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1967-10-07 第56回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十月七日(土曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 田原 春次君    理事 天野 光晴君 理事 池田 清志君    理事 永井勝次郎君 理事 山本弥之助君       阿部 喜元君    相川 勝六君       熊谷 義雄君    佐藤 文生君       高橋 英吉君    中村 寅太君       橋口  隆君    廣瀬 正雄君       藤本 孝雄君    保利  茂君       毛利 松平君    井手 以誠君       稻村 隆一君    工藤 良平君       小松  幹君    細谷 治嘉君       村山 喜一君    渡辺 芳男君       稲富 稜人君    小沢 貞孝君       小川新一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚原 俊郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    森 宏太郎君         内閣総理大臣官         房参事官    上田 伯雄君         大蔵省主計局主         計官      嶋崎  均君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         国税庁直税部所         得税課長    植松 守雄君         文部省体育局審         議官      中島  茂君         文部省体育局学         校保健課長   田  健一君         文部省体育局学         校給食課長   柳川 覚治君         厚生省公衆衛生         局防疫課長   春日  斉君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         厚生省社会局施         設課長     飯原 久弥君         農林省農林経済         局参事官    内村 良英君         農林省農林経済         局保険業務課長 松永 正隆君         農林省農政局参         事官      加賀山國雄君         農林省農地局長 和田 正明君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         農林省蚕糸局蚕         業課長     熊本 盛順君         農林省園芸局長 八塚 陽介君         食糧庁業務第一         部長      馬場 二葉君         林野庁指導部長 木村 晴吉君         気象庁予報部長         期予報管理官  和田 英夫君         建設政務次官  澁谷 直藏君         建設省都市局技         術参事官    馬場 豊彦君         建設省河川局長 古賀雷四郎君         建設省河川局防         災課長     坂井 秀正君         自治省財政局財         政課長     首藤  堯君         消防庁次長   川合  武君         国民金融公庫総         裁       河野 通一君     ————————————— 十月七日  委員中川一郎君、三池信君及び中澤茂一辞任  につき、その補欠として相川勝六君、中村寅太  君及び渡辺芳男君が議長の指名で委員選任さ  れた。 同日  理事佐野憲治君同日理事辞任につき、その補欠  として山本弥之助君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  新潟山形地方集中豪雨による災害対策  昭和四十二年九月の東北地方大雨による災害  対策  昭和四十二年七月以降の干ばつによる災害対策  昭和四十二年七月以降の干ばつによる災害対策  に関する件      ————◇—————
  2. 田原春次

    田原委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  理事佐野憲治君から理事辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  引き続きまして、理事補欠選挙を行ないます。  これは、先例によりまして委員長が指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、山本弥之助君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 田原春次

    田原委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、昨日に引き続き、昭和四十二年七月以降の干ばつによる災害対策、及び新潟山形地方集中豪雨による災害対策、並びに昭和四十二年九月の東北地方大雨による災害対策について調査を進めてまいりたいと存じます。  質疑の申し出がありますから、順次これを許します。稻村隆一君
  6. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 八月二十八日の新潟山形福島地区を襲った集中豪雨によりまして、同地区中小零細業者も直接、間接に甚大な被害を受けております。私は新潟地区を中心としてお尋ねするのでありますけれども、これは共通の問題でありますから、そのつもりでひとつお答えを願いたいと思います。  特に新潟地区地震、昨年の七・一七水害などに引き続いての災害で、中小零細業者はすでに民間資金を借りる余裕のない者が多く、廃業、倒産に追い込まれている状態であります。しかしながら、廃業するにもいままでの借金の支払いの見込みはなく、非常に深刻な悩みを持っております。したがって、それらの業者は、長期低利政府資金を十分借りることができるようにしてほしいと切実に願っております。この際、政府は思い切ってこれら中小零細業者低利資金を与え、その再建をさせるべく、すみやかな対策が必要であると思います。  しかるに、これらの業者の最も利用率の高い国民金融公庫災害貸し付けを見ますと、業者の願いに必ずしも十分ではないのであります。したがって、次の事項を私はお尋ねするとともに、要望したいと思います。  新潟支店で扱った昨年の七・一七水害に伴う災害貸し付けでは四百十四件、金額にして二億八千百万円の申し込みがあったにもかかわらず、三百七十六件、一億六千九百万円しか貸し出されなかったのです。なぜ申し込み額貸し出し額との差がこのように大きいのであるか。資金量不足原因だと思うのですが、その点はどうなっているか、お尋ねしたい。  なお、今年度の八・二八水害は、被害を見ても昨年よりはるかに大きく、大幅な申し込みが予想されております。これは各県とも同じであると思います。これに対して十分な資金が用意されておるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  7. 河野通一

    河野説明員 お答えを申し上げます。  いま御指摘のように、去年の災害におきましては、申し込みが四百十四件に対して三百七十六件の貸し付けをいたしたのでありますが、申し込み件数に対して貸し付け実行件数においてやや少なくなっておりますのは、資金量が、資金ワクがなくてというわけではございませんので、これは先生承知のように、金融でありますので、お申し込みどおり全部お貸しするというわけにいかない問題もございます。したがいまして、去年はそういうことになっておりますけれども、これは資金が足りなかったということではございません。私どもは従来から、災害に対する貸し付けについては、他に優先して貸し付け実行するようにいたしております。したがいまして、資金が足りないというために皆さまに御迷惑をかけるようなことのないように、従来から考えてきておりますし、今後もそういう方針でまいりたいと思っております。  ことしの八月の災害について新潟県だけを申し上げますと、現在まで、九月末でありますが、申し込みは五百六十八件、約五億の申し込みになっております。これに対しまして、現在までに貸し付けを行ないましたものは、百五十三件、一億四百万円ということに相なっております。もちろん、これはこれで終わりということではございませんので、目下鋭意調査をいたし、これの貸し付け実行を促進いたしておるようなわけでありますが、資金ワクにつきましては、先ほど来申し上げましたように、他の貸し付けに優先して災害関係貸し付け実行いたしたい、かように考えておりまして、現在までのところでは、新潟関係資金の大体の予定は四億五千万円程度を頭に置いて計画を立てております。もちろん、これは四億五千万円で打ち切りということではございません。実情に応じて、さらに資金を必要といたします場合には、さらにこれを優先的に追加をいたしていく用意は十分に持っております。  お答えを申し上げました。
  8. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 非常に誠意ある御答弁を聞いたのですが、申し込みに対して、申し込み件数だけ貸せないということは、これは資金関係じゃないのですか、どういう関係なんですか。
  9. 河野通一

    河野説明員 これは先生承知のように、金融でございますから、申し込みがあったものに対してすべて貸し付けが行なわれるということは、実はないわけなんです。ことばは非常に悪いのですけれども金融貸し付けでありますから、その資金がちゃんと償還ができるような資金でなければお貸しはできない、こういうことは当然金融のイロハといいますかルールでございますから、資金ワクが足りないから申し込みに対して件数が減るということではございませんので、貸し付けができるようなものであるかないかの判断によって、お貸し付けのできないものは、まことに残念でありますけれども、これはお断わりせざるを得ない、こういうふうなことに相なっております。災害の場合は、できるだけそういうことは、よほどのことがなければお断わりしないように、極力つとめるようにいたしておりますけれども申し込みがあった場合に、それだけをすべてお貸しするというわけには、金融機関としてまいりませんことは、御了承いただきたいと思います。
  10. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 国民金融公庫業務方法書では、運転資金が五年、設備が七年が貸し付け期間となっているのです。これは私前からそう考えているのですが、同じ政府機関でも、たとえば医療公庫は、大病院などは二十年以上の期間になっておる。この間設立された環境衛生公庫でも十年だというのですね。大体この環境衛生公庫というものを、私は立法府の一員として非常に研究が足りなかったのですが、こういうものをつくるのが第一間違いでなかったかといまになって思うのです。これはもう国民金融公庫を拡大強化すればいいんです、ほんとうは。それでも、いろんな、とかくの問題があった環衛公庫でも十年になっている。それなのに、なぜ国民金融公庫だけが七年になっているかということです。今度の災害で十年にしたというお話でありますが、これもはっきり私聞いておりませんけれども、これもお答え願いたいですが、なぜ国民金融公庫だけが七年になっておるか。こういうふうなことは、中小企業に対する金融というものをあまり重く見ていない、そういう証拠だと私は思っておるのです。この点について政府当局のどなたでもいいからお尋ねしたいのです。——総裁からひとつ……。
  11. 河野通一

    河野説明員 お話のように、私ども業務方法書では設備資金については大体七年というのを原則とするようになっております。しかしこれは原則でありまして、必要に応じて七年をこえるものも出すことができるようになっておりますし、現にそういう方法実行いたしております。ただ従来ややもすれば、私ども公庫におきましては実情よりも若干貸し付けの時間というものが短かったということは、これは率直に反省しなければならぬし、改善をいたさなければならぬということで、だんだんこの期間を長くしております。今後も期間は、現に、これは実績について申し上げたら一番おわかりかと思うのですけれども、平均の貸し出し期間というものは年々長くなってまいっております。今後におきましても実情の許す限り貸し付け期間の延長はいたしてまいりたいと思っております。  なお災害につきましては、先生から御指摘がありましたとおり、ことしから、従来一般原則七年を、災害関係貸し付けにつきましては十年まで延長することにいたしましたし、貸し付けの一件当たりの金額も、原則は三百万円でわれわれは押えておりますが、これを災害の場合に限って四百五十万円まで一件の金額を拡大するという措置もとってまいっておりますことを御参考までに申し上げます。
  12. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 国民金融公庫金利は現在八分二厘です。これはもう非常に高いですね。これも私はもう前から言っているんですけれども、こんな八分二厘なんという金は高過ぎる。たとえば大企業向け輸出入銀行では四分、開発銀行では五分と、それぞれ非常に低利なんです。本来、中小零細業者にこそ低利資金を与えるべきなんです。こういうふうなことについて不公平がある。また、災害貸し付けば、昨年の七・一七水害低利が適用されていない。八分二厘で貸し出されているという状態です。今回の水害でも、激甚法商工業者に適用されない。だから、したがって低利が認められておらないわけなんです。本来、無利子でも貸し出すことが必要な場合なんです、災害のときは。新潟地震災害貸し付けは六分五厘だったわけです。そういうふうな、災害のときにでも八分二厘の利息を払わなければならぬなんという貸し方というものは、これは高利貸しと同じです。零細業者の救済なんというものじゃないです。この点どう考えますか。
  13. 河野通一

    河野説明員 私ども公庫貸し付け金利八分二厘が高いか安いかという点については、いろいろ意見がおありだと思います。私も、中小企業実情から見て、事情の許す限り金利は低くしていくのが適当だと考えております。しかしながら、私どもも、私ども自身資金コストその他を考えて、自分の企業体としての経営をやってまいりますためにはおのずから限界がある、その限界は私は当然だと思うのですけれども、その許す範囲で私ども金利引き下げをはかってまいりたいと一般論として考えております。現在でも実は私どもは八分二厘の金利を出しておりますが、これだけでも、現在の状態では、私どもでは実は赤なんです。そのために、政府から私どもは毎年数億の補給金、つまり一種の赤字補助金的なものをいただいておるわけでありますが、私どもは、これはできるだけそういったことでなくして、私ども資金コスト引き下げるという方向でこの問題を解決していただきたいということで、現在政府に対してそういった措置を毎年強くお願いいたしておるのでありますが、不幸にしてまだ実現を見ないということはまことに残念に存じております。  さて、災害に対する貸し付け金利が八分二厘というのは高過ぎるじゃないかというお話でありますが、この点も私は御説のとおりの点があると思います。しかし私どもは、現在のやり方といたしましては、災害に対して六分五厘の金利を出す場合がございます。これは政府において激甚災害ということのある一つの定義があるのでありますが、閣議決定によってこれが激甚災害であるという決定がありました場合には、私どもはそれに応じて六分五厘の金利を出す、まあ特利といっておりますが、特別金利を出すことにいたしております。今度の新潟災害にはその激甚災害という指定がなされておらないわけでありますから、それに応じて私どももその特利を出すことを現在控えておる、こういうことに相なっております。  なお先生からのお話で、金利はゼロでもいいわけだというお話がありましたが、この点だけは、私は、やはり金融でありますから、金利は低くてもこれはいただかなければいかぬ、その程度がどの程度であるかという問題がありますけれども、無利子でお貸しするというわけには性質上いかないということだけは申し上げておきたいと思います。
  14. 田原春次

  15. 永井勝次郎

    永井委員 関連総裁にちょっとお伺いしたいと思います。  国民金融公庫中小企業関係零細部門のほうに非常に役立っておる、対象もそういうふうになっております。零細関係になりますと、やはりリスクが高い、また口数が多くなりますからコストも高くなる。したがって、そういう条件の中で金利を下げていくというためには、政府の無利子出資を多くするとか、あるいは補給金についてもっと政府がめんどうを見るとか、このコストの下がるような、そして、金融公庫としての企業努力の中でコストが下がっていくような条件を私はつくるべきだ、こう思うのですが、実際に金融公庫関係を見ますと、そのやっていることが逆行しているのではないか。たとえば、環衛関係国民金融公庫の扱いから抜いてしまう、そうすると、まあプロパー中小企業という関係になりますと、これはコストがますます上げる方向に動いておると思うのであります。さらに口数が、それだけの事業量がよそへ行ってしまうわけですから、従来の陣容の関係ではさらにコストが上がる方向になる。こういうふうに、企業努力によってコストが下がる条件をつくらないで、コストの上がる条件をつくっておいて、そして環衛法というような、こういうむだなものをさらに国の政策全体の中で二分して、全体としてコストが上がるような方向をとっているということはふらちなやり方だ、こうわれわれは思うのですが、その点について、環衛法が分離したことによってコストがどうなるのか。また、今後このような二つの分立した金融のコースにおいて金融公庫はどういうふうな障害に当たるのか。零細中小企業に対してコストを下げてサービスをよくするという条件からいえば、やっていることは逆行しておると思うのだが、それらの点についてどう考えるか。それから、コストを下げるための無利子政府出資をこれから多くしていかなければならぬ、こう思うのですが、それらについての予算の折衝過程においてはどういう状況なのか。明快にひとつお知らせ願いたい。
  16. 河野通一

