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1967-09-11 第56回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年九月十一日(月曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大久保武雄君 理事 進藤 一馬君    理事 古川 丈吉君 理事 井岡 大治君    理事 河村  勝君       中川 一郎君    水野  清君       堀川 恭平君    山村新治郎君       小川 三男君    木原  実君       野間千代三君    渡辺 芳男君       山下 榮二君    松本 忠助君  委員外出席者         警察庁交通局長 鈴木 光一君         大蔵省主計局主         計官      丸山 英人君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 山口 真弘君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君         運輸省航空局長 澤  雄次君         自治省財政局公         営企業第一課長 近藤 隆之君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     仁杉  巖君         (参考人)         新東京国際空港         公団総裁   今井 栄文君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 九月十一日  委員米田東吾辞任につき、その補欠として木  原実君が議長指名委員に選任された。 同日  委員木原実辞任につき、その補欠として米田  東吾君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 八月十八日  一、陸運に関する件  二、海運に関する件  三、航空に関する件  四、日本国有鉄道経営に関する件  五、港湾に関する件  六、海上保安に関する件  七、観光に関する件  八、気象に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件(都市交通に関する問題等)  航空に関する件(新東京国際空港に関する問  題)  日本国有鉄道経営に関する件(新潟山形地  方における集中豪雨による輸送施設被害状況  及び常磐線柏我孫子間における列車脱線事故  に関する問題)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  去る八月二十七日の常磐線柏我孫子駅間における列車脱線事故概要及び八月二十八日の新潟地方集中豪雨による日本国有鉄道被害状況について、説明を聴取します。磯崎国鉄総裁
  3. 磯崎叡

    磯崎説明員 お許しを得まして私から御報告申し上げます。  お手元資料をお配りをいたしておきましたので、これに基づいて御説明をさせていただきます。  まず第一の、八月二十七日の常磐線の柏−我孫子駅間におきます列車脱線事故について申し上げます。図面がその資料の一番うしろについておりますので、図面ごらんになりながらお聞き取り願いたいと思います。  発生日時は、昭和四十二年八月二十七日の午後七時十三分。天候は晴れでございます。場所は、常磐線の柏−我孫子間の二十八キロ九百七十九メートル。列車は、二二七五列車でございます。  原因は、現在脱線しました列車車両その他を鉄道技術研究所において詳細に検討中でございますので、まだはっきりは申し上げられませんが、後ほど大体推定原因は申し上げるつもりでございます。  概況は、この列車は柏駅を定時で出発いたしまして、二十八キロ付近時速約五十七キロのときに惰行運転に移りまして、そして二十八キロ六百五十付近機関助士後部を反顧いたしました際には異状はございませんでした。その後二十九キロ六百付近惰行運転進行中に、後部から非常ブレーキがかかりまして、火花が出ましたので、直ちに機関士制動レバーをとりました。常磐線は現在列車無線を置いておりますので、すぐ列車無線から発報信号——非常信号でございますが、発報信号を発信いたしますとともに、車両用信号炎管をともしまして、約二百メートル進行いたしたわけでございます。対向の上り本線の四八四列車は、発報信号を受けまして直ちに我孫子駅でとまって事なきを得たわけでございます。  調査いたしましたところ、前から三両目の貨車と五両目の貨車の間が約四十メートル分離いたしまして、四両目から十三両目までの貨車十両は脱線転覆いたしました。  東京鉄道局におきましては、直ちに現地復旧対策本部を設けまして、翌日の昼までかかりまして復旧いたした次第でございます。  四ページに、「脱線順序推定」と書いてございますが、これは上野方から参りまして、十ミリの勾配を下りまして、そしてレベル区間に入りまして、その次に十ミリの勾配で上る、こういう線路の地形でございますが、この脱線の地点から踏切までの枕木に残りました痕跡は一条でございます。最初脱線いたしました車両について、いろいろ原因はどれであるかということについて検討いたしました結果、車両破損状況あるいは五両目の貨車進行前軸と車体との間に踏切の板がひっかかっておったということで、新聞紙上等では何か踏切整備が悪くてひっかかったというふうに書いてございますが、これは全くの誤報でございまして、下り勾配からレベルに入って上り勾配にかかります際の貨車線路との競合、しかもこれは六百メートルというカーブで、それほど大きいカーブではございません。後部からの押す力と、それから機関車の重さとの関係競合脱線というふうに考えざるを得ないというふうに思います。  この車両線路との競合脱線につきましては、過般の鶴見事故以来、国鉄のみならず学界の権威の方々にも集まっていただきましていろいろ検討中でございますが、たまたま数百万回に一回ぐらいこういう結果が出てくるということで、まだ確定的に、どういう事態になったらこういう競合脱線が起こるかということについては、正確な原因の追究ができておりません。これは世界各国とも同じでございますが、私どもといたしましては、ただ理論上の推定だけではだめだということで、本年から北海道狩勝峠におきまして、幸い鉄道のバイパスができまして、旧狩勝峠の非常に勾配カーブのきつい線路が不要になりましたので、その線路脱線試験線区というふうにいたしまして、実は昨日も第二回の試験をいたしましたけれども、現実の車を脱線さしてみる、それをビデオテープその他詳細に科学的に検討いたしまして、こういった競合脱線原因を徹底的に追究するという初めての試みを現在やっておる最中でございます。去る六月以来、いろいろな貨車につきまして、いろいろな状態を現出いたしまして脱線試験をいたしました。中には脱線する場合もあれば、脱線しない場合もある。ビデオテープその他によりましてもまだ明白にはなっておりませんが、何とか北海道脱線試験設備におきましてこういった原因の究明をいたしたいというふうに思っておる次第でございます。  たいへん申しわけない次第でございますが、以上をもちまして常磐線事故の御報告を終わります。  次は、去る八月二十八日から二十九日の払暁にかけましての新潟県、山形県の集中豪雨被害状況でございます。  御承知のとおり、この害につきましてはすでに先生方よく御承知で、国会からも先生方おいでになっておりますので概略はもう省略申し上げますが、八月二十八日午後からの新潟県、山形県の集中豪雨はまれに見る大きなものでございまして、お手元に当時の鉄道被害写真をお届けいたしておりますが、想像に絶するような集中豪雨がありました。ことに山形県の小国におきましては四百ミリをこす集中豪雨がありまして、私どもでもあまり経験のなかった雨でございます。  さらに、御案内のとおり、新潟県の加治川が再び決壊いたしまして、私どものほうの白新線が非常に低いところでございますので、これがやはり加治川はんらんのためにやられたというふうに、非常に国鉄にとりましても被害が甚大で、現時点で約四十億ぐらいの被害というふうに推定いたしております。  一ページに当時からの線路不通状況その他を簡単に表にいたしてございますが、一番下の欄の右から三つ目に、被害の箇所の合計が二百十四カ所とございますが、ほとんど河川はんらん増水の結果でございまして、非常に私どもといたしましても、鉄道の手の及ばない河川原因によりまして、これほど大きな被害を受けたということは、非常に残念に思っている次第でございます。二百十四個所で非常に突然の雨のために、十数本の列車がとりこになった。現時点で、けさの八時現在の不通区間数をあげてございますが、上から二番目の米坂線が十四区間、それから長井線が一区間、それから二つ飛びまして赤谷線が二区間合計十七区間でございます。赤谷線の二区間は本日の午後五時に開通する予定でございます。  次に、各大きな線別列車運転状況開通見込みを申し上げますと、まず羽越線につきましては坂町付近が非常にひどくやられまして、最後まで坂町のすぐ北、坂町と平林という駅の間が残りましたが、去る九月五日の二十三時四十分に全線開通いたしました。  それから磐越要線、すなわち新潟から郡山を経て福島に至る磐越西線につきましても、非常に大きな石ころが落ちておりまして、被害も大きかったところでございますが、これは九月九日五時五十九分に全線開通いたしました。赤谷線は、先ほど申しましたとおり、きょうの午後七時に全線開通いたします。それから長井線は、これは山形県でございますが、赤湯と鮎貝の間は運転いたしております。鮎貝と荒砥の間は、一区間でございますが、まだ全然全列車運転休止いたしております。これは現在山形交通バス連絡いたしておりまして、大体九月十五日には開通する見込みでございます。  一番被害を受けましたのは荒川沿い米坂線でございまして、これは御承知のとおり荒川という非常に曲がりくねった川の川沿いにできまして、山形県と新潟県の県境を横断して日本海に注ぐ川でございます。この荒川増水が非常に激しくて、写真ごらんのとおり、全線もうほとんどあとかたを残さないまでの大きな被害になっております。過般、先週の金曜日、九月八日に山形県知事新潟県知事、両県知事国会おいでになったついでに私のほうにもおいでくださいまして、私どもの幹部と約一時間いろいろ復旧問題について御協議申し上げ、またいろいろお世話になった点の御礼も申し上げた次第でございます。現時点におきます米坂線見込みを申し上げますと、そこに書きましたとおり、簡単な米坂線だけの略図を掲げてございます。  山形県側から申しますと、米坂線と申しますのは、いま申しましたとおり、荒川沿い米沢から新潟県の坂町に通じる横断の鉄道でございます。山形県の米沢今泉間はすぐ復旧いたしましたが、今泉からずっと順を追って左のほうに申し上げますと、今泉羽前椿の間は九月八日六時五十五分に開通いたしました。それから羽前椿から一駅の手ノ子までは、九月八日十五時土十六分に開通いたしました。それから手ノ子から羽前沼沢まで、これは九月十日、昨日の十七時七分に開通いたしました。沼沢と問題の小国でございますが、沼沢小国間は非常に鉄橋の多い個所でございます。私どものほうの二十三連のけたが全部流れてしまっております。とてもいまつくっても間に合いませんので、現在全国から二十三連のけたを集めております。東海道線その他に使用すべきものを緊急にここに集め、また建設公団にも申しまして、手持ちのけたをもらって、現在現地輸送している最中であります。小国は御承知のとおり、冬季間非常に雪の療いところでございます。例年大体十二月中旬ごろには道路交通途絶するというふうな区間であります。国道百十三号線も、たとえ開通しても通れないというふうな状況だそうでございます。しかし、まず沼沢から伊佐領と申します一駅だけは九月二十日に開通いたす予定でございます。ただ伊佐領から小国までの間は、いま申しましたとおり、鉄橋その他の関係復旧に非常に時間がかかりますが、しかし何とでもして小国までは冬期間までにはぜひ通したい。また地元の知事あるいは現地の陳情の方も見えましたが、何とか小国まで通してほしいという強い御要望もございまして、私のほうでは全力をあげて現在、鉄道局でなしに、盛岡工事局と申しますこの付近複線化をやっている工事局全力をこちらにさきまして、そして盛岡工事局の手で伊佐領小国間を何とか十二月中旬までには、雪のひどくなるまでには開通させたいという見込みでございます。それまでは、この間、道路のほうはどちらかと申しますと事情がいいようでございますので、道路復旧次第、私どもバスの基地が小国にございますので、国鉄バスによりまして小国伊佐領間の道路連絡をいたしたい。そして小国まではとにもかくにも道路が通り次第交通復旧するようにいたしたい、こういうふうに考えております。  それからずっと新潟県のほうに参りまして、小国越後金丸問、これは現時点では全く復旧見通しが立っておりません。非常に山の中でございまして、道路もございませんし、いま小国金丸間は本年中には復旧がむずかしいというふうに考えております。ことに冬になりますと雪が降りまして、ほとんどこの区間工事はもちろんできませんので、私のほうでは、小国までの全通、新潟県からは金丸までの開通ということを目途にいたしまして、小国金丸間の直通輸送は来年まであきらめるというふうにいたさざるを得ないというふうに考えております。  それから新潟県側でございますが、越後金丸片貝の間は十二月中旬に開通する予定でございます。それから下関片貝の間が十月の末、坂町と下関の間は九月二十日という見込みでもって、これは私ども新潟支社復旧に当たらしておるわけでございます。  以上、たいへん簡単でございますが、一応私ども現時点におきます復旧状況を申し上げて、御報告にかえる次第でございます。
  4. 内藤隆

    内藤委員長 質疑通告がありますので、これを許します。河村勝君。
  5. 河村勝

    河村委員 いま副総裁から御説明がありました米坂線復旧について、少しお尋ねしたいと思います。  私も現地を実は見てまいりまして、越後片貝から小国までの間はほとんど橋梁が流失しているだけでなしに、道床も完全に流されて、川の中に入っているものもずいぶん多いようですが、全体の復旧のやり方としては、どういうような方針をとっているか、それをちょっと伺いたいと思います。
  6. 仁杉巖

    仁杉説明員 いま先生お話がございましたように、米坂線全線むちゃくちゃになっているというような状況でございまして、また道路も全く使えないというような状況でございます。そこで、とりあえずの段取りといたしまして、災害直後に、管理局だけでなしに、工事局を動員いたしまして、山形県側につきましては盛岡工事局新潟県側につきましては信濃川の工事局、それに管理局と、両者一体になりまして、両方の口から入れました。その結果で、先ほど副総裁から御説明いたしたとおり、山形県側は伊佐領まで、それから新潟県側は坂町から越後下関まで、これはとりあえず二十日前後に見当がつくという段階にきましたが、それから先につきましてはなかなか手がつかぬ。ことに国道新潟県側につきましては、下関片貝の間で、人は通れるけれども物が通せないというようなところがございます。それから山形県側につきましても、手ノ子から峠を越える区間につきましては、重量物が運べないというような状況でございますので、できるだけ鉄道を使うというようなことをいたしまして、それから通れないところは、鉄道と申しましても台車を使いまして物を運ぶというような手段考えまして、まあいろいろなことを考えております。  さらに、先ほど副総裁から説明がございましたが、けたの流失が二十三連ございますので、これを集める。これはこっちの防災の予備げたももちろん動員いたしますが、それだけでは不足でございますので、、東海道の天竜川で使います長スパンのトラスを一時こちらに流用する。そしてあとの補充は引き続いてやるというようなこと。並びに一部、建設公団盛岡支社がつくっておりますけたも借りるというようなことをいたしまして、けたの段取りをつけまして、その結果、輸送路とけたの段取り並びに人員の配置というようなことを勘案いたしまして、先ほど副総裁説明いたしましたように、新潟県側につきましては金丸まで豪雪期前、それから山形県側につきましては、小国までははいれるという見通しが立ったわけでございます。ただ、これから奥の問題につきましては、道路が非常にむずかしいという問題が一つありますし、けたの製作が間に合わないというような問題がございますので、ことしの冬までの間に下部構造——ピァでありますとかアバットであるとかいうようなものにつきましてはでき得る限りやりますが、けたがけは来春の雪解けを待ってやらざるを得ないというような結論に現在達しておりまして、私どもとしましては、機材、人員輸送、あらゆる面につきまして努力をいたしまして検討いたしました結果、先ほど副総裁説明をいたしましたような結果になったわけでございます。御了承を願いたいと思います。
  7. 河村勝

    河村委員 この開通見込み不明になっている区間にも、孤立した部落がかなりあるわけですね。そういうところの市町村長が非常に心配しているわけなんですけれども冬季間の、道が完全に途絶した場合、どういうふうにその辺を扱われるのか、県のほうとの連絡その他、そういう事情についてちょっと聞かしていただきたいと思います。
  8. 仁杉巖

    仁杉説明員 いまの問題は、主として玉川口の駅並びにその奥の谷の関係でございますが、先ほど金丸までと申し上げましたが、金丸から玉川口のほうに少し線路が伸びそうでございますので、でき得ればそこのところの、行けるところの端末に仮駅をつくって、そこから輸送をしたいというふうに私どもとしては考えております。  それから先ほど副総裁から御説明いたしましたが、両県知事にこの間お目にかかりましてこの状況お話しいたしましたので、知事さん方もできるだけの処置を講ずるというふうにお考えになっているようでございます。なお、豪雪まではまた時間がございますので、いろいろこまかい打ち合わせがあるかと思いますが、大体そういうことで処理をしていきたいというふうに考えております。
  9. 河村勝

