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1967-05-19 第55回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十九日(金曜日)    午前十時二十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         新谷寅三郎君     理 事                 白井  勇君                 西田 信一君                 平島 敏夫君                 八木 一郎君                 亀田 得治君                 小林  武君                 鈴木 一弘君     委 員                 青柳 秀夫君                 植竹 春彦君                 大谷 贇雄君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 内藤誉三郎君                 林田悠紀夫君                 二木 謙吾君                 船田  譲君                 宮崎 正雄君                 山下 春江君                 占部 秀男君                 岡田 宗司君                 北村  暢君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 羽生 三七君                 藤田  進君                 矢山 有作君                 山本伊三郎君                 吉田忠三郎君                 小平 芳平君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君                 山高しげり君    国務大臣        外 務 大 臣  三木 武夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        文 部 大 臣  剱木 亨弘君        厚 生 大 臣  坊  秀男君        労 働 大 臣  早川  崇君        建 設 大 臣  西村 英一君        自 治 大 臣  藤枝 泉介君        国 務 大 臣  塚原 俊郎君        国 務 大 臣  福永 健司君        国 務 大 臣  松平 勇雄君    政府委員        総理府人事局長  増子 正宏君        警察庁交通局長  鈴木 光一君        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        経済企画庁総合        開発局長     加納 治郎君        外務省北米局長  東郷 文彦君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        大蔵省主計局長  村上孝太郎君        文部省初等中等        教育局長     斎藤  正君        文部省大学学術        局長       天城  勲君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省児童家庭        局長       渥美 節夫君        厚生省保険局長  熊崎 正夫君        労働省労政局長  松永 正男君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        建設省計画局長  志村 清一君        自治省行政局長  長野 士郎君        自治省選挙局長  降矢 敬義君    事務局側        常任委員会専門        員        水田 国一君    説明員        自治省大臣官房        参事官      志村 静男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十二年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○分科会に関する件     —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十二年度一般会計予算昭和四十二年度特別会計予算昭和四十二年度政府関係機関予算、  以上三案を一括して議題といたします。  質疑に入るに先だって、分科担当委員の選任について御報告いたします。  昨日、委員長に御一任願いました分科担当委員の指名につきましては、お手元に配付いたしました刷りもののとおりに決定いたしましたので、御了承願います。     —————————————
  3. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは占部秀勇君の質疑を行ないます。占部君。
  4. 占部秀男

    占部秀男君 私は最初に当面しておる労働問題についてお尋ねを申し上げたいと思うのでありますが、労働大臣御存じのように、たしか来年は国際人権年にあたると思うのでありますが、したがって、国際連合でも、国際人権に関する条約批准決議が行なわれましたし、これを受けてILO総会でも同様、条約批准を促進する決議が行なわれたはずでありますが、この当時の事情と経過についてひとつお知らせをいただきたいと思います。
  5. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 明年は国際連合人権イヤーでございます。先般モース事務局長から、こういう有意義総会であるから、できるだけ人権を守る条約批准してほしいと要請がございました。それにこたえまして、かねがね私も考えておりました百号条約というものを批准するつもりにいたしております。
  6. 占部秀男

    占部秀男君 もちろんこれは国連のほうも、ILOのほうも、政府としての代表が出ておるわけですから、したがって、この決議は、これはもう、特にILOの場合には、政府それから資本家代表あるいは労働代表、三者とも、これを尊重して促進させる政治的な責任が私はあるんじゃないかと思いますが、こういう点についての労働大臣の御見解を承りたいと思う。
  7. 早川崇

    国務大臣早川崇君) もちろん日本先進国といたしまして、できるだけILO条約、また、ILO精神というものを尊重する道徳的、政治的な義務といいますか、そういうものを持って対処してまいりたい。わが国ILO条約批准も、その後、八十七号条約を初めとしまして、今回は百号条約ということになりまするならば、決して批准数が少ないという国ではなくなってまいっておる次第でございます。
  8. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、政府のそういう態度は非常にいいと思うのでありますが、現在までに基本的な人権に関する労働条約の中で、おもなるもので、わが国でまだ未批准になっておるものは、どういうものがあるか、これは政府委員でもけっこうでありますから。
  9. 早川崇

    国務大臣早川崇君) おもだった九つの条約の中で、まだ批准になっておらないのは、御承知のように、一番大きい条約では百五号条約でございます。あと百十一号、それから十一号、そういうものがございます。
  10. 占部秀男

    占部秀男君 いま労働大臣は、百号条約は今度の国会に出す予定だと、こういうふうに言われたわけですが、まだ出しておるということを私は聞いてないんですけれども、この点はいかがでございますか。
  11. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 一週間ほど前に、閣議ですでに決定をいたしまして、国会提出の段階にきておるわけでございます。御承知のように、外務大臣の提案となりますので、外務省条約がたくさんございまして、その順序の関係で、まだ国会のほうに出ていないんではないかと思います。近く国会に提案されることと思います。
  12. 占部秀男

    占部秀男君 それに関連をして、いま大臣から御答弁があった百十一号条約でありますが、これは何か職業及び雇用に関する差別待遇を禁止すると、こういう趣旨条約であるというふうに承っておりますが、これはどういうわけで、百号条約と並べて今度の国会に出さないのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  13. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 御承知のように百十一号条約の主としたねらいは、皮膚の色によって差別をつけないと、アメリカでも黒人問題がございますし、アフリカ諸国南ア連邦その他含めまして、一番大きい差別がそれになっておるわけでございます。一九五八年にこれが採択されたのでございまするが、そういう観点から申しますと、日本では男女差別というほどの重要な意義を持っておりませんのと、条約の中に職業訓練とか、いろいろ解釈総会でまだ確定しておらない、こういう解釈だという確定しておらない項目が多数ございまするので、いま直ちにこれを批准するということを考えておらないわけでございます。
  14. 占部秀男

    占部秀男君 わが国労働事情の中では、何といっても差別問題で一番大きいのは男女性別による差別待遇、これが大きいわけでありますが、ただ私の心配するのは、いま大臣の言われた百号条約は、御存じのように、男女同一労働、同一賃金を主とした条約であります。そこで、雇用関係あるいはまた服務、給与勤務条件、こういうような問題、採用関係、こういうような問題について、あまりはっきりしていないわけでありますが、政府のほうの解釈としては、当然同一労働、同一賃金のたてまえを、こうした面についても差別待遇をさせないという意味条約であると、かように解釈をされてやっていくんですか、どうですか。それがもしはっきりすれば、十一号条約の問題は、ある程度これは大臣の言われた答弁を、そのままひとつ承っておきたいと思うんです。
  15. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 百号条約は、いわば男女同一価値労働に対して同一賃金という原則でございます。これに照応するのは労働基準法第四条の賃金に関する差別待遇禁止の条項であるわけであります。したがって、この条約批准されることによりまして、最近婦人労働がたいへんたくさん、日本に九百三十万人も婦人労働者が出ておるわけでございまして、そういう人たち労働意欲を高め、また根強く社会に残っておりまする——同じ条件でも男子のほうが高い賃金をもらうと、これは労働基準法四条違反ですけれども、潜在的にそういうのがたくさんあるわけでございます。そういうものをなくする意味におきまして、画期的な、そういう意義を持つものと考えておるわけでございます。
  16. 占部秀男

    占部秀男君 それはわかるのですがね。単に賃金だけの問題でなくて、その他の給与勤務条件についての差別待遇が相当あるわけですから、そうした部面についても、この条約批准する以上は、やはり同一賃金、同一労働と同じように、差別待遇はしない方向で、労働省としてはいくんだと、かように解釈していいか悪いかというのです。
  17. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 御指摘趣旨は、労働基準法第三条の労働条件にまでこれが及ぶのかということだろうと思うのでありますけれども労働条件と申しましても、賃金関係してくる因果関係を持つものについては、やはり百号条約という精神から、賃金だけと割り切るよりも、私はもうちょっとこの精神を生かして考えてしかるべきではないだろうか。たとえば、女子定年制の三十五歳、男は五十五歳、これは賃金には関係いたしませんけれどもILO号条約批准する以上、そういった問題もやはり是正していくとか、あるいは結婚退職、ああいうものは賃金には関係いたしませんけれども、広く私はこの条約批准することによりまして、前向きに検討してまいりたい。これがILO百号を批准するもうちょっと広義の、やはり婦人地位向上の刺激になるのではないかと思っております。これは直接条約には関係ありません。
  18. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、一応労働省としては、そうした考え方のもとに、行政指導なり、いろいろな行政の方針をとってくれると、かように解釈していいわけですか。
  19. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 法律上の問題は、たとえば、結婚退職が違憲であるとか、いま訴訟中でございます、住友セメント……。私は法律上の問題は別にいたしまして、そういう精神労働行政を推進してまいりたい。これはまた、百号条約批准をいたします一半の理由であることは、はっきり申し上げておきたいと思います。
  20. 占部秀男

    占部秀男君 なぜこういうことを、私が聞くかと申しますと、実は民間産業にも男女差別待遇の問題があるのですが、特に政府並びに地方団体機関にも、こういう問題がある。そこで、まあ私は特にこの点についてお聞きしたわけです。いま、はしなくも大臣から、女子定年制の問題がちょっと出ましたけれども、このつい四月には熊本県庁で女の人、三十五歳以上の人だけに退職勧告をしておる。これが県庁から今度は全県下の各市町村に及ぼうとしておる。こういう例は、この二、三年相当あるわけであります。こういう点について、これはまあ直接の管轄は自治省でありますけれども自治大臣がおりませんので、だれかかわりの方に答弁していただきたいし、大臣にも答弁していただきたいと思うのですが、やはり男女平等の原則というものを、こういうところで、民間産業どころではない、公共団体そのものが破っていくということは、これはもうとるべきではないと私は考えるのですが、自治省並びに労働大臣の御見解を承りたい。
  21. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 私も熊本県庁で、そういうことを新聞で見たんですが、聞いてみますと、別に三十五歳定年制をしくというのではないそうでございまして、地方自治体というのは、われわれの権限の及ばないところでございまして、しかし、官庁におきましては、わが労働省の例をとりましても、婦人局長女子であり、ほとんど課長でありまして、全然差別しておらない。むしろ局長課長婦人がどんどん御活躍いただいていることは、御承知のとおりでございます。自治体におきまして、どういうことになっておりますか、よく自治省当局ともあれしまして善処してまいりたいと思います。
  22. 占部秀男

    占部秀男君 自治省政府委員は来ておられますか。行政局長だけがこっちへ来てくれるという約束で、自治大臣はけっこうですということで……。
  23. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 占部委員に申し上げますが、志村参事官が来ておるようでございますが、よろしゅうございますか。
  24. 占部秀男

    占部秀男君 よろしゅうございます。
  25. 新谷寅三郎

  26. 志村静男

    説明員志村静男君) お尋ね熊本県の場合でございますが、私ども県当局からお聞きしているところにおきましては、いわゆる勧奨退職ということでなくて、純粋の希望退職である、そうしてまた、その理由といたしましては、三十五歳以上の女子職員ということでございますと、大部分の方がいわゆる有夫の婦ではなかろうか、そうなりますと、個人個人によりまして事情は違うかと思いますが、大部分の方はやはり家庭仕事に専念したい、つまり、家庭に帰る機会を与える。主婦としての仕事に専念しやすいようにするのであるということでございますので、私ども別に平等の取り扱いの原則に反するという、こういうものではないというふうに考えているわけでございます。
  27. 占部秀男

    占部秀男君 近い例として熊本県庁を出しただけであって、熊本県庁だけの問題ではない。昨年は新潟のほうでは、条例化してこれを問題にしようとしたことは、自治省自身御存じのとおりだと思う。少なくとも女の人だけに、何歳以上などということで、勧奨退職をできるのだという条例をつくること自体が、私はこれは男女平等の原則に反するんじゃないか。こういうふうに思うのですが、その点はどうですか。
  28. 志村静男

    説明員志村静男君) いまの条例というようなことについても、一例としてお話があったわけでございますが、これは新潟の鹿瀬町の問題だろうと思いますが、これは分限免職でやったわけでございまして、現在におきましては、裁判所のあっせんによりまして和解が成立しているわけでございます。いろいろお話がございましたように、いわゆる退職でございますとか、あるいは採用等の問題につきまして、いろいろ問題があるのではないかという御指摘でございますが、私どもやはりこれにつきましては、男女身体的特質の差異といいますか、そういったようなものに基づく合理的な理由でもって区分しているものでございまして、こういう点につきましては、一般的に問題はないのではないか、また、いわゆる勧奨退職ということになりますと、これはあくまでも法律的には依願退職ということでございますので、法律上の問題というものは起こらないかと思います。ただおっしゃいますように、実際問題につきましては、そのような場合におきましても、おのずから常識的なやり方というものがあるわけでございまして、法律上違法でないからといって、何をしてもいいということには、こういうことにはならないと、私は思います。あくまで合理的な理由に基づいて、その限度でもっていろいろ区分していくということが適当であろうと思いますので、今後ともそういったような趣旨につきましては、実質的な男女平等というものが、さらに確保されていくように私どもといたしましても努力してまいりたいと、かように思っております。
  29. 占部秀男

