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1967-09-08 第56回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年九月八日(金曜日)    午後一時五十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 永井勝次郎君    理事 天野 光晴君 理事 稻葉  修君    理事 湊  徹郎君 理事 渡辺 栄一君    理事 佐野 憲治君       井出一太郎君    木村 武雄君       白浜 仁吉君    世耕 政隆君       三池  信君   三ツ林弥太郎君       水野  清君    渡辺  肇君       阿部 助哉君    井手 以誠君       石田 宥全君    稻村 隆一君       川村 継義君    華山 親義君       渡辺 芳男君    小川新一郎君       斎藤  実君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君  委員外出席者         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         総理府総務副長         官       上村千一郎君         内閣総理大臣官         房参事官    上田 伯雄君         警察庁警備局警         備課長     三井  脩君         警察庁警備局警         備課長補佐   城内 康光君         防衛庁防衛局第         一課長     今泉 正隆君         大蔵省主計局主         計官      嶋崎  均君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         国税庁直税部所         得税課長    植松 守雄君         文部省管理局教         育施設部長   中尾 龍彦君         厚生省公衆衛生         局防疫課長   春日  斉君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         厚生省社会局施         設課長     飯原 久弥君         農林政務次官  草野一郎平君         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林省農林経済         局保険業務課長 松永 正隆君         農林省農政局参         事官      加賀山國雄君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         食糧庁総務部検         査課長     江口 勝夫君         食糧庁業務第一         部需給課長   二瓶  博君         食糧庁業務第一         部買課長   南日 祿郎君         林野庁指導部長 木村 晴吉君         中小企業庁計画         部金融課長   斎藤 英雄君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     高野 宗司君         気象庁予報部長 今里  能君         建設省河川局長 古賀雷四郎君         建設省河川局防         災課長     坂井 秀正君         建設省道路局国         道第一課長   伊藤 直行君         自治省財政局地         方債課長    山本 成美君         消防庁調査官  川島  巖君         日本国有鉄道施         設局長     松本 文彦君     ————————————— 八月二十九日  委員金子岩三辞任につき、その補欠として稻  葉修君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員鈴切康雄辞任につき、その補欠として斎  藤実君が議長指名委員に選任された。 九月六日  委員増岡博之辞任につき、その補欠として武  藤嘉文君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員武藤嘉文君、岡本隆一君、神門至馬夫君、  楢崎弥之助君及び斎藤実辞任につき、その補  欠として木村武雄君、華山親義君、阿部助哉君、  石田宥全君及び鈴切康雄君が議長指名委員  に選任された。 同日  理事湊徹郎君同日理事辞任につき、その補欠と  して稻葉修君が理事に当選した。     ————————————— 八月十八日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  昭和四十二年七月の集中豪雨による災害対策  新潟山形地方集中豪雨による災害対策  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 永井勝次郎

    永井委員長代理 これより会議を開きます。  委員長指名によりまして、委員長海外旅行中、理事である私が委員長の職務を行ないます。  この際、おはかりをいたします。  理事湊徹郎君から理事辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 永井勝次郎

    永井委員長代理 御提議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。  引き続きまして、理事補欠選任を行ないます。  これは、先例によりまして、委員長指名するに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 永井勝次郎

    永井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、稻葉修君を理事指名いたします。      ————◇—————
  5. 永井勝次郎

    永井委員長代理 災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、昭和四十二年七月の集中豪雨による災害対策、及び、新潟山形地方集中豪雨による災害対策について調査を進めてまいりたいと存じます。  この際、おはかりをいたします。  理事会協議により、質疑者の便宜に資するため、新潟地方被害状況に関し、図面の掲示をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 永井勝次郎

    永井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  まず、新潟山形地方集中豪雨による被害状況調査のため、先般当委員会より現地派遣されました委員から報告を聴取することにいたします。第一班、湊徹郎君。
  7. 湊徹郎

    湊委員 新潟山形地方集中豪雨による被害状況調査のため、議長の承認を得て、去る五日から昨七日までの三日間、新潟県に派遣されました第一班の派遣委員を代表して、調査概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、三ツ林弥太郎君、佐野憲治君及び私湊徹郎の三名で、ほかに地元選出議員方々の御参加を得て、被害の実情をつぶさに調査してまいったのであります。  本日の委員会の運営上、時間の関係で、きわめて簡単に概要のみを申し上げることをお許しいただくとともに、詳細につきましては、県及び市町村からの陳情書等資料委員長のお手元に提出してありますので、これを御参照願いたいと存じます。  終わりに、本調査に御協力賜わった関係各位に深甚な謝意を表しまして、御報告といたします、(拍手
  8. 永井勝次郎

    永井委員長代理 第二班、天野光晴君。
  9. 天野光晴

    天野(光)委員 第二班の調査概要につきまして、御報告いたします。  派遣委員は、自由民主党の私天野光晴日本社会党山本弥之助君及び公明党の斎藤実君でございまして、ほかに、地元選出議員の御参加をいただき、九月四日から六日までの日程で、山形県におきます今次の集中豪雨によります被害状況につきましてつぶさに調査いたしてまいりますとともに、福島県の被害状況等につきまして、山形県庁において、福島県副知事から説明を聴取してまいったのであります。  山形県におきましては、八月二十八日朝から二十九日の朝にかけて、県の中南部、特に置賜地方中心にして激しい豪雨があり、小国では、二十八日午後九時からの一時間に五十ミリをこえる激しさで降り始めてからの雨量は、小国町で五百六十五ミリ、米沢市で二百四十七ミリ、長井市で二百四十八ミリを記録し、過去最大の雨量、大正二年八月の記録の二倍以上という未曽有集中豪雨があったのであります。  このため、小国町及び飯豊町の山間部等においては、山腹崩壊が至るところに起こり、おびただしい土石流により家屋倒壊流失が相次ぎ、道路鉄道はずたずたに寸断される等、甚大なる被害が発生し、同地方は完全に孤立状態におちいったのであります。  また、白鷹町、長井市、川西町、米沢市、南陽市、高畠町、大石田町等では、犬川、黒川、白川、屋代川等の中小河川及びこれらの河川を集めた最上川は、異常な流量のため、破堤及び溢水を生じ、流れ込んだ濁流により、多くの家屋浸水し、ところによっては棟下まで水没する状況となり、実りの秋を目前にした田畑冠水により農作物に甚大な被害が発生したのであります。  県の報告によりますと、山形県内被害状況は、九月四日現在、死者六名、行くえ不明二名、負傷者百二十七名、住家全壊流失百六十一戸、同半壊四百八十戸、床上浸水六千五百六戸、床下浸水一万八百七十戸、一部破損七百二十五戸、非住家も含め、建物被害約四十一億円、農林関係約五十八億円、土木関係約四十九億円、商工関係約十四億円、県内国鉄関係約二十億円、その他の被害を含めまして被害総額は約百八十六億円となっております。  県におきましては、二十八日午前十時三十五分、大雨洪水注意報を出したのを皮切りに次々に警報を出し、警戒体制を強め、二十九日午前四時、県庁災害対策本部設置し、小国町をはじめ十二市町に次々に災害救助法を発動し、自衛隊派遣を要請し、罹災者救出断水地域給水防疫等応急対策に当たったのであります。特に道路鉄道の寸断により孤立した小国町に対しては、ヘリコプターにより、医薬品、食糧の空輸を続ける一方、道路復旧全力を傾注し、九月五日、ようやく二トン車以下の車の通行能可というところまでこぎつけたということであります。  私ども調査団は、県庁において、副知事をはじめ県当局から説明を聴取した後、白鷹町、長井市、飯豊町、川西町、米沢市等の代表的な災害現地を視察し、各市町長等から説明を聴取してまいったのであります。  県並びに各市町から数多くの要望を承ってまいりましたが、特に、第一に、今次の災害激甚災として早急に指定せられたいということ、第二に、国鉄米坂線及び国道百十三号線を早期復旧せられたいこと、すなわち、国鉄米坂線につきまして、現地国鉄当局復旧見通しをただしたところ、降雪期までの全面開通はむずかしいとのことでありますが、米坂線は、川西飯豊小国被災地にとっては生命線であり、また、米沢新潟を結ぶ重要な鉄道であるため、降雪期前に開通するよう強い要望がなされました。  そのほか、天災融資法の発動と自作農維持資金融資ワクの拡大、制度金融貸し付け条件の緩和、償還期限の延長の措置を講ぜられたいこと、公共土木施設農地農業用施設等早期完成災害関連事業を広げてほしいこと、災害救助法による救助費の改正、世帯更生資金補助金の増額、応急仮設住宅建設費の引き上げをはかられたいこと、地方財政について起債、特別交付税等の十分な財政措置を講ぜられたいことなど、数多くありますが、私ども調査資料委員長に提出してありますので、御参照願うことといたします。  なお、福島県につきましては、喜多方市を中心とする耶麻地方土木関係の十八億円をはじめ、農地農業用施設農作物等総額二十六億円の被害が発生したのであります。この災害対策につきましての要望委員長資料を提出してありますので、御参照願うこととし、以上まことに簡単でありますが、報告を終わります。(拍手
  10. 永井勝次郎

    永井委員長代理 これにて派遣委員報告は終わりました。  、派遣委旦各位には、まことに御苦労さまでございました。  なお、ただいまの派遣委員報告中、お申し出のありました部分について、参照として会議録に掲載することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 永井勝次郎

    永井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  12. 永井勝次郎

    永井委員長代理 それでは次に、質疑に先立ち、関係政府当局から、新潟山形地方における被害概要及び応急対策実施状況等につきまして説明を聴取いたします。塚原非常災害対策本部長
  13. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 初めに、今回の豪雨により不幸にもおなくなりになられました方々に対し、つつしんで哀悼の意を表するとともに、罹災された多くの方々には、政府としてできる限りのことをいたし、一日も早く立ち直っていただけるように努力いたす所存であります。  まず、被害状況とそれに対する政府対策について御説明いたします。  かねて三陸沖から関東地方を通って前線が停滞していたのでありますが、二十六日午後朝鮮東岸に発生した低気圧が東進するにつれて、この前線中部地方関東地方で北上するとともに活発化し、二十六日夜半から二十七日の昼過ぎまでに新潟県などでかなりの雨を降らせたのであります。さらに、二十八日には新しい低気圧日本海中部を東進するとともに、前線は再び急激に活発化し、新潟県、山形県及び福島県の一部で二十八日朝から二十九日朝にかけて大雨を降らせたのであります。  この地方に、八月に前線による大雨が降ることは珍しく、しかも今回の大雨は、過去の記録に比べて集中的であり、きわめて多かったのであります。二十六日から三十日までに、山形小国町では六百ミリ、新潟県二王子岳では四百二十四ミリ、また同県三面では四百十四ミリという降雨があったのであります。  今回の災害特色は、時間雨量六十ミリから八十ミリに達する集中豪雨が、特に八月二十九日深夜に降り続いたことであり、この豪雨により山地では至るところに山腹崩壊が生じ、河川、谷は土砂が埋寒し、これが非常な洪水量のためことごとく鉄砲水となり、特に山間部において多くの人命損傷を生じたほか、河川下流平野部においては、田畑冠水流失土砂堆積を生じたことであります。しかも、かかる人命損傷が最も多かった山間部においては、市町村、部落が各所に点在しているため、それぞれが災害により孤立したことであります。  そこで、政府といたしましては、急遽八月三十日に名残庁連絡会議を開催し、被害の情報を交換し、当面の応急対策についての協議を行ない、これに基づきまして対策を推進してきたのであります。その後連絡会議は三回開催いたし、現地連絡をとりつつ応急対策を推進しております。  また、政府は、政府調査団現地派遣することを決定し、国務大臣西村英一君を団長とし、関係各省の局、課長からなる調査団が九月一日、二日の両月、新潟山形両県に参りまして、被害状況調査してきたのであります。  今回の被災地は、平野部のみでなく、特に山間部に著しく、また湛水等がありましたので、被害の全貌が明らかとなるのに若干の日時を要し、被害調査が進むにつれてその大きさが判明し、また政府調査団現地調査した結果、応急対策にはなお日時を要するとの結論に至りまして、さきの昭和四十二年七月豪雨非常災害対策本部を拡大させ、八月豪雨を追加いたしまして、七月豪雨及び八月豪雨非常災害対策本部として、この豪雨に対する応急対策を推進していくことといたしたのであります。  次に、いままでに判明いたしました被害の概況について御説明申し上げますると、まず一般被害といたしましては、死者、行くえ不明百三十八名、負傷者百五十五名、家屋全壊流失四百四十九棟、罹災世帯数約二万七千世帯罹災者数約十三万七千人であります。  次に、施設関係等被害といたしましては、県からの報告によりますると、公共土木施設約三百二十億円、農地等約二百五十五億円など、総計約八百七十五億円であります。  政府のとりました措置について御報告申し上げまするが、なお詳細につきましては、お手元資料で御承知おきをいただきたいと思います。  警備救助活動について申し上げますると、警察庁及び管区警察局では、警備活動を強化するとともに、各県警察では、警察官延べ約一万四千人を被災地に出動させて、広報の実施避難の勧告、警備実施しております。  消防機関の職、団員は、三県で延べ約七万四千人を出動させ、避難の指示、誘導、人命救出救助及び行くえ不明者捜索をはじめ、水防活動などを実施しております。  防衛庁では、陸上自衛隊中心に、人員延べ約四万九千人、車両約六千四百八十両、航空機延べ四百九十機を山形新潟の両県に派遣して、孤立者救出物資輸送人員輸送給水道路啓開、堤防の締め切り等の作業を実施しております。これら警察消防及び自衛隊は現在も協力して、行くえ不明者捜索などに全力をあげております。  災害救助法適用につきましては、山形新潟両県の三十八市町村に発動し、避難所設置、たき出し、飲食水供給、被服、寝具等の給与、医療、救出実施しております。  防疫対策について申し上げます。  まず被災県に対し、伝染病予防法による清潔、消毒法実施を指示し、被災県の三十八市町村を同法による鼠族昆虫駆除地域に指定いたしました。  交通関係でありますが、一般国道は百十三号線及び百二十一号線の一部が不通でありますが、他は一車線以上の交通を確保しております。国鉄関係は、十一線区九十四区間被害を受けまして、現在米坂線ほか四線区二十六区間不通となっております。  加治川の仮締め切り工事については、左岸は九月一日、右岸は九月二日には完了し、排水についても六日までに完了いたしました。  公共土木施設等復旧につきましては、被災後直ちに災害査定官現地派遣し、被害状況調査並びに復旧工法指導に当たらせ、また緊急に復旧を必要とする個所については、適宜既定経費の立てかえ等を行ない、復旧工事実施中であります。  また被災教科書供給就学援助費補助等就学援助措置などを行ない、文教対策にも万全を期しておるところであります。  このほか、世帯更生資金貸し付け保険年金業務の非常取り扱い、救恤品罹災者用物資無賃運送等被災者援護対策あるいは被災各州職業安定機関における事務の特例並びに労災保険及び失業保険特例措置等労働対策も積極的に推進しておるところであります。  さらに、中小企業対策住宅対策等についても効率的な対策の推進に努めておりますが、これら諾対策の詳細につきましては、お手元資料で御承知いただけることと存じます。  なお、普通交付税の九月概算交付分を九月二日に交付いたしました。  以上、政府のとっております措置につき概略御説明いたしましたが、今回の災害特色を教訓として、原因等を十分調査した上、将来の対策を講じてまいりたいと考えております。  なお、政府といたしましては、本災害激甚災害として指定することに本日の閣議で決定いたし、明日公布することになっておるところでありますが、激甚法適用条文は、法第二条公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助、法第五条農地等災害復旧事業等に係る補助特別措置、法第十条土地改良区等の行なう湛水排除事業に対する補助、法第十九条市町村が施行する伝染病予防事業に関する負担の特例、及び法第二十四条公共土木施設農地及び農業用施設等災害に係る地方債元利補給等の各条文であります。  以上であります。
  14. 永井勝次郎

  15. 太田康二

    太田説明員 お手元にお配りしてございます「昭和四十二年八月二十六日〜二十九日豪雨による被害状況」の資料に基づきまして、被害状況並びにとりました対策概要につきまして御説明申し上げます。  今回被害の最もはなはだしい地域は、主として農業関係では、加治川、胎内川、荒川、最上川流域でございまして、林野関係では、山形福島新潟各県の県境でございます。  被害概要でございますが、現在数字が動いておるのですが、私のほうが昨日の午後一時現在で掌握いたしました県報告による被害でございますが、これによりますと、農林水産物関係被害が約百四億円、施設関係等被害が約四百六十五億円、両者合わせまして約五百六十九億円ということに及んでおるのでございます。田畑被害面積でございますが、水田が約五万七千ヘクタール、畑が約四千ヘクタール、合計六万一千ヘクタールということでございまして、その詳細は三ページと四ページに載っておりますので、ちょっとお開きいただきたいと思います。ただいま申し上げましたとおり、農林水産物関係が百三億八千四百万円、施設関係が全部で四百六十五億四千百万円、両者合わせまして五百六十九億二千五百万円ということに相なっております。  施設関係から申し上げますと、大きなものといたしまして、治山施設が六千九百三十万円、農地が百十七億二千六百万円、農業用施設が二百四十一億六千五百万円、林道が五億八千九百万円、それから飛びまして崩壊林地が六十四億九千三百万円、これらを合わせまして四百六十五億四千百万円であります。  それから農林水産物関係は四ページに詳細が出ておりますのでごらんいただきたいのでありますが、全部で百三億八千四百万円、そのうち農作物関係が百億六千四百万円、その中で最も大きい被害をこうむっておりますのは水陸稲でございまして、九十一億一千百万円、野菜、果樹、桑園、その他が九億五千三百万円、家畜が九千六百万円、貯蔵加工品が一億一千二百万円、林産物が八千百万円というような状況でございます。  それから水田、畑の被害面積でございますが、先ほど申し上げましたように、両者合わせまして六万一千七百三十ヘクタール、内訳は、水田が五万七千五百二十六ヘクタール、その内訳といたしまして、冠水浸水が四万九千ヘクタール、流失埋没が五千三百九十九ヘクタール、倒伏が三千百十七ヘクタール、それから畑は四千二百三ヘクタールでございまして、冠水、侵水が四千二十六ヘクタール、流失埋没が百七十七ヘクタールというような状況でございます。  私のほうの農林省災害対策本部といたしましては、以上のような災害の現状にかんがみまして、被災地の早急なる復旧をはかるため、次の施策を講じておるのでございます。  まず第一が係官の派遣でございまして、これによりまして被災状況調査災害復旧工事指導に当たらせたのでございます。  第二が湛水排除でございまして、当面急がれることば何と申しましても湛水排除の問題でございます。山形県下は湛水はほとんど解消いたしたのでございまして、新潟県下においては、九月二日ないし六日、すでに終わっておるわけでありますが、完了を一途といたしまして、国または県で設置いたしました排水機によりまして、五ページに出てまいりますが、六カ所にわたる湛水地域について排水工事実施いたしたのでございます。一部自然排水地域もあるわけでございますが、排水工事を行なったのでございまして、特に、非常に冠水面積の大きかった加治川左岸地区におきましては、国で設置いたしております新井郷川の排水機のほかに、北陸農政局保有の十五台、関東農政局保有の十九台、県有の二十二台、合わせまして五十六台の臨時設置のポンプを稼働いたしまして、排水全力をあげまして、ほぼ所期のとおりの時期に排水完了をいたしたのでございます。  それから第三に、農地農業用施設林道並びに治山災害復旧事業につきましては、災害の再発生等も避けなければなりませんという関係もございまして、できる限り早急に実施すべきものにつきましては、査定前着工ということも行なえるように指厚いたしたのであります。  第四に被災者救援のための精米の応急配給でございますが、新潟県で百一トン、山形県で十七トンを実施中でございます。また災害復旧用備蓄材の売り払い、これを現在秋田営林局管内で三千立方メートル、前橋営林局管内で四千五百立方メートルを用意をいたしておりまして、これらの売り払いにつきましても遺憾のないように指示を行なっております。  それから第五に、被害知事に対しまして経済局長名で所要の通達を出しまして、一つは八月三十日付で、関係の農業共済団体等の御指導を依頼いたしたわけでございますが、災害のつど要望のございますものでございまして、必要に応じて共済金または保険金の仮渡しを実施するよう関係農業共済団体等を指導していただきたいという通達をいたしました。またいま一つは、関係金融機関に対しまして、九月二日付で、被害農林漁業者等が必要とする資金の円滑な貸し付け並びに既往貸し付け金の償還金の償還猶予等、貸し付け条件の緩和についての依頼でございます。現にこれを受けました県におきまして御指導の結果、山形新潟の各県信連におきましては、つなぎ資金の融通を決定いたしたのでございます。  それから第六番目が、御要望のある天災融資法の問題でございますが、すでに先ほど申し上げましたように、県報告でも農林水産物の被害は約百四億円ということになっております。しかし、先生方御承知のとおり、天災融資法の発動につきましては、最終的には統計調査部の数字で実施いたしておりますので、先ほど申し上げましたようにつなぎ融資の道も講じられたわけでございますが、できる限り早く統計調査部の結果を待って発動する方向で検討中でございます。  それから、先ほど災害対策本部長から御説明がございましたように、私のほうの関係の激甚法の指定につきましては、治山施設等の復旧事業(第二章の関係)、農地農業用施設林道等の復旧事業(第五条の関係)、湛水排除事業(第十条の関係)、それから小災害に係る地方債元利補給等(第二十四条の関係)につきましては、すでに本日の閣議で決定を見たわけでございます。  その他につきまして、第六条の共同利用施設あるいは第七条の入植者施設、さらに第八条の天災融資法等の指定の有無の問題につきましては、被害の詳細な結果を待ちまして検討することにいたしておるのでございます。  以上でございます。
  16. 永井勝次郎

    永井委員長代理 次に、古賀建設省河川局長。——説明をなるべく簡単に願います。
  17. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 建設省所管にかかる公共土木施設につきまして被害状況を御報告申し上げます。  お手元に縦長のプリントがございますので、御参照願いたいと思います。  第一ページには気象の概況と各地点の雨量につきまして書いてございます。特に二十八日、二十九日にわたりまして、新潟県の下越、中越地方山形県の南部に前線が停滞いたしまして、そのために強い集中豪雨をもたらしております。先ほど報告がありましたとおり、六十ミリないし八十ミリという時間雨量でございまして、短時間に降った雨が非常に多うございます。このために河川のはんらんはもちろん、山地部における山くずれあるいは土石流あるいは山地崩壊等が非常に多うございました。このために川の流路、その他判然としないような状況になった河川がたくさんございます。  第三ページにまいりまして、ただいままで公共土木施設等被害新潟県ほか五県に発生いたしておりまして、現在までの被害総額は三百二十七億七千九百万円でございます。  その内訳は、公共土木施設におきまして、直轄災害河川道路百四十四カ所、十九億九千九百万円となっております。補助災害につきましては六千四百九十カ所、二百九十八億七千五百万円となっております。都市施設につきましては二十六カ所、九億三百万円となっております。合計、個所数にいたしまして六千六百六十カ所、三百二十七億七千九百万円と相なっております。これを参考のために四十二年の一月から累計いたしますと、合計にいたしまして四万三千七十二カ所の被害を受け、八百九十九億八千万円の被害を生じております。  公共土木施設被害内訳でございますが、直轄災害につきましては、直轄河川といたしまして、阿賀川、阿賀野川、最上川、赤川、旧信濃川の五河川につきまして、百二十九カ所、十九億五千万円の被害を生じております。特に最上川につきましては各所に破堤が生じまして、このために湛水被害が生じ、あるいは家屋浸水等の被害が生じております。  それから直轄道路被害でございますが、五ページに書いてございます。先ほど御報告がありましたように、一車線は現在確保いたしております。  六ページには指定区間外の国道被害状況が書いてございます。特に新潟県、山形県の県境にあたる国道戸十三号の復旧につきましては、ただいまのところ調査いたしておりまして、これが見込みはまだ立っておりません。その他の区間につきましては、大体山形県等におきまして九月十七日までにすべてを開通する予定でございます。  それから補助災害につきましては、七ページのところにございますが、新潟県で四千三百八十四カ所、二百二十七億七千百万円の被害報告がありました。特に七ページの第一欄に覆いてございます加治川につきましては、昨年七月十七日の被害を受けました向中条、西名柄におきまして仮締め切り地区から破堤いたしまして、先ほど農林省から報告がありましたような被害を生じたわけでございまして、まことに遺憾にたえない次第でございます。全力をあげていま本堤の復旧に取りかかっております。  荒川につきましては、これは全川が原始河川の状態に立ち戻ったような状況でありまして、これにつきましては格段の措置を考えたいと考えております。  その他、胎内川、三光川、坂井川、都辺田川、鍬江沢川、大石川等につきましては、いずれもどこに流路があるかわからないような状況でございまして、これらの復旧についてはばく大の時間がかかるように考えます。  山形県につきましては、七ページの終わりに書いてございますように、千三百六十七カ所被害の個所がありまして、四十八億九千八百五十九万円の被害報告があがっております。特に小国町を周辺とする荒川支川におきまして甚大な被害をこうむったのと、最上川米沢川辺における中小河川被害が非常に多うございます。  その他、福島県、宮城県、富山県、石川県等にそれぞれ被害を受けておりまして、六千四百九十カ所、二百九十八億七千五百万円の被害額と相なっております。  九ページのところに都市施設の被害状況が書いてございます。新潟県におきまして十七カ所、八億八千七百万円の被害額をこうむっております。山形県におきましては九カ所、千六百二十万円の被害額と相なっております。  それから十ページに住宅の被害状況が書いてございますが、これは御参照願いたいと思います。  ただいま被害状況報告をいたしたわけでございますが、それに対しまして建設省でただいままでとりました対策及び措置について簡単に御報告いたします。  応急対策等を推進するために、八月二十九日、建設省に非常災害対策本部設置いたしました。さらに被害状況調査並びに応急復旧工法指導に当たらせるために、八月二十九日、直ちに新潟県及び山形県に災害査定官派遣いたしました。また今回の災害の山地部における山くずれ等による土砂害の調査のために、八月三十一日、新潟県及び山形県に係官を派遣いたしました。さらに、住宅施設の被害状況調査並びに都市施設の被害状況調査のためにそれぞれ係官を派遣いたしました。  なお、現在まで行なった措置としまして、直轄災害につきましては、緊急応急復旧の必要のある河川につきましては既定経費を立てかえて復日工事を実施中でございます。なお現地の準備完了を待って、早急に現地調査を行ないまして、必要な措置を講ずるつもりでございます。  道路につきましては、これも既定経費を立てかえまして応急工事を実施し、一車線を確保いたしております。なお、本復旧工事につきましては、早急に現地調査を行なって、所要の措置を講ずる予定にいたしております。  それから補助災害につきましては、緊急復旧を必要とする個所につきましては、逐次、工法協議を行なって、応急工事を施行いたしておる状況でございます。なお現地の準備完了を待って、早急に査定実施する予定でございますが、新潟県には九月二十五日、山形県には九月十五日に査定官を現地派遣する予定にしております。  それから、都市施設被害につきましても、現地の準備完了を待ちまして、早急に査定実施する予定でございます。  住宅施設被害につきましては、被災個人住宅の復興につきましては住宅金融公庫資金の貸し付けを行なうこととし、九月四日から申し込み受付を開始いたしております。災害公営住宅につきましては、被災地の実情に応じまして建設を行なうことといたしまして、現在検討中でございます。なお、住宅金融公庫におきましても、関係支所長を現地派遣いたしております。  なお、先ほど御報告がありましたように、公共土木施設被害につきましては、激甚法の適用を決定されましたので、御報告いたします。  以上、簡単でございますが、御報告を終わります。
  18. 永井勝次郎

