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1967-11-21 第56回国会 衆議院 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月二十一日(火曜日)    午後二時四分開議  出席小委員    小委員長 小峯 柳多君       大村 襄治君    奥野 誠亮君       笹山茂太郎君    西岡 武夫君       毛利 松平君    吉田 重延君       広沢 賢一君    堀  昌雄君       武藤 山治君    村山 喜一君       竹本 孫一君    広沢 直樹君  小委員外出席者         大 蔵 委 員 中嶋 英夫君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         大蔵省銀行局保         険部長     新保 實生君         参  考  人         (生命保険協会         会長)     矢田 恒久君         参 考  人         (日本損害保険         協会会長)   村瀬 逸三君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 十一月二十一日  小委員河野洋平君、藤井勝志君及び村山達雄君  同日小委員辞任につき、その補欠として毛利松  平君、大村襄治君及び吉田重延君が委員長の指  名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  金融に関する件      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  金融に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として生命保険協会会長矢田恒久君、日本損害保険協会会長村瀬逸三君が御出席になっておられます。本小委員会におきましては、今後の金融制度及び金融機関あり方等について調査をいたしておりますが、両参考人におかれましては、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。そしてそのあと質疑を行なうことにいたします。  最初に、矢田参考人からお話をお願い申し上げたいと思います。矢田参考人
  3. 矢田恒久

    矢田参考人 ただいま御指名をいただきました生命保険協会会長矢田でございます。  本日は、生命保険会社金融に関する件について意見を述べよとのことでございますが、最初生命保険会社金融機関としての現況について、簡単に説明させていただきます。  生命保険会社資金は、契約者から払い込まれる保険料が主体でございます。これを投資運用するわけでございますが、この六月末の資金量は約二兆八千億円で、都市銀行預金量の二〇%、長期信用銀行資金量の八五%と御理解願えればよろしいかと存じます。おかげをもちまして、契約面の業績は最近かなり順調に伸びておるのでありますが、戦後壊滅に近い状態から再発足いたしましただけに、資金の面においてば必ずしもこれに伴わず、戦前、全金融機関中の一割近くを占めておりました生保資金量は、徐々に回復しつつあるとは申しながら、現在まだ五%程度にしか至っておりません。  生保資産特色と申しますと、まずこのような景気、不景気に左右されることが少なく、確実に増加が見込めること。第二に、二十年、三十年と長期にわたる保険契約によるものでありますから、金融機関保有する資金としては最も長期性を持った資金であること。第三には、直接国民大衆から集めた蓄積であること。つまり、債券とか外部からの借り入れによる調達のない、全く自主的な資金であるということが言えるかと存じます。したがいまして、資産投資におきましては、生命保険会社はこの特色に応じ、長期にわたる、かつ常に安定した資金供給を主眼とした運用を行なっております。また、運用にあたっては、資金契約者からお預かりした保険料の集積でありますので、常に契約者利益確保を第一義とし、あくまで安全、確実、有利の原則に徹することを絶えず心がけている次第でございます。  運用種目別を大ざっぱに分けてみますと、一般企業等への貸し付けが五〇%、契約者への貸し付けが八%、株式投資が二五%、国債政府保証債等債券が五%、不動産一〇%というようなことになっております。  長期資金の性質上、貸し付けの三分の二は設備資金でございます。設備資金供給量においては長期信用銀行信託銀行に次いで多く、都市銀行よりも上位にあって、基幹産業をはじめあらゆる業種企業に常に安定した長期資金供給し、わが国経済発展に多大の寄与をいたしております。  次に、株式投資におきましては、各金融機関投資信託を上回る株式保有し、最大の機関投資家として企業資本力強化に貢献するとともに、株式市場需給安定要因としての役割りを果たしております。ことに近年資本自由化を迎えて、安定した株式保有機関としての生保に対する企業要請が高まりつつありまして、この面における生保役割りはますます重要性を加えてきております。  また、公共投融資の面におきまして、住宅公団に対し昭和三十年以降現在までに、実に延べ三千億円もの資金供給しておるのをはじめ、国債政府保証債合わせての協力度はきわめて高く、このことは、他の長期金融機関との比較においても顕著にうかがうことができるかと存じます。  次に、生命保険会社金融機関としての今後のあり方について申し述べます。  基本的には従来と同様にいま申し上げた態度で、資金特色を生かした運用を心がけてまいることは言うまでもありません。貸し付けについて申しますならば、わが国経済界安定成長時代に入ったとしても、設備投資の水準は、経済の進展あるいは国際競争力強化のために、年々増加することは明らかであり、金融機関に対する需要も数字的には増加の趨勢にあるものと予想されます。しかも、今後は単に長期資金の量的な確保にとどまらず、質を重視する方向に向かうことも考えられ、生命保険会社は、超長期資金金融機関としてますますその機能を発揮し、長期にわたっての安定した資金供給機関として、企業要請にこたえるべく努力してまいりたいと考えております。  なお、最近長短金融機関業務区分廃止ないしは緩和について論ぜられておりますが、元来、長期資金供給は、短期資金需給変動による影響を大きく受けることなく、安定的かつ円滑に行なわれることが望ましいのでありまして、そのためには長期金融専門機関による機能分担要請されます。また、それぞれの資金長短性格に応じ提供分野を分けることは、金融機関健全性維持のためにも必要であり、長期的観点から国民経済上必要な部門へ適切な資金供給する金融政策の運営上からも合理的であると考えます。わが国金融制度は、戦前から一貫して長短分離方針で貫かれてきており、今後とも長期金融短期金融制度的に分離する方針を堅持されることが最も望ましいと存ずる次第でございます。  次に、中小企業金融並びに住宅金融について少し申し述べたいと存じます。  中小企業金融については、生命保険会社は他の金融機関と違いまして、日常の預金取引がございませんので、その企業の動向や信用度の把握についてどうしても若干欠けるうらみがございます。そのために、従来は商工債券引き受けるという形で間接的協力を主としてまいりましたが、最近は調査機能が漸次拡充されてきたことと相まって、中小企業への直接貸し出しもかなり行なわれてきております。もっとも現在は、まだ中小企業貸し付けの全貸し付けのうちに占める割合は八・五%で、他の長期金融機関も大体これらに近い比率のようでございますが、今後とも堅実な中小企業に対しましては積極的に貸し出すようにつとめてまいりたいと考えております。  住宅金融については、先ほども申し述べましたとおり、住宅公団に多額の協力をしておりますが、このほかに最近は住宅保険による住宅ローンがございます。何ぶんこの保険は発売後日も浅いので、数字的にはまだわずかでございますが、貸し付け条件も、他の金融機関のものに比べれば、借りられる方にとって若干有利のようでございますので、今後とも積極的に行なってまいりたいと考えております。また、直系不動産会社を通じて宅地造成並びに住宅建設につとめている保険会社もかなりございますが、これらは良心的な経営によって利用者にもたいへん好評をいただいておりますので、この面の事業も今後ますます拡大していくことが予想されます。  以上の中小企業金融住宅金融を推進していく上において特に感じますことは、信用補完制度充実が必要だということでございます。つまり、貸し倒れが生じたときには、債務者にかわって弁済を保証する仕組みのものでございますが、特に住宅金融信用機関については、外国には参考となる例も幾つかあるようでございますので、この際ぜひ御検討くださらんことを関係方面にお願いいたす次第でございます。  株式投資については、生命保険会社実質資産増強し、長期にわたる通貨価値変動による契約者の不利をカバーするために、今後とも資産のある程度比率株式運用に振り向ける必要があるものと考えております。同時に、資本自由化時代における企業からの安定株主としての要請にこたえ、また株式市場の健全なる発展協力していくことは、機関投資家としての生命保険会社が果たさなければならない役割りであると自負いたしております。  国債その他の公社債保有につきましては、今後とも応分協力はいたしてまいる所存でございますが、契約者利益中心として考え生命保険会社にとっては、利回りの点や流動性観点からして、現在の状況においては、公社債を積極的に保有することはかなり困難であると考えられます。この面の金利体系の整備並びに公社債市場育成強化について、この際適切な施策が行なわれることを期待するものでございます。  以上、金融機関としての生命保険会社の今後のあり方について申し述べたのでございますが、最後に特にお願いいたしたいことの一つは、強力なる物価抑制策についてでございます。米価をはじめとする最近の各種公共料金の値上げは、それなりにそれぞれ事情もあることとは思いますが、これが国民大衆に与える影響はかなり深刻なものがあると存じます。特に生命保険契約は何十年もの長期にわたるものでありまして、その基調となるのは将来の通貨価値に対する信頼にあります。自由化時代を迎えて、わが国経済国際競走裏に勝ち抜いていく上において、通貨価値の安定が先決であることは申すまでもなく、この際総合的に強力な対策を講ぜられることを強く要請いたしたいと存じます。  また、物価抑制策の一環として貯蓄増強の必要が当然考えられますが、特に何十年もの長きにわたり蓄積される生命保険料は、この目的に最もかなった貯蓄であることは申すまでもなく、その振興につとめることは、単に物価抑制のみならず、安定成長の原動力となる長期資金蓄積をもはかることとなり、同時にまた、保険機能を通じて国民の福祉の安定にも寄与することにもなるのであります。これらの目的を果たすために、現在生命保険に対して与えられている税法上の優遇措置を、この際さらに拡大されることもぜひ御考慮願いたいと存じます。  今年フランスにおいて、大幅な金額をもって生命保険料控除制度を復活させましたのも、これらの面において果たす生命保険役割り重要性を再認識いたしたからにほかならないことを申し上げて、私の公述を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 どうもありがとうございました。  次に、村瀬参考人にお願い申し上げます。
  5. 村瀬逸三

    村瀬参考人 ただいま御指名をいただきました損害保険協会会長村瀬でございます。  本日は、この席で今後の金融制度及び金融機関あり方について意見を述べよとのことでございますので、概略申し述べさせていただきたいと存じます。私の考えが、あるいは相当まじっているかもしれないことをあらかじめ御了承願いたいと思います。  いまさら申し述べるまでもなく、損害保険役割りは、不測災害による損害をてん補することでございます。したがって、自己責任原則基本とする現代社会では、個人生活の安定並びに企業維持発展のためには、損害保険制度は絶対不可欠のものでございます。特に開放経済体制下においての産業界の行なう設備投資はますます巨額化しておりますが、このような経済環境のもとにおいて、損害保険の果たしている財産保護資本維持機能、したがって、これに資金供給している金融機関に対する債権保全機能はますます重要なものとなってきており、これなくして産業の健全な発展は望めないことと考えている次第でございます。  このような機能は、とりもなおさず資金循環過程を円滑にするということでございまして、急速な産業近代化によりまして、リスクは非常に集積し、また非常に増大しており、一方保険引き受け面においては、担保範囲が拡張されることによって、この機能はますます強化されつつある次第でございます。すなわち、このことは、損害保険が本来の目的である損害てん補のほかに、特にこのような経済機能をあわせ持っているということを示すものであるかと考えられます。  またさらに、損害保険会社は、その保有する資産運用することにより、資金供給者としての役割りを一面持っているのでございます。  まず最初に、損保資金性格ということについて申し上げますと、損害保険事業本来の役割りは、保険契約者不測損害をてん補することにあるわけでございますので、損害保険会社といたしましては、企業経営健全性ということからして、契約者より収受した保険料を安全、確実、有利かつ流動性に富んだ運用をすることが要請されるのでございます。  損害保険の場合、保険契約というものがおおむね一年ないしそれ以下の短期契約でございまして、かつ全体として見た場合、保険料相当部分がその年に保険金として支出される上に、異常災害の発生によりまして、一時に巨額の保険金を支払わなければならないこともございますので、この運用にあたっては、流動性を強く要求される次第でございます。これらの点が、他の金融機関の場合と著しく性格を異にしている最も大きな点ではないかと思う次第でございます。  損害保険契約は、おかげで年々伸びてきておりますが、その契約の対価である保険料は、損害保険契約性格上、原則として貯蓄性を持たないということもあって、資金量は少なく、本年八月末の運用資産の額は約五千三百億円で、全金融機関の中に占める割合としては〇・九%にすぎません。  以上申し述べました理由から、損保資金役割りは、投資面においておのずから限界があり、またその性格は補完的なものといわざるを得ないと思います。  以上申し上げましたように、損害保険資金量は、他の金融機関のそれに比べるとわずかなものであり、かつ補完的な性格のものでございますが、次に申し上げるように、各種産業資金を直接、間接供給し、わが国経済発展に少なからず寄与をいたしている次第でございます。  本年八月の末におきまする損害保険会社運用資産の額は、全社合計で約五千三百億円であることはさきに申し上げましたとおりでございますが、このうち現金及び預貯金の額は約一千百億円であり、コールは四百八十億円でございまして、これを見ますと、いかにも現金及び預貯金の額が多いとお感じになるかもしれませんが、これは常時保険金支払いのための資産を一番流動性の高いもので保持していかなければならないということからくる損保資産運用上の特色なのでございます。  貸し付け金は四百七十億円余りでございまして、貸し付け期間は通常一年ないし三年以内、特殊なもので五年以内となっております。  次に、有価証券は約二千七百億円でございます。このうち二千億円近くが株式投資でございまして、その投資先はあらゆる業種にわたっております。私どもは、このように機関投資家として資産相当部分株式投資しており、一面安定株主としての役割りをも果たしている次第でございます。  株式以外の有価証券は七百億円ほどございますが、損害保険会社といたしましても、国債政府保証債引き受け、あるいは住宅関係機関への投融資特別法人債、それから地方債たる消防債及び交通債等引き受けを行なっておりまして、公共投融資の面におきましても、応分協力はいたしております。  なお、資産運用とは直接関係ございませんが、全国各都市消防自動車あるいはパトロールカー等というわれわれの企業影響のあるいろいろなものを寄贈いたしておりますし、また地方公共団体消防施設の拡充、あるいは交通事故防止活動強化寄与いたしておる次第でございます。  次に、今後のあり方について申し上げますと、これからは、わが国における資本取引自由化と相まって、産業の再編成が進められることが予想されるのでございますが、これと同時に、従来圧倒的なウエートを占めていた設備資金に対する資金需要に加えて、流通、消費経済の面からの需要増加考えられ、資金需要が多様化していくことが想像されるのでございますが、いずれにいたしましても、金融機関に対しては低利かつ安定した豊富な資金供給が要求されるものと考えます。私ども損害保険会社といたしましても、従来にまさる経営努力を重ねることによりまして、その資金増加につとめて、そうしてできる限り産業界要請にこたえたいと考えておる次第でございます。  次に、これからの損害保険資産運用についてでございますが、資金性格上、従来どおりやはり流動性の高いものに重点的に運用すべきものという考えは変わっておりません。  また、中小企業金融につきましては、現在貸し付け金の約三割程度がこれに振り向けられているほか、商工中金債等引き受けも行なっておりまして、今後ともできる限り協力していきたいと考えております。  また、公社債については、流動性有利性を欠くうらみはございますが、損害保険公共性にかんがみまして、応分協力をしていきたいと考えております。このためには、公社債市場育成強化について適切な施策をお願いしたいと存じておる次第でございます。  さて、次に資本取引自由化でございますが、これはわが国損害保険業界にとっても問題を包蔵している次第でございます。すなわち、資本取引自由化が進展するに伴って、わが国損害保険会社は、日本保険市場において数多くの外資系損害保険会社との競争をさらに予期しなければなりません。しかし、いま欧米一流損害保険会社担保力について比較をいたしましたときに、わが国損害保険会社のそれに比べて数段すぐれているのが現実の姿でございます。  しかし、われわれといたしましては、これに伍していくためには、何としても競争力の基礎である担保力強化していくことがぜひとも必要であります。われわれは従来にもまさる経営努力を払うものでございますが、この担保力強化するということは、単にわが国損害保険会社体質強化に資するということのみならず、今後各種企業がさらに負うであろうところの巨大なリスクに対して十分な保険カバーを提供し得るということに同時につながることでございますし、このことは、冒頭でも申し述べましたけれども金融円滑化に貢献するということにもまたなってまいります。結局は、開放経済体制下におきましては、わが国産業発展に大いに資することになると考えられる次第でございます。  しかしながら、この担保力増強は、前に申しましたように、一朝一夕に達成できるものではございません。じみちながら、担保範囲の拡張とか、あるいは新保険を開発していく、あるいは募集組織強化をする、さらに保険料率の一そうの合理化をはかる。特に保険料率につきましては、われわれは年々引き下げを行なっておりますが、こういうことによって損害保険営業基盤を拡大して、保険料収入増加し、加えて経営合理化につとめで、かつ内部留保努力していく以外にないと考えておるのでございます。  なお、つけ加えますと、この損害保険会社担保力が非常に増大されていくことは、一面海外にいたしておりました再保険を国内において消化する量が多くなってくることで、したがって、日本の外貨の流出というものに対しても、大いに貢献することだと私は考えておるわけなのでございます。  以上、金融機関としての損害保険会社の今後のあり方について概略申し述べましたが、ただいまもお話し申し上げ、またこれまでも繰り返し申しましたように、損害保険事業にとって担保力増強は今後とも至上命題でございますので、以下申し述べますように、損害保険事業にかかる税制についてぜひとも御配慮をお願いしたいと存ずる次第でございます。  すなわち、異常危険準備金課税制度というものがございまして、十年周期による洗いがえによって課税を受けているわけでございますが、どうか従来のようにこの制度を御廃止を願いたいと思っているわけなのでございます。そうしてわれわれの体力を増強担保力を増大したいと、こう考えておる次第でございます。  また、これはわれわれとしても伝え聞いているわけなのでございますが、法人利潤税という構想があるやに伺っておるのでございますが、これは株式投資を阻害し、また資本充実をも阻害する結果となり、また、われわれ機関投資家としての損害保険事業にとって、影響するところも非常に大きいと考えられますので、これについては慎重に御考慮をいただきたいと思っております。  最後に、損害保険料を所得から控除する制度でございます。初めに申し上げましたように、損害保険役割りは、不測災害による損害をてん補することであって、自己責任原則基本とする現代社会では、個人生活の安定に不可欠のものであると思います。言いかえれば、国民が一人でも多く、かつ十分に保険をつけるようになればなるほど国民生活の安定がはかられるのであると考えられます。もちろん、われわれ自身の努力も必要でございます。同時に、税制の面から保険を利用しやすくするということは意義があることだと考えられますので、私どもはそういう気持ちから、先般来当局には損害保険料控除限度引き上げ並びに適用範囲の拡大ということを要望した次第でございます。ぜひともこれについては御配慮をお願いしたいと存ずる次第でございます。  簡単でございますけれども、以上をもちまして私の話を終わらせていただく次第でございます。どうも御清聴ありがとうございました。
  6. 小峯柳多

