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1967-11-10 第56回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月十日(金曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君    理事 谷垣 專一君 理事 渡辺 栄一君    理事 石川 次夫君 理事 岡本 隆一君    理事 稲富 稜人君       伊藤宗一郎君    池田 清志君       吉川 久衛君    高橋 英吉君       丹羽喬四郎君    葉梨 信行君     早稻田柳右エ門君    阿部 昭吾君       井上 普方君    勝澤 芳雄君       唐橋  東君    工藤 良平君       佐野 憲治君    福岡 義登君       八百板 正君    小川新一郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   玉田 茂芳君         経済企画庁水資         源局参事官   宮内  宏君         農林省農地局建         設部長     梶木 又三君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 山口 真弘君         建設政務次官  澁谷 直藏君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省都市局技         術参事官    馬場 豊彦君         建設省河川局長 古賀雷四郎君         建設省道路局次         長       吉兼 三郎君         建設省住宅局長 三橋 信一君         自治省行政局行         政課長     林  忠雄君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     富樫 凱一君     ————————————— 十一月十日  委員廣瀬正雄君、工藤良平君及び渡辺惣蔵君辞  任につき、その補欠として葉梨信行君、八百板  正君及び唐橋東君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員葉梨信行君、唐橋東君及び八百板正君辞任  につき、その補欠として廣瀬正雄君、渡辺惣蔵  君及び工藤良平君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、おはかりいたします。  本件調査のため、本日、日本道路公団総裁富樫凱一君参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願いたいと存じます。
  4. 森下國雄

    森下委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。岡本隆一君。
  5. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 先ごろ建設省は新治水五カ年計画を発表されました。それを見ますと、従来の五カ年計画でもって八千五百億であったところの治水事業費が、二兆一千億に伸びるということでございます。まことにけっこうでありますが、同時にまた、これが多少圧縮されるといたしましても、治水事業が大きく進展するということ、これは非常に喜ばしいことと歓迎する次第でございますけれども、この治水事業の五カ年計画内容を見せていただきますと、ことに昭和四十三年から六十年に至る間の十八年間の治水長期計画というものも同時に発表しておられます。この長期計画というのは、昭和三十八年に発表されました八兆三千億の治水水系計画、これに大体見合うものですね。これに、最近の都市発展であるとか、経済情勢変化、水の需要伸び、多少そういうものを加えて手直しした、こういうふうに私は理解をしているのでございますが、これでようございますか。
  6. 古賀雷四郎

    古賀説明員 岡本先生からお話しになったとおりでございまして、水系計画で八兆三千億を立てた時期におきましては、都市発展とか、いろんな水の事情の問題がまだそれほどまで煮詰まっていない時代でございまして、その後急速に都市発展がまいり、あるいは新しい問題として土石流の問題あるいは干塩害の問題等が出てきております。それらの問題に対処するためにはどうしても必要な措置をしなくてはいかぬということでまとめられたのが二十三兆でございます。
  7. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういたしますと、治水水系計画では大体欧米諸国並み治水事情にまで持っていく、そして、たとえば都市部であるとかあるいは重要な交通路線の水害は全くないようにする、あるいは水田は三十ヘクタール以上の洪水にするような事態は起こさないようにする、そういうふうなところへ目標を置いてやる、こういうことをその当時説明を承ったのでございますが、大体その程度基準まで持っていく、こういうことですか。
  8. 古賀雷四郎

    古賀説明員 大体この前お話し申し上げたとおりでございますけれども、一部におきまして、たとえば水田を守る面積を二十町歩というようなことに押えております。一応の基準としてでございますので、ところによっては、住宅等があればこれは二十町歩以下でも守るということにしてございます。
  9. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そこで、その内容を、各河川事業ダム事業砂防事業それぞれに分類した表を見ますと、治水水系計画を新長期計画と比較いたしまして、河川事業が二・七倍、それからダムが七・二倍に伸びております。これは水需要伸びというもので——一つには流量調節ということもあるでしょうが、治水と利水両方兼ねてダムを行なうように大きく見積もられたということはいいといたしましても、砂防事業予算として見込まれておるのが一・六倍にしかなっておらないのです。そうすると、一・六倍ということになってまいりますと、昭和三十八年の時点から一・六倍より伸びておらないということになって、三十八年から以後の物価建設事業費の値上がりを補正したその程度にとどまるのでございますが、そういうことになりますと、最近の災害傾向が、山くずれであるとかあるいは土砂くずれによるところの災害が頻発いたしまして、うんと砂防事業をやらなければいかぬというふうな、これはもういまの災害防止のための大きな題目に砂防事業がなってきておると思うのですね。それにもかかわらず、近年の災害発生事情を全然配慮に入れておられない、こういうふうに思うのでございますが、この点いかがでしょう。
  10. 古賀雷四郎

    古賀説明員 ダムを特に伸ばしてありますのは、要するに、砂防ダムよりも若干大きい治水ダム、これは中小河川対策の一環としまして洪水調節もやるし、あるいは土砂扞止もやるし、砂防の目的も十分果たせます小規模ダムのことでございます。ダムの大きさとしまして、約百万トンから二百万トンくらいのダムでありまして、当然これは砂防にも兼用できるものでございます。さようなことで、われわれとしましては、水系を調和のとれた形で、砂防ダムあるいは治水ダム、そういったものを全部兼ね合わせて計画しておるわけでありまして、もちろん、先生のおっしゃるとおりに、最近の土石流の被害が非常に大きいので、その土石流に対する対策というものは十分講じなければいかぬと思います。そういうことも考えあわせておりまして、決して片手落ちなことをしたわけではございません。
  11. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 しかしながら、ダム事業というふうに従来のこうした事業費の分類ということになってまいりますと、あるいは砂防ダム砂防ダムとして砂防事業の中に繰り入れておられまして、ダム事業といえば、これは一応治水、利水を兼ねたダムということでありまして、これは従来のダム事業の中に今度は砂防ダムをみな繰り入れるというわけのものでもないと思いますが、その点、局長、少し言いのがれといいますか、うまくかわしておられると思うのでありますが、それで今度発表された新長期計画の中には、いま私が指摘いたしました砂防の組み方は一・六倍。これは物価補正より行なわれておらない。しかも新事態に即すということになると、最近の災害傾向に即応しておらない。だから、このダム事業の中に砂防ダムを相当取り入れていくか、あるいは今後の予算編成の過程の中で砂防事業費をもっと大きく伸ばしていって、そして少なくとも治水の中において占める砂防重要性というものを建設省も認識をしていただきたい、こういうことを特に私は申し上げておきたいと思うのです。  その次に、今度の五カ年計画を見ますと、その基本方針の中に、河川管理は今後河床を下げる方針でいくということが書いてございますが、従来、河床というものはあまり下げると堤防の根が掘れて困るから、河床はある程度維持していくんだ、現在程度よりあまり下げないのだというふうな方針のように承っておったのでございますが、それでは、今度河床を下げる方針でいくということになると、新たに堤防の護岸の根のほうをずっと補強して、従来よりももっともっと河床を下げていく、こういう方針をとられるかのように受け取られるのでございますが、そういうふうな受け取り方でいいのでしょうか。
  12. 古賀雷四郎

    古賀説明員 川によっては河床を下げたほうが堤内地安全度が非常に高くなります。したがいまして、堤内の高さが非常に低くなりまして、洪水に対する安全度が増すという問題がございます。ところが、それをあまり下げますと、今度は堤内の地下水の問題がございます。したがいまして、ここで申し上げている河床低下をはかっていくということは、一方において砂利、砂の需給の状況も考えながら、河川のそういった河床低下をはかれるような河川につきまして具体的に計画を進めてまいりたいということでございまして、現在調査費をつけまして、どこまで河床低下をやったらいいのか、あるいはどれだけ河床低下をやったらどういう支障が出てくるのか、水の問題をどういうぐあいに考えていったらいいのか、それらの問題はただいま調査中でございますので、全国でただいまのところ二十八河川ほど調査いたしております。まだ具体的な、河床低下をこうはかるべきであるという結論を出した川はございませんが、今後逐次出していくつもりでございます。ことしじゅうに十数本程度はまとめる予定にしております。
  13. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ケース・バイ・ケースでいきたいというふうなことのようでございますが、この五カ年計画を読みますと、「治水全体計画基本方針」という項の中に、「洪水処理および河川開発計画」の中で、「計画内容のうち河川改修計画については、積極的に河床を下げる方向で検討し、」こういう表現がしてあるのです。積極的に河床を下げる方向でやっていくということになってまいりますと、農業用水との調整が非常に問題になってくると思います。最近でも河床が下がりまして——これは砂利の取り過ぎとかいうこともあるでしょうが、しかしながら、わりあいに河床を下げる方針が従来ともとられておりまして、そのために農業用水取り入れが非常に困難になってまいっております。しかも今後さらに積極的に河床を下げる方針をとるということになりますと、一そう農業用水取り入れが困難になりますが、その場合に、それでは農業用水を人工的に揚げるとか、あるいは取り入れるとか、揚水するとか、あるいは井ぜきをつくるとかいうふうなことになってまいりますと、これは農民が相当負担しなければならない。それを、河川管理都合でもって河床が下げられ、農民の側は、井ぜきをつくったり揚水ポンプを据えつけたり、それでもって負担はふえてくるということになってまいりますと、これは河川管理変化によって非常に農民は大きな経済的な影響を受けるということになってまいると思うのでありますが、そういう場合には、河川のほうでそういうふうな農業用水取り入れというものについても責任をおとりになるのかならないのか、その辺を承りたい。
  14. 古賀雷四郎

    古賀説明員 同じく河川開発計画の二十二ページのところをごらんになったと思いますが、一番最後に、「合口堰等を積極的に計画する。」ということが書いてございます。したがいまして、われわれとしまして計画的に河床低下する計画河川に立てたとすれば、河床低下計画であるわけでありますから、当然それに伴う必要な問題は解決するつもりでございます。
  15. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それを承りまして、今度——これは局長としては重要な御発言でございますが、農林省から来ていただいていると思いますから、お伺いいたします。  いまのように、河川局からは、今後河川管理の必要から河床を下げた場合には川のほうで責任を負うということでございますが、そうすると農林省のほうも、そういうふうな面では——一応それは農林省が金を出しても、建設省が金を出しても、出るのは国ですから同じです。だから、直轄河川の場合には、河川事業としてやればこれは全額国庫でやってもらうということになりますが、今後はそういうふうな場合には農民負担を全然かけない形でもって農業用水の供給ができるような施設をつくる、こういう方針農林省のほうでとっていただけるでしょうか。
  16. 梶木又三

    梶木説明員 ただいま河川局長からお話がありましたように、治水計画ではっきり取水が困難という場合には、おそらく建設省のほうでやっていただけると思うのですが、一般の場合農業取水が困難になったという場合は、原因がなかなかはっきりしない——しないというよりは、いろいろな原因組み合わせによりまして取水が困難になっておる、こういう状態と、施設が老朽化しましてそのために入らないというような原因組み合わせになっておる。ですから、一がいに農民負担をかけずに全額国庫と申されましても、これは困難ではなかろうかと考えております。
  17. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 これはいろいろな要素が個々の場合には入ってまいりますから、どれが一番大きなファクターを占めているかどうかということについての判定の困難な場合もありますけれども、しかしながら、大ざっぱに見て、現在では、たとえば砂利の採取を河川のほうで許可するとか、あるいはまた、通水をよくするために河床を下げていくというようなことで、いまだんだん河床低下して農業用水取水が困難になっているということは至るところに起こっているわけなんです。例を木津川にとれば、いま農林省調査していたかいておりますが、木津川統合用水——とにかく水が取りにくくなったという現象形態は、これは確かに農家が困る、だからひとつ統合用水をつくってやろう、しかし、そのためには、大きな事業だからおまえたちも金を持つのだぞ、五万円負担するのだぞ、こういうようなことでいま計画が始まっているようであります。しかしながら、事情を分析していけば、従来の河床がずっと二メートルも三メートルも下がってしまう。これはやはり砂利を取ったからです。しかも大阪の河口方面で大きな船でもってぼんぼこぼんぼこ盗掘といいますか、業者が乱掘をやっておる。そうすると、川下の河口でどんどん砂利乱掘をやれば、上のほうは洪水のために流れていきますから、河床はひとりでに下がるのです。だから、いま河川管理の怠慢といいますか、ずさんといいますか、そういうことも影響し、同時に、建設省のそういう方針もあるかもしれませんが、河床がぐっと下がってきて水が取れなくなった。だから、取れるようにしてやるからということで、いま統合用水計画意見が出てまいりました。なるほどそれは農林省調査中でございます。しかしながら、五万あまり負担がかかるということになってまいりますと、その農家の中に相当反対が出てまいっておりますし、ことに高山ダムができて今後一そう砂利が取りにくくなる、だから河床低下が将来一そう強くなるということが予想されるのも加えて、それに対する対策として立てられておるところのこの統合用水に対して、何で農民負担しなければならないかという声が相当出ておるわけです。だから、そういうふうなことよりも、現在の情勢でありますと、かりに計画そのものが立ちましても、農民全体の協力を得るということが相当困難ではないかというふうな情勢です。そうすると、それならほっておいたらいいじゃないか、農民が賛成せぬから統合用水ができなければ、水が入らなくてもしょうがないというわけにもいかぬと思うのです。だから、そういう場合、もう少し手っとり早い道で用水取水ができるようにすべきではないかと思うのです。そのためには、やはり木津川にも井ぜきをつくっていったらどうか。たとえば桂川に最近二本井ぜきができましたが、同じような井ぜきをつくっていったほうがいいんじゃないか。井ぜきをつくって水を引いてやれば、その水位が上がりますから地下水の枯渇も防げますし、また、沿岸の各町村の用水——だんだん都市化してきますから、水道用水とか、そういうふうなものにもそれが役に立ちますから、井ぜきをつくってもらいたいというふうな声も出てまいっておるのでございますが、統合用水としてどこまでもやっていかれるおつもりか、あるいは、もう一ぺんこの井ぜきで考えてみようかというふうなことも、いまやっておられる調査の中へ入れて考えてみるというふうな方針農林省でとっていただけますかどうか。
  18. 梶木又三

    梶木説明員 先生仰せのとおり、現在の計画そのものが井ぜきになっております。もちろん、頭首工をつくる計画にしております。
  19. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 瓶原のうんと上流に井ぜきをつくって、そして長い水路をつくってというのが、いまのあなたの言われる井ぜきなんですね。私が言うのは、それよりも下流三つ四つの井ぜきを途中につくることによって、その小地域小地域——統合用水のように沿岸の両方へ一本の井ぜきでもって非常に広範囲に水を配るというのでなくて、それを三つ四つに分けて小さな井ぜきをつくるという考え方をも同時にその調査対象に入れられないかということを私は言っているのです。
  20. 梶木又三

    梶木説明員 水が少なくて、一カ所で取り入れいたしまして、そこではまだ水が不足だ、なお下流区間流量も使いまして水を補わなければいかぬ、こういう場合には、仰せのような、何カ所にも井ぜきをつくりましてやる場合がございますが、ただいま農林省が指導いたしておりますのは、できるだけ統合いたしまして、将来の維持管理の費用を少なくしよう、それと同時に水の合理化をはかる、こういう観点に立ちまして、水さえ一カ所でとれれば一カ所、こういう方針でやっております。  そこで、木津川の場合でございますが、幸い上流ダムができました。このダムで現在の地点で全量をまかなえる、こういう計画になっておりますので、ただいまのところは、将来の営農計画等から考えまして、何カ所でもとるという計画には考えておりません。
  21. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 いまあなたのおっしゃる方法でありますと、全くの新規事業になりまして、そのためには五十億ほどの膨大な事業費が要るわけです。用地買収をして新たに水路を開かなければならぬわけですから。ところが、いま私が言うような方法であれば、従来の用水施設が全部そのまま使えるのです。だから、そういうような形でやったほうが農民負担が軽くなるんじゃないか、そういうような形でやれば農民負担をうんと軽減することができはしないか、また、河川管理都合上、そして河床が下がったのなら、それを河川事業としてやれないか、こういうことを申し上げているのです。あなたのほうが、いや、それはもう一本でりっぱなものをつくったほうがいい、それは、全額国庫でそれをやっていただけるのなら、これは何をか言わんやで、農民のほうから、それでけっこうでございます、こういうことになると思うのです。それでも問題があるのです。それでも問題があるというのは、用水路ができることによりまして、水路が開かれることによって、非常に農地が遮断されるんですよ。しかもその水路が地面より高いところにできますから、交通とかいろいろな問題にも非常な支障を起こすんですね。そういうような支障を起こしつつ、なおいま言った農民負担がかかるというところに、もの言いがついてきておるわけなので、いまの計画について反対の声が出ているということは農林省も御承知であろうと思うのです。だから、そういう反対意見というものも聞き、同時に、もっといい方法はないか、既設の用水施設がたくさんあるのだから、そういうようなものをも利用しつつうまくやっていけないかというふうなことを、ひとつ調査対象の中に入れて調べてみてくれ、こう言っているわけで、別にすぐそれに変更せよと言っているわけじゃないのです。いずれが農民負担が軽いかというようなところもよく考えられ、同時に、また一方では、その地域沿岸——これから後どんどん都市化していきますから、都市用水をとるというふうなことにも役立てるというふうな意味で、いずれがいいか、一ぺんきめたのだから、それ一本でまっしぐらにばく進していくのだというのでなしに、もう一ぺん検討し直してもらえないかということをいまあなたに申し上げているのですが……。
  22. 梶木又三

    梶木説明員 この地区は、もう先生承知のように、三十六年から長らく調査いたしまして、いま御指摘のような点も何回か検討いたしまして、ただいまの結論では、一カ所の合口が、水の有効利用という観点からいって、農民負担問題等も総合的に判断いたしまして、いまのところは最良の方法だということで参っておりますので——いままでにも何回か、何カ所かでとるという方法は検討いたしました。その結論でございますので、いまのところは、さらにあらためてもとに戻って検討するということには参っておりません。
  23. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういう御答弁であるとするなら、この木津川統合用水は、相当実現困難だと思うのです。だから、あなたのほうももう少し、地元農家の間に底をはっておる——一部の指導者の方は知りませんよ。ずうっと底を流れておる気持ち、空気、こういうようなものを私はもう一度お調べになる必要があるのではないかと思いますから、その点、いろいろの統合用水計画地域に及ぼすところのさまざまな形の影響、加えて、農民負担が相当重いということについての不満が相当あるということだけをきょうは申し上げておきまして、もう一度その点について、もし心あらば、検討してみていただきたいと思うのです。——農林省はもうけっこうです。  次に、淀川水質基準の問題についてお尋ねいたします。  最近、水質審議会答申が出ました。これに基づいて水質基準をおきめになるという段階になろうと思うのでございますが、五月ごろの委員会であったかと思いますが、京都の置かれておる特殊な地域、いわゆる下流に大都会を控え、中流にある大都市として、水はきれいにして出さなければならないが、それに伴うところの財政的な負担というふうなものからいくと、政府のほうからそういう立地条件に対する相当な配慮が必要じゃないか。したがって、暫定的に、政府のほうも早急に下水事業を完成させるという段階に至らない現在では、地元と十分話し合った上でその基準をきめてもらいたいということを申し上げまして、当時、局長からも、いや、もうよくそれはわかっておる、よく話し合った上できめたいと思うというふうなお答えをいただいておるのでございますが、それでは、その審議会答申が出ましたが、この答申に従って基準をおきめになりますか。それとも、この段階であらためて京都市と話し合って、地元事情をよく勘案して基準をおきめになりますか。その辺の御方針を承りたい。
  24. 宮内宏

