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国務大臣(坊
秀男君)
昭和四十二年度
厚生省所管
一般会計及び
特別会計予算案の概要について御
説明申し上げます。
厚生行政につきましては、日ごろ各位の御
協力をいただき、逐年
予算の増額を見、厚生行政の進展がはかられつつありますことは、まことに喜ばしいことでありまして、この際あらためて厚く御礼を申し上げたいと存じます。
さて、
昭和四十二年度
厚生省所管
一般会計予算における総額は、六千七百十三億七千二百九十四万四千円でありまして、これを補正後の
昭和四十一年度
予算五千八百七十八億四千六十万一千円に比較いたしますと八百三十五億三千二百三十四万三千円の増加と相なり、前年度
予算に対し一四・二%の増加率を示しており、また、前年度当初
予算に対しましては、一六・五%の増加と相なっております。なお、国家
予算総額に対する
厚生省予算の比率は、一三・六%と相なっております。
以下、特に重要な事項について、その概要を御
説明申し上げます。
まず第一は生活保護費関係の
経費であります。生活扶助費につきましては、その基準額を前年度と同様一三・五%
引き上げることといたしており、また教育扶助費、出産扶助費及び生業扶助費につきましても、それぞれその
改善をはかっております。
このほか、保護
施設職員の処遇
改善を行なうなど、生活保護費として総額一千四百五十二億六千余万円を計上いたしており、前年度
予算に比し、二百八億二千六百余万円の増額となっております。
第二は、社会
福祉関係の
経費であります。まず、児童保護費でありますが、収容
施設等の飲食物費、日常諸費の
改善をはじめ、児童用採暖費の支給対象範囲を
拡大するほか、保育所及び収容
施設職員の処遇の
改善をはかるとともに、職員の増員を行ない、また一昨年度
新設されました民間
施設経営調整費についても増額計上いたしております。
また、重症心身障害児(者)の保護
対策につきましては、従来の
施策をさらに
強化するため所要の
経費を増額するほか、新たに心身障害児(者)コロニーを設けて保護の
充実をはかるなどの所要
経費を計上するとともに、母子保健御生
対策の
強化並びに身体障害児、結核児童等の療育
対策に必要な
経費をそれぞれ増額するなど、児童保護費として三百六十二億七千六百余万円を計上いたしております。
また、保育所、老人
福祉施設等の社会
福祉施設の
整備に必要な
経費として三十三億円を計上いたしております。
なおまた、
身体障害者の
福祉につきましては、法律の対象を内部障害者にまで
拡大するとともに、新たに
身体障害者相談員、家庭奉仕員の
制度を設けるなど、その
施策の
充実強化をはかることとして所要の
経費を計上するほか、老人
福祉費、児童扶養手当、特別児童扶養手当の
経費をそれぞれ増額するなど、社会
福祉費として総額六百三億一千六百余万円を計上いたしており、前年度
予算に比し、八十一億二千余万円の増額となっております。
第三は、社会保険費関係の
経費であります。まず、国民健康保険
助成費についてでありますが、
昭和三十九年度以降四カ年
計画をもちまして進められている家族に対する七割給付の
実施につきまして、
昭和四十二年度は
計画の最終年度として
計画どおりこれを行なうとともに、事務費補助金の基準単価を大幅に
引き上げるなど、国民健康保険
助成費として一千七百四十億七千二百余万円を計上いたしております。
次に、社会保険国庫負担金でありますが、厚生保険
特別会計及び船員保険
特別会計への繰り入れに必要な
経費として、
政府管掌健康保険の
財政の健全化に資するための二百二十五億円を含め、五百三十五億三千五百余万円を計上いたしており、前年度
予算に比し百三億一千百余万円の増額となっております。
また、国民年金につきましては、障害
福祉年金及び母子、準母子
福祉年金の年金額をそれぞれ月額三百円、老齢
福祉年金の年金額を月額百円
引き上げるとともに、扶養義務者の所得制限等の支給制限の緩和をはかるなど、国民年金国庫負担金として九百十七億二千三百余万円を国民年金
特別会計へ繰り入れることとし、社会保険費として総額三千二百七億九千九百余万円を計上いたしており、前年度
予算に比し四百九十五億五千余万円の増額となっております。
第四は、保健衛生
対策費関係の
経費であります。まず、ガン
対策の
経費でありますが、従来の
施策をさらに
推進することとし、専門医療機関の
整備充実をはかり、ガン研究のための
助成費を増額し、さらに、医師等専門職員の研修の
充実及び集団検診の
推進等を行なうための所要
経費を計上したしております。
また、救急医療
対策の
経費につきましては、救急患者の収容治療に必要な医療
