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1967-08-18 第56回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十二年七月二十七日)(木 曜日)(午前零時現在)における本委員会は、次 の通りである。    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君    理事 奥野 誠亮君 理事 久保田円次君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 門司  亮君       木野 晴夫君    久保田藤麿君       佐々木秀世君    塩川正十郎君       中馬 辰猪君    辻  寛一君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       永山 忠則君    古屋  亨君       山田 久就君    井上  泉君       太田 一夫君    河上 民雄君       島上善五郎君    華山 親義君       依田 圭五君    折小野良一君       大野  潔君    小濱 新次君       林  百郎君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十二年八月十八日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 細谷 治嘉君 理事 門司  亮君       塩川正十郎君    辻  寛一君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       古屋  亨君    山田 久就君       井上  泉君    太田 一夫君       華山 親義君    折小野良一君       小濱 新次君  出席国務大臣         自 治 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         大蔵政務次官  小沢 辰男君         自治政務次官  伊東 隆治君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         総理府人事局参         事官      吉岡 孝行君         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         専門員     越村安太郎君      ――――◇――――― 八月十一日  委員久保田藤麿辞任につき、その補欠として  鈴木善幸君が議長指名委員選任された。 同日  委員鈴木善幸辞任につき、その補欠として久  保田藤麿君が議長指名委員選任された。      ――――◇――――― 七月二十七日  地方自治法の一部を改正する法律案太田一夫  君外七名提出、第五十五回国会衆法第二一号)  地方財政法の一部を改正する法律案太田一夫  君外七名提出、第五十五回国会衆法第二六号)  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律  案(太田一夫君外七名提出、第五十五回国会衆  法第三五号)  地方自治法等の一部を改正する法律案太田一  夫君外十九名提出、第五十五回国会衆法第三七  号)  都道府県合併特例法案内閣提出、第五十五回  国会閣法第二三号) 八月七日  旅館業及び風俗営業規制に関する請願(長谷  川正三紹介)(第一三号)  指定自動車教習所助成に関する請願渡辺栄  一君紹介)(第二九号)  市町村営有線放送電話施設助成等に関する請願  (田中龍夫紹介)(第五七号)  消防行政改善に関する請願永井勝次郎君紹  介)(第一〇五号) 同月八日  指定自動車教習所助成に関する請願中曽根  康弘紹介)(第一七〇号) 同月十四日  故障車標示に関する請願箕輪登紹介)(  第二六三号) は本委員会に付託された。      ――――◇――――― 八月九日  地方公務員定年制実施等に関する陳情書  (  第二号)  道路交通法違反による罰金の地方公共団体への  還元に関する陳情書  (第三号)  消防団員退職報償金掛金増額に伴う財源措置  に関する陳情書  (第四一号) 同月十四日  地方行財政制度確立に関する陳情書  (第八〇号) は本委員会に参考送付された。      ――――◇――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  閉会審査に関する件  地方自治地方財政に関する件(地方公務員の  給与改定に関する問題等)   請 願    一 旅館業及び風俗営業規制に関する請      願(長谷川正三紹介)(第一三号)    二 指定自動車教習所助成に関する請願      (渡辺栄一紹介)(第二九号)    三 市町村営有線放送電話施設助成等に関      する請願田中龍夫紹介)(第五七      号)    四 消防行政改善に関する請願永井勝      次郎君紹介)(第一〇五号)    五 指定自動車教習所助成に関する請願      (中曽根康弘紹介)(第一七〇号)    六 故障車標示に関する請願箕輪登君      紹介)(第二六三号)      ――――◇―――――
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  衆議院規則第九十四条の規定に基づき、この際、当委員会の所管に属する事項につき、国政に関する調査を行ないたいと存じます。つきましては、地方自治行政の実情を調査し、その健全なる発展に資するため、小委員会設置関係各方面からの説明聴取及び資料要求等方法により、地方自治及び地方財政警察及び消防に関する事項について、国政に関する調査を行なうこととし、議長に対し承認を求めたいと存じます。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  まず、太田一夫君外七名提出にかかる地方自治法の一部を改正する法律案地方財政法の一部を改正する法律案地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案太田一夫君外十九名提出にかかる地方自治法等の一部を改正する法律案地方自治に関する件、地方財政に関する件、警察に関する件、及び消防に関する件、以上の各件につきまして、閉会審査申し出をいたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、内閣提出にかかる都道府県合併特例法案について、閉会審査申し出をいたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  6. 亀山孝一

    亀山委員長 起立多数。よって、そのように決しました。  次に、閉会審査案件が付託になりました場合、固定資産税住民税等地方税全般について調査するため、小委員十一名からなる地方税に関する小委員会消防関係法令整備及び消防施設整備強化をはかるため、小委員十一名からなる消防に関する小委員会地方公務員等共済制度全般について調査するため、小委員十一名からなる地方公務員等共済制度に関する小委員会、以上三つの小委員会設置いたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、小委員及び小委員長選任、また委員の異動に伴う小委員及び小委員長補欠選任並びに小委員、小委員長辞任の許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  閉会中の委員派遣の件についておはかりいたします。  閉会審査にあたり、現地調査の必要が生じました場合には、派遣委員の選定、派遣地派遣期間等につきましては、委員長に御一任願い、議長承認を求めることにいたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  10. 亀山孝一

    亀山委員長 これより請願審査に入ります。  本委員会に付託されました請願は六件であります。  請願日程第一から第六までを一括して議題といたします。  まず審査方法についておはかりいたします。  各請願内容については、文書表で御承知のことでもありますし、また昨日の理事会において御検討願いましたので、この際、各請願について紹介議員説明聴取等は省略し、直ちに採否決定に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  これより採決に入ります。  昨日の理事会において決定いたしましたとおり、本日の請願日程中、第一、第三及び第六の各請願は、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  残余の各請願は、いずれも採否決定を保留いたしますので、御了承願います。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  14. 亀山孝一

    亀山委員長 なお、今国会におきまして、本委員会に参考のため送付されました陳情書は、地方公務員定年制実施等に関する陳情書外三件でありますので、御報告いたしておきます。      ————◇—————
  15. 亀山孝一

    亀山委員長 地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  地方公務員給与改定に関する問題等について質疑の申し出がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  16. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、去る八月十五日に出されました人事院勧告について、若干の質問をいたしたいと思っておるわけです。  その前に、人事院勧告国家公務員の問題でありますけれども、これに準ずるというのが地方公務員でございます。そうなりますと、第五十五国会自治省設置法の一部を改正する法律案という形でできてまいりました公務員部姿勢というのがたいへん重要になりますから、前提の問題として、この公務員部の性格といいますか、あるいは目的といいますか、あるいは姿勢といいますか、そういうものについて大臣のお考えをただしておきたいと思うのであります。  と申しますのは、七月の十九日にある新聞で、全国市長会から、人事院勧告の中に公務員定年制を織り込んでほしいという申し入れがあったと書かれてございます。それから八月の五日になりますと、「動き始めた定年制」「立法めざす自治省」こういう見出しで、新聞にかなり長い解説記事が載っておるのであります。続いて八月十一日になりますと、「地方公務員定年制」「次の通常国会に提案へ」こういうような表題で、現在の地方公務員法二十八条を改定いたしまして、条例定年制を設けることができる、地方公務員共済組合法の七十九条二項の年齢を下回ってはならぬ、言ってみますと、五十五歳を下回ってはならぬ、職務の特殊性を考慮するんだ、こういう三点を条件とした条例を制定することができるという法改正をやろう。さらにはその中に退職職員の再雇用制度を織り込んでもいい、こういう形の二十八条の一連改定次期国会に出されるという新聞記事が出ておるのであります。さらに八月十三日の新聞によりますと、地方公務員職階制の実現だ、そして現在明細表の検討を始めておる、大体職種というのは二十種くらいで、職級というのは六つくらいにつくる、これによって人件費の重圧にあえいでおる地方財政を救うのだ、こういう新聞記事が出ておるのであります。くしくもこれは公務員部が設けられて直後に、機関銃のように放たれた自治省一連の方針でございます。  そこで私はこの公務員部というものの問題について、これは残念ながら私ども地方行政委員会が扱った法律ではございません。内閣委員会で扱った法律でございます。その内閣委員会参議院の七月十九日の議事録を拝見いたしました。北村参議院議員自治大臣の一問一答が載せられておるのでありますけれども、この大臣答弁を見ますと、いささかあやふやな点があるのであります。質問者はかなり的確に、自治省の中に公務員部を設けることの意義、それがどういう役割りを演ずるかということについて、三つ質問をいたしておるのでありますけれども、その質問の中に具体的な説明がついております。その具体的な説明を、えたりかしこしと大臣はつかまえて、少しぼけた、どうにでも使える答弁をいたしておるように感ずるのであります。そこで、これは大切な問題でありますから、私は要点だけをあらためてこの議事録に基づいて質問を申し上げたいと思いますから、大臣からひとつ要点だけ——形容詞がつきますと、その形容詞が主語になる心配がありますから、ひとりお答えいただきたいと思うのであります。  第一点は、自治省内に公務員部を新設し、公務員に関する事務を強化するにあたって、地方公共団体労使双方に対して常に公正中立立場行政指導を行なうべきであると考えるのでありますが、大臣、どうお考えですか。
  17. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 御指摘のとおり、われわれ自治省といたしましては、労使双方に対して常に公正中立立場指導と申しますか、助言と申しますか、やってまいる所存でございます。
  18. 細谷治嘉

    細谷委員 第二点は、最近の地方財政の窮迫などの事情から、地方公務員人件費ワクを節減することが各地で見られますが、公務員部は、これら財政事情のいかんを問わず、地方公務員待遇改善定員確保権利保護のために絶えず行政上注意を払って積極的に発言し、行政指導を行なうべきであると考えるのでありますが、いかがでございますか。
  19. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 公務員部の最も重要な任務は、ただいま御指摘地方公務員の適正な待遇改善あるいは定数の確保権利保護というものが中心であることはお話しのとおりでございます。
  20. 細谷治嘉

    細谷委員 したがって公務員部設置するということは、公務員労働運動というものに干渉したり弾圧するためのものではないということは確認できますか。
  21. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 もちろん当然のことでございます。
  22. 細谷治嘉

    細谷委員 第三番目は、最近、公務員賃金に関連いたしまして、人事院勧告実施にからんで全国的な闘争が年々激化する傾向にございます。このような場合、地方公共団体においても中央の労働問題から直接影響を受けることから紛争、争議の状態に入ることがございますが、公務員部はこれらの紛争について地方自治体の自主性をおかすような介入、指導を行なうべきでないと考えるのであります。この点、いかがですか。
  23. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 もとより地方自治原則をおかすようなことは、毛頭いたす所存はございません。
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 特に任免権者に属する懲戒処分等について、その具体的な内容にまで立ち入って任免権者強制を加えるような指導をいたさないということを約束していただけると思うのでありますがいかがですか。
  25. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 地方におきまして紛争が起こった場合に、任命権者が行なう個々の処分等について強制にわたるような指導助言はいたす所存はございません。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 大体、大臣のおことばで、公務員部設置についての大臣姿勢というのが明らかになりましたから、人事院勧告の問題に入ってまいりたいと思うのであります。  八月十五日人事院勧告が出されたわけでございますが、七・九%ということになっておるのでございますけれども、私は、この引き上げ率というのが民間のものと比べてやや低きに失するのではないか、こういう考えを持っておるのでありますが、人事院のほうではどうお考えですか。
  27. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 民間のことしの給与上がりにつきましては、いろいろ新聞報道等において、大手企業において幾らというようなことも報道されております。あるいは役所の資料としては労働省勤労統計がございまして、去年の四月対ことしの四月というような上がりが一〇何%ということになっております。それが普通に知られておる資料でございますが、私どもとしては私ども自身の、人事院そのものの責任におきまして、御承知のように、毎年のことでありますけれども、ことしも四月現在に支払われた民間給与というものを的確につかみますために、六千七百の民間事業所を克明に当たって、かつ従業員四十数万人について一人一人当たって個票を集め、そして推計をしまして——これももちろん公務員構成比にちゃんと合わしてのことでありますが、推計をいたしまして、四月における民間水準というものをはじき出した。そして四月における公務員給与というものをはじき出して、お互いにこれを比べて、これだけの隔りがあるというたてまえでやっておるわけであります。四月における現在をとらえての調査としては、私ども調査が一番正確だ、私が申し上げるのはたいへん僭越でございますけれども、そういう自信を持っておるわけであります。労働省勤労統計は、これは御承知のように調べ方が違うわけであります。あるいは超勤が入っておりますとか、あるいはある一つ企業での伸びを示したというような面もいろいろ入っておりますから、これと私ども調査とはまた立場が違い、手続も違うということで、私ども調査結果をひとつ御信頼いただきたいということでございます。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 八月十五日に出されたばかりの勧告でございますから、人事院としては確たる自信をお持ちで出されたことと思うのでありますけれども、いまもおことばにございました労働省統計等から見ますとやや下回っておる、こういうふうに私は言えると思うのでございます。と同時に、この調査の別紙第一にもあるのでありますが、春季賃金改定のものについて二三%にのぼる事業所において遡及措置が行なわれておる、遡及改定が行なわれるということでございますが、この数字も私は少し低きに失するのではないかと思うのでありますが、いかがでありますか。
  29. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 そもそもというところからちょっと簡単に申させていただきたいと思いますが、私どもの基本的な立場は、先ほど申し上げましたように四月現在に支払われたものをつかまえていくのだということで、ずっと過去昭和三十五年以来、あるいはその前からであろうと思うのでありますが、その立場を堅持しておる。ところがここ数年来春闘のおくれというのが非常に目立ってきておる。このおくれをどうしてとらえるか、私どもの基本的な立場からいえば、そのおくれは来年までお待ちください、来年その埋め合わせをいたしましょうということになるわけでありますけれども、そうは言っておれぬくらいに著しいおくれが目立ってきたということから、私どもは、これは前からやっておったことですが、念のために春闘のおくれ分をつかまえ得るだけつかまえようということで、付帯調査的に調べておった。それがおととしでしたか、非常に顕著に二〇何%という事業所がおくれておる、そして四月にさかのぼって払ったということがはっきりしましたから、これは考慮せざるを得まいということで入れたわけでございます。したがいまして、その後、ことしも御承知のようにそういう点のおくれが相当顕著に出て、これは捨て置けないという立場で拾っておるわけであります。これは正確につかまえろとおっしゃれば、調査時期を六月ごろまでずらしてやらぬと正確にはつかまえられません。したがいまして、あまりに毎年毎年春闘がおくれるようなことになりますと、私どもはただそれのおしりを追っかけているというだけではおかしいので、もうちょっと先回りして、先のところで公務員は拾おうじゃないかということに理論は及びますけれども、いまのところは、できるだけのところをつかまえようということでやっておるわけであります。そのつかまえた限りにおいては正確であると思います。
  30. 細谷治嘉

