 林百郎

    ○林委員 いろいろの情報で、すでに前夜そういうことがわかっておるのに、警察は、大学の中に入ってしまったから何らの手も打てないということで放置しておいたのですか。
  241. 三井脩

    ○三井説明員 大学内の問題につきましては、管理者である大学当局管理措置を発動するということが第一のたてまえになっておりますので、その辺のところからの要請なり警察に対する措置の要望というようなことが第一条件でございますので、警察といたしましては、状況はわかっておりましたけれども、これ以上的確に、どの部屋にどういう形で何名が、またどういう名前の人がというところまでは必ずしも十分に把握いたしておりませんでした。また、いまのような状況でございますので、その日のうちに措置をするということをしなかったわけでございます。
  242. 林百郎

    ○林委員 そうすると、そういう情報が、前の晩にすでに、全国からそういうトロツキスト学生が参集して、ことに法政大学のごときは、丸棒、角棒等を持参しながら集合しているということはわかっていたとして、それじゃあなたのほうから学校のほうへ、警察ではこういう情報をつかんでいるけれども学校として適切な措置をとるようにという連絡はしないのですか。
  243. 三井脩

    ○三井説明員 そういう点につきましては、平素から大学と連絡しておると思いますが、その前日の状況について具体的にどのように連絡したかという詳細については、私はまだ報告を受けておりませんので、承知いたしておりません。
  244. 林百郎

    ○林委員 そうすると、後藤田次長とここにおいでになる三井警備課長としては、そういう情報は持っていたけれども警察のほうから学校のほうへ適切な措置をとるようにという連絡はお二人はしなかった、こう聞いておいていいのですね。
  245. 三井脩

    ○三井説明員 それは直接には警視庁がやることでございますので、私たちのほうからはやっておりません。
  246. 林百郎

    ○林委員 そうすると、そういう学生羽田へ翌朝出ていったわけですけれども、出ればもうあなた方は適切な措置をとろうと思えばとれるわけですね。それであなた方は、羽田へ行くまではどういう措置をとったのですか。
  247. 三井脩

    ○三井説明員 当日そのような学生が集団を組んで出るという状態ではございませんで、三々五々大学出発したという状態でございます。これを最初に現認いたしましたのは、京浜急行の大森駅であったと思いますが、そこでおりまして、羽田への高速道路の鈴ケ森あたりにあらわれたという段階で警察部隊と接触するという状態でありました。
  248. 林百郎

    ○林委員 あなた方は、当日わが党の国会議員を中心としての抗議団や、安保破棄諸要求貫徹中央実行委員会その他の、秩序整然として佐藤総理のベトナム訪問反対の抗議運動をしようという人たちに対しては、素手で行っても、交通を制限するとか、あるいは横断幕や団体旗を破棄するとか、あるいはそれを奪い取るとか、そういう措置をしておきながら、前の晩からわかっておる丸棒や角棒を持った名うてのトロツキスト学生に対して、何の手も打たないで羽田まで自由に行かせるということは、一体どういうことなのですか。
  249. 三井脩

    ○三井説明員 全学連三派系、トロツキスト派のほうでやる戦術、当日とるであろうという戦術について、私たちが各種の情報を総合判断いたしましたところは、警察警備の裏をかくということであります。したがいまして、空港に侵入する入り口につきましては、先ほど説明したような措置をとり、高速道路上につきましても、それぞれ要所に配置をいたしました。なお、モノレール等によって三々五々の形で空港内に突然あらわれるというようなことでもありますので、これに対して警察官を配置して検問等を実施いたしたわけでございます。
  250. 林百郎

    ○林委員 わが党を中心としての抗議団や、わが党が参加しておる安保破棄請要求貫徹中央実行委員会の抗議運動に対しては、横断幕や団体旗等を破棄させている。それを取り上げているということをしながら、そのトロツキスト学生たちの角棒や丸棒は、そのまま持たして羽田まで行かせるということはどういうことなのですか。横断幕や団体旗を取ることができるなら、そんなものはなお取ることができるのじゃないですか。
  251. 三井脩

