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1967-11-24 第56回国会 衆議院 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十二年十一月二十四日(金曜日) 午前十時十三分
開議
出席小委員
小
委員長
小峯
柳多君 奥野
誠亮
君
笹山茂太郎
君 西岡 武夫君
山下
元利
君 吉田 重延君
永井勝次郎
君 広沢 賢一君 堀 昌雄君 小
委員外
の
出席者
大蔵省銀行局長
澄田
智君
大蔵省国際金融
局長
柏木
雄介君
通商産業省貿易
振興局長
原田
明君 専 門 員 抜井 光三君
—————————————
十一月二十四日 小
委員村山喜一
君同日
委員辞任
につき、その補 欠として
永井勝次郎
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員永井勝次郎
君同日
委員辞任
につき、その
補欠
として
村山喜一
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員大村襄治
君及び
河野洋平
君同日小
委員辞
任につき、その
補欠
として
山下元利
君及び
笹山
茂太郎
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に選任され た。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
金融
に関する件(
国際金融
に関する問題) ————◇—————
小峯柳多
1
○
小峯
小
委員長
これより
会議
を開きます。
金融
に関する件について調査を進めます。 本日は、
ポンド切り下げ
を
中心
とする
国際金融情勢
並びにそれと関連する
国内金融情勢
や
貿易
の将来等について、
政府当局
より
説明
を聴取し、質疑を行ないます。 まず、
大蔵省
から、
ポンド切り下げ
を
中心
とする
国際金融情勢
と
見通し
及び
国際金融情勢
の
変化
に伴う
わが国
の
金融情勢
、
通商産業省
から、
ポンド切り下げ
の
日本貿易
に及ぼす
影響
と
見通し
について
説明
を求めます。
柏木国際金融局長
。
柏木雄介
2
○
柏木説明員
先週十八日土曜日の午後九時半、ロンドン時間でありますが、
イギリス
が
平価切り下げ
を発表いたしました。一
ポンド
二・八ドルの
平価
を二・四ドルに
切り下げ
たわけでありますが、
切り下げ幅
は一四・三二%であります。これは、
イギリス
の
国際収支
の現状、
短期資金
の
流出状況等
から、
英国
として、この際、思い切った
立て直し政策
をとらなければならないという判断のもとに、その一連の対策の一環としてとられたものであります。
平価切り下げ
と同時に、
イギリス
は、
公定歩合
を六・五%から一挙に八%に
引き上げ
ております。 それから、
銀行貸し出し
につきましても
規制
を強化いたしまして、今年十月末現在の
残高
で
貸し出し
の総額を
規制
することを発表いたしております。もっとも、
輸出関係
は除外しておりますが、それ以外の
貸し出し
は十月末現在で
残高
を押える。さらに、
消費者金融
の
規制
を強化し、
自動車
の場合で申しますと、頭金の
払い
込みを、従来は二五%は少なくとも
払い
込むことといたしておりましたものを三分の一以上にする。さらに、
消費者金融
の期間の
規制
を三十六カ月を二十七カ月に短縮する。 さらに、
財政面
におきましては、来年度の予算において
軍事費
の
削減
一億
ポンド
、
選択的雇用税
の還付と申しますか、その
関係
の
交付金
を約一億
ポンド
削減
する。それから
国有企業関係
の支出を一億
ポンド
削減
する。そして
輸出リベート
を明年度より廃止する、この
関係
の
歳出削減
が一億
ポンド
。
合計
約四億
ポンド
の
歳出削減
をいたしております。来年度の
イギリス
の
財政規模
はもちろんわかりませんが、本年度が大体百億
ポンド
でありますので、四億ボンドと申しますのは大体
歳出
の四%くらいかと存じます。そのほか、
法人税率
を明年度より
引き上げ
る、現在の四割を四割二分五厘に上げる。 そういうような
国内
における
財政
の
引き締め
、
金融
の
引き締め
、それを背景に、
海外
からの
援助
といたしまして、
IMF
からのスタンドバイ・クレジット十四億ドルを要請いたしております。それから
主要各国
の
中央銀行
との間の
借款
についても十六億ドルの
借款
を要請し、
合計ポンド支援
のために外資三十億ドルを要請いたしております。 以上が
イギリス
のとりました
措置
でありまして、
イギリス
の
平価切り下げ
は、十八日ワシントン時間のたしか十二町でありますかの
IMF理事会
におきまして承認を得られました。 それから
イギリス
・
ポンド
の
切り下げ
に伴いまして、これは当初から予想された点でございますが、
イギリス
と非常に
関係
の深い
国々
において
追随引き下げ
が行なわれておりますが、ただいままでにわかっておりますのが、アイルランド、
イスラエル
、ガイアナ、
スペイン
、マラウィ、キプロス、ガンビア、ニュージーランド、
デンマーク
、ジャマイカ、
セイロン
、それから
香港
でありますが、十二、三カ国が
追随
して
引き下げ
ております。 ここで注目していただきたいことは、一つは、
スターリング地域
のすべての
国々
が
引き下げ
たというよりか、むしろ
追随引き下げ
をした国が比較的少ないということと、
スターリング地域外
における
引き下げ
というものは、
スペイン
、
デンマーク
、
イスラエル
というか非常に少数の国で、今回の
イギリス
の
平価切り下げ
に伴いまして、その国際的な
平価改定
の
動き
というものが比較的少なかった。
前回
の
イギリス
の
平価改定
の際には、御案内のように
西欧諸国
の大
部分
から、
世界
の非常に多くの
国々
が
追随
して
平価
を
改定
いたしましたが、今回の
イギリス
の
平価改定
に伴いましては、いま申し上げました十二、三カ国の国が
改定
をいたしております。これからもあるいはふえるかもしれませんけれども、いまの
見通し
ではそれほど多くの国が
追随
をするとは思っておりません。 この
イギリス
の
平価切り下げ
が
日本
に伝わりましたのが日曜日の朝でありますが、
日本
といたしましては、日曜日の朝午前九時に
大蔵大臣談話
をもちまして、
日本
としての態度としまして、
日本
の
平価
はこれを維持する、
平価
は変えないということを
内外
に宣明したわけであります。また同時に、
イギリス
の今回の
平価改定
に伴います国際的な
援助
につきましては、
日本
としても
応分
の
措置
をする、
応分
の協力を行なうということも宣明いたしております。 それから、
イギリス
における
公定歩合
が六・五%から一挙に八%に上がることに伴いまして、それにつれて
アメリカ
の
公定歩合
が日曜日、十九日でありますが、従来の四%から四・五%に
引き上げ
られました。それから
カナダ
の
公定歩合
が同様に五%から六%に
引き上げ
られております。したがって、
米英加
の三国における
公定歩合
は一斉に上がったわけでありますが、これに対して
西欧諸国
のほうはいまのところ
引き上げ
られる
見通し
はございません。
日本
の
経済
あるいは
日本
の
貿易
に対する
影響
につきましては、これは
英国
のとった
措置
というのは
英国経済
の
抜本的立て直し
のために必要なことであり、これによって長い目で見て
世界経済
の安定、拡大に審与するというふうに思いますけれども、しかし同時に、これがいろいろな
意味
で問題を提起するということもまた事実かと思います。直接
日本
に対する
影響
としましては、
平価切り下げ
に伴って
切り下げ国
の
輸出競争力
が少なくとも一時的には増すということも事実でありますし、それに伴って
輸出競争
がますます激しくなるという問題、それからそういう直接的な問題のほかに、これから
輸出競争
が激しくなる、
国際競争
が激しくなるということに伴いまして、
各国
が若干
経済
を
安定ぎみ
に
運営
していこうという気配も感ぜられますし、それに伴いまして
世界経済
全体の
伸び
、
世界貿易
の
伸び
が従来考えていたものよりもあるいは低下するということも考えられております。それに伴う
間接的影響
という問題もございまして、
日本
の今後の
輸出
、今後の
経済
の
伸び
について問題があるということは認めざるを得ないかと思います。 また、
資本収支
の問題としまして、先ほど申し上げました
イギリス
の
公定歩合
の
引き上げ
、
アメリカ
、
カナダ
における
公定歩合
の
引き上げ
に伴いまして市中金利もまた上がってくるわけでございまして、その
資本収支
の面からくる
日本
への
影響
という問題も無視するわけにはまいりません。 そういうふうな
国際収支
、
資本収支
の
観点等
、
日本
の
国際環境
はいままでに比べて一段ときびしさを増したということでございますので、これからの
経済
の
運営
につきましてはますます慎重に対処してまいらなければならない、さように感じております。
小峯柳多
3
○
小峯
小
委員長
次に、
澄田銀行局長
からお願いいたします。
澄田智
4
○
澄田説明員
御承知のように、本年九月に、
わが国
は
国際収支
の
改善
のために、総
需要
の
調整
という目的をもって
財政
、
金融両面
にわたって
引き締め政策
を実施してちょうど三ヵ月足らず経過した、そういうやさきに今回の
ポンド
の
切り下げ
というようなものが起こったわけでございます。そこで、この
ポンド切り下げ
が行なわれる直前における
引き締め政策
の
浸透
の
状況
と申しますか
金融面
の
状況
というのをまず
最初
に申し上げてみたいと思います。 ちょうど
引き締め
ましてからが
財政資金
の季節的な散超期に当たっております。ことに、本年は米の非常な豊作によります
食管会計
の散超が非常に大きいというようなことがございます。十月と十一月の
実績
で見ますと、昨年の
実績
で見ますと、昨年は
食管
のこの間の
払い
が約三千三百億
程度
でございましたが、本年は十月が
払い
は三千八百七十九億、それに十一月が今月の見込みを入れましておそらく千億ぐらいということになりますと、これで四千九百億近いというようなことになりまして、昨年に比べましてすでに
食管
だけでも二千億に近い
払い
の増、こういうような
状況
でございます。それ以外の
払い
もこの間昨年よりは多いというようなこともございまして、従来の
金融引き締め
の場合に比べまして、
資金
の
需給関係
の
逼迫感
が少ない、こういう
状態
で推移してまいりました。こういうような
情勢
もありまして、全体として
生産
や出荷の
動向
もなお根強いわけであります。そうしてことに
個人消費
の非常な堅調というようなことが最近もよくいわれておりますが、そういうような
情勢
と相まって
経済活動
は依然高い
水準
で推移している。その結果、
日本銀行券
の
発行
の
水準
というのも、十月の月末の平残でも一七・二%、
月中平残
