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1967-05-22 第55回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十二日(月曜日)    午前十時四十分開会     ―――――――――――――  昭和四十二年五月十九日予算委員長において、  左のとおり本分科担当委員を指名した。                 青柳 秀夫君                 任田 新治君                 日高 広為君                 二木 謙吾君                 増原 恵吉君                 宮崎 正雄君                 亀田 得治君                 北村  暢君                 山本伊三郎君                 鈴木 一弘君     ―――――――――――――    委員の異動  五月二十日     辞任         補欠選任      亀田 得治君     岡田 宗司君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     主 査         二木 謙吾君     副主査         山本伊三郎君     委 員                 任田 新治君                 日高 広為君                 岡田 宗司君                 北村  暢君                 鈴木 一弘君    政府委員        宮内庁次長    瓜生 順良君        皇室経済主管   並木 四郎君    事務局側        事 務 総 長  宮坂 完孝君        人 事 課 長  植木 正張君        警 務 部 長  西村 健一君        管 理 部 長  二見 次夫君    衆議院事務局側        事 務 総 長  久保田義麿君    国立国会図書館側        館     長  河野 義克君        副  館  長  岡部 史郎君    説明員        宮内庁長官官房        秘書課長     野本 松彦君        大蔵省主計局給        与課長      津吉 伊定君        大蔵省主計局主        計官       渥美 謙二君        会計検査院事務        総局事務総長   宇ノ沢智雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選昭和四十二年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――  〔年長者二木謙吾主査席に着く〕
  2. 二木謙吾

    二木謙吾君 ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもって、私が正副主査の選挙の管理を行ないます。  つきましては、互選方法はいかがいたしましょうか。
  3. 日高広為

    日高広為君 正副主査互選につきましては、投票の方法によらないで、主査二木謙吾君、副主査山本伊三郎君を推薦することの動議を提出いたします。
  4. 北村暢

    北村暢君 ただいまの日高君の動議に賛成いたします。
  5. 二木謙吾

    二木謙吾君 ただいまの日高君の動議に御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 二木謙吾

    二木謙吾君 異議ないと認めます。よって、主査二木謙吾が当選し、副主査山本伊三郎君が当選されました。     ―――――――――――――
  7. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) それでは、ただいま皆さまの御推挙によりまして主査をつとめることになったわけでございますが、皆さま方の格別の御協力を賜わりまして責務の全うができますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)  速記をとめて。  〔速記中止
  8. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 速記を起こして。  本分科会は、昭和四十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費国会、裁判所、会計検査院内閣及び総理府のうち防衛庁、経済企画庁及び科学技術庁を除く部分、法務省及び他分科会所管外事項を審査することになっております。  まず、昭和四十二年度予算中、皇室費について説明を求めます。官内庁次長
  9. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 昭和四十二年度における皇室費歳出予算案について、その概要を御説明いたします。  皇室費昭和四十二年度における歳出予算要求額は、四十三億六千百二十五万二千円でありまして、これを前年度歳出予算額四十三億九千九百八十五万二千円に比較いたしますと、三千八百六十万円の減少となっております。  皇室費歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費六千八百万円、宮廷に必要な経費四十二億五千五百二十二万五千円、皇族に必要な経費三千八百二万七千円であります。  次に、その概要を御説明いたしますと、内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上したもので、前年度と同額となっております。  宮廷に必要な経費は、内廷諸費以外の宮廷に必要な経費を計上いたしたものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費一億八千三百十六万五千円、宮殿新営に必要な経費三十億一千二百四十九万五千円、皇居東側地区整備に必要な経費四億四千三百六十二万三千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費六億一千五百九十四万二千円でありまして、前年度に比較して三千六百九十四万七千円の減少となっております。  なお、ほかに、国庫債務負担行為六十六億九百十万二千円を計上いたしております。  その内訳は、宮殿新営四十四億九百十万二千円、御料牧場施設取得二十二億円であります。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上いたすことになっておりますが、前年度に比較して百六十五万三千円の減少となっております。  以上をもちまして、昭和四十二年度皇室費歳出予算計上額説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  10. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) それでは直ちに質疑に入ります。質疑のあるお方は、順次御発言を願います。北村君。
  11. 北村暢

    北村暢君 それでは御質問いたしますが、宮殿営費についてお伺いいたしますが、これの当初の計画並びにその後の変更等について事情を知らしていただきたいと思います。
  12. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この当初の計画と申しますと、宮殿の新営のことは、昭和三十七年度までに基本設計を完了いたしまして、三十八年度はこれに基づいて実施設計を進めるとともに、いろいろな準備をいたしまして、それから三十九年の六月に新宮殿造営の起工式がありました。その当時の考えでは、昭和四十一年度一ぱい宮殿工事を完了しようというような考えで進んだのであります。しかし、実際の工事を進めてまいりますると、三十九、四十、四十一の三年ではなかなか無理な点がありまして、それをさらに一年以上、四十二年度一ぱい、それから四十三年度にある程度入るというような計画変更されて現在進行をしておる次第であります。  なお、宮殿工事内容につきましても、最初に、基本設計の当時に考えられた内容よりも、その後いろいろ強度計算ですとかいろいろなことをやってまいりますると、変更を要する点がある。たとえば、屋根銅板の厚さなども最初考えたよりは厚くしないとこの強度の上には不安定である、そういうような点がございまして、厚いものに変えたりしました。また、いろいろなコンクリートの柱なんかがむき出しになっても悪いので、最初計画ウルシなんかを塗って一応形をつける予定でしたが、しかしながら、ウルシをつけることは実際上の問題として、実験してみますると、うまくないので、そこでそういうところは銅板を張るというようにして、銅板を張るように変更になったところがございます。大きな点を申しますと、そういうような点でございます。その他いろいろこまかい点で実際にだんだん進めてまいりますると、こうしたほうがいいというようなところが出まして、いろいろ改善を加えていったのでございます。そういうようなことのために、最初三十九年度にこの工事を始める際には建築費総額が八十八億円くらいというふうに御説明申したと思いまするが、しかし、そういうような工事内容改善というようなこと、なお、物価値上がりというようなこともございまして、現在のところは、工事の総経費としますると約百三十億というように四十二億もふえたというようなことで、この点は物価値上がりのみならず、いろいろ工事内容その他について改善をしなければいけなかった、というようなことのためにそういうふうになるのでございまして、その点は御了承いただきたいと思います。
  13. 北村暢

    北村暢君 当初予算変更になりしました予算総額はどういうふうになっておりますか。
  14. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 宮殿の新営は、当初としては建築費全体が八十八億くらい、この計算はちょうど三十八年の秋くらいの計算であります。ところが、いろいろだんだんやっていきますうちに足りなくなりまして、全体で百三十億というところで、これ以上はもうふやさないという確信は持っております。
  15. 北村暢

    北村暢君 百三十億というのは、四十年の九月には百十八億に変更したんじゃなかったのですか、その後またこれは百三十億にふえたのか、こういうことでしょうか。
  16. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) さようでございまして、いよいよ最後にこまかい実施設計なんかを詰めようといたしました際に、この前に申し上げていたときよりもさらにまたいろいろ改善を加える点がございましたのと、ざっくばらんに言いますと、幾らか見込み違いの点もございました。一例を申し上げますと、材木なんかの関係経費が相当高くなりました。これは材木物価値上がりのみならず、いろいろはりですとか天井なんか材木をはる、それが相当長大なものを使います。一番長大なものは長さが十六メートルもあるわけですが、そういうような特殊なものは普通に考えたよりもどうしても価格が高くかかるようなことで、要するに、山元から特別に切り出してこないと、一般市場材にはないというようなことがございましたりして、木材の関係が特に足りない点がわかってまいりましたようなことで、その他、工事改善部分最後の詰めの際にいろいろ出てまいりました。たとえば、いろいろ天井は、屋根はりなんかは鉄筋コンクリートでいいというような案でありましたが、これでは強度計算の結果不安定であるというので、これは鉄骨材にしなければならない、それで鉄骨材にかえるというような問題もございました。照明やり方について、最初考え照明やり方では、実験してみますると、部屋の照明が不完全であるというようなことから、またそれを最初考え設計を変えたりしてやったというようなこともございます。そういうようなことで、この物価値上がりも、一部含んでおりまするが、ふえてまいりましたが、しかし、現在のところでは、そういうような実施設計のこまかいものも全部出ておりますので、これ以上はそうふやさないということで、われわれは考えております。
  17. 北村暢

    北村暢君 最初に、一般会計歳出予算目明細書というのをいただいておるのですが、それといまいただきました予算説明書との数字がどうも合わないのですが、これ。この点数字がどうも合っておらないですね。私これで調べてきまして、きょうこれをもらったのですが、だいぶ数字が合わないのですが、これは一体どっちがほんとうで、どういうふうになっておるのですか、これとの関係説明してください。
  18. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いま御説明いたしましたものと、その予算目明細書数字は合っているはずなんです。総額のほうでちょっとわかりにくいという点があるかと思いますが、これは宮殿営費の純粋のもののほかに庁費というのがございまして、その第九の庁費の中に一部含まれている金額もある、あるいは前のほうの謝金のところにも皇居造営関係謝金というのがございます。それが分かれている、それを一緒にしたのがいま申しましたこの御説明だったのですが、御説明金額のほうが幾らか多いだろうと思います。
  19. 北村暢

    北村暢君 どうもこの説明のほうがへたなのかどうか知らないけれども、この資料を見ても全然合いませんよ、わかるように説明してもらわないと、これとこれと比べて見て全然わからぬわけですよ、これは。だからこれはわかるように説明してもらわなければならぬと思います。こっちの数字とこっちの数字と全然合ってきていないのです。これであったらばどういうふうにごまかされてもわからないですよ。いまそれを言ってもしょうがないからあれですが、要するに、当初見込み八十八億であったものが最終的には百三十億、百三十億はまずこえることがないでしょう、こういうことですね。それでそのうち四十二年までにどのくらい終わって四十三年度までいくというのですか。四十三年度は一体どのくらい残る予定なのか、そうして完成する期日の目標ですね、一体いつごろ完成する予定になっておるのか、この点をひとつお伺いいたします。
  20. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この四十二年度のところは、いま御説明申したように三十億くらい残るのでありますが、それじゃ四十三年度最後年度にどのくらい残りますかというと、十九億三千万円くらい残ります。それで総額がさっき申した金額になるわけであります。  それからその完成の時期でございますが、現在工事をやっております予定表では、四十三年の十月一ぱいで一応工事を仕上げるということでやっております。四十三年中には竣工式もやりたいというようなことでやっております。ただし竣工式が済んでその後すぐいろいろな行事が新しい宮殿で全部できるのかというと、すぐにはできないようで、やはり何カ月か機械の検査をやったりいろいろいたしますから、ほんとうに使用できるのは四十四年に入ると思います。そういうようなことでございます。
  21. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、いま説明がありましたのも、この明細書のほうによるというと、支出負担行為の額としていま十九億幾らといったのが、四十三年度は十四億八千六百七十万八千円ですか、というふうになっていますがね。そうすると、これもやっぱりこっちのほうの庁費のほうの経費が入ってくるということですか。
  22. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 御説明いたします。それはまだ入っておりません。四十三年度のこの負担行為予定としては、十四億でございますが、これはいろいろな内装工事なんかをずっと負担行為として本年度から契約して、四十三年に合わせるようにしなければいけない金額はこれだけであります。これ以外に備品とか調度品は四十三年に入って契約しても間に合うものですから、そういうふうな備品調度謝金等が五億ばかり入っていないわけであります。負担行為として本年度承認を得なくてもいいと、こういうことになっております。
  23. 北村暢

    北村暢君 大体話はわかりましたが、不用額の一億七百万余ですか、これはどういうことなんですか。
  24. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは三十九年度の分で、鉄材、鉄筋の関係で、負担行為として予定したよりも安くそれを買うことができたわけであります。そういうので不用額というのが出たわけでございます。
  25. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、宮殿営費というものについて、工事がだいぶおくれて、当初予定したよりもおくれてきたけれども、まず四十三年度中には間違いなく完成をすると、当初は四十二年度完成するということで、まあ四十三年、ちょっと入るのではないかということだったが、それはまただいぶおくれるという結果になるわけなんですな。そうしますと、その間における物価値上がりとかなんとかいうものについて、もうこれは大体だいじょうぶなんですか。
  26. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) おおむねこれでやれるという予定でやっています。大きな部分はいろいろ見通しをつけてきておりまするし、それから負担行為関係で契約をするとかなんとかいうことができますから、これでおおむねやれるというふうに考えております。
  27. 北村暢

    北村暢君 宮殿営費についてはそのくらいにいたしまして、次にお伺いいたしますが、この御料牧場移転経費が、国庫債務負担行為で二十二億限度額として認めているようですが、この問題について若干お伺いいたしますが、三里塚空港建設に伴う御料牧場移転は、大体この移転の要領はどういうふうな形でやられるおつもりなのか、これをひとつまず冒頭にお伺いいたしたい。
  28. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 現在の三里塚御料牧場は四百三十九ヘクタール、町歩と同じでございますが、四百三十九ヘクタールございますが、今度新しく設ける御料牧場は、その面積幾らか減らして三百ヘクタールくらいというような考えで、これは新しくつくる場合にいろいろの施設等もいままでよりももっと合理的にやりますと、面積が狭くてもおおむね同じような仕事ができるということで面積幾らか減らすわけでありますが、この移転はどういう形でやるかと申しますと、これは三里塚御料牧場の四百三十九ヘクタールのうちで、三百十ヘクタールくらいの部分、これが新東京国際空港敷地として空港公団のほうに渡される、そのかわりに新空港公団はこの三百ヘクタールくらいの新しい牧場をつくる、そのつくる位置については、第一候補地として栃木県の高根沢を中心とするところを空港公団が、いろいろ折衝をやっておられるわけでありますが、で、この建築交換という形で、三里塚のほうの三百十ヘクタールの分を評価したのと、今度新しく栃木県のほうにつくる御料牧場をつくった部分とをこれを交換という形でいくわけで、金額とするとこの三里塚のほうで空港公団の手に入れます土地その他の評価額と大体似た金額になるわけでございます。そういうような形で交換をし、移転の時期等についてはまだはっきりいたしませんが、話がだんだん進んでいきますれば早くできると思います。
  29. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、新国際空港公団ですか、この公団が一切新しくできるものの建設も全部やる、できたものは処分のほうも、建設するほうも、新国際空港公団が実施する、こういうことになるのですか。
  30. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) ちょっと御質問の点、はっきりわかりかねる点がありますが、建築交換でいきますけれども、しかし、多額の金額のものについてはやはり国会予算上の承認もあり、とるべきだという大蔵省の方針で、形式としますと、やはりこの二十二億のうちで新しい御料牧場を買おうという考えと似たような金額公団のほうへ御料牧場のほうの土地その他を売り渡すというような形でいくということであります。
  31. 北村暢

    北村暢君 そうすると、建設宮内庁でやるのですか。
  32. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この新御料牧場建設はやはり公団がいたします。しかし、こちらのほうの要望に沿わないものをつくられてもいけないので、設計その他こまかいことについては宮内庁から十分意見を出しまして、その意見に基づいて空港公団が新しい牧場をつくるということになります。
  33. 北村暢

    北村暢君 そうすると、これ時期的な問題は順次お尋ねしますが、現在の下総御料牧場ですか、この評価額は一体どのくらいになっているのか。これ昨年いただいた資料を見ますと、昭和四十年三月三十一日現在の評価額はべらぼうに安いものになっているようですがね。土地立木竹建物工作物一切入れて三億五千八百四十四万五千九百八円ということになっている、そういう資料を昨年いただいているわけですがね、これは一体新しくできるのは、いまあれでしょう、国庫債務負担行為だけで二十二億ですわね。ところが、同じような価のもので交換するようになるというのですが、現在あるものの評価が三億五千八百万しか評価になっておらない。この評価でもって交換するというふうなことになるんですか。
  34. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その三億何千万の分は、国有財産台帳に書き込んである価格でございます。で、実際に取引をするという現状においては、どういうふうな金額にするかということは、さらにこの評価をするわけであります。で、これは大蔵省国有財産局のほうで、今度御料牧場のところも新しい空港敷地になれば、公団幾らくらいの価格で渡したらいいかというようなことについて、この概算評価というものをさらに最近いたしました。そういう場合は、何か専門の不動産鑑定士か何か、何人かを委託しながら概算評価をいたしました。その概算評価の結果は、これは概算評価ですから精算――はっきりしたことは言えないらしいんですけれども、御料牧場全体の概算評価が三十三億と見ております。これは新しい空港が設けられるというような、こういう特殊事情もあっての、それを基礎にしての評価たと思いますけれども、その三十三億の中の公団のほうに渡す部分は三百十ヘクタール、そのほか代替農地として出す分等がそのほかにあるわけです。で、そういうものが加わっておりますから三十三億になるわけです。
  35. 北村暢

    北村暢君 この三十三億の評価土地ですね、先ほど、四百三十ヘクタールちょっとですね、四百三十九ヘクタールですか、これの三十三億の場合の土地見積もり単価はどのくらいになってますか。
  36. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは土地評価が大部分であります、建物とかは古くなっておりますから。で、ほとんど大部分土地考えられていいと思います。
  37. 北村暢

    北村暢君 それで、そうしますというと、反当たりどのくらいになるんですかな、これ。
  38. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは七十何万くらいになると思いますが、反当たりですね。その場所によってまた違うのでございますね。同じ御料牧場土地でも、評価する場合、この部分はどれくらい、この部分はどれくらい、その土地のよしあしもあります。平均いたしますと七十数万円。
  39. 北村暢

    北村暢君 そうすると、あれですね。いま千葉県知事が新国際空港建設のために、いま農民から折衝している土地買収、これの県の要望ですね、公団側折衝する、それとの関係は、まあ空港ができるということを予定しての大蔵省財産査定評価額査定のようになっておりますか。それとの関係はどうなってるんでしょう。
  40. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 現在県知事があっせんして土地買収についてのことをやっておられますが、その直接の関係はありませんが、そういう情勢もにらみ合わせてこういう評価額になったものと判定いたしております。
  41. 北村暢

    北村暢君 この問題は、いまあまり詳しく聞くというと、向こうのほうの折衝関係に影響してくるのかとも思うんですけれどもね。大体千葉県知事の要請しているのは六十五、六万円から百万円をこえておるようですね。その場所場所によって違うようですけれども。で、反当たり七十万円でもいま言う三十三億くらいにはちょっとならないよう、三十億程度にしかならないと思うんですがね。そういうことで、この評価額のしかたが、大体公団が次に新しく建設するところのものと合わせて、こう比較して見合うような評価をしているのか。それとも、下総御料牧場御料牧場評価して、新しく入手する、獲得するところは別に評価をしてやると、まあ建物から機械移転から全部やるわけですから、どういうことなんでしょう。相当やはり移転費建設費は、新しくなるわけですから、従来あるものよりも予算としては相当オーバーするんじゃないか。それの総額見通しはどうなるんでしょうか。この売り払うものと新しく建設するものとの予算計画ですね、見通しはどういうふうになるんですか。
  42. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この三里塚御料牧場のうちで、公団側の用地として渡す部分については、先ほど申しました三百十ヘクタール、これにつきましては、これの評価は、新しく今度別のところに御料牧場をつくるのに幾らくらいかかるか、そういうようなことは関係なく評価をしてもらったわけであります。新しくつくるほうのところは、土地の購入からまたどんな施設になりますか、それがおおむね似た金額、おおむねですからぴったり合っておりません。その上下した部分は、三里塚御料牧場のほうが二十二億円をちょっと上回ってくる。その上回った金額は、公団側から今度は金で国のほうに払うということになるので、金額は一致はしておりません。おおむね近いということになります。
  43. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、大体話わかってきましたが、とにかく新しくできるものについては、もし高ければ建物その他移転をするわけですから、新しくつくるんでしょう、新しくするわけですから、現在の評価額より高くなるんじゃないかという感じがしますがね。それで面積が若干違いますわね。三百十ヘクタールとこっちは四百四十、百三十ヘクタールばかり違う。結局土地価格の問題で非常にかわってしまうんじゃないかと思うんですがね。そうすると、面積を減らして建物部分を浮かすような形にうまくやるんじゃないかというように感ずるんですがね。しかし、今度入手する土地ですね、空港建設とは違いまして、土地はどうなんですか。そんなに反当たり七十万――これは相当高いものです、普通の地価からいけば。こういう水田の一等地だってこんなにしないですね。だから相当一反歩当たり七十万というのは地価とすれば高いのです。ですから、今度新しく入手する栃木県のいま予定せられておるところの地価というのは一体どのくらいなんですか。
  44. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは、高根沢付近の土地を反当たり幾らで買うかという問題については公団がいま折衝いたしております。まあ適正な価格ということで、最近その付近で取引が――こういうところは幾らで売られている、こういうところは幾らで売られているというような、そういうような取引の実例などを承知しながら、なおそれに対して、それでそのとおりでいいかどうかという問題もございましょうが、適正価格というものを考えながらいま折衝いたしております。したがって、そこの土地買収価格というのはそんな高いものではございません。でございまするので、その公団との交換する土地面積は似たりよったりですけれども、金額も似たりよったり。というのは、やはり今度そこの土地を造成しなければいけませんので――現在山林になっているところがあります、そういうところの山林を造成してどう整地するとか、なおそこに道路をつけるとか、あるいは牧場に必要ないろいろな建物機械類を備えつけるというような金額が要りますので、したがって、二十二億のうちのまあ相当部分がそうした経費でございまして、土地買収費は一部分になっております。
  45. 北村暢

    北村暢君 土地の造成費といったって大体――そこにもう農地の専門家がおりますけれども、一反歩造成にそうかからないですよね、整地しても何しても。それが先ほど適正価格と、こう言ったけれども、いまそこら辺の相場どのくらいしているのですか。
  46. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 取引がいろいろありまして、何か最近その付近で三和牧場というものが土地を買ったものが反当たり二十万くらいだ。それから、そうでなくて、また他のほうに反当たり三十万くらいの取引の分もありますし、一定しておりません。で、そういうのを基礎にしながらこれは幾らぐらいということをやっておるわけであります。なお、先ほど申し上げたのを誤解されるといけませんが、土地の造成費はそうたいしたものではございません。経費の大部分はいろいろ事務所をつくったり、牧舎をつくったりいろいろする、そういうものが、施設等が大部分でございます。
  47. 北村暢