    宮内説明員 お答えいたします。  淀川につきましての水質基準の改正は、作業はある程度進んでおりまして、十月三日の水質審議会でおっしゃるとおり経済企画庁長官答申があったわけでございます。それで、沿革的に申し上げますと、淀川につきましては、かつて昭和三十八年に一応水質基準をかけておるわけでございます。それで、その後様子を見ておりますと、期待したほどの効果があがってこない。一方、京都の国際文化都市的な環境保全の立場、あるいは、いまおっしゃいますように下流水道用水としての水質維持の問題、そういうことで再検討することになりまして、そして企画庁長官から水質審議会に対して諮問したわけでございます。そして、この答申を尊重してそのままやるかどうかというお話なのでございますが、御承知のように、委員は学識経験者あるいは産業界の代表等から成り立っておりまして、当然総合的な立場からの判断を仰いでおるわけでございます。それから、その審議の内容といたしましても、総合部会を開きまして相当慎重に審議されましたし、同時にまた、現地の視察等も行なっていただきまして、できるだけ業界の要望を織り込んでつくったつもりでございます。たとえて申しますと、最初、下水道整理区域と、それから下水道整備計画区域、それからその他の地域というふうに分けて、基準の書き方は三つのグループに分かれるわけでございます。それで、たとえば関東におきます首都圏におきましては、下水道整備計画区域の進捗が二年で考えられるような区域についてかけておりますが、京都の場合はこれを五年後に五カ年計画でできるような区域に広げておる。言いかえれば、その区域につきましては、格段の——工場に排水をきれいにする施設が要らなくなるわけです。そういうふうな緩和をはかっております。それから新増設工場でございますが、これにつきましては、排水量一日百トン程度の小さい工場、こういうものについて、これはまあ当分の間といいますか、別に告示をする日まで水質基準を適用しないというふうなことで、地元の御要望を取り入れたつもりでございます。それからさらに市当局とされましては、いわゆる下水道整備計画区域をさらに拡大していきたいというふうなことで計画をされておるようでございます。相当程度緩和といいますか、地元側からいいますと緩和されたような姿で答申がなされておるわけでございます。
  25. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 その委員の顔ぶれは学識経験者や産業界の代表者だ、こういうことでございますが、これは阪神の産業界の人が多くて、京都の人が入っておりましても、きわめて少数であると思います。京都の人を中心にした委員会審議会というふうなことなら、それは公正さを欠くと言えばそれは言い得るかもしれませんが、しかしながら、水をきれいにしてもらいたいという側の、阪神側の人たちが相当入っておられる審議会、とすれば、これは公正な立場をおとりになるのが当然の成り行きであると思います。しかしながら、そういうことになれば、財政力の貧弱な、早くから下水道事業をどんどんやりたくても、どうにも財政難で困っておるという京都市にとっては、きわめてシビアーな結論、こういうことになってくるのもやむを得ないと思うのです。だから、いまおっしゃるような方針が出てまいったのでございますが、それに対して京都の産業界並びに京都市から、それではどうにもやっていけません、こういう声が出てまいりまして、何回かあなたのほうへも陳情に行っているはずだと思うのです。それで、いま日量百トンとおっしゃいますが、百トンといえば、ちょっとした染めもの工場だったら、洗うのにはどうしても要るのですね。いま一番対処に困るのは染めもの業なんです。京都は、御承知のように染色が相当大きな産業の比重を占めておる。その染色業がみな中小企業ないしは零細企業ですね。そうして従来から小さな規模のところでやっておる。それが相当の色のついたのりを出すわけでありますから、相当水の使用量を高くするわけであります。したがって、これは染色業にとって大きな死活の問題である、こういうように騒がれております。ことにあなたは、既設の工場でも——それはいわゆる整備区域のなにであればようございますが、整備区域外の既設工場で百トンまでは認めているのだ、こう言われますが、しかしながら、染色はずいぶん洗うのに水を使うのですから、百トンぐらいそれは簡単に使うのですね。しかもいまの整備区域でない地域、それは桂川沿岸——桂川沿岸は整備区域外なんです。ところが、桂川沿岸にたくさん染色業者がおるのです。昔から桂川で染めものを洗っている写真が雑誌なんかにも出ておりましたが、桂川の沿岸区域、右京の方面にそういう染色業者が相当おる。しかも、そういう地域は、今度近畿圏整備法によるところの近郊整備区域ですか、工場をそこへ誘導していくわけですね。だから、市内の込んでいるところからそういうところへ工場を持っていかなければならぬ地域である。そうすると、それは新増設になるのですね。それがまたきびしい制限を受けるということになると、近畿圏整備法によるところの工場の疎開もやれない、こういうことになってまいりまして、京都市としても非常に困っておる。だから、この点についてはもう少し京都市の要望を取り入れたものにしてもらわぬと困るということをやかましく言ってきております。明日ですか明後日あたりに京都市の産業界の代表が出てまいりまして、議員会館で相談してまた陳情に行きたいというふうなことも申しておる模様でございますが、これはいまの学識経験者がきめたのだから、産業界の代表がきめたのだからというが、それは京阪神の代表であって、京都市の立場というよりも、むしろ水をもらう側の——もらうというと語弊がありますが、下で受け取る側の人のほうで、水をきれいにしてもらいたいという人が大ぜい入っておる、そういう審議会で出た結論が京都市にとっては相当シビアーなものであることは間違いないと思うのです。だから、それについてあなたのほうで何かもう少し緩和するか、救済措置を考えるか、あるいは、これは都市局長のほうにお願いすべきことですが、京都市にうんと下水道の補助率を高くしてもらって、しかも補助対象も広げて、京都市全域にわたるところの早急な下水道の完成をやらせる。そのためには、たとえて言えば、いま計画区域だけについて五カ年計画が立っておりますね。しかしながら、その計画区域でなしに、京都市全域について五カ年とか七カ年とかいう計画を早急に樹立させる。こういう二つに一つの方法をとっていただかなければならぬと思うのであります。  これは都市局長にお伺いしますが、そんなに早く京都市全域に下水道を完備させるということは国のなにとしても困難なんでしょうか。
  26. 竹内藤男

    ○竹内説明員 下水道の財源措置につきましては私どもも努力しておりますけれども、早急に京都の下水道が全部完備するということはなかなかれずかしいのじゃないかと思います。
  27. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういうことなら、やはり京都市の産業のためにはもう少し水資源局のほうで御配慮を願わなければならぬと思いますが、いかがでしょうか。
  28. 宮内宏

    宮内説明員 おことばを返すような面も出てまいりますけれども、確かに地元から非常に熾烈な緩和の御要望があるわけなんでございますが、京都府を通じまして調査——これは非常に調査漏れ等がございまして完ぺきではないと思います。絶対この数字を押し切るつもりはございませんけれども、大体の様子といたしましては、京都市全体の工場の数が七千六百五十ぐらいございます。そのうち、百トン未満の工場の数が約七千五百でございます。百トンから二百五十トンの間が、ここでは七十九工場となっております。それから二百五十以上が八十一。ですから、七千六百に対して七、八十というオーダーの工場が問題になるわけでございます。これは全体から見ると一%前後のもので、非常に数が少ないという認識にまず立っておるわけでございます。  いま申し上げたのは、染色だけじゃなくて、全工場でございます。繊維だけについての数字はちょっとこまかいのがわからないのですけれども、それの六割ぐらいが繊維じゃないかというふうに考えております。これは京都市全体の区域でございます。そういうふうな認識の中で、その被害者という表現は当たりませんけれども、お困りになる数は非常に少ないという前提に一応立って議論を進めておるわけでございます。しかしながら、具体的にはこれは首都圏の水質規制でもやっておるわけでございますけれども、あまり好ましくはございませんが、その緩和の御要望にこたえるために、いわゆる経済的に非常に困難であるとか、技術的に非常にむずかしい処理の問題であるとかいうふうなことにつきましては、これは通産大臣の規制の所管になると思いますが、十分通産省とも連絡をとりまして、個別に特例を認めながら御心配のないように持っていきたいというふうに考えております。
  29. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 二百五十トン以下百トン以上のものが九十ある、そのうち三分の二が染色業である、こういうふうに私は聞いております。それで、あなたのおっしゃるのは、九十ぐらいなら、困るものは少ないのだからいいじゃないか、こういうことでありますが、そんなに困るものが少ないのなら、それによるところの被害も少ないということになるわけですからね。工場が少のうてもいいじゃないか、それならよごし方もわずかじゃないか、それによるところの影響もわずかじゃないか、だからそんなにやかましく言わなくてもいいじゃないか、こういう議論は成り立つわけですね。それからもう一つは、少数なら、困るものが少ないから被害が少ないと言われますけれども、しかし、それでもってがちっと押えられたら、それらの工場はつぶれてもしようがない。それなら少数の工場はつぶれてもいいのか、九十やそこらの工場はつぶれてもいいのか、こういう議論も出てくるわけですね。だから、そういう点、十分ひとつあなたのほうで御配慮願って、いま最後に、通産省ともよく相談して、個別によく検討した上で特例を認めるとおっしゃいましたので、あなたのお答えの中でこれならいいわいということでございますから、それだけしかと耳に残しておきます一ひとつそういうことでやっていただくようにお願いをいたしまして、この水質基準についての質問は終わらしていただきます。どうもありがとうございました。  それから今度は道路局に伺います。時間がありませんから急行で行きます。きょうは局長がお見えにならないで、吉兼次長がお見えになっておりますね。  実は最近たまたま同日に結婚式に二つ出なければならぬというようなことがありまして——大体京都の二条城の国際ホテルから綴喜郡の八幡まで三十分でゆっくり行けるのですよ。そう思って参りましたら、名神の南インターチェンジ、あの辺の交通麻痺のためにあそこで三十分かかってしまった。名神の南インターチェンジ、京都の入り口があんなふうなひどい交通麻痺になっておるということを実はそのときに知った。その後また丹波のほうへ行く途中であそこを通りましたら、また非常な交通麻痺に出つくわしましたが、これは国道一号線の交通麻痺ですね。たいへんなことになってまいったので、これは早急なバイパス計画を考えていただかなければならない、こういう事態になってまいりました。その交通事情はすでに御承知であろうかとも思うのでありますが、そこで、そのバイパスをつくるのに、最近京都−奈良間の新国道をつくる、二十四号線以外の新国道をもう一本つくる。それを今度寺田の地域でもって大久保バイパスから出発するということで、ことしは大久保バイパスの予算がつきまして、事業が始まっております。だから、その一部分として京都市内の部分をもう一本早く、ずっと南へ抜ける部分をつくっていただきまして、これを枚方バイパスと続けていただくと、二本京都から南へ出る道が開けてまいりますので、いまの交通緩和ができると思うのでございますが、そういう点、当局のほうでは堀川から南へ延ばすというその計画——すでにあることと思いますが、それをいつごろどういう形で実施するおつもりであるのか。もしそれがおくれるようなら、それを早急に繰り上げて実施していただく、こういうふうなわけにはまいりませんか、それをお伺いしたい。
  30. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいま御指摘の京都南地区、特に名神の供用開始以来南インターの国道一号線の混雑、これは私も承知いたしております。これは新たな事態でございまして、これにどういうふうに対処するかということは、単に私ども国道を所管いたしております道路局とそれから現地地点だけの問題ではなかなか処理し切れない問題がある。といいますことは、京都の南地区、この地区の交通混雑の処理をどうするかという広い立場からこの問題を処理していかなければならぬというふうに認識をいたしておるわけでございます。つきましては、これは都市局にも関連をいたす問題かとも思いますが、京都市におきましても、いま先生御指摘になりました堀川線を南に延伸する油小路線でありますか、これの都市計画方面の検討をされておるようでございます。そういった国道に並行しましたかなり強い幹線道路を一本通しませんことには、この地区の交通処理対策にはならないのではないかというふうに思います。これが南部に参りまして、私どものほうでいま手をつけております大久保バイパスとどういうふうな関係になるか、あるいはこれが枚方バイパスとどういうふうな関係になりますかというふうなことにつきましては、今後の検討事項として調査なり研究をいたしておる段階でございます。
  31. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 さらに、国道二十四号線がいま観月橋から北へ上がってまいりまして丹下のところで行き詰まっておりますね、それを竹田街道に抜けるという工事が始まっておりますが、それがなかなか遅々として進まない。最近途中までできておる。現在の二十四号線のインクラインのところの橋がございます、その橋のところまで来ておるのですが、その橋に取りついておらない。そのためにそこのところで交通事故が——それは通ったほうが悪いのですが、通行禁止になっておるところを、逆に走ってきまして、二台自動車が橋に全速力でぶつかりまして、四人死んでおるのです。二人ずつ四人死ぬというふうな大事故が二カ月ほどの間に二回繰り返してございました。あれを早急にやっていただかなければなりませんが、それを、いまのあなたのおっしゃった油小路線ですね、それに取りつける方向へ早く持っていっていただけば、二十四号線の非常な交通緩和に役立つのですが、それもあわせて、いまもう時間がないですから、希望事項として申し上げておきます。  それからもう一つ、その南インターチェンジと国道九号線とを結ぶバイパスがございませんので、国道を通っていけば五条まで出てぐるつと大迂回をしていかなければならない。それでは不便だから、久世橋のところを通っていくという狭い府道のバイパスがございますが、それが最近交通量が非常にふえてまいりまして、しかも鉄道の線路、国鉄新京阪というようなものと平面交差しておりますので、非常に危険でありますので、これはせっかく名神ができ、南インターができ、しかも国道九号線が今日京都府下で完全にこの間開通いたしました。というふうに改良が完成したのでありますから、南インターと九号線を結んでいただくということは、当然早急に考えていただかなければならぬと思うのです。これはだいぶ前にもこういうことを委員会で申し上げまして、ひとつ検討してみたいというふうな御答弁が道路局長からございましたが、重ねてそれを督促いたしておきたいと思います。  それからもう一つ、京都と滋賀県との間で枚方−水口線、これを国道編入をやるというふうな話が出ておりますが、これも万博対策として考えていただかなければならぬ。非常に一号線が混雑してきておる。あるいは現在の西国街道も非常に混雑してきておる。そういうような段階では、滋賀県と京都府を結ぶ非常な最短距離でショートカットになっておりますので、これもひとつ早急に、国道編入だけでなしに改良をやっていただきたい、こういうふうに思うのでございますが、それらの点についてどういう方針か、道路局から承りたいと思います。
  32. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 前段の御指摘の、名神高速南インター付近から、京都の都心を避けまして国道九号線にバイパスを早くつくれという点でございますが、私は、道路局長委員会先生にどういうお答えを申し上げましたか承知いたしませんけれども、この点につきましてはいろいろ関係の者の意見を聴取いたしましたが、やはり前段に申し上げましたように、京都の南地区の都市計画街路網の再編成再検討をいたしておる時期でもございます。やはりあの地区に桂川に沿いまして都心を避けるようなバイパス、これは国道になりますか地方道になりますかわかりませんが、一本要るのではないかというふうなことになろうかと思います。そういう方向で早急に検討したい、かように存じます。  それから枚方−水口線の早期改良の問題、国道編入のあれでございます。本路線は、もう申し上げるまでもなく、国道一号線のバイパスとしても非常に重要な路線でございます。これは万博関連の事業にはなっておりませんけれども、そういうことに関係なく、私どもは重要路線としまして地方道としてこの整備の促進をはかっております。かなり整備率も上がってまいりましたが、なお一つこれは早期完成の努力をしてまいりたい。国道編入の問題は、国道、地方道一般の問題で、これをどのように取り扱いますか私どものほうで検討中でございます。なかなか財政状況もきびしゅうございますので、簡単にまいらぬかと思いますが、十分ひとつ検討してまいりたい、そのように思います。
  33. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 最後にもう一つ、国道二十四号線の問題でございますが、観月橋のところが非常に交通麻痺が起こっておることは、先般も委員会が二回にわたって調査に参って、建設省でもよく御承知だと思うのですが、これは堤防のかさ上げをやって、そして観月橋のつけかえをやるのだというふうなことで、これは河川事業との関係があるのでございますが、そういう話し合い——河川局と道路局との間では、いつごろ着手するかというような話はもうついているのでしょうか。
  34. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 観月橋の交差点処理の問題でございますが、地形的に非常にむずかしいと存じます。それで、もう一本橋をつくるにいたしましても、現在の橋梁に並行いたしましてかなり高い橋脚の高架形式というものを別につくらなければ、あの地点の交通処理対策にはならないのではないか、かように考えております。いま堤防の問題のお話がございましたが、私どものほうはそういう方向河川局ともよく調整いたしまして、調整がつきますならば来年度あたりから具体的な計画に入っていきたい、かように考えております。
  35. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 いまのお話のことでありますが、当面ここ半年一年ではあそこの交通問題は解決しそうにありませんが、そこで私が一つお願いしたいのは、あそこのところへゴーストップをつけてもらわぬと困る。  わかりやすいように地図を書いてきました。そこへ張ってください。   〔図面掲示〕  道路を十字路に並行して京阪電車が走って、そこに停留所があるんですよ。そうすると、電車が来る、その間待たされる自動車がずっと連なっておる。それで、その連なっておる自動車に対して、電車が出ましても、今度は通る場合に必ず一たん停車しなければならない。そこで、警察のほうへ、あすこヘゴーストップをつけられぬのか、こう申しましたら、どうも郊外電車にはゴーストップをつけられぬ、こういうことでございます。警察庁にお伺いいたしますが、ゴーストップは郊外電車にはつられないのかどうか、その辺のことを……。
  36. 玉田茂芳

    ○玉田説明員 いまの観月橋のことでございますが、信号機の設置につきましては現在警察のほうでも検討しているわけでございまして、できないということじゃございません。ただ、本踏切は、現在上り下り合わせまして一日約二百十本の運行回数がある踏切でございます。先ほど建設省のほうからお話があったかと思いますが、これだけ多い運行回数がございます個所は、当然立体交差が望ましいわけでございますが、非常に立地条件のむずかしいところでありますので、いずれにいたしましても時間がかかる。警察といたしましても、その国道二十四号線と府道京都−宇治線との交差点の交通緩和との関連が非常にありまして、踏切と交差点信号との連動化をやる信号機の設置を検討しておるわけでございます。現在その交渉をやっておる最中でございます。
  37. 山口真弘

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  この問題は、踏切におきまして交通信号機をつけるかどうかという問題でございます。それで、現地の御事情につきましてはつまびらかにいたしておりませんが、現在の道路交通法で、踏切では一たん停車をしなければいけない、ただし、交通信号機がついております踏切では一たん停車義務が解除される、こういう規定になっております。その趣旨といたしますところは、踏切は、先生承知のとおり、非常に高速の電車が走るところでございまして、その場合に電車はなかなかとまれないということで、どうしても自動車側が一たん停車をいたしまして踏切の中に入るということにいたしませんと、踏切の安全の確保ができないという趣旨で一たん停車義務を課しておりますが、ただし、踏切の実情によりまして、一たん停車をしないで交通信号機によって通行しても安全であるというような個所につきましては、交通信号機を設けまして一たん停車の義務を解除いたしておるというのがこの趣旨でございます。そういうことでございますので、具体的な踏切につきまして、現地の公安委員会、鉄道事業者、陸運局等の関係者が集まりまして、この地点におきましては交通信号機をつけてもだいじょうぶであるという、また、交通信号機の条件は、警察庁のほうからただいまお答えございましたように、たとえば列車の信号機と連動の踏切にするとか、その他各種の技術的な要件を備えた検討をいたしまして、その上で交通信号機をつけるかどうかということを検討いたしておるわけでございます。ただ、先生承知のように、踏切の事故と申しますのは、これは一たん起きますと非常に被害が大きいわけでございまして、単なる交差点における接触事故等とは性質が異なる大きい被害をもたらします。さらに、これも先生承知のことでございますが、鉄道の列車の機械としての構造上、いわゆる制動距離が、これは速度の函数でございまして、しかも速度の二乗に比例をするというような、非常にとまりにくい性質を持っているわけでございます。したがいまして、そういう性質に見合いますので、踏切内に自動車が停車をいたしました場合に、制動機をかけましてもすぐにはとまらないという実情がございます。そういう点がございますので、一たん停車義務を解除するというのは、交通安全という点を十分考えた上でやらなければならないわけでございます。そういうわけでございますので、私ども並びに警察庁といたしましては非常に慎重に考えているわけでございますが、警察側、公安委員会と、私どもと、鉄道事業者のほうと三者が一体になりまして、現地の具体的な実情につきまして十分調査の上善処したい、こう考えております。
  38. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 あの地図を見ていただきましたらわかりますが、とにかく北行ずる場合に、ずっと電車が駅へとまります、そうすると、とまってお客さんをおろして乗せている間は、ちんちん鳴っていて、その間全部自動車は待たされるわけですね。その間にずうっと自動車の行列が百メートル二百メートルに及ぶのですよ。そうすると、そこへ、十字路になっているから横に割り込んでくるんです。そうすると一そうあすこのところは混雑がひどくなる。ところが、さて今度いよいよ遮断機があきましても、出ていく車は全部一たん停車しなければ出られない。だから、たまった車のはけがものすごく悪いんです。だから、電車が出たら、そこは当分電車は右側から来ないのだから——もし左側から来る電車があれば、どうせ駅へとまるのでしょう。もう徐行してきているのです。だから、あすこのところにゴーストップをつけて、一たん停車をして、赤の間はしばらく待ってそうして電車がすうっと駅へ入れば、電車はそこに一分か一分半ぐらい待たなければならぬが、しかしながら、その間自動車はどんどんはけるのですよ。ところが、電車が待たないから遮断機をすぐおろすというふうなことになる心配があるから、いまあなたが言われる一たん停車を全部する、こういうことになる。だから、あすこのところの一たん停車というものを解除すれば、現在国道二十四号線の中の交通麻痺のたいへん激しいところとして問題になっているところの交通麻痺が、半減とまでいかないにしても、三分の一が解消できるのです。いま、高架でやりたいというふうなことですが、そんなものは一年二年ちょっと望めない。その段階においてはとにかく当面の手当てをしなければならぬ。しかし、当面の手当てとして一番簡単に済む道は、ゴーストップをつけて京阪電車を一たん停車さすということなんです。ところが、私鉄側はなかなかそれはオーケーしませんわ。私鉄がオーケーしないから、運輸省と警察との間に話し合いがつかぬから郊外電車はストップを食わせられないんだというふうな口実で、長い間、これはゴーストップをつけろつけろという声が地元に上がっているにかかわらず、ゴーストップがつけられないのですよ。だから、私がお尋ねいたしておりますのは、そういうふうに重要なところでも私鉄のほうはゴーストップをつけることを拒否する権利があるのかどうか。警察のほうで、いや、これは交通対策として必要だ、つけるんだといえば、それはやむを得ないはずだと私は思うのですが、それを拒否し得るところの法的根拠が何かあるかないかということを私は承っておるのですが、先ほどの御答弁によりますと、そういう法的根拠がないというふうに、私は承ったのですが、そういう私の解釈でよろしゅうございますか。
  39. 山口真弘

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、交通信号機をつけるかどうかという問題は、私どもは、何といっても事故の防止、人命の尊重という見地を第一に考えなければならない、こういうふうに考えているところでございます。したがいまして、本件に関しましても、その列車のスピード、列車の回数、道路の交通その他の各種の事情を考えまして、交通上安全であるというような点に考えれば、これは両者協議がととのい、また警察、公安委員会側にもお願いをし、つけていただくということになるわけでございます。問題は、人命の安全がはかられるかどうかという点にあるわけでございます。
  40. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 人命の安全は、あそこへゴーストップをつけて、その赤信号に電車が従うということで人命の安全をはかれるのです。だから、そういう場合にゴーストップをつけるということを、私鉄側がそれは困るということを強く主張できるところの根拠は法律的に何かあるのか、そういうふうなゴーストップなしに優先通行がどんな場合でもできるというふうなことを法律のどこかに書いてあるかどうか、それを聞いているんですよ。
  41. 山口真弘

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  ただいまのお話にございましたように、鉄道の場合には、大ぜいの人を乗せた車両を通す、そして高速で通すという前提でもって建設なり運転なり等がきめられておりまして、そういう事業をいたしまして公衆の便益をはかっておるのでございます。したがいまして、ただいまお話しの道路交通法の交通信号機をつけるかどうかということは、当該交通信号機をつける場所場所によりまして、交通信号機をつける側でありますところの鉄道並びに警察側が両者相談をいたしまして、この地点に交通信号機をつける、この地点には交通信号機をつけないというように決定するわけでございます。その意味におきまして、いまの法的根拠といいますのは、いわば両者にあるということであろうかと思います。
  42. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 私が聞いているのは、警察のほうがここヘゴーストップをつけたいということを言った場合に、鉄道側はそれを拒否し得る法的根拠があるかないかということを承っている。  さらにもう一つ、警察側に今度お伺いしますが、これほど交通麻痺がひどい、一たん停車することによってものすごく交通事情が変わってくる、そのために、いらいらしながらローでばかり走っている、そんなことを繰り返しますから、そのあたりでまた交通事故がふえるというようなわけです。だから、こういうふうなところにはゴーストップをつけなければいかぬ。常識なんですよ。だから地元でそういう声が出ておる。出ておるにかかわらず、ゴーストップがつかない。ゴーストップをつけるということを一々電車側に相談しておきめになるのですか。そんな必要はないと思いますが、その点承ります。
  43. 玉田茂芳