    細谷委員 つかまえた限りにおいてはということは、これはそのとおりだと思うのでございますけれども、私がいま申し上げましたように、二三%というのはやはり低きに失しているのじゃないか、しかしそこをそうつかまえたのだということでありますと、これは議論並行線になりますけれども、この点に、このつかまえた限りにおいてはとおっしゃっておりますけれども、ここに一つ問題点があるのではないか、こう私は思うのであります。  それから、この各職種についての勧告給与表でございますけれども、この給与表は、かつて見ないように、ほぼ同一のアップ率という形になっておるようであります。言ってみますと、金額から見ますと上厚下薄、こういう批判が当然生まれてくるのではないかと思うのであります。たとえば最高が二万円をこえるアップが行なわれる、最低になりますと千数百円ということになるわけでありますから、今日の物価上昇下における生活、こういう点から見ますと、上厚下薄という理屈は当然批判として受けなければならぬと思うのでありますが、これについてはどうお考えになっておりますか。
  31. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私ども調査についての大原則はさきに申し上げたとおりであります。したがいまして、たとえば七・九という大ワクはそこでつかまえた、しからばその中でお医者さんはどのくらいの賃上げをするかということがございますと、やはりお医者さんはお医者さんで、民間のお医者さんと見合わせていかないと水準が保てない、課長さんは課長さんで見渡して並べてみないと水準が保てない、これは当然そういうことであるべきだと思います。そういうふうにしてみますと、ことしの場合これは相当な特徴だと思いますが、民間の場合もずっと平準といいますか水平線といいますか、そういう傾向が非常に顕著に出ておる。そういう点が主としてわれわれとしてはこういう形の勧告を申し上げた根拠になると存じます。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、人事院でありますから、労働基本権を奪われた人事院役割りというのは、申すまでもなく公務員生活権利を守っていく、こういう立場が非常ににウエートがあると思うのであります。そういう点におきまして、いまおことばのように各課長なら課長係長なら係長という点をとらえて、そしてその結果がそうなったのである、そして森の全景というものについての総括的な判断をいたさなかったところに、どうもやはり欠陥なり問題点があるのではないかと、こう思うのでありますが、この点いかがですか。
  33. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 そういう点の判断と申しますか、配慮と申しますか、それはもう常に怠らずにやっております。たとえば物価上がりがどうだ、あるいはことしの生計費上がりがどうだということもにらみ合わせながらもちろん判断しておりますので、年によっては生計費上がりが非常に多いからということで、やはり生活防衛的な措置をとらずばなるまいという手当てをしたこともございます。ことしは、いま申しましたような形で主として重点を置いて勧告を申し上げましたということであります。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんからあまり突っ込んだ議論はできないのでありますが、私は、ここに一つ問題点があるということを指摘するにとどめておきたいと思います。  それから次の問題点は、この委員会の席だったと思うのでありますけれども、この人事院勧告に基づきまして、県の人事委員会は当然また勧告を出されるのでありますが、ある県の人事委員会勧告に、人事院勧告を上回っておる点が指摘されておるのであります。それは何かと申しますと、今日の段階におきましてはやはり住宅手当というものを出すべきである、こういうのがその人事委員会の知事なりあるいは議長に対する勧告でございました。この住宅手当の問題は、国家公務員に関する人事院勧告の中でも過去数年来問題になってまいったのでありますけれども、今回もこれが取り入れられておらないのであります。一体いかなる理由でこの問題を取り入れなかったのか。これをひとつお伺いしたいと思うのであります。
  35. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ごもっともな御指摘だと思いますが、申し上げるまでもなく、また、いまのお話にもありましたように、ここ数年来住宅手当を支給せよという要望は非常に強いものがあります。したがいまして私どもも、これは重大問題だという意識を持ちまして、御承知のとおりにここ数年来毎年しつこいくらいに民間住宅手当支給状況、これを調べて追及してまいっておりますが、昨年の現在でようやく支給事業所が三七%、ことしは四〇%を越した。確かに伸びは示しておりますけれども、まだ大多数の事業所が支給しておるというところまではまいりません。したがいまして私ども立場としては、これはたいへん重大な問題でございますから——また住宅手当をかりに支給するとしたら、持ち家を持っておる者はどうするとか、兄貴の家に下宿しておる者はどうするとか、いろいろたいへんな問題がございます。それはそれとして検討しなければなりませんけれども、何ぶん民間の状況はまだこの程度でございますために、ことしは見送ったということでございます。
  36. 細谷治嘉