    河野説明員 環衛公庫との関係の問題は、私どもにとって非常に重要な問題でありますけれども、この問題はあとに回していただきたいと思います。  先に、いま御指摘がありましたように、私ども機関といたしましては、できるだけ安い金利資金中小企業に多量に供給したいというのが念願であります。そのためには、先ほど来稻村委員お答え申し上げましたとおり、一つは、私ども自己努力によってできるだけ経費の節減をする、あらゆるむだを省くことによってコスト引き下げをはかっていくことは当然であります。現にその努力は、従来に増していたしておるつもりであります。ただ、そういう形によってわれわれのコスト引き下げるということにはおのずから限界がございます。あとは結局政府機関としては、政府から出資をいただくほかにないのですが、政府から出資をいただくことによって資金コストを下げる、これが唯一の方法であります。しかも、いま永井委員からお話がございましたが、補給金という形でわれわれのコストをカバーするということは、独立の企業体としてのりっぱな運営をしてまいりますためには、決していい方法ではないと私は考えておるのであります。これはぜひとも出資という形によってカバーをされることが最も望ましいことである。非常におわかりやすい例を実はお引きしたいと思いますが、政府から私ども出資をいただいた最後は昭和三十年、ちょうど十二年前になりますか、そのときの状態を申し上げますと、政府出資が二百億、そうして政府からの借り入れ金が約二百二、三十億じゃなかったかと思います。大体五十対五十の関係にあった。つまり無利子ということばはよくないのですが、出資によって得た資金に対して、六分五厘の利子を払う借り入れ金が大体二百二、三十億、フィフティ・フィフティということであります。ところが、現在は資本金はやはり同じ二百億、それに対して、規模がこれだけ大きくなりましたために六分五厘の借り入れ金は三千二、三百億になっておりましょうか。約十何年前にはちょうどフィフテイー・フィフティーであったものが、いまはどのくらいになりましょうか、一対十五か十七かでしょう。おそらくそういうふうな比率になってきている。これは算術をすれば当然わかるので、資金コストがそれだけ高いものについているということはもう明らかです。  その上に、さらに重要なことがもう一つあります。その昭和三十年当時におきましては、私ども基準貸し出し金利九分六厘であった。それが現在は基準貸し出し——もちろん基準でありますから、ほかにいろんな金利があります。もっと安い金利貸し出しもありますが、基準貸し出し金利は八分二厘であります。九分六厘の貸し出しをいたしておったときに、われわれの資金コストは、政府出資二百億に対して借り入れ金二百二、三十億でやっておった。いま八分二厘の貸し付けをやるために政府出資は相変らず二百億、こういう状態になっておることだけを皆さま方に申し上げまして、私どもはこれからも政府出資をいただけるように努力をいたしてまいりたいと考えております。  なお、環境衛生公庫に対してでありますが、この環衛公庫というものが一体できることのよしあしの問題につきまして、私個人としては意見がありますが、国会を通過し、すでに法律として成立しておることは明らかな事実であります。そのことを前提にして、この環衛貸し付けという問題について私どもできるだけの努力をいたしたいということで、現に、すでに環衛公庫は十月二日から開業いたしております。そうして、その環衛公庫業務の実際は、環衛公庫は直接貸しをしない、私ども中小企業金融公庫と商工中金との三者で代理貸し付けをしようということになっております。しかも、いまのところ、ちょっとはっきりしたことはわかりませんが、おそらく八割から八割五分くらいを私どもでお取り扱いすることになるのじゃないか。そうなりますと、それがわれわれの仕事、特にいまお話しの資金コスト引き下げ関連してどういう影響を持つかという点でありますが、この点につきましては、実質的には従来私どもプロパー貸し出しとして行なっておったものとそう違わないような運営をいたしたい、コストの点におきましてもできるだけそういう配慮をいたしていきたい、かように考えております。したがいまして、これが私ども資金コストの引き上げとか、そういったことに影響が全然ないとは申しませんが、大体たいした影響なしに私どもはやっていけるのじゃないかというふうに考えております。
  17. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 いま総裁の御答弁ではっきりしたのですが、要するに、国民金融公庫が今度のような場合に十分な融資ができない、また、中小企業に対して十分に要望に応ずることができないということは、やはり政府出資不足だと私は思うのです。それが根本原因だと思うのです。ぼくはそういう点をよほど政府当局にも大蔵当局にも考えてもらわなければならぬと思う。たとえば、日本開発銀行政府出資が二千三百三十九億円です。日本輸出入銀行は二千百二十八億円、農林公庫は一千六百八十二億円、住宅公庫は九百七十一億円、中小企業信用保険公庫が四百十四億円、中小企業金融公庫は二百四十九億円、国民金融公庫はいまのお話のように二百億です。非常に中小企業は少ない。こういうふうな政府出資になっておる。これは、中小企業に対して政府当局はあまり考えてない。こういうことを大蔵当局などは考えてないということを言われても、私は決して言い過ぎではないと思っておる。とにかく中小企業というものは、税金など隠す方法はないのですから、いろいろな方面で取られている。どこでも手形をどうしてやりくるかということをあの人たちは毎日考えて頭が一ぱいになっている。非常に努力をしておるけれども中小企業でそういう余裕のあるなんというのはそうないわけです。そういうときに、あまりに国民金融公庫というふうなものに対する出資が少ないじゃないか、こういうふうに私は考えておるわけです。もちろん、先ほど総裁も言われましたけれども、金を貸すにも申し込みに対して全部貸すことはできない。これは将来の償還方法、償還能力を考えて貸さなければならぬ。これは金融機関ですから当然でしょう。しかし実際上貸すべきもの、出すべきものにも出さない場合が多いですよ。そういういいかげんなインチキなものばかりやっておるわけじゃないのであって、実際上金を出してもらえば再生の余地があるものがたくさんあるわけです。そういうものも、わずかばかりの金がないために倒産していくというのが中小企業の現状なんですから、そういう意味で、国民金融公庫政府出資をもっと多くするようにしなければならぬと思うのですが、二百億というのは三十年から、ずっと据え置きですよ。この点どうお考えになるか。これでは中小企業の救済なんかできませんよ。
  18. 田原春次

    田原委員長 答弁は簡潔に願います。
  19. 河野通一

    河野説明員 実は私に言われても困るので、私どもは一生懸命に政府出資の増加をお願いしてまいっておるわけです。それを実現することができないことは、私どもの力が足りないことはまことに残念だと思います。私どもを御鞭撻いただくことは非常にうれしいのでありますけれども、どうかそういうことが実現できますように、国会等におきまして御尽力をぜひお願いしたいと思います。
  20. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 大蔵当局はこれに対してどう考えておるのですか。——それでは最後に一点だけ。時間が来ておるそうですから……。  災害が起きると、国民金融公庫の現地の職員は、労働負担が非常に過重なんですね。新潟支店では過去十年に七回くらいの災害貸し付けを行なっておりますが、一般貸し付けのほかにそれだけ仕事の量が非常にふえておるのです。臨時職員の採用などで、その支店勤務の労働者に過大な負担がかからないようにしていただきたい。そして、人員問題も十分考えていただきたいと思う。聞くところによりますると、審査員は持ち回り労働を行なって夜の十二時、一時まで仕事をしておる者もあるわけです。それに対して超勤手当の支払いも十分じゃないというふうなことを聞いております。こういうふうな点を私は至急考えていただきたいと思うのですが、その点いかがでしょう。
  21. 河野通一

    河野説明員 災害貸し付けというのは、御案内のように、突発的に起こるものでありますから、その当座ある程度支店の職員に労働がかかりますことは、私はやむを得ないと思っております。しかしながら、そういうことに対しては、できるだけ私どもは配慮いたしておりますので、現在でも新潟支店に対しては本店から三人、それから金沢支店から一名か二名の応援を出して、長期に手伝いをさせております。  それから超勤の問題でありますが、これも、超勤はしていただかないようにできるだけするのが当然でありますけれども、やむを得ず超勤をしていただく場合におきましては、その超勤の手当について不足のないように配慮いたしておりますから、御心配は要らないと思います。  また、いまのような、他の支店からの応援だけでは足りない場合には、臨時職員の雇用その他についてもできるだけ弾力的に考えるということにいたしておりますので、その点について御心配をかけることは万ないと考えております。
  22. 田原春次

    田原委員長 熊谷義雄君。
  23. 熊谷義雄

    ○熊谷委員 私は、九月二十二日に起きました青森県八戸市を中心といたしました水害を中心にした災害対策について、若干の質問をいたしたいと思います。時間がないようでございますから、関係各省から簡単に御答弁をいただきたいと思います。  内容は、先ほど青森県副知事から陳情がございまして明らかにされたとおりでございます。私も地域出身の議員といたしまして、現地の事情をつぶさに見て回りまして、この目で確かめてまいっておるわけでございまして、この点について率直に申し上げ、また簡明直截な御意見を承りたい、かように存じます。  まず、災害の範囲及び原因でございますが、結局九月の十一日から降り始めた雨が二十一日まで続いた。さらに最後のとどめとして、九月二十一日、二十二日の二十七号台風によってとどめを刺されたというような災害の状況でございます。  地域は三陸一帯ということになりますが、青森県の八戸市を中心にしまして、隣接する三戸郡、上北郡、さらに隣県の岩手の北部、これが中心地域でございます。  その様相は、端的に申し上げますと、八戸市の場合には、この十一日から二十二日までの延長約二週間、この間の累積降雨量は四百ミリをこえておるというような状況でございます。したがって、岩手から青森まで流れておりまする一級河川に指定された馬渕川をはじめ、地域の各河川が増水し、はんらんした。そのために、各種の災害が発生したわけでございますが、なかんずく農業災害等を中心に相当程度被害を呈した、こういうことでございます。特に農業災害の中で、長雨のために稲が立ったままですでに発芽を始めたというような状況に、さらに最後の集中豪雨によって倒伏が相当広範囲に行なわれている、水浸しになった、その結果と合わせて相当の被害が出た、こういうのが実相でございます。  さらに二十七号台風の先駆をなしました二十二号台風、それとの関連等からしまして、海の荒れ方もひどかった。したがって、沿岸の各港湾、漁港、それに関連する漁業災害等も相当程度に達している。こうしたような状況、さらに道路、河川あるいは八戸市を中心にしました都市の下水道あるいは都市下水路等、相当の被害を受けておるわけでございます。  また、建物の倒壊あるいは浸水等は相当でございますが、特にNHK等のテレビでも放送されましたように、赤十字病院の精神病棟がまず浸水を始めたというようなことからいたしまして、市民に対して、その方面からの不安等も醸成されたというようなことでございます。  結局、被害総額は、現在のところでおおむね三十億程度、こういうことでございまして、西の干ばつが九百億とか、新潟水害が七百億とか、あるいは山形、福高等数百億の巨大な災害額になっておるわけでございますが、その額からしますと三十億程度、知れたものだということになるわけでございますけれども、しかし、罹災者、被災者の立場からすると、決してこの額が小さいからということにはならない、かように考えるわけでございます。したがって、この災害対策には、そうした金額の大小をもって論ずべきではないことは当然であるわけで、このことについての政府としての考え方をまずはっきりさせておいてもらいたい、こう思うわけでございます。  特に、この地域は、農林当局は御承知のことで、目下対策中でございますが、いわゆるビートの転換に迫られている地域ございまして、このビート問題をいかに生産農家が克服するかという非常な苦しい立場に立っている地域でございます。  しかも、結びといたしましては、いまだかつて業界に類例のない長雨が上がってお天気になった、そうして一週間ばかりたちましたら、ばたばたリンゴが落ち始めた、いわゆる異常落果であります。長雨のために、色がまだついていないリンゴが落ちたという希有な現象でございまして、その地域は八戸市、三戸郡の地域の九〇%以上に及んで、はなはだしいところは五〇%くらいの落果率を示している、こういうような状態でございます。いままさに収穫期に入らんとするその直前において、こうした、かってない異常災害が発生しているというようなことでございまして、この地域は重ね重ねの二重奏、三重奏の災害被害を受けている、こういったようなことでもございますので、政府当局におきましては、各面から、ひとつ思いやりのある政治姿勢をとってもらいたい、こう思うわけでございます。  時間の関係ではしょっていきますが、以下数点についてひとつお伺いをいたしたい。  まず第一番、この対策についてでございますが、今次の災害関係は、ただいまも申し上げましたように、台風二十二号から台風二十七号、この関係で起きた災害でございます。しかも、農業災害を中心にしている、こういうことでございまして、しかもその地域は、青森県のみならず三陸一帯、特に岩手県北部が関連地域になっている。こうしたようなことでございますので、対策としての天災融資法の発動が絶対に必要であると思うし、また、融資法の適用はできるものと私は考えるわけでございますが、これに対しての農林省あるいは政府の考え方を、まずもってお伺いしたいと思います。
  24. 内村良英

    ○内村説明員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。  先生からも御指摘がございましたように、長雨及び台風二十二号等による被害によって、収穫期にあった水稲について穂発芽等の被害が発生しておりますが、そのことはわれわれもよく承知しております。しかしながら、天災融資法の発動につきましては、被害の総体を把握いたしましてから発動するかどうかをきめることになっております。現在、被害の態様から見まして、被害が進行中でございます。したがいまして、どの程度資金ワクが必要なのか等々につきましては、農林省の統計調査部の被害調査の結果を待ってから、天災融資法を発動するかどうかということになるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、一日も早く統計調査部の被害調査を終わりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  25. 熊谷義雄

    ○熊谷委員 ごもっともな答弁ですが、繰り返しますが、この災害は台風二十二号に始まって二十七号に至っての災害、こういうことでございます。その関連災害としては、すでに山形県あるいは福島県、そうした天災法融資決定の地域に関連しているわけでございまして、したがって、この地域の災害については、いささかの疑念なしに天災融資法が適用されなければならないものと私はかように確信します。したがって、それを前提にして、以下二、三、補足の質問をさせてもらいたいのであります。  天災融資法が発動するその間の罹災農民に対する思いやりのある措置として、各地域の災害に対する対策措置としては、つなぎ資金を融資する、さらに返済期に至っている資金についてはこれを延納する、あるいは利子については、被害程度によって減免措置をとるというようなこと、あるいは農業共済保険の繰り上げ支払い等について適切な指導をするというようなこと等が当然行なわれなければならない、かように考えるのでございますが、その点はどうでしょうか。   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕
  26. 内村良英

    ○内村説明員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。  まず第一に、つなぎ資金等の融資につきましては、これもなるべく早くやらなければならないわけでございますが、やはり被害の実態等も十分考慮いたしまして、なるべくそのような方向でできるように検討いたしたいと思っております。  それから次に共済金の点でございますが、その点につきましては、すでに係官を現地に派遣して、農業共済団体に対し、すみやかに被害実情に応じて共済金、保険金の仮渡しを行なうよう指導しております。それとともに、必要があれば国の再保険金の概算払いも行なう方針でございます。
  27. 熊谷義雄

    ○熊谷委員 ぜひそうしたような措置について遅滞なく行なうように希望します。  さらに、農地並びに農業用施設等に対しての災害が相当起きておるわけでございますが、これに対しての調査等も急いで、これに対する対措置を講じてもらいたいと思うわけですが、農地局長はどういうことに考えておりますか。
  28. 和田正明

    和田(正)説明員 今月中に査定を終わりたいというふうに思っておりますが、災害復旧事業を実施いたします事業主体の準備もございますので、現地に現実に参りますのは月末ごろになるだろうと思います。
  29. 熊谷義雄

    ○熊谷委員 西に東に大きい災害が起きておるさなかで、ネコの手も借りたいような当局の事情だろうと思いますが、罹災者の立場を考えて、何とかそうしたような措置をとってもらいたいと思います。  さらに、食糧庁の関係について二、三伺いたいのですが、長雨等、こうしたような状況からして米の質が低下した。したがって、政府買い入れの対象にならないというようなことになるようなこと等も考えて、生産農民は非常に心配している。この点については、すでに他の地域においても政府買い入れ対象とすることの措置をとってい為ようでございますが、この地域に対しても当然にその措置をとってもらいたいと思いますが、どうでしょうか。  また、さらに、時期別格差の問題、いわゆる奨励金とも関連があるわけでありますが、長雨によってこうしたような状況になり、二週間も農業労務が遊んだというようなことから、各面に対して農家の側で相当な支障が出ている。特に、先ほど申したようなリンゴの異常落果というようなことで、捨てておけないような事情も起きている。したがって、精米等に思うように運べない、こうしたようなことになるわけですが、この時期別加算の時期を繰り延べるということの措置について、いまからひとつ調査を始めて、この間に対処してもらいたいと思うが、それに対しての考え方をちょっと伺いたい。
  30. 馬場二葉

