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1967-11-10 第56回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月十日(金曜日)    午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 八木 一男君    理事 天野 公義君 理事 小山 省二君    理事 丹羽 兵助君 理事 板川 正吾君    理事 島本 虎三君 理事 折小野良一君       葉梨 信行君    三原 朝雄君       山口シヅエ君    河上 民雄君       工藤 良平君    岡本 富夫君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 坊  秀男君  委員外出席者         経済企画庁水資         源局長     今泉 一郎君         大蔵省主計局主         計官      辻  敬一君         文部省管理局教         育施設部長   中尾 龍彦君         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤琦一郎君         食糧庁業務第一         部長      馬場 二葉君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         通商産業省化学         工業局窯業建材         課長      竹村  豊君         工業技術院長  朝永 良夫君         運輸大臣官房参         事官      内村 信行君         運輸省航空局飛         行場部管理課長 梶原  清君         建設省河川局水         政課長     上妻 尚志君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  産業公害対策に関する件(ばい煙、水質汚濁及  び騒音対策等)      ――――◇―――――
  2. 八木一男

    八木委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。丹羽兵助君。
  3. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 私は、本日の委員会で、委員長はじめ理事皆さま方の御了承を得て、一、二の質問をさせていただきたいと思いますが、その質問内容等、当局にも通告もしてございませんので、内容に深く立ち入ってお尋ねするには、相当の御調査の必要もあろうかと思うのでございまするので、きわめて概念的なことを一、二お尋ねをして、後日の委員会で、委員長お許しを得て、深くその問題を掘り下げてまいりたい、こう考えております。そうしたことでお尋ねをさせていただきまするので、もちろん私自身十分質問の用意をいたしておりませんから、どなたでもけっこうでございまするが、私の尋ねにお答えをちょうだいいたしたいと思います。  この法律国会を通りまするときに、「この法律は、公布の日から施行する。」こういうことになっておりまするが、公布の日は幾日であったか。そして、公布された以後、政府部内において、この法律精神に基づいて、各省間でどのような連絡、その他の打ち合わせをしておいでになるのか、それをまずお聞かせを願いたいと思います。
  4. 武藤き一郎

    武藤説明員 公害対策基本法は、先般の七月の国会で通過になりまして、八月の三日に公布施行になっております。この基本法法律につきましては、直ちに府県連絡いたしまして、この法律趣旨の徹底をはかった次第でございます。それから関係各省におきましては、八月、九月、ちょうど大蔵省予算折衝の時期でございますので、直ちにこの法律に基づきまして、新たな対策を要するものにつきまして、あるいは従来から対策をとっておりました問題につきましては、この法律精神にのっとりまして、それぞれ現在各省大蔵省のほうに予算措置等を要求しておる次第でございます。
  5. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 八月の三日に公布なさって、直ちに各府県に、このような法律が制定されたという御通知をせられた。なおまた、八月、九月については、各省でこの法律国民に守らせ、また政府自身もこの法律の上に立ってすべての行政を行なっていく準備のための打ち合わせをせられたというのですが、そのときに、もちろんこれは予算等関係もございましょうから、私のお尋ねすることよりも、いま御答弁のあったその趣旨は、四十三年度の予算要求中心としての打ち合わせをなさったのではないか、こう考えるのですが、四十三年度もけっこうでございますけれども法律施行した以上は、その日から、あるいはまた政令等で定める適当なときから守らなくちゃならない事項がたくさんあると思うのですが、そういうようなこと等を中心として、ただ来年度の予算要求中心としての打ち合わせじゃなくして、この法律が制定されて、政府はそれを守って行政を行なっていくのだというたてまえの打ち合わせといいますか、各省打ち合わせをどういう形でなさったかということを私は承りたいのであります。
  6. 武藤き一郎

    武藤説明員 総理府に置かれてあります各省連絡協議会というのがございますので、ここで、この対策基本法に基づきまして、各省がそれぞれ対策を直ちに立てていくという連絡は行なった次第でございます。ただ、対策基本法でございますので、先生が御指摘になるような取り締まり法のようには、具体的な対策各省で直ちにとっていくということにはなっていないわけでございますけれども、たとえば厚生省について申しますと、現在厚生省で主管しておる問題あるいは直ちにいろいろの法律を改正すべき問題等につきましては、各府県課長会議等を招集いたしまして、今後の改正すべき点あるいは強化すべき点等について、各府県公害課長等の意見を参酌している次第でございます。
  7. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 あなたがそういう御答弁をなさるならば、あなたにお答え願わずに、総理府のほうの対策協議会ですか、その方にひとつ御出席を願って承らなくちゃならぬと思うのですが、そもそもこの法案は――法律になっておりますけれども法案は、政府自身も提案しているのですよ。社会党さんも民社党さんも公明党さんもそれぞれの法案を出されたけれども修正はもちろん一部はされておりまするが、政府自身も、これは自由民主党の案じゃなくて、政府の案としてこの法案を出して、それが一部は修正されて、法律として成立したわけなんですね。そうしますると、この法律は非常に広い各省にわたる関係があるわけなんです。それを、政府自身がこの法案を出しておきながら、またそれを中心にして成立して、目的、定義のところにも書いてありますように、またあなた自身もお認めいただいておりますように、これは非常に広い範囲を持っておる。それが基本法であるから、基本的なことを考えて、各省でそれぞれの考え方をきめていくのだというような御答弁では、そういうばかげた考え方政府がしておったのでは、これは法律をつくったって何にもなりません。これは基本法であって、この精神各省との連絡をとって、たとえて申しますなら、上流一つ事業がなされる、下流において大きな被害を受ける。上流のほうは通産省から発するところの被害であって、加害の立場ですね。下流で受ける被害というものは農民であり、あるいは漁民であるということならば、これはまた農林省関係でしょう。あなたの御答弁を聞いていると、農林省農林省考えろ、河川のほうは河川のほうで考えろ、建設省のほうで考えろ、そう言って、何かここで協議会のようなものをこしらえて、ごまかし仕事をやっていこうというなら、こんな法律をつくったって何にもならないじゃないですか。それを私は言うのです。
  8. 武藤き一郎

    武藤説明員 公害対策基本法に基づきまして、公害対策会議公害対策審議会というものを設置するようになっておりますけれども、この点につきましては、現在総理府のほうで、この審議会委員等については人選を進めております。先生が御指摘されるように、確かに対策会議あるいは審議会の設置がおくれておりまして、この点については政府としても非常に急いでおるわけでございますけれども、おくれた点については遺憾に思っておる次第でございます。
  9. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 政府もせっかくこの法律国民のためにつくって、国民の健康を保持すると同時に、経済の発展もはかっていかなくちゃならぬ。調和をとりつつやっていくのだ。もちろんその表現のしかたは修正されておりまするけれども精神はそこにある。そこで、そういう法律基本法として定めて、各省の間の調整をとっていくのだ、こういうことでありまするが、あなたのおことばを聞いていると、私ども立法側ですから、そこまで考えておりませんけれども、少なくとも政党政府を持ってない野党側の方――言いにくいことですけれども野党側ならば、こういう法律をひとつ立法しよう、それからゆっくりとこの施行については考えていこう、と同時に、その他の準備ができるまでは公布の日を延ばしていこうという考え方も、野党諸君なら、これはあるかもしれません。しかし、少なくとも自由民主党ではないのです、政府がこの法律案を出したのでしょう。そうして、修正されたといったって、たいした修正はされていない。それでおって、この法律は八月の三日に施行になって、今日三カ月おくれておる。何ら審議会もつくらない。各省との関係も一向に具体的に進んでいない。こういうことなら、実際政府の怠慢じゃないですか。これは、ぼくら与党ですが、野党諸君なら、立法したけれども準備期間がある、政府は持ってないから、と言うでしょうけれども政府が出した法律でしょう。その法律でありながら、法律をせっかく国会でわれわれ通しても、政府がこれを実施していくというか、施行していくのに熱意がないというなら、ぼくは、公害対策基本法精神は、政府において踏みにじられておる、こう考えるが、いかがですか。
  10. 武藤き一郎

    武藤説明員 公害対策基本法施行になりまして、関係の施策なり準備が非常におくれておるではないかという御指摘でございますけれども、私が先ほど御説明いたしましたように、公害対策会議並びに公害対策審議会の発足については、御指摘のとおりおくれております。この点につきましては遺憾に思っておりますけれども関係各省は、来年度の予算なり、それから法律の改正なり、この夏以来鋭意検討を進めておりまして、その点につきましては、決して基本法ができましてなまけているということはないと、私ども考えておる次第でございます。
  11. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 なまけていることはないとおっしゃいますけれども、それじゃ、ぼくはこれから一つ二つ問題に入りますが、一体建設省農林省の間において、あるいはまた総理府の中の協議会とか対策委員会ですか、そういうような審議会、そういうものの調整をとって、どのように進められておるかという点を私はお尋ねしたい。それを尋ねて、それ以上のことは、また後日に調査をし、私自身の勉強の上でお尋ねさしていただきますが、たとえて申しますると、上流で、通産省関係と思いますけれども粘土を掘る、洗う、あるいはガラスの原料になるところの珪砂を洗浄する、そのために、思いもよらない、想像もつかない、河川汚濁されるのです。それは付近住民にとっては非常な不愉快なことでございますけれども、さしあたっての、これは生命等には影響ないにしたって、観光地はそのためにもう全部ゼロになってしまう。きれいな水が、その珪砂粘土を洗ったために、全然観光地としての、国民のいこいの場所としての性格というか、価値を失ってしまう。これを平気で、こうしたことの調整をとるということになっておりながら、建設省は依然としてその川に前と同じような、何らの指示もなく、何らその後、こういうものができたのだからひとつ調整をとろうという話し合いもなくして、同じ以上に流し込んでおる事実がある。ないとおっしゃるならば、ひとつ私があと場所を申し上げますから、御調査をちょうだいしたいと思いますけれども、流し出しておる。建設省のほうはそのまま、通産省のほうはその事業地に対して何らの注意も与えていない。そして下流に参りますると、肉眼では見えないようなこまかいこまかい粒土でございますから、それがかんがい水、たんぼの中に全部入りまして米はとれない。こんな豊作の年もとれない、こういうことになりますると、あなたのほう、厚生省にしてみれば、厚生省独自の考え方でいけば、国民の健康にも影響ない、危害を与えない、だから産業公害でないとおっしゃるかもしれませんけれども、この点からいけば、決してそうとは私ども考えていないのですよ。生活環境には、「人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含むものとする。」、こうある。その農民にとってはそれは財産じゃないですか。そういうことによって米がとれないようになる、大きな財産を侵すことになっておるのですが、これをどうしても防止されないというときには、それじゃ私はお尋ねするけれども下流農民に対しはどういう手当てをして損害の補償をするのだということを打ち合わせなさったことがあるですか。ないでしょう。部長さんだけにお尋ねするのは御迷惑ですから、その後一体通産省上流事業場に対してどういう指示をしたのか。それからまた、そういう汚水が落ち込むのに、河川水質汚濁という関係で、建設省はどういう指示事業場に――県を通じてでもけっこうですけれども、なさっていらっしゃるのか。じゃ、農林省はそういう被害に対してどのように補償するという道を考えてきたのか。それが基本でしょう。そういう関係を一元して解決していくのが基本法でしょう。いままでのように、通産省通産省でやれ、建設省建設省で目を光らしておれ、農林省はばたばた騒いで何ともならぬというような無力な態度、こういうことがあってはならないというので、基本法というものをつくって、政府がお世話なさるという、こういうたてまえの基本法だと私は考えておる。基本法ができてからその後、そうした関連は一体建設省何をやったのか、あるいは通産省何をやったのか、農林省はそれに対してどうこたえておるのか、どういうふうに受けとめておるのか、これをひとつ聞かせていただきたい。
  12. 上妻尚志