    ○玉田説明員 これは通常の道路と道路の交差点の信号機とは相異なりまして、私ども独自でやるわけにはまいりません。ただ、本件の個所につきましては、いまの鉄道と国道の交差点ときわめて密接に関連しておりますので、先ほどのように、踏切があきましても交差点のほうでとめられるということもあって渋滞を助長している形でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたが、連動いたしましてはけを相当よくすることが期待できるのではないかと思います。
  44. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 先ほどからの岡本委員の御質問、非常に傾聴に値する御意見だと思います。現在その交通が非常に混乱しておる状態を解決するということはきわめて大事でございますから、関係当局相寄りましてすみやかに結論を出すように努力いたしたいと思います。
  45. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 これは現在国道二十四号線の一番混雑しておる二カ所のうちの一つなんです。だから早急な改良が要求されておるが、しかしながら、これは橋梁がありますから、なかなか改良が因難です。したがって、早急な改良が因難であるだけに、一そう当分少しでもその交通難を緩和するような道を講じてもらわなければならない。そこで、ゴーストップをつけることによって相当な緩和がはかられる。だから、警察庁のほうも十分この事情を御理解願って、早急にゴーストップをつけていただく、こういうふうに強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  46. 森下國雄

    森下委員長 谷垣專一君。
  47. 谷垣專一

    ○谷垣委員 最近非常な超高層のビルが建て始められております。三井ビルが建築ほぼ完成に近くなっておる状況でございますし、そのほかにもそれぞれの超高層の問題があるようでございます。ことに東京海上ビルの建てかえが非常に問題になっておりまして、新聞紙上等で話題を提供しておる状態でございますが、この超高層のビルがそれぞれ今後近い将来にできてくる現段階において、都市計画の上から見ても、その他の問題から見ても、一体どういうふうにこの超高層の問題に対処するかということは、非常に大切な時期にきておると思います。  その問題に入ります前に、現在問題になっております東京海上ビルの建てかえについてどういうような経緯がいままであったのか、このことを担当局長のほうから御説明を願いたいと思います。
  48. 三橋信一

    ○三橋説明員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねのございました東京海上ビルの現在までの経緯でございますが、これにつきましては、従来ございました東京海上のビル、これが新館と旧館とございます、その古いほうのものを取りこわしましてそこに新しいビルをつくる、そうして従来新館と称しておったものとつなぎたいという考え方でございます。これにつきまして、昭和四十一年の十月に、東京都に東京海上ビル側から確認申請がございました。しかるところ、昭和四十二年の四月に、確認ができないということで東京都から申請が却下されたわけでございます。この却下されました理由は、その敷地と建物との関係が建築基準法にかなっておらない、つまり、まず一つの問題は、この二つの、もと新館と唱えておったものと今度新しく建てようとするものが一つの建物であるか、同時にまた、その用途が一体であるかどうかということ、そういうような議論がもとになりまして、これを一つの敷地に見得るかどうかという議論、そこでいろいろと容積の問題が違ってまいります。そういうことで、同一用途、用途不可分のものとは見られないという理由によりましてこれが却下されております。これに対しまして、東京海上側から、同年の六月に、東京都の建築審査会に対しまして、確認を求めます再審査の請求を出しております。これは東京都の処分がおかしいのではないか、建築基準法の解釈がおかしいのではないかということで、審査請求を出しました。これに対しまして、審査会は、九月——東京海上の申し立てが二つございまして、一つは、確認を直ちにするようにしろ、そして同時に、東京都のいたしました不確認の処分の中で、建物が一つであるということ、それからもう一つは、その用途が不可分であるかないかということ、東京都はこれを可分であるというふうに見て却下したわけでございますが、これはおかしいのではないかということを東京海上が申し立てましたことにつきまして、この審査会は、九月に、東京都の処分の、建物が不可分であるということについては、従来の行政実例等から見てもこれは問題である、と同時に、東京海上の申請いたしました件につきましては、やはり機能上等から見て不可分であると見たほうがいいのではないかということで、東京海上の申し立てを取り上げました。したがいまして、東京都の処分はおかしいという結論を審査会で出したわけでございます。そういうことになりました結果、東京海上の本件の建物は、建築基準法に書いてございます要件以上に構造上等についてもいろいろな問題がございますので、これにつきましては建設大臣の認定を要するという件になります。したがいまして、東京都から、その件につきまして建設大臣の認定を求めてきておるというのが現状でございます。非常に話をややこしく申し上げましておわかりにくかったと思いますけれども、そういうようなことで現在認定の申請が出てきておりまして、この認定を待たないと東京都では確認の処分ができないというような状況に相なっております。
  49. 谷垣專一

    ○谷垣委員 たいへんに、何といいますか、建築基準法に基づいたいろいろなこまかい問題が、しかも世間的には非常に大きな反響を呼んでいるように思いますが、私も新聞等で拝見しただけで、詳しいことはわからないのでありますけれども、一点だけ一つお聞きしておきたいのですが、建築審査会というものの内容、それからどういうような構成でこれがなされておるか、それをひとつ簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  50. 三橋信一

    ○三橋説明員 建築審査会は、建築基準法の七十八条にその規定がございます。七十八条におきまして書いてあることを簡単に申し上げますと、その建築基準法に規定してございますことの同意等につきまして調査審議させるというために、建築主事を置きます市町村及び都道府県に建築審査会を置くということに相なっております。  これの組織といたしましては、審査会は、「委員五人又は七人をもって、組織する。」ということになっておりまして、この委員の構成は、建築、都市計画、公衆衛生または行政に関しまして学識経験のある者のうちから、市町村の建築審査会につきましては市町村長、都道府県の審査会につきましては都道府県知事が、それぞれの議会の同意を得て任命するということになっておりまして、ただし、建築に関しまして学識経験のある者のうちから命ぜられる委員の数は、委員の総数の二分の一を下ることができないというようなことになっております。そういうことでございまして、先ほど申し上げましたような処分につきましての審査請求等の裁定を下すと申しますか、そういう事務もこの審査会においてなされるというふうに定められてございます。
  51. 谷垣專一

    ○谷垣委員 この建築審査会の今度の場合の決定のありさまといいますか、経過ですが、これも新聞等で拝見をいたした程度で、私は確認していないのですが、七人の方がこれに加わって委員になっておられるのだけれども、こういう非常に重要な問題であるのにかかわらず、この七人の方が全部出席という形ではなくて、最終決定が少数の方の欠席等の中で行なわれた。七人のうち何人が欠席されたのか、いろいろあるようでありますけれども、しかもこれは事前にその方々の御意見をそんたくするわけにはいかぬと思います。審査会のところで議論をされることだと思いますが、新聞等の記事によって承知をいたしますと、非常に大きなこの問題について、都側の意見に賛成する諸君、あるいは東京海上側の意見を賛成とする諸君、新聞記事によるとかなりはっきり分かれておって、しかもその最終結論が、東京都側を是とする諸君がすべて欠席のままの形で決定をされたというような記事を見たのですが、これは非常に重要な審査会であろうと思いますので、本来なら全委員の方がそこでいろいろな議論を戦わされて、これはおそらく都市計画上からも建築上からもいろいろな問題があろうかと思うのですが、そこで結論が出るべきだと私たちは予想するのですが、実際の結論の出方というものが、いま私が紹介したような記事の状況であるとするならば、やはりこれはだいぶ問題があるのじゃないかという感じがするものですから、どんなことであったかということをひとつお聞かせ願いたい。
  52. 三橋信一

    ○三橋説明員 ただいま先生のおっしゃいましたように、実際には七人の委員のうち三人が欠席したままその結論が出されております。その意見が分かれておったということは事実のようでございまして、おおむね新聞紙上の伝えるところのように私どもも聞いておりますが、定足数が過半数あればよろしいということで、その議事手続においては誤りがなかったように存じますけれども、そういうような経過をたどったことは事実のようでございます。
  53. 谷垣專一

    ○谷垣委員 私は、これだけ非常に重要な問題ですから、各方面の専門家の諸君、識見のある方々がやはり全部おそろいになって、そうしていろんな議論をそこで戦わして、そのあとでこういうことできめようという多数決の考え方できめられるべき性格のものだったと思うのです。ところが、新聞記事等で経過を拝見いたしておりますと、何だかその間に決議の過程あるいは議論の過程において、不十分とは言えないまでも、もう少し十分なる議論が戦わされて、私は賛成だ、私は反対だ、賛成の理由はこれこれ、反対の理由はこれこれ、こういうような形で結論が出るというのがむしろよかったというように思うのですが、どうもその点残念に思っております。しかし、その点については触れません。  ちょっと問題を変えて御質問をいたしたいと思います。  現在のところ、この東京海上の計画は、百二十七メートルの高さで、地上三十階ほどの高さを持っておる。現在建っておる三井ビルは、三十六階というような非常に高い建物である。聞くところによりますと、丸の内かいわいだけで、こういうふうに百メートル以上の三十数階というような超高層ビルの計画が、現在だけでも十幾つあるようなお話を聞いております。これはどういうところでそういう確認をされるのか私はよくわかりませんが、そういうような状況になっておるかどうか、これをひとつお聞きしたい。
  54. 三橋信一

    ○三橋説明員 ただいまいろいろ計画のありますものは十指に及ぶというふうに聞いております。現在私ども聞いておりますのは二つでございます。東京海上を入れて三つでございます。
  55. 谷垣專一

    ○谷垣委員 これは私が調べたあれなんですが、予想されるものが十幾つ、名称まで大体——これを建てようとする方々の名前や、それから高さ等も百メートル以上というようなもの——先般来ほかの問題で問題になっております帝国ホテルにいたしましても、当初の計画は二百メートルというような計画があったというふうに私は聞いておる。これはなかなか確認ができないのかもしれませんけれども、確かに今日そういう状況にこのかいわいがなってきておると思うのです。  そこで、現物が一つ三井ビルという形ででき上がったわけですが、こういうふうな超高層時代をいよいよ迎えようとする場合に、私は、国としても、都市計画の上から見ても、よほど考えて対処しなければならぬと思うのです。私は、超高層の時代へ入ってくるということは当然のことだと思っております。超高層が悪いとは決して思いません。超高層、けっこうな話だと思います。しかし、現在これほどの計画がすでに次々とある場合において、はたしていままでの都市計画なりあるいはその他の状況のもとにおいてこれに対処しているのかどうか、私、ここが非常に大切な問題点だと思うのです。  そこでお聞きをいたしたいのですが、三十六階の三井ビルが現在ああして完成に近くなっております。そこで私たちは、常識的に考えてみても、そうでなくたって、これは通勤その他の交通でもうどうにもこうにもならない状況になっておるのに、あそこに三井ビルが三十六階できたら一体どうするのだ、地下鉄のあれはあれでいいのか、あるいはそのほかの国電等の乗客の変化その他はそれでいいのか、あるいはまた、自動車交通の場合、それは一体どうなるのだ。あの三井ビルだけの問題でなく、周辺全体において一体どんな影響があるか。あるいは火災の問題等もありましょう、いろいろな問題があろうと思うのですが、ことに問題になってまいりますのは、あの建物内部の問題よりも、あの建物が及ぼします影響、それに対処する都市生活の、極端なことばを言いますと、はた迷惑な問題が起きてくるのじゃないか、ことに交通の問題なんかにおいて起きてくるのじゃないかという危惧の念を、率直に世人の方は持っておる。私はもちろん持っておるのですが、あのビル一つ考えてみて、現在のあのビルができたことによる交通関係を一体どんなふうにお考えになっておるのか。現在のままで対処できるとお思いになっておるのかどうか。  これは、あるいは住宅局長にお聞きいたしますのはいささかおかしいかと思いますが、きょう運輸省の方見えてますか。——それじゃ、住宅局長はお気の毒だから、都市局長でけっこうですが、ひとつ……。
  56. 竹内藤男

    ○竹内説明員 霞ケ関ビルでございますが、現在の計画におきましては、収容人員が約一万五千人、これに対します交通処理がどうなっておるのかという問題だと思います。  このビルから出てまいります自動車の交通量は、大体現在の街区を整備することによりまして十分さばき得るのじゃないか、こういうふうに考えております。  それから、問題は通勤交通でございますが、通勤は大部分地下鉄にたよると思いますが、現在利用可能な地下鉄は、日比谷線、丸の内線、銀座線の三本ございます。それぞれ霞ケ関あるいは国会議事堂前、あるいは虎の門というようなところに駅がございます。さらに、将来整備されるものといたしましては、六号線、七号線、九号線というものが、ちょっと遠うございますが田村町、あるいは国会周辺、国会議事堂前というようなところに入ってまいります。したがいまして、これらのものが整備されれば通勤は一応さばき得るという考え方で霞ケ関ビルの建設を認めた、こういうような形になっております。
  57. 谷垣專一

    ○谷垣委員 いまお聞きしておりますと、この霞ケ関の三井ビル一つでもてあましておられるのが現状じゃないかと思うのです。地下鉄の虎の門の駅は、駅の構造を変えないととてもさばけないというようなことがすでに言われておる。それから、いまのお話のように、こういうものが整備されればこれでさばけるとおっしゃっておるけれども、一体その整備のスピードというのがどれだけなのかということは、もうみなが非常に心配もし、危惧の念を持っておるところだと思うのです。一体、これは都市計画をやられる際に交通運輸の関係には十分御相談になっておるのですか。都市局長、どうですか。
  58. 竹内藤男

    ○竹内説明員 東京都の都心地区でございますが、具体的に申し上げますと、環状六号線とか荒川放水路の内側につきましては、現在容積地区制がしかれております。これは土地と建物を除いた面積というものを規制しておるわけでございます。この容積地区を指定する場合におきましては、建築物から発生いたします自動車の交通、建築物から発生いたします人間の交通というものを検討いたしまして、これが全体としてバランスが保てるように配慮して容積地区を指定しているわけでございます。この場合に、一番交通として使いますのは地下鉄と国鉄、私鉄でございますが、地下鉄につきましては都市計画できめております。それから国鉄、私鉄につきましては、都市計画としてはきめておりませんけれども、こういうようなところの将来の増設計画を十分聞きまして、それに基づきまして容積の指定をしているという形でございます。したがいまして、容積地区を指定いたします場合には、関係各省あるいは関係当局と協議し、相談をいたして容積地区をきめておる、そういう形でやっておるわけでございます。
  59. 谷垣專一

    ○谷垣委員 相談はされたということのようですが、しかし現実の問題として、霞ケ関ビルだけでいま御答弁のような非常な手を打っていかなければならない。これから超高層の時代になって、数年の間にぼつぼつ十幾つもここらにできてしまうというようになった場合の都心の交通対策は一体どうなるのか、これは非常に大きな問題だと思うのです。率直に申しまして、都市の膨張、都市変化というものがどこからか均衡を破って進んでいくことはよくわかりますけれども、しかしながら、この膨大な夜間人口と昼間人口の差というもの、これが通勤難なり交通難なりになってくると思うのです。そういう場合にいつでも交通輸送の問題がどうにも追いつけない状況、十幾つもこういう超高層ができてしまって、そこのところの問題をだれが確保してくれるか。相談はしたとおっしゃるけれども、それがはたして調和のとれる状況にいつなるのか。ほんとうのところを申しますと、いまの状況に世人はだれも安心はしていないと思うのです。私はそこに非常に問題があると思うのです。  それから、いまおっしゃいました容積地区の問題は、三十八年にああいうような制度ができたわけで、容積地区の考え方自体は私は正しいと思うのです。なぜならば、都市の一種の再開発というか、都市の渋滞をどうにもできないから、したがって建物は高くなってもいい、しかし、そのためにあき地をつくれということですから、この考え方そのものは、三十八年にああいう法改正ができた趣旨は正しいと思うのです。ところが、現実にいまたとえば丸の内地区を考えてみましても、この丸の内地区の容積の指定は十種地域になっておると思うのです。だから、面積との比率は百に対する千、十倍ということになります。ところが、現実のいまの丸の内の容積というものを考えてみますと、六百とか七百とか、もっと低いはずだと私は思うのです。それはいかがですか。
  60. 三橋信一

    ○三橋説明員 ただいまお尋ねの丸の内地区の容積がどのくらいになっておるかということでございますが、現在ここの建物は、従来容積制度ができる前からのものがございますので、千以上のものがございます。したがいまして、平均いたして申し上げますと、大体六百八十、七百ちょっと切れるというあたりでございます。
  61. 谷垣專一

    ○谷垣委員 私は容積主義そのものはいいと思うのですけれども、現実にこれが指定される場合に、都市計画の上で問題があると思うのです。容積の考え方、その精神を生かしていきますと——実は精神は二つあると思うのです。都市対策の上での空地その他を何とか確保したいという考え方、交通事情等の関係もあって確保したいという考え方、この考え方からいくと、これは現在の丸の内の六百なり七百なりという容積の限度において適用していくという要請が一つ出てくると思うのです。ということは、建物の高さはある程度高くなっても、そのかわり、現在の十種で考えられるよりももっとあき地その他の広地をたくさんつくっていく、こういう考え方が出てくるのじゃないかと私は思うのですが、その点はいかがですか。
  62. 竹内藤男

    ○竹内説明員 容積地区を指定いたしました場合には、十種、九種、八種といろいろございますが、都心地区における建物は大体二倍ぐらいに押えたいという考え方でやっております。と申しますのは、都市高速道路なり街路の拡幅計画がございまして、それはやはり都市計画でございますので、二十年後ぐらいのことを考えていろいろな計画を立てる。その場合の道路の容量というものが、全部合わせましても大体二倍ぐらいにしかならない。それから、当時ありました各種の鉄道関係の増強計画、特に地下鉄の問題でございますが、地下鉄は、現在のところ、道路の下に入れるという方法をとっておりますので、都心部の道路の下に目一ぱい入れましてもこれが大体二倍ぐらいにしかならないということで、都心部の容積を大体二倍ぐらいに押えるという考え方で容積地区をしいているわけでございます。考え方が非常にマクロ的と申しますか、大きな地域でとってございますので、個々の建物と個々の路線というものまでいまマッチしていない面が出てくると思います。なお、最近東京の地下鉄改訂計画というものを運輸省と御相談しておりまして、さらに都心部に数本の地下鉄を入れるという計画もいま検討中でございます。
  63. 谷垣專一

    ○谷垣委員 私は、現実に都市をどういうふうに再開発していくのかという考え方は、この超高層の問題のときにことにはっきりさせなければいかぬと思うのです。これは、よく景観問題がいわれますけれども、単なる景観というにとどまらない。もっと都市の機能をどうしていくのだということが都市計画の中に超高層も入れた形で議論されていかなければいけない。単に容積地区で指定して、容積制というものは非常にいいから、それでいいのだというだけでとどまっておったのではいけないのじゃないか。ことに超高層というかっこうになりますと、これはつつ一ぱい建てます。つつ一ぱい人口収容力が多くなります。いまの十種地区でやっていくやり方をとりますと、昼間人口と夜間人口との差がますます拡大されていくという方向に動いていきます。そうすると、現状においてすでに都市交通その他の面あるいは保安上の面で問題があるのを、この矛盾をますます拡大する方向へ行くことになる。容積地区十種に指定したことがいいとか悪いとかいう問題は越して、現実の都心部はますます夜間人口は少なくなって昼間人口は多い。あの建物をつくって、あれが住宅になるわけじゃないのですから、ますます都心交通の混雑という問題が出てくる。空地ができるからいいという面はありつつ、その中に働く諸君あるいはそこに出入りする諸君の波というものはますますピークが大きくなるのですから、このギャップが当然出てくるのです。そのことを心配していろいろ議論があると思うのです。こういう超高層時代を迎えて、つつ一ぱい空間を利用しようという考え方が強く働いておるときに、それ全体を包摂する都市計画のビジョンというものがどうも欠けておるように私には思えるのですよ。景観や美観の問題はあとで御質問したいと思いますが、その点は非常に残念に思います。これは都市局長にお尋ねするより、もっと問題が大きいものですから、大臣、いまの問題についていかが思いますか。
  64. 西村英一

    ○西村国務大臣 都市計画全般から考えて結局やらなければならぬと思いますが、容積地区というのは、制度はいいのですけれども、私はちょっと落度があるのじゃないかと思うのです。というのは、容積地区というのは、必ずしも土地を残すということにいまの法律ではならぬ。下を一ぱい建てて上のほうは小さくしてもいいのですからね。その精神は、用地を残そうという精神なんです。けれども、現に帝国ホテルの出願は、下は敷地一ぱい使うのですよ。容積がそれであればいいのでありましょう。それを防ぐようにはいまの法律はなっていません。また、容積地区ならどんなみっともない建物をつくっても、まるい建物でも、また三角の建物でも、いかような建物でもいまの制度では建てられる。容積地区というのはなるべく用地を確保したいということならば、もう少しその中に考慮がいると思われるのでございます。いま出願の例を言いました帝国ホテルは、用地は残しません。一ぱいに建てる、そして上のほうだけは容積地区にする。いま谷垣さんのおっしゃいますのは、高層ビル、そういうような時代になっておる、それは私も認めますが、その場合に、そういうものを許可してもいいじゃないか、都市計画全般から考えて、そういうゾーンを考えるべきじゃないか、その点については、結局いろいろな交通上の問題も考えなければならぬ、消防上の問題も考えなければならぬ、いろいろ問題がある。ことに消防の問題等は、このような超高層ができるということになりますれば、消防白書にうたってあるように、下からの消防はできない、空中消防をやらなければ消防当局としては自信が持てぬ、こういうことが消防白書に今度うたわれて、自治大臣から私に対して再考を求められておるところでございます。いずれにいたしましても、建物の高層化は時代の進展でございますし、また大事な敷地の有効な利用でありますから、それはいいとしても、その適用をりっぱな都市計画のもとにやらなければならぬ、こう思うのでございます。したがいまして、谷垣さんの説に私も賛成をいたしますが、これはまた法律といたしましても、容積地区というものについての考え方をこの際ちょっと考え直す必要もあるのじゃないかという気もいたしておるのでございます。
  65. 谷垣專一

