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1967-05-23 第55回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十三日(火曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————    委員異動  五月二十三日     辞任         補欠選任      山本伊三郎君     占部 秀男君      任田 新治君     小山邦太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         二木 謙吾君     副主査         北村  暢君     委 員                 青柳 秀夫君                 増原 恵吉君                 宮崎 正雄君                 岡田 宗司君                 鈴木 一弘君    国務大臣        国 務 大 臣  塚原 俊郎君        国 務 大 臣  二階堂 進君        国 務 大 臣  松平 勇雄君    政府委員        国防会議事務局        長        北村  隆君        総理府総務副長        官        上村千一郎君        内閣総理大臣官        房陸上交通安全        調査室長     宮崎 清文君        内閣総理大臣官        房広報室長    三井 芳文君        内閣総理大臣官        房臨時在外財産        問題調査室長   栗山 廉平君        総理府恩給局長  矢倉 一郎君        総理府統計局長  野田  章君        総理府特別地域        連絡局長     山野 幸吉君        警察庁長官官房        長        浅沼清太郎君        警察庁長官官房        会計課長     土田 国保君        警察庁刑事局長  内海  倫君        警察庁交通局長  鈴木 光一君        行政管理政務次        官        北畠 教真君        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        行政管理庁行政        監察局長     稲木  進君        北海道開発庁総        務監理官     小熊  清君    説明員        内閣官房内閣調        査室長      大津 英男君        行政管理庁行政        管理局審議官   岡内  豊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○副主査補欠互選の件 ○昭和四十二年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。  まず、分科担当委員異動について報告いたします。  本日、山本伊三郎君が委員を辞任され、その補欠として占部秀男君が選任されました。  右の異動に伴い、本分科会においては副主査を欠くことになりましたので、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、主査にその指名を御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) それでは、副主査北村暢君を指名いたします。  ちょっと速記をとめて。  〔速記中止
  4. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) それでは速記起こして。     —————————————
  5. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 昭和四十二年度予算中、内閣及び総理府所管を便宜一括して議題といたします。  慣例では、政府側から説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略し、お手元に配付してある資料をごらん願うこととし、その説明資料は本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それではこれより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 北村暢

    北村暢君 私は、まず、きょうの総理府関係の第一の問題として、交通安全対策の問題について御質問いたしたいと思いますが、まず、最近の交通事故発生状況について概略説明願いたいと思います。
  8. 宮崎清文

    政府委員宮崎清文君) こまかい点でございますので、私から御説明申し上げます。  最近の交通事故発生状況でございますが、御承知のように、年々増加傾向にございます。昨年度におきましては、交通事故による死者が一万三千九百四名、交通事故による負傷者が、同じく五十一万七千七百七十五名と相なっており便して、これは御承知と思いますが、史上最高という悲しむべき数字でございます。本年に入りましてからは、幸い死者のほうは若干減少を見ております。四月末までのデータでございますが、本年の一月から四月末までの交通事故によります死者は四千七十四名でございまして、これは昨年の同期間に比べまして五・四%減少いたしております。しかしながら、負傷者のほうは、ちょっと私正確な数字を忘れましたが、たしか十六万七千三百四十三名だったと記憶いたしておりますが、これは逆に、昨年の同期に比べまして約一六%増加しているわけでございまして、にわかに楽観は許せない状況でございます。  なお、自動車千台当たり交通事故による死者というのを、ずっと私たち統計をとっておりますが、これは年々減っております。たとえて申しますと、十年前の昭和三十一年には、自動車千台につきまして三・九名の死者が出ておりましたが、これが逐次減少いたしまして、昭和四十年には自動車千台当たり一・六名、史上最高と言われました昨年度におきましても、これを自動車千台当たり死者数にいたしますと、一・五名ということになりまして、逐年減少傾向を見せております。このことは、自動車が最近非常にふえておりますが、その割りで必ずしも交通事故はふえてないということでございます。
  9. 北村暢

    北村暢君 自動車の千台当たり死者の数は、自動車の急激な増加傾向とは反比例して、自動車がふえたからといって死者がどんどんふえるという傾向にないことは、統計上はそのようでございますが、しかし、絶対数は、これはやはりふえていることはもう間違いないのでございます。四月現在で死者は五・四%減っておる。昨年から比べると減っておる。しかし、負傷者は一六%ふえているということですから、傾向としては、やはり交通事故というのは絶対数はどんどんふえていっている、こう見ていいと思うんです。したがって、政府施策としても、四十二年度の重点施策の中に交通安全対策一つ織り込まれておる、こういうことでございますが、まずお伺いいたしたいのは、その重点施策によります予算的裏づけというのは、一体どんなような形になっているのか。これは総務長官交通安全対策本部長のようでございますから——各省にまたがってこの安全対策経費というものが組まれているんじゃないかと思うんですが、また、それなりに行政的に調整をとるということも非常にむずかしいようでございます。政府としての重点施策である安全対策予算的裏づけというのは一体どういうふうになっているか、御説明いただきたい。
  10. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 交通戦争ということばでいわれているくらい非常に重要な問題であることは、いま北村委員指摘のとおりでございまして、これは、政府といわず、各党とも非常に重大な関心を持っておる問題であると私は考えております。また、両院におきまして交通に関する特別委員会ができまして、非常に真摯な論議が交わされておりますること、これはもう、政党政派を超越してこの当面の問題に取り組んでおられる姿として、われわれ非常に感謝いたし、その御意見を重要な参考意見として施策の上に反映させたい、このように考えておるのでございます。  なお、激増する交通事故に対しまして、いま絶対数その他のお話もございましたけれども、とにかく事故が起こっておるのですから、これをどうやって防ぐかという問題でありまするが、私は常々申しておりまするように、道路等安全施設整備というような、そういう一つの柱と、それから取り締まりという一つの柱と、それから交通道徳教育と申しまするか、そういう一つの柱、そういう三つの柱を中心にしておりまするけれども、日本では歩行者に非常に事故が多い、この犠牲者に対してどういう措置をとるべきかという補償の対策救済対策という四つの柱を中心として交通安全対策に取り組んでおるわけでございます。  昨年、非常に忌まわしい、戦後最高の記録ということで、国会が開かれておりませんので、当面応急の措置としていろいろなことを考え、また、国会が開かれましてからは、立法措置等による恒久対策を御審議願っておるところでございます。  いまお尋ね予算の件につきましては、したがって、こういう柱を中心とした予算というものを四十二年度で御審議を願っておるわけでございます。こまかい、どこにどれだけということは、あとでひとつ事務当局から説明いたさせますが、四十二年度は、こういったものの対策として計上いたしておりますのは二百六十九億でございまして、前年度に比し八四%の増になっているわけでございます。その内訳は、ひとつ政府委員から説明させたいと存じます。
  11. 宮崎清文

    政府委員宮崎清文君) ただいまの予算内訳の概要につきまして補足説明させていただきます。  この交通安全に関します予算は、御指摘のように各省庁に分かれておりますので、これを拾い上げるのが、どの範囲で拾い上げるか、むずかしいわけでございまして、一応、私のほうで直接交通安全に関係ありと思われる予算を拾い上げましたものが、先ほど総務長官が御説明申し上げましたように二百六十九億でございます。  内訳を簡単に申し上げます。先ほど総務長官が御説明申し上げましたように、政府といたしましては、ただいま交通安全対策につきまして四本の柱を立てております。道路環境整備、それから交通安全活動推進交通秩序確立被害者救済対策の強化でございますが、この四つ柱別に申し上げます。  第一の道距交通環境整備、これに約二百二十三億でございます。さらに内訳を簡単に申しますと、御承知道路交通安全施設等整備事業三カ年計画に基づきます事業費といたしまして、約百八十億ございます。これは主として、既存の道路におきまして横断歩道橋であるとか、ガードレールであるとか、信号灯であるとか、街路照明灯を急速に整備するための予算でございます。なお、念のために申し上げますと、この予算に関しましては、本来、昭和四十三年度分に計上すべき額の一部を繰り上げて、昭和四十二年度分として計上いたしまして、交通安全施設のうち、特に歩行者保護施設の大半の整備昭和四十二年度中に完了いたしたいと、かように考えております。これ以外に、あと踏切立体交差に要します費用が約三十六億円、それから子供の遊び場がないために、子供路上で遊戯をしまして事故にあう場合が非常に多うございますので、児童公園児童遊園等整備に要します補助金として約七億円を計上しております。この踏切につきましては、この二百六十九億円以外に、たとえば日本国有鉄道におきまして、踏切事故防止その他の保安対策としまして、約三百四十億を別途計上いたしております。また、道路特別会計におきましても、道路立体交差に要します経費といたしまして、約百七十億を計上いたしております。これは二百六十九億以外でございます。  それから第三の交通安全運動推進、あるいは交通安全教育推進でございますが、これは総計千七百万でございまして、内訳を申し上げますと、全日本交通安全協会に対します委託金と、学校におきます交通安全教育推進に要します経費でございます。  三番目の交通取り締まりその他交通秩序確立に要します経費が約三十八億円ございまして、この内訳は、警察におきます白バイ、パトカーの整備費であるとか、運輸省関係車両検査に要します経費であるとか、あるいは労働省関係運転者労務管理の監督に要します経費等であります。  第四が、被害者救済対策に要する経費でございます。これが約四億四千万円計上されております。第一は救急自動車整備でございまして、これは市町村が現在救急業務を実施いたしておりますが、これに対する補助金といたしまして、約四千万円を計上いたしております。それから御承知のように、今日、交通事故による被害者の多くは頭部を負傷して死亡するケースが多うございまして、これにつきまして適切なる治療を行なう救急医療センター整備がまだ十分でございませんので、これを数カ年の年次計画で急速に整備するということで、昭和四十二年度におきましては、とりあえず二億九千万円を計上いたしまして、主として国公立の病院の数カ所に脳神経外科を含みます救急医療センターというものを設置してまいりたい。これは、今後の年次計画によりまして、次第にふやしていく予定でございます。それから損害賠償関係といたしましては、被害者の方が法律的知識が乏しい、あるいは資力が十分でないために満足な損害賠償を得られない、こういうケースが非常に多うございますので、昭和四十二年度からは、全都道府県に必ず一カ所、公立の、要するに都道府県立交通事故相談所を設置いたしまして、これが中心となりまして、そのような被害者方々に親身の相談に乗るということをやってまいりたいと思っておりまして、これに要する補助金といたしまして五千万円計上いたしております。それから、法律扶助協会という団体がございまして、これは交通事故には限りませんが、一般訴訟費用が十分でないために訴訟ができないという方々のために訴訟費用の立てかえをいたしております。この法律扶助協会に対しまして六千万円の補助金を計上いたしております。以上が被害者救済対策でございます。  最後に、何と申しましても、交通事故防止には、これらに関します科学的研究推進が非常に必要でございます。そこで、昭和四十二年度におきましては約一億五千万円を使いまして、通産省と運輸省にそれぞれ付置されます研究所におきまして自動車安全性の向上その点の研究を十分いたしたいと考えております。  また、先ほど申し上げましたように、わが国におきましては悩神経外科の専門医が非常に不足いたしておりますので、国立大学等におきまして新たに脳神経外科の講座を新設する、あるいは研究部門を拡充する、このようなための所要経費として、やはり一億五千万円程度計上いたしておりまして、以上合わせた額が、先ほど総務長官が申し上げました二百六十九億でございます。  なお、私がただいま補足して申し上げましたが、これ以外に、交通安全に非常に関係ある予算といたしましては、国鉄関係三百四十億、それから道路関係で約百七十億ございますので、それらを総計いたしますと、大体七百七、八十億になろうかと、かように心得ております。
  12. 北村暢

    北村暢君 ただいま、こまかい説明がございましたが、それは後ほど私聞こうかと思ったことが、いま答弁がございましたけれども、先に戻って、この交通違反種類別事故件数というのはどんなようになっておるか。たとえば、スピード違反ならスピード違反が非常に多いとか、そういう事故種類別はどんな傾向になっておるのか、おわかりになっていたら、ひとつ……。
  13. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) お尋ねの点は、事故原因だと思うのでございますが、交通事故原因につきましては、いろいろな原因が錯綜しておりますが、一応私どものほうが主たる原因ということで摘出いたしましたものを統計にとりましたものを申し上げたいと思います。  これは四十一年の統計で、死者が一万三千九百四名の死亡事故原因を拾ってみますと、車両側に第一原因があるものにつきましては、比較的原因として多いものといたしましては、酒酔い運転が一一・二%ございます。それからその次に多いのは追い越し違反でございますが、これが、七・四%、その次が徐行あるいは一時停止の義務違反が六・二%、それから最高速度違反が同じく六・二%、以上で大体三〇%強くらいでございますが、こういった種類の主たる原因によりまして車両側に第一原因がある事故が多いのでございます。  それから歩行者の側に主たる原因があるというものもございまして、それの原因を拾ってみますると、やはり、路上に急に飛び出すという原因、それから車の直前、直後の横断、幼児の一人歩きといったような事故原因事故が起きておるということになるのであります。  きわめて概略でございますが、一応の説明を終わります。
  14. 北村暢

    北村暢君 いまの死者についての原因別事故のパーセントがあったようですが、この車両の側の違反事故件数において一番多く占めているのが安全運転義務違反というのがあるようですね。この安全運転義務違反というものの内容というのは一体どういうのですか。これは、おたくのあれに出ているわけですが、いまたとえば違反種類別件数の四十万三千四百二十九件のうち安全運転義務違反というのが十五万七千五百十八件ですか、これが一番多いということになっておりますが、この安全運転義務違反というのは、どういう内容のものですか。九ページの中ごろにある……。
  15. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) いま私が申し上げましたのは死亡事故原因でございます。死傷事故全部の場合ですが、御指摘のように、安全運転義務違反というのは非常に高率を占めておるわけでございますが、これは、御承知のように、道路交通法の七十条に「安全運転義務」という規定がございますけれども、それをちょっと読み上げますと、「車両等運転者は、当該車両等ハンドルブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路交通及び当該車両等状況に応じ、他人危害を及ぼさないような速度方法運転しなければならない。」という規定でございまして、先ほどいろいろ主たる原因を申し上げましたが、その主たる原因が明確につかめないという場合に、この「ハンドルブレーキ」それから「他人危害を及ぼさないような速度方法」の運転による事故ということで、原因をここにいわばセービングクローズ的にこの条項を当てはめて原因を抽出しているという場合が多うございまして、そのために率が高率になっておるのでございます。
  16. 北村暢

    北村暢君 この安全運転義務違反というのは、私はスピード違反というのがこれに入るんではないかと思うんですが、スピード違反というのは、一体これは無数にあるんじゃないかと思うのですけれども、このスピード違反というものに対する違反件数というのは、正確にはもちろんつかめないでしょうけれども、事故が起こった場合に、スピード違反事故が起こったかどうかという点についてはわかるんじゃないかと思うのですが、それは、比重においてどの程度でもるか、おわかりになりませんか。
  17. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 事故原因である最高速度違反というものは、法定あるいは規制によったスピードを超過しておった場合でございまして、事故の直接原因としてそういう最高速度違反ということが立証できれば問題ございませんが、多くは事故の両前にスピードを落とすということがありまして、事故の直接原因として最高速度違反ということをとらえることは非常にむずかしいのでございます。しかしながら、やはり「他人危害を及ぼさないような速度」という観点からいたしますと、この七十条の安全運転義務違反ということで原因を追及していくというかっこうになろうかと思います。
  18. 北村暢

    北村暢君 たとえば高速道路なんというのは、人が通ってないわけですからね。あそこで起こる事故というのは、ほとんどみずからがスピード違反をやって、スピードを出し過ぎてぶつかってしまう。ハンドルを切りきれない。こういう事故が圧倒的じゃないかと思うのですが、そういう把握のしかたは間違いでないかと思うのですが、どうでしょうか。
  19. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 高速道路におきましては、やはり御指摘のように最高速度違反という形態でとらえ、それを立証することが可能な場合が多かろうと思います。
  20. 北村暢

    北村暢君 私特にそういうことを聞くのは、後に関係するんですが、先ほどこの安全対策で、四つの柱で政府として交通安全対策を考えておる。まあこういうことなんですが、その中に、科学的な研究をやるというのに、通産、運輸等でもって、研究所研究せられるという予算が組まれておるようでございますけれども、ひとつこれは、道路建設する際において、道路というのは、もう初めから科学的にできていると、こういうふうな認識を持っておる方が非常に多いようでありますけれども、実際はそうではないんで、いわゆる道路交通をスムーズにいく場合に、トラフィック理論というのがあるわけです。トラフィック理論というのは、これは電話関係が非常に進んでおるわけなんですね。電話をかける、混線しないでスムーズにすぐ相手のところに通ずる、この理論道路建設理論に取り入れられるというと、非常に車がスムーズに走るという研究がなされているんですね。ところが、建設省でもわざわざこの理論を取り入れるべく、郵政省からそういう技術者建設省へ行ったようでございますけれども、いつの間にか立ち消えみたいになってしまったということのようです。たとえば、権田原から信濃町のあそこへ出るところというのは非常に錯綜するわけです。あの交通量を科学的に計算をしてあそこの道路建設するというと、ああいう込み方をしないで済むんでありますが、道路建設のしかたが悪いために、込むんですね。こういうところが、都内の各所に必ずといっていいくらい、たまるところが、あるわけです。そのために運転者はいらいらしてくるし、事故が起こる。だから、こういうものが道路建設の上において取り入れられるよう、これはひとつ、総務長官、検討していただきたいと思うんですがね。総合的に建設省でこういう理論を取り入れて、科学的にやるというと、流れが非常によくなるという理論なんです。それをひとつ取り入れてもらう、これを私はお願いしておきたいと思う。交通問題を科学的に処理するということについて、いま申したことを取り上げてみたら、だいぶこれは、現在込んでいるところの緩和に役立つ。この点をひとつ提起をしておきたい。どうぞこれを検討くださるようにお願いをしておきたいと思う。所見をひとつ聞いておきたい。
  21. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 私も、いまのような建設的な意見は初めて伺ったわけですが、道路をつくる際に、たとえば歩道橋というものを併用して設けるのがあたりまえではないか、そういうものを設けてないから、いまいろいろな事故が起こる。ことに、昨日から春の全国交通安全運動が始まりまして、各方面から、道路そのものについて、いまの道路のあり方について、かなりの鋭いあれを承っているわけです。いまのような非常に建設的な御意見は私は初めて伺ったのですが、私技術者でございませんが、これ、早速私のほうの総合調整という立場で、建設省からも来ておりますし、なお建設大臣にもさっそくこれを伝えて、今後長期計画でもって日本も四通八達するようになるのでしょうから、そういう場合には、そういうことも考慮して道路建設に当たるよう、ひとつ御趣旨に沿いたいと考えております。
  22. 北村暢

