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1967-08-01 第56回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年八月一日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 山下 榮二君    理事 登坂重次郎君 理事 堀川 恭平君    理事 山田 耻目君       大石 八治君    加藤 六月君       河野 洋平君    中川 俊思君       古川 丈吉君    井上  泉君       小林 信一君    後藤 俊男君       松本 忠助君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         運輸政務次官  金丸  信君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         運輸省海運局内         航課長     鈴木  登君         運輸省海運局定         期船課長    松井 和治君         運輸省船舶局首         席船舶検査官  藤本 幸張君         海上保安庁警備         救難監     猪口 猛夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 山下榮二

    山下委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がございますので、これを許します。井上泉君。
  3. 井上泉

    井上(泉)委員 第五十五国会でたくさんの法案が審議をされ、可決をされたのですけれども、その中で、この交通安全に関する二つ法律が一番国民に喜ばれた。それにもかかわらず、案外委員の方の出席が少ないのを残念に思います。  それで委員会で、大型貨物車運送管理についてはずいぶんいろいろ質問もされたのですけれども、そのときには、なかなか運輸省のほうでも、早急な措置をするようなお答えがなかったわけですが、この間道路運送車両保安基準の一部を改正する省令が発表されたのですが、あの省令を出すときには、これは運輸大臣委員会で発言されたと思うのですけれども、宮崎政府委員のほうでも、こういう速度表示をつけるということについて、「決定的ではございませんが、自動車の上にランプがつきまして、一定のスピードに」云々と言われ、また、「これは関係法令改正を必要といたしますので、近く国会で御審議をお願いする」ということを言っておったですが、別に関係法令改正も必要なしに、道路運送車両保安基準の一部を改正する省令制定されたのですが、これは、別段そういうことについては問題がないからこういう省令を出されたのですか。ひとつ宮崎室長に伺いたい。
  4. 宮崎清文

    宮崎政府委員 先生御指摘の点は、実は私も正確な記憶がございませんでたいへん申しわけございませんが、もともと速度表示につきましては、政令以下の段階で手当てをすることに予定いたしておりましたので、法律ともし私が申し上げたといたしますと、これは誤りでございまして、もしそうなっておりましたら、私訂正をさせていただきたいと思います。政令以下で措置できるということで、昨年末以来、政府といたしましては方針をきめていたしておる次第でございます。
  5. 井上泉

    井上(泉)委員 こういうふうで、大型自動車事故というのが、スピード違反にその事故が集中しておる点が多い。このことについては、当委員会でもずいぶん論議をされたのですが、そのときでも、あなたこう言われたのです。関係法令改正を必要とするから、そういうふうなのはできない。その後の委員会質問でもそういうふうなことが言われたのですけれども、この国会が終わるとたんに、省令によってこういうふうな規制ができるというのでしたら、何もこの委員会がわんさわんさといって、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故防止等に関する特別措置法とか、こういう法律制定する必要もない。あなたたち省令あるいは政令でできると思うのですが、これはそれとどういう違いがあるのですか。
  6. 宮崎清文

    宮崎政府委員 あるいは私の御説明が不十分であったかもしれませんので、その点は深くおわび申し上げますが、速度表示計とそれからいわゆる運行記録計の取りつけにつきましては、昨年末大体政府部内で方針を決定いたしまして、その準備ができ次第それぞれ所要政令なり省令改正するという方向で進んでまいりましたので、その準備ができましたところで、それで所要改正をいたしたわけでございまして、決して国会を軽視するとか、そういうことはごうも考えておったわけではございません。
  7. 井上泉

    井上(泉)委員 良心的に少しでも交通事故をなくするために、安全運送ができるような措置を講ぜられるということについては、何も文句を言うわけでもないのですけれども、あなた方のやられることを国会のほうでやかましく言われて、そして議員立法でこういう法律国民の願いとして定められた。ところが、何も国会でそんなお世話をやかぬでも、おれらのほうでちゃんと省令でこういう措置ができるのだ、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故防止等に関する特別措置法できめて、自重計の備えつけの問題であるとかそれから速度表示をするなんということは、私はこの省令の公布されたのを見て、これは何も国会議員立法措置を講じてまでそんなにやらなくとも、役所がもうちょっと熱心に取り組んでおれば問題じゃなかったのじゃないか、こういうふうな感を深くしたので、あえて質問をしたわけです。  総務長官が御用で出かけるそうですから、総務長官に伺いますが、交通安全対策特別委員会交通安全対策に対する総合的な窓口として総理府が担当されておるということ、これは海上陸上航空、いわゆる空陸海全部一緒である、こう理解しておってよいのかどうか。
  8. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 ただいまのところ、陸上交通に関する問題の総合調整ということに重点を置いてはおりまするけれども、御指摘のように、海上あるいは航空というようなものもあわせて行なうべきものであると私は考えます。したがって、今日までいろいろな審議を進めるに際しましては、形式的にはこれを内容として審議を進めておるわけでありますが、現在のところ重点としては陸上交通だ、しかし将来はそういったすべての交通問題に入っていかなければ、その総合調整をやらなければ、ほんとう交通戦争というものに取り組むことはできないと私は考えております。
  9. 井上泉

    井上(泉)委員 この三月二十九日の交通安全対策特別委員会で、運輸大臣がいろいろ交通安全の関係で、船舶関係について「海上交通量の増大」云々と、こういうことを説明されておるのでありますが、私は、いまの総務長官ことばのように、陸上交通の声に押されて海上交通が忘れられておるような、そういう感がするわけでありますので、あえて注意を喚起し、海上交通についての問題点を当委員会でも十分審議し、そうしてその総合的な調整窓口として総理府が積極的に取り組んでいただきたい、こういうふうに思うわけなので、いま一度総務長官のこれについての見解を承っておきたいと思います。
  10. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 当委員会がきわめて超党派的に交通の問題について御審議を願っておりますこと、私は感謝いたしております。二つ議員立法まで出ましたのも、あまり類例のないことではないかと私は考えております。したがいまして、この交通問題が大きな政治問題としてクローズアップされている以上、陸上に限定せず、いま問題をたくさん包蔵している海上につきましても、また航空につきましても、やはり重点的にこれを取り上げて問題の解決に当たっていきたい。この委員会のさらに熱心な御論議を御審議を心から期待し、また、われわれも総合調整という立場から、それら全部の問題に取り組んでまいる考えでございます。
  11. 井上泉

    井上(泉)委員 総務長官お忙しいようですからけっこうです。だけれども宮崎室長はおっていただきたいと思います。みなお忙しい方ですから、順次まとめて質問をしたいのです。  今度の議員立法でできた二つ法律に基づく予算的な措置というものが相当多く要るわけです。特に、陸上交通事故発生場所が、国道より地方道に多いということは、建設大臣も御承知だと思うわけです。そういう点で地方道に対する道路建設道路費の大幅な増加を考えると同時に、地方道道路改良等について連檐戸数の多い、いわゆる市街地を形成しておる地域なんかの改良については、歩道車道区分を明確にする設計、そういうふうに建設省として措置ができないものかどうか。どこでも地方道改良がどんどん進んでおるのですが、地方道改良が進むにつれて、交通がふくそうし危険度が増してくる、人間の通る道がなくなってしまっておるというような状態が随所に見受けられるわけですが、やはり地方道改良する場合に、少なくとも連檐数市街地を形成しておる場所については、歩道車道区分を明確にし、ガードレール等によって区別するとかいうような設計上の措置がとれないものであるかどうか、建設大臣お尋ねします。
  12. 西村英一

    西村国務大臣 お尋ね歩道の問題、事故の問題につきましては、非常に重要な問題でございます。しかし、ただいまは道路構造令によって一応の定めがございます。すなわち、現在の道路構造令におきましては、市街部地方部、こういう二つに分けて考えておりますが、市街部一般国道、それから市街部都道府県道及び市街部市町村道等の第四種の道路におきましては、原則として歩道を設けるということに構造令でなっております。しかし地方部は違いますので、今後地方部につきましては、二車線以上の道路では歩道をつけたい、しかし、道路の幅が狭いのでありまして、歩道をつける場合でも簡易な構造によって歩道を設けたい、かように考えて、ただいまその政令改正を検討中でございます。  いずれにいたしましても事故を防止するのには、やはり車対人間という事故が非常に多いわけであります。したがいまして、その点については、今後建設省といたしましては歩道車道の別ということについて一段と考慮を払いたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 井上泉