    馬場(二)説明員 第一点の災害米の政府買い入れの問題でございますが、原則として、政府が買い入れます米は、農産物検査の一等から五等までを買い入れておるわけでございますけれども、本年は各地の災害等で、それ以外に相当品位の落ちた米の発生が予想されるということで、先月の二十一日に等外上の米と規格外の米六種類を買い入れる道を開いております。すでにこれは告示になっておりまして、全国に適用されるわけでございますから、青森県産米についても当然そういったものの買い入れの道が開けておるということでございます。  それから、時期別格差適用期限の延期の問題でございますが、これは、従来から米の主産県であって、しかも天候、災害その他で稲の生育が非常におくれた、あるいは先ほどおっしゃったように、刈り入れなり乾燥なりの農作業が非常におくれまして、政府に売り渡す数量が例年に比べて非常におくれたという場合には、過去において延期をした実例がございます。これはあくまで県単位、県全体の数量でこういうことをとらえておりますので、一部には非常におくれておる地域があるようでございますが、青森県全体としては、ただいま食糧庁出先でいろいろ調査をし、見込みを立てておるところによりますと、従来数年間に比べて幸い本年は売り渡しの進捗が必ずしもおくれていないという現状でございますので、ただいまのところは時期別格差の適用期限を延期する必要がないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  31. 熊谷義雄

    ○熊谷委員 昨年も降雨による延期方を強くお願いした経験もあり、ことしもまたそのお願いをしなければならないときが来るのではないかということを懸念している現地の事情であるということを、一応含んでおいてもらいたいと思います。  次に、治水関係について河川局長にひとつお伺いしたいと思うのですが、今度の八戸市を中心にしたこの水害、八戸市において浸水家屋は約五千というような状況、ところが一級河川に指定を受けた馬渕川、あるいは二級河川の新井田川その他の中小河川、いずれも別に堤防が決壊したとかなんとかいうようなことはないのに、各地域に相当な水害災害を起こしている。結局、くずれようにもまだ堤防がないわけです。いわゆる治水体制ができておらない、こういうような状況でございまして、結局雨が降れば必ず都市中心にこうしたような災害が起こる、こうしたようなことでございます。一級河川の指定をした。しかし、まだその恩恵は出ておらない。あるいは二級河川その他中小河川の整備にしましても、いま申し上げたような事情でございます。青森県におきましても、昨年、一昨年、引き続き中小河川についての災害が重なっている、こうしたような青森県の治水体制の不整備、こうしたようなことは何としても今次の災害を通しても強く考えられるわけで、これに対しての根本的な対措置が必要だ、こう思うわけですが、局長の明快なお考えをひとつ伺いたい。
  32. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 最近の集中豪雨を見てみますと、非常に各地の中小河川に災害が続発しております。都市周辺の中小河川も集中豪雨に対して非常に弱うございまして、さらに各地における中小河川の整備が未熟なために災害が発生するという状況でございます。特に都市周辺におきましては、環境の変化に伴いまして河川に対して変化を与える影響が非常に多くなっております。それから、各地における集中豪雨の発生もまた最近異常なものがございます。したがいまして、それらに対処しまして計画そのものを変更する必要があるのではないかというふうにわれわれは考えます。あるいは社会環境の変化に応じて治水計画そのものを考えなければいかぬということを考えておりまして、ただいま治水五カ年計画の改定を大蔵省と協議いたしております。結論はまだ出ておりませんけれども、われわれとしましては、さような各地の状況に応じまして、できるだけ対処できるような方向を検討してまいりたいというふうに考えております。  なお、御指摘の馬渕川の一級河川の指定でございますが、これにつきましては、ことし指定を終わりまして、ただいま計画を練っておるところでございまして、具体的な計画を早急に立てまして必要な措置を講じてまいりたい。それから新井田川につきましても、従来から格段と促進をはかっておりますが、さらに今回の災害のいろいろな教訓をもとにしまして十分検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  33. 熊谷義雄

    ○熊谷委員 非常に力強い答弁をもらいましてありがとうございました。  次に、都市局関係について伺いたいのですが、八戸の都市災害の中心は、結局数年前にも今度と同じような災害が起きて、その原因は公共下水道がおくれているということと、さらに都市の下水路、二つありますが、いわゆる白山下水路、類家下水路、これがいまだ手がつけられていない。この前の災害の場合に、形ばかりの応急措置をとって、そのまま投げられていた。その結果が今度の災害になって再び同じ災害現象を起こしている、こういうことです。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕 都市計画の方向についてもう少し積極的な措置をとらなければ、また将来再びこうしたような災害が起きる、こういうことになることは必至です。したがって、この際に、おくれているこの八戸の公共下水道と都市下水路を、明年から積極的な事業推進をやるということが何としても防災上必要だ、こういうことになるわけですが、これに対しての考えを伺いたい。
  34. 馬場豊彦

    馬場(豊)説明員 都市局の技術参事官馬場でございますが、御答弁いたします。  八戸市の排水路関係につきましては、御指摘のあったように、下水道並びに都市下水路で整備をはかる考えでございます。都市下水路につきましては、一部施行したところもあるのでございますが、まだなお違った個所の要望もございまして、それらにつきまして来年度以降で施行する予定でつとめておりますが、たまたま今回の災害に間に合いませんで、災害の報告も来ておりますし、災害を起こしたことで申しわけないと思っております。せいぜいつとめるつもりでございます。
  35. 熊谷義雄

    ○熊谷委員 明年から積極的に進めていくという言明を了とします。ひとつその方向で対処してもらいたいと思います。  最後に、自治省関係についてお伺いしたいのですが、今度の災害の地域的な特徴は、復旧事業の対象にならないていの小規模の災害が非常に多いということです。したがって、今度の災害については、県はいち早く災害救助法の発動をやり、あるいは罹災者に対して県税の減免措置をとるというように遅滞なく災害救助対策をとっておるわけです。したがって、地方公共団体の負担は相当額になっている。それに加えて、いま申し上げたような小規模災害が多い、こういうようなことでございますので、この対策として、政府としてやはり特別交付税の交付増額というような方法をもってこれに助成援助の措置をとるのが当然だ、とらなければならない、かように考えるわけですが、自治省としてどう考えておるか、その点をちょっと伺います。
  36. 首藤堯

    ○首藤説明員 災害が発生いたしますと、地方公共団体にたいへんに財政負担がかかる。その復旧そのほかのことに努力をいたしておりますのは、御指摘のとおりでございますが、そのようなもろもろの経費に充てますために、災害のための所要の経費の状況に応じまして特別交付税の配分をいたしたいと考えております。  また、非常に小災害が多いそうでございますが、もし公共災害等に該当しません小災害がたくさんあれば、単独災害復旧事業の起債ワクの配分等についても十分考慮いたしたい、こう考えております。
  37. 熊谷義雄

    ○熊谷委員 そうしたような万般、ひとつきめのこまかい対措置をもってこの対策に万全を期してもらいたいと思います。  最後に、園芸局長にお願いして質問を終わります。  先ほど来申し上げているリンゴの異常落果の現象でございますが、これはリンゴの業界にもかつてない現象だ、こういうことでございます。ある程度の手を加えれば十分市販にもなり得るものもあるということでございますが、しかし、実際問題としてはそういうことはおよそ考えられない、加工用に回す以外に手がない、こうしたようなことであると思うのですが、しかし、これに対して何ら手を打たなければ、零細農民の立場からして少しの現金でもほしいというようなことから、品質の思いものを市販に出すという現象も出てくるであろう、こういうことが考えられるわけです。そうなると、大筋のリンゴ販売に対しての影響が非常に大きく起きてくるおそれがある。こうしたようなことを考えますと、これに対しての対策は、ひとり異常落果のリンゴ業者に対しての対策ばかりでなく、リンゴ業界、リンゴ業者全体に対しての対措置、こうしたような関連にもなると思うので、事は重大だ。したがって、いままでそうしたような例がないから、これに対する対措置はいまだしというような態度は許されない段階ではないのか、かように考えるわけですが、ひとつ、いろいろな関係で園芸課長にはやっかいになっているわけですが、やっかいついでに思い切ってずばりとこの対策を打ち出してもらいたい。今後この種の異常落果がまたあるかもしれぬので、それに対してあらかじめこうしたようなこともとったという一つの手があっても悪くない、こう思うわけですが、どうでしょう。
  38. 八塚陽介

    ○八塚説明員 今回の長雨、その後のひでり——ひでりと申しますか、天気の回復によりまして、異常落果が三八地区のリンゴに相当あったということは伺っているわけでございます。ただ、そのあと、それを商品としてどういうふうに処分をする、あるいはその処分のしかたいかんによっては他のリンゴの今後の販売の状況に影響があるということにつきましては、ただいま県当局にも打ち合わせをいたしております。か、やはり具体的には、そういうものをどういうふうに売っていけばそういう影響が比較的少なくて済むか、あるいは所得もできるだけ確保できるかという問題でございますので、今後とも現地の農協なり県当局あるいは県の経済部等と十分に打ち合わせをいたしまして、できるだけ私どもといたしましても、その販売のうまくいくように応援をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  39. 熊谷義雄

    ○熊谷委員 いま園芸局長から、これから何とかするというようなことで、多少不満なところもありますが、それはそれとしてひとつ対処してもらいたいということを重ねてお願いして、そうして被害の度は、先ほど青森県の副知事は七十万箱程度というようなことを言ったわけですが、私は、ずっと一日各地域を回りまして、その状態のはなはだしさに打たれたものでございまして、おそらく百万箱は下らない。そして、私の計算からすれば、損害額は少なくても四億程度にはなる。残念ながら木に残っているリンゴを見ると、青い小さい、ほとんどかん詰め原料程度にしか回らないようなものがゆうゆうと木には残っている。そうして市販に回されるていのものは、まだ未熟のままで畑の上にころがっている。こういうような状況です。ひとつ、初めての異常落果、これに対しての対措置に万全を期してもらいたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。
  40. 田原春次

  41. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ただいま、九月の二十一日を中心とする豪雨の災害につきましては、熊谷委員からいろいろ質問をいたしまして、大体私ども了承いたしたのでありますが、これに関連いたしまして、私からも一、二の希望を申し述べておきたいと存じます。  九月二十一日を中心とする豪雨につきましては、八戸地方を中心といたしまして、その隣接地域である岩手県の県北沿岸地帯が豪雨に見舞われました。ことに久慈地方におきましては、たまたま満潮あるいは高波等によりまして河川のはんらんによる被害を受けたわけでありました。ことに久慈地方につきましては、関係方面に、御承知のとおり、昨年十月の豪雨によりまして人命を失うこと等各般の災害を受けて、いまだ災害から立ち直っていないときに今回の災害を受けたわけでありまして、熊谷委員からも要望がございましたが、災害金額につきましては九州の干害、あるいは新潟山形水害等に及ばないわけでありますが、地域的には非常な災害を受けておりますので、ぜひ天災融資法の適用をお願いいたしたいのであります。いろいろ金額等の制限がございますが、これらにつきましてはぜひ調査を願いまして、御配慮をお願い申し上げたいと存じます。  なお、いろいろな災害が重なっておりますと、比較的被害の額から言えば僅少と見られます青森南部、岩手の北部についての調査、これに対する対策につきまして、ぜひ足並みをそろえて災害の査定等を促進願いたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  それから、建設省に対しましては、これまたすでに熊谷委員から質問がございましたとおり、中小河川のはんらんによりまして被害を拡大いたしておるわけでございます。この点につきまして、建設省として将来の治水計画等におきまして、こういう中小河川のはんらんによるいわば連年災害を起こすような河川についての配慮について、十分計画に織り込んでいただきたいということをお願い申し上げておきます。  次に、気象関係でございますが、たまたま久慈地方は、気象から言いますと盲点といいますか、ポケット地帯に相なっておりますので、これまた多年気象庁の設置について要望を県といたしまして続けておるわけでございます。ぜひこれまた設置について早急に御配慮をお願い申し上げたいと思います。  きょうは希望だけを申し上げておきます。
  42. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 ただいま御質問のございました中小河川のはんらんの件は御指摘のとおりでございまして、最近は特に中小河川のはんらんによる被害が非常にふえております。建設省といたしましては、したがいまして、来年度の予算編成にあたりましても、中小河川の対策に重点を置きまして、現在大蔵省とも予算の折衝をいたしておるわけでございますが、特に河川の整備を急がなければならないということで、現在やっておりまする一兆一千億の五カ年計画を御破算にいたしまして、来年度からは新しい五カ年計画を発足さして、その新五カ年計画の中でも特に中小河川の整備に重点を置いてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  43. 田原春次

    田原委員長 佐藤文生君。
  44. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 私は、次の三点のことについて干害対策について質問いたします。  第一点はため池対策、第二点が樹園地対策、第三点が統計調査事務所のデータのことについての質問、以上三点です。  私は地方議会におりました当時、このため池対策について、いまから十年ほど前に大分県議会で、農政の中でおくれておる数点の中で、ため池対策は非常におくれているのだということで、県の単独事業でため池対策をできるだけやるべきだということを主張したことがあります。ところが今度佐賀県と大分県、それから熊本、愛媛といったような非常に干害のひどい地域をずっと回ってこられた方々の視察報告なり、私が佐賀県の水害視察に行きました当時に、一番最初に言ったことは、ため池はどうなっているか、こういうぐあいに質問しましたところが、ため池の崩壊のために有田地方が特にひどくやられたといったような報告を受けまして、ため池対策が非常におくれておるということを痛感いたしました。そこで、昨日からの農林省のため池に対する御施策についていろいろなお話を承りましたけれども、抜本的なため池対策に対する特別立法でもつくって、どうしてもこれはひとつ完全なため池の復旧なり、あるいは堤防を上げてさらに用水を確保するような施設をやっていくといったようなことをやらなくてはいかぬと思いますので、いま一度ため池に対するところの農林省の考え方、これをひとつ明確にしていただきたい。九州をずっと飛行機で飛んでみまして、鏡をちりばめたようにため池がたくさん散らばっております。このため池農政に対して、これは地方自治体も農林省も戦後全然放置しておったと言っても私は過言ではないと思うのです。私はこの問題が一番大きい問題だと思いますので、私どもがため池対策について特別立法をつくって、ひとつ完全なるため池をつくっていく、こういう農政の指導に踏み切るべきだと考える、それに対する明確な返答をしていただきたい。これが第一点です。この第一点についてひとつ答弁を求めます。
  45. 和田正明