    上妻説明員 水政課長上妻でございます。河川管理者といたしまして、河川水質には非常に重大な関心を持つのは当然でございますけれども、実は水質保全法という法律で、一応そういうものは規制してきました。そういうものでやっていくというのがたてまえでございます。いま河川法では、二十九条に、河川流水にそういう支障を及ぼす場合には、政令で規制することができるという規定がございます。私どもはその内容をいろいろ検討しております。ところがいままでのいろいろないきさつがございまして、水質保全法のほうを改正いたしましてやっていくようにするか、水質保全法の体系からいきますと、河川管理者というのは全然タッチできないような形になっておるわけであります。それは政府部内においては、いまいろいろ協議いたしまして、その間で調整しなければいかぬということで、よりよい協議しているわけでございますけれども、いまそれで私たちがやっていることは、流水水質といいますか、それを定期的に調査をやっております。庄内川の場合は二級河川でございまして、これは管理者が県知事になっておりますので、県に通牒を流しまして、県でいろいろ調べる、そういう指導をしております。そういうような実情でございます。
  13. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 建設省にお答えいただいたのですが、じゃ、実際において、基本法なんてつくったってだめじゃないですか。いまずっと聞いておると、あなた方の考え方というのは、当委員会が前々から産業公害をやかましく取り上げて、国民としてはこういう基本法をつくって、各省といいますか、行政連絡をとって公害のない世の中をつくっていこう。もちろんそれには、産業というものも規制しておるのではない、産業の中に生ずるところのものをできるだけ除去して、生活環境のいいものをつくっていこうということを私どもやかましく言って、これが世論、国民の声として盛り上がってきた。これを、政府自身はいやいや受けて立ったような感じがしているのですよ。政府が積極的にこれを国民のためにやってやろうという考え方であったならば、いまのような答弁は出てこない。もう国会のほうがやかましく言ったので、まあやむを得ずそれにこたえて出したのだから、気持ちは全然ないので、基本法のようにはやっていかない、いままでのような法律でやっていくのだ――これじゃ、いま私が申し上げたように、政府自身はこういうことはあまり好ましくないが、国会がやかましいからやむを得ずこの法律をつくってごまかそうというようなことで、何ら進んでいない、全然進んでいない、こういうことでは、私はどんな法律をつくったって世の中はよくならないと思うのですよ。きょうはおこりませんが、もう少しこの法律を、いかに国会がやかましかったからといって、やむを得ずという考えであったかもしれませんが、法律として出た以上は、当然これは政府自身が守って、すべての対策をこの法の精神に沿って行なっていただきたい、こういうことを私は考えるのです。
  14. 武藤き一郎

    武藤説明員 ただいま先生が御指摘になりました設例の問題につきまして、先生は御不満のようでございますけれども基本法ができまして、少なくとも関係各省は、公害対策については従来よりもより以上に前向きの姿勢で取り組んでいることは間違いないと思います。少なくとも、私が八月以降いろいろ公害問題につきまして厚生省で関与した事件がございます。たとえば長崎市におけるクロームによる水道汚染の問題、あるいはあとで御質問があるそうでございますけれども、中部電力のマンガン問題、あるいは長野県におきます工場によります農民に対する被害の問題、いろいろ事件は起きております。こういう関係につきましては、少なくとも関係各省は従来以上の熱意を持って努力をしております。  申し落としましたけれども、たとえば公害で、いわゆる深夜公害というような問題につきましても、いろいろ問題が起きておりますけれども、こういう問題については、少なくとも基本法ができましてからは、従来より以上に積極的に取り組んでいる事実はあると思います。ひとつ、御指摘の点につきましては、なお今後叱吃激励していただきまして、関係各省がさらにいままで以上に公害問題に取り組むように御指導を願いたい、かように思います。
  15. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 私は飛び入りの質問お許しを願ったのですから、さっきから予定しておられる方に相すみませんので、これ以上のことは質問を重ねませんが、いま厚生省立場でお考えになっての御答弁はしごくけっこうだと思うのです。厚生省、あなたのところができるだけ公害防止対策を講じて、国民健康保健ということに御留意を願う、これはあたりまえのことだ。しかし、いま御答弁になったようなことは、ほんの小さな節穴からのぞいている問題を、一つずつ取り上げて解決したにすぎない。これは基本法をつくらぬでもやることであって、あたりまえのことです。そういうことではなく、基本法精神がどこにあるかということを、少なくとも大臣はじめあなた方、部長だとかあるいは課長だとか、行政の府の責任ある幹部の諸君考えていただきたいということです。そんなものは、建設省答弁を聞いたり、厚生省の話を聞くと、何度も言いますが、節の穴からのぞいたような問題を答弁していらっしゃるだけのことであって、そうした全体がつながるところの大きな公害対策考えることが基本法精神じゃないですか。それがなされていないということなんです。だから、ぼくらのほうも、何も憎いことを言うわけではございませんが、基本法の主管は当然厚生省にあると思います。総理府の中に審議会をつくることもけっこうですけれども、ほんとうに国民の生命健康を守っていただくのは厚生省なんです。厚生省国民被害者立場に立って、各産業ににらみをきかしていただく、そうして全体として公害防止対策的な施設もやる、対策も講じていくことが私はこの精神だと思うのです。そういう意味で、私は政府からの御答弁も受けて賛成したのです。そんな、いまのように、あそこの、どこの問題は解決しました、建設省では前からこういう法律があるのでそれでやっております、河川水質のことについては河川管理者には権利ありませんといったような答弁をしておったら、基本法をつくったって何にもならぬということなんです。それでありますから、その点を十分考えていただきたい。たとえて申しますれば、先ほど私が申しましたような、珪砂を洗うために川に水を流す、その流す水というのは、流して適当なものであるかどうかということを全体で考えていただかなくちゃならぬでしょう。どうしてもそれを流さねば――産業をやめるわけにいかない、事業をやめるわけにいかないとするならば、せっかく法律があるのだから、事業はやりなさい、しかし川の中にはきたない水を流しちゃいかぬから、沈でん池なら沈でん池のようなものでもつくってやればいいじゃないかということでも、ずっと考えていけば、下の国民から不平を受けなくともいいように、この法律になっているのでしょう。やってないじゃないですか。だから、そういうことをやるために、この法律はつくったのでしょう。ただ、出たものをすぐわあわあ騒ぐのではなくて、そういうものを発生しないように、みんなが健康なからだで生きていけるように、そうしてどの産業調和をとって――他の産業のために他の産業犠牲になっていくということは、調和がとれていないのですよ。だから、他の産業も生きれるように、他の産業犠牲にならないようにということをやるために、各省連絡をとって、厚生省がいやなことを言ってでも、調和をとっていきなさいということが、この法律精神です。それをやってもらわなかったら何にもならぬ。今後どういう方向でこの法律精神をあなた方が生かしていかれるか。熱意が私はないと思いますけれども、もし熱意があったら、また次の委員会のときに――次と言っても次会ではありませんが、適当なときに、また委員長お許しを得て、私はお尋ねしたいと思いますから、どうぞ具体的にこの法律基本法を生かしていくためには――むずかしいのですよ、農業基本法にしたって、あるいは林業基本法にしたって、一つの省だけの基本法でも、よその役所との関係が非常にむずかしいのです。ましてやこれだけ各省にわたるところの基本法でございまするから、非常に困難で複雑な点はあろうけれども、あればあるだけに、必要なことでございまするから、建設省はこれはどうなっておろうとも、おれのほうはおれのほうで、いままでの法律でやっていくのだ、厚生省のほうはいままでのやつを取りくずして解決していくんだというのでは、基本法精神は何もない、こういうことですから、どうぞひとつ、次会というのではないけれども、いずれかの機会にしっかりあなたのほうが――この法律を本気になってこの国会に出したのか、世間がやかましいから、国会がやかましいから、委員会がやかましいから、やむを得ず出しておいて、通ったらごまかし仕事でやっていこうという精神であるのか、これからの進めぐあいだ、こう考えますので、ごまかしでなかったら、なかったという態度を、この法律施行にあたって十分示していただきたい、こういうことを強く要望しておきますが、御答弁あったら御答弁を願いたいと思います。
  16. 武藤き一郎

    武藤説明員 公害対策基本法ができまして、この法律趣旨等につきましては、国民、特に関係企業関係者あるいは地方公共団体等には十分いままで以上に徹底して、公害対策に前向きに政府が取り組むということについて努力したい、かように思います。
  17. 矢島嗣郎

    矢島説明員 御指摘のように、公害対策基本法が八月にできましてから、具体的にはまだあまり進展ございませんが、基本法公害対策基本を書いたものでございまして、それに伴う実施は、新しい法律による場合もありましょうし、新しい予算による場合もありましょうが、それは国会その他ございますので、若干時間がかかりますが、既存の法律でもってやれるものは、私はどしどしやるべきだと思っております。それで通産省といたしましては、まあ前向きに省をあげてこれをやるべきものだと考えまして、私どもも、省内にすでにその趣旨を徹底するようにやってきておるわけでございます。先生指摘珪砂あるいは粘土の問題、こういうものは、先ほどこちらから話がありました水質保全法の問題もありますが、同時に通産省が現在持っております鉱業法あるいは採石法、こういう関係で、ある程度監督はできる点もあるのじゃないかと思います。私、先生指摘の点の具体的なものは承知しておりませんが、おそらくこれは鉱山局の所管でございますので、さっそく鉱山局長のほうに申しまして、遺憾のないように措置をとりたいと思います。  私の申し上げたいのは、新しい法律がおくれておるのは、御指摘のとおり、まことに申しわけないと思いますが、既存の法律でも、できるだけのことはいたして、早急に基本法精神を実施に移したい、かように考えております。
  18. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 次の質問者に御迷惑をかけますから、もう一点だけひとつお尋ねさせていただいて、おきたいと思いますが、いまのお話を聞いておっても、なるほどこの法律を軽視したり無視しておるものではない。これは基本法であるから、その基本精神に沿って、いままでの法律でやれるものはやり、来年度の予算にまつものはまつように努力をしておる。この考え方でいいと思いますが、ひとつ委員長お許しを得るならば、せっかく相当の期間かかってこの法律を審議した。そして政府にも熱意があるものと、われわれは与党ですから信頼しておるのです。しかし現実はそうでないような、批判を受けてもやむを得ないようなことになっておる。それを証拠だてるために、それぞれの法律はやっておる、基本法は尊重していくのだということならば、八月三日以降において――公害基本法が制定されたのだから、これによってこの法律に準拠するわけではないけれども、こういうものができたのだから、なお一そう産業公害に注意してほしい、他の法律に基づいてでも注意してほしいとか、こういう法律ができたのだから、より以上にというような――各省がいまやっている、やっていると言われるが、やっておるのはあたりまえ、いままでの法律でやっておるだけです。この公害基本法というものができた。八月三日に公布になった。だからこれができたからこうしろ、この法律によってこうしなさいということを通達なさった役所、通達事項、全部ひとつ私のほうに委員長から出していただくようにお願いしておいて、質問を終わりたいと思いますので、ひとつお答えを願いたいと思います。
  19. 八木一男

