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1967-05-11 第55回国会 参議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十一日(木曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         新谷寅三郎君     理 事                 白井  勇君                 西田 信一君                 日高 広為君                 平島 敏夫君                 八木 一郎君                 亀田 得治君                 鈴木 一弘君     委 員                 青柳 秀夫君                 井川 伊平君                 植竹 春彦君                 大谷 贇雄君                 岡本  悟君                 梶原 茂嘉君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 任田 新治君                 内藤誉三郎君                 林田悠紀夫君                 二木 謙吾君                 船田  譲君                 増原 恵吉君                 宮崎 正雄君                 山下 春江君                 吉江 勝保君                 吉武 恵市君                 占部 秀男君                 岡田 宗司君                 北村  暢君                 小柳  勇君                 鈴木  強君                 瀬谷 英行君                 羽生 三七君                 藤田  進君                 矢山 有作君                 山本伊三郎君                 吉田忠三郎君                 黒柳  明君                 二宮 文造君                 多田 省吾君                 向井 長年君                 春日 正一君                 市川 房枝君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  田中伊三次君        外 務 大 臣  三木 武夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        文 部 大 臣  剱木 亨弘君        厚 生 大 臣  坊  秀男君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        通商産業大臣   菅野和太郎君        運 輸 大 臣  大橋 武夫君        郵 政 大 臣  小林 武治君        労 働 大 臣  早川  崇君        建 設 大 臣  西村 英一君        自 治 大 臣  藤枝 泉介君        国 務 大 臣  塚原 俊郎君        国 務 大 臣  二階堂 進君        国 務 大 臣  福永 健司君        国 務 大 臣  増田甲子七君        国 務 大 臣  松平 勇雄君    政府委員        内閣法制局長官   高辻 正巳君        総理府特別地域        連絡局長     山野 幸吉君        行政管理庁管理        局長       大国  彰君        行政管理庁行政        監察局長     稲木  進君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁人事局長  宍戸 基男君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設庁施設        部長       鐘江 士郎君        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        経済企画庁総合        計画局長     鹿野 義夫君        科学技術庁長官        官房長      小林 貞雄君        科学技術庁原子        力局長      村田  浩君        法務省刑事局長  川井 英良君        外務省北米局長  東郷 文彦君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        大蔵省主計局長  村上孝太郎君        大蔵省主税局長  塩崎  潤君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        大蔵省銀行局長  澄田  智君        国税庁長官    泉 美之松君        文部省初等中等        教育局長     斎藤  正君        文部省大学学術        局長       天城  勲君        文部省体育局長  赤石 清悦君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省社会局長  今村  譲君        農林政務次官   久保 勘一君        農林大臣官房長  檜垣徳太郎君        農林大臣官房予        算課長     大河原太一郎君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省農政局長  森本  修君        農林省農地局長  和田 正明君        農林省畜産局長  岡田 覚夫君        農林省蚕糸局長  石田  朗君        食糧庁長官    大口 駿一君        林野庁長官    若林 正武君        水産庁長官    久宗  高君        通商産業大臣官        房長       大慈彌嘉久君        運輸省港湾局長  佐藤  肇君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        郵政大臣官房長  竹下 一記君        電気通信監理官  浦川 親直君        郵政省電波監理        局長       浅野 賢澄君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        自治政務次官   伊東 隆治君        自治省選挙局長  降矢 敬義君    事務局側        常任委員会専門        員        水谷 国一君    法制局側        法 制 局 長  今枝 常男君    説明員        日本専売公社総        裁        東海林武雄君        日本国有鉄道総        裁        石田 禮助君        日本電信電話公        社総裁      米沢  滋君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十二年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十二年度一般会計予算昭和四十二年度特別会計予算昭和四十二年度政府関係機関予算、  以上三案を一括して議題といたします。  総括質疑の日数につきましては、先般本日までと御決定願いましたが、委員長及び理事打合会において協議の結果、諸般の事情により、明十二日まで続けることとなりましたので、御了承願います。  それでは鈴木強君の質疑を行ないます。鈴木君。
  3. 鈴木強

    鈴木強君 最初に、総理お尋ねいたします。  昨日、東京都の議会の本会議で、美濃部知事が決定いたしました副知事三名、これに対して自民党は二人に反対いたしました。その結果、美濃部さんのきめようとした方が否決をされてしまったという事態が起きておりますが、総理として非常に遺憾だというふうに考えておられますか。
  4. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 東京都連自民党都議団、これが反対したということでありますが、私には事前にはもちろん相談はございませんでした。こういう事柄は、大体自治体のやることだし、都議会のやることだと思います。私はかねてからお話をしておりますように、民主政治のもとにおきましては、選挙の結果を尊重しなければならない、またりっぱな都政をする、また首都をつくると、こういうことで、都民のためになる、また日本国民のためになるということには積極的に協力すると、かように申しておりますから、この自治体自身の、都議会がどういうような経過でそういうことになりましたか、これはあまりとやかく批判しないほうがいいのではないだろうか。私は、都議会にまかしておくほうが、これをいま悪いとかいいとか、かように申しますと、何だか干渉がましいことになるのではないか、かように思って、むしろ遠慮すべきだ、かように思っております。ただ、誤解のないように重ねて申しますが、私自身態度、これは総理でもありますが、同時に総裁としても、ただいま申すような心境でございますから、その点についての何ら疑念を残されないようにお願いいたします。
  5. 鈴木強

    鈴木強君 批判をしないほうがよろしいと、こういうお話ですが、これはあなたのお考えだと思いますが、しかし私は、少なくとも都知事都民から選ばれて、しかもその都知事を補佐する副知事でありますから、あなたがかりに都知事になりましても、おそらくあなたが一番使いやすい人、そういう者を補佐役として求めるということは、これは常識だと思うのです。ですから、せっかく美濃部さんが、この人がよろしいということで人選をされ、しかもその過程においては、二人は御子柴さんだとか鈴木さんだとか、前の副知事にも相談をして、そうしてきめた人事だと私たちは聞いているわけですよ。ですから、そういう人事の問題でありますから、そういうものに対して、あなたは自民党総裁ですから、少なくとも党員であることには変わりない。したがって、あなたは総裁として、あるいは総理として、そういう事態に対して非常にこれはまずいことだというふうな判断くらい、私は持っておられると思いましたからお聞きしたのですけれども、どうですか、重ねてその点は。
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 鈴木君の御意見は御意見ですが、私は先ほどのように思っておりますので、申し上げないことにいたします。
  7. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、あなたが選挙中に三多摩において発言したことも、この委員会で取り上げられました。しかし、あなたがいま言われたように、都知事として選ばれた以上は、その都知事に対して内閣協力していく、こういう態度には変わりはないわけですね。ですから、そういう態度であるならば、やはり選ばれた都知事なんですからね、これは何といっても都民が選んだ都知事なんですから、その人がほんとうにやりたいという、そういう御趣旨によってきめられたものですから、それをすなおに認めてやるというのが大政党の良識ではないでしょうか。これは、これから国会でも人事がありますから、ただ単にこれは都議会のことだけじゃないですよ。国会承認人事案件というものがあるわけですから、あなたがそういう態度であるならば、われわれとしても、今後政府の提案するいろいろな問題に対しては、かなりシビアーにやらなければならぬような気もするわけです。これは決しておどかしではないですよ。ですから、人事というものはその人の名誉もあるでしょうし、できるだけすなおにやってやるべきだ。しかも、反対の理由を見てみると、人格識見はすばらしいということを、御両人に対しても新聞のあれを見ると自民党の方は言っているわけですね、都連人たちは。ですから、まあ一般の士気に影響するとか、序列の点、こういうこととか、あるいはどうせ政界、政府筋から持ってくるならば自治省厚生省から持ってきたほうがいいとか、そういう論拠によって反対するということは、これはまずいのじゃないですか。どうでしょうかね。
  8. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、くどいほど私の態度は説明しました。私は総理として、また総裁としても、先ほど申しましたように、選挙の結果は尊重しなければならないし、またりっぱな首都をつくること、また都民福祉向上のためになること、こういうことはどこまでも協力しなければならない、かように考えております。具体的の、ただいまの副知事の問題につきましては、重ねて私の意見お尋ねでございますが、私はこの機会には私の意見は保留さしていただきます。
  9. 鈴木強

    鈴木強君 保留さしていただくということじゃ、質問ですから、あなたが答えなければしょうがないことですけれどもね。しかし、事が非常に大事ですからね、実情がわからないならわからないで、よく調べて何か所見を聞かしてもらえないと……。
  10. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私の態度は先ほどから何度もくどいほど申しましたから、もう誤解はないと思います。私はこういうことにとやかく申し上げない、かように申しております。というのは、私自身事前相談を受けたようなことはございません、これをはっきり申し上げます。したがいまして、私があとでこれについてとやかく言うというのはどうかと思います。よくない、賛成だ、やったことに賛成だとか、こういうようなことを申すことはよくない、かように思いますから私は申し上げない。せっかくのお尋ねですが、私にも答弁の自由があるのです。かように思っております。
  11. 藤田進

    藤田進君 関連。さっぱり前に進みませんね。ずいぶん総理気に入らないかもしれないけれども、あなたが全然無関係な問題について尋ねているならば、おれに相談がないから知らないで済むでしょうが、今日天下の自由民主党総裁であり、総理でありますから——そうして今日の議会政治政党政治なんですから、議会で問題になることは、これは当然だと思います。これに対して答えないことも答えになる、答えないことが答弁だという理解のようですけれども、これは本来答弁にはなりません。今度のを見ますと、内容は、これは地方自治体について、市町村あるいは県それぞれでありますが、選挙で選ばれた以上、私どもの党としては、これは多数のところもありますし、少数のところも数多くありますが、徹底的にこれを否定するという場合にはよほど慎重にやらなければいけません。ですから、首長が選挙で選ばれた以上、これを尊重するというたてまえで、副知事であろうが助役であろうが、決定的な段階にはこれはやはりそれを尊重してきているのです。ところが、今度見ますと、旧来の、もう新憲法下長い間の慣例や先例を破るということになれば、各級のいかなる議会議会政治というものも乱れてきます。にもかかわらず都道府県知事会の会長は、だれですか、名古屋の何とかになったとか、どうもこれではいかぬのじゃないか。そうすると、そういう知事会には出ないよと——蜷川さんも今度は出られたようですが、これを契機に結集されたらいいと思っていたのだけれども、出ないというようなことになってしまう。これはやはり大政党の襟度を示して行くべきではないだろうか。おれは相談を受けていないから知らぬというのじゃなくて、どうすべきかという、やはり所信はぜひ私ども伺いたいものだということで、党を代表して鈴木さんからいまお尋ねをしているのですから、私もあわせてその辺のことはもっと心境お話しいただきたいと思うのです。
  12. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、くどいほど総理また総裁としての私の心境は申し上げております。また私の所信は申し上げております。しかし、自治体議決そのものについてとやかくは私は批判はいたしません、こういうことを申し上げておるわけです。
  13. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、こういうことはどうですか、三名の副知事がきまらなかったことは事実ですね。したがって、三名のところを一名で当分やらなければならぬわけです。そうするとやはり、実際に行政を執行する立場に立つと非常にやりにくい点があると思いますが、こういう点は認められるでしょう。
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 何かいろいろ読んでみると、美濃部知事も、佐藤総理もいろいろ尋ねられて困っておるようだが、その心境がわからないでもない、こういうことを言っておられるようです。私は、こういうことはやはり自治体できめられることだ、とやかく干渉することはどうかと思うのです。かように私は思います。で、いま政党としてあるいは都連というものがございますが、もちろんこれは私ども政党の一部ではございます。したがいまして総裁もちろんそれができるじゃないかと、こういうこともありましょう。また、私の個人的ないろいろな考え方がないわけでもございません。全然白紙だという状態でもございません。しかしこれは私は本来自治体にまかすべきことだ、かように考えておりますので、私はこれは好ましいとか、これは好ましくないとか、こういうことは私は言わない、こういうことを申し上げておるわけです。
  15. 鈴木強

    鈴木強君 それはわかりましたからね。だからこういうことになった結果、非常に都政がやりにくくなっていくだろうということはあなた認められますでしょう。
  16. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはまあどういうことですか、いずれそのうち、あとの副知事がつくられるでしょう。おそらく各党協力を得てつくられることだと私思いますから、いまこれでやりにくくなったとかいうことを、いきなりきめてしまうのはどうですか。
  17. 藤田進

    藤田進君 これは総理選挙の前から、東京都は首都である、顔であるといわれて、他の道府県とは違ったかまえで、またその理由選挙にも立ち向かわれたのですね。一人でも大して支障はないだろうなんて……。
  18. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私、そうは言わないですよ。
  19. 藤田進

    藤田進君 そう言ったでしょう。
  20. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 言わぬですよ。
  21. 藤田進

    藤田進君 そういう意味でしょう。
  22. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そんなことはない、よく聞いてください。そんなこと言わないですよ。
  23. 藤田進

    藤田進君 じゃあお尋ねしますが、出してきた二人否決しておいて、じゃ今度自民党の思う者を出してきたら了承してやると、こうなるわけですか。
  24. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いずれ三名おつくりになるでしょう。だが、これから先どうしてやられるか、それは私ども……。
  25. 藤田進

    藤田進君 知ったことじゃないと……。
  26. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 知ったことじゃないとは申し上げません。十分自治体あり方を見ようと申したので、あなたのおっしゃるようなことは申さない。あなたの言われるようなことを言ってないですよ。あとでよく速記を見てください。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 総理、あまりおこらんで、率直に答えてもらいたい。私が言っているのは、確かに都民立場に立って考えます場合に、少なくとも選ばれた都知事が副知事を三名きめて、一生懸命やろうとしたわけですね。ところが、それがそういかなかったわけですから、都民立場から見ると非常にこれは困ったことだという気持を持っていると思うのですね。だから、そういうことに対してどうでしょうかと私聞いているんです、それだけでけっこうですから。
  28. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) だから、私はあとの副知事もおつくりになるだろう。各党協力を得られるようにずいぶんお骨折りになるだろう、こういうことを申し上げた。(「速記を見よう、総理速記を見ろと言うのだから」と呼ぶ者あり)
  29. 亀田得治

    亀田得治君 議事進行。まあ、速記を見てさらに確かめたいという意見もありますが、いずれにしてももう少し総理としてもざっくばらんな答えを願いたいと思うのですね。いや、これはざっくばらんに答えているとおっしゃるのだけれども、とにかくテレビにしても新聞にしても最大のニュースとして取り上げている、御存じのとおり。それは知事と野党とが政策問題等でぶち当たったといったような問題じゃないわけですね。だから常識的にまあ、そういう自分代理者をきめるということなら、特に欠点がなければ大体通してもらえるもんだ、これが普通の常識です。その常識に反する事態が出たことは、これは間違いないのですよ。しかも、この経過新聞等にもやはり書いてある。都議会自民党執行部ですか、執行部はやはり常識的に、せっかく当選した知事が出す人事案件であれば特別な理由がなければ認めるべきだという態度をとられたようなことを、これは新聞で拝見して、なるほどというふうに僕らも見ておるわけです。ところがそうじゃなしに、それに対してつけ加わって、これは選挙のしこりなり、いろいろな感情的なものだろうと思いますが、逆になってきたというようなところに非常に割り切れぬ感じをみんなが持っているわけだ。だからそういうことに対して、議会がきめたことを部外の者が軽率に言うという、これは慎まなければならぬことだが、しかしあなたは自由民主党総裁、そうしてこの東京都というものは、これは地方自治体の中でも特別だ、これはもう再三総理みずからがそうおっしゃっておる。事実もまたそうでしょう。非常に大事なところなんです。そこの自民党の皆さんが論議したことが新聞に書いてあるわけなんですね。だからそこまでいっていて、なおかつ、この知事の提案が実現できなかった。これははなはだ残念だ。これはもう常識的にだれでも考える。だから、そういうことなんですから、もう少し人情に触れたお答えをしてもらいたいですね。それは総理個人考えでもいいですよ。こういう場合における措置というものはどういうことがいいのか、総裁なり総理立場を離れて自分人生観なり考え方として。そういう常識に反することであることはそれは間違いない。これは自民党支持者でもちょっとどうかなと思っておる人が私はここの中にもたくさんいると思うのですよ、実際のところ、公式の議論になるとかどが立ちますが。だからそういうことですから、そういうことで疑問を持ってやはり総理の気持ちというものを聞きたい、こういうことなんですから、これは地方自治体を今後あなたが正しく指導する、これは法制上指導するとかいうことを言っちゃ多少行き過ぎかもしれませんが、しかしこれは非常に大事なことなんだ。そういう意味で私たら聞いておるわけですから、もう少し機微に触れたお答えをしてください。
  30. 新谷寅三郎

  31. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は機微に触れた話をたいへんくどく申し上げた。私自身が、選挙の結果は尊重する、また、民主政治の当然のあり方として、都民のためまた国民のためになることならこれは協力する、かように私は申しておる、率直に。しかし、これは都会——自治体がもちろん民主的にそれぞれがきめることでございます。それは私ども考えどおりにもなかなかならない、社会党の考えどおりにもなかなかならないというのがこの都会の現状だと思う。しかしこれは民主的にきまった、そういう事柄である。そういう事柄についてとやかく私は批判しない、かように私は申し上げておる。これを何でもいいからしゃべれと、こうおっしゃいますけれども予算委員会でとにかくいいかげんなことを私は申し上げるわけにはいきません。ですから、ただいま責任のあるお答えをしておる。これより以上のことを私にお聞きになりましてもそれは無理というものじゃないでしょうか、かように申し上げておる。そういうことから私はお答えしない。これはもうそれより以上追及なさるほうが無理だ。この辺でやはりこれはひとつ断念していただかないと困るように思います。
  32. 亀田得治

    亀田得治君 もうこれで終わりにしますが、それじゃ鈴木君の質問もあるし、それから外務大臣の日程に実はこちらは合わしてなにしておる関係もありますので、これで打ち切りたいと思いますが、ともかく総理、今後ともこういうことは地方自治体においていろいろ同じようなことがあり得ると思うのですね。そういう場合に、やはり地方自治体のことだから私は知らぬ、地方自治体のことだからおれは関係ないという態度じゃなしに、やはり総裁としてしかるべく善処をしていくという気持ちがあるのかないのか。今後のことですよ。これは決定されたことだとやかましいが、そこら辺の気持ちだけを聞いておきます。
  33. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は地方議会も民主的に運営されるということ、これはもう心から望んでおります。だからそういう意味の努力はいたします。しかし、具体的な場合に行動を制限するようなことは望ましいことだとは思いません。しかし、一党の総裁としてただいま私の考えておることに御賛成がいただけるなら私の考えておることを党員にも十分納得さす、かような考え方でございます。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 いままでの総理の御答弁を聞いておりましたけれども、どうも納得できないのは、少なくとも首都東京における行政をあずかる最高責任者の問題でありますから、選挙になりましたらこれはあなたのほうも真剣に党も乗り出してやっておったじゃないですか。これは私どももそうです。ですからそういう関係上、一党の総裁としてあるいは一国の総理として、地方行政あり方についてもやはりあなたがいつも言っておるような前向きの姿勢において相協力していく、こういう姿が正しいと思うのです。ですから選挙あと、くどいようですけれども、あなたに協力してもらえますかということをわれわれは頼んだわけです。所信をただしたわけです。そうしたら、やります、こういうお答えをいただいておったのだが、現実にあなたのほうの反対によって少なくとも否決されたということが出てきたから、それではあなたのおっしゃったことと少し違うのじゃないだろうかという率直な気持ちを私は持ちましたし、そのことがこれからの都政の執行に対して絶対プラスになりません。絶対マイナスです。そういうことが出たことが非常に遺憾である。したがって、私は自民党総裁としても、そこら辺に対する党の指導ということは当然あってしかるべきだと私は思うのであります。そういう意味で私は申し上げたんですが、どうも私たち国民を納得させるような答弁がないのは非常に残念です。  そこでもう一ぺん振り出しに戻しますが、しからば都知事選挙に松下さんが負けたという原因を総理はどういうふうに分析されておりますか。
  35. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはいろいろ私ども反省し、いろいろ考えております。まだこれが松下君が負けた原因だとはっきりはしておりません。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 中央公論の六月号を私はきのう拝見しました。そうしましたら、あなたのほうの田中角榮氏が一つの論文を掲げておりました、「自民党の反省」ということで。その中で一言でいえば負けた原因は「東京の過密化に対応した政策の実施を怠り、その結果、すでに沸騰点に達していた都民の欲求不満の爆発を招いた」のだ、こう述べておるわけです。しかも、道府県会議選挙では、全国得票率が初めて五割を割った、自民党が。四八・三%に落ち込んだ。全般的な退潮を認めなければならぬ、こう言っておるわけですが、こういうことについてはあなたも認められますか。
  37. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは田中君の書いた論文そのとおりの事実でございます。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 そこはよくわかりました。そうしますと東京都の知事選の敗戦に対して自民党内部にもいろいろな意見があるようですね。そこでせんだって富山で松村謙三氏が、当然総裁は責任をやっぱりとるべきだ、現執行部もやはりとるべきだという発言をされておりますが、これに対しての御所見はどうですか。
  39. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん責任があると思っております。
  40. 鈴木強