    北村暢君 そこのところは、いま処分になる土地が反当たり七十万で四百三十ヘクタール処分をして、そして今度新しく入れるのが、これは普通の畑地であれば二十万か十五万ぐらいからあるわけですよね。ですから二十万にしても、これは土地で大部分浮いてくることになるのですね。その施設の建設費が一体どのくらいかかるのかわかりませんけれども、こういうものを一切公団にまかしてしまって、内容的に、経費を上回れば出してもらう、したがって、大蔵省なり監督官庁は、その公団の事業というものについて相当厳密に監督はするのでしょうけれども、聞いているところによるというと、どうも非常に大ざっぱのようですね。これから事業計画立ててやるのでしょうけれども、三十三億の評価大蔵省でやったようですが、今後の新しく建設するところの御料牧場というものの事業計画というものは、そういう公団にまかせきりでいいものかどうか、私は若干どうも聞いているところによるというと大ざっぱ過ぎて、たいへん不安に思われるようですね。ということは、いま国有財産の処分問題か非常にやかましい時期でありますから、私はやはりこれは相当厳密にやるべきではないかと思います。そういう点でひとつ考慮していただきたいと思います。  それからこれはまあ私ども社会党はいま反対やっておるわけですから、国際空港できるかできないかまずわからない問題です。わからないのですが、それに関係なく移転はする、こういう計画になっているのだろうと思うのですがね。それで大体建設計画なり何なりというものはどのくらいの目標を持っておられるのか。聞いたところによるというと、大体三年ぐらい土地買収にかかって、あと二年ぐらいで飛行場の建設をやるというように聞いておるわけです。そして牧場移転はしたがって三年後でよろしいと、こういうことのようですが、三年後にまでは完成してなければならないわけですね、新しい牧場が。そのために新しい御料牧場の事業をいつごろから始めて、完成はいつごろと、こういうふうにどのような計画考えておられるのか、この点ひとつ御説明願います。
  48. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 新しい牧場計画につきましては、これはいま土地買収なんかの折衝をいたしておりますが、高根沢方面でそういうような折衝がもし成立いたしますると、公団としては、話を聞いておる範囲で申しますと、公団としては、この秋ぐらいから整地等にかかりたい、結局まあ二年以内ぐらいには完成する、暦年で言いますと四十四年になると思いますが、四十三年度いっぱいではちょっと無理で、四十四年度に入るだろう、まあ暦年の四十四年ぐらいには完成したい、完成したら三里塚御料牧場はそちらのほうへ移っていただくというふうにありたいというような大体の計画であります。これは一つの計画ですから、そのとおりいきますかどうかはっきりはわかりません。
  49. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、どういう計画になっているのですか。土地はまあ向こうと関係なしにできるわけですけれども、整地したりそうして畑つくって牛を持っていってもいいような形に二年あればできる、そうして施設、特に機械類とかこういうものは新しくされるのですか、いまあるやつを持っていって据えつける、移転をするのですか、施設一切は新しくするのか、どうなんですか。そこら辺のところ、引き継ぎのときにきめるんじゃないかと思うのですが、一切新しいものになるのかどうか、そこら辺の計画はどうですか。
  50. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは現在使っているもので間に合うものは持っていこう、いろいろ合理的にやるための、これは古くなっておって、いわゆる新しいものにしたほうが合理的だというものは新しくする。半分以上のものは現在あるものを使うことにしております。
  51. 北村暢

    北村暢君 いま牧場に勤務しておられる方は大体百四、五十名おられますが、その方の宿舎なんかは全部きれいにモダンにできるのですか。心配なくできるような形になるのですか。
  52. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この二十二億の範囲内でやはりこういう人の、公務員宿舎になりますけれども、それをつくる経費も見込んで入っております。
  53. 北村暢

    北村暢君 それは何戸ぐらい予定しておりますか、全部入れるのですか。
  54. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この全員でなくても、やはり今度栃木県へ移りますと、自分の家から通える方も出ると思います。したがって、一応予算面ではまあ移る方の九割ぐらいのものは心要というので見ておるわけでございます。
  55. 北村暢

    北村暢君 二十二億ぐらいでできるのですか。
  56. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 公務員宿舎はそう高いものではございませんで、この程度の数でございますと、そう多額な金額にはならないと思います。
  57. 北村暢

    北村暢君 大体牧場関係についてはわかりました。
  58. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 速記をとめて。  〔速記中止
  59. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 速記を始めて。
  60. 北村暢

    北村暢君 それじゃ宮内庁庁費の点についてお伺いいたしますが、昨年職員の待遇問題について質問いたしておるのですが、まず宿日直と超勤の、超過勤務手当の関係について、それから旅費予算特に供奉旅費、供俸旅費は、まず十分程度にいっているようですが、そのことによって他の旅費予算というものが圧迫を受けて、一般業務による出張旅費というものが非常に制限されているような向きがあるようでございますが、こういう関係、それから、しかもそういうものは実費支給で旅館その他の証明書がないというと、なかなか払ってもらえないというようなことがあって、一応の答弁はいただいているのですけれども、どうも実態をつかんでおらなかったので、想像的な答弁しかいただいていない。その後検討されてどうなっておりますか。  それから、超過勤務手当については、実働をしたものを全部払えないで、予算の範囲内というようなことになっているのじゃないかと思うのですが、特に自動車関係の超過勤務手当等については実働の七〇%ぐらいで、あと棄権させられているという実情にあるようですが、こういう問題について一体どうなっているのか。この点は、これらの問題については、いずれも人事院、大蔵省宮内庁でそれぞれ検討をされるということになっておったんでありますが、その後検討された結果、どういうふうになりましたか御説明をいただきたいと思います。
  61. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 昨年、北村先生からいろいろ、決算委員会だったと思うのですが、御意見を承りまして、そういうことも十分ひとつ考えながら、四十二年度予算折衝当たりまして、そのうちで一番はっきり改善をされました点は、超勤手当の増額でありまして、これは従来は一カ月本庁員一人十五時間の超勤手当というのを基礎にした金額でありましたが、四十二年度は、この一人十八時間、三時間ふやして予算を組むようにいたしましたわけであります。それによって従来四千三百万ぐらいの超勤手当が約一千万増額ということで、四十二年度予算を編成いたされておりますので、その点でいろいろ御意見のありました点の改善は四十二年度においてひとつ実施をしようということでやっている次第であります。  それから、この旅費の関係は、これは超勤手当ほどの大きな改善金額を得ているわけじゃございませんが、四十一年度に比較して約百万程度がふえているという程度で、宮内庁の旅費の予算全体が少ないですから、九百万ぐらいが一千万ぐらいになったというようなことで、供奉旅費の関係金額でいって八十万ふえているという程度で、額は少ない予算でございますが、いろいろ改善には努力をしていきたいということで今後もいろいろ検討をして改善につとめたいと思っております。
  62. 北村暢

    北村暢君 超勤の改善せられたのはけっこうでございますが、宿日直と超勤との関係で、実際には超勤で払うべきものが、宿日直で払われている。こういう勤務の実態においてどちらがいいのかということは問題になっているわけですが、これは解決されたのですか。
  63. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 宿日直をしている際に、なお平生の任務を少しくやるというので、純粋に宿日直ではないということで、宿日直手当のほかに、その働いた分は超過勤務手当をつけるというような考え予算を編成した。これは関係の方も認めていられるところでございます。
  64. 北村暢

    北村暢君 それじゃ次に、級別定数の点について全省庁の行(一)の平均年齢が昨年の七月当時ですか、三十五・八歳であったのが、宮内庁は四十三・六歳と、相当平均年齢高いわけですね。それで、五等級、六等級の定数が宮内庁の場合全数の約六〇%をこえている。五等級、六等級で、しかもその等級の高い号俸の方が非常に多い。いわゆる頭打ちになっておる問題ですね。これは宮内庁が特別に、これだけ普通の官庁より非常に年齢構成が高いわけですから、人事院でもそういう事情を十分とらえて改善のために努力してきたようでございますが、それでもなおかつ相当な頭打ちになっている。これの解決策について、宮内庁と人事院と相談をして改善のために努力するという答弁があったのですけれども、これは一体どういうふうに処置せられてこられたかですね。また、この努力の結果はどうなのか。まだやっていなければ今後どうするのか、この点お伺いしたい。
  65. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この問題につきましても、主として私のほうのその担当の秘書課長が人事院等といろいろ折衝して改善につとめてきております。まあ大きな処置というほどのことはございませんが、しかし、秘書課長からちょっと説明をさせていただきます。
  66. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) 私からただいまの問題をお答えしますが、人事院と四十二年度の級別定数の改善についてもいろいろ折衝いたしまして、逐次改善実現するようにお願いはしておりまして、だんだんに去年に比べてことしはまた改善されているというような状況になっておりまして、これもここに給与の改善します方向としては、級別定数を改めるという場合と、それから級別定数ではそれだけの数がないけれども、経験年数その他仕事の重要性その他によって暫定的に上の等級を与えると、認めるというような方法もございまして、その両方の方法によって逐次待遇の改善をしてきております。
  67. 北村暢

    北村暢君 最後に宿舎ですがね。職員の宿舎ですが、充足率は大体ほかの官庁の平均並みのようですが、どうもやはりああいう特殊なところにおられるものですから、まだ八十何戸不足しているという問題があるわけですね。これについてどういうふうな対策を講じられておるか、この点をお伺いいたします。
  68. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) 宿舎につきましては、宮内庁は、他の官庁に比較してそれほど劣ってはいない状態になっておりますが、これも独身者が最近多数採用されるというようなこともありまして、独身寮の建設を昨年度予算計画しまして二十人分の独身寮ができております。これにつきましても逐次宿舎をふやすということで努力しております。
  69. 北村暢

    北村暢君 私は、この職員の待遇問題については宮内庁という特殊な職場ですから、労働組合があって、がんがんやるわけでもございませんでしょうし、あってもなかなかものが言いにくいでしょうね。ですから、こうやって私は特にこんなこまかいことを国会でやらなければならないほどやはり職員は相当不満を持っているのですね。持っているのだけれども、宮内庁という役所の関係からしてなかなか言い出せないでいる。これが実情だと思う。したがって、宮内庁だからこれは非常にうまくいっているだろうと思うと案外そうでないので、結局不平は持っているけれども、やむを得ず黙っていなければならない。こういう実態にあるようですね。ですから、職員の言えないのを私は代弁して言っているような形になっておるわけですけれども、そういう点をひとつ十分考慮して、大蔵省主計官もおられるようですが、人事院等とも協議されて、職員の待遇ということについては、やはりだいぶ気を配ってやっていただくという、そういう配慮をしていただきたい。どうもこの宮内庁というところは、古いしきたりというものを非常に尊重するところであるようでありますから、どうも職員はこの古いしきたりしきたりではやはり満足していないようです。そういう点十分ひとつ配慮されて、職員の待遇問題を考えていただきますように私は特に要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  70. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 皇室費に関する質疑につきましては、本日はこの程度といたします。  ちょっと速記をとめて。  〔速記中止
  71. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 速記を起こして。     ―――――――――――――
  72. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 次に、昭和四十二年度予算中、国会所管を議題といたします。  慣例では、まず国会側からの説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略し、お手元に配付してある資料をごらん願うことといたしまして、直ちに質疑に入ることとし、その説明資料は、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 御異議ないと認め、さよう取りはからいます。  それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を順います。
  74. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、昨年の当分科会でも、若干両院総長にお尋ねしたのでありますが、この質問の要旨は、国会の運営をきわめて円滑にやり、しかも能率的にやるためには、やはり一般国会職員の待遇ということが非常に重要な要素があると、そういう立場から若干ひとつ国会職員の給与について質問並びに当局の見解をただしたいと思います。  まず第一に、昨年の約束でありました一般行(一)――行政職第一表に所属する職員の方々について非常にアンバランスがある。これは参議院だけじゃございませんが、特にきょうは参議院だけを取り上げたいと思いますが、過去のいろいろベースアップとか、あるいは採用する場合の昇格基準あるいは初任給等々の歴史がありまして、そうなることは一応やむを得なかったのでありますが、もうすでに今日この問題を解決しなければ、参議院内部の職員の方々の非常な不満があると思いますが、昨年の当分科会ではさっそく調査をしてアンバランスを是正するという約束があったのでありますが、その後どういう状態になっておるか、総長からひとつお聞きしたいと思います。
  75. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 山本委員は、前回、前々回におきましても、常にわれわれの給与につきまして非常な御心配をいただいておるわけでございまして、その点冒頭に厚く御礼を申し上げる次第でございます。昨年の御指示以来われわれ事務当局におきましては、人事をつかさどる者といたしましては、できるだけの努力はしてまいったわけでございます。特に御指摘の行政職第一のアンバランスの問題につきましては、参議院事務局は衆議院に比較いたしましても特に問題のあるところでございまして、私が人事課長をしておった参議院の発足のころから非常な経済的な情勢の悪いときに採用いたしまして、それ以後非常な臨時の措置をたびたび繰り返しておりましたので、非常なでこぼこな情勢が続いたわけでありますが、御承知のとおり、二十二年五月、参議院の事務局が発足いたしまして特別職としておりましたものでございまして、この間が一番混乱の時期でございました。年に何回かのベースアップもあり、その間特別な措置の昇給実施を何回か余儀なくされたわけでございます。しかるに二十四年の一月でございましたか、人事院の管下に入りまして、一般職として三年間一般政府職員と同じ処遇を受けて、だんだん給与体制も整備してまいった。それにならいまして、われわれのところもその線に沿って調整をとってまいりました。それで二十七年の一月にまた特別職に復帰いたしたのでございまするが、自来は規定に示しますとおり、政府の大方針に順応いたしまして、私たちも逐次国会の独自性を顧慮しながらも今日に至ったのでございますが、お示しのそうした混乱期のアンバランスにつきましては、たしか私の記憶では、二回にわたって処理いたしたと思っておりますが、これははなはだ大ざっぱで恐縮でございますが、四号ないし五号の格差があったにもかかわらず、一号ないし二号の処置で一応ピリオドを打ったと、こう私は信じておりまするが、それらの点もむろん今日あとを引いておらないとは私は申しませんが、その点につきましては、私としては、われわれの先輩の人たちが努力いたしましたのでございまするので、この点につきましては非常に問題もございましょうが、一応は解決されたというふうに了承しておるわけであります。また、最近の給与体制におきまして、山本先生のような御専門の方に私から申し上げるのもいかがと思いますが、初任給の格段の処置がとられてき、しかも上のほうがまた特別給を支給した現法制下におきましては、特に六等級の上部、それから五等、四等そこいらの辺につきましては、いわゆる中だるみというようなことばで表現せられているところがございましょうが、これらの点につきましては、われわれのところでできるだけのことは――特別昇給その他の点で、昇格その他の点について努力はいたしておりますが、いかんせん国家の大制度でございますので、そういったことにつきましては、もっと大きな見地から改正をお願いしたいと自分では考えておるのでございますが、そういう点も種々合わせまして、去年お示しの御高見を承ったあと、人事課におきましてはまず行(一)を中心にして、ただいまは行(一)三等級ぐらいまで調査は済んでおるという報告を私は受け取っておりますが、そういった点を現在の初任級制度と勘案いたしまして、どういうふうに実際なっておるのか、こういう実態を調査いたさしておるわけでございまして、いま行(二)、それから行(一)の三等くらいまでの調査は済んでおるのでございますが、これらを督促いたしまして、本年中にでも、ほんとうの意味の実態を把握いたしまして、かつまた、これを、今度はできたものを処理する点につきましてはいろいろなものさしが必要であろうと思いますので、非常にいろいろな見解によってはものさしがずいぶん違うのじゃないかと、私はいまから想像しておりますが、それらの節にはまた御高見を拝聴いたしまして、十分職員の期待に沿うような制度を打ち立てていきたいと、はなはだ長くなりまして恐縮でございますが、こんなように考えております。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 調査はだいぶ進んでいるということでありますが、一年もたってまだ三等級ぐらいまでというのですが、一般各省庁と違って、一千名余りの職員だと思うのですが、まだ一年もたってできないというのは、ぼくらの経験からすると、どうも誠意が疑われる、やろうと思えば、これは一つの初任級を基準としてずっと線を引けばもうすぐに出てくると思うのです。個々に当たっても千人でありますからね、私はできると思うのです。しかし、三等級までできたと言うが、一体いつごろこれが調査は完成いたしますか。課長からでもいいですが……。
  77. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 事務局の調査につきましては、非常な過去のいろいろな点がございますので、職員といたしましても、きのうきょう雇った職員では、これはできないわけでございまして、私の想像しておるところでは、二、三人の職員じゃないかと思いまして、人事課で働いている経験の豊富な職員が働かなければ、これはできないのでございまするが、いまお示しの御意見もございまするので、人事課長ともよく相談いたしまして、事態の早く解決できるように調査を進めたいと思うわけであります。  大体、そういうことでございます。
  78. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 早くと言われますがね、これは約束できますか。一応来年度予算編成まで調査を終わって、しかも、来年度予算大蔵省に対して要求でき得る段取りまでできますか。
  79. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 予算要求と申しましても、財政法上もう七月には出さなければいかん、まあ実際は十二月末日ごろまで大蔵省折衝は続くわけでございまするが、いま人事課長から聞きますと、ちょっと間に合いかねる情勢のようでありますが、御了承をお願いいたしたいと思います。
  80. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは了承、ぼくとしてはできないのです。それはもう一年もたって、しかも、まだそういう調査の段階である。実は、アンバランスも、いま言われたが、現在でも相当大きなアンバランスがあります。その点については、もう当局は御存じですから、時間の関係で省きますけれども、相当アンバランスがある。行政職(一)表の職員は非常に不満があると思うのです。これは当人の不満というよりも、院の運営の立場からいっても、やはりこれはわれわれとしては捨ておけない。われわれの手足と言うとなんですが、日ごろお世話を願う方々が、そういう不合理な給与を受けているということは、非常にわれわれとしては問題だと思うのですが、どうしても来年度予算に間に合うように、この是正をひとつやってもらわなければ、私としてはそれは承服できないです。いま取り上げた問題であれば、これは別といたしましても、もう一年も経過しておるのですからね。各省庁でも大きい問題があるならば、その後は問題になりますけれども、調査もできてないということは、これは少し言い過ぎかも知れませんが、私は当局の怠慢だと思うのです。誠意があれば、私はできると思いますが、この点どうですか、約束できますか。
  81. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) おことばでございますので、十分努力いたします。
  82. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、この是正をやって一体予算はどれくらい程度、この、行(一)だけで、いま聞きますけれども、大体、概算どれくらいの見通しですか、予算は、アンバラをやった場合に。
  83. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 人事課長から一応……
  84. 植木正張

    ○参事(植木正張君) ただいま調査中でございますので、正確な数字をはじき出すまでに至っておりません。ただ、実態を申し上げたいと思いますが、現在行(一)の中間的にまとまったところの数字をちょっと申し上げたいと思います。  行(一)の対象人員が大体五百五十人以上になりますが、そのうち昨年の分科会で御指示がございましたように、現在の制度に引き直して各人を再計算し直すと、その結果と現在その本人がもらっておる給与の差がいくらであるかということで、一応の基本的な調査をいたしたわけでございます。その調査のうち、五五%は低くもなし高くもない、ちょうどいいところへ来ておる。そのうち三〇%は、むしろ高いほうにいっておる。それから全体の一四%程度が若干低いという、まあこれは中間の結果でございますが、そういうような結果が出ております。それで、かりに予算的に見ますと、これは正確な数字がちょっと出ませんのでございますが、御参考に申し上げますと、年間において職員の昇給、特別昇給、昇格とこういうものに要する費用が大体二千二百万円、したがって、これはまあ年間全員の分でございますから、ずっとこれより少なくなる金額というふうに考えております。
  85. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 定員からいったら、各省庁のこういうアンバラ是正から見ると、人員も少のうございますから、問題ないと思うのです。それでいま言われましたがね、一つの初任給基準、昇格基準等によって上回るという方はあることは聞いております。これは昭和三十七年だったと思いますが、いわゆる大学出の採用の甲、乙二つに分けたことが、これは国家公務員の場合。それに準じられたと思うのですがね。こういう甲の基準に合わした人が相当上回っておる人が多いと私は判断しております。したがって、その場合の調査、まあ私はあなたのほうが調査しなくても、大体経験から一応出てくるのですが、その場合の是正の方法ですか、一つの線から上回った人については、どういう院当局では考えを持っておりますか、是正する場合の考え
  86. 植木正張

