○堀小
委員 私
どもも、いま
お話しのように、
税制の問題について確かに
保険が普及できるような方向には過去においても
協力をしてまいったし、していきたいのですが、実は最近一つの個別の例なんでありますけれ
ども、そういう私
どもの願いに逆行する例が具体的に一つあるわけであります。これは
日本一流の
損害保険の会社で起きた問題なんでありますけれ
ども、実は私の友人の医者なんですが、この医師のむすこさんが任意賠償の自動車
保険に入った。そこのパンフレットをちょっと読みますと、こういうことが実は書かれておるわけであります。「対人賠償
保険——通行人や乗客など、他人を死傷させたとき相手に支払う賠償金のうち、強制
保険(自動車
損害賠償責任
保険)で支払われる金額をこえる部分の全額をお支払いします。」このパンフレットにはこう書かれておる。下のほうには、「対人賠償
保険は多くつけておくほど安心」こう書いてあります。「他人を死傷させた場合の賠償金額は、ますます高くなる傾向にあり、すでに一、〇〇〇万円を超える賠償金の支払いを命じた判例もでています。」それから「強制
保険だけでは安心できません。被害者への十分な補償という点からも、またあなたの財産の損失を補償し生活の安定をはかるためにも、上記回の対人賠償
保険を十分につけておくことが必要です。」こういうふうに実はこのパンフレットに書かれておる。このパンフレットを読んでその人は、むすこさんが自動車の運転をしていますから、一千万円の任意賠償
保険に加入しました。加入して何年たったのかわかりませんが、やっておるうちに、実は昨年の十月にこのむすこさんがたまたま事故を起こしました。これは別に飲酒運転でも何でもない、正常な運転をしていて実は事故が起きたわけですが、相手方は五つになるお嬢さんが頭蓋骨の陥没骨折、要するに頭蓋骨が折れて中へぼーんと入っちゃったわけですね。これは毛髪部分でなく、額の部分における頭蓋骨陥没骨折と鎖骨の複雑骨折をやって、非常に生命の危険にさらされていたけれ
ども、幸い治療が適切に行なわれて命は助かった。おかあさんはあごのほうの外傷を受けて、あごの関節に負傷をした結果、関節が開いてしまって、ちょっと動かすとあごがしょっちゅうはずれる。これは私も医者でありますが、そうなったら、これは治療の方法がないわけです。そういう後遺症が残っておる。おとうさんは軽傷で済んだ。こういう例でありますが、この自動車任意賠償
保険一千万円入っているからと安心されたことだと思います。こういうふうに書いてあるのですから。強制賠償の残り全部を払うと書いてあるのですから安心しておられた。ところが一年たって、最近、この会社から査定があって、七万円をお払いしましょう、こういう問題が起きておるわけです。私
ども、ものごとには一般的な常識というものがありますから、一千万円の賠償に入っている。被害者のほうからこの方に要求しておる賠償金は百万円なんですね。百万円の賠償金を要求しておる。それは中身は、たしか子供さんに対して六十万円ですか、あと残額、おかあさんとおとうさんにごくわずかという形で、百万円の賠償をしてもらいたいという話でした。私
どもも第三者として冷静に見ましても、要するに五つのお嬢さんが額にけがをして、外傷をして、おまけにそれが中へ引っ込んだということですから、いまはたいして異常はないようですが、将来どうなるかわからない。美容上の問題としても、ここに傷があるということですから、たいへん問題がありますし、鎖骨の骨折ですから相当な苦痛もあったわけでありますから、当然そういう問題に対して六十万円
程度の慰謝料、それから母親が死ぬかもわからないという情勢で一カ月経過したということに対して三十万円ですか幾らかの慰謝料というようなことは、そんなに私は不当なものではないと思うのです。昨日ですか、新聞を見ておりますと、やはりそういう自動車賠償の問題だったと思うのですが、おかあさんが慰謝料をもらう、おばあさんもよこせというのが一それは、お孫さんがなくなって死んでいる場合ですけれ