    河村委員 終わります。
  10. 大久保武雄

    大久保委員 関連。いまの説明で、冬季閥に降雪で交通が一切途絶する。先ほどの御説明だと、そこの復旧が間に合わない。そこで、これは国鉄だけの問題ではないのですけれども、その孤立した部落に対する冬場の諸物資の補給というものは、道路不通だそうですから、いかなる方法で補給しようとされるのか。つまり輸送全般の問題としてどういう考えでおられるか、この点をちょっとお聞きしておきたい。
  11. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま申しましたとおり、問題は両県の県境のちょうど山の中でございます。この中の部落につきまして、もちろん私のほうの線路も行っているわけでございませんが、玉川口という駅を移しまして、そこまでは何とか鉄道で持っていく。それから先は、もちろん大きな道路はだめでございますが、林道あるいは村道程度のものは、現地の両県におきましてとにかく人の通れる、あるいはそりで物が運べる程度復旧はされるというふうにお話がございますので、何とか、百十三号の国道は全然だめでございますので、私どもといたしましては、できるだけもよりの駅まで運べるだけ運ぶ。ですから駅の場所も移しまして、なるべく近いところまで持っていく。なるべく道路等関連のいいところまで持っていく。そこから、もう非常事態でございますので、すぐ道路におろして、そしてそりなり何なり、県道程度のものは除雪されると思いますので、そういう非常の手段によりまして駅の場所を適宜変えまして、そこでもって扱いたい、こういうふうに考えている次第でございます。      ————◇—————
  12. 内藤隆

    内藤委員長 次に、陸運に関する件について調査を進めます。  質疑通告がありますので、順次これを許します。野間千代三君。
  13. 野間千代三

    野間委員 都市交通の問題について二、三伺いたい。警察庁の方が何か時間の関係があるそうですから、そちらから先に伺います。  実は一般にいわれている、東京であれば都バス、あるいは路面電車といわれている都電、そういう関係の問題なんですが、最近特にそういう都電都バス、あるいは市電、市バスなどの時速が非常に低下をしているわけです。私どもは大量に大衆輸送するということが、今日の都市状況——いわゆるよくいわれている経済成長によって、都市の人口が非常に増加をしている。そうして都心部における交通の問題が、都市間の交通関連をしていま問題になっておるところでございますけれども、そういう関係でもう少し大量に大衆輸送しようという場合には、バスあるいは路面電車、そういうものを活用をする必要があるのではないかというふうに考えるわけです。そう考えてくる場合に、現状では自家用車あるいは貨物自動車、そうした自動車交通が最近非常に急増をしたわけですね。自動車台数急増状況も、統計によると、ここ十年のうちに五倍から七倍くらいに増加をしておる。そういう関係で、しかも道路のほうは高速道路等はできたけれども、必ずしもそう十分な増強の状態にはない。これは道路を急にふやすことはなかなか困難でありますから当然でありましょうが、そういう状況でありますから、自動車急増による都市大量輸送手段が、時速が非常に低下しておる。低下状況は、東京都の発表によると、最近はたしか十キロ前後ではないかというふうにいわれているくらいですね。話によると、アベベよりもよほどおそいというような状況のようでございますから、そういう関係で、この大量輸送手段をもう少し活用する問題としては、交通規制を実施する以外にない。交通規制を実施することによって、もっと速度をふやす方法が当然とれるのではないか。これはあとで問題にしたいのですが、都市交通の増収にも当然つながってくる、都市交通の再建につながってくるというふうにわれわれは考えるのであります。そういう意味でお尋ねしたいのでありますが、運輸省で発表している「都市問題と運輸行政」という資料といいますか、政策といいますか、によりますと、道路交通流通対策としては、地下鉄整備をする。そして、それによって、路面交通の需要を地下鉄のほうに吸収するというのが一つ。二番目に、大量交通機関優先通行確保する、これが二番目。三番目に、路面電車の整理。四番目に、流通業務施設の郊外への移転。こういうふうに運輸省では考えておるようです。  それで、第二番目に大量交通機関を優先的に通行確保をすることが重要ではないかというふうに運輸省ではいっておられるので、最初に、鉄監局長いらっしゃいますので、運輸省としてこの項目をどういうふうに実施をしようとされておられるのか、これが一つ。  それから、警察庁のほうでありますが、そういう立場からまいりまして、たしか三十七年以来、七・五トン以上の大型車制限であるとか、あるいは車の長さの一・二倍の長尺物輸送する場合の制限であるとか、あるいは貸し切りバスであるとか、そういうものの規制はされておるわけですね。そのほかに、現在交通規制をそういう意味でされておれば、現在の状況、そうしてその効果の状況等についてお尋ねをしたいと思います。
  14. 増川遼三

    増川説明員 公共輸送機関優先通行確保につきましては、運輸省といたしましては年来の懸案でございまして、各都市によりましてその状況は違いますので、各都市ごとにそれらの検討を進めておるわけでございます。東京大阪等特に道路交通の激しいところにおきましては、従来も警察庁の御協力を得まして、大型車通行制限その他の措置をとってもらっておるわけでございます。今後は内閣審議室の交通対策本部を中心にいたしまして、これらの点につきまして、さらに時宜に即した通行規制のあり方ということにつきまして検討を進めていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。去る九月六日に閣僚懇談会がございまして、その際に東京都あるいは大阪市の運賃関係が審議されたわけであります。その際の決定事項に伴いまして、この公共輸送機関優先通行確保ということにつきましても、今後もっと十分に検討すべきであるという趣旨のことが審議されたわけでございます。この趣旨に沿いまして、今後さらに努力を重ねたいと考えております。
  15. 鈴木光一

    ○鈴木説明員 御指摘のように、公共輸送機関優先通行の問題につきましては、私ども警察の立場といたしまして、現在の道路交通法のたてまえからできるだけのことを実施したいと考え、また実施しておるつもりでございますが、御指摘のように、昭和三十七年に実施いたしました都内の交通規制といたしまして、大型車規制を行なっておるわけでございますが、これは東京都内の三十五区間、十六路線にわたりまして実施しておりますが、さらに大阪市内につきましても、この種の規制を三十三区間にわたりまして実施しておるわけでございます。今後大都市等におきましてこの種の規制が、当該大都市交通の実態に応じてさらに推進していかなければならないと存じておりますが、この大型自動車規制を実施する場合にも、公共輸送機関でありますところのバス等につきましては除外をいたしまして優先通行をはかっております。そのほか最近の道路交通状況によりまして、大型車規制する場合が非常に多い。その場合にもこの大型車バス等は入るわけでございますけれども公共輸送機関という観点からバスにつきましては除外していくという考え方で、そういう意味では優先通行をはかる方策の一環としてやっておると思うのですが、さらに、たとえば右折禁止の規制を一般車両に対して実施する場合にも、バスにつきましては除外例を設けるといったような、御指摘のような公共輸送機関につきまして、道交法の立場からできるだけ優先通行の方策を講じておるつもりであります。しかしこの問題につきましては、いろいろ御指摘にもありましたように、また運輸省等におきましても考えておられますように、公共輸送機関交通の円滑化あるいは安全といったような問題とのからみ合いで考える場合には、いろいろ公共輸送機関のあり方の問題、あるいはその他の都市政策の問題等々、総合的に検討しなければならない事項が多かろうと思います。現在の道交法の立場では、やはり一般車両を全面的に、ある特定の道路を禁止するということはとうていできないわけでありまして、そういう意味で全体の問題としてこれは今後検討さるべき問題だというふうに考えておる次第であります。
  16. 野間千代三

    野間委員 現在の道交法では、言われるように公共輸送とか、私の言う大量輸送優先とかいうことではないわけですね。安全輸送とか、あるいは道路の円滑輸送とか、そういう問題が中心になると思いますね。そこで鉄監局長、それから、ちょうどいま見えていますから、近藤さん、ひとつ一緒に考えていただきたいのですが、確かにこの安全輸送あるいは路面交通の円滑化をはかっていくことが重要なんだけれども、その中で特に最近の都市構造、人口の集中化、そういう点から考えてくると、特に大量に輸送する機関、あるいはいま言われる公共輸送とか、そういった面も相当重要視して考える必要がある。そうしないと、もはや都市の通勤輸送であるとか、そういう面が成り立っていかない状況になりつつあるのではないかというふうに思うのですね。したがって、そこでただ単に道交法上による交通の安全、円滑化、そういう面だけではなくて、それと平行して公共輸送の優先、あるいは大量輸送の優先という点を強化していかなければならぬ時代に来ているというふうに思う。ある統計によると、一万人の人を一時間に輸送するのに、乗用車で輸送すると、道幅を百九十六メートルだかにしないと輸送ができないそうです。ところが、それがいまの都電なり地下鉄なり、ああした大量輸送機関によれば、大体八メートルから十メートルぐらいの道路で済むというふうにも言われているぐらいです。つまり私の言いたいのは、そういうふうに大量輸送を重点にした政策を実施しなければならぬじゃないか。そこで運輸省では、いま鉄監局長は、そういう方面を重点にして、先般、運賃改定の審議の際に検討することになっているというふうに言われておられるので、そこで警察庁のほうとしては、いま言われるように、現在の法律の中では道交法に基づく規制、まあそれの範囲にとどまっているということですね。それで、自治省なりあるいは運輸省なりで、都市の大量輸送と公共輸送を重点にした交通規制というものをいま鉄監局長検討しているとか言われておるけれども、実際にこれは近いうちに実施をする必要があるので、関係としては、運輸省あるいは警察庁と自治省というふうに関係があると思いますが、そういう私の言うような意味で、交通規制を進めるという考えがあるのかどうか。あるとすれば、いま検討しているそうだけれども検討の中心になっている点は、いま私が言っているようなことで考えていると解釈していいのかどうか。その点について、運輸省と自治省のほうからお答えいただきたいと思います。
  17. 増川遼三

    増川説明員 ただいまの御質問にございました御趣旨は、われわれも十分、かねてからの念願として考えておるところでございます。今後検討をいたします際におきましても、ただいま仰せのような御趣旨に基づきまして、具体的な対策検討する所存でございます。
  18. 近藤隆之

    ○近藤説明員 御案内のとおり、六大都市交通事情は、すべて経営が非常に悪くなっておりまして、再建団体ということになっておりまして、それぞれ立地条件に応じた再建計画を策定して、六大都市のうち四団体はすでに実施に移しておりまして、二団体は近く実施に移す予定になっております。それで、それぞれの再建計画の中には、現在の交通事情に対応いたしまして、高速鉄道整備して、そして路面電車を撤去していく。一方また、高速鉄道間をつなぐバス輸送を強化していくというような計画になっております。  そこで、路面交通につきまして将来とも残るバスについては、やはり路面が非常にふくそうしてまいりますれば、当然交通渋滞が起こるわけでありますので、そういった面につきまして各省と、できるだけ公共輸送優先の方針でやっていけるように御協力していきたいと思います。
  19. 野間千代三

    野間委員 趣旨は、私が言っていることと大体同じことのように考えます。  そこで交通局長、現在の道交法でいま実施がされているんだけれども、いまの道交法の範囲でも私が言っているようなことは、たとえば一つの例としては、ある時間帯、朝と夕べの通勤のラッシュアワーに相当する時間帯は、たとえば、いまは七・五トン以上だけれども貨物自動車制限をするとか、あるいはもう一歩進めて、ニューヨークなりあるいはストックホルムでやっておるそうですけれども、乗用車の都心乗り入れを規制をするとか、そういう点はいまの道交法でもできるんですか、できないのですか。
  20. 鈴木光一

    ○鈴木説明員 先ほども申し上げましたように、現在大型車につきまして、ある程度交通規制を実施しておるわけでございますが、仰せのように、バス等の優先通行確保する目的のために、大型以外の一般車両に至るまで広範に規制するということにつきましては、現在の道交法のたてまえから申し上げまして非常に困難だと思います。ただ、現在私どものほうで検討しておりますのは、特定の時間帯におきまして、車線の非常に多い道路につきまして、特定の車線をバスの専用の車線にしたらどうかという問題が一つあります。これは技術的に非常にむずかしい問題もございまして、やはり現在の交通容量と道路との関係、これをいかに効率的に使っていくかということが、現在の道交法のたてまえからする安全かつ円滑輸送をはかっていく上にございますので、その辺と十分ににらみ合わして技術的に検討を加えなければならぬ問題もございまして、検討はいたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、大型車両以外の一般車両に至るまで交通規制するということにつきましては、先ほども若干触れましたように、諸外国等におきましては、やはり特定のターミナルをつくりまして、そこに大きな駐車場をつくる。したがって、その駐車場までは車で来るが、それから以後は大衆輸送機関−地下鉄なりモノレールなりというようなもので都心に入ってくるというような交通輸送体系というものが確立しない限りは、一般車両まで全部都心に入ることを制限するということにつきましては、なかなかむずかしい問題がある。したがって、こういう問題につきましては、やはり都市政策全体の問題として考えていただかなければならぬことでございまして、道交法だけでそういうことを実施していくということにつきましては、非常に困難な問題があるということを繰り返して申し上げるようでありますが、申し上げます。
  21. 野間千代三

    野間委員 全体の車を規制をすることは現在の道交法では無理だ、それはわかります。これはもちろん都市全体の交通体系といいますか、それを整備しなければならぬ。そこで、それでは前にやっておった都電や市電の軌道上を、朝なり晩なり、ある一定の時間、規制をする、これはできますね。これはいかがですか。
  22. 鈴木光一

    ○鈴木説明員 御指摘のように、軌道敷内の通行につきましては、従来は原則として禁止しておったわけでございますけれども、最近のような自動車交通状況になりますと、軌道敷内の通行を禁止するということにつきましては、無理が出てきておる。特に通勤時に規制したらどうかというお話でございますけれども、通勤時にこそ非常に自動車交通が錯綜してくるという問題がございまして、その間の調整をはかりませんと、かえって全体として見た場合に、道路交通の安全と円滑が期せられないという状況が出ておりますので、最近の傾向といたしましては、むしろ軌道敷内の通行の禁止を解除していくという方向に向いておるわけでございまして、今日の交通事情のもとではやむを得ないことであるというふうに考えております。現在全国で四十六都道府県のうち、二十都道府県につきましては軌道敷地内の通行を認めているということになっておりますが、将来はやはり全国的にこれを認めざるを得ない方向に進むのではなかろうかというふうに考えるわけでございまして、路面電車の問題につきましては、確かに現在の段階としては公共輸送機関という問題がございますけれども、先ほど自治省からも答弁がありましたよう兵むしろ路面電車というものは計画的に全廃する方向に、各都市とも向いておるということが実情でございまして、これは要するに自動車交通との関連において検討されておる問題でございまして、そういう意味で私どもの立場として、道路交通全体というものを考えて、いろいろな規制を実施する場合には、軌道敷内の通行を禁止するということは非常にむずかしい問題だというふうに考えております。
  23. 野間千代三

    野間委員 それは局長、逆なんだ。大量に人を輸送する機関として、路面電車はまだ活用されているわけだ。それが最近、先ほど近藤課長が言われるように、収入が減ってきた。経営が成り立ってこなくなった。したがってこれは地下鉄にかえるなり、あるいは撤廃をして再建をしていきたいんだ、こういう考えなんだな。しかしそれはつまり路面電車の走行キロが低下した。アベベ以下になった。そこに大衆から魅力を失った原因が相当あるのですよ。もっと走行キロを伸ばして、速度を向上して、大衆に魅力を与えれば、これは現在でも相当多く使われておるのでありますから、当然利用状況はなお増加してくることは明らかだというふうに思うのです。いま局長考えているようなことになってまいりますと、ますます路面電車は走行キロが落ちてくる。ますます魅力がなくなってくる。したがって、廃止しなければならぬとなってくる。もしそれが軌道敷内をちゃんと確保されておって、路面電車が当初のように、十三キロなりあるいは十五キロなりの速度で走れるということになれば、おそらく乗客の数はもっとふえておった。減らずに済んだだろう。したがって、収入もそれ相当にあったはずなんだ。そうすればいまのようなひどい赤字に苦しむことも、まずなかったんじゃないかというふうにも言えるのですよ。そして、なお撤廃をするのには東京においても横浜においても、大都市においても五年なり七年なりの計画を持たなければならぬ。そしてその間はやはり相当多くの利用者もおるという状況なんですね。ですからいま路面電車をますます狭めてしまうような交通状況を、もう少し規制を強化をして、そうして路面電車交通速度を増加して、大衆の魅力を増していくという方向がとられなければならないし、そしてまた大量に輸送するという点では、バスよりも路面電車のほうが多いわけですから、路面電車交通確保してやるということが、この運輸省でいっている大量交通機関優先通行という意味じゃないかというふうに私は思うのですね。したがって一日じゅうは必要ないけれども、朝夕のラッシュ時間だけでも、軌道敷内の他の自動車通行規制をするというふうにすることが必要じゃないかというふうに思うのです。そこで、それはいまの道交法の範囲でもできるはずだから、その程度のことは当面やったらどうか。  それともう一つは、やはりバス公共輸送機関、大量輸送としては重要な位置を占めておる。これは確かに路面電車と同じようにバスの路線をきめるということは非常に困難でしょう。困難でしょうが、バス優先通行というものはできるのじゃないかというふうに思うのですが、まず第一に路面電車通行確保することと、バス輸送確保する。そういう手段をとることが必要じゃないかというふうに思うのですね。いまの道交法でもその程度はできると思うので、それはいまお答えのようなことではなくて、もう少し大量輸送確保するという意味検討してもらったらどうかと思うのですが、これはどうでしょう。
  24. 鈴木光一