    小峯委員長 ありがとうございました。     —————————————
  7. 小峯柳多

    小峯委員長 これより両参考人に対する質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  8. 堀昌雄

    ○堀小委員 いま両参考人からお話を承ったわけですが、生命保険損害保険は、同じ保険という名前ではございますけれども、かなりその性格が異なっておりますし、ことに本日の主題である将来の資金運用との関係におきましては、片や生命保険のほうは二兆八千億円という運用資産を持っていらっしゃる。損害保険は五千三百億円、五分の一程度でありまして、非常にその点では比重も違いますから、資金運用の問題として、まず生命保険を少し中心にしてお伺いをいたしたいと思います。  御承知のように、最近、昭和三十六年と八年でありましたか、特別償却その他の減価償却に対する税制の改正が行なわれましたので、現在、特に大きな企業設備投資をよくしてきた企業は、減価償却により自己資金がかなり大幅にふえてまいっております。これは企業別にも規模別にもいろいろ相違がございますけれども、全体としての傾向は、最近大体六〇%、場合によっては、設備投資状況にもよりますけれども、六五%ぐらいのところにきているのがかなりあるわけでございます。この問題は、将来的に、長期的に見ますと、経済成長はある時期にばかなり鈍化をする。完全雇用という状態は早晩日本にもやってまいりますから、完全雇用になれば、成長鈍化をし、同時に設備投資も非常に根っこが大きくなりますから、伸び率も当然鈍化をしていく。そういう経過になってまいりましたときにおける資金運用上の問題ですが、生命保険は、昭和四十年と四十一年を比べてみましても、資金運用上非常に具体的な例が出ておるのでございます。それは残高で比較をいたしましても、貸し付け金昭和四十年には六一・九%でございましたものが、四十一年度は五六・九%、ここで約五%ぐらいダウンし、今度有価証券のほうは、逆に二四%から二九・七%に五・七%ほど増加をした。これを単年度の前年比率で見ますと、有価証券は四十年、四十一年というものは五〇%の伸びであります。貸し付け金は一二%の伸びに下がる。三十九年、四十年というのは、有価証券が二六%の伸びで、貸し付け金が二二・五%の伸びだったというのが、片方は倍になり、片方は半分になるというのが、四十年と四十一年との、ごく最近の経過の中で起きておる実情だと思います。ですから、このような情勢というものが、まあことしはどうなるかわかりませんが、資金需要が緩慢であった時期と、資金需要が非常に旺盛になった時期とでは、また変わってまいると思いますが、方向としてはこういうことがだんだんと伸びてまいるのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、その点について矢田参考人のほうから少しお考えを承りたいと思います。
  9. 矢田恒久

    矢田参考人 ただいま御質問の件でございますが、確かに傾向といたしましては、ここ一、二年のところは貸し付けが減りまして、有価証券がふえておるという現象を呈しております。しかしながら、いま堀委員のおっしゃいましたように、将来はそういう傾向にまいるかとも存じますが、ここ当分の間は私はまだ日本産業設備投資というものはとどまらないのではないかと考えます。やはりある程度貸し付け、特に今後生命保険資金量というものはどんどんふえてまいりましょうが、それにいたしましても、それを上回る設備投資資金需要というものはあるように考えております。でございますから、ここ当分はそういうことに——遠い将来におきましては、あるいはいまお話しのような時期がまいりまして、むしろこれを株式投資あるいはその他の債券というふうに向けなければならぬと思うわけであります。私はそういうふうに考えておるわけであります。
  10. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで、いまちょっとお伺いしたいのは、現在の貸し付け金の長さ、企業に一体どのくらいの長さで貸していらっしゃるのか。大体最近では幾らくらいの金利で貸していらっしゃるのか。これはおそらく長銀あるいは信託等と競合しておる分野だと思いますので、ちょっとその点についてお伺いしたい。
  11. 矢田恒久

    矢田参考人 ただいまの御質問でございますが、その長さでございますけれども、長いのは十五年くらいまでいっております。短いのですと二年、三年がございますが、金利にいたしますと、たとえば電力なんかに貸します場合は、例の標準金利、二銭二厘五毛で貸しておりまして、そしてあとは、その企業の実態と申しますか、それに応じて適宜話し合いできめておりますが、大体そのプライムレートでやっておりますので、ほかの信託さんとそう変わりないと考えております。
  12. 堀昌雄

    ○堀小委員 いまの長さ、十五年から二、三年、確かにそうだと思いますが、一番ウエートの高いところは大体どのくらいなのでしょうか。
  13. 矢田恒久

    矢田参考人 七年から十年のところでございます。
  14. 堀昌雄

    ○堀小委員 今後の問題なんですけれども、片や資本の自由化という問題がありますから、企業側としてはできるだけ安い金利の資金がほしい、こういうことになってくると思います。そこで当然この問題は、長期銀行、信託銀行保険というものは、ある意味ではやはり競合になると思いますが、資金需要が最近のように非常に高まっておる、要するに貸し手市場が続いておる間はあまり問題はない。どこかで日本の場合も借り手市場に転換する時期がやがてくるであろうと思う。まあ端的に四十年から四十一年へかけて、ある意味では借り手市場的な情勢があったことは私、さっき申し上げたデータにあらわれておると思います。ですから、おっしゃるように、それがいいかということはあれですが、大体四、五年くらいするとそれがくるのじゃないか。ですから、昭和五十年くらいのところは、そういう意味ではかなり借り手市場の情勢ということになるんじゃないか。いまが四十二年ですから八年くらい先のことですけれども、そんなに先のことをいまから議論する必要はないかもしれませんが、そういうときに、方向として生命保険の場合には貸し出し金利を安くすれば、それだけ今度は保険者に対する配当を減らす、こういうことになってくると思いますが、この場合に、要するに金融機関、いろいろございますけれども、これはやはり競争するわけですから、競争の中で貸し手市場の間は幾ら競争があっても知れていますが、借り手市場になると、競争でかなり選別といいますか、力のあるものは残すけれども力のないものは脱落せざるを得ない状態が出てくるのじゃないか。生命保険の場合にも、将来的な展望として見ると、生命保険も、これは損保もそうですか、業種は一つなものだから、たいへん大きいところからたいへん小さいところまで企業格差というのはたいへん——その他の金融機関の場合にも企業格差というのはもちろんありますが、これほど一業種の中で著しい差のあるのはわりに少ないと思っておるわけですが、そういう企業格差というものが当然かなり出てくるのではないか。いまいわゆる純粋の金融機関側、銀行及びその他の金融機関側で将来的に考えられるであろう問題が、やはり保険会社といえども例外ではない時期が来るのではないか、こういう感じがするわけであります。そのことは、競争力としていま保険はある程度部分的な自由化がされていると思うのですが、加入者の側からすれば、要するにやはり配当の多いところ、それは結局ある程度合理化をされていて、人件費、物件費等が少なければ、たとえ貸し出しが下がってきてもそれだけ加入者に対して報いることができますけれども合理化が進んでない場合には、結局差ができてぐるわけですから、当然将来的方向としては、やはり澄田銀行局長が言っておりますように、効率ある金融をやっていくためには、競争原理というのはどうしても導入してこなければ、保険といえども例外でないと思います。そういうことになると、将来の展望としては、最近のことばの再編ということばは必ずしも望ましいとは思いませんが、何らかの変化が出てこざるを得ない、こう思いますが、その点についてはどうなんでしょうか。
  15. 矢田恒久

    矢田参考人 ただいまの御質問でございますが、確かにただいまの業界には格差がございます。相当大きい格差がございますが、ただ小さい会社だから合理化が進んでいない、大きい会社だけが進んでいるということではないと思います。合理化となりますと、それぞれ小さい会社も大きい会社も同じように努力しておるわけでございます。ですから、たとえば長期金利の問題にしましても、やはりその点は同じように下げるところは下げなければならぬということになるんじゃないかと思うわけでございます。特に、ただいまの生命保険会社は御承知のように二十社ございますが、アメリカなんかですと千七百ございます。英国、西独あたりでは大体百社程度でございます。人口とか国の大きさということを比べて考えますと、日本の二十社の生命保険会社は必ずしも多いわけじゃございません。ただ格差は確かにございますが、それぞれの会社の経営方針特色を生かしていけば、何かその点一つくらいは存在の理由もあると思います。現にそれぞれやっておりまして、やはり業績はそれぞれに伸びておりますので、私はこの点についてはそれぞれの会社が合理化努力しておる間、特にこれをどうしようということは考えなくてもいいんじゃないか、こう、私見でございますが思っております。
  16. 堀昌雄

    ○堀小委員 いまの問題に関連をいたしまして、いま会長からあまりむずかしいことを伺うのはあれですから、いまの御答弁は会長としてはやむを得ないことと思いますが、実は私は昭和三十九年に当委員会で取り上げてまいりました保険に対するいろいろな問題の中で、生命保険に関する非常に重要な問題は御承知の解約失効の問題でございます。この解約失効の問題というのは、保険審議会でも御答申が出されて、そうして銀行局長通達ということで皆さんのほうにいろいろと御連絡をしておることでありますが、実は通達が出たのが昭和四十年の十二月で、いま私どもの手元にあります資料というのは四十一年度の資料ですから、四十年の一月から十二月に契約されたものの資料しかないわけですから、通達後の情勢というのは今後のことになると思うのですが、私からしますと、三十九年の六月に当委員会でかなりはっきり申し上げたことが、実はあまり改善されていない。その改善されていないという問題はあとから触れていきたいのですが、いまの格差の問題について申し上げると、ともかく昭和四十一年度に継続率の一番いいところと悪いところが一対二の比率があるわけですね。要するに継続率の——これは月掛けの個人の保険の資料ですけれども、そういうので見ると、一番いい会社の継続率と最低の継続率との間に二分の一くらい差がある。こうなってまいりますと、いまお話はあったのですが、継続率がそれほど悪いということはこれは非常に合理化されてないむだな経営が行なわれておるということで、私が言う合理化という問題は、人件費を大いに値切って安い賃金で働かせることが合理化だとは私は思っておりませんが、要するに高能率、高賃金で、たとえ人数は少なくても、給与を高く払うけれども質のいい保険契約をどんどん取ってくるということになるのが合理化ですから、そういう意味では合理化ということばは前向きに御理解いただきたいわけですが、この継続率が一対二の差があるということはそういう意味ではまことにうしろ向きの不合理化が行なわれている——と言っては言い過ぎになるでしょうが、改善されてないというところがある。私はやはり競争原理からいきますと、そういうところは脱落せざるを得ない限界的企業になるんじゃないか、こう判断するわけですが、その点はいかがでしょうか。
  17. 矢田恒久

    矢田参考人 この点になりますと、どうも協会の会長としてはまことに御答弁しにくいわけでございます。ただ、いまの前向きの合理化というお話でございますが、これはまことに御指摘のとおりでございます。われわれとしましてはやはり二十社というものがそこにがっちり手を組んで、協会を中心にいたしまして前向きの合理化に進んでいかなければならぬというふうに考えております。これはいますぐというわけには参りません。多少日をかしていただかなければならぬと思いますが、そういう気組みで進んでまいりたい。今後ひとつよろしく御指導願いたいと思っております。
  18. 堀昌雄