    ○参事(植木正張君) ただいまの段階では、その調査をいたしまして、その調査の結果を見まして、是正すべき点はどれであるかというような吟味をいたすわけでありまして、現段階ではその辺をどうするかということはきまっておりません。ただ、従来のやり方に徴しますれば、基準より高いほうをいきなり削るというようなことは、大体いたさないのが前例でございます。
  87. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはもちろんそうなのですがね。したがって、調査を一応努力してやるということですから、第(一)表の第一点として、来年度予算に間に合うように調査を終わり、そうして線より低いものについては、アンバラを是正するということは、それは約束できますね。
  88. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 先ほど総長からもちょっと申し上げましたのでございますが、実はこの調査を始めます計画といたしまして、当初大体二年ないし三年、その間に実態調査を終わって措置をするという考えでおりました。したがいまして、いままで、その計画を立てましてから、大体一年ちょっとが経過したわけでございます。いろいろ御要望も、ほかからもございますので、できるだけこの作業を急ぎたいと思っておりますが、現在の段階で申し上げますと、行(二)、議警、速記というのがまだ残っておる段階でございます。できれば本年度中に何とか実態調査を終わりたいというふうに思っております。
  89. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それと、さっきの総長の答弁と、何かあなたの場合、後退したようですがね。私が言うのは、非常に財源が、何億という財源であれば、これは三年計画あるいは二年計画、そういうことも了解できますが、わずか二千万円程度の財源でありますから、これはぜひ来年度――四十三年度には実現してもらわぬと、過去一年間アンバラで非常に不公平な給与の体系になっておるのを、また一年、二年延ばすことについては、これはわれわれとしては承服しがたいのですが、この辺総長どうですかやってくれますか。
  90. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) だんだんのお話ですから、十分努力はいたします。
  91. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ一応そういう点で極力努力をしてもらって、来年には、この初任給基準、昇格基準によるアンバラは少なくとも是正をしてもらう。  それから次に、この級別定数の問題ですが、これは国家公務員もそうでありますが、六等級ないし五等級に全部しわ寄せされて、非常にこの昇給が頭打ちというのは、私は相当あるように聞いておるのですが、その現状はどうですか。
  92. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 昨年の分科会におきましても、そういうお話がありまして、ことしも夏にそういう問題が出てくるわけでございますが、したがいまして、まだ実際的な作業は進めておりませんが、大体私ども概算で現在考えておりますところは、具体的に職種別にちょっと簡単に申し上げますと、昇格の基準にすでに達しておる者を、これは拾ってみたのでございます。その数から申し上げますと、大体ことしできる数と比較いたしまして、課長補佐クラスでは大体その候補者が四倍ぐらい。係長クラスにおきましてはほとんど倍。それから調査員につきましては、三等級で約二倍、四等級が倍ぐらい。それから速記につきましては、監督については、すでにそういう基準に達しておりますのは、大体可能数の十倍程度、副監督につきましても大体その程度。それから議院警察職につきましては、衛士長につきましては、これは非常に古い連中が多うございまして二十倍ぐらい。それから副長につきましては十倍ぐらい、班長につきましては、約四倍というのが実態でございます。  ただ、いま申し上げました数値は、昇格基準、たとえば、在級、経験年数すでに取得しておる者で調べました数値でございます。昨年一昨年の実際に昇格いたしました者に準じて大体上げていけばいいという者になりますと、相当大幅に減ってまいる、現在の段階で申し上げますと、昨年の基準並みでやれば、大体救われるのじゃないか、そういう見通しでございます。
  93. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体本年度そういう――将来は別として、救われる一つの数は出ておるのですね。しかし、いま言われましたが、特にこの調査員の場合、私がもらった資料から見ると、ちょっと不合理かあるように思うのですがね。参議院の常任委員会の調査員というのがありますが、三十八年から以降は、この一等級、二、三、四、五までは、等級定数が動いていないのですね、ふやしてないのです。それから事務当局のほうは相当ふえておるのですが、これはどういう関係ですか。
  94. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 申し上げます。調査室の等級別定数につきましては、いまお読みになられました資料、そのとおりでございますが、これもいろいろな過去の事情がございまして、この級別定数を職でちょうだいいたすならば、理論上、常任委員会に主任調査員が一人、二等級何人、こういうふうにちょうだいいたすならば、理論上できるのでございますが、また、御承知のとおり、現在おる職員を中心にして大蔵当局にお願いしてきておる実情でございますので、それらの点がこういう現在の結果になっておりますので、私といたしましては、いまの調査室に、私たちが昔一緒に働いた委員部の職員等多数行っておりますので、私は常にそれらの職員と現在残っておる職員と比較いたしまして、どのように俸給がなっておるかということを常に関心を持って人事課長から聞いておりますが、大体出向して調査に行ったほうが幾らかいいのではないか。この一、二年はどうか知りませんが、私が少なくとも委員部長や次長をしておった時分はよろしかったのでございます。そういうわけで、人が、まだ一等級になるような調査員等が、あそこにおりませんので、そんなようなことになっておるのでございますが、これがだんだん人員が充実いたしましてきますれば、これらにつきましては、当然一等の主任調査員になれる調査員を充実していきたい、それに向かって努力していきたい、こう思っておるわけでございます。
  95. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっとそれは承服できないのです。調査室は御存じのように、事務局と比して役職が少ない。したがって、いわゆる調査室におる人は、かりにそういう能力があっても級別、等級定数が少ないために、私はいけないような実情ではないかと思う。したがって、もし総長が言われるように、そういう資格がまだない、五等級から四等級へ、四等級から三等級にいく資格の人がないから、この級別定数を、等級別定数をふやさないのだ、こういうことでは私はないのじゃないかと思うのですが、もし、いまの総長の答弁を裏返しますと、そういうすでに資格のある人があれば、随時ふやしてもいいという意見ですね。
  96. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) この点につきましては、両建ての方針で、級別定数をいただいておるわけでございまして、現にその等級の職員がおれば、その履歴書を持って大蔵省からもらうわけでございますが、両建てでございますので、いま過渡期だものでございますから、両方を勘案しながら人事課は大蔵省に交渉してお願いしているわけでございます。その点御了承願いたいと思います。
  97. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 了承とか何とかは別として、私がこれはもらうのではないのですから。私は制度のたてまえを言っているのですから。調査室は御存じのように、先ほど言ったように、課長、係長とかそういう制度はない。主任調査員というものが一つポストがあるだけですね。調査員の方々は、きわめて院の運営上重要な役割りをされていると、私は思っているのです。われわれ議員の活動には相当やってもらっているのだから、そういう職階給から見ると、当てはまらない場合が多いのですね、調査室の場合……。したがって、私の言いたいのは、研究職そのままというわけではありませんが、そういう主任調査員にならなければ、格付けは上がらないのだということでなくて、ある年功がたち、そうして実績があると認めたならば、五等級から四等級、四等級から三等級、三等級から二等級というぐあいに、上がっていくべきであるということを、私は言っているのです。その点どうですか。
  98. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 四等、三等、二等、そこら辺につきましては、お示しのとおり定数をよけい取りまして処理いたしておりますが、こういう公の席ではなはだ申し上げにくいのですけれども、人事課といたしましては、事務局の定数等も勘案いたしまして、公平に運用をいたしていると、私は報告を受けております。それで、いまお示しのとおりな、そこいらの点につきましては、十分定数の確保に努力をいたすわけでございます。
  99. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 たくさん質問があるから、これだけをそう追及する時間がございませんがね。私の言うことはわかるでしょう。結局、調査室にはそういう職階的なポストというものがない。それがために、どうしても、いわゆる等級格づけを上に上げる場合には、なかなか、あなたらの判断だけで、いわゆる運用でやるということは、非常に私は問題があると思うのです。したがって、私は、ある程度の年限、調査員の経歴、そういうものを基準に等級別定数というものを考えていかなくちゃならぬ。これについてどうなんですか、総長、私の意見に対して反駁はありますか。
  100. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 大蔵省に対しましては、その御所見に基づきまして交渉いたすわけでございます。
  101. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それからもう一つ、採用試験についてちょっと、私は考えて――これは聞いた話ですが、合理性があるかないかという問題ですが、国家公務員の場合は、人事院において、試験において甲乙、いわゆる大学出ですが甲、乙の区別をして実は格づけをしておるのですが、これは要するに甲の場合は幹部コースというようなことをいって、昔の高文資格者というような考え方でつくったと、われわれ断定しておるのありますけれども、院の場合はわずか千名くらいの職員の中で、幹部コース、あるいは幹部コースでない――甲乙というものをつけてやることについては、私は運用上問題があると思う。国家公務員の場合もそうなんです。私は、内閣委員会で鋭くこれは言っておるのでありますけれども、そういう甲乙というような、いわゆる別の格づけをすることは、昔の官僚組織のいわゆる幹部養成といいますか、幹部中心の私は国家行政機関になってしまうと思うのです。私は、少なくとも国政、国家行政に携わる皆さん方は、幹部であろうが幹部でなかろうが、やはり忠実に公僕として働くのが使命だと思っております。したがって、幹部だけの中心の人事行政というものは、私は反対なんですが、それは一般論は別として、少なくとも衆参両院のような、こういうところでは、そういうものを取り入れるべきではないと、私はそういう考えを持っておるのですが、その点どういう考えですか。
  102. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) この人事院試験甲をとりました職員の採用につきましては、もう数年前から御意見を承っておりまして、ただいま山本先生がお述べになった御意見も、私としては十分拝聴するつもりでございますが、ただ、現段階におきましてまあはなはだ大きなことばを申し上げて恐縮ですが、日本の各・国・公・私立大学を出て、特に私が申し上げるのは、政治、経済、法律、そういった分野から出てきておる学生が、一体どこへ集まるのだ、こういうことを考えますと、やはり戦後非常な努力で打ち立てられました人事院がいま実施しておりまする試験、これは地域的にも九州から北海道まで、非常に公平な処置で試験の機会を与えておるのでございまして、これらと比較いたしまして、私のところで昭和二十二年以来実施してまいりました採用試験のごときは、私は自分でやって、こういうことを申すのは、はなはだいかがかと思いますが、まことに何と申しますか、非常に劣った試験しか実施できない実情でございました。私も一、二度大がかりな試験を実施いたしましたが、第一にこの試験を実施する試験委員に非常に難点があります。単に暗記的なものを聞いて一問一答するごときは、まことに愚でございまして、たとえ、その提供された問題が知らなくても、これを論理解釈をして弾力性のある答弁を引き出すことのできるような試験委員が、この国会も非常に人材も多いのでございまするが、私の知っている限り、一人か二人しかない。もうその人も去ってしまったわけでございます。こういう事情でございますが、その試験制度、その点についても難点がございますし、費用の点につきましても、単に一つの新聞に広告を出したくらいで、天下の学生を集めるわけにもまいりません。そういった異常な困難を伴いまして、実施はいたしてまいりましたが、所期の効果を達することができないで、今日に至っているわけでございまして、これらの点につきましては、人事院を向こうに回わしてほんとうにやるということになったら、国会全部でも足りないのじゃないかと思うのでございますが、そういう制度を打ち立てなければならんのじゃないかと、私ども考えておりますが、参議院だけに限りましても、こういう事情でございますので、特に知性を必要とする調査室とか、また、私の部局においても、一、二部そういうところがございます分野におきましては、どうしても議員の御諮問に答える有能な職員を採用しなければならない実情にあります。いましばらくこの人事院が実施しておる公務員試験の合格者を分けてもらう、こういうふうにきておるのでございまして、御趣旨は、山本先生おっしゃるとおり、私も自分の私見ではございますが、まことにそのとおりだと思うのでございます。今日の実情を御了察をお願いしたいと思います。
  103. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 戦時中、戦後しばらくの間の日本の学問水準の低下、これはまあ単に国会職員、あるいは国家公務員だけでなくて、一般民間の人材もそういうことで、これはあの当時、決して本人の責任でなくて、国のああいう戦争という罪悪のために、教育水準が落ちているように聞いていた。私はそれを言っているのじゃない。過去における採用のそういうことも言っておるのじゃないのです。私はこれはもう国会――衆参両院は、特にこれは早く改めなくちゃならぬと思うのです。国会運営を見ましても、なるほど人間ですから、知能の差がありますよ。これはもう人間としてやむを得ないのですが、私はその差というのは、決して一生つきまとうものではない。一ぺんの試験だけでこれが判定するものでないと思っておるのです。したがって、私は国会においても、いままでのやつは別として、将来あなたのいう人事院試験がいいというなら、人事院の試験に委託してもいいんですよ。甲乙の区別をつけるべきでないと、こういうのですよ。甲乙つけられるというのは、国家公務員もそうでありますけれども、これはもう職員といたしまして、役人といいますか、職員といたしましては、きわめて何といいますか、不愉快なものです。一ぺんの試験で、いわゆるお前は甲だ、お前は乙だということは一生それがつきまとうのですからね、職員の場合。したがって、それは将来少なくとも、ある機会に、国民の代表として論議をする国会の職員に対しては、これはもう衆参とも、衆議院の総長も来ておられまするが、特にこれは早く廃止する、すべてが甲であったらいいんです。すべてが甲のような資格を持つ人を入れてもらいたいと思うのですね。現実に私も国家公務員の実情なんか知っておりますけれども、あながち甲で出てきた人が、すべて非常に優秀だというわけではないのですよ。公務員の場合は、そのポストが仕事をしているのですよ、実際は。課長になれば、課長なら課長の仕事をするし、局長なら局長の仕事をしますよ。能力においては、私はそう差はない。格づけにおいてそう区別をすること自体が、私はいかんと思うのですが、その点について、そう長い答弁要りませんから、そういう私の考え方に、どう思っておられるか、両院の総長の見解だけ聞いておきたい。
  104. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) ただいまの山本先生の御意見には、私も賛成でございます。ただ、現実の問題といたしまして、私のほうも大学卒について採用試験をやっております。そのときに参ります候補者の中に、非常に残念ながらものごとを法律的に解決するという人間が非常に少ない。そういう人間をたくさんは私のほうでも必要はございませんけれども、法律的にものを考える人間というものも、やはりつくっておかなければならないということで、集める場合に、それならば、一応人事院の公務員試験を通っておる者の中に、そういう者がありはしないかと考えまして、その中からそういうものを何年間に、毎年私のほうはとるわけじゃございませんが、そういう者があればほしい、それをとる場合に、ほかの省に行きますと、甲に匹敵する人間をとる、衆議院にくると乙だというような考え方になると、とりたくても、とれないという、やむにやまれないことで、われわれもそれに心ならずも従っているというのが実情でございますが、いい職員が私のほうに入ってくれば、そういうふうなことをわれわれもいたしたくございません。そこで、私のほうは、そういう中から募集はいたしますが、それについてほんとうによくなければ採用いたしません。昨年もそういう採用試験はいたしましたけれども、採用いたしませんでした。で、一般の人だけを採用した、それから私のほうは、甲でとったからといって、それが将来幹部になるかということは考えておりません。甲でも乙でもいいものはどしどし私のほうは確保していく、こういう方針で進んでおります。
  105. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 御高見、十分承っております。いまも参議院は甲でとったから、それは文句なしに課長にし部長にする、そういうことは決していたしません。もし係長から課長補佐になれば、平等に処理いたしております。
  106. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これだけでも論議すれば二時間ぐらい論議は私は持っておりますが、ほかの問題がありますから、ただ考えていただきたいことは、これから労働力はますます日本はいわゆる逼迫してまいります。きょうも新聞に出ておったと思いますが、日本IBM会社ですか、パーソナル・データ・システムということで人事管理するということです。ほかの三菱でもやっておりますが、単に学核の成績がいいから、どうとかじゃなくて、いわゆる雇ったところで、その仕事が適正にでき得るような訓練ですね、再教育といいますか、そういうものが私は必要になってくると思うのです。一般公務員の場合は、いま久保田総長言われましたが、法律解釈その他言われますけれども、必ず、東大を出てきた方について、私はいろいろと自分はこういうこと好きですから聞きますが、学校教育というものは、きわめて一つの基準的なものであって、応用というものは、その後の問題です。したがって、いまの試験制度そのものについては、私、いろいろ異議があります。人事院に対してもいろいろ意見を申しておりますが、現在の場合はそれ以外にないと思う。しかし、今日はもうそういう時代でないのです。各民間の会社はどういうぐあいに労働力を獲得しようかと非常に苦労しておりますね、金をかけて。したがって、院の場合は世帯が少ないのでありますから、むしろそういう点を考えて、できるだけ早く甲乙というものの差別を撤廃するということは、みなが同様な才能を持つということでありますから、そういうことをひとつ今後善処してもらいたいと思います。  そこで、ここで大蔵省に一ぺん聞いておきたいと思います。大蔵省予算編成上、国会からの要求があっても、いろいろ言われますが、これは最後に言おうと思ったのですが、ほかの関係全部あります。ありますが、国会というところは、そういういろいろ、これは問題のあるところでありまするが、大蔵省として院からの要求について、たとえば、アンバランスで二千二百万円の問題が具体的に出ておりまするが、こういう点について、私は、ただいままでの院の実情というものを理解して、要求をそのまま聞いてもらいたいと思うのですが、大蔵省当局はどうですか。
  107. 渥美謙二

    説明員(渥美謙二君) 国会予算につきましては、御承知のように、財政法の規定に基づきまして私ども処理しているわけでございます。その趣旨というのは、それぞれの特別機関として十分その実情も尊重し調整をはかっていく、こういうことであろうかと考えております。
  108. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ私は、国会だから、大蔵省よく聞いておいてください。大蔵大臣によく言うのですが、国会だから特権的にどうこうというような、そういうことは言いません。しかし、いま言ったように、そういう国会は特殊な事情があるということを認識して、おそらく来年度予算に院のほうから――これは両院でありますけれども、要求があると思うのですが、その点は十分考えてもらいたいと思うのですが、いいですか。
  109. 渥美謙二

    説明員(渥美謙二君) 事務局のほうから御要求が出ますれば、その要求につきまして十分検討をさせていただきたいということでございます。
  110. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 検討するという意味がちょっと気にかかるね。まあ検討してよければやってやる、悪ければ、自分の思うようにはならなかったらやらぬ、こういうことですか。私の質問はきついかな。
  111. 渥美謙二

    説明員(渥美謙二君) まあ十分検討させていただきたいということでございます。
  112. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたを信頼しておきます。まああなた予算編成上の全部責任といいますか、そういう権限はないのだから、それ以上言えないと思いますが、先ほどから言いましたように、いま第(一)表だけですが、それだけのいろいろ問題がありますので、十分ひとつ善意の検討をしてもらいたいと思う。  それから、たくさんありますから次に移りますが、次は、行(二)の問題です。これはまた院の当局は頭の痛いことと思いますが、これも昨年ここで約一時間ほどやっておるのですがね。ある程度この点については、若干両院当局、参議院の当局も非常にやってもらったようでありますが、まだ非常に問題がある。今回何か三十一名を行(二)のほうから行(一)に入れてやるということを大蔵省と合議ができたようでありますが、三十一名というと、まだ百五十何名残っておるのですが、五年くらいないと、これが解決できないというわけです。これは何とか少し考えられないですか。
  113. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 行(二)の職員の行(一)への移行につきましては、非常な御配慮を賜っておりますが、去年は本院におきましては三十、法制局一、三十一を認められまして、これを四十一年度といたしましては実施したわけでございまして、本年の予算の時期におきましても、また大蔵省に御配慮いただきまして、前年同様の数字をちょうだいいたしたわけでございます。数につきましては、ただいまお示しのとおり、もっとよけいにちょうだいいたしたいのでございまするが、これらお認め願った数字の以降の点につきましても、いろいろな配慮が要るわけでございまして、特に私のほうで申しますと、自動車運転手、電話交換手、保手、用員と大体四つの職種がありますのですが、これらの点につきましても、重点的に実施いたせばよろしいのでございますが、この生い立ちも非常に何と申しますか、人情というか人道というか、そういう問題からもきておるわけでございまして、用員等につきましても、これを実施いたしておるわけでございます。いろいろな名称を付しまして実施いたしておるわけでございまするが、私たちとしては将来近い機会において、全面的に改廃をお願い申し上げたい気持ちではおりまするが、何と申しましても国家の制度として現存しておるわけでございまして、そこらが解決しなければ、あるいは参議院だけが御陳情申し上げても、お認め願えないところがあるのじゃないかと想像はいたしておりますが、国会の特殊性に基づきまして、大蔵省の特段の御配慮を二回にわたって賜わりましたので、本年度もまたお願い申し上げるつもりでおります。
  114. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま総長の言われるのは、われわれも、あなた自身非常に苦労していることはわかる。国家公務員の給与を制定するときに行(二)というものが出て、相当これは内閣委員会で論議したことなんです。これは大蔵当局に聞いてもらいたいと思うことなんですが、いま一番行(二)で問題あるのは、当院の自動車を預る人です。自動車の運転手の方ですが、実はこれはもう私の経験の歴史から見ても長いのでありますが、そういうことは時間がありませんから言いませんが、自動車運転手の方を行(二)にするということは、いろいろな限界も、問題もあるのです。一般公務員の場合も行(二)にしておることは事実であります。しかしそれは人事院ができて、ああいう給与表をつくったということから、どちらに所属さすかという論議があったのでありますが、われわれの考えとしては、もちろん行(二)をつくるということの趣旨はわかるのです。というのは、行(二)の方々については中年から入る方がある。そういう方々を見、また技術労務員が多いのでありますから、そういう方々については、初任給というものを行(一)に考えるということは問題があるということで、むしろ好意に考えてやろうじゃないかということで行(二)で出発したことはございます。しかし院のような一般の事務職員と同じような形で用事をしておる方、仕事をしておる方、いわゆるもっと具体的に申しますと、事務当局、あるいはまた国会議員というものを乗せて、いろいろサービスをしてもらう、こういう方々を一般の行(二)技術労務者として考えるのには若干の無理があります。したがって、私は少なくとも、そういう院に所属する乗用車の運転をする人については行(一)でいいのじゃないか、こういう私は思想を持っておるのであります。そういう理論から、院では徐々にこれを行(一)に上げるということで、昨年も三十一名、本年も三十一名、衆議院もそれにならって比例的に上げておりますが、これは、ぜひひとつ、院の場合には行(一)にすべてをしてもらいたい、こういう考え方でありまするが、院の当局はもう私に賛成をしておるのでございますが、大蔵当局はどういうお考えでありますか。大蔵当局の意見を聞いておきたい。
  115. 渥美謙二

    説明員(渥美謙二君) おそれ入りますけれども、担当が給与課長なものでございますから、いま至急連絡をいたします。
  116. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 しかしこれは給与課長よりも、むしろ予算をあずかるあなたのほうに聞いておきたいのですよ。一つの職制といいますか、給与表の問題ではなくして、院のほうではそういう方向で進むということは、この前の国会でも言われまして、大蔵省の皆さん方、予算編成途上で問題になっておるのでありますから、公務員の給与体系ということの問題以外に、予算を担当するあなたの意見を聞きたい。
  117. 渥美謙二

    説明員(渥美謙二君) 予算を計上するにあたりまして、その前提といたしまして、それがどういうふうなものであるかということは、あわせていろいろ検討さしていただき、それを積み上げるという必要があるわけでございます。で、まあその場合に、いま問題にされております事項、まあ給与体系と申しますか、国会職員の方々についてどういう体系をとることが適当であろうかという問題ではないかと思うのであります。私どもの内部的の事情で恐縮なんでございますが、その辺のところは、給与課長において処理しておるということなのでございます。
  118. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃあとから来たらそれに聞きますけれども、院当局に聞きますがね。本院三十一名、衆議院五十名ですか、これはどうも少ないと思うのですがね。私は思うのに、ああいう経過がありますから、少なくとも三年くらいで解消できるという方向でこれをやってもらえませんか。これは相談でありますがね、理屈は抜きに。
  119. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 私は、これはもう三年といわず、もっと早く実現いたしたいという気持ちをもって進んできております。ただ、まあ相手もありますのと、それからこちらの受け入れ体制の問題も少しございまして、この問題とも見計らっていく関係がございますので、あるいは三年ででき上がるか、あるいはそれより早くでき上がるか、ちょっといま私は見通しがはっきりいたしません。ただし、すみやかにやりたいという努力は一そうやってまいります。
  120. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 参議院総長どうですか。
  121. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) この点につきましては、衆議院とともどもに努力をいたします。
  122. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは何ですか、本年すでに予算が出ておりますことで、大体三十一名ないし三十二、三名ということで出ておりますが、これは本年度はこれを動かすことはもうできませんか。
  123. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) ちょうだいいたしました三十――法制局を入れて三十一につきましては、これをこの七月に昇給昇格の処置をいたすのがございますので、そのときに実施しまして、この三十一以上には出ないわけでございます。
  124. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはいま衆議院の久保田総長が言われましたように、これは早急にひとつ、いまのような状態であれば、参議院の場合は五年かかります。百五十何名おると聞いておりますからね。したがって、できるだけこれはもう早く解消するということを約束できるのですか。できるだけ早くということは、少なくとも、いまのスピードよりも早いということが前提なんですね、その点どうですか。
  125. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) お示しのとおりでございまして、十分努力いたします。
  126. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは当然私は、努力ということは、これは非常にいいことばでありまして、できなかった場合に、努力したけれども、それはできなかったという一つの申しわけになりますね。だからそういうことではないでしょうね。
  127. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 大いに努力すると申し上げましたが、これも相手のあることでございまして、ただいまの久保田総長の答弁と同じことでありまして、せっかく実現に努力するつもりでございます。
  128. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはぼくが言うのは、行(一)に行った人と行(一)に行かない人とのアンバラが非常に大きくついてくるんですね。したがって、私は、何も行(一)だから位が上がったというような感覚を持っている人は一人もありません。やはりいま物価が上がって困るから、できるだけある程度有利なところに行きたいというのは人情ですからね。しかも、何ですよ、これは衆議院のほうでの質問に答えて、当局が答弁されたという資料があるのですが、参議院の場合、これを全部一度にやっても、年間一千万円も財源はふえない、こういうことを聞いておるんですが、その点の調査はされましたか。
  129. 植木正張