    細谷委員 巷間伝えられるところによりますと、住宅手当を見送ったのは、調査の結果、民間事業所における住宅手当支給の実績が四〇%を割っておる程度なので、これがやはり六〇%ぐらいにならないと住宅手当ということは考えられない、こういうようなことで見送られたというか、むしろこれを勧告の中に入れなかった、こういうふうに伺っておるのでありますが、根拠はそういうところにあるのでありますか。
  37. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほど申し上げたことが大体いまおことばのような趣旨のことを申し上げましたので、要するに民間事業所が、圧倒的多数の事業所住宅手当を支給するような事情になりましたら、こっちもすわり直して考えざるを得ないという態度でおりますが、そこまでことしはいっておらぬということであります。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、住宅手当の問題につきましては、人事院調査の結果は四割ちょっと割った三九・六%であったから、これが過半数を越す段階まで見送るのだということのようでありますけれども人事院総裁承知のように、今日民間会社はどういう政策をとっておるかといいますと、持ち家制度あるいは社宅——社宅というよりむしろ持ち家制度ということに重点が置かれていっておるのであります。それについては、要するにきわめて低利の融資というものをして、そして会社の持っておる土地を非常に安く提供して、それを払い下げて、そこに自分の持ち家を建てさせるという方向がかなり顕著に出てまいっておるのであります。そういうことでありますから、言ってみますと、民間というものはあまり転勤などはないのであります。それは転勤はなくはありませんけれども、移ったら十年とか十五年とか、大体一生のうちに一度か二度くらいの転勤というのが多いのであります。そういうことからいきますと、転勤のある事業所というのは大体五割五分程度、六割近く住宅手当を支給いたしておるという実績がございます。こういうことから申しますと、内容をつぶさに検討をし、あるいは民間会社のいま指向する住宅政策の方向等からいきますと、単に四割をわずかに割っているということだけで住宅手当を見送ったということについては、私はどうしても解せないのであります。  あなたのほうのこの勧告を見ますと、今度のたとえば宿日直手当を改定いたしておるのでありますが、改定幅につきましてはともかくといたしまして、たとえば宿直手当については四割五分、日直手当については四割八分、そういうふうになっておる。だからひとつ宿日直手当を改定しよう、こういう結論を出しておるわけですね。そういたしますと、住宅手当は、言ってみますとわずかに四〇%でありますが、これは四五と四八でありますから、五〇%割っているのですよ。五%と八%しか差がないのですね。これはずっと前に改定されたものでありますから、改定するのが当然でありますが、その根拠からいきますと、住宅手当を見送ったのはほかに何らか言われない御理由があるのではないか、こう考えざるを得ないのでありますが、いかがですか。理屈にならぬですよ。
  39. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 そういう御推察のようなことはもうもちろん全然ございません。われわれは純真な気持ちでやっておるわけであります。  先ほど御指摘の、宿日直のほうのパーセンテージは低いじゃないか。あまりそれをおっしゃると、それではやめざるを得ないかなということになりますが、そうもいかず、大体民間では宿日直関係では警備員という専門家をずいぶん雇っておりますから、おそらくそういうことからパーセンテージも減ったと思います。こっちは、やっている人はたくさんいるのですから、それをやめてしまうわけにいきません。民間が上がったならやはり上げるほうがいいじゃないかということで上げたので、それを引き合いに出されるとわれわれのほうとしてもちょっと困ることになるわけであります。  ところで、いまのお話の中で大いに示唆されるところは、民間では持ち家政策をやっておるじゃないか。これは私ども賛成で、あるべき政策の姿としてはたいへんけっこうなこと。これはしかし、現在共済組合あたりで貸し付けをやっておりますけれども、それをさらに輪をかけて、もっと有利な条件で持ち家を持たすということは、私は遠い将来の問題としてはきわめてけっこうなことたと思う。  もう一つの社宅の問題。これはもう民間ではそういう御指摘のような傾向が出ます前から、私はつとにこの住宅手当の要望に関連いたしまして、総理大臣、大蔵大臣に要望書という形で書面でお出ししたことさえある。毎年その努力を——公務員宿舎を増設していただきたい、それから独身寮をも増設していただきたい。そのほうの要望をしつこく続けてまいりまして、これは政府の深い御配慮によりまして、毎年予算上の増額がされまして、だんだんに入居率がふえております。ことしも総理にお会いし、大蔵大臣お会いして、もう一息——もう一息ではありません。もっともっとということですが、ひとつ御努力をお願いしますということで強くお願いしてきたわけです。そういう点もやはり並行して考えるということは、おっしゃるとおり当然の姿だろうと私は思います。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 重ねて申し上げたいのであります。総裁のおことばに、それを言われるということになって、まあまあ宿日直手当はもとどおりしておけばよかったのだ、これは総裁、感情ですよ。過去にこれを改定されたのは三十六年くらいでしょう。それからいって、今日まで改定されておらないのでありますから、二十数%の改定ということになるのは、これはあたりまえのことだと私は思うのですよ。そういたしますと、私が申し上げるのは、住宅手当というのは今日やはり必要なものなのでありますから、なるほど公舎は逐次増加しつつあることは認めます。認めますけれども、これは役職員でありまして、一般職員に恩恵がなかなか及ばないというのが今日の状況でございます。大臣もいらっしゃいますが、地方公務員について転勤がありますけれども、あとで質問します都市手当というものは、転勤されないようにしようという歯どめに使うつもりかもしれませんけれども、その辺の政策がはっきりすれば別です。別ですけれども、あなたのほうのおっしゃる民間で過半数がまだ住宅手当というのを実施してないからやめたんだという理屈は通らないのではないか。私はこの数字にこだわって申し上げているのではありません。やはり宿日直手当が民間関係ではこういう形であるけれども、これはこういうふうに改定したいという以上は、住宅手当というのは当然勧告の中に織り込むべきであったのではないか、これが筋じゃないか、理屈というものじゃないかということを私は申し上げておるのであります。これは常識だと私は思っているのであります。  そういうことでございますから、ひとつ総裁にお尋ねしたいのでありますが、この住宅手当につきましては、今年は勧告の中に織り込まれておりませんから、地方公務員は、必要があってやりたくても、地方自治法に書いてないのでありますから出せないのであります。真剣にこの問題について今後も取り組む、こういう御意思がおありかどうか、念のために総裁にお聞きしておきたい。
  41. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 もちろん当然のことでございまして、ことしやめたということは、今後思い切ったということは絶対一言も申し上げておりませんから、もちろん問題の重要であることは常に念頭に置きながら今後も臨む、そういうことで御了承願います。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 次にお尋ねしたいのでありますが、なかなか人事院は念の入ったことでありまして、過疎、過密対策、いずれもこの勧告の中に織り込んだようでございます。過密のところには都市手当というのがついたのでございますね。過疎地帯のお医者さんについてはだいぶ調整手当を上げておるのであります。ところで都市手当というものは、なるほど公務員制度審議会等で十年くらい前にこの問題に言及したことはあるのでありますけれども、その後とんと勧告の中に織り込まれないで、言ってみますと、突如として今度の勧告に都市手当というものが出てまいりました。過去に地域給というのがありました。一級地、二級地、三級地、四級地というのがありました。その後級地というものはだんだんなくそうというのが人事院勧告の方針でありました。そして何年か忘れましたけれども、そういう定率が定額に変わったわけですね。そして今度のこの勧告の中には、ひとつ計画的に地域給というのを、いわゆる暫定手当というものをなくしていく、こういうことになったかわりに都市手当というものが出てまいったのであります。私から言わせますと、突如として都市手当というのが出てきたような感がするのであります。新聞にもそのことが書いてあるようであります。もちろん新聞の真偽のほどは、これは私どもはわかりませんけれども、言ってみますと、八月の一日ぐらいから勧告の十五日ぐらいの間に突如としてこの都市手当というものが出てきたような感を私は持っておるのであります。この都市手当をつけるに至った根拠なり背景というものを、この勧告の中にも若干書いてありますけれども、御説明いただきたいと思う。
  43. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ごもっともな御指摘だと思います。いま、たまたま十年というおことばがありましたが、もとの地域給が暫定手当になって凍結されたのがたしか十年前だったと思います。その後御承知のように、一般職の給与法の中にこういう地域事情、これは人事院の責任としてあがっておるのですが、給与法二条六号ですか、「給与決定する諸条件の地域差に対応する給与に関する適当と認める措置国会及び内閣に同時に勧告」しろという趣旨がありまして、そのために「生計費等の調査研究を」行ない、それに伴って従来の暫定手当の整理を含むというのがカッコに書いてある。ほんとうはあまり大いばりで言えることではありませんけれども、この条項が入って相当年がたつわけです。私どもとしてはやはりこういう処置をとらなければならぬ責任を持っておるわけです。従来いろいろ研究を続けながら、その機会を考えておったのでございますけれども、たまたまことしはそれに踏み切っていいだろう、タイミングとして今日が一番絶好のときであろうということで、この法律の命ずる措置を、今回都市手当の形で勧告申し上げた。別に事新しいことでは全然ございません。かねがね私どもが背負わされておったこれは責任を果たしたつもりでおるわけであります。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 責任を果たしたということでありますけれども、地域給というものは、一種のやはり生活給的なものとして、それに対応するものとして五%、一〇%、一五%という形で定率で支給されておったわけでね。これはたしか三十五年前後と思うのですが、六年か知りませんが、定額になったわけですね。そして逐次本俸に繰り入れられるという措置をとったわけですね。言ってみますならば、そういうことについては、もうだんだん廃止の方向だ。給与体系というのは簡素化していこう、こういう人事院の基本方針があったのではないかと私は思っておったわけですね。ところが今度突如として、文字どおり突如として都市手当が出てきた。都市手当の性格というのは、あなたのほうで廃止した地域給的な性格を持っておるということは、これはいなめない事実だと思うのです。さらに言ってみますと、住宅手当のすりかえに政治的に持っていったんだ、こういうふうに考えてもいいのではないかと思うのであります。この都市手当というのは、今日過疎対策、過密対策というのがいろいろ重要な問題になっておる段階において、あるいは人事の問題等についていろいろな問題点をはらんでおるのではないかと思うのであります。きょうの新聞に、たまたま藤枝自治大臣の話が出ております。「地域給がようやくなくなったと思ったら、再び人事院勧告にもり込まれた。都市手当ては住宅手当てにかわるものというが、これが地方公務員に適用されると、六%と三%の差がつき、人間心理として小中学校の教員や医師はますますへき地をきらうことになる。これは人事管理上からいってもまずく、大きな問題なので反対の方針を決めたのだ」こう新聞に出ております。新聞のことでありますから、うそかほんとうか知りませんけれども、こういう批判が出ております。これはうそとは言わぬだろうと思うのですが、自治大臣の御意見も承りたいのでありますけれども、この都市手当については、最初は一割を人事院考えておった。そして、とにかくかん詰めにした。委員会に来ていただきたいというときに、かん詰め状態で来られない、来られないと盛んに拒否しておったときに、もっぱら住宅手当の協議で、ねじりはち巻きでやっておったといううわさがあるのでありますけれども、どうも私はその辺で一貫していないんじゃないか、政策的なものがあるんじゃないかと思うのです。政策的ということはいい意味じゃないです。人事院の基本性格からいきますと、やや問題になるような政策的なものがあるんじゃないかという感がいたすのであります。これは私の見方であります。これについて総裁のほうで何かありましたら、お聞きしたい。  自治大臣、この新聞に書いてあるとおりに思うかどうか、お聞かせ願いたい。
  45. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ポイントだけ申し上げます。政策的ということは全然ございません。私は元来政治性がないということが欠点とされておるわけであります。そういうことができれば、ほんとに自分も大成するだろうと思うのです。これはよけいなことですか……。  それから、ねじりはち巻きは事実です。それは、勧告の前十日あたりは、ほんとの追い込み戦でございまして、そのために、どうかきょうの質問はごかんべん願いたいということを申し上げたこともおそらくあったと思います。そういうねじりはち巻きの状況であったということは事実でございますが、これのためのねじりはち巻きとは申し上げられないということであります。
  46. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 人事院からの給与に関する勧告をいただいたばかりでございまして、その内容については種々検討をさせていただきたいという考え方をまず持っておるわけでございまして、そういう検討中に、賛成とか反対とか、四の五の言うことは差し控えたいと思います。ただ、勧告をいただいて、私、気がついた一つとして、新しい都市手当制度というものかありますので、これについて、はたしてこれが特に地方に散らばっておりまする地方公務員、あるいは一方私のおあずかりいたしております警察官というような全地域的に勤務をしてもらわなければならぬ、これは教員もそうでございますが、そういう人たちと、都市手当というものかどうなじむのであろうか、あるいはこれらの方々が、公務員の諸君がどういう納得をするんであろうか、その辺のところをひとつ十分研究させていただきたいという意味で、給与関係の閣僚協議会においても私は特に発言を求めて、大きな研究課題であるということについて発言はいたしておるわけでございます。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 自治大臣新聞に書いてあるのは非常に態度がはっきりしておるのですけれども、いまの答弁は、ウナギをつかむよりもっとむずかしいような答弁で、私は大臣の意向が那辺にあるのか疑うのでありますけれども、私はおそらく地方団体の指導に当たっておるその責任者である自治大臣としては、今日、僻地、辺地に学校の先生を動かすということについては——地方団体というのは、大体もう、そこに行っている三年なら三年じゃなくて、一生二号俸をひとつつけますから行ってくださいという形でやっておるのですよ。昨年ですか、一昨年ですか、私ども地方行政委員会で熊本県を調査いたしました際に、熊本県の知事が私どもに答えたのでは、私どもでやっと僻地に三年なら三年行っていただけるなら二号俸を終身つけますということで、ようやくそういう人事問題が曲がりなりにも解決できるようになったということを述懐しておりました。これによって、そういうことが一そう激化するのじゃないかと思うのです。自治大臣はそういう点を一つ心配されておるのじゃないかと思うのです。自治大臣の心境というのは、やはりこの新聞に書いてあるのがほんとうの腹ではないかと私はそんたくいたしておるわけでありますが、いずれにいたしましても、この都市手当というのは、過去の人事院勧告の基本の方向からいきますと、問題がある点ではないか、こう私は思うので、そういう点を指摘しておきたいと思うのであります。  それから小さいことでありますけれども、宿日直手当なり、あるいは常直手当等が上げられますと、免税点等の関係が出てくるのだろうと私は思うのであります。この辺は当然御配慮いただけるものと思うのでありますが、これは人事院としてはいかがでしょうか。大蔵省が来ておりますから、聞くまでもないことだと思うのですが……。
  48. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私ども立場から申しますと、公務員に対する税金は、できるだけかからないようにお願いしたいという一本やりでございまして、あとはひとつ大蔵当局からお聞き取り願いたいと思います。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 人事院ははっきり答えておりますが、大蔵のほうはどうなんですか。上げてもらったけれども、全部税金にひっかかるのではかわいそうですよ。
  50. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 宿日直手当についての税金との関連の御質問でございますが、私、あるいは間違っておるかもしれませんが、宿日直手当につきましては、これは課税対象になっておるのじゃないかと思います。ただ、通勤手当につきましては、従来人事院勧告に基づきまして、上がった場合にはそれ相応の課税上の考慮を払っていたというふうに承知いたしております。
  51. 細谷治嘉

    細谷委員 宿日直手当は、今度上がることによって、免税点からはずれてくるのじゃないかと思うのですよ。
  52. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 どうも勉強不十分でございますから、ただいまの答えは保留させていただきたいと思います。
  53. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 たしかこの前の委員会で同じような御質問が出まして、私から、そういう勧告が出た場合、またその勧告に応じまして政府がどういう態度をとるかということについては、まだ決定をいたしておりませんけれども、もし決定をした場合には、従来税金がかかってないものが、上がった分だけかかるというかっこうになれば、これは事実上意味が非常になくなりますので、その点について御質問があり、十分検討したいというふうにお答えをしておったと思うのでございます。今回の勧告案につきまして、まだ政府部内でそれぞれの内容につきまして、これを政府としていつから実施し、また内容をどうするか、先ほど来御議論がありますように内容の中には問題点もございますので、そういう点の検討を十分いたしました上で、もし宿日直手当についての増額を政府として承認をするという場合には、前回お答えをしたような方針で私どもも検討してまいる所存でございます。
  54. 細谷治嘉

    細谷委員 政務次官は、いまの段階ではそれ以上のお答えはできないと思います。私は、人事院勧告実施する、その場合に、いままでは課税対象になっていない、実費弁償的なものなんですから。それが今度まるまる税金の対象になるということになりますと、実質的には逆にマイナスになるということにもなりかねないのでありますから、これは当然そういう措置はするのだ、こういうことに次官のお答えを了解しておきたいと思うのであります。  次にお尋ねしたいのでありますが、人事院はいままでとにかく客観的な資料ということで、客観的に、政治的には動かされないでいく、それが自分の総裁としての特徴なんだ、こうおっしゃっておるのですがね。筋を通すことであるのなら、なぜ四月からにしなかったのですか。四月の調査をしたでしょう。問題がありますといっても、二三%やっているというのですから、五月からでなくて四月からという勧告は当然でしょう、筋としては。ここにきますと五月という最後の締めくくりになっているのですが、これはちょっと筋がおかしいと思うのです。四月を調べたのですから、四月からそういう差がついているのだ。だからこの分をこれだけ上げるのだ、こういう勧告をなさっているのですから、五月からでなくて四月というのが筋じゃないでしょうか。
  55. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御承知のように、昭和三十五年以来人事院は、四月調査に基づく結果の給与改定を五月一日にさかのぼっていただくことが筋であるというたてまえでずっとまいったと思います。しかし、近年、いま御指摘のように、四月調査ならば四月というのが筋じゃないかという御議論もあります。私は、そういう点はきわめて謙虚に考えまして、はたしてどっちが絶対的に正しいかというところまでは突きとめておりませんけれども、四月説というのもなるほど一理はあるというところまで、いま心境が動いてきているわけであります。
  56. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ一理あると言うのですけれども、私は、総裁の気持ちというのは十理あるということだと思うのですよ。一理どころじゃないです、これは。調査の基礎からいきますと、そういうことです。がしかし、まあ一理あるということをお認めになりましたから、ひとつ次に進みたいと思います。  この人事院勧告に基づく必要財源というものと、それから新聞等に報道されております必要財源との間には、はなはだしい差があるのでありますけれども、これをひとつ解明していただきたいと思う。言ってみますと、人事院勧告に参考として末尾に書いてあるのは、俸給表の改定に伴い必要とされる経費二百六十一億円、勤勉手当の増額に要する経費二十三億円、都市手当の新設及びその他の諸手当の改善に要する経費三十五億円、合計三百十九億円となっておるのであります。ところが、大体新聞等に書かれてあります数字は、一般職の国家公務員に対して七百四十億円だ、特別会計が百五十億円だ、合計八百九十億円必要なんだ、こういうふうに書かれてございます。そういたしますと、ずいぶんの差があるわけですね。これは非常に差があるわけです。あまりにも大きな数字の差がございますから、この辺を明らかにしていただきたいと思うのです。
  57. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 その事実は確かにあるわけで、従来たびたびその点は御指摘いただいておるわけです。私どもの数字は、私どもは財政当局でも何でもございませんから、ただじみちに、今度の勧告から直接出てくる経費は幾らだということを、ほんの参考のために計算したわけです。大蔵当局の側に立ちますと、そればかりではない、まだあらゆる面に連鎖反応が起こってまいります、退職金の関係その他だんだんたどっていけば、いろいろなお金が当然出てくるわけです。その関係から、そういう広い面からおとらえになりますれば、数字は大きくなることはあたりまえであります。したがいまして、人事院が何もお金のことまで勧告に書かぬでもいいじゃないかという気持ちは——どもは、これは政治性がないものですから率直に申し上げるのですけれども、思いつつも、まあしかし従来やってきたことを今度落としたら落としたでまたいろいろ御疑問が起こっても困るだろうというので、今度は(参考)ということでカッコをつけまして、そういうことでその気持ちがここにあらわれているということで御了承願いたいと思います。
  58. 細谷治嘉