    永井委員長代理 次に、松本日本国有鉄道施設局長。
  19. 松本文彦

    ○松本説明員 国鉄から、国鉄側の今回の豪雨によります被害状況を簡単に御報告いたします。  お手元にメモを差し上げてございますが、大体被害線区は羽越線、信越線の幹線を含めまして十一線区に及んでおります。被害の件数といたしましては二百十四件。なお、国鉄では二十九日の災害発生と同時に対策本部を設置しまして、鋭意復旧に努力いたしておりますが、幸い今日までに七線区が全通いたしております。なお、残っております四つの線区のうち、磐越西線につきましては十日早朝から復旧いたしますし、赤谷線及び長井線はそれぞれ今月十四日、十五日に開通の予定でございます。なお、残る米坂線につきましては、ことに甚大な被害を受けておりまして、橋梁、橋げたの流失などが二十三カ所ございます。そのほか約八十二カ所の大きな災害を受けている区間がございますので、これの復旧は現在鋭意調査検討、一部は復旧に取りかかっておるのでございますが、非常に困難をきわめております。関東及び東北方面から、技術者、労務者、その他を投入いたしておりまするし、あるいは流失橋げたにつきましても建設線あるいは線路増設に当たるべき橋げたを転用して、何とか工程を繰り上げるという措置をいろいろ講じておりまして、現在の結論といたしましては、小国から金丸ですか、二駅間でありますが、これを除きます区間につきましては大体年内に開通させられるという見通しが本日大体確定いたしました。  なお、このいま申し上げました小国から金丸に至ります二区間につきましては、どうしても来春になりそうであるということでございます。これの被害総額が約四十億円、現在まで復旧に従事いたしておりまする人員数が約二万名ということでございます。  簡単ですが、御報告申し上げます。     —————————————
  20. 永井勝次郎

    永井委員長代理 質疑申し出がありますので、順次これを許します。稻葉修君。
  21. 稻葉修

    ○稻葉委員 今次災害の甚大さにつきましては、現地派遣の団長からそれぞれ御報告がございまして、また現地の切実なる要望もお加えいただきました。政府委員各位においては御聴取のとおりであります。  私は昨年の新潟地方を襲った豪雨災害の際、本会議において、総理大臣、建設大臣に対し、わが国の中小河川対策はおくれておるのではないか、道路予算に比してあまりにも格差がありやしないかということを申し上げておきました。去る二日、建設大臣が政府派遣団の団長としておいでになりました際に、河川改修五カ年計画は一兆一千億と承りました。道路予算は六兆六千億もある、いまだにこれが直っておらないのははなはだ残念であります。また今次災害は昨年の冠水災害に加うるに、昨年の秋、山梨地方、静岡地方を襲った二十四号台風、二十六号台風、あの山くずれと合算したものである、概略こう把握していいと思うのであります。私は本委員会から山梨県の派遣団長として参りましたが、こういう人命の大損傷は何とかして防げないものか、どういう手を打つのかと聞きただしましたところ、逃げるより手はない、逃がすより手はないという御返答でございました。それじゃ、そういう危険な個所は全国にもたくさんあると思うんだが、その調査は行き届いておるか、こう申しましたところ、調査の行き届いておるような様子もありませんので、建設省国土地理院はこれから早急に全国の調査をせい、こう申し上げておいたわけであります。ところが、その調査は進んでいるらしい、そうして新潟県ではああいう山くずれの危険性のあるところが二百カ所ぐらい調査されて、今度参議院議員夫妻が孫を連れてなくなったところは、その危険地帯のうちの三十番目か三十四番目とかいう地帯になっておる。それじゃ一番目はどこなん、だろうか、二番目はどこなんだろうか。そういう地帯に対し防災ダムもできていないということで、どうして人命の損傷をのがれることができるであろうか、われわれ災害対策委員会としてはまことに不安にかられる次第であります。正直なところ、私どもとしては、昨年の七・一七水害のような、ああいう大洪水がことし続けて来るとは思っておりませんでした。まことに人知の及ばぬことで恥ずかしい次第でございますが、来年も来ないとは限りませんので、早急にその対策を講じなければなりません。  治山治水対策に対し建設大臣に御質問を申し上げますが、今回は比較的す早く激甚災法の適用をしていただきまして、罹災民に対して精神的安定の好影響は深く多とするものでありますが、ちょっと後向きなことになりますけれども、昨年の水害で阿賀野川の堤防を開さくいたしました。これは建設省の大英断であったわけであります。一級河川の堤防を開さくした、いまここに水門ができておる。今度の災害でも相当働いておりますが、これと農林省の新井郷川の排水機とが結びついていない。排水機だけでは不十分で、自然排水をも兼ねて、新井郷川と阿賀野川とを結んでおけばよかったんだ。予算を一億円ちびったために、これができていなかった、こういうところに人災ではないかと罹災民から非難される原因があるわけです。この点について、まず最初に古賀河川局長にお答え願います。
  22. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 昨年七月十七日に大災害がありまして、加治川堤防が切れました。そのとき阿賀野川の堤防を切りまして水門を着工したわけであります。水門は冬季工事でございまして、冬季の施設をしながらコンクリートを打つ工事をやって、ことし出水期前に完成いたしました。ただ取りつけ水路につきまして、あとわずか残りまして、なかなか進まなかった点は御指摘のとおりでございます。われわれもこれをできるだけ進めたいというふうに考えておりますが、用地交渉等の問題もございまして、それに対する措置が十分できなかったことを残念に思っております。今後早急に進めるつもりでございます。
  23. 稻葉修

    ○稻葉委員 建設大臣に御質問申し上げますが、この災害にかんがみ、今後も一兆一千億の治水五カ年計画の予算で足りますか。改定になる御意思はありませんか。
  24. 西村英一

    西村国務大臣 非常に端的な御質問でございますから端的にお答えしたいのですが、現在、ちょうど五ヵ年計画は今年で三年目、来年は四年目です。しかし、いまの災害の様子を見ますと、やはりどうも様子が少し変わってきたように思うのでございます。したがいまして、それはぜひ再検討をしたい、改定をしたい、かように考えております。
  25. 稻葉修

    ○稻葉委員 ぜひとも改定を願いたいと思います。  新潟県、山形知事の先ほどの陳情にもありましたとおり、復旧事業の短縮、緊急事業の短縮、これらにつきましての予算獲得につきましては、私どもも大いに御援助を申し上げますが、緊急事業の短縮は法律事項である。けさ官房長官に聞いた。こういう災害だから、北九州それから中国地方、それに今回のこの三県の豪雨災害にかんがみて、おそらく被害額は二千億円をこえるでしょう、皆さんの説明によっても三県だけで今回千億をこえておりますね、したがって、こういう大災害について官房長官は臨時国会を開く意思はないか、こう聞いてみましたところ、いや、予備費はうんとございますから、たんまりございますからと、こういうお話でしたが、手術費を出そうとしたって、こういう緊急事業の短縮などは立法事項ですから、どうもならぬでしょう。そのほか自創資金の問題にいたしましても、天災融資法の二十五万円を引き上げる問題、これはまあ立法措置でたいかもしれぬ。応急住宅施設、これらの問題は、あれは五級地、四級地という豪雪寒冷地帯です。したがって、大幅にこれに予備費を支出するには、法律をかえなければできないのです。そういう事項が多々ございます。  わが災害対策特別委員会の小委員会で調べられたところによっただけでも、宅地造成の規制法の規制強化——ああいうところに住まわしておくならば、来年も必ずまたやられる、強制退去してどこかへ行ってもらわなければいかぬというようなことも場合によっては必要です。しかし、いまの法律ではそれはできないでしょう。花立、貝附という八十戸の部落はとうとう今度はしびれを切らして、わしらはこんなあぶないところにいたくないから移転する、国有林を払い下げてくれという切火なる要望があり、安田町のツベタ部落は、みんなまた帰って住もうとするけれども、そんなことでは生命が危険だから、町長は見込みがつくまでは帰さない、避難所にとどめておく、生命の危険がないという責任を持てる状態に町長として判断できるまではやらさない、こう言っておるのだが、どうしても帰ると言えばどうしようもない。とめるわけにいかないのです。そういった住宅建設禁止区域の設定、それらは法律事項でございます。また緊急傾斜崩壊防止対策事業の推進、これは予算措置にあわせて立法措置が望ましいという結論になっております。  また、住宅金融公庫の災害復旧住宅資金につきましても、貸し付け条件、なかんずく金利の引き下げ等は立法事項でありますが、天災融資法による償還期限、利率の引き下げ、自作農維持資金償還期限の延期、利率の引き下げ——ああいう連年災ですね、三町歩も持っておって前途を悲観して沖つりをして死ななければならないというような状態にあるのは、こういう点において限度一ばい借りてワクが五十万円しかない、どうして今後やっていこうか、一文も借りられないじゃないですか、生きていけないじゃないですかというようなことから死ぬというのです。それには法律を直さなければならぬでしょう。そういう事項がその他農林公庫資金につきましても、ことに中小企業災害復旧貸し付けにつきましては、先ほど総務長官からこれこれの条文適用するというお話がありましたが、今度災害を受けた加茂市、五泉市、中条町、荒川町、新発田市、これらの中小企業者が非常に困窮している、その条文も、激甚法の適用はするけれども、十二条、十三条、ことに十五条の適用はまだないわけですね。それは被害総額があの規定によれば八十六億をこえなければならぬとある、新潟県全体では六十六億というておる。山形を合わせればどうなりますか、今後の計算によるのでしょうが、現在の政府の否定では新湯県分二十六億しかない、これでは救われない。したがって激甚災害法十五条の改正はぜひとも必要です。官房長官が予備費はたんまり持っていますからと言ったって、政府として予備費をどんどんこういうことに支出すれば法律違反です。そんなことはできないでしょう。したがって、この際本委員会としても——委員長、どうかひとつこの際、この災害に限って臨時国会を開くことの要請を後ほど議決してもらいたい。  さらに政府は、官房長官がいないと返答に困るかもしれぬけれども、総理大臣もお留守で困るかもしれぬけれども、建設大臣がおいでですから、そういう御意思があるかどうか、あるならばある、ないならばないと、はっきりお答えをいただきたい。
  26. 西村英一

    西村国務大臣 私も国務大臣でございまするから、当然私も意見を持っておりますけれども、この席で私が臨時国会をこのためにやるとかやらないとか、はっきり申し上げることは差し控えます。  しかし、今回の災害の重大性にかんがみまして、もちろん法律の許す範囲内並びにその逆用の最大限度を行きまして、現在の法律の許す範四内で対処いたしたいと思います。法律を改正しなければやっていけないことは、そのためには、もちろんこれは国会の承認を得なければならぬから国会の必要がありますが、いまの段階といたしましては、十分現在の法規の許す範囲内とその運用によって対処いたしたい、かように思う次第でございます。十分政府といたしましては、意のあるところは、いまは総理大臣はいませんけれども、総理大臣代理もおりますし、官房長官にお伝えをいたします。意のあるところは私からお伝えいたします。
  27. 稻葉修

    ○稻葉委員 いま申し上げましたように、あそこの非常に危険なところにたくさん住んでいるわけですよ。なるべくほかへ移してやりたい、こう言いましても、そういう規制法がないわけですね。それは必要ありませんでしょうか。建設大臣として、治山対策の責任を有せられる国務大臣として、あのまま住まわせておいていいものだろうか、どう御判断されるのでしょう。
  28. 西村英一

    西村国務大臣 前におりました土地が、道路河川を広げるとか、あるいはまた河川を広げないにしても再びの豪雨でもって危険だということになれば、当然これは地方公共団体も国と相談をいたしまして、適地をさがしていいところに宅地の造成をしてやるなりしなければならぬのでございます。したがって、しかしそのときの金はどうするのかということはこれはまた別個の問題でございますから、私といたしまして、建設行政からいたしましては、ぜひそういうようなところに再び住宅を建てないようにお願いを申し上げたいのでございます。いまの宅地造成等規制法は、これから宅地をつくろうというところにこの規制をすることは十分できるのでございます。これは県知事が十分できるのでございます。しかしすでにもう前にあったというところをどうするかということはこれは別個の問題でございますが、あくまでも危険なところには、新たに移転をすることが非常に困るかもしれないけれども、それはやはり災害を受けないために、住民の方々に説いていただいて、公共団体でぜひお世話を申し上げ、政府もこれに対していろいろと御相談にあずかりたい、かように思う次第でございます。そういうところは私も見ましてたくさんあると思います。ことに荒川の沿岸は、あれはもう米坂線道路をつくれば一ぱいのところでございます。したがいまして、それはあとはもう川幅一ばいにしなければならぬから、前にありましたあの住宅その他の施設は、何とかしてほかの適地をさがしてやりたいというのが私の希望でございますから、どうかひとつ稻葉さんも公共団体の長等におすすめ願いまして、さように指導をいたしたい。私も十分力をいたすつもりでございます。
  29. 稻葉修

    ○稻葉委員 次に御質問申し上げたいのは、連続災害の発生を未然に防止し、施設の効用を早期に回復するため、復旧期間を短縮するとともに、大幅な改良復旧措置を講ぜられたいというのが各県の要望事項の重要なるものの一つであります。今度の災害に際して、二つの川を一本にした新しい川を思いきってつくりました。それは安田町というところ、あそこの海老油川というのと都辺田川というのと、川はへんてこなほうに流れていって、どうしようもないものですから、これを二つ合わせまして、自衛隊が出て、たんぼのどまん中に——それはあの連中の承諾を町長が骨折って受けて、そうして一本にして阿賀野川に出すのであります。しかもこれはできております。なかなかす早くやっておる。けれども従来の川底から——川底というか、畑、たんぼから二メートルも土砂の積もった上を流れているわけですから、これらを早急にたんぼよりももっと掘り下げて、両岸をかちっと固めなければなりませんが、こういう事業の早期施工についての予算をつけるといいましても法律の妨げがあるのじゃないですか、ないのですか、行政措置でやれるのですか。
  30. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 行政指貫で十分その処置をとり得ると現地で判断いたしまして、指導したわけでございます。
  31. 稻葉修

    ○稻葉委員 それはたいへんにありがたいことだ。大いに、直ちに行政措置でやれるものならば、ぜひ予備費をふんだんに支出してやってもらいたい。  治山治水事業の抜本的対策について質問を申し上げます。  災害多発地域における治山及び河川事業費については特に増額するとともに、抜本的な治水対策計画を直ちに樹立し、治水ダムその他地質の調査を早急にやって工事を実施されたいというのも、あの災害にかんがみて三県の強い要望でありますが、都辺田川の土砂の流出は防災ダムを破壊して出ております。もう一つ上のほうにつくる予定であったそうです。これができておれば、二つともこわれないで済んだと思うが、片方がおくれたものだから両方ともだめになって、国費をもう一度むだに使わなければならぬというような非常に残念なケースがあるわけです。したがって、やるなら一挙にやってもらいたい、こういうことなんですが、建設大臣の御方針を承りたい。
  32. 西村英一

    西村国務大臣 治水事業の問題ですが、実は四十一年に足和田の事故が起こりましたときに非常にこれは問題になりまして、こういう危険な個所が相当に日本にはあるということで、四十一年に、建設省といたしましては、公共団体と協力いたしまして全国を調べたのでございます。そして渓谷で上石流が流出して、下のほうの人家に悪影響を及ぼすというところを調べました結果、七千五百カ所、これくらいは非常にあぶないぞということになったのでございます。今度佐藤先生のなくなったのもそのうちの一カ所に入っておるのでございますが、こういうような問題もありますし、したがいまして、今年度、昭和四十二年度の予算の折衝のときにも、大蔵省と、急傾斜対策事業費というものを絶対設けてくれということについて、これは正直なところ大蔵省は金の問題で抵抗いたしたのでございます。というのは、全国でがけくずれというようなところは非常にたくさんある。そこに人家がたくさんあるから、とても歯どめができない。どこまで普及するかわからぬということで、大蔵省は非常に難色を示したのでございますが、まあ試験的にということで、本年ようやく急傾斜崩壊対策事業費として事業費二億円を認めてそれをやろうとしているやさきでございます。したがいまして、四十一年に調べました七千五百カ所のうち、それを全部一ぺんにできるわけじゃございませんが、そのうち特に危険であって相当な部落があるというようなものにつきましては、来年、四十三年の予算要求につきましても大蔵省と相当に折衝をいたしたい、かように思っておる次第でございます。また上のほうで砂防をやり、ダムをやり、上のほうで押えなければどうしてもいけないと思います。昔は施設の数が少なかったから、被害も少なかったのでございましょうが、今後は、どうしても平地が少ないために怪しいところに人家、施設ができるわけでございますから、砂防及び治山ダムというものについて力を入れなければならぬと思います。この問題は昔もそうでございましたが、最近の被害状況を見ますと、特にその感を深くします。すなわち、治山事業は金をふやすのみならず、その行き方の項目をも新しい観点に立ってこの治山治水事業をやりたいという気持ちがしておるのでございますから、私は資金の量の問題において事柄の問題において再検討をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  33. 稻葉修

    ○稻葉委員 次に、農林省にお尋ねを申し上げます。  第一は自作農維持創設資金制度の問題でありますが、昨年の災害のときにも私はこの委員会で五十億というワクは一災害についての最高限である。地震、七・一七、八・二八、こういったような連年災については考慮する必要があるのではないか。この法律の趣旨はいろいろな金を全部使っちゃって、天災融資法も借りた、貯金も全部使った、これ以上はたんぼを売らなければならない。そういう場合にお貸ししますというのでありますから、必要があれば五十万円までの限度で貸す。それは一災害について五十万円まで必要があれば最高限貸しますという趣旨でなければ、目一ぱい借りた人は、この災害では一文も借りられない。それでは自作農が維持できぬじゃないですか。どうしてそういう解釈になるんだろう。しかも承るところによれば、この白農法というものは災害立法ではない、こうおっしゃるけれども、この金が必要なのは主としては災害のときでしょう。病気のときもありましょう。病気のときを除けば、主としてほとんど災害のためなんです。災害立法だと思うのです。それならば一災害、必要があれば最高限五十万円までは貸します——地震のときに五十万円貸したら、七・一七のときにまた必要があれば最高限五十万円まで貸します。それで百万円。そして今度の災害にあったということになれば、また必要があれば最高限五十万円までは貸します、あるいは昨年のようにこれを七十万円まで引き上げたのなら、七十万円までは貸します、合わせて百七十万円お貸しします、こういうことにならなければ、自殺者を出しますね。農林省の御解釈はどうなんだ。そして、そういう新しい解釈に立って今次災害に臨まれるのか臨まれないのか、承りたいと思うのであります。
  34. 草野一郎平

    ○草野説明員 自創資金に関しましては、昨年の災害のときにも特別の措置を講じたわけであります。ただいま御意見のありましたように一災害に対して五十万円ということになりますと、これはまた災害がたび重なったときにその単位ずつ重ねていくか、そういうことは非常にむずかしい問題ではないかと考えますが、連年災害のことでもあり、特別の考慮を払わなければならぬとは考えておりますが、現在この資金を要求される方々のケースがそれぞれ千差万別でございますから、したがって、現在のところどれだけの残額があり、さらに今回の需要がどれだけあるか、そうしたことも綿密に調査し、かつ検討をいたしまして、御希望に沿える方向に努力をいたしたい。  ちょっと申し添えますが、先ほど限度額の問題について、法律事項だとおっしゃいましたが、実はこれは……(稻葉委員「いやぼくはそうは言っていない。期限と利率は……。」と呼ぶ)期限はそうでございます。期限は二十カ年という法律事項がございますから、これはまあやむを得ないが、業務方法書によってできることでございますから、実態をもう少し調べまして、それに従って残額とさらに御希望の額に対する一つの問題をさらに積み上げてみて、その把握の上に立って考慮をいたしたい、さような考え方でございます。
  35. 稻葉修

    ○稻葉委員 私は、この法律の立法の精神にかんがみて、たてまえ論を言うたわけだ。通算制は間違いである、個別独立説が正しい、こう思っているのですが、これは見解の相違で、訴訟でもしなければ決着がつかない。去年訴訟をすると言ったら、大蔵省も農林省も負けると思ったせいか、七十万円に業務方法書で変えてきた。しかし、これはいつまでいってもケリがつきませんから、その業務方法書の改定によって、行政指置でもって特段なる御措置を願いたいということを申し上げておきます。  次は、天災融資法適用及び融資対策につきまして、天災融資法の早急な適用、特別被害地域の指定及び使途の拡大をはかるとともに、農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金、農業改良資金などの貸し付け条件の緩和及び償還猶予などの措置を講ぜられたいのであります。  いま、償還期限が二十年というけれども、豊栄町のごときは、御承知のような状態でありますが、七年間に四回も、この調査団報告にもあったように救助法を発動された。第一は室戸台風で、これの通路だった。通路に当たったものは非常に激しい被害を受ける。地震のときも、一種の脈があると見えて、通路があるのですね。この通路のどまん中にこの町が当たったわけです。   〔永井委員長代理退席、天野(光)委員長代理着席〕 それから去年の水害と今年の水害です。同じ個所が破堤してああいう災害になる。こういうようなところでは、年々借りた金を、二十年であの大きな負債を返していけるだろうか。そうするとこれらの年限の延長あるいは既往債務についてはたな上げしてくれというような強い叫びもあるわけですが、せめて償還期限の延長くらいの法改正は必要であると私は考えるのですが、農林政務次官はどういうふうにお考えでしょうか。必要ないとお考えでしょうか。必要がありそうだとお考えですか。
  36. 太田康二