ども、おばあさんに対して五十万円払えという判決が出ておるのですね。私は、そこらを見て、この例でトータルで百万円の金額は決して過当な賠償要求じゃないと思います。要求される方も裕福な方のようですから、常識的な要求をされた。そして強制賠償は、この経過の中では三十万八千円支払われておるという経緯でございます。ですから、普通ですと、私
ども百万円が適当ならば三十万円と、あとの差額は払いますと書いてあれば、七十万円は支払われて至当ではないかという感触があるのですが、実はそれは七万円しか払われなかったという問題が出ておるわけです。すでに問題は一年経過しておるわけですね。
私
どもは、この問題をずっと聞きながら、さらに非常にいろいろな問題がありますのは、約款に「事故の発生」として第十一条、「
保険契約者または被
保険者は、事故が発生したことを知ったときは、下記の事項を履行しなければならない。」とこうありまして、その一項七号に「あらかじめ当会社の承認を得ないで
損害賠償責任の全部または一部を承認しないこと。ただし、被害者に対する応急手当または護送その他緊急措置については、この限りでない。」こういう約款がついております。そうして二項として「正当な理由なくして前項各号の規定に違反したときは、当会社は、」云々とありまして、「第七号の場合は当会社が
損害賠償責任がないと認めた部分を、それぞれ控除して、てん補額を決定する。」こういうふうに書かれておるわけです。
このお医者さんは、こういう条項がある、片方で一年たっても見舞い金一つ持ってこないのかという問題が実は起きておるわけですね。見舞い金を持って行ったらこれはひっかかるだろう。要するに、賠償の一部を承認しないこととなっておるわけですから。一体現在の
わが国の常識的な慣行からいって、事故を起こしてそういうひどい
状態にあるときに、見舞い金すら持っていってはならぬぞというような約款をきめておること自体、私は
日本の良俗公序に違反する約款ではないのか、こういう感じがいたしてならないわけであります。これは大蔵省にも責任がある。こんな約款を認めて今日までほったらかしにしておるのは、監督上まことに不行き届きだということを、これは日をあらためて私はきびしく大蔵省の責任は追及いたしますけれ
ども、まことに私
どもとしては遺憾な約款がここに設けられておるわけです。
私は実は数年前に、当
委員会でありましたか、予算
委員会でありましたか、ちょっとよく覚えておりませんが、自動車
保険の問題を取り上げました。実は私
どもの医師会のお医者さんが、いろいろ私
ども会合があったときに、たまたま自動車賠償
保険の話が出ました。そこでみなが異口同音に言っておりますのは、AIUの
保険に入っておれば君たち安心だよ。最近御承知のようにオーナードライバーが非常にふえてまいりましたけれ
ども、匿名というのは業務上の必要からずっと前からオーナードライバーが非常に多いわけでございますから、そういう意味で自動車任意賠償
保険に入るのにはAIUのほうが非常にいい。それはなぜかというと、事故が起きたらすぐ払ってくれるし、その点ではほとんどトラブルがない、希望どおりの額が払われるし、時間的にも内容的にも非常にすぐれておる、こういうような話でありました。私はこれは重大な問題だと思ったわけです。さっきちょっと外資の問題とあわせて触れておりますのは、私
どもが外資の会社と
競争していくのに、こちらのほうがサービス等の内容が悪かったら
競争できるはずはないと思うのです。ですから、そのときに私は、このAIUの問題に触れて、これは対大蔵省の問題でありますけれ
ども、AIUがやっておる
程度のことは
日本の自動車賠償
保険でやれないはずはないじゃないか、すみやかにひとつ
日本の自動車賠償
保険を改善しなさい、こういう注文をつけました。その後いろいろ改善をされまして今日に至っておりますので、私は、こういう問題はないのだというふうに実は理解しておりましたら、たまたま最近私の友人が相談に来て、これは個別問題のようだけれ
ども、堀さん、これは自動車の賠償