    ○堀小委員 大蔵省に伺いますけれども、いま個別の月払いの継続率ですが、四十一年に一もう少し前からいきましょうか。三十九年に一番継続率の高かったところと低かったところ、四十一年に一番高かったのと低かったのは一体率として幾らか、ちょっと答えていただきたい。
  19. 新保實生

    ○新保説明員 三十九年と四十一年でございますか。三十九年度におきましては個別月払い保険における継続率の最も高かった会社の継続率は七四・一%でございます。それから四十一年度におきまして継続率の最もよろしいのは七二・八%、中間の四十年度を申し落としましたけれども、最良の会社は七一・一%でございます。
  20. 堀昌雄

    ○堀小委員 最低のほうもひとつ……。
  21. 新保實生

    ○新保説明員 三十九年度の最低でございますが、二八・四%、四十年度の最低三八・一%、四十一年度の最低は三〇・八%でございます。
  22. 堀昌雄

    ○堀小委員 いまお聞きのように、三十九年度で見ましても、それから四十一年度で見ましても、最低と最高の間には二倍以上の差があるわけですが、これは今後にひとつお骨折りいただきたいと思うのは、三十九年に私ども論議をしまして、銀行局長の通達等が保険審議会の答申を経て出てまいりましたのは四十年十二月でありますけれども、しかし全体として、この三十九年、四十年、四十一年というのは、継続率はやや下がりぎみなんでございます。この解約失効率の問題というのは、実は私この前も一ぺん簡易保険比較をして、ちょっと申し上げたことがあるわけでありますけれども、簡易保険のほうは、これが九・七%、それから諸外国で、西ドイツは一九六三年で一八・一%、フランスは一九六二年で五・九%、こういうふうに諸外国は失効率が低いのに対して、わが国の場合には、これは昭和四十年だと思いますが、大体三一%、三〇%くらいだということにずっとなっておるわけです。これは新契約高に対する比率で個人保険を見たわけでありますけれども、こういうふうに私は簡易保険が非常に率がいいというのは、これは完全専業方式ですから、当然それはそういう意味で非常にいいのであると思いますし、諸外国もかなり、フランスなんというのは非常に、日本の簡易保険以上に解約率が低い。ところが、日本だけはやはり依然として非常に高い、こうなっておるという、この主たる原因は一体どこにあるのでございましょうか。
  23. 矢田恒久

    矢田参考人 解約失効が非常に多いという御指摘でございますが、これは確かにはっきり統計が示しておるところであります。原因はいろいろ考えられますが、一つは、せっかく保険に入ったけれども継続できなくなった、あるいは住所を移動したけれども、移動先が不明であったということで、契約者側のほうにそういった事情のあるようなこともございますし、会社側から申しますと、集金が非常に不備である、あるいはなれない外務員が保険募集の際に説明が非常に徹底を欠いたというような面が出ております。そこで、いま申し上げましたように、会社側の責めに帰すべき失効解約というものは、やはり契約当時の説明の不足と申しますか、不徹底、未熟ということでございます。また、集金関係の事務の整備の行き届いていないという面もございます。これがおもな理由でございます。
  24. 堀昌雄

    ○堀小委員 実は、この解約失効について、いろいろ原因をおっしゃったわけですが、私はやはりこれをひとつ系統的に調べてみますと、この八月末で外務員の登録数はついに百万人をこえたわけでございます。ちょっと古いところで見ると、三十年あたりは二十八万人くらい、それから三十五年で四十五万二千人、ですからそういう時代と比べて外務員の数というのはウナギ登りにふえつつある。百万人いて、実際には激しいターンオーバーがありますから、実働しておるのはそうないと思うのですが、やはりターンオーバーの問題も、実は三十九年のときに触れておいたのですが、これも改善されるより、ますますどうもターンオーバーが激しくなりつつある。あるいは登録のための試験なんかの状態を見ましても、ほとんどみんな通っちゃう試験なんですね。していらっしゃる九十何%ですか、ちょっといま正確なあれはないのですが、ほとんど、登録になるときに、受験した人がみんな通ってしまう。私どもは非常に簡単な試験ならだれでも通るだろうと思うので、そのことは裏返して言うと、登録されておる外務員というものの質はあまり高められる条件が、そこに手だてがつくられていないのではないか。そういうターンオーバーの問題が一つありますし、もう一つ事故の問題のほうをもう少し調べてみますと、事故はだんだんふえてきて、その事故の中に占めておるところの問題は、やはりノルマを達成しようとするために、保険外務員がいろいろな不祥事をする。この間もたしか週刊誌に仙台かどこかの支部長さんか何か、かなりの職にある、それもまじめな保険外務員であった者が架空の死亡診断書によって、生きている人を片っ端から殺したというような報道も出ているわけです。ここらにひとつ、そういうことをしなければならない問題というのは、一面的にはやはり過当競争ではないか。ですから、私どもは、これまで金融機関の過当競争の問題をずいぶん当委員会で問題にしてまいりましたが、それを是正するためには、やはり店舗の問題もありましたし、あるいはドレッシングの問題もありましたし、また歩積み・両建てのような問題も、やはりそういうような過当競争の一つの側面としてありました。いろいろな問題がありましたが、一つずつ当委員会で取り上げて実は是正をはかってきたわけであります。やはりこれらの一連の問題は、私はどうも保険会社間における過当競争という問題についてはもう少し真剣にモラルの点に立ち戻って考えていただかなければならない問題ではないのか、こう思うのでありますけれども、その点はいかがでございますか。
  25. 矢田恒久

    矢田参考人 ただいまの御質問でございますが、生命保険会社が、御承知のように、先ほど公述の中でも申し上げましたように、敗戦でまるでゼロにひとしくなったものが終戦後の非常な努力で大きくなってまいったわけであります。そういう関係で、大きくなろう、大きくなろうという一つの考えの流れというものがそうしたことになって過当競争、私たち過当競争とまでははっきり申し上げられませんが、少なくとも大きくなろうという意識はお互いに持っておるわけでございます。それが形の上では過当競争ということになるかもしれませんが、そこでそういった結果があらわれたのが、いまおっしゃいましたような外務員の教育の不徹底と申しますか、そういったことから事故が起こるということにもつながると思いますが、そこで先般も協会でそういったことについて今後ほんとうにそういうことをよそうじゃないかという申し合わせもいたしたような次第でございますので、私たちそこまで考えておりますので、今後のなにをひとつ見守っていただきたいと思います。
  26. 堀昌雄

    ○堀小委員 実は大蔵省の銀行局金融年報昭和四十一年版というのに、こういうふうなたいへん期待を持って書かれておる部分があるわけです。「昭和四十三年度における継続率改善目標、平均継続率(年払い、半年払い、月払いの平均)が昭和四十三年度に八〇%以上となる予定の会社は八社、七八%となる会社は四社、七七%となる会社は三社、七六%となる会社は二社、七五%となる会社は三社、となっている。これは現状に比して著しい改善である。」確かにこうなれば、著しい改善だと思うのですけれども、今日の時点から見て、会長さん、はたしていま大蔵省がここへこういう期待を持って書いたこの目標には到達できるでしょうか。
  27. 矢田恒久

    矢田参考人 ただいまの御質問でございますが、実は大蔵省の御当局でお書きになったその問題の点につきましては、各社から四十四年三月末には一体どこまで継続率を上げられるかという御諮問がございまして、それに対して、各社はそれぞれ答申したのでございますが、それをお集めになってのあれだと思います。そこで、いまお話しのように、あと一年あまりしかございません。いまのような継続率の状態で、そこまで行けるかどうかという御質問でございますが、私たちは、お約束した以上はどうしても持っていきたいというふうに考えております。しかしながら、これも実際やってまいりますと、なかなか困難な問題でございまして、やはり最善の努力はいたします。少なくともできるだけそれをやりたいというふうな努力はいたします。でございますが、はたしてそこまで行くかどうかということになりますと、いまここではっきりお約束申し上げられないというわけでございます。とにかく、できるだけそこまで持っていきたいという決意でやっておるわけでございます。
  28. 堀昌雄

    ○堀小委員 もう一つ、そこにこういうのが出ているわけです。「四十三年度における専業者割合の目標、専業者割合(専業外務員の実働外務員に対する割合)が四十三年度に五〇%以上となる予定の会社は三社、四五%以上五〇%未満となる会社は二社、四〇%以上四五%未満となる会社は二社、三五%以上四〇%未満となる会社は十社、三〇%以上三五%未満となる会社は三社となっている。これも現状に比して大幅の改善となるものである。」やはり専業者割合についても具体的な計数に触れられておるわけです。専業者の問題は、ただ専業者割合ということではちょっと問題があろうかと思いまして、何か一つのルールがございませんと、専業者というのはどこから専業者だということが、何か統一した基準がはっきりしておりませんと、各社別で、自分のところの専業者というのはここから専業者だということになっておりまして、各社別の実働外務員中の専業者の割合が、専業の程度の幅がある限り、その比率をそのまま比較することには問題が残されていると思いますから、今後協会としてこういうものを専業者として見るんだというルールをつくっていただいて、ものさしでこれをはかりませんと、片一方は四五%いって、片一方は四〇%しかいっていない。実質的に見ると、四〇%のほうが本物の専業者で、四五%のほうは正確には三五%の本物専業者しかいなかったのだということになりますと、見かけ上だけの数を争うだけになりますから、その点を協会としては御検討いただいて、何らかのルールをつくっていただきたいと思うものであります。このほうも、おそらくいまのように一生懸命努力をするけれども、こういうお話だろうと思いますが、しかし、さっき村瀬さんがおっしゃったのですが、自己責任をもとにするいまは世の中の仕組みでございますから、資本主義というのは自己責任を土台とする仕組みですから、自己責任を土台とする仕組みで、会社が大蔵省に対して、こういうふうにやります、こう言ったら、その限りにおいては私は会社としては自己責任があると思うのです。  そこで、あわせて、実は今度は「会社内において継続率および募集制度の改善の実施を担当し、かつ、部内の調整に当たる役員(常務取締役以上)を指定すること。」というのが銀行局長通達であったのですが、これは具体化されておりますでしょうか。
  29. 矢田恒久

    矢田参考人 私、協会長でございますが、各社のあれはよく存じません。私どもの会社といたしましてはちゃんと責任者をきめております。
  30. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで、せっかくこういう非常にいい制度だと私は思うのですが、だれが責任者か、責任を明確化しませんと自己責任というのは貫徹できないと私は思うわけです。これまで投資信託の問題をやってまいりましたときに、だれが運営しているかわからないような投資信託では責任なんて明確化されないわけですから、ころがしをやって、とにかく自分のところの会社がもうかればいい、証券会社の本業のほうがもうかれば、お客さんのほうはどうでもいいというのが、過去における投資信託がこうなってきている最大の原因だと思う。株式投信についても、運営者を明らかにして、少なくとも取締役級をもって運営の責任を明らかにして、成績が悪ければその人にはね返るという制度をとらない限り、自己責任は貫徹できないではないか。これはアメリカへ行きますと、ミューチュアル・ファンドはちゃんと運用者がきまっているわけでありますから、ジェラルド・サイ・ジュニアのマンハッタン・ファンドというふうになっているわけでありますから、非常に自己責任がはっきりしているのでありますが、日本では、会社機構が大きくなるにつれて自己責任が薄められてしまって、どうもそういう点が十分でないと思うのでありますが、この際自主的におやりいただくことですから、通達にあったのですから、協会としても、各社おやりになっていると私は思います。けれども、プログラムを組まれて、プログラムどおりにいけばともかく、もしいかないような常務取締役は自己責任を貫徹されていないのですから、きちんと平取に下げる、そのくらいのかまえでやっていただかなければ、実はこの問題はよくならぬと私は思うのです。これは非常に重要な問題であり、生命保険にとって一番中心的な重要な課題であり、そしてやりにくい問題である。なぜやりにくいか。企業がお互いにこうやっているときに、自分のところだけがやれば成績が下がる、シェアは取り残されるという問題がありましょうから、やはりみんなで前へ進みたい、しかしそれではいつまでたっても百年河清を待つがごとしでありますから、各社とも、もし継続率が最近の三カ年のようにダウンしたら、ともかく常務から平取にばしっと下げるということになれば、これはかなりはっきりしてくる、こういうふうに私は思いますが、そのくらいの心がまえでおやりいただけるかどうか。これは私どもが強制をする問題ではございませんから、自主的に皆さん方で会社内での取締役会なり何なりで内規をつくって処理していただくことだと思いますが、実はそのくらいのきびしさをもって処理する以外にこの問題はなかなか前進できない。いま会長はここでおっしゃったのですが、少なくとも公の文書で明らかにされているものは会社として責任があると思いますので、その点についてのお考えを明らかにしていただきたい。
  31. 矢田恒久

    矢田参考人 御趣旨の点は十分尊重いたしまして、私、協会の理事会にもはかるつもりでございます。また、私ども生命保険会社二十社としてもそういうふうにとりはからいたいと思います。
  32. 堀昌雄

    ○堀小委員 時間がございませんから、生命保険の問題はおおむね以上で終わらせていただきますが、私ども生命保険に限らず、これまで保険の問題というのは当委員会では実はあまり取り上げてやっておりませんものですから、いろいろの点でまだ残されている問題がたくさんあると思います。今月は保険月間ということでありますが、金融委員会も、そのうちに、保険旬間といいますか、ある時期を限って、専門的に生保及び損保の問題を集中的に取り上げて、当小委員会におけるわれわれの考え方をまとめるように、これは歩積み・両建てその他についてもやってまいりましたような方法でやるようにいたしたいと考えますので、小委員長にひとつ善処をお願いいたします。  次に、損害保険について村瀬参考人にお伺いをいたします。  実は、いま御要望の中でもお触れになりました損害保険の所得税の控除の問題についてですが、これは世界に例のない問題ではございましたけれども保険というのは、加入者がふえることによって実は損害率が減るわけでありますから、それだけに当然保険料が安くなって入りやすくなるから、加入者はさらにふえる、こういう方向に参るものだと考えておるわけです。そこで、当時の田中大蔵大臣と当委員会で私議論をいたしました結果、田中さんが方向としてはたいへんいい考えだから、ひとつ政府としても善処をしたいという話になって、世界で初めての制度日本の所得税法の中に組み込まれることになった、こういう経緯があるわけですが、実は今後の火災保険の問題というのがちょっと生命保険とは異なる点は、外国の外資事業との間の競争という問題がかなりきびしくあるのじゃないか、こういうふうに思います。資本自由化を含めて外資会社との関係、今後における見通し等についてちょっと伺いたいと思います。
  33. 村瀬逸三