    井上(泉)委員 実際現在改良されておる地域なんかでは、二車線のところで歩道をとるというようなことは、現実に市街地を形成しておるところは、なかなかむずかしい場合もあると思います。思うが、新しく改良を進めていかねばならない個所等については、そういう車道歩道区分というものを設計上規定するということは、地方道の場合は政令でそれを規制する以外に方法はないものですか。設計上そういうふうな設計でなければ建設省としては認めるわけにいかないというような、行政指導上そういうようなことはできないものかどうか。これは大臣でも局長でもいいですから、御答弁願います。
  14. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま道路構造をきめます一つ基準になりますのは、先ほど大臣も言われました道路構造令でございます。これにはいろいろ道路種類がございまして、一般国道都道府県道または市町村道とございます。また構造的の種類も、大体第一種から第五種というような五つの種類に分けて、それも交通量の多い少ないを考えてやっております。現在のところ、地方で国から補助をもらって道路設計をいたします場合は、やはりこの構造令基準といたしまして設計をして、それに基づいてこちらが設計認可をしておるおる次第でございまして、実はこの構造令そのものも、先ほど大臣が言われましたように、歩道一つについていいますと、やはり市街地について歩道をつけるというような構造令になっております。ただ、今後車も相当ふえてまいりますと、市街地だけではなくて、普通の地方部道路におきましても、車と人との分離、自転車と車の分離というものが必要になってくるというような情勢でございますので、道路構造令にそういう点を早く改正いたしまして、それに基づいて交通の安全が期せられるような道路構造を進めていきたいというふうに考えております。
  15. 井上泉

    井上(泉)委員 国道交通が非常に麻痺しておるというようなこと、それから国道では取り締まりが多いというようなことで、勢い地方道トラックが回る率が非常に多いわけであります。そういう点から、地方の自治体なんかは非常に道路改良を要求されておるわけですが、これは建設委員会論議すべきことだとは思いますけれども、一応この際建設省としては、地方道にかなり重点を置いた来年度の予算編成というようなものを考えていただきたいと思うのですが、こういう点についての御見解大臣に承っておきたいと思います。
  16. 西村英一

    西村国務大臣 あなたの言われる地方道ですが、一般地方道といいましても、大体二つに分けなければならないわけであります。一つ府県道、それから一つ市町村道、これを一般総称地方道と皆さんいっておりますが、府県道のほうは、いま言いましたように、国道をまっすぐ行かぬで府県道に逃げ込んだほうが早いというような場合があって、そういうこともあり得ると思います。しかし、大体御案内のように、国道はだいぶん整備が整いましたので地方道に力を入れておるわけでございます。ことに府県道の場合は、国道に劣らずいま補助事業でずいぶんやっております。あとこれから問題になるのは市町村道でございます。市町村道街路としてやっておるものは相当あるわけです。しかし、これは一般にあまり知られていないのですが、市町村道街路としては相当やっておるのです。しかし、街路以外の市町村道では非常におくれておるわけでございますから、今後は市町村道をも含めて、やはり地方道に力を入れなければならぬと思います。いまは市町村道については、一般的に補助事業でやっておりますが、これに対して市町村からは特別の財源をくれ、こういうような議論もあります。いずれにいたしましても、やはり自動車交通の将来の問題を考えますと、地方道につきましても今後非常に力を入れなければならぬということは御意見のとおりでございまして、これからの五カ年計画の事業費配分等におきましても、相当地方道につきましては考慮をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  17. 井上泉

    井上(泉)委員 交通安全の中で、ダンプあるいは大型トラック、これの事故というものを絶滅する上においては、特に建設省関係建設業者の積極的な協力体制がないと、なかなか目的を達成することは困難だと思うのです。そういう点で、ほとんど大手の建設業者あるいは中小業者にしても、白ナンバーの、俗にいう一匹オオカミトラックを使用しておるのが大半の業者の実態だと思うのですが、そういう点について、せっかくこの大型自動車による交通事故防止云々法律ができたのですけれども、この法律の施行は相当先であるし、さらにはまた速度表示装置、これも実施するのは来年のことであるけれども、この法律の精神を生かすための行政指導というものは、いまからでもできると思うのですが、そういう点で、建設業者の使用するダンプトラック等については、やはりそれが一匹オオカミのものであろうとも、業者が使用する場合には、その責任の所在は建設業者にあるという、建設業者責任を負わねばならないというくらいの、建設省としては強い行政指導をしていただきたいと私は思うのですが、その点についての御見解を承りたいと思います。
  18. 西村英一

    西村国務大臣 御意見のとおりでございます。結局トラック業者、これはやはり土工関係建設業関係が大部分でございます。したがいまして、先般から法律制定をまたずに、積載量取り締まりもやり、あるいはまたスピード違反取り締まり等相当にやらないと困るということで、建設省としてもそれぞれ業者に呼びかけまして、その結果がいろいろな面に出ておるわけでございます。たとえば、五トン車に七トンも積んでどんどんスピードを出して走る。五トン車に七トン積めば能率はいいけれども、しかし、それは事故を起こす原因になります。また、スピードの問題でもそうです。したがいまして、これはやはり私たち運輸省とともに総合的にやらないと、なかなか取り締まりができないわけでありますから、法律制定まつまでもなく、行政上は十分指導をしていきたい。ことに、砂利問題は非常に建設省の重要問題でございます。砂利問題は、結局輸送問題でございます。したがいまして、私のほうでも十分な関心を持って業者にも呼びかけ、また、今後砂利採取に対していかなる方法を講ずるかということは、建設省の一番大きい問題であります。しかし、非常に長い間の歴史的な慣習等がございまして、業者が非常に中小企業であるとか、おのおの一人親方でやってきておる。いままでの指導のよろしくなかったところもございまして、非常に入り乱れておるのでございます。しかし、現在の交通事故から考えまして、また、建設省といたしましては事業それ自身から考えまして、この監督行政あるいは指導というようなことについて十分力を入れなければならぬと思いまして、法律まつまでもなく、監督行政におきましても十分な取り締まりをいたしたい、かように考えておる次第でございまして、現在も実行しつつあるわけでございます。
  19. 井上泉

    井上(泉)委員 もう一点建設大臣にお伺いをしたいのですが、砂利のことで業者なんかからよく聞くわけですけれども、輸送の量が非常に制限された。ところが、やはり砂利輸送単価というものが従前とほとんど変わらない、こういうような話を聞くのですが、そういう事実があるのかどうか。いわゆる五トン車に八トン、十トンを積んでおった当時の輸送単価そのままで設計が計上されているのかどうか、非常に事務的なことですけれども、大臣にその点をお伺いいたします。
  20. 西村英一