    八木委員長 ただいま丹羽委員の御要望になりました、各省の通達全部集めて御報告させる点につきましては、委員長において急速にそれを取り扱いたいと思っております。
  20. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 その通達は、大臣の通達というのはありませんでしょうから、次官通達であるか、あるいは局長通達であるか。そして通達の内容各省のものを委員長の必要と思われるところを、全部ひとつもらっていただくようにお願いしたいと思います。これで終わります。
  21. 八木一男

    八木委員長 ただいま丹羽委員の御要望のありました、公害基本法ができた後における、公害防止のための各省の次官あるいは局長その他すべての通達について、各省から取り寄せ御報告をいたすようにいたします。  各省に、この場において要求をいたしておきます。ただいま丹羽委員の要求されました資料については、即刻に整備されて、当委員会のほうに提出をしていただきたいと思います。なお、ただいま出席を見ていない行政官庁がございますから、総理府なりあるいは農林省なり、ここにいないところについては、委員長のほうからさっそく各省連絡をいたしまして、取り寄せるようにいたしたいと思います。  それから、各省に申し上げておきたいと思いますが、いま丹羽委員公害防止のための非常に熱意を込めた非常に貴重な御意見がありました。各省連絡が十分でない。また公害対策基本法ができた後において、非常に積極的に対処したようなことがうかがわれないというような御意見に対して、各省は施策をされて、公害対策基本法ができた現在において、公害防止の行政が急速に進むように、各省連携をとって一体となって、この基本法精神が生かされるように、行政上の最大急速な措置、あるいはまた、それが欠陥がある場合の立法措置の準備、及び予算の推進その他地方行政官庁との連絡、すべての点について非常な熱意を込めてやってもらわなければならないと思いますので、丹羽委員の御意見について、委員会として、このような要求をいたしておきます。次会丹羽委員あるいは他の委員から同様の御質問があったときに、政府はよくやったと言われるような業績を急速にあげていただきたいと思います。いま出席をされていない各行政官庁については、厚生省公害部のほうから至急に連絡をして、各省一体になって推進されるように要求いたしておきます。
  22. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 終わります。
  23. 八木一男

    八木委員長 島本虎三君。
  24. 島本虎三

    ○島本委員 いま丹羽委員のほうから、ほんとうに心髄をえぐるような政府公害基本法に対する、いわば姿勢をついたいい意見の開陳を含めた質問があったわけであります。私はその点はまさに同感でありまして、政府全体の姿勢であり、これは窓口が厚生省であり、事務局も主管省も厚生省であるとするならば、この姿勢については、厚生大臣出席を求めた以後において開かなければなりません。まだ要求している厚生大臣が来ておりませんから、この問題については、厚生大臣が来てから触れることにさせてもらいます。私は丹羽委員のその質問だけで満足するものではございません。その意味を初めから申し上げておいて、それまでの間、出席されております政府委員の皆さんに対して、まず順を追うて質問させてもらいます。  まず第一点でありますけれども、これは前回の公害対策委員会でもうすでに御存じだと思いますけれども、水俣病と同じように脳神経をおかす危険があるといわれている、これまた問題になった中部電力の四日市発電所の活性酸化マンガンを使用する排煙脱硫装置について、その後の経過について伺いたいと思うのです。  前会は、まだ結論が出ておらなかった、こういうふうなことでございます。七月の二十日現在では、安全性に対して、厚生省通産省の間で疑問点があったので一致しておらなかった。したがって、大規模なテストをする前にもう一度再検討せい、こういうようなことに相なっておったと思うわけであります。その後ここに両省の意見が一致し、現地のほうでも、現地関係住民を集めて、いわゆる説明会を催したかのように聞いておるわけであります。もしそうだとすると、そのテストの結果について、国会としても重大な関心を持っているわけであります。これは進んで説明をすべき事項であったはずだと思うのでございますけれども、いま丹羽委員が申されましたように、姿勢と申しますか、積極的に進んで説明がございませんので、私からこれを質問させてもらいたいと思います。その後の経過について、どのような結果をここに出したものであり、住民との間に話し合いが円満にいったものであるかどうか、この結果を報告願いたいと思います。
  25. 朝永良夫

    ○朝永説明員 工業技術院長の朝永でございます。工業技術院といたしましては、この活性酸化マンガンによります方法の研究開発を意図した当初から、単に技術的な問題だけでなく、マンガンに関する環境衛生的な面につきましても、十分専門家の意見を聴取した上で、研究開発に着手したものでございます。そしてこのような心配は全くないという確信を持っておりましたが、さらに、環境衛生に関する問題でもございますので、厚生省の意見を十分聞く必要があるということで、厚生省の御意見を伺ったわけでございます。先ほど厚生省との意見が多少違っていたんじゃないかという御意向がございましたが、意見の食い違いというのではなくて、厚生省としてはさらに慎重に調査をしたいということでございまして、その後慎重に厚生省のほうでも調査をなさいました結果、全くその心配はないという結論に、ごく最近到達いたしたわけでございます。この運転研究は支障がないという結論に達しましたので、十一月四日に地元の四日市市で、三重県及び四日市市共催の住民に対する説明会を開催いたしまして、地元の住民の方々の納得も得たものと考えております。現在の予定では、十二月五日ないし六日ごろから実験を開始いたしたいというふうに考えております。
  26. 島本虎三

    ○島本委員 当然住民は被害者でありますから、被害者は若干の被害でも発生した場合は人命にかかわる、こういうようなことからして、最も慎重であっただろうと思うわけであります。私は、ここでその心配を代表して聞きたいと思うのですけれども、このいわゆる試験装置の運転については、万一のことがあり得ないのかどうか、たとえばけさのような地震があっても何でもないのかどうか、また台風の襲来に対しても万全を期し得られるのかどうか、こういうような点についてはどのような結論でございますか、なお、さらに伺っておきたい、こう思います。
  27. 朝永良夫

    ○朝永説明員 お答えいたします。  活性酸化マンガン脱硫装置につきましては、これは試験装置でございますが、この設計、製作及び工事の施行は、火力発電所と全く同じ恒久施設の基準を適用しております。地震につきましては、関東大震災程度の大地震に対して、約二倍の安全率を持った耐震設計をいたしております。また台風について申しますと、風速六十メートルというような室戸台風級の台風に対しまして、約二倍の安全率を持った設計となっております。したがって、今後わが国で起こり得ると考えられる大地震、大台風に対して、十分安全が保てるということになります。このように、地震、台風によって装置が破壊されることはありませんので、マンガン粉じんの散逸の危険はないものと考えております。
  28. 島本虎三

    ○島本委員 そのように学術的にも明確な結論が出たということは、私は心から喜んでおきたいと思います。ただ、それは学術的な研究の結果であって、それを実用化した場合に、万一の災害がないということは、どういうような場合でも言えないのであります。ことにそれが通産省並びに厚生省が責任を持って無害を表明したものである以上、万一の場合の保障はやはり明確にしておかなければならないと思うのです。これについて、通産省かまたは厚生省か、こういうようなことに対しての考えがありましたならば、政府の意見として、明確に表示願いたいと思います。
  29. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 安全性に関しましては、いま工業技術院の院長がお答えしたとおりでございますが、私どもも、技術的にはそのことを信頼いたしまして、そのような万一ということはないと考えておりますが、しかしいまお尋ねのとおり、万一ということがありました場合には、これは全額国庫負担でその研究を委託した事業でございますので、その責任は第一義的には政府の負うべきものである、かように考えております。
  30. 島本虎三

    ○島本委員 台風に対しても、これは十分予防措置は安全性の上からも講じてある。地震に対してもそれは強力に講じてある。万一の場合においても完全な補償がある。こういうような三つの条件が整った以上、住民としては極端なことのない限り納得できたのじゃないかと思いますけれども、当日出席されました部長の方で、住民がこれに納得したかしないか、この点について簡単に御答弁願いたいと思います。
  31. 矢島嗣郎

    矢島説明員 十一月四日、現地の県と市の主催で説明会がありまして、私、通産省を代表しまして、出席いたした次第でございます。なお、厚生省からも橋本公害課長出席しております。  私が最初に、現地に非常に不安を与えたということについて、これから説明するということを申し上げまして、それから通産省のほうの技術院の人が、技術的にいろいろ説明しまして、特に安全装置が、もし万一予定以上にマンガンが出そうだという場合には、直ちにブザーが鳴り、取りやめることになる。それから今後実験をやるについても、監視体制を十分にして、現地の人とも協力して、これをよく監視する、そういうようなことを強調して、説明いたしました。それから、次いで橋本公害課長が微に入り細にわたりまして、研究した結果を伝えました。特に橋本公害課長の説明ぶりとしては、念のためにあらゆる点から最も悪いことがあり得るのじゃないかと疑ってみるというような言い方で、あらゆる点を疑って究明した結果、支障がないというようなことを中心にして、詳細に説明がございました。それに対して、率直に申しますと、最初のうちは若干不安の念を持っていろいろ質問がありました。私の記憶では、およそ十カ点くらいにわたって次々と質問者がございました。それに対して、通産省及び厚生省のほうからまた懇切丁寧に、いわば対話調でもってじっくりと説明いたしましたところ、皆さん納得したと私は信じております。  最後に、補償の問題について、たしか私の記憶では三人くらいの方が質問されておられました。なるほどこの点は、一番現地の関心事であると私は感じたのですが、最後に私、締めくくりとして、この補償の点について私みずからが答えまして、ただいま政務次官がお答えしたと全く同じようなことを明らかにしましたところ、いろいろな質問をすべて終わりまして、私の見るところでは、現地の方は十分納得したものと考えております。
  32. 島本虎三

    ○島本委員 いままでの報告は、そのまま私は受け取りたいと思います。なお今後万全を期するためにも、若干の人は、いままでの自分が公害におかされておる体験上からきた一つの恐怖心もあろうかと思うのであります。自己保全のために当然だと思います。今後それを実用化する場合には、いろいろな点でそういうような人の意見を十分聞いてやれるような、そういう運営にしておいてもらいたいということをつけ添えさせてもらいたいと思うのであります。運営上当然できると思いますから、その辺の配慮は十分していただきたいと思います。通産政務次官、いかがでしょうか。
  33. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 仰せのとおりでございます。十分今後配慮してやってまいりたいと思います。
  34. 島本虎三

    ○島本委員 では、この問題については、これで一応了解したことにしておきたいと思います。なお、私のほうでも十分調べてみたいと思います。  次に、大臣がまだ来ておりませんが、次の問題に入りたいと思います。それは、公害対策基本法が八月三日に公布施行されて三カ月、丹羽委員から、政府の姿勢についてもいろいろ申されました。しかしながら三カ月たっておる現在までの間に、各省では相当それに対する対策が講ぜられておらなければならないし、既存の法律に対しましての改正、それは基本法にのっとって必ずこの点が問題点であるというような、そういうようなえぐり方を当然して準備されておることだろうと思うのです。新しくつくる法律、それから既存の法律は、基本法にのっとってこれを修正、改正する、こういうようなことが当然準備されなければならないし、しておらなければ、名実ともに皆さんが怠慢だ、こう言わざるを得ないわけであります。  以下、私が聞きたいことについての態度を明確にしておいてもらいたいと思うのですが、まず厚生省、紛争処理基金問題については、その後どのようにしてこれを実施しておるのか、またはおらないのか、この件について報告願いたい。
  35. 武藤き一郎