    ○参事(植木正張君) これは、今年度予算要求につきまして計算いたしましたものでありますがかりに行(二)を全員行(一)に移行いたしますその場合には、昇格とか、そういうことはございませんので、大体同等号に移す、こういうことになります。ぴったりした等級がない場合には一つ上の等級にいくわけでございます。トータルいたしますと、大体諸手当も含めまして、二百七十九万五千円でございます。
  130. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵省の主計官の方、聞いておられましたように、参議院では全部行(一)にかえても三百万円も要らない。これは年ですよ、一カ月じゃないですよ。そういう状態ですから、今年はもう先ほど総長言われましたように、どうしてもいまさら予算を変えるわけにいかないから、三十一名ということはもう決定しておるということでありまするが、来年度は、もうそういうことでありますから、十分この点を考慮してもらいたいと思うんですが、どうですか。
  131. 渥美謙二

    説明員(渥美謙二君) 金額的には、いま事務局のほうからお話があったようなことかと思いますけれども、ただ、その金額の高だけの問題でもないかと思いますし、また昇給昇格等の間差と申しますか、それが行(一)、行(二)、いろいろ違いもある。したがって、本年度切りかえによってそれだけの金額であるということが、将来ともそれくらいの負担であるかどうかということには若干問題があるかと思います。いずれにいたしましても、金額は些少でありましょうけれども、そのあり方といたしましては、またいろいろ検討しなければならない点があるのではないかというふうに考えております。
  132. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 金額でない、制度の問題ということは、これはわれわれとしても一応わかります。全然わからずに発言してないのですよ。  しかし、国会の場合は、御存じのように、同じ場所で同じ仕事をしておる人が、片一方は行(一)、片一方は行(二)ということで、それを差別されているという感じが強いです。しかも、やっている仕事はみな同じことであります。若干名行(一)の人は、これは運用上、議長、副議長あるいは常任委員長というものの担当になっているが、どういう理由か、そういう人をそういう職につけるという慣習になるのですね。そういうところは、非常に私は問題があると思うんです。行(一)というものを境にして、行(一)というものを、一つの手法として、受け持つ仕事までも区別されているという状態が出てくるのですね、必然的に。こういう点を私は、院の運営上問題があるので取り上げているわけです。一般の行政省庁においては、これはあまりないと思うんです。しかし、一般行政省庁は私はいいと言っておらぬ。私の議論はそうでないのですけれども、特に本日国会の問題を取り上げておる場合には、そういう問題が顕著に出てきておるので、特にこの点は来年度の場合ぜひひとつ含めて考えてもらいたい。できれば本年、これは補正のときにでも考えていただきたいと思うんです。この点は、特に大蔵当局にその事情を十分私は知ってもらいたい。一般論だけでいかない事情があるということを十分考えてもらいたいと思うんですが、もう一回、その点どうですか。
  133. 渥美謙二

    説明員(渥美謙二君) おそれいりますが、給与課長が参りましてから答弁させていただくことが適当かと思います。
  134. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 給与課長が来られなければわからぬということでは困りますな。それなら、給与課長最後に総括して聞きますが、次に議警職について一つお伺いしておきたい。  これを私、昨年実はこの分科会でだいぶ取り上げた問題でありますが、一番問題になった前歴加算の問題について、総長、どう考えておりますか。
  135. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 昨年の分科会でも御議論いただきましたのでございまするが、このわが参議院の議院警察職に現在勤務いたしておる職員、特に終戦後採用の方がもちろん残っておるわけでありまして、前歴等も非常に豊富な方々があるわけでありまして、非常に問題に相なっておるわけでございます。議院警察職の諸君の前歴につきましては、一般行政官庁の公安職が、人事院規則によって実施されておる範囲につきましては、当然私のところでも、これを遅滞なく実施して今日に至っておるのでございまして、また特に事務総長の、この行政一般と均衡を保って実施する裁量権のある範囲につきましては、できますることは、大いに実施する方針で、人事課とも常に相談をいたしておるところでございます。何分警察職につきましては、厳格なる前歴加算は、禁止と申しますか、認めておられない現状でございまして、異種の職種についてももちろんでありますが、同種の職種につきましても、兵役等については非常に問題があるわけでありますが、これらの点につきましては、規定の許す限り、あるいは運用の許す限り、有利に運用するように人事課に申しておるわけでございまするが、とりわけ、わが参議院の警務の職員につきましては、先ほど申し上げましたとおり、前歴者が多いのでございまするが、私は、これはちょっと簡単には実施できないのじゃないかと思うわけでございまして、いろいろ苦慮いたしておりますが、厳格なる意味合いにおいてはアンバラという範疇には、あるいは入らないのじゃないかと、こう思いますが、幸い人事課において、前歴調査あるいは実情調査、実態調査と申しますか、そういった機会をつくっておるのでございまするから、これらの点につきましては、一応実態調査して、現行規定の範囲において、またその運用の範囲におきまして、十分研究をいたす、こう申し上げるいま段階でございますが、何分この点につきましては、国会職員共通の問題でございまして、衆議院とも十分御連絡を申し上げまして、いろいろ考察を行なった上で、できれば善処いたしたいと、こういうことでございます。
  136. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 衆議院の総長、どうですか。
  137. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 前歴加算の問題は、昨年も山本先生から御指示がございましたように、私どもでは、前歴のうち、特に問題がございましたのは、臨時衛士の期間というものでございましたが、これは仰せのとおり、昨年七月、全部解決いたしました。なお、その他の経歴という問題につきましても、検討いたしましたが、私のほうにはそれに該当する者がいないように――と申しますのは、ほとんどが、全部と言ってもよろしいが、臨時衛士から上がってまいります。それから、あるいは新規の採用が学校卒でございます。そういう点がございまするので、ひとつ……。
  138. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 じゃ、問題は特に参議院にしぼられてきたのですが、宮坂総長、ぼくは、あなたの考え方は、私は全く反対、反対というよりも納得できない。というのは、あなたの言われるところを総合すると、公安職というものに準じておるから前歴は加算されない、禁止されるとかいうような表現をされております。私は、そうではない、なるほど、議院警察職給料表は公安職をモデルにとったことは事実です。しかし、完全にそのとおりではない。それと同時に、議警職については、院の実情から見ると、公安職、いわゆる警察ですね、警察官とは別の要するに要素に立っておるのですね。ただ、それに似通った仕事だということで公安職をとったにすぎない。私は、この議院警察職給料表をつくったときに論議に加わっておりませんから言いませんが、やはりこの議警職、院の警察をあずかる方々の実態というものは、私はそうでないと思う。職務の権限も違いますし、また、そういうことから、採用するときにそういうものを考えて、いままでのような状態になっておると思う。将来はどうされるかは別として。したがって、そういうものを、一つのものさし、あるいはそのものに入らないものを、そこに無理に入れようと思っているところに運用上無理があるのです。しかも、いま聞きますところによると、前歴加算によって大きく動くというのはわずかの人です。しかも年齢のたった人なんです。その方々はあの終戦直後に就職された方々で、院の要請に応じてその仕事に携わった人が多いのですね。そういう人を、公安職がこうであるから、これの規定によって律するのだということについては、あまりの、私は無能とは言いませんけれども、しゃくし定木な考え方だと思うのです。したがって、私は、この前あなたが答弁されたやつを持っておりますけれども、極力これについて努力し――そのときも努力ということばが出ておったと思いますが、やりましょう、考えますということだったのですが、いま聞きますと、前よりも非常に後退して、どうしてもそれはできないような印象を受けたんですが、それじゃ、われわれ承知できない。実態はそうでないのですか。
  139. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) この調査がだんだん人事課において行なわれておる段階におきまして、私ができるとか、できないとか申し上げるのはいかがかと思いますが、特に参議院の特殊事情がございますので、それらの点を十分考慮いたしまして、今度の実態調査、また、それに基づいて行なわれます調整、そういった点について、これも繰り入れまして、研究し、善処いたしたいと思うわけであります。
  140. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはぜひ前歴加算を、普通国家公務員の一般職に準じてやってやらぬと、これは気の毒なという同情的なことでなくて、給与体系からしても無理ですよ。公安職に準ずるということで議警職をつくられたときに、これはわれわれ論議に参加しておけば許さなかったのでありますけれども、非常に院の議警の諸君の方々については不利な形になっております。しかも、議警職は院内における警察執行の任務を持っておるのでありますから、そういう方々を不満な立場に置いておくことは、私は非常に院の運営上問題があると思います。したがって、公安職の場合は、あれは実態そのものは、いま久保田総長言われたように、警察官はそういうことはないのです。前歴加算ということを考えずに一つのあれをつくったんです、警察官については。それを持ってきて、実情に合わない運用をすると、それは問題起こるのは当然ですよ。そこが私は法律の運用者の能力だと言うのですね。それが非常に不法である、違法であるということであれば別です。もし、公安職そのものでいかなければならぬというなら、公安職そのものを出すべきですよ。議警職給料表をつくらんで、公安職でいくべきだ、そういうなら。行(一)、行(二)は問題ありますけれども、行(一)、行(二)はほとんど一般公務員のやつを持ってきておりますね。したがって、私はこの点は院の特異性というものを考えれば、ある程度の前歴加算をやってやらなくちゃあいかぬ。それと同時にアンバラを是正してやらなければいかぬでしょう。  あなた御承知だから、私は時間がないから、アンバラの実情を歴史的に言わないけれども、相当大きなアンバラがあります、採用年度によって。これは先ほど申し上げた行(一)と同様であります。私は、参議院の場合、事務当局にひとつ苦言を呈したいのでありますけれども、院の運営の基本は人事行政ですよ。これは国家公務員、そのとおりです。人事行政が乱れるということは言いませんけれども、そういう不合理があると、院の運営そのものに非常に私は無理が出てくると思う。私は冒頭に言ったように、そういう立場に立って言っているのであります。国家公務員の給与表については、われわれは相当論議をいたしますけれども、一つの筋を通している、あれは。したがって、われわれは、こういうことで全般にいいか悪いかという論議をしているのですけれども、参議院の場合は、その点が実情と適応する給料表とが一致していない。したがって、将来展望として、一致させるようにするが、いまの措置として、前歴加算をし、あるいは議警職のアンバラを是正しなければ、私は十分な院の警察権の執行はできないと思うのですが、その点、総長、どう思いますか。
  141. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 参議院の過去の実情に基づく特殊事情でございますので、これが解消につきましては、特段の配慮をいたしたいと思います。なお、職場等の均衡の問題もございますので、それらを勘案いたしまして善処いたします。
  142. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは総長ね、こういうかみしも着た分科会ですから、私はきついことを言いませんけれども、去年も私は時間をかけてお話ししたと思いますね。ところが、実態調査できているかどうか知らぬが、まだ十分すんでいない。したがって、これも私は、来年度は一つの前進の見えた姿が出るということを約束できますか。
  143. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 一般行政官庁の人事院方式では、私のほうにも適用するのが一人ぐらいの程度でございますが、参議院の特殊事情でありまして、同種から兵役に至るまで相当の数の前歴者がございますが、これは参議院の特徴でございますので、これらを十分審査いたしまして、善処いたしたいと思っております。
  144. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 努力と善処と、どう違うか知りませんが、一般行政職は努力ということで、だいぶ前進するスピードを上がるということであったのですが、これも私は最後で集約いたしますが、単に善処するということではなくて、やはり考えてもらいたいと思いますが、これだけ言って、あとはまた次の休憩後にやります。
  145. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) それでは、午後一時四十分に再開することといたしまして、暫時休憩をいたします。    午後一時八分休憩      ―――――・―――――    午後一時五十分開会
  146. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 予算委員会第一分科会を開会いたします。  休憩前に引き続き、昭和四十二年度予算中、国会所管を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  147. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 休憩前にちょっとただすのが十分でなかったんですが、参議院事務総長に特に要請したいんですが、議警職については、いわゆる前歴加算ということについて問題があることはよく承知してるんです。しかし、いまの状態では、実態から見ると、前歴加算の是正をしなければ、非常に不合理な点がありますが、この点について私の意見を言いますから、それに対する考え方を申し述べてもらいたいと思うんですが、一応、前歴加算は、一般職に準じて同種、類以あるいはその他ということで出して、その上でいまやられておるところのアンバラ是正に乗せて、この点を、いわゆるその中に前歴加算を加味するということで、ぜひ実行してもらいたいと思うんですが、その点どうですか。
  148. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 山本先生のおっしゃるとおりの線でやっていきたいと考えます。
  149. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、これは早急にひとつやっていただきたいと思います。あとの総体的な問題はまたあとで申し上げますが、時間の関係もございますので、先を急いで、今度は速記職の問題についてちょっと尋ねてみたいと思いますが、御存じのこの速記職は、これは民間あるいは他の産業を通じて、国会特有のいわゆる給料表であります。他の会社なり国家公務員にない職種でありますが、したがって、これについても、一応現在の速記職の給料表は合理的に考えられておるようでありますが、私から見ると、やはり問題があると思うんです。時間の関係で、きょうは重点的なものだけ取り上げますが、問題は、速記職の三等、二等、一等級というものが、一つ問題として出てきておると思うんです。現在、運用上、聞きますと、一等級がどうしてもこの給料表で運用できないので、速記監督ですか――の方については、若干、行政職(一)表を準用して運用されておると思うんですが、それは私はやむを得ないと思っておるんですが、これは現在の運用だけでは、どうしてもまた行き詰まっておると思いますが、これについて院の当局は、どう考えておられるか。まず第一問はそれをお聞きしたいと思います。
  150. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) この速記監督のままで行(一)の二等級をしておる者が若干おるわけでございますが、これは事務系統のほうに暫定でとるということが実施されるようになりましたとにらみ合わせまして、速記職のほうに行(一)の二等級の表を使ったと、こういう形で進んできておるわけでございます。で、これを速記職の俸給表に充当するという問題になりますと、形の上で明らかにこの課長の号俸を制度として認めた形になりますために、一般職この関連が問題になってまいりますので、これはいずれ速記職の給料表というものは改めなきゃならぬと思いますが、そのときに同時に解決すべき問題ではなかろうかと、このようにいま考えております。
  151. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 参議院側、同じ意見ですか。
  152. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 参議院におきましても同様――ただいま八名行(一)二等に暫定的に格づけされております。同様であります。
  153. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 冒頭に申し出したように速記職の方々は、国会以外に、実はこう言うと非常に表現は悪うございますけれども、転職してやるということはきわめて狭い職種なんです。したがって、給料表運用について、一等だけはそういう運用で行政職(一)表でやっておられますが、これは速記職の方々がだんだんと年功が古くなるし、それに伴って技能が進んでおるということが認められておるのですが、現在の状態では、四等級までは一応試験もやって進めますけれども、三等級以上というものは、いわゆる主任とか、あるいは課長補佐、課長、そういう一つの待遇といいますか、処遇で上がっていくけれども、あとが実はつかえてきてしまっておるのですね。一般行政職の場合には、あるいは転勤とか、その他のこともできると思うのです。しかし、一般職の場合も、相当六等級にたまっております。特に速記職の方については、自分の意思でどこへ行くということもできない。国会という限られた職場で一生送らなくちゃならぬ、こういう状態でありますので、できればいまの運用――一等職を八名ないし半分ぐらいやっておられますけれども、これを行(一)のほうに進む道を開いて、そのあとに順々に二等級の人がそれだけの資格――年功がたてば、二等級から一等級、三等級から二等級というような運用をしてやらなければ、私は速記職の方々の将来の希望というものは薄くなると思うのですが、そういうようなことはどういうふうに考えられますか。
  154. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) いま山本先生のおっしゃいましたように、速記職の上のほうの事情あるいは将来の希望というものは、私も同感に思います。ただ、その場合に、その処遇の方法でございますが、従来、ずっと速記職の表は国会独自のものでございますけれども、常に内部的な問題として、一般職あるいは警務というものとのバランスというものは、これは想像以上に厳格なものがありまして、これを打ち破るというのがなかなか容易なことではなかったのです。そういうふうな点と内部のバランスという問題も含めまして、現在のところ考えておりますのは、したがって、行(一)の表を使っている数というものをそのままの姿で増すということと同時に、速記職給料表の一等級のところで足踏みをし、あるいは間差がダウンとか、あるいは幅が少ないという問題をここで解決していこう、こういうふうな考え方で一等級のところの間差を少なくして、実際に行(一)の表を適用しなくても、それに近い線を見出そうというようなこと、こういうふうなことで速記職の表の改定を現にいまやっておる最中でございます。根本的な問題につきましては、まだそれをはっきりこうする、どうするというわけにきまっておりません。そういう状態でございます。
  155. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 速記職という給料表の特殊性から、そういう一つの方法もあります。これは職階給というけれども、特殊な職階給ですから、そういう方法もありますが、現在では、一等級では行政職(一)表を運用しなければ、九万八千六百円で天があるんですから、それでは私は今後希望がないと思うのです。したがって、いま言われましたように、給料表の足を伸ばすというだけでなくして、四等級で相当年功がたち、技術も進んでおるという資格のある人については、やはり三等級、三等級の人は二等級という、現在の級別定数にこだわらずに考えてやらなくちゃならぬと思うのですが、その点どうなんですか。
  156. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) その点の級別定数の問題につきましても、確かに上げなければなりませんが、ただ速記のほうの関係を申しますと、監督になりますと、実は現業から離れてまいります。その数のバランスというものもありますので、一挙に上のほうの定数だけを上げるということだけでなく、やはり待遇、給与の関係を伸ばしていくというふうなことも同時に考えなければならぬ。もちろん上のほうに上がる昇格の問題も考えなければなりませんが、同時に同じ級におりますところの点で、先を伸ばしていくということと、両様で解決するより方法がないと思います。このようにいま考えております。
  157. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 一等級の方は、大体監督ということで運用されておりますね。二等、三等はどういう運用をされておるのですか。どういう資格ということですか。
  158. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 二等級は副監督ということでございます。三等級は主任速記士ということでございます。ただいま申しおくれましたが、ことしは、したがって二等級、三等級のそういった間差ダウンのところに焦点を当てまして、同時に三等級では一号つけ加えた、伸ばしたというような、それと同時に最初の初号を一号削りまして、そういうふうな形でこの辺の解決をしていこう、これで全部解決したというわけではございませんが、暫定的なことしの解決はこういうことで解決したわけでございます。
  159. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 主任、それから副監督、監督という一つの職階で一、二、三を運用されておるわけですが、こういうやはり職階給というものは、私は基本的に賛成しておらないのですが、やはり三等級は三等級だけで足を伸ばす、上を切って下を伸ばす、二等級は二等級でそうするということでありますが、そういう職階的な考え方でなくて、ある程度四等から三等へ、三等から二等へという方向に進める道もひとつ考えなくちゃならぬかと思うのですがね。全然職階給的な等級がなければ私は言わないのですけれども、ある以上は、やはり四等より三等のほうがいいんだという気持ちがある。月給だけの問題だけではなくて、そういう点について私は具体的に、これは根本的の改定は相当むずかしいと思う。なかなかそう簡単に、国会特有の給料表でありますから、いかないと思うのですが、一応いまの職としては、現在監督からある数の方が行(一)のほうにいっておられますが、その数をふやすと同時に、二等級の人を、副監督を監督のランクの下のほうに入れて、一等級という運用ができないものかどうか、この点ひとつ聞いておきたい。
  160. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) これは、先ほども申しましたように、二等級から一等級にしますと、これは現在はいわゆる速記監督ということになっております。私のほうは、速記職には課長補佐とか係長というものはとっておりませんから、この監督というところに服務しまして、そこで責任を持って監督がどの委員会担当とかいうようなことになりますので、したがって、その現業の部分が非常に減ってまいるわけです。それの数が、一体どの程度の数がいいのかという問題は、これは速記の内部の仕事の量とも関係いたします。そこで一がいに、ただ現在のままで給与を上げるためだけで、一等級というものを持っていくだけでは、上がった人は、それで満足しないわけなんです。そこで、自分はやはりそこでのほかの監督と同じような職務の内容を持ちたい。こういうようなことにもなりますので、この数をどの程度にするかという問題は、実は非常にむずかしい点がございますので、いまここで直ちにそうしたらどうだということにつきまして、ちょっと私答弁いたしかねます。
  161. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま、まあ一つの運用として、監督の職にある人が、行(一)のほうに運用していますね、半数ですか、上位の人からやっていると思いますが、それを、できれば現在監督にある人は、一つの監督という、一般行政職ではないけれども、そういう処遇での監督に持っていって、あなたのほうが言われると、一等級は監督だと言われますけれども、一等級を副監督ということの考え方で表をつくるということもできる。たとえば一般公務員では、前は行政職の(一)表の一等級であったのを、指定職としてはずしました。それで、一般行政職では、局長が一等級になり、課長級が二等級になるという措置をとったわけでありますから、やはりその一つの希望を持たすためにも、私は運用と申しますか、また、給料表の改正もできると思うのですがね。だから、私の言うように、一般行政職の指定職というような意味で、これをまあ行(一)のほうに移して、そのかわり、いまの副監督を一等級という形にやるという方法もあるのですが、これは参考になりませんか。
  162. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 行(一)のほうでは、いま山本先生のおっしゃった形というのは、暫定ということで取り扱われておるわけでございます。ところが、速記のほうは、一応行(一)を使います場合には、いわゆる行(一)の暫定ということでなくて、そのところに私のほうで、現在十一名でございますけれども、いっている。これを行政職(一)に移すとなりますと、その暫定を食うのか、それとも、課長のランクと同じにするのかという問題ができてまいります。それで、もしそちらで持ってまいりますれば、暫定という形より、私のほうの現在の事情では、暫定のほうよりはかなかろうと思います。そこで、暫定のままで行(一)のほうに置いておくか、あるいは現在のまま放置しておくのか、どっちがいいかという問題になりますと、いまのところ私は、そちらに持っていくよりも、いかないで、ここで行(一)のところの数をある程度ふやすということのほうがいいのではないかと、こういうふうに考えております。
  163. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、院の当局の考えでは、一等級の級別定数をふやすということですか、それとも、給料表を上げるということを言っておられるのですか、どっちですか。
  164. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 給料表を上げるのではなくて、現在の級別定数の、速記の中にあります行(一)の適用者の数を、級別定数でふやしていくという考え方でございます。
  165. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、そこのところを明らかにしておかなきゃいかんのですが、そうすると、現在の行(一)の運用を受けておる人はどうなるのですか、いま言われたの、ちょっと。
  166. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 現在受けております人は、すでに課長の給与表を使っておるわけであります。今度それを上を使うという場合には、部長の給与表というものを使う形になってまいります。そこまで待遇をするかどうかの問題につきましてに、この中から副部長をつくるとか、あるいはそういった形のもので現在はやっておりますが、その数をふやすということになります。それはいまのところ、私のほうの部内の事情では、ちょっと困難だと思います。そこで現在一等級の人の救済ということよりも、二等級の人の救済という意味において、一等級の定数を、行(一)適用者の定数をふやすように努力していく、これより現在のところはないのじゃないか、こういうように思います。
  167. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 行(一)を運用しているやつをふやすと、こう言われるのでしょう。そうすると、その行(一)のあいたところに速二人を持っていくという意味じゃないのですか、定数を。
  168. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) したがって、これは速記の中の定数に現在してございますから、したがって、行(一)の定数をふやせば、したがって、速記の一等級のところの定数は一つあくわけですから、したがってその分は二等級から一等級、三等級から二等級というふうに上がっていく、こういうことでございます。
  169. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 現在そういう運用をしてないですね。行(一)の場合は、あいたら、定数は、やはり行(一)にいっても、級別定数は速一の定数として置いてある、二等級から上がるという道は現在ないんじゃないですか。ありますか、監督にならずですよ、二等級。
  170. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 行(一)にしても、それから速記の一等、これはともに速記の監督でございます。一般事務じゃなくて、速記監督ということでやっておりますから、その点はしたがって、二等級から直接行(一)に行くということはございませんけれども、二等級から一等級に、一等級から行(一)に行く、こういうことでやっております。
  171. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いや、ぼくの言うのは、監督には一つの定数があるでしょう。だから、副監督の人が――二等級は副監督でしょう。一等級の人が行(一)のほうに八名なら八名行ったら、あと八名あきますわね、行(一)の級別定数が。そこに、二等級に現在おる人を監督にせずに副監督としてそこに運用上持っていけるようなことができるかどうか。
  172. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) それは副監督のままでは行けない仕組みにいまなっておるのでございます、監督にしなけば。
  173. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ監督の数がふえない限りは、一等級があいても、一等級のほうがあいて、行(一)に八人移したけれども、それは依然として速一におるという定数の中に入って、副監督の二等級の人は、そのあいた一等級に行けないという結果になるのじゃないですか。
  174. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) いや、それはそういう二等級の人が一等級になるとか、一等級の人がなった場合に、行(一)のほうに行ったというときに、こちらの監督の定数をふやさなければ、先生のおっしゃるとおり、二等級から監督にはなれないのでございます。そこで、そういうときには、そこを監督をふやして、そうする以外に道はない、こういうふうに思います。
  175. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういうことで、わかったのです。  それで参議院もそういう運用は準じてもらえますか。
  176. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) ただいまのとおり、参議院もいま八名行政職(一)の課長の二等級に行っておりますが、完全な速記給料表の待遇、一等が完備したりっぱなものがつくられるまでは、この八名をふやしていきたいと思っております。その場合、八名がふえても、一等級の速記監督という定数がふえない限り二等から一等にはなれない、こういうことでございます。
  177. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いや、それはわかる。それはわかるのだが、衆議院の久保田総長は、言いかえれば、もう手取り早く言えば、現在の定数が十四名かりに監督がおれば、八名行(一)に行ったら、あと八名一等職はあくから、監督の八名のあとに、監督ということで二等級から持っていくという運用をやるということを言っておられるのですが、その点はどうなんですか。
  178. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) ちょっと山本先生、私の答弁がまずくてあれだと思いますが、私が申し上げましたのは、行(一)に持っていったからといって、これは一等級は速記監督でございますから、速記監督の定数というものはふえない。そこで、そういう場合に一等を行(一)に持っていった場合に、二等の人を一等に上げるためには、速記監督の数を同時にふやさなければだめだ、こういうことでございますので……。
  179. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 、だから、ふやしてもらったらいいのでしょう。それで解決がつく。  それで参議院もそう同じかと、こういうことです。
  180. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) だんだん下から上がってくる数が大きくなれば、一等級の定数をふやしていただく、かつまた現段階におきましては、行(一)のほうの二等級に移行するこの八名を、これもふやしていく、こういう処遇でいきたいと思います。
  181. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体わかりましたが、それはいつ、本年度実現するのですか、来年度ですか、その点。
  182. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。  今年は監督というのが二名増員になっております。
  183. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 参議院のほうはどうですか。
  184. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 参議院も同様でございます。
  185. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、順次そういう方向で、上がつかえると、速記職という特殊な職種であるがために、そういう行(一)に移行する、また一等級から行(一)に移行する、また、あいたところに監督職をふやして、二等級から一等級に持っていく、こういう措置を今後引き続いてやるということですね。本年はただし二名だけやった、衆議院は二名、参議院は何名ですか。
  186. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 同様でございます。
  187. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、順次そういう方向で速記職についてやってもらいたいと思いますが、時間がだいぶ迫ってきましたが、一応給与の問題は、そういうところで終わるのですが、これは衆議院には直接関係あるかどうか知りませんが、特別委員会の運用なんです。現在参議院には六つですか、特別委員会がございますが、その調査員はほとんど各常任委員会の調査員が若干定数をふやしておられますけれども、おのおのが応援というふうな形で、兼務という形でやっておられると思いますが、時間がないから私の希望だけ申しますが、院の運営上、特別委員会の運営上、特別委員会は、御存じのように、これは国会があるごとにきめるのでありますけれども、今日の情勢では、特別委員会がなくなるというような情勢はございません。したがって、特別委員会の運営上、調査員をはっきりと特別委員会専門の調査員として設置するが妥当でないかと思うのですが、この点どうですか。
  188. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 特別委員会の調査事務の処理の方法につきましては、参議院は衆議院と異なりまして、たしか二十八年の十六国会以来、常任委員会の関係委員会の協力のもとに実施してまいってきておるわけでありますが、私たちといたしましては、理想案を申せば、特別委員会一つ一つの委員会に十分なスタッフを持った調査室をつくっていただくのが理想かと思います。その次には特別委員会調査室という一本の調査室を持つ、これが第二段でございますが、現在の人員の配置の関係上、また過去のいきさつもございまして、われわれはただいまのように各常任委員会の関係しておられる調査室の協力を得て実施いたしておるわけであります。
  189. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはまあ衆議院にならうという必要はないのでございますが、特別委員会の運営は、われわれ特別委員会を担当した場合に非常に不便を感じる。物価対策特別委員会――大蔵省の人もやっておるし、あるいは経済企画庁の人も担当しておるということですね。非常にわれわれは不便なんですね。したがって、かりに関連性があるから、大蔵常任委員会あるいはその他の常任委員会の部屋におられてもいいが、いわゆる各特別委員会の専門員まで置くということはなかなか問題がありますが、担当を明らかにきめて、少なくとも常任委員会の半数ぐらいの調査員を私は常置するのが妥当じゃないかと思う。そうでないと、特別委員会がお留守になりますよ。調査を依頼してもなかなか手っとり早くいかないというのは、やはり兼務しておる関係もあるし、人手も足りないということもありますから、この点は両院を通じて、衆議院のほうは完全にやっておられるなら、私はあえて衆議院のことをここで言いませんけれども、参議院の場合はその点を考えてもらいたいのですがね。
  190. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) その点につきましては、人員をふやしまして御不便のかからないようにいたしたいと思っておりますが、本年度と申しますか、この四十二年度予算につきましては、不幸にして一人も増員が認められなかったわけでございます。それでございますので、急遽、人事課長から、四名の職員を事務局のほうから派遣いたしまして、皆さまの御要求に応ずるような体制をつくるという方針で、またその責任体制もはっきりするということにいたして、いま第三次案までつくって常任委員会の調査室で研究しておりまして、もう決定版が出るわけでございまするが、これを議運の理事会におはかりして、御不便をかけないように、明確な職務分担をきめまして、しばらく予算人員を認められるまでやっていきたい、こう考えます。
  191. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ひとつ、特別委員会のやつは議運でやる一つの大きい仕事でありますから、その点のはっきりした体制というものを整えてもらいたいと思います。  それから次に、最後に女子職員の待遇問題ですが、これも一般行政職職員と違って、院の場合は非常に職場が狭いので、女子職員については、速記の場合はこれはもう差別なくやっておられるということを聞いておるのでありますが、それでもまあ二等級、一等級になると問題があるようでありますが、全般を通じて女子職員についての待遇が、役職に行くという場合が非常に少ないように思うのでありますが、この運営についてどう考えておられますか、女子職員について。
  192. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 女子職員につきましては、その職務の関係上、五等の係長の職に進級するのがなかなかむずかしいような情勢でございまして、われわれの各職場におきましては、非常なその勤務状況から抜てきのしにくいような段階にありまして、この職階制の給与体系では、いささか気の毒な立場に置かれておるわけでございまするが、何ぶん、女子職員といたしましても、もう長い勤務でございますので、この給与規程の特段の運用によりまして、そういう職員を係長、またはこれと同等な給与まで引き上げるように人事課長としては大いに努力しておるというわけでありまして、私といたしましても、そういう諸君の気の毒な状態を一日も早く克服することを望んでおるわけであります。
  193. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、一応女子職員については特にその点は御配慮を願うとして、きょう私がやりました行(一)、行(二)、警備、それから議警、速記職の問題について特に私最後に確認したいのですが、行(一)のアンバラと行(二)のいわゆる行(一)への移行、それから警備職の前歴加算、それから速記職の問題、これらを言いましたが、行(一)のアンバランス是正については、先ほど積極的な、来年度実現するという、いわゆるスピードある努力をするということですが、この点についてぜひひとつ昨年の当分科会でやったやつでありますから、来年度はこれらの問題についてぜひひとつ実現するように努力するということであるが、実現するという前提で努力してもらいたいと思うのですが、この点どうですか。
  194. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) いずれもむずかしい問題でございまするが、部課長を督励いたしまして御期待に沿うようにしたいと思います。
  195. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、大蔵省に聞きます。  給与課長は出席がおくれたようでありますが、こっちは要求してなかったのでありますけれども、行(一)については、給与関係についてはあまり問題がなかった。給与課長について問題がなかったのですが、行(二)についての行(一)への移行については時間ないから私は説明できないのが残念ですが、院の特有性からいって、行(二)に所属する人は行(一)に行かなければ運営が非常にむずかしいという点で、毎年行(二)の方の行(一)移行の予算編成のときに院からいろいろ要求があると思うのですが、主計官に聞くと、給与課長のことばが前提だというので、あなたを待っておったわけです。院の運営上どうしても行(一)にやらなくちゃならぬという数字を当局が出した場合に、大蔵当局は予算編成上それに対して受け入れてもらいたいということを言ったのですが、その点どうですか。
  196. 津吉伊定