    西村国務大臣 そういう取り締まりをやりましたから、砂利業者建設業のほうに非常な値上げを要求したのでございます。建設業のほうは、そんな高い砂利は困る。おそらくトン当たり二千円くらいの高い要求をしまして、あるところでは砂利の提供を拒んだところもありまして、だいぶ砂利業者建設業の間にトラブルが起こりましたが、いまようやく落ちつくところに落ちついているわけでございます。しかし、その上がった値段をすぐ設計に反映させようといってもそうもいきません。やはり先般のトラック取り締まりで、砂利業者建設業と、それから役所設計をするほうと、いろいろな問題があったことは事実でございますが、いま少し落ちついております。しかし、要するに私のほうでは、やはり土建業の非常に大きい部分を占める砂利の問題は、単価をそうむやみに上げて設計するわけにいきませんので、したがいまして、指導としてはいかに能率よく、業者利益を得、建設業もまた利益を得、われわれの工事を発注するほうもある程度の値上げは認めても、そうむやみやたらに認めるわけにはいかないという、その調整点を見つけ出すことでございます。今後相当な期間にわたって公共事業が行なわれる以上は、どうしても砂利というものは非常に多量を要するわけでございますが、その実情がなかなかつかめないのです。しかし、そんなことを言っては申しわけありませんので、私のほうはこの骨材の問題につきましては、一番大きい現在の問題といたしましていろいろな方面から改めて、能率よくやっていこうということを考えておるのでございまして、結局、あなたのお尋ねに端的に申し上げますと、砂利は、従来よりは少し値上がりをいたしておるのは事実でございます。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員 今度は砂利トラについてでありますが、これがずいぶん交通戦争の渦を巻き起こしているわけですが、砂利トラ砂利採取ということに建設省のほうではかなり配慮をしていただかないと、砂利トラの撲滅ということはほど遠いことだと思うわけなので、その点私は、砂利トラの一匹オオカミの人に新たに砂利採取権の免許を与えるとかいうようなことのないように、河川砂利運送をする面については、建設省のほうでも何らかの規制方法を考えていただきたい、こういうように考えるわけですが、この点についての御意見を伺いたい。
  22. 西村英一

    西村国務大臣 実は、砂利業者については通産省法律がございまして、採取業登録制になっておるのです。しかし、河川砂利をとる場合は、その河川管理者認可が要るわけです。したがいまして、河川としては、この川からとってはいけないという河川は指定をいたしておりまするが、その他の河川においては、認可を受ければとれることになっておるわけでございます。しかし、現状といたしましては、河川砂利はもう相当に尽きておりまして、もし河川砂利を希望するならば、相当輸送の遠いところからでないととれないわけです。しかし、それでは砂利は一体どこからとるのか、こういうことになるわけでございまして、業者の方々は、やむにやまれず農地を掘り返してとる。ところが、また農地問題にひっかかってくるというような、いろいろなトラブルがあるわけでございます。したがいまして、私のほうでは、今後河川砂利はどれくらいな供給力があるか、どういう河川からとることを許すか。また砂利の非常にたまっておるところは、とってもらいたいところもあるわけですが、それは遠隔の地なんです。なかなか引き合わないのです。したがいまして、その場合はやはり輸送機関を考えてやる。トラックじゃなしに鉄道を使う。鉄道を使ってやれば、それはあるところに砂利のセンターか何かを置いておいて、そこでもってどんどんリザーブしておいてやるという方法がありましょうし、また、将来はどうしても砕石のほうにいくと思います。山の砕石のほうにいくと思います。しかし、砕石はいまのところ非常に高いのです。したがいまして、これを安くするのには、やはりそれぞれ業者のほうも共同出資をしてやるとか、あるいは国家自身が手を出すとか、何らかの方法を考えなければならぬ。  それから、もう一つ廃物利用でございます。たとえば九州のボ夕山、福岡だけで二千カ所もあります。ボ夕山を、これはほんとう砂利には使えませんけれども、道路等の、ある砂利がわりには使えると思います。また、製鉄所鉱津、これはアメリカあたりでは砂利がわりとして相当に使っておるのでございまして、それらの方法をいまいろいろ検討いたしておるのでございます。  いずれにいたしましても、砂利業者河川砂利をとる場合には、許認可が要りますからそう簡単ではありませんが、一般砂利業者についても、もう少し従来のやり方と変わったように業者指導しなければならぬ。業者指導するのですが、それは登録制でございますから、なかなか指導の手が法的にないわけでございまして、これは通産省がやっておるのでございますが、その他建設省運輸省、あるいは場合によっては農林省というふうに、砂利問題は非常に複雑性を持っておりまするが、交通事故そのものからいいましても非常に重大な関係を持っておる事業でありますから、今後も政府は一丸となって、ひとつこれにつきまして行政上取り組んでいきたい、かように思っておる次第であります。
  23. 井上泉

    井上(泉)委員 建設大臣から非常に親切に、詳しゅういろいろと御説明願っておるわけですが、私は、要するに河川砂利採取するにあたって、交通安全という面が十分確保されるかどうかということを、河川砂利採取を許可するにあたっては十分考慮してやっていただきたい。こういう意味における質問でございまして、そういう点で大臣が最後に、砂利交通問題とも関係があるから十分考慮する、こういうお話でございますので、そのことばを信頼いたしますが、ひとつ河川砂利採取するにあたっては、十分な交通安全が確保されるようなルートであるのかどうか、あるいは山で採石する場合にも、そのことによって交通安全の確保されるような措置が講ぜられておるかどうか、そういう点もよく確かめて、建設省の所管に関する限りにおいても、最大限に交通安全に努力をしていただきたいということを要望して、建設省に対する質問は終わりたいと思います。  そこで、今週の週刊新潮を見ますと、「ジャリ戦争海へ」ということで載っておるのですが、乾舷ゼロ、こういうようなことで砂利船がどんどん、どんどん海を横行しておるのでありますが、これは別に交通とどうこうということには直接関係はないにいたしましても、やはり輸送機関による人命尊重という見地から、こういう砂利船の管理というものをどういうように考えておられるのか。これは運輸省のどちらですか、適当な方で御答弁願いたいと思います。
  24. 藤本幸張

    ○藤本説明員 ただいま先生のおっしゃった点についてお答えいたします。  船舶といたしましては、積み荷の点につきましては、船舶安全法に基づきまして、外航船につきましては満載喫水線の制度がございます。これによりまして載貨の限度が定められております。先ほど先生のおっしゃいました砂利船を含めました内航船につきましては、従来こういう制度がございませんでしたが、八月一日から実施するという目途で、船舶の乾舷に関する規則というものを制定いたしまして、順次載貨の標準としての乾舷のマークを表示させまして、これをめどとして載貨運航するというような指導を、八月一日から実施することになっております。
  25. 井上泉

    井上(泉)委員 それで運航を指導することになっておるわけですね。ここに書いてあるのですが、「八月から実施しますが、当分罰則はなし。現場で注意する時のメヤスという程度」、こういうことでは、幾ら舷側にそういうしるしをしても、これは別に何もならぬじゃないですか。
  26. 藤本幸張

    ○藤本説明員 先生のおっしゃるのはごもっともでございますが、急激に実施いたしますと非常に混乱を生じますので、順次実施いたしまして、最後の状態におきまして十分な規制が行なわれるというような状態にしたいというのが方針でございます。
  27. 井上泉

    井上(泉)委員 混乱が起こると言っても、この写真にも載っておるとおり、もう舷側と海とが対面状態です。そんなに積んではいかぬ、これだけしかおまえの船は積む能力がないからこれしかいけないという、こういう規制をすれば、別に混乱も何も起こらぬじゃないですか。何が混乱が起こるのですか。
  28. 藤本幸張

    ○藤本説明員 現在砂利船は二千隻ございまして、運航あるいは作業中のものもございますので、これを一度に集めまして乾舷を表示するというのは非常に経済的に混乱を起こす、こういうことでございます。逐次乾舷を検査のつどつけていく、それを守るように指導するということでございます。
  29. 井上泉

    井上(泉)委員 船だから、これは積載トン数もあると思うのですけれども、積載トン数をオーバーしたものについて別に規制はないのですか。この砂利船については積載トン数の制限はないのですか。
  30. 藤本幸張

    ○藤本説明員 積載につきましては、現在罰則はございません。
  31. 井上泉

    井上(泉)委員 どんな船でも何トン積みということがあるでしょう。だから、砂利船にはトン数の制限はないかと言うのです。
  32. 藤本幸張

    ○藤本説明員 ありません。八月一日から乾舷マークをつけて指導するということになっておりまして、制限はございません。
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 それじゃ砂利船は、百トン積もうが二百トン積もうが、どれだけ積んでも積載トン数の制限はないのですか。
  34. 藤本幸張

    ○藤本説明員 ございません。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 それは、そういうことをする必要がないと認めて、砂利船については、この船は何トン積みだとかいう規定がないのですか。どういう関係でこの砂利船にはないのですか。
  36. 藤本幸張