    和田(正)説明員 ため池がかりの水田は、全国の水田のうちの約一六%ぐらいございます。個所数として二十八万カ所ほどございますが、そのうち五町歩以上の面積の受益をいたしておりますものが約五万あるわけでございます。これらの事業につきましては、まず第一に、普通の土地改良事業として県営あるいは団体営でかさ上げをいたしましたり何なりの補助をいたしておりますほかに、古いもので老朽をしておりますものについては、老朽ため池としての防災的な補助事業を現在も実施いたしておりますが、大体従来までの調査では、いま申しました数字のうち五千ヵ所ほどが対策を要するというふうに調査ができておりますので、これに対しまして毎年度予算を計上いたしまして、補助事業としての対策の手を打っておるわけでございますが、そういう老朽ため池としての対策及び老朽はいたしておりませんが、かさ上げその他を要しますもの、それらを合わせまして、従来から県営なり団体営なり、あるいは老朽ため池の対策事業として工事を進めてまいりましたけれども、引き続きそのテンポを早めていきますように来年度以降も努力をいたしたいと思います。なお、非常に小さなため池で、受益面積がきわめて小さいものにつきましては、従前から農林漁業金融公庫の三分五厘の非補助の融資制度がございますので、小さなものにつきましては、そういうものの活用を現地でも利用してもらいたいと思います。  それから、本年の干ばつ等に伴います応急対策といたしましては、先日も若干申し上げましたけれども、非常に異常な干ばつでございますために、ため池の底なりあるいは堤体の部分に干割れ等を生じておるものが相当多数ございます。それらにつきましては、そのまま水をためますことは漏水の原因にもなり、場合によってはため池の決壊の原因にもなりますので、災害復旧事業として取り上げて処置をいたしたいというふうに思っておるわけでございます。
  46. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 昨日、稲富先生がこの問題で、いま全然水がなくなったため池がたくさんあるのだ、だからいま、ひとつ仕事をやらなくちゃならないのだと、こういう質問をしたのですが、そういうことについて地方自治体に何かの指令を出しましたか。こういうぐあいにやったらいいという、緊急対策としてのため池対策についてどういう指令を出したか、それをひとつ御指示願いたいと思います。
  47. 和田正明

    和田(正)説明員 ため池のどろをさらいますとか、あるいは堤防のかさ上げをいたしますとかいうことについて、いろいろ現地からの要望もございます。しかし、何ぶんにも水をためます施設でございますので、地質調査等を十分にいたしておきませんと、ただ簡単にしゅんせつをしたらかえって網の目のように抜けてしまうとか、その他いろいろな問題がございます。そこで、従来から調査等の済みましたものについては、先ほど申しましたような採択基準に応じてそれぞれ措置をいたしますが、それ以外のものにつきましては、補助対象にならぬようなもの等については、救農土木的な考え方も含めて、県単等でやります場合の財政負担等についても十分自治省と打ち合わせをして処置をしてまいりたいというふうに思っております。
  48. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 そこにすわっておられる災害復旧課長さんと一緒に、私、回ったわけですが、目の前でこういう問題が起こったことは御承知のとおりです。そこで、やはり特別交付金でこういうことを処置するとか、あるいは具体的にこういうことをやれという指示をしたという返事をしなくちゃ、これはもう現地では承服できないのですよ。その点が昨日からどうも私は納得いきませんので、ため池についての恒久対策と緊急対策という二つに分けた対策が、両方とも私はできていないと思うのです。そんなことでは、私はもうこの災害対策特別委員会の結論は出ないと思うのです。ですから、ため池のこの一つの問題だけでも、農林省としてはこの際ひとつ命をかけて、これだけはこういう具体的なことをやってもいいという指令を私は出さなければだめだと思います。そういうことがなぜできないのか。できないならできない原因をここで出して、われわれと率直にやるべきだと私は思う。そうしなければ、ため池対策一つをとっても、いま全然水がかれてしまっておる。それを修復しようにも金がない。そのままになっておるため池が何千とあるわけです。それに対してどういうことをやれという指令をもう出してもいいと思うのです。私はそういう指令が現在出されてないと思います。そういうことでは承服できかねますので、この点はいま一回、どういうことをやっておるかということを具体的に出していただきたい。してないならしてないというふうに言っていただきたい。
  49. 松井芳明

    ○松井説明員 ただいま先生からお話がございましたように、現地でいろいろ先生方のお供で見ましたところ、非常に水田のひび割れあるいは用水路のひび割れ、そういうものを見たわけでございます。それで、こういう状態であれば当然ため池にも相当のひび割れが出ているはずであるということで、現地におきまして農政局の災害復旧課長に、早急にそういうような水路並びにため池等についてのひび割れ災害を十分調査するように指示いたしました。これはいま局長からお話がありましたように、放置しておきますと、あとで水がたまった場合、漏水あるいは崩壊の原因となりますので、当然春までに措置をしなければならない一番緊急を要する問題であると判断したためでございます。それで、一応各県に調査を依頼いたしまして、県の調査を受けておりますが、その結果は、九州で約十億、それから中・四国でも約十億、農地並びに水路、ため池等のひび割れが出ております。これは当然災害復旧で処置いたしたいと考えております。大体その老朽ため池は、前からもそういうような漏水あるいはひび割れ等が若干あるわけでございますが、今次の異常な長い干ばつによりまして、そういったような状態が非常に強く被害を受けて出てきておるものと思われます。したがいまして、干ばつのひどいところほどそういう干ばつによるひび割れ災害は大きく出ているものと考えられます。したがいまして、特にそういう危険なものについては、できるだけ早く調査をして、それに対する措置を考え、また早く復旧を行なうことがまず何よりも急務であるというふうに考えておりまして、これについての具体的な復旧の方法——いろいろ技術的な問題がございます。古い土の上に新しい土をのっける場合には、そのなじみ方その他についても技術的な問題がございますし、それからひび割れの状態によってどのようになるか、提体のひび割れの場所だとかその状態等によっても措置がいろいろ変わってくるかと思いますが、数百カ所に及ぶそういう被災ため池の状態を、一様な、画一的なやり方は非常に危険があると思いますので、こういった措置につきまして、至急に査定官を現地に派遣して、そういうような技術的な面の調査並びに県への指導を早急に行ないたいと思っております。並びに、そういうようなことによって、さらに綿密な調査を県のほうから取って、いずれもそういうものは災害復旧で処置したいというふうに考えております。来春の植えつけ期の水をためなければなりませんので、それまでにはできるだけ工事を完成する必要がある。また、ものによっては、いま御存じのようにからからの状態でございますので、漏水その他の調査をすることができません。したがいまして、とりあえずクラックの入っているところを十分に前刃金で被覆いたしまして、とりあえず池のほうからの漏水を押えるような形にして、水をためて、漏水の状況によってはその後の措置をとっていくというふうな二段がまえのものも出るかと思いますが、大体そういうふうな方向で、今後緊急を要するものについては措置していきたい。また予算等につきましても、大蔵省にお願いして、できるだけ早くそういうものの措置ができるような予算措置をお願いしたいと考えております。
  50. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 それでは、地方自治体において、基準以下のため池のそういったような干害、あるいは水害によって崩壊したものとか、干害で水が干上がった小さなため池、そういうものに対して県単でいろんな仕事をやりますね、そういった県単でやるような場合でも、今度は国としては何とか考えようということで前向きに仕事を始めておる、こう考えてよろしゅうございますね。それではひとつそのことと、ため池に対する国家予算の来年度あたりの増額——これは私は三倍ないし四倍ぐらいに一挙にしてもいいと思うのです。そういったような決意をひとつこの際述べていただきたい。(「三倍じゃだめだ」と呼ぶ声あり)これは私は大分県のため池対策について考えたときに、大分県の単独事業をとりあえず三倍にしたという経験がありますので、それから三倍という数字を出したのです。そういった問題について、ひとつ責任者の御答弁をいただきたい。
  51. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 御承知のとおり、四十三年度予算につきましては、現在農林省から要求が出ておりまして、現在査定を実行中でございます。御承知のとおり、来年度は予算の総体的な規模をどれぐらいにするかというような大きな問題から現在入りまして、だんだん係の査定を煮詰めていく段階でございますので、御意見の点は、農林省の意見も聞きながら、実情に即した予算ができるように考えていきたいというふうに考えております。
  52. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 特に大蔵省の方にお願いしておきますが、ため池農政というと、徳川時代、幕府時代の残りというか、遺産というような考え方があるのじゃないかと思うのです。ところが九州、佐賀とか大分とか、こういったような地帯におけるため池というものは、近代農政の中の一番重要な一環だと私は考えていただきたいのです。徳川時代の遺産であるということではなくして、いま一番大切なことはため池を近代化するということ、それが一番大切だというふうに頭の切りかえをやっていただいて、予算の裏づけをぜひともしていただきたい。これをひとつ農林、大蔵に私は要請いたしておきます。  第二の問題は、果樹対策、樹園対策であります。六月の五日に農地局長が地方の農政局長に、四十二年度の干害応急対策事業についてこういうぐあいにひとつやるべきだという指令を出しております。その第六項に、畑、樹園地の補助については、「従来より種々問題があり、立地条件、経済条件、工事内容等からして助成の対象とすることは極めて困難である。」というふうに指令を出しております。これは六月五日付で農地局長が地方の農政局長に出しておる指導方針である。樹園地というものは補助対象にはならないのだ、助成の対象にならないのだと、六月五日に出しておる。この指令に対して、昨日返答を求めておるというと、これと同じようなことを言うておる。七、八、九、十の四カ月間にわたってこれだけの大干害が起こっておるのに、六月の五日に出した農地局長のこういった指令と、四カ月間にわたるところのきのうの返答が全然変化していないということは、一体どういうことなのですか。一体どういう陳情を受け、どういう実態を把握して農林省としてはこの干害対策をしているのか。樹園地対策については、全然その後の変化は見当たらないように私は思うのだが、その点についての御返答を求めます。
  53. 和田正明

    和田(正)説明員 六月の春の干ばつの際には、いま御指摘のような指導の通達を出しましたことは事実でございます。それは過去におきまする樹園地の補助を実施した例があるわけですが、その場合のいろいろな実情から考えて適当でないということで、そういうふうにいたしましたわけですが、それからあとは、若干佐藤委員の誤解だと思いますけれども、昨日から申し上げておりますことは、西日本の干ばつの異常さにかんがみて、樹園地に対しましても補助を実情に即して出したいというふうに方針としてはきめておる、そういうことでございます。
  54. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 災害復旧課長さんが私と一諾に見ましたが、ミカンの畑のまん中で、十数年間育てたかんきつがこのようにして枯れてしまった、来年から一体われわれはどうしたらいいか、もう大分県で青年として農村に残るのはあきらめた、大阪に出て働きたいというたくさんの青年に私はあなたと一緒に会ったわけですが、こういうぐあいに非常な変化が来たときに、いま御返答を求めていると何か具体的な御返答がないのですが、そうすれば、苗を買う代金、いまのかんきつの成木に対する肥料代、あるいは共同育苗圃に対する助成、こういう問題を国がやるのだという返答が私はなぜいただけないかと思う。そういうようなことを私はここでいただきたいと思うのですが、この一、二カ月間に相当な変化があって、そういうことをやらなくちゃならぬのだ、そうすることが樹園地対策として大切なことだということは一番わかっておるのに、その御返答がいただけないのですが、それをひとつ、どういうふうになっておるか返答していただきたい。
  55. 和田正明

    和田(正)説明員 私、いま補助の対象にいたしたいと申しましたのは、私の所管でございます水をかけるための工事等に要した経費という意味でございます。いまお尋ねの点は、担当の園芸局長から……。
  56. 八塚陽介

    ○八塚説明員 樹園地に対します肥料であるとかあるいは農薬等につきましては、従来も出したことはないわけでございます。大体こういう流動費と申しますか、個別に使う消耗品費を補助するということは非常に困難でございます。むしろ天災融資法等が本来のそういう目的に融資されるわけでございますから、そういうものでやっていただきたい。  それから、果樹の苗木の共同育苗でございます。現在の段階ではなるほど枯死したものもあるようでございますが、一般的には、とにかく枯死させないことが、一番追い詰められた、ぎりぎりの努力であるということで、現地では枯死させないように非常に努力をされておるわけであります。そこで、現在の段階では、どういうふうに将来とも改植をしなければいかぬか、苗木を手当てをして植えつけなければいかぬかという具体的な問題が、まだ地元のほうからよく計数的に、あるいはどういう態様であるかということが出てまいっておりません。今後そういう具体的な事情を詰めた上で、共同育苗という線で財務当局等とも具体的な話し合いをするということになっておるわけでございます。
  57. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 樹園地対策については、どうも私は具体的な進捗がないように思いますので、これはまた当局としても十分に考えていくだろうと思いますけれども、やはり抜本的な対策を立てなければ、行政指導だけではできないような考え方を私は持っておりますので、当局もひとつ抜本的な考え方に頭を切りかえていただかないと、樹園地はいままでのような考え方でやったのではだめだと思います。この点、ひとつ考え方を改めていただくということをお願い申し上げておきます。  第三点は、統計調査事務所のデータのことですが、これは関係者にひとつ答弁していただきたい。大分県で起こったことですが、九月の十日前後に水稲の被害が二十億だと県が発表したのに、統計調査事務所はローカルのテレビを通じて十億だと発表した。統計調査事務所と県の発表とが非常に違っておる。こういうときに、農民にとっては、あるいは県民にとっても非常な影響があるのですけれども、この統計調査事務所の統計のしかたというものが、県と連絡をとりながらやるというのか、全然やらないというのか、その辺がどうもわかりませんけれども、そういったようなデータの出し方ということは、その上でもって農林省はいろいろなデータをつくりながら、積み重ねながら一つの方針を出すのですから、地方の自治体と違っておるという点、こういうことについて一体どういうお考えを持っておるか、それをひとつ責任者に答弁を求めます。
  58. 八塚陽介

    ○八塚説明員 統計調査の当の所管部長がいまおりませんので、私かわって申し上げますが、もしなおそれで不十分な場合は、また別にその責任者にお聞きいただくということで申し上げるわけでございます。  昨日も同様の趣旨の御質問がございまして、官房長からお答えをいたしたと思いますが、統計調査部と県等との統計のとり方、それには技術的に違う点があるわけでございます。たとえば被害額を算定いたします場合にも、平年収量に対してこれくらいの減になるという計算のしかた、大体統計調査部はそれをとっておるわけでございます。ところが別に本年のこういう好天気がそのまま推移するとすればこれくらいの反収になるであろう、それに対してこういうことが起こったので、どれくらい減るであろうというようなものの見方があるわけであります。それから、たとえば果樹等におきましても、樹体損傷というようなことについては、この事態がこういうふうにならなければ来年はこれくらいとれるところが、来年もこれくらい減るであろう、こういうものを見込む場合、私ども統計調査部のほうでは、実は樹体損傷の評価というものは非常にデリケートでございまして、なかなか来年これくらい減るであろうということは把握しにくいので、そういう点はむしろ捨象していくというようなことで、方法論の相違がございます。それ以上具体的な方法の相違については、あるいはもっと専門家から申し上げたほうがよろしいかと思いますが、私どもの知り得ております限りでは、私どもの統計調査方法は、農林省としてはいわば確実な方法であろうということで、採用いたしておるのであろうかと存じます。  それから、県との連絡でございますが、そういうふうに目的なりあるいは評価の相違がございますので、連絡はいたすにいたしましても、それでは数字が違うから、このあたりで合わせようかというようなことは、むしろ統計としてはまずいのではないかというふうに考えておりますので、連絡はよくするにいたしましても、統計数字をいじるということはあり得ないのではないかというふうに思います。
  59. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 いまの統計の一つの例ですが、裂果したかんきつとか、あるいはひょうでやられたナシとか、こういったものは自治体としてはそれを減収とみなして報告する。ところが統計事務所としては、そういったものはやはり生産のトン数として見る。こういう具体的な点があると私は思うのです。こういうところも、よく地方自治体とどちらを見るのかということの話し合いを今後すべきだと思います。こういう点が誤差として出てきておりますので、特に私は注意をしておきたいと思います。  以上で終わります。      ————◇—————
  60. 田原春次

