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1967-11-11 第56回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月十一日(土曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 多賀谷真稔君    理事 神田  博君 理事 三原 朝雄君    理事 岡田 利春君 理事 八木  昇君       伊藤宗一郎君    池田正之輔君       鹿野 彦吉君    倉成  正君       佐々木秀世君    野田 武夫君       井手 以誠君    細谷 治嘉君       池田 禎治君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君         労 働 大 臣 早川  崇君  委員外出席者         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         通商産業省石炭         局長      中川理一郎君         通商産業省石炭         局炭政課長   村松  寿君         通商産業省石炭         局計画課長   佐藤淳一郎君         通商産業省鉱山         保安局長    西家 正起君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省安全衛生         局長      大野雄二郎君         労働省職業安定         局失業対策部長 上原誠之輔君         建設省道路局高         速国道課長   栗田 武英君     ————————————— 十月二十五日  委員廣瀬正雄辞任につき、その補欠として池  田正之輔君議長指名委員に選任された。 十一月十一日  委員齋藤邦吉辞任につき、その補欠として伊  藤宗一郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(石炭対策基本施策等)      ————◇—————
  2. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  石炭鉱山の保安問題について西家鉱山保安局長から発言を求められておりますので、これを許します。西家鉱山保安局長
  3. 西家正起

    西家説明員 お許しを得まして、先般三池炭鉱におきます事故のあとにおきまして、石炭鉱山保安確保に関する件につきまして決議をいただいたわけでございますが、その決議に対しまして、その後通産省所管問題につきまして、通産省としてとっております措置につきまして、若干中間的な報告になるかと思いますが、御報告をさしていただきたいと思います。  第一の三池災害事故原因徹底的究明責任所在明確化ということでございますが、現在三池災害につきましては、原因究明段階に入っておりまして、関係者からの聞き取りは一応完了して、目下整理中の段階でございますが、最終結論は、現在密閉をいたしております個所の取りあげを行なった後に現場調査を行ないまして、その上で出すことにいたしたい。その上で責任所在につきまして明確にいたしたい、かように考えておる次第でございます。  第二の保安監督体制をさらに強化するということと、三池天草炭田鉱山保安監督署を設置することの件につきましては、最初の保安監督体制につきましては、従来とも鉱山自然条件が逐年悪化をいたしておりますことにかんがみまして、十分意を注いできたのでございますが、今後特に監督検査の場合に、全般的な鉱山保安計画を基礎とした総合検査実施に重点を置き、さらに、監督検査の際に保安教育実施状況を厳格にチェックする、さらに鉱山危険度によりましては格づけを確保いたしまして、検査の頻度あるいは日数の増加をいたしたい、さらに監督官につきましても増員をはかりたいということで、来年度予算要求をいたしておる次第でございます。  監督署の設置につきましては、四十三年度予算改定予算といたしまして目下要求をいたしておる階段でございます。  第三に、保安機器開発促進さらに自己救命器携行の義務づけ、さらにその助成の点でございますが、保安機器開発につきましては、本年度より新しく予算をとりまして、現在二つ機種につきましてその開発促進をはかりまして、保安機器開発現場適用試験も含めた経費に対する助成をことしから行なっておるわけでございますが、来年度はさらにこれを増額をいたしまして、新しく五機種につきまして開発を一そう促進さしたい、かように考えておる次第でございます。  自己救命器携行の義務づけの問題でございますが、これにつきましては、鉱山保安法に基づきます鉱山保安規則の改正が必要でございまして、その後数回にわたりまして中央鉱山保安協議会を開いておりまして、ここで検討中でございますが、おそくとも年内には最終結論を出したい、かように考えておる次第でございます。  またその助成でございますが、マスク炭鉱が買います場合の助成につきましては、本年度補正予算補助金につきまして要求をしているような次第でございます。  四番目の、保安関係法規の再検討を早急に行ない、その規制の強化をはかるということでございますが、この問題につきましては、中央鉱山保安協議会で、先ほどのマスク携行義務と並行いたしまして、目下検討中でございます。マスクの携帯の義務づけをはじめとし、自然発火のおそれのある個所の係員の巡視の問題、あるいは退避の問題、その他必ずしも今度の災害に関係いたしませず、全般的な保安対策、これらの問題につきまして現在検討中の段階でございます。  以上、はなはだ簡単でございますが、その後の経過を御報告させていただきました。これらにつきまして、誠心誠意その実現をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。     —————————————
  4. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 なお、先般の三池炭鉱災害に関連して、労働者安全衛生局長名通商産業省鉱山保安局長あて勧告が出されておりますので、その説明を求めます。大野安全衛生局長
  5. 大野雄二郎

    大野説明員 十一月八日、私のほうから鉱山保安局長のほうに対しまして勧告をいたしました。  三項から成り立っておりまして、第一項は、   保安統括者以下幹部保安技術職員をできるだけ頻繁に入坑巡視させることによつて、坑内の状況を身をもつてより的確に把握させ、もつて保安対策に遺憾のないよう措置されたいこと。   非常事態発生時の連絡、退避救護活動等については、これを迅速、的確に行なえるようそれぞれの組織の確立、的確な責任遂行確保、施設の改善、日常における実践的、総合的な訓練等措置を早急に徹底せしめること。   以上のため、要すれば石炭鉱山保安規則等を改正されたいこと。   第二項は、この前の決議の第三項に関連いたしますが、   自己救命器個人携行とするよう石炭鉱山保安規則を改正されたいこと。第三項は、この前の決議の第五項に関係いたしますが、   高圧酸素治療が、救急治療として有効であるので、各地域ごと高圧酸素タンクを設け、これを適時活用しうる体制をすみやかに整備せしめること。  以上でございます。  ただいま保安局長のほうから御説明いたしましたように、三池災害について原因究明の現段階に即しまして、とりあえずかような勧告を行なった次第でございます。
  6. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 ただいまのそれぞれの発言について質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 労働大臣にお伺いしたいのでありますが、去る五十五特別国会一酸化炭素中旬に関する立法がなされたわけでございますが、その重要な部分というのは省令にゆだねられております。その省令はもう完全にまとまったかどうか、お尋ねしたいと思います。
  8. 早川崇

    早川国務大臣 もうすでに省令を制定し、施行規則も細川もつくりまして実行段階に入っております。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 実行段階に入っているということでありますが、そこで問題は、ガス患者についての医師の診察の結論というものが一昨年の十月ですか出されて、これがたいへんな紛争になってまいったことは大臣承知のとおりでありますが、この問題はその後どういうふうに進んでおるのか、お尋ねしたいと思います。
  10. 早川崇

    早川国務大臣 御承知のように、医師の診断が下されまして、なおったということで就業されておる方も多数ございます。なお、医者の側がなおったといっても、まだからだのぐあいが悪い、なおらないというような立場の方もおられまして、その後総評、炭労との話し合いによりまして再診の請求をお願いいたしておるわけでございます。その後中断をしておりましたが、近くいわゆる労働者側総評側医師の再診に応ずるということで、目下話がいろいろ進んでおると聞いておりますが、なお、詳細については担当局長から必要があれば答えさせたいと思います。
  11. 村上茂利

    村上説明員 大臣がただいま申されましたように、特に最近に至りまして医学的な診査促進しようという機運が関係者の間に高まってまいりました。きわめて近い機会におきまして医師の医学的な診査を進行するということになっておりまして、しかもそれをできるだけ円滑かつ迅速に進めるようにということでございますので、この際関係者の協力を得まして、誠意を尽くしてこの診査の手続を進行してまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  12. 細谷治嘉

    細谷委員 いわゆる第一診の結果というのは、大まかにいって三つの段階に分かれておるわけですね。長期療養人たち経過観察するグループ、それから、なおったのだ、いわゆる病状固定したのだということで治癒認定を受けた人たち、こういう三段階結論が出されたわけですが、これが問題になったわけです。そして第二診もやろう、医学的にひとつ第二診で結論を出そう、そこで出ないものについては第三診、日本最高権威結論を待とう、現在は第一診が終わった段階で、第二診については順調に進みつつある、そう遠くない将来にこの問題に取り組む、こういうお話であるわけです。せんだっても私申し上げたのでございますけれども、たとえば観察を必要とするという患者に私も面接お会いいたしました。そうしますと、私どもが見たところでも全く正常な人間ではない。なるほど姿も見ますと正常なようでありますけれども、会って話をしますと全くもう正常ではない、こういうことであります。せんだってこの特別委員方々現地に行きましてCO患者を見ましたのですが、三十八年十一月九日のよりも被災者の数としてははるかに軽い事故といってもいいわけです。ところが記憶を喪失しておる、本人は一向わからぬ。こういうのを委員方々もごらんになって、その深刻さを感じとったわけですけれども、私は医者じゃありませんから、二診の結果がどうなるかということについては、私どもがとやかく言う筋のものじゃなくて、純然たる医学的な観点から結論を出していただかなければならぬ、こういうことを考えております。これはせんだって大臣も純医学的に結論を出すのだ、こういうことでありましたから、ぜひひとつ客観的、科学的な、何人納得できるようなことを目途として第二診に労働省も取り組んでいただきたい、こう思っております。  ところで、詳しくはここでは御質問いたしませんけれども、いろいろと第二診の結論がもう出ておるかのごとく新聞等に載っておるのであります。現地のほうでは、ずいぶんこれを不安がっております。この辺は、あらかじめ第二診の結論なり、あるいは結論じゃなくても大体結論を持って第二診が運用されるということになると、たいへん問題があると思うのでありますが、この辺いかがなんでしょうか。
  13. 村上茂利

    村上説明員 御質問の中にありました点、二つに分けてお答えしたいと思います。  第一の長期傷病補償に移行した者、経過観察中の者、いずれもこれは正規の療養補償を受けておるわけであります。そこで、いま診査云々と申しましたのは、症状が固定しましていわゆる治癒認定をしたという者について争いがありまして、第一診の段階を終わり第二診に進んできたわけでございます。そこで、この第二診の段階におきましても、申請者側と申しますか組合側推薦のお医者さんと、それから当局側のお医者さんと同数のお医者さんが話し合いをしまして結論を出そう、結論が出ない、意見不一致の者はさらに第三診に上げよう。この第三診の審理に当たる先生方も、関係者納得の上でお願いした先生にお願いする、こういうことでいたしておるわけであります。したがって、診査を行ないます医師につきましては、それぞれの立場の方が第二診では話をする、第三診では関係者みんなが一致してお願いした先生診査をお願いする、かようなことにいたしておりますので、まず診査の公正という点から申しましては、一応関係者納得を得た形で医師を選定している、かように申し上げてよいかと存じます。  それから次に、その医学的診査の進行にあたりまして、あらかじめ結論を持って臨んでどうこうという点につきましては、私どもはフランクに考えておりまして、大臣がこの前に御答弁申し上げましたように、現在医学的な基準に立ちまして医師が適正に判断してくださればよろしいという考え方に立っております。そういう観点から、実はこの第二診を再開するにあたりましても、お医者さんが話し合います場所の選定その他につきまして、一切誤解を受けないようによく医師お話を聞きまして、その点、万々いま先生の御指摘のようなうわさとか誤解を生じないように配慮をいたしまして第二診を進めたい、かように存じております。あくまでも医師判断に従う、こういう精神を貫きたい、かように存じております。
  14. 細谷治嘉

