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1967-10-11 第56回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十月十一日(水曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君    理事 砂原  格君 理事 石川 次夫君    理事 岡本 隆一君 理事 稲富 稜人君       池田 清志君    大野  明君       吉川 久衛君    佐藤 孝行君       高橋 英吉君    丹羽喬四郎君       廣瀬 正雄君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    勝澤 芳雄君       福岡 義登君    渡辺 惣蔵君       内海  清君    小川新一郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  委員外出席者         科学技術庁資源         局長      佐々木 即君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 古賀雷四郎君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 三橋 信一君         参  考  人         (日本住宅公団         副総裁)    町田  稔君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     尚   明君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事長)  林  修三君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   有江 義晴君         専  門 員 熊本 政晴君     ————————————— 八月十八日  委員天野光晴辞任につき、その補欠として大  野明君議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員葉梨信行辞任につき、その補欠として廣  瀬正雄君が議長指名委員に選任された。 九月二十九日  委員廣瀬正雄辞任につき、その補欠として葉  梨信行君が議長指名委員に選任された。 十月五日  委員葉梨信行辞任につき、その補欠として廣  瀬正雄君が議長指名委員に選任された。 八月十八日   一、都市計画法案内閣提出、第五十五回国    会閣法第一五二号)   二、国土計画に関する件   三、地方計画に関する件   四、都市計画に関する件   五、河川に関する件   六、道路に関する件   七、住宅に関する件   八、建築に関する件   九、建設行政基本施策に関する件  の閉会中審査を本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件  参考人出頭要求に関する件      ————◇—————
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。本委員会より、建設省関係公共事業等調査のため、去る九月、委員を二班に分け、それぞれ現地に派遣いたしました。派遣委員より報告書委員長に提出されております。  この際、派遣委員からの報告聴取を省略し、会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  4. 森下國雄

    森下委員長 建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  本件調査のため、本日、首都高速道路公団から理事長林修三君、理事有江義晴君、日本住宅公団から、副総裁町田稔君、理事明君参考人として御出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  6. 森下國雄

    森下委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。正示啓次郎君。
  7. 正示啓次郎

    ○正示委員 建設行政の基本問題に関連いたしまして、最近の非常に重要なできごとに関しまして御質問いたします。  二つございますが、一つは、首都高速道路公団のいわゆる高速一号線のコンクリート落下事故の問題、それからもう一つは、阪神高速道路公団のいわゆる五千万円の問題でありまして、いずれもこれは穴の問題で、時局柄たいへん困った穴があいたのでありますが、私は与党を代表いたしまして、この際、こうした事案に関する国民一般の非常な深い関心に対しまして、建設委員会としてもこたえるところがなければならぬと思うわけでございますから、まず最初に、首都高速道路公団林理事長その他の関係者方々から明快にこの高速一号線の問題について御回答を願いたいと思います。  申し上げるまでもなく、この高速一号線は、いわばわが日本表玄関であります。わが国を訪れる外国からのお客さまは、この高速一号線によって日本に対する重要なファーストインプレッションを持たれるわけでありますから、われわれがあるいはニューヨークへ、あるいはモスクワへ、あるいはパリへ参りましたときの最初印象が非常に大事であると同じように、東京について、日本についての外人訪客の非常に重要な最初印象を形づくる代表的施設一つであると考えます。この施設のできましたのは、、申し上げるまでもなく、オリンピックに間に合わせようというふうな考え方から、非常に関係方面において涙ぐましい努力が払われ、また地元民の方々も、事はオリンピックに間に合わせるためであるというそうした目的意識によりまして、たいへん積極的な協力のあったことは、いまさらわれわれが申し上げるまでもなく、われわれが簡単にこれは忘れてはいけない非常に歴史的な思い出を持つものであると考えます。ところが、首都高速道路公団には、前にいわゆる鉄筋引き抜き事件、これは現在の理事長さんが御就任前でございまして、前のことでございますけれども、そうした遺憾な問題もございまして、関係者の非常に憂慮いたした問題であります。これは本委員会においてもすでに究明せられ、いわばあと始末のついた問題であり、いまやわれわれは、この東京表玄関を形づくる国道第一号線は、非常にりっぱなものとして、いわば半永久的な安全な施設としてこの機能を発揮されるものと期待をいたしておりましたやさき、去る六日の各新聞紙が一斉に、この思いがけなき、いわゆる道床コンクリートの一部が落下したという非常にショッキングなニュースを報じたのであります。  そこで、まず第一に私はお尋ねをいたしたいのでありますが、一般国民並びに都民は、この新聞報道によって本事件について大体の概念は持っておりますけれども、いわば当局の正式の御説明を伺っておりません。この機会に理事長から、この一号線の道床コンクリート一部落下事故概要、そして今日までいろいろお調べになったと思われるのでありますが、そのアウトラインを御説明いただきたいと思います。
  8. 林修三

    林参考人 ただいま正示先生からお尋ねをいただきまして、当公団といたしましてまことにどうも恥ずかしい事故でございました。まことに国民の皆さまに対しても申しわけないと存じております。当公団といたしましては、さっそくこの事故原因究明、それから今後における対策、これに全力をあげていま取り組んでおるわけであります。今後におきましてはかような事故を再び起こすことのないように、今後の工事施行、あるいはすでに完成いたしました道路維持修理、そういうものについては全力をあげてやってまいりたいと思っております。  この事故状況でございますが、十月五日の午前十一時三十分ごろ、この高速一号線の下り道路の下の都道の放射十八号線という平面街路でございますが、ここを通っておりました下のトラックに、上からコンクリートの破片が落ちて、そのバックミラーあたりまして、ややそのバックミラー破損を生じた。そのダンプトラックの運転手がさっそく公団のほうに電話をくれまして、さっそく私のほうの中央管理局のその道路管理をいたしております係員が現場に参りまして、その高速一号線下り該当場所を検査いたしました。ところが、場所は一号線で芝浦ランプ付近でございますが、その外側の車線部分アスファルト舗装にややくぼみを生じているところを発見いたしました。さっそくそのアスファルト舗装をとりまして中を見ましたところが、コンクリート欠損部面が生じておる。約二十センチと四十センチの大きさのものでございます。それでさっそくその車線道路通行をとめまして、あと原因調査復旧にかかったわけでございます。最初は実はその破損を生じた一車線だけの通行をとめておったわけでございますが、事故調査復旧にはどうしても下り車線通行を禁止しないとうまくできませんので、午後六時に至りまして二車線とも通行をとめまして、同時に、この高速一号線を利用していただく方々に対しては、とりあえず芝公園のオフランプ銀座方面オフランプを使っていただいて、その事故の生じたすぐ羽田寄り芝浦から翌田方面に向かうオンランプがございます、そこに乗り継いでいただく、そういう措置をとったわけでございます。しかし、これではやはり非常に利用者方々に御不便でございまして、いろいろ非常な車の渋滞を生じておりますので、私のほうとしては一案を考えまして、たまたまその事故場所の横に芝浦から都心に向かうオンランプがございます、臨時にそのオンランプオフランプに切りかえまして、都心から羽田に向かう自動車をそこまで誘導いたしまして、そこでちょっと平面街路放射十八号線におりてもらいまして、約五百メートルまいりますと、芝浦方面から羽田方面に向かうオンランプがございます、そこに乗り継いでいただく、こういう措置を八日の午前七時からとりまして、これでもなお利用者の方には御不便をかけておりますけれども、それも以前に比べれば利用は少し便利になったのではないかと思っております。しかし、何ぶんこれは平面街路利用いたしますので、非常な渋滞はやはり起こしております。まことに申しわけなく存じております。これは事故が起こったあとにおける交通対策概要でございます。  それから、事故原因とその復旧の問題でございます。  事故原因究明につきましては、直ちに当公団においてもそれのための特別の委員会をつくりまして、部内をもって委員会をつくっておりますけれども、同時に、部外の権威方々にこの際徹底的な究明をいただくようにいたしたいと存じまして、芝浦事故対策技術特別委員会をつくりまして、建設省土木研究所長をはじめといたしまして各方面権威者——そのお名前はまた必要があればあとから申し上げますけれども権威者に御委嘱申し上げましてこの委員会をつくりまして、御委嘱申し上げました方々はさっそく現場調査していただいております。急に御委嘱いたしましたために、まだ現場を見ていただいておらない方もございますが、本日あたりで全部それが終了いたしますので、さっそく委員会を開きまして、事故原因徹底的究明をいたしたいと思います。  ただいままでのところ当公団としまして調査しました結果は、専門的になりますので、あとで必要があればまた技術担当理事から御説明いたしますが、概要は、大体やはりどうも現場コンクリート強度に問題があった、かように考えられます。現場コンクリートのサンプルを若干とりまして、当公団としても物理的化学的の実験をいまいたしております。  それで、この現場復旧でございますが、復旧につきましては、この現場——これは、申しおくれましたけれども、実はピアノ線コンクリート構造物でございまして、その現場付近を当公団調査いたしまして、若干まだ危険と思われる個所、それを含めまして現場の一部の床版——道床でございますが、それを全部コンクリートを撤去いたしまして、そこにかわりの鉄筋コンクリート床版を打つ計画を立てまして、これはすでに着手をいたしております。このかわりの床版は大体二十日までに完成をいたしまして、二十日くらいには道路開通をさせたい、かように考えております。その技術的な図面等につきましてはお手元にお配りしてあるはずでございます。後ほど技術担当理事から御説明をいたします。  それから、この工事は、先ほどもお話がございましたが、実はオリンピックに間に合わせるべく公団として最初に実はやったところでございます。この工事施行いたしました時期は、昭和三十六年六月十八日から三十七年の十月二十五日まででございます。それを請け負いました会社は、田島工業という、富山に本社を持っているPC業者でございます。請負金額は約六千六百万円。それで、それが完成をいたしまして——この部面は、実はオリンピックより前に当公団としては一番初めに開通をさせた部面でございます。三十七年の十二月に開通をさせた場所でございます。ただ、田島工業はその後実は倒産をいたしまして、現在はございません。さようなわけでございます。当時におきましてこの業者選定は、ただいまもそうでございますが、公団の中に指名委員会をつくりまして、副理事長委員長といたしまして、理事等が入りまして、実は慎重にやっておるわけでございます。当時としてその選定に特別な誤りはなかったのじゃないかと私は思っております。しかし、何しろこういう不幸な事故を起こしましたので、やはり何か工事施行面欠陥があったのであろう、かように考えて、十分調査をいたすつもりでございます。  それでは、この状況でございますが、この際あわせて申し上げたいことでございますが、この道路の供用いたしました部分については、もちろん、相当半永久の構造物でございますけれども、常時の維持補修が必要でございます。したがいまして、もちろん、いままでも当公団としてはこの維持管理には力を尽くしてまいりました。これは弁解がましいことに相なりますが、一昨年来特別な計画で実は全部の点検をいたしておりまして、たまたま、最近までは鉄橋の部面点検を大体完了いたしまして、これからPC点検に入ろうというふうなことを計画しておりました。これは弁解になりますけれども、さような計画ではおりました。しかし、たまたまここが未点検でございましてこういうような事故を起こしましたことは、はなはだ申しわけなく存じております。この際は、PC部面につきまして、田島工業のやりました場所はもちろんのこと、全般にわたって総点検を急速にやるべくいま命令をいたしまして、それを着手いたしております。今後かような事故の発生を絶無にいたしたい、かように考えまして、公団といたしましては役職員一同その決意をもって今後に当たりたい、かように考えております。はなはだ申しわけない事故を起こしまして、はなはだ申しわけないと存じております。  一応概略を御説明いたしまして、なお御質問があれば、私なり、ここに技術担当理事も参っておりますので、お答えをいたしたい、かように考えます。
  9. 正示啓次郎

    ○正示委員 いま大体の御説明はありましたが、私は、今日に至りますると、先ほど申し上げたようないきさつ及び意義を持つところの施設でございますが、これを利用する一般国民はもとよりのこと、外国からのお客さまたちに不安を与えるということが、一番重大な問題であると存じます。  そこで、いまお話も簡単にございましたが、私もよく利用さしていただいておりますけれども、よくパトロールカーを見受けておるわけでありますが、いまいわゆる一斉点検の話もございましたが、たとえば先ほどの五日のときにも、民間の運転手の方がそういう場面に直面し、バックミラー破損をする、そういう損害をお受けになって初めて公団当局がこの事故に気づいた。あれだけ事前によくパトロールしておるのに、どうしてこうした大きなコンクリートに穴があくというふうな事態を全然予知できなかったか、その点に私は非常に大きな不安を持つわけでございます。  そこで、まず第一点といたしましては、どうしてそういうふうにこの事故が起こることを予知できなかったのであるか。パトロールの体制はどうなのか。そしてまた、いま一斉点検をこれからやろうという理事長の御答弁でございますが、それは一体いつごろ完了して一般利用者に対して不安を除くことができるのか。これは私は急速にやはりおやりになる必要があると思いながら、そういう期待を持ちながらお尋ねをいたすわけでございます。  さらに、田島工業——すでに倒産をいたしたようでございますが、田島工業施工個所はもとよりのこと、いわゆるPCコンクリート、昨日の新聞でございましたか、どうもコンクリート強度に問題がありそうだというふうな一部の観測記事も出ておりましたが、こうした原因の大体の公団当局による予想に基づきまして、とにかく毎日、先ほど言われたような非常措置を講じてまで利用しており、また、利用しなければ首都交通渋滞を来たす非常に重要な施設でございますから、これはその不安を取り除くということが一番大事であり、また、ほんとうに不安がないようにいたすことが先決問題であろうと私は存じますが、いま申し上げたような三点ほどに関連をいたしまして、公団当局でどういうわけでこれはわからなかったのか、いまどうして全体についてそういう不安の個所があるかないかを発見しようとしておるか、田島工業がやった個所についての鉄筋なんかの調査あるいはコンクリート調査、そういうことによって、かりにいま相当広範囲にわたって工事補強しようとしておるということでありますが、そうした応急の工事は時間的にどの程度かかるものであるのか、こういう点を、いま国民の非常な関心の的であろうと思いますから、お答えをいただきたいと思います。
  10. 林修三

    林参考人 この道路点検でございますが、その維持管理関係につきましては、実は道路表面と申しますか、道路の上を私どもパトロールカーを始終走らせております。しかし、表面からだけでは実はやはり不十分でございまして、ことに構造物は、鉄にいたしましても、コンクリートにいたしましても、道路舗装面からだけでは、今回のように上からだけではやはりわかりません事態が起こります。したがいまして、やはり下から見る必要があるわけでありまして、実は下から常時点検をする体制をとっております。ただ、これは実は下から見る作業は非常にむずかしいのでございまして、ある部面は川の上を通っております、ある部面は、本件事故のように、非常な交通ひんぱんな個所の上に通っております。これにつきましての点検体制は立てておりますけれども、なかなかむずかしいものがございます。しかし、もちろんそれはこれまでもやっておりましたし、今後もやるつもりでやっております。今回の事故が、実は下から見れば、ある程度コンクリートが変色をいたしておりました、そういうことで、もっと早く気がつくべきであったことは、おっしゃるとおりでございます。この点は私のほうにもはなはだ遺憾な点がございました。今後はこういうことがないように、さらに一そう管理に十分な手配をいたしたいと思っております。  先ほど、総点検のことでございますが、これは常時点検をいたしますけれども、この際全部一応点検をいたしたい、これは急速に二、三週間の間にやってしまいたい、かように考えております。同時に、この現場付近は、もちろん、同じ田島工業のやった部面が多少ほかにもございますので、これは実は十分入念に検査をいたします。ほかのPC構造物につきましても、この際全般的な物理的な試験をやりたいといま計画を立てております。  それから、あと復旧工法等につきましてのことは、技術担当のほうからお話し申し上げます。
  11. 有江義晴

    有江参考人 お許しをいただきまして御説明いたします。  最初に、今回の事故を起こしましてまことに申しわけない点、肝に銘じております。  お手元に三枚つづりの小さな資料が差し上げてございます。  まず、事故原因につきましては、現在わかっておりますところ、理事長からただいま御説明申し上げたとおりでございますが、さらに補足をいたしますと、私ども現在この個所コンクリートにつきまして非常な疑義を持っておりまして、実は物理的な試験と科学的な試験をいまやっております。一部の試験は完了したところもございます。  まず、物理的な試験と申しますと、この破損個所、それから、破損をしていない、満足であると思われる個所から試験片を取りまして、それをつぶして強度を確認するという方法でございます。これはすでに実施いたしまして、数字をつかんでおります。  それから、この個所コンクリートの質を確認するために科学的な試験を行なう、それを申し上げますと、まず、コンクリートアルカリ度試験、それから肉眼試験もございますけれども、さらに比重を調べる、そういうふうな試験をして、このコンクリートの本質を見きわめたい、かように考えておるわけでございます。ただいま特別な委員会をこしらえまして、本日あたりはその全員の方々の総合的な会議がございますので、いろいろ私ども教えられることが多々あるだろうということを期待しておる次第でございます。  それから復旧工法でございますが、三枚目の紙に見取り図を書いてございます。まん中に二十五メートルと書いてございますが、これが問題のけたでございます。一番上にその側面図を書いてございます。まん中平面図、それから一番下の左側に、破壊いたしました付近断面図を書いてございます。先ほどちょっと理事長が触れましたように、現在私ども調査した結果欠陥を発見しておりますのは、まん中図面で「破損箇所」と書きまして斜線を引いてございますが、この付近は明らかにコンクリートにひびが入っておりまして、これは悪いということは明瞭でございます。それから、構造的に見ましても、その破損箇所のちょっと上側でございますが、「コンクリート床版打ちたし」と書いてございます。この付近も、構造的に見まして、たとえこの付近コンクリートが現在のところ満足な状態であっても、このまま放置できないという構造でございます。したがいまして、この橋の主げた及び横げたは現在満足な状態にございますので、現在欠陥がある部分と将来欠陥を生ずるおそれがある部分を全部抜本的に補強してしまおうというのが原案でございます。  この一番上の図面で申し上げますと、右半分のところに青く染めてあるところがございます。「コンクリート床版20cm厚」と書いてございますが、これを全面的に打ちまして、この上を通る車輪の荷重を完ぺきに受けてしまおうということでございます。大体二十センチの予定でございましたが、精密な設計をいたしてみましたところ、これは大体十八センチくらいに下がった、かように考えております。そういたしますと、このけたの左半分、白くしてあるところでございますが、このところに二十センチ近くの段差がつくということに相なります。したがいまして、交通の擁護のためにも、この段差はこのけたの左側のほうに向かってある勾配をもちましてすりつけていかなければならない。大体千分の七前後の勾配になるかと思いますが、それですいつけたい、かように考えております。  それから、この床版を打つために、けたの自重、これはふえるわけでございまして、これがけたの本体に重荷となってのしかかる次第でございます。したがいまして、このけたの補強も必要になってくるというわけでございます。私どもいろいろな種類の工法を検討いたしました結果、ここに採用いたしました工法といたしましては、この一番上の側面図でごらんいただきますと、けたなりに沿って弓のように線を引きまして「PC鋼線」と書いてございます。これが主げた補強するピアノ線でございます。このピアノ線をこのけたに挿入することによりまして、技術的に申しますとキングポストと申しますが、その構造にいたしましてこのけたを補強強化するという工法をとっておるわけでございます。現在の時点におきましては、このピアノ線はすでに現地に入りまして加工中でございます。  それから、なお、あとになって申し上げまして申しわけございませんが、床版工のほうは、先ほどこの青く染めました部分の大部分の打設を終わりまして、現在養生中でございます。工程といたしましては、おそくとも今月の二十日までにこの補強は完了いたしましてこの部分の路線を開通いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  12. 正示啓次郎