をとりましても一七%、十一月に入っても対前年一七%台の平残を続けております。 かような
状態
で、
経済水準
としてはかなり高い
状態
で来ている。特に、今回の
引き締め
に
あたり
ましては、
国債発行下
の
マネーフロー
の
変化
にもよりまして、
企業
の
自己金融力
が強化されている。あるいは
コールレート
が従来の
引き締め
の場合に比較いたしまして、比較的安定的にずっと推移してまいっております。それから日銀の
貸し出し増加額規制
、いわゆる
窓口規制
を行なっておるわけでありますが、その直接の対象になっている
都市銀行等
のシェアも従来の
引き締め
の場合に比べますと若干下がっているというようなこと等もございまして、かれこれな理由が重なりまして、
貸し出し金利
の
上昇テンポ
というものも従来の
引き締め
の場合に比較して一般的におそい。こういう
状態
でございます。九月の
全国銀行
の
平均貸し出し金利
は三糸上がったわけでございますが、これは従来の場合ですと、
最初
の月の
全国平均貸し出し金利
、これはいろいろな例がございますが、一毛五糸
程度
上がっているというのに対しまして、三糸でございます。ただこれは、
都市銀行
については十月の
数字
まで、十月は
暫定
でございますが、出ておりますので、その辺を見ますると、
都市銀行
は九月には七糸、それから十月には
暫定
の
数字
で一毛二糸ばかり上がっておりまして、合わせて一毛九糸というような
状況
でございます。これは一毛九糸というようなところで見ますると、それでもやはり従来の
引き締め
後の二カ月の
都市銀行
の
平均貸し出し金利
の
上昇歩合
というものに比較すれば低い。先ほど申し上げました全銀の一ヵ月の
数字
ほど極端ではございませんが、やはりまだ低いというようなことで、全般的に
企業金融
の現在までのところの
引き締め政策
の
影響
の
浸透状況
というのは、さして強く
影響
を受けているとはいえない、こういう
状況
であろうと思います。そうしてまた、
他方公共事業
の
繰り延べ等
による
影響
、これもまだ十分に出ているとは申せないのではないか、かように思います。しかし、今後十二月に入りますと、年末の季節的な
資金需要
によって
資金
の
需給
というのは相当タイトになってくるものと考えられます。さらに来年の一−三月は、これは季節的に揚げ超期というようなことになりまして、
金融引き締め
の
影響
がさらに一段と
浸透
してくる。それから
公共事業
の
繰り延べ等
の
影響
も逐次そのころには出てくる、かように思われますので、今後の
引き締め政策
の
効果
の
浸透
というものを現在は注視をして、その
効果
を見守る、こういうような
段階
であったと思われるわけであります。 そこで、今回発表されました
英国
の
ポンド切り下げ
、それから
公定歩合
の
引き上げ
、それに伴う
アメリカ
、
カナダ等
の
公定歩合
の
引き上げ
、こういうような
影響
でございますが、ただいまも
国際金融局長
から申し上げましたように、今回の
影響
によって
輸出競争
の
激化
、さらに
各国
の
経済成長率
が従来見られたよりも鈍化をする、
各国
とも慎重な
経済政策
を
運営
するというようなことによって鈍化する、そういうことによる
輸出環境
の
悪化等
によって
貿易収支
についての
影響
というものもあると思われますし、また、今回の
措置
によって国際的に
金利水準
が一体に上がり、国際的な
高金利時代
というようなことになってまいりますと、それによる
短期資本
の
動き
、あるいは
長期資本
の
影響
というようなものもあるものと思われます。 そういうようなわけで、
国際収支
の
環境
というのがきびしい問題を加えるわけでございます。今後の
財政
、
金融政策
は、従来にも増して
国内経済活動調整
というものにつとめて、
輸出
の増強、
輸入
の抑制というような点について、一段と
貿易収支
の
改善
というものにつとめなければならない
情勢
でございますが、さらに
資本収支
の
動向
というものも十分に注視する必要があると思われるわけでございます。そういうためには、もちろん来年度の
財政規模等
も極力抑制的に編成されることが望ましいわけでございますが、
金融政策面
においても
十分情勢
を見きわめて適時適切な
措置
を考えていく、こういうことでございますが、目下のところはそういう
情勢
をよく見守っていく、こういう
段階
であろうと思います。 ただ、一部にいわれております
円シフト
につきましては、昨年国際的な
金利水準
が非常に上がったという
情勢
において
円シフト
が起こったということがありまして、そういう
関係
で今回どうだろうかということがいわれるわけでございますが、現在
引き締め下
でございます。昨年は非常に
金融
が緩慢でありまして、そういう
意味
で
円シフト
の行なわれやすい
国内金融環境
があったわけでありますが、今度は
企業
の
円資金調達
もかなり困難の度を加えております。同時に、先ほど申し上げましたように、いままでは
国内金利水準
の
上昇
というのは
テンポ
がおそうございますが、これからは
貸し出し金利
も
上昇
してまいります。そういうようなわけで、
前回
の
円シフト
、昨年の
円シフト
のときとは、今回は
金融基調
が基本的に変わっている面がある、こういうことがあるわけでございまして、そういう面における
短期資本
の
動き
によって
国内
の
金融
が
影響
される、こういう点につきましては、
前回
の場合とは、昨年の
円シフト
の場合とは違う条件がございますので、どの
程度
波及するかということはいまだ明らかではございませんが、そういう
情勢
を見守ってまいらなければならない。これからの
内外
の
動き等
を十分総合的に注視しながら、今後の
金融政策
の
運営
をいたしていかなければならない、かような
段階
であろうかと存じております。
小峯柳多
5
○
小峯
小
委員長
次に、
原田貿易振興局長
にお願いいたします。
原田明
6
○
原田説明員
今回
英国
が
ポンド
を
切り下げ
ました。それに引き続きまして二十カ国余りの国がその国の
平価
を
切り下げ
られたと伝えられております。また、
英国
、
米国
、
カナダ等
におきまして、かなりドラスティックな
公定歩合
の
引き上げ
、特に
英国
におきましては非常に強い
引き締め政策
というものが並行して行なわれております。 こういう点、特に
ポンド
が
国際通貨
としてまだかなり重要な地位を持っているというようなことから考えまして、
わが国
の
輸出輸入貿易
というものに
影響
があるということは言うまでもないことであると考えております。ただ、今回の
ポンド切り下げ
につきましては、先ほど
大蔵省
の
局長
からもお話がございましたとおり、
追随
して
切り下げ
た国の
数がわり
と限られております。国の数では二十ヵ国をこえているようでございますが、
わが国
と
貿易関係
が大であるという国の数から見ますと、
前回
の
ポンド切り下げ
当時に比べますと、はるかに少なくなっております。また、
切り下げ
によりまして、
切り下げ
をした
国々
の
輸出競争力
が
激化
をし、特に
日本
の
主要市場
である
米国
その他の
第三国市場
におきまして、
日本
との
輸出競争
が
激化
をし、かたがた、
世界貿易市場
において
国際競争
が激しくなるという点はまさにそのとおりであろうかと思いますが、
英国
におきましても
切り下げ幅
が一四・三%にとどまっております。また、今後の
物価上昇
その他によって吸収されてしまう
部分
があると思われますので、
切り下げ
られた幅がそのまま
切り下げ国
の
輸出競争力
になって出てまいるというふうには考えられないような点もございます。また、
日本
の昨年来の
輸出
の
停滞
というものは、
海外
の
市場
にもよりますが、特に
日本
の
国内
において
内需
が強いために
輸出
が
伸び
悩んだような
傾向
もございますが、九月以来
わが国
も
引き締め
基調
に転じておりますし、その間、
輸出
に向かう強さが昨年と比べると強くなっているというような
状態
もございますので、そういうものを全部総合いたしますと、どの
程度わが国
の
輸出
に
影響
するかという計算は、簡単にはできないように考えられます。
わが国
の
輸出
への
影響
を、
主要国別
、
主要商品別
に見てみますと、次のようになろうかと思います。 まず、
切り下げ
をいたしました
英国
でございますが、最も新しい年間の統計がアベイラブルな年であります一九六六年におきまして、
英国向け
の
輸出実績
は二億二千五百万ドル、総
輸出額
九十七億七千六百万ドルに占めます
割合
が二・三%でございます。
主要輸出品
は
船舶
を
主体
とする
機械機器
が六千六百万ドル、
サケカン詰め
などの
魚介類
を
主体
といたします
食料品
が五千百万ドル、
衣類
、綿織物を
主体
といたしております
繊維品
が二千百万ドルでございます。こういう
輸出構成
になっておりますので、今回の
切り下げ
に伴いまして、こういう物資の
英国向け
の
輸出
は
影響
を受けると考えられますが、特に
船舶
、オートバイ、カメラ、
サケ
、マス、ミカンの
カン詰め
、
衣類
といったようなものへの
影響
を懸念いたしております。 次は、
香港
でございますが、
香港
に対する
わが国
の六六年の
輸出実績
は三億七千万ドルでございまして、総
輸出額
に占める
割合
は約三・九%でございます。
主要輸出品
は、合繊の織物を
主体
といたしております
繊維品
が一億三千四百万ドル、トランジスタなどの
電気機械
を
主体
とする
機械機器
が一億七百万ドル、
人造プラスチック
などを
主体
としております
化学品
が三千五百万ドルでございます。 今回、
香港
は、当初一四・三%、
英国
に
追随
して
切り下げ
ましたが、二十三日、これを一〇%
引き上げ
いたしました。したがいまして、
実質的切り下げ率
は五・七%にとどまるといわれております。したがいまして、
香港
に対しましては、特に
香港
が
中継貿易
を非常に大きく扱っておるというような性格から考えましても、
英国等
に対する
輸出
が受ける
影響
に比べますと、
わが国
の
輸出
が受ける
影響
は、さほど大ではないのではないかと考えられますが、
商品
によりまして、
人造プラスチック原料
とか
自動車
、
繊維
、
機械
といったようなものの中に、
英国
との
競争
の
激化
というものが予想されまして、
影響
を受けるものが出るというふうに考えられます。
第三国市場
の雄でございます
米国
につきましては、
わが国
の
輸出
の三割を占めておることは御高承のとおりでございます。
毛織物
、
工作機械
といったようなものにつきまして、特に
機械機器等
につきまして
英国製品
との
競争
が
激化
をする。それからまた
繊維
の二次
製品
、トランジスタラジオみたいな軽
工業品
、雑貨といったようなものにつきまして、
香港あたり
との
競争
が
激化
をするという懸念がございます。
米国市場
の
需要弾力性
というものは
商品
によって異なるかと思われますので、一がいにどの
程度わが国
の
輸出
が
影響
を受けるかというのは非常に困難でございますが、たとえば
鉄鋼あたり日本