    ○藤本説明員 いままでは何トンまで積めという規制はございませんでしたが、そういう海難とかいうものがあとを断ちませんので、そういうものを防止するという意味におきまして乾舷マークを表示して……。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 それは何べんも聞くのですよ。船には何トン積みということがどんな船でもあるでしょう。ないですか。
  38. 藤本幸張

    ○藤本説明員 船によりまして何トンまで積めるという限界はございますが、何トンまで積まなければならないということはありません。砂利船に関してでございます。
  39. 井上泉

    井上(泉)委員 砂利船だけ何でそういう特例を設けたのですか。普通機帆船でものを運ぶのに、これは何トン積みだ、六十トン積みだ、百トン積みだ、二百トン積みだ、一万トン積みだ、こうあるでしょう。砂利船だけなぜそういうふうなことにしたのですか。
  40. 藤本幸張

    ○藤本説明員 もとへ戻りますけれども、従来百五十トン以上一の船舶につきましては満載喫水線というものを設けまして、ここまでしか貨物は積んではいけない、こういうようになっております。それを今度、大体トン数で百トンまで拡大いたしまして、百トン、二十四メートル以上の船につきましては満載喫水線をつける、こういうことにたっております。そして内航船につきましては、いわゆる小型の船につきましては乾舷というものを表示して、ここまで積んだら安全であるという表示をさせるというように、八月一日から実施することになっております。
  41. 井上泉

    井上(泉)委員 それは何べんも聞いたのですけれども、大体この船は何トン積みだ、五トン積みだ、十トン積みだ、百トン積みだとか、船には全部船のトン数で規格づけておるでしょう。砂利船だけ何で規格づけされないのか。それが今度舷側に表示する、こう言うのですけれども、私はそのことを問うておるのじゃないのです。なぜ当初からそうしなかったか。これは運航の許可も何も要らないですから、井上なら井上砂利船を建造して、砂利船に百トン積もうが二百トン積もうが、一ぱいに、海面すれすれに砂利を満載してもかまわない仕組みになっておるのですか。大体やはり砂利船でも、船舶運航の許可か何か要るでしょう。
  42. 藤本幸張

    ○藤本説明員 先生のおっしゃるとおり、従来は野放しで積んでおったのでございますけれども、それでは非常に危険でございますので……。
  43. 井上泉

    井上(泉)委員 野放しで積んでおったのはわかるけれども、野放しで積めないように、この船は何トン積みだという運航の許可か何か要るのじゃないですか。それをつくったときに要るでしょう。砂利船の場合に要らないのですか。
  44. 藤本幸張

    ○藤本説明員 運航許可につきましては、私の担当でありませんので、ちょっとわかりません。
  45. 金丸信

    ○金丸政府委員 私は、技術的なことは全然わからないわけでございますが、ただいま先生のお話を承っておりまして、私も実はこの間週刊誌のあの非常にあぶなっかしい写真を見て、これは運輸省関係だなということを直感いたしたわけでございます。ただいまの検査官の答弁は、検査官もこういうところに来て答弁がなれておりませんから、先生の質問の要領がなかなかわからないと思うわけでございますが、私は、先生のおっしゃることはまさにこれは何とかしなければいけない、また当然、何トンで喫水ここまでは積んでいいが、これ以上は積んではいけないということがあってしかるべきだと、こう思うわけでございますが、私もその詳細はつまびらかにいたしておりませんので、本省に帰りまして相談して、次回の委員会で回答いたしたいと思います。
  46. 井上泉

    井上(泉)委員 砂利船がだんだん大型化していく。二千トン、三千トンの砂利船をどんどんつくる。二千トン積もうが三千トン積もうが、そういうことが無制限のままでいかれると、そこにたいへんな人命軽視の事業というものが行なわれるわけですから、いま金丸次官の答弁を了として、この砂利船の運航監理、こういう問題についてはもっと積極的な取り組みをひとつお願いをし、そうしてまた次の委員会では、ぜひこの点についての政府当局の今後の処置を承りたいと思います。  私、きのう海難事故の問題、つまり海上交通の問題で質問しようと思っていろいろ勉強しておったところで、ふと夕刊を見ますと、定員の二倍を乗せた観光船が転覆をして三十九人が海中に放り出された、こういう記事が載っておった。この間は石川県かどこかあっちのほうでもそういう事故があったわけですが、大型トラック交通安全に対する施策なんかにしても、ずいぶん新聞からも批判をされて、いわば委員会も世論で突き上げられてあの法案が出たようなかっこうですが、砂利トラにしてもいまの砂利船にしても、そういう問題点があるわけなので、そういう点で行政の当局者がもう少し熱意を持って対処していただけば、私はもっともっと事故を防止することができると思います。こういう定員の二倍を乗せて観光船が転覆するという、この定員の二倍乗せるということについても、これもいまの砂利船と同じようなことで、定員は百人ときめてあるけれども、二百人乗っても、これについては罰則も何もないというのですか。
  47. 松井和治

    ○松井説明員 お答え申し上げます。  旅客船の場合には、海上運送法によりまして、免許または許可を得て事業を行なっておりますが、その事業者が、もしかりに、先生の御指摘のとおり定員を越えて客を乗船せしめたという場合には、これは船舶安全法の違反に当たりまして、その船舶安全法の違反を犯しました事業者に対しては、海上運送法上の免許の取り消し、または営業の停止の処分が科せられることになっております。それから船舶安全法におきましても、その船主に対しまして、船舶の航行の停止処分あるいは罰金の処分等がございます。
  48. 井上泉

    井上(泉)委員 この志摩半島の観光船は個人経営の五トン未満で四・九トン、定員二十二人、これはどういう定期船としての許可をもらってやっておる船ですか。どうですか。
  49. 松井和治

    ○松井説明員 本件につきましては、昭和三十五年に許可を受けました不定期の事業者でございます。しかも、この事業者はその航路におきまして、三月一日から十一月一ぱいまでという季節的な運航の許可を得て行なっておる不定期の事業者でございます。
  50. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、これは単に志摩半島のこういう事故だけでなしに、ほかにも多くあると思いますが、大体こういう個人経営の観光船というものはどれくらいあるのですか。四・九トン、五トン未満の許可を得ておる観光定期船というようなものは。
  51. 松井和治

    ○松井説明員 ただいま国内で、航路の数で申し上げますと、定期、不定期全部合わせまして千九百の航路がございます。このうち船舶が五トン未満の小さな船を使って行なっております航路が五百六十八、約四分の一ございます。
  52. 井上泉

    井上(泉)委員 この海上交通の安全について、保安庁のほうから「海上保安の現況」というのをいただいておるのです。これは保安庁のほうで出しておるのですが、いま日本の内海航路で一番ふくそうしておるという場所は瀬戸内海だと思うのですが、瀬戸内海では常時どれくらいの船が航行しておるのか。その点、これは保安庁の「海上保安の現況」の中にも載ってないので、あるいはそういう資料を整えていないかもしれませんけれども、やはり日本の海上交通の中での瀬戸内海あるいは東京湾、こういうところは私は一番重要な個所だと思うのであります。特に瀬戸内海の交通安全という面から考えて、瀬戸内海では一体どれくらいの船が常時動いておるのか、ひとつわかっておれば説明していただきたいと思います。
  53. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 瀬戸内海全般につきましては、御承知のように非常に複雑な交通状況でございまして、先生の御質問に十分お答えすることが、ただいまのところではできませんが、ただし、御承知のように瀬戸内海は東西通じまして出入口がきまっております。東におきましては、友ケ鳥水道とか明石海峡、それから西では豊後水道あるいは関門海峡、そののど首はわかっておりますので、そののど首の一口の通行量をはかれば、一口のその袋の中に入る船舶の交通量というものが洞察されると私たちは思っております。そういう意味で、先ほど先生おっしゃいました、私たち海上保安白書の九一ページに、主要狭水道等の船舶交通量という数字を提示しているわけでございます。私たちが調べましたところで、一番ひんぱんな交通量のありますところは明石海峡でございまして、これが大体千二百隻から千五百隻一口に通っております。また、瀬戸内で一番むずかしい、狭隘な水道といわれております備讃瀬戸でも、千隻以上の船が一昼夜に交通しておるというような状況でございまして、それから数推して御想像をお願いしたいと思う次第でございます。
  54. 井上泉