    ○正示委員 あまり時間をとってもあとの質問者のためにも恐縮ですから、私はだんだん結論に入りたいと思いますが、いま理事長並びに技術担当理事からお答えがありまして、一生懸命に、この個所については安全な状態に持っていきたい、こういうことでやっておられることはいま伺ったのでありますが、私疑問に思うのは、このコンクリート試験というようなものは、前の鉄筋抜き取りのときもそういう感じを受けるのでございますが、公団管理体制から見て、当然、事前に十分——たとえばコンクリートを打ち込む前にも十分コンクリートについての試験が行なわれておるべきではないか。ことに、田島工業という組は、当時は信用あったのでございましょうが、いまとなっては倒産をしたというふうなことであれば、世間一般から見ると、どうしてそういう業者を大切な人命を預かる高速道路工事に使ったのかということをしろうとはふしぎに思うと私は思う。鉄筋引き抜き事件についても同じであります。とするならば、やはりそういう重要なチェックは当然公団管理体制に入り込んで措置されていなければならないという感じがするのでありますが、伺いたいのは、どうして事前検査、事前試験ということをやらなかったのであろうか、あるいは、やったけれども発見できなかったというのであろうか、これが第一点。  第二に、いまたまたま理事長の御説明では、下から見なければという表現でございましたが、下から見ると、ひびも入っておれば、変色もしておった、事前にわからなければならなかったのでありますというおことばでありますが、私は、一斉点検にまずもってお医者さんの——岡本理事を横に置いてまことに恐縮ですけれども、とにかくざっと一回下見をなさるというようなことをこの全線についてやっておられるかどうか。首都高速道路のみならず、全国の道路について、やはりコンクリートというものがそういう危険性を持っておるとするならば、建設省道路局長は寝食を忘れてたいへん御苦労であるけれども、人命を預かる道路コンクリート状態あるいはいまお話になった鉄筋状態というようなものについては、とにかくざっと一度調べて——いわゆる頂門の一針であります。こういう事故があったことを、災いを転じて福にするという意味において、この前の京都の和知ダムの問題など——これは河川局の問題でありますが、ああいう事故が起こったときにこそわれわれは心を引き締めて、同じような不幸な事態が起こらないような万全の注意をするということは、私は当然であると思う。そこで、事前の試験においてなぜ発見されなかったのか。あとの祭りといえ、こういう事故があったのであるから、大急ぎで全体の施設について——そういう精密な検査とまではいかないけれども、大ざっぱな外形による検査は、首都高速道路については至急やろうとしておるということでありますが、全国のそうした危険のあり得る道路について道路局長はどう考えておられるか。  第三に、私はこれは理事長にぜひ伺いたいのでありますが、よく公団ではストライキをやっておる。われわれ料金を払おうと思っても、料金を取る人がいないということもあります。その辺、あと阪神高速道路公団についても伺いますが、変な事務員をお雇いになるからそういうことになるので、技術陣はそういうことはありませんということなら安心でありますけれども、実際これはとんでもない話だ。天下の公道を預かって料金を徴収すべき者が、料金を徴収せずにぽかんと腕をこまねいておるというようなそういう体制こそ、もってのほかである。こういう公団内部の問題についてどうしておられるのか。いま一斉に全国の道路について道路局長はそういう体制をとろうとしておられるのか。これは首都高速道路に限らない。まずもってやはりこういう施設の安全、国民からの信頼、そういうものの基本は、これを運営する人にあると私は思う。コンクリートの二十センチ、三十センチの穴は——これは田島工業かどうか知りませんが、コンクリート強度の問題として応急措置もけっこうでありましょう。復旧もけっこうでありましょう。しかし、人の心のゆるみは、とうていそんな簡単なものによっては直すことはできません。人の心のゆるみはないか、これが私は根本であろうと思います。そうした心のゆるみがなければ、こういう事故も本来起こり得るものではないのではないか、こう思うとき、しみじみ、大切な問題はやはり人に返ってくるということを痛切に感ずる次第でございますが、この点について、公団の人事の管理あるいはそうした人々が、大切なわれわれの人命を預かっていただいておるその道路管理をする体制においてゆるみなきやいなや、この点を最後に理事長からお伺いいたしたいと思うのであります。やがてその管理体制の問題から、私は、東京から阪神に飛びまして、阪神高速道路の問題を伺いたいと思います。
  13. 林修三

    林参考人 私から、最後の問題からお答えいかします。  いまおしかりを受けましたが、公団の人事管理につきましては、私は及ばずながら着任以来万全を尽くして実はやっておるつもりでございます。全職員の和ということに心がけまして、全部の職員が一致協力してこの公団の事業の完遂、あるいは、できました道路維持管理ということに当たるべく力を入れる、その体制をつくり上げようと実は考えておりますが、ときどき実は正示先生の目にとまったようなこともございまして、なるべくそういうことの今後少なくなるように努力いたしたい、かように考えております。  それから、あとこれは技術担当理事からも補足いたさせますが、工事施行の際にもちろん発見すべきではなかったか、これはもうおっしゃるとおりでございまして、当然施工当時には常時監督をいたし、あるいは施工完成後の検査も当然いたしておるわけであります。それで発見できなかったことははなはだ遺憾に存じております。今後はそういうことのないようにいたしたいと思います。どういうやり方をとっているかについては、技術担当理事からもお答えいたさせます。  それから、私だけに対する御質問でございませんでしたが、先ほど申しましたように、この際急速に総点検をいたします。これはもうほんとうに実は下からずっと見るということで総点検いたしまして、さらに精密検診は場所場所をきめてやっていきたい、かように考えております。
  14. 有江義晴

    有江参考人 お答え申し上げます。  第一の、工事施行中におきます検査の件でございます。これは私どもの内規にもうたってあるのでございますが、まず工事の設計にあたる場合に、どういうようなコンクリートを使うか、あるいはどういうような鉄筋あるいはピアノ線を使うかということを種々検討いたします。まず、ピアノ線及び鉄筋につきましては、所定の規格がございますのであまり問題はないのでございますが、コンクリートは、いろいろな要素によりましてその性質、強度が左右されるものでございますので、コンクリートの配合につきまして検討を加えます。その検討を加えた結果、このコンクリートを使おうと結論いたしまして設計をするわけでございます。実は今回の工事の設計も公団の本所工務部において実施をいたしております。その設計が済みまして入札公示をやり、請負人にそれを渡して、いよいよ、公団現場機関といたしまして建設部がございまして、その建設部が施工一切の監督指導をするわけでございます。また、都内のことでございますから、いろいろ予期しない障害もございまして、その障害が出た場合には、建設部と工務部といろいろ協議をいたしまして一つ一つ解決をしていくという体制と相なっております。その建設部の下のほんとうの現場の監督機関といたしまして、当時は出張所というのがございまして、この出張所が監督をいたしたわけでございます。  まず、コンクリートの監督でございますが、打ち込む前に、その設計をいたしました配合のコンクリートを用いまして所定の試験片をこしらえまして強度試験をするわけでございます。今回もそのデータがございます。それから、コンクリートは非常に大量に使うものでございまして、すべてを検査するということは非常に困難なわけでございまして、その工事施行した当時は、百五十立方メートルにつき任意に試料を抽出して試験をするという方法をとっておるわけでございます。その当時試験をしたデータを見ますと、設計の所要強度は毎平方センチ三百五十キロでございます。が、そういう三百五十キロ以上の強度は出ておったのでございます。ところが、間々、運が悪くその試験のものから漏れたものがどうもあったらしゅうございまして、先ほど理事長がちょっと触れましたように、色が変わっておったというのが非常に私ども疑いを持って見ておるわけでございまして、その部分コンクリートがたまたま任意抽出の試験の間隙を縫って入ってきたのではないかと思える節がございまして、その面をわれわれ非常に今後のためにも反省しているわけでございます。  申し添えますが、当時は百五十立方メートルにつき試験片をとるようにということでございますが、現在は百立方メートルにつきとりなさいと、少し厳格になっております。でも、今後百立方メートルでいいかどうかということは、まだ疑義がございますので、なおこの点につきましては、公団といたしましても、今回の事例にかんがみまして大いに反省をしたい、かように考えておる次第でございます。  それから、御質問の管理体制の問題でございますが、実は当公団中央管理局というものがございまして、この管理局に施設部というのがございます。施設部の中に保全課もございます。これが管理の業務のブレーンとなっているものでございますが、現場といたしましては、その下に補修区というものがございまして、これが常時パトロールをし、欠陥を発見して修理をするという責任を負っているわけでございます。先ほども理事長がちょっと触れましたように、実は前にもパトロール検査はやったのでございます。四十年の十二月から四十一年の九月にかけまして、非常に危険と思いました部分、たとえば重要構造物の鉄のところなんかはパトロールをやったのでございますが、たまたまこの事故を起こしました場所が精密パトロールのワク外にございまして、実はことし実施しようという計画を立てておった次第でございまして、その行動の直前にこういう不幸な申しわけない事故を起こした次第でございます。  コンクリートは、表面から見ましてもある程度の欠陥がわかる場合もございますが、内部に欠陥が起きたような場合にはなかなか発見がしにくいわけでございます。たとえば、けたが異常な振動を起こしたというような事態があれば、おかしいということはぴんとくるのでございますが、ちょっと肉眼ではむずかしいのであります。肉眼で見て発見できるのは、ひび割れができておる、あるいはひび割れが基因してその中のコンクリートがある程度おかされて、アルカリ分を浸出して主要部分の色が変わっておるということはわかるのでございますが……。  なお、この際私どもは、肉眼ばかりにたよるということをしないで、機械的な試験をやろうということを考えております。これは、申し上げますと、コンクリートの中を超短波を走らせまして試験するのでございますが、超短波が走る速度とコンクリート強度の間に因果関係がございまして、コンクリートの中を超短波が毎秒三千メートル以上くらいな速さで走るコンクリートはまず上等であるという結論が言えるわけでございます。たまたま何らかの欠陥がございまして、千五百とか、低いスピードになりますと、これは怪しいということがわかるわけでございます。幸いにその試験機が一台手当てがつきましたので、きょうから全面的な精密検査の行動に移るということを決定いたしまして、現在は、この田島工業施行しました、今度の十径間でございますが、それを重点的に試験をやろうということを考えております。  それから、もう一つ田島工業が施工いたしましたのは、私どもの同じく一号線でございますが、二区、三区の埋め立て地の中に、百三工区という工区があるのでございますが、ここに、これよりも小さい橋でございますが、施工したものがございます。これも肉眼検査はやったのでございますが、それだけでは私どもも不安でございますから、徹底的な機械的な検査をやるというつもりでおります。  なお、PC工法をとりました個所は過去にも数多くございますので、それを逐次検査する。そのためには、現在の中央管理局の職員だけでは若干手薄じゃないかと思いますので、公団のほかの建設部あるいは工務部の技術員の優秀なのをピックアップいたしまして、それを臨時に応援させましてこの際急速に検査を実施するという決心でございます。その行動をすでに起こしております。御了承いただきたいと思います。
  15. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 このたび首都高速道路で穴をあけまして交通がとまりました。一般の車に供用しておるところがそういうことになりましたことは、今回の事件は幸いに負傷者がなかったのでございますが、一つ間違えば非常に重大な事故を起こす原因にもなるということで利用者の不安を招いたことは、非常に遺憾に思っております。実はやはりこういう道路をやっておりますと、こういうものはとにかく絶無にしなければならぬということが、まず第一にわれわれが考えなければならぬ問題だと思います。それにはやはり設計と施工とがとにかくマッチしなければならぬということがまず第一じゃないかと思います。これは数年前に比べてコンクリート技術も非常に進んでおります。また、これを使いますコンクリート構造物の理論的な応力計算もかなり進んでまいりました。なるべく工費を安くするためにできるだけ鉄筋を少なくし、コンクリート強度を上げ、また、今回のようなPSのピアノ線を使うというような新しい工法が出てまいったわけであります。やはりこういうことは技術の進歩だと思います。ただ、こういうことによって非常に工費も少なくなるし、また施工も早くなるという利点もございますが、これがやはり施工とマッチしないと、非常に重大な欠陥を生ずるおそれがございます。そういう意味で、やはりこういうような高度の構造物をつくるときには、これに対する十分な施工ができるということと、施工に対して十分監督いたしまして、それが最初の設計どおりの施工ができるようにしなければならないということが大事だと思います。実は全国の橋につきましてこういうPC工法をやっているのが多いのでございますが、まず、けたをいまのPC工法でやっておるものが大部分でございます。ただ、このほかに床版にそういうふうなPCを入れたというのは、最近出てきた工法だと思います。これにつきましては、床版というのは、車の荷重を直接けたに伝える、一審シビアに車の荷重がかかってくるところでございます。そういうところからいいますと、やはり床版の施工というのは、ほかのけたと同じように、さらにそれ以上の十分な検査をしなければならぬ。コンクリートにつきましても先ほど有江理事からお話がありましたように、コンクリート一つのバッジことに検査するということもなかなか困難でございますので、大体百立米、二百立米、三百立米ぐらいごとに一回検査をするというような形をとっておるのが普通だと思います。そういたしますと、ただいまのコンクリート打ちというのは、ほとんど、バッチャープラントでコンクリートを練りまして、それをミキサー車に詰めて現場に持ってくるということでございます。やはりその何回目かのミキサー車からとるということになると思います。ただ、バッチャープラントでございますから、セメントの量、水の量、骨材の量というのは大体機械的に配合されております。しかし、機械といいましても、やはりそれには故障があるということも考えられますので、こういうような高度の——高度といいますか、技術的に施工のむずかしいような設計をした場合には、やはり施工について十分今後監督するように指導していきたいと思います。  もう一つの方法は、やはり、できたものに対する点検がまず第一だと思います。これにつきましては、工事が終わりますと竣工検査をするわけでございます。竣工検査の大部分が、設計どおりの寸法にできているかどうかということがまず主体になりまして、一回打ち込まれましたコンクリートの中に穴があいているとか、こういうことはなかなか普通の目で見る検査だけではできないと思いますので、今後、そういうような重要な構造物につきましては、やはり何らかの特殊な方法でその中のきずを見つけるというようなことを考えていかなければならぬと思います。また、こういうような全国の道路につきましてさっそく点検をさせていきたいと思います。点検といいましても、こういう特殊な工法をやっておるのは、直轄でも非常に数が少ないのでございます。そういうようなものにつきましては、できるだけ早く点検をして事前に発見するようにしていきたいというふうに考えております。
  16. 森下國雄

    森下委員長 稲富稜人君より関連質問の通告があります。稲富稜人君
  17. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいま正示委員の御質問に対しまして林公団理事長の御答弁を承っておりますと、最初のこの請負契約に際しては不都合はなかったのだ、こういうふうに思っているということなんですが、私はここに非常に大きな問題があるのではないかと思います。こういうような事態が生じたということはどこに不都合があったかということを考えなければならぬと思うのであります。もちろん、いま道路局長が言われたように、こういうものは竣工検査というものをやられる。竣工検査というものはできたあとのことなんです。コンクリートの中がどうなっているかわからない。そしてすでにこれを請け負った会社がつぶれているというような状態です。こういうような会社をどうして指名に入れたかということ、さらに、入札の形をとられたのであるが、これもなるたけ安いものに落札をするということは、これは手抜きがどれだけでもできるのであります。問題はその業者の信頼に属することなんで、しかも、コンクリートを塗ってしまったらわからない。中のほうをどれだけ省くとか、そういう現場監督が十分行き届かなければこういう不都合が生ずるということになるので、これは単に契約当時にその請負業者との間に不都合はなかったのだとして見のがすべき問題ではない、かように考えます。こういう点に対しては、やはりこの請負業者の資格であるとか経歴であるとか、実質的にどれほど信用が高いか、こういうものも十分検討して指名に入れることをやらなければならぬ。それから、その中間において、最初の設計がどうであったかということ、その事業に対する仕様書がどういうことになっていたかということ、それに対する現場の監督はどういうような監督であったか、こういうことも総合して私はこの結論というものを出さなければならないと思うのです。ただ契約当時においてその業者との間に何も不都合がなかったのだから、この問題はさかのぼらないということではいけないと思います。この請負関係に対しても本省として将来十分考えていかなければならぬと思います。この点は不都合はなかったのだとして見のがすことはできないと思いますので、今後こういう問題についてどういう処置をやられるのか、公団並びに建設省の御意見をこの際承っておきたい。
  18. 林修三

    林参考人 公団工事をいたします際には請負契約に出すわけでございますが、それは原則として指名競争契約でやっております。それで、その指名をいたしますのは、その工事の種類にもよりますが、大体八業者程度を一回の工事指名いたしまして入札をしておるわけでございます。これはこの当時もそうだったと存じますが、現在では当公団の副理事長委員長といたしまして指名業者選定委員会を設けまして、そこで公正に審査をいたしております。その指名いたします業者は、あらかじめ公団に登録をさせております。年度初めに、工事の種類がいろいろございますが、そういうすべてのものにわたって登録をいたさせまして、その登録の審査をして、一応合格したものを登録する。その登録業者の中から、各工事ごとに、工事の種類あるいは工事の大きさ、あるいは工事の難易等を考えまして、相当の業者、一応信用のある業者選定して、その中からさらに委員会にかけて選定する、かような方法を現在とっております。当時もおそらくそういうことであったと実は私も思うわけでございます。当時としては、田島工業をここに入れるについては、当然、田島工業の信用調査もあるいは技術的な調査もしたものと思っております。しかし、その後、この工事をいたしましてからおよそ三年ぐらいしてこれが倒産をしたような関係でそういうことがあったわけでございますが、当時として、いまおっしゃったように、手落ちがあったかなかったかは十分調査をいたしております。それから、当時の設計、仕様等についてももちろん十分調査をいたしまして今後の参考にいたしたい、かように考えております。
  19. 志村清一

    ○志村説明員 建設工事請負に関する指名につきましては、指名をいたしました連中のだれが落としましても必ずりっぱな仕事ができるということであるように十分配慮をしなければならぬということで従来も行なっておりますが、同時に、指名あたりましていろいろな格づけがあるわけでありますが、建設業法に基づきまして業者をA、B、C、D、Eというふうに分けております。そこで工事の規模、質等に対応させましてその業者をグループごとにまとめまして、対応する事業に合わせて指名の選ぶ範囲をきめるということにいたしております。同時に、仕事の性格によりまして、特殊の技術がないとできないというグループは、別途それぞれ考えながらやっておるわけでございますが、それらにつきましては、今後とも、指名の本来の性格に応じまして、指名された事業は完全にできるという業者のみを選定してまいるという方向で検討を進めさせていただきたいと存じております。
  20. 稲富稜人

    ○稲富委員 落札する場合は、一番安いのに落札するというたてまえなんですか。
  21. 志村清一

    ○志村説明員 入札いたしました結果、やはりこちらの見積もりがございますが、それを上回る場合には再び入札を行なう、そして、その範囲内におきまして入札いたしました場合におきましては、最低限度のものに請け負わせるという形になっております。
  22. 稲富稜人

    ○稲富委員 この落札方法なんですが、安くさえあればいい安くさえあればいいというのでは、どんなにでも省けるのですよ。ことにセメントなんか、建築もそうですし、道路もそうです。実は私も建築に関係したことがあるのです。くぎを何本か抜けば安くなるのですよ。それは会社の信用度合いなんです。コンクリートの練り方でもずいぶん違うのです。安いからいいということならば、それだけの仕事をすればどれだけでも安くできるということになる。その点はやはり監督が十分でなければいけないということになる。安くさえすれば落札するというこのやり方、ここに非常に問題があるのじゃないかと私は思う。  それから、指名をする場合の有資格者に対しましてももちろん各段階がきめられております。しかし、その会社に対してはやはり十分検討しなくてはいけないんじゃないか。現にこの会社のごときは三年後において倒産しておる。三年後に倒産するような会社であったというならば、これはどう見ましても内容というものがあまりよくなかったんじゃないかということは一応考えられるわけです。そういうようなものがどういう関係で仕事をやったのか、また、仕事をやる場合には、そういう会社であるから相当の手抜きもしたんじゃないかということも考えられる。こういう点は今後の問題として十分考えなくてはいけないんじゃないか。今回のできたことに対して、やはり今後のことを考えてこういう問題は十分慎重でなければならぬ。手抜きをして幾らでもできるのですから……。落札のあり方、こういうことに対しましても将来基本的に考える必要があるんじゃないか、私はこう思うのですが、これに対してどういう考え方を持っておられるか、伺いたいと思います。
  23. 志村清一

