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1967-05-08 第55回国会 参議院 予算委員会 第8号 公式Web版

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  1. 昭和四十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議 (会議録情報)

    昭和四十二年五月八日(月曜日)    午後二時二十五分開会     ―――――――――――――    委員異動  五月八日     辞任         補欠選任      任田 新治君     船田  譲君      青柳 秀夫君     熊谷太三郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         新谷寅三郎君     理 事                 白井  勇君                 西田 信一君                 日高 広為君                 平島 敏夫君                 八木 一郎君                 亀田 得治君                 小林  武君                 鈴木 一弘君     委 員                 井川 伊平君                 植竹 春彦君                 大谷 贇雄君                 梶原 茂嘉君                 熊谷太三郎君                 小林  章君                 小山邦太郎君                 内藤誉三郎君                 林田悠紀夫君                 二木 謙吾君                 船田  譲君                 宮崎 正雄君                 山下 春江君                 吉江 勝保君                 吉武 恵市君                 北村  暢君                 小柳  勇君                 鈴木  強君                 瀬谷 英行君                 羽生 三七君                 藤田  進君                 矢山 有作君                 山本伊三郎君                 吉田忠三郎君                 小平 芳平君                 向井 長年君                 春日 正一君                 市川 房枝君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  田中伊三次君        外 務 大 臣  三木 武夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        文 部 大 臣  剱木 亨弘君        厚 生 大 臣  坊  秀男君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        通商産業大臣   菅野和太郎君        運 輸 大 臣  大橋 武夫君        郵 政 大 臣  小林 武治君        労 働 大 臣  早川  崇君        建 設 大 臣  西村 英一君        自 治 大 臣  藤枝 泉介君        国 務 大 臣  塚原 俊郎君        国 務 大 臣  二階堂 進君        国 務 大 臣  福永 健司君        国 務 大 臣  増田甲子七君        国 務 大 臣  松平 勇雄君        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        内閣総理大臣官        房臨時在外財産  栗山 廉平君        問題調査室長        行政管理政務次        官        北畠 教真君        経済企画政務次        官        金子 一平君        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        経済企画庁水資        源局長      松本  茂君        科学技術庁長官        官房長      小林 貞雄君        科学技術庁研究        調整局長     高橋 正春君        法務省刑事局長  川井 英良君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        外務省国際連合        局長       服部 五郎君        大蔵省主計局長  村上孝太郎君        文部省初等中等        教育局長     斎藤  正君        文部省大学学術        局長       天城  勲君        文部省体育局長  赤石 清悦君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省児童家庭        局長       渥美 節夫君        厚生省援護局長  実本 博次君        農林政務次官   久保 勘一君        農林大臣官房長  檜垣徳太郎君        農林省農政局長  森本  修君        水産庁長官    久宗  高君        通商産業省貿易        振興局長     今村  曻君        通商産業省石炭        局長       井上  亮君        通商産業省鉱山        保安局長     中川理一郎君        中小企業庁長官  影山 衛司君        運輸省海運局長  堀  武夫君        海上保安庁長官  亀山 信郎君        労働省労政局長  松永 正男君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君        自治省選挙局長  降矢 敬義君        自治省財政局長  細郷 道一君        消防庁長官    佐久間 彊君    事務局側        常任委員会専門        員        水谷 国一君    説明員        日本学術会議会        長        朝永振一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和四十二年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、任田新治君が辞任され、その補欠として船田譲君が選任せられました。     ―――――――――――――
  3. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 昭和四十二年度一般会計予算昭和四十二年度特別会計予算昭和四十二年度政府関係機関予算、  以上三案を一括して議題といたします。  まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  総予算案審査のため、明日、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  なお、出席を求める時間及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) それでは、質疑を行ないます。山下春江君。
  7. 山下春江君(山下春江)

    山下春江君 私は、福祉国家建設を理想とされる政府に対しまして、社会福祉の見地から二、三の問題をお尋ねいたしたいと思います。  敗戦以来二十一年国政を担当してきた自由民主党は、人類普遍の原理である国民福利増進のため、大いに貢献され、現在も努力を続けておられることに対して、まず深く敬意を表するものであります。  いまさら申し上げるまでもなく、福祉国家建設基本理念は、憲法二十五条に示された国民生活権、すなわち、健康で文化的な生活の営みと言えましょう。しかるに、日本現状では、国民の積極的な健康増進対策が見るべきものがありませんために、ついに病人はふえまして、その対策のための多額の支出によって、国民家庭生活あるいは国の財政を脅かしておりますし、他方また、アメリカや西欧の文化生活を未消化のまま急激に取り入れ、過度の追求に伴いまして、生活環境は著しく破壊され、その弊害、特に騒音、大気、河水の汚染、交通禍その他の公害等がひどくなり、国はこれらの対策に追われて、大衆福祉につながる、きめのこまかい社会福祉予算は、著しく圧迫を受けているのであります。四十二年度の予算も、社会福祉費はわずかに六百三億円で、対一般会計比で一・二%、社会保障関係費総額は七千百八十一億円で、対一般会計比で一四・四%、社会保障関係費総額に対する社会福祉の比率はわずか八・四%にすぎません。その上、六百億の社会福祉費の大部分ば、施設建設費あるいは運営等に要する費用で、国民大衆福祉につながる地域社会福祉に使われる予算は微々たるものでございます。  こういう状態にありますので、大衆福祉に密着する仕事は何があるかと検討してみますると、まずあげられることは、この少ない予算の中から大きな足あとを残しておるものの中に、民生委員制度があります。敗戦直後、夫に戦死され、恩給は打ち切られ、子供をかかえて、とほうにくれて、親子心中をしようとする未亡人を助けて立ち直らしている様子に強く打たれた結果が、母子福祉年金の生まれた原因とも考えられる点があるのであります。ことしは、わが国民生委員制度が創設されましてからちょうど五十年に当たります。半世紀にわたってこの激動の激しい社会にあって、わが国の、しかも、社会福祉制度がきわめて不備であった状態の中で、民生の安定のために果たしてきた役割りは、高く評価されなければならないと思います。この意義深い年に際会し、民生委員みずから反省して、正すべきは正す活動強化要綱を策定しようとしているのでありますが、政府は真剣にこの制度の育成をはかる気持ちがおありになるかどうか、総理大臣に伺いたいのでありますが、御出席がございませんので、厚生大臣からお答えを願いたいと思います。
  8. 国務大臣(坊秀男君)(坊秀男)

    国務大臣坊秀男君) 佐藤内閣人間尊重理念から申しまして、社会保障というものが非常に重大なる政策であるということは、私どもといたしましてもこれを痛感いたしまして、その充実整備に鋭意努力を重ねておるわけでございますが、御指摘のとおり、今日の日本社会保障というものは非常にまだ欧米の各国に比べて立ちおくれておるという事実は、これは否定できないことでございまして、そのために、医療保障の、何と申しますか、根本的な立て直しを目ざしておるわけであります。それからまた、年金制度等におきましても、まだまだ成熟をしておりませんし、それから児童手当といったようなものが欠けておるといったようなこともございまして、十分ではございません。それから老人福祉児童福祉といったようなものだとか、あるいはまた、生活保護格差の是正といったようなことについても、これは大いにこれから力を入れてまいらなければならないと思っておりますが、御指摘民生委員でございますが、今日、日本経済社会の発展の実情から申しまして、民生委員のお骨折りに期するところが非常に私はふえてまいったと思っております。いろいろなことで、経済に応じまして、たとえば幼少年といったような人たちが故郷を離れて、そうして都市に仕事をするために勤務するとか、あるいは出かせぎをやるといったようなことが、これは経済情勢に応じてそういうことが起こってきておるのでございますが、そういったように、幼少の身をもって親元を離れて、そうして仕事をしておるとか、あるいはまた、出かせぎのために家を留守にするといったようなことがあるのでございますから、そういったような間隙にいろいろの問題が生じまして、こういったようなものにつきましては、これは民生委員方々のお骨折りによってこの問題を、できるだけそういったような問題をなくしていこう、こういうような点から申しましても、私は民生委員方々に期待するところが非常に大きいものがある。四十二年度におきましても、民生委員方々に対して、それぞれ政府といたしましても措置をいたしておるような次第でございますが、御指摘のとおりで、五十年になり、十三万人ですか、十二万九千何人という方々に対しましては、これからさらに政府としては、いろいろなことをお願いを申し上げなければならない。したがって、これに対するいろいろな政府としての措置も考えてまいらなければならない、かように思っております。
  9. 山下春江君(山下春江)

    山下春江君 民生委員制度に対して厚生大臣の現在及び将来に対する非常に強い御意見を聞きまして、非常に安心をいたしました。いま大臣がお述べになったように、日本産業、それから人口構造の変化、そういうものに伴いまして、出かせぎ、たとえば今年初めの選挙の際に、たとえば新潟方面などのような豪雪地帯に行ってみますると、あの屋根の上の雪おろしをしておる者は全部、ほとんど一人の例外もなく婦人であります。ああいう丈余の雪が屋根の上に積もっておる中で雪おろしをするということは非常な、都会の人にはもうほんとうにおそろしくて見ていられないような光景でありますが、その雪かきをしている婦人たちの顔も、何となく暗い感じを与えるのでありますが、これは出かせぎに主人が行っているということの証拠であろうと思いますが、そういう出かせぎの問題、あるいは集団就職の問題、そういったような勤労青少年問題等に対しまして、何としても、あたたかい手を差し伸べることが足りませんので、ともすると、さびしさに耐えられなくて転落するという青少年不良化の問題も起こってくるわけであります。これらの悩みごとや一般住民のよい相談相手になって活動しているいわゆる心配事相談所は、これまで全国で七百二十カ所でございましたが、ことしはそれが千二百カ所になりまして、これはたいへんありがたいことでありますが、しかし、これではやはり絶対に足りませんのでございますから、少なくとも全国市区町村に一カ所はぜひ置いてもらいたい。それから都会の場合は、人口五万人について一カ所必要だと思いますが、ことし以降、三カ年計画ぐらいで、いま申しましたように、全国市町村に一カ所、それから都会人口密集地では、五万人に一カ所、そういうようなこの制度設置普及をやる御決意大臣におありでございましょうか、どうでしょうか、承りたいと思います。
  10. 国務大臣(坊秀男君)(坊秀男)

    国務大臣坊秀男君) 御要望心配事相談所、これを全国市町村に一カ所、五万以上の区域に一カ所、こういう御要望でございまして、これを何年かかかってやる決意があるか、こういうお話でございますが、私は、事柄の性質にかんがみまして、でき得る限りこういったようなものはふやしてまいらなければなるまいと思っておりますが、いずれにいたしましても、これは財政当局その他ともよく相談をいたしまして、できる限り御趣旨を体しまして、そういうふうに努力をしてまいりたい、かように考えます。
  11. 山下春江君(山下春江)

    山下春江君 この心配事相談所――生活相談所と申しましょうか、心配事相談所は、一カ所にわずか四万円の国庫補助が出ておるのでございますが、そして、あと地元負担が、県が四万、設置場所が四万、そういうことでございますので、まことに少額補助でございますので、少額補助打ち切りのあおりを、この民生委員心配事相談所も、その少額補助のワクに入れられようとしておるようなわけでございますので、少なくともこの民生委員というのは、一体こんな少額で何ができるかといいますと、私はこの民生委員の中で非常に感心な、ほんとに地域を明るくしてくれた民生委員の実際の姿を知っておるのでありますが、ことしはその民生委員の五十周年だから、こういうだれにほめられなくてもほんとう自分の使命としてやるようなこういう人を表彰したいと思いましたが、遺憾ながら一生懸命働きながらさびしく死んでいって、もう間に合わない人もあるのでありますが、この民生委員人たちが神さまのようにいわれているが、一体どういう方法でやっているかと思いますと、ある一人の民生委員未亡人でございまして、長男の男の子が一人あります。その男の子は学校の先生でありますので、その生家より非常に遠いところに就職している。そのせがれ留守の間は、お母さんが財産を管理しておりますので、たんぼからお米が十五俵入るのですが、せがれには十俵しか入らないよと言って、五俵を民生委員運動資金に使って十七年やっておりました。したがいまして、私が先ほど申しましたどうしても五十周年の式典に表彰してもらいたいと思いましたが、その人は急にやめてしまいました。なぜやめたかと調べてみますると、民生委員は手ぶらでは何にも人さまのお役に立つことはできません、私はせがれにうそを言うことはよくないと思ったけれども、しかし人さまのために尽くすのだからきっと許してくれるだろうと思って、十五俵入るのを十俵しか入らないと報告して、この五俵を民生の安定のために使ってきた。せがれが帰ったので、財産せがれに渡さなければならないので、それができなくなったから、もう私は民生委員という肩書をちょうだいしていても、りっぱな仕事ができないのでお返しをいたしました。こういう答えでありましたが、このように民生委員仕事というのは全く世間に知られない隠れた仕事ではありますけれども、しかし、戦後のあの混乱期などにこの制度がもしなかったらと考えるときに、ほんとにたいした仕事をしてくれたものだと思うのでありますが、この民生委員の何と申しましょうか心配事相談所、そこに対して少なくとも国庫補助を十万円に引き上げる、そうしますと地元が十万円、県が十万円ということになりますから、要するにこの一事務所が三十万円ということになるわけでございますが、厚生大臣財政当局とも相談をしてということでございますから、厚生大臣にここで三十万円に引き上げてこの役所を活用してくださいと申し上げましても、なかなか的確ないますぐにお答えはいただけないと思いますが、しかし、そういう少額補助でこれだけのりっぱな足跡を残した、役人の方と違いまして、これらの人々はほんとに国民の困っている人たちのはだに触れたあたたかい指導をしてまいりました。そのことが非常なりっぱな実績を残しておると思いますので、この事務所少額補助のために整備されるようなことがないように、何とか国の補助を十万円、全額で三十万円ということに補助を引き上げたいと思いますが、この点に対して厚生大臣の御決意はどうでございましょうか。
  12. 国務大臣(坊秀男君)(坊秀男)

    国務大臣坊秀男君) 御指摘のように、民生委員仕事というものは、非常に大事なものでございまして、これに対して現在の実費弁償などというようなことは、これはもうほんとうお話にならぬものであるということは、私も痛感しております。ところが、これを現在三十万円を厚生大臣決意して要求するかどうかというお話でございますが、厚生省全般予算というようなものも、これ総合的に考えていかなければなりませんし、今日この席でもって何十万円を実現するのだということをお答え申し上げるわけには私はまいりませんけれども、いずれ次年度の予算折衝に際しましては、私といたしましてはでき得る限りのことをしてまいりたい、財政当局にもぜひお願い申したい、かように考えておる次第でございます。
  13. 山下春江君(山下春江)

    山下春江君 全くきょうまでこういう民生委員とは何をしているものか、民生委員制度やそのやってきた仕事を全然国民の方によく知られないで、その足あともよく知られないでやってきた人たちでございますが、そういう非常に長い、ほんとうに半世紀にわたってこの仕事を積み重ねてきております人たち仕事をする事務所でございますから、いま大臣がこの席でそれを承知したとは言えないということでございましたが、ぜひひとつ財政当局でも、日本の最低の線といいましょうか、非常にこの民主委員人たちによって行なわれております、たとえば世帯更生資金というようなものも、いまや百三十九億ぐらいになっておると聞いておりますが、これも役所の銀行からすべり出たお金と違いまして、ほんとうにあたたかい配慮がもう隅々に行き渡ってその金が出されておりますので、これが世帯更生の原動力として非常に大きな力を出しておりますことを考えましても、ぜひひとつ大臣のいまお答え願いました程度でよろしゅうございますけれども、どうかひとつこういう下積みの、しかも民生委員人たちは、いま私が例を申しましたように、大体そういう人は、五俵お米で済む人にはお米で、お米で済まない人には、お金にそれをかえてというようなことでやってきたことを、金額に見積もればどうなりますかわかりませんが、私の調べたところでは、大体の人がみんな数千円から一万円ぐらいを自分の私財を持ち出しておるということが現状のようでございますので、これこそ政府多額の金を必要としないで民生の安定のために非常に大きなささえになっておると思いますので、ぜひ大臣のいまお述べになったような情熱を持って、この制度が育成発展いたしますことを私は強く希望いたしまして、民生委員の問題につきましては、この程度にいたします。  次は、民間社会事業の飛躍的な振興対策についてお尋ねをいたします。  日本民間社会事業は、現在職員の質が低下し、極度の過労におちいり、定員の充足に非常に苦労をしておるのが現状であります。それは待遇が悪く、特に定期昇給制度もなく、退職後の共済制度もはなはだ貧弱であるためであろうと考えられます。その上に多額の借金を背負って、その返済に日夜苦労しておるというのが現状でございます。政府はこの危機に直面している日本民間社会事業重要性を認識して、抜本的振興対策をはかる必要があると考えますが、厚生大臣はそういうことについてどうお考えでございましょうか。
  14. 国務大臣(坊秀男君)(坊秀男)