    北村暢君 それから、安全対策四つの項目をあげられました。安全施設の問題、取り締まりの問題、被害者対策、もう一つ教育関係ですね。この四つあげられたのですが、私は、警察はまあ交通一一〇番を設けるとか、月光部隊を設けるとか、取り締まりに新機軸を出して、ずいぶん努力されていることは、これは認めるわけですが、それ以前に、私はやはり、予防対策としては、教育をやるという予防対策が考えられると思う。それからまた、今度の道交法の改正の中にタコグラフの問題が出ておりますね。このタコグラフは、それは確かに記録されておるから、むちゃなことはできないという予防効果はあるのでありますけれども、これは記録するだけであって、しかも強制力というのはないわけですね。そういう点からいって、もう一歩進んだ予防対策というものが考えられるんじゃないかと思うのです。それについて、たとえば、自動車そのものの機能ですね。いまの自動車は百二十キロでも出るわけですから、絶対出さぬというなら、そういう機械をスピードが出ない機械にしてしまえば、スピード違反はなくなるわけです。それはちょっとできないわけですね。いま、メーカーとの関係で、なかなかできない、したがって、これを交通取り締まり標識に合ったところの自動的な操作ができるように、交通違反が起こらないような装置、これは科学的に考えられておるようです。そういうものの研究というものが一体なされているのかどうなのか、この点をひとつお伺いしたい。違反の出たものを押えたりなにかすることは、もう警察庁が非常に真剣にやっているが、その出る以前の対策というのはない。これは、いまの、子供さんを教育するなんて言ってのんびりしてて、歩行者の自覚に待つなんていうのでなくして、運転者自身の機械そのものによる予防対策というのは考えられるのではないか。まあ、いろいろありますね、タコグラフもあるし、免許証を渡すときに精神病患者には渡さないとか、予防対策があるのですが、もう一歩進んだ科学的な操作による研究というものがなされていいんじゃないかと思うのです。そういう点について検討されたことがあるかどうか、ひとつ……。
  23. 宮崎清文

    政府委員宮崎清文君) 御指摘の点は、自動車スピードを自動的に制御する装置の開発がどの程度進んでいるかということと理解申し上げたわけでございますが、この点につきましては、いろいろのアイデアがございまして、すでに製品化されているものもございます。たとえて申しますと、スピードメーターを連結させた装置をつくりまして、一定のスピード以上になると自動的にアクセルが抜けるという装置、それから、要所要所に電波を出す装置を備えつけておきまして、自動車に受信機を備えつけると、その電波を受信して自動的にやはりアクセルが抜けてスピードダウンする装置、いろいろございます。実験段階に入っているものもございます。ただ、この問題は直接の所管が運輸省でございますが、いままで私たち運輸省といろいろ話しましたところにおきましては、もちろん非常に長所も——現在そういうすでにできておりますアイデアはいろいろ長所もございますが、反面また短所もある。その長短を比べました場合に、まだこれを実用化するにはちょっとあぶないのではないかというところでございまして、そういうアイデアはすでにございますし、また政府といたしましても、たとえば運輸省に船舶技術研究所というのがございまして、その中の自動車部門でそういう問題は検討はいたしております。繰り返して申し上げますが、まだ、害がなくて益だけあるという装置が完全に開発されておりませんので、これを実用化する段階には至っておりません。
  24. 北村暢

    北村暢君 私は、これは運輸省研究されておるというんですが、どの程度研究が進んでいるかどうかわかりませんけれども、民間では、大体ほぼ完全なものが完成しているようですね。そういうものが、利害はこれもわからないわけじゃない。六十キロなら六十キロの速度制限のところを、六十キロ以上絶対出ない機械——その場合に、七十キロ出したほうが事故を防げる場合ももちろんあると思うんです。したがって、そういう意味では完全なというふうにはいかないかもしれないけれども、とにかく警察の関係の安全標識というものが正しく守られる、自動的に守られる、こうなるというと、私は警察取り締まりの上において非常に楽になるんじゃないかと思うんですがね。あの標識は置くんですけれども、実際はどのくらい守られているかということですね。これはスピードだけじゃないと思うんですね。あらゆる安全対策としてのスピードはもちろん、それから学校の児童の通るあの標識ですね。ああいうようなもの、それから踏切の一時停止、こういうものに対して自動的に操作ができるという機械ができてきているわけです。そういうものができてくると、これは私は、やはり交通安全対策については非常に革命的なものになるんじゃないか。しかも、それが試験段階で完成品に近いようなものができている、民間で。これ、やっているわけですね、民間で。それは、特許の問題その他あるようでございますが、それができてきている。それで、研究の結果、これが害だけなのか有益なのかという問題は確かにあるわけです。あるのですが、これはやはり国として早急に試験をやって、益のほうが大きければこれは取り入れていいものじゃないかと、こう思うのです。でありますから、これが完成するというと、月光部隊などという、スピード違反を追いかけるようなものは要らないわけですね。自動的にスピード制限されるわけですから、そういうものについて私ども聞いている範囲によるというと、理想はそういうふうでいいけれども、とてもそれは金がかかり過ぎてだめなんだ、こういう意見を聞くのですけれども、私の聞いている範囲では、そう金をかけないでできる、自動装置の自動車に据えつけるものについては約二万程度でできるのじゃないか、それからスピードの標識から電波を出すわけですから、その電波を出す装置については約十万でできるということです。そうして、これが三キロくらい電波が有効だということのようですから、そうしますと、全国の国道に三キロ電波の出るものを据えつける——スピードだけにしますと、たいした予算じゃないです。べらぼうにかかるように感じられるけれども、五、六十億かなにかあればできる計算になるようです。主要国道、それから地方道の主要なところには設置ができるという計算も、ある程度試算でありますけれども、しているようです。これはもっと精密に専門家がやらなければならないでしょうけれども、そうしますと、最初私がお伺いした、交通安全対策に相当な予算を割いているわけでありますけれども、予算がなくてできないというなら、とりあえず、大都市周辺あるいは主要国道というものにこういうものを採用するということを検討する価値があるのじゃないかと思う。  私、実際に研究者から説明をいろいろ聞きましたけれども、私も初め、電波で操作するというので、どうやって電波で操作するのかと思っておったんですけれども、電波というのは四方八方に全部出すものもできるし、一つの方向なら一つの方向だけに出すこともできる、こういうことなんですね。それをうまく利用して操作ができる。こういうことのようです。したがって、四十キロのスピード制限のところから六十キロのスピード制限のところに移ったときには、自動的に運転者が頭を使わずにちゃんと電波を受けて自動的に変わっている。六十キロ以上は出ない。六十キロ以内は操作できると思うのですが、六十キロ以上は絶対出ない。そういう装置なんですね。これは、個人の企業なり何なりということでは、やはり周波数の関係がございますから、政府として……。電波の数だけ信号があればいいということなんです。したがって、スピード制限四十キロ、五十キロ、六十キロ、八十キロですか、そういう数の電波、そのほか一時停止だとか、あらゆる標識ですね。道路安全対策の標識、これを全部盛り込めるわけです。実際にその車に乗ってみましたけれども、電波が出ない場合には手でもできるわけです、手動でもできる。何ら乗っていて不自由を感じないようであります。実際に、ある自動車会社では、一部これを取りつけてやるということも始まっているようでございます。  そういう点、もっと交通安全対策というものを私は科学的に検討する必要があるのではないか。起こった事故に対して被害者の補償はどうするとか、取り締まりはどうするとか、みんな起こってくるのは起こりっぱなし、そういう形で取り締まりを何ぼやってもだめだと思う。もうこれを死者一万三千なりなんなりとなると、日露戦争当時の二個師団全滅したのと同じですから、これはたいへんなことです。ですから、私は、五十億や百億かけても、そういう科学的な、自動車そのものに安全を守らせる、自動的に守らせることですから、そういうものができるということについて、相当思い切って政府研究もし、金もかける価値のあるものではないかと、このように思うのです。でありますから、そういうことについて、先ほど研究されているような話もあるようですけれども、そこまで突っ込んだ研究というものはいってないのではないかと思うのです。
  25. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) ただいま私が申し上げた四つの柱がきわめて科学性がないようなお話でございましたけれども、科学性を持った安全対策ということも、われわれ政府としては十分考えておるところでございます。当面何を柱にしておるかということで、そういう四つの柱を申し上げたのでありまして、いま御指摘のような点については、一応運輸省中心になりまして、試作品もできておりますし、検討もいたしていることを私どもよく存じております。それからなお、非常に日本人は独創力に富んでいると申しますか、私もこういう仕事をやっておる関係もありまして、役所に、相当の方が、特許庁に申請しているからこれを通してくれ、これを通してくれというようなことをたくさん持ってまいりますが、私はそのつど警察のほうと連絡をとりながら、あるいは運輸省建設省と連絡をとりながら、役に立つものは直ちに実用に移すべきではないかとかまえておりますが、一応政府としましては、運輸省研究機関を中心としてやっておりますが、御指摘のとおり、こういう対策に対して科学性を持たせなければ、依然として原始的なやり方では……。当時、たとえばひどい議論をなす方は、人間の歩く道とトラックの歩く道と乗用車の歩く道を変えろと、強く言ってきましたが、実際問題としてできませんと、何年後かにはできるかもしれませんが……。ですから、なし得ることを現在応急対策としてなすと同時に、今後の問題については、先ほど道路のあり方についての先生の御意見等もありましたし、なお、いま先生がおっしゃいましたようなこと、そのほかにもたくさんあると思いますが、科学性を持った対策というものは、これは政府は真剣に取り上げる考えでございます。
  26. 北村暢

    北村暢君 確かに、そういう個人でパテントの関係で、いろいろな考案をしているものがある。いろいろあると思うのです。私ども聞いておりますが、やはりいま長官おっしゃられるように、四つの柱も、私はこれを悪いと言っているわけでは一ない。これは確かに非常な努力をされてやっているということを冒頭に認めている。一一〇番にしても、歩道橋の問題にしても、政府が非常な熱意を示しておられることは認めている。そういうものも、もちろん必要なんですが、しかし私は、やはり運転者道路標識が正しく守られるようなものが自動的にできるとすれば、これはたいへん便利なもので、一つの革命的な交通安全対策になるんじゃないか。でありますから、これは個人でやっていけば、パテントなりの関係で、なかなか政策に乗ってこないのでありますから、政府としてそういうようないろいろな考案のものを早く研究されて、それがほんとに実用化するためには、経済効果その他予算の関係ももちろんあるわけですから、べらぼうに金がかかったのではお話になりません。そういう面も私は検討されてしかるべきじゃないか。電波でやるのはとても金がかかり過ぎてだめだと頭から否定してかからないで、私はこれは相当研究する価値があるんじゃないかと思いますので、今後の交通安全対策一つとして十分ひとつ検討をいただくように、総務長官から、十分検討されるということの御意見のようでございますので、承りましたけれども、再度御要望を申し上げておきたいと思います。なお御意見があったら、ひとつ……。
  27. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 安全対策に科学性を持たせるということ、これは、政府は真剣に取り上げて、今後実行に移していきたいと考えます。
  28. 北村暢

    北村暢君 それから警察庁の方が見えておりますので、若干道交法の改正の問題について、いろいろ反則金制度の問題が、国、地方でだいぶもめておるようですが、けさの毎日新聞によりますと、その問題が解決したところが、裁判所側のほうから、刑罰の性格についてあいまいな点があって、そういう点からの疑義が出てきたということが報道されておるのでありますが、この道交法の一部改正については、もう閣議決定されたようでありますが、これは原案どおりで国会に提出される運びになるのかどうなのか、相当これはおくれるのかどうか、この点をひとつお伺いしておきます。
  29. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 本国会にお願いしております道交法の改正の中で、特に反則行為に関連する手続の特例がございますが、その問題につきましては、私ども長年の間研究してまいりまして、いまのような形の案ができ上がりましてから一年ぐらいの間、関係各省、特に法務省、それから最高裁とも連絡をとりながら成案を得たわけでございますが、最高裁におきましては、私どもがいろいろ願ってやりました場合の御意見は、けさの報道とは若干違っておりまして、最高裁では、この制度については原則的に賛成、しかし、この制度は範囲をもう少し狭めて発足したらどうかという御意見がございました。それと、もう一つは、司法的救済措置ということについて何らかの規定が、この道交法の中にできないものだろうか、いい案はないけれども、そういうものを考えたほうがよりベターじゃないかという程度の御意見でありまして、この制度に反対ということではないのであります。そういうことで、いろいろ検討しておって、御意見としては以上の二点があげられております。  なお、反則金の性格があいまいであるという報道がなされておりますが、確かに反則の性格というのは、従来の罰金、あるいは従来の刑事罰、それから行政罰ということで割り切れない性格を持ったものだと思います。そういう意味ではあいまいかもしれませんけれども、それは一つのそういう新しいものを創設したのだ、こういう私たちは考え方でおるのであります。この類似の制度としては、国税犯則取締法という規定がございまして、これにもやはり犯則者に対する通告制度というものがございまして、この反則金類似のものを通告して、それを納付すれば公訴が提起されないという制度があるのでありまして、これに類似の性格を持ったものであるというふうに考えております。
  30. 北村暢

    北村暢君 交通問題で、最後に……。最近、警察官による交通事故が出ている。一方、あの問題が出ましてから、毎日のように目につくわけです。毎日の新聞に出ているのですが、警察官の交通事故は、交通安全週間になってからも出ているようです。私どもも、白バイが事故を起こすなんというのは、あれだけのスピードを出していろいろやるのですから、それは事故が起こらないとも限らないことは、非常に同情的にわかるわけですけれども、しかしこの前の問題は、綱紀弛緩によるような、職務上の交通事故じゃないので、当然でありますが、それにしても、取り締まるほうの白バイなり何なりが人をはねたりなんかしているのが、ここ二、三日出ているので、特にそういう面のあれを取り上げるのだろうと思いますが、この点について警察庁もだいぶ神経を病んで通達を出しておるようでありますが、取り締まるほうが取り締まられるようじゃ、どうもぐあいが悪いと思います。これに対する考え方をひとつ……。
  31. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 御指摘のありました警察官が関連いたしました交通事故、特に警察官が第一当事者になったような交通事故が起こっておることにつきまして、まことに申しわけがないと思っております、先般千葉で起きた無免許の問題とか、昨日起こりました静岡の酒酔い運転に属するような交通事故につきましては、まことに申しわけないの一語に尽きるのであります。いずれも公務執行に関連したものじゃございませんのですが、警察官の交通事故につきましては、御指摘のように、公務中の事故と、それから私用中の事故と二種類に分かれるわけでございますが、いずれの場合につきましても、御指摘のように、警察官が交通事故を起こすということは、まことに申しわけないので、累次の通達を出しまして、いろいろ警察本部長に、十分な教養をし、指導をしてもらっているということでございますが、それにもかかわらず、ああいう事故が起きたということについては、まことに申しわけないの一語になるわけでございます。公務中の白バイあるいはパトカー等による事故につきましては、これはサイレンを鳴らし、その他いろいろな注意をしてやっておるのでございますけれども、それからなお、白バイ等につきましては、白バイの操作が必ずしも十分でない、運転未熟の場合もございますので、そういったような点につきましては教養を十分にいたしまして、公務中といえども事故を起こさない。私用中はもちろんでございますが、公務中といえども事故を起こさないように、さらに厳重に教養指導を徹底さしてもらいたいと思っております。
  32. 北村暢

    北村暢君 次に、行政管理庁関係について御質問いたしますが、まず、今度の予算編成方針において、行管として一つの非常にきびしい方針が打ち出されておったわけでありますが、この予算編成方針の内容と、こういう考え方を出すに至った経過について、まず御説明いただきたいと思います。
  33. 松平勇雄

    国務大臣(松平勇雄君) 四十二年度の予算の編成にあたりましては、御指摘のとおり、特殊法人その他部局の増設を抑止する方針をとっておりました。これは臨調の答申にもございますので、それに従ってそういう方針を打ち出したわけでございますが、しかし、社会経済の情勢の発展、その他行政の需要等に応じまして、これに応じた特殊法人なり部局をつくるということは絶対に認めてはいけないというような臨調の答申でもないわけでございますし、要するに、必要なものはそれに応じてつくるが、しかし、そういった特殊法人、部局が増加することは、これは厳につつしまなければならないというような観点のもとに、政府といたしましては、御承知のとおり、七つの特殊法人をつくりました。しかし、一面、三つの既存の法人を統廃合いたしまして、純増四つということになったわけでございますが、この四つは、そういった観点から認めたものでございます。
  34. 北村暢