    ○志村説明員 御指摘のとおり、指名競争入札でございますから、だれを指名するかということにあたりまして十分な配慮をいたしまして、指名されたものが必ずだれでもりっぱな仕事ができるというものに限定して指名をすべきかと存じます。それらにつきまして、今回の事例につきましても公団側においても十分調査を進めておるようなわけでございます。今後とも気をつけたいと存じております。
  24. 正示啓次郎

    ○正示委員 それでは、私はもう首都高速道路はけっこうですが、もしあれでしたら参考人はお帰りいただきたいと思います。  それでは、続きまして、阪神高速道路の問題、これは都市局長ですが、同じ穴でも、これは金を使い込んだ穴で、たいへん遺憾な問題でございます。これもやはりわれわれは道を通していただく、通るということになると、その道路の建設なり、あるいはまた管理、そういうことに責任を持っておる公団、これががたがたであっては道もがたがたではないかというふうに、非常に不安になるわけです。これからも近畿におきましては、四十五年の万国博覧会を目ざして多くの高速道路——私のほうの阪和高速道路もその一つでありますが、どんどんつくっていただかなければならぬ。急いでつくってくださいということは、その前提として、しっかりしたものを急いでつくってくれということをわれわれ期待いたしておるわけです。そういう大切な道づくりの道路公団の職員が、幹部の知らないうちに五千万円の巨額な資金を持ち逃げしたという十月九日付の各新聞の報道は、これまたわれわれに、まるで道路公団の道がぐらぐらっとゆれたようなショックを与えたわけです。  そこで、私がまずお伺いいたしたいのは、この阪神高速道路公団にいたしましても、あるいはまた、建設省関係公団、公庫全般について共通の基準があるならば、共通の問題として伺いたいのですが、一体、職員の採用はどういうふうなことでやっておられるのか。たいへんお金持ちの坊ちゃんだというので安心しておったら、とんでもないことをやりましたというふうに責任者は言っておる。それでは見かけだけを見て職員を採って、まるで油断をしておるのであろうかというふうな、非常な不安感をわれわれは持つわけであります。しかし、まあ厳重な試験をしましても、若い職員のことでありますから、さらに不心得が起こらないように部内の管理体制もしっかりしていなければなりません。そこで、職員の採用の人事管理の面、この面についてどういうふうにまず阪神高速道路公団がやっておるか。続いて、この阪神高速道路公団を含めて、建設省関係公団、公庫の監督者である建設省はどういうふうにしておられるのか。そうしてまた、そうした職員をかかえて、ここにございますように、阪神高速道路公団神戸建設部——これは新聞報道でございますから正式のことは私存じませんが、建設省のほうから明らかにしていただきたいのですが、この部内のこういう大切な金銭を扱う経理の管理体制はどうなっておるのか。そうしたなまはんかな——これは初め臨時雇いで雇って、だんだん主事から主査に栄進をしたというのですが、そういう者の人事管理、そうしてまた、たまたまただそうした外形的なことで信用して非常な責任を持たして、あと、そこの所長ですか、あるいは課長、そういう方々がどういうチェックのシステムをやっておるのか。これは、公金を扱う公団、公庫としては非常に重要な問題であり、国民一般のそれに対する関心はきわめて大きいと私は思うのでありますが、この二点について明らかにしていただきたいと思います。
  25. 竹内藤男

    ○竹内説明員 阪神公団におきまして、不正小切手発行事件が起きましたことにつきまして、まことに私どもとしても申しわけないと思っております。  不正小切手を発行いたしまして、現在行くえ不明になっております清水謙一という職員は、三十五年に甲南大学を出まして、その後民間につとめておりましたものを、三十八年九月に公団の職員として採用いたしておりますが、試験採用ではございませんで縁故採用になっております。その後公団におきましては、大学を新卒してきた職員につきましては縁故採用はやっておりません。現在は全部試験採用でやっております。  それから、こういうような事件を起こしたことにかんがみまして、どういうような金の経理をやっているかということでございますが、実はこれは神戸建設部という、阪神公団の神戸の出先機関で起こった事件でございまして、神戸建設部におきまして、一部資金を直接支払うことができるような体制になっております。現在のところは、契約のほうは、一千万円以下の契約につきまして建設部が契約できるようになっておりますが、それに基づきます支払い、その他、庁費あるいは給与というようなものにつきまして建設部において資金の支払いができるようになっております。この資金の支払い方につきましては、国の会計機関と同様でございまして、建設部長が資金前渡官になっております。本社から預託金がまいりますと、その預託金を——神戸銀行がやっておりますけれども、それを見合いにいたしまして支出の原議をつくりまして、そしてその支出原議に基づいて小切手を切るわけでございます。これは普通の国の会計と同じように資金前渡職がみずから判を押して、そして小切手を——つくるのは係の職員にやらせますけれども、判を押す場合にみずから判を押さなければならない、こういう規定になっております。それから印鑑、その小切手に押します官印につきましては、別に保管の規定がございまして、これは神戸建設部の庶務課長が保管の責任に任じているわけでございます。したがいまして、今回の事件のように、小切手を本人がつくり、印鑑を自分でかってに押してそして小切手を発行してというようなことは、規定上からは起こり得ないことでございますが、神戸建設部におきまして本人がわりあいよく仕事をしていたというようなこともございまして、印鑑を預けぱなしにし、また、本来みずから押すべき判こを資金前渡官が押さなかったということが、今回の不正事件が起こりました基本原因であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  26. 正示啓次郎

    ○正示委員 建設省全体のあれは……。
  27. 志村清一

    ○志村説明員 採用に関しましては、設立当初におきましては、場合によって縁故採用ということもございますが、通例すべて試験を行ないまして採用を行なっている次第でございます。
  28. 正示啓次郎

    ○正示委員 そこで、清水何がしというのは縁故採用だそうですが、私は、こういうことをやった場合、かえって縁故のほうがいいと思うのです。しっかりしたコネがあって、紹介者があるはずであります。保証人があるはずです。ありますか。それがまず第一点。  そこで、そういう人間として信用して採った。しからば、その信用をこの際はっきり生かしてもらいたいと私は思うので、それについてどうしておるのか。  それから、りっぱな規定はあるけれども、実際はまるでこの清水何がしに所長も課長もまかし切っておった。そこにこういうものが起こったというのですか、大穴があいたということができると思います。損失補てんの責任は、これは本人はもとよりのこと、保証人、それから課長あるいは所長、こういうものが幾らでもとれると思うのであります。そういうものに責任をとらせることができると思うのであるが、そういうふうにしてこの損失の補てんは十分できるか、穴が埋まるか。先ほどの首都高速道路は、穴を埋めるということを言って帰ったのでありますが、阪神高速道路は穴をちゃんと埋められるのかどうか、これまた国民が非常に重大な関心を持っておることだと思うのです。  と同時に、私は官房長にもう一回念を押しておきたいが、こういうことが起こると、全国にわたってわれわれの建設委員会関係する建設省に関してはそんな穴は二度とあけませんという保証はやはりしなければいかぬ。これは道を調べるのではなくて、人を調べる問題です。また私は脱線するとしかられるかもしれぬが、どうも建設関係公団、公庫には不当なる労働争議もあるのであります。これは皆さん御承知のとおりなんです。そういうことでは穴があくのではないかというおそれが生ずるのであるから、ここでひとつこういう災いを転じて、そういうことは絶対に起こしませんという点をあなた方が——私はきょうは建設大臣が来ないのは非常に残念でありますが、これは建設大臣が来たらもう一回念を押さなければならぬかと私は思っておりますけれども、どういうふうにあと始末をするのか、穴埋めをするのか、あと始末をしたあとで再び穴があかないようにする保証をどうするのか、これを最後に建設大臣にかわって官房長からお答えをいただきたい。  さしずめ、阪神道路公団の問題は都市局長から御回答をいただきます。
  29. 竹内藤男

    ○竹内説明員 第一の、保証人があるかということでございますが、実は採用になりましたとき本人は保証人の申告をしておりますけれども、それは身元保証人としての保証人ではございません。それで身元保証人は現在のところございません。  それから、穴を今後どう埋めるかという問題であります。これは公団の会計規定上も国と同様でございまして、資金前渡職たる建設部長、並びに、現在行くえ不明でございますけれども、本人、これはいずれも賠償の責任があるわけでございますが、何ぶんにも金額が大きいものでございますので、これが完全に埋められるかどうか、これにつきましては私どもも疑いを持っているわけでございます。  なお、本人が持っております家屋並びに自動車あるいは預金等につきましては、現在、仮差し押えの手続をいたしております。  それから今後の問題でございますが、今回の事件が起きまして直ちに建設省といたしましても人を派遣いたしまして調査をいたしました。そのほかに、公団におきましても、会計事務、特に小切手の扱いにつきましてこまかく具体的な指示をするために、いわゆる総点検をしてそういうふうな指示を本社からしたい、こういうようなことを考えておるわけでございます。特に小切手を切る場合におきます領収証を必ず取る、あるいは公印の保管を厳重にする、あるいは必ずみずから押すというようなことにつきましては、さらに指導を徹底させていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  以上お答え申し上げます。
  30. 正示啓次郎

    ○正示委員 官房長の答弁の前にちょっと……。  官房長、これもあわせて答えてください。  いまのような身元保証人もない縁故採用なんかやったら、これは私は採用責任者の責任を問わなければいけないと思う。そういう人の雇い方をやるから、職員の心はゆるみにゆるみぱなしになる。そこで、これは都市局長はいま事実を事実として報告したんだが、監督者である建設大臣は、そういう職員の採用について、これは国民のために最高責任者の責任を問うべきであると私は思う。その点もあわせて答えてください。  それから、全体の労務管理体制、人事管理体制、これは公団、公庫を通じて全体の問題として、ひとつ建設大臣になったつもりで答えてもらわなければいかぬ。
  31. 志村清一

    ○志村説明員 このたびの事件の発生いたしましたことはまことに遺憾でございまして、国民の皆さまに対しても申しわけなく思うわけでございます。先生御指摘のとおり、今後かような事態の起きないような万全の措置を講ずるということでまいりたいと存じております。当阪神公団につきましては、都市局長もいろいろ申し上げましたように、直ちに総点検ということで、経理問題につきまして公団が各建設部等を調査するということを実施いたしておりますが、建設省といたしましては、建設省の所管の全公団、公庫に関しましてかような事例が起こらぬようにかねがね申しておりますが、この事件を機会にいたしまして総点検を実施するという体制を整えまして、近く点検を実施いたしたい、かように考えております。  同時に、公団会議も二十五日に開催いたしまして、公団長にさらに部下の綱紀粛正について一段の努力を払うように要請いたしたい、かように存じておる次第でございます。  今回の事件にかかわりまして、われわれ公務員あるいは公団の職員等、綱紀の粛正という点についてはさらに自戒自粛せねばならぬと自覚いたしております。今後ともかようなことのないようにつとめてまいりたいと存じております。  なお、処分等につきましては、阪神公団自身におきましても、深く調査の結果、責任の所在を明らかにいたしまして厳重な処分をいたすということにいたしておりますが、建設省といたしましても、事件の実情調査をいたしまして、実情がわかりましたら、当然それの措置を考えてまいりたい、かように存じております。
  32. 正示啓次郎

    ○正示委員 いま小川委員から関連質問の申し出がありますので、私は便宜上先にやっていただきますが、いまの管理体制のことは私は満足いたしません。あとで建設大臣が来たら再質問することを保留して次の小川委員にバトンタッチいたします。
  33. 森下國雄

    森下委員長 小川新一郎君から関連質問の通告がありますので、これを許します。
  34. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 正示委員の問題につきまして二、三関連質問したいと思います。  先ほどの縁故採用の保証の問題でちょっと聞き漏らした点がありますが、このようなことは他の公団においても行なっているんですか。
  35. 竹内藤男

    ○竹内説明員 ただいま身元保証人の問題が出ましたが、公団におきましては、縁故、つまり国の側から出向している職員以外は身元保証人をとることになっています。たまたまこの清水謙一の場合に身元保証人として保証人を立てていなかったということのようでございます。これはもう少し調べさしていただきます。それから、現在は出向職員につきましても身元保証人をつけるようにいたしております。それ以外のことは……。
  36. 志村清一

    ○志村説明員 一般公団公庫の職員の採用は、先ほど申し上げましたように、すべて試験をいたしまして、厳重な試験の結果採用しております。ただ、発足当初の場合に若干例外がある場合もあろうかと存じます。
  37. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、身元保証というのがあいまいな点が出たわけですね。この責任はどなたが負うのですか。こういう事件が起きたときは公団総裁が負うのですか。
  38. 竹内藤男

    ○竹内説明員 最終的には公団理事長ということになると思いますが、それぞれ部局がございます。人事担当部局において責任をとるということが妥当かと思います。人事担当の部局が責任をとっているというふうに考えます。
  39. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点が非常にあいまいになってきて……。   〔発言する者あり〕
  40. 森下國雄

    森下委員長 あと関連質問を続けてください。
  41. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ただいまの問題ですけれども、その点を大臣が来たときに私もまたお尋ねしたいと思っています。  それで、新聞によりますと、四十年五月から工事を請け負った業者の支払いから、七月五日二千二百万円を引き出して、七月二十一日に七百万円、九月一日に一千七十八万九千円、九月十六日一千万円、九月末日にまた一千万円、合計五千万円というふうに新聞には出ている。こんなに四回も五回も不正の小切手が振り出されているということが、公団のこういった現金チェックの方式においてはチェックされないのか。われわれの常識においてはとても考えられない。この前の一億円の東商の、佐々木の手形の詐欺事件がありましたが、あれにもまさるとも劣らないようなずさんなシステム。こういう点について一体どなたが最高の責任を負うのか。五千万円といってもこれは国民の金なんです。これの穴についてはどういう責任態度をとるのか。また、いまのようなチェックのずさんな点についてはこれからどう改革されていくのか。また、建設省公団、公庫を点検するというけれども、いままでこのようなチェック方式の穴のあいたミスの出るような個所においてはチェックされていなかったのか、点検されていなかったのかということですね。また今後こういう点が他の公団等において起きないという保証はないわけです。この点についてはどのように対処されるか。
  42. 竹内藤男

    ○竹内説明員 総額五千万円の穴があいたわけでありまして、おっしゃるとおり、七月五日から九月十六日までの間に起こったわけでございます。これのチェックシステムができてなかったのではないかということでございますが、組織とか規定上はチェックシステムがありましたが、それが守られなかったというところに、公団なりわれわれなりの監督監視上の責任があろうかと思います。ただ、現金につきましての責任では、先ほど申し上げましたように、資金前渡職並びに本人が補償責任を持つ、かように考えております。
  43. 志村清一

    ○志村説明員 ただいま都市局長から話がございましたように、制度としてはチェックシステムがとられておるわけであります。これをなおざりにしたというところに大きな問題があるわけでございます。さような意味におきまして、今後ともそのようなことが起こらないように監督者についても十分の配慮をするようにというふうな指導もいたし、また、各公団点検というふうなことも行なってまいりたい、かように存ずる次第であります。
  44. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最後に一点。  この調査によりますと、愛人の背後に暴力団があるというふうに新聞では書かれておる。愛人の背後に暴力団があるというような、身元のはっきりしない者が保証されて入ってきておる。だから、その身元保証だけであって、損害補償については何も保証されていない。これでは身元保証になってないじゃないですか。愛人の背後に暴力団があるというような二十九歳の青年が、五千万円の金を引き出して穴をあけた。これは事後の問題で論じておるが、こういう問題はどうなんでしょうか。こういうのが保証になるのですか。
  45. 竹内藤男

    ○竹内説明員 愛人の背後に暴力団があるというのは、警察のほうの推測だと思います。本人が現在行くえ不明でございますので、調べてでなければわからぬと思いますが、実は本人のおとうさんもれっきとした人でございますし、本人の奥さんのおとうさんという人もれっきとした人でございますので、公団のほうでは——その間の事情は私存じておりませんけれども、だいじょうぶだということで採ったのだというふうに考えます。
  46. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは警察の推測だけなんですか。確たるものを警察で発表しているわけじゃないのですか。推測だけですね。——わかりました。
  47. 森下國雄

    森下委員長 池田清志君。
  48. 池田清志

    ○池田(清)委員 私は、水をつくるという問題について、意見を述べつつ、政府の御意向を伺います。  水は人類の生活に必要なものであり、動物植物の生存に欠くべからざるものであります。ところが、その水は適時適量が必要であります。多量の水は水害となり、寡少の水は干害となるわけでございます。これにつきましては政府みずから御案内のとおりでございます。でありまするから、私はここに水をつくるというテーマを掲げておるわけです。  水をつくるということは、化学的に酸素と水素を化合させてH2Oをつくるというのではございません。物理的に、人知、人力をもちまして水をつくるということです。したがいまして、この問題としては、陸上では、雨水をためるということになりましょう。海上におきましては、海水を清水化するという問題になってくるわけであります。陸上におきまする雨水の量は、御承知のように、六千億トン日本に降るというのです。そのうち一〇%ぐらいしか利用されておりません。あと九〇%は流れ去っておるわけです。いまこの水をためるために政府はいろいろなことをやっております。ダムをつくりましたり、あるいは防災堰堤をつくったり、いろいろやっております。しかし、これは災害を防除するというたてまえからの施策であると考えるわけであります。河川の改修もまた災害を防止するというたてまえにおいて行なわれておるわけです。百歩前進いたしまして、水をつくるという施策が必要なり、こう提唱するわけです。幸いかどうか存じませんが——まあ幸いと申しましょう、来年度から五カ年計画が二兆六千億円になった。昭和の六十年までには二十三兆をかけて治水計画をするということになっております。その利用計画の中で、私が言うところの水をつくるという施策についてはどういうことになっておるか、まず第一点お尋ねをします。
  49. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 従来から治水ということばが使われておりますが、この治水ということばは、従来非常に災害が多かったものですから、洪水防除という目的に考えられておりました。しかしながら、私らは、ただいまの段階では、治水というのは、水を安定させるということが大きな目標であるし、河川管理上の河川法の目的であろうというふうに考えております。したがいまして、先生御指摘のように、河川の流量を安定さして適時適切な水の補給ができるということが大事だろうかと考えます。したがいまして、たとえば利根川であれば、八斗島で百四十トンを確保すれば下流の水利権を十分確保できる、そういう百四十トンを確保することが河川管理上の重要な目的である。さらに、かりに百四十トン確保いたしましても、河床が低くなれば、水が低くなりまして取り入れ口からその水が入らない、そういったこともあわせて、水位と流量を確保して適時適切な水の利用をはかっていただくということを治水上の主要な目的とわれわれは考えております。洪水とあわせましてそれらの問題を含めてわれわれは施策を進めていきたいというふうに考えます。
  50. 池田清志

    ○池田(清)委員 いま御答弁がありましたように、政府は水をつくるという考えのもとにいろいろやっておる、こういうことであります。しかしながら、実際のところなかなかそれが進んでおりません。たとえばダムについて申し上げますと、上流の渓谷においてダムをつくる、これはいわゆる洪水調節等のいろいろな目的をもってつくられるわけでありますが、降った雨をためる、流れ去るところの水をためるという立場から申しますと、川の中流あるいは川口にダムをみんなつくってやるべきだ、こう思います。利根川の川口のせきができつつあります。こういうかっこうにすべての河川についてやったらどうです。こういうことを主張するものですが、いかがです。
  51. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 先ほど申し上げましたように、水が適時適切に利用されることが非常に大事でございます。そのための方法としましては、上流にダムをつくる、あるいは中流に合口ぜきをつくる、あるいは下流に河口ぜきをつくる、あるいは河口に河口湖をつくりまして、洪水のときの流水をためるといったような、いろんなことが検討されなくちゃいけません。先ほどお話がありました新治水事業五カ年計画におきましては、多目的ダム、河口ぜき、河口湖、それらを含めましてただいま検討いたしております。
  52. 池田清志