    鈴木強君 そうするとその責任はどういう形でとろうとするんですか。
  41. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 現在の姿でとろうとしております。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 七月に毎年定例の役員改選とかあるいは人事異動ですか、それから内閣改造というものをやっておられるんですがね、これはどうですかね、七月にはやらぬのですかやるんですか。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまやるともやらぬとも考えておりません。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 外遊をされるという話を聞いておりますが、これは具体的にどうですか。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ことしはぜひ外国へ出かけたい、かように私考えております。まだしかし、どこへ行くとか、いつ出かけるとか、こういう問題まで具体的にはきまっておりません。しかし、心組みでまず第一に私が行きたいところといえば、東南アジア諸国などは行きたいところでございます。またその他にもありますが、まだ具体的に日程を立てて、そうして相手の国に交渉する、こういう段階ではございません。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 これはやはり国際的な親善をはかる意味もあるでしょうし、いろいろな意味もあると思いますが、むしろ積極的に総理は、こうやるんだ、そういう気持ちを国民の前にあらわしたほうがいいと思うんですね。かなり外務省のほうではかたまった計画、スケジュールを先般新聞に発表しておりますね、その辺どうなんですか。
  47. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 出かけるのは私でございまして、外務省が私の意思決定をしないうちにいろいろなものを出すということはないはずでございます。
  48. 鈴木強

    鈴木強君 新聞に出ております。
  49. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 新聞はいろいろ想像記事もあるし、またいろいろのものを出してくるから、これは記者諸君の手腕だろうと思いますが、まだ私、そういう段階にまでなっておりません。しかし、いま御指摘になりますように、こういう事柄はできるだけ早めに意思決定をいたしまして、そうして相手国とも相談をするなり、同時に国民からも十分の理解を、また協力、後援を得たい、かように思っております。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると内閣改造はやるともやらぬともきまっていないということですが、諸般の情勢でそれぞれ外遊がそのころになると出てくると思うのですね。ですから、そのころを見はからって十月の末ごろには何とかやらなければならぬのじゃないですか。
  51. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) さあ、どうでしょうか、私まだそこまで考えておらないのです。先ほどお答えしたとおりでございます。
  52. 鈴木強

    鈴木強君 宮澤長官はジュネーブへ着かれて、ケネディラウンドの交渉に当たっていると思いますが、その後何か情報が入りましたか。
  53. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 事務的にどうなっておるか、私のところまでまだ参りませんから、主要な具体的な進行なり、あるいはもくろみ違いというか、あるいは見込み違いか、予想しないような事態か起こったと、かようなことは私はまだないのじゃないだろうかと思っております。
  54. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、最終段階においては、やはり政府の訓示を仰いで対処するということはきまっているのですか。
  55. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) それはそのとおりきまっております。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 次に、ベトナム戦争の拡大によって、非常に米軍の軍力というものがふえているのですね、特に第七艦隊、そこで、横須賀とか、佐世保の両港の軍事的な役割りといいますか、そういうものが非常に強くなってきていると思うのですが、原潜は、御承知のとおり、たびたび入ってきておりますが、エンタープライズ——原子力の空母ですね、これの入港についてかなり強くアメリカから日本に対して要請があるようですが、この点はどういうふうになっておりますか。
  57. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  58. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めてください。
  59. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) できるだけ正確にお答えしたい、かように思いまして外務大臣あるいは担当官から答えさしたほうがと思っていたのですが、ちょうどあいにくいません。で、私が存じ上げているところでは、いわゆる第七艦隊にエンタープライズが配属になった、それで当然そのうち日本に来るのじゃないか、こういうようなことがございますが、またアメリカ自身もそういう意味でエンタープライズの寄港を希望している、こういうようなことがあるやに聞いております。しかし、ただいまわが国の港の状況その他、これはサバンナの場合もまだ十分の法律ができていないということで入港を断わったことがございます。この場合はエンタープライズは軍艦でございますから、民間の商船とは違います。しかしこれが入港するということになれば、いわゆる事前に大体話し合いがあるというのがこれは普通でございます。そこでそういう意味の交渉ごとがあるかないか確かめたいと、かように思ったものでありますが、ただいま担当官がおりませんので、それで正確なことがお答えできません。御了承いただきたいと思います。
  60. 鈴木強

    鈴木強君 外交的な外務大臣の仕事で出かけておりますから私はやむを得ぬと思います、今回は。私はほかのことだったら譲りませんが、この際はこれはやむを得ぬと思いますから、これはあとにまた回します。きょうは時間があったらやるし……。  それから昨日もこれは東京地裁で日韓条約反対のデモの際につけられた条件が憲法違反だ、違憲だという判決が出ておりますね、そうして二人とも無罪になった、こういうのがございますが、これに対して法務大臣はどういま所感を持っておられますか。
  61. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 判決に対する解釈でございますので、政府委員からお答えいたさせます。
  62. 鈴木強

    鈴木強君 解釈じゃなくて、あなたは法務大臣としてこれを見られてどう感じられるか。
  63. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) いま直ちに観測をすることを得ないのです。十分にその内容に検討を加えまして従来の経過等も資料としまして善処いたしたいと思います。
  64. 鈴木強

    鈴木強君 それで、ことしの二月、京都地裁で同様な無罪判決がありますね。これはもうわかっているでしょう、勉強して。これはどうなんですか。
  65. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 事務当局に答えさせます。
  66. 川井英良

    政府委員(川井英良君) 京都の公安条例のいわゆる違憲判決に対しましては、その後判決理由を十分に検討いたしました結果、その判決理由に承服できないということで検察官が控訴の申し立てをしておりますので、いま大阪の高等裁判所で審理中の段階でございます。
  67. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと自治大臣に見解を求めておきたいのです。これは判決の理由自体に明らかなように、公安条例自体を否定しているわけじゃない。ただ、公安条例を運用する際にあまりにもやかましい条件をつけ過ぎておる、こういうことなんですね、この具体的な事案についてこういう判決が出たのは。だから、これは警察なり、本件では警視庁。警視庁あたりが不当な条件を強要しておる、こういうことなんですよ。したがって、これは当然この点が改まれば是正されるわけなんです。だから、そういう立場から見て、大臣としてどういうふうに考えるのか。いや、これはそのうち検察官が控訴するかもしれぬ、その結果を待つんだ、そういうふうなことじゃなしに、これは重要な憲法上の表現の自由というものとの衝突としてこの裁判官が取り上げておるわけなんですから、だから、ほんとうに憲法という立場を真剣に考えるのであれば、やはりこういう判決が出れば、ただ単に上級審の最終決定を待つんだ、そういうことじゃなしに、やはり日々起きておる問題なんですから、真剣にこれは取り組むべきだと、ぼくらはこう思っておるのですが、大臣の考え方をここで確かめておきたい。
  68. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 判決文の全文をまだ入手しておりませんので、十分なお答えを申し上げかねるわけでございますが、判決文を十分調べまして、そうして判決の中にわれわれの反省を要するものがあれば十分反省をいたし、あるいは判決が日常の警察の行動について十分な御理解がいただけてなかったような場合には、また適当な措置を考えなければならないと思いますが、いずれにしましても、判決を十分読みまして、われわれがこれに耳を傾けなければならないものがあれば十分それに注意をしてまいりたいと考えております。
  69. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっとこの際総理にお伺いしたいのですが、裁判所の言い分はこう言っているのですね、現在の運用は、最高裁判所が判断した合憲の真の精神を忘れて拡大解釈をしている、裁判所は国家権力が乱用されないように監視しなければならない、公共の安寧ということがあるが、これを交通の秩序維持というようなことに結びつけていまやっているその条件というのは非常にいけないんだと、こういうことを言っているわけなんですがね。これはやっぱりなかなか常識的なことを言っていると思うのですが、総理としてもそう思わぬですかね。
  70. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま検察当局におきましても十分これを検討しておるはずでございます。私はいまのように裁判制度——これはもうその最終判決、最後に決定するという組織がございます。その中間においての判決があったからといって、これはまた行政府立場からいろいろな意見を言うことはどうかと思います。さっきの自治体の民主的なあり方についても、私は私の所見を述べないということをはっきり申しましたが、これなどはまたいわゆる行政府が裁判官、裁判についてとやかく言うことになりますから、これはひとつ差し控えさしていただきたい。もちろん、立法府におきまして皆さん方がいろいろお尋ねになることをとめるわけじゃございませんが、どうか、行政府が裁判所の判決についてとやかく言うことは、これはちゃんと手続がございますから、いま十分検討した上で行政府——検察庁がどういう態度をとるかそのうちきめるから、まあそれまでひとつ保留さしてください。
  71. 鈴木強

    鈴木強君 やはり立法、行政、司法の権限はきちんとしておかなければならぬことは言うまでもないと思いますが、裁判所が下した判決ですからね。ですから、それに対して行政府が率直に反省すべき点があれば反省をする、自治大臣はややその点を言われたのですが、当然のことだと思います。われわれはもとから公安条例というのは違憲だということを言っておるわけですから、そういう立場に立ってものを考えておりましても、今度の裁判所の判決というものは非常に前進した、なるほどわれわれの考え方を支持するような形にやっぱりなっておるものですからね。大いに——あまりむちゃな規制などはやらないようにやっぱりやるべきだと私は思うのです。しかし、これ以上言ってもしょうがないですから、この辺にしておきます。  それから次に、公労協の賃金紛争について伺いたいのですが、一体、三公社五現業の賃金紛争は現在公労委の調停委員会のほうにかかっておるようですが、現在の進行状況はどうなっておりますか。
  72. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 現在は日林労という全官公の組合を除きまして全部調停段階に入っておるわけでございます。
  73. 鈴木強

    鈴木強君 いや、調停段階に入っておるその進行状況を聞いておるのですよ、労働大臣。どういうところまで行っているのですか。
  74. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 先般、使用者側の代表として官房長官が公労協及び全官公とお会いいたしまして、中下旬に誠意ある態度でこの問題に対する使用者側の意思を表示するという意味の回答をいたした段階でございます。
  75. 鈴木強

    鈴木強君 この中下旬ごろ当局が誠意ある態度を示すということですね。これは中下旬ごろというのはどういう判断から中下旬としたのですか。
  76. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 御承知のように、民間の事業がほとんど解決しておりまするが、私鉄がまだ解決いたしておりません。さらに調停段階も期限がございます。いつまでも回答を延ばすわけにもいかないというそういう諸般の実情が出そろうのが中下旬と、こういうように大体考えておるわけであります。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 政府が、当局が誠意ある態度を示すことを期待していると、こう言っておるわけですが、このことは、やはり即政府自体が積極的にそういうふうな期待できるような態度を示すと、こういうふうに理解していいですか。
  78. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 私はいまご指摘のごとく今月の中下旬には、先ほど労働大臣も申し上げましたような事情等によりまして、おおむね民間産業の賃金動向を把握できるというようなことも期待できますので、誠意ある態度を示すことを期待する、こういう表現をいたしましたが、これはまあ、そのことばだけではかなり抽象的な表現でございまして、私といたしますと、全部の公企業体がそろってというわけにはいかないかと思います。特殊事情を持っておりますのもございますので、そろってというわけにはまいりますまいが、おおむね先ほどお話しのような有額回答ないし、その有額回答そのものということになるかどうかはわかりませんが、いずれにしても、その種の誠意ある措置がそれぞれの公共企業体の当局によってとられることを期待する、期待するということは、無根拠に期待するという意味ではなくて、そういうようなことができるように、それぞれの公企業体を持つ閣僚等がよく協議をいたしまして善処するようにわれわれも話を向けるということを含めて、そういうような観点からいま申し上げたようなことが期待できる、こういう表現をいたしました次第でございます。
  79. 鈴木強

    鈴木強君 大体わかりましたが、いませっかくこの収拾のために努力していただいている政府当局に、いろいろな意味において支障があってはいけないと思いますので、配慮をして私は発言をしているつもりでありますが、少なくとも紛争をできるだけ早く解決する、こういうのがたてまえだと思います。そこで、公労協の場合には調停なり仲裁なりの段階というのがありますが、ことしは調停段階において結着をつけたい、こういう組合側の意見も非常に強いように私たちは聞いているわけですが、政府としても調停の段階において積極的に、もちろん有額回答であり、私鉄やその他の賃金の動向も見なければならないと思いますが、そのことについてはこれは団体交渉をやるわけではないですから、労働組合と政府側のほうにおいて良識のある話し合いが行なわれると思います。その際に、問題は、組合側が、これはいずれにしてもある程度妥協しなければならないと思うのですが、妥協のできる、腹のきめ合えるような問題でなければやはりいかぬと思う。そういうことによって調停において解決したい、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  80. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) おおむね私のほうでもお説のような意味において労使双方の良識ある態度というものを期待しておるわけでございます。これからそれぞれ各企業体につきまして、その種のことについて労使双方で進捗をみるものであると期待しておるのでございます。できるだけいまおっしゃったように、公企業体の当局もそういう態度で臨むとともに、したがって、そういうことでありとするならば、労働組合の側においても慎重に行動されることが望ましい、こう思いますので、双方に対しましてそれぞれそういう見解を私は述べておるのであります。誠実にそういうことであるように私たらも努力をいたしたいと考えております。
  81. 鈴木強

    鈴木強君 政府の努力に対しては心から感謝をいたしますが、この際、せっかく総理もいらっしゃるわけですから、いまの官房長官のおっしゃっていることですね、調停あるいは早期にひとつ最善を尽して解決するという、そういう固い決意を持っておられると思うのですが、この際、ひとつ所見を承りたいと思います。
  82. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん佐藤内閣として、ただいま官房長官が答えましたが、官房長官独自の立場でやっておるわけでもございません。幸いにして、これが労使双方において受け入れられるものならば、私のほうも誠意ある措置をとるべきだと考えております、問題を紛糾させないように。今回の民間の交渉におきましても、すべてがいわゆる争議の形でなくて解決しておる、だんだん新しい労使関係が樹立されつつある、たいへんに好ましいことでございますが、ぜひ政府関係におきましてもそういうような状況で問題の解決ができればこれにこしたことはないと、かように思っておりますので、さらに誠意を尽すつもりでございます。
  83. 鈴木強

    鈴木強君 その決意を期待いたしております。  それから次に、こういう毎年同じような紛争が続いているのは、これは一応話を切り離しますけれども、結局は当事者において団体交渉によって結着をつける道が開かれておらないというところに問題があるのだと思う。いわゆる当事者能力というものが欠けている。したがって、それについては池田前総理の時代に、総評の太田前議長との間に確かに結んだ、だからひとつ積極的に検討しようというお約束ができて、実は例の公務員制度審議会、これがスタートしたわけですね。そこでこの問題が、基本的労働権の問題とあわせて審議されるようにわれわれは期待しておったのでありますが、どうも、この審議会そのものが空中分解したようなかっこうになっておりまして、何か一番大事な問題がぼけてしまって、これに対して私はもっと積極的に当事者能力の解決のためへの努力を政府はやるべきじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  84. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 私どももしごく同感でございます。これは総務長官が担当ということになっておるのでございますが、いまお話の公務員制度審議会に労働者側から出ておりまする委員諸君も、御承知のような事情で、いまそちらから抜けたようなかっこうのままになっていてたいへん残念に存じておりますが、そういうようなこと等につきましても、なお一そうの話し合いをいたしまして、これを完全な姿にして、鋭意いまお話のような意味における前進ができるような御検討をいただきたいというふうに私たらは存じておるわけでございます。これはだれがいけないとかどうとかというのじゃございませんが、政府自体いまお話のように積極的に望ましい形で御審議が願えるように一そうの努力をいたしたい。先ほど当事者能力が欠けておるというお話でございましたが、全然ないというわけじゃございませんけれども、いずれにいたしましても、いまのままでございますと当事者能力が非常に微力なものである、これではなかなか問題の解決はむずかしいというこの現行制度をいかにするかということについて、より一そう積極的に取り組んでまいりたいと存ずる次第でございます。
  85. 鈴木強

    鈴木強君 問題点はもう繰り返さなくてもわかっているのですから、いま官房長官のおっしゃるように、積極的に解決への努力をする、これはけっこうです。ところが、どうもここ数年間ずっと見ておりまして、そういう国会における発言はありましても、具体的にその動きがとだえている。ですから、公務員制度審議会つくりましても、いますでに前田会長は辞任をしようというので、辞表が、どこまで行っているか知りませんけれども、出しております。それからILOたな上げ部分に対する問題をあの審議会が非常に熱心にやりましたが、その基本権の問題についてはどうもうとんぜられる。そういうことから総評側を刺激して、いま官房長官のおっしゃったような姿になっているわけです。ですから、これを建て直して、その中で積極的にやる見通しがあるのか。これがだめならば、もっとよりベターな方途においてこの問題の積極的な解決をやるということ、そういうふうにやはりいくのか、そうでなければこれはだめです。もう公社発足以来十何年間というものは、団体交渉権はあり、公労法第八条によって賃金は団体交渉によってきめられるということになっておりながら、予算総額においてしばられておるわけです。こんな矛盾したものを長い間放置しておくというのはおかしいですよ。ですから、そういう点の解決についてもっと本腰を入れてできないものだろうかという気がするものですから、くどいようですけれども、もう少し積極的な姿勢を聞かしてくれませんか。
  86. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) ただいま問題になっておりまする当事者能力の問題、もちろんでございまするが、そのほか公務員の問題に関する労働の基本権についても御審議を願わねばならない問題がたくさんあることは御承知のとおりであります。公務員制度審議会はいま中断状態に入っておりまするけれども、そういった重要問題を片づけていただくためにも、私としましては、政府といたしましては、各方面にこの再開についての御協力を願っておる次第でございまして、政府としても強い態度で臨んでおることは事実であります。前田さんの問題もございまするが、これはまたわれわれのほうで、辞表は人事局長の手元まで出ておりまするけれども、十分話し合う用意もありまするし、なお組合の方、総評の方、同盟の方等にもたびたびお目にかかって、この公務員制度審議会の再開についての御相談もいたしておる段階でございまして、いずれにしろ、当事者能力の問題はもちろん、そのほか解決を要する問題がたくさんありまするので、すみやかなる公務員制度審議会の再開を政府としては希望し、また努力いたしておる次第でございます。
  87. 鈴木強

    鈴木強君 この際、公務員の人事院勧告のやり方ですね、これに対して何か再検討を加えるという、そういうことは前から論議になっているんですが、具体的にことしの場合、八月がこの勧告の大体時期になっているのですが、この辺はどうなんでしょう。
  88. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 人事院の勧告は、これは十分尊重しなければならないことは言うまでもありません。しかし、今日まで長い間にわたって非常な御批判もあり、このマンネリズムから一歩でも脱却することが望ましいという御要望が各方面に強いことも承知いたしておるのであります。そこで、この問題につきましては、六人委員会を中心といたしまして一歩でも前進したい、人事院の勧告を尊重するたてまえを堅持しながら、よき方法をただいま検討中でありまして、その内容についてはここで申し上げることはどうかと思いまするが、できるだけの努力をいたしておるところでございます。
  89. 鈴木強

    鈴木強君 ことしはあれですか、そうすると、とりあえず従来の方式によって勧告はやる、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  90. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 春闘の時期も御承知のような状況になっておりまするし、人事院として調査の時期も迫っておりまするので、そういったスケジュールがいまとられつつあることはおっしゃるとおりでございます。
  91. 鈴木強