    細谷委員 そういうことにいたしましても、一般職で七百四十億円、こういわれている。一方は三百十九億円ですからね。この数字はいかにいたしましても、参考に値しない数字と申さなければならぬわけですね。少なくとも参考である以上は、当たらずといえども遠からずという数字が出ませんと、私は問題があると思うのであります。この辺はいかがですか。これはやはり親切ですよ。こういうアップをやりますとこういう金額になりますというのは、参考でけっこうでしょう。しかし、出したものが三百十九億と七百四十億というような数字の違いがありますと、これはキツネにつままれたよりももっとひどいです。その辺を私はもっとはっきりお聞きしたいと思う。
  59. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 よくわかります。先ほど御説明が漏れましたけれども、私どもは、人事院の所管する四十七万人ですか、一般職の公務員たちの分だけを計算しておるということは、また一つの大きな違いで、大蔵当局から言えば、特別職もあります、自衛官もあります、その他広く人事院所管以外の公務員がたくさんおられるわけであります。  それから、先ほど触れましたように、連鎖反応のすみずみまでこれをつかまえてということになりますから、ですから、いまの数字についての御指摘は、まことにごもっともなんで、来年はもう少しこれは検討したらよくはないかというふうに気持ちを動かされておるわけであります。
  60. 細谷治嘉

    細谷委員 国、家公務員に関する実際の数字と、いや私どもはその部分だけやったのだということになりますと、たいへん大きな数字上の違いが起こりますから、私どもは間違いだと申し上げておるわけじゃないのです。しかし、問題がありますので、その辺は、やっぱり参考というからには、参考らしい数字を掲げていただくべきではないか、こういうことを申し上げたいと思うのであります。  最後にお尋ねしたい点は、五月一日から実施すること、こういうことであります。昨年あたりは八月十三日に勧告されたのでありますが、昨年あたりは、人事院総裁は、今度はぜひとも五月からやってもらうのだということを、勧告した当日の十三日か十四日の新聞には、人事院総裁としての談話が出たのであります。今度はその決意のほどは内に秘められたと思うのですが、あまり新聞には出ないのであります。人事院総裁は今度はどんなことがあっても財政上の理由は許さぬぞという形の決意のほどが出ていないのですよ。言ってみますと、ことしはあなたの勧告どおりやらせるには千載一遇のときですよ。その辺で、私は、総裁が内に秘めて、今度は言わぬでも間違いなくやってくれるだろう、こうお思いになって、決意のほどを腹の中におさめられたと思うのでありますけれども、念のためにその腹の中の決意のほどを伺っておきたい。
  61. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 決意を腹の中におさめて済むようなことなら幸いだと思いますけれども、実情はそうはまいりません。毎年毎年繰り下げられておるわけであります。ことしこそはという意気込みをもって、総理にお会いしましたときも、あるいはその他の関係閣僚にお会いしましたときも、ここに証人として藤枝大臣もおられますけれども、強く、ぜひことしこそはというお願いをしておるわけで、新聞に出るか出ないかということは、これは新聞のほうの自由でございますから、私どものほうからとやかく申し上げる筋はございません。私どもも十分努力いたします。  それから、この機会にお願いしておきたいことは、この場で私がお願いするとすれば、むしろ私ども国会に対して勧告を申し上げておるわけでありますから、国会としてぜひひとつよろしくということを大きな声でここでお願いせざるを得ないわけであります。ぜひひとつよろしくお願いいたします。
  62. 細谷治嘉

    細谷委員 少なくとも昨年と同じ決意で、内閣ばかりでなく国会にやったのだから、国会もひとつ大いにやれというのは、総裁が昨年おっしゃったことばであります。本日もまた、そのことばをお聞きしたのであります。まあひとつ、それにいたしましても、やはり勧告したからには、総裁がいまおっしゃったように、勧告が削られておった。今日その勧告の削られた部分というのは、積算いたしますとばく大な額にのぼるといわれております。そういうことでありますから、ひとつ人事院総裁におきましても、勧告はぜひ完全に実施すべきだという、そのしりぬぐいと申し上げるか、その勧告の行くえというものは、十分監視する責任があろうかと思うのであります。むろん国会の責任でありますし、内閣の責任でありましょうけれども、ひとつ人事院総裁においても、格段の努力を私はお願いしたいと思う。  ところで、大臣がいらっしゃいますから伺いたいが、大臣は六人委員会のメンバーでありますから、いま人事院総裁から決意のほどを言われたのでありますが、去年は財政事情が困るからということでありました。毎年、毎年、財政事情が困るということを言っておりましたね。今度はそれはないですよ。大体ないと私は思うのです。これはあとでちょっと質問したいと思うのであります。今度は大臣、総裁は四月も一理あるとおっしゃっていたのですが、勧告は五月でありますね。五月でありますから、五月実施ということは、財政上の理由ということはないのでありますね。ところが新聞ではやれ十月だ、九月だ、八月だというような話がもう出ているのですよ。けしからぬことだと思うのでありますが、大臣、六人委員会の有力なメンバーとしての大臣の御意見を、ひとつこの際承っておきたいと思います。
  63. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 勧告をいただきまして、そしていま検討中でございますので、この際にどういうことをするというようなことは申し上げかねますけれども、常に人事院勧告は尊重するという政府のたてまえは、これは貫かれていかなければならないということでございます。ただいま、ことしは財源的にはもう問題ないはずだ、こういうお話でございますが、はたして問題がないかどうか、これもやはりもう少し税の伸び等の実態を把握しなければ、そう断定もできないことだと思いますが、いずれにいたしましても、人事院勧告を尊重して、公務員諸君の期待にこたえるように努力をいたしたいと考えております。
  64. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、まあ財源の問題でありますが、大蔵政務次官にお尋ねしておきたい。  昨年この席でやはりこの問題について御質問したとき、新聞等では、税の自然増は大体千二百億円ぐらいはあると書かれておったときに、政務次官がおいでで、大体五百億円ぐらいです、最後に、多く見積って八百億円ぐらいでしょうと言っているのです。こういうふうに昨年の、いまごろよりちょっとあと、九月ごろそうおっしゃっていた。ところが今度は新聞では二千四百億円くらいの自然増があるという数字が出ておるのです。去年のちょうど二倍です。去年はどうかといいますと、補正段階で千六百億の財源をひねり出しているのですよ。政務次官が八百億と言った、その倍出てきたのです。今度は二千四百億で、新聞に書かれている金額は去年の倍でありますから、政務次官、新聞等では補正要因というのは二千五百億円とか二千八百億円ぐらいはあるのだ、こういうふうに書かれておるのでありますけれども、自然増が多いということはまあ事実のようであります。そこで、どういうふうに見積もられておるのか、なかなか言えないかもしれませんけれども、去年、一年前よりは、政務次官は十分に国のさいふのことをおつかみになっているでありましょうから、ひとつお聞かせをいただきたい。
  65. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 自然増収の問題につきましては、いろいろな予測を新聞等で拝見をいたしますけれども、私どもとしては、毎年同じようなことを申し上げて恐縮なんですが、九月期の決算の見込みを見ませんと、なかなかその年度間における自然増収の見通しというものはつけ得ないのであります。そういう面でいまここで一体どれくらいだ、こう言われましても、なかなか正確にお答えができません。ただ、たいへん恐縮でございますけれども、自然増収があったから、それを全部給与問題で考えていくというようなわけにはいかないのでございまして、財政上の問題ということは、ただ単に金があるとかないとかいうよりも、他のいろいろ国民経済全般の問題、特に御承知のとおり社会党の先生方からは、もうこの四月以来強く国債の減額等の措置を迫られておる状況でございますし、いろいろな点を勘案しまして、やはり国民経済全般の推移をよく的確に検討した上で、私どもとしては結論を出していかなければならぬものでありますから、いまここで、どうも国務大臣でおありになる自治大臣答弁以上のことを、政務次官が申すわけにはいきませんので、どうぞひとつその辺でお許しを願いたいと思います。
  66. 亀山孝一

    亀山委員長 細谷君、ちょっと時間もあれですから、簡単に願います。
  67. 細谷治嘉

    細谷委員 華山君がやらぬということでありますから、私はその時間をいただいてやっておるのでありますが、注意されましたから……。  政務次官、こっちは自治大臣ですよ。あなたは大蔵大臣の政務次官ですから、自然増がどのくらいなのか——私が申し上げたように、昨年は千二百億くらいの自然増があるだろうといわれたときに、補正予算は千六百億やられた。そのときあなたはどう答えられたかというと、八百億くらいでしょうと言っておられた。ことしは新聞は二千四百億あるといっておるのですよ。倍もある。そうして補正要因は三千億近いといわれておるのです。そうすると自然増が昨年よりもあるという見込みだということだけは、これは異議ないでしょう。——頭を上下にやったということは、異議ないということでしょう。
  68. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 昨年よりは自然増収が伸びることは、それは確かだと思います。
  69. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで政務次官にお尋ねしたいのであります。フィスカルポリシーというのが、いまの政府の財政政策ですね。そのフィスカルポリシーというのを地方財政にも当てはめようと、いまやっきになって大蔵省がやっておるようでありますけれども、そのとおりですか。大体フィスカルポリシーというこれを、全く構造の違う異質な地方財政に押しつけるなんということは、学者の間でも、地方財政がフィスカルポリシーをじゃますることは問題だけれども、協力する必要はないというのが学者の定説ですよ。自治大臣にこのフィスカルポリシーと地方財政との関係を聞きたいと思っているのですけれども、このフィスカルポリシーというのを地方財政に押しつけようというのが大蔵省の態度だと仄聞いたしておるのでありますが、そのとおりですか。
  70. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 地方自治並びに地方の財政運用につきましては、その自主性はあくまでも尊重してまいりますことは、これは先生がこの点につきましてどういう具体的な点でおっしゃっているかわかりませんが、私ども地方財政全般の動きにつきましては、それはやはり重大な関心を持ちますけれども地方自治並びに財政運用の自主性につきましては、それはもう十分尊重していく態度には変わりございません。
  71. 細谷治嘉

    細谷委員 自主性は尊重するけれどもということで、新聞では具体的にこういうことが出ているのです。自治省は、税の伸び等で地方財政が若干よくなったにしても、地方財政はいろいろな問題をかかえておる、したがって、地方財政計画に盛られたもの、あるいは地方財政そのものを抑制する必要はないというのが自治省考え方のようでありますが、大蔵省は抑制するのだ、こういう形のようでございます。具体的にどういうことが考えられたか。昭和四十年度に当初予算に織り込んだ、国税三税が減った、そのために交付税が約五百億円へっ込んだ、正確にいうと四百七十五億円だそうでありますが、へっ込んだ、これは当初予算どおり補償した、これは出世払い——税が伸びたので、地方財政が裕福になったのだから、出世払いだから今度返してもらおう、こういうこともおっしゃっているようでありまするし、地方債も抑制しようやとか、いろいろな形で出てきておるようでございます。あるいは地方交付税率の三二%は高過ぎるから、一つの景気の動向によって三二%を調節しようやなんという意見もあるということが新聞に書かれております。政務次官、大臣、そんなやりとりがあったのですか。あったとするなら、地方財政にもフィスカルポリシーを押しつけているということですよ。その間の事情をはっきりしていただきたい。
  72. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 あるいは新聞に報道されたこと等を基礎にして御質問かと思いますが、現在、ただいまおっしゃったような問題について大蔵省と自治省と折衝をいたしておる事実はございません。
  73. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 大臣のおっしゃったとおりです。
  74. 細谷治嘉