    太田説明員 天災融資法の発動の問題につきましては、先ほども農林省のとった施策の概要で申し上げましたとおり、従来とも実は統計調査部の被害の結果を待ちまして関係各省と折衝して発動するということになっております。今回の場合、先ほども申し上げましたように、つなぎ融資の依頼を県知事を通じて金融機関にお頼みいたしました結果、先ほど申し上げたとおり、県信連等においてはつなぎ融資の措置を講ずるということも決定いたしております。これがあるからといって、私のほうは決して天災融資法の発動をおくらせるというようなことはないわけでございますが、できるだけ早くやりたいと思っております。一応農作物被害のことでございますので、統計調査部の被害の結果が来週の半ばごろには決定いたすのでございまして、従来の例で申し上げますと、それから約十日間くらいの間一応折衝等に時間もかかりますので、その後天災融資法の発動をいたします。その間のつなぎ融資は、先ほど申し上げたようなことで措置ができておるというふうに考えておるのでございます。  それから既往の資金の借り入れの条件緩和の問題につきましても、先ほど御報告申し上げましたとおり、金融機関に対して依頼をいたしたのでございます。金融機関といたしましては、個々の借り入れ者の実情に応じまして、ケース・バイ・ケースでこれを処置いたしておるのでございまして、場合によっては据え働き期間の延長をいたします。あるいは中間据え置き期間の設定、あるいは償還期間の延長等、償還条件の緩和措置というものを法律で認められた範囲内においては講ぜられるということになっておりまして、それは個々のケースごとに金融機関におきまして実情に応じて措置していく、かように理解をいたしております。
  37. 稻葉修

    ○稻葉委員 法律に認められた範囲内において金融機関が個々のケースに応じてやるのは、それは当然なのです。私はそういうことを聞いているのではない。その据え置き期間であるとか、償還期限であるとか、この連年災の罹災者にとっては条件が少しきびしいじゃないか。それは金融機関が気をきかしてやれることじゃない、法律で厳重に締めつけられているのだから。その法律を緩和する必要があるとお考えか、そんな必要はないんだというふうにお考えなのか、農林当局の意見を聞いておる。
  38. 太田康二

    太田説明員 融資制度もいろいろ制度がございまして、ものによっては確かに非常に問題のあるものもあるかと思いますが、たとえば天災融資法のごときは御承知のとおり次期作の経営資金ということになっておりまして、通常五年ないし七年というような期間が設けられておるのでございますが、これらは次期作さえ回復いたしますれば当然返し得る資金である。そういう意味合いにおきまして、いま直ちに貸し付け条件等を変更するというようなことは必要ないのではないかというふうに考えております。
  39. 稻葉修

    ○稻葉委員 先ほど現地派遣団の団長報告天野光晴君、湊徹郎君の報告にも、この点については強く現地の実情にかんがみてこの際法律を改正して条件を緩和する必要があるといわれておるが、それに対して農林省は必要ないと言われる。それでいいのかな。もう一度、それでいいなら、はっきり、それでかまわないんだと言うてみい。
  40. 草野一郎平

    ○草野説明員 先ほどお話のありましたように、どうもこの災害にくせがありまして、大空は自由自在に飛べるのですから、台風も行きたいようなところへ行くかと思いますと、何かよく来るようなところへやってくるというようなことで、あるところにはあり過ぎて、ないところにはさっぱりないということですから、したがって、そういうところから問題も起こってきますし、これは建設大臣、非常に御心配になっておるのですが、どうも習性があるのじゃないかというようなことを建設省で御心配になっておるようです。そういうことになってきますと、同じところばかりが何年も何年もえらい目にあうということでありますから、したがってそういうことに対して実態に応じてこれは考慮していかなければならぬ、さようにも考えております。
  41. 稻葉修

    ○稻葉委員 大蔵省に対する気がねであるとかいろいろ何だかもたもたしておるようだけれども、両派遣団長も、条件の緩和についてはそういう必要があると言い、私も大いに必要があると思う。これをやってやらないと、前途を悲観してまた連鎖反応を起こして自殺者がふえるようなことでは私はたいへん不安です。ですから、この際そういう心配を除く意味においても、あなた方のここにおける答弁は、罹災角に与える影響きわめて甚大だから、温情ある、せめてそういう必要があるのではないかと思いますぐらいのことを言わないと、どうにもならぬ。しかも、どうも通り道があって、精進の悪いやつのところに重なるというようなことですが、それは全くほんとうにわしらのほうはえらい口にあった、何度も何度も。したがって、ああやって非常に苦しんでいるのですから、何とかこの条件の緩和につきまして法改正の必要があると思うのですが、それは議会のあれでございますからよろしく願いますということでなければならぬと私は思う。草野さんどうでしょうか。
  42. 草野一郎平

    ○草野説明員 ただいまも連鎖反応を起こして不安をかもすというふうなお話であります。そういうことに対しては、これは政治の責任だと考えておりますので、したがって、政治的な判断においてそういう問題は検討し、また善処すべきだと考えております。
  43. 稻葉修

    ○稻葉委員 これは立法事項でございますから、政府がそういうお考えなら、われわれ立法者として今後考えていく。  次には救農土木事業のことでございます。これは主として県側の処置によることですが、山間地のあの地帯は、河川治山道路、これらの災害復旧工事早期発注することによって大部分は救われると思うのですが、平たん地帯の冠水地帯のほうはそういう点についての目ぼしい救農土木事業は何もないわけです。これらにつきましても、県から言うてきましたら特段の配慮を政府はやっていただきたいと思うのですが、これに対して建設大臣から御答弁いただきます。
  44. 西村英一

    西村国務大臣 相当に人手を要するのでございまするが、特別にそういうことができないような方々で、ことに冬季を迎えておりますことでございますから、私は現地に行きましても、救農土木等をやってもらいたいという希望は承っております。したがいまして、十分今後は、どういうことをやるかは別といたしまして、皆さま方の御要望に沿うように検討いたしてまいりたい、かように思っております。
  45. 稻葉修

    ○稻葉委員 これで質問を終わりますが、激甚法の発動につきまして、総理府総務長官、災害対策本部長から先ほど三章及び五条それから十条、十九条、二十四条、これは直ちに適用になる、こういうことでしたが、したがって適用にならないものもあるわけです。また該当しない条文もあるように思いますが、適用にまだしてないもので、近く適用になる見込みがあるのかどうか、それらの点につきましてお尋ねいたします。  第六条はどうでしょう。共同利用施設。第七条の開拓者等の施設災害についてはどうなんでしょう。第八条の天災融資法特例についてはどうなんでしょう。第九条の森林組合の堆積土砂排除費については発動されるのでしょうか。これは非常に困っております。ことに笹神村の今板部落、大日原、こういうところでは非常にこの発動を待ち望んでおるわけです。さらに先ほどもちょっと触れましたが、十二条、十三条、十五条、中小企業信用保険制度につきましては適用の見込みがあるのだろうかないのだろうか。どうしても現在の法律ではないとすれば、十五条を改正する必要があると思う。さらに十六条、十七条、十八条、公立社会教育施設、私立学校施設は、内々承るところによれば、第二次の定定でこの発動はオーケーになるであろうといわれておりますが、そのとおりであるかどうか。第二十条の母子福祉資金の特例、第二十一条の水防資材費の補助特例、これは相当各町村が多額にのぼるはずであります。第二十二条の罹災者公営住宅、第二十三条の産業労働者住宅建設費金融通法の特例、これらの各条につきまして、それぞれ担当の政府委員から御答弁を承りたい。
  46. 太田康二

    太田説明員 先ほど農林省の対策概要の際申し上げたわけでございますが、まず第六条の農林水産業の共同利用施設の関係でございますが、先生も御承知のとおり、発動には基準がありますが、現在被害状況が刻々動いておりますので、大体基準に近い、近いというか、越えるような線にまいりましたら大蔵省と交渉をいたしまして、基準に該当すれば発動するということで、いま数字の詳細なる把握につとめておる段階でございます。  それから開拓者施設も同様でございまして、これも目下数字をまとめまして大蔵省と話し合いをいたしておる段階でございます。  それから、大災融資法は、これも先ほど申し上げたわけですが、県報告では百四億ということになっておりますが、一応従来とも統計調査部の数字を基準にしていたしております。ただ、いまこう申し上げるのは多少どうかと思いますが、われわれの推測ではまずまず該当するのではないかというふうに天災融資法については考えております。  それから、私ちょっと不勉強で九条の堆積土砂排除関係はいままでまだ検討いたしておりません。なお実情を把握いたしまして、今後検討いたしたい。以上が私のほうの関係の分でございます。
  47. 稻葉修

    ○稻葉委員 ちょっと太田君、九条の森林組合の堆積土砂排除につきましては農林大臣告示でいけるわけですから。そうしてこれにつきましても堆積土砂が一万立方メートルをこえるという基準があるだけで、これは当然統計調査部であろうとどこのだれが見ても明瞭なんです。早く発動していただけませんか。
  48. 太田康二

    太田説明員 こういうものにつきましては、やはり県の数字が基礎になりますので、県報告等も十分聴取いたしました上で財政当局とも話し合いをして、基準に該当いたしますれば発動いたしたいというふうに思っております。
  49. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 二十一条の水防に関する激甚災適用でございますが、これは今回相当水防に資材を使っておると思います。したがいまして、ただいま報告を至急求めておりまして、まだ全部集計できておりませんのでいまのところわかりませんが、その線に沿って十分検討いたしたいと思います。  それから二十二条の激甚災災害公営住宅でございますが、これにつきましてはただいま調査いたしておりますので、現在のところ判明いたしませんが、十分検討してまいりたいと思います。
  50. 斎藤英雄

    斎藤説明員 お答え申し上げます。  中小企業関係は、いまお話がございましたような、十二条、十三条、十五条の関係でございますが、従来の基準がございます。従来の基準でございますと、おおむね全体の被害が七十二億から八十六億程度の間なければ、従来の基準ではむずかしいのでございます。それで、私どもが聞いております被害はおおむね三県で四十一億程度でございます。したがいまして、その関係で申し上げますと、検討はいたしておりますけれども、現在のところ困難ではないかというふうな判断でございます。
  51. 飯原久弥

    ○飯原説明員 ただいま先生のお尋の激甚法二十条の母子福祉法による国の貸し付け特例でございますが、これは直接私どものほうの所管ではございませんが、災害によって生じました家庭の実情に応じまして、県のほうの数字をいまいただいております。それを煮詰めて、必要がある場合には、将来激甚災の対象になるということで、検討をいたしておるところでございます。
  52. 中尾龍彦

    ○中尾説明員 第十六条の公立社会教育施設は第一次の指定の際に資料が不足なため一緒に採択いただけなかったのでありますが、これは今度の機会にはぜひ入れていただくことになっております。  それから、十七条、十八条の私立学校施設につきましても目下調査中でございまして、資料が確定次第、これも一緒に採択していただくつもりでございます。
  53. 稻葉修

    ○稻葉委員 それでいいのですが、いま申し上げました未適用の各条につきましては、ぜひ早急に統計を収集されまして——私はみなあてはまると思うのです、中小企業は別でございますが。法の基準がきついですから、法改正を要するでしょう。しかし、その他の部分は早急にひとつ集めていただいて、罹災者の不安を除去していただきたいとお願い申し上げる次第です。  私は昨日まで災害以来ずっと現地におりまして、けさ帰ってきましたので、非常に寝不足でもあり、多少激烈なことを申し上げまして、たいへん政府委員各位には失礼な点があったかと思いますが、深くおわびを申し上げる次第でございます。  まだ五十三人の遺体が発見されませんが、人間には魂がある。早く救ってもらいたい。この間五日目に出てきた人の中にまだ息があった人がございます。脈もある。急いで病院に運んだけれどもとうとう間に合わなかった。そういう奇跡的なこともあるわけでございますから、この五十三遺体の中にはまだ生きておられる方もあるかもしれない。そういう奇跡を願うものであります。助けを求めておるそれらの人々の気持ちになって、この際こういう災害がまたないように、ぜひとも政府委員各位におかれましては、いま私が要望申し上げ、御質問申し上げた事項について格段の御配慮を賜りまするよう、そうしてどうしてもいまの法律制度ではだめなんだという点は、思い切ってこの際法律改正に踏み切っていただくように前向きの姿勢を強く打ち出していただきますよう、地下で悲痛なる叫びをあげておるあの人たちになりかわってお願いを申し上げまして、質問を終わります。
  54. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 石田宥全君。——まことに恐縮ですが、ひとつ時間を励行していただくようにお願いいたします。
  55. 石田宥全

    石田(宥)委員 時間の申し合わせもございますので、要点だけを御質問申し上げたいと思いますので、政府委員のほうも簡潔に答弁を願いたいと思います。  災害対策本部長である総理府長官も副長官も不在でございますが、建設大臣がおられますから、災害対策本部ができて、内容も充実し、機構も拡充されたといわれておるのでありますけれども、必ずしもそのようにはいっておらないようでありますが、この点は強く御指摘を申し上げておきたいと思います。  次に、ただいま稻葉委員からも御指摘がございましたが、行政管理庁から建設省並びに農林省に対して、災害対策についてどうも積極性がないのではないかという指摘が行なわれておったわけです。一体これは建設省や農林省が消極的であったのか、建設省や農林省は相当強硬に要求を、したが、これに対して大蔵省がこれを押えてまいったのか、これは私は重大な問題であろうと思うのでありまして、私どもは予算の金額から見まして、特に中小河川災害対策などは非常に予算のふくらみが足らない。もっともっと増額されなければならないと考えておるのでありますが、これについて、建設大臣並びに大蔵省の主計官から、お考えを簡単にお伺いをしたいと思います。
  56. 西村英一

    西村国務大臣 行政管理庁からこの防災のことにつきまして勧告を受けました。それは昨年の七月に、行政管理庁はそれぞれの監査をしまして、それ以来できていないものがたくさんあるんじゃないかという勧告でございます。各省にわたっておるのでございます。その中にはいろいろございまして、何も大蔵省のあれを要しないで、その省でできるものもあります。また大蔵省と合議の上でなければ、予算を伴うものもございまして、それぞれ各省違うのでございます。したがいまして、それもすみやかに各省はその指摘されたことについて返事をせよという勧告でございます。したがいまして、建設省も、各省ございまするが、そのうちで非常にたくさん事項があるのでございます。根本的な問題もあるし、あるいは派生的な問題もあるわけでありまして、いろいろ問題がございまするから、一たん勧告を受けました以上は、われわれといたしましてはすみやかに各部局を督励いたしまして、整備いたしたい、かように考える次第でございまして、必ずしも大蔵省だけの反対でというわけではございません。
  57. 井上幸夫

    ○井上説明員 中小河川改修その他河川の改修につきましては、従来財政の許す限り予算措置を講じたつもりでございます。   〔天野(光)委員長代理退席、永井委員長代理着席〕 ただいまのところ詳しい資料を持ってまいっておりませんけれども、治水五カ年計画の進捗率を上回る予算が計上されております。
  58. 石田宥全

    石田(宥)委員 今回の災害地の中で、加治川並びに能代川、いずれも深刻な被害を受けたわけですが、これが計画を立ててから十年以上も立っておって、そうしてそれが十一分の一ぐらいしか進捗していないというような状況なんです。こういう状況が今日の災害をさらに激甚ならしめた原因の一つなんです。ですから、私は時間がございませんから、これは指摘するにとどめておきますけれども、そういう点を十分ひとつ御配慮になって明年度以降の予算を考えていただきたい。  次に、私は新潟中心にお尋ねをするわけでありますけれども、今回の新潟災害は、一つは加治川ダムの破堤であります。一つは山津波による被害であります。二つに大別することができると思います。そこで加治川の堤防の問題でございますが、これは先ほど御報告がありましたように、ついせんだって完成したばかりであります。河川局長が報告されましたように、仮締め切り部分から破堤をいたしております。この仮締め切り部分がどういう状況になっておったかは、これも一つ問題でありますが、少なくとも新しく堤防が完成をした直後に破堤をしておる。しかも、河川改修は下流からやってくるのが常識でありますが、昨年の破堤の関係で、上流はその堤防をよくした。それから堤防の中もきれいにした。ところが下流のほうに民有地があって、桑の木やクルミの木が植わっておる。これでは再破堤も当然だと言わなければならない。私も再三この点を見ておりましたし、また地元民はしばしばこの点を指摘しておったわけです。そこで伺いたいのでありますが、この加治川の堤防、本堤並びに仮締め切り、これの計画設計の責任はだれなのか。工事施行の責任者はだれなのか、これをひとつ承りたいと思うのです。
  59. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 加治川の堤防の破堤したことはまことに残念でございます。ただいま御質問の加治川は二級洲川でございまして、県知事の管理に属しております。したがいまして、それの一切の管理は知事が責任を打ってやるということでございます。
  60. 石田宥全

    石田(宥)委員 聞くところによると、計画設計は建設省で、工事の施行責任者は県知事だ、こういうことを伺っておるんですが、そうではありませんか。
  61. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 計画につきましては、建設省と打ち合わせて、建設省の承認を得て知事が責任を持ってやる。実は知事から出てきました計画は若干小さかったので、われわれのほうで手直ししまして、ああいうような直線水路に直しまして、計画を定めたわけでございます。
  62. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、これは実は地元の方の切実な要望なんですが、今日の科学技術の水準をもってしてできあがったばかりのその堤防が、再び破堤をするということはどうも納得がいかない。これは行政府の責任ではないか、こういう声が強いのです。先ほども報告のとおり、仮締め切り部分から破堤をしたという御報告でしたが、そのとおり。ところが、この仮締め切り部分というのは八メートルの鉄矢板が打たれて、その上にじゃかごが並べてある。そうして内部は全部浜砂でできている。ですから、昨年の破堤は堤防を水がオーバーしたから、土手の場合にオーバーすれば破堤するのは避けられないとわれわれは常識的に考えておるが、ところが今回は一メートル以上もゆとりがあったのです。一メートル以上もゆとりのあった堤防がなぜ一体破れたのか。こたは鉄矢板の上にじゃかごを並べた。そこの付近から水が浸入する。浜砂でつくった堤防ですから、水が浸透すれば、これはクィックサンドで、水と同じ状態になることは土木工学の常識でしょう。それが今度の破堤の原因なんです。本堤もまた、調査団の皆さんもごらんになったとおりで、これは浜砂で、全くの砂で堤防ができておる。私も行ってみて驚いた。それに、ただ上のほうから見れば草がはえておるから、いかにもがんじょうそうに見えるけれども、少しばかり草がはえる余地を与えるだけの土を塗っただけで、中は完全に砂だけだ、それに水が浸透すれば崩壊するのは、いま申し上げたようにクィックサンドの方式で、どんどん欠けていったわけです。こういうことになると、これは計画設計にミスがあったのか、あるいは工事の施行の段階で何かがあったのか。工事施行者は計画設計のミスだ、こう指摘しておる。これは河川局長は一体どこに原因があるとお考えですか。
  63. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 仮締め切りは、御承知のとおりに矢板を八メートルのものを打ちまして、その裏に土を盛りまして、じゃかごで盛ってあります。あの水害の臨時、私は現場を確認したわけじゃございませんが、土俵を堤防の上に三段積みまして、それで水位がたぶんそこまで来ただろうというぐあいに想定されます。したがいまして、堤防より水位が上に来ていた。ちょうどそのときに雨あらしでございまして、現地にも立っておられないような状況で、それで全員待避がかかった、土木事務所長はそう報告しております。その後どういうぐあいになって破堤したかはよく確認いたしておりませんが、非常に危険な状態であったことは確かでございます。  そこで、まず砂でやりました。砂質の多い土砂であったことは確かでございます。これは応急仮締め切りでございましたので、われわれとしましては、付近の土砂をとって仮締め切りをやるというのは、通常の場合やっているところでございます。したがいまして、これをほかのところから土砂を求めてくるということになれば、次期出水にもなかなか間に合わないという点もございまして、われわれは緊急応急復旧工事については相当急ぐわけでございます。そういう点で、御承知のような雨量に基づく、去年を上回る水位が出てきたという点で、加治川につきましては、去年よりも水位が四メートル——四十一災につきましては四メートル四十五でございますが、今回は五メートル二十となっておりまして、約八十センチ近くオーバーいたしております。去年の仮締め切りの堤防は、大体四十一災の被災水位を基準としてつくっておりまして、したがいまして、今回の水位はそれを八十センチも上回る水位でございました異常な豪雨であったというふうにわれわれは判定いたしております。  それから下流の堤防の新堤部分が砂でつくられているというお話でございますが、これは砂質の多い土でつくってあります。ただ、先ほど計画の責任という問題と関連いたしまして、堤防断面その他計画の流量等につきましてはわれわれのほうで承認いたしますが、堤防に使う土砂といったものにつきましては現地の材料にたよらざるを得ないわけでございまして、それをどこから使うかということは各施行者におまかせしているわけでございまして、それぞれ使う土質によって堤防断面を拡幅するなりあるいは護岸をするなりいろいろな操作をすることになっております。したがいまして、あの堤防には全部高水護岸を張るようになっております。低水護岸ももちろんでございます。低水護岸は一部河道の中にできておるような状態でございまして、その上にあの堤防につきましては高水護岸としまして、低水護岸の高水敷のところを基礎としまして護岸をやるようになっております。さような次第でございます。
  64. 石田宥全

    石田(宥)委員 計画水量をオーバーした、こういうことをしょっちゅう言われるのです。けれども、これは新発田市並びに加治川村の責任ある人が、破堤するときにそこにおった人が一メートル以上はゆとりがあったんだということを確認し、われわれが調査に参りましたときに指摘をしておりますよ。あなたのいまの答弁ではどうもその点あいまいなんで、非常に暴風雨で危険で待避してと、こう言ってごまかそうとしておるけれども、はっきり言いなさい、その点は重大ですから。
  65. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 私の報告を受けましたのは先ほど申し上げたとおりでございます。堤防から水位が若干余裕があったと申しますのは、上流の堤防と下流の新しく本堤になる部分についてだろうと思いますが、これらにつきましては堤防の高さも新しい計画に合わせてありますし、そういうことで堤防より低い水位であるというふうに感ぜられます。
  66. 石田宥全

    石田(宥)委員 あなたはさっきは私も現場を行って見しましたがと、こういうことを言っておる。そのときに暴風雨で危険状態で避難をしたというのでそこをぼかしておるのです。今度は報告を受けたところによれば、こう言っておる。この点は非常に問題なんですよ。そこで、いまの質問でも中間がどうのこうの言っておるのではないのです。仮締め切り部分を私は言っておる。地元の人もこの仮締め切り部分は危険ですよ、こう言っておる。私もその地元の声を県の土木部長にも伝えたことがあるのです。ところが、新発田の土木出張所の所長は、仮締め切り部分の上の土を取って本堤のほうへやったという事実もある、こう新聞に書いてある。読売新聞にちゃんと談話が出ておるのです。それはどうですか、お認めになりませんか。
  67. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 先ほど私が現地に行ったというようなお話でございますが、現地には行っていないのでよくわかりませんがという説明でございました。御了解を願いたいと思います。  それから、ただいま御質問がありました堤防の土を取ったというお話でございます。堤防の土を低くしたというようなお話でございますが、これは読売新聞等で私も拝見いたしました。その後事実の報告を求めておる次第でございますが、ただいままだ事実の報告が参っておりませんので、具体的に報告ができないような状況でございます。  それから、なおいろいろお話しでございますので、これももう少し確認しまして、御報告申し上げる機会をつくりたいと思います。
  68. 石田宥全

    石田(宥)委員 少なくともあなたの先ほどの報告の中では、仮締め切り部分から崩壊をしたという報告をしておる。そうすると、新しい堤防と古い堤防の間の一番危険な部分から崩壊したことは、これは新発田側も向中条側も同一なんですから、同一だということを認めますか。
  69. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 新堤と旧堤の間の板締め切りで残された部分から切れたということは、事実そのようでございます。
  70. 石田宥全

    石田(宥)委員 これであまり時間をとりたくないのですが、私は、これは地元の非常に強い不満で調べてみたのでありますが、国家賠償法の第二条に「道路河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」こう書いてある。その仮締め切り部分に瑕疵があったことは間違いがなかろうと思うのですが、これは建設大臣、いまの質疑応答をお聞きになっておっておわかりのとおりなんですが、どうですか。
  71. 西村英一

    西村国務大臣 それは直ちにそう断定するわけにはいきません。それは、それに瑕疵があったかどうかということは、やはり相当雨量等、そういうような問題もありますので、さようにすぐ断定をするわけにまいらないと思います。
  72. 石田宥全

    石田(宥)委員 新しい堤防が大部分砂であったことは認めておるわけですね。ところが、六キロないし七キロ行けば、そこでは十分粘土が採取できるのです。にもかかわらず、ああいうふうな浜砂を持ってきたり、そこの河川にある砂で固めてクイックサンドの状態にしたというこの事実は、私は何といっても行政府の責任は免れないものだと考える。一体河川局長はどうですか、ここに一つ瑕疵があったと認めることはできないですか。
  73. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 問題を仮締め切りの堤防の問題とそれから本堤の問題とに分けられると思いますが、新しくできた本堤の部分につきましては、仮締め切りの堤防が切れたので増破していったという判定をわれわれはしております。  それから、仮締め切り部分につきましては、応急の工事でございましたので、先ほど申し上げたように、次期出水に対処するために私らとしましては早急にやる必要があるし、そのために特に矢板等も用いまして必要な処置をしながらやっていったわけでございます。  さような状況でございます。
  74. 石田宥全