    村瀬参考人 ただいま税制の問題がございました。そのとおりで、ほんとうに皆さん方に御配慮いただいた点に対しては厚くお礼を申し上げる次第でございます。その点については、その後も引き続きわれわれとしては要望をいつも国会に御提出しておるわけです。去年でございましたか、私この委員会参考人として伺ったときに、たしか貝松先生かと思うのですが、保険料二千円の控除なんというのは問題にならないというおことばがあって、大いにわれわれ意を強うしたわけですが、まだいまだに二千円の控除ということで終わっているわけなので、どうかその点についてはまたこれ以上の御努力をお願いしたいと思う次第でございます。  それから、ただいまのお話の外国保険会社との対抗という問題でございます。これは御承知のとおり、日本においては外国保険会社が三十五社くらいか——私、はっきりした数字は覚えておりませんが、たしかそのくらいのものはいま入っておるわけです。そして、われわれと競争しておる次第なのでございます。しかし、ただ現在のところの状況では、それらが日本保険界からいま取っている保険料というものは四%くらいかと記憶しておるわけです。しかし、今後、外国保険会社日本へ続々と入ってまいるような場合になりますと、御承知のように、われわれも戦争によってほんとに無一物になったわけで、その後の努力によってわれわれの資産の増大というものについては非常に尽力をしてまいったわけでございますが、一つの大きな問題としては為替の問題がございます。一ドル持ってくれば三百六十円の換算になるわけですから、一見したところでは非常に大きな担保力を有しておるという関係から、われわれの日本における損保業界を彼らが縦横に荒らし得るだろうという予想は持っておるわけです。またかつ、それだけではなく、先生方とすれば、日本のマーケットではある意味において、あるいはロンドン市場とかあるいはニューヨーク市場というようなものを活用させて、あるいは内々にブローカー制度みたいなものを使いながら日本保険界を脅かすというようないろいろな企ては考えられることなのでございますけれども、しかし、何と申しましても、いま日本に料率算定会というものがございまして、日本について事業を営む者は算定会の料率によるということが原則になっておるわけです。その算定会の料率は、御承知のように算定会法というもので常に公正妥当な料率を考えておるわけでございます。そういう点がございますので、それに準拠してやってもらっておる間はいいのですが、この算定会法もすべて日本で行なう損害保険会社が料率算定会の料率を厳守しなければいけないというわけではなくて、それはまたもう一つ別の料率算定会をつくろうと思えばつくり得る制度になっておるわけです。これは当然のことです。もし彼らがそういうものをつくり、そして、おそらく日本の優良物件だけねらうのじゃないか、そういう危険に対してはわれわれも常に留意して考えていなければいけないわけです。といいましても、御承知のとおり、保険でございますから、優良物件、悪い物件をアベレージした料率というものは、あるパーセンテージ含まれておるわけです。そういうことを考えながらわれわれは進んでまいってきたのですが、われわれとしても非常に今後配慮すべき面は多々あることだと思います。しかし、何にしましてもわれわれの担保力増強しなければならないということは、これは当然それに対抗するわれわれが考え、またわれわれが実行しなければならぬ手段で、そういう面については十分われわれは配慮していくという考えを持っております。また、そういう点については、当局も常にわれわれに対しては非常に理解のある指導をいただいているわけなんで、そういう点についてはわれわれ自体ももちろん努力いたしますけれども、また、先ほど申し述べましたような保険料控除の問題も、いま堀先生のお話のように、加入者を大いにふやしていけば、またそれによって低率を適用して、そうして進んでいくことができる、それで大衆がそのために安心な生活が送れるのだというところへ持っていっているわけなんです。われわれもそのために保険の種類、つまりわれわれが引き受けます保険の種類というようなものを常に研究いたしまして、単なる火災のものとか、それから単なる海上の危険とかいうものじゃなく、あらゆる危険に遭遇しても被保険者が安心して過ごせるようないろいろな種類の保険を打ち出しているわけです。これも一つは海外の保険会社日本へ入ってきた場合における対抗の手段の大いに有力なる武器にはなっておりますけれども、そういうようなことを常に配慮してやっております。それで、先ほども申し上げましたのは、われわれの体力強化のため——保険がふえるのは、決してこれは保険会社利益になるわけでも何でもなく、これは保険がふえてくれば結局大衆が利益を得ることになる。われわれは常にリーズナブル・レートによって監督を受け、また、われわれは自主的に料率の低下によって、年々引き下げられるものからどしどし引き下げておりまして、現在におきましては戦前の半分以下くらいの料率になっているのじゃないかとわれわれは考えております。そういう次第なんで、どうかその点もあわせてひとつよろしく今後の外国保険会社に対抗する意味からもお考えをいただいたらありがたいことだと思っているわけであります。
  34. 堀昌雄

    ○堀小委員 私どもも、いまお話しのように、税制の問題について確かに保険が普及できるような方向には過去においても協力をしてまいったし、していきたいのですが、実は最近一つの個別の例なんでありますけれども、そういう私どもの願いに逆行する例が具体的に一つあるわけであります。これは日本一流の損害保険の会社で起きた問題なんでありますけれども、実は私の友人の医者なんですが、この医師のむすこさんが任意賠償の自動車保険に入った。そこのパンフレットをちょっと読みますと、こういうことが実は書かれておるわけであります。「対人賠償保険——通行人や乗客など、他人を死傷させたとき相手に支払う賠償金のうち、強制保険(自動車損害賠償責任保険)で支払われる金額をこえる部分の全額をお支払いします。」このパンフレットにはこう書かれておる。下のほうには、「対人賠償保険は多くつけておくほど安心」こう書いてあります。「他人を死傷させた場合の賠償金額は、ますます高くなる傾向にあり、すでに一、〇〇〇万円を超える賠償金の支払いを命じた判例もでています。」それから「強制保険だけでは安心できません。被害者への十分な補償という点からも、またあなたの財産の損失を補償し生活の安定をはかるためにも、上記回の対人賠償保険を十分につけておくことが必要です。」こういうふうに実はこのパンフレットに書かれておる。このパンフレットを読んでその人は、むすこさんが自動車の運転をしていますから、一千万円の任意賠償保険に加入しました。加入して何年たったのかわかりませんが、やっておるうちに、実は昨年の十月にこのむすこさんがたまたま事故を起こしました。これは別に飲酒運転でも何でもない、正常な運転をしていて実は事故が起きたわけですが、相手方は五つになるお嬢さんが頭蓋骨の陥没骨折、要するに頭蓋骨が折れて中へぼーんと入っちゃったわけですね。これは毛髪部分でなく、額の部分における頭蓋骨陥没骨折と鎖骨の複雑骨折をやって、非常に生命の危険にさらされていたけれども、幸い治療が適切に行なわれて命は助かった。おかあさんはあごのほうの外傷を受けて、あごの関節に負傷をした結果、関節が開いてしまって、ちょっと動かすとあごがしょっちゅうはずれる。これは私も医者でありますが、そうなったら、これは治療の方法がないわけです。そういう後遺症が残っておる。おとうさんは軽傷で済んだ。こういう例でありますが、この自動車任意賠償保険一千万円入っているからと安心されたことだと思います。こういうふうに書いてあるのですから。強制賠償の残り全部を払うと書いてあるのですから安心しておられた。ところが一年たって、最近、この会社から査定があって、七万円をお払いしましょう、こういう問題が起きておるわけです。私ども、ものごとには一般的な常識というものがありますから、一千万円の賠償に入っている。被害者のほうからこの方に要求しておる賠償金は百万円なんですね。百万円の賠償金を要求しておる。それは中身は、たしか子供さんに対して六十万円ですか、あと残額、おかあさんとおとうさんにごくわずかという形で、百万円の賠償をしてもらいたいという話でした。私どもも第三者として冷静に見ましても、要するに五つのお嬢さんが額にけがをして、外傷をして、おまけにそれが中へ引っ込んだということですから、いまはたいして異常はないようですが、将来どうなるかわからない。美容上の問題としても、ここに傷があるということですから、たいへん問題がありますし、鎖骨の骨折ですから相当な苦痛もあったわけでありますから、当然そういう問題に対して六十万円程度の慰謝料、それから母親が死ぬかもわからないという情勢で一カ月経過したということに対して三十万円ですか幾らかの慰謝料というようなことは、そんなに私は不当なものではないと思うのです。昨日ですか、新聞を見ておりますと、やはりそういう自動車賠償の問題だったと思うのですが、おかあさんが慰謝料をもらう、おばあさんもよこせというのが一それは、お孫さんがなくなって死んでいる場合ですけれども、おばあさんに対して五十万円払えという判決が出ておるのですね。私は、そこらを見て、この例でトータルで百万円の金額は決して過当な賠償要求じゃないと思います。要求される方も裕福な方のようですから、常識的な要求をされた。そして強制賠償は、この経過の中では三十万八千円支払われておるという経緯でございます。ですから、普通ですと、私ども百万円が適当ならば三十万円と、あとの差額は払いますと書いてあれば、七十万円は支払われて至当ではないかという感触があるのですが、実はそれは七万円しか払われなかったという問題が出ておるわけです。すでに問題は一年経過しておるわけですね。  私どもは、この問題をずっと聞きながら、さらに非常にいろいろな問題がありますのは、約款に「事故の発生」として第十一条、「保険契約者または被保険者は、事故が発生したことを知ったときは、下記の事項を履行しなければならない。」とこうありまして、その一項七号に「あらかじめ当会社の承認を得ないで損害賠償責任の全部または一部を承認しないこと。ただし、被害者に対する応急手当または護送その他緊急措置については、この限りでない。」こういう約款がついております。そうして二項として「正当な理由なくして前項各号の規定に違反したときは、当会社は、」云々とありまして、「第七号の場合は当会社が損害賠償責任がないと認めた部分を、それぞれ控除して、てん補額を決定する。」こういうふうに書かれておるわけです。  このお医者さんは、こういう条項がある、片方で一年たっても見舞い金一つ持ってこないのかという問題が実は起きておるわけですね。見舞い金を持って行ったらこれはひっかかるだろう。要するに、賠償の一部を承認しないこととなっておるわけですから。一体現在のわが国の常識的な慣行からいって、事故を起こしてそういうひどい状態にあるときに、見舞い金すら持っていってはならぬぞというような約款をきめておること自体、私は日本の良俗公序に違反する約款ではないのか、こういう感じがいたしてならないわけであります。これは大蔵省にも責任がある。こんな約款を認めて今日までほったらかしにしておるのは、監督上まことに不行き届きだということを、これは日をあらためて私はきびしく大蔵省の責任は追及いたしますけれども、まことに私どもとしては遺憾な約款がここに設けられておるわけです。  私は実は数年前に、当委員会でありましたか、予算委員会でありましたか、ちょっとよく覚えておりませんが、自動車保険の問題を取り上げました。実は私どもの医師会のお医者さんが、いろいろ私ども会合があったときに、たまたま自動車賠償保険の話が出ました。そこでみなが異口同音に言っておりますのは、AIUの保険に入っておれば君たち安心だよ。最近御承知のようにオーナードライバーが非常にふえてまいりましたけれども、匿名というのは業務上の必要からずっと前からオーナードライバーが非常に多いわけでございますから、そういう意味で自動車任意賠償保険に入るのにはAIUのほうが非常にいい。それはなぜかというと、事故が起きたらすぐ払ってくれるし、その点ではほとんどトラブルがない、希望どおりの額が払われるし、時間的にも内容的にも非常にすぐれておる、こういうような話でありました。私はこれは重大な問題だと思ったわけです。さっきちょっと外資の問題とあわせて触れておりますのは、私どもが外資の会社と競争していくのに、こちらのほうがサービス等の内容が悪かったら競争できるはずはないと思うのです。ですから、そのときに私は、このAIUの問題に触れて、これは対大蔵省の問題でありますけれども、AIUがやっておる程度のことは日本の自動車賠償保険でやれないはずはないじゃないか、すみやかにひとつ日本の自動車賠償保険を改善しなさい、こういう注文をつけました。その後いろいろ改善をされまして今日に至っておりますので、私は、こういう問題はないのだというふうに実は理解しておりましたら、たまたま最近私の友人が相談に来て、これは個別問題のようだけれども、堀さん、これは自動車の賠償保険に入る者の一般論、全体の問題として重要な問題だから、一ぺん検討してくれと言って持ってまいったわけです。同町に、私はこれから当委員会で、あるいは大蔵委員会等でもやりますが、最近、御承知のように、自動車の事故に伴う禁錮刑というものが相当に、実は実刑を科せられておる例が非常にふえてまいっております。実刑を科せられておる問題の中には、この自動車賠償保険によって示談がなかなかできない。片方では裁判は進行してくる。示談すらする誠意がないような者は体刑だということで、いまどんどん禁錮刑に送られておる例があるわけです。これは私は、法務省を呼び、今後統計的に具体的にひとつ明らかにして、一体そういう事故の中で自動車の任意賠償保険に入っていたために起きた、それはそれだけではないかもしれませんが、しかし、要は示談になっていなければ——体刑というのは最近の顕著な傾向ですから、それは加害者側に誠意がないということですね。加害者側が誠意を持っていても、こういう保険制度でくくられていて、会社側の承知しない限りは示談にならないということならば、私は、自動車の賠償保険のために有罪になる者ができるなどということは、これはたいへんな問題に今後なる、こう思います。特にその場合に私ども考えておらなければならぬと思いますのは、この制度の仕組みが、損害保険というのは事故が起きたら幾ら払いますという制度になっていないわけですね。要するに、事故が起きたら保険会社がその事故の程度を査定をして、その査定に対してだけ払うという仕組みは、契約者保険会社の立場からすると、保険会社優位です。要するに、保険会社がきめた査定額をくつがえそうとすればどうしなきゃならないかといえば、裁判によらなきゃならない。こういう制度は、日本損害保険を普及させていくためには、今後大きな障害になると私は思うのです。要するに、常に保険会社優位ですから、保険会社がきめた査定額ではもうどうにもならぬ、幾ら一億かけていても、七万円しか払わぬという査定をされたらどうにもならないんだという制度上の仕組みは、根本的に一ぺん立ち直って再検討を要する制度ではないか、損害保険という全体の仕組みについて再検討する必要があるという感じが実はいたしておるわけであります。これは、今後こういう問題を含めて、生命保険の問題、損害保険の問題を当委員会としてはきっちり詰めて、十分論議をして、国民のための保険になるようにしていきたいと考えております。私は、何も損害保険会社を目のかたきにしているわけではありません。要するに、私がさっき生命保険の問題でも解約失効率を減らしなさいと言ったことは、やはり生命保険会社のためだと思っておるわけです。これは被保険者のためでもあるし、生命保険会社のためでもありますから、一生懸命やる。と同時に、私がいま問題を提起しているように、外資と競争しなきゃならぬ日本損害保険会社にこういう事例があちらこちらに出ることになれば、とても日本の自動車損害保険には入っておれないぞ、やっぱり外国のほうが安心だということになったらたいへんなんです。どうしても日本損害保険日本国民が満足をするところの任意賠償保険というものが確立をされなければならないと私は思っています。  そこで、この問題については、私は、やはり契約をする側の権利をもっと公正に評価をするような法律なり約款なりがつくられ、それに基づいて、もし一千万円かけておって、だれが見ても百万円相当が妥当である、一年たっておるわけですから、当然そんなことは行なわれなきゃならぬ問題が、今日まだ七万円だなんという話が起きて、これをくつがえすためには裁判によらなきゃならぬというようなことになったら、これは一体、加入者の権利というか力はどこをどういうふうに認めておるのか、これは重大な問題だと考えております。  私は、実は、この間ちょっとそういう関係者の皆さんとお話をしたのですが、最近生命保険会社で海外旅行の傷害保険生命保険とあわせてやっていらっしゃると思いますが、さようでございますね。矢田参考人からちょっとひとつ承りたい。
  35. 矢田恒久