    国務大臣坊秀男君) 社会福祉施設に従事しておるこの職員につきましては、これはそれの待遇について、政府といたしましても三十五年以来、鋭意この改善につとめてまいったのでございますが、昨年、一般公務員のベースアップをやりましたから、そこで四十二年度におきましては、おおむねまあ八%のこの引き上げをやるように予算措置をいたしておるわけでございますが、その他につきましても、山下先生十分御存じのことかと思いますが、施設職員の業務の負担をできるだけ少なくするというようなことや、それから職員の数でございますが、そういったようなものを、特別の老人ホーム保育所教護院等を通じて職員の増員をやっていこう、それからまた保育所職員につきましては、現在、地域によって格差がありますのを、これをできるだけその乙地を甲地に引き上げていくといったようなことをやっておるのでございますが、その他まあ旅費だ、庁費だといったような経営に資するようにそういったようなこと、あるいは民間施設経営調整費を、これを引き上げるといったようなことをやっておりますが、ここで数字について申し上げましょうか。――そういったようなことで、鋭意努力を重ねておるといったようなことでございます。
  15. 山下春江君(山下春江)

    山下春江君 いまお尋ねいたしたいことに触れてお答えを先にしていただきましたが、運営調整費がことしも事務費の五%がついております。これは民間社会福祉事業をやっておる者にとっては、ほんとうにありがたい慈雨のようなものでございますが、これを今後もずっと五%というものは続けられるものでありましょうか、それとも抜本的な対策、改正をなさいますか。すなわち、民間社会福祉に従事する者にも給与体系を確立して、こういうことをそのつど、予算のつど、ばたばたしなくてもいいようになさるおつもりかどうか、その点をちょっとお聞かせ願いたい。  それからもう一つは、民間社会事業の一番大きな問題は、ほとんどの施設がそうだと思いますが、いまでは非常に皆さんが御理解があるので、相当寄付をしていただける場合があると思いますが、その寄付が免税でないために、なかなかそれがうまくいかないのでございますが、この社会福祉施設に対する寄付に対しては免税の措置、これは厚生大臣にお伺いすることは筋違いと思いますが、大蔵省と御折衝なすったこともあろうかと思いますので、ついでに厚生大臣からお答え願いたいと思いますが、免税の措置についてどう考えておいでになりましょうか。
  16. 国務大臣(坊秀男君)(坊秀男)

    国務大臣坊秀男君) いずれこの職員等に対する処遇といったようなものにつきましては、私は根本的な建て直しをやっていかなければならない事態に遭遇しておると、かように考えております。そういったような対策ができるまでの間でございますが、いま山下先生おっしゃられたその五%の調整費、これは大体そういうことを横ばいでということは持っていきたい。抜本対策といったようなものができますれば、これはもう根本的にどういうことに相なりまするか、それまでの間横ばいということで私は確保してまいりたい。  それから、社会福祉施設に対する、これは大蔵大臣がおりますが、税金、寄付金に対する軽減の措置でございますが、私も社会福祉施設に対する寄付に対する税の減免ということ、軽減ということが、これが所得税、法人税を通じてはなはだ十分でない、特に社会福祉法人なるがゆえの減税のメリットというものは、これは与えられていないように私も考えます。そこで、これは非常に社会福祉法人としては不満なものでございますけれども、いずれにいたしましても、税制の改正をやっていかなければならぬ問題でございますので、これも財政当局と――私は強く要望いたしますけれども、よく協議をいたしまして、それで寄付金等についての措置といったようなものは、今後大いに考えていかなければならぬ問題だと、かように考えます。
  17. 山下春江君(山下春江)

    山下春江君 次も厚生大臣でございますが、重症心身障害児の対策につきまして、政府は国立の重症心身障害児の施設の設置につとめられておりますし、これらのことにつきましては、できない前から全国の親たちはたいへんな喜びようでございますが、しかしながら、この施設にも入れない重症の精神薄弱児あるいは重い重症に、ろう、盲などの合併した、いわゆる周辺疾病といわれる子供たちが依然として相当たくさん放置されているのでございますが、長い間この谷間に取り残されて非常に苦しんでおりましたこういう者に対して、何か国としてあたたかい手を差し伸べることはできないかどうか、何かという質問は、たいへんばく然としていてたいへん恐縮でありますけれども、厚生省として、特にそれらの残された周辺疾病症の人たちに対する措置が考えられておりましょうか、どうでしょうか。
  18. 国務大臣(坊秀男君)(坊秀男)

    国務大臣坊秀男君) 重症心身障害児で、しかも施設に入れないという人間に対してどうかと、こういう御質問かと思いますが、そういったような者に対しましては、やはり今日といたしましては、でき得る限り施設をふやしてまいるということと、それからおっしゃられた中に、たとえば精神薄弱であって肢体が不自由ではない盲、ろう、あ、といったような方が、これは重症心身施設に入れないことを含んでの御質問かとも思いますが、そういったような方々に対しましては、できるだけ重い精神薄弱者の施設の中に重症者の重棟でございますか、そういったような重症棟でございますか、そういったようなところに、できるだけこれを収容していこう、こういうようなことで、全国でそういったような病棟と申しますか、棟をだんだんとふやしていく、こういう考えをもってやっております。
  19. 山下春江君(山下春江)

    山下春江君 全国で三百万といわれております精神薄弱の人々の親たちが、ここ十年間、十年以来親なきあと、要するに親の何といいましょうか、慈悲というか、こういう子供に対しては非常に親は気を使っておりますが、その親なきあとのこの子らに対する愛情と経済の保障をするために、生命保険とタイアップして新しい社会保障制度を打ち立てようとして考えておるのであります。これは何といいましょうか、きっと厚生大臣のお耳にも入っておると思いますが、福祉金庫というような名前で考えられておりますが、こういうことに対しまして、政府はこの親たちの計画に対して援助の手を差し伸べるお気持ちがおありになるかどうか。  もう一つは、ちょっと筋違いのようにみえますけれども、一つの思いつきみたようでございますが、国道ですでに償却を終わりました有料道路、たとえば古い統計でございますが、東京-横須賀間の有料道路などは、年間三十九億三千八百万とかいうのが三十九年度の数字のようでございますが、そのうちの一部をこういう福祉金庫の金米糖のしんみたいに出していただくことができないものかどうか。道路には道路の規程がございまして、なかなかそう大臣が勝手にあっちへ使う、こっちへ使うというわけにいきますまいが、しかしながら、今日では非常に一般国民の方のこれらの人たちに対する御理解が強まっておりますので、まあちょっと考えてみましても、マイカー族もそれはピンからキリまでございますけれども、それでもカーを持っておる方と、この重症の精薄児を連れて苦しんでおる母とはたいへんな違いがございますので、この福祉年金の原資にこの有料道路の償却の済んだものを一年延期をして、法律改正等の必要があろうと思いますが、一年延期をして、そのうちからこの原資に充てていただくようなことが考えられないものかどうか。考えていただきたいのですが、建設大臣も、まあこれも確定的な御回答をいただけないと思います。私が考えていただきたいということを申し出てございませんので、いただけないと思いますけれども、しかし、御努力を願うことができるかどうか、建設大臣の御回答を願いたいと思います。
  20. 国務大臣(西村英一君)(西村英一)

    国務大臣(西村英一君) せっかくの御提案でございますけれども、道路は無料公開がやはり原則でございまして、特例として、まあ建設費の関係もありますので、有料道路制度というものができておるわけでございます。したがいまして、それから上がる金は、やはりその建設費と管理費というものに充てるわけでございます。したがいまして、その特定の利益をした人から取る金を建設費、管理費以外のことに使うということは、その人に余分な負担をかけるというようなことになろうかと思われるのでございます。まあ山下さんは非常に福祉関係については御熱心でございまして、提案の趣旨まことに了承すべきところはございまするが、そういう方法はあまりいい方法、筋の通った方法でないと思われます。したがいまして、それだからといって重症心身障害の方、あるいは精薄の方の福祉をなおざりにするわけではございませんが、それはそれとして、堂々とやはり請求すべきものじゃなかろうかと、私も非常に同情的に考えておりますけれども、筋があまり通らない、特定の人からそれ以外の金を取るということは。ということでございます。
  21. 山下春江君(山下春江)

    山下春江君 日本は今日ほんとうにすばらしい経済の発展とそれから科学の進歩、繁栄の中に生活しておるのでありますが、この精薄児とか肢体不自由児とか、そういった不具の子供たちが生まれないように発生予防をするということが、発生して世の中に出てきたものをばたばたと騒いでおるよりも、発生予防ということに全力を傾けることが必要なことではなかろうかと考えられますが、そういうことに対しまして非常に不確実な情報ではございますが、第一子――第一子とは一番先に生まれた子供、男でも女でも一番先に生まれた子供は、大体精薄あるいは肢体不自由児等は生まれないということを世界の通念といえるのだということをある医師が私に話したことがあります。これは厚生省にお願いしてみましたけれども、人口問題研究所でもそういうことに対する確実なデータはいまないということでございましたので、そのことに対する非常な強い信憑性があるわけではございませんが、その反対に、これはかなり信憑性があるようでございますが、二回以上人工流産、人工中絶をした婦人から生まれた子供は、間違いなく二二、三%は小児麻痺になる、こういうデータがあるようでございます。そういうことになりますと、私は最近ある農協へ行きまして、農協の農林省から行きました生活指導員の婦人の方に、何か政治的に私どもに頼みたいことがありますかという質問をしたところが、農家の若い嫁も子供を産んでもよろしいという法律をこしらえてください、こういう返事を即座にいたしました。私は全く驚いてしまったんです。産んではいけないという法律がないのに何たることであろうかと、非常にがく然としたのでありますが、そういうほんとうに純真な、健康な、そしてもう第二の人生にすばらしい希望を持って結婚をしたその若い嫁は、実は労働力でありましょうからいま子供を産む時期ではないということになって、そしてそれが人工中絶をされるということになるのではないかと思いますが、もしいま申し上げましたような第一子、あるいは考えられることは、ほんとうに若い青年男女の心身ともに清純なそういう人たちからは、そういう肢体不自由児あるいは精薄等のものは生まれないであろうと、そういうふうに思われますので、こういうことに対して政府はいまも考えておいでになりますか。将来に向かってもどういうふうに考えておいでになりますか。これは日本民族として非常に大きな決意を持って考えなければならない問題ではないかと考えられますので、その点について御回答をいただきたいのと、それから、アメリカや西欧で幼少人口が二五%に安定しておる。それはヨーロッパもアメリカもそのようでございますが、日本では昭和八十五年がまいりますと、幼少人口が一七%、――その一七%の中には、いまのようなことがずっと続いてまいりますれば、相当な精薄児とか、あるいは肢体不自由児とかいうものがその一七%の中に含まれていることを考えなければなりませんので、あすの日本民族の資質を守る上からいってもこれはきわめて重大な問題だと思うんでありますが、そういうことに対しまして、厚生大臣は何か御検討になったことがございましょうか。御決意をちょっと聞かしていただきたいと思います。
  22. 国務大臣(坊秀男君)(坊秀男)

    国務大臣坊秀男君) 御指摘のように、この国民と申しますか、人間の健康を保持していくということは、何もおぎゃあと生まれてきたときからの問題でなくして、もうその母体に宿されたというときからこれは注意をしなければならない。つきましては、その母体の健康管理といったようなものからこれはやっていかなければならないことは言うまでも私はないことだと思いまして、そういうことにつきましても、それぞれ厚生省といたしましてはいろんな措置を講じておりますが、さて、その第一子が精神薄弱、身体障害といったようなものがなくて、第二子から始まるといったようなことにつきましては、これは、私専門家でございませんし、そういったようなことは私聞いておりませんけれども、もしさようなことがあるとするならば、これは大事ないろいろ波及するところも多い問題でございまして、学問的に的確にこれを把握いたしまして、さようなことがあるとすれば、これに対する対策ということは慎重に考えていかなければなりません。何しろ私しろうとでございまして、そこの点についてはつまびらかにいたしておりません。  なお、その人口構成の問題でございますが、だんだんと若年層が減ってまいりまして、そうして老年層がふえてまいるということは、これは日本国民の民族人口構成につきましても、たいへん考えなければならないという問題でございますので、最近そういったような留意すべき事項を検討していただくために、人口問題審議会に厚生大臣から諮問を申し上げまして、これを検討をしていただいて御答申をいただきたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 山下春江君(山下春江)

    山下春江君 いずれにいたしましても、この次の時代というものに対して、私たちはいかにいい質の子孫を健康に聡明に育てていくかということに大責任を持たなければならないと思うのでありますが、そういう意味から、児童対策中非常な重要な地位を占めると思います、そうして世界六十数カ国がすでに実施をいたしております児童手当というものにつきまして、日本でも論議されておりましたが、現在はどの程度にそれが進行しておりましょうか。そうして厚生省――まあ、これも厚生省だけの問題でもありますまいが、政府としてはどのようにこれを進めておいでになる御決意でございましょうか。最後に、その児童手当についての御決意と、現状どのように進行しておるかを伺っておきたいと思います。
  24. 国務大臣(坊秀男君)(坊秀男)

    国務大臣坊秀男君) 日本のこの社会保障の中の所得保障の中で、児童手当というものが一つ欠けておるということが常に社会保障の中の一つの欠点じゃないかということが指摘されておるわけでありますが、先般総理大臣も言明されたように、これは児童手当については前向きに考えていかなければならない、ただ、そのやり方につきましてどういうことにしていくかといったようなことについては、今後これは慎重な検討を要すると私は思いますけれども、とにかく前向きにこれを考えていかなければならない問題だと、かように考えております。
  25. 山下春江君(山下春江)

    山下春江君 今度は農林大臣に。  農林省が本年度の予算に非常な御努力になった生鮮食料品の流通情報サービスセンター――センターということはありませんが、情報サービス等の機構について、その施設が完備すれば、私どもしろうとにでもわかることは、生産者はその結果、一〇%から一二、三%いまよりも収入がふえる、消費者は少なくとも二〇%ないし二二、三%安いものが手に入るというそのきわめて大事な――まあ物価対策というのはたいへんいつの選挙でも非常な重要な地位を占めておるのでありますが、せっかく政府は非常な決意を持ってこのことを始められたようでございますので――たいへんおそれ入りますが、時間がございません、気がつきませんでした、失礼しました。農林大臣から、非常に日本の全部の主婦がこのことについては期待を持ってながめておりますので、簡単でけっこうでございますから、その構想について御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  26. 国務大臣(倉石忠雄君)(倉石忠雄)

    国務大臣(倉石忠雄君) 消費者物価を安定いたしますことは非常に大事なことでございます。そこで農林省は、そのための流通機構についていろいろ努力をいたしておるわけでありますが、ただいまお話しのようなことにつきましては、たとえばラジオ、テレビジョン等を使いましてその日その日の生産地における相場、それから消費地における相場等をいまも周知していただくような方法をとっておりますが、いまお話しのような新しい計画につきましては、全国の生鮮食料品、まあ、お魚は別でございますが、そこの情報が農林省に入ってまいります。それを今度は逆に、一般の統計事務所にテレタイプで送ります。それが地方において地方の市場並びに生産者に伝えられるようになって、そのことによって、非常に貨物がたくさん集積しておって値段の安いところはどこだ、なくて値段の高いところはどこかというふうなことも消費者及び一般の生産者にもわかるようにいたしますならば、これは外国でも、たとえばアメリカなどでも非常に成功いたしておりますように、そういうことによって消費者物価の安定に資することではないか、こういうことでとりあえず四十二年度予算に若干を計上いたしまして、それを実施することにいたしておるのでありますが、なお、そのほかに調査費をとりまして、それからさらに末端まで完ぺきにそのことが行なわれるようにどうやったらいいかということについて、政府は研究することにいたしております。
  27. 山下春江君(山下春江)

    山下春江君 終わります。
  28. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 以上で山下君の質疑は終了いたしました。  都合により、午後三時三十分まで休憩いたします。    午後三時二十分休憩      ―――――・―――――    午後三時四十四分開会
  29. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。小柳勇君。
  30. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 私は、米国陸軍からわが国の国立大学及び研究団体に補助がなされている点、第二は、宇宙開発の促進一元化について、第三には、産業公害の問題、第四は満州国開拓義勇隊の身分の処遇、第五は、農業協同組合の政治活動について、第六は、中小企業問題及び石炭政策などについて、具体的な問題、身近な問題を中心に質問をいたすものであります。  まず、第一に、一昨日問題になりました、米国陸軍が日本の大学及び研究団体に対して補助をなしておる、この問題に対しまして文部大臣の報告を求めます。
  31. 国務大臣(剱木亨弘君)(剱木亨弘)