    武藤説明員 紛争処理の問題、救済制度の問題につきましては、先般の委員会予算内容のときに御説明いたしましたとおり、現在、大蔵省関係予算を要求して、大蔵省のほうからは、その後詳細な質疑を行なわれております。本日も、関係課長大蔵省の主計官と折衝をやっておる次第でございます。  法案内容につきましては、さきの委員会で概略お話し申し上げましたけれども、その点につきまして、いま法制局に部内で進めておる状況でございます。
  36. 島本虎三

    ○島本委員 基本法に基づけば、この補償の問題とからんで、紛争処理基金の問題は一つの重要な点であったわけであります。進めておる、これはけっこうでありますから、成果あらしめるようにやってもらいたい。  ほかにどのような法律案を具体的に準備しておるのか、また改正せんとしておるのであるか、厚生省のほうから、順番に承りたいと思います。
  37. 武藤き一郎

    武藤説明員 紛争処理、救済制度に関する法律のほかに、現在部内で検討し、近く成案ができますれば関係方面に折衝いたしたい、かように思っておりますものは、一つは大気汚染関係法律でございます。これは現在ばい煙規制法という法律がございまして、通産省と共管いたしておりますけれども、この法律につきましては、世間でざる法というような御指摘もあるようでございます。この点につきまして、たとえば予防的に地域の拡大ができないか、あるいは現在企業等に対しましては、スモッグ等の状態のときに燃料切りかえをお願いするというような規定になっておりますが、こういうような点につきまして、もう少し強力な指示ができないかというようなこと、あるいはそのほか、地方公共団体のほうから、いろいろと規制の強化についてサゼストを受けておりますので、この点についていま検討を行なっておる次第であります。  次は、公害防止事業団法の改正であります。公害防止事業団法によりますと、融資対象は、現在産業公害に限られておりますし、この適用地域も、ばい煙規制法あるいは工排法の指定地域だけに限られております。この点につきまして、都市公害、あるいは指定地域以外でもいろいろ公害問題が起こっておりまして、関係のほうから融資のあっせんについてきわめて強い要望がございますので、そういう点についての法律改正を検討しております。この点は、主として大蔵省のほうの御了解を得ることが必要だと思います。  それから第四番目には騒音関係の問題でございます。現在騒音関係は、たとえば飛行機の問題につきましては運輸省で法律を所管しておられます、あるいは砂利の問題は通産省のほうで所管されておりますけれども、そのほかのいろいろの騒音については、各府県あるいは市町村がいろいろくふうして条例でやっております。こういう点につきまして統一的な騒音規制法といいますか、総合的、基本的な騒音に対する規制法を制定してほしいという地方公共団体の要望がありますので、こういう点につきましてもあわせ検討をやっております。
  38. 島本虎三

    ○島本委員 大体わかったわけであります。  そうすると、これはものになるものである、こういうようにわれわれ考えますけれども、その中で騒音防止法から除外されているのに、すでに関係立法の一つとして出された民間飛行場周辺のあの問題と、いわゆる基地周辺に関する問題と、それから自動車に関する問題が除外されるのではないか、こういうふうに思うのです。飛行場周辺の問題は、運輸省の関係では法律施行されましたけれども、その後政令や省令、こういうようなものは完全に出してあるか、または出す準備が整ってあるのか、この点について具体的に御答弁願います。
  39. 内村信行

    ○内村説明員 御質問の点につきましては、飛行場部管理課長から詳細御説明申し上げます。
  40. 梶原清

    ○梶原説明員 お答えをいたします。  第五十五回特別国会におきまして、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律が慎重に御審議を賜わりまして、八月一日に公布施行を見たわけでございます。それを受けまして、その法律施行令を九月の七日に政令第二百八十四号で公布施行に相なっております。そのあと省令なり告示なり内部の取り扱い手続、処理基準というのをつくらなければいけないわけでございますが、私どもとしましては、この法律を一日も早く実施に移したいと考えているわけでございますが、まず私ども考え方といたしまして、この法律に基づきまして措置をすべき五つの事項のうち、本年度に三億円の予算をちょうだいいたしております東京国際空港及び大阪国際空港周辺における騒音防止工事の助成あるいは共同利用施設の助成というのを早く実施に移さなければいけませんので、その関係の告示を去る十月二十三日に告示三百八号、三百九号、三百十号、この三つの告示で出したわけでございます。これに関する取り扱い手続なり処理基準を鋭意検討をいたしておりまして、十一月中にはそういう手続一切を終えまして、また現実に予算の実行できる段階にまで持っていきたい、こういうように考えているわけでございます。  残ります三つの措置でございますが、そのうち移転の補償等につきましては、できるだけ早くこれも指定区域あるいは除外区域の指定の手続をとりたい。これは告示として出すわけでございますが、大体年内には実施できるのではないかと思うわけでございます。  あとの、損失の補償と、それから航空機の航行の方法の指定の手続でございますが、これも別途並行いたしまして作業をいたしております。これもこれに引き続いて告示なり省令の手続をとりたい、かように考えているわけでございます。
  41. 島本虎三

    ○島本委員 経済企画庁おりますか。水質保全法並びに工場排水規制法、この問題も、基本法にからんで、それが施行された以後においては、当然現行の法律が改正されなければならない法律一つとしていわれておったわけでありますが、この問題について、企画庁としてはどのように考え、実施せんとするのでありますか、その大綱を伺いたいと思います。
  42. 今泉一郎

    ○今泉説明員 先生も非常に詳しく御存じのことと思いますが、実は先ほども丹羽委員の御質問にあったのですが、公害防止の法律体系問題を法律体系として考えた際に、御承知のように、水に関しましては、公共用水域の水質の保全に関する法律というのが、たしか三十三年でございますかに制定せられまして、それをもって産業間の協調、協和という問題と同時に、公衆衛生の向上、そういう見地からも、この法律を運用するのである、またこれを設けたのであるということが法律自体に書いてあるわけでございます。そういう趣旨に従いまして、私どもとしても多くの水域について指定をし、またその水域に関する排水基準をきめてまいったわけであります。したがいまして、この公害基本法ができまして、音とか――各種の音について、私は若干知識が不正確かもしれませんが、新たに立法しなければいかぬような問題も、先生指摘のように、あるわけでございますが、水に関しましては、単独法として、ほかの工場排水法と関連しまして、すでにそういう法律体系ができておったということだと思うのであります。ただ私のほうは、今度公害対策基本法もできましたによりまして、一そう基本法趣旨に沿いまして、この水質保全法を、各省の御協力も得まして、しっかりやっていかなければならぬ、こういう立場におります。法律的、技術的に見まして、この法律の改正を要するかどうか、この点につきましては若干問題はあろうと思います。それで、ただいま部内でいろいろ検討しておりまするが、たとえば基本法に規定されておる環境基準、これを水ではどう考えるか、あるいは水質の基準をきめましても、これの実行を監視し、これを追及していく、そういうふうなたてまえ上、現行法に欠点はないかどうかというようなこと、あるいは地方自治団体でそれぞれやっておられるところがございます。そういう条例との関係をいかに考えるかというふうな点も、少し法理論的には詰めなければいかぬのじゃないか、こういう考えでやっております。どちらかといいますと、私ども実際に運用していく上において、私こちらへ参りまして非常に新しいのでございますけれども、やってみますと、一番むずかしいのは、やはり人命の尊重あるいは生活環境の向上、そういう要素と、水質を汚す原因となる各種産業の実態、負担の問題、この調和というものが非常にむずかしゅうございます。もちろん人命にかかわるようなことがあってはいかぬわけでございますから、そのつもりでやっておるのでございますが、現実の問題となると、実行の面で相当むずかしい。それで、私どもはこの点につきましても、先生のおっしゃるような御鞭撻を受けることは非常にありがたいのでございます。ただいま、水については、企画庁が総合調整官庁みたいなことになっておる関係もございまして、各省のそれぞれの関係の御協力を得て、一段としっかりやってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  43. 島本虎三

    ○島本委員 坊厚生大臣が参りましたが、承りますと、時間は三十分だけなんだそうであります。三十分にこだわらないで、ここに十分質疑を展開したいと思いますが、大臣よろしゅうございますか――いいですか。
  44. 八木一男

    八木委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  45. 八木一男

    八木委員長 速記を始めて。
  46. 島本虎三

    ○島本委員 質問を続けます。  大臣に直接伺います。これはもう先ほどから、大臣が来ないうちに、ここではいみじくも丹羽委員のほうから高邁な質問が出たわけでございまして、われわれこれは傾聴に値するものだ、こういうように思ってまいりました。私も常々その点は二、三指摘しておいたところであったわけでございますけれども、御存じのように、八月の三日に公害基本法公布施行されておるわけです。それからいままで約三カ月の間、これは具体的に進めなければならないし、進めさせなければならない。主管大臣はだれかといえば厚生大臣、主管省はどこかというと、これは公害対策基本法の問題で審議していたおりに、これはやはり厚生省ということでありますから、そうすると、その省は厚生省ということになるわけであります。この重大な公害問題と取っ組む、その基本法公害基本法、そのもとに各省のそれぞれの立場、また関係立法並びに既存の法律に対して改正すべき点は、いま聞いておる最中だったわけです。そこへ大臣が来たわけです。それでそのほうはそのままにしておいて、あとに残すことにして、大臣質問いたしますけれども、この大事な各省間の重大な連絡機関でもあり、なおかつ重要な委員会でなければならない中央の対策会議審議会、これは大臣のほうでおきめになりましたか。でなければ、どういうふうなことになっていますか。その辺の事情をつまびらかにしてもらいたいと思うのです。
  47. 坊秀男

    ○坊国務大臣 基本法によりますれば、いま御指摘のように、公害対策基本方針というものをきめてまいるのは、対策会議にかけてきめるということになっておりますし、それから、そういったようなものをどういうふうに実現していくかということについては、諸般の審議会というようなものがやっていくということになっております。  そこで、ただいま御質問のように、おまえのほうで、一体その対策会議なり審議会というものについてどういうことをやってきたか、こういう御質問でございますが、今日ただいまのところは、まだ対策会議あるいは審議会といったようなものについての緒についておりませんけれども、これはできる限りすみやかに、対策会議等の段取り、審議会等の編成というものを、私のほうから、ひとつ内閣に対しまして申し入れるつもりでございます。
  48. 島本虎三

    ○島本委員 その決意のほどは、三カ月前にもうすでに伺っておるのですね。けれども、三カ月たっても同じように、これから内閣に申し入れる決意だということであると、これはやはり三カ月間何をやっていたのだということに当然なる。あなたは、どうせ内閣改造があっても残る人でしょう。もうすでにこれをやらないでおいてどうなるのですか。これは当然やっておかなければならないはずなんです。それを、三カ月前といまと同じような答弁をここに繰り返しておるということは、これは内部自身に意欲をわかせないことが一つと、国会に対してはあまりにもあなた失礼ですよ。三カ月前に同じようなことを言っているのですから、もう成果がなければならないのに、三カ月たったのにまだ同じようなことを言っている。これじゃ私どもとしてはまことに困るのです。ことにこの委員会八木一男委員長は、人格、識見ともに高邁な人なんです。その人の委員会のもとで、厚生大臣が少しでも委員会に対して軽視するようなことがあっては困るのです。同じ答弁を二カ月、三カ月繰り返すことがないように、今後ははっきりこれをきめてもらいたいと思う。早くやらなければ、公害対策がそれだけおくれるでしょう。いま各省のいろんな状態を聞いてみても、やはりちゃらんぽらんな点もないわけでないでしょう。それはやはりあなたがこういうようなことをきめないからです。やはり主管大臣として、主管者として、怠慢のそしりを免れません。これは早くやるべきです。いつやりますか。
  49. 坊秀男