    井上(泉)委員 それは紀伊水道、明石海峡、こう出ておるのですけれども、実際は今治とか、あるいは高浜とか、あるいは坂出とか、向こうのほう、これの交通量というものはたいへんなものだと思います。その袋の中の交通量が一体どれだけあるのかということをお尋ねしておるのです。
  55. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 ただいま手元にその資料を持っておりませんが、この正確な数字はなかなかつかみ得ないので、私たちもいま困っておるわけでございますが、昭和四十三年度で瀬戸内海におきます交通実態を正確に、ただいまおっしゃいましたようにのど首だけではなくて、中のものも正確にはかるために、電波測定機を使ってはかる計画で、四十三年度に予算計上しておりますが、それにいたしましても、ただいま先生のおっしゃいました御質問にお答えするに十分な資料を現在持ち合わせておりませんので、後日資料をもってお答えしたいと思います。
  56. 井上泉

    井上(泉)委員 瀬戸内海を運航する定期旅客船にしても、相当量あるわけです。それからフェリボートにしても、そういうふうなものはやはりそれぞれの船会社であるのじゃないのですか。定期船で許可するときには、この汽船会社は何隻でどういう航行をする、何隻でどう航行するというふうにちゃんと、これは自動車よりも数が少ないのですから、もっと掌握しやすいのではないのですか。どこが一体船は掌握するのですか。これは一体そういう船を掌握、管理する部局は運輸省のどこですか。
  57. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 旅客船等につきましては、海運局のほうで完全に掌握されておると思います。私のほうでも、交通安全確保上のたてまえから、たとえば地域的におきましては、宇野−高松間においてはフェリボートが一日に二十回往復するとか、そういうようなことはわかっておるのでございますが、御承知のように、漁船も含めました瀬戸内海の交通全般にわたりますと、直ちにお答えすることができない。だからそれらに関連いたします資料も、あわせて後日出させていただきたいということでございます。ただし定期船等につきましては、こちらにその関係の方がいらっしゃるようでございますので、後刻……。
  58. 松井和治

    ○松井説明員 ただいま定期船の関係のお話が出ましたが、定期船は、もちろん先生の御指摘のとおり事業の免許の際に、使用船舶並びに運航回数、さらに運航時刻まで事業計画に記載せしめまして免許を与えるわけでございますので、瀬戸内海におきます定期船関係につきましては、一日にどのくらいの大きさの船が何回運航しておるということについての資料は、はっきりいたしております。ただ、残念ながらただいま手元にその数字を持っておりませんので、本日ここでお答えすることはできかねますが、後日資料を提出するときには、定期船に関しては、確実な数が御報告できると思います。
  59. 井上泉

    井上(泉)委員 定期船はあなたのところでわかる。ところが、定期船以外の不定期船、それからその瀬戸内海を運航する一般船舶、そういうようなもの全体を運輸省のほうで掌握しておるのは、海運局なんですか、どこですか。
  60. 鈴木登

    鈴木説明員 海運局の内航課というところでございます。実は、われわれのほうで貨物船につきまして、全部登録届け出ということで受け付けておりますが、それで見ますと、神戸のほうに在籍しております船が約千三百隻、中国地方に在籍しております船が三千八百隻、四国地方に在籍しております船が約三千四百隻、全体を合わせますと約九千隻、百四十万トンということになっております。  ただ、この船は全部瀬戸内海を航行しておるのか、あるいは瀬戸内海の外へ出ているのかということにつきましては、何しろ不定期船でございますし、われわれのほうで把握することはきわめて困難になっております。ただ、大体一万隻ぐらいの船が瀬戸内海の周辺に散在しておるのだろうと思われます。
  61. 井上泉

    井上(泉)委員 その船が、ずっと瀬戸内海を中心にした、主としていわゆる瀬戸内海の袋の中で絶えず往来しておるということだろうと思いますが、その船はどういう種類の船があるのか、そういう種類別の資料もあわせて出していただきたいと思います。これは、この「海上保安の現況」を見ても、これから船の往来というものはますますふえる傾向があるわけなんですが、これについての保安体制、交通安全の体制というものは、この中でもいろいろなことが考えられるということだけであって、海上交通の安全を期するためにこういうことをするんだとかいうようなことは全然ないわけです。「海上保安の現況」だからある道理がない。たとえば大型タンカーがたくさん入っておるわけですが、その大剛タンカーが瀬戸内海の中でも、たとえば岡山あるいは広島あたり、あそこらあたりで十万トン、十五万トンの大型タンカーが事故を起こした場合には、一昨年でしたか、釧路で起こしたようなああいう事故を起こした場合には、瀬戸内海の船はほとんど全滅しはせぬですか。そういう大型タンカーの事故が起こった場合には、どれだけ被害範囲が及ぶものか、保安庁では検討されておるかどうか、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  62. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 先生のお尋ねの件につきましては、非常にむずかしい要素がございまして、的確なるお答えはできないと思います。実は、御承知のようにイギリスの西海岸でトリーキャニオン号の事件がございました以後、私どものほうでも潮流、気象等を勘案いたしまして、それらの災害防止訓練を一応やってみておるのでございますが、御承知のように、私たちの経験から申し上げますと、油が流れたならば油の拡散が、必ずしも真円を描いて四方八方に広がるという状況でもないようでございます。これはこの二、三年来タンカー事故がございまして、その事故のつどたんねんにトレースしてみますと、そのときどきの気象、潮汐、ことに風向、風力に左右されることが明らかでございまして、先般もちょっと問題になりました紀井水道におきまして乗り上げましたテキサダ号の事例のごときにおきましても、わずか五、六十メートルの幅で千メートルぐらい流れていくというようなことでございます。そのような経験等から察しまして、瀬戸内にいま一万トンの油が流れて、その影響がどうなるかということにつきましては、その流れた場所、流れぐあい、あるいはそのときの気象、海象によって非常に左右されるのではないかと思います。また、付近の漁場、ことに養殖漁業の実情にも非常に左右されると思う次第でございます。と申しますのは、ちょうど二カ月ほど前に瀬戸内のまん中で九百トンばかりの船が百トンばかりの油を流したのでございますが、たまたま付近に漁場がなかったために、たとえば養殖業等の上顕著なものがなかったために、被害が非常に軽減されたというような実例もございますので、一がいに、定型的にかくあるだろうということは、おそらくだれも申し上げることはできないのではないかと思います。ただし、一万トンという油の量から考えますと、非常にたいへんな、重大な影響があるということは想像にかたくございません。  私たちのその対策といたしましては、まず関係機関との連絡を密にしながら、その被害の拡散を防ぐということでございまして、そのためには、先般東京湾でも一つの訓練をやりましたが、その教訓にものっとりまして、オイルフェンスの確保あるいは急速な展張等によりまして、その被害の拡散を防止したいと考えておるわけでございます。この秋ごろには、東京湾の教訓を考慮しながら、瀬戸内でも実際的訓練を実施したいと考えているわけでございます。
  63. 井上泉

    井上(泉)委員 災害が起こった場合の風とか潮流とか、そういうことは常識ですからね。それによって一がいには言えぬことは常識です。常識ですが、そういう場合には処する完全な対策がない。あなたのほうでも、大型油送船による火災事故が発生した場合、有効に対処する大型化学消防艇が、現在わが国には全然ないと書いてあるでしょう。ないと書いてあるのだから、これが起こった場合にはたいへんなことじゃないですか。これはどう考えられるのですか。ないであなた方は済まされるのですか。
  64. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 先ほども申し上げましたように、大型タンカーの事故におきます対策といたしましては、海上保安白書にも書いてありますように、タンカー事故に基因する火災防止ということが第一に考えられます。また、先ほども申し上げましたようにトリーキャニオン号の実例によりまして、単なる火災防止あるいは火災のための対策のみでなく、油の拡散による被害防止ということも大きな課題である。この二つの問題があるわけでございますが、最初の問題につきましては、御承知のように私たち室蘭でにがい経験をしておりまして、それ以来、大蔵省と再三折衝いたしました結果、四十三年度から大型化学消防艇を逐次建造していくことになっております。第一船が四十三年度に完成するわけでございまして、これは大体百七、八十トンくらいの消防艇でございまして、約十五メートルくらいの高いノズルを持ち、二十万トン以上のタンカーに対しても消火活動ができるような仕組みになっておるわけでございます。  それからもう一つ、拡散防止対策につきましては、先ほど申しましたように東京湾の訓練の教訓によりまして、まずオイルフェンスの現有量あるいは現在確保されている場所等の実態を把握して、ときにはそれらを集約するというようなことを、今後はっきりきめておきたいというような対策を考えているわけでございます。
  65. 井上泉