    細谷委員 うわさというよりも、私どもが知り得るのは新聞等記事、何新聞ということは申し上げませんけれども幾つかの新聞には、第二診が始まると、たとえば長期療養者というのは三池ばかりではありません。全国で七十名程度になるのじゃないかとか、そういうような具体的な数字まで書かれてあるわけです。さらに言いますと、経過観察中の人も治癒認定のほうに落とされるのではないか、それも大体何名くらい想定されるのだ、こういうような記事が出ておるわけですね。そうなってまいりますと、しろうと考えでは、それより下にランクされておると考えられます治癒認定者というのは、経過観察者も落とされるということでありますから、治癒認定を受けた四百七十三名ですか、これは必然的にもうなおったということを再確認するということになるのではないか、こういうようなことが新聞記事から常識的に想像されるわけです。裏を返しますと、一応の結論を持って二診が進められるのではないか、こういう心配が当然起こってまいるわけです。いま村上局長お話ですと、そういう新聞記事に書いてある具体的な数字なんというものは根も葉もないものなんだ、あらかじめ結論を持って第二診に臨むのではないのだ、客観的に医学的に何人もこれを信用できるような結論を出すのだ、こういう心がまえでやられる、こういうことを聞いて私も安心いたしたわけでありますが、ぜひひとつそういう考えで第二診をやっていただきたい、こう思うのでありますが、非常に重要な段階、しかも最終結論が出される重要な入り口に入ったわけでありますから、大臣の所信のほどもこの際承っておきたいと思います。
  15. 早川崇

    早川国務大臣 私といたしましても一切の専門外の見解を排しまして、それぞれ日本でも最高権威精神医学立場方々ばかりでございます。純粋に医学的にしかも公正に診査をしていくように願っておるわけでございます。これについては会社労働組合ももちろん信頼して、その結論に従ってもらうということを私は期待いたしております。
  16. 細谷治嘉

    細谷委員 そういうことで結論が出されるわけでありますから、私どももそれを見守る以外にはないわけでありますけれども、そこで仮定の問題として一つお伺いしておきたい点は、長期療養、それから経過観察、それから治癒認定、その治癒認定というのも、なおっても常人になったのだということではなくて、病状が固定した、こういうことなんですね。したがって、かりに第二診なり第三診で結論が出て、あなたは治癒認定したのだ、こういう結論、その治癒認定された中からあなたはまだもう少し療養しなければならぬ、こういう方も出てくるであろうし、経過観察しなければならぬという方も出てくるだろうと思うのです。そこでお伺いしたい点は、現在治癒認定されておる四百七十三名かの人も、そのうちの何人かがあなたはなおったのだ、もう職場に帰りなさい、こういいましても、これは普通の、もとの姿になっておらぬわけでありますから、何らかの処置が必要であろうと思うのです。さらには、経過観察中の人についても何らかの措置、たとえばリハビリテーション、これはいずれも行なわれるわけであります。そういう問題が必要でありましょうし、あるいは、経過観察する人というのがいまの数字よりもずっと変わってくるんではないか、そういうような個々の問題について、十分な、特段の配慮が必要であろうと思うのでありますけれども、この点いかがなんでしょうか。
  17. 村上茂利

    村上説明員 診査請求をしてきておりますのは三管五十六名です。先生がおっしゃいました、現に経過観察中の者というのは五十七名おりまして、これは診査請求してきていないのです。現に療養補償しているんですから、その人たちの問題は別なんでございます。そこで、診査請求をしてきておりますのが三百五十六名、この人たち治癒認定を受けて、補償費支給決定の通知を受けたけれども、自分はなおっていないという立場診査請求をしてきておるわけであります。この人たち診査請求に対しまして判断を下すためにその、専門医の鑑定を願っておるわけであります。その鑑定がどう出るかということは、いま二診をやっておりまして、意見不一致なものはもう一つ上の三診をやろう、こういうふうにいたしておるわけであります。そこで、その診査結論はどう出るかということは、医師判断にゆだねておりますので、私どももなかなか判断しがたいのであります。しかし、その診査結論が出ますれば、それを尊重いたしまして、行政的な措置をいたさなければならない、こういうことに相なります。その結果出た結論、たとえば、治癒していないということでありますれば、療養補償を継続するということになりましょう。それから、治癒したということでありまして、しかもなお傷害が残っておるということになれば、傷害補償費請求ということになりましょう。それからまた、リハビリテーションの問題にいたしましても、治癒した方が職場に戻りまして労働するというような場合に、直ちに労働するのか、訓練をするのか、といったような問題があろうと存じます。そこで、診査結論が出まして、決定が出ました場合に、幾つかの型があるのじゃないか、その場合についてどういうような措置を講ずるのかということになりますと、簡単に申しますれば、労災補償で処理するものと、それから、会社側で今後具体的にどう職場における取り扱いを考えるかといった団体交渉の問題と二つあろうと存じますけれども、いずれにいたしましても、私ども医学的判断を尊重いたしまして、その結論に従いまして、それぞれ適切な処置を講じたい、かように存じております。
  18. 細谷治嘉

    細谷委員 いま村上局長お話で、あなたの数字は三百幾らになりますね。それは何ですか、診査請求申請をした人だけが対象ということでしょうか。そうしますと、三池労組は二百七十幾つか、それから新労が九十幾つかですか。それだけが対象ですか。第一診の場合には、そのほかに申請はしていないけれども治癒認定された人数と合わないでしょう。その内数になるでしょう。
  19. 村上茂利

    村上説明員 さようでございます。支給決定人数診査請求人数は合っておりません。と申しますのは、その決定に従いまして、審査請求していない労働者がかなりあるわけでございます。なおったということで、診査請求していないのであります。そこはいま先生指摘がございましたように、旧労が二戸六十四名、新労が九十一名、職組一名というので、三百五十六名の方が診査請求してきておるということでございます。
  20. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、三百五十六名が第二診、三診を経て、あなたは長期療養を必要とする、それからあなたは経過観察するランクなんだ、あなたはもうやはりなおりました、こういう段階に仕分けされるわけですね。そういうことでしょう。そういう場合に長期療養に仕分けされた人はともかくとして、あるいは経過観察に仕分けされた人は、長期療養の扱いを受けるからいいわけですけれども、かりにあなたは治癒認定です、申請をしたけれどもあなたはなおっております。こう言いましても、一酸化炭素中流というものは、脳細胞が死滅しちゃって、もう復活しないのですから、これはどうしてももとどおりにならない。ですから労災のほうでどういう形で格づけされるか、こういう問題もありますけれども、現実には職場の配転問題とか、あるいは法律にありました収入の補償の問題とか、いろいろな問題が出てくるわけですけれども、忘れることのできないことは、やはりそういう人たちが社会復帰できる訓練リハビリテーションというものをやらなければならぬ。ところが労働省リハビリテーションというのはきわめて貧弱なんですね。こういうことはやはり必要になってくるのではないかと私は思うのです。この辺はどういうふうにお考えですか。たとえば、あなたは治癒認定だ、あしたから職場に帰れと言ったってだめですから、一般に異議申請した人たちは、全員についてある程度の観察をしながら、その人の状況に応じて病状というか、残っておるわけですから、そういうものに対する対策というものが具体的に講じられなければならぬのじゃないか。たとえば職場の異動というものを、その人の体力なり精神状態に適応するような形にしなければいかぬだろう。あしたからすぐというかっこうにはならないと思うのです。やはり何らかの全体的な経過措置、そういうものに関連するリハビリテーションというものが強化されなければならぬと思うのでありますが、この辺はどうなんですか。
  21. 村上茂利

    村上説明員 診査の結果結論が出る、その方々についての措置でございますが、もちろんリハビリテーションの必要のある場合もあろうと思います。ただ制度的に私どもが予定いたしておりますのは、先般のCO特別措置法によりまして、健康管理アフターケアの問題がございます。行政的にはアフターケアという観点から事柄を処理していく、こういうことになります。しかし治癒認定を受けた方が職場に戻りまして、どういう職場で働くかということにつきましては、会社における労務配置の問題に関連いたしますわけですから、行政当局がそれをどうこうするということは、行政の筋道から申しまして、どうこう言えないわけです。第一義的には団体交渉によりまして、そういった問題は処理していただくということを私どもは期待しておるわけであります。そして治癒認定に服したとしましても、すぐ職場に帰れるかどうかという点については、従来もすでに職場に復帰しております者が相当数おるわけであります。診査請求をしてこない方が三百八十二名もおるという事実がございますが、そういう方に対しましては、職場復帰訓練を行ないまして、それから職場配置をした、すでにこういう実績があるわけであります。こういった実績を踏まえまして、団体交渉を行なうかと私どもは存じております。団体交渉も近い機会に再開されるというふうに承知いたしておりますが、そういった場におきまして、今日まで三百八十二名のすでに職場に復帰した方々にとられた措置などをも考慮しまして、団体交渉でいろいろ話し合いがされるものと私ども期待いたしておる次第でございます。
  22. 細谷治嘉

    細谷委員 そう言えば何もないのだけれども、私はその深刻さからいって、やはりリハビリテーションというものについての強化というのは、現状からいってある程度考えてやらなければいかぬことじゃないか、こう思っておる。たとえば、あなたは大体病状固定したのです、三百八十二名のうち——という人が何人か出てきたとしますね。この人は、もう私はずばり言うと、一生真人間、普通の精神状態の人には返らない、あるいは肉体的にもそうなんですね。そういう状態でありますから、ただ職場に復帰したという、それは団体交渉まかせだ、それは基本的にはそうでしょう。けれども、ある程度の労働省としての指導というものをしてやらなければならぬのじゃないか、こう思うのです。たとえばなおったんだという人も、これはどういう職場が適当するのか、大体現在どういう体力、精神状態になっているのかというのは、やはり十分観察した上で結論を出すように、労使に対して指導してやるということが必要ではないか、こう私は思っておるのです。おわかりになりますか。
  23. 村上茂利