    国務大臣(剱木亨弘君) お答えいたします。一昨日の御質問にあたりまして、五月五日の朝日新聞の記事についての御質疑がございました。その点につきまして二点あると思うのでございますが、一つは、半導体の国際会議に対しまする米国陸軍極東研究開発局、これから金が出ておるという問題についてのお尋ねと、もう一つは、小柳委員からの御質疑の中で資料の要求がありました、各大学への寄付金の状況についてであると思うのであります。  国際会議のあり方につきましては、大体二通りの方法がございまして、一つは、日本学術会議で主催をいたします国際会議、それから主催者のほうで行ないまする国際会議とあるわけでございますが、学術会議の行ないまする国際会議は、これは国費をもって計上いたしまして行ないますし、その大きな規模につきましては、閣議の了解を得てやる場合もございます。  それから、先般新聞に載りました半導体の国際会議につきましては、これは主催者が自己の責任におきましてこれを開催いたすのでございますが、この半導体の会議は、学術会議、国際会議としましては非常に高く評価された会議でございまして、第八回を日本において、昨年の九月に京都において行なわれました。これにつきまして、その開催費でございますが、約二千七百九十万円ぐらいの予算をもちまして行なったのでございますが、そのうち千二百万円、千二百九十万円余でございますが、これは国際組織からの寄付と、ただいま申されました米国陸軍極東研究開発局、これからの八千ドルと、それからその以外の、今回出席いたします会員の負担分とでございまして、その残りの千五百万につきましては、これは文部省におきまして、大蔵省に対し、この会議の開催につきまして、免税措置を取りつぎをいたしまして、千二百万円が大蔵省の承認を得まして、これは全部国内で寄付を募集して行ないました。これで行なったのでございますが、その米国陸軍からの寄付金についての問題でございますが、これは、当時その寄付金につきまして、何ら介入いたしますとか、ひもつきとか、そういうことはない、自主性を害するおそれなしと判断いたしまして、これを受け入れたのでございましたし、事実それを使用いたしましたのは、米国から参りました七人の学者の往復の飛行機代と、それから十三人の日本に滞在いたしました滞在費、これを全部その金で支払ったのでございまして、会議に対しまして、軍の介入とか、そういうことはないと判断をいたしております。  それから第二段の、大学に対しまするやはりその陸軍の開発局からの寄付金につきましては、御承知のとおりこれは各大学に相当まいっておるようでございます。実は本日まで資料提出の御要望がございましたが、土曜日から実は各大学に電話をいたしまして、この資料提出方をいま要望しておるのでございますが、ようやく、研究各部のその機関の承認を得て配ったと言っておりますけれども、本人から聴取しませんと、なかなかその実相がわかりません。本日までわかってまいっておるところもございますが、全般的なものはまだ全貌をつかめない状況でございます。実は国立大学の場合につきましては、学術研究の研究者がその研究をいたします態度については、私どもといたしましては教育並びに研究の職務に支障のない、また、それをゆがめられるようなことのない場合におきましては、その研究者の良識と自主性にこれをおまかせして、何ら私どもとしては、研究内容とか研究のほうについて干渉いたしてないのでございます。ただ国立学校特別会計におきましては、一般の寄付によって研究を進めます場合において、その寄付を受け入れました場合において、約四億五千万円の寄付奨学金というワクを設けておりまして、その寄付の中に受け入れますと、これをその指定されました研究に従いました各大学なり教授に分かつことになっておるのでございますが、このいま問題になっております研究につきましては、その奨学寄付金のワク内に受け入れていないのでございまして、この実相は、各人の申請によりまして調査するよりほかに現在のところ調査する方法はございません。でございますので、実際どのくらい、どういうふうに使われたかは、もうしばらくひとつ、実際の調査につきまして御猶予願いたいと思います。
  32. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 文部大臣、物理学会に対する米軍の寄付については、あとで質問いたしますが、東京大学医学部など五十七件の研究費補助につきましては、調査ができないと言われますけれども、調査はどういう方法で調査されたか、御説明を願います。
  33. 国務大臣(剱木亨弘君)(剱木亨弘)

    国務大臣(剱木亨弘君) 一昨日あの調査資料を要求されまして、直ちに各大学に電話連絡で、実際東京大学以下全部回答を求めておるわけです。ところが、昨日が日曜日でございましたので、教授を実際大学においてつかまえて、この調査をなすというのが、ひまがいっていると思います。各大学に聞いて真相をいま調査中でございます。
  34. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 補助を受けましたほうは大学、研究団体並びに主任研究者ですが、補助を出しましたほうは米国陸軍の研究開発局であります。したがいまして、受けたほうを調べるのは、もちろんそれはたくさんの大学ですからわかりませんでしょうが、やったほうは一局ですから、一局を調べたらわかるのじゃございませんでしょうか。その米陸軍の研究開発局をお調べになったかどうか、お伺いいたします。
  35. 国務大臣(剱木亨弘君)(剱木亨弘)

    国務大臣(剱木亨弘君) これは私どもとしましては、受け入れました大学に真相を確かめた上で、出しましたほうともこれを調べてみたいと、こう考えております。
  36. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 この予算委員会、非常に重要な委員会でありますが、資料要求しまして資料出ないと論議できませんし、いまのような不誠意な、調査やってないわけです。米国陸軍の調査研究所はすぐそこですから、まいればできるはずです。やってない。これは総理大臣どうでしょうね、こういうふうで資料が出ないで、国会軽視、内閣だけが知っておって資料を提出できないということに対して、まず総理大臣から私はまず意見を聞いておきたい。
  37. 国務大臣(佐藤榮作君)(佐藤榮作)

    国務大臣佐藤榮作君) 小柳君、まだあまり結論を出されるのは少し早くはないですか。土曜日にああいう緊急質問をやって、それからただいま申し上げますように、きのうはちょうど日曜日でございますから、文部省のほうでただいま答えたのもそういうような時間的の問題があるからと、こういうことを申しておるのですから、また、こういう事柄は各大学の協力も得なければなりませんし、また、米軍のほうでいろいろ委嘱したとかあるいは委託したとか、こういうようなこともいろいろあるでしょうから、もう少し時間をかしていただかないと、どうも結論が早いような気がします。
  38. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 私はいま総理に申しましたのは、その姿勢の問題ですね、内閣の姿勢の問題です。ちゃんとこうやって貴重な時間で皆議論しているのですから、非常に軽視することに対して、内閣はもっと積極的であるべきだということです。  外務大臣に質問いたしますが、一九五九年からこの問題は起こっておりますが、外務省にこの報告はないでしょうか。
  39. 国務大臣(三木武夫君)(三木武夫)

    国務大臣(三木武夫君) 私は聞いていないのでございます。外務省ということでは調べてみる必要はあるが、私自身には報告は受けておらないのであります。
  40. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 資料要求が文部大臣になされておりますから、外務省として御調査なされなかったかもわかりませんが、私は外務省から調査されたように聞いておるわけです。外務大臣に報告がないように思いますが、ひとつあとで係官から調べておいてもらいたい。一九五九年から各大学の研究団体で基礎的な理論研究がなされておるのに、日本の大学の権威ある人たちに、こういう米国陸軍が調査を依頼するのに、外務省にも日本政府にも許可なくやるはずはないと思うのですが、いかがでしょう。
  41. 国務大臣(三木武夫君)(三木武夫)

    国務大臣(三木武夫君) それは必ずしも外務省の許可ということは一がいに私は言えないと思う。ある特定のことで委嘱をするわけでありましょうから、だからいろいろなそういうファウンデーションなどの場合もございますし、そういうものでやはり一々政府の許可というようなことではない場合もあるのではないかと思うわけでございます。
  42. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 文部大臣に質問いたしますが、文部省にはこの数年間、一九五九年からこのように大学の研究機関に対して米国陸軍の特殊な研究をなされておるが、一回も報告はないでしょうか。
  43. 国務大臣(剱木亨弘君)(剱木亨弘)

    国務大臣(剱木亨弘君) 私も文部省にそういう報告がなかったかどうかということをずいぶん調べましたのですが、この研究の長でございますね、各大学の機関の、にはその許可を得たようでございますが、文部省には全くそういう連絡はございません。(「委員長、ちょっと」と呼ぶ者あり)
  44. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 関連ですか、亀田君。
  45. 亀田得治君(亀田得治)

    ○亀田得治君 ちょっと議事進行ですが、政府のほうではどうもこの問題をことさらに論議の対象にしないようにするという感じが先ほどからいたしておる。その一つは、私たちの聞くところでは、なるほどこの主導権は研究者なり学者がきめてやっておることだろうが、そういうことについての報告というものは出ておる、政府に、というふうにわれわれは聞いておる。何かそういう点もことさらに、まだ知らぬようなことを言われますが、どうもそれがふに落ちない。これは話にならぬ、進みっこがないわけでして、そういう点が一つ。それからもう一つは、文部大臣が、アメリカ側の調査は、日本側のやつをしてからまた照らし合わすためにやりたいというふうな意味でお答えになっているわけですが、しかし、そういうことではなかなかこれは手間かかるわけです、件数が多いわけですから。小柳君からも言われたように、出しておるほうは開発局一つなんですから、しかも開発局のこのクック大佐ですか、との人が、もう堂々と新聞に談話を述べておるわけですね。一九五九年からこれは始めておることだ、秘密でも何でもないのだというふうにちゃんとおっしゃっているわけなんです。だから、そうすれば、きょうの質疑に間に合わそうという熱意さえあれば、一体君のほうではどの程度どういうふうに出しておるのかと、これくらいの折衝はきょう午前中やってもらえば、全貌はやはりつかめるのじゃないか。当然、米側の言い分、これは新聞にも書いてありますが、このとおりかどうか、こういったようなことも確かめてもらえまするし、したがって、小柳君もそれを期待して質疑というものを展開する準備をしておるわけなんですね。そっちのほうの調べはないわ、それから大学、研究所等からの報告も知らぬわ、こういうのじゃね、これは進めようがないですよ。だから、事実そういうことがないわけでしてね、その点、委員長、この扱い方を、このままじゃこれは押し問答になるだけで、休憩なりして少し検討してほしいと思う。
  46. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 剱木文部大臣
  47. 国務大臣(剱木亨弘君)(剱木亨弘)

    国務大臣(剱木亨弘君) この問題は、それは開発局から確かに金が出ておるということは事実でございまして、私のほうも誠意をもって実はできるだけそろえたいと思っております。中間的にずっといま集まりつつある状況でございまして、お隠ししようなんということは毛頭考えておりません。ただ、米当局にお話ししますのは、こちらもやはりある程度の資料を持ちましてお話をしたいと実は思っておったのでございまして、これもまあできるだけ早く私のほうでもあれしてまいりたいと思います。ただ、いままで、事実問題としまして調査がおくれておるということで、もうしばらく時間を拝借したいということを申し上げておるわけでございます。
  48. 亀田得治君(亀田得治)

    ○亀田得治君 ちょっと、その米当局、こちら側の資料をそろえて米当局のほうに聞きたいと思っておるということを再度おっしゃるのですが、これは何もその、何か犯罪の容疑を確かめていくといったようなものと違うわけでして、どちらでもいい、早くその実態がわかればこの審議が軌道に乗るわけでして、そういう立場で、これは手っとり早くやっぱりやってほしいと思う。それから、ある程度わかっておるという報告がきておるように言われますが、そのある程度でも、たとえば京都大学ではこうだ、あるいは九州大学ではこうなっておるとか、わかったやつだけでも例示的に出してもらいたいと思う。その部分だけでも対象にして論議すれば、一応全体というものは浮かび上がってくると私は思う。詳細な全部の表というものは、これは若干時間がかかってもやむを得ぬかと思いますが、いまのお答えから見ても、若干はわかっておるようですから、わかっている分だけでもここで明らかにしてほしいと思うのです。そうして進めてほしいと思う。
  49. 政府委員(天城勲君)(天城勲)

    政府委員(天城勲君) 土曜日から大学その他の研究所につきまして事情を調べている段階でございますが、いままでわかっております二、三の例を申し上げたいと思っております。  たとえば京都大学の花山天文台、これは惑星の観測用補助望遠鏡ということで四十三年度からの補助でございますが、これは望遠鏡の現物の貸与という話でございます。  神戸大学医学部で脳の研究、これは機械器具の貸与ということでございます。それから、(亀田得治君「おのおの金額わかりませんか」と述ぶ)金額わかったものもございますし、たとえば花山天文台のものは、金額はまだわかりません。それから神戸大学のものは、第一年度一万一千七百十五ドル、第二年度一万二千百八ドルに相当する機械器具の貸与ということになっています。ただ、これの受け入れの神戸は、四十一年九月八日ということになっておりますが、京都の場合には予定になっております。  それからこれの条件などにつきましては、両大学まだわかりませんが、条件のはっきりいたしておりますのは、たとえば北里研究所でございますが、ここでは各種疾病の原因及び予防治療方法の学理及び応用の研究並びにそれに伴う治療施設及び教育施設の設置運営というたいへん長い名前でございますが、これにつきましては、日本金になっていますが、二百十七万八千円、研究成果を記載した報告書を提出する、成果は公開して差しつかえないという条件になっております。こういうような状況で、できるだけ詳細なる報告を集めている段階でございます。
  50. 小林武君(小林武)

    小林武君 関連。  いまのような報告について、もう少しやっぱり早くやることができるように思いますけれども、まあいまのところ出せないとすればやむを得ませんが、早急にやはりそのくらいのことは出さなければいかぬと思うのです。そのくらいのことができないようなことは、文部省の現在の機能の中であり得ないと私は思う。ほかのことならもっと早くやる。やらぬでもいいことならもっと早くやる。そういうことはないわけじゃない。  それから、私はそういう悪口を言うのではなくて、お尋ねいたしたいのは、三十六年の六月、池田・ケネディの共同コミュニケによる科学合同委員会、文教合同委員会、そういうものがありますが、その協定文の文章の内容も明らかでございませんし、その後、科学合同委員会や文教合同委員会というものは、共同声明を発表いたしたり、あるいは委員会を何回か持っているということが明らかになっていながら、その事実がどうも明らかでない。こういうものは、われわれ考えると、いまの問題と若干のかかわり合いがあるように、こう考えられるのですが、一体どういうあれをやったのか。これは文部省わからないのかどうか知りませんけれども、わからなかったらわかるところでお答えをいただきたい。
  51. 政府委員(天城勲君)(天城勲)

    政府委員(天城勲君) 御質問の日米間の科学の共同研究、あるいは教育文化の合同会議の成果と申しますか、その後の状況でございますが、いま手元に資料ございませんけれども、日米科学の問題につきましては、両方に対応する委員会を設けまして、それぞれ必要な金は政府からこれを出すということで、両方の委員会から毎年一緒になりまして共同で研究するテーマをきめまして、日米の科学者がそれぞれセミナーを開くなり、パネルを行なうなり、あるいは実質の調査をするなりいたしております。これも科学のほうは主として太平洋をめぐる共通の課題でございますので、たとえば火山の問題ですとか、あるいは海流の問題ですとか、太平洋をめぐり日米両方に関係のある科学上の協力について共同研究をいたしております。  教育文化の問題につきましては、広く教育文化で両国が共同して行なうというもの、相互に関心のある問題について会議を重ねて問題を取り上げ、議論をいたしておりますが、この成果はすべて政府が引き受けてやるというわけでございませんで、教育文化、非常に範囲が広いので、それぞれの民間団体も含めて、あるいは個人の活動も含めて、いわばその会議の勧告も両国民及び関係者一般に勧告するという形をとっておりますために、科学のようにはっきりした計画が進んでおりません。しかし、たとえば日本における英語教育の問題、あるいはアメリカにおきます日本語研究あるいは日本研究の問題につきましては、それぞれ、それを担当する大学ですとか、あるいは機関等で、それぞれのプログラムを進めております。また、教育テレビ・プログラムの交流に関しましては、それだけは両方にそれぞれセンターに当たるものができまして、日本にも教育テレビ番組のフィルム交換のセンターができまして、これは民間の法人でございますが、関係の機関が集まって、アメリカの同種の機関と民間ベースで交換を進めております。  そのほか、いま資料がございませんで細かく申しかねますが、科学の分野と教育文化の関係は、方向は違いますが、それぞれの形で仕事を進めておりますが、考えられたことがそのとおりすぐ実現するという形でなくて、それぞれの分野に呼びかけるという形でやっている分野がございますので、政府予算がすべてこれをカバーしているという状況ではないという状況でございます。たいへん大ざっぱでございますが、私の記憶にあります限りでの両委員会の活動状況を報告いたしました。
  52. 小林武君(小林武)

    小林武君 まずやっぱりはっきりしなければならないのは――問題が明らかにならないのは、池田・ケネディの共同コミュニケが一体どういう内容、趣旨を持ったものであるかということが明らかにならなければやっぱりだめですよ。それから、科学合同委員会における共同声明というものは、これはそういう委員会を持たれてどういう声明を発表したのか。私はこういう共同コミュニケが今回のような問題がやっぱり起こる一つの原因になっているというふうに思うんです。いまごろあわてるというのは、私はちょっとおかしいんで、わかり切ったことがいま実現している、それが明らかになったということにすぎないと私は思うんですが、そういうかかわりがあるのかないのか、これははっきり言わなければならぬと思うんです。そうでなければ、私の質問に答えることにならないと思うんです。これは関連でございますから長々とやりませんから、いまの点だけでも明らかにしておくと、あとでまた問題が起こったときにひとつ取り上げていきたいと思いますから、共同コミュニケの趣旨ですよ、それから科学合同委員会における共同声明というのはどういう声明を出したか。
  53. 政府委員(天城勲君)(天城勲)

    政府委員(天城勲君) 具体的に申し上げますが、日米科学協力研究事業――繰り返して申し上げますが、資料ございましたが、これは先ほど申しましたように、日米科学協力委員会から政府あてに勧告のあった事業のうち主として研究者または研究者グループによって企画される日米共同研究を実施するということでございます。これは日米科学協力委員会で両者の合意したテーマでございます。例で申し上げますと、太平洋地域の地球科学、生物科学、機械翻訳研究、医学研究、台風・ハリケーン研究、農薬研究、こういうような種類のものでございまして、これは必ず両方のインタレストのある、両方の研究者の関心があり、また研究の進んでいるもの、あるいは特に研究を欲するような種類のものについて共同して行なっているわけでございます。ただいまの議題になっております米国陸軍の委託研究の問題とは関係はないと考えております。
  54. 鈴木強君(鈴木強)