    説明員(津吉伊定君) お答えいたします。  すでに先生御承知のとおり、国家公務員の給与につきましては、職務の内容と責任に応じまして支給されるという原則がございます。これはいわゆる職務給ということでございまして、単級に年功序列ということで職務の内容を捨象いたしまして給与を考えるということはできないわけでございます。その原則の上に立ちまして、一般職の職員につきましては、他の特殊な職種がございますけれども、行(一)、(二)というふうな区分がございます。それに対応いたしまして、御指摘の国会の職員につきましても、もちろんその職務の内容に応ずる、対応ということでありまして、バランスをとりながら進んできておる。それにつきまして国会の特殊性というものは確かにございますし、また裁判所の特殊性というものもございますし、一般行政機関における特殊性というものもございます。それぞれの特殊性をいかに考慮して、たとえば行(二)から行(一)に持っていくべきであるかという点は非常にむずかしい、検討を要するということでございます。ただし、われわれの検討の及ぶ限り、もちろん、人事院は御承知のように専門的に検討をいたしております。人事局も調査研究をしておるという、それと協力して、国会の特殊性をできるだけ認めていくということで、三十九年度以来、四十二年度につきましては九十六名の行(一)移行というふうな措置も漸次とりつつあるわけでございます。これを本質的にいかに解決するかということは冒頭、蛇足の議論のようでございますけれども、申し上げました。口幅ったくなって恐縮でございますけれども、職務の内容と責任に応ずる給与の見方というものが本質的に検討されまして解決を見るということが前提でございます。それまでの間、極力努力をいたしまして、行(二)を行(一)に持ってくるという、表現での問題じゃなくて、現在行(二)に入っておる職員の職務の内容と責任が行(一)の職務の内容と責任に当てはまるのかどうかという点での検討を、いま申し上げました関係機関それぞれ、寄り寄り相談をいたしまして、御趣旨に沿うような誠意は持っておるわけでございます。
  197. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう論議は、もう内閣委員会であれができるときに相当論議を尽くして、われわれは行(二)については原則的に反対である。しかし、まあ行(二)を設定する趣旨は、われわれとしてもあるということは認める。そういう前提の基本的な論議はいま私はここでは聞きたくないのです。もうやり尽くしたのです。それはいま言われましたが、人事局長はきょうは呼んでおりませんが、この前の分科会では、院の自主性を認めて人事局は相談があれば相談を受けるけれどもこれに干渉いたしません、こういうことを言っておる。人事院は、もちろんそのとおりです、人事院は特別職という関係もあり、人事院の一般職の問題として規制しない、これは言っております。ただ大蔵省は、予算編成の途上において、そういうものをにらみ合わせて考えるということだけ残っておる、いまの場合は。したがって、関係各省と相談ということについては私は納得できない、いままでの経緯から見れば。ここに人事院総裁、呼んできてもいいですよ。人事局を呼んできてもいいですよ、前にそれははっきりしているのだから。そこで、院の運営上第二表適用に問題があるということを先ほどからたびたび問題にしたのですが、あなたわからぬと言うけれども、あとからあなたが来たらそういう話が出るから私は心外に思っているのだけれども、もちろん、行(一)行(二)の基本的な区別のあることは知っている。ただし、院の運営上どうしても行(一)に移行しなければならない事情があるということは院も認めている。それについて予算編成上考えてもらいたいというのが私の質問内容なわけです。
  198. 津吉伊定

    説明員(津吉伊定君) 表現がまずくて御指摘をいただきましたが、「相談をして」ということは、去年も人事局長が先生の御質問に対して答弁をしておるようでございますが、「相談にあずかりまして、それから、いい知恵があればかす」というふうな意味で申しております。もちろん、われわれは行政機関におる職員でございますし、その辺のことは権限であるのか、あるいは調査研究の結果、参考の資料としてわれわれが検討すべきものであるのか、その点は十分承知いたしております。  それから、国会における特殊性に応じまして行(二)から行(一)に移行するという点につきましては、これはあくまでその実態と、先ほど申し上げましたように、実態に対する内容及び責任についての評価をした上で、行(二)というものがすべて一がいに行(一)に行くべきであるというふうには考えておりません。という反面、そういう実態がある限りにおいては、行(一)に移行してしかるべきものであろうというふうに考えております。
  199. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはぼくは予算編成上問題になる点だと思いますが、そういうことを言ってると時間がたつから言いませんが、実態そのものはなかなか認定はむずかしい、実際問題。実は現在行(一)に移行した人と行(二)の間におけるいろいろ複雑な問題も実はあるのです。したがって、われわれとしては、現在国会における人は、あなたが言うように一般職における行(一)、行(二)の設定の趣旨とは非常に変わったような実態が出ておる。しかし問題は、あなたも御承知だと思いますが、しからば全部行(一)の格づけで行っていいかといったら、そうはいかない。行(二)は行(二)として初任給を上げて、そして十年ぐらいから交差をして変わるという状態が出ておるのだから、直ちにすべて行(一)でいいと私は言っておらない。もし行(一)にすべてを統一するならば、格づけから考えなければならない。これは人事院ともいろいろ相談しておるのですが、そういう意味ですから、直ちに行(二)を廃止した結果行(一)と同じ格づけに行くと言っておらない。私はきょうは現在の衆議院には言及しません。参議院の第二表を適用されておる人、また第一表に移行された人々の運用上の複雑な問題を解決するためには、現在はどうしてもやはり早く行(一)に移行しなければならないような状態にあるから、予算編成の途上において大蔵省考えてもらいたい、これが私の趣旨なんです。ですから、その点について、本年度はもうすでに予算が編成されているから、いまの数をどうこう変更することはむずかしいと総長も言っておりますが、できるだけ早く現在の行(二)を行(一)に移すように努力してもらいたい。院のほうは、やりましょう、しかも、スピードを上げてやりたいという答弁があるので、大蔵省当局に私はその点を要望しているわけなんですが、その点どうですか。
  200. 津吉伊定

    説明員(津吉伊定君) まことにおことばを返して恐縮でございますが、結論を先決して検討をするわけにまいりませんので、検討の結果によりまして行(一)に移行すべきものであるという事態につきましては、絶対反対はいたしません。
  201. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたのそれは、当然のことを言っているのですがね。院のほうは、そういう形で認めて、一般職の行(一)、行(二)ではいかないということを認めてあなたのほうに要求するのですよ。それがあなたは何が根拠で実態がどうこうということでこだわるのか。院の申し入れがあれば、それに対して努力するということで私はいいと思うのですが、あなたは実態、実態と言うが、あなたは実態をどういうようにとらまえているのか、その点がわからない。
  202. 津吉伊定

    説明員(津吉伊定君) 院のほうからのお申し出に対しまして、再三折衝を重ね、お互いに相談をいたしますと、やはりだんだんと実態というものが両者の間で煮詰まってまいります。その実態は、先ほど来申し上げましたように、一般職の行(一)、行(二)というものに対応されるというふうな水準での比較ということになりますので、先ほど申し上げましたように、三十九年度来、漸次数字がふえておりますけれども、四十二年度においては九十六名を行(二)から行(一)に持ってくるという結論を出しているわけでございます。
  203. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくはあとで問題が起こってくると思いますから、しつっこいけれども、ぼくは大蔵省がどういうように実態を調査されたか知りませんが、院は院としてそういう必要があるから要求される。あなたのほうでは、これはいかぬという、そういうことを言われていますが、あなたのほうは一般行政職との均衡を考えて言われると思いますが、われわれとしては、院の実態というものをやはり一番よく知っているのは事務総長、当局だと思うのです。ところが、よくいわれているが、それは外から見ているからわからないと思います。その点大蔵省は十分考えてもらって、行(二)廃止の方向――廃止ということは、これはまた根本的に考えなければいかぬけれども、現在そういうように行(二)におる人を運用上行(一)に持っていく方針が立てられているから、それに対して大蔵省考えてもらいたい、そういうことを言っているのですよ。それをあなたは、なんかこだわって、いや、院から言ってきても、おれのほうで考えてやるというような印象を受けるが、それが納得いかない。
  204. 津吉伊定

    説明員(津吉伊定君) その点につきましては、方針といたしまして、そういう方針があることは十分理解ができますし、また、そういう方針に対して積極的な理由なくして反対をするという態度をわれわれとっているわけではございませんので、御了承願いたいと思います。
  205. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ来年の予算編成のときに、私はまたずっと見ておりますが、その点大蔵省、給与課長だけの意見ではいけないと思いますが、主計官の話、あなたの話が前提できまるということでありますから、この点はぜひやってもらいたいと思います。  一般的な給与体系の問題については、また別の機会であなたと論議しましょう。これは院の問題とかけ離れて問題がありますが、きょうは院の問題として、一応参議院の場合は現在の行(二)に残っている人は、早急にこれを行(一)に移して円満な運営をやるという方向を、あなた来るまで答弁されたのでありますから、その線に沿って大蔵省は協力してもらいたいということでありますから、その点は了承していてもらいたい。
  206. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 速記をとめて。  〔速記中止
  207. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 速記を起こして。  昭和四十二年度予算のうち、国会所管についての質疑を続行します。
  208. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 最初に、警務部の警備の問題で伺いたいんですが、衆議院との比較で人数のほうを申し上げるのですが、人数のほうは一体どうなっていますか。
  209. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 数字を申し上げますと、衆議院が二百六十二名、参議院が百九十六名でございます。
  210. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 まあ、衆議院と参議院の警備範囲というものは、かなり違いがあると思います。衆議院のほうが確かに議員会館は一つ多いですけれども、参議院側のほうは政府代表のいる政府委員室もある。あるいは二階のホールもあるし、大臣室も、お休み所というものが全部含まれているわけですけれども、これでは非常に人員としては何となくバランスがとれていないような感じがする。大体警備する面積から考え、また重要性から考えると、参議院のほうが非常に数が、衆議院が二百六十二名に対して参議院が百九十六名ということになりますと、非常に少ないように思われるのですが、どういう理由があるのですか。
  211. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 衆議院との数の比較の問題につきましては、ただいま鈴木先生の御指摘のとおり、内閣の総理大臣室及び政府委員室は参議院のほうが所管しておりますので、その点につきましては非常な警備の負担がかかっておるように思いますが、何ぶん、面積の点につきましても衆議院が一つ会館が多いわけでございますが、これらの点を勘案しまして、また、議員の定数等につきましても考慮されて決定されておるのじゃないかと私は考えております。
  212. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 議員の数で定数がきめられるということになると、議員一人々々について警備、議警が要るというようなことになる。そういうようなことはちょっとおかしいのじゃないか。たとえ人数が多くても少なくても、もめるときは同様にもめるのですし、事件があるときには、人数が少ないから事件が絶対起きないということはあり得ないことです。なおのこと、大臣室、あるいは政府委員室等があるということになれば、あるいは国事行為を行なう天皇のお休み所もあるのですから、そういうことになれば、よほどしっかりとした人数がいないと、これはたいへんなことになるのじゃないか。何かあったときに警備が手薄になるということは重々考えられる。そうすると、ただ議員の数だけで約七十名近い差というものがあるというのは、これは納得できないのですがね。どうなんですか。
  213. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 会館が、衆議院が二つあり、私のところは一つでございます。これで三十名違うわけでございます。それからまた、それらほかの点につきましては、こちらに重要性がある職務もございますが、大体議員の数を勘案されてこういう差ができてきたのじゃないかと思いますが、その差があまりはげしくあってはならないことでございますので、十分検討させていただきたいと思います。
  214. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 会館で三十名というと、二百六十二名衆議院のほうはいるわけですから、そうすると、三十名引いても二百三十二名、参議院側が百九十六名ということになると、さらに約三十六名の差があるわけです。ところが、国会建物をごらんになっていただけばわかりますが、どまん中は参議院の管轄になっているわけでしょう。だから、ただ会館が云々とか、いままでの慣習でこういうように少ないんだということだけでは十分な警備はできないのじゃないかという感じがしてならない。人員増について、衆議院との比較はおかしいかもわかりませんが、しかし、ある程度バランスというものは考えなければいけない。本年度はこれで要求されているわけですから、どうしようもないと思いますけれども、明年度はどうなさるのですか。
  215. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 十分その差について研究いたしまして善処いたします。
  216. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大蔵省側は、衆議院との比較は不平等である、考え方としてはかんばしくないような意見があるようでありますけれども、それについて、担当の方来ていますね。ひとつ大蔵省としてはどういう態度ですか。
  217. 渥美謙二