    村上説明員 現在においても、私どもいろいろ希望も聞いております。ただ率直に申し上げまして、いろいろの思惑を描いておるものですから、いまこの席で私がどのような答弁を申し上げましても、それぞれの立場でいろいろ考えるわけでございます。しかもいま先生リハビリテーションの問題につきまして、治癒認定を受けた者についての問題をどうするかという問題もありましょうし、いま長期傷病補償を現に受けている者についてこうしてほしいとかいろいろこんがらかりまして、いろいろお話関係者から来ておるわけです。これをどうするかという問題は、私ども真剣に考えたいと思いますけれども、手順といたしましては非常に長い間かかりました医学的診査の問題がいま促進されようとする段階でございますので、恐縮でございますが、いまの段階ではそういったいろいろな問題を考慮いたしまして、各段階に応じまして適切な措置を講じたい。そのリハビリテーションをどうするか、それをやらないということじゃないのでありますが、具体的にどう処理するかということは、医学的診査の進行段階、その結果等も見ましてできるだけ適切に措置いたしたい。ただいろいろな思惑があるものですから、この席で固定的にお答え申し上げるのはいかがかと存じまして、具体的な場合に適切な措置を講ずるということだけをお答え申し上げさしていただきたいと思います。
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 それは進行過程ですから、いろいろな要素が加わってきておるわけですね。加わってきているから私もあまり突っ込んだところの質問は、労働省を信用してちょっと遠慮しているわけです。そこで少し話が抽象的な質問のようになっているんだけれども、私はもう思惑抜きで現地の問題に——その切実さを知っているだけに、客観的にものを見てみますと、その辺のことがどうしてもやはり考慮されなければいかぬのじゃないか。治癒認定だ、治癒認定というのは即あなたはなおったんだ、精神的にも肉体的にも異状はないのだ、こういうまあ一般的な受け取り方になりますものですから、それではずいぶん一酸化炭素中毒者の今日の実態とかけ離れたものになるのじゃないか。どうしてもやはり労働省も努力しておりますけれども非常に弱体である、その辺の問題、いわゆる社会復帰の問題についての具体的な対策というのが講じられなければならぬのじゃないか。こう私は思うものですから、この際申し上げておるわけです。
  25. 村上茂利

    村上説明員 お話しの趣旨は私どももわかるわけでございます。そこでリハビリテーションの問題にいたしましても、療養一般としてのリハビリテーションと、療養段階を終わりまして、いわゆるボケーショナルリハビリテーションと申しますか、そういう段階におけるリハビリテーションと、いまひとつ職場に復帰してよろしいというので会社で作業につける前の職場訓練、三種類あるわけでございます。そこで御指摘リハビリテーションがどのような状態のものをさすかという点についていろいろ分析検討しなければいけない問題もあるわけです。それと、頭が痛いあるいはぐあいが悪いというときに、アフターケアの問題をどうするかという問題がありますものですから、そういう仕組みというものは、私ども承知いたしております。そこでそういった問題についてどうするかという点については、適切に措置したいということを申し上げておるわけであります。  そしてそのリハビリテーションと申しますけれども、医学的な段階における療養過程におけるリハビリテーション強化をさしておるのか、ボケーショナルリハビリテーションをさしておるのか、職場回復訓練をさしておるのかという点について若干認識が食い違っておる面もあるやに思うわけであります。そこで現状が必ずしも十分だとは私ども存じておりませんが、そういったそれぞれの段階において必要があれば強化してまいりたいという気持ちには変わりはありません。しかし、それには具体的には何人の人があらわれるか、そういう方々何人くらい来るかというような点を考えませんと、施設強化とかそういうものは行ないがたい点もあるわけであります。そういった点、今後の重要問題といたしまして十分に検討いたしたいと思います。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 私が言うのは、三段階であるけれども段階というのは考え方によっては幾つかあるわけです。私が言うのは、第二診の結果、もしもたとえばあなたは治癒認定だ、こういう決断が出された人、この人は大体三段階のうちの一番軽い段階の人でありますから、いってみますと職場に復帰訓練する段階、それから病気だという段階、その病気だという段階から職場復帰する職場復帰の訓練、その間の段階くらいにやはり今日の問題点があるのじゃないか、こう私は見ているわけですよ。わからぬですか。わかるでしょう。その辺を、これは団体交渉まかせだというわけにはいかぬぞということを私は申し上げているわけです。
  27. 村上茂利

    村上説明員 でありますからそれが具体的に何人そのような状態になるのか、会社でどういう措置をとるのかといった問題とからみ合わせの問題があるわけです。いまほんとうの仮定として、何人そういう状態になるのかはっきりせぬ段階でいまどうこうするということを申し上げるのは、必ずしも当を得ない。むしろその結論が先に出ますと、そっちのほうにその人数がはまり込んでくる——というようなことはないだろうと思いますけれども、いずれにいたしましてもいろいろ私ども慎重にかつ適正に処理をしたい、かように存じておりますので、御了承いただきたい。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 最後に大臣、問題になった第一診というのは、一酸化炭素で新しい医学的な病名ができたというくらいで、やはり問題になったというところには医学的にも問題があるし、あるいは労働上の問題としても問題があるし、行政上の問題としても国会でも問題になってああいう立法がなされたわけですから、この結論につきましては客観的に医学的に出していただくと同時に、これはやはり大臣のこの点についての格段の配慮というものが私は必要ではないか、こう思っております。そういう点でいろいろの過去のいきさつがありますけれども、ようやく第二審、三審へのレールが敷かれたようでありますから、この機をとらえて、労働省として、りっぱというわけにはいきませんけれども、問題解決のための高度の結論をひとつ出していただきたい、こう私は思っております。これを要望いたしまして、終わります。
  29. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 次に、石炭対策の基本施策に関する諸問題について質疑の通告がありますのでこれを許します。岡田利春君。
  30. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先ほど、去る十月十一日の石炭鉱保安確保に関する決議について鉱山保安局長から見解の表明があったわけですが、いずれも折衝中でいわゆる態度が不鮮明なわけです。この決議の実現のために通産大臣の決意のほどをこの機会にお聞かせ願いたいと思います。
  31. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 決議の趣旨に従って、それぞれ準備しあるいは実施しておることは、ただいま保安局長から申し上げたとおりであります。したがいまして、決議を尊重してやっておる次第であります。
  32. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 労働大臣、時間がないですから、実は十一月の八日に、先ほどこれも見解の表明がありました労働省安全衛生局長名で鉱山保安局長に対して勧告がなされたわけです。今度の災害はあまり大きい災害でないから局長名の勧告にしたのか。いずれにしても、最近の炭鉱保安の現状から見ますと、最近もガス爆発が三井芦別で発生しています。全般的に労働者は減っておるけれども、重要災害の件数というものはその割合いに減っていない。やはりゆゆしき現状にあることは間違いがないわけです。したがって、安全衛生局長名で勧告をいたしておりますけれども労働大臣としてこの際しかるべき法に基づく勧告をする決意があるかどうか、見解を承っておきたいと思います。
  33. 早川崇

    早川国務大臣 大臣名と局長名というものは、むろん形式上は差異はございますが、この前の三池災害勧告は、非常に技術的な面の勧告をいたしたわけであります。今回は、ずばり保安関係の責任者が現場にあまり行っておらぬ、それではほんとうの保安ができないという大きい基本的な勧告をいたしたところに一つの新しい面がございます。そういう意味で、局長名ですけれども、内容はむしろ非常に重要な勧告をいたしたと私は思っております。したがって、形式は問いません。
  34. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今回の勧告は、従来の勧告に比べて非常に具体的に指摘をして勧告をいたしておるわけです。従来の勧告もありますけれども、今回の勧告はより具体的な勧告である、このように私は理解をしておるわけです。この勧告に対する鉱山保安局長の見解をひとつ承りたいと思います。
  35. 西家正起

    西家説明員 第一の点でございますが、保安統括者以下幹部の保安技術職員がひんぱんに入坑することが坑内の保安状況を的確に把握する上で有効であります、また必要でありますことは御指摘のとおりであると考えております。局といたしましても、今回の災害にかんがみまして、全炭鉱に対しまして、幹部を含めて坑内の総点検をすでに指示したところでございます。なお保安統括者、保安技術管理者及び保安監督員がみずから坑内に進んで入り、かつ身をもって坑内の状況を知るということを実行させるために、今後とも会議あるいは来年度予算、ことしからつくっております保安センターにおきます保安統括者の教育、そういう点に力を入れまして十分そういうことが行なわれるようにやってまいりたいと考えておる次第でございます。  その他の退避、それから発生の連絡、救護活動、さらにはガスマスク等の保安規則の改正につきましては、先ほど簡単に御説明申し上げたのでございますが、中央鉱山保安協議会を引き続き開いておりまして、その中の石炭小委員会で現実に検討いたしておりまして、とりあえずはマスク携行義務につきましては早く結論を出したい。その他につきましてはできるだけ早く全国的に十分検討いたしまして、必要があれば法改正をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  最後の高圧酸素タンクの問題でありますが、これにつきましては保安法上適切かどうかということにつきましては、若干検討の余地があるかと思いますが、こういうものが設けられました暁には、十分に、迅速にかつ的確に活用できますような行政指導、啓蒙等を行なってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  36. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 保安法が制定されて以来、常に問題になるのは保安管理機構、いわゆる法できめている保安管理機構と現実の山の管理機構とは矛盾といいますか非常に問題点があるわけです。たとえば保安管理者と対置をする保安監督員、これが企業の管理上の身分の関係、ずいぶんいままでも改善の勧告はしてまいりましたけれども、概してそういう監督員と保安管理者を対置すると保安管理者の地位を下げなければならない。そこで一段下げたところで保安理管者と保安監督員の企業上の管理機構上の身分、そういう権限といいますか、職制上の問題といいますか、こういったものが相対峙せざるを得ない、こういう傾向すらもあるわけですね。したがってこの問題は、保安法できめている保安管理機構とその炭鉱のいわゆる管理機構ですね。職制との問題、こういう問題をやはりある程度掘り下げて検討して具体的な指摘をしないと、問題は解決をしないわけです。たとえば鉱業所長が保安管理者とすれば、常時入坑はできないわけですね。そういう管理機構上できないわけですから……。そうすると常時入坑できるためには、保安管理者を技師長とかそれ以下に下げてくると、こう直下に下げてくると、責任上また権限上から言って問題点もあるわけです。ですから、書いてあることは読むと非常にもっとものように思うのですが、そこにはそういう大きな問題が隠されておるわけですね。これを掘り下げないでやれと言ってもできないんじゃないですか。そこまで具体的に検討する用意がありますか。
  37. 西家正起

