○林
委員 私は、このたびの
羽田で
警察といわゆる衝突と称する暴行の行なわれた一部のトロツキスト
学生諸君の
行動について、厳密に検討してみたいと思うわけです。この
諸君は、いわゆる三派系
全学連あるいは革マル派ともいわれている
諸君であります。これらの
諸君の
行動の特徴については、いままでの質問者のだれにも出なかったもう
一つの重大な特徴がある。ということは、彼らはこのような暴行をする際に、必ず、日本共産党を、いわゆる修正
主義を粉砕しろ、あるいは日共修正
主義者の集会を粉砕せよと称して暴行しております。これは皆さん御存じだと思います。こういう、共産党に対してこれを粉砕する、日本共産党に対して修正
主義という汚名をかぶせて、これに攻撃をかけるという点では、自民党の基本的な態度と一致する面もあるわけです。この点についてはだれも質問しておらない。
そこで、こういう中から、この
諸君の今度の取り締まりについて、これは単に甘いというばかりじゃなくて、その点でのなれ合いがあるようにわれわれは
考えられるわけです。ということは、この
諸君が
羽田でやった
行動について、いまさら皆さん口をきわめて大
事件のようなことを言っていますけれ
ども、これはもう、ことしの彼らの
行動を見たって、彼らの本性がわからないはずがない。一例をあげますと、五月二十八日の立川基地拡張阻止の砂川大集会が行なわれたときに、整然と大衆が
抗議行動をやっているときに、ジグザグ
デモをやったり、あるいはなぐり込みをかけている。七月の東京都議会においては、わが党の梅津都議が
委員長をやっておる公営企業
委員会に押しかけて、美濃部都政を粉砕しろ、共産党の梅津
委員長の
やり方を粉砕しろといってなぐり込みをかけて、そして庁舎の一部をこわしてまでいる。それから六月には、
法政大学に明大や中大のトロツキストの
学生がやはりなぐり込みをかけている。九月には
法政大学の学長や教授の不法監禁をしておる。これはわかり切っておる。ところが、そういうわかり切ったこの
諸君に対して、八日の
羽田において
警察当局がどういう態度をとったか。
空港の周辺では定期バスの乗り込み客まで検問して、そして、この通行を阻止して飛行機に乗れないようにまでしている。素手で整然と抗議運動をしようといって参加しておる人と、この
羽田空港への抗議
デモに参加しようとしておる民主勢力の代表の
交通を途中でストップしている。ところが、丸太ん棒を持ったり、角材を持ったり、ヘルメット帽をかぶって、だれが
考えたって、これは整然たる権威ある大衆
行動をすると
考えられない者が——飛行機の切符を買って飛行機に乗るというお客までがとめられているのに、どんどん入っていって
警察官と接触ができる。これはなれ合いでなくて何でしょうか。あらかじめなぐり込みをかける、討ち入りをするというような態度で乗り込んできている者を、
警察と自由に接触さして、数千の機動隊、正確に言えば
警察のほうでは二千数百名と言っていますけれ
ども、
相当の機動隊まで出動しながら、
警備車を奪われている、焼かれている、あるいは
警察がトロツキストに追われて逃げ歩いている。これは通常の取り締まりと
考えられますか。当時この状態を見ていたある新聞記者の
諸君は、このいわゆる衝突なるものの実態を目の前で見ていた取材記者は、だいぶ
警察はトロツキストにかせがせておるな、こういう感想を述べているのですよ。だいぶやらしているな。こうしてこれをきっかけにして——きょうの自民党の
奥野委員の質問を聞いてみれば、やれ
大学の
管理権を強化しろ、行政的な強化をしろ、破防法の適用を研究しろ、
警察の装備を厳重にしろ、
学生運動の取り締まりを強化しろ。ほんの一部の名うての暴力の常習犯のトロツキスト
学生にかって気ままにさせておいて、これを
機会に民主的な運動の弾圧を
考えようとしている。あなた方は知っているかどうか知りませんか、十月七日の晩には三派
全学連——ほんとうの
全学連じゃありません。この約千四百名がヘルメットと警棒などで武装したにもひとしいかっこうで夜お茶の水から