    ○坊国務大臣 たいへんおしかりを受けまして、私も非常に胸にこたえております。そういうようなことでございまして、当委員会には、委員長はじめ私の尊敬する委員の皆さんも大ぜいいらっしゃることでございまして、今日までおそくなったということにつきましては、私はこの席で遺憾の意を表しまして、できるだけすみやか、と申しますのは、私は少なくとも来月までに開きたい、かように考えております。
  50. 島本虎三

    ○島本委員 大臣に重ねて聞くのはなんですから、それで了解しました。成果あるように祈っております。これが早くできないものですから、厚生省当局にいろいろ聞いても肝心の点がぼけるのです。準備されている法律、その要点もわかりました。しかし、肝心の阿賀野川の問題で、こういうような一つの特定の毒性の物質に対するいろいろな規制をする必要があるのかないのか、こういうようなことは、やはり早くきめないとだめでしょう。ですから、いろいろきめても、いわゆる公害部長のほうからそれに対する的確な答弁を出せない。阿賀野川、この問題一つとらまえても重要な問題なんですから、これは早くすべきです。阿賀野川の毒性物質等についての規制について、部長はさっき答弁がありませんでしたが、考えておらぬのですか。
  51. 武藤き一郎

    武藤説明員 特定の毒物についての規制をすべきじゃないかという意見はありますので、そういう点につきましても、現在、検討は行なっております。
  52. 島本虎三

    ○島本委員 だから、さっき言ったときにちゃんと言えばいいでしょう。言われなければ答弁しないというのは、したくないからだ。そういうようなことであってはいけません。大臣が来たから、今度は遠慮なしにどんどん答弁してください。すべて大臣が責任持って処理をすることになっております。  それと同時に、今度は私のほうでは――文部省、来ておりますか。
  53. 八木一男

    八木委員長 文部省、来ております。
  54. 島本虎三

    ○島本委員 こっちへ来てください。――文部省に対して、特に今回聞いておきたいと思います。  それは、昭和四十二年の六月の調査によりますと、公害の蔓延が小学校、中学校――学校にまで及んでおる。そして学校周辺の教育環境は、郡部のほうは若干はいいけれども、都市部はことに最近悪くなっておる。小学校は五三%、中学校は五七%、それから郡部では小学校一九%、それから中学校二九%、その悪いという環境のその原因を摘出してみると、公害によるものが圧倒的に多い。それは小学校の場合には、これは都市部では四三%、中学校では五一%、それから郡部のほうでは逆に公害のほうが、小学校では六三%、中学校は六〇%、こういうようなデータが私の手元にあるわけです。そうすると、これはもう公害の原因によって、教育環境が最近は著しく悪くなってきておる、こういうことなんですけれども、もちろんこれは児童の健康に重大な影響があるはずです。これに対してどのような手を打てきておるのでありますか。この点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  55. 中尾龍彦

    ○中尾説明員 御指摘のように、公害は学校に及んでまいりまして、一番大事な発育期にあります学童たちの教育上あるいは保健上に重大な影響を及ぼしてきているのは、御指摘のとおりであります。そこで私どもとしましては、こういう公害問題というのはかなり複雑な要素はございますけれども、何はともあれ、自衛手段として、学校自体の環境を教育なり保健に適する状態に置きたいと考えまして、来年度の予算におきまして、最も公害がはなはだしい学校から着手して、そういう公害対策を実施したいと考えまして、現在約七億の予算を計上して要求中でございます。この学校に対する公害という問題は、この公害の発生源を抑制していただくのが一番根本的でありますけれども、いろんな問題がございますし、時間的にも間に合わないと考えまして、自衛手段として、こういう措置をとった次第でございます。
  56. 島本虎三

    ○島本委員 七億の予算を要求してこれに対処するつもりだということはわかりました。  学校の中には――これはどこで調査したのかわかりませんが、おそらく文部省でしょうが、千九百四十七校、全校の約四・四%が重症校と言われるような騒音並びに公害被害を受けている学校である。なお各地域のこれに該当するもの全部を入れれば二千二百にも及んでくるような状態であり、放置できない。そうして二重窓、空気清浄装置並びに夏の場合には冷房、こういうようなものを入れたにしても、予算措置はとうていこれは間に合わないものである。こういうようなことが盛んにわれわれの耳に達するわけであります。そうなりますると、これは重症校対策ということは、騒音並びにばい煙、悪臭、振動、地盤沈下、いろいろな形態があるわけでありますけれども、これはもう重点的にこれに当たらなければならないし、それが木造の学校である場合には、ここに画期的な対策を持ってこなければならない。費用の負担、こういうようなものに対しては、文部省だけではなしに、運輸省なり防衛庁なり、おそらくは厚生省のほうに、いろいろな点でこれはお願いしなければならない状態に相なるのではないかと思うのです。七億の予算で、いま言ったような重症校対策、木造の学校対策、こういうようなものが十分できるのでしょうか。
  57. 中尾龍彦

    ○中尾説明員 ただいまお話がございましたが、数字をあげてのお話でございまして、その数字は、文部省の本年度の調査の結果の数字をいまお話しいただいたものでございます。その数字のように、きわめて多数の学校がおそるべき条件下に置かれている、こういうことでございます。その対策としまして、いまお話しいただきましたけれども、木造の校舎等は気密性に乏しく、汚染された大気が侵入してくる、あるいは騒音なども入ってくるということもございますので、木造の学校であればこれを鉄筋に改築して、そうして冷房装置あるいは空気清浄装置というようなものをつけなくてはなりません。そういう費用を、重症校を優先的に取り上げて計上したものが七億でございます。  なお、発生源の、たとえば交通騒音等につきましては、その学校間だけでも速度制限をしていただくとか、その他クラクションを鳴らさないとか、そういう対策もぜひ実施したい、かように考えております。
  58. 島本虎三

    ○島本委員 ことに都市部においては、学童の肝臓の障害が発生しておるということを聞くわけです。四日市では、欠席率が普通の学校の一・七倍、肺活量が極端に低くなっておる。咽頭炎が大阪や千葉のそれぞれの学校の一・五倍に達しておる。これは四日市です。そうしてコンビナートから出る粘膜刺激症状、こういうようなものによってのどの痛み、吐きけ、たんが出たり、熱が出たり、おまけに今度は下痢や腹痛まで伴っている状態が系統的に出されているのです。学童にまでこういうようなものがあらわれた場合には、その学童に対する対策は、体育だけではなくて、健康管理の面にも当然及ばなければならぬわけです。私どもがそれに対して調べてみたら、残念ながら、手洗いを励行させたり、うがいをやる程度だということを聞いているのですが、その対策はこれよりほかないのですか。
  59. 中尾龍彦

    ○中尾説明員 ただいま御指摘がございまして、学校で、現実に手を洗うとか、うがいをする程度のことしか行なわれておりませんけれども、健康管理ということはきわめて重大でございますので、これをひんぱんに診断を行なうように、いま委員会のほうで検討していただいております。
  60. 島本虎三

    ○島本委員 やらないよりはいいんですけれども、もうすでに肺活量が低くなったり、肝臓の障害があらわれたりしているのに、手洗いを励行したり、うがいをやったって、これはだめなんだ。そういうような人に対しては、特別にそれはもう養護するなり、特別の施設や措置をしてやらぬといけないです。何もそれに載っていないということは、おそきに失するからいいという問題じゃありませんが、まだ熱意も足りないのじゃないか。これに対してははっきり、措置は万全を期してもらいたいと思うのです。文部当局はせっかく学校公害、これも小中学校に関しては特に調査を厳密にしているのですから、いろいろな障害にわたるような点があったならば――大臣も来て、今後はいろいろその衝に当たる、こうまでも、お聞きのとおり言っているのですから、どんどんこの対策をやってもらいたい。手洗いやうがいくらいで、あとお茶を濁しておくなんてもってのほかです。今後これに対して完全にやってもらいたいと思うのです。いいですか。  そのほかに、私は、これはもう北海道にも同じような事態が起きた、その問題について若干触れさしてもらいたいのです。北海道の場合は、やはり防音装置をやっても、夏は暑い。しかしながら、もう小学校でも、同じ調査によると、騒音による被害が相当あるわけです。それとまた、大気汚染による被害校も相当あるわけです。それと、その他各種の公害による被害校も相当あるわけです。私どもは、ばい煙と騒音の二つに分けてみても、北海道の場合には、空港、工場、演習地、これによる騒音をずっと見ても、最高の被害を受けているのが、五十分単位一授業の間に最高二十機、平均五機、これはジェット機の騒音に悩まされている基地周辺です。それと同時に、今度は大事だと思うのは、ある千歳の中学校です。青葉中学校というところでは、四・五キロの地点に自衛隊の飛行機が墜落した事件が五月の九日にあったわけです。三十秒ずれればそこへ当たっている。ちょうど進入路にあたるようなところに学校がある。これは当然移転を考えなければならないはずなんです。こういうような総合的な公害対策なんというものは、やはり文部省ではもっともっと強力に立てなければならないじゃありませんか。私はそのほかに、ばい煙によるいろいろな状態も指摘したいのですが、あまり時間がございませんので、資料はありますけれども、この次にさしてもらいます。まず、この騒音の場合に、こういう進入路というようなところにある小学校、こういうものは当然移転させなければなりません。そういう対策は十分講じてありますか。
  61. 中尾龍彦

    ○中尾説明員 自衛隊の航空基地周辺のそういう騒音問題につきましては、自衛隊のほうで負担して、移転あるいは防音工事というようなものをやっていただいております。これまでに、板付の飛行場周辺等においてそういう実施例もございます。
  62. 島本虎三

    ○島本委員 あなたの答弁では、みんなよくなっているはずなんですよ。みんなよくなっているはずなのに、さっぱりよくならないから、こういう被害が出てくるんですよ。いままでの対策で十分じゃないのです。今後十分やってもらいたいための質問なんです。足りないのです。これは九牛の一毛ですよ。文部省も、この点は資料だけは整っているけれども、政治的にはもっと積極的にやらぬといけません。子供の場合は、特に生命を守る、この教育以前の問題もあるのですから、もっと積極的にこの問題と取っ組んでください。いままでの答弁は、もう数ある政府委員の中で、あなたの日本語はりっぱですけれども、誠意の点と政治的な配慮の点では、私は十分だと考えられません。せっかくここに通産政務次官も厚生大臣も、また大蔵省の主計官もおるのですから、もっと積極的に言って、この万全を期さなければならないのです。小学校や中学校に対するこれらの問題はまだまだあるのです。これはもっともっと考えておいてください。この問題、しり切れトンボになりますけれども、強力にこれを要請して、次に移らしてもらいます。  それから、坊厚生大臣、国立公園は厚生省ですけれども、文化財は文部省であります。最近のいろいろな公害の問題がついに文化財にまで及んできている、こういうようなことが報道されているわけです。宇治の平等院では鳳凰がイミテーションにかわって、本物は庫の中に入れておる、こうしなければ元も子もなくなってしまう、こういう事態にまで公害が浸透してきている。これはやはりゆゆしい問題だと思うのです。国立公園内でも、こういうような問題はたくさんあると思うのですけれども、こういうような対策は十分講じておかなければならないと思うのです。宇治の平等院の鳳凰だけではございません。国立公園の中で、やはり保存しなければならないけれども公害被害を受けて、それに対する対策を講じておる、また考えなければならないという問題がございましたら、この際お聞かせ願いたいと思います。
  63. 坊秀男