    説明員(渥美謙二君) お説のように、ただ衆参両院を比べまして、こちらとのバランス上何人が妥当であるという答えはなかなか出てこないのではないかというふうに考えております。それから、いま御説明がありましたように議院会館の差、従来とも大体こういうような、逆に申しますと、衆議院、参議院のバランスがこういうことでやってきたといった事実もあるわけでございまして、惰性というわけじゃございませんですが、大体従来の慣行を踏襲して予算が計上されている、そういうことになっております。
  218. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大蔵省のほうとしては、そういう従来の慣行で来たのだからということですけれども、そうじゃなくて、これで十分だと思いますか。それでバランスがおかしくないと思いますか。
  219. 渥美謙二

    説明員(渥美謙二君) これはなかなか、何人が適当であるかという算出はむずかしい問題でございます。私どもといたしましては、一応現在のかっこうでやっていただけるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  220. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私は何も、衆議院云々などというのではありませんけれども、これは総長ね、どこまでもやはり、こちらの参議院について冷たいようではこれはならないと思うのです。やはり、一つの会館に三十名必要だ、それは論拠があるでしょう。だから、衆議院のほうが多少多いことはわかる。三十何人多いということはわかるけれども、六十名多いということになればこれは説明のしようがない。これはこちらに大臣室があり、政府委員室があるわけです。そうすると、その警備をやらなければならんでしょう。いろいろなことを考えると、どう考えても、これは警備の、組合のほうで要求されているようでありますけれども、人数の上については私どもとしては十分納得できないような感じがする。いまのこれは要望にとどめておきますけれども、本気になって、来年度は警備の増員を考えてもらわなくちゃいけない。むしろ、院が荒れるようなときは、衆議院よりも参議院のほうが荒れやすいということは、いままでの歴史からも証明されているわけなんですから。
  221. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 衆議院との差につきましてはお話しのとおりでありますが、特に私たちといたしましては、多年これを、指揮官と申しますか班長、副長、衛視長、課長補佐、そういう線については同数をいただくように折衝はしてきておるのでございますが、なお末端の普通の衛視の数につきましても十分考慮いたしたいと思います。
  222. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それからいま一つ、これは衛視の問題で続けてお聞きしたいのですが、採用は四月の上旬ごろですか。
  223. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 最近におきましては、四月一日です。
  224. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 事務の場合はどうなっておるのですか、一般の衛視以外のほうは。
  225. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 事務職も四月一日でございますが、採用試験その他は多少早いのじゃないかと思います。
  226. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 わかりました。じゃ主査、次にほかの問題に移ります。  私、昨年四十一年度のこの国会所管の一般会計の審議のときに、審査機能ということから、特に調査室の図書購入の問題、それから旅費の問題、資料購入の問題、これについてだいぶ質問したのですけれども、そのときに、はっきりと一段と努力をするということを答弁されているわけです。それから四十二年度では、四十一年度に比べて私はそれほど金額や人員等について多くないと思うのですが、どういうように考慮をなさったか、まずそれを伺いたいと思います。
  227. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 前回の分科会でいろいろ御指導をいただきましたが、それらの点につきましては、私どもとしましてはなるべく予算の許す範囲内において調査事務に協力するという精神には変わりはないわけでありますけれども、特に私が顕著に記憶しておりますのは、あそこで「立法と調査」という機関雑誌をつくっておりますが、これらにつきまして、その発行の部数、並びにいろいろな権威者を招いて話を聞いてそれを載せていく、こういうような企画に対しては、十分協力するように管理部長にも指示してございますが、具体的にどの程度であったか、管理部長からお答えいたします。
  228. 二見次夫

    ○参事(二見次夫君) お答えいたします。調査室の資料費につきましては、昨年鈴木先生から御質問いただきましたが、四十一年度のその実績におきましても、図書購入費といたしましては、予算の費目におきましては二万九千円となっておりまするが、実際に支出いたしました実績は十四万八千円でございます。また資料購入費も、予算の費目におきましては十六万四千円となっておりますが、実際支出いたしました額は二百万一千円でございます。それから印刷、製本費が予算費目で十万となっておりますが、実際は三百八十三万支出いたしております。したがって、費目の上においては、四十二年度におきましても前年度と同じ数字を計上いたしておりますが、実際の支出におきましては、調査室から要求があればそれに応じた必要な支出をいたしております。去年もいたしましたし、今年度もいたすつもりでおります。
  229. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまのように、それは要求があればきちんと応じていくというのは当然のことだと思いますが、そうしていただきたいと思いますけれども、私たちがよく調査室をずいぶん利用するわけです。それでよくわかるのですけれども、調査室のほうから私どもが調査室の資料を見せてもらう。こうすると、大体いままであるのは、各省の発行しているところの白書類であるとかパンフレットであるとか、そういうようなものがおもになるわけです。ほとんど購入資料というものは、確かに大幅にいまの答弁だとふえたように見えますけれども、非常に少ないということを感ぜざるを得ない、いわゆる外部からの、金をかけた、購入した資料というものは。そういうことだと、はっきり言えば、調査室といえば一つの大きなリサーチしていくところの機能でもありますけれども、それがそういう状態では、各省の政策が決定されてそれが白書やパンフレットで出てくるわけです。それのあと追いをするということはできても、それより学問的、技術的に一歩先に行くということはとても無理じゃないか。それを一歩先に出て批判をする、そうして間違いのない、議員からの諮問に対して応じられるというような、そういう任務をやるということは、非常に困難じゃないかということを非常に感じるわけです。その点はどういうふうに見ておりますか。
  230. 二見次夫

    ○参事(二見次夫君) 先ほど御答弁申し上げましたように、予算の費目の上ではいまたいした金額は計上いたしておりませんが、実際には要求に応じて支出しているというのが実情でございます。ただ、こういうことでは、まあ事前に計画を立てて、購入とかそういう計画的な事業ができないという御意見、ごもっともでございます。したがって、これにつきましては、考え方といたしましては、必要なものをそのつどこちらがその要求を満たしてやるという考え方もあるし、それからまた、大体、先生のお考えではある程度の金額を調査室に割り当てて、そうして調査室のほうに自主的に計画性を持たしてやらしたらというお考え方かとも思われまするが、そういうことも一つの考え方であると思います。したがって、その点につきましては、なお調査室のほうの意向も聴取いたしまして、よく相談いたしまして、どうしたほうが一番効果をあげるのか、仕事がしやすいのか、能率をあげやすいか、それらのこともよく相談し検討いたしたいと思います。
  231. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 昨年の答弁は、調査室を使えとか国会図書館を使えとか資料室を使えとか、ずいぶんあったわけです。それに比べると、ことしのいまの答弁を聞くと、要求したものについては考えてみたい、割り当ててやってみたいというような話ですから、ずいぶん前進したと思うのですけれども、しかし、はっきり言って、まだ、私どもが実際いろいろなことをやりたいと思いまして調査に行くというと、この間も、物価問題のことですけれども、美濃部さんの本であるとかあるいは中山さんの物価の本であるとか、そういう本も買ってないような状態です、はっきり言うと。そういうものがなければ、調査室の仕事といい、資料の整備という、間違いのないものを諮問できるということはとうていできないのじゃないかということを考えるわけです。だから、その点で、院のほうの理解としては、調査室のいわゆる資料あるいはその仕事の内容、そういうことについての十分な理解ができていないのじゃないかと私には思えるのです。この点はどうですか、事務総長。
  232. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) それらの点につきましては、今後とも大いに協力して御迷惑をかけぬようにいたしたいと思いますが、最近、調査室の人員も非常に若い職員が多くなってまいりまして、自主的な研究機関もつくって大いにやっておりますのでございますから、それらの経費等も十分とは申せませんが、なるべくこちらから協力いたしまして、そういう研究を助成していきたいと考えております。
  233. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 昨年は、資料購入については、要求よりもかなり、表にあらわれているよりは多く、二百万円出したと言いますが、ことしはそれ以上出せる余裕は、用意はあるわけですか。
  234. 二見次夫

    ○参事(二見次夫君) 昨年を下らない程度には支出いたしたいと思っております。
  235. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それからこれはもう一つ、昨年も伺っておることですが、調査室の調査室長の問題ですが、年齢の問題で昨年も伺ったんですけれども、昨年は事務当局のほうでは十二年で審査をするというようなことを言われたわけです。そこのときに再任するかしないかをきめたいということを言われたわけですが、そうして六十五歳でやると、六十五歳で大体めどとして定年といいますか、若返りをしていきたいと言われたわけです。衆議院のほうに比べると非常に長かったものですから質問したのですが、ことしもその方針ですか。
  236. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) いまお述べになったとおりでございまして、定年が満六十五歳、それから、室長に任命されましたら十二年たちますと、これを審査いたしまして、存続させるか、その場で切るか、それを決定願う機会を持ちたい、こういうわけでございまして、これは先年、常任委員会調査室刷新要綱を議運でおきめ願った後は、その線に沿ってやっておるわけでございます。いま先生のおっしゃる十二年の点についていろいろな議論を他からも聞いておるのでございますが、まあ、一応はいまのところその線に沿ってやっていきたい、こう考えております。
  237. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ですが、何だかそういう一つのスクリーンという制度を設けてやっても、それが十分生かされていないのじゃないか。話ですから、事実かどうか私はわかりませんけれども、昨年九月で十二年過ぎたけれども、そのまま放置されて八カ月、そういうこともある。そういうことだと、この間の前のときの御答弁とだいぶ違ってくるわけですね。こういうことが全部の職員にもいろいろ影響してくるのじゃないか。特に若手の職員の士気にも影響してくるし、その点どうですか。
  238. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) ただいま鈴木先生が名を伏せて例をあげられましたその点につきましては、非常な誤解を生じて申しわけないのでございますが、これはほんの特殊事情でございまして、当該委員会につきましては非常な特別な事情がございまして、委員長初め、いろいろな方が、非常にお忙しい事情がございましたので、室長の身分につきましてはまだ御審議願う空気に相なっておりませんのでございまして、内々には、私が直接各当該委員会の先生方はもちろん、議運の理事の先生方にもお話し申し上げてお願いをしましたのでございますが、まあ、何ぶんあの委員会のあの情勢でございましたので、延び延びになっておりましたが、現在の委員長も、自分としてもはなはだ苦しいから、この際明確なる返事を近日中によこすから、延び延びになったのはまことに不本意であったということを申しておられました。早急に解決いたしたいと思っております。これはほんのただ一つの例外でございまして、私の関知する限りにおきましては、十二年、その場で全部処理しております。
  239. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 やはり延び延びになると、片一方のほうは定年普通の場合は六十三ということですから、それだけでも士気に影響してくるわけですし、たとえ特殊事情があったにしても、よく連絡をとり合って早々にやってほしいと思います。  これは自治委員会がありますので、そちらのほうのことですが、会館の使用のことで、私ども、議運の問題でしょうけれども、再三要求しておりますが、なかなか思うようにはかどらないので、院としてどう考えるかということをお聞きしますが、議員会館が前にありました所から現在の所に移りまして、私どもにとっては非常に不便になりました。午後九時までで締められるということになると、十二時、一時ごろまでやっていたくてもやれない。場合によっては、徹夜もしたい場合もあるわけです。少なくとも、いまの時間を二時間なり、三時間延ばして、せめて十二時までは置かしてほしいと思うことがあるわけです。ちょうどあぶらの乗りかかったところで、「自治委員会の決定により」ということで放送をされると、非常に気分を害することになる。会館というものは議員の事務室であり、研究する場所でもあります。それが九時で閉鎖ということは非常に不便だと思います。これは自治委員会で要求しておると思いますけれども、しかし、院側として扱う事務局側としては一体どうなのかということをひとつ。
  240. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 会館使用につきましては、自治委員会の取り計らいで運営されておるのでございます。まあ、私はじめ管理部長は自治委員長の補佐役でございます。この開館並びに閉館の件につきましては、旧会館におきましては、早々の間につくられまして、秘書の方はもちろん、先生方でもお泊まりになった方がありまして運営されておりましたが、新しい会館におきましては、そのようなことはいたさないことに相なっておりますので、この点が旧会館時代と多少違っておるものでございますが、これはもっぱら職員の勤務状況のことでございまするので、私といたしましては、この点十分審議いたしまして、事務局の勤務体制上の問題が主たるものでございますから、また、自治委員会にも、お取り次ぎいたしまして、研究はいたしておりますが、その実際のこまかいことにつきましては、管理部長から説明させます。
  241. 二見次夫

    ○参事(二見次夫君) 議員会館の閉館時刻につきましては、旧会館時代にはさような、制限はなかったわけでございます。それは御承知のように、旧議員会館ができました当初は、議員の宿舎もまだ建設されていなかったために、会館だけでございましたので、会館の中に簡単な折りたたみ式のベッドを持ち込み、宿泊もできるという制度になっておりました。したがって、そのために特に門限ということもなく、とびらを締めるというようなこともなかったわけでございます。ところが、その後宿舎もできましたし、それから四十年に新会館が建設されました機会に、自治委員会のほうで、会館は事務所であるので、ここには宿泊をしないということの決定がなされ、そして議長の決定によって議員会館運営規程というものが制定されたわけでございます。したがって、警備上の点から見て、あるいはまた、従来の利用の実績というようなこと等から考えまして、午後九時が適当であると決定されて、午後九時をもって正面のとびらを締め切る、こういうことをいたしております。ただ、実際の運用といたしましては、あるいは御用のためにおそくお残りになる先生方がおいでになることもありますし、あるいはまた、閉館の時刻以後に、そとから何かの急用でおいでになることもございましょうし、それらの場合には、もちろんとびらをあけております。ただ、これを常時門限をなくするとか、あるいはもっと時間を、延長するということになりますと、その延長される時間によりましては、まずやはり職員の勤務体制というものが変わってまいりますし、それから暖冷房の関係というようなこと等も違ってくる。こういうようなやはりいろいろな問題が出てくると思います。しかし、先ほど総長からも答弁いたしましたように、自治委員会でこういうことはおきめになりますので、私たちとしては、どうすべきであるという、特別に積極的な考えは申し上げられませんが、ざっと影響する二、三の点を申し上げますと、そういうことでございます。
  242. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは自治委員会の決定することですから、院のほうの権限じゃないと思います、事務局側の。ですが、私の伺いたいのは、そういうことじゃなくてさしつかえないかどうかということです、たとえば時間が延長されても。そういうことを伺っておったわけであります。大体わかりました。  で、もう一つは、九時に玄関を閉じるのはけっこうなんですが、あの建物、それ以後、われわれ帰るのに、もう一ぺんあそこの門をあけてもらわなければならない。十一時ごろ帰るようなときにはあけてもらわなければならない。一々起こして、それから門をあけてもらわなければならないということが、たえず行なわれるわけです。それで見ているんですが、ほんとうならば、非常階段があって非常口があればこれは問題がないと思うのですが、非常口があるのかないのかわからないわけです、その建物。しかも、裏玄関のほうは早く締められてしまう。できるだけ中にいらっしゃる警備の方には迷惑をかけないようにしたいと思うのですけれども、どうしても事務所に行って、何とかしてあけてくれと言わない限りは出られない。ですから、早く締めるんなら締めるでいいんですけれども、その場合、残ったときには帰れるような手段として、そっと帰るというのはむずかしいと思う。また、緊急に入りたいようなときにさっと入れるようにするには非常口がしかるべきところにあっていいのじゃないか。その辺のことについてはどうですか。もう一つは、非常階段がないということになれば、これは違反建築みたいな関係になるわけです。どうなのですか。
  243. 二見次夫

    ○参事(二見次夫君) 出入り口は、正面だけでなくて、西裏のほうにももう一カ所出入り口があるわけでございまして、そこのところにも詰め所がありますが、ある一定の時間以後には詰めておりません。やはり宿直いたしておりまするところにおりますので、そこに連絡して、そこから裏のほうに出るということになると思います。
  244. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 非常階段はどうなっているのですか。あるのですか、ないのですか。
  245. 二見次夫

    ○参事(二見次夫君) おっしゃる意味が、非常階段というのはおそらく火災の発生等の非常の場合に使われる退避階段のことかと思うのですが、特別にそういう非常階段というものはございませんが、要するに、非常の場合に出る出口としては、正面だけでなくて、裏のほうにも出口があるということでございます。
  246. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、こうなると大きな問題で、別の問題になってきたわけですよ。そうでなくても、ビル火災が問題になっているとき、確かにシャッターみたいなとびらみたいのをやるようになっておりますが、一たび火が回り煙が出たときはどうするのですか。締め切りの向こう側にいるのとこっち側にいるのと分れるわけです。逃げようがない。救命袋で一々やるのですか、七階の屋上から。
  247. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 主査、警務部長がおりますから。
  248. 西村健一

    ○参事(西村健一君) 会館の防火の件につきましては、私どもも、ただいま御指摘のような点を含めて平常から非常に意を用いておるわけでございます。それで、いわゆる非常階段というようなものが完備されておらないということは御指摘のとおりでございますが、それにかわるものとして、たとえば屋上からスローダウンという装置を設けまして、からだをしばって屋上からおりるというような、そういう方法も講じております。いずれにいたしましても、そういう火災等の際の避難についてはいろいろな方法を、つまり、非常階段以外の方法をもってそれを補うという点で、平素からいろいろ訓練なりまた設備を行なっているわけでございます。
  249. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 十分に間に合うのですか。いざというときにはだいじょうぶなんですか。私は若いほうですけれども、かなり御年配の方もいらっしゃるわけですが、一々スローダウンでも間に合うのですか。どうも私は危険性があると思うのですがね。その点については、訓練をしろということで議員がみんな召集を食ったということも聞いておりませんし、はたして絶対だいじょうぶだという保証があるのですか。
  250. 西村健一

    ○参事(西村健一君) その点につきましては、消防署その他関係方面の意見も聞き、また、現場にそういう人に来てもらいまして、万遺憾なきを期するように、現状においてできる限りの手を打っておる次第でございます。
  251. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 最後に、いまの答弁を聞いていると、非常に不安があるというふうな感じがしてならぬのです。十二分に検討して、何かしら改装をするなり、方法考えるなりしてほしいのです。
  252. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) ただいまの点につきましては、まことに重大な問題でございまするので、事務局も、警務部が召集して、一、二回あすこで演習をやったこともございます。議員はお忙しいのでございまして多数御出席がなかったようでございまするが、秘書の方々にお願いをいたしまして、あすこの避難訓練等を実施いたしたのでございますが、ただ、あれだけで満足いたしておるわけではないのです。高層建築につきましては、いろいろな、人間の考えられないような事件も起こるわけでございますので、いまお話しの点は自治委員会にもお取り次ぎいたしまして、また、警務部が積極的に消防庁と協力いたしまして、万一の不幸に備えたいと存じております。
  253. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 多少は改装をやるかということを聞きたい。建物をいじる気はないか。
  254. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 消防庁とも連絡いたしまして、もし必要があるなら、ば、それらの設備もいたさなければならぬかとも思います。
  255. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) それじゃ速記とめて。  〔速記中止
  256. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 速記を起こして。岡田君。
  257. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は図書館の問題について若干お伺いしたいのであります。  まず第一に、第二期工事、これは四十三年度ですが、でき上がりますが、そういたしますとだいぶ大きくなるわけですが、一番問題になりますのは、やはり図書館ですから、たくさんの本を収蔵する。いま二百五十万冊ですか。
  258. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 二百三十万冊です。
  259. 岡田宗司

    岡田宗司君 それが一体、どれくらいふえるのか。まずどれくらいいれるだけ大きくなるのか、まずそれを。
  260. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) いま数字が出ておりましたように、現在の国立国会図書館の蔵書の数は約二百三十万冊でございます。現在の書庫の収蔵能力は二百五十万冊といわれております。ところが、分類をして排架をしておりますから、一つの項目と一つの項目との間には相当のスペースを置かなければなりませんから、現在でも相当窮屈なことになっております。  第二期工事は、御指摘のとおり、昭和四十三年の八月中には、工事自体は完成をいたします。これに伴ういろいろな既存の部分の修築とか、機械類の移転とか、いろいろございまして、全部一切の工事が竣工するというのは十、十一月のころかと存じます。そういう際に書庫の収蔵能力はどのくらいかというお尋ねでございますが、書庫が十五層ございまして、一層につき約三十万冊入るという計算でございますから、四百五十万の収蔵能力を持つと、かように考えております。  〔主査退席、副主査着席〕
  261. 岡田宗司