    ○谷垣委員 この都市計画の問題の中に、私は、いまの消防とか交通の問題以外に、景観の問題がやはりあると思う。いままで別個のような感じ方をとっておられる向きもありますが、景観問題もあると思います。現在古都保存法というものがありますけれども、この古都保存法というのをつくる場合に議論が一つあったのは、一体皇居なり議事堂の周辺というものがこの古都保存法の対象になるかならぬかという議論もありました。ということは、これは三百年、四百年の一つの政治の中心であったわけですから。しかし、これは現在まだ動いておるので、往事の政治、文化の中心というわけにはいかぬじゃないかということもあり、したがって、古都保存法の中からは、三百年なり四百年なりの日本の政治の中心であるのにかかわらず、東京なり、この地域周辺地区は省かれておるわけなんです。それは景観の問題だけではないと思いますけれども、しかし、やはり古都保存法なんかでいっておりますのは、そういうひっくり返してしまうとどうにもならない国民の文化的な遺産というものをその景観とともに保持したい、広い周辺とともに保持したいということが、ああいう法律になって出てきておるのじゃないか。これは往時のものじゃないけれども、やはりそういう意味合いをここで持っておると思うのです。しかし、この地域は幸い美観地区に指定になっておる。現在私は、東京都はこの周辺、それから大阪だと御堂筋のあの通り、それから伊勢であるとか沼津であるとかいうようなところが美観地区の指定になっておると思っておるのですが、それはそのとおり了承していいのですか。
  66. 三橋信一

    ○三橋説明員 そのとおりでございます。
  67. 谷垣專一

    ○谷垣委員 私は、美観地区の指定をされておるのには、それ相当の理由があろうと思います。当然、どこの国だって、たとえば皇居あるいは国会議事堂の周辺というようなところに当たる場所は、一種の景観の規制というもの——その周辺の規制というと語弊がありますが、そのあたりの調和のとれた景観の維持のために心を砕いております。それで、一体皇居や国会周辺を中心とした地域が美観地区に指定されておるのにかかわらず、それに対処する行政的措置が行なわれてないという話を聞くのですが、それは一体どういうことなんですか。
  68. 三橋信一

    ○三橋説明員 お答え申し上げます。  この美観地区が皇居の周辺に指定されましたのは、昔の市街地建築物法というのがございまして、あの市街地建築物法におきましてこの美観地区ということに指定されておりました。そしてこれの中におきます建物の高さ制限につきましては、警視庁令によりまして、建物の高さを押えるということがなされておったわけであります。この市街地建築物法が戦後の昭和二十五年に建築基準法に変わりまして、この美観地区というものが、その地域指定そのものは残りましたけれども、これに対処いたします建築の制限と申しますか、そういう規制の面では警視庁令からはずれまして、それらのことにつきましては、それぞれの都道府県なり公共団体の条例によってこれを行なうということに法律が変わったわけでございます。自来その条例制定の議論がいろいろございましたけれども、東京都におきましてはこの条例が制定されておりません。と申しますのは、いろいろ理由もあろうかと思いますが、いろいろ昔のことを考えてみますと、この市街地建築物法と申しますのは、都市計画法と同じに、内務省の都市計画課で実は所管されておりまして、そこいらの関係もございまして軌を一にして扱われておったのかと思われますけれども、これがいろいろ分かれてしまいました結果、建築基準法という立場で美観を議論いたしますと、現在基準法に書いてございますように、あくまでも建築物だけの美観という考え方でこれを処理していかなくちゃいかぬ、そこで、美観地区というものについていろいろそういう面の議論があったようにも聞いております。そこいらが経緯であると思っております。
  69. 谷垣專一

    ○谷垣委員 昔の法律が建築基準法を制定したときにそのまま移ったかどうかというお話がいまありました。それはまあそう移ったのだと思います。しかし、それはそれとして、法律がちゃんとそういう美観地区の指定を受け継いでおるのにかかわらず、それを執行していく必要な条例がそのまま現在まだ出ていないという状況は、行政的にはこれは終始一貫していないと思うのですね。条例は東京都の議会でつくるんだから、したがってそれはおれらの関知したことじゃないとは言えないと思う。この美観地区の指定をしておきながら、その美観地区の、一体どういうことでそれを保持していき、どういうことでそれを守っていくということの具体的な条例等が出ていない。これは非常に残念なことだと思うのですね。残念だというよりも、これをつくった法律の精神にこれは十分沿っていないと思うのです。しかし現実にはないんだからしょうがないと言ってしまえば、それまでのことですが、ここに非常な——私は、建設省にしたって、昔の内務省が持っておったからどうだという議論は聞きたくないのであって、現実にやはり一種の怠慢があるんじゃないかと思うのですね。怠慢と言うと、しかられるかもしれません、語弊があるかもしれません。けれども、法律の状況から見ると、これはおかしいと思うのですね。  そこで、それならば一体皇居や国会周辺の地区を、美観という、あるいは景観という観点から何らか指定する地域にしなくていいのかどうかという根本問題にならざるを得ない。私は、現在の法律が前から受け継いでおるように、皇居の周辺もありましょう、あるいは大阪の御堂筋もありましょう、それらのところがやはり美観地区として指定をされて、そしてそれぞれの都市の美観を維持していく上に役立つべきだと思うのですけれども、今度問題になって気がついてみたら、この周辺が美観地区に指定されておりながら、それが実際施行されていくべき条例が制定されていない。これはまことにどうもおかしい話だと私は思うのですが、どのように思われますか。
  70. 西村英一

    ○西村国務大臣 おかしくないのであります。そういうように法律がなっておるのです。第六十八条の美観地区、地方公共団体のその長が条例をもって定めなさい、地方公共団体の長が必要ありませんといえば、やらぬでもいい、また指定されておっても、事項も定めなくても、また定めようとして、その地方団体の議会の制約その他の要求で定められぬこともあるわけです。少なくとも法律で、美観地区というようなものが長い日本の歴史の間においてどこかにあるだろう、それはやはり守ってもらわなければならぬというわけです。地方公共団体の長が、その土地ではそういうことはないとしても、私は、国全体の国民から考えてみた場合には、やはりそういうものがあり得ると思うのであります。したがって、国全体から見た場合には、やはり条例にはまかせられぬと思うのでありまして、条例をきめなければどうすることもできないのでございまするから、この法の精神のごとく、美観地区というようなものが必要な地域が国にありとすれば、それはやはり法律によってある程度指定ができるように、たとえば——まあたとえばですがね、この現在の美観地区、これは地方公共団体が条例によって定める、これはこれでよくて、ただし、特別美観地区については、これは法律をもって指定するなり条例をもって指定するというような方法がやはりとられないと、今後は、条例をもって定めることにしますれば、地方公共団体の長の意思にどうしても従わなければならぬ、それは国から命令ができないように私は思うのです。したがいまして、先生の言われる御趣旨はわかりますし、また法律に織り込んでおる趣旨も、そういうものがありとすれば、やはりやれるだけの法的な措置を講ずる必要があるのじゃないか。これはいま住宅局長が言いましたように、建築基準法では建築に対してのみやるから、それではいかぬから特別な法をもってしようじゃないかということも、建築のみならず、景観ということも考えられます。しかし、それだからして建築のみでないとすれば、特別の法をもってする、また建築というものを工作物と広く考えれば、建築基準法の改正でもやはり何かするというふうな措置がこの際必要ではないか、こういうふうに私は思うのでございます。
  71. 谷垣專一

    ○谷垣委員 いま大臣のお話のように、建築基準法に基づいてやる現在のやり方が適当であるかどうか、また、それがその地区、その小さい範囲の観点だけで見ていいかどうか、これは問題があると思うのです。しかし、どちらにしましても、こういうふうに現在の法律で美観地区の指定がそのまま引き継がれておる、あるいはまた、それがかりに全然ないとしても——現在あるのですが、かりにないとしても、こういうような皇居なりあるいは国会周辺というような特殊な地域——ほかの地域にもあると思いますが、そういうものの景観というものは、これは国民の長い間のあとに残るかどうかという問題ですから、これはすなおに何か考えていく必要があると私は思うのです。もし現行法でやれないならば、これは新しい立法も必要だと思います。現行法だったってやれないことはないと思うのです。ところが、そういうことは現行法の引き継ぎをやっておるにかかわらず、そこがもやもやになったままでこうなっておる。そしてだんだん聞いてみますと、美観というものが非常に主観的でむずかしいから、したがって、それをきめるのが非常に困難だからというような意見も聞くことがあるのです。確かに美観はむずかしいと思います。都市は生きておるのですから、だんだんそれはいろいろな形のが出てきて美観ということでいいと思います。しかし、それならそれでもっとはっきり、自分は美観はこう思う、この周辺の景観はこういうふうにやるのが正しい、そういう議論をもっとはっきりお互いにやって、そしてその上で議論をすべきだと思うんですね。私は、いまの超高層その他が都市の美観の上に非常なプラスになるということはよくわかります。けれども、それは周辺との対照比較、そういうものの上に考えられるべきだと思うんですね。まるで、怪獣映画じゃないが、キングコングが岡の上から体を乗り出しておるようなかっこうである、事実、あの霞ケ関のビルに対してそういう意見を言う人がある。これは見る立場、見る視角からすると、近くで見るか遠くから見るかによって当然その議論は出ます。したがって、それは現在美観地区と指定されておる地区をもっと広げていくべきじゃないかという議論にもなる。これはいろいろな議論があると思うのです。私は、こういう大切な問題、しかもいろいろと景観の問題に対して見識のある方々、建築家の方もおられる、あるいは都市計画の専門家もおられる、あるいは芸術家の方もおられるでしょうが、そういう方々の持っておられるいろいろな議論の中に、やはりそれぞれの美というもの、あるいは景観というものに対する自分自身の考えを持っておられてやっておられると思うのですが、こういう公共の、または国民全体が長く残していかなければならぬ地帯について、その議論を固めたものとしてやっていく必要があると思う。ところが、いまの法律は、そういう制度をつくっておきながら、それが全然死んだままに議論が行なわれておる。もういまは大臣のところにたまたま決裁の点が来ておるようですけれども、失礼な話ですが、大臣やあるいはその他の方々の生命よりも、あの建物が建ってその景観が一体どうなるかということのほうが長いんですね。これはよほど問題を考えていかなければいかぬと思うのです。私は、超高層そのものには決して反対じゃないのですが、しかし、それはこの周辺の一つの景観の維持というものを、先ほど来申し上げました都心の地域交通だとか、あるいは消防その他のそういうファシリティーの問題とともにもっと重要に考えていただいて、そしてこの問題に対処する必要があるんじゃないかということを私は痛感するのです。それに対して大臣の御意見をひとつ伺いたいと思います。
  72. 西村英一

    ○西村国務大臣 いまの法律でもってせっかくあるんだから、それをひとつ行政的に指導すべきじゃないかという、こういう問題点が一つ。もちろん、それでございますから、そのように現在の法の精神に従って指導する、やはり美観地区をつくるような条例もなるべく行政的に指導していきたいと思います。しかし行政で防げない点は、法の改正というようなこともありましょう。現にたとえば、常識的にも、この国会を中心にしまして会館等ができる場合にも、何と申しましても、この国会の周辺は国会がやはり中心であるから、あれを見おろすような高い建物は遠慮しようじゃないかというので、衆議院の二つの会館、それから参議院の会館等も、そういう考慮を払われてやったのでございます。また現に、これからつくるであろうと思われまする最高裁判所の庁舎の建築を引き受けておる。これは最高裁判所が中心になりまして庁舎の審議会ができております。これは例の国立劇場の隣のほうにできるのでございますが、この審議会は、非常にたくさんなことを——最高裁判所といえば非常に大事な建物でございますから、いろいろ項目をきめておる。そのときにやはり一番問題になったのが、例の皇居の周辺における建物であるからという考慮でございます。したがいまして、これだけの考慮が払われておる、これだけの考慮を払わなければいかぬよということになっておるのであります。ちょっと読み上げてみますと、庁舎の様式で、「なお、建物の高さ及び階層数については、皇居との関係が十分考慮されてあり、かつ、周囲の景観とよく調和したプランが得られるのであれは、」——得てもらいたい、得られるのであれば必ずしも高さのことは云々言わぬ、景観と調和をとれるようにしてくれ、そうすれば高さをどうこうという制限はしないという、こういう非常に考慮ある答申になっておるのであります。これを受けまして建設省では今後の高さ等も考えておるわけでございまして、いまあなたがおっしゃいましたように、東京都のみならず、日本の国民全体から見たところの地域というものがやはりあると私は思うのでありますが、そういう点につきましては、現行の法律を守りつつ、さらに法的な欠陥も補っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  73. 谷垣專一

    ○谷垣委員 大臣のお気持ち、だいぶよくわかりました。  もう一つ申し上げておきたいのは、美観論争をいろいろいたします場合に——こういうふうに具体的にいまあそこの東京海上が問題になっておるものですから、いろいろ議論が横のほうへ走っていくきらいがございますけれども、この美観論争の際に、超高層ができることが非常にダイナミックな都市美を形成するのはけっこうだ、これをならしたり均衡をとったりしちゃいかぬという議論があります。これはその中に一面の真理もあると思うのです。しかし、それは乱雑に——乱雑という表現はおかしいですけれども、超高層時代になっているのに、ほったらかしておいていいということは一つも意味していないと思うのですね。ほったらかして、なるようになったらいいじゃないかという議論とは違うと思うのです。そこのところは、私は、こういう超高層時代になってくる、もちろん、こういう皇居の周辺だとか国会議事堂の周辺のような特殊な景観はやはり維持していかなければならぬというところの景観上の問題が一つあります。それからまた、もう一つ同時に、一番最初に御質問いたしました、この大都市における昼間人口と夜間人口の急激な差に拍車をかけるような状況、それに対する何らかのてこ入れがやられていない状況、つまり都市計画全体のビジョンがないままにいろいろなことが現実にどんどん進んでいく、こんなことはないと思うのですよ。そうして、だんだん聞いてみると、現行法でやるべき手続その他が不備なままに動いておる。片一方、この二、三年の間に、計画だけでは十幾つというような大きな超高層がすぐ目の前に出てくる、こういう時代に来ておる。これはよほどしっかりしてもらわないといかぬと思うのですよ。これはほんとうにたいへんだと思うのです。だから私は、もっと基本的な問題も含めまして、現実には東京海上ですけれども、私は、霞ケ関といったって決していいものではないと思います。そんな個人的な意見は別にいたしますけれども、そんなものがどんどんでき上がってくるということに対して、片一方では賛成ですが、しかし片一方、都市計画の上から、あるいはこの周辺の景観を維持する上からいくと、やはりこれは検討してマイナスの面が出てきておりますが、これは大臣、もう一回、そういう問題を含めて、都市の美観といいますか、このあたりの美観にとどまらず——超高層時代に入って乱立してもいいというような議論は困るので、この時代になって、もっとビジョンがなければいかぬ。これはビジョンがないですよ。この美観論争はごく表面だけの議論なのです。基本になるビジョンなしにみなが議論をやっておる。あとは大臣のところでいつ認可があるかというだけのことになってきておる。そんな問題じゃないと思うのですが、いかがですか、大臣。
  74. 西村英一

    ○西村国務大臣 都市計画につきまして今後は十分考えなければならぬと思っております。さしあたりの問題といたしまして、御指摘のように、海上ビルの建物の申請が私のところに来ておるわけであります。さいぜんもあなたが議論されましたように、敷地の問題をめぐりましていろいろ議論がありましたが、結局あの裁定のしかた等につきましても、いろいろこれは議論がありますけれども、それは別の問題として、これも法律上いろいろな問題があるかと思います。しかし、非常に重大な問題でございまして、特定なところにまた特別なものをしようというのでございまするから、非常に重大であります。したがいまして、いま申請は出ておりますけれども、私も慎重に考慮しなければこれは納得できないところでございまして、慎重に考慮をしてから後、こういうことに私はしたいと思っておる次第でございます。
  75. 谷垣專一

    ○谷垣委員 私は高層建築の問題はこれで終わりまして、あと石川委員が関連質問ということでごさいますので、やっていただいたらいいと思うのですが、もう一つ、和知ダム決壊のあとの処理問題がその後経過の報告がございません。きょうは時間がないようですから、建設省当局のほうに、このダム決壊のあとの経過をひとつ文書で出していただきたいと思います。時間があればあとで質問させていただきたいと思いますが、時間がなければ、文書で出してもらいたい。
  76. 森下國雄

    森下委員長 わかりました。河川局長にそのことをよくお願いいたします。  それでは、関連質問に石川次夫君を許します。石川次夫君。
  77. 石川次夫

    ○石川委員 実は谷垣委員のほうから超高層ビルのことについて逐一、意見を交えての質問がありましたし、あとからまた重要な質問が控えておりますから、意見を交えずに質問いたしますから、ひとつ簡単に答弁してもらいたいと思います。  それは、市街地建築物法という法律が大正八年からありまして、それを昭和二十五年に建築基準法に切りかえたわけです。そのときには美観というものはちゃんと残っておったのですけれども、その建築基準法によって様式制限というものが行なわれ、丸の内、あと新橋の駅のかいわいと新宿の副都心のところだけが第十種ということで、十分の百ということになったわけです。そうしますと、いま問題になっております非常に超高層ビルが建つことによって美観がそこなわれるんじゃないかというような問題は、容積制限が出たとたんに無視されたという結果になっておるわけですね。美観地区という指定は、御存じのように、各地方自治団体が条例を出さなければ具体的には成立をしない。しかしながら、美観という問題は、主観が相当ありまして非常にむずかしい問題で、なかなか条例が出されないままに、いま話が出た美観という問題はうやむやのままに放置されておるという状態で、現実の問題としては、建築基準法というもので容積制限をしてしまったから、幾ら高いものを建ててもいいということは、すでに美観地区というわれわれのイメージというものを建築基準法でこわしておったんじゃないか。ということは、丸の内がもうすでに指定されているわけです。第十種です。一番高い建物を建ててもいいということになっておるのです。昭和二十五年の問題ですから、いまの局長や大臣に言ってみても始まらない問題ではあるのですけれども、しかしながら、私が質問したいのは、そういう問題があるので、容積制限を含んだ建築基準法というものをここで抜本的に改正する必要がありはしないか、こういう問題だと思うのです。もちろん、この建築基準法の問題は、全体としての都市をどうするかという問題と、個々のうちをどうするかという両方の問題を含んで、非常にむずかしい問題になっておる。しかも現在スプロール化する都市対策というものについて建築基準法をどう対処していくか、それから、都市計画法というものも最近改正になって利用区分というものができてきたけれども、それに対応して建築基準法をどう変えていくかという問題もあるわけです。それから、現在のずさんな建築基準法それ自体についていっても、建築基準法違反というものがあとを断たない。地方行政機関のほうにまかせてもほとんどお手あげの状態です。ほとんどが建築基準法違反といってもいいような状態のままに放置されておるということですから、こういう美観論争を含めての、容積制限を含めての抜本的な改正というものをどうしてもやらなければならない時期にきておるんじゃないか。それと、あとは、そういうものの中に建築違反の問題というものが放置されておるという状態、これをどう取り締まっていくかという問題も含めて、あるいは都市計画法の改正とどう対応するかという問題を含めて、非常にむずかしい問題ではあると思いますけれども、スプロール化、日本の都市集中というものはイギリスの三倍の状態に進んでおるという状態に対処して、抜本的に早急にやらなければならぬと思うのですが、その対策はどうなっておるか。簡単でけっこうです。次の機会にいろいろ質問いたしますから……。
  78. 西村英一

    ○西村国務大臣 いまあなたがおっしゃいましたようないろいろな問題がありますので、ただいま建設省といたしましては、建築基準法改正の検討をやっている最中でございます。もちろん、違反建築等につきましても法令がないわけではございませんが、やはり執行面であまりうまくいかない。しかし、うまくいかないといってそのままほっておくわけにはいきませんので、いろいろ法的な整備もいたしたい。また、さいぜんも申しましたように、美観の地区指定があり、また高さ制限の指定もあるのですが、何ら条例として行なわれていない。法の精神がやはり生きていないということになるわけでございますので、それらの欠陥につきまして建築基準法の改正をやりたいと思って研究いたしておる最中でございます。ひとつ十分諸君の御意見取り入れまして改正をしたい、かように思っておる次第でございます。
  79. 石川次夫