    ○坊国務大臣 国立公園等は、その目的は、自然を保護していくというために、国立公園あるいは国定公園、自然公園の制度ができておるのでございまして、そういったような公園が公害に侵されるといったようなことは、これは全くその目的と相背反することでございまして、どうしてもそういったような公害から自然を守っていかなければならないということは、申し上げるまでもないことでございます。そういったような実例は私も想像にはかたくはございません。それはたいへん範囲の広いそういったような自然公園の中には、あるいは汚水によって汚されるとか、あるいは大気の汚染ということもあるいはちょっとあるかもしれませんけれども、そういったようなことは想像にかたくはありませんけれども、いやしくも自然公園というものの性質上、そういうところに公害があってはならないということでございますので、私は十分調査をいたしまして、さようなことのないように措置をしてまいりたい、かように思っております。
  64. 島本虎三

    ○島本委員 責任者ですから、その点は、あって質問したのではない、あってはならないから質問しているわけですから、これは万全を期してもらいたい、こういうように思うわけであります。  時間にもなりましたが、大臣を含めて、もう少し、あなたにも関係しておりますから、おっていただいて……。  先ほどからいろいろ中途はんぱになってしまいましたけれども各省の中で、公害基本法が実施、施行されて以後、どうしても手をつけなければならない問題が、それぞれ考えられていると思うのです。建設省のほうでは、公害基本法に関して、現行の法律の改正や新法律の制定等、考えておられましょうか。
  65. 上妻尚志

    上妻説明員 私、河川局でございまして、実は水質のほうのことに関係しております。計画のほうも、若干、新立法じゃなしに、そういう趣旨を入れた運用をやるというようなことで、進めているように聞いておりますけれども、そちらのほうは別といたしまして、水質のことを申し上げます。  先ほど企画庁のほうから説明がございましたように、水質に関しましては水質保全法がございまして、従来もこの委員会でも御説明申し上げたことと思いますけれども河川法の二十九条の政令運営をやるということを考えております。河川管理者として、当然水質に対していろいろな措置を講じなければいけないというふうに私たち思っておりますけれども、その対策を講ずる際に常に問題になるのが、水質に関しては水質保全法というものがありまして、それを受けまして、工場排水法、鉱山保安法、それから水洗炭業法、これで規制するという形になっております。それで二十九条の政令をつくるに際しましても、水質保全法との調整が必要になってくるわけでございます。そういう問題について、企画庁と調整をやっております。当然公害基本法精神を受けまして、河川水質につきましては、私たちは河川管理者として、そういう何らかの措置を講じなくてはいけない、こういうふうに思います。
  66. 島本虎三

    ○島本委員 最近の公害の中に、砂利の採取によるところの公害というものも出てきて、われわれを驚かしているのですが、そういうものの直接の主管管庁は建設省でありますので、そういうふうになりましたら、その方面にも公害基本法精神にのっとって、もう少しメスを入れておかなければならないのじゃないかと思っておりますが、そういうような配慮がないようです。なくてもいいのかどうか。
  67. 上妻尚志

    上妻説明員 砂利の中にも二通りあると思います。河川の中あるいは河川敷の中で砂利を採取する場合は、建設省が許可をいたしまして採取をする。それからもう一つ山砂利につきましては、砂利採取法という法律がございまして、これは通産省の所管になっております。仄聞するところによりますと、通産省のほうで砂利採取法の改正をやって公害を防止しようというような、砂利公害を防止する措置を講じておると聞いております。私たちは、河川の中に原因があって汚濁するものにつきましては、いままでも十分注意して、いろんな規制措置を講じております。沈でん池をつくるとか、いろんな措置を講じております。ただもう一つ川の中に施設を設けてその汚水が流れてくるというものにつきましては、工作物の設置の許可が要りますので、そちらの方面から規制をいたします。ただ上のほうで砂利を洗いまして、それがちょろちょろと間接的にほかのどぶみたいなものに入って、それが川に流れてくる、こういうものにつきましては、いまのところ規制の措置は、河川の側からはなかなか困難じゃないかというような問題があるわけでございます。これを河川法のほうから何とか規制できないかというふうなことを検討してはございますけれども、砂利の問題につきましては、いまのところ、おか砂利につきましては砂利採取法という法律通産省が所管しておる、こういうような事情がございまして、全部建設省の責任ということでもございません。
  68. 島本虎三

    ○島本委員 じゃ、おか砂利のほうはどうなっておりますか。
  69. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 いま建設省からお話がありましたとおり、砂利採取法はわれわれ通産省が所管しておる法律でございます。したがいまして、河川砂利が非常に枯渇いたしまして、おか砂利の方向に採取が向かっておりまして、現に公害が発生いたしております。したがいまして、われわれといたしましては、砂利採取法は今日不備な点が多々ございます。これを全部改めまして、もう少しシビアーな内容に変えていきたい。これはただいま検討いたしております。いつでも出せるような準備まで、実はしておるような状況でございます。
  70. 島本虎三

    ○島本委員 いつでも出せる準備をしておることは大いにけっこうだと思います。一そう督励をお願いいたしたいと思います。  なお、厚生大臣、最後に一つ、時間ですので、要請しておきます。それは厚生予算の問題で、対大蔵関係で、ずいぶんがんばっておられるということを聞いております。負けないようにやってもらいたいと思います。それで前委員会の場合に、特に公害予算の場合にはいろいろな基準、こういうものが当てはまらないで、最も大事な、生命と産業と、それから財産関係する問題でもあるのであるから、この問題は予算の額にこだわらず通すように、こういう表明があり、特に委員長からも、各省に、また大蔵省に対しても、強いみごとなる要請があったわけであります。私はそれを感銘しておるわけでありますけれども、しかしやはり公害予算の時期であります。それぞれの対策があるようでありますが、やはり厚生大臣としても、各省にわたるそれぞれの連絡する立場もあろうと思いますが、主管と、並びにこの連絡する立場と二つの意味で、公害関係予算だけは万全を期して通すように――いままで健保でがんばったあの熱意以上に、今度は大いにがんばってもらいたい。健保だけであれだけがんばって、公害でがんばらないなら、そこに坊大臣の弱点があるということになりますけれども、そういうことがないように、そういうような、公害でも十分がんばってもらいたいということを強く要請しておきます。この点よろしゅうございますか。
  71. 坊秀男

    ○坊国務大臣 委員各位の非常に御熱誠のある御支援と御指導をたよりといたしまして、私は、私なりの全力を尽くしてまいりたい、かように考えております。よろしくお願いいたします。
  72. 島本虎三

    ○島本委員 私なりの努力なんというのは、これは最も信頼し、同心同体である場合はそれでもいいのですが、私なりの努力じゃなくて、何が何でもその状態だけはぜひ皆さんのために、国民のために通す、これくらい言い切ってもいいのじゃないかと思うのです。おそらくその意味を込めての私なりの努力だ、こういうふうに思うので、もう一言ぐらい、皆さんを納得させるぐらいな強力な発言をしてくださいよ。
  73. 坊秀男

    ○坊国務大臣 私なりと申し上げたのは、私はたいへん微力でございますけれども、私として全力を、ベストをつぎ込んで努力したい、そのためには、委員各位の御指導と御支援を切にお願い申し上げます。
  74. 島本虎三

    ○島本委員 終わります。
  75. 八木一男

    八木委員長 河上民雄君。
  76. 河上民雄

    ○河上委員 本日は時間にだいぶ限りがあるようでございますので、質問は要点だけにとどめたいと思いますが、問題は、いまちょっと討論に出ました山砂利の採取に関連して生じております公害問題でございます。すでに通産省でも御承知かと思いますが、京都の城陽町の山砂利採取が、付近の住民に非常に大きな公害を与えておりまして、すでに政府各位にも陳情が来ておると思うのでございます。最近、川砂利が枯渇いたしまして、もっぱら山砂利採取に集中するような傾向がございます。ところが、それに対する法的な規制が非常に不十分で、いわば野放しの状態になっておる。そのために、京都の城陽町の状態などは、アメリカ映画の西部劇に出てくるような惨たんたるありさまであるというふうにいわれております。この砂利採取に関しましては、河川法のようなきびしい制約がないために、単に届け出制で次々と雨後のタケノコのようにできる小さな会社がかってに採取をしておる。そのため水が茶色によごれる、騒音が絶え間なく、やたらにあちこちに穴があいて、それがやがて山を切りくずすために、鉄砲水を起こす原因になるということで、付近の住民は非常に戦々恐々としておるようなことでございます。加えまして、城陽町の場合ですと、一日六千台ぐらいのダンプカーが往来しておるというようなところから、道はいたみ、また子供たちの交通も非常に危険である、こういうような種々の公害が起きておるのであります。それについてはすでに御承知かと思いますが、通産省においては、これに対してどういうような処置をいままでとってきたか。また今後どういうような処置をとろうとしておるかというようなことについて、まずお尋ねしたいと思うのです。
  77. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 今日までとってまいりました処置、ずいずんと通産省といたしましても、地元の方々の御要望に従い、積極的に取り組んでまいりました。そのことに関しましては、当局から詳細に説明をさせたいと思います。ただ、今後とらなければならない措置といたしましては、われわれといたしましては、先ほど島本委員のときにもお答えいたしましたとおり、砂利採取法の改正をぜひともいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、いまおっしゃった、たとえば、今日の現行砂利採取法ではとうてい執行し得ないというような問題も多々ございますので、その点に関しましても、要点を申し上げますと、今日は事後届け出制でございますが、これをひとつ登録制に改めて、登録がなければ営業ができないようにしたい、これが第一点の重大なことであります。なお、京都で起こっておる事例にかんがみまして、採取行為に関しましては、採取場ごとに採取方法、公害防止方法等を定めた施業案について都道府県知事が認可をしなければならない、そういうふうにしてはどうかと考えております。もちろんこのときには、地元町村長の意見を十二分に聞く必要がある、このことも第二点として考えておるような次第でございます。第三点は、いま河上委員が御指摘のとおりに、洗浄汚濁水は、今日の砂利採取法では、これを阻止するような方法がなかなかむずかしゅうございますので、これも改めまして、公益保護命令に関しましては、洗浄汚濁水による公害を対象とすると同時に、必要な場合には事業停止命令を出すことができる――今日現行法では事業停止命令はございません。しかしながら事業停止命令を出すことができる。こういうふうな、以上申し上げました三点を中心といたしまして、砂利採取法の改正案を早急に提出いたして御審議をわずらわしたい、かように考えておるような次第でございます。
  78. 竹村豊

    ○竹村説明員 先生指摘の、いままでにとった措置の概要でございますけれども、まず現地で公害対策協議会というものを関係官公庁十機関でつくっておりますが、そういう公害対策協議会というものをしばしば開いております。そして、特に集中豪雨がございました本年七月におきましては、鉄砲水によりまして、道路が決壊するとかあるいは水田、家屋等が冠水、浸水したというような公害が起こりまして、大阪通産局のほうでは、業者と話し合いました結果、本年の八月に業者の全額負担で仮堰堤を設置するということで、八月末に工事も完了いたしております。現在のところ、一応さしあたりの対策は講じられておりまして、前から不満はございますけれども、特にこうしてほしいという要望は、現在のところはおさまっておるような状態でございます。
  79. 河上民雄