    石田(宥)委員 きょうは時間の関係でこれ以上この点は追及いたしませんけれども、これはきわめて重要な問題です。局長も新聞をお読みになったということでありますが、まだ報告が来ないというところにも問題があろうかと思う。とにかく何しろ仮堤防から崩壊したことはお認めになっておるし、また大部分が砂でできた堤防であることもお認めになっておるので、この点にはやはり問題があろうと思うので、これはわれわれのほうもさらによく証拠固めをいたしたいと思います。あなたのほうも十分ひとつ調査をしておいていただきたい。いずれ別の機会にこの問題を明らかにしたいと思います。  次に、私が先ほど申し上げたように、一つは加治川の堤防の問題であり、一つは山林の崩壊の問題だと申し上げたのでありますが、林野庁長官はかわったばかりで、指導部長にちょっとと思うのですが、山林に対する崩壊の対策というもの、山の崩壊というものは、ちょっとした崩壊があると、ほうっておけばどんどん大きくなって、無限に大きくなるものなんです。これはやはり今度の災害でかなり林野庁に対する批判も強いものがあるわけです。たとえば国有林の崩壊についてはどうも手おくれになっておる、すみやかに対処すべきこともなかなか手回しが悪い、あるいは林道等についても放任されておるというような批判が強いのであります。特に重ねてもう一つ伺っておきたいと思いますけれども、崩壊に対する治山対策と、それから県庁からきょうも陳情にも見えられたし、また傍聴にも見えておられるのでありますが、災害にあたって林野庁から調査官を派遣しておらない。今度は半分ぐらいは山林の崩壊による被害であるのに林野庁は調査官を派遣しておらないじゃないかという批判もあるわけです。これらについて今後どのように対処されるおつもりであるのか、伺っておきたい。
  75. 木村晴吉

    木村説明員 林野庁指導部長木村でございます。国有林内における治山事業の推進について御指摘をいただいておるわけでございますが、国有林内における治山事業は、御案内のように、国有林企業内でいわゆる新五カ年計画の中の国有林部といたしまして年々実施いたしておりまして、今年度はたしか七十七億程度を実施いたしておるわけでございますが、国有林は重要河川の上流地帯を占めておりますだけに、民有林治山と比較いたしましてないがしろにするというようなことはいたしてないつもりでございますし、災害が発生した場合における地元町村との連絡等において遅滞を免れ得ないという点も若干お聞きいたしておりますが、こういう問題につきましては、今後さらにひとつ留意し、改良していきたいと思っております。その点、ひとつよろしく御了解いただきたいと思います。  それから調査官の派遣につきましては、林野庁における治山行政は指導部の治山課が所管いたしておりまして、今回の災害の発生に伴いまして、太田事官から先ほど報告いたしましたように、治山課長以下関係担当官を被災地に急遽派遣いたしておる現況でございます。その点、あしからず御了解いただきたいと思います。
  76. 石田宥全

    石田(宥)委員 民有林の災害に対する対策の点、答弁が漏れておるようですから……。
  77. 木村晴吉

    木村説明員 どうも失礼いたしました。  現在、山地崩壊に対する治山事業につきましては、事務当局といたしまして、経済的に施行するという問題については一番実は苦心いたしておる次第でございまして、地形、地質、特に表土の状況及び崩壊地の現況、過去の被災の現況等と、もう一つは保全対象との関連から慎重に検討した計画に基づいて実施いたしておるのでございますが、先ほど建設大臣もお答えになりましたように、林野庁所管の治山事業におきましても、今回の教訓を生かしまして、関係各省の御協議を得まして、四十三年度から、現行の治山五カ年計画を改定、拡大いたしていきたい考えでございますから、あしからずひとつ……。
  78. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に農林省に、これは太田事官に伺いたいと思うのですが、先ほど稻葉委員からの御質問もございましたけれども、どうも要領を得ない。質問のほうも答弁のほうも要領を得ないと思うので、重ねて伺うわけでありますが、天災融資法激甚災の指定は、これは私は間違いないと思いますから、この点は触れません。それからまた、これは再生産資金という限定がございまして、多少生活費に食い込んでもたいした問題はございません。  問題は、やはり自作農の維持資金だと思うのです。稻葉委員は一災害五十万円ずつではどうかという御質問ですが、私は、一災害五十万円ずつ三回も四回も続いたのでは、百五十万、二百万という負債にそれだけでなれば、償還計画が立つはずがないと思うのです。そういうことで、少なくとも何回か——災害といっても、昨年の業務方法書の特別措置で二回重ねて災害を受けた場合には七十万円ということの特例が設けられたけれども、一災害五十万円ということも、やはり業務方法書ではできないのではないか、立法措置をやらなければできないのではないか、こう考えるがどうか。  もう一つは、先ほど申しましたように、償還能力の点に問題があるので、やはり一農家百五十万円、二百万円という負債をかかえては、やはり償還不能というようなことで自殺者も出るというような事態になるのではないか。したがって、私は、一災害五十万円でけっこうだが、いままでの古い債務は、十カ年間ぐらいのたな上げをして、その間利子補給をするということが必要ではないのか、それが現実に即した対策ではないのか、その点について、業務方法書の変更だけでできるかできないか、できなければ立法措置をしなければならないと思うがどうか、この二点をはっきりさせてもらいたい。
  79. 太田康二

    太田説明員 先生がおっしゃいますとおり、貸し付け限度額については、農林漁業金融公庫法の第二十条でしたか、業務方法書で定めることになっております。ただ、自作農維持資金をたとえば一災害ごとに五十万円貸すのだということが可能かどうかという問題につきましては、むしろ現行の自作農維持資金というのが、先ほど稻葉先生もおっしゃったわけですが、「病気とか負傷とか災害によって資金を必要とするもので農地等を売り渡す等農業経営に著しい支障を及ぼすことなしには資金を調達することの困難なもの」、こう書いてございまして、やはり個々の農業経営者に着目しておる制度でございますので、一災害幾らということよりも、やはりその被害を受けられた農家の実態に応じて、先ほど先生がおっしゃいましたように、また、昨年実施いたしましたように、連年災害の方につきましては、その被害の実態、さらには残高等の状況に応じまして、貸し付け限度額の引き上げというようなことで対処することが適当なのではないか。そのためには、業務方法書の改正でできるわけでございますし、現に、昨年度におきましても、自作農維持資金融通事務処理要領の一部改正によりまして、業務方法書で貸し付け限度額を、特定の条件に該当する方につきましては七十万円に引き上げたということでございますので、今回の事例におきましても、先ほど政務次官の御答弁にもあったわけでございますが、個々の農家の方々の融資の残高の問題、さらにはその資金に対する需要の問題等を十分見きわめた上で、昨年の例も勘案いたしまして対処することが適当ではないかというふうに考えております。
  80. 石田宥全

    石田(宥)委員 その点は業務方法書の改正でできるとすれば、大臣権限でできるわけでありますから、よろしいと思いますけれども、はたしてそれでその償還ができるかどうか、ここに問題があるので、私はやはりもっと別な対策が必要だと考える。これは、時間もございませんから別の機会にまたよくひとつ検討したいと思います。  最後にもう一問だけ食糧庁に伺いたいと思うのでありますが、これは三点ございます。一つは関川村で孤立いたしまして飯米が欠乏をしておりました。そして新潟飛行場からヘリコプターで輸送をしたのだけれども新潟の飛行場でしばらくそのままになっておって、全くどうにも処置がつかないという状態になった。ところが村には農業倉庫があって精米がちゃんと充棟しておる。ところがその手続がおくれたために、もうどうしようもないというときに、政府の米を出すことができないというような事態が起こったので、一体それほど手続が繁雑になっておるのかどうか。今後そのようなことがあってはならないと思うがこの点が一点。もう一点は概算金の処理の問題、これは三十六年災のときに、新潟の刈谷田川の際にとったような措置を去年も希望をしたわけでありますけれども、これはいれられなかったわけであります。今年は昨年と続いて収穫皆無の農家が非常に多いわけでありますから、これについては格段の措置を必要とすると思われるのですがどうですか。もう一つは穂発芽がひどくて、おそらく脱穀調製の段階で砕けてしまうのではないだろうかという心配が持たれておるけれども、しかし、やはり若干残るものもあるのではないか。とすればやはりこれは従来もくず米の上等の部分は買い入れをしておったわけでありますが、もう少し特別な配慮で、加工用か何かで買い上げをする措置が必要だと考えられるが、どのようにお考えになっておるか。この三つの点をお伺いをしたいと思います。
  81. 二瓶博

    ○二瓶説明員 それでは第一点の飯米の問題にお答え申し上げます。実は、先生のおっしゃるような話がございましたので、食糧事務所のほうに問い合わせをいたしました。そういたしましたら、農業倉庫に入っています米が玄米でございますので、その関係で搗精能力に見合ってしか売却できなかったわけでございます。それで別途精米のほうは所要の数量を応急空輸いたしたわけであります。それで、お話のありました時点は八月の二十日でございますが、三十日の日は農業倉庫のほうからは二十俵出ておりますし、それから精米のほうはヘリコプターで一・五トンほど送ったわけでございます。そういう実情でありまして目の前の農業倉庫には米が入っておるわけでありますが、みな玄米でありますので、搗精能力とのからみ合いで、そういうことになっております。
  82. 南日祿郎

    南日説明員 概算金の問題についてまずお答えいたしますが、ただいま先生は昨年産米につきましてのほうは何もなかったとおっしゃられたのでありますが、実は昨年産米につきましての概算金の期限までに納められなかったものにつきましては、集荷業者が代位弁済をいたします。その際の利子補給につきましては、二年償還計画というようなことで本年度から実行に入っております。  それから本年の災害等につきましては、今後その状況等をよく調査、見きわめまして、検討いたしたいと思います。  それからもう一つ、穂発芽等の、いわば低品位米の買い入れの問題でございますけれども、いま政府で買い上げておりますのは、玄米につきましては一等から五等、それから精米は一、二等、それからもみ、こういうようなことになっております。従来大体やっておるのでありますけれども、等外上の設定とか、あるいはいま先生がおっしゃいましたが、穂発芽等ということがありますれば、実際どういうような規格のものがどの程度出るか、現地のほうで早急にいま調査をいたしております。したがいまして、そのことを伺いまして、早急にその点の買い入れの手続を進めてまいりたいと思います。
  83. 石田宥全

    石田(宥)委員 これで質問を終わるのですが、総理府副長官が見えましたので、先ほど長官との打ち合わせを願ったわけでございますが、先刻来質問の中にもございましたように、現行法の中で措置のできるものもあるし、また立法を必要とするものもあるということが明らかになったわけです。そういたしますと、やはり臨時国会の開催というものがどうしても必要になってくるように考えられるわけでありまして、これについて特に災害対策本部長の長官とお打ち合わせを願ったわけでありますから、今後のこれについてのお考えを承りたいと思います。
  84. 上村千一郎

    ○上村説明員 実は先ほどから西村建設大臣から、臨時国会開催に関連いたしましてお答えをいたしておりまするが、いま先生のおっしゃいますとおり、災害に対しまして行政指導なり、現行法内の処理によりまして対応し得ることと、それではできない、立法措置にたよらないと実情に沿わないというようなことも生ずることは、そのとおりかと思うわけでございます。ただ臨時国会を開くかどうかということにつきましては、いろいろきわめて重要なことでもございますので、先生の御意思の点をよく御相談を申し上げまして、そして対処いたしたい、こう思う次第であります。
  85. 永井勝次郎

    永井委員長代理 これに関連して稻村君から発言があります。これを許します。稻村君。
  86. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 関連ですから、一分間くらいで政府に一言お伺いしたいと思う。  いまいろいろ災害報告を聞きましても、今度の天災によって明らかなように、個人の家屋、家財の損害、死亡、負傷等に対して国が直接的な援助をする制度がない。しかも災害対策基本法の第三条では「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する」義務を有することになっておるのです。基本法がそういうようになっておるのに、ちっともそれを実行する法律がない。ここで私は三十八年度の豪雪のときのことを思い出すのですが、私もあのときに災害対策委員の一人でありましたが、内容は忘れましたけれども、どうしてもこういう天災においては個人の災害を救済する法律が必要だ。そんなことはもう文明国家では問題になっておらない。個人の災害を救うことができないというような、そんなばかな話は、いかなる文明国家でもない。そういうようなわけで、たしか十六の特別立法を制定することを衆議院の当時の災害対策委員会は満場一致で決定したのです。ところが、大蔵省がそれに反対いたしまして、とうとうこれをこわしてしまった。自民党の政調会に圧力をかけまして、これでだめになっちゃった。むろん私は大蔵省というところは——大蔵省の方がおりませんようですから、幾ら言ってもしようがないかもしれぬけれども……
  87. 永井勝次郎

    永井委員長代理 いますよ。
  88. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 そうですか。——国家の財政を管理するところだから、もちろん不当な支出に対して大蔵官僚が抵抗して悪いというのではないですよ。これは大蔵官僚の義務として当然ですよ。しかし、いやしくも立法府の委員会において満場一致きまったことを、これをだめにするなんて策動することは、これは立法府の権限に対する重大な干渉ですよ。こういうことをされても、大臣とか次官とかという人は、議会政治家として大臣になったり次官になったりしているんだから、西村建設大臣も草野さんも、上村副長官もなっておるのだからして、ほんとうは大臣とか次官なんというものは、官僚を指導して使うのが、これが政治家なんです。ところが、大臣でも次官でも、半年くらいしか生命がないもんだから、何にもできやしない、何の権威もない。それだから、使うどころか、官僚ロボットにならなければやっていけないというわけだ。そんなような調子なんだ。  そこで、私はきょうは総理大臣にほんとうはお尋ねしたいんだけれども、総理大臣はおられないから、共同責任を持つ西村建設大臣にお尋ねするのですが、いま臨時国会の召集が問題になっておりますけれども、これは個人の災害を救済する——災害対策基本法の精神にもあるように、救済するために特別立法を政府提案として、臨時国会でもいいが、臨時国会が開かれればそれに提案する。あるいは間に合わなければ通常国会に提案する、少しおそ過ぎるけれども。そういう意思があるかどうかを私はお尋ねしたいと思うのです。それに対してどうお考えになるか、お答えをいただきたいのです。
  89. 西村英一

    西村国務大臣 国家が、原則としては個人に対抗するということは、これはなかなかできないと思います。個人となりますると、それは世の中は多くの人でございまするから、いろいろ幸、不幸があるのでございます。しかしながら、また最近、災害に対しまして、個人災害の気の毒な方々に対して、何とかあたたかい手を差し伸べてもらいたいという御要望が非常に強くなっておるのでございます。したがいまして、私の個人的な考えでございまするが、やはり一定の条件のもとに一定の限度をきめて、そうして間接的な方法によってこういうような天災を受けた方々に報いるという方法論もまたあるんじゃないか、かように思うのでございます。したがいまして、政府といたしましても、災害があるたびに、非常に気の毒な、再建もできない方々もありますので、原則は原則といたしましても、十分政府としては研究をしてみたい。私自身もまあそういうふうなことを発言してみたいというような気持ちはいたしておる次第でございまして、どうか御了承を賜わりたいのでございます。
  90. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 私は、個人の不幸を国家が救えと言うのではないのです。そんなことは国家の金でもって——天災ですからね。これは個人に責任がない。当然政治というものは、天災による個人の不幸を救済する義務があります。基本法でもそううたっているじゃないですか。そんなとんちんかんな話をしていてもしようがないですよ。答弁をしなくてもいいですよ。
  91. 永井勝次郎

    永井委員長代理 次に、渡辺肇君。
  92. 渡辺肇

    渡辺(肇)委員 今回の災害に対します大きな問題点は、昨日開かれました参議院での委員会、あるいはまた、ただいま稻葉、石田委員がほとんど質問されましたので、私は比較的小さな問題、あるいはまた突っ込んだ問題等につきまして、三、四点質問を申し上げたいと思うわけであります。  そこでまず第一番目にお伺いいたしたいことは、やはりただいまも問題になりました、稻村代議士が質問されました個人災害のことではないかと思います。特に昨日の参議院の委員会におきましては、西村建設大臣あるいはまた総務副長官は、これは政治課題である、特に二年間続きました二重被害につきましては善処したい、具体的な対策を立てたいというお話であったそうでございます。ただいま大臣はぜひ間接的に何とかしたいというお話でございましたが、どのように間接的にやられるのかお伺いしたいと思うわけであります。  そこで、私は一つ提案を申し上げたいと思うわけでございますが、特に新潟県の被害の大きかった荒川町長のごときは、最もひどい被災者八十五世帯に対しまして、一世帯十万円ずつ乏しい町費から八百五十万円もの見舞金を出しておるわけであります。これは実際の生活を維持していくにはやむを得なかったというようなことであるわけでございますが、したがって私はこの際、被災地市町村長さんに荒川町長と同じようなことをやれとは申し上げませんが、市町村長さんにこの際、市町村長の裁断のもとに思い切って応急措置をやらせる。そうしてそのあとは政府が、いわゆる特別交付税等の増額などでめんどうを見ていくというようにしたらどうかと考えるわけでございます。これにつきまして、政府の御見解をお伺いしたいと思うわけであります。
  93. 西村英一

    西村国務大臣 稲村さんの御質問と同様のことであろうかと思うのであります。個人災害のことと思うて意見を申し上げたのですが、はなはだ答弁が不満なようでございましたけれども、本人が災害を受けて、直接本人に金をやるというわけにはいかぬ、こういうことであります。いまでも融資の方法でやっておる。しかし、そんなことでは足らぬから何とかせよということならば、間接的方法があるじゃないか、こう言っておるわけです。しかし、これは非常にむずかしいのでございます。全般の国民を相手にすることでございますから………。そういう方法もあるということなんでございまして、それはたびたびの災害でそういう要望を受けますから、政府といたしましても、これは十分研究しなければならぬ、私はこう申し上げておるのです。しかしその方法論になれば、たいへんこれは重大問題でございまするから、私一存でどうこうするというわけにはいきませんけれども、考える値打ちがある、こう私は申し上げておるのでございます。
  94. 渡辺肇

    渡辺(肇)委員 ただいまの特別交付税を上げるというような問題に対しましては、いかがでしょうか。
  95. 山本成美

    山本説明員 ただいまの特別交付税の問題でございますけれども、特に見舞金との関連でおっしゃったようでございます。  見舞金は、御承知のように、義務的にどうこうということではございません。しかしながら、地元の市町村長が、これは気の毒だということで出すということは、当然十分了解できることでございます。ただその財源をどうするかということにつきましては、これは義務的でないということも含めまして、しかしながらそういうものを出した場合に市町村の財政が全体としてどれくらい影響を受けるかという問題をひっくるめまして、一般論のようでございますけれども、最終的には何らかの措置がなされておるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  96. 渡辺肇

    渡辺(肇)委員 ぜひその点を考慮していただきたいと思うわけであります。  次に、先ほども天災融資法についての問題がいろいろとあったわけでございますが、この天災融資法は、私がいろいろと調べましたところ、非常に矛盾が多いと思うわけであります。特に昨年の七・一七水害におきましても、新潟県ではおおよそ四千世帯の人たちが借りておるわけでございますが、この人たちの間でも非常に不満が多いわけであります。どのような点に不満が多いかと申し上げますと、いわゆる使い道に非常に制限がたくさんあるわけでございます。一例をあげますと、農機具を買う場合五万円以下のものでなければならないというようなわけであります。現在農機具の場合は五万円以下のものはほとんどなくて、耕うん機一つ買うにいたしましても数十万円というようなわけでございますから、このようなせっかく借りたものがさっぱり使い道にならないというのでは困るわけでございます。このような矛盾をぜひ解消していただきたいと思うわけでございますが、これにつきましてお答えを願いたいと思います。
  97. 太田康二

    太田説明員 実は私もそういったように五万円以下の農機具でなければだめだということを聞いたのは初耳でございまして、天災融資法ではそういう制限はついてないのではないかと私は理解をいたしております。ただ御承知のとおり、天災融資法で融資いたします対象の資金が次期作の経営に必要な資金ということでございますので、肥料とか農薬とか農機具とか、家畜等の導入に必要な資金で、一部施設資金も見ておりますが、生活資金等にこれを充てることができない、そういう資金使途の制限があるわけでございますが、五万円以下の農機具でなければだめだという制限はないと私は理解いたしております。
  98. 渡辺肇

    渡辺(肇)委員 農機具を購入する場合は五万円以下のものでなければならないということになっておるわけであります。これははっきり——こういうようなことがわからないというのではちょっとおかしいのですから、はっきり調べて答えてください。
  99. 太田康二

    太田説明員 私の答弁が間違っておるとは思わないのですが、なおよく調べまして、後ほど答弁申し上げます。
  100. 渡辺肇

    渡辺(肇)委員 それでは次の点にまいりまして、現行の災害補助の率が非常に低いということで被災地市町村長の皆さんはたいへん困っておるわけでございます。どのような点に一番不満が多いかと申しますと、一例をあげますと、死亡者が出ました場合に、一人の遺体を処理します場合、その処理料がわずかに三千円、埋葬料が三千円というわけであります。また被災者一人の一日の食費がわずかに百円というようなことになっておるわけでございますが、これではあまりに低いのではないかと思うわけでございます。何とかこれの引き上げを御要望したいと思うわけでございますが、これにつきましてお答えを願います。
  101. 飯原久弥

    ○飯原説明員 ただいま渡辺先生からの御指摘のございました災害救助法にいう基準の問題でございます。かねてこの災害救助の基準は応急措置ということで、私ども毎年これの引き上げにつきまして微力でございますが努力しておるわけでございます。ことしの四月に一度、食費につきましては昨年九十円でございましたのを百円に引き上げまして、八月から、三日間までは百円、四日を過ぎますと災害が長引きますので百三十円、こういうことで引き上げが認められたわけでございます。  それからなくなった方の葬祭につきましては、御指摘のように、今回引き上げは行なっておりませんので、これは将来において努力したいと思います。  なお、もう一度申し上げますと、四月の場合には百円を基礎といたしまして六日以降が百三十円、八月の改定では四日から百三十円、こういうことに改定をいたしたわけでございます。  その他の救助項目につきましては、たとえば八月には日用品費を五人世帯の場合には七百五十円加算する、こういうふうな措置をとっておるわけでございます。
  102. 太田康二

    太田説明員 先ほど渡辺先生の御質問に対しまして私間違った答弁をいたしまして恐縮でございます。確かに天災融資法上は、先ほど私が申し上げましたように、再生産に必要とする肥料、農薬等のいわゆる流動資金が中心でございますが、農機具も貸し付け対象になっております。その際そういった趣旨からいいまして、農機具につきましては政令で五万円以下の農機具とするということになっておるようでございます。実際に農機具等につきましては、御承知のとおり、この天災融資法ができた以後にできた制度といたしまして、農業の近代化資金の融資法がございまして、これによって融通するというような道が開かれておりますので、その間の調整は十分とは言いませんが、とれておるというふうに考えております。
  103. 渡辺肇

    渡辺(肇)委員 ただいまのお話でございますが、早急にこれを直すというわけにはまいりますまいか。
  104. 太田康二

    太田説明員 五万円以下の農機具ということになりますと、現在の実情からいえば確かに非常に小さなものしか買えないのでございますが、先ほども申し上げましたとおり、一般的な農機具につきましては、現在近代化資金によって融通の道が開かれておるということでございますので、一応たてまえ上はそこに線が引かれておるというふうに考えますが、なお今後検討いたしたいと思います。
  105. 渡辺肇

    渡辺(肇)委員 早急にそれを直すというわけにはまいらないわけですか。
  106. 太田康二

    太田説明員 実情も考えまして検討いたしたいと思います。
  107. 渡辺肇

    渡辺(肇)委員 なるべく早く直していただきたいことを要望いたしまして、次に移りたいと思います。  今回の災害の最大の特徴は山くずれによる家屋の倒壊の多いことでございます。多数の死者を出しましたのも、これが原因になっておるわけでございます。したがって、山間部の部落では、部落ごと集団移転をしようではないかというような話もあちこちに出てきておるわけであります。そこで一番大きな問題となりますのは、住宅資金の問題であるわけであります。なかなか現在では住宅金融公庫の資金も非常にワクが少ないということでありますので、私はここでひとつ御提案を申し上げたいと思うのであります。それは、三分の二の国庫負担による市町村営の公営住宅をたくさんつくったらどうかと思うのであります。そうしてこの被災地にこの公営住宅のワクを建設省はたくさん与えてもらいたいと思うわけでございますが、これにつきましてどのようにお考えか、お答え願います。
  108. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 災害が発生いたしまして、住宅等が被害を受けました場合に仮舎は別としまして、応急住宅といたしましてどうしても災害のための公営住宅が必要でございます。したがいまして、住宅関係の中に災害公営住宅といたしまして五百戸だけのワクを持っております。ただいま現地とそれぞれ協議中でございまして、必要に応じて協議の上、災害公営住宅をつくっていくようにしたいと考えております。
  109. 渡辺肇