    ○鈴木説明員 私は一般論として申し上げたのでございますが、現在の東京におきましても、たとえば青山通り等におきましては、特定の区間あるいは特定の路面電車の停留場の付近等につきましては、敷地内の進入を制限しておるような措置も講じておりますので、御指摘のような点につきましては、非常に技術的な問題もありますし、また当該区間なり当該地点におきます道路交通の実情とよくにらみ合わせまして、できるだけ御趣旨の線に沿って検討いたしたいと思います。
  25. 野間千代三

    野間委員 たいへんけっこうです。実際にはなかなかむずかしい点があるでしょう。したがってこれは自治省との協議なり、あるいは自治体と警察庁の協議なりということが必要だと思うのですね。これはどこの路面電車の系統のところを、いま言ったようなことにしたらいいかという問題が出てくると思うのですね。したがってこれは、中央の場では警察庁と自治省、それから地方ではやはり地方自治体の意見を聞かないと、せっかく規制をしたのだけれどもあまり効果がないということになりかねないと思うのですね。したがってこれは警察庁とそれぞれ自治体なり、あるいは自治省との間に、いま交通局長がお答えになった公共大量輸送確保していくという意味での、軌道内敷地の自動車の乗り入れの規制、こういう問題について協議をしていっていただきたいと思うのですが、これはひとつ自治省のほうでもお答えいただきたいと思うのですが、近藤さんいかがですか。
  26. 近藤隆之

    ○近藤説明員 原則として地方自治体段階でお話し合いすることになろうと思いますが、必要に応じまして警察庁のほうとも相談いたしたいと思います。
  27. 野間千代三

    野間委員 それでは交通局長関係をするところは自治省、建設省、運輸省関係をする、それと具体的には自治体とそれぞれ関係がありますから、自治体等もいま言いましたところの各関係官庁と御相談をいただいて、これは路面電車の軌道敷地内を規制するということはなかなかむずかしい問題ではあろうけれども、十分に御相談をいただいて、路面交通路面電車の大量輸送がもう一歩確保ができるということを主眼にして、そういう立場でいまの道交法の中でできる限りのことをしていただきたいというふうにお願いします。ちょっとそれだけ答えてください、それで終わりますから。
  28. 鈴木光一

    ○鈴木説明員 御趣旨の線に沿いまして、関係各省と中央段階においていろいろ協議いたしたいと思いますし、また実際規制いたしますのは都道府県の公安委員会でございますので、その都道府県の公安委員会と対応するところの都市、自治体等とも十分打ち合わせをさせるように指導をしていきたいと思います。
  29. 野間千代三

    野間委員 それであと要望なんですが、運輸省、それから自治省、警察庁等で、これは都市構造あるいは先ほどの話の交通体系等を整備する、ターミナルを整備するという多くの問題があると思うのですが、たとえばニューヨークであるとかあるいはストックホルムなどでやっておるといわれているような、先ほどお話しのバス通行線の確保であるとか、あるいは大型車全体あるいは自家用車全体、そういうものの時間帯による規制、そういうものはそうむずかしい法律をつくらぬでもできるのじゃないか。当面大型車あるいは自家用車などの時間帯による都心あるいはそれぞれの都市の中心部への乗り入れの制限、こういう問題についてひとつ具体的に、どうしたらまでるかということについて御検討いただきたい。いま直ちに大きなターミナルをつくることは非常に困難であります。したがって将来は、計画としてはそれは立てていただきたいのだが、現在のそれぞれの都市状況の中でいま言った問題の具体的方法があるのじゃないかというふうに思いますから、大型車と自家用車の、具体的には朝と晩の通勤輸送の時間帯の乗り入れの制限あるいは規制、そういう点について具体的な検討をひとついただきたい。  先ほど鉄監局長から、運賃改定の問題の際のいわば付帯的な問題として交通規制考える必要があるというお答えがあって、それは検討中であるということなんだが、そういつまでも検討しておったのでは交通規制にならないのであるから、いま申しましたようなことで関係各省でもって、具体的にどうしたらいいかについてひとつ検討をしてもらいたいというふうに思うのですが、これは政策を出している運輸省が主になると思いますから、運輸省のほうからお答え願いたいと思います。
  30. 増川遼三

    増川説明員 先般の閣僚協議会におきまして了承せられました趣旨について若干申し上げたいと思うのですが、この運賃改定ということ自体も大都市の過密に基因する、交通企業以外の要因によるところが少なくないということにかんがみまして、次のような各事項につきまして関係官庁におきまして早急に検討を行なってその実現をはかることとする、こういうふうに了承されたわけでございます。すなわちその内容といたしましては、第一に総合的な都市基本計画の策定、第二が能率的な経営確保するための交通事業の再編成、第三が交通網の整備調整及びこれに必要な資金の確保、第四が路面交通における公共輸送機関優先通行確保、第五は都内乗り入れの自動車に関する受益者負担制度の拡充及びこれによる都内の駅前広場、バスターミナル等の整備のための資金調達、第六は通勤時間帯の調整とラッシュ時の路面交通緩和策の推進、以上のような六点を掲げられまして、閣僚協議会におきまして了承されたわけでございまして、この趣旨を十分実現すべく現在運輸省はもとより、内閣の交通対策本部の機関において関係各省協力体制をしきまして、具体策をできるだけ早い機会に打ち出したいと考えておる次第でございます。
  31. 野間千代三

    野間委員 局長、たいへんりっぱなんだよ。りっぱなんだけれども、いま言われたことはそう一朝にできないですよ。それができればいまのうちこんな心配がないのだから、それはいま別に否定するのじゃないですよ。それはりっぱなことで、ぜひそういう方向で財政的にも裏づけをつくって、そうして都市構造を整備をしていただくというふうにしてもらいたい。それはぜひそうしていただきたい。ですから、いまお答えになったことは具体的に進めていただきたい、これはそういうふうにお願いをしたいのだが、その前にあしたの問題、あさっての問題としての問題があるわけですね。その問題としてさっきお答えのあった軌道内敷地上における交通規制であるとか、もう一歩進めて大量輸送機関がもう少し円滑に通行ができるためには、一人しか乗っていない一般の自動車であるとか、あるいは乗用車であるとか、あるいは最近きわめて大きくなっている大型車貨物自動車、そういうものを通勤時間帯くらいは規制をしないと、これは通勤輸送が成り立っていかない、公共輸送が成り立っていかないというふうに考えるから、時間的に制限をするくらいのことはそう大がかりに金をかけたり何かせぬでもできるのじゃないかというふうに思うのです。あるいは新宿方面の車は新宿の駅のどの辺でとめるとか、そのあと国鉄なり地下鉄なり、あるいは都電都バスを使うというように、立地条件のわりあいにいいようなところを選んでやるくらいのことはできるのじゃないかというふうに思うのです。いまお答えになった前段の方法をとりあえずとっていただきたい。それをお願いしているわけです。これはひとつ検討してもらえませんか。
  32. 増川遼三

    増川説明員 ただいまの御趣旨の点も十分、公共輸送機関優先通行確保方法一つとしまして具体的に検討をいたしたいと考えます。
  33. 野間千代三

    野間委員 では、以上で交通規制の問題は終わります。交通局長さんけっこうです。  次の問題は、本質は同じ問題ですが、地方公営企業の問題として二、三お尋ねをしたいのです。それで自治省公営企業課長にお尋ねをしたいのですが、いま特に六大都市の地方公営企業の赤字が累増をしている。それをさきの国会で地方公営企業法を改正をして、財政再建に基づく再建計画書を出してもらって、そして五年なり七年なりで再建をする、こういう方向でいま進んできているわけですね。ただ問題は、いま進められているあの再建方式は、たとえば大きな問題としては、まず赤字をたな上げをして、その分の利子補給について国が一部補てんをしておるわけですね。これが一つ。それからもう一つは、一番赤字の多い路面電車を廃止をして、かわりに地下鉄あるいはバス輸送に変わっていく。こういう方向ですね。もう一つは合理化ですね。合理化のうち大きな問題としては、賃金の手当の削減であるとか、整理であるとか、こういう方向が取られているわけですね。それで、これは、法律がつくられました四十年ですか、四十一年、この一、二年のうちはこういう方向で確かに地方公営企業がかかえていた赤字を一時たな上げをして、借り入れ限度額を下げて、そうして交通の財政の再建をしていく一歩を踏み出したという点については、私は確かに効果があったというふうに思います。私も横浜に住んでおりますが、そろいう意味で、横浜交通の受けた影響というものは少なくないと思います。ただ、最近のように交通需要が非常にふえてきた、しかも経済圏が拡大をされてきたというような状況を見ると——いまのような再建方法は、いわば企業をやや縮小する、その縮小の中で合理化をしたり、そういう方向でもって財政再建をしていこうということなんだと思うのですね。これはもはや限界に来ているんじゃないか。したがって、もっと企業を拡大をしていく。地下鉄の建設も一つですね。たとえば、路面電車を廃止するということでなく——もちろん廃止をしなければならぬ線もあるでしょう。それは廃止をしても差しつかえないが、いまだに相当使われている路面電車の路線もある。そういうものは拡大をして、そうして、いま質問して、これからやっていただくのだけれども、走行キロを延ばして、増加をしていく。そういうことによって増収をはかっていく。そういう増収をはかる方法も必要じゃないか。それによって財政の再建の一助としていく。きのう何か、新聞の発表によると、今回の人事院勧告を実施する際に、地方公営企業、特に交通は上げてはならぬ——上げてはならぬということじゃないでしょうが、上げることは少し考えろ、もう少し職員の企業努力を期待したいというふうに言っておられる。しかし、いまの財政再建の方法は、職員が企業努力をするという余地はないですよ。賃金を返上するという努力以外にはありませんね。増収をはかれというふうに自治省公務員部長になられた鎌田さんは言っておられるが、増収をはかる方法に何があるか。お客にバスに乗れというふうにどなることもできない。しかも、いま言ったように、いまの計画はだんだん縮小をしていくという方向ですね。これでは企業職員が努力をする余地はないと思うのです。ですから、もう少し職員が企業努力するというのは、一生懸命働いて、そうしてお客さんをたくさん運ぼう、お客さんにたくさん乗ってもらえるような市電や市バスにしよう、そうして増収をはかろうということが企業努力の最たるものだと思うのですね。そういうことを考えていくと、いまの財政再建方式をもう少し拡大をして、企業が拡大していく方向で財政再建をはかっていく、増収を主にした財政再建をとっていくということにしなければならぬのじゃないかというふうに思うのです。そういう点について、自治省としてはどう考えておられますか。
  34. 近藤隆之

    ○近藤説明員 六大市の現在の再建計画というものは、御説のように、路面交通事業だけの再建計画という形になっておりますので、いわばかたわの計画になっております。本来でございますと、地下鉄をやっておりますところは、地下鉄を含めまして、地下鉄をこういうふうに整備して、そのかわり路面電車をとっていく、バスをこういうふうに伸ばしていくという計画が一体となるはずでございますけれども、いま現在におきまして、地下鉄関係は赤字が少ないことと、再建計画が非常に立てにくいという関係がございまして、あと回しになっておりまして、出てまいりましたところの再建計画そのものだと、企業縮小計画というような印象が非常に強くあらわれておるという気がいたします。われわれといたしましては、地下鉄の再建計画もあわせまして、早急に、一体となったそれぞれの交通の将来計画というものをはっきり定めまして、公営交通を伸ばしていきたいという考えを持っております。
  35. 野間千代三

    野間委員 ぼくもそう思うね。そこで、増収の方法一つとしては、先ほど申しましたような交通規制方法がありますね。走行キロを伸ばしていくという方法がある。これは、先ほどまでの質疑の中でどの程度期待ができるか、そういう意味では、ひとつ自治省のほうで、運輸省あるいは建設省、警察庁も約束をされたわけですから、これは無理をしないでぜひ軌道内を——無理と言っては語弊がありますが、軌道内の一般交通規制することをぜひ強化するということについては、自治省も大きな熱意を持ってもらいたいというふうに思います。  それからバス交通路線ですね。バス交通路線をある程度つくってもらう。これはフリーにはなかなかならぬでしょうけれども、少なくとも時間帯をきめて、それは優先通行ができるというふうにしてもらうという点については、いまの法律でもできるはずです。そして、ある程度の増収は期待ができるというふうにぼくは思うので、これは自治省のほうでも相当大きな熱意を持って、関係各省庁との協議にひとつ臨んでもらいたい。  それから、自治体のほうでは、残念だけれども、いまの自動車交通を地方公安委員会規制をすることは非常に困難である。困難ですから、地方自治体のほうに自治省のほうからそれこそ十分に行政指導をされて、軌道敷地内を確保していくという点について強く協議を進めていくというふうにまずしてもらいたい。これが一つですね。  それからもう一つは、いま近藤課長も言われましたが、地下鉄は当然ある程度駅間が長くなりますから、地下鉄の建設と、それと関連をしたバス輸送ですね。バス輸送との関連をきちんとした拡大方策をとっていくというふうにしていったらいいじゃないか。  もう一つある。もう一つは、道路運送法によれば、路線の免許をする場合に地方自治体の長の意見を聞くというふうにたしかなっているはずですね。しかし、実際には、民営の圧迫というふうになってはならぬということが論理になって、地方自治体の長の意見は必ずしもそう採用されていない。したがって、どうしても競合の路線が多くなる。そしてその競合の路線によって、場所によっては民間のバスのほうが収益がいいようなダイヤを組んだり何かして、どうしても地方公営企業のほうのバスが、圧迫と言っては語弊がありましょうけれども、いわば圧迫をされているというケースのほうが具体的には多いような気が私はするのです。私も別に民間バスを圧迫しろと言っているのではないけれども、そういうこともやはり地方公営企業の赤字の大きな原因一つになっているのじゃないかというふうに思うのですね。したがって、こういう意味で、都市内に路線をふやしたり、あるいは新設をしたりする場合には、地方自治体の長の意見が十分に採用されるというふうに進めていく必要がまずあるのじゃないかというふうに思うのですが、それはいまどういうふうになっておりますか。
  36. 原山亮三

    ○原山説明員 大都市におきますバスの免許の際の問題で首長の意見聴取ということでございますが、指定都市におきましては首長の意見を聴取するという規定がございまして、その問題につきまして、先生御指摘の、そういう意見が全然尊重されないじゃないかというふうなお話でございましたけれども、必ずしもそういうふうなことにはなっておりませんで、意見を尊重する場合もあり、それをしない場合もあるというふうなことでございますけれども、特に指定都市の首長の立場として、当該市の市民の足を確保するためにどうしても必要であるというふうな意見が出ませんで、その意見の基本的な立場が、公営交通企業をやっているものの立場として、民間と公営との競争というふうな見地から、いわゆる地方公共団体の全体の視野からの意見というよりは、公営企業をやっている企業の長の意見というふうな意見の場合が相当ございまして、この点につきましては、行政管理庁のほうからも、そういうふうな意見については問題があるというふうな指摘もございますが、そういうような点で、先生おっしゃるように、そういうふうな意見がいつも無視されているというふうな実情ではございませんので、そういう点は、全体の立場から、公営、民営の両方がうまく公正な競争をしてやっていけるというふうな立場でもって指導しておるつもりでございまして、その辺ひとつ御了承を賜わりたいと思います。
  37. 野間千代三