    鈴木強君 関連。どうも資料の出し方についても、実は亀田委員からああいう発言があると、小出しに一つ二つ出すわけですね。これは物理的にできないことはわれわれもわかるわけですから了承します。しかし、もう少し委員に対して、委員会に対して親切なやり方をしてもらいたいと思うのです。  そこで私は一つ伺いたいのは、外務大臣の御答弁でもそうですが、いまの御答弁でもそうですが、米軍が委託研究といいますかね、委託を大学にする、そういうことなんです。いま話が出ましたが、私はふしぎに思うのは、日本の大学に対して米陸軍当局が、あるいはまあ海軍が、空軍でもそうでしょうが、何にも文部省も知らない、あるいは外務省も知らないという中で、ストレートに大学に対してそういう委託研究というのができることについて、私はちょっとふしぎに思うのですよ。一体、これは日米安保条約なり、あるいはその行政協定なり、いろいろとそれはもう米軍駐留に伴う協定はございますね。おそらく何かそういうものがない限りは、直接陸軍が日本の大学に対して調査を委託するということはあり得ないと思うのですよ。そういう点は、一体何の根拠に基づいて米軍が直接、文部大臣も知らない、外務大臣も知らないという中で、直接大学との取引でそういうことがやれるかということに対する私はふしぎを感ずるわけですね。一体どういう根拠に基づいてそういうことをやるのか、これは非常におかしく思いますから伺いたいのです。
  55. 国務大臣(剱木亨弘君)(剱木亨弘)

    国務大臣(剱木亨弘君) 大学の科学研究者がいろいろなところから寄付を受けたり、そうして研究を委託される場合があるのでございますが、陸軍の場合に限らず、外国のいろんな財団法人とかそういったようなものからも、やはりしばしば研究費の寄付を受けて研究をやっている場合がございます。これらの問題につきましては、何ら法的とかそういう問題じゃなくして、研究者の自発的な判断でこれをやっているというのが現状でございます。
  56. 鈴木強君(鈴木強)

    鈴木強君 いまの答弁おかしいですよ。一般的な論として文部大臣言われたと思うのですが、それは外国から日本に学者の方々が入っておりますが、そうして大学に行っていろいろと研究するような場合もあると思いますが、そういうのがやはりパスをもらってどういう目的で日本に来てどうやるのだということは、あらかじめ外務省のほうに具体的なことはわらぬとしても、その人たち日本に来てどういう行動をとるかということについてはビザを出すときにわかるわけでしょう。あなたが言うように、それじゃ軍隊が直接大学に行って、こういう研究してくれ、そのために金をこれだけ出すと、こういうふうなことをかってにしてもかまわないということですか。それは文部省なり大学、国立大学の場合もあるでしょうから、そういう場合に、大学の自治とかやかましいことを言うのですが、そういうたてまえからして、文部大臣としては何をやろうと関知することができない。また、何をやってもいいんだ。それは文部省なり、あるいは外国のことですから外務省なりが、全然知らなくてよろしいのだ、こういうふうになってくるときには、これはまことに私は根拠としては薄弱だと思うのですよ。何によって、特に日本に駐留するアメリカ軍が、あるいは直接アメリカ軍じゃなしに、本国からそういうことをやることについて、ちょっと私納得できませんね。外務大臣からもちょっと見解伺っておきたいと思うのですがね。
  57. 国務大臣(三木武夫君)(三木武夫)

    国務大臣(三木武夫君) これはやはり、いま言われた安保条約とか日米の条約というものの根拠は、このことは私はないと思う。これはやはり学問の普遍性がありますからね。それだけに、日本ばかりじゃなしに、各国においてこういうことが行なわれておると思うのですね。そういうことで、これが学校の場合には何らかの形で、文部省の場合などは、これがどういうふうに報告というものをされるか、そういう点はあります、日本の国内で。しかし、条約上とか、あるいは何かいままで外交ルートを通じてという性質のものではないのですね。ですから、これが、そういうことで大学がそういう寄付をもらうということに対して、まあ日本の文部省などがそういうふうな連絡、調査といいますか、そういうことをするかという問題はあると思います。しかし、これが条約上とか協定上の問題ではないという解釈でございます。
  58. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 この問題で少し政府意見を聞かなきゃならなかったんですけれども、まだ詳細な調査ができておりません。私はいま鈴木委員が言ったような、そこまでなお突っ込んだことで実は質問しているわけじゃないのです。平たく言って、日本の学者、研究費も少ない。あるいは特殊な基礎理論などで米軍が調査依頼したんであろう。で、クック司令官にも会いまして、いろいろ目的なり、いままでの実績など聞いた。ところが、米軍のほうは非常に自由で、私ども任務であるといって日本政府にちゃんと届け出は出ておる。だから、そういうことを聞いておるものですから、文部大臣の答弁聞きまして、わかっておるのに、ここにこの議会を乗り切るためにそういう発言されたと思って、ちょっと初めに総理大臣にああいう発言をいたしましたが、それはごかんべん願います。ここでいま二、三の問題をいま報告がありましたが、これだけでは論議になりません。したがって、早急に一九五九年から今日までの主要テーマ及び研究主任者及びその金額、そういうものを出していただく。これは米軍としては外務省を通じて要求があればいつでも出すと言っておられる。何もこれは秘密じゃないのだ。これはどこの国にもその行った先々で、外国の土地で研究を依頼しているのだから何も秘密じゃない。われわれが論議するのは、そのリストが出たあと、これは一体何の目的かということを論議するというのがぼくは議会の任務であろう、私どもの任務であろうと思います。したがって、私はいま委員長に要求いたしますが、この問題は一応保留して先に進みますが、いま申し上げたように、ひとつ日本政府は外務省から米国大使館に要求して、一九五九年から今日までの研究テーマと主任研究者とその目的、金額、そういうものをひとつ全部リストをこの予算委員会の資料として出していただく、この点確認してもらいたいと思う。
  59. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 文部大臣に申し上げますが、ただいま小柳君の要求のとおり、なるべく早く資料を取りまとめて予算委員会に御提出を願いたいと思います。
  60. 国務大臣(剱木亨弘君)(剱木亨弘)

    国務大臣(剱木亨弘君) 承知いたしました。なるべく早く提出いたします。
  61. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 これは、学校から聞くよりも、大使館を通ずれば全部あるのですから、出していただきます。  次は、朝永先生も来ていただいておりますから、物理学会に対する米軍の資金援助に対して質問いたしますが、この国際会議日本の学術会議が後援なさっておるようでありますが、そのときに米軍の援助をとられましたいきさつなど、朝永先生からお聞きしたいと思います。
  62. 説明員(朝永振一郎君)(朝永振一郎)

    説明員朝永振一郎君) ただいまの御質問にお答えいたします。  学術会議が、御承知かと思いますが、たくさんの国際的な会議日本で開催する仕事をやっております。で、学術会議が主催する会議と、それから学術会議が後援する会議との二種類あるということをまず申し上げたいと思います。で、学術会議が主催する国際会議につきましては、学術会議のほうである基準を定めておりまして、その基準に合うものから取り上げていくわけでございます。それで、その基準に合わないというわけでございませんけれども、基準の順位がありまして、予算が許せば取り上げてもよろしいようなものであって、しかし、予算の関係上、学術会議が主催できないというものも毎年幾つか出てくるわけでございます。そういうものにつきまして、学会等で学術会議に主催を頼みたいけれども、しかし、予算の関係でできない場合には自分のほうで主催する、それで学術会議が後援という形にしてほしい、そういうものが幾つかございます。それで学術会議の主催するものにつきましては、これは国費によって開かれる会議でございまして、したがいまして、学術会議の中にちゃんと組織委員会をつくりまして、学術会議の責任においてその会議を運営し、かつ、会計等も学術会議が一〇〇%責任を持つ、そういう形になっているわけでございますが、後援につきましては、学会等から後援の依頼が来ましたときに学術会議としてこれを取り上げるか、依頼に応ずるか、あるいは断わるかという判断をまずいたします。これは、この手続は、その関係専門分野の部会に付託いたしまして、そして、そこでこれは取り上げてよろしいという結論が出ましたときには、これを運営審議会というものにかけましてここで決定をする、そういうたてまえになっております。この後援の場合には、それでは部会等、あるいは運営審議会等で取り上げるべし、あるいは取り上げるのに適当でないという判断を一体どういうふうにして行なうかと申しますと、まず第一には、その会議の学問的な意義でございます。これがまあ非常に意義の大きいものというのが一つの判断になります。もう一つは、主催団体が十分信頼の置ける会議を運営する能力も持ち、かつ、信頼することのできる団体であるかどうかというそういう判断を同時にいたします。そういう二つの判断でこれは後援するということにしようというふうに決定いたしますと、あとはその主催団体が十分責任を負えるという判断でございますので、この組織委員会等は主催団体の中にできることを期待しております。そしてそれを信頼いたしまして、その運営のこまかい内容あるいは会計上のこまかい内容等については、いままでのところ、あまり学術会議側からは口を出さない、そういうやり方をしております。したがいまして、今度の件につきましても、アメリカの軍からの寄付が一部使われたというようなこと、それがどういう形で使われたかというようなことも、実はあとになりまして、つまり新聞に出ましてから知ったようなわけでございます。それで、これに関しておそらくいろいろ御意見があると思いますのですか、これでいいかという問題が残ってくると私ども考えております。そういうわけで、何らかの方法で、後援につきましても、やはり向こうへ預けっぱなしにしないほうがいいのではなかろうかという感じがいたします。しかし、それに対してどういうそれじゃ方法をとるかということにつきましては、まだ近く会員の、まあ委員会等もございますが、そこに相談をしておりませんので、今日のところ申し述べることはできないかと思います。
  63. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 この後もいろいろこれに類する会議があると思います。また、米軍だけでなくて、日本の実業団体あるいは会社などからも相当の援助を仰がなければ学会ができないような情勢のようでありますが、そういう実態についても、もう少し学会の内情について先生からお聞きしておきたいと思っております。
  64. 説明員(朝永振一郎君)(朝永振一郎)

    説明員朝永振一郎君) おっしゃいますとおり、学術会議主催の会議につきましても、国費だけでいままでやってきたかと申し上げますと、事実として、やはり国費だけではなくて、財界の寄付を仰いだりせざるを得ないということは事実でございます。それで、私どももなるたけ寄付を集めるというようなことはしたくないのでございますけれども、やはりいろいろな事情である程度のそういうことは必要だという点もあるようであります。
  65. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 これからは一年間発足するわけでありますが、学会なりこういう学術会議でやりたいと思われるそういう会議、研究会などについて、国費で一体どのくらいやったらと先生方は念願しておられるのでしょうか。
  66. 説明員(朝永振一郎君)(朝永振一郎)

    説明員朝永振一郎君) それはまず、大体日本会議を開きたい。これは日本側の希望であることもありますし、いろいろ国際的な学術団体の希望であることもありますのですが、それを全部日本で希望どおり開くということは、これはとてもできませんし、これは予算の面だけでもございません、いろいろ事務的な面、あるいは日本の学会にとりまして、一年じゅう年がら年じゅう会議やっているのがはたしてプラスかどうかというようないろいろな問題もありまして、おのずからある程度の制限はやむを得ないこと――やむを得ないというよりも、むしろ必要であるというふうに私ども考えております。それで、それではいままで大体幾つぐらいの国際会議日本で開くことができるかと申しますと、大体大きな会議で二つないし三つぐらい、それから、ごく小さいのがやはり二つなり三つぐらい、その辺がいままでの予算の規模あるいは事務能力から申して限界でございます。ただし、もちろんいまの後援のは除いて、学術会議主催のものについてでございます。それで、それを、それじゃ国費以外にどれぐらいの寄付金を集めるかと申しますと、これはいま数字は用意してございませんですが、ほぼ国費と同額の寄付金を使って、集めて、そして会議を運営していく、そういう事実でございます。
  67. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 すみません、どうも立たせまして。  次の質問、一九六一年の十月二十七日に学術会議の総会の決議がございます。これによりますと、科学の国際協力は科学者の間に対等に行なわれるべきである。そして国際協力を対等の立場で行なうためには、その経費も他の国のみにこれを仰ぐような態度をとるべきではない。それから、科学の国際協力の成果は公開されるべきである。こういうことを決議してありまして、科学の国際協力にあってはその成果は公開されなければならない。それは軍事的な秘密研究を排除するという意義があるばかりではなくて、自由な討論によって協力を助長するという積極的な面を持っていると書いてございます。いま、その予算の問題などこれから会議やられますけれども、米国の陸軍からも援助がある。日本の財界なりあるいは会社――直接関係のある会社もありましょう、あるいは、いかがわしいと言いませんが、直接関係のある会社もありましょうけれども、そういうもので学問をやりまして、それで学者の良心が恥じないかどうか。学術会議の会長さんとして見解を述べておいていただきたいと思います。
  68. 説明員(朝永振一郎君)(朝永振一郎)

    説明員朝永振一郎君) 私ども学術会議といたしましては、いまおっしゃいましたような考え方をとっております。そもそも戦争のための科学には協力しないというのはこれは学術会議できましたときに声明しておることでございまして、それ以後もその線を堅持しているというふうに私は信じております。ただ、国際会議等につきまして、いろいろ国内の財界あるいはそれぞれの管轄する国のほうからの寄付と申しますか、そういうふうなものを、国内の寄付の場合には財界の寄付は仰いでいるわけでございますが、これは全く無条件で寄付をお願いしておるわけでございます。ですから、発表、公開をそのために妨げられるというふうなことはいままでもございませんでしたし、これからそういうことがあってはならないと存じております。それから国外の分につきましては、国外と申しましてもいろいろありまして、たとえばその学会連合、国際的な学会連合というのがございます。そういうものから、日本で学会を開くについて補助をする。これは特定の国ではございません。いろいろな国の学会が、学術的な団体が加盟している協会のようなものでございます。日本学術会議はそれに加盟しておりますから、そういうところから日本で国際会議を開くときに補助をするというたてまえでございます。あるいはユネスコというようなところから補助されるような国際的な会議もございます。それから、まあその国の人のためにその国のある団体が金を出す。ですから、その主催国の組織委員会あるいは学術会議に直接寄付するのじゃなくて、その国の人が日本で開かれる会議出席するためにその国のある民間あるいは半官的な団体から旅費をもらって来るとか、そういうケースもございます。それで、私どもとしましては、その国の学者が来るのに、どこからもらってはいけないとか、それは場合によっちゃ内政干渉みたいなことになりますので、そこまでのことはいままでやっておりません。ただ、ある特定の団体から会議自身に寄付があるという場合、これはやはり慎重に考えなくちゃいけないことではなかろうかと思いますが、これはケース・バイ・ケースで考えておりまして、必ずしもそれを全部排除するということはしておりません。ただ、やはりこれは安易に考えることは問題ではなかろうか、そういうふうに思っております。
  69. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 この問題はまた次の機会に、資料を見ながら質問さしていただきます。  総理大臣、ただいまのこの私の質問をお聞きになりまして、もちろん米国の陸軍の援助もありますが、会社工場などが投資財源の中から学会に寄付しているものもございましょう。しかし、日本ではそういう学会をやらなければならぬ責務もありましょうから、この問題について、政府として今後の見解をお述べをいただきたいと思います。
  70. 国務大臣(佐藤榮作君)(佐藤榮作)

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、日本の学者と申しますか、研究される方がたいへん不便を感じていらっしゃるのは、ただいまの予算の問題もございます。どうも外国へ出かけるというか、そういう場合に、非常に予算的制約を受けておられるのじゃないか、かように考えます。そういう意味で、私は予算編成にあたりましてばかりじゃございません、私の存じ上げておる先生方――いまの朝永先生もその一人ですが、こういう方につきまして、非常に困っておられる、たいへん苦痛を訴えられるような事柄について、政府が十二分にはできませんが、お力ぞえするようにくふうしましょう、こういうようなことで、いろいろ打ち解けた話もいたしておるわけでございます。  先ほど日本の学会等が国際会議を開催しておる。これはもちろん予算編成の場合に一応は計上されます。しかし、それだけで学会の国際的な会議を開くというのはなかなか不便でありますから、私も条件のつかないような寄付、そういうことには――実は寄付金募集も、私自身も協力したような例が一つ二つはございます。昨年などは医学会等が相当多数開かれまして、こういう事柄もあるのであります。また、いま言われますように、条件付きでない援助というもの、これは日本の国内からも、また外国からもいろいろあるようであります。そのうちで一番受けても気持ちよく受けられるというのが、たとえば国際機関、ユネスコ等から援助を受ける、こういうようなことはあまり問題が起こらなくて、比較的に楽にそういう援助も受けられるのじゃないかと思います。しかし、いま問題になっております、この問題が起こりました軍からの問題になりますと、いろいろ取り上げられるテーマ等について、これはまたいろいろ問題になるのではないかと思います。先ほど朝永さんが言われるように、もう戦争への協力は絶対にしないのだ、こういうことでスタートしておるということでありますから、私は軍から頼まれたからといって、これが戦争への協力と全部判断するわけのものじゃない。また学者の独立した、また、自由な研究テーマ、そういう意味で受けられて、条件を一切つけない。そういうようなものであるならば、これはわりに問題なしに学者の研究が進んでいくのじゃないかと思います。  したがいまして、非常な潔癖な感じからこういう問題を処理することも一つの方法かと思いますけれども、しかし、実際の問題から見て、研究が徹底してやられる、こういうような意味では、その目的並びに条件等を十分理解して、そして間違った方向におちいらないように、あるいは基本的な姿勢をくずさないように、いわゆるそれぞれの研究者の良識のもとにそういう研究が続けられれば、問題はないのではないかと思います。もちろん、政府がこれらの研究者に対して、基本的には予算等で計上するのが本来であるわけでございますけれども、しかし、予算といたしましても、なかなか思うようには計上されません。ことに最近物理学等の研究になると、非常な施設だけでもたいへんな金のかかるものでありますから、なかなか一時にはやれない。長期的計画のもとに初めてその施設もできる。今回の予算などで、これはむしろよく予算編成にあたってああいうテーマを取り上げたと、ほめていただけるというようなものは、いわゆる素粒子の研究だと、これは朝永さん御自身が、こういう問題についても政府はたいへん理解を持ってくれたと、かように言われました。とにかく非常に金のかかるものでもありますし、また、それが結果から見まして、どういうことに今後使われるのか、ただいまの状況ではそういうことも結論を出し得ない、そういうものが研究であるようでありますので、ただいま申し上げたように、私はずいぶんむずかしいことだが、予算の面でもいろいろくふうし、そしてまあ最善をはかっておると御了承いただきたいと思います。
  71. 亀田得治君(亀田得治)

