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国務大臣(
佐藤榮作君) いま、石炭産業についての、国内エネルギーといいますか、エネルギー源の大事なことにお触れになりました。私も別にそのことばじりをとるわけじゃございませんが、一朝有事の際ということばがございましたが、そういうことでなしに、とにかく国産エネルギーの大事さ、重要さ、その価値は高く評価しなけりゃなりません。また、過去においてのわが国の産業の発達に努力したこと、これはもう言われるまでもないことであります。でありますから、
政府自身もこの石炭産業の窮境に対していかに妥結するかと、こういうことでもう真剣に取り組んでおります。御承知のように、石炭産業に対する調査会、これはもう三回、今回のものが三度目でございます。私は、実は、それぞれの
立場で三回に全部関係しております。最初に大蔵大臣、その次は通産大臣、いままた
総理としてこの問題と取り組んでおります。したがいまして、比較的私
自身この窮境なりまた過去の功績なりまた今後の
あり方なりについても判断しやすい
立場におります。そこで、今回のものを
考えましても、昨日またこの
委員会でもその質問が出ましたが、とにかく掘ることもこれは大事でございますが、需要が確保されるということ、これが何をおいても基本のものでございます。また、需要が適正価格であること、それでなければ石炭鉱業は成り立ちませんから、そういう
意味で、まあ五千万トンというものをとにかく一応目標として
考える。そうして、電力、鉄鋼その他による有効需要の喚起、これも、ただいま
お話がありましたように、新しいエネルギー源がどんどん出ております。しかも、低廉で扱いやすいというそういう便利なものでございますから、そちらにどうしても移りますが、通産省も努力し、同時に、産業界も国内エネルギー源の重要さ、それを高く評価いたしまして、これに
協力するという
立場で、ただいまのところとにかく一応五千万トン前後のものは確保できるんじゃないのか、こういうような数字が出てまいりました。また、適正価格というその
立場におきまして、これを一体どういうようにするか。で、石油関税を基幹にしての特別会計をつくる。そうして、この石炭産業に対しての価格の適正化、あるいは融資、利子補給その他につき、あるいは鉱害復旧であるとか、ただいまの豊里炭鉱の例を見ましても、閉山等が順次行なわれますので、そういう離職者の再就職や、また鉱害復旧、さらに産炭地振興、それぞれの諸般の施策をこの問題を中心にして総合的に実はくふうし、立てておるわけであります。今回特別会計が設定されたこと、同時にまた、
地方自治体に対する特別交付税その他等も特殊事情を勘案されておる、こういうようなことで、比較的対策ができたかと思います。しかし、現状をもってこれでもう十分だとは言えません。ただいまこの悩みが非常に多いが、今後エネルギーそのものがどんどん変化してまいりますから、石炭産業の価格、それをどういうところへ置くかという、いかにしてこれを確保していくかという、そういう問題、これがあると思います。また、他面、ただいまも
お話がありましたように、こういう産業でありますから、生産中心に力を入れられて、あるいは災害復旧等について意が用いられない、こういうようなことがあっては、これは本末転倒もはなはだしいのでありますから、人命尊重の見地からも、すべての産業が
国民生活に奉仕するという、その
立場からも、これはもう災害は起こさないようにしなければならない。これまた、まあ最近は大きな事故がないこと、これでただいま安心はしておりませんけれ
ども、いつ事故が起こるかわかりませんので、そういう
意味で、経営者につきましても特に自主的に災害防止について積極的な努力をするように注意しておるような次第でございます。ただいまも一元化、労災とあるいは生産と一元化というような御
意見も出ておりますけれ
ども、私は、ただいまのいわゆる産業政策とそれから炭鉱保安というものが一体であるほうが望ましい姿ではないか、かように思って、ただいま通産省でやっておることを支持しておりますが、しかし、とにかく災害が次々と起こっておりますから、大きなガス爆発はないにしても、落盤等の事故は絶えずあるようでございます。こういうようなことについては一そう注意して、生産、これが最終的には
国民に奉仕するものである、こういう
立場で指導していきたいと思います。申し上げたいことは非常に多いのでございますが、ただいま基幹としての問題、基本的な問題は特別会計を今回の御審議でつくっていただく、そうしてこれが十分だとは申しません、十分だとは申しませんが、これをひとつ今後内容を充実していく、それによりましてこの閉山その他について対策が立てられるようにいたしたいものだ、かように思っております。今回は、私はこれはもう最終的なものであるべくあらゆる努力をするつもりでおりますけれ
ども、しかし、そういう
意味で、なお各般の面にわたっての要望等も十分聞かなければならぬ、かように私は思っております。