    野間委員 路線をそれぞれ取り上げて一つ一つ検討すれば、問題が明らかになるのかもしれません。私の言っていることも、やや概念的であります。いまお答えのように、民間の路線を新設をしたり、あるいは地方公営企業が路線の増設、新設をしたりする場合に、民間のほうあるいは公営企業のほう、どっちの肩を持つという問題ではなくて、公共的な輸送を優先的に確保していくという立場から、そしてその都市の実情について十分に地方公共団体の長は掌握をしているはずであります。そしてその中で地方公営企業が受け持っていく部分は、ここは当然受け持つべきだという観点から意見を出しておるわけです。したがってそういう点においてはやはり十分に尊重して、その意見が中心になって路線の免許が行なわれていくというふうにすることがたてまえじゃないかというふうに思うのです。ですから、この辺は、ひとつそういうことも念頭に置いて、路線認可の際の考え方にしてもらいたいというふうに言っておるわけです。これはひとつそういうふうにお願いしたいと思います。  それから、時間がありませんので、実は地方公営企業の赤字の問題なり何なりについて少し触れたいのですが、これはまた別の機会がありますから、別の機会にして、地下鉄の問題なんです。いま近藤課長の言われる都市公営企業を拡大をしていくという意味では、きわめて重要な問題がこの地下鉄の建設の問題です。問題は、地下鉄を建設する場合には、一キロ四十億くらいはかかるというくらいに相当費用がかかるわけです。そしていまでは、それぞれ、営団の場合には営団、地方公営企業の場合にはその交通局が、借金をして建設をしておるという状況です。これがこの前の法改正のときに問題になって、当然これは国がある程度負担をすべきではないかという問題になってきて、いま、たしか今年度は十八億の利子補給か何かが行なわれておる状況です。そこで、地下鉄を建設するのは、路面の交通事情を円滑にする、そういう面で相当大きな力があるわけです。したがって大量に人を輸送する機関として、しかも現在の都市交通状況から見て、地下鉄を建設することがきわめて重要である。これは世界的な傾向です。そういう意味で、いま地下鉄の建設を進めていくとすれば、これは道路を建設すると同じような考え方で、国が相当大きく援助をする必要がある、助成をする必要があるというふうに思います。これはこの前の地下鉄の資金助成に関する小委員会でも、そういう意見は相当大きく出ておったはずです。道路と同じような考え方で国が助成をしたらいいのではないかというふうにも言っておったはずです。そういう意味でまいりますと、今年から当分続けていこうというふうに当時いわれておりましたが、今年やりました助成の方法では、これは助成としては少し僅少に過ぎはしないか、建設費そのものを国が負担していくというところまで進んでいかなければ、真の助成にならぬのではないかというふうに思うのですが、運輸省の方、どう考えておられますか。
  38. 増川遼三

    増川説明員 四十二年度から、従来以上に、地下鉄建設につきまして補助を強化しておるのであります。運輸省の立場といたしましては、地下鉄をつくります際に、道路同様にこれを考えていくべきではないか、そういう点は十分われわれも考えておるわけでございますけれども、従来の経緯からいたしまして、現在なお道路同様に国または地方公共団体が全面的に建設費を負担するという形になっておりません。もしそういうふうなことで、全面的に道路同様の資金が確保せられるということであるならば、これに越したことはないのでございますが、従来からのやり方をそのままで建設の助成を強化するということでありますならば、われわれの立場といたしましては、地下鉄の建設を容易にし、かつ今後の運営の状況経営上の問題もあわせまして、これに相当する所要の助成をなすべきであるというふうに考えまして、現在とっております補助の立場は、やはり建設費の補助という形でございますけれども、その内容といたしましては、今後における当該路線の償却前赤字を解消するというその限度におきまして補助金を支出いたすという形をとっておるわけでございまして、それがモデル線をとりまして、最も合理的に建設し、また今後の運営をなされるという姿におきまして計算いたしました根拠によって算出しておるわけでございますが、純粋の建設費、建設工事費に対しまして一〇・五%に相当する金額を補助するという立場でございます。これだけを補助いたしますれば、将来の償却前赤字を解消し得るというふうに考えておるわけでございます。もちろんその際におきましては、最も合理的な運営をはかることを条件としているわけでございます。そういったことで一四十二年度といたしましては十八億の補助を出しておるわけでございます。四十三年度におきましては、この方式によりまして四十億以上の要求を現在出しておるわけでございます。将来におきましては、年間に百億以上の補助金を支出するような姿も予想されるわけでございます。運輸省といたしましては、現在におきましては、以上のような趣旨によりまして補助をやりさえすれば、将来におきましては十分ぺイするだけの姿になり得るというふうに考えておるわけでございます。  さらに、税制の面におきましても、できるだけ道路と同様な限度まで税を軽減するという手段も、一部講じたわけでございます。今後もなお一そうこの軽減を強化してまいるようにつとめたいと考えておるわけでございます。
  39. 野間千代三

    野間委員 運輸省の発表によると、地下鉄の四十六年までの計画が、四十二年が一千百億、四十三年が千六百五十億、四十四年が千九百四十億、四十五年が千五百七十億、四十六年が千四百八十億で、総計七千七百四十億円、これに横浜の建設計画としては千五百五十一億あるわけです。これが加わるというふうになってくるわけです。これだけの地下鉄建設が予定をされるというふうに見込んでおられるわけですね。これはすでにそれぞれ路線の免許あるいは工事計画等も相当計画をされた内容として七千七百四十億円というふうに計画をされているというふうに発表されておりますが、つまりこれだけの大きな工事が行なわれるわけですね。それはおそらく、これが横浜を含めてでき上がった場合には、相当都市輸送には大きな貢献をするというふうに考えていいと思います。したがって、国のほうがいま補助をする内容、対象としては、これだけ大きな膨大な工事に対して補助をしていく、助成をしていくというふうに考えなきゃならぬわけです。いまの鉄監局長のお答えの、地下鉄建設助成の小委員会案でいくと、四十二年度には千百億に対して十八億、これは前年度の工事費の一〇・五%を、それぞれその次の五年に割り振って補助をするわけですね。そういうことであったと思いますが、四十三年度が四十一億円くらい、四十六年度が百二十五億円くらいになっていくのじゃないかという想定ですね。この程度の助成で、はたして七千七百四十億円にのぼる地下鉄の助成としてなり得るのかどうか。これは数字だけを見ても、助成としては少し——いま鉄監局長のお答えも歯切れが悪かったけれども、どうもこれは少し歯切れが悪いのじゃないかといろふうに思うのです。したがってこれは、四十二年に策定した助成の方法を一歩進める必要がある。いま局長あとのほうでそう言われておったけれども、社会党の提案をしておりました都市交通整備促進法では総工費の三分の二、つまりトンネルを掘る部分は、これは道路であるから、道路と同じような考え方で国がそれを建設する。あと路線を敷くとか、あるいは駅であるとか、そういう費用、あるいは電車だとかそういう費用はそれぞれの企業体が建設する、そういうふうな考えでおるわけです。そこで、直接地方公営企業、東京には営団がありますけれども、その他地方公営企業が建設をしておるわけですけれども、直接それを管掌している自治省としては、この前はトンネルの掘さく部分の三分の一を国が補助する、三分の一を企業体、三分の一が運賃というようなことで、四十一年の助成の際の考え方として出しておられたようですが、最近一歩を進めて、トンネル掘さく部分の三分の二くらいを国が投資をする、援助をするというふうに考えておられるというふうに伺っておるのですが、自治省の考えはどういう考えでいらっしゃるのですか。
  40. 近藤隆之

    ○近藤説明員 問題は地下鉄の料金をどれくらいにするか、再建計画策定にあたりまして、それに一番苦慮したわけでございます。運輸省のあの方式、モデル路線じゃなくて、現実の地方団体に当てはめてみて、償却前の損益をある程度均衡がとれるという形まで持っていくには、たとえば一番地方団体で整備されております大阪でも、最近の建設が多いものですから、隔年ごとに料金改定をしなければならないという形になりまして、なかなかそういう形の再建計画をつくる議会の承認を得るというようなことは、事実問題としてむずかしいことだと思います。またあまりに高くなればバスとか、現在では路面電車もありますが、そういった競合輸送に食われてしまって、お客は来ないという形になって、ほんとうに執行可能な再建計画をつくるにはどうしたらいいか、いろいろ苦慮したわけでございます。地下鉄でございますから、料金をある程度上げていくのはやむを得ませんけれども、やはりほかのバスとかなんとかと均衡のとれる料金でなければいけないのじゃないか、そういうことになってきますと、地下鉄はなぜほかの交通機関よりもコストがかかるのかというと、これは建設費である。そこで地下構築物について何らかの援助をするという方式を、数年前から打ち出しておるわけでありますが、四十一年度建設までについてはもうすでに国としての一応ルールができておりますので、四十二年度以降について新しくやっていくということになりますと、やはり地下構築物について道路並みの二対一の割合で国と地方団体が持つのが妥当じゃなかろうかというような考えを持っておりまして、もちろんこれは自治省だけでできる問題ではありませんで、関係各省にもいろいろ現在お打ち合わせをしているという段階でございます。
  41. 野間千代三

    野間委員 近藤さん、自治省の考えはよくわかります。それでぜひぼくからも、いま課長がお答えになったような立場で地下鉄の建設については促進をする必要がある。それにはやはり相当多額の国からの助成をする必要がある。事実、たとえば一九六四年でしたかにアメリカで大量交通輸送法とかなんとかという法律ができて、地下鉄建設には相当多額な援助をする、たしか三年間に三億七千万ドルですかを支出をして、大量交通輸送を援助していくというような法律ができ上がったそうであります。また、たしかパリの地下鉄に対しては、建設費あるいは割引、学割り、通勤割引あるいは欠損、そういう点については国と自治体がそれぞれ補助をするふうにもなっているはずであります。こういうふうに地下鉄の建設が最近の世界的な傾向として進められておるわけですね。そういう立場にわが国でも立つ必要があるということで、私も相当多くの自治体の支出あるいは借金だけでは、これは当然まかないができませんから、国における助成が必要だと思うのです。そこで、いま課長の言われた考えで、ある程度、年間にこの程度は助成をする必要があるというふうに試算をされた金額が出ておりましたら、年度末の試算の結果についてちょっとお知らせいただきたいのですが。
  42. 近藤隆之

    ○近藤説明員 われわれのほうは、公営がどういう状況であるかということで、公営三企業だけしか試算をいたしておりませんが、それによりますと、一応国なり地方団体のほうの財政事情もありますので、全額起債でやっていって、その起債のうちで地下構築物に関する部分について国と地方団体と二対一の割合でもって元利償還金をもってくるという計算をしておりますので、初年度は三十億程度でございますけれども、建設計画に見合ってずっとやっていきますので、二、三年目くらいからは百億くらいになります。それからずっと横ばいになっていく。起債が続く限り、百億程度のものは国が支出するという形になります。それからなお、こういう形でやりますと、それでもやはり四年に一回くらい料金改定をしていくという形になります。
  43. 山口真弘

    ○山口説明員 先ほどの局長の答弁に対しまして、若干補足をさせていただきます。  現在大都市交通問題につきましては、先ほど先生御指摘のございましたように、地下鉄を中心とする高速鉄道をもってしなければ都市の通勤輸送、通学輸送その他をまかなうことができないわけでございまして、現在国として地下鉄整備促進に力を注いでいるわけでございます。この地下鉄整備につきましては、一番の問題は、この建設にばく大な資金を要するということでございまして、この結果、これに伴うところの資本費が非常に膨大なものに相なる。したがいまして、その利子負担並びに減価償却等の資本費によりまして企業の経営が非常に圧迫をされて、そのために地下鉄建設の促進が非常に困難になるというところであろうと思います。  それで、現在地下鉄建設の規模は、先ほど先生が御指摘になりました七千七百数十億というのは、先般都市交通審議会で審議をした数字でございますが、その後経済発展計画によりまして若干の修正的な点がございますが、いずれにいたしましても六千億以上の規模の地下鉄工事が行なわれるわけでございます。そこで、その資本費が非常にばく大でございますと、その事業を経営いたしまするところの企業体の収支の内容はどういうふうになっていくかということを考えてみますと、建設費が非常に膨大でございますから、これに伴いますところの資本費が非常に多くなる。一方、収入の面を見ますと、地下鉄を建設したからといって、すぐその日からばく大な旅客がふえ、ばく大な収入があがるというわけではございませんで、次第に旅客がふえ、収入がふえていくというような状況になります。したがいまして、建設当時は非常な赤字を持ちまして、その後収入の増大によりましてだんだん赤字が減っていくというような状態になります。これは地下鉄に限らず、鉄道事業一般の趨勢でございまするけれども地下鉄の場合には特にその趨勢がひどいわけでございます。その場合に、もう少しこまかくこれを分析してみますと、建設当時は収入をもっていたしまして、通常の経費それから利子、減価償却費、こういうふうに経費を分けて考えてみますと、通常の経費はかりにまかなうにいたしましても、利子負担はまかなえないということになりまして、減価償却ももちろんなし得ない、こういう状態になります。その場合には減価償却がゼロでございまして、さらに償却以前に不足が生ずるということになります。この償却前の不足というものは、結局収入が全然ないわけでございますから、したがいまして、この不足金を埋めるためにさらに借金をし、それに対してさらに利息を払わなければならない、こういうような事態になりまして、このような事態におきましては、たとえ公営企業等のものでありましてもとうていやっていけないということになるわけでございまして、これを何とかしなければならぬ、こういう前提がございます。  そこで地下鉄助成は、それじゃどうしたらよいかということを考えます場合に、まず第一に私ども考えなければならぬと思いますのは、地下鉄は現在、東京都、大阪市、名古屋市、それに帝都高速度交通営団、四企業体が建設をいたしております。各企業体の内部的な事情によっても違いますし、また各企業体の経営しておりまする路線の立地条件、並びにお客の数というようなことによっても違います。また、各企業体の経営内容におきますところの人員の数あるいは人件費の問題——人件費の非常に高いところもございますし、比較的人件費を節約してやっているところもございます。そういう各企業体のいろいろな事情の違いがございます。ところが私ども国の政策として、税金でもって補助金を出すという以上は、これはそういう企業体の違いというものでなくして、やはり統一的な制度でもって補助金を交付するということによって、先ほど申したような非常に困難な事態を乗り切るということが必要であろうというふうに考えまして、そのために、地下鉄の建設を促進するための統一的な補助制度は何かということを考えざるを得ないわけでございます。  そこでその場合に、先ほど申しましたような企業体別のいろいろな違いというものを一応捨象するという意味におきまして、特定のモデル的な線路を選んで、そしてそのモデル的な線路において、それにモデル的な建設費を選び、そしてモデル的な旅客輸送人員というものを選び、そして旅客収入というものを選ぶ、さらにそのモデル的な線区におけるところの人件費、動力費、減価償却費、その他の経費の試算をするということをいたしますと、当該モデル的な路線においては、建設後どういう状況になって将来推移するかということが一応把握できるわけでございます。  そこで私どもは、先般の、ことしから始めていただきました助成制度におきましては、そういうモデル的な試算というものをいたしまして、そのモデル的な試算におきまして、先ほどちょっと触れました、償却前の赤字というものを一応補助金でもってカバーをするというやり方をとるということにいたしたわけでございまして、そうしてこれによりますと、償却前の赤字というものがとにかく補助をされますから、したがいまして、そこでは赤字が生じない。赤字の部分は減価償却部分だけでございます。その減価償却部分につきましては、収入が次第にふえてまいりますと、一定の時点におきまして減価償却を含めた支出というものと収入が一致するような時点に到達いたします。それ以降は減価償却をなし得るというような事態に相なるわけであります。したがいまして、そういうような助成方策をかりにとるならば、償却前の赤字のために利子が利子を生むというようなことがなくなる。したがいまして、非常に長期に見るならば、地下鉄建設というものは促進をされる、まあ償却前の赤字によって妨害されることがない、こういうような前提に立ちまして、こういう補助制度を現在政府の態度として決定をいたしまして、これに基づきまして第一年度は十八億幾ら、以下累増をする、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今回のこの補助制度には、もちろん前提がございます。各企業体の違いというものを一応捨象いたしまして、少なくとも平均的な能率のもとで平均的な建設が行なわれるということならば、これでもって建設ができるはずである、こういう前提に立ちまして、この助成計画というものを考えているわけでございます。  あと具体的な各都市事情、企業体の事情ということによりまして、若干その点平均的にはいかないというような御事情がある場合もあろうかと思いますが、私どもといたしましては、全般として、各都市は各都市の特異性というものを克服をし、あるいは合理的な経営その他の方策によりまして克服をいたしまして、建設を促進していただくということが一番適当ではないか、このように考えておる次第でございます。  ちょっと補足をさせていただきました。
  44. 野間千代三