    占部秀男君 そういう御答弁では納得できない。合意したものなら公平委員会に訴えたり、裁判上の問題になるわけがない。これはもう強制勧告と同じようなことをやるから、そういう問題が起こってくる。あなた自身がそういうふうに言われたように、単なる合意ではないわけです。しかし、これは大臣がいませんからこれ以上は触れませんが、労働省にしても、自治省にしても、実際そういう男女差別の事実があるわけでございますから、行政指導はできる、また、地方自治体には勧告する権利もあるし、措置の改善の要求をする、そういうことに権限があるわけでございますから、男女差別が明らかであるような問題については、やはりしっかりした行政指導並びに勧告等をしてもらいたい。こういう点を労働大臣も、自治省も約束してもらいたいと思うのですが、いかがですか。なお、大臣に言っておきますが、この前のあれで労働省婦人少年局長はそのとおりだ、やります、そういうことを言った問題です。
  30. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 法律上は、御承知のように、労働基準法第四条におきましては、労働条件に対しまして男女性別の差を設けてはならないという規定がございます。また、ILO百号を批准をいたしましても、条約賃金ということに限られておりまするから、占部先生がすでに御指摘のように、法律上の問題は別にないわけでありますけれども、われわれとしては、現在の婦人の平等ということと同時に、日本雇用情勢から、御承知のように、若年労働者というものが非常に減ってきているわけです。ますます御婦人に働いてもらわなければならない。そういうときに、従来の観念で婦人というものを職場から締め出していくということは時代錯誤もはなはだしいわけであります。われわれは、そういう婦人の平等ということと、雇用全体の立場、両方あわせまして、そういうことのないように労働行政を指導してまいりたい、こら思っております。
  31. 占部秀男

    占部秀男君 次に、残った問題であるストライキに参加したからといって、強制労働をすぐにしてはならないということを中心とした例の強制労働禁止に関する百五号条約の問題でありますが、これは基本的な人権に関するILO条約の中では八十七号、九十八号と並んで非常に大きな中心条約であります。これが今日まだ批准されていないというのはどうもおかしいのであって、これは促進すべきではないかと思うのですが、大臣の御意見を承りたい。
  32. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 百五号条約強制労働というものの解釈ILOでは非常にはっきりいたさないわけであります。と申しますのは、いま具体的にILOで起こっている問題は、西ドイツで百五号条約批准をいたしました。ところが、政治活動をやったことによる労働者刑罰という適用が起こりまして、せっかく批准したのだけれどもILO百五号条約と違反するんじゃ、しないんじゃというので、係争、解決を得ていない問題が現に起こっておるわけであります。また、ILO八十七号条約その他でもエッセンシャル・サービス、いわゆる基本的なサービスというものにはストライキ権を禁止し、また、刑罰規定も容認しておるところでございますので、そういったことを考えますと、現在の日本刑罰というものとの関係が出てまいって、禁錮であればいいというような議論もあるわけです。これは強制的に労働させない、いやそうじゃない、これもやはりILOに引っかかる、いろいろ議論がございますので、百五号条約批准というものは、よほど慎重に検討しなければならない問題だと思っておる次第でございます。
  33. 占部秀男

    占部秀男君 強制労働解釈が非常にむずかしいからというお話ですが、これはあとで私触れますけれども、その大臣の御答弁には納得できない。そこで、私はまず伺いたいのは、かりに解釈問題はあるとしても、こうした百五号条約批准ということをやはりやっていく必要があると思うか、いなか、その点について大臣に伺いたい。
  34. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 現在の日本国内法におきましては、御承知のように、国家公務員法並びに電気事業法あるいは郵便法その他で刑事罰が明記されておる現状におきまして、いま直ちに百五号条約を、こういうものは解釈上、エッセンシャル・サービスに対する一つの罰として認めておるのだという解釈で百五号条約批准するというのは少し軽率でございまするので、この百五号条約批准につきましては、今後とも慎重に検討していかなければならない問題だと思っております。
  35. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、一体百五号条約は、ILO加盟国がたしか百二十ばかりあったと思うのですが、百十八ですか、このうちどのくらい批准を済ましておるか。また、批准をしておるおもな国々としてはどういう国があるか。これはひとつ政府委員のほうでけっこうですからお知らせ願いたい。
  36. 松永正男

    政府委員松永正男君) ただいまの占部先生の御質問でございますが、百五号条約批准状況昭和四十一年九月十六日現在、昨年の九月十六日現在で七十五カ国が批准をいたしております。で、そのうち、批准国中のおもな国はイギリス西独等でございますが、未批准のおもな国はアメリカフランスソ連等でございます。
  37. 占部秀男

    占部秀男君 少なくとも西欧諸国の中の特に先進国であるイギリス西独、その他、こういうところで批准済みになっておって、しかも、百十八カ国のうちの七十五カ国がすでに批准済みになっておる。こういうような情勢の中で明年は国際人権年を迎えるのでありますから、これはやはり批准をする方向に進むのが私はどうもほんとうじゃないかと思うのですが、特にこの問題については、ILOから何か政府に対して報告を求めているやに聞いておるのですが、何かそういう点はございませんか。
  38. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 先進国の中でドイツ、イギリス批准しておりまするが、アメリカフランスソ連、イタリアという国が批准しておらない。この中で批准した西ドイツがいま問題になっておるわけでございます。理想としては、私は行政罰、いわゆるそういうストライキをしたことによる処罰としては、労働政策からいえば、私は行政罰というところまで理想としては考えられまするが、現状におきましては、先進国におきましても、この問題につきまして非常に批准国が少ないわけであります。と申しますのは、本来百五号条約が出ましたのは、いわゆる共産圏並びに中近東、後進国強制労働、キャンプへほうり込むということからこの問題が出てきたわけでありまして、それはいわゆる強制労働、ことばのとおり強制労働、そういう事情があるわけであります。また、ILOから何か言ってきたか、モース事務総長からILO条約をできるだけたくさん批准してくれという書簡が来ましたが、ILOから報告を求めてまいりましたのは、むしろ八十七号条約実施状況だということを事務当局からは聞いております。
  39. 占部秀男

    占部秀男君 どうも理想としてはというけれども、これは理想としてはどころの問題ではないと思う。先ほど強制労働解釈の問題が非常にむずかしいので促進していいかどうか迷っておるということですが、それではこれと関連した問題になると思うのですが、昨年の十月二十六日にいわゆる全逓中郵事件の問題で最高裁の大法廷で判決があったわけであります。つまり、公共企業体の労働組合の実力行使は刑事罰の対象にはしない、こういう最高裁の大法廷の判決があったわけです。この点については労働省としてはどういうような見方をしておりますか、お伺いしたい。
  40. 早川崇

    国務大臣早川崇君) あれは御承知のように、郵便法違反事件でございまするが、あの判決はそのまま刑事罰というものをいかぬと判決したのではございませんのでございまして、しぼりが政治目的とかあるいは非常に国民の経済に影響を与えるという場合でない場合に、先般のケースはこの刑事罰を科する、処罰をすると違法だという判決でございますので、その限りにおいては百五号をどうしても批准しろというような意味の判決とは承知いたしておらないわけでございます。
  41. 占部秀男

    占部秀男君 それはおかしいですな。ILO条約は純粋に労働関係についての条約であって、政治的なストライキであるとか暴力行為であるとか、そういうものを前提として条約をつくるかつくらないかを検討しているわけじゃないだろうと私は思うわけです、その点はいかがですか。
  42. 早川崇

    国務大臣早川崇君) もちろんILO百五号条約政治活動をしたというようなものとは必ずしも結びつきはありませんが、占部委員の御質問は、あの中央郵便局事件というものに関係して御質問がございましたから、あの判決は無条件ストライキをやったことによる刑事罰というものが憲法違反とか、そういうような判決ではない。ことばをかえて言えば、郵便法あるいはその他の法律で、刑事罰を科していることを否定する、全面的に否定する判決ではないということをお答え申し上げた次第であります。
  43. 占部秀男

    占部秀男君 だから私は言っているので、あなたの答弁を裏を返せば、普通の関係における、ノルマルな関係における労働関係のつまりストライキその他については刑事罰はこれは科してはならないということを明らかにしている判決ではありませんか、その点はいかがですか。
  44. 早川崇

    国務大臣早川崇君) まあその解釈一〇〇%、ストライキしたから全部いかぬという解釈をとらなかった、いわゆる限られた範囲のあの場合には問題であるという判決でございますから、それぞれのケースを判断して、判決をされておる、こういうように私は考えておる次第でございます。
  45. 占部秀男

    占部秀男君 どうもそれぞれのケースをと言うけれども、判決の要旨、判決の理由ですか、それは明らかに一般的な公務員及び公共企業体の職員の労働基本権を認めて、それでストライキ権の問題にまで言及をして、民間産業の諸君とはこれはやはり同じように刑事罰の免責があるのは当然だという前提をここでぴしゃっと書いて、その結果この判決が下っているのですよ。大臣のいま言われたような答弁は私はこれは取り消してもらいたいと思う。重大問題ですよ。
  46. 早川崇

    国務大臣早川崇君) そうではないのでありまして、その説明は、政府、労政局長から御答弁させます。
  47. 松永正男

    政府委員松永正男君) 御説明申し上げます。ただいま、やや問題が百五号条約批准の問題とそれから国内法解釈の問題と両方まあ混淆とは申しませんけれども、一緒になって問題にされておるようでございますので、一応整理をさせていただきますというと、先ほど最初に大臣が御答弁申し上げましたのは、百五号条約について強制労働解釈、それから強制労働禁止の原因、範囲等につきまして、現在既批准国の法制との関係においても、たとえばドイツ等の場合に議論がなされておる。そこで、わが国におきましてこれを批准するかどうかという際に、国内法と百五号条約とが抵触するだろうかどうだろうかということが問題になるわけでございまして、その関連におきまして強制労働というものが、先生御承知のように、強制労働条約では五項目を掲げておりまして、政治的な関連のものが一つ、それから経済発展の手段としての強制労働、それから争議行為に参加したことに対する制裁としての強制労働、それから労働規律の維持のための強制労働、そういったものをあげまして、それの手段としての強制労働を禁止する、こういっておるわけであります。これと国内法がどういう関連になるかというのが最初の問題でございます。それから全逓中郵事件につきましては、一応ILO条約百五号とは別に、国内法といたしまして、国内法解釈適用の問題といたしまして、中央郵便局で起こりました事件に関連をいたしまして、公企体の職員の争議行為に刑事罰を科するかどうかということの解釈でございます。で、先ほど申し上げましたように、この争議行為が経済目的のために行なわれたものであり、そして暴力等を伴わない単なるウォークアウトであるというような場合には、それに対して刑事上の責任を追及をするということは適当でないという判決をされております。したがいまして、それをその限度を越えたもの、たとえば政治目的のために行なわれるあるいは暴力行為等を伴ったあるいはそのストライキの結果が非常に長期に及んで国民経済に非常に重大な障害を及ぼすというような場合には刑事罰を科してもいいのだというのが、全逓中郵事件のきわめて概略で、粗雑でございますが、判決のアウトラインでございます。したがって、これは憲法との関係におきまして、国内法解釈がどうあるべきかということを示した判決でございます。したがいまして、今度はILO百五号条約との関係におきましてはいろいろ問題がございますけれども、たとえば公労協のいまの全逓中郵事件に関して、現在の国内法におきましても単なるウォークアウトで、ここに示しておりますような条件に適合をするという場合には刑事罰を科さない、現行法規定におきましても刑事罰を科さないという解釈が最高裁で確立をいたしたわけでありますから、その限度におきましては、百五号条約と抵触をしない。これはまあこの面については明らかになったわけであります。ただいま御議論がありましたのを私ども事務的に法解釈として考えますというと、そういう問題であるというふうに考えております。
  48. 占部秀男

    占部秀男君 いまの政府委員答弁の中の最後の点を私は言いたいから育ったのであって、混淆したのじゃなくて、私はからめて言ったわけです。つまり、大臣は、強制労働解釈の問題で非常に困るから促進ができないと言われておる。その解釈の問題の中心は、結局刑事罰の問題になってくるわけであります。いま政府委員が言われたように、民間産業には免責事項がある。そうして一般公務員にはストライキに単に参加した者には刑事罰は科さないということになっておる。残っておる問題は公企労体の方の問題であって、その問題については最高裁の判決はおりたじゃないか、そこで民間も公企体も、そうして一般公務員も、ストライキについての刑事罰の免責の具体的な解釈というか、事実はそろっておるじゃないか。そこでこのILO百五号条約強制労働解釈中心の問題は解決ついておるじゃないか。だのにあなたはなぜこの促進をはからないのかということを私は言いたかったわけであります。
  49. 松永正男

    政府委員松永正男君) ただいま全逓中郵事件に限りまして御説明を申し上げたのでございますが、先ほど御説明を申し上げましたように、ILO百五号条約といたしましては五つの柱を立てておりまして、その五つの柱それぞれにつきまして検討をいたしておるわけでございます。争議行為に関連をいたしましては、争議行為に参加したことに対する制裁としての強制労働という一項目がございます。それから労働規律の手段としての強制労働、この二つが相関連をいたしております。そのほかに政治的な見解を発表することに対する制裁としての強制労働といったようなものがございますが、これも関連があるわけですが、一応それは除外いたしまして、争議行為ということだけの関連で申しますと、この二つがございます。たとえば労働規律の手段としての強制労働というのは、特定の、一定の条件がある場合には、それに対して強制労働を課してもよろしいという解釈条約勧告適用委員会の専門家会議等で各国代表議論をされた中で出てきております。たとえば船員等につきまして非常な危険があるというような場合に、その持ち場を離れることを禁止するために罰則を科するというような場合、あるいは踏み切りだとか灯台看守だとか転轍手だとかいったような生命身体等の安全というような点から重要な障害を及ぼすというような場合にはいい。これはまあ規律の手段として、一般論として強制労働を課してはならないと言っているけれども、そういう一定の条件があればその場合にはよろしいというようなことが言われています。それから、同盟罷業に参加したことに対する制裁としての強制労働につきましても、特に国民の生活上非常にエッセンシャルなサービス——何と申しますか、非常に重要なサービスに関するようなものにつきましてはよろしいのだというようなことで、一定の条件ということをあげまして、そこで、これらについては労働規律の手段としても、争議行為に対する制裁としても強制労働を課してもよろしいのだという範囲を述べております、例示的に。ただし、これは結社の自由委員会におきましても予備的な討議であって最終的なものでない。なお、討議が継続されるというたてまえをとっておりまして、各国それぞれ御議論があるようであります。したがいまして、ただいま先生が御指摘になりました同盟罷業に参加したことに対する制裁としての強制労働というものにつきましても、一定の例外がある。それ例外が何であろうかということにつきまして、必ずしも解釈が明確になっていない。したがいまして、日本国内法制というものをとりますというと、たとえばこの争議なり労働規律に関連していろいろな規定がございます。その中には裁判の結果科せられる刑事罰規定もございます。それらのものがこの条約の内容と抵触をするかどうかということにつきまして、先ほど大臣から申し上げましたように、目下のところILOにおきましても、既批准国の中でもいろいろ論争があり、そしてILOとしても、必ずしも解釈が確定されていない部分が相当あるというのが現状でございます。
  50. 占部秀男