法政大学まで
デモして通っているのですよ。こんなことをあなた方知らないはずはない。前の晩にこういうことをやっているのは、次の日に何をやるかということがわからないはずがない。しかも、この
諸君の
行動を見ますと、
佐藤総理の飛行機は十時三十五分に離陸している。それから大体十一時二十七分ごろ乱闘が行なわれて、一時十五分催涙ガスの使用が警告された。
佐藤総理の訪ベトナムを阻止するこの
諸君が、
警察官と本格的なけんかをしておるのは、もうその必要のない、
佐藤総理が飛行機で飛び立ったあとでやっているわけなんです。こんなことは何の
目的を持ってやっているかということは皆さんおわかりだと思うのです。
一方、たとえば三里塚のほうの弾圧の
やり方を見ますと、宣伝カーのかぎまでとって車を動かないようにしておいて、そして道路
交通法違反だといってこれに襲いかかっておる。あるいは、九月十五日の
大阪港の弁天埠頭で行なわれた全港湾労働組合の関光汽船会社の分会長の暴力団による殺傷
事件、三十メートル前に五人の
警察官がいるのに、しかもこの無期限ストライキは、会社が暴力団を雇って労働組合を弾圧しているから、会社がこの暴力団と手を切るまではストライキをやるといって、
警察にそういう性質のストライキだといって、すぐそばに
警察官が五人もいるのに、三人の暴力団に登山ナイフでめった刺しに刺されているじゃありませんか。一方では、こういう民主勢力に対してはこういうことをやっておいて、そうしてトロツキスト
学生に対してはああいうことをやって、
警察官が逃げ歩いているような醜態まで演じておいて、いまさら、この
諸君の
行動は、日本の民主勢力のどうだこうだ、あるいは
学生運動の権威がどうだこうだと言っても、私は通らぬと思う。先ほど
奥野委員は、ああいうものに対しては憎しみを持つと言った。ところが、この憎しみを持つと言われている自民党が、実際はどういうことをしているか。これと同じ事例で、皆さまも御承知のとおり、安保闘争のとき国会への突入
事件があった。このときの
全学連の
中央執行
委員で財政部長をやっている東原吉伸というトロツキスト
学生が手記を書いている。この手記を読んでみると、こういう
学生には憎しみを持つという自民党がどういう態度をとっているか、御参考にちょっと読んでみます。「この長きに亘り闘われた安保闘争は、広い
国民に支えられ、その支援のもとで、
学生は学園を捨てて闘ったのだが、と同時にこの闘いにおいては、我々と全く反対の自民党権力に属する方々のわれわれに対する温い同情とその努力も大いに作用したことも、われわれは忘れてはいけないと思う。」と書いてある。憎しみどころの騒ぎではない。あたたかい同情とその努力が大いにわれわれの運動に作用したことを忘れてはならないと書いている。「これは、極秘とされていたし、運動にも別にプラスになるどころか、反対派の好餌となるものだから、何も発表されなかったが、
全学連の潰滅から時間も経っていることであり、明らかにしようと思う。」こう言っている。この書き方を見れば、これは
相当信憑性がある。決して偽りのことではない。「安保闘争が激烈に闘われている期間、われわれのうちの代表者は、当時警視総監をしておられた小倉(謙)氏や、そのときの学連の闘争を扱っておられた野村(佐太男)検事正とときどき会い、フランクな話をし、そしてこの方々が、若い
学生と
全学連に、なみなみならぬ温い感情と同情心をもって事に当られていると聞いたときは、全くおどろいた。」
学生のほうが驚いている。「又、われわれの
デモに直接当っておられたのは、当時、公安一
課長をしておられた三井脩氏である。」あなたのことを言っていますよ。「ぼくがこの方にお会いしたのは、やはり安保の最中だったが、何分ああ云った建物では、あまり好きではなかったので、大分アガってはいたが、とても印象に残っている。そしてこの方も、
全学連に対して、なみなみならぬ同情心をもっておられた。」こう書いてある。