の占めるシュアがかなり大きな率に達しておるものにつきましては、
英国品
その他の
競争
は
激化
をいたしますが、総じてみますと、大きな
影響
というものはないかと思いますが、
価格面
などでの
競争
が激しくなるのではないかというふうに考えられます。
カナダ
でございますが、六六年の
わが国
からの
輸出
は二億五千六百万ドルでございます。
カナダ
は、
英国
との特殊な
関係
から、
英国
の
影響
が非常に大きい
市場
でございますので、したがいまして、
わが国
の
カナダ
に対する
輸出
につきましては、特に航空機、
自動車
などをはじめとする重
機械類
というものがかなり
影響
を受けるのではなかろうか。また、
毛織物
につきましても
相当程度影響
を受けるのではなかろうかと懸念いたしております。
豪州
は、六六年の
わが国
の
輸出
は二億九千八百万ドルでございます。この
地域
も最近
ドル地域
への依存が
増大
はしておりますが、まだまだ
英国
の
影響
が大きい
市場
でございますので、
自動車
をはじめとする重
機械類
というものに
影響
があり、また、
有機化学品
について
競争
の
激化
をおそれております。綿布、
繊維
二次
製品あたり
につきましては、
香港
から
豪州
に
伸び
やすくなるという点も
心配
をいたしております。 以上が大体今回の
切り下げ
及び
公定歩合
の
引き上げ等
によって大きく
影響
を受ける
わが国
の
主要輸出市場
及び
輸出商品
の概観でございます。 こういうものを通じまして、特に
公定歩合
が
引き上げ
られたということによりまして、こういう
国々
の
景気
の
伸び
が、いままでよりは少し落ち、
経済活動
が、もし
切り下げ
、
引き上げ
がなかった場合に比べれば、若干落ちるのではないかという
心配
はございます。この点、
米国
は最近
景気
がやや上がり
ぎみ
になってまいっております。しかし、
消費
は、まだまだほんとうに
伸び
るというところまで至っていないような面もございますが、そういう
段階
で
景気
の
上昇
が押えられる
傾向
にある
公定歩合
の
引き上げ
というようなものが実施されますので、その面からも、
わが国
への
輸出
の
影響
というものがかなり予想されるわけでございます。ただし、
他方わが国
からの
輸出
の
伸び
る力は、先ほど申し上げましたとおり、ことし前半までの
輸出
の
停滞
が、主として
内需
が強くて
伸び
にくかったという
状況
が作用しているといわれますので、その面が回復をしてきました場合、
世界
の
貿易
が
伸び
るのにつれまして、いままでどおり二倍
程度
の
弾性値
をもって
伸び
るという点はほぼ確実ではなかろうか。したがいまして、そういう総合的な考慮からいいますと、今年度
あたり
ではこれから申し上げます
輸入
の節約とあわせますと、たいして
貿易収支
の面ではシリアスな
影響
は起こらない。ただ、来年度に入りますと、若干
輸出
の面に
影響
が出てまいり、国際的な
輸出環境
のきびしさが
相当程度影響
を与えてまいると存じられますので、この際、私どもますます
輸出
の
振興
に努力をいたしまして、この
ポンド切り下げ
、
公定歩合
の
引き上げ
の
影響
を乗り切らねばならないというように考えている次第でございます。
他方
、
輸入面
の
影響
でございますが、全般的に
わが国
の
輸入
は、最近、
鉱工業生産
に見合った
輸入
というレベルに近づいてまいっております。したがいまして、
為替レート
の
切り下げ
を行なった
地域
からの
輸入
が、
切り下げ
によってこちらの
価格
が安くなるという
意味
で急に
増大
をするというふうには考えられないわけでありまして、特に、
機械類
のように
輸入量
が
輸入価格
の変動にさほど左右されない、むしろ内地の
需要
に左右される、
生産活動
に左右されるというようなものにつきましては、今後一般的に
輸入量
が急激に増加するとは考えられないわけでございます。
他方
、
平価
の
切り下げ
によりまして、そういう国からの
輸入価格
は若干下落をいたします。その面で、
わが国
の
輸入面
に節約ないし金額の減少という有利な結果が生じてまいります。そういう面で、
輸入
の面ではむしろ若干の節約が行なわれますが、しかし、総じて非常に大きな
影響
があり、
ポンド切り下げ
その他によって
わが国
の
輸入
市場
が大幅に転換するというような事態はまずないのではないか、かように考えております。一応この辺で……。
小峯柳多
7
○
小峯
小
委員長
これから質疑に入ります。 通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
堀昌雄
8
○堀小
委員
最初
に、
国際金融局長
にお伺いをいたしますけれども、
ポンド
の
切り下げ
のその前の
イギリス
の外貨準備の
状態
というのを少し見てみますと、一九六六年の六月ぐらいは十一億七千万
ポンド
、それからずっと見てみますと、六六年はほぼ横ばいで、そうしてことしの四月に少し上がってきて、これが十二億一千六百万
ポンド
まできて、それから五月、六月、七月、八月、九月とだんだんダウンしてきたということだと思うのですが、この
切り下げ
のときというか、十月末くらいの
ポンド
の外貨準備というのは幾らだったのでしょうか。
柏木雄介
9
○
柏木説明員
お答えいたします。 十月末の
イギリス
の外貨準備はドルで二十八億八百万ドルであります。したがって、
ポンド
に換算いたしますと、大体十億
ポンド
かと思います。
堀昌雄
10
○堀小
委員
そうすると、それを外貨準備だけの面から見ると、七月、八月、九月というのが、九月は九億七千五百万
ポンド
まで下がっていたわけですから、少し回復をしておったというわけですね。それで、私ども今後、
日本
の場合をも含めて考えていかなければならぬと思うのですが、外貨準備というものは表の金額ではわからない。内部のポジションの問題が加わると思うのです。まあ、よその国のことですけれども、この二十八億ドルでもいいですし、約十億
ポンド
でもいいですが、この外貨準備の中身ですね、あなた方が大体推測し得る範囲でけっこうですけれども、この中身はどういう中身なんでしょうか。
柏木雄介
11
○
柏木説明員
イギリス
政府として外貨準備の内訳を、たしか公式に発表したことはないと思います。外貨準備として当然金及びドル資産が多いかと存じますけれども、幾らが金で、幾らがドルであるかということは承知いたしておりません。
堀昌雄
12
○堀小
委員
私どもいろいろなものを見ますと、金の保有というものは大体書いてありますね。それは、あなたがここで公式の立場だから言えないということは別として、何かそういう報道によればどういうことになるのですか。あなたの意見ではなくて、一般的なそういう報道があるでしょう。われわれは大体フランスが六十億ドル金で持っているとか、いろいろ承知しているわけです。西ドイツは大体どのくらい金で持っているということは承知しているので、あなたがここで断定的に幾らあると言うことは、立場上まずければ、報道による
状況
をひとつ教えてもらいたい。
柏木雄介
13
○
柏木説明員
十月末という
数字
でございますと全然見当がつきませんけれども、数カ月前の
数字
としては、私の記憶でありますけれども、たしか外貨準備のうちの六割近いものが金であったかと存じます。残りがその他の交換可能通貨で、交換可能通貨のうち幾らがドルであるか、おそらく大
部分
がドルであろうかと存じております。
堀昌雄
14
○堀小
委員
そこで、
イギリス
の
貿易
なりいろいろな
情勢
の中で、
平価
を
切り下げ
なければならなかった問題というものは、単に外貨準備の問題であるとか、そういうことだけではなく、総合的な問題のしわがここへきた、私はそう判断をするのであります。
日本
の場合、実は何かよその国のような感じがあると思うのですが、最近二十億ドルの外貨準備が上がったり下がったり。名目的には確かにそれでいいと思うのです。しかし、ポジションについては、これはあなた方ますます言いたくないところだけれども、非常に悪化をしておる。これは別に量でいきません。私の推測では、少なくともユーロダラー的なものというのが十億ドルをこえるくらい入っているのじゃないだろうかという感触で見ておりますけれども、そういうきわめて不安定な外貨準備の
状態
がある。金の保有に至ってはないにひとしいということです。 実は一昨日ですか、通産省の産構審がいろいろな問題を取り上げた中で、大体やはり前年比三七%くらいの設備投資を認めるのだ、こういう話であります。確かに
国際競争
力の強化も必要でありましょうから、ある
程度
の設備投資は確かに必要だけれども、私は一般的な感触として、
大蔵省
、日銀はやはりいまの
日本
経済
に対してかなり強い危機意識を持っておるけれども、通産省の側はどうも危機意識か少ないような感じがする。これは所管庁として当然な点もあるけれども、一体
日本
は、ことし大体五億ドルないし六億ドルくらいの赤になるだろう。この間、OECDはたしか一一%くらいの来年の
貿易
の
伸び
で、来年度もやはり相当な、五億ドルくらいの赤字になるのではないかということをいったと思うのですが、その点どういうことだったか、もう少しはっきり御
説明
願いたい。
柏木雄介
15
○
柏木説明員
本年度幾らぐらいの赤字になるかということは、ただいま政府部内でいろいろ検討いたしまして、近々、本年度の
見通し
の
改定
というものがあろうかと存じますが、OECDのほうにおきましては、いわゆる
国際収支
というような、
日本
で申しております
IMF
方式の総合収支あるいは基礎収支というような推定作業はいたしておりませんで、もっぱら、いわゆる経常勘定の黒字が幾らであるかというような作業をいたしております。経常勘定と申しますのは、
輸出
輸入
の
貿易収支
関係
、
貿易
外
関係
、移転収支
関係
を含めた経常収支の黒字がどれくらいであるかという推測をいたしておりますが、本年も来年もそう変わらないのではないかというようなことをいっております。その一番の根拠としまして、来年度の
世界経済
の
伸び
ぐあい、
貿易
の
伸び
から見れば、
日本
の
輸出
というものの
伸び
方はそれほど大きくない。一一%ぐらいの
数字
が出ておりますが、そういたしますと、来年の経常勘定における黒字というのは本年とそう変わらない
数字
になるのじゃないだろうか。ちょっとまたお答えいたしておきますけれども、私どものほうは、大体会計年度でいろいろ推算いたしますけれども、OECDのほうは暦年ベースでやっておりますので、その辺ちょっと食い違いがありますけれども、本暦年と比べて来年はそれほどの黒字の増加というものは期待できないのではないかと思います。
堀昌雄
16
○堀小
委員
そこで、かりにいま新しい
改定
見通し
をやっておられるところで、まあ、この間ちょっと電話で話をしたのですが、
調整
局長
の赤沢君は、どうも通産と大蔵と意見がいままとまっておりませんので、きょうの
委員
会に出席をして私から答弁するのはちょっとこらえてくれというようなお話があったのですが、私も、こういう時期に公式な答弁を求めるのはどうかと思って、きょうは
調整
局長