    野間委員 だいぶ時間が迫ったので残念なんですが、いまの運輸省の御説明の、償却前の赤字ぐらいのところはなくなしておくということで、これは一つ考えなんですが、そういう考えは消極的な考えじゃないかというふうに思うのです。償却前の赤字がないということは、つまり次の借金ができていくということになりますね。ですからそういう意味では、次の借金をまたして新しく建設をしていくというふうにはなるでしょうが、それはあくまでも借金であって、国が建設そのものに対して助成をしたというふうにはならぬと思うのです。そういう意味では消極的な考えじゃないか、むしろ国がちゃんと投資をして、そうして建設そのものに参加をしていくということが現在では必要ではないか、そういうふうにいま地下鉄の建設を重要視する必要があると考えるわけです。そういう意味なんで、したがって、運輸省の言っておられるような助成の方法ではなくて、建設そのものに助成をしていくという考え方に立って政策を立てていただきたいというふうに思うのです。これは運輸省だけでなくて、自治省のほうではやや私が申しましたような立場で考えておられるようです。もちろん私どもの社会党が考えている金額とは違いますけれども、一応考え方としては建設そのものに国が参加をしていくということで考えておるようです。これはひとつ自治省と運輸省考え方をもう少しかみ合わせてもらって、四十三年度の予算を作成する場合に、もう少し協議を深めてもらって、いまの地下鉄の建設に国が直接参加をしていくということの立場に立って助成し、助成金等についての算定を考えてもらいたいというふうに思うのです。  それで、実は大蔵省の方に来ていただいているのですが、ひとつ大蔵省の考えとして、あのお役所はどうしても削減をしていく役目のようなことになってくる——山口さん、その前に何かあるのですか。
  45. 山口真弘

    ○山口説明員 ただいま、建設を促進する方向の補助金ではないのではないかというようなお話でございますが、実はことしから始めさせていただきました補助制度は、建設を促進するためのものでございます。私ども考え方は先ほど申しましたように、鉄道事業でございますから非常に長期的に見れば収支は償う性質のものである。しかしながら非常に建設費が大きいので、これに対して特別の補助をしないと建設が促進できないのだ。そのできない限度はどこにあるかというようなことを考えてみますと、償却前の赤字が生じている限りにおきましては、とにかく利子が利子を生むのだから、これは建設の促進はできない。しかし償却がかりにできない状態というのは、その時点においては借金の借りかえということになりますから、経営は改善されないわけでございますが、さらに時点がたつに従いまして償却後も黒字になり得る状態が現出する。その場合には、したがって企業としては収支償うわけでございますから、とりあえず償却前の赤字部分のカバーをするということができれば、この建設は非常に促進をされる、こういう前提に立っておるわけでございまして、今回のこの地下鉄助成というものも建設の促進ということに重点を置いて、それを目標としたものでございます。一言だけ申し上げます。
  46. 丸山英人

    ○丸山説明員 地下鉄の建設が非常に重要な問題であることは、御指摘のとおりでございます。また、それが建設の面におきまして非常に困難な状況に立ち至っていることも、よくわかっているわけでございます。しかしながら、問題は結局こういったものを、利用者というものと、国なりあるいはその地下鉄の敷かれます地域、こういったものがどういうふうに分担していくべきかということになってくるかと思うわけでございます。ことしからとられました新しい補助制度につきましては、ただいま運輸省のほうから詳細に御説明があったのでございますが、これは、償却前で赤字が生ずるならば、結局赤字がさらにまた借金を生んでいくという、そういう雪だるま式に借金がふえていくという事態を防ごうという考え方でございまして、これも一つの建設費を補助する場合の計算の根拠といいますか、国が援助します限界というものをどこに置くかという、そういう限界を考える場合の考え方であろうというふうに考えるわけでございます。確かに非常に巨額な資金を要する問題でございますし、償却にも長年を要するわけでございますから、いろいろな面で補助をいたさなければいかぬわけでございますが、問題はこれに対してどのくらい税金をつぎ込むかという問題になってくるわけでございまして、それ以外にも財政投融資等の面でも相当の資金の手当てをいたしておるわけでございまして、そういった財政投融資、税金、さらにもう一つ、その地域の自治体というものがどの程度こういったものに資金をつぎ込むか、この三つの問題になってこようかと思うわけでございます。そういう意味におきまして、ことしとられました方策というものは一つの方策でございまして、これによりましても、先ほど鉄監局長からちょっと触れられましたが、ある時期になりますと百億というようなかなり大きな数字も出てくるわけでございまして、財政の現状からいいますと、この数字が決して小さな数字であるというふうには考えていないわけでございます。そういう意味におきまして、御趣旨に沿うて私たちも検討いたしてまいりたいと思いますけれども、いまの方式がかなり前向きの方策であるということにつきましては、この際御理解願いたいというふうに考えておる次第でございます。
  47. 野間千代三

    野間委員 私も、この補助がとられる前は全くなかったのですからね。運輸省のほうから営団のほうへ三億ですか、何か国鉄から出ている程度であったのですから、それは一歩前進をした方法とは思います。そこで、一歩前進したんだけれども、また地下鉄建設の必要性なり、あるいは地下鉄が持っている交通輸送上の任務なり、そういうもの、また最近特に一歩前進をした、したがって先ほど言われるような、急速に地下鉄建設が必要性を帯びてきて、また建設も進められてきているということですね。しかもそれが問題の地方公営企業の赤字問題とか、あるいは地方公営企業を一歩進める、拡大をしていくという面からでも重要性を帯びてきておるわけですね。それで、いま運輸省の言われている償却前の赤字をなくなしておくということは、確かにいままでの政策から見ると一歩進んで、またその地下鉄という部分での企業の中では建設がしやすくなってきているという作用はあります。それは私も別に否定はいたしません。ただ私が言いたいのは、いま大蔵省で言っているように、確かに地下鉄を建設する工事費をどういう考え方で援助していくか、助成をしていくかという考え方ですね。ですから別段償却前赤字とかそういうものに拘泥しなくても、工事費にこれだけ援助をしていくというふうに考えてもいいんだろうと思うのです。そこで、つまり七千七百億近く建設をしなければならぬ、しかもそれがいまの経済変動の状況では、先ほど自治省で答えたように、運賃の問題も常にそのときそのときの問題としてあらわれてくる問題です。しかも運賃はそういつも上げるわけにいかないことになるわけですね。しかも毎年毎年建設のたびに新しい起債新しい起債というふうに、常に借金もしていくということになっておるわけですね。これはいまの運輸省の計算方法でいっても、当然毎年毎年の計算に対して借金を積み重ねていくという点については変わらぬわけですね。ですから私は、やはり借金はあくまでも借金であって、経営者にとってみればそれはやはり重荷であることには間違いないと思うのです。これがある時期には限度に来たりして、運賃にはね返ってきたりするようになると思うのです。そこで、やはり建設費そのものに国の助成を、たとえば地下の工作物についてどの程度まで国が直持参加をするとかというふうな政策を進めなければ、あくまでも借金の積み重ねであって、これは企業体に大きな圧迫を与え、そしてそれが地下鉄建設を促進することにやはり大きなセーブになってきはしないかということも考えられると思いますね。  そういう立場から、時間がないので一々お答えをいただけないのですが、ぜひこれは——いまの運輸省のお答えになったことだけが唯一無二の方法ではないと思うのです。したがって、四十三年度からまたこの地下鉄の建設費も飛躍的に増加をしてまいりますので、この際ひとつ、四十三年度以降の助成については、私ども社会党が言っておる地下工作物、穴を掘る部分くらいは国が見るとか、あるいは一歩譲って、自治省が考えている掘さく部分の三分の二くらいは直接国が参加をするとか、そうした——それもやっぱり一つの基準ですね。基準になると思うのです。したがってそういう立場に立った、もう一歩進めた地下鉄建設の補助の方法について検討してもらえないかというふうに思うのです。これは地下鉄建設費の急増を見通されてきておるしするので、ぜひそういう点についてもう一歩進めた検討方法をもって、四十三年度の助成を進めてもらいたいというふうに考えるのですが、これは、ひとつそうしますというふうにはなかなかいまお答えをいただけませんが、ぜひ自治省、大蔵省あるいは運輸省等でもう一歩進めた検討をしてもらいたいと思うのですが、これはどうでしょう。このくらいはいいでしょう。
  48. 増川遼三

    増川説明員 御趣旨の点につきましても、われわれこれまでも考えなかったわけではございません。できることなら、そういう道路同様な考え方で取り扱えるものなら、そういうふうに将来やっていっていただきたいというふうには考えますけれども、トンネル部分も同様に扱うということにつきましては、すなわち、運輸省の現在の補助方策と自治省の考えておられるような方策の違いというところはどこかと申しますると、われわれは、地下鉄が民営であろうと公営であろうとこれは一つの企業でございますから、今後の企業の合理化努力というものを加味して考えておるわけでございます。建設費並びにそれによる利息の補助、これをまるまる国あるいは地方公共団体が見るということになりますると、自然経営の合理化努力というものを欠くおそれもあるわけでございますから、私どもはそういう点につきまして、あくまで企業である、したがいまして企業の合理化努力というものを当然要求して差しつかえないというふうに考えておるわけでございます。こういったことも十分地方公共団体側もお考えをいただいて、それをももちろん考えていただき、また私どもも自治省側、地方公共団体側の考えということも真摯の気持ちで検討さしていただきたいと思います。
  49. 野間千代三

    野間委員 終わります。
  50. 内藤隆

    内藤委員長 小川三男君。
  51. 小川三男

    ○小川(三)委員 時間がありませんので、陸運に関する件については、以下申し上げますが、原山さんのほうでいまお答えにならないでけっこうです。しかし、この問題は非常に重大な問題であるという点で、あなたのほうで検討してもらわなければならない。  というのは、大阪の業者がクーラーを取りつけて冷房料金を取った。運賃の中には冷房料金というものはない。これを取ったわけです。ところが、自主的にやめたということでこの冷房料金の問題をやめさせている。近畿行管の調査によれば、一台七万二千七百円、取りつけ料が一万五千円、こういうぐあいに計算を出しておるわけです。業者はこれに対して、取りつけ料とも一台十二万五千円かかっておる、こういうことを大阪陸運局へ出しておるわけです。私のほうの調査によると、八万五千円の、取りつけ料一万五千円、計十万円。したがって一万四千台の車両に取りつけるには、十四億の資金が投下されているわけです。ところが、この十四億の中で約一割に近い一億五千万が、冷房料金並びに十月から実施されようとする料金値上げのための政治資金である、運動費であるとして使用されているということがいわれているわけです。非常に重大な問題であると思う。  それから、ここにこういう問題があります。いいですか。これはあなたのほうで大阪陸運局を通じてこういう資料を手に入れる必要があると思う。「早急に運賃改定の実現を図る。」——業者は、少なくとも大阪のタクシー業者はすべて、十月からは運賃が値上げになるという確信を持っているわけです。この間家宅捜索された大阪相互タクシーの多田清君の政治力を信じて、十月からは確実に運賃値上げになるのだという確信を持っているわけです。しかも私のほうの調査によれば、一台十万円、したがって十四億という冷房の取りつけのための資金が投下されておる。しかも取りつけたのはほとんど日本電装——これはヂーゼル機器と日本電装の二大メーカーがあるが、取りつけられているのはほとんど日本電装である。しかもこれは家庭の電気製品じゃないのですから、いやしくもそこいらでいつか買いに来るだろうといって売っている性質のものではない。少なくとも、一万四千台にわたってつくるには、去年あたりから十分の計画のもとに行なわれていたに違いないといえる。  それと、ここに、「運賃の改定の実現を図る。その方法として、大阪陸運局管内で、局長または自動車運送協議会の主催で、利用者と業者の聴聞会を開く、その結果を自動車運送協議会または局長運輸省報告し、」四割増しを申請する、それでなるのは二割だ。初めから、四割増しを申請して、努力したけれども二割はカットされて二割料金の値上げができるのだということがやられているのです。そんなばかなことはないです。一体運賃はだれがきめるのか。そういう点で、自動車局長、時間がありませんからこの問題について御答弁は要りませんが、少なくとも多田君の政治力によって冷房料金は決定した、多田君の政治力によって運賃は改定されるだろう、そういうふうなことを流布されていることは許されないと思う。  したがって、中小の業者は非常に大きな損失を抱いている。ですから、ここに冷房料金の問題について行政訴訟を起こす、あるいは損害賠償を運輸大臣に提起するというようなことが業界でいわれているわけです。けれどもこれらは、業界のそれぞれの二団体、それから個人タクシーを加えると約五団体の役員が奔走して、これは押えてしまったという事実がある。こういうことが業者の間で論議されている。したがって、こういう問題について自動車局として十分に現地について調査されたい。私の申し上げたいのはそれだけです。
  52. 原山亮三

    ○原山説明員 一点だけ……。運賃改定が十月一日から云々というお話がございましたけれども、この点はたびたび国会でも御答弁申し上げましたように、そういうことは現在考えておりませんので、その点だけを申し上げておきます。      ————◇—————
  53. 内藤隆

    内藤委員長 次に、航空に関する件について調査を進めます。  この際おはかりいたします。  本件調査のため、本日、新東京国際空港公団総裁今井栄文君を参考人として御出席をお願いし、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 内藤隆

    内藤委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  参考人からの意見聴取は質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  55. 内藤隆

    内藤委員長 質疑通告がありますので、これを許します。小川三男君。
  56. 小川三男

    ○小川(三)委員 この間空港公団は、外郭測量をするための公示を千葉県当局に求めて、千葉県当局は外郭測量を公示した。一体その外郭測量というものは起業者にとって、事業の運営の上でどんな比重を占めるのか。これはどうしてもやらなければならないものなのかどうか、その点を伺いたい。
  57. 澤雄次

    ○澤説明員 技術的な詳細なことは副総裁から御説明申し上げますが、外郭測量は本測量を始めます基本になりますものでございまして、飛行場の区域を明確に定めるという意味で、どうしても必要なものでございます。
  58. 小川三男

    ○小川(三)委員 それから、よくあなたのほうで、運輸大臣は現地へたびたび行くというようなことをいっているが、起業するのは空港公団でしょう。運輸大臣じゃないでしょう。したがって運輸大臣が現地へ来て、土地の価格がどうであるとか、あるいは騒音の問題に対してこういう対策がありますとか、水利、水系の問題についてはこうであるというようなことを、運輸大臣は一体何の資格で現地へ来て、現地で何をしなければならないのか。そういう点、おかしいじゃないですか。  それと、運輸大臣はこの間の立ち入りの問題についても、承諾を得た土地についてのみ行なう、こう言っているのです。これは十九日に運輸省に行ったときも、そう答えています。それから、九月一日にもそう答えている。それで測量の完成を期することができるのか。承諾を得た人のところだけ測量するということであれば、実際の測量では、承諾を得ないところには立ち入らないといえば、非常に変形した外郭というものが想定されるのだが、その点はどうなんですか。  それと、きょう運輸大臣がいなくてはなはだ残念だけれども、いま言った、運輸省の立場と公団の立場というものを明確にして、それから答えてもらいたい。
  59. 澤雄次