    北村暢君 この予算編成方針をつくる以前に、行政監理委員会の名において、政府に対して申し入れをしている。それは、公社、公団の新設は認めるべきではないということを二月の二十三日に政府に申し入れをしているようでございますね。その申し入れをしている行政監理委員会の委員長は行政管理庁長官の松平さん自身である。こういうことですね。そういう申し入れをして、そうして予算編成方針に「各省庁の部局、公庫、公団、事業団などの新設は認めないことにし」と、はっきりこううたっているわけですね。予算編成方針としてこれを閣議決定もしているわけです。この閣議決定の時期と行政監理委員会の申し入れした時期とは異っておりまして、政府のほうが先に、この編成方針として決定をして、この編成方針に基づいて予算編成する過程において、どうもこの編成方針がくずれそうだということで、わざわざ行政監理委員会が政府に、二月の二十三日ですか、申し入れをしている。こういうことだろうと思うんですが、私は、そこのところがどうも割り切れないんですが、長官自身が申し入れをして、政府みずからがこれを踏みにじる、こういうことで、世論も非常にきびしくこれを批判をしているんじゃないか、このように思うのでありますが、いま長官の一応御答弁をお伺いしましても、設けないというのが絶対でないというようなことを言われましたが、七つ設けて三つ減らして、公庫、公団、事業団は実質的にふえるのは四つだと、こういうふうに御答弁があったんですけれども、やはりこれは率直にいって、私は、編成方針をみずから破ったものであるというふうに率直に認めたほうがいいんじゃないか。そういうことになっておりませんということでは、私はどうかと思うんで、編成方針とはやはり違う、編成方針はそういうゆとりのあることをきめておらない、こういうふうに見ていいと思うんですけれども、そこら辺の感じはどうですか。
  35. 松平勇雄

    国務大臣(松平勇雄君) 行政監理委員会の強い——そういったような、いま北村委員がおっしゃったような強い意向があったことは事実でございます。しかし、やはり監理委員会といたしましても、先ほど申し上げましたように、絶対にその新設はいけないというのをあくまでも通そうという考え方ではなくて、やはり経済、社会状態の進運に従って、それに相応した行政の機構をつくるということも、一面においては是認しておられるわけでございまして、したがって、要するに、いたずらに膨大になることを阻止しなけりゃいけないというような観点から、委員会といたしましては、既存の百八の特殊法人に関しまして、臨調ではすでに十八のものに対しまして、再編成その他の意見を述べておりますので、そういったもの十八を含んだ百八に対してさらに検討して、これを必要があれば、再編成あるいは整理統合をするようにというような御意見が出たわけでございます。
  36. 北村暢

    北村暢君 長官もちょっとつらい立場のようですから、私もあんまりしつこくは申し上げませんけれども、とにかく行政監理委員会の意思としては、そういうふうにあまりゆとりのあるような解釈のしかたではなかったようですね。そして、また予算編成方針が守られなかったことに対する行政監理委員会の憤激もその後たいへんなことで、委員長のあなた自身がそれを納得させるのにだいぶ苦労したんじゃないかと思うんですが、特にそういうゆとりのあるとかなんとかであったならば、環境衛生金融公庫だなんというのは、これはできる筋合いのものでなかったんじゃないですか。実際にいままで国民金融公庫で業務は実施しておったんですし、また、このできましたものは、頭だけできたんで、業務は従来どおり国民金融公庫で実施をするということですね。これは、だれが何と言おうと、選挙を目当ての圧力団体に属した公庫の新設であるというのが、これはもうだれが見ても常識的な判断である。しかも、その公庫ができたあとの人事に対していざこざが起きておるということで、私は決していい結果ではないと思っています。確かにこの四つのうちには、ぜひ必要であった、また妥当だと思われるものもあるわけですね。したがって、私も絶対いけないとは言わないのでありますけれども、この環境衛生金融庫の新設は何としても放漫財政だという一つの悪い批判を受ける材料になったのじゃないかと思うのです。こういう点についてひとつ厳正にやはり反省する必要があると思う。もう少し、行政管理庁は——あのことが起こってから新聞は一斉に、行政管理庁は姿勢を正せといって社説を掲げて、たたかれているわけですから、やはりそれなりの反省が私は行政管理庁としてはあるべきだと思う。それを理屈をつけて、絶対ではないとかなんとかということで、のがれるようなことは許されないのじゃないかと思うのです。どうなんですか。そういう意味において私は、今度のとられた処置について、行管としてもこれを了承したわけでありますから、その反省はひとつ厳正に反省すべきだと思うのですね、率直に。この点はいかがですか。
  37. 松平勇雄

    国務大臣(松平勇雄君) 行政管理庁といたしましては、ただいま北村委員が仰せのとおり、行政にむだのないようにするということが、一口で言えばそれが目的でございまして、組織の面あるいは運営の面、あるいはまた予算の使途の問題、あるいはまた人員配置の問題等においてむだのないように、そうして国民のための行政をする組織にするということが、われわれに課せられた大切な目的でございます。したがって、こういった特殊法人の設立に関しましても、そういった観点から厳正に検討いたしまして今後も臨んでまいる考えでございます。三月七日の閣議におきまして申し合わせがございまして、従来は予算の編成期にそういった新設の問題が出まして新設する場合には、必ずそれに見合う廃止するものを持ってくるようにと、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの方針でやっておりましたが、今日に至りましてはなかなかその方針を貫いていくということは困難な実情が出てまいりまして、そういった観点から新設とは別に廃止すべきものを検討して、そうして整理統合その他の処置をいたすように目下調査中でございます。そういったことによりまして国民の要望にこたえたいと考えております。
  38. 北村暢

    北村暢君 どうも答弁歯切れが悪い。もう少しあっさりかぶとをぬいだらよさそうなものだが、なかなかかぶとをぬがないようですがね。それじゃ、大体、この問題についてのあと処理については、いろいろ行管長官も今後の問題について談話等も発表し、反省の色も私はある程度あるのじゃないかと思うのですが、実際に行政監察をやる行政管理庁が、逆に行政監察をされなければならないような疑惑を受けたということについては、また、このいわゆる逆行の通達の問題とも関連して批判を受けているわけです。それに対して長官の談話も出ておりますから、それなりに私は了承したいと思いますが、やはり今日行政改革をやる場合において、これは歴代内閣がやろうとしてなかなかできない。相当政治力をもってやらなければ、また選挙のあるときだとかなんとかいうときには、とても思い切った行政改革というものはできないのですね。しかも、ああいう膨大な臨調の答申というものを受けているのですから、したがって、できるところから実施をしてきた行管の努力も認めるわけでありますけれども、しかし何かしらしりつぼみになって、この臨調の答申の精神というものがなしくずし的に後退をしていく、こういうきらいが見受けられるわけです。したがって、私はまあ行政管理庁に要望したいことは、そういう各省との関係であり、各省からの圧力というものも非常に強いのでありますから、そういう意味において、行管がもう少し腹を据えて、各省の切りくずし工作というものに対して毅然たる態度を持つということが、私は今日の行管にとって非常に重要である。それは直ちに何もかにもはねつけろとか、何とかいうことではない。もちろん合理的に、答申は答申として、政府はそれをどういうふうにこなすかということで検討されることは当然でありますけれども、毅然たる態度を持ってしかるべきではないか。このように思うのです。そういう点についてひとつ大臣の決意のほどをお伺いしておきたい。
  39. 松平勇雄

    国務大臣(松平勇雄君) 行政機構改革の問題は、御意見のとおり非常に困難な問題でございまして、概論で始まりますれば非常に賛成の方が多いのでございますが、各論に入りますると、その賛成の方がたちまち反対になるというようなこともあるわけでございまして、いま御指摘のとおり各省との関係その他圧力の強い点も私も認めておるわけでございます。したがって、今後の行管の仕事に関しましては、行管が各局一体となって強力にこの行政改革の問題に関しまして進んでまいりたいというふうな覚悟を持っておりますので、今後ともよろしく、どうかひとつ委員各位におかれましても御支援願えますように、お願いいたす次第でございます。
  40. 北村暢

    北村暢君 まあ長官の決意を伺いましたが、それで具体的にもう一つだけお伺いしておきたいのは、臨調答申による検討すべき公庫、公団、事業団、これは十八あるわけでありますが、この十八のうち、とりあえず来年度予算の編成に間に合うようにこれらを検討するということを言われておりますけれども、しかし来年度予算に間に合うように検討する以前に、愛知用水等を例に引けば、もうすでにこれは今年度からやらないというと事業がなくなるわけですね。もう愛知用水の法律の改正案が今国会に提出されているわけです。そういう問題が提出されますので、そういう問題について行管では了承を与えているのかどうなのか、来年ということでのんびりしていられないんじゃないか。そういうものも出てきているのじゃないかというふうに思うのでありますが、そういう点については一体どうせられるのかですね。
  41. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) ただいまの問題でございますが、農林省当局からは法律の改正案を出したいという要望が私どものほうにまいりましたけれども、愛知用水公団につきましては、衆参両院の建設委員会の決議もございますし、それから臨時行政調査会の答申もございますので、それは簡単によろしいというわけには私どものほうとしてはできませんということで、一応もの別れといいますか、そういった状況でございまして、現在どうするかということにつきましては、私どものほうの監察局のほうで実情をよく調査いたしまして、合理的な結論を出したいということで目下調査中でございます。
  42. 北村暢

    北村暢君 現地調査に行かれたことも新聞で承知しております。承知しておりますけれども、これは来年度予算に間に合うように結論を出したのではどうも状況に合わないような感じがするのですね。それでその現地調査の結果、早急に結論を出そうとおっしゃられるのか、どうなのか。いま御説明のありましたように、農林省から法案を出したいという強い要望があったが、けったというだけで、話し合いがつかないというだけの話で、今後どうするかという問題が出て来ると思う。でありますから、これはいま直ちに結論を出してこうやれと言っても、これは無理でありますから、私はそれまで申し上げませんけれども、従来言われている十八の問題については、来年度予算編成までに十分検討するというような談話なり新聞発表がなされているわけですから、それを待てないものが出てくるのじゃないかということで、私は質問をいたしているわけです、どうですか。これに対する対処のしかたとして、どういう腹づもりでおられるのか、この点をお伺いしておきたいと思います。いいとか悪いとかの結論を出せということではなしに、どういうふうに対処せられるのか。
  43. 松平勇雄

    国務大臣(松平勇雄君) ただいま行政管理庁といたしましては、今度の第一四半期の監察のテーマといたしまして、水資源の開発並びにその利用に関する監察を行なっているわけでございまして、その作業の一つとして愛知用水公団が入っているわけでございます。同時に、先ほどお話しの特殊法人の整理統合、再編成といったものもからめて、ただいま調査をいたしておりまして、来年度の予算の編成が始まる八月までにこの結論を得て、そうして対処する。もちろん行政監理委員会あるいは行政改革本部とはかりまして、そうして結論を出すというふうな作業の状態になっております。
  44. 北村暢

    北村暢君 それでは北海道開発庁関係に移りたいと思いますが、これは地下資源開発株式会社に関連する問題でありますので、たまたま来年度は検討する中に入っているのですから、行管のほうもひとつ聞いていていただきたいと思います。  それじゃ北海道開発庁長官が見えておりますので、北海道地下資源開発株式会社の件について御質問いたしたいと思います。まず四十一年度末の資本金の現状は一体どのようになっているか、まずお伺いいたしたいと思います。
  45. 小熊清

    政府委員(小熊清君) 地下資源開発株式会社の資本金は、四十一年度十億円ということでございます。それから、いまお尋ねの資本金の現状というのは、おそらく欠損の繰り越しがございます。繰り越しの欠損が一体どういうことになっておるかということではないかと思いますが、その繰り越し欠損の累計が四十一年度末で三億二千七百万円ということになっております。
  46. 北村暢

    北村暢君 この十億円の出資金の民間と政府との分担はどのようになっておりますか。
  47. 小熊清

    政府委員(小熊清君) 資本金十億円のうち、政府の出資によるものが九億円でございます。残り一億円のうち北海道が一千万円、その他は民間の法人等ということになっております。
  48. 北村暢

    北村暢君 要するに、四十一年度末の赤字総額は三億二千七百万ということですね。
  49. 小熊清

    政府委員(小熊清君) ちょっと補足いたしますが、四十一年度末の決算は見込みでございます。
  50. 北村暢

    北村暢君 それで大体、国策会社として今日まで相当の赤字が累積しているわけですが、この赤字を縮小するための努力が一体どのようになされてきたか、会社がどのように努力なされてきたか。これを監督官庁である北海道開発庁はどのように指導されてきたか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  51. 小熊清

    政府委員(小熊清君) この会社は昭和三十三年度に設立されたものであります。ただいま申し上げました四十一年度末の赤字は累積額でございまして、実は三十三年度発足の年から三十八年度までは遺憾ながら赤字決算が続いたわけであります。と申しますのは、たまたま会社が発足いたしましてから当分の間、石炭業界あるいは金属業界というものが不況でございまして、思うような事業量がとれなかったということ、それからこの会社は国策的な事業を行なうということで出発いたしました関係上、相当程度の設備を整える必要があるということで、いわゆるイニシアル・コストが相当かかった。その償却に相当とられたというようなこともございまして、発足以来赤字が続いたわけでございます。しかしながら、そういうことではいけませんので、会社としても事業量の拡大につとめる一方、鋭意経営の合理化あるいは技術の刷新というようなことにつとめてまいりました。当庁といたしましても、そのような指導をいたしました結果、三十九年度に至りましてようやくわずかではございますが、黒字決算を行なうことができたわけでございます。三十九年度は五百万でございますが、黒字でございまして、続いて四十年度も、これもわずかでございますが、百万円程度の黒字を計上いたしました。全体としては会社の経営合理化の努力あるいは事業量の拡大というようなことによって、基調としてはそうひどい赤字は出ない、大体とんとんに近いところまでいったというふうに実は考えておったわけでございます。ところが四十一年度の、ただいまの決算見込みでは、これはまことに残念なんでございますが、およそ五千四百万円程度の赤字がまた生ずるという見込みになっております。そこで当庁といたしましてはその原因等について究明いたしておりまするが、その原因のおもなものは、四十一年度に至りまして新しいボーリングの工法を実は採用いたしたわけでございます。その新しい工法によりますると、工事費のコストが切り下げられるということで、もちろん採用したわけでございますが、残念ながら採用の当初におきましては、技術的に不なれでありましたために、かえって経費がよけいかかった、コストが上昇したということでございまして、四十一年度は主としてさような原因に基づきまして赤字を計上するということになったわけでございます。したがいまして当庁といたしましては、三十九年度、四十年度の黒字基調というものに再び返すということが先決でございますが、技術に対する習熟度を向上させるということはもとよりでございますが、さらに経営の合理化、技術の向上というようなことについて、強く会社を指導してまいり、再び赤字になるというようなことがないように今後指導いたしてまいりたい、かように考えております。
  52. 北村暢

    北村暢君 ただいまの説明を聞いているというと、非常にあらゆる努力をしたのだが、経済情勢、産業の情勢からして、やむを得ずこの赤字が出たように受け取れるのでございますけれども、しかし、これはそういう努力をしたけれども赤字が出たのじゃなくて、伝えられるところによるというと、相当放漫な経営というものがなされたということが伝えられておるわけですね。その一つの大きな要因として、経営陣の能力の関係だろうと思うのでございますが、いずれも古手のお役人さん的な人が多くて、先ほども告白されているように、新しい機械を入れたが、その使い方がうまくいかなくて赤字になった、四十一年度。これなんかもやはり経営スタッフの中に優秀な技術陣が欠けておったということが、こういうことになる大きな原因でなかったかと私は思う。このことはもうすでに指摘されているわけですね。非常に技術を要する、地下資源開発なんというんですから技術を要するのでありますけれども、そういう優秀な技術者がおらないということですね、それが一つ大きな要素になっているんじゃないか。それからもう一つは、こういう赤字を累年続けておるのでありますけれども、いわゆる幹部クラスは相当な高給を取っておる。民間であれば当然こういう赤字であれば、役員の給与その他一切だいぶ切り詰めなければならないというのは当然のことだ。経営陣はそういうことにはおかまいなしに高給を——もらうべきものはもらうと、こういう式で何ら反省がない、こういう点が指摘されておるわけなんですけれども、いま申した経営陣のスタッフの問題と、それからそういう経営者の給与の問題、こういう面において反省の色があったのかなかったのか、この点をひとつお伺いします。
  53. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 北村先生御指摘のとおり、この北海道地下資源開発株式会社は、創立以来赤字を続けてまいっておったことも事実でございますが、そのよって来たった原因等については、いま総務監理官のほうからも御説明を申し上げたようないろいろ客観的な事情等もあったことも事実だろうと思っております。また、北海道のあの膨大な地域、しかも広範な地域に約九十カ所あまりの地表調査とか地下の調査等もやっておりますが、なかなかこの調査自体もリスクの多い探鉱の仕事でございますから、そういう関係もあったし、また実際ボーリングをするといたしましても、これまた的確な調査ができて、そしてものになるのかならないのか、企業化されるのか、されないのかというようなこと等も慎重に検討を加えた結果、ボーリングをやらざるを得ない。そこで九十カ所くらいの中で約九カ所くらい実際ボーリングをやり、その掘進の延長約三千メートルくらいだと、こういわれておりますが、そういうこと等もございまして、一面には国策会社でございますし、そう営利を目的とする会社でもない。また、法律改正を行ないまして、内地においても委託探鉱等ができるようになりましたが、それも民間の会社との競合が国会委員会における決議等によって規制されているというようなこと等もございまして、いろいろ欠損が続いたというような事情もある程度ございましょう。しかし、また一面、私も就任いたしましてから、この地下資源開発株式会社等の状況等も説明を受けました際に、いずれにしても、国策会社であってもこんなに赤字を繰り返しているのは一体どういうわけかという不審を私自身も抱いたわけでございます。そこで、いま申し上げましたような説明等も受けましたが、こういうことではやはり行政管理庁のほうからも何か御指摘を受けるような話も承りましたので、この会社がやはり北海道の地下資源開発のためには、私は本来の役目を果たすべき会社として立ち直ることがぜひ必要である、こう思いまして、会社の首脳陣を呼びまして、そうしてきびしく、経営の再建について具体的な再建計画を出したらどうだと。また、もっときついこともいろいろ申し上げましたが、そういうこと等をきつく申しまして、そうして政府自体としても、政府の九億余りの出資をしている国策会社でございますから、あるいは政府も協力をして、ほんとうの本来の自主探鉱がやられて、そうして地下資源の開発に役立つという、本来の会社の立て直しをやるべきではないかということを考えますと、いまみたいに、この会社が非常に赤字続きであるということであれば、その会社に働いている従業員も非常な不安を感ずるのはこれは当然でございます。従業員が安心して働けるためには、まずもってこの会社がしっかりした再建計画を立てて、そうして世間から指摘を受けないような立て直しをすることが大事だと思います。そういう意味で、政府も、また、この会社の首脳陣も、ひとつそういう決意を持って当たることが必要だと、こう考えておりまして、目下そういうこと等について政府部内におきましても、強化策をいろいろ検討しておる段階でございます。おっしゃいましたような赤字の累積しているということにつきましては、いろんな角度から会社自体も、また指導的立場にあります私のほうも反省をして、こういう指摘を受けないようにやりたいと、こういう決意でおるわけでございます。
  54. 北村暢