    ○石川委員 意見はあとで申し上げたいと思いますから、きょうは省きます。これはぜひ早急に実現をさせてもらいたい。これは今度の通常国会に出すというかまえでやってもらわないと、どんどんおくれを起こしてしまう、都市集中に対応できないようなズレがまたはなはだしく大きくなるという点で、ぜひお願いをしたいと思っております。  それから今度の東京海上のことでひとつ具体的に質問をしたいと思うのですが、私が霞ケ関のビルを見たときに、あそこに一万五千人くらい入ります。そうすると、その半分が地下鉄を利用したと仮定しますと、一体交通機関はどうなるのだというようなばく然たる不安を私は感じたのですけれども、先ほど申し上げたように、これは容積制限ですから、縦にやるか横にやるかということで、中の人間は同じだということになると、都市集中に対応する環境整備といいますか、それに伴うことを考えずに、やたらに高い建物を建てていくということについては、相当大きな問題があります。これは谷垣さんがいろいろおっしゃいましたから申し上げませんけれども、そういう問題があると思います。  それで、東京海上の場合は、いわゆる東京都の建築主事が建築基準法違反だということで却下をしたのは——二つの地区にまたがっているのは、片方の建物は残っている、片方の建物はつくられていない、これを二つの地域にするか、一つの地域にするかという問題が、建築基準法の違反かどうかということの焦点だと思うのです。そこで、非常に極端な例を申し上げますと、千坪のところが、九百坪の建物ができて、あと残っておる百坪のところに建物を建てた。ところが、九百坪のところは二階建だった。あと百坪のところに建てるものは、これを一つの土地と見なした場合には、一般的にいうと、百坪の土地に建てる建物というものは百五十階から二百階でもできるということになる。これは非常に極端な例ですよ。——わかりませんか。それはそうなんです。二つの土地に分ければその土地土地で容積制限をするわけです。これは東京海上のように一つにまとめて高い建築を建ててもいいということになる。たまたまあそこの土地は半分くらいだ。ですから、九百坪の土地に建てておったと仮定すると、片方はものすごい建物が建ってくる、これは認めなければならぬという矛盾が出てくる。したがって東京都では、これは二つであるという判定で、建築基準法違反であるということで却下をしたけれども、これは不服申し立てがあって建築審査会にかけたところが、これは一つの土地である、私道が中に入っているだけだから、東京海上の所有地であるということで、この片方の土地の建物でまだ残っている容積制限の部分を、片方の残った土地に建てる建物の上に乗っけてしまうということになったのですけれども、これは私はどうも筋が通らないのじないかという気がするのです。こういう点で建築審査会の結論のほうが誤りをおかしているのではないか——これは私個人の意見ですが、そういう感じがするわけです。これはたまたま半分くらいの土地ならかまわないけれども、九百坪と百坪という仮定をすると、とんでもないことになるのじゃないか、こういうことがあるので、東京都が、二つの土地だというふうに裁定を下したのは正しかったのではないか。これは党の意見でも何でもありません。私個人の意見であります。こういうこともあるので、この東京海上の場合は個々の問題ですから、具体的にここでどうこうという論議の対象じゃないと思いますけれども、そういう点も含めて、建設大臣が構造認定をする場合は慎重にひとつ対処してもらわなければ困るのではないか、こういう意見だけを一応述べておきたいと思います。  あと一つ、これは関連にならないでたいへん恐縮ですけれども、建設大臣がたまたまお見えになっておるので、私の選挙区の問題でありませんから、私の地方のことじゃありませんので、率直に聞いてもらいたいのですが、それは、私は建設委員会で四国へ行きまして、四国と本州をかける橋の問題がたいへんな問題になっているということを、あらかじめわかっていたのですけれども、現地を見てつくづく感じたのです。早くきめないと、とんでもない紛糾がもたらされる、また非常に混乱が出てくる、これは早くきめてもらわなければならぬ、こういうふうな感じを持ったのです。そこで、伝えられるところによりますと、審査会をつくるということですけれども、   〔委員長退席、渡辺(栄)委員長代理着席〕 ところが、これがはたしてそうなるかどうなるかという問題を含めまして、審査会をつくるということは、よく言われるように、隠れみのになるという問題が一つあるのじゃないか。責任転嫁じゃないか。こういう問題を、審査会をつくってじんぜん日をむなしゅうすると、ますます時期がおくれて混乱をしてしまうだけではないか。したがって、審査会などというものを一つの橋をかけるということのためにしないで、やはり建設大臣あるいは総理大臣が高度の判断、正確な判断に基づいて早急にきめるべきじゃないか、こう思うのですが、その点どうなっておりますか。
  80. 西村英一

    ○西村国務大臣 実は私はきょうの閣議で、本州、四国を結びまする橋梁問題について閣議の御了承を得たのでございますが、ことしの六月に土木学会から建設省は報告を受けました。また、その報告は、主として技術上の諸問題についての報告でございました。自来、建設省、日本鉄道公団におきまして、その結果に基づきまして建設費と工期の試算をいたしておったのです。近くそういうものもまとまりますから、この取り扱いをどうするかということでございまするが、これはまだ技術的にも非常にいろいろな問題点を残しております。のみならず、中国、四国の地方開発の点についても重大でございます。また、広くは日本全体としても非常に重大な問題でございますので、建設省だけで云々するわけにいきません、したがいまして、いずれにいたしましても閣議のベースで相談をしていきたいということで、臨時に閣僚の懇談会を持ちたい。そして、この取り扱いをどうする。その取り扱いは、いわゆる審議会をつくるという方法もありましょうし、あるいは、現在建設省では道路審議会がございますし、運輸省では運輸審議会がございますが、それらの合同の審議会にまかせるというようなこともございましょうし、いろいろな方法があると思います。あると思いまするが、いずれにしても、話し合っていきたいということを私はきょう提案をいたしたのでございます。  それから、非常に地方ではもう性急にということはよくわかります。わかりますが、非常に大事業でございまするから、なかなかそう簡単にこれはきまることではないと思うのでございます。しかし、故意におくらかすということも考えておりません。審議会をつくって隠れみのにするんじゃないかというような、そういうようなことは考えません。けれども、世界にも類のない大きい仕事をやろうというのですから、多少の時日がかかることはやむを得ないのでございます。また、かりに建設にかかるといたしましても、ばく大な金がかかるのでございます。したがいまして、あらゆる点につきまして政府としては考慮をしなければなりませんから、ひとつ十分な手を打ちつつやっていくというのが現在の状況でございます。  もう一つ、ただいま海上ビルの同一敷地が云々という問題がございましたが、やはりこういうような点につきましても——とにかく東京都の建築審議会はああいう結論を出したのでございます。裁決をしたのでございます。その裁決に対していま批判を加えることは差し控えたいと思いますが、その裁決の主文を見ましても、よく読んでみますと、思い切った自信のあるあれではないわけです。いろいろなことをいってそういうふうになっておるように見受けられるのであります。これもやっぱり法的に少しあいまいになっておりますから、ああいうことになるのだろうと思っております。しかし、あれはあくまでも敷地を争った根幹が超高層ビルの建築云々にあるのであって、それに賛成する人は無理に一方の解釈をとり、それに賛成しない人は反対の解釈をとる、こういうようにやられたのでございまして、根本問題の裏は超高層ビルをあの地域に建てることの可否をめぐっての論争でございます。それとともに、今度これをいい経験にいたしまして、敷地の問題等につきましても、いませっかくのお話がございましたが、同一敷地であるかどうかということについても、私はこの裁決は非常に疑問に思っておりますけれども、それはまた別の問題にして、取り上げていきたい、かように思っておる次第でございます。
  81. 石川次夫

    ○石川委員 四国の問題はたいへん大きな問題で、審議会をつくりたいという気持ちはわかりますけれども、一日延ばすと一日延ばしただけ混乱を深めるような感じを、現地に行ってみて痛感した。これはやはり閣僚懇談会あたりで早急に結論を出すことにしたほうが賢明ではないかと一応申し上げます。  あと一つ、これは茨城県ですが、私の選挙区ではありまん、研究学園都市というのがございます。これは国家的事業として、昭和三十五年のころから、東京の過密化対策、地方分散ということと、日本の科学技術の対策というものは非常に個々ばらばらで統一がとられておらない、それを何とか統一する一つの前提として一ところにまとめようじゃないか、その二つの意見がまとまって、たまたま筑波というところを指定されて、現在のところ、茨城県の連中はこれに非常に協力をし、茨城県知事が先頭に立ちまして、七割ぐらい買収が済んでおります。閣議の決定としては、これは非常に国家的な事業として重視をし、それに高速道路をつけるんだという構想も入っておったわけでありますが、高速道路の審議会が昨今行なわれまして、その中には筑波学園都市に対する高速道路は全然入ってないのです。私は、政治路線でも何でもなくて、閣議決定をしたものが、高速道路の審議会のその路線に入っておらないということは、これは研究学園都市をどうとらえているのかという疑問を非常に感じるのです。実は先ほど私は席をあけましたのは、岩上知事が参りまして、こんなことでは協力できぬ、こういうことで会ったわけですが、これはまことにもっともな申し入れじゃないかというふうに私感じまして、この点はここで早急に結論を建設大臣からいただこうとは思いませんけれども、こういう非常に大きな手抜かりがある。成田空港のほうは、さっそくやろうというので、目下の問題の焦点になっておりますから、これは非常にやっておるようですが、研究学園都市は、これは成田空港に劣らない大事業です。この高速道路は、閣議決定をしながら、全然路線に入ってない。こういうことでは、私は、たいへんな手落ちじゃないか、こう思うのです。この点ひとつ建設大臣に考慮をお促ししたいと思うのです。
  82. 西村英一

    ○西村国務大臣 常磐高速道路を早くやってくれ、実は早くやるつもりですが、調査が終わっておらないのです。しかし、審議会は今度が最後じゃございません。引き続きましてやるつもりをいたしておりますから、どうか岩上知事にも落胆しないようにお伝え願いたいと思います。まだ実は調査が終わっておらないのです。政治路線が多いものだから。農民の方々の非常な犠牲においてあれだけの土地を譲っていただいたので、実行問題として移転の個所もいろいろ私は詰めています。どういう研究機関を移すかということも、いませっかく詰めておるところでございまして、道路の問題につきましても、調査ができますれば、基本計画をきめ、整備計画をきめていきたい、かように思っておりますから、どうぞひとつあなたから岩上知事にお伝えを願いたいと思います。
  83. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員長代理 唐橋東君。
  84. 唐橋東

    唐橋委員 時間がありませんので、要点だけを簡潔に御質問申し上げますので、答弁もひとつ要領よく簡潔にお願いしたいと思います。  第一にお伺いすることは、いま福島県で高速道路の問題が非常な議論になっておりますが、その根底になっておるものは何かということを、大臣にあとでちょっとお伺いしてみたいのですが、総裁並びに大臣にまず御認識いただきたいわけなんであります。  私は、本年一月まで約十六年間ばかり福島県議会におりました。ですから、この高速道路の問題の経過等は、その中においていろいろと聞いてきておるわけでございますが、この道路が当初私たちに示されましたときには、いまの路線から見ますと、四キロ程度、遠いところで五キロくらい山沿いであったわけでございます。したがって、この資料を示されたときに、県民の方々はもちろん、議会の人たちも、全面的にこれに賛成をする、こういうことで促進を決議したわけでございます。それが三十九年の十二月の県議会でございました。そのあと二年くらいたちまして四十一年の十月ころになりますと、どうも山寄りではなくて平たん地になるらしい、こういうことが議会の中の問題になりまして、きまってしまってはたいへんにこれは問題じゃないか、やはり山寄りにできるだけしてほしいというような意見書を出そう、こういうような議論になったのでございますが、いま意見書を出すと促進に対するブレーキ役になるというような意見が多数を占めまして、その意見書は通らないでしまったわけでございますが、それから約八カ月の本年の五月になりますと、御承知のように、現在の、さきに発表になった路線が出てきたわけでございます。心配したとおりここに大きな問題が出てきた、こういうことでございまして、したがいまして、この経過の中で——私の手元のこの資料でございますけれども、その他の資料もございますが、県議会関係あるいは県のほうにも出されておると思いますが、いまの路線というものが平たん地になった理由というのがどうも非常にあいまいなのでございます。  したがいまして、第一にお伺いすることは、いま申し上げましたような日時の中で建設省はどのような経過でこの路線の決定をし、県当局等にいまの決定された路線が内示してあったのかという時期的な問題。それともう一つこれにつけ加えたいのは、お手元にいっているかと思いますけれども、福島県内で、この問題に対して、あとでも申しますが、いろいろ各種団体が要望事項等を出しております。これは農業協同組合関係の方々が出されておる要望書でございますが、いまのような経過の中で第一項目に必ず出てくるのは何かと申しますと、予定路線地区の決定については、必ず地元の関係者——読んでみますと、地権者会、対策協議会、農業協同組合等、ともかく地元の人と話し合って路線をきめてくれないか、こういう要望が出されておる。これがそもそも福島県でいま大きな問題になっておる根底なのでございます。したがいまして、これに対する時期的なものの経過の取り扱いを簡単にお答え願いたい。
  85. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 お尋ねの東北縦貫自動車道の福島県地区内の路線決定の経緯ということでございますけれども、私どもは、本ルートにつきましては、昭和三十五年以来継続いたしまして調査を続けてまいったわけでございます。一応調査の成果をもとにいたしまして、昨年七月改正されましたところの国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして整備計画が決定されました。それで直ちに着工という体制で今日に至っておるわけでございます。  大きな経緯につきましては以上でございます。
  86. 唐橋東

    唐橋委員 そういう経過は一応わかるのです。ただ、現在発表されております路線が、県民のほうでは、あるいはおそらく県当局のほうもそういう考え方であったと思うのですが、前に示された路線、それが四キロ程度平地に下がってきたという、こういう経過が一つ大きな疑問になっていまして問題の根底になっておる、こういうことでございますから、具体的にいま示されておる路線はいつごろほぼ煮詰まってそれが県に内示されているのか、こういうことなんです。
  87. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 ただいま唐橋委員の質問の中で、前に示された路線という話が出ておりますが、建設省は、ただいま道路局次長から答弁いたしましたように、昭和三十五年以来の調査の結果に基づいて、それで昨年の幹線自動車道審議会の審議を経て決定した路線が初めて示した案でございまして、それ以前に建設省が別の案を示したということはございません。
  88. 唐橋東

    唐橋委員 そうしますと、政務次官、あなたも福島県ですから、非常に事情に明るいと思うのですが、県議会の議論でも、知事や県当局は、いまの問題——第一次予想線であろうが要求線であろうが、この問題が出ましたときにいつでも議論になっていまして、そして前の路線が山沿いになるということについては非常に問題があるというような議論は、しばしば議会の中においても繰り返されてきた。その根拠が全然ない、こういうことになると、非常におかしいのでございまして、私たちにもこういうりっぱな資料が実は渡っていて、その中にはっきりとこのうよに——これは十八ですから、一からずっとあると思うのです。起点から見ますと、この路線は二百キロメートルというところから二百二十五キロ付近の明細な地図が出されているのですよ。しかも高低の断面図まで書かれている。こういうものが示されていて、そうしてこれを受けていまのように賛成をして促進方を協力してきた、こういうことになりますが、前のものがございませんというと、何か私たちが空理空論のようで、それならばだれがこの資料を出したのだ、こういう議論になって、非常に問題は複雑になると思うのですが、いかがですか。
  89. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいま御指摘のお手元の資料の関係のものは、これは三十四年ごろに民間団体でつくられましたところの東北道路推進委員会でございますか、そういう機関で調査されました結果の発表されたものでございます。したがいまして、この委員会結論については建設省としては直接かかわり会いはございません。私どもは各般の調査の成果に基づきまして、先刻申し上げましたような手続を経まして今日に至っているわけでございます。
  90. 唐橋東

    唐橋委員 またさらに私はちょっと疑問を持つのです。なるほど、この建設促進委員会というものは民間団体だ、こういう性格という御答弁なんですが、これを見てみますと、現在出されておるいろいろなインターチェンジの数とか高架というものは——建設費は別です。それ以外はほとんど現在の建設省案に近いと認められるのですよ。そうすると、建設省とこの促進委員会というものは全然無関係だ、こういうことになりますと、何か行政的に非常におかしくなってくるのです。この建設促進委員会の中にやはり建設省関係もお入りになっていなければこのような資料はできない、こういうふうに思うのですが、これはどうですか。私ちょっといまの答弁は了解できないのです。
  91. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 私、その委員会というものの構成メンバー等についてはまだ詳細を承知いたしておりませんが、私の知っている限りにおきましては、その委員会は私ども建設省としては関係ございません。
  92. 唐橋東

    唐橋委員 ここでその問題を煮詰めていくとちょっとおかしくなりますよ。全然建設省責任ないものを地方自治団体やその他に全部渡して、そうして、こういう計画でやるのですから、あなたたちもほんとうに促進しなさいよという、こういう事実があったことだけはお認めになるでしょう。そうでなかったならば、各地がいままで進めてきた運動は、建設省と関係のない団体に、しかも建設省の行政上の機構がどれだけ秘密的になっているかわからないとしても、そのまま筒抜けにいって、結果的には建設省に合ってくる、こういうことで民間団体がいわば建設省の行政機構を指導し踊らせてきたということになれば、これは大きな政治的な問題で、ここでその議論をすれば私は問題が大きくなると思うのです。時間がないからその議論までいきませんが、何か私はいま非常に大きな疑問を持ちました。この建設促進委員会という性格はそういうものではない、民間団体であることは、私はある程度それは認めます。しかし、その指導というものは必ず建設省がしていなければ、これだけの資料が出て、そうして今後の白道車道はこうなるのだ、こういうことのために関係の各県が全部立ち上がって促進決議をし、そして意見書を正式に中央に各議会がみんな出しておるということになったならば、何か幽霊に踊らされた自治体になってしまいます。これはちょっとおかしいですよ。   〔渡辺(栄)委員長代理退席、委員長着席〕
  93. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 唐橋さん、これはあらためて申し上げるまでもないと思うのでございますが、幹線自動車道の路線をどうきめるかというような問題は、これは国家的な重大な問題でございまして、当然これは法律に基づいて、法律に基ついた権限を持った国の機関がやるべきことでございまして、民間の団体がかってに云々すべきものではございません。ただいまお聞きいたしましたところによりますと、その開発促進委員会ですか、その委員会が発表した路線案というものは、昭和三十四年に発表になっておる。ところが、私ども建設省が正式にこの問題の調査に取り組んだのは昭和三十五年でございます。そのようないきさつからいいましても、しかも、昭和三十五年から数年間にわたって調査を行なった結果、ようやく昨昭和四十一年の七月になってこの整備計画を決定したといういきさつであるわけでございます。でございますから、正式に調査に着手する以前の昭和三十四年に発表された路線案というものは、私ども建設省としては、全然これは関係がございません。この点ははっきりと申し上げておきます。
  94. 唐橋東

    唐橋委員 関係がないという意味を、いわば行政上の責任という意味に解釈するならば、私は理解できるのです。しかし、少なくともこれだけの促進委員会、そしてすぐ次の年に着手するような問題が内容が先に漏れているとするならば、これは行政上おかしいですよ。これは議論いたしません。多少この点の議論は残しておきまして、次の質問に入ります。  この道路の開発は、名神あたりと非常に性格が違うということも、やはりこの東北線の場合は議論されたと聞いておるのでございます。といいますのは、名神は、スピードアップ、交通難の緩和、こういうことが第一条に出てくる。ですが、東北自動車道路は、第一条に、これによって地域の開発ということが大きく期待される、こういうことを関係当局から私たちは聞いていたわけです。そうしますと、いまの平たん地をあの四号国道と並行線で行くよりは、多少山沿いで行くことが、確かに開発の趣旨に沿う。観光にしろ、林産資源等の問題にしろです。こういうことで私たちは、最初示された、あなたたちからいえば幽霊線だ——幽霊線であったとしても、幽霊線と思わないで、非常な熱意を持って期待してきたのですけれども、この第一次的な目的、東北開発ということと、それから、いま発表された路線は、たった四キロないし遠いところで五キロで、ほとんど並行線なんです。こういう場合に、やはり私は、いまのような性格を兼ねながら——澁谷次官、これは御承知ですか。促進委員会の路線の案によりまして東北六県知事がその実現を皆さん方に強力に訴えたことがあるわけですね。それには、いまのような東北開発という、あの後進地域に対する大きな願いがあったのですよ。だから、この東北と、いわゆる名神や今度の東名のような——東名はまだ建設中ですが、名神のようなものと性格が非常に違うということをお認めになりますか。それが一つと、もう一つは、六県知事が具体的に——経過の中ですから、六県知事がこの案を基礎にして皆さん方にお願いしたという事実は御承知ですか。
  95. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 前段の、六県知事が、どのような案でありますか知りませんが、建設省に陳情したという事実は、私自身は承知いたしておりません。後段の、幹線自動車道路の開発の目的が、名神のような地域を走る道路、あるいは東北といったような非常に開発がおくれている地域を走る幹線自動車道路では、やはりその土地の経済事情、社会事情が違うわけでございますから、当然、その意味では内容なり性格を異にしてくるということは、私は十分了解できます。唐橋さんが言うまでもなく、私も同じように福島県出身でございまして、東北のおくれた地域の開発を何とか促進したいということは、これは東北から出ておる私ども国会議員、一人の例外もなくそのように考えておるわけでございます。したがって、今回決定した路線につきましても、そのような私どもの願いを込めてこの路線を決定しておる次第でございます。
  96. 唐橋東

    唐橋委員 私が解明しておかなければならないのは、これからの議論も、福島県内に起こっておる議論も、実はこの促進委員会が示した路線と、さらにいま建設省が出された路線との比較問題というものが非常に議論になっているということでございます。したがいまして、県議会あたりの議論を見てみますと、知事あたりも、いわゆる前の予定線は、実は山沿いになれば建設費が高くつきます、冬期間になれば自動車の交通に多少やはり支障が出てくるでしょう、だから平地に移ったのです、こういう説明を県当局はしておるのです。実は福島県で議論しているこのような議論は根拠がなかったということになっちゃうのです。ですから、もう少し山沿いのほうに行けないだろうか、こういう要求が一つと、もう一つは、行けないとするならば、これだけのいろいろな条件が具備した中において了承しようじゃないか、促進しようじゃないかということが出てくるのです。いま、東北知事会あたりにも出されたあの路線というものは次官は知らなかった、こう言うのですが、直接担当されておる局長の方々は、この案を知事会が要望したということだけは認められますか。そうでないと、私の議論そのものも、福島県の議論そのものもおかしくなるのです。少なくとも東北知事会あたりで促進されたときの——それは行政上の責任ではございませんでしょうが、建設省の案ではないでしょうけれども、私がいま手元に持っている資料等が基礎になったものだということだけは、少なくとも経過としてはお認めいただけるでしょう。
  97. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 それはいつごろ……。
  98. 唐橋東

    唐橋委員 いま次官が言われた三十四年の三月の日付のものです。これが東北六県全部に渡りました。私は東北六県の連絡会議にも出ました。
  99. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 当時の関係者はほとんどかわっているんですよ。
  100. 唐橋東

    唐橋委員 福島県あたりの議論は、すべてこの議論が出発になっていま問題になっているわけです。
  101. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 それはあとで調べて、また御返事いたします。
  102. 唐橋東

