○堀小
委員 いまの
期間の問題は、確かに金利に関係がありますから、
期間と金利は一体で見るべきでしょうけれ
ども、おそらく——私は何も、いま九十八円になったから、すぐ
条件を改定しろということを言っているわけじゃないのです。しかし、要するにオープンマーケットというものがある以上、そこには趨勢的なものができてくると思うのですね。大体オープンマーケットというのはそういうことで、目先的な問題もありますけれ
ども、ただ目先的なことだけだったら持っている人もあるわけですね。それを売るということは、将来的に金融がタイトになるだろうということで売ってきているものが多いんじゃないかと思います。いま
国債を持っておる個々の問題の中に、私もいろいろ話を聞いて、この間、なるほど金のある人はいろいろなことを考えるものだと思ったのは、
国債をかなりまとめて買う人たちが
個人であるのですね。何千万という
国債を買う。なぜ買うか。これは
国債にして金庫の中にぽんと入れちゃうわけです。金庫の中に入っている
国債は、名前も何もないわけですから、その人が死んじゃって、むすこたちがその金庫の中から
国債を出しちゃいますと、要するにたんす預金の変形ですね。金利のつくたんす預金ということで、財産隠匿及び相続税回避というものに
国債が利用されている。これはなるほど、われわれは金がないから知恵が働かないけれ
ども、金のある人はずいぶん知恵が働くものだなと思ったのですが、そういうのは売らないわけですね、目的が違うんだから。財産隠匿、むすこに相続税なしに譲ろうということになれば、これは売らないと思うのですが、私は、そんなのばかりじゃなくて、もっと広い層が持つべきだと思うし、そうなってくると、私はやはり
長期的に見ると問題が
一つあろうかと思います。
もう
一つは、これは銀行局長にひとつお伺いしたいのですが、
日本の
金融機関も長年の統制経済にならされちゃって、ちっとも自由な意思が発表されにくいように飼いならされていると私は思うのです。それでどういうことが起きているかというと、ともかく
国債はどうしても無理に買わされるんだからということになりますと、その他の債券をあらかじめ売って手元
資金をつくっているわけですね。ところが、債券を売ってきたけれ
ども、おそらく金融債が主でしょうけれ
ども、そういうものをどんどん売ってきたけれ
ども、五年ものは、普通あと残存
期間が二年とかいうようなものは市場でも売れると思うのです、あとの
期間が短いから。ところが、いまのマーケットなり中小
金融機関にも売ったり、いろいろなところに売るのでしょうけれ
ども、そうやって売ってきたところで、まだ四年もあるやつを売ろうといったって、よほど金利を高くしてディスカウントしなければ売れっこない。こういうものをどんどんディスカウントして売って
国債を買うということになりますと、これは
金融機関から見たら、明らかに逆ざや現象になってくると思うんですね。
条件から見ても逆ざやになってきますね、明らかに九十八円くらいの逆ざやに。公定歩合が上がってくれば、この面からも私は問題が起きてくると思うわけです。いろいろと見ると、都銀の
資金ポジション、いろいろな問題がある。だから、私は都銀の諸君が勇気がないと思うのは、自分のポジションで無理があるなら、きちんと
国債を断わるのが資本主義の筋だと思うのです。まず、企業
責任ということから見たら、それは幾ら出てもうちのほうは預金がふえておりませんからこれだけしかとても買えませんと言ってしかるべきだと思う。
私、それに
関連して、きのうちょっと預証率の問題で、ひとつどこかに預証率をきめて、それは各
金融機関別々になるでしょうけれ
ども、各
金融機関別々の預証率の平均値で見て、少なくともこれ以上預証率の上がるようなものについてはお断わりしたいというようなルールが私はできてきていいのではないかと思う。それが私は、
国債発行に対しての
一つの歯どめになるのではないかと思う。
今度のマネーフローの
状態は、結局のところ、
個人のほうの
資金はあるけれ
ども、国と民間とがフィフティー・フィフティーみたいな
かっこうで債務を負う
かっこうになってきているわけですから、そこらのところを見ると、やはり正常な経済運営をさせるためには、資本主義の中では、私はかねてから言うのですけれ
ども、プライスメカニズムが働かないで資本主義がうまく働くはずがないので、それを働かせないから成長が過度に行き過ぎたりして、いまの
国債だって過度に行き過ぎるのだから、どういう形かでプライスメカニズムを働かせること、それがどうにも働かないなら、その次の
段階として、そういう限界預証率のようなもので
一つの歯どめをかけていく、こういうことを当然この際
金融機関側として考えるべきではないか。
どうも社会党の私がきわめて資本主義的の発言をしておかしいようでありますが、結果としては、資本主義は資本主義らしくやらないと、一番弱いところにしわが寄るというのが
原則ですからね。だから、われわれの計画経済になったらきっちり計画的にやらしてもらうけれ
ども、資本主義である限りは、自由にプライスメカニズムが働くところに制約が適度にできてくる、自律性が起きる、こう見ているのに、その自律性をすべての点で遮断しておるために成長過度になる。
この問題は、私は佐藤さんに、あなた安定成長と言ったって、金融を自由化しないで安定成長なんかできるか、と言ったら、たいへんいい御
意見をありがたいと喜んでおられたが、喜んでいたって、ちっとも——佐藤さん安定成長論者だけれ
ども、こんなことになって、今日あの人はどんな気持ちで
日本経済を見ているのかな、総理大臣になったらもういいのかなと思うのです。
そこらに私はまことに疑問があるのですが、ひとつ澄田さん、銀行局長というよりも、
日本の銀行のあり方としてはあれでいいのかという点をひとつ伺います。