    西家説明員 私は保安管理のほうの責任者はやはり鉱業所長と申しますか、そのトップクラスにあります鉱業所長がやはり現在の保安法の体系上におきます保安統括者というかっこうになるのが最も妥当であると考えておりますが、保安統括者が事務の場合にはその下に保安管理者という技術の管理者が入るわけでございます。確かに先生指摘のとおり、保安監督員との間の社内的な地位のアンバランスというものはございます。ございますが、やはり保安を実際に確保するのは統括者の管理者、技術管理者の系統でございまして、こちらでがっちり保安を確保していただきまして、保安監督員はそれをサイドチェックする、こういうかっこうじゃないかと思います。したがいまして、確かに御指摘のとおり保安統括者が鉱業所長の場合には、そう毎日入るわけにはいかない場合があるかと思います。その場合には、組織を通じましてその直下の技術管理者等がひんぱんに入るようにいたしたい、こういうことでございまして、必ずしも統括者が毎日入るというふうには私どもはこの関連につきまして理解をしていないような次第でございます。
  38. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いずれにしましても、自主監督、これを強化をしなければいかぬということは一致するわけです。そういうことについて、監督員の配置についても、もう少しある程度の人員に対する監督員の配置とか、こういう問題について検討しなければいかぬではないか。あるいはまた、労働者の側から推薦をされている保安監督員補佐員についても、非常に従業員の多いところも少ないところも——そうですね、人員比率でいっているわけではないわけです。現場配置等についても問題点があると思うのです。そういう点について、この勧告の趣旨から考えても、また実際問題から考えても、十分検討しなければならぬではないか、このように私は考えるわけです。  それともう一つは、法規の改正の問題なんですが、どうも法規の改正というのは時期を失する傾向があるんではないか。もちろん法規の改正ですから、相当時間を要するでしょうけれども、大体災害の傾向というものは、これは一つ災害のために法規を改正するわけではないわけですから、災害の傾向があるわけなんですから、これに対応する法規の改正というものは、事、保安の問題ですから、迅速を要するんではないか。この点保安協議会もございますけれども、早急に必要な法規の改正はすべきだ。法の改正は国会にかかりますけれども、規則の改正はできるわけですから、特に有効なのはまず規則の改正、管理機構上の問題になってまいりますと法規の改正等にも及ぶかもしれませんけれども、大体規則の改正でほとんどが終わるわけですから、これはもう迅速にやるべきだ、こう思うのですが、いかがですか。
  39. 西家正起

    西家説明員 保安監督員並びに保安監督補佐員の人数の問題につきましては、先生指摘のとおり、ひとつ早急に検討させていただきたいと思います。  規則改正につきましては、これも先生指摘のとおり、確かに改正がややもすれば災害におくれておるという傾向がございますので、今回は必ずしも三池災害に限らず、広く全般的な問題につきまして法規改正の案等が協議会の中に出ております。連続的に、精力的にこれを検討いたしまして、できるだけ早期に改正すべきものはするようにいたしたい、かように考えております。
  40. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 通産大臣も時間がないそうですから、この際一つだけお聞きしておきますけれども、最近の石炭産業の現状については大臣も御承知のとおりでございます。したがって、抜本対策と称して石炭答申に基づいて処置をとったわけですが、いわゆる時期を失した。実際問題、政策が実現、具体化されるまでには二年半の日時を要しているわけです。そういう点で私は、前の本委員会でも指摘をしましたように、これは時期を失しているではないか。しかし、実際問題として私どもが予想した、最悪とは言いませんけれども、最悪に向かっていくような傾向が最近顕著になってきておることは事実であります。来年度予算はすでに大蔵省に対して要求をいたしておるわけですが、これだけでは日本の石炭産業というものがなかなか安定できないと思うわけです。しかも某大手の有力社長は、石炭再編成の問題にこの際取り組むべきではないか。そういう思い切った措置をしなければならぬのではないか。また、そういう思い切った検討をするという前提がないと、いつも協議される鉱区の調整の問題でも、流通の合理化の問題でも、結局は解決されないわけです。いわゆる抜本的に改めなきゃならぬことが残されている抜本策、いわゆる解決策を持たない抜本策であると私ども指摘をいたしておるわけです。そういう点から考えて、特に石炭産業の安定というのは、生産の状況が安定していかなければ、どんな再建案を立てても再建はできないわけですから、そういう意味で、従来の石炭産業の再建安定策を立てる面における生産技術上の積み重ね、こういうものが非常に不十分ではないのか、こういう点が私ども考えられるわけです。いわゆる企業対策とか、ある程度の大まかな政策については、非常に諸外国等の現状等も合わしていろいろな政策が出てまいりましたけれども、肝心かなめの日本炭鉱の特殊条件、地質上の条件もあるでしょうし、あるいは炭層の単位面積当たりの賦存状態もあるでしょうし、あるいはまた、新しい炭層なるがゆえに断層が非常に多いから、機械化に向かないとか、機械化が非常にやりにくいとか、なかなか機械化が安定しないという、いろいろ日本的な条件が数多くあるわけです。これは生産技術上の十分な検討を積み重ねなければ、一応の案を出しても、地図でもって一応の採掘計画や設計を立てるわけですから、どうしてももろさがある、十分把握できないという面でそごを来たす面が相当多いわけですね。私は、そういう面で、まずそういうもう少し地についた生産技術、こういう面を踏んまえて石炭安定策を立てて、これに必要な諸条件を整備する、これに必要な対策というものを打ち立てていく、こういうところから出発しなければいかぬのではないか。ここから出発をすれば、鉱区の問題なんぞというのは当然初めから解決をしなければならぬわけなんです。私は、そういう弱点を石炭再建対策というものは持っていたような気がするわけです。  しかし、いずれにしても、この問題は、あらためて抜本的に検討する、というよりも、そういう国際的な資本主義の西ドイツあたりの動向から考えても、今後の石炭産業の対策というものは、そういう石炭再編成をも一する、しないは別にしてですよ、そういう思い切った地図を全国的に引いて考えていく、こういう姿勢がないと問題は解決しないと思うのですが、この点についての見解を承っておきたいと思うのです。
  41. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 石炭対策の基本的なことについていろいろ御意見を承ったのですが、前国会において皆さん方の御承認を得ました石炭再建整備計画というものは、大体が抜本的な計画ということで皆さん方にも御承認を得、私たちもそのつもりで提案をいたしたのであります。しかし、お話しのとおり、その基本になるものは二、三年前の状況を基本にして対策を立てたのでありますからして、この二、三年の間の燃料問題、エネルギー問題というものは非常な変化をいたしております。したがいまして、この三、四年前の状況を基本として立てたこの石炭対策というものは、今日においてはあるいはもう間に合わないというようなことに立ち至っておることは、もう岡田委員も御承知のとおりでありまして、われわれもそれを認めております。したがいまして、この石炭対策というものは、私たちでは、この前御承認を得たのは抜本策というように考えておりましたけれども、決してこれは抜本策でなかったということについては、これは私たちもそういう認識を持っておるのであります。  そこで、この石炭対策を一体どうするかという問題、いろいろ日本的な条件、いまお話しのとおり、日本の自然的な条件ということももちろんあわせ考慮しなければならないし、それに応じた生産技術というようなこともあわせ考えなければならない問題でありますが、これは生産技術の問題、労力の問題、あるいは需要の問題、各方面からこの石炭対策というものは考えなければならないのでありまして、お話しのとおり、私はこれはもう当面、目先の解決じゃなくて、少し長期的な計画を立てるべきだと思うのです。そこで、もう少し長期的な見通しを私たちも慎重に考えて、その上で計画を立てていかなければならぬ、こう思っておるのであります。しかし、これは世界的な需要も岡田委員の言われるとおりでありまして、ドイツあたりでも、もうすでに計画を何べんもやり直しております。それほどこの石炭問題というものは、エネルギー資源の問題に関連していろいろ変動せざるを得ないということになっておりますから、私は、ことしは、その再建整備計画をいま実施中でありますので、そこでもう一度この石炭の根本策についてはひとつ各方面の知識を集めて、そうして長期的な見方から案を立てたい、こう考えております。目先のことだけで解決というようなことは考えずに、ほんとうに長期的に、また日本の産業全体の関連において基本的な対策を講じたいというように私ども考えておりますから、どうかその点についていろいろとまた皆さん方のお知恵もお借りしたいし、いろいろまた御教示も仰ぎたい、こう思っておる次第でございます。
  42. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 関連質問の通告がありますのでこれを許します。三原朝雄君。
  43. 三原朝雄

    ○三原委員 いまから私が一、二点御質問申し上げたい点は、福岡県という局地的な問題ともとれる点もありますし、一般的には建設委員会等でやるべき筋のものだと思いますけれども、産炭地振興と非常に緊密な関係がございますので、特にひとつお尋ねをいたしたいと思います。  産炭地でいまその振興の原動力になっておりますのは何といっても道路なんです。まず国道としては二百号線がいま筑豊地区産炭地の中心を走って非常な効用を果たしてくれていることはもう私が申し上げるまでもございません。この第二次整備改築計画が大体終了をして、その交通量も御承知のとおりでございます。そこで、今後次々にまた改良がなされると思いますが、その中で一つお尋ねしたいのは、例の北九州市内を走っております有料道路が大体八幡の割子川どまりになって、その後の計画がどう進められるのか、あるいは二百号線との結びつきなり、国道三号線との結びつき等がどうなるのか、そういう点について第一点はお尋ねをいたしたいということでございます。  第二点は、産炭地の開発と非常に緊密な関係があり、その完成を産炭地域は特に期待をいたしておりまするのは、例の国土開発幹線九州自動車道の問題でございます。これは実は福岡から南のほうに先に計画が実施され、福岡−門司間がそのままになっておりましたが、今回の基本計画で御決定を願ったことは承知をいたしておりますし、いろいろな理由があっておくれたことも承知をいたしておりまするが、ぜひこれをひとつ早期に実現を願いたいということでございます。特に来年の一月には、万博なりあるいは明治百年祭、国際空港の整備等と関連して、一月ごろ整備計画が策定されるように承知をいたしておりますが、その際には、ぜひひとつ整備計画の中にこの北九州地区の自動車道を入らしていただきたいということでございます。そういう点について、この決定が及ぼします産炭地振興に対する影響というものは、きわめて重要でございます。これによって工場の誘致等もいろいろと計画をされておる向きもあるわけでございますが、こういう点について、ひとつ課長の御意見を承っておきたいと思います。この点については、大臣なり道路局長あるいは計画局長等には再三陳情申し上げておるわけでございますけれども、当面する問題であり、緊急な問題なものですから、特別ひとつ石炭委員会においてもお尋ねをしておきたいということでございます。  以上、二点について、御意見を承りたいと思います。
  44. 栗田武英