    唐橋委員 あとで調べていただくことにして、私は、少なくとも、この資料がもとになっている、こういうことだけははっきり認めていただきたいと思います。  次に質問いたしますのは、経済効果経済効果、こう言われるときに、なぜいまの平地になったのか、もう少し山沿いにいけないのか、それが経済効果をあげるのにはむしろいいじゃないのかという見方と、それからもう一つは、やはりいまの路線が一番いいそうだ、専門家の十年来検討された路線だからもうしかたがないのだ、こういう二つの考え方が現実このためにあるのだということだけははっきり御認識にいただきたい。  そして第三の質問に入りまして、もう一つ福島県関係で非常に解明してもらいたいという事項は、建設費の問題でございますが、名神は、御承知のように、七メートル高さで堤防が七十メートル、それに対して建設費が一キロメートル六億三千万、こういうことでございますね。今後は建設費を多少安くするために、堤防を五十メートルにして高さ二メートルの道路にするのだ、こういうことで、東北道の場合には、御承知のように、一キロメートル当たり六億三千万になる。そうしますと、いま大きな問題のときにいろいろ検討している敏感な県民は、名神の場合は、前の工事だったから一キロメートル当たり六億三千万、今度は物価やその他だいぶ値上がりになったから、同じ一キロメートル六億三千万の工事は、買収も何も安上がりの工事だ。しかし単価は上がってくるわけですね。だから、買収費にしろ補償費にしろ、あるいは建築費はもちろんですが、それだけ名神から比較すればやはり多くくるのだろう、こういう期待があるわけです。それからもう一つは、いま建設中の東名は、一キロメートル当たり九億八千万だと聞いている。そうすると、一キロメートル幾ら違いますか。三億五千万違うわけです。一キロメートル当たり三億五千万、こういう違いが出てくるとするならば、もう少し建設費等について——となってきますと、さらに専門的な工事ではなくて、それに伴ういろいろな補償の問題やその他がここから大きな疑問になってくる。そうして、補償単価はどうですか、まだわからないのです、近いうちに発表します。こういう状態が非常に混乱を生じておるもとになっており、各種団体からも、補償費についての考え方等は早急に出してくれという要求が出てきておる。大まかに、名神、東北道、それから東名の建設費の一つの規定を、ここは専門的な検討の場でございませんので、考え方だけを御解明願いたいと思う。
  103. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 詳細な技術的な解明につきましてはそれぞれ専門家から答弁をいたしたいと思いますが、東名にしても、東北にしても、その他の道路にしても、建築そのもののコストはそう変わるはずがございません。それでは一体どう違ってくるかという最大の要因は、土地の買収費でございます。これはもうあらためて説明申し上げるまでもございません。東京周辺の土地の値段と東北の土地の値段とは非常な差があるわけでございます。これが東名道路とその他の大都市をかかえておらない地域を通る道路の建設コストが大幅に違っておる一番大きな決定的な要因であるということを申し上げたいと思います。
  104. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいま次官からお答え申し上げました点で補足をいたします。  お尋ねの名神、東名、それから東北自動車道、これについての建設費の平均単価の御指摘がありましたが、これはこの名目的な平均単価だけでは必ずしも議論はできないと思います。これは御存じのとおりだと思います。  まず第一点は、それぞれ着工の時点が違うということでございます。  次に、構造規格においてかなり相違がある。と申し上げますことは、名神、東名は大体似たような規格でございますが、いわゆる私どもが昨年来から着工に入りましたその他の五道につきましては、できるだけコストダウンをはかるという見地から、かなり構造規格に手を加えまして、高速道路の用地幅等もかなりくふうをいたしております。そういう点で名神と違ってくるのではないかというふうに思います。  それから第三点は、これは申し上げるまでもございませんが、やはり当該高速道路の計画地域の土地利用の状況からくる単価の問題でございます。名神におきましては連櫓する都市地域の間を走っておりますので、かなり用地の単価も高くなることは当然だと思います。  それから地形との関係でいろいろ構造物の関係があろうかと思います。東名におきましてはかなり長大橋というような橋梁関係の構造物もございます。  以上申し上げましたようなことからいろいろ結果が違ってくるわけでございまして、単に御指摘のようなキロ当たりの単価だけで高いとか安いとかそういうような議論はできがたいのではないかと思います。
  105. 唐橋東

    唐橋委員 そういう具体的な建設費の内容検討ということにつきましては、この場でいろいろ質問申し上げる時間的な余裕もございませんし、そういう点は省略いたしますが、少なくとも福島県の期待されているものは、道路の用地買収の面積は少なくなった、しかし、単価は一キロメートル当たり六億三十万で大体同じなんだ。そうしますと、名神の買収費——地域によっていま次官が申されましたように差はあろうとも、全体とすればそれを下回るものではないだろう、しかも次官が申されましたように、非常に土地の買収補償というもののウエートが大きい。こういう中においては当然そういうように考えられる。こういうことをやはり考えているわけでございまして、ともかくこの補償の基準とでも申しましょうか、そういう基本というものはいつごろ明らかにされるのですか。
  106. 富樫凱一

    富樫参考人 ただいまお尋ねの補償基準につきましては、ただいま福島県と打ち合わしておるところでございます。御承知のように、用地買収につきましては、県に委託しまして用地買収事務を進めていただくことになっております。六月に基本協定をいたしまして、七月には今年度の契約をいたしたわけでございます。それに基、つきまして、県の使用する補償基準——これは公団の同意が必要でございますが、これをただいまつくっておるところでございまして、それができましたらお示しできるかと思います。これは仙台の建設局が担当いたしております。建設省からもそういう意見がきております。今後できるだけ早くお示しするようにいたしたいと考えております。
  107. 唐橋東

    唐橋委員 直接的には、地権者からいえばいまの補償費の問題が中心になるのですが、そのめどがないうちにもうすぐ測量に入るというようなことが、非常な混乱状態の一つの原因にもなっています。ですから、あとでなお質問いたしますが、これと関連して、一番最初の測量というようなもの、中心の線ですね、そういうものは、やはりこういう点の事務が終わってからやっていくほうが一番正しい、こう思うのでございますが、それらについてはどうですか。
  108. 富樫凱一

    富樫参考人 中心線が入りまして、それからどういう設計にするか地元の方々と協議いたしまして、それで幅がきまってくるわけでございます。幅がきまってまいりませんと、どういう土地をどういうふうに評価するかということがはっきりしてこないわけであります。ただ地元の方々は、およそ幾らくらいかかるだろうというようなことを非常に御心配になっておるわけでございますが、それで私どものほうは、付近の地価と変わりありませんということを申し上げておるわけです。ことに農地を失われる方々につきましてはいろいろ問題もございますので、補償については御納得のいく線でお話し合いいたしたいと思っております。
  109. 唐橋東

    唐橋委員 私の申し上げたいのは、たとえば中心線だけであっても、やはり自分の土地が測量になるという——幅がきまれば補償費の計算はできますが、中心線だけでは計算ができないことはだれしもわかっておるわけですね。そういうような測量でさえ、やはり自分の土地にくいを打たれるという場合には、少なくとも補償費というものを一応示した中でやっていかなければ、打たれるほうの農民心理としてははなはだ了解に苦しむところなんですが、それらに対する一つの考え方をはっきりお聞きしたい、こういうのが切なる農民からの希望です。それに対する取り扱いをもう一度、くどいようですが、お聞きしたい。
  110. 富樫凱一

    富樫参考人 これはどの土地が幾らということをあらかじめお示しすることはなかなか困難なことでございます。代表的なと申しますか、標準的な土地についてまず算定いたしまして、あとはそれをもとにした格差をきめて、それで各土地の評価をしていくわけでございますが、標準価格というものも、大体幅がきまったところで地元の方々とお打ち合わせいたしまして、それできめるわけです。従来のやり方は、大体部落単位にいたしまして、町村のごあっせんをいただいて部落ごとに話し合いをしてきめていく、こういうやり方をしておりますので、いま標準地をどれだけかということをお示しするのは早過ぎるように思います。
  111. 唐橋東

    唐橋委員 ですから、幅まで測量しないうちは一応いまの補償単価というようなものが示されないのだ、こういうことは、私たちから言えば、農民心理に非常に合致しない、取り運びについて非常に問題があるわけです。あと各それらの精算事務、段階事務は別だと思います。ですから、そういう点を農民心理にほんとうにマッチする取り運びを希望しているから、いまのことをくどく聞いているのですけれども、やはり一応の基準を出してから、そしてあなたの土地にくいを打つのだ、こんな手順こそが正しいと思うのです。これをぜひやってもらいたいと思うのですが、どうですか。
  112. 富樫凱一

    富樫参考人 お話の点よくわかりますので、検討さしていただきたいと思います。
  113. 唐橋東

    唐橋委員 非常に時間がありませんので、もう一つ問題をお聞きしたいのですが、自治省から来ておりますか。——自治省関係なんですが、大玉村というところで、この問題にからんで八日に村会を開いて、九対八で、いわば反対派といわれておる、路線を移動してくれという派が勝ったわけなんです。そうしますと、県当局が、どういう経過だかはわかりませんが、非常に心配して、そうして県事務所長が直接今度はその村に行って、次の日全員協議会を開き、全員協議会のあとに今度はこれを臨時村会にする、こういうことで、県事務所長もその村会の席について、そうして今度は促進協議会を持つのだ、こんなような同一議題を続けてやった。結果的には、促進協議会をつくったので、前の反対的な意見の者が逆になったというような事件ができてきておるわけです。それと同じように、各市町村がいま非常に少数の差のところが相当出てきておるのですが、こういう場合に、問題は、県あたりの出先機関の所長が、村会がきめたものを、さあそれではちょっと方向が自分たちの意に沿わないというようなことで介入して、次の日同一議題をやらせるという事件ができているのです。これはいわゆる上級行政機関と下級行政機関の非常に大きな行政上の問題だと思うので、これは十分調べていただき、そのような地方自治体への介入ということがもし現実行なわれたとしたならば、これは非常に重大な問題になりますので、事実を聞いておりますかどうか。いま私が申し上げましたような事実に対して、今後正しく指導していただきたいということでございますが、それについてひとつお伺いします。
  114. 林忠雄

    ○林説明員 その事実はまだ当省としては聞いておりません。直ちに県のほうに照会して事情をよく調べたいと思います。  ただ、その問題につきまして、県と市町村というのが、ものの仕事によっては上級と下級の関係に立つこともございます。国の事務の委任を受けたような場合にはございますけれども、原則としては、県と市町村は、自治法上上下の関係のない、それぞれ独立の自治体でございます。そうして、県は県として一つの県の自治行政の進め方の方針なり方法を持っておりますし、市町村は市町村としてその市町村独自の方針なり方法を持っておられます。これが場合によっては同じ問題について違う意見になることもある。その場合に、市町村に対して県が説得をするということは、これはしばしば行なわれていることでございますし、いろいろ事情を話し、わけを話して、たとえば県の方針に沿ってもらうということは、これはあってもいいことだろうと思います。問題は、その説得のしかた、ないしはその説得のやり方が多少強圧的な形になれば、介入ということにもなりましょうし、その間の具体的な実情というものを判断いたしませんと、県の考え方を市町村に話して納得してもらうということが常に悪いとも限りませんし、また、これが常にどんな形で行なわれてもいいとは限らぬわけでございますから、その間の事情をよく調べまして、やや行き過ぎがあったかなかったか、これは当然な説得であったか、その他、そういうことはその実情に即して判定しなければならぬ、こういうふうに考えます。
  115. 唐橋東

    唐橋委員 具体的事件ですから十分御調査願いたいのですが、私がここで責任を持って申し上げられることは、きょうきめた、それを聞いた県があわてて飛んできた、そうして今度は県事務所長がその議場のわきにいてきめさせるというこの形態は、私は、あってはならぬ、やはり自治権介入と疑われるということははっきり申し上げておきますので、そういう観点に立ちながら御調査願いたい。  それから、これに関連して総裁にひとつ十分御検討を願いたいのは、地方自治体、特に都道府県地方自治体が、御承知のような用地取得に関する契約をあなたのほうと結ぶことなんです。公団としては、一番困難な用地取得を自治体にまかせるので非常に便利だ、こうお考えになると思うのですが、実はこのことが混乱の原因になっておるということもひとつお認め願いたいのです。といいますのは、次官いらっしゃるので、只見川電源開発のときの状況なんかよくおわかりだと思いますが、知事はいつでも仲介役の立場をとっておったのです。一番もめましたのは田子倉という地域ですが、その人たちがどうも電発と話し合わない。そのうちに、知事がいつでも仲介の役をとりながらやっていたという状態がこの問題を解決する糸口になった。これが大きな糸口なんですよ。いま委託契約をされてみますと、あくまでも県は住民側から見れば公団の出先機関です。この仲介的な性格を気持ちの中に持っていたとしても、受けるほうはそうでございません。これは想像していただけると思います。そうしますと、幾ら県が地権者に集まってください、話し合いをしましようということをしても、了承せしめられるだけじゃないかと、乗ってこないのです。そこで問題になるのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、第一次予定線とでも申しましょうか、その線のほうに多少いけないだろうかという希望なり、あるいはまた、こうであってもいいが、こういう条件というものを私たちは考える、こういう人たちがおるわけなんです。その場合に、出先機関になった都道府県はもう了承せしめるだけだから、行けば、了承してくれと言われるだけだ、もう路線の多少の変更はできないのだ、この条件は、努力してみろが、むずかしいだろう、こう言われるだけだ、こういうような判断が出てきますから、集まってこない。たいへん人数が集まったと言われるのですが、それは一番の地権者がまざっていないのです。何か市町村あたりからかき出されて、おまえも出てくれ、おまえも出てくれという人たちが集まってくる。そして、これは促進しなければならない重要道路だから……こういうことで、大切か本人たちの話し合いというものがもうできなぐなってきておる。これはひとつ総裁、十分にお認め願いたいと思います。  いま、御承知のように、このような契約を結んだものは名神の場合はございません。東名の場合も一件もございません。いま出てきているのは、中央道の山梨県だけが結ばれている。東北六県は、福島県が結んだ、他のほうも結んでいこう、こういうことなんですが、これはたいへんにいいようなことだけれども、自治権介入の疑い等もそこから出てきます。さっき大玉村の例をあげましたが、そこから出てくるのも直接の原因だと私は考えます。そういう行政上の問題にも波及するし、さらにまた、いま申し上げましたように、地方自治体が住民の立場をとって公団なり建設省かりに意見を申し入れる姿勢を持っているのだという住民の信頼を完全に破壊することなんです。このやり方についてはひとつ再検討を願いたいの外す。御所見をお伺いします。
  116. 富樫凱一

    富樫参考人 道路関係の整備計画ができまして施行命令をいただいたわけでございますが、急に用地買収事務がふえてまいりまして、建設省の御指導で県に委託することになったわけであり、ます。用地事務、補償事務の委託をすることにいたしたわけでございますが、ほとんどの県がこの委託を受諾されることになっております。福島県も早く受諾していただいたわけでございますが、これはあくまで事務を委託することでございまして、責任は公団にあります。測量から設計の協議、買収に至るまで、それは公団の職員が入りまして、こん然一体となってやっておるわけでございます。お話しのような御心配はないのではないかと私は考えております。
  117. 唐橋東

    唐橋委員 総裁はこちらにおいでになりますから、事務的にこのほうが非常に進行するのじゃないかというお考えも理解できます。しかし、私がさっき只見川の開発のときの具体的な例をおあげしましたように、次官、これはやはり県に対する住民の信用をなくす第一歩なんですよ。次官は地元ですから、お入り願ってこの実情を十分御調査願いたいと思うのですが、これは再検討する余地はありますよ。やはり自治体は、建設省なら建設省、あるいは地権者、その間に立って仲介の任を持つ、こういう住民側に立つ基本的な姿勢がなくて、住民から信頼がなくなったら、この問題は混乱しますよ。ですから、いま総裁はほかの県も順次に結ぶ予定だと申されましたけれども、この点は事務的な考え方と現実との相違とも考えますので、これは今後大きな障害になる、こう私は考えますので、次官のほうでぜひひとつ再検討していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  118. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 先ほど道路公団の総裁から答弁いたしましたと同じ考えでございますが、唐橋君のただいまの御意見は私十分に拝聴したいと思います。
  119. 唐橋東

    唐橋委員 時間がありませんので、あと二、三具体的な点を申し上げまして終わりたいと思いますが、県内の情勢を簡単に分けて申します。  一つは、先ほど申しました農協関係を中心とした団体、新聞では条件派といっているようですが、路線は変更できないだろうから、いろいろな条件をつけて、土地改良なら土地改良の条件をつけて、それで了承しようじゃないかという意見です。これが一つ。もう一つは、地権者を中心とした革新的な団体で、現在の路線は、先ほど申しましたように建設当初の目的を離れている、だから路線は山沿いのほうに移してもらいたい、移していけばほんとうに当初の目的にも沿うし、さらにいろいろなむずかしい条件等の問題も出てこない、ほんとうに地域が一丸となって促進できる、こういう一つの団体。これに対して県は、先ほど県の指導ということがありましたが、やはりいまの路線で変更はできないのだというかたい姿勢の中でそれを受けた。市町村は、先ほど大玉村の例にも出しましたが、条件派と反対派というふうに呼んでおりますが、内容的には同じなんです。私はそう理解している。内容的には、もう少し山沿いということにおいて一致している。こういうことで議会が動いておる。これが福島県をかいつまんで申し上げたときの情勢でございまして、これに対して、県政の中でも、自民党は、条件を出して現在の路線を推進しようとし、社会党では、路線変更という、こういうことが実現できればいまほんとうに促進するんだというかまえをとっておるというところにいろいろな問題が派生しているわけでございます。これは大臣にはっきりとお聞きしたがったのですが、地元の澁谷さん直接関係が深いので、明確にお答え願いたいのですが、農民の犠牲は多少なりともやむを得ないんだという考え方が根底にあったとしたら、問題は紛糾する。むしろ一歩進めて、やはりこの開発道路は重要なだけに、そして建設すること自体が、直接関係のある農民を含めて生活を豊かにしていくんだということ、このことがはっきりと行政の末端まで浸透していないと、非常に問題が大きくなってくるわけでございます。したがいまして、大臣にかわりまして、ほんとうに農民は犠牲にしないんだ、こういうことをはっきり言明していただきたいわけですが、これに対する基本的な対農民への所見といいますか、ひとつ責任を持ってお答え願いたい。
  120. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 これだけの、青森から九州の南端まで日本を縦貫する大道路をつくろうという、まさに革命的な大事業を行なうわけでございますから、これは農民ばかりじゃございません、その他の、大きく言えば、全国民の協力を得なければ、この画期的な大事業の貫徹は不可能でございます。唐橋さんの言われる農民の犠牲ということばの意味が、これはなかなか微妙な表現でございまして、もちろん、私ども政府の立場として、農民に限りません、国民を犠牲にするというような考え方は根底にないことは、これはもうはっきり申し上げておきたいと思います。ただ、現実の問題といたしまして、日本を縦貫する大道路をつくるわけでございますから、当然、この地権者の、土地を持っておる方々の協力を得なければ、この道路の実現は不可能でございます。私どもは、こういう国家的な大事業をいまや全国民の力を結集してやるんだという気がまえで当たっておるのでございますから、その道路の通過する地点に当たられる地権者の方々も、ひとつそういう国家的な大事業を理解していただいて心から協力をしてもらいたいとお願い申し上げておるわけであります。ただ、先ほど公団の総裁からも答弁いたしましたように、現実に自分の一番大事な土地がつぶされるという方がこれはもうかなり出てくるわけでございます。そういった方々の、農民の土地に対する執着といいますか、愛着と申しますか、これはもう非常に強烈なものがあることは、私も十分承知いたしておるわけであります。しかも、その土地を協力して提供したあとのその人々の生活問題という、きわめて個人にとっては死活の問題もつながっておるわけでございますから、そういった問題の処理につきましては、十分に私どもは慎重な態度をもって、できるだけその農民の方々が納得できるような線でひとつ話し合いのもとに解決をしていきたいと考えておるわけでございます。
  121. 唐橋東

    唐橋委員 お気持ちはわかります。  それからもう一つ御理解願いたいのは、先ほどは条件派ということを申しましたが、条件派といわれる人たちも、もう少し山沿いにいくならばその条件というものの大部分はなくなるのですが、その条件派という場合に、もうこの農協関係だけを——これは次官見られましたか。非常にいろいろな問題が含まれております。これを一つずつ解明していきたいわけですが、ただこれが出されただけで、もう現実はどんどん進めていく。あとになってみて、実はこの条件はのめなかったのだ。いま何か地域の人たちは、条件はいい、しかし、ほんとうにこれが実現できるのだろうか。出されるほうは、ほんとうにそれをやってやるぞという気持ちもあり、それから受けるほうは、何かバラ色の夢をもって受ける。そうして結果的には条件がのめなかった。したがって、先ほど犠牲ということばを使いましたが、犠牲的な結果が多く出てくるという場合、こういうのがいま現実にある場合です。その次は、このような条件が、ほんとうに一つの指導方針として、できるものはできる、この点は努力していけば何とかなる、これはできないのだというはっきりしたものを示すべきだと思うのです。そうでないと、いま私が言いましたように、結果的には農民の犠牲というものが多く出てくる、こういうことなんです。これについて具体的な事項を二、三お聞きして、質問を終わらせていただきたいと思うのですが、この条件に対する一つの指導方針を総括的にお願いしたいわけなんです。
  122. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 公団といいますか、県が委託を受けておるわけでございますが、公団、県を含めての折衝に当たる出先がそれぞれの関係者と話し合いをいたす過程の中で、お話のようないろいろな条件が出てくると思います。その条件については、私どもの立場のほうからいって、のめる条件ものめない条件も、これまた当然あるわけでございます。それを十分話し合いの上で、この条件はやります、しかし、これは私どもとしては受けるわけにまいりませんといったようなことで話が煮詰まってくるわけでございますが、その話し合いの過程で、この条件は実行いたしますという約束をした問題については、これはもう全責任を持って実行していくことを、ここで私はっきりと答弁いたしておく次第であります。
  123. 唐橋東

    唐橋委員 その場合、できないものを明確にするということは非常に大切だと思うのです。そうでないと、結果的に先ほど申し上げたようなことになるのですが、たとえばこういうのが出てきております。農林省おいでになっていますか。——関連土地改良事業全額国庫負担とすること、他の事業との関係でむずかしければ農業構造改善事業の補助率を上回るよう配慮すること、こういう大きな問題が出てきておるわけです。これはできますか。
  124. 梶木又三

    梶木説明員 道路が通りまして、そのために農道が分断されましたり、そるいは用水路なり排水路、こういうものが遮断されました場合、そういう関係の補償工事は別といたしまして、それに関連する土地改良というものは、法律ではいまのところはできません。
  125. 唐橋東

    唐橋委員 それから、こういうのもまた出てきておるわけです。交換分合、基盤整備は農民負担にしないこと、こういう土地関係のものが出てきているわけですが、こういう点。さらにまた、いままで農業構造改善をやってきた、そこにまた今度は道路ができた、さらにまたやらなければならぬ、そうすると前の計画を再変更しなければならぬわけです。そうすると、前の計画の金と、さらにあとに出てくる金というものが二重の負担になってくる。前のものを一つなくしてくれという要求が出てくる。こういうものはできるのですか。
  126. 梶木又三