    鈴木強君 私は、総務長官、官房長官、それぞれ御所見の御表明がありましたが、やはりもう少しこの問題については積極果敢にやってもらいたいと思う。それが結局毎年毎年紛争をこじらしておるわけでありますから、そのことを強く希望します。ことしも十七日ですか、公労協その他私鉄の組合がかたい決意で要求貫徹のために立ち上がっているわけですね。したがって、こういうことは原因と結果を考えなきゃならぬことでありまして、やはりこういう根本問題が欠けているところに日本の悲しいいまの現状があると思うのです。だから、これをやはり解決するためには、先ほど申し上げましたような積極的なひとつ姿勢で取り組んでもらう、当面はですね。そしてさらにまた、恒久的なそういう問題についてもひとつより強くやっていただきたい。何といっても労働問題というものをうまく処理することが日本の各産業の発展のために私は欠かすことのできない重要な要点だと思いますから、百もわかっております政府、そのどうも煮え切らない態度に対して非常に不満を持っておる一人でありますから、強くその点は私は期待をし、希望をしておきたいと思うのです。もう一回、だれか責任者からひとつ……。
  92. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 御発言の御趣旨を体しまして、できるだけ努力をいたしたいと存じます。
  93. 鈴木強

    鈴木強君 その次に、北富士の演習場の問題について私は総理にちょっとお尋ねしますが、昨年水戸黄門の行脚をされたときに、国立青年の家で総理は北富士演習場の返還の問題について陳情を受けたことがございます。これは覚えておりますか。
  94. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そういうことがあったように記憶します。
  95. 鈴木強

    鈴木強君 市長のほうから、最初面会するという約束があったんだそうですが、その後都合でできなくなったんですが、陳情書を置いてさましたら、書面で施設庁のほうによく話しておくという、まあ丁寧な回答があった。この点は地元のほうでも、返事なしのいままでの陳情から見ると、多少よかったと言っておりますが、親切だということを言っておりますがね。そこで、その後、この北富士演習場の問題については一体どういうふうな経過になっておるんでしょうか。私は、日本でただ一つ、いま米軍の演習場として日本が認めている北富士演習場、しかもここは霊峰富士のもとにありまして、非常に山紫水明、ああいうところはひとつぜひあの姿でとっておきたい、こういう強い希望があるわけでして、地元では全面返還の要求をもう十何年前から掲げて戦っているわけです。歴代の、まあ池田さんあたりも、特に積極的に返還についてはやりましょうという約束をしておりますし、防衛庁長官もそういう所信を明らかにされておることは事実なんです。ところが、現実には、米軍はいま沖縄におりまして、一年に一ぺんか二へんしか来ない。あとは自衛隊が使っておる、こういう状況ですから、基本の問題の解決をいたしておりませんので、しょっちゅうトラブルが起きておる。きのうも現地では総決起の大会を開いている。こういうような事態が起きておりますが、もっと私は全面返還について積極的にこのアメリカとの交渉をすると同時に、そういうトラブルの起こらないように地元とより積極的な話し合いというものがですね、やってほしいと思うのですよ。どういう経過になっているんですか。
  96. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 鈴木さんにお答え申し上げます。  御承知のとおり、地元におきましては、北富士演習場の全面的返還ということの強い要望もございました。政府といたしましても、なるべく地元の御要望に応じたい、こういう意味合いにおいて折衝いたしております。  そこで、東富士のほうはすべての条件が整っておるわけでございまするが、まだ北富士におきましては、地元の公共団体の市長がかわったというような関係もございまして、だんだん状況が整いつつあるわけでございます。そこで、何といたしましても、詳細な点は施設庁の長官からお答え申し上げさせますが、観光その他の関係につきまして、保護いたしたいという点につきましては、鈴木さんと全然同意見でございまして、最小限度に見ましても、民有地が五分の一ばかりございまするから、その辺だけは返還させるようにぜひ政府としても努力をいたし、また駐留軍にも交渉いたす、こういう方針でございます。詳細なことは施設庁長官からお答え申します。
  97. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 北富士の返還につきましては、昭和三十六年に基地問題等閣僚懇談会の了解事項として、当面の処理方針が決定になった次第でございます。この要点は、返還を受けて、自衛隊がその演習場を管理いたしまして、逆に米軍に使用させる、こういう方針でございます。その方針に従いまして、従来努力してまいったのでございますが、幸い昨年度は東富士につきまして、その使用転換の際のいろいろな条件の話し合いが整いまして、東富士につきましてはもうほかの問題はございません。したがいまして、北富士の問題が東富士同様に解決すれば、米軍としましては、不離一体の関係でございますので、同時に返還をし、自衛隊の演習場として米軍が使用するというかっこうになろうかと思っています。  その際、先ほど大臣が申しましたように、民有林が五分の一もありまして、そのうちで日米双方の演習に差しつかえない部分につきましては、その際に検討いたしまして、完全返還も協議したい。あわせて、地方の民生策等につきましても、十分県庁並びに地元と協議いたしまして善処したいと考えています。
  98. 鈴木強

    鈴木強君 最近米軍はほとんど使っていないでしょう。使用状況はどうですか。
  99. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 北富士演習場におきましての米軍の演習状況は最近減っております。ことに数年間は、年にあるいは二十五回、あるいは五回というふうに減ってきておりますが、他方、東では年に六十数回やっておりますが、これは北富士にはいろいろな紛争が御承知のようにありました関係上、東富士に偏した実績もございまして、北富士が解決しますならば、いま少しく東富士の演習も北でやるという場合もあり得るかと思います。決して多くありませんが、やはり年間相当演習をやるという見通しはございます。
  100. 鈴木強

    鈴木強君 一年に一ぺんか二へんやるのにわざわざアメリカ軍にあそこの霊峰富士のふもとを提供しておかなくたって、私はまだほかにあるんじゃないかと思いますが、それは全面返還ということをわれわれは考えておりますから、ですから、あなたの言うように、返還したらまた自衛隊が使うんだというようなことは、これはやはり困るんでしてね。あそこをまるまる返してもらいたい、こういう意見がわれわれの意見なんです。  それは基本的な問題ですが、当面、あそこの演習場を使う場合に、皆さんのほうではあとで契約しているわけですな、一年間使ったあとで、人のうちを黙って使っておって、そのあと三月になったら、これで一年間使いましたからといって頭を下げて契約する、こんなばかな話はないでしょう。どうしてこういうことになったんですかね。
  101. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) この演習場の提供の契約の性質と申しますか、この契約の期間というものにつきましては、やはり米軍の使用が継続しておる間という不確定期限というものが期間の根底になっているわけでございます。毎年度やります契約は、これは会計法上単年度の予算ということになっておりますので、賃貸料の改定という点に重点を置きまして契約の改定をやっておる。もとより、そういう性質のものでございますけれども、われわれとしましては、おっしゃるように年度初頭に賃貸料というものを改定したいのでありますが、これは御承知のように、地主のほうはできるだけ賃貸料を高くしたい、国家のほうは予算に制限があるというふうな出会いがございまして、たびたび話し合いを重ねて双方が譲り合ってきまっていくという過程をとりますので、どうしても不本意ながら年度の終わり時分に改定を見るという状態でございまして、この点さような状況であることを御了解願いたいと思っております。
  102. 鈴木強

    鈴木強君 これは納得できないですね。やはりそういう問題が、それは現地との話し合いがいろいろあるでしょうけれども、少なくとも四十二年度に使うものはことしの四月か三月ですね、その事前において契約をしていくというのが筋であって、それを来年の四月までは使っておいて、来年の四月になってから予算を出すというのは、そういうことはおかしいじゃないですか。ですから、債務負担行為かなにか方法を考えれば、私は金は出す方法はあると思うし、そんなあとから払うなんというそういう方法はやっぱりまずいでしょう。まずいなら、これは直さなければいかぬじゃないですか。その直す努力をどういうふうにしたんですか。
  103. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) いろいろ検討をいたしたのでございますが、やはり債務負担行為にはなじまない契約でございまして、一年一年賃貸料は改定していくという前提で契約することになっております。また、その点が土地所有者にとりましても、地代は年々、まあ賃貸料は変わっていく点がございまして、便利な点もあるように聞いております。ただ、しかしおっしゃいますように、年度初頭、予算もございますので、すぐ話はきまらないのです。なかなか賃貸料をめぐりまして議論がございまして、大体話しい合いが落ちつくのは心ならずも後期になっておるという状態でございますので、その点ひとつ実態をとくと御了察くださいまして御了承、願いたいと思っております。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 総理にこれは陳情を地元は強くした問題です。  そこで、いまお聞きのとおり、基本的な問題と、それから当面やはり解決しなければならぬ問題、二つあると思うのですが、いまのようにあと払いで、契約をあとになってやって、その年のやつをさかのぼってやるということはまずいですね。そのために地元はおこって訴訟まで起こしているのです。そういうことを改めることが必要だと思いますが、そういう点と、もう一つ、全面返還について、総理大臣はこの陳情を読まれて施設庁のほうにいろいろ配意したと思いますから、いまのような答弁でありましたけれども、もう少し前向きに地元とも具体的に折衝をして、円満にいくような方法をあなたから命令して、もっとうまく解決してもらいたいと思うのですが、どうでしょう。この際陳情者に向かって答弁するつもりで答弁願いたい。
  105. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま鈴木君が陳情者にかわって陳情しておられたと、かように私伺いましたが、その御趣旨大部分私もっともだと思いますが、そういう意味で、さらに実情に即した方法で現地の交渉を進めるように——もちろん現地の町村その他の方の理解と、また協力がなければ、こういうものはうまくまいりませんので、その第一が協力、理解、こういう点に主眼を置きまして、一そう積極的に前向きで進めるようにいたします。
  106. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 関連して。先ほどから防衛施設庁長官が言われておる事柄は、それは私は六年間やってまいりましたが、発言しようとは思わなかったのですが、あまりにも何といいますか、白々しいうそのようなことを言いますので、そういうことの口実になっておりませんよ、実際。地元は、何もやっておらないから訴訟する。あれは全面返還という、占拠ということに対しての訴訟を起こしているということは御存じだと思うのです。その間を利して何もやっていないのですよ。そうしてやることはいわゆる恩賜林組合の内容を警察を通じて捜査したり、何かことが起こったらそれでひっかけようということだけしかやっていない。交渉をやっておりますか。地元を納得させて、総理が言われましたが、誠意を持って交渉をやっておりますか。やっておらぬでしょう。どうですか。
  107. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) お答えいたします。  昨年度のリトルジョンの事件以来、われわれも鋭意折衝をやってまいりましたし、また折衝しようということを向こうに申し上げておりました。  ことに問題がございますのは、山本先生御承知のように、入り会い慣行をめぐってでありますが、これにつきましては、われわれは入り会い慣行は尊重するというたてまえで胸襟を開いております。それからまた、民生安定は重視する。この二つの原則で、胸襟を開いていつでも待っているのでございますが、時あってか、入り会い権も認めろというふうな意見も出てまいりまして、いたずらにその事態を紛糾するような結果になっておるということで、われわれもこれではいかぬと思いまして、県を介しまして、鋭意努力してまいっておりますが、御承知のように県の選挙などがございまして、県政も交代いたしましたので、新しい知事に対しまして、私も直接会いまして、収拾方を現在も依頼しておりますし、その後も数回新しい県政の陣容と接触してまいっております。
  108. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは県と接触したのはいつですか。知事がかわってから、知事のほうから、これではいかぬから一度ひとつあいさつがてら防衛庁を訪れて話をしたいということであいさつに行ったらしいのですが、けんもほろろにそれを受け取られなかった。したがって、今後交渉をされるかどうか。そういう白々しいうそを言っては困りますよ。一年間何もやっておりませんよ。何か補償の問題でも、これを聞けばやるということで、補償もおくれておるのでしょう。出しておらぬでしょう、忍草村には。予算委員会ですからこまごましいことを言いませんけれども、そういう白々しいことは言わずに今後どうしますか。向こうのほうは、向こうのほうから交渉したいということを言ってこられないのです、あなたのほうからそういうことを言っておるから。その点具体的に言いなさい。
  109. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 新しい知事が私のところへ見えまして、約二十分ほどじっくりこれは話し合いました。その後も、私のほうの係官を県庁のほうへ差し向けまして、新しい知事のスタッフと十分話し合っております。  それから補償料の問題ですが、これにつきましても、払いたいんですが、どうしても申請書をお出しになっていただけないという点が実にたくさんございまして、この点で実は私たちもいろいろお願いしておるわけでございますが、そういう事情もございまして、いろいろ御了解願えぬ点があると思っております。
  110. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 うそを言っているんですよね、あれは。補償は払うというのは、申請を出すというよりも、あなたのほうが、個人個人が入り会い権があるんだから、いわゆる入り会い慣習権があるんだからということで、一人一人に出そうというようなことで訓令されるんでしょう、その団体に。地元では受けられないと言う。もし、あなたが言うように、団体で申請したら出すということをここで言いますか。それだけでいいです。
  111. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 詳細のことは施設庁長官から補足いたしますが、山梨県知事が新しく選挙されまして、田辺国男君が私のところを訪問されまして、行き違いにはなりましたけれども、北富士のことで話をしたいと、こういうことでございました。私は、田辺君とは従来御交誼を願っておりまするし、こちらから進んでアプローチをいたしまして、この問題の積極的解決をはかりたい、こういうことも山梨県庁のほうへ電話をしたようなわけでございます。その後のことにつきましては、そのときに施設庁を訪れまして長官と話をしておることもございます。  それから小幡君は、ごらんのとおりきわめてまじめな人でございまして、うそはつきませんから、どうぞこれからの折衝に御期待をぜひ願いたいと思う次第でございます。
  112. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いや、つまり、私が言ったのは、結論がはっきりしないといかぬ。したがって、うそとかなんとかいうのは、やってないならいいですよ。ぼくは、あなたが、誠意をもって交渉しているとか話し合いをしていると言うが、やっておらないから聞いているんですよ。一年間やってない。やっているのは一日やったということです。そういう補償の問題で、これはもうさっき向こうのほうから聞いたんですから、それでよろしいが、団体ですよ、いままでの忍草なら忍草の団体に出すということを認めて出すかどうか、その点を聞いておる。
  113. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) こちらからは、たびたび補償の申請を出していただくようにお願いをしております。また、私は、県の当局者にもたびたびそれをお願いしております。  それから補償料をまとめて出すかどうかという問題ですが、これは、山本先生も御承知のように、個人補償が原則でございますが、委任を正当に受けて、正当にその農民に金が行くという前提でありますれば、われわれはその委任状を持った団体に出すこともやぶさかでありません。
  114. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いままでずっと出してきたのです。今度はなぜ出さぬ。こちらは時間がないから追及できぬが、逃げたってだめですよ。四十年度はずっと団体で出してきたのでしょう。なぜいま出さぬ。どういう理由です。
  115. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) いろいろ御意見もございますようでございますので、なお検討したいと思っております。
  116. 鈴木強

    鈴木強君 とにかく、山本委員は、この問題にはほんとうに全身を打ち込んできた方ですから、よく言われていることはおわかりだと思うんですよ。ですから、ここで当面その場を逃がすようなそんなことじゃなくて、やっぱり積極的にやってもらっておかぬとこういうことになるわけですから、地元との紛争のあることも事実ですし、やり方についてもいろいろやっぱり統一した意見がないんですよ、これはね。だから裁判になっているわけですよ。だから、その点、ひとつ十分注意して、もっと前向きで積極的にやってくださいませんか。お願いしておきます。  もう一つ、佐藤総理に対する陳情の中で、例のあの豊里炭鉱の一少女からあなたに手紙が来まして、これにお答えしました。ところが、この山は、ことしの三月三十一日で閉山になったわけですね。いま少女は非常に深い悲しみの中に明け暮れていると、こういう私たちは記事を見るのですがね。これは一体約束を果たしたと思っているのですか。
  117. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 豊里炭鉱はついに閉山になりました。これで約束を果たしたかと言われるのですが、私はこれは閉山は絶対にいたしませんというようなことは申しません。この再建、さらに永続するようにあらゆる努力をいたしました。あらゆる努力をいたしまして、これがついに閉山のうき目を見た。また、この炭鉱の当時の労働者と申しますか就業者は、たいへん評判のいい方々でございます。したがいまして、あとの転職等も非常に順調にいっていると、かように伺っておりましたが、同時に、これは、閉山になりました後に、東京で私の家内が少女にも会って、そうしていろいろ身上等についても実情を聞いております。したがいまして、私は、この問題自身については、私どものやりましたことについて誤解はないようでございますし、これが存続できればもちろん感謝いたしますけれども、そういう存続できなかったのはまことに残念に思いますけれども、その他の事柄につきまして政府がとりましたこまかな注意その他につきましては、よく理解していただいたと、かように思っております。
  118. 鈴木強

    鈴木強君 閣議で総理からもこの問題が出たときに御発言があって、離職していく人たちの就職の問題その他について遺憾のないようにしろと、そういうお話があったそうですが、九百人ばかりいるわけですね、あそこには労働者が。一体、これは、労働大臣どういうふうになっておりますか、就職の状況は。
  119. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 豊里だけという特別の配慮は無論行政の公平からできませんが、総理のああいうこともございますので、現地の北海道の労働部からもまた職安からも再三参りまして、この人たちの転職につきましては最善の努力をいたしているわけであります。どの程度もうすでに転職したかということにつきましては、必要であれば事務当局からお答えいたします。
  120. 鈴木強

    鈴木強君 必要ですよ。聞いておきます。
  121. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 豊里炭鉱の離職者の問題につきましては、ただいま大臣から御答弁がございましたように、離職前から特別の就職相談を開始いたしまして、現在、道内と本土方面とに分けまして、大体、離職者の半数程度が道内に残り、半数程度が本土方面に就職を希望いたしております。で、北海道方面に就職する者の大部分は再度、石炭山に再就職する、こういうふうな状態になっております。いずれ近いうちに希望者はほとんど大多数が再就職できると、かように考えております。
  122. 鈴木強

    鈴木強君 この少女のおとうさんの就職については特に配意をするようにという、労働大臣、通達を出したのですか。
  123. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) もちろん、この少女の童心を傷つけちゃいけませんので、特に親切にひとつ相談に乗ってやれと、こういう善意の指示をいたしました。しかし、それは、ほかの離職者に冷たくしろと、そういう意味ではございません。一部の新聞がひねくれて、投書をすりゃ特別に扱われるんじゃないか、一億人が投書したらどらなるんだという悪意の新聞もございましたが、私の真意は、童心を傷つけないように、あたたかくおとうさんのことも相談に乗ってやれと。しかし、豊里全体を公平にやるということはもちろん言っております。そこに何らの特別扱いはいたしておりません。
  124. 鈴木強

    鈴木強君 それはかえって少女のおとうさんはこう言っているんですね。「私のことを名指しで書いているが、どこの子供もみんな父親の将来を心配している。私はみんな行く先がきまってから一番あとに世話してもらうつもりだ」と、こう言って、むしろ通達が少女のあだになっている。あなたの情けがあだになっている、結果的に言うと。豊里だけ考えませんと最初言いましたわね、おっしゃった。ところが、そういう、何というのかな、これはどうです、いまになってまずかったと思っているのですか、よかったと思っているのですか。
  125. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 私は、何でもひねくれて考える最近のそういう一部の世相というものは、どうかと思うんです。やっぱり、行政は、血の通ったそういう善意というものを逆にとるというようなことでは、やはり社会はよくなりません。私の真意はそういうところにあったわけでありまして、おとうさんが労働大臣からそういうように言われて、職安の方が親切にしてくれると、かえって自分は一番最後に就職したいと言われたお気持ちも、これまた私はりっぱだと思う。ですから、この問題はむしろ善意の行政でございますから、どうかさように御理解をいただきたいと思います。
  126. 鈴木強

    鈴木強君 これは、おとうさんは就職できたのですか。どこへ就職したんですか。
  127. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) おとうさんが、まあそういう同僚がまず全部就職して——ああいうマスコミにも大きく騒がれましたので、最後に就職したいという御希望でございます。おとうさんのそういうお気持ちをそんたくいたしまして、最後にという御希望をかなえてやりたいと、こういうことで進んでおるわけであります。
  128. 鈴木強

