○石川
委員 たいへん時間が経過いたしましたので私は簡単に質問をしたいと思っておりますが、実はきょうは、建設白書、並びに、都市政策が非常に時代の焦点といいますか、課題になっておりますから、それを中心にして、一体どう対処するのかということから聞く予定にしておったのですが、何しろ一日の
委員会ではとうていそういう質問はできませんから、結論だけを申し上
げたいと思うのです。
それはどういうことかと言うと、建設白書というのは、ことしは例年に比べてたいへん意欲的というか、よくできているし、分析も詳しく行き届いておる点は評価をするし、また、未来像というものについての現在の問題意識というものはかなり深く掘り下げてあるという感じがするわけです。そういう点で私は評価をいたします。たとえば未来像というものにつきましては、
昭和六十年の時代になりますと大体政府の資本ストックは六倍になるとか、あるいは
住宅の財産は四倍になるとか、生活水準はいまのアメリカ程度になるというようなことで、それに対する現在との調和を一体どうするのかということを比較的問題意識としては正確にとらえているのではないか、こう思うのです。ただし、具体的な問題を言いますと、たとえば自動車一台当たりの
道路粗資産、これは自動車がどんどん急増いたしておりますから、
昭和三十年代前半の水準に回復するのには五十年代の後半から六十年代まで待たなければならぬが、ただし、その間は五十兆円の投資が要るといったような書き方をしておるのです。五十兆円の投資がはたして可能かどうか、こういう点には全然触れてないわけです。したがって、私は、この建設白書というものを見たときに、問題意識としてはかなり突っ込んだ書き方をしているし、将来にバラ色の夢を描くのではなくて、それに対する現在との調和を一体どうするかということは認めますけれ
ども、問題意識が強くて、政策意識が欠けているという点を指摘しなければいかぬと思うのです。そういう点については、
道路の問題についても、
住宅の問題についても、
河川の問題についても、いろいろ各部署にわたってたくさんの問題をかかえております。その点については
あとでまた機会を見て、具体的に、来年度の政策は一体どうするのかという問題をひとつ聞きたいと思っておったわけですけれ
ども、同時に、都市政策というものはたいへん大きな問題になろうとしておりますけれ
ども、この都市化の現象というのは大体イギリスの三倍の速度になっている、したがって、ヨーロッパの水準というか、ヨーロッパの
あとを追っかけるようなことでなくて、
日本独自の方法を考え出さなければならぬということを書いておりながら、やはりそれの具体的な構想というものが欠けておる。したがって、来年度一体
——一年おくれればおくれるごとにたいへん困難になってくる都市再開発の問題あるいは都市政策の問題について、一体どうわれわれは対処するんだ、いましなければならぬということが、この建設白書では非常に欠けておるのではないかという点で、このままいったのではどんどん立ちおくれていって、とんでもない都市過密化によるところの人間性喪失の問題が出てくるんじゃないかということを私は懸念するわけです。私は、都市政策の基本のかまえは一体どうするんだということになりますと、やはり喪失しつつあるところの人間性を回復するということを基本として政策を立てなければならぬ、この点が忘れられておる一番大きな焦点じゃないかと思うのです。
それから、自民党の中に田中
委員会というのがありまして、都市政策について真剣に取り組んでいるのは非常にけっこうです。私もそれを拝見いたしておりますけれ
ども、実は肝心なところで非常に大きな問題点があるのではないかと思っています。それはどういうことかと言うと、公益は私益に優先するのだという考え方をしております。これは戦争中よく使われたことばです。私は、もちろん、土地の所有の問題や何かは、ああした私権を制限するという大胆な政策が必要だとは思っております。思っておりますけれ
ども、わずか五十坪の土地に三十坪のうちを建てて住んでいる人、これも私権です。こういうことを十ぱ一からげにしては、公益優先ということから生ずるところのやはりいろいろな問題点が出てくる危険性が多い。これは私は、戦争中によく言い古されたスローガンであるから、一がいにこれを否定するという感情的な反発をしようと思っているのではないのです。そうではなくて、都市問題のためには、公害の問題、
道路の問題、
住宅の問題を含めて、公共性は利潤に優先をする、こういう基点で出発をしなければ、都市政策というものは誤りを来たすのではないか。その点で、公益が私益に優先するという考え方ではなしに、公共性は利潤に優先をするのだ、こういう考え方を基点として都市政策というものを急速に進めていく必要がある、こういう考え方を持って、そういう点から具体的にいろいろ伺いたかったわけなんでございますけれ
ども、実は時間がありませんから、そういう
意見を申し上げるにとどめておきます。
それから、実はこういった地方の問題で
公団の
方々にいままでお待たせをいたしまして、たいへん恐縮に思っております。それは茨城県の石岡の柏原工業団地の問題でございます。ただ、なぜ私がこの一地方の問題を取り上げてあえてここに質問しようとしておるかという点は、実はその近所に、筑波学園都市の大きな国家的な構想が生まれようとしておるわけなんです。この柏原工業団地の問題がいろいろ
渋滞をすることは、ひいては筑波学園都市にかなりの影響を与える。こういう心配があるものですから私はこれを取り上