    田原委員長 この際、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派共同をもって、昭和四十二年七月以降の干ばつによる災害対策に関する件について、本委員会において決議いたしたいとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。天野光晴君。
  61. 天野光晴

    ○天野(光)委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党を代表して、決議案を提出いたします。  まず、決議案の案文を朗読いたします。     昭和四十二年七月以降の干ばつによる災害対策に関する件   本年七月以降九州全域ならびに四国及び中国地方の一部に七十数年ぶりといわれる激甚なる干害が発生した。   このため、被害農家はもとより、県、市町村及び農業関係諸団体等は、あげて干害応急対策事業の推進に万全を期しているのであるが、農作物の被害額は九百億円を越え、なお日増しに増加の一途をたどり、これに要した応急対策事業費も又莫大な額にのぼっている。   よって政府は、この激甚なる干害に対処するため、被災地域の実態を的確に把握し、従前の例に捉われることなく、左記事項について特別の措置を講ずるべきである。  一、干害応急対策事業については、激甚災害として、高率の国庫助成の措置を講ずるとともに、一般畑地、樹園地、山林苗畑及び桑園についても、水田と同様の助成措置を講ずること。  二、干害応急対策の共同施行分についても、地方公共団体、農業協同組合、土地改良区等の団体が施行するものと同様に高率の助成措置を講ずること。  三、干害応急対策事業助成要綱に定められている「足きり」措置を廃止すること。  四、干害応急対策事業に要した燃料費、運搬費等についても、特別な助成措置を講ずること。  五、干ばつに伴う果樹苗木の共同育苗費、代作用並びに時期作用の種子購入費に対して助成措置を講ずること。  六、松くい虫、コブノメイカ等虫害撲滅推進対策に要する予算措置を図るとともに、立木に対する害虫駆除予算枠の拡大を図ること。  七、粗飼料の不足に対処し、冬季飼料の確保について特段の措置を講ずること。  八、自作農維持資金及び開拓者災害資金の貸付限界額の引き上げ及び貸付枠の拡大を図ること。  九、被災県及び市町村に対する特別交付税の増額措置を講ずること。  十、溜池に関する国庫助成の採択基準引き下げるとともに、当面、被災農民に対して現金収入の道を開くため、溜池の補修、浚渫及び高上げ事業を早急に実地するよう措置すること。  十一、非補助干害恒久対策事業を早急に実地するため、現行三分五厘資金の融資枠及び貸付限度枠を大巾に拡大すること。  十二、常襲干ばつ地帯の水田の開発調査を早急に実地するとともに、水利調整ダムなど大規模水利施設の建設とかんがいに対する技本的な水利対策を確立し、強力に推進すること。  右決議する。    昭和四十二年十月七日  決議案の趣旨につきましては、昨日来本委員会において委員各位から熱心な質疑が続けられ、十分御承知のことと存じますので、省略させていただきます。  何とぞ満場一致御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
  62. 田原春次

    田原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  63. 田原春次

    田原委員長 発言の申し出がありますので、順次これを許します。小松幹君。
  64. 小松幹

    ○小松委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました干害対策に対する決議案に、以下三、四点の意見を申し述べて、賛成の討論を行ないたいと思います。  西日本各地の干害は七十数年ぶりといわれるものであって、農産物の被害は、現在だけでも九百数十億にのぼるといわれておる状態であります。日本農業についてたいへんな問題であるとともに、西日本農民にとっては死活の重大な問題であるということであります。  政府は、これらの問題に対して、対策として天災以上人災であるという理解のもとに立って、その対策については、従来の方針に固執することなく、積極的にさらに抜本的に施策を打ち出していくべきだと思うのであります。政府は、この干害の重大性をさらに認識して、ここに盛られた決議案の各項にわたって綿密な措置対策を試み、万全なる行政措置を行なってもらいたいと思うわけであります。  同時に、この施策を通して農民を救済するということが重大であります。安定した農業を樹立するためには、西日本各地の被災農民を救済して、再生産に立ち上がらさせてこそ日本経済の成長があり、日本農業の発展があるということであります。そのためには、既往の災害対策という個々の問題にとらわれることなく、この際私どもは恒久的に対策を特に樹立して、この措置も両三年——早急に解決をしていく必要がある、こう考えておるものでございます。  そのためには、まず第一に、政府自体としても水資源の利用の方向を分野として確保する、工業用水はどこから、あるいは上水道の水はどこから、農業用水はどういうように確保するのだという一つの利用の方向、水資源の配分についても農林省は特にこの際考えおかねばならない。中小河川の水を全部が分け取りをして、残った水だけが農業用水というような考え方では、私は日本農業のかんがい用水は確保できない、こう考えておるものであります。そのためには、どうしても天水をためるため池だとか、あるいはこれらの用水をつくるためのダムだとか、あるいは樹園地のかんがい、いわゆる畑地かんがい用水はどうするとか、こういうような農業用水資源の確保というものを、この際、農林省も、政府全体としても考えていくべき段階がいまこそ来ておる、このように考えます。  特に先ほどから問題になっておりますため池でございます。ため池は徳川時代の遺物であると先ほども自民党の佐藤委員から言われておりますが、そのため池が、日本農業のほとんど平野部以外の地を救っているのが現状でございます。このため池に対する対策が不十分なために、この西日本の全滅という水田被害を起こしたのでございます。だから、ため池対策というものは、従来の考え方を変えて新しい観点に立って、天水をためるという水資源の確保も、これは農業用水資源の確保としては最大のものであるという観点に立って、ため池の補修、かさ上げ等、少なくとも三カ年間の計画を立てて、緊急措置とあわせて抜本的な措置を講じてこそ、安心してそれらの天水を当てにする農民が農業にいそしむことができる、このように考えておるものでございます。  また、最近は、近代産業として新しいいわゆる適地適産農業が行なわれて、所によってはミカンの産地、あるいはリンゴの産地、あるいはブドウの産地として適地適産農業が行なわれておりますが、農業の行き着くところは水であります。その水を確保しないで適地適産などあり得ないわけです。畑地かんがいあるいはミカンの奨励等も、この水資源の確保があってこその問題であります。そうなれば、勢い水資源の確保という、ため池にたよろうが、ダムにたよろうが、あるいは中小河川からくみ揚げようが、この問題を考えて農業が成り立つということから、畑地かんがいあるいは樹園地対策等についても十分な配慮をしていかなければならぬと私は考えておるものであります。  最後に、農民は、現在の生活ですら、いろいろ機械化農業によって借金に埋まっておる。借金をしない農家はほとんどない。それであるのに、水田というものが全滅に近い、あるいは五年も七年もかかった樹園地が一朝にして壊滅をするという段階になれば、借金をこの上すべきか、しないかという判断にも迷っておる。かりに借金をしても返すめどのない日本農業、こういうことを考えれば、どうしても問題は生活自体の問題にくると思います。いずれ本年度の生活設計というものは、根本的に立て直さねばならぬ羽目になってくる。好むと好まざるとにかかわらず、日雇い人夫に出るか出かぜぎに出るか、せねばならないという農民の哀れさ、この被害の重大さを考えた場合に、緊急的な生活救助というものを考える以外にはない。だからといって、厚生省にたよって生活補助を受けるということもできない。そうなれば勢い救農土木あるいは救農農事事業、こういうものを緊急かつ即刻に興して農民の生活をいま救うということを考えなければならぬ、かように考えております。  きょうは総理府総務長官も御出席でありますし、総務長官は災害全般の総元締めでございます。これは農林省にたよるということのみに限った問題ではございません。西日本農民を救うという全分野の政治的な姿勢の中で考えていかなければならぬと思います。この点を考えまして、どうか政府においても、農林省においても、この決議案に盛った真の意味がどこにあるかということをお考えなさって、早急に対策を立て、農民救済のためにぜひとも果敢な行政行動を起こしていただきたい。  以上を申し上げまして、ただいまの決議案に賛成の討論を終わりたいと思います。(拍手)
  65. 田原春次

  66. 稲富稜人

    ○稲富委員 私、民社党を代表いたしまして、ただいま提案されました決議案に対して賛成の意を簡単に申し上げたいと思うのでございます。  背より、災害は忘れた時分にやってくるといわれております。今回の干害は、忘れた時分ではなくて、まるっきり予期しなかった干害であるのであります。昔より日本の歴史を見ましても、大飢饉というものは干害でございます。ところが、この干害に対しまして、はたして十分な処置がいままでやられたかどうかということに問題があるわけでございます。私たちが今日この論議をしております中においても、干害はますます増大をしてまいっております。今日の予期しなかった干害にぶつかった農民は、ぼう然自失たる中において何とかして収穫減を食いとめようとして、今日もまたその自然と戦っていろいろな努力をしております。しかしながら、はたしてその努力が報いられるかどうか、私はこの農民の失望はますます大になろうと思います。こういうときにこそ政治の手を伸ばすことがわれわれ政治家として当然の任務である、かように考えます。少なくともこの被害は天災ではなくて、人災でございます。その人災である干害に、農民がそのような自失の状態に置かれているということは、これまた、私たち政治を預かる者の責任の一端でもあると考えなければいけないと思うのでございます。  今日、農業の近代化ということがいわれます。この農業の近代化を唱える日本の農政に対しまして、天水を利用しながら、天水に依存しながら農業を経営していくということで、どこに農業の近代化があるかといわなければならないと思います。私たちは、そういう点から、今日、このほう然自失たる群民に、次の生産のために戦う意欲を持たせるためにも政治のあたたかい手を伸ばすことが最も大切であると思うのであります。  こういう意味から、今日決議されましたこの決議事項が直ちに実施され、そうして農民に安心を与えることがあたたかい政治であると思います。どうぞこれに対しましては、政府はちゅうちょすることなく、あるいはいままでのいろいろなことにとらわれることなく、抜本的な考え方を持ってこの決議に善処されることが最も必要であるという二とを強く要望いたしまして、この決議案に賛成の意を表するものであります。
  67. 田原春次

  68. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 公明党を代表して一言申し上げます。  今年は、まことにアンバラススな気象による災害が多発いたしたわけであります。東日本の水害によって多くの人命、財産を失い、いままた西日本における七十数年ぶりの干害に見舞われ、数名の自殺者まで出るに至っております。東に西に天を仰いで大衆は涙を流し、地に伏しているのが日本の現状の姿であります。政府においても、この干害対策に対しまして、ただいま四党を代表いたしまして提案されたこの決議文にあるとおり、緊急に、また全力を振りしぼってこの実施に当たることを要求するものであります。  政治のための政治でなく、大衆のための政治であることを私ども公明党は期待いたしまして、全面賛成の立場より本提案に賛成して、一言ごあいさついたしておきます。(拍手)
  69. 田原春次

    田原委員長 これにて発言は終了いたしました。  採決いたします。  お手元に配付いたしてあります案文のとおり本委員会の決議とすることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、ただいまの決議につきまして、塚原総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。塚原総理府総務長官。
  71. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 ただいま御決議をいただきまして、また皆さま方の御意見も拝聴いたしまして、政府は御決議の趣旨を尊重して努力いたします。(拍手)
  72. 田原春次

    田原委員長 おはかりいたします。  ただいまの決議を関係政府当局に送付いたしますが、その手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  74. 田原春次

    田原委員長 続いて質問を続行いたします。  村上喜一君。
  75. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 塚原長官がお出かけになるようでございますので、その前に一言意見を言わしていただきたいと思いますのは、今回の干害によります被害が一千億になんなんとする状態になってきた。その中におきまして、農林省には災害対策本部なるものが設けられた。しかしながら政府の中に、残念ながら対策本部がつくられていない。きようあなたが出席なさいましたのは、政府のいわゆる中央防災会議の責任者としてあなたが御出席になったのだろうと思うのであります。いままで論議をされている内容の問題については、なるほど農業関係が中心であります。しかしながら私がいまから取り上げてまいります問題の中には、厚生に関する問題あるいは教育に関する問題さらに中小商工業に関する問題等、この干害の影響によって引き起こされている生活の問題が、国民各層に及んでいるのであります。そういうような点から考えていくならば、政府の中においてすみやかにこの干害対策のための本部を設置されるということが私は望ましい姿ではないかと思うのですが、残念ながらそういう政治の姿勢が見られないのであります。きょうは農林大臣もお見えにならない、あるいはその他の各省の大臣はもちろんのこと、政務次官も、先ほど渋谷君が建設政務次官としてただ一人見えているだけで、あとはほとんど出席をしないという状態であります。この委員会は六、七日の二日間にわたって開くということが言われているにもかかわらず、そういうような状態になっているということは、この災害に取り組む政府の姿勢というものがきわめて微温的であり、きわめて熱意を欠いている証拠だと私は思うのですが、そういうような対策本部をつくって対処していくというかまえはないのかという点について、塚原総務長官の御答弁を承りたいのであります。
  76. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 今回の西日本の干ばつに対しましては、心から御同情を申し上げておる次第であります。また関係の方々から私もいろいろといわゆる陳情と申しますか、実情についての御報告もちょうだいいたしております。  いま村山委員の御質問でありまするが、なぜ非常災害対策本部を設けないかということでありますけれども、別に非常災害対策本部は災害対策基本法に基づいて、こういう基準であるからこういうふうに設けるという性格のものではないというふうに私は考えております。七月豪雨、八月豪雨については、災害対策本部がありながら、なぜ干ばつでやらないかというお話も私は承りました。これをあるいは四月、五月の関東地方の干ばつと比較した議論も私は拝聴いたしました。しかし政府としては、姿勢云々の問題がございましたけれども、非常災害対策本部を設ける、設けないにかかわらず、この問題と取り組んでおることは間違いないのでありますから、ひとつ誤解のないようにお願いしたい。このための災害対策本部というものは設置いたしませんでしたけれども、直ちに関係閣僚会議を開きまして、また、総合調整の立場から総理府が中心となりまして、連日この対策についての御相談はいたしてまいっておるのであります。なお、総理府にも、それから地方の出先農政局にも本部はございます。したがって、実質的には本部があると同じ措置がとられておるし、政府としてもそのかまえで、その姿勢で臨んでおるのでございます。その点ひとつ十分御了承をいただきたいと思うのであります。
  77. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 その政府の取り組みの姿勢の実質的な価値判断というものは、私は国民がすると思うのです。そういうような意味において、ただいま決議があげられました。それに対して総務長官のほうから誠意を持って対処する旨の御答弁がなされたと思うのであります。そういうような立場に立って問題をとらえていくとするならば、七十数年ぶりに引き起こされたこの干害、しかも未曾有の干害であります。これに対しましては、長官も御承知のように、現在の災害対策基本法の中には干害に関する事項というものは載っていないのであります。そういうような立場から、抜本的な対策を立てる意味においては、干害に対するところの法律を制定をしなければならないものだと思うのでありますが、それに対応いたしまして、国会の要請に従って、総理府総務長官とされましても、当然そのような立場で対処願うはずだと思うのでございますが、いかがでございますか。
  78. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 災害対策基本法のお話が出ましたけれども、私も、先ほどの討論にもありましたように、干ばつというものについて、これは忘れたころにやってくるのじゃなくて、今度の場合などまさに予想しないものがやってきた。しかも風水害と違いまして、そのあとの問題が非常に重要であるということもよく承知いたしております。これに対処する策といたしまして、関係省の農林省あるいは建設省、自治省等ともいろいろ御相談をいたしておりまするが、いまお述べになりましたような御趣旨から、私は確かに考えなければならない面があると思いますので、総合調整の立場にある閣僚の一人といたしまして、関係省庁と御相談いたし、そのような措置をとるよう研究いたす考えでございます。
  79. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 長官の熱意に対しまして、一日も早くこれが国会で議決ができるような体制が生まれてくることを私は期待をいたします。  われわれは臨時国会の開会の要求をいたしておるわけでございますが、それに対しまして自民党の福田幹事長は、臨時国会を開催すれば災害対策がおろそかになる、だからその際事務の渋滞を来たさないためには、どうしても臨時国会の開催の時期というのは十一月の末でなければならない、こういうようなことで、十一月の末に臨時国会を招集をするという旨の趣のようでございます。さすれば、干害対策の緊急性という事態から考えてまいりますならば、事一刻を争うような事態に立ち至っているわけでございますから、そういうような問題に対処しながら善処されますことを要望を申し上げておきたい。  次は、具体的な問題に対して私は質問を申し上げてまいりたいと思いますが、いままでの、きのうから本日に至るまでの論議を承っておりますると、きわめて具体的な解決の方策は見出し得ないのであります。残念ながら、その財源的な措置を伴う答弁というものについては、ほとんど具体的な答弁がなされていないのはまことに残念であります。  そこで私はその問題についてお尋ねをしてまいりたいと思いますが、一体自作農創設維持資金の中において、いわゆる災害のために生活維持資金として使える資金というものが、当初七十五億程度あった。それがいままでの間に十億程度使われております。で、その残りました六十五億の資金の中から、今度は、新潟災害のために本日農林大臣が行かれているはずでありますが、その農林大臣が、自作農維持資金については新潟県についてはこれだけだということで本日持っていかれたのではなかろうかとわれわれは見ているのであります。そのほか東北に起こっておりますその他の水害等に伴います災害の問題、あるいは九百三十六億にのぼります西日本の干害対策のこの自創資金の需要の問題、こういうような問題を考えてまいりますと、残りました六十五億の中ではやりくりがつかないような事態というものが十分に予想をされると見なければなりません。それに対しまして、六十五億の財源で自創資金がまかなえるというふうにお考えになっているのか、農林省の御答弁を願いたい。  それとともに、天災融資法の適用はもう二十日ごろには大体既定の事実としてわれわれも受け取っております。それに基づいてつなぎ資金等がすでに開始をされていることもまた事実であります。そうなってまいりますと、この資金源というものは農協の系統資金を利用いたしまして、それに対して三分なりあるいは六分五厘の低利資金の融通をするというかっこうになるわけでございますから、利子補給に要する資金というものは、さほど財政上の負担という問題にはならないかとも思うのでありますが、今後災害が累積をしてまいりますると、天災融資法によるところの資金対策という面についても、これは十分な配慮を願わなければならない問題が多いのであります。特に六分五厘という一般災害ワクよりも、特別にひどい災害を受けている地帯が多く出てきているわけでございますから、三分の低利資金という問題になってまいります。そうなってまいりました場合には、この天災資金というものが、十分な配慮が払われて農民が安心して借りられるような措置ができるのかどうか。いままで農民は各種の制度資金を借りております。そして、もうすでに、その担保能力からいって、一応の限界にあります。しかも自創資金の場合には三反歩以下の農民には貸し与えられない仕組みになっている。そういう中において農民が生きていく道は、もう農協の中に預けましたいわゆる自己資金というものはほとんど枯渇しているし、今度の災害によりまして収入は減少をしているわけでございますから、そういうようなものにたよるわけにはまいりません。しからば制度金融の道をこのような措置で切り開いてもらわなければならないということになってきたときに、はたしてこれが十分な見積もりができるのかどうかということについてお尋ねをしたいのであります。  特に自作農創設維持資金につきましては、北海道の農家の借り入れ金の清算資金にも使うのだ、こういうようなことも承っております。とするならば、四百億に及ぶところの北海道農民のそういうような資金需要というものに対応して、六十五億という資金があった中においてそれをまかなうことは、さか立ちをしてもできる相談ではございません。そういうような状態の中においてこの自創資金ワクをどのようにして拡大をして、災害農民に期待が持てるような方向で対処することができるのかどうか、この点についてお答えを願っておきたいのであります。
  80. 和田正明