    北村暢君 もう新聞にこれは出ているわけですが、先ほど申しました役員の給与、まあ社長が本俸三十一万、賞与が年間百三十三万六千円ですか——というようなことが、もう新聞で伝えられております。それからまた人事の刷新の問題について——後ほどお伺いしますが、この五月一ぱいで役員の任期がきているようで、もうすでに新聞辞令等も出ているようでございます。そういう中で、赤字会社でありながら役員の退職金がいま準備されているようでございますが、大体その退職金が、これは二人分らしいようでございますが、大体二千四百万の退職金を会社の経理担当者に支払いを準備するように指示をしておるということが伝えられておるわけであります。赤字会社で膨大な退職金というものを支払う。これは地下資源に限ったことではないのでありますけれども、かって農地開発機械公団、これが赤字で相当苦しんだときにも、幹部がやめるときに退職金、これはどういう計算——計算の基礎は大体あるようでありますが、こうした事業団等において、大体統一された基準があるようであります。それで二、三年すると、約一千万円近い退職金をもらって、次から次とこの公団、事業団を歩く人がおるようであります。二、三回歩いていると、これはたいへんな退職金かせぎができるわけです。これは現実にあるわけですね。古手役人が、こういうことで高額な退職金をもらって、次から次と公庫、公団、事業団を歩くということについては、どうも世間は納得しないんじゃないかと、われわれ貧乏人がひがむわけじゃないけれども、どうもこれはちょっと行き過ぎじゃないか、こういう感じすら持っておるのでありますが、親方日の丸式で、赤字会社であるれけども出すべきものは出します、こういう式で多額の退職金が支払われるということについては、私どもはちょっと理解に苦しむのでありますけれども、こういう点について、ひとつ開発庁長官並びに行管長官からも、これらの問題についてこの際、私はお伺いしておきたいと思います。
  55. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 北村先生のいまお述べになりましたことは、会社——特殊法人内部の間においていろいろ議論されてきめられていく問題であろうかと思いますけれども、しかし、もしかりに退職金かせぎをするというようなことがあちこちに出てくると、また、そういう傾向がさらに高まっていくというようなことは、私は個々のケースにおいていろいろ検討する必要もあろうかと思いますけれども、しかし世間から見ても誤解を招くというような、あるいは理解に苦しむ人が出てくるというようなことも、あるかもわかりませんから、こういうことについては慎重に私どもも対処していく必要があろうかと思います。  また、地下資源開発株式会社の人事刷新の問題もいまいろいろ出ているようでございますが、これらにつきましては新しい役員の方々等においていろいろ検討をさせられていくべき問題であろうかと思っております。私も行政庁の長官といたしまして、今後会社の再建については立て直しをするのだという強い決意を持って、きびしい態度で経営に臨んでもらいたいということだけは、先ほど申し上げたとおり、いろいろ注意を喚起しておるような状態でございますから、そういうこと等をどういうふうにし、また会社の首脳部の方々がお考えになるか。まだ実際、私どものほうには何の意見の申し出もございませんし、具体的にどうするというようなことも申し出がございませんが、私は会社についてはきびしい態度で臨んでもらいたいということだけは、はっきり申し上げておくわけでございます。
  56. 松平勇雄

    国務大臣(松平勇雄君) 特殊法人の役員の報酬の問題に関しましては、監督官庁が指導していくたてまえになっておりますから、その官庁が適当に指示を与えればいいと思いますが、行政管理庁といたしましては一般的に、一般論といたしましては、やはりそういった、ただいま北村委員のお話のあったような姿は好ましくないというふうに考えております。ことに北海道地下資源開発株式会社の問題に関しましては、株式会社でございまするから、賞与の問題はもちろん利益が出なければ出せないのじゃないかと思うのでございます。それから退職金の問題にいたしましても、やはり株主総会を開いて、そこでやはりそういった退職金を出すのが適当かどうかということは、そこで判断されるべきものではないかと思います。そこでやはりほんとうに民間のやっております基準を考えて、そして結論を出されたらいいのじゃないかというふうに考えております。
  57. 北村暢

    北村暢君 株式会社といっても九割は国で出資しているわけですから、非常に特殊な会社であることはもう間違いない。この退職金問題は、これはかってこの国会でもどこの委員会か——決算委員会か何かで、全公団、事業団について資料をとって検討したことは何回かあるわけなんです。それで、現実にこの事業団、公団を二カ所、三カ所くらい歩いている人は、一カ所一千万円くらいの退職金で、大体四、五年おると一千万円以上になるようですね、退職金が。そういうので、二カ所、三カ所歩いている人は現実にたくさんいるわけですよ、これは。ですから、これはどうも私ども納得がいかぬのですよ。したがって、こういうことは——私は行管等においても最も悪いところが出ておると思うのです。公社、公団、事業団というものは、いわゆる官庁の非能率ということで、民間の能率性というものを取り入れて、そうして予算的にも効率的に運営がなされるということが望ましいのですけれども、それが全く逆なんでありまして、役人的なルーズなところがはびこって民間の能率性というものが取り入れられない、無視されて、今日、公社、公団、事業団というものが運営されているというところに批判を受けているわけでありますから、当然いまの行政管理庁長官の御答弁にありますように、株主総会を開いて赤字経営であれば退職金なんか払わないのがあたりまえだろう、こういうのでありますけれども、実際にもう二千四百万の退職金を支払うようにこれは経理担当者に指示されているのですよ、これは。これは、そういうことはないというなら、ないという裏づけをしてもらいたいと思う。実際にもう準備されているのであります。特に一気に二千四百万出すといってもあれですから、毎月のように二百万ずつ従来から積み立ててきておるようですね、そうして退職金だけはちゃんといただけるように、準備周到に赤字とは関係なしにやられている。監督官庁が知らない間にこういうことが行なわれておる。しかも株式会社であるから総会を開いて、赤字であれば払わないことになるだろうなんということも言われておりますけれども、そんなことになっておらない。ですからこれは、ここで答弁せられることが、適当に答弁されても、そういうふうになっておらないという点で、私は世の批判を受けるんじゃないかと思う。ただ、その赤字というものについて、国策会社ですから、私は、何でもかんでも黒字でなければならないということは言っておらない。赤字でも、それが理由の立つ赤字であるとすれば……。これはもう地下資源を開発しているのであるから、当たればいいけれども、当たらなければまるまる欠損になるわけです。聞くところによるというと、千木掘って三つ当たればいいということのようですから、それでは赤字になるのはあたりまえなんで、その犠牲まで払って国策的に地下資源を開発しなければならないというのであったならば、それなりに私は自主開発のために赤字になるということは、これは話はわかると思う。それが国策でやるというのであればわかるのでありますが、しかしそうではなしに、今日請負探鉱というものがずいぶん行なわれて、自主開発の自主探鉱という赤字の出る要素というものは——国策的な仕事というものは放棄して、もうかるほうの請負探鉱だけをやっているということが臨時行政調査会の答申の中にはっきり出ているわけです。したがって、ここら辺あたりは監督官庁としてやはりルーズにされてきておるんじゃないかと思うのです。開発庁長官も今度の人事刷新にあたって相当強いことを言われておるということで、再建計画等もきびしく監督しているということでございますから、ある程度了承はいたしますけれども、どうもそういう答弁とは違った形におけるルーズさが、この退職金においても明らかにあらわれているのじゃないかというふうに思うのです。したがって、この点についてもう一回御答弁をいただきたいということと、それから人事の刷新にあたって、職場の中においても、役員の中に全く飾りものの無能な役員も——無能ならまだいいんでありますけれども、おったら有害でマイナスになるという役員もおる。これじゃあお話にならない、そういうことがあると言われているわけです。そういうマイナスになるような人にやはり早くやめてもらわなければいけないわけなんですが、そういうところまで目が行き届いているのか。監督官庁として目が行き届いておるのか、どうかという問題、そういう点が言われておるのでありますが、今度の人事刷新にあたって、特に公社、公団、事業団等の人事については、今後各省庁にまかせないで官房長官のところで人事についてやるのだという方針がきめられたようでございます。そういう点からして、私は今回のこの人事刷新というものについて非常に注目をしている一人なんでありますけれども、見解をひとつ承りたい。
  58. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) この退職金の問題につきましては、私まだ全然どういう考え方かということについても報告を受けておりませんし、全然、これはもう率直に申し上げましたら意見を聞いてもおりません。ただ、先生からいまそういうお話を聞きまして、ちょっと参事官にもそういうお話があるのかということを聞いたら、まだないということでございます。でございますから、先ほどからいろいろお話もございますので、私が先ほどきびしく再建のことについては考えなさいということを申し上げたのは、いろいろなことを考えて申し上げたのでございますので、ひとつ御了承をお願い申し上げたいと思います。また、新しい株主総会等におきましてどういうふうに取りきめがなされるか、これはまあ近くそういう総会も行なわれるということでございますが、まあその節にはひとつよく意見を聞いてまいりたいと考えております。  また、この人事刷新の問題は、いま先生がおっしゃいましたとおり、政府部内におきましても、政府の関係する公社、公団等の首脳部の人事については広くこの人材を求めたいという方針でございますし、そのことは先生が先ほどからお触れありましたようなこと等も考えまして、そういう方針をきめたものと私も了解をいたしております。したがって、そういう方針に沿って今後も首脳部の人事については広く人材を求めるような方向でひとつ検討いたしてみたいと、こういうふうにいま考えるわけでございます。
  59. 北村暢

    北村暢君 最後にお伺いいたしますが、臨調の答申によりましても、この北海道地下資源開発株式会社の問題については、指摘事項が具体的に出されておるわけですね。したがって、その具体的な指摘事項に対して、いま抜本的な再建策ということで指示をしておられるということでありますが、臨調の答申ではもう具体的にこうこういう問題があるということで指摘されておりますが、それに対して、一体監督官庁として、抜本的対策、抜本的対策と言われるけれども、どういうような構想で再建策を考えておられるのか。いよいよだめならつぶすというのか。それとも今後、その再建策でもって続けていくというのか。私は、この地下資源という問題は現在の炭鉱の不況の問題もございますが、鉱山関係一帯に自営で探鉱をやるといってもなかなかたいへんでありますから、やはり国策的にやっていくという機関があってもいいように思います。したがって、直ちにこれをつぶすとかなんとかいうことを考えるべきでない。もっと建設的にやはり見るべきだと、このように思いますが、やはりそれは、将来のこの地下資源開発株式会社の持っていき方によって、これはつぶしたがいいか、存続したがいいかということの結論が出てくるだろうと思います。これについての具体的な考え方なり対策というものをどうしようとするのか、お伺いしておきたいと思います。
  60. 小熊清

    政府委員(小熊清君) 臨調の答申の具体的な指摘についてのお尋ねでございますので、私からその点について申し上げます。臨調の答申におきましては、この会社に対しましてまず赤字が累積しておる、実は臨調の答申のときにはまだ黒字になる前でございまして、年々赤字が続いていた。したがって、この赤字を解消するためには、特殊会社よりもむしろ民間の株式会社に改組をして、そうして事業量を存分に拡大をして赤字を解消すべきだと、こういうことが一点でございます。  それから、もう一点は、国策的な会社として発足したにもかかわらず、自主的な探鉱がきわめて少ない、ほとんどないということ。それから北海道と本州方面の事業量を比べてみた場合に、本州のほうがむしろ多いではないか、これは存立の本来の目的からすると、少しはずれているのじゃなかろうか、こういうことも指摘されたわけでございます。そうして臨調の答申の結論といたしましては民間の株式会社に改組をして赤字を解消した結果、その後において特殊法人としてこういう会社を設けておくのがいいか、どうかということは、もう一ぺん赤字が解消された暁において検討すべきだと、かような御指摘であったというふうに考えております。そこで、その個々の点でございますが、臨調の答申が出されたときにおきましては遺憾ながらまだ赤字の連続でございました。それにつきましては先ほどお答え申し上げましたように、三十九年度の決算からわずかではございますが、黒字に転じたわけでございます。したがって全体としては黒字、赤字にならないというベースはできつつあるというふうに考えております。  それから自主探鉱でございますが、先ほど来大臣からも御答弁申し上げましたとおり、非常に北海道の未開の地に探鉱探査をいたすわけでございます。なかなか目に見えてはすぐ効果が上がってまいりません。しかしながら、会社の本来の鉱区に基づく探鉱あるいは共同鉱業権を設定しての探鉱につきましても逐次、わずかではございますが、事業量を伸ばしておりまして、四十一年度の決算見込みでは従来の約二倍程度の事業量ということになろうかと思います。また、その中では幾つか有望な鉱区というようなものもあらわれつつあるというふうに考えております。したがいまして、この自主探鉱というものは、先生御指摘のようにやはり会社の本来の仕事でございますので、今後は赤字を出さないということと同時に、この自主探鉱を積極的に伸ばしていくという方向で会社を指導していくわけでございます。また、四十一年度の伸びぐあいから申しましても、それは可能であろうかというふうに考えております。  それから、もう一点の、北海道と本州との受託探鉱の事業量を比べた場合に、北海道のほうが比較的少ない、こういう御指摘でございます。これは現在でも実はさようなことになっているわけでございます。ただ、先生御承知のように北海道の探鉱の受託探鉱は、主として石炭関係でございます。石炭につきましては、これは通産省の所管になるわけでございますが、石炭の合理化に関連いたしまして、原料炭田の開発の調査でございますとか、あるいは鉱区調整の調査でございますとかいったような、通産省所管の国の調査の予算というものが相当伸びてきております。しかも、北海道におきましては、深掘りを伴いまする、このような石炭の探鉱調査というものは、この会社が能力的には一番すぐれているわけでございまして、現実に通産省関係の調査のボーリングというものは、この会社が相当部分委託を受けているわけでございます。かような国策的なボーリングというものが、昭和四十一年度、また四十二年度に相当ふえておりまして、さような観点からいたしますれば、会社の北海道における事業分野というものも、今後相当増加するのではなかろうか、それがひいては、本州と北海道というものの事業量が、やや本州に片寄ってはいないかということを、逐次解消していく。北海道のほうに相当事業量をふやしていくということになろうかと、かように考えておるわけでございます。  いろいろ申し上げましたが、臨調の御指摘の諸点につきましては、そのようなことで御指摘のようなことを解消すると、そうして会社本来の業務に向かわしめるという方向で指導もしておりまするし、また漸次さような方向に向いておりますので、開発庁といたしましては、この会社を本来の目的に従って今後ますます育成いたしたい、かように考えております。
  61. 北村暢

    北村暢君 もう質問は終わりますが、以上聞いたように、行政管理庁としては——いまの開発庁のほうではこれを存続していきたいと、こういう意向のようです。ですから、これは直ちに結論は出ないので、今後開発庁と行管と折衝せられる問題だと思うのですが、従来の運営からいけば、私は欠陥は確かにあったと思うのですが、いまおっしゃられるように改善せられる、その成果が上がるか上がらないかが、今後存続できるか、つぶすかという問題になると思うのであります。そういう意味で、ひとつ監督官庁の開発庁も、従来のようなことでは、私はやはり監督官庁としての任務を完全に果たしているというふうには受け取れないというふうな感じがいたしますので、今後十分注意するようにお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  62. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) それでは午後一時五十分に再開することとし、休憩をいたします。    午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後二時四分開会
  63. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) ただいまから第一分科会を再会いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  64. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 初めに統計局のほうに聞きたいのですが、物価指数の算定方法、この問題なんですが、現在、卸売り物価指数は日銀のほうでやっておりますけれども、三十五年というものを基準にして。それに対して消費者物価指数、あるいは小売り物価統計ですか、そういうものになると昭和四十年を新らしい基準にしてあるのですけれども、はっきり言って、片一方のほうだけが三十五年であり、片一方のほうが四十年ということは、いろいろ比較していく際にもすごく影響があるわけですが、その点は一体どうなっておるのですか、どうお考えですか。
  65. 野田章

    政府委員(野田章君) 基準時の改定の問題につきまして、いまお話のとおり、消費者物価指数は私のほう、卸売り物価指数は日銀、そのほか通産省その他でいわゆる生産指数等を出しておりますが、各種の指数の基準時を同一にするということが、統計の利用上非常に合理的であるということはお説のとおりでございます。今回の基準時の改定にいたしましても、同様に各種の統計についての共同歩調をとるということがたてまえになっておりまして、ただ、たまたま基準時を改定いたしまする場合に、基礎資料の計算なり整備が追いつかない、おくれているという事情でございます。今回の消費者物価指数の改定につきましては、御承知のとおり、従来、五年ごとにずっと改定しておりまして、三十五年に前回の改定がありまして以来、五年たちまして、消費構造あるいは価格体系に非常に変化が生じておりますので、今回改定することになったわけでございますが、これも統計審議会に諮問しまして、その審議の結果、答申に基づいて改定した、ほかの指数もこの同じ審議会で基準時改定の要望が出されておりますので、その線に沿って、現在、各方面とも準備をしておるところでございます。いずれ計算ができ次第、逐次四十年基準という方向に動いていくものと思われます。
  66. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま四十年基準時にだんだん動いてくるだろうということがわかったのですが、問題は、片方の日銀のほうについては三十五年が基準時になっています。それからあとの消費生活が変わってきておりますし、もちろん生産も変わってきている。そうなると、価格のとらえ方のウエートというものがかなり変わってくる。それがいまだに片方が四十年になり、片方が三十五年になったままでは非常に不便を感じることは明々白々たるものでしょう。これを統計局のほうからは、日銀に対してこういう状態では困るから早々に昭和四十年の基準時にするようにということは、申し入れ等はやるのですか、やらないのですか。
  67. 野田章