    鈴木強君 戦後、石炭というものが、日本のエネルギーの中ではどうしても欠くことのできない重要な問題だったと思いますね。ですから、過去、石炭鉱業の果たしてきた使命というのは、たいへんなものだと思うのですね。ところが、不幸にしてエネルギー革命のあらしの中で、石炭鉱業というものが非常にいま重大な段階にきていると思うのです。政府の経済社会発展計画を拝見しましても、わずかここに三行さっと書いただけでありまして、何かしら石炭鉱業に対する取り組みについて心もとないものを感ずるわけですが、この全体のエネルギーを見ましても、ほとんどが石油の輸入ですね。一たん有事のときに一体どうなるかということをわれわれ考えるときに、やっぱり国内における自給対策というものを確立することも大事だと思うのです。そういう場合に、やはり石炭というものをとらえて、これに対して思い切った施策をやっていくことも大事だと思うのです。そういう立場に立ってものを考えておりますが、現実に石炭が凋落していく姿というものはたいへんなものだと思うのですね。ですから、こういうことが閉山される産炭地には次から次へと起きているわけですね。しかも、まだ現実に動いている山でも、炭鉱災害が毎年毎年ふえているわけです。だから、通産省と労働省との行政の二分化ということについてわれわれは何回か言っておる。総理も生産よりも保安が大事だというようなところまで言われておるのだが、依然として落盤事故をはじめ炭鉱災害というのはあとを断たないわけですね。もう少し、石炭産業に対して、閣議の決定もあるようですけれども、抜本的な対策というものは立たないものでしょうか。総理、どうなんでしょう。
  129. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま、石炭産業についての、国内エネルギーといいますか、エネルギー源の大事なことにお触れになりました。私も別にそのことばじりをとるわけじゃございませんが、一朝有事の際ということばがございましたが、そういうことでなしに、とにかく国産エネルギーの大事さ、重要さ、その価値は高く評価しなけりゃなりません。また、過去においてのわが国の産業の発達に努力したこと、これはもう言われるまでもないことであります。でありますから、政府自身もこの石炭産業の窮境に対していかに妥結するかと、こういうことでもう真剣に取り組んでおります。御承知のように、石炭産業に対する調査会、これはもう三回、今回のものが三度目でございます。私は、実は、それぞれの立場で三回に全部関係しております。最初に大蔵大臣、その次は通産大臣、いままた総理としてこの問題と取り組んでおります。したがいまして、比較的私自身この窮境なりまた過去の功績なりまた今後のあり方なりについても判断しやすい立場におります。そこで、今回のものを考えましても、昨日またこの委員会でもその質問が出ましたが、とにかく掘ることもこれは大事でございますが、需要が確保されるということ、これが何をおいても基本のものでございます。また、需要が適正価格であること、それでなければ石炭鉱業は成り立ちませんから、そういう意味で、まあ五千万トンというものをとにかく一応目標として考える。そうして、電力、鉄鋼その他による有効需要の喚起、これも、ただいまお話がありましたように、新しいエネルギー源がどんどん出ております。しかも、低廉で扱いやすいというそういう便利なものでございますから、そちらにどうしても移りますが、通産省も努力し、同時に、産業界も国内エネルギー源の重要さ、それを高く評価いたしまして、これに協力するという立場で、ただいまのところとにかく一応五千万トン前後のものは確保できるんじゃないのか、こういうような数字が出てまいりました。また、適正価格というその立場におきまして、これを一体どういうようにするか。で、石油関税を基幹にしての特別会計をつくる。そうして、この石炭産業に対しての価格の適正化、あるいは融資、利子補給その他につき、あるいは鉱害復旧であるとか、ただいまの豊里炭鉱の例を見ましても、閉山等が順次行なわれますので、そういう離職者の再就職や、また鉱害復旧、さらに産炭地振興、それぞれの諸般の施策をこの問題を中心にして総合的に実はくふうし、立てておるわけであります。今回特別会計が設定されたこと、同時にまた、地方自治体に対する特別交付税その他等も特殊事情を勘案されておる、こういうようなことで、比較的対策ができたかと思います。しかし、現状をもってこれでもう十分だとは言えません。ただいまこの悩みが非常に多いが、今後エネルギーそのものがどんどん変化してまいりますから、石炭産業の価格、それをどういうところへ置くかという、いかにしてこれを確保していくかという、そういう問題、これがあると思います。また、他面、ただいまもお話がありましたように、こういう産業でありますから、生産中心に力を入れられて、あるいは災害復旧等について意が用いられない、こういうようなことがあっては、これは本末転倒もはなはだしいのでありますから、人命尊重の見地からも、すべての産業が国民生活に奉仕するという、その立場からも、これはもう災害は起こさないようにしなければならない。これまた、まあ最近は大きな事故がないこと、これでただいま安心はしておりませんけれども、いつ事故が起こるかわかりませんので、そういう意味で、経営者につきましても特に自主的に災害防止について積極的な努力をするように注意しておるような次第でございます。ただいまも一元化、労災とあるいは生産と一元化というような御意見も出ておりますけれども、私は、ただいまのいわゆる産業政策とそれから炭鉱保安というものが一体であるほうが望ましい姿ではないか、かように思って、ただいま通産省でやっておることを支持しておりますが、しかし、とにかく災害が次々と起こっておりますから、大きなガス爆発はないにしても、落盤等の事故は絶えずあるようでございます。こういうようなことについては一そう注意して、生産、これが最終的には国民に奉仕するものである、こういう立場で指導していきたいと思います。申し上げたいことは非常に多いのでございますが、ただいま基幹としての問題、基本的な問題は特別会計を今回の御審議でつくっていただく、そうしてこれが十分だとは申しません、十分だとは申しませんが、これをひとつ今後内容を充実していく、それによりましてこの閉山その他について対策が立てられるようにいたしたいものだ、かように思っております。今回は、私はこれはもう最終的なものであるべくあらゆる努力をするつもりでおりますけれども、しかし、そういう意味で、なお各般の面にわたっての要望等も十分聞かなければならぬ、かように私は思っております。
  130. 鈴木強

    鈴木強君 非常に時間かけて御説明いただきましたので、私もまだ意見ありますけれども、基本的な問題については総理も非常に決意を持ってやられるようですから、御努力をお願いすることにしまして、いずれまたこの基本論争はあとにしますが、とりあえずは、いま非常に気の毒な産炭地の救済のことがあるわけですね、一つはCOの問題、もう一つは、先般石炭鉱業審議会から答申されました特別年金を退職者に対して支給すべきだというようなことが出ておりますが、こういう問題については、ひとつ当面の問題としてすみやかにこれを立法化し実現するように最大限の努力をしてもらいたいし、内容についても思い切ってこの際やってもらいたいという私は強い要望をいたすのでありますが、どうでございましょう、この点は。
  131. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 石炭労働者に対して、老後の安定をひとつ期していただくというようなことで老齢年金を実施するということにつきまして、昨年の七月、審議会から御答申も受けておりますし、八月に閣議で決定もいたしておりますので、引き続き審議会において、この年金の問題について小委員会をつくって内容にわたっての御検討を願っておったわけでございますが、本月去る八日、内容にわたっての御答申も受けたような次第でございまして、その御趣旨を体しまして、できるだけこれをすみやかに法案を作成いたしまして本国会で御審議をお願いする、こういうふうに考えまして、鋭意その作業を進めておる次第でございます。
  132. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 一酸化中毒に対しまする特別立法につきましては、石炭産業に限定をいたしまして特別立法をすることにいたしまして、労災保険審議会が近く結論を労働大臣に答申してまいります。本国会に必ず提案をいたしまして御審議を賜わりたいと思っております。
  133. 鈴木強

    鈴木強君 それから大蔵大臣にお尋ねしますが、かねて国会で問題になっておりました脱税問題ですが、これ、特にバナナの輸入にまつわる脱税問題というのはきびしく取り上げておったのですが、この際、今回大蔵省のほうでは調査をされてその結果が出て、けさの新聞等に出ておりますが、その実態をひとつ明らかにしてもらいたい。
  134. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) バナナ問題については、申告漏れがあるということで、昨年の夏から調査しておったそうですが、まだ最終調査ができているわけではございませんが、その集計している途中できょうの新聞にああいう記事が出ているわけでございますが、もしいままでのところの報告でございましたら、国税庁長官が参っておりますから報告させます。
  135. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) ただいま大臣から申し上げましたとおり、国税庁といたしましては、昨年六月以来、台湾バナナの輸入業者につきまして、かねてからいわゆるペーパー業者であるとかダミー業者などが多いというようなことで、その申告が適正に行なわれておるかどうかということにつきまして調査いたしてまいったのでございます。現在、日本バナナ輸入組合の加入業者六百七十件とアウトサイダー十九件、合計六百八十九件のうち、現在までに調査をいたしましたのは六百五十六件でございまして、まだ全部完了いたしておるわけではございません。本年三月末現在におきまして、その六百五十六件につきまして調査いたしました結果、約二百件につきまして申告の脱漏があるということが判明いたしたのでございます。その結果は新聞にも出ておりますけれども、増差所得が約十六億円、そのうち不正手段によって申告をいたしておらなかったものが約七億円ほどにのぼっておるのでございます。
  136. 鈴木強

    鈴木強君 このいま判明いたしましたものについては、国税庁としてどういう措置をすみやかにとろうとしておるのですか、この申告者に対して、不正によって申告しなかった人、それからその他の脱税者ですね。
  137. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) これらの業者は法人または個人でございます。私どものほうといたしましては、この脱税の内容の状況に応じまして、不正手段の著しいものにつきましては、過去五年間にさかのぼりまして更正を行なう、あるいは申告を全然いたしておりませんものにつきましては決定を行なう。それからその内容がさほど悪質でない場合におきましては、過去一年あるいは二年程度にさかのぼる、それから個人業者の中で申告漏れの額の少ないものにつきましては、修正申告をすることを認める、こういうふうな措置をそれぞれとることにいたしております。
  138. 鈴木強

    鈴木強君 それで、いままでの調査の中で輸入割り当て利権をとるための裏取引の費用というものがあるように思われますが、そのために役員個人の消費とか使途不明の金も相当ある、こういうふうにいわれておりますが、そういう金はどのくらいあるんですか。
  139. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) お話のように個々の業者について調査いたしますと、いろいろ輸入割り当て権を他の業者に永久譲渡して、その譲渡したことに伴う収入の全部またはその一部を除外しておるとか、あるいは割り当てを受けた輸入ワクを他の業者に譲渡して、その譲渡したものを、収入を漏らしておるというような種々悪質なものもございます。なお業者の中には使途不明出金といわれるものが約二億円ほどあることも調査いたしております。
  140. 鈴木強

    鈴木強君 二億円ほどあるそうですが、この中に、この脱税で浮かした利益ですね、こういうものだと思うのですが、その中に政治家への献金も含まれておる、こういうふうにいわれているのですが、これはだれとだれが入っているのですか、名前は。
  141. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 私どものほうの調査によりますと、支出した事実は判明するのでありますが、相手方は判明いたしておりません。
  142. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、政治家にやったと書いてあるのですか、幾らと。何件で幾らになるのですか。二億というのは何件あるのですか。
  143. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) その業者数は約五十数社でございますが、その使途不明の出金の相手方はだれであるかは先ほど申し上げましたとおり判明いたしませんので、政治家であるかどうかということも判明いたしておりません。
  144. 藤田進

    藤田進君 関連。そういうことが今朝来伝えられているように非常な疑惑を呼ぶわけで、国税庁がそこまで調べて途中で相手方が、二億になんなんとする行くえがわからない、これが政治家であるかどうかわからない、そこでとめてしまうおつもりですか。徹底的になぜやらないのですか。やる権限はあるはずです。できないのはなぜですか。そういうことが累積して議会政治に対する信用を落とす。これでは困るのです。共和製糖の問題だって、途中やめみたいな感じを私どもしてならないのですが、あれほど徹底的に、指揮権発動しないのか、しないということだったが、したのかしないのか知らないけれども、とにかく地方選挙が終わると同時に、これ消えてなくなったような感じを受ける。また引き続いて、これはバナナだけではない、ノリだとか、コンニャクだとか、かねてうわさの高いものがある。これはやるべきですよ。
  145. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 国税庁としましては、その使途不明出金の支出先につきまして鋭意調査するように努力は重ねております。ただ相手方が口をつぐんで申しませんので、われわれの権限ではこれ以上幾ら追及しても判明しにくい、他の手段をとるよりほかはないように考えております。
  146. 鈴木強

    鈴木強君 他の手段をとると、とってもやるべきですね。
  147. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 先ほど申し上げましたように、国税庁の力としましてはこれ以上追及しても無理でありますので、他の手段をとるかどうかにつきましては十分関係方面と打ち合わせたいと存じております。
  148. 鈴木強

    鈴木強君 これは大蔵大臣答弁してください。
  149. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま国税庁長官が言いましたように、他の手段をとるかとらぬかは、今後私どものほうで十分相談してやることだろうと思います。十分検討いたします。
  150. 亀田得治

    亀田得治君 関連。肝心なところへ行くとから回りするのですが、他の手段という意味はどういう意味で言われたのですか。想像はつくわけですが、しかし、想像だけじゃいけませんから、それだけを明らかにしてほしいと思います。
  151. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 他の手段と申しますのは、私どものほうでは強制捜査はできますけれども、本人を拘置する権限がございませんので、本人を拘置して取り調べるかどうかということでございます。
  152. 亀田得治

    亀田得治君 その意味は検察当局の発動を促すという意味ですか。
  153. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) したがいまして、場合によっては告発することもあり得るということでございます。
  154. 鈴木強

    鈴木強君 政治家への献金も、政治家かその他かよくわかりませんが、とにかく五十件ばかりあるそうですからね。それを政治家のほうで正しく所得申告、確定申告をしているかどうか。こういう点については、そうなると調べられないですね、だれにやったのかわからないのだから。とにかく親元を押えて強権発動しても、やはり調査ですね、強制調査してやらなければわからぬですね。ここはポイントですね、やはりそこやらなければだめでしょう。
  155. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 鈴木委員は政治家にそれが渡っているという前提でお話をなさっているようでありますが、私のほうは、使途不明出金でありまして、だれに行っているかわからないというのが現在の状況でございます。したがいまして、そのだれに行っているかということを解明する手段をとらなければならないということでございます。
  156. 鈴木強

    鈴木強君 これはひとつ大事なことろですから、国税庁としてもせっかく努力をされて、これはたいへんな御苦労があったと思うのです、私は。ですからその努力には敬意を表します、むずかしい脱税を摘発してもらったんですから。したがって、もう一つの大事なところをやらなければ最後の花を咲かすことはできないわけですから、もう少しこれは思い切ってやってもらいたいと思うのですね。  そこで、すでに四十一年度中に国税庁が摘発した脱税額というのはこのほかに百七十一件、六十二億がある、これはもうわかっておるのですから。こういうふうに努力されましても、なおキャバレーとかパチンコ屋だとかトルコぶろだとか、こういうような風俗営業、さらに暴力団関係、町の貸金業者ですね、こういうふうなところにあるし、それから最近はかばん屋と呼ばれる宝石セールスマンですね、こういうものの実体はつかみにくいそうですけれども、これは税金を給料から天引きされている人の立場からすれば、脱税があるなんていうのは不届き千万もはなはだしいと思うのですね。しかも、このほかに滞納しているやつがあるのです、四百億か五百億かわからぬけれども。そういうべらぼうなことを放置しておいてはいかぬですから、もう少し思い切ってやってもらいたい。それから藤田委員からおっしゃったように、ノリ、コンニャク、何といってもこれは利権のからむ問題でたびたび問題になっている。これらも引き続いてやりますか。
  157. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) お話のとおり、現在申告納税制度にありながらあえて脱税を行なっている人が相当多数にのぼっておりまして、私どもといたしましては、課税の公平を期する見地からいたしまして、それらについて是正をはかる措置をとってまいっております。お話のように、ノリ及びコンニャク業者につきましても、現在調査を実施いたしておりまして、いずれ近いうちにその調査がまとまるものと思っております。
  158. 鈴木強

    鈴木強君 総理大臣、これいまお聞きのとおりでして、非常に大事なポイントがいまわからないのですから、それについては、ひとつ総理も責任を持って徹底的に調査をしてもらいたい。そういう約束をしてくれますか。
  159. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、かねてからただすべきはただす、きわむべきはきわむということを申しております。国民の納得のいくようなことをやらなければなりません。そういう意味でさらに督励することにいたします。
  160. 鈴木強

    鈴木強君 きょうは、国鉄、電電、専売の総裁にもいらしていただいているのですが、まず経済企画庁長官代理に聞きますが、三月十三日に政府が発表いたしました経済社会発展計画、この中でまず鉄道の問題、これについては、ここに最近における輸送構造の変化、企業経営の合理化の立ちおくれにより、その経営はますます悪化する傾向にあり、このまま推移すると深刻な事態に達するおそれがある、このためにこうやるのだということが出ておりますが、そういうふうな抽象論ではわからぬ。どういうふうに国鉄の実態はあるのか、ひとつわかりやすく説明してくれませんか。
  161. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) もう国鉄問題は御承知のことと存じますが、ただいま第三次計画を立てて、その計画の実施中でございますが、計画の初年度において、すでに、予定された国鉄の料金収入というようなものも狂ってきておるときでございますので、いまの経営をそのままにしておいてこの三次計画を円満に遂行するということは事実上むずかしいということで、いろいろな問題に直面しておりますので、本年度一年かけて国鉄問題を徹底的に関係省の間において検討しょうということで、国鉄と大蔵省当局でこの問題は根本的な検討にただいま入っているところでございます。  国鉄経営問題の問題点がどこにあるかというようなことについては、すでに十分御承知のことだと思います。(「問題点を言ってくれと言っているのです」と呼ぶ者あり)国鉄の不振問題が、これが一時的な問題であるか、それとも恒久的な原因によるのか、たとえば、御承知のように、従来は、短距離輸送はトラック、中距離輸送は国鉄、長距離輸送は船というように、運輸上の一応の体系というものがございましたが、最近はこれがくずれてしまって、国道がどんどんよくなるに従って、長距離輸送がトラックによって行なわれるという状懸になりましたので、国鉄は工事費に金をかければかけるほど、それに伴った収入がないということになってきますというと、これはもう構造的な問題とも思われますので、そうしますと、いま、今年度の予算折衝で問題になりましたように、九百億という程度の国家の出資金をもって片づくかどうかという問題ではなくなってきましたので、本年度はとりあえず、いま御審議願っておるような予算措置をとったのでございますが、これは根本的に考え直さないというと、国鉄の立て直しはむずかしいということで、いま言ったような両省の検討に入っておるという次第でございます。
  162. 鈴木強

    鈴木強君 国鉄は去年運賃の引き上げをやりましたね。もちろん、国鉄当局が長期に持っております諸計画を遂行するために十分のものであったかどうかということはよくわかりませんが、とにかく、いずれにしても、そういう手当てはしたわけです、昨年。それで、もうことしになって——この調査というものは昨年からやっておると思うのですけれども、また、われわれが見ると、実に深刻な事態に達するということになりますと、国民の絶対の足ですから、この確保について非常に不安を持つわけです。ですから、一体これが財政的な面からどうしても立ちおくれておるのか、あるいは近代化の面がおくれておるのか、あるいは合理化の面がおくれておるのか、そういうやはり基本的な問題くらいはここで明らかにしてもらいたいというのが、私のお尋ねしている要点なんです。これは、あとで電電公社のほうへもお伺いしますけれども
  163. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 運賃の改定をやったら相当運賃収入があるだろうという見込みでございましたが、運賃の改定をやったためというわけではございませんでしょうが、運賃の改定をやったために、運賃というものは庶幾したように伸びないという現象が出てまいりました。そうしますというと、この問題を中心に検討すべきものはたくさん出ておりますが、一つは、定期というようなものの割引のしかたとか、そういうようなものがいまのようなことであって、この輸送に、特に都市を中心にする輸送に大きい投資をしなければいけませんが、それがいまのような運賃体系でペイできるかどうか、これはとうてい、かりに、私はこの問題は、運賃料金を直しても、そう簡単に解決できる問題ではないというふうに思っておりますし、そうすれば、国鉄のこれからの投資のあり方ということについても、従来と違ったくふうをわれわれはしなければならぬじゃないかということも考えておりますし、そういうものを一切がっさいここでやはり根本的に考え直さなければならぬ時期に来ていると思います。個々の対策でなかなかこれをもって今後の国鉄を改善していくという方策はない、根本問題からこれは検討し直さなければならない、そういう時期に来ていると私は考えております。
  164. 鈴木強

    鈴木強君 国鉄が公共企業体になりましてもうすでに二十年、十七、八年たっていると思います。国有、国営から公共企業体に切りかえて二十年の歳月をけみして、一体この制度自体に対する評価はどうしているのですか。制度上の問題としてそういうことが出ているのですか。
  165. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それは、今日まで国鉄が資産としても九兆円をこす資産を持つという大きい企業になって、伸びてきた交通事情にいままで対処してきたことはたいへんな功績だと私は思っております。
  166. 鈴木強