    ○栗田説明員 北九州バイパス、いまお話しの八幡まで行っております道路公団の有料道路事業でございますが、これは現在八幡までの工事計画を実施中でございまして、このバイパス計画は一応この区間で打ちどめる考えでございます。その先の問題といたしましては、国道三号の改良計画と合わせて現国道の整備をはかっていく予定でございますが、これと並行いたしまして九州縦貫自動車道の早期建設という方向に道路整備の方向を切りかえていくという考えで、いまのような調整をはかったわけであります。当初の考えといたしましては、いまお話しのように北九州バイパスを延伸し、あるいは国道三号の二次改築を促進することによって、当面の北九州幹線道路の整備をはかりたいという考えであったのでございますが、その後調査いたしました結果、現国道の整備程度では当面の交通及び将来の交通対策として不十分であろうということから、九州縦貫道の早期建設という方向に切りかえまして、その計画のあらわれといたしまして、九日に開催いたしました幹線自動車道建設審議会にもこの北九州と福岡間の基本計画を提案いたしまして御審議をいただいたのでございます。引き続き調査を急ぎまして、必要な区間の整備計画を出しまして着工に持っていきたいということで、現在調査を進めておるような次第でございます。現況におきましては大体以上のような状況でございます。
  45. 三原朝雄

    ○三原委員 まあ重要度については十分御認識を願っておるところだと思いますが、いまもお話しのように、北九州地区の交通量のふくそうというののは頻度というか、そういうものは限界に来ておることは御承知のとおりでございます。特にまた四十六年には関門架橋が一応完成するということ、その時点に立って福岡までの縦貫道路がまだ完成をしないというようなことになりますと、せっかくの九州全域にわたりますそうした道路の設置目的というようなものも果たせないということも私が申し上げるまでもございません。そういう点から私どもも産炭地という立場から、いま申し上げますようにきわめて重要な動脈になるという点もございますが、全体の九州開発とも非常な関係がありますし、ぜひひとつ一月に決定を願う整備計画につきましては、実現方特にひとつ強調いたしまして、私の質問を終わります。
  46. 栗田武英

    ○栗田説明員 まだ次の審議会にどの程度の案をかけていくかについては調査中でございますので結論を得ておりませんけれども、できるだけ御趣旨に沿うように努力をしたいと考えております。
  47. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 質問が飛び飛びになりますけれども、石炭プロパーの人はゆっくり残ってもらうことにしまして、石炭需要対策に関係があるわけですが、先般日本軽金属、日軽金が清水の第二期工場建設をあきらめて、北海道の苫小牧に進出をするという態度をきめて、開発庁及び北海道庁に対してこの協力方の要請を正式にいたしておるわけです。この点については担当の鉱山局としてはどのように把握をされておるか。そういう私のいま申し上げましたことが間違いのないことかどうかお伺いしておきたいと思います。
  48. 両角良彦

    ○両角説明員 日本軽金属の清水工場の増設に関連しまして、地元との了解がつきませんので、日本軽金属といたしましては計画を苫小牧地区に変更をいたしまして、そこで昭和四十五年度までに五万五千トンの能力を持つアルミの製錬工場をつくりたい、かような意向があることを承知しております。
  49. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 五万五千トンのアルミ工場の見通しは、さらにこれは十万トン規模を国際競争といいますか、あるいはまた産業構造審議会で一応日本のアルミ工場の生産単位として指摘をいたしております。アルミニウムで十万トン、こういう生産規模の工場をつくる、こういう前提に立っているという理解でよろしゅうございますか。
  50. 両角良彦

    ○両角説明員 御指摘のとおり、わが国のアルミニウム産業は国際競争力上幾多の弱点を持っておりますので、ただいま御指摘のようにアルミ工場の生産規模というものが拡大をする要請があろうかと思いますが、かような見地からはただいま御指摘のとおりと考えております。
  51. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 十万トンのアルミ工場建設をした場合、年間電力消費量は大体十八万キロの発電所が最低規模として必要だ、こう私は理解をいたしておるわけですが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  52. 両角良彦

    ○両角説明員 さようでございますが、会社計画では最終的には二十五万キロワットの共同発電計画を持っております。
  53. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 その場合の供給電力の料金はどの程度想定をいたしておりますか。
  54. 両角良彦

    ○両角説明員 現在のところ会社の計画内容によります自家発計画ないしは共同火力発電計画のコストの中身については、説明をまだ受けておりません。
  55. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 共同火力の場合には日軽金と北海道電力、この二社を想定いたしておるわけですか。そういう計画は具体化しておりませんか。
  56. 両角良彦

    ○両角説明員 御承知のように共同火力の計画は四十六年度以降の第二次計画になっておりますので、まだ具体的な内容の確定は見ておりませんが、ただいま御指摘の両当事者は当然予想されることでございます。
  57. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 でき得れば二円八十銭程度の電力が必要なんだ、国際競争力の面から見ても。しかし、まあ平均三円近くになっておるようでありますけれども、そういう電気が供給できれば一番よろしい。こういうぐあいに私は記憶いたしておるわけですが、この点についてはいかがですか。
  58. 両角良彦

    ○両角説明員 九州におきます三井アルミの計画が別途ございますが、その際、九州電力との関係におきましては、やはり発電コストとして二円八十銭以下の線が必要であるという計算が出されておるようでございます。同じような事情はおそらく将来北海道においても必要であろうかと考えます。
  59. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 アルミの輸出もございますけれども、国内需要というものは爆発的にふえておって、鉱山局あるいはまた官房調査課での予測、こういうものは一応立てられておりますけれども、いずれも当たらない。むしろそれを上回っておる。しかもこれからの長期の見通しを検討しますと、なかなかその予測が立たないというのが本音ではなかろうか。むしろ当初立てたよりも大幅に上回っている、こういう情勢にあることは間違いございませんか。
  60. 両角良彦

    ○両角説明員 アルミの需要がきわめて活発に伸長してまいったということはお話のとおりでございまして、過去五年間の平均を見ましても年率一七%程度の需要の伸びがあったわけでございまして、今後とも新しい需要も、特にコンテナあるいは家庭用の建材の面で相当大幅な増大が見込まれますので、今日までのアルミニウム需要の趨勢というものは将来とも継続するものと考えております。
  61. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今回の苫小牧進出にあたって、北海道開発庁は北海道東北開発金庫に対して特別金利を実は予算要求をいたしておるわけです。これは、アルミがなかなか政策に乗らない、したがって財政投融資の六分五厘の金が融資でき得る体制を苫小牧の北海道開発の戦略拠点の戦略企業誘致に対して考慮する必要がある、こういう形でこれは開発審議会でも一応態度をきめて今日予算要求をいたしておるわけです。特に日軽金が対象ではありませんけれども、苫小牧に来る戦略企業に対してはそういう要求をしておる。設備投資の問題はなかなか政策に乗らない面がある。そこで、日軽金に限る問題ではなくて、鉱山局から考えると、このアルミは爆発的に需要が伸びてそれぞれの各企業も工場を新設する計画を持っておることは間違いがないわけですから、そういたしますと、まず第一に安い電力を供給し得る体制を整備してやる、こういうところに当然意を用いなければならないのではないかと思うわけです。そういたしますと、いま石炭の需要対策の面で、油と石炭が競合して、なかなか石炭が高いために発電コストが割り高になる。したがって負担増対策をし、あるいはまた電発に対しては御承知のように来年度も二十億の出資を今年度に引き続き要求を石炭特別会計でいたしておるわけです。そういたしますと、十万トンのアルミ工場をつくるということは二十五万キロの火力発電所をつくるということですから、しかもその中の十八万キロはそのアルミ工場で消費されるわけですから、これに付随するものがあれば大体二十五万キロの発電所はアルミ工場に対してその電気を供給する。初めからいわゆるコンビナート的に需要が確定をしておるわけです。こういうところに意を用いてはどうか。そうすると新しくできる工場なんですから、それに対し石炭火力で安い電気が供給できれば、これは需要対策からいっても非常によろしいわけですね。したがって、特に北海道とかあるいは三井三池、大牟田あたりのそういう産炭地にできるような場合には、これは石炭政策に乗せてしかるべき問題ではなかろうか、私はこういう考え方を持つわけです。鉱山局としては、特に大牟田の問題は先ほど局長も言われましたからある程度おわかりになっておると思うのですが、新たに日軽金が苫小牧に進出する態度を正式にきめたわけですから、そうするといういう政策に乗せてアルミの企業が国際競争力を持つ、一方において石炭の需要対策もこれがかね合いとしてできる、こういうことを考えていくことはきわめて有効な政策ではないか、こう私は判断をするわけです。問題は、安い電力がはたして供給できるかどうか、あるいはこれに対して一応供給範囲にある各電力会社が協力をするかどうか、この問題にかかっておるわけです。そういう意味において、特に北電の場合は九州よりは電力が安いわけですから、したがって政策に十分乗る体勢にある、こう判断をするわけです。そういう点について公益事業局、石炭局、鉱山局で十分この面は検討してしかるべきではないか。そして政策に乗せるのは石炭特別会計で予算要求しなければならぬわけですが、三者が十分綿密な対策と連絡をとって、爆発的に伸びていくアルミ企業を政策に乗せると同時に、安い電力を供給でき得る安定供給の面を確保する。そして石炭対策をも産炭地においては可能ならしめる一石三鳥のこういう政策を十分煮詰めるべきではないか、こういう意見を持っておるのですが、この点は鉱山局長、石炭局長、公益事業局長に伺いたいと思いますが、公益事業局長はまだ来ておりませんけれども、見解を承っておきたいと思います。
  62. 中川理一郎