    政府委員(野田章君) 私のほうから格別要望するまでもなく、統計基準局あるいは統計審議会等からそういう方向が示されておりますから、現在、基礎資料整備等その計算を急いでいるということで、その資料のでき次第当然変わってくると思います。
  68. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは消費者物価指数のほうで伺いたいのですが、三十五年に三百四十二品目が四十年に三百七十四品目と変わってきたわけですが、減らしたのが十一、ふやしたのが四十三ということですね。それを見てみると、何だか品目の増加がいろいろな変わったものも入ってきておりますけれども、あんパンであるとか、ラーメンとかは、当然即席ラーメン等は現在の食生活から見ればわかると思いますけれども、ちょっと私どもの理解しがたいようなものがあるような感じがするんです、ビニール製のボールとか、そういうのは、これはそれほど大きく消費者物価のウエートとして置かなきゃならないのか、またその方向ですね、どうしてこうなっておるのか。
  69. 野田章

    政府委員(野田章君) 御承知のように、消費者物価指数を算定する基準になっております消費者の物価調査、その品目、これは価格の変動を知る上で代表性があるということ、あるいは家計支出の上でそれを非常にたくさん使っているという重要度の高いこと、それから銘柄を規定して長期間調査ができること、そういうふうな観点から品目を選んでいるわけであります。この品目を選びます場合でも、いま申しましたように、そういう性質の大きなものを選ぶわけでありますから、これは実際には、昭和四十年間の一年間を通じて実際に調査をしたことに基づいてきめておる。例を申しますと、約百七十市町村で八千世帯について家計調査というものを実施しております。この家計調査の結果、八千世帯が毎日毎日家計簿をつけまして、その家計簿の上にあらわれた品目を一つ一つ全部選び出して、先ほど申しましたような性質に合うものを選び出していく、そういう面で五年間たちますと、五年前にはその支出金額が非常に少なかったというものは落ちておるわけですが、五年の間に消費量がふえる、そのために家計支出の中で相当大きい量を占めてくる、そういうものが品目としてあがってくる。例を申しますと、一万分の一以上のウエートを持っておるものを拾ってくると、こういうふうなやり方でやっておるわけでございます。そういう意味で、支出金額は、八千の世帯が一年間買いものをしている家計簿を全部集計して、その中から一定の量以上のものを選ぶという形で選んでいくわけですから、まあ、ある程度消費構造の変化に応じて品物が多少変わってくる。で、買い方が少なくなって利益が少ないというものは、一万分の一を割りますと落ちてくる、こういうふうなやり方でございます。
  70. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それはわかりました。それでは、たばこの中で「とうきょう64」なんというのが一つの品目に入っているわけですが、そうすると、現在「とうきょう64」はいま販売をしてないわけでしょう。
  71. 野田章

    政府委員(野田章君) 品物がなくなったようなものは当然落としております。ただ一応、四十年なら四十年、三十五年なら三十五年で、その当時の現在の銘柄を指定したものを継続して次の基準時の改定なりウエートの改定までは続けていく、そして、その間になくなってしまったものは当然落ちていくと、こういうことはあります。
  72. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうすると、いま、たばこの中には、新しく加えられたのは、「ホープ」の大きいのと、「ひびき」、「とうきょう64」、「ピース」の大きいもの、「グロリア」というものが入っていますけれども、これからあと新しいいろいろなたばこが出ていますね。この消費量が多くなってくるのは、これは四十五年までは入ってこないのですか。  〔主査退席、副主査着席〕
  73. 野田章

    政府委員(野田章君) 先ほども申し上げましたように、商品の代表的なものを選んで、価格の変動を見ていくわけでありますから、各品物の個々の銘柄が変わっていって、そうしてそれが特にたばこならたばこの全部の売れ行きなり何なりから見て、非常に代表的なものであるというものは、当然拾っていくということになると思います。しかし、実際問題としては、たばこならたばこというものの値段を調べるということは、この家計調査なり物価調査の面では、あまりたいした意味がないものだと思うのですね、別に上がりも下がりもいたしませんから。むしろ家計調査なり、あるいはこの消費者物価指数のもとになっております小売り物価の調査というのは、末端の消費者ごとに非常に価格の格差があるような動きやすいもの、そういうものをどう合理的にとらえていくかというところに非常に問題があると思います。そういう場合にできるだけ一つの商品の全体の値上がり値下がりを見るのに一番ふさわしい商品は何かというものを選んでいくということでございます。
  74. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 続けて伺っておきたいのですが、この間も経企庁長官は、米価の今年度予算における値上げが、十月から一四・四%やるというと、消費者米価がそれだけ上がったときの物価の寄与率は〇・七である、しかし、十月以降であるからその半分の〇・三五だと、ちょっと算術的でおかしいところがあるのですけれども、そういう答弁があったのです。実際としたら、まあ、あそこで扱って答弁されたのは、やみ米がない。やみ米があれば、もう少しウエートが上がるだろうという話だった。この現在の総理府でやっている消費者物価指数の米のほうは、やみ米は入ってないわけですか、入っていまか。  〔副主査退席、主査着席〕
  75. 野田章

    政府委員(野田章君) 配給米のほかに、非配給米という調査もいたしております。
  76. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 で、一番の問題になるのは、一体一四・四でもって、〇・七の物価寄与率なのか、あるいは実際にそれ以上に波及効果があらわれて、みそであるとか、しょうゆであるとか、あるいは外食であるとか、まあ、親子どんぶりなんかも入ってくることでありましょうけれども、そういうものまで上がってくる。そういう波及効果の計算というものは統計局のほうはできてないのですか。
  77. 野田章

    政府委員(野田章君) 一般に物価の上昇あるいは下落というのは、御承知のように、いろいろな複雑な原因、要因があるわけでございまして、米の値段が上がった場合に、物価全般あるいは国民経済全体にどういう影響を及ぼすかということは非常に複雑で、これを統計調査の方法で調査していくという点では、非常に技術的に困難だと思うのですね。ですから、先ほどお話がありました米価が上昇したことによって、物価がどのくらい上がるかということは、消費者物価というのは、まあいま申しましたように、米の一万分の幾つというウエートがございますね。ですから、そのウエートに個々の金額の上がった分をかける、それがある程度消費者物価指数の上昇にあらわれる。そのあらわれてくる度合いは、いまお話しになったような程度にすぎないということでございますけれども、しかし、それが賃金にどう影響するか、あるいはいまのように外食にどう影響するか、あるいはみそ、しょうゆ等にどのくらい影響するか、米が上がったためにこれだけ上がったというふうなはっきりした測定というのはなかなかできないと思うんですね。そういう意味で、実際には米価の上昇というものが、米を原料とするいろいろら商品なり、あるいは場合によっては賃金なり、サービスなり、そういうものの上昇に響くかもしれませんが、どのくらい響いたかということを合理的に、具体的に明らかにする測定というのは、実際問題としては統計的には非常に困難であろうというふうに思っております。
  78. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 なかなかできない、困難だということなんですが、私はそれじゃあ納得できなんです、はっきり言いまして。農林省側であるとか、経企庁側では、影響が少ないということを言いたい。したがって、米プロパーだけを考えてみますと、そのための物価上昇寄与率は非常に少ないということを言いたいわけです。ただ、政府の機関の中で、それを一体正確につかまえることのできる組織を持っており、技術的にもつかまえるための努力のできるところはどこかといえば、お宅しかないわけです。はっきり言って。だから、できないというんじゃなくて、やらないということじゃないかとぼくは思うんですがね。その点で、これだけ上がればこうなるということをはっきりと、米価がたとえば一四%上がれば、そのときにはほかの消費者物価には大体この程度影響して、全体としてこうなるだろうということぐらいの予測は、私はこれはできなければうそだと思うんです。これだけの何千人という人数を擁しておる統計局なんですから。その点はどうなんですか。
  79. 野田章

    政府委員(野田章君) それはやはり簡単にはできないと申し上げるほかはないと思うんですね。それはある程度推測なり何なりはできますかもしれませんけれども、統計というものは推測じゃありませんから、事実を調査して、その事実を記録していくということであって、値段なら値段を調べて、その値段が幾らかということは統計的には出ますけれども、その値段がどういう原因でこういう値段になったかということは、一つ一つの価格について明らかにするということは非常に困難であるという以上に、不可能じゃないか。ですから、私どものほうでこれをやるべきだとおっしゃっても、それを合理的にやる具体的な方法というのは、ちょっとむずかしいんだと思います。
  80. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ここで上がったらどうなるということをいまから予測して推定しろということは困難だということはよくわかるんです。私も。しかし、いままでに米価の値上げをやってきたことはたびたびあるわけです。また国鉄運賃も値上げをやったことがある。そうなったときに必ず効果というものがほかの物価にもあらわれてくるのは、もう当然のことだと思うんです。それが確実に米であるということは言い切れないかもわかりません。その影響であるということは言えないかもわからないけれども、いままでのことから見ると、大体類推して、この程度からこの程度ではないかと言うことはできるんじゃないですか。あるいは先ほど言われたように、いいかげんなものじゃなくて、実際のいわゆる物価から言うのだからということであれば、実態であるからごまかしがきかないだけに、その点は私ははっきり出てくるんじゃないかと思う。
  81. 野田章

    政府委員(野田章君) まあ消費者物価全体のいまの指数で申しますと、米価が上がった、あるいは通信、運輸、そういう料金が上がった、あるいは授業料なりそういうものが上がった、まあそういうことになりますと、確かにそれが全体の消費者物価指数の上昇になってきますね。ところが全体を指数でとっておりますと、野菜が上がった、そういうものも出てくる。ですから、その品目別に一応調べていけば、ある程度の上がり下がりはわかりますけれども、その品目についての率が、これが上がったからこの品目が上がったんだということはわからないわけですね。ですから、米価が上がったときに全体の物価指数がどれくらい上がったか。運賃が上がった場合に全体の物価指数がどのくらい上がったか。いろいろなものが一斉に上がったときに全体の物価指数はどうなったかということは測定できるわけです。しかし、どの物価の値上がりがどの物価にどう響いたかという一つ一つの関連というものはなかなかわからないと思うのです。しかし、米価が上がった場合、通信費が上がった場合、運賃が上がった場合、あるいはそういった雑費が上がった場合ですね。それが全体の消費者物価指数にどの程度の上昇を示したかというふうな測定は大体できるわけですから、そういう面から見て、一応の、全体の生活に対する影響というものを推測するということはできると思うのです。しかし、ただ、たくさんになってくると、その一つ一つに対する米価上昇影響というふうに割り切られることは、実際問題としては不可能であろうというふうに考えられるわけです。
  82. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それは確かに米価以外のウエートというものによって一緒に押し上がってくることがありますから、米価だけでそれが上がったということはわからないかもわかりませんが、いまの御答弁から引き出してきますと、前回、前々回と物価が上がっております。それに対して、消費者物価全体としてどのくらい上がったかというのはお持ちですか、いま。なければ、これはあとでけっこうですから、資料としていただきたいと思います。  委員長、そういうふうに扱ってください。資料でもらえばいいです。
  83. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 出せますな。
  84. 野田章

    政府委員(野田章君) 資料を差し上げます。
  85. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 統計局はこれで終わります。  次に、これは警察庁のほうにお願いしたいと思います。おられますね。——私が聞きたいのは、最初に例の東京、大阪、そういうところの地下街とか、地下道とか、こういうところの犯罪が多いということが警視庁のほうから、防犯部のほうから発表されておる。この中身を見ると、新宿のプロムナードの中で、小さい子供が男の人に襲われて乱暴されたとか、あるいは従業員が何千万——一千五百万ですか、記入の預金通帳を奪われたとか、そういうことで窃盗も非常に多いらしいし、暴行やそういうのもあるということなんですが、その実態はどうなっていますか。それをまずお伺いいたします。
  86. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 地下街の犯罪の状態でございますけれども、いま全国で、私、詳細に調べておりませんが、東京、大阪あるいは名古屋、広島その他等、大都市にはそれぞれ地下街があるというわけですけれども、その中の犯罪につきましては、まあ、やはり普通の道路上あるいは地下街以外の場所に比べますと、若干特異な状況もあるように考えられます。いま私どもの手元で承知いたしておりますのは、東京の地下街の犯罪の状態ですけれども、警視庁が調査して発表いたしておるところによりますれば、昭和四十一年度、昨年中でございますね。昨年中の十五の地下街における犯罪総数は百九十五件になっております。大ざっぱな内訳を申してみますと、窃盗がそのうちで百八十六件、だから、まあ大部分は窃盗でございます。強盗一件、恐喝四件、暴行二件、詐欺二件、こういうふうなものが数字に上がっておるようであります。これらの犯罪の中で、まあ特にいろいろ世間の注目を浴びましたのに、ことしの三月、これはいまの統計とは別ですけれども、新宿で、三月に深夜に小学校の生徒の女の子を地下街でつかまえまして、これを地上の某会館に連れてきて傷害、暴行を加えた、こういうふうな事件も起こっておりますし、あるいは昨年の一月にはいわゆる地下街における貴金属店における集団万引、こういうふうなものも起こっております。また、よく起こっておるのでありますけれども、婦人用の手洗いなどを利用して強盗あるいは窃盗というものが起こっております。
  87. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 問題は地下街ということになると普通の道路とは違うわけですね、地下道ということになると。このところまで手が回らないかもわかりませんけれども、どうしてもああいう建物の構造から見て、これからは地下街が、地下道というものがふえる一方です。私どもが入っていっても何となく地下街のトイレは使いにくい感じがする、それほどのところなんですけれども、こういうところは警察のほうとしてはどういう手を打つのですか。あの地下街というのは道路なのか道路でないのか、パトロールの区域外なのかパトロールの区域内なのか。
  88. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 地下街のうち地下道というものが道路であるかどうかというふうな問題は、道路交通法上はいろいろ論議されるところですが、一般的に考えまして、やはり不特定多数の人が通行しておる場所でありますから、当然、道路と考えてよかろうと思います。お説のように、地下道あるいは地下街というものは、その形態なり、まあ形態といいますのは商店その他の形態はしと変わらないのですけれども、それが地下にあるということのために、いわばかなり地上とは異なった雰囲気、あるいは犯罪を犯しやすい諸条件を持っておる、かように思います。そういう意味で、警察といたしましても地下街あるいは地下道における防犯対策というものは、地上におけるそれよりはまた異なった観点からいろいろ対策を考え、かつまたとっておるわけであります。ただ、地上と異なることは、何といいましても、たとえばいまの手洗い所のように地上ではちょっと考えられないような場所にそれがある、あるいは商店におきましても、おのずから限られた店員で勤務し、また隣近所というものの関係も地上とはおのずから違うと思います。地上であれば一日中そこに生活し、隣近所も非常に親しい仲だと思います。そういう点が、いわば出店でございますから、朝何時に開いて夕方何時にしまうというのが地下街の特性ですから、そういう点で非常に異なった条件があると思います。警察としましては、そういう観点から、防犯ベルとか、あるいは非常ベルの設置を強く要望するとか、あるいはいま私どものほうで調べましても、一一〇番にすぐ簡単にいつでもかかるという青電話ですか、これも設置されていないので、そういうものの設置も要望しておるようであります。パトロールはもちろんこういうところもそれぞれの警察署の計画によってしておると考えますが、それ以上に、私どもはこの地域全体の防犯対策というものが、そこに店を開く者、あるいはそこにいろいろ仕事をする人の組織によって積極的にとられていくことがあわせて必要ではなかろうか、このように考えます。
  89. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの電話云々の点はわかったのですが、大きいところの地下街、大体、東京駅前の八重洲口、新宿もかなり大きくなってきていますが、こういうところに交番をつくるなんていう考え方はないのですか。
  90. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 東京の場合は警視庁に属する問題でありますから、警視庁の主管部で十分検討はするものと思いますが、いま私ここでつくるとか、つくらないとか、そういう問題についてはちょっとお答えいたしかねます。
  91. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま答えるのはむずかしいことはわかりますけれども、しかし、常駐している交番があればもっと違ってくるわけですね。それは警視庁にも強く言ってつくるようにさしてもらいたいわけです。  それからいま一つは、いま管理者の問題があったんですが、大体地下街の場合はあすこに寝泊まりをしている、こういううちが少ないわけです。ほとんどが帰ってしまう。そのあと管理をさせるといっても、その管理を頼めば、それがおかしな集団を組んで強盗をやったという事例などがありますからなかなか困難じゃないか。むしろ、私としては先ほど申し上げましたように、管理者云々のこと、防犯ベルその他のこともあるでしょうけれども、何としても常駐しているものをつくってくれという声が圧倒的に多いわけです。そういう意味からもいまの御答弁だけじゃなくて、さらに一歩進めたものを私はお願いしたいと思うが、その点どうですか。
  92. 内海倫

    政府委員(内海倫君) いま御意見のように、私からもお答え申しましたように、地下街における防犯対策というものは非常に大事なものでございますから、警察のほうはもとよりこれに対しては措置をとるにやぶさかではありませんが、それ以上に地下街を形成しておる人たちによって警備員を置くとか、あるいはこれの経営管理者が積極的に自分の管理体制を確保していく、こういう措置がぜひ必要である。警視庁としてもそういうことに積極的に取り組んでおるところでございます。
  93. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 地下街の管理者がおりますから、その管理者と協力してやっていくというのはそれはよくわかるんです。警察が現在のような時代になれば、当然住民の協力がなければその威力も発揮することはできない、治安の確保はとうていできないわけですから、それはわかるんですけれども、この間の新聞によるというと、警視庁のほうから指示をしたというようなことなんですね、管理者に対して。それじゃちょっと私は動かないんじゃないということもあるし、管理者、地下街にいる人たちに言わせると、何としてもそういうのじゃなくて、警察のほうの力を強化してやってほしいという声もあるわけです。その辺のところを見ると、いま警察のほうとしても考えるけれども、やっぱり管理者のほうもということだけじゃなくて、もっともっと警察のほうで責任を持ってやってもらいたい、そう思います。
  94. 内海倫