    ○河上委員 ただいま次官から、準備している法案内容について、その素描が開陳されたわけでありますが、地元民の要望の中には、ダンプカーの往来が非常に危険感を高めておる、また道路を非常にいためておる、毎日歩行するにも困難なような状態が雨のときには起こる、こういうようなことでございまして、ダンプカーの積載量その他について、当然規制が厳格になさるべきではないかというような非難があるわけでございます。そういうようなことについては、砂利採取法の中では取り入れられるのかどうか。それから現行の砂利採取法の第九条ですが、公益保護命令というような項目があるわけでございますけれども、これと今度の新しい法案準備されておる法律の改正というものとどういう関係になっているのか、その点についてちょっと伺っておきたい。
  80. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 ダンプカーの積載量の問題に関しましては、現在も警察のほうで厳重に取り締まりまして、その積載量を守るように指導しておるということでございます。  なお、現行砂利採取法第九条の関連と改正を準備しておる内容とでございますが、委員御承知のとおり、現行の第九条の規定は、一定の要件を満たすとき、通産局長が砂利採取業者に対して防止の措置命令を出すことができる、こういうふうになっておるわけでありますが、この一定の要件とは何かということを考えますと、掘さく並びに廃止の堆積ということだけが対象になりまして、いわゆる洗浄汚濁水等が対象にならないということでございますので、先ほど私が改正点の第三番目に申し上げましたとおり、この点もひとつ対象にすべしということを考えておるわけでございます。  なお、現在通行量が非常に激しゅうございますから、この点に関しましては、地元の道路の問題もございますので、それを業者に持たすか持たさないか、いわゆる舗装すれば完全にこういうような問題も解決できると思いますが、この舗装をするということに関しまして、すべてを業者にまかすのであるか、あるいはまた一部は地元に公共事業として負担していただくのであるか、そういう点に関しましては、今日、京都府なり通産局なりまた当事者が集まりまして、いま検討をしておる最中でございます。だから、第九条を全くだめだだめだと言うておるのではございませんので、現行法の第九条に基づきましても、できるだけの措置を講じたい、こういうことで、砂利採取業者にどのような措置をとらすかということが先決でございますので、この点はただいま鋭意検討中であり、また協議中でありますから、御了解を賜りたいと存じます。
  81. 河上民雄

    ○河上委員 京都の城陽町については、すでに御承知のようでございますけれども、なお私の選挙区は神戸市でございますが、神戸市の中で明石寄りに山田川という小さな川がございまして、その上流に山砂利の採取場ができておるのであります。すでに三社がしきりに掘っているようなわけでございまして、それで洗浄汚水とかそういうようなことで非常に困っているばかりか、舞子の浜の海岸が非常によごれる、またワカメその他、そうしたものに非常に大きな漁業上の被害も起こっておるのであります。これはすでに御承知でしょうか。
  82. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 はなはだ不勉強なことでございますが、ただいま初めて耳にするようなことでございます。
  83. 河上民雄

    ○河上委員 あなたはまだ御存じないようでありますけれども、これは私の選挙区でございますので、ただいま市が間に入って、住民と業者の間で協定書を結んで、一応約束を取りつけたのですけれども、ちっとも約束が守られない。市でも、それ以上いまの法律ではどうしようもないというようなことで、私に相談があったわけでございますが、おそらくほかの地区でもそういう問題は相当あると思うのでございます。これは河川砂利が枯渇したという問題のほかに、いわゆる万博準備ということが非常に大きな背景としてあるわけでございます。万博準備のために、ここ二年間くらいで手当たり次第掘ってしまえというような空気のようでございますが、地元の方々に伺いますと、こういうようなうわさがかなり流れておるのです。今度法律はできても、いきなり厳格にやると業者がつぶれるからというようなことで、通産省は、企業保護のために二年間くらいの猶予期間を置いて、それから実施するんだ、そういう心配がかなり真剣に、深刻に考えられておるのであります。ところがいま言ったように、万博準備という事情がございますので、二年くらい経過してからでは、もうガンもハトも飛び立ったあとになってやるというようなことになるわけでございまして、法は成立すると同時に即時施行せられるというふうにしていただくことを、ぜひここで約束していただきたいと思います。そしてこの法律改正は、もう一刻も早くやらないと、現実の事態に間に合わないということを特に申し上げておきたいと思うのです。
  84. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 仰せのとおり、ただいま通産省準備いたしております改正法は、これは成立後直ちに施行するという態勢で進んでおります。したがいまして、猶予期間が二年だとか、そういうことは絶対ございませんので、その点だけは御了解賜りたいと思います。
  85. 河上民雄

    ○河上委員 いま責任ある当局の御答弁をいただきまして、おそらく地元の方々も、その点に関しましては安堵せられると思うのであります。  もう一点は、単に届け出制だというような、そういう不安もかなりあるのでございまして、きびしい許可制と申しますか、そういうような形でやっていただきたいという要望がございます。ひとつ、その点についても御確認をいただけるでしょうか。
  86. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 これは先ほど申し上げましたように、現行法が事後届け出制でございますので、これでは弊害があるということでございますから、原則的には、今日まで自由営業となっておりましたものを登録制に改めて、登録がなければ仕事はできない、こういうふうにしたいと思っております。
  87. 河上民雄

    ○河上委員 われわれも、今度は現地を調査したいという希望を持っておるわけでございますが、地元の方々の御要望あるいは現地の状態というようなものを十分に調査いたしました上で、ただいま通産省から準備され、また御報告のありました法案内容が十分であるかどうか、また検討さしていただきまして、調査後において再び質問をさしていただきたいと思います。きょうは時間も限られておりますので、非常に簡単でございますけれども、これで質問を終わりたいと思います。どうかよろしく。
  88. 八木一男

    八木委員長 岡本富夫君。
  89. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 本年の十月三日に、近畿圏における指定水域及び水質基準についてということで、政府に答申されておりますけれども、これについて、きょうは時間がありませんから、若干お伺いしたいと思います。博  それで、この水質指定につきまして、これは各所にこれから起こってくることだと思いますので、確かめておきたいと思うのですが、現在の公共用水域の水質の保全に関する法律、あるいはまた工場排水等の規制に関する法律、この二法でもって取り締まっていくと思うのであります。先般、大阪方面の指定をされましたけれども、これについて私のほうで調べたところによりますと、この法で指定するというところが千八十一業種になっております。ところが、すでに大阪府の条例では千五百五十三業種が指定されて、現在これは条例で取り締まられておるわけでありますが、政府がこうして直接水質基準をきめて取り締まるようになりますと、ここに四百七十二カ所の漏れが出てくる。こういう面についてはどういうようにお考えになっているか、まず通産省のお考えを伺いたいと思います。
  90. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 通産省といたしましては、ただいまの条例との関連では、法律に基づいて知事に権限委譲しておるというのは、通産省の所管の業種は現在三十八ございますが、そのうち十五だけ知事に権限を委譲いたしております。しかし、一般的にこの法律に基づいて、つまり水質保全法水質基準に取り上げられない項目及び規制対象となっていない排水施設、これに条例が適用されることがいいか悪いかという御趣旨の御質問だと思いますが、これらにつきましては、われわれといたしましては、ただいま法制局と打ち合わせ中でございますので、その点だけを御了解賜わりたいと思います。  なお、条例と法律関係は、御承知のとおりに、重複する場合には、これは法律のほうが優先するという考え方で進んでおります。
  91. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 経企庁のほうに、あるいはまた通産省農林省、運輸省、建設省厚生省に、大阪府のほうからこれに対する陳情あるいは意見具申が出ておると思いますが、経済企画庁のほうでは、その考えはどうでございましょうか。
  92. 今泉一郎

    ○今泉説明員 いま通産省の政務次官のほうからお話がございましたが、実は大阪府御当局は、水質の保全に関して非常に熱心にやっておられるのです。正直申しますと、私どもの経済企画庁としましては、いろいろな利害関係者も中間に相当ありまして、何とかして水をきれいにしたいといつも思っている立場にあるものといたしますと、大阪府御当局のように自主的に非常に積極的にやっておられるということは、実は非常に心強く、またありがたいと思っているわけでございます。ただ、水は大阪ばかりではございませんので、御承知のように淀川は京都府からずっと中間を流れまして大阪府に至るということで、その利害関係も、淀川の上流の各都市と下流の大阪、神戸方面とでは、いわゆる工場の水を流す立場のものとその川を利用する立場のものとはいろいろ違います。立場も違いますので、それで、奈良、京都、大阪、あの辺一帯の河川について、やはり総合的に水質の基準をきめていかなければいかぬ、こういうことにどうしてもなるわけでございます。そういう観点から、本年、つい最近、たしか近畿圏の諸河川について、国の水質保全法に基づいて水質の決定をいたすために――これは実はまだ決定されておりません。決定をするために、水質審議会にかけなければいかぬことになっております。諮問を申し上げまして、それで御答申があったわけであります。その結果、すでに大阪府御当局がやっておられることもいろいろ前からわかっておりまして、いろいろその調整考えながらやったのでございますが、先生指摘のように、若干、業種的に見ますと、府の条例でやっておられる規制の対象になっておった業種で、国の基準をかけました場合、その対象からはずれてしまうという業種がございます。これは、実はどうしてそういうふうになるかと申しますと、先生御承知と思いますけれども水質の保全関係の法的構成というのは、経済企画庁が中心になりまして調べまして、それで水質をきめる。ところがそれを工場に命じて実行するというほうは、それぞれの所管大臣がやっております関係もありまして、たとえば工場の排水に関する法律、そういったものが実行法としてあるわけであります。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 その規制の対象になるものでそれからはずれてくる、こういうふうなこともあります。若干国の規制の対象からはずれるものはございますが、これは、先ほど先生数字もおっしゃいましたが、若干でございます。しかして、なおその水質の基準自身については、どの程度のきびしさでいくかということにつきましては、新旧工場、つまり新設工場と既設工場の取り扱い等いろいろ考えますと、今回答申がありました国の基準、これが大阪府御当局でお取り上げになっているものよりもゆるいというようなことは決してございません。また国の方針として、こういう公害問題がやかましいおりに、それをゆるくするというようなつもりはございません。法律もそういうギャップがある。そのギャップについてどういうふうに措置するかということにつきましては、宇野政務次官がお答えになったとおりでございます。これは私どもとすると、なるべく地方自治のたてまえからしますと、経済企画庁とすれば、いろいろむずかしい問題がございます。全国的な権衡とか、そういう上流下流との総合的な一元的な水質管理とか、いろいろ問題はございますけれども、できるだけ地方の自治体が自分で自分の川の水をきれいにしたいと言うておるのに、そうせぬでいいということは、私はないと思います。ですから、地方の自治体の御努力なり、こうしたいというものは、それはできるだけ尊重したい、こういう趣旨でおりますが、何せ、先ほどのお話のように、法律の解釈問題がございます。そこで、慎重を期するために、よく法制局と御相談しまして、そして大阪府当局になるべく早く御回答したい、こう思っておるわけでございます。  また、権限委譲の問題につきましては、これはその実施官庁であられる通産省はじめいろんなお役所がございます。そういう実施官庁と大阪府御当局でも、直接にもいろいろ御相談なさっておられることでございまするが、私ども水質調整官庁といたしましても、主務官庁のほうに、できるだけ権限委譲等についても、せっかく大阪が御熱心にやろうとおっしゃっていることでもございますれば、そういった方向に沿って御善処を願えるようにお願い申し上げる、こういう状況でございます。
  93. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 今度この業種を見ますと――この川を見ますと、神崎川上流あるいは神崎川下流、大阪市内河川、それから寝屋川、淀川、淀川下流、大和川、これだけの例をとってみましても、これから指定業種にしようというものから漏れるのを見ますと、七十四企業が漏れるわけであります。いま大阪の例をとりますけれども、全国にこういうことができてくるのじゃないかと思うのです。国のほうで指定すると、いままで地方公共団体でもって、何とかきれいにするように取り締まっておったのが、指定をしたためにそれだけの業種が漏れてくる。そうすると、今度は川がきたなくなる。それでもやはり法のほうが優先でありますから、条例のほうがきかない。こういう悩みがすでに現地に起こっているわけです。ですから、それについて、実は過日――これは大阪のほうだけですけれども、現地の公明党の議員、それからほかの各党の議員も一緒に来たわけですが、通産省のほうの意向としましては、確かにそうだ、だからこれは条例を尊重していかなきゃならぬ、こういうことです。経企庁のほうの意向では、いまのところはどうしようもない、こういうような報告が来ているのです。ですから、農林省の御意向、あるいはまた大蔵省厚生省、この意向をあと一つ一つ聞きたいと思うのですけれども、すでにこうして条例で取り締まって、そしてきれいになっている。若干きれいになりつつある。それが、国が指定をしてこれからやるということになったら、漏れる分は結局だめになってしまうわけです。そういう部分だけがゆるくなってくる。要するに、法のほうが優先することになる。そうすると、条例の効力がなくなってくる。これに対する見解を私はいま聞きたいと思うのです。この点について簡単に、もう一ぺん経企庁から聞かしてください。
  94. 今泉一郎