    ○池田(清)委員 雨水を流さないでためるという一つの実行として、平地に池をつくるという問題です。つまり、ため池等が主でありましょう。飲料水の池をつくるということが主でありましょう。とにかく平地に降ったところの雨をためておいて、これを必要なところに使うというのが私の主張でございます。  たとえて申しますと、千葉県には国営の水を揚げる施設があります。かんがい用水です。ところが、その用水路の沿線が干害になったじゃありませんか。もしそれ、高原に池をつくって水をためておいていくならば、干ばつを受けることはなかった、こう思います。これは政府として大いに進めるべき事柄でありますが、どうです。
  53. 松井芳明

    ○松井説明員 常襲干ばつ地に対しまして、その用水確保のための水源の事業につきましては、従来とも国営、県営、団体営等のかんがい事業で推進してまいっておりますが、先生御指摘のように、今次の干ばつの災害を見ますと、特に小渓流の地域で非常に大きな被害を受けておりますので、こういう実情にかんがみまして、今後とも、水源ため池の新設等を中心といたします水源の整備につきましては、一そうその推進に努力いたすつもりでございます。
  54. 池田清志

    ○池田(清)委員 陸上に降った雨を流さないというために、ダムの問題、ため池の問題等を例示いたしまして主張いたしました。政府におきましてもこの方向に向かって進んでもらいたいと思います。  海の上の問題は、海水を清水化する、こういうわけです。わが国は島が多く、島に水がないという場合には、本土から水を運んでいかなくてはなりません。御承知のように、今度の干ばつにおきまして、天草で災害救助法を適用してまで水を本土から持っていきつつあるわけです。もしそれ、島々に海水を清水化する施設が常備してあるならば、こういうことの必要もないわけでありますから、私は、海水の清水化という問題について積極的に進めてもらいたい、こういう主張をするわけです。いかがです。
  55. 佐々木即

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  実は海水の淡水化という問題は、もともと日本で比較的天水に恵まれておったものでございますから、むしろ、そういった問題にまで研究開発の手が進められましたのが、せいぜいここ十数年ということでございまして、にわかにコストをかまわずにというところまではまいっておりません。しかしながら、幸いにして製塩技術というものが古くから行なわれておりまして、また造船技術と関連しまして、船舶の用水の中の造水装置、こういった技術の基盤がございました。そこで、大体そういう基盤をもとにいたしまして、近年いろいろ成果があらわれ始めたというような段階でございまして、先生の仰せのような実用段階にすぐというようにはなかなかまいらないのでございますが、関連いたしますところ、通産省の東京工業試験所、あるいは日本専売公社の研究機関、民間の幾つかの企業というものがこれに目をつけてやっております。たとえば通産省の工業技術試験所でも、四十一年度が一千百万、四十二年度が約千九百万というものをこういった海水の淡水化に投じておりまして、研究も、少しずつと申しますか、着々進みつつあるということでございます。  現実の実用化の段階という点では、いわゆる多段フラッシュ蒸留法、こういっておまりすが、これがことしの四月に、長崎県の池島で、一日二千六百五十トンという淡水を仕上げる装置ができて、現に運行中でございます。また、昨年十二月には、サウジアラビアのクエートの中立地帯にある、例のアラビア石油向けに、一日二千三百トンの造水容量のものが輸出されまして、また、それ以上九千トンばかりのものを四台、一日に三万六千トンという造水能力のあるものの設計の発注が日本にきておるという段階でございます。ただ、こういったものを整理いたしますと、なおやはり一日に一トン当たり百円以上出るといったようなものでございまして、にわかに、いまの干ばつ問題とか、飲料水が非常に足りなくなったからあらかじめつくるというところまでは、経済的になかなかまいらない。それでもいろいろ——試算でございますが、一日千トンのものをこういうように淡水化すれば、九十円から百六十円ぐらいかかる、それをだんだんふやしまして、十万トンのものをつくると四十五円から七十五円という計算が一応できまして、現に国内の水道用水の価格というものは平均しまして約三十円ばかりでございますが、それでも場所によっては七十五円というような水を使っておる、そういうような村もあるということでございまして、これの規模を拡大するという形で設計研究が進むということと、それからこれを淡水化しますための供給するエネルギーが安くなるという方向にこれが行なわれることによって、やはり相当のところまでコストを下げ得るということの見通しがあるわけでございまして、現にアメリカで設計中のものは、昭和五十年に約十一万トンの計画でやっておりますが、これになりますと二十円、そうなれば一応見通しが立つということもございまして、こういった問題のいち早くの前進方を資源調査会に報告しております。通産省も、来年には大型プロジェクトの予算も要求いたしまして、一応当局が考えておられるところでは、昭和五十年までに約百億弱の金を使えば大体一日十万トンクラスのプラントというものが技術的に開発できるのではないかというような段階でございます。今後だんだんにそういうものが進むと思います。
  56. 池田清志

    ○池田(清)委員 建設大臣がお見えになりましたから重ねて問うべきでありますけれども、私は建設大臣にはお尋ねすることを省略いたしまして、いままで申し上げた私の意見、及び答弁せられた局課長は政府を代表する方々でありますから、政府の立場において積極的に水をつくるという問題について——防災だけじゃなくて、一歩前進して、水をつくるという問題、さらに私は申し上げますならば、水の銀行をつくれ、こういう表現をしておるわけですが、そういうところまで前進してまいるように要望して、終わります。
  57. 森下國雄

    森下委員長 福岡義登君。
  58. 福岡義登

    ○福岡委員 二、三点建設大臣にお伺いしたいのですが、例の本州と四国の架橋の問題、この前、五月二十六日でしたか、本委員会で質問をいたしましたところ、土木学会の答申を得て工期なり工費について建設省でさっそく検討を始めたい、おおむね四カ月程度——特別の事情があれば若干延びるかもしれないけれども、おおむね四カ月程度でその検討を終わりたいというように答弁があったのですが、その後どうなっておるかということをお聞きしたい。
  59. 西村英一

    ○西村国務大臣 この前申しましたように、あのルートにつきましてただいま計算をしておる最中でございまして、順調に進んでおります。それは、一方におきましては建設省、一方におきましては鉄道建設公団でございます。それで両方でやっています。私のほうの試算はおおむね十一月の下旬ごろには出よう。鉄道関係のほうが少しおくれておるようでございます。いずれにいたしましても、両方の計算が出まして、それをまた合わせるわけでございます。まあその計算及び工期に関する限りは大体十二月の上旬ごろには出るのじゃないか、かように思っております。その他の措置につきましては、ただいまのところ、どういうふうにしてやるべきかということを考慮中でございまして、まだ結論らしいものは出ていないのでございます。   〔委員長退席、砂田委員長代理着席〕
  60. 福岡義登

    ○福岡委員 大体わかりました。聞くところによりますと、この建設省なり国鉄の作業が進んだ段階で、どのルートにするか、別に審議会を設置して検討したいというような話も聞くのであります。私どもの考えとしては、結論からいえば、早くこれを決定するべきである、こういう気がするわけであります。なぜかといいますと、先般本院から四国の国政調査に派遣をされまして参りましたが、関係各県知事以下、もうものすごい熱意を持っているわけであります。いたずらにこれを延ばしますと、いろいろな問題が発生するでしょうし、むだな競争というようなものも出てくるし、場合によっては政治問題になってくるようなことも考えられると思うのであります。ですから、審議会を別途設けて、そこで経済効果その他を検討させるということもあるいは必要であるかもしれませんが、また別の面で考えてみれば、そう深刻に考えなくても、建設省あるいは閣議段階で判断できるようにも思うわけであります。ですから、ここではこれ以上あれこれ議論をするつもりはありませんけれども、大体の事情がわかったのですが、できるだけ早くこの結論を出していただきたいということだけを要望して、次の質問に移りたいと思います。  道路関係の問題なんですが、これも先般の委員会で私が質問しましたところ、道路局長のほうから答えがあったのですが、中国縦貫自動車道などのその後の作業の進捗状態について聞きたいのであります。岡山県の落合と広島県の千代田間の整備計画編入、さらに千代田から山口県の鹿野間の基本計画の編入、秋ごろには道路審議会の議を経て閣議決定をしたい、こういう大体の説明があったのですが、まだ秋でもう少し秋の期間がありますけれども、その後どういうように進んでおるのか、お聞きしたいと思います。
  61. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 お答えいたします。  御承知のように、中国縦貫自動車道につきましては、昨年の七月に吹田から岡山県の落合までの整備計画がきまっております。一昨年の十月に落合から広島県の千代田までの基本計画だけがきまっておりまして、まだ整備計画が出ておりません。また、山口県につきましては、鹿野から美禰、この区間が基本計画がきまっておりますが、整備計画が出ておりません。美禰−下関間は昨年の七月に整備計画が出ております。この中でまだ整備計画の出ておりません岡山県の落合から広島県の千代田まで現在鋭意調査をしております。これも大体整備計画がこの秋もう少したてば出せるような調査が終わる予定でございます。さらに千代田から山口県の鹿野間、これは御承知のように非常な山でございまして、いろいろ基本計画をつくるために調査をしておるのでございますが、いろいろ比較線がございまして、この間はいまどの線で基本計画を出すかを検討中でございます。鹿野—美禰間につきましては、これも大体整備計画の出せるような調査をもう少したてば終わる予定でございます。
  62. 福岡義登

    ○福岡委員 落合から千代田までの整備計画の答弁がいまちょっと落ちたんですけれども、千代田から鹿野間の問題の基本計画、これは調査中ということでわかりますが、落合から千代田の間の整備計画編入、それらの、さっき言いました道路審議会がいつごろ開かれて、閣議決定になるのはいつごろの見通しか、そこのところをはっきりしてもらいたい。
  63. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 岡山県の落合から広島の千代田につきましては、これはいま申しましたように基本計画が出ておりまして、この次の段階は整備計画を出す段階だと思います。これにつきましていま調査をしておりまして、大体この秋十一月くらいまでには審議会を開いて、私のほうは出すような準備を終わりたいというように考えております。
  64. 福岡義登

    ○福岡委員 これも長い懸案ですし、技術的な面もあるでしょうが、関係者のいろんな陳情その他も相次いでおりますから、早く決定をしていただくように要望しておきたいと思います。  それから、時間がありませんから次へ移りますが、建設業法の改正につきましていま審議会のほうで審査中というように聞いておるのでありますが、建設業法を改正される意図で準備を進められておるのかどうか、もしそうであるとすれば、その中心的な問題点というのはどういうところにあるのかお伺いしたいと思います。
  65. 川島博

    ○川島説明員 建設業法の改正につきましては、手続といたしましては、正式に一応中央建設業審議会の意見を聞いてから提出をすることになるわけでありますが、現在の段階ではまだ中央建設業審議会に正式に諮問をするほど準備が進んでおりません。  問題とされております内容は三点でございまして、一つは、現在の登録制度を免許制に改めるべきかどうかという点でございます。それから元請、下請間の契約上の関係の片務制をどの程度改善すべきであろうかという点、それからもう一点は、発注者と元請問の契約関係、これの片務制を改善すべきであるか、それをどうすべきであるか、大きく申し上げましてその三点でございますが、それにつきましては実はまだ政府部内においていろいろ検討をしておる段階でございまして、見通しがつきましたら、中央建設業審議会に正式に御意見をお伺いしたいということで、鋭意政府部内で検討中の段階でございます。
  66. 福岡義登

    ○福岡委員 そうすると、まだ正式には建設省としては諮問をしてない、審議会自体がある程度作業を進めておる、こういう理解でいいんですか。
  67. 川島博

    ○川島説明員 さようでございます。
  68. 福岡義登

    ○福岡委員 その問題点は、いまおっしゃった三つが中心である——わかりました。  そこで、また時期がくればわれわれの意見も述べたいと思うのですが、聞くところによりますと、中小企業者が結果的に大きく圧迫を受けるという結果になりはしないかという心配が相当あるわけであります。まだ諮問をされてないようでありますが、もし改正のために諮問をされるというようなことになる場合には、いま申し上げましたように、中小業者が圧迫を受けないように、この点だけは特に要望しておきたいと思います。  最後に、査定行政について若干お伺いしたいのですが、大臣か官房長か、どっちでもいいのですけれども、広島県議会で、いわゆる査定官が三日間に二十一万円からの地元のもてなしを受けたという事件が非常に大きな問題になりました。この事件について承知されておるかどうか。もし承知されておらなければ、ここへ関係資料をみな持ってきておりますから説明してもいいのですが、一口で言えば、査定官が査定に行った際に、三日間にわたって地元の接待を受けた、こういう事件なんです。この事件を承知されておるかどうか、まずお聞きしたいと思います。
  69. 西村英一

    ○西村国務大臣 実はそういうことならば、地方の新聞で報道されましたので、広島県知事が私どものほうにやってきまして、非常に心配をして言っておりましたが、そういう事実は全くない、少し事柄を取り違えておるんじゃなかろうかと思うのであります。広島県議会でそういう質問が社会党の方々からありましたけれども、その議員も私に——私というのは知事ですが、答弁を求めなくて、ただ言いぱなしで済んだのであるということで、非常に何か誤解しておる点があるのじゃないか、こういうようなことを知事は申しておりました。それはそれといたしまして、私は、やはり地方に出ていけばいろいろなことがあるわけでございますから、こういう査定官その他につきましては十分注意を促したいと思いますが、こまかいことは私は聞いておりません。いろいろ知事が申してはおりましたが、こまかいことにつきましては担当局長からひとつ御説明を申し上げますが、何か誤解したのではなかろうかということをこまごまと話しておりました。それだけ私は承知いたしておるのでございますが、十分今後は注意をいたすつもりでございます。
  70. 福岡義登

    ○福岡委員 事実がない、こういう御認識のようでございます。また、県議会で発言したのは、社会党の県会議員ではないのです。あれは民社党の県会議員なんですが、事実があるかないかということについては、ないようにおっしゃるならば、ある程度言わなければならないのですが、私どもも社会通念上の問題までどうこう言うつもりがあるわけじゃないのです。ただ、ここでまたあらためて三原事件を私は取り上げて、その中身を掘り下げてどうこうという気持ちもないわけです。問題は、査定官を相当の接待をしなければいけないという傾向があるということなんです。今度も、これは具体的に新聞記者会見で県会議長が明らかにしておるように、広島県はまだまだ接待をしないほうだ。よそのほうはこれ以上のことをしておる。たとえば、一等切符まで買って持たせるとか、手みやげを持たせるとか、そういうところまで各県はやっておる。各県の事情についても二、三私も耳にしておる点があるのであります。いまの三原事件について、事実がないようであるというお話なのでありますが、私もここに資料を持ってきておりますけれども、七月十日、十一日、十二日、毎晩大体六、七万円の接待費を出しておるわけでございます。これは公給領収証からとった数字でありますから、公給領収証は、時としてつけかえをしたり、やりくりをするのが通例のようでありますから、このままずばりではないが、トータルとして、公給領収証で切っておるのは、一晩に——ここへ持ってきておりますけれども、十日の晩に六万七千五百五十円、十一日の晩に六万六千四百一円、それから十二日の晩に六万七千八百四十四円、こういうことになっておるわけであります。これが社会通念上どうかという判断の相違その他はあると思いますけれども、社会通念上、ある程度地元の人があいさつかたがた夕食をともにするということは、これはあり得ることだと思うのです。それが三日間も連続しまして六万円から七万円という接待費を使わなければいけないかどうか、これが一つの問題点だと思うのですね。これは小さいほうだ、広島県はやらないほうだ、よその県はこれ以上のことをやっておる。さっき言いましたように、一等切符を買って渡したり、あるいは手みやげを持たせたり、そういう傾向が一般的にあるということが、より私は問題だと思うのです。三原事件一つがどうだこうだという議論よりも、全体的にそういう傾向にあるということは一これは私の意見じゃない。広島県会議長が新聞記者会見で明らかにして、ここに新聞にも載っておりますように、そういう傾向がある、これが非常に問題じゃないかと私は思うのです。ここで大臣は事実がないというふうに認識されておりますが、これは事実はあったんだ。どの程度の事実かというのは、いま金額だけは申し上げたのですけれども、それが行き過ぎであるのか、社会通念上のものであるかは、それぞれの見解があるでしょう。しかし、ある程度のことをしなければならぬ、査定官が出てくれば相当のもてなしをしなければならぬのだという傾向があることだけは、これは間違いない。その点について大臣は一体どのように考えられるのか。   〔砂原委員長代理退席、森下委員長着席〕
  71. 西村英一

    ○西村国務大臣 そういう事実がないとちゃんと言い切ってしまうとあれですけれども、三日で二十万円使ったというその内容が、全部宿泊でもって落としてしまったからで、中身は電話だとか何とかたくさん要っておるのだ、こういうようなことを言っておったのです。それはそれで、あそこの三原の地区ではほかの県の方の不祥事件があるようなんですね。したがいまして、知事としても非常に恐縮して、それはそれでもって非常に注意をいたして、私のほうが悪かったのだから、あやまりますけれども、今度本省から行った査定官につきまして特別に大げさに非難功撃されるようなことは——酒も飲んだでしょうし、金額も二十一万三日で使った、それも人数も大ぜいであった、それからいろいろな雑費が要っておるけれども、落としたのが宿泊料一本で落としたから、非常に誤解を受けておる、そういうことは私のほうが非常に整理のしかたが悪かったというようなことは、それは申しておりましたが、あまり非難攻撃をされるような態度は、私のほうも注意をしておりますから、とらなかったつもりです、こういう弁解でございます。全般的な問題につきましては、そういう心境になることも事実でしょう。地元としては、サービスをしてというようなことに……。しかし、これは私のほうといたしましても、せっかくこういう機会に、また非難されるようなことがありましてはたいへんでございますから、査定官には十分注意をいたしたい、かように思っておる次第でございます。
  72. 福岡義登

    ○福岡委員 時間もありませんので、これをあまり突っ込んでどうこうという気持ちもないのですが、筋道だけは明らかにしておきたいと思うのです。一括して食糧費から落としたから、知事の説明——知事は建設省に対して非常に恐縮をしておるという気持ちのようであります。しかし、それはよく考えてみると、さっき言いましたように、査定官にはある程度もてなしをしなければならぬ、今度こういう問題が発見したら手心を加えられはしないか、そういう補助金との関係で知事はある程度恐縮の意を表しておる面もなきにしもあらずだと私は思うのであります。こまかくは大臣のところまで話はきておらぬと思いますが、何に何ぼ使ったという明細を全部持ってきているわけでありますが、特別ドンチャン騒ぎをしてどうこうしたと私は申し上げようとは思わぬのであります。ただ、これを見まして、三晩連続してこんなにしなければならなかったのかという気持ちを私は強くしておるわけであります。このこと自体は、酒を何十本飲んでる、ビールを何十本飲んでるということをここでよしあしの議論を私はしようとしておるのではないのですよ。査定官が行けば——宿賃だってそうですよ。旅費としては、千九百円か何ぼしか宿泊費はないはずなんですが、六千六百円のA級の旅館に泊まっておるわけですね。それは案内する県庁のほうの配慮も悪かった。全部査定官の責任だとは思いませんけれども、払っておる宿泊費は、千円しか払ってない。この旅館はどのくらいするか、大体わかると思うのです。千円で泊まれるなんという旅館はこのごろございませんよ。しかし、今度泊まって問題になった割烹旅館は、広島県一番のいいところなんだ。そこで千円しか払ってない。常識で考えてみて、千九百円旅費をもらって、それだけ払って、あとは地元の好意に甘えたというのならば、まだ話はわかると思う。一々私は中身をどうだこうだとここで議論しようとは思いませんけれども一般的に、広島県会議長が言っておるように、査定官というものは相当もてなしをするものなんだ、しなければいけないんだということがあるということだけは、これは否定できない。それが私は問題だと思うのです。たいしたことはやっておらぬと思うと大臣はおっしゃるけれども、中身の議論をすれば私なりの言い方はあると思うのですが、それは三原事件だけここで問題にしようとしておるのではないのであります。一般的にあるそういう査定官には相当のことをしなければ補助金がもらえないというこの傾向をどう考えるかということなんです。これは大臣、やはりすぱっとこの実情というものは認めてもらわなければいけない。そうして、悪ければ悪い、直すところは直す、こういう筋道だけははっきりしておいてもらいたいと思う。
  73. 西村英一