    政府委員(内海倫君) ことばの端をつかまえるようですが、新聞の指示云々ということは、そういう事実はございません。警視庁としては、そういう指示する権限もなければ、つもりもないわけですから。ただ、地下街の問題については、るる繰り返しましたように、必要な対策はとらなければいけませんが、しかしながら、警視庁にいたしましても、あるいは地下街を持つその他の府県にいたしましても、そこだけが唯一の犯罪の場所であるわけではないのでございますから、管内一般を見合わせて最も効率的な、そして効果のある、しかも可能なぎりぎりの限界においてこれを行なう、そういうことになるわけでありますから、できる限りの措置はとると思いますが、だからといって、他のほうを全く犠牲にするというわけにはなかなかまいらない、かように考えます。
  95. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それからこれは警察庁のほうでやったんだと思いますけれども、いわゆる首都圏等一一〇番を広域にしたいという案が出ておるわけですが、これは新聞で拝見しただけでよくわからない。その点についてはどういうふうな具体案があるのですか。
  96. 土田国保

    政府委員(土田国保君) 最近の犯罪がきわめて広域化しており、また機動化の傾向も顕著であることは御承知のところでございます。特に大都市を中心に犯罪発生がドーナッツ型にふくれ上がっている、こういうふうに相なっておる現状でございますので、四十二年度におきましては、まず東京を中心に、千葉県とそれから埼玉県と神奈川県などで、各ブロックごとにそれぞれ一一〇番の集中をしよう、こういう計画を立てているわけでございます。千葉県は千葉と柏と船橋、埼玉県は浦和と川越で、神奈川県は大和、横浜、横須賀というような、それぞれのブロックを設けたわけでありまして、そこに一一〇番を集中いたしまして、そうしてこのブロック相互間にはいわゆるモニター回線というものを結んで、各府県の問で緊急配備が直ちに相互連絡の上に行なわれるように通信施設整備することにいたしたいと考えている次第でございます。なお、一一〇番で事件の届け出を受けた場合に、直ちにパトカーが出動して各要点を押え、そうして検問をいたす、こういうことになるわけでございますが、その場合に、当然、各交番の警察官あるいは検問所の警察官もそれぞれの要点で検問をするわけでございます。その場合、犯人について刻々新しい情報を警察官全体に知らせるためには、いわゆる携帯受令機とか、携帯無線機というのが使用されるのでございますが、四十二年度の予算につきましても、このような装備を充実強化するための経費が認められまして、全国で携帯受令機が五百八十四台、携帯無線機が五百六十九台という増強がはかられることに相なりました。なお、一一〇番の集中化、それから超短波無線電話整備、携帯用受令機、携帯用無線機の増強、そういった緊急配備体制の強化のための経費として、全国的に申し上げますというと、総額約六億七千万円の予算でございます。
  97. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この場合、現在、地方に行くと、一一〇番という電話を回すと一般の民家が出てきてしまうことがずいぶんあるわけです。この区域内ではそういうことはないだろうと思いますけれども、それと関連して聞いておきたいのですが、そういうのは警察庁としてはどこに——引っ越した人が、また新しい人が何かというと一一〇番を回すと民家が出ることがあるわけです。この点については何か電電公社に意思表示をしたととがあるのですか。
  98. 土田国保

    政府委員(土田国保君) 一一〇番をならすといろいろなところが出る、これは御指摘のとおりでございますが、警察署も出ますし、派出所も、あるいは駐在所にも一一〇番がかかってくる、あるいは指令台が整備されているところは指令台が出てくる現状でございます。さらにまた、一つのAという県で一一〇番をかけますと、Bという県の駐在所につながるというような実は現状でございますので、これは電電公社には一般的にも、また個個のケースにつきましてもお願いをいたしまして、できるだけ一一〇番の集中に便宜を供与していただくようにお願いをしておるわけでございますが、東京ばかりでなく、あるいは近畿圏、あるいは中部圏、あるいは北九州圏というような、そういったところにつきましても、将来の計画として、おいおい一一〇番の集中を——広域の集中をやっていきたい、こういう計画でございます。
  99. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 警察はいいです。  次に、内閣官房のほうに伺いたいのですが、最初に情報調査委託費というのが六億二千五百十四万ですか、出ておりましたが、これはどこにどういうふうに委託をされておられるのか、何に使っていらっしゃるのか。
  100. 大津英男

    説明員(大津英男君) ただいま御質問がございました調査委託費でございますが、調査委託費は十一の団体に委託をいたしております。最初から申しますと、日本放送協会に海外放送の聴取記録の作成ということで七百三十万円、それから内外情勢調査会に海外放送の聴取記録の翻訳、整理及び国際情勢に関する資料の作成並びに有識者意見調査、この関係で五千四百四十五万二千円、それから共同通信社に内外ニュースの速報七百二十万円、それからラジオプレスに対しまして海外ニュースの速報を五百六十四万円、それから共同通信社開発局に対しまして、外国通信の収集、翻訳、整理ということで三千百五十万円、海外事情調査所に対しまして、海外資料の収集、翻訳、整理及び調査並びに各国事情の基礎資料の作成、これで五千五百三十万六千円、それから世界政経調査会に対しまして、世界各国の政治、経済、社会事情等の調査並びにこれに関する資料の作成で二億九百五十万五千円、それから東南アジア調査会に対しまして、東南アジア及び中東諸国の政治、経済、社会事情等の調査並びにこれに関する資料の作成で三千三百九十一万二千円、それから国際情勢研究会に対しまして、情勢の分析及び総合判断資料の作成で五千五百五十万四千円、それから国民出版協会に対しまして、新聞、出版物、放送等マスコミにあらわれた論調及び社会風潮の調査研究並びにこれに関する資料の作成で八千九百一万円、それから民主主義研究会に対しまして、民主主義の観点からの政治、経済、社会、文化等に関する理論的、基礎的研究調査及びこれに関する資料の作成、これで七千五百八十一万一千円、これだけの事業の委託をやっておる次第でございます。
  101. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、室長、前回も十一団体ですか、昨年度も十一団体。
  102. 大津英男

    説明員(大津英男君) そうでございます。
  103. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの聞いておりまして思うのは、まず海外放送聴取の記録と、次は海外放送の翻訳、国際情勢の資料、次は内外ニュースの速報、海外ニュースの速報、外国通信の収集、整理、海外資料の収集、整理、あるいは世界事情の云々と、こういうように非常に同じような目的で他の団体に出ているというのがあるわけなんですが、これはどうしてこういうふうにばらばらに分けなければならないのですか。一つのところにきちっとまとめ上げるというようなことはできないのですか。
  104. 大津英男

    説明員(大津英男君) それぞれ少しずつ違うのでございまして、放送協会のほうは海外放送の聴取記録の作成でございます。この作成された聴取記録の翻訳とその整理、それからそれに基づく資料の作成、まあこういうような点を内外情勢調査会のほうにお願いをしておるというわけでございます。それから共同通信社におきましては、一般にニュースの速報を出しておりまするものと同様のものを共同通信社から内外ニュースの速報を受けておる。それからラジオプレスにつきましては、海外ニュースの速報ということで、これは共同通信に入っておらなかったようなものにつきましてもたくさんにございますので、そういうものの速報を受けておるということでございます。それから共同通信社の開発局、ここからは外国通信の収集、翻訳、整理ということで、ニュースだけでなしに、いろいろな面につきましての問題のある事項についてのそういうものの通信の収集、翻訳、あるいは整理と、こういうふうなことをお願いするというようなことで、それぞれ同じニュースとか、放送とかございますが、少しずつやはり違っておるような事情でございます。
  105. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはよくわからないのですけれども、少しずつ違っておるというけれども、内容的にはそう大きな変化がないのじゃないかという感じを受けるのです。いまのを聞いていて共同通信の云々というのがありましたね。これは行なわれておる速報を購入するだけで、調査委託じゃなくて資料購入費みたいなものですか、そうなると。
  106. 大津英男

    説明員(大津英男君) 情報の調査委託ということで、情報の収集ということにつきましてもやはりそれに基づいてさらに調査を進めるものも出てまいりますし、広く漏れのないようにあらゆる面からの情報資料の提供を受けるという意味で、こういうふうなお願いをしております。
  107. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 どうもこのねらいがどこにあるかということは別としまして、はっきり言って、情報を収集するだけ、あるいは情報を調査するというのであれば手広くやるということがあるのです、一つには。手広くやるには、私なんかが考えるにはAPあたりのファックスをとっていいんじゃないか、あるいはUPIあたりをもらってもいいんじゃないか、そういうことは考えられないのですか。ところが、はっきり言って、こういうところに内外ニュースの速報をそのままもらう。実際に分類したり調査するというのは別のところでやる。内容的に見れば少しずつ違っておりますと、確かに聴取の記録というのと翻訳したのと違います。それはわかります。ですが、翻訳した云々のほうが同じようなのが重なっているというのは、何かこれは一つにはこういういろんな調査会があり、研究会があり、調査所がありということで、まあ幾らかのそういう調査委託費を渡すということでおまえのところはやっていけというような、何というか、養っていくみたいな考え方でやっているのではないか。私はそういうにおいを感じてしまうのですが、誤解であればいいんですが。
  108. 大津英男

    説明員(大津英男君) 内閣調査室の仕事といたしましては、内閣の重要政策に関する情報の収集及び調査という任務を持っておるわけでございまして、ただいまお話のございましたように、やはり広くそういう情報を海外からも入手しなければならないという意味におきまして、それはUPIでありましても、どこからでももちろん入ることを私どもは望んでおるわけでございますが、先ほど申し上げましたように各通信社、そういうところからの中にそういうものも含まれて大事なものは入ってまいりますので、私どもは現在のこういう諸団体というものが内閣の仕事を委託するようなことが適当な団体であり、また適当な能力があり、適当に事業を遂行していただいておるという意味におきまして、この通信社を養っていくとか、この団体を何とかやらせていくということではなしに、やはりいま申し上げましたような私どもの仕事をやっていくために非常に適した団体であるということで委託をお願いしておるというようなことでございます。
  109. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私が聞いておるのは、そういうものに適しておる団体であるからというならいいですよ。いいですけれども、これだけの十一の団体がやっていて、しかも手広くやっているので、ほかのものもほしいということになればAPあたりのほかのファックスを入れることもできるでしょう。翻訳だってお宅のほうできるでしょう。それをおやりにならないでいるのは、これはふしぎでならない。こういう通信社、あるいはいろんな調査所で、こういうところでスクリーンをかけた上でなければ内閣としては情報はとらない、こういうことですか。
  110. 大津英男

    説明員(大津英男君) AP、UPIそれぞれのそういう情報につきましては、共同通信開発局とか、そういうところを通じまして私ども入手することができますので、そういうたてまえをとっているということでございます。
  111. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 だからといって、全文入るわけではないでしょう。
  112. 大津英男

    説明員(大津英男君) 足りないものにつきましては、さらに調査をするようにお願いをして入手するというようなことをいたします。
  113. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ここがこれだけの六億数千万のお金をかけているわけですね、これは情報の調査結果は、収集の結果はどういう形であらわれてくるのですか。
  114. 大津英男

    説明員(大津英男君) それぞれの団体につきまして私どものほうに速報として、あるいはその他の資料といたしまして提出を願っているわけでございまして、速報をいただきましたものは、上司あるいは関係の向きにこれをすみやかにお知らせをするというようなたてまえで仕事を進めております。いろいろ資料もそれに基づきまして作成をいたしておるわけでございまして、関係の向きにそういうものを配付するというような方途も講じておるということでございます。
  115. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 関係の向きというのはどういうことかということと、その情報収集について、情報収集準備費の中で、印刷製本の金もあるわけですね、四百万ばかり使う予定ですが、そういうのがそれに当たっているのかどうか。それからどういう方面に配られておるかということについて。
  116. 大津英男

    説明員(大津英男君) ただいまの印刷、製本費の関係はこれは大体調査月報、その他内閣調査室として直接自分のところで印刷をし製本をする、それでこれを配付しておったというようなものについて使っておるというようなことでございます。それからいま申し上げました通信社をはじめといたしまして、各種団体がございますけれども、それぞれの団体におきまして、やはり自分のところで印刷、製本をいたすというものもあるわけでございます。なお、それをどういうところに配付するかということでございますが、中には、これは政府の関係各省に配付する、あるいは内外情勢調査会等の資料につきましては、国会の皆さま方にも配付申し上げておるというものもございます。それぞれの資料の模様によりまして関係の深いところへ配付申し上げて参考にしていただく、こういうふうなことをいたしておるわけでございます。
  117. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、最後にしておきますけれども、この十一団体に広げた意味もわかりますけれども、できるだけ詰めていただいて、さらに有効的なものを考えていく、そういうような考え方をお持ちにならないかどうか。どうせお金を数億使うわけですから、どうせ得るならダブらないように、また、正確度の高いものを得るのが当然だろうと思います。そうなれば、じかになまのニュースが入ってきたほうが一番いいわけでしょうから、そういう点はお考えにならないかどうか。
  118. 大津英男