げたという点を御了解願いたいと思うし、同時に、私は、何も反対派の立場に立って、この反対派の言い分が正しいということを主張するつもりは毛頭ないのです。そういうことではなくて、そういう問題が円満に解決されないようでは困るという配慮から私は質問しようとしておるわけでございますから、その点も誤解のないように願いたいと思うのです。
実はいろいろな経過を申し上げますと非常にくどくなりますし、また時間を浪費いたしますから省略いたしますけれ
ども、大体これは三月の九日に収用の告示をやっておりますね。それから反対派の連中が柏原工業団地連絡協議会というものをつくって、青柳新平さんという人が代表になって
——相当多くの土地を青柳さんという方は個人で所有されておる。青柳さん個人のところにだけ収用告示あるいは収用裁定の申請がされようとしている点もちょっと不審の点でありますけれ
ども、そういうことで、収用告示が行なわれて、その
あとで五月の八日に覚え書きが出ておる。それから六月の三日に調停書が出ております。調停書の内容を見ますと、被買収面積の西南部については三五%を代替地とする、あるいはまた、工業団地の北東部周辺土地の代替地については、買収面積の八三%を代替地として充てる。こういうふうな調停書が出ておるわけです。また、覚え書きも出ておるわけでございますけれ
ども、これは結局その話し合いというものが不調ということで、一方的に市のほうから破棄されたという形になっておるわけです。
そこで私は非常にふしぎだと思うのは、質問の第一点は、収用告示をしてから覚え書きがかわされ、調停書がかわされるというふうなことは、どう考えても順序が逆なのではないか。覚え書きとか調停書というものは、収用告示が出る前に当然これは出されて、とことんまでの話し合いがされるべきではなかっただろうかという順序の問題であります。
それから、九月の九日には、市長室でもって、大和田市長とか、副知事とか、地主の代表とか、市
会議員の代表とか、あるいはもとの市長さんとか、そういうことで九月の五日までには代替地を買うというふうな何か確約めいたことをやっておったわけでありますけれ
ども、これも不調に終わっておる。そして九月二十七日には市議会があって、野口助役が
——石岡市の助役でありますけれ
ども、土地収用を待たないで円満に解決をしようということになっておる。ところが、そういう口のかわかないうちに、収用をかけるぞという態度が
公団のほうから出ておるわけなんです。私は、なるほど不当な反対ということであるならば、これは収用をかけることもやむを得ない場合もあると思うのでありますけれ
ども、実は石岡市の開発公社のやり方が、地元の人に聞きますと
——私は選挙区じゃありませんから、地元に行ったわけでもありませんし、地元のほうからの連絡に基づいて話をしておるわけでありますから、詳細なことはつまびらかにできないわけでありますけれ
ども、これはむしろ丹羽さんのほうの
関係なんですが、政治的な背景がかなりあるように思うわけです。そういうこともわからないわけじゃありませんけれ
ども、たとえば三十九年三月十九日に百九十三万で公社が買い上
げた土地が、
住宅に不適地だということで転売、転売、転売ということになって、元の地主から告訴が出た。あわてて開発公社がまた自分のところに買い戻したという
事件がある。買い戻したときの値段は一体幾らだ。四百五十万だ。こんなばか
げたことをやって、しかも不動産
業者と非常に乱脈な
関係があるということも聞いております。そういうような乱脈な
関係といいますか、ずさんなやり方をしておった市開発公社に対する不信感というものはかなりあるわけです。そういう不信感というものが前提になってなかなか買収作業が進捗しないのではないかという点が多々あるわけなんですが、市開発公社の問題は個々の問題ではないと思うのです。
建設省で
あとで機会があったらよくお調べ願いたいと思っておりますけれ
ども、そういうふうな
状態で不信感があって、しかも調停書が収用告示があってから出て、しかもそれが一方的に破棄された。必ず果たすという約束が、両方の合意の上で破棄されたわけではない、一方的に破棄された。破棄された上で、今度は収用をかけるぞ、伝家の宝刀を抜くぞという姿勢を示していることは、ちょっと軽率じゃないか。と申しますことは、土地収用法は、この前の通常国会でもって、われわれは、非常に問題点がある、土地収用法を改正することは、収用権の強化、強権をいたずらに強めるだけだというような点で非常に疑問がある。これは地価を押えるということの関連において考えるということではないので、そういう効果はほとんど
期待できないじゃないか、したがって、この土地収用の適用ということについては今後は非常に慎重に考えてもらわなければその力が強化されただけに、問題がある。したがって、今度の場合は、私は現地の事情がよくわかりませんし、何とも言えないところもありますけれ
ども、どうもいきさつを聞いた範囲内、あちらこちらの
意見を聞いた範囲内では、いま土地収用をかけるということはちょっと不当じゃないか、いま少し詰めた話をすべきじゃないか、そういうふうな乱用をすべきではないのではないかという感じがするわけです。調停書が出て、覚え書きがかわされて、約束も守られないで、間もなく強制収用だ、そういうようなかっこうになっておるように思うのですが、その点のいきさつを御
説明いただきたい。と同時に、これは
あと一回再検討してもらいたい。そう簡単に土地収用というものはかけるべきではないのではないかという感じがするものですから、わざわざおいでをいただいたわけです。