    矢田参考人 ただいまの御質問のとおりでございまして、海外旅行者の生命保険をやっております。
  36. 堀昌雄

    ○堀小委員 傷害もですね。——ですから、いまの傷害保険というのは損害保険だけで扱っておられるのかと思っておりましたら、制度上では、新たに海外旅行については傷害保険生命保険会社がやっておるという問題があります。ちょっと少し極端な言い方かもしれませんが、私ちょっとこれを見たときに、損害保険会社というのは物的なものが主体でございまして、人間というのは自動車保険で初めて出てきたものであって、これまでもあったと思いますが、ウエートとして非常に大きくなったのはどうもこれじゃないか、そうすると、これは人間の保険と物の保険とに区別をしたほうが、ものの考え方としてはもうちょっとヒューマニティの通った問題になるのではないか。どうも片方は物の損害でと割り切ってあるために、人間のそういう心理的な慰謝料ということは、無形のものはあまり評価しない、自動車がこわれていたら、それは確かにこれだけこわれていたと目で見てもわかるし、計量もできますが、計量できないものを物的なものを扱うものさしでやったところに問題があるのではないか、こういう感じがして、場合によっては、生命保険会社も自動車の任意賠償保険的な制度で、生保と損保と競争してもらったらどうであろうかという気もするようなわけなんでございます。これは事例を申し上げたので、私は協会長から御返事をいただくつもりはございませんけれども、ただ、いまの私が前段で触れました保険を広げていくためには、加入者が、かけるときはかけたけれども事故が起きたときは満足をして、ああ保険に入っていてよかったということにならなければ保険は広がらないと思います。保険に入ってえらい目にあったということになっては、われわれが幾ら大蔵委員会で税をまけましょう、どうしようと言っても、これは問題が発展しないと私は思う。そういう意味で、どうかひとつ協会長、協会として自主的にこの問題について再検討をしていただくようにお願いをしたいと思いますので、それについてだけお答えを願います。
  37. 村瀬逸三

    村瀬参考人 ただいま堀先生からほんとうに貴重なお話を承りまして、われわれとしても反省すべき点があればほんとうに反省しなければならぬわけでありますが、非常にいいお話を承りましてほんとうにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。  われわれも、被害者の方ばかりではなく、世間のいろいろな方からいまのようなお話を承ることが非常にわれわれの参考になりますし、あるいは今後こういうような問題を処理していく上において、われわれとしては常に考えていかなければなりません。そういう面につきましても、先ほど広告ですか、パンフレットですか、そういう問題がございましたけれども、それについては、常に誇大広告と申しますか、そういうようなことにならないように、しかも、お読みになった一般の方が、ほんとうに保険というものはこういうふうになっておるのだということがわかるようなものを出さなければいかぬぞということはわれわれも考えておりますし、また、監督官庁のほうから常にやかましくおっしゃっていただいておることは十分気をつけておるわけでございますが、私、その広告を見ておりませんからあれでございますけれども、もしも、そういう面が出ておるようなことがございましたら、さっそくそういうものは取り消してほんとうにわかるようなものに直していくようにわれわれはやっていきたいと思います。  それからまた、先ほどの賠償の問題も、私どもは、事実どういうケースでございますか、わかりません。わかりませんけれども、われわれとしては、常にそういうことに当たる人物——われわれのほうの職員並びに重役でありますが、そういう者に、そういう問題についての裁判官の意見聴取と申しますか、お話を承らせるとか、あるいは実際の示談がどうなっておるかということについては常に注意を払わせて研究もさせ、それからまた、人間の価値が刻々に上がってまいってくるのが現状でございますので、そういうことについて誤りがあったならばそれはとんでもない申しわけないことになりますし、しかも、それを判定する立場に立っておるわれわれが、もしもそういうことについてあやまちを起こしたら、これはわれわれとしてもほんとうに申しわけないのですが、また一方、これを過大に払ってしまいますと、そういう損害保険料率の中に入ってまいりますから、今度は、ほかの被保険者の方に対しこれまた申しわけないというような立場に立っておりますのがわれわれでありまして、ただいまお話しのように、損害賠償というものは、もうすでに明治四十三年以来損害保険業界でも取り扱っておりますし、われわれは、そういうことについてはいろいろ十分な注意を払っておりまして、そうしてあやまちなからしめるようにやっております。そうして、もし、いまのようなケースがございましたら、それは御遠慮なく保険会社に主張していただきたいのであります。そういうことで、われわれもいまのように大いに訓練は積んでおりますけれども、ひょっとして、あるいは教育不十分とかなんとかいう者がなきにしもあらず、まことに申しわけない次第なんでございますが、大ぜい使っておるものですから、そういう者がおるかもしれませんので、御遠慮なく言っていただきまして、また、われわれもそういうものの窓口も全国的に設けてございますし、それから、話し合いの中の最後としては、調停委員会というものが設けてございまして、そこは第三者のいろいろな方がいらっしゃるところになっておりますので、そういうところに御遠慮なく申し入れていただけるような仕組みになっております。また、保険会社が立ち会うということは、保険会社が自分がきめて払う、きめるため立ち会うというような意味でそういう文句があるのではなく、両者の話し合いの中に、あるいは世の中のことでございますから、いまのようなケースを言っているわけじゃないのでございますが、ひょっとして互いがなれ合うという、ことばははなはだ間違っているかもしれませんけれども、そうして必要以上の巨額のものをもし払ってしまった場合には、われわれといたしましては、そこにまたほかの被保険者に対しても、あるいはまたほかの契約者に対しても、責任というものが、その事件以外のところで生じてくる結果になります。かつまた、先ほど見舞い金ということばがありましたが、見舞い金は別といたしましても、われわれは保険金の支払いなんでございますから、事件が確定してこれでいいという結果にならないと、保険金というものはこれは出し得ないものでございます。それらの点もあるということをひとつおくみいただきまして、それでいまのようなケースは、私は事実知りませんけれども、どうぞ御遠慮なくそういうことをおっしゃっていただきたいと思います。そういうことがまたわれわれが世間に対して向上していく一つのゆえんでございますから、またそういうふうにみんなを正当に満足させられるような保険というものを取り扱うことがわれわれの目的なんでございまして、まあそういうことにして海外のあれはないようにしていきたい、こう思うわけであります。  それから先ほどのAIUについては、これは監督官庁を前に置いて私はとやかく申し上げる資格はございません、その御判断もあるのでございましょうけれども、あれは要するにアメリカのグループの中の一つのあれで、日本ではグローバルな立場をとっておりまして、これはほんとうにいま拡張するためにいわばダンピングみたいな政策を、保険ばかりとは決して申しません、しかしそういう面も日本のマーケットをねらうために非常にやっているというようなことも、われわれとしては感じられる節があるものでございますから、そういう面もあるので、今後われわれといたしましても、十分いまおっしゃったようなことに対しては肝に銘じて心がけて進んでまいりたいと思うものでございますから、どうかひとつ今後はやはり内地会社のほうを御援助いただきたい、こう思う次第でございます。よろしくどうぞお願いいたします。
  38. 小峯柳多

    小峯委員長 奥野誠亮君。
  39. 奥野誠亮

    ○奥野小委員 時間がだいぶたっておりますので、ごく簡単に質問事項を全部申し上げてしまいます。  矢田さんの話を伺っておりまして、資金運用が、国債政府保証債に五%という数字を伺って意外な感じを持ったわけであります。住宅公団に三千億円も貸し付けているのだから、それを合わせて考えれば相当大きな割合になるというお気持ちを持っておられるのじゃないかと思うのですけれども、とにかく生保資金がそんなわずかしか国債や政保債に運用されていないのかなという意外な感じを受けました。同時にもう一つ、中小企業に積極的に貸し出していきたい、おそらく直接貸しのことだろうと思うのですけれども、そうかな、生保がそんなところにそんなに力むことが妥当なんだろうかというような疑問も持っておるのであります。いろいろ集まってくる資金をどう運用していくか、各種金融機関が、やはり集まってくる資金に応じて運用のしかたが確立されていくべきじゃないか、何かルールがもっとはっきりさせられるべきじゃないか、そんなことを日ごろ思っておるものですから、いま申し上げましたような点で非常に疑問を感じたわけであります。十年、二十年の長期資金でありますから、何といっても社会が安定していなければいけないのじゃないだろうか、こう思うわけでございます。また、税制上の優遇等も考え、あるいは契約者である国民大衆に還元していくということを考えたりしていきますと、国債とか政保債とか、そういうものに重点を置いて運用すべきものではなかろうか、かように考えるわけであります。同時にまた、社会資会の充実というようなことを積極的に考えられるべきではなかろうか、こんな感じもするわけであります。そういう意味で資金運用基本をどういうところに置いていくべきであるか、どうお考えになっておるか、もう一ぺんあらためてただしておきたい、かように考えたわけであります。  もう一点は、生保資金を人間の健康保全に役立つような方向に運用していく、そのことがやはりそれだけ企業利益にも、あるいは契約者利益にもなり、全体に返ってくるのじゃないだろうか、かように考えるわけであります。この五%とおっしゃった国債政府保証債等の中に、地方債も入っておるのじゃないかと思うのですけれども、あるいは政府保証債でありますと、公営企業金融公庫の債券——公営企業金融公庫は下水道でありますとか、上水道でありますとかいうようなところへも融資しているわけでありますから、私が申し上げます人間の健康保全に役立っているのだとか、あるいは環境衛生施設の改善に役立っているのだとかいうことにもなろうかと思うのでありますが、一体どれくらい地方公共団体の行なっている、いま申し上げますような関係事業に貢献しておられるのだろうか、その程度を教えていただき、同時にまた、将来積極的に私はそういう方面に資金を利用していただくべきである、運用していただくべきである、それが生保資金の今後の流し方を考える場合には私は重要な役割とすべきことではなかろうか、かような考え方を持っておるわけでございます。  村瀬さんに伺っておきたいのは、いま申し上げました矢田さんに対する御質問との関連では、国債政府保証債などに七百億円応募している、こうおっしゃいました。同時にまた、この中で市町村の消防施設の起債にも向けている、こうおっしゃっていただいて、これはたいへんけっこうなことだと思うのであります。そういうあり方を私はまた生命保険のほうにも希望いたしたわけでございます。ただ、これは旧来のいきさつを考えてまいりますと、消防施設税を設けるべきだという議論があって、いや損害保険協力するしかたは税でなくても必要な資金引き受ける、そういう形においてでも協力できるのじゃないかというお話があってこれが始まったように記憶しておるわけであります。それはもちろんごもっともな御意見だと思うのであります。ただ、そういう意味で協力していただけるのなら、他の消防に充てられる地方債資金、政府資金があるわけであります。条件はこれと同じにすべきではないか。条件が同じでなくて、一般の社債その他に応ずるような態度でやられたのじゃ協力しているというかっこうにあまりならないのじゃないか。ポンプを寄付しておるとか、パトロールカーを寄付しているとか、これはもちろんけっこうなことだと思いますけれども、それより以外に市町村債を引き受けていただくことが多くの市町村に潤っていくことになるのではないか。また、損害保険への協力態勢を強めることになると思います。それが、条件が一般の会社並みの条件では協力していただいたことになるのかどうか、私は非常に疑問に思うのであります。やはり地方債計画の中で市町村の起債に充てられている資金、それについては年利が六分五厘であるなら、やはり損保で融通していただく消防債についても六分五厘にしていただくべきじゃないか、かように考えるわけであります。要するに、協力をしていただくなら協力していただくような条件に改めらるべきじゃないか、こういうような方向に検討していただきたいと思いますが、検討していただく意思があるのかどうか、意思のありようによってはまた考えも異なってくると思うのであります。いまのままでは十分協力していただいておるというふうには私は受け取れない。したがいまして、御検討をいただけるものかどうか、ここで伺っておきたいのでございます。  もう一つ、損害保険のうちでも火災にかかる損害保険、ずいぶんたくさんな団体がこれを行なっているように思うのであります。われわれは普通損害保険というと、二十社くらいしか予想しないのでありますけれども、しさいに見ていけば、地方公共団体の行なっております災害共済もありますれば、あるいは農協等の行なっている火災共済もあるわけであります。いろいろなものがあるわけであります。しかし、自由競争のたてまえから考えていくと、何といっても実質保険料率の低いところが勝利を占めていくのではないだろうか。経営合理化する、同時に規模の利益を最大限に生かしていく、そういうところが勝利を占めていくのではないだろうか。そうなってくると、ある程度企業の統廃合が積極的に進められていくはずなんだが、何千という団体がそれぞれりっぱに営業をやっておる、これが私はふしぎでならないのであります。そこで、私自身疑問に思っていますのは、もちろん保険料率をきめられます場合には、地域によっても料率が違うでしょうし、また対象物件によっても料率が違うだろうと思うのであります。火災の場合に、いま災害共済や火災共済のことを申し上げたわけですけれども、同じ対象物件についての料率が、実質は損害率が下がっているのに保険料が切り下げになってないのではないかという疑問を持っておるわけであります。そうすると、どこかほかのほうでこれ以外に保険料率を有利に定められておるところがある、こういうことになってくるわけでありますけれども保険料率をきめるときに、予定損害率を持っておられるでしょうし、また、損害率の実績も出てくるわけでしょうが、これをどう調整しておられるのか。さらに言いかえれば、付加保険料と純保険料割合がそれぞれの物件ごとに同じになるように努力しておられるのか。そこはある程度政策的に、たとえば石油化学工場、これは非常に危険が高いのだけれども、高い保険料率を定められないで比較的低く定められているのは、外国との競争もあったりするし、その辺のいろんな事情があって、私がいま申し上げているような、自由競争の結果というものがどこにも出てきてないような姿になっているんじゃないか、こういう疑問を持つわけであります。この辺の疑問をもう一つお教えをいただきたいということでございます。  以上でございます。
  40. 矢田恒久

    矢田参考人 ただいまの御質問の中の、生保会社が全体として国債、政保債の五%、これには地方債も入っておるかということですが、政府保証債の中には公営企業金融公庫債は入っておりますが、地方債は入っておりません。  そこで、国債はまだ引き受けが少ないのじゃないかというようなお話もありましたが、この国債につきましては、生命保険会社といたしましては、それが発行されるたびに三・六%というふうなきめ方になっておりまして、それだけは常に引き受けているわけでございます。
  41. 奥野誠亮