    鈴木強君 行政管理庁の長官おられると思いますが、行管としては、現在の国鉄経営に対してどういうふうな考え方を持っておられるのですか。
  167. 松平勇雄

    国務大臣(松平勇雄君) 政府といたしましては、臨調の答申を尊重いたしまして、ああいう国鉄その他公社の経営に自主性を持たせることをたてまえとしてやっております。したがって、政府の、広範かつ細部にわたる事務運営を阻害するような監督をなるべく排除いたしまして、そして公社自体の考え方によってなるべく経営をしていけるような姿に持っていきたいというふうに考えております。
  168. 鈴木強

    鈴木強君 これは公共企業体になって、従来の国有、国営経営方式よりも数段よくなったと判断されますか。
  169. 松平勇雄

    国務大臣(松平勇雄君) よくなったと考えます。
  170. 鈴木強

    鈴木強君 どういうところがよくなったのですか。いま悪くなっているのです、実際に。
  171. 松平勇雄

    国務大臣(松平勇雄君) 公社になりまして、国有でやっております場合にも、いろいろ資金面その他において長所もございまするが、しかし、公社のほうがより自由な判断によって経営ができるという点に、非常に特徴を見るわけでございます。
  172. 鈴木強

    鈴木強君 これは問題が一緒になって悪いんですけれども、基本的な公企体の問題ですからついでに一緒にやりますが、電電の場合、まあ大蔵大臣、代理ですけれども、これを見ますと、四十六年度の総需要というのが四十年度実績の約二倍、すなわち千八百万と、こう見ているわけですね。ところが、実際にあなたのほうで電電に投資する財政支出の点を見ますと、これは二兆六千六百億なんですね。これでこの需要が十分に満たされるというふうに判断しているんですか。経済企画庁何を考えているのかわからない。
  173. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 四十二年度から四十六年度の間の電電公社のいろんな計画というものはございましたが、これは相当高い計画でございます。ところが、今度の経済社会発展計画では、全体の公共投資が二十七億五千万ということに押えられましたために、若干電電部門の配分が減っております。ということは、電電公社の投資は他の一般の部門よりも比率において非常に成績よくこの何年か経過しておりますので、バランスの点から申しますと、そう電電の投資がほかに比べて劣っておるという状態にはなっておりませんので、そういう点を勘案して、若干低目に押えられておりますが、しかし、昭和四十六年までに、ただいまの七百何十万かというものが、四十六年に千六百万と二倍以上になる、それが可能になる計画の範囲内でございますから、そう私は大きい支障を来たすというのではない、ことに、電電公社はこの計画期間中にはまだいろいろな問題が出てくると思いますので、そういうものとの勘案において、これはもうワクというものもこの計画がきめてしまったものではございませんので、そういう点から考えたら、一般の需要に応じられないような支障を来たすようなことなく、この部門だけは私はうまくやっていけるんじゃないかというふうに思っております。
  174. 鈴木強

    鈴木強君 これはまたあとで私お尋ねしますが、そうすると、国鉄と違って電電公社の公共企業体経営というものに対しては、特に経済企画庁として、何か問題があるというようなことは感じないですか、経営の実態については。これは行管長官からもお願いします。
  175. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) もう一ぺんちょっとおっしゃってください。
  176. 鈴木強

    鈴木強君 電電公社の場合、公共企業体経営になっておりますでしょう。この公共企業体経営を十四年やってきて、そして、いま拡充計画を長期にわたって進めておりますが、そういうものを遂行するにあたって、いまの企業体経営というものはどこか直さなければうまくその計画が遂行できないということはないかということです。
  177. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 過去においても非常によくやっておりましたし、この電電公社、いままで計画どおりに仕事を大体進捗さしておりますので、今後においても私は支障がないものと思っております。
  178. 鈴木強

    鈴木強君 あなたは、昭和三十九年、四十一年と二回公共企業体審議会から答申が出ていますがね、経済企画庁長官としてそれを知っていますでしょう。
  179. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 答申は出ておるそうですが、まだその答申がちょっとここにないのでお答えしかねます。
  180. 鈴木強

    鈴木強君 あなたは知らぬのです。知らぬからそういういまのような答弁をするから、ぼくも聞くんです。だから、意地悪いようだけれども聞くんです。大蔵大臣、代理だからちょっと無理かもしらぬ。だったら、そうしますと。一つお尋ねしますが。運輸大臣と郵政大臣、それから大蔵大臣から、それぞれの所管をしております三公社の経営について、こうしたらいいんじゃないかという、こういう点が悪いからこうしたらいいという、率直に感じている点で、ひとつあげてもらいたいんですがね。
  181. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 国鉄の問題でございまするが、戦前から国の特別会計をもって経営されておりました鉄道事業を、二十四年に公共企業体の経営に移行させました理由は、公共性を維持しつつ、なおかつ、独立採算制による能率的、効率的な運営が行なわれることを期待したものであり、国鉄は公社として発足以来、この期待にこたえまして着々と成果をあげつつあると考えておるのでございます。  ただ、しいて問題点をあげますならば、先ほど来問題になりました最近の財政的な困難に直面いたしておるのでございますが、これにつきましては、大蔵当局も、来年度予算の編成までに所要の改善をはかりたい、かように申しておりまするので、かような改善が行なわれまするならば、所期の目的の達成におおむね支障がなかろうと思っております。
  182. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 私どもは、電電公社は、公社になってから非常な十分な機能を発揮して、わりあいに円滑な経営が行なわれておる、こういうふうに考えております。それは政府の監督等ももう比較的緩和されておるのでありまして、過去において臨時行政調査会から、監理委員会等設けて政府の監督を離したらどうかと、こういうお話もありましたが、電気通信というのは、国内だけの問題でない、どうしても国内、国際、いろいろの関係もあるのでありまするから、郵政省の監督からは解いて、そうして監理委員会を設けるということには必ずしも賛成できないと思います。こういうふうな考え方を持っております。
  183. 鈴木強

    鈴木強君 専売はどうですか。
  184. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 専売公社につきましては、これが民営に移すほうがいいというような議論も一時行なわれて、私どもも関係者をあげて検討しましたが、やはりいまのような形態で経営をすることがいいというふうに大体一致しておりまして、したがって、いまのような形でやっていって支障ないだろうと考えております。
  185. 鈴木強

    鈴木強君 どうもせっかく出された答申が空に浮いてしまって、たなざらしになっておる。また、臨調が三十九年に答申した中にも、やはり明確に改革意見というのは出てるんですね。それ時間がないから読みませんけれども、そういうものに対して積極果敢に解決するという姿勢がない。今度ひとつ各総裁からも伺いたいんですが、石田総裁がこの十九日に任期が切れるのでありますが、さらに再任なさるそうで御苦労さまでありますが、それについてはたいへんな決意を持ってお引き受けになっておるようですが、いまお聞きのように、非常に政府のほうとしても財政的な面においての欠点について心配されておるようですが、現在の公共企業体経営そのものに対しても、行管やあるいは臨調が言っておるように、もっと自治権というものを公社に与えて、思う存分やってもらうという姿にしていくことが正しいと思う、公共企業体である限りは。そういう中で、非常に古い欠陥のある、いうならば禁治産者的な形の中でこれから御苦労いただくんですが、いまの現状を総裁はどういうふうに把握されてこれからやろうとしているのか、その気持ちをぜひ伺いたかったのです。
  186. 石田禮助

    説明員石田禮助君) お答えいたします。  終戦前における国鉄というものは、日本の運輸関係においては全く独占的な地位に立っておった。これは実に現在と比べて変わっておるんであります。ところが、その後における情勢を見まするというと、道路の発達、運輸機関の発達によりまして、国鉄の独占性というものはだんだん、だんだん影が薄くなりつつある、この傾向というものは将来ますますひどくなると思う。そういうことのために、四十一年度から運賃を上げて収入の増を期したのでありまするが、その増のペースというものははなただ弱化してきている。増は増だが弱い。ところが、一方において経費というものは遠慮会釈なくふえていく。増は弱いし減は強いと、こういうことで両ばさみになって悪戦苦闘の状態になっているのが国鉄です。その間におきまして、過去における過小投資の累積の結果、これはもう国鉄というものは思い切ったことをやらにゃいかぬ。そうせぬというと国鉄というものは国の輸送機関としての任務を十分に尽くすことができぬ。いまのような幹線における過密ダイヤというものは、これはもう危険なる点においてダイナマイトを抱いて歩いている。ことに通勤通学のごときは、私が申し上げるまでもなく、これは全く交通地獄だ。この間に輸送の安全を期するためにはどうしたらいいかという、この輸送の安全の問題と通勤輸送の問題、それから幹線輸送の過密ダイヤの問題、この三つの柱を改善すべく立てたのが第三次計画でありまして、四十年からは約三兆円の予算をもって始めたんでありまするが、幹線のほうの輸送増強のほうは着々として円滑に進んでいると思いますが、問題は通勤輸送です。これは、われわれは将来の通勤需要というものを一年に百分の七と見たんであります。これは最近における団地のえらい勢いで建てられること、それからまた都市に対する人口の集中、この問題のために、百分の七増というのではこれはだめなんです。百分の九ぐらいでなければならぬ。あるいは百分の十ぐらいに見るということがほんとうじゃないかということで、第三次計画で立てた通勤輸送の改善というものは、五千九百億をもってやったのでありまするが、とてもこんなことでは問題にならぬということで、さらに千七、八百億を加えまして、約七千億でやっている。しかもこれをできるだけ促進していこうということでやったのでありまするが、問題は資金の問題であります。何せこの収入というものがわれわれが予想したほど運賃を上げても伸びぬ。この傾向というものは私はますます悪化してくると思う。経費の問題はいま言ったようにますますふえる。この資金が非常に苦しくなった。しかもこの通勤輸送のごときにおいては金が非常にかかる。しかもその収入の点におきましては、御承知のとおり非常な大きな割引をやっているためにはなはだ貧弱だ。とてもこれは利息のつく金をもってしては通勤輸送の増といったことはできぬ。どこからかそれでは利息のつかない金を持ってくる、こういうことなんです。そこでわれわれが考えることは、すでにこの問題は国鉄基本問題懇談会によってうたってあることです。要するに、問題は、政府の出資を求めるか、あるいは公共負担の是正を求める、こういうことなんですが、私としては、政府の出資を手を出して下さいと、こういうこじきのまねをやるよりはだ、公共負担という、これは当然われわれが要求し得ることなんです。御承知のとおり、公共負担というものは、政府の政策を国鉄の犠牲においてやっておるのだ。これが公共負担で、通勤通学のごとき、五割までの割引はよい、それ以上の割引だけで四十二年度においては七百五十億ぐらいの公共負担をしている。そのほかに農作物に対する特別割引、いわく何いわく何で、四十二年度における公共負担というものは八百九十億ぐらいになる。三十二年から今日まで国鉄が支払った犠牲、公共負担の犠牲というものは四十一年まで七千億ある。これが二、三年たつというと千億以上になる。しかも国鉄というものは公共体ということで、赤字線の経営をやっている。これが四十年度におきましては千四百億ぐらいの損になる。培養効果というものがありますから、こういうふうにはならぬが、やはり差し引いても千億ぐらいになる。これは国鉄が公共体なるがゆえに、がんばっても、政府に対して国に対して補助してくれということは私は言いたくない。まずもって、われわれは当然に要求し得るところの公共負担の是正だけはぜひこれはやってもらわなければいかぬということで、そういう意味でただいま大蔵省と交渉いたしまして、公共負担というものが、さっき申しましたように、四十二年度においては八百九十億ぐらいになる。これを全部ということは大蔵省としてもちょっとお痛いでしょうが、できるだけの範囲でこの是正をしてもらう、こういうことでまあ利息のつかない金を持ってきて、通勤通学の輸送その他についてできるだけ早くひとつ是正したい、こういうことに考えておる次第でございます。
  187. 鈴木強

    鈴木強君 国鉄投資が四十二年から六年までの五カ年間、三兆三千八百億ですね。これでは総裁どうですか、不十分ですか。  それから、あなたが就任されるに対して、政府の財政確保について条件をつけて、その上で四年間、たいへんだけれども二年間やるというような記事が出ておるのですけれども、そういう点に対していまおっしゃるように、公共性と採算性というものをどういうふうにもっていくかということがあなたの悩みであろうと思いますが、金が足りないことは事実なんであります。したがって、その金が、あなたがいま就任するに対して裏づけは、見通しついたのですか。
  188. 石田禮助

    説明員石田禮助君) ただいま申し上げましたように、私は公共負担の是正ということで大体の解決がつくのじゃないか。要するに、私は、四年の任期を終えまして、さらにひとつ留任してやろうということに決心しましたゆえんのものは、いまは国鉄というものは、ただいま申しましたような曲がりかどにきている。この曲がりかどにきておって、これを是正すべく大蔵省と交渉し始めたときに、いまさらグッドバイするということははなはだ私としては責任が相すまぬ。まずもって、この目鼻だけを、氷を破るだけのことをして、そうしてさようならするというならばさようならする、こういうことで私は留任した次第であります。この点については、私はそうむずかしい問題ではない。またこの公共負担の是正と申しましても、何も大蔵省にこれだけもってくれということではないのですよ。たとえば一番大きな問題は、通勤通学の問題なんです。八百九十億の四十二年度の公共負担の額の予定のうちでもって、七百億以上というものは通勤通学の割引、しかも五割を引いた上のやつが七百億、これは私はあるところへ来ましたら、やっぱり利用者負担ということでいくべきだ。ことに学生のほうのことは、これはどうもちょっと私は、まあひきょうですが、しかし、通勤のほうは、これは法人がだいぶん負担しておるのですからね。これはもう、ひとつできるだけやったらいいじゃないか。そうすると、そこに三百七十億くらいの金があるということで、まあうまくいくんじゃないか、要するに、二兆九千七百二十億というものの数字では、さっき申しましたようにわれわれの第三次計画というものは達成ができない。これはやはり私はふやしていかなければならぬ。ただ、そのふやしたにつきましては、今後の労銀の問題もありますし、物価の問題もありますからして、どのくらいということは申しませんが、いずれにしても第三次計画のあのもとの数字でもだめだ、相当にふやす必要はある、こういうことに考えております。
  189. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 さっき大蔵大臣のほうから、何とかしなければならない段階に来ているという話ですが、行政管理庁長官のほうは、制度的には現行どおりでかまわないと思うという答弁がありました。あまり自信はなさそうでしたけれども、そういう意味答弁がありましたね。いま総裁のほうからは、現状ではどうにもならぬ、公共負担の分だけは政府出資をあえてやってくれとは言わぬけれども、公共負担だけは何とかしなければいかぬという意味の御答弁があったわけです。そうなると、具体的には通勤通学輸送の点は値上げをするということになるのか。あるいはその分は政府としては政府出資の形でめんどうみようということになるのか。何としても抽象的な話では片がつかないわけでしょう。いままでの答弁は抽象的な答弁だけでもって何とかかんとか済ましてきたわけですけれども、問題がここまでくると、具体的にどうするかということになるわけです。だから具体的には、じゃ公共負担の分をペイするために値上げをする、通勤通学輸送等についても値上げをすると、——いままでも答弁の中ではやらないような答弁がありましたけれども、値上げをするということに踏み切るのかどうか。大蔵大臣としては、その点はどのように処置をされるのか。これは具体的な問題として御答弁願いたい。
  190. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 本年度の予算編成のときに、もうそういう種類の問題が全部出尽くしまして、しかし、さっき申しましたように、これは個々の問題として取り上げて解決すべきものじゃなくて、根本的にこれは討議すべき問題であるということで、両方で話がきまりまして、本年度の処置は、予算措置は一応全部両者折り合いの上でつきました。で、この懸案はそう長く置くわけにまいりませんから、来年度の予算編成までには運輸省と私どもの大蔵省で徹底的にこの対策を講じて、予算編成のときにまで間に合わせて解決しましょう、こういう相談になって、いまもうこの検討を両省でやっておるときでございますから、来年度の予算編成までには具体的な結論を私どもは出すつもりでおります。
  191. 藤田進

    藤田進君 国鉄総裁、まあ壮者をしのぐ声で、元気でけっこうですが、ただこのまま聞き捨てなりませんので、鈴木委員も持ち時間がございませんし、特に関連の発言を求めたわけですが、実は昨年の運賃値上げ、これが御承知の平均三割二分と、私もその委員の一人として審議に加わりましたが、その際、最終的な段階に総裁は病気と称して御出席になりませんでしたが、大蔵省とそれから国鉄との御主張が相当食い違いまして、運賃の値上げ期日がそのためにもおくれたわけです。その際に私も申し上げたわけですが、速記録であとはごらんいただきたいと思うのです。運賃を上げさえすれば収入が上がると、そういう根性でいかれても、旅行控え、その他メカニズムが相当変わってきているのですから、いわゆるオーナーもふえておりますし、といったようなことで列車、客車依存ということが変わっていることはいま御指摘のとおりです。で、そういう議論をしました。ところが、予想通り運賃収入は間違いがないという非常に強い発言をされて、それでは結果を見ましょうと申し上げたわけです。同様に、ここで法人負担等であるから、通勤、通学の運賃改定がもう目睫に迫っておるような感を受けるわけですけれども、これは一連の物価問題並びに管理価格の安定なり、ひいてはいま申し上げたソロバン合って銭足らずというようなことを勘案いたしますと、これは解決の方法としてとるべき私は策ではなしに、もっと縮小生産ではなく拡大生産といいますか、もちろん国全体の交通対策という総合的なものがなければなりませんが、この辺はひとつ国会に出せばまたうまく成立するだろうという安易な考えではならぬと私は思います。通勤をそう容易に上げられてもそれがすぐ法人に転化できるか、いわんや通学などに至りましては、学費は日に日に上がっていく現状ですし、いたしますので、この点は慎重なやはり検討を待たなければならないと思います。  どうも聞いておりますと、通学はさることながら通勤の割引は撤廃か、その他もっと縮めるようなことも言われている。さなきだに距離逓減制が非常に弱まりまして、長距離旅行者は鹿児島から東京とかいったように非常に負担がふえております。一等などの人はむしろ飛行機のほうがいいというのはいま評判なんです。ですから、運賃値上げについてはイージーゴーイングではなしに、この点十分御再考を願いたい。
  192. 石田禮助

    説明員石田禮助君) 運賃の値上げにつきましては、これはもうついこの間やったばかりでございますから、上げるにしてもこれは相当にかすに時を持ってしなければならない。さらに通勤、通学の問題でございますが、私はさっき割引率の是正というようなことを申しましたが、ちょっとこれはことばが足らぬのでございまして、いまのような交通地獄を継続するときにおいて通勤、通学の割引率を是正するということは、これはいかに勇気があるとしても私はこれはできない。ひとつかすに二年くらいの時をもって、輸送状態が改善されました時において初めてやる。しかもそれも一ぺんにやらないで徐々にやる。それまでしかし非常な金を食う、しかも大きな利息を払わなければならない。国鉄は今日においても約一日に三億有余の利息を払っている。であるからして、これらのものはすべて借金でやるということは利息の負担だけでたいへんなことになる。であるからして、あるいは大蔵省に対しましては今日まで公共負担において七千億の御奉公を申し上げているのだからこの際二、三年くらい——公共負担是正をやる前の二、三年、あるいは二年くらい前におきまして何か出資してもらうというようなことを考えなければならないんじゃないかということを私は検討いたしております。
  193. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、ここ一、二年は政府から金をもらってやって、そのあと運賃値上げというようなことを考えよう、こういうことですか、端的に言ったら。
  194. 石田禮助

    説明員石田禮助君) この通勤通学の問題につきましては、輸送状態が改善されました上で初めてやる。それからまた普通の運賃につきましては、四十一年度に運賃値上げをしたばかりでございますからして、これは上げるわけにいかぬ。上げてもいままでと違ってそれだけの期待ができると思っていない。要するに、国鉄というものは、いままで苦しいときには運賃値上げという救いの神様が控えておったが、近ごろはどうも御利益が少し弱化している。これはさっき申したようなことで私としては慎重にやりたい。ことに政府の物価政策というものをわれわれとしては考えなければならない。その間はあるいはできなければ大蔵大臣、大蔵省にお願いして何とか御奉公してもらいたいということも考えざるを得ないのじゃないかというように考えております。
  195. 鈴木強