    細谷委員 最後に、もう時間がありませんから、政務次官、フィスカルポリシーといういろんな事情、特に国際収支の問題がけわしいところに来ているようで、大蔵省はあわてていないと言うけれども、あわてているようであります。フィスカルポリシーという国の財政政策というのは、地方団体は自主的なんだということばは、それを押しつけることはしないということをここで確認してよろしいわけですね。
  75. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 ことばのあやだと思うのですけれども、押しつけるとおっしゃいますが、私ども、やはり国全体の景気の動向なり、あるいは国民経済のいろいろな各方面の事態をよく見まして、それぞれ適切な手を打っていかなければならないわけでございます。その場合に、国のほうではそういうような政策をとるが、地方のほうでは、それと逆行とまではいきませんけれども、全然そういうような考え方が一つも行なわれていかないということになりますと、やはり国全体の経済というものの安定的な運営というものができませんので、そういう面では、押しつけるというような意味じゃなくて、お互いに日本経済全般の問題を考えながら協力し合う、こういうことでいろいろ話し合いが行なわれるわけでございますから、私どもは、自主性はあくまでも尊重しますけれども、そういう面で、大事な国の経済の運営というような面から見まして、協力を仰ぐことは当然だと思っておるわけでございます。そういう押しつけをしないかと言われれば、それは自主性を尊重するたてまえでございますから、押しつけるようなことはございませんと申し上げますし、そうかといって、逆にそうした国家全体の財政運用について、地方財政なり、そういうものの協力を得ないかと言われると、いやそれは協力を得て円満に運営をしてまいりたい、こう言わざるを得ないわけでございますから、この点はひとつ、賢明なる先生の御了解をいただきたいところでございます。
  76. 細谷治嘉

    細谷委員 今度の勧告によりまして、先ほど資料をいただきましたところが、地方公務員に対しましては、プラス・マイナスいたしますと、おおよそ一千億円の財源が必要なんですね。そうしますと、従来のような財源的な要因というのは、何も私は、給与改定だけやって、あとは何もやらぬでいいというようなことを言っているわけじゃありません。しかし、人事院総裁もおっしゃっておったように、過去長い間勧告してまいったのにもかかわらず、一度たりとも勧告どおり実施されたことはないのでありますから、その理由というのは、財政問題にあったわけであります。事実、過去の場合には非常に窮屈な地方財政の実情であったわけですけれども、具体的な数字は言いませんでしたけれども、去年よりも財政状況というのはいいようでありますから、これは財政的な理由による国家公務員に準ずる勧告実施ということは存在しないのではないか、こう私は思うのであります。  そこで、最後に、自治大臣のその点についてのお考えをお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  77. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 去年よりは財政的に地方財政もよくなっておるではないかということですが、一見そういうことは言えると思います。ただ、先ほど申し上げましたように、国のほうの税の伸びというものもまだ十分把握されていないわけでございますし、また、これはもう釈迦に説法ですが、個人の事業税、あるいは個人の住民税等は、前年度課税でございますから、経済がよくなってもそれは伸びないといえば、地方の税全体についてそうでございまして、法人関係の税は景気が上昇すれば伸びるというようなことでございますが、伸び方にもいろいろあろうかと思います。そういう点は今後十分考慮をいたし、また、細谷さん自身が言われましたように、税が伸びたから、それを全部何でもかんでも給与に使ってしまえという意味ではないとおっしゃる、そういう意味で財政的な考慮をするということはありますが、いずれにいたしましても、国の処置とにらみ合わせまして、できるだけ人事院勧告を尊重していく、そういう方向で検討してまいりたいと考えております。
  78. 亀山孝一

    亀山委員長 ちょっと申し上げます。  先ほどの理事会の話し合いによりまして、本日は午後一時までにこの委員会を散会いたしたいと思いますので、今後の御質問者はどうかそのおつもりでお願い申し上げたいと思います。  なお、人事院総裁は、いろいろな都合がありまして、十二時半ごろまでにできれば質疑をお願いし、自治大臣は一時まではおられるようでありますから、その点でお願いを申し上げます。あと、質問者はまだ五、六人ありますので、その点をお含み願います。  それでは、華山親義君。簡単にお願いいたします。
  79. 華山親義

    華山委員 従来、完全実施が行なわれなかったことの原因につきまして、しばしば、国においては財源があるのだけれども地方において財源が苦しいので行なわれなかった、そういうことを耳にいたしますし、また、新聞等におきまして、関係大臣の話でも、労働大臣の完全実施すべきだという主張に対しまして、自治大臣が、地方財政のことを考えて完全実施はできないという主張をしたというふうなことも耳にいたすわけであります。  それで、この間長い間人事院総裁としてお仕事に携わられまして、いろいろその間の事情もおわかりだとも思いますけれども人事院総裁、いままで完全実施が行なわれなかったことは、地方財政が足を引っぱっていた、こういうふうな御印象を受けられたことがございますかどうか、お伺いいたします。
  80. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私ども勧告を申し上げるところまでは法律上の責任でございますけれども、それから先に完全実施をお願いするという段になりますと、これは、法律上の責任というよりも、責任を持って勧告した者の立場として、ぜひこれは完全実施をしていただかなければ、われわれの立場がないという意気込みのほうの問題として、実は法律的にはそういうことになると思います。したがいまして、それが何ゆえにそういう、われわれとしてははなはだ残念な結果になったかということについても、深い関心は持ちますけれども、それは何ゆえかということになりますと、遺憾ながら、私どもの役所の性格からいって、これは華山議員と同じような情報しか持っていない、率直なところそういうふうに思っております。
  81. 華山親義

    華山委員 いま、華山議員と同じような情報だとおっしゃいましたけれども、確かにそういう情報は私の耳にもあるわけでございます。それで本年度におきましてもそういうふうなことになるのか。本年度の地方財政の状況を考えまして、地方財政立場から、国家公務員地方公務員との実施の期日が違ってはいけないわけでございますから、地方財政立場から、どうしても国のほうができても困るんだというふうなお立場になるであろうかどうかということを大臣にお聞きしてみたい。
  82. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 従来、人事院勧告が完全に実施されなかった犯人が地方財政であるように言われておりますのは、実は私の立場からしては非常に心外なんでございます。もし国がそれを実施しようとして、それを実施するのが国の方針としてよろしいときまれば、それに必要な地方財政についての国の手当てをすべきであるというふうに、私自身は考えるわけでございます。したがいまして、今回の人事院勧告の取り扱いにつきましても、地方財政が困るから国もやらないでくれというような態度は、私は絶対にとらないつもりでございます。
  83. 華山親義

    華山委員 大臣の言われるとおり、地方財政が困るから国のほうでひとつ見てほしい、そういうことを国が見なかったからできなかった、こういうこともあろうかと思いますが、ひとつ本年は、相当地方財政の様相も国の様相も違っておりますので、地方財政立場から公務員全体としての完全実施が阻害されないように万全の努力をしていただきたい、このことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  84. 亀山孝一

    亀山委員長 塩川君。
  85. 塩川正十郎

    ○塩川委員 それでは、私から人事院勧告に関しますことで約三件、そのほか広域行政に関しますことで数件、お尋ねをいたしたいと思うのでございます。  まず最初に、人事院勧告の時期についてでございますが、御承知のように、役所はすべて予算を編成しなければならない。そういたしますならば、その予算編成時ということを考慮して勧告をしていただくのが当然でなかろうかと思うのでございます。そこでお尋ねいたしたいのは、予算勧告時を考慮して勧告をされておるかいなやということをまず最初にお伺いいたしたいと思います。
  86. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 従来、人事院勧告は予算年度途中に行なわれるので非常に困る。ことに地方からそういう声があることも承知いたしております。かたがた諸般の観点から、そういうことでなしに、もっと適当な時期に勧告する方法はないかという点では、御承知のとおり、もう一昨年あたりから政府の関係閣僚で委員会をつくられまして、そのほうの検討を続けておられます。私もそれに加わらしていただいて、お互いに知恵を持ち寄ろうという態度で熱心に続けてまいったのでございますけれども、遺憾ながら、ただいままでのところは、現在の方式にかわるべき名案が出ないという段階でございまして、したがいまして、ことしもそのとおりにお願いしたわけであります。しかし、根本問題としては、私どもはなお今後も検討を続けてみなければならない問題だと思っております。  ただ、私どもの基本的な立場をこの際ちょっと申し上げさせていただきますと、私どもはやはり当面の日本の経済情勢と申しますか、そういう社会情勢のもとにおいては、やはり民間企業というものを的確につかまえまして、その水準にせめて公務員を追いつかしていただきたいという態度が、一番納税大衆にも納得いただけるだろうし、公務員もその他の国民にも納得いただけるのではないか。ぴしっとしたデータによって、ぜひここまでというのが一番強いので、それ以上にしんしゃく裁量を加えて、この辺のところがよかろうということになりますと、これはもう取りとめのない、きめ手のない議論になってしまう。人事院勧告の権威というものを、おのずから疑われることになるという点の心配が一番基本でございます。それがなければ、来年の四月からこうなりそうだ、ぜひ来年度予算にはこう組んでいただきたいということは申し上げられるのでありますが、それはどうしても、やはりデータその他の面から信頼性が薄いということになりはしないかということで、これは閣僚の皆さんのお考えもやはりそういうところに尽きると思いますけれども、そういう点が基本的な問題点の出発点だと思います。
  87. 塩川正十郎

    ○塩川委員 しからば、予算編成時というものを考慮されておるとするならば、この実施についての勧告も、同時に予算編成に合わすようにできないものでしょうかどうかということなんです。ただ勧告だけをされて、これを早期に実施することが望ましいという態度で臨んでおられるということ、そうではなくして、この勧告実施については、何年旬月からこれを実施するというような期限つきにされるということであるならば、その間におきまして十分な財源的な措置も各団体においてできるのではなかろうかと思うのでありますが、そういう期限つきの勧告をすることはできないものでしょうか。
  88. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、先行きを見越して、来年四月からこうなるであろうという推測に基づいて勧告申し上げるという方法も空想的には考えられますけれども、それでは基本的のデータその他からいって全然信頼性のないものになるから、それは忍びないからできませんと申し上げたわけです。  いまおっしゃいましたのは、たとえば四月なら四月現在で調査をしてよろしい。しかし、その調査によって出た給与引き上げは来年四月からやったらいいじゃないかということだと思いますけれども、そうしますと、今度はその間、私どもはせめて民間水準に追いつかしていただきたいというのが基本の態度で、追いつかしていただかないと、民間公務員給与がずっと隔たりができてきますから、そういうことで来年四月からということになりますと、はっきり一年おくれということになります。それはまたわれわれとしては、とうてい忍び得ないという一つの大きな懸念があるわけでございます。したがいまして、いまのところ現在やっておる方式を踏襲するのがまず適当であろう、それ以上の名案があれば格別ですという態度でおるわけです。
  89. 塩川正十郎

    ○塩川委員 そういたしますと、何年何月現在においてはこの程度でなければならない。ただし、この実施をいつ幾日とする。その間における時間のズレといいますか、それを係数によってある程度補正するという手段はとれませんですか。
  90. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それはかつて自民党の政調会か何かで出た御意見がそんなような御意見じゃなかったかと思います。すなわち格差ははっきりした、しかしその格差を埋めるのは、一応来年四月から出発するけれども、いま私が申し上げたように一年間のおくれがあるじゃないか、その損は一括して来年度の予算で返済してやろうというようなアイデアは成り立ちます。成り立ちますけれども、たいへんな額を翌年度の予算に持ち越して、そうしてバックペイをしていただくということになりますから、実行面でえらいことになりはせぬかということで、政府の閣僚懇談会では、それは結論にはなっておりません。ならないままで終わっております。
  91. 塩川正十郎