    ○澤説明員 新東京国際空港の建設の直接の衝に当たるものは、先生のおっしゃいましたとおり新東京国際空港公団でございます。しかし運輸大臣がこの新東京国際空港の建設を公団に命じたわけでございまして、閣僚として運輸大臣が、新東京国際空港の建設及びその促進について最高の責任を持っているわけでございます。直接の責任を持っているわけでございます。それで空港公団法に基づきまして運輸大臣は公団を指揮監督することに相なっておる。大臣の責任感から少しでも新東京国際空港の建設が進むようにということで、大臣はしばしば現地に行っておられるわけでございますし、もし事情が許せば、現在反対しておられる方とも直接お会いしてお話し合いをしたい、大臣は常々こう申しておられるわけでございます。  それから第二点の、今回いわれております測量は、これは地主が測量の立ち入りを了承されたところだけを測量いたすということは間違いがございません。もちろん全域にわたりまして公団としては測量を実施したいわけでございますが、現在空港の建設に反対をしておられる方のところに立ち入ることは、非常な混乱を生ずるおそれがございますので、立ち入りを了承された方のところだけを今回は測量をいたしたい、こういうことでございます。
  60. 小川三男

    ○小川(三)委員 したがって、反対者の土地へは立ち入らない、測量もしないということであれば、承諾した者の土地だけ測量して、あとは測量しないということであるなら、非常に変形したものになるでしょう。その点はどうなんです。
  61. 澤雄次

    ○澤説明員 先生承知のように、この域内の予定されました敷地の中の居住者の約八割に近い方が立ち入り測量を承諾しておられるわけでございます。これは広さにおきまして約八割の方が承諾されておるわけでございますので、承諾した方の土地を測量するだけでも、外郭の大部分のところが確定いたすわけでございます。それで賛成された方の区域を測量するということは決して無意味ではなく、空港の将来の測量あるいは建設に非常な推進になるわけであります。
  62. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうすると、反対者の土地は測量しないでも外郭の決定はできるということですか。
  63. 今井栄文

    ○今井参考人 いまの点、澤航空局長のお答えを補足して御説明いたしたいと思いますが、外郭の測量につきましては、先ほど澤局長から申しましたように、昨年の閣議決定に基づきましてきめられた区域を現実にプロットするということでございまして、承諾を得た方のところを測量するというのは、現在ではそのような線でいきたい。なお、将来につきましては、現在反対しておられる方々につきましてもできるだけ御承諾を得るように努力し、それからまた、どうしても御承諾が得られないというふうなところにつきましては、私どものほうから県あるいはまた市町村に通知をいたしました線で、土地収用法に基づく立ち入りの調査をやるというふうなことも、将来は考えられるわけでございますが、私どもは現実としてはできる限り御承諾を得た上で入る、こういうふうな線で努力をしておるようなわけでございます。
  64. 小川三男

    ○小川(三)委員 この地図に出してある、これを外郭と見ていいわけですね。これはいまあなたのほうの配られたものです。この黒い線が外郭と見ていいわけでしょう。——そうしますと、いま今井さんの答えの中で、将来は反対者の土地といえども立ち入って測量しなければならない。これは強制測量しなければならないということでしょう。そうすると、将来というのは大体いつごろの見通しなんですか。
  65. 今井栄文

    ○今井参考人 私ども、将来ということをばく然と申し上げたのでございますが、空港公団は御承知のように政府の命令によりまして、昭和四十六年の三月末までには第一期工事、四千メートルの滑走路並びにこれを運営するに必要な施設、あるいはまた保安施設等をつくるということを命ぜられておるわけでございまして、私どもとしては、その時点に合うように空港をつくるべく生まれた公団でございますので、そのために今後具体的に現実に合わせながらスケジュールを組んでいくという趣旨でございます。
  66. 小川三男

    ○小川(三)委員 いま公示されてある、承諾を得た人の土地の測量、これについては大体の見通しはどうですか、答えられますか。大体いつごろからいつごろまでの期間に完了しなければならない。それは承諾を得た者の土地ですよ。いま、反対者の土地は将来ということであった。
  67. 今井栄文

    ○今井参考人 私どもはできるだけ早くやりたいというふうに考えておりますが、十分状況を判断いたしまして、できるだけ混乱の少ないようにということが念願でございますので、そういうふうな趣旨でもいろいろ配慮を加えまして日をきめていきたい。したがいまして、ここでいま、いつやるかというふうな面についての明確なお答えはいたすことがちょっとできないという点を御了解願いたいと思います。
  68. 小川三男

    ○小川(三)委員 大体この計画自体が、富里は不可能である、三里塚へ飛行場をつくるという矢つぎばやに閣議決定をしておる。これは皆さん御存じのはずです。したがってここに非常に大きな無理が、最初の出発からある。その無理の一つの例をあげれば、三里塚の十字路にある第二公園です。あそこの第二公園を成田警察署が市から長期に借用している。当分の間ということで借用して、いろいろな団体やその他の使用することを妨害しているわけです。こういうように常に警察権力というものを前面に出して、警察権力と絶えず折衝しなければ、この仕事を進められない。したがって、成田の警察署が成田の市長から十字路の第二公園を長期、無期限に借り入れたということについては、この間厳重に抗議されて、これは取り消しました。いやしくも公共の使用すべき公園を、こんな例はおそらくないでしょう。かりに丸の内警察署が日比谷公園を長期、無期限に借りるということは、東京知事はおそらく断じて断わるでしょう。成田の市長はそれを断わらないのですよ。そういうところに、ここらからすでに私は、空港公団がこれに介在している、あるいはあなたは介在してないかもしれないけれども現地の諸君はこれに介在していると考える。こういうようなやり方でなければ遂行できない。ここに問題がある。したがって、外郭測量の場合、あなたのほうでは警察の出動を要請するかどうか、この点を伺っておきたい。
  69. 今井栄文

    ○今井参考人 私どもとしては、できるだけ混乱が少ないように、また測量をやる場合に秩序が保たれるようにということを考えているわけでございまして、したがいまして、場合によっては警察に秩序維持をお願いするというようなこともあり得るのではないかというふうに考えております。しかしながら、現在そういうふうな面について、具体的にいつ、どうこうというふうにお話を申し上げておるわけではございません。
  70. 小川三男

    ○小川(三)委員 公団法三十九条には「運輸大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、」とあり、その中の六項で「公団は、運輸大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。」こういう規定がありますが、すでにこれについて、委託銀行やその他をきめてあるかどうか伺いたい。
  71. 今井栄文

    ○今井参考人 これは公団が、御承知のように、昭和四十二年度中に三十億の政府保証債を発行できることに予算措置は講じてございますが、まだ正式に、どの銀行に対して発行に関する事務の全部または一部を委託するかというふうなことはさまっておりません。
  72. 小川三男

    ○小川(三)委員 いま今井さんがお答えになられたように、正式にはきまってないけれども、内部ではすでに交渉が行なわれているのかどうか。
  73. 今井栄文

    ○今井参考人 正式には決定はもちろんいたしておりません、これは運輸大臣の認可を受けなければなりませんので。しかしながら内定はいたしております。
  74. 小川三男

    ○小川(三)委員 その内定の中に長期信用銀行が入っているかどうか、その点どうですか。
  75. 今井栄文

    ○今井参考人 おっしゃるとおり、入っております。
  76. 小川三男

    ○小川(三)委員 きょうほんとうは大臣がいないということが非常に不満だけれども、これは航空局長、あなたは帰られたら大臣に明確に伝えてもらいたい。  それは、成田空港公団総裁経営している築地産業株式会社というのがあります。この築地産業株式会社については、現に南浦こぎくという女性と成田総裁との間に訴訟事件が起こっておる。これが一つ。しかもこの訴訟事件に関連して、成田総裁は長期信用銀行に対して融資の申し込みをした。これが成立したか成立しないかは、これは銀行業務の問題ですからわれわれの関与するところではないけれども、とにかく申し込んだということがあるという点が一つ。それから、総裁の任命権は運輸大臣にある。これは明らかに運輸大臣が任命したものだ。ところで起業者である空港公団は——三里塚の現地では数百年にわたり長く続いた農家もある、こういうような農家の粒々としてつくり上げてきた生活権、それらのものが重大な決定的な段階に追い込まれようとしておるし、追い込まなければならない。それからさらに最も近い者でも、戦後二十年の開拓の歴史を持っておる。これらの農地を全部取り上げなければ空港はできない。これを強行して取り上げようとしている。この空港公団総裁が、いやしくも個人的な問題であっても、こういうような事態を起こしているということ。これはすでに公判で開かれておるのです。このことは、これはプライバシーの問題であるので深く追及しようとは思いませんが、そういう事実がある。したがってそういう事実があるものを——社会的に重大な使命があるわけです。それからまた、政治的にも公団総裁は重要な立場にあるわけです。この総裁を、少なくとも運輸大臣が任命しているんです。この政治的責任は運輸大臣並びに政府が負わねばならない。これは大橋さんが任命したものじゃない。大橋さんのときではない。けれども、だれが成田総裁を政府に持ち込んだかは別として、少なくとも運輸大臣はこれを任命している以上、解任の権限もまた運輸大臣にあるはずですから、こういう政治的な責任について、運輸大臣に、お帰りになりましたら航空局長から明快にお伝えを願いたい。そうして、一説によれば、融資第三課長から三億の融資を申し込んだけれども、相手から異議の申し立てを受けてこれは成立しなかったともいわれ、事実成立しているんではないかともいわれている。こういう問題はいいです。こういう問題はいいけれども、少なくとも長期信用銀行が空港公団債を発行し得る銀行に内定している段階で、空港公団総裁がそういうことに関与するということは、もしこれが事実であるとすれば、これは非常に重大な問題だと思う。ですから、これは航空局長の責任じゃない、運輸大臣の責任ですから、航空局長からぜひともこれを伝えてもらいたい。  それから、今井さんに申し上げますが、いままでの仕事の中で、総裁は一体どんな役割りを果たしてきているのか。空港公団の仕事の遂行の中で、空港公団総裁はどんな仕事を、どんな役割りを果たしてきているのか。それをちょっと伺っておきたい。
  77. 今井栄文

    ○今井参考人 御承知のように公団の組織は、総裁の下に副総裁並びに理事が役員としておるわけでございますが、理事会等におきましての決定については、当然総裁は臨席されまして、最終的に公団のいろいろな方針であるとか、あるいはまた公団に必要な決定類であるとか、そういうふうなものの決定について総裁の御許可をいただいてやっておるわけでございますが、それ以外に重要な問題につきまして、いろいろ御意見をお伺いして御裁断を仰ぐというふうに、御参画をいただいておるわけでございます。
  78. 小川三男

    ○小川(三)委員 その問題については、総裁は一体総裁としての仕事をやっているかどうかということです。やってないでしょう、ほとんど。今井さん、あなたがいなかったら公団なんというものは事実、問題にならないですよ。世間で何と言っています。第一、きょうだって成田総裁が来なければならないんですよ、あなたが来なくても。成田総裁はきょういないし、運輸大臣もいない。しかし、非常に問題になるのは、いまどこの飛行場に行っても、どこの飛行機についても、騒音の問題が一番重大な問題です。その騒音の問題について、成田総裁はこの前もここの席で、成田総裁署名のパンフレットについて責任を負うのかという追及に対して、責任を負うということを答えている。要するに彼は、騒音については何にもないということをいまもって確認しているわけですよ。そこで、私はいまその問題について伺っておきたいのは、航空機騒音防止の法律がこの間国会を通りました。これについて、新東京国際空港については、移転補償や損失補償あるいは共同利用施設等の補助、いろいろの問題の補償というものがある。この場合に騒音の最低限度というものを、新国際空港公団が行なう事業の範囲内では一体どのように押えようとするのか。
  79. 澤雄次

    ○澤説明員 騒音防止法を御審議願っておりましたときにもお答え申し上げましたとおりでございますが、騒音防止法でいろいろな施策、対策をとっておりまして、騒音防止工事を実施する場合の騒音の基準、あるいは農業補償を行ないますような場合には、一定の区域でこれを行なっております。それから土地の買い上げ、あるいは移転補償というような場合にも一定の区域を定めまして、買い上げ、あるいは移転補償を行なっておるわけでございます。  それで、ただいま御質問の何ホン以上を対象にするかということにつきましては、小中学校等の学校、病院その他の騒音防止工事について何ホン以上という基準を採用しておるわけでございますが、一般的に申しまして、八十ホン以上の場合に騒音防止工事を実施する。小中学校の特別の場合には七十ホン以上までも対象に考えるということは、騒音防止法御審議の際にお答え申し上げたとおりでございます。
  80. 小川三男

    ○小川(三)委員 あの中で、騒音の地域の住民の生活が著しく阻害されるという問題がある。著しく阻害されるという範囲をどの程度に、具体的にどう押えるか。
  81. 澤雄次

    ○澤説明員 ただいま御質問の「周辺地域の住民の生活が著しく阻害されていると認められる」というのは、騒音防止法の第六条の共同利用施設の助成の場合かと思いますが、共同利用施設の場合には、これは大体八十ホン以上の地域を対象といたしまして、住民が学習、集会等の施設、その他住民生活に必要な共同利用施設をつくります場合に、運輸大臣が一定の補助金を交付するということに相なっておるわけでございます。
  82. 小川三男

    ○小川(三)委員 ですから、この八十ホンなら八十ホンという区域をどの辺までに想定しているのか、もしこの地図の上で示すとすれば。
  83. 澤雄次

    ○澤説明員 この何ホンまでのところがどれくらいの区域になるかということにつきましては、これは既設の飛行場についてでございますが、騒音調査を現実に実施いたしまして地域を決定いたしているわけでございます。これは東京及び大阪につきましては、本年の六月三十日に当委員会資料要求によりまして、東京、大阪の騒音コンターの図面を御提出申し上げたわけでございます。その騒音コンターによりますと、八十ホン区域と申しますのは、大体滑走路末端から六キロの地域が、このコンターでは八十ホンの区域に相なっております。
  84. 小川三男

    ○小川(三)委員 公団なり運輸省なり航空局なりで、第二十三回日本公衆衛生学会で北大の教授が報告した千歳空港における騒音の調査の実態、これらの資料を入手されましたか。
  85. 今井栄文

    ○今井参考人 入手いたして、その先生の講演の部分は読ましていただきました。しかし、いま詳細に記憶はいたしておりません。
  86. 小川三男

    ○小川(三)委員 あの調査報告ごらんになったとして、あれをあなたのほうで否定するか肯定されるか、その点はどうなんです。いま答えられないですか。
  87. 今井栄文

    ○今井参考人 申し上げましたように、具体的に論文の内容を記憶いたしておりませんので、いまここで明確にお答えはできません。ただ申し上げられますことは、御承知のように、千歳空港は主として軍用飛行場として使っておりまして、したがって、その飛んでおる機種も軍用機が主でございまして、したがって先生お話につきましても、あるいは民間航空の場合と十分比較検討がなされなければならないというふうな感じはいたしております。
  88. 小川三男

    ○小川(三)委員 しかし、空港公団として、少なくとも騒音の問題についてはあらゆる資料を取り寄せてやる責任、義務がある。成田総裁のような、何でもありませんというようなことを言い切っているという問題について、あれは重大な問題です。飛行機の騒音が何でもないというようなことを現地へ流布しておる。それは完全にごまかしですよ。したがって、われわれがしつこくこの問題をやらなければならないのは、そういう点、あなたのほうで取り消してないのです。少なくとも公団総裁の名によって配布したものについて、取り消してないのです。いいですか。横田基地の調査に見ても、最高ホンは百二十ホンから百三十ホン。八十五から九十九ホンが、多いときには一日に二百六十七回、最も少ないときでも百回を下ることはない。これは横田基地の調査です。一日の通算では三百七十一回という数字も出ておる。そこで、そういうような状態からいって、成田空港の騒音回数は一体何回ぐらいにあなたのほうでは押えているのか。
  89. 今井栄文

    ○今井参考人 まだ一応の、運輸省と御相談しての推定の数字にすぎませんが、四十六年度に、先ほど申し上げましたように、四千メートル滑走路を一基造成するという時期におきまして、主として国際線の飛行機でございますが、大体年間に三万五千回程度のものが離着陸するのではないかというふうに考えております。そうしますと、大体一日に約百回。先生も御承知のように、飛行機は風に向かって離陸し、風に向かって着陸するという飛び方をいたしますから、したがいまして、一日に片側が大体五十回程度じゃないか。これがかりに十五時間運営するといたしましても、一時間の回数は約三回強というふうな程度になるのではないか。これは昭和四十六年度の推定でございますが、新空港ができ上がりまして第一回の飛行機が飛ぶ時期におきましての一応の推定は、そのように考えております。
  90. 小川三男

