○長野
説明員 事前にそういう連絡をする方法があったではないかというお話が一つでございますが、その点については、私どもも知り得る
状態になりましてからはいろいろと熊本県の人事
委員会にも連絡をいたしまして、そういう意味での助言というものはいたしたのでございます。しかるにかかわらず、結局のところは、組合と申しますか、そういうことが言えるのだろうと思いますが、教職員の
関係の
団体の力に押し切られたと言っては語弊がございますけれども、大体そういうかっこうではないかと思われるようなことで、併合審理ということになったようでございます。そういうことからいたしまして、当時、公平審理の申し立ては、まあ現在もそうでございますが、全国的に相当多くの府県にその申し立てがあるわけでございます。そして、そういう申し立てを受けておりますところの
関係の府県の人事
委員会において、寄り寄り相談がございます。その場合に、熊本県の例というのが今後の審理について非常に大きな影響を及ぼすということが、
関係者の間で
指摘をされております。今後そういうことのないようにしてほしいというような意見も非常に強うございまして、申し出もあったわけでございますので、事後にはなりましたが、そういう通牒をいたしておるのでございます。
内容につきましては、私どもは、御意見もございますようでございますが、二千人に及ぶ申し立てというものにつきまして一括して併合審理をする——まあ公平審理というものは、そもそも申し立て者、いわゆる処分を受けました者の個々の人が、どういう
状況でその処分を受けるに該当したかしないかということを、申請者個々の個別の行動というものが、そういう条件に、処分者の言うようなことになっていたのかどうかということを個別に判定することが必要でございます。そういう意味で、
関係者の中で、申請者個々の個別の問題を個別に具体に検討するということでなければ、審理の実はあがらないわけであります。それを一括して二千人に及ぶものを併合審理するということになれば、審理そのものの実があがらないということは、これはもうだれしも想像のつくことでございますし、現に熊本県においてやりましたものは、そういう意味で実はさっぱりあがっておりません。結局のところは、あの当時、非常に穏やかな言い方でございましたが、朝日ジャーナル等も書いておりましたけれども、まあ言う人によって言わしめれば、一種の組合大会を人事
委員会の主催でやったようなものだ、こういうような表現さえあったようでございます。そういうことでございまして、結果は、私どもが
予想して心配しておったとおりのことをたどっておるようであります。そういう意味で、この通達は、事後にはなりましたけれども、一括併合審理を二千人に及ぶ者に行なうということ自体は、審理の実をあげないのだということをはっきりさせる意味もありまして、そのことに言及をしたわけでございます。そういう不適当な審理ということは今後行なわないようにぜひしたいということがございます。
もう一つは、
先ほどもおまえいつ文部省の
局長になったかというお話もございましたけれども、そういうことと
関係なく、要するに、
地方団体の運営について非常に支障を来たすやうなやり方でものを行なうか行なわないか、そして実があがるかあがらないか、これは何人も
考慮をする必要があることでございますし、公平審理そのものの引き起こす業務に対する支障というものは最小限度にとどめるようにお互いにくふうすることが、これは当然のことではないかと思うのでございます。そういう意味で、私どもが申したのは、人事
委員会がいつ公平審理をどういう形で開くのが適当かどうかということを言っておるのでございます。人事
委員会としては、自分の公平審理の立場だけを
考えればよろしいのだ、そこで
地方団体の一切の業務がどうなろうがかかわりはないのだというわけにはいかない。まして、この場合二千人の人です。
関係する学校が百九十八校でございましたか、たしか二百校に及ぶのでございます。そしてそのために、二千人でございますから、概略申しますと大体二千学級について影響があったわけであります。そして授業の振りかえを行なったりいろいろいたしましたが、結局授業を行なわなかったところも約二十学校くらいあったように聞いております。しかも、そういう
状況でございますので、人事
委員会の当局もだんだん調べてみますというと、土曜の午後やりたいとか、休日にやりたいとか、いろいろ折衝したようでありますけれども、この折衝ということ自体に問題がございますが、結局そういうことが一切
考慮に入れられないで、絶対に平日に、言ってみれば、授業に支障を来すことを一つの目的として公平審理というものを固定するようなやり方が行なわれたのではないだろうかというふうにいわれるような見方も出てくることが当然のような当時の
状態であったわけでございます。
そういう意味で、私どもはそういうやり方というものについては、今後そういうことのないように、再びそういう公平審理を行なわないように厳重に注意を喚起するということは、単に熊本県だけの問題ではございませんで、今後の公平審理全体に及ぼす影響というものを全国的に
考えまして通知をいたしたのでございます。