    占部秀男君 例外的な問題かたくさんある。私もあると思います。また、ストライキについての刑事罰の免責だけではない、あと四本の柱があることも知っております。しかし、そういう点は、基本的な、原則的な条約を通した後に、国内法の扱い方の問題で処理できる問題ではありませんか。現に八十七号条約、九十八号条約も、条約を通した後に公務員その他の扱い方については諸外国とは違った扱い方をしておるのです。現にしておる。それはできることなのです。だから私は、一番急所の点が明快になった以上は、百五号条約を推進する方向労働省としてはやってもらいたい。きょう出せと言うのではないのですよ。やはりこれは推進する方向でこの問題は扱ってもらいたいということを言っておるのです。大臣のひとつ明快な御見解をお願いいたします。
  51. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 国家公務員あるいは公企体その他に、刑事罰の現に法律がございます。この法律をいま政府はすぐこれを廃止して行政罰にするということを考えておらないわけであります。してみれば、ILO百五号条約というものを批准するという場合に、先ほどの解釈上の混乱もありますし、批准したわ、これは違反だと言われるようなことでは、せっかく批准しても意味がありませんので、そういうようなことを考えまして、いま百五号条約を直ちに批准するということは考えておりません。今後の問題といたしましては、そういう国内法との関連をにらみ合わせながら検討するということはむろん検討をいたすつもりでございます。
  52. 占部秀男

    占部秀男君 最後に、いまの大臣答弁で、むろん検討をすると言う。検討はあたりまえのことなんですが、それでは私は労働大臣として責任を果たしていないの、じゃないかと思う。というのは、最高裁の判決がおりておる。この最高裁の判決に従って政府としては法律解釈をするのが、私はこれはもう憲法上当然であると思うのです。そういう判決がおりておるのだから、したがって、現行法と抵触しているからやらないというのではなくて、現行法でこの最高裁の大法廷の判決と矛盾しておる点は直していくようにするのが政府としての私は役割りじゃないか。そういうような意味をこの百五号条約に援用すれば、これはやはりもっと前向きの形でいく時期に来ているのじゃないか。また、それが最高裁の判決以降の労働大臣としての私は責任じゃないか、こういうふうに思って実は御質問したのですが、この点はいかがですか。
  53. 早川崇

    国務大臣早川崇君) あの最高裁の判決をお読みになったらおわかりのように、あの判決によって、一切の全逓なりその他の、現に法律にある刑事罰は全部憲法違反だというわけでないのであって、一応の刑事罰を、ある条件のかなう以上認めておる判決でございますから、してみれば、先ほどからるる労政局長からも専門的に御答弁したように、やはり刑事罰規定が残るわけです、国家公務員あるいは郵便、鉄道と。して入れば、その点が百五号条約との関連におきましていろいろ議論があるわけであります。したがって、まあ、そういう立場からいま直ちに百五号条約批准するということは、異議のある以上、これは慎重でなければならない、かように申しておる次第でございます。
  54. 占部秀男

    占部秀男君 それでは承服できないのです。この判決は三つの条件をあげておるけれども、この三つの条件の場合には困るけれども、それ以外の場合はこれは刑事罰は免責すべきだという、つまり、そのほうが原則なんであって、三つの条件はその原則に立ってそれを制限する場合をあげておるにすぎないのじゃありませんか。だから、やはり原則は認めておるのだから、原則に従ってやって、法律技術の問題としては、かりに条約を通す、あるいはこれに関連して刑事罰免責の基本的な改正をする、その後に、三つの条件についての場合にはこの限りでない、こういうふうな扱い方をするのが、労働省としては当然のやり方じゃないかと思うのですが、どうも大臣の言っていることは納得できないのです。しつこいようですが、もう一回お願いします。
  55. 早川崇

    国務大臣早川崇君) いろいろ御議論でございますけれどもILO百九号条約は、政治目的のストライキというようなものにも刑事罰を科してはならないという意見があるわけございます。それから、この判決によったら経済を非常に混乱さすくらいになれば刑事罰を科していいという判決にもなるわけでありますから、御指摘のように、この最高裁の判決の刑事罰を科してはならないということが、全部に広がる判決でありましたならば、法律を改正して、いわゆるもう百五号条約そのまま批准できる状態になるわけでございます。現在の段階におきましては、政府としてはそこまで国家公務員あるいは全逓、国鉄その他電気事業法に携わる電電というような、刑事罰を一挙に、あの判決の経済的な——何といいますか——混乱を起こさない範囲の、という解釈を拡張して、全部法律を改正するという気持ちは持っておりませんので、そういう関係で、いま直ちに百五号条約という、異議ある条約批准する気持ちはないと、こう申しておる次第でございます。
  56. 占部秀男

    占部秀男君 それはけしからぬ。つまり、この判決理由の中には、こう書いてある。暴力行為などを伴わない単純な争議は、治安問題でなく、行政処分と民事上の制裁を加えれば十分である。だから、この問題については刑事責任を追及すべきじゃない。ただし、その場合に、政治的な政治ストであるとか、暴力行為とか、こういうものを伴った場合はこの限りでないというのがこの判決の要旨なんです。あなたの言っていることは、あとのものを、枝葉の問題があるから全体はだめなんだというその言い方であって、そんな答弁はわれわれは納得できない。どうもそれはおかしい。
  57. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 議論が食い違っておりまして、その精神国内法刑事罰を全部改正しろという御見解、そうしろという御意見であれば、私は御意見として拝聴しておきますけれども、それ以外に、御承知のように、刑事罰を適用する法律がずいぶんあるし、郵便法でもあるわけですから、その段階で百五号条約批准するということでいろいろ解釈上問題が出てきますから、あの判決で直ちにILO百五号条約批准する条件ができたと解釈するのは少し軽率じゃないでしょうか。
  58. 亀田得治

    ○亀田得治君 関連して。占部君からの質問で問題点が非常にはっきりしてきておるのですが、政府のお答えを聞いておると、こういう感じがする。国内法関係、これが先に腹がきまり、それからILOだ。それなら別にILO条約批准意味というものはこれはたいしてなくなるわけです。そうでしょう。そうじゃなしに、ILOと各国の国内法関係が一致しないところがある。できるだけILOに近づけてもらいたい、そういう立場があるので、この批准をお互い非常に重大視しているわけなんです。ILOが求めているのは、やはりそういうところにあるわけです。国内関係法規がきちっとそろってしまえば、それはもう要らないことなんですよ、逆に極端に言うならば。ILO批准なんというものは単なる名目になってしまう。だから、私たちが求めるのは、完全な一致がなくても、ある程度のところへ来れば、やはりILO条約を承認して、そうしてその後さらにILO条約で承認されたほんとうの中身というものを明らかにして、世界的にそれができるだけ一致するようにしていく、こういうたてまえのものじゃないかと思うのです。条約に少しでも疑問があれば、その解決がつくまでは持つ、これでは意味がない。だから、国内法ILO条約関係というものを一体どういうふうに考えておるのか。そこら辺の基本的な考え方をひとつお聞きしておきたい。これは一般的にお聞きしたい。その点非常に大事なことです。ILO百五号だけじゃなしに、ほかのことについても重要な関係がある。それから百五号に関しては先ほど事務当局から説明がありましたように問題が五つある。しかし、ストライキの点だけですね、それ以外のことは、特に、別に条約批准したからといって、日本国内法制上困る、そんな問題は何もないはずです。したがって、ストライキの問題だけ、このことに関しては百五号条約解釈についていろいろな幅があるわけでしょう。現に、いろいろな幅のあることが言われておるわけなんでしょう。だから、批准したからといって、この政府の現在の法制ですね、これが全面的に否定されるのかどうか、これは相当問題があるわけです。現状のままでいいとは言いませんよ。これは最高裁の判決もおりているのだし、相当解釈の幅というものは私は縮めなければいかぬと思っておる。あるいはまたそれに必要な程度の罰則の整備というものはやらなければならぬと思う。いずれにしても、百五号条約が言っておる内容というものは幅があるわけですから、決して私はこれを批准したからといって、非常に困る、そういうものじゃないと思うのです。理想としては、労働大臣も百五号条約というものは理想としてはこれは認めておるはずですね。はずなんですから、やはり批准をして、そうして最小限この罰則等を縮めて、そうしてできるだけ早くそれが全廃される、こういう方向に進むのが、これはほんとうじゃないですか。だから、この二つの点についてもう少しすっきりした説明を求めたいと思います。
  59. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 亀田委員の前段の、国内法を、百五号に疑義のないように改正しろということは、裏返せば、公務員並びに公企体のストライキに対する刑事罰を改めて行政罰法律を改正しろ、そういう方向に進めろ、そうすれば百五号条約はすっきり批准されるじゃないか、こういう御意見でございまするが、電気産業のときに総理がお答えになられましたように、政府としては、これは労働行政だけの問題じゃありません。全般的な立場で、いまストライキをやることによる刑事罰というものを行政罰に変えるという考えは持っておらないわけでございます、将来の問題は別でございますが。  後段の御質問の、それならば、百五号というものをまず批准をして、そうして国内法の政正を促進する、疑義のあるものは逐次直していけばいいではないか、こういう御意見でございまするが、政府は従来この国内法がもう疑義のないように整備して条約批准するというたてまえをとっております。ただ、八十七号条約のときに、国内法条約批准とを同時にやるという先例もございました。百五号を、国内法が矛盾する面があるにもかかわらず先やって、国内法の改正を促進するという、こういう措置を従来ともとっておりません。そういう観点で、むろん労働行政として、ストライキをやっても罰則がないとか、そういう理想方向は御指摘のとおりでございますが、現状におきましては、ただいま私が申し上げましたのが政府見解でございます。
  60. 亀田得治

    ○亀田得治君 労働大臣ストライキというものをもう少し前向きに考えてほしいと思いますね。昨日の新聞でしたか、フランスで非常に大規模なストライキが起きておりますね。ごらんになったと思います。ああいうのはどういうふうに理解しておりますか。世論の支持は完全に受けておるようですね。
  61. 早川崇

    国務大臣早川崇君) フランスのあのストライキは、国会に、経済のいろいろなことをやる権限を行政府に一任しろ、ちょうど戦時中の総動員令に似たような立法を出した、その結果、あのようなストライキが起こっておると、まあその国々の問題、しかしフランスにおきましても一〇五号を批准いたしておりませんから、そのあと始末がどうなるか。国内法によって処断されるものは処断される。こういうことに、国内法を調べておりませんけれどもなるわけでありまして、単にフランスでこういうのが起こっているからストライキ日本で無制限にやってもいいというようには私は考えておりませんし、また日本の国民は非常に、最近は労働組合も、その他も、国民と共にある、良識ある労働組合に成長いたしておるわけでありまするから、そのケース、ケースで、直ちに全般的なああいうストライキを強化するというのは、日本の現在の現状からいって私はもうとらないところでございます。
  62. 亀田得治

    ○亀田得治君 委員長
  63. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 簡単にしてください。
  64. 亀田得治

    ○亀田得治君 かりに日本でドゴールが提案したようなものを政府が出す。おそらく私は、現在の労働組合あるいは各民主団体は、あれに匹敵するストライキを起こすと思うのです。世論もおそらく支持すると思うんです。労働大臣どうしますか。国内法でそんな処罰なんかできますか。何千万という人を。ストライキというものに対する見方をもう少し変えなければいけない。
  65. 早川崇

    国務大臣早川崇君) ドゴール大統領の考え方は特別な議会に対する考え方で、そういったことを仮定して、日本でほんとうに憲法をまっこうから委任立法で否認するような立法というものをむろん政府は考えないでしょうし、そういう仮定のもとでどうかと言われましても、仮定の問題としてお答えできない。
  66. 占部秀男

    占部秀男君 この問題はどうしてもあれですから、前向きにひとつやってもらうことを労働大臣に希望して一応打ち切っておきたいと思います。  次に、これに関連をして、公務員制度審議会はいまどういう状態になっておるかをお伺いいたします。総務長官……、それじゃかわりの人でけっこうです。
  67. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 私から便宜お答え申し上げます。公務員制度審議会は、御承知のように、一昨年の十一月から第一回の会合を始めまして、昨年の六月十三日にいわゆるILO八十七号関係の改正法律のうち施行の延期されておりました部分についての取り扱いについて答申を決定いたしましたが、その際労働代表の委員六名が欠席したままでございました。そういう状況がございました関係上、その後いろいろな問題が派生いたしまして、再開に至る機会を失して、今日まで推移しておるわけでございます。
  68. 占部秀男