    ○今泉説明員 先ほど申し上げたつもりだったのですが、舌足らずでありましたので、もう一ぺん申し上げますと、実質的に府県でやっておられることを緩和するようなつもりはございません。したがいまして、国の法律に基づく規制の対象外になっているような行為、そういうものについては、条例をもって依然として規制し得るかどうか。私としては、規制が行なえるということであってもいいじゃないかと思っておりますが、何せ条例と法律というきわめて――ある意味では法律技術的の問題で、法制意見的な問題。したがいまして、法制局のほうにも御研究を願い、なるべく早くいい御回答が得られることを期待して、いま一生懸命、通産省御当局その他と連絡をとりながらお願いしておる。それで、その成案を得まして、なるべく早く大阪府当局にも御連絡申し上げる、こう思っておるわけです。法制局とされましては、それはやはり法律問題でございますので、軽々に結論をその場でお出しになるということはむずかしいかもしれませんが、私どもとしてはなるべく早く御回答を得て、大阪府のほうに御連絡をし、御満足を得たい。ことに権限委譲の問題もございますので、特に所管工場数の多い関係主務官庁には、その点についての大阪府当局との御連絡、談合につきましてしかるべくお願いしたい、こういうふうに私のほうからお願いしたい、こういうことでございます。
  95. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 厚生省の見解はどうですか。松尾環境衛生局長いますか。――では公害部長
  96. 武藤き一郎

    武藤説明員 いまの一般的な問題については、経企庁の局長からお答えされたとおりでございますが、厚生省といたしましては、やはり国の法律で規制が行なわれる段階になって、規制がゆるくなるということは、はなはだ遺憾に考えております。したがいまして、その問題とはまた別に、府県知事に対します権限委譲の問題につきましては、部内で早急に検討いたしまして、いずれがより適確に取り締まりなり指導ができるかという観点から、先生の御意見にありましたように、慎重に検討したい、かように思っております。
  97. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 建設省の意見はどうですか。
  98. 上妻尚志

    上妻説明員 河川管理者立場としては、水がきれいになればなるほどいいわけでございまして、きれいにしていただきたいというふうに思っております。ただ、いま建設省管理者立場が、公共用水保全法との関連で必ずしも結びついていないものですから――それは先ほど御説明申し上げましたように、保全法で水域を指定して水質基準をきめる。その結果やるのは、工場排水等の規制法、鉱山保安法、水洗炭業法、それが実際に規制をするというたてまえになっております。ですから、直接は、河川管理者として、公共水域の指定の問題については、いまのところはタッチしていないわけです。ですから、私たちにとりましては、要するに水がきれいになることは好ましいことですし、できるだけきれいにしていただきたい。  それからもう一つ公害基本法もできたことでございますし、それを受けまして、水質保全のあり方がどういうあり方が一番正しいかという問題をもう少し検討しまして、政府部内でいろいろ検討さしてもらいたい、こういうふうに思っております。
  99. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 大体みんなそれぞれのところへ全部陳情に行っているわけですけれども、はっきりした見解が出ていないように思われるわけです。そこで、政府側として、通産省の政務次官に最後のことについて結論を出してもらいたいと思うのですけれども、国が水質基準をきめることによって、条令がそういうように効力を失うという場合は、それだけ、この公害がやかましくいわれているときに、ゆるくなる、こういうようなことでは、もしも法律にそういう不備があれば、これは法改正にもっていかなくちゃならない。ですから、ただ法制局の意見を聞く、これだけでなくして、やはり立法措置もしていかなきゃならぬと思うのですが、これについて、明快なるところの通産省の政務次官の御意見を承りたい。
  100. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 条令と法律関係に関しましては、先ほど私が正式にお答えしたとおりでございますが、ついこの間、いま岡本委員指摘のとおり、陳情団がお越しになられました。そしてどうなのかという問題がございましたときに、私の気持ちといたしましては、先ほどから経企庁もお答えいたしましたとおり、やはり地方がそれだけ熱心に水質規制をやっておるのですから、何とかやっていただきたいという考えで、もしも当然対象外のものが、条令が適用されればそれに越したことはない、こういう考え方を抱いております。だから、そういうものの考え方で、法制局と、今日法的な問題として折衝しておるというふうに考えてもらえばけっこうではないかと存じます。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 じゃ、この問題については極力ひとつ――現地のほうはやはり不安を抱いております。ですから、今後もこういう問題がたくさん各省に起こってまいると思いますので、早急にやってもらいたいと思います。  そこで、きょうは時間がありませんから――農林省の食糧庁の馬場業務部長ですね。実は姫路に三輪製粉というのがあるんですが、ただこれは一つ例をとり上げるだけでありまして、あちらこちらに参りますと、こういう問題がたくさんある。騒音の問題で、付近の人が非常に迷惑をいたしております。この問題については御存じでしょうか。
  102. 馬場二葉

    ○馬場説明員 姫路の三輪製粉会社の騒音で、付近の住民とここ数年来トラブルがあることは承知しております。
  103. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 それで実は、昭和四十年の十月一日に、この場所は、聞くところによりますと住宅地域ですが、小嶋さん、それから湯谷さん、あるいは藤田さん、こういう人たちが騒音防止について要求いたしまして、そして市も立ち会っていろいろと検討しているらしい。ところでいまだに騒音について何の対策もないし、非常にまだ迷惑をしておるのですが、これについて、そういうことを御存じであれば、何らかの指示あるいはまたどうしたらいいという解決策をあなたはとられたのでしょうか。これをお聞きしたいと思います。
  104. 馬場二葉

    ○馬場説明員 実はその問題がありますことは、つい最近になって調査をいたし、また事情を聴取したわけでございますが、御承知のとおり、この製粉工場は、機械の特質上、非常に騒音が出るという関係があるわけでございますが、当初八十ホン程度の騒音が出ておって、そこで非常に付近の住民の迷惑ということで、やはり相当話し合いが行なわれたようでございます。ここで会社のほうも誠意を持って対処するということで、機械の更新をやり、あるいは防音装置の新設をやるなどして、現在、六十ホンに一応下げておるようでございます。ただ県の条令では、昼間の規制の限度が六十ホンでございますけれども、夜間は五十ホンということで、やはり夜間は県の条令に触れるということに相なっております。先月の二十八日に地元代表の方が、食糧庁の出先に兵庫県食糧事務所というのがございますが、そこの輸入部長のところにおいでになりまして、何とかひとつ製粉企業の主務官庁である食糧庁の立場で解決をしてもらえないかという話の申し出を受けております。そこで事務所としては、その地区に三輪製粉が加入している団体がございますが、そこを通じて、ひとつ誠意を持って解決するようにという行政指導をいたしております。その後、私のほうで直接調査いたしましたところ、会社側も、これはなんとかひとつ対策を講ずるということで、ただいま市のあっせんを受けて、大阪にあるコンサルタント的な機械メーカーのほうに、騒音の比較的少ない機械を導入する、あるいは防音装置の対策を立てるということを、いま誠意を持って研究しておるようでございます。食糧庁といたしましても、製粉企業の主務官庁として、できる範囲で今後もそういう指導をいたしたいというふうに考えております。
  105. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 時間がありませんから、この件については、委員長にひとつ――いまのような簡単なことでないのです。現地へ参りますと、こういう問題が――私、各所を回りまして、これは御存じのように全国的にあると思うのですが、結局、市の力が弱かったり、あるいは関係官庁が怠慢であったりして、住民の人たちが非常に困っている。こういう問題について、極力、今度公害基本法ができましたのですし、公害を守る立場から、強力に申し入れをしていただきたい。特にお願いをいたしたいと思います。
  106. 八木一男

    八木委員長 岡本委員の御要望のとおり、関係官庁に強力に申し入れをいたします。
  107. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 最後に一つだけ。  実は先ほどからもお話がありました航空機の騒音の問題でありますが、いま伊丹空港の現状を見ますれば、ほんとにうどうしようもない限界へきていると思うのです。それにつきまして、私どものほうでもいま検討しているのが、淡路島のほうに飛行場をつくるということを聞いておりますが、この計画がどの程度進んでおるのか、現地の人たちは非常に関心を持っております。これについて最後に、航空局ですか、運輸省の内村参事官お尋ねいたしたいと思います。
  108. 内村信行

    ○内村説明員 本件につきましては、飛行場部の梶原管理課長からお答えいたさせたいと思います。
  109. 梶原清

    ○梶原説明員 関西新空港の問題につきましては、現在兵庫県、大阪府等で御熱心に調査なりそうしたものを進めておられるように承っております。大阪国際空港につきましては、空港面積が御存じのように六十七万坪しかございません。滑走路も一本でやっておるわけでございますが、付近の状況といいますのが、御存じのように、非常に人家が密集しておるわけでございますので、今度拡張いたしまして九十五万坪になります。そうして三千メートルの滑走路ができまして、よりひんぱんに飛行場を利用する、こういうことになりますので、付近周辺の住民の方々に及ぼす影響というものはさらにひどくなるのではないだろうか、かように考えております。そのためにも、先ほど御答弁申し上げました総合対策に基づく施策を積極的に進めてまいりたい。また、この関係各省地方公共団体等々とよく提携をいたしまして、この空港計画並びに周辺におきますところの土地利用計画、立地規制等につきましても、今後積極的に進めてまいりたい、かように考えております。
  110. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 どのくらいこの計画は進んでおりますか。
  111. 梶原清

    ○梶原説明員 今度の新空港の問題につきましては、本年度から経済的な一般的な調査を進めておる。来年度、すなわち四十三年度でございますが、新空港関係調査費を要求いたしております。  これは念のためでございますが、私どもといたしましては、淡路島ということに特定をしないで、適当な候補地何カ所かにつきまして調査を進め、その中に有力な候補として淡路島の空港がある、こういう関係でございます。
  112. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 そういう計画ができましたら極力早くやっていただきたい、こう思いまして、きょうは時間がありませんから、これで終わります。
  113. 八木一男

    八木委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十二分散会