    渡辺(肇)委員 もちろん、ただいまお話しの災害公営住宅というものもたくさんつくっていただきたいと思うわけでありますが、それは当然なお話でございまして、私の申し上げましたのは、建設省のいわゆる国が三分の二負担いたしまして、残りの三分の一を市町村が負担いたします一般の公営住宅を、この被災地にワクをたくさん充てていただきたいというのでございます。この点についてどのようにお考えか、お答え願いたいと思うわけであります。
  110. 西村英一

    西村国務大臣 災害住宅の割り当てはもちろんでありますけれども災害住宅以外の一般住宅のワクも持っていますから、それはどんどんやります。それ以外にもっと一般のものもほしいのだということですが、この一般のワクと申しますのは、今年度は全部配賦済みなんです。しかし、やはり多少緩急がありまして、融通ができるところもあるわけです。したがいまして、十分検討したいと思います。いままでのワクというものは、各県全部やってある。しかし、それでは、この段階になってワクはもらったけれども、用地が買えないからなかなかできないというものもないわけではございませんので、十分調べまして、もし被害市町村でさらに一般のワクがまだほしいということがあれば、再検討して、実現させたい、かように思います。
  111. 渡辺肇

    渡辺(肇)委員 大臣のお話はよくわかったわけでございますが、ぜひ予備費をそこへたくさん回していただきまして——私も昨日たまたま住宅課長のところに参りまして、そのお話を伺ったのでありますが、そのような希望がたくさんあれば融通できるというようなお話でございますので、この際、災害住宅以外に公営住宅のワクをここへ大幅に充てていただきたいことをさらにお願いしたいと思います。  次に、先ほども稻葉委員が触れられましたが、治山の問題につきましてお伺いいたしたいと思います。  今回の災害の特徴が山くずれだということは先ほど申し上げたわけでございますが、この治山対策というものが非常におくれておるということを私は締切に感じておるのであります。山の被害が一県の標準税収の一〇%をこえますと、特殊緊急治山という指定を受けるそうでございますが、今回の新潟県の被害額はおよそ五十七億円にものぼっておりまして、新潟県の標準税収はおよそ百四十億円ほどでございますので、軽くこれが指定を受けると私は考えておったわけでございます。しかし、この特殊緊急治山というものはどのようなものかと申しますと、いわゆる四カ年かかって復旧する、これから同じような被害が出ないように対策をするというようなことでございますが、私が今回、現場をつぶさにながめてみましたところによりますと、これから、一雨降ればすぐぼろぼろと山がくずれそうなところがたくさんございまして、とても四ヵ年などといっておれないという感を深くするわけでございます。したがいまして、これを何とか短縮していただきたい、四カ年を二カ年あるいは一年間くらいに短縮していただきたいとお願いしたいと思うわけでございますが、これにつきまして御答弁をお願いいたします。
  112. 木村晴吉

    木村説明員 お答え申し上げます。  実は午前中も災害委員会でこれに類する問題がいろいろ論議されたわけでございますが、私のほうで所管いたしております治山事業の中の特殊緊急治山事業は、災害緊急的な色合いの濃いものを一般経常費の中から支出しておるものでございますが、これはいわゆる一般の施設災害復旧と同じように現在四カ年になっておるわけでございます。これは他の施設災害との関連からやはり顧慮されなければならない問題でもございますが、現在の実情を十分承知しておりますので、機会あるたびに関係省とも十分協議をさせていただきたいと思っております。  それから当面一番緊急に処置しなければならない問題につきましては、第一次、第二次、第三次と分けまして、まず第一次は、九月二十日ごろまでに、次期出水によりまして被災し得ない最小限度の第一次的なものを全部張りつけを終わって、何とか応急対策を早く進めたいと思っておりますから、よろしくお願いいたします。
  113. 渡辺肇

    渡辺(肇)委員 そうしますと、この四カ年を二カ年くらいにしていただきたいというお願いに対しましては、具体的にどのようにお考えですか。
  114. 木村晴吉

    木村説明員 ことばが足りなくてどうも失礼いたしましたが、他の災害制度との関連もあるので、今後十分協議させていただきたいと考えております。
  115. 渡辺肇

    渡辺(肇)委員 それを何とか二年あるいは一年でやっていただきたいということをあらためてお願い申し上げまして、次に移りたいと思います。  私が最も強く申し上げたいのは、被災地の農村の将来ということでございます。わが国の農村は、皆さま方も御承知のとおり、年々人口が減ってまいりまして、青年が、離農し、あるいは農村の仕事につくのをきらう傾向がますます強くなっているわけであります。もちろん、この被災地でもその例に漏れないわけでございまして、特にたび重なる大災雲によって農家の受けました経済的な面はもちろん、その精神的な打撃ははかり知れないものがあるわけでございます。したがいまして、一昨日も北蒲原郡の豊栄町におきまして、二重のたび重なる被害を苦にいたしました一農夫が首つり自殺をはかったのでございます。そこで、このような悲劇を起こさないように、そしてまた青少年に離農をさせないように考えるのがたきな問題だと思うわけであります。今後の最も大きな問題は、いわゆる農村の後継者をいかに育てるか、この被災地の農村の後継片をいかに育てるかという問題だと思うわけであります。この問題につきまして、農林省はどのように真剣に考えておられるか、お伺いしたいと思うわけであります。
  116. 草野一郎平

    ○草野説明員 後継者育成の問題は、ここ数年米の重要な行政上の課題となってきております。したがって、これは基本的な問題でございますので八月の四日に示しました新たなる構造政策の中にも七項目のうちの最も重点的な問題として取り上げて真剣な努力をいたしております。そこへ打ってきて、この連年災害という特殊の事情が発生しているわけでございます。そういうことによって農業に対するところの一つのいや気というようなものが重なり重なってくるようなことになりますと、これは農業の将来に対して、わが国の食糧政策の根幹にもかかわる問題でございますので、この問題は、こうした関連の中において真剣な努力をしなければならぬ。したがって、この政策を推進する中で被災地に対する特別な考え方をいたしたいと思っております。
  117. 渡辺肇

    渡辺(肇)委員 ぜひその点を留意されまして、真剣に取り組んでいただきたいと思うわけであります。  最後に、先ほども稻葉代議士あるいはまた石田先生が申されましたが、いろいろ法律の面におきましても矛盾点が多いわけでございますから、どうか政府は臨時国会を召集されて、この被害に対しまして真剣に取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  118. 永井勝次郎

  119. 木村武雄

    木村(武)委員 西村建設大臣を団長とする政府調査団が一日と二日にわたりまして災害地の視察をなさいましたことは感謝にたえません。政府といたしましては当然のことではありまするけれども、罹災地及び罹災者はそれを当然とは受け取っていないのであります。おぼれる者がわらをもつかんでおったさなかでありまするから、ほんとうに地獄で仏に会ったようなすばらしい期待を抱いて政府の視察団一行を迎えたのであります。それに建設大臣は、まあからだが小さいから申すわけじゃありませんけれども、誠意が全身にあふれて、人柄が非常に高く評価されました関係上、櫻災者及び罹災地の期待が非常に大きい。そうでありまするから、いままでの政府のやり方はともかくでありまするが、まあ行政が信用がなかったとか、政治が不在だったとかいう非難は聞きまするけれでも、今度という今度は間違いがない、だろう、こういう期待をみんな抱いておるのであります。そうでありまするから、私は期待どおりにやってくださるものとは思っておりまするけれども、期待だけは裏切らない、必ずやるんだ、そういう気持ちで臨んでおるんだという政府の確信のあることばを私はこの際ちょうだいしたいと思うのであります。
  120. 西村英一

    西村国務大臣 私も、きわめて短時日でございましたが、まのあたりに見まして、事の意外に実は驚いたわけでございます。いろいろまあ申しわけをすれば理由がございましょうが、そういうことではなしに、いち早くひとつ回復するということに力をいたさなければならぬと思っております。したがいまして、これは災害復旧もまたこれからが大事なところでございますので、十分見ました経験に基づき、また皆さま方の御要望も十分かみしめまして、政府としてはひとつ毎度のごとく会議を開いてこれに対処したい、そして地方民の方方の被害者に対してこたえたいというのが私たちの気持ちでございますから、どうか皆さま方もよろしく御援助のほどをお願い申し上げたいのであります。
  121. 木村武雄

    木村(武)委員 期待を裏切らないというおことばをちょうだいいたしまして、感謝申し上げます。  山形県で特に一番ひどい被害をこうむった地方置賜地方であります。置賜地方は海を持っておりません。山の中の盆地であります。じめじめした場所で明るさのない場所なんであります。明治維新の人口がいまでは三倍になっておりまするが、置賜地方だけは、残念ながらそういう場所でありました関係上、人口の増加は一・五倍にしかなっておりませんです。非常にいやな、明るさのない場所だったのであります。そういう場所で一段と気の毒なところが今度被害を一番大きく受けた小国町であります。三十五、六年前は、小国の人々はとても百姓しておっては食えないから、全住民が農具を捨てて他地方に移ろうという決心までもした場所だったのであります。それを県といたしましては全知全能をそこに集中いたしまして、百姓だけで食えないとすれば何とか工場を持っていって、そして現金収入と百姓の収入とを一緒にしてここの部落の再建をはかってみよう、こういうわけでできたのが小国電興、いまの東芝電興というのです。その小国電興ができましてから見違えるような場所になったのでありまして、ここに山形県の新しい一つの希望が芽ばえたのであります。その小国郷全体が非常な災害を受けたのでありまして、鉄道はもちろん通っておりません。まあ国鉄の人のお話を承りますと、降雪期までには何とか小国の町までは通そう、こういうことなんです。(天野(光)委員「その二つ手前までだ」と呼ぶ)二つ手前までですか、小国の町までじゃないですか。——まあどちらにいたしましても、そういうお話なんでありまするが、かりにその小国の町まで鉄道が通ったといたしましても、小国をささえておりまする工場の経営はできませんです。工場の経営ができないということになりますると、小国郷はもう三十数年前の昔の山間僻地に返ってしまうのであります。そうでありまするから、国鉄は保線区なんか持っておいでになりまするし、あれだけの新幹線をつくるだけの余裕を持っておる国鉄なんでありまするから、もっと力をそこに注ぎましたならば、一カ月くらいでそんな問題は解決できるんじゃないか。それほどお粗末な国鉄であると私は思っていない。それをなぜ一体融雪時まで、しかも三分の一はつくるから待ってくれなどとおっしゃるのか、私は国鉄の真意がわからないのであります。他の方面はやめても山形県にほんとうの希望を与えた場所の復活なんでありまするから、国鉄でもっと力を注ぐことができませんかどうか、お伺いしたいのであります。
  122. 高野宗司

    ○高野説明員 お答えいたします。  先ほど国鉄の松本施設局長がお答えしました内容は、二駅間といいますのは、小国までは一応年内には回復をいたします。小国から坂町寄りの越後金丸まで二区間だけがちょっと年内には無理だ、こういう答弁だったと思います。  それから復旧がおそいではないかというお話でございます。ただいま国鉄といたしましては、もちろん主として今回の災害を受けましたのは、国鉄のほうでいいますと、組織上でいいますと大体新潟支社管内が多いのでありまして、もちろん秋田管理局の管内も災害を受けておりまするけれども、秋田の全局をあげてこれの復旧にただいま当たっております。しかもそれ以外に国鉄の信濃川工事局、それから盛岡の工事局、こういったほんとうに土木のエキスパートの集まっております工事局も動員いたしております。さらにまた関東支社の高崎、水戸、東京、こういったところの職員も現在向こうに派遣いたしておりまして、大体国鉄職員が一日の出づらが千五百人、それから部外の人たちが約千五百人というようなことで復旧に当たっております。  それで、先生も先刻御承知のように、特に伊佐領と小国の間は、いわゆる渓谷の上に非常に高い橋梁があるところで、いわば地形峻険なところでございます。国鉄の先ほど申し上げましたようなエキスパートの技術屋がいま一生懸命にやっておりますので、国鉄といたしましても全力をあげてやっておるのだと私たちも考えておるわけでございます。
  123. 天野光晴

    天野(光)委員 関連して。地名がはっきりわからないのですが、米沢から行って小国の手前、伊佐領までは今月の十五日ごろまで開通をする、伊佐領と小国の間は積雪までは完了しないというふうに地元で国鉄の支社長並びに秋田の鉄道局長からの説明があったんです。きょうここで小国−金丸間だけが来年に残る。今年度というのは一体十二月を今年度というのか、それとも来年の三月一ぱいを今年度というのか、その間、明確にしてほしい。
  124. 高野宗司

    ○高野説明員 先ほど、ついきょうの午前中に国鉄が小国までの復旧計画を、やっときめたところだと局長が言いました。きょうの最新のニュースを、正直なところを申し上げますと、私も聞いてなかったのでありますが、先ほど松本施設局長が年内と言っておりましたから、暦年のことを言っておるのだろうと私は思います。
  125. 天野光晴

    天野(光)委員 そこをもう一回確認しておきますが、問題は積雪が異常に深い地帯で、冬になると交通が途絶してしまう地域で、これは鉄道以外に過去において交通する何ものもないわけでございます。そういう点で、私たち調査団といたしましては、この問題が今度の山形災害の一番重点になるのじゃないかということで真剣にこの問題を話し合いをしたのですが、問題は百十三号ですが、要するに、その国道の回復が完全に行なわれて、大型機械を導入しない限り、とても積雪までに工事を完了することは不可能だというのが支社長並びに局長の答弁であったわけでございますが、私たち調査団としては、それでは建設省のほうは一体どうしているのだ、道路のほうは二トン車以下のものが通るなんというようなことで了解しているのか、そんな程度ではどうにもならぬじゃないか、これから来年の春の融雪時期まで約半年間も交通を途絶しておるということはないじゃないかということで強力に主張してきた結果ではないと思いますが、国鉄側の誠意ある態度で、道路が少し悪くても何とかかっこうをつけてやるというふうにきめたのなら私は了解いたします。その点は木村先生からも再度質問があろうかと思いますが、どんな場合があっても、一方だけは交通を可能にしてもらいたい。要するに小国から新潟のほうに行くのは来年の春に越してもやむを得ないとしても、小国から米沢の間はわずかしか残らないのですから、建設省の道路関係がおくれるならば、きょうは建設大臣が見えておりますから、道路のほうを一気かせいに重量車を運転できるような道路形態に緊急工事でやっていただいても仕上げるというふうにしてほしいということを要望しておきます。
  126. 西村英一

    西村国務大臣 せっかくだめを押してのあれですから、天野先生と行ったころばそういう御意見であったかもしれません。なかなか困難だ、それでその前の駅のことを言ったのでしょう、伊佐領までを。その後いろいろそれじゃ困るからということで詰めまして、降雪期までに何とかしようということになったわけでございます。向こうのほうは、新潟のほうは越後金丸まで、それから金丸から小園まで二駅といいますが、それが難関の場所で、できないとはまだ言っていない、調査に入れないわけです。調査に入って間に合えば、これもほうっておかないつもりでおります。そういうことでございますから、どうぞよろしくお願いいたします。
  127. 木村武雄

    木村(武)委員 その降雪期なんですが、十二月になったらだめなんです。十一月になってもだめです。十月の末には雪が降ってしまいまして、そして交通が途絶する危険のある場所なんです。それですから、私はそれをおそれるのです。そこのところは十二分に——私は小国に出入りすること五十年、電灯のつかない時代から、汽車の通らない時代から小国には出入りしておりますから、小国の地理的条件というのは私が一番よく承知しております。国鉄がどうおっしゃいましても、建設省がどうおっしゃいましても、私くらい知っておる者はおりません。そうでありますから、十月の末になりましたならば雪が降りまして、どうにもならないような小国になってしまう。それをどうか考慮に入れて鉄道工事というものをやってもらいたい。それからかりに小国の町まで汽車が通ったといたしましても、小国郷は細々ながら食うことはできますけれども、いまの小国は壊滅してしまうのです。それは東芝電興の工場経営がもてないのであります。東芝電興の工場経営が確保できないということになってまいりますと、小国というものは、四十年前の昔のほんとうの山間僻村に返ってしまうのであります。それもどうか考慮してください。こういうことであります。  そうでありますから、私はこの際特に運輸省にお願い申し上げたいのは、鉄道は思い切ってどうか十月一ぱいまでに完成してもらいたい。小国まで完成するようにしてもらいたい。そのようなことができない国鉄じゃないはずなんです。あれだけのりっぱな国鉄であって、全国に組織を持っておる国鉄であって、あそこも動員した、ここも動員したとおっしゃいますけれども、その程度の動員で、そして行政が全うしたと言うことができますかどうか。そんなことではないのです。どうか雪が降るまでの間に、十月一ぱいまでに国鉄は小国にまで通るようにしてもらいたい、こういうことなんであります。  それから建設省にお願いしたいのは、かりに国鉄が小国まで通りましても、残念ながら三十年かかって建設いたしました小国というものは壊滅してしまうのであります。やはり道路もこの際は確保しておく必要がある。冬の期間、道路も通るという状態をつくっておってもらう必要がある。そうでないと、せっかく山形県が全知全能を集めて建設いたしました小国郷がつぶれてしまう。それだけでなく、山形県全体の希望がそれでこわれるのです。小国郷を見習え、農村地帯に工場をつくれば山形県全体というものが発展できるのだという、その大きな希望というものがこわれてしまうのでありますから、どうか小国郷の建設には全力を尽くしてもらいたい、こういうことを私はお願いしたいのであります。道路も確保してもらいたいということなんであります。鉄道はどうか十月一ぱいまでにやってもらいたい、道路も確保してもらいたい、これをお願いしたいのであります。幸いにも今度の工事は国の直轄工事でしてくださるそうであります。ありがたいことなんであります。とても県じゃできません。県ではできませんから、国でやってもらいたいのであります。  それからもう一つなんでありますが、最上川が御承知のようにはんらんしてしまいました。上流がめちゃくちゃになってしまいました。日本の三大急流の一つであった最上川がああいうようにあれしてみると、もう昔の置賜地方を置賜の住民が思い出してしまって、お先まっ暗になってしまったのであります。もう一ぺん希望を持たしてもらいたい。それには急速に最上川の堤防は融雪期までにつくってもらいたいのであります。建設大臣がおいでになりました関係上、堤防の工事などは翌日七カ所も施工に入りまして、例年にないような働きぶりで、この点は感謝いたしておりますけれども、まだまだ足りないのではないかという飢持ちがするのであります。私はその点で非常に心配いたしますのは、これから農繁期に入るもんでありますから、地方で人夫を集めるということが困難になってきはしないか。その農繁期が終わりますと、出かせぎの時期に入ってしまうのであります。特にこういうような状態になりますと、出かせぎに行って金を持ってくるという切なる気持ちのほうが家族的にみんな強くなってまいります。さて仕事をしようといたしましても、人手不定になる危険が多分にある、そして融雪時を迎えて、そのためにまた洪水、こういうことになってまいりますと、もう地域的にはめちゃくちゃになってしまいますから、それに対する対策は、非常手段でお臨みにならないと私はできないような気がするのであります。尋常一様の在来ありきたりの手段であったならば、その対策はできないような気がするのであります。非常手段でもやってみるのだという御決心を建設大臣がお持ちになっておりますかどうか、お聞きしたい。
  128. 西村英一

    西村国務大臣 方法はいろいろあろうと思います。しかし、もう早期復旧することを第一の任務といたしまして、十分考えてやるつもりでございます。
  129. 木村武雄

    木村(武)委員 今度の災害を見ておりますと、自衛隊が出動して自衛隊が協力した結果、被害がほんとうに最小限に食いとめられた。もしも自衛隊の協力がなかったならば、山形県の被害なんかは十倍以上になったことだけは間違いない。何といっても、現地自衛隊の協力ぶりを見ておりますと、やはり常々の訓練よろしきを得て、その能力においてぬきんでておるのであります。この際は、私は、非常対策として、河川の堤防と小国に通ずる道路の冬季間の運行を確保するという問題は、自衛隊の出動を得て、そして希望を将来につながしてもらうという以外には道がないような気がするのであります。幸いにも最上川は一級河川で、国の直轄工事であります。小国に通ずる道路も、今度は国の直轄でおやりになるということになりましたから、私は、やろうと思えばできることだと思っておりますが、それをぜひお願いしたいのであります。建設大臣の御決意のほどをお聞き申し上げたいと思います。  それからもう一つなのでありますが、私、政府方々の答弁を聞いておりますと、何だか罹災地に対して法律を高度に適用してやろうという気持ちが薄いような気がする。法の運営は人にあるのです。この法律でも、ひとつ罹災地、罹災者適用してやろうという気持ちで臨むのと、それから適用をしてやるまいという気持ちで臨んだのとでは、地獄と極楽の差が出てくるのであります。答弁を聞いておりますと、何だか人のせいにしたがるような傾向がきわめて顕著なのであります。私は答弁を聞いておりまして、非常に不愉快であります。そうでありますから、法の運用は人にありますから、どのような法律でも、当てはめようとすれば当てはまらない法律というものは少ないと思う。思い切って当てはめてみる。それを当てはめようとしないから、臨時国会を召集しなければならないという問題までも出てくるのであります。私は、現行法律を一〇〇%思い切って当てはめてやろう、無理してもひとつ救ってやろうという気持ちで臨んだならば、解決できる問題がたくさんにありはしないかと思う。そうでなければ、国会のたびごとにたくさん法律をつくって、つくった法律なんか見ておりますと、法の上に役人があぐらをかいておって、自分だけが安泰をむさぼろうというような法律であるならば、日本は法匪——法律の匪賊による国家などといわれておるようなことになってしまうと思う。こういう際こそ、法の運用は人にあるのだという気持ちになって、ひとつ思い切って、あらゆる法律を一〇〇%に拡大解釈して当てはめるように望みます。そうでないと行政の信用を失ってしまう。引き続いて政治に不信感を引き起こしてしまう危険、この上もないことになってしまうと思うのであります。どうか建設大臣——建設大臣の人柄は高く評価されております。さすがに佐藤内閲の団長たる資格があるといって高く評価されておるこの際でありますから、どうか建設大臣の人格をほんとうに法の中に生かして、そして地域の住民、地域の人々に喜ばれるようにやってくださるようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらしてもらいます。
  130. 永井勝次郎

  131. 華山親義

    華山委員 ただいま木村議員からお話がございましたが、小国の町は木村議員のおっしゃるとおりでございまして、現在あそこの東芝電興には大体二千人の従業員がおって、相当な工場でございまして、あの小国郷といわれる地域がこの際立ち上がるか、あるいは滅びてしまうか、その境目にあるわけであります。どうしてもこれが滅びるようなことのないように、その運命は小国電興、いまは東芝電興といっておりますが、東芝電興にかかっておりますので、政府におきましても重大な関心を持っていただきたいと思うのでございます。  それにつきまして、鉄道のことでありますけれども、年内には完了する、木村先生のことばをお借りするならば十月末にはできるのだ、こういうふうに了承いたしてよろしゅうございますか。
  132. 高野宗司

    ○高野説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、小国までは、とにかく年内にはぜひわれわれといたしましては国鉄に完成させたい、それが何月になるか、われわれといたしましては死力を尽くして開通をさせたい、こういうふうに思っております。これは先生御存じのように、渓谷でありまして、人間だけの人海戦術でもできません……
  133. 華山親義

    華山委員 短くてけっこうであります。  小国電興につきましては、これは原料が大切なんです。原料が大切といいますか、原料で生きなければなりません。これは大体輸入されるのでございますけれども新潟港から入ってくる。したがって、先ほどおっしゃいました新潟県寄りのところができませんと、あそこの工場は非常に重大な問題をかかえると思うのでございまして、金丸−小国間ですか、それができませんと、新潟との交通で原料が入っておりますので、重大な問題になると思います。全力をあげてやっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  134. 高野宗司

    ○高野説明員 かりに伊佐領のほうから小国まで開通いたしたとすれば、結局迂回輸送で一応輸送はできるわけでございます。とにかく私どもといたしましては、小国へ何としても突入をする、早く突入をしたい、いまこういうことで国鉄をせき立てておるわけでございます。
  135. 華山親義

    華山委員 それで、この問題につきまして衆議院の当委員会山形に参りました。その際に、鉄道関係の方、建設関係の方とも一緒にいろいろお話を承ったのでございますけれども、その際に鉄道当局の言われることは、山形寄りの小国のことでございますけれども、とにかくあそこをやるためには重機材、そういうものが入らなければいけない、そのためには国道がまず改修されなければいけない、重機材の通るだけの国道が改修されないといけない、こういうことを言われたわけでございますけれども、現在どうしても年内にやるということは、そういうふうな国道の問題を切り離しても可能なのでございますか。やはり前提として国道の問題があるのでございますか。
  136. 高野宗司