    占部秀男君 総務長官来る前にもう一つだけ聞いておきますが、そうすると、公務員制度審議会は、例のドライヤー勧告のあとを受けて、公務員の労働基本権の問題を中心にひとつ検討しよう、こういうことででき上がったと思うのですが、その点はいかがでしょう。
  69. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 公務員制度審議会のいわば所掌事項といいますか、この審議をいたします対象といたしましては、御承知のように、法律でも明記してあるわけでございまして、国家公務員、地方公務員及び公共企業体の職員の労働関係に関する基本的事項という事項、まあこれが対象事項になっておるわけでございます。したがいまして、第一回審議会が開かれました際には、内閣総理大臣から、まさにこれらの事項についての意見を求めるという諮問をいたしておるわけでございますので、審議会としましては、当然これらの問題を第一にといいますか、それが中心的な項目でございます。ただし、改正法律の施行に関しましては、国会の審議の過程で施行延期になりました分についても審議会の意見を問うという形になりました経緯がございますので、それをやはり審議の対象としていただいた。それについてまず答申があったわけでございますので、審議会としては今後当然、いわゆる一般的な、基本的な問題を審議する、こういうことになるわけでございます。
  70. 占部秀男

    占部秀男君 ドライヤー勧告の中にも、公務員の、公企体の人も含めての労働基本権の問題についての意見が出されておりますし、さらに先ほど問題になりました十月二十六日の最高裁大法廷の判決の理由の中にも明らかにされておって、国家公務員、地方公務員も原則的にはその適用をもちろん受けるべきものである、こういうふうに明らかになっておるわけです。こういう新しい事態があるんでありますから、現在のままのような状態に公務員制度審議会を聞いておくということは、これは政府としては非常に怠慢じゃないかと私は思うのですけれども、その点いかがですか。
  71. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 前からの御質問を伺いませんでしたが、ただいま沖繩対策特別委員会に入っておりましたので失礼いたしました。  公務員制度審議会につきましては、もちろん昨年からいわゆる中断された形になっておりまするが、私は就任以来この再開についてできるだけの努力はしてまいったつもりでございます。言うまでもなく、労働の基本問題について重要な諮問事項もたくさんございまするし、ことにただいま問題になっておりまする調停段階において有額回答するための当事者能力というような問題もこれまた諮問事項の重要な問題になっておりまするので、私としては一日も早い再開を願っており、機会あることに——まあ機会といえば、総評の方、同盟の方、あるいはその他労働組合関係の方々、関係者とお目にかかったときに強く要請を続けておるわけでございます。しかし、まあその内容については触れませんけれども、いろいろな事情もございまして、その点もだいぶほぐれてまいったという話は聞いておりまするが、まだこの時点でそれじゃいつ開けるということにならないことは、まことに遺憾であります。なお、会長の前田さんにつきましては、すでに辞表を出しておるからだめではないかという御批判もありまするが、なるほど人事局長の手元まで辞表が出ておりまするが、私はまだそれを受理いたしておりませんし、そういった機運になれば、責任を持ってよくお話し合ってですよ、もちろん関係者全部の御了解を得て、スムースな運営をはかり、いま申されたようなたくさんの問題があるのですから、会を開いていただきたいという、せっかく努力中でございます。
  72. 占部秀男

    占部秀男君 もし再開されるとなれば、いま言った公務員関係労働基本権の問題の根本問題をまっ先にやると思うのですけれども、その点はどうですか、見通し的には。
  73. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 現在諮問中のものもございまするし、なお今日の状況から考えて、こういうものもあまりまあ欲ばって一緒にやってくれといってもあれでしょうけれども、まあ御勉強願って、ペンディングの解決に当ってもらうためにはですよ。従来の諮問事項以外に当面の問題に対処してお願いする問題出てくると私は考えております。
  74. 占部秀男

    占部秀男君 いまの長官の御答弁ではですね、実際いつ開けるかわからないような印象を受けるのですが、これは何としても問題は、ドライヤー勧告もあり、さらに最高裁の判決もあるんですから、至急にこの問題をやってもらわぬと無用に公務員の労働関係が混乱すると思うのです。そこで、何としてもこれを開くのだという前向きの姿勢で、もっと積極的に総評なり各組合に呼びかけてもらわなければならぬじゃないかと思うのですが、これはどうですか。
  75. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 総評の方、同盟の方、それから関係者に対しては、私は機会あるごとに、また、公の会合以外でも、内容を言いますといろいろと差しさわりがありますから、こういう問題はこういうふうな方法でできないものかしらと、それじゃどこの組合がひとつあっせんの労をとろうかというような話まで実は出ておるのでございますが、私としては機会あるごとにお願いをし、また私のほうでなすべきことも全部まかせっきりということでは、これは無責任きわまる話でありまするから、なし得ることについての検討を続けて、いつになったら開けるかわからぬ五里霧中の状態から一日も早く脱却したいというふうに考えております。
  76. 占部秀男

    占部秀男君 きょうは時間の制約があるそうですから、また後日にこの問題を譲りたいと思います。  そこで、次の問題の首都制度のあり方についての問題点について御質問したいと思うのですが、どうも今度の地方選挙後ですね、政府部内や自民党の内部で、首都圏庁案というものが急速に再燃している、首都制度の再検討を行なおうとしておるというのですが、いまこの問題はどうなっておりますか、経過をひとつ教えてください。
  77. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 首都圏庁の構想は、前に昭和三十八年でしたか、臨時行政調査会が首都行政の改革に関する意見でこれを取り上げまして、当時政府に対して勧告をいたしたのでございます。その後、その意見の目標は、とにかく現在の首都行政が、あまりに行政が縦割りになっておって、責任の所在が不明確である。したがいまして、この大きい行政を改革するのには、やはり首都圏庁がいいだろうというような意見であったようであります。その後、この問題は、行政管理庁が中心になりまして、各省で意見をかわしつつ検討いたしておるのでございます。しかし、政府といたしましては、いまだ統一した見解を持っておりません。選挙のとき等に、わが党の中でそういうようなことを言っておった場合もあるかもしれませんが、それで政府部内においては統一した見解を持っておらないのでございます。しかしながら、非常に首都圏の行政は大事であります。ことに首都圏に並ぶ大都市の現在の都市行政が大半でありますので、この問題につきましては、この行政のあり方、あるいはそれを扱うところの機構の問題等は、やはりひとつ真剣に考えなければならぬのじゃないかということが現在の段階でございます。
  78. 占部秀男

    占部秀男君 どうも、知事選で負けたので、今度は独任制大臣の首都圏庁をつくって、都政をやっぱり率直な話が自民党さんの手で握りたいというような動きでこういう問題が起きておると思うのですが、私はざっくばらんに聞きますけれども、そういうような考え方はないでしょうか。
  79. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) そういう考え方は持っておりません。少なくとも、私は持っておりません。まあおそらくそういう考え方は、ちらちら話が出るだけでありまして、それは行政がむずかしいから出るのでございまして、選挙に負けたからほかの方法をもってしよう、そういうことには私は賛成するわけにはいかない。
  80. 占部秀男

    占部秀男君 ところが、今度閣議決定をした経済社会発展計画の中には、首都問題、大都市問題に言及して、事業主任の再検討をする必要があるということが明らかに載っておるのですが、これは首都圏庁の構想とは違うのでありましょうな、その点明確にしておいてもらいたい。
  81. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 経済社会の発展計画におきましてそれが取り上げられておるかどうか、私は全部読んでおりませんから知りませんけれども、おそらくそういう首都圏庁を頭においてそういうことを考えたのじゃなかろうと思います。しかしながら、いま私が申しましたように、また占部さんもよく知っておられますように、非常に行政が膨大でございまして、これをどういうふうに取り扱ったほうがいいかということはお互いにこれやはり研究しなければならぬというような気持ちはいたしますけれども、それが選挙で社会党の方が敵になったから、それだから別な組織をつくってなんということは考えられないと私は思うのでございまして、機構に対しては今後研究はいたしますけれども、そういう気持ちは私としては持っていない次第でございます。
  82. 占部秀男

    占部秀男君 この問題がいわゆる都政の行き詰まりの問題から起こっておることは、大臣も言われたとおりですが、それでは一体この都政の現在の行き詰まりの状態はどこに一番大きな原因があるのか、そういう点をひとつ明確にしてもらいたい、できたら話していただきたい、これは自治大臣のほうがいい。
  83. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 東京都が、非常に人口、産業が集中いたしまして、非常な過密状態を来たしておる、それに対応するいろいろな事業が十分行なわれていない、あるいは交通機関が非常に混雑しておるというようなことが一つの原因であろうと思います。もう一つは、やはり東京都といたしましてはいろいろな面で広域的な処理をしなければならない面がありますのが、それが十分いままで果たされていなかったというような点も原因の一つ、だと心得ております。
  84. 占部秀男

    占部秀男君 確かに都の行政の中に広域的な問題がたくさんあることは私も知っておりますが、だからといって、この機構制度をかりに首都圏庁というような形でいじったところで、これはなかなか問題にはならぬじゃないか。むしろ都の仕事のあり方とこれをまかなう財源関係の確保のし方に問題があるのじゃないかと私は思うのですが、そういう点はいかがでございますか。
  85. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 単に機構いじりをしても解決するものではないと私も存じます。そうして、ただいま御指摘のような財源の確保の問題等も重大な問題であろうと考えております。
  86. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、この問題は現在問題にはなっていない、かように考えてよろしゅうございますか。
  87. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先ほど建設大臣がお答え申し上げましたように、政府部内においてこういうことを考えていることはございません。
  88. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、大蔵大臣に——これは自治大臣にも大蔵大臣にも聞きたいのですが、都政の行き詰まっている問題の一番大きな問題が財源問題、この財源問題では、これはまあ昨年ですか、大蔵省、自治省に、都議会が正式に決定をして、要請書といいますか、意見書を出しておる。これを見ると、約一年間に三百五、六十億の超過負担があるわけです。で、四十年ですか、私調べたのですが、事業費が千五百六十億ですか——のうちの四分の一は超過負担にとられておる。こういうような問題、さらに交付税の問題でもそうでありますが、大阪府大阪市の場合と東京都の場合は、府県分と都市分の扱い方について、都市分についての交付税が来ていない、かようなまま子扱い的な制度になっておる。さらに、東京都が富裕団体であるというので、いろいろな国庫支出金も他の府県よりは切られてきておる。こういうような問題を含めると、一千億以上になるというのですね、この四、五年間。こういうような財源があれば、この行き詰まりの問題は解消できるのでありますから、こういうような、その法律がきめられた当時と現在では大都市の条件は違うんですから、したがって、そういうような財源問題の点については改善したらいいじゃないかと私は思うのですけれども、この点自治大臣、大蔵大臣の御意見を伺いたい。
  89. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 東京都のような過密都市につきましては、御承知のように、交付税等についても過密についての補正等も行ない、また、東京都につきましては起債等でこれを裏づけておるわけでございます。東京都の交付税の配分方法が、大阪府、市とは違うではないかと仰せでございまして、まさにそのとおりでございますが、それは東京都が、一面、道府県の性格を持ち、しかも、二十三区におきましては市町村の性格の一部を持っておるというような関係から、東京都全体を道府県と同様にみなして、その財政需要並びに財政収入を見、また、二十三区を一体と見まして、これの財政需要、収入を見ておるというようなことでございまして、それは東京都並びに二十三区の性格からくる差異でございまして、特に東京都を過酷に扱うと申しますか、不利に扱っておるわけではございません。また、御指摘のいろいろな補助の対象につきまして頭打ちをいたしておるのは事実でございますが、これらのものにつきましては、今後改善をいたしてまいりたい。特に義務教育費のごときは、今年から三カ年で解消をいたしたいと考えておる次第でございます。
  90. 占部秀男

    占部秀男君 大蔵大臣、御意見ありませんか。
  91. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 自治大臣の言われたとおりだと思いますが、問題は、全国の地方公共団体の行政水準をやはりそろえるということは必要でございまして、そのためには財源調整ということもやはりやむを得ない措置であると考え、いろいろな財源調整の措置を過去からやってきたことは御承知のとおりでございますが、そうなりますというと、やはり財政力を一番持っているという東京都にいろいろなしわ寄せがくるということは事実だろうと思います。ですから、いまのような義務教育費の負担についても、三年で差を解消しようとかいうような努力を私どもがいたすわけでございますが、問題は、私は、東京都の財政力というものを土台にして都の経常をする場合には、国の交付税のしわ寄せを受けるために都が困っておるのかどうか。そのほかの要素のほうが相当大きいんじゃないか。一番力を持っていながら、それに伴う起債というようなものも、これは政府のほうの責任もあったと思いますが、いろいろな事業を遂行するためには起債をもっと許可していいものを押えて今日のようなことになっている一半の原因もそこらにありますし、いろいろな点で政府の財源調整だけが東京都の行き詰まりを来たしておるというふうにばかりは私は見られないのじゃないかと思います。
  92. 占部秀男

    占部秀男君 私も財源調整だけで行き詰まりを来たしていると言ったのじゃなくて、この行き詰まりを打開するためには、まず財源調整の問題を改善する必要があるのじゃないかということを言ったわけです。  それじゃ一つの例を申し上げますと、自治省にお聞きしたいのですが、東京と大阪との最近の人口はどのくらいになっているかということを聞きたい。
  93. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 四十年の国勢調査でございますが、東京が千八十七万七千人、大阪が六百六十五万七千人でございます。
  94. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、東京の都と二十三区と市町村の最近の歳出規模は、これはおよそでいいんですよ、どのくらいになっているか。それから、大阪府と大阪市と大阪の市町村の歳出の規模が、同じようにどのくらいになっているか。これは概略でいいのですが、わかりませんか。
  95. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) いま資料がありませんので、後ほどお答えいたしたいと思います。
  96. 占部秀男

