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国務大臣(二階堂進君) そのお答えをする前に、ちょっと先ほど数字を間違えておりました。訂正を申し上げておきますが、この新しい原子力発電高速増殖炉等をつくる費用は十カ年間で約二千億
程度ということでございます。それからもう一つは、核融合の研究、プラズマ、これは大型化をいろいろ考えているということを申し上げましたが、これは大体二億と申し上げましたが、二十億の誤まりでございまして、そういうことを想定いたしておるということでございます。
それからただいまお尋ねになりました宇宙開発の推進についての一元化の問題でございますが、御
承知のとおり、いま文部
大臣がお述べになりましたとおり、宇宙物理の科学的な研究開発のために、東京大学が鹿児島あるいは一部能代におきまして研究をやっていることは御
承知のとおりでございまして、ここでやっておりまするものは、御
承知のとおり宇宙空間の物理学的な研究でございます。空間におけるエックス線とか
ガンマー線とか磁気線とかあるいは太陽光線等、いろいろそういう科学的な研究を今日までやってきております。で、約十カ年間に施設その他に約百億投じてやってまいっております。これはつい先ほ
どもロケットの研究で新しいエックス線などが発見されまして、国際的な研究部門に大きな貢献をいたしてきております。それ自体私は、今日まで東京大学でやってまいりました研究の成果というものは高く評価していいだろうと思っております。そうしてこの研究の体制は物理学者と技術者というようなものが一体となって、戦後ほとんど灰じんに帰していたような物理学のこうした研究というものを一体となってやってきたところに、きわめて少ないコストで能率をあげて一とおりの成功をあげてきたという大きな要因があろうと思っております。個々の施設は、ひとつそれなりの、今後もやはり東京大学がそうした深い空間物理学的な科学的な研究、探究をやっていく施設として、私は今後も引き続いてなさるべきものだと思っておりますが、しかし、お説のとおり今日は実用衛星がすでにもう動いております。先進諸国はもう実用段階に入ってきております。しかも、
昭和四十五、六年ごろまでに宇宙におけるこうしたものをめぐっての宇宙条約とか協定というものが結ばれていかなければわが国も立ちおくれていく。それにはやはり一つの実績を持っていく必要があると思う。この打ち上げる頭脳も技術もわが国はあるわけであります。また、ロケットの開発につきましても、独自の進んだ研究開発が進められて、それが一つの成功をおさめてきている。でありますから、今後そういう今日までの成果をもとにいたしまして、そうして先進諸国におくれをとらないように早く実用衛星を打ち上げる、こういうここでございまして、そこで
郵政省は通信衛星、あるいは民間のNHKその他
放送機関が
放送衛星を考えておる。あるいはまた運輸省は航行衛星——船を運航するために必要な指示等をする、連絡等をする衛星を打ち上げたい。あるいはまた国土地理院ですか、これは国土の全体の地理的な測定をするために、いまでは地上から平面的に研究をいろいろやっておりますが、これはやはり衛星を通じて、衛星からのいろいろなものを研究、調査をすることが全般的に非常にこれはわかりやすくできるという成果がもう各国に出ておりますので、そういう測地衛星を打ち上げたい。あるいは気象条件をいろいろ研究するために気象
関係の衛星を打ち上げたいと、こういうような計画をわが国においても進められていることは御
承知のとおりでございます。そこで、先般来から、なるほどそういうような各部署において、役所においてそれぞれまた独自の目的を持った研究が進められていくということは、私はこれはいいことだと思っておりますが、しかし実際これを打ち上げて、その打ち上げた衛星をどういうふうに利用するか、どうして
管理するか、これは膨大な打ち上げの施設が要るわけであります。そこまでいろいろな役所が考えてまいりますというと、これは頭脳の面から申しましても、宇宙開発の技術者というものはわずか千数百人にすぎないという現状であります。また、ばく大な国の投資、
国民の税金が必要でございます。そういうことから考えてみますというと、この打ち上げる施設、あるいは打ち上げたものをどういうふうに利用するか、
管理するかというようなこと等については、やはり業務を担当する一つの機関というものをつくって、効率的に能率的に、しかも少ない頭脳を利用して協力してやっていくことがいいのじゃないかと、こういうことを考えて一元化という話をいたしておるわけでございますが、ともすれば、この一元化の機構の中に、たとえば大学の研究をみなひっくるめるのじゃないかとか、あるいは
関係各省がそれぞれの目的のために研究をやっている、そういうものまで一緒にして、そうして国家機関で何でもやるのじゃないかというふうに誤解を受けている面もあるようでございますが、そういう私は基礎的な研究とか、学園における研究の自由というものは私
どもそのらち外にあっていいのじゃないか、こういうように考えております。そういう構想でこれから一元化の構想というものを進めてまいりたいと、かように考えております。
郵政大臣のほうも決して反対ではございません。これはそういう機構をつくって、
管理するようなものは早く一元的な機構をつくってやるということは、私にもしばしば
郵政大臣申されておりますので、決して
郵政省とどうだとか、けさ
新聞にちょっと出ておりましたが、そういうことは全然ございません。文部
大臣もそういう一元的な機構をもってやるということは賛成をしておられます。ただ学園における研究の自由、開発というものが一つの国家機関によって、あるいはどういう形になるかわかりませんが、今後研究していきますが、そういうものによって侵されるものということはないと、私もそういうものは自由であるべきだと、こういうように考えておるものでございます。