    和田(正)説明員 自作農維持資金のことでございますが、お話がございましたように、当初の予算でのワクは七十五億でございます。北海道の農家のお話がございましたが、いまの七十五億と申しますのは災害の金でございますので、災害の場合に、それぞれの被害実情に応じてその中から逐次融資ワクを設定してまいるわけでございますが、昨日来農林大臣等から御答弁を申し上げておりますように、現在西日本の干ばつにつきましての被害の実態調査を統計調査部の調査をもとにして集計を急いでおりますが、その集計が出ました上で、天災融資法で幾ら融資をするか、また農業共済のほうでどの程度の金が支払われるか等々を計算をいたしました上で、自作農維持資金ワクを設定をいたすわけでございます。したがって、いまの金額で間に合うか間に合わないかということについては、まだそういう点についての数字的な詰めが終わっておりませんので何とも申し上げられませんが、ただ過去の経験から考えまするならば、十分現在の公庫融資の総ワクの中で処理できるというふうに考えております。
  81. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私が現地に参りまして農協を一つ一つ歩いてみたのですが、大体多く出しても押えられる、だから一千万程度しか期待ができません、そういうようなかっこうの中で終わっているようであります。とするならば、多くて三十万円あるいは二十万円という程度にとどまってしまう。しかも、その資金というものについては、これは生活資金のほうに回さなければならないわけでありますが、天災融資法によりまして受けました資金は、農協の営農資金のほうの掛け金として回収をされるような仕組みになっている。そういうふうになってまいりましたら、農民はこの資金によってとりあえず生活を余儀なくされるという事態でこの困難な時期を乗り切らなければならないわけであります。  そういうような立場から考えてまいりました場合に、現在残っている六十五億程度でほんとに十分な措置ができるとば私は思わないのであります。これはやはり資金需要というものを初めから押えておいて、かかっている対策ではないのかということを懸念をせざるを得ないのであります。この資金が足らなくなった場合には、農林省はやはり大蔵省に対して強く要請をされるべきであると私は思うのでありますが、そのような措置をおとりをいただきたいと思うのであります。  そこで、具体的な問題でございますが、よく新聞に、今度の場合には、激甚災である、だから激甚法の適用をするのだ、こういうような記事が出るのであります。先般も、私の郷土の新聞に、国務大臣が帰ってまいりまして、激甚法の適用は間違いない、こういうふうに出しました。ところが、激甚災の指定の条項はもちろんのこと、災害対策基本法の中にすら、干害の問題は、その他条項に含まれているのであります。したがいまして、どうも中身がおかしいというので、いろいろ問い詰めてみますと、この前起こりました干害の国庫補助の高率適用のことを言っているのだろうということであります。いわゆる干害対策に対する高率適用の問題は、これは一億円以上の緊急工事を都道府県なり市町村がやった場合には高率補助の適用によって限られた種目について対処する、こういうことであります。で、県のほうが一割ぐらいそれに足して補助を出す。残りの四割については、これを補助融資として、八割は融資金として農林漁業金融公庫のほうでめんどうを見る。ところが、そのあと残るのがあります。その残りましたものについては、これは当然各市町村なりの自己財源というものを持ち出してやらなければならない。その場合に、これも特交でやがて見てくれるであろう、こういうような話があります。  それから、私の鹿児島県の長島というところは、たいへんな災害地帯でありまして、二カ月間雨が一滴も降っておりませんから、被害率は全農作物収入の五二%を上回っているわけであります。そのような地帯でありますから、県のほうとしても、救農土木事業というものをやることになりました。県費で東西長島の二つの町に対しまして八百五十万円の県単事業をやる。そのときに結局道路と林道と農道を建設する。この場合には、いわゆる県の条例による負担区分がございますから、それぞれ四割なり五割の地元負担をしなければなりません。その地元負担をする農家の現状はどうかといえば、現金収入はありませんし、農作物は収穫皆無の状態でありますから、負担能力はありません。そこで持ちこたえながらがんばっている農家の人たちはまだいいほうであります。私の地帯ではもうすでに生活の場を失ってしまいましたので、八百名の基幹労働力が大阪方面に出かせぎに行っているのであります。そういうような状態の中において生活をしている。その中で自己負担ということは不可能でありますから、県単事業というものを返上しなければならないという事態が出てきた。しかしながら、返上するということはそれだけまた現金収入の道をみずから閉ざすことになりまするし、出かせぎ者をますます多くするということになりますから、それに対しましては、町のほうで負担をせざるを得ない。だから町のほうでそういうようなものに対しまして負担をする場合に、起債なりあるいは交付税の中でこれを将来見てくれるであろう、こういうようなことになってくる。それからいままで町の単独事業として稀代とかいろんな緊急な対策をやっております。ある市におきましては失対事業方式によります三百万のいわゆる単独事業ということによって農民を救済しようとしている。こういうようなものをやりました際に、政府の説明をいままでずっと承っておりますると、これらの問題については特別交付税の中で考えるのが妥当であります、こういうような形の中でその逃げ道として特別交付税のほうに逃げているのであります。そこで私は、これらの問題について、現在の法令の体制の中において、特別交付税として、いわゆる県や市町村がやりました単独事業等に対するその負担分について政府としては十分に考えてくれるのかどうか。またいままでもございました上水道の水を使い、あるいは清掃車を使い、自動車を使い、あるいは耕うん機等によって給水をし、燃料費を使い、あるいは借り上げ料その他を支払ってきた農民に対してもまた特別交付税で見てはどうか、こういうような意見等があるわけでありますが、こういうような問題を全部そういうような財源負担の中にぶち込むということは、私は災害対策に対する自己責任というものを逃避する方向ではないかと思うのであります。したがいまして、これに対するところの財源措置は自治省としては責任を持って引き受けてくれるのか、また大蔵省はそういうようなのに対して責任を持って対処してくれるのかどうか、この点についてお答えを願いたいのであります。
  82. 首藤堯

