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須藤五郎君
国税庁長官、あなたの言うように税務行政がなされておるなら、私が何もここに立って、納税君を代表して
質問する必要はないですよ。実際はそういう
状態にないんです。税務署が一方的に否定した金額を納税者に押しつけておるんです。そうして、その理由を聞きに言っても、
説明もしないし、会おうともしない。そうして強引に税金を取り立てる。こういうことを税務署がやっておるから、だから納税者は腹が立ってしかたがないんです。だから大勢で押しかけるというようなこともときには起こってくるんです。何も、税務署がほんとにちゃんとした態度をとっておるならば、そういうことは起こらなくて済むことなんです。それをあなたたちの責任だと言わなければなりませんよ。まだまだたくさん
質問があるのですけれども、しかし、
大臣が帰られるのをあちらの
大蔵委員会で非常に出席を急がれているようでありますから、私は最後に
一つ大臣に聞いていただきたいことを申し上げたいと思うのです。以上、私は若干
質問してきましたが、
政府との議論の中で明らかになった点が二、三あると思うのです。冒頭に私は推計課税は憲法違反であると言いましたが、
政府はこの推計課税を擁護しているのです。この推計課税を推し進めるために、大阪地方裁判所さえ租税法定主義の精神に反すると言ってそういう判決をしている。標準率、効率表を使って、事実上課税し大衆収奪をおし進めてきた。また、現在もそれをやろうとしていると言わなければならない。この推計課税、この標準率、効率表によりまして、どんなに納税者の人権が不当に踏みにじられ、
国民大衆のささやかな財産が収奪されてきたか、
大蔵大臣は知っていらっしゃるのかどうか。ここに
一つの例があります。簡単に申しますが、名古屋の中区向田町の福岡茂さんというクリーニング屋さんです。このクリーニング屋さんは青色申告なんですよ。青色申告でありながら、
昭和四十一年九月十三日、名古屋国税局の中税務署の調査官中野三郎ほか税務職員二名がクリーニング屋に押しかけて、福岡さんの店をたずねて洗濯の物干し場、アイロン台、洗い場、製品配達だな、あらゆるところを物色して、そうしてこの福岡さんを調べ上げたわけです。これは三日にわたっているわけですが、福岡さんはとうとうノイローゼになってしまった。しまいには税務署の
質問に答えることすらできないようなノイローゼになってしまった。それでもやめようとしない。それで福岡さんはとうとう家を飛び出しまして、そうして十一月十二日、長良川の下流千本松原で水死体となって発見をされたわけです。こういう残酷な税行政ってありますか。弱い者いじめですよ。ここまでやってはいかぬ。ところが、こういうことは一例にすぎぬ。一例ではない。まだほかにも例があるのです。例を出せと言えば例を出しますが、時間がありませんからこれでやめますが、こんなことが実はされているのです。これは
大臣一体どういうことでしょうか。こういう徴税がやられておって、そうして、納税者が満足して、納得して納税をするというふうに
大臣は
考えることができますか。一方で納税者の人権がこのように踏みにじられ、納税者の財産が不当に収奪されながら、他方では、税務署の強大な権力と行政によりまして、税務署員の汚職、腐敗、これが無数に発生しているのです。それも私はここに資料を持っておりますが、時間がありませんから、その資料を出すことは見合わせますが、これが現在の税務行政の実態なんです。
大臣、これは国会としても
国民としても許すことのできないものだろうと私は
考えます。したがって、私は
大蔵大臣に次の四点について、要求をしたいのですよ。聞いてみてください。
まず第一に、憲法違反の推計課税、
質問検査権の行使を直ちにやめ、また、この推計課税、
質問検査権を税法から削除することです。それが第一です。
第二は、標準率、効率表を公開し、納税者である
国民の批判を受けるべきであるということ、これが第二です。
第三は、憲法違反の推計課税標準率、効率表によりまして課税され、
質問検査権によって人件をじゅうりんされ、その結果、現在争われておりますところの事件につきましては、納税者の正当な
異議申し立てを認めるべきである、それが第三です。
第四は、推計課税標準率、効率表によって課税しました税額はすべて無効であり、直ちに納税者に返し、本来の申告納
税制度による正当な手続によりまして納税者の納得の上で税額を確定すべきである。この四点を私は
大臣によく聞いていただいて、この四点につきまして私は
大臣に要求をいたします。これで私の
大臣に対する
質問は終わります。非常に時間のないために不十分な
質問に終わりましたが、いずれまた
大臣に対する
質問は
大蔵委員会におきましてゆっくりすることとしまして、本日は
大臣に対する
質問はこの
程度に終わりまして、続きまして谷川税関
局長に対しまして少し
質問をしたいと、こういうふうに
考えます。
この間の丸一物産株式会社という会社の代表取締役立花敬造さんという方がベトナムから帰ってこられたのですよ。そのときに、資料としてアメリカン・クライムズ云々というこういう本を持ってきて……あなたも持っておるのですか。税関がいけないと言って拒否した本をあなたが持っているのか。私はこれは送ってきたのです。どこからともわからぬところから送ってきたのです。送り先は私にはわからないのだけれども。これが取り上げられてしまったのです。それで不当だと言って訴えておるのです。私のところにも訴えて見えたのです。私がこれを見ると、どこが税関で取り上げなければならぬものか、一向にわからないのです。どこを見てもそういうものじゃないのです。それはアメリカがベトナムにおいてやっておるところの残忍な写真はありますよ。それは私は差し押えすべき性質のものじゃないと思うのですよ。これが
発行された目的、持ち帰った目的は、戦争というものがいかに残忍なものであるか、だから平和でなくちゃならないのだ、そういうことを訴えるための資料としてこれは持ち帰られたものなんです。それを税関が差し押えてしまうということは、逆に言えば、
日本の税関はアメリカの残虐行為に対しまして積極的に協力しようという意図でそういうことをやるのですか。そうじゃないでしょう。当然こういうものは通すべきものなんです、無
条件に。また、ここに「歴史の告発書」という
日本で出版された本があるのですよ。もうすでに市販されておるのです。この中にあるのと同じ写真がずっと入っておるわけなんですね。これが市販されて、何で税関でとめられなければならないのですか。おかしいじゃないですか。谷川さんはどういうように
考えられるのですか。これをどうしようというのですか。