    ○三井説明員 ただいまのような措置は、いま申しましたように、空港内、特にフィンガーにおける措置でございます。したがいまして、この点につきましては、空港を所管いたします空港長からも、そういうことを一切認めないという措置方針が明らかにされてわがほうにも連絡されておりますし、空港内においてはさような措置をとったわけでございます。空港外につきましては、いまお話しのような状態で、高速道路上、空港入り口の各橋というところで措置をしたわけでございます。
  252. 林百郎

    ○林委員 かりに、あなた方の言うように、空港内で横断幕や旗を持っていてはいけないといって取り上げるなら、空港に接近した地域で角棒や丸棒を持ってきている場合に、事前の措置がとれないということはないじゃないですか、私はそう思いますよ。それから、前の晩に法政大学に、われわれのほうの計算でいきますと、千四百名くらい行っているというのです。法政大学に泊まった学生は何人なのか、それが朝出てくるのに、三々五々だったから気がつかなかった、三々五々で警察の裏をかくということだったから何の手も打てなかった、それであなた方の警備の責任が果たせるのですか。
  253. 三井脩

    ○三井説明員 法政大学には、三派の中でもマル学同の中核派約六百名が宿泊したというふうに、われわれは情報で知っておったわけでございます。当日の出方は、出るのはわかっておりましたが、出方は三々五々というような形でありまして、出ること自体は公安条例違反というような形で出たわけではないわけでございます。空港外の入口に近い段階におきまして、凶器等を用い、無届けデモの形態、無許可デモの形態になりましたので、まず第五機動隊、第一機動隊におきまして空港外で措置をいたしました。そのときにも投石等が盛んにあった−わけでございます。
  254. 林百郎

    ○林委員 あなた方そういうことを言いますけれども、六百名もの学生が、そういう角棒や丸棒を持って、あるいはヘルメットを持って法政大学に泊り込んでいるということを知っていながら、何の処置もしないで羽田までやっているということ、これはなれ合いと言われたってしょうがないじゃないですか。そんなことは、あなた、ちっとも大学の責任じゃないですよ。そういうことを取り締まりをするのが治安の任にある警察のつとめでしょう。幾ら裏をかいたって、六百名ものトロツキスト学生がちゃんと泊まっているということを前の晩に情報をとっているのに、どうも私のほうではそれを取り締まる適切な措置考えつかなかったので、そのまま羽田までやったということは、それで通るのですか。だから私が先ほど言ったように、東原吉伸に、あたたかい同情心をもって迎えられたなんて言われたって、弁解の余地はないじゃないですか。そうでしょう。六百人もの者が法政大学へ棒を持って泊まっているのに、何の手も打たないで、計画どおり羽田まで行かせるということを警察が許していたら、警察はあたたかい同情心を持ってわれわれを見てくれましたと言われたって、言われるほうがあたりまえじゃないですか。そう言う私がなぜあなたから非難を受けるのですか。善良な市民の立場に立って考えてみなさい。そうじゃないですか。
  255. 後藤田正晴

    後藤田説明員 お答えをいたしておきたいと思いますが、警察が何らの処置をとらなかったので、なれ合っておるのではないか、こういうことですが、警察はあくまで法律違反ということを前提にしてでなければ動けない。いま林委員からおっしゃるとおりに、三々五々角棒を持っているじゃないか。かりにこれを取り締まろうとしますと、おれはいま大工のところに持っていくんだ、おそらくこういうことになりましょう。それをしも現行法制のもとで取り締まれということであれば、私どもは実はたいへん取り締まりはやさしいわけでございまして、ただいまの御意見は将来の参考にはいたしたいと思います。しかしながら、現実に警察が動くのは、法律違反という実態がなければやれない。そこにわれわれの警備の苦心があるわけでございます。
  256. 亀山孝一

    亀山委員長 林君。約束の時間がきましたから……
  257. 林百郎

    ○林委員 法律の専門家にそんなことを言ったってだめです。予備だって陰謀だってある。なぜそれを聞かないのですか。何で六百人もの学生が棒を持って学校へ泊るのだ、その棒は何に使うのだ、ということを聞いたっていいじゃないですか。そうしていろいろな犯罪の予防なり警備なり事前の措置がとれるじゃないですか。具体的に警察官がぶんなぐられるまでは取り締まりの方法はない、そんな間抜けな警察がどこにあるのですか。
  258. 後藤田正晴