    ○高野説明員 あそこはやはり橋梁の鋼材を運搬しなければなりません。それからそれを施工いたしますための大型の土木用の機械を早く現場へ持っていかなければなりませんので、当然道路を必要とするわけでございます。私どもといたしましては、国鉄に対して、建設省の道路関係者のほうとも——国鉄側の復旧工事の工程については、道路との関連がありますし、道路が通るということが死命を左右する重大問題でありますので、道路側のほうともよく連絡をしてやるようにというふうに指導をいたしております。
  137. 華山親義

    華山委員 連絡をされた上で年内にできるということをおきめになったのでございますか。どうなんでございますか。
  138. 高野宗司

    ○高野説明員 先ほどの御質問にもちょっとお答えしたのでございますけれども、つい先ほど国鉄の松本施設局長、かお答えいたしましたように、きょうの午前中の会議で、年内に開通するように一応の計画を立てたという最新の話でございますので、その辺のところも、そういった計画を立てる場合には当然考慮して、計画を立てたものだと私は了解をいたしております。
  139. 華山親義

    華山委員 そのとおりに了解いたしますが、ここで建設大臣にお願いしたいのでございますけれども、とにかく、ごらんになったかと思いますけれども、あの程度の大崩壊で、山道でございます。県のほうでやれといいましても、これはとうていむずかしい問題ではないか。あの道は国道でございますから、国でやったって別におかしくはない。国の直轄でとにかく緊急にあそこはやるというふうなお考えはございませんか。
  140. 西村英一

    西村国務大臣 百十三号線のことかと思いますが、さようにいま考えておるところでございます。
  141. 華山親義

    華山委員 とにかく緊急の措置といたしましては、県ということになりますと力も限度がございますので、建設省の直轄でやっていただいて、これを契機にいたしましてあの道をひとつ建設省の直轄にぜひしていただきたい、こういうことをお願いいたしたいと思います。御所見を承りたい。
  142. 西村英一

    西村国務大臣 まあ応急復旧のほうは県のほうもやっております。道がほんとうの、国道として全部を舗装して完成するかどうかは別にして、相当に通路として間に合うようには、これは県と建設省とあげて開通したいということでございまして、いまいろいろ打ち合わせをしておる最中でございますから、御希望のようにしたい、かように思っております。
  143. 華山親義

    華山委員 その次に伺いますけれども、農林省に伺いたいのでございますが、現地を見ますというと、いままでの川というものが形跡がない、もう見渡す限り川旅になってしまった、こういう状態でございます。したがって水を引くための頭首工が川のまん中になって、もちろんこわれてしまっている。これを至急にいたしませんというと、来年の稲作ができない状態です。したがって、どういうふうに頭首工をどこに置くのか。冬にもなりますというと工事ができませんし、そういう問題について県庁のほうも相当苦労していると思いますけれども、ひとつ全能をあげて頭首工の問題を解決していただきたいと思いますが、そのことについて農林省のお考えはございませんか。
  144. 松井芳明

    ○松井説明員 最上川の上流につきましては、ただいまお話しのとおり、川のはんらんによりまして、頭首工の被災が非常に多いわけでございます。ほとんど全部流されてしまったという状況でございまして、この復旧につきましては何と申しましても河川計画を基礎にいたしまして、川をどこにどのようにつけるか、それと合わせて頭首工の位置並びに型式をきめてまいりたいと思っておりまして、ただいま、現地におきまして、河川のほうと協議をいたしております。これをもとにいたしまして、できるだけ早く復旧を進めてまいりたいと思っておりますが、何ぶんにも川のほうと一緒にやる仕事でございますし、頭首工も、一般の場合には二、三年かかることが多いわけでございます。その間の取水は現状のままではできませんので、応急工事といたしまして、仮せきをつくったりあるいは仮のポンプ場を設けたりして、かんがいに支障のないようにいたしたいと思っております。  なお、この仮の工事につきましては、災害復旧事業の対象として補助の中に組み入れておりますので、従前そのような措置を行なっております。
  145. 華山親義

    華山委員 私専門でないからわかりませんけれども、従来の頭首工の設置災害を大きくしておるのではないかというものの考え方もございます。したがって、将来の頭首工というふうなものは、これはやはり揚水のポンプにかえていかなければいけないのじゃないか、こんなふうにも思いますが、いまここで応急の措置でございますけれども、どうしても水が引けないということになりますと、今年がとれない、来年は稲作ができないで、先ほど木村先生のおっしゃったとおり、あの地方山形県では最も反当たりの収穫の多いところでございますけれども、農業としては貧しい地域でございます。そういうことがございますので、ぜひとも来年の稲作には間に合うように何らかの方法で水だけは引ける、こういうことをひとつぜびお願いしておきたいと思います。よろしゅうございますか。——いま首を振られましたから、よろしいということだと了解いたします。  その次に、今度はずいぶんのことで、くず米ができる。それも、従来の例によりますと、なかなか政府のほうで買ってはもらえないような等外米が出るおそれがあるわけでございますけれども、先ほどの農林省のお答えでは、何かこれから研究してやれるようなお話でございますが、そうですか。
  146. 南日祿郎

    南日説明員 先ほど申し上げましたのは、等外上とかあるいは穂発芽とか——はっきり申しますと、いわゆる主食に適するものを買い上げるというようなことでございます。したがいまして、その主食に適さないということになりますと、政府が買い入れるわけにまいらない。それで、そういうくず米等の場合は、食糧事務所が中へ入りまして、各用途等のいろいろ流通の円滑を期するようなあっせん等、そういうふうなことをやっていく。   〔永井委員長代理退席、佐野(憲)委員長代理着席〕
  147. 華山親義

    華山委員 とにかく日本の輸入するものの中には、加工米がありますし、それからえさだってあるわけです。外国のもので、買って、えさにしましたり、加工米にするのですから、日本のそういうふうなものは、えさにするなり加工米にするなりで買ってやったらどうですか。それだけ輸入が減るのですから。
  148. 二瓶博

    ○二瓶説明員 お答えいたします。  食糧管理法の関係から、現在、米は、政府以外には売ってはいかぬということで、政府のほうで買っておるわけでございます。ただ、問題は、食糧管理法の目的からいたしまして、主要食糧の確保という関係から、主食になるものということで買い入れをいたしております。現在、えさ用その他につきましては、外国からも、確かに先生のおっしゃるとおり輸入をいたしております。これは飼料需給安定法という法律の関係で入れて、えさ用にふすまを取ったりいたしておるわけでございます。したがいまして、初めから主食になるものというたてまえで買い入れをすることに現在なっております。そこの、主食になるものとそうでないものとの線の引き方の問題は確かにあろうと思います。そこで、等外上とか規格外の設定とかいうことで、できるだけ主食のほうに充当し得るものというものを、極力実態に合うように考えながら配慮していくということでございます。
  149. 華山親義

    華山委員 時間もございませんからなんですけれども、私にはどうも了解できないですね。法律がこうなっておるからというふうなことでございますけれども、そういう点、国では加工米というのは輸入しているんでしょう。主食にならないものを輸入しているんでしょう。それだったならば、これを買ったらいいじゃないですか。外米等を加工米として売っているんじゃありませんか。どうなんですか。
  150. 二瓶博

    ○二瓶説明員 現在は購入しました米を、これは主食用の配給をいたしておるほかに、確かに先生がおっしゃるように、工業用ということで酒米その他にも売却をいたしておるのは事実でございます。ただ先ほど申し上げましたのは、いわゆるそういう加工用にも回し得るものは、またある程度主食というものとの関連も考えておるわけでございますけれども政府が買い入れをいたします際の実際の米の限度を、先ほど申し上げましたように、どこに置くかということで、できるだけ規格外とかそういうものの設定をいたしまして、実態に合うように購入しておるわけでございます。ただほんとうのしいなとかそういう形のものになると、これはある程度、先ほど買入課長が言いましたような形で、食糧事務所のほうであっせんをするというような形でやっておるわけでございます。ですから、その米としての実態といいますか、その辺の程度の問題の線の引き方かと思っております。
  151. 華山親義

    華山委員 そういう点、法律があるならば法律を改正してでも、一般の場合にそういったことができないとしても、とにかく災害の場合にはそこまで手が伸びるような法律的な解釈をしていっていただきたいと思うし、できたならばそういうようなことについて災害関係の法律等を改めていただきたいということを特に要求したしますし、御尽力を願いたいと思うわけであります。  それからもう一つ伺いますけれども、私はこのたびの災害は、山形県の場合は山村災害だと思っております。最も財政力の乏しいところに災害が来ておる。しかしこれは山形県ばかりではないようでございます。昨年の熊本県の災害、山梨県の災害、島根県の災害、石川県の災害、最近の水による災害というものは山村に来ておりますね。何か原因があるんじゃないか。ところがこの山村地帯というのは、山村振興法などといわれるとおり、最も財政力の乏しい市町村です。それで私の山形県のある村でぱ、市町村等に、大体七十の橋がかかっているうち五十の橋が流れてしまった。そういうふうなことを一体市町村の財政で復旧できるのか。この点につきまして、こういうふうなことに対する手当てというものが建設省のいろいろな財政面でできるのかどうか、あるいは自治省のいろいろな考え方でできるのかどうか、両省からお答えを願いたいと思います。
  152. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 被災した地域に対しましては当然災害復旧の対象になりますし、激甚災適用を受ければ高率補助となります。その地方負担分につきましては、断然災害復旧の起債は認められるようになっております。それに対するそれぞれの措置が自治省でなされることになっております。
  153. 華山親義

    華山委員 自治省はどうですか。
  154. 山本成美

    山本説明員 ただいまの御質問、華山先生は地方財政のことはお詳しいと思いますので、こまかく申し上げる必要もないかと思いますけれども、端的に申し上げまして、おっしゃいましたように、山村は災害が起こりました場合の財政力の弾力性が非常にないわけです。そういうふうな場所で起こりました災害のあと始末につきましては、御承知のように、まず起債で、国の補助のつきます事業につきましてはむろんでございますけれども、単独で修理をいたしましたり、あるいは新しいところにつくったりいたします場合にも、起債を充てておるわけでございます。これは事業によっていろいろございますけれども、大体土木関係の経費につきましては、これは一〇〇%の起債を充てておる。結局その起債のあと始末を、各年度どうしていくかということでございますけれども、これにつきましても交付税の措置によりまして償還の時期に措置をしておる、かような実情でございます。したがいまして、大体災害復旧といった面だけをとらえてみますと、ほぼ一〇〇%の措置ができておる、かように考えておる次第でございます。
  155. 華山親義

    華山委員 それから補助のつかない十万円以下の損害が繁るところにできているわけでございますけれども、こういうふうなものを集めると相当なものになりますが、その点どうですか。
  156. 山本成美

    山本説明員 重ねての御質問でございますが、激甚災を受けまして地域の指定を受けたものにつきましては、これはさらに五万円まで下げて特別の起債を認めておるような実情でございます。  なお、それらを集めればさらに五万円以下の問題も理論的には出てまいるわけでございますが、これらを集めれば相当な額になるかと思いますけれども、大体特別交付税の措置によりまして、最終的には当該市町村の財政全般の歳入と歳出との見比べにおいて処理をされておるものと思います。
  157. 華山親義

    華山委員 それから伺いますが、これは厚生省のほうにも御注意を願いたいのでございますけれども、非常に多くの水源地が山村地帯でつぶれました。と申しますことは、水源地というものは、川の近所の伏流水を取る関係で川の近所の低いところにある。それで災害が起きますと、そこが土砂で埋まる、こういうことが多いので、このたびの場合もそういうことで水が切れたという場合も多いのでございますが、ある町におきましては、広い町でございますから、四つの水源地のうちで三つというものはつぶれてしまった。そういうふうな場合に、これは補助がありますか。
  158. 大橋文雄

    ○大橋説明員 お答え申し上げます。  水道の水源といたしまして、御指摘のように伏流水を取る、井戸で水を求めるというような場合には災害を受けやすいという要素が非常にございます。したがいまして、災害をできるだけ受けないようにという配慮で施設がつくられておるわけでございますけれども、今回の災害のように、その施設を上回りましてひどく災害がやってきたという場合には、全部やられてしまうというケースがございます。したがいまして、これを復旧する場合に、同じことをやったらまた同じ災害を受けるというふうな水源の場合には、原形復旧ということが適当でございませんので、効用回復いたしまして、百度災害を受けないような、根本的に施設を改めてやるということを考えております。したがいまして、それに対しての財政的な援助ということにつきましては国がめんどうを見るということになっております。
  159. 華山親義

    華山委員 自治省に伺いますが、公営企業法によりましてめんどうを見られましても、水道料金が周くなる。水道は独立採算制です。水道料金が上がるようなことはありませんか。
  160. 山本成美

    山本説明員 公営企業としての水道会計がはたして災害のあとどうなるだろうかということは、私も心配でございます。災害を受けた場合の一応の措置といたしましては、先ほどの御賛同にお答えしてまいりましたのと同様な趣旨で、大体起債でさしあたっての措置をいたしておるのでございますが、そういう場合には、なるべく政府資金によりまして、低利のもので世話をしていくという方針をとる考えでございます。なお、具体的に個個の場合に、いろいろケースが違いますので、ちょっと一般論としてはお答えしにくいのでございますが、概括としては、以上申し上げたとおりでございます。
  161. 華山親義

    華山委員 地方財政につきましては、十一日地方行政委員会がございますので、なおその際にお聞きいたします。  その次に、応急住宅でございますが、小国というところ、置賜地方というところは、日本の三大豪雪地帯の一つなんです。小国、越後の高田、大石田、これは明治時代から三大豪雪地といわれておるわけです。私は、十六万円でつくったってつぶれやしないかと思って心配なんですが、つぶれる心配はございませんか。
  162. 飯原久弥

    ○飯原説明員 お答えいたします。  いま華山先生からお話しの、災害救助法に基づきます応急仮設住宅、これは平均五坪といたしまして、十六万三千円でございます。これはまあ世帯によりまして規模が違ってまいります。それから連棟性、むねを連ねる場合でございますね、これは十分技術的な検討を加えてまいりまして、それからまた立地条件というようなことも考えなければならない。そういう点を加味いたしまして、従来もそういうふうな配慮をいたしておるわけでございます。今後も努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  163. 華山親義

    華山委員 御答弁の趣旨は、そういうふうな雪が積もってつぶれそうだなんてところには金を貸すということですか。
  164. 飯原久弥

    ○飯原説明員 基準は、実は今年度の改定で十六万三千円ということでございますので、その基準の引き上げということになりますと、財政上の問題もございますので、その点は少し時間をいただきまして、この基準の引き上げ——と申しますのは、一般の基準との関連がございますので、研究さしていただきたいと思います。
  165. 華山親義

    華山委員 あの地帯は、先ほど申し上げましたとおり、特別なところですから、大体家の構造が晋通のところとあの地方は違うのですよ。それで、その点は何か予算できまっておるのですか。法律できまってでもおるのですか。
  166. 飯原久弥

    ○飯原説明員 予算に伴います行政措置でございます。
  167. 華山親義

    華山委員 それだったならば、事情の許せる限り実情に合うようにすると言っているのですから、増していただきたい。その点をひとつよろしくお願いしておきます。  それからもう一つ伺いますが、この世帯更生資金のことでございますけれども、これはいろいろなものがございますが、大体全部合わせましたならば五十万くらいにできないものですかね。いまの状態では、これでいろいろなことをやれと言ったって、ちょっと無理だと思うのです。
  168. 飯原久弥

    ○飯原説明員 世帯更生資金につきましては、災害の場合に更生資金が十五万円でございます。それから住宅資金が十五万円、災害援護資金が十万円、こういうことになっております。合計いたしますと四十万円になるわけでございます。被災をされました方の世帯の実情に応じまして、従来も併給とでも申しますか、そういうような形、あるいは単独の形で行なっております。ただ、この原資につきましては、国庫補助で、山形の場合一千八百万円でございます。内情を申し上げておるわけでございますが、おそらく資金の枯渇ということもあろうかと思います。そういう点で、これは担当課のほうにおきまして十分解決をしていきたいということでいませっかく検討を急いでおります。
  169. 華山親義

    華山委員 住宅につきましても、あの辺の住宅は、一般の住宅と違って相当じょうぶなものをつくらなければ、雪で家がつぶれるということもございますし、非常に寒いふぶきのところでございますので、そういうふうな問題もございますので、この応急住宅とあわせて更生のほうもよく御考慮を願いたいと思うわけであります。  それから通産省に伺います。国民金融公庫でございますが、これは二百万円までは所長決裁だけれども、三百万円になりますと、東京の決裁になるのですね。こういうふうなことでなしに、こういうふうな場合にはひとつ所長の専決できる限度をもっと上げていただけませんか。非常に時間がかかって、その間不安定なんです。
  170. 斎藤英雄

    斎藤説明員 お答え申し上げます。  災害の場合でございますと、今回の災害の場合もそうでございますが、通常はいわゆる中小金融三機関、中小公庫、商工中金、国民金融公庫、あるいは場合によりましては信用保証協会が加わりまして四機関で、名地にいろいろ金融相談所、場合によりましては移動して金融相談ということを実施しております。したがいまして、たとえば国民金融公庫の場合でございますといまお話しのとおりでありますが、中小公庫は同じように移動してついておりますが、中小公庫でございますと、一応代理貸しは各代理店の専決権限で一千万ございますから、そういう関係で、一応その点でも御利用願えるかと思います。ただ、いまお話のございました点、私どものほうももう一ぺん検討はしてまいりますが、いまの中小公庫の利用状況、国民金融公庫の利用状況、あるいはその辺借りられる方の実情によりまして利用状況もいろいろあろうかと思いますので、一ぺん実情を調査してまいりたいと思います。
  171. 華山親義

    華山委員 委員長、ちょっと時間をいただきたい。  最後に伺いますが、これは建設省にお伺いいたします。いまとにかく山に洪水が多い、現在のこのやり方はいわゆる高水敷であって、大きな川の本流をできるだけ湾曲しない直線にする、そうしてこれをできるだけ早く流す、こういうふうなことのために堤防を高くする、したがって水位が高くなる、そのために支流のほうの水がよくさばけない。今度の場合を見ましても、逆流の場合が非常に多い。そういうことで各支川が水がさばけなくて水位が高くなる。したがってその支川に注ぐところのあらゆる小さな川、みぞというふうなものも水がさばけない。そういうことのために、大きな川の流域、大都市等は守られましょうけれども、山村、水田、そういうところに被害が行くというふうに考える人もおりますし、また私もそうなのかなというふうな気もいたしますが、その点についてどうですか、お考えはございませんか。ことにいわんや中小河川が現在のままのように放置されている、そういう高水敷方式をとるならば、これに伴って当然中小河川、そういうものにも手を入れなければいけない。大河川にのみいままで主力が注がれたために、私の言ったような弊害が起きているのじゃないだろうか、こう思いますが、どうでしょうか。
  172. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 御指摘のとおりに大河川を改修いたしまして、いわゆる高水堤町方式をとりますと、どうしても御指摘のような中小河川に逆流が入るか、あるいは逆流どめをいたしましても、内水ではんらんするという問題は必然的に起きてきます。大河川の堤防をつくることが非常に重要な地域も多いわけでございまして、これを安全に確保するということは大事なことでございます。しかし、この水位を下げるということになりますと、相当大きな耕地を河川敷としてとることになります。したがいまして、ただいまそういった児合いにおいて、ある程度の許容される限度におきまして堤防を築いておるわけでございます。その像か、上流にダムをつくるとか、いろいろなことによりまして、洪水流量をできるだけ下流に流さないでそこで一時貯流する、水位も上げないという方式をとっておりますけれども、最近の集中豪雨を見てみますと、短時間に相当量が降ります。したがいまして、それらをとめるためには、どうしても先ほど大臣からお話がありましたような治水ダムの建設あるいは場合によっては多目的ダムの建設とかいうことを行ないまして、流量を調節していくという方法によりたいと思います。もちろんそういうことで、堤防の高さはある限度がございますし、十メートル以上の堤防というのは現在あまりないわけでございまして、最上川等におきましても大体五、六メートルの堤防が精一ぱいのところだと思いますが、これに伴う中小河川の改良につきましては、従来重要な地域を守るために大河川の流域を守ってまいりましたけれども、最近の災害の実情等を考えまして、中小河川には今年からもさらに促進するようにいたしておるわけでございます。ただ、私が非常に心配しておりますのは、従来大河川を相当守ってまいりまして、ようやく災害が比校的少なくなってまいったという現状でございます。これを中小河川を改修いたしまして洪水が一挙に大河川に集まるということになりますと、また大河川の手当ても考えなければいかぬという問題も起きてきます。その辺バランスのある計画のもとに改修を進めてまいりたいというふうに考えております。
  173. 華山親義

    華山委員 治水はたいへんむずかしい昔からの問題でございますから、困難な面があろうと思います。ひとつしわ寄せが貧乏なところにいかないようにお願いいたしたいと思います。
  174. 佐野憲治

  175. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 だいぶおそくなりましたので、簡単に要点を質問いたします。  第一点に、今回の水害で建設大臣みずから現地を御視察、激励してくださいましたことに対しましては、われわれも感謝しております。しかし、新聞によりますと、建設大臣の計画がいろいろと問題になったように報ぜられております。おれの村には来ないのか、ヘリだけで上空から見ていくのか、ある市町村長のことばによりますと、胸までつかって被災者の立場になって視察をせよ、こういうことをいわれておりますが、これは一国の大臣が視察をする、限られた短い日数の中でやるのでありますから無理があるとは思います。またよくその辺のことも了解しております。また私は、建設委員として建設大臣の人柄もよく存じております。そんな無慈悲な気持ちで今回出発したわけではないということは十分承知しておりますが、このような現地の声、これに対しまして大臣はどのようにお考えになっておられますか。
  176. 西村英一

    西村国務大臣 もちろん、日程を一々私がつくったわけではございませんからですが、私はやはり孤立したところには行きたいというような気持ちでしたが、いろいろな事情もあったようでございます。したがいまして、そういうように新聞で、なんだ、ただ儀礼式にやったんじゃないかというような批判を受けておりますが、批判はそれはかってでございますが、私はそういう気持ちは全然ございません。したがいまして、私はまあほんとうにざっと見たわけでございます。しかし、それを見まして感じて、あと早く漏っていろいろ指揮をし、そうして復旧を急ぐつもりでございました。私は現地に行くのには、実は今回行ったらあとはもう行かぬというわけのものではございません。また確認するために行くことも考えておるわけでございまして、いろいろの批判は批判として受け取りまして、私は私の考えに向かって復旧を早くしたいということに全力を注ぐのみでございます。
  177. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣のそのお気持ちはよくわかります。新聞によりますと、また被災地に対する計画が変更になったということも報ぜられておりますが、この変更になったことについてなぜ変更なさったか、この点についてはどのようにお考えになっておられますか。
  178. 西村英一

    西村国務大臣 変更になったのは私も詳しく知りませんけれども、関川村に行かないようになっておった。関川村は一番被害を受けておる、私は関川村にはもちろん行くだろうと思っていたんですが、行かないような日程になっておったということで、それを行くように変更したというわけでございます。実は関川村は食糧を輸送するためにたくさんのヘリが集まる、それでかえって現地で迷惑だというようなことを、こっちで事情がわからずにいろいろ打ち合わせしたのでありまして、日程の変更なんというものは、現地では、災害の場合には当然あり得るものでございます。したがいまして、そういう変更があったということは、そうたいした問題じゃなかろうと私は思うのですが、あのように新聞で取り上げられて、とやかくいわれておるのでございますが、結局はそれで行くようにいたしたのでございます。
  179. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いま大臣は、たいした問題じゃないとおっしゃっておられますけれども被災地の立場に立ちますと、一国の最高責任者である建設大臣、建設業務の最高責任者である大臣が来るか来ないかによってはずいぶん違うんです。また大臣みずから激励なさってくれれば、それだけみんなも立ち上がる気力も持ち上がると思う。それで関川村は私も行きました。よく知っておりますが、たいへんなところです。自衛隊の大型ヘリコプターがどんどん食糧を運搬しておりました。私はこういうところを大臣に見ていただいて、こういう離れたところを大臣みずから激励をして、握手をし、おみやげを持って激励するのが当然だと思うんです。これは私は大臣を責めるのではなくて、企画を立てた側、立案したほうに対して責めたい。こういうところに建設大臣に行ってもらうのは当然だと思うんです。この点どうですか、企画なさったほうは……
  180. 上田伯雄