    井上(泉)委員 こういうように海上保安の中でもずいぶん問題点指摘されておるのです。これは政務次官ももちろん運輸省関係ですからごらんになっておると思うのですが、やはり海上交通の安全を確保する面において、これだけ海上交通量がふくそうし、そしてまた陸からトラックが追い出されて海上輸送に転換する、その転換するのに対しても、いまの砂利船のように、全く無制限、無法のままに放置されておる。こういう状態にあることについて、海上交通の安全について、政府としてどういうふうな御見解をもって対処されようとするのか、その点についての御意見を承っておきたいと思います。
  66. 金丸信

    ○金丸政府委員 日本経済の発展によりまして、非常に海上交通もひんぱんになってまいったわけであります。そういう面で、実は先般衆議院の運輸委員会では浦賀水道の視察に行ってまいったわけでありますが、本省といたしましてはこの問題につきまして、陸に道交法があるというような立場から、海上交通法というようなものがあってしかるべきではないかということで、検討すべきであるという大臣からの指示がありまして、現在この問題について検討をいたしておるわけであります。先生お話しのように、陸ばかりが交通対策じゃなかろうと私は思うわけでありまして、人命の点からいえば陸も海も同じでございまして、そういう面で、先ほど総務長官から一応陸の問題についてお話もあったわけでありますが、私は速急に陸と同じような考えのもとに海上交通安全という問題に対処すべきである、こう考えておる次第でございます。
  67. 井上泉

    井上(泉)委員 政務次官は政治家ですから、そういう気持ちを率直に表明されるわけですけれども、やはり行政を担当しておる者がそういうことについての熱意がないと、国会論議をされてやっと法律ができ、法律ができたとたんに自分たちでかってにできる省令をつくる。ほんとうに身がってな役人のやり方だ、こう私は思うわけです。しかし、その身がってなことでも国民のためにいいことなら私どもは認める。ところが、砂利船なんかの場合は、これはやろうと思えばできるはずだと思うのです。どんな船でも船舶規制というものがあるはずで、船はなかなかむずかしいように私は聞いておったのですけれども、これほど船の管理がルーズだということを初めて認識したわけです。これは自分の不勉強をさらしたような結果になるのですが……。  そこで、これは瀬戸内海だけではなしに、東京湾内にいたしましても、石油の輸送船あるいはLPガスの輸送船というのがずいぶん走っておるわけです。これなんかは別に規制はないのですか。
  68. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 危険物搭載船に対する規制といたしましては、危険物運送貯蔵規則というものによりまして、搭載する過程におけるいろいろな規制がございます。ただし危険物、たとえば揮発油とか、LPGとか、あるいは弾薬等の危険物を積んでいる船がもしあったといたしましても、そういう船が通行する上においての規制は現在ないわけでございます。それで今後の問題といたしましては、現在非常にふくそうしている海上交通事情からいたしまして、秩序ある交通体制を整える必要がある。ことに狭水道等におきましてはその感がするわけなのでございます。そういう意味におきまして、ただいま政務次官からお話がありましたように、海上交通法を制定いたしまして、従来は港内しか規制されていなかった各種の規制事項を、広く必要な水域に広げていって、一種の海上交通秩序を維持していきたいというねらいで、現在海上交通法を、通常国会に提出する目標で鋭意勉強しておる次第でございます。
  69. 井上泉

    井上(泉)委員 それはあなたのほうで立案されておるわけですか。
  70. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 さようでございます。
  71. 井上泉

    井上(泉)委員 それをこの年末の通常国会に提案されるということは非常にけっこうなことですから、ぜひそれについての成案を早くまとめていただきたいと思うのですが、そういう法律ができるまでは、省令なりあるいは政令なり、何にも対策は出ないですか。
  72. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 厳格な意味におきます規制はできないと思います。ただし、特定水域航行令というのがございまして、これは政令でございますが、それによって海上衝突予防法第三十条の例外措置といたして、一種の航法における規制はできます。現在一部やっておるのでございますが、たとえば備讃瀬戸あるいは来島海峡、釣島水道、その他掃海水道等におきましては、特定水域航行令に基づきまして衝突予防法の第三十条の特例としての航法規制をやっておるわけでございます。たとえば浦賀水道等におきましても、この特定水域航行令を適用するように措置すべきでないかという意見が非常に強いのでございますが、しかし特定水域航行令なるものは予防法の第三十条の航法の特例としての規定でございますので、先ほど来から問題になっている海上交通安全確保のための各種案件は、全部まかなうことができかねるわけでございます。それで、そういう臨時的な措置よりも抜本的な制度を策定したいというので、仮称でございますが、海上交通法をつくっていきたい。道路におきます道交法に匹敵する海上交通法を制定したいという念願のもとに、先ほど申しましたように、通常国会に目標を置いて鋭意成案の立案中でございます。
  73. 井上泉

    井上(泉)委員 その海上交通法をつくられ、それがかりに四十三年の通常国会で可決成立を見ても、結局実施するのは四十四年になるわけです。四十四年になるということは、いまの船舶の増加の状態、海上交通のふくそうの状態から見て、これはまた実際それだけおくれるわけです。これは前段の話に戻るのですけれども、たとえばダンプ、大型トラックの暴走の防止をするには、速度表示装置をつけるというような措置をしなければならぬ、法律的な手続をしなければいかぬといえば、とたんにできるでしょう。あなた方の頭をもってすれば、それができないはずがないと思う。場合によっては、非常に酷な取り締まりもするし、あなたらの頭、あなたらの法律を運用する能力をもってすれば、幾らでも法を活用する道がある。そういう道を研究されるのが行政官としての任務ではないかと私は思う。法律をつくるのが役人の仕事ではないわけです。また、法律ができても実施されるのは二年先になるのですから、二年の間許されるのか。ことしあたりは観光ブームで、島めぐりがブームになっておる。そうすると、三重県の志摩半島にあったような、五トン未満の船に定員以上たくさん積んで事故を起こすことがある。これは志摩半島にあっただけじゃなしに、瀬戸内海でも、裏日本でも、どこでも起こると思う。そういうふうなことについて当局のほうが積極的な手を打たないと、これは海上交通法をつくってもだめだと思うのです。現在でも守られていないのです。だから、十何人しか乗せられない観光船が、二十何人乗せるとか三十何人乗せるとかいうようなことが平気で行なわれておる。そういう取り締まりはされておるのか。大体旅客船の事故があると、定員を何人オーバーしておったかどうかということでずいぶん騒がれるが、ふだんこれをやっておるのか、その点について。
  74. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 先生のいまお尋ねの件につきましては、私たちは与えられた船艇、航空機並びに人員をもって、十分取り締まりをやっておるつもりでございます。最近旅客船の事故は、かつての頻発したころに比べまして激減しておることも、私たち並びに関係官民の努力によるのではないかと思いますが、しかし、昨日の和具港におけるような事件も起きるわけでございますので、今後一そう取り締まりを強化したいと思います。また、私たち夏季期間におきましては、毎年海難防止月間を設けまして、ことに重点を定員超過あるいは乗組員の資格問題等につきましてやっておるわけでございます。しかし、こういう事件が起きますので、なお一そう念を入れていきたいと思います。  それから、先ほど、交通法ができるまでどうするのだとか、何かいい措置があるのではないかと言われたのでございますが、それにつきましては、人の権利義務に関係するようなことは、根拠になる法律等がないとどうしても強行するわけにはいかぬのです。ですから、私たちのほうの行政指導によりまして自主的な調整をやって、交通秩序を保っていきたいというようなことでいま立案しております。たとえば、浦賀水道におきます交通秩序をはかる上におきまして、現在は一応経済要求によりまして、船は自由かってに通っておるわけでございますが、大型船、ことに大型タンカー等につきましては、交通のふくそうしない時間帯を見つけまして、その時間帯に浦賀水道を出入港するという体制が必要ではないかというようなことで、私たちのほうからそういう案を関係の機関に提示いたしまして、それによって運航してもらうというような、これは一つの例でございますが、そういうようなことから、もし実施のできるものは、お互いの安全のためにやっていこうじゃないかというようなことでやっておるわけでございます。そういうようなことを事実上拡張していきまして、海上交通法の実体的な内容を、お互いの申し合わせによりまして自主規制するように進めていきたいと思っておる次第でございます。
  75. 井上泉

