○正
示委員 最後に、私はいま
お答えのような激甚地あるいは天災融資の基準という問題も、先ほど言ったように、社会経済は動いているのですから、再検討しなければいかぬと思いますが、この際どうしても基準からいって適用ができないという場合には、これにかわる施策をやってやらにゃいかぬと思うのであります。私はかつて第二室戸
台風のときに、当時の池田総理大臣に、この前の伊勢湾
台風と同じことをやってくださいと、おうちまで行って私は談判したことがあります。当時田中角榮さんが政調会長、いまの大蔵大臣の水田さんが大蔵大臣でありました。私はこの三巨頭を前に、いかに
和歌山県のような貧弱なところが第二室戸
台風で深くえぐられているか、伊勢湾
台風と同じ処置をやってやらにゃいかぬということを言ったことがあります。そうして最後には大体伊勢湾
台風と同じような措置をしていただいたのであります。おかげでこのごろは、
台風が来ましても、昔のように非常な
被害があちらこちらに起こるということがなくなったのであります。すなわち、
災害に対していわゆる原形復旧などというような古い形式、
理念にとらわれて、一文惜しみをするから百を失うと私は思うのであります。こういうときには、どうしても
災害をよい天の教えとして、再び同じ
災害を繰り返さないような公共
施設に対する復旧措置を講ずるということが必要であります。しかし、それをやらせるかやらせないかは、これは建設省を含めて、やはり財政的裏づけをしてやらなければ、
地方の貧乏団体ではできないのであります。私は
災害直後の
新宮の木ノ川というところを見てまいりましたが、累々たる岩石の山で、川が変じて岩石の山であります。昭和二十八年の大
災害のときに、私の生まれたふるさとも同じ
状態でありました。そうすると、心なき者は、こういう村は捨てて早く北海道に行ったほうが安上がりだと言ったので、私はその人間をなぐり飛ばしてやったのであります。何を言うか、先祖代々の墓を持っている罹災者にとってみたら、たとえこのたんぼを復旧するために
自分の家が破産しても、もう一回先祖に対してこのたんぼを復旧したいという人情がわからないのか、反当幾ら上がるという経済計算だけで
災害地の民が救えるかと、私は声を高くしてそれを言って、とうとう昭和二十八年の被災地はりっぱに今日立ち直っているのです。私は今回の
紀南地方の被災の状況を見まして、また心なき者が、そろばん勘定で、こんなところにブルドーザーを出しては、こんなところにヘリコプターを飛ばしてはと、そういうエコノミカル・アニマルが被災地の
災害査定に当たることは反対であります。
災害地の査定は、あたたかい心を持ち、罹災者の立場に立って、
災害査定をやってやらなければいけません。そうして、そういうことの裏づけを、表向き激甚地指定でできないとするならば、あるいは天災融資法の発動ができないとするならば、これを別の方途で実質的に補ってやるというあたたかい行政の思いやりが私は必要だと思うのであります。きょうは
関係の各
機関の
方々においでをいただいておりますが、特に私は建設省の河川局にこの際一言申し上げておきたい。
昭和四十三年度からの河川改修新五カ年計画をいま立案中でございます。これに対して大蔵省はさっそく財政硬直化を理由に抵抗しておりますが、国滅びて何の財政ぞや。国土が滅失して、財政ばかり健全で、一体国は成り立つのでありましょうか。これは
委員の
先生方のほうが賢明であります。国が成り立ち、
国民が幸福になって初めて財政の健全化、経済の発展ということも意義があるのでございましょう。財政、経済はどこまでも手段であり、
国民の幸福、国家の繁栄、国土の美しくさらにさらに成長していく姿こそ、私はわれわれ
国民の期する目標でなければならぬと思うのであります。
そこで、きょうは、河川局の局長においでいただいておりますが、局長はまだおかわりになったばかりで恐縮ですけれども、一言
お答えをいただきたいと思うのは、名もなき川があばれておる。これはもうこの
委員会でおそらくたびたび発言があったと思う。河川改修計画では、有名な川はみんなピックアップされます。ところが、今度あばれた川は、
新宮でいうと、熊野川ならどなたでも知っておる。ところがあそこに市田川という川があるということを河川局長は御存じないだろうと思う。木ノ川という川があると言ったら、ああそうか、紀ノ川というのは