    占部秀男君 じゃあ時間の関係もありますから、けっこうですが、いまの人口を見ると、大阪は東京の三分の二の人口規模になっているようです。それから、私の調べたところでは、東京都下の歳出の規模、これは三十九年度、四十年度ですが、歳出の規模と、それから、大阪府下の歳出の規模の割合は、大阪が東京の六割になっている。ところが、たとえば公営住宅一つとってみても、これは建設省に調べてもらったわけですけれども、三十九年度で大阪府下の府営、市営、町村営の公営住宅は十万二千九百十五戸になっている。四十年度は十一万一千七百八十九戸に二十年来なっている。ところが、東京のほうを見ると、同じ三十九年度が十一万七千五百十五戸、四十年度が十二万六千六百一戸と、大阪と東京は変わってないのです、公営住宅をつくった数は。財政規模は六割しかない大阪、人口も三分の二しかない大阪、ところが、公営住宅が東京も大阪も同じ数しかできてない。こういうことは、財源調整の問題だけとはいいませんけれども、やはり財源関係の問題、仕事のやり方の問題に私は問題があるのじゃないか。そういうわけで、この財源調整、特に東京都の場合には、いま言ったような点、財源調整のひどい点は至急にひとつ改善してもらって、事業ができるようにしてもらいたい、これが私のお願いであり、質問であるのですが、もう一回こういう点について。
  97. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 確かに御指摘のようなことがございます。ことに東京と大阪を比べまして、まだ東京のほうが人口集中、産業集中がより激しい。したがって、それに対して起こるいろいろな住宅その他の需要に対して十分対処できないというようなところがあろうと思います。財源調整を含めまして、大都市の財源確保に今後とも努力してまいりたいと存じます。
  98. 占部秀男

    占部秀男君 最後に、その問題に関連をして、私は新産都市の問題について一つお伺いしたいと思う。時間がないから、私は簡潔に申しますが、先日発表された経済企画庁の新産都市の経過の報告によると、どうも工場の分散問題、あるいは工業の生産の発展の問題については、ある程度予定どおりいっておるけれども、人口分散の問題や地域差の是正、雇用関係も含めてですが、この問題は予定どおり進んでいないように考えておるのですが、この点については自治大臣はどうお考えになっておりますか。
  99. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先般の経済企画庁の発表にもありましたように、確かに工場の分散は進んでおるけれども、人口の集中とか、あるいは所得格差の解消というようなことが進んでいないということは事実であろうと考えます。まあこの新産都市等、地方の開発拠点の計画は着々進んでおるとは存じまするけれども、三十九年以来の経済の停滞期等もございまして、十分所期の効果をあげていない。もう一つは、新産都市等が、画一的な工業の誘致、たとえば石油コンビナートであるとか、そうしたものばかりを考えておりますが、もう少し地方のバラエティーのある工業を選んだらいいのではないかと思います。いずれにしても、今後やはり大都市への人口、産業の集中を抑制して、地方の拠点都市を開発していくことが国の政策としてとるべきことであろうと存じますので、今後ともこれらの開発拠点の育成にはつとめてまいりたいと存じます。
  100. 占部秀男

    占部秀男君 この問題は、たしか五十五年ですかまでに四兆六千億ぐらいの先行投資をする予定になっておるわけです。これからも相当国費と府県市町村の金が要るわけですが、このままの状態で大きな柱がいずれもだめだと、率直に言えば、大企業を中心とした産業基盤の問題についてはこれは一応いっておるけれども、これはもう人口もだめだ、雇用もだめだ、その上公害があって、地価がのぼってしまって、これはどうにもならぬというのが地方の現状なんです。これは根本的に再検討してもらわないと国費をむだに使うことになりはせぬかと思うのですが、この点はいかがですか。
  101. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 御指摘のような面が確かにあると存じます。しかし、一方において地方の開発拠点は育成していかなければなりませんので、それらの計画を再検討しつつ、今後の育成につとめてまいりたいと存じます。
  102. 占部秀男

    占部秀男君 最後に、きのうの委員会で問題になったようですか、政治資金規制法の扱いについてちょっと簡単に質問したいと思うのですが、まあおくれるということは、われわれは一日や二日はおくれても、これはまあ子供のけんかじゃないのですから、問題は国会へ出して通してもらうことが先決ですから、何も申しませんが、ただ、おくれておるということに関連をして、新聞等の情報を国民が見て心配しておるのは、またこれはずるずるになるのではないか、ざる法的な問題になるのじゃないかということを非常に心配しておるわけです。もちろん出ることは、これは当然であると思うのですが、その場合に、私は内容の問題で一言だけ再確認をしておきたいのは、この問題はやっぱり自民党との間の党内調整にあるように私は考える。そこでこの前私が四日の日に大臣に質問をした具体的な制限額をゆるめる問題であるとか、いろいろな問題が出ておりますが、具体的に答弁された問題点については、今日変わりなく作業もされておるし、党内調整にも当たっておることと思いますけれども、その点はどうですか。
  103. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 昨日もお答え申し上げましたように、多少おくれたことは申しわけなく存じておりますが、いまおあげになりました具体的な問題につきましては、当時お答え申し上げたとおりの方針で作業を進めておる次第でございます。
  104. 占部秀男

    占部秀男君 特にその中で、選挙のときに特例措置を設けるといういろんな意見がだいぶあるようですが、もしこれがこの改正案の中に盛られるようなことになると、今度の改正をざる法的な扱い方にするだけでなくて、答申そのものを全面的に否定する私は結果になると思うのです。そういう点についての大臣見解と、これをやっていくためには、あなたは職を賭してもこういう点は押えていくだけのその決意がなければ、これはとうていいまの情勢の中ではうまくいかないのではないかと、かように思うのですが、その決意ありやなしやをお伺いしたい。
  105. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) その選挙のときに特例を設けようというような意見が自民党内にあったやには承っておりますが、それでは、ただいま御指摘のとおり、この答申の趣旨に反するわけであると私は判断をいたしております。職を賭すかというお話でございますが、私はこの答申を忠実に成文化する義務を持っておると考えております。
  106. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上で占部君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  107. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、小柳勇君の質疑を行ないます。小柳君。
  108. 小柳勇

    ○小柳勇君 厚生大臣に質問いたします。  きのうのテレビ及びけさの新聞で、健康保険法改正の臨時特例法を総理と一緒に強引に本国会で通すということを相談されたようであるが、これは立法府に対する圧力、行政府が立法府に対して圧力をかけるようにわれわれはとるし、これに反対する国民大衆は、強引なこの政府の行き方に怒りを感じておるが、このいきさつについて説明を願います。
  109. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) きのう総理に首相官邸でお目にかかりまして、今度の健保法の収正について説明を申し上げた。と申しますことは、すでに政府から国会へ提出いたしまして、まだ上程は、本会議にも上程はされておりませんが、近く上程される運びに相なっております。そこで、むろん総理はこの概要についてはよく理解をしてもらっておりますけれども、なお、与野党を通じて総理に対する当然質問が予想されております。そこで、さらに総理に対しまして、この健保法の、なぜ政府としてこれをつくらなければならないかといったような趣旨及びその内容等について説明を申し上げたのでございます。私の立場といたしましては、厚生省が主管してつくった政府法律案でございますので、今国会においてぜひとも御審議の上これは成立をさしていただきたいものであるということを総理に対して申し上げたのがいきさつでございます。
  110. 小柳勇

    ○小柳勇君 この問題は、審議の過程でも及び被保険者、医療側でも相当問題がある法律でありますから、われわれはその担当の委員会で十分わが党並びにわれわれの意見を述べて論争いたしますが、まだ審議に入らない前から、総理大臣、内閣全体となってこれを強引に通すような印象を与えることについては、十分ひとつこの際私は苦言を呈し、注意を喚起しておきたいと思います。  質問はまた別途いたします。
  111. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 決して強引にどうというわけではございません。私の立場といたしまして、総理に対して御説明を申し上げたということでございます。
  112. 小柳勇

    ○小柳勇君 文部大臣に質問いたします。  先般予算の総括質問で資料要求をいたしました大学学者並びに研究団体に米国陸軍が補助しておる件の資料をきょういただきました。この資料について文部大臣の説明を求めます。概略の説明でよろしゅうございますから、そのあと質問いたします。
  113. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 先日御要求になりました資料は、ただいま手元に差し上げてあります。大体その資料でごらんいただければわかると思いますが、一九五九年から今日までずっと続きまして、件数としては約九十六件、金額といたしましては三億八千七百万円、こういう状況になっておるようでございます。それで、きょうお手元にお配りしました資料で一応なおお断わりしておかなければなりませんと思いますのは、ここで各機関の名称だけを出しておるのでございまして、しかし事実は、医学部とございますれば医学部の中の特定の教授にこれが渡っておるわけでございます。この名前を、私としてお許しを願いましたのは、個人の名前は直接的にはこの審議の問題にもならぬかと存じますし、また、個人の名前を出すことの影響等も考えまして、一応この表からははずさせていただきました。しかし、御必要がございますれば、個人の名前は新聞にも載ったことでございますし、私のほうにも明確にわかっておりますので、いつでもお知らせすることはできると思います。  それから、大体この調査につきましては、米国陸軍当局のほうからリストをいただきまして、それに対しまして、各リストに即して各大学のほうに直接にこれを確認をいたしてまいりました。でございますが、その中で多少金額等において食い違っておる点とか、あるいは死亡した者、あるいはまた海外に出て現在不在の方、これらの者で再確認は完全に一致はいたしておりませんけれども、大体そう間違いはないというところで提出いたしました。なお、この全部の、研究なり、旅費とか、あるいは品物によるものがございますが、この援助の形式は、米国陸軍当局のほうからこれを公募するとか、あるいは補助してやるから出しなさいというような勧誘をいたしたのではなくて、実際上のこういう制度があるということを、あるいは国際会議でございますとか、友人関係でございますとか、こういうのを知りまして、そして学者のほうで自分のいままで研究をいたしておりますデータについて申請書を出し、その申請書におきましては、その所属する長のサインを求めまして、たとえば医学部でございますと医学部長あるいは学長のサイン、これを添えまして申請をし、そしてその申請をいたしました者について許可をいたし、許可あったものについて援助が行なわれたというのでございます。それから、その発表につきましては、必ず公表をすることにいたしておりますし、なお、経理及び研究成果につきまして中間報告及び最終報告を米軍のほうに出すということになっておるのでございます。  なお、詳細につきましては御質問によりましてお答え申し上げます。
  114. 小柳勇

    ○小柳勇君 今年新たに契約するようなものが私の調べたのでこの表に落ちておりますが、これは一九五九年から今年度までの全体の研究テーマでございましょうか、これが第一問でございます。  それから第二問は、テーマだけありますが、論文の内容は全部日本政府でわかるのでしょうか。テーマだけしかわからぬのか、論文の内容もお尋ねすればわかるのかどうか、この二点を御返事願います。
  115. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) この表は、いままで援助いたしましたものについての調査でございまして、これからのものは調査に漏れております。それから、論文の内容は全部これは公表になっておるのでございますから、調べればもちろん調べられるのでございます。
  116. 小柳勇

    ○小柳勇君 今年度新たに契約する見通し、こういうものは文部省のほうではわかりますか。
  117. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 実はこの問題につきましては、後ほど私もお答えの中で申し上げようと思っておったのでございますが、今後こういうのを続けるかどうかという問題は、われわれも一つの意見を持っておるわけでございます。でございますので、これを今後続けるかどうかということにつきましては、まだそれについて明確な御返事を申し上げるわけにいかないと思っております。
  118. 小柳勇

    ○小柳勇君 その細部の扱いについてはあとで質問いたします。  これは役所とそれから研究団体でございますが、文部省の所管外の民間の会社などへこういう研究助成をやっている事実がございましょうか。
  119. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) この表に書いておりますのは、大体学校関係とか、各省に関係しております研究所等を書き加えたのでございまして、お尋ねのときにも大体大学の問題が対象になったようでございます。民間の会社等の研究機関に対しましてもある程度の援助がまいっておることはわかっております。
  120. 小柳勇

    ○小柳勇君 その民間団体でのおもなる研究テーマ及び援助金額などをお知らせ願います。
  121. 天城勲

    政府委員(天城勲君) お手元の表をごらんいただきますと、大学それから研究機関の下に「その他」と書いてございます。この「その他」に一括したのでございますが、学会、病院、会社等一括処理してございますが、個別表の最後をごらんいただきますと、このうちで政府のほうで関係しております機関として国立療養所とそれから学会がございます。したがって、この「その他」の一括のところから抜いたものが六件あるわけでございまして、これらにつきましては民間の会社でございますので私たち確認する方法がございませんでして、率直に申して、アメリカ側からの資料の中には民間会社がこの中に入っておりますけれども、確認する方法がございませんでしたので個別表に入れてないわけでございます。実はこの前も私ちょっと中間で、調査の段階で、例を申せというお話で申し上げた中に、これは訂正申し上げぬばならないのでおわびでございますが、京都の花山天文台が対象になっておるということを申し上げたのでございますが、当片調査の過程だったのでございますが、その後の調査によりまして、花山天文台は対象に入っておりませんでした。したがって、今後はもうできるだけ対象を確認した上で書類にいたしたいと思っておるものですから、会社関係はあることは入っておりますが、六件入っておりますが、確認できませんでしたので、個々の名称を表から省略したのでございます。
  122. 小柳勇

    ○小柳勇君 いや、局長、いま大臣が民間のほうでも研究があるとおっしゃったからその概要を聞いているわけです。あればどうせわかることですから、調べればわかることですから、おもなものでいいから、その援助金額とそのテーマを教えて下さい。
  123. 天城勲