    説明員(大津英男君) たいへん私どもにも有益な御意見をいただいたわけでございまして、将来ともそういう点につきましては検討いたしまして、もっと直接入手すべきものが適当であると認められるものがありますれば、そういう点につきましてはおっしゃるようにいたしていきたいとは思いますが、ちょっとそれにつきましては検討を要する問題がいろいろあると思いますので研究させていただきたいと思います。
  119. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  120. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 速記を起こして。
  121. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まず、沖繩援助その他についてお伺いをしたい。  本年は八十四億円余を計上してあるわけですが、一昨年、昨年から見ますと非常にふえておる。もちろん国の経済発展、それに伴う財政の膨張、そういうことでだんだんふえていくと思うのですけれども、本年の八十四億は来年、再来年、その次の年あたり、これから三年くらいにわたってどれくらいふえていく見込みですか。
  122. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 沖繩に対する今年百三億という非常に大きな数字で、もちろんいまおっしゃった八十四億というのが今年のものでありますけれども、沖繩に対する基本方針として、施政権の全面返還がほんとうに望ましい姿であるが、それができるまでの間、本土との格差を是正するために民生福祉の向上、教育の向上等あらゆる措置を講じなければなりませんので、逐年増加していくとは考えておりまするが、アメリカのプライス法の改正その他の関係等もありまするし、またいろいろ折衝する部面もありまするので、五カ年の問にそれじゃ何年に幾らということは、いまちょっとはっきり申し上げることはどうかと思うのでありまするが、逐年増加傾向にあるということだけは間違いないと私は考えております。
  123. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあ出せるわけですね。とにかく国の予算が毎年大きくなっていく、これは減ることはないですからおそろく自然にふえていく、こういうことはわかるのですが、そのふえていく場合におけるプライス法との関係ですね、どうもいままではプライス法よりよけいになると、プライス法でもってアメリカが出す金よりもよけいになるということが向こう側ではたいへんおきらいのようだ。今後一体これはプライス法に基づいて向こうが出す金よりもよけいになる見込みですか。そういうことはもうプライス法に遠慮しないで、こちら側でもっと出そうということはできますか。
  124. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) この問題につきましては、日米協議委員会においてとくと打ち合わせてやることでございまするけれども、いま岡田委員指摘のごとく、今年度におきましては、まさに御指摘のような点が出ておると思うのであります。なお、プライス法の改正については、松岡首席もこの間アメリカに渡りまして、それを中心としていろいろ米側の関係者とお目にかかってお願いしたことの報告も受けましたし、われわれも日米協議委員会等を通じまして、プライス法の改正というものを強く要請いたしているわけであります。今日の沖繩の置かれている立場、また、われわれの沖繩に対する考え方、それからアメリカ自体の沖繩に対する考え方からいたしまして、私は日本とアメリカというものは、同じようなひとつベースでこの援助の方針というものをきめていくべきものであるというふうに私は考えております。
  125. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 プライス法の改正が、これはなかなかアメリカの議会では容易に行なわれそうにもないわけですね、いままでの例から見ましても。要求どおりすらっとのまれたということはないのです。ことし、たとえば改正されたとしても、アンガー高等弁務官のほうから出されたような数字に満たないとした場合に、日本側の援助との金の関係というものは前と変わってくる。こっちのほうがよけいになる。そうすると、いままであったようなプライス法に基づく向こう側の援助よりも日本のほうが多いという事実が生まれてくるということは、これはいままでこっち側も遠慮していたし、向こう側もおれのほうよりよけい出すのはなまいきだというような腹でもっていたやつが事実くずれてくる。そうすると、プライス法にしばられるということが、実際問題としてプライス法できめられた金と同額あるいはそれ以下というふうにしばられることがなくなってしまうのですよ。これは私は何といっても望ましいことだと思うので、その点は向こうと同額というような考え方でなくて、こっちのほうが向こうよりもどんどん多くなるのだ、それがあたりまえですぞという考え方でこれから予算を組んで、そうしてそれを向こう側にも話して通すようにしてもらいたい。そういうことで私はいまお伺いをしたわけなんですが、どうなんですか、その点……。
  126. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 総理もあらゆる機会に申しておりまするように、施政権の全面返還ということがほんとうに望ましいことではあるけれども、いまの極東の情勢からこれをなし得ない今日、直ちに実現ということについてはいろいろ問題があるということになりまするというと、非常に格差のある沖繩の方々に対して愛の手を差し伸べる、格差の是正につとめなければならないということをたびたび言明いたしておりまするし、われわれもそのとおり考えておるわけであります。したがって、今年度の沖繩援助の百三億につきましても、各方面と折衝いたしまして、これはきめたものでありまするが、いま岡田委員指摘のごとく、われわれは主体性を持ってということばがいいかどうかは別といたしまして、ほんとうに格差をなくしていくのだという同胞愛に燃えた処置というものを日本政府がとることは、当然そうなければならないと考えております。ただ、一方において今日までプライス法の改正というものを強く要請いたしておるのでありまするから、アメリカの沖繩に対する認識というものも、私は今日の現状から非常にこれをよく見ているのではなかろうかというので、プライス法の改正、つまり増額ということをわれわれは機会あるごとに要求いたしておるのでありまするが、われわれは同胞愛に燃えて、ほんとうの格差是正ということのために日本が積極的に沖繩援助ということに当たるのは当然のことだろうと、私は考えております。
  127. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあ内地の一番貧乏な県ですね、それに出す金と比較してたいへん少ないわけなんです。もし、あなたの言われるように、格差是正ということになると、これはどうしてももっとたくさん金を出さなければならないでしょう。その際に、アメリカ側のほうの出す金と見合ってとか、それ以内だとかいうことになると、幾ら格差是正格差是正と大きなことを言ったって私はだめだと思うのです。だから、もし格差是正ということを原則的に向こうが認めるならば、プライス法で向こうが出す金との関係というものは、この際やっぱりいままでと違った関係に置かなければならぬ、これを私はやっぱり強く主張してもらいたいと思うのですがね、どうでしょう。やっぱりアメリカに対する気がねがあるのですか。
  128. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 私は何ら気がねする必要はないと考えております。
  129. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それじゃ来年度はもう向こうさんの出すお金にかかわりなく、たとえば百三億が百五十億になろうと百七十億になろうと、それは主張されますか。
  130. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) いま岡田先生御指摘のように、日本の一番悪い県との間においても相当の差があるではないか、資料がありますと、きょうはあれですが、持ってまいりませんでしたので……。確かにおくれていることは事実であります。格差を是正するということは、これはならすことでありますので、その日までは、むしろその日のそんな長い間ということは、これはいま別といたしましても、積極的に増額をいたしまして不安を解消する、格差を是正するために努力をしていく考えでございます。
  131. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあいままで援助が増額されてきた。その主力が教育に置かれておりましたね。今後教育に対して金をたくさん出すようになってきたときに、一体国内の義務教育と沖繩の義務教育との間の格差というものはどのくらい縮められましたか、いろいろな面で……。
  132. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) ただいま岡田先生の日本教育援助によってどの程度格差が縮まったかと、こういう御指摘でございますが、実は先生御案内のとおり、日本の援助が本格的にと申しますか、相当大幅に教育援助をやるようになりましたのは昭和四十一年度からでございます。したがいまして、まだここ一、二年しか経過しておりませんので、昭和四十一年度から行ないましたこの義務教育諸学校の教職員給与の半額負担、これによりましてある程度琉球政府の財源も余裕が出てまいりまして、これに伴いまして琉球政府といたしましては、昭和四十一年度から四十三年度にかけまして学級の編成基準を本土並みにしていきたいという計画を進めることにいたしたのであります。それから教室等の学校の設備等につきましても、四十一年から四十五年にかけまして五カ年計画を立てまして、不足教室の解消等をはかっておるのでございます。このような点は、日本義務教育諸学校教職員の半額の給与負担を実施した財政余力をもってそういう方針が打ち出されたものと思うのであります。それからまたこれは規模は非常に小さいのですが、従来沖繩には屋内体操場も全くございませんでした。もちろん水泳プールのようなものもありません。そういうものは規模は小さいのですが、四十一年度から四十二年にかけまして逐次建設を進めておるわけでございます。なお、御案内のように、昭和四十一年度からは教科書の従来の半額負担を全額負担に切りかえまして、そういう点も改善されておりますし、また学校の備品等につきましても一億内外の備品の援助を行なってまいっておりますので、ある程度昭和四十年までよりか相当教育内容が実質的に改善されてきておると私どもは見ておるわけでございます。遺憾ながら各項目別のどの程度改善されたかという数字は持っておりません。
  133. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあ言ってみますと、とにかくいままでアメリカのほうでもあまり教育なんぞには金を出すつもりもなかったようだし、琉球政府自身も財源がないので、教育のほうは手が回っておらなかったために非常に施設も悪いし、内容も悪いし、ひどかったんですね。私も一年や二年援助したからといって、それが差が解消されるとは思っておりません。しかし、五年たてば相当何ですか、レベルが近づくと、そういう計画ですか。これは琉球政府のほうの計画ですけれども、五年たてば相当レベルが近づく、そしてそれに対してはこちら側としては毎としどのくらい程度の援助を増加していけば、その五年後には相当な格差の是正が行なわれると、そういう計画でありますか。
  134. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) 現在琉球政府で進めておりますその教育の本土との格差是正の計画から見ますと、大体五年後には内地相当県にまで近づくであろうと、こういうぐあいに私どもは見ておるのでございます。これは全部が全部の問題ではございません。たとえば琉球大学等の問題をとらえますと、必ずしもそういうことは言えないかと思いますが、一般的にたとえば義務教育の諸学校という問題につきましては、五年後には内地相当県までは近づくのじゃないだろうか。ただその場合に、後段に御指摘になりましたように、そのために一体日本政府はどういう毎年度の援助費の計画をやるつもりかと、そういう計画があるのかという点でございますが、これは先ほど来、総務長官がお答えになりましたように、教育だけの問題と申しますか、琉球沖繩の財源自体の、全体の財源自体の問題でございまして、私どもは琉球政府が毎年度策定します財政需要に対しまして、琉球政府自体で求め得る財源を充当して、そしてもちろん施政権者であるアメリカ政府の援助費を算定して、そして不足分を日本政府に求めてくる、こういうのが順序でございます。まあそういうような点から申しますと、おそらく現在の援助費を中心にしてどの程度増額になっていくかというところが推計的に言われるばく然とした目標でございまして、いま毎年、来年はどうするのだ、再来年はどうするのだ、こういうぐあいにおっしゃいますと、なかなか具体的の援助の計画はないわけでございます。それはとりもなおさず、たとえば米国政府がプライス法の改正をやって、大体限度額二千五百万ドルをいつから出してくれるかということとも関連すると思うわけでございます。
  135. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これはまあ琉球政府とアメリカと日本と三つの金を合わせてやることですから、割合をどうするというのは一つだけじゃきめられない。他の二つの要素がきまらなければ出ない、こういうことですけれども、しかし琉球政府自体が五カ年計画なら五カ年計画というものを持って、そしてそれの遂行に大体どれくらいの金がかかるか、それで毎年度どれくらいふやしていくかということは、これは算定できると思うんです。そうすると、あとの二つの要素のアメリカ側から出る金と日本側から出る金ですけれども、日本側でもそういう計画があって、内地との格差をなくしていこうというならば、この琉球政府計画について日本側のやっぱりある程度の計画というものも、その援助の計画というものが前もってちゃんと大体のところはきめらてなければならないのじゃないかと思うです。ところが、これはまあ教育だけじゃない。いまの日本側の沖繩に対する援助を見ておりますというと、いつの場合でも、ちゃんとした計画を持って、何カ年計画を持って、向こう側のプランに沿うようにというよりも、いま言ったように琉球政府の金、アメリカの金がきまってからあとでもって日本が負担するという方式だと思うんです。これをぼくは改めてもらいたいと思うんです。これを改めなければ、沖繩の援助というものはほんとうに計画的にならない。これからの沖繩の経済発展計画なんというものも、私はこれはいろんなファクターが非常に複雑なんでむずかしいとは思うけれども、当然何カ年計画というものを向こうが持った場合に、一体日本は毎年どれくらい援助してくれるだろうかいうことをやはり当てにすると思う。そうすると、やはりその当てにされるほうも、ぼくは行き当たりばったりじゃいけないと思うんですけれども、どうでしょう。
  136. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 今日までのあり方は、確かにいま御指摘のような点のあったと私は考えております。もちろん五カ年計画で、この次はどう、次年度はどうというふうな計画が立てられれば一番望ましい姿であり、また今後そうあらねばならないと考えておりまするが、今日現実の問題として、日・米・琉でこの問題を御相談いたすときにも、たとえば今年度の場合を例にとりましても、それじゃ次年度はどう、その次はどうということは、私はまだでき得ないのじゃなかろうか。それはなぜかと言えば、やはり施政権者であるアメリカの予算の編成権というものとの関連から考えて言えることでありましょうし、私はそれではいけない。いまおっしゃったように、やはり計画性を持って、教育をどうする、あるいは産業、経済をどうする、社会保障をどうするということが望ましいと考えております。今後そういったことを念頭に置きながら日・米・琉のひとつ御相談を進めていきたい、そうあってほしい、またそういうふうにつとめていかなければならないと考えております。
  137. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 義務教育の格差の一番ひどいと思うのは校舎、それから中のいろいろな設備、それから理科系の器具ですね、こういうものの差があまりにもひどすぎるのですね。これは私は、はたして五年でもって埋められるかどうか、もし埋めるとすれば、これはよほどの援助をしなければならぬと思うのです。少なくともこういうことに限ってだけでも、何か計画を立てて、日本側でもっとはっきりした目標を設定して、援助ということはできないのですか。
  138. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) 御指摘のとおりでございます。校舎の特別教室の不足とか、あるいは非常に児童生徒数がクラス当たり多いとか、いろいろな問題があります。したがいまして、先ほど申しましたように琉球政府としては五カ年計画を立てて、ひとつ本土並みに持っていこうということの計画をもう立てております。したがいまして、昨年から日本政府もアメリカ政府も、この校舎建築について本腰を入れて援助しようということにいたしまして、この琉球政府の五カ年計画は達成できるように両方で応援しておるわけでございます。それを日本政府の援助だけで、こういう計画で解消してやるのだというところまではいっておりませんが、琉球政府が策定しました五カ年計画を日米の援助を中心にして、ひとつ重点的に不足教室の解消をやろうという方針で現在進行中でございます。
  139. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ちょっと教育の関係で琉大の問題ですが、というのは、例の琉大の医学部の設置ですね。これは調査をやるわけですけれども、一体あれを設置するのにどれくらい金がかかるのですか。これは琉球政府のほうで大体の計算はできていると思うのです。それでドルででもけっこうです。
  140. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) この前総理が沖繩に参りましたときに、お医者さんが不足である、どうしても琉大に医学部をというような声がたいへん高まっておりましたので、四十一年の六月から総理府に、私総務長官を座長といたしまして、委員七名からなる琉球大学医学部設置問題懇談会というものができておるわけであります。これは非常に御熱心に討議が重ねられております。現在私が承わっておるところでは、医学部の設置というところまではまだ至っていないと聞いております。したがって、これにかわるべきと申しては語弊があるかもしれませんが、保健学部の設置というふうな方向でこの懇談会の協議は進められておると私は承知いたしております。  なお、いま御指摘の一体金がどのくらいかかるかということでありますが、さだかではありませんが、四十億ないし五十億ぐらいの金が要るのではないかというふうに私は推定いたしております。
  141. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 医学部と保健学部、その差はどういうことなんですか。
  142. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) まあ医学部の場合は、現地で医学部を卒業すれば医者が養成できるわけでございます。で、この問題につきまして、いま長官のお答えになりましたように、医学部の設置につきまして、懇談会で検討されてきたわけでございますが、いまの時点で沖繩にいますぐ医学部をつくるというのは、どうも社会環境その他全体を見て、まだいろいろ検討すべき問題がたくさん残されておると、したがって、まず医学部の設置をする前段階と申しますか、そこまでいくにはまず沖繩の保健とかあるいは公衆衛生とか、環境衛生を含めましたそういう公衆衛生関係の技術、行政水準を向上することがまず先決の要件じゃなかろうか。したがいまして、それに必要な技術者を養成し、行政官を養成するための学部が必要じゃないか。そういうような段階を経まして、沖繩の将来の医療事情等もよく考えながら、将来医学部が必要な場合にはまたそういう時点もくるだろうけれども、当面するところ、まずその前段階のそういう学部が必要だということに武見委員会のほうではだんだん研究の結果がなっておるように聞いております。
  143. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 いま沖繩には人口九十八万に対してお医者さん何人ぐらいおりますか。それからどうも行ってみますと、ちょいとはずれたところへ行くと、お医者のいない村なんかが非常に多い。離島なんか特にその状況がひどいんですが、一体そういうような事態から見まして、お医者を供給することが急務だと思うんですけれども。
  144. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) 医者の数では一九六五年末現在の琉球政府の調べによりますと、沖繩では人口十万対三百八十人、それからたとえば佐賀県等を見ますと九百二十八名、高知県だと八百六十五名と、こういうことになっていまして、相当医師の不足が見られるわけです。その他の医師につきましても、確かに内地の各府県と比較しますと、各種の医師が不足しております。そこで、実はこの医師の問題につきましては、現在中部病院という政府立の病院がございますが、御案内のとおりでございますが、そこで、ことしさしあたってインターンを養成しようじゃないかという話になりまして、たしか九名前後の学生を中部病院に収容して、医師を養成していこうということに計画されて、その計画で進んでおるわけでございます。もちろん本土にも医学生が相当来ておりますので、したがいまして、それらの学生を今後沖繩の現地の医師として帰ってもらうように常時勧奨はしておりますが、なかなか沖繩の医療事情あるいはその他社会環境全体からしまして、帰る人が少ないのが実情でございます。ただ、医師が少ないから、それでは医学部をつくればすぐ医師が充足できるかという問題も、専門的にお話を聞いてみますと、なかなか簡単にそういうぐあいには結びつかないようでございます。
  145. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 いまも数字をあげられましたけれども、内地のあまり裕福でない県の数字と比べましても三分の一あるいは半分以下、こういう状況でしょう。そうすると、お医者さんを供給する、供給というか、とにかくお医者さんの数をふやすことが先決問題だと思うのですよ。いまのように向こうから日本へ学生をよこして、そしてこっちで学校を卒業して、それじゃ向こうへ行ってお医者さんになるかというと、ならない。こういうことじゃ供給しようにも供給ができない。とにかく医学部をつくって、そのお医者さんを毎年何十人かあるいは百人か出すかということは、これはたいへんなことだと思います。むずかしい問題もあると思います。しかし沖繩に医学部があって、そしてそこでもってお医者さんが養成されていけば、その卒業生は大半は内地へ来ないで、向こうでもってとどまり得る可能性が多いと思うのですね。そうすれば、むずかしいかもしれないけれども、始めるという意気込みでいかなければならぬのじゃないでしょうかね。むずかしいからだめだ、保健学部で間に合わせておけじゃ、ちょっとどうもほんとうに格差を是正してやろうという意気込みがあるかどうか疑わしいんじゃないですか。
  146. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 私が申しました保健学部の設置について、ことばが少し足りなかったようでありまするから補足いたしたいと思いますが、これで事足れりとしているわけではございません。さしあたり医学部を設置するにはまだ時期尚早であるという武見委員会の考え方が出ておりまして、それでは、先ほど特連局長も説明いたしましたように、保健学部をやって、終局の目標は医学部の設置でありますが、いま直ちに医学部の設置というわけにはまいりませんが、ワン・クッションで保健学部をつくって、将来の目標としてはあくまで医学部の設置という考えで武見委員会が進んでいる、私はこのように承知いたしております。
  147. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 保健学部をつくるのも私反対じゃありませんよ。しかし、保健学部を出た者はお医者の代用になりますか、ならないでしょう。これは別なんですよ。保健学部をつくって環境衛生の指導をやる、保健衛生の指導をやるとかいうようなことをやるのもけっこうなんですけれども、肝心のお医者の養成を先に延ばしちまったら、それができたって一体あれ何をやるんですか。内地からたくさん行ってくれれば問題はないんじゃないか。保健学部がワン・クッションだというなら、その次に医学部を大体何年後に置くか。保健学部をまず置いて、そうしてそれによってこういう仕事をして、それじゃ医学部はその次に置くとすれば何年後に置くかという計画がなければ、あなたワン・クッションなんだが、その先があるのかどうかわからなくなっちゃうわけですからね、どうでしょう。
