○
小沢(貞)
委員 そこに
資料1というものを渡してあるから、ちょっとごらんいただきたいと思うわけです。一般
農薬によって、水が
水銀でどういうように汚染されるか、これは、農林省からいつかいただいた本からとりました。上のグラフを見ると、「
河川に含まれる
水銀量(千曲川)(農村医学研究所
調査)」こういうものです。これはそこに出ているように、台風のときピークになっておる、こういうわけです。それから、そのピークのときにはどのくらい
水銀が
流れているかという
データは、上の図表の左の上に書いてあるように九ガンマ・パー・リットル、下のほうの「農業用水に含まれる
水銀量」、これも台風とか雨だとかいろいろありますけれども、この
データによると、ピークは約二十ガンマ・パー・リットル、こういうように出ておるわけです。これは一般
農薬によって
水銀が
河川を汚染しているその量を、ほかにあまり
資料がなかったので、この若月
先生の表を持ってきたわけです。これを平均してみまして、
阿賀野川に魚が浮いた、病人が出てきたというような時期の雨の量なんかを計算すると、この時分は一番たくさん雨が降ったわけです。それで一応私の仮定で十ガンマ・パー・リットルというように計算をいたしますと、こまかい計算を私ここで申し上げませんけれども、いまの七百五十億分の一よりははるかに大きい。これは
水銀トータル量でここに出してあります。それをメチルに私が換算をしてやると七百五十億分の一以上はるかに多い。ちょっと私、単位を
一つ間違えているのかどうかわかりませんが、倍になるのか二十倍になるのか、いまどうしても小数点が
一つ合わないので、これは
あとで計算していただけばいいのですが、いずれにしても、鹿瀬電工が流したであろうという、これは全くの想定ですが、流したという
メチル水銀よりははるかに多い量が、この台風によって、
農薬によって川をとうとうと
流れておる、こういうことです。兵庫県あたりでコウノトリが死んでしまったとかいう話を聞いた。
農薬による被害はたくさん出ております。あるいは米の中の残留
水銀量がどうだとか、そして、最近農林省は、
水銀の
農薬について禁止措置まではしないらしいけれども、
厚生省からの意見によって、これはだんだん指導によって
水銀でない
農薬にかえていこう、こういうようなことで、もう
農薬に関する被害については、私はここでつけ加えようとはしませんけれども、私がしろうとなりに、若月
先生の
資料と、いま
疫学班が出されたところの具体的な数量とを
比較した場合に、
メチル水銀において、
農薬でこういうように
流れているほうがはるかに多い、こういうことがわかったわけです。このことについて私はお尋ねをしますけれども、
最初に一点だけでいいですが、もう大臣が来ましたから大臣に
質問を移しますから……。それじゃ途中からですけれども、大臣に、この前、
公害対策委員会で私のお尋ねした
阿賀野川水銀問題でお尋ねしたいと思います。
最近、
厚生省が
結論らしいものを出しまして、
科学技術庁に提出されたその内容は、
食品衛生調査会の
結論に対してつけ加える意見なし、こういうようなことです。だけれども、あの中に具体的に
工場の名前等が入っておりますので、そういうことは全然公害の原則からいって
——私も、公害の問題について、あるいは
工場排水に関して若干研究した者ですが、七十キロも
上流のところの汚染された水をサイホンで持ってくるとか、あるいはそこで水を飲んだ魚がトビウオのように七十キロも飛んできて下へ行って浮き上がる、こういう現象でもない限り、ああいう
厚生省の
結論にはならぬ。こういうように
最初から
質問をしておるわけですが、そういうことです。しかも、ああいう
結論を出す中において、事実
誤認がたくさんあった。朝日新聞の
社説にもあるように、「
不備だった
原因調査」という中で、三項目も四項目も朝日新聞はあげておるわけです。しかし、そういう
過程を
一つ一つ訂正をしながらきたけれども、この間
食品衛生調査会で
結論を出して
厚生省が
科学技術庁へ出した
あとからも、きょう大臣の来る前に私、
質問したけれども、
新井郷川から
阿賀野川に水が
流れておったのを、
疫学班は、
阿賀野川から水が
新井郷川に
流れておったというふうに重大な事実
誤認もやっております。
生産量等についてもしかりであります。
中和沈でん槽等も文学的
表現であって、これに科学的な根拠はありません。あるいは
ボタ山の
水銀は、という
比較をしておりますけれども、有機
水銀と
無機水銀とこんがらかったような
答弁をこの前の環境衛生
局長はしております。したがって、ここはまず