の出席を求めなかったのですが、もしかりに、ことし六億ドルの総合収支の赤があった、来年も六億ドルの総合収支の赤があった、こうなると、要するに四十三年度末赤が立っても、外貨準備は一応二十億ドルということに、それは減るかどうかは別として、表はそうなり、さらにそうなっていくという場合に、一体どこまでいったらほんとうの危機というか、そういう
国際収支
面で手をあげるというのは、どういう
情勢
のときに
日本
が手をあげることになるのか、その先々のことですね。要するに、ことしも五億ドル赤が総合収支で立つ、来年も赤が立てば、総合収支で十億ドル赤が立つわけですね。ことしの年度の初めから見て十億ドルの赤が出る。外貨準備として見たら同じ、表はこういっているわけですね。だから、それだけポジションがますます悪くなる。裏返していえば、もしかりに来年の年度末に二十億ドル外貨準備があるならば、私はほとんどそんなことにはならぬと思うけれども、もしあるとするならば、これは短資のものだけであって、本来の支
払い
能力のあるようなものはほとんどないというようなことになるのじゃないかと思います。ただ、いまのように、わりに一部人のたちは、いや、ともかく
IMF
から借り入れようとスワップの発動で持ち合いをしようと何しようといいから、設備投資をやるところはやってしまえという考え方の論者もいるわけですね。だから私は、そこのところの終点というのはどういうことなのかということを、きょうちょっと聞いておきたいと思うのです。
柏木雄介
17
○
柏木説明員
どこまでいったら手をあげるんだといったら、ちょっと
数字
的にどうこうということは私はむずかしいと思いますけれども、私どもといたしましては、御指摘のように、外貨準備が幾らだということで
国際収支
を判断すべきでないと思います。これは、先ほど
イギリス
の例で、ずっと六六年からそう変わっていないということにもかかわらず、
イギリス
は非常な
国際収支
の危機に直面し、ああいうことになってきたということでありますけれども、私どもといたしましても、外貨準備ではなくて、やはり
国際収支
というものは、経常収支、
資本収支
を合わせました総合収支のしりで見なければならない。それが五億とか六億とかいう
数字
が出ておりますけれども、六億ドルの赤字があるとすれば、これはゆゆしき問題である。これはやっぱり長く続けてはならない。したがって、来年度も六億ドルの赤字が続くというようなことは、とうてい許せない。やはり何としてもこれは減らして、均衡
状態
まで少なくとも持っていかなければならぬ。長い目で見れば、若干の黒字をつくって、そして外貨準備を積み増すとか、ポジションを
改善
するような方向に持っていくべきものと存じます。したがいまして、来年度六億ドルの赤字が出るということはとうてい許せない。むしろ、そういうような観点を入れまして、本年の九月から、御承知のように
公定歩合
の
引き上げ等
の
引き締め
段階
に入ったわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、来年度はこういうようなことにならない、さように考えております。しかし、しからば来年度の
国際収支
はどうなるかという御質問があるとしましたら、それは政府部内でまだ検討中の
段階
でございまして、
数字
的にどうこう申し上げる
段階
ではございませんけれども、とても六億ドルの赤字というのは、私どもとしては容認できない
状態
の
数字
かと存じます。
堀昌雄
18
○堀小
委員
そこに、私は、いま
日本
国内
で、
国際収支
の問題を一体どれだけ比重をかけて、
経済
界の人たちが認識をしておるのかという点について、非常に疑問があるわけです。個々の
企業
そのものの問題は、私は
イギリス
だってそんなに危機感はないと思うんですよ、個々の
企業
から見たら。トータルとして見た場合に問題が起こってくるわけですから。今後の
日本
経済
の問題というのは、単に
財政
が硬直化だとか、そんな末端の問題もさることながら、非常に重要な問題というのは、やっぱり率直にいえば、いま
日本
が
平価
の
切り下げ
というようなところには全然いくことはないんだというような安易感ですね、それがもう何か国民的常識みたいなものになっていて、
イギリス
で起きたのは、それは
イギリス
で起きたことであって、何か別
世界
で起きたような感覚を持っておると思いますけれども、私はどうもそんなになまやさしい
状態
に
日本
があると思わない。そのことは、言うなれば、やはり外貨準備の中身をだれも知らない。特定のごく一部の者だけが多少知って
心配
をしておる。表づらの二十億ドルしか知らない人が、財界にもかなりいるんじゃないだろうか、私どもはこういう感じがしてしかたがないわけです。だから、やはりそこに危機意識がないから、二十億ドルちょっと切った、上がった、まあ何とかいっているではないかというようなことが、もし一般的になってくれば、私はなかなか問題は簡単じゃないと思う。ということは、いま銀行
局長
が触れましたように、いま
引き締め
は全然さいていないんですよ。いまそれじゃ少しきき出しておるように見える問題は、これは大
企業
は、何もいまの
資金
を手当てをしておるとは私は思っていないんですよ。来年の一−三月の
部分
をいま一生懸命手当てしているわけで、
日本
の経営者は
引き締め
にはなれていますから、そんなにぼやぼやしていないわけです。大体私どもが聞いておるのでは、九月のときに、来年の一−三月の
貸し出し
を、どんどん経営担当者は銀行にかけ込んでおるわけですから、もうある
程度
企業
は金を借り入れた。一−三月の締まりを見て、かなり金を借り入れて、そういう
意味
では手元流動性は少し厚くなっておるぐらいじゃないかというふうな感じが私はしておりますから、今後一−二月になって、
財政
揚げ超になるから締まってくるなと思ったら、案外締まらないではないかという問題が私は起こってくるのではないかと思う。私は当初から、この前も宇佐美さんに来ていただいたときに、必ず私は将来的には二厘であるべきであったというときがくると思うとお話しいたしましたが、明瞭に私は今日二厘であったほうが全体としての結果はよかったのではないか、こういう感じがしておるわけです。 それからもう一つ、これは今後の問題の
影響
でありますけれども、きょうの新聞
あたり
では、各地でとにかく猛烈に金が買われていますね。この金を買っているのは、やはり私はドルを売って金を買っているのだ、こう思うのですが、きのう、二十三日には約二十トンくらいの金が動いたといわれておりますが、
アメリカ
はいま金の保有額百三十億ドルくらい、いまのこの調子でずっといって、どんどん買われたら、
アメリカ
の金保有というのは相当
影響
を受けるだろうと思うしするわけですが、
アメリカ
の受ける
影響
の問題ですね。
ポンド切り下げ
が
アメリカ
に及ぼす
影響
の問題、
アメリカ
にも、
国内
的に非常にいろいろ問題が現在あるわけですから、単に
国際収支
面から見る
影響
ということだけではないと私は思うのですが、
アメリカ
の、特にドルが受ける
影響
というのは今後どういう形であらわれてくると思いますか。
柏木雄介
19
○
柏木説明員
これは新聞報道でしか承知いたしておりませんけれども、ファウラー財務長官が、
ポンド
の
切り下げ
に伴ってドルが現行通貨体制維持の第一線に出るようになったいうことを言って、したがって、
アメリカ
としてもここで思い切って
財政
、
金融面
を強化して、そしてドルの防衛に専念というか、力を出さなければならぬということを言っておりますけれども、ファウラー長官のことばのとおりだと思います。いままで比較的スペキュレーションの対象が
ポンド
に集中していたものが、これからはスぺキュレーションが
ポンド
からドルに向かってくる可能性があるという
意味
で、ドルというものが一段とそういうふうなアタックを受ける可能性があるということは認識しておりますし、それに対して、また
アメリカ
としてもそこで対策を講ずるという
段階
でありますので、いまお話しの、きのうのロンドン金
市場
における金の売却が二十トン余りあった、これは私は
数字
は存じませんけれども、そういう問題もこれからあるいは起きるかもしれない。要するに、金、ドルを通じての防衛をどういうふうにするか、これは
アメリカ
だけの問題ではなくて、西欧のほかの国もいろいろ
心配
しておるものかと存じます。
堀昌雄
20
○堀小
委員
これまでキーカレンシーのいろいろな問題の経過があって、SDRの問題もほぼまとまってきたと思うのですが、この際、あの中でずっと抵抗してきたのは御承知のようにフランスですね。フランスは、ずっと見ていると、例の金の決済プール機構ですか、なんかからも手を引いておる。自分のところはしこたま金を持っておる、いつでもひとつ何なら金本位でいきましょうかというかまえがあるわけですから、私は、いまのこの
情勢
から見ると、フランスはかなり意図的にゆさぶりをかけるであろうことはやはり間違いはないと思うのですね。そうなったときに、これは非常に政治的な問題になりますけれども、片やベトナム戦争を遂行しながらの
アメリカ
の
財政
赤字、一体その
財政
赤字を増税で埋められるかというと、そう簡単には埋められそうにもない。この
ポンド
の
切り下げ
でやや変わるかもしれませんけれども、なかなかそう簡単ではない。
アメリカ
は予防的に
公定歩合
を
引き上げ
たといいますけれども、プライムレートを含めて、これは全体的に上がる
情勢
のところへ加速度がつく、こういうことになるのじゃないかと思うのです。そういうような全体の
情勢
、さっき
振興局長
は、ことしの
輸出
の
伸び
が悪かったのは、
国内
に原因があるように非常に比重をかけてお話があったのですが、もちろん
国内
の
需要
があったということもさることながら、実は
西欧諸国
の不況が
輸出
ドライブをかけておったということのほうが大きいんじゃないか、私はこう思っておるわけです。この
西欧諸国
の
輸出
ドライブは、今度の経緯を通じて強くなりこそすれ、弱くなる
情勢
はない。
景気
の立ち直りは、西ドイツ等を含めて非常に困難になる
情勢
に、やはりこの
ポンド
の
切り下げ
は
影響
するだろうし、
アメリカ
自身は、ドル防衛をはじめとしてますますもって壁を厚くしていかなければ、今度は自分の番だということになってくるわけです。一昨日、桜田さん、参考人でおいでになって、
アメリカ
が三番バッターになるか、
日本
が三番バッターになるか、まことに興味のあるところだというお話があったのですけれども、まさにそういう
意味
では
アメリカ
と
日本
が三番バッターを——
イギリス
一番、西独二番ということで、三番バッターを争う
段階
に来ているようですが、いまの
振興局長
のお話を聞いておると、まだまだ来年度も楽な
見通し
のような感じですが、もう少し来年度の
貿易
というのはきびしくなるということになりませんか。
原田明
21
○
原田説明員
私が、
輸出関係
はきびしくならないように申し上げた印象をお与えしたとすれば、それは非常に誤解でございます。
ポンド
が
切り下げ
られまして以来、非常に
輸出
に
心配
があって、
輸出
はとてもいかぬのではないかというくらい
心配
をしておる人が非常に多いように感じました。
他方
で、
わが国
の
輸出競争力
というものは、まだまだある
程度
残っておりますし、これからも伸ばしていかなければならないと考えております。したがいまして、いま先生から御指摘のございましたような、