    ○上田説明員 お答えいたします。  現地調査団が行くことになりまして、私どもも総理府のほうで各省の連絡という立場から計画を立てたわけでございます。何さま現地交通事情とか飛行機の発着場とか、あるいは現地被災の現状とか、そういうもの、それからまた調査団の各省から集まってきている人たちに見てもらいたいところ、そういうものがあの時点におきましては、東京では必ずしも把握しにくい。そこで東京にはそれぞれ県の事務所の方もおられますので、事務所の人たちはそれぞれ地元と連絡をとりながら、またわれわれも連絡をとりながら、また私たちのほうは建設大臣とも連絡をとりながらつくろうとするわけでございますが、詳細なところはとてもつくり切れるものではございませんで、概略をつくりまして、また立てたときと着いたときとでは日時が違いますし、現地状況が違うことがあるでしょう。したがって、また現地に着いたならばそのときの実情、現地の実情に応じて変更してもらうということをお願いしながら立てたわけでございます。そういうことで最初の計画がいかにもずさんであったというそしりはあろうかと思うのでございますけれども、結果としては見るべきところを見てきてくださったものと、かように考えております。
  181. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣がそういう思いやりの中から変更したということは了解しました。しかしながら関川村がたいへんだということは——私が行ったのは二十八日だったのです。全然交通が途絶して行けない、県庁ではそう言っている。ところが行けたのです。今回の水害は水が急速に引いたのですね。そのために状況の掌握というものが非常にしにくかったということは事実です。その一例として自衛隊が水のないところへえんえんとトラックをつないで、救援ボートを積んで右往左往しておったところを見ております。これは航空写真等で見ますと光っておりますから、これは全部水だと思うけれども、水じゃないんだ。実際は泥と水で光って写っている。だから自衛隊員が言っているが、ボートは要らないところじゃないか、そういうところへわれわれを派遣したのはどういうわけだ、それはこういう今回のいろいろな急速な変化によってなったけれども、あなたのいまのおことばでは、これは大臣も恥をかいてしまう、こういう席上でこうして委員に追及されながら。関川村かたいへんだということは、二十八、二十九、三十日の新聞報道では孤立だ孤立だと騒いでおる。ところがこれは当然一日に行かれるのに大臣は行かれなかったということは、とうてい私には理解できない。この点はほんとうに血の通った政治と言えない。この点はどうお考えになっていますか。
  182. 上田伯雄

    ○上田説明員 立案いたしますときに、関川村がたいへんであるということは、実は私どものほうも承知しておりましたし、県のほうの担当の方のそういう連絡もございました。ただ何さま東京では靴の上から足をかくようなものでございますので、一応県のほうと連絡をとったものを原案にしながらも、関川村については特にこういうことがあるから計画はそちらのほうで変更されるのは差しつかえもなければ、またそのように取り計らっていただきたいというようなことは口頭では申し上げておったわけでございます。ただ紙に書いたものが変更になったものでございますから、非常にわざとらしく見えたのでございますけれども、そういうような、計画というものはそういうものでございます。
  183. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 わかりました。こういうことはお互いに気の立っているときで、片一方は財産を失い、人命を失っております。非常に気が立っております。そういった方々の立場に立って計画を今後緻密にお願いしたいと思う。  次に、私は二十九日に県庁にまいりました。三十日の午前五時まで視察をしたのでありますが、その間、夜間ずっと通ってまいりましたが、関川村、中条町、また朝日村、こういった孤立地帯に救援物資が届いておりません。特にこの孤立地帯の村や町が、何日ぐらい人間生存可能の飲料水、食糧等が欠乏しておったのか、またこれを救うところの自衛隊のヘリコプター、私はこのヘリコプターもずいぶん、ぶんぶん舞っておるのを見ておりますが、私も軍隊におったのですけれども、この現在の警察用のヘリコプターと物資運搬用の大型ヘリコプターと違うのです。大体この緊急時にシコルスキー型の大型のヘリコプターが何機すぐ動員されて、これらの孤立したところに派遣されたのは何日で、それから最小限どれくらいの水と食糧を運搬されたのか。その辺ちょっとお尋ねいたします。
  184. 今泉正隆

    ○今泉説明員 ヘリコプターについてのお尋ねでございますが、延べ四百九十機を出しましたが、最初に出しましたのは八月二十九日からでございます。
  185. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それは大型ヘリですか。
  186. 今泉正隆

    ○今泉説明員 大型ヘリを含めまして四十四機でございます。そのうち大型ヘリ、大型ヘリとおっしゃっておりますのは、バートル107、二十六人乗りのヘリコプターだと思いますが、バートル107は、新潟地区について申しますれば、五機でございます。
  187. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私は、この緊急の物資の輸送のときに、私ども公明党の青年とリュックサックをしょって持っていった。そのときに水を運んだのでありますけれども、中条町の水を運んだのです。中条町は水害にあっておりましたのですけれども、この水は飲料に適しておったのですか、これはどうです。
  188. 飯原久弥

    ○飯原説明員 お答えいたします。  いま小川先生のお話にございました中条町の飲料水でございますが、これは緊急の事態でございまして、当時飲料に適するものというふうに判断をされております。
  189. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ところが、この水は濁っておりました。私、飲んですぐ下痢になっちゃった。この下痢になった水を運んだという、私自責の念がある。ところが、県庁に問い合わせしたところが、この水はだいじょうぶ、濁っておっても差しつかえないのだ、現状では一満たらせば殺菌する薬があるという、そういう薬があるのですか。
  190. 飯原久弥

    ○飯原説明員 ただいまの件でございますが、防疫用の見地もございますので防疫課長からお答えいたします。
  191. 春日斉

    ○春日説明員 ただいまのお尋ねの殺菌剤の件でございますが、いろいろございます。たとえて申しますと、昔はさらし粉をよく使っておったのですが、さらし粉の中の次亜塩素酸ソーダというものを液体あるいは固型にしたものがございます。それを入れますと、飲用できると申しますか、殺菌することが可能であります。
  192. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 二十九日の時点においては、その水は飲めるのですね。私はそれが心配なんです。
  193. 春日斉

    ○春日説明員 私その現場におったわけではございませんのでわかりませんが、二十九日の時点では、すでに防疫的の見地から、水道水には塩素をいつもの二倍ないし三倍は入れております。それから、そうでない場合でも、共同井戸とかあるいは大きな水源地あたりでは、先ほど言いましたような次亜塩素酸ソーダを入れたり、滅菌剤を入れておりますので、御心配はないと考えております。
  194. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 わかりました。ではその点は安心して、私の腹の調子が悪かった、こう判断する以外にないと思います。  もう一つお尋ねしたいことは、時間がございませんので、あしたまた残りをやるということにいまきまりましたので、二点ばかりやって終わりますが、一点は、今回の加治川水害におきまして、六・一六、七・一七、八・二八と、新潟水害は一けた上がりと言われておりますが、この七・一七水害のときに決壊した場所がまた決壊した、二年連続して起きたわけです。そうすると、また来年起きないとはだれも保証できない。来年もしも九・九なんという、ごろ合わせのように災害が起きなければけっこうでありますけれども、二度あることは三度あるということわざどおり、もしも三度あったらたいへんでありますので、この加治川決壊堤防の改修工事は、今年度から来年度にかけてはどの程度まで復旧する予定になっておりますか、これをお尋ねいたします。
  195. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 加治川のあのショートカットの地点の改修でございますが、それにつきましては四十二年度は約九億七千万円の事業費をもって施工しております。これはただいまあそこのショートカッ卜部分について全部入札を行なっておりまして、入札を済ましておりまして、鋭意工事を行なっております。来年の出水期まで——今年度中には終わる予定でございます。ショートカットの部分だけでございます。
  196. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 今年度に終わるということは、私しろうとですからよくわかりませんが、ことし決壊した状態以上に、ことしじゅうに整備ができるということなんですか。
  197. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 今回の豪雨を基礎としました将来の計画に基づいた河川計画のもとに、あのショートカッ卜部分を今年度中に終わるということでございます。
  198. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは一番聞きたいことなんですが、結局連続して起きたということは、連続して起きるような要素があるわけなんです。この連続して起きる要素を取り除かなければ、また起きる。おそらく来年起きたら暴動が起きますよ、これは。連年——連年どころじゃない、連続クリーンヒットだ。こんなことがあってはたいへんでありますので、私が心配するのは、来年のすなわち台風出水シーズンまでに今年度以上の対策が講じられ、加治川については不安がないということを河川局長の口からお聞きしなければ、きょうおいでになっている方々はやっぱり不安だと思うのです。その点が私は一番大事な問題だと思うのです。専門的にこうだ、こうだと言われても、私もよくわかりませんので、その点どうでございましょう。
  199. 西村英一

    西村国務大臣 昨年の七月の十七日に事故がありましてから、加治川につきましては、これはその事故の場所を直すとともに、根本的にその改修をしなければならぬということになったわけでございます。したがいまして、それにはやはり洪水の世等を計算するわけですが、上に二ヵ所ダムをつくり、下はこの中小河川の改修事業で、ちょうどSカーブのところ四・五キロを十七億円、それから、そのところだけではいけませんので、下のほうも助成事業でもって十二キロほど改修して、全体の計画を立ててやっておった最中でございます。したがいまして、いま河川局長が申し上げるのは——ほかのところもたくさん改修工事があるわけです。それはことしは手をつけるに至らなかったわけです、予算もおくれましたから。いま河川局長が言うのは、そのSカーブのところでショートカットする分については、これは早くできる、今年度中にはできる、こういうことを申し上げておるのでございまして、ほかのところの、上のほうにダムをつくるとか、もう少し下のほうの助成工事をやるというようなことはこれから着手をするわけでございます。
  200. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 結局加治川の問題は、これはもう天災を通り越して人災である、こういう市町村長の声、これは建設大臣はまた見解が違うと思うのです。また私たちも違う見解も多少あります。いろんな問題があるのです。ただ人災だとは言い切れませんけれども、こういった地元の不安感、だいじょうぶなんだ——この前切れたときも、今度つくったら絶対だいじょうぶなんだということから、そこへ家をつくった、だいじょうぶだと言うから、たんぼをつくった、ところが切れちゃった。最後にばかをみる、損害をこうむるのはやはり地元の農民である。だから、これはくどいようですけれども、ほんとうにこれはだいじょうぶなのかというのは、これはだれしも人情なんです。この点私はくどく追及しているわけなんですけれども、この点絶対だいじょうぶだという御確信は、その点においてはだいじょうぶなんですね、いまのSカーブの地点、二度連続して切れた地点については。大臣のおっしゃるダムというのは、防災ダムのことですね。今度上につくるというのは、多目的ダムでなく、防災ダムをつくるということ、それはすぐというわけにいかないと思うのです。ですから、とりあえず、連年切れた加治川の築堤、それがだいじょうぶなのか、それが仮設でなくて本工事でできるのか、それを聞きたいのです。
  201. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 先ほど申し上げたように、本工事で仕上げるようにしております。
  202. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それから、今回調査にあたりまして、私は県のほうも一生懸命やったと思いますし、市町村も一生懸命やったと思うのです。しかし、その状況の掌握というものは非常におそかった。これは気象予報というものがある程度ずさんであったのか、またはその気象予報体制というものが新潟県のあの地方においては不完全であったのか、この点についてはどうでございましょうか、お尋ねいたします。——では気象庁が来るまでの間、大臣にお尋ねいたします。  私は建設常任委員会の席上で大臣にお尋ねしたことがございますが、治水関係予算というものは、ほかの道路予算よりも少しぬるいのじゃないかということをお尋ねしたことがございますね。そのとき大臣から、治水関係の予算だって治水対策だっておくれているわけじゃないのだというお答えをいただきましたが、道路のほうに予算を少し食い過ぎているように私は感ずるのでございますけれども、この点冷水のほうはこういった人命の損害、財産の損害を非常にこうむるような問題もございますので、大臣は今後四十三年度以降の予算の中で、四十二年度以前の治水対策の予算姿勢から一歩前進した予算姿勢というもので組まれるかどうか、この点はいかがでございましょうか。
  203. 西村英一

    西村国務大臣 いまの治水五カ年計画は、相当前の四十年の計画で出発いたしておるのでございます。そういうところから見ますれば、これは相当に経過もありますし、また災害等のこともありますので、ひとつ考え直したいというのはさいぜんも申し上げた次第でございます。しかし道路は六兆六千億円だ、治水はどうだ、こういうようなことを直接的に比較するわけにはなかなかまいらない。道路はまた道路でもってあちらこちら、たとえば東海道の一号線をとっても自動車が何キロもつながっておるとか、あちらこちらにバイパスをつくれとかいろいろなことがあるので、それを直線的には比較されないと思いますが、しかし総体的に国土の全体から考えますれば、国土を守るというのはやはり川でございます。水の問題でございます。道路はその上に一歩を進めるということでございまして、やはり国土を守るのは河川の問題でございますから、これが十分にいかなければ国土それ自身が守れないと考えますので、私は現在の五カ年計画も相当前でございますから十分再検討いたしたい、かように考える次第でございます。
  204. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 よくわかりましたが、ちょっとここに表があります。昭和三十八年に道路予算が二千二百八十四億、治水治山予算が七百二十一億、その差額が一千五百六十三億、昭和三十九年には道路が二千五百六十八億、治水治山が九百九十二億、差額が千五百七十六億、昭和四十一年においてはその差額が二千四百七十五億にのぼっております。確かに大臣がおっしゃったように、道路の問題は私もよく存じあげておりますけれども、さらにその姿勢に対して一歩前進するかしないかという点、この点をきょうは災害対策特別委員会の立場から、現実に被害を受けている方々がおいでになる前でひとつお聞かせ願いたいということが一つ。  もう一つは、加治川のようなああいった因縁つきの川に対して、別ワク予算で緊急突貫工事をやるかどうか、この二点について室願いいたします。
  205. 西村英一

    西村国務大臣 これはぜひ突貫工事をやって、私は、こんなことを三年続ける、三年そういうような災害があるなんということは絶対にしたくないと思います。したがいまして、これに対しては十分対処するつもりでございます。また、全般的にこの治水工事の資金あるいはやり方、こういうようなものにつきましても再検討し、治水五カ年計画も改定をいたしたいという気持ちは十分持って対処いたすつもりであります。
  206. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ありがとうございました。ひとつがんばってください。  もう一点は、私は災害であそこに行っておりまして痛切に感じた点をお尋ねするのでございますが、向中条においては、二十九日においては、中に入った土砂をみんな道路の外に出しております。両側の家が道路のまん中へ、自分の家に入った土砂を出しております。そのために、あそこへ緊急物資を運ぶ自動車や、自衛隊のジープ、トラック等が通れなくなりました。こういったような、緊急に道路がつぶされてしまうことにつきましては、どのように今後対策をお立てになっているのか、それが一つ。  第三点、あそこの国道は百十三号線ですか、あの百十三号線が付近の市町村の新戚縁者、また心配のあまり応援物資を持っていく人等の混乱で、帰りには車があの国道を、ずっとじゅずつなぎになってしまいました。私どもは幸いにも新発田市の警察署長のお取り計らいで特別に道路を通していただいたのでありますが、そういうふうに無差別に、交通規制を行なわないとああいう状態になりますから、この点はどういうふうに処置なさっておりましょうか。
  207. 西村英一

    西村国務大臣 現地の実際の処置の問題でございますが、土砂が自分の家に入ってきた、それを出すには道路に出す以外にしようがない、道路に出せば通行ができないじゃないか、こういう問題が今度もあちらこちらに起こっておるようでございます。したがいまして、これをどうするがいいかということを私はここでもって直ちに申し上げられませんが、やはり交通の確保はしなければ、にっちもさっちもいかないのであります。今回も私は大体一番先に皆に命令したのは、交通はどうなっているか、こういうことを言ったのでございますが、現地に臨んでそれを全般的な一般のルールとしてそういうときはどうすべきだということは、私はいま直ちに答弁ができませんですが、質問もまたどういうようなことをあれしておるのかということはわかりますけれども、なかなかむずかしい問題と思います。
  208. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それではちょっと困るのでございますが、これは自衛隊の出動を要請して規制するとか何らかの手を打ちませんと、道路が通れないのです。これはいま大臣もお認めになった。だからといって、道路にどろを出すのをとめるわけにいかない。これはほんとうに困った問題でありますが、困っただけではこれはえらいことになりますので、早急に何らかの対策を立てなければならぬと思います。この点御検討をひとつお願いしたいと思います。  それから見舞い等の、近在の各市町村から被災地に入ってくるトラック、オート三輪等を利用しての一般人の救援の自動車等に対する規制はどのように行なうのですか。
  209. 城内康光

    ○城内説明員 ただいま警備課長が緊急の会議でそちらに出ておりますので、私災害担当の課長補佐でございますが、代行いたしまして御答弁いたします。  警察の立場から交通規制に鋭意つとめているわけでございますが、御指摘のように、各地から交通事情を知らない、地元事情を知らない車もかなり来ているわけでございます。それに対しまして、ただいまでも新潟県で四百名、それから山形県でも官名の警察官が出まして、交通規制等に当たっているわけでございます。私どもの考え方といたしましては、少なくとも片側通行だけは確保するということで、交通の要衝には警察官を張りつけまして、それで当たっているという次第でございます。
  210. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そのとおりだったのですか。
  211. 城内康光

    ○城内説明員 はい、そのようにつとめております。
  212. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうではない。私が行ったときには、私が整理した。民間の私が交通整理をやらなければ、あそこでなぐり合いのけんかになった、中条町で。それはなぜかと申しますと、あのくさい臭気と大体ひざまで没するチョコレートのようなどろの中で、車がブーブーと鳴らしている。運転手は頭にきている。そこでだれも整理しない。警察官も確かに行くえ不明者やその他があって緊急のほうにさかれてたいへんだったと思いますけれども、なぜあそこに一人か二人のおまわりさんが来なかったか。あれはほっておきますとたいへんな事態になった。みんなお互い興奮しております。どろを出すなとも言えない、通れない、お互いにあそこでやり合っております。そういった点については、あなたはそういった現状を掌握した上で私の質問に答弁しておるのですか。
  213. 城内康光

    ○城内説明員 一応私どもとしましては、交通規制のほか人命救助、それからいろいろつとめておるわけでございますけれども状況によりましてはそういったような場所があったということ、先生ごらんになったわけですから、それは否定もできませんし、私どももそういう事態があったら確かに非常に遺憾であるというふうに考えております。
  214. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 あなたをあまり責めてもしようがないが、責任者はいないんですか、きょうは。委員長、責任者はいないの。どういうわけだ。
  215. 佐野憲治

    佐野(憲)委員長代理 呼びにいっております。
  216. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 一々呼びにいかなければ来ないのでは困る。課長補佐ではわからないというから……。公明党の質問のときには上の人はいなくなってしまうのか。委員長、どういうわけです。
  217. 佐野憲治

    佐野(憲)委員長代理 いま呼びにいっております。
  218. 城内康光

    ○城内説明員 冒頭お答えいたしましたように、私ども課長がただいま緊急な会議に出ておりますので……(小川(新)委員「緊急はこっちも緊急だ」と呼ぶ)存じておりますけれども、ただ……
  219. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まあいいです。わかりました。それではけっこうです。  それからもう一点お尋ねしますけれども、緊急物資の輸送の中でお握りと水を運んだのでありますけれども、私は二十九日までに四千個持っていったのです。三十日の日に二千個、六千八百個合計握りめしを握って持っていきました。水は一斗かんのポリエチレン袋に三十袋を十回往復したのでありますけれども、その間三十日までに中条町、関川村、朝日村等には水の配給がありません。御飯の配給もありませんでした。これは二十八日の水害から数えまして二十八、二十九、三十と三日かかっておりますが、飲料水は三日も補給しなかったのですか。
  220. 飯原久弥

    ○飯原説明員 ただいまの小川先生の飲料水関係でございますが、輸送の状況によりまして、地区によりましてはそう長期間ではございませんが、おくれていっておるところもございます。ただ、他の機関の応援を得まして、たとえば、かん入りのジュースでございます。こういったものを輸送したりあるいは水筒に水を入れて輸送しております。
  221. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それはいつですか。
  222. 飯原久弥

    ○飯原説明員 これは八月二十九日とそれから三十一日でございます。
  223. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 かん入りジュースもけっこうでございますけれども現地で望んでおるのは水なんです。ああいうジュース等は甘くて、だめです。あとでまた水がほしくなってしまう。でありますから、あの暑い八月の炎天の中で水が二日もなかったら、子供なんか参ってしまう。私が行ったときにも、おなかをこわして、水につかった道路に出て、きたない話ですけれども、下痢をしておりました。そういう状態の中で、坊や一番ほしいものは何かと聞いたら水だ。それで私が聞きたいのは、三日も水が行かなかったというのは、われわれが行けて行けない、そこが理解できない。
  224. 飯原久弥

    ○飯原説明員 さしあたって八月の二十九日には量は十分行き届かなかったかと思いますが、飲料に供せられる、先ほど申し上げましたジュース等を輸送しております。これは自衛隊等の協力を得まして、さしあたって応急のそういう措置を行なっておるものでございます。ことに小国町、あるいは荒川、中条、そういったところでは冠水状態でもございまして、最初、先ほどお話がございましたふれが出、至急ということでございます。輸送の状態から見ましても数は非常に最初は少なかった。配置されたものは少なかったということはたいへん残念に思っておるわけでございます。
  225. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それからお医者さんと看護婦さんの件についてお尋ねいたしますが、新潟医大からどれくらい動員がかかったのですか。
  226. 飯原久弥

    ○飯原説明員 お答えさしていただきます。  救護班でございますが、八月二十九日に五班、これはお医者さん一人と看護婦さん四人でございます。それから三十日に六人、三十一日に十四人、九月一日に二十一人でございますが、いずれも災害救助に基づきます応急の日赤関係の人たちでございまして、いまのお話の点につきましては防疫課長のほうから重ねてお答えいたします。
  227. 春日斉

    ○春日説明員 新潟医大のほうからは延べ大学の医師が六名、それにインターンの学生は八月の二十九日から現在に至るまで一日五名出ております。それから学生が一日に二十一名八月の二十九日から出ております。看護婦がやはり一日四名の割合で八月二十九日から出ております。これが新潟医大でございます。  その他県立病院から延べ十四名、日赤からは延べ七十八名、医師会からは延べ四十二名、救護班は一日医師一人を含む一班が延べ百四十班出ております。
  228. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 もう一つです。これは国道百十三号線のところで、あなたも行ってごらんになったかもしれませんが、大きな牛がひっくり返っておる。それで、私が見たのは二十八日の夜から三十一日までほったらかし、その牛と豚が腹がふくらんじゃって、ガスが発生してぷんぷんして、そのまわりがどうしようもない。人命が失われているときでありますので、家畜等のそういった収容等は無理と思いますけれども、その道路の前をわれわれ行ったり来たりしておった。自衛隊も行ったり来たりしておった。ちょうど国道のへりに牛がひっくり返っておるわけですね。あれをだれも片づける者がいない。くさい、くさいと言ってみんな鼻をつまんで通っている。そのうちにハエがわんわんたかって、見られたものではないのです。ああいった状態に立ったときには、家畜であっても、生きものが死んでいるということは実に悲惨な感じを与える。何となしに凄惨な感じを与える。こういうことは片づけられないのですか。
  229. 春日斉

    ○春日説明員 これは当然片づけるべきだったと思います。
  230. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 わかりました。それは不手ぎわだったというわけですね。
  231. 春日斉

    ○春日説明員 そのとおりであります。
  232. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういうことのないようにひとつお願いしたいと思います。  それから、自作営農資金の問題をちょっとお尋ねしたいんですけれども、連年災害の場合には、その限度の何ぼまで貸し付けられないというようなことを知事が心配しておられましたけれども、その点どうなんでございましょうか。
  233. 太田康二

    太田説明員 個々の被害者の実態に応じてそれぞれ貸し付け限度額一ぱい借りているか、借りてないか、ケース・バイ・ケースで違っていると思いますが、ただいま先生のお尋ねの連年災害、いわゆる重複被害者に対しましては、現在の天災融資法では通常の資金にさらに五万円プラスして貸すことに相なっております。と申しますのは、一応の基礎の考え方といたしまして、重複被害者につきましてはその年に償還すべき金額が災害によってとてもそういう余剰が出てこない。したがいまして、その資金に充てるためというような意味も含めまして五万円プラスをいたしております。したがいまして、重複被害者に対します措置といたしましては、いま申し上げたようなことで天災融資法上は措置をいたしておるのでございます。
  234. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、これはそういう不安がございませんね。
  235. 太田康二

    太田説明員 従来もこういったことで重複被害者に対しましては措置してまいりましたので、あまりそのために貸し付け限度額の問題で特に非常に問題があるというふうには聞いておりません。
  236. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 問題があるとかないとかでなくて、新潟県の副知事さんがおっしゃった。小川さん、帰ったらこの点だけはひとつ——自作営農資金等の系統別資金に対しては連年災のときわれわれは非常に困っておるのだ、その返済能力があるとかないとかでなくて、そういう要求だけで貸してもらえないか、こういう要求を副知事がいたしておる。こういう点はやはり相当不安があったと思うのです。その点はきょうはこの委員会でお聞きになっておる方もあるのですから、政府のお役人がこう答えたということで皆さん、かお帰りになってお話しになる。その点だけはだいじょうぶと確信して私も質問しておる。  次に警防団、作業中になくなっておられますが、何名なくなられました。
  237. 川島巖