    鈴木強君 それから電電総裁お尋ねしますが、先ほどからの大臣の話を聞いておりますと、非常に電電はよろしいよろしい、こういうお話なんですが、私は昭和四十七年度申し込めばすぐつく、どこでもすぐ通ずる電話、こういう計画を立てて推進されておりますが、これからの財政面を考えますと、そう簡単ではないですね、これは。ですからこの二兆六千六百億のこの投資額についても、むしろ発展計画ではなくして後退計画なんだ、私に言わせれば。それでひとつ電電総裁は、いまの長期計画を着実に実施しいく場合に、この経済計画に基づいてうまくいくのかどうなのか、その経営の実態とその問題について、ひとつ御説明いただきます。
  196. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) お答えいたします。  最初に、電電公社の経営の問題につきましてちょっと申し上げたいと思います。電電公社といたしましては、電報、電信事業と、それから電話事業を経営いたしております。で、電信事業につきまして、過去においてその合理化を進めるために、全国の三十局の中継いたしております、手動中継をいたしております局を、世界に先がけまして自動にいたしました。そうして経費の節減とサービスの向上をはかってまいりました。しかし、それでもこの電報の中で人件費が七〇%を含めておりますので、最近のベースアップその他支出のために、電報の赤字が昭和四十年度で約三百五十億円の赤字になっておる。これが一年間に三百五十億の赤字になっております。それから一方、電話につきましては、現在窓口にたまっております積滞が約二百万たまっております。なるほどこの絶対数におきましては、最近イギリスを抜きまして大きな数字になったのでありますが、何といいましても、日本は人口が多いために、いわゆる百人当たりの普及率で申しますと世界で十七番目になっております。したがって、私たちといたしまして、このたまっております積滞を、何とか早く積滞のゼロの状態に持っていきたいという希望を前々から持っております。ところで、この電話がだんだん農村とかあるいは住宅とかに普及してまいりますと、いままで大体月五千円で事業が成り立っておりますが、それが二千円以下の収入しかないというところ、か非常に多くなっております。しかも、電話が最近非常に積滞がふえて、申し込みが出てきたという理由は、結局、電話がガス、水道、電気と同じように、生活の必需品になってきた。これはまた一方、日本の民主主義の発達と非常に関係があるんじゃないか、といいますのは、昔は大家族主義でありまして、一軒に大ぜいの、おじいさんがいて、父がいて、子供がいる、十人もいたような家族があったのであります。それがだんだん四人くらいになり、あるいは三人に近づいてくる。そうなりますと、あるいは夫婦共かせぎということも必要になりましょうし、あるいは急に夜、子供が病気になったときに連絡するといっても、何か通信手段がなければだめだ、また一方、住宅が都心から離れてくるという、そういった生活環境の変化ということも、非常に大きな原因であると思います。したがって私たちといたしましては、この収入の構造変化の問題とそれから積滞をどうするかという問題につきまして、実は佐藤一郎氏を中心といたしまして、三十人の学識経験者にお願いいたしまして、電信電話調査会というものをやりまして、その答申を一昨年の九月にいただいておるのでありますが、その答申におきましても、昭和四十七年度末から申し込んだらすぐつける、全国即時化するという、こういう目標をやはり達成するのが必要であるという答申をいただいております。公社といたしまして、それに応じて、長期拡充計画というものを立てて、いま進めておる次第でありますけれども、先般経済社会発展計画の中で、先ほど御指摘がありましたように、これは年度が一年ずれておりますので、電電公社といたしましては、四十二年から四十七年までを考えております。経済社会発展計画は四十六年まででありまして、その間一年のずれがありますから、すぐ直線的に比較するわけにはまいりませんけれども、いずれにいたしましても、私たちはこの現在の電話の需要のよってくる日本の産業経済の効率化あるいは地域開発、あるいは先ほど申し上げました日本の民主主義の発達に関連する住宅電話の増加に対しましてどういうふうに対処するか、今後計画をつくっていきたいと思っておりますが、この二兆六千六百億の数字に対しましては、私も経済企画庁長官に答申の直前にお会いいたしまして、この数字では不満足であるということを申し上げた次第であります。
  197. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、公社が四十七年度申し込めばすぐつく電話というスローガンはむつかしいということになるわけですか。
  198. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) お答えいたします。  私たちといたしまして、これは理想として持っておる次第でありますけれども、四十三年予算の概算要求を九月前に郵政大臣に出すわけでありますが、その時点におきまして、第四次五カ年計画をつくりまして、その中でこの問題をはっきりさせたいと思っております。希望といたしまして、それを持っておりますが、資金の裏づけのない計画というものをつくってもしようがないのでありまして、私たちは、いままで計画をつくったら必ずそれを実現するということで進めて、またそういう実績がある次第でありまして、われわれといたしまして、第四次五カ年計画の作成時点におきまして、これをはっきりさせたいと思っております。
  199. 鈴木強

    鈴木強君 この四十六年末までですね、所要建設資金が四兆六千億必要だと、こういうふうに計画では言っておるわけです。したがってこれから見て、新しい経済計画はどうなるんですか、これはできないだろうということなんですか。
  200. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 先ほど申し上げましたように、一年のずれがありますから、そのずれをどうするかということが一つ問題として残ります。それからもう一つは、電電公社がつくりましたときには、経済の成長率を七・二%というふうに考えました。ところが、経済社会発展計画では、それが八・二%になっておりますので、したがって、いまのままでいきますと、電電公社は四十七年を意識しておりますけれども、四十六年の時点におきましては、約二百万ぐらい積滞が残ると思います。したがって二兆六千五百億の数字では、積滞がむしろふえはしないかという懸念を持っておりますが、なおしかしこの問題につきましては、今後通信というものが非常に変化する時点にあると思います。いわゆる電信電話のほかにデータ通信が出てきたり、あるいはまた、この前も別な委員会お答えいたしたんでありますが、たとえば加入区域を合併するというような質的な問題も起こってくるのではないか。そういうことを総合的に考えて、第四次五カ年計画の中でこの問題をきめようと思いますけれども、いまの二兆六千六百億円では足らない、非常にむつかしい。したがって私たちといたしまして、これでは満足できないということを申し上げておるわけであります。
  201. 鈴木強

    鈴木強君 問題はこの資金調達の点だと思うんですね。電報の赤字が幾らあるかわかりませんが、その資金調達が現状、いまの考え方の中でいいのかどうなのか。合理的な料金体系の確立ということも書いてありますがね、それらの点はどうなんですか。私は非常にむつかしいと見ているんですがね、資金調達は。
  202. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) いま資金の調達のお話がございましたが、現在電電公社が持っております借金が本年度のおしまいで一兆三千四百億ということになるんです。本年度の予算でこの収支差額は黒字の七十一億でございます。四十一年度予算では二百二十六億ございましたが、本年度の予算では、予算案に出しておりますのは七十一億。それからまた利子負担が本年度の予算、いま出しております予算で利子負担八百億、債務償還が三百五十億、ですから利子負担と債務負担を合わせますと、千百五十億の数字になります。それから、もう一つ、公社の場合には、加入者債券というものを、昭和三十五年に法律が直りまして、負担していただいておるわけでありますが、その償還が昭和四十五年になりますと約千五百億ぐらいになります。それから昭和四十六年になりますとそれが千八百億、さらに二千三百億と、こういうふうにふえてまいりますので、これは経済社会発展計画の中にも書いてありますように、料金問題につきまして、公社は過去において十四年間値上げしないで持ちこたえてきたのでありますけれども、今後これについて、いわゆる料金の値上げというよりも、むしろ修正をぜひお願いをしなければならない時点にきているんじゃないかというふうに思っております。
  203. 鈴木強

    鈴木強君 それでは時間が非常にないようですから、残念ですけれどもあと最後に一つだけ専売公社のほうにお尋ねしますが、私は、いまの専売制度というのは、指定小売り人のところまで配給しますね。そうしてあとは小売り人が売りさばいているのですが、小売り人まで持っていったら、その先はどうやろうと自由にしたらいいんじゃないかと思うのですが、この点はどうでございましょうね、改革する余地はないのですか。
  204. 東海林武雄

    説明員東海林武雄君) いまのお尋ねでございますが、小売り店から先を自由にしろとおっしゃるのでありますか。
  205. 鈴木強

    鈴木強君 ええ。
  206. 東海林武雄

    説明員東海林武雄君) それはいまのたばこの販売のあれからいきますというと、定価の問題もありますし、それから配給の統制上の問題もありますし、そういうようないろいろな面から考えて、私はある程度のやはり取り締まりが必要ではないかと、かように考えております。
  207. 鈴木強

    鈴木強君 私たちが小売り店に行って買えば、所有権はもう僕に移るわけでしょう。それをどうしようと、そこまで専売公社が一々何かひもをつけなくたっていいんじゃないですか。自由にしちゃいけないというその理由はどこにあるのですか。
  208. 東海林武雄

    説明員東海林武雄君) あなたが小売り店からたばこを買って、それを売りさばく場合は、これは違反になりますね。売るという行為でございますか、それでなく、ただあなたのたとえば……。
  209. 鈴木強

    鈴木強君 そう、百個買ってきて五十売るような場合です。
  210. 東海林武雄

    説明員東海林武雄君) 五十売る、売るということは認られておらないはずでございますね、それは。
  211. 鈴木強

    鈴木強君 それはどうして認めないのですか。
  212. 東海林武雄

    説明員東海林武雄君) それはいまの専売の定価法のあれからいきますと、それをかってにやられるということは困るということです。
  213. 鈴木強

    鈴木強君 だから、困るというのは、どこに理由があるのですか。
  214. 東海林武雄

    説明員東海林武雄君) ですから、その定価のあれが乱れると、それから流通機構からいきましても、そういうことはやらないようにという取り締まりをやっているわけなんです。でありますから、その販売——たとえはあなたが無償で譲渡される場合、これはかまわないと思います。販売するということは、いわゆる販売の行為というものは認められておらないわけですね。
  215. 鈴木強

    鈴木強君 現にやっているじゃないですか、旅館やそこらで一ぱい。現にあなた料理屋へ行ったら、たばこを出すでしょう。
  216. 東海林武雄

    説明員東海林武雄君) それはあります。それは取り次ぎをするだけで、販売とは認めておりません。
  217. 鈴木強

    鈴木強君 とにかく時間がないですからね。これはやはり検討する余地があると思うのですがね、これはどうでしょうね、大蔵大臣。
  218. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私どもの検討では、これは小売りから先は自由ということをやった弊害というものは、幾つかたくさんございますので、これはできないと、現行がいいという結論でございます。
  219. 鈴木強

    鈴木強君 たばこの値上げはしませんね。
  220. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今年度はしない予定でございます。
  221. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上で鈴木君の質疑は終了いたしました。  午後は二時十分再開することにいたしまして、これにて休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      —————・—————    午後二時五十二分開会
  222. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行ないます。二宮文造君。
  223. 二宮文造

    ○二宮文造君 私がいま用意してまいりましたのは、さきの衆議院における、いわゆる矢野発言に関する予算委員会会議録であります。この会議録を見ますと、わずか一ページ、四段にわたる部分の中で、九カ所の削除があります。それは、いわゆる字数を表示する削除ではなくて、発言の多少にかかわらず、一行の棒線で削除になっております。しかも、その手続を見てみますと、問題の発言のありました翌々日、三月二十五日に、衆議院予算委員長のこういう発言で削除になっております。「去る二十三日の矢野絢也君の発言の中には、世間に誤解を与え、議院の品位を傷つけることはなはだしい点がございます。不謹慎な発言があったと認められます。よって、委員長は、去る二十三日の本委員会における矢野絢也君の発言中、自由民主党国会対策費の使途に関する発言について不穏当の言辞があるものと認め、その取り消しを命じ、会議録より削除することにいたします。なお、削除の個所に関しては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御賛成の諸君の起立を求めます。〔賛成者起立〕起立多数。よって、さよう決定いたしました。〔発言する者あり〕」、こういう表示になっております。で、私、ここで、これは問題は衆議院の場でございまして、他院のことを云々するつもりは毛頭ございません。ただ、これを、やはり私も国会議員でございますし、これからの発言というものにつきましてもいささか勉強もしておかなければならない。また、この問題につきましてある学者はこう言っております。「矢野氏の質問は、全国民の強くいだいている疑惑を代表したもので、ひじょうに意義があると思う。」、中略します。「「党内の事情を公開する必要はない」といっていますが、それならそれで、議事録から削除するのはおかしい。私はいま、昭和十二年から十九年までの国会の議事録から、東条首相の戦争指導を研究していますが、いちばん困るのは議事録の削除が行なわれていることです。たとえば斎藤隆夫の昭和十五年の演説は、軍部のいちばん痛いところをついた重要なものですが、それが削除されている。国会の議事録から、ものを研究しようとする人間にとって、ひじょうに困る。今回の矢野氏の発言に対し、委員会に資料提出をしたくないなら、そう答弁すればよろしい、新聞にでも公表するのがよい。一方的に議事録から発言を削除するのは、国民の目をおおうことになり妥当でない。日本の国会は議員の言論の自由を制限する傾向が強い。これは感心しない。」、こういうふうな発言もございます。  そこで私は、将来の問題もありますし、また、過去の参議院の例も振り返りながら、若干この点について見解をお伺いしておきたいわけです。申すまでもないことだと思いますが、やはり全貌を明らかにする意味で、憲法の条文をここで読ましていただきます。憲法第五十一条は、いわゆる議員の発言、表決の無責任の規定です。また、憲法第五十七条は、その第二項に、「両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。」、このように規定がございます。すなわち、これは、国会議員の発言が最大限に尊重されることは、民主主義を基本とする憲法の要請であり、また、そういう国会議員の発言の尊重は、当然、発言の会議録への掲載を保障することによって、初めて全うされるものと理解します。そういう意味での憲法の規定と私どもは理解しておるのでありますけれども、参議院の法制局長の見解はどうですか、お伺いします。
  224. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) お答えいたします。ただいま御指摘の憲法第五十七条、これは、国会会議におきまして、つまり、本会議においての発言のことを規定しておりますが、ただいまお話しのとおり、国会の議員の発言を重んじるという意味においてつくられておる規定と理解いたします。
  225. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、もちろん国会議員といえども、その行動は議院の秩序保持権に服することは、これは国会議員として、あるいは院の秩序を保持する上において当然であります。そこで、国会法の百十六条あるいはそれを受けて参議院の規則では、第五十一条に、委員会の問題について、委員の立場委員長立場というものを、秩序維持として第五十一条に規定してございます。特に、その規則の中で、「委員が国会法又はこの規則に違いその他委員会の秩序をみだし又は議院の品位を傷つけるときは、委員長は、これを制止し、又は発言を取り消させる。」、こうなっておりますが、この項目は、参議院の場合はこの第五十一条の規則をどういうふうに解釈してよろしいのでしょうか、法制局長にお伺いします。
  226. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) 実は、ただいまのお尋ねの趣旨を、十分、私理解しないのでございますが、どういうふうに解したらというその問題の所在がちょっとつかめないのでございます。恐縮でございますが……。
  227. 二宮文造

    ○二宮文造君 失礼しました。問題を分けましょう。「これを制止し、」とこうなっておりますが、たとえば、また先ほど読みましたところを例に引きますけれども、あの二十三日の矢野氏の発言の中には、委員長は制止はありませんでした。むしろ、次の質問にお入り願いたいと、こういうふうに進行推進する側で、全然制止はありませんでした。また、その次、「取り消させる。」となっておりますことは、本人に促して取り消させるんでしょうか、あるいは委員長が一方的に取り消すのでしょうか。この二点です。
  228. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) 制止がございませんでしたということは、これはその委員会での事実の問題でございまして、この法規の意味するところとしてお答えする限りのことではないように存ぜられます。  それから取り消させるということが、委員長が一方的に取り消すのか、あるいは取り消しを命ずるのかという点になりますと、これは取り消しを命ずる趣旨と理解いたします。
  229. 二宮文造

    ○二宮文造君 参議院の委員会の先例によりますと、委員長から発言者にうながして、そうして取り消されたという先例は載っておりますが、そのほかに委員会ではそういう先例はなかったように私覚えているのですが、その点はどうでしょうか。
  230. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) この法どおりに取り消しを命じた場合はたくさんあるようでございますが、これは先例録には載らないようでございます。したがって、うながした例だけが載っておるわけでございます。
  231. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、両様に解されるわけですね。両様の解釈並びに運用があると理解してよろしいのでしょうか。
  232. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) そのように存じます。
  233. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、そういたしますと、もしも、委員長に取り消させる、そういう権限があるならば、また、先ほどの会議録に戻りますけれども、その範囲、取り消す範囲、そういうものも一方的に委員長が不穏当と認めれば取り消すことができるわけですし、そうなりますと、この委員会にはかって、そうして御一任願いたいという決議を受ける必要はないことになりますね。
  234. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) お答えします。  これは法上の要求といたしましては委員長の権限でございますので、どの範囲のところを不穏当と認めるかということは委員長が一方的にきめられます。したがいまして、その委員会にはかるということは、法上の要求としては要求されていないものと理解いたします。
  235. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういたしますと、そこで先ほどのような学者の心配が出てくるわけです。  発言者をうながして、そうして削除を求めるということが、そうしてまた委員長のほうから不穏当な個所を指摘してここを削除しなさいと、こういうふうに発言者にうながしていく、こういうやり方が処置としては非常に穏当であり、そうすれば発言者の趣旨というものは削除されることによって全体の部分の意思が抹殺されるというような危険は防止できると思うのですが、この辺のお考えはどうでしょうか。
  236. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) ただいまお尋ね事柄は、実は、法的にどうなるかという問題でございませんので、私からお答えいたしますことがはたして適当かどうか疑問と思いますが、一応お答え申しますと、いまお話のようなやり方をすることが適当であるということは申し上げられると思います。ただ、そのときの委員会の運び方その他によりまして、どこからどこまでをするということをはからなくても、おのずからどの範囲が不穏当と認められるか、あるいはどの範囲が問題になっているかということがわかるような場合もございますので、これはそのときその場合によりましての事情によって違うのではないかと存じます。
  237. 二宮文造