    ○首藤説明員 特別交付税のことにつきましてお答えを申し上げます。  ただいま御指摘がございましたように、災害、それから干害等に関連をいたしまして、もろもろの市町村あるいは都道府県が事業そのほかで支出をしなければならぬ財政負担が起こるわけでございまして、そのようなものに対応いたしますために特別交付税の配分をいたしておるわけでございます。干害の場合等におきましても、農作物の被害額等を基準にいたしまして特別交付税を配賦するわけでございます。ただ、特別交付税でございますから、これは事業個別個別の補助金という形態はとらずに、地方団体の一般財源というかっこうでもろもろの所要経費に対する財源措置として処置をいたすわけでございます。  なお、ただいまお話のございました給水等に要します経費等につきましても、その市町村の実情に応じまして、特別交付税の中でできるだけの措置はしてまいりたい、このように考えております。
  83. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 私、特別交付税は所管外でございますけれども、担当の主計官に連絡をとったところ、できる限りそういうぐあいに対処するように大蔵省としても考えていきたいというぐあいに述べております。
  84. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 では具体的にお尋ねいたします。  私も現地を一週間ほど歩いてみまして、農作物の被害もさることながら、人間が生きていく条件として欠くことのできない水の問題、飲料水の問題か島の問題でございました。そこで県のほうから県単の事業としまして地下を電探をして水源を調査してみたら、地下五十メートル程度のところに相当大きな水脈があるということが島の中の各所で発見をされました。そこでまず水をたらふく飲ます、そうしてたんぼや畑に水をかけることができるような措置をするためには、そのボーリングをし地下水をくみ上げる以外にその島の住民は生活をしていくことができない、こういう事態でございます。ところが岩盤でございますから一メートル当たり一万円かかります。五十メートルの井戸を掘るのには五十万円の金が要ります。それだけじゃなくて、動力によってポンプアップをしなくちゃなりません。そういうような状態の中において、もう島から人間がいなくなるような事態が現実において生まれつつあるのでありますから、これ以上基幹労働力を失った場合には、その地区における農業というのは壊滅状態におちいる。したがって、どんなことをしてでも、とにかく住民に水を飲ましていかなければならぬという立場で、現在は役場のトラックはもちろんのこと、その島にありますいわゆる民間の自動車を借り上げまして、その給水を一日バケツ二はいずつ行なっております。その個所が今日まで何十カ所もありますが、すでに給水に要したところのそれらの費用が一つの町だけで三百万円をこえるという事態が生まれております。それに対しましては、後ほどまた厚生省の考え方をお聞きをしたいと思いますが、現に一メートル一万円の経費をつぎ込んで数十カ所にわたって井戸を掘さくしなければならないようなそういう事態のところにおいては、国のほうの高率補助で半分はいただけるとします、あと県費で一割、合計六割は補助金としてもらえた場合に、残りの二十万円については、八割はこれは融資ということになりますと、なお残りの四万円というのは市町村費負担かあるいはそこの土地改良区の負担、住民の負担になるわけであります。こういうような措置をやりました際には、当然特別交付税の中で市町村が用意した財源等については見てくれるということで確認をしてよろしゅうございますね。
  85. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいまの御質問にございましたような事態で市町村が支出をしました経費、こういうものにつきましては特別交付税の要素として考えてまいりたいと思います。
  86. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、きのう熊本の寺本知事のほうからこの委員会において感謝のことばがございました。それは厚生省が、特定の地域を限ったところではあるけれども、いわゆる給水をしなければならないような離島については特別の配慮をすることによりまして災害救助法を適用していただくことになりましたことについてはまことに感謝にたえません、こういうことばがございました。そこで私、厚生省の担当課長にお伺いをいたしたのでございますが、それは離島であり、しかもそこの島に水がなくて本土なりあるいは遠方から船舶によって給水をする場合には、これをいわゆる災害救助法の適用対象として取り上げようということでございます。ところが現実に私が現場を見て回りますと、もう河床はもちろん水はからからでございますから、かれ果てて水たまり一つも残っていないような地域がたくさんあるのであります。その回りに井戸を掘りましてその飲料水を保健所に調べてもらったら、飲料不適という検査の結果が出たのであります。しかし、初めには自衛隊の給水隊がまいりまして、災害援助をしてくれました。これも引き揚げました。その次には県知事の要請によりまして、鹿児島市の消防車が応援に来てくれました。これも一定の期間、一カ月程度おってくれたのでありますが、これも引き揚げました。そうなってまいりますと、結局その地区の住民としては、その町村が配給をしてまいります水にたよって生きていく以外にないのであります。したがいまして、東町という町においては、今日までその水運搬のために三百万の経費を投入しております。これはトラックによって輸送をしているのであります。民間のトラックを無理やりに徴用いたしまして、そして給水をさしているのであります。こういうような状態が出てきているのに対しましては、なるほどその島の中に一カ所だけ水が出るところがございます。そこから時間にして一時間もあるいは二時間もかかるようなところに給水をして回るのであります。船舶によって給水して回ってはおりません。しかしながら、それは離島であり、そのような水を配給して回らなければ生活ができないような実態というものがあるがゆえに、住民を殺すわけにはまいらないのでありますから、そのような応急措置をとらざるを得ません。そして試みに水があるらしいというところを掘ってみたらこれは飲料不適、私も井戸をのぞいてみました。その掘った井戸を見てみたら、濁って上のほうに油が浮いている。その油が浮いている水を飲まなければならない人たちがおるのであります。その場合に、その水は飲料不適だから飲んじゃいけませんよといっても、飲まなければ生きていけないので、その役場の給水にたよるかその水を飲むか、この二つ以外にはないのであります。七十日も雨が降らないのでありますから、そういうような実態になるのはやむを得ない。このときに厚生省としては、やはり同じ離島の、しかも牛深という隣の町、これは天草半島に属しますが、ここは同じような土質であり、同じような条件であるけれども、本土から水を購入したということによって災害救助の対象になる。こちらのほうは離島であるけれども、島の中に水が出て、それをトラックで運んだからそれについては災害救助法の対象とはしない。この点については、私は、問題があり過ぎるのではなかろうかと思うのでありますが、これをどういうふうにされるか、前向きの形で私はお考えを願いたいと思いますが、御答弁を願いたいのであります。  それと、ここには文部省関係の力もお見えでございますが、今日まで触れられていない問題であります。現にそういうような島々におきましては、学校給食は行なうことができません。水がないからであります。かろうじてミルクの給食を行なっているところも二、三はありますが、ほとんど大部分のところはその学校の水さえもございませんから、結局子供たちは水筒を背負って学校に出てまいります。そしてからになった水筒を帰りには背負って帰るのであります。こういうところにおいては運動会ももちろんできません。あるいは私が見てみたら学校の井戸は水が一滴もありませんから、川底を掘りまして、川底に水を見つけまして——そこは一ぺん水が来たら完全に水没するのであります。しかしながら、水をくみ上げて飲まなければならないという子供たちの生命の訴えに対しまして、PTAが三十五万円ほど金を出して川底に井戸を掘り、そこからポンプアップをして学校の子供たちが飲んでおります。こういうような問題に対しましては、これは災害対策全般の問題として教育上起こっている問題であります。高等学校の授業料については、県のほうでそういうような災害を受けた者に対しては免除いたしております。しかしながら、小中学校についてはそのような措置をとりながら、子供たちの健康を守っているこういうようなものに対しましては、今日の国民の生活と子供たちの命を守るという立場から、厚生省なり文部省というものがもっと積極的に手助けをしてもらわなければならないのではないか、こう思うのでありますが、これに対しましては、ほとんど対策が立てられていないように私は思うのでありますが、どういうふうにしておられるのか。  時間がございませんので、そのほかの問題にもちょっと触れておきます。これはまだだれも触れておらない問題であります。  救農土木事業の中において、私はため池の改修も必要だろうと思います。そして新しくつくってやるということも必要だろうと思います。しかし、さしあたって出稼ぎに行かなくても、何とかしてその土地で農業生産を守りながらやれる状態に持っていくというのが救農対策であろうと思うのであります。その立場から考えるならば、今度の干害によって、雨が降らないのでありますから、松の樹勢が衰えました。樹脂が出ません。マツクイムシにやられた穴を防ぐ力もない。そこにから台風の二十二号が吹いてまいりました。だから海岸ばたの松はほとんどマツクイムシによって赤くなっております。ところが、いままではこれが放置されてきました。農林省の補助単価は一日にわずか六百円であります。六百円では人が集まりませんから、今度県のほうで三百円ほどつぎ足しまして、九百円で仕事をやらしております。九百円の賃金収入が得られるというので、農民たちはその仕事に毎日のように出ております。ところがマツクイムシは鹿児島県だけでも五億円の被害を与えておりまして、各地に広がっておる。こういうものに対するところのいわゆる生活資金的なものを考えてやるというのが、私は救農土木事業の第一歩でなければならない、こういうふうに考えております。そういうふうな立場から対処を願いたいと思うのでありますが、いかがでありましょう。耕して天に至る、山の上に木がない、水源病毒林がない。下のほうにミカンをつくってみても、ミカンが干害にあうのはあたりまえであります。私は、今度干害地区を回りましたときに、全町あげて構造改善事業をやる、三十七億の仕事をやるという地帯に行ってみました。ここも水稲がやられております。あなたの町は今度の干害によって、このミカンの造成地については薬剤を散布するだけの水槽だけでなしに、かんがい用の水槽まで考えて設計をしておりますかと聞いてみましたら、残念ながらそこまでは計画をされておりませんということであります。これではせっかくの干害の教訓というものが、今後の構造改善事業に生かされていないという証拠になる。だから、この問題を今後皆さん方が構造改善事業として新しい構造政策基本方針に基づいて仕事をやられる立場をとられるならば、当然そのような立場から営農指導というものをやってもらわなければならないかと思うのでありますが、この点については意見として申し上げておきます。  最後に、私は一つの農協の例を申し上げますと、出水郡地方という西五カ町のその地帯におきます干害で、農作物の被害の半数四八%がやられておりますから、そこにおいては信用、購買、販売の三つの部門において、農協の経営は全く暗礁に乗り上げました。農協の従業員の賃金を切り下げるか、あるいは首切りをする以外にないという事態が生まれているのであります。私も島の実態を調べてみましたら、島は小さな農協でございますから、自己資金が五千万円しかない。制度資金として借りているのが四千九百万、その中において三千四百万円を営農資金として貸し付けているけれども、それが回収もできないし、いわゆる購買の上においては未収になる掛け売りだけが増大をしていく、販売の面においては米は収穫は九〇%ゼロ、イモも八〇%はゼロという事態でありますから、何らの収益がない。信用貸しという信用部門においては、転貸資金を中心にして運営をしなければなりませんから、利ざやというものはほとんどありません。こういう中においては当然運営資金という問題について考えてもらわなければならない事態が生まれていると思うのであります。ところがこれについての要望というものはいまだ聞いたことがない、商工会についてもそうであります。そういう激甚災を受けるような地帯においては、農民が購買力を失いますから、商工会の経営資金というものは払底をしているのであります。私が島に参りまして、島の商工会長と会いましたら、営農資金が干害資金として六千万円程度は必要である、この運転資金を五年間ほど借してもらわなければ、私たちはやっていけませんという深刻な話を聞いております。こういうような問題についても、やはり干害対策の波及的な影響として出てきている問題である。このことをやはり十分考えて、総合的な政策というものを立ててもらわなければ、ただ農林省の施策だけで問題を解消しようというだけでは、今度の干害対策の解決はできないと思うのであります。そのような意味において、私意見とともに質疑を申し上げたわけでございますが、先ほどのそれぞれの質問に対する御回答を承りまして、私の質問を終わらしていただきます次第であります。答えてください。
  87. 飯原久弥

    ○飯原説明員 ただいま村山先生の御質問の中で、鹿児島県の長島町と東町におきます飲料水の不足状況につきまして、災害救助法を適用してはどうか、すべきじゃないか、こういう御質問でございますが、私ども、実施機関でございます県の連絡並びに判断によりまして、この渇水による水の不足分につきましては、先生指摘のように、現地におきましてまかなっておる状態でございます。現在のところ、直ちに救助法を適用することはきわめて至難かと思いますが、今後しばらく実施機関であります県とよく相談いたしまして、現地の実態をさらに判断の考慮に入れまして善処してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  88. 田健一

    ○田説明員 文部省の学校保健課長でございます。僻地学校の給水施設につきましては、本年度から、ろ過装置、滅菌装置等を含めまして補助金を準備しております。本年度全国的に百三十三カ所、二千七百万ばかりの配分をすでに終えたわけでございますが、御指摘のような干害地の学校に対しましては、今後実態を把握いたしまして、これの再配分ということを考えてまいりたいと思います。
  89. 木村晴吉

    ○木村説明員 指導部長の木村でございますが、マツクイムシの対策の仕事を救農土木事業でさらにふやせないかという御趣旨とお聞きいたしておりますが、マツクイムシの駆除対策事業は、国営あるいは県の補助事業として従来実施いたしておりまして、現況では、昨日も長官が触れましたように、九月当初の資料でございますが、約三割程度、従来の発生では異常発生いたしておるのでありますが、これの早期駆除について督励いたしておりますし、すでにその対策費については県のほうに配賦いたしております。今後さらにその早期駆除につきましては、近く、九日になりますか、九州各県の担当者を集めて、さらにその早期駆除について督促する考えでございます。ひとつよろしくお願いいたします。
  90. 加賀山國雄

    ○加賀山説明員 ただいま御指摘の農業協同組合の件でございますけれども、かような大きな被害を受けました場合には、農業協同組合はさような状態にあるということも想定されます。しかし、私どもばまだつまびらかに実態を押えておりませんものですから、さっそく持ち帰りまして実態を調べまして、必要な措置を取りたいと思っております。
  91. 田原春次

    田原委員長 細谷治嘉君。
  92. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間がありませんから簡単に質問をしたいと思うのですが、昨日からきょうまで二日間、干害対策を中心にいたしまして質問が行なわれたわけでありますけれども、率直に申し上げまして、先ほど塚原総務長官から抽象的な決意の表明があったのでありますけれども、何も進んでおらぬ、こういうことだと私は思うのであります。たいへん残念でございます。  大体、先ほども質問がありましたけれども、二十六日に閣議がありまして、政府は、非常対策本部は設けない、そのかわり農林省に災害対策本部を設けて、それが中心になってやる、こういうことになったわけですね。その日に関係閣僚会議に出席された方の名前まで新聞によると出ております。そして関係閣僚会議で八つの点がきまったわけですね。どういうことかと言いますと、一つは「水陸稲、蚕繭について共済金の仮払いを実施するよう共済団体を指導する。」次は「天災融資法については十月七日をメドに農林省の被害調査を終え、そのあとただちに発動の手続きをとる。」こういうことです。この間、福岡で一日政調会というものがあったのです。その一日政調会では西村政調会長は七日に発動しますと答えている。きのうの大臣の答弁によりますと七日に調査が終わって二十日ごろだ、こう言っております。政調会長はうそをついている。そこで第二項目にさらにどういうことが書いてあるかというと、「自作農創設維持資金の特別災害ワクを利用できるよう手続きを進める。」きょういただいたこれにはそんなことは書いてない。災害対策本部が二十六日にきまって、委員会がきのうあったわけですから、ここまでやはり結論を出してこなければいかぬ。それを出してこない。三番目は「干害応急対策工事については、三十九年の干害を参考にして激じん災害なみに扱う。」これはそういうことでしょう。その次に「また樹園地についても同じような措置がとれるよう大蔵省と折衝する。」その折衝した経過は一つも報告されていない。ずいぶんこの点については質問があったのですが、何も進んでいないと私は申し上げなければならぬ。次に四番目ですが、「果樹の植えかえが必要なものについて実態調査をおこなうとともに、これを補助事業とするように大蔵省と折衝する。」折衝した結果がいままで述べられておりませんから、折衝した結果どうなったか、これもひとつお聞かせいただきたいと思う。「来年の稲作の種子については補助事業とする。」こういうこともあるのですよ。その次には「救農土木事業を進めるため既定経費の実行にあたり善処するとともに、建設省にも協力を求める。」これも一項目入っておる。第二の予約米のことについては、概算払い金の返納の問題、これはこの報告に出ております。そのあとの配給米についてのものもこれは措置されたようであります。その次に「特別地方交付税交付金の増額について自治省に配慮を要求する。」さっき財政課長は、若干配慮します、配慮しますと言うけれども、具体的じゃないのだ。「なお果樹地帯ではマツクイムシの被害がふえそうなのでその防除に万全を期する。」このことについても抽象的で何ら具体的に述べられておらぬ。こういうことなんですね。この八項目——きのう、きょうと災害対策委員会があるのでありますから、塚原長官がおっしゃったようなああいう態勢であるならば、私はこの対策委員会にかなりの具体的な点が述べられていいと思うのでありますが、ひとつも進んでおらぬ、こう申し上げる以外にないと思う。政府災害対策本部が設けられない。いままでは数回設けられてきた。炭鉱等の災害がありますと、二十人か三十人なくなりますと、すぐ政府対策本部を設けられる。けっこうなことなんです。設けなければならぬでしょう。一千億になんなんとする被害が起こっておる。いまも毎日毎日二十億か三十億の被害がふえておる。こういうことを考えてみますと、どうも、産業災害に対しては重点を置いて政府対策本部を設ける。しかし農業災害については、農民については、農業については軽視をしているという姿勢がやはりはっきり出ておると申さなければならぬと思うのですよ。こういう点について、政府災害対策本部を設けないという塚原長官のさっきの答弁、私は非常に遺憾に思うのでありますが、答弁するような責任者がおらぬようでありますが、これはだれが答えられますか。——時間がだいぶ過ぎていて、こういう点について、ただ発表する、地元へ行けば七日に発動するということを言っている、ところが二十日だと言う。そういうことで、地元の人は、地元の新聞を見ますと、そう思っておる。ところが具体的には、きょうになっても何も出ない。たいへん重要な、これは関係閣僚会議方向でありますが、災害対策委員会にも結論を出さぬことは、たいへん不満に思う。これはひとつ災害対策委員会で、できるだけ早く、この方針が具体的にどうなっているのか、地元の人は待望しているのですから、ひとつ適当な時期に責任ある答弁をお伺いしたいと私は思っているわけです。
  93. 和田正明

    和田(正)説明員 ただいま閣議で決定になりました項目について、何も具体的に進んでおらぬではないかというお話がございましたが、それぞれ所管に応じまして現在までの検討の経過なり結果なりをここでもう一度整理をして御説明申し上げます。  まず私どもの所管でございますが、天災融資法に関連しての自作農維持資金の特別ワクの設定につきましては、昨日もお答えを申し上げましたが、天災融資法につきましてはきょうあたりに統計調査部の集計がまとまりますので、それをもとにして二十日までには発動したいというふうに農林大臣は昨日ちょっとお答えになりましたが、天災融資法の発動ができましたあとで、それの数字あるいは共済の支払いの数字等をもとにして自作農維持資金の特別ワクを追っかけて早急に設定をいたします。  それから干害応急対策についてでございますが、樹園地についても大蔵省と折衝する云々というふうに申されました。樹園地に対します干害応急対策につきましては、昨日もお答えいたしましたし、きょうも先ほどどなたかの御質問にお答え申し上げたのですが、六月の段階での干ばつについては樹園地には応急対策の助成をしないというふうに申しておったのですが、西日本の被害実情にかんがみまして、樹園地に対しましても実情に即した対策をとるという方針でやっております。  それから救農土木のことにつきましては、農家に幾らの現金収入を与えることが当面必要であるかという具体的な数字につきまして、いま各県にその数字を調査をして報告するように求めております。その具体的数字が実はまいっておりませんので、具体的に何で幾らやりますというふうにまだ申し上げ得る段階にはございませんが、それらの調査が終わりました上で、方法としては、第一には、農林省の土地改良事業はもちろんでございますが、建設省その他の関係各省の公共事業で既定の事業につきまして救済を要します農家をできるだけその場で雇用してもらうような対策を講ずる。それから第二に、ため池、水路、水田等で非常な干ばつのために干割れの生じたものが相当多数報告されておりますので、それを災害復旧事業として取り上げる。その災害復旧事業にできるだけ関係の農家を雇って工事を実施をいたしたい。なお、御承知のように今度の干ばつ地帯の一部には七月の豪雨等によります災害を受けました地帯もございますので、それの災害復旧事業にも相当程度雇うことができるかと思います。それらをいたしましてなおどの程度不足するか、それをどのように手を打つかというようなことにつきましては、県からの必要な賃金額について具体的な報告を待ちまして処置をいたしたいと思っております。
  94. 内村良英