最初から
調査をしなければならない対象の
一つであった。
調査が不十分であったという意味のことを先ほど
厚生省で言われました。
それから、いま
一つ新しい事実として、この被害地のすぐ近くの、十キロか十一、二キロ離れたところに
農薬をつくっている会社があるわけです。有機
水銀ばかり大量につくっている有名な会社です。そこでは、先ほども
厚生省にお尋ねをしましたけれども、廃液を地下へ入れているわけです。そこで、それは毒物及び劇物取締法の取り締まりを受けているかどうかと言ったら、よくはわからぬという
答弁です。それで、このものの行くえを追及したかと言ったら、これもやってないという
答弁です。
地震当時に、その地下水がふき出てきて
付近がクイックサンド現象を起こしたという重大な問題がありました。いま大臣に再びそれを
説明しようと思いませんけれども、この被害が出ている
まん中に有機
水銀をつくっている化学
工場の廃液の追及というものをやってはいないわけです。私は、この廃液が地下水となって、
加治川から
新井郷川、
阿賀野川を汚染したというように見るわけですけれども、そういうものについても追及してありません。いま大臣が来る前に
説明が始まったのは、
資料1というもので、
農薬の中に含まれている、日ごろ川の中を
流れる
農薬の中に含まれている
——これはメチルに換算してですよ。これはトータル
水銀で出ておりますけれども、メチルに換算して、一応疑いをかけた鹿瀬電工が流しておったと
疫学班が言っている百五十キログラム・パー・イヤー、一年間百五十キログラムくらい
メチル水銀を流したのじゃないか、そういう推定をば
疫学班がしておるわけです。その
疫学班が推定している量よりも、毎日
農薬によって
河川を汚染をしている
メチル水銀の量のほうがはるかに多いわけです。このことについて
調査をしましたかという
質問をしかけたところへ大臣が来られたので、大臣にその事実だけを申し上げますが、
厚生省ではこれを調べてはありません。それから、
あとで、大臣お帰りになってから申し上げるが、
農薬を調べたと言うけれども、これから
質問をすれば、
一つも調べてないという事実がわかりますが、これもまた、
地震のときにはこの倉庫に八千トンもあったと称する
農薬の行くえについてはまだ調べてないわけです。これは大臣が帰った
あとで
厚生省を十分追及します。そういうような幾多の要因に対して
調査不十分のまま、
偏見を持って
厚生省は
結論を出しておるわけです。このことを私は捨てておけないと思うので、ここで大臣にお願いしたいことは、そういう全く誤謬と
偏見と
調査不十分の中で
結論を出した
厚生省の
結論に対して、いまも
答弁が全部できていないわけです。だから、
科学技術庁は、しかるべく技術陣を立てて再
調査をしていただきたい、こういうことを申し上げているわけです。これは内容について全部詳しく大臣に申し上げれば、大臣はなるほどとわかっていただけると思いますけれども、それは議事録で
あとから
局長からでも聞いていただきたいのですが、重大な事実
誤認が四つも五つもある。しかも、その上に、
調査不十分が、いま申し上げただけでも三つも四つもある。そういう上でああいう
結論を出した。なぜそういう
結論を出したかは、そこに新聞を配ってありますから、見ていただけばわかります。有機
水銀中毒事件などと、こういうことを発表したのが昭和四十年の四月十六日だと思います。そのときに、その二、三日後に、もう新潟県の
疫学班の班員である北野衛生部長は、
農薬に
原因はなしということを
発言しているわけです。だから、これらの一連の新聞記事をもってしても、
偏見を持って捜査をしたのだ、こういうようにしかわれわれはどうにも理解ができないわけです。そこで大臣、私は率直に言って、この誤謬や
偏見の
調査については、十分慎重に、新たな立場から検討をしていただきたい、こういうことを申し上げるわけです。この前申し上げましたように、そういうことで病人をほっておいてはいけませんから、これは各省庁にひとつ連絡をして、病人の対策は十分立てて、
原因については十分追及していただきたい。もしこれが
厚生省の意見になるならば私は重大なことになると思います。七百五十億分の一の
メチル水銀をどういうように規制するかという問題と、現に操業している
工場をいつどうやって停止させるか、こういう問題にもなってまいります。したがって、全く罪のないものにぬれぎぬを着せた、そういう
結論に基づいて
科学技術庁が出していただきたくない、こういうことを申し上げて、ひとつ大臣の御所見を承わりたいと思います。