    井上(泉)委員 日本は島国ですから、島から島へ巡航船なんかもずいぶん通っておるのですが、特に学童の輸送に従事しておる船というものもずいぶんあると思うのですが、そういう面についての安全確保ということについて、運輸省は何か措置されたことがあるのか、通達なり何なり、あるいは点検をするとかいうようなことをされたことがあるかどうか、されたとするならばどういう状態なのか、学童の海上における通学は、安全な輸送管理のもとに行なわれておるというふうに調査の結果がなっておるのかどうか、御説明を受けたいと思います。
  76. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 私の知っております限りでも、先ほど申されました学童を輸送する船の問題につきましても、あるいは今回のような遊覧船の超過定員の問題につきましても、毎年のごとく通達を出しております。また、管下の私たちの機関を通じて十分取り締まりをやっております。また、学童等の問題につきましては、私の記憶によりますと、文部省あたりからも十分関係方面に通達も出ておると思います。したがいまして、学童の問題につきましては、最近ほとんど事故もございませんし、的確に処理をされておると思います。また、私たちの管下の機関の報告によりましても、それらの問題については、現在全然問題がなく、円滑に、安全に処理されておるように報告を受けておる次第でございます。いつもこういう事故があるたびに、まことに悲しいことではございますが、あらためて通達を出す、通達の上に通達をするというようなことをやっておりますので、その点は私たちも手抜かりなくやっておるつもりでございます。
  77. 井上泉

    井上(泉)委員 学童の海上における通行が安全に確保されておるのかどうか、それから、現在そういうふうな船をどれくらいの学童が利用しておるのかどうか、そういうような資料を、次の会までにひとつ出していただきたいと思います。これは私、幾ら問うてもきりがないのですけれども、次の機会に、もっと海上交通のことについてはお伺いをするわけですが、政務次官に最後に、この海上交通のことについていま一度御見解を承っておきたいと思います。  海上保安庁の救難監の方が窓口海上交通法がつくられるというのですが、海上交通については、運輸省には船舶局とか海運局とかいろいろ機構があって、とても私どもしろうとにはどこの所管かわからないし、法律なんかもずいぶんたくさんあるので、なかなかしろうとにはわからないわけです。要するに、海上交通法というものが国民のだれにでも理解できるような法律として制定される必要があると思うのです。あまりむずかしい形で法律制定されるのではなしに、国民だれにも理解されるもの。特に船乗りのような独特な知識というか、経験を持って運航しておる人等についても、よくわかるような交通法をつくってもらいたいと思うのですが、この点について政府の御見解を承っておきたいと思います。
  78. 金丸信

    ○金丸政府委員 これは船員ということばかりでなくて、日本の法律は非常にむずかしく日本字を羅列しておるわけでありますが、これを解釈するのはなかなかむずかしいという面は、どの法律でもあろうと私は思うわけでありますが、法律を守るのは、法律に従って行動するのは国民でありますから、国民にわかるような簡易な方法をとらなければならぬということは、当然のことであろうと私は思うわけでありまして、そういう面から、この海上交通法という問題につきましては、先ほど来いろいろお話しになられましたとおりでありまして、政府は来国会には間違いなく出す方途を講じていきたい。この関係海上保安庁の関係でありまして、私も政務次官をいたしてはおりますが、海上保安庁のどこでやるのか、どういうようなところでどういうような立案をするかということは、私もつまびらかでないわけでありますが、長官とよく連携をとりまして、皆さま方に満足していただけるような法律を策定してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  79. 井上泉

    井上(泉)委員 海上交通の安全についていろいろ質問したい点がまだたくさんあるわけですけれども、私運輸省のどこにどの問題を質問してよいのかわからない点がたくさんあるので、そういう点はあらためて勉強して、次の機会に海上交通についての質問をいたしたいと思います。  最後に、総理府宮崎調査室長お尋ねをするわけですが、議員立法でできたこの二つ法律を施行するにあたって、現在、これが可決されてからまだ半月ぐらいしかたっていないので、どういうふうになっておるのかというふうにお尋ねするのは無理かとも思うわけですけれども、緊急な課題の問題でありますので、かなり意欲的には取り組んでおられると思いますが、一応この法律が可決された以後における総理府としての進め方の内容を御説明願って、私の質問を終わりたいと思います。
  80. 宮崎清文