切り下げ
及び
公定歩合
の
引き上げ
、
各国
の
競争
力の強化というような
わが国
を取り巻いております
輸出環境
のきびしさの中で、決して悲観することなく、やはり伸ばしていかなければならぬであろうということを申し上げたつもりでございます。
堀昌雄
22
○堀小
委員
いまのそれは、伸ばしていかなければならぬということは、それはわれわれの願いですね。しかし、願いがいかにあろうとも、客観
情勢
というものがあるわけですからね。私は、ここでの
経済
の議論というようなものは、やはりそういう主観的な願望の話をしても始まらないので、——それはあっていいけれども、われわれが議論しなければならないのは、客観的な
情勢
の中では、一体相対的にどうなるかという問題に焦点をしぼっておかなければいけないのじゃないか。ですから、いま品目別にずっとお話が出ましたけれども、確かに鉄のようなものは
競争
力がありますから——おそらく
国内
の
需要
が、これからまだまだどんどんことしのような
伸び
でふえるとは思いません。供給のほうはうんとふえてきますから、来年度になると、私は、鉄なんかは
競争
力がかなり回復をしてくるだろうと思います。
輸出
もことしのようなベースでなく、昨年ベースぐらいのところへ戻るだろう、こう思うのでありますけれども、しかし、
アメリカ
自身が、最近いろいろな関税障壁的な特別
措置
をとろうという努力を盛んにしておる
情勢
は、やはりドルに危機が近づけば近づくほど、そういう経常収支で何しろかぜがなければならないわけですから、
日本
と同じように、やはり
輸入
を減らして
輸出
をふやしたいということは、
アメリカ
としても当然起こることですからね。そういう場合に、これまでは何とかいけたからという
情勢
ではなくなるのではないかということを、私はちょっと指摘をしておきたいわけです。やはり鉄鋼についても、少し
輸入
を
調整
させる何かの手段を講ずることが、ドルの危機を前にして起き得るではないか。各種のそういう——この前KRの話をしたときに、非関税障壁の問題をずいぶんやりました。その後点検しておるけれども、あまりわれわれが期待したほどの非関税障壁の点検は起きてない。起きてないどころか、これは逆にいろいろな手を使って、そういう非関税障壁を高めてくることのほうが、いまのドルが第一線に出たという問題と不可分に出てくるのではないか。だから私は、あなたのお話のように、
ポンド
の
切り下げ
そのものが、ストレートに直ちにショック的に
影響
するということは、私もあなたと同感です。しかし、それが起こしてくる余波が乗数
効果
のようになってはね返ってくる。このほうはなかなかたいへんなことが起こってくる
情勢
にある。だから、私はそういう
意味
では、通産省側と
大蔵省
側と、いまいろいろ議論があると思いますけれども、私は、もう少しきびしくあっていいのではないかという感じがしておるわけです。 私、これまでも、ここで国債
発行
についても、幾ら多くても本年度は四千億くらいにすべきではないかという提案を一年ほど前にしておったわけだけれども、政府は一向に耳をかさずに、御承知のようにやって、そして減らせ減らせと言われて、いま四苦八苦している。一ぺん伸ばしたものはなかなか減らせない実情ですから、問題が起きているわけですけれども、
大蔵省
もでありますが、特に通産省は、今後の
経済
収支をどこまで黒で広げていくかということについては、願望だけではなくて、やはり具体的なこまかい
措置
が相当に今後検討されておらないと、そこへいって向こうが打つ手にどうにもならなかったというようなことではいけないのではないか。裏返して言えば、この間、通産省から、もし
アメリカ
がいろいろなそういう手段によって
日本
の
輸出
を押えようというならば、
日本
にも報復手段があるなんということがちょっと新聞に出ましたけれども、私は
日本
の側が報復手段をとられても、もし
アメリカ
がやってきた場合に、どっちが得してどっちが損をするかといったら、私は、被害を受けるのは
日本
のほうで、
日本
の報復は、
アメリカ
はやあけっこうですということで押し切られるのが落ちではないかということを、この間のああいう一連の報道を見ながら感じたわけです。そういう
意味
で、通産省としては来年の
アメリカ
に対する
輸出
の問題をどういう角度でいま考えておられるか、それをお聞かせいただきたい。
原田明
23
○
原田説明員
アメリカ
に対する
輸出
は、もちろん
アメリカ
の
景気
がどうなるであろうかということに最も左右されるわけであります。
アメリカ
のGNPがどのくらい上がり、
消費
需要
その他の
需要
がどのくらい強くなるだろうかという
見通し
は、まだ十分に確定的なものがないようでございますが、ことし二・八%
程度
とOECD
あたり
が推定しております。ような低い
経済
成長が、来年には四−七%ぐらいまではいくのではなかろうかと、しばらく前までは見られていたようでございます。現に最近、
アメリカ
の
経済
が若干回復をしてまいりました。先ほども申し上げましたように、特に
消費
あたり
はまだ本格的に非常に強くなってきているという
段階
までには至っていないようでございますが、特に来年大統領選挙その他を控えまして、政府もいまの
景気
停滞
を続けていたのでは困るということで、かなり努力をしている
効果
も少しずつ出てまいりまして、OECD
あたり
で予測をしておる
程度
の
経済
成長はいくのではなかろうかという予測が出ておりましたやさきに、今回の
切り下げ
及び
公定歩合
の
引き上げ
という
措置
が行なわれたわけでございます。したがいまして、この点は先ほどから話が出ておりますように、全般的に
経済
の
運営
を慎重にせざるを得ない立場にございます。その
意味
で、国際的
高金利時代
と銘打たれるほど非常に強い
引き締め
時代に
世界経済
が全部入ってしまうということになるかどうかは、まだ若干注目を要するのではないかと思いますが、つい先般まで予想されていた当時よりは若干回復がおくれ、または下がるという感じが出てきているのではないかと思います。
他方
、
日本
の
景気
は、
引き締め
がなかなかきかないというお話もございますが、だんだんこれから
財政
、
金融
といったような両面から
国際収支
などを注目をして、いろいろな慎重な
運営
という方向に傾くというような
傾向
が見られておりますので、そういうことなどもございますと、どうしても
輸出
に重点を置かざるを得ないという立場が
企業
、産業それぞれの側で出てまいってくると存じます。現に八月、九月ぐらいからは、
輸出
もその前の
停滞
に比べますと
伸び
る気配が見え始めております。したがいまして、こういう両方の
状況
をあわせてどのくらいになるかということをきめなければならないわけでございますが、
他方
、ちょうど時を同じくしまして、
輸入
制限運動というのがちょっと火ぶたを切ったような形で出ております。これはケネディラウンドがやられております間は押えられていた保護主義が若干火をふいてきた。かたがた、
アメリカ
の
景気
もよくなり
輸入
も若干ふえてくるというようなことで、むしろ政府が国の
経済
の
運営
のしかたとして
輸入
制限的な方向に踏み切ったというのではなくて、個々の産業、
輸入
によって被害を受けることをおそれている産業が、何とかちょっと保護をしてもらえないでしょうかという運動であろうかと思います。したがいまして、はなばなしく上がっておりますわりには、
輸入
制限運動が直ちに
日本
の
輸出
に対して
影響
を非常に強く及ぼすというふうに考えるわけにはいかないと思います。ムードとしまして阻害されるということが非常に大でございます。特に、これからの
輸入
の
伸び
ぐあい、
アメリカ
の
景気
の
伸び
ぐあいによりましては、場合によってはシリアスな事態を生ずるおそれもなしとしないわけでございます。 こういう
状態
を見まして、
アメリカ
に対する
輸出
につきましても、いままでの気持ちではやはりいけない。この際、うんと何とか伸ばす手段を講ずる。一方では
輸入
制限運動などはもってのほかでございます。あくまで自由
貿易
主義を貫いていただかなければならない。また、
経済
の
運営
につきましても、
世界
の
経済
が一挙に
引き締め
、高金利という形で
停滞
の方向に向かうということで、ただ安定すればいいというのではないので、やはり
経済
交流を続けながら安定的発展の方向に向かうために、ドルその他の価値の維持から始めて全部努力をしていただかなければならぬ、こういう
意味
の国際協調を進展していただかなければならない、そういう総合的な
環境
の好転への努力をやっていただかなければならぬ。
日本
の
経済
もそういう方向で大いに努力をしなければならぬと思います。また、
国内
におきましても、なかなかガットその他の
関係
で直接的な
輸出
振興
策というのはとれないような
状態
にございますが、可能な限りの努力を政府も
企業
にも要請をしなければいかぬということでございます。本日も
貿易
振興
会議
などをやって、業界に訴えたいと考えている次第でございます。
堀昌雄
24
○堀小
委員
そこで、私は通産省に考えてもらいたいと思うことが一つありますのは、一つ端的に例をとると、鉄なら鉄ですね。鉄のようなものは
輸入
をしなければ
輸出
はできないわけです。これはどうしたって外貨の問題としてウエートも高い。そうすると、見ておりますと、
企業
別に、非常に
輸出
をずっと
実績
を積み上げておる
企業
と、ふだんはあまり
輸出
をやっていなくて、不況になってくると
輸出
をだっと出すところと、
企業
の中に二通りあるわけですね。そういうときに、ふだんやってないところはそれではどういう処置をとるかというと、個別的なユーザーに話をしているのではなくて、商社にどんと抱かせるわけです。そうすると、商社は向こうに持っていってダンピングをして売りさばこうとする、こういう問題が常に起きておるわけです。だから、私は、やはり通産省を一体として考えるならば、いろいろな設備
調整
の問題なりいろいろな問題が出てきたときに、あるいは
生産
をしぼるとかいろいろな問題が出てきたときに、
輸出
メリット制度といいますか、過去における
輸出
に多少リンクをしたかっこうでの
生産
を考えるとか、要する恒常的にやっているものと、そうではなくてどかりどかりとやるものとで、全然
国内
的な処置が同じだということになったのでは、裏返して言えば、まじめにユーザーを開拓して
輸出
に努力をしているものがばかをみることになるわけです。私は、そういう
企業
的な問題、たまたま鉄というような例を出したわけですが、ほかにもそういう問題があると思うのです。だから、やはり通産省として
輸出
の
状態
をずっと
企業
別にある
程度
調べてみて、コンスタントに
輸出
をふやしてきておるところについては何円かのそういういろいろな
調整
なりいろいろな通産省として処置ができるときにはメリットを与え、争うでなくて、そういう
国内
的な
情勢
によって
輸出
ドライブが出てきたときだけそれぱっといこうというようなもの、そういうものには多少デメリットがあるのだ。これはやはりみんなが着実にユーザーを開拓をして積み上げてあれば、多少西独から来ようがどこから来ようが、そういうところのメーカーの