    政府委員(天城勲君) この六件の中には病院が三カ所ございますが、そのほか民間会社といたしまして、先ほど申したような、確認はいたしておりませんが、株式会社松下電器産業東京研究所と東海電極が入っております。
  124. 小柳勇

    ○小柳勇君 そのテーマと援助金額をひとつ。
  125. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 株式会社松下電器産業東京研究所でございますが、赤外線可視装置、一九六五年で、これは向こうの資料でございますので、十万六千ドルでございます。それから東海電極製造、これが強力高率炭素フィラメント、そういうテーマでございますが、三万二千ドル、一九六六年でございます。
  126. 小柳勇

    ○小柳勇君 この学者が知りました動機とかあるいは研究成果、その後の措置などについてあとで追って質問いたしますが、この資料を二、三質問しておきたいと思います。  第一は、この資料を見まして、希有ガス力学第五回国際シンポジウム出席旅費というのが東大の宇宙研、大阪大学の基礎工学部、航空宇宙技術研究所、同じ一九六六年のこの会議に行っておられまして、四百六ドル、九百五十四ドル、九百五十四ドル、こういう学会出席旅費を出してございます。こういう、もちろんこの会議の必要性については、われわれもこの会議についてはしろうとでありますが、わかりますが、この会議の内容、例年やるのかどうか、及びなぜ国から旅費が出せないのか、部分部分にはいろいろありますけれども、一括して文部大臣から答弁を求め、あと関係のある大臣……大蔵大臣でしょうけれども、文部大臣から答弁を求めます。
  127. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 実はこの希有ガスの会議に対しまする旅費が出ておりますが、これは向こうで、この問題の会議があるからというので招聘をされまして、その招聘されたのに出席するにつきましてその旅費が向こうから出た、こういうことでございます。
  128. 小柳勇

    ○小柳勇君 この会議は毎年やるのかあるいは何年おきにやるのか私よく知りませんが、こういうような例がたくさんございますか。
  129. 天城勲

    政府委員(天城勲君) このリストに載っておりますのから判断いたしまして、必ずしも毎年定期的に行なわれる会議というふうにも判断いたしかねます。ときおりそういう国際的な学会のシンポジウムがあったりして、それに招聘されるというケースでございますので、定期的な会合とば必ずしも考えておりません。
  130. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは何ぼありますか……第五回ですからね、五回も開いておるのですから、あと四回はどなたが行かれて、どういう名目で出張しておられるか、こういう旅費が出ておるかどうかを調べて資料として提出していただきます、過去四回のやつを……いいですか、局長
  131. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 具体的には希有ガス力学第五回国際シンポジウムでございますか。
  132. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうです。
  133. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 資料を調べてみます。
  134. 小柳勇

    ○小柳勇君 それから、総理府総務長官が見えておりませんから、航空宇宙研の問題はあとでやります。  次の問題、京浜地区の大気汚染に基づく呼吸器疾患、こういうテーマがございまして、東大の医学部、こういうのが研究をやっておられますが、厚生大臣に質問いたしますが、京浜地区の大気汚染に基づく呼吸器疾患というのはわれわれが一番大きな被害をこうむるものでありまして、日本でも研究しなければならぬと思うが、厚生省では現在研究しておられるかどうか、そういうふうなデータがあるのかどうかお聞かせ願います。
  135. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 大気汚染につきましては、ただいま四日市と大阪方面をやっておりますが、まだ川崎についてはこの調査をいたしておりません。
  136. 小柳勇

    ○小柳勇君 大気汚染の問題、この間の総括質問でも私問題にいたしましたが、やる見通しがあるのですかないのですか。今年度の予算はどうなっているのでしょうか。
  137. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 四十二年度予算におきましては一億円の予算を計上いたしておりますが、そこで必要に応じましてこれを調査するということで、ただいま検討中でございます。
  138. 小柳勇

    ○小柳勇君 アメリカの陸軍は、自分のところの研究費を出して東京大学の医学部に研究を委託しているのに、日本の厚生省は、必要があるかないかまだきめていないのでしょうか。もう一回御答弁を願います。
  139. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) むろん必要がありまするので、すでに四日市、大阪をやっておりますが、これからどこをやるかということは検討いたしておるわけであります。
  140. 小柳勇

    ○小柳勇君 厚生大臣、京浜地区の大気汚染についてはどうでしょうか。おやりになりますか、やるのですかやらぬのですか。
  141. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) ただいま検討中でございますが、やる必要があると思います。
  142. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。  もう一つ。次は慶応大学の医学部の研究ですが、日本の一般市民に対する大気汚染の影響、これまた非常に大きな課題であるし、われわれもしろうとでありますけれども、たいへんりっぱな研究だと思うが、厚生省ではこういうことをやるお考えがあるのですか、ないのですか。
  143. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 大気汚染が人体に及ぼす影響ということにつきましては体系的に目下研究もいたしております。広範に今後も続けてまいる、こういう考えであります。
  144. 小柳勇

    ○小柳勇君 局長から、いまやっている実態と今日までの実績をひとつ御説明願います。
  145. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 大気汚染物質の人体に及ぼす影響、昭和四十年度に財団法人日本公衆衛生協会に委託をいたしまして三十万円、それから生体負荷から見た汚染物質濃度の評価に関する研究といたしまして同じく四十年度七十万円で、慶応義塾大学外山教授。それから、大気汚染による呼吸器性疾患の治療方式に関する研究といたしまして、四十年度に百二十万円で三重県立大学。気道抵抗測定方法の比校検討といたしまして、同じく四十年度に五十万円、大阪府立成人病センター。呼吸器機能障害者の治療効果に及ぼす空気清浄化病室の研究といたしまして昭和四十一年度に百七十万円、四十二年度は二百万円の予定で三重県立大学に委託の予定でございます。大気汚染による人肺汚染に関する病理組織化学研究といたしまして、財団法人癌研究所に四十年度百万円、四十一年度百万円、四十二年度二百万円の予定でございます。大気汚染物質の慢性生理作用に関する研究といたしまして慶応大学外山教授に三百万円。それから福岡県における大気汚染特別対策及びその効果に関する研究といたしまして四十一年度百万円、福岡県衛生研究所。そのほか先ほど申しましたように国の直接調査といたしまして、四日市並びに大阪、阪神地区の大気汚染の人体に及ぼす影響を三重大学、大阪府立衛生研究所等に協力をいたしまして、昭和四十年度、四十一年度に実施をいたしました。また同時に自動車排気ガスの人体に及ぼす影響を東京都下におきまして国の直接の手によりまして昭和四十一年度に調査をいたしております。
  146. 小柳勇

    ○小柳勇君 ただいまの局長答弁によりますと、この私がいま二つのテーマを読み上げました以上に日本でも厚生省は関係機関を動かして研究しておるようでありますが、厚生大臣並びにいまの局長はこのテーマをごらんになりましてどう感じますか、米軍からこの研究費用をもらってやっておられる研究と、わが国の厚生省がやっておられる研究は違うのか同じなのか。もうこれだけの必要はないではないかというお考えなのか、けっこうだというお考えなのか、見解をお伺いいたします。
  147. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) だいぶ前から京浜地区に駐留するアメリカ人、特に比較的新しく京浜地区に参っております米人並びにその家族にいわゆる横浜ぜんそくと称する特別のアレルギー状態のようなぜんそく性疾患が多発いたしたわけでございます。その原因がはたして何によるか、大気汚染であるか、また在米の日本人にそれほど多いのかというふうなことをおそらく契機といたしまして、東京大学並びに慶応大学に研究の委託が行なわれたものと思われるわけでございまして、このような現象はわが国では特に四日市並びに大阪の公害のひどい地区に特別多いということで、日本はやはり日本の立場におきまして研究をいたしておるわけでございますが、京浜地区にもややそのような疾患の患者が多いということもいわれておりますし、私どもといたしましては、特に濃厚な地区から漸次その他の地区に調査を及ぼしていくということで、重点的な指向の対象は必ずしもわが国と一致するわけではございませんけれども、将来わが国としても十分研究対象として考えていく必要がある研究でないかと思います。
  148. 小柳勇

    ○小柳勇君 次はこの、ペルーにおける日食記録のためのペルー地球物理学研究所との共同研究、これに京都大学の理学部の出張旅費として二千五百ドルを出されておりますが、ペルー地球物理学共同研究にいつもこういうふうに日本の学者が、研究員が補助をもらって行っているのかどうか、
  149. 天城勲

    政府委員(天城勲君) ペルーと始終地球物理学の共同研究をしているかという御質問でございますが、私まだこれを確認しておりません。これはたまたまそのペルーにおける日食の機会に共同研究したのだと、こう理解しております。ふだん連絡しているかどうかは、私はいまつまびらかにいたしておりません。
  150. 小柳勇

    ○小柳勇君 これ文部大臣、こういうような出張旅費ですね、学者、研究者が、日食研究の記録というのはりっぱな必要な記録でしょうが、国には出張旅費はないのでしょうかね。米国の陸軍から補助をもらわなければならないのでしょうか。
  151. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 十分ではないと存じますけれども、やはり大学の研究なり海外出張につきましては、相当の旅費なり支払えるようにはなっております。ただしかし、こういう特殊の場合で、大学内部の関係でそれに旅費が出ないというときに、こういうのを利用して行ったんじゃないかと存じます。ただ、まあ需要に完全に応ずるだけの旅費は、現在におきましても不足をしておると思います。
  152. 小柳勇

    ○小柳勇君 この資料には載ってないんですけれども、ことしから研究契約がなされた「太平洋地域特に東南アジアにおける肺吸虫の分類及び生態に関する研究」というのがあります。これも日本としては非常にりっぱな研究ではないかと思うんですけれども、これを学者がなぜこういう契約を受け得ることを知ったかといいますと、米軍担当官とパーテーで会って研究の話をしたら、こういう金があるぞとおっしゃった。東南アジアの調査旅費に使用できるから非常に便利だから契約したと言っている。この問題について、文部大臣御存じあるかどうか。
  153. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 先ほど申したように、これからの計画については、まだつまびらかにいたしておりません。
  154. 小柳勇

    ○小柳勇君 この内容について実は私もわからぬ。私もこういう科学に弱いのでわからぬものがたくさんございます。文部大臣、これごらんになりまして、大体何の研究かおわかりになりますか。
  155. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 米陸軍から出ました研究の項目につきましては、先ほど申し上げましたように、その大学の教授なり教室におきましてずっと研究をしておるテーマにつきまして申請をして、この許可を得たというのでございまして、常に手がけておる研究課題が多いのでございます。この内容につきまして、実際上学問のどういうことを研究するかということについて、私もまあ内容面まで調査しておるわけじゃございませんし、ただテーマだけ承知しておるだけでございます。
  156. 小柳勇

    ○小柳勇君 このテーマを見まして、その学会なりその学者にとって、あるいは日本の学界にとっては、最高のレベルの研究ではないかと思います。で、文部省ももちろんこれを全部一人で御判断にならぬ。その学者に聞きますと、りっぱな最高の研究である、こういうものがどこかで総合されるわけです。総合されますと、それが私どもがいま問題にしております米国陸軍省から補助金が出て、それがどこかで総合される。日本の破局の責任者である文部大臣すらわからないりっぱな研究テーマというものが、日本のわれわれがわかるような問題もあります、身近な問題ありますけれども、われわれわからぬ問題があるわけです。それが米国陸軍の援助を受けて、どこかで総合されるわけです。そのことをいま私はここに問題としてこの本委員会で取り上げているわけでございますけれども、これをごらんになりまして、文部大臣は一体どういうふうな御感想を持っておられるか。具体的な問題、私質問いたしますけれども、いま見解としてどういう見解を持っておられるか、お聞きいたします。
  157. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 私どもは、まあ大学の研究費につきましては、実はもちろん現段階において十分だとは思いません。しかし、戦後今日までにおきまして、だんだんと科学研究の経費につきましては増加をいたしまして、今日では相当主たる学者の研究については、差しつかえないくらいの金額が予算に計上いたしておるはずでございます。またもしこの研究につきまして、第三者から寄付がございまして、これを受け入れて研究いたします場合におきましては、大学の特別会計におきまして、四億五千万円の奨学寄付金受け入れのワクをとってあります。この中に組み入れまして、そうしてこれが研究者に渡っていく、こういう仕組みをいたしておるのでございますが、本調査表を出しましたのは、実はそういうリストには載っていないのでございますので、私のほうでは、これをつかめなかったのでございます。私はこの大体を取り調べました私どもの感じといたしましては、いまもちょっと小柳先生申されましたが、いろいろこういう制度があって、これで申請すると、その研究内容がよければ金が出るということを聞きまして、やはりこの研究費を請求をいたしまして、より自由なる研究の充実を期したと思うのでございまして、その研究の申請をいたしました本人が、これはアメリカの軍とか、そういう総合されて何かそれに利用されるであろうという予測のもとにやったものではないということだけは、私はっきり言えると思います。ただしかし、これは外国の政府機関の金でございます。この何にも正式の文部省なり外務省に話がなく、直接にこの研究者に渡ってまいりました問題、しかも、それが向こうの陸軍の関係の部局からこの金が出た。そういたしますと、いま申されましたように、その結論を総合して何かに利用されるのじゃないかというような疑いを受けるおそれが十分にあると思います。でございますので、私といたしましては、このあり方についてやはり大学当局において再検討してまいりたい、少なくとも、これは正式に受け入れ、その他につきましては公のものにすべきではなかろうかと思っておるのでございます。ただ、ここで申し添えたいと存じますけれども、いままで文部省としましては、学者が研究をいたします場合において、全く自主的に 私どもとしては、研究内容その他に対しては、何らの関与をいたしたことはございません。ですから、こういうことによって学者の研究内容にまでタッチをいたそうとは思いませんけれども、しかしこういう問題は、十分やはり疑いを受けるという面におきまして、大学当局におきましても考慮いたすべき問題だと、今日ただいま感じておるわけであります。
  158. 小柳勇