    ○奥野小委員 それはわかっておりますが、それが少ないのじゃないか、もっと積極的に持つべきじゃないかという気持ちがあるものだから……。
  42. 矢田恒久

    矢田参考人 これは銀行、信託、証券とそれぞれ分けまして、三・六%が生命保険会社のほうの引き受け分ということに相なっているわけでございます。  それから地方債でございますが、これは、生命保険会社契約者利益保護という立場から考えまして、金利の面から、どうしても貸し付けのほうによけい行くということになるわけでございます。その点につきましては、現在たいした地方債を持っておらないわけでございますが、それを持たない理由は、そうした金利の利回りと申しますか、そういった面があるわけでございます。  それから地方の中小企業への貸し付けでございますが、そっちのほうにも行きたいということを述べておりますが、ただいまは間接投資をしております。しかしながら、将来保険会社資産が相当大きくなってまいりますと、やはりそういった面にも進んでいきたいということを申し上げているわけでございます。
  43. 村瀬逸三

    村瀬参考人 ただいまの保証債に対する利回りの問題でございますが、御趣旨はよくわかりまして、われわれとしても、できるものは金利を低くしてやっております。今後、できるだけそういう方面に御協力すること、これはまたわれわれといたしましても当然の考え方ではないかと思いますので、できる限りそういうことに対しては、われわれといたしましても誠意を持って御協力申し上げたいと考えておる次第でございます。  それから、いまの共済関係保険とわれわれの保険との問題でございます。これは実は大きな問題で、現在保険審議会の議題になっておりまして、結論はまだ出てない次第なんですが、これもいろいろの関係があるもので、たとえば御承知のように料率は、純保険料、付加保険料、その算定のしかたというものの中にはいろいろむずかしいあれによって、公正妥当な料率を出すべく、そういう点については、いまのところでは、われわれとしてはでき得る最高の方法を用いてやっております。その結果、年々料率が下がってくる事態もございますけれども、いまのような、共済というものがある特定の地域だけをねらってやっておるということになりますと、またそういう方面からの相違も出てくる。われわれ日本全体を対象にいたしまして考えているのと、ある特定の地域だけのものとは、これまた多少そこに開きが出てくる問題があるのではないかと想像しております。私ははなはだ寡聞にして共済会の料率の算定のしかたというものは十分よくわかっていないのでございますけれども、また、そういう面からの相違というものもあらわれてきているのではないか。たとえば、先ほど申し上げましたように、ある優良地域だけでいきますれば、料率に対しては多少の安い料率が可能かもしれません。しかし、やはり全体で見た場合においては、あまりに悪い地域を高率にするということはこれもまた考えもので、保険の本質から申しまして、やはりいいところからでも悪いところの一部を負担するということは行なわれてくるものでございますから、そういう料率の考え方というものは持っておるわけなのでございまして、一部分をやっているのとは違うのですが、しかし、お話しのように、そこに競争の意味がないというふうにお考えになるようなことになってくると、われわれとしても非常に大きな問題で、だからそれで共済と違ってもいいのだというような割り切り方をしないで、やはりそこをもっと研究いたしてまいりまして、そしてわれわれの料率の算定上、何か考えるべきものがあった場合においてはそういうことは改めて進んでいきたい、基本的にそういう考えを持っておるわけでございます。  いま一つは、法律によってできている共済というものはこれはまた別かもしれません。そうじゃなく、いわゆる組合みたいなものもございます。それとわれわれとは土俵が違っておりまして、われわれはそうやって、万一のことがあった場合に他人に対して財産を差し上げることになるわけなので、保険業法その他によっていろいろ縛られておる面がございます。たとえば、資金の上につきましてもその他につきましても、そういう面の違いからあるいは出てくるものもあるかもしれないと思いますけれども、私、まだそこまで考えて研究いたしておりませんものですから詳しいことは申し上げられません。しかし、基本といたしまして、いまおっしゃいましたように、それを自由競争をするという意味ではなく、共済的なものが考えております料率そのものをよく研究、分析いたしまして、その中からわれわれがなるほどと思うものに対してはそれを用いて考えていくようにしたいという基本的な考え方を持っておりますことを申し上げている次第でございます。
  44. 奥野誠亮

    ○奥野小委員 村瀬さん、市町村の消防債について誠意を持って協力をするとおっしゃっていただき、たいへんうれしく思います。私が申し上げているような方向に御協力をいただくものと期待をいたしております。  なお、矢田さんにお尋ねした点について、私の質問の趣旨を十分理解していただいていないのではないかと思う点が若干ございますので、重ねてお伺いします。  たとえば、積極的に環境衛生施設を改善するような地方団体事業についての債券引き受けるべきではないか、そのことが人間の寿命も長くしていくわけだから、計算上も有利になっていくのではないか。地方債の券面上の利率、これだけで比較されないで、いま申し上げるような人間の健康を増進する方向へその資金が使われていく場合に、死亡事故がそれだけおくれてくるわけですから、有利になるはずではないか、だからそのことをあわせ考え資金の御利用を考えるべきではないかということを私は申し上げております。利、不利もあるのではないかと言うけれども、そこの配慮が不十分ではないかと私は指摘しているわけであります。損保だってやってくれているではないか、消防施設のために積極的に資金を流してくれているではないか、生保も積極的に人間の健康を保全する方向に流していくべきではないか、むしろそれが生保資金運用上の使命と考えるべきではないか、こう申し上げているにもかかわらず、利、不利だけで割り切っているのだというお話はいかにも配慮が不十分だ、かように考えますので、重ねて御意見を承っておきたいと思うのでございます。  もう一つ、中小企業融資の問題。直接におやりになっていくことはそれだけ調査機能充実もやっていかなければならないし、他の銀行その他の金融機関の業務ともダブっていくので、中小企業への協力のしかたは債券の応募等においても十分できるわけだから、直接貸しに力を入れていくのだということについて私は疑問を感じたわけであります。これはむしろ大蔵省当局に検討をゆだねておきたいと思いますが、お話から疑問を感じたものですから、私はあえてこういうことを申し上げたわけであります。  国債引き受けについては、話し合いで率がきまっていることも承知しているわけであります。銀行等はむしろその引き受け額を減らしてほしいということを強く言っているわけであります。現在の金融情勢からいいますと、発行額の減額、これはどうしてもやらなければならぬことだと思うのでございますけれども、そういう場合に、生保資金についてはむしろ積極的にふやしていってもらってしかるべきじゃないだろうか、こういう気持ちを持っているものですから伺ったわけでございます。
  45. 矢田恒久

    矢田参考人 ただいまのお話でございますが、先ほど私ちょっと聞き漏らしましてたいへん失礼いたしました。  最初に環境衛生、そういったことのための地方債とか、そういったことについて協力するあれはないのかというお話でございますが、これは御趣旨を十分尊重いたしまして検討さしていただきたいと思います。  それから、いまの中小企業への融資でございますが、これも御承知のように、保険会社は全国で仕事をいたしております。そういたしますと、しじゅういわれますことは、生命保険会社はどうも資金を吸収するだけで地方へ還元しないのじゃないかというような話も聞きます。これはある程度はやっておりますが、そういう面も考えまして、これは今後資金が非常にふえた場合のことでございますが、いい企業に対しては今後そちらのほうに資金を融資したらどうか、現在もやっておりますが、今後それを少し多くしたらどうかという点でございます。  それから、国債の買い入れでございますが、これはなるほどシンジケートに入っておりまして、三・六%ということになっております。ただ、申し上げておきたいのは、生命保険会社保有します国債は日銀の買い受けにならない。でございますから、買ったらもうずっと買いっぱなしになるわけでありまして、かりにこれを売却するとなれば市場でやる。そういたしますと、市場の国債の値下がりということになりますので、これはいま国債が新しく出ましたから、おそらく生保全体で売っているところはほとんどないと思います。多少はあるかもしれませんが、ほとんどないと思います。引き受けたものはほとんどそのまま保有しておるという状態に相なっております。でございますので、その点につきましては三・六%ではございますが、保有は確実に持っておる。やはりこれは他の金融機関でございますと、適格国債の一年経過のものは大体六一%を日銀で買い受けておるということでございますが、そういった面では生命保険会社は実質的にそれをずっと積み重ねて持っておるということでございますので、その点をあわせて申し上げておきます。
  46. 奥野誠亮

    ○奥野小委員 意見の対立になるようなことは避けておきたいと思いますが、地方に還元の問題生命保険ですから企業と直接結びついた資金ではないじゃないか、地方に還元する方法はいろいろあるじゃないか、地方債ももちろんその一つだと思いますが、そういう疑問もあって申し上げておるわけでございますので……。  質問はこれで終わります。
  47. 小峯柳多

    小峯委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。大村襄治君。
  48. 大村襄治

    大村委員 関連して、ごく簡単にお尋ねしておきます。  損害保険協会の村瀬さんにお尋ねしたいと思います。  私、先日中国地方のある製材工場を視察しましたところ、製材工場に対する火災保険の料率が古いまま据え置かれておって非常に不合理だ、戦後機械等が非常に進歩し、また防火施設等も充実してきているのに、古い高い料率のままで据え置かれておるのは不合理だということを聞いたのであります。話によりますと、中国地方だけのことでもないように聞いたのでありますが、そういったことを聞いておられるかどうか。また、聞いておられるとすれば、これを今後検討して改善する考えはあるか、このことをまずお尋ねしたいと思います。  もう一つは、全国の都市で自動車の損害保険につきまして、保険会社が仲立ちになって新しい保険を進めておられるように新聞紙等でよく拝見しておるのでありますが、けっこうなことだと思うのでありますが、これに対する協会の考え方あるいは指導方針等を承りたいと思います。
  49. 村瀬逸三

    村瀬参考人 ただいまの中国地方の製材工場のお話でございますが、私まことに申しわけないのでありますが、詳しい事情はあれでございますけれども、われわれの一般的の料率のきめ方からいまの問題をお話し申し上げますと、われわれ考えましても、製材工場というものは非常に燃えるものが多いわけでございます。そうしてたまたまその方はあるいはいままで損害がなかったのかもしれないのでございますが、全国的に見ますと、製材工場というものは非常に損害が多くて、一回あそこで火災を出しますと、床の上から何からずっとまわりがみんな燃えるものばかりだものでございますから、ほとんど全損になってしまうわけなんでございます。それでおそらく製材工場といっても、内容もいろいろあるでございましょう。それからまた、使用機械や何かもあるのかもしれませんが、全体としては非常に悪い条件であったがために、ほかの問題について考慮しても製材工場に対してはちょっと考慮できなかったがために、あるいは料率が多少据え置かれている点があるのかもしれないと思っているわけなんでございます。そうして戦前のことを申し上げますと、木材工場というものは非常な火事でわれわれはどうにもしようがなくて、みんな引き受けるということに対しては経営に対して危険を感ずるものですから、われわれは木材工場のプールまでつくりまして、そうしてみんなそこに入れて、しかし、これを担保しないということはわれわれの使命の達成からいってもはなはだ遺憾だから、そういうことにまでしてこれを持っていこうじゃないかということまで考えリスクなんでございまして、そこら辺の点は……。しかし、だからそのままほうっておくというのではございませんで、われわれといたしましては、いまのお話のような製材工場についてもさらに研究してみたいと思っております。  それから、市民交通障害保険でございますが、これはわれわれといたしましては、はなはだ立ちおくれたと申し上げると非常におかしいのでございますけれども、なお、そういう保険をつくらなければいかぬということは考えていたのでございますが、いろいろ研究いたしておりましたところ、たまたまある都市が御自分でなさるということで、そういう段階まできているものなら、われわれ多少不十分なところがあってもこれをやるのが一番いいんじゃないか、そういうことがいまの世の中に対してわれわれの社会奉仕の一つになるのではないかというわけでこれを売り出しました。これは損害保険協会といたしまして非常に考えましたことで、おそらくそれは各都市において御賛成を得て、そうしてこれはある金額ができますと、市民のほうの場合においては、さらにまたそれ以上の負担がございますが、ところが、それはみんな保険会社がしょってしまうわけでございますから、市の財政においても御安心なわけでございまして、そのためにほかの納税者に御迷惑をかけるということがなくなるわけでございまして、非常にいいのではないかと思うのでございます。現在においてももうすでに百をこえていると思う都市から続々とそのお申し込みがわれわれのほうへきておりますので、私どもといたしましては、今後ともますます皆さま方に御利用していただければ——いまは要するに一ドル保険と申しまして三百六十円で一年間いいのでございますけれども、これが、一ドルが半ドルになるときが早くくるようにわれわれとしては希望しているわけなんで、続々これを利用していただければこれに越したわれわれの喜びはないし、また各都市におきますところのお住まいの方々も、皆さん御安心ではないか、こういうように思っているわけなんでございます。
  50. 大村襄治

    大村委員 製材工場の点につきましては、新しい事実について調査していただいて、もし引き下げの余地があれば中小企業対策もありますので、引き下げを検討していただきたい。  それから、都市の自動車の保険関係でございますが、ひとつ前向きの方向で進めていただきたい。  それからまた、積み立て資金運用については、奥野委員のお説もございましたので、人命なり安全のほうにひとつ活用をはかっていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
  51. 小峯柳多

    小峯委員長 村山喜一君。
  52. 村山喜一

    村山(喜)小委員 矢田さんにお尋ねいたしますが、十月二十六日の第四回生命保険大会では三つの点をあなたが御主張をしておられるようにお聞きしているわけでございます。その第一点は、先ほど御説明をされました物価抑制でございます。第二点は税法上の優遇措置でございます。第三点は、この金融委員会では発表なさらなかった共済等の保険類似行為に対する規制の整備という問題を提起なさっていらっしゃる。そのときに大蔵大臣が出席をして演説をしている内容を見たのでありますが、それによると、生命保険会社がいま当面してやらなければならない問題というのは、先ほど堀委員のほうから触れられました募集制度合理化契約の継続率の改善であるという点を指摘をされているわけなんです。私は、その第三点について、なぜこの委員会であえてお触れにならなかったのであるかということについて承りたいのであります。
  53. 矢田恒久