輸出
は下がっていないのですよ。トータルとしては下がっているけれども、そういうのは下がっていないという問題を、やはりもう少し個別的な分析をした上で通産省全体としての指導——減産をやるときでも、設備投資をやるときでも、そういう全体の指導の中に反映をさせるようなことをしないと、要するにみそもくそも一緒にして処置をされているというのが現状ですから、その点をこの際強く要望しておきますので、通産省として真剣に取り上げてもらいたい。それでなければ、問題がはね返るのは、さっきのようにどかっと商社に抱かせるからダンピングになって、そして
日本
のやつはけしからぬ、とこういうことになるわけですね。そういうことにならないようにする事前の処置をふだんからやらなければだめなんじゃないかと思うのです。 銀行
局長
にお伺いをいたします。さっきちょっと私が触れたように、
引き締め
必ずしも一−三月に皆さんが期待をしたようになるかどうかについては、私はかなり疑問を持ちます。それはやはり何だかんだといっても自己
資金
がかなり使えるところに来ておる。企画庁が出している
経済
白書を読んでも、もし設備投資が三五%
伸び
ると仮定をしても、大体六四%ぐらいの自己
資金
というものでいけるのじゃないかということを
経済
白書の中で企画庁は出しているわけです。個別的にどうなるかは別としても、設備投資が上がってくれば当然自己
資金
のウエートは下がってくるわけですから、まあ四十一年におけるような
情勢
に比べると、これからの自己
資金
のウエートは下がるでしょうけれども、下がるとしてもかなり大きなそういう自己
資金
があるところに
引き締め
をやろうという問題ですから、私はそう簡単にその
効果
が出るというふうには思っていないわけです。実は当初から思っていなかったし、年内にはだめだと思っていました。一−三月になってようやく少し出てくるだろう、こういうふうに思いますけれども、一昨日も川又さんから、一律の
引き締め
というのは困るのだという話が確かにありました。それは確かに戦略産業ごとの問題として、個別的な指導が必要で、そのことは窓口でもやっていることだろうと思いますけれども、きょうここであなた方に
公定歩合
を上げるべきだとかなんだとか、そんなことは聞きません。これは政策問題だから大臣が出てきて言うべきことだから聞きませんけれども、方向として、要するに
公定歩合
をそのままにして、なおかつ
引き締め
を強化しようとすると、私はやはり必ずしもノーマルでない
引き締め
になってくると思いますから、プラスでない面が
経済
現象の中に出てくるのじゃないか。やはり
引き締め
をやるならオーソドックスにやるということでないといけないんじゃないか、こう私は思うのです。その点についてひとつ銀行
局長
……。
澄田智
25
○
澄田説明員
現在までの
引き締め
の
状況
を先ほど私申し上げました。いままた御指摘もございました。確かに過去の
引き締め
を実施をしたときとは
環境
がいろいろな面で変わっている面が多いわけでございます。したがって、そういう
意味
から
引き締め
の
浸透
のスピードと申しますか、時間がかかるというような面も、確かに違っている点があろうかと思います。それに加えまして、先ほど申しましたように、本年は非常に散超が予想以上に大きく、米の代金を
中心
の散超が大きくなりまして、いままでのところはその散超期にちょうどぶつかっている。十二月からはこれが揚げ超に転ずるわけでございますが、そういうような時期に
引き締め
が行なわれた、これが一つさらにそれに加わった要因であろうと思いますが、そういうようなところでいままでとかなり様相が変わっておることは事実でございます。ただ、
企業
の手元の流動性が高まっている、設備投資に占める償却とかあるいは内部留保とかいうものの自己
資金
でまかなえる
割合
というものも高まってきている。そういう
状況
ではございますが、しかし
他方
、運転
資金
等の面においては
貸し出し
需要
というものも非常に強くなり、
金融
機関に対する
資金需要
というものも大きくなってきている、こういうことでございます。それがこれから季節的に
引き締め
られていく、
引き締め
が、いままで
財政
の散超によって相殺されていますような面がなくなりまして、揚げが強まるということになって、それがさらに強くあらわれてくるというようなことになった
段階
に来て、
引き締め
の
影響
が次第次第に強くなってくる。十二月にさらに強まり、さらに一—三月に強まってくる、こういうような
情勢
でもあるわけです。
公定歩合
の
引き上げ
と
貸し出し
規制
等の手段による
引き締め
と、両方でございますが、オーソドックスな金利機能によって
引き締め
が行なわれる、それに加えて、
金融
機関のポジションの指導とかあるいは
貸し出し
規制
ワクで押えるというような、両方の
措置
が相伴って行なわれてくる。そういう
状況
でありますので、今後の
浸透
度合いというものを十分見ていかなければならない。もちろん、こういう
ポンド
の今回の
措置
というような、
状況
の非常に大きな
変化
等もございますので、今後の
情勢
に応じ、よくそういう
状況
を見て、そうして
公定歩合
の
引き上げ
の
影響
と、それからそのほかの
金融
調節の手段というものとの両方の
状況
というものをよく見守っていくべき
段階
である、かように考えております。
小峯柳多
26
○
小峯
小
委員長
広沢賢一君。
広沢賢一
27
○広沢(賢)小
委員
ただいまの堀
委員
の話を、さらに私はもっと強く要望したいことがあるのです。 それは、どういうことかというと、まず第一番目に、通産
関係
、
原田
さんにお聞きしますが、先ほど堀
委員
が言われたとおり、今度の
金融引き締め
の問題の中で一つ重要な問題は、設備投資の抑制の問題、いまだかつて、
金融引き締め
をやっていながら少しも
改善
されてない。
伸び
はたいへんな
伸び
になっておるということになろうと思うのですが、新聞ではそれを大きく取り上げて、新聞面によっても明らかなのですが、通産省の態度は、ただいまの答弁でも、
企業
の
輸出競争力
を強化する、ただそれ一本やりなんですね。いままで
公定歩合
引き上げ
の当時から予想もしなかったようなこういう
ポンド
の
切り下げ
、ドルの非常な危機という
状況
が出たわけですが、そういう国際的な要件とかいうものはあまり考慮を払わないで、設備投資を盛んにして
輸出競争力
を強くするということばかり言うし、
大蔵省
とそういう点で対立していると新聞には書いてありますが、そういう態度でいるから、財界は勢いに乗って、もう設備投資を押えるな押えるな、そればかり言っている。
自己金融力
が、先ほど申しましたとおり、むしろ強くなっているという
状況
のもとで、
公定歩合
引き上げ
もあまり考えないという点について、私は一昨日の当
委員
会で、日産
自動車
社長の川又さんに聞いたのです。そしたら川又さんは、自分のところの
自動車
産業の
輸出競争力
強化について、設備投資はどうしても必要だということ一点ばりですね。そういう態度をとっていると、これは悪循環だと思います。
企業
輸出競争力
の強化一点ばり。それから国際的な
状況
については、先ほど堀
委員
の言ったとおり願望で、それで財界の設備投資の
動き
を抑制しなければ、
公定歩合
引き上げ
が今度またあるとしても、なかなか
効果
を発揮しないという点があると思います。一方、今度は
公定歩合
をさらに
引き上げ
ざるを得なくなる場合に、当然中小
企業
へのしわ寄せが一方的に来る。財界のほうはそれほどではないということになると、これは非常に国民生活にマイナスの面が生じるんじゃないか。こういう点で、まず第一番目に通産省のいま分析された態度ですが、それが少し甘いんじゃないかということは堀
委員
がずっとやられましたけれども、さらに
企業
輸出競争力
強化の設備投資一本やりでないいろいろなやり方、それから現在の事態の認識ですね、もう一回お伺いしたいと思います。
原田明
28
○
原田説明員
私は、設備投資のほうを直接担当はいたしておりませんので、その点御了承いただきたいのでございますが、私ども通産省といたしましても、
国際収支
にどういう圧迫がかかっても、設備投資さえやって、
国際競争
力さえつければよろしい、こう申し上げているわけではないのでございます。つい昨日の新聞にも、本年度三七・八%も設備投資をふやすという話が出ております。私の理解いたします限りでは、これは産業がそういう希望を持っているという調査がまとまったわけでございまして、それがそういう高い率になっているというふうに承知をいたしております。これが今後どの
程度
に実現をするか、それからまた、どの
程度
の設備投資の規模ならば、その他の
消費
需要
や
財政
支出等々の部門と相まって、
日本
の
国際収支
にさほど圧迫を与えないで
経済
成長をもたらし得るかというふうの作業は、これから省内及び各省とさしていただく
段階
に現在なっておりますので、まだ申し上げられないわけでございますが、設備投資に力を入れまして、
国際競争
力の増強を目ざしております基本的な理由は、たとえば
英国
あたり
、現在までしばしば
引き締め
を行ない、
輸入
制限を実施し、あるいはまた
ポンド切り下げ
にしても、四十九年かにもやりましたにもかかわらず、依然として
輸出
が
伸び
ず、
経済
が
停滞
をして、いわゆるじり貧とか動脈硬化とかという
状態
にまいっております。そういう
状態
におちいることを防止しますために、ただ設備をふやしさえすればいいということではございませんで、特に
輸出競争力
につながるような設備、それからまた、
輸出
の拡大にとって最も戦略的な産業、重化学工業を
中心
としました産業につきまして、
国際競争
力を強化するために、経営力、
生産
性の向上等々の強化と並んで、設備あるいは技術という面から
競争
力をふやさなければならないものにつきまして、質的な面から
競争
力をつけておくということが、長期的に、
わが国
が
英国
みたいな形にならないで、これからも
経済
成長を続けながら
輸出
を伸ばしていくことが可能な道ではないかというふうに考えておる次第でございます。もちろん、ただこう申し上げましても、それじゃ設備投資は野方図に
国際収支
に圧迫を加えてもいいという
意味
ではございませんので、
国際収支
という観点から、
消費
やその他の
需要
と並んで設備投資がどのくらいの規模にあるのが望ましいかということは、これからおそらく作業もし、そういう形で来年度の
経済
成長その他ともあわせて作業が行なわれる予定になっていようかと思います。
輸出
振興
のために、
国際競争
力強化一点ばりではとても用が足りないということは、もう先生御指摘のとおりでございまして、私ども、設備投資だけではございませんで、技術ないし経営体制等々の強化あるいは産業基盤の確立、特に中小
企業
、中小
輸出
産業の強化といったようなものを全部ひっくるめまして、
日本
の
企業
と産業の体質を
改善
して、構造をも化学工業化していくということがやはり基本的な命題であろうかと思います。しかし、これだけでは、さし
あたり
きびしくなっております
輸出環境
には対処できないと存じますので、これをさらに補完し、総合的な対策として高めますために、
海外
市場