  148. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) これは武見委員会に全部おまかせいたしておりまするので、私は決してこれで事を済まそうというような気持ちは私自身も持っておりませんし、私がまたあの委員会に対して直ちに何年度に医学部をつくれと言うことも、審議をお願いしている委員会に対してはどうかと思いまするが、私は個人的に武見さんに会ったときに——審議会のときはあまり私は発言いたしません、また発言すべきものではないと考えております。皆さんの御意見を承っているんですが、個人的に武見さんに接して、岡田さんがおっしゃったような、医者が少なくて因るじゃないか、内地から行く人もいないじゃないか、非常に無医村無医村ということが言われ、日本本土でもあちらこちらあるが、いかにひどいものであるか、実は私の郷里にもあるわけでありますが、そういうことを個人的には話しております。ですからこれで終わるというのじゃございません。さしあたり保健学部、そうして医学部ということでありますし、また岡田委員のそういう強いあれもありますから、私はまた早急に参議院の委員会でこういう強い要請があった、これは人道問題、大きな社会問題であるということで、ひとつ越権行為はないと思いますから、私からも強く推進いたすようお願いいたす考えでございます。
  149. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 とにかく武見さんこわいからね、どなりつけられると縮みあがっちゃうんだから。まあそれは別として、行ってみて無医村が多いのに驚いたんです。とにかくお医者さんは那覇市に集中されていますよ。それでもう那覇市ならまた食っていける、よそへ行くと食っていけないというんでみんな那覇市に集中してしまう。こういう状況ですから、これはちょっとやそっと格差是正なんて言ったって、いまのような方法では私は沖繩の医療というものは、これは質的な向上もさることながら、量的な発展さえできないんじゃなかろうか、こう思うのです。だからこの点はやはり政府でももう少し本腰を入れて、医者の供給はやはりあそこの特別な事情からいって沖繩で行なわれなければならないという考え方に立っていただきたいと思います。ワン・クッションと言いますけれども、その先がいつなんだかわからないのでは、これは沖繩側でも失望すると思いますね。  それから、これまたお医者さんが足りないからなかなかできないわけですけれども、内地におけると同じような医療保険を施行する問題、これもなかなかむずかしい問題だと思うのですが、これについて琉球政府側でもいろいろ案を持っているようでありますけれども、これが実現される見込みはどうでしょうか。
  150. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) 御案内のように沖繩における医療保険につきましては、昨年からやっと出発を見たわけでございますが、もちろん五人以上の従業者を有する事業主体を対象にしています。その給付の方法も本土とは違いまして、現金給付でまた保険の率も非常に不利である。これに対しまして大体琉球政府としましては、一九七〇年ごろには健康保険も実施していきたいということで計画をしておるようでございます。しかし何と申しましても九十七、八万の人口の小さなところでございますから、本土における各保険をそのまま縦割りに全部つくっていいのか悪いのか、またその運営をどうすればいいのか、財源をどうすべきであるか、いろいろこれをめぐる問題点はたくさんあると思うのでございます。しかし、さればといってこの本土との格差をできるだけ早く解消しなきゃいかぬわけでございまして、いまのところ琉球政府としましては、一九七〇年を目途に社会保険関係について本土と同じようなレベルに持っていこうということで、現在計画を立案しておる次第でございます。
  151. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それを実現する際に、日本政府としては相当な援助をしなきゃならぬと思うのですが、これはやはりこっちの健康保険なんかに政府のほうでも相当金出しているようです。その金を出すつもりですか。それからまた同時に計画がうまくいかないで赤字が出てくる、こっちは赤字補てんやりますけれども、やはり内地と同じように赤字補てんもやるつもりでかかりますか。
  152. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) これは今後琉球政府の財源がどういうぐあいになるのか、日米援助がどうなるかということを見ながら日本政府としての態度をきめていかなきゃならぬ問題でございまして、いまこの時点でそういうものについてはすべて日本政府で援助をするとか、あるいは赤字に対しては援助をするというようなことを具体的にきめておるわけでございません。いずれにいたしましても、沖繩の財政全体が本土との格差解消という目標のもとに、著しく不足するような事態は避けていく、そういう面からの積極的な日本政府の援助はしなきゃいかぬ、かように考えております。
  153. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それじゃ、先ほど縦割り云々という——縦割り延長というんですか、それがありますけれども、どうもこっちでも政府管掌健康保険組合、国民健康保険、いろいろあってごたごたして困っているでしょう。本来なら統合すべきやつが統合されないでまことに多種多様で、そのための欠陥というものが露呈されているのに、それをそのままあそこでもって続けていくんじゃ私は困ると思うんですがね。まああと一緒になることを考えると、むしろごたごたの線をそのまま伸ばしていったほうがいいという考えもあるかもしれぬけれども、しかし、私はそういうばかなことはしないほうがいいと思うんですよ。だからそこいらの点はどういうふうにまあ指導するのかどうか知りませんけれども、どういうふうにお考えになっていますか。
  154. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) 実は、医療保険が出発しますまでに、一体総合保険でいくべきか、あるいは本土と同じような縦割りの保険制度をやるかでずいぶんいろいろ議論がございました。ただ、総合保険というようなものは、いま世界的に見ましてもございませんし、したがいまして、なかなかそういう沖繩の保険を全部総合して運用するということについての具体的な計画が立たなかったわけでございます。一方、本土との格差の是正、解消という喫緊の命題もございまして、そこで医療保険が発足し、公務員年金が発足し、そうしてさらに縦割りの保険制度の計画がいま行なわれておるわけでございます。ただ問題は、将来これらの単行の保険をどのように運営していくか、運営はおそらく総合的に運営していきたいと、たとえば事務機構その他ですね、そういうお考えのようでございますが、これらの点につきましては、私どもも琉球政府の今後の計画をよくお聞きしました上で、またしかるべき助言をしましたり、あるいはまた指導をしていきたい、かように考えております。
  155. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それから、沖繩では何といっても軍用地が非常に大きいわけです。そうしてあそこで働く人々が非常に多いわけです。沖繩の経済のうちにおいても軍基地でもって働く人々の得る収入、あるいはその周辺の人々の所得、さらにまたいろいろな関係で軍基地に物を納収している人たちの所得というのが、沖繩の住民の所得の大きな部分をつくっている。そして農業とか、あるいはそのほか比較的軍関係の薄いところはあまりよくないというのが事実だと思うんです。将来沖繩の産業経済を発展させるということになりますと、軍基地の問題はいますぐにやめてどうのこうのということを考えるわけにはいかない。しかし、あとのほうの発展についてやはり相当な計画を立てていかなければ私はどうもならぬと思いますけれども、この沖繩の経済発展の計画、特に軍基地に関係する部分以外の経済の発展というものについて、これは私は日本側でもやはり帰ってくる場合を想定して言うならば、その場合のことを考えながらの計画というものをこっち側も考えてやらなければならぬと思うんですがね。いまだに沖繩の経済について、琉球政府も持っていないけれどもこっち側でも積極的にそういう点で考えてやるという姿勢もないんですけれども、これはどういうものでしょう。
  156. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 沖繩は言うまでもなく非常に資源の乏しいところであり、悪いことばではあるが、砂糖とパイナップルというふうにいわれているくらい非常に経済面で恵まれていない、これはどなたもおわかりのことだと私は考えております。そこで、基地経済といういまのお話もございましたけれども、沖繩がどうやってやっていくかということについて、私も関係方面の方といろいろ御相談をいたし、ひとつ経済発展というものを一つのビジョンとして今後の沖繩を考えていかなければならない。で、沖繩経済懇談会というものがこの前は日本で開かれ、今度は沖繩で開かれまして、ついこの間足立正さんを団長といたしまして現地で会合をやりまして戻ってまいりました。私もいろいろ御報告を承りました。あるいは観光の面で非常に脈があるとか、あるいは牧畜の面で非常に有望であるとか、いまその方々が今後の経済発展のあり方について考えをまとめておられるということも聞いておりまするし、また私たちといたしましても、施政権者であるアメリカのためにストレートにはいかないといたしましても、こうすることが沖繩の今後のためによろしいんだ、沖繩の経済発展のビジョンはこういうところに求めるべきである、こういう計画はこれは持たなければならないと考えております。私のところも特連局を中心といたしまして、沖繩経済発展の構想と申しまするか、いまそういうものを検討いたしておる最中でございます。
  157. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 前に西表島の開発計画という調査をやったわけですね。あの調査も一体正式に発表されたのかどうかわからぬ、それからあれはあれっきりでもっておしまいになっちゃったんですけれどもね。計画を立てたり何かするのもいいけれども、ああいうふうになってしまったんじゃ困ると思うんです。あのときのやり方を見てますと、私はやっぱり何というかな、こっち側にしゃんとした姿勢がなかったんじゃないかと思うんですよ。結局アメリカ側が首を縦に振らないということから消えてなくなっちゃったんですがね。初めは向こう側も了解していたんですよ。それがしまいになってああいうふうに消えてなくなるようでは私は困る。それは向こうも悪いけれども、こっち側が腰が定まってないからああいうふうになったんです。これからできるというか、これからつくる計画だって、腰の定まらないようなことでつくったんじゃしょうがないと思うんですがね、そこはどうお考えになっていますか。
  158. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 過去のこと私よく存じませんが、意思の疎通を欠いたところに問題があったと思うのですが、先ほど私が申し上げましたようなこと、また今日の事態に対処してどうあるべきかということについては、十分な連絡をとり、それこそ日本が主体性を持ってこの問題に前向きに取り組んでいく、こういうことでなければならないと私は考えております。
  159. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これは局長にお伺いするんですがね、この前のあの西表のことね、あれはその後どうなっちゃったんですか。
  160. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) 私も詳細は存じませんが、あの調査報告書の提出をめぐっていろいろ国会でも御議論がありまして、何か調査の報告の概要を国会のほうにお出しになったように承知しておるわけでございます。そしてその後——もちろんそれは米民政府のほうへも出ておるわけでございますが、その後も、実は臼井長官のときも、森長官のときも、西表開発について高等弁務官との会談では確かに話題になりまして、そのことが議論されたのでございますが、まあ米側としましては、西表開発等については米側としても目下調査中であるので、いろいろ計画自体、全体の計画遂行のためには非常に多額の経費も要するし、慎重に今後検討する問題をたくさん含んでおるというような御意見であったと私は拝聴しています。
  161. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 いや、もうあのいきさつを聞いていますとね、一体あれだけ大々的に宣伝してやって、何たることかと思うんですよ。それというのが、何といってもアメリカ側の恣意ということも私はあると思うけれども、こっち側がやはり相当な強腰で、それじゃこういうことをやったらこれだけやるんだというはっきりした態度でいかなかったせいもあるのじゃないかと思うんですよ。こっちが及び腰だったからああいうことになっちゃったと思うんですがね。今後私はいろいろな問題を進めていく場合に、そういう事態がかなり起こってくることがあろうと思うのですが、ひとつそういう際には主体性——さっきから主体性ということばが出るけれども、主体性を持ってしっかりやってもらいたいと思うんです。  それから次にお伺いしたいのは、南方連絡事務ですね、あっちの。あれの一体何というか、権限というか、仕事の範囲というのはどれくらい、どういうことなんですか。
  162. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) これは岡田委員十分御案内のとおり、昭和二十八年に米国大使館からの公文書によって、南連事務所の所掌事務がきめられております。したがいまして、厳格に申しますと、この所掌事務によって南連事務所の機能が制約されておることは御案内のとおりでございます。しかし、その後沖繩に対する日本の、いわゆる本土と沖繩の一体化の路線が相当進みまして、佐藤・ジョンソン会談もございまして、昭和三十九年には御案内のように日・米・琉技術委員会というのができまして、その技術委員会の構成メンバーには南連の所長も参加して、日本の沖繩に対する援助費の策定事務の一部にも参画するようになったのであります。その後第九回の日米協議委員会、昨年の協議委員会で、これは今度の国会に提案になっておりますが、沖繩の人が海外に旅行する場合のパスポート、本土へ来る場合の身分証明書を発行する権限を南連の事務所長に行なわせるというようなことにも相なったのでありますし、それから援助の拡大に伴いまして、本土からの行政指導等も、いろいろ公式、非公式の指導、その他の事務も相当ふえておりますし、また民政府との連絡折衝事項も相当多くなっておるのでございまして、正式にはその当時の文書の機能にしばられておりますけれども、その後の沖繩に対する本土の姿勢が相当強化されてきたのに伴いまして、南連事務所の機能も非常に大きくなってきておるのであります。それに即応しまして、昨年は次長も一名ふやしましたし、それから今度の渡航文書の発給に伴いまして渡航課を新設いたしまして、職員を二十名増員することにもなっておるような次第ございます。
  163. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 パスポートだの、身分証明書の発給ですね、これは米民政府からの事務委託なんですか、それとも南運事務所の一つの権限なんですか。
  164. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) これは米民政府とは関係ございませんで、もちろん御案内のとおり出入国の管理の権限は米民政府に保留をされております。それと渡航文書の発給というのは別でございますから、これは外務大臣の権限を、外務事務官を併任しております南連所長が代行し、そうして身分証明書の場合は、総理府の出先機関の長としての南連所長が総理大臣の身分証明書を発給する、こういうことでございます。
  165. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そうすると、南方連絡事務所のパスポート及び身分証明書の発給の事務は、南連事務所自身の権限と、こう解釈していいわけですね。
  166. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) それぞれ本土政府の外務大臣なり総理大臣から委任された権限を行使するということでございます。
  167. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 この間、予算委員会で潜在主権ということについてお伺いしたときに、沖繩の住民は日本の国籍を持っておるというはっきりした見解を示されたわけです。ところで、その戸籍はどういうことになるんですか。国籍を持っておることの現実の姿というのは、やはり日本の領土に戸籍を持っておることなんでしょう。そうじゃないんですか。国籍を持っておるということの具体的な形は。そうすると、沖繩の人たちが日本の国籍を持っているとすれば、その国籍と戸籍の関係、これはどういうことになっておりますか。
  168. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) その問題は、むしろ法務省のほうから聞いていただいたほうがいいと思いますが、私の承知している限りにおきましては、昭和二十三年でございますか、沖繩の住民の戸籍の取り扱いについて政令か何か出ておりまして、御案内のように福岡の法務局に沖繩の戸籍事務所が置かれまして、沖繩住民の戸籍を取り扱うということになっておるように承知しております。
  169. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それは内地てなんですけれども、沖繩自身ではその戸籍の問題は取り扱えないのですか。日本政府なりあるいは日本政府の機関である南連事務所では取り扱えないのですか。
  170. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) この点は法律問題でございますので、直接責任官庁である法務省のほうに適当な機会にお尋ねいただいたらと思います。
  171. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私がそれを聞くのは、もし南連事務所でそれを現地で取り扱うということになると、これは施政権に食い込むことかどうかということをお伺いしたいんですが、それは総務長官どうお考えになりますか。
  172. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 非常にむずかしい御質問で、戸籍法との関係、その適用の問題等もありまするので、ひとつ関係省である法務省とよく打ち合わせてからお答えしたほうが間違いなかろうと思います。
  173. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 いや、私がこの問題を出すのは、船員手帳の問題について聞いたら、あれに日本の国籍が書いてなくて、そして沖繩における住所ですか、それしか書いてないのですね。そういうことになってくると、国籍だとか戸籍だとか、それから現住所だとかというものの関係がさっぱりわからなくなっちゃうんです。だからお伺いしてるんですが、とにかく沖繩の人が日本へ来れば日本人であることは間違いないのだし、それで戸籍はちゃんと福岡へ行けばわかるようになっているのですね。それで、それじゃ日本の国籍を持っている者が新しく沖繩で生まれた、その人はちゃんと福岡へ出生届けが行って、福岡の戸籍へ入るんですか。
  174. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) 法務局の沖繩戸籍事務所の所掌事務は、先ほど申し上げましたようになっておりますが、現実に沖繩戸籍事務所で扱っておられる戸籍の範囲がですね、本土に来られた沖繩の方々の戸籍を中心にしてなさっておるのか、あるいは沖繩の本土における戸籍の移動等についても扱っておられるのか、そこは私は所管でございませんので十分承知しておりません。したがいまして、ただいまお尋ねの御質問にはお答えできないのは残念でございますが、船員手帳の問題は、過般外務省から御答弁ありましたように、これは船員手帳に戸籍欄をつくって「日本人」と、こういうことを入れるように折衝していきたいと、こういう御答弁でございました。この点は一応いま御指摘の戸籍の問題とは若干違うと思います。
  175. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 いま私が聞くのは、沖繩に住んでいる人が日本の国籍があるというのなら、その国籍があるということと、現実の問題として生まれたらちゃんとその届けが出て、日本側でもこれは日本の国籍があるものだと認める何か法的ななにがなけりゃならぬわけだと思うので聞いているんですがね。まあそれはいいです。
  176. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) よく調べましょう。
  177. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 次にお伺いするのは、この間沖繩の船がインドネシアでつかまったのですね。それからまたあとすぐつかまった。それでこの船のつかまる理由なんですが、おそらくあそこは島が多いので、島の中をこっちは公海だと思っているが、向うでは自分たちのほうの内水面だと、こういう解釈の違いでつかまっているんじゃないかと思うのですが、ひんぴんとしてとらえられる理由はどこにあるのですか。
  178. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 続いて二回ありましたこと、まことにこれは残念でありまするが、私が外務省を通し、また南連事務所等を通して、特にこれは外務省からの報告によりますれば、水域の侵犯によるものという報告に接しております。
  179. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それは領海三海里とか領海十二海里とかということではないらしいのですね。いわゆる水域の解釈の問題になっておるようですが、非常に島が多いから、その島を直線でつないで、その中をおれのところだとこういう解釈じゃないか、この解釈の相違はやはり外務省と向こう側との交渉によって何かはっきりさしておかないと、これからも起こると思うので、ただ私は、釈放だけの問題でなくて、もしつかまった理由がそういう解釈の問題から起こっているとすれば、さかのぼってその点の問題を解決するようにしてもらわなければならぬ。これはフィリピンについても、島の多い国ですから同じようなことが言えると思う。そういうような話は外務省のほうで何かしてないのですか。
  180. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 私どもとしましては、第一回目のときに、直ちにこれは原因が何であるかということ、この参議院における沖繩対策特別委員会でも御質問があったと思います。直ちに外務大臣と打ち合わせいたしまして、その釈放と原因の究明、それに対する処置といいますか、これを外交ルートを通じておやりいただくよう外務大臣に強く要請いたしておった次第であります。続いて二回目の今度の問題、これはまことに遺憾であります。いま岡田委員指摘のようなとり方ですね、問題はどこに線を引いてどこを基点とするかというような問題ですね。このままほうっておきますと、今後至るところでこういう問題が出てくることをおそれておりますので、よく外務省と打ち合わせまして、そういう問題の絶滅を期するようにいたしたいと考えております。
  181. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 最後に一つお伺いしておきたいと思うのですが、南連事務所というものの設置されたときの権限というものは非常に小さく、そしていまの御説明ですと、仕事がだんだんふえてきておる、そして多少いままで南連事務所の持っていなかったような機能も持つようになってきた、こういうことですが、そうしますと、この問題は私はやはり施政権の問題とも触れ合う点があるだろうと思うのですよ。特に、もし日本の経済援助がふえていって、そうして日本政府が琉球政府のやる仕事に対して指導をするとか、あるいはいろいろ参画をするという場合に、南連事務所がそれに加わるということになってくると、これは相当いままでの南連事務所の性格が変わってくる。この問題について、やはり私は一歩前進させて、前の南連事務所を認めたときのようなあのワクというものをはずす、はずすというか、全部はずすことができないとすれば、ワクそのものを変える。こういう必要が生じてくるんじゃないかと思うのですが、そういう必要性はお認めになっておりますか。
  182. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 南連事務所の問題についていま正面切ってこうということは、私諸般の問題でどうかと思いますが、気持ちの上では、いまの沖繩の置かれておる立場という問題から考えますと、やはりこれはひとつ慎重に検討しなければならない問題が、御指摘の点を含めまして多々あると存じております。これは真正面からふりかざしていくことはいまちょっとどうかと思いますので、よく検討いたしたいと考えております。
  183. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それから琉球政府のこっちにある出張所ですね、この出張所とこちらの特連局との関係ですね、これはどういう関係になっておりますか。
  184. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) これはもう単なる連絡機関でございます。
  185. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それではまたやります。
  186. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 以上をもちまして、内閣及び総理府所管に対する質疑は終了したものと認めます。  明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十四分散会      —————・—————