    ○西村国務大臣 知事がわざわざ上京しまして、私もそういうようなことでだいぶ知事には注意をいたしたのであります。しかし、とことんまで聞いたわけではございませんが、そういう傾向はややもすれば起こりがちでございますから、今後は十分注意をいたすつもりでございます。
  74. 福岡義登

    ○福岡委員 その点はそれでよろしいと思うのでありますが、次の問題は、補助金に手心を加えられるという問題なんです。今度明らかに新聞報道をしておるように——いろいろおっしゃるけれども、現に県会議長が言っておるんですよ。こういう問題を民社党の県会議員が取り上げたために、本年度の広島県の査定は非常に不利になる、こういうことを公然と言っておるわけです。そういうことがあったらたいへんなんですね。あるかどうかということが問題なんですよ。だから、私どももそうわからぬことを言っているつもりはない。社会通念上一般的な接待というか、あいさつがわりのことは、夕食を一緒に食べながらやることはあり得るだろう。しかし、限度を越してやらなければ補助金がたくさんもらえないというようなことが事実だったら、それはたいへんなことであるということを言っておるわけです。そこで、これも今度県会議長が言っておるように、この問題が県会で取り上げられたから、今年度の広島県の災害の査定というものは非常に不利になるだろう、こういうことを言っているわけです。これはこまかくはあとまたこの問題について個別的に話したいと思いますけれども、ここでやはりはっきりしたいと思うのは、こういうことがあってもなくても、災害査定そのものに手心を加えるようなことは断じてやりはしないということだけは、口だけではなしに、内容をもってひとつはっきりしていただきたいと思う。
  75. 西村英一

    ○西村国務大臣 三原の事故は私も見ました。たいへん気の毒な事故でございまして、非常な荒れ方でございます。したがいまして、その当時被害を受けた方々は、もうあげて建設省におまかせをする、私のほうではもう手がつかないんだということを言っておりましたので、その事故復旧につきましては、手心をして減らすとか、新聞に出たから減らすとか何とかいうことは絶対に考えるべきじゃございませんし、もうそうさせないつもりでございます。やり方が非常にむずかしい復旧でございまして、原形復旧なんてできるものじゃございませんので、どういうふうにしてこれを復旧するかということはこの被害者の方々にも十分相談をして、相当に立ちのき等もやらなければならぬと思っているのでありまして、事故のことにつきましてはまだ報告を私は受けておりませんが、十分なことをさせたい、かように私自身は考えておる次第でございます。
  76. 福岡義登

    ○福岡委員 時間がありませんので先を急ぐのですが、もう一、二どうしても申し上げておかなければいけないと思いますのは、補助金行政、陳情政治というものが私は非常に問題だとかねてから言っておるわけなんです。今度の事件も、あるいは一般的にいわれておるようなことも、そういう陳情政治、補助金行政というところに根本的な問題があると思うのです。いまここで具体的にそれをどのようにしたらいいかという具体案を申し上げる準備は私もしておりませんが、方針的に、この陳情政治、補助金行政というようなものについて、こういうものを動機にいたしましてぜひとも再検討してもらいたいということをお願いしたいのですが、その点をひとつあとで大臣のほうから答えていただきたい。  それから、過去にあったことを一々取り上げて責任追及というようなことを私どもも意識的にやろうとは思いませんが、いまここでは申し上げられませんけれども、二、三さっき言いましたような、一等の汽車賃なんかはこまいほうで、査定官に相当まとまったものがやりとりされておるというような事実があったときには、これは大臣、やはり責任を明らかにしてもらいたいということをもう一つつけ加えておきたいと思います。  最後に、これはいまの事件とは直接関係ないのでありますが、用地買収などの概算見積もり書がいろいろ稟議され、建設省に書類が出される、こういう事務的な手続があるのでありますが、その過程に、これも今度の問題で関連して出てきたのでありますが、鉛筆書きで処理をしておる。そうして、ここで問題になっておるのは用地買収の概算見積もり書なんですが、それを鉛筆書きで土木事務所が建設省に出して下見をしてもらう、そうしてそれが返ってきた、返ってきたやつを、今度の問題を起こしておる人が、鉛筆書きですから、書き直してそうして今度複写にした正式な書類にして出しておる、こういうことがはっきりしておるわけです。これは全国的にやっておるかどうか、そこまで調べておりませんが、広島の三原土木事務所の場合はこれははっきりしておるわけであります。司直の手で調べられた結果がそうなっておるのですから、そういうことがあったとすれば、それは非常に大きな指導上の問題じゃないかと思う。これはぜひ改めていただかなければいけない、そういうように思うのですが、そういう事実を知っておられるかどうか、また、その辺の事務の処理のしかたについてはどうされておるのか、答えていただきたい。  以上であります。
  77. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 この査定官問題とからみ合って三原の土木事務所の用地問題が出たわけでございますが、具体的に聞いておりませんので、よく関係局と打ち合わせまして調べてみます。
  78. 福岡義登

    ○福岡委員 さっき言いました点を大臣のほうからはっきりしておいてもらいたいと思うんですよ。いまここでどうこうということは申し上げませんが、過去に相当査定官に対するいろいろなものが——三原のこういう問題でなくて、二、三私も耳にしておることがあるんですけれども、公式の場で言うかどうかは別にいたしましても、もしそういう事実がはっきりすれば、大臣としては責任をとらすように処置をされるかどうかという点だけはここではっきりしておいてもらいたい。
  79. 西村英一

    ○西村国務大臣 福岡さんの質問の補助金行政ですね、これはどうするかということは非常にいろいろな問題がございますが、やはり査定官が行って査定するのでございますから、どうするかというても、間違いがあったら、これは故意に間違いを起こすというようなことになれば、これは私としては十分責任を問わなければならぬ。しかし、その間に——これはいろいろあろうと思いますが、非常にむずかしいのでございますが、あくまでも査定官はいわゆる査定官という自分の立場を考えてすべてに行動しなければならぬ、かように思っておりますので、今度こういうようなことも新聞に相当たたかれましたが、そのこととは別といたしましても、私はこの機会をつかまえて十分ひとつ注意をしたい。不正なことがあったら十分に責任をとらせるように考える次第でございます。
  80. 福岡義登

    ○福岡委員 終わります。
  81. 森下國雄

    森下委員長 勝澤芳雄君。
  82. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣がいらっしゃらないときに、芝浦高速道路の穴のあいた問題、それからまた、阪神高速道路に五千万円穴があいた問題、私はもう一つの穴、国道一号線に穴があいてこの間東海道が相当長い時間とまった、まあ穴、穴、穴で、三つの穴があるわけでありますが、そこで私は第一にお尋ねいたしたいのは、国道一号線の清水と薩た峠の下というのは、これは昨年の十月十三日に道路に陥没ができましてそうして約十八時間渋滞をしたわけでありまして、自動車三十何台がこわされ、また死傷者も出たという大きな事件であったわけであります。昨年十月十三日にそういう大きな道路の決壊があったにかかわらず、ことしの三月二十七日にも起きて、それが二十一時間、十月十三日は渋滞距離が六十五キロ、それから三月二十七日は四十四キロ、それから八月の二十二日に約四時間、それから八月の二十三日に約六時間、そうしてまた今度は九月十二日から十四日にかけて五十三時間二十分というような交通遮絶が行なわれたわけであります。それで、われわれから見れば、昨年の十月の十三日に起きながら応急対策をしただけであって、根本的な対策がないのでその後の事故が起きて、ことしも間に合わなかったということは、それは予算的にはよくわかります、予算の運用の上からわかりますけれども国民の立場から見ると、一体役所は何しているんだ、去年あれだけの事故が起きながら、なおそのまま放てきしたのではないか、こういうことに不満があるのであります。トラックが千台もとまった、それから千五百台も停留した、そのための損害というものはばく大なものだ、一体どうしてくれるんだという非難があるのもまた当然であります。このことからして、やはり根本的な対策というものが立ちおくれている。それは、最近の新潟の災害の場合でも、天災か人災かということで叫ばれたわけでありますが、政府のほうでは天災だ、われわれのほうは人災だ、そうすれ違いではしようがないわけでありますから、やはり二度とそういうことが起こらないための対策というものを立てなければならぬと思うのですけれども、そういう点で、昨年からことしの事故までの間についての建設省としてのこれが対策について、これからの問題はあとでお聞きしますから、お尋ねいたします。
  83. 西村英一

    ○西村国務大臣 仰せのように、最近、建設省の行政といたしまして非常に注目すべき欠陥が出ておるのでございます。そのことにつきましては、いま勝澤さんがおっしゃいましたように、阪神高速道路の問題、また高速一号線の問題、それから東海道の問題でございますが、いずれも非常に重大な問題であろうと思っております。薩たの事故につきまして私が考えたところでも、これは端的に申しますと、やはり設計上の考慮が足らなかったという一言に尽きるわけです。一体アスファルトで上をちゃんとおおっておるものが水が漏るというようなことは考えられないんだといいまするけれども、水は下からでも入るわけでございますから、結局、擁壁が岩盤に到達していなかった、こういうことで、やはり設計上のミスではなかろうかと思っておるのでございます。私は事故を聞きましてから直ちにそういうことを申しました。したがいまして、これは私のほうとしてはおわびするよりほかないのでございますが、さっそく今後は新しいやり方によってこの事故復旧しなければならぬと思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、情状酌量すれば、非常に波浪の強いところであり、工事のむずかしいところでありますけれども、それにいたしましても、一号線でこういうような事故が二度も起こったということにつきましては、私たち建設省としては非難攻撃されてもいたしかたないのじゃないか、かように思っておる次第でございます。十分今後とも注意をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  復旧の点につきましては道路局長からお話があると思います。
  84. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 一号線の薩たにつきましては非常に迷惑をかけて申しわけなかったと思います。これにつきまして、いま御指摘のように、昨年の十月に相当長い時間交通混乱をした実績がございます。いろいろ前から調べてみますと、どうもこの二、三年かなりいまの薩たのところが被害を受けておる。交通がとまるような回数がひんぱんになってきておるように思います。どうも最初の設計に比べまして、そのときと波の方向その他が変わってきたのじゃないかという感じもいたします。ただそれだけじゃもちろんありませんので、昨年の十月十三日の問題から以後、コンクリート舗装アスファルトをかぶせてあるのでありますが、そのコンクリート舗装の下に穴があいておる。この原因は、やはり高波がまいりますと、高波が引くときに擁壁の前面の砂を沖のほうに持ち出す、それによって擁壁内部の土がだんだん海のほうに引き出されるということから大きな穴があいてきたのじゃないかというふうに推測されます。これにつきましては、実は昨年、擁壁前面の恒久的な対策をどうするかという調査をしておったのでございますが、とりあえず、いまの穴があきましたところに対しましてコンクリートを詰めるなり、モルタルを注入するなり、いろいろ災害復旧工法をやったのでございます。それが今度の九月の台風のときにまた別のところから穴があいてくるというような状況でございます。いまわれわれの計画といたしましては、この間の悪いところが大体一キロぐらいあるのじゃないか、そのうち特に悪いのが、この間災害で穴があきました三百メートルくらいの区間ではないか、これにつきましては、やはり台風のときも安全に交通ができるようにということで、四車線にする計画で、本年度に入りまして予算措置も講じまして、いろいろ設計を検討しておったのでございます。たまたま九月の災害に間に合わないでああいう五十何時間も停滞になったということは、遺憾に思う次第でございます。  今後の対策といたしましては、あそこからかなり東のほうに東名高速で海に出しておるところがございます。これの工法を見まして、簡単に言うと、テトラポットを前面に敷きまして波よけの擁壁をつくる、しかし、擁壁をつくりましても、高波のときに波しぶきがかかりますから、水たたきを設けまして、その内側に四車線道路をつくるという計画で、とりあえず、四十三年三月までに三百数十メートルにつきましては四車線工事を発注、完成させたいというふうに考えております。指名業者もきめまして、今月中には工事が発注になるものというふうに思っております。さらに引き続きまして、四十三年以降、危険なところで全体二車線のところがございます。二キロ海岸に出ておるところがございます。これにつきまして全部四車線の形に拡幅していきたい、かように考えております。
  85. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この国道一号線を通ってみてそう思うのですが、いま二車線ですね。二車線というのは交通容量を建設省はどのくらいと見ておるのですか。
  86. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 いまの道路構造令にございます二車線の九メートルくらいの幅員でございますと、自転車が全然ないとき、交通容量としては七千五百台くらいに考えております。
  87. 勝澤芳雄

    勝澤委員 二車線で七千五百台、こう言われておるが、いまの国道一号線はどのくらいだと思っておりますか。
  88. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 現在のところ、やはり三万台をこしておるというふうに考えております。
  89. 勝澤芳雄

    勝澤委員 二車線で七千五百台が限度だ、こう言われておるわけでありますが、もうこれは数十年前から実は二車線です。それでいま三万台、一体これがいつ解消できるのかということです。私は地元の竹山県知事に言ったわけでありますが、竹山さんなり遠藤さんなり建設大臣をやっていたが、道路ができなかったといって実は皮肉まで言ったわけでありますけれども、考えてみると、これはどこに欠陥があるかというと、結局こういうものは票にならぬからなんです。治山治水は票にはならない。国道は票にならない。市町村道百万か二百万持っていって舗装しておけばいい。政治家がこんなことをやっておるから、役所のほうもこういう政治家に押されて、こういうところに重点的な予算が入らぬ。役人から見ていてこれをやらなければならぬと思っておるのはわかります。ところが、みんな寄ってたかって取られるからこういうことになってしまう。五十年も百年も前から東海道が通っておって、それで一つ陥没があったら、もう半日、一日とまる。国鉄の汽車に事故があったら全国版にこんなに載りますけれども道路というとこんなに小さいから、建設省は、まあわからぬだろう、こう思っておったかもしれないけれども、地元から見ると、とんでもないことです。四回も去年からやっておるのです。いま慢性渋滞です。もう沼津から静岡間というのは汽車で行くよりしかたがない、自動車では予定がつかぬというのが、今日の状態です。それから、国道一号線を山から海側に渡るにはもう子供ではあぶないからといって、隣保班の常会を別々にやらなければ隣保班の常会ができないという状態ですが、新しくバイパスが完成されていまのふくそう状態が解消するのは一体何年ごろになるのですか。
  90. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 いま勝澤先生から御指摘ございましたように、道路をやっておる私としては非常に残念だと思うのです。実際に現在の道路工事というのは、こういうような非常にバイパスを必要とするようなところ、それについても相当大きな金を投じなければならぬ、また、それ以外の開発的な要素のほうにも投じなければならぬということで、なかなか予算の制約もあり思うにまかせない状態でございます。できるだけいまの一号線については早急に交通の緩和をはかるということは、われわれは、今後の道路の予算その他、その個所に幾ら金をつけるかという個所づけにも、十分そういうものは真剣に考えていきたいと思います。  それから、ただいまの御質問の、いつ完成するかということでございますが、現在一号線については七つのバイパスを着工しております。これはこの前御説明したかとも思いますが、神奈川で一カ所、静岡で沼津、富士−由比、島田−金谷、浜松で四カ所、愛知の名古屋、三重にかけまして名四国道、また、大阪府には寝屋川バイパスというのをやっております。これがいまの一号線で一番込んでおるところだと思います。さらにそのほか、静岡県では静岡−清水間のバイパス及び藤枝から掛川、磐田、この辺のバイパスも必要になってくると思います。また、浜名湖もいま橋がかかっておりますが、これについてもやはり四車線にする必要があると思います。これについてはいろいろ構造物調査計画線の調査をことしも実施しております。できるだけ早い機会に、いま一番混雑しております富士−由比、それから興津にかけまして四車線工事完成さしていきたいというふうに考えております。いつということになりましても、これは予算等の関連もありますので、はっきりした約束もできないのでございますが、われわれは、やはり用地が早く解決するようなところ——これは用地の問題もまた非常に問題になりますので、十分説得いたしまして、この間のバイパスを早く完成していきたいというふうに考えております。
  91. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いま七千五百台しか通れないところを三万台通っておるわけですよ。ですから、いつまでに解決するかという見通しを立ててなかったら一体どうなるかということですよ。すぐ三万五千から四万台になり、慢性渋滞なんです。国道一号線は富士から静岡まで使えないのですよ。大臣は運輸省におったから国鉄のことはわかると思うのですが、国鉄がこんなことになったらたいへんなことです。迂回路も何もないのです。それをまたいつまでに完成するかわからぬというような建設省だったら、一体われわれは税金を何のために納めるかという気がするわけです。これはただ単に東海道だけの問題じゃないのです。あすこは中心の動脈なんですから。これは大臣も実情をわかっていると思うのですが、大体いつまでにバイパスを完成して、いまの三万台をせめて一万五千に片一方がなるとかならぬとか、話をもっと具体的にできないですか。二十年後のビジョンを建設省はつくっていながら、三年、四年先はどうなるかわからぬのですか。
  92. 西村英一

    ○西村国務大臣 実は私は、この前勝澤さんの質問に対して、東海道一号線を早く見たいということでしたが、なかなか目的が達せられない、できれば近日中に行ってみたいと思います。いま東海道のバイパスの個所もあげられましたが、いずれにいたしましても、われわれとしては目的の期間をちゃんと定めてやらなければならぬ。およそのことはわかっておる。しかし、考えますと、東名高速道路を早くやって——東海道一号線が二車線でいいということは初めから無理だろう、したがって、東名高速道を着手すれば緩和できるのじゃないかと考えたのじゃないかと思うのです。それが東名高速道もなかなか日にちがかかりましたので、あとからバイパスをという、一番最初計画上のあれはあったのじゃないか。東海道が二車線でいけないようなことはだれでもわかるわけなんですよ。したがいまして、それは全線をやるわけにはとうていいかないのでしょうが、バイパスをいま七カ所ほど着工いたしておるのです。この見込みは十分早くつけたいと思います。この箇所をいつまでという期間をこちらが持っていないようでございますけれども、それは用地その他の問題がありましょう。ありましょうが、いつまでにバイパスを仕上げる、このくらいな緩和策はとれるようになる、こういうことは早急にひとつ私はきめたい、かように思っておる次第でございまして、近く私も、非常に延び延びになりましたが、行くつもりでございます。
  93. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは二車線で七千五百台しか走らぬところを、三万台どころか四万五千も走っているのです。それがどうなっているかということを見たら、それは驚く状態です。そうしていまのお話のとおり、用地買収に一年かかる、設計に一年かかる、工事に二年もかかって、まだこれから三年か四年たたなければ使えないということになったら、一体国道一号線はどうなるのですか。それで東名高速道路を、来年の四月ですか、吉原−静岡間を部分的に開業するようですけれども、これはバイパスの代用にならないのですか。これは県でも地元でも言っているのです。バイパスの代用に使ってくれ。これはただで走らせたらどうか。簡単に言うと、ただで走らせるべきだ、そうしなければ国道一号線は解決しないじゃないか。かりにもし薩た峠にもう一回そういう事故でもあったら、交通が遮断されているのですから、これはやむを得ず東名をバイパスがわりに使う以外にないのじゃないかという話が出てくるのです。ですから、国道一号線のバイパスが完成するまでの間、せめて、東名が来年に部分的開業する場合においては、バイパス的な性格を持って、料金についてはただのほうがいいわけでありますけれども、いろいろ問題があるでしょうから、やはり十分その辺は検討してみるべきだ、私はこう思うのですが、その点いかがですか。
  94. 西村英一