    岡田宗司君 国会図書館は世界でも大きいほうの図書館だと思います。それからその設備も、まずよそに比べてそうひけ目はない、収蔵能力も四百五十万になってまいりますと、相当大きなものだとは思いますけれども、しかし、最近のように図書の発行が盛んになって、これからもいよいよ盛んになると思うのですが、そうすると、この四百五十万冊収容できるといたしましても、これはそう長いことかからないうちにまた一ぱいになってしまうのではないか。そうすると、そのあとは一体どういうふうにするかということも、これまた問題だと思う。これは日本ばかりじゃない。どこの国でも大きな問題になっておるわけですけれども、その点は、つまり第三期工事というか、第三期の拡張計画といいますか、それはすでに第二期をやりつつある間に具体的にお考えになるつもりですか、もう構想だけはすでにできておるのでございましょうか。
  262. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) いまのお尋ねの点でございますが、四百五十万の能力に対して、現在が二百三十万、あるいは来年は二百四十万近くなっておるかと思いますが、そういうことで、何年ぐらいはその能力がもつのであるか、その先のことをどう考えておるかというお尋ねであったろうと存じます。国立国会図書館ができてから来年で二十年になりますけれども、上野の図書館から受け継ぎましたもの等を除きまして、昭和二十三年以来約百四十万冊が図書館に新たに増加しております。これは年平均約七万冊ぐらいになるわけであります。なお、昭和四十一年度におきましては、八万冊余――八万一千何冊ですかふえておるのでございます。いまもおっしゃいましたように、最近、図書その他の資料の出版されますぐあいが飛躍的に増加してまいっておりまして、これから将来のことを考えますと、従来の数字のままではとても対処し得ないものと存じます。私どもといたしましては、年間十二万あるいは十四万ぐらいふえるようなかっこうになって、十四、五年先には、このさしもの四百五十万の書庫も満ぱいになるのではないかと考えております。それでは、その先はどういうことになるかということでございますが、ちょうど幸いなことに、その先につきましても、衆議院及び参議院の議院運営委員会等で格段の御配慮をいただいておりまして、昭和三十六年の両議院の議院運営委員会において、それぞれ決定がなされておりまするが、国会周辺整備計画によって、国会図書館増築用地というものが指定されております。それは、現在の国立国会図書館と尾崎記念会館の間、社会党の会館のもっと右側、つまり、いままでの参議院議員会館があった跡地でございますが、あそこが一応緑地化されますけれども、図書館が附属の書庫を必要とする段階には、図書館の別館としてあの用地を使うようにということが、この計画で明らかにされておりますので、私どももその心づもりをもってこれから処してまいりたいと思っておる次第でございます。
  263. 岡田宗司

    岡田宗司君 さしあたりは、あそこの土地は緑地として、公園の一部として利用されることになるでしょうけれども、あの土地は、確保されている土地というものは面積はどれくらいになりますか。
  264. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 現在ちょっとお答えする用意がございませんので、なお御質問いただいて、後刻御返事をさしていただくことにいたしたいと思います。
  265. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは、もしそれが確保されて、そうして、そこに相当大きなものが建ち得るとするならば、四百五十万からさらにどれくらい収納できるかということの見通しを聞きたいから、その面積等をお尋ねしたわけですけれども、もしあそこに専門の――主として書庫ですね――をつくるということになりますというと、その四百五十万の倍くらい、少なくとも一千万ぐらいまでは全体として確保できることになるでしょうか。
  266. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 広さについては、先ほど申し上げましたように、後刻お答えを申し上げますが、図書館の別館として考えておりますその建物の書庫は、大体六百万の能力を持ったものを少なくとも建てなければいけないのじゃないか、かように一応考えております。そういたしますと、本館のと合わせて千五十万になるわけでございます。御承知のように、ヨーロッパのイギリスとか、フランスとかいうような大国の国立図書館の蔵書の数は五、六百万ということでございますが、世界的に見ますと、米国の議会図書館、あるいはソ連のレーニン図書館、これは類を絶した蔵書の数を誇っておりますので、そういう先例等から見ましても、あるいは日本の国力の増強、出版文化の向上というようなことを考えますと、最小限六百万というようなものはその時期に考えなければいけないのじゃないかと、こう考えております。それから、別館がそういう時期に必要とする一つの有力な根拠として、蔵書数、したがって書庫のことを申し上げましたけれども、図書館業務の拡大に伴いまして、そのころになりますれば、ほかの意味からも図書館の別館というものが必要になるということも容易に想像をされますので、その規模等においては、十分これから検討してまいらなければならないことだと考えております。
  267. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、二期工事完成いたしまするというと、もちろん、書庫もそういうふうに大きくなりますが、利用者もふえてくることが予想されます。そういたしますと、それに伴う施設として、たとえば、閲覧室の数をふやすとかというようなことも当然起こってくると思うのですが、その規模は二期工事完成するとどのくらいになるのですか。
  268. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 現在は閲覧者の席は、一階閲覧室及びやや専門的ないろいろな閲覧室を全部合わせまして、議員閲覧室も含めまして、八百三十八席でございますが、第二期工事完成した暁には、まだ細部において若干異動があると思いますが、千四百弱の閲覧室になるのではないかと存じております。
  269. 岡田宗司

    岡田宗司君 約四割増ということですね。
  270. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) そういうことでございます。
  271. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは非常にけっこうなことだと思うのですけれども、閲覧室が約四割ふえる。そのふえ方が平均じゃないと思うのですね。一般閲覧席が一番ふえるのか、あるいは特別の閲覧席がふえるのか、そのふえる内訳はどういうことになっておりますか。
  272. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) これは一応われわれの研究といたしましては、どこの閲覧室が現在何席あるのか、何席になるのかということは、一応の検討をしておりますが、これはよく検討して、多少動くかもしれませんが、大きなところを申し上げますと、国会議員に一番関係の深い議員閲覧室は、現在の十八席を四十二席にいたしまして、二十四ふやすつもりでございます。また議員研究室は、現在の十六を四十五にいたしまして、二十九ふやす予定でございます。それからよく御利用いただいております個室の議員研究室は、三十二を三十七にいたしまして、五ふやす予定でございます。と同時に、この議員研究室につきましては、特に岡田委員の日ごろのお考えも私自身伺ったこともございますが、現在の個室がやや小さいということで、これを少し拡げるということもその中に含んでおります。それから議員新聞閲覧席が、十九を二十七にいたしまして、八席ふやす。以上が議員関係でございまして、合計六十六席ふやすわけでございます。  それから一般の閲覧室につきましては、現在の四百席を五百五十に拡げたいと考えております。  それから特別閲覧室と申しまして、特殊のテーマにより、一定期間許可を得た人に自由に入ってもらって、やや高度の研究をしていだだく特別閲覧室は、現在の六十を百十六にして、五十六ふやすことにいたしております。  そのほか新聞閲覧室とか、特別閲覧室、それから一般参考調査室参考図書席とか、国連官庁資料室とかたくさんございますので、あとで表でも差し上げたいと存じます。  現在ないものにつきましては、たとえば資料、図書を読みながら音を立てる、すなわち、タイプライターを打つとか、計算機を使うとか、そろばんを使うとか、そういう人のための特殊な閲覧室、そういった現在ない種類の閲覧室も三個ほど考えております。  本来国立の図書館でございますし、国会図書館でありますから、国会図書館としては議員の利用に便ならしむるようにあらゆる配慮をしていきたい。それから国立図書館としては、いま利用形態を見ておりますと、学生その他の人が必ずしも図書を借りないで席を借りるというような人がわが館の場合にも相当ございますが、こういうことは一般の公共図書館の充実、大学図書館等の充実をさらに期していただく。国立図書館としては、やや高度と申しますか、専門的と申しますか、そういう利用者に大いに利用していただく。しかし、わが国の現状においては、一般の閲覧席もないがしろにできないのが実情でございますから、先ほど申し上げましたように、一般閲覧席もふやす。ふやすけれども、それは四百から五百五十にふやす程度にして、あとはどちらかというと、専門的な各種の閲覧室をふやすと、こういう気持ちで配慮しておる次第でございます。
  273. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、私もいま言った特別の閲覧室が増加することは非常に望ましいと、こういうふうに思っておるわけですが、この議員の閲覧室ですね、いろんな種類の、まあ率直に言うと、利用度がまだ少ないように思うんです。これは利用度が少ないのにわりあいにふえているように思うんですが、まあ、将来議員さんがもっとこの図書館を利用するようになるだろうという予想でふやされるので、これはどうも減らせと言うわけにもいかないと思うんですけれども、むしろ力点は一般のほうで、しかも、いわゆる一般閲覧室でなくて、その特殊の、つまり、特別閲覧室の傾向のものがふえることが望ましいと思うのですけれども、これだけでは私まだふやし方が足りないのではないかと、つまり、図書館の性格からいって、これはまあ国立の国会図書館ですから、いわゆる一般の公共の図書館の大きいものという意味だけではないと思うのです。したがって、この特別のほうに力点を置いていくことがいまの図書館の本来の使命にふさわしいと思うのですが、これはもう少しそっちの方面に力を注がれるといいますか――ことはもう考えておられないでしょうか。
  274. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 先ほどあとで資料をもってと申しましたが、重ねてのお尋ねでございまするから、いまのところの私どもの考えをずっと申し上げてみたいと思います。  議員関係の閲覧室、それから一般閲覧室、特別閲覧室等はさっき申し上げましたが、その他に、新聞閲覧室、現在六十のを八十にいたしまして二十を増加いたします。  それから、マイクロ資料閲覧室、現在四席ありますのを二十三席にいたしまして、十九席ふやします。新聞切り抜き閲覧室、現在十二であるのを二十四にいたしまして十二ふやします。  それから、先ほど音を立ててもかまわない、あるいは音を立てる人のためというのを特殊第一閲覧室と仮称して考えておりますが、これは新たに十席をつくりたいと思っております。  それから、大型本で書庫や何かに入らない本がございます。そういう大型の本で別置してあるものについて閲覧を願うような閲覧室を十席新たにつくりたいと思っております。  それから図書館では、いろいろ複写をすることは、たてまえといたしましては館が複写をしてあげるということにいたしてありますが、必要がある場合には館長の許可を得て複写機械を持参してみずから複写することを認めておりますが、そういう人たちの複写しながら閲覧する部屋を十五席新たにつくりたいと考えております。  それから、一般参考調査室参考図書席というものが現在五十八ありますが、これを七十六にいたしまして十八ふやすと、こういうことにいたしたいと思います。  また国連官庁資料室というのが現在八ありますが、これを十二にして四ふやす。それから図書館学資料室というのが現在八席ございますが、これを三十二にいたしまして二十四席ふやす。  それで、科学技術資料室が現在四十四ございますが、これを七十にする。つまり、二十六ふすやということにいたしたいと思います。  それから、人文、法律、政治、経済、社会参考特別室というのが現在二十席ありまして、これは二十二席にして、あまり変わりありませんが、二席ふやす。  それから、アジア・アフリカ資料室というのは十六席を三十二席にして十六席ふやす。  音楽資料室はこれは現在どおり十四席であります。  それから、幣原平和文庫、現在は四席でありますが、これを八席にして四席ふやす。  憲政資料室は八席でありますが、これを十六席にして八席ふやす。  地図室は現在五席でありますが、これを十席にして五席ふやす。  貴重書室は現在六席でありますが、これを十二にいたしまして六席ふやす。  それから、法令議会資料室は現在二十六でありますが、これを四十八にして二十二ふやす、まあこういうふうに考えております。それで、これは現在における案でございまして、さらに向こう一年間検討して、できればもう少しふやしたいと、かようにも考えております。先ほど千四百弱というふうに申し上げたと思いますが、現在の数字はその千四百までいっておりませんが、そういった心組みでおるわけでございます。
  275. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、本の収蔵の関係からマイクロフィルムの利用が多くなされるようになると思うんですが、これを見る施設ですね、そういうものの拡張も含まれておりますか。
  276. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) お話のとおり現在図書の資料形態といたしましても、マイクロフィルムとかマイクロフィッシュという形態が非常にふえてきております。それで、こういうものについては、マイクロリーダーというものでこれを読むわけでございますが、お話のように重要な部面を占めることでありまするから、第二期工事完成とともにマイクロリーダー室というものをつくってマイクロリーダーの関係の業務を強化したい、こういうことを念願としておるわけでございます。これは来年度予算の問題にもなるわけでございますが、そういうことを強くわれわれとしても希望しておる次第でございます。
  277. 岡田宗司

    岡田宗司君 こういう新しい施設をつくる場合の予算ですが、大体最初にきまっておるんでなくて、いまみたいなマイクロリーダーの施設等をつくる場合に、来年度予算に新しくそれを要求して認めてもらわなければできないというようなことなんですか。初めからの計画でそれがずっと行なわれるということではないんですか。
  278. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 建築工事あるいは機械設備その他は、全部来年度まで予算は事実上きまっております。主体工事等については国庫債務負担行為等も認めていただいておりますし、その他の大きな費用については、大体大蔵省とも話し合いをして、了承を大筋において得ておると考えます。それから人員等の予算につきましても、建築のスペースがふえ、書庫の数がふえしておるわけでありまするから、出納の人数、あるいは閲覧等の場合の監視の人数、あるいけ機械設備が非常に大きくなりますので、そういう機械設備の保守の要員、そういうものについては、これは増築に伴う当然の予算として認めてもらえるものと存じておりますが、ところで第二期工事完成ということは、すでに懸賞当選で現在の設計ができた初めからそういうことが考えられておったわけで、いわば図書館の二十年来の夢が実現するわけでございまするから、そういう暁には、われわれはじめ職員すべて一致をいたしまして、新しい図書館の業務の充実発展ということに努力をいたさなければならないと思います。そういう方面においては、いろいろ私どもも、これは理想も持っておりますが、そういう一々についてはっきりした了解を得ておるというわけでは現在ございませんが、国の大事な文化的に意義のある事業のことでございまするから、大蔵省等においてもその理解を惜しまれないであろうと存じておる次第でございます。
  279. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、だいぶ大きくなるわけですから、結局相当の人数もふやさなきゃならぬということは、いまも言われたんですが、現在の職員、これはどのくらい程度までふやすということをお考えになっておるのか、そしてもうすでに大蔵省側とある程度の折衝をされておるのかどうか。
  280. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 御承知のとおり、昭和四十三年度予算につきましては、八月三十一日の期限をもって要求書を大蔵省へ送付することになっております。したがいまして、私どもといたしましては、印刷等の関係もありまして、七月下旬には私どもの考え方をすべて決定をいたしたいと存じておりまして、すでに先々週あたりから始めておりますが、毎週私どもが幹部の会議をやっておりますものを館議と申しますが、その館議の席上二回ほどすでに来年度予算のことを検討しておりまして、この七月の下旬に決定さるべく、その間十分このことを検討いたしまして、人員につきましても、所要の人数が何人であるということをはっきり確定をして、大蔵省のほうに要求をいたしたいと存じております。
  281. 岡田宗司

    岡田宗司君 するとまあ、大蔵省に要求する原案ができるのは七月下旬ですが、現在のところ何割くらい増加をめどとしておるかという大まかの数字ですね、それはどういうことでしょうか。
  282. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 先ほど申し上げておりますような作業の日程でございまして、いま的確に申し上げる用意がございませんけれども、数十名の増員はぜひ要求したいと、かように考えておるわけでございます。
  283. 岡田宗司

    岡田宗司君 四十三年に業務が始まって、こういうふうないろいろな拡張が行なわれて、それでそのくらいの人数の増加で大体間に合うんでしょうか。現在でもまあ館員の間には足りないという声もあるわけですけれども、これだけ大きくなるともう少しよけいいなければ足りないんじゃないかというふうに考えられるんですがね。それくらいの増加で間に合うとお考えでしょうか。
  284. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 一般の職員、あるいは私どもも実はそうでございますが、そういう感じから言えば、職員の数はもう少しほしいということは偽らざる気持ちでございます。特に第二期工事完成する明年秋以降のこと、私どもが心機一転してさらに図書館業務と取り組んでまいるその時期においては、人数の相当数の増加というものを心から希望はいたしております。ただやはり、一国家機関であれ、その責任者として国全般のことも考えなきゃならぬかと思いますし、十分合理的な基礎の上に立って必要な数はぜひ要求をしたいと、かように考えておる次第でございます。
  285. 岡田宗司

    岡田宗司君 立法調査業務のほうは、これは館が二倍の面積になったからといって二倍になるわけじゃないと思うんですけれども、しかしこれもやはり範囲を広げられる、あるいはその人数を増して、もっと深く研究をする人を増す、そういうことは行なわれますか。
  286. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) これは第二期工事完成と論理的な必然性があるということでは必ずしもございませんが、国会図書館として国会に対する奉仕を最も強く考えねばならぬ立場といたしまして、調査及びレファレンスの機能を充実し深めていくということを強く考えております。それで、その事業として新たにいろいろなことも考えておりますが、いま主として人員のことをおっしゃいましたが、これは数年来希望しておるところでもございますが、課に相当するものとして海外事情調査室というものをぜひつくりたいと、これは数年来の問題でございますが、これを強く考えております。いま皆さま方議員各位に「海外ニュース」ガイドというものをお配りをしておると思いますが、ああいう事柄についてもサービスをさらに充実強化していきたいという気持ちを持っておりますので、海外事情課というものをつくりたいと、こういうような具体的な点並びに一般的な調査業務の充実発展というために、調査局関係におきましても、若干の人数はさらにほしいと、かように考えておる次第でございます。   〔副主査退席、主査着席〕
  287. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、図書の充実のための購入、これについてちょっとお伺いしたいんですが、本年度予算内容を見ますというと、科学技術関係資料費というのが一億円ほどありますが、一般の図書購入費というのは四千百十八万九千円で、その四割ぐらいになってるわけですね。この中には外国資料も含まれておると思うんですけれども、非常に私少ないように思うんです。それで、外国の図書を各国のをみんな買うわけにはもちろんいきませんから、セレクトして買われるんでしょうけれども、いまの世界の情勢がこういうふうに大きく動いておりますときに、法律だとか、経済だとか、政治だとか、社会だとか、文化だとか、そういう人文科学関係の図書というものは、非常にどこの国でも多くなっておりますので、それらのうちから選んで買うにしても、この四千百万余円の一般のうちでは非常に少ないんじゃないか。これをたとえば東京大学そのほかの大学で購入しておるそういう人文科学関係の費用と比べますとたいへん少ないように思うんですけれども、この点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  288. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 国立国会図書館の購入する科学技術関係以外の、人文科学とか、社会科学とか、そういう方面の購入費用が非常に少ないということにつきましては、実は私どもそのとおりでございますと申し上げるほかございません。これをぜひふやしたいというのが私の率直な念願でございます。図書館の図書を獲得する手段といたしましてはいろいろございますが、予算関係を含むものといたしましては、いまおっしゃいました図書購入費として四千百十八万余円が載っております。そのほかに立法資料購入費、これは主として調査局関係で使いますが、これが四百十万余円、それからそのほかに、国立図書館でございまするから、国立国会図書館法によって、国内出版されたものがすべて納本せられることになっております。その納本は、無償ではございませんで、対価を支払います。対価と申しましても、その趣旨が、本人――出版者の損失を招いてはいけないということでございますから、そのコストを償うという意味で市価の約半分になっております。そういう関係で、予算としては納入出版物代償交付金というものが計上されております。その代償金が一千四十万余円でございます。こういうものを全部合算をいたしますと五千六百万というような数字になるかと思いますが、この中にも若干の科学技術関係資料は国内出版等でございます。要するに、数字としてはそういうふうになりますが、もちろん不十分であることは冒頭申し上げたとおりでございます。その他に、国際的な政府刊行物の交換とか、寄贈とかいうことが、国立図書館としての当館の特殊性から、獲得する手段としてございまするけれども、それらを勘案いたしましても、社会科学、人文科学における当館の購入費がなおはなはだしく不足しておるということは、私もそのとおりであろうと思います。大学図書館との関係につきましては、各国のナショナルな図書館費とその国の大きな大学の図書館費との関係においても、大学図書館の図書購入料が相当大きいということが国際的にも言われており、一がいに大学図書館との関係がどうこうということで論断はできないかもしれませんが、大筋としては御指摘のとおりと思いますので私どもも社会科学、人文科学関係の図書購入の費用をさらに大幅に増大するように懸命につとめたいと存じます。
  289. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから国会図書館には、上野の図書館から引き継がれたもの、それから個人の蔵書家から寄贈された文献等、たくさん未整理の図書資料があるわけですけれども、これはいま整理をされておるのですが、一体これの整理の終わる見込み、そういうものはどういうふうにお考えになっておりますか。
  290. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 御指摘の未整理の本、あるいは整理のもう一つ前の段階で受け入れすらしていないものもございますが、そういうものを私ども滞貨処理と称して、昭和四十一年度から五カ年計画をもってこれが完成を期してやっております。現在、一年目が終わって二年目に入ったところでございまするが、一年間の実績で申しますと、和書等におきましては、対象となっている図書に現在すでに当館が収蔵している図書と重複をしているものが相当ございます。また、漢籍等につきましては、叢書の形になっておりますので、一冊一冊としては数が多いのですが、全体の整理としてはそう時間、労力をかけないで済むかもしれないと思うものもございます。ただ、洋書につきましては、相当な困難がございますので、大体初年度の実績がはっきりいたしました時点を受けて、多少予算的な手当等も増強をして、四十三年度からはその計画で対処したい、かように思っております。そういう和書、漢籍等は、順調といいますか、大体はいけると思いますし、洋書等についてさらに充実した計画を四十三年度から立てますれば、予定のように進行するのではないかと、さように期待をしておる次第でございます。
  291. 岡田宗司

    岡田宗司君 この整理は主として、なんですか、もちろん館員の人も当たらなきゃならぬし、指導もしなければならぬでしょうけれども、おおむね。パートタイムとか、それからアルバイトの学生とか、そういう者によってなされておるが、それは一体どれくらいの人数でなされておりますか。
  292. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) もちろん、正規の職員もこの滞貨整理に当たり、かつこれを指導しておりますけれども、滞貨整理というのが五カ年の期限をもってやっております関係上、やはり臨時的な性質を持ちますので、常勤職員という形の者及び賃金形態の人というかっこうでその大部分の仕事をやらざるを得ないかっこうになっております。その人数につきましては、非常勤職員が十一人、それから賃金関係の人が九人、これが正職員四人の指導のもとにこの仕事に当たっておる次第でございます。
  293. 岡田宗司

    岡田宗司君 この未整理のものは、おおよそ何冊くらい残っておりますか。
  294. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 約二十五万。そのうち十四万くらいがまだ収納をされておらなかった図書、それから十一万くらいが収納はされておるけれども整理されてなかった図書ということで発足しておりまして、つまり二十五万冊が滞貨処理の事業の対象でございます。もちろん、こういった滞貨と言われているものでございますから、的確な数は事業の完結を待たなければわかりませんが、おおよそはそういうことであると存じております。  なお、ついでに申し上げますと、国の内外を問わず、大きな図書館におきましては、どうしても相当膨大な滞貨が出るということはやむを得ないことのようでありまして、それ自体についてはそういう感じを持ちますけれども、ただそれをわれわれ責任者としては、一刻も早く計画的に受け入れ、かつ整理し、そうして利用者の利用に供し得るようにしなければならない。こういう気持ちで始めたのが昨年からの滞貨整理の事業でございます。
  295. 岡田宗司