保険に入る者の一般論、全体の問題として重要な問題だから、一ぺん検討してくれと言って持ってまいったわけです。同町に、私はこれから当
委員会で、あるいは大蔵
委員会等でもやりますが、最近、御承知のように、自動車の事故に伴う禁錮刑というものが相当に、実は実刑を科せられておる例が非常にふえてまいっております。実刑を科せられておる問題の中には、この自動車賠償
保険によって示談がなかなかできない。片方では裁判は進行してくる。示談すらする誠意がないような者は体刑だということで、いまどんどん禁錮刑に送られておる例があるわけです。これは私は、法務省を呼び、今後統計的に具体的にひとつ明らかにして、一体そういう事故の中で自動車の任意賠償
保険に入っていたために起きた、それはそれだけではないかもしれませんが、しかし、要は示談になっていなければ——体刑というのは最近の顕著な傾向ですから、それは加害者側に誠意がないということですね。加害者側が誠意を持っていても、こういう
保険制度でくくられていて、会社側の承知しない限りは示談にならないということならば、私は、自動車の賠償
保険のために有罪になる者ができるなどということは、これはたいへんな問題に今後なる、こう思います。特にその場合に私
ども考えておらなければならぬと思いますのは、この
制度の仕組みが、
損害保険というのは事故が起きたら幾ら払いますという
制度になっていないわけですね。要するに、事故が起きたら
保険会社がその事故の
程度を査定をして、その査定に対してだけ払うという仕組みは、
契約者と
保険会社の立場からすると、
保険会社優位です。要するに、
保険会社がきめた査定額をくつがえそうとすればどうしなきゃならないかといえば、裁判によらなきゃならない。こういう
制度は、
日本の
損害保険を普及させていくためには、今後大きな障害になると私は思うのです。要するに、常に
保険会社優位ですから、
保険会社がきめた査定額ではもうどうにもならぬ、幾ら一億かけていても、七万円しか払わぬという査定をされたらどうにもならないんだという
制度上の仕組みは、根本的に一ぺん立ち直って再検討を要する
制度ではないか、
損害保険という全体の仕組みについて再検討する必要があるという感じが実はいたしておるわけであります。これは、今後こういう問題を含めて、
生命保険の問題、
損害保険の問題を当
委員会としてはきっちり詰めて、十分論議をして、
国民のための
保険になるようにしていきたいと
考えております。私は、何も
損害保険会社を目のかたきにしているわけではありません。要するに、私がさっき
生命保険の問題でも解約失効率を減らしなさいと言ったことは、やはり
生命保険会社のためだと思っておるわけです。これは被
保険者のためでもあるし、
生命保険会社のためでもありますから、一生懸命やる。と同時に、私がいま問題を提起しているように、外資と
競争しなきゃならぬ
日本の
損害保険会社にこういう事例があちらこちらに出ることになれば、とても
日本の自動車
損害保険には入っておれないぞ、やっぱり外国のほうが安心だということになったらたいへんなんです。どうしても
日本の
損害保険で
日本国民が満足をするところの任意賠償
保険というものが確立をされなければならないと私は思っています。
そこで、この問題については、私は、やはり
契約をする側の権利をもっと公正に評価をするような法律なり約款なりがつくられ、それに基づいて、もし一千万円かけておって、だれが見ても百万円相当が妥当である、一年たっておるわけですから、当然そんなことは行なわれなきゃならぬ問題が、今日まだ七万円だなんという話が起きて、これをくつがえすためには裁判によらなきゃならぬというようなことになったら、これは一体、加入者の権利というか力はどこをどういうふうに認めておるのか、これは重大な問題だと
考えております。
私は、実は、この間ちょっとそういう
関係者の皆さんと
お話をしたのですが、最近
生命保険会社で海外旅行の傷害
保険を
生命保険とあわせてやっていらっしゃると思いますが、さようでございますね。
矢田参考人からちょっとひとつ承りたい。