    ○西村国務大臣 東名の部分開業につきましての料金はただいま研究いたしております。おそらくこれはやはり腰だめでいかなければだめです。全線が開通すれば別ですけれども部分開業は腰だめでいかなければならないのではないかと思っております。したがいまして、いまあなたが言われるような措置をとるということは断言できませんが、あるいはそういうことも考慮に入れなければならぬのではないかと思っております。いずれにいたしましても、この一号線のことにつきましては、私も建設大臣の前からいろいろ聞いておるわけでございまして、想像もつくわけでございます。なるべくひとつがっちりした計画をつくりまして皆様方に示したい、かように考えておる次第でございまして、料金の問題につきましては、部分開業をするときはあるいはいろいろ腰だめでいく、こういうようなことはいまおぼろげながら考えておる次第でございます。
  95. 勝澤芳雄

    勝澤委員 東名高速道路部分開業のときには、やはり国道一号線の交通量を緩和するために、料金問題についてはいままでと変わった形で考えるということを大臣が言わない限り、それは道路公団ではできないわけです。ですから、せっかくできた東名高速道路をそんな料金の問題で利用できないではたいへんだから、とにかくバイパスができるまでの間は、あるいは全線開通するまでの間は、やはりこれは考慮すべきだ、考慮しなければならぬ、そういうような料金にすべきだということは大臣がかっちり言ってもらわなければ、道路公団でもできないわけでありますから、その点は、やはり大臣が前向きで、いまの交通を緩和するという立場で私は考えていただきたいと思うのです。そのことは、名神も最初は、トラックがもうちょっと通るだろうと思っておった、ところが、トラックは通らずに乗用車ばかりだ、料金を改定してようやくトラックが乗り始めたわけです。ですから、そういう点を考えてみれば、やはりあそこのバイパスの建設がおくれているわけですから、建設を促進するためにも、この東名の部分開業にあたっては料金問題については当然特別な措置を考えるべきだ、私はこう思うのですけれども、これは大臣、あなたがきめればそうなるわけですから、その点はっきりしておいてください。
  96. 西村英一

    ○西村国務大臣 はっきり言っておるのです。あまりはっきりできないところですけれども、あなたのあれですから、全般的の開通のときとは違った腰だめでいくかもしれないということを言っておるのです。(「ただに」と呼ぶ者あり)ただにという、それはあまりはっきりし過ぎて、かえって悪いわけです。腰だめでいくということは、これは当然考えなければならぬのじゃないか、こう私は言っておるのです。いずれにいたしましても、一号線の交通緩和について全力を尽くしたい、かように考えておる次第でございます。
  97. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それじゃ最後に……。  大臣も衆議院でも約束したし、参議院でも約束させられたという話を聞いています。きょうもまた、近く参りますと約束したわけでありますから、大臣いらっしゃるときに、国道一号線のバイパスの計画をやはり具体的に、ここはいつまでにとにかくやりたい、ここはいつまでにやりたいという目標を持って来てもらいたいと思うのです。そして地元でもそれに応じて用地買収その他について協力させますよ。それはわれわれも、反対するときは反対しなければなりませんけれども、協力するときはしますから。そのかわり、路線決定に至るまでの間には、やはり地元ともう少し——人が足りないのかどうかよく知りませんけれども、やはり地元住民との接触を十分やっていただいて一どこかに道路を通さなければならないときまっているわけですから、あと技術的な問題と地元の問題とあるわけでありますから、十分話し合ってきめていただくならば、われわれは用地買収については協力できまずから、大臣ができるだけ早く来ていただくということと、いらっしゃったときには、ひとつ部分的によく打ち合わせをして来ていただいて、これは大体いつまでにとにかく完成するんだ、こういうことをはっきり持って来ていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  98. 西村英一

    ○西村国務大臣 承知いたしました。
  99. 勝澤芳雄

    勝澤委員 終わります。
  100. 森下國雄

    森下委員長 石川次夫君。
  101. 石川次夫

    ○石川委員 たいへん時間が経過いたしましたので私は簡単に質問をしたいと思っておりますが、実はきょうは、建設白書、並びに、都市政策が非常に時代の焦点といいますか、課題になっておりますから、それを中心にして、一体どう対処するのかということから聞く予定にしておったのですが、何しろ一日の委員会ではとうていそういう質問はできませんから、結論だけを申し上げたいと思うのです。  それはどういうことかと言うと、建設白書というのは、ことしは例年に比べてたいへん意欲的というか、よくできているし、分析も詳しく行き届いておる点は評価をするし、また、未来像というものについての現在の問題意識というものはかなり深く掘り下げてあるという感じがするわけです。そういう点で私は評価をいたします。たとえば未来像というものにつきましては、昭和六十年の時代になりますと大体政府の資本ストックは六倍になるとか、あるいは住宅の財産は四倍になるとか、生活水準はいまのアメリカ程度になるというようなことで、それに対する現在との調和を一体どうするのかということを比較的問題意識としては正確にとらえているのではないか、こう思うのです。ただし、具体的な問題を言いますと、たとえば自動車一台当たりの道路粗資産、これは自動車がどんどん急増いたしておりますから、昭和三十年代前半の水準に回復するのには五十年代の後半から六十年代まで待たなければならぬが、ただし、その間は五十兆円の投資が要るといったような書き方をしておるのです。五十兆円の投資がはたして可能かどうか、こういう点には全然触れてないわけです。したがって、私は、この建設白書というものを見たときに、問題意識としてはかなり突っ込んだ書き方をしているし、将来にバラ色の夢を描くのではなくて、それに対する現在との調和を一体どうするかということは認めますけれども、問題意識が強くて、政策意識が欠けているという点を指摘しなければいかぬと思うのです。そういう点については、道路の問題についても、住宅の問題についても、河川の問題についても、いろいろ各部署にわたってたくさんの問題をかかえております。その点についてはあとでまた機会を見て、具体的に、来年度の政策は一体どうするのかという問題をひとつ聞きたいと思っておったわけですけれども、同時に、都市政策というものはたいへん大きな問題になろうとしておりますけれども、この都市化の現象というのは大体イギリスの三倍の速度になっている、したがって、ヨーロッパの水準というか、ヨーロッパのあとを追っかけるようなことでなくて、日本独自の方法を考え出さなければならぬということを書いておりながら、やはりそれの具体的な構想というものが欠けておる。したがって、来年度一体——一年おくれればおくれるごとにたいへん困難になってくる都市再開発の問題あるいは都市政策の問題について、一体どうわれわれは対処するんだ、いましなければならぬということが、この建設白書では非常に欠けておるのではないかという点で、このままいったのではどんどん立ちおくれていって、とんでもない都市過密化によるところの人間性喪失の問題が出てくるんじゃないかということを私は懸念するわけです。私は、都市政策の基本のかまえは一体どうするんだということになりますと、やはり喪失しつつあるところの人間性を回復するということを基本として政策を立てなければならぬ、この点が忘れられておる一番大きな焦点じゃないかと思うのです。  それから、自民党の中に田中委員会というのがありまして、都市政策について真剣に取り組んでいるのは非常にけっこうです。私もそれを拝見いたしておりますけれども、実は肝心なところで非常に大きな問題点があるのではないかと思っています。それはどういうことかと言うと、公益は私益に優先するのだという考え方をしております。これは戦争中よく使われたことばです。私は、もちろん、土地の所有の問題や何かは、ああした私権を制限するという大胆な政策が必要だとは思っております。思っておりますけれども、わずか五十坪の土地に三十坪のうちを建てて住んでいる人、これも私権です。こういうことを十ぱ一からげにしては、公益優先ということから生ずるところのやはりいろいろな問題点が出てくる危険性が多い。これは私は、戦争中によく言い古されたスローガンであるから、一がいにこれを否定するという感情的な反発をしようと思っているのではないのです。そうではなくて、都市問題のためには、公害の問題、道路の問題、住宅の問題を含めて、公共性は利潤に優先をする、こういう基点で出発をしなければ、都市政策というものは誤りを来たすのではないか。その点で、公益が私益に優先するという考え方ではなしに、公共性は利潤に優先をするのだ、こういう考え方を基点として都市政策というものを急速に進めていく必要がある、こういう考え方を持って、そういう点から具体的にいろいろ伺いたかったわけなんでございますけれども、実は時間がありませんから、そういう意見を申し上げるにとどめておきます。  それから、実はこういった地方の問題で公団方々にいままでお待たせをいたしまして、たいへん恐縮に思っております。それは茨城県の石岡の柏原工業団地の問題でございます。ただ、なぜ私がこの一地方の問題を取り上げてあえてここに質問しようとしておるかという点は、実はその近所に、筑波学園都市の大きな国家的な構想が生まれようとしておるわけなんです。この柏原工業団地の問題がいろいろ渋滞をすることは、ひいては筑波学園都市にかなりの影響を与える。こういう心配があるものですから私はこれを取り上げたという点を御了解願いたいと思うし、同時に、私は、何も反対派の立場に立って、この反対派の言い分が正しいということを主張するつもりは毛頭ないのです。そういうことではなくて、そういう問題が円満に解決されないようでは困るという配慮から私は質問しようとしておるわけでございますから、その点も誤解のないように願いたいと思うのです。  実はいろいろな経過を申し上げますと非常にくどくなりますし、また時間を浪費いたしますから省略いたしますけれども、大体これは三月の九日に収用の告示をやっておりますね。それから反対派の連中が柏原工業団地連絡協議会というものをつくって、青柳新平さんという人が代表になって——相当多くの土地を青柳さんという方は個人で所有されておる。青柳さん個人のところにだけ収用告示あるいは収用裁定の申請がされようとしている点もちょっと不審の点でありますけれども、そういうことで、収用告示が行なわれて、そのあとで五月の八日に覚え書きが出ておる。それから六月の三日に調停書が出ております。調停書の内容を見ますと、被買収面積の西南部については三五%を代替地とする、あるいはまた、工業団地の北東部周辺土地の代替地については、買収面積の八三%を代替地として充てる。こういうふうな調停書が出ておるわけです。また、覚え書きも出ておるわけでございますけれども、これは結局その話し合いというものが不調ということで、一方的に市のほうから破棄されたという形になっておるわけです。  そこで私は非常にふしぎだと思うのは、質問の第一点は、収用告示をしてから覚え書きがかわされ、調停書がかわされるというふうなことは、どう考えても順序が逆なのではないか。覚え書きとか調停書というものは、収用告示が出る前に当然これは出されて、とことんまでの話し合いがされるべきではなかっただろうかという順序の問題であります。  それから、九月の九日には、市長室でもって、大和田市長とか、副知事とか、地主の代表とか、市会議員の代表とか、あるいはもとの市長さんとか、そういうことで九月の五日までには代替地を買うというふうな何か確約めいたことをやっておったわけでありますけれども、これも不調に終わっておる。そして九月二十七日には市議会があって、野口助役が——石岡市の助役でありますけれども、土地収用を待たないで円満に解決をしようということになっておる。ところが、そういう口のかわかないうちに、収用をかけるぞという態度が公団のほうから出ておるわけなんです。私は、なるほど不当な反対ということであるならば、これは収用をかけることもやむを得ない場合もあると思うのでありますけれども、実は石岡市の開発公社のやり方が、地元の人に聞きますと——私は選挙区じゃありませんから、地元に行ったわけでもありませんし、地元のほうからの連絡に基づいて話をしておるわけでありますから、詳細なことはつまびらかにできないわけでありますけれども、これはむしろ丹羽さんのほうの関係なんですが、政治的な背景がかなりあるように思うわけです。そういうこともわからないわけじゃありませんけれども、たとえば三十九年三月十九日に百九十三万で公社が買い上げた土地が、住宅に不適地だということで転売、転売、転売ということになって、元の地主から告訴が出た。あわてて開発公社がまた自分のところに買い戻したという事件がある。買い戻したときの値段は一体幾らだ。四百五十万だ。こんなばかげたことをやって、しかも不動産業者と非常に乱脈な関係があるということも聞いております。そういうような乱脈な関係といいますか、ずさんなやり方をしておった市開発公社に対する不信感というものはかなりあるわけです。そういう不信感というものが前提になってなかなか買収作業が進捗しないのではないかという点が多々あるわけなんですが、市開発公社の問題は個々の問題ではないと思うのです。建設省あとで機会があったらよくお調べ願いたいと思っておりますけれども、そういうふうな状態で不信感があって、しかも調停書が収用告示があってから出て、しかもそれが一方的に破棄された。必ず果たすという約束が、両方の合意の上で破棄されたわけではない、一方的に破棄された。破棄された上で、今度は収用をかけるぞ、伝家の宝刀を抜くぞという姿勢を示していることは、ちょっと軽率じゃないか。と申しますことは、土地収用法は、この前の通常国会でもって、われわれは、非常に問題点がある、土地収用法を改正することは、収用権の強化、強権をいたずらに強めるだけだというような点で非常に疑問がある。これは地価を押えるということの関連において考えるということではないので、そういう効果はほとんど期待できないじゃないか、したがって、この土地収用の適用ということについては今後は非常に慎重に考えてもらわなければその力が強化されただけに、問題がある。したがって、今度の場合は、私は現地の事情がよくわかりませんし、何とも言えないところもありますけれども、どうもいきさつを聞いた範囲内、あちらこちらの意見を聞いた範囲内では、いま土地収用をかけるということはちょっと不当じゃないか、いま少し詰めた話をすべきじゃないか、そういうふうな乱用をすべきではないのではないかという感じがするわけです。調停書が出て、覚え書きがかわされて、約束も守られないで、間もなく強制収用だ、そういうようなかっこうになっておるように思うのですが、その点のいきさつを御説明いただきたい。と同時に、これはあと一回再検討してもらいたい。そう簡単に土地収用というものはかけるべきではないのではないかという感じがするものですから、わざわざおいでをいただいたわけです。
  102. 尚明

    ○尚参考人 ただいまお話のございました石岡市の柏原工業団地の開発並びに用地取得につきましては、この話は、昭和三十八年から計画が地元、市、県等から要望され、政府の関係当局とも打ち合わせて、適地と考えて各種の協議が行なわれたわけでございます。これの用地を買収すること、これは住宅公団がやるわけでございますが、これを円滑に進めるために、地元の説得等につきましては市が責任を持ってあっせんしていくというお話し合いになっていたわけでございます。昭和四十一年の十二月に工業団地の都市計画事業の決定をいたしましたので、在来の協議から直ちに土地買収の契約を始めたわけでございまして、地主二百二名中百六十八名、八三%の人との契約はすでに終わっております。ただいま申しましたように、市が公団の契約が円滑にいくようにいろいろあっせんするということにいたしておりますが、公団としましてもみずから地主に当たりましていろいろこの事業の重要性を説き、協力方を依頼してまいってきたわけでございますが、ただいまお話がございました青柳氏をはじめといたしまして約三十名の方が土地買収に反対を続けておりましたので、公団としましては土地収用による取得ということを考えざるを得なくなったわけで、ただいまお話ありましたように、三月九日に土地買い上げの公告を行なったわけでございます。そこで私どもは、土地収用の手続として立ち入り測量を行ない、物件調査も行ないましたが、この調書をつくるために青柳さんに立ち会いを求める通知をこの前にしたところ、四月二十一日に県から、かねがね地元との話で市がこれを円滑に進めるために代替地をあっせんするというようなことをずっと話し合ってきているので、この代替地のあっせんというようなことを具体化することによって円滑に契約に取り運ぶよう県がさらに間に入ってやりたいと思うから、しばらく調書の作成及び自後の事務を見合わせてほしいという申し入れがございました。私どもは、県がそういうことをして円滑に進むことは当然望むところでございますので、早急に県の調停が成立されるように希望するとともに、しばらくお待ちいたしましょう、通常のえとして半月ないし一カ月ぐらいでめどの方向をつけていただきたいということを申してお願いしたわけでございます。県はその後熱心に調停をいたしました。この調停というのは、ちょっと話が別になりますが、住宅公団と地主との間の調停というものではございませんで、土地所有者に対して公団への契約を円滑にするために代替地等をあっせんするという、市と地主との間の関係のことについて県が調停に当たったわけでございます。したがいまして、五月八日には県知事さんと石岡市長さんと青柳氏との間で覚え書きを交換して、その代替地の取得等の実行方法についてその後二週間ぐらいの間にめどをつけよう、そうして契約の判こを押そうじゃないかというようなことで、話が一回できたわけでございます。ところが、その後具体になりますと、概略的に申しますと、市が行なう代替地に対しまして、市の考えとしては、直ちに代替地の先ほど申されたような数量をそろえることはできないから、個別に緊急な人から逐次やっていって、全体として約束を守ろうという話をし、一方、青柳さんたち反対の方々は、全部ここへ耳をそろえて出してくれなければ契約いたしません、この両者の言い分がなかなか調整がつかなかったわけです。県も、事実、直ちにここへ耳をそろえろ、そういうことを言われても、それだけでもずいぶん時間がかかってこの事業がおくれるから、市の言うように、緊急を要する人からあっせんしていくというふうにしていったらどうかというような話をさらにされていたわけでございますが、何回も会合を行なってもどうしてもその話がつきませんので、県は五月の下旬に一回打ち切りました。そうしたら、また市と青柳氏とのほうで、県がもう少し調停を続けてくれというので、またしばらくの間県は調停に入ったわけです。住宅公団は、もちろん、事業のおくれることを心配しつつも、そうして県が熱心にやってくださっているので、私どもとしてもしばらく待つということにいたしたのですが、ついに六月の初めに、県はどうしても両者の言い分の話がつかないというので調停を打ち切るということにいたしました。私どもはそれを聞きまして、収用手続をさらに進めてまいる所存として準備いたしたのでございますが、県は再び、もう一回調停をしたいので、またしばらく待ってくれというので、六月二十五日に私どものほうに県の副知事が参りまして、そういう話がありましたので、私どもとしては、いままでも半月くらいの予定が二カ月余り待ったのであるが、それじゃあと半月くらいで見込みをつけていただきたいということを申し上げたのでございます。それから後、また第三者等を入れていろいろ調停につとめられたようでございますが、その間私どもも実際側面的ないろいろ努力をしたのでございますけれども、先ほどの平行線は、いつまでたっても、九月初旬に至りましても縮まらない。結局、県としても、いつこの話がついて契約になるかという見込みは全く立たないという状態になったということを私どものほうに知らせてきたわけでございます。  そこで、公団といたしましては、四カ月以上にわたって手続をおくらせてまいったのでございますが、一方、事業の推進を行なわなければならないという任務、及び、早くここに工業団地ができることを要望して初めから協力していてくださった方、また、それとの間に価格の差、これは土地収用法としては当然古いほうの分でやっておるわけでございますが、収用裁決時の裁決価格になるわけでございます、そういうものに差等を生ずることになりますと、また別の地主に問題が生じますので、私どもとしては土地収用の手続をこれ以上は待つことができないというので、四十条の協議書を先般出して、その回答をもらったわけでございますが、その回答に基づいてさらに青柳氏のところに公団が直接行って話しましたが、やはり買収契約に至りませんので、近く収用委員会に裁決の申請を行なって、事業をつつがなく進めたい、こういうことでございます。私どもとしては、相当の期間県の調整に当たっていただいたことに感謝しつつ、円満に解決するのを待ったのでございますが、いつ答えが出るのかわからないという状態になって四十条協議を行なったというのが、最近の事情でございます。
  103. 石川次夫