    ○中川説明員 ただいまおっしゃいましたとおり、苫小牧で大きな電力消費をするアルミ工場の計画が出ております段階におきまして、お説のとおり企業側が期待しておる程度の安定的なかつ期待しておる数値での発電というものが、石炭を使用することによって可能であるかどうかという検討は、私ども立場といたしましては十分にいたしたいと思っております。これは公益事業局とも相談しておりますけれども、同じような立場考えてくれておるはずでございます。鉱山局のほうは、これはまた後ほど鉱山局長からお話があると思いますが、前提条件が満たされれば特別発電のソースを議論することはないじゃなかろうかと私は考えております。問題は先ほどお話に出ましたように、二円六十銭なり二円八十銭なりというものを長期的に石炭を消費して発電できるかどうかということにあろうかと思います。現行体制でできるかどうかという問題もありましょうし、あるいは場合によりましては石炭政策上の対策の追加というようなことを踏まえてもやれないかどうかというような問題もあろうかと思います。現地におきましてはまだ具体的な構想は固まっておりませんので、私どもとしては石炭サイドとして地域の経済成長にブレーキをかけるようなことは申したくありませんので、石炭を使って業界が期待しておるようなものを供給できるかどうかということを私どものサイドでひとつ試算をしてみたい、その上で共同発電ということであれば、いままで石炭政策と電力政策のクロスする問題として絶えず政策的な御議論をしていただいておったわけでございますので、その場で御議論していただく、こういうことに相なろうかと思っております。
  63. 両角良彦

    ○両角説明員 アルミ産業の国際競争力を強めろという見地から、本件計画につきましては、今後とも計画の具体化の進展に対応いたしまして、石炭業界、電力業界あるいは需要業界あるいは地元各界の御意向等も十分承りながら、かつ関係局とも十分意見交換を行ないまして、所要の調整をはかってまいりたいと考えております。
  64. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 結局北海道の北空知、中部空知、南空知、ここに炭鉱が集中しておる。いずれも安定生産がなされる中核的な炭鉱配置をされておるわけです。しかもこの炭鉱はそれぞれ自家発電所をも持っておるわけです。ですから北海道電力及び日軽金アルミ企業、これに炭鉱会社、この三者の共同開発で企業の要求する電力を安定供給する、こういう体制がとれれば大牟田のような場合と違って各炭山の自家発をずっと結ぶこともできるわけですから、大牟田と違った構想をも十分考慮できるのではないか。北海道の場合には、御承知のように石炭をいまスラリー輸送しようという段階ですから、山元で発電して電気を送れば一番いいわけです。一番簡単なわけですから、そういう面でやはり北海道の産炭地に見合って、しかもアルミ企業が要求する電力が供給できる。これに対して北海道全体独占供給をしている北電が協力をする。北海道地域全体が振興していくためにそういう協力体制をとる。私は画期的な検討をこの際ぜひすべきだと思う。それでなくても北海道炭の需要のためには発電所をもう一基揚げ地につくるべきだという議論が具体化している段階なわけですから、特にこの面についてはいまから十分検討していかなれば時間が間に合いませんので、ひとつ十分検討していただきますようにこの際強く要請をしておきたいと思います。  次に、今年度の石炭生産の見通しについてどのように石炭局長は把握されておるかお聞かせ願いたいと思います。
  65. 中川理一郎

    ○中川説明員 最初に、四十二年度の上期の実績からお話しをいたしたいと思います。  御承知のように実施計画におきましては、上期の生産目標は二千四百五十八万トンということでございました。これに対しまして、速報による概数集計でございますからまだ確定値とは申し上げられないと思いますが、現在把握しておりますところでは二千三百二万トンということで、百五十六万トンの計画未達をいたしております。これを達成率で申しますと九三・七%という数字に相なっております。御質問の御趣旨は、このような上期の実勢を踏まえて年度内どう動きを見るかということであろうかと思います。これは下期に対しましてはたいへんむずかしいまた予測想定の問題を含んでおりますので、見る人によりましてたいへん違うと思います。かりに下期に生産回復が行なわれまして実施計画どおりになるという想定をいたしましても、上期の未達分だけを年間に広げました場合には五千三十万トンの計画に対しまして四千八百七十四万トンということで九六・八%の達成率に相なります。ただしかし、率直に申して上期の実勢を踏まえて見ました場合に、下期が計画どおりいくということは現在の見方に立ちますといささか楽観に過ぎるという感じがいたすわけでございます。これをどれだけのものと見るかという見方も、上期の未達の要因が何であったかという見方に関連してくることでございます。そこで年度内の想定の問題をはずしまして、上期の出炭減を私どもなりにやりました要因分析の数値で若干お話しいたしまして、年間を予測する上での材料に申し上げてみたいと思うのでございます。  これは中小につきましてはなかなかやっかいな問題がございますので、大手の計画に対する増減の数字を申し上げます。これは上期だけでございますが、千七百十八万トンに対しまして千五百九十二万トン、百二十六万トンの減ということでございます。これも相当の推計がございますけれども、仕切ってみますと、ややはっきりしておるスト、災害の要因と思われるものが二十七万トン、それから予期以上の断層あるいは上下盤の悪化といったいろいろな自然条件の予期以上の悪さというものに基づくと思われますものが大体百万トンでございます。それから労務者不足によって出炭が減少したと思われますものが約六十万トン、その他のものが六十四万トン。合計いたしまして減産量合計が二百五十二万トンという数字に相なりまして、先ほど申しました百二十六万トンより非常に大きいものがございますが、他方増産をしておる山がありますので、増産量百二十六万トンを引きました差し引きが先ほどの原因になっておるわけでございます。これらは一応の仕切りでございまして、スト、災害を除きますと、災害も多少ございましょうが、それぞれの要因がまたそれぞれ関連し合っておるわけでございますので、このように人為的に分けてお話しすることにはかなりの無理があろうかと思いますが、端的に申しまして、計画で想定をしておったよりも自然条件の悪さというものが、予定しておった悪さよりも上回っておるという事実は一つございます。それからその際に、最近の石炭鉱業におきましては、機械化努力を非常にやっております。切り羽も集約しております。したがいまして、たとえば思わぬ断層にぶつかったという場合の出炭減は在来の状況に比較いたしますと、大きく影響してくる。この辺のところは先ほど岡田先生御質問にございましたように、機械化の適用というものにあたりまして、多少周密な当該自然条件に対する予定的な配慮というものが不足であったというようなこともあろうかと思います。もしそういうものが多いと考えますと、これは機械化を急ピッチに進めております段階経過的なエラーということに相なりまして、適当な適応ができますならば、ほんとうに機械化のメリットが出てきてここまでは下がらぬという見方も半面においては出てくるわけでございます。労働力の不足問題でございますが、ただいまは全体としてマクロでお話ししております。個別の山に分解いたしますと、非常にはっきりと予定計画人員が確保できないために稼行できる切り羽が三つあるんだけれども二つしか人を差し向けられないということで、完全に一切り羽遊んでおるというような状況もございます。ただしかし、それらはきわめてそう普遍なことではございませんので、全体で申しますと、計画人員に対しましての人員不足というものを単に人数だけで見てまいりますと、採炭充てん員で五百十六名、掘進員で三百七十名、それから請負組夫で約千名といったものが予定された人員よりも減っておるとこういうことでございます。このほかに、たとえば出荷率の低下というようなものもございましょうし、数量的にはなかなか把握できない。数は確保されておっても人間の質の問題が関連する余地も非常に大きかろうと思いますが、なかなか数字的な把握はしがたいわけでございます。以上のようなことでございますので、年度内を通じてどれくらいの生産額になると見るかという問題はなかなかむずかしゅうございますけれども、計画に際して、相当大きな割り込みになるということは見てよろしいんではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  66. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 特にこの労務者不足の問題は、先般北海道に参りましたときに、北海道で千四百名、全国で大体三千名くらい最低なるんじゃないか、こう言われておるわけです。そこで、この労務者確保の問題で、一応各ビルドアップの山については、鉱山学校を新設をして若年労働力の確保に努力をしておる。坑内労働は満十八歳ですから、中学を出てすぐ坑内労働はできない。したがって鉱山学校で教育をして、そうして坑内に振り向ける、こういう努力をしておるわけです。しかし、それでも労務者確保ができないわけです。また山が終山になりますと、そういうショックで、炭鉱に再び就職をするという人はごく限られた人に実はなるわけです。したがって、閉山による離職者対策と、一方において炭鉱企業を安定をさせるために労働者確保しなければならない、こういう二つの問題が実はあるわけです。しかし一方において、炭鉱労働者はほかに就職を求めて離職者対策で援護措置をとっておるわけですから、たとえば炭鉱労働者の歴史的な給源地である、北海道であれば東北ですが、労務者を募集にまいりましても、ほかの産業に振り向けるのが優先であって、炭鉱からむしろ流出をしておるのだから、炭鉱に新しい職をあっせんというものはなかなかできがたい。こういう問題点があるわけなのです。しかし、現状三千名の労働者が不足であることは事実なわけですから、そういたしますと結局新しい労働力の確保、こういう問題について労働省としても十分その対策を立てなければならない問題ではないか、このように私ども考えるわけですが、こういう点について労働省はどう把握をされておりますか。
  67. 上原誠之輔