施設の
整備、医師等専門職員の
養成訓練を行なう等、救急医療
対策の
充実強化をはかるための所要
経費を計上するほか、血液
対策の
経費につきましては、新たに献血
受け入れ機関の
整備充実をはかるとともに移動採血車等についての
助成を行なうなど、血液
対策の
推進をはかるため所要額を計上いたしております。
このほか、環境衛生関係営業の合理化、
近代化をはかるため環境御生金融公庫の運営費等を新たに計上するとともに、保健所職員の増員、移動保健所活動の
強化に必要な
経費、疾病予防費等の保健衛生諸費として八十九億六千余万円を計しいたしております。
さらにまた、結核医療費として三百三十九億八千百余万円、原爆障害
対策として二十八億四百余万円、
精神衛生費として二百二十一億一千三百余万円、また、国立療養所に必要な
経費として三百五十六億六千三百余万円をそれぞれ計上するなど、保健衛生
対策費として総額一千百億三千五百余万円を計上いたしており、前年度
予算に比し、五億六千五百余万円の増額となっております。
第五は、遺族及び留守家族等
援護費であります。まず、戦傷病者戦没者遺族等
援護費でありますが、遺族年金等の年金額を増額するほか、新たに準軍属の後順位の遺族についても、遺族給与金を支給する等戦傷病者遺族等の
援護の
充実をはかることとし、これに必要な
経費百六十八億三百余万円を計上するとともに、戦傷病者の妻に対する特別給付金の支給範囲を
拡大し、また、過ぐる大戦においてすべての子を失った戦没者の父母等に、新たに国債を支給するための事務処理費をも計上いたしております。
このほか、戦傷病者特別
援護費として九億百余万円、留守家族等
援護費として一千九百余万円をそれぞれ計上するなど、遺族及び留守家族等
援護費として総額百七十八億六千五百余万円を計上いたしており、前年度に比し、二十九億二千三百余万円の増額となっております。
第六は、生活環境
施設整備費であります。明るい生活環境を実現するため、環境衛生
施設の
整備をさらに強力に
推進することとし、水道水源開発等
施設整備費として新たに、七億円の補助金を計上し、水源の
確保等をはかることといたしております。このほか、ごみ処理
施設について大幅な増額をはかる等清掃
施設整備費補助金については二十七億一千六百余万円、簡易水道等
施設整備費補助金については十六億九千百余万円を計上するなど、生活環境
施設整備費として総額五十一億七百余万円を計上いたしております。
第七は、公害
防止対策等の
経費であります。
公害
対策につきましては、公害部を
新設し
行政体制の
強化をはかるとともに、地方の公害
防止体制を
強化するため常時監視等の
制度を設け、公害調査研究費を大幅に増加し、さらに従事者の
養成訓練の
強化を
推進することといたしております。
このほか、公害
防止事業団の
体制強化及び
事業の
推進等をはかるなど、公害
防止対策に必要な
経費として四億円余を計上いたしております。
また、国立公園等の
施設整備につきましては、従来の
施策をさらに
強化いたしますとともに、新たに、民有地の買い上げに要する
経費を計上し、国立公園の風致景観の維持の徹底を期することとし、国立公園等
施設整備費として、総額七億九千二百万円余を計上いたしております。
以上、
昭和四十二年度
厚生省所管
一般会計予算案について、その概要を御
説明申し上げました。
次に、
昭和四十二年度
厚生省所管
特別会計予算案の大要について、御
説明申し上げます。
まず、第一は、厚生保険
特別会計についてでありますが、
一般会計より五百十八億一千六百十七万九千円の繰り入れを見込みまして、各勘定の
歳入歳出予算をそれぞれ計上いたしております。
第二は、船員保険
特別会計についてであります。船員保険
特別会計につきましては、十七億一千九百一万八千円の
一般会計よりの繰り入れを行ない、
歳入三百五億三千四百八十八万四千円、
歳出二百十億七千二百二十四万一千円を計上いたしております。
第三は、国立病院
特別会計についてでありますが、
一般会計より四十六億六百三万六千円の繰り入れを見込みまして、
歳入歳出とも三百九十四億三千五百九十七万五千円を計上いたしております。
第四は、国民年金
特別会計についてでありますが、
一般会計より九百十七億二千三百六十九万円の繰り入れを見込みまして、各勘定の
歳入歳出予算をそれぞれ計上いたしております。
最後に、あへん
特別会計についてでありますが、
歳入歳出とも九億七千二百四十七万四千円を計上いたしております。
以上、
昭和四十二年度の
厚生省所管
一般会計及び各
特別会計の
予算案につきまして、その概要を御
説明申し上げたのでありますが、何とぞ本
予算案の成立につきましては、格別の御
協力をお願いいたす次第であります。