    梶木説明員 具体的に聞いておりませんが、なるべくそういう一ぺんやったところには再び道路をやらないというような協議があってやっておりますので、そういう事態はあまり出てこないのではないかと思います。
  127. 唐橋東

    唐橋委員 計画変更に伴う経費は国で持ってくれということなんですよ。そういうことが現実にいままでの道路関係で出てきましたか。
  128. 梶木又三

    梶木説明員 計画変更で出てまいりましても、関連の土地改良であれば、これはやはり従来どおりの補助率の土地改良事業でございます。
  129. 唐橋東

    唐橋委員 公団の総裁のほうに、代替地を造成してくれ、こんな要求も出ているのですが、いままで公団として代替地を造成してあげたというようなことがございますか。
  130. 富樫凱一

    富樫参考人 東名等では若干代替地を用意したことがございます。
  131. 唐橋東

    唐橋委員 その地価より代替地のほうが安い、こういう土地にはその差額というものを見てくれ、こういうような要求も出ているのですが、こんなことありますか。
  132. 富樫凱一

    富樫参考人 代替地を用意いたしますけれども、それは金額において同じものを出しております。
  133. 唐橋東

    唐橋委員 具体的事項は、時間がありませんから省略します。見てみますと、お話の中にはんとうにでき得ないようなものもずいぶんあるのです。しかし、これはやってやるんだという夢を与えて引きずっている状態もまたあることは、澁谷さん、ひとつお認め願いたいと思いますね。それをかまわないでおいたら犠牲になりますよ。ですから、まず一つはっきり言えることは、福島県の場合は、いわば賛成派といわれる条件派も、反対派といわれる、地権者を中心とした団体も、さっき言われた第一次路線に少なくとも近づけたい、それが全県民の、あの地帯の人たちの一つの願いだ、こういうことが結論として言える。条件派は、移せないだろうから、いまのような条件を多く出していく。条件は一つずつ解明したいのですが、これは時間がないから省略いたします。この前の社会党の代表の東北議員団がいろいろ皆さんとお話をしたときに、地元の人たちが、どうしてもこれはこちらのほうによこしてくれ、こういう希望であって、ここは絶対だめなんですというような意思が出た場合には、やはり全部の路線、こういうかまえでない意味だと思うのですが、少なくともそういう話し合いや意見は十分お聞きしよう、こういう話が出ておるのですが、非常に大切なところなので、この路線はもう全部動かせないんだというようなかまえでなしに、やはり地元農民と話し合って、専門的な検討の中に多少の移動というようなことも、これはやむを得ない地域では各地に出てきていると思うのですよ。こういうことが何も無理でない一つの進め方、そしてこれが促進していく条項なので、この点に対する基本的な一つの考え方をお聞きしたいのです。
  134. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 唐橋さんも十分御承知のように、先ほどもお答えいたしましたように、昭和三十五年から昭和四十一年の七月まで、建設省としては慎重な調査を進めまして、地元の県なり市町村との間の意見の調整も終えてこの路線を決定し、発表したわけでございます。個人個人の立場では、先ほどからいろいろとお話がございましたが、確かにそういった意見の方もおられることは事実でございますが、先ほども申し上げたように、せっかくの国家的な大事業でございまして、しかもその地域の今後の繁栄発展というものに直接結びつく大事な計画でございますので、私どもはあくまで誠意をもって話し合いは続けます。さらにまた、先ほど来お話がございましたような条件等についても、でき得る限りの努力はして地元の要望にこたえたいと考えておりますから、この決定されました路線でひとつ御協力をいただきたいと思うわけであります。
  135. 唐橋東

    唐橋委員 この方針は私たちは了解できるのですよ。ですが、あの平たん地、果樹地帯とか、もう四キロさえ回していけば——何もカーブがよけいになるといったって、ああいうふうな点はしろうとなりに地形的に知っておるわけです。そういうときに、かたくなに、これはもうできないんだということになってくると、問題は非常に硬化する。そういう点について、やはり住民の意思というものを聞いて十分検討していくんだというかまえでなかったならば、この点は進まないと思うのです。そういう点はいまの行政の中で理解できますか。
  136. 森下國雄

    森下委員長 唐橋君に御注意いたします。時間が非常に過ぎておりますから、よろしく御協力を願います。
  137. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 公団と県の出先が非常な努力をいたしまして、特に反対の強い本宮、大玉地区の地権者の方々と精力的に話し合いを続けておるのは、御承知のとおりでございます。その結果、先生も御承知のように、本宮町あるいはまた大玉村の議会におきましても、条件はもちろんあると思いますけれども、政府の決定したその路線で賛成するという決議を行なったことも、御承知のとおりでございます。また、現実に私どもの聞いておる範囲内では、この路線についての賛成者も本宮、大玉地区についても漸次ふえてきておるということでございますので、私どもは最後まで誠意をもって話し合いを続けて、何とかひとつ円満にこの路線で御協力をいただきたいと考えておる次第でございます。
  138. 唐橋東

    唐橋委員 私の促進するために言う意味もわかりますね、次官。
  139. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 わかります。
  140. 唐橋東

    唐橋委員 何も全面的にどうだということでかしに、やはり地域的にはそういう部面が出てくる、こういう場合には、いまのようなかたくなか姿勢だけを持っていたのでは問題は紛糾するんだということだけははっきり申し上げる。そして、総裁のほうにおいても、いまの測量の問題についても、先ほど、十分検討する、こういうことで了解をしたわけなんですが、これをもう強制的にやるんだ、こういうかまえでやったならば、補償単価の条件もわからない、こういう中において、一生懸命測量だけやるんだというかまえだったならば、いま次官はたいへん賛成派がふえていると言うけれども、これではこういう状態を逆にこわしていく結果にもなるので、ひとつ強制測量はしないということだけは明言していただきたいのですが、いかがですか。
  141. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 強制立ち入りを絶対にしないという確言は、ここで私差し控えたいと思いますが、もちろん、唐橋さんの気持ちも私の気持ちもそう変わっておるはずはございません。あくまでも誠意ある話し合いで円満に事を進めていきたいというのが、私どもの基本的な考え方でございます。さらにまた、この中心ぐいを打つ測量について、地元の方々が、基準の価格も示されないうちにくいを打たれるということについては、非常な不安を持っておられるという気持も、私、十分理解できます。でありますから、先ほど公団総裁からも答弁いたしましたように、そういう点についても前向きで積極的に検討してまいりたいと考えておりす。
  142. 唐橋東

    唐橋委員 要望だけしておきます。次官は特に地元ですから……。  誠意をもって話し合いするというが、話し合いのできない原因は先ほど申し上げましたが、一つの出先機関化したその状態、これをどこで打開するか、このことだけは、次官、慎重に検討していただきたい。住民は、希望が聞かれるんだというときには、話し合いに出て行きますよ。そうでなく、単に了承してもらうんだ、話し合いをするのは了承をすることだというかまえだけでやったならば進まないということだけは、はっきり認めていただきたいと思います。
  143. 森下國雄

  144. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間がありませんので、簡単に要点を聞いてまいりますけれども、ただいままでに国土開発幹線自動車道につきまして種々問題が提起されております。私はそういうこまかい点はよく存じませんので、大綱的な点でお尋ねいたしますが、これらの国土開発幹線自動車道に要する財源というものは非常にばく大なものでありますが、財源について、これは今後揮発油税とか軽油引取税の引き上げを考えているのかどうか、こういう点から財源抽出という点が考えられるかどうか。これは政務次官にお尋ねしたい問題なんですが、おりませんので、次に飛びます。  これは総裁にお尋ねいたしますが、路線の選定にあたりまして、農耕地を避けるように配慮しているとのことでありますが、どの程度これらの農耕地の面積が道路建設によってつぶされる予定になっておりますか、これをまずお尋ねしておきたいと思います。
  145. 富樫凱一

    富樫参考人 道路公団としてお答えするようにとのことでございましたが、建設省からお答えするとのことでございますから……。
  146. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 幹線自動車道路の財源の手当てとしてガソリン税のアップを考えておるかという御質問だそうでございますが、御承知のように、現在六兆六千億の新しい五カ年計画が発足しているわけでございますが、実はその財源対策がまだきまっておりません。その財源の一つの方法として、ガソリン税のアップということもこれは真剣に現在検討いたしております。ただ、お尋ねの幹線自動車道路は、これは財政投融資で行なっておる事業でございまして、したがって、幹線自動車道についてはガソリン税のアップという問題は直接関係はありません。
  147. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 第二点の、路線選定の関係で公団にお尋ねがありましたが、私からかわりてお答えいたします。  御指摘のとおり、農耕地を極力つぶさないように配慮してルートをやるということには変わりございません。それから、しからば現在農耕地はどの程度つぶれるような計画になっておるかということでございますが、これは現在着工しているもの、あるいは今後計画しているものと分けて考えなければいけませんが、ちょっといま手元に資料を持ち合わせておりませんので、後ほどまた、着工しているものにつきましては地目の分類等があろうかと思いますので、御提出申し上げたいと思います。
  148. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最初に政務次官にお尋ねいたします。  ただいまの幹線自動車道路については、その財源に対して揮発油税、軽油引取税、これらの目的税を上げないという発言をいただきましたので、この点はよく了解いたしましたが、この道路全般に及ぼしていくところの——これは財政投融資でありますけれども、財源の抽出という問題を前回も建設大臣にお尋ねしたのであります。非常にあいまいもことしている点がありますので、この点について政務次官の見解はどうなっておりますか。
  149. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 先ほどもお答えいたしましたように、この新道路五カ年計画を推進していく上において、いままでの一般財源の充当率から推算いたしますと、どうしてもやはり千五百億から二千億近い財源の不足が予想されるのでございます。したがって、何らかの方法でこの程度の額を埋めなくちゃならぬ、それをどういう方法でやるかということを現在大蔵省を中心に検討いたしておる、こういうことでございます。
  150. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、まだこういった値上げの点についてはお考えになっていない。
  151. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 いろいろな方法が考えられるわけでございますが、その中の一つの方法として、ガソリン税、揮発油税の引き上げという問題も当然これは検討の対象の中に入っておるわけでございます。
  152. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 わかりました。  先ほども政務次官から、被収用者である農民対策についてのビジョンはお伺いいたしました。確かにそういう国家的事業に対して協力する国民の態度という点は私もよく理解できますが、先ほどの御答弁の中には、具体的な農民の離作救済等に対する処置というものについてはお答えがございませんでしたが、それについて、今回の幹線自動車道についての、規制ということばはよくないのでありますが、協力する方々に対して、政務次官のビジョンに沿った政策の具体的な問題はどういうふうに考えられておりますか。
  153. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 お尋ねのようにこの問題は、この幹線自動車道を貫徹する上において非常に重要なポイントでございます。そこで、現在建設省といたしましては、先ほど来唐橋さんからも具体的な事例をあげてお話がございましたが、ああいったような問題も含めて、農林省と現在真剣に検討を続けておる最中でございます。できるだけすみやかに結論を得たいと考えております。
  154. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点につきましていろいろな問題が惹起されているわけであります。私どもといたしましても、そういう点が不明確なままに、公共事業の公有性を表に出すという大義名分のもとに大衆が圧迫されるということに対しては不賛成でありますので、明快なる対策というものをすみやかに打ち出されんことをまず望んでおきます。  次に、都道府県にこれらの幹線自動車道に使用する用地の買収を委託する場合にはどのような方法を与えるのでありますか。都道府県に与える場合です。
  155. 富樫凱一

    富樫参考人 都道府県等と用地事務につきまして基本的な協定をいたしました。その協定に基づきまして年度ごとに契約をいたしてまいります。都道府県が用地買収事務あるいは補償事務に要した費用は公団から出すことになっております。
  156. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点、了解いたしました。公団の総裁にお尋ねいたしますけれども、このような道路というものは有料道路だと思うのです。有料道路でありますので、料金を徴収しなければならない。これは徴収される側の利用者側の立場に立って、長距離輸送とか中長距離輸送という採算制に立った場合、これは非常に道路の選定が重要になってくる。山の中を通るとか中心部に近いところを通るとか、こうした選定というものは、お互いに利害相克の上に立った計画というものがなされてくると思いますが、これにからんだところの農民の立場あるいは被収用者側の利害というものを勘案されて選定されてまいると思うのでありますが、こういった問題が企業体制を有利にするための計画という点に重点を置いているようなことはないのでしょうか。その点についての見解をお尋ねしたい。
  157. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 この問題はきわめて重大な政治的な質問でありますから、私からお答えいたしますが、そのようなことは絶対にございません。
  158. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういうふうにひとつ成り立っていただきたいと思うのでございますが、この点について、地元側には、いろいろと疑心暗鬼と申しますか、そういう点で公団や政府に対する不信感というものがそういう利害関係の中からかもし出されている。これに対するPRまた説得力、こういう点が政府や公団側に欠けているのじゃないかと思うのですね。それがいろいろな点に問題を惹起しているのでありますので、これに対する説得力、PR、この方法については将来ともに努力していただきたいと思うのであります。  時間がありませんのでどんどんまいりますが、公団の道路建設の未償還額は年を追って膨張しておりますが、そういった償還不可能と見られるところについての資金の投入や償還の方法、有料制度の内容については、今後どのような合理化がはかられるのでしょうか。これは総裁にお尋ねいたします。
  159. 富樫凱一

    富樫参考人 ただいま営業を開始しておる路線が六十ヵ所ほどございます。そのうち二十五ヵ所ほどは採算のとれない線でございますが、これは損害補てん金という制度と公差という制度がございまして、これを積み立てておきまして赤字の路線はそれで埋める。したがいまして、約束いたしました償還の年にはただにしてしまう、こういう方法をどっております。
  160. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、赤字路線の補てんのために、黒字になっていくような路線に見込んでそういった負担をかぶせていくような考えはないでしょうと思いますが、その点はどうなんですか。
  161. 富樫凱一

    富樫参考人 損害補てん金は、もうけておる道路も損しておる道路も同じように積み立てております。それを赤字路線に入れるわけでございますから、黒字路線から赤字路線に金を入れまして償還する形になると思います。
  162. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 わかりました。  インターチェンジと都市間の接続道路、アクセス道路ですね、その整備計画決定につきましては、都市内に流通するところの交通体制が整いませんと、そのインターチェンジの役割りというものは非常に不明確にもなるし、インターチェンジの機能というものは損われる。そういった交通体系というものを確立された上に立った整備計画というものがなされていると思いますが、その整備方針についてお尋ねしておきます。
  163. 富樫凱一

    富樫参考人 これは仰せのとおりでございまして、インターチェジンにつながるアクセス道路が悪ければ、とりわけ効率があがらないわけでございます。これらの調整につきましては、建設省にお願いいたしまして、建設省で調整していただいておるわけでございます。
  164. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 政務次官にお尋ねいたしますが、窮乏する現在の地方財政、そういった地方財政の実情から見まして、これらの公共事業の実施にあたりましては、これは相当の負担額になります。そういった場合に、こういった国家的事業であるところの幹線自動車道のような公共事業を推進していく場合に、一面においては地方公共団体の財源の圧迫になる、一面からいくとそういった大義がある、こういう面に板ばさみになって地方公共団体の超過負担という問題も出てまいりますから、こういった問題についての助成措置、これはどういうふうにお考えになりますか。
  165. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 これは国の補助事業として優先的に取り上げることにいたしておるわけであります。
  166. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、いまのような地方財政の財政下にありましては、現状のままで考えを進めていくのですか。
  167. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 そういったアクセス道路だけについて道路の補助率を上げるという考え方はいたしておりません。現状のままでございます。
  168. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、やはりいろいろそこに問題点が出てまいりますので、私は、こういった問題につきましては、地方自治体に対しては相当の助成のアップというものも考えていかなきゃらぬと思うのです。これはぼくの考えなのでありまして、政府に対しても、そういった見解のもとに立って仕事をなされていく方向にわれわれとしては望んでおきたいと思うのです。  具体的な例でこれはちょっとお尋ねしたいのでありますが、私、埼玉県の出でありますので、特に東北自動車道路の岩槻−東京間−埼玉県の岩槻でございます。この岩槻−東京間の建設がおくれている理由をどうしても聞いておきたいと思いますので、ひとつ……。
  169. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 これは一口にいいまして、ただいまの福島県の問題についてお聞きになっておられたと思いますが、路線が決定いたしましても、整備計画が出ましても、肝心の用地の買収が非常におくれておるわけでございます。これが遅延しておる最大の原因でございます。
  170. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 岩槻−東京間につきましては、目下私どもは調査路線として調査いたしておりますが、御指摘の、着工がおくれておりますのは、まず計画線をきめるにあたりまして、御案内の、これは東京の都心に入ります前に外郭環状道路というものがございますが、その外郭環状道路の計画がいま埼玉県で検討していただいておりますので、それの推移を見まして、それとの計画の調整をはかった上で基本的な計画に入る、こういう考え方でございます。
  171. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ただいま御説明いただきました東京外郭ルートですね、この東京外郭ルートの計画が決定しない場合には、いまの岩槻から先のほうの仙台間ができても、こちらのほうの計画ができてない場合には、実質面においては非常な困難を伴っておると思いますけれども、事業効果が出てこないんじゃないかと思いますが、その点どうなんでしょうか。
  172. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 おっしゃるとおりだと思います。したがいまして、すみやかに外環の計画を確定して、それに合わせまして東北縦貫道路を岩槻から都心に至る間の計画を早急に決定するという態勢でいきたいと思います。
  173. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは埼玉県側が協力体制が悪いのですか、どうなんですか。
  174. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 これは実は都市局の所管でございますので、ちょっと私からお答えいたしかねますが、埼玉県と建設省都市局との間で十分打ち合わせが行なわれておるかと思います。
  175. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 小川さん、御承知のように、埼玉−東京間ということになりますと全くの都心部でございますので、現実のその路線を決定するについて、いなかの路線を決定するのに比べて非常に複雑な問題をはらんでいるのは御承知のとおりです。決して埼玉県が非協力だということはございません。
  176. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それを聞いて安心したのですが、結局、そういう点で政務次官も非常に御心配になっておると思うのですが、われわれとしても、県の態度というものを決定する場合に、強力なそういった政府のてこ入れというものがあれば、埼玉県の動き方も違うと思う。特に岩槻周辺においては先ほどから問題も出ているわけですね。私がここでくどくど申すまでもなく、計画路線の決定にまでいろいろないきさつ、トラブルがあるわけです。そのために用地買収にあたって困難が出ておる。値段が上がっている。そういう問題につきまして、あえて福島県や東北関係の諸県ばかりじゃなくて、ますます複雑をきわめている首都圏内の埼玉県、こういう点もひとつお忘れなく御検討のほどお願いしておきます。  将来の自動車交通量の増加を予想しまして、首都圏構想から考えますと、静岡、甲府、高崎、前橋、宇都宮、水一尺鹿島を結ぶ環状ルートの建設が必要であると私は考えておりますが、この点についての御見解はいかがでございますか。
  177. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいま御指摘のルートにつきましては、これを例の国土開発幹線自動車道としてつくるかどうかという問題は、これは昨年法律もああいったように成立されましたので、何とも申し上げかねますが、御指摘のルートは、ちょっと一般国道があるのじゃないかと思います。したがいまして、こういう環状道路のあれが必要であるということについて私ども同感でございますので、道路整備、国道整備の一環といたしまして五ヵ年計画計画にマッチしまして整備をはかっていきたいと思います。
  178. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それから、北陸道のことでちょっとお尋ねしますが、北陸道が今回調査が一年間おくれたということを聞いておりますけれども、どういうわけでその調査がおくれたのか。また、これはいつごろまでにこの計画が決定するのか、これが一点であります。  次に、この間も四国に参ったのでありますが、四国の縦貫国道、こういった幹線自動車道路、四国の場合でも夢のかけ橋、いま非常に盛んに騒がれております。四国の開発に伴うところの本土との連絡機構というものが騒がれておりますが、受け入れ体制をきめるところの四国のこういう国道幹線道路というものが計画されなければ、ちょうどウ飼いのウののどに引っかかったように、食べものを一ぱい入れてものどのところに引っかかるというような、四国島内の物資の輸送とか、または産業経済の集積については相当な隘路が出ると思うのでございますが、この四国の幹線自動道路の調査、そういったものが計上されない理由、この二点を伺いたいと思います。
  179. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 北陸道は今回の基本計画に入らなかったわけでございますが、それはもう一にかかって——技術的な調査を急いでやっておるのでございますが、あそこは親不知、子不知といったような、まあ非常な険しいところもございまするし、建設の技術の上からいってなかなか結論を出しにくい地点を多くかかえておるのでございます。したがって今回の基本計画に間に合わなかったということでございますが、これはこのままにほうっているわけではございません。建設省としては、来年の五月一ぱいには建設省の原案を決定したいということに考えておるわけでございます。  それから、四国の縦貫道につきましても当然これは考えておるわけでございまして、現在鋭意その基本計画をきめる準備調査をやっておるわけでございます。その調査の完了次第、逐次基本計画を決定し、整備計画に持っていきたいと考えておるわけでございます。
  180. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 政務次官に重ねてお尋ねいたしますけれども、そういった幹線自動車道路のような日本の大道脈を決定する場合には、日本国土の総合的視野に立ったところの総合開発計画、マスタープランですね、こういったマスタープランの作成というものは当然必要でありますので、北陸がおくれたというただ一点だけで、そこに与えるところの影響とか、または四国開発がおくれたという一点だけでものを論じますと、それはいろいろな問題が出てまいりますが、総合開発計画という大所高所の立場に立ったときに、こういう点は遺憾に思うのですけれども、その点は政務次官はどういう見解を持っていらっしゃいますか。
  181. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 御指摘のように、これは全国並行して進んでいくことが理想だと思います。しかし、とにかくこれだけのまあ革命的な大事業でございまして、大体マスタープランとしては、昭和六十年までに完成を期したいと考えておるわけであります。そういったことでございますから、その間について若干の、ある道路を早く着手したい、ある道路は若干おくれた、そういった遅速の問題が起きることは、これは現実の問題としてやむを得ないのじゃないかと考えております。
  182. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私もその点は同感でありますけれども、ただ、こういった非常に政治的配慮の深い、国民に対して影響力も大きなマスタープランになった場合には、実施期間というものは確かに多少のズレはあっても、それに対する計画発表という問題について、ただ調査がおくれたという一つの理由によって発表がおくれたという点については、私は遺憾だという見解を持っているわけなんです。その点につきましては政務次官と多少意見を異にいたしますけれども、そういう点を勘案なされて今後の計画というものを発表されていくことをまずお願いしておきます。  次に、具体的な例でございますが、中央道の通過地点についてちょっとお尋ねいたします。  現在計画中の北回りが、武田神社、山梨大学等の風致地区保存のために南回りに変更されるということが現地の山梨県で出ておりますけれども、こういううわさは実態はどうなんでございましょう。
  183. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 中央道の大月−甲府間のルートのことかと思いますが、甲府地点につきまして風致地区の問題もあることを伺っておりますが、現在北回り、南回りという議論は、この風致地区の問題だけではなくて、甲府盆地全体の今後の開発のあり方との関係で県内に二つの考え方があるようでございます。私どもは昨年甲府から西、小牧まで着工いたしました際は、この区間は北回りという前提で現在甲府以西を着工しております。
  184. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、あくまでもこれは北回りが中心になっていくわけですか。そうすると、こういった南回りの計画というものは単なるうわさですか。
  185. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 この問題は昨日の幹線自動車道審議会でもそういう質疑が行なわれたわけでございいますが、現在私どもといたしましては北回りを前提に置いた体制でいっておりますが、地元のいろいろなそういう強い要望等もございます。これは山梨県知事等のもとにおきましてよくその辺の意見調整をはかってまいりたい、県内の意見等が統一されました際におきましては、その辺を整備計画を出す段階までに決着をつけたい、かように考えております。
  186. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 計画決定につきましていろいろなデマや風評が飛んで、思惑的な投機の対象にされたり、地価の高騰を招くわけであります。こういうことがいろいろと現地と施行者である政府機関との誤解を招く原因になっておるわけですから、こういう点は、うわさだけでも出るということははなはだ遺憾に思うのであります。こういつた点は、態度があいまいな点があったり、また、それに関係している一部利権者が扇動していくということが考えられるのであります。こういう点につきましては、政府としましては、政務次官にお願いいたしておきますが、断固たる態度で今後この決定線というものをいろいろな角度からもちろん検討されて、その決定されたことに対してはあくまでも強行するという考え方でなくて、また地元からも先ほどのような問題が惹起されるわけでありますから、これは検討されていくのでございますけれども、いたずらに混乱を招くようなことになったのではこれはたいへんだと思うのです。これの大きな例が明石−鳴門の架橋になってあらわれておりまして、陳情政治が行なわれておりすす。そういう点も、国民の利益という点につながっておりますので、そういう点が当然これは当事者になってくればたいへんな問題として騒がれると思うのでありますが、この点については十分御配慮を願いたいと思います。  次に、中央道のインターチェンジの位置の決定についてはどのような御計画がございますか。
  187. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 お尋ねの中央道のインターといいますと、中央道のどこからどこまでの区間ですか。
  188. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは全体に大体に計画がわかればけっこうでございます。いまおわかりにならなければ……。
  189. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 では後ほど……。
  190. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 またこれは違う問題ですが、現在札幌−室蘭間は一級国道の三車線でありますが、室蘭が北海道の重要積み出し港でありますから日増しにその交通量が増大の一途をたどっております。その意味からも、今回発表されましたところの千歳−札幌間では私は中途はんぱな計画であるというように考えられるのでございますが、室蘭−札幌間に改めるようにはできないでしょうか。
  191. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 実は北海道の幹線高速道路につきましては、昨日の幹線審議会におきまして千歳−札幌間の基本計画が決定を見たわけでございます。それをさらに室蘭まで延伸したらというお尋ねにつきましては、これはまだ調査も十分完成いたしておりません。そういう御趣旨の点もございますので、今後引き続き調査を進めまして、早期にあの区間が基本計画なり整備計画という段階になるように進めてまいりたいと思います。千歳−札幌間につきましては、冬季オリンピックの関係で特に優先的に私どもは取り上げた次第でございます。
  192. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 以上をもちまして道路のほうは終わらしていただきまして、次は建設のほうでございますが、お願いいたします。公営住宅のことでございます。  これは政務次官にまずお尋ねします。  公営住宅を論ずる前に、先ほどもあの高層建築等の問題で種々勉強さしていただいたのでありますが、そういう問題が都市計画の中で論ぜられるという一面、民間アパートが非常にたいへんな野放しになっております。この実態は、調べれば調べるほどたいへんだと思うのですが、私の知っている範囲では、六畳一間で一万一千円も払っておる。大体、民間アパートに入る人たちというのは、公営住宅や公団に入れない方々、抽せんからはずれた方々である。そういう方々がその貧弱な民間アパートに入るわけでありますが、そこにいろいろお金を取られるんですね。これは御存じのとおり、敷金、家賃二ヵ月前とか、礼金、権利金、保証金、こういった問題がいろいろ出ておりますけれども、これらの野放しになっておりますこういった多額の金を計算いたしますと、十万近く、あるいは十数万になる。その金を払わなければならない。この野放しになっておりますところの民間アパートの、これらの家賃以外の種々の住宅困窮者から取る金ですね、こういうものに対しては取り締まっていく方法がおありでしょうか、どうでしょう。
  193. 三橋信一