    ○亀田得治君 ちょっと関連。総理大臣がいまいろいろお答えになりましたが、取りようによりますと、こういうことによって米陸軍からの補助金、そういったようなものを何か公然化される、認められていくと、そういうふうな印象を与えては、私はたいへんだと思います。そういう立場からそこまでお話がされるのであれば、もっと突っ込んでお聞きしなきゃならぬと思う。先ほど外務大臣でしたか、本件は条約などとは全然関係のないことだと、こういうふうな意味のことを言われております。しかし、私はそうじゃないと思う。その根本が私は違うと思う。この米陸軍極東開発研究局、これが日本におれるのは、安保条約があるから存在し得るのでしょう。そんなことはあたりまえのことじゃないですか。その点だけはっきりしてください、あたりまえのことですから。
  72. 国務大臣(三木武夫君)(三木武夫)

    国務大臣(三木武夫君) 私、いまの質問にお答えして、直接の関係はない。しかし、ずっといろいろなことをやっていくと、それは関係があるというような解釈も成り立つかもわからぬですが、端的に条約とか、あるいは行政協定、安保条約等、その関連においてアメリカの陸軍が日本に研究費を出しておるという直接の関係はない。しかし、日米の関係が非常に険悪な両方の関係であったならば、これはなかなかそういうものを出さないかもしれない。いろいろ議論も突き進んでいけば、そういう考え方もあるいはあるのかもしれませんが、端的には安保条約や行政協定とアメリカの陸軍の寄付とが関係をしておるとは私は思わない。いろいろ突き詰めていけば、いろいろな御議論があると思いますが、そんなに複雑に私は考えないで、やはり条約、協定と研究費を出すかということと結びつきがあるかどうかということで、ないと思うとお答えしたのでございます。
  73. 亀田得治君(亀田得治)

    ○亀田得治君 私が、そういうわかり切ったことをお聞きしましたのは、安保によってこの開発研究局が、これが存在しておるわけなんです。安保の目的は、はっきりしているじゃないですか、安保の目的は。そうでしょう。どうして切り離して国民は考えられるのですか。安保の目的は、総理大臣以下が絶えず説明されるとおり、きちっとはっきりしているんですよ。その中の一つの機構じゃないですか。これがなかったら、こんなものおれないでしょう。日本におり得るということは、そういう体制の中でおるんですよ。そんなことは、日本に駐留しておる米軍は戦争と関係がある。戦争と言ったのは多少言い過ぎですが、いわゆる皆さんがおっしゃる安保ですね。そういう立場でおるものからの寄付ということであれば、これはあなた、原則としていかぬというのが私はたてまえじゃないか。ここを聞きたいわけなんです。それを条約などと何も関係ないというふうに、まず土台を薄められるものですから、私は、そうじゃない、これははっきりしているんだ、よって立つ根拠は。そういう根拠があるから、そこで原則論になればやはりこれはいけないんだということでなきゃこれは納得できませんよ。それはあなた、軍事と結びつかないというようなことをクックさんですかもおっしゃっておるが。それは言うだけであって、軍の目的というものは、これは常識で考えたってわかっているんだし、安保の目的はわかっているだし、そこからの金が何ら軍に結びつかないと一片の説明があったからといって安心するものじゃありません。もし、そんなことを安心して日本の研究者なり学者が多数――これはまあ資料は追って出て、その上でやろうということになっておりますが、そんなことを安易に考えておやりになっておるんだとしたら、これはたいへんな問題だと思います。だから、総理大臣意見は、どうも先ほど朝永さんが言われたのとだいぶんニュアンスが違う。朝永さんはケース・バイ・ケースでいろいろ検討しなければならぬけれども、せんだっての学術会議の場合などは、これは米国人が来る、その人の飛行機代というふうな意味もあって、多少軽く考えられたのもやむを得ないじゃないかというような意味のことをおっしゃっておったが、私は、そういう事務的な費用じゃなしに、研究そのものに対する補助金、これは私は原則的に否定すべきものである。ほかの機関から出るならこれはまた論議は別ですよ。これは明らかに在日米軍の一部ですよ。どうですか。これは朝永さんと総理大臣意見をもっとはっきり述べてほしいですね。
  74. 国務大臣(佐藤榮作君)(佐藤榮作)

    国務大臣佐藤榮作君) 私、朝永会長のお話と別に食い違ったとは思っておりません。私が先ほど来申しましたのは、一般国内の研究委託また外国からの委託、こういうような話について申し上げた。この陸軍云々の問題になりますと、これはよほど私自身、あとで速記をよく調べていただけばわかると思いますが、区別してお話をしております。これはやはりケース・バイ・ケースで物事はきめなければならない、かように私は思っております。
  75. 亀田得治君(亀田得治)

    ○亀田得治君 ちょっと朝永さんの意見、ひとつ求めてください。――原則として否定すべきものだという立場で聞いておるのです。
  76. 説明員(朝永振一郎君)(朝永振一郎)

    説明員朝永振一郎君) 私としましては、今回の問題をどう判断するかというようなことは、いまここで学術会議の見解として述べるのはちょっと早いのではないか。で、私としましては、ただ、一つの重要な問題が提起されているということは考えなければならないじゃないかと思っておりまして、これはなおしかるべき学術会議委員会等もございますから、ここにはかってみたいと思っております。ただ、抽象的な形では、すでに先ほど小柳先生が読み上げられましたようなもの、あるいは声明等でございますが、これを実際のこういうケースに当てはめたときにどう判断するかという問題だと思うのでございますが、これにつきましては、やはり簡単に数学の公式のような形で答えが出るのならば非常に楽でいいのでございますが、やはりしかるべき場所で十分慎重に考えたいと思いますので、少し時間をかしていただきたいと思います。学術会議と申しますのは合議体でございまして、いろいろな意見の方がおられますので、会長一存であまり結論めいたことを申し上げるのは、会長は総理大臣と違いますから(笑声)そこを御理解いただいて、少し時間をかしていただきたいと思います。
  77. 小林武君(小林武)

    小林武君 関連。
  78. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 小林君、関連ですから簡単に願います。
  79. 小林武君(小林武)

    小林武君 私は、八千ドルですか、八千ドルの問題が、単にたまたま起こったということであれば、これはわりあいに相互の理解というものは案外できたかもわからないと思う。しかし、八カ年にわたって日本の大学に、文部省も知らない、どこも、政府のあらゆる機関が知らないところで研究費が入っておったということになれば、総理大臣の、潔癖にあまり考え過ぎるのもどうかというようなことは、私はやはりとるべきじゃないと思います。私は、国際的な学会を開いたり、国際的に日本や各国の学問の交流をやるということは、これはもう国境なしにやるべきだ。しかし、少なくとも軍というものは、申し上げるまでもなく、これはもう国防を専一に考えるのです。これほど端的に目的を追及するものは、私は国家のいろいろな機構の中でこれほどのものはないと思います。それだけにまた危険性というものはきわめて大きい。そういうところから、一体、条件つきですよ。条件ついているところもあるのですよ、この中に。たとえば、一例は北里研究所が条件をつけられた。条件つきの金をもらって日本の学会がやるというようなことは、これは私は日本の学問の研究の立場からいっても、教育の立場から見てもやるべきじゃないと思います。それはあまり潔癖に考えることはどうかというようなことが総理大臣のことばとして出て、われわれもそれを聞いて、なるほど御無理ごもっともだということを言っておるのでは、私は将来たいへんなことになると思います、もしもそういうお考えで総理がおっしゃっておると。総理は、おれの先ほど言ったことはそんなことじゃない、もっとけじめをつけてはっきり言ったとおっしゃることでありますから、私は何か悪いほうに悪いほうにと聞いておったような気もする。そこで再度、私は総理大臣の一言というものは重いものですから、どういうふうにお考えになるか。私の言う見解が正しいのか、いや、そんなことじゃない、もっと自由に考えてほしいというお考えなのか、潔癖過ぎるぞ、おまえの考えは、というようなことをおっしゃるなら、私はこれは対立した意見でこれからいかなければいかぬと思うのですけれども、その辺を明らかにしておきたいと思います。この一回で関連はやめます。
  80. 国務大臣(佐藤榮作君)(佐藤榮作)

    国務大臣佐藤榮作君) これは、先ほど来実態がわからなくていろいろな議論をしておることが問題を紛糾さしておるのだと思いますから、先ほど来、もう少し時間をかしてくださいと言ってお願いをしておりますから、いずれ事態がはっきりすればまた考え方もケース・バイ・ケースの考え方で結論を出すだろうと考えております。ただいままでのところは、なかなか結論が出てきにくい点は、学問の研究が自由だといいますか、そういう意味でどこからもあまり干渉を受けてない、その大学の自治あるいは研究の自由という、先ほど鈴木君が質問されましたが、そういうような立場のものが一つあります。だから、いまの外から研究を頼まれた場合に、あるいはまた援助を受けた場合に、一々政府にも断わってないようなことがあるのではないだろうか、これは幾ら研究の自由といっても、もしそういうことがあるならばたいへんだ、ただいまも質疑応答を聞きながら、実は私も一つ考えたのでございます。また、その研究がいわゆる条件づき研究だということになったら、これは軍の場合に戦争目的のために特別な研究を委託する、あるいは委嘱するというようなことになればこれはたいへんだと思います。また、民間の場合でも民間の事業会社の特殊な目的のために、利益のためにというような条件づきのものならばこれはいずれにしても問題だと思います。しかし、そういうのは最初の研究の自由あるいは学問の自由、こういう立場から考えたときに、結局研究者のこれはもう良識によってそういうものはきまるのではないか、こういうことにもなろうと思います。いずれにいたしましても、この問題はもっと私どもが掘り下げて実情を把握しないと、ただいまのような将来に進んでの対策などは立ちにくいのではないかと思います。ただいま御指摘になりました問題、この米陸軍からの委嘱、これはもう全部戦争に、軍というものは戦争だと、そういうような考え方から全部やられましても、これは私はどうかと思う。たとえば、先ほど例を申し上げました京都の花山天文台、特別な天体の観測をする機械設備等の援助というような問題になると、これはむげにそういうわけにもいかないのではないか、これはやはりケース・バイ・ケースできめるべきものである。それからもう一つは、軍というところにただいまのようないろいろな誤解を受けているだろうと思いますので、将来受けるような場合にはこういうような条件があるということはもちろん考えなきゃならないし、それは断わるほうに考えなければならぬと思いますが、また、援助自体が特殊のものであるとどうしても納得がいきかねる、そういう場合もケース・バイ・ケースは一そう厳密に考えなければならぬ、かように私は考えます。
  81. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 同僚委員も心配しておりますので、態度を明らかにして先に進みますが、学術会議が再三再四にわたって学問の真理の探求は平和を探求するのだと決議しているにもかかわらず、アメリカの外部からこういう金をもらっているのは何事かと、こういう立場で問題を追及しようとしたが、しようがないから、きょうは保留して先に進みます。したがって、論議できる資料をここに出しなさいということですから、誤解のないようにしておいてもらいたいと思います。では先に進みます。  次は、宇宙開発一元化及び開発の促進化の問題でありますが、この中で、お急ぎのようでありますから一問だけ質問いたしますが、巨大科学時代に入りまして、学者が競ってこの巨大科学に飛び込んで、そうしてその予算獲得のために研究がおろそかになるのではないか、予算をとらなければ巨大科学の研究にも不十分でありますから、そういう方向に学会が動いているのではないか、したがって、この巨大科学時代になりまして、学術会議なども積極的にその問題を取り上げて、たとえば宇宙開発、原子力開発など、この重点的な問題がありましょうから、そういうものにセレクトしながら統制ある研究体制に入っていただいたら、学者は予算の獲得に狂奔しながら研究しないでよいではないか、そうして予算の問題は、内閣がもっとちゃんとして学会や学術会議などの意見を十分聞きながら予算を配分して、予算を一元化して日本の宇宙開発及び巨大科学を前進すべきではないかと、こういう考えを持つのでありますが、学術会議の会長としての御意見をお聞きいたします。
  82. 説明員(朝永振一郎君)(朝永振一郎)

    説明員朝永振一郎君) いま御質問の件でございますが、学術会議といたしましては、この学術全般にわたってもう少し計画的にやる必要があるというか、そういう考え方をしております。巨大科学というのがそういう場合に非常にクローズアップされますけれども、必ずしも巨大科学だけが大事なものではなくて、小さいと申しますか、あるいはもっとじみなものについても十分配慮しなくちゃいけない、しかし、おっしゃるとおり、科学が非常に巨大になりつつあるということは、これ実際世界の趨勢でありますので、巨大科学も無視することはできない。それでこの予算の獲得等につきまして、もう少し計画的に長期的な観点に立って、巨大科学だけでなくて、巨大科学とそれからもっとじみなものとの比率と申しますか、それがどの程度であるのが一番この科学全体から見て望ましいのであるかというようなこと、あるいは巨大でないものにつきましてもいろいろな種類がございます。たとえば大学等でやる、ある意味じゃ教育とか、科学者の養成というものと関連づけて研究を進めていくものもありましょうし、それから研究所をつくる必要があるというものもございましょうし、いろいろなものがございます。それからかなり研究の内容について計画を立ててやるものもございますし、あるいは計画の全然立たないもの、立てられないもの、あるいは立てないほうがよろしいもの、こういうものがございます。それからそのほか学問が非常に変化が激しいものでございますから、予測されなかった研究が必要になるような、そういうものもございます。で、そのそれぞれにつきまして、たとえば予測されないものにつきましては、あらかじめこの予算を積み上げて政府に要求するということはできないわけでございますので、そういうものはある程度何と申しますか、保留しておきまして、その中から非常に弾力的に支出するという、そういうものも必要である、そういういろいろないままでなかった問題が出てきておるわけでございます。それでこういう問題につきまして、学術会議はここ何年か前から非常に熱心に取り組んでおりまして、何かこう年末になってわれわれがかけ回って、そうして予算を出していただくというようなことをしないで、もう少し合理的な方法でやらなければ、さっきおっしゃいましたように、学者が研究を留守にして予算獲得のためにかけ回るというようなことで時間を浪費するのはたいへんつまらないことだと思います。そういうわけで学術会議として、それじゃどういう方法があるかということを非常にいま一生懸命作業しておるわけでございます。ほんとうを言いますと、こういう作業も相当時間をとりまして、研究が留守になる心配があるのでございますけれども、これはその作業をほかにそれじゃどこでやることができるかといいますと、そういっては失礼でございますけれども、やはり学問の現場におる人たちみずからがやらなければほんとうのものはできないんじゃないかと思います。そういう予算獲得について努力しておりますので、皆さんもそれこそ十分御理解していただいて、皆さんというのはそちらのほうでございますが、十分理解していただきたい、こういうふうに思います。
  83. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 総理大臣は、衆議院の予算委員会でも、科学技術特別委員会でも、宇宙開発一元化について相当発言しておられますから、きょうはその問題は省略をいたします、もう衆議院の予算委員会で十分聞いておりますから。聞いておりますが、朝永先生もう一問だけ。  学術会議が――いまの東大宇宙研のロケットの打ち上げ、あるいは科学技術庁のロケットの打ち上げなど、あるいは郵政省や電電公社など、ばらばらでやっておるが、そういうものを一元化しなきゃならぬが、学者が日本政府のいろいろな構想に非常に冷淡ではないか。もちろん、学問の府ですから、そういうふうな統一とかなんとかめんどくさいでしょうが、もう少しそういうものに学術会議意見が反映されて、そして問題にならないでスムーズに衛星の打ち上げなどがなされなければ、日本の宇宙科学の前進はないのじゃないかと思うのですが、学術会議としてのいままでの取り組みなり御見解を御発表願います。
  84. 説明員(朝永振一郎君)(朝永振一郎)