    宮崎政府委員 二つに分けて御説明申し上げます。  最初に、先に成立いたしました通学路に係る交通安全施設等の整備及び踏切道の構造改良等に関する緊急措置法の、成立後の政府のとった処置でございますが、この法律につきましては、昨七月三十一日に公布いたすようにしております。ただ、官報が号外になりますので、官報に掲載されますのは、あるいは若干おくれるかとも存じますが、一応七月三十一日に公布いたすことにいたしております。したがいまして、この法律が公布されますと、直ちに市町村段階におきまして、通学路の交通安全施設の整備計画、あるいは踏切道の構造改良等に関する計画を立てなければならないことになりますので、市町村計画、都道府県計画に必要な基準、これは省令でございますが、この省令をあわせて七月三十一日に公布いたすことにいたしております。  省令を簡単に申し上げますと、一つは、通学路に係る交通安全施設等の整備及び踏切道の構造改良等に関する緊急措置法第四条第一項の通学路の基準を定める命令でございまして、これは総理府建設省の共同省令でございます。これをまず七月三十一日に公布いたすようにいたしております。これは、主として市町村計画におきまして緊急に整備事業を実施すべき通学路の基準でございます。それから第二に、同じく通学路に係る交通安全施設等の整備及び踏切道の構造改良等に関する緊急措置法に基づく踏切道の構造改良に関する省令、これも運輸省建設省の共同省令で、七月三十一日に公布いたすようにいたしております。第三に、踏切道につきましては、御承知のように構造改良と保安設備の整備の両方ございますので、同じく保安設備の整備に関します省令も同日付で公布いたすことになっております。  この三つの省令が出ますと、これはそれぞれ安全施設を整備いたしましたり、踏切道の構造改良等を行ないます場合の基準が、すべてこれで定まるわけでございますので、この基準に準拠いたしまして、今後八月三十一日までに市町村計画、九月三十日までに都道府県計画がそれぞれ作成されまして、これが中央段階に上がってまいりまして、十一月三十日までに閣議決定を求める、こういう段階になろうと思います。  なお、この法律におきましては一、二政令事項がございます。一つは、将来市町村に対する補助を二分の一以上三分の二以内でいたすことになっておりますが、このいたし方につきまして政令にゆだねております。それからもう一つは、中央におきます協議会の組織の細部について政令に委任いたしております。  これらの二点につきましては、現在関係各省庁が集まりまして早急に検討いたしまして、できるだけ早い機会にこの政令を公布いたしたい、かように考えております。この政令がどうしても必要になりますのは、都道府県計画が作成されました九月三十日以降になりますので、それまでには必ず政令を公布いたしまして、万事、事務の進行に手落ちのないようにいたしたいと思っております。  以上のほか、事実上いたしましたことといたしましては、これは何と申しましても市町村計画が八月三十一日までに立てられなければなりませんので、非常に急ぎますものですから、この法律が公布される以前に関係省庁、建設省運輸省、警察庁におきまして、すでに各都道府県の担当者を中央に集めまして、それぞれ所要の指示をいたしております。また、総理府におきましても、全般的な問題につきまして近く都道府県あてに通達を出す予定になっておりまして、これらの事務の進行にそごのないようにいたしたいと思っております。  なお、ダンプカーによる交通事故防止等に関する特別措置法でございますが、これは御承知のように、施行期日が公布の日から起算いたしまして六カ月以内に政令で定めることになっておりますが、この法律の公布は現在のところ明八月二日に公布いたす予定になっておりまし七、それから起算いたしますとぎりぎり一ぱいが来年の二月一日になるわけでございますが、法の趣旨等も勘案いたしましてなるべく早い機会にこれを施行いたすとともに、これにつきましては所要政令制定いたさなければなりませんので、そのほうの検討も早急に進めたい、かように考えております。
  81. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 関連。この委員会は、御承知のように交通安全に関する総合計画を樹立する委員会、こういうことで設けられております。いま海上交通の安全についての話がございまして、運輸省のほうから、来国会では、陸上道路交通法あるいは道路運送法、こういうものに匹敵するものを出したい、けっこうなことだと思うのです。そこで、かなり準備が進んでいるものだと思いますので、いずれこの委員会で徹底的に審査をいたしますが、さっきから私が気になってならぬのは、四・九トンの船があるということです。五トン以上でやりますといろいろ免許上の問題がありますので、脱法行為だとは言いませんが、四・九トン以下の船で定期、不定期の輸送をやっておる。しかも、最近学校が統合されまして、島嶼部の学校が本土部に移って、そして船で通学をしている、こういうのが非常にふえてまいりました。しかも、それらの通学の用に欠かすことのできないこうした船が小型の船で、もう満載をして輸送している。こういうのを取り締まっていかなければ、この法律をつくる意味はないと思います。したがいまして、少なくとも定期、不定期の船は五トン以上でなくちゃならぬ、こういうふうな締めつけをしておきませんと、いまのように四・九トンという船が出てくるわけであります。この点について十分ひとつ念頭に置いて法案作成の作業に当たっていただくことができるかどうかということが一つ。  それからいま一つは、さっきからの話でしきりに詰められておりまして、私もあ然としたのでありますけれども、いわゆる海上輸送については積載トン数に制限がない。こういうことから、一年間に百件以上内海でも海難事故が起こっている。自分の象でも火事を起こしますと、自分の家だけ焼けたのであっても罰則を受けます。この間沈みました東邦丸、あるいはその後いろいろ問題を起こして調べられております人々を見ますと、わしの船でわしが沈んでわしが死ぬんだから、事故にも限界があるんだし、安全性は十分考えてやるよ、要らぬことを言うな、こういうふうな気持ちもあるようでございます。しかし、集団の人命を尊重するのも個人の人命を尊重するのも同じであります。そういう意味で、陸上輸送にも積載トン数の制限がございますし、海上輸送にも当然積載トン数の制限を与えていかなくちゃなりません。  ただ、五百トンの船に積んだ砂利輸送するのに、陸のトラックの三分の一の船賃でたたかれている。これではとうてい食えないから無理をするという声も出ております。そこで陸にあります基準料金、船の場合にもそういう基準料金をつくってあげて、業者の立場もしっかり守ってあげるという法律、そういうものをつくり上げていきませんと、あなた方が官僚として申しわけ的に、言いわけ的に、アリバイをつくるような法律なら要りません。そういうことも十分考えてひとつ法律をつくっていただくようにお願いします。  いまたった二点しか申しませんが、この二点について、そういうことを取り込んだ法律をつくるかどうか、金丸さんひとつ御答弁をいただきます。  それからもう一つ、これは通産省がおいでになればいいのですけれども、私は気にかかり始めたのです。一応ダンプの規制をいたしましたが、大体大型五トン以上という理解ですね。私は四・九トンという一匹オオカミが出現しはせぬかということが気になり始めました。もちろん、商魂たくましいということでいいかもしれませんが、交通安全の趣旨からは非常に許しがたいことであります。これらについて、どのようにこれから車をつくる上の指導、こういうものに当たっていくのか、これは宮崎さんのほうからひとつお考えを述べていただきたい。  大体以上です。
  82. 金丸信

    ○金丸政府委員 学童の通学に当たる四・九トンの船という問題につきまして、これを規制しなければ交通安全の基本精神にもとるというお話であります。まさに私もそのとおり思うわけでありまして、ただ、私は法律的な心得がないものでありますから、御趣旨の点は十分くみまして、事務当局にこの問題を検討するようにいたさせ、なおかつ大臣にもよく伝えまして、御趣旨の点を徹底するようにいたしてまいりたい、こう考えておる次第であります。  また、砂利船の問題についても、きょうの事務当局の説明につきましては、まことに不得要領の点が多かったと思うわけでございまして、この点につきましても当然かくあってしかるべきだと私は思うわけでありますから、その点も十分精神を盛り込んでまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  83. 宮崎清文

    宮崎政府委員 御指摘のように、今回成立いたしましたダンプカー等の事故防止に関します特別法において対象といたしておりますのは五トン以上の車両でございます。現在におきましてもごく少数の五トン未満のダンプカーがございますが、その数は非常に少のうございますし、危険性からいっても、五トン以上を本法の対象とされた御趣旨もそこにあるかと考えております。また、ダンプカーの一般論から申しますと、その輸送効率から申しましても、大体大型化するのが通常じゃないかと思われますが、もし先生御指摘のように、この法律の網をくぐるというような意図をもちまして、四・九トンというようなダンプカーを非常につくるということになりますと、これは法律がざる法になると申しますか、そういう危険性もございますので、故意にそういうことが行なわれるかどうかということは、私たちといたしましても、通産省運輸省と十分連絡をとりまして、そういう方向にいかないように十分努力いたしたいと思います。
  84. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 宮崎さん、こういう大型の土砂運搬の車両は、五トン以上ということが法律上明記してありますか。
  85. 宮崎清文

    宮崎政府委員 この法律におきましては明示してございませんが、この法律で引いております大型貨物自動車は、道路交通法第三条に規定する大型自動車を引いておりまして、これが五トン以上になっております。
  86. 登坂重次郎

    ○登坂委員 ちょっと委員長に申し上げます。  このたびの安全二法案は、当委員会の総力を結集し、かつまた行政府の非常な御協力によりまして、国民の感謝するところのりっぱな生きた法律になって、われわれは非常にわが意を得たりと思っているわけでございまするが、さて、しかし法律ができましても、いよいよこれから魂を入れるというのが当委員会の目的ではなかろうかと存じます。  そこで委員長にお願い申し上げたいのは、この法律の施行は行政府にまかせるのは当然であります。しかれどもわれわれは、国民に対する義務を全うする意味におきまして、これが施行を監視する必要があると思います。そこで、委員長におかれてはまことに大儀ではございまするが、今後各省においてこれが実施にあたってはいろいろの計画をお立てになろうかと思いますが、その実施計画について委員長は絶えず御連絡をいただいて、そしてこの法が円満に施行されるよう監督をしていただきたい。行政府のことでありまするから、国会としてはおのずから限度はございまするけれども、われわれも、いろいろ各省庁における実施の状況なり何かは、今後委員会を通じなければなかなか公には知ることができないのでありまするから、委員長においては御苦労でありまするけれども今後の実施状況を、ひとつ委員長という職権と立場において推移を見守っていただきたい。そしてわれわれ理事なりあるいは非行式な委員会において、そのつどそれを御報告いただければ幸いだ、かようにお願い申し上げる次第でございます。
  87. 山下榮二

    山下委員長 御趣旨のほどはよくわかりましたから、事の重大性にかんがみ、あるいは宮崎室長あるいは運輸省等とできるだけ連絡をとりまして、この法律の精神を無にしないように、行政的面で生かしていただくように今後連絡をとっていきたい、こう思っております。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会をいたします。    午後零時二十分散会