    ○小川(三)委員 先ほどの北海道の千歳空港は軍用機の発着だ、それから横田もそのとおり。けれども、それじゃSSTやジャンボジェット機がいまの軍用飛行機の程度の騒音であるということを、あなたのほうで言い得るわけはないでしょう。アメリカあたりの試作状態やその他からの騒音の状態なんかについて、資料を取り寄せられてないでしょうか。
  91. 澤雄次

    ○澤説明員 ジャンボジェットにつきましては、大体現在のDC8と同じ程度の騒音に落とすようにということが、アメリカのFAAからボーイング社のほうに要請が出ております。これはエンジンが、御承知のように、現在のコンプレッサーよりもファンエンジンの作動を非常に多くすることによりまして、航空機の騒音を減少して、現在のDC8程度にするということにつきまして、ボーイング社で努力をいたしているわけでございます。それからSSTにつきましては、これまたFAAのほうからボーイング社に要請がございまして、なるべくDC8と同程度に騒音をとどめるようにという要請が出ております。これは、ボーイング社のほうで検討をいたしております。アメリカのSSTが完成が当初予定よりも非常におくれております原因一つはこの騒音問題である、このように聞いております。
  92. 小川三男

    ○小川(三)委員 この羽田の調査では、ダグラスDC8を使用した調査によっても、直進コースで六キロメートル離れて八十ホン以上という、これはあなたのほうの数字ですよ。それから、側面で二キロメートル離れても七十ホン前後、これは認められるでしょう。
  93. 澤雄次

    ○澤説明員 六月三十日に御提出申し上げました資料でおわかりのように、八十ホンの範囲に入りますのは、五キロから六キロのところが大体直進コースで八十ホンの範囲に入るわけでございます。この騒音のコンターをつくりますのは、非常に困難がございまして、気象条件によっても違います。たとえば曇っております日には、非常に騒音がひどく感ぜられます。それから、風の強い日は騒音が非常に早く流されるというようなことで、六月三十日に提出申し上げました運輸省の騒音コンターが、これが常時このとおりであるということではございませんが、大体の基準的なものを示すものとして正しいのではないか、このように考えております。
  94. 小川三男

    ○小川(三)委員 騒音の問題については、もっと詳しくやらなければいけないのですが、きょうは時間がありませんので、最後に、千葉県公害防止条例との関連について、あなたのほうではどう考えておるか。
  95. 澤雄次

    ○澤説明員 騒音防止法と公害基本法の関係につきましては、騒音防止法を国会で御審議を願っておりますときにも、いろいろ御質疑があったわけでございます。公害基本法でも騒音基準をつくることに相なっておりますが、この騒音基準は、理念として、人間が健康な生活を営むときの一定の理想状態の基準というものをつくるのが公害基本法の基準でございまして、各行政庁はこの基準に向かってそれを達成するように努力すべきであるというのが公害基本法の思想である、このように政府で統一見解を御説明申し上げたわけでございます。この府県条例は、現在は公害基本法がございませんから、ばらばらにつくっております。公害基本法ができましたら、府県条例は公害基本法を受けまして騒音基準をつくることに相なると思います。  それで、航空機につきましては、各地で——これは航空機だけでなくて、鉄道であるとか、あるいはそのハイウエーを込めました騒音基準を公害基本法でつくるわけでございます。航空機につきましては一挙にそこまでまいりますと、結局飛行機が飛べなくなる。航空機はどうしても騒音を出さなければ飛べないわけでございます。この公共性とそれから付近住民との調和ということを考えて、一つの行政努力目標として航空機騒音防止法というものを御審議願い、これを通過さしていただいたわけでございます。騒音防止法に基づきます行政措置というものを、順次公害基本法の騒音基準に近づける努力はいたすべきであると思います。現在のところ、まずこの騒音防止法で御審議願い、御決定いただきました施策というものから出発していく、こういうふうに考えておる次第でございます。
  96. 小川三男

    ○小川(三)委員 千葉県公害防止条例を厳密に適用するとすれば、三里塚へ国際空港などをつくる条件はないですよ。千葉県知事はこの条例を改めなければならぬ。しかし、いま千葉県公害防止条例によって守られている騒音その他の公害を、さらにもっと大きな音響でも差しつかえないのだという防止条例はつくれるはずがない。したがって、千葉県公害防止条例を厳密に適用するならば、いまの三里塚空港はできない。この点についてあなたは千葉県知事と何か話されたかどうか。
  97. 澤雄次

    ○澤説明員 千葉県知事と千葉県の公害防止条例の関係を直接にお話し申し上げたことはございませんが、私のほうで騒音防止法をつくりますに際しましては、私のほうの考えを詳細に千葉県庁のほうには御説明を申し上げております。  それで、これは一般的な問題でございますが、先ほども説明申し上げましたように、一般的な公害基本法で騒音基準というものを各府県がつくられるわけでございます。航空機につきましては、その理想の騒音基準まで押えるということになりますと、結局飛行機が飛べなくなる。これは千葉県だけでございません。どこの県でも飛行機が飛べなくなるということに相なるわけでございます。それで、その付近住民の生活環境の基準とそれから航空機の持ちます公共性との妥協ということで、航空機についてだけ特に騒音防止法というものを提出して、国会の御審議をお願いしたわけでございます。
  98. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうすると、千葉県公害防止条例を厳密に適用するとすれば、三里塚に飛行場などつくれる条件はないですよ。したがって、あなたのほうでは、地方自治体に対して公害防止条例を改めろという干渉をやるのかどうか。その点どうですか。
  99. 澤雄次

    ○澤説明員 千葉県知事とよく協議いたしたいと思います。
  100. 小川三男

    ○小川(三)委員 しかし千葉県知事と協議しようとも何しようとも、あなたのほうが強力的に千葉県知事に、公害防止条例を廃止しなさい、あるいは改めなさい、改悪です、改正じゃなくて改悪です、しなさいということを強要しない限り、しかも地方自治体は自治体としての権威がある、これを侵害してまでということであればこれは別問題である。そういう侵害をしてまで、あるいは地方自治体の地方自治体における自治権をもあなたのほうで強圧的にこれを改めさせようとするのか。
  101. 澤雄次

    ○澤説明員 その辺のことは全然考えておりませんので、騒音その他の公害につきまして一般的に公害基本法ができます前は、各地方公共団体におきまして、府県条例によって公害の防止に関するいろいろな条例をつくっておられたということ、これは事実でございます。千葉県もその一つでございます。公害基本法が国会で御審議いただきまして、公害基本法及びその他いろいろな公害に関します特別法ができたわけでございますので、今後は府県条例というものは公害基本法の精神に従いまして運用されていくということに相なるか、このように考えております。なお詳細の運用につきましては、よく千葉県知事と御協議を申し上げたいと思います。
  102. 小川三男

    ○小川(三)委員 時間がないので最後に伺っておきますが、あなたのほうで閣議決定以来矢つぎばやにいろいろな対策を講じてきた。たとえば地権者会をつくる、あるいは条件派をつくるという努力を傾けてきた。けれどもそういうことの反面に、あなたのほうでは条件派をつくったということが大きな成功であると考え事態を甘く見ているかもしれないけれども現地では——私はこれは全くこの間初めて見たのですが、六十歳以上の老人は全部老人決死隊、これは署名捺印しておる。そうして富里では、これは反対同盟が中心になって結成された。これはついに発表しなかった。けれども成田地区、いわゆる三里塚国際空港反対の運動の中では、これは全く自主的で、反対同盟の役員もだれも知らなかった。突如として発表された。そういうような団体をつくって、最後の自分たちの生命をかけてこの土地を守らなければならないというので、そういう人たちが立ち上がっているわけです。こういうような事態の中でなお国際空港をあなたのほうであそこへ建設するために強行しようとするなら、これは不祥事態などということばでなく、でもよろしいし、流血の事態が起こらないという保証は何人にもない。一体平和目的のためにつくろうとする国際空港であるならば、地元との流血の事態を起こしてまでこれを強行しなければならないかという問題が一つ。  それから、すでにこの問題が始まって以来満四年の歳月を経過しているわけであります。何もやっていないですよ。あらゆる地域で反対されて、ついに何もやることができない。あなたのほうが出発してからもすでに一年二カ月、しかも一本の木も切ってはいない。これから外郭測量をやろう。外郭測量自体でも、大きな抵抗が予想されなければならない。こういうような事態の中で、なぜこれを強行しなければならないのか。これは政治上の重大な問題としてあなたたちが、航空局長にしても今井さんにしても、第一線の立場でこれは努力しなければならないでしょう。けれどもあなたたちが努力すればするほど、現実には地元での大きな衝突というか、大きな抵抗にぶつからざるを得ない、こういう事態にあるわけです。したがってこういう問題について、国際空港をつくらなければならない根本の立場にあるならば、その立場に立ってもっと冷静に、政策上の大きな問題としての転換を求める重大な時期じゃないだろうか。あそこで強行しようとして、これから四十六年には飛行機を飛ばさなければならない、今井さん、あなたのほうでは安易にそうお考えかもしれないけれども、地元の現実はそれほど甘い状態ではないと私は思う。したがって、こういう点について、むしろあなたたちが政府当局に対して、勇気を持って進言して、あそこはやめなさい、できない、やめるべきだということを進言する立場にあると思うのです。その点を伺って私の質問を終わります。
  103. 澤雄次

    ○澤説明員 ただいま先生おっしゃいましたように、地元に非常に反対の空気が強いということも十分承知をいたしております。私たちといたしましては、でき得る限り地元の御了解を得られるようにということで、これまで運輸大臣が直接千葉県に参り、あるいは新聞紙上を通じまして地元の方に呼びかけるということで、なるべく地元の方の御了解を得るようにつとめてきたつもりでございます。今後とも運輸省公団一体になりまして、地元の御了解を得るようにつとめてまいりたいと思います。  新東京国際空港は、どうしても四十六年四月に成田のあの三里塚のところにつくらなければ、日本は世界の航空から取り残されてしまうわけでございます。私たちといたしましても、あくまで四十六年四月成田に新空港ができることに全力を注ぎまして、また地元の反対の方に少しでも御了解を得られるように、今後とも努力を続けてまいりたい、このように考えております。
  104. 内藤隆

    内藤委員長 木原実君。
  105. 木原実

    木原(実)委員 小川委員の御質問に関連をいたしまして、私は逐次お尋ねをいたしたいと思いますが、航空局長もいまお話しでございましたように、たいへん使命感はりっぱなんですけれども、無理があるのじゃないかと思うのですね。これはいままでも、本委員会その他の審議の過程の中でもあらわれておけますし、いま小川委員の一、二質問をいたしましたことに関連をいたしましても、われわれも納得できない面が多いと思うのです。  たとえば騒音の問題一つとりましても、御答弁ございましたけれども、いまおっしゃいましたようなことでわれわれも説得することはできないと思うのです。騒音の問題についていま、滑走路末端の六キロ以内を対象にするんだというのですけれども、では一体そのことに関連をして、たとえば移転あるいは防音の施策、具体的にどういうものがあるのか、それをお示しを願いたい、こういうふうに思うのです。
  106. 澤雄次

    ○澤説明員 航空機の騒音防止のための対策につきましては、騒音防止法を御審議願いましたときに当委員会でも具体的に御説明申し上げましたが、騒音防止法によってとろうといたしておりますことは、第一は航空機の航行の規制でございます。これは飛行機がある一定高度に達しましたならば、なるべく騒音の被害の少ない地方へ方向を変えさせるというようなこと、あるいは飛行機の飛行場の使用時間等につきましても一定の規制を加えるという、第一はこのような航行規制でございます。これは公害防止法で申しますと、公害の排出規制に相当するものかと思います。  それから第二は、小学校、中学校、その他の学校、それから病院またはそれに類似いたします施設につきまして、一般的には国、新東京国際空港の場合には公団が、騒音防止工事を実施するわけでございます。これは騒音防止工事の対象工事につきましては一〇〇%、国または公団が補助をいたします。ただし、木造を鉄筋に変えるというような場合には、これは理論的に地元にも利益が残るわけでございますので、その利益の限度はこれを控除する。実際的に申しますと、一番強い騒音のところで、小学校で鉄筋で二重窓の騒音防止工事をいたします場合には、これは国が九〇%を補助いたします。残り一〇%を地元に御負担いただく、このようにいたしております。  それから、このような騒音防止工事のほかに、さきに小川先生からも御質問がございました騒音防止法第六条関係の、個人の家には騒音防止工事を実施いたしませんので、付近住民の方が集まりまして共同学習室をつくられるというときには、その住民の方が十分利用できるだけの広さの防音工事の共同学習室等を国の予算で——これは地元につくっていただきまして、地元に国から補助いたしまして、これを実施するわけでございます。  それから、一定地域の移転補償でございますが、とてもうるさくてその土地に住めないという方につきましては——これはもちろん区域を限定いたしております。滑走路の端から何メートル、あるいは飛行場の着陸帯の端から何メートルという一定の基準によりまして、そこから移転をされようとする方には移転補償を実施します。  それからさらに、騒音のその中でも特に激しいところにつきましては、その土地を買ってくれ、こういうお申し出がございましたら、土地を買い入れるということにいたしておるわけでございます。  それから、そのほか農業補償というのがございまして、進入表面下の一定区域におきまして農耕を営んでおられる方、これは飛行機が離着陸いたしますたびに、あるいは首をすくめられ、あるいは空を見られるということによって農耕を休まれる時間が、その飛行機の離着陸の頻度によりまして出るわけでございます。これは、その一時間の、あるいは一分間のお百姓さんの労働価値が幾らかということを、その付近の農産物の収入から逆算いたしまして、一分間幾らかということを計算して、その一年間の損失というものを国、新東京国際空港の場合は公団が補償する、こういう措置を騒音防止法でとることに相なっておるわけでございます。
  107. 木原実

    木原(実)委員 いろいろ申されましたけれども、それじゃ具体的に、現在予定をされておる地域の中で、公共の建物に対して、一体どれくらいを対象にしてそういう工事をやる、こういう計画がおありでございますか。
  108. 澤雄次

    ○澤説明員 これは具体的には地元の市町村が費用負担いたすわけでございますので、市町村からの申請と申しますか、御要望が参りますまでは確定いたさないわけでございますが、概算、学校で十三程度、それから精薄児施設が一、幼稚園その他の保育所が五ないし六ということで、これは公団のほうで一定の予測を立てております。
  109. 木原実

    木原(実)委員 もう一つお伺いしますけれども、たとえば移転家屋ですね、この対象をどれくらいの戸数と踏んでおられますか。
  110. 今井栄文

    ○今井参考人 移転家屋は、現在御承知のように敷地内が約三百数十戸だと思いますが、こういったものについては当然移転をお願いする。あとの問題は、いま航空局長からお話がございましたように、いわゆる騒音区域になるわけでございまして、したがって、騒音区域につきましてはお申し出によって移転補償をする、あるいはそのための代替地を用意する。こういうふうに考えておりますので、現在のところは正確な数字はつかんでおりません。
  111. 木原実

    木原(実)委員 私は考えるわけですけれども、騒音の問題というのは、いまのお話で、公共施設等については小中学校は十三校云々、こういう数字が示されましたけれども、たとえば個人の宅についての移転の補償その他の補償は、いまのところは申し出によってきめていくんだ、こういうことなんですが、騒音の問題というのは、これは先般の法案の審議の際にも出ましたけれども航空の問題と切り離せないし、公害の中でも最たるものですね。しかも、土地の取得についてはたいへん熱心な努力が続けられるわけですけれども、どうも騒音全体について何かきちっとした証拠がないのじゃないか、こういう感を深くするわけです。と申しますのは、いまの計画概要についてもそうでございますけれども、いままでの質疑応答の中でも明らかにされましたように、一体新設をされる今度の空港の騒音の地域の測定、あるいはまた音の性質その他の問題についても、何かやはり運輸省なり公団なりとしてきちっとしたものをお持ちなんですか。どうなんですか。たとえば先ほど飛行機の消音の装置の問題についても、これはメーカーであるボーイング社まかせ、こういうふうに受け取れるような面もございましたけれども、しかし、このボーイング社が発表しておる数字なんかによりますと、現在でもかなり高い音があって消しかねている、こういう面があるわけですね。したがって、空港をつくる場合には、どうしてもやはりわれわれが内陸は無理じゃないか、こういうふうに考える最大の根拠の一つは、音に対する問題なわけなんです。そういう観点からいきますと、いまお話がございましたけれども、一体音の問題について、何かもう少しきちっとした対策を立てる前の基礎調査その他についておやりになる御計画はありますかどうか、伺っておきたいと思います。
  112. 今井栄文