    矢田参考人 触れなかったということについては特別はっきりした理由はございませんですが、ただ、この問題はただいま保険審議会にかかっておりまして、そちらのほうで審議会としてのあれは出るかもしれません。ただこの際、私たち生命保険業界としての考え方をちょっと申し上げさせていただきますと、まあ共済と申しましても非常に全国的な規模のものから、また一企業内の共済見舞い金程度の小さいものもございます。また、その規模の大小にかかわらず、根拠法がはっきりしていてそして詳細な規程があるものと、あるいは根拠法だけあるものと、あるいは根拠法のはっきりしないものと、こうあるわけでございます。生命保険業のわれわれといたしましては、その中でも特に員外利用と申しますか、そういった利用が非常に多くて、実際上は不特定多数を相手にしているというようなもの、あるいはその給付金等が常識的に見まして相当、本来の共済の範囲を逸脱しているんじゃないかと思われるものがあるわけでございますが、そういったものについてひとつ規制というものはあってしかるべきじゃないかというふうに考えるわけでございます。しかし、私たち考えますのは、何もこれを一つの所管庁で統合するということは考えておりませんで、それぞれの所管庁においてこれを育成されまして、そして秩序ある監督のもとに置いて、そして保険事業としてその事業の堅実な発展ということをはかっていただければ、これはひいては生命保険事業の信用の維持にもつながる問題じゃないか、こういうふうに考えております。その点を申し上げておきます。
  54. 村山喜一

    村山(喜)小委員 まあこの問題については、保険審議会でいま鋭意検討をされているわけでございますので、私たちも非常に大きな関心を持っております。というのは、生命保険の場合と共済の場合とはその目的が違うわけでありますから、やっている内容の中身は類似しているわけでありますけれども、やはり保険と共済の本質が違うんだというたてまえは私たちはくずしていきたくないと思うのであります。だからこそ、まあいまのところ、私はこれはあとで村瀬さんにもお尋ねしたいと思うのですが、生命共済の場合には五口、二十五万円が限度ということで、非常に大蔵省きびしく締めているわけであります。今日のこの貨幣価値の中において、はたしてその二十五万円というような共済金が妥当であるかどうかということについては、私たちはちょっと疑問に思っているわけでありますが、片方、御承知のようにあの火災共済などの場合には、生協がやる場合百万円ですか、これが一つの原則として、そういうようなことであとは主管大臣が許可をした範囲内において、最高を調べてみますと三百万円というようなものもあるようでございます。あるいは火災共済組合ですか、このなにを調べてみますと、大体火災共済協同組合の場合には共済金額の制限が百五十万ということになっているようであります。私はこの両方をながめながら、命のほうは二十五万円、建物のほうは認可を得たら三百万までは認める、こういうようなものの考え方がはたして妥当であるのかどうかという点についても実は疑問に思っているわけであります。原則としては百五十万という、あるいは百万という線がありますけれども、財産というものと命というものとをどういうふうに見ていくのかという問題もあろうかと思いますが、やはりこの問題についてはいま矢田さんのほうから、大蔵省一本にまとめようというような考え方は私たちも持っていない、ただ所管庁で育成し健全なものにしてもらいたい、こういうような御希望を承りましたので、あえて私のほうから追及を申し上げるようなことは時間の関係で省かせていただきたいと思うのですが、この保険大会で出されました内容から見ますと、その規制というようなことばで打ち出されているものですから、そういうようなことを質問を申し上げたわけであります。  そこで、この保険審議会の構成から見てまいりますと、これは大蔵大臣の諮問機関でありますからそういうようなことにもちろんなっているわけでありましょうが、何といいますか保険業界の人は六人入っている、しかしながら共済関係のような問題を処理する委員という人は一人も入っていないわけですね。その中で出されてきた結論というものが一体どういうようなものになっていくだろうかということを考えますと、これは大蔵省の銀行局の所管になるわけでありましょうが、私たちは一体審議会の委員の方々が今日、保険については非常に経験をお持ちであろうけれども、しかし、共済の今日の状態というものについてどういう程度まで認識をしておいでになるのであろうかと実は懸念をいたしているわけであります。利害関係者が入っていない、その中から一つの答申が生まれてくるということになりますると、これについての結果は、法律で規制をするというようなことが生まれてまいりました場合には、そういうような民主的な手続を経ない形で生まれてきたものになるのではないかと実は思うのでございます。この点は、また大蔵委員会等が開かれますでありましょうから、そのときに申し上げたいと思いますのであえて答弁を求めません。  ここで矢田さんにお尋ねをいたしたい点は、最近、生保資金運用の問題で全体的な総資産運用利回りが低下をした、こういうようなことから新分野の開拓を目ざしておやりになっているその中身がいろいろ報道されておるようであります。その内容というのは、長期運転資金供給をしていく体制を整えていくという問題と、第二点は、銀行保証貸し付け制よりも直接独自の取引先を開拓をしていく。それは、中小企業なりあるいは地方企業の分野に、審査機能といいますかそういうようなものを充実をしながら貸し付け業務を増大をしていく。それから第三点は、新しい住宅融資保険というものを強力に進めていこう、こういうようなことでございます。私は一点、二点についてはもうすでに触れられておりますから申し上げませんが、この住宅融資保険というものを去年の九月から実施されているようにお聞きするのでございますが、やり方としては不動産会社をつくって、そしてそれが危険分担をやって個人に貸し付けをしていく、こういうような方式と、もう一つの方向は、企業が一括して融資を受けて、社員の持ち家制度ですか、こういうルートに乗せていこうという考えのように承るのであります。そして生命保険と住宅資金融資とを結びつけた新しい保険の種類でありますが、その場合に、私は、こういう形の中で住宅関係国民の生活における寄与という問題で進んでいかれることはけっこうだと思うのですが、保険金と同額の住宅資金を貸与して、借り入れ金を満了日に満期保険金で弁済をするという仕組みをとられるわけですね。(矢田参考人「違います」と呼ぶ)違うのですか。その点について後ほど御説明をいただきたいと思うのですが、これからこの問題は鋭意努力をされていかれた場合には契約高も相当多くのぼってくるのではなかろうかと思うのであります。その場合に、いわゆる土地政策というものがこれに伴わなければ、幾ら家をつくるというて融資をしてみましても、家を建てる場所がなければせっかくこういうような新種保険をやろうと思われましても、それがなかなか成果があがらないというような方向にいくのではなかろうかと思うのですが、そういうような面から皆さんがどういうようなお考えをお持ちになっていらっしゃるのか。それからこれは大会社だけに貸し付けていくという形では私はおかしいと思うのでありまして、やはり中小企業のそういうような会社あたりに貸し付けていくとした場合には、中小企業信用補完制度の問題を一面においては考えなくてはならぬのではないかと思うのですが、そういうような面に対する政策的な要望というものがどういう程度まで煮詰まっているものであるのか、保険協会のお考え方をお伺いしたいのであります。
  55. 矢田恒久

    矢田参考人 ただいまの御質問でございます住宅保険でございますが、住宅保険は昨年からというふうにおっしゃいましたが、実はことし十月か九月ころ始めたんです、実際に始めましたのは。そこでそのやり方が二つございまして、ただいまやっておりますのが七社やっております。一社でやっておりますのは普通の養老保険が入りまして、その養老保険貸し付け——契約貸し付けといっておりますが、これをやっております。それからあと五社は定期保険をつけまして——これは死亡保険でございます。これをつけまして、そしてこれを条件に財務貸し付けしております。でございますから、さっきおっしゃいましたように、満期になれば保険金が残るというのではなしに、定期保険自体は借り入れ金の返済においてどんどん保険金額は減っていくわけです。満期になるとゼロになる、そういう仕組みになっております。でございますから、満期になってその金が残るということではございません。保険金はその場合はゼロでございます。ただ、返済の途中で万一のことがあった場合には、その残金を保険金で補うということであります。このほうが保険料が安うございますので、利用される側は非常に利用しいい。  もう一つ御質問がございましたのは、せっかく借りても土地がなければ家が建てられないというお話でございましたが、これは土地に対しても貸しております。土地を買うという場合にもそういう貸し付けをやっておりますので、その点も、家を建てる場合にはまず土地を買うということでその資金貸し付けをしております。  それから、中小企業に対する貸し付けでございますが、——ちょっと落としましたけれども、さっき申し上げた中には二つございまして、一つは、現在不動産事業、たとえば電鉄会社といったところで沿線を開発しまして分譲しておりますが、こういった不動産会社と保険会社がリンクいたしまして貸す場合、それからさっきお話がございました法人の保証をとって貸すという二つの場合がございますが、その法人の保証をとって個人に貸す場合につきましては、やはりいまのところでは大体大きな会社ということになっておりますので、今後そういったことについての信用補完制度というものがもう少し拡充されますれば、そういった点にもこれが伸びていかなければならぬと思います。また、始めてまだ間もないことでございますが、相当会社あたりにそういったことについての御質問も出てきておりますので、将来はある程度のものになるのではないかと思います。  もう一つ訂正いたしますが、さっきことしからと申しましたが、一社だけは昨年からやっておりますので訂正いたします。あと六社はことしになってからであります。  以上でございます。
  56. 村山喜一

    村山(喜)小委員 村瀬さん、先ほどの共済金額の限度額の問題ですね。この点についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。生命保険のほうは二十五万で押えておいて、建物のほうは百万なり百五十万なり、あるいは場合によれば三百万まで認める、こういう形はちょっとおかしいのじゃないかという意見を私は持っておるのですが、それについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  57. 新保實生

    ○新保説明員 村山先生がお尋ねの問題は私どものほうから申し上げたほうがよろしいと思いますので、最初にお答え申し上げます。  村山先生御存じだと思うのですけれども、現在いわゆる共済保険といわれる共済事業がいろいろな団体において行なわれておるわけでございます。大きく生命共済、それから火災共済、それ以外にいろいろございますけれども、その一口最高幾らといういわゆる共済金額というものはそれぞれの組合が自主的にきめまして、必要な場合には所管の官庁の承認を得た上でそれぞれの最高金額をきめておる。これは共済事業を行ないます団体に法的根拠がございまして、そしてそれぞれに対して所管の官庁がはっきりきまっておるという場合には一定の範囲内で組合が自主的にきめられる、それをこえるものについては場合によりますと主務官庁の承認なり許可が必要である。これは組合によって違うだろうと思うのでありますが、そういう手続によってきめられておりまして、この問題に関しまして大蔵省としては直接に意見を申し上げるという立場にはないわけでございます。ただ一つ例外は、中小企業等協同組合法によります火災共済協同組合というのがございまして、これは通産省と大蔵省の共同所管ということになっておりますので、その問題につきましては大蔵省の意見を申し上げるときまっておるわけでございます。それからもう一つ、いわゆる法的根拠のない組合が、つまり任意団体が共済事業を行なっておる場合がございます。これはまさにそれぞれの組合が自主的に共済金額の最高限度あるいは一人何口までという最高口数、そういうものをおきめになっておるわけでございまして、これに関しましては各省いずれもその決定については関与しておらない、そういうことでございます。  そこで、生命共済の金額とそれから建物更生共済でございますか、そういうものとの最高限度のバランス云々ということは確かにあるわけでございますけれども、いまの法制のもとにおきましては、これは組合が自主的におきめになることでありまして、政府が一カ所で統一的にこれをながめて、これは高過ぎる、これは低過ぎる、そういう意見を申し上げるチャンスはない、御承知だと思いますが、そういう仕組みになっておるわけでございます。
  58. 村山喜一

    村山(喜)小委員 一定の範囲内というのがくせ者でございまして、自主的にというが安全に自主的にということじゃないので、だからそこには行政指導としてあなた方が一つのワクをつくられてやっておられるからそういうふうなことになっておるのじゃないですか。だから、現実は私が言ったように五口とかなんとかというところで頭打ちになっておるわけでしょう。そういうような制限をしなければ、実際の資金運用の問題等もありましょうし、また監督の立場もありましょうし、あるいは業務運営の内容的な問題もありましょうし、いろいろな問題があるから一定の範囲内ということになるわけでしょう。
  59. 新保實生

    ○新保説明員 これは火災共済以外は各省が所管してやっていらっしゃることでございまして、どういう指導方針のもとに一定の範囲、その一定というのをきめておるのか直接には伺っておりませんけれども、しかし、多くの人からお金をお預かりして、場合によりますと相当長期にわたるわけでございますけれども、事故が発生した場合には約束した金額を間違いなく払う、そういうわけでございますので、組合自体がやはりそこで一種の保険計算というものをやりまして、どれだけの掛け金をちょうだいすればこれだけのものは払える、そういう計算をした上でやられるわけでございまして、それぞれの監督の各省がやはり組合の要望なりあるいは毎月の掛け金の金額をにらんで、責任準備金と申しますけれども、どれだけの責任準備金を持ち、それからそういう前提に立てばこの程度保険共済金額の支払いは可能である、そういう契約者保護の立場から最高限度なり何なりについて所管官庁の立場から指導する、これが必要なのではないか、私どももそういうふうに考えておるわけでございます。
  60. 村山喜一

    村山(喜)小委員 あなた方は表面上はそういうようなきれいなことになるのですよ。実際は、たとえば生協がやっておる場合には、厚生省令によりまして財務処理規則が制定をされて、それによって火災共済の異常火災準備金とかあるいは剰余積み立て金というようなものについては規則があるわけですね。それにのっとって現在の積み立て額もわかっております。それで実際問題としては、原則は百万円だけれども、大臣認可で三百万円までは認めるというようなケースが一つくらいあるようであります。しかし、その場合に生命共済のほうは五口二十五万円が限度ですよということで押えておるわけですよ。だから私は、火災共済の場合は三百万というものも場合によっては大臣が認める、しかし命のほうは二十五万円どまり、そういうような指導の方法が少しおかしいじゃないかということを言っておるわけです。だから、生命保険のほうと損害保険会長さんお二人おそろいでございますので、それについてはどういうふうにお考えになりますかということをお尋ねしておるわけです。
  61. 村瀬逸三

    村瀬参考人 私の立場で申し上げるべき筋合いのものでもないし、また、私ども申し上げるべきものを何も持っておりませんが、しかし、われわれのほうの平均保険金額、そういう方々がおつけになるであろうと思われる普通物件の平均をとりますと、たいてい百二、三十万か百五十万くらいになるのじゃないかと私思っております。それだけが私のいままでのあれから申し上げられることであろうと思って申し上げる次第でございます。
  62. 村山喜一

    村山(喜)小委員 生命保険のほうはどうですか。
  63. 矢田恒久

    矢田参考人 これはどうも非常にむずかしい問題でございますが、そういうふうに生命保険金と損害保険金の金額は違うということもいま初めて実は知ったわけでございます。生命保険はただいま最高金額大体一億までは一人でかけられることになっております。ただ火災保険の場合はどこまでかけられるか、それも私よく存じませんが、しかし、やっぱり人の命というものは何ものにもかえがたいものであります。そうかといって生きておるうちに財産を焼失するということも耐えがたいことでございましょうから、これは大体バランスをとったらいいのじゃないか、これは私見でございますけれども、まことに無責任な言い方かもしれませんが、私はそういうふうに思います。
  64. 村山喜一