    ○小柳勇君 少し先に進んで質問していきますが、文部大臣に少し独断がありますから……。
  159. 亀田得治

    ○亀田得治君 いまの答弁に関連して、ちょっと委員長。  大臣いまちょっと誤解を受けやすいことを言われたわけですが、学者が米軍から金を受ける場合、少なくとも公のものにしていかなければならぬという意味のことをちょっと言われたわけですが、これは従来のように、特別会計にも入れないで直接受け取る、そういうことは困る。そうじゃなしに、ちゃんと特別会計に入れてそこから受け取るということなら認めていいのじゃないかというふうな何かこう印象を受けたのですが、そのことが一つ。公のものにしなければならぬというのは、いわゆる特別会計のワクの中へ一たん入れよ、そういう意味で言われておるのか、その点が一つ。  それからもう一つは、それとまた若干違ったことも言われておるわけなんです。こういう寄付は思わしくないという意味のことも、その前で言われておるわけです。もし思わしくないということであれば、そのあとの手続上のことなどは、これはもう問題外のことになるわけですね。だからその思わしくないということの意味ですね。これはたとえば、京都大学の奥田総長の、この問題が新聞等で論議されるようになってからの談話でありますが、やはり軍事を目的としておるこのような寄付は受けるべきではない、こういうことをはっきり談話で申しておられます。私はこれがすなおなやはり解釈だと思うんです。そこの根本のところを、これから研究するようにもおっしゃっているわけなんですが、しかし、思わしくないとも言われるわけなんですが、しかし、また先ほど手続がちゃんと表へ出ればというようなことも言われるわけですが、私はやはり文部大臣見解をこの際はっきりしないと、非常にこうかえって混乱するんじゃないかということで、根本の考え方をやはりここでもう少し明確にしてほしい、それが第二。  それからもう一つは、今後のことについては、いろいろ研究しなければならぬ、こういうことも言われております。そうすると、右するか左するか、いろいろ研究しておるのだというふうにも考えられるわけですが、それに関連して聞きたいのは、現在申請中のものがあるはずですね。あるのか、ないのか、それが幾つあるのか。そういうものがないということになれば、これはゆっくり研究していいわけですね、ゆっくり研究していい。ところが、申請中のものがあるのだということなら、もう国会質疑が済んだら終わりというふうなことじゃなしに、これはやはりよほど早くきちんとした方針を出してもらわなければいかぬ、これが第三番目の点です。現にそういう問題でひっかかっている案件があるのか、ないのか。以上三つ、ひとつこの際明らかにしてほしい。
  160. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) この一般の寄付がございまして、たとえば国内の人とか、いろいろな委託研究等でございまして、大学の教授に研究費の寄付がありました場合、これは特別会計の中にそういうものは入れてやるべきだと考えております。でございますから、このものは実はそれには入っていないということを先ほど申し上げました。ですから、それに入っておれば、公のものとして私どもは調べることができるのでございますが、直接的に渡されて研究して、私どもに何らの報告がなしに今日までまいっておりますので、この点は私どもが知り得なかったのでございます。ただ、私は外国でございましても、たとえばロックフェラー財団とか、そういったような民間の財団等から研究費を受けるという問題と、それからこの場合は政府機関でございます。政府機関が——日本のやはり大学も国立の政府機関の一つでございます、これに直接的に金の授受があるという問題につきまして、基本的にそういうことが直接に行なわれていいかどうか。これは少なくとも、私は政府機関におきまして話を通じて、それがいいか悪いかを政府が判断をして、これを受け入れるかどうかを決定すべき問題であるのではなかろうか。そういう意味におきまして、またこれが軍から出ておるとかいうこと以外に、政府間の問題でございますので、これを政府というものを抜いて直接的にいっていいのかどうか。この問題につきましては、私どもやはり考え直さなければならぬ問題があるのじゃないか、こう思っておるわけでございます。  それからいま申請を出しておるものがあるかどうかという問題でございますが、これは先ほど小柳委員の御質問で、いま申請をしておるものもあるであろうということは想像いたしておりますが、明確に具体的には、私のほうは一応援助をいたしましたものの調査をいたしたのでございまして、いま申請をいたしておるというものについては、調査をいたしておらないので、明確にわかっておりません。
  161. 亀田得治

    ○亀田得治君 もう一つ、根本方針はどうですか、一番大事な方針です。
  162. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) これはいままでの調べた中で、やはり継続してやっておるのもございます。ですから、これをいすまぐ取り上げるようにという意思は持っておりません。しかし、これを将来にわたってどうするかということは、いままで私どもとしては、実は大学の取り扱っております研究について自主的にまかせておりますので、一応これは大学にもその問題について相当考究させましてこれをどうするか、ここで私どもとしては、大学の当局のほうに再考をしてもらうということを考えております。
  163. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは重大なことだ。研究内容がよくわからぬと、大臣先ほどからおっしゃっておるわけですね。そういう状態の中で、ずっと年度が継続しておるものは認めるような意味のことを言われると、これは私は非常に軽率だと思うんですね。それが、それじゃあ軍事に結びついておったらどうするんですか。明確にしなければならぬでしょう、その点は少なくとも。だからいまおっしゃったことは、これはちょっと行き過ぎているんじゃないですか、この点は。内容がわかっておるなら、別ですよ。あなたわかっているなら、私はもう少し聞いてみたいと思うのもあるわけですが、たとえば、京都大学のウイルス研究所ですね。これは三口出ていますね。これはどういう研究ですか。これはしろうと考えで考えても、最近はやりの生物化学兵器、こういうものに結びついていくんじゃないかというふうな感じもするわけなんですが、これは継続の中に入っているんじゃないですか。これは済んでいるやつですか。だから、いまおっしゃったことは、これはちょっとこの場で訂正してもらいませんと、最初は非常に良心的に軍事に結びついちゃいかぬという立場で研究しておるということでしたから、多少安心感を持ったんですが、途中で手続のことなどをおっしゃるものですから、これはあるいは逆に考えているんじゃないかということでお聞きしてみた。そしたら継続のやつはいいという、そういう軽い考えでは、非常にこれだけ注目されている以上いかぬと思う。学者自身の中で、これは受けるべきじゃない、こういう意見が相当出ているわけですからね。ことに京都大学の総長は、そういう意見を公に出している。そこの研究がウイルス研究、だからいまの発言はちょっと問題じゃないですか。  それともう一つ、現在申請中のものを、米軍と両方を通じて調べてください。その資料も委員のほうに出していただきたい。その二点。
  164. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) あとの分でございますが、これは結果を調査するというのはわかりますが、申請中のものを出せということは、不特定の要素がございまして、私のほうでだれということを指さして出せという状態はわかりません、これは。ただまあ米軍のほうに要求しましてリストを出していただければこれは出せるかと思いますけれども、研究者の申請書を出したほうについて、だれが出したかわからないのでありますから、急にそれを取り調べるということは非常に困難だと思います。  それから私が最初に申し上げましたように、申請者のほうは、たとえばウイルスの研究にいたしましても、ずっと自分の研究として続けておりますことについて、こういう方法があるというので、申請すれば金が出るというので出したのでございまして、研究者のほうが、そういう軍事目的に協力するとか、そういう意思でやってないことだけは私ははっきりと言えると思います。でございますから、その研究をいま続けておるときに、途中で中断しろというようなことは、直ちにこれを中断をさせるとかということは、少し行き過ぎじゃなかろうか。でございますから、将来に向かいまして、こういう金を受けるかどうかということは、やはり研究者自体並びに大学が十分この問題について、私は研究してほしい、こう思っておるのでございまして、こういう問題を直ちにその研究をやめよとか、それを言うことになれば、研究をストップをかけることになります。政府としてそういう研究に中止命令をかけるというような状態にすることは、私は正しいとは考えておりません。
  165. 小柳勇

    ○小柳勇君 その問題は、最後に結論として私、質問しますので、よく考えておいてもらいたい。  この法的な根拠は何でしょうか、外務大臣。いま文部大臣は独断で、これは全部学者のほうが知らないで金の援助を受けたとおっしゃいますけれども、米軍の担当官が募集に行っている事実もある。また大学に募集広告がいって、これを知って応募した学者もあるわけです。それから民間の会社に行って研究さしておる。それからあとでまた資料要求いたしますが、陸軍付属病院の四〇六部隊が別に直接学者に研究費を出しておる。こういうことの法的根拠は何でしょうか。外務大臣からお聞きいたします。
  166. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 小柳さん、これに対しては法的根拠というものはございません。これは研究を補助するというわけですから、何か法的根拠がなければこういうものは出せぬという性質のものでもないと考えます。
  167. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういたしますと、米国陸軍だけでなくて、どこの国の陸軍であろうが海軍であろうが、日本の学者に研究を依頼すれば、学者がOKすればできる、こういうことでございますか。
  168. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これは世界的に見れば、研究費というものに対してはいろいろな——まあ金ということになれば、一番アメリカが多いでしょう。しかし、ないわけでもないでしょうが、しかし、そういうことで私は、いま文部大臣もお答えになったように、政府機関、これがやはりいろいろな寄付を受け入れるというときには、ただ研究団体の自分の意思だけが寄付を受け入れるということは、ちょっと私はまずいと思う。その場合には、文部省も政府も知らぬということは、いま言った、そんならどこの国でも寄付をくれると言ったら何でも受けるのかという御疑問も出てまいりますので、これは政府のほうとして、何らかのこれに対して、受ける場合に、政府に対して報告、承認を求めるとか、何らかの多少の規制が私は要ると思う。これは研究をいたしたいと考えております。
  169. 小柳勇

    ○小柳勇君 外務大臣、米軍司令官は日本政府には全部報告してある、日本政府承知しておると言うが、文部省ではこの間も御存じなかった。外務省報告があっておったのでしょうか。
  170. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 報告は、こういうふうな文部省でも資料を出したのですから、報告は、政府あと報告が来ていると思いますが、しかし、私が言うのは、政府報告というのではなしに、その寄付を受け入れるときに、何らかやはり政府機関というものは、この受け入れるというものに対して、承認とか、あるいは報告をして、政府の承認を求めるとか、私的な機関はいいですよ。しかし、政府機関というのは、ただ研究機関だけで受け入れていいということは、少し何かそういうふうな行き方ではいかないのではないか、何らかそこに承認を求めるようなことが要るのじゃないかと、率直に考えるのです。これは政府のほうとして、この問題は取り上げて検討をいたしまして、結論を出して、きょうではございませんが、あとでこれを御報告をいたしていいと思います。
  171. 藤田進

    ○藤田進君 ちょっと関連して。最近内之浦の衛星発射等に関連する大学の会計等を見ましても、しかし、少なくとも国立大学、あるいま公立において、私学といえども、年度間の大学の予算決算というものは当然ある。ですから、東大等の場合も出ておりますが、こういう場合には、国として文教関係予算の中で、特に当該学校の年度予算というものがあり、これには受託研究費は幾ら見るか、当然なくちゃあならぬと思うんです。これは国内の処理として、会計経理上のね。ところが、まま研究所、あるいは指導教授といったようなプライベートの形で外部との金銭の授受というものが行なわれ、そうして研究者の勘で適当にこれが経費を配分をしていく、表に出てこない。それから、特にやがて民間の法人に就職をさせようという場合には、表向きでなくて、相当年額、金が直接受け入れられていることが、特定のところがどこということはここで申し上げるつもりはありませんが、いわば大学の会計経理の処理については、そういうものが、どうも通常の方式から考えると、異様な感じを受けるものがあるようにも思うわけであります。この辺が国立大学についてはどうなっているのか、文部省からいまの問題も関連して、一向に知らないはずのものではないと私は思うのです。会計経理、予算決算から見ても、そういうことはあり得ないはずである。御説明をいただきたい。
  172. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 大学の研究費につきましては、予算上でございますと、教官当たり積算校費といたしまして、実験講座、非実験講座につきまして、おのおの各講座ごとに研究費を配分いたしております。それ以外に、科学研究費といたしまして、四十二年度でございますと、四十一億円を計上いたしまして、研究題目に合わせまして研究費を配分しておる。これらの問題につきましては、明確に決算報告は出るわけでございます。それ以外にやはり委託研究でございますとか、あるいは研究費を特別に援助を受けました場合には、先ほど申しましたように、国立学校特別会計の中で、奨学寄付金ということで、受け入れの窓口を、ワクを示しておるのでございまして、この中に受け入れて国費と同じように予算決算の上に取り入れられていく、これだけは明確に予算決算でわかってまいるわけでございます。本件のような場合におきましては、その経理は中間及び決算報告を米当局のほうに提出する義務がございまして、それをやっておるのでございますが、国費の経理とは全然別個に行なわれておるのでございます。そういう状況でございまして、いままでの、この長い間の大学教授の委託研究とか、そういったものにつきまして、実は何にも、従来におきましては、この予算決算にあらわれてこないでまいっておりましたから、特にこの特別会計ができましてから、これを公の決算の中に入れるために、その受け入れのワクをつくって、これを公の決算の中にあらわしていくというふうにやっておるのでございますが、まあ伝統的にいままでの大学のやり方につきまして、予算決算で正式にあらわれるもの以外におきましてそういう研究費の受け入れがあったということだけは否定できないと存じております。
  173. 小柳勇