    ○上原説明員 現在、先生指摘のように、石炭鉱業につきまして非常な労務者不足が叫ばれておるわけです。今日の労務者不足は単に石炭産業だけでございませんで、産業界全般にわたっておるわけでございまして、この求人充足につきましてどういう方法でやっていくかということにつきまして、私ども全体といたしまして非常に苦慮はいたしておるわけでございます。ただ石炭産業につきましては、いま先生おっしゃいましたように、一方におきまして合理化による離職者が大量に発生しておるわけでございます。この中には若年労働者も実は相当数おるわけであります。したがいまして、私ども考え方といたしましては、こういうふうな大量の離職者が発生しておることでもございますので、まず第一に、炭鉱の労務者不足に対処いたします方法といたしましては、業界全体といたしまして合理化で出てくる労働力を確保して、これを有効に使っていくという方向で御努力をいただくということがまず第一の道ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう線に沿いまして、私ども安定機関といたしましても、石炭産業内部における配置がえということによりまして炭鉱の労務者不足をできるだけ解消していく、こういうことで各安定機関を督励して今日まで至っておるわけでございます。  なお、先生指摘のように、炭鉱で離職者が発生しているから新規求人につきまして安定所は冷たく扱うのではないかという趣旨のお話のように承ったのでございますが、安定機関としてはそういうふうな気持ちはないわけでございます。求人はどんな求人でも一視同仁、適正配置ということで、安定機関としても職務を遂行さしておりますので、その点はひとつお含みおき願いたいと思います。
  68. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 炭鉱労働者が足りない、若年労働力を確保しなければ平均年齢が高まっていって、現実に人間が集まらないから出炭減になっておる。これは過渡的な問題として一体どう解決していくのか、こういう点について私どもは十分検討してみなければいかぬのじゃないかと思うわけです。そういたしますと、一方において定年制は五十五歳、現在でも極端なところは五十二歳で、繰り上げ定年のところもないわけではないわけです。全般的にそうだというわけじゃないですけれども、ごく限られたところではそういう実例もあるわけですね。ドイツやイギリスでは、定年のめどは、炭鉱労働者は六十五歳です。したがって、定年の延長もしくは過渡的な労働力の確保、こういう面について企業も当然努力をしなければいかぬのじゃないか。人が足りないというならば、そういう点についても過渡的には十分検討すべき問題ではないのか。そして一方では、若年労働力を確保するためには、鉱山学校で教育をする。それでももちろん足りないわけです。閉山になれば炭鉱から大量にほかの企業に行きますけれども、その反面、従来の歴史的な炭鉱に対する労働力の給源地として、少なくともそういう努力をしている企業に対しては、職業安定所においては同様に扱うべきである。ほかの企業ももちろん労働者不足ですから、そっちが優先で、炭鉱のほうは労働者が離職をして他の産業に出ておるんだから、これは歴史的には給源地だったかもしれぬけれども、あと回しにするというようなことでなく、これはやはり同等に扱うべきじゃないか、こう思うわけです。こういう点についてはいかがですか。
  69. 上原誠之輔

    ○上原説明員 先ほども申し上げたとおりでございまして、炭鉱の先行きの見通しが暗いというような点もございますが、炭鉱から求人が参りました場合に、それをほかの企業と区別して不利に扱うということのないように私どもとして十分に配慮してまいりたい、こういうふうに考えます。
  70. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 この炭鉱の労働問題については、もう少し現実に即応するように、労働省それから通産省石炭局、担当は炭政課ですか、鉱山学校で言えば各種学校の指定を受けておるわけですから文部省、これはみな別々になってくるわけですね。それと組の問題になってくると、これは登録をしなければなりませんから鉱山保安局、こうなるわけですね、チェックは全部鉱山保安局でやっているわけですから。そういう意味で、新たな問題として、この点については、これだけ国策に乗せて石炭産業を安定させようという努力をして、そのためにばく大な国費を使っているわけですから、そこで、そういう炭鉱労働者不足のために労務倒産が起きてしまうということは、まさしく重大問題だといわなければいけないわけですね。したがって、私はそういう意味で、これは三者——四者になりますか、そういう機関で、炭鉱労働者確保の当面の問題をどうするか、一体どういう対策を立てるか、それと長期的にはどうするか、こういう問題を千分煮詰めてみるべきではないかと思う。そしてある程度こういう方向で企業に対して協力させるものは協力させなければいけない。そして労働組合とも十分労働者確保についての意見の交換等を行なうという前向きの積極的な対策がないと、私は労務倒産がそれぞれの炭鉱で起きてくると思うわけです。中小炭鉱なんか、そういう傾向があるわけなんですから、したがって、そういう検討が緊急に必要である、私はこう思うわけです。採用された人間は、長期的に働くという前提がなければその職場には来ないわけなんですから、そういう意味で、少なくともそういう四者で十分連絡をとって、石炭局が中心になるか労働省が中心になるか知りませんけれども、そういうことで得たものをぜひ——臨時国会が無理であれば通常国会中に、そういう検討をされた内容というものを聞きたいと思うのですが、いかがですか。
  71. 中川理一郎

    ○中川説明員 ただいま御指摘炭鉱労働者確保問題は、先生も御承知のとおりでございますし、私どももこれから先の長期の石炭産業の消長を考えます上で非常に重要な、見のがすことのできない問題だと思っております。その点に関しまして、新規労働力の確保という、息の長い問題もございますけれども、最近如実にあらわれておりますのは、たとえば合理化で若干の整理が行なわれる、あるいは閉山で山がなくなるといった場合、在来炭鉱で働いていた方々が他の山でお働きになるという率、この率が極端な場合は一割を割る場合もあるというような話を聞いておるわけでございます。長年石炭産業に従事されて、かなりの知識、技能をお持ちになっている方々が、その程度の歩どまりでしか確保できないというようなことは、たいへん問題があろうかと考えておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、在来の離職者対策というようなものに対しては、私どものほうも、いま申しましたような実態を踏まえまして、通産省として労働省に御意見を申し上げることがあるのではなかろうか、かように考えております。いま御指摘のようなことはできるだけ検討を進めてまいりたい、何がしかのものがまとまりましたならば、労働省にも希望ということで申し上げたいと考えておるわけでございます。ひっきょうするに、長期的にはおそらく再建整備計画が指向しておりますように、ある程度の能率アップを考えておるわけでございますから、人員の絶対量は、かりに同じ生産規模でありましても、相当減らし得るということで計画ができておるわけでございますので、一般的な労働者の不足問題に対しまして、減らし得るものを有効に働いてもらうことを考えるのが一番手近な法であろうと考えておるわけでございます。ただ、それにはいままで炭鉱で働いていた方々が閉山あるいは合理化の機会になぜ他産業に移るのであるかということを、われわれとしてやはり政策を立てる上で十分考えなければならぬものがあると思います。昨今起こっております閉山した山の中にも、かつての閉山である地区から動いてきて、二度目の閉山にあっているというような方々が多いわけでございまして、そういった意味で将来の見きわめというものが立ちませんと、これは他産業に移るという気持ちが出てくるのは当然のことでございます。そのためには先ほど大臣も申しておりましたように、やはり長期の石炭の見通しというものを相当しっかりしなければいかぬということが一つであろうと思います。  もう一つは、やはり労働条件と申しますか、単純に申しますと、賃金、福利厚生施設を合わせたものの改善であろうと思うわけでございます。これにつきましては経営者のほうだっていま四苦八苦して労働力確保に苦慮しておるわけでございますので、したくないということではなく、したいと思ってもやれないという経理内容にあることが一つでございます。これはやはり先ほど申しましたような、石炭産業が長期にわたって安定し得る体質というものを基本的に考え直さないと、一時的にはしのげても無理が出てくるのじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。  第三番目は、やはり保安の問題であろうかと思います。職場が危険な職場であるということではこれは確保できませんので、保安局とも相談いたしますが、十分この辺を気を配ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。  以上、申しました基本的な要因もございますけれども、何せ現状におきまして、石炭産業から離れた労務者が、これは確定的な数字ではございませんが、私ども聞いておりますところでは、一割も他の炭鉱に就職してくれないという事態もあるというようなことにつきましては、従来の政策の見直しということは真剣にかつ早急にやらなければいかぬのじゃなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  72. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いずれにしても、現実の問題としては、すでに閉山を提案している炭鉱もあるわけですから、そういう意味で、ここに集中している労働者を次の職場に転換をさせるというためのいままでの政策、離職者対策というものは、当然これは進めていかなければならないわけです。それと同時にまた炭鉱に労働力も確保しなければならない、こういう問題があるわけですから、私の希望を申し上げておきますが、今日の時点では炭鉱に行くのも炭鉱以外の企業に行くのも、その対策というものは同一でいいのではないか、こういうことなんです。まあしかし、たとえばいま閉山の提案をされているこの山のごときは、二度にわたって閉山の運命にあう。こういう労働者が、次に炭鉱へ行けといっても行かないですよ。そういう悲惨な実例がこれからどんどん出てくるわけです。これからやめる山は、やめた山から転換してきたんだけれどもまた閉山で、今度はほかの職場に行かなければならないというケースが多くなってくるわけですから、その点について労働省においても、その面の離職者対策というのは一歩進めて、労働者が一般の産業に行こうと炭鉱に行こうと、その援護措置というものは同一でいいんではないか、こういう考え方で十分これらの問題について検討願いたいということを申し添えておきたいと思います。  時間がありませんから最後に、最近の西ドイツ、イギリス、フランスの場合もあればつけ加えてもらいたいと思うのですが、このヨーロッパの資本主義三国の石炭産業の現状と特筆すべき石炭政策というものは、どういう形で展開をされているか、特に問題点があればその点についてひとつ説明を願っておきたいと思うのです。
  73. 中川理一郎

    ○中川説明員 いまお尋ねの点に関しましては、私のほうの炭政課長が最近におきましては一番近い時点でヨーロッパに参りまして、OECDの会議の際にいろいろ情報を得てきておりますので、村松炭政課長から御答弁さしていただきます。
  74. 村松寿