    説明員朝永振一郎君) いま御質問が出ましたのは、先ほど実はいまの趣旨の御質問であったろうと思いましてお答えしたのでございますけれども、いま宇宙科学の問題非常にいろいろ大きく出ておりますけれども、先ほど申しましたように、学術会議といたしましては、宇宙を含めまして、あるいは原子力、それから先ほどの例の宇宙航空研究所のようなものがいまできておる代表的なものでございますけれども、そういうものも含めまして、もっと全般的なことにいままでずっと取っ組んでおりまして、特にこの宇宙の問題は最近クローズアップされるようになったわけでございますけれども、いままで学術会議がこの問題について全然無関心であったわけじゃございません。実はこの宇宙研究所――実際できましたのは宇宙航空研究所でございますけれども、そういうものをつくって宇宙科学を進めていくべしというように学術会議政府に勧告した結果、東大宇宙研究所ができたわけでございます。そういう関係上、決して宇宙の問題に冷淡であるというのではございません。ただ、この宇宙の問題は、いま御指摘ありましたように、いろいろ関係する分野が非常に広うございまして、気象、それから通信、そのほかもろもろのことが含まれておりまして、そういうことにつきましても、もちろん学術会議としては非常に関心がございますが、いままでどちらかと申しますと、宇宙科学という、衛星で申しますと科学衛星ということになりますけれども、そういう観点からの研究所の設置等も政府に勧告しておるわけでございます。それで、一元化という問題が出ているのでございますが、強力に進めていただくことはたいへんけっこうなんですが、行政的な措置の体制の一元化の問題、それから研究上の体制の問題、いろいろな問題があまり十分提起されずに、ただ一元化一元化というふうに言われているのではなかろうかという印象を少なくとも私は持っているわけでございます。行政的な体制の問題と、それから研究上の体制の問題と、もう少しきめのこまかい、何と申しますか、研究の実際に即した観点から検討する必要があるのじゃなかろうか――これは私の、きょうは会長としての意見を聞きたいということで、個人の意見を申し上げてはいけないのでございますけれども、私としてはそういう感じを持っているわけでございます。決して学術会議が冷淡であるわけではございませんで、むしろどちらかというと、宇宙科学という基礎的な研究という面に、どうしても学術会議というところは焦点がそちらに向くということはあると思いますけれども、そういう点でわれわれも非常に関心を持っておるわけです。
  85. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 ありがとうございました。  次に、文部大臣に質問いたします。いろいろ宇宙開発の促進の問題、一元化の問題が論議されてまいりました。省略して先に進めますけれども、具体的にラムダS三号機が上がる前に、町では今度のロケットは失敗するだろうという風評をわれわれは聞いておった。いまのロケット打ち上げについても、もちろん研究ですから失敗もありましょうが、そういうときに責任体制というのがない。どの役所でも、役所仕事でありまして責任体制のないところはないわけですね。ところが、研究だからということで、あれ一発上げますと一億数千万、今度ミューを上げますと四億から五億、一発上げまして。それが失敗いたしましても、失敗でしたということで終わっているのではないか。たとえば、文部省に成功した失敗したという報告が今日まで出されておるかどうか。たとえば、先般のアメリカの宇宙衛星の飛行士の事故では、数千ページの報告書が国会に出されておると聞いております。日本の宇宙開発のそういうふうな責任体制というものは、もちろんまだ学問の段階でありましょうけれども、しかし、学者がアイデアを出して、あとは工場に設計、製造をまかして、運送していって打ち上げる。責任体制というものは、そのセクション、セクションで明らかにあるわけです。はっきりあるはずです。そういうふうな責任体制というものははっきりしておるのか、それから失敗なら失敗、成功なら成功の報告が文部省にあるのか、お聞きしておきたいと思うのです。
  86. 国務大臣(剱木亨弘君)(剱木亨弘)

    国務大臣(剱木亨弘君) お答えいたします。ラムダ三号機が失敗いたしましたのは、まことに申しわけないと思います。しかし、ラムダ三号機を打ち上げますときに、必ずしもこれは人工衛星は成功するとは申していない。これはあくまで実験の段階にあるのでございまして、ミュー型のいわゆる人工衛星を打ち上げるための実験段階でございます。したがいまして、過去三回においてラムダ型を打ち上げまして、その制御装置まで一応成功してきておるのでございますが、今回のラムダの場合は第三段に点火ができなかった。これはいままではすでに成功した面においてそういう失敗をしたのでございますから、ただいま詳細にどこにその原因があるかを調べておる状態でございます。こういう問題につきましては、研究の成果、研究の過程におきましては、あらゆる研究雑誌等を通じまして発表をして報告をいたしておるのでございまして、ただ責任体制と言っても、これは科学研究の段階におきまして、一回それが実験段階で失敗いたしましたら、これはすぐ責任とってどうという問題ではないと私は思います。
  87. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 科学開発一元化の問題とも関連いたしまして、予算にいたしましても各省ばらばらについております。各省がおのおののアイデアで開発しおるわけでございますけれども、その問題ともからみまして、やっぱり機構の一元化と予算の一元化をこの際やって、そうして開発体制の責任というものを的確にしておかなければ、民間団体、学者及び工場など、そういうところの有機的な活動ができないのではないか。そういう意味を含めまして、責任体制を文部省みずから……。もうその責任がないのだということについては納得できないのですが、もう一回文部大臣の見解をお聞きいたします。
  88. 国務大臣(剱木亨弘君)(剱木亨弘)

    国務大臣(剱木亨弘君) 先ほど朝永学術会議会長が申されましたように、東大におきまする宇宙航空研究所は、学術会議の答申に基づき、宇宙開発審議会の答申に基づいて、宇宙科学の共同研究機関としてつくられたものでございます。したがいまして、この宇宙開発審議会におきましては、ただいま、実用衛星と申しますか、科学技術庁で計画されております面と、宇宙航空研究所で研究する段階との、けじめをはっきりとつけておるのでございまして、宇宙航空研究所は、あくまでミューの、いわゆる科学衛星を打ち上げることをもって終わりとする。したがいまして、あとの実用衛星になりますれば、各省でこれを全部まちまちでやるというようなことでなしに、これを一本化していこうという体制に私どもも賛成をいたしまして、それに協力をしていく。ただ、大学におきましては――これだけはひとつお認め願いたいと思いますが、宇宙科学あるいは基礎科学におきましては、あくまで研究者の養成の分担を持っている。基礎科学の面におきましては、研究者の養成という面も無視するわけにはまいりません。ですから、将来この宇宙研究の体制が一元化いたしましても、その一元化された組織の中に研究者を送り込みますのは、これは大学の責任です。ですから、これに関する研究は大学においてまた続けていかなければならない。一元化したから大学におきまする宇宙開発の研究は全部やめてしまう、こういうわけにはいかないと思っております。
  89. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 宇宙開発の問題は、また別途の機会に詳細に質問いたしたいと思います。  第三の、産業公害の問題について質問いたします。衆議院の予算委員会でも各委員が相当質問しておりますし、また、公害基本法もできることでありますから、法的なもの、あるいは理論的なものについては、一応ここでは飛びまして、具体的な問題について質疑いたします。  まず、厚生大臣と通産大臣でございますが、川崎市と北九州市ですね、この二つ、ともに工業都市でありまして、大気汚染がひどい。この現在の非常にひどい大気汚染、「ぜんそく」もありますし、問題がたくさんあるのでありますが、この両市を住みよい普通の都市にするためには、現在、金に見積もって、どのくらいの金をかけたら普通の都市ぐらいになるか。まず、厚生大臣、通産大臣から見解をお聞きいたします。
  90. 国務大臣(坊秀男君)(坊秀男)

    国務大臣坊秀男君) 御指摘のとおり、川崎市、北九州市、これは非常にいわゆる公害の激しいところでございます。これを普通のものにしていくことに一体どのぐらい金がかかるかということでございますが、このことにつきましては、公害対策基本法等を制定をいたしまして、環境基準といったようなものをきめまして、そうして、これ以上はもういけないのだといったような「ものさし」ができるというようなことによって、そこでいかなる程度の施策をやればいいか、どういう具体的な方策をとればいいかといったようなことが、おいおい明確になってくるというようなことでございまして、今日非常に公害がひどい、これを是正するのに幾ら経費がかかるかということにつきましては、まことに残念ながら、今日これを推計して幾らかかるかということを申し上げるような段階には至っておりません。
  91. 国務大臣(菅野和太郎君)(菅野和太郎)

    国務大臣菅野和太郎君) 具体的な御質問でありますので、できるだけ具体的にお答えしたいと思います。  川崎市、北九州市につきましては、三十八年一月に、ばい煙規制法に基づきまして指定地域に指定されまして、規制を行なってまいりました結果、ばい煙につきましてはかなりの効果をあげておるのであります。しかし、亜硫酸ガスによる大気汚染につきましては、重油消費量の急増などのために、汚染は改善されておりません。そこで、特に汚染の著しい川崎市におきましては、昨年十一月末に、排出基準を四日市並みに強化いたしまして、この改善をはかることといたしておるのでありまして、今後、低品位重油の供給量の増大、脱硫技術の確立とともに、排出基準の引き下げを、その他の都市についても実行する所存であります。これら大気汚染防止措置の実施につきましては、これまでと同様、企業にも応分の負担をお願いすることといたしておりますが、これを具体的に幾ら出すということは、まだ決定いたしておりません。
  92. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 通産大臣の答弁は少し誠意がありますけれども、厚生大臣のは、まことに答弁がなっておらぬのですね。私は何も正確にそういうものを求めておるのではないのでありまして、公害基本法ができるから、あとあといろいろな施策がありましょう。しかし、今日までもやってきたはずですよ。厚生省は取り組んできているのです。その厚生省が取り組んでまいりますには、ちゃんと、そのときのお金で見積もりながら、企業負担なり、あるいは国の負担なりを推計しながら、いままで施策をやってきているわけですよ。何も将来のことばかりじゃなくて、大体どうですか、大臣の長い経験から推計して、どのくらいかかりましょうか。
  93. 国務大臣(坊秀男君)(坊秀男)

    国務大臣坊秀男君) 公害を防除して、そうして普通の都市並みというようなことにするのには一体幾らかかるか、こういう御質問でございましたので、私は先ほどの答弁を申し上げたのでございまして、具体的にいろいろなことを今日までやっておりますが、そのやっておる措置につきましては、ただいま通産大臣お答えになったように、川崎市、北九州市は、ばい煙規制地域に指定をいたしまして、そうして、通産大臣も申し上げましたとおり、ばい煙の降下というものは、これは相当改善をされておる。亜硫酸ガスにつきましては、これは非常にひどい状況にあるということでございまするので、四日市と同様に川崎市を規制をいたしたというようなことでございまして、将来一体幾ら金がかかるかということは、ここであまりばく然としたことを申し上げる筋合いのものではございませんので、公害基本法が実施されまして、そしていろんな規制ということが基本法に基づいて行なわれますと、おいおいと一体どれぐらいの具体的に施策をすればいいかということが、これがだんだんと明確になってくるに従いまして、それによってこれらのものの経費というものが推測されるということを私は申し上げたような次第でございます。
  94. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 通産大臣、質問いたしますが、これから公害基本法で環境基準などを制定いたしますが、われわれが衆議院の予算委員会でも心配して質問しております。心配いたしておりますのは、通産省は企業負担をなるべく少なくしたい、厚生省は健康だ、企業負担よりも国民生活の健康だということで、答申の間にもズレがある。各省の間でもそういう感覚の相違がある。そういうふうにいま心配されておるもんですから、いま大体の見積もりがあればと思って聞いたんですが、見積もりができない。ただ、私どもいままでも数年前から問題にしておるのは、煙突の数はわかりますから、あれから出る排気ガスもわかりますし、その排気ガスを東京ぐらいまでにするには概算幾らぐらいかかるか、推計したら大体出ますね。そういうものを聞いたんですが、環境基準をつくる場合に、企業負担などというものを考えないで、とにかくもう清い空をつくるんだということで環境基準をつくるんだということ、これだけは言明できますか。
  95. 国務大臣(菅野和太郎君)(菅野和太郎)

    国務大臣菅野和太郎君) 産業公害についての責任ですが、その責任の限度につきましては、その原因がはっきりしておるものは、これは企業者にも責任の限度がちゃんとはっきりわかると思います。しかし、その責任の所在がはっきりしない場合があるのでありまして、そういう場合には、たとえばばい煙防止法、あのばい煙規制などでは、企業者とそれから公共団体と分担してやると、そういう場合には和解の仲介制度というものを設けまして、そうして適当にやるということをやっているのであります。とにかく産業は公害の加害者でありますからして、したがいまして、その産業公害が起こらぬように、まあ防止するように、また未然に、そういうことが発生せぬように、通産省としては今後指導していきたいということで、また予算ももらっているのでありまして、そういうことで公害問題が今後起こらぬようにしたい、こう考えております。
  96. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 いまの公害問題が起こらぬようにということが基本でありますけれども、やはり企業負担など、あるいは国民の健康など、ちゃんとはかっておきませんと、抽象的には論議できぬのです。時間が少ないので、また別の機会にこの問題は論議いたします。  総理大臣に質問いたしますが、今度の地方選挙でわれわれはたびたび聞かされ、大きく問題になりましたのは、革新首長になれば――革新知事とか革新市長になれば、大気汚染など公害が非常に減っていく、非常にきれいに早くできる、ところが保守の首長であると、公害責任の企業負担をなるべく少なくしてやるのでということで、大企業も下請企業も保守を推薦せよということで盛んに演説されているわけですがね。ひとつそういう問題で、総理大臣の見解を聞いておきたいのです。
  97. 国務大臣(佐藤榮作君)(佐藤榮作)

    国務大臣佐藤榮作君) どうもまだ選挙が残っているようですが、(笑声)この機会に選挙演説をするつもりはございません。したがいまして、私、公害をなくするのは革新知事でなければ、あるいは革新市長でなければできぬ、かようには私は思いません。まあいままでの例をそれぞれ見ましても、千葉の川崎製鉄、かつてはたいへん黄色い煙を出しておった。今回出かけていって見ますと、白い煙。会社が六十億ばかり出した、あるいは七十億出した、かようにいわれております。また、北九州は、ちょうど私が出たときは実は日曜日でありましたから、必ずしもそれが当たらないと思いますが、北九州がわりに煙が少ないじゃないかと言ったら、「たいへんよくなった」、「特別やったのか」、「きょうは日曜日だ」と、「確かによくなりました」、こういうような話であります。私どもは、それぞれ企業努力が行なわれて、こういう事柄について順次変わっていくんじゃないか、かように思って、またそれを期待しております。また、いま川崎のお話が出ておりましたが、川崎には私、演説に出かけた。わずか滞在したけれども、あとうちへ帰ってたんを出すと、黒いものが出てくる。これはたいへんに空気が汚濁している、その証拠だと実は思ったのであります。まあいろいろくふうもしておりまして、最近の千葉あたりの石油コンビナートなど、特に緑地帯を設ける、またその他くふうしておるようであります。  でありますから、先ほど通産大臣が答えましたように、原因発生者というか、加害者というか、それが非常にはっきりしておれば、それに責任を負わしてやる。また、ちょっとつかみにくいもの、たとえば自動車の排気ガス、それぞれ自動車にそういう特別施設をいたしましても、なおかつ相当空気は汚濁する、こういうような場合だと、これはやはり国なりあるいは公共団体なりが特別に負担していく、こういうようなことにならなければならぬと思います。私は、革新の人ばかりが企業を圧迫する、企業の責任を追及する、かようには思っておりません。私ども、特に社会開発を政治課題の一つの柱にしておる佐藤内閣といたしましては、積極的に公害の防止、また大気汚染あるいは河川汚濁その他の各種の公害について、積極的に取り組む考えでございます。
  98. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 保守党の主張でも、企業負担など十分にして、公害については積極的にまた解決する、こういうことでございますね。  それから、経済企画庁の次官に質問いたしますが、これは各港最近は同じだと思うんですが、周辺に化学工業とか製鉄所とか石油精製などの工場ができまして、港なり湾が非常に汚濁してまいった。北九州もその例に漏れず、製鉄、化学、窯業、セメントなどありますものですから、先般産業公害特別委員会の諸君が視察いたしましたときに、これもきたないということでおしかりを受けた。これをあとでいろいろ聞くというと、やっぱりこれも佐藤総理が言われたのだと思いますが、中央に直結しない、かつては革新知事であったものだから、だからこの湾がこんなに濁っているというようなことで演説されたということです。そこで、中央とパイプを直結すれば洞海湾でもきれいになるというようなことで県民が思い込んでしまって――次官、ちょっといま質問するんですが、この洞海湾のよごれを直すのには一体金はどのくらいかかるのか。
  99. 政府委員(金子一平君)(金子一平)

    政府委員(金子一平君) お答え申し上げますが、ただいま幾ら金が要るかということですが、これについては水質基準を設定するかどうかの調査をしなければならぬわけですけれども、福岡県からはこの二月に水質の調査をしてほしいという要望が出てまいりました。しかし、同時に福岡県としては、地元の矢部川と紫川のほうをひとつことしやってくれ、その次に洞海湾のほうの調査を進めてほしいということでございます。関係各省と協議をいたしました上、ことしはとりあえず矢部川のほうの調査を進めることにいたしまして、明年度ぜひ洞海湾のほうに当たってもらいたい、こういうことで考えている次第でございます。
  100. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 この湾は、単に洞海湾だけでございません。いま各産業の廃液など、産業公害としてどの港もどの湾もそういう問題を持っておると思います。したがって、さっきの質問と同じでございますけれども、各産業と十分話し合いながら、国も施策をして、一日も早く産業公害がなくなりまして、きれいな港になるように、きめこまかい質問はまた別途の機会にいたしたいと思います。  運輸大臣がお急ぎのようでありますから、産業公害の一つの具体的な例でございますが、先般イギリス海峡で大型タンカーが座礁いたしまして、重油が海峡に満ちて、フランス、イギリスの政府が大騒ぎをいたしておりますが、日本でそういう事故が起こらないとも限らないわけでございます。日本は大型タンカーを使っておりますから、事故もふえたようでありますが、これに対する運輸省の現状の分析及び対策並びに補償措置が――原子力の場合は賠償補償の法律がありまして、補償措置はありますが、大型タンカーの場合はありません。こういう問題について運輸大臣としての見解をお聞きいたします。
  101. 国務大臣(大橋武夫君)(大橋武夫)