    ○塩川委員 そうすると、今後ともその勧告の時期等につきまして、できるだけ予算に合うように、実行し得るように、ひとつ御努力願いたい。  その次の問題といたしまして、ベースアップ勧告されるその際に、お伺いいたしたいのは定期昇給ですね。昇給の額との関係というものを考慮されておると思うのです。  そこでお伺いいたしたいのは、国家公務員をはじめといたしまして、各地方団体の——現在地方団体は各種さまざまで、その全部については当たることはできないだろうと思うのですが、要するに私の聞きたいことは、現在の各級数におきますところの間差あるいは級差、こういうものが、最近ある程度考慮しなければならない時期に来ておるのではないかと思うのです。これに対する考慮というものと、ベアとの関係というものをひとつかみ合わせて、相関性において考えていただけぬものだろうかと思っておるのです。と申しますことをもう少し具体的に申し上げますと、それぞれの職種と申しますか、あるいは職責等におきますところの給与というものを見ました場合に、確かに民間との差は相当あると私も認識するのですが、そうした場合に、これをベアの形で公務員全体をベースアップしていくということも一つの大事な方法ですが、同時に、やはり職責とか職能というものをよりよく多く評価する意味におきまして、総額におけるベースアップというか、給与の改正、総額における改正というものを考えて、そのうちベースアップは幾ら、それから昇給において幾ら、こういう考え方をとっていただけることはできないだろうかということであります。そういう点につきましてひとつ御意見をお聞きいたしたいと思います。
  92. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 その辺の制度のあり方についてはいろいろの考えが成り立つことと思いますが、たとえば、民間で申しますと、俸給表的なものはなしに、そして定昇とベースアップとを一緒に込みにしたような形でやっておられる例がむしろ大多数であると思うのですが、国の場合は、そういう大まかなやり方ではとてもこれはできませんで、多数の何十万あるいは百万に近い公務員給与の問題でございますから、できるだけやはり合理的に進んだ形のものにしなければならぬということで、私から申し上げると非常に口幅ったいようでございますけれども、やはり俸給表というものをきっちりこしらえておきまして、そしてこの職種の人はこれだけ、この職種はこれだけという俸給表は十幾つございます。また、その中でも等級表が分かれておって、どういう仕事の人はここまでいけるというように、実に精密にやっておるわけでございます。この点では、むしろ近ごろ会社方面から、そういうふうにやっていくべきだというようなことで御相談を受けるくらいでありまして、いまのたてまえは、いま述べましたように、俸給表に基づいて一年無事につとめれば何号俸から何号俸に上がるということで、きわめて精密なきめ方をしておるわけであります。したがいまして、今度は民間給与と四月で比べるということになりますと、全然前提が違うものですから、そのものずばり四月分として幾らおもらいになりましたか、公務員側はこれだけもらっておるということを、そのものずばりで合わしていこうとしても、また正確なつかみようがない。それをつかんで、それをわがほうでは俸給表の是正の方法にする、きめ方の根拠にするわけでございます。そして昇給昇格は、向こうは向こう、こっちはこっちというようなことでやっておるわけでございます。まず、いまのところ、この制度が一番進んでおるのじゃないかと私ども考えております。
  93. 塩川正十郎

    ○塩川委員 そういたしますと、現在の間差、級差というもの、これを是認した上に立っておられるということにも解釈しておるのですが、この問題につきましての改善というようなことは意図されておりませんでしょうかどうか。
  94. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 基本的にはそうでございますけれども、今度は公務員関係を見ますと、またそれぞれ実情があるわけです。たとえば、人員の構成から申しましても、終戦直後大量の公務員が採用されました。その大群がだんだん階段を上がって、いまこの辺のところにたくさんたまっていらっしゃる。上がさばけないというような面がありますが、その辺の方々は非常に困っておられるから、ここのところを何とか手当てをしなければならぬというので、たとえば中だるみの是正とかいわれますのはそれでございます。実情に沿いましてそれだけの措置はとってはおりますけれども、基本の考え方は先ほど申し上げたとおりです。
  95. 塩川正十郎

    ○塩川委員 これは自治大臣にお尋ねしたいと思っておるのですが、期末手当の問題でございます。地方自治体は、勧告ではすべて国家公務員並みである。そういたしますと、期末手当も公務員並みに実施しなければならない、かように思っております。そのようにまた各自治体は努力すべきだ。特に財政状況がこんな事態のときにそうなければならないと思うのですが、しかるにいまだ国家公務員の基準を上回るプラスアルファをたくさんつけておる自治体がございます。こういう自治体に対しましても、自治省自身もいままでも数多くの努力はしておられますが、今後、こういうプラスアルファの団体につきましてどのようにお考えになっていかれるか、具体的な指導をどうされていくかということをひとつお伺いいたしたいと思います。
  96. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 根本的には地方公共団体の職員の給与国家公務員に準ずると申しますか、そういうことであるべきだと思います。しかし、地方の実情によりまして、国家公務員水準よりも地方公務員水準のほうが高いところもありますし、また安いところもございます。できるだけ国家公務員水準に近づけるような方向で考えていただくようにしておりますが、水準を上回っておる面について、特にいま御指摘の期末手当等にプラスアルファをつけた場合等につきましては、その地方団体というものは、それだけの財政的なゆとりのあるものと見まして、交付税計算その他については考慮を払っておるわけでございまして、今後も高いところをすべて国家公務員並みに下げさせる、あるいは低いところを全部国家公務員並みに引き上げさせるということにつきましては、これはやはり地方の財政のいろいろな問題がございますので、そういうわけにいきませんで、先ほど細谷さんにもお答えいたしましたように、地方自主性にまかすということになろうかと思いますが、そういう財政的な措置におきましては、ある種の考慮は加えていかなければならないものと考えております。
  97. 塩川正十郎

    ○塩川委員 このプラスアルファのものは、やはり歴史的なもので、各団体でみなやっておりますので、直ちにプラスアルファをゼロにすることはできないと思うのです。ついては、そういう団体は数多くないと思いますけれども、そういうものに対して、たとえば年次をきめまして、三年間あるいは何年間かで国家公務員の基準に合わす、そういう具体的な指導をされる意図はございませんでしょうか。
  98. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 現在のところは、そういう国家公務員並みに引き下げろという指導はいたしておりません。ただ、あくまでもそういう団体は財政的なゆとりがあるものと認めますので、たとえば特別交付税計算等につきましては、財政のゆとりのあるものという考え方で計算をいたすわけでございます。
  99. 塩川正十郎

    ○塩川委員 特交で調整されると申しますけれども、これは財政局長にお尋ねしたいと思うのですが、特交で具体的に調整がはたしてできるものだろうかどうかということでございます。こういうようなのは具体的な例が多々ございまして、その具体的な例は私も申し上げたくないのですが、近隣市町村の間で、おまえのところはプラスアルファ、おれのところはこれだけだという格差が出ておるということ、期末手当の問題でそういう格差が具体的に出てくるということは、非常に好ましくないと思う。これがまた職員のそれぞれの職務に対する士気にも影響すると思うのでございますので、できるだけこれをひとつ統一し得るようにすることが、国家公務員勧告に合わすということ、基準に合わすということになろうと思うのですが、これに対する積極的な御努力をお願いいたしたいと思うのでございますが、その御決意と方針を具体的に聞かしていただきたいと思うのでございます。
  100. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 地方公務員法によりましても、給与については国家公務員に準ずるということでございます。したがいまして、その管理者といたしましては、法にいうところに従ってやっていただきたいわけでございますが、しかし、各団体におきましては、財政的ないろいろな違いがございまして、給与水準そのものについても違いがあることは先ほど申し上げたとおりでございまして、また、期末手当等についても、プラスアルファを出しておるところが現実にあることは御指摘のとおりであります。しかし、これがたとえば近隣市町村等についてアンバランスができて、いろいろ公務員の人事管理上問題が起こるというようなことも好ましくないことでございます。その辺のところは、管理者としての態度と申しますか、そういうものについては、今後も助言をしてまいりたいと考えております。
  101. 塩川正十郎

    ○塩川委員 何か人事院総裁の時間の都合がございますそうでございますので、先に門司先生にやっていただきたいと思います。
  102. 亀山孝一

    亀山委員長 それでは御了承願います。  門司亮君。
  103. 門司亮

    門司委員 それでは佐藤さんにごくとっぴなことを聞くようでありますが、いろいろいままでのお話で、大体あなたのお考えのアウトラインはわかったと思いますので、重複はいたしません。  ただ、私ども非常に心配いたしておりますのは、御承知のように地方団体の財政は非常に苦しいのであります。したがって、勧告の時期と地方の財政補てんとのかみ合わせで毎年大臣も非常に御苦労でしょうし、われわれもいろいろなことを申し上げなければならぬ、こういうことがあるわけであります。  そこで、問題になりますのは、いままでの答弁でいろいろわかったような気もするのですが、実際は当初予算に組み入れられるような方式はできないかということ。それから、それがいまの御答弁のようなことでできないとすれば、たとえば四月にとられたものが——これはあなたを責めるわけではありません。機構はどうなっておるかわかりませんが、しかし、ずっとおくれて八月に勧告をされる。その間四カ月ないし五カ月のブランクができる。そして政府はそれをいつから実施するかということがまた問題になる。そうしますと、かりにこれを十月から実施する、九月から実施するといたしましても、四月から九月の間は、これを合わせてくれればいいのですけれども、これもなかなか困難だということになりますと、結局、公務員は、最小限度に見てその期間だけは、一般の労務者よりも損をする、こういうことに大体なろうかと思います。この辺をもう少し順序よくやれないかということですが、これはどうなんですか。必ずしも四月にとらなければ悪いという規則はないと思います。  それから、あなた方のほうで作業される時間は、四カ月も五カ月もかからなくても、常時統計その他が行なわれておればわかるはずだ。ただ問題なのは、春闘というようなもの、あるいは秋闘というようなものの終わりが大体基準になりますから、春でとるか、秋でとるかということが実際の問題になろうかと思いますが、その辺はどうですか。何とか考えることはできませんか。
  104. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 全く門司委員のお察しのとおりなんでして、私どもがなぜ四月調査をしているか。近ごろ春闘のおくれということがいわれておりますけれども、普通は春に多くの企業のベースアップが行なわれるという事実が厳然としてありますものですから、そこでその時期をとるのが一番適切な押え方であろということから、先ほど触れましたように、六千数百、四十五万人の事業所を一々当たって個別の表を集めるというようなことから、今度はそれを電子計算機にかけますけれども、なかなかそれから先の、男女別、年齢別、学歴別、職種別、そういうことで、ずっと民間の構成とこっちの構成を合うようにし直して、そして格差を発見するわけでございます。それが出てまいりますのは、どうしても八月に入ってからというのが事実なんです。それ以上何とか急げないかというお話もたびたび承りますけれども、機械の発達は、今後いろいろございましょうけれども、現在はそれでも一番早い。おそらく日本の役所の統計では一番早いのじゃないかということでございますけれども、遺憾ながら時期はそういうふうにおくれております。  それから、先ほどお話しのように、ねじりはち巻きで今後の仕事にかかっていくわけでございますから、八月の十二日あるいは十五日までに仕上げるというのは、たいへんな作業であるということはよく御同情願いたいと思います。したがって、勧告がこういう時期になる。そこで、さかのぼってください、七月、六月、五月と、たった三カ月の問題です、三カ月くらいさかのぼるのはちっともおかしくないだろうということもいえると思いますけれども、実際これが法律案の審議になるのは秋の末、あるいは冬になってからで、どえらくおそくなるということにおいて、これもなかなか心苦しいことだと思いますけれども、いまのたてまえは、そういうたてまえであります。したがいまして、何とかいいくふうはないか。先ほどからのお話もありますけれども藤枝構想として伝えられるものも新聞でちらほら拝見いたしますけれども、私ども藤枝大臣のお考えはどうであるか知りませんけれども、やはり公社、現業のあの仲裁裁定がなぜ補正予算なしにころりと——年度途中の裁定が補正予算なしにころりと実施されるかということを考えてみると、やはり当初の予算の組み方にあれがあるのじゃないか。一つの何と申しますか、他意がそこにあるのではないか。これもこっちのほうに使っていただいたらどうだろうかということを、最近ちらほらと申し上げ始めておるのですけれども、当面はそんなことでもひとつ考えていただくということで、根本問題はずっとまじめに検討しております。
  105. 門司亮

    門司委員 いまの御答弁で、これは大蔵省にも少したださないと、大蔵省がどういうかぎを持っているか、大体金庫のかぎは大蔵省が持っておりますから、いま小沢次官はお帰りになりましたからお聞きすることもできなかったのでありますが、この機会にもう一つお聞きしておきたいと思いますが、それは人事院勧告というものが、一つ給与に関する大きな役割りを演じていることは事実であります。その他五現業に対する仲裁裁定とかいろいろな機関がございます。しかしこれは、一つの問題が起こったときの処理であって、恒常的な給与に関する問題をお取り扱いになっているのは、中央におけるあなた方の仕事と地方における公平委員会あるいは人事委員会等の所管事項だと思います。  そこで、この機会に聞いておきたいと思いますことは、従来の年功序列の関係からくる賃金のきめ方をされるお考え勧告その他の中にどの程度配慮されているのか。あるいはいま考えておられる能率給でいこうとする一つのものの考え方、能率給あるいは職種賃金というものが考えられる。しかし、これは必ずしも万能ではない。職種別の賃金は、当然頭打ちが出てまいりますので、頭打ちが出てきたときにどうするかという問題で、賃金のきめ方には非常にむずかしい問題がたくさんあろうかと思います。これらの点に対して、給与を主としてお取り扱いになっております人事院としてのお考えを、もし伺えるならこの機会にお話し願っておきたいと思います。
  106. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私ども率直に申しまして、やはり俸給の体制は職務給に徹するということが理想だろうと思います。公務員法あるいは給与法においても、職務と責任に応じてということをプリンシプルとしているわけでありますから、それが理想であろう。また、これは民間企業においてもそういうことが叫ばれている。これは間違いないことだと思います。しかし、その理想がいつ達成し得るかということになると、これは直ちに一般の賃金水準の問題にからまってくる。御承知のように事務次官でありますとか大学総長でありますとか、こういうものは、大体の給与の額もよほど高いし、いまの職務給的な形を残しておくにいたしましてもまずよかろうということで、御承知のように指定職俸給表というところまでは踏み切りました。しかし、その行き方をずっと下まで及ぼすということになると、先ほど申し上げましたように、全体の賃金水準からいって、まだ食えるか食えないかという人がたくさんあります。そこで職務給で頭打ちということはとてもできない。したがって、さようなことは当然できにくい。したがって、一般の民間給与水準が上がってくることを祈っているわけであります。
  107. 門司亮