    後藤田説明員 林委員からそういう積極的な警察取り締まりについての御意見が出たことは、私どもとしてはたいへん参考になると考えております。ただ、私どもとしては、先ほどから言いますように、やはり具体的に犯罪が切迫するということでなければ、警察というものは動けないのだ、これが私どもに課せられておる現在の法律上の制約でございます。したがって、そういう行動を当日はとったわけであります。学校正門等でいろいろな職務質問をかける、いろいろなことも、それはやり方として現行法制で認められるでしょう。しかしながら、そういったことを当日やった場合に、一体どういうことになるであろうかといいますと、たしか先ほどお答えしたように思いますが、おそらくは各大学の前で修羅場が現出するということになるおそれがあるわけでございます。こういったことは、私どもとしても、警備実施上の運用の問題でございますので、当日は、総理羽田出発を円滑安全にするということ、同時に、したがって空港内には、ああいった過激な行動をとる情報の入っておった三派全学連あるいは革マル全学連を中に入れない、こういう警備方針をとって、当該場所においては具体的な違法行為が出たので、これに対して規制を加えた、こういうことでございます。
  259. 林百郎

    ○林委員 各大学で取り締まりをすれば、各大学が修羅場になるということは、もうあなた方は、彼らの犯意を知っておったということじゃないですか。それを羽田まで誘導して、そこで問題を処理しようとしていたということになれば、むしろあなた方が羽田へ誘導したことになるじゃないですか。そして善良な市民に対して非常に大きな衝撃を与えるような事態になったのは、あなた方の責任だと言われてもしかたがないじゃないか。そう思いますよ。それで、だからこそ新聞社の人々も、トロツキストをかせがしているなということを言っていた。  一方、それほど法律を尊重するというあなた方が、それでは三里塚の空港問題ではどういうことをやっているか。これを成田署長は——公団は、前日、警察等導入せぬと約束をちゃんしているわけです。そういうのに、もう事前に、何をするかわからないということで、千五百名もの警察をそこへ動員している。そして署長は、国会議員が警察に入って、検束された人たちの釈放を求めようとしたのに、警察へ入ることを拒否している。そして二名の重傷者ほか負傷者を出しておるにもかかわらず、成田署長の答弁は、全然けが人はなかったと言っている。そこにある宣伝カーのかぎを警察が現地で取り上げてしまっている。車を動かないようにしておいて、そして道路交通妨害ということでこれを取り締まらして、検束やいろいろしている。まるで逆じゃないですか。  羽田のほうのトロツキストに対しては、前の晩からわかっていたけれども、各学校で取り締まれば各学校が修羅場になるから羽田まで誘導していった。角棒を持っていることも知っていた。三里塚のほうは、公団は警察を導入するようなことはしません、こう明言しているのに、千五百名もの警察官が行って、自動車を動かそうとしても、その自動車のかぎを警察官が取ってしまって、自動車を動かせないようにして、道路交通違反だと言って取り締まっている。だから羽田事件は、あなた方は、反共を口にしているトロツキストたちとなれ合いをしているのだ、こう言われてもしかたないじゃないですか。だから、さっきも言ったように、警視総監に対しても、あるいは検事正に対しても、実にあたたかい感情と同情心を持って事に当たられたのは、全く驚いたなんて言われているわけです。明らかにこれはなれ合いです。  私は、最後に、わが党の態度を申し上げまして、私の質問を終わりたいのですけれども、私たちの党は、今度の羽田事件は、これは反共、共産党に攻撃を行なえと唱えておる常習の暴力集団であるほんの一握りのトロツキスト学生——これは学生と称しても真の学生でない。学生というものは本来勉強するのがつとめなんです。それを、二年も三年もわざわざ留年をして、そして自分の学校でなくてよその学校に行って、こういう暴力団を組織して、何かというとかって気ままなことをする。これに対して、警察も検事正も自民党の諸君すらあたたかく迎えたと彼らは言っている。こういうことをして、そして、これをむしろあなた方は利用して、秩序整然として、真の日本の独立と民主主義を獲得しようとする民主的な諸組織や運動を弾圧する機会に利用しようとしている。私たちは、今度の羽田事件の真相をこう考えているわけです。だから、この政府の態度に厳重に抗議して、私の質問を終わります。
  260. 亀山孝一

    亀山委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会      ————◇—————