    ○内村説明員 御質問のありました共済金の仮払いと天災融資法の発動の問題についてお答えいたします。  共済金の仮渡しにつきましては、現在共済団体を督励いたしまして手続を進めております。早いところでは十月末から、おそくとも十一月末までに被害農家に対する仮払いを終了するめどで仕事を進めております。  それから、天災融資法の発動につきましては、昨日大臣から申し上げましたように、七日に農作物、九日に樹体の被害がわかりまして、十一日に閣議に報告する。それに基づきまして、大体二十日ごろ天災融資法を発動する予定にしております。  以上でございます。
  95. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 ただいま農林省からいろいろな御説明があったようですが、われわれ被害の数字を受けまして、さっそくどの程度災害ワクを設定するかという点について研究をいたしてみたいと思います。
  96. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまきのう来の繰り返しがあったわけですけれども、きわめて抽象的なんです。これでは農民は安心できないのです。  そこで、具体的にひとつお尋ねしたいのですが。先ほど村山委員から、これほどの災害、いわゆる七十数年ぶり、ところによっては八十何年ぶり、こういうような予想もしなかったような干害が起こっておるわけです。昨日大臣は、松代方式というのがいいんじゃないか、これは長野県の松代地区地震に対する方式、これを述べられた。かつて兵庫県等でも異常な災害があった場合には、災害対策要綱、こういうものが設けられて、そして措置されたわけですね。自治省にお尋ねするのでありますが、先ほどもありましたが、たとえば熊本県の牛深、毎日毎日船をチャーターして阿久根とか、あるいは水俣から水を運ぶのに五十万円かかる。一般財源が八千万円ぐらいしかないのに、もうすでに一千万円をこしているというのですよ。そういうのに交付税をつけろつけろと言ったって、法律的に根拠のないものを、つかみ金でつけますとこう言っているのだ、具体的にはどういうことかわからぬ、こういうことなんですね。大蔵省のほうは公共事業を繰り延べまでしているのだから、あまり金は出したくないの、だろう。そういうのがやはり影響しているんじゃないか、そういう影響政府対策本部を設けないんじゃないか、こういう邪推もしたくなる。現に農作物ばかりじゃなくて山にも及んでおる。有明海の日本一のノリの生産物も種つけができないといって水産問題も起こっておる。自殺した人もあるのですよ。阿蘇山のところでは牛もころころ死に始めたといっておるのですよ。こういうことでありますから、立法措置を講ずるなり、会計検査院がこわいならば、少なくとも前例のあるような補助要綱、こういうようなものを設けなければ、特別交付税を出せといったって出せないんじゃないかと私は思うのです。水の問題、あるいはいろんな災害の問題について出せるのですか、自治省にお答え願いたい。
  97. 首藤堯

    ○首藤説明員 御指摘のことでございますが、御案内のように、特別交付税の配分の際には、その他当該団体にとりまして緊急やむを得ざる財政需要がありました場合に、その状況を勘案して支出ができることになっておるわけでございますが、非常に大きな事業でございますとか、あるいは恒久的なものでございますとか、そのような災害対策事業として国の負担区分なり補助なりそういうものの対象になり得ますものがございますれば、なるたけそういうもので処置をしていただく、そういうような裏負担として義務的に地方団体が支出をしなければならぬ、こういうものになればそのものについては適確な措置をしていく、こういう考え方でございます。
  98. 細谷治嘉

    ○細谷委員 厚生省に——水道でたいへんな一般財源を食っているのですが、これについては厚生省がやはり立法措置なりあるいは災害対策要綱等で、会計検査院に引っかからないように、少なくとも要綱くらいはつくって対策を講ずべきだ。そうでなければ交付税の計算ができないでしょう、ルールがなければいかぬでしょう、あなた方つかみ金で、いやあそこがたいへんな被害があったから十万円ばかり加えておこうとか、五十万円ばかり加えておこうとか、そんな交付税の配り方はないわけです。やはり国旗補助なりあるいは松代方式なら松代方式でもいいですよ。何らかのルール、要綱がなければ私はやれないと思うのです。それをやろうとしていないのですね。松代方式ということを大臣は言っただけですよ。それでここで答弁しますと、何だかできるだけ考えますという抽象的なことばで、実際は考えたのか考えないのかわからないような特別交付税の配分しか起こらないでしょう。コップの中でワクがきまっておるのです。ことしの特別交付税は五百三十億しかワクがないでしょう。年度初めからきまっておるのですよ。それを適当に配ります、考えたと言ったって、これは地方団体はたいへんな負担になっているのですから、とても納得できない。水道の問題があるならば、これはやはり特別な災害として要綱か何かつくって補助をし、その裏負担としての交付税を考えてやっていく、こういうことにならなければいかぬと思うのでありますが、これは全体を統括する責任者がおらぬのでありますが、だれか答えていただけますか。
  99. 田原春次

    田原委員長 厚生省水道課長は来ておりますか。
  100. 首藤堯

    ○首藤説明員 特別交付税の問題についてお答えを申し上げますが、特別交付税で、干害対策等に充てます特別交付税といたしましては、現在のところ、御案内のように、大体被害総額の都道府県においても〇・五%、それから市町村においても〇・五%、合わせて一%でございます。その額が基準でございまして、その算定方式に基づきまして所要額を県及び市町村分は府県分にまとめまして配分をするわけであります。御指摘のように、その他の特殊の事情につきまして、たとえばただいまの水の問題について災害救助法等の適用がございますれば、その裏負担について完全にその額を取り上げて特交の算定の根拠に入れる、こういう算式でございます。  なお応急干害対策でございますが、これにつきましても、応急干害対策事業費として取り上げましたものの地方負担についてはほぼその七割でございますが、それを算定の基準として特別交付税を配分する。いずれにいたしましてもそのような積算の基礎に基づいて配分をするわけでございますが、その特別交付税は御承知のように一般財源でございますので、そういったものを包括的にまとめた形で交付をする、こういうことに相なるわけでございます。
  101. 細谷治嘉

    ○細谷委員 厚生省、補助は出せるのかね。
  102. 大橋文雄

    ○大橋説明員 お答え申し上げます。  実は今回の西日本の干害によりまして、断水いたしましたり時間給水したりしております水道も約四十カ所以上がございます。その中で非常にひどいと申しますのは、たびたび例に出されておりますように、天草の周辺の市町村のように船で水を運んでおるところもあるわけでございます。実はただいま担当官が現地の事情の調査をやっております。いま正直申しまして、その困っている実態はわかっておりますが、それに要する水代あるいはどういうことを応急的に処置をしているかというようなことにつきましては、まだ的確に数字的に把握されておりません。したがいまして、たとえば先ほど来話が出ておりました災害救助法によってこれを取り扱うか、あるいは特別交付税で取り扱うか、補助金云々ということもございます。非常に財源処置といたしましてはむずかしい事情もございます。私どもはまだ関係方面と検討を詰めてまいらなければならぬというような実態でありまして、今後とも検討につとめたいと思います。
  103. 細谷治嘉

    ○細谷委員 今後検討するということだけで、これは結局一年たっても二年たっても何にもならない。いずれにしても、これはやってやるべきです。全面的に水が出なくて、家族何人おろうとバケツ二はいという実態なんですね。とにかく米をといだ水で敵を洗いたいのだけれども、顔を洗えないから、タオルをぬらして顔をふく程度、こういうような状態のところなわけです。しかも、そういう状態でようやく保っているのに、一日五十万円を使っている市もあるわけでありますから、たいへんなことだと思う。  農林省の農地局長にお願いしたいのですが、私は、いまのような形でありますと、これはおそらく、あなたは今度干割れたところのため池は災害復旧事業でやるのだと言うのでしょう。補正予算か何かしなければ、農林省はどういうことをやるかといいますと、来年あたり補助がついたら見てやるから、ことしはひとつやっておかぬか、こういうことになるのですよ。災害救助事業はきまって農林省が一番悪い。補助は翌年回しになって、市のほうは事業をやっちゃう。たとえば、ため池でありますと、さっきの決議では補助対象の拡大というのを書いてありましたけれども、補助率の引き上げはないわけです。一般のため池は五〇%です。どういうふうにやっているかといいますと、五〇%ではとてもできませんから、県が一〇%持つ、市が一五%持つ、そうして二五%、地元が二五%持ってやらしておる。それでも容易にできないわけですから、私は補助率も離島並みの六〇%であるとか、あるいは三分の二ぐらいにすべきであるということを決議に入れていただきたかったのですが、補助対象の拡大ということでありますから、これも十分考えていただかなければならぬと思うのであります。農林省予算を今度は補正してもらわぬと、災害対策であっても、来年度にその補助金を渡すから、ことしはひとつ市町村でやっておいてくれぬかということになりますと、市町村はたまったものじゃないです。しかもため池は、先ほど来大々的に、三倍以上やるべきだ、いやけた違いだ、もっとやるべきだ、現にいま五千ぐらいあるというのですが、できたものは千六百幾つということです。ですから老朽化が押えられておるどころじゃなくて、老朽化が今日なお進んでいるというのが実態であって、とてもとても老朽に追いつかぬというのが予算の実態である。それに今度災害復旧事業だといいますけれども、そういう負担を市町村自体にかけますと、これはたいへんな問題になる。その辺の予算措置について、農林省は断固として、いま抽象的でありますけれども、具体的にきまった場合には今度の補正予算に組むのだ、そして要綱なり立法をするのだ、その予算は大蔵省はできるだけ考える、こういうことをはっきり言明していただいたら、私はこの質問を終わりたいと思います。
  104. 和田正明

    和田(正)説明員 先ほど申しましたため池等で干割れを生じましたものの災害復旧事業として取り上げます場合は、現在の補助率は六五%でございます。それから水路も施設でございますので同趣旨でございます。従来、当年度に災害が起こりました場合には、当然そういう事業費等の査定を急ぎまして、予備費で予算要求をいたすわけでございますが、災害復旧は物理的にもいろいろな進度がございますので、単年度でできる場合もございましょうが、工事が大きくなりますと、二年、三年、四年とわたるものもございます。その場合、緊急に施越しをするという場合に、お話しのように地元でまずやっておいて、あとから補助金が行くというケースもございますけれども、できるだけ予備費等につきましても大蔵省と打ち合わせをいたしまして、多額になりますように努力をいたしたいと思います。
  105. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 農林担当の主計官でございます。農地、農業用施設の災害復旧の関係は、公共事業の係でやっておるわけでございますけれども、従来そういう緊急を要するものについては各省の要求に応じましてできるだけ早く処置できるように手当てをしているはずでございます。
  106. 天野光晴

    ○天野(光)委員 関連して。自治省と厚生省に伺いたいのですが、責任者が出ていなくて事務当局だけで非常に困る状態ですが、いま細谷議員からの質問の中にあった飲料水を供給するのに財政規模の小さな町村はばく大な経費がかかっておる、これは特交ででも救い上げなければ一体どうなるかと私は心配するのですが、そういう点でいまの段階で救い上げることができるのかどうか。おざなりの何%で〇・五%のワクの中から出すのだということでなしに、実質的に使った費用、これは人命に関する問題であるから、農作物やその他のものと問題が違う。いまの質問に対して事務当局としてまかない得る確信があるのかどうか、いままでの慣例から見てできるのかできないのか、ひとつ答弁をいただきたい。
  107. 首藤堯

    ○首藤説明員 お答えを申し上げます。  飲料水の問題は、御指摘のようにこれはもう命がけの問題でございまして、ぜひとも支出をしなければならぬ金だと思います。この点につきまして、でき得べくんば現在の災害救助法等の適用によりまして国と地方との負担区分を明確にし、ともに協力をするという体制がとらるべきだと私どもは考えております。それがとられますれば、その負担については当然、これはルールとして特別交付税で措置いたします。ただ救助法関係の問題等の適用につきましても、法律上そのほかの問題がいろいろあろうかと思います。もし万一どうしてもそういうことができなくて、全部当該地方団体の負担になるというような事態が生じました場合には、その他やむを得ざる需要として当該地方団体に対してできる限り特別交付税を措置するよう努力をしたいと思います。
  108. 飯原久弥

    ○飯原説明員 お答え申し上げます。  ただいま天野先生からのお話で、災害救助法が適用になりました場合の負担は、国と県がそれぞれ当該年度の標準税収入の度合いによりまして、十分の五から十分の九までの負担率があるわけでございます。これは一つルール化しております。したがいまして、災害救助法が適用になりました時点からは市町村の負担はないわけでございますが、ただその災害救助のワクと申しますのが、飲料水の供給に必要な機具機材の借り上げでございますとか、あるいはまた輸送に必要な経費でございますとか、これは通例の場合と同様なわけでございます。したがいまして、その他の補助につきましては災害救助以外のことになります。これは不可能だというふうに考えるわけでございます。
  109. 天野光晴

    ○天野(光)委員 いまの話を聞くと、厚生省は人間の生きるのに最も大切な水がなくとも災害救助法を発動するという意思はないのだ、こういうふうに了承してよいのですか。現在実質的に水がなくて飲料水を配給しておる町村が数多くあるというのに、災害救助法が発動されないということ自体が私はふしぎでたまらないのですが、あなた方事務当局者としては、災害救助法を発動する必要はないと考えておりますか。これは大臣あるいは責任ある者の答弁でなければ了承できないのですが、残念なことに出席しておりませんので、事務当局としては災害救助法を今度の干害に対して発動させるような考え方を持っておられるかいないか。これは基本的な問題ですから、あなた方の立場だけでけっこうです。責任は問いませんから、その点御答弁願いたい。
  110. 飯原久弥

    ○飯原説明員 災害救助法の適用につきましては基準がいろいろあるわけでございます。したがいまして、応急給水の飲料水が必要だという場合におきましては、これは救助法のいわゆる四号適用ということで非常に特殊な例になるわけでございます。こういう場合に、手順といたしましては、実施機関でございます県のほうからの協議がございます。その協議に基づきまして判断をいたすわけでございますが、ただ先ほども申し上げましたように、この四号の適用の場合には、ことにこの条件が、離島でございますとかあるいは船舶の輸送で水を補給しなければならぬとか、そういうふうな条件があるわけでございます。したがいまして、これはケース・バイ・ケースと申しますか、そのようにして県と、実施機関と協議をして適用するかどうかを決定するわけでございます。一般論としては私がいま申し上げたようなことでございますから、したがいまして、やはり個々のケースと申しますか、そういった判断が必要になってくるわけでございます。
  111. 細谷治嘉

    ○細谷委員 災害救助法には基準があるわけですから、そうすれば交付税では裏負担の分は全部見ることは可能です。可能な限り見ることはできるでしょう。そうでなくて、つかみ金ですと、ほんとうにこれは焼け石に水の程度しか来ないわけです。ですから、災害救助法の適用をすることは、むろんできるだけやりますけれども、それでこぼれるところがどうしてもたくさん出てきます。果樹園の問題についても一体どうしてくれるのか。被害額の半分以上は樹体になっておる。経費も要っておるのですから、そういう問題についても考えてくれということがるる言われておるわけですから、松代方式ということばがありますように、特別立法なり対策要綱というものをつくらなければ、これは救われないと私は思うのです。この点を強くひとつ——今度の干害対策は現行の法律をできるだけ適用していくと同時に、やはり要綱等をつくらなければ交付税を配るにも配れない、配りましたといってもお茶を濁す程度にしかならない、こう私は思うので、特にそういう問題が会計検査院から指摘されないように、交付税も十分見てやることができるような、そういう措置はやはり国会においてやってやるべきではないかということを強く要望いたしたいと思うのです。
  112. 田原春次

    田原委員長 暫時休憩いたします。    午後二時三分休憩休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