    ○小柳勇君 ただいまの外務大臣並びに文部大臣答弁によりますと、いままでの研究というものが学部長の許可を得れば、大学教授はどういう研究もできるということがわかりました。今後の問題については、また別途質問してまいりますけれども、しかもその金は大学の会計と全然別個に働いていることも明らかになりました。そこでその契約の条件について、文部省としてはどういう把握をしておられるか、御答弁願います。
  174. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 契約につきましては幾つかの条件が取りつけられておるようでございます。ただその目的、特に目的の中で軍事目的に関すると思われる条件は、事前、事後を通じまして全くつけられていないと私ども考えておりますが、援助を受けました研究者が、この一定の条件に対しまして義務を負っておる点はございます。たとえば、定められました期間内に研究を終了することを原則とする。それから研究責任者の指揮のもとに実施すること、こういう条件でございます。補助金受領者が、当該研究実施の能力がない場合、双方の合意のもとに補助金の全部または一部を取り消すことができる、それから、研究成果に関する報告書等について、まず研究成果に関し概括的な中間報告を提出すること。研究成果の公表は全く制限されないこと。ただし公表の場合は米陸軍の援助と協力による旨を記載するとともに、当該出版物を提供すること。それから特許及び著作権につきましては、発明の実施権は研究者が所有するが、同時に米国政府にも実施権が無料で与えられる。研究成果の公表刊行に関連する権利はもちろん研究者が所有するが、同時に米国政府もデータ及び技術的情報を出版し、翻訳し、複製し、配布し、及び使用する権利が与えられる。以上のような条件がついているのが普通のようでございます。
  175. 小柳勇

    ○小柳勇君 ただいまの、最後のほうに読まれました特許条項及び著作権条項というものは、学者にとりましても、日本の特許権からいいましても重要な問題ではないかと思いますが、補助を受けた研究から特許が生まれた場合、その無料実施権を米国の政府に与える、特許の内容を説明する装置を提供し、出版権、翻訳権を譲渡する、または国立大学の研究者が国から給与をもらっておりながら、それを、日本の特許権を持っておるにかかわらず、その上にそういうような条件をつけられるということは、まあもちろん百万から三百万程度の補助金受けておりますから、その補助金の代償としてやむを得ないという見解もありましょうけれども、私どもとしては、国の頭脳である学者の研究、その成果が国の財産ではなくて、米国政府に無料で与えられるということについては、国民としては許せないと思うが、文部大臣見解をお聞きいたします。
  176. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 御指摘のように、この条件につきまして申請をして、学者がこの条件をのんで、その個人の実施権等につきまして個人が承知をして与えたという状況でございますが、しかし、かかる条件をつけられてなおかつこれを承知することがいいかどうか、私どもは多少の疑問を持っておるのでございますから、検討してみたいと思います。
  177. 小柳勇

    ○小柳勇君 国立大学研究者の特許管理制度ですね、特許管理制度は一体どうなっておるのか。大学でもまちまちのようでありますが、ほとんど皆無の状態ではないか。この点について文部大臣見解を求めます。
  178. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 大学の教官が研究の成果得た特許権でございますが、これは国費による、国の機関による成果ということで、任務発明という制度がございまして、国の特許権に属し、それに従って一定の、名前は報奨金と申しましたか、本人に還元ができるような制度がございます。
  179. 小柳勇

    ○小柳勇君 国立大学に特許管理制度というものがあるのかないのかですね。国費を費やして、もちろん自費で研究している学者もありましょうが、りっぱな特許権を持っておる学者もあるでしょうが、国立大学と研究者との間及び国と特許権との間、そういうものについての制度があるのかないのか、御説明願います。
  180. 天城勲

    政府委員(天城勲君) ただいま申し上げましたように、学者が国費をもって国の研究施設である大学ないし研究所で行なった研究の成果が特許権を得た場合には、その特許権は国に属すると、任務発明という制度によって国に属するという制度がございます。
  181. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういたしますと、いまの問題ですね。特許権は国に属するという制度があるといま局長おっしゃるんですが、それにかかわらず、この条件を知りながら、この条件で学者は補助を受けておるんだが、それを政府は知らないでいいんでしょうか。
  182. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) いま局長から答えましたのは、国費によりまして研究したその成果でございますが、この場合は、いわゆる個人的な契約によってこれを了承しておるという状況でございまして、国費によった場合とは違うと思います。このよしあしは別といたしまして違うと思います。
  183. 小柳勇

    ○小柳勇君 文部大臣、これは国会の審議ですからね。普通の茶話ならそれでも通りますけれども国会の審議の場ですから、少し理屈を追っていきませんと通らぬのですが、この国立大学の学者というのは国の費用で研究しておられる。その研究者がその問題に限りまして研究するにいたしましても、それは決して籍を離れて研究しているんじゃないと思うのです。研究テーマというものはありますけれども、大学の研究の一助としてやっているわけです。にもかかわりませず、特許権が発生した場合、それは無料で米政府にこれを与えなければならない、しかも、その規則では、大学教授の特許権は、国の費用で研究したものは国に属する、そうあるにもかかわらず、それを、学部長の承認は得るでしょうけれども政府の承認なく、学者がこういう条件を締結するということについて、もちろん問題はありましょうけれども、それは私は、いま特許権管理制度の問題について、大臣のもう少しはっきりした見解を聞いておきたい。
  184. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 先ほど御説明申し上げましたように、国の機関として国費によって大学の教官が研究した結果の特許権については国に属するという制度がございます。大学教官のやっている研究が、いろいろのことがございますが、この場合には、いま申した国の機関という立場で、それから国の費用をもって行なっている研究でない、この価値判断は別でございますが、その系統でない契約によった経費による研究成果ということなので、いままでの筋でまいりますと、当然、任務発明として国の特許権に属する制度には乗らないんじゃないか、こう考えておるのでございますが、とにかく、私どもも初めてこういう実情がわかったのでございますから、検討しなければならぬ問題があるかと思いますが、現状ではそういうふうに理解しております。
  185. 藤田進

    ○藤田進君 関連して。これは、この場こそのがれられても、筋が通らないと思うのです。個人ならば、国税庁長官来ているが、所得の申告なり、それがどうなっているか、きっちりしてもらわなければならない。特許権もむろんそうです。第一、ちょっと何か手伝った、助言した、そこで何かお中元にハンカチ一枚もらったというのと事情が違うんです、これは。ですから、こういう受託する受託料は、会計経理上はどういうふうに処理すべきものなのか、これは当然明らかなものなんですね。これは個人の研究であって、国の施設なり、当該教授なり研究なさる方と全然国とは無関係のものということは、これは筋が通らないと思うのです。しかし、現状は、先ほど触れましたように、学校によってはかなり普遍的に、確かに放漫な会計というものが行なわれている事実は私も知っております。これはやはり改めるべきです。しからば、いまの個人の所得として、研究費として入っているのか、そうであれば。その辺を明らかにしてもらいたい。国のいわゆる国庫には全然関係がないと、そうすると、これは政治資金規正法による政治団体でもつくって、そういうところへ入っているのかどうか。入るならばわかりますが、そういうかっこうになっているのか。これは自治大臣に聞きますが、そういう届け出があるのかどうか、そこまで資料が出てきて。何億の金でしょう、これは。三十万、七十万と、いま研究費を国から出している話は聞きました。それよりもっと多いんじゃありませんか、これはもとより金額の多寡にはよりませんがね。筋論でびしっとしなければだめです。私は先般の内之浦の発射に関連して、こんなことは各所でやっている、困ったものと思うのです。制度が悪いんです、その人よりも。制度というものがないんです。編成組織もない。これがむしろ、最近は学内でも弊害を起こしている、いろんな意味で。一体その金の行くえはどういうふうに処理してきたか、はっきりしてもらいたい。個人所得なら、大蔵大臣に、どういう申告があって所得税が入っているのか、やってください、きちっと。のがれようったってだめですよ。
  186. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) この研究費として外貨を受け入れたという事実は確かにございますが、これは個人所得として受け入れたのじゃないと思います。すなわち、研究費としてそれをはっきり収入して全部研究に使われておりますれば、その委託した研究者と契約によってやっていると思います。  それから、国立の大学の教授がいろいろな発見や発明をいたしましたり、あるいは著書を発行いたしましたものが、これが全部国に帰属するというわけじゃございません。これが個人的な研究であり、個人的な調査であれば、当然著作権はその個人に帰属いたすと思います。でございますから、この際におきまして、ただいま現在までこの科学研究のやり方におきまして、委託いたしまして、教授が研究をする、その研究成果を提供するという場合は、事実、その教授の実際の教育や研究本来の使命に反せざる限りは、これを広範に認めてまいっているのでございます。でございますから、いままでの慣習におきまして、教授がそういう研究の委託を受けてやるということ自体は、決して私どもは違法であるとは思いません。ただ、問題になりますのは、いろいろ外国の政府の金、機関の金を直接に受け入れることがどうかという問題で、この問題につきましては、先ほど外務大臣も申されましたように、私ども政府部内で十分に検討してみたいと思います。
  187. 小柳勇

    ○小柳勇君 この問題はあとまだたくさん深い問題がございます。ただ、いま文部省の答弁を聞きましても、十分まだ省議全体の意思統一もないように思うし、それから大蔵省の、一体これから科学研究費などどうするのかという問題、それから総理府の学術会議の予算をどうするかという問題ですね。やはり最後は金の問題につながると思います。したがって、そういう問題たくさんありますから、これは研究課題として残して、この問題は保留して明日に譲らしてもらいたいと思いますが、その課題は、第一は、さっき亀田委員が言いましたように、今年度契約するような見通しのものがあるのかないのか。それから民間に——さっき二つだけ話を聞きましたけれども、民間にも研究をされているものがあるのではないか、ほかの陸軍の部隊から直接いっているものがあるんではないか。それから空軍——空軍からも公的機関に出ている、こういう情報も入っておりますが、そういうものを文部省としてできるだけ調査をして、資料として出していただく。それから、いまの金の問題をどう処理するかという問題。それから今後の問題。私は学問の自由、大学の自治を侵害することについては反対をいたします。反対の立場でいま問題を提起いたしております。さっき文部大臣の発言の中に、文部省が学者の研究を統制するような発言がちょっとありましたから、さっきちょっと独断だという発言をしようとしたら、関連質問で切れましたけれども、文部大臣の発言の中に、科学者の研究の自由を侵害し、あるいは大学の自治を侵害することは、ぼくは許せぬと思う。その反面、それを前提としながら、しかも、このような米陸軍の援助資金を受けることがいいか悪いか、これは科学者の倫理の問題につながると思いますけれども、そういう問題を文部省としてどう処理していくか、そういう問題が大きな問題だろうと思う。したがって、その問題は明日朝から質問いたしますから、検討しておいていただきたい。
  188. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 私は、この問題の解決について、大学の研究なり、その自主性や、大学の自治を、研究の自由を侵害することは毛頭考えておりません。その点は、私ははっきりお答えにも申し上げてあると存じます。この際、その点について大学当局の誤解があってはいけませんから、重ねてこれだけは申させていただきます。  それから、ただいまの資料要求の問題でございますが、これは一般の民間に対しまして、このアメリカの他の軍隊とか、そういったようなものもあるんじゃないか、その調査を出せということでございますが、これは私のほうには、その調査する方法がございませんので、できるだけの可能なものは出しますが、私どもでできないものはひとつお許しを願いたいと思います。
  189. 小柳勇

    ○小柳勇君 ただいまの問題、文部省だけでなかなかできぬ問題もありましょうから、この委員会後、私も別途、ほかのほうの機関にも資料要求をいたすことにいたします。  それから——その問題はここで保留いたしまして、次は、一昨日の交通対策特別委員会で問題になりました自動車運転免許取得者の医師の診断書の問題で、結論だけ簡単に質問をいたします。  自動車運転の免許証をとる場合に、精神異常でないか、アルコール中毒者でないかという診断書をつけるようになっておりますが、それについての規則改正は総理府でなされておるわけです。これは一月四日改正されまして、四月一日から実施されておりますが、その改正のいきさつ、その効果について、どのように考えておられるか、自治大臣答弁を求めます。
  190. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 御承知のように、運転免許資格の欠格条項として、精神病者等があげられております。それを免許後に発見するのでなくて、免許の際にできるだけ発見して、こうした者を排除したいということでございまして、さきに衆議院の地方行政委員会における道交法一部改正案についても、この趣旨の附帯決議がなされました。それらをもとにいたしまして、交通対策本部の議を経まして、このような省令を出した次第でございまして、ちなみに、昨四十一年中に警察官が精神病の疑いがあると思った数は千二百三十四人で、このうちの三百三十四人が専門医によって精神病と鑑定されております。
  191. 小柳勇

    ○小柳勇君 交通対策特別委員会の審議も私聞いておりますから、結論を聞きますが、信州大学とか九大精神神経科とか、富山県保健所、神戸保健所など、医師が診断をしたくないという決議をしているところがございます。したがって、この問題は、医師会としても非常に大きな問題でありますが、将来どのようにして運転者の事故防止をしようとされるか、将来の対策について、具体的に説明を願います。
  192. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) ただいま御指摘のようなことがございます。しかし、先ほど申しましたように、全然医学の知識のない警察官によっても、相当数の精神病者の疑いのあるものとして発見されておるのでございまして、精神病の基礎的な知識を、基礎的な勉強をされた一般の医師の方々の、これの診断書によりましても、相当こうした者が排除できると私は考えております。ただし、将来の問題につきましては、たとえば非常に事故を頻発させるような者につきまして、特殊の専門医の——何か欠陥かあるということで、そういうひんぱんに事故を起こす者がございましょうから、そうした者に限って、さらに専門医の診断を仰ぐというような方法も考えてまいりたいと存じております。
  193. 小柳勇

    ○小柳勇君 では、本日はこれで質問を終わります。
  194. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 質疑の途中でありますが、都合により、小柳君の残余の質疑は次回に行なうことといたします。  次回は明日午前十時開会することといたしまして、本日はこれをもって散会いたします。   午後一時二十四分散会