    ○石川委員 逐一説明を受けましたけれども、私はそういう説明は要らなかったのですよ。大体わかっているのですが、せっかくですから拝聴いたしました。というのは、いままでのいきさつは一応わかりますけれども、先ほど申し上げたように、石岡市の開発公社というのは、市と同じなんですね。市長がやっておりますから。理事長は市長です。市長は議会にほとんどずらかって出ないのです。この問題で痛めつけられるのはいやだということで、ほとんど議会には出てこない。病気で寝ているという消息だが、調べたところが、病気ではない。というような問題で、めったやたらに不動産業者の手を通して土地を買いまくっている。しかも、これは値段をかまわず買いまくっている。一億円の予定のやつが三億円になって、それでも足りなくてまた八千万円追加をしたというような状態なんですね。そういうことに対する不信感というものは相当あるわけです。そういうこともあったりして、それから西南部が三五%、北東部が八五%という大体の見通しがある程度納得がつくようにできれば、それは調停書の指示に従って、これは反対派といえども同調せざるを得ないのではないか。私はこれは政治的な背景があるのじゃないかと実は思っておるのです。何かあるんじゃないかと思うのですけれども、今後反対の方は、前にあそこに大きな会社をつくりましたときには率先して協力をしたという事実があるわけです。ですから、私は、そう話がわからないがんこおやじだとは考えられない。何か政治的な背景があるかもしれませんが、それはちょっとわかりません。そういうことで、いま八三%まで買収が済んだといいますけれども、土地の面積からいうと六五%、三五%はまだ残っているのです。だから、数だけではなかなか律し切れない問題がここにまだ残されておるわけです。そういう点で、これは最後の伝家の宝刀を抜いたわけなんでしょうけれども、しかし、これでもう押し切っていく以外にはないんだということを考える以前に、やはり市当局あたりではもっと考え直さなければならぬ、誠意を披瀝する余地はまだまだ残されているのではないか、あるいはまた、乱脈な市開発公社の経理の問題なんかもなかなか問題化されようとする機運もなきにしもあらずというふうに私は見ているわけです。そういう点で反対派の方にもいろいろ言い分がありそうです。私は何も聞いておりませんよ。第三者からの意見しか聞いておりませんが、反対派のほうにも相当な言い分がありそうなケースだと思っております。  この問題は、土地収用を今後非常に慎重に扱わなければならなぬという一つのモデルケースにたると思うし、筑波の学園都市の問題にも波及する問題でもあると思うのです。ですから、私は、非常に地域的な問題で、この委員会で取り上げるにはちょっと問題が小さ過ぎると思ってちゅうちょはしたのですけれども、そういう問題意識でもってこれを取り上げたわけなのです。  私はもう答弁を求めません。これはあとで個人的に伺います。これはそういう点でいろいろ問題がありそうですから、もう伝家の宝刀だということで振り上げて押し切るということではなしに、もっと誠意を披瀝してもらいたい。反対派の言い分も、向こうのふところに入って聞いてもらいたい。反対してけしからぬなんという意識だけで交渉を進めてもらいたくないという感じもするものですから、そういう点で御一考をわずらわしたい、慎重に対処してもらいたい、そういう要望を申し上げておきます。あとで個人的にお伺いします。
  104. 森下國雄

  105. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設大臣にお尋ねいたします。  先ほど阪神高速道路公団の職員の五千万円の横流し事件でいろいろ質問したのでありますが、だんだん聞いておる中で、保証人のいない縁故採用の方が今回事件を起こした、こういうことを私はここで追及しているわけじゃありまんけれども、現在、このような縁故で、保証人が身元保証人だから、損害を受けたときの保証人を立てておらないで入社している人たちがもしも事故を起こした場合には、どなたが一体責任を負うかという問題です。この点、大臣はどうお考えになっていますか。
  106. 西村英一

    ○西村国務大臣 大体採用のときは保証人を立てるものですわね。立てなければ採用しないですよ。だから、採用のときからもう間違っておったんですね。しかも、ほかのところに使っておった人で、過年度でございますから、もうそのときに採用した人じゃないですからね。したがいまして、それを採用しました幹部としては初めからもう責任が生ずるわけでございます。保証人がなければ、そういうような債務を払う人はないわけですね。これはおとうさんがいられるそうです。相当な名士だそうでございます。聞くところによりますと、三菱商事の福岡支店の次長の方で、少々くらいな金ならば一おとうさんは非常に心配いたしまして、みずからも責任をとろうと子供のために言ってますけれども、何さま非常に大きい金額ですから、そう簡単にはいきませんが、だれが責任をとるかといえば、責任をとる保証人がないのですから、ないというわけですよ。
  107. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 責任をとる人がいなくて、このままうやむやになってしまったのでは、五千万円というのは相当な額ですね。これはみな国民の金であります。こういうことでは困るのでありまして、この追及を大臣にしてもしようがないけれども、きのうの読売新聞によりますと、西村建設大臣の談話が載っております。厳重にこれからも注意していきたい、監査もしていきたい、こういうお考えでありますが、私は、こういう試験がなくて縁故でお入りになった、そのことが悪いとかいいとかいうことではありませんけれども、そうやって最終の保証人を立てないで入られている方もまだほかにいると思うのです。ここにあるのだから、ないとは言い切れない。そうすると、公社、公団、そういうところで金を扱う、チェックする大事なところに、縁故で入られて、試験で入られてない、そうしてその保証人も明快に最後に保証できないような方々がまじめに働きなさっておられますけれども、そういう方々に対して、あらためて確実なる保証人を立ててやられるお考えはどうでしょうか。
  108. 志村清一

    ○志村説明員 そういった保証人の問題につきましては、これからよく検討いたしまして処置をいたしたいと思います。
  109. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、これからそういうケースの方々には、その人が迷惑をかけた場合には、あらためてがっちりと損害を補てんできるような保証人を立てさせるという一つのシステムを打ち立てる、こう理解してよろしいのですか。
  110. 志村清一

    ○志村説明員 それらにつきまして十分検討いたしまして処置をいたしたいと存じます。
  111. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 現在こういうように事件が起きましたね。これは起きたから言うのではありませんけれども、それじゃ第二、第三の清水謙一事件が出ないという保証はないわけです。そうすると、保証人はいない。払う者はいない。国民の金が五千万円も——今後も五千万円使うか六千万円使うかわからないけれども、そんな大金が出た場合には、だれも補償できない。それは一つのスタイルの上からいっても、責任を追及して、あくまでもその保証人があらゆる可能な限りの努力をその損害に対してはやったのだ、あとはさか立ちしても鼻血も出ないというのなら、これはやむを得ないと思うのですけれども、そういうことも何もおっぽり出しておったのでは不安でならない。また、これは道義的からいっても、役所の立場からいっても、こういう大事な公金を扱う人事管理といいますか、そういう面でずさんがあるので、これは早急にやるべきだと私は思うのです。その点でいま質問したのですけれども、その点よろしくお願いします。
  112. 志村清一

    ○志村説明員 さような点もございますので、その点につきましては十分実情等を調査いたしまして検討いたしたいと存じますが、同時に、公団等におきましては、保証人だけではございませんで、責任の度合いに応じましてその上司等について求償する制度がございます。これらにつきましても、調査が終わりました段階におきまして十分検討した上で、その責任の度合いに応じて求償するということになろうかと思います。
  113. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これはあくまでも責任をはっきり追及していくというわけですね。この点はよろしいですね。  では、この点であまりがたがた言ってもしようがありませんから打ち切りまして、これはまた建設大臣にお尋ねいたします。  ガソリン税引き上げの件できのうの毎日新聞に出ておりますが、ただいま物価が非常に高騰しておる中で、道路五カ年計画の財源問題につきまして、昭和四十三年の四月からどうしても目的税であるところのガソリン税及び軽油引取税を値上げしていかなければやっていけないのだ、こういう見解が発表されております。私はこの点につきまして五月の委員会のときに大蔵大臣に聞いたことがありますが、当面そういうことは考えないという大蔵大臣の答弁がありましたが、建設大臣はこの点についてはどのようなお考えなんですか、お聞きしたいと思います。
  114. 西村英一

    ○西村国務大臣 実は端的に申しますと、私の考えはまとまっておりません。しかし、一応建設省としてはいろいろ試算をしておるのでございます。その試算の一つがあらわれたものだと思って、ただいまいろいろと党との討議をやっています。建設省の中でもいろいろ討議をやっております。  この機会でございますから、ちょっと皆さま方に申し上げますが、建設行政は実はこの十二月までにきめなければならぬたくさんの問題を控えておるのでございます。そのうちの第一番が新しい五カ年計画の問題でございます。これには、いま言いましたように、その財源をどうするかという問題と、地方道の扱いをどうするかという二つの大きい問題があろうと思います。財政上の問題につきましては、物価の問題、しかも来年の予算の組み方の問題がいろいろあります。また、地方道の問題につきましては、地方交付税の問題等、自治省におきましてもいまいろいろ試算をしておるところでございます。したがいまして、最終的に政府部内でまだ公式に議論をいたしておりません。いたしておりませんが、建設省建設省としてのいろいろな試算をいたしておるので、その試算の一部分があらわれたものだと思っております。  余談になりますが、せっかくの機会でございますから、いま言いましたように、新五カ年計画の問題と、もう一つは地方道を国道に昇格の問題がございます。これも大蔵当局との話をまだ詰めておりません。あるいはまた新聞等に出るかもしれませんが、これも相当前からの懸案でございまして、地方の要望もかなりあるわけでございます。それをどの程度国道に昇格させるかという問題があるわけでございます。  もう一つの大きい問題は、本年度、法律によるいわゆる五道をはじめといたしました高速道路の問題につきまして、一体どの道路を基本計画をつくり整備計画をつくって取り上げるのかという問題でございます。したがいまして、これは道路審議会にかけてきめなければならぬ問題でございますから、これはまた道路行政としては非常に大きい問題でございます。  第四番目の問題は、交通対策の問題でございます。御承知のとおり、建設省は三カ年計画をもって進んでおりますが、別にこれは国会におきましても交通災害の特別委員会で新しい法律をつくりました等の関係もありますので、四十一年、四十二年、四十三年と続くこの三カ年計画を一体どう処理していこうとするのかという問題があるわけでございます。  最後の問題は、例の中国と四国の架橋を、一体どういうような方法によって、この取り扱いをどうするかという問題がありまして、いずれにいたしましても、道路行政といたしましてはこの十二月までにいろいろな問題に取り組まなければならぬと思っておる次第でございます。  いろいろな問題につきまして目下検討中でございまして、御質問のガソリン税をどうするかというような問題も、いろいろこれは試算をいたしておるのがただいまの状況でございまして、私としては何もこうするという段階までまだいっていないというのが現状でございます。
  115. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ただいま建設大臣から、道路五カ年計画並びに日本道路情勢、そういったものの構想というものをお聞かせいただいたのでありますが、これをどんな分野にわたって早急に手をつけるにいたしましても、その根本になるものはお金であります。それはよくわかります。その財源の捻出の方法というものは、建設大臣として、主務大臣として当然頭を痛めていると思います。よく理解いたしますが、ただいま建設省意見というものをまだ聞いておりませんけれども、自治省あたりは、これは当然、道路——地方税ですね、それから国税である譲与税の場合、こういったものを市町村にどんどん配分してあげなければいけないのだ、いまの市町村道がいたんでいるのは、市町村に金がないからなんだ、当然そういった目的税の値上げというものはしなければならぬ、非常に強硬であるというようなことを聞いております。ところが、これを上げることによって——これは建設大臣の見解を聞きたいのでありますけれども建設省としては自治省ほど強硬ではないにしても、これは値上げしていかなければならぬというほうに傾いているようにわれわれは理解している。ところが、大蔵省でも通産省でも、他省は反対している。なぜかと申しますと、このガソリン税が、バスとか、またはハイヤーとか道路運送業者とか、そういうものにはね返って、それが一般の物価高に及ぼす影響大なりとして反対しておると思うのでございますが、道路財源の捻出と社会情勢のいま問題になっておりますところの物価筒の問題と非常にギャップがあり、かね合いというものはむずかしいとわれわれは理解しておるのですが、その点、建設大臣として、道路その他建設の担当者として、そういった問題をどう克服なさっていくのか、その点について御見解をお聞きしたいと思います。
  116. 西村英一

    ○西村国務大臣 それを言ってしまえばもう最後でございますから、そう簡単に言えないのです。ガソリン税を上げればいろいろはね返ります。しかし、金がなければ仕事はやれぬということもあります。しかし、これが財源をつくる唯一の方法ではございません。金をつくるのにはたくさんな方法があろうと思います。したがいまして、あらゆる面から攻めて、やはり物価の高騰にならないようにということは当然考えなければならぬのであります。どの税金を上げるかというような問題はこれからの問題でございまして、いま全部それを言ってしまったら元も子もなくなるので、あまりそれ以上にしゃべりたくないのであります。研究はいたしておるということだけは確かでございます。しかも今後の自動車の伸び方等も考えまして、いまの自動車にかかっておるすべての税金、ガソリン税、自動車税、間接税、いろいろあります。そういうものを総合的にやはり研究していかなければならぬ、これがよかろうといま言ってしまえばもう元も子もないから、この辺でどうぞただいまのところはごかんべんを願いたい、このように思っております。
  117. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 元も子もなくなっちゃうという、非常に大臣の苦しい胸のうちはわかります。大事な発言でありますので……。しかし、私ども国民としましては、佐藤内閣の政策の一つに、物価安定ということを言われておりますね、これは当然もうわれわれとしてもやってもらわなければならぬ。最近米の値段が一四・四%も上がった、公共料金が一せい値上げ、それに伴うところの間接の物価が上がってきた。これはもう私たちとしてはぜひとも建設大臣の見解だけでも聞いておきたい。国民はもう悲願なんですね。それはまあ非常に元も子もなくなっちゃうという大事な発言であるという御見解はわかります。出し惜しみなさっておるとは思っておりませんけれども、そういう点は非常に聞きたいのでありますが、大臣としてもそれ以上お話したくないようでありますので、物価安定に対して十分御配慮を願って、このガソリン税引き上げについては十分御考慮の上でひとつおやりになっていただきたいということをまずお願いいたします。  次に、これは河川の砂利のことでちょっとお尋ねいたします。  最近の日本河川行政の中で、極端に砂利が不足しておる。神奈川県の例をとりますと、相模川が全面禁止、その中で玄倉川とか道志川、これはまだ全面禁止になっておりません。これはある一定の許可水準を保てばいいという河川でありますが、首都圏内の砂利の需要を満たすために、禁止になっていないここへ業者が殺到しておりますけれども、非常に不法だらけであります。この状況河川局長お聞きになっておりますか。
  118. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 お答えします。  まだ十分詳細に承知いたしておりません。酒匂川の二級水系でございまして、まだ砂利採取の禁止その他をやっておりませんが、玄倉川等に関する採取は、小田原砂利株式会社ほか四社から四十二年三月ごろ申請があったものだそうでございます。神奈川県知事が、二級河川でございますので、これを検討の上許可いたしております。ただいま御指摘のあったような不法な採取というようなことは事実あっているのかどうか、詳細承知いたしておりませんので、十分調査いたしまして具体的な措置を講じたいと思っております。
  119. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この報告を聞いてないということでありますけれども、公明党で独自で調査しましたところ、岩盤に至るまで掘って掘って掘りまくっておる。ダンプが行列いたしまして、たいへんな騒ぎであります。その地元住民は、台風が来たときには一体どうなるのか、河川行政はこれでいいのかと、ものすごい非難ごうごうたるものがあります。これは一ぺん酒匂川上流の玄倉川、道志川流域の調査を至急やっていただきまして、もしもそういった不法な採取というものが建設省でキャッチできたならば、至急対策を講じていただきたいということを御要望いたします。  第二点は、大阪市が砂利の許可量を上回ったところの不法採取をしていたという事実を発見したのでありますが、この事件はお聞きになっておられますか。
  120. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 大阪市の砂利採取が許可量を上回って採取をしたという事実は、初めてお伺いしました。そういう許可条件に合わない採取をしておったとすれば、当然条件に合うように原状回復命令その他を具体的に措置すべきだと考えております。
  121. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 民間業者が不正採取とか盗掘またはそういった不正なことをやった場合には、許可を取り消したり、いろいろな場合があるのですけれども、地方公共団体、なかんずく、大阪市のような大都市が、責任を持って——その仕事はこれは公共事業なんでありますが、その公共事業をやるということによって建設省が許可している以上のものを不法採取している、こういう場合における責任はどうあるのですか。
  122. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 当然採取の許可を受けた者が責任をとるべきでありまして、実情を調査いたしまして必要な措置を考えたいというふうに考えております。  なお、先ほどお話がありました玄倉川につきましては、至急現地調査を行ないたいと思っております。
  123. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この問題は、十月六日の大阪の公営企業決算特別委員会で明るみに出た問題であります。これはもう明らかに公の場で出た問題でありまして、そのときに市当局が事実認めているわけです。建設省が許可した大阪東淀川区の柴島浄水場のろ過用砂利——これは川はあとで調べて申し上げたいと思いますが、三千立米を許可しているところを五千六十とっておった。これは明らかに認めておりまして、二千も過当にとってしまった、だから、申しわけないということを認めているのですが、建設省は、これが事実であれば、大阪市長にはどういう態度で臨みますか。
  124. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 砂利の採取の許可は、治水、利水上影響をどう及ぼすかという問題点と、公益上にどういう問題点があるかということを主眼として許可するわけです。現地を調査しまして、そういう支障があれば、必要な措置をさしたい。なお、違法行為につきましては、河川法上の取り締まりを行なっていきたいというふうに考えております。
  125. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この川は木津川という川であります。ところが、これはまたもう一つ不正がある。市では五千六十確かにやったという。ところが、その浄水場へ運ばれたのは四千三百立米しかない。残ったのはどこへいってしまったかという問題が出てきた。ところが、これを引き受けている会社は京阪砂利KKでありますが、この京阪砂利KKは、大阪市の依頼を受けて、その木津川から建設省の一年間の許可であるところの三千以上掘っておりながら、その砂利が——まあいいです。過当に掘ったら掘ったでいいですけれども、そのとったものが今度運ばれていない。そこに千五百も千六百も差が出てしまう。こういうことは、今度その大阪市なら大阪市の委託している業者がはなはだ不明朗、こういうところは、建設省としては、大阪市が委託している業者まで厳重に監督、注意ができるのですか。
  126. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 大阪市が採取を申請して許可されたわけでございます。京阪砂利株式会社に委託したとすれば別でございますが、われわれとしましては、大阪市を相手としまして必要な措置を考えたいというふうに考えております。横流しの事実につきましては、私も初めてお聞きしました。関係者を呼びまして十分調査したいと思います。
  127. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では、その点は厳重にあと調査して、ひとつ私のほうへ御報告願いたいと思います。  次に、住宅のことでお尋ねいたします。  積み立て分譲住宅が最近非常に行なわれておりますが、この積み立て分譲住宅の登録されている業者というものは、一体都内でどのくらいあるのですか。
  128. 川島博

    ○川島説明員 御質問の趣旨がよくわかりませんのですが、積み立て分譲業者というのは、地方住宅供給公社法に基づく積み立て分譲でございましょうか。
  129. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 民間のわれわれが、家のない私たちが、住宅を建てるために積み立て金をしていくわけですね。それで、その積み立て金をとって、早く言えば、分割で前金をとっていくわけです。分割でとって、ある一定のところまでいくと家を建てるというシステム、そういう業者のことを言っているのです。
  130. 川島博

