○
池田(禎)
委員 私は特に申し上げておきますが、
衆議院の副
議長が
入閣をしてはならない、こういうことを言うものではございません。その識見と力量というものを買われて
行政府にタッチすることも私は
異論はない。ただその場合に、この
衆議院みずからがどういうことを多年唱えてまいったでありましょうか。
憲法第四十一条は「
国会は、
国権の
最高機関であって、国の唯一の
立法機関である。」この
憲法の条章というものをわれわれが世々体得いたしまして、そうして
国会の
権威をどうすれば高めることができるかということで、
歴代の
議長、副
議長を入れ、すべての
議員が相協力をしてこの
国権の
最高機関たる
国会にふさわしい
権威をつくろうとして努力してまいったのであります。しかるに、今度の副
議長の
入閣のごときは、対社会的に見るならば、全く喜々として、喜び勇んで
入閣をした、さような印象も、漫然としてでなくして、明らかに新聞その他を通じてあらわれておるのであります。それでは、
歴代の
議長、副
議長が、あるいは全
議員が
国権の
最高機関の
権威を高めなければならないと言いつつも、みずから
行政府の下に隷属することを天下に公表するものであります。私はまことにもって遺憾千万である。少なくとも
内閣からそういう
交渉がなかったとするならば、院の
議長としては、
個人に対して
交渉があったとしても、
衆議院の副
議長を
入閣せしむる場合においては
行政府はいかなる
態度をもってこれを迎えんとするものであるか、これだけの、言うならば三顧の礼をもってするだけの礼儀を尽くし、
国権の
最高機関の
権威を認めるというだけのものがあるならば、私はこれもけっこうなことだと思うが、そういうものもなくして、これをただ単に、二年間も三代の
議長に仕えた副
議長の
一身上のことであるから、それ以上は言えなかったということ、これは
個人としてはさようであろうとも、
衆議院の
議長としては私は断じて許すことができない、かように思っておるのであります。したがいまして、この院としては、われわれはこれからどうあるべきか。
国権の
最高機関などと言える
理由はない。
国会の
権威を高めるというようなことをみずから葬るような事態を招来している、かようにさえ
各党は思っているのであります。その中で、自由民主党は与党であるから、
政党政治のたてまえから、総裁から
入閣を求められるならばしかたがないというお
考えを持つかもしれませんが、それは
憲法の精神である
三権分立の中における
国会の
権威というものをみずから卑下するものである、みずからが
自分たちの
地位々低下せしめているのであります。このことはどうしても私は許されないと思うのであります。したがって、その
経過措置のことは、社会党の
諸君は承ったと言いましたが、私の聞きます範囲においては、
各党の
議運の
理事をお呼びになったけれ
ども、おる人もおる、おらなかった人もおる。ある
政党においては、
議員でなく、
事務局長が代行して承っておる。さようなことすらあるのであります。私はその点もまことに遺憾至極であると思っている。そういう点の
了解を求
めんとするならば、あなたは
国会の中においては常に
各党の
国会対策委員長であろうと
書記長であろうと、自由に喚問なさって
意見を聞き、
国会の
運営をスムーズになさることを念願されるとすれば、なぜ堂々と
各党の幹部を招致して、
内閣よりこういう何があったんだ、たとえこれは副
議長個人の問題であっても、これはどう思うか、そのくらいの御
相談があってしかるべきである。それはいいことではないか、
行政府がそれほどの礼をもって尽くすならば、
議会としてもこれを認めるにやぶさかでない、こういうお取りつけくらいはあってしかるべきではないかと、私は
個人では
判断するのでございます。したがいまして、こういうことにつきまして、私
どもは、今後の
国会をどうするかということにつき深き
関心を持つならば、
議長としての所信をこの際承りたい、かように思うのであります。