の調査あるいは商取引のあっせん、見本市、あるいは販売促進といったような面に対する努力でございますとか、それから
輸出
金融
、税制上の
措置
及び
輸出
保険、あるいは検査、デザインによる品質の向上といったような面をあわせまして、総合的な
輸出
振興
策をいま一段強化してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
広沢賢一
29
○広沢(賢)小
委員
ただいま
イギリス
の例があがりました。
イギリス
は、確かに長年にわたって技術革新その他のことを怠って老英帝国になったということがあるのです。だから、
金融
上その他いろいろの手段をとっても根本的に立ち直らなかった。ここで重要なことは、それでは
日本
の場合は、技術革新をやったのはものまねがうまかったということがよくいわれておるが、今後、資本自由化に対処して自主的な技術開発をやっていかなければいかぬ、こういうことは重要だと思うのです。そういうために政策的ないろいろな
措置
が必要だとは思いますが、いままでの
日本
の安易な
伸び
方及び今後の
国際環境
、並びに技術革新のものまねがもう出尽くしたという
状況
では、これはたいへんだと思いますから、そうすると、ただいま仰せになったいろいろの
措置
のほかに、通産省としては、たとえば自主的な技術開発はどういうふうに取り組むかという根本的な問題に取り組まないと、いままでの
貿易
振興
の形ではうまくいかないんじゃないか。私が先ほど、いろいろほかの要件と言ったのはそのことなんですが、そういう点に配慮するということであれば、たとえばさっき堀
委員
がおっしゃった
輸出
リンク制ですね、そういう問題についてもいろいろと考慮しなければならぬと思うのです。 そこで、もう一つ、今度は
澄田
さんにお伺いしますが、先ほどあげている散超の原因が、お米ばかりに集中しているのですね。お米ばかりというような印象を受けたのですが、確かにそれは去年より原因は大きいと思いますが、しかし、一番の原因は、これは前からいろいろここで議論されているのですが、やはり財界の設備投資がなかなかやまないということですね。先ほど堀
委員
が言ったとおり、もう一−三月の
資金
の手当てもして、銀行から金を借りてしまう。そういう財界の
動き
に対して、新聞では、
大蔵省
は非常に警告をしている、日銀も
心配
しておる、
公定歩合
をさらに
引き上げ
なければならぬ
状態
になるかもわからないということを言っておりますが、やはり財界の設備投資に対して一般的な
公定歩合
の
引き上げ
だけで、それ以外に策はないのかどうか、お聞きしたいと思います。
澄田智
30
○
澄田説明員
私が、先ほどの御
説明
で
食管
の
払い
のことを申し上げましたのは、
財政
が
払い
超である——昨年も、もちろん例年第三・四半期は
払い
超の季節でございますが、昨年以上に
払い
超である。その昨年以上に大幅に
払い
超になった原因は、
食管
が一番大きな原因である、そういう
意味
で
食管
をあげましたので、
引き締め
以後の
金融面
への
引き締め
の波及という点が、米の支
払い
によって波及が少ない、こういうことでつないで申し上げたつもりではございません。
財政
の散超の一番大きな理由は米である、こういうことで、やはり散超などもあって、全体としてはいままでのところ波及の度合いが従来の場合に比べておくれている、こう申し上げたわけでございます。 設備投資につきましては、これは
金融面
で
公定歩合
の
引き上げ
以外にも、現在御承知のように、
日本
銀行が各取引先の
金融
機関の
資金
ポジションを指導いたしまして、そうして
貸し出し
増加のワクを押える、そういうふうな形で
資金
の調節をいたしております。これは実際に
金融
機関の
貸し出し
の量を押えていくということでございますので、当然に
企業
の設備投資に
影響
するわけでございます。それ以外にも、一般にこれからの
内外
の
経済
情勢
というものによって全体の規模を抑制型に持っていくというようなことであれば、それは当然に
企業
側の態度に
影響
を与える、今後の設備投資に対する態度を左右する、こういう心理的な
効果
というものも大きいわけでございます。
金融面
で
措置
をする、あるいは
財政
、
金融面
で設備投資に対して
影響
を与えるというような道は、以上のような面から行なわれていく、かように存じております。
広沢賢一
31
○広沢(賢)小
委員
けさの新聞でも出ているのですが、
財政
硬直化によってどうしても生活保護費にしわ併せするのだ、
引き上げ
率を押えるという形で、次々といろいろ発表されますね。発表というか、これは「
大蔵省
が検討」とは書いてありますが、そうすると、今後
ポンド切り下げ
によるこういう異常な
国際環境
のもとでは、先ほど堀小
委員
が言ったとおりなかなか楽観を許さないで、再度の
公定歩合
引き上げ
、その他
財政
は抑制型にするということになって、中小
企業
とか生活保護費とかそういうところにばかりしわ寄せが来るという
状況
が考えられるのです。そうすると、それに対して財界のほうは、お互いに個別的に、自分の設備投資が三、四年かかるのだからこれは必要だ必要だという形で、政府の抑制も日銀のあれも聞かないで進めていくという
状況
ですから、いま
澄田
さんがおっしゃったその指貫を、もっとそっちのほうに
規制
するということが大事ではないか。ことに中小
企業
の場合、私がいつも申し上げているとおりで、いままでは中小
企業
にもまだ
資金
の余裕といいますか緊迫感がなかったけれども、もう一ぺん
引き締め
が強化されれば、今度はより以上たいへんな限度を越えた中小
企業
についての
資金
難が出てくると思うのです。そうすると、いままで国債
発行
がようやく中小
企業
に
資金
が潤うという
マネーフロー
の
変化
によっていい
状態
が生まれたのが、逆戻りしてくるのではないかという点が
心配
されます。その点をよく配慮していただきたいと思うのです。 もう一つ、これは
国際金融局長
さんにお伺いしますが、先ほど堀
委員
が言ったとおり、
アメリカ
は大体百三十億ドルの金を持っておりますが、その百三十億ドルについて、各新聞は今度の
ポンド
の
切り下げ
によるドルの危機について異常な緊迫感といいますか危機感を政府以上に持っていると思うのです。ここに書かれているのでは「百三十億ドルの金があるといっても、外国政府またはその
中央銀行
からドルの金交換を要求された時、これに応じうるのは約三十億ドルしかないことになる。」そこで、「外国政府とその
中央銀行
の保有するドル
残高
は約百四十億ドルに達する。」から、したがって、ドゴールの
動き
その他ヨーロッパの
動き
いかんですが、どんどん要求された場合には金交換の停止になるのではないか。そうなれば、これはドルのたいへんな
平価切り下げ
になるのではないかというようなことをいっております。これは一つの予測だけれども、さっきの御答弁にもあったとおり、非常に予断を許さないと思う。そうすると、そういう事態に対してはどういうように対処するか、どういうような準備があるのか、それをお聞きしたいと思います。
柏木雄介
32
○
柏木説明員
アメリカ
の金準備は約百三十億ドルといわれております。そのうち外国に売り得る分が三十億ドルだ、これは
アメリカ
の法律によりまして、通貨の裏づけとしてたしか
発行
額の二五%を金で持たなければならぬという規定があるわけでございまして、それによりますと、いま百億ドルくらいは通貨準備として保有しなければならない、外国に売り得るのは三十億ドルということになりますが、
アメリカ
の
国内
におきましても、こういうふうに通貨に対して通貨準備として金を持たなければならぬというのはいささか古いというか、こういう制度を持っております国は
アメリカ
以外に非常に少ないわけであります。一挙に管理通貨制までいかないにしても、金との結びつきはそれほどする必要がないのではないかという議論がかねがねございまして、
アメリカ
でも通貨に対する金の裏づけの
割合
は、たしか三、四年前か二、三年前に
引き下げ
をやっておりまして、したがって、外国政府に売り得る金が三十億ドルしかないということは、いわば現行法というか現在の体制でそういうことであるということであって、これは必要があればまた変えられるというものかと存じます。また、百四十億ドルのドル債務につきましても、これは現在の金価値の維持という問題につきましては、累次の十カ国蔵相
会議
、あるいは
IMF
の総会等におきまして、
各国
ともその堅持を要望しておるくらいでありまして、百四十億ドルが全部金に交換を求められるということはちょっと予想できない
状態
かと思います。したがいまして、いまここで外国に売り得る金が三十億ドルしかない、外国政府の持っておる債権が百四十億ドルある。そこで、金の取りつけというかそういうような
状態
が起きるということは、とても予想できない
状態
なんではないか、さように考えております。
広沢賢一
33
○広沢(賢)小
委員
そのとおり、全部急にということはないと思いますが、しかしながら、これは国際
情勢
の認識ですが、ドゴールの異常な決意はヤルタ体制に対する批判から始まるし、
アメリカ
の資本、
経済
力の欧州支配に対する徹底した抵抗ということを決意している。それが
英国
のEEC加盟を阻止した一番大きな理由だと思うのですが、そういう異常な決意と、それからこの
公定歩合
の
引き上げ
が
各国
にずっと加速度的に波及するとか、そういう
動き
の中から、先ほどの金の問題が出てきたと思うのです。したがって、全部急に交換するとは考えられないにしても、ここ数日、それからこの一ヵ月ぐらいの
動き
の中でどういう
動き
が出るかということは、やはり前と違った安定した
貿易
額がずっと
伸び
ていくんだ、パーセンテージでよく通産省の方がやっているような、そういう
国際環境
ではなくなった、ドルと
ポンド
の危機の累積が一挙にぱっとあらわれ始めた。こういう感じがするんですが、そういう国際
情勢
の認識についてはいかがですか。
柏木雄介
34
○
柏木説明員
ポンド
の
切り下げ
、それから
アメリカ
等における
公定歩合
の
引き上げ
をきっかけとしまして、
国際金融
関係
が一段とむずかしくなった、これはもうそのとおりだと思います。したがいまして、
国際環境
はもう非常に注意を要する
段階
であるかと存じております。
広沢賢一
35
○広沢(賢)小
委員
最後に、これは質問というか要望ですが、いままでの
国際環境
と違ったような
情勢
が来ているし、
日本
の高度成長も安定成長に入り、どうしてもいままでのいい条件というのが、技術革新の問題にしても何にしても、だんだんとなくなってくる。成長率は高度成長と違って安定成長で六%と、この間桜田さんが言っていましたが、そういうような予想があるときに、やはりいままでの考え方、つまり安易に
企業
輸出
力を強化するために、
財政
上、それから
金融
上、税制上、そういう優遇
措置
をやっていれば、野放しにしていればいいんだという考え方は、もう限度が来ているんじゃないかと私は思います。そういうふうに野放しにしているだけでは、すべてのしわ寄せが中小
企業
、生活保護者、そういうところにみんなかかってくる。したがって、そういう点で今後国際
経済
に対処するんで、
大蔵省
、通産省、その他