    ○川島説明員 わかりました。それでは不動産の前払い式割賦販売業者であろうと思いますので、お答えいたします。  家、または土地つきの家を、前金をとりまして、前金を三分の一なり二分の一払い込んだところで現物の家を渡すという前払い式割賦販売業者は、終戦直後は全国に相当多数ございましたが、今日では大部分が淘汰されまして、現在は経営内容の比較的よろしい数社が残って営業しておるというふうに聞いております。
  131. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは割賦販売法の適用を受けるのですか。
  132. 川島博

    ○川島説明員 割賦販売法は動産だけでございまして、不動産については適用はございません。
  133. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、その会社が万一つぶれた場合、ある程度積み立てた金というものは返ってこないのですね。そういう場合には、法的にはどういう罰則を受けますか。
  134. 川島博

    ○川島説明員 現在これらの前払い式割賦販売を行なっております不動産業者につきましては、大体が自分で建てまして、それを前金をとって売るわけでございますので、その業者は、建設行政から申しますと、一つには建設業者である、それから、不動産の取引をいたします関係上、取引業者である、こういう二面がございまして、大部分業者は、建設業法の登録と、それから不動産取引法の免許と、二つの資格を得て商売をいたしておるわけでございます。したがいまして、ただいまのように、前払い金をとりながら、現実には家を渡さないというような事故が起こりました場合には、取引業法の適用を受けることになるわけでございまして、その場合には、むろん営業免許の取り消しとか、そういう行政上の処罰を受けますほかに、申し込み者の債権を弁済すべきでございますが、その資金に欠けた場合には、営業保証金というのを、現在、取引業法に基づきまして、本店十万円、事務所は五万円とっておりますが、その営業保証金については、これらの被害者が債権の弁済をその保証金を引き当てに受けられる、こういう制度になっております。
  135. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 はなはだ何かたよりないあれでありまして、大体家というものは五万円や十万円でできるものじゃないですね。最低何十万、何百万円、それが何百人という人で膨大な金になる。また、いまも話がありましたように、その五千万円の金の責任さえとり切れない、こういう社会とこういう時代に、家がない人というのは、これは非常な血と涙でおそらく金を捻出して積み立てているんだと思うのです。そういう方々に万が一のことがあったときに、そういうむずかしいことを言って金が返ってこなかったら、これはしようがない。その点について、割賦販売法、そういったものにも含まれていないという、野放しになっているところのそれらの業者に対しては、何らかの法の規制、またはその安全を守ってあげられるような対策というものが必要じゃないかと思うのです。これも、もとをいえば政府の住宅行政のひずみがあらわれている。この点においては、先ほども石川先生がおっしゃっておりましたけれども、持ち家政策の考え方だってそうです。こういった現在の物価高、土地の高騰の中にあって、政府のいう六百七十万戸のうち、四百万戸は民間自力建設にたよっている。その中で月賦で払っていく、これは市民にとっては容易なことではない。それが万一、先払いでとっている会社がつぶれて、そのトラの子の金がなくなっちゃった、保全経済会みたいな姿になってしまったのでは、住宅行政の非難というものは政府のほうへ向いてくるんじゃないか、その点はどうかという意図の私の質問なんです。お願いいたします。
  136. 川島博

    ○川島説明員 宅地建物取引業者として現在扱っているわけでございますが、前払い式の割賦販売業者だけではなくて、家を先に渡して、あとでお金を払っていただくという業者もございますし、即金で売買するものもございます。これらを含めまして、現在では宅地建物取引業法という法律で規制をしているわけでございますが、御承知のように、前々国会でこの取引業法そのものについて相当大幅な改正をいたしまして、さらに、消費者との間に生ずる事故が防止できるような相当な改正を加えたわけでございます。しかしながら、何と申しましても、その場合の業者は、先に金をとってから物を渡す業者でございますから、お客に不測の損害を絶対与えないとは言い切れないわけでございます。幸いにいたしまして、現実には、現在までのところ、この割賦販売業者お客の間で大きな事故が起きたということはございませんので、少なくとも現在までのところはあまり問題ではなかったわけでございますが、今後の問題といたしまして、そういう不測の事故が絶無を期するというためには、やはり何らかの法的手当てが必要であろうと思います。その方法につきましては、現在の動産を対象とする割賦販売法におきましてもいろいろ問題が出ておりまして、これの改正について関係省で検討しているようでございます。私どもといたしましては、やはり宅地建物取引業法という現在の法律を踏まえまして、それについて顧客の不測の損害をなくするための業者の信用をてん補する何らかの方法が必要なことは否定いたしません。したがいまして、今後は、この点につきまして、業者の信用を補完する制度改正につきまして前向きで検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  137. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 事故は起きておりませんが、解約者が非常に多いのです。ある一定の額まで積んでいっても、積み切れなくなる。非常に無理があるのです。高いのです。そのために解約者が続出しておりまして、それは全部没収になってしまいます。そういったところで泣いている方が非常に多いわけです。それも、非常にこまかい字で、わけのわからない約款が書いてありますので、住宅とか土地とか、そういった不動産、動産に対して法的に暗い市民は、つい目先のことだけにとらわれて契約してしまって、最後までかけ切れない、それで没収になった事例がたくさんありますので、そういう点もあわせてひとつ御検討願いたいと思うのですが、よろしくお願いします。  その次に、建築基準法についてお尋ねをいたします。  建築基準法につきましては種々問題点がございますが、この点について改正の意思がおありでございましょうか。
  138. 三橋信一

    ○三橋説明員 お尋ねの建築基準法でございますが、これにつきましては、ただいま建築審議会へその改正の問題点を提示いたしまして、改正についての諮問をいたしております。この結果を、私どもといたしましては、十月中には中間的な報告でももらいまして、次の国会には改正の法案を提出いたしたいということで、準備いたしております。
  139. 稲富稜人

    ○稲富委員 関連して。  ただいま小川委員の質問に対しまして、建築基準法の改正をするのだということでございます。実はこの問題につきましては、四十一年の二月二十三日の本委員会において、瀬戸山大臣の時分に、私も、建築基準法の改正をやらなければいかぬじゃないか、しかもこれに対する取り締まりも非常に緩慢じゃないかという質問をしたときに、どうも人が足らないから取り締まりが不十分だという大臣の答弁でございました。人が足らないから取り締まりを緩慢にするということはいけないのじゃないか、さらに、これに対しての基準法の改正をやるべきじゃないかと言ったところが、大臣なり、そのときは計画局長だったか、関係局長からも、何とかこれはやらなければいけないということを言われた。ところが一向進んでない。最近になって行管から注意を受けてばたばたやられている。そういう必要な問題に早く取り組んでやらなければいかぬじゃないか。これほどの現在の建築基準法に見るような多くの事実からあまりにも離れた矛盾がある、これを放任しておくことに大きな問題があると私は思う。しかも、これに対する取り締まりのごときは、これは当然人を増して取り締まるというような点に取り組まなければならぬ。こういう問題を今日まで放任されておる。法の改正と同時に、現在の法内においてもやらなければいけない行政措置がたくさんあると私は思う。こういうことも怠っているところに、私は現在の基準法が実際に合わないのだという非難をされる原因があると思う。こういうことに対して、もちろん、法の改正と同時に、現行法におきます行政的な措置というものをどうなさっておるか、これを放任されているじゃないか、こういう点を十分考慮していただきたいということが必要だと思うのです。どうですか、その点承りたい。
  140. 三橋信一

    ○三橋説明員 御指摘のとおり、建築基準法の改正につきましては、従来からしばしばこれを改正するということを申しておりました。それからまた、人が足らないからなかなか手が回らないということも申しておったようでございます。しかしながら、私昨年七月に住宅局長になったわけでございますけれども、それ以後建築審議会に諮問をいたしまして、建築基準法の改正を本格的に始めております。これにつきましては、先生も新聞紙上で御存じのとおりだと思いますけれども、かなり具体的な内容に立ち入りましてその改正を考えておりまして、次の国会には必ず出したいということを考えております。同時に、その執行体制が人が足らないからできないと申すのは事実でございます。しかしながら、人が足らないからできないだけではほっておけないということも私ども意識しております。そこで、いま考えておりますのは、後ほどあるいは御質問があることかもしれませんけれども、やはり公共団体の職員がこれをやるわけでございまして、また、これの取り締まりは地方公共団体の長がその責めをになっているわけでございます。したがって公共団体の長あるいは公共団体の意識の問題が一つございます。それをいかにしてどういう問題にして対処せしめるかという問題、これは私どもの中央官庁の仕事だと思います。同時に、地方公共団体の職員を直ちにふやそうとしても、これはふやし切れません。そこで、私どもがただいま審議会においても御議論願っております一つでございますけれども、たとえば、自治体消防の職員が全国に五万人おります。この消防職員とタイアップして建築の行政を徹底さしていくことができないかというようなことも、ただいま考えておる一環でございます。なお、最近新聞紙上で、東京都におきましても、違反建築に対しての告発をいたしましたり、あるいはジープ等を買ってこれの摘発をしやすいようにする、そういうようなこともいろいろ指導しております。今後ともそういう点を強化してまいりたいと思っております。
  141. 稲富稜人

    ○稲富委員 大臣にひとつ特にお願いをし、お尋ねしたいと思うのですが、現在の建築基準法が不十分であるから改正しなくちゃいけない、これはわかりました。ところが改正するまでの段階においては、現在の法内においても法の運営が十分でない。ところが、この法を生かすためには、いま局長の答弁のように、地方自治体がこれをやるんだ、それだからといって、やはり法の執行の最高責任は政府にあるわけですから、政府はこれに対して十分遺憾なきを期さなければいけないと思う。単にこれは地方公共団体が責任を持っておるからというわけではなくて、それで足らないものはやはり政府としてどうするかということを詰めて考えて、これが実行に当たるということが法の適用に必要だと思う。当然この基準法は改正はするとしても、改正の段階に至るまでの現行法において、いかに法を的確に行政的に処置していくか、こういう問題に対しては、大臣みずからいまお話があったように、ただ、人が足らない、公共団体がやっているんだではなくして、もっと建設省そのものが、政府そのものが積極的に取り組んでやるのでなくてはいけない問題である、かように考えますので、これに対する処置のしかたについて、大臣から責任ある答弁をお願いしたいと思います。
  142. 西村英一

    ○西村国務大臣 最近そういう問題がたびたびありますので、私のほうとしては、もちろん、地方公共団体の長の取り締まりもございましょうけれども、つとめて督励をいたしておるのでございます。これはほっておきますればますます助長しますので、厳正な態度をもって地方公共団体の長にそれぞれ督励をいたしておるので、督励をいたした結果いろいろ実績をあげつつある面もあるわけでございますが、終局のところはやはり法的にも抜けておるところがありそうだ、こういうことで、基準法もいまいろいろ改正をもくろんでおる。現行法においても、これは取り締まりの点につきましては十分われわれとしては監督を強化したい、かように考えておる次第でございます。
  143. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ただいまの改正のことはよくわかりました。私は、改正の方向について、現在建築基準法が死法化しているということは、現在の日本の都市行政あるいは住宅行政の中でやむにやまれない問題があるのではないかと思うのですね。基準法が悪いとかいいとかを抜きにして、現在の国土の情勢、また過密問題が、いろいろの都市問題というものを論じていく場合に、現在の建築基準法そのものが少し無理なんじゃないかというようにぼくは考えているのですが、そういう点を改正していくのか、さらに、現在の都市問題を推進していく上にはこのような建築のあり方ではならないので、こういった面をもっと強化して締め上げていくのだ、方向にはこういうふうな二通りあります。どっちのほうへ主力を置いて改正していくのか、その筋をひとつ。
  144. 三橋信一

    ○三橋説明員 ただいまのお尋ねごもっともでございます。何に観点を置いて改正をしていくかという点でございますが、私ども建築基準法の違反がいろいろと起こっておるその最たるものは、いわゆるこまかい住宅関係が多うございます。これにつきましては、私どもただいま住宅五カ年計画をきめましてこれを実施しておりますが、その住宅の住環境のひずみからこういうものが起こりがちであるということは、私どももいなめない事実でございます。そういう点につきましては、住宅五カ年計画を着実に実施してまいるという方面からこれを攻めてまいりたい。と同時に、都市というものを考えました場合に、建築だけでなくこれを考えるということ。やはりそれだけ取り上げたのではそのことが確実に実行しがたい。そこで、国会にも継続審査になっております都市計画法あるいは都市再開発法、これらを進めまして御解決いただきまして、そしてこれの完全な実施をはかってまいりたいというような面から、土地の利用計画等の観点からもこの建築の行政というものは攻めてまいらなければいかぬ。そういうような土地利用計画という面からの観点を持っております。そういうような前提を置きまして、これらを総合的にこの建築基準法の行政をやってまいりたいというように私どもは意図いたしまして、ただいま建築審議会にその諮問をいたし、また、それをこの次の国会には必ず出したいという方向で努力しているわけでございます。
  145. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 河川局長に何か御用があるそうでございますから、私はひとつ変わって先に質問をさせていただきます。  現在の都市行政の中で都市河川というものが問題になっておりますが、この都市河川が問題になるのは、下水道の問題も含めてこれは検討しなければならぬ。現在の下水道が整備されてないために都市河川のほうへ影響がある。そういった、都市を中心に流れておる、前後周辺を含めまして、下水道も河川法の中に含めたところの新しい考え方である都市河川法というものを私どもは考えておるのでございますが、こういった河川と下水の問題、また都市の中心を流れておる川、及びその川の周辺に及ぼす影響、そういったものを含めまして都市河川に対する新しい考え方、下水道を含めたところの考え方というものはお持ちでございましょうか、その点についてちょっと……。
  146. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 都市の中の河川対策をいろいろ講ずる場合には、当然下水道を考慮して計画を立てるわけでございます。最近都市が非常に発達してまいりますと、従来の降った雨がたんぼで遊水していたのと違いまして、急速に出てまいります。試みに東京都を見てみますと、従来たんぼであった時代、遊水地があった時代は、降った雨の六五%か七〇%ぐらいが出てきたのでございますが、最近になりますと、九〇%ないし一〇〇%近く、降雨量の大部分が一時に出てくるという状況でございます。現在でも東京都の飯田橋付近におきまして毎年浸水の被害を招いております。御指摘のように、下水道との関連で都市河川は考えていくのが当然でありますが、都市河川法という新しい法律を設けるやり方もあろうかと思いますけれども、要は、われわれとしましては、そういう施設、それらの計画に基づく施設をやっていく予算的な措置が非常に必要でございます。それと同時に、それに伴う用地の取得の問題が重要な問題でございます。これらにつきまして、われわれとしましては、都市河川等、都市計画法上に基づく決定河川といたしまして、用地の取得その他に十分考慮を払いたいというふうに考えております。
  147. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 だいぶ時間も過ぎましてお互いにおなかがすいてまいりましたので、私も簡単にやりますが、公営住宅法を改正しなければならない時点にきておると聞いておりますが、公営住宅法のどの点を改正するお考えですか。
  148. 三橋信一

    ○三橋説明員 お答え申し上げます。  公営住宅法は、御存じのとおり、昭和二十六年にできまして、それ以後若干の改正はございましたが、大きな手直しはなされておりません。当時は、どちらかと申しますと、戦災復興のための住宅というような観点からこの公営住宅が取り上げられておりましたが、いまやその時代は少し変わってきております。そこで、私どもただいま住宅対策審議会にいろいろお願いしておりますことは、第一点は、家賃の体系の問題でございます。この家賃の体系というものは、これを論じますためには、公庫公団住宅から、あるいは公共と民間の住宅から、そのバランスの問題を考えなければなりませんが、少なくとも公営住宅で救済いたします低中所得者の家賃の体系というものはどうあるべきかというようなことが第一点でございます。  その次に問題なのは、それらの家賃を取りますために、入居いたしますためにはどのくらいの入居資格、つまり入居基準、これをどう考えたらいいかという点でございます。  あと簡単に申し上げますと、そのほか大きな問題といたしましては、現在、昭和二十年終戦後から建ちました住宅は、かなり都心のいいところに平屋の住宅が建っております。これが土地の利用効率としては非常に悪い、それから家も相当いたんできておる、そういう点から、これの建てかえをどういうふうにしたらいいか、これが現在規定がございません。そういう点の問題。  さらに、家賃と申しますか、その所得がかなり高くなっても、公営住宅にそのままおられるという方がかなりございます。これはほかの住宅をお世話いたしましても、なかなか出ていただけない。そういう方々を一体どう措置したらいいかという問題、そういう問題がございます。  そのほか、この公営住宅等の維持管理の問題、ここいらが現在の法律の規定ではいろいろ足らざる面がございます。こういう点の規定を整備いたしてまいりたい。  これらを総じまして、最後の問題といたしまして、こういう公営住宅に一定の入居資格の方に適当な家賃で住んでもらうというためには、一体国が公共団体に対してどういう補助体系をとるべきであるか。その補助体系は、現在は、御存じのとおり、建設費を償却するための補助、それも地方公共団体の持ち出した分の償却のための補助という体系になっております。それらに対してどういう補助政策をとるべきであるか。  そういうようなおもな点を五つほどあげまして、これらの点に重点を置いて改正を考えてまいりたいと思っております。
  149. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最後に、これは建設大臣にお尋ねいたして私の質問を終わりますが、いま各党とも一番問題になっているのは都市問題だと思います。二十世紀後半の問題というものは、宇宙開発と都市問題であるといわれておりますけれども、自民党においてもこの都市問題に対しては真剣に取り組んでいるし、各党とも同じでありますが、わが党においてもその点についてその姿勢は前進的であります。私はこの間も各省から都市問題に対する問題点というのを見せていただいたのでありますけれども、どう見ていっても、いまの建設省だけの所管では、——もうこの複雑多岐な、公害、災害、土地問題等を含めた広大なあらゆる都市問題を解決するのには、建設省を発展的に解消して、さらにその各省にまたがっている分野を一括して——そのセクショナリズム的な弊害ということを各省とも言っておりますが、そういう点を解決するためにも、さらに一歩上級の、これは大きく包含された都市問題、国土の保全、総合計画等を問題にする国土省というような名前の省をこれから設置していかなければできないのじゃないかという気がするのであります。また、外国等の都市問題、それに対するところの所管の省の働き方、その分割等を見てみますと、そういうことになっておりますので、建設大臣が仕事をやりやすくするためにも、もっと広範な分野に問題を集結するところの国土省のようなものを設置するということをわが党では考えているのですけれども、こういう問題についてひとつ建設大臣の御見解を承っておきたいと思うのであります。いかがですか。
  150. 西村英一

    ○西村国務大臣 いまの建設行政は、いま小川さんが言われたような性格において悩んでおるわけでございます。建設省ができました時代の、とにかく建設すればいいじゃないか、コンストラクトビューロー、こういうもので出発をいたしましたが、いま建設省のほんとうの任務は、やはりそう  ではなしに、ランドビューローといいますか、国全体のことといいますか、国土全体のことを考えることにおいて意味があり、またその問題に悩んでおるわけでございまして、単に建設をするということにつきましては、もう相当な技術上の問題、あるいは、施行体制の問題からいたしましても、私たちが考えることはあまりないのであります。そういう意味におきまして、今後の都市対策に対処するということにつきましては、いまあなたがおっしゃいましたような線で進むのも一つの方法であろうと私は思っております。また、人口の現在までの過度集中、今後おそらくまだ二千万の人口がふえるであろうという、この人口をどういうふうに四つの島に受けとめるのかということを考えますと、もう少し大きい視野から考えなければならぬ、こういうことを考えますと、建設というようなことではいけないのじゃないかというようなことを私は考えております。しかし、これは私のほうの省一省でできるわけではございませんので、政府部内といたしましても相当に関係者がございますので、十分それらと討議を重ねなければならぬと思っておりますけれども、私の考えとしてはややあなたの考え方に近い考え方をいま持っておるところでありまして、はたしてこの通常国会に臨むまでにどういう線が出るか知りませんけれども、確かにいまそういう考えをいたしておるところでございます。
  151. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 以上で終わります。
  152. 森下國雄

    森下委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十二分散会      ————◇—————