    ○村松説明員 この七月にOECDの会議がございまして、その帰途特にドイツを通りまして、さらにイギリスの石炭対策を見てまいったのであります。先生指摘のとおり、西欧諸国のうち、ドイツ、イギリスは特に石炭事情が急激に変動しておりまして、端的に申しまして各国政府とも石炭対策に苦慮しておる、こういうふうな動きと受け取ってまいったわけでございます。  たとえば西独について申し上げましても、生産は一九六五年、昭和四十年から急激に減少しております。一九六四年は一億四千二百万トンでございましたのが、一九六六年は一億二千六百万トンというふうな下がり方でございます。このように、一九六一年あるいは一九六四年ころに、ドイツといたしましては一億四千万トン体制というふうなことをもって諸般の対策を行なってまいったわけでございますが、これが現在では維持できない、こういう状態にあるわけでございます。  この原因につきましては、申すまでもなく石炭の急激な需要の減少に起因しておりますが、これは明らかに低廉な流体エネルギーの供給能力の増大の結果であるということでございます。特にドイツでは石炭と石油の間に大体一五%程度の価格差がある。しかも石油市場におきますところの販売競争が非常に激しくなってきまして、ひいてはこれが石炭の販売量の減少、減産の大きな理由になっておるのではないかと思います。また、特に天然ガスの開発の急進展も石炭需要の減少にさらに拍車をかけておるわけでございます。石炭に換算いたしましても一千万トン程度のものを、ドイツにおきましてはオランダから輸入する計画を立てておる、こういう現状でございます。  こういうふうな現実に直面いたしましたドイツの石炭業界といたしましては、一九六六年の十二月に、ついに計画的な撤退ということを宣言いたしまして、今後数年間にさらに二千五百万トンから三千万トンの生産能力の削限を余儀ないものと考えております。このため、現在の出炭能力の一億四千万トン前後のうち、明らかに非能率化しているというふうな設備は、思い切ってこれをカットダウンするというふうに、いわゆる優良炭鉱へ生産をできるだけ集約したいという方向を明らかに持っております。  このため、西ドイツの政府として提案いたしました対策といたしましては、今度この九月に出しました石炭企業及び産炭地域の適応及び健全化の法案でございます。これをひとつ今後石炭対策として統一をいたしたい。これは、簡単に申し上げますと、一つには、連邦監理官制度をつくりまして、監理官の行政指導のもとに、生産能力なりあるいは販売数量というものを調整する。あるいは鉱区調整を監理官の積極的な助言によって行なう。あるはさらに、もちろん合理化等につきましても、ある程度これを指示するというふうな、国の介入の度合いを強める、こういうふうな法案を考えております。この法案実施後の多数のいわゆる閉山退職者の救済、こういったものはまだ依然としてドイツとしても問題であると申しております。また、産炭地域の今後の経済構造も、そう早急に回復できないというふうなことでございました。  要するに、西ドイツ政府におきましては、石炭産業を今後も国内の重要エネルギー産業として維持しておりますが、一方、生産の合理化、能率向上のための諸般の対策を立てておりますが、特に計画的な生産規模を縮小しまして、優良能率炭鉱の維持をはかるために、一九六九年の一月一日までに、定められたいわゆる最適企業規模というものを考えまして、この規模に達していない石炭企業に対しましては、現在与えられているところの補助政策を打ち切るというふうな、相当思い切った対策考えております。今後安逸な政府援助を期待する企業に対しては、大きな反省と、またさらに努力を促すということになると思います。  ただ、これに対します感じでございますが、一九六九年という時点は、今後この二年といった短い期間に、いま申しましたような最適企業規模に各企業が達するかどうか、こういう時点の短さがあるのではないかということ、またあるいは出炭目標をどういうふうにするかという点につきまして、一億一千万トンないし九千万トンという大きな出炭量の相違もありまして、この点につきましても、ドイツとしては目下のところ明確な出炭目標をきめかねております。  さらに、連邦監理官制度につきましては、ドイツ国内の石炭企業といたしましては、いま少し私企業を尊重していただきたい、こういうふうな業界の希望もある。  真にいわゆる石炭樹立対策のために、石油とかあるいは天然ガス等の、ほかのエネルギー政策との総合性を持ったようなもの、すなわち競合エネルギーに対しますところの抑制策と申しますか、そういったような総合エネルギー対策考え石炭対策がほしい、こういうふうな感じもいたしておるわけでございます。  要するに、西独政府の石炭対策の目的は、石炭産業の縮小化というのではなくて、その健全化にある。つまり現在の危機的な現象を解消しまして、正常な状態に復帰する、こういうふうに考えておるわけでございます。したがって、もしこの生産と需要が再バランスしまして、もうすでにドイツのほうは日本と違いまして需要が非常に減少している、こういう状況でございますので、両者がバランスしまして、さらにドイツが考えておりますような優秀な炭鉱設備がフル稼働しまして、産業が最適の企業単位に整備されるならば、石炭産業は必ず安定するだろう、こういうふうなドイツ政府の考えておることが実現されるならば、私といたしましては、ドイツの対策も今後徐々に成功していくのではないか、こういう感じを持ったわけでございます。  イギリスにつきましては、御承知のように国営でございますので、ドイツとは違いました一つの事情がございます。現在イギリスの生産は一億九千万トンから一億八千万トン台に落ちておるわけであります。炭鉱数も現在約四百三十五ほどございますが、これはイギリスにおきましては国営でございますので、この炭鉱の能率を相当分析しておりまして、能率のよいものは二百炭鉱ございます。今後存続する将来性の少ないものは五十、残りにつきましては、一九七〇年までには閉山したい、こういうふうなまさしく計画的な撤退を英国としては考えておるようでございます。したがって、またイギリスは国営でございますので、投資計画も大体年間七千九百万ポンドでございますが、これにつきましても計画的ないわゆる投資計画というものをはっきり出しております。やはりイギリスといたしましても、結局は非能率あるいは不採算炭鉱を切り捨てまして、高能率な優秀な炭鉱に生産を集中するということを真剣に考えておるわけでございます。  ただ、英国の一番当面しておる問題は、先ほど先生お話がございましたように、労働問題がやはり相当深刻でございました。英国におきましては、賃金等も他の国よりは高うございますが、ヨーロッパで英国は出稼率が一番悪い、こういうふうな事情もございました。そういうふうなことで、英国といたしましては労働者の需要をアフリカなりあるいはイタリアというふうな海外から求めている、こういうふうな事情もございますが、やはりこの労働問題につきましては、日本と同様、今後どういうふうにするかということについては非常に頭を悩ましておるようでございます。イギリスといたしましては、いずれにしてもこういったふうな優秀炭鉱に生産を集中する方向に、特に機械化という点につきまして相当力を入れてまいる、こう存じておるわけでございます。  なお、英国は日本と同じように一九六五年の石炭産業法で四億一千五百万ポンドの肩がわり措置をいたしたわけでございますが、その結果、一九六五年から六六年の間に利子負担をしまして、二千百万ポンド減少しました。減価償却といたしましても一千四百万ポンドの軽減を行なうことができた。このため一九六五年度の石炭庁の収支は大体とんとん程度というふうにイギリスのほうでは申しておりましたが、実際はさらに悪いようでございます。したがいまして、こういったふうな英国の石炭事情を考えますと、英国の今後のいわゆる計画的撤退というものがはたして石炭庁が考えておるようにうまくいくかどうか、こういう点にかかっておる、こう考えるわけでございます。  以上が大体ドイツとイギリスの石炭対策の現状でございます。
  75. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 イギリス、西ドイツの場合は、これは御存じのように、平均的に上昇カーブを描いて年々炭価というものは上昇してきたわけです。日本の場合は逆に炭価は下げてまいったわけです。先般千二百円のうち三石円上がっただけで、したがって九百円ダウンした。ヨーロッパの場合には年々上げていったわけですね。それと同時にまた、エネルギーの石炭依存の度合いというものは、わが国と大きく事情を異にしておるわけであります。そういった点で、いわば日本が鋭角的な合理化、スクラップ・アンド・ビルドを敢行した。そういう一つの流れで、最近報告のあったような政策というものが次々に出されてきたと思うわけです。しかし私は、その前提になっている諸問題がずいぶん違いがあるのではないかと思う。ですから、ヨーロッパの政策について、われわれは国際的な傾向として十分把握をしなければなりませんけれども、これからの日本の石炭産業の安定というのは、戦略的には原料炭をどうしても一定量確保しなければならない。それに伴って一般炭も出てくる。また一般炭の優良炭鉱についても同様これは確保しなければならない命題があるわけでございますから、したがって、先ほど大臣にも申し上げたわけですけれども、この石炭産業の長期的な安定、こういう面では、特に、計画課長もおりますけれども日本の石炭産業の安定は生産をどう一体安定せしめていくか。ずいぶん先進諸国家の採炭技術等を取り入れておりますけれども、これだけで一体いいのかどうか。ばく大な経費を投じて優秀機械を導入しておるけれども、その機械が稼働しておる状況というものは一体どういう状態になっているのかということを検討してまいりますと、ずいぶん大きな犠牲を払ってきておることは間違いのない事実であるわけですね。私はそういう意味において、先ほど大臣にも質問したわけですが、石炭産業の抜本策を再検討といいますか見直しといいますか、さらに長期的安定をはかっていく場合に、不断の積み重ねというものが必要ではないか。技術的な積み重ねというものが必要ではないか。この点かどうも——こういう口はばったいことを言ってはおこられるかもしれませんけれども、わが国のマイニング技術、こういう面ではどうも創造的なものが少ないように見えるわけです。どうしても機械等は外国の開発機械に依存する、すべてそういう傾向をたどってきているわけですが、この辺で、その炭鉱の地質条件に合う採炭方式というものは、これからそんなに画期的なものは予想されないわけですから、どういった安定をさせるかということを真剣に私は考えるべきではないか。そして、それがやりいいように鉱区の調整というものは抜本的にすみやかにする、あるいはまた流通関係についてはこれはもう大いに改善できるわけですから、そういう面に強い法律の規制に基づいて、流通関係等はある程度規制をする。鉱区なんというのは、これはもう法律的に規制をすべきなんです。そういう一つの強い法律規制を伴っていくようなものが出てこないと、いつまでたってもさいの川原に石を積んでいるようなもんでありますから、私は特にこういう点について、審議会に諮問するのもけっこうでありますけれども、審議会に諮問する前のこの調査、分析、把握、こういうものをまだまだ真剣に詰めて行なわなければならぬのではないか。私はそういう意味において、いまの鉱業審議会の技術部会、これはもう技術的な政策を検討する場です。そうではなくして、自主的に生産を安定させる生産技術推進委員会といいますか、名称はどうでもいいのですけれども、そういうような構想のもとをつくり上げて、長期的な展望というものを生産技術の面から積み重ねる。生産技術は設計技術が伴うわけですから、そういうものも積み重ねて、その上に必要な政策を積極的に打ち出していく。基本はスクラップ・アンド・ビルドの方針なわけでございますけれども、要は、先ほど申し上げましたように、石炭再編成を必要な場合にはある程度やるという決意がなければ鉱区の問題も解決しないし、あるいはまた流通関係で見れば、昔の古いままの中小炭鉱であれば、百万トン出ている羽幌でもこれは中小炭鉱で、安定補給金は五十万トン以上だからおまえにはやらない、大手並みだ。売るときには中小炭鉱並みの値段で電力会社に納めている。これ一つ解決するったってたいへんなことですよ。相当な決意がなければできないわけですよ。やはりこの決意を、少なくとも当局としてはすべきではないか。それには、やはり石炭産業、を生かすためには、法律的な規制もやむを得ないこのくらいの、それこそ佐藤さんではないですけれども、勇断を持ってぜひ——来年度予算要求しておりますけれども、少なくとも、この予算の具体化とともに、来年度じゅうにはこれは仕上げなければならぬ問題でありますから、ぜひひとつ、いまからこの点についての検討を始めていただきたいということを、この際強く要望して終わりたいと思います。
  76. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十分散会