貿易
振興
の
会議
があるとさっき申されましたが、そういうときに、
日本
経済
と国際
経済
の変わり目に来たあり方について、根本的に十分御討論していただきたいと思うのです。そうじゃないと、国際
情勢
の
変化
によって、
企業
競争
力強化だけで、もう全然はかり知れない新しいネックが一ぱい出てくると思うのです。今後その
情勢
はきびしくなると思いますから、そういう点について十分配慮していただきたい。 終わります。
小峯柳多
36
○
小峯
小
委員長
永井勝次郎
君。
永井勝次郎
37
○永井小
委員
簡単にお伺いしたいと思います。 第一は、
原田
さんに、
貿易
の
国際競争
が
激化
するだろうというお話でしたが、その
激化
の具体的な内容についてお伺いをいたしたいと思います。
商品
別あるいは国別、あるいはそれらの
商品
の
競争
相手などによっていろいろそれは違うだろうと思いますが、ケネディラウンドがすなおに発展していくような
国際環境
ではないと思う。
輸入
制限という問題、あるいは関税の逆な
引き上げ
という問題、あるいは
価格
競争
という形であらわれてくる
競争
、あるいは貸し付け
資金
の長期化という形における
競争
、それぞれいろいろな
地域
、
商品
別で違ってくると思うのですが、今後起こり得るであろうと予想されるそれらの
競争
の問題を、ひとつ
商品
別に、主要なものでいいのですが、方面別、ブロック別に具体的に提示していただきたい。そういうことは
市場
調査ができておれば、いろいろな場合に対応できる対策がすぐ確立できると思いますが、調査が間違っておりますと、じぐざぐ非常に困難な事態に当面すると思うので、これらについてお伺いいたしたい。 それから、一つは
柏木
局長
にお伺いいたします。先ほど広沢君のお尋ねに対して、金の
価格
維持というようなことが、これは不動の国際的の大勢であるというふうにお話があったのですが、私は、ブレトン・ウッズ協定が結ばれたときのような
情勢
ではありませんし、その後におけるいろいろな
情勢
から見まして、金の
価格
の問題は別途な角度から考え直される時期に当面しつつあるのではないか、そういう一つの予測から金の買いというようなことが強まっているのではないか、こう思うのですが、通貨と金の
関係
、それから金の
価格
維持の
関係
についての所見をお伺いしたいと思う。 それから金の
生産
について、それを維持するために
各国
における金の
生産
について補助政策その他を禁止していたと思うのですが、今後は金の
生産
について
各国
いろいろ
生産
の刺激を受けてくるのではないかと思うのですが、そういう点についての
見通し
はどうでありますか。 それから、
資本収支
における
短期資金
の引き揚げが
日本
に対して行なわれるのではないかという
心配
があるのですが、その
心配
についての所見を伺いたい。 以上です。
小峯柳多
38
○
小峯
小
委員長
いまの質問の中に資料にわたるようなものがかなりありやせぬかと思うので、御答弁で十分でないものは、資料としてひとつ御提出願うまうにお考えいただけばどうかと思います。
原田明
39
○
原田説明員
国際環境
は非常に流動的になってまいりました。特に
輸出環境
がきびしさを増しつつあることは、先ほどお話しのございましたとおりだと思います。非常に大きな流れといたしまして、過去十数年間、自由
貿易
主義という旗じるしのもとで、当初一九六〇年ぐらいまで
輸入
の自由化という形で進められてまいりました自由化が、その後ケネディラウンドに進みまして、関税の一括
引き下げ
と非関税、
貿易
障害の除去という形にまで発展をいたし、それがやっと、当初の目的からは後退いたしましたが、ある
程度
妥結を見たという
状態
でございます。そこまでは
世界
の買切は自由化の方向に一直線に進むような観もないではなかったわけでございますが、並行いたしまして、先ほどから問題の出ております保護主義ないし
地域
主義の
動き
が
米国
やその他でございます。またヨーロッパでは、対日差別制限その他の撤廃が進んではまいりましたものの、まだ若干残っております。そこへ最近、南北問題という見地から、発展途上国が七十七カ国共同声明を発表するということ、あるいはまた、国連
貿易
開発
会議
等を通じまして強力に先進国と発展途上国との格差是正を訴えて、
援助
、一次産品の購入、
製品
、半
製品
の
貿易
の
増大
というようなことを要求してまいっております。したがいまして、
わが国
を取り巻きます
貿易
の潮流は、いま先生御指摘のとおり、一方で自由
貿易
を進めたいという願望がありながら、
他方
保護主義、
地域
主義の
動き
がかなり活発になる気配がある。そこへもってきて、発展途上国からは特恵あるいは一次産品の購入といったような問題が突きつけられておる、そういう
状況
にございます。かたがた共産圏
関係
も、このところ、過去数年間に見られましたようなかなり顕著な
増大
の
テンポ
というものは若干
停滞
をしているような感じがあるように思います。 したがいまして、私どもとしましては、それが
日本
の
貿易
に
影響
を与えます場合、まず一番は、やはり最も
輸出
に向くような重化学
工業品
というものに重点を指向して
輸出
を伸ばしていかなければならないのではないかと思います。ケネディラウンドにおきましても、どの国も大体自分の国で斜陽になっているような、主として雑貨、軽
工業品
、
繊維
といったようなものについては、関税
引き下げ
の例外をとっていることが多うございます。また、こういう軽
工業品
その他こそが、発展途上国が
日本
その他の先進国に対してより門戸を開放して買えということを迫っており、そのためには特恵までも供与しろと言っている
商品
でございます。したがいまして、今後は特に
アメリカ
市場
、
カナダ
市場
、あるいはヨーロッパの
市場
においては、そういう軽
工業品
関係
ないし
繊維
関係
につきましては、発展途上国からの
競争
が一そう
激化
をするという前提のもとに、
商品
の高度化、質的な転換、あるいは
輸出
入秩序の確立というような形で安定的な発展をはかるということに進まねばならないのではないかと思います。特に、
アメリカ
の
輸入
制限運動につきましては、
輸入
制限運動の対象がそういう軽
工業品
に向けられているものが多うございますので、
経済
外交の実を発揮いたしまして、かかる制限の防止につとめたいと考えております。 また、発展途上国に対しましても、最近単に延べ
払い
だけというような形だけでもなかなか進みがたいくらいの
状態
になってきております。したがいまして、発展途上国の要請にこたえて
経済
協力を一そう拡充をして、
輸出
と
経済
協力が両方補完をしながら
日本
の
輸出
を伸ばしつつ相手国の利益にもなるという形での発展をはかっていかざるを得ないと思います。このためには、特に発展途上国が望んでおりますようなプラントや重化学工業資材といったようなものの
輸出
に重点を注いでまいらなければならないのではないかと思います。
豪州
その他太平洋
地域
の国につきましては、また
わが国
とかなり
経済
的に補完的な
関係
にもございますし、従来
英国
の勢力下にあった国がかなり目を
アメリカ
、
日本
、その他の太平洋先進国
地域
に向けてまいっておりますので、この際、そういう国との提携
関係
を強めまして、
日本
の
輸出
の売り込みというものに努力をしていかなければならないのではないかと思います。 たいへん簡単でございますが、以上、ケネディラウンド、自由化、差別、あるいは南北問題からきます特恵といったようなものを含めまして、
輸出
の構造を重化学工業のほうに向けつつ、また軽
工業品
等につきましても、品質の高度化というようなことを通じまして、これからの
輸出競争
にうちかっていくように努力をしたい、かように考えております。
柏木雄介
40
○
柏木説明員
最初
にお尋ねのありました金
価格
の維持の点でございますが、これは御指摘のとおり、ブレトン・ウッズ協定の、いわば現行の
国際金融
体制の基本をなす点でございまして、この点につきましては、
各国
とも、金
価格
は堅持すべきであるということに意見一致いたしております。少なくも非公式にはフランスも金
価格
の堅持には賛成いたしておりますが、ロンドンの金
市場
で金の買いが非常に出た、あるいはその他の金
市場
における
動き
が最近非常に活発になっているということがありますことは、確かに、金
価格
が
改定
されるのじゃないか、
引き上げ
られることになるのじゃないかという一つの観測というか、そういうところから、いろいろのスペキュレーションが行なわれておることは事実でございますが、
各国
政府、特に
アメリカ
や西欧主要国は、金
価格
の安定ということが
国際金融
体制の堅持のためにきわめて必要であるということから、たしかいまから五、六年前でありますが、金プールというものをつくりまして、ロンドンにおける金
価格
の安定をみなで協調しながらやっていこうという体制ができておりまして、したがって、こういう協調を通じて金
価格
というものが今後も安定していくものではないか、さように考えております。 それから、金の
生産
につきまして、補助金はどうなっているかというお尋ねにつきましては、これは
IMF
の協定によりまして、
各国
政府とも金を一オンス三十五ドルの
価格
より高く買ってはならない、補助金については、いろいろ鉱業
関係
の補助金が必要がであろうけれども、それについては、たしか
IMF
の了解を求めてやるようにということでございまして、いろいろの国で各種の奨励
措置
が行なわれておるわけでございます。全面禁止ではなくて、
IMF
の承認する範囲内での助成というのは認められて、現に行なわれておるわけでございます。 それから、最後のお尋ねの、
日本
の
資本収支
は今回の
ポンド
の
切り下げ
あるいは
海外
金利の高騰に伴って
影響
を受けるのではないかというお尋ねでございますが、これにつきましては私どもも実は非常に
心配
している点でございまして、確かに金利の高騰が
日本
の
資本収支
に
影響
をもたらすかもしれない。まだ、
公定歩合
の上がっているのに伴いまして、
海外
の
市場
金利がそのまま上がっているわけではございません。
アメリカ
の
公定歩合
が〇・五%上がったのに対して、たとえば銀行引き受け手形の金利はその二分の一
程度
、〇・二五%ぐらい上がっているとか、必ずしもスライドしておりません。ユーロダラーの金利は大体〇・五%上がっております。いろいろまだ
海外
の
情勢
がはっきりいたしておりませんけれども、私どもとしても、これから十分気をつけなければならぬ。まあ〇・二五%上がるとか、〇・五%上がって、直ちに
日本
の
資本収支
にどう響くかという点でありますが、これは先ほど銀行
局長
から御
説明
がありましたように、昨年のときと違って、
日本
は
金融
の
引き締め
をやっておる
段階
であります。したがって、
海外
の金利高がすぐ
日本
の短資の流出になるかどうか予断を許しませんけれども、私どもとしても、これから十分に気をつけてまいりたいと存じております。
小峯柳多
41
○
小峯
小
委員長
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十分散会