大阪府との間かという。そんなことではない。あれは紀州の紀ノ川で、これは木ノ川という小さな川ですけれども、これが先ほど言ったように累々たる岩石の山であります。それから白浜町に来ると、庄川、これも小さな名もなき川でありますが、非常にあばれておる。七月の
集中豪雨であばれておる。こういう川があばれたときに、やはりこの川を徹底的に直してもらわなければいかぬのです。それで、いままでの建設省の河川改修のやり方を見ておりますと、傷ついたところをこう薬ばりしておる。そうでしょう。ところが川の改修というものは、川の口からどんどん広げていって、奥まできちっと直してもらわないと、これは川の改修にならぬ。それをするのはたいへんな金でしてねと、建設省のお
役人は言っておる。しかし、それをやる機会じゃありませんか。こういう機会に、
災害査定についても国土の保全ということを一番の眼目に置いて、幸か不幸か
災害があったんだから、この名もなき川をひとつ根本的に改修して、再び
災害が起こらないようにするという絶好の機会であると私は思う。無二の機会であると思う。それについての河川局長の
お答えを
あとからいただきたいと思います。
そこで、私は重ねてお伺いいたします。
農林省あるいは農林公庫もお見えでございますが、私が伺いたいのは、農林公庫の——実は私もそこに奉職したこともありますが、非常に
災害にあたっての融資のやり方がばらばらです。たえば漁業
関係だと、漁船にも、あるいはハマチの養殖
施設、網を張ってその中でハマチを飼っておく養殖
施設、そういうものに対して
災害復旧の融資をしております。ところが陸上の、先ほどちょっと報告がありましたが、農業構造改善
施設としてせっかく助成をし、融資をしたビニールハウスあるいは畜舎、農舎、そういうものに対して融資が行なわれていない。これは非常に私は遺憾であります。この点についてどうするか、この際改めたらどうか。改めるべきだと私は思う。
それから中小企業についても同じであります。たとえば開発銀行で、今度
災害を受けました勝浦、ここにはりっぱなホテル、旅館が、融資を受けて万博に備えてできておるわけでございます。白浜もそうでございます。万博の外客来たれとばかり待ち受けておった。そうした観光
施設がひどくやられておるわけでございます。そうした
被害を受けたすでに融資をしたような
施設に対する開発銀行の方針はどうであるのか。あるいは開銀に融資を受けてないとしても、
中小企業金融公庫なりあるいは
国民金融公庫なりから融資を受けておるようなものが、あるいは受けてないような零細な企業が、今回たくさんやられております。私は年末を控えて、各中小企業に対して——商工中金の方もおいでをいただいたと思いますが、そういう
方々が年末融資に頭をかかえてくださっておることは感謝をいたしますけれども、しかし正月も迎えられないような罹災者を最優先していただかなければならぬことは当然でございます。ですから、各
関係機関におかれましては、中小企業庁と緊密な
連絡のもとに、ぜひ正月が迎えられるように、
災害の傷
あとをなおす融資をしていただきたいと思うが、
関係機関の用意はどうなっているかを伺いたいと思うのであります。
もう
一つ、先ほど申し上げたように、罹災地ではさっそく畳表あるいは畳のしんが払底で、たいへんな値上がりをしておるといっております。物価問題、しかも罹災地の物価問題であります。昔でございましたら、物資の統制がございましたから、そういうところへは通産省が責任を持って畳表や畳のしんや、あるいは屋根がわら、窓ガラス、小修理に必要な機材をあっせんいたしますといったのでございます。いまはそういう物資統制はございませんけれども、罹災地に対してそういうこまかい配慮をしてやるのは私は当然のことだと思う。そこで中小企業庁の担当官がお見えであったら、あるいは住宅局からも来てくださっておるようですが、そういう罹災地への資材の手当、値上がりはないから心配するな、資材がなくても一時的のことだ、やがて
大阪からも
東京からもどんどん資材を送るから、そう買いあさって高いものを買いなさんなというあたたかい指導が私は必要だと思うのであります。
こういう問題を、私は何もかも一緒に八百屋の店先みたいに並べてしまいましたが、一応これに対する
お答えをいただいて、
お答え漏れがあったら再
質問をさしていただきたいと思います。