○山口
説明員 先ほどの
局長の答弁に対しまして、若干補足をさせていただきます。
現在大
都市の
交通問題につきましては、先ほど
先生御指摘のございましたように、
地下鉄を中心とする高速
鉄道をもってしなければ
都市の通勤
輸送、通学
輸送その他をまかなうことができないわけでございまして、現在国として
地下鉄の
整備促進に力を注いでいるわけでございます。この
地下鉄の
整備につきましては、一番の問題は、この建設にばく大な資金を要するということでございまして、この結果、これに伴うところの資本費が非常に膨大なものに相なる。したがいまして、その利子負担並びに減価償却等の資本費によりまして企業の
経営が非常に圧迫をされて、そのために
地下鉄建設の促進が非常に困難になるというところであろうと思います。
それで、現在
地下鉄建設の規模は、先ほど
先生が御指摘になりました七千七百数十億というのは、先般
都市交通審議会で審議をした数字でございますが、その後経済発展計画によりまして若干の修正的な点がございますが、いずれにいたしましても六千億以上の規模の
地下鉄工事が行なわれるわけでございます。そこで、その資本費が非常にばく大でございますと、その事業を
経営いたしまするところの企業体の収支の内容はどういうふうになっていくかということを
考えてみますと、建設費が非常に膨大でございますから、これに伴いますところの資本費が非常に多くなる。一方、収入の面を見ますと、
地下鉄を建設したからといって、すぐその日からばく大な旅客がふえ、ばく大な収入があがるというわけではございませんで、次第に旅客がふえ、収入がふえていくというような
状況になります。したがいまして、建設当時は非常な赤字を持ちまして、その後収入の増大によりましてだんだん赤字が減っていくというような
状態になります。これは
地下鉄に限らず、
鉄道事業一般の趨勢でございまするけれ
ども、
地下鉄の場合には特にその趨勢がひどいわけでございます。その場合に、もう少しこまかくこれを分析してみますと、建設当時は収入をもっていたしまして、通常の経費それから利子、減価償却費、こういうふうに経費を分けて
考えてみますと、通常の経費はかりにまかなうにいたしましても、利子負担はまかなえないということになりまして、減価償却ももちろんなし得ない、こういう
状態になります。その場合には減価償却がゼロでございまして、さらに償却以前に不足が生ずるということになります。この償却前の不足というものは、結局収入が全然ないわけでございますから、したがいまして、この不足金を埋めるためにさらに借金をし、それに対してさらに利息を払わなければならない、こういうような
事態になりまして、このような
事態におきましては、たとえ公営企業等のものでありましてもとうていやっていけないということになるわけでございまして、これを何とかしなければならぬ、こういう前提がございます。
そこで
地下鉄助成は、それじゃどうしたらよいかということを
考えます場合に、まず第一に私
ども考えなければならぬと思いますのは、
地下鉄は現在、
東京都、大阪市、名古屋市、それに帝都高速度
交通営団、四企業体が建設をいたしております。各企業体の内部的な
事情によっても違いますし、また各企業体の
経営しておりまする路線の立地条件、並びにお客の数というようなことによっても違います。また、各企業体の
経営内容におきますところの
人員の数あるいは人件費の問題——人件費の非常に高いところもございますし、比較的人件費を節約してやっているところもございます。そういう各企業体のいろいろな
事情の違いがございます。ところが私
ども国の政策として、税金でもって補助金を出すという以上は、これはそういう企業体の違いというものでなくして、やはり統一的な制度でもって補助金を交付するということによって、先ほど申したような非常に困難な
事態を乗り切るということが必要であろうというふうに
考えまして、そのために、
地下鉄の建設を促進するための統一的な補助制度は何かということを
考えざるを得ないわけでございます。
そこでその場合に、先ほど申しましたような企業体別のいろいろな違いというものを一応捨象するという
意味におきまして、特定のモデル的な
線路を選んで、そしてそのモデル的な
線路において、それにモデル的な建設費を選び、そしてモデル的な旅客
輸送人員というものを選び、そして旅客収入というものを選ぶ、さらにそのモデル的な線区におけるところの人件費、動力費、減価償却費、その他の経費の試算をするということをいたしますと、当該モデル的な路線においては、建設後どういう
状況になって将来推移するかということが一応把握できるわけでございます。
そこで私
どもは、先般の、ことしから始めていただきました助成制度におきましては、そういうモデル的な試算というものをいたしまして、そのモデル的な試算におきまして、先ほどちょっと触れました、償却前の赤字というものを一応補助金でもってカバーをするというやり方をとるということにいたしたわけでございまして、そうしてこれによりますと、償却前の赤字というものがとにかく補助をされますから、したがいまして、そこでは赤字が生じない。赤字の部分は減価償却部分だけでございます。その減価償却部分につきましては、収入が次第にふえてまいりますと、一定の時点におきまして減価償却を含めた支出というものと収入が一致するような時点に到達いたします。それ以降は減価償却をなし得るというような
事態に相なるわけであります。したがいまして、そういうような助成方策をかりにとるならば、償却前の赤字のために利子が利子を生むというようなことがなくなる。したがいまして、非常に長期に見るならば、
地下鉄建設というものは促進をされる、まあ償却前の赤字によって妨害されることがない、こういうような前提に立ちまして、こういう補助制度を現在政府の態度として決定をいたしまして、これに基づきまして第一年度は十八億幾ら、以下累増をする、こういうふうに
考えておるわけでございます。したがいまして、今回のこの補助制度には、もちろん前提がございます。各企業体の違いというものを一応捨象いたしまして、少なくとも平均的な能率のもとで平均的な建設が行なわれるということならば、これでもって建設ができるはずである、こういう前提に立ちまして、この助成計画というものを
考えているわけでございます。
あと具体的な各
都市の
事情、企業体の
事情ということによりまして、若干その点平均的にはいかないというような御
事情がある場合もあろうかと思いますが、私
どもといたしましては、全般として、各
都市は各
都市の特異性というものを克服をし、あるいは合理的な
経営その他の方策によりまして克服をいたしまして、建設を促進していただくということが一番適当ではないか、このように
考えておる次第でございます。
ちょっと補足をさせていただきました。