    岡田宗司君 五カ年間でできればたいへんけっこうだと思うのですが、はたしてこれだけの人数で、しかもパートタイム、アルバイトと一緒に仕事をする、本職ではなしに。それから、ことに洋書の整理などになってくると、なかなかむずかしい問題があろうと思うのですが、はたしてこれだけの人数で年内にできるのかどうか、もし第一年度の実績を見てできないとすれば、やはりそれは増員をしてやるというようなことになるのか、あるいは年数を延ばすということになるのでしょうか、そこはどういうふうに……。
  296. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 先ほど申し上げましたとおり、現在御審議願っております四十二年度予算を策定する作業は昨年の六、七月ころにしたわけでございまして、そのときにおきましては、滞貨整理の事業が発足したばかりでございまして、その実績がどうなるか、計画どおり進行するか、そういうことは予測が困難な時期でございました。したがって、第二年度である昭和四十二年度予算は、従来どおりの非常勤職員を滞貨整理について一名ふやしていると思いますが、その程度で要求いたしておりますが、来年度予算になりますと、一年数カ月の経過期間があって、滞貨整理事業の実績というものがそこに浮かんできておるのでありますから、この実績を見まして、計画を修正すべきものは修正し、さらに充実すべきものは充実をして来年度予算として要求をし、なるべくはそういう形で五年という当初の期間に成就をしたい、かように念願をしている次第でございます。
  297. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほど、何といいますか、滞貨資料のほうは約二十五万冊と言われておりましたけれども、例の幕府の引き継ぎ文書ですか、それから帝政ロシア関係資料というようなものがあるわけでございますが、それらを含まれておりますか。
  298. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 副館長から……。
  299. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 幕府の引き継ぎ文書につきましては、その中にほとんど含まれておりません。これはもうすでに整理いたしまして、その目標を着々達しておりますし、それからロシア関係資料につきましては、一部分は上野時代のもので整理していないものが乙部の中に数百冊含まれておりますが、これはその未整理図書の計画の中に入っておりますが、それ以外の多くのロシア関係の文献についてはもちろん整理済みのものが多いわけでございます。
  300. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、そういうものを合わせても別に二十五万から特にふえるというほどのことはないわけですか。
  301. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) すべてを含めまして二十五万をあまり大幅にこえるような見込みはないわけでございます。
  302. 岡田宗司

    岡田宗司君 明治百年の記念事業ですね、これの計画についてお伺いしたいのですが、まず概要をちょっと。
  303. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) これは若干誤解があるかもしれないと思いますので申し上げるわけでございますが、明治百年を迎えるにあたって、その明治百年というのはどういう時点から数えるべきであるか、かつそれは満で数えるべきか、数えで数えるべきか、また太陽暦と太陰暦の関係はどうするのかというような問題がございまして、それについても国会議員の名をもって当館にレファレンスの問題としてただしてまいりましたので、これを当館で精査をしまして、それについてはこういう考え方、こういう考え方がある、また問題としてはこういう問題があるということを回答をいたしたわけでございます。これは通常のレファレンス業務と同じでございまして、明治百年の問題について図書館がイニシアティブをとってどうこうという問題ではございません。それで、私ども国立国会図書館はもとより国の機関でございまするから、明治百年についてどういう行事をするかという国の意思が決定し、国の行事としてこれが行なわれるということにつきまして図書館関係の協力を求められますれば、当然これに協力をしてまいるつもりでございます。その他におきましては、図書館自体といたしまして、明治百年のために、かつその目的のためにのみどうこうするという計画は持っておりませんが、ただ一般に明治百年として大いに来年度これを記念をするというときでもございますし、図書館関係といたしましては、明治期に刊行された図書で当館に所蔵をしているものについて、その目録を出したならば、図書館としてはなはだ有意義なことではないかと存じている次第でございます。それで、明治以前の――慶応以前のものにつきましては、実は私企業がこれをやっておるのでございまして、明治期においては、部分的にはいろいろございますが、全部これをまとめた目録というものがないわけでありまして、明治期の研究をするという上には明治の出版活動の全貌を把握するということがどうしても必要でございましょうし、そういった目録がないということは、図書館事業自体としてはなはだ残念なことでございますし、国立図書館はその任務としてぜひこれをしなければならない、かように図書館業務の本来のことから考えておる次第でございます。そこで、それがたまたま国立国会図書館の二十周年記念にもなり、明治百年の機会にもなるので、そういった意味合いも含ませて、これを大々的にやったらよかろうということを決定いたしましたのが、昨年八カ年計画をもって発足いたしました明治期の所蔵図書の目録を刊行する事業でございます。明治百年に関連して図書館として考えていることということで、関連のあることを申し上げますればそういうことでございます。
  304. 岡田宗司

    岡田宗司君 この明治期刊行図書目録、これはたいへんな仕事だと思うのですが、国会図書館に所蔵されておる明治期に刊行されたものもそれは相当な数があるだろうけれども、全部網羅されているというわけでもないと思うのです。そのほかのたとえば漏れておるようなものでよその持っているものというものも、あるいはこれはさがすのもたいへんなことでありましょうししますけれども、そういうものもやって、そして単に国会図書館が持っておるだけでなく、国会図書館以外のところも持っておる、そこに漏れたものも含めて網羅したものをやるというふうなことはお考えにならなかったのですか。
  305. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 明治期に刊行された図書のうち、当館が収蔵しているものは約七〇%あると聞かされております。したがいまして、当館にないものが三〇%くらいあるわけでありまして、その中には現存しないものがあるかもしれませんが、とにかくさようなことになっております。それで、先ほど私が申し上げたような明治期の図書目録を刊行する意義を十二分に考えるならば、おっしゃるような方法ができれば、それは日本の図書館の事業として最も意義のあることであろうと存じまするが、現在の段階では、当館に所蔵している目録自体についても、約八カ年を要する継続事業でございまして、その第一冊を明四十三年度に出せばいいという考え方でいるほどの相当大きな事業でございますので、直ちに当館が所蔵していない図書の国内における所在を調査してこれを目録化するというところまでは、現実の問題としては困難であろうと存じます。私どもといたしましては、当館が当館所蔵のものについてそういう目録を出しましたならば、その体裁なりその記載要領等に応じて、国内の大きな公共図書館あるいは大学図書館等からそういうことに関連したカードあるいはいろいろな資料の送付等が得られて、それによっていま御指摘のような明治期に出されたすべての図書の目録が発行し得る段階にいけば、はなはだ本懐と存じます。しかし、それにつきましては、さらに多くの年月と予算、人員等について相当の手当てをしなければなしがたいことでございますので、現段階としては、まずわれわれの所蔵しているものの完成に一生懸命当たりたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  306. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまのお話ですと、国会図書館にないものが他に約三十%あるということですが、これは膨大な量だろうと思う。それで、結局、これは他の公共図書館あるいは大学の図書館の協力を得なければできないということのようでございますが、いま国会図書館で収蔵しておるものの目録をつくりました後に、たとえば第二期計画として、国会図書館がそういう大学等に呼びかけて、そうして共同事業としてこれをやる。これは予算の問題はもちろんありまして、なかなかむずかしいこともあろうと思いますけれども、そういう、つまり、第二期計画といいますか、遠大な計画はお持ちになっておるわけですか。
  307. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 計画を持っておるという、計画という意味でお答えは若干はばかりますが、私自身の個人的な気持ちといたしましては、いま御指摘のようなことを図書館の業務としてはぜひやりたい、かように存ずるわけであります。ただ、第一期計画と申しますか、本館所蔵のものですら八年間の膨大な計画でございますので、いま御指摘のものに取り組むにつきましては、さらにいろいろな手当ても必要でありますし、慎重に検討いたしまして事に当たりたい、かように存じておる次第でございます。
  308. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、最近の夜間利用ですね、これはどんな状況でございますか。
  309. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 夜間開館はウィークデーにやっておりまして、夜の五時から八時までございますが、その夜間利用者に充てております席は六十席ございます。それに対しまして、大体五割から六割の利用率がございます。
  310. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ昼間の利用率よりも低いわけですね。
  311. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 夜間は、特に昼間に来られない人、どちらかといえば専門的な資料の利用を望む方に概してサービスしておりまして、ずっとその数が減っております。第二期工事完成しますと、この夜間開館用の席も倍増する予定でございます。
  312. 岡田宗司

    岡田宗司君 この夜間利用が今後ふえる見込みがあるということでふやされるわけですが、この夜間利用は私はもっとあるものと思っておったのですが、わりあいに利用率が低いというのは、交通の便等の関係でしょうか。
  313. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 確かに、現在程度で需要がとどまっているということは、交通事情が多いと思っております。私どもも、なるべくその昼間の勤務時間以外に図書館を利用しようという御希望の方に対しましてサービスを提供するようにしたいと思っておりますが、現在のところそういうような状況で、まあいまのところはそんな状態でございます。
  314. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、いま工事が行なわれていますね。そのために、騒音の問題もあると思うし、いろいろ影響があると思うんですが、こういうことが図書館の利用者の方々に何か特別な影響を持っておりますか。たとえば、音が非常にうるさくてあそこで本を読むのはどうもぐあいが悪いとか、何かそういうようなことは起こっておりますか。
  315. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 利用者の中で起こっているといいますか、私どもとして閲覧をしていただく関係で考慮しなきゃならぬということで、一般閲覧はずっと継続をいたしておりますが、先ほど申し上げました特殊の閲覧室で特に、工事現場から近くて騒音がはなはだしいものにつきましては、その状況に応じまして、何回かその閲覧を停止をいたしておることがございます。それから、一般的には、掲示をいたしまして、工事の状況がどうであるか、こういうことで御迷惑をかけて恐縮ですということ、それから何日にはどういう部屋は閲覧を停止しなければならないというようなことについては、わかり次第明らかにしているところでございまして、したがいまして、閲覧者側からどうこうということ以前に、われわれといたしまして、不本意でありますが、第二期工事関係部分的に閲覧を停止したものがあるということが実情でございます。そういった掲示もいたしておりまするから、一般的に閲覧者の来館のしかた等について第二期工事の状況が若干影響をしておるということはあると存じております。
  316. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは図書館の職員の仕事の能率等にも影響がありますか。
  317. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 今度の図書館の工事につきましては、図書館というものの性質にかんがみまして、騒音を発生しないように、建設の責任を負っている建設省あるいは当該の建設会社におきましても非常に配意をしておりまして、そのために、リベットの打ち方等については全然騒音の起こらぬような方法をとる、そのために千万円をこえる支出がつきましてもそういうことをいたし、また工事と部屋との間には防音壁を設けるとか、いろいろあとう限りのことをいたしておりますが、しかしながら、第二期工事に関連するものとして、第二期工事が起こったらばこの部分をどういじるということがきまっておったところに、コンクリートや何かで雨漏りがしないようになっておる、そういうものを除去するこれをはっきりと工事専門語で言っておるようでございますが、そのはっきりの作業自体につきましては、現在騒音を消去する、もしくは防止する方法がございませんで、その工事をする近傍は相当な騒音がするのが事実でございます。それで職員等につきましても、いまお尋ねがございましたその騒音で悩まされている向きは相当あるわけでございます。私どもの部屋等につきましても、会議室をいろいろ転々とするというようなことも行なわざるを得ない状況でございます。ただ、第二期工事というものが図書館の大きな使命を達成するために必要欠くべからざることでございまするから、できるだけのことは忍んで、工事を一日も早く完成をして、国会、行政府、司法の関係並びに国民に奉仕をしていきたいという念願で、忍んでいるというのが実情でございまして、相当の騒音がし、相当悩まされている、これは事実でございます。
  318. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあある程度やむを得ないことだとは思うのですけれども、しかしこれで閲覧者あるいは図書館に働く人たちの仕事に影響があるということですと、やはりこれは何らかの方法でその被害を最小限度にとめるような配慮がなされなければならぬと思います。この点は、職員の方々もだいぶ困っているようですから、ひとつ十分建設会社等にも話して、なるべくそういうことがないようにしていただきたいと思います。  それから次にお伺いしたいのは、明治期の図書の刊行目録のほかに、あるいはいろいろの、まあ全日本出版物総目録だとか、その他いろいろやっておられまするが、そういうものも非常に数多くやられておって、これ並行にやっておられるわけだけれども、その仕事の進捗状況ですね、それはどういうふうになっておりますか。いろいろ並行にやられておりましょう。
  319. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) わが国の唯一の国立図書館といたしまして、その使命の上からいきましても、いま例示されました全日本出版物総目録その他各種の書誌ビブリオグラフィーといわれるものでありますが、この書誌を作成し、書誌活動を組織化して充実していくということは私どものつとめであろうと存じます。それで、そういうことにつきましては従来ともずっとやっておったわけでありまして、そのほかに昭和四十一年度から、あるいは滞貨整理とか、あるいは明治期の所蔵図書目録の刊行であるとか、あるいは昭和四十年度から、新聞のマイクロ化、これは二十年計画でやっておりますが、そういったことをやっておりますが、そういった明治期の問題や、そういうものにつきましては若干の正職員がこれを指導してまいりますが、その主たる部分は臨時的な形態の職員を充てておりますので、他の業務に非常な支障を来たしているということにはならないと思います。ただ、全般的に、先ほど申しましたとおり、われわれの図書館がその使命にかんがみいろいろなことをやっていく上において、総体的にやや人手不足だという感はいなめないので、部局によっては相当苦しいところもあろうかと思いますけれども、その当年度、当年度の仕事としては、与えられた陣容でベストを尽くすということでやっているわけでございます。
  320. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはたいへんな仕事で、どうしても並行にやっていく、そこへ新らしい明治百年の記念事業のようなものが来るということになりますと、なかなかどれもこれもうまくいくということがむずかしくなるのじゃないかと私ども心配しておるのですが、これはもちろん予算関係もあり、人数の関係もある、またそのやる人の質の問題もあろうかと思いますけれども、そこいらは、見込みとしては、狂いなくやっていける、予定どおり進められる、こういうことでしょうか。
  321. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 以前からやっておる図書館の業務と並行して昨年からやり出した明治期の所蔵図書の目録の刊行の問題、あるいは滞貨整理の問題等につきましては、四十一年の実績が出ておりまするから、これに即しまして四十三年度予算要求としては必要な修正は行なって、なるべく予定された計画年度内に成就をしたいということを考えております。個々に申し上げますれば、滞貨整理の問題については、先ほど申し上げましたとおり、洋書に相当な困難があるけれども、そこに若干の手当てをしていけばまあやれるのではなかろうかと、それから明治期の所蔵図書の関係につきましては、上野の図書館でいわゆる乙部図書とされていたものが実は相当数が多かったり何かしておりますが、そういうものについては重複しているものが非常に多いことと、この整理分類等についてはわが館でも最もベテランがこれに当たっております。そういう関係で、実際的な方法をとってやっていけば、これも八年の計画でありますが、四十三年に第一冊を出すというふうに進め得るのではないかと存じております。計画遂行上必要な計画の修正、人員の手当て等は、四十三年度の問題として十分考えたいと存じております。
  322. 岡田宗司

    岡田宗司君 最後に、職員の給与の問題についてちょっとお伺いします。  例の手当の問題ですね、これ衆議院、参議院の一般の職員と比べますというと、賄雑費でも国会手当でも低いわけです。これを、国会の職員との間のこの差額を何とか一般並みにしてくれという要求もあったように聞いております。この問題についてどうお考えになり、また、ことしはもうきまったようなものですけれども、来年度以降における見通しですね、それはどういうふうになるのか。
  323. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 御指摘のとおり、国会特別手当あるいは賄雑費と称する給与が国会職員には職員給与規程で認められておりまして、これが実施せられております。その場合におきまして、衆参両院の職員に比しまして国立国会図書館の職員が平等の待遇に浴してないということも、御指摘のとおりでございます。これは給与規程等の表現が、「国会開会中において」云々というように、国会活動と密接に関連をしている業務を行なっている職員に出すというような趣旨に読める表現になっておりまするので、何と申しましても、国会議員の活動あるいは国会自体の活動を直接補佐しているのは衆参両院の事務局、法制局であって、国立国会図書館の職員は一般的に言えばそれとは若干差があるではないかという考え方からきておるわけでございます。ところで、両院の事務局、法制局等におきましても、その職務の内容は、国会議員の活動あるいは国会の活動とは全然関係のない仕事を職掌している部局もあるわけでございまして、これが全体として高い国会手当あるいは賄雑費の支給を受けているゆえんのものは、両院の事務局、法制局という機構あるいは組織全体が国会議員の活動を全的に補佐しているという観点に立っておるのだろうと思います。そういうことでありまするならば、国立国会図書館におきましても、調査局の職員、あるいは議員閲覧室の職員、あるいは国会分館の職員というものは、国会議員の活動を全的に補佐する職務を負うておりまするが、そういう人たちがそういう全般的な補佐をなし得るのも、本を収納する人が本を収納し、それを整理分類をする人が整理分類をする、いわば国立国会図書館全体として、その機関として国会に奉仕をしているのだというふうに考えてもよかろうじゃないか、ひとしく国会職員である者の中に待遇の厚薄をつけるよりはいいではないかというのが私の個人的な考えでございます。この公の会議で個人的な見解を申し述べるのはやや不謹慎かとも思いますが、率直に申し上げればそういうことでございます。しかしながら、長い沿革があり、一朝一夕にはそういきません。この二年ぐらい大幅に改善をしてはまいりましたけれども、現在なお全般的に比較をいたしますと相当の差がございますので、職員に潜在的な不満があることは事実であろうと思います。私は、一方に先ほど申し上げたような個人的な見解を持ち、これを実現するように、国会、あるいは政府、大蔵省、各方面の了解を得るようにつとめてはまいりまするが、その年度々々で、予算がすでにきまりましたならば、その予算に積算された基礎あるいは現在の給与規程の趣旨等に勘案してこれを執行していくほか責任者としてはやりようがない。したがって、長い――長いといいますか、これは短いほうがいいのでありますが、私の考えが具現せられるまではそういう差等が若干生ずるであろうと思いますが、一日も早く私の考えが各方面で採用せられて名実ともに平等になるように期待してやまないわけでございまして、こういう方面につきましても格段の御支援をお願いいたしたいと存じておる次第でございます。
  324. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、この問題については、来年度予算編成にあたっても、いま館長の言われたような趣旨で大蔵省予算要求をされると解してよろしいわけですね。
  325. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) そのつもりでございます。
  326. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから賄雑費の問題なんですが、これは二種類あるわけですね、金額が。これについては、四十二年度以降には一律に配分せられるようにすると、こういうことになるのでございましょうか。
  327. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 現在、四十一年度予算、それから四十二年度予算もそうでございますが、先ほど申し上げたような趣旨もありまして、国会議員の活動に奉仕する度合いの強い部分の仕事をしている人とそうでない向きの人とに分かれまして、四百十五人に対しては千六百円、三百九十三人に対しては千百円ということが一応の予算の積算の基礎になっております。それで、来年度はどうなるかということについてのお尋ねでございますが、私の気持ち自体といたしましては、先ほど申し上げた趣旨によりまして、館内においても平等、衆参両院に対しても平等という予算を要求し、これを認めてもらうように全力を傾注したいと思います。それが認められない場合にどうだという事柄に対しましては、現在はぜひ衆参両院とも平等、館内も平等という予算を出したいということで、かつこれを認めてほしいということでございまするから、その先のことは差し控えたいと思います。
  328. 岡田宗司

    岡田宗司君 行(二)職員の行(一)職員への移行の問題、これは図書館にもあるのですね。先ほど同僚の山本君からもいろいろ一般的に質問があったわけですが、今年は十五名移った、まだ残りが六十四名ある、こういうことですが、これについても、図書館側としては、減らしていく、漸次解消していくというお考えですか。
  329. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) これは衆参両院と共同歩調のもとにやってることでございまして、現在の公務員の給与表の実態が、行(二)の給与表は実態に合わなくなっている、破綻しているというような印象を数年前から私ども持っております。そういう意味合いにおきまして、行(二)を全面的に行(一)に移行するのがしかるべきであろうという見解を衆参両院の当局者ともども持っております。したがいまして、来年度におきましては、要求としては本年もそうしたのでありまするが、行(二)の全面的行(一)移行という要求を行ないたいと、かように存じておる次第でございます。  失礼いたしました。先ほどの図書館の増築用地の坪数は、約二千八百坪――八千四百平方メートルということでございます。
  330. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 以上をもちまして、国会図書館に関する質疑は終了したものと認めます。     ―――――――――――――
  331. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 次に、昭和四十二年度予算会計検査院所管を議題とし、その説明を聴取いたします。会計検査院事務総長宇ノ沢智雄君。
  332. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 昭和四十二年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十二年度会計検査院所管一般会計歳出予算の要求額は、十四億六千七百三十六万九千円でありまして、これは会計検査院が日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づいて、会計検査を行なうために必要な経費であります。  いま、要求額のおもなものについて申し上げますと、  職員の俸給、給与、手当等として十二億四千二百三十五万七千円を計上いたしましたが、これは総額の約八五%に当たっております。  会計実地検査の旅費として一億一千六十六万円を計上いたしました。  なお、外国旅費として三百五十一万八千円を計上いたしましたが、これはオーストリア共和国ウイーンにおいて開催されます会計検査機関国際事務局理事会に出席するなどの経費及び沖繩援助費の会計実地検査に要する経費であります。  昭和四十三年五月東京において開催される第六回会計検査機関国際会議の準備経費として一千六百四十六万五千円を計上いたしました。  なお、会討検査を強化するため、防衛検査第三課長一人を定員内振りかえし、予算定員内で調査官十人の増員を計上いたしました。  次に、ただいま申し上げました昭和四十二年度歳出予算要求額十四億六千七百三十六万九千円を前年度予算額十三億九千百二十六万一千円に比較いたしますと、七千六百十万八千円の増加となっておりますが、その内訳について申し上げますと、職員の俸給、給与、手当等において六千五百四十四万円、会計実地検査の旅費において九百三十八万一千円、第六回会計検査機関国際会議関係経費として一千三百四十二万五千円、その他検査資料整備経費、研修経費などにおいて七百十万二千円、計九千五百三十四万八千円でありますが、各所新営などの経費一千九百二十四万円が減少となりますので、差引き七千六百十万八千円の増加となっております。  以上はなはだ簡単でございますが、昭和四十二年度会計検査院所管一般会計歳出予算要求額の概要説明を終わります。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  333. 二木謙吾

    主査二木謙吾君) 別に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会      ―――――・―――――