    ○三橋説明員 お尋ねの、いまの礼金とかそういう形でいろいろ取られておりますけれども、これを取り締まる手段はいまのところございません。契約の問題であると思います。
  194. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、一面においては、政府は五ヵ年間に六百七十万戸、一世帯一住宅だという一つの桃色のビジョンを打ち出している。反面におきまして、都市問題というのは私は住宅問題だと思うのであります。この住宅の問題は、衣食住という問題から住衣食となっている。そういう問題の考え方からいって、このまま置いておくならば住宅騒動が起こるようなたいへんな問題がからんでおります。三万七千円程度の収入でありながら一万九千円以上家賃を払うということは、経済がバランスの上からいっても、もう完全なる行き詰まりを来たしております。かてて加えて、今日の物価高ということを考えるとき、これらの住宅の不足というものは政府責任であるとわれわれ追及しているわけでありますが、ただ、一面、追及のみでなくて、現時点においてそれらの需要と供給のアンバランスから生じた弊害に対しまして、大衆を守っていく立場に立って——確かにこれは民間の契約問題でありますから、政府機関には法的に取り締まる方法はないといえばないのでありましょうけれども、これらの実態について何らかの手を打っていかなければならぬと思うのです。その点について私は質問しているんです。これに対して次官のお考えを聞きたいのです。
  195. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 都市問題が現在の大きな政治問題だということは、もう言うまでもございません。その中で特に住宅の問題がその中核を占める問題としてきわめて切実な問題であることも、これはお説のとおりでございます。ただいま御指摘の、住宅の供給のアンバランスから実際問題としてお説のような非常に多額の金を取られておるという事実のあることも、これまた私どもも承知をいたしております。でありますから、これを何とか改善しなくてはならぬ。直接法律で取り締まるという方法も考えられるわけでございますけれども、どうもこれは適切な措置ではないのじゃないか。かりに法律をつくっても、現実に住宅が足らないのでございますから、一片の法律だけでこの問題が解決するとは私どもは考えておりません。そこで、やはり基本的な対策としては現実に住宅の供給をふやしていくことだ、これが政策の中心でなくてはならぬ、そういう考え方に立って現在の五ヵ年計画をつくりまして、鋭意これの計画の推進に全力をあげておる、こういうことでございます。
  196. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、その話を聞いておりますと確かにそのとおりなんでありますが、法的にこれを取り締まっても、確かに穴があると思うのです。しかし、こういった問題で非常に嘆いている方々のことを思うと、何らかの具体的な方法というのをとらなければならぬと思うのですね。それで私はいま政務次官にお尋ねしたのであります。  私の調べたところによりますと、民間アパートで年収七十五万円以下の人が五八%になっているのに対し、家賃は九千円以上が四四%であります。公営住宅のほうに入っているのは、年収七十五万円以上が五八%で、家賃は月額九千円以上を払っている人が二六%、こういうことなんです。そうしますと、民間アパートのほうは七十五万円以下の人が五八%、政府の公営住宅のほうには年収が七十五万円以上の人が五八%逆に入っている。そうして、家賃のほうは、九千円以上の家賃を取られているほうが四四%、片方のほうは九千円以上取られているのは二六%しかない。そういうアンバランスなんですね。要するに、一言で言えば、政府の建てたうちのほうには、多額の給料を取っている人が五八%もおりながら、出すほうの家賃のパーセントからいくと、二六%しか高い家賃を払っている人がいない。片方では収入が少なくて家賃を高く払っておるという矛盾があるというんですよ。だから、その点から今回の公営住宅というシステムの中で、公営住宅に収容されておる人よりも、民間のアパートにおる人のほうが極端にたいへんであるという数字が出たということですね。しかも、民間のアパートにおる人というのは、二年契約とか三年契約とかの短期の契約の中に縛られておる。ところが、公営のほうは、一度入ってしまうとどかない。たとえば収入がどんどん上がってもどかない。ところが、収入が上がった人を出すということになると、非常に法的には弱い。一面には、公営に入った人がどんどん収入が上がっておるにもかかわらず、家賃のほうは低いところに守られておる。そういう状態の中で現在民間アパートのほうに奉仕させられておる。そういう点について公営住宅法というものをすべからく改めるべきだと思う。その点については住宅局長はどうお考えですか。
  197. 三橋信一

    ○三橋説明員 ただいまのお話のように、民間のアパートに入っておる人が非常に苦労しておる、これは私どももいろいろ存じておりまして、まことに遺憾なことだと思っております。ただ、いまの七十五万円以上の方が公営に何%おられる、これは実は私ちょっと存じない数字でございますけれども、いずれにいたしましても、ただいま公営住宅法の改正の作業をいろいろ始めております。それのきっかけといたしまして、私どものほうの住宅対策審議会に公営住宅法の改正の諮問をいたしております。それの要点をまず申し上げたいと思います。  これの要点といたしましては、まず第一に、家賃の体系というものをいかに考えていくのがいいか、つまり、現在の公営住宅の家賃というものは、国から補助いたしました残りの公共団体で持っておる部分につきまして、それを相当年数で減価償却していくというようなことで家賃の体系をきめておりますが、実際には、新しいものと古いものとの間にいろいろな格差が出ております。そういう問題もございます。同時にまた、建築費の上昇というようなものもいろいろ出てまいります。そういうようなことがいろいろございますので、所得とマッチして家賃の体系というものが考えられないだろうかというようなことも一つの大きな問題点として考えておる次第でございます。と申しますのは、公営の住宅と申しますのは、やはり所得の低い人を入れるものであるということから発しまして、そういうことも一つの大きな研究の問題として検討いたしております。そういう点での家賃体系というものを考えてまいりたい。ただ、その際に問題になりますのは、公団公庫等との関係を一体どう考えていくか、こういう点が一つ問題としてございます。  それから、その次に問題になりますのは収入基準。先ほど申しましたように、所得の低い方を入れるといたしましても、どの程度の収入基準の方を公営住宅で救い、それからそれ以上のどの程度のところまで他の公団なり公庫なりの政府施策でこれのめんどうを見ていくか、そういう政府施策のものと民間とのバランス、あるいは政府施策内の公営とその他の住宅とのバランス、そういう意味からの収入基準をどう考えるか、こういう点についての検討が大きな問題でございます。  それから、その次が、先ほど御指摘になりましたように、収入の超過者というものが、所得が上がってまいりますとだんだんに出てまいります。この方たちに移っていただこうと思ってもなかなか移っていただけないというのが現状で、現在では割り増し家賃というものを取っておりますが、このことが逆にあだをなしまして、家賃を払えば出ないでいいだろうということになっております。したがいまして、これらの方に対しまして、所得がある程度越えたならば必ず出ていただくというような法制がとれないかということを検討しております。  それから、もう一つは建てかえの問題でございます。現在古い住宅を建てかえるということはなかなかできかねております。と申しますのは、住んでおられる方にその間あるいはその後どこかに移ってもらうのがなかなかむずかしい。しかしながら、昔の公営住宅は非常にいい場所に建っております。それは土地の効率からいってももったいない、しかも木造の平家が多いということから、これの建てかえを考えてまいりたい、こういう点の法制を整備してまいりたいということを考えております。  これらを含めて国がどういうふうに援助をしてまいったらばよろしいか、都道府県がどういうふうに財源を持ったらよろしいか、こういうことを含めましてただいまこの法律の改正を考えておりますので、まさにお尋ねの点はその一環としての大きな問題として考えてまいりいたと思っております。
  198. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、公営住宅というのは低所得者が対象だ、それはよくわかります。最近建った都内の公営住宅では、家賃が一万四千円から二万円という公営住宅が東京都営である、これは事実でありますか。また、あるとすれば、それは公営住宅に対する基本的理念からはずれると思うのですが、いかがでありますか。
  199. 三橋信一

    ○三橋説明員 ただいまお尋ねの一万四千円、二万円というのは、計算上出てくる場合はございますが、そういうものにつきましては都が家賃をきめることになりまして、その場合には一万円以下になるように処置しておるはずでございます。したがって、二万円というようなお尋ねのようなものはないと思っております。
  200. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは土地が高い、建築費が上がってきた、そういった問題で当然一万円以上の高額家賃になったということが新聞にもちょっと出ておりましたが、これは事実であるかどうか私も確認したわけではありませんが、そういうような高額の家賃を取る場合には、都とか、そういった地方公共団体が家賃を負担するのですか。
  201. 三橋信一

    ○三橋説明員 これは家賃を負担するのではございませんで、都が出しました金の返り方がおそくなってくるわけでございます。
  202. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この公営住宅の考え方で一つお尋ねしたいのですが、公営住宅というのはいつまでも借りておるのだという考え方と、将来は自分のものにしていくのだという持ち家の考え方、そのためには、多少家賃が高くても割賦式に自分の家を獲得するのだというものを含めたところの公営住宅——これからの高層建築になりますと当然部屋になってまいりますから、そういう部屋を獲得していくという公営住宅の持ち家的な考え方というもののほうが、これからの公営住宅を建てていくには家がどんどん建つのじゃないか。その一つの理由は、いま言ったように、公営住宅を都道府県または国が持てば、維持管理費というものが当然かかってくる。共産党のように何でもかでも反対というのではなくて、われわれのこういった一つの立場に立った住宅政策の中で家を普及していくという立場からいけば、ある程度持ち家的にしていけば、これは自分の家であるというので大事にする、自分も直していく、こういう観点に立った公営住宅の新しいアイデアというものが必要だと思うのですが、局長はどのようにお考えになりますか。
  203. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 全体として持ち家政策というものを推進していきたいというのは、私どもも同感でございます。現実にまた各種のそういった奨励政策をやっておるわけでございますが、ただ、公営住宅は、言うまでもなく、所得が低い人を対象として考えておるわけでありまして、家賃を払うことが精一ぱい、しかも相当安い家賃でなければならない、そういう方々に自分の家を持つだけの金を考えろといっても、現在の時点ではちょっと現実的でない。したがって、現在の時点では公営住宅についての持ち家政策というものを考えるのはまだ時期尚早だというふうに考えております。
  204. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私はその意見に対して一つ考えがあるのです。現在の民間アパートに住んでおる人たちは低所得者ばかりじゃない、ほんとうにぎりぎりの中堅階級が大多数です。この中堅階級の人たちというものは何とかして公営住宅に入りたい。回転を早くすることも一つでありますけれども、いま言ったような低所得者の分をどんどんつくっていく面と、もう一つはそういう中堅階級、年収七十五万円程度の方々、これは現在いうところの低所得者に入るかどうかという定義の問題ですが、これは私は中堅とみなして、これらの人々が大多数いま苦しんでおる。そういった中堅階級についてはどうお考えですか。
  205. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 先ほども申し上げましたように、そういった自分で自分の家を持てるような収入状態にある人、これが何万円であるかということは、いろいろ議論があろうと思いますが、観念的に、そういう状態にある人については、自分の家を持ちたいというのは人間の本能でございますから、そういう持てるような状態に持っていくことが国のとるべき態度である、そういうことで、各般の、たとえば住宅減税もことしから始めますし、それから公団、公庫、金融公庫、それぞれの立場でいろいろな奨励政策をとっておる。ですから、その点については私は小川さんと考え方は全く一致しておるわけであります。
  206. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは、時間がございませんから、簡単に一点だけ政務次官に伺いたいと思います。  先ほどの民間の契約の問題ですが、二年間と契約がうたわれておりますね。二年間契約ということは、非常に人口が定着しないという矛盾が出てくるのです。選挙をやりましても棄権が多い。これは年じゅう移動しているからです。たとえば次の契約更改期に五万円払えないために、次のところに行く。年じゅう移動しておる。こういった民間アパートの二年間契約というものは非常に疑問である。若い人たちの郷土に対する愛着心というものがなくなっていくという学説があるのです。こういった二年間契約論というものは今後改めていくべきであると思うのですが、これは先ほど言ったとおり、民間の契約方法でありますので、政府が強圧を加えることには疑義がございますが、この点については、法律的にこういうことができるものかどうか。
  207. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 考え方としては全く同感です。ただ、現実の問題としては、民法上、契約は自由でございますから、二年以内の契約はいかぬというように法律を改正するということは、実際問題としてはできないと思います。でありますから、やはりその点は政府の指導なりあるいは啓蒙ということも大事でしょう。しかし、そういうものに応じて家を持っておる人の考え方というものをもう少し良識的なものにしていくことが望ましいわけでございますが、実際問題として、それではおまえどうするのだと言われると、名案はございません。ございませんが、考え方としては小川さんと全く同じでございまして、政府の立場でできるだけそういう状態を少なくするように努力をしていきたいと考えております。
  208. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 けさの新聞で、四畳半を苦にして親子が飛び込んだということは、政務次官新聞でごらんになっておると思うのです。こういう住宅事情でありますので、その裏には契約の更改に悩んでおったとも書いてある。これは非常な問題でございますので、抽象的な努力ということではなくて、明敏な頭悩をお持ちの政務次官でございますので、その辺のところをひとつ具体的に、こうあらねばならないというビジョンを国民に与えてもらいたい。それもいまのところないとはっきり正直に申されましたので、追及はいたしませんが、その点よろしくお願いいたします。  次に、公園のほうでお尋ねいたしますが、けさの新聞に出ておりますが、六本木の旧米軍接収地の問題です。これは昭和三十八年三月都市計画決定で都立運動公園の建設が六本木に始まった。これは米軍の接収地でございます。それが五、六年もたつにもかかわらずいまだに荒れ果てた土地になっております。この点はどうしてこうなっておるのですか。
  209. 馬場豊彦

    ○馬場説明員 六本木の公園についてお答えいたします。  おっしゃるように、三十八年に事業決定をした公園でございます。米軍接収地だったものが一部解除になりまして、ヘリポートの用地としていままだ使っております。ヘリポートの用地とその他の部分も含めまして公園の土地としておるわけでございます。ヘリポート以外の土地については、おっしゃるように荒れたままになっております。これも事業決定をしておりますので、なるべく促進をしてやりたいと思っておるのですが、その荒れた土地に、公園と、それに隣接する街路、環状三号線という計画がございまして、それも荒れた土地につくられる計画でございます。いずれも返上時点にほうったままみたいになっておるのですが、設計の検討は東京都でやっておりまして、特に、なぜいままでほうっておいたかという御質問につきましては、都心の有効な土地でございますので、特別な変電所計画というような案も出てまいりまして、それが公園の下に変電所をつくるという案でございまして、それらが特殊なものでございますので、検討に時間がかかっておる、こういう状態でございまして、なるべく促進をして、早く事業決定どおりやりたいと建設省では考えております。
  210. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 管財局では、この問題で大蔵省のほうでは公園をつくることを条件に東京都に払い下げるということを聞いておりますけれども、そんな変電所とか、計画が変更した場合にも、この点はその所期の目的にいくのですか。
  211. 馬場豊彦

    ○馬場説明員 いま説明がちょっと足らなかったのですが、変電所をつくるのは公園のままつくるということです。公園の下に地下変電所をつくるということで、公園であることには変わりはないわけです。ただ、有効に土地を利用しようということで、新しい試みでございまして、そこらも、規模がどのくらいになるというようなことで設計を詰めているような段階であります。
  212. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは具体的にはいつまでかということは、いまここでは話せませんか。
  213. 馬場豊彦

    ○馬場説明員 時間は、東京都のほうで詰めておりますので、それを聞いて結論を出したいと思っておりますので、何月までというようなことはちょっとお答えできないのです。
  214. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 港区でこの問題に対して関心を持っておりますが、公園に港区のほうで積極的に予算計画した場合には、区のほうには払い下げられませんか。
  215. 馬場豊彦

    ○馬場説明員 都市計画決定をしておりますので、事業者が区であるということになれば別ですが、いまのところそうなっておりませんので、そういう手続がないと港区にはできません。
  216. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 たいへん時間がたちましたので、これで私の質問を終わらせていただきますが、最後に一つだけ、土地問題の考えですが、土地基本法、土地利用基本法というようなものをつくるお考えは現在政府はお持ちですか。
  217. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 端的にお答えいたしまして、そういう考え方はございません。御質問の意味がよくわかりませんが、私どもは土地利用の計画、土地利用計画の基本法としては都市計画法を考えておるわけでございまして、これは御案内のようにこの前の国会にも提案をいたしております。流れましたが、この次の国会には再び提案をして、ぜひとも成立をさせたい、御協力をお願い申し上げます。
  218. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それは私は本末転倒だと思うのです。都市計画法にしても、都市再開発法にしても、根本は土地問題ですね。土地憲章というものがなければならぬ。土地に対する基本的な考えには、私どものほうで今回考えました住宅基本法というような基本的な理念というものを当然打ち出さなければならぬという立場に立って、土地問題に対して土地基本法というものを制定しなければ、計画法も生きないし、市街地再開発の議論というものは進まないのじゃないか、こういう観点のもとに政務次官にお尋ねしたのですが、その点はどうなのですか。
  219. 澁谷直藏

    ○澁谷説明員 考え方としては、お説私も十分わかりますし、そういった考え方が根底になければならぬということは、私も賛成であります。ただ、政府として現在直ちにそういった考え方を法制化するかという御質問でございますから、そういう考え方は現在のところございませんと申し上げておるわけでございます。
  220. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 以上をもって終わります。
  221. 森下國雄

    森下委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十六分散会