    ○今井参考人 私、手元には持っておりませんが、一応現在の計画上の新空港につきまして、周辺の状況については十分な図上の調査はいたしております。したがいまして、先生がおっしゃいましたような騒音区域の住居の立ちのき問題とかいうふうなものにつきましては、今後具体的にそういった申し出がどのくらいあるかというふうなことによって、十分対策を立てていきたいと思います。  それからなお、新空港は北総台地のいわば山林原野を中心にしてでき上がりまして、この空港を中心として将来いろいろな施設が生まれてくるのではないかというふうに考えておりますので、あるいはまた農業の形態につきましても、従来よりさらにまた近代化された農業形態というふうなものが地元で要求されるというふうなことも考えられております。したがいまして、私どもとしましては、公団としては一応仕事につきましての能力上の限界はございますけれども、周辺の開発あるいはまた農業の近代化ということのために、道路のつけかえ問題であるとか、あるいはまた畑地かんがいの問題であるとか、それからまた騒音以外の公害を防止する意味におきましての用水の問題、あるいはまた排水の問題というふうなものについても、十分な調査を現在やっておる状況でございます。
  113. 木原実

    木原(実)委員 たいへん北総合地を関連をして開発をされるということのようですけれども、そのことよりも、さしあたってやはり一番問題なのは、たとえば騒音について徹底をした対策があるかないかということがやはり問題だと思うのです。ところが、さらにお伺いいたしますけれども、先ほど航空局長お話ですと、滑走路末端から六キロ、かりにこういう想定がございますね、しかもそれは気象条件その他でなかなか音質が捕捉しがたい面がある、こういうことですね。そうなりますと、これから騒音対策を立てていく上において、基準ということばを今井さんおっしゃいましたけれども、一体どういう基準を立てるのか。申し出をする場合にもいろいろあるでしょう。そういう場合に、それを決定する際の基準というものを一体どういうふうに考えるか、お伺いしておきたいと思います。
  114. 澤雄次

    ○澤説明員 騒音対策の基準につきましては、先ほども説明申し上げましたように、一般的に申しまして、八十ホン以上のものを対象にいたします。小中学校の場合には特に七十ホン以上のものについても特別の場合に考慮を払う、こういうことに相なっております。  それから、買い取り請求ができる、あるいは移転補償を要求できるというところにつきましては、着陸帯の端から何メートルということの基準をきめて、これを実施いたしたいと思っております。
  115. 木原実

    木原(実)委員 それじゃたとえば、少ししつこいようですけれども、お伺いしますけれども、その場合に、たとえば音を出す飛行機の機種、それはどういうものを選定するわけですか。
  116. 澤雄次

    ○澤説明員 新空港ができますのは昭和四十六年四月でございまして、この場合におきましてはDC8型またはボーイング707、これが主力に相なると思います。それからボーイング747もこのときに入り始めると思いますので、、これらの機種を前提にいたしまして、一応対策を立ててまいりたいと考えております。SSTその他は五十年から先に相なりますので、とりあえずはこのDC8型、747、これらのものを対象にして騒音対策を講じたいと思っております。
  117. 木原実

    木原(実)委員 音の問題についてはそういう基準があるというわけですけれども、私どもの想定では、いろいろ資料を調べてみますと、DC8型にいたしましても、いま超音速のSSTにいたしましても、すでに進入時で滑走路の端から一・六キロの地点で、たとえば百九ホン、こういうような資料の発表がございます。それからその離陸時に、滑走路の中心線から片側へ四百五十メートルの地点で百十六ホン、そういう資料が出ておるわけなんですが、そういう音をかりに想定をしますと、どうも当局の考えられておる範囲よりもはるかに広がるのじゃないか。八十ホンが適切であるかどうかということにも問題がありますけれども、かりにこの八十ホンを騒音地域だ、こういうふうに想定をするにしましても、どうも範囲がさらに広がるのではないか、こういう考え方を持つわけですが、いかがでしょうか。
  118. 澤雄次

    ○澤説明員 この騒音の出方は、先ほども説明申し上げましたように、気象条件あるいは風向きによって非常に違うわけでございますが、運輸省で、これは約一週間の期間にわたって、昭和三十七年に測定いたしました羽田のコンターを御提出申し上げたわけでございます。これが絶対にいかなる条件のもとにおいても正しいということを申し上げるのではございませんが、これを一応の判断の基準として騒音の対策を実施できるのではないかと思っております。もちろんこれよりも非常に騒音の範囲が広くなった、たとえば747なども、確定はいたしておりませんが、現在のDC8と大体同じである、こういう想定はいたしておりますが、現実に747が入ってまいりまして、騒音の範囲が広がるというような事態が生じました場合は、騒音対策の範囲も当然これを広げてまいるべきものである、このように考えております。
  119. 木原実

    木原(実)委員 音の問題で最後にお伺いいたしておきますけれども、大体先ほどもお答えをいただいたのですが、いま想定をされておる騒音対策地域、この中で個人の移転の戸数をどれくらいに踏まれておるか。先ほども今井さんからお話がございましたけれども、小中学校等については具体的に十三校というふうな数字が上がっているわけですけれども、どれくらいに想定されておるのですか。
  120. 今井栄文

    ○今井参考人 お答え申し上げますが、要するに澤局長から説明がありました騒音防止法の範囲内において要求があれば移転補償をするという、そういう区域に所在する民家でございますけれども、これは大体四千メートル滑走路のほうが両端並びに横を合わせまして約百四戸というふうに推算されております。それからなお二千五百メートル、これは第二期工事でございますけれども、こちらのほうが、現在の推算でいきますと、約百十九戸ございます。全体で二百二十戸程度であるというふうに考えられております。もちろん新空港につきましては、これも法律上きめられた施設、法律上きめられた騒音の区域というものの中に所在する民家の戸数でございますけれども、私どもは空港のいろいろな関連の公共施設というものをできるだけやはり外へつくっていくという考え方に立っておりますので、そういった方々についても、あるいは移転の御希望がある場合には、そういったところに公共施設をつくることによって移転していただくというふうな措置も考えておるわけでございます。
  121. 澤雄次

    ○澤説明員 いまのをちょっと補足して御説明さしていただきますと、去年の閣議決定で、地元の方を含めて騒音対策委員会をつくることに相なっております。これは当然新空港の場合には公団が中心になり、県、市町村、それから地元の代表の方を含めて騒音対策委員会をつくりまして、将来の機種の変更、情勢の変化等も含めて地元の方の御納得のいくような対策をとるように努力してまいりたいと思っております。
  122. 木原実

    木原(実)委員 時間がありませんので結論に入りたいと思うのですけれども、私ども伺いましても、騒音についてのひとつ的確な調査、それから可能性につきましてももう少し緻密な資料を示していただきたいと思うのです。在来もいろいろ資料が出ておると思いますし、そういう考え方が出たと思いますけれども、私どもの想定では、騒音の問題というのは、これはどうも最後まで残る問題だ、こういう感じであります。おそらく小学校を鉄筋にする、二重窓にする。現在も行なわれておるところもございますけれども、二重窓にしましても、これはどうにもならぬ面があるわけです。そういうことですから、音の問題については最後まで残る問題である。こういう観点に立って、ひとつもう少し検討をしてもらいたい、こういう要望を申し上げておきたいと思います。  それから、きょうは価格の問題その他について触れる時間がなかったわけですけれども、現在のところ皆さんが非常に御努力をなさっておるわけですが、私どもがどう考えても無理だと思いますのは、一つには音の問題、それから価格の問題その他の問題については、今井さんは収用法に基づいても反対派を云々、こういう御発言がございましたけれども、一体、いまの収用法に基づいて、はたして反対をしておる地主さんから最終的に土地を取得することができるのかどうか、こういうことについても疑義を持つわけです。そこで一点だけ伺っておきたいわけですけれども、現に反対をしておる、おれの土地をどうしていじるのだ、こういうことで反対をしておる地元の農民の皆さんに、これから一体どういう説得をなさるのか、そのことを少し伺っておきたいと思います。
  123. 今井栄文

    ○今井参考人 私どもはいま先生がおっしゃったような、特に敷地内に所在する反対の農家の方々に対しまして、まだ相当の長年月にわたって年月がございますので、その間にほんとうに全身全霊を打ち込みまして、御了解を得るような努力を続けていきたい、かように考えております。
  124. 木原実

    木原(実)委員 努力はされると思うのですけれども、しからば小川委員の御質問の冒頭に申し上げました、さしあたっての測量の問題ですね。測量の問題については、先ほども説明ございましたけれども、現在すでに承認をされた方々の土地を測量するのだ、こうおっしゃいますけれども、しかし地元の受けとめ方としては、測量隊が入ってきて外郭測量をやるということは、反対派に対しては問答無用である、こういう仕打ちだという受けとめ方があるわけで、したがって測量という問題が、飛行場を建設する上からいきまして非常に大きな政治問題になっている。したがって測量の問題についてはやはり政治的に解決をしていく、血を流さないということを含めて政治的に何か解決をしていく、今井さんのお話ですと、全身全霊を込めて反対派にも接触をして説得をしていくのだ、こういうことになれば、さらにこの測量の問題については政治的に考慮をして努力をするために、測量をさらに延期をするというお考え方はございませんか。
  125. 今井栄文

    ○今井参考人 測量の時期等につきましては、先ほども小川先生の御質問に対してお答え申し上げましたように、現在いつやるというふうに的確にきまっておるわけではございませんし、公団の立場としましては、公団自体が要するに空港をつくるために生まれた一つの使命を持っております関係上、やはりその使命を達成するということが私どもの責任ではないかというふうに考えておるわけでございます。したがって私どもとしては、もちろんいま先生がおっしゃいましたように、測量問題等については政治的な面が非常に大きいので、先般も実は大臣のそういうふうな政治的な配慮等もありまして延期をいたして今日に至っておる状況でございます。私どもとしては、先ほどもお答え申し上げましたように、やはりできるだけ摩擦を避けるような方向で、また摩擦をできるだけ少なくする時期においてそういったものをやるべく努力するということでございます。しかしながら、空港公団としては、政府からきめられました一つの時限というものがございますので、やはりこういった観点から今後の仕事は進めていきたい、かように考える次第であります。
  126. 木原実

    木原(実)委員 きょうは大臣がいらっしゃいませんので御答弁願えないわけですけれども、最後に航空局長一つお伺いしたいわけです。予定をされておる新空港ができましても、一体この空港の果たす役割りですね。日本の航空政策全体の上から見て、これが四十六年度にでき上がった段階での機能、これは私が過般の内閣委員会で御質問申し上げましたときにも、現在ではやむを得ないのでつくるのだ、しかしやがて狭くなるので第二、第三の飛行場をつくらなくちゃならぬ、こういうふうに大臣の御答弁がありました。そうしますと、この成田空港の完成時の性格というものは一体どういうふうに掌握されていくのですか。つまり機能がもうすでにでき上がったとたんにたいへん限定されたものになる、こういうことは明らかですね。いかがでしょう。
  127. 澤雄次

    ○澤説明員 この新東京国際空港が四十六年四月にできますと、現在の羽田にまいっております国際線を全部新東京国際空港のほうに移そうというのが、現在の考え方でございます。現在の羽田の国際線の回数は、昨年で約二万回でございます。これが四十六年四月に新東京にまいりました場合は、先ほど今井副総裁からお答え申し上げましたように約三万回。新東京国際空港の能力がどれだけあるかと申しますと、これは四千メートルの滑走路で十三万回、二千五百メートルの滑走路で十三万回、合計二十六万回の能力があるわけでございます。それでこの国際線の伸びをどのように推定するかということのいろいろな推定考え方もございましょうが、この四千メートルの滑走路一本で完成後約十年間は、どのような計算をしても国際線を十分に消化できるということを申し上げているわけでございます。これは完成後十年でございますから、現在から計算いたしますと十五年先になります。この間機種の変更、改良等もございましょうし、その後どういう対策をとっていくかということは、その間に十分検討して対策をとるべきではないかということをお答え申し上げてまいった次第でございます。ただ、かりに成田の国際空港が能力一ぱいになったといたしましても、それで成田の国際空港がだめになるということではございませんで、東京から六十六キロのところにある国際空港というものは非常な価値がございまして、成田の新空港ができましたら一番東京に近い重要な国際空港であるという価値は未来永劫に消えるものではない、このように考えているわけでございます。
  128. 木原実

    木原(実)委員 そうおっしゃいますけれども、それでは富里のとき計画をされておりましたが、これよりかなり面積が減っておるわけですね。その辺の減らした理由というのは、どういうことでございますか。
  129. 澤雄次

    ○澤説明員 これもよく御承知と思いますが、富里地区で約七百万坪当初計画いたしておりまして、これは滑走路四本を考えておったわけでございます。この成田地区は御料牧場、国有地もございますし、県有地も非常に多い。それで民間のほうの土地所有者から直接購入する土地の範囲をなるべく少なくして、しかも四十六年四月にはこの新東京国際空港をどうしてもつくる、この要請にこたえるために、やむを得ず敷地を三百二十万坪に減らしたわけでございます。しかし、減らしたからこれが役に立たないということではございません。この成田の空港というものは、将来にわたって東京に一番近い国際空港として非常な価値を持つものであろう、このように考えております。
  130. 木原実

    木原(実)委員 これで終わりたいと思いますけれども、どうも私ども考えまして、将来にわたっての航空政策、これはおそらく国際線の伸びの問題につきましても、やがては中国とも、あるいはシベリアとの関係でソ連との空路の開発等も想定をしなければならぬでしょうし、かなり思い切った国際線の伸びに対応するような、いわばアジアの商業航空のセンターとしての役割りを果たすような飛行場が要求されてくるだろうと思います。そうなりますと、私どもは長い航空政策全体の上から見て、どうしても成田の現在の土地では限定された機能しか果たさないのじゃないかという感じがするわけです。それにもかかわらず、いわば差しあたってあそこにつくらなくちゃならない——それを価値があるかもわかりませんけれども、そういういわば政策面での場当たりの犠牲になっているのが地元ではないか、こういう感じがやはり免れないわけです。しかも建設の前提になる工事計画なりあるいは騒音対策なり、あるいは土地の完全取得に対する見通しなり、努力をされておるということでいろいろ御説明ございましたけれども、全体としますと、やはり何か航空政策の貧困といいますか、土地がとれなかったからやむを得ず成田につくるのだ、こういう側面も含めまして、そういう面からくる一つの不信感のようなものがわれわれにはあるわけです。したがいましてわれわれとしましても、長い将来を見通しての国際空港をつくっていくんだ、そのためにさらに適切な土地を求める、こういう政策の見通しの上に立った飛行場建設につきましては、これは政策上協力するにやぶさかではないわけですけれども、いかんせん、いまのところは、御説明をいただきましたけれども、なお音の問題、土地の不足の問題、それから新しくできる飛行場の機能という問題について、疑問が残るわけです。ですからそういう面につきましても、われわれとしてはさらに本委員会その他で検討を加えてまいりたい。同じつくるなら気持ちよくりっぱな飛行場ができるようにしたい、こういうのが私どもの念願でございますので、ひとつ当局でもそういう上に立って御配慮をいただきたい。  そのためには、結論になりますけれども、差しあたって何だか力でもって、やむを得ないのだ、こういうことで押していくということについては、ひとつとくと政治的な御配慮をいただきたい、こういうことを申し上げておきまして、私の関連の質問を終わりたいと思います。
  131. 内藤隆

    内藤委員長 次回は来たる十月十一日、水曜日、午前十時理事会、午前十時二十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時七分散会