    ○二宮文造君 私はあくまでもここで心配しますのは、委員長の主観的な判断で不穏当な個所をきめてしまうということが、発言者の削除を要しない部分までの意思までじゅうりんしてしまうのではないか、こういう心配がありますし、そこにまた先ほどの学者の発言もそういうところにあるわけです。ですから参議院においては、今後もそういうことはないと私は確信をしております。しかし、規則でございまいますし、その解釈には二様ありますし、やはり、運用の問題として改善策というものも考えなければならぬのじゃないか、こう私どもは思うのですが、もしも、そういう運用の問題として改善する方法があるとすればどういう方法があるか、局長意見をお伺いしておきたい。
  238. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) これもお断わりするまでもなく、私がお答えする限界のことではないように存ずるのでございますが、同じような繰り返しになりますけれども、そのときの事情によりまして、運用上は削る個所をはっきりさせるような方法を講ずることは必要でございます。したがいまして、委員会の進行状況によって範囲のはっきりしないときには、その範囲のところを削ろうと思うというようなことがはっきりする手段をお講じになることが運用上は適当かと存じますが、これはどこまでも運用の問題でございますので、そのように御承知願いたいと存じます。
  239. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、本日のこの部分に関する質問は議長——あるいは議長は御席出願うことはとうていむずかしいので、事務総長に御出席を願って、運用面の改善策というものの御意見も伺いたい、こう思っておりましたけれども、都合で御出席がないようでございますので、問題は非常に大きな問題です。会議録という点あるいは議員の発言という問題、それからまた、委員長の権限という問題で、院の運営という問題から見まして、非常に大事な問題でございますので、またしかるべく議運の場所なんかをかりてこの問題は同僚委員の皆さんとともに検討をし、将来、あやまちがないように、また国民の皆さんからとかくの批判のないような方途で皆さんと一緒に勉強してまいりたい、こういうようにその場所にゆだねたいと思います。  なお、それに関連をするわけですが、次の問題に入ってまいります。  結局、先ほどの矢野発言という問題に返ってこなければならぬわけですけれども、あの矢野発言で問題になりましたのは、いわゆる自民党国会対策費という問題であります。そうして結局、その時点は、その場所においては矢野発言を速記録から削除し、事態の収拾をしたことにはなっておりますけれども、しかし、それがそのまま自民党国会対策費をめぐる疑惑そのものが落着したということではないことは、もう先刻皆さん御承知のことだろうと思います。すなわち、自民党国会対策費が四十年に一億四千五百十五万円、四十一年に上半期だけで一億四百二十万円にのぼっておる。そのこと自体に国民はあらためて驚きと、それからまたなぜという、そういう意味の理解を深くしたといわなければならぬと思います。で、その後の各紙の論調を見ましても、三月二十九日付の毎日の社説は「国対費問題の疑惑を解け」あるいは三月三十一日の読売紙のサイドライトという論評においては「ナゾの国対費」という標題がついております。さらには三月二十五日の読売の、これは解説だろうと思いますけれども「火がついた『国会対策費』」こういう取り扱い。さらに三月二十八日のサンケイの社説には、国対費の疑惑を解けと、さらに三月二十六日の毎日の論壇においては、国会対策費はタブーか、こういうふうなそれぞれの面からこの問題を取り上げまして、あらためて国民は疑惑とそれからまたそういう面の理解を深くしたわけであります。  で、従来国民が理解をしておりましたのは、政界を取り巻くいわゆる黒い霧というものが選挙に金がかかり過ぎる、そういうことに不可分な関係にあると、こういうふうに理解をしておったのでありますが、今回の問題が出まして、選挙ばかりでなく、国会対策にも金がかかり過ぎるという実情を国民の前にさらけ出したといわなければならないと思うのであります。で、それについての国民の多くの皆さんの意見は、いずれにせよ、公党によって支出された金である以上は、国民はその実態を知る権利がある。また公党である以上、自民党ないしはあるいはそれに疑惑を持たれるといいますか、からんでくるといいますか、そういう表現がよろしくないかもわかりませんが、関係する方面も国民の前にその実態を明らかにする今度は義務がある、こういうふうに理解することは大筋として一致した見解になっております。そこで私どもは、自民党がみずからの意思で適当な機会にその明細を公表されることが国民に対する、まして佐藤総理国民政党ということをよく口にされますが、その国民政党総裁であられる佐藤総理としてもそういう手段をとられることが国民の理解をなお深めることにもなる、こういうふうにも私ども思うのですが、総理の御所見をお伺いしたい。
  240. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま、国民から政治家に課せられた命題といいますか、いわゆる政界の浄化、また金の使い方、こういう問題についてこれを明確にしなければならない、まあそういう意味で、ただいまは国会対策費そのもの、この党で使っている国会対策費の御批判でございますが、全体といたしましていわゆる選挙制度調査会などもこれを取り上げて、政治資金規制というか、そういう問題と真剣に取り組んでおります。また私は、衆議院でいろいろな論議がかわされる、そういうことがやはり自民党自身の政権担当者といたしましても、また総裁といたしましても、こういうことについて十分の反省もし、また、自粛もしておる、こういう状況でございますから、私はいまあえてこれを公表しろと、かようには要求されないようですが、とにかく国民の疑惑というものをこれから後の問題として前向きの姿で解明するということをお誓いする、この方法が最も望ましい方法ではないか、かように私は信じている次第でございます。
  241. 二宮文造

    ○二宮文造君 前向きの姿勢でこれから先の問題として国民の皆さんにこたえていくと、そういうふうな総理の御意見を伺ったあとで、また先ほど、前に言われたことばを引き出すのもどうかと思うのですけれども、用意してきましたからそのままやります。  総理は、その説明の一端として、議員一人に十万円の足代を出しても一度に四千数百万円かかる、こういうふうにおっしゃっております。国民の側から言いますと、まあ議員は少なからぬ歳費をもらっておる、その議員が公務で動きますのに、公務を遂行しますのに別途に足代がかかる、それがなければ困るというようなこと自体が奇怪なことだ、こう国民は感ずるわけです。そういうふうな面の国民の疑惑といいますか、納得のできないこと、それを総理はどう説明されますか。
  242. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、いま言われるように、二宮君のように、適当な歳費は出ておる、かようにお考えになっておるか、また、現実にはなかなか苦しい状態だろう、自分たちも多くは望まないけれども、切り詰めましてもなかなか困難な状況だ、こういうような議員諸君の実生活を見ますると、私、所属議員の数、これはもう簡単な算術計算でございます、例にとった簡単な算術計算で申し上げたのでございます、だから、四百人おればそれは十万ずつ出したらすぐ四千万円になるじゃないか、これは簡単な算術計算の一つの例を引いたのでございます。  いま適当なる歳費、これはもう出ているのだと、かようにお考えになるか、また、今日の状態においては、私は議員諸君もたいへんな御苦労が多いのだと、かように思っておりますので、ただいまの歳費そのものについても心から同情を申し上げておるような立場にございます。  そのことと、ただいまの金のかかるということは違いますが、金のかかるというのは、一例として算術計算の例を申し上げたのであります。
  243. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、総理は、先ほどそのための政治資金の規制、政治資金規正法の改正もはかると、これから先の運営についても前向きの姿勢で検討していく、必ずこういうような誤解が生じないような、そういう方向に進んでいきたい、こういうふうな総理の御答弁のように私要約して受け取りました。  ここで自治大臣にお尋ねいたしますけれども、当面その総理の言われる政治資金の問題につきまして選挙制度審議会の答申がありました。それを受けまして、すでにその改正案が国会に提出される運びになっております。したがって、ここで大臣からその提出の予定、これは衆議院の段階におきましては非常にきびしく、大臣は自分できびしくその日取りをきめられまして、一日、二日のゆとりはごしんぼう願いたいというふうな前置きまでして五月の十二日と、こういうふうにおっしゃっておられました。いま伝えられるところでは、十九日ごろ、しかしそれも何だかただし書きがつきまして、それもあるいは延びるかもしれぬと、こういうふうな報道のように伺っておりますので、ここで明らかにしていただきたいのは、提出の予定はいつになるのか、さらに、答申を受けて今度の改正になり、その答申を尊重すると、こういう立場総理もあるいは自治大臣もたびたびおっしゃっておられるわけでありますから、この答申をどのように、各項目をどう受けて改正案を出されるのか、そういう点について御説明をいただきたい。
  244. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 一貫して、私、中旬を目途として提出いたしたいと、せっかく努力をいたしますとお答えいたしておるのでございまして、現在においても中旬に提出できることを目途といたしまして関係機関等と折衝を続けておる最中でございます。  それから各項目についてどうかということでございます。あの答申は、御承知のように、たとえば労組その他の団体についてはこれに準ずるというようなことがございます。それらについてはなお研究の余地がございます。  それから答申の中にはっきり出ておりまする問題は、そのまま法案に成文化いたしたいと考えておる次第でございます。
  245. 二宮文造

    ○二宮文造君 中旬といいますと、二十日ごろまでですが、その時点で事務的に差しさわりがない、現在の場合はです、いま大臣がおっしゃった中旬を目途としてということにさしあたり障害はない、こう理解してよろしいでしょうか。
  246. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) ただいまお答え申し上げました、労組をどう準ずるか、あるいは特定の政府関係金融機関の範囲をどうするか、あるいは公職選挙法の連座制の強化に関連いたしまして、相当な範囲の選挙運動を主宰した者の範囲をどうきめるか、これらは相当法制的にも研究を要するものがございますが、中旬を目途とする、それには何とか間に合わせたいと考えておる次第でございます。
  247. 二宮文造

    ○二宮文造君 くどいようですが、何とか間に合わせたい、間に合わせられる見通しですか、現在は。どちらなんでしょう、そのニュアンスは。
  248. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 私自身としては、何とか間に合わせる見通しをつけられと思っております。なお目下研究中でございますが、何とか間に合わせたいという念願を持っております。
  249. 二宮文造

    ○二宮文造君 あんまりこだわって恐縮なんですがね、大臣は、自身としては間に合う。それは間に合わせられない何ものかあるのですが。
  250. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 繰り返すようで恐縮でございますが、いまの労組の制限をどうするか、あるいは総括主宰者の範囲をどうするかというようなこと、たいてい間に合うとは思いますが、さらに法制的に詰めました場合に、なかなか困難な問題に当たるかもしれないという懸念を持っていながら、何とか間に合わせたいと存じておる次第でございます。
  251. 二宮文造

    ○二宮文造君 では、中旬に間に合うところが八分というふうに理解して次に進みます。  そこで、現在の政治資金規正法では、政党の支出について会計責任者から最初に支出を受けた受取人の領収書があればそれでいいことになっております。しかし、だからといって、一口に三千万、五千万、そういう大金が役職を持つ人の、その肩書を持つ人の一片の領収書で処理されていることは明朗でない、そういう意見が、これまた圧倒的であります。したがって、政治資金規正法の改正に関連して、政党の一定以上の金額の支出については、末端まで領収書を取って公開するようこれを義務づけたらどうかという意見がありますし、私どもこれには非常に賛成なんですが、大臣、どうでしょう。
  252. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 政党が責任のあるその機関に一定の政治活動を前提として資金を渡した場合、さらにその渡されたものの支出までを報告させあるいは公開させるというのは、政党活動からいっていかがかと存じておりまして、ただいまの御提案については消極的な考えを持っております。
  253. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、まだそういう機会に恵まれない、そういう意思はない、非常に消極的であると、こういうことなんですが、これは非常に税の問題と関連しましてこれまた国民が納得できないわけです。国税庁の長官にもおいで願っておりますので、ここで国税庁長官にお伺いしたいのですが、政治資金規正法あるいはそれをめぐる資金の取り扱いということについて、ここでもたびたび議論されたようであります。結論として、ばく大な金額が国会対策費として国会対策委員長ないしは党の役員に交付された、当該のものはそれぞれ政治活動のために支出されたことになっております。で、まあ先ほども議論がありましたけれども国民はなぜこういうばく大な国対費が必要なのか、こういう疑問もありますし、大体個人が一ときにこういうふうな大金を入手した場合、使った場合は、税務署は決して黙っていないと思うのです。おそらくその捕捉に向かって追跡調査もされるだろうと思いますし、また、その使い道がたとえ十万、二十万であっても厳重な調査がなされる、こう私は理解しております。そうすると、国会議員あるいは政党の場合あるいは政治家の場合、政治資金の場合は税法上の取り扱いが一般国民と違う。こうなりますと、どうもその辺、国民がまた理解がしにくいわけでございますが、国税庁長官はこういう場合にどういうふうな調査をされますか。
  254. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) お答え申し上げます。  政治家の方が、政治献金あるいは国会対策費など収入がありましても、それがすぐ直ちには所得にならないことは御承知のとおりでございます。個人資産の形成になるかあるいは私的な消費に用いられる、そういう形で個人に所得として帰属いたしますと、その段階で課税いたすことになるわけでございます。しかし、もちろん収入がありますれば、そこから個人の所得に帰属する可能性が強いわけでございますから、収入があったということについて、その収入に伴って支出がどうなったかということを調査することは、税務の調査上当然のことでございます。したがいまして、私どものほうといたしましては、各種の資料を集めまして、どういう収入があったか、それがどういうふうに支出されたかということを調査いたしまして、その結果、私的財産の形成になっておったりあるいは私的の消費に使われました場合におきましては、所得として帰属したものと見て課税する、こういう立場をとっておるのでございます。
  255. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういう調査をされた実例はありますか。
  256. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) そうした実例は、まだ数多くはございませんけれども、若干ございます。
  257. 二宮文造

    ○二宮文造君 ただその場合ですね、非常にその捕捉がしにくいと思うのですね。で、長官の御意見としては、もし先ほど私が提案しましたように、政治資金として流れてきたもの、それが末端の個人からも領収書を取り、そうしてそれを公表する、こういうようなかっこうになりますと、税の捕捉の上からは非常に公平を欠くといういままでの非難を防止することになりますが、これはどうですか。
  258. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) お説のように、そうした支出につきまして一括交付されましたものがその先々まで領収書がありますということになりますと、税務の調査上は便宜でございます。しかしながら、そういった事柄は、単に税務の上だけからそういうふうにしてもらいたい、あるいはそういうふうにしなければならぬということは必ずしも言えない。総合的な、全体的な見地で考えなければならぬこともあろうかと存じます。
  259. 二宮文造

    ○二宮文造君 この辺のことにつきましては、当委員会において同僚の鈴木委員からも前にお話がありました。その場合に、雑所得の、所得税法の百二十一条に基づいて雑所得として申告すると、使い残りがあって私的経費に使った場合は申告すると、こうなっておりますけれども、いまも申し上げましたように、非常に捕捉が困難であり、当局の立場としてはなかなかやりにくいと思うわけです。  そこで、自治大臣の質問にまた帰りますけれども、そういうふうな国民考えあるいは税法上の矛盾、それからまた税の行政の上での困難さというものを考慮した上で、将来そういう制度を開くということについても消極的でしょうか。
  260. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 現在は非常に複雑な個人の収入そうしてそれが政治に使われるかあるいは個人的な消費に使われるかというのが、個々の政治家の方々についてはなかなかこれを分けるということは困難ではないかというふうに存じております。ただ、先般大蔵大臣が自分の御私見として述べられた、政治家に一種の公的特別会計みたようなものをつくって、それで経理するというようなことになれば、その個人の中の政治的、公的会計と申しますか、そういうものについてある程度の届け出等を認めるということはあり得ると考えております。
  261. 二宮文造

    ○二宮文造君 現在改正が伝えられている政治資金規正法においても、なかなかいままで話題になってまいりましたような結論にはならないわけです。その点私ども非常に不十分で、もっと政治資金というものは厳格にすべきである、厳密にすべきである。もっと端的に言いますならば、政治に金がかかり過ぎるという現在の状況、それをなくすべきである。やっぱり元を断てば一番そういうことでははっきりしてくると、こういうふうな考え方、またその金の入り方、あるいは今度は、入り方だけじゃなくて、出先についても明確な一線を画さなければ、いま問題になっておるような政治資金にからむいろいろな話題というものはとうてい払拭されない、こう私どもは理解しておりますし、将来にわたってもこの問題は非常に大きな問題になってまいりましょう。時間もありませんから、次の問題に移ります。  特に公社公団の問題について御意見をお伺いしたいと思ったんですが、時間がなくなりました。行政の効率化というものは非常に大事な問題でして、予算が編成される前は、公社公団については新設を認めないという意見がある。ところが、その編成の事態においてはやむを得ず出てくる。終わってから今度はまた整理をする、こう明確な発言をされて、現在そういう経緯をたどって、八月ごろには整理統合すると、こういう目途で作業を進めると、こういうように言われておりますが、総理の御見解ですね、いまそういうふうに作業が進められ、行管庁を中心に作業が進められておりますし、総理自体も今度の選挙ではそういうことを公約として仰せにもなっておりますし、八月ごろにいわゆる次の予算に間に合うようにこの世論にこたえるだけのはっきりした線が出されるかどうか、この一点だけお伺いして次の問題に入ります。
  262. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま八月という時期について言われるように、次の予算編成までにと、こういうようなゆとりのあるお話のようにも聞きます。私もそういう意味お答えをいたしますけれども、とにかく臨調の答申を私ども尊重いたしますし、またこの種のものは整理統合されて効率化をはかるのはこれは当然だと、御指摘のとおりでございますので、さらに政府は一そう熱心に熱意を持ってこの問題と取り組む決意でございます。
  263. 二宮文造

    ○二宮文造君 次に、私は社会福祉法人の運営の問題ということについて若干の見解をお伺いしたいと思うものであります。と申しますのは、従来からも、あるいは国有地の払い下げの問題で、あるいは補助金の問題で、あるいは経理内容の問題でしばしば問題になってまいりました社会福祉法人日本ベル福祉協会の問題についてお伺いしたいわけであります。これは本院の決算委員会においても私ども若干質疑を展開してまいりましたけれども、きょうは総理もおられますし、補助金に関する問題でもありますし、またかつ身体障害者の福祉の問題にも関係してまいりますので、そういう一面を兼ね合わせて質疑を進めてまいりたいと思います。  まず、厚生大臣に。やはり監督官庁でございますので、厚生大臣から、このベル福祉協会の設立から今日に至る経緯を簡単に御説明をいただきたい。
  264. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 日本ベル福祉協会につきましては、この協会がろうあ者の福祉施設としてりっぱなものをつくりたいというような趣旨でもって発足したものであるということを承知いたしております。しかし、その発足から今日の運営に至るまでいろいろと曲折がございまして、資金的にも思うようにいってはいないようでありますが、とにかくこういったろうあ者に対する数少ない福祉施設としてりっぱに運営のできるようになってほしいと、私どもとしては思っておる次第でございます。  以上がこのベル福祉協会の設立の趣旨でございますが、今日いろいろと問題が起こっておるということも私は承知いたしておりますが、何とかそういったようなことを解消いたしまして、そうしてりっぱな福祉法人になっていただきたいと、かように考えております。
  265. 二宮文造

    ○二宮文造君 そのいろいろと問題になっている点をお伺いしたいわけですが、どういう点が問題になっておりますか、具体的にひとつ数字をあげてお示し願いたい。
  266. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 現在、ベル福祉協会には、事務当局の報告によりますと、二億五千万円程度の負債があると、こういうことを承っておりますが、それは建設費、設備費、土地代、計約四億五千万円の費用を要してあるということでございますが、これに対しまして国庫補助、自転車振興会補助、一般寄付金等の合計が九千八百万円及びマンション部分——御存じのことでございましょうが、そのマンション部分の売り上げが二億一千二百万円、合計三億一千万円の収入で、差し引き約一億四千万円の赤字があり、またこれを運営していく運営費、支払い利子等の赤字一億一千万円がさらに加わりまして、合計で現在二億五千万円の負債が累積しておる状況にあるわけでございます。このように負債が大きくなった原因といたしましては、期待いたしておりました一般からの寄付金が当初の見込みどおり集まらなかったこと等が大きな原因でございますが、さようなことでございます。
  267. 二宮文造

    ○二宮文造君 もっと問題になっておりませんか。では、いまの総括的なその御答弁の中から、もっとこまかく御答弁をいただきたいんですが、まず補助金が出されたのはいつか、どういう手続でなされたか。
  268. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 補助金が出されましたのは、昭和三十六年度の予算で三千万円計上したのでありますが、現実に出されたのは、これ繰り延べをいたしまして、三十九年の三月でございます。
  269. 二宮文造

    ○二宮文造君 あまりすらすらと御答弁いただけませんので、私のほうもちょっと時間が惜しいわけですけれども、要するに補助金、それからまた自転車振興会なんかの助成金、それからまた年金福祉事業団あるいは社会福祉協議会、そういうもののもろもろの借金があるわけです。そして、先ほど仰せになりました赤字の原因ですね、赤字の原因がそれぞれ証票によって突き合わせが終わっておりますか。私伺ったところによりますと、なお一億数千万円について証票との突合が行なわれていない、もう証票がないので突合のしようがない、こういうような話も伺っておるんですが、そういう社会福祉法人の運営というのがありましょうか。
  270. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) この協会についての経理状況につきましていま調べております。それで証票書類との突き合わせも鋭意やっておりますが、何ぶんにも資料がきわめて膨大なものでございますから、今日のところ全部の突き合わせは終わっておりません。しかし、できるだけ突き合わせを急ぎまして、できるだけ突き合わせてまいって、疑惑のないようなものにいたしたい、かように思っております。
  271. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣、ごらんになりましたか。この補助金が国から支出されましたときの有力な資料になりましたのに請負契約書がございますが、その請負契約書を大臣ごらんになったことがありますか。
  272. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 請負契約書はあるということでございますが、私はまだその現物は見ておりません。
  273. 二宮文造

    ○二宮文造君 私いま手元にありますので、お目にかけましょう、どうぞ。それをごらんになって、大臣どうお考えになりますか。
  274. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) ただいま御提示の工事請負契約書を拝見いたしました。とにかくこの契約書によりますれば、一応それは判こも押さっておりますし、契約書ではありましょうが、完全なる契約書というわけにはまいるまいと思います。
  275. 二宮文造

    ○二宮文造君 どこが不完全でございましょうか、ちょっと見て言ってください。
  276. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 日付が抜かっております。
  277. 二宮文造