    国務大臣(大橋武夫君) タンカーの大型化に対処いたしまして、運輸省といたしましては、たまたま昨年の十一月にタンカーの大型化に伴う災害対策要綱というものを検討して、一応決定をいたしておるのであります。  その内容といたしましては、第一の面は、まずタンカーの事故を起こさないように防止する対策といたしまして、まず第一に、東京湾口、伊勢湾口、瀬戸内海等の狭い水道につきまして、航法規制を強化し、また航行管制を実施する。さらに、航路標識の整備等を行なうことを急速に取り運びたい。次に、港湾につきましては、従来の規制のほかに、特定の港内及びその付近にありまする大型タンカーに対して特に航路を指定する、あるいは航法を指示する等について、港長あるいは港の当局の権限を強化するような措置を講じてまいりたい。さらに、シーバースを整備いたしまして、海上において原油の荷上げを処理いたしまするとともに、さらに将来の原油輸入基地の建設のあり方について再検討を行ないたいと存じております。このほか、船舶の安全性あるいは船舶職員、水先人の問題等につきましても、積極的に施策を進めたいと思っております。  第二の面は、災害の起こったときの救助対策をどうするかという点でございまするが、これにつきましては、海上保安庁を中心とする救難体制及び消防体制を強化し、さらに大型タンカーを引っぱっていく能力を有する大型の航洋曳船を建造整備したい。さらに、化学消防艇を整備したいというようなことを考えておりまするが、すでに御承知のとおり、わが国におきましても、室蘭の不祥事とか、あるいは川崎地先の京浜運河の事故等を考えますというと、これらの体制も急速に整備する必要があると存じております。  最後の点は、船主責任の問題でございまするが、これにつきましては、たまたま先般英仏海峡におきまして、トリー・キャニオン号事件がありましたのを契機といたしまして、IMCO、すなわち政府間海事協議機関等の国際機関が緊急に第三回理事会を招集いたしまして、今月の四日、五日の両日、ロンドンで相談をいたしまして、わが国もこれに代表を派遣いたしたのでございますが、この会議におきまして取り上げられた問題は、第一は事故の未然防止、第二は事故があったときの処置、第三がこの船主の責任という問題でございます。わが国といたしましては、事故責任に関しまする問題につきましては、たまたまこういう国際会議で現在問題になっておるおりからでございますので、これらの点に十分留意しつつ、所要の措置について検討をいたしてまいりたい、こう思っておりまするが、さしあたりの措置といたしましては、わが国において建造いたしまするタンカーについては、できるだけ船主の責任保険をかけさせる措置をとるということにいたしております。
  102. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 運輸大臣、ただいまの最後の問題、船主の責任保険ですね、その問題について少し見解をお聞かせ願います。
  103. 国務大臣(大橋武夫君)(大橋武夫)

    国務大臣(大橋武夫君) ただいまのわが国の海事法、商法等の規定から判定をいたしますると、事故が日本の領海で起きました場合には、日本の法令が適用される。事故が公海で起き、被害が日本の領海に及んだような場合には、国際的な明確な基準はいまのところございませんが、日本の法律が適用されると一般に解釈されております。タンカーの事故の場合には、被害については、現在の法制の解釈といたしまして、加害船側の故意または過失が立証される範囲内で賠償責任が生ずるという、いわゆる過失責任制度をとっているのが世界各国の法制の現状でございまするが、しかし、先般の英仏海峡の事故等から考えまするというと、この範囲が非常に広範になりまして、なかなか個々の船主が十分な賠償の責任を果たし得ないというような場合も想像しなければならないかと存ずるのでございます。かような場合におきまする責任をいかにするかということにつきまして、ただいまIMCOの方面において、特に法律問題についての専門委員会を組織いたしまして、急速に検討を加えることに相なっておりまするが、わが国としましても、この結果を待って急速に対策を講じたい、かように考えております。
  104. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 通産大臣に質問いたします。ただいまの荷主並びに船主の責任ですね、これで、原子力の場合は損害補償に関する法律があるのですけれども、重油、大型タンカーの事故の場合の法律はありませんが、当面、その法律ができるまでどういう措置を通産大臣としておとりになりますか。
  105. 国務大臣(菅野和太郎君)(菅野和太郎)

    国務大臣菅野和太郎君) 私から申し上げるまでもないことでありますが、経済性という立場から大型タンカーというものが使用されているのでありまして、が、しかし、同時に安全性ということをも考えなければならぬので、この安全性の問題については、いま運輸大臣から詳細なお話があったのでありますが、そこで、通産省といたしましては、この安全性も考慮し、また、大型タンカーというものの運航というものは、これは発展をはからなければならぬということで、通産省としてさしあたり考えているのは、この原油の輸入基地を設けるということ、これが一つあるのじゃないかと思って、いまそのほうのことについて調査をいたしております。
  106. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 いや、大臣、私が質問しておりますのは、事故が起こった場合に、補償の問題で能力の限界があります、荷主も船主も。したがって、その場合にはどういうことをされるか。予防でなくて、起こった場合の、法律ができるまでの暫定措置はどうしますか、こういうことです。
  107. 国務大臣(菅野和太郎君)(菅野和太郎)

    国務大臣菅野和太郎君) そういう場合は、海上保安庁のほうの規制によると思います。通産省のほうでは、そういう責任はいまのところ私はないと考えておりますが。
  108. 国務大臣(大橋武夫君)(大橋武夫)

    国務大臣(大橋武夫君) ちょっと補足さしていただきたいと存じます。  ただいま運輸省におきましては、タンカーの建造、あるいは維持に際しまして、船主側に対する指導といたしまして、特に十万トン以上の大型タンカーにつきましては、事故に対する船主責任に対しまして、保険金が百億円以上のものまたは無制限のものをかけるように指導をいたしておりまして、大体現在のところ、大型タンカーについては、わが国の国籍を持っておりますタンカーに関する限りさような指導が徹底をいたしておるようでございます。
  109. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 自治大臣にお伺いいたします。  ここに、これは東大の鈴木先生意見でありますが、水面に流出した油は一億分の一ミリという分子の厚さで広がります。そうなると、さほど大きくないタンカーの事故でも東京湾の全面が油でおおわれ、火でもついたらたいへんなことになってしまいますと、こういうような意見です。自治省として、消防なり、あるいは沿岸の救難対策なり、そういうものに対する現在の対策、将来の見通し、そういうものをお聞かせ願います。
  110. 国務大臣(藤枝泉介君)(藤枝泉介)

    国務大臣(藤枝泉介君) すでに御承知と思いますが、領海内における船舶火災等につきましての消火につきましては、消防庁と海上保安庁との昭和二十四年以来の業務協定がございまして、接岸船舶について消防機関がこれの責任を負うという形になっておりますが、しかし、現在の状況からいたしますと、港湾内における火災についても、これに消防機関が関与できるようなふうにするほうがいいんではないかということで、この協定の改定について検討をいたしております。  それで、ただいま御指摘のように、海上の油火災等につきましては、消防研究所においてその消火の方法等の研究を進めておりますが、タンカーが大型化されまして、油が相当量流れるというようなことになりますと、現在までの研究の範囲ではとうていやっていけない、対抗しきれないんじゃないかと思いますので、さらに運輸省とも十分連絡をとりながら、そうした大量の油が流れた場合の火災の消火の方法、あるいは油の海上に拡散するのを防止する方法等を研究を進めてまいりたいと考えております。
  111. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 総理大臣に質問いたしますが、このイギリスの事故を契機にして、大型タンカーは危険ではないかという声が海運界に起こりつつあるようでありますが、日本の造船界としては、これからもっと大型のタンカーでもつくらなければならぬと意気込んでおる。したがって、この事故がありましてあと日本政府として、いま救難対策なり予防措置は聞きましたが、そういう造船業、あるいは日本の運輸産業を守る立場から、政府としてどういう措置をおとりになりますか。
  112. 国務大臣(佐藤榮作君)(佐藤榮作)

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど運輸大臣、また、藤枝君等からお答えいたしましたように、まず事故が起こらないようにすることを第一に考えなければならぬ。また、起きた場合に、その被害を最少限度にとどめる、こういうことも特に考えなければならぬ。いまの造船業界におきましても、英仏海峡の事故以来、たいへん心配しております。しかし、大型タンカーがたいへん経済的に役立っておる、これは見のがすことはできません。したがいまして、事故が発生した場合に対する最善の対策を立てることによりまして、そうしてその大型化というものは、今日の現状はもちろんのことですが、今後もやはり研究していくのじゃないか、また、いくのがいいんじゃないか、私は積極的に前向きに実は考えております。先ほど大橋君のお答えいたしましたうちで、特に東京湾、あるいは伊勢湾、さらに瀬戸内海、こういうような地域について、水路標識、あるいは灯台その他の標識ですね、これを整備することが一番いま必要なんじゃないか、かようにも思っておるような次第でございます。
  113. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 そのことでなくて、そういった対策じゃなくて、いま外国のほうで大型タンカーの方向に動いておったのが、あの事故を契機にして、もう十五万トン、二十万トンのタンカーというのは危険ではないかと、したがって、造船も差し控えなければならぬというような機運にあるように報道されておりますので、日本の造船界としては、もっと大型、もっと大きなタンカーでもつくらなければならぬ勢いにありますから、日本政府は、もっと積極的にそのタンカーの安全性なり建造計画なりを技術的なものを研究しなければならぬ、そういう根本的な問題がありますが、日本政府の方針をお聞きしておるわけです。
  114. 国務大臣(佐藤榮作君)(佐藤榮作)

    国務大臣佐藤榮作君) いま最初お答えいたしましたように、私は前向きにこの問題と取り組んでいきたい。だから、したがいまして、ただいま大型のものをつくっておりますが、さらに三十万トンの船までできる。これはマラッカ海峡が浅いとかいっておりますが、そういうふうな通れないような船では困りますけれども、とにかく大型化されることは望ましい。私自身も出光丸に実はみずから乗ってみたのですが、すばらしい日本の造船技術だと思いますし、また、出光丸自身ならば火災等についての対策も十分できて、ただ予想しなかったのは、ああいう大きな船が暗礁に乗り上げる、そういう場合に、まあ英仏海峡のあの事故からもたいへんな被害だ、こういうことで非常に心配しておりますけれども、しかし、それらについての先ほどの対策等でございますから、私は前向きであることが望ましいし、また、そういう方向であらゆる対策を立てると、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  115. 国務大臣(大橋武夫君)(大橋武夫)

    国務大臣(大橋武夫君) ただいま総理大臣からお答えのありましたとおりでございまして、御参考までにつけ加えさせていただきたいと思います。  先般のロンドンのIMCOの理事会へ出席いたしました係官が今朝帰ってまいりまして復命をいたしました。その話を聞きますというと、理事会の開催される前日、すなわち三日の日に、先般の事故を起こしました船の船主がロンドンへ参りまして、そうして、あの事故は全速力でもってイギリス海峡の有名な暗礁に突っかけて激突をした、こういうことで、普通想像されない状態において起こった事故であって、全くこれは船長の失策である。したがって、船長の免状はリベリアにおいては直ちに取り上げるということを申しまして、そして何ら船の危険ということについては今回の会議においては問題が出なかったそうでございまして、私も、かねてから、先生の御心配のように、大型タンカーの将来についてどうかと思っておりましたが、この復命を聞きまして非常にまあ喜んでおるような次第でございます。
  116. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 最後の問題は、別の委員会にまた質問いたしまして、この問題終わりまして、次の問題に移ります。  産業公害の中で、阿賀野川の問題がもう一つ残っておりまして、これも衆議院で相当論議されておりますが、私は結論のほうをお聞きしなければなりません。それは厚生省で調査いたしましたのを食品調査会にかけた。最終的には科学技術庁が結論を出す。ちょうど七月だというのです。七月になりますと国会が終わりますが、何か国会が終わるのを待って結論を出すような気がしてならない。科学技術庁は書類審査するのでありましょうが、なぜ早く出せないのか。それから、ずっと調査報告を見ますと、かつての水俣病の再現でありますから、それであるならば通産省や厚生省の行政責任があるのではないか。現在生活保護で苦しんでいる人もあるようでありますから、生活扶助法ではなくて、政府は行政責任上、見舞い金とか何とかでなくて、ちゃんと、企業負担もそうでありますが、政府が行政責任で処理すべきではないか、こういう見解を私持っておるのでありますが、担当大臣から御答弁願います。
  117. 国務大臣(二階堂進君)(二階堂進)

    国務大臣(二階堂進君) 阿賀野川の水銀中毒の事件につきましては、先般厚生省のほうから三班にわたる調査報告書を科学技術庁は受け取っております。ただいまそれを検討いたし、また、関係各省にもいろいろな疑点が出ておるようでございますので、それを取りまとめておりますが、さらに厚生省の統一した見解、結論が六月中には出ると、こう承っておりますので、できるだけ早くその統一見解を科学技術庁に受けまして最終的な結論を急ぎたいと、かように考えております。
  118. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 厚生大臣どうですか。
  119. 国務大臣(坊秀男君)(坊秀男)

    国務大臣坊秀男君) 阿賀野川の善後処置につきましては、ただいま科学技術庁長官から申し上げたような順序になっておるわけですが、厚生省といたしまして、特に政府といたしましては、私は、かような災害と申しますか、一つは、そういったような事故が起こった際には、政府といたしましては、でき得る限りこれの原因者というものを正確に突きとめて、そしてその原因者が正当にして妥当なる賠償と申しますか、責任に応ずるというように政府としてはこれを指導し、そういうふうに持っていくべきものであろうと思います。原因者がまだはっきりしないという段階におきまして、被害者に対しまして、これはもう政府が全部責任をとって賠償するんだと、こういうようなことでなしに、第一段階といたしましては、あくまでもその原因者というものを正確に把握し、その原因者をして善後処置に当たる責任をとらせるということが第一段階のことだと思います。
  120. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 産業公害の責任問題で一番大事な点は、一つはその予防もあります。予防では国の負担でございましょうか、企業負担でございましょうか。いま厚生大臣は、原因があればもちろん賠償するのだ、これは当然のことであります。私いま問題にしているのは水俣病。永俣病ということで一応の結論が出て、そして通産省に対しましても厚生省に対しましても経済企画庁に対しましても、ちゃんと意見が出ている。だから、あれと同じような病気が二度起こっておりますから、通産省や厚生省や、あるいは経済企画庁などの、このような法を適用する各省が失敗があったのではないか、完全にやっておけば再びああいう事故は起こらなかったのではないか、そのことも考えなければならぬのではないか。ただ、これを原因を追及いたします、それはもう何年にもなります。生活保護を受けている人、あるいは重症の人は、もう国の保護を受けないままなくなってしまいます。そういうことがあってはならぬのではないか。したがって、企業責任もですけれども、行政責任もちゃんと考えてくださいよと、そういうことを言っているわけです。それにこたえる道は、結論を早く出してもらって、一日も早くそういう人を救ってやる、そうして国が、あるいは企業が責任をとる、こういうことであろうかと思いますけれども、ただ責任のがれだけしてもらっちゃ困るのです。産業公害の問題まだありますけれども、先に進みます。  次は、満州開拓義勇隊の問題です。これもちょうどいまの国会で在外財産処理の問題が論議されておりますから、これで忘れられては十数万の当時の少年が泣き寝入りになりますから、一番いい機会でありますから提案をするわけであります。それは終戦前、昭和十八、十九、二十、高等小学校を出ましてすぐですから満十五歳です。満十五歳の少年に対しまして、県、市町村が勧誘して満州開拓義勇隊を募集した。そして、それは三年間訓練をいたしました。少年軍人と同じように訓練いたしまして、満州を開拓するのです。開拓団になりますと、また処遇も別途あります。そういう人がソ連参戦後は準軍属として処遇された。ソ連参戦前の方は全然一人の市民として、年齢も十八歳未満でありますから、補償の金額もわずかです。昭和三十一年の十二月の引き揚げ者給付金支給を受けました者は、一年間に九百二十七円の支給を受けている。十年間でわずかに利子をつけて九千二百四十円。その後向こうでなくなった方の慰霊祭もないし、野火に焼かれ、あるいは傷害のためにいま半身不随で生活扶助なぞもらっている方がありますが、厚生省の援護局にこんなにたくさんの何とかならないかという請願がありますけれども、これは法律がないからということで却下されておる。で、この在外財産処理の問題は、この国会でこれが問題に取り上げられなければこれでもう終わりじゃないか。しかも、この在外財産処理の審議会の答申には、一定の年齢に達していなかった者は除外すると書いてあります。十八歳未満の者は除外の対象にもなろうとしておる。現在要求するのは、たいして要求しない。たとえば向こうでなくなった方の慰霊祭をしてくれないか、あるいは現在こちらで生活扶助を受けている身体不自由者には傷病年金など、そういうものを準軍属としての処理をしてくれぬか、ささやかな要求でありますが、現在数で十万ぐらいではないかといわれております。そういう者に対して、この際、在外財産処理の問題が論議されるこの国会でこの問題も取り上げて善処していただきたいが、総理大臣の見解を伺います。
  121. 国務大臣(塚原俊郎君)(塚原俊郎)