    ○川島説明員 行くえ不明者を含めまして、新潟県で八名、山形県で四名でございます。
  238. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでお尋ねしたいことは、これらの消防団の方々の保険といいますか、いろいろとなくなったときにもらえるお金がございましたね、ちょっと忘れましたが。それが最高百万円くらいと聞いておるのです。それは年限等もございますので一律ではございませんが、自動車賠償保険だけでも現在は三百万にはね上がっております。こういった災害のときに、わが身を犠牲にして水防、消防団が一命をなげうった、また警察官がなげうったという場合には、何らかの措置が必要ではないかと思うのでございますが、この点についてどのようにお考えになっておりますか。
  239. 川島巖

    ○川島説明員 現在消防団の方が水防あるいは消防作業に従事いたしましてなくなった場合に、殉職者の補償につきましては、非常勤消防団員等に係る損害補償の基準を定める政令の一部改正(昭和四十二年九月七日政令二百八十二号)により、一日千三百円から千九百八十円までの補償基礎額で、遺族補償年金は標準世帯で、階級、勤続年数に応じて年間約二十万円から三十万円まで、年金を受けられない遺族に対しては、遺族補償一時金として五十二万円から百三十万まで支給されるほか、葬祭補償として、補償基礎額の六十日分が支給されます。このほかに各県の条例によりまして賞じゅつ金というような制度もございます。これは最高二百万、内容によってそれぞれ百五十万、百万というような賞じゅつの規定がおおむねできております。大体非常に少ない額でございます。私どものほうとしても、最近非常に消防関係の公務災害が多うございますから、これの改定につとめたいと思っております。
  240. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 防災会議についてお尋ねいたしますが、対策本部の設置の件でございます。西村団長が御出発なさいました。これは防災会議の決定によるものか、建設省の建設大臣としておいでになったものか、また政府の閣僚会議できまったものか、その点どのようなことになるのでありましょうか。
  241. 上村千一郎

    ○上村説明員 実は、きょうお尋ねにございませんでしたけれども、昨日の参議院の災害対策特別委員会で詳細に御報告申し上げました。今度の非常災害対策本部というものがおくれたのではないか、あるいは激甚災害の指定、これはきのう申し上げまして、きょう閣議で決定いたしました。それから防災会議、そういう御質問が出た際に、詳細御報告申し上げておきましたのですが、実は今度の西村建設大臣が団長でお行きになられたときは、まだこれの非常災害対策本部というのが設置されていないのでございます。しからば、政府はその間何をしていたかということでございますが、この七月の集中豪雨の西日本に対する非常災害対策本部というのができておりまして、そこで実は八月の集中豪雨に対しまして措置をいたしておったわけでございます。最初、その実情把握というものがなかなかつかめませんでした。それで、その災害対策本部におきまして、そのときは西日本の災害対策、そこで西村団長が政府の団長といたしましてお出かけになるということを決定をいたしたわけです。そうしてお帰りになりましてから、九月五日の閣議におきまして、実は非常にひどい災害であるということの御報告とともに、いろいろ御意見が出まして、そしてその九月五日の閣議で、従来の七月集中豪雨の非常災害対策本部を拡充いたしまして、そして八月の災害集中豪雨の羽越地区を入れるということに従来の閣議決定を変更いたしましてできたわけでございます。でございますので、西村団長が政府の団長といたして参りましたのは、もちろん閣議もこれを了承いたしておりますし、また、お出かけの際には、従来の非常災害対策本部で決定をし、閣議でも御了承されて、政府の正式な団長として出かけておいでになった、こういういきさつでございます。
  242. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 もう一点お尋ねいたしますが、その対策本部はいつできたのですか。
  243. 上村千一郎

    ○上村説明員 実は、災害対策本部は、八月集中豪雨につきましては九月五日に正式にできたわけでございます。それまでは七月の集中豪雨の非常災害対策本部でやっておった、こういう事情になっておるわけであります。
  244. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、私の考えを申し上げますと、対策本部が九月五日にできたというのは、ちょっとおそいという感じをしておったのですが、そうすると、その九月五日までのいろいろのすべての指揮系統というものは、西日本の集中豪雨禍に対する災害対策本部の組織をもってこれに充当しておったと承ってよろしいのですか。
  245. 上村千一郎

    ○上村説明員 小川委員のおっしゃるとおりであります。
  246. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点は了解いたしました。  最後に、今回の山形水害におきますところの豪雪地帯、冬に向かって非常にたいへんな災難を受けたのでありますけれども、この豪雪地帯、寒冷地帯に対する救助の点は非常にたいへんだと思うのです。   〔佐野(憲)委員長代理退席、永井委員長代理着席〕 新潟県はもとよりのこと、ことに雪の多い山形県に対しては御同情申し上げますが、これらに対して、へんぴな小中学校に通っている子供さんや、また災害を受けた方々の豪雪地帯また寒冷地帯における対策はどうかという点が一点、もう一点は、今回羽越水害においてつぶされたたんぼがございますが、この復旧できないたんぼに、代替地を国としては、また県としては与える考えがあるのかどうか、この二点をお尋ねいたします。
  247. 西村英一

    西村国務大臣 第一項の問題でございまするが、非常に特別な地区でございますので、これは私といたしましてはもう降雪季がくるまであらかた人心が落ちつくように、すべての処置をとりたいと思います。  農地の問題については農林省から答えられたほうがいいと思います。
  248. 草野一郎平

    ○草野説明員 災害を受けた農地に対しましては、農業施設とともにこれの復旧に早急につとめているわけですが、復旧のできないところに対しましては、代替地を物色しながら、それに見合うような方法をとることにしています。
  249. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、たんぼの交換ということを考えていらっしゃるのですか。
  250. 草野一郎平

    ○草野説明員 交換という形ではございません。その壊滅いたして復旧することの困難であると認められる部分に対しては、それに見合うところを代替地として考えるということでございます。
  251. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では、時間がまいりましたので私の質問はこれで終わりますが、最後にひとつ要望を申し上げておきます。  大臣みずから今回の災害を視察なされましたことは私ども非常に感謝しておりますし、また賛同しております。しかし、これから冬に向かうこれら被災地に対して、ぜひとも十分なる手当てと、法律できめられているから災害費というものはこないのだとか、災害によって受けた被害が法律によって左右されるというのではなくて、災害に合わせた法律をつくっていく、こういう態度でひとつ臨んでいただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  252. 永井勝次郎

    永井委員長代理 阿部助哉君。——最後になってたいへん恐縮ですが、時間も経過しておりますので、なるべく簡単に願います。
  253. 阿部助哉

    阿部(助)委員 最後でありますので、なるたけ端的にお伺いいたします。道行きを抜きにいたしますので、そのようにまた御答弁をお願いしたいと思います。  まず、政府が発表しております公共事業の繰り延べでございますが、少なくともこの被災三県についてはそのことのないように要望いたしますが、政府のお考えはいかがですか。
  254. 西村英一

    西村国務大臣 私のほうのこの分に関しましては、災害復旧はもちろんのこと、それに関連する事業等については、これは繰り延べをいたさないことになっておりますから、さよう御承知を願います。
  255. 阿部助哉

    阿部(助)委員 先ほど話がありましたけれども災害救助法のいろいろな単価は非常に低いということはもう皆さん御承知のとおりであります。それで、一日百円というのは、大体どういう根拠で百円という計算をされたのか。たとえば大蔵省が課税最低限で百二十六円、これもいろいろな物議をかもしたわけでありますが、いまのこの物価の中で一日百円、しかも非常な災害でからだも疲労しておる、精神的にも混乱しておる、そういうときに、この百円というのは一体どういう根拠で計算をされたのか、お示しをいただきたいと思います。
  256. 飯原久弥

    ○飯原説明員 お答えいたします。  百円の根拠でございますが、特に給食費ということで、一人当たりの一食が二百グラムということを計算の基礎にしておるわけでございます。なお、そのほかに若干の副食を積算の基礎としては見積ったわけでございます。
  257. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いまの答弁だと、それで十分だというお考えですか。それで現実に何とかやっていけるというお考えですか。
  258. 飯原久弥

    ○飯原説明員 先ほどからお答え申し上げておりますように、これにつきましてはこの八月に百三十円……(阿部(助)委員「そのことは聞いてない」と呼ぶ)今後につきましては、十分実態に合うような努力を続けていきたいと思っております。
  259. 阿部助哉

    阿部(助)委員 実態に合わないということは大体お認めのようでありますが、実態に合わないから、各市町村では全部市町村の自腹を切ってこれに対処しておるわけであります。こういうことについては、やはり死体処理の問題にしてもそうでありますが、市町村がこういう目に見えないいろいろな出費をしておるわけであります。自治省としては、また大蔵省としては、特別交付金であとのめんどうを見るということをお答え願いたいわけでありますが、その点はどうでしょうか。——自治省の方はいますか。
  260. 永井勝次郎

    永井委員長代理 答弁する人がいないので、あとで答弁を求めることにいたします。
  261. 阿部助哉

    阿部(助)委員 先ほど来自作農維持資金、天災融資の問題が出ておりますが、天災融資は先ほどお答えがありましたように、去年借りた金は、天災融資はことしの再生産のための金だ、こういうお話でありますし、私もそう思います。ところが二度続く災害で、ことしの生産も、せっかく実った稲も流れてしまったということで、これは無に帰したわけです。そうしますと、昨年借りた天災融資法による融資は、これは何も役に立たなくなってしまったということですが、これは免除するというお考えはありませんか。
  262. 太田康二

    太田説明員 実は先ほどもお答え申し上げたのでありますが、そういった重複被害者方のためにいま先生がおっしゃったように、確かに返す金が出てこないわけでありますので、一応被害限度額の算出の基礎といたしましては、通常の場合には二十万、これに重複被害者はさらに五万を乗せまして、二十五万というものを一応限度額のめどにしております。それを申し上げるとちょっとあれでありますが、その五万の中から当年度の分の償還金の一部にそれを充てていくということで、現在重複被害者には措置をいたしておるのでございます。
  263. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私どうも頭が悪くてわからないのですが、昨年借りておるのですね。ところが今年だめだから、昨年二十万借りておるそういう人に二十五万にして、二十万だけは返済したことにするから、そうすると五万円だけしか入らない、こういうことですか。
  264. 太田康二

    太田説明員 そういうことではないのでありまして、二十万昨年借りた農家が、今年返す額に必ずしもストレートに見合うわけではありませんが、今年の償還分に見合う一応の分として五万プラスをして、今年新しく二十五万融通することになるわけでございますので、その五万で今年返済すべき分を返済しますと、通常の被害と同じように二十万だけ営農資金として使える、こういうことになると思います。
  265. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これはほんとうは昨年の被害、特に加治川周辺の被害はだいじょうぶだという技術関係のお役人さんのお話を、私たちもたびたび聞いてきたわけであります。ところがこのようになってしまった。私も県議会におりまして、県の土木部長をはじめ関係の人たちからはこれでもう今度はだいじょうぶだということを何べんとなく聞いてきた。ところが三度も災害にあった。ことに西名柄の部落というものは、今度の河川改修で堤防をつくるために部落ごと移転しなければならぬ。そうしてやっと借金をして家を建てた。ところが今度水につかった、稲作は無に帰した、こういうことでありまして、先ほど石田委員からお話がありましたように、この問題は、こういう二度の災害を受けた地帯は、何としても特別な手当てをしてもらわないと、農民は生きていかれないわけであります。そういう点で自作農維持資金の問題も、先ほどいろいろ皆さんからお話が出る。ところがきょうは激甚の指定がありました。農民が一番関心を持っており、市町村長もそうであるこの問題に対して、すでに農林省としては、二度災害を受けた地帯には自作農維持資金はこうするのだというくらいのめどは、当然きょうあたりにはつけておかにゃいかぬのじゃないか。なぜいまだにもたもたしておるのか。災害の状態は、もう昨年の災害を見、またテレビや何かを見ておりましても、これは二度同じところがやられておるということがわかっている。そうすれば自作農維持資金の問題をどうするかというくらいのことは、当然方針を立てておくべきだった。そういうことがありますれば、おそらくあの豊栄でなくなられた人も死なないで済んだかもしれない。そういうことを考えると、もう検討の段階ではなしに、結論を出して農民に安心をさせるという段階じゃないかと思うのですが、農林省ではどういうふうに考えておられるのか、お知らせ願いたい。
  266. 草野一郎平

    ○草野説明員 先ほど来申し上げましたとおり、これをもたもたしておるという状態ではございません。非常に重要な問題でありまするし、その資金需要の実態というものが的確に把握できないといけませんので、個々の需要に対しまして残額がどれだけあるか。さらに需要の差もあろうと思いますから、そうしたものを把握したいということと、それから大蔵省との折衝もありますから、いま積極的に大成省と折衝しておりますから、さように御了承いただきたいと思います。
  267. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この災害地帯は、県においては昨年もさんざんもめた問題でありまして、県へ連絡すれば半日でも二、三時間でも皆さんのところに御報告が来るものだと確信をいたしております。昨年も何カ月間というもの県会でもあるいはまたここへ来てももめ続けてきた問題であります。でありますから、この点で調査をされるということには私はちょっと理解ができないわけであります。それで昨年も五億のワクだとかあるいは九億出すとか言いながら、非常に困っておる人たちが実際は借りられなかった人たちがまだ非常に多いわけであります。ところがそこへまたこの災害であります。借り得る人たちというものは、口一ばい全部借りておる。それをどうするかというのがいまのここの地帯での問題でありますので、もう少しその辺次官からはっきりと御答弁をお願いしたいと思います。
  268. 草野一郎平

    ○草野説明員 目一ぱい借りておられる。全部が目一ばい借りておられるとは考えておりません。したがって、そこらの問題ももう少し的確に把握したいということと、したがって、御希望に沿わねばならぬという気持ちにおいて、ただいま大蔵省とも折衝をいたしておるということでございます。
  269. 阿部助哉

    阿部(助)委員 昨年もこの問題は新潟では非常にもめまして、そうして金が来た。ところが実際に希望しておる者の金額と、出てきた金とが違うわけでありますから、それで北陸農政局でありますか、そこからのいろいろなまた指導がなされるものでありますから、各町村の農業委員会ですか、そういう事務担当のところでは、何やかやと削っていくわけですね。だから実際は希望してもなかなか借りられないという人たちが相当あるわけでして、実際は昨年の七・一七水害の自作農維持資金が渡っておらない農家が現在まだあるわけです。それでは今度の場合には処置がない。  もう一つは、返済計画を立てろといいましても、それは次官の言うように、個々の農家においては返済計画の立つ農家も何ぼかないわけじゃありません。だけれども、この大半の農家は、二年続き、さらに先ほど来お話のありましたように、地震災害、台風の災害、そういうものとの引き続きでありますから、これからの自作農維持資金についての返済計画を立てろと言っても、出てくるのは、もし出てくるとすれば、大半の農家は昨年の返済計画がうそであるか、今度出てくるのがごまかしであるか、どっちか以外にないのじゃないかと私は思うのですが、それだけに先ほど石田委員から言われましたように、期限を延期する、金額を、ワクを七十万を百万円にするというような何らかの措置をとってもらわないと、実際問題として借りることができない。また事務処理ができなくなるというのが現実だと思います。そういう点で、いまなかなか即答は得られないかもわかりませんけれども、何とかその辺を御考慮していただいて、農民がこれから来年の再生産に励むことができるように、これは早急に農民にお示しをいただきたい、こう思いますが、いかがでしょう。
  270. 草野一郎平

    ○草野説明員 去年の報告がうそであるか、ことしの報告がうそであるかとおっしゃいますが、さようには思っておりません。全部真実であると思ってこちらは受け取っております。したがって、償還期限の問題、これは先ほども稻葉先生にお話ししたように、これは法律関係でございます。これは長くなりますとまた手続がやはり必要でございます。したがって、弾力性のあるところでその御希望の方向に努力をいたしたい、こういうことでございます。
  271. 阿部助哉

    阿部(助)委員 昨日参議院の委員会におきまして、農林省のほうでは、生食に使用できない低質米の政府買い上げについては、何か人間の食料にならないようなものについては、加工業者にあっせんするというようなお話があったやに聞いておりますが、そうでございますか。
  272. 太田康二

    太田説明員 昨日参議院におきまして、そういった御質問に対しまして、食糧庁の業務第一部長がいま先生のお尋ねのような答弁をしたことは事実でございます。
  273. 阿部助哉

    阿部(助)委員 農林省ではその場台に業者にあっせんするという、あっせんしてこれを処理し得るという自信がございますか。
  274. 二瓶博

    ○二瓶説明員 従来とも主食にならない米につきましては、食糧事務所のほうで加工業者との間にあっせんをいたしてまいっております。したがいまして、今度の災害の場合におきましても、そういうような面で処理をいたしたい。なおそれで十分やれるかというお話でございますが、極力そういう線でやるように現地とも連絡をとって進めてまいりたい、かように考えております。
  275. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いまこういうあれは穂発芽が非常に激しいわけです。あたたかいせいもございましょうが、皆さんも大体ごらんになったろうと思いますけれども、大へん伸びておる。これは人間の食べる御飯にはならないと思います。これがたいへん多いということでありますから、できたらこれを買い上げてこういう加工業者に売り渡すということは、これはいかがでしょうか。
  276. 二瓶博

    ○二瓶説明員 政府が買い上げて加工業者に回すという点でございますが、この面につきましては、従来とも食糧事務所のあっせんということで処則してまいっておりますので、そういう線でやってまいりたい。積極的にさらにそれを買い上げるという措置については、それは検討はしてもいいかとは思いますが、非常に困難ではないか、かように考えております。
  277. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この加治川の破堤の問題につきましては、先ほどいろいろな御質問がありましたが、昨年と同じところが切れておるわけです。たとえば高岡であるとかその下からずっと同じところが切れておるということについては、住民は何としても納得がいかないわけであります。ことに高岡にいたしましても、初めから何かブルドーザーで砂利を押し上げておいて、そしてかっこうをつくった上に赤土を塗った。また向中条の場合も、なるほど矢板は打ちました。しかし、矢板の上はやはり砂を盛り上げて、そして赤土で囲ったという程度でありまして、あれでは破れないほうがおかしい。住民は、あれをつくっておるときから、これでもつわけがないということを言っておった。案の定であります。しかし技術者の人たちは、ここは技術的にだいじょうぶだ、こういう話でありましたが、それが破れた今日、住民は、皆さんが加治川の破れた周辺に行ってお聞きになればわかりますけれども、もう技術者を信用する人はないというくらいになっております。今度またあのようなやり方で、まあ現地の人たちはアイスもなかだ、こう言っております。アイスもなかのような堤防をつくったってしょうがない、こういうことを言っておりますが、今度の堤防は大体どんなつくり方をするのでありますか。コンクリートで囲って、今度は溢水してもだいじょうぶだというくらいな堤防をおつくりになるわけですか、それともまた同じような形で中しんも入らない堤防をつくられるわけですか。
  278. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 御指摘のような点は十分調査いたしまして、十分高さにも耐え、堤防の浸透水にも耐え得るような堤防をつくらせます。
  279. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いまは終わったことでありますが、先ほど石田委員から話がありましたが、私は二十八日の夕方五時半に向中条の現場を見ました。そのときにすでに下から浸透してくる水で土のう積みができないくらい足がもぐるわけです。二十時の時点ではもう漏水で腰までどろにつかるというような事態になったわけでして、あそこで避難命令を出したのがおおむね五時半であります。もうそのときすでにこの堤防は幾ら土のう積みをしてももたないというのがみなの意見であった。だけれども、何とかなりゃせぬかということで努力をしておっただけの話でありまして、あの漏水状態を見れば、この水がこれ以上増さなくとも、あの水が続く限り、数時間のうちにあの堤防が破堤するだろうということは、これはしろうとでも考えつくところであります。そういうようなことを今度やられたのでは、これは何とも処置がない。また片方のあれは、向中条の西名柄のほうは、あれは全部本堤防でございましょう。どうですか。仮堤防じゃないでしょう。
  280. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 こわれた個所は仮堤防でございます。
  281. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると一番最初こわれた古い堤防とのつけ根だけが仮堤防だったということですか。
  282. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 上流の旧堤防とそれから下流からつくってまいりました新堤と、その間が仮堤防でございます。
  283. 阿部助哉

    阿部(助)委員 下高岡の堤防はどうでございますか。
  284. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 上流の本川筋の堤防だと承知しておりますが、これは新堤でございます。御指摘のような、ブルドーザーで砂を上げて土を盛ったところでございまして、これらにつきましては原因を十分調査しまして、ひとつ適切な処置をとりたいと思っております。
  285. 阿部助哉

    阿部(助)委員 下高関の場合にもそうでありますが、あの程度のことでは、もたないということはもう現地の人たちはみな言っておったわけでありますので、今度はしかもその河川の向こう側に、何か河川敷の中に土でそこを護岸してあるんですね。そうすれば当然水はこっちへぶつかってくる。ぶつかったほうが破れるというふうに、水の流れがそういうふうになっておる。そこで、あそこの人々が、ああいうことをすれば水がこっちへ流れてきてぶつかるのは間違いないと言うようなことが放置されておるのか、むしろ水の流れをそういうふうに向けておるとしか考えられないような状態でありますので、もう二年続いて、今度は三年続いたら全くえらいことだと思います。早急におやりになるというお話でありますので、ぜひ今度は破れない、あまり浸透水のないような堤防をぜひつくってもらいたいというのが、現地の人たちの一番強い要望であります。  私、まだいろいろこまかい問題で質問したいことがありますけれども、時間の点もあるそうでありますので、あれしますが、もう一度厚生省のほうにお伺いしたいのは、仮設住宅であります。これは被害農家十戸に対して三戸というのはどういうわけでありますか。ことに黒川村等におきましては、山地帯で、被害を受けた十戸なら十戸の農家が全部飛んでしまった。ところが村全体で調整するといっても、この谷を放置しておいてここでやるというわけにはいかぬ。また十戸やられたところへ三戸分だけ建ててやったら、ほかの人たちが承知しない。村長さん自体たいへん苦しんでおるわけですが、金でくれるんならまた何とかするけれども、三戸分だけ物を送ってくれたのでは公平な行政が行なえないということでお困りになっておるようであります。仮設住宅くらいは全部つくるというかまえでいくべきだと思いますが、いかがですか。
  286. 飯原久弥

    ○飯原説明員 簡単に阿部先生にお答えいたします。  応急仮設住宅につきまして三割を標準といたしておりますのは、大体被害を受けられた市町村で低所得になる方が三割というふうな見通しのもとに標準を引いているわけでございます。ただ実態は、いまお話しのように、一時的に低所得の場合もございます。そういうような場合につきましては特別基準という制度をつくっております。これによりまして実情に合うような措置をはかっておるわけでございます。今度の場合もやはり実際ケース・ケースにあたりまして十分検討相談しまして解決をしていきたい、かように思っております。
  287. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうしますと、その低所得の場合、皆さんがここで見るのは書類判定する以外になかろうと思います。そうすると、市町村長が県を通してここへ申請をされたものについては全部それを認める、こういうことでございますね。
  288. 飯原久弥

    ○飯原説明員 まあ特別基準の判断につきましても県のほうでおまとめになりまして、やはり管内の市町村被災状況あるいは被災された状態等によりまして判断される場合が多うございますから、それはそういうふうな御指摘になっておりますような大体の方向でけっこうだと思います。
  289. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これで終わりますが、民生安定のためには、今度は破れない堤防をつくるということ、またもう一つは、農民には、自作農維持資金というものをお困りの方にはある程度出すということがいま一番民生安定に必要だろう、こう考えるわけです。この点で次官のお話しのように、去年の返済計画も正しいし、ことし出る返済計画も正しいだろうということでありますので、申請があったものは、いろいろ査定で多少はずれるあれもまたありましょうけれども、おおむね昨年の被雷とことしの被害でありますので、必要な方がほとんど大半でありますので、その点早急に対策を立てて、お示しを願うということを希望いたしまして、たいへんおそくなりましたので私の質問を終わります。
  290. 稻葉修

    ○稻葉委員 本委員会開会の冒頭に、私からもまた他の委員からも、今次災害の激甚なるにかんがみ、すみやかに臨時国会を召集されることを強く要望しておきましたが、この点について西村建設大臣からは政府を代表してきわめて誠意ある御答弁をもらった。委員長はこれをどう処置せられるつもりでございましょうか。お伺いいたします。
  291. 永井勝次郎

    永井委員長代理 お答えをいたします。  先ほど来、稻葉委員をはじめ各委員から臨時国会の早期召集を要望する御発言がありましたが、委員長といたしましても、今次災害がきわめて激甚であり、これが対策については現行制度及び予算のワク内では対処し得ない問題も多々あると存じますので、臨時国会の早期召集についてこの際御要望申し上げておきたいと存じます。御了承願います。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後七時十七分散会