    門司委員 お考えだけはお伺いしたのでありますが、これ以上、きょうは時間がありませんので、お聞きすることも非常に困難かと思いますが、この機会にもう一つ資料だけを、人事院のどなたでもよろしゅうございますが、係の人にお願いしておきたいと思いますことは、先ほどからお伺いいたしておりますもののうちに、都市手当の問題があったり、あるいは住宅の問題があったり、いろいろございますが、一つは、これは五現業を含めてよろしいかと思いますが、住宅を供給されております職種、それから、それらの職務との関連であります。巷間伝えられるところを聞いてみますと、やはりある程度の役職についた人は、住宅難というものはそれほどなさそうだ。ほんとうに困っているのは、比較的給与の低い人である。したがって、現状から見ますと、一般の会社や工場でも同じことでございますが、官公庁において非常に遠いところから通っている諸君が見受けられます。したがって、大体どの範囲くらいのところから公務員の諸君が通勤をしいられているかということであります。これは転勤の関係等がありまして、五現業などは特に困る。あるいは公務員の諸君もそうでありますが、転勤をむやみに命ずる、と言うとおこられるかもしれませんが、しばしば行なわれるのであって、そのたびに、任地に家があるかないかということで、やむを得ないから三里も五里も、二時間以上かかって通勤せざるを得ないというような諸君がたくさん出てきておるのである、そういう諸君がどのくらいの割合であるのか、これは資料だけでよろしゅうございますから、できるだけ早い機会に届けていただきたい。私どもも、いろいろな住宅手当その他を検討いたしてまいりますに、多少それらの知識を得ておきたいと思いますので、ぜひひとつ人事院にお願いいたしておきます。
  108. 亀山孝一

    亀山委員長 総裁、門司委員から御要求の資料はよろしゅうございますか。
  109. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 よろしゅうございます。
  110. 亀山孝一

    亀山委員長 門司君、人事院は了承されましたから、資料をお手元にお届けいたします。  それでは人事院総裁、よろしゅうございます。  では引き続いて塩川君、お願いいたします。
  111. 塩川正十郎

    ○塩川委員 それでは私から広域行政の問題につきまして数点お尋ねいたしたいと思うのです。  現在、市町村の合併に関する特例法あるいは最近自治省等で原案を用意されました府県合併促進法でございますか、こういう二つの法の精神を見ますと、自治体の能力を向上し、あるいは行政を効果的に果たすこと等を効能にうたっております。そういう効能にかんがみということばが使ってあるのでございます。法の第一条に、「かんがみ、この都道府県合併特例法を制定する。」こういうように書いてあるのですが、大臣、この「かんがみ」ということばは、どういう意図を持っておられるか。これをもっと具体的に申しますと、勧告的な意味における「かんがみ」ということばなのか、あるいはただ見解的な意味における「かんがみ」ということばなのか、あるいは多くの事例を見て、それによって「かんがみ」という意味を解釈しておられるのか、その「かんがみ」ということば自治省の意思というものが相当くみ取れると思いますので、ひとつこの解釈をお願いいたしたいと思うのであります。
  112. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 市町村等の合併の問題、これはいわゆる適正規模な地方団体でないと十分な行政能力を発揮できないという考え方から、市町村合併というものを考えておるわけでございます。もちろん地方自治体でございますから、地方自治体の自主的な判断によってそれらが行なわれることが望ましいわけでございます。ただ、その際に、合併しようにもいろいろな法的な障害等がありましてそれができないというような場合に、その法的な障害を除去していく、あるいは財政的な障害を除去していくようなことを考えて合併促進法等をつくったことは御承知のとおりでございますが、いま御指摘の「かんがみ」ということばは、そういう趣旨から考えまして、やはり市町村の合併等につきましても、あの当時におきましてはやはり自治省としてもそうした方向に、もちろん強制はいたしませんけれども勧告をし、助言をするという考え方を持っておったことは事実でございます。
  113. 塩川正十郎

    ○塩川委員 そうすると、やはり、その方向に持っていこうという一つ行政指導が「かんがみ」ということばに出ている、このように解釈さしていただいていいわけでございますね。
  114. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 まあ指導すると申しますか、少なくとも助言勧告をして、できるだけ適正規模な市町村をつくっていくという考え方を持っておったということは事実でございます。
  115. 塩川正十郎

    ○塩川委員 市町村合併は戦後二つの大きい段階があったと思うのです。たしか三十年ころだったと思うのですが、この当時の市町村は財政窮迫によってやむを得ず合併して能力を強化するという趣旨が多かったと思うのです。ところが、最近におきますところの合併は、そういうものじゃなくして、もっと積極的な地域開発あるいはまたその行政の効果を多く期待するためにも必要な合併になってきた。したがって、三十年ころの合併と、最近行なわれておりますところの合併とは、質が違う、私たちはこのように認識しておるわけなんです。ところが、これと並行いたしまして、私は実は非常にお願いいたしたいことは、市町村がそのような広域行政を積極的に進めて一体化してやっていこうという意欲にあるときに、自治省が、これに対して、各省間あるいは広域行政を容易ならしめるためのリーダーシップというものについて、多少欠けておるのではなかろうか。そういう広域行政というものが確かに有効なものであるということであるといたしますならば、積極的にそれを実現するために、自治省が、各省間に調整をしていただくとか、あるいはこれを推進していただくための方法をとっていただきたいと思うのですが、現在遺憾ながら各省庁間あるいは公共企業体等におきますところの自治省のリーダーシップは、確かに不足しておるように思うのでございます。たとえて申しますならば、これは公共企業体がやっておりますものでございましょうが、電話とか鉄道とかというものにつきましても、合併をして、一つの広域行政を推進していこうという意図にあるときに、それに歩調を合わしておらないということは事実でございます。そうした場合に、そういう各省並びに公共企業体に対して、自治省としてどういう方針で臨んでおられるかということ、これをひとつお尋ねいたします。
  116. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 実は合併の歴史はいまお話しのようなことでございまして、二十八、九年ごろ、自治庁が勧告助言をいたして、合併を促進をいたしました。そして一万有余の市町村が三千有余に減ったわけでございます。そういう意味での適正規模の市町村ができたわけでございますが、その後の日本の経済の発達、それに伴うところの人口、産業等の非常な激変がございまして、一応は適正規模でできたと思われる現在の市町村が、そうした社会の激変によりまして、また様相が変わってまいりました。しかも、一方において、御指摘のような広域的な事務処理をしなければならない要請が非常に多くなってきたわけでございます。あらためて今後もう一度やはり町村の合併等について問題を考え直さなければならない時期に来ているのではないかということを一方において考えておるわけでございます。  そこで、そういう場合に、ただいま御指摘のような例はしばしば起こるわけでございまして、実は北九州市の合併につきまして郵政大臣からおしかりを受けまして、ああいうことをやるのなら、たとえば電話の問題等について、あらかじめ連絡をしてくれないと困るというような、あるいは北九州市を全部市内にいたしますと相当巨額な設備が要るようでございますし、今後の電話収入も減るわけでございます。まあそういう問題がございまして、確かに、御指摘のように、そういう関係各省あるいは三公社等との連絡という点について必ずしも十分でなかったと思うわけでございます。町村合併というものをもう一度考え直さなければならない現時点に立ちまして、そういう点もあわせて今後努力をしてまいりたいと考えております。
  117. 塩川正十郎

    ○塩川委員 さっきおっしゃいました考えなければならないということは、そういう各省庁あるいは公共企業体との関係がうまくいくように考えなければならないということなんでしょうか。それとも、合併そのものの方向が考えなければならぬということでしょうか。
  118. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 一応三十年から三十四、五年ころまでに落ちついたと思われました適正規模の市町村というものも、社会の激変によりましてもう一度合併等を考えなければならない時期に来ておる。そのときにあたりまして、やはり関係各省あるいは公共企業体の行政がその合併を阻止するような要因になっておるものは除去していくように関係各省等と連絡をつけなければならない、そういう意味でございます。
  119. 塩川正十郎

    ○塩川委員 これは都市問題の解決につきましても当然広域行政をやらなければならないと思うのです。そういたしました場合に、単に市町村が合併して広域行政を進めるというだけでは解決つかない。そこに府県の段階もございましょうし、あるいはまた大都市の周辺におきますところのたとえば首都圏でございますとか、中部圏、近畿圏、こういうものの調整も問題となってきております。そこで広域行政全般につきまして、広域行政を進める前提として、この際に行政事務の配分というものを根本的に考え直さなければ、単に二つのものがひっついて一つになって、それで効率をあげるということも考えられないような状態になっておると思うのです。  そこでひとつお尋ねいたしたいのは、この際に広域行政を積極的に進めていく、その広域行政の最終のあり方としては合併が望ましいのだ、ただしその方向を進めていく前に、まず最初に事務の再配分ということを考えておられないかどうか、これをお尋ねいたします。
  120. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 事務の再配分、これは御指摘のはどちらをおさしになっておるか、あるいは私の受け取り方が間違いましたらあらためてお尋ねいただきたいのでございますが、国と地方との行政事物の再配分という問題につきましてはやっておりますが、これはしばしばお答えいたしておりますように、いろいろな調査会等の答申に基づきましてやっていかなければならぬ。それからもう一つは、府県と市町村の問題あるいは大都市とその大都市周辺の市町村がどういう問題を受け持つかということがあろうかと思います。たとえば住宅を大都市の周辺の市町村に建てるというような場合におきまして、その仕事をどう考えていくかという問題も現に起こってきておるわけでございまして、その辺のところはもう少しわれわれも研究を進めまして、単に横の共同処理方式ばかりでなく、府県と市町村がどういう役割りでその共同処理をやるかというような問題も考えていかなければならないのじゃないかと思っております。
  121. 塩川正十郎

    ○塩川委員 先ほどの私の質問の中で漏れまして恐縮ですが、事務の再配分と言っておりますのは、国と自治体の関係ではなくして、府県と市町村の事務の再配分でございます。そこで、これは私個人の意見として非常に恐縮なんですが、たとえばの話でお聞きいただきたいと思います。  人間に関します行政事務、たとえば保険であるとか、福祉であるとかあるいは各種の登録であるとかいうようなものは市町村の仕事にする。建設的な事業、道路とか、下水とかあるいはその他の衛生関係の施設をつくるとかいうような問題は府県の仕事としてはっきりしてしまう。広域行政を幾ら進めていきまして市町村三つ、四つが一つになりましたところで、府県との段階で事務がこのようにふくそうしておったならば、依然として合理化はできないのじゃないかと思います。したがって、広域行政を進めていくということは当然の方向でございましょうが、それと同時に、もっと根本的な前提となる事務の再配分、こういうような意味の質問でございました。
  122. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 こういう社会情勢でございますから、本来は市町村がやらなければならない固有の事務でありましても、こういう社会情勢に応じては、必ずしも町村が幾ら合併をいたしましても、それだけではやり切れないという問題は御指摘のとおりあろうと思います。そういう面を補完的な意味で、たとえば府県がその一部を分担するというようなことは今後考慮していかなければならぬと思います。基本をくずすかどうかということで御異論もございましたが、先般の改正によりまして、例の救急業務のうちで、どうしてもやむを得ないものについては府県が救急業務を行なうというようなことも、いま御指摘の中の非常に小さな例でございますけれども、それ以上に大きな問題があろうと思います。そういう意味で本来は市町村の固有の事務として解決しなければならないものも現在の社会情勢に応じて府県が補完的にやるというようなことは、今後十分考慮していかなければならない問題であろうということは御指摘のとおりだと思います。
  123. 塩川正十郎