    国務大臣(塚原俊郎君) 昨年十一月、在外財産問題審議会の答申が出ましたことは御承知のとおりでありまするが、この答申の趣旨によりますると、国に補償の義務はないといたしておりまするけれども、特別なる交付金の支給によって引き揚げ者に対してめんどうをみるというふうにわれわれは解釈いたしておりまして、目下関係各省と相談をいたしておるわけでございます。  いまの満州開拓義勇隊の問題でありまするが、年齢の問題につきましても、当時財産を形成し得る能力のあった者は幾つかというような点でもこれは論議が分かれるところであります。また、その年によって財産を形成した者、また、その間における対人関係、まあヒューマニゼーションと申しますか、そういうものも考慮に入れなければならないし、財産を形成し得る能力というものは、はたして幾歳くらいであったかという問題も論議の対象になっておるわけでございます、まだこれは結論は出ておりません。あるいは十八歳ということもありまするし、さらに年を下げろというようなお話もありまするが、いま厚生省、その他関係方面と折衝中でございまするので、御趣旨のほどはよくわかりましたし、関係各省とさらに調整の上、至急に立法措置をとってこの国会で御審議を願いたい、このように考えております。
  122. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 満十五歳でありますから、われわれのときの中学の二年であります。それが国の命令として行っているわけです。これは自分で行ったのではないかという意見もございましょうけれども、そして軍隊と同じように、被服をもらって訓練を受けて、そして酷寒の中で凍えておる。陳情して来た人の話ですが、いまでも一年間に三回くらい幽霊が出るという。それはやっぱりその人の幻覚でありましょうけれども、やはり苦しんで死んでいるわけです、少年――十五、十六ですね。そういう人が引き揚げて、何ら国が処遇していない。軍属としても扱っていない。そういうことは私は政治家ならば見捨てておくべきじゃないと思う。したがって、この国会でこういう問題を解決してもらいたい。ひとつ町に不平不満者がないように、十分にひとつ処置をしてもらいたい。  次は、農業協同組合の政治活動について質問します。  現在、農業協同組合に対しまして国からの補助が出されておるのでありますが、その農業協同組合は全国の府県にも政治団体を結成しているわけです。政治団体を結成しておりますが、その政治団体に農協から寄付がなされます。それで選挙をやるんですね。こういうことが、一体、いまの公職選挙法なり政治資金規正法でできるのかできないのか、自治大臣の見解を聞きます。
  123. 国務大臣(藤枝泉介君)(藤枝泉介)

    国務大臣(藤枝泉介君) 御承知のように、公職選挙法の第百九十九条によりますと、国会議員の選挙に関しては国から、地方公共団体の議員及び長の選挙に関しては当該地方公共団体から、補助金等の給付金が出ておるものにつきまして、給付金の交付の決定を受けてから一年間は当該選挙に関して寄付をしてはならないということになっております。したがいまして、たとえば県の農業協同組合が県から利子補給あるいは補助金等を受けておりまする場合には、その県の知事あるいは県議会議員の選挙に関して、交付の決定を受けた日から一年間は寄付をしてはならぬという形になるわけでございます。
  124. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 農林大臣に質問いたしますが、いま自治大臣からの話がありましたように、国から給付金を受けている団体はその政治団体に選挙前に寄付をしてはならない、そういうことがあっているわけですね。農林省はその指導の予算をとっておるわけです。農業協同組合の指導育成のための予算をとっているが、そういうものをどう指導しているのか、農林大臣から聞きます。
  125. 国務大臣(倉石忠雄君)(倉石忠雄)

    国務大臣(倉石忠雄君) いまお話しの農政連でありますが、これは、私どもの承っておるところによりますというと、農民や農協の役職員が個人の資格で参加をして農政連という政治団体をつくっていると聞いております。したがって、農協がかりに農政連に寄付金をいたしましても、御承知のように、農協というものの仕事は、物資の販売、購買をやっておるわけでありますけれども、その事業の利益を伸長してまいりますために、志を同じうするような政治団体に農協として政治献金をするということは一向差しつかえないことだと、われわれはそのように理解いたしております。ただ、もちろん公職選挙法というようなものがございますから、選挙にあたっては私がいま申し上げたような一般論は原則として持つのでありますが、公職選挙法の範囲内において常識的な額を拠出するということは差しつかえないのではないかと、こういうふうに理解しております。
  126. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 自治大臣からも少し具体的に問題をひとつ釈明してもらいたい。それは、こういう例があるわけです。毎年、会費三千万円ぐらい、県の中央会で、そのほかに米価闘争資金一俵十円、これがまあ大体三千七百万円、年間に六千七百万円も集まります。それが農協ですね。それは、まあ中央に行くのもありましょう。あるいは、そこで職員の人件費、いろいろ掛かりはありましょう。ところが、何百万かはそのうらはらの団体である農政連に寄付される。それが選挙直前ですよ、寄付される。それで選挙をする。そうして、そういう特定の議員が生まれるということは、いいんでしょうか。
  127. 国務大臣(藤枝泉介君)(藤枝泉介)

    国務大臣(藤枝泉介君) 先ほどもお答え申し上げたように、たとえば県から補助金等をもらっておるその県の農協、それが当該県の県会議員あるいは知事の選挙に関して寄付をしてはならないということでございます。「当該選挙に関し、寄付をしてはならない。」の「当該選挙に関し、」とは何だといいますと、やはりその選挙ということを頭に置いてそれを積極的に支援するというようなことであろうと思いますが、それにつきましては、やはり個々の具体的にどのような寄付がなされたということを判断しないと、一般論としては言えないのではないかというふうに考えております。
  128. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 具体的な問題がもう起こっておりますけれども、これは法務大臣がおられますけれども、具体的な問題でありますから、きょうはここでは保留しておきます。  農林大臣、いまの農業協同組合が、最近、新聞でも、運営の非民主化とか、会計がずさんであるとか、あるいは勤務する書記の待遇が悪いとか、いろいろ問題がありますが、農林省としては、ちゃんと指導の費用も予算で組んであるんですから、指導しておられるんですか、おられぬのですか。
  129. 国務大臣(倉石忠雄君)(倉石忠雄)

    国務大臣(倉石忠雄君) 中央会を通じて農協の重要なる使命については常に話し合っておるわけであります。それからまた、特定の問題のありそうなときには監査もいたしております。農協として大事な農民の経済団体でございますので、十分これからも引き続いて監督をいたしてまいりたいと思っております。
  130. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 大蔵大臣に質問いたしますが、そういうような国が補助をする団体、そういうものは選挙の直前の政治活動をやってはならぬと。逆に、今度は、寄付したら、そういう補助はやめたらいいのではないかと思うんですが、どうでしょうか。
  131. 国務大臣(水田三喜男君)(水田三喜男)

    国務大臣水田三喜男君) 必要があって補助するのですから、補助されている団体には政治活動をやらせないという、こういう指導をするのが本則だと思います。
  132. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 労働大臣に質問いたしますが、まあいろいろ学者の意見でもそうですが、いまの農協にはやっぱり無理な点もあろう。それは、会計とか、帳簿とか、いろいろ無理な点もあろうが、いまの書記さん方をもう少し身分を安定して待遇をよくして、ほんとうに農協の中で仕事をして農村の民主化をやらしたらどうかということでありますが、労働省として、労働基準法違反とか、あるいは書記の待遇とか、調査になったと思うのですけれども、その実態をひとつ御報告願いたいと思います。
  133. 国務大臣(早川崇君)(早川崇)

    国務大臣(早川崇君) 農協も、それぞれ金融業、あるいは商業、製造業をやっておりまするので、当然労働基準法の業種指定の中に入っておるわけでございます。その関係上、超過割り増し金の問題、労働時間の問題、いろいろ労働基準法違反の事件も出ておるわけでございます。そのつど、労働基準局から注意を喚起いたしておる事例をたくさん持っておるわけでございます。また、労働関係では、御承知のように、四三%労働組合が結成されておるわけでございまするし、中央会の職員は平均賃金四万五千円、県中央会では三万五千円という、これは労働組合のほうの調査が出ておるわけでございまして、そういった面で、労働行政といたしましては、農協職員の労働条件の向上ということについては十分配慮してまいりたいと思っております。
  134. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 農協職員待遇がよくなりて民主的な運営ができるように期待をいたしておるところでありますが、この問題は問題がたくさんありますけれども、時間がございません。したがって、別の委員会でまた十分に論議しまして、農協がますます繁栄する方向でひとつ議論を進めていきたいと思います。  次は、中小企業の問題であります。  中小企業の問題は、二つだけ質問いたしますが、一つは、中小企業振興事業団というものを今度つくる、これが柱だということで力んでおられますが、その融資の条件で、国と県と自己負担――集団化、協業化の問題で融資があります。そういうものが、もう少し国ががんばってくれないと、協業化して集団化してやらなければならぬような中小企業はもうとにかく油も汗も出るだけ出ているんだということです。また、県も、貧乏な県は、二五%の負担もなかなかできない。したがって、国が中小企業振興の柱にするならば、もう少し融資条件を引き上げて、しかも事務も簡素化しなさいと、こういう陳情がたくさん出ておるのでありますが、通産大臣の御意見を聞きます。
  135. 国務大臣(菅野和太郎君)(菅野和太郎)

    国務大臣菅野和太郎君) 中小企業振興事業団を今度設けるにつきまして、中小企業に対する助成のことについてできるだけ事業団から金を出したらよかろうという御意見だと思いますが、事業団からは従来二五%だったのを今度四〇%出す。それから都道府県からは二五%、これは従前どおりです。これは無利子で出します。そういうことで、パーセンテージを事業団が以前よりも多く出すことにいたしております。ただし、織布業の産地組合を中心としての構造改善につきましては六〇%出すということを考えておるわけでございます。そのほか、また、小規模の企業者のための共同工場及び公害防止のための共同施設というようなものは四〇%を事業団から出しますが、それは無利子ということで、できるだけ事業団が負担を多く持っていきたいと、こういうつもりでやっております。
  136. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 ただいまの問題、大蔵大臣、いかがでしょうか。中小企業は、資本の自由化のこれから大きく波をかぶるのですが、中小企業振興事業団を柱にしたいと通産相は言っておられる。政府の融資の条件、融資の金額の増加について政府はもっと増加し、手続を簡素化してくださいというような陳情でありますが、通産大臣意見は聞きましたが、大蔵大臣意見も聞いておきたい。
  137. 国務大臣(水田三喜男君)(水田三喜男)

    国務大臣水田三喜男君) いま通産大臣からお話がございましたように、事業団ができましてから、いままで国と県の持っておるのが五〇%という比率が、事業団ができてから事業団が四〇%持つというように比率が上がったことと、したがって、従来のように半々というのではなくて、事業団や県のほうの持つ比率が上がっただけ金利が平準されまして、前と変わらず四分二厘程度のものが平均になっておるというふうに、金利負担を上げないで資金量がふえるということでございますので、事業団ができたために中小企業の近代化というものは前の制度よりも一そう促進されるのじゃないかと私は思っております。金額の量も、去年の百六十何億というものに対しまして二百六十億ぐらいに今度は飛躍しましたので、資金量も相当五割以上ふえたというふうに思っております。
  138. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 さらに大蔵省もひとつ肩を入れてもらうように要望いたしまして、労働大臣に質問いたしますが、中小企業振興のもう一つの柱は、何といいましても五人未満事業所の失業保険と労災保険の強制適用、四十三年度から始まる、これが一番柱だと思います。いま、若年労働力の不足なども、あるいは大企業へ移行する労働者の意欲も、そういうものでずいぶん変わってまいりますが、実際これをできると思っておられるのかどうか、まず、そこからお聞きいたします。
  139. 国務大臣(早川崇君)(早川崇)

    国務大臣(早川崇君) もちろん、できると思ってやっております。
  140. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 大臣も御存じのように、現在、五人以上の適用されなきゃならぬ事業所も、相当に未適用で残されております。おたくのほうの出先機関の監督署の職員はわずかです。ほんとう仕事に携われる人員というものはごくわずかです。これに五人未満の事業所を適用するということになると、たいへんな作業でありますが、一体、五人未満のこれから適用しようとする事業所の数は幾らだとつかんでおられますか。
  141. 国務大臣(早川崇君)(早川崇)

    国務大臣(早川崇君) 約百万事業所でございます。
  142. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 一口に言われましたけれども、なかなかその人たちはもう新聞を読むのもたいへんな人たちです。しかも、手続がたいへんでございまして、監督署に参りましても、職安の窓口に行きましても、めんどうくそうて行かぬのです。したがって、私は、労働省の監督官の人員をふやすとか、もっと民間の協力を得るとか、具体的な措置をやらなければ、これは文章はりっぱにできますけれども、完全な適用はできぬのではないかと心配いたしますから、その点、十分にひとつ労働省としても御勘案を願っておきたいと思います。  最後は、もう一分になりましたが、大事な問題で石炭問題とそれから産炭地振興の問題が一分でございますが、骨子は、鉱害復旧とかあるいは産炭地振興事業団の強力化とか言いましても、ばらばらでございますから、年度計画をやりまして、たとえば住宅計画とか道路計画が長期計画がありますように、長期計画をやりまして、産炭地振興措置法といいますか、全般的な鉱害復旧も含めました法律で包みまして国が積極的に施策をやらなければ、部分部分の対策ではとてもこれは問題は解決せぬのではないか。それから石炭は、五千三十万トン出炭はいたしましても、需要がございませんから、需要確保の問題もございます。それから最後に産炭地教育の問題もありますが、産炭地教育につきましては、僻地教育振興法はありますけれども、産炭地教育振興法というものはないのです。だから、毎年ばらばらで、教員の定数とか学級編制とか論議しなければなりませんから、この際、それも含めて、産炭地教育振興法と、そういうものをつくる決意はないか。これは文部大臣でありますが、あとの問題は、産炭地振興法でありますから、通産大臣から御答弁願い、石炭問題に対して総理大臣から一括して御答弁を願いたいと思います。
  143. 国務大臣(剱木亨弘君)(剱木亨弘)

    国務大臣(剱木亨弘君) 産炭地教育につきましては、予算措置としましてずっと相当予算に計上いたしましてこまかい配慮を行なってまいっておるのでございまして、ただいまのところで産炭地教育振興法といったような法律をつくるというような考えは持っておりません。
  144. 国務大臣(菅野和太郎君)(菅野和太郎)

    国務大臣菅野和太郎君) 石炭需要の問題について総理に御質問がありましたが、私から一緒にお答えしておきます。  石炭需要を約五千万トン以上に確保するということにつきましては、これは非常に困難な仕事だと思っております。が、しかし、政策需要、まあ九電力あるいは電源開発などでぜひ一般炭を使用してもらうということで、大体需要は確保するというめどをつけておるのであります。しかし、今後なお一般炭についての需要がだんだん減ってくるという危険がありますから、したがいまして、そういう場合には、またその対策としてあるいは石炭の火力発電を設けるとかいうようなことで実は検討したいと、こう思っております。でありますからして、五千万トンの需要は、これはずっと永久的に確保をするようにやっていきたいと、こう考えておる次第でございます。  それから産炭地の振興の問題につきましては、これは長期的にひとつ考うべきじゃないかという御意見でありますが、この産炭地の地域振興につきましては、昭和三十八年に産炭地域振興基本計画が定められまして、それに基づいて昭和四十二年度を目標とする産炭地域振興実施計画が定められておるのであります。が、しかし、昨年、産炭地域振興臨時措置法が五カ年間延期されましたので、したがいまして、目下、昭和四十七年度をめどとして産炭地の振興のその実施計画を策定中でありまして、それによって長期的には産炭地の振興をはかりたいと、こう考えておる次第でございます。
  145. 国務大臣(佐藤榮作君)(佐藤榮作)

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま通産大臣並びに文部大臣等からお答えいたしましたが、石炭対策、これはたいへんな問題でございまして、もう過去三回調査団を入れて、今度は長期的な対策というものも立ち得るのではないか。特に関税財源にしても特別会計を設けるというようなことが業界にも新しい希望を持たしたと、かように私は確信しております。  ところで、ただいま時間がないために十分の御意見を聞くことができないのですが、しかし、これらの点も、産炭地九州の出でありますから、たいへん石炭には苦労していらっしゃる。そういう意味で、石炭対策として総合的なまた長期的な計画のもとに遂行しろという、ことに産炭地の振興の問題や公害対策やさらに教育の問題にまで触れて非常に広範な対策を立てろと、こういうような御注意でございました。私も、この石炭問題は、そういう対策を立てる以外にはいまの状態を救うことはなかなかむずかしいのではないか。それにいたしましても、大手と中小炭鉱ではそれぞれの事情を異にしておりますし、また、五千万トンと一口には言いますが、それをどういうように確保していくか。通産大臣にも、積極的に消費のほうを確保する政府の計画がないと、なかなか炭を掘れと言っただけでも将来性というものに希望が持てない、こういう事態になるだろうと思います。したがいまして、炭を五千万トンとにかく使っていくというその有効需要を確保すると、こういうことにも特に注意しなければならぬと思います。また、公害対策やあるいは廃山、廃鉱等が計画されますと、何といっても産炭地域の振興、これを他に適当な産業を見つけてやる、こういうこともやらなければならない。いま、現に、筑豊ではそういう事態に当面しておる、かように思いますが、こういうような事柄が、全部、まあ一口に言えば総合的対策、しかも長期的対策、それによってはじめて解決の曙光をつかみ得るのではないかと、かように私も思います。  きょうは、時間がなくて、小柳君の考え方を質問を通じて十分聞くことができなかったのをまことに残念に思います。
  146. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 質問を終わります。
  147. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 以上で小柳君の質疑は終了いたしました。  次回は明日午前十時開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十五分散会