    村山(喜)小委員 どうもありがとうございました。
  65. 小峯柳多

    小峯委員長 武藤山治君。
  66. 武藤山治

    ○武藤(山)小委員 時間がありませんから簡単にお尋ねいたしたいのでありますが、損保のほうの村瀬さんを中心にちょっとお尋ねいたします。  先ほど堀さんから御質問のあった約款の加入者保護の欠除の問題、同時に、具体的に一千万入っておって七万しか保険金を出さぬという保険会社の態度、これは私の県にも全く同じ事例があって、懲役に行った人があるという、まことに保険会社として血も涙もないというので非常に不満があるわけであります。したがって、重複するようでありますがちょっとお尋ねいたしますが、最近の保険会社資産状況あるいは収入支出の状況を見ますと、四十一年度で正味収入保険料が二千九百七十二億円、それに対して支払い保険金が一千二百八十八億円、したがって、損害率が四三・三%というのが全体のプールした率でありますが、一体保険会社というのはこの損害率がどの辺までいくとこれは経営上とてもやっていけないという判断なのか。その損害率というのは何%くらいまでは大数の法則からはじき出して払えないのだ、こういう点、一体目の子でございましょうが、どの程度まで払えないのですか。
  67. 村瀬逸三

    村瀬参考人 ただいまの武藤先生の御質問、われわれとしてもそういう事例を御承知の先生としてお尋ねになるということもよくわかりますし、またそういう場合に置かれた方々の気持ちもよくわかります。しかし、損害保険会社としては、この程度がいい、この程度が悪いということはございませんが、大体日本においてもそうでございますし、また英米においてもそうでございますが、損害率は四割五分から五割というような数字になっておる。それじゃ利益が多過ぎるじゃないかということがあるかもしれませんが、その残りの中からわれわれといたしましては代理店の手数料というもの、これは相当のものでございます。英米においてはブローカーというようなことで呼ばれておるかと思いますが、そういうようなものも支出しなければなりませんし、いろいろな面がございます。それからまた、そうやって資産をわれわれとしては積んでおきまして、御承知のように、いまの経営そのものもあるいは個人の生活も非常に違った進んだ新しい生活態様に移ってまいりますから、そこに新しいいろいろな危険が出てまいります。いまの自動車なんかもそうでございまして、自動車保険というようなものも、従来は自動車保険の危険というようなものもなかったけれども、今日は個人が表を歩いておるとそういう危険が非常に多い。したがって、われわれは新しい保険をどんどんつくり出してカバーしていかなければならないのでございます。そういうものを始めたときにわれわれは何らファンドがないわけですが、そういうものに対しても考慮しておかなければ立ちおくれてしまうというような意味でわれわれとしてはそれをやっておるのでございます。いまの自動車保険はその年の保険料の支払いは七割と記憶しております。しかし、保険会社のセツルメントができるのは、たとえば海上保険の共同海損の場合なんかで申しますと、なかなか内地だけでいかない場合がある、あるいは外国でやると十年くらいかかるものもございますから、通常五年、自動車なんかはどうしても五年くらいのものじゃないかと思います。日本においてまだボリシーイヤー、ロスレシオのあれがなかなかできておりませんけれども……。
  68. 小峯柳多

    小峯委員長 もうちょっと大きい声でお願いします。
  69. 村瀬逸三

    村瀬参考人 そういう意味がございますので、いまおそらく自動車は七割をこえていやしないかと思います。これはポリシーイヤーで区別いたしますと当然なんです。なぜかと申しますと、われわれが予測しているときよりは道路は広がらないで自動車はふえるのでありますから、これは当然でございます。これは、われわれがそれだからどうだと言っておるのでは毛頭ございません。そういう状態にいまはなっておるというわけなんでございます。  それから、先ほどの問題と同じケースが武藤先生のところにもおありになったということで、われわれとしても非常に恐縮しているわけなんです。しかし、保険会社が申し上げたいのは、保険会社がそれの裁判官といいますか、その金額を判定するというような立場に立っておるのでは毛頭ございません。ただ、保険会社が中に入りまして、両方の御示談がうまくいくように、そしてそれが有利なものであるようにということでやっておりますので、一千万円つけて七万円の損害だというお話でございますけれども、もしそういう御不満があったら、決して保険会社にうんとおっしゃらないで、ほんとうにおそれ入りますけれども、こうこうこういう事情なんだからこういうわけじゃないか、おまえはどうして七万円に根拠があると言っておるのか、その根拠を明瞭に示せというふうにやっていただきたいのです。それがわれわれとしてはほんとうにありがたいことだと思っておりますので、どうかお願いいたします。
  70. 武藤山治

    ○武藤(山)小委員 いま協会長おっしゃるように、先ほど堀さんが発言された事案はまだ解決しておりませんから、それは直接保険会社に私ども言いたいと思います。ただ、先ほどおっしゃったように、外国からの勧誘に国民はどんどん乗り移れという運動をわれわれはしたくなるほどこの問題ではしゃくにさわっているわけです。  そしてお尋ねしておきたいのですが、約款を見ると、気に食わぬ者は評価人を出せ、評価人同士が協議をしても協議がととのわないときには裁定人を選びなさい、こういう約款になっているのです。大体いままでの事例で評価人を選んだ例とかあるいは裁定人を選んだ例は全体の件数の中のどのくらいを占めておるのですか。実際にどのくらいありますか。
  71. 村瀬逸三

    村瀬参考人 私も確かなものは持っておりませんけれども、私はなかったという記憶を持っております。それでわれわれの相談所というものを開いておりまして、そういう場合なんかにどんどん相談に来ていただく方の文句がずっと出ております。そういうところに御相談に来ていただいた一方は、私の記憶ではことしで二十五、六万か三十万足らずで、新たにそこでいろいろお話ができることになっております。いまの調停委員会にかかった例はごく少ないのですけれども、それもございました。だから、クローズがあるからどうしてそんなものが要るかというような御疑問が起こるかもしれないのですけれども、われわれ契約ということになりますと、何もそこまで持っていきたくない、お話し合いへ持っていきたいという気持ちは十分持っておるのでございます。ただ、武藤先生のお話のようなことは非常に申しわけなかったと私は思っております。そうやってよく御納得いかないうちに保険会社が金を七万円やっちゃったなんということは、これははなはだたくさんの中のものでございますからひとつ御寛容願いたいと思うのですけれども、そういうことのないようにいたしたいと思います。いろいろな相手がございますので、こういうところでお話しするのはどうかと思いますが、しかし、何だかひかれ屋というようなものがあったという話もわれわれ聞いております。そういう方々がもしもあった場合に、これは世界いろいろなところにあるのでございましょうけれども、われわれが何もする方法がなくて不慮の多額の金額を払ってしまってほかの被保険者に御迷惑をかけないようにと思って、そういう場合にはわれわれが中に入ってお話ししたいという態度で進むことを常に訓練しているのでございますが、そうでないような場合にぶっかられたということについては、私どもここで深くおわび申し上げる次第でございます。
  72. 武藤山治

    ○武藤(山)小委員 それは会長さんがおわびすれば済むことではなくて、いまの約款自体の不備ですね。権利者、加入者に対する保護規程というものが皆無なんですよ。ここに全部もらってきているけれども、こまかいので第一読まれないですよ。顕微鏡で見なければ読めない。こんなもの読んで加入する者なんかいないですよ。事故があってから、はあそんな規程があったかと思って顕微鏡で見るような字ですよ。これは高度の詐欺ですよ。ことばをかえていえば、高度の詐欺行為にひとしいですよ。こういう形で一千万加入をさせておいて、査定は第一保険会社できめるのでしょう。幾ら払うべきかということは第三者の公正な機関が査定をしているのじゃないのでしょう。現実の運営はどうなんですか。
  73. 村瀬逸三

    村瀬参考人 それは保険会社がきめる。保険会社が中に入って両者のお話し合いをいろいろまとめるということなのでございます。そして、それが不当でないようにということで、先ほど申し上げましたように、そういうことに当たる人間には常に訓練をやっているわけなのでございます。そうして御不満のときには、法廷とかなんとかは別といたしまして、話し合いの一番上の機関といたしましては、先ほど申し上げましたように、調停委員会というものがございまして、そこでお話しいただくような組織になっておりますが、その調停委員会というものをお使いになったケースというものは非常に少ないということを先ほど申し上げました。  それから、いま高度の詐欺ということが言われましたけれども、それに対して私らは恐縮しているわけでございますが、われわれ毛頭そういう意思は持っておりませんし、また、私らいまそういう訓練も日常行なっております。損害があった場合にはこういうふうになりますよということも契約をするときにお話ししなければいかぬよと言っているわけなんでございまして、そういう点についてはわれわれとしても非常に努力しておりますから、どうかひとつ御了承いただきたい。
  74. 武藤山治

    ○武藤(山)小委員 ひとつ約束できますか。この約款を常識的に、大体読んでみたいと思う程度の字に改めるくらいのことは協会で今後やりますか、やりませんか。この約款ではおそらくそこに居並ぶえらい方々は老眼じゃなお見えないですよ。そのくらいは約束できますか。どうですか。
  75. 村瀬逸三

    村瀬参考人 小さくてあれだとおっしゃること、確かに小さくて見にくい点が多々あると思いますが、非常にクローズが多いものでございますから、ほんとうにとこの国でも——これで大きくいたしますと……。(武藤(山)小委員「一冊の本にしたらいいじゃないですか、パンフレットにしてそれを全部配ったらいい」と呼ぶ)そういうのはありますが、りっぱな本でも、いまずいぶん高いものでございまして、われわれの料率そのものはロスレシオで非常に簡単でございますから、料率はいつも定款をもってやっております。しかし、そういうことは別にいたしましても、われわれといたしましても、そういう点については今後肝心なところはなるべくわかるように何かひとつくふうをするように考えて善処していきたいと考えております。
  76. 武藤山治

    ○武藤(山)小委員 それから、被害者がどうしてもこの金額では保険会社に対して不満だ、七万円では不満だというと、では裁判を被害者とやれということになるのですよ。保険会社が被害者と裁判をやるかっこうになる。もしそれが親しい間柄の人を間違って事故でけがをさせた場合、人間関係がどうなるか。さっき堀さんのおっしゃった事案は、被害者も医者、加害者も医者、しかも同じ県の人で、医師会や何かでいつも一緒になる顔見知りの人なんです。その人に、だれが見ても百万円くらい当然だと思うのに、七万円だという。裁判を起こしてまで七万円では不当だということは本人はやれませんよ、そういう親しい間の知っておる人、近所の人ということになると。それを保険会社が加害者に取ってかわって被害者をやっつける。おまえ七万円でがまんしろという訴訟をやる。どうですか、人間の社会で、ちょっと酷でそこまで加害者もやれないという気持ちのときに、片方が取ってかわってやってやるというようないまの会社の態度は直さなくてもいいですか、どうでしょう。
  77. 村瀬逸三

    村瀬参考人 ただいまのおことばのとおりだとすれば、それは大いにあれしなければいかぬことだと思います。裁判だとかなんとかいうので、保険会社が中へ入ったために、当事者同士がお話し合いになって、その後遺症に対する治療費、慰謝料やそういうものを、われわれがそのケースには払いますというケースであるのにかかわらず、また御遠慮してお取りにならないで御両者のお話し合いということが行なわれる場合に、保険会社が入っておる場合に慰謝料が取れる、一方ではそういうケースもございます。たまたま武藤先生、堀先生のような保険会社をほんとうによく理解してくださっておる先生方に、そういうケースが起こったということは、はなはだ私は申しわけないと思っております。また、これはわれわれとして気をつけなければいけない、保険会社の態度が相手をおこらせるというようなケースに持っていくような態度であったならば、これは保険会社としては反省して慎むべきじゃないかと私は考えております。それはほんとうにそういうことを申し上げたいと思っております。
  78. 武藤山治

    ○武藤(山)小委員 時間がありませんから、本問題の本論は大蔵委員会の本委員会でみっちりひとつ大臣出席のもとでやりたいと考えておりますが、保険部長、先ほど読み上げた約款の十一条の七項にある「当会社の承認を得ないで損害賠償責任の全部または一部を承認しないこと。」だから、お見舞いを持っていったり、とりあえず十万円一部として持ってきておるからあとでよく話し合いましょう、この規程ではこういうことすらもできないわけですね。そんなことをやると、私のほうは免責だといって保険会社はこういう約款によって金を払わぬケースがある。今度あなたは部長になったのだから、ここで代表的な保険会社の約款に全部目を通してみて、加入者に非常に不利な条項というものはこの際検討し直すという姿勢になってもらいたいと思いますが、先ほどの堀さんの質問やぼくのいまの意見を聞いて、これは改善しなければならぬな、検討しなければならぬなという気持ちになられますか、どうですか。
  79. 新保實生

    ○新保説明員 この問題につきましては、先日御指摘をいただきましたので、私どもここでいま調査をいたしておるわけでございますが、一般的な方針といたしまして、当該保険の条件なり内容なりを正しく保険契約者に説明をする、そこに誤解がないようにするという措置が必要ではないかと思うのでございます。約款の印刷したものが契約書の裏に書いてございますけれども、それはそれとしまして、また別途口頭なりあるいは別の解説書で正しく認識してもらう、お互いの了解に誤りがないようにするという措置は必要だ。そのためにどういうことをやったらいいのかということでございますが、私どもいま自動車保険に関する解説書、パンフレット的なもの、そういうものを集めて、どういうふうになっておるかいま調査をいたしておるわけでございます。  それからもう一つ、その約款の、保険会社の了解なしにいろいろなことをやってはならないということでございますが、これはいま直ちに改めるというふうに私どもいまのところお約束はちょっとできないのでございますが、しかし、それも含めましていろいろ検討してみたい。会社のほうでいろいろな場合、ケースにぶつかっておる、あるいは協会長がおっしゃっておるような悪用されるという例もあるわけでございますが、しかし、一方においてそういう善意な人が迷惑を受けるということもあるわけでございますから、その辺もひとつよく検討してみたいと思います。
  80. 武藤山治

    ○武藤(山)小委員 そこで協会長に、資料として、もし支障がないのでしたら、従来評価人を選んだ件数、それから裁定人を選んだ件数、訴訟を起こした例、これらの事案の件数をお知らせいただきたいと思うのです。もし協会でできなかったら、大蔵省で調査の上、それらの裁判になった例も資料として提出していただきたいと思います。
  81. 村瀬逸三

    村瀬参考人 それはあれでございますか、保険会社が中へ入ったがために保険会社との間で話がまとまらないで訴訟になった、そういうケースでございますね。
  82. 武藤山治

    ○武藤(山)小委員 いま私が申したのは三つある。一つは、評価人を選んだ——保険会社と加入者との間で話がつかぬ場合は評定について評価人を出していいということになっておりますね、それを出した例がどのくらいあるか。それから、評定でだめな場合、裁定人を出していいということになっております。それでだめなものは裁判、この三つあるわけです。この三つの例を年間どのくらいの件数があったか、その報告をひとつ願いたいと思います。あとでまた質問する材料にしたいと思いますので……。
  83. 小峯柳多

    小峯委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  両参考人には、御多用のところ長時間にわたり御出席いただき、かつ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。小委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  次会は、明二十二日水曜日、午前十時三十分開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会