    ○塩川委員 あと質問者がおられますので、一つだけ最後にお聞きしたいのですが、市町村の土地政策の問題でございます。もちろん府県も入っておるでしょう。  現在市町村では不動産運用基金というものでどうにか先行取得をまかなう方法をとっております。しかしながら、これではとうてい実際は先行取得をまかない切れないのでございます。そこで大臣も御承知のように、やみ的な公社というものをつくりまして、それによってどうにか先行取得をやっておる。これにはほとんど農協なり中小金融機関の資金が導入されておる。しかしこれは、たとえその形態がいかなるものであって、望ましいものであるかないかは別といたしましても、実質的にはそれが非常に市町村の財政の補完をしておるということは事実でございます。また事業の推進にも役立っておるということは事実でございます。そうであるといたしますならば、市町村の土地政策がスムーズにいけるような積極的な方法、たとえば現在それぞれの市町村でやっておりますところの公社というものをいっそのこともっとはっきりとした線に乗せて指導していく、これは積極的な方法であろうと思うのです。そうでなければ、不動産運用基金にかわるしかるべきものを、共同の体制の中で、たとえば府県単位であるとか、あるいは公営公庫のような特別なワクをつくるとかいうようなことによって貸し出しをするとかなんとかしなければ、この問題は片づいていかないのではないか。これをいたずらに放置し、あるいは黙認していきますと、結局ゆゆしい問題が将来において起こってくるのじゃなかろうかと思ったりするのですが、これに対する積極的な指導というものをお願いいたしたい。現在公社がやっておりますが、これはたいてい財団法人でやっております。中には社団法人もございましょうが、こういうようなものをむしろいっそのこと積極的に規制するという方向についての指導というものを考えておられないかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  124. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 一種の地方公社的なものがいろいろ土地の取得あるいは土地政策について貢献をいたしておりますことは、ただいま御指摘のとおりでございます。しかしまた、それが、公共団体のしっかりした財政措置でございませんので、乱に流れて地方財政そのものを苦しくしているような実例も、私も経験的に知っておるわけでございます。そういう意味で、人口急増地等の対策の一環といたしまして、御承知のように本年から公共用地の先行取得についての起債のワクをきめたわけでございます。これは本年はわずかでございますが、こうしたものを一方において拡充いたしまして、地方公共団体自体がそういうものをはっきりやれるということにしなければならないと思うわけでございます。また地方公共団体のそうした土地政策に寄与するための起債のワクの問題であるとかその他につきましては、今後さらに研究をしてできる、だけその方向で進めたいと考えております。
  125. 亀山孝一

  126. 門司亮

    門司委員 この機会にもう一つだけ、ほかの問題を聞く前に、人事院勧告のことについて聞いておきたいと思うのです。いろいろ御討議がありましたように、地方の自治体は非常に困ると思っておるのですが、これの財政措置はどうするお考えですか。
  127. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 資料にも差し上げたと思いますが、人事院勧告をそのまま実施いたしますと、差し引き約千億くらいの財源が必要でございます。これは先ほど来御質問がありまして、ことしは地方財政はだいじょうぶではないかと細谷さんはおっしゃるのですが、私は非常に不安なのでございまして、もちろん国の方針をどうきめるか、それに準ずるわけでございますが、それに従いまして、単に税の伸び等でまかない切れないということでありますならば、国として何らかの措置をとらなければならないというふうに考えております。
  128. 門司亮

    門司委員 問題は、何らかの方法なんですけれども給与の問題をかりに起債によるというようなことになりますと、これは困るのであって、それだけはぜひ避けてもらいたいと思うのですが、これは確約できますか。起債によるようなことはしないということ、これだけはぜひやめておいてもらわぬと、地方の自治体は、給与を借金で払うというような不見識なことをやるようなことをしてはならないと私は思うのです。これは私は、国としてはしてはならないと思うのですけれども、それをひとつこの機会にはっきりしておいてもらいたいと思うのです。
  129. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 従来苦しまぎれに、ややもすれば起債というようなことで行なわれた実例があることは御指摘のとおりでございます。もちろんその始末はいたしておるわけでございますが、しかし、本来経常の収入で支払わるべき給与でございます。起債で一時しのぎをするというようなことは非常に変則でございまして、そういうことは避けたいと考えております。
  130. 門司亮

    門司委員 その問題はそのくらいにしまして、一時までにやめてもらいたいというお話でありますから、あと二分か三分くらいしか時間がないと思います。  きょう特にお聞きをしたいと思いますことは、いま問題になっております郵政省との関係で、多少混乱——というほどじゃありませんが、考え方の違いの中に、あるいは事業の進め方の中に問題をかもし出しております農村における有線放送の問題であります。これは現実に、有線放送については、いまいろいろのことは申し上げませんが、資料によりますと、大体市営あるいは町村営といいますか、公共事業の中には入っておりませんが、公共的に自治体がやっておるものが、大体両方合わせますと五百幾つかの数字になろうかと思います。それで、これらの問題を中心といたしまして、大体全国で有線放送の戸数というものは三百万戸をこえておるということであります。そうして、これについては、自治省も補助金あるいは起債等でかなりめんどうを見てこられておりまして、かなり多くの財政負担が行なわれておるようでございます。約五億五千万円余りでありますか、自治省から出ておると思います。それから公営でやっております自治体は、もとより公営でありまする関係で投資をしておると思います。公営でなくても、地方の自治体がかなりのものをやはり補給をしておるということも、これは事実であります。そうして同時に、最近の農村における一つの大きな文化的な役割りを演じ、あるいは行政の末端機構に対する伝達というような公共性のものから、もう一つは、将来日本の農村にどうしてもなければならない設備であり、また日本農村としても非常に私は必要だと考えておるのは、最近の農村のいろいろなものを外に売り出す場合等につきましても、出荷の問題等についても、やはり農協だけが承知しておったのでは、なかなか末端まで行き届いて収穫が思うようにいかない。これは別にむずかしいことを言うわけではありません。たとえば、アメリカにおけるロサンゼルスにある、いわゆる世界で一番大きな青果市場といわれております青果市場の操作を見てみましても、あそこでは、やはり農村から来るいろいろなものについては、各農協あてに一応の連絡をする、それを受けた農協は、直ちに農村、農家の個々に連絡をして、そうして市場の状態を農家個々がまず知り得る。したがって、出荷する者は、きょうはこのくらいのものをこの程度出荷してもらいたい、値段はこのくらいで。こういう品物は市場でだぶついているから少し控えてもらいたいということが有機的に行なわれておるわけです。日本の場合、ここまで行っているかどうかということは問題でありますが、将来の農村というものをやはり育てていこうとするには、市場と生産者との間のそうした有機的の連絡あるいは市場の状況をよく知るという——いままでのように農村を全部めくらにしておいて、そうして出荷するときにはたくさん出荷する、それがたたかれるというようなことのないようにやはりしていくには、何らかの方法で農村全体の者が知り得る機構というのは、やはりいまの有線放送がかなり大きな役割りを果たしておる。同時に、このことは、将来の農村経営についても十分利用さるべき一つの施設ではないかというように私は考えられるのであります。そうしてこそ初めて農村の生産者と市場との関係が円満にいき、生産者と市場との関係が円満にいくということが、ひいては消費者に対します価格の安定性ということが当然生まれてくるわけでありまして、こういうところに私は、物価問題と農村の生産者との関連性等を考えてまいりましても、やはりこの種のことはぜひ農村に存続していきたい。むしろ奨励をして、そうして農村が明るい生産者としての立場を保持することが必要ではないかということが痛切に考えられる。  ところが、一方電話の関係からいきますると、やはり農集その他の問題が最近出てきておるようであります。したがって、自治省として、これらの問題に対して一体どういうふうにお考えになるのか、その点をこの機会にひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  131. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 有線放送の機能と申しますか、有用性は、ただいま御指摘のとおりだと思います。単なる通信だけでなくて、各種行政の広報の問題もございますし、いま御指摘のような中央市場との連絡と申しますか、いわゆる人間の知る権利を十分に発揮させる、そういう意味においても非常に有効に働いておるわけでございまして、私どもは今後ともこの有線放送というものは、もちろん地域住民の希望によることではございまするけれども、育てていかなければならない問題だと考えております。もちろんいま御指摘のように、農集等との関係でいろいろ問題がございまして、例の特別委員会も設けられておるわけでございまして、その結論に待つことも一つではございますけれども、私どもといたしましては、やはり有線放送の有効性というものを高く評価をいたしておるわけでございます。したがいまして、これが十分行なわれるように、たとえば公社電話との接続の問題等にいたしましても、あまりにもきつい制限というようなものは緩和してもらいたいと思いますし、地域住民の希望があれば、いまのように農村でなければいかぬ、都会地が入っちゃいかぬというようなきつい制限も、むしろ緩和する方向がいいのではないかというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、特にこうした交通、通信等が発達して、それが直ちに農村の農民生活等にも影響するところ大になっております現在におきましては、十分その有線放送の有効性というものを発揮できるように今後ともやってまいりたいと考える次第でございます。
  132. 門司亮

    門司委員 えらい時間をやかましく言われておりますので、あともう一つだけしか聞きませんが、いまお話しのことも、私はそのとおりだと思いますが、この有線放送についての維持管理というようなものにつきましてもいろいろ問題がございます。したがって、これらの問題の施設を進めていく場合、あるいはもう一つの場合は災害の場合等がございます。いまの場合は、有線放送関係の施設その他には、特段の——多少の補助金その他は出ておりますが、これが例の交付税の対象になっているかどうかということは、あるいは災害当時の復旧費の中にこれが見込まれておるかどうかというようなこまかい問題等についてもいろいろ問題があろうかと私は思います。育てていく上においてもやはりそれらの問題が必要でございますし、それからいまの大臣のお話のように、許可条件等についても何か市だから、都会の中だからということもありますけれども、実際の農家の形から言いますと、ほんとうの意味においていま通常市にありますところの電話を使用するというよりも、むしろこうした部落的な連絡調整機関のほうが多いのであって、ぜひそういう許可、認可の問題の緩和であるとか、あるいはいま申し上げました維持管理についての交付税の問題あるいは災害復旧等の問題について、でき得れば、財政局長からでもどちらからでもけっこうでございますが、ひとつ自治省のお考えを聞いておきたいと思います。
  133. 細郷道一

    細郷政府委員 有線放送につきましては、承御知のように、現在その建設にあたっての資金として地方債をやっておるわけでございます。ただその維持管理の点につきましては、実は有線放送の実態が、市町村の公営のものもあり、またそうでない経営のものもございましたりいたしまして、なかなか一律的な見方が困難という問題が一つございます。したがいまして、先ほど来、お話が出ておりますように、そういうものを今後どういう方向へ持っていくか、これは実は自治省だけでもきまらない問題があるわけでございます。一般電話との接続の問題もございます。こちらだけでもきまりませんが、そういった問題とあわせて、やはりわれわれも将来の通信網の整備の問題として考えていかなければならない、こういうふうに考えております。
  134. 門司亮

    門司委員 もうやめようと思いますけれども、いまの局長の答弁の一番最後が少し気になるのです。実際は、通信と言いますけれども、電話の通信であるのかあるいはさっきから申し上げておりまするような農村の経営自体というものあるいは行政の末端までの浸透をはかるというようなことが大体この有線には考えられるのではないか。単なる通話というような考え方では私はいけないのだと思いますが、農村における今後の発展の一翼をそうした意味においてこれが果たしていくということ。たとえば農薬の散布等にいたしましても、農協がやるのはやっておりますけれども、やはり農家個々がこれを理解し、了解しなければなかなか協力はむずかしいのでございまして、しかもこれらの問題については時期があるのであって、時期を失えば結局農薬の散布も効果がないというようなことに当然ならざるを得ない。したがって、農村に欠くべからざるものだ——ということになると少し言い過ぎるかもしれませんが、ぜひこういうものをやはり助長されて、そうして一体化した農村、将来への農家経営の一つのポイント——と言うと言い過ぎるかもしれませんが、一翼をになっていくことについての問題であって、いまの局長のお考えのように、ただ通信だけというような考え方ではちょっと私は困ると思うのでありますが、そういう点はひとつ、御答弁は要りませんが、改めていただきたい。もう少し農村のこの事業との関連ではっきり見ていただきたい。そうしないと、最近における地方の自治体の、ことに離農者が非常に多い現状で、町村の財政の中にかなり大きなウエートを占める一つの問題だということを自治省考えていただかないと、この問題の解決はなかなか私はむずかしいと考えておる。したがって、十分にひとつこの問題は、単なる通話、通信ということでなくして、地方の自治体の将来への運営の一翼としてお考えを願っておきたいと思います。もしそういうことで大臣の心がまえでもあるとするなら、ひとつ御答弁を願っておきたいと思います。
  135. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 御指摘のとおりでございまして、私もそう考えおります。ただ例の農集等との関係でいろいろな問題を起こして、いま特別委員会が審議をしているわけでございます。あくまで私どもは有線放送という単なる通信という見方ではなくて、特に農村におけるいろいろな行政の浸透の問題、あるいは農村生活についての問題に貢献することが非常に大きいという観点から、この問題と取り組んでまいりたいと考えております。
  136. 亀山孝一

    亀山委員長 私からも特に自治大臣及び自治当局にお願いを申し上げたいのは、ただいま門司委員及び細谷委員からも御発言がありましたが、市町村営の有線放送電話の助成につきましては、格別の御配慮を賜わりますようにお願いを申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五分散会