    ○二宮文造君 何の日付ですか。
  278. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 多くの日付がありますが、もうこれここで私が申し上げなくても、御提示いただいたものでございますから……。日付がほとんど抜かっておると、こういうことであります。
  279. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、大臣にお伺いしますが、三千万円といえども血税ですよ。それが支出されます有力な資料になります請負契約書にその具備要件を備えてないような、そういうもので国費が支出されるという、その行政あり方が問題なんです。また、国費でこの建築費の補助をもらったということが有力な根拠になりまして、あるいは自転車振興会からの助成金だとか、あるいは寄付金とか、あるいは年金福祉事業団や社会福祉協議会の融資とか、そういうものがそれから積み重なってきたわけです。しかも、先ほど大臣がいみじくもおっしゃったように、証票書類が膨大になるほど——膨大になって突合しなければならないほど経理がずさんなわけです。それも百万円や二百万円じゃないのです。四億五千万円にわたって証票を突合しなければ帳簿の上からも何からも理解することができない、そういうふうな社会福祉法人を、監督官庁として、私どもが指摘するまで立ち入り検査もしない、こういうふうな行政指導のあり方について大臣はどうお考えになりますか。
  280. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 厚生省といたしましては、この社会福祉法人にいろいろの問題があるというようなことも聞きまして、その後どんどんと立ち入り検査もいたしまして、そして先ほど申し上げました証票書類等も収集をいたしまして、そしてできるだけその経理の正鵠と申しますか、それを期しまして、いま調べておるという段取りでございます。
  281. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣の答弁ですがね、だいぶちょっと説明のしかたに違いがありますよ。厚生省のほうから行かれたのじゃなくて、私も見学したいと、一緒に行ってくれませんか、この事情も聞かしてくれませんかということで、厚生省が初めてその証票を突合することに、私どものほうから指摘をしまして監督官庁として動かれたのですよ。その辺の事情は、大臣のもとにそういう報告がありますか。
  282. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) いろいろこの法人に問題があるということを承りまして、だいぶ前からこの調査は始めておるわけでございます。先生からお話があったという、少なくともそれよりだいぶ前から調べております。
  283. 二宮文造

    ○二宮文造君 大蔵省にお伺いしたいのですが、この問題の土地はかつて国有であったわけです。そして同じく社会福祉法人の楽石社という社会福祉法人が、福祉法人としての恩典を受けて、土地の払い下げを受けたのが、無断で転売されたということで、現在国は違約金を請求して訴訟を起こしておりますが、その間の経緯を説明願いたい。
  284. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は説明は受けておりますが、国有財産局長から正確を期する意味答弁いたさせます。
  285. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 本件につきましては、御指摘のように、楽石社に対しまして当初売り払ったのであります。昭和三十五年一月十日に楽石社に売り払い契約をいたしました。その後楽石社としては、本件の土地を社会福祉法人としての事業施設の用に供するように努力していたようでございましたが、結局資金面その他から、実際にはそれができ上がらないという状態のところで、同様の仕事をいたしております日本ベル福祉協会に対して転売をしたということになった結果、契約書によりまして用途指定をいたしました物件を契約の指定どおりに使わないという結果になりましたので、これに対しまして、契約の違反条項に従いまして、違約金の請求ということをいたしましたのでございます。違約金の請求にあたりまして、当初これを訴訟ということでなしに、支払いを求めたのでございますが、相手方の拒絶にあい、四十年の九月三十日に訴訟を提起し、自来訴訟が係属いたしまして、約八回の公判を開いて現在に至っておる状況でございます。
  286. 二宮文造

    ○二宮文造君 大蔵省が転売の事実を知ったのはいつですか。それから違約金の訴訟を起こしたのはいつですか。
  287. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 転売をいたしまして登記が移ったというのが三十八年の七月になっております。で、三十九年の四月ごろからいまの建設が始まったわけでございますが、私たちとしましてはその時点においてはその事実はわからなかったわけでございます。それを承知いたしましたのは、建物が建ち始めてからわかった状況でございます。訴訟を提起いたしましたのは、先ほどお答えいたしましたように、四十年の九月三十日でございます。
  288. 二宮文造

    ○二宮文造君 建物が建ち始めたのはいつですか。
  289. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 先ほど申しました三十九年の四月ごろから建ち始めたということでございます。
  290. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、手元に、ここに関東財務局長からの土地抵当権抹消登記嘱託書という写しを持っております。これは関東財務局長が、昭和三十九年八月二十一日、登記権利者は東京都新宿区戸山町一番地社会福祉法人日本ベル福祉協会、義務者は大蔵省、こういうことで法務局の渋谷出張所に嘱託書を提出されております。こういう事実は大蔵省では御存じなんですか。書類またお目にかけましょう。
  291. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 当初楽石社に売り払いました支払い代金は、五年間にわたっての延納になっております。その延納の支払いで、最終の期日が三十九年の八月十七日に終わっております。その支払いが終わりました結果、当時担保として抵当をつけておりました抵当権を抹消してくれという相手方の申し出によってこれを抹消した次第でございます。
  292. 二宮文造

    ○二宮文造君 この五年間転売してはならないという、契約担当官も同じく関東財務局です。用途指定をして転売してはならない、そういうふうな契約をしたその官庁が、契約に違反するような土地抵当権抹消の嘱託を、転売を受けた者から依頼されてそういうことをするのですか。契約したのは関東財務局、担当官は財務局長、そちらも関東財務局長、人は違っております。おかしいじゃありませんか、これは。
  293. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 国有財産の売り払いにつきまして、従来の手続を申し上げますと、この抵当権をつけるということは、いわゆる延納を認めたことに対する担保を徴求する、その担保として抵当権を設定しておったわけでございます。したがいまして、その担保は、延納の代金が完済いたしますと、それは支払いが終わりましたら担保を返すという、いわゆる担保の観点からのみ処理してきておったわけでございます。したがいまして、従来は代金の支払いが終わりますと担保は返す。しかし、いわゆる用途指定の期間がまだ残っておるという場合には、用途指定は当然ついておるわけでございます。ただこれは、決算委員会等において先生にも申し上げましたように、その後買い戻しの特約をするという制度を開きましたので、現在は買い戻しの特約というものは登記に付記されておりますが、その処理をいたしました当時は、先ほど申しましたように、売り払い代金を担保するということのみで担保を取ったわけでございますが、それが支払われれば全部担保を返す、そういう状況でございます。
  294. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういう論理が成り立つでしょうか。大蔵省は知らなかった、不当転売である。こういう意味で四十年に訴訟を起こしたのですよ。その前の三十九年に登記権利者を日本ベル福祉協会と認めたその抹消の嘱託書を出しているのですよ。そういうことはよろしいですか。
  295. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 非常に手続的な点になるのでございますが、実は、先ほど述べましたように、三十九年に登記が楽石社からベルのほうに移っておった、したがってその所有権はそのときベルのほうへ移っておるわけであります。その状態で抵当権の抹消を求めたわけでございますので、したがってその抵当権が完全なる所有権として返っていくというのはベルのほうに返っていったということで、これ非常に手続的には、結果的にベルに返っていったということに相なったかと考えております。
  296. 二宮文造

    ○二宮文造君 答弁にならないんじゃないですか、局長。私が申し上げたのは、国が四十年の七月に違約金の請求をしたと——不当転売であると違約金を請求したと。その前に、すでに日本ベルは正規の土地権利者であると、こういうように見て、同じ大蔵省の関東財務局から権利者と認めた嘱託書を出しているんでしょう。そこで大蔵省は、不当転売であると四十年に違約金を請求する根拠がなくなっちゃうじゃないですか。
  297. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 先ほど申しましたように、楽石社からベルへ所有権の移転登記があったのが三十八年の七月でございます。そこで、三十九年に支払いが終わりましたので、抵当権の抹消は、当然支払いが終われば、先ほど申しましたように、抵当権を解除するという措置は自然にとらざるを得ないということでとったわけでございます。ところが、その時期にはすでにベルの所有権に移っております。そこで契約違反の事実はすでに生じております。私のほうとしては、楽石社に対して契約違反の事実を問詰し、それに対して最終的には四十年に訴訟を提起するようになったわけでございます。そのほか、若干の時間はたっておりますが、相手方との話し合い等交渉を続けた結果、最終的に、相手方の支払いがないので、四十年に訴訟を提起と、こういう事態に相なっております。
  298. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういうようなことをおっしゃっても、昭和三十八年の七月の十一日に移転登記になっておりますがね。だけれども、そのときは延べ払いの最中ですよ。延べ払いの最中に、国が払い下げをして、用途指定をして、そうして転売ができない規定になっておる楽石社から日本ベル福祉協会に土地が移っちゃった。その時点がもうすでにおかしいんです。延べ払い中なんですから、しかも国は抵当権を設定しているんですから、その時点に明らかにならなきゃいけない。そこで、大蔵省とベルの代表者との間で話し合いがついたのか——同じ社会福祉法人だから差しつかえないと話し合いがついたと、こういうふうな理解がなされている面もあるわけです。ますますもって国は違約金を請求する論拠がなくなってくる。事情を理解した上でこういう措置がなされてきたんですか。それを、国会で問題になったから、あらためて問題になってから違約金を請求するようになった。楽石社はもちろん被害者の立場です。そういう事情を大蔵省は御存じでなければ、またそういう延べ払い中に所有権が移転してしまうような、そういう行政の、何といいますか、不的確さといいますか、そういうものをやっていたところに従来の国有財産問題があったわけです。この点は局長どうです、反省されませんか。
  299. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 延べ払い中に所有権が移転したということは事実でございます。ただ、私のほうとしては、所有権の移転登記が延べ払い中に行なわれたということは、実はその相手方の所有権の登記というものを常時取っておって監視しているというところまで従来手が回っておりません。したがって、この登記が移っているという事実は後になってこれを知り、まあがく然としたと申しますか、そういう事実なのでございますが、所有権の移転があったということを後になって知ったと、ただその前に、先ほどお話があったように、ベルと楽石社との間に、それを同じ社会福祉法人の用に供するために譲ってはどうかという話があったことは承知しておったわけでございます。しかし、それが最終的に、国が、売り払った売り主である国の用途指定の条項に違反して、無断で転売をし、そうしてそれが登記されるという事実までは承知していなかったわけでございます。
  300. 二宮文造

    ○二宮文造君 とにかくそういうことで、非常にこの問題はですね、釈然としないものを幾多かかえているわけです。補助金の問題にしましても、あるいは大蔵省のとった措置につきましても、局長の御答弁をそのまますんなりと受け取れる面はないと思うのです。私は非常に問題だと思いますし、もう一つさらに問題なのはこれの運営なんですが、厚生大臣、この日本ベル福祉協会はろうあ者の厚生施設としての授産場の設備も兼ね備えておりますが、その運営は従来どういうふうに運営なされてきたか、報告を受けておりますか。
  301. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 御承知のとおり、このベルというのは、三階以上がこれはマンションになっておりまして、二階以下がこれは福祉法人のろうあ者の訓練だとかそういったような施設に使っているのでございますが、その施設はすでに、三十名を定員といたしておりますが、これが満員となって、そうしてその施設としてはフルに働いているということでございます。
  302. 二宮文造

    ○二宮文造君 答弁する大臣も大臣なら、答弁させる私は局長がいけないと思う。なぜそういうごまかしの答弁をさせるようなサゼスチョンをなさるのですか。いままでのその授産場の運営がどうだったか、あなたも十分御存じのはずでしょう。ありのままの実態をなぜ大臣に言わないのですか。三十名になったのは、この間じゃありませんか。しかも、経理内容というのはめちゃくちゃじゃございませんか。帳簿もついてないじゃありませんか。渡す賃金だって授産場を通していないじゃありませんか。そういう運営はつぶさにあなた方御承知のはずです。なぜそれを大臣に報告をし、こういう運営でございます、したがってこれも改革しなければなりません、二億五千万の借金がある、これもこういう事情で起こったんです、もう弁済は不能でございます、また代表役員は、これこれのような異動をしております、したがって厚生省のほうから注意をしてもとの代表役員にかえさせました。しかも、その代表役員は、代表役員でない間も、代表役員としての小切手を使い銀行取引をそのままにし、代表役員をやめたのは昨年の十二月の三日ですが、三月の二日に銀行から解約されるまで代表役員としての名前を使ってやっている。これは役職の詐称じゃありませんか。あるいは理事会というものがあったって、理事会はほとんど決議されていない。そういうふうな運営であったということをつぶさに大臣に御報告なさい。しましたかどうか、局長答弁いただきたい。
  303. 今村譲

    政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。いまおっしゃいますようないろいろの問題の点につきましては、そこのたとえば何月に何人しか入っていなかった、四月一日にやっと三十人になったというふうな詳細なことについては申し上げておりませんが、経理内容につきましても、目下われわれは事務的に一生懸命にかちっとするようにという指導をしておりますということを申し上げてありますけれども、詳細、現実にはどういう賃金であって、どういうことであってという、そこまでは大臣には申し上げておりません。その点につきましては私ども手落ちだったと思います。
  304. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 関連して。いまの局長答弁では非常に不満です。はっきり言って、厚生省としては、この代表役員に対してだいぶん怒っているという話、こんな運営はないということですね、そういうようなニァアンスというものは大臣の答弁の中から一つも出てこない。非常におかしいと思う。いままで補助金を出してやってきた。それはろうあ者に対してのよき施設たらんとしてやってきたことだろうと思う。ところが、先ほど大臣の口から出たのは、三十名でしょう、満員になりましたと。満員にならなかった期間が相当に長かったんじゃないですか。わずか六名しかいないとか、十名しかいないということで運営されてきたことがなかったのですか。厚生省自体としては頭をかかえてきたことは間違いないでしょう。いま何とか再建に云々と言うけれども、ただすべきものはたださなければならぬでしょう。そういうところは一体どういうふうになっておりますか。
  305. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) ベル協会が、設立以来御指摘のような事態にあったということは、厚生大臣といたしましてもまことに遺憾に存じております。そこで、この協会につきましては、今後、私は先ほどからも申し上げておりますとおり、経理内容のただすべきはただし、負債等が累積しておりますが、これはでき得る限り当事者に対しまして善後措置を講じていくように厳重に警告を発しまして、そうしてほんとうに福祉法人としての役割りを果たしてもらうように指導し警告を発してまいりたいと思っております。
  306. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣が冒頭に答弁されましたように、この協会につきましては、全国のろうあ者がわれわれの会館ができるということで心から喜んでおったわけです。いまはそれらの期待が奈落の底に落とされているわけです。むしろ極言する一部のろうあ者は、われわれが食いものにされた、こうまで言っております。私どもはそういうろうあ者の叫びを聞きまして、なぜこういうふうな問題が起きてきたか、補助金の支出の仕方もずさんなら、それを側面から援助するような大蔵省のやり方もまずい。また、監督官庁でありながら手が入れられなかったという、そういう行政の問題、私は要するに現在の代表役員は適格でない、ろうあ者もそう言っております。退いてもらいたい、そしてほんとうに全国のろうあ者が心から望んでいたようなシステムに変えてもらいたい、運営に変えてもらいたいという幾つかの希望を私どものほうにもよこしております。私どもは、いままでのこの経理状況を見て、一億数千万円も、また何年も、三年も四年も前にさかのぼって突合しなければ帳簿関係、経理関係が明らかにならないというような運営をやってきた代表役員、そういう法人には私は法人としての資格はない。やはり、ここで解散命令を出して、新たな時点において、新たな役員構成、そして厚生省の厳重な監督のもとに設立の趣旨のようなろうあ会館としての趣旨に再建すべきであると思いますが、これらの点については厚生大臣、いかがですか。
  307. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 現在のベル協会の、何と申しまするか内容が、非常に借金が多くて、そうして非常に難渋をしておるということにつきましては……。
  308. 二宮文造

    ○二宮文造君 乱脈ですよ、難渋じゃありません。
  309. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) ……となっておりますことにつきましては、私も非常に遺憾でございますが、当事者が、理事者がこれを何とかして立て直そうと、こういうように苦心をしておるというような事態にありますし、先ほどから御指摘のありましたとおり、巨額の負債というものもありますので、その負債をそのまま残しましてこれをすぱっと措置をとるということもいかがなものかと思いますので、厚生省といたしましてはこれは監督を厳にいたしますけれども、理事者が責任を感じられて、そしてこの措置をやる、何とかして善後措置をやって、そうしてりっぱなものに立て直すというような気持ちになってもらいまして、そうういふうに厚生省といたしましてもこれを指導警告を厳重にして監督をしてまいりたいと思うのが私の今日の心境であります。
  310. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣、これは代表役員の会館なんですか、対象になるろうあ者のための会館なんですか。いかにも大臣のお話を聞いておりますと、役員個人の問題の面に非常にカバーされて、会館そのものが、運営そのものが従になっているような感じがするんですがね。大臣のいま答弁されたような事態では改善されませんよ。改善できる自信がありますか。
  311. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 福祉施設そのものは、これは現在のベル協会について申し上げますならば、これはろうあ者のための施設でございます。そのろうあ者のための施設をつくってこれを運営していくというのは、これは理事者のやる仕事でございまして、理事者が今後反省いたしまして、そうしてこれを立て直すために努力をしていくという決意をいたしております以上は、厚生省といたしましては、できる限り、現在、その理事者当時にできた借金でございますし、そういったようなものをこれを措置していくために、厚生省といたしましては厳重にこれを監督指導いたしていく、こういうつもりでございます。
  312. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この問題も詰めに来たように思うのですけれども、これは今後いまの厚生大臣の話からすると、何か政府のほうでさらに補助をするというような追い打ちをするのか、それとも人心一新をはかってやっていくのか、その辺のところが非常に大事だと思う。入れものがよごれているところへ新しくやっても無理な話で、そこで、それについては最終的に補助金その他について政府の最局責任者である総理からお答えいただきたい。
  313. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ベル福祉協会についてのお話でございますが、もともと、先ほど来説明しておりますように、この恵まれない心身障害者、ろうあ者に対する数少ない福祉協会でございますから、その設立の本旨に返りましてこの目的を達するようにするのが私どもの仕事だと思います。ただいまいろいろ善後措置についてどういうようにするだろうか、こういうことでお尋ねがございます。いまここで問題になったばかりでありますので、この際に善後措置の具体的なものを言えと言われましても、これは私は無理だろうと思いますので、その善後措置につきましては十分皆さん方の御意見等もすでに述べられたのでございますから、それらを勘案いたしまして至急に善後措置を講ずることにいたしたいと思います。
  314. 二宮文造

    ○二宮文造君 総理答弁でございまして、私、個人攻撃になる部面は極力自制しまして、ほんとうに個人の感情とすれば、もっと激しい、もっと事実をここで出して、関係大臣あるいは同僚議員の方に、われわれ議員としてこういう問題に反省をしなければならぬ、そういう意味で素材は幾つも持っております。しかし、個人攻撃にわたる面は自制をいたしました。しかし、厚生大臣がおっしゃったような考え方でこの問題は処理できません。すでに一億数千万円突合できない金額があるのですから、膨大な資料とおっしゃいましたけれども、資料がなさすぎて突き合わせできないんですよ。膨大にないんですよ。そういうようなうらはらな答弁を大臣はされて、私もそれをのみました。しかし、もう時間がありませんし、言い捨てみたいな形になりますけれども、個人としてはふんまんやる方がない。そうして、その背後には全国に数十万と言われるろうあ者が自分たちの会館、そういう期待を持って今日まで来たものが、もうすでに何々会館、個人名を付した会館と別名にされて、出入りも不自由だ、われわれの会館ではない、こういう気の毒な状態にあるわけです。ですから、総理から急速に善処するという答弁がありましたから、それを理解します。しかし、大蔵省の先ほどの問題、あるいは補助金支出の問題、それらについては、まだまだ今後の問題として例証しなければならないたくさんの問題が出てまいります。委員会で、これは一つの例として、各種委員会におきまして、政府行政の姿勢を正す一助にもしてまいりたい。重ねて今度は大蔵大臣に伺いますが、先ほど鈴木委員が言ったように。入れものが腐っている中に、その腐った入れものをそのままにして、国民の血税を流し込まないようにしてくださいよ。これだけは確約してください。
  315. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 補助の対象になるものにそういうきずがあるという場合に、安易な補助というものは私どもはやる気持ちはありません。
  316. 二宮文造

    ○二宮文造君 総理、先ほどの請負契約書、あれは見ていただいたと思います。ああいうことが補助金の支出の場合にまま行なわれておるわけです。ですから、補助金の支出についてやはり具備要件を備え、あとから振り返って国民から誤解を受けないようにひとつ厳格に指導していただくことを総理のほうから御答弁をいただきたい。
  317. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの二宮君の発言は、閣僚諸君も全部そろって聞いております。私も全く同じ考え方でございますから、十分実務の担当におきましてあやまちがないようにこの上とも注意をしてまいります。
  318. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上で二宮君の質疑は終了いたしました。  次回は明日午前十時開会することといたしまして、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時二十七分散会